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MISC

2023-04-24 mon 大人語ジェネレーターChatGPT

2023-03-29 単複の区別

わりと頻繁にあるのが「人間や生物は単複を区別、それ以外は単複を区別しない」というパターンですね。地図上にプロットされているのを見たければこちらをどうぞ。 Feature 34A: Occurrence of Nominal Plurality

2021-07-01 外国語が話せるとはどういうことか

2021-06-23 英語と日本語で順番が入れ替わる言葉

これは私が所属している語学コミュニティで出てきた話です.

はじめに

はじめに次のような問題が出てきました.

(2) 英語の決まった語順

  • 飲食業界 ( ) and ( ) industry
  • 需要と供給
  • 濃淡
  • 前後に
  • 寒暖
  • 新旧
  • 東西南北

私のコメント返し

これに対して次のようにコメントしました.

いま相対論の本を読んでいて出てきたのですが, 時空と spacetime は日英で順番が逆の例です.

コメントその 2

さらに次のように返ってきていわく.

物理ではどうなんだか分からないですが, 時空間となると, time and space になっちゃう?! んですかね. 時空と時空間の区別でつまずいていたります. 中国語で時空間が时间和空间(時間 + 空間) って丁寧に書いていたので面白いと思いましたが, time が先ですね. 自分のツボは 1 語なら, spacetme なのに, and を使ったら, time and space になることに驚きです. 概念に差があるからなのか?! という謎です.

コメントその 3

私からのさらなる回答

私もこれに対する英語の語感覚があるわけではないので微妙なところですが, 例えばゴリゴリの物理のページを見ると, time and space よりも space and time のほうが出てくる回数が多いですし, 他にいくつか見たページでも space and time のほうが使われているようなので, 少なくとも物理では分けるときも space and time の方が多い可能性があります.

この順序付けで一つありうるのは (昔の) 座標への番号の振り方です. 空間の x, y, z 成分を x_1, x_2, x_3 のように番号で書くことがあり, かつては時間成分を 4 番目に振り分けて x_4 = ct (または ict) のように書いたので, この意味では時間は空間のあとに来ます.

ただしこの言い分が微妙なのは, 最近は t を第 4 成分ではなく第 0 成分に持ってきて書くことが多い (ように見える) ことです. 昔, 相対論が出てきて時間が第四成分メイン扱いの間に spacetime の順が決まり, あとでいろいろな都合から第 0 成分にうつしたときにわざわざ定着した語順を変えなかった, みたいな話はある可能性はあります.

あとあまり時空間という言い方聞かないですね. 日本語で言うときは「時間と空間」か単に時空としか言わないような印象があります.

さらにドイツ語でも Raumzeit のようです. https://de.wikipedia.org/wiki/Raumzeit フランス語でも https://fr.wikipedia.org/wiki/Synchronisation_d%27Einstein を見ると espace-temps のようです. イタリア語も https://it.wikipedia.org/wiki/Tempo_proprio では spazio-tempo です. ちなみにイタリア語のページを見ると時間が第 0 座標扱いの式が出てきます.

コメント 4

読んでいる本を改めて見たら中国語についてのコメントもありました.

「容器」 とも言える空間 (space) と時間 (time) について説明しておこう. これらを合わせて時空(英語では順序が逆で spacetime)と呼ばれることが多い. ちなみに,宇宙という単語は「四方上下謂之宇,往古来今謂之宙」(淮南子『斉俗 訓』) から来たとされている. 宇が空間,宙が時間に対応し,合わせて「万物を包容する空間.自然法則が成り立つすべての時間と空間.すべての天体を含む空間」の意味であるが,この語源に従えば,宇宙という単語は順序まで含めて英語の spacetime そのものである.

須藤靖, 一般相対論入門 改訂版, P.11

中国語の辞書サイトで調べてみたら次のように出ていました.

  • : 1 ~宙(b.空间与时间)
  • : 古往今来所有的时间:宇~。
    • 英语 time as concept; infinite time
    • 德语 alle Zeiten (Vergangenheit, Gegenwart und Zukunft)​ (S)​,Gesamtheit, Grundgesamtheit (Statistik)​ (S, Math)

2021-06-15 Twitter・note まとめ: 漢字の由来をきちんと調べる難しさ

前提

ツイートから

上記ツイートで引用されているのは次の note の記事です.

参考文献メモ

二つ目の記事にある中国語文献, 現状ではさすがに読めないのでとりあえず一つ目の記事にある日本語文献をメモ.

ここでは以下を推薦する。書店のリンクを貼ったので衝動買いしてほしい。2・3つめはもともと大学の講義で使われたものらしく、ネットで無料公開されている。

  • ■大島正二『唐代の人は漢詩をどう詠んだか:中国音韻学への誘い』,岩波書店,2009年。
  • ■中村雅之『音韻学入門~中古音篇~』(漢語音韻史の教室・入門講座),富山大学人文学部1998年。 http://chinese-phonology.com/pdf/oningaku.pdf
  • ■太田斎『韻書と等韻図』,神戸市外国語大学研究叢書第52号等。パートⅠ、パートⅡ、補説。
  • ■野原将揮『解説:音韻学?中古音と上古音』,『デジタル時代の中国学リファレンスマニュアル』,好文出版,2021年,第b.24-b.55頁。東方書店

大島・中村・太田は中古音のみについて解説している一方、野原は中古音~上古音すべてについて解説している。ただ、(おそらく筆者の専門分野の都合上)野原の中古音に対する解説は上古音への熱量に比べるとあっさりしているため、ほかと併用することをすすめる。

続いて以下を読めば、中古音・上古音についてはほとんどマスターしたといって良いだろう。

  • ■William H. Baxter『A Handbook of Old Chinese Phonology』,De Gruyter Mouton,1992年。

本題: きちんと勉強することの難しさ

いままさに専門外もいいところの言語学に関わるコンテンツを作っているわけですが, こういう記事を見かけると, そもそも非専門の分野をきちんと勉強すること自体の難しさを痛感します. 上記記事中にも次のような記述があります.

単純性

学問では単純性が好まれる。例えば、多くの事柄を説明する、広い範囲に対して同じように適用できる仮説のほうが優れていると判断する。

それは確かにそうで多くのことを統一的に説明できる, それもシンプルな議論は数学や物理でも本当に大事です. ただ何をもってシンプルとするかの議論そのものが恐ろしく専門的です. 例えば, 物理でいうならそれこそ数学を使うことです. 数学を使うことそれ自体, たいていの人にとってすさまじい苦行なわけで, 数学を使うこと自体が複雑ではないかと言われるとかなり困ります.

あと, 何というか, 人間にはどうしても「真理は深淵で難解」と思いたがる習性もあり, 「いろいろ考えたところ, 結局こんなシンプルにまとまりました」みたいな身も蓋もない話は「それは本当か?」と疑ってしまいがちなところもあります. そしてもちろん, その一方で, 「専門家は小難しく考えるせいで不必要に難解な話をしたがる. しかし専門家が無視または見落としている考え方をすればこんなに簡単に理解できる」という間違った言説も簡単に受け入れられます.

こういうとき数学の楽さを思います. 物理は究極的には実験科学なので常人ではやりきれない実験で決めないといけない部分があります. 言語学には言語学で過去・現在の多くの文献にあたる必要があります. そしてどちらも適当な意味で「昔の理解は間違っていた」事案があります. もちろんうるさいことを言えばいろいろあるにせよ, 他の分野に比べれば数学の検証は簡単です. 基本的には一度証明されれば正しさは変わらない事情もあります.

特にどうという話があるわけでもありませんが, 勉強するのは大変だ, 数学は楽でいいと思った話.

2021-06-14 Twitter まとめ: 大人の語学が楽しい理由

「英語もできないのに〇〇語なんて・・・」論法について考える

加えてこの論法にはもうひとつ、実に奇妙なところがあります。あたかも英語の方がフランス語よりも簡単であるかのような前提に立っているところです。「英語もできない自分がましてフランス語なんて」というのは、つまるところそういうことですよね?

言うまでもなく、義務教育に英語が設置されているのは「他の言語よりも簡単だから」ではありません。最大の理由は「他の言語よりも強いから」です。

2021-06-09 イタリア語だと思う単語を 1 つ挙げて由来を調べてみた結果

はじめに

これは私が所属している語学コミュニティ向けに書いた文章です.

本文

acqua pazza で何故 pazzo が crazy になるのか調べていたら, これがロンバルディア語に由来する可能性があるというのを見つけ, ロンバルディアといえばドラクエ 2 にロンダルキアがあったのを思い出しました. 何か関係があるのかと思って調べてみたら, 「飽きるだろ」を逆さにしてつけた名前だとかいう話で全く関係なかったようです.

ここを眺めていたら面白かったので, まずはこのページをシェアします. 他にもいくつか見ていて思ったことというか, 追加コメントを書きます.

ロンバルディア

念のためロンバルディアも Wiktionary 先生に聞いてみました.

ラテン語の Langobardia に由来していて, これは 6 世紀にアペニン半島 (イタリア半島) 北部に侵略してきたゲルマン系のランゴバルド族 Langobards ("long beards") に由来するとか. ランゴバルトといえば, ファイアーエムブレム聖戦の系譜の敵キャラで出てきた記憶があります. 確かに髭の生えたキャラで, ランゴバルトに対する髭のイメージは本当に名前の通りだったのだと感心しています.

アレフガルド

アレフガルド … ヘブライ文字の第一文字「א(アレフ)」と古ノルド語で「垣根」、 「園」を表す「ガルド」を組み合わせた造語。「はじまりの国」といった意味か。

この間セミナーで話があった, garden-yard-город事案は古ノルド語にもあったかと改めて認識しました. これはファイナルファンタジー 7 でもミッドガルという街があります. あとモンスターのミドガルズオルムも別名「ヨルムンガンド」で「ミッドガルド(中つ国)の巨大蛇」の意味らしいので, ゴリゴリのエンタメの語学です.

ムーンブルク

ムーンブルク … 英語の「月」(moon)とドイツ語の「城」(burg)を組み合わせた造語と思われる。「月光城」といったところか。

ブルク系もゲームでよく見かける地名です. ドラクエ 4 のサントハイムのハイムも Heim でドイツ語, home です.

グール

グール … アラブの伝承に登場する怪物「グール」(ghoul)が由来。

Wikipedia の記事にもあるように, 日本だとだいたいアンデッド系ですが, アラブの伝承だと生物とのことでちょっと驚きました. そもそもアラブ系だったこと自体いまはじめて知りました.

バーサーカー

バーサーカー … 北欧神話の狂戦士・ベルセルクの英語読み「バーサーカー」(berserker)が由来。

最近, ベルセルクという漫画を描いていた三浦建太郎さんがなくなったのを思い出しました.

Wiktionary を見ると, これも古ノルド語由来のようです.

ヴァルハラ

Wiktionary のイタリア語のところを見たら, これも古ノルド語由来とか. 北欧神話由来なのだからそれはそうかとは思いますが, ファンタジー系では古ノルド語は強いと改めて思います.

その他雑感

いちいち書き切れないので以下省略. いま改めて見ると, 敵モンスター名だけではなく地名にも神話系のネタがたくさんありました.

あと一番びっくりしたのは, ドラクエ 3 はいまの地球の地図とも似せた形のワールドマップで, しかも地名も似せていたことです. ロマリアが「ローマとイタリアを組み合わせた造語」とあって, 言われてみればルーマニアにも語感が似ていることに 30 年越しに気付くという.

呪文系

上記ページを見てもらうとわかるように, ドラクエは日本語とその語感由来の魔法名が独特です. ファイナルファンタジーは英語系ですし, 女神転生系はたぶんサンスクリット由来なので, 魔法名の分析をするだけでもそうとう語感がつくように思います.

ベギラマのところに次のような記述もあります.

堀井雄二氏がハマっていた『Wizardry』の魔法の名前の法則に「上位の魔法は下位の魔法の名前に文字を足していく」

これは割といろいろなところで見るというか, もはや魔法命名の基本のように思います. これにしたがっていないのを探す方が難しそうです.

全然関係ないですが, SD ガンダムのゲームは攻撃魔法に関してガンダム本編の武器から魔法名をつけていて, 当然というか, 他であまり見ない命名体系です.

  • ビームライフル: ルフィラ-ムービルフィラ-メガルフィラ-ギガルフィラ
  • バズーカ: バズ-バズレイ-メガバズ-ギガバズ

メガは maha なり何なりの印欧祖語由来というのは前からちょこちょこ出ていますが, ギガは古代ギリシャ語の巨人, ギガース由来だとか. これも少なくとも昔のファイナルファンタジーの敵モンスターで出てきた名前です. 際限ないので調べていませんが, ジャイアントの語源なのだろうとかいろいろなことを思います.

その他: ブランド名の多言語

ブランド名にも言語情報が色々載っていてスペル含めてネタの宝庫です. 例えばこれとか.

万国に通じる音感を持つべきでそこからラテン語的な要素を含む, みたいな話を何回か聞いています.

2021-06-05 Facebook 投稿: メルマガの内容共有

はじめに

いましがた自分のメルマガ書いたのですが, 人のツイートまとめではあるものの, 面白いのでこちらでも紹介します.

コメント

多言語ボキャビルの視点で面白いのは上の 2 つです. 特に 2 つめは印欧語の祖先に近いサンスクリットを通じて, ヨーロッパの言葉と日本語の橋渡しができる事例がいくつか具体的に載っています.

面白ツイート

あと古代ギリシャ語辞典の記事中で引用した次のツイートがまた面白いです.

古代ギリシャー英辞典、170年前に編纂されたものがベースなので、どうしても訳が当時の倫理観。特にエロ単語には言語的なモザイクがかけられていたのです。 古代ギリシャ語はもちろん「死語」だから変化しませんが、私たちは変わっていく……。21世紀の「現代語訳」版、すごく熱いですね。

この藤村シシンさん, 『古代ギリシャのリアル』という本を書いていて, この本がまた面白いです. 例えば次のページのあたりの話.

この答えとしては、まず「色」の概念のちがいが挙げられます。私たちにとって「色」といえば第一に色相のちがい(赤、黄、緑、青など…)ですが、彼らにとっては「明るいか、暗いか」「白いか、黒いか」といった明度や彩度のちがいのほうが大きかったのです。

古代ギリシャ人が表現する「色」は、物のうわべや表面的な色ではなく、質感やそれ自体が持つ性質を表すのだそうです。

時空を越えると「色」という言葉の意味さえ噛み合わないことがわかります.

多言語を学ぶ意義

今日の朝, 溝江先生から多言語学習の意義みたいな話が出ていましたが, 私もちょうど一昨日の自分の勉強会でそういう話をしていて, 「おお, シンクロニシティ」とか思っていましたが, 日本語の古典も含め, 古代語・古典語には現代とは違う世界観が刻まれていて, これは私が日本語の古典含めて古い言葉が好きな理由でもあり, 物理・数学・プログラミングという言語もやっている理由でもあります.

2021-06-03 Twitter 引用: サイゼリヤの雑学と言語学

あとできちんと見て興味があるところはもっと突っ込んで調べよう.

2021-06-03 Twitter まとめ: 現代日本に生きるサンスクリット

引用

メインツリー

指摘事項

引用されているツイート

リプライ

最初のツイートで引用されているツリー

2021-06-03 Twitter まとめ: 省略した部分の文字数を使った略し方, numeronym

引用

語学学習: bootstrap, vacuum, three nines の話

ある語学学習コミュニティに所属しているのだが, そこで今日タイトルにある 3 単語の話になった. 理工系市民としてはまたちょっと違う言語感覚というか見ている世界の違いのようなものがあったので, それを共有する目的で記事を書く. もともとそのグループのチャットで書こうとしていた文章なので, 以下敬体になっている.

bootstrap

bootstrap は IT 用語としての用法があります.

  • bootstrap
  • ブートストラップとは、「自動・自給の」「自動実行する」といった意味の英語である

また CSS ライブラリでも bootstrap があります.

その専門家であるデザイナーに頼らず開発者だけでデザインできるようにするためのライブラリで, そういう意味で「自給」の感覚を表しているのだろうと思います.

vacuum

人文学的真空

真空について, その語の歴史的経緯などを把握していないので何とも言えない部分はありませんが, いわば人文学的真空と科学的真空で似た意味・用法はあるにせよ, 冠詞や形容詞がつく気分は大分違うのではないかという気分があります.

人文学的真空としてイメージするのは次のような話です.

あと仏教での真空もあります.

いわゆる涅槃なので vacuum のところでコメントしていいのかは微妙です.

仏教用語としての意味はともかく, 適当な意味での無・虚無を表す言葉なのだろうと思います. ここでどんなタイプの無なのかを示すために冠詞なり形容詞がつくのだろう感があります. また, これはこれで物理的な真空の定義というか気分から来ている言葉でもあるのでしょう.

科学的真空

というわけで, ここからは科学的な意味での真空を見ます. 少なくとも 2 つの意味があります. まず 1 つは大気圧より低い気体の状態を指します.

大まかに言えば圧力はその気体を構成する粒子の密度によるので, 密度に応じて多種多様な真空があり, どういう真空なのかを指定するために冠詞や形容詞がつきます. 特に高真空という概念があります.

もう 1 つは場の量子論での真空です. 高度に数学的な定義なのでこの場でスカっと言えないのですが, 何にせよ場の量子論では多種多様な真空があります. あと粒子の生成消滅が起きているので, 無・虚無のような静的な対象ではありません. 次のような印象的な名前の記事もあります.

南部さんあたりで非常に有名になったノーベル賞に関わる話もあります.

この文章を見てもらうと例えば次のような一文があります.

われわれの住む真空は1つなので,そこではH の位相は1つに定められており,H の位相を変えると(たとえばH → -H ),こんどはH が0でないため,別の真空になってしまう。ちょうど上記の例で倒れた棒の方向が決まってしまうように,この真空では位相変換の対称性が破れているのである。

あの真空やこの真空が出てきます. この文脈から形容詞がつく真空概念が出てきて, 例えば physical vacuum はよく出てきます.

純粋に数学的に定義される真空に対して, その中で物理的に実現される真空というような気分で physical vacuum が使われます.

three-nines については昔アニメのエヴァンゲリオンで「オーナインシステム」という単語がまさに同じ意味で出てきました. 私はこれで覚えました. 私にとっての Word-Picture-Emotion がまさにエヴァンゲリヲンが真っ先に出てきます.

これまた IT 系でよく使われる表現でもあります.

その他メモ

他の人のコメントをまとめておく.

その 1

sandbag

以下引用.

・サンドバッグとは綴りは、sandbag です。 名詞としては、「砂袋」「土嚢」といった意味となります。 動詞としては、「砂袋で守る」「土嚢を積む」「砂袋で打ち倒す」といった意味となります。

また、bluff (ブラフ)の反対語として、「実際より弱く見せる」といった動詞の意味もあります

関連語としては下記等があります。

sandbagger 名詞で、「強盗」「実力をごまかす人」といった意味となります。

ちなみに、ボクシングの練習用のあの練習用の器具ですが、 punching bag boxing bag bag とかで通じます。

common denominations

共通項が多いって英語でなんて言うの?

Many common denominators. Many common points. 「(私たちは)共通項が多い」= We have many common denominators. あるいは「(私たちは)共通点が多い」= We have many common points. / We have many things in common.

可算名詞は裸で使わない

さて、では「学校に行く」という時の go to school は、なぜ a もthe も付いていないのでしょうか。 この時のschoolは抽象的な意味だと考えられます。 「その学校に行く」「ある一つの学校に行く」というよりも、「学校という学ぶところに通っている」という意味が含まれているのです。

そのほかに、go to bed は「寝る」ですが、「そのベッドに行く」「ある一つのベッドに行く」というよりも、「眠る場所としてのベッドに行く、眠りに行くんだ」という意味で、bedは抽象的な意味になります。

by bus もそうです。抽象的に「バスという乗り物で」ということで、the , a をつけないつけません。

pear-shaped

When something goes wrong or fails. 物事が悪化する、失敗する。

" I had spent all afternoon mixing my cake for the party tonight. But when I took it out of the oven, it had gone all pear-shaped."

私は今晩のパーティーのために、午後の時間をずっとケーキつくりに費やした。 しかし、オーブンから取り出した時、台無しにしてしまった。

本来、洋ナシ形をした、というと、普通はふくよかな、柔らかな形やラインをした、という意味しますが、go pear-shaped といえば、計画などが失敗する、状況が悪化する、という意味になります。 これは、イギリスやアイルランド、オーストラリアなどに限って使われる比較的新しい口語のようです。 "It's all gone pear-shaped" という形で用いられることが多く、最悪の結果になった、台無しになった、という意味になります。 本来のイメージの良い 「 洋ナシ形 」 とは程遠い意味であり、不思議ですが、この言葉の語源には様々な説があります。 一説には、「 英国空軍でアクロバット飛行の練習の際に、新人がきれいな円を描けずに、いびつな円になってしまう様子から来ている 」 といわれます。 他には、「ガラス工芸で、熱したガラスを吹いて球形を作る際に失敗して洋ナシ形のようにいびつになってしまった様子からきている」 とか 「本来、球形のはずの真珠が、質の良くないものだといびつに歪んでいることにちなんでいる 」 等、多くの説があるようです。

いずれの説にも本来の球形が歪んでしまった、という共通したイメージがあると考えられます。

その 2: ロミオとジュリエットの一節

a rose by any other name (他のどんな名前で呼んでもバラ) の部分は現代でもたびたび引用され、パロディ表現もたくさん作られています。ぜひ覚えておいてください。

それは、ジュリエットが、 What's in a name? (名前というものにはどんな意義があるのか?)を自問自答したセリフの、答えの部分です。ニュアンスは、『ロミオとジュリエット』(シェークスピア)を読むとわかります。

JULIET: 'Tis but thy name that is my enemy; Thou art thyself, though not a Montague. What's Montague? it is nor hand, nor foot, Nor arm, nor face, nor any other part Belonging to a man. O, be some other name! What's in a name? that which we call a rose By any other name would smell as sweet.

(私の敵なのは、貴方の名前だけ。 貴方は貴方、モンタギューではなくても。 モンタギューって何? 手ではないし、足でもないし、 腕でも、顔でも、その他の体の部分でもない。 あぁ、他の名前になって! 名前には、何があるというの? 私たちがバラと呼ぶものは、 他のどんな名前で呼んでも、同じように甘く香るわ)

その 3: 中国語でのロミオとジュリエットに関するやりとり

3-1

「"What's in a name? That which we call a rose. By any other name would smell as sweet."のくだり、中国語ではどう訳される?」という話になり、2 人で探して比べてみました.

「名字有什麼意義呢?玫瑰如果不稱為玫瑰,仍是一樣芳香甜美。(名前に何の意味があるというの?薔薇は薔薇と呼ばれなかったとしてもなお、芳しく香るというのに。;台湾版)」

「名字代表什么?我们所称的玫瑰 换个名字还是一样芳香。(名前が何を表すというの?私たちが等しく薔薇と呼ぶものは、その名を換えても芳しく香るでしょうに。;中国大陸版)」

なかには、

「名稱並不重要,玫瑰不叫玫瑰,芳香依然不減。 (名前なんて大して重要じゃないし。薔薇は薔薇と呼ばれなくても、その香りは減るもんじゃないっしょ!?;台湾版)」

という情緒ゼロ(でもわかりやすい!?)訳も。 ちなみに「ロミオとジュリエット」、繁体中国語では「羅密歐與茱麗葉」です!

3-2

羅密歐與茱麗葉 が 濃厚接触??に似てるやんけ?!って思ってしまった自分。 まだ中国語修行が足りないな!と自責。 芳香依然不減。 芳香の部分を、脂肪に置き換えて読みそうになった自分に自己嫌悪! ってことで、情緒ないながらも明晰さは正義?の部分も味わえて面白いです! 個人的には 名字代表什么? 代表って部分、ひょっとして、英語だと represent ? って思ったりしてセルフシビレてました。 What does a name represent ?

3-3

represent 英[ˌreprɪˈzent] 美[ˌreprɪˈzent] v. 代表; 作为…的代言人; 维护…的利益; 等于; 相当于; 意味着; [例句]The offer has yet to be accepted by the lawyers representing the victims. 受害者的代理律师还没有接受这个提议。

まさにそうでした!

マレーシアのケーキ「ラピス・サラワクケーキ(マレー語: kek lapis Sarawak)」に関する言語事情が気になったので

はじめに

Twitter で次のツイートが流れてきた.

もともとは「数学」につられて調べたが, それよりも言語事情が気になった. 最近多言語で学ぶ相対論という企画もはじめたので, それに合わせて真面目に多言語を考えているアピールも兼ねて少し考えたい.

ケーキの名前

引用されている記事では「ラピス・サラワクケーキ(マレー語: kek lapis Sarawak)」とあった. この単語をいろいろ調べてみたい.

Sarawak はサラワク州だろう

Sarawak でググってトップに来るのは次の記事だった.

Sarawak は地名を指すと思ってよさそうなので問題は kek と lapis になった.

kek とは何か

もちろん気分的にケーキだろう. ここで検索してみるとマレーシア政府観光局のページだとクエ・ラピスが次のように説明されている.

クエ(Kuih)はマレー語で「ケーキ」 ラピス(Lapis)は「層(レイヤー)」で、レイヤーケーキの事です。

kek は外来語由来で, kuih が本来のマレー語表現なのかという気分. というわけで我らが Wiktionary で追跡調査.

kek

マレー語のところで cake とある. やはりケーキでいい. 語源が知りたいがマレー語の語源の調べ方がわからず厳しい気持ちになる.

必ずしも関係ないが次のような事情がある模様.

  • アルバニア語では英語のケーキからの借用でやはりケーキの意味.
  • オランダ語だとドイツ語の keck から.
  • フィジー・ヒンディー語だと英語の cake の借用.
  • トルコ語だと英語の cake の借用.

アルバニア語, フィジー・ヒンディー語, トルコ語の気分を勝手に持ってくるわけにもいかないだろうから勝手な即断は避ける.

kuih

英語でマレーシア由来の言葉として取り入れられていて不思議な説明がしてある.

kuih pl (plural only)

Bite-sized snack or dessert foods in Malaysia and nearby countries, usually made from rice and often brightly coloured.

意味の説明はともかく, plural only が不思議.

肝心のマレー語では次のようにある.

Borrowed from Min Nan 粿 (koé).

Min Nan に飛ばされる憂き目にあう. Wikipedia だと次の通り.

Southern Min (simplified Chinese: 闽南语; traditional Chinese: 閩南語; lit.: 'Southern Fujian language'), Minnan (Mandarin pronunciation: [mìn.nǎn]) or Banlam (Southern Min pronunciation: [bàn.ɾám]), is a group of linguistically similar and historically related Sinitic languages that form a branch of Min Chinese spoken in Fujian (especially the Minnan region), most of Taiwan (many citizens are descendants of settlers from Fujian), Eastern Guangdong, Hainan and Southern Zhejiang.[8] The Minnan dialects are also spoken by descendants of emigrants from these areas in diaspora, most notably the Philippines, Indonesia, Malaysia, Singapore and New York City. It is the largest Min Chinese branch and the most widely distributed Min Chinese subgroup.

よくわからないので日本語 Wikipedia に助けを求める.

閩南語(びんなんご、ミンナンご)は、閩語の一方言である泉州方言と漳州方言を基盤に成立した言語。主に閩南地方(中華人民共和国福建省南部)で話される言葉である。

  • 狭義には、泉州、漳州、廈門などの福建省南部で話されている言葉をさす。東南アジアでは福建語とも呼ばれる。
  • 広義には、狭義の言葉に加え、台湾、浙江省南部、広東省東部および西部、海南省などで話される、類似性の高い言葉の総称として用いられる。

何はともあれ, やはりアジア圏の中で考えるべきことは確定. 西欧圏の言葉だと多少勘が効くが, アジア圏の言語がかえって何もわからないことが改めて明らかになる.

lapis

既に「層」であることはわかっているし, そもそもそう説明されているので layer ではある. この辺を Wiktionary でもう少し掘ってみる.

  • 英語: Shortened form of lapis lazuli. Noun, lapis (uncountable)
  • Bikol Central: Borrowed from Spanish lapiz ("pencil").
  • Cebuano
    • Etymology 1: Unknown. Noun, the doublespotted queenfish (Scomberoides lysan)
    • Etymology 2: From Spanish lapiz ("pencil"), from Latin lapis ("stone").
  • Indonesian
    • Noun: lapis (plural, first-person possessive lapisku, second-person possessive lapismu, third-person possessive lapisnya)
      • layer, lining
      • row
      • stratum
    • Adjective: in layers
  • Latin: May be connected with Ancient Greek λέπας (lépas, "bare rock, crag"), from Proto-Indo-European *lep- ("to peel"). Confer with saxum - secō, rupēs - rumpō.
  • Tagalog: Borrowed from Spanish lapiz ("pencil").

言語系統が近そうな気がするインドネシアとタガログで大分違うのに少し驚く. 少し気になったのでマレーシアの歴史を見てスペインとの関係を見てみる. Wikipedia だとスペインへの言及がないが, この PDF にあるようにフィリピンのスペイン群島占領はある. 地理的にフィリピンとマレーシアは近いし, 面倒で調べるのをさぼるが, 16 世紀当時は同じ国だったとかいう話もあるかもしれない. スペイン語の影響を受けていてもおかしくないとは言える.

おまけ: lapis lazuri

英語のところにあるが, 機動戦艦ナデシコ劇場版の影響もあり, 私はラピスと言われたらラピスラズリを真っ先に連想するのでそれも調べる.

Medieval Latin lapis ("stone") +‎ lazulī, genitive singular of lazulum ("lapis lazuli, azure, the sky"), from Arabic لَازُوَرْد‎ (lāzuward, "lapis lazuli, azure"), from Persian لاجورد‎ (lâjvard). Compare azure, of the same origin.

アラビア語とペルシャ語の洗礼を受けた. Compare とあるから azure へのリンクもつけておこう. Azure と言われると Microsoft の azure を思い出す.

The clear blue colour of the sky; also, a pigment or dye of this colour.

こう書いてあるので, 空とクラウドがかかっているのだろう. しかし次のような説明もあるのでちょっと笑う.

3 (poetic) The unclouded sky; the blue vault above.

ディズニーパークのラテン語

はじめに

これは私が所属する語学コミュニティに投稿した内容です.

ツイート引用

ディズニーパークにあるラテン語を、引用元や海外パークにあるラテン語も一緒に載せています。かなり濃い内容で私の力作です! Dヲタはこれでラテン語を知り、ラテン語学習者はディズニーの芸の細かさと学識の深さを知っていただけたらと思います。#東京ディズニーランド37周年

これに対する反応

欧米の感覚は全くわからないものの, 向こうだと学校教育で日本の古典をやるのと同じ感覚で, 日本古典で漢籍なり本歌取りなりでさらに昔の知識が出てくるように, 各国の古典を勉強する中でラテン語・ギリシャ語がバリバリの基本的なところを勉強していて, 日本のスーパーで揚げ物コーナーに「春は揚げ物」とある程度の話だとは思います. それでもテーマパークをもっと楽しむというためだけの目的でもラテン語と関連する知識があるといい, そしてそれは欧米の古典文化に触れる入口でもあるという, 少なくとも私と溝江先生の大好物のネタでした.

自分のメモついでに引用した記事から適当に引っ張っておきます.

調査その 1

  1. ギャグファクトリー ギャグファクトリーというショップの出口の上にCARPE GAGEMと書かれています。これは古代ローマの詩人ホラーティウスの『詩集』第1巻第11歌にある"carpe diem"「その日(の実)を摘め(→今日という日を精一杯生きろ)」

Carpe diem は調べるとすぐに seize the day がついでに出てきます. diem (dies) は day がそれなりにすぐ出てきます. carpe は seize から意味・形的に catch とも関係があるかと思ったらそうでもないらしいことを知りました.

前に作った Google 翻訳による多言語検索帳先生で一括検索すると, 「diem = 日」はイタリア語が giorno, フランス語が jour, ドイツ語が Tag, ロシア語が день, スペイン語が dia のようで, 1 番近いイメージがあるイタリア語とフランス語がラテンとかけ離れていて, かえって英語の方が近い感じがあるのが面白いです. 調べ方が悪いという説もありますが.

ちなみに giorno を少し突っ込んで etymoology を見ると次のようになっていました.

  • https://en.wiktionary.org/wiki/giorno
  • From Latin diurnum [tempus]. Doublet of diurno, which was borrowed. Cognate with French jour.

というわけで diurnum から 「neuter nominative singular of diurnus」を辿って diurnus に行くと「From earlier *diusnus, from diūs ("old nominative of diēs") +‎ -nus (suffix forming adjectives). Re-analysed as diū ("by day") +‎ -rnus.」とあるので, dies よりもむしろ古い形から来ているようです. https://en.wiktionary.org/wiki/diurnus#Latin にある dies のリンクを踏むと「Back-formed from the accusative diem」とありました. 何でこんなに変わるのかと思いつつ, giorno の gi と day の d は似た感じの音なので音から辿っていく話かとかいろいろなことを思います.

調査その 2

  1. タワー・オブ・テラー外観 MUNDUS MEA OSTREA EST 「世界は私のアコヤガイであり、それを私は剣で開けてみせる」"という英文の前半のラテン語です。

この日本語からすれば ostrea はオイスターと対応つくのはそれはそう, という感じ. mea は講義でよく出てくる m が「自分」に関係するというやつで my, est はフランス語バリバリですし esse (sum) とかでだいたい見えます.

MUNDUS なんてはじめて聞いたと思いつつ, 何となく「アニマムンディ」はよく聞くなと思ってこれで調べるとゲームや玖瑪のバンドやら「イタリア左官材 Animamundi」やらいろいろ出てくるのでわかる人にはわかるのか, という感じはあります. アニマも anima でまさにアニメの語源なのでこれはこれでまた芋蔓式に辿るヒントではあります.

あとWikipediaを見ると, ギリシャ語のψυχὴ κόσμου psuchè kósmou が出てきます. プシュケーでググると私の場合はグラブル (ゲーム) の「風邪のプシュケー」が出てくるので, このあたりのゲームをやっていると WPE があるのでしょう. WPE といえば kosmou で, いわゆる花のコスモスはこれまた Wikipedia 先生いわく「メキシコにいたスペイン出身の聖職者が中南米原産のコスモスをみて、花びらが整然とバランスよく並んでいることに、ギリシャ語の(調和)と名付けた。」らしいので, コスモスの花からの WPE 叩き込まないといけないとかそういう感じもあります.

ちなみにちょっと気になったで sword の語源を見てみたら https://en.wiktionary.org/wiki/sword で「Proto-Indo-European *seh₂w- ("sharp").」と出てきたので sword は sharp なのかという話も出てきました.

調査その 3

  1. 「犬に注意」 下部にCAVE CANEM「犬に注意」

cave は洞窟とかそちらの英語が頭をよぎるのでちょっと困りました. それはそれとして canem で, 何でこれが犬かというのが気になるわけです. Wiktionary 先生 https://ja.wiktionary.org/wiki/canis を見ると, 古英語 hund がまず目に留まります. ダックスフントの hund か, ドイツ語っぽいという感じがあります. そしてこのページの「諸言語への影響」節にはフランス語の chien があるので, こちらならわかるという感じ. ちなみに hund https://ja.wiktionary.org/wiki/hund を見ると古英語でゲルマン祖語への言及があるので, ロマンス語とゲルマン語の違いが出ている部分かという感じがあります.

調査その 4

  1. ザンビーニ・ブラザーズ・リストランテ IN VINO VERITAS

in vino を見ると in vivo と in vitro が真っ先に頭をよぎります. 多分生物・医学系の人はなおさら.

これだけで際限なく時間が溶けていくのでこのくらいで終わりにしますが, 単語を眺めているだけでいくらでも遊べて時間が溶けてしまうという話でした.

数学と第 2 外国語

はじめに

Ask.fm のをまとめておこう.

こんな質問がきた.

質問の引用

来年度数学科にいく予定なのですが 高校の化学の先生が第二外国語の選択が原因で研究室だかに入れなかったらしいのですが 数学科で第二外国語を考える際に専門との相性があればを教えてください

回答

2 外が原因で研究室入れなかったというのうさんくさいことこの上ないが, とりあえずこう答えた.

代数幾何・数論幾何はフランス勢が非常に強く, しかもフランス語で超がつくほど重要な論文・文献を書いてくることがあるので, フランス語を読み書きできるとかなり便利だと聞いています. 冷戦時代の名残でロシアの文献が引用される分野もあるようで, その場合はロシア語も必要かもしれません. 私も一度, ロシア語の確率論の教科書が引用されている論文に出会って殺意を抱いたことがあります.

ただ最近はもう大概英語だと思うので必要以上に気にすることは無いのではないか説を提唱しておきます. 気になるならとりあえずフランス語ではないでしょうか. ちなみに私はドイツ語でしたが, 理由はヘルシングで出てきた「 Freulein 」を言いたかったからです. そしてそれとは全く関係ないですが, アインシュタインの特殊相対論の論文を原語で読む機会が得られました.

追加質問

あと追加でこんな質問が来た.

フランス勢が強いという回答がありましたが, 分野によってあそこの国が強い, みたいなのあるのですか?

回答

そしてこう返した.

簡単な話で, その分野のリーダーがいるかどうかということです. フランスは Weil, Serre, Grothendieck など 代数幾何, 数論幾何のリーダーがいました. フランス人がイギリス・アメリカに対抗して 自国語で大事な文献を書いてくるとかいうふざけた真似をしてくる 特性があるのが腹立たしいですが.

ロシアは確率論でコルモゴロフ, 表現論でゲルファントなどの巨人がいます. 幾何でグロモフやアーノルドもいます. ロシアは冷戦終結後, 有名人が各地に散ってしまって ちょっと悲しいところもあるようですが, 物理でも強いです. フランス語文献があるかは分かりませんが, 例えば関数解析・微分方程式論でもフランスは強いです. Lions 親子だとか色々です.

もっと言うなら, 国とかいうよりも大学レベルの話にすらなってきます. 例えば荒木不二洋先生が京都・ RIMS を作用素環の研究センターになるよう 尽力した話とか色々あります.

長くなりましたが, 数学も人がやっていることなので その範囲ではそんなに特殊なことだと思うことはないですよ, と言う話でした. 「細かい作業は日本のお家芸」とか何とか良く言われるのと 同じような感じだと勝手に思っています.

追記

Paul 筋の情報だ.

元フランス首相として一言「当然フランス語です!」 ドイツ語は 1970 年代以降競争力を失いました. ロシア語は主要なものはすぐに英訳がでます. QT ".@phasetr 【 数学と第 2 外国語】よくわからない数学"

ということらしいので関係各位は注目しておくように.

ラベル

数学, 語学, 数学者

記事紹介: 「UNLIMITED BLADE WORKSの英語の祝詞に隠された謎を追え」

何か見つけたので.

シリーズで三つあって次の通り.

そもそも英語版をきちんと読んだことがなかったのでこんな英語だったのかという感. 評価する英語の力を持っていないのだが記録しておく.

英語での専門用語

misc

  • colloquial: 口語

格の英語対応

日本語 英語
主格 nominative
対格 accusative
属格 genitive
与格 dative
具格 instrumental
奪格 ablative
位格 locative
呼格 vocative

A is to B what C is to D

  • https://twitter.com/Kazuma_Kitamura/status/1215776116155113472
  • https://twitter.com/StephenKing/status/1215774654473916418

「Truth is to Trump what kryptonite is to Superman.」が Twitter で話題だったのでシェアしておきます.

私がわかる範囲だととりあえずふたつポイントがあります. ひとつは「A is to B what C is to D.」自体で, 文法というか構文か慣用表現というか, とにかくその知識がなければ, 比較的簡単な単語だけの短文であっても正確に読めないことです.

もうひとつは文化への理解, それもちょっとしたサブカルチャーに関する話です. スーパーマンの話をまるで知らなかったので kryptonite が何なのかわからなかったのですが, スーパーヒーロー「スーパーマン」の弱点の架空の物質だそうで. 日本語でスーパーの揚げ物コーナーで「はるはあげもの」という幟が話題になったのを見たことがあり, ちょっと突っ込むとこの手の文化ネタはすぐに出てきますし, 聖書やら有名な文学作品の一節やら, 知らないと日常生活で困るのにどう勉強したらいいのかわからなくて困る事案です. 英語だと聖書やらシェイクスピアやら何やら, 多少なりとも想像つきますが, 中国語でこの手の話題には何があたるのかさえわかりません.

ちなみに, この手の話, 数学でも冗談ではなくて, 貼った画像のように, 数学の本でいきなりゲーテやらスウィフトのガリバー旅行記やら, ロックの書簡やらが引用されてくるからです. ゲーテのは (数学関係者には) 有名ですし, ガリバー旅行記も探そうと思えば探しやすいですが, ロックの書簡とかどうしろというのか. これはまだわかりやすい方ですが, 時々どういう意図で引用したのか全くわからない一節もあります. それで数学の理解に困ることは一切ないのですがある種の断絶は常に感じます.

「タピる」の解析: 「外来語の形態論研究:外来語系接辞と新語形成」

ツイートへのリンク

Twitter を眺めていたら「タピる」の用法分析 (を含む外来語の議論) の文献が流れてきたのでシェアします. 能動態と受動態で意味が大きく変わる事例が存在するとかいう面白い現象があるようで, 英語やそのほかの国の言葉で類似の現象がないかと考えたものの, やはりすぐに思いつかないのが悲しいところ.

ツイート自体も引用しておきます.

ツイート引用

「タピる」の多義性、めっちゃ面白い! 実は次に出す本に「タピる」の曖昧性の例を入れたのだが、これほどまでに用法が多岐に及んでいるとは知らなんだ 受動態では能動態にはない意味が出てくるとか面白すぎる。 もっと早く知ってたらよかった。

『日本語と日本文学』が筑波大のリポジトリに入ったので以前何度か宣伝した次の論文もweb経由で読めるようになりました:「外来語の形態論研究:外来語系接辞と新語形成」 外来語系の接辞にどんなものがありそうかの検討とあと「タピる」の簡単な記述など

ちなみにパネルディスカッション「借用語と日本社会」の巻頭言のようなものも書きました:「借用と外来語と社会」 3ページほどの短いものですが,外来語の言い換えに絡めてコロナ禍にも少しだけ触れています

ふと気になったのでWikipedia先生でタピオカを調べてみたら, オランダ語で大元はブラジル先住民のトゥピ語だとか.

Twitter まとめ: ケンブリッジ大学の古代ギリシャ語辞典の新版に対するコメント

はじめに

Twitter で流れてきたので引用しておきます. 印象的だったのは次のコメント.

古代ギリシャ語はもちろん「死語」だから変化しませんが、私たちは変わっていく……。21世紀の「現代語訳」版、すごく熱いですね。

Twitter 引用

「アナと雪の女王」とFrozen

ツイート

引用

『アナと雪の女王』の原題はFrozenだが, こういうふうに過去分詞をぽんっと投げ出してなにかのタイトルにするという英語のノリにはなかなか趣がある. 「この作品はとにかくいろんなことが frozen なもんでよろしく」というわけだ. 当然, とにかくいろんなことが melt する話なのだとも暗示される.

『塔の上のラプンツェル』の原題は Tangled で, Frozen と同じノリだ. むろんこれも, 「とにかくなんかもつれてるものがほどける話」なわけだ. こういう過去分詞タイトルは訳しにくい. 直訳してるのが, これもディズニーのミュージカル『魔法にかけられて Enchanted 』だけど, やっぱり口幅ったいよね.

こういうタイトルの付けかたに興味を持ったのは, 『奥様は魔女』の原題が Bewitched だと気づいた中学生のころだった. 幼いころからさんざん観ているオープニングのアニメで, サマンサが箒に乗って飛んできて夜空に Bewitched と綴るのだが, ある程度英語がわかるようになるまでは興味が向かなかった.

『千と千尋の神隠し』の英題は Spirited Away (神隠しに会って) で, これも過去分詞タイトル. 『千と千尋…』のほうが先なのに, 将来は Tangled や Frozen に倣って付けたみたいに見えちゃうかもしれないのが, ちょっと癪だ.

説明のために「過去分詞」とか言ってるが, 白紙状態の英語圏の子供が日常会話から英語を学習してゆく過程を想像すれば, 子供は文法用語で考えているわけではないから, 動詞の過去分詞と形容詞を頭の中で画然と区別などしていないはずなのだ. 地続きになっている. いや, 大人だってそうだ.

われわれ外国人は, この逆のプロセスをたどる. 型を理解し覚えるところから入り, 鍛錬によってやがて型を意識から消す. 松本道弘氏がむかしから"英語道"を提唱しているが, おれも語学というのはちっとも学ではなく, 武道みたいなものだと思う. だから, 文法というのは, 外国語習得には非常に重要だ.

なんだか, いつのまにか学校での英語教育が文法軽視になっていることに危機感を覚える. 会話重視という方針ならそれもよいが, まるで文法を軽視すれば会話重視になるかのように思っているのだとしたら, とんだ了見ちがいだと思う.

文法に従って話そうとするがあまりに流暢さが犠牲になるのはよくないという理屈もわからんではないが, 文法を疎かにすれば, 流暢に話せるようになるわけではない. そんな話しかたは, ただ幼稚なだけだ. めざすべきは, 文法という型を頭で理解し, その型が意識から消えるまで鍛錬を積むことだろう.

えっと, なんの話だっけ? そうそう, Frozen ってタイトルね. 中学・高校の先生は, せっかくアナ雪 2 が公開されているのだから, 「これ, 過去分詞だよね? 」から入って, 文法と守破離といった雑談をしてあげれば, 日本文化の教育にもなるのではなかろうか.

近年ご活躍の英語の先生では, おれは大西泰斗氏が好きだ. 深い言語学的知識に立脚しながら, 「ネイティブスピーカーの頭の中にはどういうイメージが浮かんでいるのか?」を日本人にも腹落ちするロジックに落とし込んで教えているのはすごい. どうしてこういう人を入試改革のブレーンに入れないのか?

そうそう, ジュディ・オングの「魅せられて」なんてのは, ものすごくバタ臭いタイトルだよね. 「魅せられて」以前にも多々あるとは思うが, こういうのはおそらく, 英語の過去分詞タイトルのノリを内在化している人が, 日本語でもやってみようと輸入したんじゃなかろうかと思っている.

伸びてきたので本の紹介. 英語の授業なのに日本語への"訳しかた"ばかりを詰め込まれるような誤った英語教育を受けてしまい, 全然腹落ちしないともやもやしている方におすすめ. 本来, こういう教えかたがあたりまえであるべき.

ベヘモト(ベヒーモス)とカバ

はじめに

私が所属している語学コミュニティに投稿したコメントです.

引用

ベヘモト (七十人訳ではθηρiα「獣」) 「すべての記述を慎重に検討した結果, カバだけが該当する唯一の動物であり, ベヘモットについての記述のすべてが, これまでわかっているカバの習性に明らかに合致するとの確信を持つに至った」 (ウィリアム・スミス『聖書動物大事典』)

コメント

雑なネタを放り込んでばかりで申し訳ないのですが, 単語一語に対して関連する記述を追いかけに追いかけて, 言葉の起源を多面的に追いかけるこの辺の話がすごい好きで, 溝江先生の話が好きなのもこの辺の事情がかなりあります.

文献学

最近の文献学は書物の電子化を進めていて, 全文検索で単語が出てくるところを簡単に串刺し検索できるようになってきて, 文献学のIT化で文献学が新たな局面を迎えているとかいう話も聞きます. そういうのがもっとアクセスしやすくならないかな, と思いつつ, 国際的にやらなければいけないはずで誰がどんな責任と資金でメンテナンスを続けるのか, とても気になるところでもあります.

カリグラフィーの文化

Twitter で流れてきたのですが, 文字を書くことそれ自体がアートになる文化, 文字を持つ文化にとってどのくらい普遍的なのでしょうか.

次のページを見ると, 欧米系はもちろんのこと, アラビア文字でもカリグラフィーアートがあるようです.

文字読めないので真贋判定できませんが, タイのカリグラフィーもありました.

漢字と日本語とベトナム語情報

ツイートへのリンク

英語のおかげでヨーロッパ系の言語は割と感覚がわかるのですが, アジア人なのにアジア系の言語への感覚がないのが前から問題だと思っています. その点から中国語も興味があるのですが, サンスクリットはアジアとヨーロッパの言語をつなぐ架け橋ではないかと推測していて, サンスクリットおよびサンスクリット周辺の言語にはかなり興味がありつつ, どう勉強したらいいのかよくわからない状況が続いています.

ツイート引用

ベトナムから来て日本に長いこといる友達が, 「日本で漢字を学んでからベトナムの言葉の本当の意味がわかって面白かった」と言ってたなぁ. これには奥深い理由があって, 続きます.

ベトナムでは昔漢字を使ってたけど, アルファベットに移行したので, 音は漢字ベースだけど表記がアルファベットになっている. そのため, 本来漢字が持っていた意味はベトナム語表記からは読み取れないらしい. それが日本で漢字を学ぶことでわかるようになったとのこと.

だからベトナム人にとって漢字を学ぶのは簡単だと彼は言っていた. どうやら文字はなくても言葉のそこここに漢字の名残があるらしく, すぐにわかるようになったとのこと.

漢字からアルファベットに移行したのはフランス植民地時代だけど, 元々使っていた漢字は難しくて一部のエリート層だけのものだったらしい. それでその時代にエリート層がアルファベット切り替えに賛同したので十数年で一気に置き換わったと.

彼曰く漢字文化圏はアジアの中でも中国, 朝鮮半島, ベトナム, 日本だけらしい. ベトナムとカンボジアの境には山脈があり交流がなかったこと, ベトナム南部は今でこそ開拓されているが昔は湿地帯で人が住める場所ではなく, 内陸と分断されていたことが原因だそうで.

なぜ中国語でなく日本語の漢字でベトナムの言葉がより深くわかるようになったか? ここにも面白いエピソードがある.

ベトナムは唐の時代に中国と交流が盛んで, 唐の漢字が主に使われていたらしい. 日本も遣唐使の影響でおそらく唐代の漢字が多いと思われる. さらに言語の変化で一般的なことらしいのですが, 言語は発祥の地の方が変化が大きい. 例えばアメリカの英語の方がイギリスの英語より古い表現だそうで.

この理由で, 中国では結構言語が変わっているけど, 昔に漢字が伝わったベトナムと日本では使い方が似ている, 自国と同時期に文化が伝来した他国の文化を知ることで, 自国のことがより深くわかるという, とても興味深い話でした.

例えばハノイは河内, ホーチミンは胡志明ですね.

古い物ですが『漢字民族の決断』というその辺りのことが書かれた本があります. もしご興味あれば.

以前新聞に, 江戸時代にベトナムから日本に届いた手紙が見つかったと. けっこう意味わかるんです, すごいことに. (たぶん) 2013 年日越合作ドラマ, 愛しき百年の友へ, 浅羽佐喜太郎とファン・ホイ・チャウの交流, の中で二人は (会話ができないので) 漢文でやり取りするんです. 当時漢文は日越の共通書き言葉だったんですね. 勉強になりました.

ベトナムって何故か地理的に近い中韓よりも文化的に日本と近い部分があるんだよね… シンプルなミニマリズムを好むとかアッサリ味を好む食文化とか.

中国語の「方言」問題

ツイート

ちなみに, 北京語と広東語ではコミュニケーションは全く成立しません. 香港映画も広東人以外は日本人と同じく字幕を見ます. 東京弁に対する津軽弁なんて次元ではありません. 広東語になると文法・一部語順まで違ってくるので別言語. 英語とイタリア語くらいの違いは軽くあります.

「私は日本人です」 5 連発

  • 北京語 (普通話):ウォースーリーペンレン
  • 上海語:アラズサパニン
  • 台湾語:ゴアーシージップンナン (リップンラン)
  • 広東語:ンゴーハイヤップンヤン
  • 客家語:ンガイヘイニップンニン

漢字で書くと我是日本人 (広・客は我係日本人) ですが, これだけ違います.

コメント

中国語の方言問題, 時々の支配地域や中央政権の場所やら何やら歴史的経緯が死ぬほどあるはずで, 方言に見る中国史みたいな話が面白そうだと前から思っているのですが, どうすると勉強できるのかいまだによくわかっていません. 理工系の中高生向けコンテンツを拡充したいと前からずっと思っていて, そういうところにこういう補助教材をいろいろぶつけたいと思うだけ思って, 具体化に至らず幾星霜という感じです.

三国志で学ぶ中国語

Twitter から

最近中国語をどう勉強していくかをいろいろ考えているのですが, Twitter で次のようなツイートを見かけました.

武漢のある湖北省、どこにあるのかイマイチ地理的感覚ないはずなのに「荊州」という三国志語に翻訳すると不思議なことに多くの日本人が一発で場所わかる。

コンテンツ

何せ漫画もあれば映画なり何なり word-picture-emotion しやすいコンテンツもたくさんあるので「三国志で学ぶ中国語」みたいなの確かによさそう, と思って探すと同じことを考える人はたくさんいるようで, いろいろありました.

現代中国語訳もたくさんあるでしょうし, 翻訳もたぶんいろいろな言語であるでしょうから, 多言語をまたいだ勉強もやりやすそうな.

イラスト辞典

そして, 全然関係ないのですが, 適当に眺めていて Amazon で見つけたのがこれ.

中国で刊行された本の日本語版なので、日本では描けないイラストが満載。例えば「肉屋」と言っても、日本人がイメージする肉屋と、中国の肉屋は違います。また、外国人が目にすることのない身分証や冠婚葬祭には、よく分からないものがあります。それらを絵で確認しながら単語を覚えられる本です。15分野142の場面で再現、4,000語以上を収録!

ゴリゴリの word-picture-emotion な上に, 中国人がイメージする word-picture-emotion が書かれているようなのでよさそう.

中国語ネットスラングと Twitter 語学

中国語数字ネットスラングとかいうのを見かけたので. IT 系の技術者だと 404 など HTTP のステータスコードを使うのがよくあります.

それはそうと, Twitter で語学系 bot を中心に適当に集めたリストを作ったので, これもシェアしておきます.

カラチャイ・バルカル語botというはじめて聞いた言語もありますし, パーリ語botのようなのもあります. Wikipedia 先生によると, パーリ語は「母語話者はいない。上座部仏教の経典で用いられる。」ということなので, 「ふつうの人」が日常生活で意識することがないような言語ですが, こんなのでも bot を作っている人はいます.

ただ, 「ふつうの人」が日常で意識することはないとはいっても, 「ふつうでない人」なら意識することはあるわけで, 例えば須弥山のような語彙がパーリ語にあります.

これは仏教系の世界観を持つアニメ・漫画・ゲーム・小説などでは今でも生きている語彙です. ちゃんとアニメ・漫画・ゲームなどをやっていると, この辺の知識が何となく手に入ります.

「指をはさまないでください」

  • [ツイート] (https://twitter.com/Sukuitohananika/status/1167562346878795776)
  • [ツイートへの反応] (https://twitter.com/zoeai/status/1167599862289817600)

ホテルのクローゼットの扉に「指をはさまないでください」と書かれてるのだが, 日本語としてなんだが変な気がする. しかしどこがどうして変なのかを言葉にして言えない. 言語とはほんとに難しいものだ.

仮説 (自分用メモ): - 「(- し) ないでください」は, 「意図的な行為を意志を持って慎んでください」という命令 - 「扉に指を挟む」は意図的な行為ではないので, 慎むことができない - この文が変だと思う人は, おそらく「風邪を引かないでください」「事故に遭わないでください」も変だと感じる

手話研究における親の存在

面白いというのも厳しい話ですが, 「手話研究における親の存在」という記事が流れてきたのでシェアしておきます. いくつか語学的な記述を抜いておきます.

学齢期になってはじめて聾学校に入り,6歳をすぎてから手話に触れることになったろう者たちは30年経ってもネイティブとは異なる文法で手話を使っている,第二言語である英語もまた伸び悩む。ネイティブサイナー (手話を母語とする人) であれば,第二言語である英語は伸びる人もいればそうでない人もいる(日本語話者の英語がそうであるように)。

もうひとつ,重要な研究が,心の理論の研究である。Schick et al.(2007)の規模の大きめの調査(N=176)で,ネイティブサイナー(親がろう者のろう児)は定型発達と同等の心の理論の発達を見せるが,親が聞こえる,手話で育ったろう児はそれよりも劣り,音声英語で育つろう児はさらに遅い,というものである。

ニカラグアの手話の話は,「子育ての大誤解」の下巻に載っている。わからない人は読んでほしい。大雑把にいうと,ろう児を集めたら手話言語ができたよ,って話だ。1世代目の子どもたちは完全に「言語」といえるものではなかったが,2世代目になると,しっかり複雑な構造を持つ言語になった。

親から引き離して,聾学校にいれたほうが,子どもは生き生きと自分たちの言語を「創り出して」身につけてしまう,という話は強烈だし,たぶん手話を導入したいというときに越えなければならない壁として存在する。

この辺, 私が気になるのは, 私自身吃音という言語障害があるからです. 聞き取れはしますが, 発話が割と厳しいのです. (YouTube で実験的に喋る動画も出しているのですが, 「話し方が気持ち悪い」というコメントがつくこともあります.) 英会話に興味が持ち切れないのも実はこの辺に理由があります. 英語に限らず, そもそも話すこと自体に強烈な忌避感があるので. 視覚障害だと逆に文章が読めないわけで, コミュニケーションは手法のレベルでいつも本当に難しいです.

英語をどう教えるか?

今日の講義で英語をどう教えるか, みたいな話があったので勝手に私の事例を書いておきます. 実はいま, 地元の区の理工系教育に何か絡めないかと思い, たまたま最近知り合いが区議になったこともあって相談・提案をしています. (添付ファイルが現状の提案内容です.) 理工系を志す中高生にターゲットを限定した上で, 私が英語を教えるなら, アインシュタインの特殊相対性理論の論文 (原論文はドイツ語なので英訳) を読むスタイルで教えます. さしあたって, 英単語をやりつつ, 日本語訳を読みながらでいいからとにかく英文にアタックしろ, というスタイルで突っ込んでいきます. これには (私と同じ趣味の) 理工系に限定した部分が効いています. 理工系の専門用語は英語・日本語ともに格好よくて濫用したくなるので, そういう事情を使っています. 勝手にくり返す (くり返したくなる) 格好いい単語があるので, それで記憶にとって重要なものの, 退屈になりがちな反復を乗り越えてもらいます. また, 理工系に限らず, 相対性理論は人の興味を引くようで, 「文系だが相対性理論は理解してみたい」という人も一定数いたりします. それを理解したいという強烈なモチベーションがある前提なので, それなら突撃しろという感じでやります. 日常会話ベースだと本当にやる気が出ない性質の人を相手にする想定なので, それならはじめから本丸に突撃するぞ, という趣旨です. 論文レベルの書き言葉なので, 文法事項はかなり固く守られていますし, 1 文もそれなりに長く, 最低限文法がわかっていないと読めません. 中高生がふだん触れる学校英語・受験英語がどれだけ大事かわかるという点からも, とにかく本物に触れろ, 最終目標物に触れてこい, そういうスタンスでやります.

話が少し変わりますが, 実は私は大学のとき, ドイツ語でアインシュタインの相対性理論の原論文を読もうというドイツ語の講義があり, それで途中まで原論文を読んだことがあります. 1 文 1 文がやたら長くて閉口した記憶があり, コンテンツ作成のために眺めていて, 改めて読むのがつらい文章です. 講義の担当教員はふつうに文学系の教員だったのですが, やはり理解したいからといってがんばって原論文を読んだ人のようで, 「アインシュタインのドイツ語は非常に上品ですばらしい. ドイツ語教材としてもっと使うべきとさえ思う」と言っていました. 印象的な一言だったので今も覚えています.

さらに語学・言語学という面でいうなら, 私にとって物理は自然とコミュニケーションするための語学で, 数学は語学かつ言語学です. 英語は物理・数学・プログラミングをしようとしている人とのコミュニケーションツールです. プログラミング言語にも文法があり, 基本的な言語体系が何となく英語なので, プログラミングの勉強も英語の勉強の側面があります. この 3 点セットで自然とコミュニケーションするための「語学」をやろう, というのが骨子です. 理工系にとって数学は冗談抜きで第二言語です. 物理だとまず共通語は broken English で, あとは式さえ書けばもう話は通じるという教育を受けてきました. そこまで含めた総合的な語学教育・理工系コミュニケーション術みたいなところが目標です.

そのあたりで今日たまたまいろいろ考えていたのですが, 私が知る限り, この 3 つのうちのどれも, できない人は WPE の Picture と Emotion に課題があるように思います. 例えば電磁気学の話をしていてアルファベット E を見たら, これは電場であって, 関連する電磁現象が頭の中を飛び回ります. それは適当な意味で絵画・映像的な要素がありますし, それなりに感情をゆさぶる部分があるのです. Emotion はともかく, Picture に関してはプログラムでお絵描きできますし, それがいまの私の仕事でもあります. そういうのも兼ねて総合的な「理工系の語学」みたいなことを企画し, 進めています.

東京都台東区御徒町のインド人宝石商にみる徒弟制

Twitter で謎の卒論を見つけたのでシェアしておきます.

『東京都台東区御徒町のインド人宝石商にみる徒弟制』 ネット検索中に偶然発見した卒業論文。 御徒町で商売しているインド人宝石商の徒弟制度やジャイナ教に始まり、 宝石商になった経緯や修行などインタビューをもとに深く分析した文献になっています。

ヒンディー語 (?) に詳しい方, 溝江塾にいたでしょうか? 一般参加できるのかわかりませんが, 次のようなお祭りもあるそうです. 見に行けるならどんなものか眺めてみたいとは思います.

ジャイナ教のお祭りマハヴィーラジャヤンティーが 8 月に御徒町で開催された

次のようなページも見つけました.

日本人なら読めるけど外国人を死ぬほど苦しめる文章

元ツイートとリプライのツリーを転載します.

元ツイート

日本人なら読めるけど外国人を死ぬほど苦しめる文章が海外の掲示板で話題になってた

生花 (いけばな) を生甲斐 (いきがい) にした生え (はえ) 抜きの生 (き) 娘. 生絹 (すずし) を生業 (なりわい) に生計立てた. 生 (お) い立ちは生 (なま) 半可でなかった. 生憎 (あいにく) 生前 (せいぜん) は生 (う) まれてこのかた生涯 (しょうがい) 通して生粋 (きっすい) の生 (うぶ) だった.

それに対して『死』の読みが一個しかないのすき

バランス悪くて凄い. 人名や地名に死がついてたら嫌だけど笑.

地名では死人沢、鬼死骸、死骨崎. 人名では不死川なんかがある.

生の読み方一覧

  • 生る【ある】神などが生まれる事
  • 生憎【あいにく】
  • 紙生里【かみあがり】岩手県の地名
  • 生明【あさみ・あざみ】人名
  • 生憎心【あやにくごころ】意地の悪い心
  • 生【あり】
  • 御生山【みあれやま】京都の山
  • 生きる【いきる】
  • 生野【いかの】香川の地名
  • 生名【いき】愛知の地名
  • 生田【いくた】地名や神社
  • 生垣【いけがき】
  • 生悦【いげずみ】
  • 生【いのち】
  • 生む【うむ】
  • 生【うぶみ】
  • 生井【うまい】人名
  • 園生【そのえ】人名
  • 生い立ち【お】
  • 相生【あいおい】
  • 生く【おいゆく】
  • 桐生【きりおう】人名
  • 生谷【おぶかい】千葉の地名
  • 生内【おぼない】人名
  • 生内【おもうち】人名
  • 生振【おやふる】北海道の地名
  • 生実【おゆみ】千葉の地名
  • 生地【おんじ】人名
  • 生地【きじ】
  • 御園生【みそのぎ】人名
  • 萩生【はぎう】千葉の地名
  • 生粋【きっすい】
  • 萩生田【はぎゅうた】人名
  • 武生山【たきゅうさん】
  • 萩生【はぎゅう】
  • 皆生【かいけ】鳥取の地名
  • 栄生【さこ】人名
  • 菅生屋【すごや】
  • 桐生【きりこう】人名
  • 烏生田【うごうだ】栃木の地名
  • 生江【こまえ】人名
  • 福生【ふっさ】東京の地名
  • 作麼生【そもさん】仏教用語
  • 久生屋【くしや】地名
  • 衆生【しゅじょう】仏教用語
  • 自然生【じねんじょ】自然薯、山芋
  • 生姜【しょうが】
  • 誕生【たんじょう】
  • 生絹【すずし】
  • 早生【わせ】早く育つ植物
  • 生活【せいかつ】
  • 麻生【あそう】人名
  • 生る【なる】
  • 子生【こなじ】茨城の地名
  • 日生【ひなせ】岡山の地名
  • 生【なま】
  • 生節【なまりぶし】鰹の食品
  • 生業【なりわい】
  • 羽生【はにゅう】人名
  • 生える【はえる】
  • 芝生【しばふ】
  • 竹生【ちくぶ】地名
  • 壬生【みぶの】人名
  • 不生女【うまずめ】
  • 生板【まないた】
  • 麻生【あさみ】人名
  • 弥生【やよい】
  • 桐生【きりゅう】
  • 浦生【うろ】
  • 丹生【にわ】人名

日本語での擬音と擬態語

英訳が本当に難しいのが擬音と擬態語. こればっかりは作品やその内容によって調整するしかない. 以前に指摘したかもしれないが, 日本語の擬音・擬態語にはその豊かさ故にに高度な論理性が構築されている. すこし長い話になるかもしれませんが, 非常に興味深いのでちょっとだけ言及します.

言語学では言語はシニフィアン「記号表現」とシニフィエ「記号内容」で構成されているとしています. 最初にこの関係を提唱したソシュールは基本的にこの関係は一方的だとしました. 「木」記号と「自然界に溢れる植物」という概念を結びつける理由は特にありません. これを「記号の恣意性」といいます. つまり「き (木) 」という音には特に意味がなく, 「自然界に溢れる植物」という概念を共有するための単なる記号であり, 代替がいくらでも効くということです. ソシュールは言語を構成している単語は全てこのようになっているとしていました. シニフィアン (音や文字などの記号) 独自には独立した意味がないというのはその後の議論で「どのような記号を使うかでその意味に影響を与える」という曲面にも発展しますが, 主に概念の区分の重複という側面が強調されます. つまり植物の木は群生するから「木」で「森」を連想するという具合です.

問題は擬音と擬態語です. 例えば「むにゅ」 (柔らかい) と「ぐちゃ」 (液体音) ですが, 前者は擬態語 (柔らかには音はありません) ですが, 後者は擬音 (「液体が生む音を連想させている」) なので語源がことなります. しかし日本の擬音・擬態語のすごいのはこれらを組み合わせることができるのです. 「むにゅ」 (柔らかい) + 「ぐちゃ」 (液体音) で「ぬちゃ」 (粘性の高い接触音) が出来ました. 「むにゅ」 (柔らかい) と「にゃー」 (ねこの鳴き声) を結びつけるものは特にありません. しかし女子が「にゅ」と可愛らしく言うと「温和に感じで反応している」となります. 「たわわ」という単語も面白いです. たわわは元々「たわむ (撓む) 」から来たのですが, 「果物が大きく実り, 枝が曲がった状態」なのが「果実が大きい」となり, これを巨乳になぞらえていますが, 比村さんの努力結果, 「ふくよかさ」という擬態語に進化しています. このように「たわわ」なるシニフィアン (記号表現) は「枝がしなるくらい重さ」なるシニフィエ「記号内容」を描くだけではなく, 「やわらかい」「大きい」「魅力的」という意味合いも含むようになりました. 記号表現と記号内容の一方性がある意味, 双方向で働くようになったのがわかるでしょうか. この双方向性についてはその後のボードリヤールは「受け手側にとって記号自体に実態を見出して, 虚像が真実となる (要約) 」とかバルトは「記号自体により記号内容を押し広げる含意や連想, 暗示を内包できる (要約) 」としました. 記号は凝り固まったものではなく絶えず変容・再構築されているのです.

さて豊かなに広がる擬態語と擬音の世界 (日本のマンガ) を原則として擬態語が存在せず, 擬音のバリエーションが少ない言語 (英語) に翻訳するとなるどうなるか. これは本当に大変. 取り組み方は色々ありますが, まずマンガの擬音・擬態語は独自の言語を形成しているのを理解するのが大事だと思います.

言語と性別

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Everyone {is/*are} free to express {his/their} opinion. からわかるように, everyone は動詞を単数扱いする. ただ, 代名詞でうけるときは単複両方可能. 最近はジェンダーの配慮から性別が表にでない their が使われる傾向にある. 『正しく書いて読むための 英文法用語事典』 (朝倉書店)

コメント

前も見かけたのですが, 最近, 英語でジェンダーの観点から their を単数で受けることがあるとか. そして, 英語情報はよく見かけますが (私の観測範囲の問題によって) 他の言語での状況はわかっていません. 男女の区別がある言語で取り込まれるとしたらどうなるのか, 中性がある言語ではどうなるのか, 色々気になることがあります.

タイだと「性別」が 18 ある (他の国だかタイだか忘れましたが, もっと性別がある国があったような) ようです. タイ語全く知らないものの, こういう国では人称と言語表現問題はどう認識されるのかとか, 文化・歴史と言語の問題は色々気になります.

雑多なツイートまとめ

参考Twitterアカウント

お茶の言語地理学

「お茶」という単語が cha 型か tea 型か, というのを調べてみてどうなるか調査した図だそうです. どうやって語が伝播したのか, 歴史的・文化的にどうなっているかがとても気になります.

漢字の成り立ちと最初期の字形

Twitter で次の記事が流れてきたのでシェアしておきます.

  • 「漢字の成り立ち」を語る際は、最も初期の字形を根拠にしなければならない------「丁・正・以・亡・家・安」の字源を例として
  • URL

相変わらず知識がないので内容について何もコメントできませんが, 日本人にとって漢字は中途半端に知った気になっている対象なので簡単に足元をすくわれるのだろうは思います. こういうのでいつも思うのはきちんとした情報がどこにあって, それをどう探せばいいのかからして何もわからないことです. ふだんヨーロッパ系の言語を調べるとき適当に wiktionary を使っているものの, その記述がどこまで正しいのか, どこでどう担保されているのか全くわかっていません. このあたり, 興味の有無に関わらずきちんと基礎から体系的にゴリゴリと詰め込まれてきた, 専門教育を受けてきた人達との大きな違いです. 素人が手を出すと怪我をするとも言えるのでしょう.

どういう視点で見るかによって変わりはしますが, 私にとっていい加減な理解をしたときの 1 番の問題はもっと面白い話にアクセスできなくなることです. 一度「そう」と思い込んでしまうとその思い込みから抜け出せないのはよくあることで, 知った気・わかった気になるとそこで歩みも止まるので.

どうしたものかと思いつつ, 日々適当にやっています.

2020-07-26 リーチェン, Legion

広義言語ネタということでシェアしておきます。「リーチェンという村名がラテン語のローマ軍団を表すLegionに近い」そうなので、言語 (方言) やら何やら, 何か文化的な痕跡が他にないのかが気になります.

ポケモン名とラテン語

Twitter で見かけたのでポケモン名に見るラテン語という話題をシェアしておきます.

  • https://twitter.com/anima_divina/status/1234859744789254144?s=21
  • 【ポケモン名のつくりかた】"神秘の狛犬" ウインディ(Arcanine) ~ラテン語から英語へ~【言語系小悪魔女神新人Vtuberアニマより】
  • https://www.youtube.com/watch?v=a5Hs7hkDlr8

新型コロナウイルスが生む略語

アメリカの同僚からのメールに「BECV」という略語が頻発するので意味を聞いたら, 「By the Effect of Corona Viruses」コロナウイルスの影響により, の略だった. 社会事象は新たな言葉を生む…

局所的な事例だそうですが, BECV という略語が爆誕しているようです. この間も話があった三密などと同じく. 同じく Twitter で三密という言葉が定着してしまうの, 仏教への配慮をもう少ししてほしい, みたいなことを言っている人もいました.

フィリピンのユニセックストイレ情報

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画像が面白いツイートです.

コメント

タイではありませんが, フィリピンのユニセックストイレ情報です.

適当に見ていて見過していましたが, 英語を使っている上に点字があります. フィリピンはタガログ語と英語が公用語でした. 前も何かで調べた記憶はありつつ, Wikipedia でいま改めて調べて何も覚えていないことを思い出しました.

さらに点字は国際的にどういう扱いなのかと思ったら 2017 年に日本発で国際化提案しているとか何とか.

手話も各国語版がありつつ国際手話もあり, Wikipedia いわく一種のピジン語だそうで. 手話での単語はまさに word-picture なので言語感覚の涵養に役立つ気もしますが, そういう話は今まで観測範囲にありませんでした. まさに体を動かして話す言語ですし, いろいろ突っ込んでやってみる価値はあるのではないかという気はします.

あとで眺めるメモ

特に抽象概念をどう表現するかという部分がかなり気になっています.

中国各地方での「日本」の発音, スイス方言

右作用・左作用と英語表現

これは私が所属している語学コミュニティに投稿したコメントです.

ツイート引用

数学・語学ネタを見つけたのでシェアしておきます.

数学の専門用語に対する簡単な解説

一応書いておくと, ここでの作用 action は表現論の専門用語で, 右作用は right action, 左作用は left action です.

念のため書いておくと, 「正しい」の意味での right を使った Is this right? とまぎらわしいから right を correct に言い換えたというのは数学に関係ない話です.

学生時代, 竹崎正道先生から「解析はよく左作用を使うが代数はよく右作用を使う」と言われたのを思い出します.

なぜ右が「正しい」のか?

それはそれとして, 左右, 特に right と言えば「正しい」といった意味を持つ不思議な単語で, この辺はキリスト教に由来すると聞いています.

この辺の事情をはじめて知ったのは (割と有名なはずの) ライトノベル, 「とある魔術の禁止目録」の記述からでした. 神の右席, 右方のフィアンマというキャラがいるのです. ちなみにこのキャラは名前がイタリア語の炎の fiamma に由来していて, そのまま炎使いです. 他にもテッラ, アックア, ヴェントというキャラがいます. これをはじめて読んだときはイタリア語を全く知らなかったので何にもわかりませんでしたが, いま思うとキャラの得意魔法の系統と同じイタリア語でした.

前も書きましたが, エンタメからの語学・人文学で遊べるところがたくさんありますし, ネット上で簡単に元ネタ紹介をしているサイトも多いので, そういうのをまとめたコンテンツを作りたいですね. いまは優先順位の関係で手が出ませんが.

日本語の「右腕」

ふと日本語での「右腕」はキリスト教圏由来の言葉なのかと疑問が浮かんだので軽く調べてみると, こんなページが出てきました.

「右」という字が単なる位置の表現であるだけでなく、 「優れたもの」であるという意味を持っています。

「漢」の時代に右を上座にしたことに由来するとも言われています。 俗に言われる「右に出る者がいない」というのもそうした表現の一つです。 そうしたことは英語の「right」が正しいという意味をもっているのと共通性があります。 いずれにせよ、そうした意味から「頼りになる」のは「右腕」なのです。 もちろん大半の人が右利きであることも前提になっているでしょう。

こうなると中国文化圏の話を知らないことには何とも言えません. 左利きの人が多い文化圏だとどうなるのかも気になりますが, これによると右利きの方が圧倒的に多いとか.

ただし優劣の判定も微妙です. 例えば私がやっている柔道だとふつう利き手と組は一致させます. つまり右利きの人は組むときも右組です. 右組が圧倒的に多いので右対右の経験は多くても, 右組の人は右対左の経験が少ないためやりにくいのです. 一方, 左組の人は右組の人とやり慣れているので相対的に右組に対して強いことがあります. 一般に野球なり何なり他のスポーツでも, 敵としてのサウスポーは厄介なのではないかという印象もあります.

プログラミングでの Right/Left

実は英語で右が「正しい」を意味することを使った, あるプログラミング言語またはその一群での応用があります.

例えば Haskell には Either という型があります. 典型的には Right は処理の成功, Left は処理の失敗を表すのに使います. キリスト教由来 (?) の英語の用法がプログラミング言語にも波及している例です.

私がやりたいのはここまで含めた「多言語」学習です. ちょうど今日の「初級者の為の多言語学習イントロ」話で自然言語を深く知るには文化の理解が必要不可欠とあったように, 各プログラミング言語にもその出自や発展に背景文化があります. もっと言えば自然と語り合う「言語」である数学や, 実際に自然と語り合う語学である物理にもそれ相応の背景や文化があります. 科学がヨーロッパで発生した文化という背景も考えるなら, ここにもキリスト教の影響があります.

この辺の多角的な「語学」の展開を探るべく, 次のような勉強会を主催していろいろ遊んでいます.

テセウスの船

Twitter でテセウスの船の話が出てきて, 意味を忘れていたので Wikipedia を見たら, 面白い英語表現があったのでシェアしておきます.

おじいさんの古い斧 「おじいさんの古い斧(Grandfather's old axe)」とは、 本来の部分がほとんど残っていないことを意味する英語での口語表現である。 すなわち、「刃の部分は3回交換され、柄は4回交換されているが、同じ古い斧である。」 この成句は冗談として、明らかに新しい斧を掲げて「これはジョージ・ワシントンの使った斧で…」などと使われる。

フランス語の勉強

フランス語をもっと勉強しようと思って, フランス語と英語あたりが対訳で載っている本がないかと思って探していたら, 全然関係ないですが次の PDF を見つけました.

数学の中のフランス語事情が書かれています. あと後半で数学系フランス語単語に関して, ギリシャ語由来, ラテン語由来, 古フランス語由来, インド-ヨーロッパ語由来の単語などがいろいろ書いてあります.

上の PDF にもあるように, 数学系フランス語文献はそれなりにあり, 重要な文献の英訳もそれなりにあるので, 自分でがんばって対訳作るしかないか, という気分になっています.

That's what friends are for!

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英文を読んでいて悔しいのが「わからない単語はないのに読めない」「何がわからないのかがわからない」パターン. 例えば『That's what friends are for!』みたいな文に出会うと途方に暮れてしまう. そしてそんな場面はかなり多い. こういう文章ってどうすれば読めるようになるだろう? TOEIC の勉強をいくら続けても読めるようになる気はしない. 何をすればいいだろう. 構文集? 熟語帳? 英会話フレーズ集? 英文解釈本? 自分の弱点はたくさんあると思うけどどれも特効薬にならない気がするなぁ. 構造が取れない文章を多読で理解する程勘が良くないし, こういう文章の扱いは悩む.

上の文章で違和感を感じる部分はありますか? 例えば, "That's what?"の what の位置だったり, "are for?" のように, be 動詞の後の前置詞だったり. その分からない部分だけを""で括った状態でググってみてください. ヒットしなければ単語数を増やして. 段々区切りや慣用句が分かるようになってきます! 上記の方法で類似表現を探して, 前後の文脈でその使い方を覚えていくのがいいと思います! 特定の分野で更に絞り込みたい場合は, そのキーワード (日本語でも可, 徐々に英英に置き換えると良い) も一緒に調べてみると良いかもしれせん!

例) 「"friends are for" 会話」

翻訳者もよく使う手法です.

コメント

通勤中に Twitter 見てたら何故か言語ネタがいろいろ出てきて見るのが止まらないのですが, 歌のタイトルですら英語読解力に効いてくる (効かせられる) 事案です.

ちなみに "That's What Friends Are For" は weblio で次のように出てきます.

That's what friends are for.

そんなこと友だちなら当然じゃありませんか.

The law is the lawと中国語情報

ツイート紹介

語学に関する情報をシェアしておきます.

まず「どう理解すればいいのかわからない英語シリーズ」として, 次のツイートを.

問題

下の記事のタイトルが問題です.

  • 'The law is the law': Virginia Democrats float prosecution and National Guard deployment if police don't enforce gun control

溝江先生がよく言及する, どう理解すればいいかよくわからない英語です. 'The law is the law' は単語としても, 文法としてさえも難しいことは何ひとつないですが, どう意味を取ればいいか困る文章です.

タイトルの語学, やはり侮れません.

中国語

話は大きく変わって, 中国語情報です.

  • https://twitter.com/tatamullina/status/1205308638606188545

数字と最低限の意思を伝えられる程度の中国語はギッチリ固めて行くつもりだが、複雑な会話は難しいだろう。中国出身の院生同志らに解決策を訊ねてみたら、みな一様に《百度翻?》を勧めてくる。その場でアプリをDLして日中/中日で音声翻訳を試してみたが、その精度に驚き…!https://fanyi.baidu.com 音声翻訳といえば、情報通信研究機構(NICT)が研究成果として公表している《VoiceTra》もよい。日中/中日音声翻訳の精度は今のところは《百度翻?》に軍配が上がるが、対応言語の数でいえばVoiceTraのほうが多く、その精度もそれなりに高い。 https://voicetra.nict.go.jp/

イメージで単語を捉える

2000, 山口均, 概念からアプローチする文法指導, より良い英語授業を目指して 教師の疑問と悩みにこたえる, p.62-72

この間, 講義で look at, watch, see の話がありましたが, 似た系統のやつ見つけたので念のためシェアしておきます.

数学文化圏での記号の用法

ツイート

数 (数字) を見てどうこうというのはありませんが, 数学系の文脈込みでの数学記号に関してはいろいろな気分があります. 参考までに Twitter での話を雑にいくつか紹介します.

数学はノーテーションでその人の学問的出自や習熟度がある程度わかる。というか、本音を言えば、阪大の経済学の数式のノーテーションめっちゃ嫌い。気持ち悪い。 「もう記憶から封印したまであるけど、変なところで $\theta$ 使って気持ち悪かった。やめてほしかった。」 純な理系からすると $i = r + \pi$ てめっちゃ気持ち悪いと感じるんちゃいます?物価と利子率に関する等式ですけど。いや、 $\log (1+x) \sim x$ の近似使ってるから厳密には近似式ですけど。

コメント

数学でも昔の本の記号体系を見るといまと全然違っていて記号運用の問題で昔の本が読めない (内容が頭に入らない) という話はいくらでもあります.

数学記号にも適当な意味で地域性があります. 例えば, 数学で体 (たい) という概念があります. 英語系だと F (英語で field というから) を使う一方, ドイツ系だと K (Körper から) を使います. ドイツ系の記号が今も生きている理由はこの辺の話が盛り上がってきた頃が 19-20 世紀前半で, この頃, ドイツの数学が世界最高峰だったからです. もちろんナチスの迫害でそれこそアインシュタインやフォン・ノイマン (こちらはこちらでハンガリー出身) などを筆頭に天才がアメリカに流れ, 理工学に関してアメリカが覇権を取った流れからの英語中心が出てきます.

ときどき数学を特別扱いする節が見られますが, 数学も人間のやることであって適当な意味で「言語」なので, 他の言語や人間の活動と区別して話されることにはかなり違和感を感じます.

あと, プログラミング言語というタイプの人工言語でも, 金になる言語とか, 複数言語に触れることでいろいろな世界の見方・切り取り方を学べる要素があるといわれていて, できる限りいろいろな言語に触れてみるべし, 毎年違う言語を新たにひとつ勉強するといい, みたいなことをよく言われます. この意味ではプログラマーは一般に多言語話者です. 純粋に 1 言語しか読み書きできない人はあまり見かけません.

一応, 数に対する数学からの WPE を Number-Picture-Emotion で NPE と呼ぶことにして, もう少しこの話もしておきます. 数学には数学の, 物理には物理の数に対する PE があり, その文化的断絶が講義で出てきた認識の断絶だと思うので.

例えば数学で整数を見た時, まず素数かどうかという判定基準と PE があります. 例えば 2 は唯一の偶素数です. 2 を標数とする体上では他の奇素数と違った, 2 を例外とする現象が起こることがあります. 他にもある整数が複素数まで行った時にガウス整数で因数分解できるかという視点もあり, 整数論専攻の人はそこで NPE を表現することがあります.

他には 4 次元ユークリッド空間は他の空間と微分位相幾何学的に全く違う性質を持っていることがわかっていて, 4 か, 4 より上か下かでもまた大きな違いがあり, そこでまた数に対する感覚・文化があります. 7 は初めて見つかったエキゾチック球面の次元で, 7 と聞くとそれが思い浮かんだりします. 4 と聞いて音の文化から日本では死を想起しますが, 他の国・文化・言語ではそうではない (はず) だとか, キリスト教系文化圏での 13 と聞いてユダを想起するとかいうのと同じと思っています.

他に数学でも各種数学定数に対する感覚はそれなりにあります. よく円周率とその神秘みたいなのは世間での話題に上がりますが, 数学だとそれ自体で特に何かというのはあまりないように思います. 円周率の近似計算とも関わる色々な等式・級数に対する文化的な価値やら面白さみたいなのはたくさんありますが, 日本語文化圏と数学文化圏での興味関心の断絶部分でしょう.

物理でも同じようにいろいろあります. 他にも医学は医学で NPE があるはずです. 例えば, 成人の永久歯の本数は 32 本だそうですし, 32 を目にするたび, 歯科医はこの NPE が発動するのでしょう. 親知らずなり何なりで実際には 28-32 の幅があるそうですし, 32 からの連想ゲームをすると歯科医はこの辺の話をするかもしれません.

32 を見て思い出したのが, 情報系での NPE です. 情報系では 2 のべき乗に対する感覚があります. 世間でギリギリ目にするのは, パソコンを買う時にメモリが 2GB か, 4GB か, 8GB か, 16GB か, 32GB か, 64GB か, みたいなところでこれらが全て 2 のべき乗です. 価格コムあたりでパソコンスペック見てみてください. これ以外にもハードディスクまたは SSD の容量もそうです. 32GB, 64GB, 128GB, 256GB, 512GB, 1TB (1024GB) あたりの 2 のべき乗が並んでいるはずです.

WPE が文化圏の問題であるのと同じで, NPE も文化圏の問題で, 数学以外の文化圏でもそれぞれの PE があります. よく教養の話になると人文・社会・芸術ばかりが取り沙汰されて, 理工系は教養の枠に入れられないという嘆きが理工系サイドにあるのですが, 言語学者であっても多言語・多文化という中に理工系諸文化の視点が入らないのはそれなりに衝撃的なことでした.

この辺, もはや当たり前すぎて今回のような問い掛けがないと自分の中から出てこないのが大きな問題と思っています. こういう話をすると喜びそうな人がいるだろうとは感じつつ, どこでどういう形で出せばいいかとも思いつつ, ここで断片的に出しています.

科学技術中国語の語彙

この間, 「最近の中国は理工系が隆盛しているし, 中国語で情報を取れるといろいろ捗るはずだ」とふと思い立ち, フランス語以外に中国語の勉強もじわじわはじめたのですが, とにかく理工系向けのコンテンツがないなと憤懣やるかたない状況です.

それはいいのですが, たいていの人は進んで触れないネタだろうと思うので, ちょっとシェアしておきます.

コピペができず, 中国語もうまく打てず Google 翻訳するのも面倒なので ここに直接文字を打ちませんが, 論文の P.448 の気体の元素名が厳しくて笑いました. そんなに何でも气に押し込めなくても, とか何でそのつくりにしたのか, とかいろいろなことを思います. 中国人にとって气はどうしてもそれを固持したかったのでしょう.

で, 「そんなに何でも气に押し込めなくても」と思いつつ, 下の金属元素を見ると錫, 鉄, 鉛, 銀など, 金属系なら日本語にもその執拗さが伝わっていたことに気付きました.

あと, 中国語の教科書で外来語は当て字を使う (アインシュタインは爱因斯坦とか) と書かれていた一方, 元素記号はどうしているのだろうと不思議です. タングステンなどは発見が 1781 年で, それなりに昔ではありますが漢字がある程度出揃ったはずの (古代?) 中国の時期ではないはずで, やはり新たに漢字を作ったのかとか, 最近発見というか合成されたニホニウムとかはどうしているのだろうとか.

ちなみにタングステンをググってみたら, Wikipedia 先生いわく次のような語源があるとか.

  • https://ja.wikipedia.org/wiki/タングステン

タングステン (tungsten) とは、 スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で「重い石」という意味である。 元素記号の W はドイツ語の Wolfram にちなむ。 これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石)Wolframit から来ており(エルヤル兄弟の命名もここから)、 これがスズ鉱石の中に混入すると、スラグを作ってスズの精製を阻害することから、 スズを狼 (Wolf) のようにむさぼり食べるという意味で名づけられた。

あと語学関係ではありませんが, 紛争鉱物とかいう概念をはじめて知りました.

いわゆる「紛争鉱物(英語版)」に指定され、 製品に使用する企業は米証券取引委員会に報告義務が課された。

真偽を判断する知識・能力がないのですが, 次のような記事も見つけました.

2.中国人留学生が母国に持ち帰った学術用語は日本人が欧州語から翻訳したものだ。 今ではこの事実を中国人学者は知らない。 中国教育界は学校で学生に教えない。 米国の歴史学者のD.レイノルズは、 1900年から10年間を「日中関係における忘れられた黄金の十年と呼んでいる。

3.中国語の科学技術用語の殆どが日本語である。 明治維新以降、欧州に派遣された日本人留学生が英独語から翻訳した、 物理、化学、医学、社会学などの専門用語が現在の中国人科学者の間で使用されている。 中華人民共和国でさえ、 中国語は中華だけで、人民も共和国も日本語である。

アジアだと大学で学問をする言葉は英語なり旧宗主国の言葉で, 母語で高等教育を受けられる日本は恵まれているとか聞くので, 昔の人はよくがんばって言葉をたくさん作ったなと, こういうときに改めて思います.

「イワンの馬鹿」はなぜ「イワンは馬鹿」「イワンが馬鹿」「馬鹿のイワン」「馬鹿なイワン」のいずれでもなく「イワンの馬鹿」なのか

論文が取れないようで悲しいのですが, またネタをひとつ投下しておきます.

https://twitter.com/tkbei/status/1238031272137486342 - https://twitter.com/chikuwa_univ/status/1239067653706145794?s=21

「イワンの馬鹿」はなぜ「イワンは馬鹿」「イワンが馬鹿」「馬鹿のイワン」「馬鹿なイワン」のいずれでもなく「イワンの馬鹿」なのか。

こんな論文ありました! CiNii 論文 - 「太郎のバカ!」という評価の示し方 : 心内行為と発話行為に注目した分析 https://ci.nii.ac.jp/naid/40021607975 #CiNii

これに関してこんな記事もありました.

「ばかの」はイワンを装飾している訳ではなく、両者は同格、 つまり「イワン=ばか」→ 「イワン(という名の)ばか」なのだそうです。 この場合の「の」は古語の格助詞用法であり、 「年いみじく老いたる嫗の白髪白き」の「の」と同じなのだそうです。

対格をaccusativeと呼ぶ理由

次のサイトの記述を引用します.

自分用のメモとして具体的に引用してありますが、 短いのでぜひ元ページを見に行ってください.

accuse は「訴える,非難する」の意で,同義のラテン語 accūsāre に由来する.対格に直接かかわるとは思えない.

しかし,accusative の語源を調べてみると,事情が判明する. 格の名称は古代ギリシア語の文法用語に由来し, そこでは aitiātikḕ (ptōsis) "(the case) of that which is caused or affected" と呼ばれていた. aitíā に"cause" の語義があったのである. ところが,この aitiā は別に "accusation, charge" の語義を合わせもっていたため, 翻訳者がこの用語をラテン語へ移し替える際に両語義を混同してしまい, "accusation" の語義として訳してしまった.

Word-Picture-Emotion

Word-Picture-Emotion を重視したコンテンツが何かいいのないかなと思っていたのですが, NISE_TOEIC みたいなのも使えます. ただこれだと一文一文が長すぎて勉強しようと思うと大変です.

一方で画像でボケるのような感じで, ネットから拾ってきた適当な画像に的確な短い文章つけて勝手に翻訳という感じで自作すると, かなりいい気がします.

「画像ボケ」系のやつは実際に笑い系の感情が動きますし, 元ネタがすでにたくさんあるので, それを勝手に翻訳するだけでもかなり良さそう.