解説『やさしい理系数学』第 7 章 積分法 例題 22 名古屋大に類題あり

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『やさしい理系数学』は「内容はいいのに解説が少ない」という評判なので,
ここではその解説部分を補充する形でやっていきます.

解説『やさしい理系数学』第 7 章 積分法 例題 22 名古屋大に類題あり

問題 (名古屋大に類題あり)

\(xyz\) 空間内の 3 点 \(\mathrm{A}(1, 0, 0)\), \(\mathrm{B}(0, 1, 0)\), \(\mathrm{C}(0, 1, 1)\) を頂点とする
三角形の周および内部を, \(z\) 軸のまわりに 1 回転してできる立体の体積を求めよ.

ポイント

  • 回転体の処理.
  • 適当な平面による断面を考える.
  • 断面積と体積の関係.
  • 点と線分の距離.

立体の処理の基本は適当な平面に落とすことだ.
平面の中なら絵も描きやすくイメージもしやすい.

もっと言うなら立体や回転体を
イメージできる能力はほとんど特殊能力と言ってもよく,
こんなことができる人間自体がそうはいない.
最近の CG や関連技術の発展のおかげで
こうした図形も描きやすくなっていて
イメージもしやすくなってはいるが,
こんな手法は今の受験要項では
試験会場で使えるはずもない.
そういうこともあって平面に,
部分の話に叩き落として組み合わせていく問題が中心になるのだ.

少し難しい回転体の問題では
ほぼ必ず適当な場合分けが出てくる.
それをどう見抜くかもポイントだろう.
幾何学的な考察が大切で,
大抵は平面内に落としたときに見えるはずだ.
それを信じてやり抜く気迫も必要になる.

方針

ポイントで【適当な平面に落とせ】とは書いたが,
そもそも何のために平面に落とすかを考える必要がある.
回転体自体をできる限り立体として幾何学的に考えてみよう.

わかりやすいところからいけばいいから,
まずは \(z\) 軸まわりに線分 \(\mathrm{AB}\) を回転させてみる.
点 \(\mathrm{A}\), \(\mathrm{B}\) が回るから半径 1 の円を描く.
ただしこの円全体は塗り潰さないはずだ.
線分の回転体だから適当に真ん中がすっぽり抜けるはずで,
描く図形は真ん中をくり抜いたドーナツ上になるはずだ.

一方で点 \(\mathrm{C}\) を回転させると半径 1 の円を描く.
これは真ん中が完全にすっぽり抜けている.
図形全体としてはこのドーナツが連続的に繋がった形になるはずで,
\(z\) が大きくなるのに合わせて真ん中のくり抜かれた円が大きくなっていくはず.

だから見るべきはこのくり抜かれる円の半径で,
この動きさえ追えば断面積がわかる.
断面積がわかれば, あとは断面に沿って積分すれば体積が出る.
これで全体的な方針が決まった.

ここまで来たら,
回転体の断面を作るべく適当な平面を選ぶ必要がある.
どの断面を選べばいけるかは既にわかっていて,
平面 \(z = t\) だ.
\(z\) 軸まわりの回転なのだから,
考える平面は \(z=t\) とシンプルに考えてもいい.

真ん中のくり抜かれた円の半径は \(t\) によって代わるはずで,
この半径を \(t\) で表せばいい.
三角形 \(\mathrm{ABC}\) の周・内部と平面 \(z = t\) の交わりは線分になる.
線分の端点を考える: 線分 \(\mathrm{AC}\) と平面 \(z=t\) の交点を \(\mathrm{Q}\),
線分 \(\mathrm{BC}\) と平面 \(z=t\) の交点を \(\mathrm{R}\) とすると,
線分 \(\mathrm{RQ}\) を回転させたのが求める図形の断面だ.

点 \(\mathrm{R}\) が常に外側の円を描くことは明らかなので,
再びくり抜かれる円に意識を集中する.
もちろんこれがこの問題最大の難所だ.
\(z\) が大きいところから考えよう.
点 \(\mathrm{R}\) (\(\mathrm{C}\)) では全体がくり抜かれる.
点 \(\mathrm{R}\) から少し離れたところでは,
もう一方の端点 \(\mathrm{Q}\) が描く円がそのままくり抜かれるだろう.

問題はこれがずっと続くのかという点だ.
今度は \(z\) が小さい方から考える.
点 \(\mathrm{R}\) は点 \(\mathrm{A}\) に一致するから端点 \(\mathrm{Q}\) が描く円がそのままくり抜かれるわけではない.
つまり \(z\) の小さい方から大きい方に向かう間にどこかで \(\mathrm{Q}\) に切り替わる.
切り替わる前の点がどこかを探しに行かなければいけない.

ここでくり抜かれる図形に対する反省が必要だ.
要は三角形 \(\mathrm{ABC}\) が回転したときに触れない領域が
くり抜かれる領域で, それは線分 \(\mathrm{QR}\) と原点の距離が決める:
この距離で決まる半径の円の分だけくり抜かれるわけだ.
ここでポイントになるのは点と【線分】の距離.
点と【直線】の距離ではない.
点と直線の距離が使えるときと使えないときがあり,
それが上の場合わけに対応している.
この場合わけを意識しながらパラメータ \(t\) の関数としてこの半径を求めればいい.
あとは断面積を求めてパラメータで積分して体積を出して終わりだ.

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