竹崎先生の 80 歳記念のワークショップに行ってきて, 広義諸先輩方と久し振りに会ってきてハイパー楽しかった

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先日 竹崎先生の 80 歳記念のワークショップ があった. 時間があったので 2 日目だけ参加してきた. 河東先生をはじめ, 広義諸先輩方に久し振りにお会いしてきた. やはり数学者と話するの超楽しい.

下記動画でしているのと同じ格好をして行ったら小澤先生に「出家したの?」と言われた他, 海老蔵に似ている, という心無い罵倒を受けてきて深い悲しみに包まれた.


2 日目の話を一応抜き出しておこう. 基本的に作用素論・作用素環の量子統計, 場の量子論への応用というところで勉強していたので, 作用素環の基礎知識がほとんど無く, 正直ほとんど全く分からなかったが, ハイパー楽しかった.

 
Yoshiko Ogata Normal states of type III factors
Reiji Tomatsu On product type actions of Gq
Toshihiko Masuda Classification of group actions on von Neumann algebras
Yoshimichi Ueda Free product von Neumann algebras with emphasis on structure theory for type III factors
Paul Muhly Homogeneous C*-algebras and noncommutative function theory (abstract)

緒方さんの話は非可換中心極限定理に関わる話で, 緒方さんとしてはやはり量子スピン系への応用を考えているとのことだった. 情けないことだが, 物理的背景の説明があったにも関わらずろくに分からず, 勉強不足を痛感した. 竹崎先生が「これはすごく面白い結果だ」と仰っていたのだが, 数学的な意義もよく分からず悲しい思いをした.

増田さんの話は群作用があるときの分類だが, 大事な結果を引用するところで, Jones-Takesaki の結果を引用し忘れて, 竹崎先生から突っ込まれていて場が笑いに包まれた. 「その後の分類証明の方向性を決定づけた大事な仕事です」みたいなコメントをつけていて, 増田さんが講演中に「大失敗した」という感じで恐縮しきっていて笑った.

植田さんも相変わらず楽しそうに講演していて, 聞いているこちらも楽しくなってくる. 楽しそうに話すのは大事だな, と改めて思う. 自分も気をつけたい.

その後パーティがあったのだが, 何の連絡もせずに当日突然参加したので, ご担当の山ノ内先生にはご迷惑をおかけしたようで申し訳ない限りだった.

色々と裏話的なアレも聞いた. もとは特に問題ない行動だったのに面白おかしく尾鰭をつけて話されて困る, という話のあと, 河東先生が「こうして伝説が作られていくのです」とか言っていて爆笑した.

他はどうだか知らないが, 数学では抽象的な説明をされないと分からないというタイプの人がいる. そういう人が指導する側に回ると学生が死ぬ程困る, という例を聞いて爆笑した. 写像をグラフで定義するという荒技を披露したせいで, 学生が有限集合間の写像の問題すら解けない, ということでその人の指導教官含め, 必死の説得に回ったが聞き入れず, 最近海外での講演などを重ねる中でようやく自覚を始めたらしい, とかいうひどい話を聞きしこたま笑ってきた.

パーティの最後, 竹崎先生からの言葉があったが, 作用素環の入口 でも語られていた話をしていた. 簡単にいうと, 修士の学生の頃からたびたび「作用素環は終わった」と言われていたが, そのたびに面白い話題が, それも思わぬところから継続的に出てきて, 驚きの連続の数学人生だったこと, とてもいい分野に出会えて本当に幸せだったこと, 死んだと言われた分野で日本全国で専門家が 10 人くらいしかいない頃から頑張ってきて, 今となって日本中からこんなにもたくさんの専門家が継続的に育っていること, 自分もその育成に携われたなどなど, 実に楽しそうに話していた.

修士の頃の話として, 数学界の様子は全く分からない学生が指導教官からすら「作用素環は終わった」と言われ, どうしようか途方に暮れていたときに出た Kadison の既約性に関する論文の話をしていた. これは「(C^*) 観の表現で代数的既約性と位相まで込めた既約性が同値である」という凄まじい結果だ. 作用素環の教科書では始めの方に出てくる基本定理で, ややもするとさらりと通り過ぎてしまう定理だが, もちろん恐ろしく非自明で強烈な定理だ. こんな深い結果が出る分野が死んでいるはずがない, 元気がないのはやっている人達の気持だけで, 分野自体は決して死んでいない, と確信し, 作用素環の研究に邁進しようと決意した, という話. 既に上記文献で読んで知っていた話だが, 当人の口から直接聞くとそれは感慨深いものがある.

数論幾何なども衝撃的な結果が 10 年くらいずつ出てきてとんでもない分野だが, こちらはどちらかと言えば有名な予想が解決された, という形での衝撃性という (非専門から見た私の勝手な) イメージがあるが, 竹崎先生いわく, 作用素環は予想もしないところからの衝撃的な結果が出てくる, という意味での驚きが強く, とても楽しいとのこと. 作用素環に進もうという向きは楽しみにしていていい, ということなのでここでも宣伝しておきたい. 不肖の竹崎先生の孫弟子であった.


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