2021-06-03 Twitter まとめ: 省略した部分の文字数を使った略し方, numeronym¶
引用¶
こういうふうに、省略した部分の文字数を使った略し方に「ヌメロニム」(numeronym)という名前があることを少し前に知りました。IT系では割とよく使われてますね。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
例:
i18n ← internationalization
l10n ← localization
g11n ← globalization
m17n ← multilingualization
a11y ← accessibility https://t.co/rRz1hI3jCf
numeronym という名称の前半部はラテン語 numerus(数)に由来しています。形容詞形は英語にも numeral(数の)として入っているのでピンと来る人も多いでしょう。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
なお number も同源で、こちらはラテン語>フランス語でeが落ちた後に mr > mbr (類例に nr > ndr)という変化で破裂音が生えたものです。
プログラミングだと enum(enumerated type、列挙型) というものが出てきます。enumerate(列挙する、数え上げる)という英単語も、遡るとラテン語の ?numer?tus < ?numer? < ?-(exの異形) + numerus とのことなので、同根語ですね。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
numeronym という名称の後部 -onym は古代ギリシア語 ?νυμα(onuma) 「名前」からですが、これを後部要素に持つ英単語がかなり多数あって、眺めるだけでも面白いです。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
acronym(頭字語): NATOなど
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
anonym(匿名)
antonym(対義語)
bacronym(逆頭字語): SOS(→save our ship)など
eponym(人名由来の語): Americaなど
exonym(外名): Japanなど
homonym(同音異義語)
numeronym(数略語): i18nなど
retronym(再命名): フィルムカメラなど
synonym(類義語)
toponym(地名)
etc.
ギリシア語の ?νυμα/?νομα(onuma/onoma) はラテン語の n?men や英語の name と同源だと考えられていますが、語頭に o- があります。ギリシア語では印欧祖語の *h?- が o- に変化したと考えられており、これを根拠に印欧祖語が *h?nomn? と再建されることがあります。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 2, 2021
ただしこれには異論もあり、ヒッタイト語 ???????? (l?man) < *n?man では喉音が現れておらず、これを根拠に *h?nomn? と再建されることもあるようです。
— LingLang@言語学好き (@linglanglong) June 3, 2021
本当に -onym の o が印欧祖語の喉音の名残だったら面白いですね。