解説『やさしい理系数学』第 15 章 積分法とその応用 例題 45

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やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ, 河合出版)

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

解説『やさしい理系数学』第 15 章 積分法とその応用 例題 45

問題 1-1

次の不定積分を求めよ.

\begin{align} &\int \tan x dx, \label{univ-entrance-exam73} \\ &\int e^{\sqrt{x}} dx, \label{univ-entrance-exam74} \\ &\int \frac{1}{e^{x} – e^{-x}} dx, \label{univ-entrance-exam75} \\ &\int \frac{x}{x^2 – 2x – 3} dx. \label{univ-entrance-exam76} \end{align}

ポイント・方針: 問題 1-1

微分と同じくここは全て定型処理.
四の五の言わずにまずは部分分数分解, 置換積分, 部分積分といった手法を覚える (使いこなせるようにする).
置換積分した場合は最後, 置換した変数を元に戻すのを忘れてはいけない.
具体例としてもこのくらいを覚えておけばある程度の応用も効くはずだ.
本質的に難しい (どうやっても試験本番で思いつかない) 置換を使う場合は適当に誘導が出る.
不定積分で置換した場合, 最後に変換した変数を元に戻すのを忘れないよう気をつけてほしい.

計算が重たいことも多いから, 計算ミスをどうやってなくすかを考えるのも大事.
自分がやりがちなミスをきちんとメモしてそれをどう潰すか考えること.

問題 1-2

次の定積分を求めよ.

\begin{align} &\int_{- \pi}^{\pi} (\pi – |x|) \cos x dx, \label{univ-entrance-exam78} \\ &\int_{-1}^{1} \frac{x^2}{1 + e^x} dx, \label{univ-entrance-exam79} \\ &\int_{a}^{b} \sqrt{(x-a)(b-x)} dx \quad (a < b). \label{univ-entrance-exam80} \end{align}

ポイント・方針: 問題 1-2

問題 1-1 と同じく定型処理.
不定積分と同じく部分分数分解, 置換積分, 部分積分はもちろん使う.
区間の情報が入ってくるので, 偶関数・奇関数であることを使う,
対称性に注目して区間をいじる,
図形の面積と絡めて計算を省くといったことも追加で覚えよう.

不定積分と同じく計算が重たいことも多いから, 計算ミスをどうやってなくすかを考えるのも大事.
定積分では具体的な数を代入して計算することも多く,
代入するのが分数の場合は特に計算ミスの可能性が高くなる.
自分がやりがちなミスをきちんとメモしてそれをどう潰すか考えること.

第 1 式は偶関数であることに着目すればいい.
絶対値のおかげで偶関数になってくれるが, 計算上鬱陶しいところでもある.
その特殊性を使って絶対値を外しつつ楽に計算する方法を探そう.

第 2 式は区間が対称的なので偶関数・奇関数だったらよかったのだが,
被積分関数はそうなっていない.
つらいのは \(e^{x}\) の処理だ.
これをどうするかがポイントだろう.
区間の対称性もそれはそれとしてうまく使うことが大事になる.
これは割と難しい.

問題 2-1, 2-2 (高知大)

(1) 連続関数 \(f(x)\) および実数 \(a\) について, 等式

\begin{align} \int_{0}^{a} f(x) dx = \int_{0}^{a/2} \{f(x) + f(a-x)\} dx \label{univ-entrance-exam82} \end{align}が成り立つことを証明せよ.

(2) 次の定積分を求めよ.

\begin{align} &\int_{0}^{\pi / 2} \frac{\cos x}{\sin x + \cos x} dx, \\ &\int_{0}^{\pi / 2} \frac{\cos^3 x}{\sin x + \cos x} dx. \end{align}

ポイント・方針: 問題 2-1, 2-2

等式変形なので, 力づくでも何でもいいから左辺から右辺,
または右辺から左辺を導くか,
辺々引いて差が 0 であることを示してもいい.
具体的には積分区間が違うことに着目する.
違う部分を同じにしてもまとめていくようにすればいい.
(2) は (1) の誘導をうまく使う.
分母に \(\sin\) と \(\cos\) が出てくるので, 分子からも
これらをひねり出せれば処理が楽になる.
それを思いながら工夫して変形していくことになる.

問題 2-3

次の不定積分を求めよ.

\begin{align} &\int \frac{1}{\sin^2 x \cdot \cos^2 x} dx, \label{univ-entrance-exam85} \\ &\int \frac{1 – \tan x}{1 + \tan x} dx. \label{univ-entrance-exam86} \end{align}

ポイント・方針: 問題 2-3

三角関数のいろいろな関係式を使いこなせるかどうかだ.
三角関数の実戦的な復習にもなるのでうまく使ってほしい.
はじめは全く思いつかないだろうがそれが普通だ.
ある程度数をこなせば, はじめて見る問題でも何となく方針は浮かぶようになる.

第 1 式 は \(1 / \cos^2 x\) や \(1 / \sin^2 x\) の処理がポイントだろう.
第 2 式は \(\tan x\) を \(\sin x / \cos x\) に分解してみるのがポイントだろう.
逆の変形はよくやるだろうが, その逆がここでできるかどうかというところ.

問題 3

次の極限値を求めよ.

\begin{align} &\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n \frac{k}{n^2 + k^2}, \label{univ-entrance-exam87} \\ &\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n \frac{(n+k)^2}{n^3}, \label{univ-entrance-exam88} \\ &\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n \frac{1}{\sqrt{n} \sqrt{n + k}}, \label{univ-entrance-exam89} \\ &\lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n \frac{k}{n^2} \sin \frac{k \pi}{n}, \label{univ-entrance-exam90} \\ &\lim_{n \to \infty} \log \frac{\sqrt[n]{(n+1)(n+2) \cdots (n + n)}}{n}. \label{univ-entrance-exam91} \end{align}

ポイント・方針: 問題 3

区分求積法の問題だ.
\(x\) に化けるのは \(k/n\) の項だがぱっと見 \(k\) だけしかないことがある.
\(dx\) に化ける \(1/n\) を括り出すこと, \(k/n\) が出てくることを考えよう.
どちらかやってみると勝手に一方が出てくることもある.
難しくなってくると, 積分にした後に置換積分や部分積分などの手法を使って処理しないといけないことも多いだろう.
最後の式, 問題が恐らく一番難しい.
ぱっと見和の形ではなく, 区分求積法の問題と気づけるかが勝負になる.
もちろん数 IIIC 自体が勝負を分ける分野だが,
数 IIIC に慣れていないとき, もっというと初見だとかなり厳しい一方で,
十分演習している人には軽く取れる問題でもあるから,
勝負を分ける問題になる可能性がある.
数列の極限の処理の中で最後に出てくる可能性もある.
指数・対数の復習にもなるし, やはり一度やってきちんと覚えておくのが大事だろう.

問題 4

次のように \(I_n\) を定める.

\begin{align} I_n = \int_{0}^{\pi / 2} \sin^n x \, dx \quad (n = 0, 1, 2, \cdots). \end{align}(1) \(I_n = \frac{n-1}{n} I_{n-2}\) \((n \geq 2)\) を示せ.

(2) \(I_n\) を求めよ.

ポイント・方針: 問題 4

超がつく程の定型問題.
高校での数学に限らず \(n\) 乗を部分積分で処理するのは標準的な手法だ.
大学の教科書にも演習問題として載っていることがある.
場合分けまで含めて完璧に覚えておこう.
この問題でいうなら注目すべき点は \(I_n\) と \(I_{n-2}\) を結びつけているところだ.
(1) から (2) への誘導にきちんと乗ること.
\(I_n\) からどうすれば \(n-2\) の項を引きずり出せるか,
そこに気づけるかが大事だ.
また \(n\) と \(n-2\) を繋いでいることから \(n\) の偶奇での場合分けに気付けるか.

問題 5

\(m\), \(n\) を 0 以上の整数とし, \(I(m, n)\) を

\begin{align} I(m, n) = \int_{\alpha}^{\beta} (x – \alpha)^{m} (\beta – x)^{n} dx \quad (\alpha < \beta) \end{align}によって定める.

(1) \(n \geq 1\) のとき, \(I(m, n)\) を \(I(m+1, n-1)\) を用いて表せ.

(2) \(I(m, n)\) を求めよ.

ポイント・方針: 問題 5

これも超がつく程の定型問題.
\(n\) 乗を部分積分で処理する.
大学の教科書にも演習問題として載っているどころか,
\(B\) 関数 (ベータ関数) として章立てされていることもある.
結果はセンターで裏技, \(1/6\) 公式などと呼ばれて紹介されることもある有名な結果だ.
2 次, 3 次の多項式くらいなら結果も覚えやすい.
特にセンターでは計算量・時間の節約・計算ミス撲滅のためにどんどん使っていこう.

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