解説『やさしい理系数学』第 7 章 積分法 例題 21 立命館大

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

解説『やさしい理系数学』第 7 章 積分法 例題 21 立命館大

問題 (立命館大)

関数 \(f(x) = x^4 – 2x^3 – 3x^2\), \(g(x) = lx + m\) (ただし, \(l\), \(m\) は実数の定数) がある.

(1) 曲線 \(y=f(x)\) と直線 \(y=g(x)\) とが相異なる 2 点で接するように,
\(l\), \(m\) の値を定めよ.

(2) (1) のとき, 曲線 \(y=f(x)\) と直線 \(y=g(x)\) とによって囲まれる部分の面積を求めよ.

ポイント

  • 曲線と直線の交点が接点になる条件.
  • ミスなく定積分を計算する技巧, 計算力.

やっていることはセンターレベルの数 II の問題と大差ない.
曲線と直線の交点を求めて, 曲線と直線で囲まれた図形の面積を出すだけ.
もちろん曲線が 4 次関数で,
それに合わせて,
単に交点を持つという話ではなく相異なる
2 点で接するという条件がついているのが難しくなっているところ.
次数が上がったことで積分の計算も面倒になっているので,
計算ミスをしない工夫が必要だ.

センターとやっていることは大して変わらないといっても,
センターはできる人がこの問題を解こうしたとき,
途端に手が出なくなることも多いだろう.
十分に反復練習をくり返したのにちょっと見た目が変わっただけで問題が解けなくなってしまう人は,
同じくらいのレベルの問題集や志望校の問題を解答を見ずに解いてみる【演習】をやってみるといい.
模試をそういう目的に使ってもいい.

方針

(1)

問題は激烈にシンプルで条件は本質的に【異なる 2 点で接する】しかない.
ここを使う以外には打つ手がないのだから,
とりあえず 2 接点を \(\alpha < \beta\) としてみる.
その上でセンターよろしく, おもむろに次の計算をする.

\begin{align} f(x) – g(x) = (x – \alpha)^2 (x – \beta)^2. \end{align}ここで接点は方程式 \(f(x) – g(x) = 0\) の重解になることを使っている1.
右辺の展開自体が面倒だし,
展開し終わったあとの結果も割と鬱陶しく見えるかもしれないが,
結構すっきり解ける.
落ち着いて問題を眺めることが大事だ.

あと本の【解答 2】のように,
【2 次以上の項しかない】といういわくありげな \(f(x)\) の形に着目して【平方完成】する方法もある.
試験本番でなかなか思いつける方法ではない感じはするが,
問題の特殊性をフルに使い切った要領のいい解法ではある.

(2)

これは単純に積分計算するだけだ.
結果は 5 次の計算になるからかなり面倒でミスも起きやすい.
自分なりにミスがないように方法を考えて工夫していってほしい.
本の【解答 (1)】はよい方法を提案してくれているので,
積極的に取り入れるといいだろう.

解答

(1) 【解答 1】

2 接点の \(x\) 座標を \(\alpha\), \(\beta\) (\(\alpha\), \(\beta\)) とすると

\begin{align} x^4 – 2x^2 – 3x^2 – (lx + m) &= (x – \alpha)^2 (x – \beta)^2 = (x^2 – (\alpha + \beta) x + \alpha \beta)^2 \\ &= x^4 – 2 (\alpha + \beta) x^3 + ((\alpha + \beta)^2 + 2 \alpha \beta) x^2 -2 \alpha \beta (\alpha + \beta) x + \alpha^2 \beta^2. \end{align}係数比較する.

\begin{align} \begin{cases} \alpha + \beta = 1, \\ (\alpha + \beta)^2 + 2 \alpha \beta = -3, \\ 2 \alpha \beta (\alpha + \beta) = l, \\ \alpha^2 \beta^2 = -m. \end{cases} \end{align}これを解いて

\begin{align} \alpha = -1, \quad \beta = 2, \quad l = -4, \quad m = -4. \end{align}

(1) 【解答 2】

次の式変形に注意する.

\begin{align} f(x) = x^4 – 2x-3 – 3x^2 = (x^2 – x – 2)^2 – 4x – 4. \end{align}したがって

\begin{align} f(x) – (-4x – 4) = (x^2 – x -2)^2 = (x+1)^2 (x-2)^2 \end{align}であり, 曲線 \(y=f(x)\) は直線 \(y= -4x -4\) と
\(x = -1\), \(2\) とある 2 点で接する.
求めるべき \(l\), \(m\) は \(l=-4\), \(m=-4\).

(2) 【解答 1】

求める面積を \(S\) とする.
(1) の結果を使うと

\begin{align} S = \int_{-1}^2 (x+1)^2 (x-2)^2 dx. \end{align}\(x + 1 = t\) と置換すると

\begin{align} S = \int_{0}^3 t^2 (t-3)^2 dt = \int_{0}^3 (t^4 – 6t^3 + 9t^2) dt = \frac{81}{10}. \end{align}

最後に: 気軽に質問してください

大学受験に限らず何か聞きたいことがあれば
このページを参考に気軽に質問してください.
必要な情報がなく, 適切なアドバイスができないことが多いためです.
リンク先のページには LINE・メールの連絡先も書いてあります.

脚注:

1

話はずれるが,
これから 4 次関数はちょうど 2 点で接する接線を持つ (場合がある) ことがわかる.
これを複接線という.
4 次関数の複接線が問題に出ることも多いので注意しておく.


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