動詞¶
動詞の三変形¶
基本¶
次の三つを動詞の三変形と言います.
- 不定形
- 過去基本形
- 過去分詞
過去基本形と過去分詞の作り方でドイツ語の動詞を規則動詞と不規則動詞にわけます. 規則動詞は弱変化動詞とも言います.
規則動詞の三変形の作り方¶
まずは規則動詞の三変形の作り方を覚えましょう. 人称変化はあとに回します.
| 不定形 -en | 過去基本形 -te | 過去分詞 ge-t |
|---|---|---|
| lernen | lernte | gelernt |
| weinen | weinte | geweint |
| warten | wartete | gewartet |
| reden | redete | geredet |
規則動詞は不定形・過去基本形・過去分詞の全てで語幹が同じです. 過去分詞は gelérnt のように ge- の次の綴りにアクセントを置いて読みます
英語と似ている部分もあればそうではない部分もあります. 英語だと過去系・過去分詞には -ed, -d をつけていたわけで d と t は濁音化したかどうかだけの違いで同じとみなしていいでしょう. ドイツ語の過去分詞には語頭に ge がつきます.
語幹が -t や -d などで終わる動詞は過去基本形の語尾 -te と過去分詞の語尾 -t の前に e を入れます.
| 不定形 -en | 過去基本形 -ete | 過去分詞 ge-et |
|---|---|---|
| warten | wartete | gewartet |
| reden | redete | geredet |
| atmen | atmete | geatmet |
| regnen | regnete | geregnet |
不規則動詞¶
動詞の幹母音が変化する強変化動詞, 幹母音の変化はするものの語尾の形が規則変化と同じ混合変化動詞 (Mischgruppe), 全く規則性がない完全不規則動詞の 3 種類あります.
強変化動詞¶
基本¶
過去基本形の語幹が不定形と変わります. 過去分詞の語幹は動詞によって違い, 不定形と同じ・過去形と同じ・どちらとも違うとバリエーションがあります. 過去基本形には語尾が付かず, 過去分詞の語尾も -t ではなく -en です.
| 不定形 -en | 過去基本形 -×-te | 過去分詞 ge-×-en |
|---|---|---|
| lesen | las | gelesen |
| kommen | kam | gekommen |
| schreiben | schrieb | geschrieben |
| fliegen | flog | geflogen |
| finden | fand | gefunden |
| brechen | brach | gebrochen |
細分類¶
不定形・過去基本形・過去分詞の語幹の変わり方は次の 3 通りです.
[○-□-○]: 不定形と過去分詞の語幹が共通¶
| lesen | las | gelesen | | kommen | kam | gekommen |
[○-□-□]: 過去基本形と過去分詞の語幹が共通¶
| schreiben | schrieb | geschrieben | | fliegen | flog | geflogen |
[○-□-△]:不定形・過去基本形・過去分詞の語幹が全て違う¶
| finden | fand | gefunden | | brechen | brach | gebrochen |
次のように語幹の母音だけでなく子音のつづりも変わる場合があります.
| stehen | stand | gestanden | | gehen | ging | gegangen | | nehmen | nahm | genommen |
混合変化動詞¶
基本¶
不定形と過去基本形で語幹が違うものの, 過去分詞の語幹は過去基本形と同じで強変化動詞型です. 過去基本形には -te, 過去分詞には -t で規則動詞と同じ語尾で弱変化型です. この事情から混合変化と呼ばれます.
例¶
混合変化動詞はあまり種類はないものの, よく使う身近で基本的な動詞に多いのが面倒なところです. 英語でも have, go, get, think など基本的な動詞が不規則変化するのと同じです. がんばって覚えるしかありません.
- brennen
- bringen
- denken
- kennen
- nennen
- rennen
- wissen
次の話法の助動詞も混合変化です.
- dürfen
- können
- mögen
- müssen
三変形¶
| 不定形 -en | 過去基本形 -×-te | 過去分詞 ge-×-t |
|---|---|---|
| bringen | brachte | gebracht |
| denken | dachte | gedacht |
| wissen | wusste | gewusst |
| kennen | kannte | gekannt |
完全不規則動詞¶
sein, haben, werden¶
時制や受動態を表す助動詞にもなるのでこれが最重要で必ず覚える必要があります.
| 不定形 | 過去基本形 | 過去分詞 |
|---|---|---|
| sein | war | gewesen |
| haben | hatte | gehabt |
| werden | wurde | geworden |
現在形¶
基本¶
守備範囲は英語よりも広く, 次のようなイメージで捉えます.
- (英語の) 現在形+現在進行形+未来
人称変化の基本¶
ドイツ語では主語に応じて動詞の語尾が変化します. これを人称変化と言います. 特に現在形の人称変化を現在人称変化と言います.
標準的な変化¶
一般形¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich -e | wir -en |
| 二人称 親称 | du -st | ihr -t |
| 三人称 (男性) | er -t | sie -en |
一般形の例¶
例として lernen (---を勉強する) の現在人称変化を見てみましょう.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich lerne | wir lernen |
| 二人称 親称 | du lernst | ihr lernt |
| 三人称 (男性) | er lernt | sie lernen |
口ずさんで覚えるようにしましょう. いくつか特徴があります. 主語が複数のなら二人称親称の ihr 以外は語尾がすべて -en です. 敬称の Sie は三人称複数の sie を転用していて単数の Sie の語尾も -en です. 主語が sie/Sie の時には大文字・小文字と動詞の語尾を確認して意味を取る必要があります.
語幹が -t, -d で終わるとき¶
発音しやすくするため語幹と語尾の間に -e- を入れます.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich arbeite | wir arbeiten |
| 二人称 親称 | du arbeitest | ihr arbeitet |
| 三人称 (男性) | er arbeitet | sie arbeiten |
語幹が -s, -ss, ß, -z で終わるとき¶
du の -st は s が落ちて -t だけに変わります.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich schließe | wir schließen |
| 二人称 親称 | du schließt | ihr schließt |
| 三人称 (男性) | er schließt | sie schließen |
定形と不定形¶
例を lernen に考えます. 語幹はどれも lern- で同じです. 語幹はいわゆる動詞の本体で, これに主語の人称と数 (すう) に応じた語尾が付きます. 語尾つきの lerne や lernen は主語に応じて語尾が定まった形であることから定形と言います.
一方, 辞書の見出し語のように動詞を単に挙げるときの形を不定形と言います. 不定形は語幹に語尾 -en が付いた形で, 特に lernen では主語が Sie や wir の時と同じ形です. いくつかの例外を除いてドイツ語の動詞は基本的に -en で終わり, 多くの動詞で Sie や wir に対する定形と不定形は一致します.
Note
sammeln のように不定形の語尾が -n の動詞もあります.
Note
不定形が -eln で終わる動詞 (語幹が -el で終わり, 不定形の語尾が -n の動詞) は主語が ich のときに語幹末の e が脱落します. 例えば lächeln (ほほえむ) は ich lächle で lächele の e が脱落しています.
Note
ここでの Sie は敬称 (「君・君達」に対する「あなた・あなたたち」) で, 常に S は大文字です. 三人称単数 sie (彼女) とは違います.
二人称に対する注意¶
reden (語る) や arbeiten (働く) のように語幹が -d や -t などで終わる動詞は語尾 -st と -t の前に e を入れます. 発音しやすく・聞き取りやすくするためです. 日本語でも音便のような似た現象があります. 例をいくつか挙げておきます.
- arbeiten (働く): du arbeitest, ihr arbeitet
- reden (語る): du redest, ihr redet
reisen (旅行する), heißen (~という名前だ), tanzen (踊る) のように, 語幹が -s, -ß, -z などで終わる動詞は du の語尾を -st ではなく -t にします.
- reisen (旅行する): du reist
- heißen (~という名前だ): du heißt
- tanzen (踊る): du tanzt
三人称に対する注意¶
単数の「彼女は」も複数の「彼ら/ 彼女たち」も sie です. 動詞の語尾が単数なら -t, 複数なら -en で違うので区別できます.
一方で複数の sie と二人称敬称の Sie は動詞の語尾も一緒です. そもそも二人称敬称の Sie は 3 人称複数形の転用で音では区別できません. ふつうは状況や前後関係から「彼ら/ 彼女たち」なのか「あなた/ あなたたち」なのか判断します. 敬称の Sie と違い, 三人称単数の sie も 3 人称複数の sie も文頭以外では s を小文字で書きます.
reden (語る) や arbeiten (働く) のように語幹が -d や -t で終わる動詞は語尾 -t の前に e を入れます. 発音しやすく・聞き取りやすくするためです.
- arbeiten (働く): er arbeitet, sie arbeitet
- reden (語る): er redet, sie redet
不規則変化¶
sein¶
英語の be 動詞にあたる sein を筆頭に不規則変化する動詞があります. 英語でも be 動詞, have, get など基本的な動詞は悉く異様に不規則に変わります. その事情はドイツ語でも変わりません.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich bin | wir sind |
| 二人称 | du bist | ihr seid |
| 三人称 男性 | er ist | sie sind |
haben¶
ドイツ語の haben は英語の have にあたります. 英語と同じように日本語での「持つ」からは想像できない多彩な用法があります.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich habe | wir haben |
| 二人称 | du hast | ihr habt |
| 三人称 男性 | er hat | sie haben |
werden¶
英語での become にあたる単語です. 次のような助動詞の用法もあります.
- 他の動詞の原形とセットで未来を表す.
- 過去分詞とセットで「受身」を表す.
- 接続法2式の würde +動詞の形で「非現実的な仮定」を表す.
細かいことはそれぞれの項目で議論します.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich werde | wir werden |
| 二人称 | du wirst | ihr werdet |
| 三人称 | er wird | sie werden |
wissen¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich weiß | wir wissen |
| 二人称 | du weißt | ihr wisst |
| 三人称 | er weiß | sie wissen |
幹母音が変わるタイプ¶
まずは表を挙げます. 三人称単数は代表として er だけにして敬称の Sie を省略しています.
幹母音が変わるのは二人称(親称)単数と三人称単数の二箇所です.
a --> ä¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich falle | wir fallen |
| 二人称 | du fällst | ihr fallt |
| 三人称 | er fällt | sie fallen |
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich fahre | wirfahren |
| 二人称 | du fährst | ihr fahrt |
| 三人称 | er fährt | sie fahren |
e --> i/ie¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich spreche | wir sprechen |
| 二人称 | du sprichst | ihr sprecht |
| 三人称 | er spricht | sie sprechen |
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich sehe | wir sehen |
| 二人称 | du siehst | ihr seht |
| 三人称 | er sieht | sie sehen |
注意¶
他にも次の動詞は特殊変化です.
- nehmen (取る): du nimmst, er nimmt
- werden (なる): du wirst, er wird
- halten (止まる): du hältst, er hält
- laden (積む): du lädst, er lädt
定形の位置¶
ドイツ語は格を持つため語順がある程度自由です. しかし動詞の位置には決まりがあります. それを確認しましょう.
lerne や lernst のように主語に応じた語尾が付いた形を定形と言い, 定形の動詞を定動詞と言います. ドイツ語では定動詞の位置が大事で文の種類によって決まっています.
- 先頭: 決定疑問文 (疑問詞のない疑問文), 命令文
- 二番目: 平叙文, 補足疑問文 (疑問詞がある疑問文)
- 最後: 副文, 関係文
例えば同じ単語を使って「ハンスは今日赤ワインを飲む」を書いてみましょう. もちろん英語でも語順にはある程度の自由度があります. しかしドイツ語での語順の自由度と英語の自由度には違いがあります.
- Hans trinkt heute Rotwein.
- Heute trinkt Hans Rotwein.
- Rotwein trinkt Hans heute.
例 1 では主語の Hans が, 例 2 では副詞 heute (今日) が, 例 3 では目的語の Rotwein (赤ワイン) が文頭にあります. 例 2-3 は英語ではありえない語順ですが, ドイツ語ではよく出てきます.
この平叙文では定動詞が必ず第二要素に置かれることに注意してください. ここで第二要素と書いたのは文頭が句になっているとき, 必ずしも「二番目の単語」ではないからです.
Note
接続詞をはさむ場合は形式的に定動詞が三番目に来ることがあります. 例えば"Hans trinkt Rotwein, aber Hanna trinkt Weißwein."のような例です.
疑問文の作り方¶
二種類の疑問文¶
疑問文は次の二種類があります.
- 決定疑問文: 疑問詞がなく「はい・いいえ」で答えられる疑問文.
- 補足疑問文: 疑問詞を使って「誰が・何を・いつ・どこで・なぜ」などを問う疑問文.
決定疑問文¶
決定疑問文は定動詞を文頭に置くだけで, 英語の do や does のような助動詞は使いません.
- Trinkt Hans Rotwein? - Nein, er trinkt Weißwein.
- ハンスは赤ワインを飲むの? --- いいや, 彼は白ワインを飲む.
補足疑問文¶
疑問詞を文頭に置いて定動詞を二番目に置きます.
- Was trinkt Hans? - Er trinkt Weißwein.
- ハンスは何を飲むの? --- 彼は白ワインを飲む.
Note
英語の yes に当たるドイツ語は ja で, no に当たるのは nein です. この他に決定疑問文への返答に使える単語として doch もあり, これは否定疑問文に対して「---しないのか?」に対して「いや, --する」と答えるときに使います.
Note
補足疑問文に使う疑問詞は wann (= wenn), wo (= where), wer (= who), was (= what), warum (= why), wie (= how) などです.
命令形・命令文¶
命令文の種類・活用例¶
命令文には次の 3 種類があります.
- du に対する親称単数
- ihr に対する親称複数
- Sie に対する敬称 (単複同形)
いくつかの動詞に対する活用を表にしておきます. 例外については別途項目を立てます.
| 人称 | antworten | gehen |
|---|---|---|
| 親称単数 – [e] | Antworte! | Geh[e]! |
| 親称複数 – t | Antwortet! | Geht! |
| 敬称 (単複同形) – en Sie | Antworten Sie! | Gehen Sie! |
主語¶
du と ihr に対する命令文にはふつう主語をつけません. 一方 Sie に対する命令文は常に主語をつけます.
du に対する語尾¶
次のルールがあります.
- よく語尾 -e を省く.
- 次の場合は語尾の -e を省かない.
- 動詞の語幹が -d・-t で終わるとき: reden, warten.
- 不定詞が -eln・-ern で終わるとき: lächeln, ändern.
- e --> i/ie タイプの動詞は語幹の母音を i/ie とし, 語尾 -e をつけない: sprechen---du sprichst --> sprich
例外: sein¶
| 人称 | sein |
|---|---|
| 二人称親称単数 | sei |
| 二人称親称複数 | seid |
| 敬称 | seien Sie |
添える副詞¶
英語でも please をつけるように, ドイツ語でも bitte (どうぞ), mal (ちょっと), doch (ぜひ) などの副詞を添えることがあります.
非人称動詞¶
自然現象とともに使う動詞¶
- (ja) 雨が降る.
- (en) It rains.
- (de) Es regnet.
この regnen ように常に es を主語にして文を作る動詞を非人称動詞と言います. 自然現象を表す動詞 schneien や blitzen が典型的です.
gehen, geben¶
他には gehen にも es geht + 3 格, geben にも es gibt + 4 格にも非人称動詞の用法があります. 意味・例文はコンテンツアーカイブを参考にしてください.
気候・天候・時刻¶
これらも主語を es とする非人称動詞で表現します.
主語が ich のときの省略¶
「(私は) 寒い」・「(私は) 気持ちが悪い」の「私」 のように, 寒さや暑さを感じる主体の人は 3 格または 4 格で表します. そしてこのときの es はよく省略されます.
- Mir ist kalt. = 私は寒い.
- Mir ist schlecht. = 私は気持ちが悪い.
- Mir ist schwindlig. = 私はめまいがする.
分離動詞¶
基本¶
ある前置詞と動詞が組み合わさって一つの動詞を作ることがあります. それが分離動詞の典型例です. 例えば auf + stehen (= stand) の aufstehen の意味は「起きる」です. 他にも an, zu なども分離動詞を作ります. この前置詞相当の要素を分離前綴りと言います.
不定形は分離前綴りを動詞本体の前に付けて aufstehen, anrufen, zumachen のように綴ります. ほとんどの辞書の見出し語は auf|stehen のように縦線が入っています.
分離前綴りの例¶
非分離前綴りと同じく, 前置詞と同じ形が多いです. 実際, 前置詞と結びついてできた動詞でもあるからです.
- an-
- auf-
- aus-
- nach-
- vor-
- zu-
他に durch-, um-, unter-, über もあります. これらは非分離前綴りになることもあります.
発音¶
分離動詞は áufstehen のように前つづりアクセントを置いて読みます.
分離前綴りの挙動¶
分離前綴りは動詞本体から離れて文末に置かれる場合と, 動詞本体と合体したままの場合があります.
結論から言うと, 現在形については, 動詞単独で使う場合は分離前綴りが分離し, 助動詞がある場合は動詞本体と分離しません. 分離するのは動詞が本来の定型第二の法則が発動して枠構造が発動するときで, 助動詞があると助動詞に対して定型第二の法則が優先して発動して助動詞-本動詞全体で枠構造が発動するため, 分離前綴りによる枠構造が発動しないからです.
これは慣れの部分も大きいため, 実際に例文をたくさん確認して慣れてください.
非分離動詞¶
非分離動詞の例¶
動詞 bekommen は kommen に be- という前綴りが付いた動詞です. ここで kommen に an の付いた ankommen とは違い, 前つづり be- は分離しません. このような動詞を非分離動詞と言います.
非分離前綴りの例¶
非分離前綴りの典型的な例を挙げます.
- be-
- emp-
- ent-
- er-
- ge-
- ver-
- zer-
- miss-
これは次のように覚える覚え方が有名です.
- ベエンペンテル (be-emp-ent-er)
- ゲーフェアツェアミス (ge-ver-zer-miss)
他に durch-, um-, unter-, über もあります. これらは分離前綴りになることもあります.
発音¶
非分離動詞は動詞本体にアクセントを置きます.
過去人称変化¶
基本¶
文章での説明¶
下にある表も合わせて確認してください. 一人称単数と三人称単数では語尾が付かないこと以外, 全て現在人称変化の語尾と同じです. ただし過去基本形が -e で終わっているときは, 一人称称複数と三人称複数の語尾が -en ではなく -n です. 最終的な形が -en となっていればいいと覚えてください. 逆に言えば最終形で -een と重ねません.
過去形の変化表¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich -- | wir -[e]n |
| 二人称 | du -st | ihr -t |
| 三人称 | er -- | sie -[e]n |
参考: 現在系の変化表¶
すぐに比較できるように再掲します. | 人称 | 単数 | 複数 | |--------|--------|---------| | 一人称 | ich -e | wir -en | | 二人称 | du -st | ihr -t | | 三人称 | er -t | sie -en |
sein¶
最重要動詞 sein, haben, werden を例に過去形の人称変化の仕方を見てみましょう.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich * war | wir waren |
| 二人称 | du warst | ihr wart |
| 三人称 | er * war | sie waren |
haben¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich * hatte | wir hatten |
| 二人称 | du hattest | ihr hattet |
| 三人称 | er * hatte | sie hatten |
werden¶
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich * wurde | wir wurden |
| 二人称 | du wurdest | ihr hattet |
| 三人称 | er * wurde | sie hatten |
過去分詞¶
意味¶
「---した」または「---された」という意味の形容詞のように使えます. 名詞にかかるときは形容詞と同じ語尾を付けます.
ge- の処理¶
次のような場合, 過去分詞の目印である ge- に注意が必要です.
- 分離動詞の過去分詞
- 非分離動詞, -ieren で終わる動詞
分離動詞の過去分詞¶
ge- が分離前綴と基礎動詞の間に入ります.
- auf|machen --> aufgemacht = auf + gemacht
- auf|stehen --> aufgestanden = auf + gestanden
もともと副詞と動詞にわかれていて, それが徐々に一体化して一語になった成り立ちがあります. その成り立ちを優先して, 過去分詞を作るときはも前綴りを離して動詞本体を過去分詞にし, それから前綴りをつけ直す形にしているだけです.
非分離動詞, -ieren で終わる動詞¶
ge- がつきません.
- versuchen --> versucht
- bekommen --> bekommen
- studieren --> studiert
- passieren --> passiert
まず ge- が付いている普通の過去分詞のアクセントは, ge- ではなく ge- の後ろの綴りに置かれます. 一方, 非分離動詞と -ieren で終わる動詞は, 語頭の綴りにアクセントが置かれない共通点があります. これらの動詞の過去分詞に ge- をつけてしまうと, アクセントが置かれる綴りは前から 3 番目 (以降) になってしまいます. そしてドイツ語の単語は語頭の綴りにアクセントを置くのが基本です.
このように 3 番目 (以降) にアクセントが来る語形をわざわざ作りたがらないのがドイツ語の感覚です.
現在分詞¶
作り方¶
現在分詞は動詞の語幹に -end を付けて作ります.
- schlafen --> schlafend
- lachen --> lachend
不定形の語尾が -n だけの動詞は語幹に -nd を付けて現在分詞を作ります. ただし tun は tuend, sein は seiend です.
- lächeln --> lächelnd
- dauern --> dauernd
意味¶
「---している」という意味の形容詞のように使えます. 名詞にかかるときは形容詞と同じ語尾を付けます.
現在完了形¶
基本¶
現在完了は次の組み合わせのどちらかで作ります.
- haben + 過去分詞
- sein * 過去分詞
大半の動詞は前者で, 少数の例外が後者です. この例外は自動詞のうち, 典型的には往来発着と呼ばれるタイプの動詞です. 完全不規則動詞に重要なものが大量に入っているように, 基本的で重要な動詞がこの例外に入っています.
もう少し書くと, 他動詞 (= 4 格目的語を取る動詞) は全て haben 支配です. 自動詞 (= 4 格目的語を取らない動詞) であっても, helfen (3 格を手伝う) や raten (3 格に助言する) のように, 他に働きかけるタイプの意味を持つ動詞も全て haben 支配です.
haben 支配¶
haben の現在形と過去分詞を組み合わせて作るのが基本です. 英語の現在完了と同じく, haben ((en) have) と過去分詞を組み合わせて完了形を作る点は同じです. ドイツ語の文では過去分詞が haben の直後ではなく文末に置かれる点に注意してください.
- A: „Hast du das Buch schon gelesen?" = その本もう読んだ?
- B: „Nein, ich habe es noch nicht gelesen." = いや, まだ読んでいない.
特にドイツ語口語では過去を表すにごく普通に現在完了形を使います. 英語の現在完了とは守備範囲が違うので注意してください.
過去形も現在完了形も過去を表せます. 地域や発話状況, 話し言葉か書き言葉か, 個人の好みによる違いもあり, 両者の使い分けは必ずしもすっきりしません. それでもまずは次のように認識してください.
- 現在完了形は完了したことを現在の立場から表す.
- 過去形は過去の時点に身を置いて語るように表す.
sein 支配¶
往来発着と呼ばれる, 次のような動詞に対する完了の助動詞は sein です.
- 移動を表す自動詞: gehen (行く), kommen (来る), fahren ((乗り物で) 行く), fallen (落ちる)
- 状態の変化や事態の生起を表す自動詞: werden (---になる), auf|stehen (起きる), geschehen (起こる), passieren (起こる)
- その他: sein (---である), bleiben (とどまる), begegnen (出会う)
従属文での語順¶
従属文では定動詞が最後に置かれます. 完了の助動詞が定動詞扱いなので, 完了の助動詞 haben が文末, 過去分詞はその前に置かれます.
- Ich bin müde, weil ich ganz intensiv gearbeitet habe. = 私は非常に集中して働いたので疲れている.
過去完了形¶
基本¶
過去完了形は haben あるいは sein の過去形と過去分詞の組み合わせで作ります. 英語と同じく, 過去完了形は「過去のある時点から見て既に完了していた事柄」を表すのが基本です.
注意が必要な例¶
次の二文の意味を考えましょう.
- Ich habe es ganz vergessen. (「私はそれを忘れる」の現在完了形)
- Ich hatte es ganz vergessen. (「私はそれを忘れる」の過去完了形)
現在完了形は「完了したことを現在の立場から表す」のが基本でした. つまり前者は現在の立場から見て「それを忘れてしまった」と言っていて, 「今は覚えていない」です. 一方, 過去完了形は (間近の過去も含めて) 過去の時点に身を置いて「(その時は) それを忘れていた」と言っていて, 逆に「今は思い出した」です.
未来形¶
「werden+本動詞の不定詞」の組で未来形を作ります. 活用も改めて載せておきます.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich werde | wir werden |
| 二人称 | du wirst | ihr werdet |
| 三人称 | er wird | sie werden |
完了形と助動詞の組み合わせ¶
完了形は werden, müssen, können などの助動詞と組み合わせられます. 例えば werden と完了形の組み合わせは未来完了形です. このとき werden などの助動詞は定形で, 完了の助動詞 haben・sein は不定形です.
実は werden と完了形の組み合わせは過去の事柄に関する推量にも使われます.
不定詞句¶
基本¶
不定詞を核とした句の形で並べた動詞を含む表現を不定詞句と呼びます. 英語では to 不定詞で書くところをドイツ語では zu なしで書き, さらに不定詞を句の最後に置きます. 特に動詞を含むイディオムはふつうこの形で書きます.
- einen Spaziergang machen = 散歩をする
- zur Schule gehen = 学校に通う
不定詞句では動詞に関係が深い語・語句ほど動詞の近くに置かれます.
辞書に出てくるときのルール¶
よくいくつかの省略語と一緒に出てきます.
| 省略語 | 意味 |
|---|---|
| jm | 人を指す名詞 |
| jn | モノを指す名詞 |
| et^4 | 数字の部分は格 |
| js | 人間の 2 格 |
| jm | 人間の 3 格 |
| jn | 人間の 4 格 |
例を見ましょう.
- jm für et danken
- jn nach et fragen
- auf jn/et^4 warten
- jn um et^4 bitten
- an jn/et^4 warten
zu 不定詞¶
基本¶
次のように不定詞の前に zu を置いたセットを zu 不定詞と言います.
- Jeden Tag für die Familie zu kochen ist nicht leicht.
ここでは Jeden Tag für die Familie zu kochen でまとまっていて, このまとまりを zu 不定詞句と言います. zu 不定詞も zu 不定詞句も名詞のように「---すること」という意味で使えます.
英語と同じく仮主語を使った構文もあります.
- Es ist nicht leicht, jeden Tag für die Familie zu kochen.
カンマがつくことに注意してください.
zu 不定詞句の作り方¶
英語の to 不定詞と違ってドイツ語では zu 不定詞が最後に置かれます.
分離動詞は分離前つづりと基礎動詞の間に zu を入れて zu 不定詞を作ります. 分離動詞の過去分詞と同じく, まず前つづりを外して動詞本体の直前に zu を置き, 前つづりを付け直すと考えてください.
- aufzustehen: 過去分詞は aufgestanden
- anzurufen: 過去分詞は angerufen
zu 不定詞句の用法: いろいろな品詞¶
次のような用法があります. - 主語 - 目的語 - 形容詞 - 名詞の詳細化
詳しくはいろいろな例文を見てください.
- (主語としての用法) Es ist nicht möglich, dieses dicke Buch in drei Tagen zu lesen.
- (目的語としての用法) Er hat beschlossen, jeden Tag 30 Minuten zu joggen.
- (形容詞としての用法) Bist du bereit, jeden Tag für die Familie zu kochen?
- (名詞の内容を説明する用法) Hast du Lust, jeden Tag für die Familie zu kochen?
da[r]- + 前置詞に zu 不定詞句が結び付くことがあります.
- Sie besteht darauf, ein deutsches Auto zu kaufen.
- Wie bist du darauf gekommen, nach Japan zu kommen?
ここで auf (3 格) bestehen で「3 格の対象にこだわる」という意味なので, 上記の darauf bestehen は「それにこだわる」という意味であり, zu 不定詞句は「それ」の具体的な内容です. 後者の auf (4 格) kommen は「4 格の対象を思いつく」という意味なので, darauf kommen は「それを思いつく」という意味であり, zu 不定詞句は「それ」の具体的な内容です.
zu 不定詞句の用法: 他の前置詞との組み合わせ¶
もう少し例・用法を見ておきます. まず um, statt, ohne と zu 不定詞句が結び付く例です.
- Um fit zu bleiben, läuft er jeden Tag eine Stunde. = 体調を良く保つために彼は毎日 1 時間歩いている.
- Er ging ins Kino, statt die Hausaufgaben zu machen. = 彼は宿題をするかわりに映画に行った.
- Sie ist weggegangen, ohne die Tür zuzumachen. = 彼女はドアを閉めずに出て行った.
ここで um と zu 不定詞句は「---するために」, statt と zu 不定詞句は「---するかわりに」, ohne と zu 不定詞句は「---せずに」という意味です.
zu 不定詞句の用法: 他の前置詞との組み合わせ¶
etwas と nichts と組み合わさる場合があります. いったん zu 不定詞は「---するべき」と考えておいてください.
- Ich bringe dann etwas zu trinken mit. = では何か飲むものを持っていこう.
- Wir haben nichts zu essen. = 食べ物がない.
- Nichts zu danken! = どういたしまして. (<-- 感謝することは何もない)
zu 不定詞句の用法: 動詞との組み合わせ¶
- Ich habe heute zwei Briefe zu schreiben.
この zu schreiben を「書くべき」と考えれば「私は今日書くべき 2 通の手紙を持っている」と思えばよく, 端的には「手紙を 2 通書かなければならない」と読めばいいでしょう. まさに英語の have to で「---しなければならない」という意味を持つのと同じです.
これ以外にも brauchen (= need), anfangen (= begin) と zu 不定詞の組み合わせもあります.
再帰動詞¶
基本¶
再帰代名詞との組み合わせで一つの意味を表す動詞を再帰動詞といいます.
- Der Chef ärgert sich sehr. = チーフはとても怒っている.
ここでは 4 格の再帰代名詞とのセット sich ärgern で「怒る」という 1 つの意味を表しています. 再帰動詞を不定形で挙げるとき sich ärgern のように動詞を後ろに置きます.
現在人称変化の表は次のように書きます.
| 人称 | 単数 | 複数 |
|---|---|---|
| 一人称 | ich ärgere mich | wir ärgern uns |
| 二人称 | du ärgerst dich | ihr ärgert euch |
| 三人称 | er ärgert sich | sie ärgern sich |
いくつかの例¶
次の例の再帰代名詞はすべて 4 格です.
- sich freuen 喜ぶ
- sich schämen 恥じる
- sich fürchten 恐れる
- sich wundern 驚く
- sich erkälten 風邪を引く
- sich erholen 休養する
- sich setzen 座る
- sich legen 横になる
- sich ä ndern 変わる
他動詞との対応¶
次のように他動詞と対応関係が見られる場合もよくあります.
- sich setzen 座る < setzen 自分を座らせる
- sich legen 横になる < legen 自分を横たえる
- sich ändern 変わる < ändern 自分を変える
- sich freuen 喜ぶ < freuen 自分を喜ばせる
動作・行為の対象を示す前置詞¶
例を挙げます.
- Die Studenten freuen sich auf die Ferien. = 学生達は休暇を楽しみにしている.
- Ich interessiere mich nicht sehr für Politik. = 私は政治にそれほど関心がありません.
3 格の再帰代名詞とセットになる再帰動詞¶
数はあまりありません. 次のような例があります.
- dir vorstellen = 想像する.
- mir erlauben = 許す
受動文¶
現在形と過去形¶
次の形で作ります.
- werden + 過去分詞.
- Der Schüler wird ständig gelobt. = その生徒はいつもほめられる.
werden は受動の助動詞で, 主語に応じて人称変化します. 過去分詞は文末です. もちろん従属文では受動の助動詞 werden は過去分詞の後に置かれます. 過去時制の受動文を作るときは werden を過去形にします.
行為の主体を表したいときは前置詞 von を使います.
- Der Schüler wird ständig von seinem Lehrer gelobt. = その生徒はいつも先生にほめられる.
完了形¶
助動詞 werden を現在完了形にすれば現在完了形の受動文になります. 特に werden は sein 支配なので, werden の過去分詞と sein で現在完了形です. 受動の助動詞の過去分詞は geworden ではなく worden であることに注意しましょう. 何故かというと直前に本動詞の過去分詞があるので, これとアクセントの位置が同じ geworden が続くのを避けているからです.
時制との関係については箇条書きでまとめます.
- 現在完了の受動文: werden を現在完了形にする.
- 特に werden の過去分詞と sein で現在完了形.
- 過去完了形の受動文: sein を過去形にする.
- 未来形の受動文: 受動態 + werden.
- 未来完了形の受動文: 完了形の受動文に werden を入れる.
従属文では定動詞の sein が文末に置かれ, 「本動詞の過去分詞-worden-sein (定形)」の順です.
例を見ましょう.
- (現在形) Vor dem Bahnhof wird ein Supermarkt eröffnet. = 駅前にスーパーが開店する.
- (完了形) Vor dem Bahnhof ist ein Supermarkt eröffnet worden. = 駅前にスーパーが開店した.
- (過去完了形) Vor dem Bahnhof war ein Supermarkt eröffnet worden. = 駅前にスーパーが開店した.
- (未来形) Vor dem Bahnhof wird ein Supermarkt eröffnet werden. = 駅前にスーパーが開店するだろう.
- ふたつある werden について: 定形の wird が未来形の助動詞, 不定形の werden が受動の助動詞.
- (未来完了形) Vor dem Bahnhof wird in drei Tagen ein Supermarkt eröffnet worden sein. = 3 日後には駅前にスーパーが開店しているだろう.
- (従属文) In der Zeitung steht, dass die Bankr ä uber festgenommen worden sind. = 銀行強盗が逮捕されたと新聞に出ている.
受動態と助動詞¶
受動態は他の助動詞 müssen や können などの助動詞と組み合わせて使えます.