解説『やさしい理系数学』 第 2 章 関数と方程式・不等式 例題 6 埼玉大

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば

このページを参考に気軽に質問してください.

必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.

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どんどんアウトプットすることが大事です.
積極的に解答を書いて私まで送ってくださいね.
メールや LINE だと式を書くのが大変でしょうから,
書いた紙を写真に撮って画像で送ってくれればいいですよ.

問題(埼玉大)

正の実数 \(x\), \(y\) が \(x^2 – 2x + 4y^2 = 0\) をみたしながら変わるとき,
\(xy\) の最大値を求めよ.

ポイント

適当な拘束条件下での最大最小問題だ1.
最大・最小問題なのでまず微分が使えないかという発想が出てくるだろうが,
見た目は \(x\), \(y\) の 2 変数があって高校範囲の 1 変数の微分の枠からはみ出るから,
何とか 1 変数に叩き落とす必要がある.
ここを乗り越えられるかが第一のポイントだ.
その他, 最大値だけ出せばいいので不等式とその等号成立条件を調べる方針もある.
さらに純粋に式の処理と思ってもいいし,
幾何学的に見る視点も大事で, それも別解として使える.

あと, そこまでわからなくてもいいのだが,
この問題では \(x\), \(y\) が正という条件はなくても最大値は出せる.

方針

方針 1

方針はいくつかあるが, まずは私がはじめに考えたことを説明しよう.
\(xy\) の最大値を見たいのだから具体的に \(xy = k\) としてみる.
これは小学校以来の双曲線の方程式だ.
そして \(x^2 -2x + 4y^2 = 0\) は楕円の方程式なので,
これは双曲線と楕円が交点を持つ最大の \(k\) を求める問題になる.
\(y = k/x\) として楕円の方程式に代入しよう.

\begin{align} 0 = x^2 – 2x + 4 \frac{k^2}{x^2} \Rightarrow x^4 – 2x^3 + 4k^2 = 0. \end{align}つまり \(x^4 – 2x^3 + 4k^2 = 0\) が解を持つような \(k\) の最大値を調べればいい.
ただし上の式が解を持つ \(k\) の最大値を調べようと思うとちょっと苦しくなる.
そこでさらに \(x^4 – 2x^3\) が最小値を持って,
その最小値がそれがぎりぎり \(4k^2\) になる \(k\) の値を見よう, と視点を変えてみる.
ここが結構大事なところで, この読み替えができると計算が楽になるしミスも減る.
これで問題は \(f(x) = x^4 – 2x^3\) の最大最小問題に帰着した.
ただし元が楕円の方程式から来ているから \(x\) は \(0 < x < 2\) の条件が入っていることに注意する.
きちんと 1 変数の微分の問題に落ちていることも確認しておこう.

これをもっとダイレクトにやると本の【解答 2】になる.
条件式から \(0 < 4y^2 = -x^2 + 2x\) であり \(0 < x < 2\).
\(xy\) は正だから

\begin{align} xy = \sqrt{x^2 y^2} = \sqrt{x^2 \frac{-x^2 + 2x}{4}} = \frac{1}{4}\sqrt{-x^4 + 2x^3}. \end{align}だから \(f(x) = -x^4 + 2x^3\) を \(0 < x < 2\) の範囲で最大化すればいい.
この区間で最小値を取ってくれるならそれでいいが,
そうならない場合は端点の情報を調べる必要もある.
これはシンプルだからあまり困らないものの 4 次関数ではあるから割と面倒になる可能性もある.
きちんと追い切れる計算力をつけないといけない.

方針 2

次はちょっと豪快に相加相乗平均の不等式を使う.
1 点閃きを要するところがあって,
結構難しいが覚えておくべき技術とも言えるから紹介したい.
楕円だからというところから決めてもいいが, まず \(x\) の変域を調べよう.
\(0 < 4y^2 = -x^2 + 2x\) だから \(0 < x < 2\).
また \(xy\) が正ということもあり, \(xy\) の最小値と \(x^2 y^2\) の最小値は 1:1 に対応する.
そこで \(x^2 y^2\) を計算する: これは \(y^2 = (-x^2 + 2x)/4\) を使えるからだ.

\begin{align} x^2 y^2 = \frac{1}{4} x^2 (-x^2 + 2x) = – \frac{1}{4} \frac{1}{3} x \cdot x \cdot x \cdot (6 – 3x). \end{align}ここで \(1/3\) を挿入しているのは次の相加相乗平均を使う準備だ.
さらっと書いたが, 相加相乗平均を使いたいならこれに気付く必要があるし,
そもそも \(x^3\) を \(x \cdot x \cdot x\) と分解できるかも大事だ:
これはなかなか思いつかないだろうから,
やはり少なくとも 1 度は経験しているかどうか, 知っているかどうかが勝負を分ける.
ここでもきちんと 1 変数の問題に落ちていることを確認しておこう.
4 変数の相加相乗平均の不等式から

\begin{align} \sqrt[n]{x \cdot x \cdot x \cdot (6 – 3x)} \leq \frac{x + x + x + (6-3x)}{4} = \frac{3}{2}. \end{align}等号成立条件は 4 つの変数が全て一致するときで, 結局 \(x = 6 – 3x\).
あとはこれを解いて \(0 < x < 2\) であることを確認すればいい.
この最後の確認がないと減点されるかもしれないので注意しよう.
もっと言うなら, チェックする習慣がついていないと,
他の問題を解いているときに条件見落としで本当に不適なものを解答に含めてしまう可能性がある.

方針 3

焦って見抜けないと悲惨ではあるが,
条件式は楕円の方程式とわかっているのでそれを直接使う解法もある.
楕円のパラメータ表示を使えばいいのだ.
\(x – 1 = \cos \theta\), \(y = \frac{1}{2} \sin \theta\) とする.
\(x\) も \(y\) も正なので \(0 < \theta < \pi\) という条件がつくことに注意しよう.
ここでもきちんと 1 変数の問題に落ちていることも確認しておく.
こうなると \(xy = (1 + \cos \theta) \sin \theta / 2 = f(\theta)\) になるから,
単純な \(f (\theta)\) の最大最小問題になる.
やはり微分が一番てっとりばやいだろう.

脚注:

1

実用的にも大事だ.
微分方程式の数値計算・シミュレーションやその他いろいろな数値計算で,
実際に何百どころか何億という連立一次方程式が出てくる.

最後に: 気軽に質問してください

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