助動詞

助動詞を含む文の作り方

助動詞を本動詞とみなして定型第二の法則を発動させます. 本動詞は文末に置きます. 疑問文では助動詞を文頭に持ってきます.

話法の助動詞

6 種の助動詞

話法の助動詞は次の 6 つです. 等号の右辺は英語での対応する助動詞です. あくまで大まかな対応であって厳密な対応ではありません.

本動詞の扱い

本動詞は不定形で, 助動詞の直後ではなく文末に来ます. 定型第二の法則は助動詞に対して発動します. 分離動詞と同じような動きとも言えます.

単独の用法

話法の助動詞は本動詞なしで使われることもあります.

前者は in die Stadt のような方向を表す語句との組み合わせが, 後者は Französisch のような目的語との組み合わせがポイントです.

wollen や möchte も単独での用法があります.

können

活用は特殊です. 動詞の語幹を見ると, 主語が単数のとき語幹の母音が不定形ではありません. 主語が ich と er/sie/es のときに語尾に -e や -t がつきません.

人称 単数 複数
一人称 ich kann wir können
二人称 du kannst ihr könnt
三人称 er kann sie können

müssen

活用は特殊で können と同じ注意があります.

人称 単数 複数
一人称 ich muss wir müssen
二人称 du musst ihr müsst
三人称 er muss sie müssen

ここで「明日 = Morgen früh」が一語の扱いになっていることに注意しましょう.

wollen

英語の will you と同じく疑問文の形で勧誘の意味を持ちます.

活用

人称 単数 複数
一人称 ich will wir wollen
二人称 du willst ihr wollt
三人称 er will sie wollen

sollen との比較

wollen は主語の意志を表す一方, sollen は主語以外の何者かの意志を表します. sollen の項も参照してください.

möchte

möchte は mögen の接続法第 2 式形です. この形でよく使われるのでたいていの独和辞典に見出し語 möchte で載っています.

wollen と同じく疑問文の形で勧誘の意味を持ちます.

人称 単数 複数
一人称 ich möchte wir möchten
二人称 du möchtest ihr möchtet
三人称 er möchte sie möchten

sollen

意味

wollen と比較して, 主語以外の何者かの意志を表します. さらに噂・伝聞, つまり「---ということだ」「---らしい」を表す用法もあります.

活用

人称 単数 複数
一人称 ich soll wir sollen
二人称 du sollst ihr sollt
三人称 er soll sie sollen

dürfen との比較

次の例文で覚えるといいでしょう.

前者では主語の「私」が「窓を閉めるべきか」相手の意志を尋ねていて, 後者では主語の「私」が「窓を閉めていい」かどうか相手の許可を得ようとしています. つまり sollen は「主語以外の人の意志」, dürfen は「許可」を表しています.

wollen との比較

wollen は主語の意志を表す一方, sollen は主語以外の何者かの意志を表します.

ここで sollen のニュアンスに注意しましょう. 具体的に誰がそれを望んでいるかによって日本語への訳し方は変わります. 「---するべきだ」と強い意味を持つこともあれば, 「---させよう・させてみよう」といった訳になることもあります.

dürfen

意味

まずは「---してもよい」, つまり許可あるいは正当性を表す意味をおさえましょう. 否定文になると「---してはいけない」 という禁止の意味になり, 「---しないでもよい」という意味にはなりません.

活用

人称 単数 複数
一人称 ich darf wir dürfen
二人称 du darfst ihr dürft
三人称 er darf sie dürfen

sollen との比較

sollen の項を確認してください.

参考: mögen

これが推量の助動詞として使われることはあまりなく, むしろ「---を好む」の意味の本動詞の用法がメインです. 念のためここにも活用を書いておきます.

人称 単数 複数
一人称 ich mag wir mögen
二人称 du magst ihr mögt
三人称 er mag sie mögen

動詞の助動詞用法

話法の助動詞と未来の助動詞 werden 以外に次のような動詞も他の動詞の不定形を組み合わせて使えます.

未来の助動詞 werden

基本

# http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/de/gmod/courses/c01/lesson10/step3/card/032.html 本動詞としての意味の他, 不定詞と組み合わせて助動詞として使うことがあります. 助動詞としての werden はまず「---だろう」という未来・推量の意味で覚えておきましょう.

英語と同じく, 推量に関して言えば werden と同じように müssen には「---に違いない」, können には「---かもしれない」と推量の意味を表す用法があります.

未来形・未来表現

werden と不定詞の組み合わせは未来形と呼ばれています. 実際には現在の事柄に関する推量を表すこともよくあります.

多言語・他言語を勉強するときの注意があります. フランス語やイタリア語は助動詞の助けなしに未来を表現できます. つまり動詞に過去形の活用があるように未来形の活用があります. 一方で英語やドイツ語にはこの意味での未来形がありません. 言語学的な特徴として面白いところです.

英語の will と同じく, 未来から予定, 決意・決心, 予測・推測の意味が派生します.

さらに未来のことを未来形で表すとは限らず, 単に現在形で表すことがあります. 英語 (そして日本語) とは現在形の守備範囲が違います.