文¶
接続詞の種類¶
- 並列接続詞: und, oder, aber, denn
- 従属接続詞: 上記以外
- 名詞節: dass (---ということ), ob (---かどうか), 疑問詞 (was, wer, wann など)
- 副詞節: als (---したとき), wenn (---するとき), bis (---まで), nachdem (---した後で), weil (---なので), indem (---することで), soweit (---である限り), obwohl (---であるけれども), wie (---のように) など
- 形容詞節 (関係詞節): der, welcher, wer, was
従属文¶
定動詞の位置¶
従属文では英語とも主節とも違い, 文末に動詞が来ます.
- Ich weiß, dass er in Berlin studiert. = 私は彼がベルリンで勉強していることを知っている.
dass は英語の that で従属節を導く接続詞です. この従属文では定動詞の studiert (studieren) が文末に来ています.
ドイツ語では従属文は必ずコンマで区切ります. これも英語と違います.
助動詞・分離動詞の存在下での語順¶
例文と一緒に確認しましょう.
- Ich stehe jeden Tag um 7 Uhr auf. = 私は毎日 7 時に起きる.
- Er weiß nicht, dass ich jeden Tag um 7 Uhr aufstehe. = 私は毎日 7 時に起きることを彼は知らない.
ここでのポイントは分離動詞 aufstehen です. 従属文の中では前綴りが分離しません.
- Er will in Paris Musik studieren. = 彼はパリで音楽の勉強をするつもりだ.
- Ich weiß, dass er in Paris Musik studieren will. 私は, 彼がパリで音楽の勉強をするつもりだということを知っている.
これは助動詞が入る場合です. 従属文では「本動詞-助動詞」の順番です.
- Da er eine Prüfung hat, kommt er nicht mit ins Kino.= 彼は試験があるので一緒に映画に行かない.
- (間違い) Da er eine Prüfung hat, er kommt nicht mit ins Kino.
前者では従属文が先行していて, コンマの後の主文では「動詞-主語」の順です. 主文の語順は後者のようにはなりません. これもやはり定型第二の法則が発動していて, 従属文を第一の要素とみなすからです.
間接疑問文¶
結論から書くと補足疑問文の定動詞を後ろに置くと従属文になり, 間接疑問文と呼びます.
- (普通の疑問文) Warum kommt sie nicht zur Party? = どうして彼女はパーティーに来ないの.
- Er fragt Hiroko, warum sie nicht zur Party kommt. = 彼はヒロコに, どうしてパーティーに来ないのか尋ねる.
後者では warum が導く従属文は fragen の目的語です. このタイプの従属文が間接疑問文です.
決定疑問文の場合は従属接続詞 ob で間接疑問文を作ります.
- Kommt sie zur Party? = 彼女はパーティーに来るの?
- Ich weiß nicht, ob sie zur Party kommt. = 私は彼女がパーティーに来るのかどうか知らない.
能動文と受動文¶
基本¶
受動文と能動文の関係を確認しましょう. 特に格に注目します.
- Der Lehrer lobt den Schüler ständig. = 先生はその生徒をいつもほめる.
- Der Schüler wird ständig [vom Lehrer] gelobt. = その生徒はいつも [先生に] ほめられる.
受動文の主語 (der Schüler) は能動文の 4 格目的語 (den Schüler) に対応します. 目的語でも 4 格でなければ受動文の主語 (= 1 格) にはならないので, 4 格という格が重要です.
- Der Lehrer hilft dem Schüler ständig. = 先生はその生徒をいつも助ける.
- Dem Schüler wird ständig [vom Lehrer] geholfen. = その生徒はいつも [先生に] 助けられる.
前者の能動文の目的語 (dem Schüler) は 3 格です. 後者の受動文でも主語にはならず 3 格のままです. 特に後者は主語がない受動文です.
能動文の主語 (行為の主体) は受動文では表さないことが多く, 表すときは von を使います. 「行為の主体」ではなく原因・手段・仲介者などの場合は durch 表すことがあります.
- Die Berghütte wurde durch eine große Lawine zerstört. = 山小屋は大きななだれにつぶされた.
bekommen 受動文¶
能動文の 3 格目的語を主語にして過去分詞と bekommen で作る受動文を bekommen 受動文と言います. 例文を見ましょう.
- Ich hab' gestern chinesischen Tee geschenkt bekommen. = 昨日中国茶をもらった.
- Ein Freund hat mir gestern chinesischen Tee geschenkt. = 友達が私に昨日中国茶をくれた.
前者の文を見ると schenken の過去分詞 geschenkt と bekommen で意味は「プレゼントされる」です. これも一種の受動文で, 対応する能動文は後者です. 前者の主語 ich に対応するのは後者の 3 格目的語 mir です.
自動詞の受動文¶
基本¶
改めて書くと, 受動文の主語になるのは対応する能動文の 4 格目的語だけです. 4 格目的語を取らない動詞 (自動詞) の受動文に主語はありません. 例を見ましょう.
- Es wurde bis in die Nacht hinein gefeiert. = 夜中までパーティーをしていた.
自動詞の feiern を使った受動文です. 文頭の es は形式的な主語で, 定動詞 wurde を第二位にするために置いてあるだけで, 次の文のように他の語句が文頭にあれば es はなくなります.
- Bis in die Nacht hinein wurde gefeiert. = 夜中までパーティーをしていた.
「誰が」よりも「何をする」かの方を前面に出した表現を見てみましょう.
- Wie vielen Menschen wird mit Ihrer Spende geholfen? = あなたの寄付で何人の人が助かるでしょうか? (赤十字のホームページから)
- Hier wird ü ber die Nebenwirkungen von Medikamenten diskutiert. = ここでは薬の副作用について議論します.
前者の 3 格目的語や後者の前置詞付きの目的語などは受動文でもそのままの形です.
翻訳の都合¶
ドイツ語では受動態でも日本語にするときは「---れる・---られる」にしない方が自然な表現になることがよくあります. 特に自動詞の受動文に当てはまります. これも例を見ましょう.
- Auf der Party wurde gelacht und gesungen.
- (NG) パーティーでは笑われて歌われた.
- (OK) パーティーでは笑って歌った.
これを (NG) のように受身で訳すと「笑い者にされた」というような意味になってしまいます. この例文は「誰が」を一々言わずに「何をした」かを説明しただけの文なので, (OK) のように訳す必要があります.
追加でいくつか例文を挙げておきます.
- In dieser Zeit wird hart gearbeitet und ordentlich verdient. = この時期にはしっかり仕事してたっぷり稼ぐ. (観光地のホテルの話)
- Es wird gefeiert, es wird gesungen, es wird geweint. Junge Menschen steigen auf die Mauer und tanzen. = 祝って, 歌って, 泣いている. 若者たちは壁に登って踊っている. (ベルリンの壁開放の時の様子)
- Ob in Vietnam, in Palestina, in Tschetschenien oder im Irak überall wurde und wird gestorben. = ベトナム, パレスチナ, チェチェンそれにイラクと, いたるところで人が死んでいったし死んでいる.
状態受動文¶
基本¶
過去分詞と sein を組み合わせた受動文を状態受動文と言い, 名前の通り結果の状態を表します. 過去分詞と sein の組み合わせには完了形もありますが, これは自動詞だけです.
状態受動文は他動詞, つまり 4 格目的語と結び付く動詞で作ります.
一方で過去分詞と werden の組み合わせは動作を表します.
例 1¶
- Das Fahrrad ist schon repariert. = 自転車はもう修理してある. (修理した結果の状態)
- Das Fahrrad wird heute repariert. = 自転車は今日修理される. (修理する動作)
例 2¶
- Seine Schuhe sind blank geputzt. = 彼の靴はぴかぴかに磨いてある. (磨いた結果の状態)
- Seine Schuhe werden blank geputzt. = 彼の靴はぴかぴかに磨かれる. (磨く動作)
助動詞構文のまとめ¶
助動詞構文を整理します.
基本¶
- 話法の助動詞と未来形: 不定形 + 助動詞.
- können / müssen / wollen / möchten / mögen / sollen / dürfen / werden
- 完了形: 過去分詞 + 完了の助動詞: haben/sein
- 受動の werden の過去分詞は worden
- 話法の助動詞の過去分詞は不定形と同形
- 受動態: 過去分詞 + 受動の助動詞: werden / sein
これらは色々組み合わせられます. 意味を取るときは定動詞を最後に移動して左から順につなげます.
例¶
- Musik-Charts sollen manipuliert worden sein. = 音楽ヒットチャートは操作されたらしい.
意味を取る作業を箇条書きにしておきます.
- manipulieren の過去分詞と worden (<-- werden) で受動態.
- werden の過去分詞 worden と sein で完了形.
- 不定形 sein に定形の話法の助動詞 sollen がつながる.
関係代名詞と関係文¶
基本¶
英語のときと同じ用語を使って例文で説明します.
- Das ist der Pulli, der mir am besten gefällt. = これが私の一番気に入っているセーターだ.
関係文は常にコンマで区切ります. これは das ist der Pulli (これがそのセーターだ) の der Pulli (セーター) に der gefällt mir am besten (それが私は一番気に入っている) をつなげた文です.
カンマ直後の der が関係代名詞で, 関係代名詞は先行詞の性と数に一致させます. 特に特定の先行詞に係る関係文を作ることから定関係代名詞と言い, 定冠詞・指示代名詞と同じ形です. さらに der から gefällt までが関係文, 関係文が係る名詞 (der Pulli) が先行詞です. 関係文は従属文なので定動詞 gefällt は文末に置きます.
関係文には次の二つの役割があります.
- (英語でいう制限用法) 先行詞が表す人や物を限定する.
- (英語でいう非制限用法) 先行詞を詳しく説明する.
逆に英語はカンマの有無でこれを表現しわけたとも言えます.
関係係代名詞の格¶
格変化表¶
| 格 | 男性 | 中性 | 女性 | 複数形 |
|---|---|---|---|---|
| 1 格 | der | das | die | die |
| 2 格 | dessen | dessen | deren | deren |
| 3 格 | dem | dem | der | denen |
| 4 格 | den | das | die | die |
基本¶
関係代名詞の性と数は先行詞と一致させます. 一方で関係代名詞の格は関係文の中での文法関係で決まります.
英語と同じく前置詞つきの関係代名詞もあります.
例文¶
- Wer ist der Mann, der da Zeitung liest? = あそこで新聞を読んでいる男の人は誰?
- wer ist der Mann + der Mann liest da Zeitung
- der Mann は主語で 1 格
- Wer ist der Mann, dessen Werk Millionen Fans in aller Welt begeistert? = その作品が全世界の何百万のファンを感激させる男は誰か?
- wer ist der Mann + das Werk des Mannes begeistert Fans in aller Welt
- des Mannes は das Werk に係る 2 格の付加語
- Wer ist der Mann, dem die Frauen vertrauen? = 女性たちが信頼する男性は誰か?
- wer ist der Mann + dem Mann vertrauen die Frauen
- den Mann は vertrauen の 3 格目的語
- Wer ist der Mann, den du anrufen wolltest? = 君が電話をしようとした男の人は誰?
- wer ist der Mann + den Mann wolltest du anrufen
- den Mann は anrufen の 4 格目的語
関係文を作る wer, was, wo¶
基本¶
ここで説明する wer や was を不定関係代名詞と言います. なぜ不定と呼ぶかと言えば特定の先行詞をもたないからです. 対になるのは特定の先行詞を持つ der などでこれらは定関係代名詞と呼ぶのでした.
wer¶
格変化¶
疑問代名詞と同じように格変化します.
| 格 | wer |
|---|---|
| 1 格 | wer |
| 2 格 | wessen |
| 3 格 | wem |
| 4 格 | wen |
基本¶
定動詞後置で「---する人」という意味を表す用法があります.
- Wer A sagt, muss auch B sagen.
- A を言う人は B も言わないといけない. = 言い出したことは責任を持って続けないといけない
Wer A sagt の意味は「A と言う人」で, 主語として muss auch B sagen につながります.
was¶
定動詞後置で「---するもの」や「---すること」という意味を表す用法があります.
- Wir müssen noch kaufen, was wir für die Party brauchen.
- 私達は, パーティーのために必要なものをまだ買わないといけない.
ここでは was wir für die Party brauchen の意味は「私たちがパーティーのために必要なもの」で, 目的語として wir müssen noch kaufen と結び付きます.
先行詞として alles, etwas, nichts, das あるいは形容詞の名詞化 (中性単数) などを取ることがあります.
- Das ist alles, was ich erz ä hlen kann. = これが私に話せることのすべてです.
- Das ist das Beste, was ich tun kann. = これが私にできる最善のことです.
- Oh, das ist aber ganz schön viel, was wir da machen müssen. = えー, それじゃ, やらなきゃいけない事が多すぎますよ.
wo¶
英語でいう関係副詞として定動詞後置で関係文が作れます.
同じことを関係代名詞で書いた例文を並べておきます.
- Leipzig ist eine Stadt, wo man die Veränderung vom Kommunismus in den Kapitalismus sehen kann.
- Leipzig ist eine Stadt, in der man die Veränderung vom Kommunismus in den Kapitalismus sehen kann.
- ライプツィッヒは共産主義から資本主義への変化を目で見ることができる都市だ.
接続法¶
概要¶
基本¶
接続法の勉強のためにも, まずは動詞の人称変化を現在形・過去形・完了形ともに復習しておいてください. これまで単に現在形や過去形と呼んできた形は厳密には直説法現在形および直説法過去形と言い, 直説法が接続法に対する言葉です. 動詞の定形には現在形・過去形以外に接続法第 1 式と接続法第 2 式があります.
接続法の用法は大きくわけて次の三つです. それぞれの用法の典型的な意味と, 出てくる動詞の形を表にまとめます.
| 用法 | 典型的な意味 | 動詞の形 |
|---|---|---|
| 間接話法 | 「---と」 (言った) | 接続法第 1 式または第 2 式 |
| 非現実話法 | 「---ならば…だろう」 | 接続法第 2 式 |
| 要求話法 | 「---であれ / ---となれ」 | 接続法第 1 式 |
例文¶
- (間接話法) Er sagte, er habe keine Zeit. = 彼は時間が無いと言っていた.
- habe は haben の接続法 1 式
- (非現実話法) Wenn er Zeit hätte, würde er eine Reise durch Deutschland machen. = もしも時間があれば彼はドイツ中を旅行するだろう.
- hätte と würde はそれぞれ haben と werden の接続法 2 式