解説『やさしい理系数学』第 6 章 微分法 例題 17 関西学院大

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

解説『やさしい理系数学』第 6 章 微分法 例題 17 関西学院大

問題 (関西学院大)

放物線 \(C \colon y = x^2\) 上の点 P を通り,
かつ \(\mathrm{P}\) における \(C\) の接線に垂直な直線と \(l_1\) とする.
同様に, \(C\) 上の点 \(\mathrm{Q}\) を通り, かつ \(\mathrm{Q}\) における \(C\) の接線に垂直な直線を \(l_2\) とする.
\(l_1\) と \(l_2\) が直交するとき, \(l_1\) と \(l_2\) の交点 \(\mathrm{R}\) の軌跡を求めよ.

ポイント

ある直線に垂直な直線を法線と呼ぶ1ことにする.
そうするとポイントは次の点だ.

  • 法線の方程式がすんなり書けるか.
  • 素直に法線の交点を求められるか.
  • 軌跡に範囲制限がつかないかをチェックできるか.
  • 解と係数の関係.

軌跡を求めて満足して範囲制限に気づかない・チェックしないようでは部分点しか来ない.
ここまで詰めきれるかが勝負所だ.

方針

いたずらに変数を増やすとあとで大変なので,
まずはそれに注意しながら \(\mathrm{P}\) と \(\mathrm{Q}\) の座標を書く.
\(\mathrm{P}(p, p^2)\), \(\mathrm{Q} (q, q^2)\) とすればいい.
なるべく点と座標のアルファベットを合わせておこう.
こういうのも不要なミスや勘違いを防ぐために大事な手法だ.
そして欲しいのが接線ではなく法線なのがちょっと捻ってあるポイントだ.
問題文に明記されていないが,
接線が直交しないと \(\mathrm{R}\) 自体存在しないか無限に存在することになってしまう.
そのために

\begin{align} p \neq 0, \quad q \neq 0, \quad p \neq q \label{univ-entrance-exam119} \end{align}という条件をつける必要がある.
これも書かないと減点になりかねないので注意しよう.
こういう詰めが甘いようでは後半部の勝負所が乗り切れない.

何はともあれ, 求めるべきは 2 法線の交点だ.
法線の方程式を立てて交点を実際に求めるのがいいだろう.
結果だけ書くと次のようになる.

\begin{align} &l_1 \colon y = \frac{1}{-2p} (x-p) + p^2 = – \frac{1}{2p} x + p^2 + \frac{1}{2}, \\ &l_2 \colon y = \frac{1}{-2q} (x-q) + q^2 = – \frac{1}{2q} x + q^2 + \frac{1}{2}. \end{align}\(\mathrm{R}(x, y)\) とし, 法線が実際にこの点を通ることを素直に使って連立方程式を解けばいい.
上 2 式の和を取ると \(y = 4x^2 + 3/4\) という方程式が出るので,
これが目的の軌跡の方程式だ.

そしてここで終わってはいけないのがこの問題の勘所で難所だ.
\(p\) と \(q\) に条件がついていて, その条件つきの接線・法線から作っているから,
\(\mathrm{R}\) は機械的に出した上の方程式の全体を動く保証はない.
全体を動くなら全体を動くこと,
一部しか動けないなら一部しか動けないこととその範囲を明示しなくてはいけない.
ここで手が止まるだろう.
だから勝負所なのだ.

やってみなければわからないが, \(\mathrm{R}\) が動く範囲は \(p\), \(q\) に依存するはずだから,
\(\mathrm{R}\) の座標 \((x, y)\) を \(p\), \(q\) で書ければそこから拘束が見てとれるはず.
こう思うと, まず法線の 2 方程式の差を取ることで \(p\), \(q\) と \(x\) の関係式が出すことは思いつくだろう:

\begin{align} p + q = 2x. \end{align}\(p \neq 0\), \(q \neq 0\), \(p \neq q\) だけ見れば,
ここから \(x\) は全ての実数を動けるはずと思えるがまだ話は終わらない.
\(\mathrm{R}\) は法線が直交する点として定義されているから,
この直交条件も盛り込んで考えないといけない.
法線の方程式から結果的に次の条件が出る.

\begin{align} pq = – \frac{1}{4}. \end{align}この 2 条件から \(x\) の動く範囲を決めないといけない.
またここで手が止まるだろう.
難所その 2 だ.

結論からいうと, ここで何を思うかといえば 2 次方程式の解と係数の関係だ.
解と係数の関係から \(p\), \(q\) は次の 2 次方程式の解であり,
\(p \neq 0\), \(q \neq 0\), \(p \neq q\) からさらに 0 でない相異なる実数解でなければならない.

\begin{align} x^2 – 2x t – \frac{1}{4} = 0. \end{align}\(pq = – 1/4\) から \(p\), \(q\) が 0 でない相異なる 2 解であることはわかる:
\(p = 0\) または \(q = 0\) では成り立たないし, \(p=q\) とすると \(p^2 = -1/4\) と \(p\) が虚数になってしまう.
さらに実数解という条件から判別式が正でなければいけないから,
その条件を書くと \(0 < 4x^2 + 1\) で全ての実数 \(x\) で成立する.
まとめると動くのは \(y = 4x^2 + 3/4\) 全体だ.
最終的に全体となるからといってこのチェックを怠ってはいけない.
【確認したら全体でした】というのと【確認もせず勝手に判断する】というのでは全く意味が違う.
あとはこれを答案としてまとめればいい.

最後に: 気軽に質問してください

大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
このページを参考に気軽に質問してください.
必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.
リンク先のページには LINE・メールの連絡先も書いてあります.

脚注:

1

一般的な用語なので覚えておくと条件をすっきり書けて便利だ.
ベクトルで【法ベクトル】という単語を聞いたことがある人もいるかもしれないが,
その【法】と同じ【法】で, 英語では normal vector と書く.


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