解説『やさしい理系数学』第 13 章 関数と数列の極限 例題 39 問題 1-1

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

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やさしい理系数学 第 13 章 関数と数列の極限 例題 39 問題 1-1

まず数 III・C は定型的な問題が多く, 取りこぼしは決して許されないことを肝に命じておこう.
数 III・C が本質的に難しくなるのは計算量が多い場合と他の分野と融合してきた場合だ.
前者のためには計算力強化が欠かせない.
後者は試験本番で出くわすとつらいが,
問題演習としてはいろいろな分野の高度な復習にもなるからむしろ有効活用したい.
何をどうすればそんなのを思いつけるのかと思う手法も多いが,
やればやっただけ身になる分野だしどれだけきっちり詰められるかが勝負.
高 3 の人は授業の進展など待たず,
早い内から積極的に勉強を進めて足場を固めてほしい.

問題 1-1

(1) 次の極限値を求めよ.

\begin{align} &\lim_{n \to \infty} (1 – \frac{1}{n})^n, \\ &\lim_{n \to \infty} (\sqrt{1 + 2 + \cdots + n} – \sqrt{1 + 2 + \cdots + (n-1)}), \\ &\lim_{n \to \infty}\frac{n^2}{2^{n}}. \end{align}

ポイント: 問題 1-1

\(n \to \infty\) のときの次の増大度の順番は覚えてしまおう.
\(n\) の次数をオーダー (桁) と呼んで,
この式を元に考えることを「オーダーを見る」ともいう.

命題
\(n \to \infty\) の極限を考えるとき, 次の大小関係が成り立つ.

\begin{align} \text{定数} < \log n < n < n^2 < \cdots < n^{k} < e^{n}. \end{align}例題 39 の問題 2 では証明を求められているし,
例題 39 の (3) は証明つきできちんと覚えておくこと.

教科書にも一部は書いてあると思うが, 参考までに \(x \geq 0\) のときの次の不等式群も紹介しておく.

命題
\(x > 0\) のとき次の不等式が成り立つ.

\begin{align} e^x &\geq 1 + x, \\ e^{x} &\geq 1 + x + \frac{1}{2!} x^2, \\ &\vdots \\ e^{x} &\geq \sum_{k=0}^n \frac{1}{k!} x^{k} \geq \frac{1}{k!} x^k, \quad (k= 1, 2, \dots, n). \label{univ-entrance-exam56} \end{align}\(x < 0\) で成立しないのは \(x^2\) の項の挙動を考えてみればすぐわかる.
証明は辺々引き算した関数を必要な次数まで微分して増減表を地道に書いて考えればいいし,
微分積分学の基本定理を使って次のようにやってもいい.

\begin{align} e^x – 1 &= \int_{0}^{x} \frac{d}{dt} e^t dt = \int_{0}^{x} (x – t)^{0} e^t dt \\ &= [- (x – t) e^t]_{0}^{x} + \int_{0}^{x} (x – t) e^t dt \\ &= x + [\frac{(x-t)^2}{2} e^t]_{0}^{x} + \int_{0}^{x} \frac{(x-t)^2}{2} e^t dt \\ &= x + \frac{x^2}{2!} + \int_{0}^{x} \frac{(x-t)^2}{2} e^t dt > x + \frac{x^2}{2!}. \end{align}一般的にやるには帰納法でやってもいいし,
そのまま逐次的にやってもいい.

方針: 問題 1

最初の式

典型的な「知っていることに落とし込めるか」という問題だ.
自然対数の底の定義は

\begin{align} \lim_{n \to \infty} (1 + \frac{1}{n})^{n} \end{align}で, それとよく形は似ている.
さらに \(x^{a} = 1/x^{-a}\) も当然知っているだろう.
こうした基礎知識からギャップをどう埋めていくのかという問題で,
処理としては定型的だ.

真ん中の式

やはり定型的な問題.
ルートのままでは計算しづらいというか,
計算できないのだから計算できるように変形していくことを考える.
そこでルートが出てきたら「有理化」してみるのだ.
これはこの章で繰り返し出てくるので完璧に身につけること.

収束しそうかどうかという勘も磨いておこう.
これは(無限大 \(-\) 無限大)の形なので一般的にはどう振る舞うかわからない.
ルートの中身は \(n\) だけしかずれていないから何となくうまいこと収束してくれそうな気はするものの,
予断を許さない形とも言える.
特に収束するとしてもその値について直観的に見通すのは難しい.
ぱっと見ルートの中身のオーダーは \(n\) に見えるが,
和になっているから \(n^2\) のオーダーになっていることも注意してほしい.

最後の式

理工系の必須教養だ.
これは証明つきで必ず覚えておくこと.
本では指数関数の評価に二項展開を使っている.
やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ, 河合出版)

最後に: 気軽に質問してください

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