漢字と日本語とベトナム語情報

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英語のおかげでヨーロッパ系の言語は割と感覚がわかるのですが, アジア人なのにアジア系の言語への感覚がないのが前から問題だと思っています. その点から中国語も興味があるのですが, サンスクリットはアジアとヨーロッパの言語をつなぐ架け橋ではないかと推測していて, サンスクリットおよびサンスクリット周辺の言語にはかなり興味がありつつ, どう勉強したらいいのかよくわからない状況が続いています.

ツイート引用

ベトナムから来て日本に長いこといる友達が, 「日本で漢字を学んでからベトナムの言葉の本当の意味がわかって面白かった」と言ってたなぁ. これには奥深い理由があって, 続きます.

ベトナムでは昔漢字を使ってたけど, アルファベットに移行したので, 音は漢字ベースだけど表記がアルファベットになっている. そのため, 本来漢字が持っていた意味はベトナム語表記からは読み取れないらしい. それが日本で漢字を学ぶことでわかるようになったとのこと.

だからベトナム人にとって漢字を学ぶのは簡単だと彼は言っていた. どうやら文字はなくても言葉のそこここに漢字の名残があるらしく, すぐにわかるようになったとのこと.

漢字からアルファベットに移行したのはフランス植民地時代だけど, 元々使っていた漢字は難しくて一部のエリート層だけのものだったらしい. それでその時代にエリート層がアルファベット切り替えに賛同したので十数年で一気に置き換わったと.

彼曰く漢字文化圏はアジアの中でも中国, 朝鮮半島, ベトナム, 日本だけらしい. ベトナムとカンボジアの境には山脈があり交流がなかったこと, ベトナム南部は今でこそ開拓されているが昔は湿地帯で人が住める場所ではなく, 内陸と分断されていたことが原因だそうで.

なぜ中国語でなく日本語の漢字でベトナムの言葉がより深くわかるようになったか? ここにも面白いエピソードがある.

ベトナムは唐の時代に中国と交流が盛んで, 唐の漢字が主に使われていたらしい. 日本も遣唐使の影響でおそらく唐代の漢字が多いと思われる. さらに言語の変化で一般的なことらしいのですが, 言語は発祥の地の方が変化が大きい. 例えばアメリカの英語の方がイギリスの英語より古い表現だそうで.

この理由で, 中国では結構言語が変わっているけど, 昔に漢字が伝わったベトナムと日本では使い方が似ている, 自国と同時期に文化が伝来した他国の文化を知ることで, 自国のことがより深くわかるという, とても興味深い話でした.

例えばハノイは河内, ホーチミンは胡志明ですね.

古い物ですが『漢字民族の決断』というその辺りのことが書かれた本があります. もしご興味あれば.

以前新聞に, 江戸時代にベトナムから日本に届いた手紙が見つかったと. けっこう意味わかるんです, すごいことに. (たぶん) 2013 年日越合作ドラマ, 愛しき百年の友へ, 浅羽佐喜太郎とファン・ホイ・チャウの交流, の中で二人は (会話ができないので) 漢文でやり取りするんです. 当時漢文は日越の共通書き言葉だったんですね. 勉強になりました.

ベトナムって何故か地理的に近い中韓よりも文化的に日本と近い部分があるんだよね… シンプルなミニマリズムを好むとかアッサリ味を好む食文化とか.