科学技術中国語の語彙

この間, 「最近の中国は理工系が隆盛しているし, 中国語で情報を取れるといろいろ捗るはずだ」とふと思い立ち, フランス語以外に中国語の勉強もじわじわはじめたのですが, とにかく理工系向けのコンテンツがないなと憤懣やるかたない状況です.

それはいいのですが, たいていの人は進んで触れないネタだろうと思うので, ちょっとシェアしておきます.

コピペができず, 中国語もうまく打てず Google 翻訳するのも面倒なので ここに直接文字を打ちませんが, 論文の P.448 の気体の元素名が厳しくて笑いました. そんなに何でも气に押し込めなくても, とか何でそのつくりにしたのか, とかいろいろなことを思います. 中国人にとって气はどうしてもそれを固持したかったのでしょう.

で, 「そんなに何でも气に押し込めなくても」と思いつつ, 下の金属元素を見ると錫, 鉄, 鉛, 銀など, 金属系なら日本語にもその執拗さが伝わっていたことに気付きました.

あと, 中国語の教科書で外来語は当て字を使う (アインシュタインは爱因斯坦とか) と書かれていた一方, 元素記号はどうしているのだろうと不思議です. タングステンなどは発見が 1781 年で, それなりに昔ではありますが漢字がある程度出揃ったはずの (古代?) 中国の時期ではないはずで, やはり新たに漢字を作ったのかとか, 最近発見というか合成されたニホニウムとかはどうしているのだろうとか.

ちなみにタングステンをググってみたら, Wikipedia 先生いわく次のような語源があるとか.

タングステン (tungsten) とは、 スウェーデン語、デンマーク語、ノルウェー語で「重い石」という意味である。 元素記号の W はドイツ語の Wolfram にちなむ。 これは、タングステン鉱石(鉄マンガン重石)Wolframit から来ており(エルヤル兄弟の命名もここから)、 これがスズ鉱石の中に混入すると、スラグを作ってスズの精製を阻害することから、 スズを狼 (Wolf) のようにむさぼり食べるという意味で名づけられた。

あと語学関係ではありませんが, 紛争鉱物とかいう概念をはじめて知りました.

いわゆる「紛争鉱物(英語版)」に指定され、 製品に使用する企業は米証券取引委員会に報告義務が課された。

真偽を判断する知識・能力がないのですが, 次のような記事も見つけました.

2.中国人留学生が母国に持ち帰った学術用語は日本人が欧州語から翻訳したものだ。 今ではこの事実を中国人学者は知らない。 中国教育界は学校で学生に教えない。 米国の歴史学者のD.レイノルズは、 1900年から10年間を「日中関係における忘れられた黄金の十年と呼んでいる。

3.中国語の科学技術用語の殆どが日本語である。 明治維新以降、欧州に派遣された日本人留学生が英独語から翻訳した、 物理、化学、医学、社会学などの専門用語が現在の中国人科学者の間で使用されている。 中華人民共和国でさえ、 中国語は中華だけで、人民も共和国も日本語である。

アジアだと大学で学問をする言葉は英語なり旧宗主国の言葉で, 母語で高等教育を受けられる日本は恵まれているとか聞くので, 昔の人はよくがんばって言葉をたくさん作ったなと, こういうときに改めて思います.