(仮題)集合・位相・微分積分・線型代数の基礎学習に役立つ例・反例集¶
基本方針¶
以前に出版支援プラットフォームPublishの人と話をしたことがあり, ここの応援も込めて(初)利用する形で何かしてみたい.
メモがてらに今考えている内容を書いておこう. 大体既存のコンテンツに書いているのを例だけ抜き出してくるような感じを想定している. 普通の意味で商業出版する本にする必要はないと思っている. 特に細かい定義は省く, または参照をつける形で例を議論する. 必ずしも厳密な議論を展開しきれない場合もある. これについては要望を聞いて追加コンテンツを出せばよい(MEAPのような形式ならコンテンツ自体に付録をつけるなり追記するなりで対応する).
解析学, 特に関数解析系の発展的な話題を強く意識した構成・内容にする. 物理の例も盛り込む. これ以外の専門分野はそれを専門とする各人がどんどんやってくれればよい. まずは執筆にかかる時間や確認に割かれる時間, 比較的簡単に読み切れる量などの観点から200ページ程度の分量にする. それ以上は必要に応じて第二段・第三段を作るなりすればよい.
クラファン前提なら応援が100人もいれば十二分だ. 数十人でさえ大きな意味がある. 強く応援してくれる人が五人もいればそれだけで本当に心強い.
予定内容¶
TODO・メモ¶
- 以下で書いた内容よりもう少し「基本的」な内容も入れるべきだろう
実数論の射程距離¶
解析学の基本としての実数論¶
ルベーグ積分への一般化¶
作用素環への一般化¶
基本的な線型空間・加群¶
数列空間・$\Lp$空間¶
試験関数の空間¶
シュワルツ超関数の空間¶
急減少関数の空間¶
緩増加超関数の空間¶
ソボレフ空間¶
係数の拡大と加群¶
行列係数の線型空間は加群¶
作用素環¶
ホモロジーに関わる加群¶
コホモロジーと線型空間¶
リー群とリー環¶
群環¶
数列空間$\ell^1$とたたみ込みによる積の定義, 単位元の存在¶
ルベーグ空間$L^1(\mathbb{R}^d)$とたたみ込みによる積の定義, 単位元の非存在¶
注意:近似単位元¶
写像・汎関数・関数の使い分けの気分¶
写像:主に一般的・抽象的な場合に使う¶
関数:主に定義域がユークリッド空間で終域が実・複素数値の写像¶
汎関数:主に定義域が線型空間で終域が実・複素数値の写像¶
汎関数の微分を変分と呼ぶ¶
汎関数の積分は場の量子論での経路積分¶
関数の間の距離を測りたい理由と数値計算¶
各点で近い関数は本当に近いか?¶
エネルギーの観点からの近さ¶
関数空間への距離の設定¶
関数列の極限¶
関数列の極限が関数とは限らない:ディラックのデルタ関数¶
絶対値を取ると関数の滑らかさは下がるか?¶
高校での有名な例$|x|$:原点で微分不可能¶
いたるところ不連続だが絶対値を取ると実解析的な実変数関数の例¶
代数と幾何の関係¶
線型代数:射影作用素と部分空間の対応¶
連続関数環の極大イデアルと定義域の点の対応¶
代数幾何の設定への移行¶
非可換幾何への移行¶
線型空間・幾何と情報理論¶
一般の体係数の線型空間¶
有限体上の線型空間¶
情報理論と線型代数:符号理論¶
代数幾何符号¶
代数幾何と情報理論:メルセンヌ・ツイスター¶
代数幾何と情報理論:暗号理論¶
量子情報と線型代数¶
いろいろな集合の商¶
ルベーグ空間の定義と完備性¶
射影空間¶
ホモロジー・コホモロジー¶
環の局所化¶
極限交換不可能性と磁性:熱力学的極限の数学¶
数学では極限は交換できない:物理ではどうか?¶
熱力学的な相転移の定義:熱力学関数の不連続性・微分不可能性¶
統計力学的な相転移の際限と熱力学的極限¶
線型代数での摂動論と磁性の物理:ハバード模型を例に¶
摂動論の非自明さ¶
ハバード模型の定義:運動項とクーロン相互作用の和¶
正のクーロン相互作用での強磁性の発現可能性¶
物質中での電子間引力の発現¶
負のクーロン相互作用でのスピン一重項状態の発現可能性¶
無限次元での摂動論の非自明性:「小さい摂動は本当に小さいか?」¶
線型作用素のスペクトルの定義¶
ラプラシアンのスペクトル¶
水素原子のスペクトルに対する摂動論¶
シュタルク効果と摂動論¶
ゼーマン効果と摂動論¶
水素原子の励起状態を準安定状態に移行させる数学的処方箋としての摂動論¶
基底状態の非存在と摂動論・赤外発散¶
旧Twitterのメモ¶
原初¶
X(旧Twitter)とはいえ適当に書き飛ばしていて変な記述もある. とりあえずあとで簡単に振り返れるように記録しておく.
数学の勉強、少し変なことをやるだけで異常な反例が出てきたり、ありもしない対象の存在を仮定するだけで数学全体が破滅するなど、とにかく大事な例を大量におさえるのが大事だと思うのだが、集合・位相・微分積分・線型代数あたりを串刺しにした(反)例集的な本が全然ない気がする。
ここでいう「大量におさえる」事案、一つ例を作るとそれを少し一般化して非可算無限の反例さえ作れるという意味での「大量」も含む。例えばn階微分可能だがn階導関数は不連続とかそういうタイプの(可算)無限の例とか。 関数列の極限だと$f_n = \sum_{k=0}^n e^{ikx}$は有限の$n$だと(実)解析関数だが、(適当な)極限を取ると関数どころか超関数(ディラックのデルタ)になるとか、高校のレベルでもきちんと化け物が作れる。
少なくとも位相にはありますが…
個別にあるのは知っていて、私が気にしているのは集合・位相・微分積分・線型代数あたりの基本的な分野の面白い例・反例を一冊で紹介するような本または一冊のボリュームが大きすぎないシリーズです。シリーズかどうかはわからないのですが、Doverで微分積分版はあります。 あと串刺しの意図としては例えば関数解析的な位相・微分積分・線型代数が絡んだ議論・例などもあります。関数解析からするとハウスドルフ性が基本なためコンパクト集合は閉集合という感覚がありますが、一方でハウスドルフを外すとコンパクト開集合があり得、実際に可換環・代数幾何の基本として重要みたいな例もあります。他にも選択公理(と同値なツォルンの補題)の代数・解析的な応用としての極大イデアルの存在定理、ハーンバナッハの定理への言及も大事だろうとか。集合論は詳しくないものの、集合と微積分で補有限フィルターと超準解析とかいうタイプの例は少なくともあります。
メモ:これはこれで意味があるが, 補有限フィルターだと集合ではなく位相の話題になってしまう. 書きたかったのはむしろ超準解析での宇宙で, 圏論や代数幾何での(グロタンディーク)宇宙なども念頭に置いている.
なるほど!私もそれは読みたい!相転移P氏が書くしかないのでは??
今のところ体調は安定しているものの、白血病が再発して入退院を繰り返しつつ骨髄移植待ちで、いつ体調が悪化するかわからないためどうしたものかという感じはありますが、逆にいつ激しく体調が悪化するかもわからないため、今のうちにやっておくべきという話もあります。 前に書籍執筆クラファンの話をもらったことがあるので、それに相談してみようと思います。
線型空間または行列の係数¶
行列の演算ができれば良いので一般の環を係数にできる。例えば学部3-4年程度で読むのを想定しているであろう「環と加群のホモロジー代数」で出てくる。作用素環でもK-理論で作用素環係数の行列が出てくる。私は扱ったことがないが多分もっと何かある。 「もっと何かある」は環の部分が一般化・抽象化できると言う意味で、具体例の話ではない。層とホモロジー代数でアーベル圏での行列は出てきたから、適当な圏程度までの一般化はもはや学部レベルの内容になっているのだろう。