今後の中高数学勉強の指針/中高数学駆け込み寺 第 11 回

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このサイトは学部では早稲田で物理を, 修士では東大で数学を専攻し, 今も非アカデミックの立場で数学や物理と向き合っている一市民の奮闘の記録です. 運営者情報および運営理念についてはこちらをご覧ください.

中高の数学の復習から専門的な数学・物理までいろいろな情報を発信しています.
中高数学に関しては中高数学駆け込み寺,
大学数学に関しては現代数学観光ツアーという無料の通信講座があります.
ご興味のある方はぜひお気軽にご登録ください!


はじめに

こちらに PDF があります.
サイトでは見づらい方, コンテンツを手元に置いておきたい方は
ダウンロードしてご覧ください.

ここまでの流れ

最初に偏微分方程式のシミュレーション・アニメーションを見てもらいました.
物理, 経済, 生物で出てくる微分方程式を紹介し,
それを差分近似でシミュレーションしました.
このシミュレーションの中で出てくる数学にベクトル,
関数, 数列, 漸化式, そしてもちろん微分があります.
それらを順に説明してきました.

高校で学ぶ関数の大事な具体例として指数関数,
三角関数や対数関数があります.
指数関数と三角関数について微分方程式を解く最初の段階で紹介しました.
中学から出てくる一次方程式については,
シミュレーションで実際に解いたのが一次方程式ですし,
微分の基礎に横たわっているのが一次近似という発想だ,
ということも紹介しました.

説明不足なところも多いです.
しかし細かいところばかりにこだわって大局を見渡せないのが問題だ,
というのがこの講座を作った動機です.
まずはこの大きな流れ,
社会を支え社会に生きる数学の姿を感じてもらうことに集中しました.

あなたはどのタイプ?

意識するところは大きくわけて 2 つあるでしょう.

  • まずは中学高校の数学をきちんとやる.
  • 一気に発展的な話題に飛び込む.

これはもちろんあなたが次のどのタイプに入るかによります.

  • 中高の数学への苦手意識を克服したい.
  • 中高を越えた内容に興味はあるが, まずは中高の数学をきちんとやりたい.
  • 中高の数学はだいたいわかっているのでもっと先に進みたい.
  • 数学以外に物理とか自分の興味ある理工系の分野の勉強をしてみたい
  • プログラミングをもっと勉強してみたい.

どんな興味があるかによっていったん道がわかれます.
その道はあとで合流するかもしれないし,
合流せずとも細く長くずっと続いていくかもしれません.
タイプごとに指針や参考書を紹介します.
都合のいい部分をうまく使ってみてください.

何をするにも必読書

これからいろいろな本やコンテンツを紹介していきます.
しかしその前にこの講座に参加したあなたに必ず読んでほしい文章があります.

もともと山形大学の数学エッセイコンテストで入賞していた作品です.
理学部や数学科の HP 改訂でどこにあるのかわからなくなってしまいました.
もちろん著作権などの微妙な問題もあるのですが,
埋もれさせるにはあまりにも惜しい文章です.

そしてこれは何をさしおいても真っ先に読んでください.
数学とこんな付き合い方もできるのか」とはっとさせられる,
穏やかな筆致のとても素敵な文章です.
6 ページの短い文章なのでちょっとした隙間時間でも読み切れます.

簡単にあらすじを言うと,
中学の数学で挫折した女性がお子さんと一緒に算数から勉強をはじめ,
数学の呪縛から解き放たれたという文章です.

勉強の仕方もとても示唆的です.
小学校 1 年からお子さんとその日習ったことを一緒に勉強していくスタイルです.
要は自分で「今日はこのくらい」としたのではなく,
お子さんの授業の進度という他人のペースに合わせて,
9 年かけて中学数学まで勉強を続けた事例です.

子どもからすれば全科目で毎回新しいことをたくさん勉強するわけで,
とんでもないハードワークです.
しかし算数だけ取り出すなら,
それも大人の視点から見るのなら,
十分小さなボリュームに小分けされていると思っていいでしょう.
今回の通信講座のスタイルはもちろんこれを参考にしています.

大人の勉強スタイルはいくつかあります.
何をどうしたいかによって使い分ける必要があります.
そしてあなたの目標によっては短期決戦スタイルの勉強が不向きな場合があります.

この植村さんの事例を単なるストーリーとして消化するのではなく,
ここで語られた無理のない勉強スタイルをどう自分の生活に組み込むか,
そこまで考えながら読むようにしてください.

『たかが数学, されど数学』からの教訓

「こんな本がいいですよ」とか,
「こんなサービスがいいですよ」とかいう具体的な話をする前に,
『たかが数学, されど数学』での大事な教訓をまとめます.

  • 他人や環境の力を借りるべし.

端的に言えば 1 人で勉強するのはつらいから誰かを巻き込みましょう,
ということです.
1 人で勉強できるなら最初から中高数学で困ってないはずです.
本の選び方がよくないとかいう話よりも,
こちらの方が本質的です.
そもそも本当に数学を勉強したいんですか?というのもけっこう微妙な問題です.
この辺を掘っていきましょう.

環境の重要性

一般論

環境の重要性は勉強・学業という視点からはあまり強調されません.
しかしとても大事なことです.

わかりやすいのは部活やスポーツでしょうか?
ちゃんとやるならいい環境で」というのは,
いたってふつうの考えとして浸透しているように思います.
クラブチームや強豪校からプロへ,
こうした流れの中で他人と切磋琢磨する環境が大事だ,
とはよく言われることでしょう.

これは勉強する上でも同じです.
私は中高はふつうの公立校でした.
しかし大学に入っていわゆる進学校と呼ばれる学校に通っていた友人達の話を聞いたら,
環境というか世界が違うことに気付きました.
勉強するのは当たり前だし,
いろいろな情報が入ってくるし,
何より楽しそうに勉強している人が周りに多いから自分も勉強していて楽しくなる,
そういう常識・感覚レベルで全く違う世界に生きていました.

ちなみに私, 高校で文系理系を選択するとき,
理系の人ってみんな数学好きだと思っていたんですね.
進級したら全然違うのでめちゃくちゃ驚いて,
「こんなのは自分だけなのか」と思っていました.
大学に入ってようやく「ああ,
同類はこんなにたくさんいるじゃないか」とわかりました.

環境が違うと本当に世界や感覚, 常識が全然違います.

植村さんが作った環境と目標

意図的かどうかはさておき,
植村さんはすさまじい環境を整備し,
尋常ならざる目標を立てています.

目標は「小学校に上がった子どものペースに合わせて 9 年かけてやり直す」です.
3 日坊主という言葉があるくらい,
行動が長続きしないのがふつうです.
その中で 1 年どころか 9 年がかりでやり通すというのは尋常なことではありません.

そして環境.
お子さんの学習状況というペースメーカーがあります.
毎日たくさんの科目で新しいことを習い続ける子どもからすればしんどくても,
算数に的を絞った大人からすればまあゆっくりです.
無理が全くないとも言えます.

しかも次のような記述もあります.

知りたがり屋のオカンがすぐ頭を突っ込んでくるので面白がって今日習ったところを得意になって教えてくれた.

母親が面白がって聞いてくる.
子どもたちも面白がって楽しく勉強する.
わからないところは得意になって教えてくれる.

お子さんは無料の教師になってくれてさえいます.
はっきり書いてないですが,
植村さん, 自分がわからないところをわかるように教えてくれたら,
自分のお子さんをすごい褒めたと思うんですね.
そういういいフィードバックのループが回る環境を作ったわけです.
勉強が続かないわけがないですね.

これが, この環境構築が本当に大事.
他人の力を借りるというのは,
簡単に言うとそういう環境を作ることです.
「何か勉強しないとまずいよな」とか,
「私も何か勉強してみたい!」,
そう思える環境を作ってそこに所属することです.

仲間を作って巻き込もう

要は 1 人でやっても続かない現実とどう向き合うか,
そういう問題です.

植村さんのようにお子さんがいるならそれを刺激にするのもいいでしょう.
お子さんは教師にもペースメーカーにもなってくれます.
お金もかかりませんしね.

もちろんこんな都合のいい環境が自然に作れる人はいないでしょう.
お子さんが「勉強嫌い」ならそもそもお子さんの力も借りられないでしょうし.
そうなると他で環境を作る必要があります.

最近あまり聞きませんが,
特にあなたが都会にお住まいなら,
朝活に顔を出して毎日朝 30 分は勉強する,
そういう環境を作ったり使ったりしてもいいでしょう.
みんな何か目的に向かって行動している環境に身を置けば,
自然にあなた自身も行動できるようになれますよ.

ただ, これはこれで割と強い意志が必要です.
朝活の場に行き続けないといけないですから.
他人を本気で巻き込もうと思うなら,
積極的に話しかけたり勉強会の場を作ったりするのも必要ですしね.

そういう観点からすると,
1 番手っ取り早いのは児童・生徒向けの塾などに参加することです.
時間が合わないなら進研ゼミなどの通信教育もあります.

ちなみに私の知人の女性で「彼氏からもらった数学ガールをちゃんと読んでみたくて」と言って,
公文式に通って教材をもらい,
自分でコツコツ進めている人がいます.
因数分解って楽しいですよね!」と本当に楽しそうに言っていて,
「ああ, いいな」と素直に思いました.

はっきり言えば 1 人でやっていても心が折れます.
だから他人を巻き込もう, そういう話です.

こういうことを言うと嫌がる人も多いのですが,
お金を払って環境を作るのはお勧めですよ.
それは自分の覚悟の証でもあります.
逆にそうまでしてもやれないなら,
それはあなたにとって算数や数学なんて必要ないからです.
継続的にお金を払ってまでやりたいか,
これは判断基準としてかなり使えます.

本当に数学したいですか?

これ, 本当に真剣な話なんですが,
例えば数学できなくて困ったことありますか?
学生の頃に試験で困った以外の経験ありますか?
どうしても数学したいというのに何で自分 1 人で続けられないんですか?
もしも好きなことなら意志の力なんて言う余地すらなく勝手に続けますよね?
その辺までちゃんと自分の心と相談してみてください.

本の選定基準をいくつか

環境を作るのが大事とは言いました.
しかしなかなかその環境を作るのも難しいのが現実です.
要は独学せざるを得ないこともよくあります.

いま本についても調べているところです.
しかしある程度の薄さで中高全範囲をカバーしつつ,
発展的な話題も程々に扱っている都合のいい本はあまり見かけません.
発見次第適宜紹介したいとは思っています.

くり返しになりますが,
本の選定基準を改めてまとめます.

  • 最後まで無理なくやり通せる薄さであること.
  • 何かの視野を与えてくれること: 社会に生きる数学とか役に立つ数学とか.

この 2 点を重視するのがお勧めです.

少し違う視点からのお勧めがあるので,
それも紹介しましょう.
それはストーリーに数学が埋め込まれた本を読むことです.
本当に数学もきちんと勉強できるという点からすると次の数学ガールがお勧めです.

ここでは一冊しか紹介していませんが,
ちょうど中高の数学に対応するレベルの内容が
「秘密のノート」シリーズとしてシリーズ化されています.

1 冊 1 冊は 200 ページ程度あるし,
全部買うとそれなりの値段にもなります.
しかしそれだけのお金をかける価値のある本・シリーズだとも思います.

次の本はいわば本編, 大学の数学にも足を踏み入れた内容です.

これもかなり発展的な話題を丁寧に追いかけています.
特定の分野を詳しく追いかけるというより,
ある問題を考えると自然に関係してくるいろいろな数学の世界をのんびり垣間見ていくという感じです.

こちらもシリーズで既に 5 冊以上出ているはずで,
全部買うとそれなりの値段になります.
しかしこれもそれだけの価値はあります.

あなたはもっと気楽に数学を楽しみたいと思っているかもしれません.
息抜きに数学をネタにした小説を読んでみたい,
そんな要望もあるでしょう.
その手の本やコンテンツは最後にお伝えします.
ご興味があればそちらも見てみてください.

東京や大阪にある大人向けの数学塾

大人向けの数学に関するリアルの教室を 2 つ知っているので,
そちらもご案内しておきます.
どちらも東京にあります.
和は大阪にも展開しているようです.

これは私の活動と全く関係ないサービスです.
評判は悪くないみたいなのでとりあえずご紹介, という感じです.
両方とも有料でそれなりに値段も張ります.
リアルでじっくり質問したいといったご要望がある方にはいいでしょう.
費用はだいたい 10,000-15,000 円/月くらいのようです.
東京以外にもあるかもしれませんが,
ちょっとそこまでは調べきれていません.

それ以外で知ってるところというと,
「数学カフェ」などの勉強会をやっている人達がいます.
そうしたところでやるのも一手でしょうね.
例えば次のところはちょっとやりとりしたことがあります.
東京と埼玉でやっていますね.

これは会場代やお茶代くらいで「有料」という感じではないようです.
その他には Skype を使ってオンラインセミナーをしている人達がいたりもします.

私も以前, 東大と京大の学生がメインの参加者だった Skype セミナーに参加したことがあります.
オンラインならいろいろやりようもあるし,
私にも多少のノウハウがあるのでそれをご案内することもできます.

中高数学をもっとちゃんと勉強したい

目的はいろいろあるでしょう.
昔の苦手意識を克服したいだとか,
大学の数学のようにもっと進んだことにも興味はあるけれど,
まずは中高数学をちゃんとやりたいとか.

一応書いておくと,
中高数学を知っているかどうかと大学の数学への適性・耐性があるかは全く別の問題です.
さらに物理なり化学なり生物なりの理工学をやるのに,
中高の数学を知っていることがどの程度意味があるかも微妙なところです.
必要な数学は大学教養の数学みたいなところでもっとハードですし,
1 から勉強し直しという感じになるからですね.
全く無駄とまではいいませんが.

で, 中高数学の復習がしたい,
そういうニーズに応えるには圧倒的なマンパワーがいります.
「どこがわからないのかがわからない」みたいなことを言う人もいるからですね.
たいてい何 1 つわかっていない状態です.

これをきちんと納得してもらった上で必要なところに戻らなければいけなくて,
ものすごい時間とパワーが取られます.
あなた 1 人で対処できるならそもそもそんな状態になっていないはずで.
指導者がちゃんとマンツーマンで付き合って,
もつれた糸を解きほぐす必要があります.

そういう意味でもたくさん指導者がいて選ぶことができる,
塾のようなふつうの中高生向けサービスを使うのがお勧めです.
地域ごとにも特色があるようで何がいいかは個別にきちんと調べる必要があります.

大手だとどうしても画一的な対応になりがちなので,
個人経営レベルの塾がよさそうです.
大人相手でもじっくり付き合ってくれるのは,
個別に小回りが効くところに行った方が早いんじゃないかと.

もちろんあなたの身近にリアルなサービスがないかもしれません.
ペースメーカーという意味では既存の通信教育は使えるでしょう.
しかしその性質上, 中学高校の勉強の文脈,
もっとはっきり言えば受験対策が基本です.

もちろんそれで良ければ問題ありません.
それで駄目なら, 例えばその数学がどんな役に立つか知りたいと思うなら,
その手のサービスだと明らかに不十分ですね.

「こんなことが知りたい」と私に連絡してもらえれば,
私の知る限りで本などの適当なコンテンツを紹介できます.
でもこの本を 1 人で読み切れない問題が解消できません.
ペースメイクも厳しいですね.

それにその手のコンテンツは「帯に短し襷に長し」で,
指導者なしでの扱いがけっこう難しいです.
だからこそこの講座を作ったわけですし.

必要ならお問い合わせフォームなどから連絡してください.

ここまで書いた上であえて勧めるなら,
やはり先程紹介した数学ガールですね.

シリーズ揃えるとそれなりのボリュームになるのは難点と言えば難点です.
ただこのシリーズがいいのは,
登場人物が一緒に悩んでくれることです.
よく対話形式の参考書もありますが,
結局生徒サイドも相当要領がよくて「そんなにすぐわかるか」と言いたくなることが多いです.
その点, 数学ガールの登場人物は割と物分かりが悪いし,
突っ込みどころにガンガン突っ込んでいくので,
ふつうの中高数学の復習や再入門とは一味違った楽しさがあります.

中高数学の先に進みたい

この節はある程度中高数学をちゃんとできている前提で書きます.
そうでないと書きづらいですし.

何はともあれまずは 2 冊本を紹介しておきます.
両方とも今回のメインテーマ, 微分方程式に関する本です.

それぞれ詳しい書評を次のページに書いています.
書評ページでは本の記述にさらに踏み込んだことまで記録しています.
ぜひ参考にしてください.

今回の講座で設定した数学的なレベルから見て接続がいいのは,
後者の『微分方程式の定式化と解法』です.
数学的に踏み込んだ面白さとしては前者の『常微分方程式の新しい教科書』です.

具体的なプログラミングに使うのは難しいですが,
シミュレーションを含めた数値計算に関しては次の 2 冊を勧めます.

前者は中学高校でやってきたことをどうやって計算機に計算させるか,
それを詳しく議論しています.
もちろん微分方程式の話もありますよ.
後者は計算機で計算する, つまりプログラミングして計算するときにどんな注意が必要かを解説しています.
もしあなたがコンピュータの計算は厳密なんだと思っているなら,
衝撃を受けるかもしれません.
私は高校生のとき, 東大の計数工学科 (当時) のオープンキャンパスに行ったときにこうした話を聞いて,
驚いたことがあります.

この講座の続きとしてはまずこの辺の本をお勧めしておきます.
歯ごたえのあるラインナップです.
中高生向けの微分方程式の本というのもなかなかないので,
厳しいところですね.

上で紹介した本や微分方程式以外の方向性についてもう少し.
大雑把に言って数学科の数学方面か,
物理なり何なりの「応用」方面かを想定しています.
あなたがやりたいかどうかにもよりますが,
理工系の基礎としてやはり物理があるので物理は割と誰もが通る道です.

物理向けの数学という視点からはいろぶつこと琉球大学の前野昌弘さんによる次の本があります.

ヴィジュアルガイドの名の通り,
図がたくさん使われています.
前野さんじたい物理学者なのでその観点から見た解説です.
実際に物理では多変数を扱う必要があるので,
きちんとやるなら明らかに不足はありますが,
中高の数学からの接続という点ではむしろいいところでしょう.

あなたは文系かもしれないので文系向け数学,
特に統計学という方面もありますね.
残念ながらというか,
文系でも数学を使わなければいけない分野があります.
経済でも微分方程式が出てくること,
本編で紹介しましたよね?

さらに言うと何かのデータを処理しないといけないなら,
その時点で統計学が出てきます.
そこでは微分積分や指数関数の処理が必要なので諦めてくださいね,
と言わざるをえません.

最近だと文学でも文体研究でテキストをデータにして,
自然言語処理なりの統計処理をかけた結果を使って研究する話もあるようですし,
文学部でも使う人は使うでしょう.
自然言語処理は携帯の漢字かな変換のようなところで使う技術ですね.
プログラミングも必要です.

個別具体的な本もいろいろ知ってはいますが,
一般的には書きづらいところがあります.
実際にもっと専門的な内容の無料の通信講座,
現代数学観光ツアーに参加された方で,
ガロア理論のような大学数学に興味があるものの,
中高の数学もままならないという方がいました.

中高の数学を知っているからと言ってガロア理論が勉強できるわけでもありません.
ただ現状を詳しく把握できないとどこからどう勧めたらいいのか,
何とも言えないところがあります.
人に合わせて興味があるところからやっていくのがやはりよくて,
そこをきちんと擦り合わせないと勉強が
不当につらくなってしまいます.

プログラミング

あなたはプログラミングに興味があるかもしれません.
言語から何からいろいろな観点があるのですが,
グラフを描こう, 科学技術計算をしようという観点からは Python がいいと思っています.
実際この講座で紹介したプログラミングのコードは Python のコードです.

今勉強を兼ねてプログラミング関係のコンテンツや記事も書いているところです.
まとまった形にはしていないのですが,
例えば私のサイトでプログラミングや Python のカテゴリを見てもらえれば,
記事がたくさん置いてあります.
適宜参考にしてください.

この記事の中にも Python 入門といった記事はあります.
ただ他のサイトのコンテンツの方が網羅的で取り組みやすいのが正直なところです.
まだそこまできちんと整備していないので.

少し前まではドットインストールをお勧めしていたのですが,
全部勉強するのに有料会員になる必要が出てきてしまいました.
こちらも少しずつ情報を整備していく予定です.

息抜きの数学コンテンツ

漫画や小説からノンフィクション,
数学者のエッセイまでいろいろ入れてあります.
数学的に異常な難易度を誇る本も入れてあるので注意してください.
実際に私が息抜きに気軽に適当に眺めている本で,
基本的にどれもお勧めできるクオリティです.

  • [@KenjiFukaya3] 『数学者の視点』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/zkrytkg
    • コメント: http://wp.me/p4PcgX-9V に書評を書いた.
      スーパー面白いのでとにかく買って読もう.
      学部 1 年のときにこの本を読んで数学への憧れを深めた.
      私の幾何への憧れもこの深谷賢治先生への憧れから来ている.
  • [@SuugakunoTanoshimi1, SuugakunoTanoshimi2, SuugakunoTanoshimi3] 『数学まなびはじめ』
  • [@KoujiShiga1] 『無限からの光芒―ポーランド学派の数学者たち』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/zc4avpv
    • コメント: 文句なしで面白い.
      個人的に院で数学に行ったことに関して深い影響を与えている.
      関数解析が好きなら確実にはまる.
      作用素環の重鎮, 竹崎正道先生も絶賛しているレベルなので, とりあえず買って読んでおくべき.
  • [@NobukoUemura1] 『たかが数学, されど数学』
    • コメント: 山形大数学科の数学エッセイコンテストで入賞していた作品.
      理学部や数学科の HP 改訂でどこにあるのかわからなくなってしまった.
      数学エッセイの過去ページも見当たらない.
      人類の損失レベルの素敵な文章なのでどうにかしてほしい.
      そのうち山形大学の数学科に問い合わせたいと思っている.
  • [@KunihikoKodaira1] 『新・数学の学び方』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/poysx3d
    • コメント: 学部 1 年のとき, もとの『数学の学び方』を読んだ.
      「こんな風にやるのか」と思って, 素直に実践していった.
      今思うと全然書かれている風にできていなかったが,
      それでも小平スタイルの勉強法に学部 1 年で触れられたのはよかったと思っている.
      願わくば中高生のときに知りたかった.
      そしてそんな気持ちがあったからこそ受験関係のプロジェクトをはじめた.
  • [@YasutakaIhara1] 『志学数学 -研究の諸段階 発表の工夫』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/juubntl
    • コメント: 数学会の会誌で河東先生が「とりあえず買って読むべき」と書いたほどいい本.
      数学者の卵への思いやり溢れる穏やかな筆致で話が進んでいく.
      一般の人が「数学者はこんなことを考えながらこんなことをしているのか」という感じで読んでいっても十二分に楽しめるだろう.
  • [@Suurikagaku1] 『数学の道しるべ―研究者の道とは何か』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hyzotoz
    • 系統としては 『数学まなびはじめ』 [@SuugakunoTanoshimi1, @SuugakunoTanoshimi2, @SuugakunoTanoshimi3] と同じ.
      個人的には『数学まなびはじめ』の方が好きだが,
      こちらも十分楽しい.
      数学者が何を考えてどんなことをしているか知りたいならぜひ読んでみてほしい.
  • [@Suurikagaku2] 『物理の道しるべ―研究者の道とは何か』
  • [@HiroshiYuuki1] 『数学ガール』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/glco42e
    • コメント: 中高生でも読みやすいと評判.
      ファンも多いし, 外国語への翻訳すらある.
      これを彼氏からプレゼントされて,
      算数・数学の勉強をはじめたという成人女性もいたりする.
      シリーズなので, 1 冊読んでみて合うようならいろいろ眺めるといいだろう.
      私はといえば, 「こんな学生生活なかったな?」という感じで,
      小説部分だけ眺めて数学部分をほとんど読み飛ばしていて,
      数学的内容はほとんど全く頭に入っていない.
  • [@MiyukiKawamura1] 『多面体の折紙 正多面体・準正多面体およびその双対』
  • [@OgataOzawa1] 『東大数理ビデオアーカイブス』
    • 東大ビデオアーカイブスへのリンク: http://tinyurl.com/j353cpx
    • コメント: 2015 時点で京大 RIMS 教授の小澤先生のアロハ装の真相について,
      当人の発言動画:3:40くらいからご自身で理由を語っている.
      東大数理ビデオアーカイブス http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/video/ 自体面白い講義が揃っているので,
      興味がある向きはぜひいろいろ見てほしい.
  • [@KunioYasue2] 『量子の道草―方程式のある風景』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/zq9t9zm
    • コメント: 方程式を絵画のように楽しんでみようという企画.
      目のつけどころが面白いし, 私もちょっとやってみたい.
      著者の妙に自慢気な文章スタイルが鼻につく人もいるだろう.
      私もたまにいらっとする.
  • [@HiroshiEzawa1] 『だれが原子をみたか』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/zxe6p6u
    • コメント: 江沢節とでも言うべき異常なくらい力強い文章で原子を見ることを通じた物理での世界との向き合い方を考える本.
      楽しい.
  • [@YokoOgawa1] 『博士の愛した数式』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/jrw84kl
    • 数学会の会誌の書評で「自分がやっている数学という営みが本当に素晴らしいものなのだと改めて気付かせてくれた」とあったくらい,
      数学者の心をも掴むよい本.
      超お勧め.
  • [@WilliamDumham1] 『微積分名作ギャラリ――ニュートンからルベーグまで』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hwcyuof
    • コメント: 中身はゴリゴリの数学ではあるが,
      有名だがあまり詳しくは扱わない色々な例・反例を紹介していたりするので,
      副読本として非常に勉強になる.
      Weierstrass の連続だがいたるところ微分できない関数の構成と
      証明が書かれていたりする.
      反例の構成や証明は大事なので,
      そういうところでも役に立つ楽しい本.
  • [@Hardy-Littlewood-Polya1] 『不等式』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/huku9l4
    • コメント: 数学関係者向け.
      色々な不等式を扱った本.
      離散的な和から始まり, 積分不等式なども議論する.
      最近の論文にも引用されることがある程有名な本で,
      持っているだけでも幸せな気分になれる.
      必ずしも読み込む必要はないが,
      ちょっと変わった観点の数学入門という感じで数学を楽しみたい人にはいいだろう.
  • [@AiglerZiegler1] 『天書の証明』
  • [@YoshifumiTsuchimoto1] 『xのx乗の話』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hqf6q45
    • コメント: あっさりしているので何となく何が問題で
      どんな世界が展開されていくかを知るのには都合がよく,
      そういう読み方をするなら非常に面白い.
      もちろん, かっちり読むのにはつらいがそういう本ではない.
  • [@TatsuoKimura1] 『佐藤幹夫の数学』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hylx72j
    • コメント: 佐藤幹夫に関する色々な文章が載っている.
      単純な数学の話ばかりではなく,
      指導教官と (元) 学生とのほのぼのとした数学的な対話みたいな文章もあって楽しい.
  • [@KawazoeAi1] 『白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/gsgk4tz
    • コメント: 小説だが文句なく面白い.
      オートマトンを迷路形式で解説している.
      まさにとりあえず買って読めというレベル.
  • [@ShoshichiKobayashi1] 『顔をなくした数学者–数学つれづれ』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/z3m5dzk
    • コメント: 小林昭七先生の遺構となったエッセイ.
      完全版を読んでみたかった.
      これまた面白い [@SuugakunoTanoshimi1, SuugakunoTanoshimi2] (『数学まなびはじめ』) の昭七先生の記事の感想を書いたら弟の小林久志先生からご連絡を頂いて驚いたことがある.
      昭七先生が亡くなったのに合わせて昭七先生が執筆された文献を整理していて,
      検索したら『数学まなびはじめ』の私の昭七先生の感想記事を見つけたとかいう経緯だ.
      すぐに日本には戻れないので取り急ぎ記事のコピーを読みたいというのでお送りしたところ,
      とても喜んで頂けたのでほっこりした.
      何でも情報は出しておくものだと思った一件.
  • [@NaoyukiUchimura1] 『古都がはぐくむ現代数学: 京大数理解析研につどう人びと』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hh4c7hp
    • コメント: RIMS こと数理解析研究所に関する本.
      数学者の息吹を感じる.
      とにかく面白い.
  • [@KokuritsuTennmondai1] 『理科年表』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hahdqmq
    • コメント: 毎年更新するのもめんどいのでここでは平成 25 年度版を紹介しているが,
      新たに買うなら最新版を買おう.
      私は何となく持っていると格好よさそうという理由だけで高校 3 年のときに購入した記憶がある.
      パラパラと眺めているだけでも楽しい本だ.
      具体的なデータに親しみ,
      数値への感覚を持っておくのはとても大切なので,
      暇なときに何となく眺めてみる癖をつけてもいいくらい.
      楽しくデータを見て想像を膨らませてほしい.
  • [@HalTasaki6] 『数学:物理を学び楽しむために』
    • 文献へのリンク: http://tinyurl.com/ybwrkgw
    • コメント: 随時追記・改訂されている数学の教科書.
      例えば物理数学のシリーズも多くあるが,
      1 人の著者が責任を持ってきちんと統一したスタイルで書くべきだという信念に沿って執筆されている.
  • [@KentaroSato1] 『炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hnze4dc
    • コメント: タイトル通り有機化学に関する本だが抜群に面白い.
      こんなタイプの科学史の本が増えると,
      理工系の生徒・学生がもっと楽しく世界史や地理を勉強しやすくなる.
      私もこういうのを書いてみたい.
      死ぬ程時間かかるが.
      とりあえずは既にあるよい本はどんどん紹介したい.
  • [@TodaiKeisuu1] 『数理工学への誘い』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/lohj6nw
    • コメント: 数学を工学的にどう使っていくかを説明している.
      いわゆるバリバリの物理系の話ではなく,
      「こんなところにも使われているのか」という系統の話題が載っている.
      「数学なんてどこで使うんだ」という人は読んでみるといいだろう.
  • [@KazuoHaga1] 『オリガミクス 幾何図形折り紙』『オリガミクス 紙を折ったら、数学が見えた』
    • Amazon へのリンク 1: http://tinyurl.com/hxx4r8b, Amazon へのリンク 2: http://tinyurl.com/zgy6t3q
    • 折り紙で数学するという不思議な毛色の本.
      この本ではないが, 折り紙と作図問題という研究もあり,
      動画などで紹介していきたいと思っている.
  • [@SimonSin1, SimonSin2] 『暗号解読 上下』
    • Amazon へのリンク 上: http://tinyurl.com/hgld6h9, Amazon へのリンク 下: http://tinyurl.com/gph68bg
    • コメント: 文句なしに面白い.
      ノンフィクションで暗号の歴史を追いかけながら,
      その背後にある数学にも迫っていく.
      これに限らずサイモン=シンの本はどれも面白い.
  • [@ScottPakin1] 『The Comprehensive \LaTeX Symbol List』
  • [@AitoAoyagi1] 『浜村渚の計算ノート』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/j657jfg
    • コメント: 数学をネタにした推理小説.
      数学の扱いが悪いから数学者が反乱を起こした,
      というような話で数学サイドが悪者扱いになっているとも言える.
      いろいろな意味でときどき悲しくなるが,
      そうは思わず楽しんでいる人も多いようだ.
      数学をネタにした小説だし推薦しておく.
  • [@KeithDevlinGaryLorden1] 『数学で犯罪を解決する』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/huummak
    • コメント: アメリカの刑事ドラマ Numbers で出てきた犯罪捜査に使われた数学を紹介している.
      単純な数学ばかりではなくセキュリティや暗号などの諸科学と関係の深い数学も紹介している.
      数学について深い解説があるというより数学と関わる広い世界を紹介しているような本.
      役に立つ数学に興味があるならお勧め.
  • [@YuukiOujou1] 『青の数学』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/hagcm64
    • コメント: 数学が好きな高校生を集めて数学の決闘をしたりするという,
      ちょっと不思議なコミュニティを作っている天才数学者がいて,
      そこに参加している高校生達が描くストーリーを語る小説.
      最初はどんなもんかと思っていたらどんどん引き込まれた.
      数学それ自体に対する記述はほとんどない.
      むしろ数学に挑む人々の心のありようを描いた作品.
      決闘というと物騒だが, 相手を負かすことに力を注ぐよくあるタイプの人間もいれば,
      相手は関係なくただ数学と向き合う人間もいれば,
      「数学をこんなにも愛している人がたくさんいる」と思いながら決闘に挑む者もいる.
      数学の細かい話が出てくるわけではないので,
      数学が好きな人達の交流みたいなところに興味がある人には特にお勧め.
  • [@MasaeYasuda1] 『数学女子』
    • Amazon へのリンク: http://tinyurl.com/zyzpedu
    • コメント: 数学者が見ても楽しい漫画.
      作者は実際に数学科の学生だった人で,
      鹿児島大とその教官陣が本当にモデルになっているとのこと.
      飯高先生が愛してやまなすぎで雑誌「数学セミナー」で著者と対談したくらい.
      確かに「数学科あるある」濃度は極めて高く面白い.

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この講座はいったんここで終了です.
ここまでお疲れ様でした.
細かい部分をあまり説明していませんし,
けっこう大変な内容だったと思います.

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