文法

名詞

先頭は大文字

ドイツ語の名詞は原則として先頭の文字が大文字です. その例外として有名なのは代名詞です. 文頭以外で先頭が大文字の単語は全て名詞なので判定に役立ててください.

人称代名詞

種類

人称 単数 複数
一人称 ich wir
二人称 du, Sie ihr, Sie
三人称 er, sie, es sie

二人称の親称と敬称

家族・親戚・友達などに対しては親称の du/ihr を使います. 若者同士や学生同士などは初対面でも du/ihr です. 敬称の Sie は特に親しくない相手, 言いかえれば, 社会的に一定の距離を置く相手に対する言い方です. ふつう親称と敬称の使い分けは原則として相互的です. つまり親が子に対して du と言えば子も親に対して du と言います.

三人称単数への注意

三人称単数には男性の er と女性の sie の他に中性の es もあります.

中性の es は常に事物を表すとはかぎりません. ドイツ語の名詞には男性名詞, 中性名詞, 女性名詞の区別があります. たとえば Kind (子供) は中性名詞なので, 「その子供」を代名詞で受ける場合はその子供の性別にこだわらず中性の人称代名詞 es で受けます. 一方, たとえば Tisch (テーブル) は男性名詞, Uhr (時計) は女性名詞なので, 前後関係によっては er や sie が「それ」になりえます.

意味 言語学での用語 ドイツ語 英語
1格 ---が 主格 Nominativ nominative
2格 ---の 属格 Genitiv genitive
3格 ---に 与格 Dativ dative
4格 ---を 対格 Akkusativ accusative

格変化

「---の」と言うときは所有冠詞を使い, 2 格は使いません. 2 格は少し特殊なのではじめは無視して構いません.

人称 1格 2格 3格 4格
単数 一人称 ich meiner mir mich
二人称 親称 du deiner dir dich
二人称 敬称 Sie Ihrer Ihnen Sie
三人称 男性 er seiner ihm ihn
三人称 女性 sie ihrer ihr sie
三人称 中性 es seiner ihm es
複数 一人称 wir unser uns uns
二人称 ihr euer euch euch
三人称 sie ihrer ihnen sie

全体で見るとばらばらなので適切にグルーピングして覚えましょう. 2人称敬称Sieは3人称複数の形を転用していて3格はIhnen, 4格はSieです.

3人称の人称代名詞は定冠詞とよく似ています.

男性単数 4 格も複数 3 格も定冠詞が den で同じである一方, 人称代名詞は ihn に対して ihnen, 複数 3 格の方には ihn にさらに –en が付いています. これは複数 3 格では名詞に語尾 –n がつくのと対応すると思ってください.

den に対応する語形 ihn に複数 3 格の目印の -n が付いて ihnen になっています.

モノ・コトを指すときと前置詞

代名詞が人以外のモノ・コトを指すとき, 前置詞との組は da(r)+前置詞で置き換えます. ここで dar になるのは前置詞が母音ではじまる場合です.

例を挙げましょう.

3格・4格の語順

次の一般原則があります.

名詞の性

基本

ドイツ語の名詞には男性・中性・女性と三通りの性別があります.

ドイツ語の名詞の性に関してすぐに見て取れる特徴を挙げておきます. 名詞に性がある言語によく見られる特徴でもあります.

究極的には理屈抜きに覚えるしかありません.

修飾語句の活用に影響を与えるのが名詞の性が大事な理由の一つです. 名詞の性や格に応じて冠詞とその形, 形容詞とその形が変わります.

職業・身分を表す名詞

多くの場合 -in をつけると女性形ができます. 例えば Lehrer と Lehrerin, Japaner と Japanerin があります.

アクセントを置く母音がウムラムトすることもあります.

規則

名詞の綴りを見て名詞の性を見分ける規則もあるにはあります. 細かい上に必ずしもそれで判別できるとも限りません. はじめのうちは諦めて一つ一つ地道に覚えましょう. 語学に限らず何事にもよくあるように, ずっと続けていればそのうちルールも見えてきます.

性の覚え方

定冠詞とセットで覚えてください. つまり der Tisch, das Buch, die Uhr と覚えましょう. もう一つついでに言えば複数形とセットで覚えるのが効率的で効果的です.

綴り (語尾) で性を判定

語尾で大まかな傾向があります.

男性名詞になる語尾
中性名詞になる語尾
女性名詞になる語尾
-in

男性名詞の語尾に -in がつくと女性形になります.

男性名詞 女性名詞 意味
der Japaner die Japanerin 日本人
der Franzose die Französin フランス人
der Arzt die Ärztin 医者

Franzose --> Französin, Arzt --> Ärztin のように母音が変わる単語もあります.

-chen

Mädchen (少女) が女性名詞ではなく中性名詞です. 実は -chen という綴りで終わる名詞はすべて中性です. さらに「小さな」や「可愛い」といった意味も追加されます. 例をいくつか確認しましょう.

-chen なし -chen あり
die Magt 女中 (古語) das Mädchen 少女
die Mär お話 (古語) das Märchen メルヒェン
die Blume 花 das Blümchen 小さな花
der Pack 包み das Päckchen 小包
der Baum 木 das Bäumchen 小木
der Hund 犬 das Hündchen 子犬

複数形

基本

まずは簡単に箇条書きでまとめます.

複数形の作り方は無語尾・E 型・ER 型・[E]N 型・S 型があります. 英語と同じく s がついて複数形を作る名詞もありますが少数派です. 単複で形が変わるのはゲルマン語の系統の特徴で, ドイツ語はこの特徴を強く持っています. ドイツ語の名詞を覚えるときは性だけではなく複数形と一緒に覚えましょう.

例・表

単数形 複数形
無語尾型 der Lehrer 教師 die Lehrer
der Vater 父 die Väter
E 型 der Freund 友達 die Freunde
die Hand 手 die Hände
ER 型 das Kind 子供 die Kinder
das Buch 本 die Bücher
[E]N 型 die Blume 花 die Blumen
S 型 das Auto 自動車 die Autos

注意

表を見るとわかるように複数形になると母音にウムラウトがつく複数形もあります.

無語尾型と E 型は母音が変音する (ウムラウトがつく) ことがあります. まずは地道に・機械的に覚えましょう.

一方 ER 型は変音できる母音 (a, o, u, au) があれば必ず変音します. それぞれの母音を持つ単語の例を挙げておきます.

[E]N 型と S 型は変音しません. [E]N 型は大半が女性名詞で, 単数形が -e で終わるとき複数形の語尾は -n, 単数形が子音で終わるときはいくつかの例外を除いて複数形の語尾が -en です.

S 型は外来語です.

特殊変化

いくつか例を挙げます. | | der Herr | der Name | das Herz | |-----------|------------|------------|-------------| | 単数 1 格 | der Herr | der Name | das Herz | | 単数 2 格 | des Herrn | des Namens | des Herzens | | 単数 3 格 | dem Herrn | dem Namen | dem Herzen | | 単数 4 格 | den Herrn | den Namen | das Herz | | 複数 1 格 | die Herren | die Namen | die Herzen | | 複数 2 格 | der Herren | der Namen | der Herzen | | 複数 3 格 | den Herren | den Namen | den Herzen | | 複数 4 格 | die Herren | die Namen | die Herzen |

基本

ドイツ語の名詞には 1-4 格までの 4 つの格があります. 単純な対比だけでは説明しきれないものの, まずは次のような対応で覚えましょう.

意味 言語学での用語 ドイツ語 英語
1 格 ---が 主格 Nominativ nominative
2 格 ---の 属格 Genitiv genitive
3 格 ---に 与格 Dativ dative
4 格 ---を 対格 Akkusativ accusative

参考までに書いておくと, ラテン語は主格・属格・与格・対格・奪格・呼格・地格の 7 つの格があります. 一般に昔の言葉は格の数が多く, 時代を追うごとに格が少なくなったり, そもそも言語の文法要素から消滅したりします.

属格は英語でいう "of sth" と思ってください. 例えば次の例文を考えましょう.

これはアインシュタインの特殊相対性理論の原論文のタイトルです. 英語の "of moving bodies" を表すドイツ語は前置詞なしの "bewegter Körper" です. これが上の表で『2 格が「---の」を表す』という意味です.

ポイントその1: 動詞との対応

大事なのは動詞との対応・特性です. 例えば helfen の目的語である「手伝う相手」は 3 格, fragen の目的語である「尋ねる相手」は 4 格です. 単純に「---に」や「---を」としか覚えていないと対処できません. あくまでドイツ語はドイツ語の理屈, 日本語は日本語の理屈で文を組み立てます.

これ以外にも前置詞にも格支配があり, 前置詞ごとにしたがえる名詞の格が変わります. 3 格支配と 4 格支配で意味が変わる前置詞もあります.

ポイントその2: 文構造との関係

格は 4 つしかなく, しかも 2 格は das Auto des Lehrers (先生の車) のように, 主に名詞と名詞を結び付ける役割しかありません. つまり名詞と述語 (動詞) の関係を示す格は 1 格・3 格・4 格の 3 通りです.

これを補足してくれるのが前置詞との関係です. 格と前置詞の用法が見えればドイツ語の色々な文の骨組が身に付きます. 英語での文型と同じく格で文の骨格を見抜くことで文全体の意味が把握できます. 合わせて前置詞も確認してください.

定冠詞+名詞の格変化

男性単数形 中性単数形 女性単数形 複数形 (各性共通)
1 格 der Vater das Kind die Mutter die Kinder
2 格 des Vaters des Kind[e]s der Mutter der Kinder
3 格 dem Vater dem Kind der Mutter den Kindern
4 格 den Vater das Kind die Mutter die Kinder

格はふつう定冠詞の変化で表します. 実際の文中では形容詞で判定することもあるでしょう. さらに名詞では男性名詞 (単数形) と中性名詞 (単数形) の 2 格で -s または -es という語尾が付き, 複数形 3 格で -n という語尾がつきます. 英語にはない現象です.

格によって名詞自体の形はほぼ変わらない以上, 格を判定するには冠詞か形容詞の変化で判定しなければいけません. 実際にドイツ語の文章を読むとわかるように読解するときに格の判定はとても大事です. 地道に覚えて使いこなせるようにするしかありません.

男性単数と中性単数の 2 格で名詞に付ける語尾は -s または -es のどちらでも良いことが多い一方, -s か -es の一方しか付けられない名詞もあります.

男性弱変化名詞

der Student (大学生), der Mensch (人間), der Junge (少年) のように, 単数 1 格以外のすべての語尾に -en または -n をつけなければいけない男性名詞があり, 男性弱変化名詞と言います.

1 格 2 格 3 格 4 格
der Student des Studenten dem Studenten den Studenten
der Mensch des Menschen dem Menschen den Menschen

不定冠詞+名詞の格変化

男性単数形 中性単数形 女性単数形
1 格 * ein Vater * ein Kind eine Mutter
2 格 eines Vaters eines Kind[e]s einer Mutter
3 格 einem Vater einem Kind einer Mutter
4 格 einen Vater * ein Kind eine Mutter

不定冠詞の語尾は定冠詞の語尾とほぼ同じです. 定冠詞をきちんと覚えておいて違う部分だけを抜き出して覚えましょう.

実際に違うのは次の点です.

表中では * をつけて強調しています. 不定冠詞は単数形しかありません.

注意: 一部の男性名詞と中性名詞の3格には語尾に-eがつく

タイトルの通りです. これは古風な言い方だそうで上の表にも書いていません. なぜあえて注意するかと言えば, アインシュタインの特殊相対性理論の論文で実際に出てくるからです.

再帰代名詞の格変化

1 人称 2 人称親称 3 人称・2 人称敬称
単数 3 格 mir dir sich
4 格 mich dich sich
------ ------ -------- ------------ --------------------
複数 3 格 uns euch sich
4 格 uns euch sich

指示代名詞derの格変化

男性 中性 女性 複数形
1 格 der das die die
2 格 dessen dessen deren deren
3 格 dem dem der denen
4 格 den das die die

不定代名詞einerの格変化

男性 中性 女性
1 格 einer eines eine
2 格 eines eines einer
3 格 einem einem einer
4 格 einen eines eine

再帰代名詞

基本・名前の由来

次のふたつのケースのうち, 後者の dich が再帰代名詞です.

前者の dich は「僕は君のことを考えている」というときの「君」で人称代名詞です. 一方後者の dich は「君は自分のことを考えている」というときの「自分」です. 「君が考える」という行為が「君」自身に再び帰ってきています.

再帰代名詞の格変化

再帰代名詞には 3 格と 4 格があり, 主語の人称と数に応じて下の表のようになります.

1 人称 2 人称親称 3 人称・2 人称敬称
単数 3 格 mir dir sich
4 格 mich dich sich
------ ------ -------- ------------ --------------------
複数 3 格 uns euch sich
4 格 uns euch sich

1 人称と 2 人称親称は人称代名詞と再帰代名詞が同じ形です. 一方 3 人称と 2 人称敬称には再帰代名詞専用の単語 sich です.

このとき次の文のように er (彼・ 1 格) と ihn (彼・ 4 格) が出てくるとき, 両者は別の人物です.

3格の用法

3格の再帰代名詞はよく次のように使います.

主語が複数形の場合

再帰代名詞は「お互いに」という意味になることもあります.

色々な代名詞

人称代名詞・再帰代名詞以外にもいろいろな代名詞があります.

指示代名詞 der・不定代名詞 einer

基本: 変化表
der

それぞれの 2 格と複数 3 格以外は定冠詞と同じ形です.

男性 中性 女性 複数形
1 格 der das die die
2 格 dessen dessen deren deren
3 格 dem dem der denen
4 格 den das die die
einer

男性 1 格に -er という語尾が, 中性 1・4 格に -es という語尾が付く以外は不定冠詞と同じです.

男性 中性 女性
1 格 einer eines eine
2 格 eines eines einer
3 格 einem einem einer
4 格 einen eines eine

文房具売り場でダイアリーを探している客に店員が対応しているシーンです.

動詞

動詞の三変形

基本

次の三つを動詞の三変形と言います.

過去基本形と過去分詞の作り方でドイツ語の動詞を規則動詞と不規則動詞にわけます. 規則動詞は弱変化動詞とも言います.

規則動詞の三変形の作り方

まずは規則動詞の三変形の作り方を覚えましょう. 人称変化はあとに回します.

不定形 -en 過去基本形 -te 過去分詞 ge-t
lernen lernte gelernt
weinen weinte geweint
warten wartete gewartet
reden redete geredet

規則動詞は不定形・過去基本形・過去分詞の全てで語幹が同じです. 過去分詞は gelérnt のように ge- の次の綴りにアクセントを置いて読みます

英語と似ている部分もあればそうではない部分もあります. 英語だと過去系・過去分詞には -ed, -d をつけていたわけで d と t は濁音化したかどうかだけの違いで同じとみなしていいでしょう. ドイツ語の過去分詞には語頭に ge がつきます.

語幹が -t や -d などで終わる動詞は過去基本形の語尾 -te と過去分詞の語尾 -t の前に e を入れます.

不定形 -en 過去基本形 -ete 過去分詞 ge-et
warten wartete gewartet
reden redete geredet
atmen atmete geatmet
regnen regnete geregnet

不規則動詞

動詞の幹母音が変化する強変化動詞, 幹母音の変化はするものの語尾の形が規則変化と同じ混合変化動詞 (Mischgruppe), 全く規則性がない完全不規則動詞の 3 種類あります.

強変化動詞

基本

過去基本形の語幹が不定形と変わります. 過去分詞の語幹は動詞によって違い, 不定形と同じ・過去形と同じ・どちらとも違うとバリエーションがあります. 過去基本形には語尾が付かず, 過去分詞の語尾も -t ではなく -en です.

不定形 -en 過去基本形 -×-te 過去分詞 ge-×-en
lesen las gelesen
kommen kam gekommen
schreiben schrieb geschrieben
fliegen flog geflogen
finden fand gefunden
brechen brach gebrochen
細分類

不定形・過去基本形・過去分詞の語幹の変わり方は次の 3 通りです.

[○-□-○]: 不定形と過去分詞の語幹が共通

| lesen | las | gelesen | | kommen | kam | gekommen |

[○-□-□]: 過去基本形と過去分詞の語幹が共通

| schreiben | schrieb | geschrieben | | fliegen | flog | geflogen |

[○-□-△]:不定形・過去基本形・過去分詞の語幹が全て違う

| finden | fand | gefunden | | brechen | brach | gebrochen |

次のように語幹の母音だけでなく子音のつづりも変わる場合があります.

| stehen | stand | gestanden | | gehen | ging | gegangen | | nehmen | nahm | genommen |

混合変化動詞

基本

不定形と過去基本形で語幹が違うものの, 過去分詞の語幹は過去基本形と同じで強変化動詞型です. 過去基本形には -te, 過去分詞には -t で規則動詞と同じ語尾で弱変化型です. この事情から混合変化と呼ばれます.

混合変化動詞はあまり種類はないものの, よく使う身近で基本的な動詞に多いのが面倒なところです. 英語でも have, go, get, think など基本的な動詞が不規則変化するのと同じです. がんばって覚えるしかありません.

次の話法の助動詞も混合変化です.

三変形
不定形 -en 過去基本形 -×-te 過去分詞 ge-×-t
bringen brachte gebracht
denken dachte gedacht
wissen wusste gewusst
kennen kannte gekannt

完全不規則動詞

sein, haben, werden

時制や受動態を表す助動詞にもなるのでこれが最重要で必ず覚える必要があります.

不定形 過去基本形 過去分詞
sein war gewesen
haben hatte gehabt
werden wurde geworden

現在形

基本

守備範囲は英語よりも広く, 次のようなイメージで捉えます.

人称変化の基本

ドイツ語では主語に応じて動詞の語尾が変化します. これを人称変化と言います. 特に現在形の人称変化を現在人称変化と言います.

標準的な変化
一般形
人称 単数 複数
一人称 ich -e wir -en
二人称 親称 du -st ihr -t
三人称 (男性) er -t sie -en
一般形の例

例として lernen (---を勉強する) の現在人称変化を見てみましょう.

人称 単数 複数
一人称 ich lerne wir lernen
二人称 親称 du lernst ihr lernt
三人称 (男性) er lernt sie lernen

口ずさんで覚えるようにしましょう. いくつか特徴があります. 主語が複数のなら二人称親称の ihr 以外は語尾がすべて -en です. 敬称の Sie は三人称複数の sie を転用していて単数の Sie の語尾も -en です. 主語が sie/Sie の時には大文字・小文字と動詞の語尾を確認して意味を取る必要があります.

語幹が -t, -d で終わるとき

発音しやすくするため語幹と語尾の間に -e- を入れます.

人称 単数 複数
一人称 ich arbeite wir arbeiten
二人称 親称 du arbeitest ihr arbeitet
三人称 (男性) er arbeitet sie arbeiten
語幹が -s, -ss, ß, -z で終わるとき

du の -st は s が落ちて -t だけに変わります.

人称 単数 複数
一人称 ich schließe wir schließen
二人称 親称 du schließt ihr schließt
三人称 (男性) er schließt sie schließen

定形と不定形

例を lernen に考えます. 語幹はどれも lern- で同じです. 語幹はいわゆる動詞の本体で, これに主語の人称と数 (すう) に応じた語尾が付きます. 語尾つきの lerne や lernen は主語に応じて語尾が定まった形であることから定形と言います.

一方, 辞書の見出し語のように動詞を単に挙げるときの形を不定形と言います. 不定形は語幹に語尾 -en が付いた形で, 特に lernen では主語が Sie や wir の時と同じ形です. いくつかの例外を除いてドイツ語の動詞は基本的に -en で終わり, 多くの動詞で Sie や wir に対する定形と不定形は一致します.

Note

sammeln のように不定形の語尾が -n の動詞もあります.

Note

不定形が -eln で終わる動詞 (語幹が -el で終わり, 不定形の語尾が -n の動詞) は主語が ich のときに語幹末の e が脱落します. 例えば lächeln (ほほえむ) は ich lächle で lächele の e が脱落しています.

Note

ここでの Sie は敬称 (「君・君達」に対する「あなた・あなたたち」) で, 常に S は大文字です. 三人称単数 sie (彼女) とは違います.

二人称に対する注意

reden (語る) や arbeiten (働く) のように語幹が -d や -t などで終わる動詞は語尾 -st と -t の前に e を入れます. 発音しやすく・聞き取りやすくするためです. 日本語でも音便のような似た現象があります. 例をいくつか挙げておきます.

reisen (旅行する), heißen (~という名前だ), tanzen (踊る) のように, 語幹が -s, -ß, -z などで終わる動詞は du の語尾を -st ではなく -t にします.

三人称に対する注意

単数の「彼女は」も複数の「彼ら/ 彼女たち」も sie です. 動詞の語尾が単数なら -t, 複数なら -en で違うので区別できます.

一方で複数の sie と二人称敬称の Sie は動詞の語尾も一緒です. そもそも二人称敬称の Sie は 3 人称複数形の転用で音では区別できません. ふつうは状況や前後関係から「彼ら/ 彼女たち」なのか「あなた/ あなたたち」なのか判断します. 敬称の Sie と違い, 三人称単数の sie も 3 人称複数の sie も文頭以外では s を小文字で書きます.

reden (語る) や arbeiten (働く) のように語幹が -d や -t で終わる動詞は語尾 -t の前に e を入れます. 発音しやすく・聞き取りやすくするためです.

不規則変化

sein

英語の be 動詞にあたる sein を筆頭に不規則変化する動詞があります. 英語でも be 動詞, have, get など基本的な動詞は悉く異様に不規則に変わります. その事情はドイツ語でも変わりません.

人称 単数 複数
一人称 ich bin wir sind
二人称 du bist ihr seid
三人称 男性 er ist sie sind
haben

ドイツ語の haben は英語の have にあたります. 英語と同じように日本語での「持つ」からは想像できない多彩な用法があります.

人称 単数 複数
一人称 ich habe wir haben
二人称 du hast ihr habt
三人称 男性 er hat sie haben
werden

英語での become にあたる単語です. 次のような助動詞の用法もあります.

細かいことはそれぞれの項目で議論します.

人称 単数 複数
一人称 ich werde wir werden
二人称 du wirst ihr werdet
三人称 er wird sie werden
wissen
人称 単数 複数
一人称 ich weiß wir wissen
二人称 du weißt ihr wisst
三人称 er weiß sie wissen

幹母音が変わるタイプ

まずは表を挙げます. 三人称単数は代表として er だけにして敬称の Sie を省略しています.

幹母音が変わるのは二人称(親称)単数三人称単数の二箇所です.

a --> ä
人称 単数 複数
一人称 ich falle wir fallen
二人称 du fällst ihr fallt
三人称 er fällt sie fallen
人称 単数 複数
一人称 ich fahre wirfahren
二人称 du fährst ihr fahrt
三人称 er fährt sie fahren
e --> i/ie
人称 単数 複数
一人称 ich spreche wir sprechen
二人称 du sprichst ihr sprecht
三人称 er spricht sie sprechen
人称 単数 複数
一人称 ich sehe wir sehen
二人称 du siehst ihr seht
三人称 er sieht sie sehen
注意

他にも次の動詞は特殊変化です.

定形の位置

ドイツ語は格を持つため語順がある程度自由です. しかし動詞の位置には決まりがあります. それを確認しましょう.

lerne や lernst のように主語に応じた語尾が付いた形を定形と言い, 定形の動詞を定動詞と言います. ドイツ語では定動詞の位置が大事で文の種類によって決まっています.

例えば同じ単語を使って「ハンスは今日赤ワインを飲む」を書いてみましょう. もちろん英語でも語順にはある程度の自由度があります. しかしドイツ語での語順の自由度と英語の自由度には違いがあります.

  1. Hans trinkt heute Rotwein.
  2. Heute trinkt Hans Rotwein.
  3. Rotwein trinkt Hans heute.

例 1 では主語の Hans が, 例 2 では副詞 heute (今日) が, 例 3 では目的語の Rotwein (赤ワイン) が文頭にあります. 例 2-3 は英語ではありえない語順ですが, ドイツ語ではよく出てきます.

この平叙文では定動詞が必ず第二要素に置かれることに注意してください. ここで第二要素と書いたのは文頭が句になっているとき, 必ずしも「二番目の単語」ではないからです.

Note

接続詞をはさむ場合は形式的に定動詞が三番目に来ることがあります. 例えば"Hans trinkt Rotwein, aber Hanna trinkt Weißwein."のような例です.

疑問文の作り方

二種類の疑問文

疑問文は次の二種類があります.

決定疑問文

決定疑問文は定動詞を文頭に置くだけで, 英語の do や does のような助動詞は使いません.

補足疑問文

疑問詞を文頭に置いて定動詞を二番目に置きます.

Note

英語の yes に当たるドイツ語は ja で, no に当たるのは nein です. この他に決定疑問文への返答に使える単語として doch もあり, これは否定疑問文に対して「---しないのか?」に対して「いや, --する」と答えるときに使います.

Note

補足疑問文に使う疑問詞は wann (= wenn), wo (= where), wer (= who), was (= what), warum (= why), wie (= how) などです.

命令形・命令文

命令文の種類・活用例

命令文には次の 3 種類があります.

いくつかの動詞に対する活用を表にしておきます. 例外については別途項目を立てます.

人称 antworten gehen
親称単数 – [e] Antworte! Geh[e]!
親称複数 – t Antwortet! Geht!
敬称 (単複同形) – en Sie Antworten Sie! Gehen Sie!

主語

du と ihr に対する命令文にはふつう主語をつけません. 一方 Sie に対する命令文は常に主語をつけます.

du に対する語尾

次のルールがあります.

例外: sein

人称 sein
二人称親称単数 sei
二人称親称複数 seid
敬称 seien Sie

添える副詞

英語でも please をつけるように, ドイツ語でも bitte (どうぞ), mal (ちょっと), doch (ぜひ) などの副詞を添えることがあります.

非人称動詞

自然現象とともに使う動詞

この regnen ように常に es を主語にして文を作る動詞を非人称動詞と言います. 自然現象を表す動詞 schneien や blitzen が典型的です.

gehen, geben

他には gehen にも es geht + 3 格, geben にも es gibt + 4 格にも非人称動詞の用法があります. 意味・例文はコンテンツアーカイブを参考にしてください.

気候・天候・時刻

これらも主語を es とする非人称動詞で表現します.

主語が ich のときの省略

「(私は) 寒い」・「(私は) 気持ちが悪い」の「私」 のように, 寒さや暑さを感じる主体の人は 3 格または 4 格で表します. そしてこのときの es はよく省略されます.

分離動詞

基本

ある前置詞と動詞が組み合わさって一つの動詞を作ることがあります. それが分離動詞の典型例です. 例えば auf + stehen (= stand) の aufstehen の意味は「起きる」です. 他にも an, zu なども分離動詞を作ります. この前置詞相当の要素を分離前綴りと言います.

不定形は分離前綴りを動詞本体の前に付けて aufstehen, anrufen, zumachen のように綴ります. ほとんどの辞書の見出し語は auf|stehen のように縦線が入っています.

分離前綴りの例

非分離前綴りと同じく, 前置詞と同じ形が多いです. 実際, 前置詞と結びついてできた動詞でもあるからです.

他に durch-, um-, unter-, über もあります. これらは非分離前綴りになることもあります.

発音

分離動詞は áufstehen のように前つづりアクセントを置いて読みます.

分離前綴りの挙動

分離前綴りは動詞本体から離れて文末に置かれる場合と, 動詞本体と合体したままの場合があります.

結論から言うと, 現在形については, 動詞単独で使う場合は分離前綴りが分離し, 助動詞がある場合は動詞本体と分離しません. 分離するのは動詞が本来の定型第二の法則が発動して枠構造が発動するときで, 助動詞があると助動詞に対して定型第二の法則が優先して発動して助動詞-本動詞全体で枠構造が発動するため, 分離前綴りによる枠構造が発動しないからです.

これは慣れの部分も大きいため, 実際に例文をたくさん確認して慣れてください.

非分離動詞

非分離動詞の例

動詞 bekommen は kommen に be- という前綴りが付いた動詞です. ここで kommen に an の付いた ankommen とは違い, 前つづり be- は分離しません. このような動詞を非分離動詞と言います.

非分離前綴りの例

非分離前綴りの典型的な例を挙げます.

これは次のように覚える覚え方が有名です.

他に durch-, um-, unter-, über もあります. これらは分離前綴りになることもあります.

発音

非分離動詞は動詞本体にアクセントを置きます.

過去人称変化

基本

文章での説明

下にある表も合わせて確認してください. 一人称単数と三人称単数では語尾が付かないこと以外, 全て現在人称変化の語尾と同じです. ただし過去基本形が -e で終わっているときは, 一人称称複数と三人称複数の語尾が -en ではなく -n です. 最終的な形が -en となっていればいいと覚えてください. 逆に言えば最終形で -een と重ねません.

過去形の変化表
人称 単数 複数
一人称 ich -- wir -[e]n
二人称 du -st ihr -t
三人称 er -- sie -[e]n
参考: 現在系の変化表

すぐに比較できるように再掲します. | 人称 | 単数 | 複数 | |--------|--------|---------| | 一人称 | ich -e | wir -en | | 二人称 | du -st | ihr -t | | 三人称 | er -t | sie -en |

sein

最重要動詞 sein, haben, werden を例に過去形の人称変化の仕方を見てみましょう.

人称 単数 複数
一人称 ich * war wir waren
二人称 du warst ihr wart
三人称 er * war sie waren

haben

人称 単数 複数
一人称 ich * hatte wir hatten
二人称 du hattest ihr hattet
三人称 er * hatte sie hatten

werden

人称 単数 複数
一人称 ich * wurde wir wurden
二人称 du wurdest ihr hattet
三人称 er * wurde sie hatten

過去分詞

意味

「---した」または「---された」という意味の形容詞のように使えます. 名詞にかかるときは形容詞と同じ語尾を付けます.

ge- の処理

次のような場合, 過去分詞の目印である ge- に注意が必要です.

分離動詞の過去分詞

ge- が分離前綴と基礎動詞の間に入ります.

もともと副詞と動詞にわかれていて, それが徐々に一体化して一語になった成り立ちがあります. その成り立ちを優先して, 過去分詞を作るときはも前綴りを離して動詞本体を過去分詞にし, それから前綴りをつけ直す形にしているだけです.

非分離動詞, -ieren で終わる動詞

ge- がつきません.

まず ge- が付いている普通の過去分詞のアクセントは, ge- ではなく ge- の後ろの綴りに置かれます. 一方, 非分離動詞と -ieren で終わる動詞は, 語頭の綴りにアクセントが置かれない共通点があります. これらの動詞の過去分詞に ge- をつけてしまうと, アクセントが置かれる綴りは前から 3 番目 (以降) になってしまいます. そしてドイツ語の単語は語頭の綴りにアクセントを置くのが基本です.

このように 3 番目 (以降) にアクセントが来る語形をわざわざ作りたがらないのがドイツ語の感覚です.

現在分詞

作り方

現在分詞は動詞の語幹に -end を付けて作ります.

不定形の語尾が -n だけの動詞は語幹に -nd を付けて現在分詞を作ります. ただし tun は tuend, sein は seiend です.

意味

「---している」という意味の形容詞のように使えます. 名詞にかかるときは形容詞と同じ語尾を付けます.

現在完了形

基本

現在完了は次の組み合わせのどちらかで作ります.

大半の動詞は前者で, 少数の例外が後者です. この例外は自動詞のうち, 典型的には往来発着と呼ばれるタイプの動詞です. 完全不規則動詞に重要なものが大量に入っているように, 基本的で重要な動詞がこの例外に入っています.

もう少し書くと, 他動詞 (= 4 格目的語を取る動詞) は全て haben 支配です. 自動詞 (= 4 格目的語を取らない動詞) であっても, helfen (3 格を手伝う) や raten (3 格に助言する) のように, 他に働きかけるタイプの意味を持つ動詞も全て haben 支配です.

haben 支配

haben の現在形と過去分詞を組み合わせて作るのが基本です. 英語の現在完了と同じく, haben ((en) have) と過去分詞を組み合わせて完了形を作る点は同じです. ドイツ語の文では過去分詞が haben の直後ではなく文末に置かれる点に注意してください.

特にドイツ語口語では過去を表すにごく普通に現在完了形を使います. 英語の現在完了とは守備範囲が違うので注意してください.

過去形も現在完了形も過去を表せます. 地域や発話状況, 話し言葉か書き言葉か, 個人の好みによる違いもあり, 両者の使い分けは必ずしもすっきりしません. それでもまずは次のように認識してください.

sein 支配

往来発着と呼ばれる, 次のような動詞に対する完了の助動詞は sein です.

従属文での語順

従属文では定動詞が最後に置かれます. 完了の助動詞が定動詞扱いなので, 完了の助動詞 haben が文末, 過去分詞はその前に置かれます.

過去完了形

基本

過去完了形は haben あるいは sein の過去形と過去分詞の組み合わせで作ります. 英語と同じく, 過去完了形は「過去のある時点から見て既に完了していた事柄」を表すのが基本です.

注意が必要な例

次の二文の意味を考えましょう.

現在完了形は「完了したことを現在の立場から表す」のが基本でした. つまり前者は現在の立場から見て「それを忘れてしまった」と言っていて, 「今は覚えていない」です. 一方, 過去完了形は (間近の過去も含めて) 過去の時点に身を置いて「(その時は) それを忘れていた」と言っていて, 逆に「今は思い出した」です.

未来形

「werden+本動詞の不定詞」の組で未来形を作ります. 活用も改めて載せておきます.

人称 単数 複数
一人称 ich werde wir werden
二人称 du wirst ihr werdet
三人称 er wird sie werden

完了形と助動詞の組み合わせ

完了形は werden, müssen, können などの助動詞と組み合わせられます. 例えば werden と完了形の組み合わせは未来完了形です. このとき werden などの助動詞は定形で, 完了の助動詞 haben・sein は不定形です.

実は werden と完了形の組み合わせは過去の事柄に関する推量にも使われます.

不定詞句

基本

不定詞を核とした句の形で並べた動詞を含む表現を不定詞句と呼びます. 英語では to 不定詞で書くところをドイツ語では zu なしで書き, さらに不定詞を句の最後に置きます. 特に動詞を含むイディオムはふつうこの形で書きます.

不定詞句では動詞に関係が深い語・語句ほど動詞の近くに置かれます.

辞書に出てくるときのルール

よくいくつかの省略語と一緒に出てきます.

省略語 意味
jm 人を指す名詞
jn モノを指す名詞
et^4 数字の部分は格
js 人間の 2 格
jm 人間の 3 格
jn 人間の 4 格

例を見ましょう.

zu 不定詞

基本

次のように不定詞の前に zu を置いたセットを zu 不定詞と言います.

ここでは Jeden Tag für die Familie zu kochen でまとまっていて, このまとまりを zu 不定詞句と言います. zu 不定詞も zu 不定詞句も名詞のように「---すること」という意味で使えます.

英語と同じく仮主語を使った構文もあります.

カンマがつくことに注意してください.

zu 不定詞句の作り方

英語の to 不定詞と違ってドイツ語では zu 不定詞が最後に置かれます.

分離動詞は分離前つづりと基礎動詞の間に zu を入れて zu 不定詞を作ります. 分離動詞の過去分詞と同じく, まず前つづりを外して動詞本体の直前に zu を置き, 前つづりを付け直すと考えてください.

zu 不定詞句の用法: いろいろな品詞

次のような用法があります. - 主語 - 目的語 - 形容詞 - 名詞の詳細化

詳しくはいろいろな例文を見てください.

da[r]- + 前置詞に zu 不定詞句が結び付くことがあります.

ここで auf (3 格) bestehen で「3 格の対象にこだわる」という意味なので, 上記の darauf bestehen は「それにこだわる」という意味であり, zu 不定詞句は「それ」の具体的な内容です. 後者の auf (4 格) kommen は「4 格の対象を思いつく」という意味なので, darauf kommen は「それを思いつく」という意味であり, zu 不定詞句は「それ」の具体的な内容です.

zu 不定詞句の用法: 他の前置詞との組み合わせ

もう少し例・用法を見ておきます. まず um, statt, ohne と zu 不定詞句が結び付く例です.

ここで um と zu 不定詞句は「---するために」, statt と zu 不定詞句は「---するかわりに」, ohne と zu 不定詞句は「---せずに」という意味です.

zu 不定詞句の用法: 他の前置詞との組み合わせ

etwas と nichts と組み合わさる場合があります. いったん zu 不定詞は「---するべき」と考えておいてください.

zu 不定詞句の用法: 動詞との組み合わせ

この zu schreiben を「書くべき」と考えれば「私は今日書くべき 2 通の手紙を持っている」と思えばよく, 端的には「手紙を 2 通書かなければならない」と読めばいいでしょう. まさに英語の have to で「---しなければならない」という意味を持つのと同じです.

これ以外にも brauchen (= need), anfangen (= begin) と zu 不定詞の組み合わせもあります.

再帰動詞

基本

再帰代名詞との組み合わせで一つの意味を表す動詞を再帰動詞といいます.

ここでは 4 格の再帰代名詞とのセット sich ärgern で「怒る」という 1 つの意味を表しています. 再帰動詞を不定形で挙げるとき sich ärgern のように動詞を後ろに置きます.

現在人称変化の表は次のように書きます.

人称 単数 複数
一人称 ich ärgere mich wir ärgern uns
二人称 du ärgerst dich ihr ärgert euch
三人称 er ärgert sich sie ärgern sich

いくつかの例

次の例の再帰代名詞はすべて 4 格です.

他動詞との対応

次のように他動詞と対応関係が見られる場合もよくあります.

動作・行為の対象を示す前置詞

例を挙げます.

3 格の再帰代名詞とセットになる再帰動詞

数はあまりありません. 次のような例があります.

受動文

現在形と過去形

次の形で作ります.

werden は受動の助動詞で, 主語に応じて人称変化します. 過去分詞は文末です. もちろん従属文では受動の助動詞 werden は過去分詞の後に置かれます. 過去時制の受動文を作るときは werden を過去形にします.

行為の主体を表したいときは前置詞 von を使います.

完了形

助動詞 werden を現在完了形にすれば現在完了形の受動文になります. 特に werden は sein 支配なので, werden の過去分詞と sein で現在完了形です. 受動の助動詞の過去分詞は geworden ではなく worden であることに注意しましょう. 何故かというと直前に本動詞の過去分詞があるので, これとアクセントの位置が同じ geworden が続くのを避けているからです.

時制との関係については箇条書きでまとめます.

従属文では定動詞の sein が文末に置かれ, 「本動詞の過去分詞-worden-sein (定形)」の順です.

例を見ましょう.

受動態と助動詞

受動態は他の助動詞 müssen や können などの助動詞と組み合わせて使えます.

冠詞

定冠詞の格変化

男性単数形 女性単数形 中性単数形 複数形 (各性共通)
1 格 der Vater die Mutter das Kind die Kinder
2 格 des Vaters der Mutter des Kind[e]s der Kinder
3 格 dem Vater der Mutter dem Kind den Kindern
4 格 den Vater die Mutter das Kind die Kinder

特に定冠詞だけ抜き出します.

男性 女性 中性 複数形
1 格 der die das die
2 格 des der des der
3 格 dem der dem den
4 格 den die das die

口ずさんで覚えるのが楽です. 順番はお好みですが, 私は この動画 を参考に, 男性・女性・中性・複数形の順に 1-4 格を次のように 2 回セットで口ずさんでいます.

発音のしやすさのために意図的にそうしているのかもしれませんが, 先の動画では女性単数形 der を「ダ」より「デア」読みした方がまだ正確でしょう. もちろんドイツ語にはドイツ語の正確な発音の問題はあります.

不定冠詞の格変化

男性単数形 中性単数形 女性単数形
1 格 * ein Vater * ein Kind eine Mutter
2 格 eines Vaters eines Kind[e]s einer Mutter
3 格 einem Vater einem Kind einer Mutter
4 格 einen Vater * ein Kind eine Mutter

冠詞だけ抜き出します.

男性 中性 女性
1 格 ein ein eine
2 格 eines eines einer
3 格 einem einem einer
4 格 einen ein eine

定冠詞と不定冠詞の格変化の比較

男性単数形 中性単数形 女性単数形 複数形 (各性共通)
1 格 * ein Vater * ein Kind eine Mutter * Kinder
der Vater das Kind die Mutter die Kinder
------ -------------- ---------------- -------------- -------------------
2 格 eines Vaters eines Kind[e]s einer Mutter * Kinder
des Vaters des Kinde[e]s der Mutter der Kinder
------ -------------- ---------------- -------------- -------------------
3 格 einem Vater einem Kind einer Mutter * Kinder
dem Vater dem Kind der Mutter den Kinder
------ -------------- ---------------- -------------- -------------------
4 格 einen Vater * ein Kind eine Mutter * Kinder
den Vater das Kind die Mutter die Kinder

男性単数の 1 格以外, 中性単数の 1 格・ 4 格以外で冠詞の語尾が一致しています. そしてこのずれはそれぞれ「原形」の ein-der, ein-das の違いでしかありません.

定冠詞・不定冠詞・無冠詞の使い分け

次のような基本的なルールがあります.

定冠詞と不定冠詞の使い分け

人・時代・状況によって微妙なところは出てきますが, それでも原則はあります. それを見ておきましょう. まずは英語と同じように使い分けると思っておいてください.

さて, 「本はどこ? 」「本はここにある」という対話のシーンを思い浮かべましょう.

ここではどの本のことを言っているのかがお互いにわかっている状況を考えています. どの本を指しているか特定できるので定冠詞を使って書いています.

次に「ハンスはもうすぐ車を買う」と言いたいときはどうでしょうか.

ここで聞き手がどの車かを思い浮かべられない前提で文を書きました. 聞き手がどの車かか特定できないので不定冠詞で書いています. 事前にハンスと話をしていて「とうとうあの車を買うのか」というように買う車が特定できることもあるでしょう. もちろんこういう場合は定冠詞を使います.

不定冠詞は単数形しかありません. 形式的に不定冠詞 + 名詞を複数形にするとどうなるか考えてみましょう.

後者が「不定冠詞 + 名詞」の複数形にあたり, 日本語では「本を何冊か買う」です. もちろん「特定の本を数冊買う」とわかっているなら定冠詞を使います.

定冠詞類: dieser型

単語のリスト

次のタイプの単語を定冠詞類と呼びます.

辞書での見出し語

まず辞書によって挙げ方が違うこともあるので注意してください. その上で書くと例えば dieser, jeder, jener は男性単数 1 格の形で挙げてあり, all, manch, solch, welch のように語尾を付けない形で挙げてあることがあります.

格変化

定冠詞とほぼ同じ語尾が付きます

男性単数形 中性単数形 女性単数形 複数形 (各性共通)
1 格 dieser Rock dieses Hemd diese Bluse diese Schuhe
2 格 dieses Rock[e]s dieses Hemd[e]s dieser Bluse dieser Schuhe
3 格 diesem Rock diesem Hemd dieser Bluse diesen Schuhen
4 格 diesen Rock dieses Hemd diese Bluse diese Schuhe

derとの比較

復習も兼ねて男性名詞に対する定冠詞 der と並べてみましょう. 中性単数 1 ・ 4 格で das-dieses, 女性単数と複数形の 1 ・ 4 格で die-diese が違う以外, 定冠詞 der の語尾と dieser の語尾は一致しています.

男性単数 中性単数 女性単数 複数形
1 格 dieser dieses diese diese
der * das * die * die
------ ---------- ---------- ---------- --------
2 格 dieses dieses dieser dieser
des des der der
------ ---------- ---------- ---------- --------
3 格 diesem diesem dieser diesen
dem dem der den
------ ---------- ---------- ---------- --------
4 格 diesen dieses diese diese
den * das * die * die

不定冠詞類: mein型

単語のリスト

次のタイプの単語を不定冠詞類と言います. 特に所有冠詞と否定冠詞 kein が含まれます.

格変化

男性単数形 中性単数形 女性単数形 複数形 (各性共通)
1 格 * mein Computer * mein Buch meine Bluse meine Bücher
2 格 meines Computer meines Buch[e]s meiner Bluse meiner Bücher
3 格 meinem Computer meinem Buch meiner Bluse meinen Büchern
4 格 meinen Computer * mein Buch meine Bluse meine Bücher

比較

所有冠詞 mein, 不定冠詞 ein, 定冠詞類 dieser の変化形を並べてみましょう.

男性単数 中性単数 女性単数 複数形
1 格 * mein * mein meine meine
* ein * ein eine ---
dieser dieses diese diese
------ ---------- ---------- ---------- --------
2 格 meines meines meiner meiner
eines eines einer ---
dieses dieses dieser dieser
------ ---------- ---------- ---------- --------
3 格 meinem meinem meiner meinen
einem einem einer ---
diesem diesem dieser diesen
------ ---------- ---------- ---------- --------
4 格 meinen * mein meine meine
einen * ein eine ---
diesen dieses diese diese

mein と ein の単数形は語尾が完全に一致します. そもそも mein, dein, sein, kein は ein に一文字加えただけです. さらに dieser を含めても * 印をつけた 3 ヶ所以外は全て同じ語尾です.

3 グループ

所有冠詞と否定冠詞は次の 3 グループに分けると覚えやすいはずです.

unser, euer は格語尾をつけるとき, uns[e]re Schule, eu[e]re Schule のように途中の e が脱落することがあります.

所有冠詞

英語で「私の---」, 「君の---」と言いたとき my, your など人称代名詞の所有格を使います. 一方ドイツ語では所有冠詞と呼ばれる冠詞を使います. 冠詞なので格変化します. ここでは所有冠詞の一覧だけ示しておきます.

人称 単数 複数
一人称 mein unser
二人称 dein euer
三人称 男性 sein ihr
三人称 女性 ihr ihr
三人称 中性 sein ihr

不定代名詞と同じ語尾を付けて代名詞のように使えます.

否定冠詞 kein

格変化は ein と同じです.

前置詞

前置詞の格支配

  1. Kazuya fährt mit dem Fahrrad um den See. (カズヤは自転車で湖の周りを走る.)
  2. Trotz des Regens spielen die Kinder im Garten. (雨なのに子供たちは庭で遊ぶ.)

第 1 文 は mit と um, 第 2 文は trotz と in があります. 第 1 文では mit の後ろの dem Fahrrad (自転車, das Fahrrad) は 3 格, um の後ろの den See (湖, der See) は 4 格です. 第 2 文では trotz の後ろの der Regen は 2 格, im は in と dem の融合形で, in の後ろの der Garten は 3 格です.

名詞の格はいわゆる主語や目的語のような文法的な意味を持っていました. しかしドイツ語の前置詞はその文法上の意味とは無関係にしたがえる名詞の格が決まっています. これを前置詞の格支配と言います. 格支配から見るとドイツ語の前置詞は次の 4 グループにわかれます.

前置詞の意味

英語と同じく個々の前置詞にはいろいろな意味・用法があります. そして英語と語源を同じくする前置詞であっても, 英語のそれとは正確には対応しません. 辞書, 特に Wiktionary を見るとよくわかります.

一つ例を出しておきます.

Cognate with Middle English mid ("with").

  • with (in the company of; alongside)
  • with, by (using as an instrument; by means of)
  • with (as an accessory to) .- with (having) .- at (with the age of) .- with, including, with ... included

基本的には with と一致するにせよ, by や at の意味も含むのです.

格支配もあるので一朝一夕には身につきません. やはり具体的な例文の中で少しずつ覚えるしかありません.

2 格支配

よく出てくる前置詞

2 格支配の前置詞のうちでよく使われるのは次の 4 つなので, まずはこれを例文とともに覚えましょう. 他の前置詞と違ってそれぞれの前置詞の意味も 1-2 個把握できれば十分です. 詳しくは前置詞まとめを参照してください.

3 格支配

よく出てくる前置詞

まずは次の前置詞を覚えましょう. 個々の単語について詳しくは前置詞まとめを参照してください.

定冠詞との融合形

次のような融合形があります.

4 格支配

よく出てくる前置詞

詳しくは前置詞まとめを参照してください.

定冠詞との融合形

次のような融合形があります.

3-4 格支配

格の使い分け

場所を表すときは 3 格と結び付き, 方向を表すときは 4 格と結び付きます.

参考のために in に関する例文を挙げておきます.

よく出てくる前置詞

詳しくは前置詞まとめを参照してください.

定冠詞との融合形

次の融合形がよく出てきます.

da + 前置詞

3 人称の代名詞がモノ・コトを表すときに起きる現象です. 代名詞が人を指すときとモノ・コトを指すときの違いを見るため, 両方の例文を添えます.

前者では人を mit ihm で受けている一方, 後者では mit dem Unterricht を damit で受けています. 前置詞の語頭が母音のとき, つまり auf や in などに対しては da- は dar- に変わります.

wo[r] + 前置詞

mit +「モノ・コト」が damit となるように, mit + was が womit に変わります. 特に口語では前置詞 + was をそのまま使うこともあります.

助動詞

助動詞を含む文の作り方

助動詞を本動詞とみなして定型第二の法則を発動させます. 本動詞は文末に置きます. 疑問文では助動詞を文頭に持ってきます.

話法の助動詞

6 種の助動詞

話法の助動詞は次の 6 つです. 等号の右辺は英語での対応する助動詞です. あくまで大まかな対応であって厳密な対応ではありません.

本動詞の扱い

本動詞は不定形で, 助動詞の直後ではなく文末に来ます. 定型第二の法則は助動詞に対して発動します. 分離動詞と同じような動きとも言えます.

単独の用法

話法の助動詞は本動詞なしで使われることもあります.

前者は in die Stadt のような方向を表す語句との組み合わせが, 後者は Französisch のような目的語との組み合わせがポイントです.

wollen や möchte も単独での用法があります.

können

活用は特殊です. 動詞の語幹を見ると, 主語が単数のとき語幹の母音が不定形ではありません. 主語が ich と er/sie/es のときに語尾に -e や -t がつきません.

人称 単数 複数
一人称 ich kann wir können
二人称 du kannst ihr könnt
三人称 er kann sie können

müssen

活用は特殊で können と同じ注意があります.

人称 単数 複数
一人称 ich muss wir müssen
二人称 du musst ihr müsst
三人称 er muss sie müssen

ここで「明日 = Morgen früh」が一語の扱いになっていることに注意しましょう.

wollen

英語の will you と同じく疑問文の形で勧誘の意味を持ちます.

活用
人称 単数 複数
一人称 ich will wir wollen
二人称 du willst ihr wollt
三人称 er will sie wollen
sollen との比較

wollen は主語の意志を表す一方, sollen は主語以外の何者かの意志を表します. sollen の項も参照してください.

möchte

möchte は mögen の接続法第 2 式形です. この形でよく使われるのでたいていの独和辞典に見出し語 möchte で載っています.

wollen と同じく疑問文の形で勧誘の意味を持ちます.

人称 単数 複数
一人称 ich möchte wir möchten
二人称 du möchtest ihr möchtet
三人称 er möchte sie möchten

sollen

意味

wollen と比較して, 主語以外の何者かの意志を表します. さらに噂・伝聞, つまり「---ということだ」「---らしい」を表す用法もあります.

活用
人称 単数 複数
一人称 ich soll wir sollen
二人称 du sollst ihr sollt
三人称 er soll sie sollen
dürfen との比較

次の例文で覚えるといいでしょう.

前者では主語の「私」が「窓を閉めるべきか」相手の意志を尋ねていて, 後者では主語の「私」が「窓を閉めていい」かどうか相手の許可を得ようとしています. つまり sollen は「主語以外の人の意志」, dürfen は「許可」を表しています.

wollen との比較

wollen は主語の意志を表す一方, sollen は主語以外の何者かの意志を表します.

ここで sollen のニュアンスに注意しましょう. 具体的に誰がそれを望んでいるかによって日本語への訳し方は変わります. 「---するべきだ」と強い意味を持つこともあれば, 「---させよう・させてみよう」といった訳になることもあります.

dürfen

意味

まずは「---してもよい」, つまり許可あるいは正当性を表す意味をおさえましょう. 否定文になると「---してはいけない」 という禁止の意味になり, 「---しないでもよい」という意味にはなりません.

活用
人称 単数 複数
一人称 ich darf wir dürfen
二人称 du darfst ihr dürft
三人称 er darf sie dürfen
sollen との比較

sollen の項を確認してください.

参考: mögen

これが推量の助動詞として使われることはあまりなく, むしろ「---を好む」の意味の本動詞の用法がメインです. 念のためここにも活用を書いておきます.

人称 単数 複数
一人称 ich mag wir mögen
二人称 du magst ihr mögt
三人称 er mag sie mögen

動詞の助動詞用法

話法の助動詞と未来の助動詞 werden 以外に次のような動詞も他の動詞の不定形を組み合わせて使えます.

未来の助動詞 werden

基本

# http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/de/gmod/courses/c01/lesson10/step3/card/032.html 本動詞としての意味の他, 不定詞と組み合わせて助動詞として使うことがあります. 助動詞としての werden はまず「---だろう」という未来・推量の意味で覚えておきましょう.

英語と同じく, 推量に関して言えば werden と同じように müssen には「---に違いない」, können には「---かもしれない」と推量の意味を表す用法があります.

未来形・未来表現

werden と不定詞の組み合わせは未来形と呼ばれています. 実際には現在の事柄に関する推量を表すこともよくあります.

多言語・他言語を勉強するときの注意があります. フランス語やイタリア語は助動詞の助けなしに未来を表現できます. つまり動詞に過去形の活用があるように未来形の活用があります. 一方で英語やドイツ語にはこの意味での未来形がありません. 言語学的な特徴として面白いところです.

英語の will と同じく, 未来から予定, 決意・決心, 予測・推測の意味が派生します.

さらに未来のことを未来形で表すとは限らず, 単に現在形で表すことがあります. 英語 (そして日本語) とは現在形の守備範囲が違います.

形容詞

はじめに

ドイツ語の中でも特に難しいところです. 結論から言えば形容詞も変わるのです.

形容詞の用法

形容詞には次のような用法があります.

付加語的用法は名詞を修飾する用法です.

ドイツ語では形容詞を語尾を付けずに副詞のように使って動詞の意味を修飾できます. つまり形容詞はそのままの形で副詞としても使え, この事情を汲んで形容詞を形容副詞と呼ぶことさえあるようです.

ここから形容詞は副詞と区別がない, つまり形容詞は全て副詞だとみなし, 意味も gut を形容詞的に「良い」と覚えるのではなく副詞的に「良く」と覚えるべし, ということがあります. この視点からは付加語的用法での変化は副詞を形容詞とわからせるための処方なのです.

格変化のパターン

最初に覚えるべきは定冠詞のパターンです. 非常に複雑です.

形容詞の格変化

基本

形容詞が名詞の前に置かれて名詞を修飾するときは形容詞に語尾が付きます. 形容詞の語尾は前に置かれる冠詞の種類および名詞の性・数・格で変わります.

前に定冠詞類があるときの語尾

前に定冠詞類があるときの形容詞の語尾は -e か -en のどちらかです. 冠詞類の語尾とほぼ変わりません.

男性単数 中性単数 女性単数 複数
1 格 dieser -e dieses -e diese -e diese -en
2 格 dieses -en dieses -en dieser -en dieser -en
3 格 diesem -en diesem -en dieser -en diesen -en
4 格 diesen -en dieses -e diese -e diese -en

これが形容詞の格変化の基本です.

男性単数以外は 1 格と 4 格が同形のルールはここでも生きています.

復習も兼ねて具体的に名詞を入れたバージョンも書いておきます. 男性・中性の 2 格, 複数形の 3 格の名詞の語尾に注意してください.

男性単数 女性単数 中性単数 複数
1 格 der kleine Wecker die große Vase das neue Haus die kleinen Zimmer
2 格 des kleinen Weckers der großen Vase des neuen Hauses der kleinen Zimmer
3 格 dem kleinen Wecker der großen Vase dem neuen Haus den kleinen Zimmern
4 格 den kleinen Wecker die große Vase das neue Haus die kleinen Zimmer

前に不定冠詞類があるときの語尾

基本

不定冠詞 ein には複数形がないため, mein (私の) を不定冠詞類の代表として変化表を書きます.

定冠詞類と違うのは男性単数 1 格, 中性単数 1 と 4 格の 3 箇所です. この理由を考えるため, 定冠詞類の dieser と不定冠詞類の mein を上下にならべ, 形容詞の語尾は同じものを一つにまとめました.

男性単数 中性単数 女性単数 複数
1 格 dieser -e dieses -e diese -e diese -en
mein△ -er mein△ -es meine -e meine -en
------ ------------ ------------ ------------ ------------
2 格 dieses -en dieses -en dieser -en dieser -en
meines -en meines -en meiner -en meiner -en
------ ------------ ------------ ------------ ------------
3 格 diesem -en diesem -en dieser -en diesen -en
meinem -en meinem -en meiner -en meinen -en
------ ------------ ------------ ------------ ------------
4 格 diesen -en dieses -e diese -e diese -en
meinen -en mein△ -es meine -e meine -en

定冠詞類と不定冠詞類で語尾が違う男性単数 1 格, 中性単数 1・4 格の 3 箇所で, 不定冠詞類はこの 3 箇所で語尾が付きません. そこで本来冠詞に付くはずの語尾, つまり男性単数 1 格の -er と中性単数 1・4 格の -es がそれぞれ形容詞に付くのです. 形容詞の語尾は基本的には -e と -en で, 格を示す働きはほとんどありません. しかし前の冠詞に語尾が欠けているときには冠詞に代わってはっきりした語尾を付ける役割があります.

具体例

念のため名詞を入れたバージョンも入れておきます. 男性・中性二格, 複数三格での名詞の語尾に注意してください.

男性単数 女性単数 中性単数 複数
1 格 mein kleiner Wecker meine große Vase mein neues Haus meine kleinen Zimmer
2 格 meines kleinen Weckers meiner großen Vase meines neuen Hauses meiner kleinen Zimmer
3 格 meinem kleinen Wecker meiner großen Vase meinem neuen Haus meinen kleinen Zimmern
4 格 meinen kleinen Wecker meine große Vase mein neues Haus meine kleinen Zimmer

前に冠詞類がないときの語尾

前に冠詞類がないと本来の形容詞の語尾 -e と -en だけで格が区別できないため, dieser と同じ語尾を形容詞に付けます. 何もなければ定冠詞類にしたがうので定冠詞類の活用を真っ先に覚えるのが大事です.

名詞の語尾 -[e]s で 2 格だと分かるので, 男性単数 2 格と中性単数 2 格の形容詞の語尾は -en です. 面倒ですが慣れるしかありません.

男性単数 中性単数 女性単数 複数
1 格 heißer Kaffee kaltes Bier frische Milch frische Eier
2 格 heißen Kaffees kalten Biers frischer Milch frischer Eier
3 格 heißem Kaffee kaltem Bier frischer Milch frischen Eier
4 格 heißen Kaffee kaltes Bier frische Milch frische Eier

注意が必要な形容詞

語尾をつけるときに注意が必要な形容詞がいくつかあります.

最初の 2 つは発音の都合で e を一つ落としていて,ん euer などと同じです. ただし -er で終わるすべての形容詞で e が落ちるわけではありません. その他に関して例で挙げた hoch は語尾が付くと c が落ちる特殊な例です. 例外は例外として別途少しずつ覚えていきましょう.

形容詞の格変化表

r e s pl
強変化 -er -e -es -e
-en -er -en -er
-em -er -em -en
-en -e -es -e
-------- ----- ----- ----- -----
弱変化 -e -e -e -en
-en -en -en -en
-en -en -en -en
-en -e -e -en

弱変化はeかenしかありません. 強変化は定冠詞と似ています: 中性の2格だけdes, -enとずれがあります.

弱変化はほとんど"en"です. "e"があるのは1格と4格だけです. 複数は全部"en"ですし, 1格単数は全てeで, 男性の4格だけ"en"です.

序数

基本

序数も名詞に係るときは der zweite Tag (第二日) のように形容詞と同じ語尾を付けます.

基本

基数と序数を並べて挙げます. 最初に注意すると siebt は siebent と書くこともあります. 21-39 の連番は単純にルールで処理できるので項目を分けて書きます.

基数 序数
1 eins erst
2 zwei zweit
3 drei dritt
4 vier viert
5 fünf fünft
6 sechs sechst
7 sieben * siebt
8 acht acht
9 neun neunt
10 zehn zehnt
----- ---------- -----------
11 elf elft
12 zwölf zwölft
13 dreizehn dreizehnt
14 vierzehn vierzehnt
15 fünfzehn fünfzehnt
16 sechzehn sechzehnt
17 siebzehn siebzehnt
18 achtzehn achtzehnt
19 neunzehn neunzehnt
----- ---------- -----------
20 zwanzig zwanzigst
30 dreißig dreißigst
40 vierzig vierzigst
50 fünfzig fünfzigst
60 sechzig sechzigst
70 siebzig siebzigst
80 achtzig achtzigst
90 neunzig neunzigst
100 hundert hundertst
21-39

20 以上の数は 21 は「1 と 20」, 22 は「2 と 20」のように一の位を先に言ってから und を挟んで十の位を言います. 序数は最後に -st をつけます.

基数 序数
20 zwanzig zwanzigst
21 einundzwanzig einundzwanzigst
22 zweiundzwanzig zweiundzwanzigst
23 dreiundzwanzig dreiundzwanzigst
24 vierundzwanzig vierundzwanzigst
25 fünfundzwanzig fünfundzwanzigst
26 sechsundzwanzig sechsundzwanzigst
27 siebenundzwanzig siebenundzwanzigst
28 achtundzwanzig achtundzwanzigst
29 neunundzwanzig neunundzwanzigst
30 dreißig dreißigst
31 einunddreißig einunddreißigst
32 zweiunddreißig zweiunddreißigst
33 dreiunddreißig dreiunddreißigst
34 vierunddreißig vierunddreißigst
35 fünfunddreißig fünfunddreißigst
36 sechsunddreißig sechsunddreißigst
37 siebenunddreißig siebenunddreißigst
38 achtunddreißig achtunddreißigst
39 neununddreißig neununddreißigst

形容詞の名詞化

基礎: 男性・女性・複数の場合

語尾が男性単数・女性単数・複数形の場合は「---い・な人」という意味です. まずは例文を見ます.

前者は冠詞と形容詞と名詞からなる der kranke Mann (その病気の男) が主語で, 後者の主語は冠詞と形容詞だけで名詞はなく, 形容詞の語頭が名詞のように大文字で書いてあります. 実は der Kranke のように格語尾を付けて語頭を大文字にした形容詞は名詞として使え, これを形容詞の名詞化と言います.

語尾で性別情報を付加できます. 特に der Kranke は男性単数 1 格なので「その病人 (男性) は」という意味にでき, 女性単数 1 格 die Kranke は「その病人 (女性) は」, 複数形の die Kranken は「その病人たちは」という意味にできます.

基礎: 中性の場合

基本

語尾が中性単数の場合は「---い・なこと」または「---い・なもの」という意味です. たとえば das Alte で「古いもの, 旧態」, das Gute で「良いこと, 善意」という意味です. 中性単数は etwas (何か) や nichts (何も…ない) を伴うこともよくあります.

いくつか例を見ましょう.

口語表現・例もいくつか紹介します.

成句

次のような成句があります. 成句では形容詞を小文字のままで書くことがあります.

注意: 省略の場合と区別すること

念のため書いておくと, 次の der letzte は後ろの Terminkalender が省略されているだけで, 形容詞の名詞化ではありません.

名詞化された形容詞の語尾

形容詞の語尾と同じです. 例を挙げておきます.

男性 女性 複数形
1 格 der Kranke die Kranke die Kranken
2 格 des Kranken der Kranken der Kranken
3 格 dem Kranken der Kranken den Kranken
4 格 den Kranken die Kranke die Kranken

不定冠詞がつく場合も書いておきます.

男性 女性
1 格 ein Kranker eine Kranke
2 格 eines Kranken einer Kranken
3 格 einem Kranken einer Kranken
4 格 einen Kranken eine Kranke

比較変化

基本

基本は次の通りです.

英語と同じくいろいろな例外があるので後は量と慣れです. 例はあとでいくつか紹介します.

例えば lang, kurz, groß など一音節の形容詞は比較級と最上級で母音が変音することがよくあります. 比較級の語尾を付けるときに形容詞本体の母音 e が脱落する場合があれば, 発音の都合で最上級の語尾が -est になることもあります. 一方で完全不規則変化する gut や viel のような単語もあります.

原級 比較級 最上級
schnell schneller schnellst
klein kleiner kleinst
lang länger längst
gut besser best
viel mehr meist
短い形容詞の特殊変化
形容詞 比較級 最上級
kurz kürzer kürzest
alt älter ältest
rasch rascher raschest
süß süßer süßest
-------- --------- ----------
groß größer größt

groß は süß と同じく ß 終わりの短い単語であるものの, -est 終わりにならない例です.

-el で終わる形容詞
形容詞 比較級 最上級
dunkel dunkeler dunkler
übel übeler übler
-er で終わる形容詞の一部
形容詞 比較級 最上級
teuer teuerer teurer
sauer sauerer saurer
hoch や nah
形容詞 比較級 最上級 備考
hoch höher höchst 比較級で c が脱落
nahe näher nächst 最上級で c が入る

付加語的用法

形容詞が名詞の前に置かれて名詞を修飾するときは形容詞に語尾が付くルールはここでも発動します. つまり比較級・最上級も格変化します.

これもやはり例外があります. 大事なのは viel の比較級 mehr と wenig の比較級 weniger です. 名詞を修飾するときも格語尾がつきません.

述語的用法

基本

比較構文, つまり「A は B より---だ」, 「A が最も---だ」を確認します. 比較の基準を表すには als を使います.

「A が最も~だ」は原級や比較級と違って最上級をそのまま使えません. 例を見ましょう.

最上級は次のどちらかで表します.

補足 1: 比較対象として置ける要素

als の後は名詞や代名詞だけでなく, 文や zu 不定詞句も置けます. als の後の従属文では定動詞は後置します.

補足 2: als の重複回避のための denn

als には「---として」という意味もあります. たとえば「A としてよりも B として」といいたいとき, als の重複を避けるために「---よりも」には denn を使います.

補足 3: 最上級

同じ対象に対してある条件の時に「一番---だ」といいたいときは am -sten を使います. このとき der -ste のパターンは使えません.

何故 der -ste が使えないかというと, これは基本的は「Aは最も---な B だ」から「Bだ」を省いた表現, つまり同じ種類の他のものと比べて「最も---だ」とする表現だからです. 特に B に当たる名詞が何かによって定冠詞と語尾も変わります. 特定の名詞が想定しにくいときは中性単数をあてます. もちろん am -sten も使えます.

副詞的用法

ドイツ語の形容詞はそのままの形で副詞として使えます. 比較級や最上級でも同じです. 比較級を副詞として使うときはそのままの形で, 最上級は am -sten で使います.

元々副詞で比較変化をする基本単語として gern, bald, sehr があります.

原級 比較級 最上級 意味
gern lieber am liebsten 好んで
bald eher am ehesten じきに
sehr mehr am meisten とても

どれも原級と比較級・最上級の形が全く違います.

意味と用法についても, これらの比較級と最上級は必ずしも原級と関連付ける必要はありません, 例えば lieber なら最初から「---する方がよい」, eher ならば「むしろ」や「どちらかと言えば」と考える方が簡単です. 一方 mehr は viel の比較級と同じ形であるものの, いずれにしても「原級はなんだったか」と考えなくても, 辞書を見れば mehr が見出し語になっているので直接 mehr で調べましょう.

比較の表現

いくつか大事な表現の例を挙げます.

immer ((en) always) を含む表現も挙げておきます.

格変化の練習

疑問詞

メモ

wer

1 wer
2 wessen
3 wem
4 wen

疑問文

否定疑問文を肯定で答えるとき, jaのかわりにdochを使う必要があります. これはフランス語でも同じで, フランス語ではsiに変わります.

welch

接続詞

従属接続詞

Da や während のように副詞や前置詞として (違う意味で) 使われる単語もあります. 英語でも as や since のような事例があります.

並列接続詞

2 つの文や語句を対等な関係で結びます. 従属接続詞のように後ろの文の動詞が後置されたりしません.

接続詞の種類

従属文

定動詞の位置

従属文では英語とも主節とも違い, 文末に動詞が来ます.

dass は英語の that で従属節を導く接続詞です. この従属文では定動詞の studiert (studieren) が文末に来ています.

ドイツ語では従属文は必ずコンマで区切ります. これも英語と違います.

助動詞・分離動詞の存在下での語順

例文と一緒に確認しましょう.

ここでのポイントは分離動詞 aufstehen です. 従属文の中では前綴りが分離しません.

これは助動詞が入る場合です. 従属文では「本動詞-助動詞」の順番です.

前者では従属文が先行していて, コンマの後の主文では「動詞-主語」の順です. 主文の語順は後者のようにはなりません. これもやはり定型第二の法則が発動していて, 従属文を第一の要素とみなすからです.

間接疑問文

結論から書くと補足疑問文の定動詞を後ろに置くと従属文になり, 間接疑問文と呼びます.

後者では warum が導く従属文は fragen の目的語です. このタイプの従属文が間接疑問文です.

決定疑問文の場合は従属接続詞 ob で間接疑問文を作ります.

能動文と受動文

基本

受動文と能動文の関係を確認しましょう. 特に格に注目します.

受動文の主語 (der Schüler) は能動文の 4 格目的語 (den Schüler) に対応します. 目的語でも 4 格でなければ受動文の主語 (= 1 格) にはならないので, 4 格という格が重要です.

前者の能動文の目的語 (dem Schüler) は 3 格です. 後者の受動文でも主語にはならず 3 格のままです. 特に後者は主語がない受動文です.

能動文の主語 (行為の主体) は受動文では表さないことが多く, 表すときは von を使います. 「行為の主体」ではなく原因・手段・仲介者などの場合は durch 表すことがあります.

bekommen 受動文

能動文の 3 格目的語を主語にして過去分詞と bekommen で作る受動文を bekommen 受動文と言います. 例文を見ましょう.

前者の文を見ると schenken の過去分詞 geschenkt と bekommen で意味は「プレゼントされる」です. これも一種の受動文で, 対応する能動文は後者です. 前者の主語 ich に対応するのは後者の 3 格目的語 mir です.

自動詞の受動文

基本

改めて書くと, 受動文の主語になるのは対応する能動文の 4 格目的語だけです. 4 格目的語を取らない動詞 (自動詞) の受動文に主語はありません. 例を見ましょう.

自動詞の feiern を使った受動文です. 文頭の es は形式的な主語で, 定動詞 wurde を第二位にするために置いてあるだけで, 次の文のように他の語句が文頭にあれば es はなくなります.

「誰が」よりも「何をする」かの方を前面に出した表現を見てみましょう.

前者の 3 格目的語や後者の前置詞付きの目的語などは受動文でもそのままの形です.

翻訳の都合

ドイツ語では受動態でも日本語にするときは「---れる・---られる」にしない方が自然な表現になることがよくあります. 特に自動詞の受動文に当てはまります. これも例を見ましょう.

これを (NG) のように受身で訳すと「笑い者にされた」というような意味になってしまいます. この例文は「誰が」を一々言わずに「何をした」かを説明しただけの文なので, (OK) のように訳す必要があります.

追加でいくつか例文を挙げておきます.

状態受動文

基本

過去分詞と sein を組み合わせた受動文を状態受動文と言い, 名前の通り結果の状態を表します. 過去分詞と sein の組み合わせには完了形もありますが, これは自動詞だけです.

状態受動文は他動詞, つまり 4 格目的語と結び付く動詞で作ります.

一方で過去分詞と werden の組み合わせは動作を表します.

例 1

例 2

助動詞構文のまとめ

助動詞構文を整理します.

基本

これらは色々組み合わせられます. 意味を取るときは定動詞を最後に移動して左から順につなげます.

意味を取る作業を箇条書きにしておきます.

関係代名詞と関係文

基本

英語のときと同じ用語を使って例文で説明します.

関係文は常にコンマで区切ります. これは das ist der Pulli (これがそのセーターだ) の der Pulli (セーター) に der gefällt mir am besten (それが私は一番気に入っている) をつなげた文です.

カンマ直後の der が関係代名詞で, 関係代名詞は先行詞の性と数に一致させます. 特に特定の先行詞に係る関係文を作ることから定関係代名詞と言い, 定冠詞・指示代名詞と同じ形です. さらに der から gefällt までが関係文, 関係文が係る名詞 (der Pulli) が先行詞です. 関係文は従属文なので定動詞 gefällt は文末に置きます.

関係文には次の二つの役割があります.

逆に英語はカンマの有無でこれを表現しわけたとも言えます.

関係係代名詞の格

格変化表

男性 中性 女性 複数形
1 格 der das die die
2 格 dessen dessen deren deren
3 格 dem dem der denen
4 格 den das die die

基本

関係代名詞の性と数は先行詞と一致させます. 一方で関係代名詞の格は関係文の中での文法関係で決まります.

英語と同じく前置詞つきの関係代名詞もあります.

例文

関係文を作る wer, was, wo

基本

ここで説明する wer や was を不定関係代名詞と言います. なぜ不定と呼ぶかと言えば特定の先行詞をもたないからです. 対になるのは特定の先行詞を持つ der などでこれらは定関係代名詞と呼ぶのでした.

wer

格変化

疑問代名詞と同じように格変化します.

wer
1 格 wer
2 格 wessen
3 格 wem
4 格 wen
基本

定動詞後置で「---する人」という意味を表す用法があります.

Wer A sagt の意味は「A と言う人」で, 主語として muss auch B sagen につながります.

was

定動詞後置で「---するもの」や「---すること」という意味を表す用法があります.

ここでは was wir für die Party brauchen の意味は「私たちがパーティーのために必要なもの」で, 目的語として wir müssen noch kaufen と結び付きます.

先行詞として alles, etwas, nichts, das あるいは形容詞の名詞化 (中性単数) などを取ることがあります.

wo

英語でいう関係副詞として定動詞後置で関係文が作れます.

同じことを関係代名詞で書いた例文を並べておきます.

接続法

概要

基本

接続法の勉強のためにも, まずは動詞の人称変化を現在形・過去形・完了形ともに復習しておいてください. これまで単に現在形や過去形と呼んできた形は厳密には直説法現在形および直説法過去形と言い, 直説法が接続法に対する言葉です. 動詞の定形には現在形・過去形以外に接続法第 1 式と接続法第 2 式があります.

接続法の用法は大きくわけて次の三つです. それぞれの用法の典型的な意味と, 出てくる動詞の形を表にまとめます.

用法 典型的な意味 動詞の形
間接話法 「---と」 (言った) 接続法第 1 式または第 2 式
非現実話法 「---ならば…だろう」 接続法第 2 式
要求話法 「---であれ / ---となれ」 接続法第 1 式
例文

独作文

基本: 日本語と同じように作ってみる

少なくとも短く単純な文に関しては, 英語と違って日本語を軸にして考えた方がドイツ語として自然な文が作れるようです. まずはその「短く単純な文」を作るプロセスを紹介します.

  1. 日本語と同じ順序に語句を並べる.
    • 今日 彼は その女子学生に メールを 送る
    • heute er der Studentin eine Mail schicken
  2. 動詞を人称変化させる.
    • heute er der Studentin eine Mail schickt
  3. 定型第二の法則を発動させる.
    • heute schickt er der Studentin eine Mail
  4. 最後に文として調整する.
    • Heute schickt er der Studentin eine Mail.

注意: 日本語の文の作り方と違う点

ドイツ語はあくまでドイツ語なので日本語の感覚が完全に通じるわけではありません. まずは簡単なところから見てみましょう.

定型第二の法則

平叙文では文の第二要素は動詞でなければなりません.

文頭の要素

英語でも文頭に副詞・副詞句など主語以外の要素を先頭に置くことはあります. しかしドイツ語にはもっと大きな自由度があります.

主語の人称代名詞の位置

定動詞の後方で主語の人称代名詞はなるべく前に置く必要があります.

否定を表す nicht の位置

nicht を置く位置で意味・ニュアンスが変わります. 具体的には nicht は否定の対象の直前に置く原則があります.

前者は今日来ないだけで別の日に来るかはわかりません. 後者が否定しているのは「今日」です. つまり今日来ないことだけではなく別の日に来る含みを持ちます.