解説『やさしい理系数学』第 6 章 微分法 例題 18 有名問題

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やさしい理系数学 三訂版 (河合塾シリーズ, 河合出版)

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

解説『やさしい理系数学』第 6 章 微分法 例題 18 有名問題

問題 (有名問題)

(1) \(n\) 次式 \(f(x)\) は任意の実数 \(\alpha\) を用いて

\begin{align} f(x) = f(\alpha) + \frac{f'(\alpha)}{1!} (x – \alpha) + \frac{f”(\alpha)}{2!} (x – \alpha^2) + \cdots + \frac{f^{(n)} (\alpha)}{n!} (x – \alpha)^n \end{align}と表せることを証明せよ.

(2) \(n\) 次式 \(f(x)\) が \((x – \alpha)^{l}\) (\(l\) は \(n\) 以下の自然数) で割り切れるための条件を求めよ.

(3) (i) 3 次関数 \(f(x) = a x^3 + bx^2 + cx + d\) (\(a \neq 0\)) のグラフは点対称であることを示し,
点対称の中心を求めよ.

(ii) 4 次関数 \(f(x) = a x^4 + bx^3 + cx^2 + dx + e\) (\(a \neq 0\)) のグラフが \(y\) 軸に並行な対称軸 \(l\) を持つための条件,
および \(l\) の方程式を求めよ.

ポイント

まず箇条書きで書いておこう.

  • 誘導に乗れるかどうか.
  • グラフの対称性を数学的に表現できるか.
  • 対称性と偶奇性を理解しているか.
  • 計算力.

(2), (3) は (1) を使うだけではあるが,
そこでグラフの対称性をどう表現するかをきちんと理解しているかが鍵になる.
多少計算が面倒なところもあるので計算力もないといけない.

覚える必要は全くないが (1) は一般にテイラー展開と呼ばれる.
多項式なら単に平行移動と思えばいい.
大学で悪夢を見るほど使うのでそのときに泣きながら勉強すればいい.
大学 1 年の前期にやる程度の内容ではあるが,
大学の数学の水準できちんとやろうと血を吐くほどつらい.

方針

(1)

関数 \(f\) は \(n\) 次式だから \(f(x) = \sum_{k=0}^{n} a_k x^k\) と書ける.
これを力づくでも何でもいいから \(f(x) = \sum_{k=0}^n b_k (x – \alpha)^k\) と書き換えればいい.
そうすればあとは係数比較に持ち込める.
係数比較のときも問題文であるべき係数が明示されているのだから,
比較法を迷ってはいけない: 当然剰余の定理を使いながら微分で低い方から 1 つずつ潰していく.
問題はそれを本番でどう捻り出すか, 思いつくか, 思い出せるか.
大学以降でも使うレベルの超定型処理だから覚えてしまうのが速い.
強いていうなら 2 次関数や 2 次曲線でやるようにグラフの平行移動を思い出せばいい.

もう 1 つのポイントははじめから
\(f(x) = \sum_{k=0}^n a_k x^k\) というように式が書かれていない,
与えられていないことだ.
こう書かれていると \(a_k\) を与えられた条件と思ってしまうと何とかして
\(a_k\) を使ってみようと思ってしまうかもしれないが,
そういう具体的な形は一切関係なく係数は微分の情報だけで決まるという事実が大事.
こういうのも割とヒントになっているので,
問題文はきちんと読むようにしてほしいし, 読めるようになってほしい.
この辺は国語の力だ.
数学をやっていても国語の力は鍛えられるので,
意識して勉強すること.

(2)

ほぼ自明な条件ではあるが, 実際にどう証明したらいいか困るタイプの定理だろう.
例題 1 でも使った【微分で叩き落とす】手法が身についているならノーヒントでも解けるかもしれない.
そうでもなくても, 剰余の定理が身についている人は
\(f(x) = (x – \alpha)^{l} g(x)\), \(g\) は \(n-l\) 次式というのまでは書けるだろう.
ここで手が止まるはずだ.

時々 (1), (2), (3) はそれぞれ別の話で
(4) でまとめて全部使うという問題構成になっていることもあるだろうが,
基本的に前の問題は後の問題のヒントになっている.
というわけで, まずは (1) の誘導を使おうとしてほしい.
\(f(x) = (x – \alpha)^{l} g(x)\) からすれば \(f(x)\) は \(l-1\) 次以下の項を持たないのだから,
それが潰れていればよくて, その条件は係数である導関数の値で規定できる.

問題文でははっきり書いていないが, これは必要十分条件になっている.

(3) (i)

これも (2) と同じく気分的には既にわかっていることだろうが,
きちんと証明しろと言われるとつらい定理だ.
原点での点対称性は \(f(-x) = – f(x)\) で表現できる.
\(n\) 次式なのでこれをさらに深く突っ込むことができて,
そこまで使い切らないといけない.
具体的には【\(f(x)\) は奇数次の項しか持ってはいけない】と表現できる1.
問題文にもあるように対称になる点が原点からずれているから,
これをさらに捻る必要があってそれが次のポイント.

(1) を使って具体的に平行移動させてしまえばいい.
平行移動の量は後から決める.
平行移動させた上で奇数次だけ生き残るようにする,
つまり偶数時の項を潰しにいくことを考えればいい.
これがまた係数の条件になって, 微分の値で決まる.
あとは丁寧に計算していけばいい.

(3) (ii)

原点での \(y\) 軸対称性は \(f(-x) = f(x)\) と表せる.
こうなるためには奇数次の項が潰れていなければいけない.
軸自体がずれているのでこれを修正して式を書き下していけばいい.
方法は (i) と同じだ.

せっかくなので幾何学的な注意もしておこう.
どちらでも同じだが 4 次の係数が正だとしておく.
4 次関数は (最大で 2 つある) 極小値が一般には違うから,
この極小値が一致する条件もつけておかないといけない.
つまり対称軸が存在するにはこの条件を定式化し, 満足させないといけない.
この問題に関してはこれを深く考え過ぎる必要はないのだが,
こうした幾何学的な考察力も鍛えておきたい.

最後に: 気軽に質問してください

大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
このページを参考に気軽に質問してください.
必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.
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脚注:

1

この辺は国語と数学の融合問題とも言える.
条件の言い換えをきちんとできるようになると国語の力も上がっていく.


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  • コメント (3)

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    • あああ
    • 2017年 2月13日

    やさしい理系数学の例題18(3)iで質問です。参考書では、原点対称の曲線を証明なしで使っていますが、これってありなんですか?解答お願いします。

      • phasetr
      • 2017年 2月13日

      気になるなら証明つければいいのでは。

        • あああ
        • 2017年 2月14日

        そうですね。解答ありがとうございます。

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