数学と第 2 外国語

はじめに

Ask.fm のをまとめておこう.

こんな質問がきた.

質問の引用

来年度数学科にいく予定なのですが 高校の化学の先生が第二外国語の選択が原因で研究室だかに入れなかったらしいのですが 数学科で第二外国語を考える際に専門との相性があればを教えてください

回答

2 外が原因で研究室入れなかったというのうさんくさいことこの上ないが, とりあえずこう答えた.

代数幾何・数論幾何はフランス勢が非常に強く, しかもフランス語で超がつくほど重要な論文・文献を書いてくることがあるので, フランス語を読み書きできるとかなり便利だと聞いています. 冷戦時代の名残でロシアの文献が引用される分野もあるようで, その場合はロシア語も必要かもしれません. 私も一度, ロシア語の確率論の教科書が引用されている論文に出会って殺意を抱いたことがあります.

ただ最近はもう大概英語だと思うので必要以上に気にすることは無いのではないか説を提唱しておきます. 気になるならとりあえずフランス語ではないでしょうか. ちなみに私はドイツ語でしたが, 理由はヘルシングで出てきた「 Freulein 」を言いたかったからです. そしてそれとは全く関係ないですが, アインシュタインの特殊相対論の論文を原語で読む機会が得られました.

追加質問

あと追加でこんな質問が来た.

フランス勢が強いという回答がありましたが, 分野によってあそこの国が強い, みたいなのあるのですか?

回答

そしてこう返した.

簡単な話で, その分野のリーダーがいるかどうかということです. フランスは Weil, Serre, Grothendieck など 代数幾何, 数論幾何のリーダーがいました. フランス人がイギリス・アメリカに対抗して 自国語で大事な文献を書いてくるとかいうふざけた真似をしてくる 特性があるのが腹立たしいですが.

ロシアは確率論でコルモゴロフ, 表現論でゲルファントなどの巨人がいます. 幾何でグロモフやアーノルドもいます. ロシアは冷戦終結後, 有名人が各地に散ってしまって ちょっと悲しいところもあるようですが, 物理でも強いです. フランス語文献があるかは分かりませんが, 例えば関数解析・微分方程式論でもフランスは強いです. Lions 親子だとか色々です.

もっと言うなら, 国とかいうよりも大学レベルの話にすらなってきます. 例えば荒木不二洋先生が京都・ RIMS を作用素環の研究センターになるよう 尽力した話とか色々あります.

長くなりましたが, 数学も人がやっていることなので その範囲ではそんなに特殊なことだと思うことはないですよ, と言う話でした. 「細かい作業は日本のお家芸」とか何とか良く言われるのと 同じような感じだと勝手に思っています.

追記

Paul 筋の情報だ.

元フランス首相として一言「当然フランス語です!」 ドイツ語は 1970 年代以降競争力を失いました. ロシア語は主要なものはすぐに英訳がでます. QT ".@phasetr 【 数学と第 2 外国語】よくわからない数学"

ということらしいので関係各位は注目しておくように.

ラベル

数学, 語学, 数学者