大学受験勉強法 モチベーション維持・向上の観点からの受験サプリ・塾・予備校利用

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大学受験勉強法 受験サプリ・塾・予備校・通信教育の使い方 では
塾や予備校の使い方を説明しました.
それらで何が得られるのかを議論し,
翻って独学するときに補充するべき要素を説明しました.

今回は塾や予備校, 受験サプリのようなオンラインスクールで
得られるその他のメリット,
そしてその裏返しで独学に必要な要素を説明します.

はじめに言っておくと, タイトルの通り,
大事なことはモチベーションの維持・向上です.
感動といっても構いません.

復習: 得られるものは環境である

大学受験勉強法 受験サプリ・塾・予備校・通信教育の使い方 でも説明した通り,
塾・予備校・オンラインスクール・通信教育にお金を払って得られたもの,
お金を払ってでも得たいものは環境です.
進学校や旧制高校での事例も紹介しました.

環境が持つ力は色々ありますが,
お互いを高め合う仲間に出会えること,
よい場を保ってくれて支えてくれる人がいること,
そして自分では集めづらい情報が楽に手に入ることがあります.

これらをモチベーション維持という点から見直してみましょう.

そもそもモチベーションが何故必要か

それは簡単で, やるべき勉強が手につかなくなるからです.
やる気が出ないのに頑張らないといけないのでは
つらくなるばかりだからです.

モチベーションについては詳しくは他で議論しますが,
まずはこの当たり前の事実をおさえます.

塾・予備校・オンラインスクールで得られるモチベーション

人によっていろいろなやり方があります.
これも別の機会で詳しく議論しますが,
ここでは塾・予備校・オンラインスクールで得られる部分について議論しましょう.

それは人との交流であり, もっというなら感動です.

これはわかりやすい!
よくわかって嬉しい!
もっとよくわかりたい!

こうした感動がモチベーションの源泉 (の 1 つ) になります.

「これはわかりやすい!」というのは
本や他の手段でも経験できます.
しかし塾・予備校・オンラインスクールでは,
それは講師が, 人が与えてくれます.
ただの情報ではなく, 講師の声や表情, 感情,
対面の講義ならさらに教室の熱気,
それらが合わさって心を強く動かします.
これが強いモチベーションになっていってくれるのです.

よくわかって嬉しい!
もっとわかりたい!

実際, こういう気持ちは大学で勉強する上でも
大学院やさらにその先で研究する上でも大事な気持ちです.
それを刻みつけてくれる場や環境を与えてくれるから,
塾・予備校・オンラインスクールは役に立つのです.

講義室では他の学生もいます.
楽しそうに, 熱心に何かをしている人の姿を見ると
自然と自分も楽しく, 熱中していった経験はないでしょうか?
特に塾・予備校の対面講義は
そうした環境が用意されているのが特長です.

塾・予備校・受験サプリなどのオンラインスクールの特長に流されないようにしよう

塾・予備校・受験サプリなどのオンラインスクールを
使える人はどんどん使っていいのですが,
他の記事 で説明した通り, 使い方に気をつけましょう.

大学受験でいうなら,
最終的な目標は志望校に合格することです.
そのためにやるべきことはきちんと答案を書けるようになることです.
そのためにやるべきことは覚えるべき項目は覚えること,
覚えたことをきちんとアウトプットできるようにすることです.

スポーツをやっていた人ならわかるでしょうが,
はじめて対戦する相手であっても,
「このときにはこれ」という動きが身についていれば,
体が勝手に動きます.

勉強でも, 受験でもそういう状態を目指してください.
考えるまでもなく自然に解法・解答が浮かんでくる状態を目指してください.

大事なのは復習であること,
これさえわかっていてその時間を確保できるなら何も問題はありません.

補足: 人との触れ合い, 感動が大事な理由

私の大学時代の話をします.
早稲田・東大での物理学科・数学科の事例ではありますが,
いわゆるいい大学・難関大学,
特に理学部ではある程度普遍的なことだとも思っています.

それはわかりやすいかどうかすら関係なく,
「よくわからなくても何かすごい・面白い・楽しい」という
感情の動き, 感動が決定的な役割を果たす事実です.

今も私の心に残っている,
早稲田時代の 2 つの講義の様子を紹介します.

極端な例: 私の大学時代で一番心に残った大谷先生と大島先生の講義

私は早稲田の物理学科に進学しました.
皆さんが入学する頃には担当教官は定年退官されているかもしれませんが,
一番印象に残った講義を 2 つ紹介します.
それは大谷光春先生の数学概論と,
大島忠平先生の固体物理です.

ちなみに前者は大半の学生に圧倒的不人気ですが,
一部の学生には熱狂的に迎えられる講義,
そして後者は先生の講義が壊滅的にわからないと有名な講義です.
それが何故一番心に残っているかを説明します.

一言で言うなら, わかるから楽しかったのではなく,
全くわからないから楽しかったのです.

大谷光春先生の数学概論

私は一浪しました.
現役時に受けた早稲田・東大ともに落ちたからですが,
一浪時は早稲田・慶應には受かりました.
どうしても東大に行きたいというのはありましたが,
また浪人していつまでもくすぶっているよりは,
早く大学に入って大学の進んだ勉強がしたい,
そう思って早稲田に進学しました1.

東大に行けなかったのは本当に残念ではありました2が,
大学に入れる, という意味では本当に楽しみで楽しみで仕方ありませんでした.
はじめの 1-2 週はガイダンスや講義の履修登録などで,
それも済んでようやく講義がはじまりました.
それなのに, ようやくはじまった講義は高校の復習か,
直接の延長線上にある内容ばかりで,
「こんな高校でもやるようなことをやりに
わざわざ大学に来たのではない」と本当にがっかりしました3.

そんな中, 講義がはじまった週の最後の日,
金曜日の午後一の 3 限に数学概論がありました.
大谷先生は来るなりいきなり実数論の講義を全開でぶっぱなしていきます.
はじめてのっけから全くわからない話が凄まじいペースで展開されていきました.

大半の学生は「わけがわからないし, 物理と関係ない」と嫌がるのですが,
一部の学生は「大学の数学はこんなことやるのか.
本当に楽しい」という反応をします.
私の反応は後者の中でも最大クラスのものでした.

一浪の末, 大学に入ってようやく自分がやりたかったことができた,
全身全霊を振り絞ってもまるで敵わない相手に出会えた,
「俺より強いやつに会えた」という感じで,
毎回本当に楽しい講義でした.

学部 2 年以降はさすがに専門の物理が本格的にはじまるので
数学の勉強量が相対的に減りましたが,
学部 1 年の頃に関していうなら,
確実にその辺の数学科の学生よりも遥かに数学をやっていたと
自信を持って言えるくらいに数学をやっていました.

私は学生部会というのに所属していたのですが,
大谷先生はその顧問をやって下さっていて,
その会合の打ち上げのときに「君はテストで非常にいい成績で,
何か表彰でもしてあげたいくらいだ」と言ってもらえたことがあります.

そのとき, 大谷先生はこうも言っていました.

数学概論は学生からの評判が悪いだけではなく,
教授会でも評判が悪い講義でもある.
それでも何故やるのか.
早稲田の物理, 特に応用物理の起源にも関わることではあるが,
もう 1 つ大事なことがある.

諸君らは今まで高校なりでお山の大将だっただろう.
そんな諸君らに世界の広さと高さを知らせなければいけない.
こちらの方が圧倒的に上であることを叩き込まなければいけない.
私にとってもあの講義は諸君らとの戦いなのだ.

この言葉にさらに触発されて,
今まで以上に学業に, 特に数学にのめり込んでいきました.
今の私のスタンスを決定した一言でもあります.

また, ここで現代数学の基礎を学べたからこそ,
あとで大学院を決めるときに数学科進学まで視野に入れられたのでした.
その意味でも私にとって数学概論は進路を決めた講義でもあります.
今も数学と物理の話ができるのは,
ここで大学数学の基礎を気でも狂ったように,
馬鹿みたいに徹底的にやったからです.

もう 1 つ決定的だった出会いは
学習院の田崎晴明さんが書いた熱力学の教科書,
そしてそれを読んだあとに (学習院は早稲田から近いので)
メールを田崎さんに出して学習院まで押しかけたことがあります.
これは機会があれば話をしましょう.

大島忠平先生の固体物理

大島先生は一言でいうなら,
本当に楽しそうに講義する先生です.
講義のあと, 友人達といつも次のように話していました.

「今日の講義もわけわからなかったな」
「でも先生, 相変わらず楽しそうだったな」
「大島先生があんな楽しそうにしている固体物理がつまらないわけがないな」
「頑張って勉強しよう」

本当にこういう会話をしていました.
講義がわかりやすいかどうかとかそういうのはただひたすらにどうでもよく,
心から楽しそうに話をしている大島先生の姿を見て,
やっぱり物理楽しいなというのを確認する講義だったとでもいいましょうか.

もちろん大島先生は精一杯わかりやすくなるように
頑張って講義してくれていたと思います.
しかしその目標はまるで到達できていませんでした.

これはもう完璧にモチベーションを上げてくれる,
ただそれだけに特化した講義でした.
ちなみに修士で研究し, 今でも研究しているのは【固体物理の数学】なので,
その意味ではこの講義の延長上に研究までもがあります4.

また, この講義も私の今のスタンスを強く決めている経験です.
子供の頃を考えても, 「何かよくわからないけどすごいし格好いい!」を
基本原理にして動いていたので, それがそのまま出たスタンスです.

大人に対して万人受けするかどうかはわかりません.
しかし自分と同じような大学院まで行くような人々には
響くスタンスであることは間違いありません.

それはニコニコ動画で数学・物理に関して作っていたコンテンツが
大学どころか大学院, さらにいうなら世界的に見ても
極めてマニアックなテーマの動画を作っていたのに
一定のファンがつき, Twitter でそうした人々が
大学院クラスにいるとわかったことではっきりしました.

まとめ: 人との触れ合いで感動を与えてくれるのが塾・予備校・オンラインスクール

少し話がずれてきたこともあるので,
改めてまとめましょう.

塾・予備校・オンラインスクールで与えてくれるのは
人との触れ合いであり, 感動です.
大学受験を考えるなら知識や情報も大事な要素ですが,
不安になったり先が見えなくなってやる気がなくなったときに
モチベーションを上げてくれ, 感動を与えてくれます.

塾・予備校・オンラインスクールを利用するときには
これらの要素を大事にしましょう.
「講師にも合う合わないがあるから」という話を聞いたことがあるかもしれませんが,
それはこの感動の勘所が合うか合わないかです.

それを意識して選べば塾・予備校・オンラインスクールが
もっとよく活用できます.

逆に, 独学の人達はここに注意して勉強を進めていきましょう.
必要なら私をうまく使ってくれて構いません.

大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
このページを参考に気軽に質問してください.
必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.
リンク先のページには LINE・メールの連絡先も書いてあります.

脚注:

1

ちなみに慶應ではなく早稲田にしたのは,
慶應の理工が横浜の方で遠く, 白血病が完治していない状態では体力的に通えない可能性があると思ったからです.
東大 (本郷) がいいと思ったのは出身高校である上野高校から近いので,
通いやすくて体力的に無理もないだろうし, 国公立で授業料も安いからです.
そうはいっても東大は 1-2 年は教養部で駒場ですが.

2

入学早々, スーパーフリーという世間的にも嫌な事件があって,
大学 2 年くらいまでふとした時に「何で自分は (東大ではなく) 早稲田にいるのだろう?」と思うことがありました.

3

念のため言っておきますが,
凄まじいペースで講義は進んでいくので 1 月もすればもう訳のわからない世界が広がります.

4

研究テーマである固体物理の数学についてはむしろ上掲の
学習院の田崎さんの影響の方が遥かに強くはありますが.


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