0050 「負」の処理

変数の計算

中学数学で出てくる変数の役割・意義はいくつかあります. 関数に対して使うのはその意義の一つです. そして関数を考えるとき, 変数に対していろいろな計算考える必要が出てきます. 典型的なのは二次関数 $f(x) = ax^2 + bx + c$ で, 変数 $x$ の二乗と文字定数 $a$ の積である $ax^2$, 同じく変数 $x$ と文字定数 $b$ の積である $bx$, 文字定数 $c$ の和を考えています. 文字で表される数, つまり変数に対してもいろいろな計算をする必要があるのです.

特に変数に対して負の変数があります. これは少しあいまいさのある言葉で, 例えば次のような意味があります.

前者は前者で, 絶対値の処理を筆頭にやっかいです. しかしここでは後者の問題を考えましょう.

負の変数

上で書いたようにここでは $-x$ のような変数だとします. これをどう処理すればいいかと言うと気分的には負の数と同じです. つまり負の数の計算ができるようになる必要があります. そこで負の数とその計算を考えてみましょう.

負の数とは?

負の数はとても厄介です. 今回はこの厄介さについて考えましょう.

昔, 「人間は考える葦である」と言い, 物理や数学でも大きな業績がある万能の天才パスカルは次のように話したと言われています.

私は, 0から4を引いて0が残るということを理解できない人たちがいるのを知っている.

これは「0 が表すモノはであり, 無から何を引いても無でしかない」と理解する必要があるそうです. これは 0 の定義に関わる問題で難しく面倒な話です.

ふつう負の数は数直線上で, 0 をはさんで正の数の反対側にある数と定義されます. これ自体に問題があるわけではありません. ただ, これでさっと理解できる人ばかりではないのも事実でしょう.

「そういうものか」と思った人も, 負の数の計算に関する問題があります. これも有名なのは次の問題でしょう.

典型的なのは次のような反応です.

借金×借金がどうして財産になるのか!

スタンダールも自伝で書いているそうです. これは数学を現実に適用するときの間違いでもあって, 面倒な要素がたくさんあります.

まとめ

プログラムも考えるとやはり中学数学でも関数が一つのテーマです. 関数の処理を考えると変数をきちんと扱えるできるようになる必要があります. 中学数学としては $-x$ のような負の変数も出てきて, これの処理が必要です. そしてこれはふつうの負の数と同じように処理するので, やはり負の数の処理が大事です.

こうして中学数学の最初の, そして考えようによっては最大の山である負の数の処理が出てきました. 次回, これを改めて考えてみましょう.