MISC¶
2024-11-13 Paulによるソリトンに関わる佐藤・広田の話¶
ソリトンの専門家ならご存知の話だが昔話を。 ソリトン方程式の研究が盛んになり,逆散乱法が中心だった欧米ソ連に対して,双線型方程式を用いて直接解を構成したのが,俳優・藤木直人を育てた(違)広田良吾である https://blogs.yahoo.co.jp/nk8616e/38326324.html
この広田の直接法に対する反響は大きく「広田微分はNewton以来の最大の発見」「新しいソリトンっぽい方程式があれば,広田に手紙を書くと2,3週で解いてくれる」とまで言われた。とにかく,いきなり日本から黒船=直接法が襲来したという印象だったようだ
これに対して「数学でそんなに本質的に新しい発見はない」という考えにたち,広田微分・双線型方程式を見直したのが,佐藤幹夫と泰子夫人である。その計算は1980年の3月と9月に数研の研究会で「広田氏のBilinear Equationsについて」として発表された
- [広田氏のBilinear Equationsについて]http://kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0388-14.pdf
- 広田氏のBilinear EquationsについてII
実は,その少し前から佐藤さんは紀伊国屋「KdV方程式」の著者の一人である阪大の田中俊一さんらとソリトンの勉強をしていたそうだ。しかし,80年の研究会での発表は,双線型方程式を書き出したジャンク計算にしか見えず,あの超函数やSKKの佐藤が何をやってるんだろうとしか思われなかった。
状況が一変したのが80年10月ごろで,1ヶ月くらいの間に当時出たばかりのシャープ・ポケットコンピューターで計算して,ソリトン方程式がグラスマン多様体の力学系であること,広田の双線型方程式はグラスマンのPlücker関係式に他ならないことが発見され,翌年1月のSinai来日の研究会で発表された。
その歴史的な論文は,数理解析研究所講究録No.439「ランダム系と力学系」に掲載されている
- [Soliton Equations as Dynamical Systems on a Infinite Dimensional Grassmann Manifolds]http://kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/0439-05.pdf
ちなみに題名「a Infinite Dimensional Grassmann Manifolds」には決して突っ込んではならない(笑)
81年1月の研究会は確率論の関係者が集まり,池田信行氏は「KdVがMaya図形で解ける」と聞いて驚いて阪大に帰り,田中,伊達,川中らの前で話したら「そんなわけがない,池田さんはどうせ佐藤さんの話が理解できなかったんだ」と散々馬鹿にされたそうだ(この愚痴は繰り返し池田爺さまから聞かされた)。
1970年代に広田の双線形形式がソリトンの研究に大きな衝撃を与え,さらにそれを上回る衝撃を佐藤のグラスマン多様体の研究が与えたことは確かである。佐藤の研究は伊達神保柏原三輪(DJKM)に引き継がれ,さらにAffineリー代数の表現論や,共形場理論へと応用が広がった。可積分系の黄金時代である(終
(終)と書いてしまったが,別件で話をしたので,後からご覧になる方のためにツイートをぶら下げておきます
これも有名な話だが,広田さんがreduceの解説の中で「天才が使うポケットコンピューターには及ばなくても,reduceを使えば凡人でも計算できる」みたいなことを書いておられた(確か,Bitの連載)。佐藤でも広田でもない,本当の凡人はMathematicaだろうと何を使ってもお二人には及ばないのである。 x.com/Paul_Painleve/…
2023-03-31 fri¶
「「選択公理 → Zornの補題」の超限帰納法を使わない証明」の文章を改訂しました(証明を前よりも簡略化できたと思います)。 http://www2u.biglobe.ne.jp/~nuida/m/docs.htm
19世紀の代数幾何の定理とかUrysohnの補題とか¶
本文¶
誰かが言ってたけど, ホントに謎なのは, 数学の定理は不死鳥のように蘇ることがあること. 19 世紀の計算で解いた代数幾何学の定理が, ヒルベルト時代に忘れられ, 計算機時代に復活したとか聞くと数学ってなんなのかわからなくなる.
@ytb_at_twt ありますね, 古い定理や手法などの復活. 数学に限らない気がします. アナログ電子回路でも, 昔に廃ってしまった回路方式が復活したのを見て驚いたことがあります.
@tadamago アナログ回路って職人芸的なイメージがあるんですが, そういう分野では復活とかがあるような気がします.
@ytb_at_twt Urysohn の万有距離空間を触っていた時は, 後のかっこいい存在証明よりも Urysohn 自身のごりごりとした構成法のほうが役に立ちました. おかげで, 仏語を読むはめになりましたが.
@kamo_hiroyasu ああ, それはすごく判ります. きたない証明の方が情報量は多いですよね. 「最大不動点が存在」とか言われて何が起こったか輪からにこととかよくありますね.
かもさんのコメントがかなり気になった. Urysohn の論文はどんなことをやっているのだろう.
そもそものやたべさんのコメントにある定理が何なのかも気になる.
何でもランキング「これさえあれば数学を楽しく学べる 20 の娯楽作品」 (日本経済新聞社)¶
はじめに¶
何でもランキング「これさえあれば数学を楽しく学べる 20 の娯楽作品」 (日本経済新聞社) http://s.nikkei.com/16s0Iad
実際のランキングで出てきた本などを引用しておこう.
普通の本¶
1 位 数の悪魔 -算数・数学が楽しくなる 12 夜 230 ポイント
2 位 素数の音楽 190 ポイント
3 位 フェルマーの最終定理 (文庫判) 181 ポイント
4 位 天地明察 (文庫判, 上下) 156 ポイント
5 位 浜村渚の計算ノート (1~5 巻, 以下続刊) 150 ポイント
6 位 シュプリンガー数学クラブ 21 数学が経済を動かす -ドイツ企業編
7 位 ガロアの生涯 神々の愛でし人 (新装版)
8 位 博士の愛した数式 (文庫判)
9 位 すうがく博物誌 (新装版)
10 位 aha!Insight ひらめき思考 (1~2)
漫画¶
1 位 数学ガール (上下) 470 ポイント
2 位 マンガおはなし数学史 240 ポイント
3 位 Q.E.D. 証明終了 (1~45 巻, 以下続刊) 180 ポイント
4 位 和算に恋した少女 (1 巻, 以下続刊) 170 ポイント
5 位 ニャロメのおもしろ数学教室 100 ポイント
『マンガおはなし数学史』, 凄いつまらなかった. 絵も異常なくらい古くさいし地獄のような「漫談」とかあってどの層に向けて書いているのだろうと不思議で仕方ない. 著者というか原案の 60 オーバーの教官と同年代にはいいのかもしれないが, 私には大変ひどいアレだった.
映画¶
1 位 博士の愛した数式 (日) 428 ポイント
2 位 ビューティフル・マインド (米) 410 ポイント
3 位 グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち (米) 210 ポイント
3 位 $\pi$ (米) 210 ポイント
5 位 天地明察 (日) 204 ポイント
天地明察は見てみたい. ビューティフルマインド, ナッシュが穀潰しのろくでなしだということだけ知っている.
凸関数¶
基本的な性質¶
これはちょっとした共有用に準備したページで, 現代数学探険隊 解析学編には凸関数の基本的な性質に関してまとまった記録があります.
ここでは下に凸な関数を単に凸関数と呼びます.
凸関数族の上限は凸¶
凸集合$\Omega \subset \mathbb{R}^d$上の凸関数の族$(f_\lambda){\lambda \in \Lambda}$ に対して$f = \sup f_\lambda$とする. この$f$は凸である.
証明¶
任意の$a \in (0,1)$と$x,y \in \Omega$を取る. 任意の$\lambda \in \Lambda$に対して \begin{align} f_\lambda (ax + (1-a)y) \leq a f_\lambda(x) + (1-a) f_\lambda(y) \leq a f(x) + (1-a)f(y) \end{align} が成り立つ. 左辺の上限を取ると求める凸性が得られる.
凸関数の和は凸¶
凸集合$\Omega \subset \mathbb{R}^d$上の凸関数$f_1, \dots, f_n \colon \Omega \to \mathbb{R}$に対して$h = \sum_{k=1}^n f_k$は凸である.
証明¶
任意の$a \in (0,1)$と$x,y \in \Omega$を取る. このとき \begin{align} f(ax + (1-a)y) &= \sum_{k=1}^n f_k(ax + (1-a)y) \leq \sum_{k=1}^n (af_k(x) + (1-a) f_k(y)) \ &= ah(x) + (1-a)h(y) \end{align} が成り立つ.
凸関数族の下限は凸とは限らない¶
一般には成り立ちません. 具体的には$f(x) = x^2, g(x) = (x-1)^2$として$h = \min (f,g)$が反例です.
具体的な計算が面倒なので数値計算でさぼりました. 凸でないことは次のリンク先のグラフを見てください.
線型写像の場合の事例¶
このツイートで次の問題が出ています.
問題¶
以下で定義される関数$f \colon \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}$は凸関数か. \begin{align} f(x) = \sum_{i=1}^n \min (x_i, (Ax + b)_i). \end{align} 先の凸関数の一般論が使えないのは明らかですが, 線型写像なのでうまいこと嫌な現象をくぐり抜ける可能性があります. しかし一般には偽です. 反例を構成しましょう.
反例の構成¶
一次元で$A = -1$かつ$b = 0$としよう. このとき$f$は次のように書ける. \begin{align} f(x) = \begin{cases} x, & x \leq 0, \ -x, & x > 0. \end{cases} \end{align} これは凹関数(上に凸)である.
念のため確認しておくと$g(x) = \max (x, -x)$に対して \begin{align} g(x) = \begin{cases} -x, & x \leq 0, \ x, & x > 0 \end{cases} \end{align} で確かに凸である.
注意¶
まだきちんと議論を詰められていないため予想ではありますが, $A > 0$とすると$f$は凸で, $A$が成分を正とする対角行列ならやはり凸であるため, 一般次元でも行列$A$が(半)正定値性や強連結性(エルゴード性)のような強い性質を持つなら, 問題の$f$は凸になる可能性があります.
$p$-進ゲルファント-マズールの定理は成り立たない (否定が常に成り立つ: 常に拡大できる)¶
結論に関わるp進大好きbotさんからのコメント¶
以下の Twitter でのやりとりによる.
R,C以外の任意の完備付値体でゲルファントマズールの否定が成り立つ(常に拡大できる)ということが知られてます。テイト代数のガウス点というものを使います。
— p進大好きbot (@non_archimedean) December 20, 2020
ありがとうございます。どの本を読むと(ある程度基礎から)書いてあるでしょうか?
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
セミノルム付き群から書いてある教科書は
— p進大好きbot (@non_archimedean) December 20, 2020
Bosch, Guntzer, Remmert
通称BGRですね。でも結構一般論が続くので、
・飛ばし読みをする
・他の本を読む時の辞書にする
が多い本だと思います。
上で教えてもらったのは次の本.
覚えておこう.
事の発端と関連ツイート¶
次のやりとりを見て, そもそも位相体の議論はゲルファント-マズールの定理しか知らず, $p$-進ならもっといろいろあるだろうと思ったことによる. まずは事の発端に関するやりとりをまとめよう.
事の発端ツイートまとめ¶
https://t.co/MwfrYqGdAQ 積が不連続というの、どんな位相で考えているのだろうか。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
これ、回転で-1になることを角度による連続的な変化と捉えているのだと思うが、実数での-1も+1から徐々に小さくなっていって負になって、という連続変化で対応させるので、自分が何を言っているのかわかっていない感じがあって厳しい気持ちになる。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
たしかにご指摘の通りです。×1から×-1の場合は×0を通して繋ぐこともできるのですが、÷1から÷-1の場合は÷0という未定義な操作が挟まれてしまうので、回転で繋ぐ方が良いのかなと。射影空間なら問題ないのかもしれません。
— 手塚太郎 taro_tez (@taro_tez) December 20, 2020
私の知る限り射影空間には演算が定義されていないのですが、何の話をされているのでしょうか
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
i
一応書いておくと、複素平面での回転に関してはいわゆる多価性の問題が出てくる場面もあり、割り算(一般に「商」とつく議論)自体がかなり面倒な概念なので回転に置き換えてもまた別の問題が噴出して簡単にはなりません。代数と位相のマッチング問題と見てもそれで本一冊になる話です。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
割り算と言わなくても物理ではスピノルにまつわる話もあり, 回転まわりには面倒な話がいろいろある. それだけ面白いとも言える.
位相体, 特にゲルファント-マズールの定理に関する話¶
https://t.co/ezeN028Y5p 位相体に関して私が知る限りゲルファント-マズールの定理があるが、距離に対する完備性を外した場合とp進にした場合の結果はどんなのがあるのだろうか。そもそもとして位相体自体をほとんど何も知らない。p進についてはp-adic Gelfand-Mazurでさっと見て何も引っかけられない
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
ゲルファント-マズールそのものの拡張でなくても、素人が思いつく程度のことに関しては否定的な結果含め、絶対何かあると思うのだが、探せない。位相群はよく聞くが、位相環・位相体の話は独立して聞く機会が私はほとんどないので本当に何もわからない。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
https://t.co/r7r8L1CzuA 可換なネーター環とバナッハ環が同時に出てくる本、初めて見た。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
これ、今もう少し見たらp進の場合はもう少しよくてTate algebraがあるとかいうのがあった。これか。それはそれとして、可換でネーターなバナッハ環が有限次元とかいうの、めちゃくちゃそれっぽそう。ネーター強い。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
市民のための解析学からの代数入門みたいな本、ないだろうか。作用素環の基礎くらいまでは仮定していい。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
勝手にわがままなことを言い募ると、加群と表現論みたいなところから代数に関して面白おかしい話をしてくれる本が欲しい。1つ明らかにあるのは堀田本でD加群方面にまで吹っ飛んでいくのでアレは1つ理想郷ではある。ただ本物のD加群は修羅の道なので市民には厳しい。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
竹崎先生も言っていたのだが「代数は必ずしも1つ1つは難しくはないがそう思っているといつの間にか下を見るのが怖いほどとんでもなく高いところに連れていかれる」感じがある。ホモロジー代数は図式を書くので割とこう一発一発が重くなる気分はある。
— 相転移P (@phasetrbot) December 20, 2020
2021-06-19 代数学演習, 群作用に関するやりとり¶
コメント¶
ちょっとはまりどころ感があったのでコメントしてみた. 行列は線型代数の基礎であり, 現代数学の基礎であり, もっとシンプルに代数学それ自体に対しても基本的で重要な例だとは思うが, 行列環と言ったり行列代数と言ったり, 行列がなす群と言ったりでいろいろな難しさがある.
前者の行列環・行列代数については基本的に同じ対象を指しはするが, どう違うのか, そして代数は分野としての代数とどう違うのかといったところがはまりどころになる.
後者の行列がなす群については注目する演算にはまりどころがある. ふつうは正方行列に制限した上で積の (2 次以上なら非可換な) 群を考える. 加法の場合は何次でも加法群でだいぶ趣が違う. 割と面倒だ, といったことを思ったのでコメントした次第.
ツイートまとめ¶
最近の群論の演習(3年):群は自分自身に共役で作用します.
— Yuya Matsumoto (@_yuya_matsumoto) June 19, 2021
最近の線形代数の演習(2年):行列を共役で対角化できると冪乗の計算が楽です.
なんだ既習じゃないか.(?)
行列全体は群ではないのでこの説明の時にいつも少し苦戦します
— p進大好きbot (@non_archimedean) June 19, 2021
演算が2つあって、どちらに対する議論なのかも割とハマりどころなのでは感があります。
— 相転移P (@phasetrbot) June 19, 2021
なるほど
— p進大好きbot (@non_archimedean) June 19, 2021
実際,共役が単に集合への作用になることだけではなく各gでの共役が群準同型になることを使っているんですよね.
— Yuya Matsumoto (@_yuya_matsumoto) June 19, 2021
MarriageTheorem さんによるつらい現実の召喚: 「偶数と偶数の和は偶数であることの説明」について¶
本文¶
[数学][研究・教育]「偶数と偶数の和は偶数であることの説明」について http://t.co/SiEnyWTOHc
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2014, 6月 1
MarriageTheorem さんがまたつらい現実を召喚してきた. 元記事のコメントで これ とごちゃごちゃ書いている人がいるが, そもそも私が必要だと思うのは「わかるまで考えるのをやめないこと」, 「わからないことに耐えること」, 「今すぐできるようになるという幻想を捨てること」だ. 一応上記リンクでのコメントも引用しておこう.
説明(証明)問題の前に,偶数,奇数,3の倍数,連続した2つの偶数,2つの偶数などを,文字を使って表現する方法を徹底指導しました。また,文字は変数であることから,どんな数字でも入る魔法の箱というイメージ作り。1~10程度までを書き出して,偶数と奇数が交互に並んでいること,3の倍数はどうかなど,数字遊びも大切だと思いますよ。 それ以前に,中2の式と計算の単元で,ちがった種類の文字の計算をどのように指導してきたかも大事ですね。 指導は系統性が大事だと思いますから,この問題だけを指導するという考え方が違っていると思います。 わたしは学習塾でバイトをしていたことがあります。これはワークの例題になるような有名な問題なので,研修を受けた記憶があります。 正直私も自分の子には,無料塾には通わせたくないと思いました。お金がかかっても力のある塾は指導をします。無料塾の光景は相談会のような感じですね。指導は授業や講義時間だけの労働で成り立っているわけではないのです。貧困克服のために,準備をしていない指導者がいる塾に通わせるなんて,本末転倒もいいところではないでしょうか。
無料だからといってこういう変な教え方されるとそれが子どもの記憶に残って 将来にわたって悪影響を及ぼすんですよ。 クリティカルな年代の子ども相手にボランティア感覚で気軽に教えないでください。
私が通っていて, 最近また通い出した柔道の道場がいつもこう言っている.
今すぐ試合に勝つとかそんなことを考えて教えているのではない. 5 年, 10 年先の柔道, もっというなら人生のことを考えて指導している. 今はできなくてもいいからとにかく 1 つ 1 つのことをきちんと心を込めてやりなさい.
今はできなくてもいいというの, 元の証明を今は理解できなくてもいいというのと 私の中では繋がっている. 簡単に納得しようとしないできちんとその不快感とも向き合ってほしい.
田崎さんから聞いた, 江沢洋先生の教育スタイルとかそういうのを継承したい. ちなみに江沢先生は学生が質問に来ると, 学生が自分自身でそれに対する回答を考えるのを黙って見守り続けるという対応をしていたらしい. 口出しもしたくなるだろうが, そういうこともせず, じっと学生を待ち続けたと聞いた.
こういう教育, 死ぬ程時間がかかるし, 少なくとも今の大学の教官の忙しさからすればほぼ絶望的なことだろうが, 私はこういうのがやってみたい. 尋常ではないくらいに粘り強く取り組む精神力を身につけてほしい.
宣伝協力: SLACS 2014 / 2014年度超準解析シンポジウム 日時: 5 月 26 日 (月) ~ 5 月 28 日 (水)¶
本文¶
宣伝協力.
超準解析シンポジウム講演締切5/7日です(再宣伝) http://t.co/fGkHGQRL33
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014年4月28日
ふだんツィッター見てる感じだと、超準解析に潜在的に興味ある人ってかなり多そうなのに、なんで超準解析シンポジウムは参加者少ないんだろう……。
参加者が少ない理由, 興味があるのは市民ばかりだから平日はお勤めで参加できないという説がある.
tri_iro さん筋の情報: SLACS 2014 2014 年度超準解析シンポジウム 5 月 26 日 (月) ~ 5 月 28 日 (水)¶
本文¶
SLACS2014 あんど超準解析シンポジウム http://www.jaist.ac.jp/~y-keita/2014SLACS-NSA/index.html そういや, 超準解析シンポジウムに若い人 (30 代以下の人) が全然来ないという 超準解析シンポジウム関係者の嘆きの声を最近聞くので, リンク貼って呼び込みしておこう. みんな超準解析やろう~
平日なので私は行けないが宣伝には協力しておこう.
2014-04-26 数学書房主催の河東泰之先生による超準解析講座に行こうかどうか迷っている¶
本文¶
[講座:数学の発見 第 15 回] 開催案内
数学に興味を持ち, 取り組んでいる方, 数学を仕事で使っている方, さらに深く理解し自力で数学の世界に入って行きたいという方にとって, この講座が数学との出会いの場となることを願っております. 第 15 回となります今回も, 魅力的な講師をお招きし, 充実した内容をお届け致します. 下記の日程で開催致します. 興味深い内容をお話いただきます.
日 程 2014 年 4 月 26 日 (土) 10:30~17:00 (90 分 3 コマ, 途中昼食 + 休憩)
テーマ 無限大, 無限小と超実数
講 師 河東泰之 (東京大学大学院数理科学研究科教授)
概 要 $1=0.999 \cdots$ で本当によいのか, $1/ \infty=0$ で分母をはらったら $\infty \times 0 = 1$ なのか, $\infty / \infty$ はいくつか, といったことを気にした人は少なくないと思います. こういった極限操作について厳密な手法を与えるのが $\varepsilon\mathchar`-\delta$ 論法ですが, それとは別に無限大や無限小を直接に扱う理論がロビンソンの超準解析です. これについての入門的解説を行います.
行こうかどうしようか迷っている.
高卒社会人の学力問題: あまりの地獄に泣いているがもっとひどいって本当なの¶
はじめに¶
Togetter にもまとまっているのだが, 何となく適当に引用した.
他の人のコメントが見られるので一応リンクつけた.
ツイート集¶
齢19になる、元ラグビー部主将で生徒会長だった男でも「密度」も「パーセント」も理解できないんですよ。それでも去年の4月は九九も出来なかったんだ。進歩したと言うべきなのか。正直俺はキレたけど。これが、現代教育の底辺「ですらない」と言う現実ですよ。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
要はね。自分ら舗装会社に居るんですけど。公共工事で作った道路、舗装の品質証明には、舗装の密度を使うんですよ。出来上がった舗装から、ドリルカッターで舗装の塊を採取して、それの密度を測るんです。ちゃんと中身が詰まってるかを、採取した塊の密度で確認する。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
で。今日、管理に使う塊(コア)を採取したので、高卒の社会人一年生(もうすぐ二年生)に、密度の測定方法を教えようと思ったんですが。まず当然、密度が分からない。正直、これは覚悟していた。「こいつに密度は理解できない」と俺は始めから思っていた。なので、始めから説明するつもりでいた。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
でもね。密度って、当然ですけど「質量÷体積」じゃないですか。でもこいつ、「体積」が何かもピンと来てないんですよ。で、確認してみたら、「面積」もよくわかってない。ついでに、「質量」……って言うか、「重さ」の概念の理解もあやふやなんですよ。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「重さって何か分かるか?」
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「ええと、ズッシリ……」
「じゃあ、フンワリは重さじゃないのか?」
「重さです」
「そう、物のズッシリさフンワリさの度合いを『重さ』って言うんだ」
ってところから始めにゃならんのですよ!密度求めて品質管理の書類作るのに!
「面積とは何だ?」
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「大きい小さい……」
「違う。大きい小さいは重さでもそうだ。量は全部大きい小さいだ。もっと具体的に。(手を広げたり狭めたりするジェスチャー)」
「広い、狭い……ですか」
「そう!よく出来た!じゃあ、次は体積!」
「…………。」
わからないんですよ。
まあ、正直ここで俺も少し言葉に詰まるんですけど。「体積」の概念の説明、ちょっと難しくないですか。「嵩の大小」と言っても理解できると思えんし。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
で、俺は土地に建ってる建物で説明しました。土地が面積で、そこに建つビルが体積だよ、と。同じ大きさの土地でも、高いビルの方がデカいだろ、と。
で、そこから、面積に高さなり厚さなり深さなり掛けるのが体積だよ、と。そしたらそいつ「なるほど!」って言うのでね。で、そこで机のティッシュ箱とメジャー渡しまして。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「じゃあ、この箱の体積測ってみろ」って言ったらアイツなんて言ったと思います。
「……縦×底辺÷2ですよね?」ですよ!
まあ叱りますよね。底辺どっから出てきたんだよ。俺の説教文句も
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「お前、その何でもとりあえず÷2する癖やめろ」ですよ。何だその説教。
何が腹立つかってね。俺、去年の6月だか、入社二ヶ月ぐらいのこいつに、その辺の説明書いた自作プリント渡してやらせてるんですよ。欠片も覚えてやがらねえ。
こいつに面積体積の概念を教えるの、1回目じゃないんですよ!そんなの人生で二度も三度もやることか!何「初めて知りました」みたいな顔してんだクソがアバーッ!アバーッ!
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
……と、内心で思いつつ授業を続けるんですがね。俺は密度を教えたい上にそこがゴールですらないんですが、まだ体積です。
で、そのティッシュ箱の重さ測ったり、これが仮に同じ大きさの鉄塊だったらとか話したり、空のバケツと中身入ったペンキ缶並べて「同じ体積でも重さが違う」「見た目では分からない」「中にみっちり詰まってるか、スカスカかを表す」それが「密度」だと教えましたが。ピンときてない。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「要は、お客さんは出来上がった舗装がスカスカじゃないか、ギッシリ中身が詰まってるかを知りたいんだ。それを測るにはどうすればいい」
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「重さを……」
「違う」
「密度……?」
「そう。よく出来ました。密度を測って、『これはミッチリ詰まった舗装です!』と伝えるのがこの作業なんだよ」
で、その「重さ÷体積」とかやってる過程で判ったのが、こいつ掛け算割り算の仕組みがわかってないんですよね。A×B=CならC÷A=Bだってことが根本的にわかってない。あと、基本的に「単位」と言う概念がない。グラムをキログラムに直せない。だから密度が理解できないんですよ。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
言っときますけど19歳ですからね?900gのコアを測った記録しに、「9kg」って書いてあるんですよ。「お前、筋トレとかしないのか」「しますよ!20kgのダンベルとか持ってます」とか誇らしげに言うので「じゃあお前、このコアがそのダンベルの半分くらいの重さか」と言ってもピンとこない。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
で、そう言う、割り算も単位も知らない奴に、そこから「パーセント」の概念について教えてたんですよ……。取っ掛かりが何もわからねえ。そいつに、「俺はどうしたらお前に判ってもらえるんだろう」って泣き言言っちゃいましたよ。もう、本当、パーセントって一体なんなんだ……。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
本当は、異なる材料を合成したコアの密度の求め方とか、中身がスカスカなコアの体積の求め方とかも教えたかったんですけど。そんなレベルじゃないんですよね……。これ以上詰め込んでも絶対覚えられない。明日にしました。しかも明日教えるんじゃなくて、明日やるのは今日の復習です。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「お前は、小学三年生くらいの時点で覚えなきゃならなかったことを今一気にやらにゃならん。高校はまあいいとして、9年分の促成栽培だ」
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
「お前が小学生並みだと言ってるんじゃない。小学生でも出来るんだから、お前にだって絶対出来ると言ってるんだ。頑張れ!」
とか励ましながらやってました。
何が恐ろしいって、去年入った一年生五人いるんですけど、全員高卒でこのレベルなんですよ……。ハリウッドよ、これが日本だ。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
まあ、俺らは俺らでこの一年何を教育してたんだって話ですけどね……。でも限度があるだろ。俺らは技術者なんだよ!家庭教師じゃねえんだよ!密度くらい高校でマスターしてこいよ!1時間は100分じゃねえんだよ!とりあえず何でも2で割るな!100を掛けるな!質量を10立方メートルって言うな!
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
以上です。年度末なんだよ。決算期なんだよ。こんな愚痴言ってる場合じゃねえんだ……。
— 猫柳墓場 (@NM_amida) 2016年3月9日
感想¶
この人どんだけ精神力あるの, というのにまず感銘を受ける. ただ想像したくもない魔界だし, さすがにいくらなんでも絶対相手にしたくない.
黒木さんツイートの引用¶
最後に引用しておく.
#掛算 「どうして勉強しなきゃいけないの?」という疑問に対する1つの解答が書いてある→高卒社会人一年生(もうすぐ二年生)に「重さ」と「面積」と「体積」とは何かを教えている。 https://t.co/6fnZEu472y
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月11日
できることはやっていこう.
Aizenman らの論文, Random Currents and Continuity of Ising Model's Spontaneous Magnetization¶
本文¶
田崎さんから 11/8 に Aizenman が Ising の磁化の連続性の証明を出したことを教えてもらった.
アブストラクト¶
Random Currents and Continuity of Ising Model's Spontaneous Magnetization
Michael Aizenman, Hugo Duminil-Copin, Vladas Sidoravicius
The spontaneous magnetization is proved to vanish continuously at the critical temperature for a class of ferromagnetic Ising spin systems which includes the nearest neighbor ferromagnetic Ising spin model on $Z^d$ in $d=3$ dimensions. The analysis applies also to higher dimensions, for which the result is already known, and to systems with interactions of power law decay. It allows to conclude similar continuity results for one dimensional systems provided the decay is slower than $1/r^2$ (at which the transition is known to be discontinuous). The proof employs in an essential way an extension of Ising model's random current representation to the model's infinite volume limit. This extension enables one to reduce the continuity statement to a simple criterion on the decay of correlation in the Gibbs state with free boundary conditions. For reflection positive models, this criterion may be established through the related infrared bound.
今すぐには読めないが, 忘れないようメモしておこう.
Altman-Kleiman の A Term of Commutative Algebra の PDF 版が無料だったので買って (?) みた¶
本文¶
かなり恒例感あるが, kyon_math さん経由で本の情報を仕入れた. これやこれやこれだ.
Our text"A Term of Commutative Algebra"aims to be an updated, improved version of Atiyah and Macdonald's 1969 classic http://bit.ly/12wuOX0
Altman/Kleiman すげー. アティマクを越えると宣言してるのか. http://bit.ly/1dzKTkU
アルトマン・クライマンの可換環論, 電子版は無料だった. すげー. A Term of Commutative Algebra by Altman and Kleiman http://bit.ly/1dzKTkU
PDF なら無料な上, アティマク越えを目指しているとのことなのでとりあえず買ってみた (ダウンロードしてみた). これから読む. 使えそうなら誰かとゼミしてしっかり読み込みたい. 他にも Milnor の Morse 理論も読みたいし, Lieb-Seilinger の Stability of matter も読みたい. あと, 2 年くらい放置している論文もいい加減仕上げたい.
追記¶
少なくとも 2021 年時点で正式版が出ている. 演習の解答つきで 400 ページを越えている分厚い本になっていた. ただし解答が本当に半分, 200 ページ越えの量があるので, 形式的には本文は 200 ページ程度でアティマク相当の量ではある. まだきちんと読んでいないが読みたくはある.
魔人 Milnor¶
本文¶
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2014, 3月 25
@waheyheyこの本、何という本でしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 3月 25
@phasetr一次元代数的特異点とディンキン図形という本だったと思います。難しい基礎付けをせずに初等的に特異点の紹介をしているので、某サークルの発表の参考にしようかと。
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2014, 3月 25
Milnor の本読みたくなった. 読んだら YouTube の動画講義も作ろう.
最初の画像の Milnor に関する記述も引用しておこう.
ミルナー (J. W. Milnor, 1931-)
とにかくこの人の著作を一冊精読すると, この人は偉いとなぜか自然に思えてくる. そんな不思議な人である. 徹底した明晰さで書いてあることが自然に頭に入ってくる. 難しいはずのことがやさしくなってくる.
あと有名なのは何年か前の数学者主人公のヒット映画「ビューティフルマインド」の 主人公ナッシュの敵役がこの人である. 運命のいたずらで, この人が居たためにナッシュの人生が狂っていき, 巡り巡って, ヒット映画ができたわけである.
Nash も魔人だというのに Milnor やばい.
あと上で言及された本, 卜部東介『一次元代数的特異点とディンキン図形』はこれだ.
解析学とコンパクト性: 特に無限次元空間の単位球の (汎) 弱コンパクト性¶
本文¶
ブルブルエンジン兄貴と解析学に関するやりとりをしてきた これとかこれ.
やりとりその 1¶
ヒルベルト空間は, 閉単位球体が点列コンパクトなら直交基底を持つらしいのですが, これ選択公理要るのってやばいんですか??
@alg_d 誰も気にしていないのでは. 作用素環だとちょっとした汎関数つくるのに選択公理つかうようですし, 使うものと割り切っているか気にしないか, という印象
@phasetr この命題が成り立たないとしたらやばいんですか??
@alg_d 応用上, 大体可分なところしか考えない (ただ, $L^{\infty}$ はよく出てくるのに非可分) (作用素環だと普通可分性を仮定) ので, そもそも現行人類が制御できる世界の外側なのでは, という感覚があります
@phasetr やばいと思った
やりとりその 2¶
そもそも関数解析で閉単位球体をコンパクトにしたいのってなんかあるんですか
@alg_d 「有界閉集合はコンパクト」の類似が使えてこう色々とはかどるからです. 幾何でよくコンパクト多様体ばかり出てくるのと似たような感じ
@phasetr なんかはかどるイメージがあまりわかないレベルで雑魚でした
@alg_d 解析学だと何かしら収束させないと話が進まないわけですが, 有界列であれば部分列くらいは収束してくれるのでうれしいわけです. そういう感じ
@phasetr はー, なるほど!!
アオイゼミなるネット塾を参考に何かしてみたい¶
本文¶
アオイゼミ なるネット塾があることを教えてもらった. 時間的余裕がなかったのであまり見られなかったが, ニコ生などもやっているようだ. 普通の中学生向けの塾らしい.
「ライバル」も多いし, 今のところ普通の中高生向けに何かするつもりはないが, 最近この手の大学生が中高生向けにネットで授業を配信するサービスとか増えているので, 参考にして何かしたい.
この間, 理研が施設公開のときに理論物理学者の展示をしたというのもあって, それなりに反響があったようなので, そういうピーキーなところを狙っていきたい. 理研とかぶったら勝負にならないので, 理研もやらないようなところでニーズがあるマニアックなところで何かする必要がある. 理研で今後もやっていく, という話はこの辺で言っていたのでそれも紹介しておこう.
有難うございます. この手法はまだまだ改善の余地がありますが, 拡げたいです. RT @TeraKen0510: 大盛況だったとのこと, おめでとうございます! アウトリーチの新領域の開拓ですね!
本日の理研の一般公開で「実験」してみた, 理論科学者「理論屋」そのものを展示
基本的に内容は今までやっていたのと同じ感じだが, 対象にする層を広くする感じでとりあえずやってみたい. ひとまず動画を仕上げよう.
数理物理の魅力と相転移の魅力: 数学と物理と数理物理と¶
Ask.fm での質問¶
二つの質問になってしまいますが, 主観的なもので結構ですので, 数理物理の (特に物理や数学それ自身と比較しての) 魅力および相転移現象の魅力がどこにあると感じてらっしゃるのか教えていただけませんか.
回答¶
今考えるとあまりきちんと回答していない気もするが とりあえず回答.
数学と物理, 両方好きで両方やりたいという単純な所です.
もちろんどちらか一方でも死ぬほどきついので, 本当に「研究」しようというなら, どちらも半端な出来損ないになる可能性を視野に入れつつ それでも踏み込む決意と覚悟が必要ですが. もうあまり詳しく覚えていませんが, 相転移は大体田崎さんの影響です.
数学的には「特異性の数理」が非常に好きです. 色々あって学部一年の頃から数学的には超関数だとか ある意味でかなり特異性の強い数学とずっと戦っていて, 結局今でも「場の理論の超関数論」と銘打って研究しているので 三つ子の魂百まで感あります.
話がずれましたが, 興味だけなら代数幾何の特異点論とか, ブラックホールだとか, 特異性が絡む話は大体何でも興味があります. 極限で特異性が出てくる現象がとても好きで, 熱力学的極限とそこからの相転移がとても気にいっています. 相転移をやるなら人類が最大精度で扱えるのが 磁性関係だから磁石を扱う方向に行ったと言う非常に単純な動機です.
もちろん水が凍るとかもやりたいですが, アレは即死レベルだし, シュレディンガーで磁性も即死コンボです.
磁性だととりあえずイジングですが, イジングは (相対論的) 場の量子論の繰り込み処理との関係もあり, 数学的に量子統計と場の理論の相性がいいこともあって, 手始めにやりやすいところから, と思って 場の理論方面の勉強をしていて, 相転移自体とは 大分離れた赤外発散を修士では主に勉強していたのですが, 修論の為のネタ探しで考えたら一応磁性もできるわ, と言う感じで磁性 + 赤外発散みたいな 特異性に特異性が重なって死ぬほど面倒臭い代わりに 趣味ばっちりな所を見つけたのでそこで今も 色々やっています.
物理的には素直な拡張でも数学的には全く 別の話を絡ませたりしなくていけなかったり, 逆に数学的には共通部分が多いのに物理としては ちょっと遠目の所にアプローチできたりするのが 今の分野の面白いところですが, 一旦話が難しくなりすぎて死んだ分野なので, 一般にはお勧めしていません.
ただその分やっている人も少ないので, すぐに世界のトップ 10 くらいに入れますし, 実際に多少しぼるだけでいわゆる オンリーワンでナンバーワンにもなれます.
大学のアカポスゲット的な意味でこのご時世に いい結果がすぐに出る保証は全くできないので, 決しておすすめはしませんが.
数学と現実問題の狭間で: 応用数学や数理工学¶
本文¶
うーん, だって論理は教えてませんからねぇ. RT @kagami_hr: Q ちゃんさんや嘉田さんのポストを読むと, 国立大学でも入学した学生さんの基本的な論理や日本語の使い方について, かなり深刻な状態になっているみたいだ. 少し認識が甘かったかも知れない.
@kyon_math 先程の内容については, ある程度の学力がある人ならば特に教わらなくても分かるのではと思っていましたが, かなり認識が甘かったようです.
@kagami_hr @kyon_math 3 流大学で数学をやっていると, マジで絶望しますよ. しかもその中から結構な数の教員が...
@aoeui666 @kagami_hr 絶望してても始まらないので, 高校の先生のスキルアップの必要性を感じてます. 米国数学会などは意欲的な先生を集めて, 少し高度な数学や, おもしろい教材などを紹介する夏期講習会みたいなものをやってますね.
@kyon_math @aoeui666 @kagami_hr 教育学部数学科の学生が, 高度な数学を学ぶことを嫌がるのを, どう教育するかという問題も出てくると思います. 教育実習とかやった後に「もっと数学やっておかなくちゃ」と感じる学生も多い.
@Paul_Painleve @aoeui666 @kagami_hr 最近は, よく「ボクは現実に即したことをやりたいんです」という人がいます. 聞いてみると, パズルとか, ルービックキューブとか, 株価とかですね. 「抽象的な理論はやりたくない」の裏返しだろうなと思ってます.
@kyon_math @aoeui666 @kagami_hr 現実を数学にするというのは, 抽象数学が必要になって, 本当はとても難しいのですけどね. 解析も幾何も嫌いだから, 高校数学程度のイメージで「整数論やりたい」という学生に通じるのかもしれません.
コメント¶
『「抽象的な理論はやりたくない」の裏返しだろうなと思ってます』というのに対する真偽の程はともかく, 『「ボクは現実に即したことをやりたいんです」』というのは地獄としか思えない. Paul_Painleve さんも言っているが, 数学を現実問題に使っていくのはとても難しい.
他にもいくつか記録しておくべきやりとりがある. まずはこれ.
引用¶
ルービックキューブにしても, 渋滞問題にしても, 株価にしても, 15 ゲームにさえその背後には深い数学があったりする. しかし, それらの数学は抽象的であり, 抽象的だからこそさまざまな問題に応用できる. ここを飛ばすと, 原因と結果を短絡させることしか残っていない.
@kyon_math ≪卒論要旨≫ ルービックキューブや 15 パズルも, 群論使って最短経路とか解き明かすよりも, さっさと手を動かす方が速く完成するから, 数学なんて役に立たないとわかりました. このことを教えてくれた kyon 先生に感謝します.
@Paul_Painleve それが自分で体得できたらもう卒論の単位なんて 10 倍位してあげます. #教わるだけじゃダメ
@kyon_math わ~い, kyon 先生から 100 単位もらった~ ルービックキューブ流行時, トポロジーの T さん等が凄い研究ノートを作っていて森毅もこりゃかなわんと思っていたら, 野崎さんだか誰かが本書いて売れた. 「あんなしょうもない本が売れるんやったら, 俺が先出すんやった:」
@Paul_Painleve 「もう君に教えることは残っていない. 君は自分の数学を追い求めてゆけばいい」なんてカッコいいセリフを一度言ってみたい. でも実際に言うときは限りなく悔しいだろな.
@Paul_Painleve ルービックキューブは複雑だと言ってもしょせん有限群の一つにしかすぎませんからねー. ルービックキューブが ubiquitos だとかわかるとみんな飛びつくかもしれないが, そんなことありそうもない.
@kyon_math 良いゲームは, 数学的には決して複雑ではないが, 数学として扱おうとすると煩雑で解法が簡単にはわからない, という性質を持っていると思います. 「わかりやすいけど, やってみると難しい」という意味ではフェルマー予想は, 究極かつ至高のゲームだったかも.
@Paul_Painleve 師匠のゲームもありますね. 米国ではコンウェイの名前がついてるようですが. あれは, 単純でいながらある種の有限な決定的ゲームを包括するという意味でも驚きだったかも.
@Paul_Painleve K 先生の著書が待たれる.
@kyon_math K さんは, S.-WELTER のゲームと呼んでますが, WELTER の論文自体は有名でなくて, Conway On Numbers and Games で紹介されたものが知られているようですね.
@kyon_math 確かに, マヤ・ゲームは「単純だけど普遍性をもつ」という意味で凄いゲームですが, ルービックキューブほど一般受けがしないのは, ゲームとしての面白さで及ばないからでしょう. 必要な数学もちょっと難しい.
引用¶
あと, この kyon_math さんのツイートについた Paul_Painleve さんのリプライがとても大事.
だいたい数学科に入ってきて「現実の問題をやりたい」なんてやつはいなかった. むしろそっちの方が問題だった. 数学とは本来抽象的なもの.
@kyon_math 現実の問題を数理科学として取り組もうとしても, 簡略化しすぎて現実と離れるか, 複雑すぎて扱いきれないか, どちらかになることが多いですし. 後者だと, 普遍化できずにその問題にしか使えない特殊計算になり, 前者だと構造は見やすいが現実とは完全に別物な空論になる.
kyon_math さんが言及した学生がどこまで考えて言っているのか分からないが, 現実問題を議論するのはとても難しい. 第 4 回の関西すうがく徒のつどいでも少し話すが, 現実の問題を考えるのは死ぬ程つらい. 本当に現実的な設定でやろうとすると厳密な数理解析としてはまず手が出ないし, 手が出せるレベルにしたらしたで, 今度は現実とかけ離れているので, どういう風に意味づけするかという部分で非常に苦しくなる.
確率論・数理ファイナンスの話¶
有名な話らしいのだが, 1 つ確率論・数理ファイナンス周辺で次のような話がある. 高橋陽一郎さんが「数理ファイナンスというのは物理でいうと理想気体を扱っているようなもので, 現実離れしたとても綺麗なところしか扱えない.」と評していた覚えがある. あと小ネタとして, サルコジが「数学 (数理ファイナンス) がリーマンショックを生み出した元凶だ」みたいなことを言ったそうなのだが, そのときにフランスの数学者達が連名で「数学が悪いのではない. 数学的な仮定があてはまらないところにまで無理にあてはめようとした人間達の問題だ」という抗議声明を出したと聞いている.
あの人検索 Spysee¶
応用数学・数理工学的に現実問題を考えるとき, 色々な意味で普通の数学の感覚からは離れてものを考えないといけないし, 数学外の現実問題も考えている必要がある. 色々あるが, 例えばあの人検索 Spyseeのソーシャルグラフとか. Spysee でどうやっているのかは知らないが, この手のことをしている人 (具体的にはチームラボの猪子寿之さん) に聞いたところによると, 次のようにして計算して表示するらしい.
- グラフの中の人数に対応する高次元の空間で, 人と人の間に仮想的なバネをつける.
- バネの「バネ定数」は色々なデータから適宜設定する. (Spysee の場合は web 上から色々調べて設定しているはず. )
- これを 2 次元に落とす.
- バネのエネルギーが最小になるような配置をする.
関係性が強い人の間ではバネ定数を大きく設定すれば, 距離が近い方がエネルギーは低くなる. そうしてソーシャルグラフの遠近に意味付けをしていると聞いた.
数学的な問題¶
ここで現実を考えたときにいくつか問題がある. まず最小値が存在するかだ. 最小値があったとしても問題がある: その解を現実的な時間で計算できるかだ. 「現実問題」として, いつまで経ってもグラフが表示されなければ, ユーザはページ遷移して離れてしまうだろう. 短時間で計算できるアルゴリズムが求められる.
短時間で計算できなかったり, 最小値がない場合, いくつかの対応方法がある. Spysee のようなサイトでは厳密な結果がいらないだろうから, そういう設定で考えよう. もちろん, このとき「厳密な結果がいらない」という判断をすること自体, 数学の意識の枠外であることに注意してほしい. 何となくそれっぽい結果が得られればいいので, 適当に近似計算をすればいい. 「適当に近似計算する」といってもそれをどうするか, という問題はあるがそこまで深いところには触れないことにする. ちなみに適当に近似計算していることは実際の結果を見てみると分かる. アイドルマスターの秋月律子が出ているからだ. これはアイドルマスターのアイドル, 菊地真 (女の子だ) と何かよく分からないが混同されていることから来ているのだろう. ただ, 計算結果というより, その前段の Web から情報を取ってくる段階での問題かもしれないのだが. ちなみに, 以前は菊地さんの画像自体, まこまこりんだったことを付け加えておきたい.
他の方法¶
他の方法についても書いておこう. 今の場合, そんなに頻繁にソーシャルグラフが変わらないことが予想できる. (もちろん数学以外の知識を使わなければこの判断はできない.) だから時々計算してその結果をデータベースに入れておき, リクエストがあったときだけ結果を呼び出すようにすれば, ユーザの待ち時間が短縮できる. 場合によっては計算機資源の節約にもなる. また, アクセス解析をした結果, ページのリクエストは早朝 3-6 にはほとんどないことが分かっているとしよう. 定期的な再計算をこの時間帯にすることで計算機資源の有効活用することができる. このとき, 近似計算の精度を上げた計算を回すことができるかもしれない. こういう話は Google のページランクの話とも色々関係する. ほとんど数学的な面だけしか議論していないが, 興味がある向きは私が前に作った動画などを参照してほしい.
面倒なのでこのくらいにしておくが, 現実に即した役に立つことをしようと思うと色々なことを考える必要がある. 軽々しく「現実問題をやりたい」「役に立つことを」などと口にしてはいけない. そのためには知らなければいけないことがたくさんあるし, 他の人との協力プレーだって必要になる. 解きたい問題が自分の知っている数学で解ける保証もない. 必要なら勉強するなり新しい数学を作る必要すらある. 第 3 回のつどいでのーてぃさんが発展途上のパーシステントホモロジーと画像処理の話をしていたが, そういうことだ. 自分の無能さに歯を食いしばりながらアタックする覚悟があるのか. 私は色々な面でそうした能力がなかった悲しみに打ちひしがれている.
伊藤哲史さんによる『楕円曲線の数論幾何』の PDF¶
はじめに¶
元ツイートがどれだか分からなくなってしまったのだが, 伊藤哲史さんによる楕円曲線の数論幾何という PDF が流れてきた.
次のような話が載っているとのことで, ちょっと読んでみた.
メモ¶
最近では, ワイルズ以降, 大きな進展があった. この 10 年間だけでも, 重要な未解決問題が数多く解かれた. この講演では, そのうちのいくつかを (雰囲気だけでも) 紹介したい.
- フェルマーの最終定理
- 谷山-志村予想
- 佐藤-テイト予想
- バーチ-スイナートン・ダイヤー予想 (BSD 予想)
細かいところは興味ある各人が勝手に読むことを期待しているので, 適当に面白いと思ったところだけ抜いていく.
数論幾何: 整数に関する問題を, 幾何学的手法を使って研究.
整数は "目に見える" 素朴な対象. 目に見えている部分だけでは, よく分からないことも多い. より深く理解するために, "幾何学的な視点" を導入して研究する.
数論幾何の醍醐味 『素朴な対象の背後に, 広大な世界が広がっている』 (ただし, 「素朴 $\neq$ やさしい」)
『素朴 $\neq$ やさしい』というの, Feynman の初等幾何を駆使した力学講義を想起させる.
モーデルの定理 (モーデル・ヴェイユの定理)
$E \colon y^2 + x^3 + ax + b$ を楕円曲線とする. このとき, 有限個の有理点 $P_1, P_2, \dots, P_n$ が存在して, $E$ の全ての有理点を $P_1, P_2, \dots, P_n$ から作ることができる.
面倒なので引用を省略したが, この前段にある具体例のあとに出てくるこの定理が凄まじい. 具体的にいうとねじれ点の話.
$P_1, P_2, \dots, P_n$ を生成系という. $Q_1, Q_2, \dots, Q_r$ から, ねじれ点以外の有理点を全て作ることが できるような $r$ の最小値を, $E$ の階数という.
P.19 の Hasse の定理, これ自身はよく分からないが, 言い換えの方を見て凄まじさを把握した.
P.24 の比較画像, 唐突過ぎる.
やはり他分野の問題の面白さの把握, 著しい困難を覚えるということが再確認された.
数学をテーマにした美術: 方程式のある風景¶
はじめに¶
「数学をテーマにした美術館展覧会」というネタが上がっていた.
「数学をテーマにした美術館展覧会」って非常に魅力的だが, 何をかざればいいんだろうか.
ここで「証明図はどうか」というリプライがある.
引用¶
@ytb_at_twt 数学記号満載の計算式を大量に書いていくライブペインティングが見たいです. 計算過程をとても美しいと思うので. 数学わかりませんが.
@noukoknows うーん…ある種の美ですが…結局はよくあるツリー状のデータ型の一つですからねぇ…
@ytb_at_twt はい, さすがに冗談です (笑) とはいえたまに証明図きれいだなと思うことはありますが・・・!
@dot_taigu 外見的には, Unix とか MacOSX のマシンでコンソール・ウィンドウを開きっぱなしにして 記号列がすごい勢いで進んでいくのを眺めるのと似た体験になりそうですね (もしかしたら数学と計算機の中の記号処理は本質的な違いはないのかもしれませんし).
@noukoknows それはたしかに. 大学祭で「数学者百人の選ぶ『美しい証明図展』」とかやれば人が…来ないか….
@ytb_at_twt 数学とアートに関してはこんな国際的なカンファレンス http://bridgesmathart.org/mission-statement/ があるんだそうですね.
コメント¶
まだ大量に書いていくライブペインティングとまでは行かないが, 数学用タイプライターアプリはここで作成途中のものを公開している. 最近別件で忙しくて開発に手をつけていないのだが. これ, ニコニコにも投下しておこうと思って忘れている程度にアレだ.
あと, 式自体を鑑賞する試みというと大袈裟だが, 次のような本もある.
物理, 特に量子力学関係の式を鑑賞しようという本だ. 上記タイプライターアプリを作った背景には以前これに目を通したことがあるということも大きい. 相変わらずしたいことは色々ある.
Atiyah-Macdonald のゼミ的なアレと参考書として岩永-佐藤の『環と加群のホモロジー代数的理論』がお勧めという話¶
本文¶
にゃんにゃんとのやり取りをまとめておきたい. この辺からだ. にゃんにゃんツイートが消えているので私のだけを引いておく. かの有名な Atiyah-Macdonald のゼミ的なアレをしようという話があったのでそれについてのやりとりだ.
メモ¶
@dingdongbell 前言っていた, にゃんにゃん的アティマクゼミはやるのでしょうか. やるなら参加したいのですが
@dingdongbell ぼなっちさんにも発表してもらうことでしのぐライフハックを提案
@dingdongbell 都合が合うなら呼んであげてもいいのでは, というのは思っています. もちろんあんなもの喋らせるつもりないですが
@dingdongbell ちなみに終わらせるはずだった勉強というのは何なのでしょうか
@dingdongbell 見る限り予備知識はいらない感じします:環のところを眺める限り最初からきちんと書いてあるので. 証明が簡潔なので参照用の控えの本候補や例が書いてある本を探しておくと便利かもしれません
@dingdongbell それ, 一応持っていますがかなり本格的で相当辛かった覚えがあります. http://www.amazon.co.jp/dp/4535783675 は非可換環の話が中心ですが, 例も結構ありつつ, 一般化を敢えて避けた上でかなり丁寧に議論していてかなり良い本だという印象
コメント¶
にゃんにゃんがお勧めされた本として松村の『可換環論』が挙げられていたが, これは相当つらいのでは, と返した.
上で私がいいと言っているのは岩永-佐藤の『環と加群のホモロジー代数的理論』だ.
李奇人 P にお勧めしてもらったのが非常にいい. この本はあえて過剰な一般化をしないで Noether 環や Artin 環に制限したところで議論している. 特に代数で一般化に抵抗するのは難しいだろうから著者達の熱意と気迫を感じる. 著者達の興味から非可換環への応用を見据えているのだが, 可換環の勉強にも役立つだろう.
普段 Twitter では東大やら京大の学生とばかり話しているので感覚が麻痺しつつあるのだが, 代数専攻の学生であってもその辺の数学科学生では松村などの本格的な本を読むのはしんどいだろう. この本はそうした教育的な配慮も行き届いている. 幾何だとある程度ホモロジーなどが必須なので代数もやらざるを得ないが, 関数解析主体の微分方程式まわりの解析専攻の学生が代数を学ぶには相当いい. 多変数関数論でも Noether 環くらいは山程出てくるが, そうしたところは十分カバーできる. 代数の学生でも一冊目としてこれを読んで, その後に本格的に一般的に勉強してもいい.
上で簡単に触れた教育的配慮としては, Noether レベルで一般化を止めているということの他に例がかなり豊富に書かれていることもある. 例を作ること自体も勉強だが, 初学だとやはりなかなかつらい. そうした点をきちんと埋めてくれている. 面白かったのは, 例えば環の単位元と部分環の単位元は一般には異なることを行列環で説明していることなどだ. 当たり前といえばもちろんそうだが, 身近な例を挙げて丁寧に説明してくれているのが嬉しい.
Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたので¶
本文¶
Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたようなのでとりあえず見てみた.
From Physics to Number Theory http://youtu.be/I1ftUA17MZg
適当に聞いていたこともあり, どの辺からどう Number Theory が噛んでいるのかとか, 何故 Atiyah が幾何ではなく数論の話をしたのかとか全く分かっていないが, Atiyah の講演を聞いたことがなくミーハー根性を満たすためだけに聞いたのでよしとする. 砂田先生の言かと思ったが Atiyah の英語は日本語でいうところの「べらんめぇ口調」に対応するらしい. 分かるような分からないようなアレだが, Atiyah の英語はかなり聞きやすかったので程よい英語の勉強にもなりそう. 去年くらいに撮った映像のようだが, さすがに Atiyah も 84 なので疲れるということか, 座りながらトークしていた.
あまり真面目に聞いていなかったが, 最後の方でおそらく Hilbert-Polya 予想に関するのであろう話が出ていた. 次のように書かれたスライドがあったのだ.
Zeros of Riemann zeta functions are eigenvalues of gravity Hamiltonian?
Hilbert-Polya 予想というのは Riemann の $\zeta$ が適当な自己共役作用素のスペクトル (固有値の集合) で記述できるという予想だ. 元は重力の Hamiltonian に関する予想だった, ということなのだろうか. あまりきちんと聞いていないので分からないが. 量子力学 (非可換調和振動子) や場の量子論 (Fock 空間からの構成) については, 以前, それぞれ坊ゼミやささくれセミナーで少し触れた. Atiyah もこの辺に期待しているということだろうか.
あと最後に次の一文が出ていたので, 引用しておこう.
Without dreams there is no art, no mathematicians, no life.
Baez-Segal-Zhou の教科書, Introduction to Algebraic and Constructive Quantum Field Theory が無料公開されていた¶
本文¶
Baez-Segal-Zhou の有名な本がここで無料で配布されていたので, 一応共有しておこう. 『Introduction to Algebraic and Constructive Quantum Field Theory』という本だ. 時々論文にも引用されるので, 見てみたいとは思っていた.
ただ, 画像取り込みのようになっていて中で傾いているのでかなり見づらい. 検索が効くように配慮されているのは助かるけれども.
前半部分は大体 (場の理論の) どの本にも書いてある内容のようだが, 後半が少し珍しい. 特に最後の非線型場の話は最近の本にあまり書いていないように思う.
場の量子論の数学についてちょっと知りたいが, 本を買うほどの興味はないという向きは, 落としてみて眺めてみるといいかもしれない.
定常状態の熱伝導方程式と楕円型方程式の解の挙動について気になることがあったので¶
はじめに¶
やりとりその 1¶
「う」がつけば何でもいいなら楕円型非線形偏微分方程式でいいだろう
— 相転移P (@phasetr) 2013年7月22日
楕円型っていうと、熱伝導の式とか? QT @phasetr: 「う」がつけば何でもいいなら楕円型非線形偏微分方程式でいいだろう
— VIN (@VINZARNY) 2013年7月22日
@VINZARNY 説明がいいかどうかは微妙ですが,例えばこのページなどに説明があります http://t.co/DCJdohlpD8 適切な者が見つけられず申し訳ない限り
— 相転移P (@phasetr) 2013年7月22日
@phasetr 楕円型、放物型、双曲型偏微分方程式があるのは知ってますん。細かいことは忘れてましたが。
— VIN (@VINZARNY) 2013年7月22日
@VINZARNY ああ、定常熱伝導じゃないと楕円型にならないか。非定常だと放物型だ
— VIN (@VINZARNY) 2013年7月22日
やりとりその 2¶
あとこれ.
. @phasetr 定常熱伝導方程式http://t.co/SBVu6WoDfs
— VIN (@VINZARNY) 2013年7月22日
@VINZARNY 定常状態に関する解析というのは知っていますしこの文脈で定常状態の拡散方程式と呼ぶのも分かりますが,熱伝方導程式といったら少なくとも数学では普通方物型を指します
— 相転移P (@phasetr) 2013年7月22日
コメント¶
時間定常の熱伝導方程式が単純に時間項を落とした式として紹介されているが, 物理的に実験と合うのだろうか. もちろん適切な境界条件などの設定も必要だが, 定常状態は方程式自体は放物型の解で, それの時間無限大の極言を取った状態だと思っていたので, 実際のところどうなのか凄い気になる. 境界条件などが同じだからといって, 放物型の解の極限と楕円型の解は一致するのだろうか.
根本的に私の認識がおかしいということももちろんありうる. 機械工学の人の文章らしいし, 実験的な裏付けはきちんとありそうだけれども.
追記¶
その筋の数学者にコメントを頂いた.
偏微分方程式 (1966年) (新数学シリーズ〈第26〉) 伊藤 清三 https://t.co/gLuIbfyHHa @amazonJPさんから
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
@AmazonJP その辺はこの本に詳しいですね。線形熱方程式の解をt → ∞とすると対応する楕円形方程式の解に近づきます。熱のグリーン関数から対応する楕円形方程式のグリーン関数もだせます。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
@AmazonJP この本が1000円で買えるなら買いでしょうw
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
非線型の同じようなタイプのやつ (何といえばいいのかわからない) だとどうなのだろう. とりあえず安いし買ってみよう.
追記¶
あとで冷静に考えたらまさに指数定理などの熱核の方法だった.
Bolzano-Weierstrass の定理¶
はじめに¶
Bolzano-Weierstrass の定理についてのやりとりがあったので残しておきたい.
ボルツァーノ・ワイエルシュトラの定理って難しいかな?
@bonacci_11235 名前がわからないけど有界な数列は収束部分裂をもつってやつ?
@bonacci_11235 そこまで難しくはないですよ
@dingdongbell そうです
@bonacci_11235 大丈夫だと思う (?)
コメント¶
ボルツァノ-ワイエルシュトラス, 実数論の要という意味でかなりクリティカルだし, 一般にはコンパクトの話だし, 少し突っ込んだだけで深淵が出てくるのだがどういう意味でそれほど難しくないと言っているのか感ある. 数学が好きな子相手の話だからこそクリティカルという感ある
@phasetr 工学部の人間相手なら「気にしている暇があったら本業やれ. 本業で本当に出くわしたどうにもならなくなった時点で気にかけろ. それでも多分気にする必要はないし, 本当に気にする必要が出てきてしまったときはまず工学が分かる数学者を巻き込め. 話はそれからだ」的なことをいう
『数とは何かそして何であるべきか』 リヒャルト・デデキント 著, 渕野 昌 翻訳, 渕野 昌 解説¶
本文¶
数とは何かそして何であるべきか
リヒャルト・デデキント 著 , 渕野 昌 翻訳 , 渕野 昌 解説 待望の新訳 訳者による充実の解説付き!
「数とは何かそして何であるべきか? 」「連続性と無理数」の二論文を収録. 現代の視点から数学の基礎付けを試みた充実の訳者解説を付す. 新訳.
コメント 1¶
この辺 から ytb_at_twt さんが感想を書いている.
現代的視点から読み直すというのはまあ批判はあるじゃろな. でも, デデキンドの実数論を現代的視点から読み直して位置づけ直すというのでお値打ち (フチノさん曰く名古屋弁) な本だと思います. http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095473/
コメント 2¶
patho_logic さん分.
「数とは何か, 何であるか」買って来た. フチノ節前回でゲラゲラ笑いながら読んでる. http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095473/
でも, デデキンドの実数論を現代的視点から読み直して位置づけ直すというのでお値打ち (フチノさん曰く名古屋弁) な本だと思います. http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095473/
現代的視点から読み直すというのはまあ批判はあるじゃろな.
コメント 3¶
ytb_at_twt さん分.
デデキント「数とは何かそして何であるべきか」買ってきたー。デデキントの2論文が計110ページ程度、ネーターやツェルメロの「関連」論文が50ページ程度、訳者解説が150ページ程度、岩波文庫のゲーデル本と同じく原著者ではなく訳者の本。こういうビジネスモデル流行っているのだろうか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2013年7月12日
デデキント「数とは何かそして何であるべきか」買ってきたー. デデキントの 2 論文が計 110 ページ程度, ネーターやツェルメロの「関連」論文が 50 ページ程度, 訳者解説が 150 ページ程度, 岩波文庫のゲーデル本と同じく原著者ではなく訳者の本. こういうビジネスモデル流行っているのだろうか.
参考書の紹介で「江田 [ 10 ] と坪井 [ 54 ] はともに不完全性定理を中心とした個性的な教科書である. 両方とも著者を個人的に知っていると十倍楽しめる本である」と書いているが, このデデキント本も (以下略).
「ゲーデルの不完全性定理をなかったかのように振る舞う」ブルバキ派について「大震災での原発事故の起こる前の日本では, 原発事故は『起こらないものである』とされていて…訳者にはこれは『第一不完全性定理はなかったことにする』という一部の数学者の思考パターン…と同型」 (p238)
つーか原稿事前に読んだ誰か, こういうの止めろよ.
で, ところで, そもそも「数学の基礎」って何なのでしょうか. どこかに解説があるのかもしれないけれど見つけられない.
あと, この本, 対象とする読者はどういう人なんでしょうか. 50 ページで命題論理から ZF での選択公理とデデキント有限/ 無限の独立性まで書いてあって, すごい知識がないと読めないような気もします. 香りを楽しむ?
僕が独裁者になったら, 「数学の基礎」とは何かの定義を与えることなく, 「数学の基礎付け」について語ることを禁止したい.
私も読みたい.
2015-01-10 今日のいい話: とにかく「数学大好き」と言葉に出して洗脳していけ¶
- 数学, 数学教育, 相転移プロダクション
いまスタバで隣の女子高生が「数学の教科書開く前に毎回『数学大好き、数字は友達!』って言ってたらほんとに数学好きになっちゃった」って言ってる
— tazro inutano (@iNut) 2014, 12月 20
広めていきたい.
2015-01-12 私も統計学の動画を作っているので: 記事紹介『統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊』¶
- 数学, 統計学, 教育, 数学教育
良エントリー.マンガでわかる系は読んだことないから,僕も読んで見ようかな./ 統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊 http://t.co/BXyZd0sYBv
— えふわら (@efuwara) 2014, 12月 23
私も一応統計の動画を作ったので宣伝しておこう.
もっと続きを作りたいとは思ってはいる.
2015-01-15 ツイート・書籍紹介: 『数学の言葉づかい100―数学地方のおもしろ方言』数学セミナー編集部¶
- 数学, 数学書, 数学教育
数学の言葉づかい100―数学地方のおもしろ方言 数学セミナー編集部 http://t.co/WimOdegfy2これで読書会的なのしてみたい
— くらむちゃうだーv(・∀・)v (@kani_m) 2014, 7月 10
記憶にとめておきたい.
2015-01-16 SubfactorとCoxeter群¶
- 数学, 作用素環, Coxeter群, 代数, subfactor
ノルムが小さい自然数成分の行列の分類をしている
— りょう (@ryo_mathOA) 2014, 12月 25
@ryo_mathOAそれは何か面白い話が出てくるのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 25
@phasetrsubfactorの分類とかに使いますー! 今 http://t.co/bcs2Nxwxhyを読んでいるのです
— りょう (@ryo_mathOA) 2014, 12月 25
@ryo_mathOAありがとうございます。恐るべし subfactor
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 25
Subfactorも恐ろしいが, Coxeter群とかも恐ろしい.
2015-01-19 サイト紹介: Earliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics¶
該当ツイートがわからなくなってしまったのだが Earliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics というサイトがある. 数学の専門用語の初出をわかる限りでまとめたという謎サイトだ.
例えばこんな感じ.
CALCULUS. In Latin calculus means "pebble." It is the diminutive of calx, meaning a piece of limestone. The counters of a Roman abacus were originally made of stone and called calculi. (Smith vol. 2, page 165).
In Latin, persons who did counting were called calculi. Teachers of calculation were known as calculones if slaves, but calculatores or numerarii if of good family (Smith vol. 2, page 166).
The Romans used calculos subducere for "to calculate."
In Late Latin calculare means "to calculate." This word is found in the works of the poet Aurelius Clemens Prudentius, who lived in Spain c. 400 (Smith vol. 2, page 166).
今度じっくり読みたい.
2015-01-23 Bitbucketにあった【ハードルを下げつつ, 本質的なことから逃げない圏論の解説】というの記事の記述が気になったので¶
- 数学, 計算機科学, 物理, 圏論, 相転移プロダクション
本文¶
この流れなら出せる! ハードルを下げつつ, 本質的なことから逃げない圏論の解説 (鋭意加筆中) > https://t.co/ZXcD5GcSJ4
— tomo (@cocoatomo) 2015, 1月 21
圏は勉強中で全く酷い理解のままだが, ミスリーディングっぽい箇所を見付けたので記録しておきたい. Bitbucket にコメント的なアレがあればよいのだが見当たらないし, いろいろ書いたら長くなったのでとりあえずブログにまとめた.
「集合の元」はタブー
整数が対象であることから分かるかもしれないが, 対象は集合であることが多い. その集合の中身には言及せずに射の性質を語るのが圏論のやり方だ. 今まで「集合の元」を使って説明していたことと同じ内容を, 対象と射だけで説明するのが圏論だ. 圏論では対象が集合かどうかにはお構い無しにただの抽象的な概念「対象」であるのだが, 慣れるまでは具体的な集合を思い浮かべても良いと思う. ここの解説では, 集合の言葉と圏論の言葉の間を頻繁に行き来しようと思う. 既に知っている何かに引き付けて考えるのが, 何かを知る方法の 1 つではあるに違いない.
ここがミスリーディングではなかろうか.
念のため書いておくと, スタンスとしてはあくまで数学としての視点を重視してコメントする. まず圏でなるべく集合の元を取ろうとしないのはそもそも対象が集合にならないことがあるためだ.
数学としていうなら, 現実問題として対象を直接調べるよりも対象相互の関係を調べることで対象自身への理解を深める手法はよく使う. どういう例を出すといいのかよくわかっていないのだが, 例えば素粒子の性質を調べるとき, 粒子を衝突させてその様子を調べる. いろいろな粒子との衝突を調べてその関係から素粒子の性質を絞り込んでいくので, 正に相互の関係を調べることで対象自身への理解を深めていく形になっている. それで言うなら【その手法も一風変わっている】という記述にも問題がある.
他にもある人の性格を知ろうというとき, どんな人に対しても穏やかに対応するなら穏やかな人なのだと理解するだろうし, 立場の強い人には下手に出るのに立場の弱い人には横柄に対応する人はそういう人だと理解されるだろう. これもいろいろな対象相互の関係を調べることで元の調べたい対象の性質を調べている.
数学も人間の活動なので, 数学でも似たようなことがよくあるわけで, そうした現実に即したアプローチとして圏論が出てきたと理解している.
だから【元を取るのはタブー】なのではなく, 【直接元を見たいのではない】のであり, そもそも集合論的な意味での元がない対象を扱うからであり, そこまで含めてクリアに見通すために元の存在を仮定しない議論を 重視しているのだと理解している.
また計算機科学への応用についてあまりよく知らないが少し調べた限りでは自然変換が使われることがあるようだ.
関手が対象, 自然変換を射とした関手圏は対象が関手なので当然対象が元を持たない. 元を取らないと議論できないのでは, 計算機科学への応用上も使いづらくて仕方ないのでは.
貴様の理解も間違っているなどご批判あればご指摘頂きたい.
Qiita 投稿¶
自分のブログにも書いたのだが, ほんの少しだけ首を突っ込んだのでこちらにも転記しておきたい.
この流れなら出せる! ハードルを下げつつ, 本質的なことから逃げない圏論の解説 (鋭意加筆中) > https://t.co/ZXcD5GcSJ4
— tomo (@cocoatomo) 2015, 1月 21
圏はまだまだ勉強中ではあるものの, ミスリーディングっぽい箇所を見付けたので記録しておきたい. Bitbucket にコメント的なアレがあればよいのだが見当たらないうえ, 対応法があまりよくわからないし,いろいろ書いたら長くなったのでとりあえずここ(と自分のブログ)にまとめた.
「集合の元」はタブー
整数が対象であることから分かるかもしれないが, 対象は集合であることが多い. その集合の中身には言及せずに射の性質を語るのが圏論のやり方だ. 今まで「集合の元」を使って説明していたことと同じ内容を, 対象と射だけで説明するのが圏論だ. 圏論では対象が集合かどうかにはお構い無しにただの抽象的な概念「対象」であるのだが, 慣れるまでは具体的な集合を思い浮かべても良いと思う. ここの解説では, 集合の言葉と圏論の言葉の間を頻繁に行き来しようと思う. 既に知っている何かに引き付けて考えるのが, 何かを知る方法の 1 つではあるに違いない.
ここがミスリーディングではなかろうか.
まず圏でなるべく集合の元を取ろうとしないのは そもそも対象が集合にならないことがあるためだ. これはあとで少し説明する.
そして, 現実問題として, 対象を直接調べるよりもいろいろな対象相互の関係を調べることで 対象自身への理解を深めるのは日常的によくあるのだと 意識することが根本的に大事だろう. 圏の言葉でいうなら, 集合の元を直接取らずに射という 相互関係の取り扱いに着目する理由だ.
数学内でも数学外でも一般にどういう例を出すといいのかよくわかっていないのだが, 日常の例でいうなら, ある人の性格を知ろうというとき, どんな人に対しても穏やかに対応するなら その人は穏やかな性格なのだと理解するだろうし, 立場の強い人には下手に出るのに立場の弱い人には横柄に対応する人は そういう人だと理解されるだろう. いろいろな対象相互の関係を調べることで 元の調べたい対象の性質を調べている. このくらい日常的によく使う研究手法で, その前提で言うなら次の記述【その手法も一風変わっている】にも問題がある.
そもそも圏論について 圏論は比較的新しい数学の分野であり, その手法も一風変わっている.
他には, 素粒子の性質を実験的に調べるとき, 粒子を衝突させてその様子を調べるという物理の例がある. いろいろな粒子との衝突を調べてその関係から素粒子の性質を 絞り込んでいくので, 正に相互の関係を調べることで対象自身への 理解を深めていく形になっている. もう少し具体的にいうと, スピンを持っている中性子を使ったときに どういう散乱データが出てくるかを調べることで, 調べたい物質の磁性を研究するとかそういう感じ.
数学も人間の活動であって, 数学でも似たようなことがよくあるわけで, そうした現実に即したアプローチとして圏論が出てきたのだと理解している. 有名な MacLane の Categories for the Working Mathematician 2nd edition P.18 には自然変換の定式化のために関手を定式化して, 関手の定式化のために圏を定式化したとある. そして応用上決定的に重要なのは自然変換という話だが, この辺は勉強中で全く詳しくないので各自適当に調べてほしい.
話を元に戻すと【元を取るのはタブー】なのではなく, 【直接元を見たいのではない】のであり, そもそも集合論的な意味での元がない対象が重要でそれを扱いたいからであり, そこまで含めてクリアに見通すために元の存在を仮定しない議論を 重視しているのだと理解している.
また, 計算機科学への応用についてあまりよく知らないが 少し調べた限りではやはり自然変換が使われることがあるようだ.
関手が対象, 自然変換を射とした関手圏は 対象が関手なので当然対象が元を持たない. 元を取らないと議論できないのでは, 計算機科学への応用上も使いづらくて仕方ないはずだ.
2015-01-25 数学はずっと苦手だった: 数学・物理に関するツイート小まとめ¶
- 数学, 物理, 数理物理, 大学受験
個人的に関係するツイートをまとめてみた.
https://t.co/gFEoWVucuF物理が数学というのと数学が哲学というの、本当に意味がわからないのだがそんなことを言う愚鈍な凡夫は本当に存在するの
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrこういう人は、大学入るまでに数学以外で大した計算をした経験がないからこうなるのでは?
— SO(Drmiggy) (@SO880) 2015, 1月 5
@SO880謎としかいいようがありません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrズレてるかもしれませんが、数学に進んで、Zornの補題が出てくる辺りから議論の抽象度についていけなくなった子は知ってる。計算が得意だから数学に進んだ、というようなタイプもいますからねえ。
— differential_engine (@dif_engine) 2015, 1月 7
@dif_engine計算論を進めることで解決するライフハックを提案
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 7
制限だらけの高校物理, 結構気に入っているのでそのあたり.
https://t.co/V1P3Gk8toe前も書いた気がするが、【微分積分を使わない(高校の)物理が罰ゲーム】だとか制限だとか思ったことは一度もない。高校の範囲でいうなら微分積分が使えると言っても所詮1変数だし、1変数の制限でどこまでできるのかいまだによくわからない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrこれも前つぶやいていろぶつ先生から早川さんにまで飛び火して教えて頂いた話 http://t.co/b7qXL1wGMZとして、衝突は高校レベルだと瞬間的に起きるという近似で議論されるはずだが、これを杓子定規に言うなら運動が微分不可能になるがその場合とかつらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrで、それはどうでもよくて、高校の物理で(一応)使えるはずの微積分を使わない「物理」に関して私がとても気に入っている理由は私の専門にある。自分の数学力に見合った数学しか使えない中、それでもその枠内で何とか物理を(数学的に厳密に)やるというの、正に私の専門だ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetr高2-高3で使える枠内で何とか頑張って、どれほどうさんくさく汚く意味不明な「数学」であろうととにかく頑張って証明をやりきるとかその辺とものすごく繋がっている気がして、その無茶さ加減とそれでも何とかねじ込む腕力的なアレを追体験できてとてもいい気分になる
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrちなみに振動・波動は位置と時間の2変数は確実にあって、時々平面内の波の議論もでてくるから3変数までは確実に扱う。とてもつらいだろう。それとは関係ないが、大学受験のとき波の問題が死ぬほど苦手だった。あと数学は全受験科目の中で一番できなかった
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrこれも何度かいっているが、順列・組み合わせ・確率はセンターレベルですら本当に苦戦していたし、センター数II・Bの本番で大失敗したこととかいまでも忘れられない程度に本当に駄目だった
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
数学はずっと苦手だったので.
大学受験、数学が一番駄目でその次に物理が駄目というていたらくだったのに行きたいのは物理学科(数学は天才がやるものだと思っていて自分には無理だと思っていた)で本当に苦労したので、受験周りの嫌な記憶は当分消えてくれそうにない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetrちなみにこの記憶があった上で大学での物理・数学、特に数学が色々な意味でやたら心の琴線に触れてきたため、大学で「この【数学】なら自分にもできるところがあるかもしれない」的なアレになったという経緯もある。強いて言うなら「大学では数学が【俺にできる数学】になった」感
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
@phasetr大学受験の数学、本当に難しいと思うしよくあんなの難しいのを制限時間内に解けるなと本当に感心する
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 5
今日も明日も数学したい.
2015-01-26 ゼルプスト殿下の作った(反)例ツイートまとめ: 連続な全単射は同相写像になるか¶
面白ネタだったので思わず. あとでhttps://github.com/phasetr/math-textbookの(反)例のところに載せていいか聞いておこう.
【定義】半開区間 [2n, 2n+1) をI_nと書く. I_0からI_{k-1}までのk個の半開区間の和集合を X_n と書く. X_n には数直線 R の部分空間の位相を与えることにする. 【命題】X_n からそれ自身への連続全単射はすべて位相同型写像である。
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon【補題1】半開区間I_nからそれ自身への連続全単射は位相同型写像である. 【補題2】連続写像は連結成分の個数を増やさない. とくに, X_n の連続像は高々n個の連結集合の和集合である.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon f: X_n→X_nを連続な全単射だとする. 像 f[I_n] は X_n の連結部分集合であるから, どれかの I_k に含まれる. X_n から I_n をとり去ると, 残る集合は X_{n-1} である. これは n-1個の連結成分をもつ.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyonもしも, f[I_n]の像が I_k の真部分集合であれば, X_nからf[I_n]をとり去った残りがn個以上の連結成分をもつことになる. ところがfが全単射なのでそれは像 f[X_{n-1}] にほかならず, 補題2に矛盾する.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyonしたがって, I_nの像f[I_n]はI_k全体である. I_0,…,I_{n-1}についてもそれぞれ同様である. すなわち f は各 I_i をどれかの I_j の上に写している.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon補題1によれば, 各 I_i に制限された f は, I_i から I_j への位相同型写像になっている. このことから, f は X_n から X_n への位相同型写像になる.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon補題の証明だが, 補題2は普通の集合と位相のテキストの演習問題程度なので今日のところは略するとして, 補題1の証明. これは [0,1)から[0,1)自身への連続全単射が位相同型写像であることを示せばよろしい.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyonf:[0,1)→[0,1)を連続全単射とする. まず f(0)=0 である. そうでないとすると f(x)=0, 0<x<1 をみたす x が存在することになるが, 中間値の定理によれば x の左右で 0 の近くの値を2度以上とらねばならず単射でなくなる.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon0<s<t<1 としてみよう. このとき f(s)>0 かつ f(t)>0 であるが, もしも f(t)<f(s) であればふたたび中間値の定理により s の左右で f が f(s) の近くの値を2度以上とることになって単射でなくなる.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon要するに, f は単調非減少写像であるが, 単射でもあるので, 狭義単調増加写像であり 0≦s<t<1 のとき f(s)<f(t) となる. また f は全単射であるから逆写像 f^{-1} をもつ. これも狭義単調増加写像で, 全単射である.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyonこの f^{-1}は連続である. 不連続点 x があれば単調性から 0≦f^{-1}(x-0)<f^{-1}(x+0)<1 となるが, このとき f^{-1}(x-0)とf^{-1}(x+0)の間の値が f^{-1}の値域に入らないことになり不合理だ.
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyonこうして f^{-1} も連続であることがわかり, f が位相同型写像であることが示された. 証明おわり(^^)
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 5
@tenapyon「I_0からI_{k-1}までのk個の〜をX_nと書く」は「X_kと書く」ですよね(細かい話)。
— 結城浩 (@hyuki) 2015, 1月 6
@tenapyonここからの議論でI_nの像が上にマップされる話をしていますが、添字が1ずれていると思いました。I_{n-1}ですよね。(また細かい話)
— 結城浩 (@hyuki) 2015, 1月 6
@hyukiですです。
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 6
@hyukiですですです。
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 6
@tenapyon証明っぽいものを書いたんですが採点を… https://t.co/mNDHZUWUNZ
— 結城浩 (@hyuki) 2015, 1月 6
@hyuki(採点ではなく添削をしてしまいました。)
— ゼルプスト殿下なのに、なんとこのお値段 (@tenapyon) 2015, 1月 6
2015-01-29 圏論についての記事をQiitaに書いたので¶
【ハードルを下げつつ, 本質的なことから逃げない圏論の解説】に気になる記述を見かけたので [ポエム] on @Qiitahttp://t.co/WGzrIqbqhr
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 24
@phasetr『そもそも集合論的な意味での元がない対象が重要でそれを扱いたいからであり,そこまで含めてクリアに見通すために元の存在を仮定しない議論を重視しているのだと理解している.』←同意せざるを得ない。
— differential_engine (@dif_engine) 2015, 1月 29
@dif_engineはじめの 20 ページ位を読んでみて、結局何だかんだで Mac Lane で勉強するのが一番楽なのではと思い始めている方の市民です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 29
@phasetrCWMは色々ごちゃごちゃ書いてるところがライブ感あって非常に好ましいですね。自然変換について触れて、関手圏における射だということを触れた後も、しきりに「~について自然」という形式で自然変換を扱ったりしてるところなんか参考になる。
— differential_engine (@dif_engine) 2015, 1月 29
@dif_engineはじめ 20 ページを読んだ限りですが、これ何が元になっているの、とかどんな具体例あるの、とか集合で対応する概念との違い何なの的なことが書いてあった印象があって結構地に足がついた内容なのではないかという感覚があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 29
@phasetrそうそう、話が常に具体的ですね
— differential_engine (@dif_engine) 2015, 1月 29
Hormanderを読んだらMac Laneを読もうと思っている.
2015-02-03 選択公理と非有界作用素: 市民なので Hilbert 空間全体で定義された非有界作用素というのをはじめて聞いた¶
- 数学, 物理, Hilbert 空間, 非有界作用素, 選択公理, Zorn の補題, Hamel 基底, 量子力学
【All operators on a Hilbert space are bounded】 http://t.co/Vq9XsPbrbZ ?!?!
— alg_d (@alg_d) 2015, 1月 10
Hilbert空間上の非有界線型作用素って選択公理ないと構成できないのか…
— alg_d (@alg_d) 2015, 1月 10
@alg_d定理6はヒルベルト空間全体で定義された線型作用素が有界になると言っています。L^2上で微分作用素は非有界になりますが当然L^2全体で定義できるわけではなく、元の論文は【定義域がヒルベルト空間全体の非有界作用素】に関する言明であって、実用的な設定ではないのでは感
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 11
@phasetrそもそも全体で定義されている非有界作用素ってどういうのがあるんですか
— alg_d (@alg_d) 2015, 1月 11
@alg_d私は考えたことがなく、すぐに思いつきもしません。話はずれますが、同じ微分作用素でも急減少函数の空間上では連続になったりするので、どこを定義域とするかはとても大事な設定です。また定義域が稠密な有界作用素は、有界なまま定義域を空間全体に拡張できるという定理もあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 11
@phasetrzenaさんがこういう訳の分からない位相空間的なアレ超詳しそう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 11
@alg_dhttp://t.co/jOK0njBFU1ググったら一発目に出てきた mathoverflow のアレで、HamelとかZornが乱舞する例のアレっぽいです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 11
何だそれ, と思ったらやはり選択公理による構成で, 見たこと・聞いたことないのも当然だった感がある.
p進大好きbotによる謎の現象報告もつけておこう.
@alg_dついでに連続関数環(=Hilbert空間上の有界作用素全体の可換閉部分代数と同型なもの)からBanach代数への不連続C代数準同型はZFC上でも構成できないですよ。(例えばCHを用いる)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 1月 11
2015-02-04 京大・東工大での研究会告知依頼が来たので: 小嶋先生の退官記念と弱値・弱測定の研究会¶
- 研究会, 相転移プロダクション, 小嶋泉, 量子情報, 代数的場の量子論, 量子測定
研究会告知依頼が来たので共有しておきたい.
3/5-6 Symposium on Quantum Fields in Dynamical Nature, on the occasion of Professor Izumi Ojima's retirement @京都大学北部キャンパス北部総合教育研究棟内益川ホール
3/19-20 弱値・弱測定に関する国際研究集会 @東京工業大学大岡山キャンパス http://qm.ims.ac.jp/wmwv2015/
量子情報というか測定というかそちらはともかく, 小嶋先生の退官の方は最近小嶋先生関係の研究にも興味が出てきたことも あって行きたいが, 時間というよりお金がなくて本当につらい. 情けなくて泣きたい.
2015-02-05 Perelmanの消息: 最近モスクワからスウェーデンに移住したらしい¶
モスクワタイムズによると、ペリルマンは最近モスクワからスウェーデンに移住したようです。Eccentric Math Genius Ditches Russia for Sweden: http://t.co/tmUSqQ1bTq
— jin (@jin0801) 2015, 1月 12
Perelman情報だった. 何か切ない.
2015-02-10 Lars Hormander, A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in $L^2$ spaces¶
- 数学, 相転移プロダクション, 多変数関数論, 複素解析幾何, 複素幾何, 関数解析, 偏微分方程式, 場の量子論
学部 2 年で志賀浩二『複素数 30 講』を読んで岡潔の仕事を知って以来, 多変数関数論にはずっと興味がある.
また場の量子論としても公理的場の量子論や代数的場の量子論で 多変数関数論を使うし, 学部 4 年のときに進む研究室選定とも合わせて AQFT についていろいろ調べていたときに Borchers の自己同型群のスペクトル解析の 仕事に興味を持って以来, 余計に勉強の意欲が湧いてきたものの, 結局まともに勉強できていない.
ちょこちょこ勉強しようと思って挫折しまくっているのだが, 今回もちょろっと調べものをしていたら Hormander の論文を見つけたので 少し読んでみた: A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in $L^2$ spaces.
適当にしか読んでいないが, 面白かった部分だけ簡単に抜いておく.
1 変数関数論は Laplacian と Cauchy-Riemann 作用素の解析が重要だったが, 多変数関数論は 1 次元からの帰納的なアプローチではじまり, 偏微分方程式を使うアプローチは 1960 年代にようやくはじまった. $\bar{\partial}$-Neumann 問題は 1950 年代中頃に Spencer がはじめた.
言われてみれば 1 変数の場合, 初等的な範囲では解析学の色彩がかなり強いが, 多変数になると専門的になってくることもあって, すぐ層だの複素多様体だのという話になるので, 言われてみれば感があった.
Spencer は 小平-Spencer の Spencer だと思うのだが やはり Spencer 恐るべし.
あと PDF P.17 からの Bergman とのやりとりが面白い.
He was a rather special person and had a reputation for cornering people to talk interminably about the kernel function for which his enthusiasm was unbounded. For quite a while I managed to avoid him, but at last I was cornered.
Bergman, 遠くから観察してみたかった.
私に必要な関数論は現代的な関数論ではなく, 場の量子論向けにカリカリにチューンされた, 恐らくかなり古いアプローチである一方, 現代的なアプローチも読んでみたいのでつらい.
2015-02-14 数学教育に関する記録: 代入法の理解の難しさ¶
こんな時間なのでエアリプ。 中2の連立方程式で、もちろん代入法は習うんだけど、どうしてもそのときは代入法を理解できない生徒が一定数いることは研究上明らかになっています。文字を別の文字や数に置き換えることができない。原因はいくつか想定されていますがいまも追究されているところかと。
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 27
生徒の中で数学に問題が生じていることがわかったとき、つい生徒の不勉強さ或いは教師の指導のまずさに原因を求めがち。確かにそれは多いだろうけど、それだけでなく、認識・理解上どうしても生じてしまう問題のあることがいくつかの研究で明らかにされている。理解研究は数学教育研究の重要な一分野。
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 27
危うく生徒や教師のせいにしてしまいそうだが、どうやらそうじゃないらしいことがわかってくる。それを明らかにしただけでも価値がある研究だと思う。中学数学では、文字式に関わる理解や証明に関わる理解についてはかなりの研究の蓄積がある。それでもわかってないことはまだまだ多いのだけれど。
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 27
@MathEdr突然のリプライ失礼いたします。現在数学を専門にしており、院では数学教育に足場を置いて、理解研究や教育方法研究をしたいと考えているのですが、これは読んでおくべきというような文献があればご紹介いただけませんか。
— かまでぃー@群論の闇 (@mdyxrB809) 2015, 1月 28
@mdyxrB809院で数学教育研究されるのですね!是非頑張ってください。文献ですが、院は時間が限られており、自分の研究内容に即して読むべきものが変わってくるため一概には言いにくいですね。例えば同じ「理解」でも文字式の理解なのか証明の理解なのかで変わります。続
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 28
@mdyxrB809また、数学教育を研究する上で知っておくべき論文や文献となると、海外のものが多くなり、それらはかなり重厚(学部生では読めない)なため勧めづらいです笑。数学教育研究の全体像がわかる日本語文献として『数学教育学ハンドブック』というのがあるのでそこから入ってみては?
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 28
@mdyxrB809この本では数学教育学とは何かということから説明されています。ただし具体的な研究となってくると、ただの集約になっている項目もあります。興味ある内容の引用参考文献をご覧になり、面白そうで信頼度高い学会誌の論文へと進まれるといいかもしれません。以上です。
— MER (@MathEdr) 2015, 1月 28
これか. 読書リストにいれておきたい.
2015-02-18 風狸けん画・中川真脚本『和算に恋した少女』¶
- 数学, 和算, 相転移プロダクション
新刊入荷しました 『和算に恋した少女③風狸 けん 画・中川 真 脚本(小学館) 11艘の船を、二分の一、四分の一、六分の一に分けるには? 千本のワインを十人で毒味して、毒の入ったボトルを特定する方法など、思わず考えさせられる問題が詰まった和算エンターテインメント!
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2015, 1月 30
和算はともかくエンターテインメントというところに興味がある.
2015-02-18 Twitterで頂いた質問への回答: 逆問題と現象数理学¶
- 数学, 物理, 現象数理学, 応用数学, 微分方程式, 関西すうがく徒のつどい
きっかけ¶
@phasetrもしもし相転移Pさん。逆問題というのは「現象から数理的な法則を考える」過程のことで、そこで使われるのが現象数理学という認識で合っていますか? 現象数理学入門 https://t.co/m3S1i77bne https://t.co/m3S1i77bne
— ばんぬ (@sorayana123) 2015, 2月 18
先程Twitterでこのような質問を頂いた. 長くなるのでブログにまとめた. 「定義による」というのが正直なところだが自分用のメモも込めて紹介・記録しておこう.
まず私の理解というところから端的に言えば, 逆問題は応用微分方程式論に端を発する命名で「順問題」に対する「逆」だ. 現象数理学もとりあえずやっていること, 目指すことは従来の応用数学の枠内にはまると思うのだが, 応用数学と言っても広いから, 特に名前づけから特色を出していっただけの身も蓋もないアレという感じ. それぞれ独立した営みという理解.
逆問題に関して¶
順問題と逆問題で対になる. 以前関西すうがく徒のつどいでも拡散方程式の逆問題について話したことがある. その講演原稿はhttp://github.com/phasetr/math-textbookにも収録しているので興味がある向きは参照してほしい.
それはそれとして次のような対応がある.
一般に | 具体的に | |
---|---|---|
順問題 | 入力から出力を求める | 微分方程式の初期値から解の振る舞いを調べる |
逆問題 | 出力から入力を求める | 複数観測地点での震度データから震源地を調べる |
微分方程式で定式化される問題を例にしたが別に何でもいい. 例えば「友達にいつもと同じ感じでちょっかいを出したら物凄く怒られた. 今日は虫の居所が悪いようだ」というとき, 「怒られた」という出力から「今日は虫の居所が悪い」という入力を推測するのも逆問題と言える.
元のコメントにある「数理的な法則」も特に数学で比較的綺麗に書ける・モデル化できるタイプの自然科学・工学的な応用を念頭に置いているのだろうし, 実際に発端もそこにあるが, フレームワークとしては数学で書ける対象に限定する必要はない. その方が「応用」は広い.
現象数理学科¶
まず三村先生の所属する明治大学現象数理学科のページから引用しよう.
モノ・コトから現れる複雑な現象を、数学で解明する。
動物や植物の美しい模様、心臓の拍動や薬の吸収などの医学・生理学問題、交通渋滞や経済不況などの社会的問題、流行やブームといった社会現象まで、私たちの身の回りは、現象であふれています。そうした現象を、数学を用いて解明していくのが現象数理学です。現象を数式に置き換えていくことを「モデリング」といいます。そして実際に導き出した「数理モデル」を使い、コンピュータで高度なシミュレーションを繰り返していくと、これまで目に見えなかった現象の正体が徐々に明らかになってくるのです。
現象数理学, 要は応用数学だ. モデリングも諸科学・工学で標準的な考え方だし, シミュレーションも特に理論工学ではもはや基本中の基本なのではなかろうか. 理論というともっぱらシミュレーションを指すことすらあると聞いている.
応用数学といってしまうと数学の趣が強過ぎるから, 適当な「現象」を扱うのだ, という姿勢を前に出した名称である種の政治的なスタンス表明という感がある. 特に最近は「役に立つ学問」という流れがあるし, 学科新設という意味でも思惑があるだろう感がある.
2015-02-21 教官陣の渡辺澄夫『すぴんはころぶ』に関する思い出話小まとめ¶
- 数学, 物理, 数理物理, 作用素環, 量子統計, 代数的場の量子論, 直積分, 相転移
これ http://t.co/295QmkqLWd か。読んでいなかった。。。この辺りが修士一年の必読だった訳ね。
— 早川尚男 (@hhayakawa) 2015, 1月 24
最初は渡辺の手書き(と手描き)で響子さんのイラストもあって、それが若き日の佐々真一に多大な影響を与えたのであった。 @hhayakawa これ http://t.co/LEE97RDSrl か。読んでいなかった。。。この辺りが修士一年の必読だった訳ね。 @sasa3341
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@Hal_Tasaki@hhayakawaそれから15年くらいたったら、3部作のせいか記憶のつなぎ変えがおこって、その響子さんは田崎さんの記事にあったものだと思い込んでいた。90年代終わりに、違うと言われたものの未確認で、同じ話題が数年前にあがって、niiを確認したのだった。
— 佐々真一 (@sasa3341) 2015, 1月 24
@sasa3341いずれにせよ、最初の手書き+手描き版が佐々さんのところにも回っていたのですね。あれは渡辺が知人だけに配ったのだと思っていた。 @hhayakawa
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@Hal_Tasaki@hhayakawa 確か、素粒子論研究か物性研究か。(最新でなければ)図書室から借り出して、学部生でも生協でコピーできた。
— 佐々真一 (@sasa3341) 2015, 1月 24
@sasa3341 あれ? ってことは活字になってるバージョンですか?? @hhayakaw
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@Hal_Tasaki@hhayakaw別のバージョンがあるのですか?もっとたくさん響子さんがいるとか。。
— 佐々真一 (@sasa3341) 2015, 1月 24
@sasa3341 ぼくがもらった最初のバージョンはすべて渡辺の手書きでした。たぶん、仲間内にだけ配ってたんじゃないのかな? 響子さんは、もっとアップの可愛い絵で「響子さん」って横に書いてあった気がする。 @hhayakaw
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@Hal_Tasaki@hhayakawあぁ、「手書き」の部分の話ですか。当時だと、まだ手書きが主流だったので、それは影響云々ではないです。そもそも、当時の僕のスキルだと手書き以外の選択枝はなかったですし。
— 佐々真一 (@sasa3341) 2015, 1月 24
すっかり昔話に花が咲いてしまった・・・ @sasa3341@hhayakaw
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@sasa3341 あ、いや、イラストのことですけど、佐々さんの修論は見てないので適当に言ったのです。 @hhayakaw
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 1月 24
@hhayakawa渡辺澄夫さん、RIMSで私の3つくらい上でしたか、院生室が同じでした。数理研を出てリコーに就職されたあと、一度、朝日新聞の「人」欄でお見かけしました。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2015, 1月 24
私も読んでみたが, 何というか判断に困った. Bratteli-RobinsonというよりもIsingの何かを読む前哨戦にはいいかもしれない.
それはそれとしてBratteli-Robinson, 例えば量子統計・代数的場の量子論への直積分の応用に関しては貴重な文献ではあるが, 大事なのにこのパートが死ぬほど読みにくい. そもそも測度論が出てくるのでそこの地獄はあるにせよとにかくつらい.
2015-02-24 書泉グランデMATHからイベント紹介: 3/20-24 明治大学駿河台キャンパス パネル展示 小平邦彦先生の生涯 小平先生とその友人たち¶
《パネル展示 小平邦彦先生の生涯 小平先生とその友人たち》 3月20日(金) 13:00--17:00 21日(土)~23日(月) 10:00--17:00 24日(火) 10:00--12:00 会場:明治大学駿河台キャンパスリバティタワー14階1144号室主催:日本数学会
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2015, 2月 22
これ行きたい. どうしよう.
2015-03-05 2015/10/3 の久保シンポジウムでは舟木先生が喋るらしいのでぜひ参加したい¶
- 数学, 物理, 数理物理, 統計力学, 非平衡統計, 確率論, 研究会
【久保シンポジウム】まだ先だけれど、理想的な講演者が決まったのがうれしくて告知しちゃった。舟木さんと笹本さんは超一流のガチ数学なんだけど、その間に数値計算と理論でセンスよく多彩な現象を料理する湯川さんが入る。他では聴けない取り合わせ! http://t.co/IgTBsQXMIN
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 2月 16
また行きたい研究会ができてしまった.
Tatsuyoshi HamadaさんによるMathLibre道場GeoGebra編: 九大で行われた数学ソフトウェアチュートリアルの資料¶
- 数学, プログラミング, 相転移プロダクション
九大で行われた数学ソフトウェアチュートリアルの資料にYouTubeの動画を追加しました.GeoGebra を楽しんでもらえると嬉しいです.「MathLibre 道場 GeoGebra 編」Tatsuyoshi Hamada https://t.co/wRWEFrQeGK
— Tatsuyoshi Hamada (@knxm) 2015, 2月 21
これも遊んでみたいと思いつつ全く手がついていない. つらい.
2015-03-08 Gigazine記事紹介: 数学の数式・記号のあるページを簡単に検索できる「SearchOnMath」¶
- 数学, 物理, 相転移プロダクション, プログラミング, サービス
数学の数式・記号のあるページを簡単に検索できる「SearchOnMath」 http://t.co/P9vCDqAUBmpic.twitter.com/t6IKmYj6XO
— GIGAZINE(ギガジン) (@gigazine) 2015, 2月 25
何かの役に立つかもしれないのでメモ.
2015-03-10 「私は素数時計で生きています」という変な人がいた!と思ったら広義知人だった¶
- 数学, 素数, 数論, 素数時計, 素数大富豪, 数学者
私は素数時計で生きています 例) 1番目の素数=2 44番目の素数=193 11番目の素数=31 なので1時44分11秒は素数時計では2時193分31秒となります。 この時計で生活していると、素数大富豪が強くなります。 pic.twitter.com/kEE6YLEsQl
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 3月 4
何かおかしな人がいる! と思ったら広義知人だった事案.
2015-03-12 共形場で代数的場の量子論と頂点作用素代数の対応がついたらしいので¶
- 数理物理, 数学, 物理, 代数的場の量子論, 構成的場の量子論
最近忙しくていろいろ滯っているのだが, ちょっと堀田さんとやりとりしたので.
.@theorphysさんの「場の量子論の数学的定式化」をお気に入りにしました。 http://t.co/lgdy4s03fe
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaquこの辺の話でいつも思うのですが、非相対論的場の理論はどういう扱いなのでしょう。こちらは空間三次元のモデルである程度まともなのも何とかやれているのですが、相対論的というか超弦というか、数学的に格好いい方ばかり目立っている感があり、とてもつらいところです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
一昨年だかその前のサマースクール数理物理で河東先生が、AQFTもVOAも両方ともかなり一般性が高くて完全には対応しないのは明らか、作用素環からは何とか有理性が大事でこれがキーになるはずだが対応するVOAの概念が何かよくわかっていないとか言っていたがその辺の話だろうか。あとで読む
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetr厳密な数学的取扱いは知らないのですが、物理屋としては(より簡単な)相対論的場の理論をいつも背景に置いて、その理論の中での粒子の質量∞近似をとることで何が問題なのと思っています。非相対論的モデルはより基礎的な相対論的理論から導出されるべきという視点なんですが。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@phasetrただ数学的な難しさや非自明さは、物理屋のそのような"思い込み"とは独立だというのも認識しています。だから非相対論的な物理モデルをきちんと数学化する価値は高いですし、やって頂けるとありがたいです。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaqu論文読んでメルマガにも感想的なことを書くついでに何かまとめて書こうと思っているのですが、まず数学的にいうなら相対論は対称性の制限が強くて「厳しい」です。そのおかげでとりうる範囲が絞り込めて「簡単・単純」になるのだと思っていますが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetr同感です。=>RTまず数学的にいうなら相対論は対称性の制限が強くて「厳しい」です。そのおかげでとりうる範囲が絞り込めて「簡単・単純」になるのだと思っていますが
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaquあと非相対論での紫外切断除去で時々問題として挙げられることで、紫外切断を除去して、元が非相対論なのに相対論的領域に突撃したりしないか、したとしたらどう扱うべきかというあたり、物理でどういう認識でしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@phasetrその制限を取り払ったときに出てくる数学的多様性には興味があるわけです。将来ローレンツ対称性が高エネルギー領域で破れていることもあり得ます。対称性は実は創発的であり、低エネルギーで近似的に存在する可能性も。そうだとすると対称性のないモデルの理解も物理として重要。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@phasetrこれは格子場の理論での回転対称性(ローレンツ対称性)のような例でも出てますよね。対称性は低エネルギー領域で創発するというアイデアは物理としても重要であると認識は広がっていると思います。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
@hottaquそもそも物理としてきちんと理解できていませんが、特に物性関係の、いわゆる階層性の話としてよりミクロの世界、相対論的領域には触れずに成り立つ部分は相対論の参照なく独立に切って考えられるはずで、「導出」を考えずに切り離した思考がどこまでできるかとか考えています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
@hottaqu量子力学から熱力学を導くとか、そういうタイプの導出自体が激烈な難問だろうというのもありますし、いい表現かわかりませんが「(より)ミクロな世界を参照せずに上の層だけで閉じる理論を構築できるか考えよう」というモチベーションが私にはあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 5
とても面白いテーマだと思います。@phasetr
— Quantum Universe (@hottaqu) 2015, 3月 5
あと立川さんと谷本さんのやりとり.
(代数的場の量子論の兄弟というべきか、構成的場の量子論のほうでも、二次元だと Glimm-Jaffe がスカラー場で勝手な多項式ポテンシャルの理論を構成しているので、まあ二次元はやりやすいのでしょう。これを代数的場の量子論で見た仕事はあるのでしょうか?識者のコメントを求む)
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 3月 5
@yujitachGlimm-Jaffe が作った例はlinear energy bound を満たしているはずなので、ちゃんとHaag-Kaster のネットが作れます。おっしゃるとおり、3次元までなら彼らの例や、2次元共形場や可積分系(の一部)がネットとして作られています。
— Yoh Tanimoto (@yoh_tanimoto) 2015, 3月 5
ともかく、AQFT と VOA は、双方とも、物理屋がいう二次元共形場理論の場合には、数学的に厳密に適用できるべき枠組みなのだけれど、その間の関係がわかっていなかった、のです。それがとうとう解決した、というのが、さっきの論文に書いてあるはず。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 3月 5
@yujitachで、2次元共形場もlinear energy bound を満たす場があればネットもあることがわかっていて具体例もありましたが、そうでない部分代数に関してもきれいにVOAとAQFTが対応する、というのが今回の論文のはずです。今日著者のLongoと話していました
— Yoh Tanimoto (@yoh_tanimoto) 2015, 3月 5
谷本さんは元々河東研で, 博士から本格的にAQFTやりにイタリアに行ったくらいの人で正にバリバリの識者だ.
あとで論文読んでメルマガにまとめたい.
2015-03-15 応用数学での泥縄式学習: 線型代数・微分積分・確率論の力強さ¶
- 数学, 応用数学, 線型代数, 微分積分, 確率論, 代数統計, 代数多様体, 代数幾何
泥縄のしやすさ,それを学ぶのに必要な背景知識の階層で決まるんだけど,応用数学だと大体,線形代数と微積分と確率論の真上に乗ってるから,たいしたこと無いのよね.代数統計 ( https://t.co/xLrl0KQ4e2) でも,代数多様体の初歩的なところしかいらない.
— 前原 (@tmaehara) 2015, 2月 16
いわゆる狭義の応用数学に限らないが, この徒手空拳で挑む感じがとても好きで, 私の専門でもなるべくこの感じを大事にしたい.
2015-03-16 記事紹介: 「人は簡単に『忘れてはいけない』という。でもね......」外国人歴史家が体験した3.11¶
- 歴史学, 東北大震災
“「人は簡単に『忘れてはいけない』という。でもね......」外国人歴史家が体験した3.11” http://t.co/aaZts4FdIl
— ひよのぽん (@ystt) 2015, 3月 12
歴史家というのがどういう人々なのかよくわかっていないのだが一例として参考にしたい.
2015-03-17 何か最近Lieb-Robinson boundが流行っているらしく夏学でも講義されるらしいという話を聞いたので¶
- 数学, 物理, 数理物理, スピン系, Lieb-Robinson bound, 作用素環, 作用素論, 量子統計
Lieb-Robinson boundsなに
— ぐーつー (@go_o2) 2015, 3月 16
— aki_room (@aki_room) 2015, 3月 16
@aki_room@go_o2割り込んでいいか微妙ですが、http://t.co/P47FboPJhvの証明はかなり読みやすいです。原証明は正方格子の上でフーリエを使ってやっていたはずですが結構読みづらい一方、引いた論文では格子に構造を仮定しないでかなり初等的にやっている感
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 16
詳しいことはさっぱり忘れてしまったが, 最近まるで触れられていないものの, 無限系の Hubbard に集中的に取り組んでいたことがあって, そのときに読んだ記憶がある.
次のような感じで大事そうだと思った記憶がある.
- まずは無限系でのダイナミクスの存在を言わないといけない.
- 作用素論的に言うのは大変そう.
- 作用素環ベースでスピン系ならいろいろある.
- 証明を捻って転用できると嬉しいな.
私の目下の対象はHubbardモデルでの電子とフォノンの相互作用系だが, Hubbardを無限系にすると相互作用を考えなくても一気に数理物理的な研究が減るので, 嬉しいのか何なのかよくわからないが, とにかく何かやりたい.
あと次の情報も教えて頂いた.
ちなみに夏学の講義の参考文献はhttp://arxiv.org/abs/1102.0835とhttp://arxiv.org/abs/1004.2086の予定です
両方ともNachtergaele-Simsだった.
2015-03-18 【線形写像とベクトルはお互いに一対一対応する。これは随伴関手の例にもなってる。】という個人的によくわからない言明をみかけたので意味がわかる方は教えてほしい¶
- 数学, 線型代数, 内積, 内積空間, Hilbert 空間, 線型写像, ベクトル, Riesz の表現定理, 線型汎関数, 有界, 関数解析
https://t.co/ZNeF4nj4b9https://t.co/Ol8ZRtJa5Pベクトルが線型写像というのが今ひとつよくわからない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
よくわからない言明に遭遇したので. 引用しておくとこれ.
内積はベクトルからスカラーへの線形写像と考えられるので、ベクトルが線形写像だというのを理解すれば、テンソルはベクトルからベクトルへの多重線形写像として理解できます。それだけ。そこからテンソルからテンソルへの多重線形写像は自明。そう書いてある本は少ない気がする。
— Shinji Kono (@shinji_kono) 2015, 3月 17
線形写像とベクトルはお互いに一対一対応する。これは随伴関手の例にもなってる。双対性を理解する機会でもある。微分幾何では当たり前に使われてしまう。
— Shinji Kono (@shinji_kono) 2015, 3月 17
これに関してコメントを頂いたので少しお話しした.
なんとなくn×1行列がベクトルで1×n行列が線形写像と言いたいんだろうけど・・・用語ってむずかしい
— ShimoHi (@anibutsu) 2015, 3月 17
@anibutsuそれなら気分はわかるのですが、行列と線型写像の峻別は線型代数の勘所でもあるのでそれはそれで非常に微妙な気分になります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@phasetrリースの表現定理では?という指摘もありました。説明読んでるとそのような気もしますが、なにぶん函数解析をまともに勉強できてませんので怪しいですが。
— ShimoHi (@anibutsu) 2015, 3月 17
@anibutsu圏がよくわからないので何とも言えませんが、本当に一般にいうなら、リースの表現定理を使うには内積空間(またはヒルベルト空間)の構造が必要で、ベクトルと線型写像の1:1というのは表現が強すぎる感じがします
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@anibutsuまたリースの表現定理は「すべての【有界】線型【汎関数】が内積の片方を潰した<f,・>の形で書ける」という定理なので、線型写像全体ではなく(有界な)線型汎関数全体であって、その意味でもまだ問題があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@phasetrやはり、あまり話を広げない方がよかったですね。誤解が生じそうなところをありがとうございます。
— ShimoHi (@anibutsu) 2015, 3月 17
こういうのを見ると, 自分も (よく知らないところで) とんでもないことを口走っているのではないかと不安になる. あと圏をフランス語でやってみたい. 何かいい本ないだろうか.
2015-03-19 竹山美宏さんによる新入生向けの数学の良書紹介があったので¶
休憩ついでに数学の本の話でも。大学で数学を勉強する予定のみなさんは、数学を娯楽として消費する本ではなくて、ある程度きちんと勉強できる啓蒙書を読むことを薦めます。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
以下、私の知る範囲でいくつか紹介します。まず易しいところから挙げると、新井先生の『生き抜くための数学入門』( http://t.co/L3rcXSE9JS)。数学がどのような知の営みであるかが分かる。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
次に、遠山先生の『数学入門 上・下』( http://t.co/QgHwFo13yx)。ところどころで高校では習わない内容が出てくる。計算技術ではない数学の「意味」がよく分かる。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
あとはシリーズもの。面白そうな題材のものを選んで読むと良いでしょう。共立出版「数学のかんどころ」( http://t.co/0TeHQOtgHo)。朝倉書店「すうがくぶっくす」( http://t.co/yJmfQuljCj)など。「すうがくぶっくす」はちょっと難しいかな。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
志賀先生の「30講シリーズ」( http://t.co/qsSnlNMKez)。私は「群論への30講」を大学入学前に読んだのが、数学書を読む初めての経験だった。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
最近の本では、嘉田先生の『論理と集合から始める数学の基礎』( http://t.co/5fXpCT4ur4)の前半を大学入学前に読んでおくと、大学での数学の勉強がかなり楽になるでしょう。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
ほかにも初学者がきちんと勉強できる数学の本がたくさんあると思うので、twitter 上のほかの先生方が紹介されることを期待しつつ(笑)、私のつぶやきはこの辺で。では。
— takey_y (@takey_y) 2015, 3月 17
物理のための数学講座はこの辺のために作ろうと思った講座だが, 止まったままなので早く再開させたいとはずっと思っている.
『すうがくぶっくす』はこれだけ見るとちょろそうだが, 時々核弾頭クラスの凄まじいのがあるので気を抜いてはいけない. ひどい本というわけではなく, 恐ろしく深く遠いところにまで連れていかれることがあるのだ. 平井先生の群の表現論の本, 堀田先生の代数の本(最後に$D$加群が出てくる), 岡本先生の本(佐藤超関数が出てくる)とか超パンチがきいている. 平井先生の本はじっくり読めばきちんとわかる本だと思うが, 二巻本ということもあり, 話題は豊富だし著者の伝えたいという気迫を感じるとてもよい本.
数学したい.
2015-03-20 れんまさんに作用素環のいい反例を教えて頂いたので¶
- 数学, 作用素環, 作用素論, 反例
作用素論でも単調なネットが収束ネットしたりしそうだな(夢か本で見た)
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 3月 18
@f_tangent非有界作用素だと色々アレなことが気楽に起こってきそうな感じがありますが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetr非有界作用素こわい…
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 3月 18
@f_tangent弱収束とかなら大丈夫そうだけど、ノルム収束はちょっと無理っぽい気がしますね。
— れんま(88%) (@tononro) 2015, 3月 18
@tononroなんか作用素論の本に書いてあった気がするので見てみます
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 3月 18
@f_tangentそもそも、有界作用素でも単調性があっても有界なネットでない限り収束しないのでは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetr有界性は必要っすね
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 3月 18
@phasetrそもそも有界であっても収束するとは限らないんだよなぁ。Rで無限遠で0の関数環を考えて、台が大きくなっていく状況を考えてみるといいっぽい。
— れんま(88%) (@tononro) 2015, 3月 18
@tononroそれは超絶基本的で大事な例っぽいのでmath-textbookにも載せておく所存。ありがとうございます。ちなみにそれは非可換の場合でもあり得る話でしょうか。ちょっと自分でも考えてみますがとりあえず
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetrそりゃもう無限遠で消えているRから行列環への関数環とかを考えればいくらでも出てくるんじゃないですかね。
— れんま(88%) (@tononro) 2015, 3月 18
@tononro書き方がアレだったのですが、作用素環(特にvon Neumann環)で出てくるか、というのが気になっている点です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetr私はC*のヒトなのでアレですが、vNの場合はそういうの(自己共役のsup)モリモリ使いそうですね。
— れんま(88%) (@tononro) 2015, 3月 18
@tononro先程聖典 Bratteli-Robinson を確認したら、B(H)の時の言明しかなかったので、もしや一般のvon Neumannでは変なことがあるのか?と無性に不安になりました。正規状態に絡む大事なところとはいえ、ダイレクトに使うことがあまりないもので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetrやや、vNはあるB(H)の強収束(など)について閉じている*部分環なので、収束先もきちんともとのvN環に含まれますぞ。あとはB(H)の場合の証明がパラレルに進むはずです。
— れんま(88%) (@tononro) 2015, 3月 18
@tononroそれはそうだ。ありがとうございます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
滅茶苦茶間抜けなことを言っていて死にたくなるが, 行列環値の(連続)関数環をさらっと出してくるあたり, 何となく$C^*$の人の気配を感じたが, 私は作用素環専攻だったというのにろくに作用素環をやっていなかったので単にその地力の差という感じもある.
あとでmath-textbookにも例として取り込んでおこう. よい勉強になった.
2015-03-21 量子力学の数理: 非有界作用素の和や積の定義と notorious domain problem¶
- 数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 場の量子論, 量子統計力学, 作用素論, 非有界作用素, 定義域
清水明『新編量子論の基礎』、エルミート共役に関する等式の導出 - y_bonten's blog http://t.co/5tmgw1aQod
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 3月 17
@y_bontenどこまできちんとやるかという話ではありますが【教科書には「演算子の線形性と内積の性質から明らかに」とある】の段落、数学的には間違った部分があります。作用素A+Bはψに(A+B)ψをあてる作用素でAψ+Bψをあてる作用素ではありません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@y_bonten量子力学の場合、非有界作用素という面倒なクラスで議論する必要があり、そこではそもそも作用素Aと作用素Bに対して和が定義できるかどうかがまず非自明です(定義域が{0}になることもありえます)
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@y_bonten上の注((A+B)ψどうの、のところ)は有界作用素なら結果的には成立します。notorious domain problem として非有界作用素で時々言及されます。和だけでなく積が定義できるかも分かりません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
.@phasetrご指摘ありがとうございます。くだんの教科書には作用素の和の定義がないままA+Bが登場したので、有限次元で成り立つ事柄から類推して書いてしまいました。ご教授の続きを理解できるよう努めます。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 3月 17
@y_bontenついでにいうなら、adjointが取れない作用素もあります。物理で有名な所で幅の量子論の生成作用素(の作用素核)です。和が取れない例をすぐに作れなくて今泣いているのですが、積について面倒くさくなる例を次のツイートで紹介します
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@y_bonten微分作用素D(単純に一変数の微分で十分)の自身との積D^2は単純に2階微分ですが、D^2が作用できるためには元の関数が2階微分可能である必要があります。一方Dだけなら当然1回微分できれば十分です。これは例えば「DとD^2の定義域が違う」とまとめられます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@y_bontenDとD^2の和がそのままでは定義できないことも分かります:Dの定義域とD^2の定義域が違うので、適当に定義域を調整する必要があるからです。あと応用上面倒なこととして定義域が変わると作用素のスペクトルがかわります。スペクトルと観測値と結びつくのでとても困ります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@y_bonten物理の本でその辺を気にしている本は無いでしょうし、物理をやるなら気にする必要も無い話です。無限次元で起こる現象で、数学としては病理的とさえ言われることもあるくらいの話で、知らなくて困ることはほぼないでしょう。私は専門上気にせざるを得ないだけなので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@phasetrありがとうございます。個人的には(いま気にならなくても)必ず先で気になることが目に見えているので、そういう問題点が存在するという予備知識があるだけでずいぶん助かります。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 3月 17
非有界作用素という修羅との戦いだった. あとzenaさんとのやりとり.
@zena_mp和が定義できない(定義域が{0}になる)非有界作用素の組の例を(複数個)出せるでしょうか。すぐに作れず思い出せもしなくて号泣しています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 17
@phasetrつまらない例でもよければ,共通部分が{0}になる稠密な部分空間の組を用意して,それぞれの中で適当に非有界作用素を定めれば良いのではないでしょうか.
— zena (@zena_mp) 2015, 3月 18
@zena_mpありがとうございます。あとは何か適当に自分で考えておきます。助かりました
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetr折角なので,ついでに述べておくと 任意の非有界自己共役作用素Aに対して, dom(A+UAU*)={0} となるユニタリ作用素Uが存在します.
— zena (@zena_mp) 2015, 3月 18
@zena_mp証明すぐにできる命題でしょうか。もしくはどこかに証明あるでしょうか。自分でも考えてはみます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 18
@phasetrどこかに載っていいたと思うのですが,ちょっと今思い出せなくて探しています.
— zena (@zena_mp) 2015, 3月 18
あまりにも間抜けで死にたくなった. 仕方がないので粛々と対応していきたい.
あと非有界作用素に関する定理, これはやばい.
2015-03-22 新井仁之先生の『線型代数 基礎と応用』が超面白そうなのに絶版状態らしいので悲しい¶
- 数学, 応用数学, 線型代数, 多変量解析, 離散 Fourier 変換, ウェーブレット
新井仁之先生の線型代数、いつまでたっても抽象的な線形空間に進まずに行列の性質を調べ続けて、多変量解析や離散フーリエ変換やウェーブレットで画像処理などの方向に突進する珍プレーしていて、これはとても良いのではないかと思った
— 足跡45 (@ashiato45) 2015, 3月 1
@ashiato45何か本とかPDFとかにまとまっていたりするのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 1
@phasetrこちら(悲しい) http://t.co/HcPmX91YQS
— 足跡45 (@ashiato45) 2015, 3月 1
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 3月 1
これは読みたい. 絶版状態(?)なのをどうにかしてほしい.
追記: いつだか忘れたが絶版状態が解消されたため既に買って手元にある.
2015-03-23 講義ノートリンク: Lurieの謎キャラっぷりがすごいようなので¶
- 数学, 講義ノート, 代数トポロジー, 組み合わせ論, 数論, 作用素環, 幾何学, 多様体論, 代数的 K 理論, 多様体のトポロジー
Lurie のホームページ改めてやヴぁい。講義ノートだけでも、代数的トポロジー、組合せ論、数論に作用素環となんでも有り。高次元および低次元多様体の分類理論のノート、そして最近追加された代数的 K 理論と多様体のトポロジーのノートに注目。http://t.co/X2YUeoeeDS
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 3月 1
Lurie, ホームページがやばいというか何者なのかよくわからなくてやばい.
2015-03-25 【線型代数で殴る】【数学で殴る】という表現がどこまで一般的なのかを知りたい方の市民だった¶
M1で研究する前にもう一度線型代数を講義する計数のカリキュラム,線型代数で殴り続ける強い意思が感じられて好きです. see: http://t.co/2cmaBnbLz6
— TM (@tmaehara) 2015, 3月 21
私も先日, 小学生の女の子に「数学で殴る」という表現を教えてきたが, この表現がどこまで一般的なのかについて非常に興味がある.
2015-04-02 工学部の専門数学で必要な線型代数・線型空間論が何なのか具体的に知りたい方の市民だった¶
- 工学, 数学, 線型代数, 線型空間論, Hilbert 空間論
工学部的には、線形代数の抽象的なところを学んできてほしい。逆行列や固有ベクトルは求められるけど、ベクトル空間の公理、ノルム、内積の公理で決まってくる空間の概念をわかってないと、工学部の専門数学の多くが対症療法的な理解になってしまう。
— 田中(かな入力派)聡久 (@tanaka_toha) 2015, 2月 13
もはや前後が追い切れないので悲しいが, 現実問題として工学的に抽象論の何をどう使うのだろうか.
2015-04-04 ツイート紹介: 「さんすう刑事ゼロ」というのが教育的に素晴らしいらしいので¶
「さんすう刑事ゼロ」はどの回も非常に秀逸で、大学生や大人こそ見るべき内容。20%引きからの20%引きで40%引きを装う詐欺や、小数点以下の数値をちょろまかして比例を見誤らせる話など、これを小学生向け番組として構成できているのは凄い。http://t.co/yXX3ePNRKQ
— kougaku (@kougaku) 2015, 3月 25
近いうちに眺めよう.
2015-04-11 算数教育に関するt2o_yamaさんの連続ツイートが面白かったので¶
- 数学, 算数, 理科, 教育, 相転移プロダクション
面白いとか言って済む話ではないのだが.
例① ぼく「分速60mで歩く人がいる」 生徒「いる」 ぼく「この人が5分で歩く距離は何mだろう」 例② 「分速60mで歩く人がいる。この人が5分で歩く距離は何mですか」
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
算数が苦手、あるいは今は良くても後に躓く子は、この2つの問いを同じように処理しない。能力の問題でなく姿勢や習慣の問題で。①は300mとすぐ答えるのに、②になるとみはじ(はじき)の図を描き始めたりする
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
会話では生きていた「聞かれたことに答える」という機能が、紙に書かれた問題を解く段になると消失するわけだ
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
何度も言うが、算数や理科の問題は解く前から答えが何であるか分かっている。この場合の答えは「分速60mで歩く人が5分間に進む距離」だ。しかし、嘘のような話だが、地方の公立小の生徒は半数以上がそのことを認識していない。答えが何であるかより先に式を考えようとする
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
生徒をよく見ると、単位を書くときに問題文を見る生徒がいる。「何mですか」の部分を見てmと答えているわけだ。60×5=300の時点ではそれがmであることが認識されていないということ。何か気になった、とかkmじゃないか確認した、など他の理由も考えられるが、毎回見る生徒は間違いなくクロ
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
私が一番強調したいのは二番目のツイート。これらは「能力の問題でなく姿勢や習慣の問題」なのだ。もちろん、その積み重ねはそのうち能力の差になってくるが。ではなぜ「姿勢や習慣の問題」がでてきてしまうのか。小中学生を指導する人はその辺をもっと考えた方がいい。もちろん私も
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
算数の文章問題で一番大事なのは「自分が何を求めようとしているのか認識すること」だ。それが認識できていない状態で問題を解くことにはほとんど意義がない。それこそ中教審の嫌いな「暗記重視の受験勉強」だ
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
逆に、自分が何を求めようとしているのかが認識できているなら、それをどう求めるのかは比較的どうでもいい(もちろんその中で「こうした方がなお良い」というものは確かにあるが)。その本末が逆になっている典型が「みはじ」であり「単位のサンドイッチ」であり方程式や比例式であり
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
3x+5=-x-7が解ける生徒のうち、何割が「『xがいくつなら3x+5と-x-7が等しくなるのか』を求めている」という認識を持っているのだろう?
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
計算は、すでに何だか分かっている答えに数字を与える作業にすぎない。その作業が問題の中核であるかのような誤解が「算数(数学)ができなくなる」という現象の諸悪の根源といっていい
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 2月 11
子供たちの詳しい状況はよくわからないが参考にしたい.
2015-04-16 t2o_yamaさんのツイートから: 処理速度と教育・学習の関係¶
- 数学, 教育, 算数, 理科, 物理
言われてみればそうなのかもしれないが, ほとんど考えたことがなかった事案なので, いくつかツイートを転記して記録しておきたい.
こういうのは実際に大量に色々な子供を見ていないとわからない. 参考にしたい.
その1¶
こういう例を結構たくさん見ているので、「丁寧に正確に」は好まないのですよ。「じっくり考える」は良いとしても。 https://t.co/9RfRT56ctR
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 5
引用¶
引用されているのはこれ.
吹奏楽部に夏休みを破壊され、夏を過ぎてから来た5教科7科目の高3(国公立進学80名程度の自称進学校)がいたのだが、計算が非常に遅く、半年足らずでは何をどうすることもできないので丁重にお断りした。非常に真面目そうな子で勉強も可能な範囲でやってはいたのだと思うが…
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2014, 10月 8
あの様子では、計算のみならずすべての処理が遅いだろう。英文なども逐語訳しているに違いない。「模試とかで時間間に合う?」と聞いたら「全然間に合わないんです。第6問だけで何十分もかかっちゃって」と言っていた
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2014, 10月 8
彼女の問題点は ①部活動によって日常の学習時間が大幅に削減された ②部活動によって受験への始動が大幅に遅らされた ③計算その他処理が馬鹿丁寧すぎるせいで非常に遅い という3点に集約される。では、誰が彼女をそうしたのか
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2014, 10月 8
たぶん、本人は自分の問題点を人に指摘されたことがない。むしろ周囲の推奨する通りに生きてきたはずだ。だから、彼女は自分の学力が足りないことや試験時間内に終わらないことを自分の能力が低いせいだと思っているだろう
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2014, 10月 8
「部活も一生懸命やろう」「ゆっくりでもいいから丁寧に解こう」というイメージ優先かつその場の(自分の)都合しか考えていない無責任な言説が、真面目な学生の本業を破壊した。破壊した無数の張本人たちにその自覚はゼロだろう。本人も何によって破壊されたかを知らず、自分の責とするだろう
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2014, 10月 8
その2¶
例えば同じテストで生徒A,Bが同じ得点だったとします。Aはミスが多いものの時間内に解答欄を全て埋めて見直しまでできました。Bは時間内に解き終わらず解答欄に空白が目立ちますが答えを出した問題はほとんど正解していました。同得点だから実力は同じと判定されますが、皆さんならどう見立てる?
— 根岸 大輔(ねぎちゃん先生) (@negi_chang) 2015, 4月 3
僕はこの場合、Aを高く評価し、Bを低く評価する傾向が強いです。解答欄が空白では点にならないし、何より考え方・論理把握の粗さよりスピードを上げる方が指導しにくいと思っているから。教えられる部分が少なく、個人の取り組み、意識の改革がスピードアップには必要。その意識が低い子は厳しい。
— 根岸 大輔(ねぎちゃん先生) (@negi_chang) 2015, 4月 3
典型的な「同じ点なのは今だけ」の例ですね。仮にABが中学生だとすると、大学受験する頃には絶対に覆らないくらい差がついていてもおかしくない。単位時間あたりの勉強量が違いすぎるからね
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
もちろん程度問題ですが
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
「処理の速さ」って誤解されている気がするな。算盤的な「計算の速さ」だけイメージされているのではないか
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
処理が速いってのは単位時間あたりに考えている量が多いという意味であって、「何も考えずに適当に書いているから速い」みたいのは処理が速いとは言わない
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
その3¶
ただ、処理の速さを生徒に仕込むのは結構大変で、単に急かすだけだとブレーキが壊れた車みたいになって複雑な問題も急いで解こうとして×だらけになったりする。ヤベエと思ったら腰を落ち着かせて行を増やす必要もあるし、そういうブレーキの踏み方も教えていく必要はある
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
行を減らせと言ってもそのために手が止まって考える時間が長すぎれば逆効果だし、結局は「手を止めずに処理できるギリギリの範囲」まで行を減らしていって、その範囲を少しずつ拡張するという話になる。これは指導者が定期的に補助しないと難しい
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
処理が速くなるためには多面的な理解と抽斗の多さが必要になるので、解き終わったあとでその問題に対して考察を加える一手間は結構重要。いわゆる確かめのことではなく、「つまりどういうことよ」的な。例えば×10を筆算して解いた後「0つけるだけで良かったんじゃね?」みたいな
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
特に物理はこれがないとアウトと言ってもいいと思う
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 4
その4¶
とりあえず処理の速さというものがだいぶ甘く見られていることが分かった
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 5
平均以上の生徒なら数解いてるうちに正確性は勝手に上がってくしこっちであれこれすれば更に上がるけど、速度はほっといても上がらんし指導者が補助してすら上がらんことも多い
— ヤマグチ (@t2o_yama) 2015, 4月 5
2015-04-17 p進大好きbotから: 「任意の素数pに対してp+1元集合に入る位相全体の集合の濃度はmod pで7」とかいう謎の結果が載っているプレプリントがあるらしいので¶
- 数学, 素数, 数論, 位相空間論
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 4月 4
「任意の素数pに対してp+1元集合に入る位相全体の集合の濃度はmod pで7」ってやばい。その7って数字はどこかから来たのさ感が異常。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 4月 4
ちなみに「任意の素数pに対してp+3元集合に入る位相全体の集合の濃度はmod pで634」だそうです。これがスカイツリーの高さ634mの元ネタだとか何とか。 https://t.co/0HmMZNDiiy
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 4月 4
やばい. あとで論文きちんと読みたい.
2015-04-28 Elsevierの数学や情報系のジャーナル論文が四年以上前の分が全部無料で公開されるようになったらしいので¶
- 数学, 物理, 論文, 相転移プロダクション, Elsevier
http://t.co/4weHhawop1Elsevierの数学や情報系のジャーナル論文4年以上前のは全部無料で公開されるようになったんだ。今日気づいた。ありがたすぎる
— kinaba (@kinaba) 2015, 4月 9
本当か. これはありがたい.
2015-04-19 メモ: 一般化Riemann積分としてのKurzweil-Henstock integral¶
- 数学, 積分, Lebesgue 積分, Riemann 積分, Denjoy and Perron 積分, Kurzweil-Henstock 積分
@y_bontengeneralized Riemann integral(http://t.co/4choxtTHlG)もうまいことやってますよ。Lebesgue積分と同等もしくはそれ以上なんですから。
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2015, 4月 9
Kurzweil-Henstock integral, 名前をずっと忘れていたのでとりあえず記録.
2015-04-20 外注のとき用メモ: 記事紹介 『面倒なデータマイニング作業を時給200円ぐらいでバングラデシュ人に発注してみた』¶
- 数学, 物理, 外注, アウトソーシング, 相転移プロダクション
いちおう #ニコニコ技術部#ニコニコ学会関連だと思う 面倒なデータマイニング作業を時給200円ぐらいでバングラデシュ人に発注してみた http://t.co/ZS148Fg67K
— TAKASU/ Pepper超会議 (@tks) 2015, 4月 13
自分の楽しみも合わせて数学名言を集めてつぶやくみたいなアレをやろうと思っていたのだが, こういうのを使うといいのかもしれない. 検討しよう.
2015-04-22 いろぶつ先生の新刊査読募集があったので宣伝協力: ★「ヴィジュアルガイド・自然科学のための数学(仮)」の査読者募集¶
- 数学, 物理, 相転移プロダクション, いろぶつ, 書籍, 自然科学のための数学
web日記に ★「ヴィジュアルガイド・自然科学のための数学(仮)」の査読者募集 http://t.co/YPks2V6uyL を出しました。 「いろぶつの新刊の間違い見つけてやろうじゃないか」という有り難い御心をお持ちの方は、リンク先を参照の上御連絡ください。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2015, 4月 10
楽しそうだし私も似たことをやろうと思っているので, 参考にもするべく参加した. 楽しそうなので皆でやろう.
2015-04-23 論説紹介: 斎藤恭司 一般weight系の理論とその周辺 特異点理論, 一般Weyl群とその不変式論等との関係¶
- weight 系, 特異点, 一般 Weyl 群, 不変式論, 楕円積分, 周期
30年前の数学会の総合講演で使ったという正規weight系の解説を頂いたので読んでいるのだけど、これが実に面白い(^^)(^^)(^^)
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2015, 4月 17
.@the_TQFT大島さんが彌永賞受賞した、1985年春の都立大ですね。雑誌「数学」の論説になったのが https://t.co/yCOPftx109 https://t.co/iy21CA17Ja です。30年たってもいまだに色あせない。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2015, 4月 17
@Paul_Painleveネット上にあったんですね(^^)(^^)(^^)今読んでも面白くて重要な問題意識にあふれています(^^)(^^)(^^)
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2015, 4月 18
いま読んでも面白いということなので私も読んでみたい.
2015-04-27 書籍紹介: Joel David Hamkins, A Mathematician's Year in Japan¶
購入した: Joel David Hamkins著 A Mathematician's Year in Japan http://t.co/3O1gXjVOYe
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 4月 16
これ面白そう. ほしい. 私もこういうの作りたい.
2015-05-07 私もニコニコ学会出てみたい¶
数学セッション,リーマン予想講演の簡単な解説/他の方のトークも実に面白そうなのでタイムシフトで見よう / “#ニコニコ学会数学セッションに出演しました - tsujimotterのノートブック” http://t.co/shXx3xkX6f
— どせい (@xr0038) 2015, 5月 6
私もニコニコ学会で話す方やってみたいが何話せばいいだろう. ちょっとネタを考えておきたい. 前に動画も作った女性胸部の話とかアレだがアレっぽいのでアレ.
2015-05-15 ツイート・プログラム紹介: mathjaxのようなtexベースの数式組版ライブラリKaTeX¶
mathjax のような tex ベースの数式組版ライブラリだそうです.-- katex使ってみた - Firespeed http://t.co/DgmhEbokTX
— Tatsuyoshi HAMADA (@knxm) 2015, 4月 21
このサイトもMathJax利用だが, ネットワークが通じない状況でのローカルでの記事執筆時に困ることがないではない. 期待したい.
2015-05-16 SGL (Sheaves in Geometry and Logic: A First Introduction to Topos Theory)の話¶
丸山善宏さんの「圏論的双対性の理論入門」と understanding conferrability http://t.co/NLlPQqEYho
— HIYAMA, Masayuki (@m_hiyama) 2013, 11月 8
少なくとも一部界隈では有名なMacLane and Moedijk, Sheaves in Geometry and Logic: A First Introduction to Topos Theory, 通称SGL関連の話.
次の記述がとても気になる.
古典論理のストーン双対性を圏論的な双対性の有限的/コンパクトな典型的事例として位置付け、無限的/非コンパクトなケースとしては幾何的論理を対比させています。幾何的論理(geometric logic)は、「SGL読書会」のテキストである"Sheaves in Geometry and Logic"の主要なテーマでしょう(たぶん、僕は最終回だけしか出てないので半分憶測)。
古典論理のストーン双対性が、代数幾何の枠組であるスペクトルやスキームと類似であることも詳しく解説されています。ここらへんの話題は、2005, 2006年あたりに僕も取り上げたことがあります。具体的な計算も書いてあるので、多少は参考になるかもしれません。
研究したいこと, 勉強したいことが無限にある.
2015-05-17 鈴木 貴, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広, 『数理医学入門』が面白そう¶
【5/27発売予定】 『数理医学入門』(鈴木 貴 新井 仁之 小林 俊行 斎藤 毅 吉田 朋広 : 共立出版 :C3341 )@近刊検索β http://t.co/tgpvkfddvE ▼本書は最新の研究に基づいて,解析学と医学との直接の協働と融合を紹介したユニークなもの!
— Phantom_Works (@sutohKADAA_SYA) 2015, 4月 21
執筆陣から言っても超ほしい.
2015-05-25 ツイート・記事紹介: 阪大 植田一石さんの数学科に入る人へのアドヴァイス¶
植田さんの数学科に入る人へのアドヴァイス。Via @suzuki__r http://t.co/t7BEY8dZLZ
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 5月 9
印象的な文章があるのでPDFからいくつか引用したい.
直前まで素粒子か物性の分野に進むものだと思っていた私の進路を大きく変えたのは、教員と話をしているうちに抱くようになった、物理学者は数学に対してある種の"敵意"を持っている一方、数学者は物理に敬意を払っているという印象です。物理に進学すると数学の勉強ができなくなる一方、数学に進めば物理も勉強できると思ったので、これは単に決断を先延ばしにするだけのはずだったのですが、今思うと実際にはここが人生の分かれ道でした。
ある種とついているのでアレだが, 敵意というか, 嫌悪感のようなものは時々感じる. 実際, 実験系の教官で「元々理論をやりたかったのだが複素関数論が駄目で諦めた」とかいうのを実際に聞いたことがある. 関係ないが, 物理だとよく複素関数論というが, 数学だと関数論や複素解析という気がする. このギャップがどこで生まれたのかとても気になる. 物理でLie代数と(正式に)呼ぶのに数学ではLie環と呼ぶのも面白いと思っている.
研究者同士の関係はある意味で対等(真理の前では平等、と言ってもいいかも知れません)なので、研究を志して大学院に進学する人は、誰かの弟子になるのではなく、同僚になるのだという気概を持つべきでしょう。
学部の頃はいまひとつ分からなかったが, 修士で実際にいろいろやっているうちに少なくとも理想はこう, というのは掴めた気はする.
何らかの事情で数学ができなかった日の夕方には禁断症状で手が震えるようならなお良いです。
手が震えたことはないがふとしたときに「数学やりたい」と言っていることはよくある.
最初は問題が解けるのか半信半疑なのですが、そういう時には解けません。そのうち、実は解けるんじゃないかと思い始めます。いいアイデアを思いついて天にも舞い上がる心地になったかと思えば、ちゃんと書き下そうとしてギャップに気付いて落ち込むということを繰り返します。気持ちのアップダウンが激しくて、精神衛生上良くありません。後一歩で解けそうなときは特に危険です。こういう時は車の運転などは控えたほうがいいですね。また、そうでなくても運転中に助手席の人と数学の話をするのは、ナビを操作したり電話を掛けたりするよりも明らかに危険なので、法律で禁止すべきです。やがてアップダウンの周期が徐々に短くなってきて、遂に証明を書き下してもギャップが見つからなくなります。
法律で禁止するのはいいとして, その状態をどう判定するのかが難しそう. 法学部の教官に相談して何とかしてほしい.
そして目玉はこれ.
ドラゴンボール現象
少年漫画にしばしば見られる強さのインフレーションは、数学では日常茶飯事です。あるシーズンでは手の届く遥か彼方にある最強の敵だったものが、次のシーズンには一撃で倒せる雑魚キャラになります。典型的な例としてはAtiyah-Singer の指数定理があります。これは Chern-Gauss-Bonnetの定理やHirzebruch-Riemann-Rochの定理などを特別な場合として含み、位相的な指数と解析的な指数が一致することを主張します。証明された当時は代数、幾何、解析に跨って聳え立つ現代数学の到達点と位置付けられましたが、今ではモジュライの幾何を研究する際の出発点に過ぎません。
インフレが進む最大の原因は、何かを最初に成し遂げるのは難しくても、それを学ぶのは遥かに容易であることにあります。スポーツだと、誰かが100mを9秒台で走っても、別の人が9秒台で走るには(たとえ全く同じではないにしろ)はじめの人に近い努力が必要です。数学なら、ある日誰かが9秒台を達成した翌日には皆が9秒台で走っていて、8秒台への到達を競うようになります。
Twitterでいくつか反応があって, スポーツの例示は適切かといった話があったが, 非常にキャッチーでうまいと思ったので特に記録しておきたい. 女性から見るとどういう印象を受けるのかはよくわからない. ちょっと聞いてみたい.
2015-05-26 サイト紹介: 街角の数学 ふくしま 和算の復興をめざして¶
私の学部時代の友人の父君が街角の数学 ふくしま 和算の復興をめざしてというサイトを運営している 数学と共に生きる男だといういい話を聞いたので宣伝していきたい.
算額にご興味があるとのことで, サイト内に次のような素敵な一文がある.
街角を曲がると、そこには・・・! そんな街づくりに参加してみませんか
その知人にも改めて連絡したのだが, 以前数学をテーマにした美術: 方程式のある風景という記事を書いて, 次の本を紹介した. 現代アート的に数学関係の変なのがある町並みとか異常っぽくてとてもよいのでぜひ実現させたい.
数楽カフェというのも福島でやっているとのことだ.
福島近郊, 特に二本松市市民交流センター近くの方でご興味のある方は参加されるとよいと思う.
2015-05-26 数学者の訃報: Nobel経済学賞や映画ビューティフルマインドで有名なNashが亡くなった¶
【訃報】ジョン・ナッシュ氏=ゲーム理論確立した米数学者 ( #読売新聞) #googlenewsjphttps://t.co/vSibcQPTLQ
— googlenewsjp (@googlenewsjp) 2015, 5月 25
Nobel経済学賞や映画ビューティフルマインドで有名なNashがなくなったとのこと.
Twitterで見かけた情報を探っていたら見つからなかったので, 代わりにWikipediaから取ってくる. 見かけたツイートに相当する記述を引用する.
ナッシュは博士課程をプリンストン大学ですごすこととなるが、カーネギー工科大学での指導教官がプリンストン大学へと送った推薦書は「この男は天才である。」と書かれただけの一行の文章であったという。
他にもいくつか引用しよう.
専門分野は微分幾何学でありリーマン多様体の研究に関して大きな功績を残している。
1994年、ラインハルト・ゼルテン、ジョン・ハーサニとともにゲーム理論に関して大きな功績を残したとしてノーベル経済学賞を受賞しており、彼の証明したナッシュ均衡の存在が非常に有名であるため、ゲーム理論がナッシュのライフワークと思われていることもあるが、ナッシュがゲーム理論の研究をしていたのは博士課程在学中とその後のわずか数年間だけである。2015年にはアーベル賞を受賞した。
あとゲーム理論の人とばかり思っていて専門が微分幾何というのを知らなかった.
しかし、ナッシュ自身も「私の業績として特に注目するものではない」と評しているように、ゲーム理論に関する研究はナッシュの数学者としての評価を高めることには余り寄与していない。ナッシュに数学者としての名声をもたらしたのは後のリーマン多様体への埋め込み問題に関する仕事であり、以下の重要な論文を発表している。
- "Real algebraic manifolds"(1952年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
- "C1-isometric imbeddings"(1954年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
- "The imbedding problem for Riemannian manifolds"(1956年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
- "Analyticity of the solutions of implicit function problem with analytic data"(1966年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
誰かこれの意義について解説してほしい. 自分でやれればいいのだが, 幾何の歴史的流れを理解していないといけない部分もあろうし, そもそも幾何がわからな過ぎるのでつらい.
本当はこういうのをタイムリーに動画にできるといいのだが. 今後の検討課題としよう.
2015-05-29 Kiwamu_Kさんの数学セミナー2015/6【微分積分の質問箱】に関するツイートを見て反省したので¶
うっ… 今月の数セミ記事「ε-δがわかりません」にある証明…
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 5月 14
@Kiwamu_Kこういう「証明」を板書する数学教員って,一般に(多く?)存在するのでしょうかね.
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 5月 14
定期購読で買ったまま積読になっている数学セミナー2015/6の該当記事を読んでみた. あとで動画にでもしたいのだが, 確かにきちんと丁寧に議論した方がいいところで, 私も反省した.
自分の理解の杜撰さを指摘されているようで戦慄する.
2015-05-30 IPMUのDysonインタビュー記事が面白かったので¶
Dyson http://t.co/m2UzJKGTsh
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2015, 5月 13
Dyson, 私の分野の魔人である. よくわからないが, 世間的に有名なのはQEDなのだろうか. Dyson-Lenardの物質の安定性やDyson-Lieb-SimonのHeisenberg反強磁性など, 凄まじい結果を持っている数理物理の神々のうちの一人だ.
上記PDFによると元々ケンブリッジの数学科で, それから理論物理に移ったとのこと. この辺の経歴は知らなかった.
PDFを読んでいるとサッチャーの話とか出てきて楽しい.
私はベシコヴィッチのスタイルに影響を受けました。 構成的なスタイルです。 ベシコヴィッチは単純な構成要素から彼の数学的証明に使われた美しい構造を創る能力に長けていました。 私は物理の計算に同じスタイルを用いました。
構成的場の量子論だとかその辺の話を想起する.
ダイソン 子ども達は、学校で、どの国も特に得意とするものが一つあるというイメージを教わります。 ドイツは音楽、フランスは絵画、そしてイギリスは科学です。 イギリスでは才能のある若者がこれに刺激を受けてケンブリッジに入学し、科学者になります。 有名なケンブリッジ大学の最終的な優等学位の試験(トライポス)によって、この傾向が更に高まりました。
こういうのを考えたことなかった. 日本だと何だろう.
私は1948年にバークレーを訪問した時、化学者のメルヴィン・カーヴィンに強い感銘を受けました。 彼は炭素原子の分子間の移動を数秒間追跡することにより、 光合成、すなわちどのようにして二酸化炭素が吸収され、糖に変換されるか、を理解するため、 初めて炭素の短寿命放射性同位元素を利用しました。 1秒毎に化学反応がどのように進むか。 生物学に対して、初めて原子核物理学が応用されたのです。 その時以来、放射性のトレーサーを用いて生物学は急速に発展しました。 オッペンハイマーは、生物学に対する原子核物理学の応用は原爆よりも重要であると述べました。
この辺を生物・化学に対する原子核物理の応用と認識したことなかったので, ちょっと面白かった. 自分もあまり目が見えていないな, という感.
私がプリンストンに行った時、アインシュタインがいました。私は彼がプリンストンに来たのは大間違いだったと思います。 後略
その当時いた人しか言えない話だった. Einsteinだけではなく, 朝永, Pauli, Diracなどの話もある.
私は量子電磁力学の摂動展開の収束について研究していましたが、パウリは発散すると断言しました。 私はその級数が収束することを説得しようとしましたが、彼は同意しませんでした。 結局、今は彼が正しかったことが分かっています。 私はその級数の発散について論文を書くことができたので、パウリの手助けに感謝しており、不満はありませんでした。
魔人同士の会話だ.
福来 ディラックについてはいかがですか?
ダイソン ディラックは頻繁にプリンストンにやってきました。 彼は若い時の寡黙で近寄り難い性格から、 年を取って話し好きで親しみやすくユーモアのセンスにあふれた性格に変わりました。 アインシュタインと同様、彼は自分好みの理論―うまくいかないことが分かった「大数仮説」、 それから私には全く理解できなかった「負計量の場の理論」―に固執しました。 年を取ってからは、何が正しく何が間違っているかを直感的に推測する能力を失ったように見え、 どんどん普通の人になっていきました。
どんどん酷い話が出てきて楽しくなってくる.
ハイゼンベルクもまた晩年には自分の理論である「スピノル場の理論」に打ち込みました。 彼は自分の助手にその研究をするように要求しました。 私の知っている助手はハンス-ペーター・デュールですが、 彼のキャリアはこの仕事で台無しになってしまいました。 ハイゼンベルクは死ぬまでスピノル場の理論をあきらめませんでした。
ダイソン 私がプリンストンに来た直後、 ヘルマン・ワイルはチューリッヒに、カール・ジーゲルはドイツに、それぞれ移りました。 私は有理数による代数的数の近似に関するジーゲルの定理を強めたため、彼は私のことを知っていました。 ヘルマン・ワイルもなぜか私のことを知っていたようで、私が高等研の教授に採用されるように助力してくれました。
この前のヤン・ミルズのところではランダム行列をやっていたという話も出てくる. Dyson, 本当に何やってるんだ感ある.
ハートランド・スナイダーと一緒に彼の学問的成果として最も重要な、ブラックホールを理解する研究をしました。彼らは、内部圧ゼロの重い物体はアインシュタイン方程式の帰結として永久自由落下状態となることを示しました。彼らはアインシュタイン方程式に従う宇宙にはブラックホールが存在することを予言したのです。
中略
アインシュタインは全くブラックホールを信じていませんでした。それどころか、ブラックホールは存在できないという論文を書いたのです。オッペンハイマーも二度とこの問題に立ち戻ることはありませんでした。宇宙でブラックホールの候補が複数個発見された後でさえ、彼はブラックホールについて語ることを拒否しました。私は彼とブラックホールについて話をし、なぜそれが面白いのか説明しようとしましたが、そうすると彼はいつも話題を変えてしまいました。どうしてなのか、私には分かりません。ブラックホールは、その父からも祖父からも嫌われた息子でした。
悲しみのブラックホール.
ツヴィッキーとは違い、ホイーラーは難しい人間ではありませんでした。多くの学生をもち、非常に寛大でした。彼が示唆した問題についてファインマンが上げた研究成果については、完全にファインマンの業績としました。彼は極端な愛国者で、極右で、150%アメリカ人といった人間で、政治的にはオッペンハイマーと正反対の立場でした。
150%アメリカ人という表現に笑う.
福来 数理物理学者として、数学と物理学の関係をどのようにお考えですか?
ダイソン 本当に溝があったのは純粋数学と応用数学の間です。純粋数学者は違う言葉を話していました。ブルバキが流行の純粋数学でしたが、私はそんなに興味はありませんでした。「脆弱層」についての講演を思い出します。誰かが脆弱層とは何なのか質問しました。座長のアンドレ・ヴェイユがこう言いました。「それは既にクラシックな専門用語になっているので、説明する必要はありません。」私はそれが何のことか全然理解していませんでした。私はファイバー束は理解するようになりましたが、そこから先には進みませんでした。どうも純粋数学は極端に抽象的になってしまっていました。私にはそれが稔りの多い方向とは思えません。私は応用数学に留まる方を好みました。
応用数学とは, という感.
ダイソン 物理はスピードが遅くなりました。 60年前は6ヶ月で実験が終わり、結果は6週間で説明されました。 今は実験に20年かかります。 高エネルギー物理以外では、まだすることが数多くあります。 小規模な研究はまだ盛んです。 素粒子物理は特殊なケースです。 素粒子物理でさえ、ハーバード大学のガブリエルスによる電子の電気双極子モーメントの測定のような小規模実験は、最先端研究の一例で、新しい発見のチャンスもあります。
自分が場の理論・量子統計をやっているのにアレだが, 古典論まわりいろいろやることありそうで楽しそう. しかしめっちゃ難しそうなイメージが死ぬほどある.
一般的に実験研究者は予期せぬことが起きることに備えておかなければなりません。 これは理論研究者にも当てはまります。 一つのことに固執するべきではなく、多くの研究テーマを考えるベきです。 一つの研究に飽きたら、さっさと別の研究に取りかかるべきです。 私は長い研究生活でずっとそうしてきました。
早く研究が再開できるようにいろいろ整えているところだ. あと一年で形にしたい.
2015-05-30 ミンネ, メルカリで数学アクセサリの出品をはじめてみたので¶
ミンネで数学アクセサリの出品をはじめてみた.
露出を増やすべくついでにメルカリでも販売している.
作れる記号一覧もアップしておいた.
ふだん私もつけているし, 高知工科大学での講演時, 出席していた学生さんに無料であげるといったら女性だけでなく男性にも人気があったので, 男女関係なく少なくとも理工系には受けるのだと思っている.
コンセプト「数学を身につける」をどんどん展開していきたい.
2015-06-01 パソコンを買ったらこれを入れておけ 数学・物理編 お役立ちソフト・サイト¶
お役立ち情報まとめみたいなこともしようと思ったので, ちょっとTwitterで募集してみた.
物理とか数学やる上でこれは入れておくべきPCのソフト(とその使い方メモ)やスマホのアプリ、または知っておくべきサイトとかまとめたい。ブログの記事も見直すが、TeXとか数式エディタ+Wordとか、arXivとか河東先生のセミナーのやり方まとめとかそういうの。お勧めあれば教えてほしい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 4月 26
YouTubeに動画でまとめるが, 教えて頂いたツイート自体はこちらにも転載しておきたい.
@phasetrhttp://t.co/aBt3BVZeLT
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 4月 26
@Yusuke_Ishizukaありがとうございます。ちなみに特に何がお勧めでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 4月 26
@phasetrEarliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics ですね。何か気になるたびにまず開いています。あと前にもブログに載せられたようですが http://t.co/faQwUIOljW(数学的史跡案内)も
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 4月 26
@phasetr最近みつけたものでは表現論リンク集というのがあります。 https://t.co/ay5Z9ZFzze
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 4月 26
@Yusuke_Ishizukaそういうのもいいですね。ありがとうございます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 4月 26
@phasetr http://t.co/brBErZA7oJ http://t.co/D1MPHz0Bjm http://t.co/4vxOF2AlDU http://t.co/Bv9Pu9eBKD 自分のtwitterをさかのぼってみたらこのあたりが出てきました。
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 4月 26
@phasetr質問意図から外れるかもしれませんが、AMSの公式サイトではTransactions of American Mathematical Society等の既刊数学誌の膨大なfree archiveを見ることができます。 http://t.co/VRigkSLles
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 4月 26
動画を作ってYouTubeにも上げよう.
追記: 動画作って上げた.
2015-06-02 とある大学ではコーヒーカップに「注意!これはドーナツではない」と注意書きがあるらしいので¶
ここの大学の数学科の給湯室、コーヒーカップに「注意!これはドーナツではない」と注意書きがあるので、トポロジストがドーナツと間違えてコーヒーカップを食べる事案が続出していたのであろうと予想される
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 5月 14
https://t.co/yUYX1eNESYその大学にトポロジストがいたのかというのが気になるが、ゲストでくることもあるだろうし、そういう配慮だろうという認識に至った
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 5月 19
トポロジーよくわからないし, 何かの機会に勉強したいと思っているのだがなかなか機会がない. 動画を作るとかそういうので強制的に学ぶ機会を作りたい.
2015-06-05 終結式メモ: いろいろ教えて頂いたので¶
緩募 終結式についてどんなことができてどんなときに大事で、とかそういうポイントがまとまった文献
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 5月 17
これについて二つコメントを頂いたので記録.
https://t.co/EQnH1RmhZf わたしの場合は計算機代数が主な利用先。 https://t.co/b9eBybgWJ4 この方面の書籍だと Cox Little Oshea http://t.co/75BzUjcqYn に、いくらか書いてあったあったはず。
— Ͳakanori Ɱaǝhara (@tmaehara) 2015, 5月 17
Cox-Little-O'sheaは本を持っているというか, ある程度読んで見つけたタイポをお送りして「報奨金」を頂いた. 本やサイトに「タイポを報告してくれた人には一つにつき1ドルあげる」みたいなのがあったのだ. あとでまた見直そう.
もう一つ頂いたコメント.
@phasetrYann Bugeaud "Approximation by algebraic numbers"のAppendix Aに終結式の応用的なことが書いてあります。どんなことができるか簡単に述べますと、2つの異なる代数的数の差の絶対値を評価するときに使えたりします。
— なれ (@nareO7) 2015, 5月 18
代数的整数論, 本当に何でも使うなという感がある.
2015-06-06 かわず語録: 『考えればわかることでも記憶するべきことはある、ということと、話を聞いただけでわかった気になるのは非常に危険である』¶
前にも言ったかもしれないけど、中学生のとき、数学の授業でお勉強する内容が全部ウルトラ当たり前に感じたので「これ当たり前のことからスタートして常識で演繹してるだけだしノートとかとる必要なくね???」と思ってその通りにしたら次第に何言ってるか分からなくなったということがあった
— かわず (@kawazu1147) 2015, 5月 23
当時は演繹という言葉を知らなかったと思うけど、まあそういうアレはそういうアレだ
— かわず (@kawazu1147) 2015, 5月 23
そのことでわたくしが学習したのは、考えればわかることでも記憶するべきことはある、ということと、話を聞いただけでわかった気になるのは非常に危険である、ということでしたので、ご報告いたします。
— かわず (@kawazu1147) 2015, 5月 23
私も高校の頃, ある数学の先生が「ノートを取らないで授業中に全て理解しなさい」とか何とか言われて物理の授業をノートを取らずにやってみたことがある. よかったのかどうかはよくわからないが, 少なくともいまの時点では記憶すべき点くらいはきちんとメモを取るであるとは思う. 適当に参考にしたい.
2015-06-08 Twitterメモ: 学者的な意味での難読外国人名¶
Albert Nijenhuis ナイエンハンス(蘭) Charles Ehresmann エーレスマン(仏) Heinz Hopf ホップ(独) Alfred Frölicher フローリッヒ(澳) Newlander ニューランダー Nirenberg ニレンベルグ
— パウリ (@neutralino_) 2015, 5月 25
Schouten スハウテン(蘭) Goudsmit ハウトスミット(オランダ生まれ、米国に帰化) Ångström オングストローム(スウェーデン) なんて人もいますよ。@neutralino_
— TANIMURA Shogo (@tani6s) 2015, 5月 25
.@tani6sオングストロームは,物理屋は読める気がしますが,Goudsmit,Schoutenは普通は読めないですね…
— パウリ (@neutralino_) 2015, 5月 25
私の分野でNachtergaeleという有名人がいるのだが名前の読み方を忘れてしまった. 田崎さんも知っているようなのだが, 前に集中講義で九大の松井先生が名前を呼んでいたときにきちんとメモを残しておくべきだった.
math-textbookの数学・物理の英語パートに数学者・物理学者の名前の読み方と業績などの簡単な紹介をつけているが, そこも拡充したい.
やりたいことがたくさんある.
2015-06-09 業績紹介: 東大数理 小林俊行先生が2015年JMSJ論文賞を受賞¶
2015/3/20づけで 小林俊行主任研究員が2015年JMSJ論文賞を受賞というニュースがあった. ちょっと気になるところがあったので引用する.
根源的な表現は、「誘導」という既存の手法では構成不可能なところを、本論文では極小表現をシュレディンガー・モデルとして具体的に構成したその統一的手法が評価され、今回の受賞につながりました。
【シュレディンガー・モデルとして具体的に構成】というのが何を言っているのかとても気になる. これっぽいので論文読んでみたい.
同じくメインパートを引用しておこう. 毎度小林先生の多産性には驚かされる. ただ1000ページ書くだけでも大変だというのに, 他の人に伝わるように, 明快になるように工夫を凝らした1000ページを執筆する力も凄まじい.
受賞対象となった論文は、JMSJ 66 巻 2 号に掲載された、J.Hilgert、J.Möllers 両氏との共著による「ベッセル作用素による極小表現の理論」です (JMSJ 66 (2), (2014), pp.349-414: Minimal representations via Bessel operators)。
「無限次元表現」は対称性を代数的に広く捉える数学的概念で、量子力学とも深く関連する一方、解析が難しいことで知られています。近年の代数的表現論の進展により、“根源的な表現”は、無限の次元とはいえども、ある意味で“小さい空間”に実現されることがわかってきました。「極小表現」と呼ばれる無限次元表現が、その最も重要なものです。 小林氏は、「表現の空間が小さい⇔空間から見ると対称性が大きい」と視点を逆転させることによって、極小表現をモチーフとした解析学の豊かな将来性を予言し、新たな数学の道を切り拓いて数学に画期的進展をもたらしました。同氏は、ドイツ、フランス、アメリカ、デンマーク、日本等の研究者グループを主導し、「極小表現の大域解析学」というテーマに関して、2003年以来、1000頁以上の論理の積み重ねによって、表現論のみにとどまらず、共形幾何学、シンプレクティック幾何学、フーリエ変換の変形理論、偏微分方程式の保存量、4階の微分方程式に対する特殊関数論など様々な分野の研究に影響を与えてきました。根源的な表現は、「誘導」という既存の手法では構成不可能なところを、本論文では極小表現をシュレディンガー・モデルとして具体的に構成したその統一的手法が評価され、今回の受賞につながりました。
2015-06-10 ページ・活動紹介: 京都数学グランプリ2015 ~めざせ!国際数学オリンピック入賞~ (第57回IMO香港大会)¶
知人が関係しているとのことなのでとりあえず宣伝協力.
当面の自分の目標として, やはり数学関係の活動をマネタイズに結びつけるところを強化していきたい.
2015-06-11 2015-7中旬に『数学まなびはじめ3』が出るらしいので皆買おう¶
7月中旬新刊予定 『数学まなびはじめ 第3集』数学へのたのしみ編集部(日本評論社) どんなふうに数学と出会い、どのように数学の道を歩んできたのか。第一線の研究者13名が青春の日々をいきいきと回想する。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2015, 5月 31
購入必須事案だ. 数学まなびはじめについてはいくつか書評を書いている. 例えばここを参照してほしい. 皆も買って「こんなのを求めていた」という要望を形にしていこう.
2015-06-13 ツイート・イベント紹介: 2015年モデル理論夏の学校は8/22-24に法政大学で決行¶
@各位 今年のモデル理論夏の学校は8/22-24に法政大学で行われるそうです。 https://t.co/YTmpi9YsDM
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 6月 3
@piano2683数学基礎論サマースクールとは被らなかった様子。 [サマースクールは8/18-21]
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 6月 3
@piano2683まだ詳細未定なんですけど,8/18-21なんですか?
— サンタマリア・玲於奈 (@reonaarticle) 2015, 6月 3
@reonaarticle出典です https://t.co/yJIK7wEIKC http://t.co/CeyJqNTUz8
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 6月 3
@piano2683ありがとうございます!
— サンタマリア・玲於奈 (@reonaarticle) 2015, 6月 3
非専門もはなはだしいが, こういうのも一度は参加してみたい. 都合合うだろうか.
2015-06-15 ツイート紹介: 初学者向けの解析学教材を作ろうメモ¶
うっ… 今月の数セミ記事「ε-δがわかりません」にある証明…
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 5月 14
@Kiwamu_Kこういう「証明」を板書する数学教員って,一般に(多く?)存在するのでしょうかね.
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 5月 14
(とほほ。。。) https://t.co/pGkP00UMDH
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2015, 5月 14
@kadamasaru初めまして。学部1年生です。同級生が数セミ6月号の「ε-δが分かりません」を読んでいてこりゃいかんと思いました。代わりにこれを読んだ方がいいとおすすめできる本はないでしょうか
— fujidig (@fujidig) 2015, 5月 22
@fujidig初めまして。それを私にききますか、うーむ… 変化球の回答として、松井知己「だれでも証明が書ける」(日本評論社)を suggest しておきます。あとは手前味噌ながら拙著「論理と集合から始める数学の基礎」も。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2015, 5月 22
@kadamasaruありがとうございます。「だれでも証明が書ける」読んだことがあります。早速友人に紹介してみました
— fujidig (@fujidig) 2015, 5月 23
そして黒木さんのツイート.
Re: RT ぼくもあれはいかんと思いました。おそらくメインの対象読者はまだわかっていない大学一年生あたりだと思うが、∀や∃という記号を並べられまくって理解できるはずがないし、それ以前の問題として、続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 5月 31
@genkuroki続き、「任意の◯◯について△△で条件◇◇を満たすものが存在する」でひとかたまりの命題について述べることと、「任意に◯◯を取る。そのとき△△で条件◇◇を満たすものが存在するので、そのうちの一つを取る」と述べることの区別をしないのは教育的に有害。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 5月 31
@genkuroki続き。経験的に、∀と∃の記号を無用にかつ不用意に使いたがる学生は述語論理の基礎的なことがまったくわかってないし、一つ前に述べた区別を明瞭にしておくべきであることも認識していない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 5月 31
@genkuroki続き。実はこういう事柄ひついてきちんと認識してなくても、数学の内容をよく理解していることはよくあることなのだが(←この注意はとても重要)、他人に述語論理の使い方を指南する立場に立った場合にもそういうことを認識できていないのはちょっと問題があると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 5月 31
この辺もきちんと教材作りたい. TODOリストに入れておこう.
2015-06-16 ツイート紹介: 簡単に靴紐がほどけなくなる結び方「イアンノット」¶
簡単に靴紐がほどけなくなる結び方に 「イアンノット」という結び方がある。 慣れれば2秒で結べ、かつ強力に解けない最強の結び方だ。 結び終わりの見た目は蝶々結びと同じ。 ちなみにプロスポーツ選手もこの結び方にしてる人多いらしいぞ。 pic.twitter.com/o7M3SgdOLq
— 銀さんの学校では教わらないムダ知識 (@gin_knows) 2015, 5月 31
数学的に何か意味あるのだろうか. とりあえず記憶しておきたい.
2015-06-20 ツイート・論文紹介: ドラクエなどのゲームのトーラス世界とその実三次元での実現¶
良く言われているようにRPGの世界は上に行けば下から、右に行けば左から出てくるから地球のような球面ではなくドーナツ型(トーラス)なのだが、世界が平坦だとすると、その平坦トーラスを3次元空間で「実現」しようとするとフラクタルになる http://t.co/FrGqA3YFMB
— 非線形 (@_mod_p) 2015, 5月 28
この「実現」(埋め込みのこと)は先日亡くなったNashによる結果から言えるが、存在は知られていても構成はされていなかったそうだ。
— 非線形 (@_mod_p) 2015, 5月 28
平坦でなければ普通に3次元空間に放り込めてドーナツになるが、平坦でありながらもっと「滑らか」な埋め込みをしたければ4次元にせざるを得なくなる
— 非線形 (@_mod_p) 2015, 5月 28
@_mod_pよくやりましたねこれ…
— ɐʇǝɯ/めたはらいもり (@meta_a1) 2015, 5月 28
論文読めないので悲しい. こういうとき市民であることがとてもつらい.
追記¶
今見たらリンク先ページのPDFのところから論文ダウンロードできた. ざっとは目を通したのだが, まだあまりよくわかっていない.
読書メモ: 2015/6/5発売予定『プロの数学』松野陽一郎(東京図書)¶
6/5発売予定 『プロの数学』松野陽一郎(東京図書) 現役開成高校の数学プロフェッショナルの著者が厳選された東大・京大のプロフェッショナルな入試問題を素材として「プロの数学」(=プロ数学者が考えていること=大学数学で躓かないためのポイント)を語る。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2015, 5月 26
最近受験まわりもカバーしようと画策しているのでとても気になる. ほしい.
2015-06-25 ツイート紹介: 先日なくなった伝説のNashの推薦状をPrincetonが公開していたので¶
プリンストン大学がジョン・ナッシュの推薦状(「この男は天才である。」としか書かれていないアレ)をウェブ公開していた。https://t.co/lApwVIjnNU
— KM (@kosuke64) 2015, 6月 5
話は本当だったのか. Facebookに上がっていた画像は保存しておいた.
2015-06-27 【0は自然数】に対するオタ向け説明を思いついたので適切性について諸賢のご判断を仰ぎたい¶
0は自然数という時々話題になるネタがまた降ってきたので. 適切かどうかわからないのだがオタの人向け回答を思いついたので, 残しておいて諸賢の判断を仰ぎたい. もちろんより良い説明を求めているのでご指摘頂ければ幸い.
0が自然数だったかどうか不安になる程度の文系。(多分自然数ではない)
— こんぽた (@cornpt) 2015, 6月 5
自然数の代わりに非負整数または正整数と言い換えることによりこの問題を避けることもある。 http://t.co/zDPyv1J1U6
— こんぽた (@cornpt) 2015, 6月 5
なお、日本における初等中等教育では「自然数は 1 から始まる」と指導される。 http://t.co/zDPyv1J1U6
— こんぽた (@cornpt) 2015, 6月 5
もともと1以上の整数を自然数と呼んでいたのに急に0以上の整数を自然数と呼ぶ人が出始めて、「お前何様のつもりなの?ふざけんなよ」感を抱かざるをえない。
— AQN@ヮ<)ノ◆ (@aqn_) 2015, 6月 5
そして回答編.
マジレスすると0が自然数かは流派による。Twitterで学んだことのひとつだ。
— AQN@ヮ<)ノ◆ (@aqn_) 2015, 6月 5
@aqn_<.a>そ〆なん。でも確かに、なんで「そう」不安になるかというと、大体の場合「nは1以上の自然数」とかって1以上を明記してある場合が多いんだよね。諘校レベルしか知らないけどw
&meash; げんぽ〟 (@coropt) 2015, 6月 5
@cornpt@aqn_流派というのもまた少し違う感じがあります。同じ人でも書いている本や論文によって1を入れたり入れなかったりしますが、ある本や論文それ自体の中では一貫しています。具体的な人・本・論文を忘れましたが、そういう人がいた記憶はありますし、いてもおかしくありません
— 相転移P(市汑) (@qhasetr)!2015, 6月 6
<blockquoue class<"twittes-tweet" lang="ja">
@cornpt@aqn_流派というか、分野や話題によって0を入れるか入れないかで都合の良し悪しがあって、その分野をまたいだ文章を書くとき、変えた方が都合よければ変えるという感じでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 6@cornpt@aqn^自然数〧はない例になってしまいますが環という異学皅対象があります(例:整数全体、ある次数の正方行列全体)。整数のように積の順番が関係ない場合を可換環というのですが可換瓰しか䇺てこない場合、「本書では環といえば可換環を指す」と書いたりします
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 6
@cornpt@aqn_一方、行列は非可換環なので行列を例として出したい場合に環の議論をするなら「環といえば可換環を指す」というのは使えません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6有 6
@cornpt@aqn_いい例かわかりませんが奧学受訓生はオタ「話をしていて「こころ」ときたら「こころぴょんぴょん」をイメージする(人たちがいる)でしょうが、国語の問題を解いているときに「こころ」ときたら夏目漱石の作品をイメージするでしょう。何となくそんな感じだと思っています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 6
説明する技術の不足を感じるので日々鍛えていきたい.
2015-06-28 ツイート紹介: 位相幾何学型同値変形ゲーム 「ライデマイスター¶
よくわからないがとりあえずメモしておく.
「今話題の”紐”やりましょう!青い紐のやつ!」と言われてホイホイ卓上に移動した我々が目にしたものは。 位 相 幾 何 学 型 同 値 変 形 ゲ ー ム 「 ラ イ デ マ イ ス タ ー 」 ガチで紐だコレ!!! pic.twitter.com/nZIe7Lcn2T
— 磨伸映一郎@氷室8巻発売中! (@eiitirou) 2015, 5月 22
@eiitirouライデマイスター作者でっす。あらぬ方向から時代がライデマイスターに追い付いてきた感じでありがたいかぎりですw 前はもっと難しかったので、これでも難易度下げてますね。
— 支部長@全ファミ協会 (@koi_shibucho) 2015, 5月 23
@koi_shibuchoおお、作者の方ですか!面白いゲームありがとうございます!!なんかもう「青い紐」とか言われるとすっかり特定キャラを思い出さずにはいられない昨今ですが、機運高まっていると言えば機運高まっているということで!w
— 磨伸映一郎@氷室8巻発売中! (@eiitirou) 2015, 5月 23
@eiitirou先生の発言により、ダンジョン内のお宝を紐で獲得する「女神さまの青い紐(仮称)」というボードゲームを思いつきましたw いいアイデアをありがとうございます!
— 支部長@全ファミ協会 (@koi_shibucho) 2015, 5月 25
@koi_shibuchoおおお、完成したら是非プレイしてみたいですね!!こちらこそ何かのお役に立てたのなら幸いです!
— 磨伸映一郎@氷室8巻発売中! (@eiitirou) 2015, 5月 26
2015-07-03 ツイート紹介: $n$番目の素数を$n$で表す式はいくらでも見つかっている¶
単純に知らなかったのでメモ.
「素数をnで表す式は発見されてない」みたいなの見る度に別にイライラはしないがnで表す式はいくらでも見つかっている。リーマン予想が解かれたわけではない。素数の分布の難しさを正確に表現するには舌足らずすぎる。 pic.twitter.com/h4TKeq5UYf
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 2
@shinchan_primeこんな式があること自体知らなかったのですが、「n番目の素数を表す式はあるけど、素数がどう分布しているかはわかっていない」ということですか?
— キグロ (@kiguro_masanao) 2015, 6月 3
@kiguro_masanao大体そういう感じですね。こうゆう式があるからといって欲しい素数の性質がわかるわけではない場合が多いです。twitterで語るにはスペースがなさすぎますが、「素数が難しいとはどういうことか?」というのをしっかり認識するのは割と難しく
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 3
@kiguro_masanao「n番目の素数を表す式はない」では全然問題が明確ではなくていくらでも反論できるというわけです。「素数がわかるとはどういうことか?何故、わかっていないとされているのか?」ということをしっかりと考えなければなりません。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 3
@kiguro_masanaoちなみに上の公式は一例ですが、実は構造は素数の定義を言い直しただけのようなものです。だから殆どなんの役にも立ちません。ただ、有限回の四則、ガウス記号、自然対数だけで書けるのは知っておいてもよいというか、これはふつうの人は「式」と認めますよね。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 3
@kiguro_masanao式があれば素数がわかったことになるわけではないということがよくわかります。ただ、一つだけ重要なことがあって、どこまで計算すればn番目の素数が見つかるかは定義からは明らかではありません。和の範囲の上限がlogで書けてるところだけは非自明です。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 3
@kiguro_masanaoここに大きな定理を使っていて、証明にはリーマンの素数公式研究およびゼータ関数の大量の零点の情報を利用する必要があります。つまり、実は深い内容を利用した定理でもあったわけです。単にどこまでに素数が現れるかを知りたければベルトランの仮設でも十分ですが。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 3
あとで動画にしよう.
追記¶
「n番目の素数を表す式」をRTで見た人の中で証明が気になった方がおられたので, 解説記事を書きました. https://t.co/gSNJIBvp3p 第5回関西数学徒のつどい「素数定理の初等証明」のまとめも付録として載せています. pic.twitter.com/aP8ZNYYbzj
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 10
素数Tシャツ@shinchan_primeさんが証明を上げてくれた. あとできちんと見よう. 本当にありがたい.
2015-07-06 ニュース紹介: 「東大など、コバルト酸化物で「悪魔の階段」と呼ばれる磁気構造を解明」というのでついつい Lebesgue 積分論のアレを想起してしまう方の市民¶
次のニュースを見かけた. 東大など、コバルト酸化物で「悪魔の階段」と呼ばれる磁気構造を解明
私も物理としては磁性(強磁性)の人間なので気にならないこともないが, それ以上に目を引いたのが「悪魔の階段」だ.
数学ではCantorによるCantor関数を「悪魔の階段」と呼ぶ. 測度論・Lebesgue積分論で必ずお目にかかる関数だ. 積分論は私の専門の基礎でもある. その部分について英語版Wikipediaから引用しよう.
In mathematics, the Cantor function is an example of a function that is continuous, but not absolutely continuous. It is also referred to as the Cantor ternary function, the Lebesgue function, Lebesgue's singular function, the Cantor-Vitali function, the Devil's staircase, the Cantor staircase function, and the Cantor-Lebesgue function.
物理での命名者, これを知って命名したのかとかそういう物理としてどうでもいいところが無性に気になった.
2015-07-07 たいちょうさんと宇宙賢者から頂いた評が面白かったので記録する¶
人からそう見られているのか, というのかちょっと驚きだったのでメモ.
http://t.co/HgaEFXvpZt 私は相転移Pは研究者であろうと思いこんでいたのだが違ったのか!
— たいちょう(かぜぎみ) (@8taicyo) 2015, 6月 7
そもそも私は相転移Pは女性だとばかり思いこんでいた過去もあった。ものの言い方とかがフラットでやさしいので、男性だと気づかなかったのであります。よく男性と間違われる私と反対と申せましょう。
— たいちょう(かぜぎみ) (@8taicyo) 2015, 6月 7
女の人みたいな、人当たりのやさしい男の人は好きである。美点だと思う。
— たいちょう(かぜぎみ) (@8taicyo) 2015, 6月 7
Twitter ではかなり苛烈な物言いをしている自覚があるので, 人当たりが優しいというの, 割と衝撃的だった. 女性と思われていたというのもはじめびっくりしたし, 研究者ではないというのについてはそうではないと何度も言っているので結構驚く.
追加のやりとりもある.
@8taicyoTwitter上ではかなり苛烈で厳しい言い方をよくしているつもりなので、特に女性という評価には本当に驚きました
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 7
@phasetrちょっと抽象的な物言いになってしまうのですが、みじめさや心細さの深さがわかることを隠さないところがとてもよいと思うのです。虚勢を張って共感を隠したりしないのでてっきり女性だと…思い込みですね。
— たいちょう(かぜぎみ) (@8taicyo) 2015, 6月 7
人によって見ているところ, 感じ方は本当に違うのだと改めて認識させられる一件だった.
あと宇宙賢者からの評.
大学院に入ってからのいくつかの講義で、いつも前の方にいて熱心に話を聞き質問している留学生がいて感心していたんだけど、後の相転移Pだった(^^)(^^)(^^)日本人だったwwwww
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2015, 5月 9
目がよくないというのもあるし眼鏡をするのもめんどいので大体いつも前にいる. あと研究会でもよく質問しているのだが, 実際にこう見られているというのを目にすると, なかなか面白い.
2015-07-09 大学数学いい話: 本格的な数学を学びたいなら足もつかず荒波もある海で泳ぐための練習をしていこう¶
数学教官良い話です http://t.co/aDSRxNVYTZpic.twitter.com/xalQefxsc8
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 6月 11
何というか, この辺で何かできないかと前から思っている. とりあえずは大学受験回りでこの辺に関わる活動をしてみよう.
2015-07-10 素数が無限個存在することのよく知られた「新たな素数を作る」方法に関する未解決問題とその難しさの片鱗を知ったので¶
@nekosamoon素数ってのは自身と1以外で割れない数だから素数を掛け合わせたもの+1すりゃなるのよ こうすると無限に素数が作れる 例えば2×3×5×7+1=211でちゃんと素数なってるべ
— KMR (@NeruTheWorld) 2015, 6月 13
2×3×5×7×11×13+1は素数なのか。ふーん。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 13
https://t.co/Yybditjk6Fを見てふと思ったのだが【小さな順に並べた素数の積+1】で合成数はやはり無限に現れるのだろうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 13
@phasetr少し調査したところ、どうやら未解決のようです。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 13
@shinchan_primeこういうの割と未解決っぽいのではと思っていたのですが、本当にそうでしたか。ありがとうございます。数論やばい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 13
@phasetr 難しさの理解の一助になればと思い、初等的に解決できる次の命題を書いておきます。 [命題]2×5×7+1の様な【3を除いて小さな順に並べた素数の積+1】の形の合成数は無数に存在する。 [証明]3を除いて小さい順に素数を並べるとき、3で割った余りが2となる素数がち
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 13
@phasetrょうど偶数個現れるようなところで区切ることにする。 例)2, 5, 7, 11 2, 5, 7, 11, 13 2, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23 そのような素数達を掛け合わせて1足して出来る数は3の倍数である。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 13
@phasetr例) 2×5×7×11×13×17×19×23+1=74364291=3×24788097 そうして、3で割った余りが2であるような素数はDirichletの算術級数定理によって無数に存在することからこのような3の倍数が無数に存在することがわかる。
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 13
@shinchan_prime何て小粋な命題
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 13
ぱっとこれだけのことを返してくる力量, 格好いいことこの上ない.
2015-07-13 ツイート紹介: 周転円とFourier級数¶
— uncanny wally (@ehthayer) 2015, 6月 20
周転円でうまくFourier級数が書けるという話らしいが, 単純に見ていて楽しいのがすごい. こういうのをどんどん作りたいとは思っているがなかなかうまく勉強の時間も取れない. せめて紹介くらいはしていきたい.
2015-07-14 量子力学の連続スペクトル周辺の話: 田崎さんと全さんのトークまとめプラス私の雑感¶
大枠¶
量子力学の連続スペクトル周辺の話は数学でよくわかっていることをふまえて書くべきだと思う。もうディラクの時代じゃないんだから。 ぼくの教科書でのスペクトルの定義は近似点スペクトルを使う。これは標準の定義より物理の人に馴染むと思う。 pic.twitter.com/EUGIIPNZ9u
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 16
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaおや、self-adjoint extension 方面にまで話が拡張したんですか。その無限壁を無邪気に¥psi(端点)=0で無邪気にやって離散スペクトルを出す、って部分からやめてR-{0}上で運動量演算子(というかラプラ思案)
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaが事故協約になるように波動関数空間の方を考えてて、ってまじめにやって、スペクトル分解を回復してくってやると、初歩的な設定でself-adjoint extension theoryが導入できて、さらにデルタ関数ポテンシャルそして
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaその一般か、って風に非自明なものを導入していけると思うんですよ。っていうかそんな風な教科書にしようかとも考えてます。田崎先生のはもう脱稿済みなんですか? I like the yurui expression「固有値的な量」
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Quantum_Zen自己共役拡大にまで話を広げてしまったのはぼくです。 といっても無関係ではなく、「なんでも有限次元のアナロジーでやっていれば OK」という姿勢の落とし穴(の一つ)だと思っているからです。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
@Quantum_Zen といっても、ぼくには耳学問程度の知識しかないので、全さんのご本に期待します。 物理の学生にどこまで教えるかというのは悩ましいですが、あまり「秘術っぽい」のも困るなあと。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
>@Hal_Tasaki@ayumu_sugita自己共役拡大は確かに秘術的、マニアックな感じなので、普通の教科書にはつらい部分も多いですが、一番簡単な例のR-{0}空間上の量子力学はとても直感的なんですよ。「一点でのみで作用するポテンシャルって何だ。そこで何がおこる?」って
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Quantum_Zen あ、すみません。「秘術っぽい」というのは普通の教科書のことです。「エルミートならオッケー」と言いつつ「端でゼロのときの運動量は物理的じゃないからやめとこ」とかやるから。 (しかし真面目に量子力学の数学を教えるのは大変) @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
>@Hal_Tasaki@ayumu_sugita いう質問すると、「デルタ関数ポテンシャル。そこで波動関数は連続だけど、導関数にとびが出る」って答が通常返ってくるきますが、ご存知の通りそれはごく一部で、実際は波動関数にとびがあって導関数が連続になるポテンシャル とか、各種ある
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
>@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaそれが全部事故協約拡大から導ける、って話なら、初心者でも受け付ける、って思うんですよ。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Quantum_Zenきれいな話ですよね。H の自己共役拡大を探すというのは要するに「エネルギーがちゃんとした物理量になるのはどういうときか」を調べることだからきわめて物理的な話でもあると思います。 さて、初心者にわかるかは難しいですが。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaデルタ関数(とその一般化)にからんで、入門レベルの量子力学で自己共役拡大を導入しようと少し書いてみたけど、こおりゃたしかに無理ですわ。ソボレフ空間(2、2)なんてどうにも。。自己共役=>流速保存=>一般的接続条件てのがせいぜい。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 19
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaこれだと事故協約拡張の導入というか、密輸。。。普通の教科書でこういう話題に口をつぐむ理由があらためてわかった。しかしでも、ディラックから量子力学(の数学だけ)は進歩してるんで、そういうのは出来るだけ反映させたいってのは全くです。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 19
@Quantum_Zen やっぱり難しいのですね。 あまりこの問題特有の ad hoc なやり方にしてしまうと、せっかくの枠組みの威力が見えなくなるし難しい。いずれにせよ「文化」として、そういう安心できる理論的基盤があるということだけでも伝えたいです。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 19
別枠1¶
@Hal_Tasaki@ayumu_sugitaこれだと事故協約拡張の導入というか、密輸。。。普通の教科書でこういう話題に口をつぐむ理由があらためてわかった。しかしでも、ディラックから量子力学(の数学だけ)は進歩してるんで、そういうのは出来るだけ反映させたいってのは全くです。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 19
@Quantum_Zen「普通の教科書でこういう話題に口をつぐむ理由があらためてわかった」というのは一般の物理学者を高く買い過ぎだと思います。みなさん(ぼくも含めて)そんな教養はないですよ。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 19
別枠2¶
おお、それはすごい!そういうのはなかったですよね。ぼくのは「エルミートと自己共役は違うよ」レベルです。 "@Quantum_Zenその一般か、って風に非自明なものを導入していけると思うんですよ。っていうかそんな風な教科書にしようかとも考えてます。" @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
@Hal_Tasaki@ayumu_sugita研究者レベルの「教科書」には Albeverio先生Exner先生たちの「solvable models in quantum mechnaics」http://t.co/pNlvUxg5tb ってのがあるんですが、これを
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) 2015, 6月 17
@Quantum_Zen おお、これは知りませんでした。さっそく注文しました。 ありがとうございました。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
@Quantum_Zenありがとうございます。講義では「固有値っぽい量」と言ってます。 本の草稿はまだほんのちょっと書いただけです。できるのは早くて数年ごと思っています。 @ayumu_sugita
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 6月 17
コメント¶
全さんの話, 滅茶苦茶面白いし何か協力したいくらいなのだが, 量子力学の物理があまりにも何もわかっていないし, Sobolev に耐える力が私にないしであまりにもつらい. 引用されている『Solvable Models In Quantum Mechanics With Appendix Written By Pavel Exner』, Albeverio, Hoegh-Krohn, Exner とバリバリのその筋の人達ではないか. AlbeverioとHoegh-Krohnは相対論的場の量子論の頃からいる重鎮だと思う: 相対論的場の量子論は難しすぎて手に負えなかったのでほとんど名前しか知らないのだが, 面子がすごい.
こういうのを何かのんびり勉強したいとは思うのだがなかなか思うに任せない.
日記から¶
あと田崎さんの日記. メモがてらいくつか引用しておこう.
その間、物理学者が量子力学の応用の幅を広げ理解を深めているあいだ、数学者たちも量子力学の数学を徹底的に深く追求して行った。 そして、特に自己共役作用素とスペクトル分解についての美しく有用な(ただし、あいかわらずかなり難しい)体系ができあがったのだ。 これは、「量子力学において確定した値をとりうる量とはなんだろうか?」という物理的な問への確固たる解答だと言ってもいい。 物理学者が、有限次元の線形代数とのアナロジーでなんとか作り上げた体系に、きわめてしっかりとした論理的な基盤が与えられたのだ。
ところが、悲しいことに、こうやってせっかく完成した数学の成果が物理のサイドにはほとんど浸透してきていない。 もちろん、量子力学の数学はかなり難しいし(←ぼくも圧倒的に不完全な知識しかない)、数学の定式化を学んだから物理の問題がすらすらと解けるようになるわけでもない。 そうはいっても、人類の文化として考えたとき、量子力学の基礎概念がどこまでしっかりと理解されているかくらいは、やはり多くの人が共有しなくてはいけないと思うのだ。 そこまで大げさにならなくても、「習うより慣れろ」的にいい加減に物事を進める方向に流れないためにも、基礎をしっかりと学ぶのは重要なはずだ。 それは、量子力学の学部での入門的な教育についても(あるいは、入門的な教育についてこそ)言えることではないかと考えている。
量子力学に限らないが, 物理の具体的な問題をきちんと数学的に議論するために必要なハードルの高さは尋常ではないし, 量子力学の数学的基礎だけ特別扱いするのも難しいとは思いつつ, (私個人の思いとしても)物理的な意義が十分あるとは思っているのでつらい.
ていうか、今の場合は露骨に「物理的にやばい」とわかったけれど、もっと複雑な問題になったら、果たして考えている演算子が「やばい」か「やばくないか」など簡単にはわからないではないか。
これはよく感じるのだが, 物理ができない私がいってもまるで説得力ないのでつらい. 「まずはもっと物理やれ」という話になってしまう.
そして、素晴らしいことに、自己共役演算子については(この表現はかなり不正確だけど)
固有状態(および「固有状態もどき」)をすべて集めたものは正規直交完全系をなす
という(本当の)定理が知られているのだ。
きちんと書いてわかる人ははじめから知っている人だけなのでこれがどう不正確かということだけ説明しておこう. 例えば$\mathbb{R}^3$全体での自由粒子のHamiltonianを考えると$H = - \triangle$で, スペクトルは$[0, \infty)$だ.
そしてこれの固有関数もどきは$\psi_k (x) = e^{ikx}$になるが, 今$\mathbb{R}^3$全体で考えているからこの$\psi_k$は規格化できない(無限大になる). 数学的には Hilbert 空間 $L^2$ (または Sobolev 空間 $H^1$) に入っていないということだ. しかし $H \psi_k = k^2 \psi_k$ で形式的に固有関数になっている. 話が少しずれるが, この $\psi_k$ は緩増加超関数ではあり, そこで考えれば確かに固有値なので, 超関数までいけば一般固有値展開という形で正当化できるとか何とかいう話は聞いている. 相対論的場の量子論の人達はこういうことを地道にやっていた人達だ. とてもつらい分野なので常人には決しておすすめしない.
少なくとも数学・物理の双方で私を遥かに越える程度の力はないと無理だろう. やったからといってそのあとの業績に結びつくような展開が あるかどうかも微妙な情勢ということもある. そういう状態ではベテランも若手も, 物理の進展や自分の学者としての生存ににとって どれほど意味があるかも微妙なこの辺の話題に手は出せないだろうな, という気はする. いつもの「気になるなら自分でやるしかない」事案だった.
2015-07-19 数学者の数学史と哲学者・歴史学者の数学史の食い違い: WeilとUnguruの戦い¶
Paulといい木村さんといい, 数学者は本当に面白い情報を教えてくれる.
教養の講義で取りあげたので,昨晩ネッツ・ノエル「解読!アルキメデス写本」をぱらぱらと読み返していた.ネッツはテルアビブでウングルに師事したそうな. http://t.co/xeMZYAUKrn
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
ウングルと言えば,"On the need to rewrite the history of Greek mathematics"という論文で激震を引き起こした研究者. http://t.co/huPSQpHXfE
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
A. Weilが激怒のあまり,なんかちょっといわくいいがたいものを書いてしまったり http://t.co/yOqiyYRMaZ
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
「トーンやスタイル,そして内容に於いても,通常の貴誌の水準を大きく下回る」とか「すでに十分丁寧(すぎるほど)に反論されているので,ここで引用する必要はないだろう」とか「ここで著者をZと呼ぶことにする」とか,最初の半ページだけでWeil先生すごい勢い.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
Unguruは,それまでの古代ギリシャ数学史研究がWhig史観に侵され,古代の数学を現在の数学の代数的な記法や論法で翻案することに甘んじていると難じた.更に,数学を書くスタイルと数学的内容とは不即不離だとも言う.そこらへんに,数学者の数学史と乖離があったのだろう.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
たとえば古代美術史の研究と称して,現在の画材や画法・技法で,紀元前の絵画や彫像を再現しても,それは新たな創作としか言えないだろうし.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
数学者はだいたい,素朴なプラトニズムを(そう意識せずに)信奉していて,「数学」というものが実在して,それは万古不易だけど,それを表現する仕方は時代の関数だと思っている(のではないでしょうか).
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
なので,古代の数学も現代の数学も,適切に翻訳することで相互に理解し合える.例えばユークリッドやアルキメデスが現代によみがえっても,ちょっとの訓練で相互に理解し合える,と(プラトニズムの系として)信じている.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
それどころか,宇宙のどこに行っても,まったく関わりがなかった知的生命体とも,数学は通じ合える,と.これが素朴なプラトニズムの系.それは余談としても,そういう信念に「?」をつけられて,一部数学者は激高したのでしょう :)
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
Unguruの論文から始まる論争について日本語で書いたものは,齋藤憲先生の「ユークリッド『原論』とはなにか」の3章 http://t.co/iceQw0iYAgの他はみたことがないのですが,どんな風にとらえられているのでしょうね.
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
ちょっと前に,Mathematics without Apologiesで取りあげられてましたね: https://t.co/0Ulveb2Or7
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 7月 7
読みたい本リストがたまる一方で本当に困っている.
2015-07-21 動画・PDF紹介: 線型圏の導来同値と被覆理論¶
こんな動画があるとは…。もっと見られても良さそうなものだが、知られていないんだろうな。 「線型圏の導来同値と被覆理論」浅芝秀人 教授 理学部数学科 - 静岡大学 https://t.co/AabgOfnFjw
— 私は私 (@Tsukasa_YUMI) 2015, 7月 6
@Tsukasa_YUMI本論はこっちか。我々の研究に関係がありそうだけど読むのが大変そうだなぁ…。誰か解説してくれないだろうか…。http://t.co/gAtNAeccMp
— 私は私 (@Tsukasa_YUMI) 2015, 7月 6
あとで動画もPDFも見ておこう. 楽しそう.
2015-07-23 イベント宣伝: 2015/11/28-29 第 16 回高木レクチャー @東大数理¶
イベント告知ということで高木レクチャーだ.
講演者などを引用しておこう.
平成27年11月28日(土)-29日(日) 東京大学大学院数理科学研究科 大講義室 招待講演者: • Fabrizio M. E. Catanese (Universität Bayreuth)
• Jean-Pierre Demailly (Université de Grenoble I)
• 柏原正樹 (京大数理研)
• Shing-Tung Yau (The Chinese University of Hong Kong and Harvard University)
Cataneseは今回はじめて知った. 代数幾何・複素解析の人らしい.
Demaillyは複素解析幾何とかその辺の人だ. その筋で有名な仕事をした人というのだけ知っている. multiplier idealだったか.
柏原先生はあの柏原先生だ. 修論がいまだに引用されるとか何とかいう, 学生の頃から意味不明なクラスの化け物だった人で, SKK(佐藤-柏原-河合)など専門がまるで違う私でも知っている. 結晶基底や表現論の周りで異常なくらいいろいろやっている.
Shing-Tung YauはFieldsを取ったYauだ. 以前東大であった講演会に来ていて, 就活のとき, 面接の日をずらしてもらってまで講演に参加した記憶がある. もちろん何が何だか全くわからなかった. 業績は当然Fields関係のCalabi予想の解決がある. いまCalabi-Yau多様体は物理の超弦理論で 使われるという事情があって, 超絶基礎理論となっていると聞いている. 他にも正質量予想(名前しか知らない)の解決などいろいろやっている. 非線型偏微分方程式の激烈にハードな計算を完遂しきって, 微分幾何の難問を解いていった部分が主要な業績なのだと勝手に思っている.
これも行きたい.
2015-07-28 【必読書】『数学まなびはじめ 第3集』が出たので数学関係者は必ず勝って読もう¶
【新刊】『数学まなびはじめ 第3集』(数学の楽しみ編集部/編)好評発売中!どんなふうに数学と出会い、どのように数学の道を歩んできたのか。第一線の研究者13名が青春の日々をいきいきと回想する。http://t.co/8dx6sse530pic.twitter.com/gA9Po2wBuL
— 日本評論社 (@nippyo) 2015, 7月 24
問答無用で買う. どの人の文章も本当に面白い. 2集までで終わりではないのは知っていたので他の人の分も読みたいとずっと思っていたが, ようやく出てくれた.
皆も買って読もう. 応援しないとこうした本の第二弾・第三弾が出てこない. 市民との約束だ.
2015-08-05 文献紹介: 導来圏・非可換幾何の基礎文献っぽい Kock, Pitsch, Hochster duality in derived categories and point-free reconstruction of schemes¶
気になる分野・文献の話だったので.
【Hochster duality in derived categories and point-free reconstruction of schemes】セミナーの予備知識として非可換幾何の基本的な考え方とか出来たら既知にしたいのです。鍵となるのは空間をどう描写するか?続
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 7月 31
続 世の中には(然るべき)位相空間と等価な概念が様々あって、それは然るべき位相空間の圏と圏同値になる、という形に纏められます。それを利用して今迄空間とは思えなかった導来圏なども空間の一つの表現形態であると思ってしまう。こう言った原理をかなり初等的な準備で解説してるのがこの論文
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 7月 31
【Lectures on dg categories】Toenによるdg 圏入門、彼の草案したdg圏の局所化とdg-圏のhomotopy圏を記述する理論を学部程度の予備知識でself containedで解説したノート。ググれば出て来ます。モデル圏なども手短に解説してます。
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 7月 31
Joachim KockとWolfgang PitschによるHochster duality in derived categories and point-free reconstruction of schemesのarXivへのリンクはここだ.
非可換幾何・非可換微分幾何, ちゃんと勉強してみたいのだがそもそもどんな本を読めばいいのかからしてよくわからないのでつらい.
まずこれを読んでみたい.
確か前田先生か誰かの非可換幾何の本が出るというのを以前見かけたが, あれはどうなっているのだろう.
2015-08-06 京大, 藤野修さんの【Recent developments in the log minimal model program(対数的極小モデル理論の最近の発展について)】が面白かったので¶
京大数学の藤野修さんのサイトに置いてある, 第50回代数学シンポジウム報告集 p151--p162 (2005)の【Recent developments in the log minimal model program(対数的極小モデル理論の最近の発展について)】を紹介してもらったので読んでみた. 全体的に教科書や論文のようなかちっとした体裁ではなく, 苦労している部分も含めて数学者が数学している感じがとても楽しい.
直接のリンクはこれだ. ぜひ読んでみてほしい.
2015-08-30 ツイート・論文紹介: 可算パラコンパクトでない正規空間の具体例¶
先日淀川の花火大会に行ったんですが、浴衣を着た女が隣の浴衣を着た男の耳元に背伸びして口を寄せて「好き」って言ってるのを見ました。僕は可算パラコンパクトでない正規空間ってどんなのがあるんだろうって思いました。調べるとすぐ出てきました。 pic.twitter.com/NDnEMw61xU
— 不等式bot (@Inequalitybot) 2015, 8月 9
@Inequalitybot補足しておくと、このスクショの題名は「X×Iが正規でない正規空間X」というものですが、「正規空間Xについて可算パラコンパクト⇔X×Iが正規」というDowkerの特性化定理があるので、これは可算パラコンパクトでない正規空間の例にもなっているわけです。
— 不等式bot (@Inequalitybot) 2015, 8月 9
覚えておきたい. あと論文はここから落とせる.
2015-09-02 ツイート紹介: 次元論のPDFと位相次元論¶
次元論 PDF はこちらのページから→https://t.co/UQ9IevBq5J 位相次元論についてはこちらのページもどうぞ→https://t.co/H2PTKOSUE5
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 8月 14
とりあえずメモ. 後で読みたい.
2015-09-03 名古屋大学がネットで講義を公開しているらしいので: 梅村浨先生の最終講義PDFを読んでみた¶
名大が講義をネット上で公開しているらしいのでとりあえずメモ.
多元数理のページはここ.
梅村浩先生の最終講義資料, 『射影極限と帰納極限』が気になったのでとりあえず落としてみた.
最後の方, Paul (Painleve)が出てくるので何故か笑った.
微分Galois理論は人間の 情熱を駆り立てる
という謎の1ページがあった. あと無駄にカラフルに強調された次の名言も紹介しておきたい.
世の中には面白いものが多すぎる.
春の夜は 櫻に明けてしまいけり 芭蕉
最近ろくに数学できていなくてつらく悲しい.
2015-09-05 読書メモ Brezis, Functional Analysis Sobolev Spaces and Partial Differential Equations¶
HuybrechtsのComplex Geometryに飽きてきたので気分転換に読んでみる. あまりよくないかもしれないが, プロでもないしいいだろうという方向で.
P.92 H\"{o}lder¶
Youngの不等式の証明をいつも覚えていられないのだが, ここにあるようにlogの凹性なら覚えていられそう. 助かる. Remark 2. に結果の一般化と interpolation も書いてあった. Interpolation 周辺は PDE だと大切らしいのでとりあえずメモ.
P.93 Riesz-Fischer¶
(L^{p}) は (1 \leq p \leq \infty) で Banach 空間. (L^{1}) と (L^{\infty}) のペア, 特に (L^{\infty}) の双対空間がいまだにあまりよくわかっていない. 特に (L^{\infty}) は可分でもないし, めっちゃ魔界だと思う.
この前後の結果, きちんと証明つきで覚えた方がいいのだろう. 解析学での修士だというのに反省している.
P.97 Riesz representation theorem¶
愛してやまない.
少し話がずれるが, Sobolev 力が低過ぎるので, Sobolev に行ったときの話が全くわかっていない. 特に自分自身を dual にするかどうかのあたり, そのメリット・デメリット.
P.102 (L^{\infty}) の双対空間¶
(L^{\infty}) を可換 von Neumann 環と思って Gelfand-Naimark を使う話を説明している. Radon 測度の話をしているが, いまだに Radon 測度の定義を覚えていないし, Borel 測度との区別もついていないのが本当に恥ずかしい.
というわけで復習.
定義: Borel 測度¶
Borel 集合の (\sigma)-代数上で定義される任意の測度 (\mu) を Borel 測度という. Borel 測度が内部正則かつ外部正則なら正則 Borel 測度と呼ぶ. (\mu) が内部正則かつ局所有限なとき Radon 測度と呼ぶ.
定義: Radon 測度¶
任意の Borel 集合 (B) の測度 (m(B)) が (B) に含まれるコンパクト集合 (K) の測度 (m(K)) の上限として得られるとき, 測度 (m) は内部正則 (inner regular) もしくは緊密 (tight) であるという. 各点が測度有限な近傍を持つとき, 測度 (m) は局所有限 (locally finite) であるという. 内部正則かつ局所有限な測度 (m) をラドン測度と呼ぶ.
P.103 (L^{\infty}) の非可分性¶
証明はわかるが気分的にいまだによくわかっていない. (L^{\infty}) と言えば私の魂たる von Neumann 環の可換版でもあるのだが, 考えてみれば von Neumann 環もいまだにまるでわかっていなかった. 酷使するだけして何もわかっていないというの, 本当につらい.
P.104 たたみ込みと正則化¶
明らかに超大切な節. Young, きちんと証明で使われる式変形の技巧を 覚えておかないと本番で使えない.
P.106 Proposition 4.18.¶
前, 日本語でこの本読んだのに たたみ込みの台特性をすっぱり忘れていたのでつらい.
P.106 Proposition 4.19.¶
たたみ込みによる正則化の基礎. とても大切: Proposition 4.20. では実際に (C_{c}^{k}) で証明する. (C_{c}^{\infty}) でたたみ込んで, 滑らかな関数に対して証明してから density argument で全体に持ち上げるのは基本戦略だ.
P.108 Mollifiers¶
我等が軟化作用素. 幾何でも使うし愛してやまない. 昔, 音だけ聞いて modifier だと思っていた. 意味として大きく外しているわけでもない.
P.111 4.5 Criterion for Strong Compactness in (L^{p})¶
細かいことは忘れたが, 修士のとき, ゼミで河東先生に Ascoli-Arzela について 何か突っ込まれたときのことを思い出してヒヤっとした.
P.111 Theorem 4.26 (Kolmogorov–M. Riesz–Fréchet)¶
部分領域への制限は (相対論的) 構成的場の量子論や統計力学での基本戦略だが, 私はその辺ほとんど触っていないのでこの定理の使いどころがよくわかっていない. Corollary 4.27 も使いどころわからない. 多分あとで出てくる感があるので楽しみにしておく. useful と書いてあるが, 判定条件としての Corollary 4.28 は確かに有能感漂う. こういう感触, 【素人】には通じづらいだろうなというのを最近よく感じる.
2015-09-06 暗号と数学と勉強: みどりのらいおんさんとのやり取り用取りまとめ¶
はじめのメモ¶
改めて考えをまとめておこうと思ったので, ちょっといろいろ書く. まずは発端のやりとりから.
弟の勉強、うちも見てみたけどあの人九九が怪しいや…。本気で覚えてない・わかってないってより集中力の無さが敗因っぽいけど。逆に言えばある程度の集中力がなきゃ何を暗記しても勉強してもテストでその結果を発揮できないんですが…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
√とか久し振りに見たので、これ何だっけ??ってなって妹のスマホのsiriさんに「るーとってなんですか?」って聞いたんだけど「道順のことですね。目的地はどこですか?」ってなって人工知能の限界を思い知った。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
素因数分解とか…うちはぶっちゃけこの辺で数学脱落した気がする。今、教科書読みながらなら簡単なやつ教えるのはギリギリできるけど…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
素因数分解なんかやったって何の役にたつの?って言われてもうちとしてはゲーム作るときのプログラム組むのに役立つとかしか思いつかないけど他にもっと日常っぽいことで素因数分解って使うかな…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
とにかく素因数分解わからないよりわかった方が人生の自由度があがるんじゃい!うちは素因数分解とかあんまりよくわからないけど!
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
勉強ってなんか確かに変なことにはなってるんだよな…。本当はわからない・できないことがある→そのための知識、公式を欲するっていう順番であるべきなのに怒涛の勢いで先回りしてこれいつか必要になるやつだから覚えとけや!って迫ってくる。しかも目前の成果物としては受験合格しか見えない。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
でも大人になった今、ほんと中高くらいの勉強は穿った見方しないでもっと素直に真面目にやっとけば良かったって思うよ…。わかんなくても死なないけどわかれば大体それなりに良いことがある。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
で, ちょっとやりとり.
@greenlion1987https://t.co/Utojt6E9Om素因数分解は暗号理論への応用があります。通信の秘匿とも関係していて、買い物ページや問い合わせページ、ログインページでのhttpsにも使われているので、一応超がつくほど日常的ではあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 5
@phasetrそんな日常に潜んでいたんですね(別に潜んでないけど)。暗号ってワードは厨二心をくすぐるかもしれないです。素因数分解が理解できれば暗号サイトを一から作れるんだぞ!とか言えばちょっとは魅力的ですかね…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 5
とてもつらいところがいくつかある.
素因数分解が理解できれば暗号サイトを一から作れるんだぞ
まず悲しいお知らせだが, 現代的にやるのなら 使う数学は学部上級から大学院レベルの数学科の数学だ. 理工学部の人間にすら忌み嫌われる数学科の数学なので, とてもつらいことになる. もちろん適当に簡略化させれば暗号化することはできるだろうが, その簡略化をするために既に知らないといけないことがたくさんある. 適切な指導者がいればともかく, 暗号の詳しい知見を持つ人が身近にいる環境, そうはないだろう.
サイトを作るというのでどこまで想定しているかによるが, プログラムも組まないといけないので, プログラミングの技術も必要だ. それなりにハードルは高い. サイトを 1 から作ること自体にもハードルは高いだろう.
暗号の歴史を含めた概要については 次のサイモン・シンの『暗号解読』がお勧めだ.
最後にも少し紹介する.
ちょっとは魅力的ですかね…
そしてこれがまた厳しい. 何が魅力的でどう導けばやるかという段になると 個々人の興味・趣味・性向に合わせてやる必要があって, 基本はそれぞれに向けてチューニングがいる. 同じく指導者の力量も問われる.
理学系の『楽しい』『美しい』が好きな勢は放っておけばいい. 私と同族だから扱い方は熟知している: とても簡単で, 適当な専門書でも渡しておけば 勝手にやり続ける. ただし世間から『役立たずで気持ち悪い』と蛇蝎のように嫌われる. 理工系キモオタに育つと思って頂ければいい. それで良ければ, という条件つきになるので社会は厳しい.
数学をやっていて嫌なことはたくさんあるが, 良かったことは数学をやっているときくらいしかない. 学生の頃に何をしていたのかとか, 普段何をしているのか と言われて『数学です』と言うと, 『学生の頃, 数学は大嫌いだった』とばかり言われる. 自分がこよなく愛することに対して否定的な意見ばかり 聞かされるのでただひたすらにうんざりする記憶ばかりだ.
いろいろあってよく『役に立つことを教えてほしい』という人がいるが, これはまだ扱いやすい. 役に立つことを伝えておけば勝手に動いてくれる (はずだ) から.
そして大多数の人が一番扱いが難しい. 『何の役に立つ』と聞いてくるが, 役に立つことは求めていないことが多い. 実際に何を求めているのかは本当にわからないが, 具体例には事欠かない.
まず『英語は役に立つ』と言われるし, 実際にどうかはともかくこの意識は浸透している. かといってきちんとやる人は少ない. むしろ英語を嫌がる人の方が多いくらいではないか. 嫌がるに至る経緯もいろいろあるけれども.
数学が役に立つ系の話だと, Google の検索アルゴリズムのページランクで 連立一次方程式を使うと浪人生に説明したことがある. そしたら返答で『自分は Google のページなんて使わない』と来た. 『これこれこういう理由で貴方も使っています』と言っても 聞きはしなかった.
こういう感じの絶対多数に対してどうするかというと, 個別の話しかない. そもそも結果的に数学的な成果を使っている人というわけではなく, 積極的に数学を使いにいく人, 相当のエリートだろう. 皆が皆必要なわけではないし, 実際に数学よりも優先度が高い学ぶべきことがある人もいるはずだ. その中で数学を頑張らせる理由をどう作るか, 作るべきなのかとかいろいろ面倒なのでとてもつらい.
Twitter でもいろいろな意見が出ているが, 数学を頑張らせる積極的な理由, 私はいまだに見つけられない. むしろ地歴公民をはじめとする人文・社会学系を きちんとやる方が一般にはよほど大切ではないかと ずっと思っている.
サイモン・シンの『暗号解読』がお勧め¶
いろいろと否定的なことばかり言ってきたが, 歴史を含めて暗号に関していろいろ知りたいなら 次のサイモン・シンの『暗号解読』がお勧めだ.
昔からどんな暗号がどのように使われてきたのかわかる. 簡単な暗号については方式も説明されている. 情報戦への利用もあるから, 第二次世界大戦で本格的に数学が使われはじめたことや, 現代のネットワーク時代の情報セキュリティでも 数学が使われていることも説明されている.
市民の生活の情報保護にも使われていて役には立っているが, 情報戦含めた戦争利用もされていて, 役に立つから嬉しい, 皆もやろうとかはいいづらい. とてもつらい.
追記¶
そのあとやり取りが追加されたのでそちらもまとめておく.
@phasetrまず「わかりやすいご褒美(=目に見える成果)」がなきゃやりたくない状態ってのが不健康なんですよね…。数式を解いてると癒される、とても楽しいと感じられるという状態が一番良いというか…。自分もわかってた頃はある程度楽しかったというか単純に問題を解くことに爽快感を(続
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@phasetr覚えていた気がします。でも難易度が上がってってすごく頑張らないと答えが出せなくなって、頑張っても解けなくなっていって…こんな数式なんてテストでしか使わないだろ!という言い訳を作って「別にこんなことできなくたっていいんだ」と自己正当化に走ってしまい…結果自分も(続
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@phasetrたいして勉強を頑張らずに大人になってしまったので、今振り替えるとやっといた方がいいと思うみたいな話をしても説得力があまり無いんですよね…。(自発的にやる気がでない場合は)無理に「こんな風に役立つ」というご褒美をぶら下げるよりも、相性の良い先生と出会って(続
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@phasetr数学は楽しいかもって気持ちを引き出してもらうとかそういう方が良いのかもしれません。(難しいことですが)
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@greenlion1987定義によるのですが、「わかりやすいご褒美」があればやるならそれでも問題はないのです。問題なのは子供・生徒ごとにそのわかりやすいご褒美を把握して提供してあげることの難しさです。お金がかかるご褒美は準備しきれず役に立つ系は親・教師の幅広い知識が必要なので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 6
@greenlion1987そうは言っても必要な情報は提供する必要があると思うので、できる範囲でその辺のコンテンツを地道に作って配布したり、いいものは宣伝協力しています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 6
@phasetrそうですね。「わかりやすいご褒美」の方も難しいんですよね…。今のところは、具体的にこうやるみたいな話まで進めず(実践的な話は自分はできないので)こういう風に使われてるらしいよということをせっかく相転移Pさんに教えてもらったので、話してみようと思います。
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@greenlion1987結局のところ、ご褒美は自分で自分に与えられるか他人から与えられるかで、自分で自分に与えられた方が楽で、やっていて楽しいというのが一番お手軽で長続きしやすいという所に落ちます。そうはいっても指導の一番つらく大変なところですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 6
@greenlion1987何かあれば相談して頂ければ知っている範囲の情報は出せるのでお気軽にどうぞ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 6
@phasetrありがとうございます!とりあえずテスト範囲は素因数分解だけに留まらないので、弟は数学だけやりに学習塾に通わせられる様です…
— みどりのらいおん (@greenlion1987) 2015, 9月 6
@greenlion1987次のページで書いたのですが塾の使い方も結構難しく自分できちんと復習しないとダメで通っているだけでは意味がありません。http://t.co/5BLNnJsWVXhttp://t.co/66heNqaO04受験関係で説明していますがそれ以外でも同じ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 6
楽なことはないな, ということで.
2015-09-06 Qiitaの『【統計学】初めての「標準偏差」(統計学に挫折しないために)』という記事読後の覚え書き: 標準偏差, まずは単純に【平均からのずれ】と思えばいいのではないか事案¶
統計学の基本的な知見に関するとてもつらい記事を見かけたので.
http://t.co/kMMwW8wCxcこれで詰まる人が統計やらないといけないのか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetrhttp://t.co/kMMwW8wCxc【統計をこれから学ぼうという方にとって、非常に重要な概念ですが理解が難しいものに「標準偏差」があると思います】この一文でまず絶望するし、ルートとシグマがでたくらいでつらくなる人がなぜ統計をやらないといけないのだろう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetrぐだぐだといっていないで大雑把に単純に「平均からのずれを見る量だ」といえばいいだけで、計算式とかとりあえず放っておけばいいのではないかと思うのだが、何をどうしたいのかがわからない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetr言い出したら平均だって十二分に難しい。「受講者の得点分布を見る上で0点と100点がちょうど同じ数だけいたとき、平均点は50点になるがこの時の平均に何の意味があるか」とか綺麗な正規分布を仮定しない時の話とか面倒事は多い
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetr本当に【「平均」くらいまでは馴染みもあるし、「わかるわかるー」という感じ】なだけで、そこの根本からやらないとデータの解釈間違うだけでテクニカルに操作できるだけの地獄しか待っていないのでは。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetrこういうの、実際のビジネスに叩きこむのだろうし半端な理解の方がよほど厄介なのではないかという気しかしない。学生気分の適当な理解が一番危険な領域だと思うのだが大丈夫なのかと気がかりでならない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetrこれ、役に立つ数学こそ地獄の底から湧き上がってきたような激烈な難易度を誇る事案だと思うので、役に立たない簡単な数学で地ならしをしてほしいと心の底から思っている
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 19
@phasetr統計学よくしらないので、当然ながら私が知らない地獄のような様相があると思うし、知っている範囲でも平均・分散の意味をどう取るか事案があるくらいなのだから統計は血を吐くほどつらい役に立つ数学事案だし、数学つらいとかそれどころの騒ぎではないし、むしろ些末なことでは事案
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@phasetr統計学を必要とする企業、研修でもOJTでも何でもいいから統計学を教育カリキュラムに組み込むべきなのでは。ふだん散々文句を言っている学校教育に期待している暇があったら自前で教育するべきだろう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@phasetrふと思ったのだが、プログラマ界隈、そんなに最低限の数学にも苦労するひと多いの
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@mitsuomi_miyata根本原因は適切な素養のある人に適切な仕事が回っていない方だとは思います。なぜ統計学の素養がない人が統計関係のプログラミングをやらなねばならないのか本当に理解に苦しむので。素養ある人を適切な評価の上で採るなりしない理由が割と真剣に理解不能
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@phasetr圏論勢がいる一方、統計学はズタズタだったとかそういう話か。実用的な言語の話をしている的な方向で、実用的なプログラミングと実用的な素養とかそういう地獄に首を突っ込んでいそうな印象を受けた
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@phasetr一般的には数学なんてしなくてもいいし、統計学もしたくないならしなくてもいいが、必要ならきちんとやれよ、ということだけ思っている
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
@phasetr数学が必要なのにやっていない・素養を持っていないという人に対する態度、不当かつ著しく厳しいという自己認識がある
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 20
平均に関する話で有名なのは, 例えば【正規分布が二つあった場合】の話.
こういうのもアレだが, ある模試を学力的に大したことがないA高校と灘高の2高だけが受けたとしよう. そのときの得点を見ると, A高校と灘高校とで得点分布がきっぱり別れるはずだ. 両校ともに正規分布で分布しているとすると, 普通の模試とは違ってグラフに山が二つできるはず. こういう状態で全体の平均を取っても意味はなくて, 学校ごとに見ないと意味がないはずだ, という感じの話.
ちなみにこのような評価も頂いている.
相転移Pさん、プログラマのイメージが現実とズレ過ぎだと思う。> RT
— tomo@脇道寄り道遠回り (@cocoatomo) 2015, 8月 20
2015-09-09 神戸大 渕野昌さんの書評『[[[不完全性定理に挑む]に挑む]に挑む]』¶
神戸大 渕野昌さんの書評『[[[不完全性定理に挑む]に挑む]に挑む]』
淵野先生の書評が公開されている。http://t.co/ppW20g7qbb
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 18
私もそんな本が読みたい:「……, もっと純粹に現代の数学の視点から数学の定理としての不完全性定理やその現代における様々な改良や関連する他の結果などをエレガントに細説する日本語の本があってもいいようにも思える」http://t.co/ppW20g7qbb
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 18
とりあえずダウンロードしておいた. 後で読む.
無限に本が読みたいし, 研究したい. 時間と資金がほしい.
2015-09-15 読書メモ: 『数学セミナー2015-09 号』面白記事メモ: 早く読みたい¶
月刊誌『数学セミナー』最新号の、銅鏡における同位体分析のハナシ、キレッキレ。(はあと)
— ほしくずっ (@s_hskz) 2015, 8月 24
月刊誌『数学セミナー』最新号の、「エレガントな解答求む」、なぜハノイの塔に、2進と3進のグレイコードのハナシをかまさないのかなあと思ったけど、全然関係ないのかもしれないし。
— ほしくずっ (@s_hskz) 2015, 8月 24
言語学クラスタの皆様におかれましては、読み物として、月刊誌『数学セミナー』最新号の、数詞と序数詞との、比較言語学的な、歴史言語学的なお話が、すんげー面白いと思います。
— ほしくずっ (@s_hskz) 2015, 8月 24
買うだけ買ったはいいが, まともに読めていない. さっさと読もう.
2015-09-19 英語とかフランス語の勉強に数学を応用していきたいのでとりあえずメモ: SAT の数学試験を使ってみるのはどうかという話¶
関係あるか分からんけど、英語の勉強にはSATの数学の過去問が良いよと聞いた。アカデミックな英語の書き方が学べる上に、中学レベルの数学なので自分の理解が間違ってないか確認出来ると。
— ぼり (@bori_so1) 2015, 8月 24
これ, 今度フランス語でやってみよう. しばらく時間が取れないがフランス語は絶対勉強したい. Serreとか原文で読んでみたい.
2015-09-22 ボルツマン方程式とナビエ・ストークス方程式¶
ボルツマン方程式からナビエ-ストークス方程式を導くというヒルベルトの課題は、ナビエ-ストークス方程式自体が正しくない、という驚きの結果だったとのこと。 Famous Fluid Equations Are Incomplete https://t.co/E3OQyC1lm4
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 26
@tani6s@kz_itakura紹介させていただいた記事 https://t.co/XULOASX6bzの最初のホワイトボードの写真に KdV という文字が見えますから、何か関連があるか、KdVのことかもしれません。
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 27
@kz_itakura@tani6s巻き込みすいません、inoueian さん、本件の元論文を何かご存知ですか? @Inoueianあ、Toyさんのリンクしてるの知り合いの記事だw
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 27
@QuantumToyあ、紛らわしくてすみません。Quanta Magazineの記事を書いた人が知り合いです。
— Satoru Inoue (@Inoueian) 2015, 7月 27
ナビエ-ストークスのこの記事がまだRTされていますが、kz_itakura さんらに下記が関係する論文かもしれない、と教えて頂きました https://t.co/lky67wiYwG http://t.co/Nh1z7ywNWa https://t.co/kbdU9zX0IC
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 27
という認識で合ってるかな?違ってたらすいません https://t.co/kbdU9zX0IC
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 26
@tani6sそうですね、僕の訳が完全ではありませんでした。ありがとうございます。もう少し正確には、ナビエ−ストークスの方程式はほとんどのケースで成立するが、例えば高真空中では正確でなくなる、など、「完全ではない」という言い方の方が正しいですね。
— Quantum Toy (@QuantumToy) 2015, 7月 26
物理の話, 基本的に適用限界があるのでただ単にその話というところか.
あとで原文も読んでみよう. とりあえずメモ.
2015-09-22 2015-09-21に武蔵美とドイツのコラボイベントGo publicでパフォーマーデビューしてしまった顛末のまとめ¶
何と言ったらいいかわからないのだが, 結果的に数学の路上パフォーマンスデビューしてしまったことになったので報告したい.
- http://www.rikaaa.org/go_public/index.html
- http://eizou.musabi.ac.jp/topics/2015/09/michael-bielicky-lecture-go-public.php
- http://www.oguginza.com/all/明日は、第三土曜日恒例のふれあい夕市です。/
はじめ武蔵美にいる知人から「イベント来ないかベイベー」的な話が来たので, 時間もあったから行くと答えたところ, 何故か実際に何かやることになっていた.
どういうことなのかよくわからなかったが, 模造紙とマジックを買ってもらい, 谷中墓地の中にある【貸はらっぱ音地】というただの空き地としか形容できない場所で模造紙にマジックで数学の証明とかを書き続けるという謎のパフォーマンスに興じた.
アート系だとこういう路上パフォーマンス的なことはよくやるのだろうか. 本当に全く意味がわからなかったのだが, 模造紙とマジックを買ってもらってしまったので, Brezisの関数解析と偏微分方程式の有名な本の最近新しく出た英語改訂版を元に, Sobolev空間の話としかしていた.
通りすがりのお姉さんと
- 「何をしているのですか」
- 「数学です」
- 「他の方たちは?」
- 「何かよくわかりませんがアートです」
みたいな会話をしたりした.
この他の人達のアートというのも謎で, 1 人は座りながら落語をやっていた. 「これもアートなの」感溢れる謎のパフォーマンスだった.
他にも光の映像系の人がPCとプロジェクターを使って民家の壁に映像を映していた.
あとまさにパフォーマーという方が何か謎の踊りを踊っていた. 数学していたのでほとんど見ていなかったが, 多分見たらMPを吸い取られていたと思う.
民家とか谷中のお寺がある往来で, 落語・映像作品・ふしぎなおどり・数学が展開される初体験の空間だった.
こういうのよくやるのか, そう思っていたら, 何かこういろいろな方面から混ぜて(路上で?)やること自体は当人的にも割と初の試みらしかった.
どう次に繋げていけばいいのかはわからないが, とりあえずパフォーマーデビューしたということで報告していきたい.
あとその人とも少し話したのだが次に備えて反省をしておきたい.
はじめやる場所や目的などがよくわかっていなかったこともあり, 証明とか見えるように模造紙+マジックで通りすがりの人にも見えるようにした方がいいのだろうかとか思ったが, そもそも18時過ぎで暗くてろくに見えなかった.
あと原っぱというか, 石塊が散乱した地面に模造紙を敷いて書いていたので超書きづらかった.
証明もバンバン書こうと思ったのだが書きづらくて仕方なかったので, 定理のステイトメントだけ書くような形になってしまったのが反省点だ.
これならスケッチブックを買って, ばんばん証明も書いて, 書いたページはその辺に散らかしておく感じの異常な方向にシフトすればよかったのでないかという話になった. 次回はこの方向で行きたい.
とりあえず何か新しいことを模索している. せっかくアート系の人と知り合えたので, またこういうパフォーマンスやってみたい. 次回はスケッチブックを持ち, 座りながら書くのが楽になるよう小さな椅子も持っていきたいと思っている.
2015-09-25 鹿児島県の異常な知事, 伊藤祐一郎大先生の発言を受けて KenSenda さんに語呂のよさや印象に残る言葉の重要性を教えてもらったので¶
KenSendaさんに思いもがけず大切なことを教わったので記録. 発端はこの辺.
鹿児島県知事「女の子にサイン、コサイン・・・を教えて何になるのか」 https://t.co/LuV1mTRAlL 女性差別と、学問に対する理解の無さと、ふたつ明らかにまずい。三角関数は、幾何学で最も大事な数学の道具だ。これが無ければ、波がわからない。
— 山猫 だぶ(育児中) (@fluor_doublet) 2015, 8月 28
https://t.co/piPmIzSkQ5の実例を鹿児島県知事が。 https://t.co/ihp3PmoM8o
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 28
@irobutsu特に女の子相手にこれをやる大人が多くて困ります。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 26
理科離れをなんとかしたい、みたいな大それた事は言わんから、せめて 「子供が『理科が好き』と言ったときに周りの大人が『あんなつまらんもんが好きって、おまえおかしいなぁ』と言わない世界」 の夢ぐらい見たいね(いやこれも結構大それてるんだ)。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2015, 8月 26
そしてKenSendaさんのこのツイートを受けて少しやりとり.
あんま関係ないんだけど、数学嫌いな人が「何の役に立つっていうんだ!」って槍玉にあげるのが、大抵三角関数とか微積分っていう、実用されてる例が僕にも思い浮かぶ単元なのはなぜだろうか。
— Ken Senda (@KenSenda) 2015, 8月 28
@KenSendaサインコサインタンジェント、微分積分は語呂が良くて覚えやすいからではないかと推測しています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
@phasetrなるほど、キャッチーな単元ということですね
— Ken Senda (@KenSenda) 2015, 8月 28
@KenSenda印象に残る言葉、言葉遣いの重要性を改めて感じました。語呂による暗記の重要性、こんなところで思い知ることになろうとは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
最近, 受験界隈に本格的に乗り出しているので, 改めて暗記法的なこともいろいろ調べ直したりしているが, 語呂による暗記の威力を改めて思い知らされる結果になった. 語呂による暗記本, もっと徹底的に調べよう.
KenSendaさんはいつもいいことを教えてくれる. それはそれとして, 真面目な話, 鹿児島の異常な県知事 伊藤祐一郎御大は安倍談話の
二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。
に照らし合わせて厳しく処罰してほしい.
2015-09-26 SEALDsの運動の問題はそのまま数学・物理・学術界隈が抱える問題なのでとても勉強になるし, この不快感を踏まえて今後の活動に活かしたい¶
安田峰俊さんの「なんかSEALDs感じ悪いよね」の理由を考える ──中国や台湾の学生運動との比較から──という記事が今話題らしい. 明らかに大切なのは次のところで, 数学・物理や大学を取り巻く環境でも大事なことで, 私にとっても他人事ではない.
敗軍の将、兵を語る
そんな王丹氏は、1994年に日本の月刊誌に寄稿した手記(『現代』‘94年7月号。伊藤正氏が編訳)のなかで、天安門の運動が失敗した原因について興味深い考察を残している。王丹氏が述べた「天安門版、失敗の本質」は、大別して以下の4点にまとめられる。
1:思想的基礎の欠如 一人一人の参加者が「民主や民主運動について明確な概念」を欠いていた(つまり、民主主義が何なのかはっきりわからないままデモをおこなっていた)。結果、明確なイシューを打ち出せないまま天安門広場の占拠が長期化。時間とともに運動方針が混乱していった。
2:組織的基礎の欠如 参加者に対するしっかりした指導の中心や指揮系統が存在しないせいで、途中から運動が四分五裂に陥った。
3:大衆的基礎の欠如 学生と知識人だけで盛り上がってしまい、一般国民(労働者や農民)への参加の呼びかけを怠った。また、政府内に存在するはずの改革派と「暗黙の連合」を組む姿勢をとることもできなかった。
4:運動の戦略・戦術の失敗 運動を政治目的を達成するための手段として使うという意識が薄かった。デモ参加者たちは学生運動の“純粋性”をひたすら強調し、当局側への妥協や一時後退といった柔軟な戦術を一貫して否定。結果、ろくな目的もないまま天安門広場の占拠を長期間続け、弾圧を招くことになった。
特に大切なのは次の 2 点だ.
- 3:大衆的基礎の欠如
- 4:運動の戦略・戦術の失敗
【いい加減】な記述や説明ができず, かといってきちんとした説明は時間がかかり, 聞いてくれるのは内輪の人だけになってしまう問題, 正確に自分にも跳ね返ってくる.
【いい加減】と言い切った上で薄めのコンテンツを作りつつ, きちんと特濃のコンテンツを作ってみたりとかいろいろ実験してみたいし, むしろやらなければいけない.
これから次のプロジェクトをやろうと思っているし, その運営でも十分にも気をつけたい.
2015-09-26 数学の環の由来, ringがよってたつところに関する数学者トークの収録¶
一年生の頃誰かに「このringってのは実はボクシングとかのringで、ほぼfieldと同じニュアンスで名付けられたんだけど、日本語は誤訳で環になった」って聞いたんだけど本当だろうか
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2015, 7月 2
@waheyheyフランス語でも、指輪と同じ anneau だから、なんか違う気もしますね
— Y. Nagai (@pugnari) 2015, 7月 2
@pugnarianneauって指輪って意味だったんですね。ありがとうございます。
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2015, 7月 2
@waheyhey普通に輪っていう意味です。ドイツ語の Ring は違うニュアンスみたいですね。 https://t.co/50ZIaJMsIK
— Y. Nagai (@pugnari) 2015, 7月 2
@pugnariドイツ語読めないんですが、Google翻訳に入れてみたらぼんやり分かりました。勉強になりました。ありがとうございます。
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2015, 7月 2
数学用語 ring の由来については(究極的には Hilbert に聞かなきゃ分からないかもしれないが)この説明が説得力ありそう (H. Cohn "Advanced Number Theory" Dover, 1962, p.49) pic.twitter.com/k663Sg83xy
— のらん※る (※は「ふ」に濁点) (@nolimbre) 2015, 7月 2
記憶しておこう.
2015-09-27 数学の哲学の悲しみ: どんな人達がどんなことをやっているのだろう¶
とても悲しいことがあった.
数学基礎論と数学の哲学が接続することは今後ないのでしょうか? — 昔聞いた「数学の哲学」と称されていたWSでは、フッサールが専門だという発表者が、現代数学において開集合の方が閉集合より基本的な概念だと述べていました。数学の哲学がそ… http://t.co/a7ZKDPAg9f
— ytb (@ytb_at_twt) 2015, 8月 27
Ask.fmから全文を引用してこよう.
数学基礎論と数学の哲学が接続することは今後ないのでしょうか?
昔聞いた「数学の哲学」と称されていたWSでは、フッサールが専門だという発表者が、現代数学において開集合の方が閉集合より基本的な概念だと述べていました。数学の哲学がそういうものであれば、数学基礎論と接続することは今後ないと思います。
数学の哲学, どんな人達がどんなことをやっているのだろう. やはり断片だけでは何もわからない.
2015-09-28 数学をすると格好いいとか, そういうもっと下らない理由から数学をやってほしい: 鹿児島県の異常な知事, 伊藤祐一郎大先生の発言をうけて¶
先日, 異常な鹿児島県知事が女性に三角関数は不要ではないかという面白発言で盛り上がったが, その辺の話で適当に話題を拾ってきた.
三角関数の件が話題ですが、植物の名前も男女関係なくある程度は知っておいたほうがいいよ…たまに全然知らない男の人がいてびっくりするときある
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
高校数学はさっぱりだったけど、実際三角関数がどの分野でどう使われているのか具体例を教えてくれたら、もう少しやる気を出せたのではないかとも思っている(責任転嫁)
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
実は三角関数や微積分は洋裁や和裁に使えるんでええねんけどな。
— えぼり (@eboli_ef) 2015, 8月 28
三角関数大事だよー。鹿児島知事も記者会見はマイク使ってるよね? マイクって空気振動を電気振動(信号)にする変換装置なんだよ。そのあとアンプで音を大きくしたり、よそに伝送したりするよね。そんな装置を作るのにも三角関数が必要なんだよ。
— 田中聡久(かな入力) (@jeonjung_tanaka) 2015, 8月 28
三角関数って凄いんだなあ…!わからないの悔しいなあ
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
高校時代の私よ…「私はギリシャ神話を学びたいから、サイン・コサインとか難しい数学は要らないな」などと思うな…いずれ「そうだ、神殿建てよう」と思う時が来る…美しい黄金比の神殿、完璧なカーブのエンタシスの柱を建てるためにはそれが必要だ…その時切り捨てた全ての学問が神話のために必要だ…
— 藤村シシン 10/15発売古代ギリシャ本 (@s_i_s_i_n) 2015, 8月 28
あとせっかくなので少しやりとりしてきた.
@kaoliine信号以外にもいわゆる波を扱うならだいたい全部三角関数を使います。電磁波(携帯の電波)も波で三角使いますし、地震波の解析にもいろいろな形で波を使います。油田探査にも波を打ち込んでその反射を見る形で波を使いますし、漁の魚群探査にも使います。他にもいろいろあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
@phasetr今日1日だけで三角関数の活用法がたくさんツイートされていて、まさに目から鱗で感激しています。波に使う、というのは具体的にどういうことなのでしょうか?波のうねり部分の角度とかそういうことでしょうか。不勉強で申し訳ありません
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
@kaoliinehttps://t.co/beNXWXOuFbの「基本形・一般系」に y= A sin (kx - ωt + φ) みたいな式がありますが、これがある時刻 t、ある場所 x での波の変位を表しています。(続)
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
@kaoliine小学校のとき友達と二人で両端を持って、縄跳びの縄の端を上下に揺らして波を作ったことがないでしょうか?あの波の形が三角関数で書けると思ってください。大雑把にいうと一般の波はこれ(たくさんの三角関数)をバンバカ足して作られている、という話です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
@phasetrご丁寧にありがとうございます…!角周波数というのがわからず既に挫折しかけておりましたが、三角関数を覚えると波状のグラフが描けるという事ですよね。跳び縄を揺らす際に、ビシッとやる時の高さと、その後の経過時間によって波の形状が変わる…ということで合ってますか?
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
@kaoliine角周波数とかその辺の専門用語は適当でいいです。波の高さが時間によって変わるという理解で問題ありません。もちろん正確に言い始めると細かいことはいろいろありますが、そういうのは、それ以上知りたくなった時に、あとから少しずつやればいいので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 28
@phasetrそうですね、高校生のときも無理に詰め込もうとしてパンクしてしまったのだと思います。波状のグラフを描く際に三角関数が有効で、そのとき三角形がどこかに出てくるわけではない、ということですね。
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 28
@kaoliinehttps://t.co/CeiAMJg8EUhttp://t.co/RxqEjnNbLnのあたりを見てもらうとわかりますが、円周・等速円運動を仲介して直角三角形が出てきます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 29
@phasetrあれ、やっぱり出てくるのですね!飲み込みが悪く恐縮です。出先なので、後で見てみたいと思います。2日に渡ってご丁寧にいろいろ教えていただきありがとうございます!三角関数は私に関係ないものとして見てきましたが、分かると楽しそうです。希望が見えてきました
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 29
@kaoliine何かあればお気軽にご質問いただければ。一応いま http://t.co/oYKGQrykSqな感じで学習支援とか最近いろいろ本格的に展開しはじめたので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 29
@phasetrどうもありがとうございます!とりあえず自分で挑戦してみて、それから考えさせてください
— かおりーぬ (@kaoliine) 2015, 8月 29
役に立つかどうかではなく, もっと格好いいか格好悪いかとかそういう役に立たない理由で選んでいってほしい.
2015-09-30 学校の先生に期待をし過ぎるのはいい加減やめたらどうか: 三角関数教育事案¶
学校の三角関数は教え方が悪い(shi3zの長文日記) http://t.co/B0VermBoX5”僕がプログラミングを子供に教えたほうがいいと思うのは、少なくとも数学の実用的な使い方や楽しみ方、三角関数がどれだけ便利で素晴らしいものであるかという感動が手軽に得られるからです”
— celsius220 (@celsius220) 2015, 8月 30
俺も元計算機屋だから引用の部分には全面的に賛同したい。プログラミングを覚えたことで「三角関数がどれだけ便利で素晴らしいものであるか」を知ったことはもちろん「学校の三角関数は教え方が悪い」ということまで知ってしまった(笑)
— celsius220 (@celsius220) 2015, 8月 30
もっとも、こういうことはほとんどすべての計算機屋が昔から主張してきたことだと言っても過言ではないことである。いいかえれば昔から、いくら主張しても通ったためしのない主張だということである。学校や教師がイケズだからというだけではない。計算機屋以外のほとんど誰もが拒否することなのである
— celsius220 (@celsius220) 2015, 8月 30
サインカーブを描いて、円と対応させて、「sinの位相をずらしたものがcosです」って感じで教えるわけですが、これ、教えてる本人も何を言ってるのか解ってないんじゃないの感が半端ないです。
位相なんて言葉, 数学では出ないだろうとかそういうアレはあるがそれはそれとして.
問題は数学の授業がつまらないということです。
私に関していうなら, 皆が「つまらない」「わからない」という先生の授業が 死ぬほど気に入っていた方なので, お互いに「お前の感想など知るか」事案になってしまう.
もういい加減, 学校に期待するのやめた方がいい. 教師に無限の能力を期待し過ぎだろう. 気にいらないならできる範囲で各自の思うことをやった方が自分の精神衛生にもいい. もちろん, 教員がある程度面倒を見た子供の人生を背負わされるように, 自分自身も子供たちの人生に責任を負う覚悟のもとで.
私も私で引き続きやっていこう.
2015-10-01 Euclid『原論』, Hilbert『幾何学の基礎』, そしてTarskiやAvigadによる文献¶
まずは鴨さんツイート.
『原論』に実は深刻な飛躍が多数隠れていることは、19世紀にさんざん指摘されていて、ヒルベルト『幾何学の基礎』で全部埋められています。#初等幾何
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 30
ヒルベルト『幾何学の基礎』は、ユークリッド幾何の公理化としては、『原論』を救うことが可能であることを示す用途を除いて不便です。#初等幾何
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 30
ユークリッド幾何の公理化としては、タルスキーのもののほうが便利です。https://t.co/ewHTS1rU8r#初等幾何
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 30
.@kamo_hiroyasu情報補足。鴨さんによるリンク先はpsファイルなのですが、以下にアクセスすればpdfファイルも手に入ります。良い時代になったものだ! Tarski's system of geometry https://t.co/tcaxK5IouZ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
#初等幾何タグを付けて再掲。以下にアクセスすればpdfファイルも手に入ります。良い時代になったものだ! Tarski's system of geometry https://t.co/tcaxK5IouZ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
ヒルベルト『幾何学の基礎』では、「点」「直線」「平面」が無定義で、「線分」「半直線」は点の集合。そのため、線形な図形をまとめて処理するときは無定義な直線の上にある点全体の集合としての「直線」が別に必要になって面倒。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 8月 30
黒木さんツイート.
#初等幾何メモ https://t.co/mJTxQDFI4s [PDF]Project Gutenberg's The Foundations of Geometry, by David Hilbert ヒルベルトの『幾何学の基礎』のProject Gutenberg版
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
@genkuroki#初等幾何メモ http://t.co/cnFzYOZG58 [PDF]Proving Hilbert's axioms in Tarski geometry Michael Beeson
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
@genkuroki#初等幾何メモ http://t.co/zSjeEDD3li Tarski's system of geometry Alfred Tarski , Steven Givant
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
ユークリッドの幾何の現代的公理化について、こんなのもあります http://t.co/oZmcwfro2B 2009年のアヴィガドによる形式化です。 日本語の解説はこちら: https://t.co/idAThBViDs @genkuroki@kamo_hiroyasu
— ytb (@ytb_at_twt) 2015, 8月 30
@genkuroki#初等幾何メモ https://t.co/J0mUwhWDtN The thirteen books of Euclid's Elements
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
@genkuroki#初等幾何タグを付けて拡散 ytbさんからの情報 https://t.co/KlSuBMkr9F
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 30
読む機会なさそうだがとりあえずメモだけはしておきたい. それにしても何でみなこんなにいろいろ知っていニのか.
2015-10-02 齊藤毅先生の微分積分の教科書に関して著者自身のコメントPDFがあったので¶
齋藤毅先生の微分積分の教科書に関して著者自身のコメントPDFがあったので.
先日, 異常な鹿児島県知事が女性に三角関数は不要ではないかという面白発言で盛り上がったが, 三角関数に関するコメントも最後の方にある.
こういろいろと思うことはあるが, うまく言葉にまとまらない. とりあえず私も適当に自分好みの教材とか作っていきたい.
2015-10-07 CoKernelはKernelの普遍性図式を逆にして覚えればいい¶
CoKernelの定義がいまだに覚えられないし、何か2つくらい定義がある気がする
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 31
@phasetrKer の普遍性を表す図式で、矢印を全部逆にすれば良いだけでは
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 8月 31
@H_Hありがとうございます。愚鈍でつらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 8月 31
CoKernel, いい加減に覚えたいし, コホモロジーもきちんと勉強したい.
2015-10-09 【数学・物理をともに学ぶコミュニティ形成プロジェクト】の動画講義計画の素案を作ってみたので何かご意見あれば頂きたい¶
やるやる詐欺状態が長く続いていた物理のための数学講座は正式に停止した. 後継プロジェクトとして 数学・物理をともに学ぶコミュニティ形成プロジェクトをはじめる. 無料版として物理のための数学講座でやろうとしていた分をやっていきたい.
物理のための数学講座が頓挫した理由の 1 つは 完全に体系だった内容で作り込もうとしたことにある. 細かいところは気にせず, がんがん動画講義や その講義資料を作っていく中で緩く体系立って学べる感じにする.
がちがちに体系立ててコンテンツを作ることを 放棄するので私としても作りやすくなる.
基礎コンテンツは定評ある本を勧めることにして, その副読本というか副読コンテンツとして いつも通りでぶっぱなしいくことにしよう. 対象は学部の物理で使うレベルの数学だ. 相対論も一般相対論になると微分幾何入門的な話があるが, これをどこまでやるかは結構悩んでいる. 一般相対論も微分幾何も怪しいからだ. 趣味で勉強ついでにゴリゴリの微分幾何をやってもいいのだが. 「一般相対論のこの本のこの程度で十分だ」 みたいな情報があればぜひ教えてほしい.
数学・物理的専門の関係もあるから, 数学としては解析学, 物理としては量子力学系統がメインになってしまうだろうが 再勉強しつついろいろやりたい.
いまのところ動画の講義計画は次のような感じ. 物理もやりたいがとりあえずは数学に集中する. ついでに math-textbook も充実させたい. ただこれやると時間がかかり過ぎるので とりあえずは講義メモ程度にしかならなそう. スピード上げたいというのもある.
イントロ 1 の【講演原稿 線型代数と微積分: 大学数学入門】とか 東工大と津田塾でやったとき 3 時間くらいかかったし, 複素解析のショートコースも 3 時間くらいかかった覚えがある.
いわゆる物理数学の中で複素解析は結構独立している感じはあるし, 留数を使ったテクニカルな計算で使うし, 早めにやってしまいたい.
他にも「これがあった方がいいのでは」というのがあれば ぜひ教えてほしい.
何にしろ超概要なので, そのうちどんどん詰めていく. 適当な手持ちの本のレビュー的な感じに なっていくのではないかと思っている.
普通にやってもつまらないし, 意味もないので がんがん殴りつけていきたい.
- イントロ 1
- https://github.com/phasetr/math-textbook の【講演原稿 線型代数と微積分: 大学数学入門】
- 次の数学と物理の関係.
- 作用素論, 半群理論, Hilbert 空間論, 変分法.
- 量子力学, 変分原理.
- イントロ 2
- 直交関数系, 具体的な偏微分方程式の解法, Fourier 解析, 複素解析.
- 静電気学, 量子力学, 適当な学問・現象.
- イントロ 3
- 固体物理 (スピン系, Hubbard モデル) の数学的ポイント.
- 極限の順序交換と線型代数.
- 熱力学・統計力学, 熱力学的極限.
- 量子力学の数学的ポイント
- Fourier 解析
- 作用素論
- Hilbert 空間論
- 群の表現論
- 電磁気学の数学的ポイント
- 偏微分方程式論.
- 線型空間論.
- Fourier 解析.
- ベクトル解析.
- 相対論の数学的ポイント
- 偏微分方程式論.
- 群の表現論.
- 線型代数.
- 論理, 集合
- 記号・記法の準備
- 集合を使った数学的議論の練習
- 関数論
- 留数定理までのショートコース
- https://github.com/phasetr/math-textbook の【講演原稿 1 変数関数論】から.
- 線型代数から見た微分積分
- 関数空間
- 線型写像・線型汎関数
- 固有値・固有ベクトル
- 汎関数と積分, 超関数
- 線型代数群とその表現
- Hilbert 空間論
- 無限次元の線型代数
- 完全正規直交系
- 群のユニタリ表現
- 線型代数と偏微分方程式
- 偏微分方程式から出てくる常微分方程式と特殊関数による解法
- 群の表現論から見た解法
- 群上の調和解析としての Fourier 解析
- ベクトル解析
- 作用素論
2015-10-12 光の数理物理学徒になりたい: 虹と漸近解析とエアリ関数¶
虹と漸近解析とエアリ関数、という記事です: http://t.co/d2dSPBWV0Jvia http://t.co/k1GbWv0Skr
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 8月 31
後者の記事から一部引用.
真島先生は私がお茶大にいた時に同僚でしたが、公開講座の類でよくこのネタを披露されていて、女子大生に「『虹の数学者』なんてロマンチックですね」と言われてました。
虹の数学者, 無駄に格好いいし, 私もQEDを一応やっているから光の数理物理はやっているし, 光の数理物理学徒を名乗っていきたい.
2015-10-13 Moseleyへの数理物理的挽歌: 2015のNobel賞とはあまり関係のない, 100年前のNobel賞クラスの研究をした物理学者の仕事の簡単な紹介とKEKの個人的思い出¶
今回, Nobel賞はNobel賞だが大分昔のNobel賞に関わる悲喜こもごもについて書いてみる. 自分でも気になったから調べてみたかったのが一番の理由だ. はじめに書いておくとMoseleyの話だ.
まずブログに2015年のNobel物理学賞についての記事を書いた. ただし業績の紹介はせずにその周辺で起こったこと, 特に科学コミュニケーション的な事件についての所見だ.
量子力学・場の量子論 (の数学) とそこそこ近そうなところを研究しておいて何だが, 素粒子・宇宙論は昔から「皆がやっているから自分がやる必要ないだろうし, 何より世間一般が自動的に興味を持つようなことを誰がやってやるか」と思っていた.
そんなわけで素粒子はほとんど知らない事情もあって, 今回はブログで紹介した記事中にあった科学未来館の記事を紹介するだけにしておく.
それだけというのもあまりにもアレなので多少記憶から素粒子, 特にKEKに関する記憶をさらっておく.
学部二年年の頃にKEKに遊びに行ったことがある. ちょっと変な縁があったのだ.
早稲田の物理の同学年の友人が古美術研に入っていたのだが, そこの先輩がKEKの教官の娘さんだったようで, 娘さんが「自分のサークルに物理の後輩がいる」と言ったら連れてこいという話になったらしい.
それでせっかく行くなら皆で行こうぜ! ということになった. 公開日に行った方がいろいろな施設が見られてお得というので公開日に行ってきた.
思い出深かったのはその展示的なやつで実験班の方々が作ったちょっとしたゲームみたいのがあり, やってみた結果ズタボロだった.
それを見たKEKの方々に「君に実験は無理だ. 理論に行きなさい」と言われたのだ. 実験屋さん何て格好いいんだと明後日の感動とともに今でも覚えている.
実際には理論どころかほぼ数学だが.
あと黒川さんに言われたこととして次のことをよく覚えている.
「ニュートリノ振動は質量のうなりを背景にしている. このうなりは調和振動だ. 調和振動は物理の全てを貫く基礎だ. いま二年だと調和振動のありがたみはわからないかもしれないが, ぜひきちんと勉強しておいてほしい」
こう言われた. 印象深かったので今でも覚えているし, KEK の最前線に立っていた方からのアドバイスとしてここでも紹介しておきたい.
ちなみに進入禁止的な看板が立っていたところに娘さん(である先輩)が堂々突っ込んでいて止められたのだが, その先輩が「私, 娘だから大丈夫です」的なことを言っていてそれでいいのかと思ったことがある.
あと二年年で今どんな勉強をしてるの? と黒川さんに聞かれ, 解析力学と答えたら「二年であんなに難しいことしてるの!」と言われたのだが, もちろん講義で必修で入っているからやらざるを得ない.
解析力学で苦戦している方, 解析力学はKEKの人ですらこう言っている程の難易度を誇るのであまり気にせずのんびりやってほしい.
あと印象深かったのは娘さんの対応だ. 黒川さんが先陣を切って張り切って楽しそうに施設の案内をしてくれたので, 後ろの方で娘さんは超つまらなそうにしていて, サークルの後輩でもある友人が必死に対応していた.
一言どころか長文を費やしても書ける気がしないのだが, この親子の姿にこう色々なことを感じたことを昨日のことのように思い出す.
2015年時点ですでに11年前の話と思うと時の流れに驚く.
ちょっと書くだけのつもりだったKEKトークが大分長くなっているが, 一応Nobel賞の話を続ける.
はじめに書いたようにMoseleyの話だ. 今からすると高校で学ぶレベルの「当たり前の話」なのだが, それが決定的な, まさに世紀の大発見レベルだったというのを改めて思い知ったのだった.
しょっぱい情報源だが, とりあえずWikipediaから引用する.
元素の特性X線の波長との原子核の電荷(原子番号)の関係を見出した。 この発見によって原子番号の物理的意味が明らかになり、 周期表の未発見の元素を予測するなどが可能となった。
原子番号, 高校の化学でやる程度の常識になっているが, これでMoseleyにNobel賞が行くレベルの大発見だったのかと改めて驚かざるを得ない. 今の常識がどれ程非常識だったのか.
別のブログからも引用しよう.
1910年、オックスフォードを卒業すると、 マンチェスター大学のラザフォード研究室の門を叩きます。 ラザフォードと言えば、放射性物質の研究からα線β線を発見し、 その功績から1908年にノーベル化学賞を受賞するなど、 当時この分野で最先端を行く研究室の一つと言えるでしょう。 更に、この2010年と(1910年と:8/11訂正)言えば、 ラザフォードの元でガイガー(あの測定器に名を残すその人です)と マースデンによっていわゆる「ラザフォード散乱」の実験がなされていた時期に当たります。
上の引用部にもあるように, 指導教官のRutherfordも物理学史に名を刻む化け物だ.
しかし、1912年に大きな転機が訪れます。 モーズリーは、ドイツのラウエらによるX線の回折現象の発見を知るや、 これを新たなテーマにすることを決め、 ボスであるラザフォードを説き伏せ実験を始めます。
この記述がどこまで信憑性があるのかわからないが, 先見の明は間違いなくあるのだろう.
そもそも「原子番号」は、 このおよそ半世紀前の1869年にロシアのメンデレーエフによって周期表がまとめられた際に、 単に順番を示す量として登場しました。 メンデレーエフは周期表を化学的性質に基づき作成したため、 所々原子量の大きさが逆になることが分かっていましたが、 半世紀を経てもその理由は不明でした (それでも単純に原子量の順に並べなかったことが、 メンデレーエフの慧眼には違いないのですが)。 モーズリーは、 この実験結果から特性X線の振動数の平方根が原子番号の一次関数で表せるという法則を見出だしました。 これは、現在ではモーズリーの法則と呼ばれています。
期せずしてMendelejevの偉業まで確認してしまった. 化学という基盤を持っていたことが原子量を押し切って適切な周期律を作れたことに効いている(らしい)こともなかなか衝撃的ではある.
一つのことを多角的な視点から見ることの重要性も感じるし, 自分の信じる化学に従う決断の重みも感じる.
この法則は、 ラザフォード並びにボーアによって築かれた原子モデルを説明する上でも、 重要な意味を持つこととなります。 まず、師ラザフォードはガイガー、 マースデンの実験から原子の中心には正の電荷を帯びた核が存在するというモデルを示しました。 そして、モーズリーの法則の示す原子番号こそ、 この正の電荷の数すなわち陽子の数に他なりません。 この結果から、単なる並びの序数に過ぎなかった原子番号に、 はじめて物理的な実体が伴ったとも言えるでしょう。 またラザフォードのモデルに続いてこの1913年に提案されたボーアのモデルでは、 この正の電荷を持つ核の周囲を、 一定の軌道で電子が回っているとしています。 モーズリーの法則は、特性X線の振動数(すなわち波長の逆数)が、 電子の軌道間の遷移に依存することを強く示唆していました。
ちなみにここで出てくるBohrもNobel賞を取っている. Geigerは放射線量を測るガイガーカウンターで一躍嫌な方で有名になってしまったGeigerだ. Moseleyはそういう化け物の名前がポンポン出てくる中で仕事をしていたわけだ.
モーズリーは更に実験を重ね、 より多くの元素から同様な結果を得ます。 この結果は、モーズリーの法則が普遍的法則であることを示す見事な直線を示しただけでなく、 当時未発見であった元素の存在をも示唆していました。 まさに、歴史に残る美しい成果だと言えるでしょう(グラフは次のリンクを)。
「実験を重ね」という記述, それだけの資金力もあったということだろうし, こう色々なことを考えざるを得ない.
当時X線分光学自体も先端装置だったと思うし, 実験, 本当に修羅の道という感じする.
素粒子だとカミオカンデのような馬鹿みたいにでかい施設が必要だし, 実験データの処理にスパコン必要だったりするとかも聞いた記憶ある.
少し話がずれるが, 梶田さんは重力波検出のKAGRAにも関わっているそうで, そこでも相当お金かかるだろうし, 眩暈がする.
うるさいことを言えばもちろん色々あるが, 博士進学を断念して 1 人で勝手気儘にやっている今となっては, 気楽に勉強・研究できる数学または理論物理を専攻していて良かったという感はある.
梶田さんの素粒子とは少し違うが, ミクロ領域の謎に切り込んだ人達の話をちょろっと紹介してみた.
私の専門に少し近い感じでいうと原子の安定性がある.
原子の安定性の確立そのものは量子力学の大きな目標だったが, そこでも出てきたBohrが大きな貢献をしている.
量子統計力学, 物性論にも関わるが, ある意味次の話題として原子集団の安定性の話題がある.
Hamiltonianの単純なオーダー評価をすると 原子集団の安定性には怪しいところがある.
N体系を考えよう. 正のエネルギーを持つ運動量項は当然粒子の数だけ, つまりN項ある.
一方で負にもなりうるCoulombポテンシャルの項は$\frac{1}{2} N(N−1)$項ある.
どういう風に考えるかは結構微妙だが, 原子集団全体としては中性だとしておこう. 各原子で見るなら当然正負の電荷がある.
そうするとオーダー評価でCoulombポテンシャルから 来るエネルギーを見るとどういう振る舞いをするかはかなり非自明だ. Coulombポテンシャルから$N^2$の寄与があるから, これが負になると運動エネルギーだけでは相殺しきれない.
有限粒子系や原子核物理で考えていれば問題にはならないが, 統計力学や物性論では特に相転移の議論で熱力学的極限を取る. そこで (平均) エネルギーが負になってしまって洒落にならない.
エネルギーがいくらでも低くなれるのでは古典論の破綻と同じになるので, 原子集団に対する安定性は別の問題として立ち上るのだ.
そんなこんなでエネルギー評価問題が出るのだが, とても困ったことにboson単独の系だと基底エネルギーが$N^{5/3}$のオーダーになる. 平均エネルギーで見ると$N^{2/3}$になるから, 熱力学的極限で平均エネルギーが負の無限大に発散してくれる.
正確な言明は専門書に譲るが, 系にfermionがあるときちんと$N^1$のオーダーになることが示せる.
物性のレベルで言うなら系に電子がある自明の条件に落として考えていいので, 無事物理としての問題がなくなる, とかそういう話が出てくる.
今回の内容, 大分長くなっているがもう少し書く. ここから一応素粒子に繋がるので.
実際には原子レベルでも確か鉄くらいになると最内殻軌道の電子が相対論化してくるそうだし, 放射性同位体のような不安定な原子の議論もしなければいけない.
その辺の数学的に完全な精密な話はまだできていなかったはずだし, レーザーあたりも視野に入れると量子電磁場とのカップルを考えたりしないといけなくて, そうすると発散の困難の処理も入る.
この辺, いまのふつうの物理がどのくらい気にしているのかは全くわからないが, 数学的にはまるでけりがついていない. 超弦ではけりがついているそうだが, 物理の階層性を考えるなら非相対論的場の量子論のレベルで片をつけたい.
ここまで来ると私の研究目標と素粒子の関係が出てくる. 関係というか, むしろ物性レベル・非相対論的領域の問題は素粒子と無関係に決まるべきという無関係性の証明みたいなところだが.
まとまりは全くないが, ブログに書いたことも含め, そんなこんなを色々思った今回のNobel物理学賞だった.
2015-10-16 小学生時代にゼロ除算ができない理由を誰も説明してくれなかったことから算数への興味を失った検事の話¶
妙に感銘を受けたので.
気にしておられる王がいると仄聞したので、併せて申し述べておきますが、私は、地上の王国の建設について検事と相談していたのであり、そもそも「真っ当な対応」をすればその日のうちに帰ってこられるような案件でありますので、つまりそういうことです。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
発達障害への対応が検察においても課題であることを確認・共有し、自らを語りえぬ障害者たちの代表として、少なくともその検事における初めて自らを説明的に語る者として、ASDに関する初歩的な知識の交換を行い、今後の王国建設に関する意見を頂戴したという次第です。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
検事からは、理性(合理)の光によって、今後起き得る(社会秩序の崩壊によるものを含む)数多の個人的悲劇を減少するよう努めてほしいと要望がありました。私は、それに対し、それは不可能だが、社会秩序の維持に最低限必要と思われる条件を外してご覧にいれるよう努めたいと約束しました。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
この約束の前提には、検事と数学の話をしていたことがある。検事は、小学生時代にゼロ除算ができない理由を誰も説明してくれなかったことから算数への興味を失ったそうだ。その理由を問われたので「ゼロを除かないと乗法で群にならな…」と説明するのをやめ、次のようにお茶を濁した。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
割り算するには逆元(nに対する1/n)が存在してほしい。0の逆元は無限大だが、これは直接扱う数ではない。ところが、超準代数というのがあって、0と無限大みたいなものを実数に付け加えた体系としてちゃんと成立している。つまり、数学というのは色々あるんですよ、といった具合。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
要は群、モノイド、半群といった概念の説明を断念し、数学は自由であるという社会的言辞でお茶を濁したわけですが、それは時間と相手を参照した上でのことで、それで終わっては検事に対し失礼になってしまいます。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
それ故、私は、その場で検事に対して数学の説明をしない代わり、ゼロ除算ができないことの意味を社会的に誰の目にも明らかに顕現させることで、わかりやすい説明を心掛けようと思いました。つまり、それが「社会の条件を外す」行為にほかなりません。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
ゼロ除算に悩む小学生は、わかりやすい数学の説明を求める人々の象徴でもあります。そこで、逆元や単位元を条件から外す直接の説明をする代わりに、何かの条件というかタガが外れた「半社会」を示すことが、迂遠なようで最良の近道ではないかと愚考する次第です。(おわり)
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
(物分かりの良い方々へ)これはラングランズ・プログラムの理念的な拡張です。数学の説明を数学外に引きずり回し、再び数学に戻ってくるための、数学を含むより広大な一連の事実体系の構築を期待しています。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
また、一連の発言からご理解いただきたいのは、私は数学の信者であるということです。言うまでもなく数学者ではありません。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
数学者の社会的側面は、数学を人々に示すことであり、そこに信ずるという行為は必要されません。一方で、私は数学を信じることを必要としています。私の生活は細部にいたるまで数学に依らなければなりません。
— 非人 (@Im_Weltkriege) 2015, 9月 1
$0$の割り算で解がたくさん出てくるとか 面倒な感じが割とわかりやすいのではないかという気がする. 参考にしたい.
2015-10-18 鴨さんの事例紹介: 『高校の数学IIIはとばして数学IIから微分積分学と線形代数学につなぐことは可能です』¶
高校の数学IIIはとばして数学IIから微分積分学と線形代数学につなぐことは可能です。うちの学部のカリキュラムで実証済み。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 9月 15
なので、数学の好きな高校生には大学一年レベルの教科書を買ってきて読むことをお勧めします。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 9月 15
大学一年レベルの数学の教科書の選び方がわからなければ、シラバスをWWWで公開している大学の該当科目の指定教科書から選ぶと無難です。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 9月 15
あと次のやりとり.
@kamo_hiroyasu数3のあと微積飛ばして複素解析いきました。今のところ支障なし。(線形代数はやった)
— Yuko Murakami (@yukoim) 2015, 9月 15
@yukoimその発想はありませんでしたが、いわれてみればそのコースが可能なことは理解できます。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 9月 15
@kamo_hiroyasu文系向けのしっかりした線形代数の授業があって助かりました。
— Yuko Murakami (@yukoim) 2015, 9月 15
@kamo_hiroyasu経済学向けとそれ以外に分けてあり、後者は線形空間みっちりでした。ラッキー。
— Yuko Murakami (@yukoim) 2015, 9月 15
参考にしたい.
2015-10-18 Hamiltonian周りの場の量子論の数理: $p$進大好きbotさんに絡んできたので¶
またも$p$進大好きbotさんに絡んできたので. もっときちんとまとめたいが後日動画にするときにその辺を丁寧にしよう. まずは忘れたり流れる前にまとめだ.
量子力学で物理量が「基底状態付近では離散スペクトルを持つ」という想定をするときに暗に「基底状態から大きく外れると連続スペクトルが現れても良い」ということを含意しているような気もするが、実際そういうものなんだろうか?(全体が代数的離散スペクトルならヒルベルト空間ではなくp進で良い)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 17
物理量が、とかいうと一般の話になるのでハミルトニアンが、にしよう。(位置と運動量がxとd/dxとか言い出すといっぱい固有値出るやんな。その場合そもそも座標が実数なのかp進数なのかの違いになって、そっちは代数的なものをp進に埋め込むというよりは実数とp進をアデールに埋め込む感じ。)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 17
要するに物理量のアデーリックスペクトルの実素点での特殊化が実観測値か、という1つの話題とは別方向の話題で、物理量のスペクトルが周期を持つ(超越数で割って規格化すれば代数的数に収まる)かどうかと、そうした時にp進スペクトルが自然に考えられるが何かしらの整合性はあるか、という話。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 17
@non_archimedean大雑把にいって散乱は連続スペクトルに対応する(本当は散乱理論で絶対連続スペクトルとかそういう言い方)ので散乱が欲しいなら連続スペクトルが必要です。量子系は基本的に散乱を使って観測するので散乱がない系は実験が厳しい感じします。その辺詳しくないですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrなるほど、実験や観測で色々と裏付けやすいのが連続スペクトル由来の現象なんですか。物理学的な要請そのものではないんですね。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean数学・物理対応でうるさいことを言い出すといろいろあって、現実の空間は有界ですがハミルトニアンは大雑把に楕円型で、有界領域上の線型楕円型作用素のスペクトルは点スペクトルだけだから形式的に無限体積取るとかそういう話も必要です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
分岐から戻る.
@non_archimedeanちょっと話はずれますが、場の量子論で質量のない粒子(の場)を議論するとき、ハミルトニアンのスペクトルにギャップが無くなることがあります(スペクトルの下限から全て連続スペクトル)。また下限が固有値になるかもわかりません。その辺が赤外発散と関係します
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetr基底状態付近でも連続になりえるんですね。連続スペクトルは基本的に固有値にはならなさそうなイメージがありますが、下限以外ならちょくちょく固有値になるのでしょうか。(単に基底状態が存在するとは限らないという指摘でしょうか)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean場の量子論の比較的簡単で現実味も多少はあるモデルで連続スペクトルの中に固有値が現れることがあります(埋蔵固有値)。この辺、レーザーの原理とも関わります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanレーザーとの絡みでいうなら、下限以外に固有値はなくなって欲しいのですが、埋蔵固有値の摂動論という面倒な話があって、現在研究進行中です。電子が1つくらいなら何とかなっていますが、多電子系では多分証明がありません。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedean【レーザーとの絡みでいうなら、下限以外に固有値はなくなって欲しい】というのが物理的な要請で、数学が本当にそうなっているか(物理的に適切と思われている数学的モデル、作用素がそういう性質を持つか)は完全には示せていないという状態です。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedean基底状態については面倒な話があって、作用素環のある表現(フォック表現)で基底状態がない(下限が固有値ではない)ときでも別の非同値表現では基底状態が存在する(下限が固有値になる)ことがあります。これは熱核のt \to 0 極限と似た状況です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanいきなり示すのは大変なので基底状態が存在する近似をつけてからその極限をとることで基底状態の存在を示す戦略をとるのですが、熱核がδ関数に収束してL^2の極限ではまともに捉えられないようにヒルベルト空間内での弱極限が0になる現象が起き得ます(赤外発散
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanこのとき、ヒルベルト空間の状態ベクトルΨから(表現をとった)作用素環 ψ(A)=<Ψ,AΨ> をさらに元の大きな作用素環にまで拡張してから極限とるとうまくいく話があります。場の理論だと下限が固有値になるかは物理的にも発散の困難に対応しまて大変です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedean面倒な話をしましたが、要は基底状態以外に固有値があるかはモデル(作用素)に強く依存すること、量子力学ならスペクトルの下限と連続スペクトルまでギャップがあることは多いですが、(質量のない)場の理論だと物理的に許されなくなり数学的にもそう、という感じ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrなるほど、モデルを取り替える場合は作用素というか入れ物の作用素環が変わるということでしょうか?状態ベクトルから作用素環を作っていたなら、状態ベクトルを別の純粋で重ねたものか何かを考えているのでしょうか。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedeanちょっと違います。モデルをハミルトニアン作用素とすると一般に非有界なので表現取らないとうまく書けません。問題なのはこの表現固定です。表現を取った後の作用素ではなく、それを生成子にする表現前の作用素環の自己同型群とそれに対する基底状態で議論したい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanここで表現前の作用素環自体はモデルや温度などによらず全て同じとして構いません。(ただしふつう、非相対論か相対論かは問題にします。)モデルごとに基底状態が変わり、それは作用素環上の汎関数としての状態としてはきちんとあると想定します(無論要証明)
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanGNS表現はあるのでそこでの状態ベクトルはありますが、適当な表現を取ったときにそこにはいっているかは分からなくて、そこが問題になるのが赤外発散です。デルタが超関数ではあっても任意のソボレフ空間にいるわけではないというようなイメージです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrあまり良く分かっていませんが表現を取らずに作用素環Aが構成され(それは通常の意味のC^*環ではない何かで)、何らかの標準元h∈Aがあって、モデルを指定することは表現A→B(H)を決めること(例えばhの行き先をハミルトニアンにする)でδ∈Hは不明という感じですか。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean標準的なアプローチは場の作用素という(フォック表現で自己共役になる)非有界作用素を指数の肩に乗せてユニタリにして有界化し、これで作用素環を作ります。線形群の抽象化のように、フォック表現での代数的関係式を調べて抽象的有界作用素環もそれで定義します
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrあ、あー、、なるほど。有界にするということは単純に指数の肩に乗せるのではなくRをS^1\{-1}に同相で送ってeの肩に乗せる類の変換でしょうか。確かに関数解析さえできれば色々な方法で有界に押し込められますね。(以前伺った内容な気もしてきました。すみません。)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedeanこれはふつうのC*です。あくまでこの上で考えるのが河東先生や私がやっているタイプの作用素環の量子論への応用です。非有界作用素環を使っている人達はいるようですが、私はそちらの動きはわかりません。物理よりの動きがあるのかもわかりません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
また戻る.
@phasetrうまく書けない、というのは非有界だから環構造が入らない、ということでしょうか?(作用素∂^2/∂x^2は連続関数環上非有界だが色々な部分空間のフレッシェ完備化には有界に作用するのでそこへの表現を考える、みたいな。)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedeanそちらの話ともまた違います。まず物理としてハミルトニアンは物理的なモチベーションから定義するもので、表現取った前提で書くので、一般の作用素環上ではどう書いたらいいか自体よくわかりません。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetr確かにハミルトニアン(と言うかエネルギー)って何なのか知ってませんでした・・それは根本的な問題ですね。(物理学が違う世界の人に、数学だけ共有してたとしてハミルトニアンを説明するの難しそうですね。)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean数学で対応しそうな話だと、多様体上で議論するとき、例えば偏微分方程式書きたいとき、座標系に依存しないように書きたいですが、めっちゃ変な座標系で書いたつらい方程式をどう多様体上意味を持つ方程式にに持ち上げようかみたいな話でしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetr何となく分かった気がします。偏微分方程式はよく知りませんが座標に依存する作用素をうまく(人工的でない意味付けを持たせて)記述したい状況はよくありそうですね。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
また戻る.
@non_archimedean紫外発散を考えるなり物理からすると、杓子定規にはエネルギーはいくらでも大きくなれるのでハミルトニアンのスペクトルは非有界になるべきであり、有界になる位相や空間で考えてしまうとまともな物理が引き出せるかわかりません。研究あるのかも知らないのですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrところで脱線してしまいますがついでなので伺わせていただきますと、事象の地平面内の領域って有界(同時に存在する有質量物質数も有限)なので全有質量物質が備えているエネルギーは固有値をどう総和取っても有限、というわけではないのでしょうか?(物質意外の寄与がありますか)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean面倒な話があります。はっきりさせるため(相対論的)電子としますが、電子間の相互作用を記述する必要があって、それは質量がない場である電磁場が担当します。形式的に全エネルギースケールで相互作用させるのでいくらでも大きいところと相互作用して形式的発散
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@non_archimedeanこれを避けるために適当な近似(紫外・赤外切断)してからその切断を取りますが、このときにうまく切断を外さないといけません。気分的というか時々上がる例としてオイラーの定数γがあります。無限大-無限大から有限のところをうまく抜くという処理です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetrなるほど、いくら粒子数と質量総和が有限でも、相互作用自体はいくらでも大きいエネルギーが考慮されるものなんですか。ちなみに紫外と赤外を排除する近似は可視光領域であることに人間本位な事情以上の物理学的意味付けがあったりしますか?
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
@non_archimedean返答抜けていました。紫外・赤外排除の近似は単純に数学的な操作です。物理のレベルですらいきなりカットなしを扱うのが難しいので、クッションを挟んだだけです。非相対論ならはじめから低エネルギーの理論と思って紫外はつけたままでもそれなりに妥当性があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
また戻る.
@non_archimedeanそれは(初期の)繰り込みの話です。元の話に戻すと、色々な量を計算するときは全空間(全エネルギー・運動量)で積分しないといけないのでなかなかつらいです。超弦に行くとまた違うようですが、場の理論だと素粒子は点として扱うのでδ関数的な嫌な計算もあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 18
@phasetr相対論は特殊かつ非量子(ほぼ古典?)でしか勉強したことがなかったので色々と想像の及ばない現象が多そうですが、とにかくつらそうだということが伝わってきました・・(聞いておいて全然理解が追いついていなくて申し訳ないです)。いずれにせよありがとうございます。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 18
最後のところ物理だと$\delta$関数の積が出てきても平然と計算して最後丸く収まるならそれでいいや的な発想をするので, 数学の人が見たらどうしてくれるのこれ, みたいな感じになるのだろうか.
だいたい素直な正当化は全然駄目で, 相当紆余曲折していかないといけないか, その上でさらに鬼のような収束の議論が必要になる. 九大の原隆さんのD論は下書きで2000ページ, 提出版で500ページとか言っていたのでそういう話になる. ハードアナリシスもいいところだ.
紆余曲折というところについては, 以前深谷先生が何かの文章で, 「はじめの素直なアイデアはなかなかうまくいかず, 問題に当たっては遠回りしていくから本質的なアイデアはそのままでも, その姿が段々見えなくなってくる」 みたいな話をしていたので, 数学的な議論あるあるなのではないかとは思う.
他の分野の人が数学の本を読むのが嫌になる理由の一つでもあるだろう. 物理なり自分の専門の中心的なアイデアを議論したいのに, 全くそれを許してもらえず専門から見れば瑣末な数学的議論しかできないのでは本末転倒だ.
この辺のギャップ, 教育レベルでは何とかして埋めたいと思っている. その辺は最近本格的にスタートさせた.
興味がある方はぜひ連絡してほしい.
見れば見る程まともに答えられているのか不安になってくるが, こうしたコミュニケーションも地道に積んでいって, 勘所をおさえた展開を少しでもできるようにしていこう. 道は長い.
後で動画にするとき, もう少し細部は詰め直したい.
2015-10-19 動画制作メモ: 四元数は制御系で需要があるらしい¶
@hyuki 結城先生、「数学ガール」で「四元数」を取り上げてもらえませんか。今、3Dモデルやロボット工学で必要な数学なのですが、各大学で教えていません。以下のPDFで説明していますので、興味をもって頂ければ御一考お願いします。 http://t.co/1fLZFPg0aR
— 白井豊(Yutaka Shirai) (@suzume43) 2015, 9月 15
@suzume43ありがとうございます。四元数は私も大好きです (^^)
— 結城浩 (@hyuki) 2015, 9月 15
@hyuki制御系の人にはぜひ知っていてほしい概念なのですが、大学で教えられていなかったということで、40代の人に私の自宅に通ってもらったこともあります。
— 白井豊(Yutaka Shirai) (@suzume43) 2015, 9月 15
動画作成を検討する.
2015-10-20 記事紹介: 『教材で使えるかも?:25万を超える数学コンテンツ「GeoGebra」』¶
教材で使えるかも?:25万を超える数学コンテンツ「GeoGebra」という記事を見かけた. いくつか引用する.
YouTubeのMicrosoft in Educationのチャンネルで公開された、「My World My Math!」。SurfaceとGeoGebraを使って、数学をこんなふうに勉強していますよ、という動画です。
これだけの数があれば、自分で制作したいけど時間がかかるな…というものを探せるかもしれませんし、黒板ではなかなか説明しにくいものをわかりやすく見せられるものを探せるかも知れません。 世界共通言語である、数学のすごさを感じます。算数・数学の先生方、「あ、これ使ってみたい」「あ、これおもしろそう」とか、感想をお知らせいただければと思います。
世界共通言語としての数学, やはりこれを基盤にして何かしていきたい. プログラム関係もいろいろやりたいのだが, なかなか力が及ばない.
2015-10-23 機械学習と数学: 本当に年収に直接関係してくる数学, 確率論・統計学, 線形代数, 微分・積分¶
機械学習は基本的には数式が飛び交う領域。確率論・統計学。線形代数、微分・積分。このあたりの勉強をしておくと役に立つ。このあたりは本当に年収に直接関係してくる。こういう話を学生のときに聞きたかったが、言ってくれる先輩がいなかった。学生でなくなってから苦労した。#tmutalks
— Mamoru Komachi (@mamoruk) 2015, 9月 9
年収とか殺伐としていて怖い.
2015-10-26 Chebyshev多項式の応用: 弾性体論, 航空力学, 特異積分方程式¶
やはりChebyshev多項式の物理での実用性はほとんど知られていない様子…弾性体中の有限長の亀裂が開いたり滑ったりするときの変位量と力の関係、あるいは飛行機の翼の上下の気流による気圧差を記述する、特異積分方程式の解の近似に有用です https://t.co/WXjHDdqc6s
— らの (@Bimaterial) 2015, 9月 8
こういう話, 物理学科だとほとんどやらない気がする. 難し過ぎて物理の人間には扱いきれないという感じもある. 何にせよ参考になった.
2015-10-29 簡単な問題を難しく解け: 具体と一般と抽象¶
発言に何か背景があるのだろうがよく意味がわからなかったので.
具体的な掛け算が出来なくても抽象数学は出来るかもしれないけど、物理はちょっと難しいかもなぁ。まぁ学部の座学だけならなんとかごまかせるかも?
— Takashi Miyamoto (@tmiya_) 2015, 9月 16
@tmiya_先輩に抽象論こそ理解しやすい(抽象論がないと理解しづらい・できない?)人がいて、他の先輩・教官含め「それはお前だけだから他人に話すときには気を付けろ」と散々言われていたのに学生相手の講義で凄まじく抽象的な話をしたせいで講義の理解度が極めて低くなった例を聞いています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 16
@phasetr「済みませんが,もう少しわかり易く抽象的に説明して頂けませんか」 http://t.co/R0e2Y8IvZfって笑い話もありますね。
— Takashi Miyamoto (@tmiya_) 2015, 9月 16
@tmiya_数学に関していうなら「簡単な問題を難しく解け」という話もあります。簡単な問題は問題特有の特殊事情を使っているから簡単になるので、その特殊事情を使わない証明を考えればそれが成り立つ深い理由がわかり、一般性・ほ共通性が見えて来るという話でした
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 16
@tmiya_細かなことは忘れましたが、講義を聞いた学生が演習問題の有限集合の間の全単射を作れないくらいに具体的なことがぽっかり空いた講義だったようです。膨大な具体例の蓄積なしに抽象論が理解できるのは相当異常な例でしょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 16
@tmiya_その先輩も具体例は当然いろいろ知っている人でした。具体・(適当な意味での)応用なしの抽象論、空理空論とかそういうのはともかく、腹の底から理解できる人間はレアというか異常といってもいいと思っています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 16
「[竹崎先生の80歳記念のワークショップに行ってきて, 広義諸先輩方と久し振りに会ってきて楽しかった]」の記述も参考にしてほしい.
2015-11-03 記事紹介: 『(可算性を外した)一次元多様体の分類』¶
久々にブログ更新しました! 「1次元多様体の分類」https://t.co/bDoBuPBB2A 長い直線などを含んだ分類定理の証明 PDF あります
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 9月 16
以前山元さんのlong lineの話を聞いたことがあり, 勉強したいと思っていたがこんなところで出てきた.
一次元がこんなに魔界だなんて知らなかった. 二次元だとどうなるのだろう. 一気に面倒になりそうだが.
2015-11-07 数学関係ツイートまとめ:ネットの極限で書いた位相空間論コンテンツ作りたい¶
いくつか参考になった・なりそうなのでメモ.
位相群上の積分とその応用とかいう本が出てるけど、 私はポントリャ−ギン双対とか、SNAGの定理とか、 ペーター-ワイルの定理とかはGerald Follandの A Course in Abstract Harmonic Analysisで学んだ。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
Rudinの本で測度論を学んだから、Riesz-Markov-Kakutani の表現定理に慣れてたし、PedersenのAnalysis NowでGeneral topologyや可換なC*環のGelfand変換を知ってたので、読み易か った。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
局所コンパクト可換群の指標は、そのC*群環の指標 と同相だから、C*群環のゲルファンド変換と群のフ ーリエ変換が同じになる。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
局所コンパクト群上のL^1とL^pの合成績は L^p空間値のボホナー積分として捉えると、 とてもすっきりする。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
あと次のあたりの話は動画作りたい.
最近、フォンノイマンの一意性定理の証明がこれ読んで簡単 だということが分かった。 https://t.co/P52yBm1k8n 関数解析勉強してたとき、新井先生の本読んでもCCRの意味 がイマイチよく分からなかったが、
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
有限自由度のワイル型のCCRの表現はハイゼンベルグ群の ユニタリ表現としてとらえればよかったようだ。 BHJ(ボルン-ハイゼンベルグ-ヨルダン)表現が生成するフォ ンノイマン環は、掛け算作用素とユニラテラルシフトから 生成されるフォンノイマン環だわ。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
だからBHJ表現が既約なのは明らかで、フォンノイマンの 一意性定理よりシュレーディンガー表現と同値となる。 恥ずかしながら、ようやく量子力学の基本原理としての CCRの見通しが少しついた。 できるだけ特殊関数とか使いたくないんで、表現論でどう にかなることは表現論でやりたい
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
具体的な問題を解くところならともかく, 特殊関数を使うところが想像できない.
Strotcchiの https://t.co/FByeHpcAJ8 読んだら水素原子型のハミルトニアンの離散スペクトル構造 もSO(3)の表現でほとんどどうにかなるみたいだということ もわかったしめ。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
偏微分方程式は嫌いだけど、境界条件付き波動方程式とか ラプラス方程式とかポアソン方程式はヒルベルト空間上の 作用素論的に扱える。 超関数論はRudinの本で知っている。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
滑らかでコンパクトな境界のあるソボレフ空間の拡張定理 やトレース作用素、楕円型正則性、ソボレフの埋め込みは 宮島先生の本とBruce Driverさんのレクチャーノートで学 んだ。ソボレフの埋め込みとかレーリッヒの定理はL^2ソ ボレフだと簡単。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
Bruce Driverさんのレクチャーノートには3次元の全空間 での波動方程式のヒルベルト空間論的な解き方も載って いて参考になる。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 5
PDE, もう少し自分の知っているところから何とかできないかとずっと思っている. 興味があるところからPDE自体もきちんとやっていきたいとは思うが. 非線型波動とかBoltzmann方程式とかやりたい.
私は関数解析好きですが、 https://t.co/eV4fYeKg50 の第一章の手短かなGeneral Topologyはネットのありがたみが 分かり易く書かれていていいと思います。 https://t.co/67WkTtIhmC
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 6
Analysis Nowかどうかは忘れたが, ネットで書かれた関数解析の本を眺めたことがある. いつもやっている点列スタイルがそのまま使えるし, これで位相空間の動画講義作りたいと思ったが, ネットで位相空間やるときの注意点をあまりよくわかっていない. 勉強しないと.
確率論で基本的なボホナーの定理というのがありますが、 あれは確率論の本ではごちゃごちゃして結構大変な証明 になってますが、フーリエ変換をC*群環のゲルファンド 変換とみなすことによって、ゲルファンド変換の等長同 型性より自明になります。 リース-マルコフ-角谷は使いますが。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 6
Riesz-Markov-Kakutaniが好きなのでその方向での証明楽しい. Glimm-JaffeのBochnerの無限次元版であるミンロスの定理の証明に 有限次元のBochnerからネットのリミットで議論するのがあって, ほうほうと思った記憶がある.
ネットがあれば、点列を用いることが有効な議論と同じ 議論を任意の位相空間でできる。 連続性は収束ネットを収束ネットに写すことと同値だ し、点が集合の閉包に属することはその点に収束する その集合内のネットがあることと同値。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 6
位相空間がコンパクトであることは任意のネットが 収束する部分ネットを持つことと同値。
— nardzewski (@nardzewski1) 2015, 11月 6
この辺, きちんと書いてある本ないだろうか. 数学の普通の開集合のスタイルで書いてある本はたくさんあるが, 非数学向けには多分わかりづらいので, まだ多少は馴染みがあるであろうネットのリミットスタイルで説明した位相空間のコンテンツを作りたい.
2015-11-09 本・動画紹介: Sidney A. Morris, Topology Without Tears¶
Topology Without Tears - Video 1 - Pure Mathematics https://t.co/aSqyARflrX
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 9月 21
著者本人がアップロードしている教科書はこちら。facebook上の読者グループ(3100人以上!)の協力のもとで内容がアップデートされ続けているらしい。 Sidney A. Morris(2012), http://t.co/JqVi1UHF8o
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 9月 21
もとは英語だが、有志の手で他7言語(アラビア語・ペルシャ語・中国語・ギリシャ語・ロシア語・スペイン語・トルコ語)へ一部翻訳されているというのだからすごい。
— 石塚(無所属) (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 9月 24
私もこういうことやりたい. 次のプロジェクトでの目標の一つだ. 頑張ろう. やりたいことは無限にたくさんある.
2015-11-10 ツイート紹介: 田崎晴明さんによるメルセンヌ・ツイスター考案者松本眞さん評¶
先日、CREST(数億円規模の研究助成)の選考のための面接と会議から戻ったぼくは「自分にはそれなりに才能があるし、それ以上に、やりたい研究を常識に縛られずガンガン進める情熱があると思ってた。でも、今日、面接に来た人はぜんぜん別格だったんだ」と妻に語った。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
妻は「あなたがそんなことを言うのを聴いたのは初めてだわ」と驚いたけど、そうだと思う。ぼくも驚いた。 その「別格な人」というのは、広島大の数学者・松本眞。たぶん、本当に天才なんだと思う。めたくそ難しい数学世界を歩きながら、そこから現実世界に落ちる影をみて実用的なこともやっちゃう人。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
「メルセンヌ・ツイスタ」というすごい乱数生成法 https://t.co/wi1VH5BnNU が有名だけど、これもめたくそ抽象的な数学が背後にあるらしい。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
で、そんな天才な人なんだけど(たぶん、ガチの国際会議での)発表スライドがこんなの。 まったくわかんないわけだけど、まあ、2 ページ目とか、9 ページ目とか、最後のページとか見てください。ぼくがショックを受けるのもわかるでしょ? http://t.co/tmPOgwkXHd
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
@Hal_Tasaki松本さんのお連れ合いは漫画家ですね。ついでにMTの記事の初出はぼく書いたんです。
— 内村直之 (@Historyoflife) 2015, 9月 24
おお、それは素晴らしい。松本さんにインタビューされたんですか?? "@HistoryoflifeついでにMTの記事の初出はぼく書いたんです。"
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
@hal_tasakiこの記事です。 pic.twitter.com/usF3ZFBIMD
— 内村直之 (@Historyoflife) 2015, 9月 24
@Hal_Tasaki詳しくは松本先生のこれをご覧ください。http://t.co/hoqZnupr0L ぼくが書いたのは20年くらい前のこと。
— 内村直之 (@Historyoflife) 2015, 9月 25
そして、これが、その天才数学者の松本さんのアカウントだと思うのだ・・・ https://t.co/eyyAj5fDh0
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2015, 9月 24
松本眞さん, 確か元々広島大で2年くらい東大数理に来てすぐにまた広島大に戻ったとかいう話だった気がする. メルセンヌツイスターも動画作りたい. やりたいことがどんどん増えていく.
2015-11-11 ツイート・記事紹介: 下手に数学を学んでしまうと Taylor 展開の剰余項が求められない場合に死ぬ可能性があることが判明した¶
「ソ連かどこかで軍につかまって、『職業はなんだ』『数学者だ』『お前が本当に数学者ならTaylorの定理の剰余項を答えろ。できなければ殺す』ということになって剰余項書いて無事だったので数学のおかげで生き延びた」という逸話って誰のだっけ
— 足跡45(一段落) (@ashiato45) 2015, 9月 24
@ashiato45これですかね http://t.co/7u4gloMs7Z
— 明月 (@quotient_moon) 2015, 9月 24
@quotient_moonそれです。ありがとうございます。
— 足跡45(一段落) (@ashiato45) 2015, 9月 24
@ashiato45ぐぐったキーワードは[Taylor 剰余項 殺す]です。問いただした人物も不明というところが恐い……。
— 明月 (@quotient_moon) 2015, 9月 24
ブログからも引用.
ロシアの物理学者でIgor Tamm(イゴール・タム)さんという方がいる。チェレンコフ効果の説明により、ノーベル物理学賞を1958年に取った方。
そのタムさんがロシア革命のさなか、食糧が不足していたので近くの村まで出かけて行って食料調達に出かけた(当時大学の教授だったのにそんな状況、、、)。
その村で、反共産主義者たちにつかまってしまった!特に都会から来たので服が立派だったので疑われた。
絶体絶命、今にも殺されそうとしたときに、そのリーダーが
”何?お前は数学の教授だって?怪しい、、、じゃあ、マクローリン展開をn項で打ち切った時の剰余項を言ってみろ。出来たら放免してやる。出来なければ銃殺だ”
と言われたとのこと。もちろん、タムさんは出来て、生き延びてノーベル賞を獲った。
生きるために数学が役に立つ, と書こうと思ったが何か微妙な感じがしたのでやめた.
あとその当時の状況とかいろいろあるのでよくわからないが, なぜ物理の教授ではなく数学の教授という肩書だったのだろうか. 当時のロシア情勢とかいろいろ気になる.
2015-11-11 東大数理の河東研のセミナー用に使うテキスト紹介ページをメモしておいたので¶
東大数理の河東先生のセミナーニュースページに 河東研B4用のセミナーの教科書紹介のページが出ていたので, とりあえずメモも兼ねてリンクしておく.
せっかくなので知っている本は簡単に紹介する. まずは実際に第一候補として挙げられている本から.
Analysis Now¶
- 書名: "Analysis Now" (Graduate Texts in Mathematics 118)
- 著者: Gert K. Pedersen
- 出版社: Springer
- 発行年: 1989
関数解析の入門書ですが,抽象的アプローチが好きな人向けです.基本的なことからていねいに書いてあります.Conway の本より易しいです.最初の部分はわかっていれば飛ばしてもいいです.
読んだことない.
A Course in Functional Analysis¶
- 書名: "A Course in Functional Analysis" (Graduate Texts in Mathematics 96)
- 著者: John B. Conway
- 出版社: Springer
- 発行年: 1990
普通の関数解析入門から始まる本です.工夫して分かりやすく書かれていると思います.いろいろなことが書いてあり, 最後の方では作用素環の話も出てきます.
読んだことない.
Mathematical Theory of Quantum Fields by H. Araki, Oxford University Press, 1999.¶
代数的場の量子論を全開でやっていて, 作用素環だけの本ではない. ちょろちょろと多変数関数論 (楔の刃の定理) とかも出てくる. 死ぬ程どぎつい本で私は根をあげた本なのだが, 読める人いるのだろうか.
確かこの本, 1950 年代後半から 1960 前半あたりに 荒木先生がスイスの ETH で講義した有名なレクチャーノートの 出版だとか何とか聞いたことがある. 当時の人, これで理解できたということだし, 社会の学力低下はどうなのかは知らないが, 自分の出来の悪さは激烈痛感する.
An Invitation to C*-Algebras by W. Arveson, Springer 1976.¶
読んだことない.
K-theory for Operator Algebras by B. Blackadar, Cambridge University Press, 1998.¶
作用素環の K-理論の有名な本. 読んだことない.
Operator Algebras by B. Blackadar, Springer, 2005.¶
読んだことない.
Wavelets through a Looking Glass: The World of the Spectrum by O. Bratteli and P. E. T. Jorgensen, Birkhauser, 2002.¶
これ作用素環なのかとずっと思っていたが, さっき目次を見たら一応$C^*$-algebraはあった. O. Bratteliは作用素環と量子統計の本(次の本)で超有名.
Operator Algebras and Quantum Statistical Mechanics, Volumes I, II by O. Bratteli and D. W. Robinson, Springer, 1987-2002. (a pdf file supplied by the author) (a pdf file supplied by the author)¶
全部ではないが読んだ. 量子統計で使うネタを割と雑多に突っ込んだ本で全部読むような本ではないし, これだけ読んでも作用素環の基礎は身につかない. 私もこの本で勉強しているが, 必要なところのつまみ食いだ. 完全なバージョンではないが, 基礎から冨田-竹崎理論まで速習したいなら役に立つ. あとは作用素環の勉強にはならない.
Noncommutative Geometry by A. Connes, Academic Press, 1995.¶
ConnesのサイトにPDFが置いてある. 個人的には読めたものではない. 難し過ぎる. 誰か読み切れる人いるのだろうか.
C*-Algebras by Example by K. Davidson, Amer. Math. Soc., 1996.¶
大学院当時, 先輩に聞いたところ「最初は割と丁寧だったが後半どんどん雑になる」とのことだった. 「基本丁寧だが, 時々めちゃくちゃ雑になる」だったかもしれない.
Quantum Symmerties on Operator Algebras by D. E. Evans and Y. Kawahigashi, Oxford University Press, 1998.¶
分厚い. ぱらぱらと眺めたことはある.
Local Quantum Physics by R. Haag, Springer, 1996.¶
河東先生に「これはHaagが哲学を語った本で教科書, 勉強する本ではありません」と言われた記憶がある.
Fundamentals of the Theory of Operator Algebras, Volumes I, II, III, IV by R. V. Kadison and J. R. Ringrose, Amer. Math. Soc., 1997.¶
学部4年のときとりあえずこれでも読んでおけばいいのでは河東先生にお勧めされて, これの3章から5章までを読んだ. そのあと実用性を考えてBratteli-Robinsonにすぐ行ってしまったのだが, 作用素環としての基礎がほしいならもっと読んだ方がいい. 富山先生いわく「彼らの教育熱心さを反映してとても良く書かれた本」とのこと. 3章の話はBanach環だが割と気にいっている.
An Introduction to K-Theory for C*-Algebras by M. Rordam, F. Larsen and N. Laustsen, Cambrige University Press, 2000.¶
読んだことない.
Theory of Operator Algebras, Volumes I, II, III by M. Takesaki, Springer, 1979-2003.¶
Iは1-2度参照したことがある. 作用素環の聖典の1つではある. 興味はあるが大部過ぎてさすがにつらい.
2015-11-11 社団法人作用素環後援会という謎の会ができていたので¶
ページはここだ. 代表理事が河東泰之先生で, セミナーニュースを久し振りに見たら見つけたので, とりあえず宣伝協力的なアレだ.
法人の目的だとか事業について紹介がてら引用しておこう.
・本法人の目的
当法人は,作用素環論に関する研究・論文の発表を通じて知的財産権の取得を行うと共に,その成果が地域社会の発展に貢献することを目的とする.
・本法人の事業
- 作用素環論を用いた研究及び論文の発表
- 作用素環論に関するセミナーの開催
- 作用素環賞の授与
- 前各号に掲げるもののほか、当法人の公益目的の達成に必要な事業
小谷元子先生が入っているのが割と謎だが, 以前早稲田で磁場つきHarper作用素の講演を聞いたときに$C^*$の話を出していたので, ご専門の離散幾何解析でそれなりによく使っているということなのだろう.
私ももっとこういうのやりたいし, マネタイズ真剣に頑張らないと.
2015-11-15 自戒せずにはいられないTogetterメモ:『“算数教育が安心できないのだから、理科教育も安心できるはずがない” - 並列回路の表記をめぐって』¶
とてもつらいまとめがあったのだ.
https://t.co/934QJioNYU14時間前に紹介したお笑いネタのまとめ→ https://t.co/rCbsP37isW“算数教育が安心できないのだから、理科教育も安心できるはずがない” - 並列回路の表記をめぐって。再度、大笑いできた。このトンデモ感すごすぎ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 15
続き。このまとめが秀逸過ぎ→ https://t.co/rCbsP37isW 見逃していた「各種ご意見。」が結構あった。 このネタ本当に可笑し過ぎ。笑える。こういうお笑いネタが消え去るのはさびしいけど、やっぱり教育は大事だと思った。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 15
続き。この手の話題の基本パターンは、明瞭に表現された具体的な事柄について、適用することが不適切な一般論を語る人達が大挙して押し寄せること。 考え方がダメな人ほど一般論を語りたがる傾向があると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 15
続き https://t.co/rCbsP37isWのまとめのコメント欄にも「地獄」が発生していた。「この秀逸なまとめによって結果的にどういう人達が笑い者になるか」を理解できなかったらしい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 15
続き。ほとんどの人は普通にまともな反応をしていて、誰がどのように笑い者になっているかも理解していて、危険に近付かないようにしているが、なぜかわざわざ特攻して来るやつがいる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 15
これ, 自分が専門分野に関してすらゴミのような死にたくなる変な勘違いをしている可能性が高いことを 示唆してくるので, 割と本気で戦慄するし, 全く笑えない.
きちんとJISの規格の記述を確認しきれていないのだが, http://tinyurl.com/neyybx7あたりでは『実務に役立つシーケンス制御入門』という「実務で役立つ」という明確な触れ込みで黒丸なしのシーケンス図を紹介している. ちなみに私はシーケンス図と回路図という言葉をどう使いわければいいのかといった基本的なところから理解ができていない.
また次の高知工科大学の講義資料によると, 十字を書くとき, 交差は黒丸をつけない, 接続は黒丸をつけるとかいう規格(規則?)のようだ.
ここでは表現の統一という目的のため, 「黒丸が不要なところでもつけた方がいい」と推薦する形にはなっている.
十字の接続でない Fig.2.2(b) のような T 字配線型の接続の場合には,黒丸を省略しても問題ないと思われるが,表現を統一するために Fig.2.2(a) のように黒丸をつけたほうが良い.
実務で紛れがなくミスを起こさないようにしたいという現場の要求もあるのはわかるが, 規格でどうかという根本的なところをクリアしているっぽいので, とてもつらい事案だ.
糞ニート@TNCTHaraPanさんはこのまとめを見たっぽいツイートをしているが, いまどういう風に考えているのかが割と知りたかったりする. 規格上問題ないし上で引いた本のように (回路図一般かシーケンス図限定なのか私は判断つかないが)「現場」でも黒丸なしでよく, 大学の工学部教育でも推奨レベルのことをまだ次のように考えているのかどうかはとても気になる.
同じ事柄について、現場や専門分野の人が注目する部分や「正しい」「間違い」と言う部分と、教育分野(特に初等教育?)で教える「正しい」「間違い」やその基準がズレてるってことにも気づいて考察してもらえるとなお良かった。
— 糞ニート (@TNCTHaraPan) 2015, 11月 14
何にせよ自らへの戒めとしてもきちんと記録しておきたい.
2015-11-15 nolimbreさんプロトタイプの電子数学書の新たな形:自分でもちょっとやってみたい, gitbook もあり?¶
YouTube講義と合わせてちょっと試しに作ってみるか感もあるので, とりあえずメモ.
電子的な数学書で,「はじめは証明の概略だけ書いてあって,必要に応じて詳しい説明が表示される」ものがあれば面白いのに,と以前から妄想だけしてたんだけど,とりあえず小さくても触れるものを作ろうと思って作ってみた.感想リプ歓迎. https://t.co/ThRJNv788z
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 8
最初は概略だけ読んで,必要に応じて詳しい説明が読める電子的な数学書のサンプル https://t.co/ThRJNv788zを見て,(操作や表示法に改良の余地があることは度外視して)このような形式の数学書は
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 8
「伸縮する数学書」の仕様を変えてみました.「伸びた」テキストをクリックすると元に戻る,本文中で説明されていない用語にマウスを乗せると説明がポップオーバーする,などの変更点があります.感想リプ歓迎!(夜遅いので明日またツイートします) https://t.co/ThRJNv788z
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 8
【再掲】詳しい説明を必要に応じて表示できる「伸縮する数学書」があったら面白いな,というかねてからの妄想を,とりあえず小さいけれど触れる形にしてみました.一応「参照システム」も備えています.まだ詰めが甘々ですが感想リプなど歓迎です. https://t.co/ThRJNv788z
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbre正直なところ,本文が動いたり一部でも隠れるのは読みにくいです. 本文は変化しないでほしいですね.本文に重ならないように別ウィンドウが開くほうがよいです(ノートを脇に置くイメージ).
— きえだ ゆうすけ (@p_typo) 2015, 11月 9
@p_typoありがとうございます.別ウィンドウはあまり乗り気でないのですが,あらかじめ画面内に「脇に置いたノート」の領域を確保しておいてそこに追加情報を表示するようにするのもいいかもしれないです.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbre表示スペースをある程度固定して考える必要がありそうですが,予め存在しているスペースを利用するのなら,そんなに気にならないかもしれません.
— きえだ ゆうすけ (@p_typo) 2015, 11月 9
@nolimbre行間を埋めてくれるの良いですね…!定義については、ポップアップよりも、初版(?)の挿入されるアクションの方が個人的には好みです。自分の場合知らなかった定義は何度も見返しそうですし、残っていて欲しいなぁと。(今日、現所属研究室でも話題になっていました)
— sho_yokoi (@sho_yokoi) 2015, 11月 9
@nolimbreはじめまして。個人的にはこんな感じに本文がぬるぬると伸びていくのは良いと思います。簡潔にまとめられた定義は有用だけれども、理解するために具体例が欲しいという時に、展開したものを一つの文章として読んで、段階的に理解していけるのは良いと思います。
— あえとす (@aetos382) 2015, 11月 9
@nolimbre細々した点についてコメントさせて頂くと…まず、何かアクションができるところは最初からわかると良いと思います。色が違うとか下線が引いてあるとか。アクションの種別(伸縮、ポップアップ、リンク等)によって、最初から見た目が違う方がわかりやすいかな、と思いました。
— あえとす (@aetos382) 2015, 11月 9
@nolimbreそれから、ポップアップはあまり使いやすいと思えませんでした。ポップアップの中にも定義や説明を見たい語句があると思うのですが、現状はマウスを少しでも動かすとポップアップが消えてしまいます。
— あえとす (@aetos382) 2015, 11月 9
@nolimbreというより、ポップアップの中に説明が必要な語句は書くべきではないのかも。これはシステムではなくコンテンツの作り方の話になると思いますが、ポップアップは、例えば「今、a = 0 と仮定していることに留意せよ」のような簡単なメモ程度が良いのかな、と。
— あえとす (@aetos382) 2015, 11月 9
@aetos382丁寧にありがとうございます.参考になります.ポップアップについては確かに使いづらいですね.閉じるボタンがないことと,デフォルトで反応する箇所がどこか分からない点は本としての読みやすさを意識してのことだったのですが,それ自体がまだ不徹底なのと,
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@aetos382たしかに「閉じてしまう」事故が起きやすい弊害があります.悩ましいところですが,マージンの部分に作るなら気になりにくいかもしれないです.考えてみます.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbreこれ、すごく良いですね。 TeX(或いはTeXの拡張言語)からこのようなHTMLにコンパイルする仕組みがあれば、著者にとっても手軽になりそう…
— Yb@体調不良 (@kunio_Yb) 2015, 11月 9
@kunio_Ybありがとうございます.形式だけあっても著者がいないとしょうがないので,たとえば LaTeX から自動生成された HTML に対して何か処理をしてこの形式にするような仕組みは必要ですよね.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbre実用的にするには必要ですよね。追加で書くのはcss程度で、TeXソース自体は使い回せると良いなぁ、などと夢見ております(自分でも無茶言ってるとは思いますけども)
— Yb@体調不良 (@kunio_Yb) 2015, 11月 9
@nolimbreLaTeXで書かれた文書からワンボタン、あるいはそれに近い労力でこれに近い形にするというのは技術的にかなり無理があると思います。論文として書かれた文章をこの形式にしたいという需要はそんなにないと思うので、(つづく)
— あなちゃん (@anairetta) 2015, 11月 9
@nolimbre新たに(雑誌に投稿するのではない程度の、むしろ新規性より分かりやすさを重視する)文章を手軽に書きたい、という需要に答える、という方が目的に叶うのかな、と思います。(つづく)
— あなちゃん (@anairetta) 2015, 11月 9
@nolimbreそのような(ことに使える)プラットフォームとしては、(たぶん)gitbookというのがあるようです。これのpluginにどれくらい拡張性があるのかは存じませんが、可能な範囲で実装するということも含めて、検討しても良いかもしれません。
— あなちゃん (@anairetta) 2015, 11月 9
@anairetta情報ありがとうございます.LaTeX から HTML に変換する技術はいろいろありますが,更にそれを基に変換するとなると,仰る通り現状では「何も考えずにボタンを押せばできる」レベルは無理で,LaTeX で書く段階から変換のことを気にする必要がありそうです.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbreはい、それならば、LaTeXで書くことに拘るよりは、既存の技術を使える方がよいのでは、という意図でした。数学者の方が、TeX以外の技術にハードルを感じる可能性があるということももちろん考慮すべきとは思いますが。
— あなちゃん (@anairetta) 2015, 11月 9
@anairettagitbookは初めて知ったのですが,markdown形式で書くということであれば,結局 pandoc とかの「LaTeXもHTMLもmarkdownも扱える」変換ツールに割り込むことを考えるのも一案かと思います.先の心配ではありますが覚えておきます.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 9
@nolimbregitbookのよいところのひとつは、配布(販売すら)もセット、というところだと思います。なんか宣伝みたいになってしまいましたが、(著者として)使ったことがあるわけではないので勝手な感想にすぎません。
— あなちゃん (@anairetta) 2015, 11月 9
ここがやはり気になる. gitbook調べておこう. 何にしろYouTubeの動画講義は作る予定だし, 原稿をどう公開するか考えないといけない.
@nolimbre素晴らしいです.定理や定義の相互参照が出来るようになれば,世界がとれそうですよ :)
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 11月 8
@nolimbre@iwaokimura学部レベルの教科書だと「後から出てくる定義・定理を参照する」することは禁止なので書きにくいこともありますが、電子書籍だと後方参照やってもよさそうなので、面白い本になるかもしれません。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2015, 11月 8
@nolimbre説明に「閉じる」ボタンがほしいなと思った。複数回現れる語の説明の出現箇所をどうすべきかは悩ましいね。
— Yoshihiko Matsumoto (@ymatz) 2015, 11月 8
@ymatz「開いた部分をクリックすると閉じる仕組み」は単に実装をサボってしまった(痛恨).今回の例にはないけど,「ステートメントに現れなかった概念の定義を調べたとき」にどうするかは問題かなー.その場にポップアップにする,定義は別ページに遷移で OK という意見も.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 8
@nolimbreそうか、今回は概念の定義の出現箇所は「ステートメント直後」で統一されていたんだ。わかりました。普通の本の脚注を参考にして「ウィンドウ下部にポップアップ」というのもありそうだけど、「数学書が伸縮する」という面白さは捨てがたい。
— Yoshihiko Matsumoto (@ymatz) 2015, 11月 8
@nolimbreすっごく良い感じです!!!!!定義の表示はそのときだけ見えれば十分なことが多そうなので、短く書けるものであればツールチップ(マウスを単語の上に乗せるとふきだしが出てくるやつ)くらい簡単でもいいかな、と思いました。行間が補足されるのはかなり好きです!!!!!!!
— かわず (@kawazu1147) 2015, 11月 8
@nolimbreいいですね!「クリックして開く部分」がインデントされたらなお嬉しいと思いました。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 11月 8
@nolimbre素晴らしいね、これは。スマホのブラウザからでも快適に読めました。この形式の文章で、掘り進めた深さによって結末の解釈が変わるミステリー作品とか出来たら面白いな、なんて思いました。数学じゃないけど。
— 鋭意原稿中 (@miurror) 2015, 11月 8
@nolimbreFF外から失礼します。数学書を読んでいると、後の方になって単語を混同してよく分からなくなってしまったりするので、常々「こんなのがあったら良いのに」と思っていたところでした。かなり良い物だと思います。
— 水毒@つつくとドス黒いナニカが染み出す (@DHMO_toxin) 2015, 11月 8
@nolimbreすごくイイですね! ただ、有限整域など一部だけ定義を提示するのであれば、定義内の言葉の定義…と、いくらでも遡れるようにしたほうがいいのかなーとも。 例) 有限整域を開く→台集合を開く→… ってな感じで。
— お嬢ちゃん (@BOTCH_an) 2015, 11月 8
@nolimbreこういうの欲しいと思っていました!電子教科書ってただただスキャンするだけじゃなくってこういう機能が欲しいですよね。
— [(2)(G)(W)(U)]sct (@mont_blank) 2015, 11月 9
@nolimbreこういう数学書があるといいなと思ってました。究極の夢としては、wiki的に読者が「誰かここ説明して」とリクエストできるといいですね。(最初見たときは、どんどんクリックするとカイジが「圧倒的単射」とかいいながら証明がどんどん長くなっていくギャグかと思いました。)
— とおろ (@tooro88) 2015, 11月 8
@nolimbre「定義や自明の事項は折りたたまれている」数学書、大変面白い試みだと思います。のらんぶるさんの試行錯誤を心から応援しております。
— 私物@春待ち研究忙殺奇譚 (@4butu) 2015, 11月 9
@nolimbre既出の命題にリンクを張るなどしてもよさそうです。
— Flying Penguin(フラペン) (@AMApicco) 2015, 11月 8
@tatuyan_edsonあー,それも確かにありですね.ありがとうございます.
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 11月 8
@nolimbre 読まさせていただきました。 非常に分かりやすいつくりをしていると感じました。 ただ、内容が体に関してだとある程度数学が好きな人のみしか好さが分からないと感じたので更にわかりやすい内容で同じ様に作成してみたらもっと食いつきがいいと思います。
— ハザマ(西高東低) (@noplan05sona03) 2015, 11月 8
何というか, 実際に雑な話してから 少しずつ突っ込む的なことをしていきたいので, それに合わせた形としてやっていけばむしろ最適なのかという感じはある.
ちょっとやってみたいことがあって, gitbook 改修してやるのも大変そうだし, まずは適当に元ファイルを変換するスクリプトを組むところから はじめるのが必要か. めんどいが, とりあえずいろいろやってはみよう.
2015-11-21 記事紹介: 『「究極の数学」は驚くほどエレガントで力強い 青木薫が味わうNHK数学ミステリー白熱教室』¶
東洋経済で『「究極の数学」は驚くほどエレガントで力強い 青木薫が味わうNHK数学ミステリー白熱教室』という青木薫さんの記事があった. 大事なコメントもあったので引用しつつコメントしたい.
11月13日(金)からNHK Eテレで放送の始まった「数学ミステリー白熱教室 ラングランス・プログラムへの招待」。イケメン教授のエドワード・フレンケル氏が、「心も頭もしびれる究極の数学」(ツイッターより)を白熱講義するこの番組は、中学数学を終了程度の知識で、現代数学のもっとも心踊るプロジェクトの神髄にふれさせようという意欲的な試みだ。
よく『美人~』というのが話題になるし, 『ガリレオ』あたりでの『イケメン物理学者』みたいなやつ, どの程度効果があるのか本当に知りたいし, イケメンかどうかはともかく適当な清潔さなどはきちんと気をつけないといけないとは 思っている.
楽譜の読めない人だって、すばらしい音楽には胸を揺さぶられる。油絵なんてただの一度も描いたことがない人だって、ゴッホの「月星夜」の前に立てば、その不思議な迫力に心を捕まれるのではないだろうか。それと同じように、数学の美しさとパワーは、きっとみんなに感じてもらえる、と彼は信じているのだ。
この辺, スポーツとかでもあるし, アニメや漫画でもそうだが, 数学ははじめから強烈なバリアーがある場合が多いので, どう一歩目を踏み出してもらえるかが鍵で, 割とつらい.
「やっぱり、フレンケルってイケメンだわぁ」ということだった。ド・アップに絶える端正な顔立ち。チャーミングな笑顔に思わず引き込まるし、手指の動きにふと目を奪われてしまう。いやあ、静止画像で見るより、動くフレンケルの方がずっと素敵だわぁ……。
こういう感想, 私には書けない.
そのためにフレンケルが持ち出したのは、ありふれたデンタルフロスだ。そして彼は、フロスを指に巻きつけていく。ぐるり、ぐるり、ぐるり、と巻きつけていくと、1回、2回、3回、と巻きの回数を定義でき、それゆえ1、2、3という自然数の概念を把握できる。そればかりが、この方法では、逆向きに巻きつけていくことにより、-1、-2、-3、という負の数の概念が、ごく自然に得られるのだ。
いまだ見ていないのだが, これは面白い.
番組の冒頭に置かれたこの「糸巻き法」のエピソードは、身近な材料を使った、誰にでもわかる、ごく簡単な話である。しかし、このエピソードはきっと、全4回の講義のなかで、通奏低音のように響き続けるのではないだろうか。そんな予感がする。
トポロジーのwinding numberだし, 後でも出てくるだろうと思ってちょろっと見てみたら, Wikipediaで正に次の記述があった.
回転数は代数トポロジーにおいて研究の基本的な対象であり、ベクトル解析、複素解析、幾何学的トポロジー、微分幾何学、弦理論を含む物理、において重要な役割を果たす。
本当に弦理論出てきた.
というのも、もしもそんなつながりがあれば(すでに証明されているものもある)、あちらの領域では超難問だったものが、こちらの領域ではエレガントに解決される、といったことが起こるのだ。そちらの領域では、どんな意味があるのかわからなかった問題が、別の領域で、やおら重要性を発揮することもある。ミステリアスなつながりの存在を明らかにし、「数学の大統一」を目指すことには、現実問題として、途方もなく大きな意義があるのだ。
ミラー対称性とか谷山-志村予想だ.
ところが20世紀の初め頃から半ばを過ぎる頃まで、両者の関係は冷めていた。物理学者は、過去の数学者の仕事から、自分の仕事に使えそうな道具を借りてくるだけ。数学者は、自然相手に苦闘している物理学者を尻目に、我が道を爆走していた。
冷めていたというのはよく聞くが, 科学史的にきちんと調べた上で実際どうなのか非常に気になっている. 実際に 1950 年代からの場の量子論界隈の動きについては 多少知っているが, その前の動きに関してはほとんど知らない.
2015-11-21 川又雄二郎伝説の検証: 学部の複素解析の講義でのエピソード¶
川又雄二郎伝説が一部検証された.
川又先生、本質をついた解説をしすぎて東大数理の学部生の複素解析の講義で一致の定理のステイトメントを「f=g」とだけ書いたり、3回で普通の複素解析の範囲を終わらせてリーマン面をかなりのところまで突っ込んでやったとかいう話、どこまで本当なのか割と真剣に知りたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 30
@phasetr聞いた限りでは桂利行先生は「彼の講演は本質をついていて非常にわかりやすい」とおっしゃっていた。リーマン面の話はリーマンロッホまでは行ったとか何とか聞いている
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 9月 30
@phasetr前者はわかりませんが後者は実際に体験しました。ちなみにその翌学期に複素解析学の続編を担当した別の先生が「これは先学期にもう習った内容でしょうけど復習しておきます」的な発言を連発されていたのも良い想い出です
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2015, 9月 30
@MarriageTheorem数学科以外の理学部の授業で川又の消滅定理を5回目あたりで証明してた記憶が。RT @phasetr川又先生、…学部生の複素解析の講義で一致の定理のステイトメントを「f=g」とだけ書いたり、3回で普通の複素解析の範囲を終わらせてリーマン面をかなり…
— {白,黒}のカピバラの左随伴右随伴 (@ainsophyao) 2015, 9月 30
貴重な情報なので記録しておきたい.
2015-11-22 教育問題の悲しみ: とある方の小二の頃の悲しい記憶¶
H_Hさんからのタレコミを受けたので.
悲しみ。相転移 P 氏 @phasetrにこの RT を見ていただきたい
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 1
次の連続ツイートだ.
あれは確か小2の頃。授業で1cm×1cmの方眼に面積が12cmの長方形を描こうという問題があって、当時のぼくは何かと目立ちたがりだったので下のようなものを描いた。 これが悲劇の始まりであった。つづく pic.twitter.com/g1I4wHntAW
— 浮名先輩 (@u_ukinaa) 2015, 9月 30
教師が誰か描けた人はいますか?と尋ねたのでぼくは満を持して手を挙げた。 教師「○○(ぼく)くんはどうやって描いたかな?」 ぼく「ななめです」 どよめく教室 教師「ななめですか、それは予想してませんでした。でもななめってよく見たら1cmじゃなくないですか?」 ぼく「えっ違…」
— 浮名先輩 (@u_ukinaa) 2015, 9月 30
教師「みなさんもななめの長さを定規で測ってみてください。1cmよりも大きくなりませんか?」 次々と測りだす生徒達。反論させる暇さえ与えない。 教師「○○くん、何cmになりました?」 ぼく「いっ……1cmより……大きいです……」 教師「そうだよね、だからななめだと大きくなるんだ」
— 浮名先輩 (@u_ukinaa) 2015, 9月 30
当時のぼくはチキンだったので、黙って座ることしかできなかった。あまりの理不尽さに泣いていたかもしれない。 今考えるとこれこそが生徒の個性を潰し画一化させる義務教育の本質だったんじゃないかって思っている
— 浮名先輩 (@u_ukinaa) 2015, 9月 30
今考えるとこれこそが生徒の個性を潰し画一化させる義務教育の本質だったんじゃないかって思っている
というのは過剰な一般化で妥当性があるのか全くわからない. この教員の能力の問題とも言えるし, 義務教育というよりも大衆による大衆に向けた教育の限界という感じもある.
教育に湯水のように金と時間をつぎ込めるのなら, メインの教員(クラス担任?)+専門の教員のような配備を していくとか色々方法はあるだろうが, 厳しいだろう.
何度かこのサイトでも取り上げているが, 個々の教員に無限の期待を載せていくのは極めて筋が悪い.
もちろん, 子供が学校であった「嫌なこと」を親なり適切な指導者なりに逐一的確に報告できるのなら いいのだが, 当然そんなことは期待できない. 【適切な指導者】ということになると, そもそも身近にいるかどうか, 身近にいたとして【利用】できるかどうかという問題すらある.
とにかく, 簡単に諦めたり他人や社会のせいにしたりせず, 私は私にできることをやっていく.
やや別件だが次のようなやり取りもあったので 一応記録しておきたい.
@H_H自分も1年生の時、方眼紙に斜めで書いたけど褒められたな〜
— Takuo Kihira (@tkihira) 2015, 10月 1
@tkihiraそれはよかったですねえ
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 1
@H_H別の話で「なぜ昼と夜があるのか」という問題の正答が「太陽が地球のまわりを回っているから」というのを「地球が太陽のまわりを回っているから」と書いてバツだったことはあります。たしかに公転ではなくて自転しているのが昼夜の存在につながっていますが、当時はひどいもんだと思いました
— Takuo Kihira (@tkihira) 2015, 10月 1
@tkihira二重にひどいですね ^^;
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 1
2015-11-23 京大RIMSの星裕一郎さんによる宇宙際 Teichmüller 空間論に関する概説が出たので¶
ついにIUTTのバイブルが出た。 https://t.co/3yAzHQAzQEpic.twitter.com/hdBLbTwyGC
— math_jin (@math_jin) 2015, 11月 21
IUTTはInter-universal Teichmüller theoryの略だ. もちろん望月新一先生の理論. 何はともあれメモしておく.
2015-11-23 ツイート紹介: 梅村浩先生『楕円関数論』の中の代数幾何的記述が面白そうなので¶
続 梅村先生の楕円関数論の教科書でも五次方程式の解の公式に触れてて、ブリング ジェラードの標準形を導く迄が現代的な代数幾何的考察に置き換わってるので読み比べると面白い。
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 2
何これ面白そう. 読んでみたい.
わけのわからないコメントと返答¶
5次方程式の冪根は存在しませんよ 誤謬の流布はやめてくださいね
どういう意味でしょうか. 引用したツイートは「五次方程式の解の公式」としか言っておらず冪根とは言っておらず, ここの五次方程式の解の公式もガロア理論的な四則と根号だけを使った公式ではなく, 許す操作を増やす話なのでは.
2015-11-26 ツイートまとめ: 『$x$の$x$乗の話』最近記事が出て $0^0$ の話題が再燃したようだがきちんと解説ページと本があるので¶
以前も呟いたのだが$0^0$に問題が再燃したっぽいので.
TLに0^0がちらほら流れてくるな。
— aki_room (@aki_room) 2015, 11月 21
@aki_roomつらいですね……
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 11月 21
@H_Hちなみに、どういう文脈なのか全く把握してないのですが、どういう文脈なんでしょうか…?
— aki_room (@aki_room) 2015, 11月 21
@aki_roomhttps://t.co/y1oarC23x7こんな記事が出たからかと
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 11月 21
@H_H@aki_roomこの記事は数学としてへんなことは言ってない気がするのですがどうでしょうか?
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 21
@hiroki_f@H_Hざっと眺めたら思ったよりもまともそうでびっくりしてるんですが、それよりも、どうしてこの記事が子育ての達人というサイトにのっているのかが気になってしまってしょうがないです。
— aki_room (@aki_room) 2015, 11月 21
@aki_room@hiroki_f@H_H専門的なところについては次のxのx乗の話に記述があります。元記事をきちんと読み込んでいないのですが、この本では最後、リーマン面レベルにまで切り込んで色々な話を展開しています https://t.co/toGsVjOj3H
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 21
@phasetr@aki_room@H_Hまとめ以下の結論はまあそうだろうなという気がしたのですが、この話は突き詰めるとlog 0 をどう定義するかという話に行き着くんですね。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 21
@hiroki_f@phasetr@aki_roomそりゃ、複素数の複素数乗を考える文脈では、x^y := exp(y log x) ですからね。真性特異点だから普通は定義しないと思います。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 11月 21
@H_H@phasetr@aki_room実数の実数乗を考える場合は、0^0 をどうするかは定義できたりするんですか?複素数の複素数乗を定義するのと状況は変わらないきがしますが。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 21
@phasetr@aki_room@H_H図書館で借りて読んでみました。これはおもしろかったです。すぐポチッとけば、800円で買えたのに…
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 25
@hiroki_f@phasetr@aki_roomこれと同一のものでしょうか? https://t.co/HnY6JZV79d
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 11月 25
@H_H@phasetr@aki_room本のほうが図が加えられたり、説明が丁寧になっていますが、基本的には同じものですね。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 25
@hiroki_f@H_H@aki_room著者は非可換代数幾何学の人で、作用素環、作用素論方面の知識もあり、本の後半の記述で実数のユニタリ表現とテイラー展開の関係的な、量子力学と表現論方面の私の趣味バリバリのコメントがあったり、内容多彩で刺激的です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 25
@phasetr@H_H@aki_roomこの本は名著ですね。前半は高校生向けに書かれているようですが、随所に示唆的な記述があり、刺激的でした。手元に置いときたい本ですね。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 11月 25
さて, 『$x$の$x$乗の話』だ.
Amazonのレビューにもある通り, お話として雰囲気を楽しむ本であって, ガチガチに読み込んでいく本ではない. 機会があればぜひ読んでみてほしい. 上にリンクがある著者のページを眺めるだけでもいいだろう.
2015-11-26 (小中高校生向け)学術系イベントの情報収集中¶
今も絶賛情報収集中だ.
@dlithttps://t.co/BEkgOQmtEl最近こんなのを始めて色々考えていてアンケートも取ったりしていますが、言語学に興味がある中高生も勿論いて、そういう情報も出したいと思っています。何処見ると(小中高校生向け)イベント情報とかわかるでしょうか?
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 23
@phasetrありがとうございます。言語学もその中に入れてもらえるととても嬉しいのですが、独立した活動が多く、あまりそういう情報が集まるところというのはない印象です…ひとまずリツイートしてみてよいでしょうか。私のフォロワーやそのつながりの中にいい方法を知っているかもしれません
— Takumi TAGAWA (@dlit) 2015, 11月 24
@dlitリツイートお願いします。何はともあれ、これからせめて各大学レベルくらいは実際にリスト化して問い合わせてみようと思っています。それなりに専門の訓練を積んだ大人でさえ自分の専門でも探しづらくてたまらないので、やはり良くないだろうと思っています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 24
鍵アカウントの方から次のサイトも教えて頂いた.
これも本サイトに転記しておこう.
2015-11-26 ツイートまとめ: 工学に役に立つ微分方程式論, どういう内容になるのか工学関係者に聞いてみたい¶
http://t.co/blLyXyffpB理学出身といっても数学でない限りどこも扱いたいして変わらないのでは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 3
これ、むしろ理学と工学で扱いがどう変わるのかを教えて欲しい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 3
「理学系のための偏微分方程式」よりも「工学系のための偏微分方程式」のほうが売り上げが上がりそうな気がします。 https://t.co/nYb4t25crf
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 10月 3
@kamo_hiroyasu本の内容というか教え方というか、何か違いが出るのか、出すべきなのかとかとにかく色々なことが気になります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 3
@phasetr「理屈はいらんから解き方だけ教えろ」圧力をひしひしと感じております。「その風潮に迎合しています」の婉曲表現として「工学系のための」が使われることがあるようです。現実の理学系・工学系とは無関係です。(一般論であって、話題の本とも無関係です、念のため)
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 10月 3
@kamo_hiroyasu解ける方程式だけ解いているのが許されるのは可積分系の数学者くらいだと思うのですが、応用勢はそのように愚劣な姿勢で大丈夫なのか本当に気になります。むしろ近似解法の地獄のような手計算やらプログラムやらやらせる方がまだ役に立つような
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 3
@phasetrというと、「じゃあ、理屈はいらんから近似解法のプログラムの書き方だけ教えろ」が返ってくるのです。#愚痴
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 10月 3
@kamo_hiroyasu「てめえが将来的に解きたい方程式にまで対応できるような方法なんて知らねえよ張り倒すぞ」というスタンスでいきましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 3
工学にとって役に立つことしたいなら, やはり工学者が引き取るしかないと思うのだが, 実際工学部ではどう教育するのだろう. それが無性に気になる.
必要なら自分でもそういう教材を作ってみたいので, 本当にぜひ教えてほしい.
2015-11-27 数学科卒であることを見抜くたった一つの質問の仕方: 巨悪のツイート紹介¶
相変わらず巨悪が悪いことを言っているので記録.
京都大学の物理の教員から以前面白い話を聞いた。京都大学の数学科のそばの喫煙所には、物理などの人々も来る。彼らを見つけるために、数学の人々は簡単な質問をすることがある。それが数学を学んで初めに読む本の中頃にあるコンパクトの定義だという。よそ者は一冊目の本を読むことすらできないのだ。
— {白,黒}のカピバラの左随伴右随伴 (@ainsophyao) 2015, 10月 3
コンパクトの定義を述べることができる人は、ほぼ数学科卒に限られると聞き試したが、確かにそうだった。なぜ難しいのを考えてみたところ、有限、無限、すべて、ある、の4つが組み合わさっているからだという結論に至った。教養学部1年生の授業でもコンパクトは教えられていたが、虐殺が起きていた。
— {白,黒}のカピバラの左随伴右随伴 (@ainsophyao) 2015, 10月 3
読めないのではなく使わないから忘れただけなのでは, という気もする.
逆に物理の人間と一発で見抜く質問とか, 化学の人間と一発で見抜く質問とか, 医歯薬理工に限らず, 大学の学科レベルくらいで各分野の専門であることを 見抜ける面白い質問みたいなのが知りたい.
2015-11-28 数学・物理関係でYouTubeに上げる動画を楽に出費を少なく撮る方法の検討¶
動画を撮るときの参考にしたい.
アナログ絵撮る時になんで家にこんなに便利な物があるのに使わなかったんだろう……私はまた一つ学習した。 pic.twitter.com/pgBbvme5il
— ボボンバ (@sikimiiii2) 2015, 10月 8
これから数学・物理関係の動画を撮ろうと思っているが, 他の人にも真似しやすい方法を探している.
今はiPadのアプリを使っている. 次のようなメリット・デメリットがある. - メリット - 書いたページを保存しつつ一気に次のページへ遷移できる. - iPad(とスタイラスペン)さえあれば追加の出費なし. - デメリット - スタイラスペンは書きづらい. - iPadがいる.
iPad(タブレット)がいるというのが 極めてハードルが高いので他にも次のような方法を検討していた.
- 紙とペンとwebカメラ
- 知人がやっていた方法.
- 導入が楽.
- 紙とペンなので書きやすい.
- 紙を大量に消費するので継続的に雑費がかかる.
- カメラの置き方を工夫する必要あり? 追加の光源も必要?
- 黒板・ホワイトボードと(web)カメラ
- 黒板だと雰囲気が出る.
- 小さい黒板(100均で売っている)だとチョークを使う関係であまり一枚に多くの字が入らない.
- 大きい黒板だと場所をとるし, 顔も入ってしまう可能性があり嫌な人はいるだろう.
- 黒板に関する初期投資とチョークの継続出費が入る.
- ホワイトボードでもいいが, ペンの継続出費がチョークより遥かに高い.
- PCとWacomなどのペンタブレット.
- 追加の雑費なし.
- iPadとスタイラスペンよりは書きやすい.
- タブレット導入のために最初にどかんと出費が出る.
- 「新たなページ」に行きたい場合に全部消すか新たなファイルを開く必要があって面倒.
このうちの【紙とペンとwebカメラ】のところにカメラとしてスマホ・タブレットを使うイメージで, さらに導入が楽になりそうだ. 光源問題は少し研究する必要がありそうだが. これ, 試してみたい.
2015-12-05 リングさんの関西すうがく徒のつどいでの講演: 楕円関数とおもしろい応用¶
つどいの講演. 原稿やTogetterへのリンクはここにある.
先日のつどいでの楕円関数に関する発表内容をスライドにまとめました◎tex打ちしていただいた某氏に圧倒的感謝! 20150922_楕円関数とおもしろい応用 #math#mathematicshttps://t.co/0j0W57AYvk@SlideShareさんから
— リング (@matsumoring) 2015, 11月 28
読みたい.
2015-12-05 掛け算・足し算問題: 子供 (人間) が持つ凄まじい一般化・抽象化能力¶
大事な話があったので.
#掛算算数関連で「みかんとりんごは別のものだから足せない」って話題があるらしい。「特賞から残念賞まで、二次会参加者に行き渡る数の景品を用意する」ってシチュエーションならディズニーペアチケットと神戸牛とルンバとうまい棒が足せるよね。脳トレ。
— kanako taniyama (@tanikan84) 2015, 11月 27
算数の難しさと数学の難しさがちょうど重なるところとして まさにこの問題があると思っている. 小学校一年で同じ個数あるものを線で結ぶみたいなことをした記憶があるがまさにそれ.
数という概念は本来めちゃくちゃに抽象的で, 上の線を結ぶことは学部 1 年の集合論でやる集合の個数の定義, 濃度への拡張と直接に繋がる. 数学の本質的なところに触れつつ, 実生活への応用でもよく出てくる凄まじい例で, とてもとても大事.
使うところなんて本当に山程あるどころか 上の例よりももっと凄い形で使う.
例えば三人兄弟におやつあげるときのこんな感じ.
おやつ 3 つあるから仲良く食べなさい. ケーキが 2 つあって, プリンが 1 つ. ケーキはショートケーキとチーズケーキがあるよ.
これ, 抽象度を凄まじいレベルで行き来している. どちらからでもいいが, 下から考えよう.
まずここにはショートケーキ, チーズケーキ, プリンと 三つのおやつがある. それぞれ違うと思っていては数としては足せない.
ここでケーキとプリンとして一般化してまとめる. そうすればケーキが 2 つ, プリンが 1 つとしてケーキに関して足し算できる.
最後, おやつとして一般化してまとめればケーキとプリンを足し算できる.
普段から大人はもちろんのこと, それを見て育つ子供も自然にこの一般化と抽象化, その上での足し算を自然にやっている.
うるさいことをいうなら(切り方のせいで)「大きなケーキ」や「小さなケーキ」もあるのに, それを無視してケーキとくくることだってある.
全く違う対象を適当に一般化・抽象化して足し引きするのは凄まじいことだ. 算数と数学が深く深く繋がっていることを示す事例でもある.
これ, 本当に凄まじい抽象化能力だと思うのだが, 何故子供も自然にできるようになるのか本当に不思議でならない. 教育学とか心理学とかの知見もあるのだろうと思っている. どんな本読むと書いてあるのだろう.
2015-12-08 (数学・物理の)読書はお金を使わないいい趣味であると書こうと思ったがネット代とPDFとか見られる端末が必要だったという話¶
昔、「ああ読書はいい趣味ですね。お金も使わないし」とぼくに言った人がいた。 ええと、平均を仮に1500円として、たとえば100冊買うといくらかな? とか大人気ない追求はもちろんしなかった。 彼に罪はない。毎月何十冊も本を買い続ける人種が存在することをただ知らないだけなのだから。
— みつき (@rich_twt) 2015, 10月 10
https://t.co/WKEoqvgV3j数学書や物理学書を買うと2000円で1年遊べる可能性もあるから、そういう読書を勧めていきたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 10
ヨハネ福音書をギリシア語原文で読むと軽く1年は遊べる(その前にギリシア語学習で3年は遊べる)。
— cogitans_sum(好褥的) (@aenigma_aka_bck) 2015, 10月 10
最後のやつ, 物理の前の数学学習でもやはり数年かかるし, 物理でも永遠に遊べるし, 英語だとPDFとかもバンバン落ちているのでPDFが読める端末があれば, ネット代くらいでかなり遊べる. 永遠にPDFが読める保証がないので, そう思うと紙への印刷も必要なのかな, という気もしてくる.
あとヨハネの福音書, ヘブライ語原文だと思っていたがギリシャ語だったのか. 原典が何語だったのか何でどう調べればいいのかすらわからなくて, 自らの情弱さを感じる.
2015-12-08 コンピュータ上で表現できる数とexactに扱える数の差異を魔法少女が教えてくれたので¶
次のようなことを呟いたら魔法少女がいろいろ教えてくれた.
コンピュータで実数が表現できない(浮動小数点だか何かで表現できない)とかその辺、適当なことを言ったら前に何かで突っ込みを受けたような記憶があるのだが、それが何だったか思い出せなくてつらい。とりあえずまずは単純にコンピュータで実数表現できないと言って何がまずいか知りたい方の市民
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 12月 7
鍵アカウントだがとりあえず引用しておく.
@phasetr 代数的数は計算機でexactに表現できて, 四則演算, 大小比較, 原理的には順序環の言葉で書かれた一階の論理式の真偽などがエフェクティヴに計算できる. 幾つかの操作がエフェクティヴにできなくてもよいなら, 計算可能数の成す体も扱える.
@phasetr その意味で「浮動小数点数のような方法では実数をexactに扱えない」「いかなる表現方式でも全ての実数を表現することはできない」は正しいが「コンピュータでは無理数などの実数をexactに扱う方法はない」は正しくない.
@phasetr 記憶領域は可算通りの状態しか取れないので, どれだけ上手い表現方法であっても実数体の可算部分しか尽くせない, という意味では全ての実数を取り扱えるような方法はない.
とりあえずきちんとメモだ.
2015-12-10 数学徒が代数弱者を人助けする様子を記録しておく¶
非常に間抜けなことを言ったら速攻指摘してもらえて助かったので, 数学徒が人助けをする様子を記録して後世に伝えていきたい.
「群(G,・)の部分集合Hが演算・について群をなすとき、Hの単位元とGの単位元は同一であることを示せ」という問題がとても好き
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 4月 7
@y_bontenGが二次正方行列でHが(1,1)要素だけの行列で積を演算にしたとき、Hは部分群になりますが単位元が(1 0 \\ 0 0) になるのでGとHの単位元は一致しないのでは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 12
@Jelly_in_a_tank@y_bonten超不安になってきたのですがGを二次の正則な行列に制限すればGとHの単位元ずらせます?
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 12
@Jelly_in_a_tank@y_bontenこれは割と死にたいレベルのミス
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 12
@Jelly_in_a_tank@phasetrモノイドにはなっているので、(1 0\\0 0)みたいな冪等元があるわけですか、なるほど。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 10月 12
@phasetr@Jelly_in_a_tank(1 0\\0 0) 自体が非正則なので、少なくともこのままではダメですね。それが一般的に不可能であることを、もとの定理が保証していると理解しています。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 10月 12
@phasetr@Jelly_in_a_tank@y_bonten正則なやつに絞るとそのHは(行列式0なので)全部弾かれますね
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2015, 10月 12
@Yusuke_Ishizuka死にたいレベルの勘違いなので死にたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 12
途中ツイートが消えていて抜けているが, $G$が群にならないだろうとか, $H$が群にならないとかそういう馬鹿みたいな指摘を受けている.
あと別のやりとりも記録しておく.
@y_bontenより一般に,環の直積 A×B の中の A×{0} や {0}×B で同様のことが言えますよね(A, B は零環でないとして).
— shu (@LT_shu) 2015, 10月 12
@y_bontenむしろ、単位的環(この場合は行列環)の部分環の単位元が全体の単位元と異なっている例として使えますね。
— のらんぶる (@nolimbre) 2015, 10月 12
岩永-佐藤の『>環と加群のホモロジー代数的理論』で環の場合の話があって, それとぐちゃぐちゃになっていた.
どれだけ代数できないのかと絶望的な気分になったが, 不勉強なのは不勉強なので仕方ない. また一つつ賢くなったと思っておこう. 群と環でまた事情がいろいろ違う話的な感じで きちんと認識しておきたい.
2015-12-11 研究者どころか修士くらいの学生であっても身元特定は簡単という話¶
今日のいい話だ.
そういえば半年ほど前、セミナーにちょっと変わった (確かミドルネームがあった) 名前の方がいらしたのが話題になったとき、その名前を手早く Google / arXiv / researchmap で検索して特定して見せたら「ネトスト力高いっすね」と言われたのを思い出した
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 13
事の本質は僕のネトスト力が高いことではなく、研究者相手なら一瞬でネトストができるということだと思います。はい。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 13
研究者は最初から、つまりM1くらいから芸名に相当するような名前を使ったほうがいいと思う。特に女性。ググればいつどこにいるか即座にわかってしまうし結構怖い。
— Aki (@astroaki) 2015, 10月 13
この流れでもう一つ面白いこと思い出しました。過去に友人の Z 君が、相転移 P 氏の正体を研究内容だけから特定したことがあります。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 13
@H_H当人いわく、「新井朝雄先生に著書の誤植訂正表を送ったというのが動画でもあったし、そうなると奴以外いるはずがない」というアレもありました
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 13
@phasetrその手の筋の者からすれば、わざわざネトストするまでもないということですね
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 14
@H_H日本どころか世界レベルでどマイナーなので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 14
最近でこそ名前も出して活動しているが, 出さなくてもほぼ筒抜けレベルの発言ばかりだったので, それはわかる人にはわかるだろう感ある.
あとまた少し別の話だが, 以前東大での田崎さんの集中講義に出て, その後の懇親会で清水研のM1の人に「相転移Pさん知ってます」と言われたこともある.
2015-12-12 (丸善の)分子模型のように数学でも遊べるやつないと思ったがチャートを貼り合わせて多様体を作るとかしか思いつかなかったのでさめざめと泣いた¶
小社では分子模型も販売させていただいています。高校・大学の有機化学、無機化学などの分野で「かたち」がわかる教材として、ご利用いただいています。全国の書店様を通じて購入可能です。ご興味のある方は下記HPをご覧になってください。(KY) http://t.co/WQ20gKAqGq
— 丸善出版営業部 (@maruzenpub) 2015, 1月 23
@maruzenpub懐かしいです。学生時代に買った記憶があります。ずいぶん以前から販売なさっていますよね?
— 結城浩 (@hyuki) 2015, 1月 23
@hyukiいつもありがとうございます。取り扱いがいつからかは分からないのですが、相当古いことは確かです。少しずつですが、新商品も出ております。引き続きよろしくお願いします。
— 丸善出版営業部 (@maruzenpub) 2015, 1月 24
化学とか物理, こういうので遊べるのが羨ましい. 数学でも手で遊べるの何かないだろうか. パソコンとかタブレット上ならそれなりにある気はするが.
チャートを貼り合わせて多様体を作るとか, そういう無茶なのを真っ先に想起したの, 本当によくない.
2015-12-13 数学科の院生が物理関係者相手に物理の部分がザルな発表をして猛烈に突っ込まれたというがもっとガンガン殴り合ってほしい¶
hiroki_fさんとSO880さんとの会話録.
数学科の院生が物理科のところに飛び込んで発表したら、物理の部分で猛烈なツッコミを受けて、「コミニュケーションが大事と言っといて、そんなに厳しくてはコミニュケーションとれないよ」と最後に言い放ったのは、そりゃそうだと思った。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 15
@hiroki_fそれどんな分野でどんな話だったのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@phasetrBose-Einstein 凝縮の話をしていたかと思います。じ詳細は忘れましたが、問題設定から間違えていたようです。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 15
@hiroki_fそれは数学の人といえど擁護できない感があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@phasetrしかし、数学の人の中には物理ガン無視の問題を作って、物理に関係ある問題といって研究をしている人は普通な気がするので、 まだ、そうやって物理の人のところに飛び込んだのは誠意があるかと思います。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 15
@hiroki_f学部の頃、固体物理の講義で内積をベクトルで割って、その結果をベクトルと言った教官もいましたし、理工系でも数学しょっちゅう馬鹿にされているので、その辺はお互い様感があります。普段は適当に対処していてもやはり目の前にわざわざ来たら互いにタコ殴りでしょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@phasetr@hiroki_fそれは物理サイドから見てもちょっと…
— SO(Drmiggy) (@SO880) 2015, 10月 15
@SO880@hiroki_f工学の教官に常微分方程式の解法で「解をこのように仮定する」の一文がないだけでいい加減だと言われて意味不明で衝撃を受けましたし、数学の人が物理や工学の文献が本当に読めなくてそれで理解が阻害されているのもあるとは思っています。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@SO880@hiroki_f結局、出会ってしまったら互いに殴り合うのが一番早く正確なコミュニケーションになると思っているのでどんどんやれと。私は私は間を埋めるようなコンテンツ色々作る方で頑張ります。今は数学寄りすぎと思いますが、少しずつ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@SO880@hiroki_f実際、昨日 https://t.co/pW7pceldkuというのがあったので改めて http://t.co/I7vQiSXsxiとか作ってみました。好き放題言ってもいいが当然こちらも好き放題言うのがやはり健全という感
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 15
@phasetr@SO880 少年漫画よろしく互いに容赦なくボコボコやりあったあと、マブダチになるのが理想ですね。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 16
ここで書いたこととしてはとりあえず
だろうか. あとは一応次のプロジェクトもだ. - 数学・物理をともに学ぶコミュニティ形成プロジェクト それぞれ地道に頑張ろう.
2015-12-14 教科書紹介: Quantum Information Meets Quantum Matter¶
「Quantum Information Meets Quantum Matter」 量子情報理論のアプローチで物性論の問題に取り組む方法についてまとめたもの http://t.co/vzFgh2pN17
— Toshihiko Shirakawa (@candidusflumen) 2015, 9月 26
気になる. とりあえずメモだ.
2015-12-15 コミケ情報: 3日目東ホ07b「石貫會」量子コンピュータについて理論的側面から解説した「Effective量子コンピュータ」¶
【#C89お知らせ】量子コンピュータについて理論的側面から解説した「Effective 量子コンピュータ」を、3日目東ホ07b「石貫會」にて頒布します。よろしくお願いします! https://t.co/2gSRxye8Xopic.twitter.com/Qn69CT4AnH
— 蟷螂@C89三日目東ホ07b (@kamakiri_ys) 2015, 12月 14
@kamakiri_ys超いい表紙ですね!Gottesman-Knillの定理(Pauli basis状態のconvex mixture)及びマジック状態が描かれている。
— Keisuke Fujii (@fgksk) 2015, 12月 14
@fgkskありがとうございます!Gottesman-Knillの定理とマジック状態には本文でも触れていて、キャラクターと関連付けて描いてもらいました。
— 蟷螂@C89三日目東ホ07b (@kamakiri_ys) 2015, 12月 14
ちょっとほしい. とりあえずメモ.
2015-12-16 『いまだに人類は微分形式を十分に使いこなしていないと思います』¶
>いまだに人類は微分形式を十分に 使いこなしていないと思います. http://t.co/ZiFMzYVZDn
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 11
引用された部分もパンチ力があるが, 最初の問とその回答もなかなか面白い.
2015-12-16 深谷賢治・斎藤恭司対談『現象との関係とか、物理として何が大事かということを見てとるのは、物理学者の一番大事な能力、その人の物理学者としての根源を作っている能力だと思うんです。』¶
物理のトレーニングをしてない数学者がこれを持つのは難しいと思う。>現象との関係とか、物理として何が大事かということを見てとるのは、物理学者の一番大事な能力、その人の物理学者としての根源を作っている能力だと思うんです。http://t.co/GB80Omxh7K
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 10月 15
逆もまた然りという感じはあるが, そもそもどのくらいそういうのが必要なのかとかそういうのになるとまた別だ.
私のような数学でも物理でもない半端者は本当につらいことだけは常に感じている.
2015-12-17 Lipschitz連続な関数と$u \in W^{1,p}_{\mathrm{loc}} (U)$のほとんどいたるところの微分可能性¶
今ちょっと微分方程式をもう少しきっちりやってみよう月間で EvansのPartial Differential Equationsを読んでいる.
流し読みして様子を見ているのだが, P.280 からの Sobolev 空間の元の可微分性の特徴づけのところで メモしておきたいことがあったのでブログにもメモをしておく.
それは P.280 Theorem 5 と P.281 Theorem 6 (Rademacher) だ. 次元 $n$ が十分大きいとき (Sobolev 不等式で決まる定数だったはず), $u \in W^{1,p}_{\mathrm{loc}} (U)$ はほとんどいたるところ微分可能であること,
特に Lipschitz 連続な関数はほとんどいたるところ微分可能であることだ.
いったんメモとして証明は書かずにおくが, そのうち動画にして証明もまとめたい.
2015-12-18 宣伝: 東大数理の動画公開『Grothendieckの学生だったIllusieさんの駒場での講演が視聴できます』¶
Grothendieckの学生だったIllusieさんの駒場での講演が視聴できます。『 Grothendieck and algebraic geometry 』 http://t.co/CSuZ0WILvI
— つぼいたかし (@Tsuboi_Takashi) 2015, 2月 26
よく算数で「たかしくん」が出てくるが, 世界でも最強レベルの「たかしくん」として著名な坪井俊先生のツイートだ.
動画はYouTubeに上がっている. こういうのも増えてきたがやはり個別の大学とかそういうレベルでしか まとまっていないのがつらいところ.
一応簡単にページから講演について引用しておこう.
Speaker Luc Illusie (Université de Paris-Sud)
Title Grothendieck and algebraic geometry
Abstract Between 1957 and 1970 Grothendieck deeply and durably transformed algebraic geometry. I will discuss some of his revolutionary contributions.
2015-12-19 Uffe Haagerupの訃報を知る方の市民: 数学, 作用素環で著名な研究者¶
衝撃の事実.
Haagerupさんお亡くなりになってたのか...
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 12月 19
@phasetrhttps://t.co/fzqBDOdjNWここで知りました
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 12月 19
AMS noticeでのPDFは次.
- http://www.ams.org/publications/journals/notices/201601/rnoti-p48.pdf
PDFでも紹介があるが, 冨田-竹崎理論での貢献はもちろん, Haagerup propertyは私ですら名前を知っているレベルの作用素環まわりの基礎という感じがある.
簡単だがとりあえず記録しておく.
2015-12-19 京大RIMS望月新一さんの宇宙際Teichmüllerの普及の2015-12での現状¶
ABC予想を証明したと主張する宇宙際タイヒミュラー理論の現状。第一線の数学者が望月新一さんのセミナーに集まったが、難しすぎてイラついているようですね。証明に理論全部はいらないとか、言葉遣いが変とか、あまりに抽象的すぎるとか… https://t.co/GlDHmORkr4
— Yuta Kashino (@yutakashino) 2015, 12月 17
@yutakashino一流の数論研究者に「なんでこんなに抽象化するのか意味不明」と言わしめるわけですか,宇宙際タイヒミュラー….
— Yuta Kashino (@yutakashino) 2015, 12月 17
数学のわけのわからなさ, どこにあるのかと考えてみるとあまりよくわからない. 抽象的だから, とか何とかいう通り一遍の説明はあるが, それはそれであるにせよ, ならそれだけか, といわれると当然他にもあるはずで.
全く考えはまとまらないがふと思ったのでとりあえずメモ.
2015-12-19 論文紹介: 関数解析を使った有界コホモロジーの研究, Matsumoto-Morita Bounded cohomology of certain groups of homeomorphisms¶
松元-森田(敬称略)のBounded cohomology of certain groups of homeomorphismsを逃避行動で最近読んだのだけど、めっちゃ面白いと思った。 函数解析を大量に使って有界コホモロジーを研究している文献。
— מורינומיציה גודזילה (@morinomichi_311) 2015, 10月 13
函数解析を勉強仕立ての学生にすごく薦めたい文献。 函数解析=微分方程式の道具、という先入観を崩すのに良い刺激になると思う。
— מורינומיציה גודזילה (@morinomichi_311) 2015, 10月 13
大雑把に説明すると、(R加群の)チェイン複体にl^1ノルムを導入してノルム空間とみなして函数解析をする話。 函数解析を使ってホモロジー代数の非自明な結果がどんどん導出されていくので、慣れてない方には刺激になるように思う。
— מורינומיציה גודזילה (@morinomichi_311) 2015, 10月 13
Bavardの双対定理の証明でHahn-Banachを使う議論は元からフォローしていた私でも、松元-森田の徹底した函数解析の活用には度肝を抜いた。 これを読むとフォローしてても自然に思えなかったBavardの双対定理の証明が自然に思えてくる。
— מורינומיציה גודזילה (@morinomichi_311) 2015, 10月 13
昨日紹介した松元-森田だけど、公式に無料入手可能らしい。 http://t.co/lBOa0ke2hp
— מורינומיציה גודזילה (@morinomichi_311) 2015, 10月 14
面白そう. 「有界コホモロジー何ぞ」とかそもそもコホモロジーよくわからないとかいろいろあるが, 興味をそそられる. 動画作るついでに勉強したい.
2015-12-23 Solovayでの解析学: 衝撃的な定理がいろいろ成り立つらしいので¶
面白そうで少しコメントしたので.
Solovayモデルの中での関数解析を調べてるんですけど、今のところ「任意の実数の集合が可測」「任意の実数の集合がBaireの性質を持つ」「任意の完備Banach空間の間の線型汎関数は連続」「可分なBanach空間に対するHahn-Banachの定理」あたりがわかっている
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
それで、関数解析とか作用素環とか確率解析とかのひとに訊きたいんですけど、選択公理が成り立たなくてもこんな結果が成り立っててくれると嬉しいなあ、みたいな定理ないですかね
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
因みに完備性を落として「可分なノルム空間に対するHahn-Banach」にするともう成り立たない
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
あ、あとL^∞* = L^1 っていうのもあった。
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
特に選択公理とか気にせずに、なんかこんな定理をよくつかうよみたいなのを教えて貰えればその弱形について考えたい感じです
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
σ-有限な測度空間 S に関しては L^1(S) が回帰的になるらしい
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
しかしとてもかなしいことに、ここまでの結果には別に Solovay のモデル必要ないんだよな……(ZF+DC+任意の集合がベールの性質 くらいの無矛盾性があれば十分で、これにはSolovayモデルの要といえる到達不能基数は不要)
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
@mr_konnHahn-Banachの定理、Baireのカテゴリー定理、Alaogluの定理、Banach–Steinhausの定理辺りリクエストします。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 16
@mr_konnヤッター(体の制約もなるべく広めにお願いします)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 17
あとこれ.
Baire Thmは完備距離空間のならDCあればいけるな
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 17
@mr_konn距離化不可能かつ局所コンパクトでない完備局所凸空間とかでどの程度言えるのか(どの程度の範囲で言えることを課しても問題がないのか)とかも少し気になります。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2015, 10月 17
あ、あとL^∞* = L^1 っていうのもあった。
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 16
これはある特定の世界を想定していて、従属選択公理は成り立つけどACは不成立で、任意の実数の集合がLebesgue可測でBaireの性質を持ち、可分なノルム空間に制限してもHahn-Banachが成り立たず、完備ならOKで、L^1が回帰的、線形なら連続、みたいな世界です。
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 17
これ割と衝撃感ある. $W^{1, \infty}$ だとどうなのだろう.
そして面白そうだったのでコメントしたのがこれ.
@mr_konn関数解析ならHahn-Banach, Banach-Steinhaus, 閉グラフ定理、アラオグルの定理などいわゆる基本定理群が成り立ってくれないと困る感はあります。作用素環だと単位元があるときの状態空間の汎弱コンパクト性とかGNS構成定理はやはりほしい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 17
@phasetrふむふむ……!ありがとうございます!
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 17
@mr_konnあと関数解析というより偏微分方程式・実解析でしょうが、ソボレフの埋め込みで領域が有界・非有界で埋め込みが連続なだけかコンパクト埋め込み(埋め込み作用素がコンパクト作用素になる)になるかというのはそれなりに実用度も高いのではないか説。AC関係あるのかわかりませんが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 17
@phasetrほうほう……!これは、通常は成り立つ性質ですか?
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 17
@mr_konn非常に基本的な性質で通常成り立つ性質です。偏微分方程式の本には必ず書いてあるはずです。「領域が非有界だとコンパクト埋め込みにはならないから注意しろ」という注意が必ずあるので、ACなしでこれが壊れるとそれなりにつらいことになるという認識
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 17
@phasetrなるほどなるほど。成り立つのか、成り立たないならどの程度条件を課すと成り立つのか、調べてみたほうがよさそうですね。どうもです!
— induction hypotheses (@mr_konn) 2015, 10月 17
すごい世界もあるものだ.
2015-12-27 Springerから本が色々無料DLできるようになったらしい: 例えばMacLane-MoerdijkのSheaves in Geometry and Logic (SGL)とMarkerのModel TheoryがSpringerのサイトからPDFダウンロードできるようになっている¶
SGL https://t.co/nIr7qJNQzF Model Theory (Marker) https://t.co/AMDlbSBBzj なるほど
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
MacLane-Moerdijk の Sheaves in Geometry and Logic (SGL)と, MarkerのModel Theoryがダウンロードできるようになっている.
他にもいろいろあるみたいなのでとりあえずツイートはっておく.
【Introduction to Cyclotomic Fields - Springer】 https://t.co/HLq3hk5WT2
— alg_d (@alg_d) 2015, 12月 27
Jech, Set Theory https://t.co/uz6TzKwWVU Kanamori, The Higher Infinite https://t.co/BAY1PWjspF
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
Kechris, Classical Descriptive Set Theory https://t.co/sPpW3M4GGQ
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
Poizat, A Course in Model Theory https://t.co/gsDbOeuMg6
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
CWM (2nd ed.) https://t.co/FQuD0qn342 Iversen, Cohomology of Sheaves https://t.co/o4dQ08CO1Q
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
GTM一覧(たぶん) https://t.co/IMCSGnki6a
— なれ (@nareO7) 2015, 12月 27
@nareO7こちらの方がいいかと https://t.co/mmAVeHPkqE
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 12月 27
いつまでダウンロードできるのかはわからないが, SGL は読んでみたいと思っていたので超嬉しい. 早速ダウンロードした. いつ読めるかは相変わらず不明なのが悲しい.
関係ないが, ありとあらゆる学問分野でマイナー分野世界一決定戦とか開いてほしい. 何で測るといいかが微妙だが, 尺度ごとの世界一が測定できるとなお楽しい.
追加情報¶
ブルブルエンジン兄貴がまとめてくれた.
そのうちお勧めをまとめたい.
追記その2¶
【超朗報】「数学者のためのロシア語」ダウンロード可能! I'm reading Russian for the Mathematician https://t.co/9pdLWbX4F5#springerlink
— のらんぶるん (@nolimbre) 2015, 12月 27
汎関数積分系統の構成的場の量子論の論文で, ロシア語の文献が引用されたことがある. 念のためダウンロードしておいた.
2015-12-29 数学アクセサリに関するやり取りメモ: 気に入って頂けているようなので¶
髪の毛を切ろうかと思ったけど、私が女子トイレで手を洗ってたときに入ってきた淑女がこちらを見るなり焦った様子で入口の標識を確認しに行く事案に本日遭遇してしまったので、切りに行く機運が下がってしまった
— ばんぬ (@sorayana123) 2015, 10月 23
@sorayana123そんなときこそ相転移Pイヤリング!
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 10月 23
@y_bontenあっ ε 持ってます!!そうかあれを装着すると女子力アップ...w
— ばんぬ (@sorayana123) 2015, 10月 23
@sorayana123あれはやっぱりショートのときに着けないともったいないですね。実際にお見かけしたとき、本当によく似合っていましたよ。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 10月 23
@y_bontenあれまぁありがとうございます...!ちょっと元気が出てきましたw 普段はアクセサリーとか全く着けないんですけど、相転移Pのイヤリングは楽しみながら抵抗なく着けられるので大事にしていますねぇ
— ばんぬ (@sorayana123) 2015, 10月 23
数学アクセサリはhttps://minne.com/phasetrにこれまでの作品を出しているので, 興味がある方は見てみてほしい. http://math-accessory.com/もあるのだが全然更新していない. これももう少し動かしたい.
2015-12-31 『殴っていいのは殴られる覚悟のある奴だけだ』: 研究者への追憶¶
研究者であるytb_at_twtさんからご指摘頂いたのでメモ.
何かよくわからないし正確な情報もわからないが、個人的に数学者は数学で世界を殴れる人で、研究者は(数学に限らず)研究そのもので世界をぶん殴れる人くらいの大雑把なイメージがある。いい加減なことを言っている異常者を殴れるだけの知力・精神力・武力があるなら数学者認定したい気持ちがある
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 24
誤:数学者は数学で世界を殴れる人で、研究者は(数学に限らず)研究そのもので世界をぶん殴れる人 正:数学者は数学に殴られ続け、研究者は(数学に限らず)研究対象に殴られ続ける人、というかサンドバック。 https://t.co/eYAVC7LEhz
— ytb (@ytb_at_twt) 2015, 10月 24
https://t.co/t8U5Dr3LNkコードギアスのルルーシュよろしく、殴っていいのは殴られる覚悟がある奴だけだ、を本歌にしたのだが、やはりきちんと明示した方が実際の現場に合うようなので深く反省している。あとでブログにも記録しておこう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 10月 24
最近研究できていないのでつらい.
2016-01-01 数学・物理でも同じことがある気がする件: 『レシピ本じゃなくて、調理用具や食材をどう選んでどう使ってどう管理すれば良いか書いてある本は無いものか』¶
レシピ本じゃなくて、調理用具や食材をどう選んでどう使ってどう管理すれば良いか書いてある本は無いものか。
— un (@dette_iu_san) 2015, 10月 24
調理師の参考書か?
— un (@dette_iu_san) 2015, 10月 24
数学・物理でも似たような話ある気がする. 工学的応用みたいな感じなのかもしれない. よくわからないが.
2016-01-02 女装とイラストレーターの関係に学ぶ数学と物理の活動展開¶
ケツ挟みスカートと乳袋大好きマンだった友人が女装に目覚めてからというものの、描くイラストの服がリアリティ溢れるものになっていき結果的にイラストレーターとしての技量が上がったため、好みはあるにせよ男性イラストレーターのみなさんは女装すべき 女装すべき
— Enbos (@Enbos) 2015, 10月 23
この話はちょっとだけ続きがあって、その後女性ファッション誌を買うようになり彼自身の女性的ファッションセンスが磨かれ様々な服装のキャラを描けるようになったらしい。 女装はメリットしかないって熱弁する彼は輝いていたよ。 https://t.co/ivHldkyGWn
— Enbos (@Enbos) 2015, 10月 23
この話, 数学や物理でも参考になると思うし, とりあえず数学アクセサリ方面ではリアルに参考になるだろう. 最近あまり買っていないが, 一時期本当にセブンティーンあたりは買っていた.
今後はアクセサリ関係も買ってみるか.
2016-01-03 tri_iroさんが小林昭七先生宅に伺ったときのいい話を勝手に記録¶
なんだかよく分からない謎の経緯により,故・小林昭七 先生宅にお邪魔して夕食をごちそうになってきた。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 10月 11
小林昭七先生の奥さん、大正生まれで90歳を越えていらっしゃるそうなんですが、非常に若々しいというか、マシンガントークで流暢に延々喋り続けるし、尋常でなくすごいですね。とりあえず、こちらは無限に相槌を打ち続けるマシーンと化していた。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 10月 11
90歳を越えても、マシンガントークで、同じ話題を繰り返さずに、最近のノーベル賞の話題など最新ニュースもしっかり仕入れて、面白いトークを出来るってそうそう出来るもんじゃないとので、見習っていきたいところです。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 10月 11
羨ましい.
小林昭七先生と言えば, 『数学まなびはじめ』の昭七先生分の感想をブログに上げたら弟でいらっしゃる久志先生から「それは知らなかった. 今, 兄の仕事を取りまとめているのでぜひ詳しく教えてほしい」との問い合わせを頂いたことがある. ブログやっててよかったと思う瞬間だった.
そういえば最近昭七先生のサイトを見ていない.
文献紹介が充実してきているっぽい.
2016-01-05 ツイート紹介: 『Kahle先生達の代数統計の続編』¶
Kahle 先生達の代数統計の続編 https://t.co/c1e9aUAXUn
— Ikegami Daisuke (@ikegami__) 2015, 10月 24
よくわからないがとりあえずメモ.
2016-01-06 『数学は何の役に立つの?』を Kindle 出版したのでぜひ買ってほしい: 買ってほしい理由は宣伝に協力してほしいから¶
また新たに本を書いた.
数学は何の役に立つの?---納得して数学を勉強するために: 年収との関係から応用の現場, モチベーションの上げ方, 今後の行動の指針まで (よくわからない数学)
ブログやらサイトやらでいつも言っていることをまとめたので, 私の言動を追いかけている方に目新しい話はないと思うが, きちんとまとめて形にした方がいいと思ったのでやってみた.
比較ということもあって, 今回は無料のキャンペーンをやらず, 値段もちょっと高めだが 500 円にしてみた.
これは先日の Springer 祭りを見ての反省に基づく. あのとき「無料だからといって落とすだけ落としても読まないだろうな」という 声があった. 私もいくつか落としたが, 読む時間が取れそうにない.
変な話, 人は無料のものに価値を感じない. ダウンロード数だけは伸びても読まれないのでは意味がないから, あえて出た直後の無料キャンペーンはやめにした.
ご覧の方はぜひ買ってほしい. これも言っておくと売れたからといって儲けなどほとんどない.
何故買ってほしいかというと, 「これを買った人はこれも買っています」的なアレをもとに Amazon からのメールで宣伝される機会が増えるからだ. 少しでも多くの人に届いてほしくて, そのために Amazon に出している. ぜひ協力してほしい.
Amazon の内容紹介に書いた内容を転記して終わる.
「数学は何の役に立つの?」 数学を苦しみながら勉強している子どもはもちろん, 大人からもよく言われます. 大学で数学を研究していたというと, 「数学なんて全然わからなかったよ」と, 東大卒の方々からも言われます.
実のところ, 似たような本はいくつかあります. ただ値段から言っても語り口からいっても, 中高生自身が探しやすいところに 買いやすい値段帯で売っている本は見つかりません. はじめの疑問に答えつつ中高生がお小遣いで気楽に買える, そんなことを目指してこの本を作りました.
またこれまでの本によくある語り口とはずらして 書くことも考えました. 数学が好きな人にありがちなのは 「数学は楽しい・美しい. だからやろう」という感じの語り口です. 数学を応用する人たち (ほとんど全ての人たち) にありがちなのは 「数学は役に立つ. だからやろう」という感じの語り口です.
これまでいろいろな人と話してきたところ, 前者はともかく後者も論外だとわかりました. 本当に数学したくない人は役に立つかどうかなんてどうでもよくて, とにかく「嫌」なのです. それを考えずに「役に立つからやろう」と言われても, 全然意味がありません.
そうしたことにも配慮しながら書きました. もっとはっきり「数学したくなら無理にしなくてもいい」とまで書いています.
もちろんなるべく興味を持ってもらえるような内容も入れています. 純粋な数学の人だと書きたがらないだろう「数学と収入の関係」も書いています. 応用に興味がある人向けに物理を中心に関係ある分野の話も書きました.
読んだあと数学に興味を持ってくれる方もいるでしょう. そうした方がすぐに次の行動に移れるよう, アクションプランもいくつか提案しています. 購入者特典として, 私が早稲田・東大で学んできた勉強法をまとめたコンテンツをつけてもいます.
読んで「いい話を聞いた」で終わってほしくなくて, 数学をするにしろしないにしろ, 読んで得た知識を活かして 行動に移し, 結果を出してほしいと思っています. ぜひ読んで終わるのではなく, 読んでからあなたの行動を加速させていってください.
2016-01-07 ツイート紹介: H. Hosakaさんによるコホモロジー解説¶
H. Hosakaさんによるコホモロジー解説というtogetterがあったのでメモ. 今回はそれだけ. 『コホモロジーのこころ』, いまだにきちんと理解しきれていないのでその辺を読みたい. 多変数関数論もやりたい. やりたいことばかりたまっていくの, 本当につらい.
2016-01-08 四元数に関するSkypeやりとりの記録¶
四元数に関してちょっとSkypeでやりとりしたのでその記録. 多分にプライベートな部分もあるSkypeでのやりとりなので, 適当に編集して内容にフォーカスした形にする.
四元数の動画講義需要あるの, 的な話からはじまって, 意外とその周辺の人のポジショントークっぽくないか, 必修にするほど重要ではないだろうとかいう話.
ついでに他の話もメモ代わりに入れておく.
次の自動ツイートまわりの話だ.
http://t.co/zEVRFi6RKF【動画制作メモ: 四元数は制御系で需要があるらしい】相転移プロダクション
— 相転移 P (市民) (@phasetr) 2015, 10 月 19
四元数からの幾何, 解析力学¶
- 四元数は数学出来ない知人のプログラマー界隈が全員知ってたレベルにメジャーなものではありそう
- 3D でよく使うらしい.
- 行列だと特異点周りの挙動がめんどいのが楽に書けて嬉しいとか何とか.
- 特異点とは
- http://www015.upp.so-net.ne.jp/notgeld/quaternion.html
- オイラー角を使うと極での振る舞いが鬱陶しいとかそんな感じのアレ
- ロールピッチヨーはよく聞く
- ジンバルロックが起きないのは変数のとりかた (軸方向と回転角) が賢いからでは.
- 行列でも同じ変数で記述すれば問題は起きないのでは?
- ちゃんと考えていないがジンバルロックが起きるのは角度の取り方をオイラー角で固定しているのが問題のはず.
- 本格的な幾何学, 多様体論よろしく適切に座標 (角度の取り方) を考えれば普通の行列でも全く問題ないはずで,
- 極近くでの振る舞いのロジック (極近くでは角度の取り方を変える) をきちんと組もうと思うとバグの温床にもなるでしょうしかなり面倒っぽい.
- その辺の面倒な考察なしにすっきり書けるのが四元数の有り難みではなかろうか.
- 変数のとりかたが問題なら, 四元数はあくまでテクニックに過ぎないので制御系の人にとっても重要ではないのかなとか思うなど
- 純粋にプログラムとして 3 次正方行列より四元数のほうが占有するメモリ少なそう
- プログラムに入れる上では四元数のほうが良さそう
- http://tinyurl.com/otmyox5
- 【今, 3D モデルやロボット工学で必要な数学なのですが, 各大学で教えていません.】
- これを見てモニョモニョした.
- 何かというとテクニック的なものより, 制御系だったらラプラス変換とか線形代数みたいな理解しておかないとコード書く書かない以前の (制御の問題自体に深く関わる) 数学がある
- そういう意味で四元数はカリキュラムからオミットされているのではないかと
- 「マトラボにおまかせできる」内容に属しているのではないか
- そういう観点があったのか
- 勉強したことないのでアレだが, わざわざレクチャー必要なほど内容があってつらい話なのかという感じもする
- 制御系だと四元数では足りないのでは
- 足りないというのはどういう意味?
- 次元が足りない
- 剛体一個なら十分.
- 剛体 n 個を「つなぎ合わせた」系だと多分足りない.
- 学生当時拘束付の 6n 次元系で計算してたような覚えあり.
- 発言元の人のポジショントーク的なアレの可能性が示唆されつつある
- あと剛体だと二次系 (x'' = ax' + bx) なので, 行列式にすると各々「速度 + 位置」がパラメータになる
- 解析力学きちんとやった方がよほど役に立つのではないか説だ
- 自分の身の回りだと, 制御系は「非線形」とか「区分的線型」とか「非ホロノミック」とかが数学的にホットなトピックだった.
- 拘束系の力学は量子重力とかその辺でも必要とか何とか聞いた遠い記憶
- 四元数はかなり使い方が限定された (特定の場合は有用な) ツールであると思っている.
- 大学でもそう見られているなら大学で教える優先度は下がる
- そういうのも補完していくというスタンスならテーマとしてとりあげる意味もあるだろう
- もともと物理っぽいところしかカバーできないので, 今の所工学ゴリゴリっぽそうなところは優先度低い
- 工学でもツール以上の意味をもつ数学 (鶏卵さんは微分幾何がそうだと言っていましたが) を狙っていくのが多分相転位 P 的に狙っているところに近いのでは
- 非ホロノミックとかそうなのかな? と思ったり
- 非ホロノミック系にしても区分的線型系にしてもそっち方向な気がする.
- 古典制御系 (+ 初歩の現代制御系) だと, 「とりあえず線形 + ノイズに近似して考えれば何とかなるんじゃね」がまかり通っている () ので
- まかり通っている=実用的
- しかしながら, (多分計算機の進歩に伴って), 倒立振子制御などの古典的なヤツについても, 「非線形」なる線形で近似しないアプローチが有力となってきた
- 数学力が問われる世界になりましたという歴史.
- 微分幾何の「安定論」とか「多様体論」とかがベースのアプローチ.
- 山本義隆・中村孔一の解析力学の本に「力学系」として非線形動力学の話が紹介されている.
- 学部 2 年くらいで初めて読んだとき, 何から何までわからなくてつらかった遠い記憶
- いっそ解析力学を幾何の復習も兼ねてきちんとやるか熱の高まりを感じる
量子力学関係の動画作りたい¶
- 専門家から量子力学・量子情報とかの文献を教えてもらったので勉強して動画作る
ニコナレ¶
- http://niconare.nicovideo.jp/
- 使い道はありそう
- 容量どのくらいあげられるのかが肝っぽい印象
2016-01-11 大学院生YouTuber: arXivの論文レビュー動画とか作ろう¶
https://t.co/j1xg32dsN1arxiv の論文レビュー動画とか割と楽しそう。真剣に検討しよう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 9
@phasetrこれは割と真面目に面白そうですね
— H. Hosaka (@H_H) 2016, 1月 9
@H_Hやはりそう思いますか。できる範囲で検討して実行していこうと思っています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 9
ちょっとテストとして近いうちに一つはやってみる予定だ.
2016-01-11 2016-01新刊: 戸田幸伸 『連接層の導来圏に関わる諸問題』 数学書房 シリーズ 問題・予想・原理の数学¶
新シリーズ刊行のご案内 [問題・予想・原理の数学] 加藤文元・野海正俊編 第1巻は、 『連接層の導来圏に関わる諸問題』戸田幸伸著 A5判・288頁・3000円(税別) です。1月25日取次搬入予定。 小社、創業10周年記念です。 どうぞよろしくお願いします。
— 数学書房 (@sugakushobo) 2016, 1月 8
何これ楽しそう. 読みたい. シリーズ名がまたいい.
2016-01-11 小澤徹先生の文章集がなかなか面白かったので¶
早稲田にいる非線型偏微分方程式がご専門の小澤徹先生の方だ. 今RIMSにいる小澤登高さんではない. ちなみに次のページ.
まず中西賢次氏の日本学術振興会賞受賞を祝うから.
最近ではW. Schlagとの共同研究によって、非線型シュレディンガー方程式や非線型クライン・ゴルドン方程式の基底状態の近傍の初期データのクラスを 9 つに完全分類し、対応する解が、正負の時刻で「散乱」「爆発」「基底状態近傍内の閉じ込め」の三種類の何れも実現し得る事を証明した。これは実に画期的な成果であり、「非線型波動方程式」と称する分野に於いて、数学が物理を真に超越した事を示す金字塔である。その一部は Kenji Nakanishi and Wilhelm Schlag "Invariant Manifolds and Dispersive Hamiltonian Evolution Equation" として European Mathematical Society から出版されている。
【数学が物理を真に超越した事を示す金字塔である】というのが気になる. 本当に不勉強で知らないのだが, 非線型 Klein-Gordon は物理のどんなところで出てくるのだろう. 線型の Klein-Gordon はもちろん相対論的量子力学の基本的な方程式だが.
次は2015年度日本数学会解析学賞授賞報告から.
竹村彰通氏は,統計的多変量解析についてこれまで多くの研究を行ってきた.近年は計算代数統計という新しい分野において,グレブナー基底に基づく計算代数手法の統計学への応用研究に著しい業績をあげてきた.特に,D加群の理論に基づくホロノミック勾配法の提唱は,統計学における標本分布論の新たな手法として特筆すべきものである.
代数統計は @tmaehara さんのツイートや RT で見かけたことがあるから名前くらいは知っていたが, まさか D 加群が統計学に使われているとは思いもよらなかったので衝撃を受けた. 本当, 何がどこで出てくるかわかったものではない.
今回の最後は2013年度物理学及応用物理学専攻修士課程ガイダンス大学院担任挨拶.
私も皆様に「次の並木美喜雄は、次の田崎秀一は誰かね?」と問いかけ、ご挨拶と致します。
並木先生はご縁がなくお会いしたことがないが, 田崎 (もちろん秀一. 学習院の田崎さんではない) 先生は, 熱力学と統計力学を教わった先生であり, 私も微妙に絡んでいないこともない (少なくとも非平衡統計の数理物理の論文くらいは読んだことある) 分野, 非平衡統計をリードする研究者で 極めて優秀だったのに若くして (といっても 50 代だが) 亡くなってしまった. 見た瞬間「あー」という何とも言えない感じになった. 悲しい.
今日からまた数学と物理をがんばろう.
2016-01-15 サイト紹介: 手書きでTeXコマンドをサジェストしてくれるサイト http://detexify.kirelabs.org/classify.html¶
「LaTeXであの記号を出したいのにコマンドが分からない!」ってときに使える、出したい記号の絵を描くとコマンドをサジェストしてくれるサイトを知ったので皆さんにもお教えします https://t.co/HUv5k9YiZH
— Sangyoh (@Sangyoh_sus) 2015, 11月 3
@Sangyoh_susアプリもあるよ
— け (@ke_math) 2015, 11月 3
@ke_math便利ですね
— Sangyoh (@Sangyoh_sus) 2015, 11月 3
@Sangyoh_sus(今は知らないけど)パッケージを読み込まないと使えない記号にはあまり対応してないのが残念
— け (@ke_math) 2015, 11月 3
@ke_mathぱっと見た感じそれなりに対応しているように見えましたがよく分からないです(どちらにせよ私の知識よりは強そうなので近似的に問題無さそう)
— Sangyoh (@Sangyoh_sus) 2015, 11月 3
@Sangyoh_susなるほどー進歩していたのですね(そのアプリを見つけたのは4年くらい前)
— け (@ke_math) 2015, 11月 3
参考にしたい.
$SO(n)$の連結性を示すお手軽な方法は何?¶
SO(n) の連結性を示すお手軽な方法って、何があるだろう?
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 29
@H_Hまず、GL^+(n) の点が {1⊕g | g∈GL^+(n-1) } の点に結べることをいう(まず、どんな GL^+(n) の点も基本変形のホモトピーにより 1⊕g or (-1)⊕(-g), g∈GL^+(n-1) の形の点に結べる。後者の場合は半回転する。)
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@H_Hこうして帰納法で GL^+(n) が弧状連結であることをいい、最後にグラム・シュミットの連続性を使って path を SO(n) に落とし、SO(n) も弧状連結とわかる。…って、手軽じゃないですね(笑)
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@H_H(-g) は (-1)^{n-1}(g) に直してください
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@yamyam_topoああーなるほど。基本変形のホモトピーで先に GL+ の中で path 作っちゃうんですね。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 29
@yamyam_topo…と思ったのですが、「det > 0 ならば、基本変形で行列を表すときに置換行列を使わずに済む」ってそんな簡単に示せます? ( ´・ω・`)
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 29
@H_H第1行に非零成分があることから、第1行を (1,0,..,0) にするのは「ある列の c 倍を別の列に足す」変形の繰り返しでできます。(c を 0 から望みの値まで変化させると道ができる)。そのあと第1列を掃き出すのも同様で、結局 1⊕g の形になります。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@H_H(-1)⊕[(-1)^{n-1} g] は不要だった気がしました。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@yamyam_topo確かに。ありがとうございます。
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 29
@H_H予備知識少なめで頑張ってみましたがグラム・シュミットのこのような使い方がどれだけ初等的といえるかは分かりません。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2015, 10月 29
@H_H縦ベクトルの基底1本1本を標準基底に回転で移動させてけばパスつくれるんでない
— monae (@monae) 2015, 10月 29
@monaeやっぱ地道にそうやって path 作るのが簡単かねえ
— H. Hosaka (@H_H) 2015, 10月 29
あまりよくわかっていないがとりあえず記録.
「わたしはついにモース理論がわかりました」:かの有名なWitten・SmaleのBottへの言葉¶
前にも紹介した記憶があるが, 改めて記事を抜き出し, 引用しておく. 橋本義武さんの回想録みたいなやつ. 元記事はこれ.
まず Bott への Witten・Smale の有名な言葉, 「わたしはついにモース理論がわかりました」
4.印度土産
さて,ADHM とほぼ同時に物理学者の方でも BPST の一人 Schwartz が同様の結果に達していたらしい.Atiyah は物理学者の世界の競争の激しさにとまどいながらも,今自分がおかれている状況にかつてないスリルをおぼえていた.
ちょうどそのころ,そんな Atiyah たちをよそに,所は変わってインドのタタ研究所,木陰にデスクを出してもらってのんびり海をながめる毎日を送りながら,一人の数学者が sabbatical year を満喫していた.われらが Bott 先生である.愉快なインド滞在を終えた Bott はオクスフォードに盟友 Atiyah をたずねた. Bott はこのときのことをふりかえって,「Atiyah はすっかり舞い上がっていて "mathematical high" の状態だったんだ」と述懐している.どうやら知らぬ間に大きな事件がおこっていたらしい.ところが,興奮しながらインスタントンの説明をまくしたてる Atiyah の声が,インドで聞いたリーマン面上の正則ベクトル束のモジュライの謎を語るバラモンの数学者 Ramanan の静かな声に不思議と響きあうのであった.こうして Atiyah-Bott のリーマン面上の Yang-Mills ゲージ理論が生まれる.それは,Bott が若いときから追い求めてきたモース理論の新局面を切り開くものであった.
Bott は各地の物理学者たちの前で,Atiyah と彼とのゲージ理論について講演して回ったのだが,その反応は熱いものではなかった.しかしそんな中にあって一人の男が鷹のように Bott のことばを追ってきた.Witten である.彼は Bott の講演から,後に言う Witten のモース理論を着想する.後日,Bott は彼から一通の手紙を受けとる.そこには,「Bott 先生,わたしはついにモース理論がわかりました!」と記されていた.それは奇しくも,かつての弟子 Smale が直伝のモース理論にさらに磨きをかけついに高次元ポアンカレ予想を解決したときに Bott に告げたのと同じことばだったという.
【Atiyahの子どもたち】というのがなかなかツボなのでこちらも.
5.あれでもなくこれでもなく
DonaldsonやKirwanといった"Atiyahの子どもたち"は, Bottの来訪を毎回サンタを待つように楽しみにしていたという. Donaldsonの論文"An application of gauge theory to four dimensional topology"の題がBottの若い頃の論文の題と似ているところに,そのあたりの雰囲気が表れているように思う.Donaldson のこの論文は,ADHM とも Atiyah-Bott とも違う道を切り開くものであった.すぐ近くで誕生した ADHM も Atiyah-Bott も深い理論であり,また当時できたばかりだからやることはたくさんあったはずである.事実 Donaldson はそれぞれに関連する仕事もしている.しかし彼は,それとは別に 4 次元トポロジーへの応用という思いもよらぬ方向へと一歩を踏み出した.彼の理論は,Rochlin の定理しかなかった 4 次元トポロジーの状況を打開しただけでなく,異種 4 次元ユークリッド空間という存在をわれわれに示してくれた.こんなものがあると知っただけでも数学を勉強した甲斐があったというものではないか.Witten はこう言っている,「Donaldson 理論は時空の幾何を理解する鍵である.」
2016-01-18 奈良女子大の鴨さん筋の情報:数IIIなしでも大学初年次相当の線型代数と微積分に対応できるという現場からの報告¶
線形代数と微積分を(最悪、一方でも)どの程度まで高校でやっておくかで、大学に入ってからの進路選択に幅が出ると思う。正直、現行の教育課程のままだと、大学進学後の負荷がでかく指導側も受講側も辛い。結果、学生が学業を放棄しかねない。今後の国を担う学生を育てる点でも現行課程は微妙と思う。
— ちゃーりー・やまざきさん (@tkp034_803ki) 2015, 11月 2
現行の高校の数学IIIはとばして大学初年次相当の線形代数と微分積分を学ぶことが可能であることは、うちの学部のカリキュラムで実証されています。入試に数学IIIはありませんが、初年次の線形代数と微積分の講義に支障はありません。 https://t.co/KLsOB5dJkC
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 11月 2
@kamo_hiroyasu現場のご意見をいただけるのは、とても有難いです。有難うございます。
— ちゃーりー・やまざきさん (@tkp034_803ki) 2015, 11月 2
@kamo_hiroyasu同意見です。先生の危惧される通り、現状、上位クラスの学生でも本当にあやしいです。現状、担当科目の関係でなかなか触れられないのですが、プリント配布してでも目の届く範囲の全員に何とかしたい。
— ちゃーりー・やまざきさん (@tkp034_803ki) 2015, 11月 2
む、と思って数学Ⅰ(東京書籍)の教科書を眺めました。た、確かに扱いが小さいぃぃっっ!ところで、もし「勝手に進む高校生」にお勧めできそうな教科書などありましたら、教えて頂けますと幸いです。 QT @kamo_hiroyasuもっと体系的に… @tkp034_803ki
— ホセヲ ʞzsɾʎ (@yjszk) 2015, 11月 3
好みの問題はありますが、「大数」の増刊としてでた「数学を決める論証力」という参考書があります。ご参考となれば幸いです。 https://t.co/YBqGIEwL8q @yjszk@kamo_hiroyasu
— ちゃーりー・やまざきさん (@tkp034_803ki) 2015, 11月 3
む!、大学入試問題から構成したもの、と。おもしろそうですね。ご紹介、ありがとうございます。書店で手に取ってチラ見するwつもりでス。 QT @tkp034_803ki「大数」の増刊としてでた「数学を決める論証力」 @kamo_hiroyasu
— ホセヲ ʞzsɾʎ (@yjszk) 2015, 11月 3
@yjszk@tkp034_803ki 『論理と集合から始める数学の基礎』(嘉田勝 著、日本評論社 刊)が定番になりかけています。その界隈(どこ?)では嘉田本で通じます。 https://t.co/Ja7flYbwHa
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 11月 3
ご紹介ありがとうございます! QT @kamo_hiroyasu『論理と集合から始める数学の基礎』(嘉田勝 著、日本評論社 刊) @tkp034_803ki
— ホセヲ ʞzsɾʎ (@yjszk) 2015, 11月 3
逆にいえば、そこそこ優秀な高校生は数学IIIなんか無視して、大学初年次の線形代数と微分積分の教科書を買ってきて勝手に学ぶことも可能です。それで入試で困ることもありませんし。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 11月 2
嘉田さんの本これか.
やはり買うか.
2016-01-21 スペクトルが内点を含む非正規作用素の例, その他にもちょっとした作用素とスペクトルの例¶
あとでhttps://github.com/phasetr/math-textbookにまとめるが, とりあえずツイートメモ.
正規じゃないオペレーターでスペクトラムが内点を含むもの
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 11月 6
@f_tangentよく知ってる作用素から探すと難しいけど行列表示で考えればいくらでもある気がした
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 11月 6
@f_tangent場の理論の消滅作用素は複素平面全体が点スペクトルで、生成作用素は複素平面全体がスペクトルです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 6
@f_tangent消滅作用素と生成作用素は互いに共役で、正準交換関係があるので非正規です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 6
@phasetr非有界とかちょっと..
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 11月 6
@f_tangentきちんと考えていないのですが、CAR(反正準交換関係、生成・消滅が有界になる、作用素環でも基本的で結構大事なはず)だと有界な例作れないでしょうか。ちなみにCCRでの証明は「量子数理物理学における汎関数積分法」のP224に書いてあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 6
@phasetrあまり知らないので考えてみます(?)
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 11月 6
@f_tangentていうか片側シフトのスペクトルがボールやんけアホか
— たんじぇ (@f_tangent) 2015, 11月 6
こういう例も愚直に収集していきたい.
あと内点を含まない作用素の例としてはコンパクト作用素がある. 原点が集積点である以外, 全て離散的で縮退度有限な固有値になっている. コンパクトなRiemann多様体上のLaplacianもこういう性質を持つ. 量子力学で出てくるような例は大概が非有界で自己共役だが 大雑把に言って連続スペクトル部分で内点を持つ.
2016-01-25 ツイートメモ: かつての東大後期の問題はめちゃくちゃ心が踊ったしそういうことをしなければいけないのかという回想録+決意¶
MarriageTheoremさんと心温まる会話をしたので.
試験科目:全て と事前宣告して、問題文が全部英語だけど内容は物理の問題で、しかも数学IIIC範囲の内容が必要で… みたいになんでもありな試験を受けてみたかった(?)
— あっきー@73.7kg (@ac_k_y) 2015, 11月 15
https://t.co/RyK2csy50L自分が受験生だったときは、今は亡き後期日程で数学色の濃い物理の問題を解いた記憶がある(ロボットアームで物を放り投げるとかそんな話だった気が)。さすがに問題文は日本語だったけど
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2015, 11月 15
@MarriageTheorem私も後期対策でそういうのをかじったことがあります。今から思うと本当におもちゃで、こんな問題,解く以上に作る方が大変だと思いますが、何か大学だとこんな面白そうなことやるのか、とめちゃくちゃワクワクさせられた記憶があります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 15
@phasetr私もあの試験は受けていてとても楽しかったですね。これを解けなかったら進路が、とか忘れてとにかく楽しんでいた記憶が強いです。
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2015, 11月 15
@MarriageTheoremああいう問題を作れる東大の教官、やはり優秀ですし、こういう問題を作ると受験生が喜ぶはずだし、何より昔の自分も楽しんだだろうという感じで同族への愛が溢れている感満載で、東大行きたいなと思わされる問題でした
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 11月 15
@phasetr私もああいう意味で「楽しい」問題を作れるようにありたいものです(今は出題する機会がそもそもないですが)
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2015, 11月 15
私がするべきこともやはりこの辺なのかと再確認した. 地道に頑張ろう.
2016-01-30 記事紹介, 学習の喜びとは: Paul Lockhart, A mathematician's lament¶
私の実感に合うことを書いている方がいらっしゃるようで, さらにJunInoueさんそれを適当につまんで解説してくれていたので まとめておく.
メルマガに書くというモチベーションで, あとできちんと読んでまとめたい.
#掛算に続いて #足算で狂った教科書会社の妄言に湧くTLですが、たまにはまともな事言ってるもの読みたい人は "A Mathematician's Lament" をクリック! https://t.co/hAOFNRQQX2
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
"A Mathematician's Lament" https://t.co/hAOFNRQQX2 ユーモアたっぷりに如何に現行数学教育が数学をつまらなくしてるかを批判したエッセイ。勿論解決策は示せてないんだけど、#掛算順序みたいな問題をある意味新鮮な切り口でバッサリ行く。
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
https://t.co/hAOFNRQQX2 要約すると ・数学は音楽やお絵かきのように娯楽性がある創造的で想像的な活動なので、そのように教えるべき。 ・数学は胡散な実用性なんか口実にしなくても面白い。 ・楽器も弾けない音楽教師がいないように、せめて数学できる数学教師クレ
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
何より「子供に数学を売り込むには『実用性』を口実にする必要なんかない、むしろ逆効果」というのが一周回って新鮮。子供に勉強に興味を持ってもらう為に将来の実用性をアピールする、なんて愚の骨頂。明らかに役立つ家庭科や保健も全然興味持ってもらえてないもの。
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
そもそもこのエッセイ、名言多すぎるんですよ。 "A Mathematician's Lament" https://t.co/hAOFNRQQX2
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
数学とは説明付けのアートだ。生徒がこのアートに没頭する機会―自分で問題を見つけ、仮説を立て、発見し、誤り、もどかしい思いをし、着想を得て自分の説明や証明を作る機会―を奪うことは数学そのものを奪うことだ。 pic.twitter.com/NzQKaNs8Ep
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
社会の構成員に公式や図形のぼんやりした記憶と、それらに対する明確な憎悪の記憶を植え付けておくのが何か社会にとって良い事だとは思えないね。 pic.twitter.com/4VyrfdgDuZ
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
大体、本当に子供達が人生に役立つものを求めてると思うのかい?複利計算みたいな実用的な計算なら喜ぶとでも?皆ファンタジーを楽しむものなんだよ。そしてそれはまさしく数学が提供してくれるものだ。 pic.twitter.com/czMsZBY3KJ
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
[式を詰め込もうとナンセンスなお話を仕立てるより]本当の「物語」を教えるのはどうだろう?人類が曲線の測定に奮闘する、エウドクソスとアルキメデスと取り尽くし法の、πの超越性の物語。人類史上最も美しく強力なアイディアの一つの物語だ。 pic.twitter.com/FIBw1XJSeU
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
楽器も弾けず、音楽を聞きもしない人に音楽を習うか?鉛筆を握った事も美術館に行った事もない美術教師は?どうして数学教師が独自に数学的発見を成したこともなく、数学の歴史も哲学も動向も知らず、不運な生徒に伝える内容しか知らなくていいだろう pic.twitter.com/9gRBq3ren0
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
教えるということは情報を伝えることじゃない。生徒と誠実な知的関係を結ぶことだ。 pic.twitter.com/o0Bj05canX
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
役所で書類を書くには読み書きが必要だけど、読み書きを教える理由はそれじゃない。[…]小学生に確定申告を書かせて読み書きを教えるのは残酷なばかりか、無理だ。人が学ぶのは、今現在興味が沸くからで、そのうち役に立つかも知れないからじゃない pic.twitter.com/0eKp4PVp71
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
「梯子神話」―数学は徐々に「高度」になっていく「単元」というまっすぐ一本道に並んだ段に集約できるという考え。学校数学を、段を登る速さを競う競争にする効果を持つ。 pic.twitter.com/B6q3ECgJ8l
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
#掛算順序問題そのものに近いのも。 [算術の基礎を教えるというのが]5が7つある事と7が5つある事が同じだという、全く自明でない事実を掘り下げるという意味なら賛成だ。[でも]5×7=7×5という規則を教えこむという意味ならダメだ。 pic.twitter.com/gAppSBuX1M
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
数学で形式的証明が必要な場面は勿論ある。でも生徒が初めて数学的論証に触れる場面はそれに含まれない。[…]厳密な証明が重要になるのは何かの危機—パラドックスが起きた時だ。[…]自明な事実の証明ほど意味不明なものはない。 pic.twitter.com/3e19NJuEXx
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
子供の「せんせー、この○○って役に立つんですかー?」の真意は「役に立つなら興味持つよ」じゃなくて「この授業クソつまらないんだけど、私がこの拷問に掛けられてるのはせめて何かの役に立つからなんだよね?」なので、正しい対応は実用性をでっち上げることでなく、面白みを伝える工夫をする事。
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
#掛算が炎上する理由も突き詰めるとこれだと思う。だって必要な答えを出す上で関係ない順序に気を払うなんて「つまらない」のだ。そりゃ皆ゲームにうつつも抜かすさ。溢れる娯楽に対抗する魅力を出してかないといけないのに、何冷や水掛けて満足げにしてんのっていう。
— Jun Inoue (@jun0inoue) 2015, 11月 18
2016-01-31 圏論との付き合い方: infinitytopos.wordpress.com の記事と関連ツイート紹介¶
http://infinitytopos.wordpress.comは前も紹介した気はするが, ぴあのんさんのツイートが改めて発掘されたので.
「圏論ってなんか便利らしいし勉強しようかな」とか「圏論どこまで深入りすればいいかわからん」という数学徒はこれを読みましょう。 自分の圏論に対するスタンスを考えるいい材料になります。 https://t.co/DDuTxrY4c1 https://t.co/MFSV6qRehI
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 5月 2
Awodey本についてはあまり書いてないので補足しておくと、内容的にはどの分野でも使われる圏論の最小限の知識が書かれていると思ってください。証明は丁寧かつ初等的な具体例が豊富ですが、これ一冊では圏論が使えるようにはなりません。自分の専門に合わせてさらなる勉強が必要です。
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 11月 22
Awodey本の後に何を読むか:代数や幾何に使うならまずアーベル圏でしょう。計算機科学の人ならモナドと代数でしょうか。トポスは数論幾何やロジックの人向けですかね。ここでは「言葉として」圏論を使うライトユーザーしか想定してません。ヘビーに使う人はもっといろんな圏論を使います。
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 11月 22
現状, 私は仮に使うとしてもライトユーザーなので, Awodeyくらいでいいのだろう感がある. いっそ『コホモロジーのこころ』くらいでいいだろう感もある. 小嶋先生の論文を読めるくらいの圏論がどの程度なのかよくわかっていないが.
あとこんなツイートも.
凄く正直な感想としてAwodeyは内容が少なすぎて読む必要性を感じたことがない。内容も平易だし数学の知識もあまり要らないし、真面目に読めば数週間で読めるもんじゃないんですか。
— β(モチコホ) (@moticohomology) 2015, 11月 22
個人的にはやはりホモロジー代数とかから圏論に入るのが正統派だと思うし、そうしてればCWMとかも別に基本的にすいすい読める本だと思うんですよね。(当たり前でしょみたいな事柄をちゃんと書いただけというか。) 数学を勉強せずに圏論だけ学ぼうとするから大変なのであって。
— β(モチコホ) (@moticohomology) 2015, 11月 22
例えば「Hom関手Hom(c,-)がexactな対象cを射影対象と呼ぶ」とか見て「ああ射影加群の事ね」くらいは流石に分からないと厳しいものがあるというか、その状態でアーベル圏の議論が「わかった」と言われても少し疑問なのは否めない。
— β(モチコホ) (@moticohomology) 2015, 11月 22
MacLaneのCWMがよく分からないという人は、MacLaneのHomologyとか読んでみたらどうですかね。いわゆる60-70年代のホモロジー代数に由来を持つ圏論への入門としてはかなり好きな本ですね。Cartan-Eilenbergとかも。
— β(モチコホ) (@moticohomology) 2015, 11月 22
もちろんある程度数学やってる人ならCWMでも全然入門できるし、そんなに数学知らなくてもCWMをきっかけにいろいろ勉強できるのならばなんの問題もないですよね。
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 11月 22
要はAwodey本はまだ数学書の読み方にあまり慣れていない人向けってことです。 あと、私はAwodey本で圏論に入門したのですが、当時は普遍性の具体例に馴染みがなかったのでそこの理解には一定の時間を要しました。
— ぴあのん (@piano2683) 2015, 11月 22
2016-02-04 論文メモ: Yasuyuki Kawahigashi, A remark on gapped domain walls between topological phases¶
気になる.
作用素環の河東先生が先月物性理論の論文を書いていたことを知った: http://t.co/U7W7h4QwJE
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2015, 5月 8
論文タイトルは『A remark on gapped domain walls between topological phases』. 概要は次の通り.
We give a mathematical definition of a gapped domain wall between topological phases and a gapped boundary of a topological phase. We then provide answers to some recent questions studied by Lan, Wang and Wen in condensed matter physics based on works of Davydov, M\"uger, Nikshych and Ostrik. In particular, we identify their tunneling matrix and a coupling matrix of Rehren, and show that their conjecture does not hold.
これ, 後で読もう. ついでにメルマガとかでも配信しよう.
2016-02-12 可積分系で著名な廣田良吾先生の訃報¶
今さらだが, メールを掘り返していたら見つけたので.
廣田良吾先生の訃報を受けました。御冥福をお祈り致します。
— takey_y (@takey_y) 2015, 1月 24
@takey_y確か、一昨年夏にはまだまだ研究者として現役で、お元気そうでしたが…
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2015, 1月 24
ああ、そうなんですか。院生時代にソリトンの研究会でお世話になっただけですが、御冥福をお祈りします。RT @takey_y: 廣田良吾先生の訃報を受けました。御冥福をお祈り致します。
— 石井晃 (@ishiiakira) 2015, 1月 24
逆散乱法とか可積分系で有名な教官だ. 全くの畑違いの私ですら名前を知っているレベル.
2016-02-14 ツイート紹介: 数の実在について最高の証明, メタ存在論の論文, J. SCHAFFER, On What Grounds What¶
kentz1 さんのツイートからだ.
数の実在について最高の証明がやってきました pic.twitter.com/LdTtH6rq7q
— インターネットの墓 (@kentz1) 2015, 12月 3
@kentz1それどんあジャンルのなんという書物なのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 12月 3
@phasetr'On What Grounds What', J. SCHAFFERです。メタ存在論の論文で、これまで「何が存在するか」と問うてきた最近の存在論に対して「何が何を基礎づけるか」という新アリストテレス的存在論を提案し、前者をやや茶化しているとおもわれます
— インターネットの墓 (@kentz1) 2015, 12月 4
写真の言葉を引用しておこう.
the existence of numbers:
- There are prime numbers.
- Therefore there are numbers.
1 is a mathematical truism.
謎い.
2016-02-19 記事紹介: 時枝正博士(Dr. Tadashi Tokieda)のおもちゃと応用数学¶
時枝正さんの話.
時枝正博士 (Dr. Tadashi Tokieda)のおもちゃと応用数学 https://t.co/kFAdiyHJil
— みずすまし (@nosiika) 2015, 11月 23
時枝さん, 田崎晴明さんですら絶賛していたレベルの講演巧者らしいし, ずっと気になっている. とりあえずメモ.
2016-03-07 芝浦工業大学 横田研究室 数理情報研究室 数学・プログラミング学習教材¶
"芝浦工業大学 横田研究室(Yokota Lab) 数理情報研究室 数学学習教材" http://t.co/iPTDkzJCSK ここのページが大学数学の基礎テキストレベルのPDFを公開していて非常に有用。
— ぼり (@bori_so1) 2015, 1月 7
@bori_so1ちなみに以下のページから「言語学習教材」をクリックすると、C言語やJava、TeXの入門ページが読める http://t.co/G6f64cIeBE
— ぼり (@bori_so1) 2015, 1月 7
これは気になる. とりあえずメモ.
2016-03-15 スライド紹介: 素数大富豪に関する自由研究まとめ¶
ページは次のリンクから.
ちょっと引用.
今最も熱い数学トランプゲーム「素数大富豪」について、簡単なルールを紹介した上で、「ゲームの中で出せる素数の個数」に関する自由研究の成果をまとめました。 54枚のカードの組み合わせから広がる素数の世界。始まりは2から、しかし一歩進むごとにぐんぐんスケールアップしてゆく素数大富豪の可能性に、あなたはどこまで食らいついていけますか? 札幌の科学勉強会での発表用に作成したスライドです。
素数大富豪はちょっとしたサポートアプリを作ったので, 興味がある方は使ってみてほしい.
2016-03-20 教育学部での数学への認識問題: 鹿大教育学部某教授「道徳は,公式を覚える数学のように決まった方法では教えられない(南日本新聞から)」¶
鹿大教育学部某教授「道徳は,公式を覚える数学のように決まった方法では教えられない(南日本新聞から)」 教育学部では数学って「こういう」認識なのかなぁ,はぁぁぁぁ.
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 1月 13
@Kiwamu_Kきっと個人の見識なんだろうけど,影響力あるんだろうなぁ.
— Qちゃん@先生と呼ばれるほどの馬鹿である (@Kiwamu_K) 2015, 1月 13
@ytb_at_twt@genkuroki@Kiwamu_Kあーなるほど。教育界にとって数学教育とは「決まりきった型」を覚えさせること、なんだ。だからどちらでもよいが許せず、「決まりきった型」を求めるのか。掛け算の順番の根っこがこれなんだな。納得(してちゃだめだ……)
— 修理屋アwith7人の子供 (@yam_3et) 2015, 1月 14
いやまったくひどい RT @Kiwamu_K鹿大教育学部某教授「道徳は,公式を覚える数学のように決まった方法では教えられない(南日本新聞から)」 教育学部では数学って「こういう」認識なのかなぁ,はぁぁぁぁ.
— Haruhiko Okumura (@h_okumura) 2015, 1月 14
とてもつらく切ない.
2016-03-22 高校の数学カリキュラム: 初等幾何 (平面幾何) と行列, どちらの方が「大事」?¶
https://t.co/A9gvtSnHk4チェバ、メネラウスと言っているが、初等幾何、私は自習したのだが今必修なのだろうか。カリキュラムよくわかっていないのアレな感じある
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 13
@phasetrそれ学校でやるなら、行列やって欲しいと思うのは私だけでしょうか?w
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2015, 1月 13
@kazzhori私は行列は高校でも学んだ世代ですが、大学の線型代数やるのに役立った記憶がありません。やらなかった世代とやった世代で何か差があるかみたいな教育学の研究成果ないのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 13
@phasetrすみません。統計でどうなのかは知りません。ただ、大学でいきなり行列をやるより、2×2でいいので、慣れておく方が大学でいきなりやるよりいいかな?と言うのが僕の意見です。また、平面幾何と行列を比べてどちらが数学全体に必要かと言えば、やはり行列ではないのか?(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2015, 1月 13
@phasetrと個人的には思うからです。とは言えなんの客観的データもないので、あくまでも個人的意見と言うことで理解してください。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2015, 1月 13
@kazzhori【数学全体】という言葉をどう取るかにもよる感がありますが、行列の計算よりも初等幾何でお絵描きしながら証明みたいなのも、数学の普及というところからいけば効果あるのではと言う気もします。こちらもそういう気がするだけで当然「上手く講義できれば」という条件付きですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 1月 13
今見ると話が全く噛み合っていなくて申し訳なくなる. ただ一つだけ思うのは次の二点が前提になっていることだ.
- 大学に進学すること.
- 大学で行列を学ぶこと.
行列は入るとしても数学IIIという感じだし, 平面幾何は数学IAIIBだろう. 大学で数学・数学の応用をする場面では行列必須だし, 統計学との関係で人文・社会学でも大切ではある.
高校で何を教えるべきかという問題もある. 無理にあとで役立つことを教えても, その役に立つ場面や有用性が伝わらないのなら意味ないだろう.
ちなみに私は「数学が何の役に立つかどうでもいいし, 勉強するかどうかも勝手にすればいいが, もし必要な場面で使えないなら役に立たないのはお前の方だ」とか言い放つ方なので, その辺に関しては堀畑さんよりも遥かに厳しいだろうと思っている.
他にもいろいろあるが, とりあえずこのあたりで.
2016-03-23 Freeman Dyson自身によるStability of matterに関する動画¶
以前も紹介したと思ったら紹介した動画は一次元強磁性体の動画だったので, 改めて物質の安定性に関する動画を紹介し直す.
今のマストではないから見る時間を取らないでおくが, そのうちきちんと見たい.
2016-08-15 時枝正さんの講義が大量に投下されている YouTube チャンネル African Institute for Mathematical Sciences (South Africa)¶
うわっ。時枝正さんの授業が大量にアップされてる。 https://t.co/I4lJoDl7nh
— masaya ishikawa (@kamone) 2015年2月13日
時枝正さん, あの田崎晴明さんですら圧倒されたと言ってしまうほどの 圧倒的に面白い講義・講演をするらしいので, 何はともあれ記録しておく.
2016-03-28 小平邦彦先生の『解析入門』がとても面白そうな本だというのを知ったので¶
【小平先生の解析入門】有名な特色は角度を厳密に定義しようとする試みとLebesgueの有界収束定理をRiemann積分の範囲でself-containedで展開しようする辺り。正に手作り数学。他にもLiouvilleの定理を小平先生は学生時代自力で発見したそうで 続
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 12月 28
続 それを利用して、至る所、微分可能、連続だけど微分不可能、不連続な関数の例とか作っている。解析の定性的な性質について、及びその例、反例が豊富だけど。もっと個別の面白い計算例とかにはあんまり学んだ記憶がない。
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 12月 28
小平先生の『解析入門』, そんな面白そうなこと書いてあるのか.
俄然気になってきた.
【後になってからこの本で微積分勉強したかったなぁと思った本】 ユルゲンヨスト、ポストモダン解析学 高橋渉、現代解析学入門 何方も早い段階からLebesgue積分と関数解析学を意識して書かれた微分積分入門になってると思った。
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 12月 28
ポストモダン解析学は学部の頃から気になっていて全く読んでいない. 幾何解析的なこととか興味あって, Jostもその辺の人らしいので読んでみたいとはずっと思っている.
2016-03-31 関孝和, 建部賢弘, 有馬頼徸, 安島直円の著作を読みたいなら古文漢文きちんとやろうの会¶
国立理工系で漢文必須が多いのは関孝和を読むため(うぞ 関孝和 発微算法PDF http://t.co/FEeifzRhXT
— suzuki hiroco (@hiroco2003) 2014, 12月 24
@hiroco2003@patho_logicえ〜、関孝和だけではなく建部賢弘や有馬頼徸や安島直円も読むためですよ〜 東北大学和算資料データベース http://t.co/EfAwoAXIKy
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 12月 28
@kamo_hiroyasu鴨先生、恐れ入ります。 http://t.co/OgG2c7rPZT
— suzuki hiroco (@hiroco2003) 2014, 12月 28
真面目な話、センター試験レベルの漢文読解力で『発微算法』は読めます。センター試験レベルの古文読解力で『塵劫記』は読めません。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 12月 28
今のところあまり読む気はしないがとりあえずはメモだ.
2016-04-01 とある教育学部の数学での地獄のようなひどいカリキュラム報告事案¶
つらい報告を見た.
うちの場合 1回前期:集合写像 1回後期:位相I、線型代数I 2回前期:位相II、線型代数II、解析I 2回後期:解析II みたいな感じで最初の2年が終わるんだけど、これはヤバイ。分かる人には分かると思うけど、ヤバイ。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
何がヤバいって、1回生がふるいに掛けられてる感じがヤバイ。高校数学で数学大好きだった人たちの目が1年でどんどん死んでいく。 2回生で初めてε-δに出会うのがヤバイ。その頃にはみんな死んでる。あと、高校の微積をもう忘れてる人もいっぱいいる。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
3回生になったら自分の専門に分岐していくんだけど、その段階で群も多様体も微分方程式も知らないのがやばい。不十分なんじゃなくて、その言葉すら聞いたことない。 そして、これが教育学部なのがまたヤバイ。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
統計学入れ忘れたけど、確か2回後期だったかな。試験しか行かなかったから覚えてないや。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
「電子計算機」っていう、数値計算の講義も必修だったけど、最終レポート出さなかったら単位が勝手に落ちていった。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
Q:群はどこで習うのですか? A:3回前期です。 Q:環は? A:3回後期です。 Q:体は? A:習いません。代数学のゼミに進んだ人だけやる可能性があります。 Q:微分方程式は? A:3回後期です。 Q:多様体は? A:幾何学のゼミに進んだ人だけやる可能性があります。
— 万博@まだまだ童貞 (@bampaku) 2015, 12月 29
黒木さんのツイートメモ.
https://t.co/Nula5WTfGo どうして普通に1年生で線形代数と微積をやらないのか?数学的具体例を知らない段階で「集合と位相」や「位相I,II」についてイメージがわかない授業をやると学生は確実に死ぬ。教えている側は全部直観的に考えているのだが、学生の側は完全に逆。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
ぼくは大学新入生のときに、これ以上ないくらい易しい解析学の講義で教わった。なんと1年間のあいだ実1変数函数の微積分と級数の話しかやらないという講義。内容はε-δで厳密なのだが、抽象度の高い定理の証明は後回しにするという新入生にとてつもなく優しい講義。あれはラッキーだった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
あれだけ丁寧に教われば、一様連続やら一様収束程度の事柄を扱う述語論理の取り扱いが自然にできるようになる。 計算は化学や物理の授業なんかを聴いていればできるようになる。特に大学1年のときの化学の授業はすぐに1次元のシュレーディンガー方程式を解き始めるような内容だった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
大学生が数学を楽にマスターするためには、数学の授業を聴くだけではなく、数学を使う自然科学や工学関係の授業にも出席した方が得だと思う。 問題は数学科の卒業生しか身に付けていない類の特殊能力(述語論理を正確に扱う能力)をどこで身に付けるか。最初は知識よりも論理的スキルが大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
数学を理解するために必要な論理的スキルは、「直観を廃して純粋に論理的に正確な推論をできること」ではなくて、「直観的に適当な説明だけで論理的に厳密な証明がわかってしまう能力」のことなんですね。ひとことで言えば行間(ギャップ)を埋める能力。これを身に付けるとものすごく楽になる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
身に付けようと思ったら、1~3年程度、地道に努力するしかない。ただし、授業に地道に出ても身に付かない。体力トレーニングに似ていて、自分の体(脳を含む)を使う継続的なトレーニングが必要。そして大事なことは、論理的スキルのトレーニングは目標ではなく、数学を理解するための手段。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
練習を積めば、必死になって考えこまなくても、簡単な証明なら手が勝手に書いてくれるようになる。簡単な証明まで時間をかけて必死になって考えなければわからない段階に留まっていると苦しくなる一方になる。あれは本当につらい。楽をしたければ自分自身のスペックを上げるしかない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 29
いま中高生向けの現代数学講座的なものを考えているのだが, 構成をどうするか迷っている. 抽象論の前の具体的なところで何を設定するべきか. 力学で山程微分積分の具体例を計算するというのも考えている.
2016-04-05 Fields賞と業績と寿命との関係¶
フィールズ賞取ると、ぎりぎり賞を逃した人よりその後の業績は減るが長生きはするという統計があるそうな。数学者なら飛行機が落ちて死ぬより高い確率でフィールズ賞に当るのでシリアスな問題らしい。KollárによるAMS会報の記事。 http://t.co/TP7LIKo15N
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2014, 12月 28
Fields賞受賞者自体がめっちゃ限られているデータにどの程度の意味があるのかがまずわからない. 記事読めばわかるのだろうが, 「ぎりぎり賞を逃す」概念はどう定義されているのだろうか. 統計に対する深刻な理解力不足を感じている.
勉強するべきことはたくさんある.
2016-04-14 Etale topologyのスライド¶
“The Étale Topology: a paean in honor of Grothendieck,” slides from a lecture by John Hubbard http://t.co/m1cTrqWYRR[pdf]
— Geometry Fact (@GeometryFact) 2014, 11月 17
全くわからないが, 何となくメモしておく. トポロジーももう少しきちんと勉強したい. あとSGL.
2016-04-16 無限と全単射¶
【「無限、ってめちゃいっぱいある」からの全単射: R→ $R^2$ - Togetterまとめ】 http://t.co/PhXqVABPLF
— alg_d (@alg_d) 2014, 10月 11
久し振りに見た. 学部一年でやることとはいえ難しい. 直観も効かない.
こういうのを圏論ベースでやる話とかありそうだが, 何か参考文献知りたい.
2016-04-17 シオラン『どうやって悲しみで悲しみを打ち消したり、詩で悲しみに対して戦うというのだろう。私は悲しい人間は数学に携わるべきだと言いたい。』¶
人生が嫌になったときはボードレールに頼るべきではなく、例えばヒュームの因果律批判やライプニッツを研究するべきだ。というのも、どうやって悲しみで悲しみを打ち消したり、詩で悲しみに対して戦うというのだろう。私は悲しい人間は数学に携わるべきだと言いたい。(1930年、19歳の時の手紙)
— シオラン (@Cioran_Jp) 2014, 10月 9
ボードレールもヒュームも, この文脈でのライプニッツもわからないが, 【私は悲しい人間は数学に携わるべきだと言いたい】は 人類史に永久に刻みつけておきたい言葉だ.
ちなみにシオランというのが何者なのか. Wikipedia でちょっと調べた以上のことは何も知らない.
2016-04-18 記事紹介: 『Bayes's Theorem: What's the Big Deal?』¶
Bayes's Theorem: What's the Big Deal? https://t.co/IlXolFhmTZ#science
— 日経サイエンス (@NikkeiScience) 2016, 1月 7
何か面白そうだし後で読む. いつも通りまずはメモ.
2016-04-19 記事紹介: 数学イノベーション戦略¶
読んでる | 数学イノベーション戦略について:文部科学省 http://t.co/vq8FMSvJfL
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2014, 10月 8
数学イノベーション戦略, これ面白そう. あとでちゃんと読もう.
2016-04-21 Togetterメモ: $\lim$記号と「定義による拡大」その他¶
まだよくわかっていないのだが, この間でふと思い出したときにy_bontenさんにTogetterを教えてもらったのでとりあえずメモ. ついでに他の気になるTogetterも置いておく.
- lim記号と「定義による拡大」
- [嘉田勝『論理と集合から始める数学の基礎』勉強会(http://togetter.com/li/332594)
- 「加法群・乗法群」って?
- ブルバキの論理体系と「選択公理」
ここまで基本的なところの勉強不足はさすがに恥ずかしい.
2016-04-25 Fields賞受賞者, 森重文さんの「学問的態度」に関するYouTube動画¶
"名人訪談:我的成功之道──菲爾茲獎得主森重文 Interview with Celebrities: Fields Medal Recipient Shigefumi Mori" を YouTube で見る https://t.co/A2ZTL1WhYI
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 9
森さんが学問的態度に関して話している動画. 1:10しかないし英語だが英語の字幕はあるので, 気になる人は見てみよう.
あと森さんが喋っているところをはじめて見た. 気難しい数学者や堅苦しい数学者, 私の観測範囲では見たことないし, ふだんの状況で話してみて堅苦しいことはないと思っているし, 京大の人ならそれなりに気楽に話しかけられるのだろうと思っているが, やはり今でもFields賞受賞者とかいうと何というか, 壁を感じる.
前に一度, 修士卒業前の東大の講演会にスピーカーで来て, サインももらった広中平祐先生(さんづけの方がいい?)は, 気楽に喋ったこともあってもうあまりそういう感じないのだが. 不思議なものだ.
世間一般だと「数学者」「学者」というだけで相当のハードルを感じるだろう. 出てくるのがだいたい堅苦しい説明をさせられるときばかりで, そういう場面でいい加減なことをいうわけにもいかないから, 割と厳しめな感じになるし, こういろいろな事は思う.
2016-04-27 トイレにもエレベーターにも居酒屋にも黒板がほしい¶
居酒屋にホワイトボードがほしい勢
— 非線形 (@_mod_p) 2016, 1月 9
@_mod_pトイレとかエレベーターとかありとあらゆる場所にチョークと黒板置いておきましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 10
@phasetrhttps://t.co/ADgePc2FMbここですねw
— 非線形 (@_mod_p) 2016, 1月 10
@_mod_pIHESあたりもそうだった記憶あります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 10
@phasetrべんりなような気もしますが「あっちで議論しよう」でもいいようなw 実際同僚と議論するときは「あちらの部屋で続きを」という感じで動きますからね。ずっとトイレにいたくはないですw
— 非線形 (@_mod_p) 2016, 1月 10
@_mod_p数学者にそんな正気が残っていればいいのですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 10
実際に IHES のトイレやエレベータに黒板があるかどうか忘れてしまったし, どう検索したものかも厳しい. Newton institure だったのを勘違いしている可能性の方が高くなってきた.
とりあえず男性用トイレにあるという情報もあり, 女性用トイレにもちゃんと黒板があるという情報を得た.
The Newton institute has an actual blackboard in the ladies toilets. Think I might have just found my spiritual home.
— Hannah Fry (@FryRsquared) 2013, 3月 26
トイレはちょっと, という話をしたが, 本当に狂気なのはトイレ以上にエレベーターという気がする.
2016-05-01 ツイート紹介: ABC予想の「今」が分かる良質記事3本¶
ABC予想の「今」が分かる良質記事3本 ・Brian Conrad(邦訳) https://t.co/q91RStPr6Y ・Ivan Fesenko https://t.co/5ePQAKjpf9 ・Quanta Magazine https://t.co/rxVFVmHGKB
— math_jin (@math_jin) 2015, 12月 30
ABCは全く追いかけていないので不明だが, math_jinさんが謎の追跡をしまくっているので宣伝協力していきたい. 私も何かのトピックに関してはこのくらいやりたいところだが.
最近『圏論の歩き方』の西郷甲矢人さんの記事でAQFTに再びはまりつつあるので何かその辺やりたい.
前もツイートしたが, 西郷さん, 小嶋先生を説得してミクロマクロ双対性を学ぶための数学の教科書を書かせてほしい. いまある本, 数学の前提知識多すぎて全く対応できない. できることなら協力は惜しまない.
2016-05-02 廣中平祐先生の御前講義での質疑応答の一コマ: 「標数$p$はどうなんですか?」¶
有名な話であるが、広中先生はフィールズ賞受賞後に天皇の前で特異点解消の講義をするために大変な努力をされ、尖点特異点の解消について明瞭な図解を考案し、専門家でない聞き手にもわかる20分間の講義を見事にやり終えて「質問はございますか?」と聞くと、天皇は一言「標数pはどうなんですか?」
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 5
@FumiharuKato@iwaokimuraそのとき陛下は解ってらしたのかしら?
— hoshi2011 (@Exphysicist) 2016, 1月 5
@Exphysicist@iwaokimuraそれはわかりませんが、しっかり予習されていたのは確かですね。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 5
@FumiharuKato@iwaokimuraなるほど、さすがに学者の家系でいらっしゃいますね。改めて敬服いたします。
— hoshi2011 (@Exphysicist) 2016, 1月 5
こういうのを見るたび陛下への畏敬の念を新たにする. あと【尖点特異点の解消について明瞭な図解】というのを見てみたい.
2016-05-04 加藤文元さんの生物学科の学生時代の感動的エピソード: Henselの補題¶
生物学科の学生だった頃、形式的な無限m進展開で表される「数」で方程式論をするという暇なことを考え、とある数学の先生に見せたところ「これはヘンゼルの補題というものだよ」と教えてくれた。専門書のヘンゼルの補題を見てもチンプンカンプンだったので、とりあえずそれを解読することから始めた。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKato何週間かその本と格闘して、本当にそれが自分の見つけた定理と同じものらしいと気付いたときの天にも昇るような感覚は今でも忘れられない。しかも射影極限など、そこで用いられている諸概念は私が一生懸命言葉にしようとしていた数々のものを、実に見事に言い表していた。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKatoそうこうしているうちに、私はスッカリ数学の虜になってしまい、生物学科から数学科に転向することにしたのです。そのときの私の暇で雑な理論(?)をまともにその教授が取り合ってくれたことを、今でも私はとても感謝しています。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKatoちなみにその本というのは、裳華房の『可換体論』でした。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKato生物学科の大学生にそんな難しい本を勧めるという無茶をしてくれたことにも感謝しています(笑)
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKatoだから出来合いの理論や解法の流儀ばかりが数学ではないというわけなんでしょうね。多少の無茶や雑さも大事なんでしょうね。雑でもいいからできるだけ徹底的に調べてみてほしい。無手勝流で良いから自分で何か定理を証明してみると何か良いことがきっとあると思います。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKatoそんな感じで雑かもしれないし無茶かもしれないけど、徹底的に考えれば何でもできちゃう的なところが数学の「自由で合理的」なところだと思うんですよね。だから細かいところは本当はどうでもいいんです。式の「意味」なんてものに目くじら立てる必要も本当はないんだと。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKato…Henselの補題から数学を始めた人が、四半世紀後の現在はHenselian Rigid Geometryとかやっているということに気づいた。やれやれ、なかなか抜け出せませんな…
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
@FumiharuKatoちなみにその私の恩人の教授というのは、私の生まれ故郷にある国立大学の数学科の教授(もうとっくに退官している)で上から読んでも下から読んでも同じ方です。
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016, 1月 6
感動的すぎる. 私もこういうのやりたい.
2016-05-05 証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理, 計算機援用解析¶
よくわからないが鴨浩靖さんのブログ・コメント. 冒頭部だけ引用.
証明の主要部分にコンピューターによる計算が含まれる数学の定理としては四色定理[Appel & Halen 1977]が有名ですが、それが最初ではありません。整面凸多面体の分類の完成[Zalgaller 1967]があります。前者が当時話題になったのと比べると、後者はほとんど話題になりませんでした。なぜでしょう?
詳細を全く知らないのだが, 元京大で早稲田も退官されているっぽい西田孝明先生の計算機援用解析, アレは数値計算をどう使っているのだろう. 厳密な証明に援用しているとかいう記憶があるが, 正直よくわかっていないし, この記憶も間違っている可能性がある.
解析学賞ももらっていたはずで, 結構気にはなっているのだが. どなたかご存知の方は教えてほしい. 西田先生ご本人が降臨したら爆笑する.
2016-05-06 数学が苦手苦手と言い募るのはいい加減本当にうんざりするからやめてほしい¶
数学苦手でも宇宙に行きたくて…JAXA岩田直子さんという記事があったので. 新聞のサイト, すぐにページがなくなるから全文引用したくなる. 悩んだが全文引用することに決めた. 最後にまとめておく.
はじめに気になったのは【数学苦手でも】というタイトル. みな総出で数学苦手苦手と本当にうんざりする. めっちゃネガティブな印象与えるし本当にやめてほしい.
しかしぱらぱらっと読んでいて, 他のセンター試験は成功、でも… 宇宙女子「可能性信じて」も読んで一番気になったのは次の部分.
受験勉強は今しかやれないことです。
受験というか大学で学ぶこと, 大人になったらもうできない社会なのかというあたり. 「大学で」の限定すらつかないのかもしれない. それが何よりつらい.
で, 以下記事の全文引用. 新聞とかのサイト, 本当に記事へのリンクずっと残してほしい.
宇宙飛行士を夢見て理系の大学に入りたいのに、苦手な科目は数学と理科。宇宙航空研究開発機構(JAXA)技術者の岩田直子さん(33)は、1日20時間の猛勉強でその壁を乗り越えました。今は2月に打ち上げられる最先端の天文衛星の設計担当者の一人として、再び追い込みの真っ最中です。
「どうすれば宇宙飛行士になれますか」;
高校2年生のとき、旧・宇宙開発事業団(NASDA)=現・宇宙航空研究開発機構=に電話をかけました。対応した女性職員の方が「大学を出て、宇宙飛行士の募集があったら応募してください。今は、勉強にしっかり励んでくださいね」とやさしく説明してくれたんです。その後、事業団についての資料が自宅に届きました。「勉強を頑張ってください」という手紙も添えられていて、感激しました。
宇宙飛行士を目指すようになったのは、小学生のときです。読書が好きで、宇宙についての本や図鑑を読んで、「宇宙ってどんな所だろう。行ってみたいな」と思っていました。毛利衛さんがスペースシャトルで宇宙に行ったのも、そんな頃です。初めて職業としての宇宙飛行士の存在を知り、目標になりました。中学生のときに宇宙飛行士の応募条件を調べると「自然科学系の大学を卒業」という項目があって、理系の大学に進学しなくちゃと思い定めました。
■国語は学年1番、数学は真ん中より下
高校は、地元の奈良県の公立中学から大阪教育大学付属天王寺高校に進学しました。大学の志望先は航空宇宙工学を学べるところを考えて、前期は京都大学、後期は名古屋大学を受験すると高3の春に決めました。親は「国立大じゃないと学費は出せない」と話していました。3人きょうだいの一番上だったので、もしも受験に失敗したら浪人せずに働いてほしい、とも。何としても現役で国立大の理系に合格しなければなりませんでした。
でも、高校では数学や理科が苦手だったんです。中学までは不得意ということはなかったんですけどね。積分や複素数とかになると、概念もうまく理解できなかった。教科書を読んで何となくわかった気になっても、いざ問題を解こうとすると、理解が足りずにダメでした。高2の学年全員の試験では、数学は下から数えた方が早いくらい。読書が好きだったおかげか、国語は1番ということもあったんですけど。
センター試験の対策を本格的に始めたのは、11月末から。文化祭や音楽祭に一生懸命な学校で、一連の行事が終わってからです。数学は、問題を解くことをひたすらやりました。何で間違えたのかをチェックすることで、理解していなかったことが見えてきました。間違えた問題は、時間が経ってから再び解いてみることを繰り返しました。覚えなくてはいけないことは、読むだけではなくて、ノートに実際に書いて覚えるようにしました。
学校がある天王寺キャンパスの食堂で午後10時ごろまで友達と勉強して、それから家に帰っても勉強していました。焦りはものすごくありました。勉強すればするほど、まだ出来ていないことが浮き彫りになって。「これじゃ終わらない。どうしよう」と思って泣きながら勉強したこともあります。あまりに不安なときは友達に電話して気持ちを落ち着かせていました。
■1日20時間「自分の夢のため」
センター試験の数学は、そんなに悪くない点数をとれました。でも、京大ではセンター試験の結果はあまり反映されません。センター試験が終わった後は、2次試験への追い込みで1日20時間も勉強したことがあります。睡眠時間は1日平均3、4時間。入浴、トイレ、睡眠、ご飯以外はずっと机に向かっていました。体調は崩しませんでしたけど、視力は1・2から0・6に落ちました。問題の字がぼやけて見えなくなってしまい、慌てて眼鏡をつくりに行きました。
「自分の夢のためにやるしかない」という思いが勉強の支えでした。京大の2次試験を受験する前には「やりきった」という思いはありました。京大でも数学が壁になっていました。2日間の試験日の初日に数学があって、出来が良くなくて落ち込みました。「これは厳しいかも」と。京大が終わった後は、気持ちを切り替えて、後期の名大に向けて勉強しました。京大は結局、不合格。私立の併願はありませんから、「落ちたら働くしかない」という、後がない状況に。名大に向けて、1日20時間の勉強を続けました。
名大では、航空宇宙工学科よりも倍率が下がる物理工学科を受けました。勉強する内容はそれほど変わらないだろうと思って。名大の2次試験では手応えがありました。合格発表を名古屋まで見に行って、自分の受験番号を見つけたときは、ほっとしました。もしも落ちたら、働きながらもう1回大学を受験しようかと考えていたので、喜びよりも安心感がありました。
■誰でも宇宙に行ける時代を目指して
大学では、物理工学と航空宇宙工学の両方の授業に出ていました。宇宙飛行士の夢は持ち続けていましたが、自分が宇宙飛行士になるだけでいいのだろうか、という思いもわいてきました。
きっかけは大学2年のときのインド旅行です。長距離列車で乗り合わせた中年の男性客と英語でしゃべるうちに、「宇宙飛行士になりたいと思っている」と話しました。すると、男性は「日本人はうらやましい。自分には非現実的すぎて、夢でも思ったことがない」。その言葉に衝撃を受けました。短絡的かもしれないけど、自分が宇宙に行けるだけではなくて、誰でも宇宙に行ける時代にしなくちゃならないな、と思いました。
スペースシャトルのようなものを日本でもつくることをテーマにした研究室が九州大学にあったので、大学院はそこに進みました。院を出た後も宇宙船の開発をしたいと考えて、就職先にはJAXAを志望しました。エントリーシートには、宇宙船の需要を呼び起こしたいことや太陽光エネルギー以外で発電するような衛星をやりたいことを書きました。
JAXAに入って2年目の2008年から、今年2月に打ち上げるX線天文衛星「ASTRO―H(アストロ・エイチ)」の熱設計を担当しています。人工衛星の表面の温度は、宇宙空間で太陽光の直射を受けると150度、当たらなければマイナス100度にもなります。機器が正常に動くよう、配置などを設計する仕事です。
数学と物理がすべての仕事の基本です。実際に衛星をつくるメーカー側に説明するときも、根拠は数字で示さなければなりません。知識だけじゃなく、数字を使って論理的に説明できることが理系の人間に求められることだと思います。最初の頃は自分が一番未熟で、衛星のプロジェクトと共に成長してきたようなものです。「受験勉強であれだけ集中できた」という自信が支えになりました。
前回の宇宙飛行士の募集があったのは、ASTRO―Hの仕事を始めたころ。「3年以上の実務経験」が求められていたので応募しませんでしたが、また募集があったら、応募するかもしれません。
ずっと担当してきたASTRO―Hの打ち上げがようやく見えてきて、自分が担当したものが本当に宇宙に行くんだな、と感慨深いものがあります。今は、打ち上げ後に後悔しないよう、シミュレーションや衛星の目視を重ねています。
受験勉強は今しかやれないことです。私も、最後まで頑張らなければ、この職場にはいなかったかもしれません。受験生の皆さんには、試験日までという限られた時間を精いっぱい使って、頑張ってほしいと思います。(聞き手・鈴木康朗)
いわた・なおこ1982年生まれ、大阪市出身。2005年に名古屋大工学部卒、07年に九州大学大学院修了後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に就職。2月12日に打ち上げを控えた日本の次世代X線天文衛星「ASTRO―H」の熱設計を担当した。巨大ブラックホールなどを観測するASTRO―Hによって、宇宙の構造の解明が進むことが期待されている。33歳。
スペクトル解析とレゾルベント解析¶
スペクトルの存在範囲を調べるときの証明方法とか、基本的にレゾルベント集合を調べて示したはずなので、幽霊感というか補集合感はけっこうあったな レゾルベント集合が人間でスペクトルは幽霊だとか言われたら、実用的な面から言ってまあわけわからんのだけども(イメージあるなら誰か教えて下さい)
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga固有値として直接定義できる有限次元と違って定義そのものがレゾルベントの補集合となっているので、証明方法はどうしようもない感がないでもないです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetr確かに全単写「であること」の方が示しやすいのは確かですね…
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga後のポイントはレゾルベントが有界作用素として定義してあることです。有界ならありとあらゆる乱暴なことがかなりうまく働くので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetrえっと、「レゾルベントが有界作用素として定義してあること」とは実数の集合としてのレゾルベント集合ではなく吉田近似をするためのあれのお話でしょうか(両者の関連についてあまりよく理解していないもので…)
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominagaスペクトルを調べるのに作用素としてのレゾルベントを使う方の話です。私がやっているのは主に複素ヒルベルト空間の話ですが、(A-zI)^{-1}をzの複素関数と思って解析接続していってスペクトルを調べるとかそういうのをやります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@masayotominagazが複素平面内でレゾルベント集合に入っているなら(A-zI)^{-1}は有界作用素なので何かこう色々やりやすいという話で、作用素としてのレゾルベントを介してレゾルベント集合を調べることでスペクトルを同定しにいくというのが私の界隈の作用素論であります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetr例えば非有界作用素Aはどのようなものかお聞きしてもいいですか?
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga私の場合は場の量子論のハミルトニアンです。ゆきみさんあたりが多少関係しているのは量子力学のシュレディンガー作用素で、シュレディンガーを微分方程式と見るよりも作用素と見て作用素特性調べたい時にちょこちょこ作用素としてのレゾルベントの解析が出てきます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@masayotominaga特にスペクトルに固有値がある場合、固有値は複素関数(A-zI)^{-1}の極(必要なら内積をとって本当に複素関数にする)になるのでそれを使って固有値の情報を取りに行きます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@masayotominagaもっと一般にはレゾルベント自体グリーン作用素と呼ばれてこれの作用素核関数としてのグリーン関数調べたり、多様体上のラプラシアンのグリーン作用素からスペクトルを調べて幾何的な情報を引き出す話まであります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetrなるほど、興味深いお話をありがとうございました
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 3
役に立つことが言えた気がしないが, とりあえずまとめておく.
吉田近似もそれなりに有界性ちゃんと使っていた記憶がある. Hilbert・Banach空間系の枠組みでやっていれば, 微分作用素はたいがい非有界なはずだ. もちろん超関数の空間だと連続になってしまう.
あと有界領域でのLaplacian(もう少し一般に楕円型でも言えたはずだが)は, それ自身非有界でもレゾルベントが有界どころかコンパクトにさえなり, 幾何解析や調和積分でも大事なはず.
2016-05-09 今後のコンテンツメイキングでどうマンガをうまく使っていくか問題¶
よくある勘違いだけど、クレオパトラはエジプト人ではない。ギリシャ系の美人だった。 (画像は『マンガ 構造がわかる世界史』より) #tvtokyo #新世界七不思議pic.twitter.com/skTdnMgSwx
— 矢野けんご (@yanoken2014) 2016, 1月 8
@yanoken2014@iseakiraクレオパトラのルーツはアフリカ系、英BBCドキュメンタリーhttps://t.co/SfdmcFGG97 こういう話もありますね。
— オメガ@オムライス (@omega_motoaki) 2016, 1月 12
@yanoken2014@swimmy_colleたけしの番組では、クレオパトラの妹のアルシノエは骨が見つかっていて鼻の付け根の高さなどヨーロッパ系白人の特徴があるけれど、後頭部から額にはアフリカ系の特徴も見られる。つまり混血なんではと。ちょうどお正月にやってましたよ
— イングヴェイ・真備ルスティーン丙提督 (@microCassette2) 2016, 1月 12
@yanoken2014@lurururunそんな知識より絵が可愛い
— ヒロヒロ (@99Hirotu) 2016, 1月 12
歴史的詳細は全く知らないが, 個人的一番のポイントは最後の「絵がかわいい」というところ.
軽く見た範囲では, 一昔前のはとりあえずおくにしても, 学習マンガの系統は何かやたら微妙な感じの絵が多い.
昔のはもう時代がわからないから何とも言えないし, 学問の発展と突き合わせる必要もあって内容的にも 刷新が必要なのだろうと思うが, それ以前にマンガで読もうとする層に合わせて, 適宜絵というか絵柄も刷新しないといけないのか, というのは感じる.
私もマンガ的なところは何かしたいと思っているので, それなりに参考にしている. もっと資料は収集しないといけない.
2016-05-15 2147483647までの整数のいろいろなことを教えてくれる謎のサイトhttp://www.integernumber.com/¶
http://t.co/xwDGQ1uMdj なんか2147483647までの整数ならいろんなことを教えてくれるサイトみたい。
— れんま(86.1kg) (@tononro) 2014, 9月 29
変わったサイトがあるものだ, というか謎の情熱を持つ人がいるものだ, という感じ. 何はともかくメモ.
2016-05-19 現代数学ミニ講座を作ろう: 解析学で代数を学ぶ¶
いま現代数学観光ツアーの企画を進めている. そろそろ講座作成が一段落するので, 次のミニ講座で何を作るかを考えていて, ちょっと黒木さんに相談してみた記録.
@genkurokiどなたに聞くといいものかよくわからないちょっと長めの質問をさせてください。https://t.co/uDptxVOLfTの関係でアンケートも取っていて、そこで分野間の関係を知りたいという要望があります。続
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月18日
@genkurokiそれで解析学から流す代数学という感じの30-50ページくらいの導入ミニ講座を作ろうと思っています。群はユニタリ表現論まわり、環は加群十話的な代数解析まわりでちょろっといろいろな数学の絡み合いを見せようと思っています。で、問題は体で何をどうしようかと
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月18日
@genkurokiある程度体の入門的一般論にも触れられるような話題がよくて、特にガロア理論が絡められればいいなと思っています。微分ガロア理論はどストレートに関係ある感じがしますが、他にも代数関数体とかp進解析とかはどうなのだろう、と思っています
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月18日
@genkuroki体の入門的一般論からそれなりに発展的で広がりのある話題へ繋げられる数学的パスについて何かいい案があれば教えて頂けると嬉しいです
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月18日
@phasetr解析学で体と言えば、実数体と複素数体の話をするだけで、いくらでも時間を潰せそうな感じがします。個人的に好きなのは、有理数体と複素数体のあいだの体の階層の話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
職質されちゃったよ。続く
@genkuroki@phasetrまず、複素数体で代数学の基本定理が成立するという話は面白いと思います。たくさんの証明法がある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
有理数体係数の1変数多項式の根になるような複素数全体も体になる(有理数体の代数閉包)。
それ以外の複素数にとよ
@genkuroki@phasetr有理数から出発して定規とコンパスだけで作図できる数の全体は、有理数体の代数閉包の部分体になっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
有理数から四則演算とn乗根を取る操作を任意有限回繰り返して得られる数の全体も有理数体の代数閉包の部分体になっている。
@genkuroki@phasetr有理数体の代数閉包の内側は純粋に代数的な世界という感じ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
そのその外側にどれだけよくわかる数があるかを主題にして書かれた本が例の『0認識問題』の本。この本は非常におすすめ。解析とのからみで参考になる話が結構含まれているかも。
@genkuroki@phasetr周期と呼ばれる数の全体の集合は複素数体の部分体になっていて、有理数体の代数閉包よりも真にでかいで
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetrす。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
体の典型例として、複素数体の部分体の話をしたのですが、函数で構成される体の例も重要です。連結リーマン面上の有理型函数全体の体は特に重要。有理型函数がたくさん存在することの証明には函数解析が必要になります。
@genkuroki@phasetrちなみに、定数ではない有理型函数が開写像になることを使えば、nが3以上の整数のとき、方程式X^n+Y^n=1の解をリーマン球面上有理型函数全体の体の中で探すと定数解しか存在しないことを、分岐被覆のトポロジーを使って示めせます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetr要するに、有理数解ではなく、リーマン球面上の有理型函数解で考えれば、学部レベルの数学でフェルマー予想が容易に示せるのです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
体論にこだわらずに、体になってしまっているモノの方に注目すれば幾らでも数学話をできると思います。
@genkuroki@phasetr数と函数は似ている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
有理数⇄有理函数(=リーマン球面上の有理型函数)
代数的数⇄代数函数(=コンパクトリーマン面上の有理型函数)
周期⇄ある種の積分表示を持つ函数
これはどれも体をなします。
@genkuroki@phasetrあと、函数でのテーラー展開やローラン展開を有理数の方でやると自然にp進体に至る道がひらかれる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetrRだけでなく、Q_pが得られたら、それらすべての制限直積でアデール環が得られます。アデール環は局所コンパクト環になり、ハール測度が入り、その上で積分ができます。これは実は直線上の函数全体にわたるファインマン積分の類似物。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetrファインマン積分は解析学的に扱いが面倒ですが、アデール上の積分は普通の積分なので易しい。ファインマン積分の話が出たら、ウィーナー測度の話もできる。そういう話の数論的類似物があって数論で超大活躍している。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetrエドワード・フレンケルさんの本は読みましたか?ヴェイユのロゼッタストーンにさらに物理を付け加えるべきであるという純粋数学的に非常にもっともな話が書いてあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkuroki@phasetr理論物理学者は数学的厳密さを犠牲にして汎函数積分を形式的に実行して色々あたりをつけてみるということやるのですが、汎函数積分の数論的類似物はアデール上の積分になります。全部繋がる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年5月18日
@genkurokiいろいろとありがとうございます。アデールとか数論周りは全く知らなくて発想もなかったので助かります。フレンケルの本もまだ手元にすらないので読んでみます。
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月18日
何からはじめよう? 自分自身楽しみでならない.
2016-05-21 メビウスのショーツという悪魔の装備があるらしい¶
メビウスの帯ならぬメビウスのショーツっていうのがあるとは知らなかった。 妙なパンツだけど,はけないこともなさそうw Möbius Shorts -- from Wolfram MathWorld http://t.co/UqC0GPDuGf
— Great Icosahedron (@Polyhedrondiary) 2014, 9月 25
はっ…!帯じゃなくて下帯…。 Möbius Shortsの訳語として,「メビウスの下帯」以上のものはないのではあるまいか。 http://t.co/InV3oFo95E RT メビウスの帯ならぬメビウスのショーツっていうのがあるとは…
— Great Icosahedron (@Polyhedrondiary) 2014, 9月 25
「メビウスの褌」で検索したら,全然コレジャナイのが…。 /南な暮らし方2:21世紀型メビウスの褌(実用新案未定) http://t.co/5hkmkLVy1R
— Great Icosahedron (@Polyhedrondiary) 2014, 9月 26
「メビウスのふんどし」だとさらに輪をかけて意味不明。 メビウスするっていうのもここ数日話題の新造語ですかねぇ…。 "そう言えば朝きちんと着けた越中ふんどしが、夕がたズボンを脱ぐと、ありの門渡りでメビウスしてることってありませんか?" http://t.co/NtqRu78RsO
— Great Icosahedron (@Polyhedrondiary) 2014, 9月 26
@morikuni_net裏返すのでなく,上下ひっくり返すだけで二日はくことが可能です。画期的かもw
— Great Icosahedron (@Polyhedrondiary) 2014, 9月 25
よくわからないがとりあえず記録しておく.
2016-05-22 記事紹介: 『これからのビジネスマンに欠かせないスキルは「数学」だ!』¶
これからのビジネスマンに欠かせないスキルは「数学」だ!という記事があった. 本当か? という感じが色々な意味であるが, とりあえずいくつか引用.
「多くの人が役に立たないと思っている数式を、新しいサービスに落とし込む発想を生んだ点で彼らは天才的でした」;
数式という表現がどうなの, という気はする.
巨万の富をもたらした検索エンジンの仕組みは、冒頭のように理系学生であれば、誰もが学ぶ数学で成り立っていたのだ。グーグルの慧眼は、急成長するインターネットの世界に、数学が応用できると「ピンときた」点にあるだろう。
ページランク, たくさんある検索の基準のうちの 1 つというだけだし, 最近はページランクどうなの, という話もあると聞いている.
日本ではあまり知られていないが、グーグルは「数学の塊」のような企業だ。まず、社名からして、10の100乗を意味する「グーゴル」をペイジが綴り間違えたことに由来する。
そして、共同創業者であるセルゲイ・ブリンと、ペイジの2人は、共に親族に数学者がいる「数学サラブレッド」であるユダヤ人家系に生まれている。
旧ソ連出身のブリンの父親は数学を教える大学教授、母親は宇宙分野の研究所などで働く科学者だった。米国生まれのペイジも、人工知能を研究する大学教授の父と、コンピュータ分野で教鞭を執っていた母親に育てられている。
幼いころから数学的な素養を培ってきた2人が、IT産業の集積地である米シリコンバレーの大学院で知り合ったことが、数学とビジネスの新しい化学反応を引き起こしたといえるのだ。
そして現在、グーグルは世界中の名門大学の数学人材を雇いまくっている。
本誌の調査によると、米スタンフォード大学や米マサチューセッツ工科大学(MIT)など名門5大学に絞っても、数学を専攻した社員数は少なくとも延べ338人を数える。数学の応用分野であるコンピュータサイエンスも含めると、延べ5000人を超えるもようだ。
そんなグーグルの応用範囲はオンライン広告から自動運転など交通インフラにまで及び、幅広いサービス分野を数学的手法で切り開く頭脳集団になっている。
コンピュータサイエンス, 数学の応用分野なの.
米国では、多くのビジネスで数学者たちが暴れ回る時代が訪れている。それを象徴するのが、米キャリアキャストが毎年発表するベストジョブのランキングだ。
数学者の順位は2000年以降上がり続け、14年にはなんと1位にまで上り詰めた。15年は3位に落ちたが、上位には数学を用いる職種が軒並みランクインしている。
アメリカの事情, どこまで他国に通じるのだろう.
「金融業界の人材を雇っても利益は上がらなかったが、科学者を採用するとうまくいった。それが種明かしです」。天才数学者であり、クオンツの中でも伝説的存在のヘッジファンド、ルネッサンステクノロジーズの創業者であるジム・シモンズは昨年、公の場でこうコメントしている。
天才数学者というの, 本当なのだろうか.
このほか、暗号分野で数学が必要な国防総省や国家安全保障局(NSA)などが、優秀な数学者をこぞって招き入れており、国も数学者の重要性を認識している。
日本のビジネス界でも今、ようやく数学の重要性を認識する動きが見え始めてきた。
日本での認識, 本当なのだろうか.
これは、ハードではなく、ソフトの時代に必須なのが「数学」と言い換えられるかもしれない。
とはいえ、いくら数学が必要といっても、天才の研究者や技術者がやればいいだけ、と思ってしまうかもしれない。だが、ビジネスマンにとっても、数学スキルは間違いなくあった方がいい。
数学者が創業したことでも知られる世界最大のインターネットインフラ会社、米アカマイ・テクノロジーズのマイケル・アファーガン上級副社長はこう指摘する。
「日常的に数学を操らないビジネス側の人材でも、今後は数学の素養が必要になる。なぜなら、デジタル時代には、数学が急速に共通言語となってくるからだ」
これ, どこまで本当なのか.
math_jin さんのコメントも載せておこう.
数学を必要としない産業はない!さまざまな産業で活用される数学 (週刊ダイヤモンド特集「使える!数学」) : 1.保険 数学科の学生実は集まってます。 数学科の就職先として最も多い。保険料算出からリスク分析まで、業務の根幹を担うのは回帰分析などを駆使するアクチュアリーだ。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
2.金融 カネもうけ目当ての頭脳が集結 ブラック=ショールズ方程式がウォール街を変えたのは語り草。カネもうけに数学が使えると知った優秀な頭脳が集い、流行のフィンティックもけん引。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
3.製造 新製品から工場までものづくりを変革 自動運転車をはじめとする未来の製品から、製造現場での歩留まり向上まで、微分積分や線形代数などの数学的手法はものづくりの風景を変え続けている。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
4.医療 新しい数式で診断装置の性能向上 MRIの性能向上に貢献したのはスパースモデリングと呼ばれる手法。新薬開発でも膨大な計算によって候補物質を見つけ出すことが主流に。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
5.素材 機能の向上目指し新技術に興味津々 腰が重そうに見えるが、実は新技術に目ざとい。トポロジーなどの新たな手法にわれ先にと興味を示し、製造効率や製品機能の向上に貪欲だ。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
6.物流 最適な配送ルートは数学の超難問 コストを最小限にする配送ルート構築は、数学の組み合わせ最適化問題そのもの。競争力に直結するとあって、各社とも必死に取り組んでいる。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
7.ウェブ デジタル空間のサービスの土台 米グーグルの検索の根幹は行列の固有値。SNSからネット広告まで、デジタル空間の新サービスの土台に、数学は欠かせない存在だ。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
8.アニメ ディズニーも数学者を大量採用 魅力的なキャラクターの造形から目を引き付ける映像まで、美麗なCGの土台にあるのは線形代数。米ディズニーは数学者を雇いまくっている。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
9.セキュリティ 役立たずの学問が技術の主役に 電子メールやネット注文を安心して使えるのも、全て暗号のおかげ。安全な暗号を実現したのは、役に立たないと思われていた整数論だった。
— math_jin (@math_jin) 2016, 1月 20
何にせよ読んでみよう.
2016-05-23 『数の帝国』という数学関係の謎のページを見つけたので¶
素数に反応する奴が数字を全角で書くわけねえだろ、と思ったが本当に素数だった http://t.co/jJbEoflWR6
— 百合?薔薇?いいえ私はすみれさん (@CyMuPe) 2014, 9月 19
何かよくわからないが, 割とマニアックっぽい. とりあえず記録しておく.
2016-05-26 数学者・物理学者でおとぎ話を書く¶
『あなたのツイートから桃太郎を書いたらこうなった!』というのをやってみたら, 面白すぎてお腹痛い.
- http://appli-maker.jp/analytic_apps/36978/results/108264394
記録して残しておきたい.
昔々ある所に立川と伊藤清が住んでいました. 立川は大栗へ量子論しに, 伊藤清は関西へ線型代数しに行きました. 伊藤清が関西で線型代数をしていると, スライドスライドと, 大きな多様体が流れてきました. 伊藤清は良い土産ができたと喜び, それを拾い上げて家に持ち帰りました. そして, 立川と伊藤清が多様体を食べようとすると, なんと中から元気の良い数値計算が飛び出してきました. 「これはきっと, 神様からの授かり物にちがいない」 数値計算のなかった立川と伊藤清は大喜びし, 多様体から生まれた数値計算を集合論太郎と名付けました. 集合論太郎はスクスク育ち, やがて強い選択公理になりました.
そしてある日, 集合論太郎が言いました. 「ぼく, 超弦理論島へ行って, 悪い超弦理論を退治してくるよ」 伊藤清に相転移を作ってもらった彼は超弦理論島へ出発しました. 集合論太郎は旅の途中で黒木に出会いました. 「集合論太郎さん, どちらへ行くのですか? 」 「超弦理論島へ, 超弦理論退治に行くんだ」 「それではお腰に付けた相転移を 1 つ下さいな. お供しますよ」 黒木は相転移をもらい, 集合論太郎のお供になりました. そして今度は濱中裕明に出会いました. 「集合論太郎さん, どこへ行くのですか? 」 「超弦理論島へ, 超弦理論退治に行くんだ」 「それではお腰に付けた相転移を 1 つ下さいな. お供しましょう」 そして今度は立川裕二に出会いました. 「集合論太郎さん, どこへ行くのですか? 」 「超弦理論島へ, 超弦理論退治に行くんだ」 「それではお腰に付けた相転移を 1 つ下さいな. お供します」 こうして仲間を手に入れた集合論太郎はついに超弦理論島へ到着しました.
超弦理論島では超弦理論たちが近くの村から奪ってきた宝物や御馳走を並べて「迷惑メールの宴」をしていました. 「よし, かかれ! 」 黒木は超弦理論に噛み付き, 濱中裕明は超弦理論をひっかき, 立川裕二は超弦理論を突きました. そして集合論太郎も大栗をふり回して大暴れしました. すると, とうとう超弦理論の親分が泣きながら降参を宣言しました. 集合論太郎と黒木と濱中裕明と立川裕二は超弦理論から取り上げた迷惑メールを持って家に帰りました. そして集合論太郎たちは迷惑メールのおかげで幸せに暮らしましたとさ.
めでたしめでたし.
他のやつもやばかった. 花さかじいさんバージョン.
昔々あるところに江沢洋さんと舟木さんが住んでいました. 二人は子供がいなかったので「メ◯マガ」という犬を可愛がっていました. ある日, メルマガが畑でメールメール吠えました. 「ここ掘れメールメール, ここ掘れメールメール」 「どうした, メルマガ? ここを掘れと言うのか. どれどれ」 江沢洋さんが掘ってみると, なんと地面の中から大判小判が出てきました. するとこの話を聞いた隣の欲張り立川裕二さんがメルマガを無理矢理畑に連れて行きました. そして, 嫌がるメルマガに無理やり鳴かせると, そこからは数値計算がたくさん出てきました. 怒った欲張り立川裕二さんは, なんとメルマガを殴り殺してしまったのです. 江沢洋さんと舟木さんは大変悲しみを畑にメルマガを埋めてお墓を作りました.
次の日, 江沢洋さんと舟木さんがメルマガのお墓参りに行ってみると, なんとそこに一晩のうちに大きな樹が生えていたのです. 江沢洋さんと舟木さんは「この樹はメルマガからの贈り物に違いない」と思い, その木で線型代数を作りました. すると不思議な事にその中から宝物がたくさん出てきました. それを聞いた, 欲張り立川裕二さんは線型代数を無理矢理借りていきました. しかし出てくるのはパンルヴェばかりで, 宝物は出てきません. 怒った欲ばり立川裕二さんは線型代数を壊して多様体にしてしまいました. 悲しんだ江沢洋さんは, せめて多様体だけでも持ち帰ろうとしました. その時, 多様体が風に飛ばされて枯れ木に掛かったのです. すると, どうでしょう. 多様体の掛かった枯れ木に小林銅蟲が咲いたのです. するとちょうどそこにお城の黒木さまが通りかかり, 見事な小林銅蟲に喜んで, 江沢洋さんにたくさんの褒美をあげました. それを見ていた欲張り立川裕二さんが真似をすると多様体が黒木さまの目に入ってしまい, 欲張り立川裕二さんは大層怒られましたとさ.
おしまい.
シンデレラバージョン.
昔々とても素敵で遠い娘がいました. 母親は早くに亡くなっていたのですが, お父さんが再婚することになり, 新しいお母さんと二人のお姉さんが出来ました. ところが彼女たちは大変な解析関数だったのです. 彼女たちは娘をいじめ, 「指導者」と呼んで馬鹿にしました.
ある日のことです. 播磨の伊藤清さまがお嫁さん選びの集合論会を開く事になり, 指導者のお姉さんたちにも招待状が届きました. しかしもちろん指導者は一人でお留守番です. 悲しくなった指導者はシクシク泣き出しました. すると指導者の目の前に, 大阪市立自然史博物館のおばあさんが現れました. 「おまえはいつも仕事を頑張っている良い子だね. 見ていたよ. ご褒美に私が集合論会へ行かせてあげるよ」 「本当? 」 「ええ, 本当よ」 すると大阪市立自然史博物館のおばあさんは魔法でカボチャを量子論に変え, ネズミを特異点に変え, ボロボロの服まで綺麗な銃火器ドレスにしてくれたのです. 「いいかい, 指導者. 私の魔法は 12 時までしか続かないから, それを忘れないでおくれ」 「わかりました. 行ってきます」 こうして指導者は播磨に出かけて行きました.
さて, 播磨に指導者が現れると, そのあまりの美しさに皆が息を呑みました. 伊藤清さまは指導者の前に進み出て「一緒に集合論してほしい」と言いました. それから楽しい時間はあっという間に過ぎ, ハッと気がつくともうすぐ 12 時という時間です. 「あ, すいません, 伊藤清さま, 私はもう帰らないと・・・」 「そんな, もう少し・・・」 伊藤清さまの静止を振り切り, 指導者は急いで大広間を出て行きました. しかしあまりに慌てていたために表現論の靴が階段に引っ掛かり脱げてしまいました. 取りに戻る時間がありません. 指導者は待っていた特異点車に飛び乗ると, 急いで家へ帰りました.
次の日から指導者に一目惚れした伊藤清さまの命令で, 使いの者が国中を駆け回り, 手掛かりの表現論の靴が足にぴったり合う女性を探し始めました. やがて彼らは指導者の家にもやって来ました. 解析関数な義姉たちは何とか靴を履こうとしましたがもちろん入りません. ところが指導者が履いてみるとピッタリだったのです. こうして伊藤清さまと結婚した指導者はいつまでも幸せに暮らしましたとさ.
めでたしめでたし.
白雪姫バージョン.
昔々遠いけれど意地悪な伊藤清がいました. 伊藤清は魔法の楕円型を持っていてこう尋ねました. 「楕円型よ楕円型よ, この世で一番遠いのは誰? 」 そうするといつもは楕円型が「あなたが一番遠いです」と答えてくれるのです. ところがその日は違っていました. 楕円型はなんとこう答えたのです. 「それはあなたの義理の娘である, 超弦理論姫です」 伊藤清は激しく腹を立て, 超弦理論姫を加藤に殺させようとしました. でも心の優しい加藤は超弦理論姫を殺すことが出来ず, 森の中に隠して嘘の報告をしたのです.
こうして超弦理論姫は, 森に住む七人の書泉グランデたちと暮らす事になりました.
ところがある日, 楕円型のせいで加藤の裏切りがバレてしまいました. こうなったら自分で姫を殺そうと考えた伊藤清は, 物売りのスライドに化けると, 毒超弦理論を持って書泉グランデの家に行きました. 「遠い娘さん, これをどうぞ」 「まあ, なんて真剣な超弦理論. スライド, ありがとう」
そしてその超弦理論を一口齧った超弦理論姫はバタッと倒れて二度と目を開きませんでした. 超弦理論姫が死んだことを知った書泉グランデたちは悲しみ量子論の棺の中に超弦理論姫を寝かせました. すると偶然ある国の伊藤清がそこを通り掛かったのです. 「なんと遠い姫だ. まるで眠っているようだ」 伊藤清は思わず超弦理論姫にキスをしました. するとキスしたはずみで毒超弦理論の欠片が超弦理論姫の喉から飛び出したのです. 目を覚ました超弦理論姫は伊藤清と結婚し幸せに暮らしましたとさ.
めでたしめでたし.
浦島太郎バージョン.
昔々ある村に優しい性格の生物学太郎という若者がいました. 彼が関西を通りかかった時のことです. 子どもたちが騒いでいるので近寄ってみると, 彼らは大きな黒木を捕まえてみんなでいじめていました. 「可哀想に. 逃がしておやり」 「嫌だよ. やっと捕まえたんだ. どうしようと俺たちの勝手だろ」 見ると黒木は涙をこぼしながら, 生物学さんを見つめています. 生物学さんは懐から研究者を取り出し, 子どもたちに差し出して言いました. 「この研究者をあげるからおじさんに黒木を売っておくれ」 「ホント? それならいいよ」 こうして生物学さんは子どもたちから黒木を受け取るとそっと関西へ逃がしてやりました.
さて, それから数日経ったある日のことです. 生物学さんが関西に出かけて多様体を釣っていると誰かが自分を呼ぶ声がします. 「おや? 誰が私を呼んでいるのだろう? 」 「わたしですよ」 すると関西の上に, ひょっこりと黒木が頭を出していました. 「この間は助けて頂き, ありがとうございました」 「ああ, あの時の黒木さんか」 「はい, おかげで命が助かりました. ところで生物学さんは, 大栗城へ行った事がありますか? 」 「大栗城? それはどこにあるんだい? 」 「関西の底です」 「えっ? そんな所に行けるのかい? 」 「はい. 私がお連れします. さあ, 背中へ乗ってください」 黒木は生物学さんを背中に乗せて関西の中をどんどん潜っていきました. 関西の中にはまっ青な線型代数が差し込み, 参考書がユラユラとゆれ, 赤やピンクの擬人化の林がどこまでも続いています. 「さあ, 着きましたよ. ここが大栗城です. さあ, こちらへどうぞ」 黒木に案内されて進んでいくと, 目の前に色とりどりの魚たちを従えた美しい女性が現れました. 「ようこそ, 生物学さん. 私はこの大栗城の主人のナマモノ姫です. この間はうちの黒木を助けてくださり, ありがとうございます. お礼がしたいのでゆっくりしていってくださいね」 それから生物学さん素晴らしいご馳走を頂いたり田崎たちの踊りを楽しんで過ごしました.
そして, あっという間に三年の月日が経っていたのです.
ふと家族や村の仲間たちのことを思い出した生物学さんはナマモノ姫にそろそろ帰りたいと申し出ました. するとナマモノ姫は寂しそうに言いました. 「お名残惜しいですが, 仕方ありませんね. ではおみやげにこの解析関数箱を差し上げましょう」 「解析関数箱? 」 「はい, でも決して開けてはなりませんよ? 」 「はい, わかりました. ありがとうございます」 姫と別れた生物学さんはまた黒木に送られて地上へ帰りました.
地上に戻った生物学さんは驚きました. そこは自分の知っている村ではなく自分の家も見当たらなかったのです. 生物学さんは近くに居た一人の老人に尋ねてみました. 「すいません. この辺りに生物学という家はありませんか? 」 「生物学? ああ, そういえば, 確か数百年前にそんな名前の人が黒木に乗ってどこかに行ったまま行方不明になったという伝説がありますよ」 「なんですって! そんな・・・, 家族も友達もみんな死んでしまったのか・・・」 がっくりと肩を落とした生物学さんは, ふと持っていた箱を見つめました. 「そう言えば, これには何が入っているんだろう? 」 そう思った生物学さんは, 開けてはいけないと言われていた解析関数箱を開けてしまいました. すると箱の中から真っ白の煙が出てきました. 煙が消えた時, その場に残ったのはなんと数論になった生物学さんだったのです.
おしまい.
2016-05-26 記事紹介: 『数式や方程式を作って保存出来る『Nuten』がすごい』¶
何だったか忘れたが, 探しものをしていたら次のNutenを見つけた.
ちょっと引用.
数式や方程式はiPhoneではメモ出来ない。そう思っていましたがこんなアプリを見つけました! 代数、幾何、三角法など、なんでも保存出来る『Nuten』です。
三角法って何だ, 三角関数か, とかあるがとりあえず. 手書きのお絵描きアプリで指で書いた方が手っ取り早い感じはあるが, コンセプト自体は面白いのかもしれない. よくわからない. とりあえずメモしておく.
2016-05-27 別冊数理科学がPDF販売されるようになったので¶
以前サイエンス社の通販サイトから直接本を買ったことがある. そのときのメールアドレス宛てに次のような案内が来た.
この度弊社では, ご好評につき品切れとなっておりました数理科学臨時別冊のバックナンバーを電子書籍化致しました. いずれもしばらくの間, 品切れとなっておりました書目です. ぜひこの機会にお求めの上ご利用頂ければ幸いでございます. 弊社サイトの WEBSHOP よりご注文頂けます. 電子書籍一覧はこちら (http://www.saiensu.co.jp/?page=field_list&field_id=30&field_name=%C5%C5%BB%D2%BD%F1%C0%D2) をご覧くださいませ. ご注文確定後に弊社よりお送りするメールでダウンロード情報をお送りいたします.
なお電子書籍のご利用にあたりましては, 弊社サイトにてご案内しております「電子書籍ご利用のご案内」をご一読の上ご利用頂きますようお願い申し上げます. 「電子書籍ご利用のご案内」:http://www.saiensu.co.jp/?page_id=38197
読みたかった本がいくつもある. これは嬉しい. 買いたくなってしまう. 時間が取れなくて悲しい.
2016-05-29 『数学の実験とは違う気がするが実験数学というのはある』¶
数学の実験とは違う気がするが、実験数学というのはある http://t.co/oJ75C8EH3nhttp://t.co/9QnWhRPrdg
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 18
@phasetr 悟り 実験数学 -----> 純粋数学
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 18
ちょっと話はずれるが, 数学とプログラミングについて, これからもっといろいろ本格的にやっていきたい. とりあえず決意表明も兼ねてメモ.
2016-06-01 記事紹介: 「史上最大の素数」、更新される¶
「史上最大の素数」が更新された。2,233万8,618桁で、過去最大だったメルセンヌ素数よりも500万桁大きいものだ。 https://t.co/L5LUzMj7SRpic.twitter.com/dwIg4r24Rh
— WIRED.jp (@wired_jp) 2016, 1月 22
よくわからないが, これまでの最大の素数と今回見つかった素数, その間の素数は全て見つかっているのだろうか.
2016-06-05 記事紹介: 『正規言語と代数と論理の対応:An Introduction to Eilenberg’s Variety Theorem』¶
正規言語と代数と論理の美しい対応をVariety Theoryの視点から紹介した資料を公開しました. 「正規言語と代数と論理の対応:An Introduction to Eilenberg's Variety Theorem」 http://t.co/WuBA23cRLp
— Ryoma Sin'ya (@sinya8282) 2014, 9月 14
正規言語, いわゆる正規表現のことか. いまだに研究するべきことがあるとかいうあたりにまず驚く. とりあえずメモ
2016-06-09 齋藤毅『集合と位相』に出てくる「線」はDVRのSpec¶
以前せっかく伺ったのにど忘れしたので今度こそちゃんとメモる.
@__dingdongbell齋藤毅集合と位相で出てくる「線」、代数幾何的に何だとおっしゃっていたでしょうか?ど忘れしてしまって
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月8日
返答はこう.
@phasetr DVRのspecです。閉点が極大イデアルです。
ありがてえありがてえ.
DVRはDiscrete Valuation Ring.
2016-06-09 関これと環これ: 関数これくしょんとか環これくしょんとかやってみたい¶
関これ〜関数これくしょんでディラックのデルタ関数を獲得! http://t.co/G8aqwA9C52
— ちえみー (@Emmy112358) 2014, 7月 13
前もmonaeさんあたりが環これを話題にしていたが, こういうのをもっとやっていくべきかという気もしている. とりあえず忘れてもいいようにメモ.
2016-06-11 proper射の謎, そして代数と解析, 幾何での有限性のマッチング¶
何か探していたら次のPDFを見つけた.
あまりよくわかっていないが, proper射はコンパクト性の類似という話だった.
どう言ったらいいのかよくわかっていないものの, 代数でネーター性に代表される適当な有限性の解析学類似はコンパクト性で, $\bbR$や$\bbC$上の微分幾何みたいなところだと, 解析学のコンパクト性からくるいい話をいろいろ使っているのだろうという感じがある.
代数で位相を使わない, 使えない代わりに各種有限性があって, 解析学で代数的な諸性質が使えない代わりに位相からコンパクト性を担ぎ出している感じがあって, 代数幾何だとその両方のマッチングをさせるのに苦労している, そういう感じがある.
全くとりとめもないが, とりあえず書いてまとめておこうと思っていたことだったから, いい機会と思って記録しておく.
2016-06-18 微分作用素と指数写像に関するやりとりまとめ¶
いろいろと謎で何を言っているのかいまだにわかっていないが, とりあえずやり取りを記録.
これで微分作用素が非有界なのになんで指数写像が定義できるのか、の疑問が解決。
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegalois超関数の空間なら微分作用素は有界だし、そもそも有界非有界と指数写像の定義自体がそもそも関係ないのでは。接空間に位相入れていなくても指数写像定義できるでしょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetrそうなんですか?!
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegalois非有界というためにはそもそも位相いるでしょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetr作用素としての非有界性は関数空間の距離じゃダメですか?
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegalois指数写像の定義をするいかなるときでもアクトさせる関数空間に位相入っているのでしょうか。入っていたとしてもどんな位相が入っているかが問題ですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetrそこがよくわからないです。っていうか指数写像の一般的な定義知らないのでそれを知りたいです…何かいい文献ありますか?
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegaloisどの文脈で指数写像を定義しているのでしょうか。幾何の文脈での定義と関数解析・作用素論での文脈があります。関数解析・作用素論でもヒルベルト空間・バナッハ空間での半群理論と、超関数論の文脈での微分作用素の扱いとかでもまた趣違うので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetrうーん、それって全部違うんですか…?(゜_゜;)
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegalois位相があったりなかったり、位相があっても連続になったり非有界(不連続)になるし、多様体上だと指数写像の定義に使う「時間」が局所的にしかならない(完備な多様体の話とか必要)なので、それぞれ見たい現象や主な適用対象も違うので全然違うのでは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetrんーと、難しいことはよくわかんないんですが、個人的に、多様体上での出来事と関数空間上での出来事を同一視したいというのが今の一番の目標で、別に有界でも完備でも何でも条件付きでいいんで、その関係を理解したいです。
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegaloisあと理解したいことがあるのにむずかしいことはよくわかんないとか言ってしまえる姿勢、割と最悪では
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 23
@phasetr何が最悪なのかよくわかんないですが、これから関数解析を勉強していく中でいろいろ出てくる指数写像の相互関係を理解したいと思うのが最悪ということでしょうか?
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@phasetr別に一蹴したつもりはないんですけど(ほんとに難しいと思っただけなので)、気分を害されたなら謝ります、すみません。作用素の有界性って距離が必要だと思ってたので、位相だけで定義できるのは初めて知りました。作用素は奥が深いですね…勉強したいです( ゜o゜)
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 23
@ilovegaloisきちんと伝わっていないようですが、純粋に位相空間か距離までいるかという話ではなく、多様体上だとシンプルな設定では接空間に位相がない(リーマン計量入っていない)ですが、(続)
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 24
@ilovegaloisその状態でも指数写像は定義できて、そのときには距離どころか位相すら入っていないので、有界・非有界という言葉自体が意味を持たないということです。位相だけで十分という意味ではありません。ついでにいうと、線型位相空間では距離付けできなくても有界性は定義可能
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 24
@phasetrなるほど!それで位相なんですね!接空間は(有限次元多様体しか知らないので)いつも適当な基底をとってR^nと同一視して位相入れちゃってるんですが、まずこの辺からちゃんと勉強したほうがいいかもですね…何か参考になるものがあったら教えて欲しいです(゜゜;)
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 24
その2.
昨日の指数写像の話、局所解と大域解のどちらを意図してるかが違っただけで意見そのものは対して食い違ってないと思うんだけど、そういう話ではないのかなぁ
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 24
@ilovegalois私は多様体上だと完備性が関わってきて局所的な定義しかできないことは言いましたが、意識としては主に位相が入っているかもわからないところで生成作用素の有界・非有界の議論をしても意味がないところにあったので、私としては全く話が噛み合っていないイメージです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 24
@phasetr相転移さんのブログでもおっしゃってましたけど、ハウスドルフな有限次元線型位相空間には完備な位相がただ一つ入りますよね?それではダメなんですか?
— 星宮みかん。 (@ilovegalois) 2016, 1月 24
@ilovegalois生成作用素の有界性・非有界性を議論するとき、具体的にどんな空間にどんな位相を入れて考えているのか教えてください。これがはっきりさせられていないなら無意味とずっと言っていますし、そういうふわっとした答えしか返ってこないから全く噛み合っていないといっています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 24
@ilovegaloisあらかじめ言っておきますが、位相線型空間を指定した上で入る基礎となる完備な位相が一つ、という話なので、そもそも位相線形空間を基礎となる位相込みできちんと指定できないならその一意性、この文脈では何の意味もありません。それをまず指定しろ、という話なので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 24
何を言っているのか本当に全然わからない. 局所解と大域解というの, 多様体上でのベクトル場が作る局所一径数部分群の話を想定していると思うのだが, それで正しいならこれは多様体の完備性に関する話だ. 一方で微分作用素 (ベクトル場) の有界・非有界は微分作用素が作用する空間と, その上の線型作用素の集合の位相の話だ.
後者の文脈では局所解とか大域解とかそういう話を見た記憶がない. 前者にしたところで, 指数写像が(時間)局所的な定義しかできないか 全体まで伸びるかという話で, 局所解・大域解という言い方はとりあえず見たことがない.
何かよくわからないし, 私が幾何を知らなすぎる問題もある. 何はともあれとりあえずメモ.
2016-06-21 読書 (論文)メモ: Daniel Murfet, Logic and linear algebra: an introduction¶
Logic and linear algebra: an introduction. http://t.co/j7YOGUBA9B
— Mathematics Papers (@MathPaper) 2014, 7月 11
気になる. まずはSGLを読もうと思っているがとりあえずメモだ.
2016-06-25 YouTubeにRuelleとFröhlichとRIMSの岡本久先生の動画があがっていたので¶
Ruelleのはこれ.
Fröhlichのはこれ.
岡本先生の動画はこれ: 他に6つあってわけてある.
RuelleとFröhlichは数理物理の人間で超人. Ruelleは統計力学の教科書が死ぬほどわかりづらい地雷として有名で, 私も学部3-4年の頃に挑戦したがあっさり撃沈した. 今読んでもわかる気がしない.
Fröhlichは論文を何度か読もうとしたが, それらは長く難しい(ハードな解析)論文ばかりで, あまりまともに読んだ・読めたことがない. Fröhlich は割と近めだからもっときちんと読みたいのだが. 2013だか2014のRIMSの新井朝雄先生の還暦祝いも兼ねた研究会で, 九大の廣島先生が「Pauli-Fierz模型に関してFröhlichが自分に『こんなところまでできている』と嬉しそうに話してきて云々」と言っていた. Pauli-Fierz, いま結局どうなっているのだろう. 最近全く追いかけられていないので.
岡本久先生は数理流体力学の専門家で, 実際Navier-Stokesの話をしている.
3人とも動いているところ・話しているところを見るのははじめてだ. 見る時間ないがとりあえずメモはしておこう.
2016-06-30 『日本数学会 大学院生アンケート結果報告』があがっているので¶
このPDF、超こわい。「日本数学会 大学院生アンケート結果報告」http://t.co/yZE3IxPZhYpic.twitter.com/5g0CeD5mEP
— ちえみー (@Emmy112358) 2014, 7月 9
@Emmy112358東大ってすごい恵まれてるんだなあ、ってひしひし感じます。
— H. Hosaka (@H_H) 2014, 7月 9
@H_Hこの大学に残れるよう頑張ろうと思います。
— ちえみー (@Emmy112358) 2014, 7月 9
経済も似たような… “@Emmy112358: このPDF、超こわい。「日本数学会 大学院生アンケート結果報告」http://t.co/aSEqHEPIEPpic.twitter.com/kwcezQTkIh”
— Yuka Ohno (@yukaohno_econ) 2014, 7月 12
何と言ったらいいのかよくわかっていないが, とりあえずメモしておく.
2016-07-05 ゼルプスト殿下のツイート+記事: $\aleph_1$は連続体濃度ではなく可算順序数全体の集合の濃度である¶
殿下がいろいろ書いていたので. とりあえずはじめのところから引用開始.
いま届いた。 pic.twitter.com/tDgbfYh4ZZ
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
ちょいと読んでみたがいい本ぽい。 Cakes, Custard and Category Theory: Easy Recipes for Understanding Complex ... https://t.co/x8ZeDLZXAj@amazonJPさんから
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
料理のレシピが本当に各章の冒頭に書いてあったりする。著者はこの人: https://t.co/jaKW9VfISy
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
ところで、坪井俊『ホモロジー入門』(東京大学出版会)では chain complex は「チェイン複体」となってます。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
「チェイン」を「チェーン」と表記する数学書にはまだ出会っていない。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
あちゃ〜、連続体濃度が ℵ_1 に決められちゃったよ。(坪井俊『ホモロジー入門』) pic.twitter.com/9B4zLUFopl
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@tenapyonまあ本の主題からすれば細かい所なんだけど。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
っていうかこういう誤解は多い。多すぎる。これ、集合論勢としては笑ってる場合じゃなくて、もっと知識を普及させないといけない… がんばらねば。
それぞれの分野でちゃんとした見識をもって良い教科書を書いてもいる先生が、こと基礎論に関わると急にトンチンカンなことを言い出す例というのが、これまでにも複数例報告されている。笑っている場合ではないし、特定の著者たちの不見識を糺すだけでも話は終らないだろう。むむむむむのむ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
ひとつには、ℵ_1 さんが 2^{ℵ_0} くんと比較して(普通の数学で)マイナーな立ち位置にあることもこの誤解の原因になっていそうだ。「つどい」の講演では ℵ_1 をちゃんと定義することにしよう…
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@u23mjagよくわかりませんが「数学基礎論」という名前がよくないという意見は前々からあります。とはいえ「数理論理」と言ったところで事態が改善するとも思えない。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@tenapyon「つどい」講演では ℵ_1 と連続体濃度が違うということがひとつの焦点になります。みなさん聞きにきてください。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
というわけで:坪井俊『ホモロジー入門』(東京大学出版会)のp.2〜p.3の記述です。連続体濃度を ℵ_1 と 表記していますが、これは 2^{ℵ_0} の間違いです。そこを読み替えさえすれば問題ありません。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
そもそも ℵ_1 がいかなる集合の濃度かってことが問題なんだろう。そこを知ったら、連続体濃度と簡単に等値する気にはならないはず。だけど、整列順序とか超限帰納法が数学の表舞台から去って久しいからなあ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
「可算ではない最小の順序数」という定義しか知らない人も多い。カントールは本当に偉いと思う。
— TS (@ta_shim_at_nhn) 2016, 2月 18
正しい知識を広げるには、正しいだけじゃ弱い。有用で面白くなきゃ「わかりやすいウソ」に勝てない。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
ℵ_1 と自然に関連する数学的概念ってのは意外とない。たとえばボレル集合族にしても、超限的に生成する立場ではなくσ加法族としての最小性でほとんどの用が足りるし、まさにそういう用の足し方こそが、数学を集合論に立脚させたい理由なわけだし。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@tenapyonℵ_1 が関連する数学的概念というのはケックリスがいろいろ見つけているんだよね。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
ボレル集合族
三角級数の一意性集合
ダンジョワ積分
ベール第1級函数の族
などなど
それでもまだまだ数学において超限再帰的構成の復権に至るような話にはなってない。
@patho_logic坪井本では「集合と位相」に関連して4冊の参考書を巻末に挙げているので可能なら調査を。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
矢野公一『距離空間と位相構造』共立
森田茂之『集合と位相空間』朝倉
斎藤正彦『数学の基礎』東大出版会
斎藤毅『集合と位相』東大出版会
まあ重箱の隅だということは承知しているし本自体の価値を貶めるつもりは毛頭ないのだ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
正しい理解をどう広げりゃいいんだ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@tenapyonあ、揚げ足取りがしたいわけではないんだから。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
カントールはどうやら ℵ を連続体濃度の意味で使ってはいないんだよね。ハウスドルフは使ってる。ボレルたちはどうだったかな。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
@functional_yy知ってるかもしれんけど、https://t.co/E6ck6Xh6ov
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 18
矢野本はセーフ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 19
連続体濃度は ゲルマン c でした。https://t.co/a43cGYWfqb
森田本、こちらでもいま確認しました。連続体濃度は ℵ で、連続体仮説、一般連続体仮説にまで言及があり、別セクションですが整列集合の理論もそれなりに述べられてます。 https://t.co/MFJ5DhsQSU
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 19
斎藤毅本では濃度を集合から切り離さず Card X という記法を使っています。これは賢いやり方かもしれません。ともあれ4冊全部セーフですね。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 19
@tenapyonあ、斎藤毅本、よく見たら 可算無限がℵ_0で連続体濃度がℵと書いてありました。ともあれ、セーフ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 19
closure ordinal としての使われ方を考えると ℵ_1 は基数というよりも正則順序数であることの方がより重要なのかなとも思う。
— TS (@ta_shim_at_nhn) 2016, 2月 19
そしてこれらを殿下自身がまとめたページが次のリンクにある.
「て日々」書いたhttps://t.co/dqUzvvXTbr
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016, 2月 19
個人的に覚えておきたいところを引用しつつコメント.
きょう届いた本のうち坪井俊『幾何学II ホモロジー入門』(東京大学出版会)を見たら、冒頭のp.2に連続体濃度を $\aleph_1$ と書くとあった。これは間違いだ。連続体濃度は書くとすれば $2^{\aleph_0}$ であり、これは定義上は $\aleph_1$ とまったく別物であり、両者が一致するかどうかは数学史上に名高い「連続体仮説」という独立命題である。
思うに、これは $\aleph_1$ が連続体濃度と比較して陰が薄いことに問題がある。「最小の不可算濃度」という定義が理解されていればいいほうで、それがいかなる集合の濃度であるかまでは理解されていないのだろう。可算無限基数 $\aleph_0$ が有限順序数の集合 $\mathbb{N}$ の濃度であったのと類比的に、最小の不可算基数 $\aleph_{1}$ は可算順序数全体の集合の濃度だ。そこが理解されていれば、連続体濃度すなわち実数全体の集合の濃度と簡単に等値されることもないと思うのだが。
この辺, 全く知らなかった. そして $\aleph_1$ を連続体の濃度と習ったくちだ. 講義でもそうだった気がする. 今手元でどこに置いたか忘れて見つからないのだが, 講義の教科書でもあった松坂和夫の『集合・位相入門』ではどうだったろうか.
そしてあまりよくわからないがとりあえず大事そうなので引用してメモ.
さてしかし、21世紀の数学には、「整列順序集合」とか「超限帰納法」とかの出る幕がなさそうだ。ゲオルク・カントールは可算な閉集合の分類問題(それ自体は彼の三角級数の研究に起源をもつ)から超限再帰と整列順序の概念に到達したのだが、その可算閉集合の分類問題の成果であるカントール・ベンディクソン定理にしてみても、カントールは孤立点を捨てる操作を超限的に反復して最後に残る完全集合に注目したが、集合論が完成してしまった今日では、同じ結果が、凝集点のなす完全集合と非凝集点のなす可算集合への分割、という形で簡単に証明されてしまうのだ。ボレル集合族だって、再帰的に生成する方法をとらず、すべての区間をメンバーにもつ最小のσ加法族という特徴づけで impredicative に定義すれば、実際上問題ないのだ。逐次近似の代わりに不動点定理を使う解析学の方法論もこれに類する。そういう具合に上から抑え込むように物事を特徴づけることが可能になるのが、集合論の有難みというわけで、数学を集合論に立脚させる試みが大成功を収めたこと自体の皮肉な結果として、超限帰納法には出る幕がなくなった、というわけだ。
2016-07-10 2016/7/15『量子場の数理』新井朝雄・河東泰之・原隆・廣島文生 (数学書房)¶
7/15 新刊予定『量子場の数理』新井朝雄・河東泰之・原 隆・廣島文生 共著 4536 円 (数学書房)
— 書泉グランデ MATH (@rikoushonotana) 2016 年 7 月 10 日
四人の著者がそれぞれの専門的立場から数学的な問題設定について解説した. Summer School 数理物理「量子場の数理」の講義をもとに執筆.
本当か. 買わなければ.
2016-07-10 読書メモ: 志村五郎, André Weil As I Knew Him¶
私が交流したアンドレ・ヴェイユという謎の日記を見つけたので.
AMS(米国数学協会)の"NOTICES OF THE AMS"を暇な時に読んでいましたら、そのバックナンバーに志村五郎博士が"André Weil As I Knew Him"(PDF)という故アンドレ・ヴェイユ博士について回想録を書いていらっしゃるのに出くわしました。
PDF のリンクはここ.
なお、次いでながら、ヴェイユ博士は第一次、第二次世界大戦を経験していて、特に第二次世界大戦においては死刑寸前まで窮地に追い込まれたことは有名な話ですし、志村博士は第二次世界大戦時には中学生だったけれども、本土が制空権を失った後は無差別にグラマン戦闘機から機関銃で攻撃された体験を持っています(私の早くに亡くなった父母も子供なのにもかかわらず、同じ体験をしています。子供だからこそ殺す価値があるんだそうで。つまり親世代の戦意を挫くためだそうです)。こういうことを考えると、修羅場をくぐり抜けた世代と今のふやけた世代とでは隔世の感があります。その志村博士の回想録の私訳を以下に載せておきます。既に和訳があるのかどうか(特に紙ベースで)知りませんが、もしまだ無いなら、和訳されるのはずっと後になると思います。また、回想録のわりには長く、かなり専門的記述があり、特に脚注の節は私も圧倒されるほど詳細なものです。代数的整数論や代数幾何学などを専攻していなければ多分理解困難だと思いますが、それを気にせずに気楽に読んでいただければ幸いです。
こんな本も紹介されていた.
読みたい本がどんどん増えていく.
2016-07-12 記事紹介: 大学院入試(他大学大学院への進学)¶
大学院で当研究室への進学を検討してくれている他大学学生さんに研究室の紹介をした.最終的にここへ来るかどうかはともかく,自分にあった研究室を見付けてもらいたい.
— Manabu KANO (加納学) (@DreamChaserJPN) 2016, 1月 29
不定期ポスト:大学院入試(他大学大学院への進学) - https://t.co/QOO9DRXGjh
私も他大の上, 物理から数学と他学科を受けたクチだが, 数学でも参考になるだろう. メモがてら共有.
2016-07-14 PDF紹介: 藤野修『トーリックの世界 -森理論入門-』¶
「トーリックの世界 -森理論入門-」https://t.co/3o8hgneKUT
— Ryoma Sin'ya (@sinya8282) 2014, 7月 6
トーリック, いまだ名前しか知らない. ちょっと定義を見てみたがSpecとか出てきたので泣いた.
代数解析と代数幾何, 食い合わせいいらしいし, 代数解析が気になる関係で代数幾何も気になる. いつもどおりとりあえずメモ.
2016-07-15 京大RIMS数理解析研究所講究録1698離散力学系の分子細胞生物学への応用数理¶
数理解析研究所講究録1698
— KdV (@6uux_uxxx_ut) 2016, 1月 24
離散力学系の分子細胞生物学への応用数理https://t.co/DbHYzy8Zpy
離散力学系の分子細胞生物学への応用数理, どの程度意味があるのかは全くわからないがとりあえず記録しておく.
2016-07-16 Togetter紹介: 『勉強の苦手な子はなぜ安易に「わかった」と言うのか』¶
.@ShinShinoharaさんの「勉強の苦手な子はなぜ安易に「わかった」と言うのか」をお気に入りにしました。 http://t.co/O1kSlmCooj
— taiaki48 (@taiaki48) 2015, 5月 8
前も紹介したような気がするがまたTwitterで見かけたので. Togetter名物の異常なコメントがあって地獄ぽかった. 何はともあれ参考にしたい.
PDF紹介: 確率変数の可測性と条件つき期待値の意味¶
確率変数の可測性と条件つき期待値の意味についてまとめました.https://t.co/rvrSbIthuB
— Καῖνος (@derived_kai) 2015, 10月 8
@derived_kai参考文献を忘れていた.あした書き足す.これ (http://t.co/YnZ4ivUc0p測度と確率-小谷-眞一-x/dp/4000056107) とこれ (http://t.co/0A2DuwlBi4).
— Καῖνος (@derived_kai) 2015, 10月 8
確率も汎関数積分との絡みで参照することがあるのでもっときちんとやりたいと思って幾星霜. Lorinczi-Hiroshima-Betz, もっとちゃんと読みたい.
2016-07-22 sinc
関数からなる関数列の定積分に関する謎の挙動¶
元のツイートがもう発掘できないのだが, ある論文が元ネタになった話があったのだ.
文献によると
— イスカリオテの湯葉 (@yubais) 2016, 1月 30
1/3+1/5+1/7+1/9+1/11+1/13 = 0.955…
1/3+1/5+1/7+1/9+1/11+1/13+1/15 = 1.021…
で、1を越すことが破綻の原因らしいがhttps://t.co/8dLTcageul(PDF)
「なぜ15なのか」は分かったが「なぜ破綻するのか」は全然わからん
— イスカリオテの湯葉 (@yubais) 2016, 1月 30
2ページの上の式を見てもらうとわかる. sinc
関数の積分に関する話だ.
何といっていいのか全くわからない話題だが, 謎なのでとりあえず記録しておく次第.
2016-07-25: sci-hub.io: 4700万件の研究論文を「科学の発展」のためタダで読めるようにしている海賊版サイト「Sci-Hub」: 記事紹介¶
4700万件の研究論文を「科学の発展」のためタダで読めるようにしている海賊版サイト「Sci-Hub」 https://t.co/rfcSb7NZc2#SmartNews
— あこたかゆき (@ta_niiyan) 2016, 2月 18
話題になっているサイトはこれ.
よくわからないのでatiyahとwittenで検索したら, 単にGoogle Scholarに飛ばされるだけだった.
運営しているのはロシアの神経科学者でカザフスタン出身のAlexandra Elbakyanさん
とのことだが, どの分野の出版論文が多いとかそういう情報ないのだろうか. 数学とか物理でどのくらいあるのか, まずはそれが気になる方の市民だった.
2016-07-26 Halmos, P. R., HOW TO WRITE MATHEMATICS¶
あ,ここで突然ですが,わたし,数学的な文書の書き方がまるでなっていなかったので,某先生にこちらの文書を読むことを勧められ,ものすごく勉強した記憶があります
— Norie Fu (@clarinetcat) 2016, 2月 22
Halmos, P. R.
HOW TO WRITE MATHEMATICShttps://t.co/0nN0wEW4PV
読んでおきたい. とりあえずダウンロードしておいた.
2016-07-27 最適輸送とRiemann幾何, 測度距離空間¶
このあたりを読むと良さそうだ https://t.co/Z6WkteQMbxhttps://t.co/y500H4u1NJ
— 松本佳彦 (@ymatz) 2014, 5月 15
二つともRiemann幾何のPDFだ. 一つめは「測度距離空間のリッチ曲率と熱流」, 二つめは「最適輸送理論とその周辺」で, 両方とも最適輸送に関する話.
Villaniあたりが研究している話を京都の太田慎一さんが解説している. どんな流れでこのツイートが出てきたのか全く覚えていないがとりあえずメモ.
2016-07-28 大田春外『解いてみよう位相空間 改訂版』と関連するwebサイト¶
解いてみよう位相空間 改訂版 http://t.co/cybP7IEsxo
— iSem (@AzuleneS0_S2) 2015, 1月 16
太田春外先生の本です^^ 春外先生は(数学の)位相空間に関するいろんな質問に答えてくださるウェブサイトを開設しています^^http://t.co/GecdY7Qxz9
本やサイトがかなり気になる. とくに具体例の話が.
位相空間というと先輩から聞いた話で, 東大数理の大島利雄先生が「学生の頃位相空間が一番難しかった」と言って, その理由として「位相空間を勉強していた頃, あるだろう, 作りたいと思った反例を作るのにものすごい苦労した」みたいなことを言っていた, という話がある.
教官陣, 学生の頃からきちんと反例を作るといった大事な基礎基本を 疎かにしていないと知って, 修士なのにまるでできていない自分はどれだけ出来が悪いのかと戦慄したものだ.
2016-07-31 連続関数環の閉かつ素なイデアルは極大イデアル¶
連続関数環の極大イデアルはもちろんわかるが、素イデアルの例が作れなくて泣いている
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@phasetr剰余環が整域かどうか見ればいいのか、と思いつついまだよくわからないというこの代数力
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@phasetr素イデアル、本当によくわからない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
こんなコメントを頂いた.
Gillman, Jerison を開いてみたところ、選択公理を使うものばかり載っていた
— [狐]クレイモア (@iClaymore) 2016年2月24日
>連続関数環の極大でない素イデアル
とてもつらいしやばい. あとたんじぇイケメンエリート太郎にも教えて頂いたので.
@f_tangent連続関数環の素イデアル、なにか具体例知っているでしょうか。愚鈍なので作れなくて泣いています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@f_tangentもちろん極大イデアル以外の例で。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@phasetrコンパクトハウスドルフの上だと極大でない素イデアルない?分離公理を捨てれば何とかなるか?
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@phasetr局所コンパクト空間上の連続関数環だったら極大イデアル=素イデアルぐらい言えると思いますよ. ハウスドルフ性を外さないと作れなさそうです
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年2月24日
@phasetrすいません、閉かつ素なイデアルは極大イデアルになることが言えますが、一般の代数的なイデアルについてもおなじことが言えるかは分かりません
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年2月24日
@f_tangentありがとうございます。https://t.co/dJzp91c2Q4という悪魔のようなコメントをいただいてとてもつらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月24日
@phasetrXがコンパクトハウスドルフの時は、C(X)の閉イデアルはXの閉集合と1:1で対応しますが、2点以上を含む閉集合に対応するイデアルはウリゾーンの補題から素イデアルになりえないので、素イデアル=ある1点で0になる関数の集まり=極大イデアル になります
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年2月25日
@f_tangentできる男マジパネエ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月25日
Urysohn, 愛してやまない. そしてたんじぇイケメンエリート太郎が順調に育ってきていて, 感銘を禁じ得ない. ちょっと聞くとぱっと答えてくれるとか素晴らしすぎる.
一応それにすぐ答えてもらえるだけの対応というか, 信頼関係も築けてきている感もある. ありがたい限りだ.
2016-08-01 慶應大学の「数理女子」というサイトがあったので【宣伝協力】¶
http://t.co/W1BQywTnE4慶應、【数理女子】と言うページを作っていたのか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014年5月14日
改めてリンクつけておこう.
もう東大に移ってしまっているが, 佐々田さんが頑張って作ったのだろう. 佐々田さんのメッセージを引用しておく
音楽やスポーツにはいろいろな楽しみ方があります。カラオケでわいわい盛り上がる人、コーヒーを飲みながらクラシックを聴く人、日々筋トレに励む人、W杯を見に世界中出かける人etc...。数学も同じです!問題を解くだけが数学ではありません。あなたなりの数学の楽しみ方をぜひ見つけてください。 佐々田 槙子(東京大学・数理科学研究科)
数学女子とかいう言い方じたいがなくなるときが来ることを祈って, とりあえず宣伝協力しておく.
2016-08-04 ytb_at_twtさん筋の情報: ゲーデル警察とコンピュータの歴史から紐解く人工知能¶
またもやたべさん筋の情報で悲しみに包まれた.
ゲーデル警察案件。たしかにひどい。https://t.co/KvkUlg74prhttps://t.co/WDG6AZwn6B
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年2月25日
引用元のツイート群も引用しよう.
?
— リング (@matsumoring) 2016年2月24日
AIとは何か--コンピュータの歴史から紐解く人工知能 https://t.co/Zl1BggbnLn@zdnet_japanから
@matsumoring「AIとは何か--コンピュータの歴史から紐解く人工知能」とは何か。 #なんつって
— 証 蔵 (@GLC___) 2016年2月24日
@GLC___@matsumoring「「AIとは何か--コンピュータの歴史から紐解く人工知能」とは何か。 #なんつって」とは何か。 #なんつって
— リング (@matsumoring) 2016年2月24日
@matsumoringつい茶化してしまいましたけど、この記事はゲーデル警察案件ですね。「完全人工知能」をある種の証明系になぞらえているようですけど、その定義や「知能が定義できる」ことの定義がそもそもなされていない等、議論に穴があります。真面目な記事とは思えません。
— 証 蔵 (@GLC___) 2016年2月24日
@GLC___ゲーデル警察www facebookポリスの親戚みたいなもんですか(笑)不完全性定理には要注意ですね!
— リング (@matsumoring) 2016年2月24日
@matsumoring(ホントそやで…)
— 証 蔵 (@GLC___) 2016年2月24日
「身内」の数学界隈からでもひどい目にあうようだし, 数学基礎論, 数理論理の人達, 本当に大変だ.
2016-08-04 選択公理を証明に使う典型的な命題である程度初等的な命題で比較的証明短い命題が知りたい¶
市民メモ.
緩募 選択公理を証明に使う典型的な命題で、ある程度初等的な命題で比較的証明短いやつ。とりあえずハーンバナッハと極大イデアルの存在は考えている
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月7日
これに頂いたコメントを引用しておきたい.
@phasetr k を自然数とする. グラフ G の任意の有限部分グラフが k-彩色可能ならば G も k-彩色可能
@phasetr 群 G の任意の有限生成部分群が順序付け可能(演算と同調する全順序を定めることができる)ならば G も順序付け可能
@phasetr 連結かつ局所有限な無限グラフは無限単純道を持つ
@phasetr 先手も後手も必勝戦略を持たないような長さωのゲームが存在する
教えてもらったのはいいものの.
@functional_yyありがとうございます。その辺ググれば証明も簡単に出てきますか?
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月7日
そしてこう返ってくる.
@phasetr 出てきません
@phasetr 最初の3つはコンパクト性定理(cmpactness theorem, BPIと同値)の典型的な応用例なので, この辺りのワードと一緒に検索すれば出てきます. 私の超準解析ノート(最新版)にも2行くらいの証明が載っています.
@phasetr 最後の例は集合論(の決定性公理)に関する話題なので決定性公理と選択公理で調べたら出てきます.
@phasetr 最初の3つがコンパクト性定理の帰結と書きましたが最初の2つです. 3つ目は(従属)選択公理を使って頂点を選択してパスを伸ばしていくという操作を繰り返すので簡単.
何はともあれ記録しよう.
2016-08-05 京大2次試験数学問題をRで表現する - ryamadaのコンピュータ・数学メモ 【記事紹介】¶
おもしろ。Rで何でもできるのか。正四面体を「4次元空間」に落とし込んで解決する方法を編み出すとか、突き抜けてる感がある(褒め言葉)
— レ点 (@m0370) 2016年2月26日
/京大2次試験数学問題をRで表現する - ryamadaのコンピュータ・数学メモ https://t.co/SZOd9XaJsv
こういうのでいろいろ遊んでみたいとはずっと思っている. とりあえずメモだ.
2016-08-07 単語習得のためのpicture dictionary: 数学にも転用できないだろうか.¶
英語学習で英英辞典を使いこなせるといいのはその通りだろうし、自分もそう思う。ただ、語彙獲得のプロセスでそのための準備が必要だということも同時に感じていて、初学者から2000語獲得に至るまではpicture dictionaryの活用が有効ではないか。
— 大泉英数研究室 (@eisuken2002) 2016年2月27日
というわけで、OPDのアプリ版を購入してみたんだけど中々いい。小・中学生に関してはアプリとなると何かと障壁もあるので、書籍版を持たせようかな。https://t.co/ncoPs87Ufn
— 大泉英数研究室 (@eisuken2002) 2016年2月27日
参考にしたい. 数学にも転用したい.
2016-08-08 「数学と芸術」というタイトルの講演が理数教育研究所主催「2014高校数学セミナー」であったそうなので¶
(財)理数教育研究所主催「2014高校数学セミナー」に参加してきた。
— 黒田真樹 (@kurodams) 2014年5月11日
桜井進先生「雪月花の数学 芭蕉の俳句はなぜ五七五なのか」
中島さち子先生「数学と芸術」 pic.twitter.com/JymTiHdfwR
桜井進事案は不安でしかたないが, 仲島さち子さんの「数学と芸術」は気になる. こういうのもいろいろ調べて情報ださないといけないな, とはずっと思っているのだが全くできていない.
2016-08-09 チャーハニスト鈴木による「ロジックおすすめ本の紹介」ページ【宣伝協力】¶
http://t.co/LlPyvAhYHQ(公開までに時間がかかってしまいましたが)ロジックおすすめ本紹介のページができました.
— すずきまさや (@mszk_p) 2014年5月11日
何はともあれ記録・宣伝協力しておく.
2016-08-11 カーネギーメロン大学哲学科という魔界: 数理論理学, 科学哲学はもちろんのこと機械学習や統計的因果推論の専門家もいるらしい¶
というかカーネギーメロン大学の哲学科の教員(https://t.co/FGgg93zKwB)、数理論理学とか科学哲学とかだけじゃなくて機械学習とか統計的因果推論の専門家とかいるしやば
— ラス子 (@mercbeinp) 2016年2月29日
@mercbeinp確かトポロジーの授業が(必修か必修選択で)開講されていたはずです.あそこはわかっているところなんですよ.
— ルグラン (@1_hoc) 2016年2月29日
@1_hocなるほど...すごい世界ですね...
— ラス子 (@mercbeinp) 2016年2月29日
@mercbeinphomotopy type theoryの研究で数学、論理学、計算科学にまたがって好き放題やってる印象
— ╭( ・ㅂ・)وउन्माद भाल्ल (@ryokubu2718) 2016年2月29日
@ryokubu2718アメリカこわい
— ラス子 (@mercbeinp) 2016年2月29日
話は変わるが, 竹崎先生がUCLAの改革に立ち合ったとき, 人文学の基礎は哲学, 理学の基礎は数学, 的な感じで話が進んでいたらしく, 数学への深い信頼を感じて感動するとともにその信頼に応えるべくやっていかないと, と身が引き締まる思いだったとか伺った.
2016-08-12 チリ出身, 2016五輪女子柔道70kgドイツ代表のラウラ・ヴァルガス=コッホさんは数学科の博士学生らしいので¶
柔道女子70キロ級銅メダルのラウラ・ヴァルガス=コッホさん、祖父がピノチェト政権の圧政を逃れてチリからドイツに移住。数学を学ぶ大学院生で、ベルリン工科大学で修士課程を最優秀の成績で終え、博士論文を書きながら練習、と。すごい。 https://t.co/XMqjMWaERP
— masaya honda (@hondayonda) 2016年8月11日
専門はアルゴリズム論/離散数学と。 https://t.co/lyD6AmiGHb
— masaya honda (@hondayonda) 2016年8月11日
数学の博士課程に行きながら柔道でメダルとか, あまりにも格好いい. 私も見習いたい.
あといちおうWikipediaへのリンクも.
2016-08-12 斎藤正彦『線型代数学』(東京図書)が出版されたようなので: ツイート紹介¶
斎藤正彦さんの『線型代数学』(東京図書)が出版された。『線型代数入門』(東大出版会:1966)と比較すると、線型空間がぐっと控えめになったこと、単因子論を使ったジョルダン標準形の証明が直接的な証明になり、簡略になったことが挙げられよう。妙な癖がなくて、なかなか感じの良い本だ。
— 足立恒雄 (@q_n_adachi) 2014年5月10日
https://t.co/JzXOExk2im気になる。毅本も合わせて読んでみたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014年5月10日
東大出版会の齋藤正彦『線型代数入門』, 私の愛読書でAmazonにレビューも書いたし物理への応用にはかなりいいので, いろいろなところで宣伝しているが新しい方も気になる.
齋藤毅本も佐武本も気になるが読めていない. 勉強したいことは多いし, それに合わせて情報発信したいことも多いが, その時間確保のためにもマネタイズを真剣に考えていきたい.
2016-08-14 デレマスに見る新参・古参のあるべき姿問題: 「だりーなの志を認め憧れを形にしてみせるなつきちの姿は新参に対する古参のあるべき姿を示している」: ツイート紹介¶
だりーながにわかであることをすぐに察してもそれを笑いも糾弾も否定もせず先達としてロック道の案内役を務めるとともに、だりーなの志を認め憧れを形にしてみせるなつきちの姿は新参に対する古参のあるべき姿を示している #imas_cg_anime
— 浅木原忍@謎の本格ミステリ大賞候補 (@asagihara_s) 2015年8月21日
理屈ではわかっているのだが, 現実的になかなかこうは動けていない自分がいる.
節目節目で反省すべく記録しておく.
2016-08-21 Inkscapeを使った立体的な図を作り方メモ¶
作った(地球物理の人はだいたい鉛直をz軸に取るけど断層に沿う座標系が欲しかった) pic.twitter.com/ZCnJn8xdw4
— らの (@Bimaterial) 2016年3月1日
@Bimaterialこのような綺麗な図はどのように作っているのかよければ教えていただけないでしょうか?
— すりっぷちゃん【8歳】 (@slip001) 2016年3月1日
@slip001Inkscape を使っています、立体的なイラストが作りたければこんな感じです↓https://t.co/9lpMDq9ylrhttps://t.co/w0GEOJ8aH1
— らの (@Bimaterial) 2016年3月1日
@Bimaterialすごく便利ですね!教えていただきありがとうございます!
— すりっぷちゃん【8歳】 (@slip001) 2016年3月1日
こういう技術ももっと磨きたい. とりあえずメモ.
2016-08-22 昭和15年の小學校の算數の教科書「伸ばす算術の新研究」のまえがきから: ツイート紹介¶
昭和15年の小學校の算數の教科書「伸ばす算術の新研究」のまえがきが中々重い pic.twitter.com/kWLx6zVTgy
— 隅須正昭@ゆとり國 (@nagoya313) 2014年4月28日
@nagoya313@mineotakamuraこんな精神論は算数教育を歪めるような気もします.算数も国語も社会も理科も,「行間」(=背後にある概念や考え方)を読まずに丸暗記しようとする者がつまづくのです.
— MIURA #Remember0919 (@aliquisgg) 2014年5月2日
画像から文章を抜き出しておこう. 旧漢字はめんどいので変換したが「思はない」などの仮名づかいはそのままにした.
算術の成績の思はしくない人は (1) 心におちつきのたりない人. (2) やったらできるといふ自信と元気のたりない人. (3) 人より先に答を出したがつたり, 早がつてんして問題をよく読まない人. (4) 出来ないからといつて, もう一度しつかりと考へながら問題を読んでみない人. (5) 文字をきれいに書かない人. (6) 位取や名のつけ方に注意のたりない人. (7) 自分のための勉強だと思つて, しんけんにならないで, いつも人にやかましく言はれて勉強する人.
引用した 2 つ目のコメントはまるで意味がわからないので引用した. (7) あたりは精神論っぽいが, 問題をよく読まないとか考えながら問題を読まないとか, そういうのも言っているし, 何でいきなり丸暗記とか言い出すのかわからない.
何はともあれ, 大事なところがないでもないので記録しておく.
2016-08-23 $\varepsilon$-$\delta$ 論法のアニメーション: こんなの自分でもきちんと作りたい¶
ε-δ論法(連続の場合)
— 鯵坂もっちょ (@motcho_tw) 2016年3月2日
∀ε>0,∃δ>0 s.t. |x-a|<δ ⇒ |f(x)-f(a)|<ε
どんなに狭いオレンジに対しても、緑より狭い青を狭くすれば赤をオレンジより狭くできるような、緑のとり方が存在する。 pic.twitter.com/Rrdhmqgfbj
ε-δ論法(不連続の場合)
— 鯵坂もっちょ (@motcho_tw) 2016年3月2日
∃ε>0,∀δ>0 s.t. |x-a|<δ ∧ |f(x)-f(a)|≥ε
どんな緑をとっても、青が緑より狭いにもかかわらず赤がオレンジより広くなってしまうようなオレンジが存在する。 pic.twitter.com/TlfwBxAEM3
ε→オレンジ
— 鯵坂もっちょ (@motcho_tw) 2016年3月2日
δ→緑
|x-a|→青
|f(x)-f(a)|→赤
desmoshttps://t.co/JSq5BTnwzY
参考動画https://t.co/9hmjmOYJL0
こういうのは単純な絵よりも動画の方がいいと改めて思ったので記録. こういうのをもっとさらっと作れるようになりたい.
2016-08-24 妄想カップルの会話がきついし「理系のつぶやき」のどの辺が理系なのか全くわからない事案¶
夏祭りのカップル
— 理系のつぶやき (@iam_rikeeeee) 2014, 5月 4
彼氏「あの花火赤色で綺麗だね…」
彼女「うん//」
彼氏「でも…」
彼女(お…?くるか…?)
彼氏「あれ、カリウムかねぇ…」
_人人_
>理系<
 ̄Y^Y^ ̄
彼女「いや、ナトリウムじゃない?」
_人人人人_
>両方理系<
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
http://t.co/v4jEA7DZz2【彼氏「あれ、カリウムかねぇ…」
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 4
理系
彼女「いや、ナトリウムじゃない?」
両方理系】http://t.co/8YStFfbNGfNaは黄, Kaは淡紫のようだがどういう状況で会話しているのだろうか
【緩募】https://t.co/W3rbX1iA0Dここでの会話の状況を詳しく分析できる方 【彼氏「あの花火赤色で綺麗だね…」 彼女「うん//」彼氏「あれ、カリウムかねぇ…」彼女「いや、ナトリウムじゃない?」】というやつ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 4
@phasetr彼氏は理系ではあるが、化学系は詳しくない。彼女は化学系。
— エビ (@ebi_j9) 2014, 5月 4
彼は詳しくないのでなんとなくカリウムといった。それに対して彼女は、(赤い炎色反応はSrだけど、もう一つの物質を言っているのかしら?赤と言うよりはオレンジに近いから…)いや、ナトリウムじゃない?と答えた。
@ebi_j9根拠もなく現象を語る彼氏は魔女裁判にかけて火炙りにしましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 4
@phasetr別例:ピンク色の花火を見て、彼氏はカリウムかなと思った。しかし、花火に詳しい彼女は(元々カリウムはあまり使わないけど、あの色はカリウムのピンクっぽい紫よりはSrとNaが主な構成の色だと考え)ナトリウムじゃない?と答えた。
— エビ (@ebi_j9) 2014, 5月 4
@phasetr黄色の花火が上がった瞬間に彼氏が彼女に語りかけた。ちょうど何か食ってた彼女がごっくんした後、見上げたら淡紫の花火がすでに上がっていた、 とか。
— いくた♥️なお/SCIS2016参加中 (@ikutana) 2014, 5月 4
@ikutanaいい加減なことをいうな、と彼女が彼氏を何か実験器具で死ぬまで殴打するとかそういうストーリーがほしいですね
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 5月 4
冒頭部の妄想会話, 猛烈に難解でいまだに何を言っているのかわからない. これは何だったのだろうか.
2016-08-25 『数学への分野転向の際に行った勉強のこと』 薬学から数学への転向: 記事紹介¶
Facebook で流れたきたのだが, 数学への分野転向の際に行った勉強のことという記事の記録. 薬学から数学への転向という何となく魔人っぽい経歴の方だ. 学振も取っているので魔人感はさらに高まる.
それはそれとして次の点がとてもいい感じ.
仕事において、新しい分野の勉強をする際には
- 難しすぎる教科書には手を出さない(適切なレベルから始める)
- その道のエキスパートに基礎として何を学ぶべきか教えを請う
- どのようにして仕事に活かすか、領域を慎重に選ぶ
- 記録をつける
- ともだちを作る!!!!
が重要なのではないかと思います、というお話しをします。
仕事に活かすかどうかについては微妙なところだが, 「仕事において」とついているから その前提なら外せない要件だ.
いまちょうどこの辺に関して現代数学の通信講座をはじめようとも思っているので, その参考にもしていきたいと思っている. とてもタイムリーだった.
中身はしごくまともなので読むと参考になるはずだ.
2016-08-28 愛からはじまる Coinfinite set と cofinete set の違い¶
愛は無限大だから尽きることはないが、隙間もいくらでも広げられる(←なんか良いこと言っているようだが意味は無い)
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014年5月3日
さっきの「隙間はいくらでも広げられる」って意味は、自然数の数も∞、偶数の数も∞、3の倍数の数も∞、もちろん378015の倍数の数だって∞。無限大と言えばすごいようでいて「濃度の薄い無限大」もあるから、リア充気をつけろ、とそういう意味ね。@irobutsu
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014年5月3日
この「濃度」は数学用語的意味ではない(^_^;)。@irobutsu
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014年5月3日
@irobutsuあれー。加算濃度にも色々あるが、連続体濃度には負けるとかそういうネタじゃないの?
— AXION (@AXION_CAVOK) 2014年5月3日
@AXION_CAVOKだって上の例全部可算濃度だし(^_^;)。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014年5月3日
そしてやたべさんが絡む.
自然数上でもCoinfinite set (補集合が無限集合な集合)とcofinite set (補集合が有限)は本質的に違います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014年5月3日
QT @irobutsu: 愛は無限大だから尽きることはないが、隙間もいくらでも広げられる(←なんか良いこと言っているようだが意味は無い)
RT『@ytb_at_twt:自然数上でもCoinfinite set (補集合が無限集合な集合)とcofinite set (補集合が有限)は本質的に違います。 QT @irobutsu: 愛は無限大だから尽きることはないが、【略】』
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014年5月3日
う〜む。違いがわからない男>わし
@ytb_at_twtcoinfinite setとcofinite setが本質的に違うというのはどういうことを指しているのでしょうか。これらが違うのは分かりますが、本質的というので何を指しているのかが気になっていて
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014年5月4日
@phasetr元の文脈の「無限に隙間を広げられる」に関し、coinfinite setは無限に隙間を広げてもcoinfiniteのままだが、cofinite setはcoinfinite setに変わってしまってcofinite性は保存されませんよ、というだけの話です。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014年5月4日
あとでいちいち考えなくてもいいように, coinfinite setとcofinete setの例を挙げておこう.
Coinfiniteの例は$I_n = {1,2,\dots,n}$(ただし$n$は自然数)が簡単な例で, cofiniteの例は上の$I_n$の補集合. 自明と言えば自明だし書く必要ない気もするが, 一応.
あとこの辺のいわゆる「余」となるcoの使い方, 結構便利だなと改めて思うなどした.
そして「無限に隙間を広げる」という操作, 割と非直観的で難しい感じがある. そもそも操作と言っていいのかすらよくわからないが.
面白いのでとりあえずメモっておこう.
2016-08-29 2016-03に層コホモロジーとチェックコホモロジーの一致に局所可縮さえあればパラコンパクトは要らないという最新の結果を知ったので¶
Dungundji の Topology を持ってきた某君から, 層コホモロジーとチェックコホモロジーの一致に局所可縮さえあればパラコンパクトは要らないという最新の結果について聞いたのでここからは位相空間論を駆使していく流れに違いない
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2016 年 3 月 6 日
証明が気になる. 論文読んでみたい.
あと局所可縮というのはどのくらいの強さがある条件なのだろう. 局所可縮な例と成立する空間のクラス, そして成立しない例と成立しない空間のクラスが知りたい.
そしてよくよく考えるとパラコンパクトが課す制約の強さ, つまりパラコンパクトになる空間のクラスをほとんど知らない. パラコンパクトにならない例もあまりよくわかっていない.
投げておけば誰か教えてくれるだろうと思ったが, ちょっと調べてみた. Wikipedia先生からいくつか引用する.
まずはコンパクトから.
なお無限次元では有界閉集合はコンパクトとは限らず, 例えばヒルベルト空間内の (縁を含んだ) 単位球体は有界かつ閉集合であるがコンパクトではない (距離位相を入れた場合).
当然の有名な事実だが, 一応メモ.
このようにコンパクト性は, 無限だと起こる問題を有限に落とす事で回避する事に用いる事ができる. 一般的に無限が絡むと議論が複雑になるので, これを回避できるコンパクト性は有益な概念である.
これ, やろうと思って忙しくてできなくなった可換環セミナーでも言及しようとした話だ.
これは以下のように考えれば直観的に理解できる. まず簡単にわかるように一辺の長さが 1 である (縁を含んだ) $n$ 次元超立方体 $I^n$ を 1 辺の長さが $(1/2) + \varepsilon$ の (縁を含まない) $n$ 次元超立方体 $B$ で覆うには どうしても $B$ のコピーが $2^n$ 個必要である. (ここで $\varepsilon$ は小さい値. たとえば $\varepsilon = 0.1$). したがって $n \to \infty$ とすれば分かるように, 1 辺の長さが 1 の無限次元超立方体 $I^{\infty$}$ を覆うには どうしても 1 辺の長さが $(1/2) + \varepsilon$ の 無限次元超立方体が無限個必要になり, 有限個では覆う事ができない. コンパクト性は無限個開被覆は有限部分開被覆を持つ事を要請しているので, これは $I^{\infty$}$ はコンパクトではない事を意味する. しかし有限次元の場合と同様の証明で $I^{\infty$}$ が有界閉集合である事は示せる. 以上の事から $I^{\infty$}$ は有界閉集合であるがコンパクトではない.
同様のアイデアに基づいて $I^{\infty$}$ が (有界ではあるが) 全有界ではない事が示せる. したがって全有界性は有界性よりも真に強い概念である.
これ, パッと見で $\ell^{\infty$}$ に見えたのだが, コピペしたら $I$ だったのでちょっとびっくりした.
で, パラコンパクト.
パラコンパクト空間のすべての閉部分空間はパラコンパクトである。ハウスドルフ空間のコンパクト部分集合は常に閉であるが、これはパラコンパクト部分集合に対しては正しくない。そのすべての部分空間がパラコンパクト空間であるような空間は遺伝的パラコンパクト (hereditarily paracompact) と呼ばれる。これはすべての開部分空間がパラコンパクトであると要求することと同値である。
なんJ位相空間部のつぶやきによって, この辺は何となく頭に入った. 証明などは全く知らないが. 反例もつぶやかれていた気がするが, 覚えていない. 誰かに教えて頂いたら追記したいところ.
チコノフの定理(コンパクト位相空間の任意の集まりの積はコンパクトである)はパラコンパクト空間には一般化されない、つまり、パラコンパクト空間の積はパラコンパクトであるとは限らない。しかしながら、パラコンパクト空間とコンパクト空間の積はつねにパラコンパクトである。
これもやはりなんJ位相空間部のつぶやきによって何となく知っている. そして詳しく知っているわけでもない.
すべての距離空間はパラコンパクトである。位相空間が距離化可能であることとパラコンパクトかつ局所距離化可能なハウスドルフ空間であることは同値である。
(連結な) Riemann 多様体, どうしてもパラコンパクトになるのか. パラコンパクト性から Riemann 計量の存在が言えた気がするが, ある種の逆, という感じがある.
- すべての正則リンデレーフ空間はパラコンパクトである。とくに、すべての局所コンパクトハウスドルフ第二可算空間はパラコンパクトである。
- ゾルゲンフライ直線(英語版)は、コンパクト、局所コンパクト、第二可算、距離化可能のいずれでもないが、パラコンパクトである。
- すべての CW 複体(英語版)はパラコンパクトである[1]。
- (Theorem of A. H. Stone(英語版)) すべての距離空間はパラコンパクトである[2]。初期の証明は幾分難解であったが、初等的な証明が M. E. Rudin によって発見された[3]。距離空間が非可分の場合は、定理を満たすような細分の存在証明に選択公理を必要とする。ZFも従属選択公理(英語版)つきZFも十分でないことが証明されている[4]。
正則リンデレーフとか全くイメージがつかめない. あとやはりこれ.
パラコンパクトでない空間の例には次のようなものがある。
- 最も有名な反例は長い直線であり、これはパラコンパクトでない位相多様体(英語版)である。(長い直線は局所コンパクトであるが、第二可算でない。)
- 別の反例は無限(英語版)個の離散空間の非可算個のコピーの積である。particular point topology(英語版) が入っている任意の無限集合はパラコンパクトでない; 実はメタコンパクト(英語版)ですらない。
- プリューファー多様体(英語版)は非パラコンパクトな面である。
- bagpipe theorem(英語版)は非コンパクト面の 2ℵ1 個の同型類があることを示している。
これも大事そう. 使う状況が全く想像できていないが.
パラコンパクト性は弱遺伝的 (weakly hereditary) である、すなわちパラコンパクト空間のすべての閉部分空間はパラコンパクトである。
パラコンパクトハウスドルフ空間上、層係数コホモロジーとチェックコホモロジー(英語版)は等しい[5]。 5. Brylinski, Jean-Luc (2007), Loop Spaces, Characteristic Classes and Geometric Quantization, Progress in Mathematics, 107, Springer, p. 32, ISBN 9780817647308.
実は、T1 空間がハウスドルフかつパラコンパクトであることと任意の開被覆に従属な 1 の分割を持つことは同値である(下記参照)。この性質は(少なくともハウスドルフの場合において)パラコンパクト空間を定義するのに使われることがある。
パラコンパクト性はコンパクト性の概念とほとんど関係がないが、位相空間の構成要素を扱いやすいピースに解体することにむしろもっと関係がある。
最後の方, メタコンパクトとかオルソコンパクトとかでてきて, コンパクト wiki と zena さんを想起した.
zena さん, あんなに無茶な数学の話をしていて 物理学徒を自称するの, さすがに無理がありすぎる, ふだん何やってんの, といつも言っている.
久し振りに長くなった感がある. 引用ばかりなので, 自分で書いたところは少ないが.
こういうのを再勉強すると, 学部一年でやったことがどれだけわかっていないかとか 思い知らされてつらい.
『異色の経歴が異色のセキュリティコンテンツを作る』という記事を見て数学コンテンツ作成の取り組みについて反省したので¶
異色の経歴が異色のセキュリティコンテンツを作るという記事があった.
東京都が配布する防災の手引き「東京防災」が評判のようだ。黄色い表紙が目を引くハンドブックで、イラストをふんだんに使って防災の備えや被災時の行動について分かりやすく解説しているのが特徴だ。 この東京防災と同じ黄色の表紙のガイドブックが、情報のセキュリティ分野でも登場したのをご存じだろうか。内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が16年2月に公開した、「情報セキュリティハンドブック」がそれだ。NISCのWebサイトから無料でダウンロードできる。 こちらも分かりやすさでは負けていない。NISCの女性分析官やその上司、パソコン初心者の子供といったキャラクターが登場し、サイバー攻撃や対策について、丁寧に解説する内容になっている。「ブラックパンプキン」などの悪役キャラまでいる。
数学でもこういう努力しないといけないな, というのを改めて感じている.
証明パック¶
当数学書は, どなたでも無料でお読み頂けます. なお, 定理の証明を読むには「証明パック」のご購入が必要です (証明の詳しさに合わせていくつかのプランをご用意しております). また, 例や反例をお楽しみ頂ける追加パッケージも随時更新予定です!
2016-09-07 「ムーアって、無限を「語り得ないもの」と定義して、数学的無限を「ホントの無限じゃない」とdisっているウチに、全ての内実が手のひらからこぼれ落ちてしまったような本だよね。」¶
ムーアって、無限を「語り得ないもの」と定義して、数学的無限を「ホントの無限じゃない」とdisっているウチに、全ての内実が手のひらからこぼれ落ちてしまったような本だよね。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月11日
無限 その哲学と数学 (講談社学術文庫) A.W・ムーア https://t.co/WUnt7HXhrs
@ytb_at_twtそこで語られている本当の無限というのはどういうもので、数学の無限がどういう意味で本物ではないという話になっているのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月11日
@phasetr本は哲学史における無限概念の変遷についてのもので、流れはギリシア哲学の無限概念→中世の無限概念→微積分とカントの無限概念→カントールと集合論→不完全性定理→数学的直観主義とウィトゲンシュタイン、という流れで「正解」は数学的直観主義とウィトゲンシュタインらしいです
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月11日
@phasetr数学的直観主義は、無限に関する一種の不可知論ですから。集合論は、無限を実態視しすぎるというか、無限に関して排中律を認めるのでdisられてます。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月12日
@ytb_at_twt確かに過剰に実態視していると言われたらそれはそうな感じはしますが、「全ての内実が手のひらからこぼれ落ちてしまった」というのはどういう感じなのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月12日
@phasetr既存の方法をdisって終わりで、「排中律を認めなければこんな豊かな構成主義数学の世界が」とかみたいな建設的要素が皆無なんです。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月12日
@ytb_at_twtとてもつらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月12日
知らない世界の話は楽しい. そして建設的な批判の難しさを知る.
2016-09-07 標数$p$の方法と有理曲線の存在定理: 森重文教授の最終講義事案¶
正標数への還元事案だろうか. 名前だけは知っている. とりあえず気になったのでちょっとまとめた.
ところで昨日の森先生の講義で出てきたご自身の結果について「標数pの方法を使わない証明は知られていない」的なことを仰っていたんですが、どういう手法なのか気になってるので詳しい人教えてください
— ぴあのん (@piano2683) 2016年3月12日
@piano2683有理曲線の存在定理じゃないですか?
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@waheyheyあっそれですそれです
— ぴあのん (@piano2683) 2016年3月12日
@piano2683Fano多様体上に任意の点を通る有理曲線が存在するかという問題を、多変数の整係数多項式をZ/pZ係数と見たときに解を持つならば、元の多項式が有理数解を持つという原理に従って証明するというものです
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@piano2683曲線を多様体の中で変形させることが出来れば有理曲線の和に分解するのですが、その変形が可能なのか分からないんですね。しかし、変形の次元の公式のFanoの場合は正の値をとる部分に曲線の次数が付いているので、標数が正の場合はフロベニウスを使って次元を上げられます
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@piano2683有理曲線は一般に存在するとは限らず、例えばアーベル多様体にはそのような曲線がないことがアルバネーゼを考えればすぐに分かります。
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@piano2683曲線の次数ではなく射の次数の間違いでした
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@waheyheyありがと。雰囲気はわかった。昨日の講演絡みでついでにもう一つ質問してもいい?
— ぴあのん (@piano2683) 2016年3月12日
red bookに載ってるこの図が紹介されていたんだけど、「すべてのpに関する情報を張り合わせた幾何的対象」みたいな概念は存在する? pic.twitter.com/N05wxIBWxN
@piano2683有理整数環の整拡大の環状の代数を考えてる感じですね.各素イデアルでの剰余体をテンソルすれば,各標数の体上に行けますね.そんなに難しい意味ではないです.
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@piano2683テンソルってファイバーですよね?
— ワヘイヘイ (@waheyhey) 2016年3月12日
@waheyheyあっ、たしかに、元の Z[x] なりがpに関する情報もすべて持っているからそれでいいのか。自明な質問に付き合ってくれてありがと。
— ぴあのん (@piano2683) 2016年3月12日
無限に数学したい.
2016-09-16 重力波検出装置には1980年代に干渉計型検出方式と共振型検出方式の論争があって1988年の小澤正直先生の仕事で解決されたという話¶
重力波直接検出がニュースになっているけれど,重力波検出装置には1980年代に干渉計型検出方式と共振型検出方式の論争があって1988年の小澤正直先生の仕事で解決されたのだけど,やっぱりあまり知られてないのかな。小澤先生のスライド→ https://t.co/DrVQEL9t4w
— Hiroyuki Miyoshi (@metaphusika) 2016年2月12日
内容に関心がある人向けに英語ですが細谷暁夫先生の解説スライドを挙げておきます。 https://t.co/5ExTVXLgb3
— Hiroyuki Miyoshi (@metaphusika) 2016年2月12日
小澤先生は今年で停年退職されますが,3月の最終講義の話題になることは間違いないでしょう。
— Hiroyuki Miyoshi (@metaphusika) 2016年2月12日
読めていないがまずは記録.
2016-08-21 ネタバレ: シン・ゴジラは男の子の夢が詰まっているけれども女の子にはどうだったのだろう? と祈りのようなも気持ちになった¶
改めて書いておく. ネタバレ前提で書くので見たくない方は引き返してほしい.
端的に感想をまとめるとこれ.
シンゴジラすごかった。かなり序盤から涙出てきたし、生物、化学系と何かこう諸々の専門家たちすごかったし、その中で数学とか物理の出番がなかったことを何故か反省したし、私も高い攻撃力を持ちたい
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月21日
@phasetrシンゴジラ、男の子の夢が詰まっていた感じがある。そしてあれに女の子の夢は詰まっていたのかな、そうだったらいいなとエンドロールを見ながらただひたすらに祈っていた
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月21日
他の人がどうかは一切知らない. しかしシン・ゴジラ, 私の性にはあった. かなり前半から涙が出そうになった. いわゆる会議シーンからだ.
現場の流れ作業的な上への確認, 緊迫した情勢下であっても感情を交えず淡々と冷静な姿に心を動かされた. しかし一番私が心を動かされたのは大臣達の言動・表情だ. 現場からの報告は信頼する, そして覚悟を決めた表情で自分の上に決断を迫る. 当然, 各省庁のトップ, 大臣としての責任は負わねばならない. 防衛大臣の決然とした表情は最高に格好よかった. そういうところ, 仕事をしている「大人」という感じがして感動せざるを得ない.
総理も最初, 割と戸惑いつつ微妙なへっぽこ感を出している感じはあった. しかしポイントポイントで腹を括った発言があって感銘を受けた.
会見で上陸はしないと言ってしまったその直後に上陸があった話, 会見から離れるときに裏で「過ぎたことはもういい. 次どうするかだ」みたいなことを言っていたの, 指導者として極めて立派だったと思っている.
自衛隊に始めて攻撃命令を出す場面, 実際には逃げ遅れた民間人がいたことがわかったときの決断にも感銘を受けた. 「自衛隊は国民を守る組織である」と言い, あの場面で攻撃許可を出さなかったことは何かあったときの責任逃れの発言だと捉える向きもあるのだろう. 未知の危機を前にして「平和ボケ」では? という話すらあるのかもしれない. しかし私は明確な強い意志で攻撃をとりやめさせたことに感銘を受けた. あの状況ですら建前を崩さなかったのは立派だと判断したのだ.
棒読みで早口だと言う批判があったようだ. それについてもむしろ感動ポイントだろう. 総理がなくなって立川に移った直後に矢口が激昂したところくらいが強い感情の動きがあったところだろう. そこはそこで泉が「まずお前が落ち着け」と水を差し出し, 落ち着いた矢口が「すまない」と誤った. 感情的になったところで何もいいことがない, 冷静になって頭を働かせるのが仕事だと自分に任じた人の動きだ. ここが感動ポイントでなくて何だろう.
あともう何より, 生物・化学系の人達の専門性を武器に戦う姿があまりにも格好よかった. 「こんなこともあろうかと」的に鍛え上げてきた人々の気概を見せてもらえた. 無論プラントや関係物資の調達に懸命になる事務方も最高に格好よかった.
巨災対の面々, 思っていたよりも常人に描かれていた感がある. いい意味で組織の一員として動き, ちゃんと仕事をさせてくる. できる筋を探してかけあって, 解析のために海外からすらスパコンの使用許可取ってくるとか組織の仕事人として超がつく程優秀だろう. 使える人間もきちんと見極めているし, あれだけの強烈な手腕があるの, すごすぎる. 「首をナナメに振らない人間」事案, 本当にすごかった.
広い視野と交流関係を持つジェネラリストの面目躍如といったところだと思う. 「外務大臣 (か誰か) の交渉力に期待するしかない」とかいうセリフも, 国を背負うスーパーエリートにしか出せない味だろう. 社会学系のスペシャリストと言ってもいいのだろうか. ああいうのも心が震える.
尾頭ヒロミさん, pixiv でも大人気なようだ. 私も心打たれた. 防衛大臣といい尾頭ヒロミさんといい, タイプは全く違うがそれぞれ尋常ではないほどに格好よかった.
Twitter で尾頭ヒロミさんが作る弁当とかいう話題があった. 尾頭ヒロミさん, 私のイメージだと栄養学的にめっちゃ整いつつ, 盛り付けや味付けが尋常じゃないほど簡素でかつ素材を活かした, 冷めても超人的に美味しいお弁当を作っているイメージがある.
里見臨時総理 (?) の最後もよかった. 赤坂からの「もう総理も好きにしたらどうですか?」的な発言の後, 出てきたのはフランス大使に頭を下げている姿だ. 好きにした結果の行動が頭を下げているとか, あまりにも格好いい. あのシーンには心が震えざるをえない.
2016-03-06 数学に対する薄く広く存在する嫌悪感から逃れられる結界を作ろう¶
無駄に学歴重ねないといい仕事出来ない仕組みをなんとかしないとやばい。教育費の高騰。技術者になるなら三角関数できないと話にもならないが、大多数の人には全く不要の知識だし。何故高校の普通科で教える必要あるか?
— 大平貴之 (@ohiratec_mega) 2016年3月4日
仕事にたいてい使わないから美術や体育やるな、みたいな話はあまりきかない…。なんでこんなにみんな数学嫌いなの… https://t.co/jBaOFt5Mf1
— ュヵ (@yukacci) 2016年3月5日
@abeklavier数学嫌いでやりたくないひとがいるのはどうでもいいけど、自分が嫌いだからって、ほぼみんな必要ないって、なんだかなー、みたいなー。
— ュヵ (@yukacci) 2016年3月5日
少なくとも大平御大が数学が嫌いかどうか, 上記引用ツイート自体には書かれていないし, 普段の言動も追っていないから嫌いかどうかは不明だ. しかし有用不要論に対して数学が一番通じるだろうと判断して持ってきたのだろうし, そこに問題というか, 数学への嫌悪感みたいなものは十分に読み取れるだろう.
この嫌悪感, 数学に対して特異的に形成されている気がするのだが, 本当に何なのだろう.
いわゆる理工系ですら「数学なんて本当に嫌」という人がいる.
さすがにそれは単純過ぎるだろうと自分でも思うが, 高校の頃の話を思い出す. 2 年進級時に文理選択があったのだが, 「理系はみんな数学が好き」なのだと思っていたところ, 内実は全く違うものだった. すさまじい衝撃を受けた.
とてもつらい. みんな好きである必要なんて全くないと思っているし, 数学が嫌と言うなとも全く思わないが, 数学が好きで数学に心を救われた人々も確かにいるので, そういう人たちが心安らかに過ごせる結界は作りたいと常々思っている.
その辺の行動, 本当に今すぐはじめないと駄目だ, と改めて決意した. まずは「結界内の共通言語」を作るべく, 数学の講座を本当に作ろう.
2016-03-05 数学以外で大学で学ぶ内容や卒業後の進路についてある程度毎年雑誌増刊作っている学科あるなら教えてほしい¶
いま数学セミナー増刊の数学ガイダンス2016を買ってきたのだが、数学(科)以外でもこういう雑誌なり臨時別冊的な本、雑誌、企画はあるのだろうか。私の観測範囲の狭さのせいで、そういうのが全く見つけられないが、本当にあるのかないのかとい部分がわからない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月5日
@phasetr数学ガイダンス2016では学部の数学の概要記事から、就職ガイダンスまである。他の学部学科でこういうのつくっていたりするならぜひ知りたいので何かご存知の向きはぜひ教えて欲しい。知っている範囲の受験生とかにも紹介したいので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月5日
ちなみに『数学ガイダンス 2016』はこれだ.
この間, 『数学は何の役に立つの?---納得して数学を勉強するために: 年収との関係から応用の現場, モチベーションの上げ方, 今後の行動の指針まで』という, 本も Kindle で作ってみた.
少しでも何か参考になれば, と思ってはいる. こういうのも少しずつ手を出していきたい.
2016-03-02 ツイート・書籍紹介: 野原勉『例題で学ぶ微分方程式』¶
例題で学ぶ微分方程式/オライリー は結構面白そう https://t.co/hW6ignQKLX#book#math
— chibaf (@chibaf) 2015, 12月 11
Mathematica もそれに触れられる立場の人にはやはりいいのだろう. 高くて買えないイメージしかない. Haskell か JavaScript での数値計算的なことを今やってみたいと考えている. 優先度はだいぶ低めだが.
2016-02-26 ツイート紹介: 『「数学みたいに答えがバシッと決まる世界じゃないからな」を「数学みたいに定義を明確にして議論する世界じゃないからな」に直したら単に「あかんやん」ってなった』¶
「数学みたいに答えがバシッと決まる世界じゃないからな」を「数学みたいに定義を明確にして議論する世界じゃないからな」に直したら単に「あかんやん」ってなった
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 1月 22
哲学とかも割と定義をぐちぐちぐちぐち言い続ける鬱陶しい学問である印象があるが, ろくに勉強したことがないのであまりよくわかっていない. そういう習性を持った人達が理工系のことに関して急に粗雑になるのも不思議という感じはあるが, 数学の人間だって専門外では同じ感じだし, ああ人間か, という感じがある.
2016-02-25 (数)式は文章か?¶
あ、なんか文脈理解してない引用リプが来てたw そういうことじゃないw うん、スルーしますw
— hiara (@hiara_tf) 2016年2月25日
文脈読めていなかったらしく, ブロックされたのだがと気になったので.
文章を読む度に頭の中で読み上げる声が聴こえる人って、数式やソースコード読むときもなの?
— ジョージ (@Kiriyama_George) 2016年2月25日
@Kiriyama_George数式は文章ではないのでは…w
— hiara (@hiara_tf) 2016年2月25日
@hiara_tf僕は自然言語で書かれた文を読むときも特に意識しない限り頭の中で音声で読み上げることはないので、数式と同じように自然言語の文から意味を読み取るときも発音を意識する必要はないと思ってました
— ジョージ (@Kiriyama_George) 2016年2月25日
@Kiriyama_Georgeそれもすごいですね。私はどうしても文章読む時は頭の中で音を出して追ってしまうので。数式とかは文章認識してないのでそのまま画像として捕えてますねw あと英語とかも読める単語の場合、やっぱり脳内で声出してるかも
— hiara (@hiara_tf) 2016年2月25日
で, こうつぶやいた.
https://t.co/cPYkhWLq65他はどうか知らないが、英語だと式を文章とみなす。実際に式の最後にピリオドやカンマがついたりする。なんでもいいが例えば https://t.co/S0bUX5yHUOとか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月25日
「数式は文章ではない」というから, 文章と認識されるケースは存在するというところに繋げたのだが, 文脈, そんなに違ったろうか.
ちなみに私は式も文章と思うというか, 式を「読んでいく」. 英語で読み下すときのように式を読んでいく. $1+3=4$ を「1 たす 3 は 4 です」という文章の略記だというくらいの気持ち.
けっこう気になるので, いろいろな方のご意見を伺いたい.
追記¶
2 つコメントを頂いたので.
まず 1 つ目.
@phasetr何でブロックされたのかはよくわからないんですが、それはそれとして式は図形に見えることが多いです
— ザード@ (@world_fantasia) 2016年2月25日
@world_fantasia何に見えるかではなく、「式は文章(の代替)か」というところが気になります。ブロックはどうでもいいのですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月25日
@phasetr幾何的イメージで捉えちゃう傾向があるんで、それについてはちょっと意見出せないかなあ。まああえて言うならば文章か否かで言えば文章でしょうけども。式を記号論的に捉え直して意味概念を伝える一定のパターンとみなせばどうのこうのという変な電波を受信した、もうダメだ寝よう
— ザード@ (@world_fantasia) 2016年2月25日
@world_fantasiaこんなところからかなりイメージのギャップがあることを知り、けっこう衝撃です。なかなか面白い。つきあってもらってありがとうございました
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月25日
式が図形に見える感覚が全くないが, そういう人もいるのかとちょっと驚いた. 記号というならわかる.
もう 1 つ.
@phasetr@MarriageTheorem「式を文章として認識できない(読めない)人がいる」んじゃ無いかなぁ。我々がトンバ文字やヒエログリフで書かれた文章を見ても文章として読めないように
— いくた♥️なお/SCIS2016参加中 (@ikutana) 2016年2月25日
@ikutanaそうなると1+1=2レベルの誰でも知っている(「文章」と認識できる)式とそうでないめんどくさい感じの式で適当に何かギャップもある気がしますね
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年2月26日
この辺の比較, 言語学的にというか何というか, どこまで適切かは全くわからないが, そういう感覚は何となくわからないでもない.
2015-12-11 Serreへのインタビュー: $p$-進整数環が多様体に忠実に作用するか?¶
これかな。 https://t.co/VwVDbkG5Vg
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 12月 11
P進整数環が多様体に忠実に作用するか?はSerre先生がインタビューの中で、Hilbert第5問題のとの関連で挙げていたので覚えていた | https://t.co/ygy9f91aC1#springerlink
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 12月 11
このインタビューは邦訳があります| 数学を語ろう!2 代数・数論・数学史篇 : https://t.co/ejnd6BGvjF
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 12月 11
このインタビューの中で、Hilbertの第5問題は、「中心的な問題が解決されることで、ひとつの理論が死ぬことがある」例としてSerre先生が挙げているもの。
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 12月 11
この問題(第5問題)の解決後、この線で残っている、興味ある問題として、さっきのZpの忠実作用の問題を挙げ、非常に難しいだろうが解けても特に応用はないだろう、としている。
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2015, 12月 11
流れも何もかもよくわからないが, とりあえず自分の心に従って記録しておく.
2015-08-21 黒木さんのツイートまとめ: $\sin x / x$の極限に関する循環論法ネタは実は循環論法ではないという話¶
三角関数の極限扇形の面積に関する循環論法疑惑がある. 私も以前見かけたことがあり, 適当に読み流して「あらそうなの」くらいに思っていたが, 黒木さんが発見したようでいろいろ書いている. せっかくなのでまとめてみた.
ツイートだと見づらいので勝手に編集して PDF にした: 改めて書いておく. 黒木さんにも報告して怒られていないので大丈夫だろう. PDF の方が見やすいはずだから, よほどこだわりがある人以外は PDF を見よう.
以下, ツイートまとめ.
#掛算sinθ/θと扇形の面積に関する循環論法疑惑は、『マンガ・微積分入門』岡部恒治らhttp://t.co/DueItZXRylにある。今見ると94年に初版の本。ネット上で「高校 循環論法」で検索すると2000年以前にはほとんど見当たらないので、岡部氏がネタ元の一つか?
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 21
#掛算マンガの当該箇所http://t.co/NUmo4Mws9C。√(1 - x^2)の定積分で円の面積を求めようする。ここで注意しなければいけないのは、岡部氏は循環論法をさける方法に触れていることである(229頁下段)。また循環論法批判は直接教科書に向けられたものではない。
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 22
#掛算岡部恒治氏は三角関数の微分を円の面積とは独立に計算することができることには触れるが、【比較的面倒】だとして詳述しない。かわって積分すべき別の対象を提示する。つまり円の面積を半径xの関数S(x)とすれば、その導関数S'(x)=2πxが円周だという。
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 8月 22
.@temmusu_n#掛算ああ、なるほど。私が https://t.co/r37Bi9E3qp で否定しておいたのは添付画像に http://t.co/6k9UyUONcS から孫引きしたタイプの循環論法都市伝説です。 pic.twitter.com/37cc4GgrNw
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 22
@genkuroki#掛算訂正 https://t.co/W0lD9K0HIG 【扇形の面積も θ(s) になる】 本質的なことではないですが、正しくは「扇形の面積の2倍もθ(s)になる」です。「の2倍」を書き忘れていた。頻繁に1=1/2になる(^_^;)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki#掛算三角関数に関する循環論法都市伝説ネタをインターネット検索で色々読みましたが、経路の長さを速さの積分であっさり定義しても問題ないのに、折れ線近似で曲線の長さを定義することにこだわって、高校レベルの簡単な議論を無駄に難しくしている傾向が結構ある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki#掛算直線経路が最短になることについても、難しく考えている人達が結構見付かる感じ。「直線経路が最短になるのは証明できることではなく、公理だ」みたいなトンデモないことを言っている人も見つけた(リンクははりません)。証明した方がよいです。本質的に三角不等式。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki#掛算ベクトル値函数v(t)についてa≦bのとき ||∫_a^b v(t) dt||≦∫_a^b ||v(t)|| dt が成立することを示せれば、直線経路が最短であることもわかります。その不等式はノルム|| ||の三角不等式の積分版に過ぎません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki#掛算三角不等式とは ||v_1+…+v_n||≦||v_1||+…+||v_n||という「和を|| ||の外に出すと大きくなる」というタイプの不等式のことです。極限を取れば無限和でも成立しています。積分はある種の和の極限なので積分でも成立しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 23
@genkuroki#掛算「和を|| ||の外に出すと大きくなる」という三角不等式と「積分はある種の和の極限になっている」ということから、ほぼ自明に「積分を|| ||の外に出すと大きくなる」というタイプの不等式が導かれるわけです。≦型の不等式は極限を取っても成立しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算直線経路が最短であることは、v(t)が速度ベクトル(dx(t)/dt,dy(t)/dt)の場合に積分版三角不等式を適用すればただちに導かれます。 一般のノルムという高校数学には登場しない概念を出しましたが、内容的には完全に高校数学の範囲ですよね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算積分版三角不等式は一般のノルムについて成立しています。直線経路が最短であることは、ユークリッドノルムの場合に成立しています。そして、一般のノルムに関する積分版三角不等式の証明の方が「簡単」なわけです。積分版三角不等式は有限和版三角不等式の単なる極限。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算インターネットで検索すると、いきなり高校数学教科書の範囲内でがんばろうとしてはまっているパターンが多い感じ。そういう無用なこだわりを捨てて、素直に簡明な議論を探せば自然に高校数学の範囲内におさまるのになと思いました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算素直にすっきりした簡明な議論を探すのではなく、「高校数学教科書の範囲内または大学以上の高級な数学」という悪しき発想から出発しているからおかしなことになる。 数学は数学に過ぎず、高校数学も大学数学も全部同じ数学です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算大学の数学の先生達が「高校の数学と大学の数学は違う」と連呼しているのは悪しき伝統に過ぎず、「ああ、またバカなことを言っているな」と見ておけば問題ないです。本当に言いたいことはきっと「問題を解くためだけに特化した訓練と普通の数学は違う」ということ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算実数の掛算の可換性についても変に難しく考えている人がよく見つかります。積分版三角不等式が有限和版三角不等式の単なる極限に過ぎないという考えて方をできる人であれば、実数の掛算の可換性も自明に感じられるはずです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算ab=ba型の等式は極限を取っても保たれます。そして任意の実数は有理数もしくは有限小数の極限になっている。だから、有理数や有限小数の掛算の可換性の極限として、実数の掛算の可換性がほぼ自明に導かれるわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
@genkuroki#掛算極限操作はそこそこ難しい概念です。しかし、極限操作でどのような性質が保たれるかをきちんと認識していれば、すでに知っている結果の極限として一見非自明に見える結果を大量生産できます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算https://t.co/DzvQMZrEz3の件、どこで「循環論法」の環が切れているかを明確にしましょう。添付画像は新たな引用。件の本のpp.226-227です。左下の「腕に自信のある方はやってください」の部分に注目。 pic.twitter.com/v0pDbONT75
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。これは円周率の定義 π=(単位円周の長さ) から積分 ∫_0^1 √(1-x^2) dx をどのように計算するかという問題です。「循環論法になる」という説の根拠は「三角函数による置換積分を行なうときに三角函数の導函数を用いるから」ということになっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。しかし、その置換積分が本質的に三角函数の定義そのものだとしたら、その置換積分は三角函数の導函数を使わなくても可能だということになります。本質的に、そういう仕組みで「循環論法」の環が切れているわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。そういうことは、単位円周の弧の長さの定義と三角函数の定義を明確にすれば明らかになります。ラジアンの意味での角度を単位円周の弧長で定義しているので、そこを明確にしないと何をやっても不明瞭な議論になってしまうことが確定しています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。単位円周はx^2+y^2=1で定義されます。その第一象限におけるyが0からsまでの弧長θ(s)はθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)になることが、高校数学の範囲内でわかります。このことに気付けば後は高校レベルの計算問題。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算高校の教科書には y=f(x) のグラフのxがaからbまでの部分の長さは ∫_a^b √(1+f'(x)^2) dx になると書いてあります。そのxとyの立場を交換した結果を f(y)=√(1-y^2) に適用すれば、一つ前のツイートの結果が得られます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。単位円周の弧長が θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) になることは高校数学の範囲内で出る。I=∫_0^s √(1-y^2) dy, c=√(1-s^2) とおくと、扇形の面積は I-cs/2 になります。だから積分Iをどのように計算するかが問題になる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。「積分 I=∫_0^s √(1-y^2) dy を y=sin θ の置換積分で計算すると、sin θ の導函数を使うので循環論法になる」というのが循環論法説の肝なわけです。しかし、sin θがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)の逆函数であることに、~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き~、気付いて、かつ、I=∫_0^s √(1-y^2) dyがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)で表せることに気付けば、Iの計算でy=sin θと置換積分することは、本質的にsin θがθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)の逆函数であることを~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き~使っているに過ぎないことにも気付くわけです。Iをθ(s)で表わすための高校数学レベルの最も素朴な方法は部分積分です。Iの被積分函数に1=dy/dyを挿入してd/dyを√(1-y^2)の側に移す部分積分を実行すれば、~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き~、I=cs+∫_0^s y^2/√(1-y^2) dy になる。右辺の積分の被積分函数の分子をy^2=1-(1-y^2)と変形すると、右辺の積分がθ(s)-Iになることがわかる:I=cs+θ(s)-I. ゆえにI-cs/2=θ(s)/2. これが欲しい式です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算I-cs/2は角度θ(s)で単位円盤を切り取った扇形の面積だったので、I-cs/2=θ(s)/2は(角度θの単位扇形の面積)=θ/2というよく知られている結果を意味しています。その結果は弧長の長さの公式を部分積分するだけの単なる計算だけで得られるわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。繰り返しますが、ややこしい複雑な論証ではなく、部分積分を使った単なる計算に過ぎません。よくできる日本の高校生はそういう計算をかなり得意だという印象があります。そういう意味でもこの議論は典型的に高校レベルだと言ってよいでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。複雑な論証を含まない単なる計算ですむという話の出発点は単位円周の弧長がθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)と書けることでした。この手の積分は楕円積分に一般化され、一般のRiemann面上にも一般化されます。円周率も周期積分に自然に一般化される。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算続き。θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2)という積分はそのような意味でもとても素性がよいものです。数学的に素性がよいものを考えれば、「循環論法」というデマを否定するに足る議論が高校数学の範囲内で得られるという仕組みになっているわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
#掛算https://t.co/NNxACCH6RY【数学は数学に過ぎず、高校数学も大学数学も全部同じ数学】とか【無用なこだわりを捨てて、素直に簡明な議論を探せば自然に高校数学の範囲内におさまるのにな】というのは以上で述べたような具体的な議論を念頭に置いてのことです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 24
あとこれ.
#掛算「lim_{θ→0} sin θ/θ=1 の高校数学教科書における証明は循環論法だ」というデマの拡散元として、ウィキペディアの三角関数の項目も無視できないと思います。 https://t.co/BbgNa7SJGB 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。その項目を見ると、根拠となる文献として、川中宣明さんのこれ→ http://t.co/lHEAYwRcrvが引用されています。おそらく、川中さんは高校数学IIIの教科書に「曲線の長さが速さの積分で表示されること」の解説があることを知らないのだと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き http://t.co/lHEAYwRcrvの最初の段落に書いてあることは、私も概ね正しいと思います。そこには「循環論法である」という主張が発生する理由が書いてあります。循環論法であるか否かとは別にそういう主張が発生する理由について語ることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。しかし、添付画像の形式で引用したその次の段落は誤りです。川中さんは高校数学IIIの教科書に曲線の長さを速さの積分で表示する話がきちんと書いてあるという事実を完全に無視しています。続く pic.twitter.com/FNIP6b9T68
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。高校数学IIIの教科書には以前から曲線の長さが ∫_a^b √((dx/dt)^2+(dy/dt)^2) dt や ∫_a^b √(1+(dy/dx)^2) dx と表示できるという事実が書いてあります。この事実を見逃している議論はすべて不十分です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。川中さんは【円弧の場合、これ[引用者註:円弧の長さ]は三角関数の積分ということになり、ここで既に sin x の微分を使わざるを得ないように見えます】と述べていますが、「見えます」の主語は川中さん自身ではないのでしょう。川中さん自身にはそう見えていないはず。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。円弧の長さはたとえば函数 f(x)=√(1-x^2) のグラフの一部分の長さとして積分で表わされます。三角函数を出さずにその積分は書けます。こういう事実を川中さんが知らないはずがない。おそらく「高校数学の範囲内で」ということに気を使いすぎたのでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。高校数学IIIの教科書を最後まで読み込めば、高校数学において、sin θ の定義は実質的にθ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) の逆函数であり、cos φ の定義は実質的にφ(c)=∫_c^1 dx/√(1-x^2) の逆函数であるとみなせます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。一つ前のツイートに出て来た積分はそれぞれ x=√(1-y^2) と y=√(1-x^2) のグラフの一部分の長さです。高校数学IIIの教科書に載っている曲線の長さの積分による表示の公式を単純に用いればよいだけのことです。完全に高校数学の範囲内です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。しかも現在では学習指導要領によって、高校数学IIIで曲線の長さの積分表示を扱わなければいけないことになっています。学習指導要領に書いてあるのだから、高校数学の範囲内だと言って誰にも文句を付けられずにすみます。(くだらない話ですが、こうなっている。) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。大学入試でも数学IIIまで範囲に入っているならば、楕円の弧長の積分による表示を扱う入試問題(実質的に楕円函数が関わる問題)が出されても、学習指導要領的には文句が言えない状況になっているわけです。数学者は楕円函数大好きですから、受験生は覚悟しておいた方がよいかも。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。最後に三角函数を天下り的にべき級数の形式で定義するスタイルについても簡単にコメントしておきます。 それ、単なる一つの方法に過ぎないですから!!!!! インターネットで検索すると、妙にその方法が「権威」を持っているように感じられました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。あと、論理的に厳密な議論をするためだけに、天下り的なべき級数による函数の定義を試みるわけでもないことは強調しておきたいと思います。べき級数による天下り的な定義は係数の部分を変えれば容易に一般化可能です。それによって「役に立つ函数」の世界を広げることができる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。高校で習う初等函数に限っても滅茶苦茶役に立つわけで、同じように役に立つ函数をたくさん見付けることができればうれしい。定理を定義として採用して一般化するのは数学では常套手段です。べき級数による天下り的な定義もその一例だとみなせます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。高校数学と大学数学を「論理的厳密性」の観点で比較することを強調されると、「すでによくわかっている話を単に論理的に厳密にするためだけに面倒な議論を導入する」という話に見えてしまいがちなので、とても残念なのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。「まだよくわかっていない数学の世界を調べるために新たな方法を導入する」ということがわかるような説明をした方が楽しいと思うのですが、どうでしょうか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。「微積分を習ったのに経路の長さが速さの積分になっていることさえ知らないとしたら、微積分を勉強する意味ってあるの?」という疑問が出るのは当然なので、数学IIIの教科書に以前から曲線の長さの解説を入れていた教科書出版社には数学的良心を感じます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。以前の数学IIIの教科書では「発展」として曲線の長さが扱われており、現在では学習指導要領で正式に採用されたので、普通に数学IIIの教科書で曲線の長さが扱われています。これを無視して、「循環論法になっている」というようなケチを付けるのはとてもまずいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。せっかく数学IIIの教科書で曲線の長さをずっと扱って来てくれていたんだから、ありがたく、「三角函数がある種の不定積分の逆函数として定義されることは高校の数学の範囲内で説明できることだよね」と言わせてもらった方がよいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算添付画像は https://t.co/piXXOjQsnkからの孫引き。もちろん【弧の長さを求めるために積分を用いるのだが、ここに三角関数を用いる】という決め付けは誤り。三角関数を使う表示も使わない表示もある。続く pic.twitter.com/Ioxo0KUGWT
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算何度も繰り返しているが、数学IIIの教科書に書いてある公式を使えば、θ(s)=∫_0^s dy/√(1-y^2) が単位円弧の長さであることがわかる。その逆関数として sin θ を定義できる。弧の長さの表示にも三角関数の定義にも三角関数は一切用いられていない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算メモ https://t.co/v6nxexT9ek https://t.co/gpwDs2UfNQ 高校の数学教科書の範囲内で三角関数の導入を閉じさせるためには数学IIIの教科書に書いてある曲線の長さの積分表示に触れる必要があるよね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算色々検索してみての印象ですが、三角函数をある種の不定積分の逆函数として自然に(高校数学での定義の焼き直しとして)定義できることを知らないまま、べき級数による天下り的な定義をするスタイルだけを学んでしまった不幸な人が日本には大量にいるような感じです。これはまずいよなあ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算積分について習っても、面積や体積が積分で計算できることや速さの積分が経路の長さになることなんかを知らないままだと、何のために苦労して積分を勉強したのかわからなくなってしまいます。しかし、数学IIIの教科書はその辺にきちんと配慮してある。かなり以前からずっと!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算そういう歴史があるのに、ある種の人達は高校数学の範囲内では三角函数の取り扱いが論理的には循環論法にならざるを得ないかのように言ってしまっている。これはとてもまずいと思います。「循環論法」とケチを付ける暇があったら「数学IIIの教科書を最後まで勉強してね」と言うべき。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。せっかく高校数学の範囲内での三角函数の導入の仕方について議論するならば、「循環論法云々」のようなつまらない話をするのではなく、「ついでに数学的に重要なアイデアについて説明してしまう」という形を取るべきだと思います。特に論理的厳密性だけにこだわっても益は小さい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。大学数学科向けの数学の教科書に書いてあるような「厳密な」議論の仕方をマスターするためにはかなり努力しても数年間の時間が必要になります。これはぼく自身がそうだっただけではなく、ぼくが教えているような極めて優れた学生たちであってもそうなので間違いありません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。そのような能力を身に付けた後であれば、論理的に厳密な議論を常に要求することは苦ではなくなり、とても役に立ちます。なぜならば、いつでも論理的に明晰な議論に戻れるので、自由に「なんでもあり」の世界を謳歌できるようになるからです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。何が明晰な議論で何が曖昧な議論なのか区別が付かないままだと、完全に自由に自分自身の直観を使うことが困難になります。なぜならば、曖昧な議論と明晰な議論を区別できないせいで、間違った議論をしていても気付かずに終わってしまう可能性が高くなるから。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。間違うこと自体は単に訂正すればよいだけのことなので怖くないのですが、間違いに気付かないのは怖い。そういう恐怖を払拭できないままで、直観を自由に使用することができるはずがありません。数年間の努力はこの自由を手に入れるために必要なのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。ぶっちゃけた話をすると、数学的に厳密な議論を空気を吸うがごとくできる能力には高い価値があると思いますが、数学的に厳密な議論をすること自体を目標にするのは誤りだと思います。それだと目標が低過ぎる。厳密な議論は道具に過ぎず、その先を目標にしないとまずい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。私が高校数学における「循環論法だ」というタイプの指摘がつまらないと思うのはこのように考えているからです。わかり切ったことを再度厳密にやり直すだけであればまったくつまらない話だと思います。実際には全然そういう話ではないのに、つまらない話にしてしまっている。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。たとえば三角函数を天下り的にそのべき級数展開で定義するというスタイルは有名なのですが、三角函数というよく知っている数学的対象についてわざわざそういう手間をかける価値があるのはどうしてなのか? 「論理的に厳密な議論になるから」 それは良い答えではない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。べき級数で天下り的に定義して三角函数論のすべてを論理的に厳密に再構成することはできる。しかし、単に論理的に厳密な三角函数論を展開するだけなら他にも方法がたくさんあります。特にべき級数で定義することのメリット(とデメリット)が何なのかがわかるように答えるべきだ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。こういう問いに適切に答えるためには、三角函数論以外の数学的知識が必須になります。三角函数をべき級数で天下り的に定義して三角函数論の全体を再構成するときに使われる数学的テクニックは、未知の函数を定義して調べるときにもそのまま役に立ちます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。そのおかげで、べき級数による天下り的な定義から出発して三角函数論のすべてを再構成する手間をかけたことのある人は、べき級数で表される未知の函数を自分の力だけで調べる方法を手に入れたことになります。こうい話なのに、数学的厳密性の面に焦点をあてられてしまうのはつらい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。三角函数をある種の不定積分の逆函数と定義(この定義はべき級数による天下り的な定義と違って高校の数学の教科書における三角函数の定義を自然に焼き直したものになっている)についても、同様のストーリーを述べることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。他にも微分方程式を用いた三角函数の定義の仕方も有名だと思います。どれでやっても結果的に同じ世界ができあがることになりますが、それぞれ方法が違うので、数学の世界における未知の領域を調べるための道具を複数手に入れたことになってうれしいわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
#掛算続き。遊びでも数学でも自分自身の意志で自由に選択できる楽しい事柄が多い方がうれしいと思います。数学を教わるたびに教わった人の選択肢が拡大されるようになれば、どんなに初歩的な数学であろうと教える価値は極めて高いと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
関係ないが, 坪井先生だかと話をしていたとき, 「高校数学の教科書にあるベクトル方程式というのは (言葉づかいが) 気持ち悪い」 みたいな話をして「いろいろあるんです」みたいに苦笑していたのを思い出した.
あとこれも何度か言っているが, 私にとって高校数学と大学数学の違いがあって, 高校までは好きではあるが (大学受験を前提に) 問題が解けなくて苦しんでいたが, 大学に入ってから数学ではそんなに苦しんでいなかったであろう物理学科の同期が 「数学 (実数論とか集合とか位相) わけわからないしつらい」と言っている中で ただただめちゃくちゃ楽しく, 「いや, 自分わりと数学への耐性・適性あるのでは?」と 思えたという個人的な導入時の心の有り様という感じがある.
何というか, 問題解けなくてもいいと思えたというか何というか, まだ明確な言葉にできていないのだが, とにかく大学の数学でようやく救われた, というような感覚がある.
このへんももっと明晰に言葉にしたい.
#掛算←このタグを一回だけつけます。続けて #函数タグだけを付けて三角函数について書きます。最初に、高校数学III全体以上の知識を仮定して、高校数学教科書のスタイルの三角函数の定義はある種の不定積分の逆函数による定義と一致していることを説明します。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数xy平面における原点を中心とする単位円周を考え、点(1,0)を始点とする長さθの弧(ただし長さは時計回りなら負の値を取ると考える)に対して、弧の終点のy座標を sin θ と定義します。これは高校の教科書に書いてある定義と本質的に同じです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。(説明の仕方がちょっとひどいのですが、許して下さい。) しかし、高校の教科書で円周上の弧の長さを微積分で表すためには、数学IIIの教科書を終わりの方まで読まなければいけません。そこまで読んで初めて弧の長さの概念が明確になったと考えるべき。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。数学IIIの教科書の終わりの方に曲線の長さが∫_a^b √((dx/dt)^2+(dy/dt)^2) dtと表示できることの解説がある。これを曲線の長さの定義だと思ってもよいし、別に曲線の長さが定義されていてこれは定理だと思ってもよい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。xy平面上の単位円とは方程式x^2+y^2=1で定義される多様体のことです。多様体を知らない人は適当にこの手の用語を無視して下さい。多様体は大した話ではないです。単位円上の弧の長さは単位円上の微分形式の積分としてきちんと定義されます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。あ、微分形式という用語も適当に無視して下さい。微分形式の話も大したことないです。以下の話は数式を見れば必要なことは全部わかります。単位円の右半分に含まれる弧の長さは〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き〜 dy/√(1-y^2) の積分で書けることが、高校数学IIIの教科書を全部読んでいればわかります。弧をパラメータt=yによって(x,y)=(√(1-y^2),y)とパラメトライズして、曲線の長さの公式を使って下さい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。単位円の上半分に含まれる円弧についてもxとyの立場を取り替えれば同様です。ただし、時計と反対回りに積分すると正の値が得られるよう平方根の正負を選んで下さい。単位円の右半分と下半分も同様です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。これによって、単位円の右半分、上半分、左半分、下半分に含まれる弧の長さが積分で書けることがわかりました。どれか一つの◯半分に含まれ切らない弧の長さは積分を繋ぎ合わせれば計算できます。(微分形式の積分とは要するにこういうこと。)続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数以上において多様体とか微分形式とか口走ってしまいましたが、実質的な内容は高校数学IIIの教科書の終わりの方に書いてある曲線の長さを単位円に含まれる弧に適用しただけです。単位円に巻き付くような「弧」の長さも積分をつなぎ合わせれば計算できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数これによって、点(1,0)を始点とする単位円上の経路にわたる積分(必要なら積分を繋ぎ合わせる)によって、弧の長さを表すことができることがわかります。長々と書きましたが、高校数学IIIを理解していればすべて自明な話に過ぎません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。以上によって、単位円上をまわる(逆行しない)経路の長さを積分で表す方法がわかりました。これによって、ラジアンの意味での角度の概念を微積分を使ってきちんと定式化できることがわかったことになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。ここまでたどり着けば後は高校の数学の教科書通りに三角函数を定義できます。そして、角度θが積分で書けていることから、三角函数がある種の不定積分の逆函数になっていることがすぐにわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数sin θ を例に説明しましょう。s=sin θ とおくと、θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) が成立します。正確に言えばこの等式は-π/2<θ<π/2のときにのみ正しいのですが、積分をつなぎ合わせれば一般の場合も同様の結果が成立しています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。(積分の繋ぎ合わせのような説明の仕方が嫌な人は、微分形式の積分の概念を使うと一発ですべてを明瞭に書き切れます。) そして、θ=∫_0^s dy/ √(1-y^2) のとき、sin θ=s となることは sin θ の定義そのものです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き。要するに、高校数学における sin θ の定義は、sin θ はある種の不定積分の逆函数であるという主張とほぼ同じことを言っているとみなせるのです。これは弧の長さが積分で書けることからの必然的な帰結です。わかってしまえば全部自明な話。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数まとめ。「円弧の長さで角度θを定義し、単位円上の点のx,y座標としてcos θ,sin θを定義する」という定義は、円弧の長さが積分で表されることより、三角函数をある種の不定積分の逆函数として定義するのと同じことをやっているとみなせる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数要するに、高校の教科書にある三角函数の定義は、曲線の長さが積分で表されることより、円弧の長さを与える不定積分の逆函数として三角函数を定義しているのと同じことをやっているとみなせるのです。二つに見える定義は実は一つの定義になっています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数というわけで、よく使われている三角函数の定義には、(1)単位円の幾何を使って、弧の長さを意味するある種の不定積分の逆函数として定義(本質的に高校数学での定義の仕方そのもの)、(2)べき級数で定義、(3)微分方程式の解で定義などがあるわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数昨晩書いた話の中には「積分 θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) の被積分函数が y=±1 で発散することが心配だが、どうするのか?」という疑問にも答えている。一言で言えば「被積分函数は単位円上の微分形式としてはy=±1でも発散していない」だ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数単位円x^2+y^2=1上の函数 1/√(1-y^2) はy→±1で発散しているが、単位円上の微分形式 dy/√(1-y^2) はそうではない。そのことは単位円x^2+y^2=1上でdy/√(1-y^2)がy→1でどのようにふるまうかを〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 26
@genkuroki#函数続き〜調べるために、単位円上の座標をyからxにy=√(1-x^2)と変数変換してみればよい。y=1はx=0に対応している。微分形式を直接扱いたくなければ、高校で習う置換積分の話だと思ってよい。同じことである。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#函数続き。置換積分をやるときの計算と同様にして、dy/√(1-y^2)=-dx/√(1-x^2)となることがわかる。左辺の分母はy=1で0になるが、y=1に対応するx=0で右辺の分母は0にならない。多様体上の微分形式とはこういうもののことである。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#函数続き。多様体とか微分形式のような言葉を知らなくても、座標を必要に応じて取り替えて、以上で述べたような座標変換でよい振る舞いを示すものの具体例を幾つか知っていたら、「そういうものが多様体上の微分形式だ」と理解しておけばよい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#函数単位円上の弧の長さを積分で表せることがわかっていれば、ラジアンの意味での角度θを単位円上の座標として使えるようになる。そのとき、先の微分形式は dθ に等しい。dy/√(1-y^2)=dθ の右辺には「0になる分母」はない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#函数θ=∫_0^s dy/√(1-y^2) だから dθ=dy/√(1-y^2) となると考えてもよいし、y=sin θ と変数変換して dy/√(1-y^2) = cos θ dθ/cos θ=dθ と計算(高校数学的には置換∫の計算を)してもよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#掛算Googleで検索して過去の分だけは「高校数学の範囲内では lim_{θ→0} sin θ/θ=1 の証明は循環論法になってしまう」というデマを誰が流しているかはすでに確認済みです。大学の数学の先生は注意するべき。関連情報の交換は #函数タグで!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
@genkuroki#函数高校の数学IIIの教科書には以前から曲線の長さが速さの積分で表せることが解説してありました。だから数学IIIまでやれば単位円上の弧の長さを三角函数を使わない積分で表せます。ラジアンの概念さえ微積分を使って定義できてしまえば循環論法になりようがない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 8月 27
微分形式とかかなり参考になる気がする. ツイートだと見づらいので勝手に編集して PDF にした: 改めて書いておく. 黒木さんにも報告して怒られていないので大丈夫だろう.
勝手に編集して勝手に使うのもアレだが, そのうち YouTube にこの解説の動画も上げたいと思っている.
2015-07-17 モンテカルロ法と次元の呪い¶
モンテカルロ法は、一見並列計算に向いてそうなのだが、高次元空間だと次元の呪いにかかってしまう。 http://t.co/tC2baDE0PG
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) 2015, 7月 26
次元の呪いはこれだ.
次元の呪い(じげんののろい、英: The curse of dimensionality)という言葉は、リチャード・ベルマンが使ったもので、(数学的)空間の次元が増えるのに対応して問題の算法が指数関数的に大きく(英語版)なることを表している。
例えば、単位区間をサンプリングするには100個の点を等間隔で、かつ点間の距離を 0.01 以上にならないように配置すれば十分である。同じようなサンプリングを10次元の単位超立方体について行おうとすると、必要な点の数は 1020 にもなる。したがって、10次元の超立方体はある意味では単位区間の1018倍の大きさとも言える。
高次元ユークリッド空間の広大さを示す別の例として、単位球と単位立方体の大きさを次元を上げながら比較してみればよい。次元が高くなると、単位球は単位立方体に比較して小さくなっていく。したがってある意味では、ほとんど全ての高次元空間は中心から遠く、言い換えれば、高次元単位空間はほとんど超立方体の角で構成されており、「中間」がない。このことは、カイ二乗分布を理解する上で重要である。
あと一応モンテカルロ法も引用しておこう.
モンテカルロ法 (モンテカルロほう、Monte Carlo method, MC) とはシミュレーションや数値計算を乱数を用いて行う手法の総称。元々は、中性子が物質中を動き回る様子を探るためにスタニスワフ・ウラムが考案しジョン・フォン・ノイマンにより命名された手法。カジノで有名な国家モナコ公国の4つの地区(カルティ)の1つであるモンテカルロから名付けられた。ランダム法とも呼ばれる。
万能薬はない.
2015-07-16 計量幾何における双曲線関数: 和算もあるよ¶
自分を含むほとんどの一般人は双曲線関数に関して、「三角関数に関する受験生のレベル」に至ることなく死んで行くと思うと胸熱
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 6月 23
@y_bonten意外なところに双曲線関数が出てきたので、arXiv に投げておきました。http://t.co/ki11SAkeqD
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2015, 6月 23
@kamo_hiroyasuありがとうございます。楽しみが増えました。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2015, 6月 23
鴨さん, そもそも何でこんな問題考えたのだろう. 数学史か何かをやっていて辿り着いたのだろうか.
2015-05-26 経営分析に見る統計学とデータ解釈の難しさ: 統計学的推論と人文・社会学への応用¶
因果推論、科学哲学・統計哲学の面から見て「因果ってそもそも存在するのか」が強い疑問である(因果とはこれであるという定義がない、数々の定義は直感に沿わない反例が挙げられてる)、因果があったとして統計的手法で解析できるかという疑問、更に解析するデータに因果情報を落とし込めるかも難問
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
特に3つ目は相当しんどくて、仮に因果があって仮にそれを解析する手法があったとして、収集したデータに因果情報が含まれてるか否かを判定する問題について(私が知る限り)全く解決されてないし、これの怖いところは因果含まれてないのに因果解析手法は動作することで誤った因果関係を描くところ
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
あと論理的証明と統計的な説明って全然違うくて、例えば前者の三段論法は論理的に正しいけど後者で三段論法すると確度がどんどん下がっていく(確率の積になるので1から遠ざかっていきますね)ので、因果の系列(系列データの因果ではないよ)を統計的手法で解析するの、何をどうすればいいのかな?
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
データに因果が入ってない事例、てんやの持ち帰りが急増した件(http://t.co/zzP3Hw1jPi)や、古い有名な例では農作物の出来をデータ(雨量や肥料、気温など)で分析しても全くわからなくて現地調査したら近くの子供が学校長期休みにバイトで草むしりするからだと判明した話など
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
データだけ見てたら「気温で見ると28度から急激に作物が成長し出すぞ?でも雨が続くと成長悪化するぞ、気温が28度未満だとむしろ成長良くなるはずなのに?28度付近で何が変化して雨が成長要因/成長阻害要因になるんだ?」って首傾げると思う(28度くらいで夏休み、雨の日はバイトしないから)
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
「各種要因を含むようにデータを用意するに決まってるだろ」と考えるかもしれないけど、てんやや草むしりの件みたいに、いったい何がどう影響するのかわからない分析前の時点では各種要因を含むデータとは何かわからないし、それを明らかにするためには分析しないとだけど分析にはデータが必要で卵鶏話
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
なので実験計画をしっかり立て、この仮説を検証するにはこのデータが必要で、このデータで言える範囲はここまでで、分析失敗した場合は統計的アプローチを諦める・あるいは次にどのような仮説を立て新データを取得するか決めることが大切ですとデータ解析の実務プロセス入門に書いたので買ってくれ頼む
— (あんちべ! 俺がS式だ) (@AntiBayesian) 2015, 8月 6
てんやの事例について少し引用する.
不思議なのはビーンズ赤羽店でテイクアウト客が急増したのは、つい最近ということ。同じランキングを少しさかのぼると2013年は全国9位だったが、2014年に2位へと一気にジャンプアップ。今年、1位に躍り出た。
店内で食べれば味噌汁が付き、おしんこも食べられる。何よりできたてだし、それこそが外食店で食事する醍醐味。にもかかわらず、なぜそこまでテイクアウト客が多いのだろうか。
これが問題. そして答え (と推測されるもの).
答えは自転車の撤去だ。赤羽駅周辺は自転車で移動している人が目立ち、ビーンズ赤羽店も自転車で訪れているお客が多い。
一方、赤羽駅周辺は放置自転車がひどい地域だ。2012年までは3年連続で東京都内のワーストという不名誉な記録がある。行政側はこの問題に対処するため放置自転車を回収して、別の場所に移送するという措置を取っている。移送された自転車の返還には移送手数料が必要だ。 テイクアウト急増のカラクリが判明!
この移送手数料がポイント。以前は3000円だったがあまりにひどい状況を改善するため、行政側が都内最高の5000円に引き上げた。自転車を置いてゆっくり食事をしている間に持っていかれて、その引き取りに5000円もかかってしまってはたまらない。ビーンズ赤羽店のテイクアウトが急増したのは、こういうカラクリだったワケだ。
赤羽の放置自転車問題がめぐりめぐって、天丼てんや赤羽ビーンズ店のお客の流れを大きく変えた。局所的ながら行政による法律や制度の改正が、経済現象に大きく影響を及ぼすことの端緒である。
これ, 移送手数料というより, 監視が厳しくなって短時間置いただけでも 持っていかれるようになってしまったということではないのだろうか.
やはり統計学は本当に難しいし, 人文・社会学はこんなことまで気にしながら研究しないといけないし, どれだけ厳しい世界なのかと戦慄する.
数学とか物理の方がよっぽど楽だと思うし, 数学はもっと楽なのでみんなもっと数学しよう.
2015-05-25 ツイートメモ: 8/5はAbelの誕生日. あと楕円関数の論文の英訳があるらしい¶
(科学者列伝)1802年の今日8/5 Niels Henrik Abelが生まれた.5次以上の代数方程式に解の公式が存在しないことを証明.26歳で結核で死亡.彼の楕円関数の論文 http://t.co/ClrYoS8SXf←ここに英訳がある.
— ryugo hayano (@hayano) 2015, 8月 4
早野さんが示したリンク先, NOT FOUND だった. あとで探して読みたい.
読みたいのががんがん増えていくの, 本当につらい. 精神と時の部屋がほしい.
コメントで正式なリンクを教えて頂いた. http://www.maa.org/sites/default/files/images/upload_library/1/abeltranslation.pdf 嬉しい.
2015-05-24 夏の思い出: 白血病闘病記と私にとっての数学・学業¶
Twitter で呟いたのを多少編集してまとめておこう. 他の白血病患者の方達にも参考になるかもしれないから. スタートはこれ.
いま「夏の思い出」というのを聞かれたのだが, 高校以降は基本的に数学をしていた以外の記憶がないし, そういうのを聞かれているわけでもなかろうから返答にすごい困ったのだが, それ以外に思いついた思い出がもっとひどかったのでどうしようか迷ったもののとりあえずそれを答えた
— 相転移 P (市民) (@phasetr) 2015, 7 月 1
いま「夏の思い出」というのを聞かれたのだが, 高校以降は基本的に数学をしていた以外の記憶がない. そういうのを聞かれているわけでもないだろうし, 返答にすごい困った. 数学以外に思いついたのが白血病ネタで どうしようか迷ったけれどもとりあえずそれを答えた. 以下いろいろ書いていく.
思い出は高校 1 年時の白血病治療のための骨髄移植での入院だ. 高校入学後初の夏休みが無菌室, 外出できない状態で体調が少しよくなってきた頃に 窓越しに夏の日射しを呆然と眺めて「何でこんな所にいるのだろう」と思った遠い記憶.
このときちょうど機動戦艦ナデシコの劇場版がやっていた頃で, 看護師さん達から「この子飛び出していかないかしら」と 心配されていたとか何とか聞いた. どうしても見に行きたかったのだ.
白血病になった原因などはよく分からないが, 中 3 での発覚後, 中学では何か先生が泣きながら 「万が一彼にぶつかったりしたら大変だから決して廊下は走らないように」という 厳命が下ったらしい.
慢性の骨髄性白血病だったのだが, これは白血球を作り過ぎてしまう病気だ. 普通 4,000-10,000 程度で風邪などの病気のときも 数万程度のところが 40 万とかあった. 白血球 1 つ 1 つはポンコツなのだが数だけはあるため, とりあえず抵抗力などは問題なかった. ただ血を作りまくっている関係上, 造血系がアップアップしていて, 脾臓が馬鹿みたいに腫れていた.
普通肋骨の下に隠れている程度なのが, 臍のあたりまで張りだしていたようで, もし脾臓が破裂したら病院の前であっても 助からないというようなことを言われた.
脾臓破裂というと綾波レイと同じだな, などとしょうもないことを考えていたことも思い出す.
治療の甲斐あって私は何とか完治したが周囲でいろいろあった. 白血病の治療中, 骨髄移植からありえないくらいの早さで 元気になって退院した人がしばらくしたら戻ってきた. 相当状態が悪くなったようで個室に入ったあと しばらくしたら個室が綺麗になっていて, 集中治療的な病棟に移ったのかと思ったら亡くなっていたこともあった. 同じ病室の前のベッドにいた人でもあり, 人の命, 意外と儚いな, という感慨も得た. 子供だったのであまり深く考えずに適当に過ごしてはいたが, 忘れていないので何がしかの影響があったのだろうなとは思う.
白血病の当時の生存率はどのくらいだったろうか. もうよく覚えていない. ちなみに初期症状はおそらく猛烈に体がだるかったことで, マラソン大会でそれまで 2 年間真ん中くらいの順位だったのが 後ろから 3 番目になるくらい体力が落ちた.
あと家に帰ってから昼寝をする機会が増えたり, 意味不明に足にこぶのようなものができて, 3 回くらい治ってはまたできる, みたいなことを繰り返した. 中 3 の一月に柔道の道場, 接骨院の先生が 「それはおかしいから血液検査を受けてこい」と言われて発覚したのだった.
命の恩人だった先生だが, 2014/12 に亡くなった. ちょうど 2014/6 から運動不足解消, 体力涵養, 精神面の不調の解消のため柔道を再開したのだが, もっと早く再開していればもっと恩返しできたのかと思うとたまらなくなる. もちろん, 下の子達に返していくのが世の筋なのだろうが, それでも直接先生にもっと恩返ししたかった.
ちなみにそのときの記事. - 子供の頃と今もお世話になっている柔道の先生が昨日亡くなったのだが業の深い柔道家兼数学徒なので数学をする - 今日も明日も畳に上がりながら柔道と数学と物理をやる
話を戻して. 白血病とわかってから半年後に体調が急変して入院, 即骨髄移植となったので割と危なかった. あとで聞いたところによると, この入院時 「あと一週間もたないかもしれない」とか言われたらしい. 聞いていなかったとはいえ子供は呑気なもので高校では死んだふりして遊んでいたりした. 友達に「洒落にならないからやめろ」と超怒られた遠い記憶.
あと治療費については都の補助金を受けられたので何とかなった. うちが貧乏だったので大丈夫なのかとむしろそちらの方が不安だったのだが. 貧乏ということについては大学受験で浪人して私立に入ったというのもかなり大きい負担で, どうしようもないドラ息子であった. いまでもいろいろなことを思うし, それは最近はじめたこの活動 にも繋がっている.
細かな思い出は他にもいろいろあって, 採血時, 朝早いのでいったん採られたあと止血でおさえる代わりに 肘を曲げたままにしておくことで止血としていたのだが, 骨髄移植後は血小板も少なく, 1-2 時間後に起きると腕に内出血の斑点ができていた.
はじめは「何だこれ」と思ったがあとで「血小板がないからか」と思い至った. 血小板, 黄土色のような色だったのだがあれは何の色なのだろうとふと思う. 白血球も 0 まで下がったことがあるので, 外に出たらありとあらゆる病気にかかれる状態だった.
白血病で鼻血はなかったが, 抗がん剤を使ったので髪の毛がぼろぼろ抜けた. もともと坊主頭およびスキンヘッドだったので特に問題はなく面白がって抜いていた. 抗がん剤はまあきつかったが, それよりも副作用をおさえる薬がきつかった.
精神を落ち着かなくさせる副作用があったようで, そのせいで無性にいらついていてモニタで様子を見ていた看護師さんなどが気づいたのか, 調子はどう? と言われて「いらいらする」といった記憶がある. そうしたら使っている薬の副作用かもしれないから変えてみようと. 変えたらすぐ治った. さすがプロはきちんといろいろなことを考えていると感心した.
夏の思い出というとこんな感じだろうか. とりあえず薬がやめられるようになるまで 9 年かかったが, 再発がなくてよかった感がある. 数学という支えがなかったら心が折れていた可能性もあるのかと思わないではない.
あと夏ではない気がするが, ベージェット病にかかっていた従兄弟が来て「たまには病気に負けてあげるんだよ. そうすればここぞというところで (病気が) 言うことを聞いてくれるからね」と言われた思い出もある. 生粋の病人は言うことが違うと感銘を受けた.
病気に負けてあげなかったからか, 浪人の受験直前期に体調を崩して 1 週間くらい寝込んだこともある. 病気に負けてあげても何とかなる活動として数学を積極的にあげていきたいところもある.
高校の頃, 体力なくて数学するかアニメ見るか漫画読むかくらいのことしかしておらず, お小遣い面の問題もあるから数学が一番お金のかからない娯楽だった方の市民としては, やはりもっと数学, さらには学業一般を推していきたい.
最近の活動的に塾とか予備校とか, その辺の教育関係ビジネスは自分がお金がなくて受けられなかったのを 自分で再生産かと思うと矛盾も感じてつらいところだが, 活動資金がないと何ともならないことがあるのでとてもつらい.
病気の人向けの教育ビジネスが何か展開できないかと思っている. 例えば Kindle で出した【独学のすゝめ 大学受験勉強法 あなたが大学受験で失敗・後悔しないために】でも 独学の仕方を説明したので, そのアウトプット練習として 下の子に Skype チャットで講義するネットワークを作り, 維持・管理するとか.
やりたいことはたくさんあるが, やはり資金不足が深刻だ. 本当に何とかしたい. 活動資金がほしい.
2015-05-23 クックパッドのデータを研究者に公開するという情報を見つけたので宣伝協力する¶
クックパッドのデータを研究者に公開します というすごい話があったので. ちょっと引用する.
大学の研究者にお会いすると、「クックパッドのデータを研究に使用したいんですが...」と相談されることがあります。料理に関する研究をしているけれど、実際のデータがないため、なかなか研究が進まないという相談です。
料理に関する研究が進まないのは、クックパッドにとっても残念なことです。これらの研究は、クックパッドのサービスを改善するための「芽」でもあります。データがないだけで芽が育たないのは、非常に悲しい話です。
このような現状を打破するため、本日から、クックパッドのデータを研究者に公開します。このエントリでは、我々が準備してきたデータ公開の仕様について QA 形式で解説します。
こういうのはどんどん応援したい.
2015-05-22 ツイート紹介: 高校生向けの数学のジャーナルがあるという: JOURNAL AND PROCEEDINGS of YOUNG ARCHIMEDES¶
高校生向けの数学のジャーナルを教えてもらいました.ネタを持っている高校生はぜひ投稿を. NowBrowsing: http://t.co/UFR2LBUC8u
— Seiichi Tani (@sei1tani) 2015, 4月 5
これ, あとで動画とかメルマガでも紹介しよう.
2015-05-21 ツイート紹介: 1が数と考えられてなかった時代があるらしい 『数学文化 023』山本義隆「小数と対数の発見 第3章 数概念の転換」¶
みなさん、1は数であることなんて当たり前だと思ってると思うんですけど、実際僕も1は昔っから数だったんだろうと思ってたら、なんと1が数と考えられてなかった時代があるそうなんですよ。びっくりですね。『数学文化 023』山本義隆「小数と対数の発見 第3章 数概念の転換」
— Ryusei (@mandel59) 2015, 5月 11
ちょっと『数学文化』読みたい. 読書希望リストと積読ばかり増えていて最近本当に困っている. さっさと読んで文章にまとめて動画にして頭にインストールしていきたい.
2015-05-20 ツイート・記事紹介: 河川の石はなぜ丸いのか?数学者が地質学における長年の謎の解明に成功 - ScienceNewsline¶
石塊表面の曲率に拡散方程式を適用して解いたそうです。RT河川の石はなぜ丸いのか? 数学者が地質学における長年の謎の解明に成功 - ScienceNewsline http://t.co/NkKMJlTGAV
— SUZUKI Jiro (@szkjiro) 2015, 4月 5
具体的な方程式が知りたい. 出版社が入ってお金も絡んでいるから難しいのはわかるが, 論文はもっと見やすくなってほしい. arXiv に論文あると嬉しいのだが, あれにしたって 凄まじい維持費がかかっているようだし, 世知辛くつらい.
数学, 地質学, 微分方程式, 拡散方程式
2015-05-19 ツイート紹介: Amazon で岩波オンデマンドが続々と値下げされているそうなので¶
なんか、amazonで岩波オンデマンドが続々と値下げされてる…。全部ではないみたいだけど。トポロジー入門とかはそのまま。 http://t.co/Ihkbr7JASy@amazonJPさんから
— たみ〜たみゅたみゅ (@tatatatatamiya) 2015, 4月 10
値下げされているかどうかとはまた別に, 何かほしい本がありそう. 読みたい本が日増しに増えていく.
2015-01-07 勝手に研究会宣伝協力: 第2回 山陰 基礎論・解析学 研究集会 「数学基礎論と解析学」¶
第2回 山陰 基礎論・解析学 研究集会 https://t.co/8GVHVqA96w「数学基礎論と解析学」がテーマの研究集会2回目。今回は数学基礎論、関数解析、微分幾何、偏微分方程式あたりの研究者が参加するらしい。第1回はこちら https://t.co/ouncLLnraX
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2015, 1月 5
一応近隣だから関数解析なら何となく関係ありそうな感覚はあるが, 微分幾何と偏微分方程式だとどういうネタになるのだろう. 読んでみたいのであとで講演資料とか出てこないだろうか.
2015-01-06 【よくわからない受験科目】も展開していきたい¶
ひでえwwww pic.twitter.com/gzgF0HKCtR
— かめや (@nextstep_ss) 2014, 10月 13
当面は【よくわからない (大学) 数学】という感じの活動を考えているが, そのうち【よくわからない受験数学】みたいなのもやりたいとは思っている.
数学, 物理, 歴史, 日本史, よくわからない数学, 受験, 相転移プロダクション
2015-01-02 数学・物理関連サービスを強化していきたい: 定理の横の QR コードにいろいろな情報つけるのも面白そう¶
定理の横にあるQRコードを読みとるとそれを証明した人の解説ムービーが出る数学書
— 限り無くヘルニアに近い腰痛 (@sholy_1) 2014, 10月 17
以前, 数学書の電子書籍で定理の例や反例追加パックとか そんなツイートを紹介した記憶があるが, そういった追加サービスがあると楽しそうな印象はあるので何かやりたい.
とりあえず現行技術というか私ができるサービスとして, 動画作成なり math-textbook なりをやっている.
ツイートではちょろちょろ流しているが, math-textbook で数学者・物理学者の名前の読み方, 数学記号・式の読み方まとめプロジェクトを立ち上げた ご協力頂ける方はぜひお願いしたい.
2014-12-30 ページ紹介: 阪大の全国紙上数学談話会ページ¶
それはともかく、この「全国紙上数学談話会」では昭和9年から24年にかけて、錚々たる数学者たちが論説を発表している。功力金二郎も近藤基吉も数度登場していて、読みごたえのある記述集合論の話題を提供しているぞ。 http://t.co/zo1pB4vejt
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 25
とりあえずメモしておく.
数学, 集合論, 記述集合論, 全国紙上数学談話会, 数学者
2014-12-29 東大数理の小林俊行先生インタビュー: いつも格好いい¶
小林俊行氏インタビュー(http://t.co/8E8uQUvQFV)しびれる.
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 11月 1
ということで読んでみた.
世界の誰も思い付かなかったような創造的な仕事を、基礎研究で成し遂げてみたい。もしも自分に能力があるなら、学問で根源的なことに貢献したい」—。
小林俊行教授がそう思い始めたのは15歳の頃だという。
のっけから飛ばしている.
小林教授は、カラビ=マルクス現象の原論文の証明が書かれた部分は読まず、まず自分で考えてみたという。
これ, 良く聞くが自分でやるのは死ぬほどつらいことばかりでつらい.
注3 : カラビ=マルクス現象
正の定曲率を持つ完備なローレンツ多様体は決してコンパクトにはならない。その基本群は必ず有限群である。1962 年に Annals of Math. で発表されたこの現象は、大域リーマン幾何の常識とは大きく異なっていたが、その解明は 1988 年まで待たなければならなかった。
Lorentz 多様体, 計量が正定値ではないのだし 正曲率でコンパクトにならないのはそれなりに想像できるのだが, 幾何的にそんなに異常っぽい感じがするのだろうか.
基本群については感覚が全くないので何ともいえない. ただ必ず有限群というのはいかにもやばそうな感じはする.
ブログで何度か小林俊行先生を取り上げているが, 毎度毎度格好よすぎる.
2014-12-28 ツイート・書籍紹介: イアン・スチュアート『数学の秘密の本棚』¶
【書籍:数学の秘密の本棚】イアン・スチュアートが、14歳から集めてきた、数学パズルやゲーム、数学史や数学者のエピソードを初公開。四色定理、フェルマーの最終定理、カオス理論、ポアンカレ予想、リーマン予想などの難解な理論も紹介されている。— 数学問題bot (@mathematics_bot) 2014, 11月 2
ちょっと興味ある. とりあえずメモ.
2014-12-25 ツイート紹介: 望月新一氏が自身のホームページで宇宙際タイヒミューラー論文の査読の事実上の完了と「普及段階」に入った事を宣言¶
望月新一氏が自身のホームページで宇宙際タイヒミューラー論文の査読の事実上の完了と「普及段階」に入った事を宣言。 山下剛氏のサーベイは2015年3月に開催のRIMS共同研究に関する数理解析研究所講究録別冊として刊行予定であることも公表。 http://t.co/bmkBmxJbHe
— jin (@jin0801) 2014, 12月 25
望月新一の最新情報 へのリンクもつけておこう. 宇宙際 Teichmuller, 勉強してみたいのだがどれから見るといいのだろう. そもそも数論幾何に対する基礎知識からして全くないが.
2014-12-24 アルゴというゲームがあるらしい: 素数大富豪も広めたい¶
家族4人で,数字を当てるだけという極めてルールは単純な algo(アルゴ)というゲームをしたのだが,ボコボコにされた.全く納得いかない.これは「頭のよくなるゲーム」らしいが本当かどうかは不明.ただ,頭を使うのは確かだ.— Manabu KANO (加納学) (@DreamChaserJPN) 2014, 11月 3
これか.
こういうのもいろいろ試してみたい. 素数大富豪 もまだやったことないので, これも実践してみたい.
2014-12-21 北大数学科の推薦図書一覧¶
北大数学科の推薦図書. 各分野の本を一冊ずつでも読めば学部の数学はひととおり勉強したと言えるだろうか. 正直に言うとなんか物足りない感がある. http://t.co/9XoOjkGOMi
— iSem´∀`* (@AzuleneS0_S2) 2014, 11月 4
興味がある本をいくつか抜き出しておきたい.
代数系 [線型代数学] 佐武一郎「線型代数学」裳華房
[群論] 森田康夫「代数概論」裳華房 堀田良之「代数入門ー群と加群」裳華房 原田耕一郎「群の発見」(岩波書店) (お話し的)
[環論] リード(伊藤由佳理訳)「可換環論入門」岩波書店 堀田良之「環と体1-可換環論」(岩波講座 現代数学の基礎)岩波書店 松村英之「可換環論」共立出版 岩永泰雄・佐藤真久「環と加群のホモロジー代数的理論」日本評論社
[体論] アルティン(寺田文行訳)「ガロア理論入門」東京図書 原田耕一郎「群の発見」(岩波書店)(お話し的)
幾何系 [位相空間] John L. Kelley "General topology" Springer 森田紀一「位相空間論」岩波全書 矢野公一「距離空間と位相構造」共立出版
[多様体] 服部 晶夫『多様体』岩波書店 村上 信吾『多様体』共立出版 松島 与三『多様体入門』裳華房 I.M. シンガー・J.A. ソープ『トポロジーと幾何学入門』培風館
[位相幾何] J. ミルナー『微分トポロジー講義』シュプリンガー・ジャパン R. ボット・L.W. トゥー『微分形式と代数トポロジー』シュプリンガー・ジャパン
[微分幾何] J.A. ソープ『微分幾何の基本概念』シュプリンガー・ジャパン 加須栄 篤『リーマン幾何学』培風館 小林 昭七『接続の微分幾何とゲージ理論』裳華房 小林 昭七『複素幾何』裳華房 J. ミルナー『モース理論;多様体上の解析学とトポロジーとの関連』吉岡書店
解析系 [解析入門] 小平邦彦「解析入門I,II」岩波書店 杉浦光夫「解析入門1,2」東大出版会
[関数解析] 黒田成俊「関数解析」(共立数学講座 15) 共立出版 藤田宏・伊藤清三・黒田成俊「関数解析」(岩波基礎数学選書) 岩波書店 新井朝雄「ヒルベルト空間と量子力学 改訂増補版」(共立講座21世紀の数学16)共立出版
[微分方程式] 高橋陽一郎「微分方程式入門」(基礎数学6) 東京大学出版会 井川満「偏微分方程式論入門」(数学選書13) 裳華房
[複素解析] 新井朝雄「複素解析とその応用」共立出版
[ベクトル解析] 新井朝雄「現代ベクトル解析の原理と応用」共立出版
数理科学系 [力学系とカオス] スメール「力学系入門」岩波書店
[計算数学] M.デーヴィス著,渡辺茂,赤攝也訳「計算の理論」岩波書店 J. ホップクロフト・J. ウルマン「言語理論とオートマトン」サイエンス社 D.Knuth「The Art of Computer Programming」Volumes 1-3, Addison-Wesley
[数値解析] 星守・吉田利信・小野令美 「入門 数値計算」オーム社 杉原正顕・室田一雄「数値計算法の数理」岩波書店 三井斌友・田端正久「微分方程式の数値解法I・II」岩波講座応用数学13 森正武「数値解析」共立出版 一松信「数値解析」朝倉書店
[数理モデル入門] 高橋陽一郎「漸近挙動入門」日評数学選書, 日本評論社 藤田宏・池部晃生・犬井鉄郎・高見穎郎「数理物理に現れる偏微分方程式 I, II」(岩波講座基礎数学), 岩波書店 今井功「古典物理の数理」(岩波講座応用数学), 岩波書店 山本昌宏「逆問題入門」(岩波講座物理の世界), 岩波書店 J.A.アダム「自然の中の数学(上下)」シュプリンガージャパン M.ブラウン「微分方程式-その数学と応用(上下)」シュプリンガーフェアラーク
[C言語による数値プログラミング] 「プログラミング言語C 第二版」カーニハン・リッチー 共立出版 「Numerical Recipes in C」(日本語版)技術評論社
読んだことがある本は除いておいた. 偏微分方程式はまともにやったことがないので もう少しきちんとやりたいとはずっと思っている.
2014-12-20 大阪大学出版会から『コミック 証明の探究高校編!』という謎の漫画が出るらしいのでほしい¶
ついに『コミック 証明の探究高校編!』が納品されました!12月12日発売予定です。初めてのコミックなので、とても楽しみです!そして極秘プロジェクトも進行中…。ぜひご注目くださいませ。(T)http://t.co/rSgWrV7TGDpic.twitter.com/C7NtvIqRTX
— 大阪大学出版会 (@OsakaUP) 2014, 12月 4
お金に余裕が出たら買おう.
2014-12-18 Nature は永遠に小保方論文でもアクセプトしていろ: Mumford と Tate の Grothendieck 追悼記事がリジェクトされたようなので¶
MumfordとTateのGrothendieck追悼記事がNature様の読者様のご趣味に合わないと判断されてリジェクトされた話. http://t.co/zG3tfC3xWW
— MS (@ShinichirohM) 2014, 12月 16
Nature, 小保方論文は通すくせにこれは通さないのか.
Mumford の怒りを引用しておこう.
The sad thing is that this was rejected as much too technical for their readership. Their editor wrote me that 'higher degree polynomials', 'infinitesimal vectors' and 'complex space' (even complex numbers) were things at least half their readership had never come across. The gap between the world I have lived in and that even of scientists has never seemed larger. I am prepared for lawyers and business people to say they hated math and not to remember any math beyond arithmetic, but this!? Nature is read only by people belonging to the acronym 'STEM' (= Science, Technology, Engineering and Mathematics) and in the Common Core Standards, all such people are expected to learn a hell of a lot of math. Very depressing.
複素数に出会ったことない読者層に向けて 量子力学の論文を載せたりするの, 気が狂っているとしか思えないし, 永遠に小保方論文でも載せていろという感.
数学, 生物学, 複素数, 代数幾何, スキーム, Grothendieck, Mumford, Tate
2014-12-17 駒場祭での【2014年度公開講座 「小平邦彦氏の生涯と業績」】に参加したかった¶
駒場祭1日目の午後には日本人でフィールズ賞とった小平邦彦に関する講演が数理棟であるので正直言うと534よりこっち行ったほうがいい http://t.co/jbyxiufOKE
— きょーじゅ (@oomichikyouju) 2014, 11月 21
とっくに終わっているのだが, 行きたかった. 一応プログラムを引用しておこう.
2014年度公開講座 「小平邦彦氏の生涯と業績」
日時:2014年11月22日(土)13:20~17:00 場所:東京大学大学院数理科学研究科棟・大講義室
飯高 茂 (学習院大学・名誉教授) 『小平邦彦博士の生涯と数学』『附録 私の接した小平先生』
川又 雄二郎(東京大学・教授) 『小平=スペンサーの変形理論』
宮岡 洋一(東京大学・教授) 『曲面の小平理論』
飯高先生の話, 聞きたかった. 悲しい.
2014-12-15 記事紹介: GIGAZINE『多くの子どもが投げ出してしまう科学・数学などの勉強が長続きするよう親がするべき大切なこととは?』¶
私が数学・物理教えるときに心がけてることの一つです。ワイズマン『その科学が成功を決める』にもっと詳しくある。 >多くの子どもが投げ出してしまう科学・数学などの勉強が長続きするよう親がするべき大切なこととは? - GIGAZINE http://t.co/MtnhWQBbVS
— 渦アレ (@uzu_are) 2014, 11月 6
記事から引用しておこう.
そこで、親や教師がたたえるべきなのは素質や才能ではなく、「プロセス(過程)の素晴らしさ」だとのこと。例えば、一生懸命時間をかけていたり、いろんな方法を考え出して試したり、普通とは違った部分に焦点を合わせていたりといった「子どもが取り組んでいるプロセス」について褒めることが子どもをより良い道に導けるとドウェック博士は考えています。
「研究によると、褒めて褒めて褒め倒してからある時を境に褒めることを止めた場合は、子どもはモチベーションを失い、さまざまなことに挑戦しようとしなくなる事が分かっています」とドウェック博士は述べています。
ドウェック博士によると、子どもが勉強に限らず物事を投げ出すことなく続けるようにするためには「褒めること」が最適なものではなく、むしろ「どんなふうにやったの?教えてちょうだい」と子どもがやってきたプロセスや採用してきた戦略について話し合うのが大切で、子どもの行為をよく理解し励ますことが褒めることよりも良いとのことです。
参考にしたい.
2014-12-14 【「読む」といったら一字一句──エンジニア・光成 滋生(2)】という記事を読んで衝撃を受けたので¶
数学科と工学部じゃ「読む」の意味が違うという話。そうそう、僕もこういう訓練受けた。 / 「読む」といったら一字一句──エンジニア・光成 滋生(2) | サイボウズ式 http://t.co/H7W3PLYbyM
— 加藤公一(はむかずa.k.a.はむはむ) (@hamukazu) 2014, 12月 11
工学部の【読む】の意味を知らないのでそこはよくわからないが気になったので.
http://t.co/hiLjkHYgMV【正直なところ、新しいものを学ぶための具体的な方法論として「教科書を読むしかない」、読んでよく分からないときの対処として「考える」という回答には面食らいました】分野によって「教科書を読む」という所にバリエーションはあるにせよ正気か
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 13
@phasetrこれ、プログラマでいうならどうなるのだろう。観測範囲でいうなら【まず(よい)コードを読む。分からなかったら調べる+考える】という感じだし、ほとんど変わらないと思うのだがどこに面食らう要素があるのだろう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 13
「よく知ってる人に聞いてみる」とかはあってもいい印象
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2014, 12月 13
久徳先生のコメントは「教科書を読む」のバリエーションと思っている. 人の話を聞いてもどうしてもわからないのなら考える以外の方法がないと思うのだが.
あと記事から.
ところで、この読み方は小崎さんが第6回で語っていた「分からなくてもとにかく読み進めることが大事」という主張とはまったく逆です。この違いはなぜ起こるのでしょう? 次回はここを掘り下げていきます。
逆とは思わない. 両方やるのだ. 【読み進める】の意味にもよるが, 定理がよくわからないという場合に 先に具体例や定理の応用 (別の定理の証明に使う) が書いてあることも多い. そして酷使というレベルで使い込んでいかないとわからないこともよくあるから, ある程度先に進んでみるのも一手だからだ.
さらに言うなら, 記事のここ.
例えば「球の体積が3/4 πr^3になることは積分を使えば分かる」と本に書いてあったら「積分ってなんだろう」って思うわけです。で、積分の解説が書いてある本を見る。見たら三角関数とかがいっぱい出てくるわけです。じゃ「今度は三角関数の本を読んでみよう」となる。そのうち「そもそも関数がよく分かんない」となって、関数の本を見て、というのを3年くらいかけて知りたいことにたどり着いたことありますけど、そういうのですかね?
このいわば【説明を遡る】部分はわからないことを調べていくプロセスと思うと, わからないことを調べるために本を先に読み進めるというイメージだ.
自分もこういう訓練をしないといけないししたいけど、どのくらい独力でいけるんだろうか。理学部の人知りませんか http://t.co/X14ylIig1Z
— (犬・ω・´)ぱん (@Nolex_dog) 2014, 12月 13
@Nolex_dogどのくらい独力でいけるか、というか独力でやるしかないことです。大学など教育機関はその強制力があるので便利です。あとそうした機関の良い点はお互いが顔を突き合わせて教えあえる時間と場所があることです。ネット越しである程度はできますが、今の技術では限度があるので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 13
個々にブラックボックスとなってしまう部分はあると思うが, ブラックボックスをどこに設定するのか, という話なのではないか感がある. プログラム書くときにも人によってはアセンブラがどうのとか, 実際に奥でどういう処理で書かれているからこう書くよりこう書く方が 速くなるとかあるように思う. きちんとやるならそこまで必要だというその程度のことだし, 面食らう理由が本当にわからない.
ここまで書いてふと思ったのだが, 面食らう理由は「ただの道具にすぎない数学に対してそこまで学習かけないといけないなんて」という部分なのかもしれない. それならわからないでもないけれども.
2014-12-12 Terence Tao のランダム行列の本の紹介: 【ランダム行列は 21 世紀の物理数学】と呼ぶ人もいると聞いたので¶
わたしはランダム行列は http://t.co/30qFnpqfawで勉強しました.実質 Tao's universality の解説本.
— Takanori MAEHARA (@tmaehara) 2014, 11月 9
とある人から【人によってはランダム行列自体を21世紀の物理数学と言う人もいる】という話を聞いた. 物理数学のいろいろな技術を使うから, ということらしい. あと, Riemann 予想だとか数論との関係もあるらしいし, 数論と関係があるというとそれだけで既に魔界なのでやばい. 近いうちにレビューが出るとか聞いたので それは目を通したい.
Terence Tao の魔人性とかそれはそれとしてあるが, 物理への応用よりの話はかなり興味がある. 物理のための数学講座でもコラム的に取り上げたい. 最近忙しくてそちらが全然進んでいないのでつらい. どうにかしたい.
2014-12-11 田崎さんの東大での集中講義の懇親会の様子: 清水さんから宿題をぶっこまれたので¶
12/8 は 田崎さんの東大での集中講義 最終日で, 懇親会もあったので参加してきた. 自己紹介の時間があって市民であることを強調してきたが, 集中講義でいろいろ質問して, 田崎さんからもテンポよく 適切な質問をしてくれたとのコメントを頂いているので, 東大各位に市民の底力を見せつけることができたと思う.
懇親会で清水さんの隣に座ることになったのだが, ちょっと会話したのでその記録. 多分書いても問題ないと思うので, 自分用のメモでもある.
清水さんに自分が書いたkindleの本を紹介するという暴挙に出た
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 8
@phasetr何か最後の懇親会で自己紹介する時間があったのだが、きちんと市民です、という自己紹介をしてきた
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 8
@phasetrあと、何か流れ的にDVDの宣伝をしてきた
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 8
@phasetr清水さんがゲルファントトリプルの定式化が物理的に自然という話をしていたので水素原子のように可微分性が崩れた系もあるからそれはだめなのでは、とコメントしたらその辺は数学者が頑張れというコメントを頂いたので数学各位は頑張って欲しい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 8
元から知っている人はともかく, 初めて会った人も 私の動画などを知っていたようで, 東大物理界隈にも 無駄に相転移P 概念が浸透しつつあるようで今日のいい話としたい.
最後のツイート引用のように, 清水さんから田崎さんのレポートよりも 遥かに重い宿題を出された感があるので, それなりに何とか頑張りたい.
あと清水さんからコメントされたというか 要望というか, 次の期待・希望が出た.
- $x^{100}$ だとかの期待値も自由に取れるようなクラスで状態を考えたい.
- 要は急減少関数のように $x^n$ の期待値が自由に取れるような状態だけで考えたい.
- $L^2$ は可積分性だけなのでその点が一般には保証されないので嫌だ.
- Fourier 変換は緩増加超関数 $e^{ikx}$ による一般固有値展開なので, そう思った素直な定式化がほしい.
問題を多少数学として多少意味があるように言い換えたので 清水さんの正確な要望とは違っている可能性もあるが, 大体こんな感じだと理解した.
田崎さんからは「$x^{100}$ とかは定義域をきちんと調べるのが数学的に筋」という コメントが出ていたし, 私としてもそのスタンスだが, 何か嫌なのだろうな, というのはわかる. ちなみに (基底) 状態の regularity という議論は, 考えている系の基底状態が $x^n$ の期待値計算ができるかというような話に対応している. 量子力学だとあまりよく知らないのだが, 場の理論では 廣島先生などが汎関数積分を使って議論している.
私も水素原子の基底状態は微分不可能な点があるので 急減少関数と緩増加超関数を考えた場合の Gelfand triple では物理として問題があること, $x^n$ 上の定義域問題など, 無限遠での減衰が問題というのはよくあって, その辺は結構議論されているらしい的なことはコメントしてきた.
ただ, 少し調べたみたらこれは私の勘違いだったようで, 数学的には超関数 (相当の数学的対象) を使うようだ. 実験的に準備できる状態としていわゆる試験関数を取るという方向らしい.
量子力学 (の数学) はよく知らないので大変困っている. あとこの辺, あまりに物理に貢献できるというか 物理的に意義がある気はしないし, 数学的にも面白いのかどうかも よくわからない.
どうせ業績にならなくても困りはしない身分なので まず調査をはじめた. 考えてみればこの周辺の話はちょうどいま場の理論に対して やろうとしているテーマそのものなので多少なりとも参考にしたい. 今の時点でわかっていることについては, 後で適当にまとめて清水さんに連絡したい.
あと田崎さんが「Hermite と自己共役性の区別」だとか, その辺にもきちんと注意した物理の本がほしいとか何とか言っていた. 例として有界区間で Dirichlet 境界条件をつけた運動量作用素が Hermite だが自己共役にならないとかそんなのを上げていた.
物理の本というとつらいところはあるが, その辺の参考になるような資料は math-textbook プロジェクトで 何とか提供していきたいとは思っている.
2014-12-10 立川さんの「弦理論における数学の使われ方」とかその辺からの堀田さんからの華麗なぶっこみを受けたのでその記録¶
何か斜め上からのぶっこみを受けたので流れを記録しておきたい. まずぶっこまれたツイートから.
数理物理学については、相転移Pさん@phasetrにメンション飛ばすのも手。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
@hottaqu飛ばされてきたらわかる範囲で答えますが、さすがに田崎さんとか専門家というかプロに流した方が良いのではないでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 8
@phasetrええ。田崎さんは質問させて頂く側からは、ベストな方。でも若い方も質問されて伸びる機会があってもいいと思います。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 8
プロが市民にとんでもない無茶を回してくるのでつらい. それはそれとして流れを出しておこう. まずは立川さんのツイートから.
弦理論における数学の使われ方ってどういうものだろうか、と、時々質問されるので考えていたのですが、オープンソースのソフトを、ソースコードを読まずに、説明書だけ斜め読みして使う、というのに近いか、と思いました。まあ、パソコンオタクにしか通じない比喩ですが。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 12月 7
弦理論って(物理の他の分野に比べて)数学沢山使うんですよね?といっても、別に数学の証明(ソースコード)をきちんと読み込んでいる、というよりは、物理の他の分野ではあまり使わない数学の定理(ソフト)をいろいろ使う、ということなのではないかと思います。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 12月 7
理論物理屋が数学の証明を理解して自分で再現できるようにすべきかどうか?というのは、理論物理屋が使っているパソコンの OS のソースコードを全部読んで、さらに自分で書き直せるようにしておくべきか?というのに似ている気がする。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 12月 7
ひとつ前のツイートをどう取るかはいろいろありますが、数学の証明もがんばって読んでみる(再現できないけれど)ように、OS やコンパイラのソースコードもがんばって読んでみる(書けないけれど)ということでもあります。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 12月 8
ついでにこれもメモ.
@yujitachestablishされたらともかく、最先端の数学には、ソースコードだけで、説明書はないのでは?
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2014, 12月 8
@hirakunakajima40年前の A-P-S でさえ説明書を読むのに四苦八苦しております。原論文でなくてもっと最近の教科書を探して読めばよかったかもしれません。先生にもお世話になりましたが、結局 W 先生に直接疑問点を聞いてなんとか解決しました。
— Yuji Tachikawa (@yujitach) 2014, 12月 8
そして堀田さんのツイート.
数学者の「証明」と物理屋の"証明"について、数学者と物理屋は互いに質が違うと思っている。数学者は物理屋の"証明"は笑止として厳密に再構成してくれることもあるが、逆に物理屋は数学者より本質を掴んでいる場合もあるので、まだ緻密でない表現だとしても確実にその本質を語っている場合もある。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
笑止が【困っていること。また、そのさま。】なら意味はわかる. http://tinyurl.com/m5wlrcf
逆に物理屋は数学者より本質を掴んでいる場合もある
本質を掴んでいるのではなく【物理的に信頼できる】という数学者とは 別の判断軸, 推論の方法があるというだけだと思っている.
書評:Simulations' Achille's heel でも平井武先生の 『線形代数と群の表現 II』23.7 節 で Weil の話を引いているが簡単に書いておこう.
1940-50 年代のはずだが, Lorenz 群のユニタリ表現に関して, 当時の数学の状況からすると無限次元の表現論はまるで 何もできていなくて Weil ですら手をこまねいていたところ, 相対論的場の量子論で必要だからということで, しびれを切らした Wigner が突撃して世界を切り開き, Dirac が続いたという話がある.
ここでポイントなのは数学的にいい加減であろうとも 物理という信頼できる軸と, 絶対に必要だという背水の陣が 引かれていたからできたのだろう. もちろん Wigner と Dirac も常人の参考にならない化け物だが, 数学サイドも Weil という化け物で大概参考にならないので ちょうどいい勝負だ.
数学的に何が起こっているかわかったから, そのあとでようやく道具を整備して切り込むことができた, とか何とかいう Weil の述懐が引用されているので 興味がある向きはぜひ読んでほしい. 群の表現論としても面白い本だ.
まだ緻密でない表現だとしても確実にその本質を語っている場合もある。
数学的な本質を語っていることがどのくらいあるのかは気になっている. 結果が正しいことはあってもそのままでは数学的にまるで正当化できず, 本気で正当化しようと思ったら凄まじい迂回の上に大理論が必要になることも よくあるので, 数学的な意味でも本質に迫っているのは かなりレアケースなのではないかという気もするが, 各ケースを調べたわけではないので何ともいえない.
ディラックのデルタ関数なんて、そんな例だった。数学において超関数の概念が整備されたのは、ディラックの量子力学の教科書が書かれたずっと後。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
Fourier が既に使っていたとかいう 小松彦三郎先生の数学史の話を聞いたことがある. 有名な話なのだと思うが, 確か太田浩一先生の 電磁気の本には Heaviside も導入していたという話がある.
あまりよくわかっていないのだが, そもそも歴史的に 数学の中で超関数がどうしても必要になる状況はあったのだろうか. ニュートンが力学やるのに微積分の理論を作ったという感じで, 物理で必要だからいい加減だろうが何だろうが先に 概念を切り出してきただけ, という感じはする.
ただ Fourier は応用数学で, Heaviside も応用数学・応用物理系の人で 純粋数学者からは「何かわけのわからないことを言っている人間がいる. あれはひどい」という扱いだったとかは聞くので, いろいろ微妙なところはある. 同じく太田先生の本だったと思うが, Heaviside については Hardy が「何か面白いことがあるかもしれないし, ああいうのでもいいのでは」的なことを言っていたとかいう記憶があるが, まあ少数派なのだろう.
現実の物理現象は数学で扱う極限的理想状況にはないので、超関数理論を学ばなくてもデルタ関数を十分に使いこなすことができる。ぼやけた分布の幅零極限としての理解で十分なことも多い。そして実際に実験室で作られる粒子の局在状態は、デルタ関数の状態ではなくて実験装置に依存する幅を有する状態。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
現実の物理現象は数学で扱う極限的理想状況にはないので、超関数理論を学ばなくてもデルタ関数を十分に使いこなすことができる。
この辺はいろいろと思うところがあるのだが, 物理学科で育った身としていうなら, 物理をやりたいなら物理をやれ, 数学したいなら数学科に行け, という言葉に尽きる. 超関数なんてやっている暇があるなら物理やってほしい. どこに書いてあるか忘れたが, 深谷賢治先生も 「数学的な詳細を気にしている物理学者の講演はつまらなかった. そんな細々としたことはこちらがやるから大きな夢を見せてほしい」というような ことを言っていた記憶がある. すぐに見つからないが, 『数学者の視点』だった気はする.
ちなみに, 私は【理論的な扱いとして理論物理では 理想化極限を取っている系の振る舞いを最大精度で理解したい】 というところに興味を持ち, それを自らの バトルフィールドと (今のところは) 設定したので, そんな感じでやりたい.
物理学の理論には常に適用範囲があるから、物理屋は場合によって数学的厳密性をシリアスにとらない。極端な理想状況を考えても、無意味なことが多いから。数学者より物理屋がいい意味で「アバウト」なのは、その分野としての本質からきている。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
分野としての特質でいうなら, 数学の定理には常に適用範囲があり, それを越えると本当に何が起きるかわからない. (あくまで今から見て) 昔の数学は相当いい加減だし, 物理などでよくある「例による証明」も普通だったし, 数学的な厳密性は時代の関数という間がある.
遠い未来でどうなのかは不明だが, 現代の数学的厳密性は 実際に野放図に定理を書いておかしなことが起こりまくってきた末に どうしようもなくなって厳密にせざるをえなくなった結果という理解をしている. 単純に, 見ているところ, 何に注意しなければ自分の分野で困るかが違うだけだ.
あとあまり関係ないが, 数学者も物理の用語をかなり雑に濫用することがある. 以前非線型 Schrodinger の人 (確か今早稲田の応物にいる 小澤徹先生だった気がする) がある量を「エネルギー」と呼んだとき, 物理の人が「それは物理として何か意味があるのですか」と質問していた. それに対して「適当な意味で保存する量で, 何となくエネルギー的な 量なのでエネルギーと呼んでいるだけです」と返していた記憶がある.
数学の人も物理を大事にしないことはよくある.
近年の数学のフィールズ賞受賞テーマは理論物理学から派生していることが多いという事実は、物理学者の直観の深さを証明している。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
直観の深さとかあまり関係なくて, 見ている世界が違うだけという感じがする. 超うるさいことをいうなら, 物理だろうが数学だろうが 凡百は所詮凡百だし, 物理学者一般ではなく 現代数学との関係も深い分野にいる 物理学者に優れた人がいるというだけの身も蓋もない話なのでは.
先のTWは、普通の物理分野の話。数理物理学を目指す学生さんは、数学者と同レベルの証明を求められることを忘れずに。数理物理学では、非常に数学的にも緻密なレベルでの証明であると同時に、その内容が物理的にも意味がある設定になっているかが鍵。厳密であっても現実と無関係なら無価値とされる。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 12月 7
これも前に少し書いた.
要は数理物理というとき, 数学者・物理学者で特に言葉の使い方が違うし, さらにそれぞれ内部でも使い方が違うので定義をきちんとしましょう的な話.
数理物理学では、非常に数学的にも緻密なレベルでの証明であると同時に、その内容が物理的にも意味がある設定になっているかが鍵。
大栗さんや村山さんは数理物理の人と認識されることがあるようだが, 特に厳密なことはやっていないと思っている. 数学者にインパクトを与える仕事はたくさんしているのだろうし, 代数幾何の桂利行先生ですら「彼らは数学めちゃくちゃできる」と言っていたから 数学もよくわかっているのだと思うが, きちんとした証明はしないだろう.
あと【その内容が物理的にも意味がある設定になっているかが鍵】も結構つらいし かなりアレなこともある.
厳密であっても現実と無関係なら無価値とされる。
この定義でいうなら私は数理物理やっていない感がある. 正直, 赤外発散の克服という問題が, 現実との関係はともかく そもそも現代物理でどの程度意味があるのか全くわからない.
ちなみに電子を有限体積の Hubbard とした電子-フォノン相互作用系が 数学的 (形式的) にはフォノンの BEC を起こすというのを arXiv に上げたのだが, 物理の人から「いや, 平衡状態でフォノンの BEC 起きないから」という指摘を受けたことがある. あと, 北大数学にいる宮尾さんにも同じ指摘を受けたので, その意味でも相当駄目っぽい.
いまだにあまりよくわかっていないのだが 次の理由でフォノン BEC は駄目らしいということは理解している: フォノンが BEC 起こすような状況だとフォノンがかなり バンバン出ていることになるが, その状況は 格子がガンガン揺れまくっているしそれは平衡状態と呼べるのか?
非平衡なら BEC はありうるとかそういう話もあるようだが 全くわからないのでつらい.
さらにちなみに, この辺からまた, 恐ろしく数学色が強いテーマを思いついたので いまそこでいろいろ研究しているのだが, 数学の問題として定式化しているだけで 数学として面白いかどうかはまた別の話というところもまたつらい. 構成的場の量子論・厳密統計力学の数理物理としては 意味がある問題だとは思っているが, まだ誰かに相談できるほどまとまった形にしておらず, 身近に相談できる人がいるわけでもないのでつらい.
長くなったのでとりあえず結論をまとめておくと 市民はつらいというところに落ち着く.
2014-12-09 Sangyoh_sus さんによる『ゲージ理論入門』の PDF を読んだので¶
私の発表内容に加筆したPDFをせっかく作ったので公開します http://t.co/eICsb04qFp 物理で導入されるゲージ場は数学的にどういうものを持ってくれば上手に記述できるのか、というようなことを動機とした内容です。飛ばしまくってはいるものの一応多様体論から書いています
— Sangyoh(さんぎょー) (@Sangyoh_sus) 2014, 9月 25
せっかくなので読んでみた. 前半部分の多様体の基礎を非可換幾何の観点から説明していると思しき Frohlich, Grandjean, Recknagel の Supersymmetric Quantum Theory and (Non-Commutative) Differential Geometry を前から読んで適当にまとめてセミナーしたいと思っているのだが 時間が取れていない悲しみがある. http://arxiv.org/abs/hep-th/9612205
内容と関係ないが, 学部 2 年くらいでこの辺の勉強をしたとき, 何を言っているのか本当にわけがわからなかったので 多少は成長している感がある.
あとコメント.
P.8 このような連続的変換は, 量子力学において状態ベクトルという概念が見いだされ, 「状態 A と状態 B の中間的状態が連続的に存在する」という状況が現れたことで, 系の状態の変換は連続的にならざるを得なくなった.
量子系とか面倒なこといわなくても, 古典系で回転の表現とか, もっというなら時間・空間の 並進対称性の表現がばりばりに連続だし, そちらの方が 歴史的にも古いからそのレベルで紹介すれば十分だろうが, 一応, 素粒子・場の理論で使うということを意識しての説明なのだろう. オーバーキル気味の説明という気はする.
ラグランジアン密度に $M$ 上の場=ベクトル束の切断のみが入ることを許すという単純な仮定によって正当化できることは特筆に値すると筆者は考える.
この仮定, (数学的に) どのくらい強いのだろう.
これでは全ての力を統一する理論は無理なのか, と思われたところに, 「超対称性と呼ばれる対称性を考えることで $P$ と内部対称性の群が混ざることができる」という定理が証明された (Haag-Lopuszanski-Sohnius の定理).
もしや, と思って調べてみたら案の定この Haag は AQFT の創始者の Rudolf Haag だった. Haag は本当に化け物だ.
関係ないが, これを検索しているときに芝浦工業大の守屋創さんの $C^*$ を使った超対称性の研究に関する PDF を発見した. 先日の RIMS での研究集会【量子場の数理とその周辺】で 少し守屋さんの名前が出たので, 勝手におお, と思った. 私の中で守屋さんというと Araki-Moriya の Equilibrium Statistical Mechanics of Fermion Lattice Systems が 気になっている. http://arxiv.org/abs/math-ph/0211016
これからがんがん使いたいのにあまりまともに読めていない. 精読したい.
それはそれとして, これを math-textbook にぶっこみたい. https://github.com/phasetr/math-textbook
2014-12-08 機械式 Fourier 変換という宝具が存在した¶
機械式フーリエ変換やばい http://t.co/fMy1YvvwKQ
— Fadis (@fadis_) 2014, 11月 19
リンク先の動画で紹介されている機械が凄まじい. Michelson がオリジナルらしい. こういうのを作る実験の人, 本当にすごいといつも感心する.
2014-12-07 田崎さん・いろぶつ先生の教材紹介含む: 推薦など早めに大学合格が決まった理工系学生向け予習教材案内¶
田崎さんといろぶつ先生が自分が作っているのを宣伝していたので私も便乗したい. まず田崎さんのツイートから.
1/4 そろそろ推薦入試で大学合格が決まった人がいると思うけれど(おめでとうございます)、「四月からは一般入試を突破してきた人たちと机を並べて学問に接する」ということを忘れずに(推薦が多い大学でもそういう設定にして)ガチで色々と学んでおくことを強くおすすめします。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 12月 7
2/4 とくに英語。単語をいっぱい覚えるのも悪くはないけれど、きちんとした文法と構文解析にもとづいて英文を論理的に読むことを身につけるのが重要だと思う。これは受験テクとかそういう話じゃなくて、英語で書かれた本格的な文献を読むためには本質的に重要な素養だと思ってます。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 12月 7
3/4 あと、理数系の人は数学。一般入試を目指す人たちはたくさんの問題を解いて計算力を身につけてくる。やっぱり数をこなして経験を積まないと学べないことというのはあるのだ。入試を受けるつもりでちゃんとやっておいてほしい。
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 12月 7
4/4 で、最後は宣伝なんだけど、そうやってやるべきことをやってもまだ暇で物足りないと思う人は、ぼくが無料で公開している大学数学の教科書を読んでみるのがいいかも。最初から読んでもいいし、好きなところから始めてもいい。楽しいと思うよ。 http://t.co/R55HbTCbLY
— Hal Tasaki (@Hal_Tasaki) 2014, 12月 7
そしていろぶつ先生.
推薦入試に限らず、これから先で、うっかり「大学入学決まったからもう勉強しなくていいぞぉ」なんて思っちゃった、もうすぐ大学生な人は田崎さんのテキストなり何なりで「大学でやる勉強」を感じて夢と希望に胸膨らませるといいと思うよ。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 12月 7
ついでに自分のも宣伝しておくと、「高校時代に微分とか積分とか勉強したけど、あれ何の為なん?」とか思っている人は、わしの 「自然科学のための数学」講義録 http://t.co/SBo3XpzZL9 とか読むと面白いかもよ。「動く図とグラフ」で微積その他を説明してるよ。
— 前野[いろもの物理学者]昌弘 (@irobutsu) 2014, 12月 7
そして私のツイート.
田崎さん https://t.co/2F4XbpjpiNといろぶつ先生 https://t.co/XUbUA9J0o9がおのおの自分のやつを宣伝しているが、それに乗じて私も自分のを宣伝していこう https://t.co/DnBw1nZlqA
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 7
@phasetrちなみに私のやつは大学初年度でやる話が後々どういう所に使われるかというところにフォーカスして書いている。物理ネタも多少はあるが、基本は数学だ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 12月 7
極めて不十分だが, 自分で英訳した部分もある. こんな程度の英語の読み書きができれば十分論文が読めるし 海外の研究者とも (メール上では) やり取りできるので, そこも参考にしてほしい.
あと論文を含めて参考文献もたくさん入れてある. そういうのを眺めても面白いかもしれない.
その他, 定常的に数学・物理ネタを出しているので メルマガやこのホームページも参考にしてほしい.
ニコニコ・YouTube の動画もあるので, 適当に気楽に使ってもらいたいと考えている.
2014-12-06 Paul 筋の情報: Fourier「数学の主要な目的は公共の利益と自然現象の解明である」Jacobi「人間精神の名誉(l'honneur de l'esprit humain)」¶
みんな大好き Paul 筋の情報だ.
久しぶりにblogを使ってみた 「人間精神の名誉のために」http://t.co/Xx7RYx2DeN
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 28
面白かったところを引用しておこう.
Carl Gustav Jacob Jacobi (1804年-1851年) の言葉「人間精神の名誉(l'honneur de l'esprit humain)」は、André Weilの『数学の将来』 "L'avenir des mathématiques" (1947) にも引用されている。この論説は翌1948年に彌永昌吉氏によって翻訳されており、ガリ版刷りのものを読んだ数学関係者も多いであろう。
青くハイライトしたところが当該箇所であるが、Jacobiがこの言葉を述べたのは、Fourierの意見「数学の主要な目的は公共の利益と自然現象の解明である」に反論したものである。Joseph Fourierは1768年3月21日生まれ、この手紙を書く少し前の1830年5月16日に死去している。
この段落の前半に熱伝導に関して先取権の争いが、FourierとAbelやJacobiの間であったことも述べられており、FourierにJacobiが良い印象を持っていなかったのかもしれないが、私は他の文献を知らないのでわからない。Fourier死後まもなくLegendreに送った手紙にはnegativeなことを書いていたことは確かである。
先取権争いがどこまで関係していたのかよくわからないがそれはそれとして, Fourier は応用数学者という理解なのだが, この Fourier が「数学の主要な目的は公共の利益と自然現象の解明である」と言ったのに対して それに対していわゆるバリバリの純粋数学者 Jacobi が「人間精神の名誉」と言ったのが面白い.
いつも言っているように, 私にとっての数学は心の支えであって救いであった.
2014-12-05 ちくま学芸文庫から長田まりゑ先生や岡安さん訳で『作用素環の数理: ノイマン・コレクション』が出るというので予約した¶
文庫本の値段じゃない 作用素環の数理: ノイマン・コレクション (ちくま学芸文庫) https://t.co/LLxJSWMoKt
— kgmtk (@kgmtk) 2014, 11月 30
これほしい. 超買う. 予約した.
長田先生といえば, 英語でまりゑをMarieと書くが, これをよく「マリー」と読まれるというエピソードを伺ったことがある. これまた何ら本質的でない情報だが, 竹崎先生が「まりゑさん」と呼んでいらっしゃったことも想起する.
2014-12-04 京大, 藤野修さんの【Recent developments in the log minimal model program (対数的極小モデル理論の最近の発展について)】が面白かったので¶
京大数学の藤野修さんのサイト に置いてある 第50回代数学シンポジウム報告集 p151--p162 (2005) の 【Recent developments in the log minimal model program (対数的極小モデル理論の最近の発展について)】を 紹介してもらったので読んでみた. 全体的に, 教科書や論文のようなかちっとした体裁ではなく 苦労している部分も含めて数学者が数学している感じがとても楽しい.
直接のリンクは これ だ. ぜひ読んでみてほしい.
2014-12-03 【我々と違う物理法則の成立する世界に住んでる知的生命体が理解できるような物理の本はどのようなものだろうか, あるいは数学徒が理解しやすい物理の本とは何か】に始まるシャイターンとの物理・物理問答の記録¶
シャイターンと久し振りにやりとりした感があるのでまとめた.
直観なしとなると数学的に構成しないといけなくなると思うけど,そういうのは相転移Pが詳しいんじゃないかな
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@faogrどんな事案でしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr我々と違う物理法則の成立する世界に住んでる知的生命体が理解できるような物理の本はどのようなものかって話ですね.あるいは数学徒が理解しやすい物理の本でもいいです.いずれにせよ物理的直観をなるべく排さないといけないですね,みたいな感じでした.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@faogr普通の物理の本では適当にネグったりする方の近似があったり、摂動だとかの計算としての近似がありますが、その辺が決定的に厳しいと思っています。ネグる方はネグる時の議論は無視して結果の方程式だけいじるというのは形式的にできますが、それを「物理」と物理の人が呼ぶかなと
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@faogr摂動に関しては相対論的場の量子論でそもそも破綻していると数学的に証明されている話(相互作用描像)があったりとか魔界で、こちらはそういう意味で厳しいです。学部3年以降の量子力学関係が大体絶望的です。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrネグるときってちゃんと不等式評価できないんですか?とりあえずの目標としては純粋に数学的な体系を成立させるだけでよくて,それが現実世界と対応してるかどうかのチェックは必要ない程度でいいんですが.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@phasetrあ,まじすか.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@faogr書き忘れていましたが、数学の人向けの物理という話です。あと教養レベルの物理は微分方程式周辺で展開されますが、微分方程式がどうにもつらいとか嫌いとか言うタイプの数学の人だとそもそもその時点で理解に苦しむ感もあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrどうもありがとうこざいます.またわからないことがあったらお尋ねすると思いますのでよろしくお願いします.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@faogr不等式評価は例えば関数の値が小さいままだと思って非線型項を落とす、とかいうタイプが多分相当曲者です。初期値を小さく絞って近似方程式の挙動が時空大域的に本当にある範囲に収まるかというのはそんなに自明でもない感じがするので。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@faogr特に外力項がある場合、その影響が程よく全体に拡散していって際どい値をとらないようにできるかという話もありますし、境界条件にも依存してくるでしょう。具体的な方程式をとって考えないと駄目で、悪夢で有名な流体周りとか近似してなお非線型でそしてつらいとかあるので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr大変さの割におもしろく無さそうで真面目に取り組む人居そうにないなって思ったんですけど,ナビエ・ストークスくらいだと結構魅力的な対象なんですかね.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@faogrhttp://t.co/M1b9BUVJpRHaagの定理というのがそれです。Haagの定理とはずれますが、少なくとも私が学部3年の講義でやったレーザー周りの準安定状態とかあの辺はいま研究が進んでいるレベルなので、本当に学部の教科書レベルで現代数学にするのが厳しい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@faogr非線型に限らず微分方程式の数学は結構面倒で、物理の人が気を効かせて簡単にした(近似した)方程式の方が難しくて、本来のフルの方程式だとある項があるおかげで逆に振るまいがよくなって数学的には楽というケースがあると儀我先生がおっしゃっていました。その辺も意味不明で魔界です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@faogr多少話がずれるのですが、近似の破れとどの場合にどんな方程式の方が適切な記述になるだろうとでもいうような話が量子力学の方であるにはあります。 http://t.co/RgnSvUgAd3数学というより数理物理です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@faogrしつこくて申し訳ないのですが、レーザーで非相対論的QEDを扱って場の2次をネグる話がありますが、そうすると電子-フォノン相互作用的なモデルになって電子多体系にしたとき電子間に実効引力が出てきてしまってQEDではなく別のモデルになってしまうのでは、的な話もあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrうーむ.おもしろいですねー.教科書になってるくらいまとまってればもしかしたら読むかもしれませんけど,今は忙しいのでちょっと無理ですね.
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 25
@phasetr@faogrそういう話、あるのですか?知らなかったです。
— 高三 和晃 (@takasan_san_san) 2014, 11月 25
@takasan_san_san構成的場の理論周辺で10年くらいNelson模型(粒子とスカラー中性子場の相互作用模型)とPauri-Fierz模型(非相対論的QED)が熱心に研究されていますが、大雑把に言って前者は後者の二次を切った模型で前者で電子間実効引力が出てきます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@takasan_san_sanただし少なくとも私はPauri-Fierzの場の2次を切った模型できちんと計算していないので本当にそうなるか、私ははっきり理解していません。やりたいと思いつつキチンと計算せずさぼっている状況です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrなるほど。Cavity QEDとかも詳しくないのでアレですが、物理としては、モデルが変わってしまっているので、どう非自明なのかは難しいですね。
— 高三 和晃 (@takasan_san_san) 2014, 11月 25
あまりきちんとシャイターンの疑問に答えられていない感があり, 非常に申し訳ない. 研鑽が足りないので愚直に攻撃力を磨き続けよう.
2014-12-02 【全ての素数の積が偶数なのが納得がいかない人たち】私的まとめ¶
全ての素数の積が偶数なのが納得がいかない人たち という Togetter のまとめが出ていた. 全ての素数の積が偶数なのが納得がいかない数学徒たち という ぴあのんさんによる数学徒版もあり, こちらは私も少し噛んでいる.
下のまとめにも一部載っているが, 私が直接関係することを ツイートしたことを引用しておこう.
素数の無限積の話だけど、ちゃんとスーパー(?)自然数(Supernatural number) http://t.co/DR5HTeHJFZというものがあって、そこでは素数の無限積も定義できるし、n_2が1以上か否かで偶奇が決定できるんですよね。しかも、答えは偶数になります。
— れんま(82%) (@tononro) 2014, 11月 25
@tononro数学やばい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrもっというとスーパー自然数に付随して作用素環の一種てあるUHF環が構成出来たりもします。そして、その分類は1970年代かそれくらいにK理論を用いて行われました。
— れんま(82%) (@tononro) 2014, 11月 25
@tononroそれもうめちゃくちゃいい話では
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrこの分野の黄金期の結果ですし、凄まじいですよね。Murphyの本に証明込みで詳しく書かれていますよ。他にも、先述のWikiには代数的な取り扱いが書かれた本が紹介されていますね。
— れんま(82%) (@tononro) 2014, 11月 25
作用素環, 思った以上に魔界だった. あと非専門の方とやりとりした記録. 説明の下手さもあり, ちょっと鬱陶しかったのではないかと反省している.
ていうか、なんで自然数をかけざんしてたら、自然数じゃなくなるわけよ。。。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacathttps://t.co/rRFNDqTgyu普通の自然数ではないようですが、こんなのもあるようです。それはそれとして解析接続したときの話をされていると思いますが、ζ回りは有理数を足していったら実数になるとかよくあるので、そういうアレだと思って頂ければ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr平べったく言えば、収束しない掛け算は自然数や実数の範囲では取り扱えないので、無限大を扱える系を持ち込むか、解析接続された別の計算を代用するかになる、ということでしょか?
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacatどうしたいかによりますが、素朴な意味で発散するとか定義不能とかそれはそれで意味があります。何か変なことやってみようぜ!とか他の話をいろいろやっていたら何か正当化できる理論ができた、という場合もあります。続
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacatリーマンのゼータの解析接続の場合は、どう捉えるか微妙なところもありますが、解析接続は解析接続として話ができて、それを適用して計算してみたら、たまたま従来意味がないとか単に発散するだけの量かと思っていた値の計算にもなっていたという感じでしょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacat自然数の全ての和を計算したくて頑張って解析接続したわけでもないので。何の前提もなく自然数全ての和でリーマンのゼータの結果を引いてくる人間、ただの馬鹿でしょう。「それは知っているが今したい話に関係あるの」と言われて真っ当な答えが返ってこないなら特に興味はないので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacatリーマンのゼータによる自然数全ての和はが数学のどこで使われるのかはよく知らないのですが、物理のカシミール効果の計算に使われて、そこでの発展が数学に逆輸入されて数論でも色々ある、とか言う話は聞いています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacat私に関して言うなら、普段その結果使わないので、いきなり専門の話題でそんな話をされても理由ないなら「素直に正の無限大に発散させておいてください」といいます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrなるほど。ところで、例の「すべての整数の積は偶数か?」という疑問には、相転移Pとしても「正の無限大に発散するので、奇遇を議論することはできない」という答えになるのですか?
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@phasetrすみません。誤字です。 誤:すべての「整数」の積 正:すべての「素数」の積
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacat私はアレに対しては比較的素朴な立場で「発散していて無限大であって数ではないから偶奇は議論できない」というスタンスです。「全ての素数」を「全ての正の整数」にしても同じです。ちなみに「全ての整数」にすると正負が入ってきて今度はその値が正か負かという地獄になりそうな
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacat「全ての整数」の話題はさておき、数学の人相手なら「いろいろあってやばい、楽しい」というのでいろいろな立場を楽しみますが、非数学の人相手にそれをやるのはどうかと思うので素朴な回答でよしとすると言う感じ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr非数学の人としては「確かに発散はしているが、2に何度奇数を掛け算しても偶数だ」となってしまうのですが。「数ではないから」ということなのでしょうか。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacat【2に何度「有限回」奇数をかけても】とするならいいのですが、問題は「全ての」とつくところで、普通数学だと「全てかけきった(極限をとった)値がまずあるかないか、あったとしたらその性質は何か」といくので、あえて言えば値の存在・非存在を論じるところを問題にしています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacat何度もかけたプロセスではなく、何度もかけたあとの結果を優先して見ているのでまずそこの認識の違いが大きいのではないか感
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrなるほど。「全部かけた値があるなら、偶数になるかもしれないけど、そもそもそんな値ないよね?」ってことですね。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacat正確に言うと「全部かけた値があるなら、【偶奇の判定はできる】かもしれないけど、そもそもそんな値ないよね?」です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr確かに。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@phasetr 「自然数n以下の全ての素数の積」は、n>2で常に偶数ですが、これをもって「全ての素数の積は偶数」と言えないのは、いかなる素数よりも大きな自然数を選ぶことができないからでしょうか。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacatそういう話ともまた違って、有限和と無限和(より強くは極限で定義された値)の扱いの違いです。たとえばcos kx(kは自然数)の有限和は解析関数ですが、無限和は関数ですらなく超関数(δ関数)になります。「有限和で滑らかなら無限和でも滑らかか」というのと同じ話で続
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacatいくら有限のところで適当な性質を持っていようが、それが極限でどんな性質を持つかは全くわかりません。あくまでも「有限の所まででどういう性質があるか」というのと「極限として出て来たものが何か、どんな性質を持つか」を分離して考えています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetrなるほど。極限って、あまり軽々しく扱えるものではないのですね。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacatいい例えか分かりませんが、全ての自然数で1/(n+1)<a_n<1/nを満たす数列a_nは有限のnでは絶対に0ではないが、全ての自然数nで0かどうか、と言われればこれはYesです:自然数といったら無限大は入らないので(続)
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@dempacatただしlim a_n が0かどうかと言われたらこれは0です。極限で考えていて、何かの自然数mに対するa_mを考えているわけでないからです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr同様に 「自然数n以下の全ての素数の積」も、全てのnで偶数だが「全ての素数の積」の場合、nの極限を考えることになってしまい、もはや自然数ではないので「全ての素数の積は偶数」が成り立つとは限らないばかりか、この場合は、全ての素数の積自体が存在しないのですね。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 25
@dempacatそれが現代数学的に一番素朴な立場で、応用上も標準的な数学での対応・理解だと思っています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 25
@phasetr存在しない数を議論できない、という立場が基本的な立場だと理解して、はじめて、解析接続から導かれる奇妙な結論も、矛盾や誤りとはいえないと理解できるのですね。
— 電波猫 (@dempacat) 2014, 11月 26
@dempacat実際はまだもう少し面倒で、超関数の例での極限が関数ではなく超関数になるかもしれないという話のように、「存在しない数は議論できない」の前に「どんな意味で存在するか、またはどんな意味なら存在するのか」から始まります。実数解はないが複素解ならあるとかそういう感じで
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 26
というわけでとても面倒くさい.
2014-11-30 学校でやる逆上がりが何の役に立つ問題¶
体育関係者はこんなに脳天気なの, と衝撃を受けたのでいくつか引用しておきたい.
あるところに逆上がりの出来ない女の子が居ました。
中略
ついに彼女は逆上がりを成功させました。初めての成功に女の子は大喜びです。先生も我が事のように一緒に喜びます。
次の瞬間、女の子は喜びながらこうつぶやきました。
「もうこれで、逆上がりの練習しなくて良いんだね!!」
技を教えるより大切だったこと
この先生の例は極端でしたが、似たようなケースが運動指導・スポーツ指導の現場でも見られると思います。
たとえば縄跳びでも「難しい跳べたら嬉しいに違いない!」という教える側の勝手な思い込みにより、子どもが望んでいないのに無理矢理に難易度の高い技を教えようとするコーチがいました。それは粕尾将一、縄のまっちゃんです。
新しい技や初めての動きを修得するためには、反復練習が必要です。しかし地味な練習を繰り返し、しかも失敗ばかりする練習のどこが楽しいでしょうか。子どもたちの集中力はみるみる削がれていき、その場にしゃがみ込む子も出てくる始末です。
失敗の原因は順番を間違えたこと。技を教えるより、まず初めに運動そのものの楽しさを伝えなければいけなかったのです。縄跳びって楽しいね!!この遊び楽しいね!!と思ってもらうことが最優先でした。
最後の記述が病的だ. 数学でも時々【数学の楽しさを伝えたい派】と 【数学が役に立つことを伝えたい派】の争いになることがあるが, 楽しいかどうかというのは最悪手だと思っている.
ならどうするのか, と言われても困るのだが, 数学, 体育, 国語や社会に限らず嫌いになられると いろいろ話が通じなくなって困ることがあるので, 学校の教員は多様な考えを持つ児童・生徒に対して各科目を 嫌いにさせないようにするにはどうするかという無限の撤退戦を 迫られていると思っている.
塾やら何やらだとまた別の対応が必要というか, 別の対応をしてもいいという感じはある. 広い意味では私もこちらの界隈なので, 私は私なりの考えで頑張る.
あと, 【数学が何の役に立つというのはよく聞くがそれはそれとして, 体育の逆上がりは何の役に立つのかいまだにわからない】というツイートも見かけた.
病理の根は深いと思うのだが, この辺については 数学でも何でも同じで逆上がりだけ局地的に見ていたら駄目だ. 震災だとかの非常時, 体力勝負になることはある. そういう場合の基礎体力の涵養とか体育にも大事な役割はある. むしろそれを逆上がりなり鬼ごっこなり球技なり いろいろな形で実現しているだけだ.
局地戦というか極地戦というか, 私の活動もその辺なのでこういろいろな思いが 胸の中を渦巻いている.
2014-11-26 Paul筋の情報 ツイート紹介: Dynkin diagram で有名な Dynkin の訃報¶
Paul 筋の情報だ.
Dynkinが、11/14に90歳で亡くなったそうです。http://t.co/Td4eRcDBm4
— Yoshiyuki Kimura (@ysykimura) 2014, 11月 16
@ysykimura何年か前に、O島さんがメールをもらったことがあるとおっしゃってましたね。確率論をやっておられたけど、最後また代数に戻ってこられたそうです。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 16
@Paul_Painleve@ysykimura確か、大島先生の論文 http://t.co/a7yt86o6Cbの 11 番目の中で、Dynkin 図の分類を手短にやったところ、Dynkin から直接メールが送られてきたとおっしゃってましたね。
— H. Hosaka (@H_H) 2014, 11月 16
@H_H@ysykimuraありがとうございます、Dynkinの1952年の論文を引用されてますね。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 16
@Paul_Painleve@ysykimuraですね。2010 年に伊豆で行われた表現論シンポジウムの帰り、たまたま新幹線で大島先生とご一緒した際にこの話を伺いました。
— H. Hosaka (@H_H) 2014, 11月 16
Dynkin もまだ生きてたの感ある.
あとこれも.
Selected Papers of E. B. Dynkin with Commentary http://t.co/ta07DBZsVZ ディンキン図形でしか名前を知らないが、確率の仕事が大きい。1962年のストックホルムICMでの招待講演もマルコフ過程に関するもの。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 16
19 世紀から生きているだけあって Paul は本当にいろいろなことを知っている.
2014-11-25 具体例をきちんと作って足元を固めることは大事だった: ある博士の悲劇¶
とある関数のクラスを研究していた学生が,D論のディフェンス当日「そのクラスで定数関数以外の例を挙げられますか?」と質問されて,結局定数関数しかなかった話,怖すぎる😱: http://t.co/L7STxuyMzU
— Tasuku Soma (@tasusu) 2014, 11月 20
恐ろし過ぎる. やはり凡人は具体例もきちんと作っていって足元を確認しながら 議論を進めていかないと, という感慨を新たにした. せっかくなので該当部分を抜き出しておこう.
There is a story: a student is giving his thesis defense at Princeton University. He has studied the class of Lipschitz functions where {\alpha >1}—why not study these too—he reasons. His thesis has many neat results, and he has proved that these functions are closed under many interesting operations. The story continues that a visiting professor raises his hand, during the talk, and asks:
Can you give me an example of any function in this class that is not constant?
The sad answer is no. End of talk, end of thesis. Hopefully, only an urban legend.
コメント¶
野暮な突っ込みですが、元の記事では”Hopefully, only an urban legend.”と有りますね。 http://rjlipton.wordpress.com/2010/01/23/definitions-definitions-do-we-need-them/
2014-11-23 ツイート・記事紹介: なぜ流行に敏感な人たちは誰もが同じような格好をしているのか、を数学者が解明 - GIGAZINE¶
モデル化に成功したって話であって、「なぜ?」がどこにかかってるか微妙なタイトル / “なぜ流行に敏感な人たちは誰もが同じような格好をしているのか、を数学者が解明 - GIGAZINE” http://t.co/VoWj19MQiI
— まろやか@1719-4104-1847 (@MaroYakaZ) 2014, 11月 17
これか http://t.co/QIjfSpxcdc[1410.8001] The hipster effect: When anticonformists all look the same
— 紗衣 (@faogr) 2014, 11月 17
どのくらい意味があるのかは判断つかないが, 統計力学を援用しているとのことなのでとりあえずメモ.
2014-11-22 読書リストメモ: 岩沢宏和『確率パズルの迷宮』¶
適度な息抜き pic.twitter.com/RhXOBC6O8Q
— ひさこさん (@ml_hisako) 2014, 11月 16
岩沢宏和『確率パズルの迷宮』, 面白そうなので覚えておきたい.
2014-11-20 ツイート・セミナー紹介: 2014-12-26 早稲田での日本応用数理学会「科学技術計算と数値解析」,「行列・固有値問題の解法とその応用」,「計算の品質」三部会連携セミナー¶
日本応用数理学会「科学技術計算と数値解析」,「行列・固有値問題の解法とその応用」,「計算の品質」三部会連携セミナー 日時: 2014年12月26日(金) 場所: 早稲田大学西早稲田キャンパス 63号館 2階205会議室 http://t.co/2X74uX7wGa
— らの (@Bimaterial) 2014, 11月 17
ちょっと興味ある. 行ってみたいが時間が抑えられるかどうか.
2014-11-19 『学部生のための Sage』に対抗して『よくわからない Sage』を作ろう¶
木村さん筋の情報.
「学部生のためのSage」は出版されてしまったようだけど,まだまだ「高校生のためのSage」,「中学生のためのSage」,「小学生のためのSage」,「年長さんのためのSage」などなど柳の下にSageがたくさんいると思う :) http://t.co/f9kLnv1UFe
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2014, 11月 3
そこで『よくわからない Sage』だ. 数学・物理とプログラミング的なアレで実際作ってみたいとは思っている. 1 日 7 万時間くらいほしい.
2014-11-18 黒木さんのツイートまとめ, 自分の参照用: 掛け算の順序強制とその教育学の研究成果をまとめた文献が知りたいので¶
せっかくなので個人参照用に黒木さんの掛け算ツイートをまとめておく.
#掛算大体この季節になると「いつもの画像」(掛算の順序が逆なだけでバツがつけられている画像)の新版が拡散され始めるのですが、去年あたりから、そのときの雰囲気が変わって来た感じがします。去年はウィキペディアを引用する人が多かったという印象。続き
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。少なくともツイッター上では掛算の順序強制教育の実態に関する情報が相当に拡散され、多くの人の知るところになって来たという印象がある。前もって「こういうこともある」ということを知っていれば冷静に対応しやすいのではないかと思っています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。「a人にb個ずつ配るときの全部の数」のタイプの問題に「しきb×a」と答えないと「しき」がバツになり、「掛算の意味が分かっていない」「問題文に出て来た順番に機械的に掛け合わせているだけ」「立式(←悪しき算数教育ジャーゴン)としては誤り」とみなされる。これが基本形。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。ツイッターでも子供の勉強のことを話題にする保護者は大体において教育熱心。「問題文に出て来た数を機械的に掛け合わせただけ」ですまされると保護者の立場としても困る。ある保護者は自分の子の理解度を確認するために文章題を自分で作って子供にやらせていました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。たとえば、問題文に余計な数が含まれるようにしておき、出て来た数を機械的に掛けて正解できないような問題文を作ってやらせている保護者もいました(私が見たケースでは母親)。そして、そういう問題をやらせると子供はしっかり正解する。ところが~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。ところが、小学校では掛算の順序が逆なだけでバツを付けられ、掛算を理解していない子扱いされてしまうわけです。その保護者の場合には自分で作った手書きで書いた問題文の写真(愛情がこもっている)をツイッターに掲載して、残念がっていました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。こういうエピソードは氷山の一角に過ぎず、全国で大量の子供と保護者が残念で悔しい思いをしているに違いありません。これはこういう話。 掛算の順序を強制してる側のどこに「子供の発達段階に合わせた教育」とやらがあるのか全く理解不能。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算被害にあっているのは子供ではなく、若い新任の教師の場合もあります。若い新任の教師が掛算の順序が逆なだけでバツを付けてしまい保護者に文句を言われる。実は新任の教師はバツを付けるのはおかしいと思っていた。新任の教師が先輩教師に相談するとバツを付けるのは当然だと主張。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。新任教師は正しいのは保護者の側であることがわかっているので苦しむことになる。しかし、学校側の圧力に負けてマルにしてよいとは明言できない立場に。最終的に新任教師は泣いて保護者に謝ることになる。ぼくは道理がわかっている新任教師は守られるべき存在だと思っています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算本当は以上で述べたような伝聞情報(信頼度は出版物と比較すると低い)には頼らずに、明確な「証拠物件」を支点にくだらない考え方をひっくり返したいのですが、私がどういう気持ちでこういう活動をやっているかもわかってもらいたいので以上のような話もしてみました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算それでは大学にいる算数数学教育関係者達は信用できるか?子供の保護者は「信用できない可能性が高い」と覚えておいた方がよいと思います。たとえば例の曽部川教授はどこまでも自分の意見を曖昧にしたままにして誤魔化そうとしています。彼が何を言いたいか、理解できた人っています?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算たとえば【相手に何かを言わせて、それを叩くってのは、学問としては相手に出来ないよ。】 https://t.co/vgm1P0li41と述べている。おそらく曽部川氏は我々が示している事実について明瞭な判断を示すと叩かれることがわかっているので何も言えないのでしょう。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算そうやって自分の意見を曖昧なまますませて逃げようとしているのですが、掛算の順序強制批判について 【カルト】 【マスコミに取り入るのが上手】 【恫喝は各学校レベルでさんざんやっている】 などと述べている。これは全部事実なんです。あきれたものだと思いませんか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算ツイッター上で掛算の順序強制問題に関する話題について私は「親玉」とみなされても仕方がない立場になっていると思います。ちなみに、その「親玉」を曽部川氏はツイッター上でなぜかブロックした上で【カルト】【マスコミに取り入るのが上手】だの【恫喝】だの言っている。これはクズの所業。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算続き。結局のところ添付画像のような教え方(典型例の一つ)について、算数数学教育の専門家達はどう思っているんですかね?私は何らかの理由でクズをクズだと言えない事情があるのかなと思っています。なんなんでしょうかね? pic.twitter.com/mxBd2Pn6K1
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
#掛算おっと、曽布川拓也さんには一つ謝罪しておかなければいけませんね。入力ミスで「曽部川」と名前を間違って書くという失礼なことをした部分がありました。申し訳ありません。ここに訂正しておきます。「曽布川」と書かなければいけませんでした。(他にも誤字脱字があると思います。)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 11月 13
この間次のようなツイートをしておいた.
また再燃しているが、掛け算の順序強制関係で【ただ出てきた数字をかけているだけかもしれないからきちんと考えているかの確認のため順序を強制する】というアレについて改めて思ったことをメモ。上記の問題、大人が問題文をどこまできちんと練り上げて考えたのか、私は把握できていない
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 12
@phasetr【不要な数字も書いておく】という工夫が時々言及されるが、そういう感じで子供の理解度を試せるような問題文の形式を試行錯誤して徹底的に研究しつくした上で掛け算順序固定に辿り着いたということなのだろうか。それならそういう研究について詳しく知りたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 12
@phasetr子供に強制するよりも大人がまず頭をひねろというところだし、私も大人の一員のわけできちんと考えないといけないから、そのための材料として研究成果があるならそれはきちんと参照したい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 12
@phasetrちなみに市民であって大学関係者ではないので専門の論文にはアクセスできないので、こういうとき本当につらい。論文フリーアクセスできる身分になりたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 12
この辺, 教育学関係の人からの情報がほしい.
2014-11-15 Grothendieck が亡くなったとのことなので追悼メルマガ・記事を書こう¶
先日から話題になっているが, Grothendieck がなくなったとのこと.
Le MondeのGrothendieck の死亡記事。13日にサン=ジロンの病院で亡くなったことを簡潔に伝えている http://t.co/aqYalrIoHc
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 13
あと, プロから無茶振りを受けた.
誰かグロタンディークの解説を期待。(相転移Pさんとか。) ペレルマンとかもグロタンディークと同じ道を辿るのかな。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 11月 14
@phasetr相転移Pさんからはグロタンディークと同じ匂いを感じるから。。というのは半分冗談(半分本気)で、分野が多少ずれていても説明してくれる市民の優しさをお持ちだから。ただ忙しいでしょうから山(研究室)に籠る勢いで本業を頑張ってください。数学がもつ悪魔的な魅力を思う存分。
— Quantum Universe (@hottaqu) 2014, 11月 14
こういう機会でもないと調べないことでもあるから, 市民なので無理を通して道理を引っ込めていきたい.
メルマガも出すが, ブログにも転載しよう.
2014-11-14 定義は大事だよ¶
かもさんのつらいツイートを見た.
勤務先でこういう悩みに出会わなかったのは、優秀な学生に恵まれた幸運なのでしょう。 http://t.co/dQscwPNlzW
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 11月 10
勤務先と関係ないところでは、「定義」の概念をもたない人に話が通じないことはよくあります。それで会話を打ち切ったのを、つい最近、経験しました。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 11月 10
上記かもさんのツイートのリンクからも引用しておこう.
数年前に、東大の大学入試で、 「三角関数の定義を与え、その定義に基いて加法定理を証明せよ」 という内容の問題が出されました。 思いきった出題をされたなあ、と一部の数学の人の間で話題になったのですが、 私は、こういう出題は東大だからこそできたのだろうなあ、と思いました。
きちんとした定義を与え、それに基いて論理的に議論を展開することの重要性は、 新井先生が「生き抜くための数学入門」で既に説明されているので、 私が改めてここで話す必要はないのですが、 実際に大学で学生さんと話をしていると、 定義をきちんと押さえることが何よりも大事だということを理解してもらえていないことが、 (自省もこめて)分かります。
中略
もうひとつは、受験者数に影響する可能性があるということです。 以下は憶測ですので、私の勘違いであるかも知れないということを前提として頂きたいのですが、 「受験生は入試で課される科目数や入試問題の内容によって、どの大学を受験するかを決める」 ということが暗黙の了解としてあるような印象をもっています。 受験者数(競争率)という分かりやすい数値データは一人歩きします。 それは大学の外部評価ということにつながるかも知れません。 そのようなデータに入試問題の内容が影響しているのだとすれば、 これはかなり微妙な問題になってきます。
定義は知らなくても計算はできます。 その計算で何をやっているのかが自分で理解できていなくても、です。 効率を考えれば、とにかく点数につながるようなそれらしい数式を得られれば良し、 というところを目指すのは、必然なのかもしれません。 しかし、数学を勉強することが、ただの必要悪になっているのだとすれば、とても悲しいです。 このあたりのことは、いわゆる文系の方にも伺ってみたいところです。
とてもつらい.
2014-11-13 かもさんから指数関数の連続性に関して貴重なコメントを頂いたので: 続【$\mathbb{Q}$ 上連続だが $\mathbb{R}$ に連続拡張できない関数の例: 指数関数の定義域の拡張に関連して】¶
かもさんから 素敵なコメント を頂いたので.
冪根を使って有理数に対して定義された指数関数がQ上で連続であることが、全然、明らかなことではありません。
ちなみに、赤攝也『実数論講義』 http://www.nippyo.co.jp/book/6556.html も、冪根を使ってQ上で定義した指数関数をRに拡張する方法でR上の指数関数を定義していますが、凸関数の性質を使った長い議論でR上の連続性を証明しています。
Amazon のリンクも張っておこう.
かもさんのコメントにもコメントを返しているが, きちんと確認も適当なことを言ってはいけないと反省した. こういうのを見るとさすが教官は認識の深さが違うな, と改めて思う. 感銘を受けた.
2014-11-11 Paul 筋の情報: Painleve 方程式の差分化に始まる微分方程式と差分方程式の話¶
皆大好き Paul 筋の情報だ.
パンルヴェ方程式の差分化の場合、差分の方が構造が豊かであり、差分方程式の退化極限として微分方程式を得ることになる。「現実は連続函数で表せられる」と考えている人は多いと思うが、現実は実際は離散的であって、そのぼやけた近似物を連続と人間が認識しているだけなのかもしれない。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
写真よりもアニメ画・デジタルアートの方が実はより現実を本質的に表現している可能性は高いのかもしれません。アニメファンのあなた、二次元こそが現実だと信じているあなた、是非とも離散パンルヴェ方程式の研究をやりましょう! 「q-PVIは俺の嫁」と言えるようになれば一人前の研究者です。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_Painleve先生の原論文をやはり読まなければいけないのでしょうか?教育的に説明している教科書はないのでしょうか?当方、ポントリャーギンを斜め読みした程度です。
— 遠藤健太 (@antikenta) 2014, 11月 6
@antikenta常微分方程式に関して、深い知識はさほど必要ありません(よく知っていれば研究するさいには強力な道具になります)。日本語でしたら、野海、岡本の教科書があり、英語でも何冊かは出版されています。少し前の紹介ですが http://t.co/4f2i9hASYI
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_PainleveAh, Monsieur le Professeur, je vous remercie beaucoup de la liste de documents sur vos équations!
— 遠藤健太 (@antikenta) 2014, 11月 6
他にもいくつかやりとりを追記しておこう.
@Paul_PainleveAh, Monsieur le Professeur, je vous remercie beaucoup de la liste de documents sur vos équations!
— 遠藤健太 (@antikenta) 2014, 11月 6
@wingcloud「構造が豊か」はよい表現ではなかったですね、すいません。作用するベックルント変換群が差分の方が大きく、連続に退化させると対応するアフィン・ルート系が一つ小さい物になります。第6だと、q-差分だとD_5なのが微分だとD_4に落ちます。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@wingcloud離散の一番上にある楕円パンルヴェ方程式は、楕円ガンマ函数、テータ函数、(楕円)超幾何函数を含んだ、本当に豊かな構造を持っていると期待されていますが、まだほんの一部しか攻略できていません。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_Painleveテータが入っているのはえらい気がしますね。
— Tomohiro Takata (@wingcloud) 2014, 11月 6
@wingcloudq-離散ワールドのほうが、いろんな特殊函数(テータ、ガンマ、超幾何)が近い所にいて、微分ワールドに落ちると、それぞれが違う性格に分れていくという感じだと思うのですが、私は今ひとつ掴めていません。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
あとこれ.
数学者以外にはこのことは常識になってたと思う。離散になると数学者にとって都合が悪いので無視してきただけじゃないかなあ。でもコンピューターの登場で離散のほうがいろいろと都合がよくなってきた。
— X (@ftfutg) 2014, 11月 6
@ftfutgPDEの数値解析などの場合は、差分は微分の近似という方向だったと思いますが、「微分のほうが差分の近似」と言えるようになってきたのは80年代以降でしょう。コンピュータの発達で逆転してきたのは確かでしょうね
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_Painleveいやあ、Robert Mayなんかの仕事で、数値計算屋とか応用数学者にはもっと前に差分のほうが豊かという認識はあったと思いますよ。解析学の人が頑なに拒んでいただけだと思いますが。
— X (@ftfutg) 2014, 11月 6
@ftfutg70年代くらいまでは、まだまだPDEの基礎理論が整備されている状態で数値解析に目を向ける人が少なかったのだろうとは思います。亡くなられた山口昌也さんがどう思っておられたか私にはわかりません。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_Painleve物理の本なんかみると、すでに70年代には認識されていたように思いますが、日本の「数学者」の間では少数派だったのかもしれませんね。
— X (@ftfutg) 2014, 11月 6
@ftfutg日本で少数派だったのは確かなんだと思いますが、70年代で差分そのものの豊かさを認識していた人が海外でも主流だったとも思えないのですが。Mayらはどういう意味で「差分のほうが豊か」と言ってたのでしょうか?
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
@Paul_Painleve生物の増殖が微分方程式では全く説明できないけど、差分方程式ではぴったりと説明できるというNature論文なんて超有名でしょう。
— X (@ftfutg) 2014, 11月 6
@ftfutg「具体的な現象を微分ではなく差分方程式なら捉えられる」というのは、その通りなのだと思いますが、それだと逆に数学者が飛びつきにくかった、ということもあるでしょうね。「微分を忘れて差分方程式じたいから理論を構成する」方向は、まだ弱いと感じてます
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 11月 6
関係あるのかどうかは知らないが, 統計力学あたりでよく出てくる universality class と絡めた話, 何か数学にならないのだろうか.
2014-11-10 菊池誠『不完全性定理』の誤植訂正ページを早く作ってほしい¶
クソ暇なので菊池『不完全性定理』の粗探ししたらとんでもないことになった
— (@functional_yy) 2014, 11月 6
@functional_yy1,9章以外で具体的に
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 6
@phasetrp.183 T で全域性が示せるなら f は全域的? (T に何か条件が.) p.186 文字が抜けてる.
— (@functional_yy) 2014, 11月 6
@functional_yy今までに分かっている範囲の訂正ページ、どこかにないのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 6
@phasetrまだない?
— (@functional_yy) 2014, 11月 6
@functional_yyhttps://t.co/jX8XBFHaat今の所このような情報しか見当たりません
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 6
かなり真剣に困るので, 早めに誤植訂正ページ出してほしい.
2014-11-09 Hilbert 空間 bot が爆誕したので¶
パン耳パイセンが Hilbert空間bot という謎 bot を作っていた. いくつかツイートを引用しておこう.
[20]Hilbert空間Hの空でない閉凸部分集合Kとh∈Hに対して、k∈Kで||h-k||=dist(h,K)となるものが唯1つ存在する。(2)
— Hilbert空間bot (@HilbertSpaceBot) 2014, 11月 6
[42]HをHilbert空間とし、A∈B(H)をべき零でないとする。この時、Σ||A^n x||/||A^n||=∞となるx∈Hが存在する。
— Hilbert空間bot (@HilbertSpaceBot) 2014, 11月 6
[24]Hilbert空間上の有界線形作用素で、作用素ノルムはn>1だが基底の上でのノルムが1以下となるものの例を挙げよ。また、正規作用素でこのような例を作れるか。(1)
— Hilbert空間bot (@HilbertSpaceBot) 2014, 11月 6
[35]{e_0,e_1,…}をHilbert空間Hの完全正規直交系として、Ae_n∈HがΣ||Ae_n||<∞であるとする。この時、AはH上有界線形作用素に一意的に拡張される。(2)
— Hilbert空間bot (@HilbertSpaceBot) 2014, 11月 6
参考にしたい.
2014-11-08 産まれた赤ちゃんを見に行く時は気をつけよう¶
産まれた赤ちゃん見に行く時は気をつけよう… #Dモーニングpic.twitter.com/PPGUXrWcUh
— yugo@エリテマトーデス発症中 (@futsaru) 2014, 11月 6
友人に子供が生まれたりしていることもあり, 十二分に気をつけたい.
2014-11-07 ツイート紹介: 集合論の良書探索¶
殿下にいろいろ教えて頂いたのでメモ.
@tenapyon数学科新入生向けの集合論の入門書、最近だとどんな本が標準的でしょうか。私が読んだ(学部の講義での指定教科書)のは松坂和夫の本だったのですが他にあまり本を知らないので、良書があれば是非教えて下さい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 29
@phasetrすみません返事が遅くなりました。わたくしたちの学科ではいまのところ、大田春外『はじめての集合と位相』(日本評論社)を使っています。しかしこれはアズマ大レベルの人向きではないですね。福田拓生『集合への入門』(培風館)などどうでしょうか。(続く
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 29
@phasetr他にもたくさんあって全部チェックしているわけではないのですが、最近の本だと金子晃『数理基礎論講義』(サイエンス社)はいい本だと思います。(続く)
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 29
@phasetrいずれにせよ、たくさん出ていますが、新しければいいというわけでもないです。それぞれに特徴があり長所短所があります。お見合いパーティーで目移りして右往左往するよりは、腹をくくって目の前の一人の人と根気よく付き合った方が幸せになれるんじゃないかと思(以下省略
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 29
@tenapyonコメントありがとうございます。まず上げて頂いた文献を眺めてみます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 30
@phasetr詳しいターゲットなど分からなかったので的を外しているかもしれません。流れ弾に当たって怪我をした人がいたら知らせてください。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 30
@tenapyon承知しました
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 30
金子先生の本が面白そう. これ読んでみたい.
2014-11-06 ツイート紹介: 数学者・哲学者のお墓などヨーロッパでの数学関係の史跡紹介サイト¶
さっきのサイト( http://t.co/faQwUIOljW)は欧州における数学関係の史跡をかなりたくさん集めてるらしい。他の数学者や哲学者のお墓も紹介されている。 http://t.co/oZsWcdd5MD
— 石塚佑輔 (@Yusuke_Ishizuka) 2014, 10月 27
数学者や哲学者のお墓サイトとか前衛的なので私も見習いたい.
2014-11-04 大学に入ったらどんどん教官を殴りつけていってほしい¶
元のツイート主が鍵をかけてしまったようなのだが, 個人的に記録を残しておきたいこともあるのでメモしておく.
https://t.co/LRFSywDCrE東大数理の片岡先生、証明間違えたのか何なのか忘れたが講義が丸々一回ほぼ完全におかしくて次の講義で「申し訳ありません。前回の講義は…」みたいなことを言ったとか何とかいう逸話があると聞いている
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 28
https://t.co/ENqmvndx4j小林昭七先生だったかと思うが、淡中先生が講義で詰まった時、聞いている学生の方が早く正しい道筋に気づくことばかりだったそうで、いわゆる頭の回転と成し遂げる仕事の素晴らしさには特に関係はないのだと感嘆していた文章があった記憶
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 28
https://t.co/AUTfCw1Xhnコンヌあたり、講義中教官に質問して、変なことを言ったら「いえ、それには反例があるので」とか言っていたらしいので、教官をどんどんぶん殴ってそしてぶん殴られてを繰り返せばいい。教えてもらおうという姿勢が駄目で学問に共に取り組む姿勢が大事
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 28
私などは厚かましいので、市民であろうとも研究会や専門家向け講演会でも積極的に質問しまくるし、そういう積極性を出すようにと徹底的に仕込まれたのだがそういう教育、普通ではないのだろうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 28
Connes の下り, Barry Simon だったかもしれない. どちらにせよ神々の領域にいる人間であることは間違いない.
また他の方のコメントも素敵なのがあったので記録しておく.
失敗や間違いの原因を追求することと自分が責められていることを混同したり、間違いを認めると自尊心が傷つくと感じるタイプは学問には向かないのではないかと思う
— 非線形 (@_mod_p) 2014, 10月 28
間違いを認めて自尊心が傷つく人,決定的に,間違える(=挑戦する)経験が足りない.
— Takanori MAEHARA (@tmaehara) 2014, 10月 28
間違えまくるとそのうち,間違えることと自尊心に何の関係もないことに気づく.
— Takanori MAEHARA (@tmaehara) 2014, 10月 28
2014-11-03 書泉グランデMATHの書籍紹介小まとめ¶
好評発売中 『解析的数論 加法的理論』三井孝美著 5033円(岩波書店) 第1部では解析的数論の立場から代数体で問題を扱うのに必要な理論と、加法的問題を考察するための基礎的な諸結果を紹介する。 第2部では、ワーリングの問題、ゴールドバッハの問題等を検討する。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 31
好評発売中! 『SGCライブラリ 情報幾何学の新展開』甘利俊一(サイエンス社) 確率分布のなす空間の幾何学として古くから研究され,機械学習や信号処理,神経回路など,現代の情報科学に広く応用されてきた「情報幾何学」.本書は,その理論を発展させてきた創始者自らによる集大成。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 31
9月11日新刊予定 『岩澤理論とその展望 上』落合 理(岩波書店) 整数論における金字塔としての岩澤理論。フェルマーの最終定理の解決に寄与した後も目覚しく進展している。その新しい岩澤理論を解説する待望の教科書。 上巻は基礎となるイデアル群の円分岩澤理論を紹介。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 31
【8月31日はステファン・バナッハの命日】 『関数解析入門 バナッハ空間とヒルベルト空間』荷見守助著 2700円(内田老鶴圃) 第1章距離空間とベールの定理 第2章ノルム空間の定義と例 第3章線型作用素 第4章バナッハ空間続論 第5章ヒルベルト空間の構造 第6章関数空間L2
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 31
好評発売中 『数字マニアック 1~200の数に秘められたおもしろトリビア』デリック・ニーダーマン著 榛葉豊訳(化学同人) 数学の未解決問題、論理パラドックス、美しい数の規則性といった知性をくすぐる話題から、歴史、ゲームなどのウンチク小ネタまで。著者の,数への「愛」が詰まった1冊。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 30
【数学者 瀬山士郎先生の本棚フェア】開催中 『不思議おもしろ幾何学事典』D.ウェルズ著 (朝倉書店) 図で読む幾何学事典 瀬山士郎先生popより
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 30
【8月30日は原子物理学の父アーネスト・ラザフォードの誕生日】 『若き物理学徒たちのケンブリッジ ノーベル賞29人奇跡の研究所の物語』小山 慶太著(新潮文庫) 独創的な実験、驚きの大発見。天才たちはここにいた!ノーベル賞29人を生んだ研究所の原動力とは?20世紀科学の奇跡!
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 30
売れています! 『幾何学と代数系』金谷健一(森北出版) 本書は、幾何学的代数の和書初となる入門書である。まず、背景をなすハミルトン代数、グラスマン代数、クリフォード代数を初歩からていねいに解説しているため、初学者でも自然に幾何学的代数の考え方を学ぶことができる。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 29
【数学者 瀬山士郎先生の本棚フェア】開催中 『新版 バナッハ-タルスキーのパラドックス』砂田利一著 (岩波書店) 数学って本当に不思議! それを実感するための1冊! 瀬山先生popより
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 29
相変わらず面白そうな本ばかりツイートしてくるのでつらい.
2014-11-02 Do As Infinity 『恋妃』の数学的に胸を打つ記述を論じる試み¶
Do As Infinityとか聞くと割と郷愁を感じる
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2014, 11月 1
@life_wont_wait恋妃が好きでした
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 11月 2
@phasetr数学的観点からはどのような点がよかったんですか
— Q/重力波天文学徒 (@life_wont_wait) 2014, 11月 2
こういう流れになったのでよい点を挙げたい. 一言でいうと研究者の苦しみを淡々と謳っている点にある. 歌詞を適当に引用していこう.
どうして こんなに ここは 暗く 淋しいの ゆくえ 知れぬ 流れ 迷い 憂わしく
研究がどん詰まりで苦しむ様が見事に描かれている. 他分野のことはよくわからないが, 数学 (と理論物理?) は 比較的共同研究が少ないと聞いている. まさにその孤独と戦いながら研究する様子に胸が打たれる.
この方針でいけるのかとかこういろいろなことを想起させる. この点は玉置成実の『Realize』の次の箇所と好対照をなしている.
たどりつく場所さえも わからない 届くと信じて 今 想いを走らせるよ
Realize もお気に入りだが, 研究者応援ソングという枠なら アイマスの Shiny smile と Colorful days が出色の出来栄えだ.
Shiny smile と Colorful days も素晴らしい曲なので ぜひ聞いてみてほしい.
何度も同じように 夢浮く橋に来て 今度こそ 本当の終わりが聞こえた 「さようなら」
あまりの難しさに結局証明を諦めたという感があまりにもつらく悲しい.
儚く散った色とりどりの 張りつめた心叫んで 八百万の紅 ちりぬる恋と 震える体は沈んで すべて消えて なくなればいい
いろいろな方針, 技術を駆使しても証明に辿り着けなかった感. それを「八百万の紅 ちりぬる恋」と表現するあたりが素晴らしい.
永き契り結ぶ 一人西明へ 鳳凰 羽を広げ 今に飛びたとう
証明がうまくいかないときは(大体いつもだが) 思わず私も現実逃避したくなる.
はんなり 色づく水面に 激しい風が吹き 燃えゆく絆は 二人に絡んで 千切れてく
示したい定理との絆が切れたとか, この苦しみをどう説明すればいいものか.
荒立つ風は髪を乱して 私の心を奪った 時をとむらう 鐘の音だけが 現実に戻すのならば すべて 幻になればいい
つらい. 考えるだけでもつらくなってきたので, 説明が半端なことこの上ないがこの辺で終わりにしたい.
2014-11-02 コンパクト作用素の von Neumann-Schatten 分解トークまとめ¶
コンパクト作用素トークをまとめる.
Schatten分解したらCONSになってた
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10コンパクト作用素の話ですか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetrコンパクト自己共役作用素でした
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10有限階作用素もコンパクトで、その場合少し調整いるのではないか説
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetrいまの場合density matrixなのでだいじょぶ説
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10射影一つだけでもトレースクラスで密度作用素でかついわゆる純粋状態
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetrあーそうか。one-particle reduced density matrixだからいいのかな
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10足りない部分はゼロ固有値の分を適当に取ればいいので力づくで何とかすることはできます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr何気に繊細であった
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10無限系を扱う時にはほとんど役に立たないのでどうでもいいことではあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
ほとんど役に立たないというと多少言い過ぎの感もある. この辺も 物理のための数学講座 で多少説明したいと思っている.
2014-11-01 書泉グランデMATHのツイートから: 面白そうな書籍ピックアップ¶
【数学のたのしみバックナンバー】フェア やってます! 『数学のたのしみ04夏 現代数学の広がりと模索』 素数の歌が聞こえる/加藤一也 トポロジーと場の理論の狭間で/深谷賢治 代数幾何学と導来圏/川又雄二郎 対角線論法なしの数学基礎論/田中一之
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 30
好評発売中 『はじめてのルベーグ積分』寺沢順著 (日本評論社) 高校の積分(リーマン積分)を卒業して、ルベーグ積分を始めよう!明解でコンパクトな入門書・教科書。ヘンストックによる“新しい積分”(ルベーグ積分の改良型)も紹介。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 30
12月中旬新刊予定 『数学者は地球をどのように見ているか?(仮題)』ティモシー・G・フィーマン著 関沢正躬 訳(日本評論社) 地球の地図を作るにはどうしたらよいか?その手法を簡単な微積分と三角法のみで紹介した入門書。地図を通して、数学を楽しむ。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 29
11月中旬新刊予定 『ガロア理論と表現論 ゼータ関数への出発』黒川信重著(日本評論社) 現代数学の基盤をなす”ガロア理論”と”表現論”のコンパクトな入門書。2つの理論を土台に読者を”ゼータ関数”へと促す。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 29
【統計学者 松原望先生の本棚フェア】開催中 『復刊 量子力学の数学的基礎』ヨハン・ノイマン著 井上健 ほか共訳 5616円(みすず書房) http://t.co/MFKC1o5Fq0
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 29
好評発売中 『測る math stories』上野健爾 (東京図書) 小学校から大学までの算数・数学に登場した「測るはなし」をつなぎ、人間が「測る」ことにかけた情熱と工夫を数学の立場で解説。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 28
好評発売中 『超対称ゲージ理論と幾何学 非摂動的アプローチ』佐古 彰史著(日本評論社) 物理の速習からはじめ、「サイバーグ・ウイッテン理論」や「ネクラソフの公式」などゲージ理論の非摂動的効果がこの1冊で学べる。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 28
新刊入荷! 『理工系の数理 数値計算』柳田英二・中木達幸・三村昌泰/共著2916円(裳華房) 数値計算の基礎的な手法を単なる道具として学ぶだけではなく,数学的な側面からも理解できるように解説した入門書.
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 28
好評発売中 『復刊 数値解析の基礎 偏微分方程式の初期値問題』山口昌哉・野木達夫 著 3780円(共立出版) 現場で初期値問題を解いている人々にその理論的基礎を与えるとともに研究者に新しい素材を提供。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 26
好評発売中 『寄り道の多い数学』大沢健夫(岩波科学ライブラリー) 身の回りの話題や先端科学をヒントに作った一風変わった問題たちとその背景を紹介しながら数学の魅力を語る。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 26
【数学のたのしみバックナンバー】フェア 『数学のたのしみ’05春 楕円曲線:その魅惑の世界』フェルマーの最終定理から暗号理論まで、《楕円曲線》は、まさに現代数学の深さと広がりを象徴する領野である。楕円曲線をめぐる最前線のさまざまなテーマを取り上げ、その魅力を余すところなく伝える
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 26
新刊入荷しました! 『朝倉数学体系 シュレーディンガー方程式Ⅰ,Ⅱ』谷島賢二 著(朝倉書店) 自然界の量子力学的現象を記述する基本方程式の数理物理的基礎から応用まで解説
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 25
好評発売中 『多変数複素解析』大沢健夫著 3024円(岩波書店) 正則関数がコーシー・リーマン方程式の弱解として特徴付けられることを基軸に多変数関数論を展開する。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 24
新刊好評発売中! 『わかりやすい類体論と虚数乗法入門 下 やさしい数学の発見シリーズ 4』繭野 孝和著(天の川教育文化研究所) 整数論の1つの頂点たる類体論の証明を完結し、その応用たる虚数乗法論も説明した。分岐理論、ゼータ関数なども、証明付きで扱ったユニークな入門書の下巻。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 10月 23
遅ればせで申し訳ありませんが、 数学書房選書5 『コンピュータ幾何』 阿原一志 著 A5判・2100円(税別) を先週発行いたしました。 小社WEBにて、まえがき、目次を公開中です。 http://t.co/WtoETGNXm7 どうぞよろしくお願い致します。
— 数学書房 (@sugakushobo) 2014, 10月 16
どれもほしい. しかし買えたとしても読む時間が取れそうにない. とてもつらい.
2014-10-30 Twitter メモ: Barenblatt の "Scaling" など書籍やページ紹介¶
忘れる前にとりあえずメモ.
物理知らんでも数学できるけど物理知らんとなにやってんのかわかんなくなる
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy 勉強しようとしか…
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
@derived_kai物理むずい
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy 力の限りを尽くせば多少なりとも分かるという気持ちを持ちたい.
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy Barenblatt の "Scaling" っていう本けっこうおすすめ.
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
@derived_kaiどんなこと書いてあるの?
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy スケール変換に対する応答 (とくに不変性) に注目することが物理を理解する上で非常に役に立つということが書かれている.シンプルで普遍的なアイディアでいろんなことが説明されて興奮した.
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
@derived_kaiこんど図書館で借りてみる!
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy 著者が同じような内容で最近になって新しく書いた本 (http://t.co/nDbrSgEAMW) がある.内容は豊富になっているみたい (こっちはほとんど読んでないので詳しくは分からない).
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
@derived_kai情報ありがとう!
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 9月 14
@gototheNagy 物理屋には常識的な話ではあるらしいんだけど,正面から扱った本は少ない模様.あと (http://t.co/Jw2jEWBFiY) も同じようなことが書かれている ("Scaling" が参考文献にあがっている).
— Καῖνος (@derived_kai) 2014, 9月 14
2014-10-29 Twitter メモ: 順序数のやりとり¶
よくわからないがとりあえずメモ.
んんー、そもそもヒルベルトホテルは基数のたとえ話であって、客が1人でもω人でも「全員部屋移動」で解決するわけで、1+ωとω+ωを区別できないですね。順序数の個々のケースで解釈を当てても不毛かもなぁ。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
@y_bontenええっと、そもそもなんで順序数を理解したいんです?
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 26
@tenapyon分かりません。私は順序数と基数との関係を知らないのです。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
@y_bonten整列集合の理論はやりました? 同型写像の一意性とか比較定理とか。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 26
@tenapyon同型写像の一意性は結果のみ知っていて証明はこれからです。比較定理は聞いたこともありません。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
@y_bonten図を描こうにもイメージのしようがない感じですね。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 26
@tenapyonその辺りを学べば図を描いて考えることもできるわけですね。一旦保留して考え直してみます。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
@y_bontenいえ、そうではありません。順序数のイメージは確かに整列集合のイメージなのですが、理論からイメージが出てくるなんてことはないです。ただ、その辺を知っていてくれれば、俺としては何かしら話ができる。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 26
@tenapyon分かりました。早く聞けるよう頑張りますので、よろしくお願いします。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
@y_bonten雑なものですがこれの第4回あたりに書いてます http://t.co/kd7xCrvsPm
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 10月 26
@tenapyonありがとうございます!
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 10月 26
2014-10-29 dif_engine さんのゲーデル数計算ドリル制作プロジェクトを応援する方の市民¶
悲しみの記録と未来の喜びに向けて.
https://t.co/3Sq97MDhpSどこの集合論の話なんだろうか。
— くるる (@kururu_goedel) 2014, 10月 2
@kururu_goedel残念ながら、ルールに沿ってガリガリ計算するのが数学という数学観から抜け出せない人は、数学科の学生にもたまにいるのです。そういう人には、数学的論証が言葉の遊びに見えます。εδ論法と抽象線形空間で落ちこぼれるタイプです。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 10月 2
@kamo_hiroyasuなんか「日本語を巧みに操り」とか言われると、「言語に依存してないよー、操ってるのは論理だよ」と言いたくなるのですが。まあ、いずれにしても言葉遊びに見えているのでしょうね。
— くるる (@kururu_goedel) 2014, 10月 3
@kururu_goedel@kamo_hiroyasuあまりにもつらい事実です
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr論理を代数化して教えよう
— differential_engine (@dif_engine) 2014, 10月 3
@dif_engineゲーデル数の計算ドリルとか作りましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr全称命題が無限連言とみなせるとかそんなゆるい導入をしつつ「論理的な構成を持った文章」を述語論理の文に置き換えてく練習を重ねる感じの本が欲しい.
— differential_engine (@dif_engine) 2014, 10月 3
@dif_enginekindleのやつなら出版協力するので何か書いてください
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr今シコシコとノートを作ってるんですが僕自身の狂気に負けて大変いびつなものになってしまい,もうちょっと熟成させないとヤバい感じです.
— differential_engine (@dif_engine) 2014, 10月 3
@dif_enginegithubにあげてソーシャル執筆
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr夏ぐらいまでにはなんとかしたい
— differential_engine (@dif_engine) 2014, 10月 3
dif_engine さんのゲーデル数計算ドリルを応援していく方の市民だ.
2014-10-28 根上生也さんによる『数学』巻頭言: 数学的人格とは何か¶
古いツイートだが感銘を受けたので.
巻頭言(根上生也氏) 『数学を学ぶことに伴って涵養される合理的な精神を有した人格を,私は「数学的人格」と呼んでいる.』 http://t.co/sq0jfqu RT @mathsocjp: 「数学通信」16巻2号(8月号)を発行しました http://t.co/T6D9Ndo
— Hiroyasu Satoh (@shiroyasu_) 2011, 9月 2
「数学的人格」 http://t.co/vh9bFoeKUd (1) 誰が言ったかで命題の真偽を決めたりはしない. (2) 間違ったことを言ったからといってその人を責めたりはしない. (3) 一度口にしたことが現実に合わなければ簡単にそれをひるがえす. (続く…)
— Hiroyasu Satoh (@shiroyasu_) 2014, 10月 4
(…続き) (4) 若い人も自由に発言ができる雰囲気を大切にする. (5) 恫喝したり,話題をそらしたりない. (6) みんなで真実に迫ろうとする. (7) 何かを生み出そうと知恵を絞る. http://t.co/vh9bFoeKUd
— Hiroyasu Satoh (@shiroyasu_) 2014, 10月 4
私も数学的人格を涵養していきたい.
2014-10-27 信州大の佐々木格さんによる【数理物理と場の量子論】とか佐々木さん自身の研究者プロフィールページ紹介¶
先日の RIMS での 量子場の数理とその周辺 で 多分佐々木格さんに 2 回目の邂逅を果たしたのだが, そのとき, 量子論とか何かその辺の研究集会とかキーワードで ググると私のサイト・ブログがヒットするらしいという情報をご教示頂いた.
そしてさらに全く関係ないが, とある人から佐々木さんの自己紹介的なページを教えて頂いた. 興味が極めて近いため, 私の興味があるところとも大きく重なっているため, ぜひ紹介しておきたい. 現役の若手研究者のコメントなのでとても楽しい.
- http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/science/study/2012/01/46010.html
- http://www.shinshu-u.ac.jp/research/project/fiber-wakate/resercher/20sasaki.html
それはそうと研究会, 楽しかった.
2014-10-25 数学徒のための物理講座もやりたい¶
新井先生の本参考にQEDの導入部分追って論文にアタックとかしたほうがよいのかなあ
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 2
@yukimigo10そこの数理物理なら世界水準にいる方の市民なのでその周りならセミナーします
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetrやってください。まじで
— Yukimi Gotoh (@yukimigo10) 2014, 10月 3
@yukimigo10二人で連携して講座を作る
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@yukimigo10物理の為の数学でも少しその辺に触れる予定なので、そこでネタをピックアップした上で数学的に精密化するセミナーやります。来月くらいにはやりたいと思いますが忘れてそうだったらどんどん催促してください
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
はーセミナーしたい.
2014-10-24 作用素論ネタ小まとめ: 量子力学まわりのスペクトル理論, 関数論¶
作用素論ネタでとみながさんといろいろ話したのでまとめ.
こないだT:B(H)をブラケット(スペル忘れた)で定める作用素のスペクトル分解を悩んでた友人がいたんだが、全く役には立てなかったので、うん
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga物理のディラックの記法の話なら、アレは数学的にはほとんど意味ないのでどうしようもないです。スペクトル測度で(普通に)処理するか、作用素を超関数の空間上の作用素と考え直して頑張るとかそのくらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
その 2.
スペクトルの存在範囲を調べるときの証明方法とか、基本的にレゾルベント集合を調べて示したはずなので、幽霊感というか補集合感はけっこうあったな レゾルベント集合が人間でスペクトルは幽霊だとか言われたら、実用的な面から言ってまあわけわからんのだけども(イメージあるなら誰か教えて下さい)
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga固有値として直接定義できる有限次元と違って定義そのものがレゾルベントの補集合となっているので、証明方法はどうしようもない感がないでもないです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetr確かに全単写「であること」の方が示しやすいのは確かですね…
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga後のポイントはレゾルベントが有界作用素として定義してあることです。有界ならありとあらゆる乱暴なことがかなりうまく働くので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetrえっと、「レゾルベントが有界作用素として定義してあること」とは実数の集合としてのレゾルベント集合ではなく吉田近似をするためのあれのお話でしょうか(両者の関連についてあまりよく理解していないもので…)
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominagaスペクトルを調べるのに作用素としてのレゾルベントを使う方の話です。私がやっているのは主に複素ヒルベルト空間の話ですが、(A-zI)^{-1}をzの複素関数と思って解析接続していってスペクトルを調べるとかそういうのをやります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetr例えば非有界作用素Aはどのようなものかお聞きしてもいいですか?
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominaga私の場合は場の量子論のハミルトニアンです。ゆきみさんあたりが多少関係しているのは量子力学のシュレディンガー作用素で、シュレディンガーを微分方程式と見るよりも作用素と見て作用素特性調べたい時にちょこちょこ作用素としてのレゾルベントの解析が出てきます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@masayotominaga特にスペクトルに固有値がある場合、固有値は複素関数(A-zI)^{-1}の極(必要なら内積をとって本当に複素関数にする)になるのでそれを使って固有値の情報を取りに行きます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetrあ、触れたことのないお話です。個人的に興味があります(今の学びに有用かとかは全く解りませんが 笑) 機会があれば教えていただきたいです
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominagaそのうち京都、大阪あたりに適当に強行して、普段やっているような何か適当なセミナーでもしたいとは思っています。誰に何話すかというアレはあるのですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@masayotominagaもっと一般にはレゾルベント自体グリーン作用素と呼ばれてこれの作用素核関数としてのグリーン関数調べたり、多様体上のラプラシアンのグリーン作用素からスペクトルを調べて幾何的な情報を引き出す話まであります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 2
@phasetrなるほど、興味深いお話をありがとうございました
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 3
2014-10-22 Pixiv に【濃度これくしょん~濃これ~】なるアレがあるらしいので¶
【濃度これくしょん~濃これ~ Part1 Bernsteinの定理】 http://t.co/FH0CE7CS9I
— つどいにNEW GAME!を持参する人 (@alg_d) 2014, 7月 16
Part2, Part3 もあった.
- http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40815990
- http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40928248
世界は広い. 私も頑張らねば.
2014-10-21 Fields 賞を取った Bhargava の仕事: 階乗の一般化と数論・環論・組み合わせ論への応用¶
2014年度フィールズ賞受賞者の業績を解説してみる!【階乗の一般化】 http://t.co/eQUR119sXQ
— アルパカ (@AlpacaJournal) 2014, 8月 23
Bhargava の仕事の紹介ということで軽く目を通した. 原論文は The Factorial Function and Generalizations らしい. これは何に使うのだろう, というのが気になったのでイントロだけ簡単に読んだら, 数論・環論・組み合わせ論への応用があるとのこと.
数論・環論はよくわからないが, 階乗だし組み合わせ論には何かありそうな気はする.
2014-10-20 かもさんのツイートから: 高校で習う範囲と大学入試での出題範囲問題¶
美大や音大の入試が高校の美術や音楽の教科書から逸脱していると文句をいわれることはないのに、理学部の入試が高校の数学や理科の教科書を逸脱すると非難ごうごうなのは納得できない。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 9月 2
言われてみればそうか, という感じはある. あと英語でも比較的学校で習う範囲ぶち抜きという感じはある. そして難問というか悪問になりがちで批判は受けているが, 地歴でも何かしょうもないのがある感じはある.
他国だとこういうのはどうなっているのだろう. そもそも大学入学関係の制度ごと違うから参考にはしづらいだろうけれども.
2014-10-19 選択公理のチュートリアル PDF があるという¶
Sets, the Axiom of Choice, And All That: A Tutorial http://t.co/ygH5wWD2Be 最初の方しか読んでないけど, 選択公理厨を目指す人は読んだら勉強になりそう. ボリュームも結構ある.
— すずきまさや (@mszk_p) 2014, 9月 3
チャーハニスト鈴木によるお役立ち情報. とりあえずダウンロードはしておいた.
2014-10-18 【フランスは、会社のデスクで飯食うのは法的に厳禁です】あと CNRS 情報¶
フランスは、会社のデスクで飯食うのは法的に厳禁です。
— 冷泉明彦(なんとかヨイコ) (@JosephYoiko) 2014, 9月 6
なんでですかね、汚れるから? RT @JosephYoiko: フランスは、会社のデスクで飯食うのは法的に厳禁です。
— amateur_scientist (@ama_sci) 2014, 9月 6
@ama_sci食中毒が起きた時の原因元を狭める意図があるようですよ。あと、基本的に家から弁当持ってくるのもNG。
— 冷泉明彦(なんとかヨイコ) (@JosephYoiko) 2014, 9月 6
@JosephYoiko法整備の文化的背景というか理由と言うか、その辺はどういう感じなのでしょうか。法レベルで禁止というのもなかなか面白く何か背景ありそうなので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 6
@phasetr社員食堂を作ることでの雇用確保という背景があったようです。フランスでは料理人の地位高いですから、料理人組合はかなりの力持っています。日本で喩えると日本医師会並みと言ったら分かりやすいかも。
— 冷泉明彦(なんとかヨイコ) (@JosephYoiko) 2014, 9月 6
@JosephYoikoそれは面白いですね。最近フランス語の勉強はじめたのですが、フランスの文化とかその辺も当然のように興味出てきたので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 6
@phasetrおっ、いいですね。数理科学分野だと仏語読めるといいことが多いですよ。CNRSがらみの研究所からいいフリーソフト拾えるようになりますし。
— 冷泉明彦(なんとかヨイコ) (@JosephYoiko) 2014, 9月 6
面白い話のついでに CNRS がらみの研究所のフリーソフトというお役立ち情報までもらってしまった.
2014-10-15 黒木さんの経済学関係のツイートまとめ¶
朝日新聞1面の「高成長の幻を追うな」(編集委員・原真人) pic.twitter.com/OyAKmX7mMl←こういうことを言う人達が馬鹿にされる時代が来つつある。この流れはとても大事。 http://t.co/LGYMFlnNTM https://t.co/ZdR4rpXxzG
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
もしも若い人達の中に「日本は借金で潰れかかっているので消費税率を20%まで上げなければいけない」とか、「お金じゃぶじゃぶの金融緩和は単に有害なだけ」などとか信じているとすれば、どうしてそういうデタラメを信じるようになってしまったかについてよく考えてみた方がよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
おそらく、その手の人のデタラメを信じてしまうようになった人は、テレビニュースを新聞報道を熱心に読んで、「日本国は1000兆円の借金!」とかにびびってしまったり、「経済成長は企業を儲けさすだけで無意味」とか思ってしまった人達なのだと思う。何を読んで勉強するかはとても大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
続き。個人的におすすめなのは、その手の人達にはちょっと難しいかもしれないけど、 http://t.co/71KCRjm4FQに翻訳されている記事を読んで理解できるようになる方向で読む本を選ぶこと。地道に数年続ければ違う世界が見えてくるはず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
クルーグマンは上手に感情にも訴えながらうまく解説してくれているのでかなりおすすめ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
たとえば http://t.co/4ZKkRTPLmPクルーグマン著『良い経済学 悪い経済学 (日経ビジネス人文庫) 』は送料を除けば1円で買えるのでおすすめ。これを読めばほんのちょっとした経済に関する知識で迷惑な馬鹿をきちんと馬鹿扱いできるようになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
トンデモとまともを区別できるようになることはとても難しい。入口を間違えるとトンデモの方を何かまともな教養であるかのようにみなして信じてしまうことがある。 http://t.co/4ZKkRTPLmPはそうなりかけている人を救うことができる本。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
あと時間が許すなら経済学の教科書も読んだ方がよい。ただし教科書の中にも色々変なことが書いてある本があるので要注意。公開されている経済統計と教科書の内容を比較して感覚をつかむことがとても大事。演繹的なだけではなく帰納的な理解によってどの仮説が頑健であるかを見極めようとすること。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 9月 4
ということなのでとりあえずクルーグマンの本をポチってきた. 道は長く果てしない.
2014-10-14 数学でも絶版書籍を公開してくれるようなサイトがほしい¶
このサイトすごいな 絶版マンガを無料で公開してるわ アングラ割れサイトじゃなくてちゃんと作者に許可とったのだけ公開してるみたい このモアイくんとか昔読みたくてAmazonで中古で買ったで #絶版マンガ図書館-電撃ドクターモアイくん http://t.co/4FvrQjptFb
— エスプレッソ益田 (@blackwatami) 2014, 9月 4
モアイくん, めっちゃ懐しいし数学でもこういうのほしい.
2014-10-11 選択公理の普及のため http://alg-d.com の宣伝が必要¶
木村俊一先生のようないたってマトモな数学者が、講談社というきわめてマトモな出版社から出した本に、そういうことが堂々と書いてあるんだから、問題の根は深いです。@kagami_hr@kururu_goedel
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 8月 29
@tenapyon@kagami_hr選択公理がない世界というのがひどく非直感的なんですよね。そのことが(文献や情報の不足のせいで)十分に理解されていないのが問題なのだろうと思います。
— くるる (@kururu_goedel) 2014, 8月 29
「情報の不足」って http://t.co/VR0jqebWvhがあるんだから不足しているわけがないじゃないか。不足しているのは宣伝だ。
— くるる (@kururu_goedel) 2014, 8月 29
宣伝が大事という戒め, しかと受け取った.
2014-10-09 書籍紹介+メモ: 証明の展覧会 I, II 眺めて愉しむ数学¶
おもちゃ手にいれた✌️ Proof without wordsって言ってアメリカの数学誌とかには連載されてるらしい pic.twitter.com/6ny5be2ZIq
— とうよう (@touyoubuntu) 2014, 8月 31
これか.
いい加減一般向けの算数・数学やり直し講座的な企画を立ち上げようと思っているので, そのときには参考にしたい.
2014-10-05 コンパクト自己共役作用素の具体例と確率論, スペクトル理論, 幾何学¶
作用素論オタなのでちょっと反応した.
ただ、コンパクトで自己共役とか仮定したとこでしかスペクトル扱ってないあたりね(まあ有限よりましだけど)。最近あんまり触れてないから忘れてること多いし コンパクト自己共役作用素の実例とか1個しか知らないしね、実用的にも全くものにならない知識だ
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 2
@masayotominagaコンパクトリーマン多様体上のラプラシアンのスペクトルは離散的で無限まで伸びるので、 $\lambda$ を実数でレゾルベント集合に制限すれば、レゾルベント $(\triangle - \lambda )^{-1]$ はコンパクトになります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@masayotominaga他にも作用素 $H$ が下に有界でスペクトルが離散的で無限まで伸びていれば、 $H$ からfunctional calculusで定義した $e^{-tH}$ もコンパクトです。これも指数定理だとか熱核の展開あたりで幾何の話と絡み、確率論ミックスで色々やる話もあります
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 3
@phasetr最後のお話面白そうです(正直多様体のことはろくにというより全く知りませんが、確率論ミックスというのはいいですね)
— Tominaga (@masayotominaga) 2014, 10月 3
最後の確率論の部分について少し補足しよう. 幾何はよくしらないので私がよく知っている量子力学関係のスペクトル解析で説明する. $e^{-tH}$ でまず $H$ を Laplacian $- \triangle$ としよう. Gaussian を $P_t$ と書こう. \begin{align} P_t(x, y) = \left( \frac{m}{2 \pi t} \right)^{d/2} e^{-m |x-y|^2}{2t}. \end{align} こうすると次のようになる. \begin{align} (e^{t \triangle} \psi) (x) = \int_{\mathbb{R}^d} P_t(x, y) \psi (y) dy. \end{align} $P_t$ は Gaussian なので確率論が使えそうだと思うわけだ. これが実は Brown 運動 $B_t$ で書ける. \begin{align} (e^{t \triangle} \psi) (x) = \mathrm{E}x [\psi(B_t)]. \end{align} 量子力学の設定だと Hamiltonian は $V$ を適当な関数として $H = - \triangle + V$ だ. 結果から書くと内積が次のように書ける. \begin{align} \langle \phi, e^{- t H} \psi \rangle = \int \right]. \end{align}}^d} dx \overline{\phi(x)} \mathrm{E}_x \left[ \psi(B_t) e^{- \int_0^t V(B_s) ds
ここで作用素をもう少し一般化すると, 確率論でも対応して確率積分を使うことになる.
さらに一般に楕円型作用素にしても確率論でも対応した処理ができる (場合がある). それが実際に指数定理にまで持ち上がるというのが驚異的だが, 詳しいところまでは把握できていない.
また, $H$ が下に有界な場合は $e^{-tH}$ は熱半群をなす. ここから半群理論の制御下に入る. 連続時間の確率過程とも思えるし, この辺でまたいろいろ出てくる.
そして最後にこれ.
とみながさんにめっちゃスペクトル理論を仕込もうの会
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 10月 4
また関西行きたいしセミナーしたいのだが, 誰に何話そう.
2014-10-01 ブログ記事紹介: 距離空間から位相空間への橋渡し - y_bonten¶
ぼんてんぴょんさんのブログ紹介だ. やりとりは地雷っぽいが, 一応収録しておこう.
距離空間から位相空間への橋渡し - y_bonten's blog http://t.co/Jps5rN6NIl
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 7月 17
@y_bonten僕は、位相を理解したいと思っていますが、さっぱりわからないのです。 開集合は、「包含しているすべての開集合の和集合をつくると、自分が再現されるような集合」は、わかります。集合Xの冪集合の部分集合である位相は、この「すべての開集合の和集合」とどう関係するのですか
— h-morimoto (@kafukanoochan) 2014, 7月 17
@kafukanoochan開区間みたいなイメージだと「開集合かどうか」は他の理由で決まりますが、逆にこれとこれとこれを開集合と呼ぼう、というリストを先に決めておいてはどうか、という発想があって、必ずしも距離などが入ってなくても抽象的に議論できるようになるわけです。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 7月 17
@kafukanoochan開集合として選ばれたひとつひとつの集合はXの部分集合、すなわちXの冪集合の要素です。そのリストはXの冪集合の部分集合です。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014, 7月 17
ぼんてんぴょんさんがやりとりしている人, とりあえず量子力学の理解には全く関係ないし, まずは関係ある数学をきちんとやったらどうか, という感はあるがそれはそれとして.
ブログ, 最後のこの部分が面白かった.
開集合を「自分の内点の集合と一致する集合」と表現するならば、上の考察によって「包含しているすべての開集合の和集合をつくると、自分が再現されるような集合」と言い換えることもできるのである。ここまで考えると、開集合系の公理のひとつである「開集合(無限個でもよい)の和集合もまた開集合である」という要請は外すことができないだろうと思えるようになってくる。
ぼんてんぴょうんさんのつどいの講演, あまりよくわかっていない裏の統計の講演が気になってはいるものの, こういう話をするというのなら俄然興味が出てくる. 講演原稿を math-textbook に共有してもらえないかの打診もしている.
やりたいこと, たくさんある.
2014-09-29 数学セミナー名言録: 【数学は、料理、音楽、将棋と多くの共通点をもち、これらに関して書かれているものから学ぶ点は多い】¶
「数学は、料理、音楽、将棋と多くの共通点をもち、これらに関して書かれているものから学ぶ点は多い。大学における学習から職業専門家への道筋に関しては二ノ宮知子著『のだめカンタービレ』が参考になる」(数学セミナー2010.3 p.10) (再掲)
— nooyosh (@nooyosh) 2014, 7月 23
@nooyosh今の数学の世界だと、真一君はいっぱいいるけど、のだめがいないなぁ。ああいうめちゃくちゃな天才ってなかなかでないなぁ。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2014, 7月 23
参考にしたい.** 2014-09-28 理系彼女botがニコニコ静画で漫画になるというので
理系彼女bot漫画にしますwwwwwwwwwwwwww連載に乞うご期待wwwwwww http://t.co/Z1OoGVqu4N
— りやさん (@Riyaaaa_a) 2014, 3月 27
理系彼女 bot といえば以前こんなやりとりをしたことがある.
なんでショートにしたかって?実験の邪魔なんだよね...
— 理系彼女bot (@rikeigf_bot) 2012, 11月 29
@rikeigf_botむしろ数学科に行けばいいのでは
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2012, 11月 29
@phasetrそんなこと言ってると、レポート見せてあげないよ?
— 理系彼女bot (@rikeigf_bot) 2012, 11月 29
@rikeigf_bot御託はいいから数学科に来い
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2012, 11月 29
@phasetrえーっと・・・その計算、間違えてるよ。
— 理系彼女bot (@rikeigf_bot) 2012, 11月 29
@rikeigf_bot計算法則を変更するまで
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2012, 11月 29
@phasetrこういうのってちょっと理論値からずれてた方が萌えるんでしょ?
— 理系彼女bot (@rikeigf_bot) 2012, 11月 29
@rikeigf_bot存在しか分かっておらず,具体的にこう,と書けない場合の理論値概念が求められています
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2012, 11月 29
私の知り合いにこんな女の子がいた記憶がない.
2014-09-27 書泉グランデMATH案件: 高瀬正仁『アーベル 前編不可能の証明へ』¶
本文¶
新刊好評発売中 『アーベル 前編不可能の証明へ』高瀬正仁著(現代数学社) アーベルはガウスにもガロアにも見られない独自のアイデアに基づいて歩を進め,「不可能の証明」,すなわち「5次以上の一般代数方程式を代数的に解くのは不可能であることの証明」の道筋を見出した
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 7月 31
ただただほしい.
タグ¶
数学, アーベル
2014-09-26 段ティンの兄貴情報: 結び目の情報サイト¶
本文¶
http://t.co/DiyiPi7MZyあとここ結び目の大体の情報がわかるんで超便利っすよ(こないだ知った
— ささちゃん (@safour_1) 2014, 8月 1
数学アクセサリの参考にしよう.
タグ¶
数学, 数学アクセサリ, 結び目, トポロジー
2014-09-24 谷島先生の新刊: 『朝倉数学体系5,6 シュレーディンガー方程式I, II』¶
本文¶
9月25日新刊予定 『朝倉数学体系5,6 シュレーディンガー方程式I ,Ⅱ』谷島賢二 著(朝倉書店) 自然界の多くの量子力学的現象を記述する基本方程式の数理物理的基礎から応用までを集大成
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 21
ほしい.
タグ¶
数学, 数理物理, 量子力学, 偏微分方程式
2014-09-23 素数大富豪用の素数判定ページを作ったので¶
知人が素数大富豪というゲームを広めてようとしているので, それに協力すべく素数判定アプリを作ってみた: これだ.
素数大富豪のルールは上記ページにもルールブックへの リンクを張っているが, 念の為ここにも張っておこう. これだ.
素数判定アプリなど腐るほどあるだろうという方もいるだろう. しかしこの素数大富豪ではルール上, グロタンディーク素数も素数とカウントする必要がある. そこの機能追加が問題だと思ったので新たに作ったのだ.
また, 熟練者間では禁止素数設定をしようという話もあるそうだ. そういう場合の簡単な改良もしたければやはり 自前で作るのがいいのだろうと思い, 今回のページ作成にいたった.
これ, 近所の子供達と一緒にやりたい. 基本 JavaScript で書いていて, 素数リストも手元にあるからネットワーク環境がなくても PC あれば大丈夫なのでちょっと試したい.
2014-09-23 算術士になるため算術の専門家である tri_iro さんに文献などをいろいろ聞いた記録:あとの参照用についでに算術以外もいろいろまとめた方の市民¶
追記 やたべさんから次のようなご指摘を頂いたので タイトルなど少し書き換えた.
なんか、終わりの方もう算術関係無くなってね?そもそも逆数学や記述集合論は算術じゃないだろ? QT @phasetr: http://t.co/hYBbRfa0O2【算術士になるため算術の専門家である tri_iro さんに文献などをいろいろ聞いた記録】よくわからない数学
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 9月 23
追記
算術士を目指したいので算術の専門家である tri_iro さんにいろいろ聞いたらいろいろ教えてもらったのでその記録.
@tri_iro何と言ったらいいのか分からないのですが【二階算術】とかつくような感じの【算術】の話を雰囲気を感じるところからはじめて勉強までしていくにはどんな感じの本やらレビューやらを読んでいくといいでしょうか。多少の数学は知っていてもロジックや基礎論関係はザルな状態から開始で
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 21
@phasetrその手の算術は、不完全性定理関連を勉強したいか、証明論寄りの順序数解析チックなことを知りたいか、逆数学みたいな感じのものを知りたいか、あるいは単純に算術的階層みたいな話を知りたいかで違うのですが、ほとんど予備知識がいらなさそうなものであれば、以下(続く)
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@phasetr和書であれば『数学基礎論講義』 http://t.co/EnHrkwdhphが不完全性定理の初歩から、ヘラクレスvsヒドラやグッドスタイン列、パリス-ハーリントンなどのPAの独立命題、算術の超準モデル論など幅広く解説してあり、おすすめです。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@phasetr「ゲーデルと20世紀の論理学3巻:不完全性定理と算術の体系」も不完全性定理と逆数学に関してはもう少し詳しく書いてありますが、前述の書籍と比べると少し話題が狭いです。「数の体系と超準モデル」はそれ以外に算術の超準モデル論の雰囲気も感じられます。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@phasetr未出版ですが、神戸の方の菊池誠先生(不完全性定理のプロの方です)の「不完全性定理」 http://t.co/OFOOOaY34wも目次を見る限り、テーマが不完全性定理なので、話題は不完全性定理まわりの算術に限っていますが、たぶんかなりの良書であると思われます。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@phasetr洋書で良ければ、 "Metamathematics of First-Order Arithmetic" http://t.co/uilc3shGpNは算術のバイブルです。無料公開されており、Table of Contentsの所から無料でDLできます。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@phasetr後の方で紹介したやつは、雰囲気を見るだけだとちょっとテクニカルすぎる本かもしれません。もっと啓蒙書っぽいものを紹介できればよかったのですが、算術の本でその手のやつを知らないもので……。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
@tri_iroありがとうございます。参考になります。急ぐ旅ではないのでゆるゆると勉強します
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 9月 22
まだもう少し続く.
相転移Pから算術の本に関しての質問を受けたのに乗っかって、ついでにプラスアルファでもうちょいテクニカルな算術の本も紹介してみよう。あ、なんかもうちょい入門書チックな算術の本をご存知な方がいましたら教えて下さい。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
リプ欄でも紹介したけれど、 "Metamathematics of First-Order Arithmetic" http://t.co/uilc3shGpN算術のかなり広範な話題を扱っている不朽の名著。ただし、算術の本の避けられない定めとして、序盤の超絶コーディングがつらみ
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(承前)しかし、帰納法の無矛盾性のプロパーな階層、不完全性定理、ラムゼーの定理周辺の独立命題などの話題を非常に丁寧に扱っているうえ、出版社が無料公開中。あと地味に限定算術の話題までひとつのパートを割いて解説している。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(書評2) Models of Peano Arithmetic http://t.co/vz6v7C30F4算術のモデル論の入門書。個人的に結構好きな本。前半はちょっとだるいけど、中盤以降が楽しい。自然数論の超準モデルってこんなんだったんかい!と目から鱗の落ちる一冊。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(承前) ちなみにパリス-ハーリントンの定理やカナモリ-マカルーンの定理のペアノ算術からの証明不可能性のインディケーターを使った証明も載っている。ヘラクレスvsヒドラやグッドスタイン列の証明不可能性は演習問題。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
The Structure of Models of Peano Arithmetic http://t.co/b5CDSplXSW前述のKaye本ではもう満足できなくなった人のための算術の超準モデル理論本。ペアノ算術の超準モデルを極めたい人向け。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(書評4) Proof Theory: The First Step into Impredicativity http://t.co/Fo6rDQoBe5証明論寄りの算術というか、順序数解析の入門書。ε_0の整列性からのペアノ算術の無矛盾性証明に始まり、その先へ。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(書評5) Bounded Arithmetic, Propositional Logic and Complexity Theory http://t.co/7zRd0outZL計算量に対応する算術の理論である限定算術などの話題を学べる入門書。限定算術パートは結構読みやすい。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
(承前)あ、ただ、前述のKrajicek本はちょっと古いので、現代的には限定算術型でも、二階算術的な定式化をしているCook-Nguyen本 http://t.co/BgPTfOGBNjの方がいいのかも。Cook-Nguyen本はほとんど読んでないので、良い本か知らないけど。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
最後に、Subsystems of Second Order Arithmetic http://t.co/MwKX69jxbw言わずと知れた逆数学の入門書。言わずと知れているので、特に書評はありません。 というわけで、以上、突発的・算術の入門書紹介コーナーでした。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
tri_iro さんが RT していた魔法少女.
Samuel R. Buss, Bounded Arithmetic の pdf が free だった気がする
— (@functional_yy) 2014, 9月 22
他の RT.
Handbook of Proof theoryのBussが書いている章も算術の証明論へのコンパクトな入門だと思います。
— yoriyuki (@yoriyuki) 2014, 9月 22
そしてやりたいのはこれだ.
このような算術の本を読んで、算術士の熟練度を上げることにより、レベル素数ホーリーなどの多彩な技を使えるようになります。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
他にも RT.
これも割とおすすめ:Buchholz et al (eds). W. Iterated inductive definitions and sub-systems of analysis, Lecture Notes in Math. 897, Springer.
— Ryota Akiyoshi (@georg_logic) 2014, 9月 22
最初の方のFeferman, Siegが書いてある入門的章は基本的なことが書いてあって,後のBuchholz, Pohlers達の章も,結構丁寧に書いてある.使っているordinal notationsはちょっと古いので複雑だけれど.
— Ryota Akiyoshi (@georg_logic) 2014, 9月 22
ゼルプスト殿下の RT.
Oxford Logic Guide 11: R.Mansfield and G.Weitkamp «Recursive Aspects of Descriptive-Set Theory» が復刊しないものかと期待している http://t.co/Inq9yD2K1v
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 9月 22
@tenapyon集合論と計算論の初歩を修めた人向けに、補解析同値関係に関するシルヴァーの定理や0♯に関するハリントンの定理など当時まだ新しかった結果まで見通しよく解説してくれる好著。しかし、これももう30年も前の本になるのか。このスタイルでいま書いたらどんな本になるかなあ。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 9月 22
Buchholz & Schutte本は院生時代に読もうとした結果、なんかよくわからない地獄の順序数計算によってトラウマになって、未だに立ち直れないのであった。いや、たぶんもうちょいちゃんと予備知識を習得してから読むべきだったんだろうけど。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 22
あと別件だが再帰理論のも転載しておこう.
再帰理論をやろうと思っても、やっている人がまわり居なくてどうしていいかさっぱりわからないので、よかったら良い教科書か入門書を教えてください! ■和書: 初めに述べておくと、和書では個人的なオススメ本は一つもありませんが、一応、和書から紹介。
■ マイケル・シプサ 『計算理論の基礎』 オススメ度:☆ 難易度:☆ もし、『計算可能性』について全く知らないのであれば、再帰理論を学び始める一歩手前に。
■ 廣瀬 健 『計算論』 オススメ度:? 難易度:? 一応、和書なのでリストに挙げておきますが、内容知りません。
■ 篠田 寿一 『帰納的関数と述語』 オススメ度:☆☆ 難易度:☆ 再帰理論の和書としては、一番有名なのかな。 【利点】 一から丁寧に書かれているため、予備知識一切なしに読むことが出来る。 【欠点】 話題のチョイスが極めて独特でマニアックなので、標準的な教科書とは言い難い。再帰理論の標準的トピックが省略されて、抽象計算量など再帰理論と関係の薄い話題にページを割いている。
■ 田中 一之 『逆数学と二階算術』 オススメ度:☆☆ 難易度:☆☆☆ 再帰理論と逆数学をまとめて勉強したい人にオススメ。 【欠点】 薄い本なので、説明も薄く、ある程度予備知識を持ってる人じゃないと読むのはしんどいかも。
■ 田中 尚夫 『選択公理と数学』 オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆ 再帰理論の本ではないんですが、再帰理論のアイデアやテクニックがかなり用いられているので、再帰理論の本と並行に読むと楽しいかも。選択公理ちゃんマジ公理。
■ 新井 敏康 『数学基礎論』 オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆ 第2章と第6章が再帰理論の話題。再帰理論を含む、数学基礎論の色んな分野の古典をまとめて一気に勉強したい!という人にオススメ。 【利点】 再帰理論が誕生した当初の'40年代~'50年代の重要な定理には一通り触れてくれているので有難い。 【欠点】 逆に言うと、'40年代~'50年代よりも後の研究にはほとんど触れられていない。あくまで古典。
■ 李 昂生 『可计算性理论』 オススメ度:☆ 難易度:☆☆☆ まともな再帰理論の教科書が一つも出版されていない日本とは異なり、中国語の再帰理論の教科書はそれなりにあります。「英語よりも中国語の方が得意だぜ!」という奇特な方へのオススメ本はコレ! 【利点】 再帰理論の基本的証明技法である優先法 (priority argument) について詳細に書かれており、 Lachlan's nonbounding theorem などの monstrous injury priority argument を用いた証明も丁寧に解説されている。 【欠点】 言語の壁は厚い。
■洋書
■ Cutland, "Computability: an introduction to recursive function theory" (1980) オススメ度:☆ 難易度:☆ 極めて普通の入門書。再帰理論の入門書というよりは、計算可能性の初歩に関するトピック。
■ Martin Davis, "Computability and Unsolvability" (1958) オススメ度:? 難易度:? 読んだことないけど、よく話を聞くので。
■ Barry Cooper "Computability Theory" (2002, 2011) オススメ度:☆☆☆☆☆ 難易度:☆ 個人的に初学者へのオススメの一品はコレ。 【利点】 初歩から超丁寧に書かれていながら、結構深く広い話題に発展する理想的な教科書。 【欠点】 解析的階層や認容順序数などの再帰理論における主要なトピックの一部には全く触れられていない。
■ Hartley Rogers, Jr., "The Theory of Recursive Functions and Effective Computability" (1967) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆ 古いけど色褪せない輝きを放つ、古典的な再帰理論の名著。 【利点】 1940年代~1950年代の再帰理論研究の集大成。 【欠点】 ちょっと古臭くて読みにくい。
■ Manuel Lerman, "Degrees of Unsolvability: Local and Global Theory" (1983) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆ 次数の大域的構造が好きで好きでたまらない人へ贈る、職人の技術が詰め込まれた書籍。 【利点】 無料公開されました! 【欠点】 優先法の話題が全く載ってないのが致命的な欠点か。
■ P. Odifreddi, "Classical Recursion Theory" (1989) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆ 再帰理論の古典について、幅広く網羅的に書かれたオススメの名著。 【利点】 やたら重くて硬いので、装備すると攻撃力がかなり上昇する。 【欠点】 個々の話題の取り扱いが非常に薄いため、証明技術などをこの書籍で身につけようとするのは困難。
■ P. Odifreddi, "Classical Recursion Theory: Volume II" (1999) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆ 上記の本の続編。しかし、1巻に比べると話題のチョイスが若干迷走している感じ。 【利点】 話題の幅広さ。 【欠点】 3巻出る出る詐欺。
■ Robert Soare, "Recursively Enumerable Sets and Degrees" (1987) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆ 再帰理論の基本的な証明技術を学ぶための教科書。一方で、話題が限定的なので、再帰理論の概観を眺めるという点では微妙。 【利点】 再帰理論の基本的技術を網羅的に取り扱っている。 【欠点】 再帰理論の研究トピックの極一部にしか触れていない。
■ Gerald E. Sacks, "Higher Recursion Theory" (1990) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆☆☆ 解析的階層の理論から順序数上の再帰理論までを統一的に取り扱った名著。記述が若干古臭いのだけれど、それにも関わらず読みやすい気がします。 【利点】無料公開されました! 【欠点】記述が若干古臭い。
■ Jens E. Fenstad, "General Recursion Theory: An Axiomatic Approach" (1980) オススメ度:☆ 難易度:☆☆☆ 用語が独特で若干読みにくい。意外と深い内容が書かれているんだけど、マニア層向け。
■ M. C. Fitting, "Fundamentals of Generalized Recursion Theory" (1981) オススメ度:☆ 難易度:☆☆☆ 同上。マニア層向け。
■ Peter G. Hinman, "Recursion-Theoretic Hierarchies" (1978) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆☆ 階層理論の話題が網羅されているのは嬉しい.この分野の入門書として最低限必要な話題である算術的階層・解析的階層・算術的強制法・基底定理の古典的結果は網羅されている。話題のチョイスが良い代わり、記述が古臭くて読みにくいのが残念。 【利点】 古典的な Δ^1_2 集合の理論のバイブル。 【欠点】 ちょっと論理論理しすぎてて読みづらいかも。
■ Manuel Lerman, "A Framework for Priority Arguments" (2010) オススメ度:☆☆ 難易度:☆☆☆☆☆ 優先法マニア待望の、優先法に特化した教科書だよー!! 【利点】 優先法を理解している人が読むと、思考を整理できるかも。 【欠点】 優先法を既に理解している人じゃないと読める代物じゃない。
■ Ash and Julia Night, "Computable Structures and the Hyperarithmetical Hierarchy" (2000) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆☆ 再帰モデル理論の基本的な教科書。個人的にはかなりオススメ。 【利点】 超算術的階層や解析的階層についても一緒に学べる。 【欠点】 特になし。
■ Yuri L. Ershov and Sergei S. Goncharov, "Constructive Models" (2000) オススメ度:☆☆ 難易度:☆☆ 再帰モデル理論の基本的な教科書。こちらはかなりベーシックなモデル理論。 【利点】 上の本よりは初等的な内容から書かれているかも。 【欠点】 個人的にはちょっと読みづらく感じる。
■ "Handbook of Computability Theory" (1999) オススメ度:☆ 難易度:☆☆☆ 標準的教科書に比べて勝ってる部分はあまり無いような……。
■ "Handbook of Recursive Mathematics, Volume 1: Recursive Model Theory" (1998) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆☆ 再帰モデル理論に関する基本的話題を一通り知りたい人のためのハンドブック。
■ "Handbook of Recursive Mathematics, Volume 2: Recursive Algebra, Analysis and Combinatorics" (1998) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆☆ 再帰数学、逆数学に関する基本的話題を一通り知りたい人のためのハンドブック。
■ Andre Nies "Computability and Randomness" (2009) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆ ランダムネスの基本的な教科書その1
■ Hirschfeldt and Rod Downey "Algorithmic Randomness and Complexity" (2010) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆ ランダムネスの基本的な教科書その2
■ Marian B. Pour-El and J. Ian Richards, "Computability in Analysis and Physics" (1989) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆ 計算可能解析の古典的な良書。解析学や物理学と計算可能性の関係を知りたい方にはオススメ。
■ K. Weihrauch, "Computable Analysis" (2000) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆ 計算可能解析の基本的な教科書。上の本よりはスッキリと書かれている。位相空間論と計算可能性の関係を知りたい方にはオススメ。
■ Stephen G. Simpson "Subsystems of Second Order Arithmetic" (1999, 2009) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆ 逆数学の基本的な教科書。 後半の ω-モデルの章と β-モデルの章を読めば、再帰理論との関連性が明確になると思います。ただし、この本は再帰理論の専門的知識を使うトピックを可能な限り避けているので、前半部分は再帰理論っぽさは少ないかも。
■ 近刊予定 ■ Douglas Cenzer and Jeff Remmel, "Effectively closed sets" 近年、ランダムネスを初めとする様々な分野で重要性が認識されてきたΠ^0_1集合の理論に特化した教科書。期待の一品。
■ Robert I. Soare, "Computability Theory and Applications I: The Art of Classical Computability" 再帰理論の新たなる教科書を目指して執筆中の教科書。Π^0_1集合の理論や再帰理論の微分幾何への応用などが重点的に書かれる予定らしい。
■ Robert I. Soare, "Computability Theory and Applications II: Applications of Computability" 上の本の2巻。
■ John Longley and Dag Normann, "Computability At Higher Types" 高階の計算可能性理論の教科書らしい。
■ Damir D. Dzhafarov and Carl Mummert, "Reverse Mathematics" Simpson本との棲み分けのために、おそらく再帰理論的な視点を重視してくると思われます。 逆数学のための再帰理論の技術や証明技法を解説した技術的教科書になると推測。
■ 近隣分野の良書
■ Sanjay Jain, Daniel N. Osherson, James S. Royer, Arun Sharma, "Systems That Learn: An Introduction to Learning Theory" (1999) オススメ度:☆ 難易度:☆ 計算論的学習理論の中でも、特に帰納的推論について詳しく書かれた教科書。 初学者向けに非常に丁寧に書かれていて読みやすい。
■ Jon Barwise "Admissible Sets and Structures: An Approach to Definability Theory" (1975) オススメ度:☆☆☆☆ 難易度:☆☆☆☆ 順序数上の再帰理論を展開するための認容集合の理論について書かれた教科書。 集合論と証明論の知識も多少持っていた方が読みやすい。
■ Yiannis N. Moschovakis "Descriptive Set Theory" (1980, 2009) オススメ度:☆☆☆☆☆ 難易度:☆☆☆☆ "Handbook of Mathematical Logic" では、記述集合論は再帰理論の項目に分類されていたので、これも再帰理論の教科書だと思います! 古典記述集合論のバイブルとも言うべき名著。個人的には超オススメです。
■ Kechris "Classical Descriptive Set Theory" (1995) オススメ度:☆☆☆ 難易度:☆☆☆ Moschovakis本とは方向性がかなり違うけれど、これも古典記述集合論のかなりの良書。 ロジック慣れしていない人にはこちらの方が読み易いかも。
とりあえず手許にあった再帰理論関連の教科書を一通りレビューしました。
結論として、個人的なオススメ教科書は:
■初めて再帰理論を学ぶ人: Barry Cooper "Computability Theory" P. Odifreddi, "Classical Recursion Theory" Hartley Rogers, Jr., "The Theory of Recursive Functions and Effective Computability"
■更に一段階進んで再帰理論を知りたい人: Manuel Lerman, "Degrees of Unsolvability: Local and Global Theory" Gerald E. Sacks, "Higher Recursion Theory" Ash and Julia Night, "Computable Structures and the Hyperarithmetical Hierarchy" Yiannis N. Moschovakis "Descriptive Set Theory"
という感じかなあ、と思います。
追記 2 やたべ・tri_iro さん間でさらにやり取りがあったので追記する. いろいろただで教えてもらえてこんなにありがたいことはない. 私も頑張ろう.
@phasetr@ytb_at_twt記述集合論のあれは算術とは完全に無関係にぼくがRTしていたのが混ざったんだと思います。逆数学は、「【二階算術】とかつくような感じの【算術】」という要求だったので、元々二階算術の文献を探されていたのかと思って一応紹介しておいたというあれです
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 23
@ytb_at_twt@phasetrところで、通常、「算術」って言った場合、どの程度の範囲を指すんでしょうか?
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 23
@ytb_at_twt@phasetrあ、さっきの「算術」はペアノ算術とか二階算術とかそういうロジックの意味で、です。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 23
@tri_iro@phasetrそもそも「【二階算術】とかつくような感じの【算術】」というのがカテゴリーミステークだったんでしょうねぇ。二階算術は算術としての部分もある(自然数論の範疇性とかACA0がPAの保存拡大だとか)けど、シンプソン本は明らかに算術ではないような。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 9月 23
@ytb_at_twt@phasetrシンプソン本は前半7割は逆数学ですが、後半3割(Part B)は純粋な二階算術のモデル論で、じつは保存拡大や体系の無矛盾性の階層の話などが結構詳しく書いてあって、後半部分は(証明論的な話は無いとはいえ)ギリギリ算術なのかなと思ってます
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 23
@tri_iro@phasetr普通は「自然数論」の別名が算術ですよね。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 9月 23
@ytb_at_twt@phasetrなるほど、そういう意味なら、純粋な二階算術の話でも、ほとんどは算術ではないということでしょうか。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 9月 23
@tri_iro@phasetrそうなんですか。僕の知っていたシンプソン本と違う! (そもそもタイプ打ちの草稿しか知らない)それは十分算術っぽいですね。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 9月 23
2014-09-22 ふぃっしゅっしゅさんの巨大数論¶
本文¶
巨大数論 http://t.co/HNh1YwPQ6T#巨大数グラハム数よりもずっと大きいふぃっしゅ数を考えた著者が、ただただひたすら大きな数を考えて書いたオンライン書籍(無料ダウンロード)です。長らく「書きかけ」でしたが、ようやくある程度まとまりました。
— ふぃっしゅっしゅ (@kyodaisuu) 2013, 10月 18
謎の人というイメージあるが, 小林銅蟲さんの方がさらに謎だった.
タグ¶
数学, 巨大数
2014-09-22 ツイートメモ: 劣調和関数の符号の思い出し方¶
本文¶
備忘録として残しておく.
お客様の中に、劣調和関数について詳しい方はいらっしゃいませんかー?
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
@ke_mathっ【subharmonic functions:著者忘れた】
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@ke_mathところで劣調和函数のどういう知識が必要ですかいな?
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@ke_math多分私の手元にあるのは著者がHeymanだか何だかそんな名前だった。もう押入れの奥だから探すのは勘弁を。
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu連続な劣調和なら二階の差分がどうなるか的な…
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
やってるの数値解析だよ
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
離散ラプラシアンが正なのを示したい
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
負か
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
@ke_math劣調和ならnon-positiveでは?
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu細かいことをアレする男はモテませんよ
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
@ke_mathnon-negativeと間違えた件。もう僕はダメかもしれない。
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu劣調和って不等号どっち向きかわからなくなりますよね。
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
@ke_mathconvexity と名のつく本に載っている事から察すると良いと思います。
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu@ke_math劣調和、(解析の人の)ラプラシアンが負の作用素で、-△が非負の作用素になるところから推察しています。-△u=0がニュートラルで調和、-△u≦0 がニュートラルなところから負の方向に向いているので劣調和と言う感じで
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 24
@phasetr@ke_mathすごくカッコいい解説をされて自分の理解の拙さに打ちひしがれている。
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu@phasetr同じディリクレ境界条件を与えたとき、調和関数より小さくなる(大きくならない)のが劣調和関数、大きくなるのが優調和関数、ということなんだとは思います。(つまり比較定理)
— け (@ke_math) 2014, 8月 24
@yan_tyabouzu@ke_math作用素論の人であり、また量子力学で運動量の2乗として-△が出てきてこれが非負作用素、というバックグラウンドの力を見せる方の市民
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 24
@phasetr@ke_math見せつけられて平伏す方の解析学徒。
— 病ん茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014, 8月 24
タグ¶
数学, 解析学, 作用素論, 多変数関数論, 数値解析
2014-09-08 Paul 筋の情報: $\pi$ の無理性証明: 1 ページの論文情報¶
円周率πの無理数性を最初に証明したLambertの論文 http://t.co/7hBNSs8gcS 英語の解説はたとえば「Pi: A Source Book」p.141 http://t.co/2n4mHUNyIH
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 8月 26
なお、以前もつぶやいたNivenによる、たった1ページの円周率πの無理数性の証明( http://t.co/wtUZTFYwzi
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2014, 8月 26
みんな大好き Paul 筋の情報だ. $\pi$ の無理性の 1 ページ証明, すごい.
2014-09-08 書泉グランデMATHツイートから本をいろいろ: 読みたい本が多くて困る¶
好評発売中! 『幾何学と代数系』金谷健一(森北出版) 本書は、幾何学的代数の和書初となる入門書である。まず、背景をなすハミルトン代数、グラスマン代数、クリフォード代数を初歩からていねいに解説しているため、初学者でも自然に幾何学的代数の考え方を学ぶことができる。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 8
岩波書店僅少本少~し入荷しました 『現代数学演習叢書3 解析学の基礎』伊藤清三・小松彦三郎編6804円 『現代数学演習叢書4 函数解析と微分方程式』吉田耕作・伊藤清三編5400円 『直接法によるソリトンの数理』広田良吾著5184円
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 8
新刊好評発売中! 『幾何光学の正準理論』山本義隆(数学書房) フェルマの原理から導かれる正準形式の幾何光学の数学的構造、そのシンプレクティック構造を分かりやすく説明するものであり、力学の量子化とパラレルに幾何光学の波動化を論じることで変分原理としてのフェルマ原理の物理的意味を説明
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 8
【数学のたのしみバックナンバーフェア】やってます 『数学のたのしみ05夏多様体と親しむ』2484円 多様体とは何だろう/深谷賢治 代数曲面入門/上野健爾 私的に見たる特異点論入門/小野 薫・太田啓史 トーリック多様体のトポロジーと組合せ論/枡田幹也 4次元ファイバー空間/松本幸夫
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 7
9月10日新刊予定 『確率論入門』赤攝也著 1300円外税(予価) (ちくま学芸文庫) ラプラス流の古典確率論とボレル‐コルモゴロフ流の現代確率論。両者の関係性を意識しつつ、確率の基礎概念と数理を多数の例とともに丁寧に解説
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 7
【数学者 瀬山士郎先生の本棚フェア】開催中 『コンパスと定規の幾何学 作図のたのしみ』瀬山士郎(共立出版) 古くはユークリッドの時代から綿々と研究が続けられてきた作図の研究について、実際に作図する様子を追いながら詳説
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 7
新刊好評発売中! 『シンメトリーの地図帳』マーカス・デュ・ソートイ著 冨永 星訳(新潮文庫) 『素数の音楽』のデュ・ソートイ教授と旅する美しくも奇妙な数学の世界! 巻末には黒川信重先生の『数学の旅』も載っています。 http://t.co/34d3ySG8zz
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 7
好評発売中! 『トポロジカル絶縁体入門 KS物理専門書』安藤陽一(講談社) 「基礎理論」から「トポロジカル超伝導体」までを丁寧に解説。量子力学・固体物理学のおさらいも充実。この1冊ですべてがわかる!
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 7
今日は,伊藤清博士の誕生日(1915年).日本の確率論研究の基礎を築き,多くの俊秀を育てました.実は,博士は名うてのエッセイストでもありました.絶妙なウィットとさりげない表現のなかに深い思想が込められた文章の数々を,こちらの1冊で.☞ http://t.co/FEA2zIJV6y
— 岩波書店 (@Iwanamishoten) 2014, 9月 7
日本評論社在庫僅少本僅かに入荷しました 日本評論社の倉庫から根こそぎ仕入れましたので 店頭にでているので最後になります 『曲面の幾何構造とモジュライ』 『フィボナッチの小宇宙』 『数学まなびはじめ①②』 『リー環の話』 通販も承ります。お早めにどうぞ
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 6
【数学のたのしみバックナンバー フェア】はじめました 『数学のたのしみ06 冬 表言論の素顔』2592円(日本評論社) 表現論の素顔/梅田 亨 表現論の基本事項:思想と技法/梅田 亨 SL2から始めよう/落合啓之 行列式から始める表現論/若山正人 曲がった鏡の表現論/野海正俊
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 6
好評発売中 『数学とは何か アティヤ〈科学・数学論集〉』マイケル・アティヤ著 志賀浩二訳 2700円(朝倉書店) 20世紀を代表する数学者マイケル・アティヤのエッセイ・講演録を独自に編訳した世界初の試み。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 9月 5
『函数解析と微分方程式』, 確か江沢先生が良い本だと言っていた記憶があるのでほしい. ほしい本ばかりで本当に困る. お金もないが, 時間もつらい.
2014-08-31 イベント紹介+備忘録: 9/20 に開催, 【大人のための数学講座in東京】岡潔の思想と生涯¶
【大人のための数学講座in東京】 岡潔の思想と生涯 (アンコール回) 9/20に開催致します。 明日朝にはHPにアップ致します☆ 本日は即日で満席になってしまいましたので、お早めにご予約下さい。 明日は【物理十話】ユーグリット、ガウディと「幾何」がテーマになります。お楽しみに!
— NOTHJP (@NOTHJP) 2014, 8月 30
詳細は知らないが, 数学関係のイベントということで 自分用備忘録としてメモ.
2014-08-29 女騎士とレズセックスするさんによる名言: 【数学は公式がわかればいいと思ってる勢、レトルトカレー食ってるやつと似てる。 カレーの作り方がわかればハヤシライスや肉じゃがも作れるようになる】¶
数学は公式がわかればいいと思ってる勢、レトルトカレー食ってるやつと似てる。 カレーの作り方がわかればハヤシライスや肉じゃがも作れるようになる
— 女騎士とレズセックスする⚢ (@oni_toshima) 2014, 8月 28
でも数学をやりすぎると社会から遠ざかるよ ほら東京童貞大学おりこう学部数学科を見ろ…どんどん大学院に入院していく……もう娑婆には出てこないぞ
— 女騎士とレズセックスする⚢ (@oni_toshima) 2014, 8月 28
高校数学は図形問題と数列が好きだったなぁ…微積分は公式丸暗記で扱ってたけど、大学で他学科の数学を履修したら中身が理解できて感動したのであの時の教科書類はまだ持ってる。でも細胞生物学とかいうクソ暗記科目落として死んだ。暗記科目は敵だ。
— 女騎士とレズセックスする⚢ (@oni_toshima) 2014, 8月 28
女騎士とレズセックスする⚢さんのこれ, 名言認定していきたいし, 積極的に濫用していきたい. 特にこれ.
数学は公式がわかればいいと思ってる勢、レトルトカレー食ってるやつと似てる。 カレーの作り方がわかればハヤシライスや肉じゃがも作れるようになる
— 女騎士とレズセックスする⚢ (@oni_toshima) 2014, 8月 28
2014-08-28 Scratch 用のメモ: abee2 さんのツイートから¶
その1¶
iPadで動くオープンソースのビジュアルプログラミング環境「Pyonkee」が熱い http://t.co/ofLa39ykJR
— Kazuhiro Abe (@abee2) 2014, 8月 29
大人向けのプログラミングカフェがkaidanに登場!子でもあつかえる「Scratch(スクラッチ)」というプログラムを使って気軽に、プログラミングに楽しむ「プログラミング カフェ ゲームづくりで はじめてのプログラミング」を開催http://t.co/EME9SdwELv
— kaidan (@kaidan9) 2014, 8月 29
今日、明日は青山学院大学内で開かれている、ワークショップコレクション10というイベントに出展します!Scratchで動くRapiroと、Raspberry Piではじめるどきどきプログラミング 電子部品キットを体験していただけます。 pic.twitter.com/ljxUXlTCwB
— Switch Science (@ssci_official) 2014, 8月 29
ちょっとリッチだけどiPad+ラズパイ+Scratch2MCPI Nasu-lab flavorでMinecraft Graphics Turtleプログラミングを楽しめる、ということになるね。ウィンドウの切り替えが必要無くなるので小学校低学年のこども達向けに推奨環境カモ
— DreamyPocket (@DreamyPocket) 2014, 8月 28
操作性がいまいちとか思っていましたが外部接続が持つ可能性を知ってすべてがふっとびました。ピョンキー凄すぎる!RT Scratch ベースの iPad 用ビジュアルプログラミング環境「ピョンキー」で Romo を動かしてみた https://t.co/mMU3RWtbqz
— Junya Ishihara (@jishiha) 2014, 8月 28
今日の阿部さんツイートからの Scratch 情報収集だった. Scratch のサイトでプロジェクトなども眺めてはいる. 子供達とやろうというとき, 端末の準備は Raspberry Pi を使うという手もあるのだろうか. ただ, これをやるならいろいろ調査しないとどうにもならない.
その2¶
近所の子供達と何かしたいと思っているので自分用メモ. 興味があるのを abee2 さん のツイートから拾ってきた.
これは面白いリミックスの使い方。 物語レー 第十二番目 Scratchで作成 http://t.co/yYFYYJFVOh
— Kazuhiro Abe (@abee2) 2014, 8月 28
伊地知 智香子 - 先日 公開されたScratchに基づいたプログラミング環境アプリ‼︎‼︎『ピョンキー』... http://t.co/VyY2iMnm3E
— Kazuhiro Abe (@abee2) 2014, 8月 28
津田塾大学「女子中高生のための情報・メディア工房2014」一日目の様子です。PEG提供のRaspberry PiとアーテックのStuduinoを使っています。理系志向の女子中高生がロボットプログラミングを体験 http://t.co/LVr3dyWhgy
— Kazuhiro Abe (@abee2) 2014, 8月 27
小三女子のscratchの使い方が面白い。全然いわゆる「ゲーム」なんか作ってない。CCって何かと思ったらcoloring contestなんだってさ。RPG的なのもあるけど、ゲームというよりむしろ、ちょっと動くstorybookって感じ。それも完全に、典型的な二次創作。
— mizuki (@miz3109) 2014, 8月 27
pyonkeeが凄い! - Discuss Scratch http://t.co/qYbyx4uR9k
— Kazuhiro Abe (@abee2) 2014, 8月 26
双子素数やGoldbach関係, いい加減動きを把握したいと思いつつできていない方の市民¶
ken yokoyama さんが双子素数や Goldbach のネタを再掲していた.
【再掲】双子素数も Goldbach も大きな前進があったようだが, 未解決. Terence Tao さんの Lecture が参考になるのでは: Structure and Randomness in the Prime Numbers: http://www.youtube.com/watch?v=PtsrAw1LR3E
Tao の動画も見てみたいが, この動き全く追っていないのでいい加減適当に確認したいと思いつつ時は過ぎ行く.
名古屋大の小澤正直先生の研究は数理論理を基礎にして量子測定とかもやっているという話¶
@metaphusika突然失礼いたします、小澤先生は量子集合論という分野でも業績を残していらっしゃいますよね、数理論理学の分野にも関連もある方なのですか?
— ☤Змея☤ (@k_tph) 2016年2月12日
.@k_tph小澤先生は元々数理論理学がご専門です。そのためか研究成果を物理学の方々に受け入れていただくのには色々苦労されたと聞いています。
— Hiroyuki Miyoshi (@metaphusika) 2016年2月12日
@metaphusika返答ありがとうございます!不勉強で申し訳ないのですが、今回の重力波観測に深く関わっている小澤の不等式の導出も数理論理学的な手法を用いられたのですか?「量子測定理論」、というのは小澤先生独自の理論なのですか?
— ☤Змея☤ (@k_tph) 2016年2月12日
@k_tph量子測定理論は一般的な物理学の理論です。小澤の不等式のお仕事はその精密化に当たりますので内容的には物理学,手法は数学ということになります。ただその動機にはブール代数値解析学のお仕事と関連しておそらく量子の論理や集合論を理解したいということはあったと思います。
— Hiroyuki Miyoshi (@metaphusika) 2016年2月12日
@metaphusikaなるほど…小澤先生は量子力学を理解するために、数学的な量子測定の理論と数理論理学(量子論理)の二つの側面から研究している方、という認識でよろしいでしょうか…
— ☤Змея☤ (@k_tph) 2016年2月12日
ありがとうございました!小澤先生のpdfもネットに沢山あるようなので勉強してみようと思います。
最後の認識, 小澤先生は実際どう思っているのだろう.
気にならないこともない.
『足立恒雄先生による「幾何学の公理系」と「数学基礎論」に関する連ツイまとめ』: Togetter¶
ぴあのんさんが足立恒雄先生による「幾何学の公理系」と「数学基礎論」に関する連ツイまとめというのを作っていたので.
よくわからないが, とりあえず気にはなる. メモをしておこう.
『現代数学観光ツアー 応用にも役立つ微分積分の聖地を巡礼しよう』に関する守備範囲のやりとり¶
新企画 現代数学観光ツアー 応用にも役立つ微分積分の聖地を巡礼しよう https://t.co/jKfNg8WjXr大学数学の通信講座に関する実験をしているのでぜひ参加してほしい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月14日
最近大型書店の数学書コーナー行くと年配の人で数人で来てて「この本何処何処迄読んだけど◯◯が分からなくて挫折した。教えてくれる塾とかあればいいのに…」と話し合ってる方々を度々見かける。多分、数学塾(大学以上の内容)は結構需要があると思った。
— 原子心母 (@atomotheart) 2016年3月15日
@atomotheartそういう方々、年齢どのくらいでしょうか?facebookとかで広告打ってみようかと思っていて、ターゲットに関してもいま調査しているところで
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月15日
@phasetr私の見た感じでは、四十代後半〜六十ぐらいの人が多かったです。
— 原子心母 (@atomotheart) 2016年3月15日
あとこれ.
@atomotheart多分うちの塾のことですね。。大学数学教えています。よろしくお願いいたします。
— 堀口智之 (@imakarasuugaku) 2016年3月15日
東京ローカルのリアルの教室だと, 濃くなる分, 限られた人にしか届かないのがやっぱり嫌. 薄くなっても, まずはもっと広く取ることを考えたい.
というわけで頑張る.
Jordanの曲線定理の短い証明: Browerの不動点定理利用¶
Jordanの閉曲線定理の短い証明とかいうものを読んでみたhttps://t.co/P8BLOTbqNe
— mone (@quasi_mone) 2016年3月15日
いままで、この定理の証明は読んだことなかったけど、なかなか面白かったし、本に書いてくれれば良いのにとか思った
まともに勉強したことないのであとでちゃんと読みたい.
それはそれとして不動点定理はけっこう大鉈という感じがあるがどうなのだろう. 関数解析系, とくに微分方程式界隈では基本的な道具という感じはある.
順序数ヴィジュアル化アプレットが全くわからない!¶
順序数ヴィジュアル化アプレットが面白い!http://t.co/295DSCFrN6
— ytb (@ytb_at_twt) 2014年3月18日
よくわからなかった. 順序数, $\omega + 1$ と $1 + \omega$が別物といった断片だけは覚えているのだが, 何分全く覚えていない.
もうちょっときちんとやりたいとずっと思ったまま, 十年以上経っている感じもある. 悲しい.
ブルブルエンジン兄貴のTwitter圏論講義, 自分用まとめ¶
とりあえずは結論から.
【結論】圏論は具体的過ぎてクソ、formal category theoryをやろう👊
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
何を言っているのか全く理解できていないが, とりあえず未来の自分のためにまとめておく.
圏論の基礎でとある命題を読んだぼく「なるほど」
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
その証明を読んだぼく「わからん」
Kan拡張を使って自力で証明したぼく「自明」
数学徒もうみんな寝た?
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
最近、圏論は具体的過ぎて難しいのではないかという気がしてきたんですよ
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
圏論で一番重要なのは、やはり自然変換の合成だと思うんです。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
まず自然変換の合成ができないとKan拡張の定義が理解できない。 #全ての概念はKan拡張である
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
圏論における「全ての概念」の一つである「随伴」も、通常(?)はHomを使って定義することも多いけど、自然変換の合成で定義することもできる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
そして、圏論をやっていて気付くのは、圏論の証明では「圏」「関手」「自然変換」の定義を気にすることはほとんどなくて、自然変換の計算をやっているだけで証明ができてしまう。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
すると一つの疑問が出てくる: 「圏」「関手」「自然変換」を抽象化した概念を使って「圏論」を行うことはできるか?
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
圏全体は圏Catをなすけど、CatはHomが圏になっている(自然変換が射)。そこで一般に、Homが圏になるような「圏」を2圏という。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
この2圏は先ほどの「圏」「関手」「自然変換」を抽象化したような概念になっている。例えば随伴やKan拡張の定義を知っている人であれば、直ちに「2圏の中での随伴/Kan拡張」を定義することができる
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
あ、今言っている2圏はstrict 2-categoryです。Cat豊穣圏と言ってもいい。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
こういう、2圏で「圏論」をやるのはformal category theoryと言われていて、実はいろいろなことが知られている。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
例えばStreetのthe formal theory of monadsというのがあって、これは一般の2圏の中でモナドを考察した論文だ。定義は関手の場合と同じ。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
例えば、今Cを2圏とすると、Cの中の「モナド」全体はまた2圏になることが分かる。これをMonad(C)と書くことにする。対象c∈Cを一つ取ると、恒等射id: c→c は自明にモナドになる(恒等関手がモナドになるのと同じ)ので、包含Inc: C→Monad(C) が得られる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
このIncっていうのは2-関手と言われるもので、関手の2圏バージョン。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
さて、このIncは2-左随伴(2圏の間の随伴)を持つことが知られているが、2-右随伴があるかどうかは分からない。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
ところが、実は、Cを2圏としたとき「Inc: C→Monad(C) が2-右随伴を持つならば、Cの任意のモナドが随伴から得られる(関手の場合と同じで随伴からモナドを作ることができる)」という定理が成り立つことが分かる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
関手の場合の、「任意のモナドが随伴から得られる」という定理は、Inc: Cat→Monad(Cat) が右随伴を持つ、ということに系にすぎない。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
これすごくないですか(小並Kan)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
@alg_dこれの証明に使ってるのがこのツイートの図式ですね https://t.co/FuZLN1a9i0
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
ちなみにこの話にはオチがあって、Catの場合右随伴があることをどうやって証明するかというと、T代数を具体的に構成してわちゃわちゃやる(普通の場合とあんまりかわんねぇ…)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
他にも、例えば左随伴が左Kan拡張と交換するという定理があって、 https://t.co/6K8kN2SN42に証明が置いてあるけど(kan_extension.pdfの定理6)、この証明は何が書いてあるのかよく分からない
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
@alg_d該当箇所 pic.twitter.com/GRx05r5mc1
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
この定理、実はこんな難しいことしなくても、一般の2圏で証明できる
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
左随伴が左Kan拡張と交換するのは、随伴が絶対Kan拡張であることとかいろいろ知ってれば、普通に考えれば証明できます
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
ところで圏論では、みなさんご存知の通り、Kan拡張よりもむしろ各点Kan拡張の方が重要なわけですが
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
コンマ圏の普遍性を知っていれば、一般の2圏の中で「コンマ対象」を定義することができるので、これを使って「各点Kan拡張」が2圏の中で自然に定義できます。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
ところが、V-豊穣圏がなす2圏 V-Catで「コンマ対象を使った各点Kan拡張」を考えると、これは、普段考える「V-関手の各点Kan拡張」と一致しない場合がある(Vによる。例えばV=Setの場合、V-Catは圏の圏Catになるけど、この場合は一致する)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
んでまあどうするかっていうと、「V-関手の各点Kan拡張」と一致する「各点Kan拡張」を定義することがいろいろ考えられていて、例えば2圏に「yoneda structure」を導入するという方法がある
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
yoneda structureというのは、2圏において、「Catでの米田埋込」に相当する射を公理的に導入する方法で、例えば米田に沿った米田のKan拡張がidになることなどを要求する。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
yoneda structureですごいのは、普遍随伴的な現象が証明できる
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
とまあ最近こういう感じのことを勉強してるんですけど、圏論のかなりのことが、ただの図式の計算(圏とか関手とか自然変換がなんなのかということは気にする必要がない)でそんなに難しくなく証明できることが分かって、圏論というのは具体的過ぎて難しいのではないかと思ったわけです。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
【結論】圏論は具体的過ぎてクソ、formal category theoryをやろう👊
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月22日
あと微妙に掴みきれていないが印象的な話をまとめておく.
今の話の証明を含んだ話は https://t.co/6K8kN2SN42のKan拡張PDFに書いてある。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
ということらしいが何となくツイートのまとめを入れておきたい.
今日も圏論の話するか
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
圏の例として、順序集合というのがある
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
(X, ≦) を順序集合としたとき、
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
・元x∈Xを対象とする
・x≦yのとき、xからyへの射がただ一つ存在する
・x≦yでないとき、xからyへの射は存在しない
とすると、圏が得られる。この意味で、順序集合Xを圏とみなす
ここで圏における極限というのを考えてみる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
「極限」の具体例として、直積という概念がある。集合の直積や群の直積、位相空間の直積などを一般化した概念である
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
直積の定義 pic.twitter.com/6qcvMX2HyQ
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
順序集合(X, ≦)を圏とみなして、圏Xにおける直積を考えてみる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
x, y∈Xを取り、直積x×yが存在したとしてみる。定義から、こいつは次の条件を満たす。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
・x×y≦x かつ x×y≦yである
・z∈Xが「z≦x かつ z≦y」を満たせば、z≦x×yである
つまり、x×yとは「xとyの下にある奴のうち、最大のもの」、すなわち{x, y}の下限(=最大下界)である: x×y = inf{x, y}
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
例えば、有理数全体 Q を通常の順序で順序集合、すなわち圏とみなしたとき、有理数x, yに対して直積 x×y は常に存在し、min{x, y} のことである
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
例えば、集合Aのべき集合P(A)を、包含関係で順序集合、すなわち圏とみなしたとき、S, T∈P(A) に対して直積 S×T は常に存在し、 S×T = S∩T である。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
圏論では双対というのがあって、射の向きを逆にして得られる概念を双対概念という。直積の双対を余直積と呼ぶ。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
順序集合の場合、直積は下限だったけど、その双対である余直積は上限である。つまり下限と上限は双対の関係にある。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
特にP(A)を考えれば∩と∪は双対である。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
さて、 f: A→B を写像とすると、「像」を与える写像 f: P(A)→P(B) と、「逆像」を与える写像 f^-1: P(B)→P(A) があった。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
皆さんよくご存じのとおり、 f^-1 は∩や∪と交換する: f^-1(S∩T) = f^-1(S)∩f^-1(T), f^-1(S∪T) = f^-1(S)∪f^-1(T)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
一方 f: P(A)→P(B) は∪とは交換する( f(S∪T) = f(S)∪f(T) )けど∩とは交換しない: f(S∩T) ≠ f(S)∩f(T)となる例がある
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
これはいったいどうしてなのか?
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
ここで、今の話はいったん置いといて随伴というものを考える。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
C, Dを圏、F: C→D, G: D→C を関手としたとき、組(F, G)が随伴とは、c∈C, d∈D について自然な同型 Hom_D(Fc, d)=Hom_C(c, Gd) が成り立つことをいう。(Homは集合だから、ここで同型と言っているのは全単射のことである)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
例えばXを集合として、右から直積する関手 -×X: Set→Setと、Homを取る関手 Hom(X, -): Set→Set を考えると、A, B∈Setに対して全単射 φ: Hom(A×X, B)=Hom(A, Hom(X, B))が存在するから、
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
-×XとHom(X, -)は随伴である。(φは、写像 f(a, x): A×X→B に対して、φ(f): A→Hom(X, B) を φ(f)(a) = f(a, -) で与える写像である)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
随伴 Hom_D(Fc, d)=Hom_C(c, Gd) となっているとき、Fを左随伴、Gを右随伴という。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
ここで重要な定理がある: 左随伴は余極限と交換する。右随伴は極限と交換する。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
特に、左随伴は余直積と交換し、右随伴は直積と交換することが分かる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
例えば、右から直積する関手 -×X: Set→Set は左随伴だったから、余直積と交換する。Setの余直積はdisjoint unionなので、集合AとBのdisjoint unionをA+Bと書けば、(A+B)×X = A×X+B×X が分かる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
つまりこの場合、直積と余直積で「分配法則」が成り立つ。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
同様にHom(X, -)は右随伴だから直積と交換し、Hom(X, A×B)=Hom(X, A)×Hom(X, B)である。これはHom(A, B)=「AからBへの写像全体」=B^Aと書くと (A×B)^X = (A^X)×(B^X) であり、「指数法則」ということになる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
さて、f^-1: P(A)→P(B) の場合に戻ると、この写像は実は関手になる。というのも、これは順序を保っているからである。(順序集合を圏とみなしたとき、順序集合から順序集合への関手とは、順序を保つ写像のことである)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
そして、 f^-1 は右随伴かつ左随伴であることが分かる。つまり、 f^-1 は直積・余直積の両方と交換する!
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
つまり、さっきの f^-1(S∩T) = f^-1(S)∩f^-1(T), f^-1(S∪T) = f^-1(S)∪f^-1(T) は、f^-1 が左随伴かつ右随伴という定理のただの系なのである。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
一方、 f は左随伴だけど、右随伴にはならない。よって余直積と交換すること( f(S∪T) = f(S)∪f(T) )は言えるけど、f(S∩T) ≠ f(S)∩f(T) は言えないのである。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
(むしろ、f(S∩T) ≠ f(S)∩f(T) から、 fが右随伴とならないことが言える)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
(むしろ、f(S∩T) ≠ f(S)∩f(T) から、 fが右随伴とならないことが言える)
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
さて、f^-1: P(B)→P(A) が左随伴かつ右随伴になるということを示すためには、関手 F, G: P(A)→P(B) で、
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
「Hom(F(S), T)=Hom(S, f^-1(T))」
「Hom(f^-1(S), T)=Hom(S, G(T))」
となるものを
見つけなければならない。これはどうやったら分かるのか?
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
それはKan拡張から分かるのである #全ての概念はKan拡張である
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
まず、先の F が「fに沿った左Kan拡張」f†、Gが「fに沿った左Kan拡張」f‡、になることが、Kan拡張の定義からすぐにわかる。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
そして、各点Kan拡張によりf†, f‡を計算すると、
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
f†(S) = f(S),
f‡(S) = B\f(A\S)
となることが分かる。(f‡(S)は Sのsmall imageなどと言われるものらしい……)
こうしてまた全ての概念がKan拡張であることが分かってしまったのである。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
今の話の証明を含んだ話は https://t.co/6K8kN2SN42のKan拡張PDFに書いてある。
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
あと何かやりとり.
前から気になってたけどfが単射のときfと共通部分って交換するけどこれも随伴の存在から言えたりするのでしょーか?
— 意識 (@concious77) 2016年4月23日
@concious77fが単射だとfの左随伴が構成できそうで、構成できると極限と交換するから∩と交換しますね
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
@concious77fが単射だとfの左随伴が構成できそうで、構成できると極限と交換するから∩と交換しますね
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
@concious77たぶんf: A→Bが単射でb∈B\Aのとき、 F: B→P(A) を F(x) := 「f(a)=xとなる a(そういうのがないときはb)」と定義すると、(2-豊穣圏としての) Kan拡張 y†F: P(B)→P(A) が fの左随伴になりそう
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
f^-1の話は、Kan拡張感動ポイントとして最も簡単な話だと思うので、これ以外の話をしようと思うと話がもっと難しくなってしまう
— リロード・オン・アルゴドゥー (@alg_d) 2016年4月23日
最近全くやれていないが研究用に代数解析を勉強したくて, そのために圏論を勉強をゆるふわスタイルでゆるく勉強している. その辺の参考になるし, ブルブルエンジン兄貴, どんどん謎の人になってきていてすごい.
あの川添愛『白と黒の扉』の続編『精霊の箱』が 2016/10/27 に出るので買わねばならない¶
『精霊の箱』上下巻の書影出ました! 前作に引き続き、今回もかっこいい魔法書仕様です。そして上巻の帯の推薦文は、なんと浅井健一先生!!
— Ai Kawazoe (@zoeai) 2016年9月28日
精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 川添 愛 https://t.co/CO0DUe2Wff@amazonJPさんから
そして下巻の書影はこちら。帯の文章もぜひご覧ください!
— Ai Kawazoe (@zoeai) 2016年9月28日
精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 川添 愛 https://t.co/TDrKvZFCif@amazonJPさんから
前著『白と黒の扉』もものすごい面白かった. 必読だ. 買わねば.
川添愛『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』に続編が出るという¶
【宣伝】夏の読書に、『白と黒のとびら』はいかがですか? 10月に続編出ますので、未読の方は今のうちにぜひ!
— Ai Kawazoe (@zoeai) 2016年8月8日
白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険 https://t.co/fKRfjpRq2y@amazonJPさんから
出たら買わなければ. メルマガでも布教しよう. 楽しみでならない.
正則な$L^2$の非存在問題: あとでもっとちゃんとまとめたい¶
@f_tangent突然なんですが解析関数はL^2の中で稠密になったでしょうか?C_c^inftyだったら当たり前ですがどうだったか気になって合っているか怪しくなってきてしまって。ワイエルシュトラスあたりから自明っぽいと思いつつ何か不安になったので
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月20日
@phasetr定義域が複素平面の有界な開集合ならすぐ分かりますが, 非有界だとちょっと分かりません
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年5月20日
@f_tangentちなみに複素の有界開集合だと何で楽です?
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月20日
@f_tangent実数全体でのe^xとか明らかに可積分ですらないし全然ダメですね。何か適当に制限すればいけるのかもしれません。ハーディ空間とか?あとでまた考えて調べてみます。お手間とらせて申し訳ないです
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月20日
@phasetrそのうえの多項式が自動的にL^2になるのがクリティカルっぽくて, あとは与えられたL^2関数にmolifierしたものを多項式で近似して終わりだと思いました(調べてないので間違ってるかもしれません)
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年5月20日
@f_tangentmolifyの発想を割と真剣にすっぽり忘れててやばくて泣きたい。ありがとうございます
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月20日
@f_tangentmolifyの発想を割と真剣にすっぽり忘れててやばくて泣きたい。ありがとうございます
— 相転移P (@phasetr) 2016年5月20日
ハーディ空間全く関係なかった. それはそれとして, derived_kaiさんにコメント頂いたのでそれもメモ.
@f_tangent@phasetrどうでもいいけど "l" はふたつです.L^2 だけに.
— Καῖνος (@derived_kai) 2016年5月21日
@f_tangent@phasetrどうでもいいけど "l" はふたつです.L^2 だけに.
— Καῖνος (@derived_kai) 2016年5月21日
@f_tangent@phasetrあー,有界の場合でも複素平面で考えてるならダメだとおもいました.なんでかというと,有界領域上の正則な L^2関数の L^2 での極限は自動的に正則になるからです.これも平均値の定理とヘルダーの不等式の帰結です.
— Καῖνος (@derived_kai) 2016年5月21日
@f_tangent@phasetr平均値の定理とヘルダーの不等式を使うと L^2-ノルムの評価から各点での評価ができてしまうからです.あとは広義一様収束で正則性が保たれることを用います.(L^2 で収束するなら a.e. で収束する部分列を持つことも用います.)
— Καῖνος (@derived_kai) 2016年5月21日
@f_tangent@phasetr(訂正: a.e. で「同じ極限関数に」収束することを用います.)
— Καῖνος (@derived_kai) 2016年5月21日
正則な$L^2$に関してちょっと調べたらこんなの出てきた.
- http://www.ihes.fr/~gromov/PDF/5[101].pdf
- http://math.stackexchange.com/questions/129898/characterizing-holomorphic-functions-in-l2-bbb-cn
後者の質問はこれ.
One of my homework problems this week is to "characterize all holomorphic functions in $L^2 (\mathbb{C}^n)$". I'm sorry for not being able to provide much work on my progress, but that is because I really don't know where to begin. Any help would be greatly appreciated!
ここにある証明がめっちゃいい. これは自分用にきちんとまとめたい. 正則性と可積分性, ものすごい食い合わせ悪いのか. 一致の定理もあるし.
可積分性から見た$C_{c}$, $C_{c}^{\infty}}$の使いやすさも特筆すべきということもちょっとわかった. 私自身どれだけ積分論わかってないの, という感じも出てとてもつらい.
$p$進を勉強するための本: Koblitz, p-adic Numbers, p-adic Analysis, and Zeta-Functions; Schikhof, Ultrametric calculus An Introduction to p-Adic Analysis¶
前から気になっていたことに関してTwitterで投げたら教えて頂いたので念のため記録.
緩募 p進数のいい本またはPDF。Cpは完全不連結とか有界閉からコンパクトが従わないという性質があるとか何とか聞いているので、そういうところがちゃんと書いてあるやつがいい
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月4日
これに対して鍵アカウントの方から次の二冊を教えて頂いた.
- Koblitz, p-adic Numbers, p-adic Analysis, and Zeta-Functions
- Schikhof, Ultrametric calculus An Introduction to p-Adic Analysis
$p$進もちゃんと勉強したい.
「微分できない関数ってあるんですか?」に対する工学部の学生とやらの返答が衝撃的だったので¶
現代数学観光ツアーのための調べものをしていたらまたつらいものを発掘してしまったので.
https://t.co/UGyyUe83DC【「微分不可能」ということばはありません(笑)去れ】なんだこれ。
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月19日
【数学を道具とみなす工学部の学生には観念の遊びとしか思えませんが。】https://t.co/GjBQslvLqC自分の不勉強と発想の貧困さを知ろう
Yahoo! 知恵袋から引用しておこう.
微分できない関数ってあるんですか?
大学の講義の問題で「微分できない関数はあるのか?また、あるとしたらその例を示しないさい」というものがあったのですが、調べてもあんまり出てこず… 書籍などを調べないと無いのかな、とも思ったのですが、知っている方がいたら教えてくださいませんか??
※「0」が微分できるのは知っています
最後のコメント, 凄まじいピント外れ感があって, 凄まじい衝撃を受けている. 何の意味があるコメントなのだろうか.
微分の定義。 lim[f(x+h)-f(x)]/h を計算しても収束しない(ひとつの値や関数にならない)場合は、微分不可能です。
直感的には、連続だがぽきっと折れている関数、たとえばy=|x|はx=0で微分不可能。
他には、連続でない場合、たとえばy=-1 (x<0),y=0(x=0),y=1 (x>0)はx=0で微分不可能 y=1 (xは有理数)y=0(xは無理数)はいたるところで微分不可能
ベストアンサーだがところどころおかしい. 「計算しても収束しない(ひとつの値や関数にならない)」というのがかなり厳しい.
moriinahonさん nakanaka1135negurushikuteさん と hamaguchi_masaru_415さん は× 「微分不可能」ということばはありません(笑)去れ
狂人である.
mieher_maniaさん
ペアノの曲線なんかが有名ですね。
数学を道具とみなす工学部の学生には観念の遊びとしか思えませんが。
道具なら徹底的に使い倒すのが工学の人間では. そして冒頭のツイートで紹介したようにペアノ曲線を応用しようという頭がおかしいちゃんと工学者がいる. 直接には何の応用もなさそうで何の役に立つかわからなそうな素因数分解ですら, 最近の暗号理論の基礎になっているし, 有限体 $\mathbb{F}_{p}$ も符号理論のような応用がバリバリある.
こういう工学部生, もう少し自分の発想の貧困さやら攻撃力不足を本気で反省すべきだろう. 情けない.
というか, ペアノ曲線を工学的に応用しようと思いはじめて 最初に研究した異常な人, どんな人なのだろう. 論文読めばそういうのもちゃんと論文引用してあったりはすると思うが.
実数空間 x∈R で定義された関数 f(x)=0 if x∈Q f(x)=1 if xnot∈Q はいたるところ不連続 => 微分できない
なんて例だと 連続でいたるところ微分できない関数はないのか といわれそうなので ワイエルシュトラス関数 http://tinyurl.com/z57b6b9 なんかのほうがいいかもしれない
それは数学の人間の発想で, ふつうの人, そんなこと気にも留めないだろう.
何にせよ, 自称工学部の学生, あまりにも厳しい. 攻撃力が足りない.
物理や数学の一問一答集を求められたので¶
やりとりの備忘録ついでのまとめ.
@phasetr質問なんですが、大学レベルの数学、物理って、一問一答形式の問題集になりませんか、問題点を細分化、分析していけば一問一答化できるような気もするし、それができれば、数物に興味持ってる人たちにとってハードルが下がると思うのですが。
— わさりぃ (@pinocc_sakusaku) 2016年6月18日
@pinocc_sakusaku物理に関してはそれっぽいのがあります。ただ少し突っ込んだことをやろうとすると前提知識がガンガン増えていくので、受験の地歴であるような単純な知識の暗記的な感じでは厳しいでしょう。続
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月18日
@pinocc_sakusaku数学でも既存の反例集はありますが出てくる反例が高校生でもわかる例はあるものの「どうやったらそんなの思いつくんだ」というクレイジーなのたくさんあります。
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月18日
@phasetr返信有り難うございます。
— わさりぃ (@pinocc_sakusaku) 2016年6月19日
@pinocc_sakusaku物理のはこんなやつですhttps://t.co/H2o3nrNFOdhttps://t.co/MVHB4Le3NF
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月19日
@phasetrありがとうございます。近所の図書館においてあるようなので明日見てみます。
— わさりぃ (@pinocc_sakusaku) 2016年6月19日
こういうのもアレだが「素人が思いつくことは専門家ならだいたい考え尽くしている」的な事案なのだろうか. この場合はやってみたいが私の能力が追いつかない事案であって, 私が教育については専門家でもなんでもないという話もある. 何にしろ誰かが思いつくことはだいぶ前に誰かがちゃんと思いついているという話ではある. また粛々と頑張ろう.
見かけた本に関して著者にリプライで聞いたら献本してもらえることになったでござるよの巻¶
何かTwitterしていて見かけた本を著者の2人と相互フォローだったしちょっと聞いてみよう, そう思ったら献本してもらえることになったでござるよの巻.
まずは長谷川さんの方から.
@phasetr@kazzhori朝倉の編集の方がつけたので、特に深い意味はありませんが、解析の人と代数の人の共著というのがいろんな点でちょっとづつ書き方に現れたかもしれず、そこが新しいかもしれませんw
— koji hasegawa (@myfavoritescene) 2016年6月19日
@myfavoritescene@kazzhori代数・解析的にPaulへの挑戦でしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月19日
@phasetr@kazzhoriいや、もっと初等的レベルです
— koji hasegawa (@myfavoritescene) 2016年6月19日
ややネタ的な応答だったが, 予想外に真面目な回答になってしまったので恐縮した. そして堀畑さんからのコメント.
@myfavoritescene@kazzhorihttps://t.co/HYFGIuO7Knこれの「新しい」というの、具体的にどんなところが新しいのでしょうか?いま常微分方程式の本を漁っていて、あまりたくさん買い込める余裕があるわけでもないので選抜しているところでして
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月19日
@phasetr@myfavoritescene新しいと言うのは、教科書に掛かる言葉なので、内容が新しいと言うわけではありませんw というか(多分)常微分方程式で新しい結果と言うのは、それこそパンルヴェ先生のやられているような、代数解析的なアプローチ(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
岡村の『常微分方程式』の本は, 著者本人の仕事である岡村の距離とか何とかいう概念を導入し, それを軸に議論されているユニークな本, とかいう話がある. そういう感じで何がしかの類書にない特徴があるのだろうと思って聞いてみたのだが, 何か想像以上にいろいろコメントしてもらえて恐縮した. そのまとめをしておこうというのが以下の話.
@phasetr@myfavoritescene新しいと言うのは、教科書に掛かる言葉なので、内容が新しいと言うわけではありませんw というか(多分)常微分方程式で新しい結果と言うのは、それこそパンルヴェ先生のやられているような、代数解析的なアプローチ(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
このパンルヴェ, いわゆるいつもの Paul でいいのだろうか.
@phasetr@myfavoritesceneか、完全に応用になると思います。もちろんそれ以外にもありますが、学会での話しを聞く限り非常に技巧的な職人芸としか思えないものが多いので、2,3年生の教科書の内容としては、まったくふさわしくないと思っています(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
以前数学界で座屈に関する常微分方程式の話を聞いたことがある. ああいうのは工学でも興味がある話なのだろうか, というのはいつも思っている. 工学の感覚ないし, 常微分方程式としての面白さもよくわからないので, どうコメントをつけたらいいかもよくわからない.
@phasetr@myfavoritesceneこの本の新しい点は、なぜ数学科以外の学生が微分方程式を学ぶのか? 微積分がどこで使われるのか? 計算の過程をできるだけ丁寧に説明するなど、2年生に実際教えていて、アンケートなどでの学生の素直な感想に応えた点です(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
この辺は確かに気になった. 参考にしたい.
@phasetr@myfavoritesceneこれをすると年上の先生からは、なぜここまでやるのか?とか文句を言われるのは分かっていますがあえ必要だと思いやりました(内容はもう少し簡単でもよかったのですがw)内容rとしては、東大の坂井先生の本をやさしくして(続く)
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
坂井先生の本は読むべき本リストに突っ込んでいる.
@phasetr@myfavoritescene大阪工大?の真貝先生の本の内容を数学的に深く解説したような感じです。大変さしでがましいのですが、ブログを読ませていただいてるので、もしなんでしたら、相転移さんのほうでさしつかえなければ献本しますw
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
@kazzhori@myfavoritescene本当ですか。欲しいです。めっちゃ読みます。
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月19日
@phasetr@myfavoritescene相転移さんなら、4日あれば読めると思います。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
@phasetr@myfavoritesceneじゃあ堀畑までメールください。あと、章末の演習問題は解答をwebに載せるのですが、tex のタイプミスなどご指摘して頂けると助かります。これは別途送らさせて頂きます。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年6月19日
楽しそう. あとで読んだ感想をまたブログにまとめよう. 考えてみると常微分方程式の数学の本はまともに読んだことがない. 学部の頃は講義で正規の常微分方程式の解の存在と一意性の一般論はやったが, 読んだ本は具体的な微分方程式に関する演習系の本を参考署にしていたくらいで, 理論系の本は一冊も持っていないし, 本当に読んだ記憶がない. とても楽しみ.
そういえば大谷先生の本も読みたい. 先日お会いしたとき, 特性曲線の方法, 傾きが無限大になったりするところの扱いが雑な本が多いからそういうのをきちんと書いたとか何とか言っていた. 今になって常微分方程式の勉強をするとは思っていなかったので, 人生わからないものだ.
環として無限集合で素イデアルが有限個しかない環の例¶
Twitterで募集をかけたらたくさんの例を教えて頂いた方の市民.
緩募 環として無限集合で素イデアルが有限個しかない環。
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
— knottyknot (@knottyknot) 2016年6月30日
@knottyknotやはり真っ先に来るのは体ですか。さっきトチ狂って「体の極大イデアルには自明なのしかなくて、非自明なイデアルはたくさんあるのだったろうか」とか思ってしまって不安になったもので
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
@phasetr勉強しはじめはどうしてもいろいろ勘違いしますね
— knottyknot (@knottyknot) 2016年6月30日
@knottyknot学部の時にやって以来ほぼ触っていないとはいえ、この勘違いは死にたくなるレベルで反省しました
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
その次. ゼリーさんから.
@phasetrZ_pとかどうでしょう。
— ゼリーさん (@Jelly_in_a_tank) 2016年6月30日
@Jelly_in_a_tankありがとうございます。ちなみに素イデアルは具体的に何になるのでしょうか?
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
@phasetrpで生成されるものが極大イデアル、0がもうひとつの素イデアルです。ちなみに任意のイデアルはpべきで生成されて包含関係にあります。
— ゼリーさん (@Jelly_in_a_tank) 2016年6月30日
$\mathbb{Z}_p$, もうちょっと勉強したい. 岩澤健吉『代数函数論』も本質的に積読のままだ. 秋月康夫『輓近代数学の展望』も本質的には積読のまま. とても悲しい.
魔法少女から.
@phasetr有限(離散)集合上の実数値または複素数値(連続)関数の成す可換C^*環はどうですか
— ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ (@functional_yy) 2016年6月30日
@functional_yyそいであると極大イデアルが一致するしよく知っているしで思いつきはしたんですが、具体的に有限集合に叩き落とせばいいというところまでちゃんと落としきれませんでした。ありがとうございます。これはありがたい
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
のらんぶるさんから.
@phasetr無限体!
— のらんぶる (@nolimbre) 2016年6月30日
@nolimbreありがとうございます。ちなみに体にならない純粋な環だとどんな例があるでしょうか?Z_pや有限な位相空間上の可換C*環は教えて頂いたのですが、他にも何かあるかなと思って。代数弱すぎてとてもつらい
— 相転移P (@phasetr) 2016年6月30日
@phasetrK が無限体のとき K[T]/(T^2) とか K[[T]] とか(DVR という点で Z_p と同類ですが)も例ですね.あと,その条件を満たす環の有限個の直積をとっても条件を満たしますね(素イデアルの個数は増える)
— のらんぶる (@nolimbre) 2016年6月30日
ちょろっと聞くとたくさん教えてもらえるTwitterと数学関係者, とてもとても素晴らしい.
『Sorgenfrey直線とかいう反例界のレジェンド』 by なんJ位相空間部¶
Sorgenfrey直線とかいう反例界のレジェンドwww
— なんJ位相空間部 (@nanJ_topology) 2016年7月1日
第一可算だけど第二可算ではない
Lindelofだけど第二可算ではない
正規だけど直積は正規ではない
パラコンパクトだけど直積はパラコンパクトではない
パラコンパクトだけど距離化出来ない
ぐう有能
なんJ位相空間部はフォロー必須botだと思っている. 「何でそんなの知ってるんだ」としか言えないような面白いお役立ち情報満載で, いつも感心している.
証明まできちんとまとめてmath-textbookにまとめ, 現代数学探険隊にも反映させたい.
2016年度1学期 数学の楽しみ1D: 松本佳彦さんの講義資料¶
松本佳彦先生のこの講義( https://t.co/Xr314bYLFW)のノートを拝見している。次回は数学の文章の書き方の話のようなので、とても楽しみ。
— takey_y (@takey_y) 2016年6月21日
松本さんの講義資料. なかなか面白そう. 現代数学観光ツアーおよび現代数学探険隊でも参考にしたい.
$p$進, それは君が見た光: 結城浩さんのやりとりまとめ¶
ℚのp進完備化って、集合としてはℝですよね?距離が違うだけですよね?わたし、変なこと言ってる?
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
みなさん優しくてありがたい… m(_ _)m
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
てか、オススメされて大人買いしていた本を読むべきではないのか
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
"p-adic Numbers"をぱらぱらみてた。なんかとてもたのしそうである。はじめのほう(だけ)はよめそう。
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
@hyuki距離も違いますが、代数構造もかなり違ってますね。例えば、pが4で割って1余る素数ならQpには-1の平方根が入ってますし…数列の同値類の集合という以上には似てないかも⁈
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016年7月2日
@FumiharuKatoリプライありがとうございます! m(_ _)m
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
@hyukiいえいえ、こちらこそお返事頂いて光栄です(^ ^)
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016年7月2日
@FumiharuKato (^^)
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
@hyuki濃度が同じなので完全に違うとは言えませんが、代数構造と位相構造がどちらも大きく異なるので別物と思う方が適切です。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016年7月2日
@tenapyonありがとうございます。はい、まったく違うのは理解しています。そうか…わたしは濃度を気にしていたのかな…両者の対応付けを考えていたので、そうなるのかな…
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
@hyuki例えば平面と直線を同じと見ない目では、p進数体と実数体を同じには見えません。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2016年7月2日
@tenapyonああ、なるほど。そうなりますね。やはり濃度を気にしていたようです。ありがとうございます。
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
@hyuki距離だけじゃなく代数としての構造も違います.たとえば Q の 5-進完備化には -1 の平方根があります (a_0 + a_1.5 + a_2.5^2 + ...)^2 = -1 という方程式を解いてa_0=2,a_1=1…とa_i∈{0,..,4}を決められます)
— のらんぶる (@nolimbre) 2016年7月2日
@nolimbreありがとうございます (^^)うれしい
— 結城浩 (@hyuki) 2016年7月2日
あと何か関連ツイート.
結城さんのはもしかすると「実数の p-進法での小数展開を考えると,位相を無視すればだいたい p^{-1}-進数みたいな感じ」というよいなことが頭にあったのかな.(p=10 かもしれないけど)
— のらんぶる (@nolimbre) 2016年7月2日
小数展開が一意じゃないのが p-進数との差かな(濃度には影響を与えてないけど)
— のらんぶる (@nolimbre) 2016年7月2日
そして我らがp進大好きbot.
(結城先生・・聞こえますか・・濃度は同じですが・・自然な全単射はありません・・体としても同型ではありません・・)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年7月2日
待てよ、p進数の方が実際の数という見方をしている人がいたら、p進数のことを実数と呼んでいる可能性も否定出来ないし、その場合はRでp進体を表したい気持ちも分かるので、もはやR=Q_pと言っても過言ではないのではなかろうか。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年7月2日
p進解析もいつかちゃんとやってみたい.
謎の錯視コンテンツ: 東大名誉教授 杉原厚吉さんの仕事¶
Twitterで謎の錯視コンテンツが流れてきたので.
ツイート内に出てくる「杉原厚吉」さんは 東大の数理工学の教授だったので広い意味で数学畑の人だ. あと東大の数学の教官で数理視覚科学とかいって, 錯覚の数理・視覚の数理を研究している人もいる.
画像処理みたいな実学への応用もあるそうで.
こういうネタを自分でもやれれば一般へのフックも少しは作れるんだろうな, と思いつつ能力的に追いつかない. とても悲しい.
2016-07-02望月新一さんが115ページの新たなサーベイを出したという¶
ABC予想解決?の望月新一先生が、自身のホームページで115ページの新たなサーベイ(概説論文)を発表!
— math_jin (@math_jin) 2016年7月4日
(2016.7.2)
さらっと衝撃的な内容を散りばめているその内容とは?https://t.co/sYmCfagqXIpic.twitter.com/MvYaaPECk0
"one obstacle that often hampers the progress of mathematicians in their study of inter-universal Teichm¨uller theory is …
— math_jin (@math_jin) 2016年7月4日
…a lack of familiarity with such classical theories, many of which date back to the 1960’s or 1970’s [or even earlier]! "
— math_jin (@math_jin) 2016年7月4日
宇宙際タイヒミューラー理論の研究において数学者の進展をしばしば妨げる1つの障害は、そのような古典論の熟知の欠如です。そして、それの多くは1960年代または1970年代にさかのぼります[またはさらにより早い]!
— math_jin (@math_jin) 2016年7月4日
すぐに追いつけないがとりあえずメモしておこう.
Grothendieck流の現代的なGalois理論のPDFをまとめたという話があったので¶
Galois理論入門PDF(全14P)が完成しました。Grothendieckに倣ったちょっと現代的なGalois理論を紹介しています。これからGalois理論を学んでみようという方もぜひ読んでみてください!https://t.co/rZ2iqi5bm0
— 飛鳥 (@Asuka_Tsukimi) 2016年7月4日
Galois理論入門PDFの改訂版をアップしました。
— 飛鳥 (@Asuka_Tsukimi) 2016年7月7日
誤植を幾つか直したのと、証明を一部簡単なものに差し替えました。全12Pです。https://t.co/X2X5hzPN1Y
現代的なGalois理論というあたりが気になる. とりあえずメモだ.
cauchy_schwarzさんとのやりとりがあってそれも記録したいのだが, 鍵アカウントなのでできないので切ない.
組合せ最適化問題としてのぷよぷよの連鎖数判定問題(計算量理論): 能登だでぃ子さん筋の情報¶
インターネットの話やめて東方Projectの登場人物の顔の話をしていいですか? チルノをはじめ妖精の顔立ちは成長を迎える前の憎らしくも愛らしいものとして描かれているのに対してレミリア・スカーレットさんの顔立ちは幼いながらも月のような冷たさを湛えた美貌なの脳によすぎないですか?
— カニが死んだ2013 (@ntddk) 2016年7月4日
@ntddkそこで数学です
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月4日
@phasetr近頃は組合せ最適化に関心があります
— カニが死んだ2013 (@ntddk) 2016年7月4日
@ntddkいいPDF教えてください
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月4日
@phasetrよいかどうかは別として https://t.co/DjlbVwpbQ5は読みものとしておもしろかったです
— カニが死んだ2013 (@ntddk) 2016年7月4日
読もうと思ったら有料と言われて読めなくて泣いた. 本当に悲しい. 著者に問い合わせるともらえたりするだろうか.
でもこの論文, 前もTwitterで見かけた気がするし, このサイトのブログの記事のどこかでも紹介というかメモした気はする.
「世界は数式でできている」資生堂作成動画: 数理女子から¶
【新着記事】「世界は数式でできている」資生堂作成動画https://t.co/owzK6IymqK #数学#女子#資生堂#数式
— 数理女子 (@suuri_joshi) 2016年7月12日
資生堂がこんなことをやっているのかとちょっとびっくりしたので.
測度の完備化はLoeb測度の構成に使えるという魔法少女筋の情報を記録する¶
ちょっとつぶやいたら魔法少女に教えてもらったので.
測度の完備化、どんなところで使うのだろう。ふだんほとんどボレルでしかやっていなくて勘がつかめない
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月5日
@phasetr Loeb測度空間の構成
— ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ (@functional_yy) 2016年7月5日
@functional_yy リアルに知らない世界だ
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月5日
魔法少女はいつも私に魔界を見せてくれる.
等しいことと同型の違いがくっきりわかるいい例を探している¶
一つコメント頂いたので記録.
緩募 適当な集合とか数学的対象が等しいことと同型なのが決定的に違う例。「決定的に違う」というのは well-defined ではないので適当に判断して頂く方向で
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月4日
@phasetr数学的対象が構造を持つ集合で同一なら同型であってその同型射は必ず全単射だけど、ある圏の2つの対象が同型であってもその同型射は全単射でないというようなことはあり得ますね(https://t.co/MOeTUXxRYAにそのような例が挙げられていますが)
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2016年7月5日
@CharStreamありがとうございます。何と言ったらいいか自分でもよくわからないんですが、適当な(コンパクト)群の忠実な表現を考えると、例えば無限次元ユニタリ表現の時、元の群とユニタリ作用素(のなす群)はだいぶ趣違うはず、みたいなのがもっとすっきり見える例ないかな的な話です
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月5日
何かいい例をご存知の方はぜひ教えてほしい.
数学から見た解析力学の良書探求の旅: tmiya_さんに教えて頂いたメモ¶
tmiya_さんに教えて頂いたので.
緩募 数学サイドからの解析力学のいい本。バリバリ多様体使う感じである程度抽象的、一般的なのがいい。割と具体的なのはアーノルドがあるこら
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月6日
@phasetrhttps://t.co/DY6NUFZw3S
— Takashi Miyamoto (@tmiya_) 2016年7月6日
@tmiya_めっちゃ良さげだ。ありがとうございます
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月6日
何となくMarsden, Ratiu の Introduction to Mechanics and Symmetryが良さそう? あとちょろっと探していてFrankel, The Geometry of Physicsが面白そうだった. 特にFrankelのは盛り沢山で面白そう.
あと深川さんに教えてもらったシュッツの本も読んでみたい. 読みたいのがたくさんあって困る. 時間がない.
Christian Lessig, A Primer on Differential Formsがかなり面白かったので: 物理にも使えそう¶
これだ.
いくつかよさげな記述を引用する.
Differential forms are central to the modern formulation of classical mechanics where manifolds and Lie groups are employed to describe the configuration and time evolution of mechanical systems.
One of the principal applications of differential forms in modern mechanics is the mathematical description of observables: infinitesimal measurements, which, when integrated, yield a value that can be verified through real world experiments, at least in principle.
この指摘, 相当大事な気がする. 前に深川さんが言っていたこと, ようやく感じ取れたような気もする. ベクトル場はフローを生成する的なアレは数学的にはわかるし, 気分的には感じるがまだ腑に落ちていない.
In fact, whenever one encounters a line integral, what one is integrating is a 1-form, even if the computation is classically stated using vectors. For example, any classical physics book will present a Newtonian force as a vector, but more correctly a force should always be considered as a 1-form.
これ, 何となく良さげな記述なので記録しておきたい.
A zero dimensional manifold is a point, and hence ``integration" of such forms amounts to evaluation
この観点はなかった. メモ.
これ良さそうだ. 現代数学観光ツアーでも紹介しとこう.
「Kan拡張の勉強してたらついにLebesgue積分が出てきた」 #全ての概念はKan拡張である¶
Kan拡張の勉強してたらついにLebesgue積分が出てきた #全ての概念はKan拡張である
— 聖選アルゴドゥー (@alg_d) 2014年3月10日
@alg_d文献教えて下さい
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月10日
@phasetrhttp://t.co/OUNetR4zZX
— 聖選アルゴドゥー (@alg_d) 2014年3月10日
@alg_dありがとうございます
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月10日
@sub_kbs普通に測度空間上の積分の話です
— 聖選アルゴドゥー (@alg_d) 2014年3月10日
いつ読めるかわからないがとりあえず記録しておく.
PurpleCometという数学コンテストの宣伝協力: 加藤文元さんのツイートから¶
私はPurpleCometという数学コンテストの問題の和訳を、もう随分前からやっているが、コンテスト参加チームのリストを見ると日本からの参加は極度に僅少で、しかもアメリカンスクールだけ。私の和訳は本当に使われているのだろうか?それにしても、なぜ日本の中学高校の参加が少ないのか?
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016年6月24日
@FumiharuKatoこれ↓https://t.co/nxo5Eym7Fj
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016年6月24日
【拡散希望】PurpleCometをもっと多くの中高生や現場の教育者の人たちに知ってもらうべきだと思うのでRT。公式HPは https://t.co/nxo5Eym7Fjです。次のツイートで日本語訳の最初のページを紹介します。 https://t.co/xgaLWthKmS
— 加藤文元 (@FumiharuKato) 2016年7月5日
いつからなのかはわからないが, 私が所属していた中学だとこんな情報全く入ってこなかった. 学業的にあまりよろしくない地域ではあったが, そういうのはとても悲しい.
あと高校も大学に行く生徒の方が多いという意味では進学校だったが, あまり学術関係の情報は入ってこなかった. 高校 2 年のとき, 近所の東大で (当時) 計数工学科のオープンキャンパス的な催しがあり, それには先生から「行ってみる?」と声をかけてもらえた. 大学どころか院くらいになってから数理の翼だとかいろいろな催しがあることを知ったし, 実際に Twitter で交流がある (場合によっては超がつくレベルの進学校所属の) 中高生が そういうイベントを知っていて参加していることを見ると, 中高の頃の自分が本当にかわいそうになる.
というわけで地道に宣伝協力していくのだ.
整数, 有理数, 実数, などなどは数の属性で, 分数・小数は数の表記の属性¶
この記述がさっぱりわからない・・・「1.2や0.4のような数を小数といい、「.」を小数点といいます。0,1,2,3,...のような数を、整数といいます。」3.0は小数ですか?整数ですか?「整数で表される数、だが、小数」ですか?
— norico arai (@noricoco) 2016年7月12日
算数での分数・小数は有理数(とは勿論言わないけど)の表記として扱われるから、整数の小数表示ということでオーケー?>RT
— MER (@MathEdr) 2016年7月12日
@MathEdrまじめにお答えすると、整数、有理数、実数、などなどは数の属性で、分数・小数は数の表記の属性です。「3.0は小数ですか? 整数ですか?」は「犬は漢字ですか? 動物ですか?」と同レベルのナンセンスです。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年7月12日
恥ずかしながらこの辺真面目に考えたことがなく反省した.
『Π2述語が解読できないとかよりもっと根本的な問題、学生はそもそも数学における変数の扱いを知らない、束縛変数と自由変数の区別も理解できない』嘉田勝さんのツイートまとめ¶
そういえば「学生はなぜ数学の証明を書くのが不得手か」という語り尽くされた問いを、今朝通勤途上に考えてふと思ったことがあるので連ツイ。(要旨)Π2述語が解読できないとかよりもっと根本的な問題、学生はそもそも数学における変数の扱いを知らない、束縛変数と自由変数の区別も理解できない。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaru学生が「見かけ上解けるが実際はわかってない」:Π1命題の証明。たいてい変数を単なる記号として同値変形して自明な命題に変形するのはできる、でも「∀導入」に相当する思考をしていない。嘉田は「何らかのxが与えられたとせよ」という一文を真っ先に書けと口酸っぱく説教
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaru嘉田が若気の至りで数セミ記事で「0点!」と評したのが学生のΣ1命題の証明の典型例。xの条件を同値変形して自明に ∃x が成り立つ形に書き換えてるだけの答案。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaru「∀導入」「∃除去」の推論パターンを、そもそも学生が「知らない」恐れは大きい。「xを任意にとって固定せよ」などと最初から書ける学生はいないし、なんらかの存在が仮定されているときに「その存在するものをyとする」という文言も書けない。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaruあとよく見かけるのは「すべての実数は2乗すると非負」→「すべての実数 x について x^2≧0」みたいに、暗黙的な全称命題を見て束縛変数を補って述語論理の全称文に変換するのができないケース。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaruそれで最近思うのは、学生が証明の書き方を理解できない困難のひとつは「数学における変数の使い方」ではないか?ということ。xやyを単なる「計算可能な記号」とみなして機械的操作をしても大学入試数学までは対応できてしまって、学習の機会を逸しているのではないか?
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaruそれで大学1年の微積授業とか、卒研配属直後のゼミ性なんかに、私がよく持ち出す例。「$\sum_{k=1}^{n}k^2$ と書いたときの n と k は性質が違う変数だ、どう違うか解る?」と学生に問う。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaruまとまりがなくなってきたけど、学生がεδの証明を書けない、Π2文を証明できない、というのは、述語の構文的複雑さとかそういう問題よりずっと手前の、「変数とは何か」「数学では変数をどう捉え扱うのか」というレベルで学生が解ってない可能性まで考えなきゃ、と思う。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年7月11日
@kadamasaru数学的帰納法で "n=n+1 のとき" と書く学生が時々いるのですが,これも変数がわかってないのかも知れないと思ってます.まさかそういう書き方を教える高校の先生がいるとは考えたくないのですが.
— ただまご = 永島孝 (@tadamago) 2016年7月11日
@kadamasaru数学的帰納法で "n=n+1 のとき" と書く学生が時々いるのですが,これも変数がわかってないのかも知れないと思ってます.まさかそういう書き方を教える高校の先生がいるとは考えたくないのですが.
— ただまご = 永島孝 (@tadamago) 2016年7月11日
この辺の数理論理的な話, 正直ほとんど全くわかっていない. とりあえずは嘉田さんの本, もっとちゃんと読まないと駄目か. 菊池誠『不完全性定理』もちゃんと読みたい.
何故単位行列を$E$と書くのか問題¶
緩募 単位行列をEと書く起源。何となくドイツに起源がありそうな気がする
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月1日
@phasetrヒルベルトみたいですhttps://t.co/CXUsBMVUTB
— 結城浩 (@hyuki) 2016年8月1日
@hyukiありがとうございます。俺たちのヒルベルトおじさん、やはり魔人
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月1日
@phasetrこれが起源なのか分かりませんが、確かにドイツ語だと Einheitsmatrix ですね https://t.co/YzyfJ8eOMM
— H. Hosaka (@H_H) 2016年8月1日
@H_Hありがとうございます。やはりein 何とかだったので予想的中
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月1日
何となくドイツっぽいのとフランスっぽいのはわかる気がする. 何故だろう.
山崎隆雄さんによる多項式版の(やさしい)ABC予想の証明の解説¶
#数楽メモ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月3日
[Mochizuki Jan 2016] https://t.co/ZgFwwUF5py
で引用されている[ABKP]と[Zh]https://t.co/gf7tJfT78nhttps://t.co/H8zhACvVDd
後者は14頁と短く読み易そう。
#数楽整数ではなく多項式版のやさしいABC予想の証明(高校数学者レベル)については山崎隆雄さんによる解説 https://t.co/rO6Af92Qf5がある。函数体版Szpiro予想の類似(易しい)についても解説があった方がよいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月5日
#数楽メモ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月5日
[Mochizuki Jan 2016] https://t.co/ZgFwwUF5pyで引用されている[Zh] https://t.co/H8zhACvVDdの代数函数体版Szpiro予想の証明の解説を誰か書けば喜ぶ人は結構多いと思う。
現代数学観光ツアーのネタにしたい. とりあえずネタを貯めておこう.
森本光生, くさびの刃の定理とマイクロ函数, 数学¶
「数学」に掲載された森本さんのPDFがあったのでとりあえず記録しておく.
PDF内にも言及があるように, くさびの刃の定理は場の量子論に起源がある. 私が代数解析に興味がある理由の一つでもある. 森本さんの本にも一章割かれている.
これもいまだにきちんと読みこめていない. 代数, 特にホモロジー代数の勉強にもなるし, いい加減ちゃんと読みたいのだが, なかなか時間が取れないままだ.
裳華房の数学者によるウェブ連載コラム「数学者的思考回路-夢と妄想のはざま-」¶
【お知らせ】2人の数学者によるウェブ連載コラム「数学者的思考回路-夢と妄想のはざま-」の第12回を明日8月3日(水)に公開します.
— 裳華房 編集部 (@shokabo_editors) 2016年8月2日
※ バックナンバーはこちら→ https://t.co/pmE49gtcLmpic.twitter.com/Abq2Y4bVK1
パラパラと該当記事群を読んだ. 面白そう. 私もこういうの書きたい. 何か考えよう.
数学の証明をメロディに乗せた曲を作ってみたい¶
史上初!PV映像付きボーカロイド曲で覚える参考書。中学歴史の重要項目が歌詞や映像にちりばめられた曲で、楽しく勉強できる。歌とセットになった本誌で、さらに分かりやすく解説。人気曲「千本桜」「脳漿炸裂ガール」の歴史バージョンほかhttps://t.co/NKXZgdb6g9
— 暴力ちゃん (@okumuratorucc) 2016年7月23日
Amazon見たらレビューはいろいろあった. もちろん実際聞いてみないことには評価しづらいが, とても気になるのは確か.
高校の頃, 校歌に合わせて古文の助動詞を覚えるというのがあった. いま検索したらmixiのコミュニティにあった.
メロディに載せると口ずさみやすくて覚えやすいので, 一計ではある.
数学の証明をうまいことメロディに載せて暗唱するとかあると面白そうだし, 何かやりたい.
ムーミンさんの$\varepsilon$-$\delta$を笑点スタイルで話すというのもあったし, そういう線もありうる.
歌丸「最近は連続性の定義が曖昧で, 困ってしまいますね. そこで私が任意のεを取りますので, みなさんはあるδを取ってください. そしたら私が|x-y|<δとなるyを勝手に取りますので, みなさんはそのyに対し|f(x)-f(y)|<εを示してください. はい, 楽さん早かった」
— 空飛ぶム✈ミン (@_flyingmoomin) 2011年6月17日
Final Fantasy XVの謎の動画を見て考えること¶
https://t.co/bxFKqQUN86 これがどういうポジションの作品かすらわからないけどいいから見て!!
— ハンバーグラーメン (@asuharu_17) 2016年7月20日
最近数学・物理のコンテンツ制作を再開したので, いいコンテンツのストックとしても参考にしている. どうすると人を惹きつけられるのか, とても参考になる.
数学の可視化, アニメーションも気になるし, アニメーションそれ自体に使われている数学も気になる. やりたいことが増えていく一方だ.
論文メモ: Terence Tao, Finite time blowup for an averaged three-dimensional Navier-Stokes equation¶
流体方程式の解のブローアップを「ある種の複製するマシンの存在」に帰着させる、という(テレンス)タオさんの話:https://t.co/TyoZXE0Ejm 論文 http://t.co/YggRxxbsYy の13ページを見るだけでも面白いかも。読んでみたいが、どうだろう。
— 佐々真一 (@sasa3341) 2014年3月9日
面白そう. いつ読めるかはともかくとりあえず記録. テレンス・タオ, 守備範囲広すぎるしどれだけ魔人なのか.
記事紹介: GIGAZINE『数学を学ぶには計算ドリルではなく「高度な数学」から学び始める方が効果的なわけとは?』¶
数学を学ぶには計算ドリルではなく「高度な数学」から学び始める方が効果的なわけとは? - GIGAZINE http://t.co/e3JbfLGt84
— knxm (@knxm) 2014年3月6日
引用されているGIGAZINEのページ中でさらに引用されているのが次のページ.
GIGAZINEからちょっと引用.
アメリカの数学カリキュラムの設計に携わるマリア・ドロクバさんは、数学嫌いを減らすための先進的な数学教育を提唱することで注目を集めています。ドロクバさんは、「数学嫌い」を養成するのは現在行われている段階的な学習スタイルに原因があると考えており、このようなカリキュラムを見直す新しい数学の学習方法として「子どものころから高度な数学的な考え方に触れる」という学習方法を提唱しています。
「高度な数学的な考え方」と聞くと子どもには無理と思わずにはいられませんが、ドロクバさんによると「高度な数学」は「難しい数学」とは似て非なるもの。高度な数学的な考え方とは、物事の根底を支える概念として高度な数学的要素があるものを指し、問題解決の難度とは別であり、子どもが学習するのに難しいものではないとドロクバさんは話しています。
例えば、図形の中に繰り返されるパターンを見つけ出すことは高度な数学的考え方になり得ます。また、立体的な構造を解析することは高度な数学に他ならないとドロクバさんは考えています。この考え方によると、例えば、雪の結晶の形を折り紙で折ることやLEGOブロックを使って家を組み立てることは、高度な数学的学習方法とのこと。
教育学的にどういう知見があるのだろう. そしてどうするとアクセスできるのだろう. 教育学をきちんと勉強しなければ駄目か.
こんなむごい話があるか: 掛け算の順序のせいで数学が苦手になった子どもの話¶
悲しい話があったのだ.
とっても素直に先生の言うことを聞いていたうちの娘さんは交換法則が出て来たときに今迄ダメって言われてたのにどういう事?と大混乱。すっかり自信をなくしてしまい今でも数学は大の苦手。少なくとも私..「掛算順序固定強制問題と文章読解力」 https://t.co/sjQdeulscn
— HP (@HYamaori) 2016年11月23日
Togetter のコメントなので途中で切れてしまっている. コメント全文を引用しておこう.
とっても素直に先生の言うことを聞いていたうちの娘さんは交換法則が出て来たときに今迄ダメって言われてたのにどういう事?と大混乱。すっかり自信をなくしてしまい今でも数学は大の苦手。少なくとも私の娘さんにとっては百害あって一利なしでしたよこんなの。もっと早く気づいてあげるべきだった。
こんなひどい話があるか.
ちなみにこの手の話題については以前別の話を Twitter でしたことがあって, それを次の記事でまとめている.
よく「できない子のことを考えて」という話は出る. でも「できる子」のことはほとんど誰も考えてくれない. かもひろやすさんが時々「早熟と天才は違うし, 早熟の子は早熟の子できちんとした対処が必要で, ポキっと折れることだってもちろんある」みたいなことを言っている.
もちろんそもそも「できない子」向けの話としても狂っているというのが掛け算の順序強制問題ではある. ただこういうケースを本当によく見かけるので, 掛け算の順序に意味があるとか発達段階とかいういい加減なことをいう 大人には本当に腹が立つ.
私の活動のメインでもあるまたちょっと違う話もしておきたい. 私は中高の頃, 数学や物理の発展的な話にとても興味があった. でも何をどうしたらいいかわからず, とりあえず学校の勉強をしていた.
図書館に行って司書さんに聞いてみるとか, 学校の先生に相談してみるとか, いろいろやりようはあったはずだがそういう発想はまるで何も浮かんでこなかった. それを訴えなかったのだから当然だが, まわりの大人のサポートもほとんどなかった.
例外は高校二年のときの進路指導の先生が, 近所にあった東大の計数工学科 (当時. いまは数理工学科) のオープンキャンパスに行ってみたらどうか, という案内くらいだった.
教官の研究の内容紹介だった. もちろん何が何だかわからなかったが, 何かごつい式が出てきて無性に格好よかった. 数値計算の誤差の話, J リーグのスケジューリングに数学を使う話があったり, 携帯の漢字変換に関する話があった.
最後の「携帯の漢字変換」は要は確率を使って自然言語処理やってます, みたいな話で正確に何だったかは覚えていない. そういう系統の話だった, というだけだ.
もう 10 年以上も前の話だったが今でも覚えているくらいに楽しかった. こういう体験をもっとしたかったが, 何をどうするとできるのか全くわからなかった.
大学や大学院で早稲田, 東大に進学したら, いわゆる進学校の面々がまわりからこういう情報をふんだんに与えられていたことを知って愕然とした. 本当に「ずるい!」と心の底から思ったのだ. そんな不公平があるのかと.
私ももういい大人だ. 与える側に立たねばならない. そう思って数学や物理に関する情報発信をやっている.
大人相手の話が多くて本当に情報を届けたい中高生には あまり情報を届けられていない.
最近, 現代数学観光ツアーと現代数学探険隊という企画をはじめ, 専門的な方向に関して 1 つ区切りが感じがあり, 本格的に中高数学に関する企画をはじめた.
ご興味がある方はぜひ次のページから登録してほしい. 微分方程式をプログラミングを使って解く, という方向性で中高の数学がどこでどう使われるのかを 議論していく講座の叩き台をつくっていて, そのレビュアー募集中なのだ.
地道に粛々とやっていこう.
フィンランドで数学やアートに関する国際会議Bridgesがあったらしい¶
はじまった。数学は簡単だよという話してる。 pic.twitter.com/mOZ3mXqTch
— 親方 (@paojo) 2016年8月9日
@paojo何ですかそれ。楽しそう
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月9日
@phasetrBridgesというカンファレンスです! https://t.co/1GFreCUq8p
— 親方 (@paojo) 2016年8月9日
フィンランドでの会議らしい. 「Mathematics, Music, Art, Architecture, Education, Culture」とのこと. 楽しそう.
関係ないがskkによるとフィンランドは漢字で芬蘭と書くらしい.
自然言語処理に使う数学: 『自然言語処理を独習したい人のために - 首都大学東京 自然言語処理研究室(小町研)』から¶
わりかし具体的に書いててよいなと思ったら小町研でした:自然言語処理を独習したい人のために - 首都大学東京 自然言語処理研究室(小町研) http://t.co/dLxy1g9PBe
— もとそ㌠ (@motoso) 2014年2月17日
広い意味で数学に関わる部分を軽く引用しておきたい.
数学のところ.
ほとんどの大学の入学試験で微分積分・線形代数が必須となっているので、理工系の学部1年生程度の微分積分・線形代数の知識は身につけましょう。機械学習(最適化数学)を勉強するに当たって、微分積分・線形代数の知識が必要になります。微分積分・線形代数については研究室でフォローアップはしませんし、大学でも基礎講義はない(履修できるが単位にならない、という意味ではなく、そもそも 日野キャンパスでは補習的な授業は開講されていない)ので、大学院入試がきっかけだと思って、入学前に勉強しておいてください。
自然言語処理で用いられる機械学習では高校数学の範囲は全て登場します。よく使うのは「ベクトル(内積)」「連立方程式」「確率(同時確率・条件付 き確率、確率変数・確率分布)」「数列(等差数列・極限)」「微分(対数関数・指数関数の導関数、合成関数の微分、関数の極大・極小および最大・最小)」 「行列(固有値、逆行列)」あたりです。人文系の人は、高校の教科書と大学受験の参考書でよいので、復習しましょう。未習の人は苦しいかもしれませんが、もしこれらの数学を勉強するのがどうしても無理な場合、東大の言語情報科学専攻のように人文系を対象とした大学院に進まれたほうがよいと思います。
機械学習のところ.
内容が難しすぎる、と感じる場合は恐らく数学の基礎知識が不足しているので、入学前に機械学習の勉強を独学でがんばるよりは、数学の勉強をしてみてください(機械学習は、研究室の中で基礎勉強会を行なうので入学後でもよいですが、微分積分や線形代数に関しては、研究室の中でも大学の中でも講義・演習がないので、入学後に勉強することが困難であるためです)。
ページ中にはいろいろな参考ページへのリンクもあるし, プログラミングに関する注意や参考サイトもある. Python関係はけっこう参考になりそう.
「人を積分できるピアス」という素敵な数学アクセサリを見つけたので¶
数学科の人に頼まれたので、「人を積分できるピアス」を作りました pic.twitter.com/EuwM0FjxNC
— たかま (@Cocoon_1104) 2016年8月11日
$x$の作り方が参考になる. 最近忙しくて数学アクセサリは全く作れていない. http://math-accessory.comも放置したままだ. これも動かしたい.
『「何が分からないのか分からない」と思ったときはだいたい何もわかっていないので、自分への感想であればいちばん最初からやるべき』: かわず語録¶
これ何回か言ったと思うんですけど、「何が分からないのか分からない」と思ったときはだいたい何もわかっていないので、自分への感想であればいちばん最初からやるべきだし、他人への感想であれば相手の知識をできるだけ仮定せずに説明するべきだと思います
— かわず (@kawazu1147) 2016年6月26日
後者についてはツイート紹介: 「わけわからない」という拒絶の言葉と解説病というのも前にあった. 微妙なケースもありそうとは思うものの, 前者については改めて自戒としたい.
『ゲンツェンの自然数論の無矛盾性の証明とゲーデルの第二不完全性定理が矛盾しないのはなぜですか?』¶
これは適切な回答。 https://t.co/RAsyWN7s5v
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年8月14日
気になったので引用する.
- Q
ゲンツェンの自然数論の無矛盾性の証明とゲーデルの第二不完全性定理が矛盾しないのはなぜですか?
- A
Gentzenが示したことは PA+TI(ε_0) に於いて Con(PA) が証明可能ということです。Gödelの不完全性定理が述べているのは T から Con(T) が証明できないということですから、これには当てはまりません。系として PA から TI(ε_0) が証明不能であることが分かります。
全くわからなかった. 非専門とはいえさすがに悲しい. この辺も中二心をくすぐるし, いつかはちゃんとやりたいと思ってもう何年経つだろう.
「カントールはフーリエ級数の研究での必要から順序数を発見した」: 現代思想系への悲しみを謳うツイート紹介¶
19世紀の数学や物理学と20世紀の数学や物理学にありもしない断絶を見ていている現代思想系の人にために出会うけど、数学史・科学史への無知がそういうのを広げているのはあると思う。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年8月12日
その手の妄想を広げないためには、「カントールはフーリエ級数の研究での必要から順序数を発見した」とか「アインシュタインは電磁方程式が座標変換で不変でない問題を解決するために特殊相対論を提案した」とかを、教養として広める必要があります。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年8月12日
@kamo_hiroyasu「カントールはフーリエ級数の研究での必要から順序数を発見した」というところ、実際にどんな流れだったのでしょうか(何か市民でも手に入れられる文献あるでしょうか)。とても気になります
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月13日
@phasetr『選択公理と数学』参照
— ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ (@functional_yy) 2016年8月13日
『選択公理と数学』はこれ.
学部のときちゃんと読んだのに全く覚えていなくて悲しい. 買わないと.
小平先生のレクチャーノートとか. あとアローの定理¶
小平:「複素多様体と複素構造の変形I」https://t.co/PNalAGkCf8
— Masahito Yamazaki (@196884) 2016年3月16日
斎藤:「複素解析学特論」https://t.co/KR4V0Mi7Ll
土屋:「近代ホモトピー論」https://t.co/X1p6gKvEoB
全部前に紹介済みだったと思う. 何度紹介しても別にいいだろうということで.
あとこれ.
社会選択理論のArrow's (im)possibility theoremは平易な論理を使って証明できる数学の定理でありながら,その含意は深く,すごい結果だ.https://t.co/xKUAm7PV0Shttps://t.co/bwBJbSSiwU
— Masahito Yamazaki (@196884) 2016年4月14日
こんな定理があるのですね。https://t.co/jBvjAkmsFi
— 橋本幸士 Koji Hashimoto (@hashimotostring) 2016年4月15日
「アローの不可能性定理」社会選択理論において、アローの不可能性定理とは、投票ルールをはじめとする集合的意思決定ルールの設計の困難さに関する定理である。 https://t.co/wggvH5Rz1L
とりあえず記録はしておこう.
やたべさん筋の情報: 野矢茂樹の粗雑な論考に関するメモ¶
「無限」の野矢茂樹氏解説によれば、無限論の歴史は「思考不可能なものを考えようとしてきた人間たちの偉大な知性の格闘の歴史」だそうだが、僕にとっては、具体的な数学的問題に結びついた具体的な問題だ。数学の歴史は、テクニカルな問題が、どんな哲学者よりも深い洞察を与えてくれる事を教える。
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月15日
@shinjike僕には、「無限論の教室」における野矢先生の立場は、科学者に「科学は決して確実じゃない」とお説教する自称科学哲学者達とどこが違うのか、よく分からないんです。数学の哲学や科学哲学で一番やってはいけないことは、「現場の科学者に対するお説教」なんじゃないでしょうか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2010年12月12日
そういえば、野矢茂樹氏の本のせいか、日本でも「直観主義=実無限の否定」と信じる人が多い。けれど、それは間違っていると思う。構成的数学の枠組みとなる直観主義論理上の集合論(CZFとか)は無限公理を含んでいるし、無限公理は実無限の存在を仮定してるというのはムリのない主張ではないか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt→これを強いてもう少しまともな主張として述べようとすると,「実無限の存在を仮定する=ある無限集合上の量化文に対して二値原理が妥当すると仮定する」になるのだと思います.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@ZahlangabeheftCZFの無限公理より、任意の自然数n に対しnを表現する数値\bar{n} \in \oemga となることは証明でき、つまり集合ωが全ての数値を含む無限集合なこと自体は証明可能で二値原理が働かないのは他の元についてですが、これでは不足でしょうか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt「任意の自然数n に対しnを表現する数値\bar{n} \in \oemga となること」を実無限の存在の仮定とは誰も言わないでしょう.\forall x \in \omega (Fx) という形の文に対して一般に二値原理が成り立つかどうかという問題です.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@Zahlangabeheftファジイな人間としては「ωが無限集合であることは確定的に真であるがωの全ての元が確定しているわけではない」と言いたい所ですが。ωのtotalityが確定しているのが「実無限」の定義なんですか。ついでにこれはダメットとかの定義なんですか?
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt必ず超準数を含むωのようなものは実無限じゃないと思いますね.定義ではなく,実無限という捉え難い考えの一つの定式化が「ωのtotalityの確定=ω上の量化文に対する二値原理の妥当性」なのだと思います.Elementsのダメットの説明は確かこんな感じかと.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@Zahlangabeheftもちろん、ωに含まれる超準元のフォームが確定されれば、その限りではないんでしょうねぇ。ちなみに実無限を認めるとは「無限集合を表わすタームを認めるという点に尽くされる」といっている論者ってどんな人なんですか?
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twtすみません,「尽くされる」と言った人を知っているわけではないです(「…尽くされる,という意見もありうる」と書けばよかった)が,実無限のポイントが無限集合を表わすタームを認める点にあるという主張はokmt先生が『事典哲学の木』の項目「無限」で述べています.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@Zahlangabeheftokmt先生の項目は私も読みました。あれは素晴らしい記事だし、結論もリーズナブルだと思います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt「ωに含まれる超準元のフォームが確定されれば、その限りではないんでしょうねぇ」というのも(フォームが何なのか曖昧なまま言えば)多分その通りで,totalityが確定か否かより,意味論的な値が客観的に決まっているかどうかがより重要な区別になります.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@ytb_at_twt…といっても,もちろん「実無限を認めることのポイントは,無限集合を表わすタームを認めるという点に尽くされる」という意見もあり,この意味では「構成的数学でも実無限を認めている」と言うのは文句なく正しいです.ただそれは構成主義者が批判したものではないと.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@ytb_at_twtええと,クリスチャンにとっての「イエスは湖の上を歩いた」という主張みたいな扱いかもしれません….
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@Zahlangabeheft…つまり盲信している過激派がたくさんいるということですね!
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twtいや過激派は絶滅してるでしょ…と言いかけて,そういえばネルソンはガチだった,いやそれどころかよくよく話を聞くと集合の要素は形成途上にあると思っている人が結構多かった,と思い出したので,「湖の上」は言い過ぎたかもしれません.聖体拝領レベルか.
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
@Zahlangabeheftまぁネルソンは…。
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt有限主義の中でもいろいろありますからね…
— Yuko Murakami (@yukoim) 2012年11月18日
@yukoim明らかに実無限を否定している有限主義のバージョンって何かありましたっけ?
— ytb (@ytb_at_twt) 2012年11月18日
@ytb_at_twt野矢本を擁護したくはありませんが,「無限集合を表わす名辞を含む=実無限の存在を仮定」というのはやや粗雑では.「実無限の存在を仮定する」とは,要素のすべてが「すでに完成している」ような無限集合の存在を仮定するという非形式的な「哲学的」主張であり,→
— 山田 (@Zahlangabeheft) 2012年11月18日
あと何かこれ.
@phase_trちなみに、ムーア本を水で薄めたのがこの本なので、読んでみるといいですよ。ヒドいですから。ホント「哲学の貧困」という感じ。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月12日
無限論の教室 (講談社現代新書) 野矢 茂樹 https://t.co/Sk34DmH3P3via @amazonJP
@ytb_at_twt高校生のときにはまっていたのですが、どのあたりが「貧困」なのか教えてもらってもいいでしょうか。ウィトと直観主義だからですか?「当たり前」を大げさに言ってる感じですか?
— で れ (@nothingbut44) 2016年3月12日
@nothingbut44そうですね、そもそもの点として、数学は自律的な学問であって、哲学者が外部から哲学的正当化とかしてあげる必要性は全くないものだと思いますね。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月12日
そこで頼まれもしないのにしゃしゃり出て、お説教して回っても、実のある議論にはなりませんよ。
@ytb_at_twtはい。いま野矢さんのような問題意識を持って研究している数学者はいないということですよね。
— で れ (@nothingbut44) 2016年3月12日
ちなみに、哲学は自律的な学問だと思われますか?
@nothingbut44大変残念ながら、たくさんいるんですよ。構成主義者達は、排中律を認めないことが、無限概念にどのような影響を与えるかについて、厳密で数学的に大変有意味な研究をたくさん行っています。それらを知らないのは野矢先生ですし、知らない人はお説教をするわけです。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年3月12日
@ytb_at_twtなるほど…それは失礼しました。
— で れ (@nothingbut44) 2016年3月12日
そうした方にぜひ無限論の教室の続きを書いて欲しいですね!
よくわからないがあとで読み返したくなる可能性は極めて高い. 保全しておくべきなので記録.
対ごとに素でないときにdisjoint union(無縁和)を考えたくなるときの具体例を教えてもらったので¶
そういえば対ごとに素ではないときにdisjoint Union を考えたくなるというの、具体的にどういう状況なのだろう。圏論的な文脈で何かありそうだが、具体例が何も思いつかない
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月19日
@phasetr環の加群のfiltered colimitを考えたいときにdisjoint unionをしかるべき同値類で割るという操作をします(加群は全て0を含むので単なるunionだとダメ)
— かたりろんのしんじゃ (@kobae964) 2016年8月19日
@phasetrhttps://t.co/wiBXYCALaUこんな感じで同じものをコピーして並べたいときが一番多いと思いますよ
— kikx (@kikx) 2016年8月19日
あと何となくこれも引用しておく.
かたりろんのしんじゃだから各加群M_iの要素であるところの0が全部等しいってのが理解できないし、違う集合(型)のunionでそれらの0が潰れるのが理解できない(過激派)
— かたりろんのしんじゃ (@kobae964) 2016年8月19日
代数もっとやりたいし幾何ももっとやりたい.
礒田 正美, Maria G.Bartolini Bussi, 田端毅, 讃岐勝, 『曲線の事典 ―性質・歴史・作図法―』¶
曲線の事典 ―性質・歴史・作図法― / 礒田 正美 Maria G.Bartolini Bussi 編 田端 毅 讃岐 勝 礒田 正美 著 | 共立出版 http://t.co/Tenf1AEj6gとても中身が豊富な本で数学史的なことも多く書いてあります。なのに安くてお得!
— クリスカ@3日目東メ39b (@math_nakagawa) 2014年2月13日
該当リンクからも記述を引用しておこう.
本書は,定木とコンパスを含む機械で作図しえる曲線の歴史的表現を解説した事典である。小学校から高等学校,大学に至るまでの学校数学において知られる曲線の定義や性質を,その曲線を描く道具,変換器,幾何学的計算具の実物写真,作図結果とともに解説している。曲線の来歴を,今は失われた歴史的表現・役割を前提に解説することで,その背後に潜む直観と論理を再現している。 今日では,ソフトウエアを利用してディスプレイ上に描画する曲線は,少し前まではコンピュータ以外の道具を駆使して描かれてきた。作図の困難さもあり,それぞれの曲線の性質を明かすことは数学発展の象徴であり,曲線の表現法が改まる都度,その意味内容も進化した。そうした曲線像を認め,その曲線を描いた人々が生きた時代に思いを馳せることで,人間味溢れる数学像を提供する。 まず,それぞれの曲線に関わる各論を話題にする上で必要な曲線に関する歴史・文化的眺望を記した。その次に,本書の中心的な話題である,様々な曲線とその作図器,その初等幾何学的解説を収めた。そのあとに,変換を表象する機構,透視図法と投影,問題の作図解を表現する機械を収めた。最後には用語集を用意し,本文中で解説しきれなかった用語の解説を収めた。用語集や索引から逆に読めば,辞典として役立てられるようにも工夫されている。
プログラムで比較的楽に遊べる要素ないだろうか.
David Richeson, So-called the Japanese theorem for nonconvex polygons¶
今は(アカウントが)亡きkyon_mathさん情報.
ニッポン定理,初めて知った. http://bit.ly/1g3ccWU
ページからも引用しておこう.
The Japanese Theorem for Nonconvex Polygons David Richeson (Dickinson College)
Abstract. The so-called "Japanese theorem" dates back over 200 years; in its original form it states that given a quadrilateral inscribed in a circle, the sum of the inradii of the two triangles formed by the addition of a diagonal does not depend on the choice of diagonal. Later it was shown that this invariance holds for any cyclic polygon that is triangulated by diagonals. In this article we examine this theorem closely, discuss some of its consequences, and generalize it further. In particular, we explore its relationship with Carnot's classical theorem on triangles, we look for extreme values for this sum of inradii, we look at the limit of this value as the number of sides goes to infinity, and we generalize the theorem to nonconvex cyclic polygons. We include interactive applets throughout the article to give the theorems a tangible credibility.
「So-calledと言われてもはじめて聞いたわ」感溢れる. そして何はともあれメモ.
俺達の一般化されたヘルダーの不等式: 黒木さんのツイートまとめ¶
#数楽過去ツイ紹介https://t.co/n4aGPbpI0M
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月15日
【(Πf_iのL^pノルム)≦Π(f_iのL^{p_i}ノルム)】型に一般化されたヘルダーの不等式の証明。Jensenの不等式(私は必ず新入生向け微積授業でやる)を知っていれば易しい。
ということで引用されたツイート群を追いかける.
#数楽https://t.co/r8O2sn6CjG
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
Youngの不等式のn個版を「期待値の内側から外側に上に凸な函数を出すとそれ以上になる」というJensenの不等式(期待値を取る操作一般で証明できるのでnに関する帰納法を使わずに証明される)から直接出せば後は同じ。
@genkuroki#数楽期待値E[ ]と上に凸な函数fについてE[f(X)]≦f(E[X])が成立するというのがJensenの不等式。f(X)≦a(X-E[X])+f(E[X])(右辺は接線)というほぼ自明な不等式の両辺の期待値を取ることによって証明される。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
@genkuroki#数楽期待値の典型例は非負のw_iたちでΣw_i=1を満たすものに対するE[f(X)]=Σw_i f(x_i)であり、f=logのときJensenの不等式よりΣw_i log x_i≦log(Σw_i x_i)となる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
@genkuroki#数楽続き。w_i=p/p_i、x_i=a_i^{p_i}の場合から、logの中に次の不等式が入った式が得られ、次の不等式が証明される:(Πa_i)^p≦Σw_i a_i^{p_i}. 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
@genkuroki#数楽続き。この一般化されてYoungの不等式をa_i=f_i/(f_iのL^{p_i}ノルム)に適用してから、両辺を積分して、p乗根を取ると次が得られる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
(Πf_iのL^pノルム)≦Π(f_iのL^{p_i}ノルム). q.e.d.
@genkuroki#数楽非自明に見える不等式や極限や漸近挙動は確率論の言葉を使うと自明に見えるようになることが多いという経験則があると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
@genkuroki#数楽誤爆の再投稿。たとえば、階乗に関するスターリングの公式(よく使われる)が、ガンマ分布を特性函数のフーリエ変換で表示した途端に、相当に自明な式に見えるようになることに最近まで気付いてなかった。https://t.co/4Xy8Yd2s1R
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
@genkuroki#数楽続き。ガンマ分布の確率密度函数のある特殊値を見るとスターリングの公式の左辺と右辺がほぼ分子分母に出て来ており、同確率密度函数の特性函数のフーリエ変換による表示の方を見るとスターリングの公式がすでに証明されているように見えるという話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年4月21日
『そもそも普通の人が努力してできないものが高校教育のカリキュラムに組み入れられるわけないじゃないですか』¶
いろいろとすごいことを言っている人がいたので.
@kagamihr@hyuki数学が無理なんてことは知能障害を持っている方でない限りありえないと思いますが。確かに向き不向きはあるかもしれませんが、人間に高度な知能が備わっている限り、生まれつき数学ができないなんてことはありえないです。脳がないって言ってるようなものです。
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年7月30日
@marketingbotkoh知的障害とそうでない境界はどのように決定されるのでしょうか。確率論の高尚なる解説をお願いいたします。
— KAGAMI_Hiromichi (@kagamihr) 2016年7月30日
@kagamihr返信遅れてごめんなさい。知的障害は残念ながら確率論の話ではないです。あいまいで申し訳ないですが確か知能指数が60以下だった場合に知的障害と認定されるはずだったか、と。
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年8月6日
@marketingbotkoh返信ありがとうございます。障害のある人達に数学を教えている先生からの意見をいただきました。程度の差はあるとしてもきちんと教えれば「楽しく」勉強できるようになる場合が多いと (続く
— KAGAMI_Hiromichi (@kagamihr) 2016年8月6日
@kagamihr今見ると結構ひどいこと言ってますよね・・・申し訳ないです。数学ができない人が知能障害だってことを言いたいんじゃなくて、高い知能をもってるはずだから努力すればできるはずだってことを言いたかったのです。言葉足らずで申し訳なかったです。
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年8月6日
高い公共性を感じる.
https://t.co/SQVl4LNBamできるできないの定義もそうだが、数学の定義をしてほしい。具体的にどんな内容を想定しているのだろう
— 相転移P (@phasetr) 2016年7月30日
@phasetr返信遅れてしまって申し訳ないです。もともとの話の内容からすると、高校数学程度ができるかできないかのレベルを想定して話していました。高校数学レベルであれば、ほとんどの人が努力すればできるレベルですよって言いたかったわけです。
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年8月6日
@marketingbotkohどんな証拠があるのでしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月7日
@phasetrそもそも普通の人が努力してできないものが高校教育のカリキュラムに組み入れられるわけないじゃないですか。すぐに証拠だのなんだのを要求する前に少しは自分で考えてみたらいかがですか?
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年8月8日
@marketingbotkoh普通の定義もよくわかりませんし、そういうふわっとした議論は厳に慎むべきだという教育を受けてきましたし、私が聞いているのは常識の話ではなくあなたが依拠する根拠です。私が求めているのは学術的な話であなたと大きくスタンス違うようだというのは認識しました
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月9日
@marketingbotkohhttps://t.co/unCkg7bVoU私が知る限り、学習指導要領のレベルでは「はぐくむことが重要」「社会情勢に合わせた必要最低限」というだけで、「努力すれば身につけられて当然」という位置付けで内容組まれてなさそうなのですが
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月9日
人間精神への無限の信頼を感じる. さすがに全く理解できなかった.
教育関係の方への緩募 https://t.co/oNqGkdnwYwの「そもそも普通の人が努力してできないものが高校教育のカリキュラムに組み入れられるわけないじゃないですか」に対する教育学的知見。根本的に高校教育のカリキュラムはこの基準で組まれているのかがとても気になる
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月19日
で, コメントを頂いた.
@phasetr高校のデータがないので中3ですが。今年度の全国学力学習状況調査において、一日3時間以上勉強していて(教科は不問ですが)かつ下位25%に属する者が7%程度。国語も同傾向なので、他の教科ばかりやってた結果でもなさそう。https://t.co/WQzLaprI9P
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@phasetr下位25%とは、たとえばこの数学Bだと正答数が3問以下です。A問題だと17問以下。https://t.co/pjojM5zd1C
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@phasetrすみません、「7%程度」というのは、「下位25%程度の層を分母とした7%」という意味です。したがって、全体が分母だと2%弱になりますが。
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@mac_wacありがとうございます。中学では概ね「努力すればできる」レベルだと思っていいということでしょうか。高校でやることはかなりレベル高いと思っていて、それでどこまで「努力すればできる」レベルなのか、どういうデータがあるのか非常に気になっています
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月20日
@mac_wacありがとうございます。中学では概ね「努力すればできる」レベルだと思っていいということでしょうか。高校でやることはかなりレベル高いと思っていて、それでどこまで「努力すればできる」レベルなのか、どういうデータがあるのか非常に気になっています
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月20日
@phasetrあ、いえ、僕は中学レベルであっても「努力してもできない生徒も無視できない数いる」という認識です。無論、努力の方向が明後日であることは往々にしてありますが、それが自分で認識・修正できないから成績が上がらないわけで。
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@phasetrあとは、「努力したけど全然できないから努力やめちゃった」という層もある程度暗数になってると思われます。これは僕の個人的な実感ではありますが。
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@mac_wacありがとうございます。私は https://t.co/1W8lqLUaOuで書いたように指導要領がどういう認識で組まれているかというところが気になっていたのですが、中学時点から日本の現実を見る限り引用したツイートには根拠なさそうですね
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月20日
@phasetr僕の知る限りでは政策論議でそのような「身につけられて当然」という議論がメインになったことはないですし、事実身につけられてもいないところであるのが現実ですね。
— bra-ketくん (@mac_wac) 2016年8月20日
@mac_wac最初に引用した(以前ちょっとやりとりした)人、人間知性に関する無限の信頼があるようで感銘を受けました。私も大概相当信頼している方ですが、私を遥かに凌駕していたので
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月20日
こうはいうものの高校での実データはやはり気になる.
何にせよ元のツイート, すごい世界認識をしているのでどういう考えでそれに至ったのか本当に興味がある.
@phasetrそもそも普通の人が努力してできないものが高校教育のカリキュラムに組み入れられるわけないじゃないですか。すぐに証拠だのなんだのを要求する前に少しは自分で考えてみたらいかがですか?
— マーケティングbot(Koh) (@marketingbotkoh) 2016年8月8日
自分は当然努力でき, 努力して解決できたので誰だって必ずできるはずという感じの, いわゆるブラック企業というかブラックな上司の思考とも地続きな感じがする.
群の地図帳, リー群の地図帳¶
Twitter的な意味で今は亡きkyon_mathさん筋の情報.
群の地図帳ならある。 http://bit.ly/1kBHcmG ついでにリー群の地図帳もある。 http://bit.ly/1dHQ5CA
どう使ったらいいのかわからないがとりあえずメモ.
ルベーグ測度$0$の集合の補集合は$\mathbb{R}^{n}$で稠密か?¶
本文¶
答えはYesだ. いまSobolev空間論の本を読んでいて「?」と思ったので証明を確認した. 激烈簡単で自分で自分にがっかりした. 測度論弱者すぎる.
命題2¶
ルベーグ測度を${\left|\cdot\right|}$とし, 集合$A \subset {\mathbb{R}}^{n}$がルベーグ測度0だとする. このとき補集合$A^{c}$は${\mathbb{R}}^{n}$で稠密である.
証明¶
$A$が内点を持つとするとある開球$B_r$に対して$B_r \subset A$となる. 考えているのはルベーグ測度だから${\left|B_r\right|} >0$であり矛盾である. したがって$A$は内点を持たないから$A^{i} = \emptyset$である.
この補集合を取ると${\mathbb{R}}^{n} = A^{ic} = \overline{A^{c}}$である. つまり補集合$A^{c}$ は ${\mathbb{R}}^{n}$で稠密である.
補足¶
ついでにルベーグ測度ではない場合, 特にfull supportではない測度を簡単な反例も記録しておこう.
上のページによるFull supportの定義は次の通り.
It means that the support is the entire space, or equivalently that there is no open subset with 0 measure. 全空間を台とすること, また同値な条件として測度0の開部分集合が存在しないこと.
反例¶
全測度が$0$になるような測度が明らかに反例. これ以外にもルベーグ可測集合$C \subset {\mathbb{R}}^{n}$に対して, $\mu_{C} (A) = {\left|A \cap C\right|}$ とすれば $\mu_{C}$が反例になる. これは$C$の補集合に含まれる部分集合は内点があろうがなかろうが測度$0$だから.
他にもルベーグ測度に対して特異な測度を考えればいい. 例えばCantor集合上に台を持つCantor測度がある.
測度論はSobolevをやっていてもちょっとしたところですぐに顔を出す. 積分論の中でもうちょっときちんとやり直したい. 確率論だと死ぬほど出てくるからそちらでやり直す手もあるか. 確率論で測度論に関する議論が死ぬ程丁寧な本がほしい.
info¶
title: ルベーグ測度0の集合の補集合が稠密である証明 description: 結論を言えばYES。証明のポイントはルベーグ測度のfull support性で、ルベーグ測度が0だと内店を持てないところにある。Full supportでない測度に対しては反例が山ほどある。例えばカントル集合上に台を持つカントル測度。
レイコフ, ヌーニェス『数学の認知科学』, ドゥアンヌ『数覚とは何か』, 加藤文元『数学の想像力』: 読書メモ¶
『数学の想像力』も紹介されてた。> 『数学の認知科学』はスゴ本 - わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる https://t.co/ldjeq779f9
— Tomohiko@9/11数学茶屋 (@KinebuchiTomo) 2016年8月29日
『数学の認知科学』, 『数覚とは何か』, 『数学の想像力』が面白そう. 読みたい本が増えるのもさることながら, 買ったまま積読な本もガンガン増えていく.
『数覚とは何か』のドゥアンヌ, 黒木さんが何か本を紹介していた気もする.
ある集合$X$に対して$X \cap P(X) \neq \emptyset$となる$X$の例を教えてもらった¶
ある集合 X に対してはそのべき集合をP(X) とするとき、X \cap P(X) \neq \emptyset になるような例が思いつかない
— 相転移P (@phasetr) 2016年8月31日
{{}}
— Masaki⊣Hara (@qnighy) 2016年8月31日
P({1, {1}}) = {{}, {1}, {{1}}, {1, {1}}} ∋ {1} ∈ {1, {1}} https://t.co/JeXoEETalq
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2016年8月31日
いいことを教えてもらえた. とりあえず記録.
Lemma 田, Lemma 曲 by Nobuo Yoneda¶
Lemma 曲 はどんな図式?
— セシル☆修論 (@sesiru8) 2016年8月31日
@sesiru8こんな感じです。 https://t.co/gKA33CgLvT
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2016年8月31日
このツイートで引用されているツイートも引用.
米田信夫のホモロジー論の論文には図式の形になぞらえて「Lemma 田」「Lemma 曲」がある。(N. Yoneda, On the Homology Theorem of Modules, 1954) pic.twitter.com/95dGKp7YkG
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2015年4月16日
謎. 海外の人に伝わるのだろうか. さらに強く中国人に伝わるのだろうかとも思っている.
『ウォルフラム・アルファすごい。もう、工学系の研究室で数値計算用PCとか減らしてもいいんちゃうか。』やたべさん筋の情報¶
データ通信の誤り率について、先日の安全評価でハミング距離4が要求されたが理由が「昔からそうだ」としか言われなかった件で、今日、同僚がその根拠を計算しようとして難儀していたんだけど、ウォルフラム・アルファを使ったら一発で解決した。 pic.twitter.com/0J28Oaafi8
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年8月31日
ウォルフラム・アルファすごい。
— ytb (@ytb_at_twt) 2016年8月31日
もう、工学系の研究室で数値計算用PCとか減らしてもいいんちゃうか。
よくわからないがとりあえずメモ. 変にプログラミングの勉強するより, Wolfram alphaの使い方勉強した方がいいのかもしれない. 特に中高生向けのことを考えるなら. ちょっとWolfram alphaちゃんと調べよう.
ゆきみPDFのページ¶
はじめに追記: 2022/8時点ではここにサイトがある.
このページ. PDF のラインナップは次の通り.
- デルタ関数と超関数
- Hilbert 空間概要
- 不動点定理とかんたんな応用
- Sobolev の埋蔵定理
- 固有値問題いくつか
- n 次元球の体積と表面積
- 関数解析
- シュレディンガー方程式入門
- 量子力学で使う線型代数
- Poisson 方程式
- 水素原子の安定性
- ねこでもわかる解析
とりあえず記録.
『哲学者が見るランダムネスの理論』宮部賢志さんの記事紹介¶
めもめも:哲学者が見るランダムネスの理論 http://t.co/V0YRPeNlaZ
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014年2月10日
tri_iroさん筋の情報. リンク先は宮部賢志(ミヤベケンシ)さんのサイト. どんなのだったかすぐわかるように冒頭部だけ引用.
私にとって,計算可能性理論,計算量理論,計算可能解析,ランダムネスの理論,情報理論,確率論,統計的予測,時系列解析などは一直線上にある理論たちで,分けることができない.これらは全部ひっくるめて一つのものとして見ている.これらがどういう関係にあってどうつながっているのかというのは,一つの見方であり哲学だろうが,それを論じるためには,これまでの哲学的な議論を一通り学ぶ必要がある.
これまで,哲学者たちによって,計算,情報,確率,予測などの概念について様々に議論がされてきており,それらについては,少し調べれば多くの文献が出てくる.しかし,ランダムの概念やランダムネスの理論についての,哲学者たちの議論はそれほど多くない.ここでは,そういうものをまとめてみたいと思う.こういうまとめ方は,今までにされていないと思うし,私も英語の論文で書くことも無いので,こういう場所しかないように思う.
特に何かコメントする能力はない. 相変わらずのメモ.
境正一郎『作用素環における可分性・非可分性とダイヤモンド原理』¶
関数解析の人の話で出てきたのはこれかな:
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014年2月3日
「作用素環における可分性・非可分性とダイヤモンド原理」 https://t.co/Tka1qhWxAg
ロジックと関数解析(作用素環・C*環)関係の話題は結構耳にするけど、全然内容を追えてない
Calkin 環の話とか, 松澤さんの CCR の表現論と記述集合論の絡みとか見てみたいネタはある. とりあえずメモしておこう.
研究者はかくありたい『長年の腐れ縁の某数学者に出くわして、お互い「あ!」と言ったら、何の前置きもなく「最近いい定理が証明出来たんですよ!聞いてください」とはじまって、十分ぐらい説明があってから、ようやく時候の挨拶等をした。』立川裕二さん筋の情報¶
さっき本郷通りで古書店から出てきた途端、数年ぶりに長年の腐れ縁の某数学者に出くわして、お互い「あ!」と言ったら、何の前置きもなく「最近いい定理が証明出来たんですよ!聞いてください」とはじまって、十分ぐらい説明があってから、ようやく時候の挨拶等をした。研究者はこうありたいと思った。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016年9月1日
今日のいい話として記録しておく.
「あのですね できたんですよ あの定理」¶
先日立川さんの次のツイートがあったのだ.
さっき本郷通りで古書店から出てきた途端、数年ぶりに長年の腐れ縁の某数学者に出くわして、お互い「あ!」と言ったら、何の前置きもなく「最近いい定理が証明出来たんですよ!聞いてください」とはじまって、十分ぐらい説明があってから、ようやく時候の挨拶等をした。研究者はこうありたいと思った。
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016年9月1日
それを受け何かキャッチコピーを探したくなったのが次のツイートとそこからの流れ.
「最近いい定理が証明できた」これを575に出来ないだろうか
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月1日
@phasetr「このあいだ いい命題が 示された」(ちょっと主旨がちがいましたかね)
— 結城浩 (@hyuki) 2016年9月1日
@hyukiまさにその方向です。ありがとうございます。ただ定理は定理のままにしたいですね。私も改めて考えてみることにします
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月1日
@phasetrhttps://t.co/YXd7dcFRfM
— 結城浩 (@hyuki) 2016年9月1日
「あのですね!できたんですよあの定理!!」
— ななしゃん (@ba7shan) 2016年9月1日
ななしゃんのがかなりいい. 何となく気分でタイトルでは!を抜いてしまったが, 引用的にはどうなのと思わないでもない. あくまでななしゃんのが元ネタで本歌取り的なアレとして, 次くらいのでもいいと思っている.
- あのですね すごい定理が できました
- 聞いてほしい すごい定理が できました
- 聞いてほしい すごい定理が できたんです
- この定理 聞いてください すごいでしょ
字余りだがそんなにバランス崩壊していない感じがあるがどうだろう.
何かこう「好きな人ができました」くらいのシンプルで心を打つフレーズがほしい.
こういうキャッチフレーズももっと研究しよう.
何にしろ今回ななしゃんがあまりにもいい仕事をしてくれたので, ただただ感謝の祈りを捧げている.
『創文社潰れてしまうので,今からでも遅く無いので名著,現代数理統計学を買いましょう』ツイート紹介¶
創文社潰れてしまうので,今からでも遅く無いので名著,現代数理統計学を買いましょう.勉強用,観賞用,保存用,予備,常備用,防犯用で1人六冊.小さなお子様がいる家庭では寝る前の読み聞かせ本としてもよいでしょう.https://t.co/J247DMwdQE
— 便座DØ)))PENESS (@benthedopeness) 2016年8月26日
統計学, ずっときちんとやりたいと思っていて気になっている. 最近Rによる統計の本も出ているようだしそれも気になっていれば, Pythonによる統計も気になっている. 勉強したいことがたくさんある.
Wolfram alphaを導入して子ども達と数学で遊びたい¶
この前に哲学を半端にかじってしまった異常者の異常な数学観に関する話があるが, それはこの際とりあえずどうでもいいので, 最初から本題に入る.
@genkuroki#数楽その二次元正規分布のグラフの形は添付画像のようになります(定数倍は無視)。等高線が楕円の釣鐘型の曲面になります。 pic.twitter.com/7DlNI43N0K
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
@genkuroki#数楽等高線は添付画像の通り。これらのグラフを見れば、それらが「二項分布を山型(釣鐘型)の分布で近似できる」という話がどのように3つ以上の目が出る場合(多項分布)の場合に拡張されるかがなんとなくわかると思う。 pic.twitter.com/BLSBB2HQuV
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
@genkuroki@sekibunnteisuu#数楽https://t.co/03KPheKYSApic.twitter.com/vFhFCcJbKQ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
#数楽確率パラメータa+b+c=1に付随する3項分布のある種の極限で現われる正規分布の分散共分散行列Aの逆行列A^{-1}を計算すると添付画像の通りになる。 pic.twitter.com/OSG0GuktL6
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月27日
Wolfram alphaをもっと使いこなしたい. より正確には近所の子どもにその辺を伝えたい. 何かいい事例ないだろうか.
閉曲面の分類定理¶
どなたか閉曲面の位相的分類に使われた道具が何か教えて頂けるだろうか。複素解析(リーマン面?)使っていた気がするのだがそれすらよくわからないほど幾何を知らない市民なので困っている
— 相転移P (@phasetr) 2017年1月18日
@phasetr@MarriageTheorem閉曲面の分類を本当にフォローするのは大変なことですが、三角形分割の存在定理を基にした切り貼りによる方法が古典的で、可微分多様体の場合はモース理論による方法もあります。他にもあるかもしれません。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
きちんと追うのが大変と聞いて衝撃を受けた. トポロジーは有名な結果や古い結果をきちんと追うのが死ぬ程つらい分野というイメージがある.
二次元のトポロジーで複素解析で片がつく的な話があった気がするのだが, いったいそれは何だっただろうか?
『絵が下手な人必見!そっくり上手に描くための観察法と考え方 - MIKINOTE』記事紹介¶
なるほど。デッサンがうまくなるためには見る力を鍛えなきゃいけないって話は知ってたけど、見る力の詳細がわかった。 / “絵が下手な人必見!そっくり上手に描くための観察法と考え方 - MIKINOTE” https://t.co/sXZazzgD6V
— let's skeptic (@lets_skeptic) 2016年9月8日
細かいことはいろいろあるにしても, まず概要をつかむことが大事で, それもいろいろな角度からの概要をつかむことが大事ということを認識した.
とても参考になる. 数学とか物理とかプログラミングのコンテンツを作るときも参考にしよう.
数学的観点から見た『君の名は。』を書いてみたいが何もネタを思いつかず幾星霜¶
“『君の名は。』には恋愛や映像美だけでない要素が散りばめられている、と30代民俗学オタクの男性は熱く語る。”
— 畑中章宏@21世紀の民俗学 (@akirevolution) 2016年9月7日
>日本の神話や寓話の観点で語る民俗学的『君の名は。』|ニフティニュース https://t.co/KTc4Hdb7Ts
数学的観点から見た『君の名は。』を書いてみたいが, いいネタが何も思いつかないし, こんなときにこそ自分の無知無学無教養ぶりを思い知らされつらくなる.
『子供のころは勉強すると褒められたはずなのに, 大人になるとなぜか怒られるから, 小中学生の皆さんは今のうちに悔いのないくらい勉強したほうがよい.』¶
子供のころは勉強すると褒められたはずなのに、大人になるとなぜか怒られるから、小中学生の皆さんは今のうちに悔いのないくらい勉強したほうがよい。
— 千葉逸人 (@HayatoChiba) 2016年9月13日
妻「また食事中に数学はじめて!やめなさい!」
語り継いでいきたい.
「数式を並べるんじゃなくて、概念を説明してほしい」に込められた意図の謎¶
https://t.co/QXDDbHzxkTの『「数式を並べるんじゃなくて、概念を説明してほしい」的なことを言われた経験がある』は『「抽象化された数式は難しくて理解できないので、具体例を上げて説明してほしい」という意味で』というのは非常に深い洞察だと思った。
— Takashi Miyamoto (@tmiya_) 2016年9月14日
いくつか引用しておこう.
一般化された数式ほど概念を伝えるのに適した表現方法もないのになぁとずっと不思議だったのだけど、就職活動をしている辺りで僕は気づいた。どうやら、「概念を説明して欲しい」というのは、「抽象化された数式は難しくて理解できないので、具体例を上げて説明してほしい」という意味で日本のサラリーマンの中で用いられる隠語だ。
とても大切なことなのでついでに書いておくと、数式の「見た目の難しさ」と「(辞書的な意味での)概念の難しさ」は何の関係もない。特殊相対性理論の質量とエネルギーの等価性を示す、"E=mc^2"の見た目はとても簡単だけれど、その概念を僕は理解できない。
最近も数学や物理の概念を式を使わずに説明できないかという謎の要望を頂いた. いろいろな意味で謎.
$H=W$: 論文紹介, Meyers and Serrin, 1964¶
For Sobolev spaces, H = W. http://t.co/dDipvwyD7p
— Differential Eqns (@diff_eq) 2014年1月21日
$W$は普通のSobolevの定義だった. $H$がちょっと謎というかはじめて見る定義: 最初$H^k = W^{k,2}$のことかと思ったので. 変な境界だと$H \neq W$のようだが, その条件が何かとか具体的な反例を知りたい. Sobolevはあまりきちんとやったことがない. 幾何解析はやってみたい.
とりあえずは記録しておこう.
Set Theory: Constructive and Intuitionistic ZF: 魔法少女筋の情報¶
大分前のメモなので文脈を全く覚えていない.
@functional_yyPDFによる参考文献の供与を要求
— 相転移P (@phasetr) 2014年1月20日
そして教えてもらったのはこれ.
- http://plato.stanford.edu/entries/set-theory-constructive/
- http://www1.maths.leeds.ac.uk/~pmtng/Research/Papers/heyting.pdf
最初のページのタイトルが「Set Theory: Constructive and Intuitionistic ZF」なので, 構成的集合論とか直観主義でのZFとかそういう話を聞いたのだろうか.
Péter Ivanics, András I. Stipsicz, Szilárd Szabó, 2016, Two-dimensional moduli spaces of irregular Higgs bundles¶
https://t.co/yBpWc2fGsHmoduli空間の作り方とかよくわからないからこういうので勉強したいんだが、これに対応する?de RhamとBettiのmoduliもあったりとかその構成との比較とかができたりすると嬉しい気がする
— Naoya Umezaki (@unaoya) 2016年9月16日
リンク先のページは Péter Ivanics, András I. Stipsicz, Szilárd Szabó, 2016, Two-dimensional moduli spaces of irregular Higgs bundles だった. とりあえずメモ.
可算和定理と選択公理¶
アカウントが凍結になってしまっているようだが, 発端はこのツイート.
みやこくしんヰちろう @AGeometric
「可算和定理の証明には選択公理がいる」「Rの非可測集合はR/Qの完全代表系を上手く取れ」「UFDの極大イデアルの存在から選択公理が言える」「可算な体の代数閉包は選択公理なしで作れる」 #センター試験受験生への数学アドバイス - 1月19日
@AGeometricよく知らないのですが可算和定理と言うのは何なのでしょうか。私の専門の解析学関係の話かな、と思ったので結構興味があるのですが
— 相転移P (@phasetr) 2014年1月19日
@phasetrcountable union theorem(http://t.co/bBPalIoZMh)のことだったら、それは「可算集合の可算な集合の和は可算集合である」という定理じゃないですか。
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2014年1月19日
@CharStreamありがとうございます。ぞみさんのツイートいわく、それっぽいです
— 相転移P (@phasetr) 2014年1月19日
親切にリプライを頂いて文献を教えて頂けるの, すごいとしか言いようがない.
左逆写像と右逆写像が一致しない例を求めて¶
緩募 左逆写像と右逆写像が一致しない例
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月18日
@phasetr左と右があれば一致します。g,hをそれぞれfの左逆写像、右逆写像とするとg=gfh=hです。
— ゼリー (@Jelly_in_a_tank) 2016年9月18日
@Jelly_in_a_tank2,3行列Aに対するこんな感じの右逆があっても左逆がないみたいな例をいま作ったのですが、左右があって一致しない系はやはり無理ですかね? pic.twitter.com/Qzp04lFsjH
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月18日
@phasetr@Jelly_in_a_tank(m,n)行列Aと(n,m)行列Bに対して、ABが単位行列になるためにはrank(B)=mである必要があります。このことから不等式n≧mを得ます。逆向きも同様に考えると、BAが単位行列なのでm≧nを得ます。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年9月18日
@non_archimedean@Jelly_in_a_tankありがとうございます。行列でどうにかしようというのがあまりに浅はかで死にたくなったのはいいとして、左逆と右逆が存在して一致しない例、そもそも存在するでしょうか?どちらかはあって片方は存在しない例は思いつくのですが
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月18日
@phasetr@Jelly_in_a_tank2項演算が直積の部分集合で定義されていて結合律を満たすだけのもの(例えばモノイド)ででしょうか?
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年9月18日
AB=e,BC=eの時、A=Ae=ABC=eC=Cです。
@non_archimedeanやはりその壁に阻まれますか。ありがとうございます。
— 相転移P (@phasetr) 2016年9月18日
@phasetr今のは結合律を課したので、結合的でない合成を念頭に置いている場合は同じ証明ができませんのでご注意下さい。(例えば非有界作用素の合成の何らかの閉包を積だと思ったときに、結合的かどうか分かりません)
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年9月18日
結合律を破壞しに行く発想はなかった. 自分の甘さを一番思い知らされたのはここだ. 精進しなければ.
Riehl, Category Theory in Context¶
学部生とのセミナーで使ってるRiehl氏の新著がすごくいいので、圏論に興味ある任意の数学徒に今後オススメしていきます。
— ぴあのん (@piano2683) 2016年9月19日
著者のサイトで公開されてる→https://t.co/y3tHIbsIPO
ちなみにもうすぐ出版予定→https://t.co/iC46So4Zpa#圏論の日
各論に不必要に深入りしない一方で、今まで入門書で触れられることの少なかった話題でも、近年重要性が増しているものについては積極的に取り上げられています。数学的具体例も豊富に盛り込まれており、まさにMac Laneの『圏論の基礎』の現代版と言えるでしょう。#圏論の日
— ぴあのん (@piano2683) 2016年9月19日
Mac Laneの現代版とか読むしかないのでは.
J. P. May, A Concise Course in Algebraic Topology¶
一周回ってMayのConcise Courseわかりやすい気がしてきた(本当か??)
— simplicial object (@zj_nj) 2016年9月21日
@zj_nj一番最初に読んだ代トポの本でないので何周回ったか分からないですが、すごく分かり易い本だと思うのです. 圏論慣れしてる後輩に代トポの本勧められて、あの本紹介したら凄く分かりやすいと言ってました
— アトム同型 (@atomotheart) 2016年9月21日
これっぽい.
目次を見ると序盤から圏を導入しているようだ. とりあえず記録しておく.
『異世界に転生したはいいものの、異世界では英語しか通じないことが発覚し、中1レベルの英語力から徐々に英語力をつけながら無双していく、異世界転生王道ストーリー的な英語教材ください』の数学版を作りたい¶
異世界に転生したはいいものの、異世界では英語しか通じないことが発覚し、中1レベルの英語力から徐々に英語力をつけながら無双していく、異世界転生王道ストーリー的な英語教材ください
— chokudai(高橋 直大) (@chokudai) 2016年10月1日
https://t.co/gdXZv3pQFe何をどうしたらいいか全くわからないが、数学でこういうのやってみたい
— 相転移P (@phasetr) 2016年10月1日
@phasetr数学無双系の異世界話なら「できない子は知恵の悪魔と呼ばれるようです」がありますが、これは知識主体ですし… https://t.co/l3S0CYPEou
— 織機 明納 (@worihata) 2016年10月1日
コンテンツのネタは尽きない.
L Buhovsky et. al. A $C^0$ counterexample to the Arnold conjecture¶
https://t.co/wiE5kQ6Rw4
— math.SG summaries (@rXiv_math_SG) 2016年9月30日
L Buhovsky et. al.
A C^0 counterexample to the Arnold conjecture pic.twitter.com/pADtZEiVhY
ついにヤバいのが出ましたよっ!!!! https://t.co/LQ4GD5uENw
— 無人在来線爆弾㌠שין גודזילה (@morinomichi_311) 2016年10月2日
@morinomichi_311どういう結果なのか日本語で説明すると、アーノルド予想というハミルトン微分同相写像について広く信じられている予想があるのだが、それが4次元以上のハミルトン同相写像だと破綻するという結果。
— 無人在来線爆弾㌠שין גודזילה (@morinomichi_311) 2016年10月2日
とにかくヤバいんだけど、どうヤバさを説明すれば良いのか……
@morinomichi_311ざっと読んだ感じだと数年前にBuhovskyとOpsteinが開発した「量化したホモトピー原理」が使われているっぽい。道具立ても目新しそうなので超一流誌には余裕で乗りそうな気がする。
— 無人在来線爆弾㌠שין גודזילה (@morinomichi_311) 2016年10月2日
@morinomichi_311ついでにいうと、二次元の場合はアーノルド予想がハミルトン同相群でも成立していて、松元重則先生他の有名な結果です。
— 無人在来線爆弾㌠שין גודזילה (@morinomichi_311) 2016年10月2日
@morinomichi_311松元先生の論文はArnold conjecture for surface homeomorphismsで、これの謝辞がめっちゃ面白いので興味のある方は調べてみてください。
— 無人在来線爆弾㌠שין גודזילה (@morinomichi_311) 2016年10月2日
とりあえず気になるのでメモしておく.
小平邦彦先生の記憶: 故彌永昌吉博士による回想¶
コンテンツを作っていて検索していたら引っかかったので記録.
いくつか引用したい.
私が最初に量子力学を勉強したのは、故P.A.M Dirac博士の"The Principles of Quantum Mechanics"でしたが、読んだ人なら御存知の通り、物理実験の話は一切出て来ません。せいぜい、第一章の重ね合わせの原理のところで、光の偏光、すなわち光子の振舞いについて少し触れているだけです。それはそれで、私のような数学科の人間には助かるのです。と言いますのは、実験を長々と説明されても、そうかと思うだけで実感出来ないからです。実験器具なぞ、高校以来触ったこともなければ、見たこともない人間には苦痛以外の何物でもありません。
それはそうか, というのと, それはどうなんだ, というのが交錯する. コンテンツ作りの参考にはなる.
しかし本題はこちら:
それと、もう一つ、こっちの方が重要なのですが、紹介するにも私個人の心が痛むからです。あの時代の日本人(阿呆な政府軍部の人を除く)は今と違って、本当に強い精神力と忍耐力と心優しさを持っていて、(失礼ながら)一見ひ弱な小平博士でも、終戦前後の時、明日の日本(と御自分)がどうなるかも分からない中で、しかも発表する当てもない調和積分論に関する大論文を、病床の幼い御長男(最終的に病死されます)の傍らでお書きなったのは、終戦を見越してのことよりも、今を生きた証し(つまり、遺書)として残そうと思われたのではなかろうかと、私は考えていたからです。
これを検索していたのだ.
邦彦とセイ子の結婚から、彼等はかわいい息子和彦を得たが、残念ながら腎不全を患っており、終戦の数ヶ月後の1946年に諏訪で亡くなった。
あと彌永先生, 長寿だったということはそれだけ多くの, それも自分よりも年下の人が先立つのを見てきたということか, と割と悲しくなった.
私もそんな感慨を覚える年になったのか, というところもある.
モンティホール問題などに関する確率に関するやりとり¶
モンティホール問題などに関する確率に関するやりとりがまとめられていた. 確率はいまだにさっぱりわからない. 勉強用にとりあえずメモ.
集合の遠近感を入れるための四つの方法¶
集合に「近い」「遠い」を表す構造を付け加えたいじゃん、だけど「近い」を点と点の間の関係とすると反射・対称・推移的であってほしいし、そうしたら同値関係になって、敵と味方に分かれるだけなんですね
— [狐]クレイモア (@iClaymore) 2016年11月5日
もっと情報を付け加えてなんかこう連続な感じにしたいんですね、で私の知る限り 4 つのアプローチがあって、「2 点に近いか遠いかの 2 値でなく実数の値を与える」「点と部分集合の間の関係にする」「部分集合と部分集合の間の関係にする」「2 点間の関係をたくさん用意する」がある
— [狐]クレイモア (@iClaymore) 2016年11月5日
それぞれ距離空間、位相空間、近接空間、一様空間というものになります
— [狐]クレイモア (@iClaymore) 2016年11月5日
あまり考えたことがなかった. 参考のために記録しておこう.
追記¶
魔法少女からコメントを頂いた.
@phasetr標準的には一様空間は沢山の二項関係(もしくは沢山の擬距離)を備えた空間だが, 超準的には一様空間は超準点の間に「無限に近い」という同値関係を備えた空間と見ることができる.
— 🌔 (@functional_yy) 2017年3月1日
久し振りに魔法少女から超準解析系の話を聞いた気がする.
読書の参考: 東大数理, 2017年の学部四年セミナーのテキスト集¶
“平成29年度数学講究XA テキスト一覧” https://t.co/Po5UWGFODs
— いとう (@k1ito) 2016年11月8日
参考の記録として張っておこう.
川又雄二郎¶
- Algebraic surfaces, Lucian Badescu, Springer, 2001
- 通年で使用する.
高木寛通¶
- グレブナ基底と代数多様体入門 (上・下), コックスその他, 丸善出版, 2000
- とりあえず半期で使用. 上巻の 3 章:消去理論から読み始める. 上巻の 1, 2 章の内容 (グレブナ基底の定義なども含む) はしっかり自習しておいてください. アルゴリズムにはあまり深入りしないつもりなので代数幾何を勉強したい人を希望します.
寺杣友秀¶
- The red book of varieties and schemes(LectureNote in Mathematics 1358), David Mumford, Springer
- Algebraic Geometry (Graduate Texts in Mathematics), Robin Hartshorne, Springer, 1977
今井直毅¶
- Algebraic Number Theory, J. W. S. Cassels, A. Frohlich, Academic Press, 1967
- S セメスターのみ使用する. London Mathematical Society から 2010 年出版の第 2 版あり.
権業善範¶
- 新装版 複素多様体論, 小平邦彦, 岩波書店, 2015
松本久義¶
- Introduction to Lie Algebras and Representation Theory, James E. Humphreys, Springer, 1980
- (テキスト 1,2 共通) 通年で使用する. 他にも表現論, リー群, リー代数関係の本であれば相談の上変更可能.
- Lie superalgebras and enveloping algebras, Ian M. Musson, American Mathematical Society, 2012
志甫淳¶
- Algebraic Geometry ※所蔵なし (絶版), Lei Fu, Tsinghua University Press, 2006, 通年で使用する.
三枝洋一¶
- Automorphic Representations and L-Functions for the General Linear Group, Volume I, Dorian Goldfeld, Joseph Hundley, Cambridge University Press, 2011
- Abelian Varieties, David Mumford, Oxford University Press 1970
辻雄¶
- Local Fields, Jean-Pierre Serre, Springer, 1979
寺田至¶
- 古典群の表現論と組合せ論 (上) ・ (下), 岡田聡一, 培風館, 2006,
- 通年で使用する.
植田一石¶
- The Geometry of Four-Manifolds, K. Donaldson P. B. Kronheimer, Oxford University Press, 1990
- Mirror Symmetry, Hori et al., Amer Mathematical Society, 2003
河野俊丈¶
- Lectures on Symplectic Geometry, Ana Cannas da Silva, Springer, 2001
金井雅彦¶
- Large Scale Geometry, Piotr W. Nowak & Guoliang Yu,, European Mathematical Society, 2010
- Discrete Differential Geometry - Integrable Structure, Alexander I. Bobenko & Yuri B. Surism, American Mathematical Society, 2008
二木昭人¶
- An Introduction to Extremal K Ä Hler Metrics, G Á Bor Sz é kelyhidi, Graduate Studies in Mathematics, Amer. Math. Soc., 2014
林修平¶
- Lectures on Dynamical Systems, Eduard Zehnder, European Mathematical Society, 2010
- An Introduction to Ergodic Theory, Peter Walters, Springer, 1981
逆井卓也¶
- Algebraic Topology from a Homotopical Viewpoint, M. Aguilar,S. Gitler,C. Prieto, Springer, 2002
北山貴裕¶
- Lecture Notes in Algebraic Topology, James F. Davis and Paul Kirk, American Mathematical Society, 2001
小林俊行¶
- Lectures on the Orbit Method, A. A. Kirillov, Graduate Studies in Mathematics, Volume 64, AMS, 2004
- The Spectrum of Hyperbolic Surfaces, N. Bergeron, Universitext, Springer, 2016
足助太郎¶
- Lectures on Algebraic and Differential Topology (Lecture nots in mathematics 279), R.Bott, S.Gitler, I.M.James, Springer, 1972
- 通年で使用するが, 読み終わってしまったら別の本・論文等を考える.
古田幹雄¶
- Riemann Surfaces(Oxford Graduate Texts in Mathematics), S.K. Donaldson, Oxford Univ Press, 2011
- 通年で使うかどうかは読み進めながら決めたいと思います.
松尾厚¶
- Quantum groups, C. Kassel, Springer Verlag, 1995,
- 通年で使用する.
- The Finite Simple Groups, Robert A. Wilson, Springer Verlag, 2009
坂井秀隆¶
- 複素領域における線型常微分方程式, 渋谷泰隆, 紀伊國屋書店, 1976
- 通年で使用
河東泰之¶
- A Course in Functional Analysis, John B. Conway, Springer, 1990
- 通年で使用の予定
- A short course on spectral theory, William Arveson, Springer, 2002
- 通年で使用の予定
木田良才¶
- Ergodic theory with a view towards number theory, Manfred Einsiedler and Thomas Ward, Springer London Ltd, 2011
- 通年で使用する.
- Kazhdan's property (T), Bachir Bekka, Pierre de la Harpe, and Alain Valette, Cambridge University Press, 2008
高山茂晴¶
- 多変数複素解析入門, 安達 謙三, 開成出版, 2016
- 通年で使用する予定.
中村周¶
- Introduction to Partial Differential Equations (2nd Ed), Gerald B. Folland, Princeton University Press, 1995
- Semiclassical Analysis, Maciej Zworski, American Mathematical Society, 2012
儀我美一¶
- Partial Differential Equations: Second Edition (Graduate Studies in Mathematics), Lawrence C. Evans, American Mathematical Society, 2010
- 通年で使用する. どの部分を講読するかは受講者との相談による.
- Gamma-Convergence for Beginners, Andrea Braides, Oxford University Press, 2002
- 通年で使用する.
宮本安人¶
- ソボレフ空間の基礎と応用, 宮島静雄, 共立出版, 2006
- 関数解析 -その理論と応用に向けて, ハイム・ブレジス (藤田宏 監訳, 小西芳雄 訳), 産業図書, 1988
緒方芳子¶
- Representations of Finite and Compact Groups (Graduate Studies in Mathematics ), Barry Simon, American Mathematical Society, 1995
下村明洋¶
- 関数解析, 宮島静雄, 横浜図書, 2005
- 通年で使用する.
- 偏微分方程式 (共立数学講座 14), 熊ノ郷準, 共立出版, 1978
関口英子¶
- リー群と表現論, 小林俊行--大島利雄, 岩波書店, 2016 第 10 刷
- 通年で使用します.
新任教員¶
- Probability with Martingales, David Williams, Cambridge University Press, 1991
- 学生の理解度に応じて本の途中から始める可能性があります. また, 早く終わった場合, 他のテキストに移る可能性もあります.
佐々田槙子¶
- Probability with Martingales, David Williams, Cambridge University Press, 1991
- 確率論, 熊谷 隆, 共立出版, 2003
平地健吾¶
- Function theory of several complex variables, 2nd ed, Steven G. Krantz, Providence, RI : American Mathematical Society, 2001, c1992
俣野博¶
- Nonlinear Analysis and Semilinear Elliptic Problems (Cambridge Studies in Advanced Mathematics), A. Ambrosetti and A. Malchiodi, Cambridge University Press, 2007
稲葉寿¶
- An Introduction to Mathematical Epidemiology, Maia Martcheva, Springer, 2015
米田剛¶
- Vorticity and Incompressible Flow, Andrew J. Majda and Andrea L. Bertozzi, Cambridge University press, 2001
- 非線型発展方程式の実解析的方法, 小川卓克(おがわたかよし), 丸善出版, 2013
齊藤宣一¶
- 偏微分方程式の数値解析, 田端正久, 岩波, 2010
- 通年で使用
- Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations, Haim Brezis, Springer, 2010
白石潤一¶
- 拘束系の力学, 村井信行, 日本評論社, 1998
- 通年で使用する.
長谷川立¶
- Introduction to the Theory of Computation, Michael Sipser, PWS Publishing
- A Mathematical Introduction to Logic, Herbert B. Enderton, Academic Press
新井仁之¶
- 関数解析, 藤田宏, 伊藤清三, 黒田成俊, 岩波書店, 1991
- A First Course on Wavelets, E. Hernandez and G. Weiss, CRC Press, 1996
ウィロックスラルフ¶
- Discrete Systems and Integrability, J. Hietarinta, N. Joshi, F.W. Nijhoff, Cambridge University Press, 2016
- 通年で行う予定である.
- Mathematical Models in Population Biology and Epidemiology (Second Edition), Fred Brauer Carlos Castillo-Chavez, Springer, 2012
一井信吾¶
- Computer Organization and Design: The Hardware Software Interface: ARM Edition, David Patterson, John Hennessy, Morgan Kaufmann, 2016
吉田朋広¶
- Probability and Stochastics, Erhan Ç Inlar, Springer, 2011
- Statistical Estimation: Asymptotic Theory, Ibragimov, I.A., Has'minskii, R.Z., Springer, 1981
- Introduction to Stochastic Calculus Applied to Finance, 2nd ed., D. Lamberton, B. Lapeyre, Chapman & Hall, 2008
- The Malliavin Calculus and Related Topics, David Nualart, Springer, 2006
時弘哲治¶
- Methods and Models in Mathematical Biology, Johannes M Ü Ller, Christina Kuttler, Springer, 2015
非アルキメデス体係数線型空間の有限次元性と有界閉集合のコンパクト性に関する問答¶
バナッハ空間で「有界閉集合はコンパクト」と「有限次元」って同値なの
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年11月6日
@__dingdongbell反例:自明付値体Qに対しQ^Nに自明ノルムを与えたバナッハ空間は全体が有界閉集合かつ非コンパクト
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月6日
@__dingdongbellなんかnが大文字になってしまいました。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月6日
Q^nは全体が有開閉かつ非コンパクトなのに有限次元。
@non_archimedeanなるほどありがとうございます・・・(ちなみに逆は成り立つんですか…?)
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年11月6日
@__dingdongbell「有界閉集合がコンパクト」→「0次元または体が局所体か有限体」なので、体が局所体または有限体の場合のみ考えればよく、その場合はバナッハ空間が直交化可能(l^2空間と同型)なので正規直交基底を持つ場合を考えればよく、
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月6日
@__dingdongbell正規直交基底は有界離散部分集合を定め、離散集合がコンパクトであることは有限集合であることと同値なので、有限次元であることが示されます。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月6日
@non_archimedean知らない事実のオンパレードでしたorzありがとうございますm(__)m
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年11月6日
@__dingdongbell「有界閉がコンパクト」→「reductionが有限次元」は簡単に言えるので、最初から正規直交基底を持つことが分かっている状況ならもっと簡単に示せますけどね。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月6日
@non_archimedean@__dingdongbellこれ、体が実数か複素数なら元の同値は成り立つのでしょうか?wikipediaには局所体に実数、複素数を含めることもあるとか書いてあって付値あたりの話をまるで知らないので判断つかない状態です
— 相転移P (@phasetr) 2016年11月8日
@phasetr@__dingdongbell僕は非アルキメデスのみ考えていましたが、RとCでも成立します。正規直交化可能性は成り立ちませんが、同値性を示したいだけならリースの補題から同様に無限離散集合を作れば良いです。https://t.co/n38xsl9ys3
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年11月8日
@non_archimedean@phasetrなるほど、ありがとうございます
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年11月8日
もとの命題, $\mathbb{R}$と$\mathbb{C}$なら成り立つと思っていた (証明も読んだはずだがパッと思い出せなかった)ので, かなり驚いて「$\mathbb{R}$と$\mathbb{C}$でも本当に成り立つんだったか」と不安になったので思わず聞いてしまった. 関数解析的にシンプルな議論はどんなのだったか確認しなければいけない. 次のPDFが参考になりそうだ.
あとで必要なところだけ切り出してまとめてメルマガにも書こう.
$\mathbb{C}_{p}$などの非アルキメデス体, 本当に$\mathbb{R}$や$\mathbb{C}$の関数解析の直観がまるで効かないことを改めて実感した.
関数解析の初学にいい本: 量子系の数理の観点から/メルマガから¶
記事の冒頭にもある通り, 数学・物理系のメルマガと無料の通信講座をやっている. どちらかに登録しておいてもらえれば こちらからプッシュでこの手の濃い話題をお届けできる. ご興味がある方はぜひ登録してほしい.
以下は無料の通信講座, 現代数学観光ツアーに参加されている方からの質問だ. サイトに公開しておく価値もあると思ったので出しておく. ここまでが常体, 以下は敬体で文体が統一されていないけれども, 以下はメルマガが元なのでご容赦願いたい.
はじめに: 今回の背景¶
読者の方からメール頂いた話で, 多分他の方にも役に立つだろうから いったん全体への返信という形でお返事します.
量子力学を深く勉強するために ヒルベルト空間論, 関数解析をやろうとしていて, それに対する本の選択とかそういう相談です. たぶん.
Twitter というか私のサイト http://phasetr.com に 「Hilbert 空間メインの関数解析の初学には日合•柳の『ヒルベルト空間と線型作用素』をお勧めしたい」 という記事を書いていて, その中に『新井先生の『量子力学の数学的構造』があるが, 一般にはあまりお勧めしない』と書いたりしました.
その方がこれを読もうとしていたそうなので, それでどうしようか, という問い合わせです.
ちなみにこの人, 量子力学の数理, 特に量子測定などで知っている人は皆知っている 小澤正直先生に相談して von Neumann の 「量子力学の数学的基礎」を勧められたものの, 古いから新井朝雄先生の「ヒルベルト空間と量子力学」を読もう と思っている, とかいう訳のわからないことを言ってきました.
世界的な研究者に相談しておきながら, そこで勧められた本を無視して ど素人が勝手に自分の趣味で本を選ぶという行為が そもそも全く理解できなくて衝撃を受けました. 世界的な研究者の時間を奪っておいて, その話を聞かないとか何がしたかったのか全くわかりません.
率直に言って, すごいことするな, 何のために小澤先生に相談したんだ, こいつは何を考えているんだ, と.
確かこの人, もともと量子化学の研究者だと 言っていたと思うのですが, ふだんからこんな感じでやってたのでしょうか. 謎です.
小澤先生を無視しつつ, 何で私なんぞの意見あてにするんだ, 重鎮の意見を無視するのにこっちの意見は聞くのか, 何なんだと.
それはともかく, 参考になるところはあると思うので 私の見解をまとめます. いつも言っていることとはいえ, あなたははじめて聞くかもしれませんし, 改めていうことにも意味はあるはずですから.
あなたがしたいのは物理ですか? 数学ですか?¶
究極的なところからはじめます. 数学をやりたいのか, 物理をやりたいのかをはっきりさせてください.
あくまでも物理がやりたいというなら ルベーグ積分や関数解析をいくらやっても無意味です. 本当に無意味です. 数学はさっさと捨てて物理をやりましょう.
何故無意味かというと, 学部 3 年レベルの量子力学で出てくる話ですら, 数学的に追いきれないことが山程あるからです. これは私やあなたが愚かだから, とかそんなちゃちなレベルではありません. 現実問題として研究マターです.
あなたが研究者なら「そうは言っても 皆がやっていない穴とかあるんじゃないの? そういうところなら何とかなるのでは?」 と思うかもしれません. 残念ながらそんな都合のいい話はありません.
優秀な人が一所懸命やってできるところは たいがい潰されています. 残っているのは本質的な ブレークスルーが 5-10 個ないと進まない, そういう感じと思ってください.
数学的に厳密なスタイルの限界¶
レーザー, 量子電気力学, 散乱¶
具体例を挙げましょう. 物理の学部 3-4 年でレーザーに関する話, 量子光学的な話をやります. これを厳格にやろうと思うと 非相対論的量子電気力学が出てきます.
そしてこれは 2017 年現在でも 数理物理の研究最前線です.
もう 4 年も前の話ですが, これよりもう少し簡単な Nelson モデルの散乱理論に関して Dybalski さんからメールを頂いたことがあります. この人はもともと相対論的場の量子論の散乱理論を 研究している人で, 具体的なモデルの研究ということで, 非相対論的場の量子論にも踏み込んできたようです.
多体系の量子論, 量子統計に関するプレプリントを arXiv に上げたときに「自分も多体系に興味があって 研究しているからぜひ論文を読んでほしい」というメールでした.
そのときメールで教えて頂いたのは次の論文です.
これ, 電子と場の相互作用系なのですが, 扱う電子は 2 つですからね. 1 つでも厳しいというのが現状です.
この時点でまともな物理の人なら 「数学的に厳密な話なんて 全く使いものにならないな」と 思うでしょう.
もしかしたらあなたは「これは場の理論だから 厳しいのでは?」と思ったかもしれません. しかしその見込は甘いです.
量子力学の散乱¶
例えば数学的に厳密な量子力学の散乱理論ですら, 2 体はだいたい何とかなったものの, 3 体で既に研究の最前線のようです.
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/59/2/59_2_171/_pdf
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/59/2/59_2_172/_pdf
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/62/2/62_0622278/_pdf
最後の PDF が一番状況がよくわかるでしょう. 9 年前の話ではありますが, 3 体問題が難しいという絶望的な話をしています. 数学ベースであっても散乱理論の研究は 50 年以上続いているので, 一般の N 体に関する知見が この 8 年程度で爆発的に広がったとは思えません.
数学に厳密な物理の厳しさ¶
数学的に厳密な話など いくらがんばったところでこの程度です. もちろん数学サイドなら別にいいのです. 数学として面白いならそれでいいし, 実際磯崎先生がそれで数学会の賞を取るほどに 面白い話が展開できているわけですから. もちろん世界的にも認められている業績です.
しかし物理としては 2 体, 3 体の散乱で いくらシャープな結果が出ても, ご利益は何も感じないでしょう.
こんなことしたいですか? という話です.
現代数学観光ツアーで十分¶
というわけで, 物理がしたいという人はヒルベルト空間論や 関数解析をやっている暇があるなら, さっさと物理にうつりましょう.
現代数学観光ツアーで紹介したレベルの 話がおさえられていれば十二分です. 関数解析というよりも線型代数の適用範囲を もっと積極的に広げたよ, 一度慣れておけばいろいろなことを 統一的に眺められて便利だよ, そのくらいの認識でほぼ完璧です.
あなたは現代数学観光ツアーを知らないかもしれないので, 一応改めて宣伝しておきましょう. 次の URL から登録ページに飛んでください. 講座の説明もしてあります. 無料ですし気に入らなければすぐ登録解除もできます.
長くなってきので, 残りは次に回します. 次回は数学をやると決めた場合の対応です.
最初に: 前回の記事を張り直し¶
前回, 「Hilbert 空間メインの関数解析の初学には 日合?柳の『ヒルベルト空間と線型作用素』をお勧めしたい」 という記事へのリンクを きちんと張っていませんでした.
いちいち検索するので面倒と思うので, 念のため張っておきます.
あと関連する記事ももう 1 つ.
他にも関係する記事はいろいろあるのですが, 思い出せないのでまずはこの 2 つを.
前回の復習¶
それはさておき, 前回, 量子力学の勉強のために ヒルベルト空間論や関数解析を勉強したいと 思っている方から, 具体的に何をどう読もうか, という相談を受けたという話をしました.
それに対してまずは数学をやりたいのか, 物理をやりたいのかはっきりさせること, そして物理をやりたいなら, 現代数学観光ツアー以上の ヒルベルト空間論はやったところで無意味だから, さっさと物理を勉強しようと言いました.
数学的に厳密にやろうとすると, ちょっとしたことが既に研究最前線マターであることを, いくつか具体例を挙げて紹介しました.
厳しめのことを書きましたが, 私は実際にその方面, つまり数学的に厳密なスタイルで 物理をやる数理物理を専門にしていたので, どれほど大変なのかの実体験があります.
甘くはありません. しかし非常に楽しい分野ではあります. 少なくとも私にとっては.
というわけで書いていたら楽しくなってきて, とんでもないボリュームになりました. 1 回では長すぎるので何回かに分けて配信します.
今回からは数学よりの話をします. 量子系の数理といってもいろいろあります. それは扱いたい物理による話で, 質問された方がどの辺を意図しているのか, それがよくわかっていないので 何とも言えないところはあります.
先に質問者に聞けばいいじゃない, という話でもありますが, ある程度は網羅的に説明しようと思ったので, まあまずは情報を出そうという感じです.
新井先生の本の紹介¶
まず具体的に書名が挙がっていた 新井先生の『ヒルベルト空間と量子力学』と 『量子力学の数学的構造』に関して.
- http://m.phasetr.com/l/m/TC4CxrZW9geCTD
- http://m.phasetr.com/l/m/JeWf7aUoGdo80q
- http://m.phasetr.com/l/m/X52R35Zy77dUgT
『ヒルベルト空間と量子力学』はきちんと 目を通していないし, 増補版は余計見切れていないものの, 少なくとも『ヒルベルト空間と量子力学』の旧版には スペクトル定理は使うだけであって, 証明が書かれていなかったはずです. その代わりに水素原子に関する議論が載っている, そういう認識です.
新井先生方面, つまり作用素論的な方面から言うなら, スペクトル定理抜きの議論には魂が入りません. 新井先生の本を読んで量子系の話をするなら, 最初から『量子力学の数学的構造』を読んだ方が早いですね.
水素原子の解析にしても, ハミルトニアンの自己共役性に関して, 続編の『量子現象の数理』で加藤-Rellich の定理からはじめて 1 章まるまる割いて議論されている程度には面倒ですし, 議論するべきこともたくさんあります.
『量子力学の数学的構造』を読む前提なら, 『ヒルベルト空間と量子力学』を読む理由をあまり感じません. 中途半端にやってもね, という感じ.
あともう 1 つ, 一般には『量子力学の数学的構造』を勧めないと書いた理由です. これは単純で, 記事ではヒルベルト空間メインとはいえ 「関数解析」に焦点を当てたからです.
新井先生の本, 特に『量子力学の数学的構造』と 続編にあたる『量子現象の数理』は, 極端なことを言えば, 新井先生の視点から量子力学に関わる数学にフォーカスしています.
関数解析の基本的で大事な定理でも, 本で扱っている範囲で使わないなら解説がありません. 『量子現象の数理』にはハーン-バナッハが載ってはいるものの, 証明抜きでした. 証明にツォルンの補題を使うから省略したのでしょう.
量子系の数理にだけフォーカスを当てるなら わからないでもありません. しかし数学として関数解析にフォーカスがあるのなら, あまりいいことではありません.
日合-柳の『ヒルベルト空間と線型作用素』¶
しかし日合-柳の本は, 付録まで含めると関数解析の本として立派に使えます. リース-マルコフ-角谷の定理までありますし, こちらなら関数解析をやったと言える内容です. スペクトル定理の証明もあるし, 量子力学の数理でもときどき出てくる コンパクト作用素の議論もあります.
量子統計やるならある程度トレースクラスの議論も 必要ですし, その意味でも無駄ではありません. そういうわけで日合-柳をお勧めしています.
数学的にもリース-マルコフ-角谷の定理を使って スペクトル定理を証明していてなかなか気分がいいです. リース-マルコフ-角谷の定理も証明も載っていて, 至れり尽くせり感が素晴らしい良書です.
関数解析の基本定理は都度やると 割り切るなら新井先生の本だけでもいいでしょう. きちんと勉強していれば数学力もつきますし, その段階で改めて関数解析のふつうの本を読めば, 苦労なく読めるはずですから, それはそれで一手です.
テーマごとのお勧め¶
さて, ここからは物理のテーマごとに 合わせた数学という方向で話を進めます.
現代数学探険隊の募集ページで 量子力学がいろいろな数学と関係していることを お伝えしたので, そちらを見た方は何となくはご存知でしょう. 一応募集ページのリンクも張っておきます. 長いので, 読むにしても 必要なところだけ読んでもらえれば結構です.
ここでは詳しい話に踏み込むので, 私が知っている分野・範囲の話しかできません. 幾何は一切抜きにしてゴリゴリの解析方面の話です.
数学から言うと大きくわけて次の通りです.
- 特に基底エネルギーを評価する不等式処理, 実解析的な処理.
- シュレディンガー方程式などを微分方程式と見た上での微分方程式の解析.
- ハミルトニアンを作用素と見た上で作用素論的な解析.
- 作用素論・不等式処理に確率論を使っていく解析, 特に経路積分の解析.
- 特に場の理論・量子統計で作用素環を使う解析.
これらは全て独立しているわけではなく, お互いに深く関係しています. 全ての数学をきっちり勉強しきるのは難しいですし, 好き・嫌いまたは得意・不得意があるので, ふつうはどれかをメインにします. 私は作用素論・作用素環論を使う方面で, 量子力学というよりも場の理論・量子統計に重きを置いています.
下の 3 つに関してはヒルベルト空間論を こってりやる意味があるし, その必要もあります.
まずはヒルベルト空間の一般論が それほど必要ないところからやりましょう. 大雑把に言って先のリストで 上から順にヒルベルト空間の一般論や, 関数解析の抽象論が必要になっていきます.
特に基底エネルギーを評価する不等式処理, 実解析的な処理¶
これは $L^{2}$ やソボレフ空間 $H^{1}$ が主戦場で, 特にそこでの不等式評価がキモです.
本としては Lieb-Loss の Analysis が 突き抜けています.
これはこの分野の世界的権威である Lieb (と Loss) が応用の現場を意識して, とっつきづらい関数解析の抽象論には 一切触れず $L^{p}$ の中で議論しきろうと書かれた本です.
ヒルベルト空間やバナッハ空間上での 基本定理は全て $L^{p}$ で議論されています. ルベーグ積分の定義からはじまってはいますが, 事実上ルベーグ積分は既習が前提です.
この本, Lieb-Loss の「現場の数学」を貫き通しすぎて, 抽象論がないからといっても 全く簡単ではありません.
それは不等式評価が苛烈だからです. 具体的な $L^{p}$ や $H^{k}$ での議論であり, 物質の安定性のように ハードな評価が必要な分野への応用も意図しているため,
ふつうの数学書で滅多に見かけない 最良定数評価もきっちりやっていて そういう部分は本当にきついです.
ただ量子力学への応用を意識して, ソボレフ空間の議論も過度に一般化せず, 詳しい議論はほぼ $H^{1}$ と $H^{1/2}$ に限定しています.
後半で量子力学, 特にシュレディンガー方程式の 解析にも関わる, クーロンポテンシャルの解析や ポアソン方程式などの議論があった上で, シュレディンガー方程式自体の議論もあります.
固有値評価に関する詳しい議論もあれば, 量子化学で重要な密度汎関数でもある トーマス-フェルミ汎関数の議論もあって, そこまで含めて参考になります. まさに量子系の数理という感じです.
ただトーマス-フェルミに関しては 引用されている原論文を読んで方が わかりやすいですね.
以前, 実際にこの辺を専門にしたいと 言っている院生から Lieb-Loss の Analysis のトーマス-フェルミパートが わけわからん! という相談を受けたので, トーマス-フェルミに関する セミナーをやってこともあります.
どうしてもわからないところがあったので, 原論文をあたってみたら その方が遥かにわかりやすかったという話です.
物理として何をやるかは難しいところですが, Lieb-Loss を読み終わったあと Lieb の方面としては物質の安定性や BEC がとっつきやすいでしょうか.
BEC でも議論される Gross-Pitaevski 方程式は 非線型シュレディンガー方程式と呼ばれるタイプの方程式で, 非線型の偏微分方程式論をやるという手もあります.
何はともあれ同じく Lieb が書いた本として, Stability of matter と The Mathematics of the Bose Gas and its Condensation (Oberwolfach Seminars) を勧めておきましょう.
どちらもかなり難しいです. 基本的に使っている数学は $L^p$ や $H^1$ と そこでの不等式評価だけで, 一般論・抽象論の出番はほぼありません.
また長くなってきたのでまた切ります. 残りは次回に回します.
前回の復習¶
まずは復習.
前々回は物理をやりたいのか, それとも数学をやりたいのか はっきりさせようという話で, 物理を数学的にきちんとやろうと思うと 学部レベルの物理すら厳しいという話をしました.
前回は数学をやろうというなら, という方向で軽く新井先生の本や, 日合-柳の本の紹介をしました.
- http://m.phasetr.com/l/m/WP1OcwuIBYlHEU
- http://m.phasetr.com/l/m/gj4if5JR2PCvSK
- http://m.phasetr.com/l/m/9itzY2uqASyVpI
さらに大雑把に 5 種類の方向性を挙げ, そのうちの最初, ヒルベルト空間の一般論や抽象論が ほぼいらない物理に関する数学を 具体的な本とともに紹介しました.
その 5 種類は次の通りです.
- 特に基底エネルギーを評価する不等式処理, 実解析的な処理.
- シュレディンガー方程式などを微分方程式と見た上での微分方程式の解析.
- ハミルトニアンを作用素と見た上で作用素論的な解析.
- 作用素論・不等式処理に確率論を使っていく解析, 特に経路積分の解析.
- 特に場の理論・量子統計で作用素環を使う解析.
今回は後半の 4 つを紹介します. 2 番目, 微分方程式の解析に関して話をしましょう.
シュレディンガー方程式などを微分方程式と見た上での微分方程式の解析¶
これは何をやるかによって 一般論・抽象論がかなり必要なところも出てきます. 例えば初回に説明した散乱理論は 作用素論に関する抽象論がかなり出てきます.
自己共役作用素の解析も必要になるので, そこで作用素論の一般論が必要になる局面があります.
当然ソボレフ空間論も必要なので, 前回の Lieb-Loss 程度のソボレフ空間論は カバーしておく必要があります.
数学としては非線型シュレディンガー方程式も 視野に入ってくるので, そちらに進んでもいいでしょうね.
非線型シュレディンガーは ソボレフや偏微分方程式の基礎を みっちりやった上での話なので, その基礎部分に関して参考文献を紹介していきます.
関係が深い話も多いですから, 前回紹介した Lieb-Loss の Analysis は 相変わらずお勧めの 1 冊に入れられます.
散乱理論のような作用素論の趣も強いところは ヒルベルト空間の一般論・抽象論が必要です. これに関しては日合-柳は相変わらずお勧めですし, 新井-江沢の『量子力学の数学的構造』もお勧めです.
- http://m.phasetr.com/l/m/kOgzbmZqMZxM6L
- http://m.phasetr.com/l/m/XPXWo50PdIKqrN
- http://m.phasetr.com/l/m/5sca3mQTuP0kh7
『量子力学の数学的構造』の II 巻の後半は 基本的に場の理論・量子統計をやるときに 必要な内容なので, 飛ばして構いません.
具体的な作用素の自己共役性や 散乱理論の一般論など, 量子力学の数学に関してもう一歩踏み込んだ本としては 同じく新井先生の『量子現象の数理』がお勧めです.
高いのでおいそれと買えとは言えませんが, 私は専門の関係で読むしかなかったので 買って全部読んでいます. 本質的なものでもないですが, 誤植はいろいろあったので それは新井先生にお送りしています.
研究会で会って自己紹介したとき 「丁寧な誤植訂正を送って頂いて ありがとうございました. とても助かりました」と言って頂いたこと, 今でも覚えています. その程度には新井先生の本や論文を 読み込んで育っています.
Hausdorff-Young の不等式など Lieb-Loss の Analysis レベルの 不等式処理力は前提とした上で, 『量子力学の数学的構造』や 『量子現象の数理』のネタも 1 章で ある程度証明までカバーしつつ 量子力学の散乱理論に深く踏み込んだ本として 磯崎洋先生の「多体系シュレディンガー方程式」は なかなか面白いです.
一般論・抽象論が必要とは書いたものの, 全部 $L^{2}$ 上で考えておいて問題ありません. 基本は全部 $L^{2}$ ですからね.
数学として, 微分方程式としての取り扱いなら, 方程式の解の存在といった議論も視野に入ります. 時間発展を考えるときは発展方程式の議論で, Hille-吉田の定理などはふつう抽象論レベルでやるでしょう.
偏微分方程式も主戦場は $L^{p}$, $W^{k,p}$ だとはいえ, 関数解析の一般論・抽象論は必要です.
これについてはやはり 偏微分方程式関係の本がいいですね. 関数解析の抽象論からカバーしてくれる本としては, もともとフランス語でそれが和訳された ブレジスの本がいいバランスです.
上の URL は日本語版へのリンクです. しかし最近改めて英語で出た バージョンの方をお勧めしておきます.
ページ数が増えているので「ちょっときつい」と思うかもしれません. しかしこれはフランス語の英訳ではなく, 新たに書き直されたバージョンです.
各章末の発展的な話題にも最近の進展が反映されていますし, 実係数しか扱われていなかったのが, 付録で複素係数までカバーするようになりました.
複素係数まで含めた関数解析の本としての 完成度も高まっています. そして分厚くなった理由の 1 つとして, 演習問題の回答がついたことが挙げられます.
もともと関数解析からはじまり, $L^{p}$ の不等式やソボレフ, Hille-吉田など関連する重要な話題もカバーしつつ, 変分を基礎に具体的な線型方程式の解析も やっていて広い範囲をバランスよくおさえた本でした.
その完成度がさらに高まっているので これは本当にお勧めです. その後非線型解析に進むにしろ, 基礎としておさえておくべき内容です.
関数解析の基礎があるなら Evans の本もお勧めです.
この本は次の 3 本立てです.
- 線型非線型問わず具体的に解ける方程式の解析.
- 線型方程式の理論.
- 非線型方程式の理論.
具体的に解けるところで偏微分方程式に親しみ, 線型の理論でソボレフ含め 偏微分方程式の本格的な理論への地ならしをし, 最後に非線型方程式の基礎を見るという, こちらもバランスのいい構成です.
半群理論も線型の Hille-吉田だけでなく 非線型半群も議論していますし, その辺もいたれりつくせり感があります.
非線型方程式を射程に入れているなら, 読んでみていい本でしょう. 東大の偏微分方程式の研究室の 学部 4 年セミナーでも使われている本なので, その意味でも確かな内容です.
ハミルトニアンを作用素と見た上で作用素論的な解析¶
これはばっちり私の専門です. もう少し広げて話すこともできるのでしょうが, 半端な話をするよりは特化させることにしました. 量子統計は微妙ですが, 場の量子論は射程距離に入れて話をします.
私は新井先生の本と論文を読んで育ち, その中で抽象論もバリバリやってきましたし, その方面が基礎です. どうしても $L^2$ の具体的なところを離れた議論, いわゆるヒルベルト空間論が必要不可欠です.
これに関しては新井先生の本が一番です. まずは『量子力学の数学的構造』を読んでから 『量子現象の数理』を読みましょう.
- http://m.phasetr.com/l/m/bqqhypi52ndAl4
- http://m.phasetr.com/l/m/nLWjjKnp0vXt1L
- http://m.phasetr.com/l/m/plwdPwhKhss8sU
ここからさらに量子力学方面に進むなら Cycon, Froese, Kirsch, Simon の本でしょうか.
新井先生の本は奇蹟のように読みやすいですが, これはそこまで読みやすくはありません. 気合を入れないと読めない部分も増えます.
場の理論に行くならこれもまた新井先生の 『フォック空間と量子場』ですね.
『量子力学の数学的構造』, 『量子現象の数理』と来て 『フォック空間と量子場』を読めば, 作用素論的な方面の場の理論の論文が読めます. 少なくとも新井先生の論文はかなり読めます.
I, II と上下全部合わせるとページとしては 1700 ページくらいあるのでしょうか.
こう思うとかなりのボリュームに 感じるかもしれません. しかし新井先生の本は本当に読みやすいので 体感はもっと軽いです.
他の昔の本で半ページくらいの証明を 3-4 ページ程度に渡って 懇切丁寧に書いてくれているのだと思ってください.
実際に Reed-Simon と新井先生の本で 何かの定理の証明を比較したとき, そういうことがありました.
新井先生の本が読めなければ おそらく他の本は全く読めません. 他の本や論文を読むのは本当につらかったですからね.
ここに来ると一冊一冊がもう専門書のレベルで 1 万円越えたりしますし, 学生で大学の図書館を自由に使えるならともかく, 大人なら事実上本を買うしかありません.
余計なことは考えず新井先生の本を 買った方がお金を無駄にしないですみます.
私の専門が近い話で 書けることが増えてきたせいで またかなりのボリュームになりました.
また残りは次回に回します. 確率論は勉強しきれていないのですが, 最後の作用素環に関しては修士の頃の 研究室レベルでの専門なので, また多少詳しい話になるでしょう.
数学的にもいろいろ関係することが増えるので, 数学をやりたい人には楽しい話になるはずです.
前回までの復習¶
前回から今回にかけての内容で, 割と最近の成果がまとまった本として 次の本をおすすめしていきます.
私も参加していた Summer School 数理物理 2013 の 講演内容をまとめた本です.
内容の大雑把なところに関しては 当時レポートを書いたので参考にしてください.
でははじめましょう.
作用素論・不等式処理に確率論を使っていく解析, 特に経路積分の解析¶
前回少し作用素論方面の話をしました. 関数解析系の量子系の数理の核の 1 つは ハミルトニアンの解析です.
ふつうハミルトニアンは線型作用素だから 作用素を調べることになり, そこで作用素を研究することに特化した 作用素論の出番になるわけです.
その作用素を詳しく調べるために確率論を使う手法があります. 物理としてはいわゆる「経路積分」の厳密解析にあたります. 場の理論では特に超関数を変数とする関数の積分論になるため, 汎関数積分と呼ばれることがあります.
前者の新井先生の本は丁寧でいいんですが, 論文を読むには全く足りません. この方面の 1 冊目には最適だろうと思います. 量子力学だけでなく場の理論の話も書いてあります.
Simon の「Functional Integration And Quantum Physics」もありますが, これに限らず Simon の本は難しいです. 読むにしても新井先生の本で きっちり基礎を固めた後にしましょう.
後者の廣島先生の共著の本は 完全に場の理論の本です. 正確には粒子系と場のカップリングを考えているので, 粒子系, つまり量子力学の話ももちろん書かれてはいます.
ただこれ, 確率論に関するかなりの予備知識が必要です. いきなり Levi 過程の話が出てきます. その確率論や確率過程, そいて確率積分に関しても基本的なことが 新井先生の本にいくらか書いてあります.
この方面に進むにしてもまずは 新井先生の本を読むのをお勧めします.
量子電気力学に関する解析でも 汎関数積分を使った結果に決定的な成果があります. 対応する結果を確率抜きの純粋な作用素論で証明したり, 作用素環で見てみたりといった研究をするにも, ある程度は結果をフォローできないといけません.
研究フェーズの話ではありますが, 楽しいところなのでぜひトライしてみてください.
確率論じたいの参考書もいくつか紹介しておきましょう. まずは舟木先生の本をお勧めします.
例えば分布の収束の定義について 「どうしてこういう定義なのか」という 「気分」についての説明もあり, 初学者が疑問に思うところを丁寧に潰しています. 舟木先生の教育力, 経験が光る本です.
Markov 鎖の場合に限ってはいますが エルゴード性に関する記述もあります. 確率積分は書いていないので, 別の本を読む必要があります.
確率論の基本的なところについては 西尾さんの確率論も証明が丁寧で 読みやすくていい本です.
確率積分に関しては初読は 新井先生の汎関数積分の本を勧めます.
突っ込んだ内容に関しては, 例えば次の本が有名どころです. 読んだ本もあれば きちんと読み込んでいない本もあります. 順に舟木直久, 長井英生, 渡辺信三, エクセンダール, カラザス・シュレーブです.
- http://m.phasetr.com/l/m/oQEQqtHT4dPKl8
- http://m.phasetr.com/l/m/RlnvwASeWpHDVD
- http://m.phasetr.com/l/m/SnZbJC7qQ2AqJv
- http://m.phasetr.com/l/m/MIMtPnq0w1Tfcx
- http://m.phasetr.com/l/m/KdIrIfHvHWq8hA
結論から言うと廣島先生の本が研究に直につながる本です. しかしここにいたるギャップが激しいです. 関数解析だけでは足りず, 確率論に関してもかなりカバーするべきことがあります.
作用素論の定理の確率的証明だとか 確率的解釈のようなことも面白いので, 数学としてもかなり面白いところです.
少なくとも作用素論と確率論という 2 つの分野の交点にあるわけで, 複数の分野をまたがる話に興味があるなら 挑戦するべき価値のある話です.
くり返しになりますが, 専門書と入門のギャップ, 特に関数解析だけではほとんど足りません. そこを埋めるのがかなり大変です.
私が知る限り, 直接量子系の話とはつながらない 部分も含めて確率論をふつうに相当かっちりやった上で 対応していかないといけません.
ダイレクトに絞っているのは 新井先生の本です.
しかしこれでは明白に分量が足りません. そこを埋める, それもダイレクトに埋めてくれる 具体的な本はないと思います. 何かご存知でしたらぜひ教えてください.
特に場の理論・量子統計で作用素環を使う解析¶
一応, 厳密にはこれが私の専門です. 研究室は作用素環が専門の東大の河東研だったので, 本来はここです. 修士論文では作用素論しか使いませんでしたが, その後の展開では積極的に絡めています.
河東先生は相対論的な場の理論でしたが, 私は非相対論的な場の理論と量子統計方面です. 量子統計は, 河東先生の指導教官である 竹崎先生の巨大な仕事があるので, むしろその血を受け継いだ感じがあります.
学部の頃の指導教官筋で言えば, 私の指導教官のさらに指導教官は黒田成俊先生ですが, そのさらに指導教官が加藤敏夫先生です. 加藤敏夫先生は量子力学の作用素論の大家ですし, 実際に加藤-レリッヒの定理は修論でも使いました.
直接の指導教官よりも先祖返りして, 指導教官の指導教官とか そういう人達の強い影響下にある研究をしています.
ちょっと話がずれました. 具体的に作用素環の話をしましょう.
相対論的場の量子論, 非相対論的場の量子論, 量子統計でそれぞれ微妙に違う趣があります.
しかしどれも基本的なところは同じで, Bratteli-Robinson が聖典です.
全部読む必要はなく, 最低限おさえるべきは次の節です.
- 2 章
- ここは全部読む.
- 2.7 は軽く眺めるだけでもよし.
- 3 章
- 3.1 は全部
- 3.2 はある程度眺めて必要になったときに適宜見るくらいでも可.
- 4 章
- 飛ばしていい.
- 必要になったら泣きながら読む (難しい).
- 5 章
- 5.2 は新井先生の「フォック空間と量子場」を読んでから読んだ方がいい.
- 5.3 は 5.3.1 の KMS 条件のところは特に前半は必ず読み, あとはさっと眺めておく. 必要なところは必要なときに詳しく読めばいい.
- 5.4 はさっと眺めておく. 概念的には全て重要. 証明の詳細よりもどんな事実が示されているか, 物理として対応することは何かに注目する.
- 6 章
- 6.2 は必要になったときに読めばいい. スピン系をやりたいなら必ず読むこと. 具体例で遊んでみたい人は別途読んでみても楽しい.
- 6.3 は読まなくてもいい: 修羅の世界. 本当に難しい.
少なくとも作用素環の基礎である 2 章と, KMS の 5.3 は必ず読みましょう. KMS に関連して 3 章の半群理論が そこここに出てくるので, 必要なところをピンポイントでやるもよし, 必要だからと全部ガッとやってもいいです.
非相対論的場の量子論だと ほぼ作用素環の基礎だけで事足ります. むしろ作用素環の基本中の基本, GNS construction が魂です. 作用素環的な赤外発散処理のための道具です.
非相対論的場の量子論でも 有限温度との関係がありますし, 量子統計も自然と視野に入ってきます.
有限温度なら平衡状態を議論しないといけないし, そうなると KMS 状態の話になります. Bratteli-Robinson の 5.3 節ですね. KMS は冨田-竹崎理論との関係も極めて深いので, 冨田-竹崎理論は必ずやりましょう. これは 2.5 節です.
2.5 節の冨田-竹崎理論は weight に関する フルの理論ではありませんが, 場の理論への応用上は十分です. 必要になったら weight の場合の理論は 適宜結果だけ使えばいいでしょう.
相対論的場の量子論の散乱理論では weight を使おうという話もあるようで, そういうところでは関係してくるのでしょう. ド専門の話で完全に研究マターです.
Bratteli-Robinson を読んだら 論文がかなり読めます. 私が見ている範囲の作用素環を使う非平衡量子統計では 作用素論もある程度必要だったりはしますが, その辺は新井先生の本を読めば十分です.
論文になってしまいますが, Bratteli-Robinson の話の拡張でもある Derezinski-Jaksic-Pillet の PERTURBATION THEORY OF $W^*$-DYNAMICS, LIOUVILLEANS AND KMS-STATES は楽しいです. 作用素論との絡みもあるので, ぜひ読んでみてください.
あと相対論的場の量子論に関してもう少し補足しましょう. 河東先生がやっている方面の話です. 概要を把握するには最初にも引用した次の本がベストです.
これについて詳しく突っ込むには次の本を読みましょう.
Bratteli-Robinson 程度は知っていないと話になりません. 特に冨田-竹崎理論は全開で使っています. むしろ魂です.
この方面だと実際に河東先生がやっているように, 非可換幾何を介して幾何が絡んできたり, 低次元の話でジョーンズ多項式が出てきたり, それ以外にも共形場が絡むところでは 頂点作用素代数をはじめとして いろいろな数学が関係してきます.
明らかにいろいろな数学が交錯する分野です. あなたが数学に興味があるのならとても楽しい分野です.
あとは私の好みでいうなら $C^*$-力学系の話とスペクトル解析みたいなところですね. 数年前に亡くなってしまったのですが, Borchers がこのあたりをやっていた人です.
これは多変数関数論と超関数論を駆使しつつ, $\mathrm{R}^{d+1}$ の作用素環上への表現として $C^{*}$-力学系を考え, そのスペクトルを調べるという話です.
このスペクトルは粒子の情報も含んでいて, 相対論的場の量子論のやはり基本的な話を 数学的にがっちり議論するテーマです.
あなたが興味があるなら 「Quantum Field Theory as Dynamical System」という 論文を読んでみるのがいいでしょう. これを詳しく解説したのが上記の本です.
作用素論から見た私の専門はスペクトル解析ですし, やはりスペクトル解析好きなんですね. 多変数関数論や超関数論で, その分野じたいではあまり有名ではないし, 古い話を使うのですがそういうところがまたかなり好きで. どなたか興味がある方いれば一緒に勉強しましょう.
あと多変数関数論と超関数論が絡むところとして 楔の刃の定理 (edge of the wedge theorem) があります. これは代数解析への展開があります.
代数解析は全く手が出ていないのですが, 興味だけはずっとあります. これについては次の本に書いてあります.
場の理論関係だと最近そんなに話を見かけません. しかし量子力学に関しては河合隆裕さんが 何かいろいろやっている感じがします. 例えば Borel 総和法だとか, 完全 WKB 解析とかですね.
本もあるのであなたがその辺に興味があるなら 読んでみてはどうでしょうか.
私はこの本はきちんと読んだことがありません. 以前眺めた限りでは 1 次元の話をいろいろやっていて, 代数解析勢は常微分方程式論をいろいろやっているので, その辺の話なのかと勝手に思ってはいます.
代数解析の話は全く追えていませんが, イジングやスピン系の厳密解など 代数解析は昔から量子力学, 場の量子論, 統計力学とある程度の関係があります.
もはや関数解析の初学どころか 関数解析の話ですらなくなっていますが, まあいいでしょう.
最後にまとめ¶
長くにわたってごちゃごちゃと書いてきました. 数学パートが死ぬほど長くなりましたが, バリバリド専門, お気に入りの話をしたので こんなものでしょう.
量子力学と関わる関数解析の全てとはさすがに言えません. しかしある程度の広さはおさえたとは思っています.
現代数学探険隊の募集ページ, http://m.phasetr.com/l/m/bN5TxolcsyXt4qでもいろいろ書いたように, 幾何や代数, 数論との関係もあります. (このページ, 相当長いので 必要なところだけ適当につまみ読みしてください.)
関数解析以外にも興味がある数学を いろいろやってみてほしいですね. 幾何については最近コンテンツ制作が滯っていますが, 微分幾何・幾何解析関係の話も少しずつやっていく予定です. そちらも楽しみにお待ちください.
物理の話もしたいんですが, 最低限の数学の話を準備できないことには なかなか話ができません.
それに合わせてミニ講座は いくつか準備しようと思っていますし, がっつりやりたい人には 現代数学探険隊 http://m.phasetr.com/l/m/PMpCBo4snaB4n4もあるので ご興味あればぜひどうぞ.
毎度こんなに長い返信はしきれませんが, 何か質問があれば時間がある限り答えますし, みなに共有する価値があることは積極的にシェアします.
こんな講座を開いてほしいというのもあれば, 要望を挙げてみてください. どこかに何かの形で反映させていきます.
「四色問題がゲージ理論を使って解けるんじゃないかという話をKronheimer-Mrowkaがやっているらしい」¶
4色問題がゲージ理論を使って解けるんじゃないかという話を Kronheimer-Mrowka がやっているらしい: https://t.co/2DZmkIKLp0
— o-o⇒o-o-o (@yujitach) 2016年10月20日
動画見ていないのだがとりあえずメモだ.
Dimitrov, Haiden, Katzarkov, Kontsevich, Dynamical systems and categories¶
Dynamical systems and categories https://t.co/gxhx0FyXZaは、「We believe this is a promising field…」って書いてあるし、もっと栄えて欲しいね。
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2016年10月31日
位相的エントロピーの歴史がよくわかる https://t.co/r4usYVVcnE
— 宇宙賢者 (@the_TQFT) 2016年10月31日
Kontsevichも著者の一人になっている. こんな話もあるのか. 分野見たらAlgebraic geometryも入っていたし, 代数幾何と力学系の繋がり考えたこともなかった.
たんじぇメモ: Baireのカテゴリー定理を使った測度論の例¶
1. Eのルベーグ測度は正(0でない).
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年11月16日
2. 任意の可算個のベクトル{x_n}に対し, E+x_nの和集合が全体にならない.
以上の条件を満たすようなR^Nの可測集合Eを構成せよ
先月の飲み会でこれを後輩に聞かれて、そのときベールのカテゴリー定理つかいました
@f_tangentパッと思いつかないのですがどういう感じの構成でしょうか?
— 相転移P (@phasetr) 2016年11月16日
@phasetr内点を持たない閉集合が2番を満たすことはBaireより従います. ゆえ内点を持たない閉集合で測度が0より大きくなるものを探せば良いのですが,N=1として例えば測度が0より大きくなるように作るカントールセットがあります.
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年11月16日
@phasetr他には, 有理数体を{q_n}と番号づけて, 開区間(q_n-1/2^n,q_n+1/2^n)のnに関する和集合をOとします. Oは開集合で, その補集合Eは内点を持たない閉集合で1次元ルベーグ測度が無限大になります(よって1,2を満たします)
— たんじぇ (@f_tangent) 2016年11月16日
何かのときに役に立つかもしれない. きちんとメモしておこう.
Stability of matterメモ: 参考文献とか¶
ランチに学食の「メガ盛りカレー」を食べたら,わりと腹持ちが良くて,遅くまで密度行列の計算に没頭してしまいました。まだ納得いくような計算結果が得られていないのですが,なるべく物理現象の意味をとらえた式変形をしたいなと思う数学者でした。https://t.co/RR6lyHUs9C
— 檀 裕也 (@DanYuya) 2016年11月22日
ツイートの写真を見て「まさかLieb亡くなったの」と一瞬驚いたが全く関係なかった.
学部三年くらいからずっと物質の安定性には興味だけあって, 実解析的なことは全くやっていないためにまるで手が出ていない.
現代数学探険隊とかその辺の企画と合わせていい機会だからちゃんとやろうかとも思っている.
勉強したいことたくさんある.
記事紹介: 『「問題文を読んでもそこに何が書かれているのかわからない」子を教えていた時のお話』¶
「問題文を読んでもそこに何が書かれているのかわからない」子を教えていた時のお話 https://t.co/SeguazvS01
— norico arai (@noricoco) 2016年11月18日
新井紀子さんのAI研究に関する報告ももちろんだが, これはこれで割と衝撃を受ける. Twitterなり何なりで「何をどう考えてもこいつ日本語読めてないだろ. 何なんだ」というのを見かける. それが科学系統の知識不足とかそういうところでだけこういろいろと判断できなくておかしいのではなく, 本当に根本的に文章が読めていなかったのかと思うと納得はするが恐ろしい.
とりあえず記録.
悲しみの背理法と否定導入¶
どこまでどう引用していいものかわからないがとりあえず記録. 結城浩さんのサイトから.
これがフェイスブックで次のように引用されていた.
高校生に背理法の説明をするのに「$\sqrt(2)$は無理数」は定番で、避ける方法も思いつきませんが、もやもやしちゃうんですよね。背理法の形式で書いているだけで、実は否定導入ですから。どうしたものか、ずっと悩んでいます。 次回、ミルカさんが中間値の定理とか証明に背理法が本質的に必要なものの話をしてくれるのを期待します。ちなみに、「証明に背理法が本質的に必要」の定義は「古典数学で証明できてBishop流構成的数学で証明できない」でいいですよね。
これに対して次のようなやりとりがあった.
そういう話はどんな本とか読むときちんとした記述があるのでしょうか? 論理系統の話、初等的な範囲で問題が色々あるっぽいのにそれを説明している記述になかなか巡り会えないので困っています。 基礎論やら数理論理をゴリゴリやるのも大変で。
これへのコメント.
そういえば、構成的証明についてまとめた本は思い当たりません。ほしいですね。
さらにコメント.
http://ameblo.jp/metameta7/entry-11526220719.html 8番目のwd0さんのコメント(の下から5行目を「狭義の排中律」から「狭義の背理法」に直したもの)を読むだけでずいぶん前に進めますね。
コメントも引用しておこう.
まず明快なコメントを.
結論から言えば、安部さんは「背理法を使わない」の定義を明確に定義せずに曖昧な主張をしているために、トンデモな議論になっています。 Pを証明するために、¬Pを仮定して矛盾を導く。 ¬Pを証明するために、Pを仮定して矛盾を導く。 狭義には前者のみが背理法です。後者は否定導入と呼ばれます。
参考のため以降の部分も引用.
高校数学は、狭義の背理法と否定導入をあわせたものを背理法と呼ぶ立場です。高校数学ではそれで困らないのでしょう。
数理論理学では、背理法と否定導入は性質が大きく異なるので、広義の背理法としてまとめて扱うことに何の利点もありません。したがって、通常はそうしません。
構成的論理(別名:直観主義論理)では狭義の背理法は使えませんが、否定導入は許されます。古典論理(通常の数学で用いる論理)で証明できるが、構成的論理では証明できない定理は掃いて捨てるほどあります。
古典論理は構成的論理+狭義の背理法と同値であることが知られています。さらに、構成的論理+排中律とも構成的論理+二重否定除去とも同値であることが知られています。
狭義の背理法は使ってはならないが排中律か二重否定除去は使って良いとするなら、「背理法で証明できることは背理法を使わないで証明できる」は真です。排中律か二重否定除去を使うように書き換えればよいのですから。
狭義の排中律と同値なものも背理法の変種とみなして使ってはよくないとするなら、上記の主張は偽です。古典論理で証明できて構成的論理で証明できないすべての定理が反例となります。中間値の定理もその一例です。
広義の背理法(およびそれと同値なものすべて)を使用不可とするなら、それは構成的論理よりもさらに弱い論理となります。当然、上記の主張は偽となります。
つまり、安部さんの主張は「背理法を使う」を明確に定義しない限り、ナンセンスということです。
今日も脱背理法は厳しい.
「子どもに数学の習い事をさせよう」みたいな親を増やそうの会¶
「文系学生数の減少は深刻だ。ハーバード大学の調査では、入学時には人文科学を専攻すると答えていた学生のほとんどが別の専攻に移っていることがわかった。」/閉鎖を決めた学科も…米国で止まらない大学生の「文系離れ」 http://t.co/U2KZhrE0ru
— 竹内健 (@kentakeuchi2003) 2013年12月29日
記事が消えていた. そういうのは本当にやめてほしい.
それはそれとして面白いやりとりがあったので記録する.
@kentakeuchi2003子供の公立小ではSTEM(Science, Technology, Engineering, Math)がしきりに強調されています。年長にあたるK(Kinder)でも最近はその方向。Language Arts等の影は薄いです。
— Katsuyuki Fukui (@KatsuyukiFukui) 2013年12月29日
@KatsuyukiFukui@kentakeuchi2003こういっちゃなんだが、親はピアノやアート、英語を自分の子供に習わせようとするけど、数学を習わせようとする親なんか聞いたことない。まともに数学を教えてくれるKレベルのとこなんてないのかも。
— 中川裕志 (@hiroshnakagawa3) 2013年12月29日
@kentakeuchi2003@mamoruk20年前には年あたり10万人の大学への理系入学者がいたのに、いまや5万人くらいに減少してきている。日本の技術が二流になるのは時間の問題だってことを知ってますか?
— 中川裕志 (@hiroshnakagawa3) 2013年12月29日
@kentakeuchi2003@mamoruk「理系学生数の減少は深刻だ。大学院入学時にはIT技術を専攻すると答えていた学生がかなり広告、金融、保険、イベント業に移っていることがわかった。」
— 中川裕志 (@hiroshnakagawa3) 2013年12月29日
理系は国家の国力を強化するけど文系が弱いと国家の外交力が弱まる@kentakeuchi2003「入学時には人文科学を専攻すると答えていた学生のほとんどが別の専攻に移っていることが」 閉鎖を決めた学科も…米で止まらない大学生の「文系離れ」http://t.co/FjjrmirdHd
— gattidormentijp (@gattidormentijp) 2013年12月29日
最後の外交力が弱まるというところ, 人文・社会学系の素養がなさすぎてどういうことなのかよく理解できていない.
それはそれとして気になったのは次のやつ.
@KatsuyukiFukui@kentakeuchi2003こういっちゃなんだが、親はピアノやアート、英語を自分の子供に習わせようとするけど、数学を習わせようとする親なんか聞いたことない。まともに数学を教えてくれるKレベルのとこなんてないのかも。
— 中川裕志 (@hiroshnakagawa3) 2013年12月29日
「数学を習わせようという親」というの, 発想としてあったしそれを目指してはいたが, こういう感じの比較対象を設定した上で言葉にできていなかった.
科学教室みたいなのがあるからそれに対になるというか, そういうのは想定していたが他の習い事との比較検討をしたことがなかった. 記録しておこう.
三輪哲二『物理と数学の出会い-数理解析研究所における可解格子模型の研究』¶
三輪さんの『物理と数学の出会い-数理解析研究所における可解格子模型の研究』,読み返すと新たな発見がある.「驚きは感動を生み,人々はそのことをもっと知りたいと思う.そしてその中から,さらに大きな驚きが生まれる.」https://t.co/A0EHN2mTiU
— Masahito Yamazaki (@196884) 2016年11月22日
可解模型をいじりたくなるすごい文章だ. 量子群というと作用素環からの話, そして戸松玲治さんを思い出す.
位相空間での収束理論: フィルタとチコノフの定理¶
現在は現代数学探険隊PDF版に統一. サーバーのファイル整理で昔張っていたファイルも削除してしまった.
昔の記録¶
とりあえずコンテンツとしてのPDFを張っておこう.
どんな内容のコンテンツなのか, 何でこんなものを作ったかそのあたりを以下説明する.
ページの冒頭でもリンクを紹介しているように, 最近はいろいろな数学の通信講座, ミニ講座を作って公開している.
その中で要望もいくつかあがったので, 有料の現代数学の通信講座もやっている.
その中で一般の位相空間での収束に関して 作用素環で時々出てくるネットを使った話を何度か紹介する機会があった. 改めてきちんと調べて情報を出そうと思っていたものの, 講座の中でうまくはまるところがなくお蔵入りになっていた.
自分の中でも宿題になっていて, いつまでも残っているのが気持ち悪かったのでいい加減きちんとしようと思い, まとめたのが上の PDF の内容だ. ミニ講座にするほどのボリュームでもないので, 記事にまとめるだけに留める.
まだ自分用のメモレベルなので, 実際にはもっと解説を詳しくしなければならない. 今回のまとめでフィルタに対して一定の感覚を育めたことが一番の収穫だ. 現代数学探険隊に突っ込むときにはまたもう少し視界が広くなっているだろう. 楽しみだ.
フィルタは特に極大フィルタ(超フィルタ)は超準解析でも使う概念だし, やっておいて損はないと思っている. 現代数学探険隊にも適切な形でマージしよう.
最後にもう一度PDFへのリンクを張っておく.
みんな数学をやろう: 他の人文・社会学諸分野は日本語以外の複数言語で論文を書かなければいけないらしい¶
サロン的な空間とでもいうのかな。そういうのが今は少なくなりすぎているのかもしれない。そういえば先日も院生に「論文とはsomething newでなければならず、日本語以外も書く方がいい。あと一年位したら学術振興会のサイトも意識した方が云々」という話をしてしまった。
— おきさやか(Sayaka OKI) (@okisayaka) 2013年12月27日
https://t.co/jyn7qOimD3初めからほぼ英語と数学オンリーで話できる理系、やはり文系より遥かに楽なのでは
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月27日
@phasetr何かあれば数学という人類最大精度を持つ言語による会話に切り替えられ、普段はブロークンEnglishが許される理系、文系に対し絶対的に有利な立ち位置という認識が改めて強化された
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月27日
@phasetr数学、英語以上に教育期間が長い第二言語で事実上世界共通語だし、下手な英語より習熟度高い人間も多いのでコミュニケーションすごく楽だと思っている
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月27日
@phasetrまた、現実とか人間とか社会とかきちんと考えないといけない他の諸学問と比べ、考えなければいけない範囲も狭いし、こんなに楽な学問ないのではないかとも思っている
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月27日
@phasetr無論数学が簡単というわけではなく、血を吐くほど辛いのだが、他はもっともっとつらいということが言いたい
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月27日
人文・社会学の話を聞くにつけ, 理工系は本当に気楽という感じしかしない. その中でも数学は他の学問分野を知らなくてもできることが極めて多い印象があるし, みんなも数学をやろう.
「世の中には常識が通じない人がいる」からの「数学者に通じる常識はなにか」議論¶
自分自身、交換法則の直後に、掛け算の順番を入れ換えてはならないと言われて、子ども心に混乱した記憶がある。長女が通っている学校(某インター)では、方程式の解き方が担当講師のやり方と違うという理由でバツがついたり。塾や予備校も特定の解法以外は入試でバツになるなどとデマを流したり。
— 斉藤 淳 (@junsaito0529) 2016年11月29日
中学や高校入試の実態は知らないが、大学では「特定の解法(高校までの教科書の範囲)以外は入試でバツになる」ことはない。この事実を実際に採点してる数学者がいくら情報発信しても耳をふさぐ人がいるくらいに「受験業界には腐っている人がたくさんいる」くらいは何度でも強調してツイートする。 https://t.co/MXPfZVSlFf
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
以前に上野健爾さんが新聞に書いていたが「採点の時に妙な絵だけをかいてる人がいた、意味不明で零点にした。しばらくするとまた同じ絵をかいてる人がいてそれは説明も丁寧で満点だった。もう一度前の答案を見直すと意味が分かってきて満点はやれないが部分点をあげた」という話もある。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
受験生の中には思いもつかない解き方をする人もたまにいる。正解なら良いが途中の論理が飛んでたり計算ミスがあると意味が不明になる。それでも答案を読み直して、この解答の意図はもしかするとこうだったんだろうか?と採点側でいろいろ補完して推測するものである。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
上野さんの場合は、たまたま同じ解き方をして正解だった人がいて助かったが、いなかったらどうだったか。以来「採点者には理解できないまま実は正しい方向に向かっていた答案」を切り捨てていないか注意するようになった。「独創的解法だが答案自体は不十分」という場合は採点側には読み取りにくい。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
「常識を働かせましょうよ。時間に追われる採点者(≠出題者)に、マイナーな教科書の発展コラムにひっそり載っていたりすらしないことを確認することが可能だと思いますか?」で、常識的な人はわかってくれるのだけど、たいていは「世の中には常識の通じない人がいる」という常識の再確認になります。 https://t.co/7284UEYSwt
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年11月30日
@kamo_hiroyasuまあ、数学者=常識の通じない人 というのも、一面の真理をついてる部分があるので、さらにややこしいことになりますね・・・ 常識が通じないというより、「時計回り」の定義みたいな常識の裏をかこうとする傾向は数学者には強い。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
@Paul_Painleve「常識を働かせましょう。公理を増やして定理が減ることはありえませんね。基礎の公理を追加して矛盾が解消することはありえませんね」が通じなかった数学者に出会ったことはないので、数学者は少なくともその種の常識は通じる人だと思っています。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016年11月30日
そしてこれ.
「世の中には常識が通じない人がいる」から「数学者に通じる常識はなにか」の議論が始まるの、本当に数学者らしいと思う
— H. Hosaka (@H_H) 2016年11月30日
@H_H「数学者」の定義と「常識」の定義からはじめないといけませんね・・・
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年11月30日
@Paul_Painleve全くおっしゃる通りだと思います。
— H. Hosaka (@H_H) 2016年11月30日
あとついでにこんなのも見つけたので.
https://t.co/jIls8diAZzもちろん個々の数学者の情報発信も重要ですが、この問題に関しては各大学(もしくは日本数学会あたり?)が組織として公式声明を出すべきだと以前から思っています。
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2016年11月30日
おせっかいながらこの件では10年以上前に日本数学会が声明文を出してます。 https://t.co/GwUiVwPXyl
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2016年11月30日
大学入試数学問題の解答例および採点基準の開示の是非については日本数学会が見解を公表しています。 http://t.co/gWf6RMyW8P
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2013年11月9日
体の乗法群(?)に関する話¶
緩募 体$k$に対して加法の単位元を除いた集合 $k^$または$k^{\times}$の呼称(があればご教示願いたい). $k^$と$k^{\times}$のどちらをよく使う(印象がある)かもご教示願いたい
これに対して次のようなコメントを頂いた.
群構造を含めて乗法群? $k^*$派.
コメントその 2.
体だったら$0$でない全ての元が積に関する逆元を持つから, 体を環だと思って「単数群」とか呼んだりすればいいのではないでしょうか. なんとなく, 複素数体の場合は$C^*$, 標数$p$の素体の場合は$F_p^{\times}$を使っていることが多い気がします.
コメントその 3.
「加法群・乗法群って語は何のためにあるのか?」という質問をした文脈で, 黒木玄先生から下のような答えを頂いたことがあります. これの「実数」を$k$に置き換えて良いなら, 「$k$の乗法群」となりますね. https://twitter.com/genkuroki/status/251192918491152385
黒木さんツイートをいくつか引用.
@y_bonten@MarriageTheorem@Kiriyama_GeorgeぼくによるConwayの数とゲームの理論関係のツイートを http://t.co/gHi0rLR5でまとめて読めます。ぼくには順序数の和と積の定義はCoway流の方が自然だと感じられます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2012年9月27日
@y_bontenもとの話に戻れば、加法群と乗法群の違いは単なる記号法の違いに過ぎず、そこに数学的に深い意味などまったくありません。順序数の加法は非可換な演算の例というより、有限の場合の定義を無限の場合に自然に拡張する方法が一通りだけではない例として適切だと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2012年9月27日
@y_bontenたとえば+と・の両方が同時に出て来るときに加法群と乗法群という言葉は便利です。「実数の群」と言うと意味不明になりますが、「実数の加法群」「実数の乗法群」と言えば、それらが何であるかが習慣によって確定します。「実数の乗法群」は集合として0でない実数全体になる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2012年9月27日
もとは廣中先生の代数幾何の本で, 射影空間の定義のために$k^$と$k$-線型空間$V$に対する$V^$が出てきたのだ. 一方で$V^{\times}$などの$\times$表記もよく見るので, どちらの方が標準的か少し気になった.
確率論と統計学の狭間で: 大数の法則とかベイズとか¶
前にでんまるPとやりとりした記録.
ベイズとかモンティホールはよくわかっていないので嘘を書いている可能性がある. この間黒木さんがその辺適当にまとめていた気がするので, 早くきちんと追いかけたい.
6の出る確率は最終的に6分の1になるように向かうわけだから、6が出たという事実は今後6が出る確率を下げますよね?変かなぁ???
— でんまる (@denmaru_p) 2013年12月23日
@denmaru_pどういう設定・定義を採用するかによりますが、「ある目の出る確率は1/6」というのは大数の法則 http://t.co/FvbQV7puMz周辺の話題でこのときは各試行を独立と思わなくてはいけない為、はじめに6が出たからと言って次の出目には影響ないです
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
@phasetrやった!その手の回答を待っていました!!ありがとうございます!助かりました。自分のいっていることはいかにも屁理屈だよなぁと感じてもやもやしていたんですよ!
— でんまる (@denmaru_p) 2013年12月23日
@denmaru_p統計学にはあまり詳しくないのですが、少しつぶやきがあったように、モンティホールで有名なように、ベイズ流の統計学を使って確率の評価をする場面では適当なタイミングで確率が変わることはあり得ます。その辺りが状況設定・定義の問題です
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
@denmaru_pあと標準的な数学の見解だと、普通、確率論は「ある事象の確率が定まったあとそれに基づいてどういう議論を展開するか」を議論する学問で、統計学は「ある事象が起きる確率そのものを考える」学問です。(記述統計はとりあえず無視。)
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
@denmaru_pなので、この辺の話を考えるときは確率が決まりきったあとの議論を展開する確率論よりも、その確率そのものの評価を目的にする統計学の方をきちんと考えることが必要です。手持ちのデータからどう次の行動を決めるかと言う問題はとても身近な問題ですが、それは統計学の領分です
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
@phasetrなるほど、私の考えが確率と統計がごっちゃになっていたんですね。大数の法則あたりの解説で目が覚めた感じです。人を煙に巻くような屁理屈に対する理路整然とした解説、感服いたしました。ありがとうございます。
— でんまる (@denmaru_p) 2013年12月23日
@denmaru_p後でブログにまとめようかと思いますが、確率自体が時々刻刻と変わって行くことは良くあって一番身近なのはおそらく漢字の予測変換です。いわゆる初期値はありますが、その人の変換履歴や前の文字に応じて最適変換候補が変わります。その計算はベイズでやるのがトレンドです
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
@denmaru_pまた、確か科学史的にはベイズ流の主観確率が先行していて、その基礎付けの難しさと確率論の整備の進展から大数の法則周りの確率論よりの議論がしばらく主流になり、最近の機械学習や自然言語処理の中でベイズ流のも復活してきて、というような経緯だったと思います
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月23日
Neumann級数のNeumannはC. Neumannでありvon Neumannではない¶
von Neumann の von を取ると別人になってしまう(Neumann 級数とかのひと)ので忘れないようにしたい
— ミスターコン (@mr_konn) 2013年12月26日
@mr_konnそういう場合はC. Neumann と書くのが我々の流儀
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月26日
@mr_konn級数の方がC. Neumannです。念のため
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月26日
Buchholzの論文だったと思ったが, 以前作用素環関係者の論文でC. Neumann級数をvon Neumann級数と書いているのを見たことがある. C. Neumann級数はWikipediaを参照してほしい.
式だけ書いておくとこれ:
\begin{align} (1 - A)^{-1} = \sum_{n=0}^{\infty } A^{n}. \end{align}
大規模固有値問題を観測で解く¶
前に京大の物性研究室にお邪魔させてもらったとき,行列のサイズがデカ過ぎて普通じゃとても解けない大規模固有値問題を、その問題を再現するような物理現象を実際の世界に作り出し,その観測によって固有値問題を解くというアプローチやってる先生の話を聞いたときは天才だなと思った
— Masaki Saito (@rezoolab) 2013年12月27日
このツイートが回ってきた当時に物理系の人とこの話したらこの発想割と普通という話を聞いた. 実際のところどうなのだろう.
「数学で卒業研究やらせても多くはセミナーで読んだ本のできの悪いまとめになりがちです」¶
今は(Twitter 上に亡き)kyon_mathさんのツイート. もはやPaulしかいない.
メモにあったのでとりあえず記録しておく.
そうでもないっす。私は今のとこに変わってからそれを発見しました。
もちろんマトメになっちゃう子もいる¶
RT @Paul_Painleve: @MRken_appmath ...数学で、卒業研究やらせても、多くはセミナーで読んだ本の、できの悪いまとめになりがちです。
@MRken_appmath @kyon_math1年、本気でやってくれれば、本のまとめでない何かをできる学生は少数いますね。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2013年12月25日
@MRken_appmath @kyon_mathただ、修士に進学する学生ならじっくり本を読ませた方が、後のことを考えると実りが大きいような気はします。
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2013年12月25日
できが悪くてもまとめるのはそれでそれで意味があることだと思わないでもない. 絶望的なくらいきちんと文章書けないことを知る機会でもあるだろうから.
伊藤清三『ルベーグ積分入門』の難点とその解消: 記事紹介¶
伊藤清三『ルベーグ積分入門』の難点とその解消 - アドレナリン https://t.co/8p5QtkoVh1
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
でもやっぱり伊藤清三先生と言えば、この本ですよね。いいところはともかく、難点はここに書いてありますw 僕もそう思いますw
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
先生が意識したかどうかはともかく、このように測度論でおした結果、確率論が発展したんじゃないかと僕は思っていますが、どなたか詳しい方の意見が聞きたいです。
— 堀畑 和弘 (@kazzhori) 2016年12月7日
本はこれ.
何はともあれそうだったのか. 参考にしよう.
現代数学探険隊でもちろんルベーグもやる. そこの進め方はまだいろいろ考えていて, リース流の積分を先にやるスタイルにするか, 測度論からゴリゴリやるかとかいろいろ考えている.
とりあえず参考にしたい.
上野健爾『はじめよう数学①円周率πをめぐって』へのコメントを見てどう人と接すればいいのかふと考えた¶
[2F]日本評論社品切れ書籍在庫あります
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2013年12月23日
『はじめよう数学①円周率πをめぐって』上野健爾著2100円
円周率πを題材にしながら、数学をトピックスの集合ではなく、できる限り一つの体系として述べることを試み、円周率πが多くの数学と有機的に結びついているか理解してもらうことがねらい。
数学の展開をしていこうというとき, 何をどうフックにしていけばいいのだろう.
無闇に数学にこだわり過ぎるのもよくないとは思うのだが, 結局数学以外でどう人と接すればいいのかがわかっていないのかもしれない.
困ったものだ.
西原史暁 訳『ダメな統計学』は邦訳が無償で読める¶
アレックス・ラインハート(2017)『ダメな統計学―悲惨なほど完全なる手引書』(西原史暁訳) 勁草書房 https://t.co/eJ26OEwVjLをを、これは読まなければ。
— Yuichiro Kobayashi (@langstat) 2016年12月10日
『ダメな統計学』 https://t.co/PFCJtPHVemの邦訳かな https://t.co/HKBuZdqEd3
— Haruhiko Okumura (@h_okumura) 2016年12月10日
Web版の方は実は邦訳が無償で読めます。https://t.co/aTKEQtdAtq書籍版の方の邦訳だと思います。 https://t.co/s8m8Fvj7y5
— ISIHARA Takanori (@tisihara) 2016年12月10日
ウェブ版 https://t.co/GMcJ2zZOQRに大幅加筆してノースターチプレスから出た書籍版 https://t.co/6KizT8xmtgの邦訳になります。 https://t.co/qWrb8lCk5c
— Fumiaki Nishihara (@f_nisihara) 2016年12月10日
これは. とりあえずダウンロードした. じっくり読んでいこう.
本も興味あるが読みたい本が多過ぎてさばききれない.
粘性解が古典解になるとき: 埼玉大の小池茂昭先生のPDF¶
既に削除されているツイートなので具体的な言及は控えるが, 私の手元に削除前のメモがあったのだ.
弱解で古典解にならない例に関する質問に対する回答で, その回答で指示されていたPDF自体は次のURLから取れる.
これは埼玉大の小池茂昭先生のやつ. 何度か講演を聞いたことがある. あと数年前, 早稲田の田崎秀一先生の葬儀のとき, 田崎先生と学部で同期 (早稲田の物理) だったということを知った.
物理から数学? と思う方がいらっしゃるかもしれないが, 早稲田の物理学科, 正確には応用物理学科の成り立ちの問題で, 早稲田の応用物理学科(物理学科ではない)に数学, 特に非線型偏微分方程式の専門家が二人いる.
最近プログラムと絡めて数学をやろう企画をはじめようとする中, やはり微分方程式が一番取り組みやすい感があり, 改めて偏微分方程式とか実解析周辺の話を勉強する機運が高まっている.
やりたいやりたいと言ってずっとやってこなかった BECや物質の安定性にも突撃したい.
中高数学とプログラミング系コンテンツを作ろうの会¶
どなたに聞けばいいかもわからないのだが, かもさんに聞いてみた記録.
@kamo_hiroyasuどんな人にどう聞けばいいのかもわからないのですが、数学(または物理、適当な応用)とプログラミング的なネタで「定番」みたいな本やカリキュラムは何かあるでしょうか?中高数学復習的なネタと絡ませつつ展開したいのですが、良さげなネタを思いつかず
— 相転移P (@phasetr) 2017年5月11日
@phasetr定番というと、数値解析はどうでしょう。たとえば、奈良女子大学のシラバス検索 https://t.co/0qxDF0UK0Rで「数値解析」を検索していただくと、理学部のものと生活環境学部のものと二つ出てきますので、よろしければ参考にしてください。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
@phasetr定番では全然ありませんが、初等整数論ネタでこんなのもやってます。https://t.co/d8LWUpEQXR
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
@phasetrもっと定番ではありませんが、三角形の心とかもあります。https://t.co/dwKmbBsOYT
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
数値計算の前にそもそも文字の扱いに慣れていてもらう必要がある. まずはそこからはじめよう. 数値計算は私も遊んでみたいところなのでそこに行くべく導線を頑張って作るのだ.
コースのページに無料の通信講座をまとめているので, ご興味があればぜひこちらから探してみてほしい. この記事を書いた時点でも, 中高数学とプログラミングに関わる講座も既に一つ作ってある.
初等幾何の謎: 補助線が交点をなすことを示さない¶
高校までの初等幾何, 上手く補助線引いて交点求めたりと色々と弄るのはいいが, 肝心の補助線が交点を成すということの証明は全く気にしないし地獄という感じがある
昔の魔法少女のツイートだ. 確かに言われるまで気付かなかった.
ベクトルには大きさや向きがあるか?¶
高校のベクトルの授業で先生が「ベクトルとは方向と大きさを持つ値である」と教わってから4次元以上のベクトルが理解できなくなってしまいました。今思うと「複数の要素から成る値」と教えてもらったほうがよかったかも。
— 伊勢 幸一 (@ibucho) 2016年12月12日
何次元だろうが「方向と大きさを持つ値」なのは変わらないよなーっていうのをわりかし自然に受けいれられたので、なんとも言えない。
— ちゅーん (@its_out_of_tune) 2016年12月12日
@its_out_of_tune数学としてのベクトルは方向や大きさを持つ保証はありません。それは位相的な概念で、ベクトルが住む線型空間に内積やノルムを入れない限り、ただの代数的な対象であるベクトルは方向や大きさを持てません
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月12日
@phasetrえーと、いま対象にしているのは、ここの公理の話であってます? https://t.co/gvu238WhaEんで、方向や大きさの議論をするためには、この上に内積やノルムを定義する必要があると。
— ちゅーん (@its_out_of_tune) 2016年12月12日
@its_out_of_tuneだいたいそうです。「だいたい」というのは情報系での符号理論のように、応用上でも体が実数または複素数ではなく有限体など一般の体である場合も入れないと不都合だし、符号理論だと方向も大きさもなく2点間の距離だけ決まってさえいればいいケースもあるからです
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月12日
@phasetrありがとうございます。以前このへんの話をおそわった記憶があったのですが綺麗さっぱり忘れてました……。ときに、内積やノルムが定義出来ないような体も存在するんでしょうか?逆にいえば、任意の体上のベクトル空間に方向や大きさを定義可能かどうか。
— ちゅーん (@its_out_of_tune) 2016年12月12日
@its_out_of_tune内積は微妙ですがノルムは常に定義できます。ノルムに関しては https://t.co/sqTSOyMNeAのP.1例1のような自明なノルムが常にあります。内積に関しては https://t.co/RJtmasHp2yあたりの微妙な話があります
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月12日
あともう一つ.
確かに、素のベクトル空間には、内積とかノルムは存在するとは限らないよな。
— Takashi Miyamoto (@tmiya_) 2016年12月12日
@tmiya_ちなみに有限次元てあっても「自然な」内積やノルムが本当にない場合があります。例えば定数係数の線型常微分方程式の解空間は有限次元ですが、特に決まった内積やノルムの入れ方はありませんし、本当に入れずに議論することも多いはずです
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月12日
ふだん使わないから実数または複素数以外の体の場合の内積についてすぐ忘れる. 前も書いた気がするがどの記事だったか忘れたので改めてまとめておこう.
中間値の定理と実数の連続性は同値である¶
緩募 中間値の定理と実数の連続性の同値性の証明。特に中間値の定理から実数の連続性を導く方
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月14日
これに対していくつかコメントもらった.
https://t.co/nsNjNMD9PO
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2016年12月14日
これに載ってるはずです(実数の連続性の同値命題を20個くらい集めて証明をつけてる)https://t.co/tmHasGyjDz
@Yusuke_Ishizukaありがとうございます。今金欠なのでネット上にある資料何かご存知ないでしょうか?後で買わないと
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月14日
@phasetrまだ自分で吟味できていないのですが、ちょっと探したところから言うとここ(https://t.co/lMswd5y0cy)の解答としてつけられてるこれ( https://t.co/2ZTbKCdZc6)ですかね
— 石塚 (@Yusuke_Ishizuka) 2016年12月14日
あともう一つ. 調べておこう.
コメント¶
実数の連続性から中間値の定理を示すのは高木貞治の解析概論のp26に載ってますが、その逆はなさそうです。
ありがとうございます。 英語で検索して適当に情報を見つけました。 数学に関する話、mathstackoverflow あたりにどマニアックな話がたくさんあって、 すぐに引っかかるので非常に便利でした
英語のつぶやきだと、mathstackoverflowネタが結構流れてきますね。
数論の学習と線型代数・解析学¶
線形代数と微積の知識がなくても整数論そこそこ学べるもんなん?
— すむーずぷりんちゃん🍮 (@mat_der_D) 2016年12月14日
整数論の何をやるかによってはそこそこ学べますね。(そこそこの範疇によりますが)僕が初等整数論(高木貞治先生)勉強した時はどっちも知らなかったですけど、すごく丁寧に書かれていました。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
線形代数と微積分なしに学べる整数論って逆にあったっけ
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年12月14日
でも、それを逸脱するレベルのこと(例:楕円関数論、代数幾何、類体論、ガロア表現、エタールコホモロジー、超越数論)辺りは、並行して学ぶのでなければ原理的に無理だと思います。線形代数・解析の議論が出来ることに加えて、集合論の基礎は不可欠だと思います。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
二次体の整数論に絞れば線形代数がただの計算になるみたいなアレ・・・?
— ロールパンナちゃん (@__dingdongbell) 2016年12月14日
整数そのものの性質(フェルマーの小定理、平方剰余の相互律)や、特定の整数環(二次体や四元整数)の特別な性質くらいが限度かなあ。それだけ線形代数・解析・集合論は知識と抽象的計算の両方の基礎を支えています。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
線形代数は「知らないと読めない」というタイプの壁があるのですが、解析は「知らないと気付かずスルーしてしまう」というタイプの壁があって、核心的な数学的議論を素通りしてしまう危険性があって質悪いんですよね。だから個人的に、解析の大切さは特に強く推したいです。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
だから僕が線形代数力を犠牲にしてp進解析にパラメータ振ってるの、許して下さい!
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
知識の実用性の話をしましたが、線形代数・解析・集合は1回学んでおくと数学の基礎的な演繹を学べるので、その恩恵が一番大きいと思いますね。僕の分野だと全微分不可能な偏微分可能関数とかダランベール解とか定数変化法とか単調増加関数のほとんど至る所微分可能性とか弱解とか出てきませんし。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
僕の尊敬する大先生の1人のお言葉
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
「線形代数や解析(の知識)は博士でも怪しい(うろ覚えな)人がいますが、集合と位相(で扱うような数学的な議論の仕方)が怪しい人はいませんよね」
でもまあ知識を得る段階(大学数学ではどんなことを習うのか眺めたり、歴史的にどんなことが知られているのかを調べたり、どういう概念が現れるのか見てみたり)では線形代数や解析や集合が必ずしも必要ではないと思います。数学は中に潜るのも外から見るのもどっちも楽しいですしね。
— p進大好きbot (@non_archimedean) 2016年12月14日
どちらかと言わずとも線型代数と微積分だけでやるようなタイプの議論しかしたことがない. そういうのが好きといえば確かにそうなのだが, それしかできないという現状もそれはそれで無視できない. やってみたい数学はたくさんある.
自己共役2階楕円型微分作用素の固有値の発散オーダーをどう調べるか?¶
自己共役2階楕円型微分作用素の固有値が正で集積点が∞なのはいいんだけど、小さい順に並べたときにどれくらいのオーダーで発散するのかって知られてるの?
— け (@ke_math) 2013年12月5日
@ke_mathほとんど答えになっていないですが、(有界領域で)量子統計との兼ね合いを考えるとき、Tr e^{-\beta H}の収束を考えないといけないのでその辺でなら多少の結果はあります。Riemann幾何でのラプラシアンの固有値の漸近評価を見るのもいいかもしれません
— 相転移P (@phasetr) 2013年12月5日
@phasetrありがとうございます。調べてみます。
— け (@ke_math) 2013年12月5日
何ら役に立つ情報を出せた気はしないが, かつての自分がこんなことをさらっと言っていたことに割と衝撃を受けている. きちんと記録しておこう.
コメント1¶
ラプラシアンの固有値の振る舞いについてはWeyl’s lawが知られてます。 以下はwikipediaより
In mathematics, especially spectral teory, Weyl’s law describes the asymptotic behavior of eigenvalues of the Laplace–Beltrami operator. https://en.wikipedia.org/wiki/Weyl_law
コメント2¶
あとこんな記事が
- sp.spectral theory – Growth of Laplacian eigenvalues on a compact domain? – MathOverflow
- 楕円型作用素の固有値分布と負の固有値について (位相 解析的方法による偏微分方程式の研究)
- Eigenvalues of the Laplacian (pdf)
- Eigenvalues and eigenfunctions of the Laplacian, Andrew Hassell (pdf)
コメント3¶
これの非可換幾何・共形場理論版が「量子現象の数理」の河東先生のところにも書いてあります。
非可換幾何版との比較のところでリーマン多様体版もちょろっと書いてあります。
求む: 無理数の存在に関する(数理)哲学的な議論を知るための書物¶
「ほう,いまあなた『虚数は想像上の数だから存在しない』と,こうおっしゃいましたか?面白い,実に面白い.確認のために聞きたいのですが,あなたは『実数は存在する』とお考えですか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「そりゃ実数は存在するでしょ.何言ってるんですか」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「なるほど,あなたは『実数は存在する』と考えてるのですね.ではあなたは実数は『どこ』に存在すると考えていますか?」
「そりゃ身の回りのものは実数で測定できるんだから『あらゆるところ』じゃないですか?」
「実数で測定,ですか.あなたの言う実数というのは実は有理数なのでは?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「なんか私のことバカだと思ってるでしょ.一辺の長さが有理数の正方形の対角線の長さを測ると無理数がちゃんと出てきますよ.それから,円周を測れば超越数だって出てきますよ」
「なるほど,では正方形の事を考えてみましょう.あなたは,一辺がぴったり一メートルの正方形が存在すると思いますか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「加工精度の話ですか?ゼロを何個つけられるか知らないけど,収縮性の低い材料でぴったりに作ることはできると思いますよ.日本の技術力は世界一ですからね」
「なるほど,そうしてできた正方形があったとして,それをずっとずっと拡大して見るとついには原子が並んでるところまで行きますね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「私も詳しくないんですが日本の技術ならそんくらい行けると思います」
「さて,√2は無理数ですが,対角線上には整数個の原子しか並んでいませんよね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「なるほど,なんとなく言いたいことがわかってきました.つまり√2は少なくともこの場合現実の正方形の中に見出すことはできないみたいですね」
「だとすると,先程の『実数はどこにあるか』はどうなりますか?」
「頭のなか……ですかね?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「つまりいまあなたの頭を開けるとそこに『√2』という実数が入っている?」
「そんなわけないでしょう.そうじゃなくて,えーと,私の頭の中の『心の世界』の中です」
「繰り返しになりますが,あなたは『実数が存在する場』は心の中だということは認めるんですか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「ええ仕方ないから認めますよ.でも実数みたいなものはみんな共通ですけどね.つまり考える人が違っても実数は実数です」
「わたしたち一人ひとりが異なる心を持つことは認めるんですか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「それを否定したら,わたしたちには個性も自由意志もないことになりそうですしね.ええ,わたしたちの心は一人ひとり独立しています」
「……たがいに独立した心を持つが『実数』は共通なのですか?」
「そりゃそうです.実数は現実ですからね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「それじゃ蒸し返しですよ」
「……ああ,現実にないから『心の世界』に後退したんでしたっけ.もうすでに『心の世界』にまで後退しているので,実数が絶対的であることを言うために超越的なものは持ち出したくないなぁ」
「なるほど,実数が多くの人の心にまたがる共通の実在であることを認めさせるために超越的なものを持ち出すと負けになりますか」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「だってそういう議論を際限なく認めてたら古代人がなんにでも神様を持ち出して説明してたのとおんなじレベルじゃないですか」
「古代人がそんなに素朴な人たちだったかというのは疑問ですけどね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「ちょっと待って下さい,古代人なんてどうでもいい.いま思いついたんですけど,『証明』です」
「何がですか?」
「わたしたちが共通の実数概念を持つことを言うためにさらに根源的なものを仮定しなくていいんです」
「ほう」
「わたしが実数について考えたことを形式的な証明にして書き下す.そして,他の誰かがそれを読んで理解する.これだけでいいんです.つまり実数についての発話と解釈が整合的に行われていればいいんです」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「なるほど,整合していることだけ論じれば『実在性』を論じなくていいというわけですか」
「なんか変なこと言いましたか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「いいえ,『実数が身の回りにある』という議論よりはかなり良いと思いますよ」
「まあ今のは思いつきなので,もっと精密に考えなきゃいけないんでしょうけど,実数の実在性みたいなことは私の中では解決した雰囲気になってます」
「なるほど,では虚数に話を戻しますが,もし複素数についての発話と解釈が二人の間で整合的に行われていたら,いまのあなたの議論の形式を転用すれば,それはつまり複素数の実在性が成立しているということになりませんか?」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「議論が整合していれば実在性の根源とかは気にしなくていいと言い出したのは私ですが,まさか複素数の実在性まで認める羽目になるとは思っていませんでした」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「納得はしていない……?」
「そりゃ,実数が身の回りのものを計測するために便利な道具なのに対して複素数はそうじゃないですから」
「『実在すること』と『実在感』は別の問題だというわけですね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「あーなるほど,うまくまとめましたね」
「わたしたちは月や火星や金星を肉眼で見ることがありますが,もっと遠くの星,さらに遠くて暗い恒星などの存在を日々まざまざと実感しながら暮らしてはいないですよね」
「私の専門が天文学で,日々私が電波望遠鏡で天空彼方の世界に親しんでいたらそういった遠い恒星たちのことが私の心の中で実在感を持っていたんでしょうね」
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
「複素数についても同じような事が言えます.日々複素数を使うような生活をしていれば複素数にも実在感が伴うはずです」
(突発的連ツイ終わり)
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
自分同士で対話してみると,複素数の実在性を信じさせるのは意外に難しいということがわかった.「論理的にはそうだと納得する」という段階と「論理どうこうではなくその実在性を感じられる」の差が大きい.
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
実数は実在性を持つが複素数はそうではない,という考えの人,藁人形ではなく実在しますから.
— differential.engine (@dif_engine) 2016年12月16日
何といったらいいのかよくわかっていないが, そもそも正方形の存在自体が人工的 (まずそれが存在するの的な意味) な感じがする. 長さぴったりももちろんのこと, 角度90度を実現できるのか的な感じ.
あといまここで問題なのは, 実数の存在というよりも無理数の存在なのだろう. 無理数が見えるかどうかという問題, 哲学 (数理哲学) 的に何か議論があるのではないかと思っているが, それはどうすれば見つけられるだろうか.
結局無学を晒す羽目になった.
つらいときにはたたみ込み: 東北工業大学 中川朋子さんによる解説¶
東北工業大学中川朋子先生による畳み込みの解説は素晴らしい. pic.twitter.com/Fnl4L4CcEx
— やへー@ (@bron84) 2016年12月12日
元のページは次のURL.
とりあえずメモしておこう.
Bernhard-Jablan unknotting conjectureの否定的解決(?)¶
私は真偽判定する能力を持たないが, ツイートを見かけたのでとりあえず張っておく.
これは衝撃的です。
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
[1705.05985] A counterexample to the Bernhard-Jablan unknotting conjecture https://t.co/f1OM5VgBDz
結び目理論の未解決問題10https://t.co/E0jzPmZOvU
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
の一つでしたが、否定的に解決されました。
Bernhard-Jablan解消予想がもし正しいとすると、原理的には、結び目解消数が帰納的に決定されることになるので、非常に都合が良過ぎる予想ではある。
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
二つ目のツイートで「結び目理論の未解決問題10」に関する Naverまとめが張られていて「何でそんなにまとめがNaverにあるのだろう」と思ったら, musubimerironさん自身のまとめだった.
私の結び目理論への知識は, 学部四年のときにちょっと講義にもぐった程度でほとんど何も知らない. Jones多項式関係で院のときの専門だった作用素環とこう割といろいろ関係があるとか, 三次元時空での代数的場の量子論でのDHR-DR的な話でも組み紐群が出てくる(はず)だとか, その程度しかない.
ただツイートの中にある反例を挙げる形での 否定的解決というのがかなりツボ. 私が運営している通信講座, 現代数学探険隊は, 例や反例を自分で作っていくことを重視して 数学学習していこうという趣旨で内容を構成しているので, 反例を作ることで本当に論文になる話としてメルマガでも流そう.
あとプレプリントをパラっと眺めて気になった点を挙げておこう.
The bulk of the work needed to reach these conclusions was carried out by computer.
ある意味四色定理とも似通っているのだろうか, プログラムで片をつけた部分も大きいとのこと. 最近中高数学駆け込み寺という中高数学復習のための無料のミニ講座で, 多少のプログラムもつけて講座を展開している.
数学とプログラムの遊び方みたいなところは最近かなり気にしているので, その点でもとても気になる.
SnapPyというPythonによるソフトもあるようなので, やはりPythonをもっときちんとやらねばならないかという気になっている. 個人的にはHaskellをやってみたいのだが, グラフを手軽に書く, 数値計算も手軽にやる, そういったところからすると資料が少なく(というか観測範囲でほぼない)Haskellでやるのは極めてハードルが高い. となるとやはりPythonかという感じ. これも頑張らないといけない.
「歴史学者は教育の専門家ではないから学校では偽史を教えても良い」¶
森重文先生は教育の専門家ではない、とか言い出すのが現れそうな予感。
— takumargo (@takumargo) 2016年12月25日
数学者は教育の専門家ではないから、学校教育では数学的に正しくても×にして良い。
↓
歴史学者は教育の専門家ではないから、学校では偽史を教えても良い。
やべぇよ・・・やべぇよ・・・
@takumargo 初めまして。その予感は的中したようです。
— 積分定数 (@sekibunnteisuu) 2016年12月25日
https://t.co/qHm7hleq8X
2016-12-25 の「林先生が驚く初耳学」で掛け算の順序問題が取り上げられたようだ. これは東北大助教の黒木玄さんが継続的に取り上げている話題で, 詳しくはかけ算の式の順序にこだわってバツを付ける教え方は止めるべきであるなどを見てほしい.
それはそれとして上で引用したツイートだ. 特にこれ.
数学者は教育の専門家ではないから、学校教育では数学的に正しくても×にして良い。
これがどれだけおかしいのかうまく言語化できずにいたが, こう言えばいいのか, というのがようやくわかった.
歴史学者は教育の専門家ではないから、学校では偽史を教えても良い。
これ以外にも医療情報に関して, 小学校の保健の授業では医学的に否定された瀉血を教えてもいい, とかその他もろもろの異常な話が導出される.
何でこんなひどい話を堂々とできるのだろう.
それはそれとして, 人文・社会学系では学会の合意というか ある種の「政治」的な問題で, 学会内ではとうに否定された話が延々と中高の教科書に載り続けるとかいう問題があるらしい. それはそれでどうなのだ, とは思うが, 割とすっぱりきれいに決まりやすい理工系の常識ではかっていいものか, という気もする.
実証や実験がしづらいところだと 理工系でも似たような問題は起きると思うが, そういう場合理工系だとどういう扱いをしているのだろうか.
話がずれてきたのでこの辺にしておこう. しかし本当にあまりのひどさに目を覆いたくなる.
alg_d兄貴のtogetter数学講座¶
「随伴がなんなのか説明を試みる」をトゥギャりました。 https://t.co/pOvxEwiKKo
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
alg_d圏論話過去編はこの辺
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
【f^-1と∪, ∩の交換と圏論について - Togetterまとめ】https://t.co/cpKGCwervs
【圏論での積分(エンド)について - Togetterまとめ】https://t.co/qw58ErdhFG
「「Xがススリン線のときX^2はc.c.c.でない」という命題と選択公理」をトゥギャりました。 https://t.co/S9NOBrA6LY
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
togetter豆知識: 「数学講義」というタグを見るといろんな数学の話が読める https://t.co/D9Q2XK2t2o
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
次のやつが割と楽しそう.
ベルフェゴール素数¶
ベルフェゴール素数は、1000000000000066600000000000001 だ。キリスト教で不吉な数である666が入り、0が13個ずつ連続していることから、ベルフェゴールという悪魔の名前がついている。回文素数で、記号はπを逆にしたものだ。 pic.twitter.com/vFGtNhNr8m
— 巨大数bot (@googology_bot) 2017年1月8日
元ネタを追いきれないがとりあえず記事を二つつはっておく.
二つめの記事に張ってあるが, メガテンでも便器に座っているあのアレだ. もう便器のイメージしかない.
AMS Open Math Notes: Terence Tao のノートもある¶
AMS Open Math Notes というサイトができたらしい : https://t.co/nObvpbswrT
— Shinichiro Nakamura (@snaka0213) 2016年12月20日
ぱっと見て気になったやつを記録.
- Dirk Lorenz, (幾何的)測度論
- Terence Tao, 線型代数
- Brian Conrad, アーベル多様体
- Allen Hatcher, ベクトル束とK理論
- Étienne Ghys, A Singular Mathematical Promenade
- Emmanuel Kowalski, Arithmetic Randonnée: An Introduction to Probabilistic Number Theory
とりあえず優先して測度論だけは目を通してみよう.
森重文語録『やっていることは単純なことだけど、繰り返し手で動かすことで式の奥深さが見えてきた。繰り返しは大切。』¶
一度だけ森先生にお話の時間を頂いたことがあって、「大学の数学は、大学生になってから始めた。高校生のときは、高校数学で習う定義・定理をすべて隅々まで覚えた。やっていることは単純なことだけど、繰り返し手で動かすことで式の奥深さが見えてきた。繰り返しは大切。」の言葉が忘れられない。
— 数学は大切 (@rimsprinceton) 2016年12月26日
メルマガとかでも流そう.
数学をやり直すのに中学からやりはじめた方がいいのか?¶
簡単なまとめ¶
大人が数学を勉強し直したいという相談をよく頂きます。そのとき中学数学からやり直すべきか、とよく聞かれます。その人が何をしたいかによるので一概には言えません。中高の数学へのリベンジがしたいなら中高の数学をじっくりやるのがいいです。でも大学の数学にチャレンジしてみたい人だとまた対処が変わります。その方法を案内します。
本文¶
Twitterで質問を受けたのでそのやりとりをまとめている. 結論から言うと何をやりたいかによるので一概に何とも言えない. 詳しい話も書いているので以下のTwitterでのやりとりを見てほしい.
@phasetr数学をやり直そうとするならば、中学数学から始めた方がいいのでしょうか?
— hideaki (@hidetude) 2016年12月25日
@hidetudeやり直しが何を意味しているかによります。いわゆる大学の数学科の数学をしたいなら、中高の数学では触れない世界との戦いも起こるので、そういうところに興味があるならそれ専用のバトルが必要です。
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
@phasetrご返信ありがとうございます。
— hideaki (@hidetude) 2016年12月25日
なるほど。やはり何にもせよ、バトルは必要なのですね。
@hidetude面白いことをやりたいならどこかしらで何かしら難所を乗り越える必要があるというだけの普通のことなので、それが嫌なら数学に限らず何もできないですね
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
@phasetrそうですよね。今の仕事からして毎日難所だらけなものですから、その上でのことです。少々気合入れて始めてみます。
— hideaki (@hidetude) 2016年12月25日
@hidetude中高の数学を知っていた方が便利なことももちろんありますが、微分積分をもっと突っ込んでやるにしても大幅なプラスアルファが必要な局面も多いですし、そこに突っ込んでこそ数学科の数学です。物理のために数学をやりたい、みたいな感じならそこまでハードなのは要りません
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
@hidetude詳しくはどんな背景を持った上で具体的に何をどうやり直したいかによります。『興味があるのは「大学の化学に使う数学」みたいな感じだが、いきなり大学理工系の数学やるのは精神的ハードルが高いから中高くらいからじっくりやりたい』みたいな人もいます。
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
@hidetudeその人が数学に対して抱える精神的なハードルの高さみたいな要素もあるので、一概にどうというのはいえません。「好きにして」と言われても困るだろうから、というので私は私で幾つか選択肢出してますし、最近は中高数学からの展開についても無料講座を作っています
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
@hidetude参考書リストをどかっと渡していたりもしますが、通信講座形式にしている(そういうコースを用意している)のにも色々意味があります。東京や大阪なら(私は全く関係していない)リアルの大人向け数学教室もあったりするので、必要な人にはそういうのも勧めています。
— 相転移P (@phasetr) 2016年12月25日
上でリアルの大人向け数学教室もあると書いた. 私の知る限りではあるが, 東京と大阪にしかない. そして以前そこに通っていたが遠いので通いきれなくなったから同じくらいの内容の 通信講座をやってくれないか, という要望を頂いたこともある.
そうした要望に応えるべく2016-12時点では次の三つの講座を用意している.
- 理工系にとって役に立つ数学と中高数学の連携を見る無料の通信講座
- 物理, 特に量子力学との連携を意識しながら数学科の学部 4 年分の解析学を眺めてみる無料の通信講座
- 大学の数学科の数学を 1 からきっちりやり込む有料の通信講座
無料の通信講座もあるので気軽に登録してほしい.
「数学は発見されるものか、発明されるものか?」¶
数学は発見されるものか、発明されるものか?
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月12日
選択肢①は、もちろん皆さんご存じプラトニズムが典型例ですね。数学的知識の最大の特徴である普遍性、不変性と客観性を上手く説明できます。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
一方で、目に見えない触れない数学的対象を人間はどうやって認識するのか、大変な難題です。https://t.co/xlK2vdtwhR
選択肢②は、ちょっと難しいですが、例えばデネットとかがこの立場だと思います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
1数学は人間が進化してくる前には存在せず、進化によって人間は数学を獲得した
2進化では、眼のように、魚と虫のように別の系統であっても、結局同じような構造にたどり着く事が多い
3数学も多分同じ
(続く)
4知的な宇宙人は、もしいるならば、やっぱり進化してきただろうし、そうだとすれば論理や数学などの基本的な概念は、人類と大筋で同型なものを持つのではないか
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
と言う訳です。楽観的な自然主義。
4知的な宇宙人は、もしいるならば、やっぱり進化してきただろうし、そうだとすれば論理や数学などの基本的な概念は、人類と大筋で同型なものを持つのではないか
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
と言う訳です。楽観的な自然主義。
選択肢③は、カントが代表例でしょうか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
1典型例は幾何学ですが、幾何学は人間の(生物学的な)空間とかの認識様式というフィルターが罹っている。人間が認識できる形式で幾何学は世界を記述する(分析的ではなく総合的)
2その後は論理的に、誰がやっても同じやり方で数学は展開される
(続く)
3だから数学は経験的認識に先立つ先天的、自明的なものである。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
(エラいラフなまとめで済みません)
現代でも結構な人が同意しそうな雰囲気ですが、一方で、「人間の空間認識能力にとってはユークリッド幾何学が唯一の正解です」とか言ってしまい、(続く)
20世紀には新カント派の哲学者が相対論と言う邪説を学ぶ物理学者をお説教氏に言ったりして、評判を限りなく悪化させてしまいました。「人間の認識様式」という言葉の内実が何かが重大すぎる問題になると思います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
選択肢④は…ポストモダンの人たちとか、他にもいろいろですね。ウィトゲンシュタインとか、極論すると「同じ人間でも数学は数学者たちの言語共同体の中でしか通じない」と言う主張になってしまいます。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
確かにそういう面はありますが、一方で、この立場では、自然科学における数学のキチガイじみた有用性とか、異なる文化や言語共同体でも数学を問題なく理解することができ、彼ら彼女らの数学(和算とか)も逆に西欧の数学者が理解する事ができる事実が、どうしても見えなくなってしまう問題があります。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
ちなみに、僕は個人的には②と③の中間派②よりです。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
その他やりとり.
@ytb_at_twt公理は発明されて、定理は発見されるものかと。。。
— 大野典宏@大変身! (@oono_n) 2017年5月13日
@oono_nある定理(もとの体系の無矛盾性とか)が証明できるように新しい公理を付加するとかよくやるので、その辺の区別は意外と曖昧です
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
その他にもあったが省略.
「数学は発見されるが複数存在する」みたいなのないのだろうか. あと数学の存在証明以前に数学の定義はどうしているのだろう. 哲学的にはもっとうるさい基本的なところから議論しているとも思う.
部活と数学問題に見る『「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しい』話¶
文科も教委も,「部活に休養日を!」というけど,土日がつぶれる大きな理由の一つは,「大会」の存在です。
— 内田良/学校リスク研究所 (@RyoUchida_RIRIS) 2017年5月13日
これは,中体連,高体連,高野連,高文連が動かないとどうにもなりません。
が,いまだ部活改革の蚊帳の外で,微動だにせずいる。
(冠大会や顧問らの私的な大会への参加抑制も急務)
最近、学校の先生の過重労働問題とも絡めて「部活批判」が花盛りだけど、一部例外を除き、学校の部活とプロスポーツ、五輪選手強化みたいな世界は一直線で繋がってて、単純に現行を否定したら(行政含む)日本のスポーツ業界は回復不可能なダメージを食うだろう。なかなか難しいと思う。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
はっきり言って学校の部活“ごとき”にプロスポーツや五輪選手の育成機能を担わせてる現状は当方もおかしいと思うけど、ことの善悪を超えて、世の中の現状がそうなっていて、「ハイ、そうですか」でやめられるような話ではないからね。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
やっぱり本当に「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しいなあ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
「奴隷制は悪でしょ。すぐ廃止しなさい」「いや、そう言ってもこれで食べてる人や成り立ってる世界もあるんです。軟着陸路線はないでしょうか」「悪人の行く末なんて知りません。即時無条件廃止あるのみ」「チクショー、戦争だ」みたいに南北戦争が始まったことを思う。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
南北戦争前夜、草創期の共和党にシーワードという大政治家がいて、名声も評価もリンカーンなどより断然上で、誰もが彼が大統領になることを疑わなかった。ちなみにシーワードはまともな学歴もない貧農の子、リンカーンとは対照的に、金持ち階級に属する大変な教養人だった。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
シーワードは雄弁家として知られた人で、明晰な理論、古今の名著からの当を得た引用などで万座の聴衆を酔わせ、それで政治エリートとして成り上がった男である。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
一方また南北戦争前夜、印刷や運送の技術の発展で、新聞というものはかなり手軽に、民衆たちが親しめるメディアとして発達した。このころ、「政治家の演説をそのまま載せる」というのは、インターネットも電波メディアもないなか、新聞が誇った最大の人気コンテンツの一つだった。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
ところが弁舌の達人として万座の聴衆を酔わせるシーワードの演説を、その声色や表情を捨象し、文字化して新聞に載せると、その明晰な理論や、当意即妙の引用は、何の遠慮もなく政敵を切り刻む、残酷な物言いに見えたそうで、これが彼に多くの敵をつくり、大統領への道から脱落する一因になったそうな。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
イギリスでシーワードの演説を文字として読んだマルクスも、彼の演説は「大仰さと虚飾」に満ち溢れていて「吐き気を催す」レベルでたり、「弁舌の達人は政治家として危険なまでに不適格だ」との論評までしている。ちなみにマルクスは奴隷解放論者で、シーワードは米国で、その論の第一人者だった人だ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
ちなみに当時の米国にはシーワードの亜流みたいな半端な雄弁家が南北問わず山のようにいて、それぞれの地域で過激な演説をぶち、新聞で伝播され、それが南北戦争の開戦原因となる諸問題の「対話の糸口」「妥協の機会」を、いちいちふさいでいったと言われている。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
シーワードというのは確かに貴族的で高慢な人だったようだが、実際会えばそれなりに「いい奴」で、実際その演説を直接聞いた人は、彼の言に喝采を送っている。しかし「彼の言の“文字起こし”」は、何とも人をイラつかせるものだったらしいのだ。そしてその「雄弁」が彼の出世を閉ざし、戦争を招いた。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
これがかなりクリティカルな印象.
やっぱり本当に「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しいなあ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
この間微妙な怒られが発生した.
相転移Pが本当に真剣に真摯に怒っているのはよくわかるのだが, いかんせん口が悪すぎて対話以前に相手を怒らせてしまって対話の可能性を閉ざしているようにも見えるよ. こういうツッコミを入れることもあるいは傍観者的と言われるかもしれんけど.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学専門家vs数学教育界隈と全く同じことが魚専門家vsとりくん界隈でも起きているっぽいし, なんというかそれぞれ専門家の側の主張は(私がみるに)何も間違っていないんだけど, 口の悪い過激派の専門家が何人かいるせいではたからみると「こわ近寄らんとこ」みたいな感じになってしまっている
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学クラスタの一部は本当に感じ悪いですよ. そのことに自覚的にならないと言っていることは正しくとも結果的に数学のイメージを貶めることになりますよ. 言っていることが正しければどんな表現を使おうと真理は真理だ, というのはアカデミアの外では理解されませんぜ.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
アカデミアの外で理解されないことが必ずしも問題かと言われるとそうではないしアカデミアの外で理解されなくても数学そのものにとっては何の影響もないんだけれど, 数学という分野(で食っている人たち)の生存戦略を考えるとアカデミア外の人によりよく理解してもらったほうがいいよね.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学の人たちは言明の真理性や内容に重きをおくあまりに, 広報戦略みたいなものを表層的で不純なものだと思ってしまいがちなんですが, 学としての数学ではなく学問分野としての数学を考えてゆく上ではそういう広報的な視点がどうしても必要になってきてしまうのだと思う. 不純で表層的かもだけど
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
学と学問分野で何が違うのかはわからないが(定義による), 適当な意味で広めたいと思うのなら, マーケティング・コピーライティング的なところが重要なのは論を待たない. 不純というのも表層的というのもよくわからない.
そもそも焦点がどこにあるのかよくわかっていないものの, どんな表現を使おうと真理は真理, これ自体は多分伝わるのではないか. むしろ「真理だろうが何だろうがお前の言うことは気にくわない」に対する話だろう. そこがずれていると見ている.
このツイートには言うまでもないですが「アカデミアの外」が「アカデミア」より偉いとか, あるいはその逆とか, そういう含意はありません. ただ, 「アカデミアの外」からの視線をもうちょっと意識して発言・行動しないと巡り巡って自分たちに不利益が生じるのではという話
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
私の言う「そんなのアカデミアの外では理解されませんよ」はアレな企業人が公務員に対してよく言う「そんなの民間では理解されませんよ」みたいのとはニュアンスが全然違うので誤解なきよう. 後者は民間が公務員より正しいという含意/前提がありますが前者にはどちらが正しいという含意はないので.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学の学としての純粋性を担保したいと考えるあまり, (社会に根ざした, 公的な予算がついたり公教育で教えられたりする)学問分野としての数学という側面を無視してしまうきらいがあるんじゃなかろか. 学問が社会や予算など俗なものから離れて成立するものであってほしいという気持ちはわかる.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
何の役にも立たないような学術的な話は, ギリシャの奴隷制の元で暇な貴族階級の思索からはじまったとか何とかいう話を 高校で勉強した. それが正しいのなら, 単にそれだけだし, 社会や俗なところから離れてはいたとしても, 金からは離れられないのはもう by definition レベルの話という気はする.
むしろだからこそ, 私はその手のきちんと数学でお金が稼げるようにしましょうという活動をやっている.
確かにツイッター上の数学者のイメージは悪い
— 若葉めるる (@wkb89_) 2017年5月14日
観測範囲の問題が気になっている. 他の学問だとどうなのだろう. 例えば私の観測範囲では科学技術社会論 (STS) や経済学者のイメージは最悪な印象がある. こちらは言葉遣いの問題ではなくイメージが悪い. 数学とどちらの方がよりひどいだろうか, ということを考えないでもない.
ある程度まとまって人がいれば異常なくらい口が悪く, かつ適当な意味でうるさいのも一定の割合で存在するだろうし, 単に数学者に興味関心があって, 注意を払っているからそう見えているだけ, という気もしている. 実際, 化学者で口が悪いのがいるかどうかとか, 医学生理学で口が悪いのがいるかどうかとか, そもそも気にしたことがない.
ちょっとだけコメントしたやつ.
@noukoknowsこれに限らずツイフェミ・まなざし村事案、表現規制事案でもそうでオタク界隈でもそうなので人類の平常運転でしょう。いいかどうか、どういうときに自分がどう動くか、意識的にやるかやらないかはまた別です。私はめんどいので(Twitterでは)基本触れないスタンスにはしました。あくまで基本は
— 相転移P (@phasetr) 2017年5月14日
生物と道具としての数学, そしてプログラミング¶
生物実験野郎だがプログラミングするしバイオインフォマティクスの論文も出したことがあるから一応そっちの研究者も名乗っていい気がしているけど誰か書いてくれるならばそのほうが楽だと思っていて結局やりたいのは生物学であっていろんな実験手技もプログラミングも手段にすぎないという立場
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
プログラミング、ミニプレとかほどキット化されていないからできるできないの幅が広くて困るがミニプレと実質的な位置づけは同じだと思っている。できないとダメだと騒ぐ必要はなくできる人に任せればいい。ただ、任せる本人がわかっていたほうが良いのは実験と一緒っぽいが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
今は「生物の人もプログラミングしたほうがいい」という話になっているけどいずれ将来は「生物の人も数学できたほうがいい」という波が来るだろうと思われるし一部ではもう来ているはずだ
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
そんなにハードな数学必要なのですか?
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
ここで言う「数学」は、ハードな数学ではなく、記述言語としての数学ぐらいの意味です。とりあえず全ての函数は微分可能だし積分は全て収束すると思っておく程度かよりゆるい感じで
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
一応そのレベル感は想像ついていて、それは理工系、生物系にとってそんなにこれまで特殊なオプション的なものだったのかというのが気になっています。
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
一部の人間以外には厳しいという印象です。当然微積の計算は大学受験でやり、大学初年度では解析や線形代数をやってはいるけれども、それを記述に使えるようにはなってない感があります。日常的に使うことがないので仕方ないと思いますが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
力学とか電磁気あたりは必修にあるイメージなのですが、専門で忙しくてほとんど身についていないまま専門課程突撃、みたいな感じでしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
力学電磁気学はありましたが微分方程式の解き方とか線積分面積分とかをずっと覚えて運用できるほうが珍しい気がします。もちろん構造生物学の人など例外はあり、主に私の周りにいる分子生物学や遺伝学(集団遺伝学ではない)を使って研究をしている実験生物学者風の人々を想定しての話ですが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
ちなみに当初の「生物でも数学を」の中身はどんな感じなのでしょうか。私は冒険せず気楽に物理と数学だけで、あまり異分野のこと知らないもので
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
それが全てでは決してないですが、例えばRIMSの講究録で「生物」 がタイトルにあるものを検索してみると一つのあり方が見えると思います。あとは私の力では個々の例を列挙する形でしか示せなさそうです。まだまだ本格的な生物への数学の使用は端緒だと思います。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
そもそも遺伝学と集団遺伝学で何が違うのかすらまるでわからないほど, 生物の素養がない.
何も知らないので泣きたくなる.
数学と物理とプログラミング: 学部2-3年レベルとは何か¶
以下のツイートが発端です.
(自分にとって)見やすいように編集しつつ引用します.
発端¶
ずっと前から思っているが, 数学と物理とプログラミングにまたがる話で, 数学とプログラミング, 物理とプログラミング, 数学と物理ができる人はいても, 数学と物理双方学部二-三年程度をふんわり知っていてプログラミングもギリギリできる, みたいな人が社会に出てこない (コンテンツを作ってくれない). アカデミアに引きこもっている層なら数は増えるだろうが, 数学と物理周りの話はしてくれてもプログラミングに関わる話をろくにしてくれないイメージがある. その辺を突けばまだ市民にもできることがあると思って今いろいろやり始めている. 誰かもっといいの作って欲しい. 機械学習とかよりも.
電波猫さんとのやりとり¶
数学と物理とプログラミングをどれも齧ってるつもりだけど, 学部 2-3 年程度がどれくらいのものかよく分からないし, 多分できてない.
数学に関してかなり使える基準だと思っているのは多様体の本が難なく読めるかどうかです. 線型代数の抽象論が必要で, 陰関数定理・逆写像定理・常微分方程式の解の一意性存在定理を使いこなせ, テンソル代数のイデアルによる商代数の構成がわかるなら相当確固たる基礎があります.
物理だと解析力学・電磁気・熱力学・量子力学・統計力学あたりを「よくはわからなくても何となく一通りは聞いたことがある」「一通り専門用語を知っていて関連する計算ができる」レベルですでにかなり厳しいと思います.
物理はまだしも数学については, 知識としては学部 2-3 年でも, 運用できるレベルに至るのが下手をすると学部四年のゼミで鍛えられて大学院でようやく何とか最低限の運用技術習得くらいな感触があり, 実際は相当高い水準です. 少なくとも解析系市民としてはかなりのハードルを感じる事案でした.
きびしい.
線型代数の抽象論は明らかにやばくわかっていない・そもそも知らないことがはっきり認識できますが, 微分積分と微分方程式は理解はともかく使えている感を感じている人は多そうな一方, 多様体で必要なのは息切れして教養数学で手薄になる陰関数定理・逆写像定理こそクリティカルに効くこと, これらが直観的にはかなり明確ではあるものの, 証明が長く厳しく多変数で記号もつらく, そもそも直観的な理解さえほとんどされていないであろうことがまず厳しさ第一ポイントです. 常微分方程式のハードルはある意味さらに厳しく, 普段散々微分方程式を解いている・解けていると思う人ほどおそらくつらい. 具体的な方程式を解けるかどうかではなく, 一般の正規系の非線型常微分方程式系の局所解の一意性存在定理こそが問題で, そもそも解の一意性と存在定理自体に興味を持たない応用勢を軒並み焼き尽くしていくハードルです.
強い人だとそれらを何となくパワーまたは「そんなもん知るか」で乗り越えていくのですが, 半端に数学をわかった・使える気になっている人だけを特異的に綺麗に粉々に破壊していく要素が多様体論に詰まっています. 自動的に学部の数学をかなり広く勉強できてお得と言えばお得です.
解析はかなり苦手意識がありますが, 沼が深そうですね.
沼とかではなく, 現行の非数学科ではたいてい全く必要なくて, 数学科の数学で必要になるだけの話です. いらないからやらないし知らないし知らないままで物理・工学できるのです. ミュージシャンが何かの機会を「クールなこれを何か知らないが問題ない」という例のアレです. 無理に知ろうとするからつらい.
数学と違って物理はある程度計算できればそれなりにレベルアップした感が持てるのがいいところという感じがある. 数学だともう何をどうやっても駄目なものは駄目で何一つわかって気がしないだけではなく, 実際に本当に何もわかっていないし, 計算さえ何もできない.
物理は「何もわかっていなくてもとりあえず計算できる」があり得るし, 逆に「計算はよくわからないが (実験を通じて) 多少なりとも物理を知った気になれる (わかったかどうかは別の問題)」があり得る. 人によってはあるのかもしれないが, 数学で物理に対応するこの事象に出会ったことがない.
番外編: 数学科の本を物理関係者が読む¶
とりわけ物理の人間が勘違いしているのだが, 数学科向けの数学の本は適切な水準の数学科の学生に向けて書かれていて, 他の誰をも対象にしていない. 他学科の身で「わかりづらい」というのはそもそも「お前は対象ではない」事案なので, あるなら物理の人が書いた本を読むか, 我慢するしかない.
数学科の学生が物理の本なり工学の本を読んでいて「数学的に厳密ではない」と言い出したら「国に帰れ」と言わざるを得ないだろう. 「お前のための本ではない」と. それと同じなのでさっさと諦めて欲しい. 諦めて読むのをやめるか, 数学科の数学とダイレクトに戦うしかない.
もちろんいつだって最終手段である「専門家・友人との議論」と, 「自分で本を書く」手段は残っている. 私のような市民ならともかく, 大学生ならもう最終手段を取るしか, ほぼ全ての場合に道はない. はやく諦めて本を書け.
それに合わせて具体例が欲しいとかいう話, どのくらいの本をどう読んできてどのくらい数学ができてどんな本を読んでいるかがまず真っ先に問題になる. 例えばこのツイートの話. 適切な具体例がたくさん書かれていても「抽象的で意味がわからない」となっている可能性がある.
数学で具体例が必要事案, 何をもって具体例とみなすかがまず大問題で, 多分初めのうちは線型空間に具体例がいるはずなのだが, そのうち別の概念の具体例として (抽象的な) 線型空間が出てくるし, 初学者にとって抽象的な例がある程度知っている人には手触りのある最高に具体的な例になったりする.
当然, 多段階で具体例を山ほど知っていることが前提になっている. 数学的な段階を吹っ飛ばして本を読むと「この本を読む数学の人間ならこのくらい知っているだろう. そうしないとまともなページ数で本かけない」問題もあり, そこを飛ばしてアタックした他学科の学生は地獄を見るだろう.
それを読むための基礎体力がないので, 諦めて暴力的な基礎体力作りに励むしかない. 基礎体力がなければもちろん数学科学生であっても読めない. 物理の本でも最低限の計算力を少しずつ鍛えるのであって, いきなり量子力学や電磁波をやると計算量で圧死する. 社会は厳しいのでもうどうしようもない.
このような具体例が構成されている. 「線型空間のテンソル積と本質的に同じなので詳細は省略する」と環や加群のテンソルでやられるし, そこから同値条件だと言って普遍性に飛ばされたりする. 「集合と写像という数学の基礎だから」と言われても応用系でやらないから即死もある
「この証明ではテンソル積の具体的な構成を用いています」 (そして現れる, バカでかい線型空間のバカでかい部分空間による商空間)
中学での多項式の因数分解の「採点」を巡る問題: 黒木さんのツイートまとめ¶
次のツイートからなるツリーを勝手にTeX化・PDF化した.
学部は数学科ではなく, 院も解析系だったので極端に代数の素養がない. その懦弱さがこの手の議論で効いてくるのを痛感しているので, あとで見やすく・参照しやすくするために適当に編集して TeX 化した.
これから本格的に中高生に対する数学の教育に関わっていこうと思っているので冗談では済まされない. 粛々とやっていく.
数学者による数学教師への推薦図書の小リスト¶
鴨さんのツイートまとめ¶
数学の教科書でも啓蒙書でもない概論っぽい良書を読み漁るのはどうでしょう。具体的な書名は続くTWで。#マシュマロを投げ合おうhttps://t.co/e1bvnd52j6pic.twitter.com/w1P5uPAlRO
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 19, 2020
藤田博司『「集合と位相」をなぜ学ぶのか』https://t.co/80MWezd56t
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 19, 2020
足立恒雄『数とは何か―そしてまた何であったか―』https://t.co/nFJ0LojZap
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 19, 2020
Ebbinghaus et al.: Zahlen
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 19, 2020
日本語訳は、
成木勇夫 訳『数 上』https://t.co/bLWYBgjyBH
成木勇夫 訳『数 下』https://t.co/WoWK9BD36T
Ebbinghaus et al.: Zahlen
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 19, 2020
日本語訳は、
成木勇夫 訳『数 上』https://t.co/bLWYBgjyBH
成木勇夫 訳『数 下』https://t.co/WoWK9BD36T
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) February 20, 2020
黒木さんの批判コメント¶
『数とは何か』を教師志望の人に勧める場合には、その本が有名なトンデモ本であるシュペングラー『西洋の没落』を繰り返し引用しまくっていて、文化相対主義に異様に肩入れしていることへの警告が必要。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) February 19, 2020
その本のそういう所を受け入れた人が中高生に数学を教えるようになるのは悪夢。 https://t.co/ngOHbHj1dE
シュペングラーの引用が非本質的な一部分に限るのであれば、大して問題にならないと判断するのですが(完璧な本など存在しない)、全体が影響を受けているように見えた。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) February 20, 2020
私ならばその本を他人には絶対にすすめない。
あと、大森荘蔵の時間三部作やそこに書いてあることを褒め称えているように見える本も他人には絶対にすすめない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) February 20, 2020
「権威」ある思想的なトンデモ系は本当に有害だと思う。
市民感覚の無料コンテンツ¶
せっかくなので私が作ったコンテンツも紹介しておこう. 次のページにまとめてあり, 随時追加している.
特に次の講座を勧めておこう.
愛された単位元のない可換環$L^1(\mathbb{R}^d)$¶
先日埼玉大の坊ゼミでブルブルエンジン兄貴が単位元がない環に対する極大イデアルの存在定理についてトークしていた. 単位元がない可換環で我らがBanach環, $L^1(\mathbb{R}^d)$でどうなるのか考えている. 時間がなくてサボりっぱなしなのだが, 書いておけば誰か教えてくれるかもしれないという甘い期待を抱いて記事を書く.
ちなみに局所コンパクトHausdorff空間$X$上, 無限遠で消える連続関数がなす環$C_0(X)$も単位元がない可換環になる.
つどいの話の動画化したやつの付録でも簡単に触れるが, $L^1(\mathbb{R}^d)$の積は畳み込みで入れる. これは例えばKadison-Ringroseの本の3章に書いてある.
ここでちょっとした表現論をやってFourier変換を導出するという話もあって結構楽しい.
それはそうと, 畳み込みで積を入れるという話だった. まず積がwell-definedになるかという話で, これはLebesgue積分では基本的な議論で確かめられる. 例えば巾等元, または射影があれば極大イデアルがあるのだが, まだこれが作れていない. 頑張ろう.
知っている・またはすぐ作れるという方は教えて頂けると有り難い.
記事紹介: 【ドラクエから類体論】¶
ブルブルエンジン兄貴のツイートで紹介されていたのだが, ドラクエから類体論という際物の解説があった. 不勉強なところなので正直細かい所は把握しきれていないのだが, こう無駄な迫力があり無駄に読ませるという点で優れた解説だと思う. タイトルからしてドラクエということで読者を選んでしまうのだが, むしろ読者を限定することでその層に向けた強いメッセージを発することができている. この辺は私のニコマスの動画と同じコンセプトであると言える.
内容に関してははじめの目次のところを見てほしい. そこで大体分かる.
- ドラクエ世界の形
- パラレルワールドと被覆
- 被覆変換と被覆空間の住人たち
- 被覆のガロア対応
- 体のガロア理論
- 普遍被覆と基本群
- ヒルベルトの類体論
ドラクエ世界の形から始まり, なぜか唐突にパラレルワールドの話になり, そして唐突に被覆が出てくる. Galois被覆という大事なキーワードを出しつつ部分群と空間の対応を論じるのだが, 実はこんな話もある, といって体のGalois理論に入る. あれよあれよという間になぜか類体論の話になるという不思議な記事だった.
不勉強なせいで上手く説明できないので, 興味がある向きはとりあえず読んでみてほしい. 何か不思議な感覚を味わう不思議な文章だった.
ところでこの記事書いた人, 何者なのだろう.
Ask.fmの紹介: 論理学を勉強すると何の役に立ちますか?¶
本文¶
yuuki_with2usさんのAsk.fmなのだがちょっと気になったので.
論理学を勉強すると何の役に立ちますか?
ストア派の哲学者エピクテトスの説話集に次のようなエピソードがあります。
彼の聴衆の一人が言った。 「論理学が有用で必要なものだと私を説得してみせろ」 そこで彼は言った。 「私にそれを証明してほしいということですか」 「そうだ」 「なるほど、そういうことなら、私は証明による論証を使わなければなりませんね?」 そして、この聴衆がこれに同意したのを見て、彼は言った。 「ではあなたは、私がその論証であなたを騙していないということをどうやって知るのでしょう?」聴衆が返答に窮するのを見て彼は続けた。 「ご覧なさい、あなたはご自分で論理学が必要であると認めているのです。それなしでは、果たしてそれが必要かどうかさえも知りえないというのでは」 (The Discourses of Epictetus, Bk. 2, Ch. 25; 拙訳)
はたしてエピクテトスがここで展開している物言いは説得力のあるものでしょうか、それとも詭弁でしょうか。そうだとしたら、どこにどのような問題があるのでしょうか。このような物言いは日常的な会話や物言いの中で見られるでしょうか。そのような物言いには何か共通のパターンがあるのでしょうか。どのようにそれを見分け、評価すればよいのでしょうか。学部生が初めに学ぶくらいの論理学を勉強すると、このようなことを良く考えられるようになるはずです。
いまひとつよく分からないが, 気にはなるので忘れないようにメモ.
タグ¶
論理学, 教育
記事紹介: SIGGRAPHでの離散微分幾何レクチャーPDF¶
本文¶
離散 (デジタル) 微分幾何 というのがあるという. ちょっと引用してみる.
今年のSIGGRAPHのレクチャーで,こんなのがあったようです. Discrete Differential Geometry: An Applied Introduction
これ,幾何学のとても良いレクチャーになってます.幾何学で言う曲率やホモロジーの概念は,空間を離散化して定義して,離散化幅を→1/∞にすると分かりやすい(というか,元々,それが定義)なので,連続的な幾何学を離散的な多角形で扱っているこの論文集はとても良いです.
講義録は多分このPDFだ. 数学・物理とプログラミングというのは前から興味があるので, 目を通してみたい.
やりたいことが日々増えていく. もっと真剣にこうした活動をお金に替えることを考えないといけない. 東北大の小谷さんの専門関係の話も追ってみるか.
書籍紹介: Terence TaoのHilbert's Fifth Problem and Related Topics¶
本文¶
Hilbert's Fifth Problem and Related Topics (Graduate Studies in Mathematics) by Terence Tao. http://t.co/XRBd1oeR1T
— Mathematics Books (@math_book) 2014, 8月 9
第5問題についてWikipediaから引用しておこう.
第5問題
位相群がリー群となるための条件
「関数の微分可能性を仮定しないとき、リーによる連続変換群(リー群)の概念は成立するか。」
この問題は1930年にノイマンによって証明されたのを皮切りに、 ポントリャーギン、シェヴァレー、マルツェフ等により局所ビコンパクト群の理論が発展されていった。 その後1952年にはグリースン、以降モントゴメリ、ズイッピンらによっても解かれた。 最終的には1957年にグラスコフが完全な形での証明を発表した。
第 5 問題は岩澤先生も貢献している. 岩澤先生が何をしたのかとても興味があるので, 読んでみたい.
ちなみに永田先生が解決したのは第 14 問題だ.
記事紹介: 保育園のころ、魔法を使える先生がいた。¶
本文¶
これ読んで、子育てに上から目線でお説教かよ!ぺっ!ってささくれた気持ちになったのに、今日試したら、息子含む3人の4歳児が思うままであった 保育園のころ、魔法を使える先生がいた。 http://t.co/uGNi1SojSZ
— dockoi_syo (@dockoisyo) 2014, 8月 13
ネタばれになるが, 大事なところを引用しておこう.
まこ先生は目を伏せる。 「気づいてほしかったけれど……。きく先生は気づいてなかったのかもしれないわね」 「気づくって、何に?」 「子供は考えるのが好きだってことに」 昔のように、まこ先生はニコッと笑った。
子供達にも数学をガンガン叩き込んでいこう.
あとで読む用メモ: Twitterで見かけたFields賞関係の話¶
本文¶
Fields 賞が発表になった. Twitter では早速各所で情報が飛び交っていたので, 自分用にまとめたい.
ファッション誌 "Elle" もフィールズ賞の速報を出している。⇒ http://t.co/Vi1mFhcpff
— 大栗博司 (@PlanckScale) 2014, 8月 13
大栗さん筋からまず1つ. ところで大栗さん, どこからファッション関係での取り上げを見つけてきたのだろう. 謎の調査力, さすが教官だと感銘を受ける.
大事だと思った部分を抜き出しておこう.
Like many girls, I wasn't encouraged to pursue careers in technical fields like math or science. Mirzakhani hopes her award motivates young girls to pursue STEM (science, technology, engineering, math) subjects. "I will be happy if it encourages young female scientists and mathematicians," Mirzakhani told the Stanford Report. "I am sure there will be many more women winning this kind of award in coming years."
今日発表になったフィールズ賞受賞者4名とネバリアンナ賞受賞者の業績紹介は、サイモンズ財団の数学情報マガジン Quanta の解説がよさそうだ。⇒ http://t.co/8TwEP6YbgA
— 大栗博司 (@PlanckScale) 2014, 8月 13
大栗さん筋の情報その2. サイモンズ財団強い. まだ全く様子が掴めていないので, おいおい読み込もう. 自分用の日本語まとめとしてメルマガに書くことにしたい.
あの Terence Tao による,今年のフィールズ賞受賞者の紹介記事。 http://t.co/3Z4CqKgAxn
— Yusuke Terada (@doraTeX) 2014, 8月 13
Terence Tao のブログ. これも後で読んで日本語でまとめたのをメルマガに流そう.
この間買ったばかりだというのに『佐藤幹夫の数学 増補版』が出るというのでつらい¶
本文¶
9月中旬新刊予定 『佐藤幹夫の数学 増補版』木村達雄編 4800円外税(日本評論社) 現代が生んだ独創的数学者《佐藤幹夫》の仕事とあゆみを、さまざまな角度から多面的に描き出す著作選に、新たに4編を増補!
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 5
前に書評も書いた『佐藤幹夫の数学』だが, 新章が追加された増補版が出るという. ほしいがお金ない. つらい. 数学アクセサリとか早く軌道に載せたい. DVD も新しいの作るか.
あまりにもつらいコラム紹介: カワイイ数学コラムVol.1「誰かに好かれてる確率は?」¶
本文¶
カワイイ数学コラムVol.1「誰かに好かれてる確率は?」 というつらいコラムを見かけた. 「誰か」に好かれていて嬉しいのだろうか.
最近ストーカーという名づけられた変質者による殺人事件も目立って報道され, 社会問題としてはっきり認識されてきているような状況もあるので, むしろ不安になる.
これはむしろ防犯的な利用の方が役に立つのでは, とも思ったが, 女性側がそんなことを気にしないといけないというのもひどい話だ.
総評: とてもつらい.
書泉グランデMATHがまた面白そうな本を大量に呟いていたので¶
本文¶
また書泉グランデMATHが面白そうな本ばかり呟いているので.
好評発売中 『古典調和解析 解析学百科1』 薮田公三 他7020円 (朝倉書店) 今世紀の解析学全般の本質的な進展に関与するであろう「古典的な調和解析」への誘いの書。 http://t.co/fHhMLyqHwx
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 3
8月6日新刊予定 『数学をいかに教えるか』志村五郎著(ちくま学芸文庫)
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 3
8月中旬新刊予定 『人につむじがあるわけ 数学を味わうための12話 』一樂 重雄著2160円(日本評論社) 数、形、無限、微分・積分をテーマとして、数学を楽しむ12のトピックを集めた。数学を鑑賞しながらその面白さを感じてみよう。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 3
好評発売中 『人生を変える「数学」そして「音楽」 教科書には載っていない絶妙な関係』中島 さち子著(講談社) 学校ではやらない「数学」と「音楽」の楽しいプラクティス。試してみよう、面白がれることが知力を伸ばす。誰だって数学者で音楽家。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 3
新刊好評発売中! 『数学の計算回避のしかた 発見的教授法による数学シリーズ別巻2』 秋山仁著(森北出版) 別巻2「数学の計算回避のしかた」では、要領よく計算するコツを徹底的に解説。具体的な方策を体系的に身につけることができます。すばやく"エレガントな解答"を目指しましょう!
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 8月 2
つむじの本と音楽の本ほしい. 小中学生向けに何かできないだろうか. 折り紙 (の数学) はよさそうだと思っているのだが.
嘉田さんと結城さんのやりとり: 「述語論理の構文論と意味論」とかその辺¶
本文¶
今日たまたま会ったユーリの質問。「A=Aって言うけど、左辺のAと右辺のAは同じAなの?ほんとーに同じなら、なんで違うところに書けるの?それに、同じってわかってるなら=で調べなくてもいいじゃん!」みんな無言。
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 7月 23
@hyukiいちおう私なりの答→「ユーリちゃんはこの世に一人しかいないけど、『ユーリ』という名前を違うところにいくつも書くことはできるよね。左辺のAと右辺のAは『同じ名前を2箇所に書いた』という意味で=で結んでるのは『名前が指しているものが同じ』という意味だよ」
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2014, 7月 24
http://t.co/6hRgKVmAzo… ←これとほぼ同じことを卒研ゼミ学生と問答した記憶あり。「(2+3)×4」と「(2×4)+(3×4)」は同じか違うか? もし「同じ」と答えるならこれはどうか?→「(2×3)+4」と「(2+4)×(3+4)」、などなど。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2014, 7月 23
続き。嘉田の卒研ゼミや大学院ゼミの指導対象学生には中学高校の数学教員になる可能性のある学生もいるから、容赦なくこういう問いを学生にぶつける。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2014, 7月 23
(しかもゼミで扱ってる内容がまさに「述語論理の構文論と意味論」だから、こういう問いに答えられない状態で先に進むわけにはいかない…)
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) 2014, 7月 23
やはりプロは違うな, と感嘆する.
数学 今日のいい話: 数学的対象の実在性¶
本文¶
数学 今日のいい話シリーズ.
「数学者は数学的対象に強い実在性を感じてるから云々とかよく言うけど,あれ,なんか,実際どうなの……」「いや,まあでも,CP^nと放射性物質,どっちの方がうまく想像できる?」「なるほど」
— らなるーた (@ranaluta) 2014, 7月 19
数学に限らないが, よく知っているものの実在性, 言葉では何とも言えないところがある.
A. Weil 恐怖の言行録¶
本文¶
Weil、Morseは愚かな数学者とかBorelは大したことしてないとか言ってて格の違いを感じる
— ささちゃん (@safour_1) 2014, 7月 17
@gototheNagy日本に来た時の雑談みたいな会話が谷山豊全集で書き起こされてますよー
— ささちゃん (@safour_1) 2014, 7月 17
@gototheNagy@safour_1元の記事はここ http://t.co/UNh7n30rDUでも読めます.MorseやBorelに言及しているのは3巻3号の「A.Weilに接して」という文章ですね.
— shu (@LT_shu) 2014, 7月 17
Weil 恐るべし.
『幾何学と代数系』金谷健一(森北出版): 書泉グランデMATHが面白そうな本を紹介していたので¶
本文¶
7月31日新刊予定 『幾何学と代数系』金谷健一(森北出版) 本書は、幾何学的代数の和書初となる入門書である。まず、背景をなすハミルトン代数、グラスマン代数、クリフォード代数を初歩からていねいに解説しているため、初学者でも自然に幾何学的代数の考え方を学ぶことができる。
— 書泉グランデMATH (@rikoushonotana) 2014, 7月 10
書泉グランデMATH, 面白そうな本をたくさんツイートしてくるのでつらい.
Youtube の講義動画: 自分でYouTube にあげる動画の参考にしていきたい¶
本文¶
YouTubeで英語の講義動画見てる.専門分野だから何とかわかる.今のところ.
— なゆたいむ (@1decillion) 2014, 7月 9
@1decillionURL教えて頂いてもいいでしょうか。いろいろ参考にしたいので
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 7月 9
@phasetrはい,どうぞ. https://t.co/MR0aEJupie
— なゆたいむ (@1decillion) 2014, 7月 9
@1decillion超お返事遅れて申し訳ありません。見てみます。ありがとうございます。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 7月 10
最近とんとご無沙汰だが, YouTube で動画をいろいろ上げていこうという計画を立てている. その参考にしたい.
魔法少女から: 相転移Pについては超関数論の超準化みたいなのプロデュースしていただきたい¶
本文¶
魔法少女はすぐツイートを消すから困る.
相転移Pについては超関数論の超準化みたいなのプロデュースしていただきたい
@functional_yy参考文献を
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 7月 7
@phasetr http://www.sciencedirect.com/science/book/9781898563990 http://t.co/VbJUqiRYJf
PDF の方は気長に読む予定なのでしばらくお待ち頂きたい.
数学教育とプログラミング: 数式処理ソフトをうまく使えるようになりたい¶
本文¶
発想を頭に任せ、作業は数式処理ソフトに。 http://t.co/jsAu4PcbiU
— 薬作り職人 (@drug_discovery) 2014, 5月 18
これ, この間立川さんのYouTube講義で立川さんが ちゃかちゃかと mathematica 使ってシミュレーションしていたのを見て, うまく使ったらこれ面白そうだなと今更ながらに思った.
教育での数式処理ソフトの使い方, 少なくとも日本では確立されていない印象があるので, ちょっといろいろ試してみたい.
防衛に役立つ数学研究がしたい¶
本文¶
自衛隊に入って役に立つ数学の研究したい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 7月 2
@phasetr私がアメリカで博士号をとったときに(もちろん数学で)修士をとったアメリカ人の女子院生が、陸軍だか海軍だかに研究員とかの身分で就職が決まったそうで、「エストロゲン爆弾を開発して女性を幸せにするんだ」とか言ってました。
— くるる (@kururu_goedel) 2014, 7月 6
@kururu_goedel感動の超大作として映画化しましょう
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 7月 6
いい話っぽかったので記録を残したい. 適当なことを言っているだけでいいことを教えてくれる Twitter, 実に尊い.
追記¶
そういえば計算機科学のW先生は、旧西ドイツ連邦軍士官学校出身で、ゲパルト対空戦車に乗ってたと言ってた。 RT @phasetr: http://t.co/TeKbLr86nh【防衛に役立つ数学研究がしたい】よくわからない数学
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 7月 25
非常にいい話だった.
記事紹介: 数学をゲーム感覚で学べる「Primo」¶
本文¶
だいぶリアクションが遅れたがタレコミを頂いたので.
すいません、毎度毎度gigazineからタレコミます。
gigazine からも引用しておく.
「数学が苦手」は生まれつきではなく努力によって克服可能であるという意見がありますが、 一度苦手意識を抱いてしまった数学を好きになるにはそれ相応の努力が必要になるはずです。 しかし、数学をゲーム感覚で学べる「Primo」ならば、 友達や家族と遊びながら楽しく苦手を克服したり、数学に対する興味関心を高めることができそうです。
面白そう.
ゼルプスト殿下のブログから: ホーキング博士の道案内で数学史の世界を探訪¶
本文¶
ホーキング博士の道案内で数学史の世界を探訪 というゼルプスト殿下のブログの記事で, Hawking の本, 『God Created The Integers』の紹介記事だ.
数学の歴史に一時代を画した重要な業績を、作者である数学者のプロフィールと、 論文の英訳によって紹介したアンソロジーで、古代ヘレニズム時代のユークリッドから現代のアラン・チューリングまでをカバーしています。
安いしほしい.
読んでみたい本メモ: 山口昌哉『数学がわかるということ』¶
本文¶
けさ、山口昌哉『数学がわかるということ』の§1を読んだら、やる気が出たというより、怠けていてはいけないという気持ちになった。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2014, 6月 17
この本, 読んでみたい.
明石写像の由来と日本文学¶
本文¶
何ですと.
明石写像ってのがあるんだけど、明石さんが構成したのかと思ってたら源氏物語で光源氏が苦悩してた須磨明石の日々を重ねあわせて明石写像という名前をコーツが付けたらしくて半端ねえなって思った
— ささちゃんJAPAN (@safour_1) 2014, 6月 17
これ, 本当なのだろうか. あまりにもいい話すぎる.
追記¶
次のような情報を得た.
https://t.co/we3DU0gkwJ これの付録Cに詳しく載ってるみたいですね
— 自分を見失う (@Sangyoh_sus) 2014, 6月 28
あとで読みたい.
『大学数学基礎ゼミナール—論理と集合 「数学女子」まなちゃんの (KS理工学専門書)』という本が出るらしいので¶
本文¶
これはほしい.
こんにちは。こういうの出るみたいですよ→ 大学数学基礎ゼミナール—論理と集合 「数学女子」まなちゃんの (KS理工学専門書) http://t.co/R9fQkwopyF
— takey_y (@takey_y) 2014, 6月 18
そういえば宇宙賢者に数学女子を貸しっぱなしだった. 返ってくるときには宇宙女子とかになっていそう.
素晴らしい記法が発明されたので¶
本文¶
これは, という記法だったので.
神がかった記法を思いついてしまったようだ…… pic.twitter.com/NOuDA97uiI
— gfn (@bd_gfngfn) 2014年6月18日
今後板書など手書きのときに使っていきたい.
あまりにも悲しい現実だった: 「「反転授業」はモチベーションのある生徒にしか使えません。」¶
本文¶
あまりにもつらい現実だった.
「「反転授業」はモチベーションのある生徒にしか使えません。」→何を自明なことを/カリフォルニアの高校で、一部「反転授業」が導入された背景 生徒間の学力格差をワープスピードで拡大する、残酷なツール : Market Hack http://t.co/veoz06NWQq
— 小林 功英 (@K0Ei) 2014, 6月 21
最近, 中学まで行っていた柔道を再開して道場に行っているのだが, そこの小中学生と一緒に何か「お勉強」をしようと画策している. 何か具体的なことを何かするというより, モチベーションを高める方向で何かしたい. もちろんその方がハードルが高いし, だからこそやりたいのだ.
数学アクセサリを作りたい¶
本文¶
蝉丸P に教えてもらったことを記録.
@semimaruP1つお伺いしたいのですが、和装に合う(数学的な)アクセサリを探していて、数珠を魔改造したようなアクセサリはどうかというアドバイスを頂きました。そういった行為は仏教的に問題があったりするものでしょうか?
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 6月 11
@phasetr腕輪念珠は正式な数珠では無くブレスレットの扱いですし、よしんば数珠の改造であれ仏教徒以外の人が気にする道理でもないかと。和装自作であれば羽織紐あたりが定番っちゃ定番でしょうか(留玉と紐と両方弄れますし)
— 蝉丸P@横鎮・仏これ・eb!日和で連載中 (@semimaruP) 2014, 6月 11
@semimaruPありがとうございます。羽織紐は思い付きませんでした。魔改造の方針の検討をはじめていこうと思います
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 6月 11
別のラインから根付もいいぞ, という話を伺う. 自分用からはじめるのがいいか, と思って和装に限定したが, 一般向けには洋装に合うのもいい. 特に女性用のアクセサリは真剣に検討したい.
適度で適切な「初心者歓迎」の空気は大事だな, と¶
本文¶
【オープンソースコミュニティは閉鎖的。オフ会はオープンであるべき】という記事, 参考になる.
特にオープンソースのコミュニティのオフ会って、 オープンソースの中身がどうこうよりも、OracleやWindowsの悪口であったり、 誰々さんが何々をして盛り上がったとか、内輪ネタの話が多い。 私はある程度会話には付いていけるけど、初心者がオフ会に参加したら間違いなく孤立するだろうな。 内輪ネタがまず意味不明だろう。
同じことはオープンソースのメーリングリストやコミュニティにも言えて、 たまに初心者が雲をつかむような話を投稿すると、熟練の怖い人から「まず検索しましょう」「自分で調べましょう」と返ってきたり、スルーされたりする。
だんだんその雰囲気が重苦しくなって、 MLには誰も投稿しなくなる(たまにバージョンが新しくなったアナウンスが投稿される)。 そういうオープンソース系のMLを沢山見てきた。 IRCもそう。
perl-casual とかは多分カジュアルにPerlの話をしましょうっていうチャネルだと思うけれど、誰か投稿したのを見たことがない。¶
もっと敷居を下げて誰にでも簡単な敷居で参加できる会がないと、 そのうち会のメンバーの固定化が起きて後継者問題が発生してくる。 これは遠からぬ話、はてなブックマーク界隈でも問題になることだろう。 内輪ネタで盛り上がるのではなく、それも肴の一つにしながら、誰でも参加可能な残飯処理係のいない会を開いていきたい。
参考にしたい. というか数学カフェはこんな感じを大事にしないといけなさそう.
黒木さん発言録: 「【数学の教師って、数学得意だったから数学苦手な生徒の気持ち理解できないから、数学教えるのは向いてないんだって。】これは数学をきちんと勉強したことがない人の発言か?」¶
本文¶
さすが黒木さんがとてもいいことを言っていた.
https://t.co/GbxhcSHJ8O【数学の教師って、数学得意だったから数学苦手な生徒の気持ち理解できないから、数学教えるのは向いてないんだって。】これは数学をきちんと勉強したことがない人の発言か?数学科卒業生で数学がわからなくなった経験がない人なほぼ皆無のはず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 5
@genkuroki数学の先生になる可能性のある学生に数学を教えている大学の先生には、努力しても数学がわからなくなるところまでその学生を連れて行く責任があると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkuroki数学科にも色々あるだろうけど、ぼくが知っている大学の数学科では、小中高で数学がわからなくなった経験がない程度の実力であれば確実に数学がわからなくなる程度のことは教えていると思う。数学科ではまじめな多くの学生はわからなくなったときの絶望感も味わうはず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkurokiしかし、箸を自由に使えるようになった人が箸を自由に使えない人の感覚を正確には想像できなくなっているのと同じように、数学的何かについて理解してしまった人が理解していなかったときの自分の心の様子を正確には思い出せないということはあると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkuroki続き。これは、数学に限らず、すべて同じことで、理解したりできるようになった時点で、自分自身が不可逆的に変化してしまっていて、以前の感覚を正確には思い出せなくなるものだと思う。 でも、数学科に来れば理解できないときの忘れられないあのいやーな感覚は経験できる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkurokiまだ理解していないことについて、誰かに「教える」(正確には誰かに話を聞いてもらう、理解していないので本当の意味では教えることができない)というのは、理解するためにとても良いやり方だと思う。理解する前に誰かに「教える」ことがポイント!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkuroki数学科に来る学生であれば少なくとも算数は平均以上にできて、たとえば、余りを求める割算も理解し、分数の計算も得意だっただろう。しかし数学科で本質的に同じことを「イデアルで割った剰余環」「環の局所化」でやると、まさに算数が苦手な子のごとくになってしまう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
@genkurokiしかも心無い先生に「これらは算数で習いましたよね」とまで言われて落ち込むことになる。「イデアルってなんなんだー」とか「なんで局所化っていうんだよ」のようなとても良い疑問を持ちながら、余りを求める割算や分数がわからない経験をできるわけだ。毎年繰り返される風景。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 6月 6
「わかる人はわからない人の気持ちがわからない」という妄言, 本当にどうにかしてほしい. もっと言葉を大事にしてほしい.
数学のアクセサリを身につけていきたい¶
本文¶
数学アクセサリを身につけてみたい. そうしたら次のようなコメントを頂いた.
普段からの心がけとして数学アクセサリを 自作して身につけようと思い立ったのだが、どなたか「男がつけておかしくないアクセサリ」みたいなアレについて詳しい識者の方は情報をご提供頂きたい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 6月 11
@phasetr https://t.co/NGtUMnhLbZ←こういうのはどうでしょう。 ネックレス位なら相転移Pでも違和感無いと思う。
— 内海 (@u23mjag) 2014, 6月 11
@u23mjag検討
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 6月 11
数学アクセサリ、インテグラルピアスとかではないか
— メガネっ娘だいすき (@thinkeroid) 2014, 6月 11
こういうのもある.
プレゼントに #ベンゼン環ネックレスpic.twitter.com/3ippdHuJL2
— Aity (@dnyeidkp) 2014, 6月 10
何かよいものをご存知の方は教えて頂きたい.
機械学習で関数論を使う機会, 本当にあるのだろうか¶
本文¶
面白そうな呟きを見つけたので.
- https://twitter.com/tmaehara/status/465065079407247360
- https://twitter.com/tmaehara/status/465066828171997184
競技プログラミング勢, 「複素関数論は役に立たない」って言われたらどれくらいの人が同意するのか, 少し興味ある.
(複素関数論をセレクトしたのは, (ほぼ) 必修だった数学が「線型代数・微分積分・複素関数論」で, 最初の 2 つの重要性を主張するのはよく見るけど, 最後の重要性の主張はあんまり見ないから)
機械学習で複素関数論! とか, もっと主張していいんじゃないのか. 留数定理くらいなら使いどころも多かろうて.
@tmaehara 古典解析的には「複素解析までやって微積は完成する」ですけどね. 解析概論もそうですが, 初等函数の理解には複素解析が必須ですから. 確かに, 線型代数・複素解析を含めた微積の機械学習はあってもいいし, また, 競技化しても面白いかもしれません.
機械学習で関数論, 本当に使いどころあるのだろうか. それはそうと, 前にやった関数論のセミナー, いい加減 DVD 化したい.
コメント¶
関数標本なる書物があるらしい¶
本文¶
関数を飾って楽しむものらしい. 1,620 円. https://pic.twitter.com/cQQKMlzklA
@pika21pika 5 個セットで買っても安くならない?
@inoshoji 価格曲線は $y=1620x$ らしいよ. ちなみに 4 種類あった・・ http://www.kamigu.jp/category/select/cid/355/pid/9509
関数標本というのがあるらしい. 飾って楽しむというのは確かによい発想ではある. でも, 何かこういう誰でも思いつきはするものよりも何か変なことしたい.
新しい子守の形: 子守唄としての数学¶
本文¶
乳児時代の長男があまりに寝ないので「こいつに何言っても同じじゃん? 」と思い余って R 上のフーリエ展開の理論展開を聞かせてやったこともあったのだが, 急減少関数だのコンパクトサポートだの $L^1$ と $L^2$ の関係だのリーマン・ルベーグの定理だの全部マジメに話したのに最後まで寝なかった.
こういう勉強の仕方もあるのか, と非常に参考になった.
tri_iro さん筋の情報:無限チェスという魔界があるらしい¶
本文¶
無限チェス, ハムキンスさんのサイトに概要あるのか http://jdh.hamkins.org/game-values-in-infinite-chess/ なかなかカオスな図が多くて壮観ですね.
頭おかしい感じで格好いい.
「哲学の先生が国防総省から 750 万ドルのグラントを獲得ですってよ, 奥様 (ただし, やってるのは数学だそうな)」¶
本文¶
哲学の先生が国防総省から 750 万ドルのグラントを獲得ですってよ, 奥様 (ただし, やってるのは数学だそうな) https://www.cmu.edu/news/stories/archives/2014/april/april28_awodeygrant.html
Awodey が圏論 +HoTT で国防総省から 750 万ドル! 数学の基礎は金になる! QT @optical_frog: 哲学の先生が国防総省から 750 万ドルのグラントを獲得ですってよ, 奥様 (ただし, やってるのは数学だそうな) https://www.cmu.edu/news/stories/archives/2014/april/april28_awodeygrant.html
感動のストーリー.
みんなで Jean-Pierre に改名していい数学者になろうの会¶
本文¶
昔, 会話形式で学ぶ「数学者のためのフランス語」という文章を (半ばジョークで) 書きかけていて, そのときの登場人物が Jean と Pierre と Serre の 3 人だった.
.@nolimbre 現在, フランス科学アカデミー数学部門には, Demailly, Kahane, Ramis, Serre という「Jean-Pierre 四天王」がいる. http://www.academie-sciences.fr/academie/membre/section_math.htm
@Paul_Painleve IHES の理事 (?) が少し前まで Jean-Pierre Bourguignon でしたね.
@nolimbre みんなで, Jean-Pierre に改名しよう! いい数学者になれる!! 今日から「 Jean-Pierre のらんぶる」と名乗るんだ!!
Jean-Pierre 相転移.
「ポスドクは誰でも ポストをさがす 旅人のようなもの 希望の大学に めぐりあうまで 応募し続けるだろう きっといつかは 君も出会うさ テニュアポストに」¶
本文¶
かわずさんの次のツイートに触発された.
- https://twitter.com/kawazu1147/status/460081064514310144
- https://twitter.com/kawazu1147/status/460081100253974531
ひとわだれでも!!!!! しあわせさがす!!!!!!! たびびとのようなもの!!!!!!!!!!!!!!!
ささきいさおになりたい
そしてこれ.
人は誰でも 研究テーマをさがす ポスドクのようなもの 希望のテーマに めぐりあうまで 歩き続けるだろう きっといつかは 君も出会うさ 青いテーマに
学生は博士課程をぬけて 学術界の闇へ 先人の屍の山と血の池地獄が散らばる無限の宇宙さ 星の架け橋 わたってゆこう
ポスドクは誰でも ポストをさがす 旅人のようなもの 希望の大学に めぐりあうまで 応募し続けるだろう きっといつかは 君も出会うさ テニュアポストに
@phasetr ポスドクは銀河をこえ さいはてめざす テニュアポストは宇宙の 停車場なんだ 君を招くよ 無限の事務作業が
むしょくはかせの 澄んだ瞳に 生命 (いのち) が燃えているよ
@phasetr 素数の歌を くちずさむように 歩き続けるだろう 泣いてるような 星のかなたに テニュアポストが
@phasetr 人は誰でも ポストをさがす ポスドクのようなもの 希望のポストに めぐりあうまで 歩き続けるだろう きっといつかは 君も出会うさ テニュアポストに
chibaf さんに「いかにして人は微分可能なおっぱいを手に入れたのか」に関する参考文献を教えてもらったので¶
本文¶
いかにして人は微分可能なおっぱいを手に入れたのか執筆に関し, Twitter で chibaf さんに質問してみたらいろいろサイトを教えてもらった. あとでそちらの参考文献一覧にも記録するが, いったんこちらにもまとめる.
(1) @phasetr 人体の 3D CG 表現がどんな様子かは「ニコニ立体」を眺めてみると良いと思います. 紹介記事 $\to$ http://gigazine.net/news/20140502-3d-niconico/
(2) @phasetr ゲームでの人体表現を特に意識されていると思います. ゲーム関連の記事 $\to$ http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20110908045/
(3) @phasetr 解剖学的な人体の見方 - teamLabBody-3D Motion Human Anatomy- 世界初, 生きた人間の動き・形態を再現した 3D 人体解剖アプリ http://www.teamlabbody.com/3dnote-jp/
(4) @phasetr CG クリエイターのための人体模型コンテンツ開発 金 尚泰 http://www.slis.tsukuba.ac.jp/grad/assets/files/kenkyukiyou/10-2.3.pdf
(5) @phasetr An example-based approach to human body manipulation http://icube-publis.unistra.fr/papr/docs/files/2684/An%20example-based%20approach%20to%20human%20body%20manipulation.pdf/ generating realistic human whole-body models
(6) @phasetr Lie Bodies: A Manifold Representation of 3D Human Shape http://people.csail.mit.edu/freifeld/LieBodies/FreifeldAndBlack2012LieBodies.pdf
(7) @phasetr 以上です. 他にあったら, また報告します
解剖学まで持ってくるとか, 自分では絶対に考えつかないところまで出てきている. 聞いてみてよかった.
やたべさん筋の情報: 論理学を学ぶのに大事なこと¶
本文¶
「論理学の一般向け本はカントールが発狂したとかゲーデルが餓死したとかそんな話ばかりだ. それでは肝心な話が書けなくなってしまう」 「『肝心な話』とは? 」 「タルスキがセクハラパワハラ大魔王であったこととか, モンタギューが浴室で絞殺死体で発見されたこととか, クリプキが超変人なこととかだ」
やたべさん情報, 本当に役に立つ.
「全国のやる気と活気のあるアマチュア研究者 (アカデミックなポストには就けていないが, 論文作成に励んでいる人たち) が集まるトキワ荘的アパートを誰か建ててください」¶
本文¶
全国のやる気と活気のあるアマチュア研究者 (アカデミックなポストには就けていないが, 論文作成に励んでいる人たち) が集まるトキワ荘的アパートを誰か建ててください
頑張ろう.
書泉グランデ MATH から: 5 月上旬新刊予定『確率パズルの迷宮』岩沢宏和 (日本評論社)¶
本文¶
5 月上旬新刊予定 『確率パズルの迷宮』岩沢宏和 (日本評論社) 親しみやすいが一筋縄ではいかない確率パズルを多数収録. 不思議な迷宮を散策しながら確率を扱う技術や思考法が身につきます.
お金も読む時間もなかなか取れないのに欲しくなるのでつらい.
「いかにして人は微分可能なおっぱいを手に入れたのか」というタイトルで Amazon Kindle のアダルトで本を出したいので関連する情報提供を求む¶
本文¶
Facebook で実験をしている人がいて, 自分もやってみたくなったので.
Amazon のアダルトで表紙がこんな感じの「微分可能なおっぱいの探究」とか 「いかにして人は微分可能なおっぱいを手に入れたのか」みたいな数学書を 20 ページくらいで 100 円くらいで出してアダルト一位取れるか実験をしたいが買ってくれる方 https://pic.twitter.com/K8s5xwLxsq
@phasetr 何, ふぁぼっているちょまどさんは買ってくれるということなの
@phasetr ウケる
@mitsuomi_miyata 私はいつだって真面目です
@phasetr 見付けたら買ってみせましょう w
@phasetr それでいい
@hafucco 出した時には連絡します
@phasetr ありがとうございます. よろしくお願いしますね.
@phasetr ちなみにこれ, 服部さんの研究も参考にすると瞬間最大風速が問題なので, 出て比較的すぐにに多くの人が買ってくれないと一位取れないので, 発火タイミングの調整も大事
@phasetr 買います!
@Taqa_ プログラミング関係の話を調べてからになるので, しばらくまっていてください. 頑張ります
ゲーム用の 3D 画像処理技術や背景となる数学, アルゴリズムなどを学べる本やサイト, どなたかご存知の方がいらっしゃれば教えて頂けないだろうか. 誠心誠意頑張る所存.
統計学学習のための実データとその解析も含めた基礎教材を皆で作ろう¶
本文¶
R (でもなんでもいいんだけど) の初心者向けチュートリアルが各地で行なわれているけど, 発表者がその度に新しい資料を準備するのって「車輪の再生産からの大量生産」で無意味だと思うんだ. 標準的導入スライドをつくってクリエイティブ・コモンズとしてどこかで共有できればいいのに.
こういうのを数学・物理でやりたくて ここ に TeX ソースを置いている. 統計学ももちろんやっていきたい. あとこんなのもあった.
統計学習の指導のために: このサイトは, 小学校, 中学校及び高等学校の新しい学習指導要領で内容の充実が図られた統計教育をサポートするために総務省統計局が設けたものです. http://www.stat.go.jp/teacher/index.htm
国勢調査のデータへのリンクや多少の使い方の説明がある. 今後実データ解析で実際に統計学用の文章を書くとき, データとして採用することも考えたい.
豊富な実データつきの統計学の本がほしい¶
本文¶
「アニメや声優など二次元を対象に, 統計解析をした事例を紹介する」. ?! / "R で始めた医学・統計学・ Bioinformatics - とらのあなダウンロードストア" http://htn.to/rLSYY2
@Mochimasa 目次が何度か RT されてました. (元ツイ失念) https://pbs.twimg.com/media/Bjdw9bKCAAER5cJ.png:large
@2sure781 限りなく"タイトル詐欺"に近い内容のようですね. アニメキャラで考える遺伝学って一体. . .
実データを使ってきちんと計算しつつの統計学の勉強したいのだが, 何かいいのないだろうか. 単なる理論の勉強ならいくらでもできるが実データの収集がなかなかつらい. 解析したいデータがあるとかいうわけでもないから.
今見たら作品エラーと言われてしまったし, いいのがあればどなたか教えてほしい.
【NHK 高校講座 | ロンリのちから】が参考になりそうなので¶
本文¶
ふつうに面白いし緒川たまき / "NHK 高校講座 | ロンリのちから | 第 1 回 ロンリのちから (1) 三段論法" http://htn.to/BmqHNc
ああいう感じの動画の使い方, 参考にしたい.
東大数理の小林俊行先生が紫綬褒章を受賞されるという¶
本文¶
小林俊行さんが紫綬褒章を受章されます. おめでとうございます. http://www.asahi.com/articles/ASG4R04P9G4QUTFK01J.html
そういう章を取ったからとか取らない, 取れないからどうというのもアレだが, 世間的に数学者が認められるのはやはり素直に嬉しいところがある.
「かようにサイエンスコミュニケーションを対メディアで成り立たせることは難しい.」¶
本文¶
あっ.
先日のインタビューでは「センター入試というフレームにおいては、意外なことに英語よりは現代国語のほうがまだやさしい」という発言が「コンピュータには国語はやさしい」と約められた。かようにサイエンスコミュニケーションを対メディアで成り立たせることは難しい。
— norico (@noricoco) 2014, 4月 3
泣いている.
『「わたしはこれからは編み物ブロガーとして生きていく!」という謎の文章を残して数学者を辞めてて衝撃を受けた.』¶
本文¶
およそ 5 年前にアメリカの某女性数学者と共著論文を書いたことがあって, 彼女は米国アイビーリーグの某校で准教授をしてたはずなんだけど, 久しぶりに彼女のサイトを見てみたら, 「わたしはこれからは編み物ブロガーとして生きていく!」という謎の文章を残して数学者を辞めてて衝撃を受けた.
世界を感じる.
産業数学の取り組み¶
本文¶
Japanese mathematicians are boosting their ties to industry, solving real-world problems. In @JapanTimes http://bit.ly/1gPpWn2
リンク先のページで九大の若山先生 (だと思う) がいる. 九大は Math for industry というのでいろいろ頑張ってやっているようだ. 東大でも逆問題絡みで山本先生が頑張っている. 私も第 4 回のつどいでは拡散方程式の逆問題を扱ってみた.
役に立つのがいいとは特に思っていないが, 従来の数学科数学に馴染めない人の道として こういうのがあってもいいとは思っている. とにかくいろいろやってみてほしい.
「2 つのボールをぶつけると円周率がわかる」¶
本文¶
2 つのボールをぶつけると円周率がわかる - 大人になってからの再学習 (id:Zellij) http://d.hatena.ne.jp/Zellij/20140409/p1
詳しくは上記リンク先を直接見に行ってほしい. 円周率というと, 円周率が 3.05 より大きいことを示せと出題した東大入試を想起する方の市民だった.
楕円な乙女のポリシーを作って楕円な乙女をプロデュースしよう¶
本文¶
楕円な乙女とかどこかにいないの. いないならプロデュースするしかない
@phasetr M87 http://www.astroarts.com/alacarte/messier/html/m87-j.shtml
@kamo_hiroyasu 参考になります
上記ページから引用.
解説
かみのけ座, おとめ座付近の星図には, 銀河のマークがびっしりとあって驚かされます. この空域にはメシエ天体を含む多くの銀河がありますが, いずれも淡く, 小口径では存在がわかる程度です. M87 は E0 型の楕円銀河ですが, その中心から星のジェット噴流が吹き出していることで有名です. 噴流は直線状に 5,000 光年も伸びています. 実直径は約 13 万光年, 質量は太陽の 7,900 億倍という巨大な銀河で, パロマ天文台の写真から周囲を約 1,000 個の球状星団が取り囲んでいることが分かりました. また強い電波天体でもあります. 1922 年には 11.5 等の超新星が出現しています.
かみの毛座というのに衝撃を受けた.
tri_iro さん筋の情報「今日ギリシャ人と数学の議論をしていて, ギリシャ文字の $\xi$ のことを「グザイ」と発音していたら, 「グザイってなんだよー, クシイだろー」というお叱りを受けた.」¶
本文¶
tri_iro さんによる有益な情報だ.
- https://twitter.com/tri_iro/status/451295292218802176
- https://twitter.com/tri_iro/status/451297272777568258
今日ギリシャ人と数学の議論をしていて, ギリシャ文字の $\xi$ のことを「グザイ」と発音していたら, 「グザイってなんだよー, クシイだろー」というお叱りを受けた.
@tri_iro 私は $\xi$ も $\phi$ もサィって発音してます
@MathHaru $\xi$ と $\phi$ が両方同時に出てきたときにどう言い分けるんでしょうか. ちなみにギリシャの現代っ子は, クシィ, プシィ, のように全体的に「イィ」っぽい感じに発音するそうです.
本日のギリシャ人と数学の議論の成果というと, そもそも $\mu$ や $\nu$ や $\chi$ を「ミュー」や「ニュー」や「カイ」と発音するのは古い流儀で, ナウでヤングなギリシャ人の発音だと, $\mu$ や $\nu$ や $\chi$ は「ミィ」「ニィ」「ヒィ」という感じになるということであった.
ガンダム的な意味で $\xi$ は「クシー」とか「クスィー」と読んでいたが, 他は衝撃だ.
「世界を変えた 17 の方程式」というのが GIGAZINE であったのだが方程式以外のがあるので記事を書いた人, 数学とかいう前にまず日本語を勉強してほしい¶
本文¶
タレコミを頂いたので.
すいません, また関係ないネタでタレ込みです. http://gigazine.net/news/20140401-17-best-equation/
後, 劇場版新編を観て, さやかと杏子の一時の幸せなやりとりもご堪能下さい.
劇場版のさやかパイセンと杏子はよかった. それはそれとして上記記事を少し引用しておく. 方程式以外のがあってやばい.
世界を変えた 17 の方程式
- ◆ 01:ピタゴラスの定理 (三平方の定理)
- ◆ 02:対数における真数の積と対数の和
- ◆ 03:微分・積分
- ◆ 04:万有引力
- ◆ 05:複素数 (虚数単位)
- ◆ 06:オイラーの多面体定理
- ◆ 07:正規分布 (確率密度関数)
- ◆ 08:波動方程式
- ◆ 09:フーリエ変換
- ◆ 10:ナビエ-ストークス方程式
- ◆ 11:マクスウェルの方程式
- ◆ 12:熱力学第二法則 (エントロピー増大則)
- ◆ 13:特殊相対性理論 (質量とエネルギーの等価性)
- ◆ 14:シュレディンガー方程式
- ◆ 15:情報理論
- ◆ 16:カオス理論
- ◆ 17:ブラック-ショールズ方程式
記事書いた人は数学とか何とかいう前に日本語を勉強してほしい.
書泉グランデ MATH, 【『解析力学講義』齋藤 利弥著】とか面白そうな本を推薦しまくってくるのでつらい¶
本文¶
書泉グランデ MATH, 面白そうな本をがんがん宣伝してくるのでつらい.
復刊入荷しました 『解析力学講義』齋藤 利弥著 4000 円外税 (日本評論社) 名著『解析力学入門』を全面的に改め, 書き下した本書は, 数学的側面に力点がおかれた力学の解説書である. 類書では, あまり扱っていない"制限三体問題""ポアンカレの定理"などを懇切ていねいに解き明かす.
これほしい. 制限三体問題と Poincare, 一度きちんと勉強してみたい.
関数体操と微分幾何体操¶
本文¶
関数体操うけるwww RT @PhilipsShiu: 函數操 http://pic.twitter.com/mMuxpuoJ0I
リンクの画像はこれだ.
何かこういうのも面白そう. 小学生とかとやりたい.
「心配すんなよさやか. 独りぼっちは, 寂しいもんな……. いいよ, 一緒にいてやるよ……さやか……」¶
Ask.fm からは質問¶
世界中にいるであろう数学・物理にその人生を燃やしている人達へのエールを一つお願いします.
回答¶
学問が何より一番大事なのでまともな人生は諦めて下さい. あと「心配すんなよさやか. 独りぼっちは, 寂しいもんな……. いいよ, 一緒にいてやるよ……さやか……」. ということで 私もまっとうな人生は諦める方向で進むのでどうぞよろしく
『数学通信』バックナンバー¶
本文¶
kyon_math さんはいつも本当に役に立つ情報を提供してくれる.
というわけで「数学通信」バックナンバー http://bit.ly/N2SLW0
これをのんびり読む時間がほしい.
ゆずらじと統計学と線型代数とあと何か¶
本文¶
@yuzukosho ところで柚子胡椒姐さんのゆずらじはいつですか
@mitsuomi_miyata 話す内容がありません! トースターにゃんの「中年でも分かる有機化学講座」を受講するスタイルでお願いします!
@yuzukosho 高いで
@mitsuomi_miyata @yuzukosho 美少女に分からせる数学で柚子胡椒さんがラジオ出演してくれるということなので是非やりましょう. 何とかして手配しておくので
@phasetr @mitsuomi_miyata もっと若い女性を使ってください!!! 美少女の親でもおかしくない中年です!!!
@yuzukosho @phasetr 姪
@mitsuomi_miyata @phasetr 姪を巻き込んだら私には死が待っている
@yuzukosho @phasetr 一緒に, 逝きましょう.
@mitsuomi_miyata @phasetr まだ旅立ちたくないです…妹怖い…
@yuzukosho @phasetr この世への未練を断ち切りましょう
@mitsuomi_miyata @phasetr 数学を志す事は死を覚悟することですか
@yuzukosho @mitsuomi_miyata 数学のためにギリギリ限界まで振り絞って生きる必要があり楽に死ねると思って頂いては困ります
@phasetr @mitsuomi_miyata 数学アレルギーのある一般市民に布教しようというなか, そのスタンスを求めるのは酷かと
@yuzukosho @mitsuomi_miyata 柚子胡椒さんなら出来ると信じてこそ
@phasetr @mitsuomi_miyata マジレスしますと, 2 年前にこの先生の授業で途中まで勉強しました. http://manavee.com/teachers/profile?teacher_id=25 伸び悩んでいる人のための数学基礎講座~試行錯誤する方程式~ http://manavee.com/classroom?cur_id=68
@yuzukosho @mitsuomi_miyata それだけ出来れば十分では
@phasetr @mitsuomi_miyata いえいえ, 自分が勉強したのはこの中の一部だけです. どれも中途半端になっています.
@yuzukosho 一次方程式だけで一生遊べるレベルの数学です. 実際に私の興味に近い方の強磁性相転移は一次方程式の取り扱いに使う数学だけしか使いません
@phasetr @mitsuomi_miyata 「誰でも無料で大学受験のための勉強ができる」をモットーに作られた無料サイトです. http://manavee.com/info/about すべての教科の中で数学が最も多い講座数となっています.
@phasetr そんなに奥が深いのですか…
@phasetr 先ほど紹介した「試行錯誤する方程式」は線形代数ができるようになるのを最終目標に作られています. 「実際は受験より, 大学入学後の数学に合わせて作っている」とこの方に直接伺ったことがあります. http://manavee.com/classroom?cur_id=68
@phasetr 基礎をつくるための講座なのでお手軽ではありませんが, かなり丁寧な作りで非常に勉強になるものでした. それでも挫折するような人間ですので, 相転移 P さんのお役に立てるのか不安です.
@yuzukosho @phasetr "柚子胡椒さんに数学を叩き込むセミナー"でもしたらどうでしょう?
@eszett66 @phasetr しゅそくん…
@eszett66 @yuzukosho 「女性向け」と言うので何かしたいとは思っているのでそれは本当に検討しています. 折角なので 2-4 人くらいは集めたいのですが. これを元にまた色々 (適当な感じの有料コンテンツを) 展開させていく所まで込めて何かしたい
@phasetr そろそろ春ですし, 新しく大学入ってくる娘向けにやる感じとかもありですよね. どう集めるのが良いのかわからんけども.
@phasetr @eszett66 数学ができない一生徒として, ボケ役にでも使って下さい
@eszett66 文系数学で統計学とか結構需要あると思っていて. ネタも必要な数学も色々ある上, 突っ込み具合によって必要な数学の加減もでき, しかも実用性もあるので結構いいのはいいとは思っています. 最大の問題は数学パートは何とかなるとして, 統計学の実践部分をよく知らないことです
@phasetr なるほどなるほど. モチベーションの部分は実際に使ってらっしゃる方をツイッターでゆるぼかけて, 喋ってもらうのでもよいのでは. その方の研究の紹介もついでにしてもらったり.
したいこととしなければいけないこと, 死ぬほどたくさんある.
「グラフ理論でトポロジーってことは一次元トポロジーってことですよね」¶
本文¶
そういえば九州大学の先生に「低次元トポロジーの集会するから, 発表してください」って言われて, 「自分は低次元トポロジーやってないですけど大丈夫ですか」って尋ねたところ「グラフ理論でトポロジーってことは一次元トポロジーってことですよね」って言われた.
その発想はなかった.
目から鱗というアレだ.
好きこそものの上手なれが本当だったらいいなというのを科学コミュニケーション的な文脈で考えた¶
本文¶
もうひとつ, 日本の漫画が海外での日本語教材として優れてる点 (これが私にとっては最大の理由なんだけど), それは子供たちが「好き」で読んでるってこと. これはデカい. 物凄くデカい. 子供が何かが「好き」でやるときの学習効率って, そりゃもう大変よ. イヤイヤやるときの何百倍の効率なんだから.
@nynuts 思いっきり, 賛成! です. 好きこそものの上手なり. って, 本当だから.
いわゆる科学コミュニケーションだと「下手の横好き」になる傾向が高い印象があるので気をつけたい. あと, この方向の活動, もっと増やさないとまずいなというのを改めて注意したい.
長尾健太郎さんの話と佐々田槙子さん, 權業善範さん, 谷本溶さんの話¶
本文¶
長尾健太郎君の業績が数学会で紹介されています. http://mathsoc.jp/publication/tushin/1804/2013takebe_yokogao.pdf
知り合いだったというわけでもないのに呆然と見入ってしまう.
別件だが, PDF に佐々田さん, 權業さん, 谷本さんの名前を見つけた. 少なくとも一方的には顔と名前を両方知っている人なので感慨深い. 谷本さんのコメントははっとさせられる.
作用素環を使って場の量子論を研究しています. 学振の DC1, DC2 ともに不採用になりましたが, イタリアとドイツは奨学金をくれたので留学しました. 修士の時に結果が出ない人にもチャンスが与えられてほしいと思います.
こういうの, 本気でサポートを考えなければいけない. 気合を入れ直した.
東大数理で 3/8 (土) に「数学の魅力 3」 - 女子中高生のために - が開催されるそうなので¶
本文¶
「数学の魅力 3 」 - 女子中高生のためにー が開催されます. 2014 年 3 月 8 日 (土) 13:20~17:30 東京大学大学院数理科学研究科 大講義室 http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/users/rikei/
興味がある向きは積極的に参加されたい. あと関係各位は積極的に宣伝に協力されたい.
数学チョコで君だけの多様体を作れ¶
本文¶
数学チョコで君だけの多様体を作れ
@phasetr 苺でオイラーの等式を作りましたw
@RainbowGirl_aoi まずはオイラー苺の写真をあげて世界に高らかに宣言をしましょう
@RainbowGirl_aoi 苺によるオイラーの等式, 本当に見てみたいのですが写真ないですか?
@phasetr 少し前に作ったものですけど一応これです http://pic.twitter.com/MJDmv7lLIC
@RainbowGirl_aoi 世界平和への第一歩
苺による Euler の写真へのリンク, とりあえず皆見に行っておくように.
東大数理の環体これくしょん¶
本文¶
東大の数学科が駒場祭で環体コレクションしてた. http://twitpic.com/dm9bpz @TwitPic さんから
こういうのを作れる腕を身につけなければいけない.
統計関係の書籍が無料配布されているので関係各位は有効利用するように¶
本文¶
統数研 web site で統計学本 PDF 版を無料配布している EBSA http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/ たとえば 2012 年出版 5600 円の「 21 世紀の統計科学< Vol. III >数理・計算の統計科学」 http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/1881
自分がこれをどう使っていくかと言われるとよく分からない. ただほしい人の手に届くよう宣伝に協力しておいた方がよさそうだ.
共立出版の人が表紙がかわいい早川書房の本『はじめての現代数学』と『数学と算数の遠近法』を宣伝していたので¶
本文¶
表紙が可愛い早川書房さん発行の『はじめての現代数学』と『数学と算数の遠近法』こちらです. http://bit.ly/1goq1UI http://bit.ly/1ew5Tcp
本は次の 2 つ. ちょっと読んでみたいと思わないでもない.
ひさこさんに確率論の反例集を読むセミナーを開いてもらおう¶
本文¶
イケメンエリートの SO880 御大から本を紹介されたので.
@phasetr @greengrimghost DVD …研究室で上映会して, 新四回生や新 M1 生の教育目的とするなら公費で買えるのだろうか? 確率論の反例集が近々リニューアルされてペーパーバックで安価で発売されるとか…
@SO880 @greengrimghost 反例集出たら教えて下さい. 普段なかなかその辺をチェックしにいかないので
@phasetr @greengrimghost 密林にいつ頃出るとかありませんでした?
調べてみたら これのようだ.
とりあえず買っておいた. 読める日がいつ来るだろう. ひさこさんに教えてもらうまである.
Antonio Cordoba, et. al., All that Math - Portraits of mathematicians as young readers¶
本文¶
"All that Math - Protraits of mathematicians as young readers" おもしろそう. 『この論文に出会えてよかった』みたいな本. http://www.amazon.com/All-That-Math-Portraits-Mathematicians/dp/8461529006
誰が何を書いているのかよく分からない. ただ読んではみたい. そして小市民には高くて泣いている.
John Ludvig Pirl, The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion¶
本文¶
全く分からないが kyon_math さんが宣伝していたので.
風呂から上がって調べてみるとこんな修士論文が... http://bit.ly/1f6o369 これ, 始めの 30 ページほどでシンプレクティックリダクションの解説を証明付きでやってくれてるのでお勧めです. 丁寧に書いてあるし, good job.
この修論, タイトルが「The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion」とかで凄い. 中身, はじめが Lie 群で最後が Brown 運動になっていて, 「the foundations for later work in Geometric Stochastic Mechanics」を目指しているらしい. Geometric Stochastic Mechanics とは何だろう. 量子力学関係で E. Nelson が言い出して色々とアレで廃れた Stochastic Mechanics というのがあるのは知っているが, その辺の話か. 実に謎い.
ぞみさんが Kunen の『集合論-独立性証明への案内』をおすすめしていたので¶
本文¶
『集合論-独立性証明への案内』 http://www.amazon.co.jp/dp/4535783829 これ, 引っかかりそうな落とし穴を丁寧にフォローしてて捗るんだよなあ… (捗るという単語が試験期間には悪い方に作用する珍しい例だ).
Kunen の本だった. 覚えておこう.
数学ができる女性が世界で一番かっこかわいいに決まっている¶
本文¶
「【女子学生必見】女性は偽名を使うと数学の点数がアップするという研究結果」というニュースを目にした.
昔から「女性は数学が苦手」だといわれている. 実際, 日本では大学の理系学部に女性が数人しかいないということもある. 「女性は数学が苦手」の原因は, 脳構造に多少の男女差があるためではないかという説もある.
だが, この考えを見直す新しい研究結果が発表された. なんでも「女性は偽名を使って数学のテストを受けると, 男性と同じくらい良い成績を出すことができる」というのである. そう, 女性はもともと男性と同じくらい数学の才能があったのだ!
どういうカウントの仕方をしているか知らないが, 「学部で女性数人」は確かに異常に少ない感ある. あと【女性はもともと男性と同じくらい数学の才能があったのだ】というのが地獄っぽい.
どこまで本当か知らないが, とある男性の教官が「男は若い頃に爆発的に業績を上げるような感じだが, 女性はコンスタントに良い業績を上げている, という感覚がある.」みたいなことを言っていた記憶がある. 性差はあるかもしれないし業績の評価をどうするかという問題はあるが, 一番不可解で頭に来るのは「頭のいい女性はかわいくない」とかいう風潮だ.
頭のいい女性, 特に数学が出来る女性は格好いいに決まっているので, 上記のようなことをいう異常者は全員問答無用で殴り倒していきたい. こういう馬鹿者共を殲滅していくことを 相転移プロダクションのミッションとしてかかげていきたい.
追記¶
次のようなコメントを頂いた.
実際数学できる女性の方が「数学ができる男には」モテると思うんだよね……
— 七星 慧斗 (@kate_ccs) 2016年2月26日
でも、髪染めて男女半々ぐらいで青春してる人らと話してると、かわいいと思う思わない以前にお互い同じ世界に住む恋愛対象候補とは思ってないなと感じることもある https://t.co/h8J53j6XIh
数学できるできないの間の壁ってよりかはオタクとリア充の壁だと思うけどね
— 七星 慧斗 (@kate_ccs) 2016年2月26日
オタクとリア充の壁なのかどうかは知らないが, 同じ感覚世界に生きていない感じはある.
四谷大塚の予習シリーズなる教材の存在を知る方の市民¶
本文¶
普遍市民 Im_Weltkriege 師が予習シリーズなるものの存在を示唆していたので記録しておく. 元はお前の敵さんの家庭教師用教材に関する話だった.
予習シリーズを知らないとは, 我々インテリには考えられないことでしたな. (葉巻を燻らせながら)
@Im_Weltkriege 予習シリーズ, そんなに有名なのですか. 全く知らなかった
@phasetr 主に中高生にやらせるテキストとして有名です.
@Im_Weltkriege 今後のプロデュースの参考にする所存
@phasetr よくわからない算数
@Im_Weltkriege Principia Mathematica
@phasetr よくわからない数学の基礎付け
@Im_Weltkriege よく分からない岩波基礎数学
@phasetr よくわかる可積分系の本おしえてください
@Im_Weltkriege 専門ではないのでよく知りませんが, 東大数理のウィロックス先生の B4 セミナーで「ソリトンの数理」三輪哲二, 神保道夫, 伊達悦朗が使われているらしいので, これはそれなりによい本なのではないでしょうか
@phasetr なるほど
予習シリーズとはこれのことらしい. あと神保先生たちの本はこれだ.
今探したら家にあった. 黒木さんにもお勧めしてもらっていたのだった.
サイト紹介: 【伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン】¶
本文¶
【伝わるデザイン 研究発表のユニバーサルデザイン】というサイトが紹介されていたので.
http://tsutawarudesign.web.fc2.com/index.html を見ながら, 自分のスライドをチェックした. 駄目だと書かれていることをことごとく行っていた.
@nohzen このサイト, お薦め.
@aki_room すごく分かりやすかったです. スライド作りたくなってきました!
同じものでも適切な対象に対して適切な配慮をすることはとても大事だ. 今後, 相転移プロダクションとしても重要度は増す一方の大切なことなので, あとできちんと見よう.
岩波から藤木明編『倉西数学への誘い』が出るらしいので欲しい¶
本文¶
[2F] 好評発売中! 『倉西数学への誘い』藤木明 編 3045 円 (岩波書店) 倉西数学とは, 倉西正武によって築かれた現代数学理論をさす. 「いかに数学者となりえたか」の聞書きに始まり, 幾何・代数・解析にとどまらない倉西数学の全体像を複数の著者による解説で描いた異色の本.
毎度のことながら書泉グランデ MATH, 面白そうな本をたくさんツイートしてくるので侮れない.
学会発表のドレスコード¶
本文¶
やたべさんや鴨さんとお話した方の市民. ちなみに発端のツイートはこれ.
学会発表でなんでスーツ着るんってつぶやいたら, 同じ専攻の B4 と思われる方々に「学会でスーツ着ないとか常識外れにも程がある」ってつぶやかれてました (憤怒)
そしてやたべさん, 鴨さんとのやり取りメモ.
https://twitter.com/ag_smith/status/423042394464870400 そんな時は数学に転向
@phasetr 国際会議でスーツを着るなんて非常識な人はここにはいません→ http://cca-net.de/cca2005/
数学科ではスーツを着る人間は二流の研究者扱いされます. あれほどドレスコードが厳しい学会を知りません. 何着ようがいいじゃないか. QT @phasetr: https://twitter.com/ag_smith/status/423042394464870400そんな時は数学に転向
@kamo_hiroyasu 私が知る限りラフでなる Jones ですら, フィールズ賞の授賞式ではシャツ・短パン的な格好にネクタイくらいはしていたと聞きます https://www.google.co.jp/search?q=vaughan+jones&safe=off&client=firefox-a&hs=I8O&rls=org.mozilla:ja-JP-mac:official&hl=ja&channel=fflb&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ei=VynVUr-uLIWfkAWg44G4Ag&ved=0CAkQ_AUoAQ&biw=1006&bih=710 河東先生の文章でそういう記述があったのですがどこにあったか
@ytb_at_twt やはり半裸で行きましょう
@phasetr 半裸なんて数学会的ドレスコードど真ん中やんけ. もっと若い者はアナーキーに, 冒険して, ジャケットとネクタイとかしてみるべきだ.
@ytb_at_twt 学会会場に到達するまでが学会です
河東先生による Jones の Fields 賞授賞式の様子の話, 河東先生のサイトにあった記憶があるので, どなたかご存知の方は教えてほしい.
長尾健太郎さんと碁の記事¶
本文¶
大栗さんが先日若くして亡くなった長尾健太郎さんの記事を紹介していた.
昨年お亡くなりになった数学者の長尾健太郎さんについての記事が, 2 つ, 掲載されていた. http://www.news-postseven.com/archives/20140106_233776.html http://www.news-postseven.com/archives/20140105_233774.html
長尾さんの奥様が登場していて, 碁に関する話とか色々している. 15 歳から難病を患っていたとのこと. 数学者エピソード好きなので, 良いのも悪いのも含めこういう話は記録していきたい.
数学系魔法少女アニメ, プロデュースしたい¶
本文¶
ark184 さんが数学系魔法少女アニメについて呟いていた.
数学系魔法少女アニメ(架空)の話を小泉さんとする度に、そのときは何故か盛り上がるのだが、数日すると「K-theoryの槍」「Atiyahの魂が乗り移る」「選択公理代行」「一体何の未知なんだ!?」等の意味不明ワードしか頭に残っていない。
— あーくは札幌に行きたい(100+) (@ark184) 2014, 1月 11
このアニメ, 見たい.
omelette_philos さんの【よく分からない数学 色々な反例で遊ぼう】の感想まとめ¶
本文¶
omelette_philos さんがツイートで感想を書いてくれたのでまとめておこう. できれば Amazon のカスタマーレビューに書いてほしいのだが.
相転移 P のよく分からない数学 DVD を見たので感想を書く.
以前何かのオフ会で相転移 P にお会いしたときは仕事帰りでスーツ姿でしたが DVD では数学的正装だったので新鮮でした. $F (I)$ は区間 $I$ 上の実数値関数の全体という意味ですよね? そう思って見てて違和感を覚えなかったので.
代数的な話をしながらもちゃんと解析に導いていると感じました. 関数空間論や測度論に興味がわくように話ができていると私は勝手に解釈しました. 「途中」の「途」を「と」と書いて「ひらがなにしちゃった」と言うところは相転移 P の萌ポイントでしょう.
解析概論をまた読みたいなと感じつつ, 超関数のお勉強も今更ながらした方がいいのかなと反省. まどマギは不勉強なので相転移の事はよく分からないのも仕方ない. 4. の $C_p$ は $p$ 進の話ですかね? 興味はあるのにちゃんと勉強してないので詳しくないですが.
$\mathbb{Q} \cap [0,2]$ 上の $\mathbb{Q}$ 値連続関数の例はとても面白いし初等的でよいと思う. 所々出てくる超関数の話はシュワルツの超関数だと思うのですが, ちなみに佐藤超関数とはなにかリンクするところとかあるんでしょうか (素人意見).
総合して教育的だと思いました. 冒頭の導入の「自分で問題を作って自分で解く」というのは研究の基本だと思いますが, 高校生や学部教養の学年の人たちが実践できたら素晴らしいことですねと思いました. その意味でも高 2~B2 くらいの方に見てほしいなと感じた.
段ティンの兄貴による『よく分からない数学 色々な反例で遊ぼう』の感想¶
本文¶
我が DVD 『よく分からない数学 色々な反例で遊ぼう』について, 段ティンの兄貴の感想連続ツイートがあったので記録しておく.
- https://twitter.com/safour_1/status/421557095389884417
- https://twitter.com/safour_1/status/421557357638713344
- https://twitter.com/safour_1/status/421557474680786944
- https://twitter.com/safour_1/status/421557496465993730
- https://twitter.com/safour_1/status/421557560198443008
引用¶
相転移 P の DVD を頂いた
相転移 P の DVD を頂いたので見てみた感想だけど, 凄く教育的な DVD だったので大学 1 年のうちとかに見ておきたかった. 微積で例とか証明を見ても僕は雰囲気があんまりつかめないので式変形って感じが嫌だったけど感じだけ説明してくれてたので気軽に見れるよい説明だった気がする. 【続く】
んで本格的にやりたかったら相転移 P が多分フォローしてくれると思うので初心者におすすめという感じなのかな. 個人的にはワイエルシュトラスの例とか今度詳しく教えて欲しい. 超関数の話も軽く触れてくれてるのでそこら辺詳しく聞きたかった. 例を通して定理の確認にもなるので何かそこら辺も教育的.
あと相転移 P がイケメンだった.
なんていうか相転移 P のプロモーションビデオって感じだった
数学をプロデュースする方の市民だ.
『ネクタイの数学-ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ 85 の方法』¶
本文¶
Twitter で『ネクタイの数学-ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ 85 の方法』なる本の存在を知った. 面白そう. 絶版のようだが, 原著はどうだろうか. 今度調べてみよう.
数式処理ソフト Tetra を作ろう¶
本文¶
複雑な数式の変形をするときって, 手書きよりも LaTeX でやった方が正確なときがある. ※個人の感想です.
なぜかというと, 数式を少しずつ変形させていくとき, 「上の行のコピペ」ができるから. 手書きだと途中でめんどい! (ユーリ) ってなって, はしょって失敗.
秘書としてテトラちゃんが常時そばにいればいいけど, そうもいかないし.
@hyuki 携帯テトラちゃんを開発しましょう. ビジネスチャンス発見!
@kamo_hiroyasu Tetra という数式処理ソフトを開発しましょう
「正確なときがある」というアレなので, そういうこともあるか, という話だが, 式変形を手書き以外でやる気にはなれないので, そういう人もいるのかと単純に驚いた.
あとこれ.
https://twitter.com/hyuki/status/420136857544835072数式処理ソフトの方が良いのではないか説
@phasetr LaTeX の数式の美しさはそこいらの数式処理ソフトの比ではない説
@math_neko 式変形を「等式の変形」と思っていますが, それなら数式処理が一番信頼がおけるのでは, という程度の意味です. もちろんどんな対象をどう変形するかによるので何ともいえないところは当然あります
@phasetr なるほど. Maxima だと数式処理の結果を TeX のコードに変換する機能もあるし, その方が楽かも知れませんね.
数学とプログラミングについては色々考えたいことがあり, 数式処理とかその辺はとても気になっている.
『やわらかな思考を育てる数学問題集』 (全 3 冊セット) (岩波現代文庫) が Amazon で出るので注文した¶
本文¶
数学者の間からも, ちらほら好評の声を聞きます. お薦め. RT @hamakado_mamiko: ご好評につき箱入りセット出来: 『やわらかな思考を育てる数学問題集』 (全 3 冊セット) (岩波現代文庫) http://www.amazon.co.jp/dp/400205229X/ 数量限定です.
@takey_y 紹介リツイートありがとうございます!
.@hamakado_mamiko とても良い本だと思います. 仲間を集めて読むのに最適ですね. 高校生の頃に読んでおきたかったです (笑
とりあえず注文した. 楽しみにしている. 読んだら感想も書こう.
青木薫訳『ネクタイの数学-ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ 85 の方法』¶
本文¶
とある筋から『ネクタイの数学-ケンブリッジのダンディな物理学者たち 男性の首に一枚の布を結ぶ 85 の方法』という本があることを知った.
とりあえずメモ.
初等幾何の証明とアニメーション¶
本文¶
接弦定理をモノで見せたい. 画用紙で円周角を動かしていく教材はうまく作れず, ボツ. 前回の釘打ち板も接線の表現がイマイチ. すごく面白い定理なのに, なかなか生徒がピンとこないみたいだ…. やっぱ, ここでパソコン登場かなぁ.
そもそも, 接線というのが, イメージしづらいのかもなぁ.
ふと思い出したが, KSEG という初等幾何関係のソフトがある. これなどを使えばいいのではなかろうか. あと Geogebra はどうなのだろう. 初等幾何の証明のアニメーションも面白そうだとは思うが, それよりも一般の数学の証明それ自体をアートとして表現してみたい方の市民だった.
Cremona による楕円曲線のデータベースがあるらしいとの情報を得る方の市民¶
本文¶
Cremona による楕円曲線のデータベースがあるらしいとの情報を得る.
Cremona による楕円曲線の各種データベース. 導手 (conductor) 300,000 以下の楕円曲線を網羅. http://bit.ly/J6lHdA
@kyon_math 有名な Cremona と関係があるのか? と気になってしまいました. クレモナ変換の Cremona の名前は Luigi で, お兄さんが Mario かどうかは定かではない.
Paul による余計な情報まで付いてきた. 楕円曲線のデータベース, 何に使うのだろうと思ったが楕円曲線暗号とかあるし実用面で何かあるのかという気はする. いわゆる純粋数学的な話でこれはどういう方向に使うのだろう.
スウガクマスターがコミケで頒布されるらしいという情報を手に入れた¶
本文¶
スウガクマスターがコミケで頒布されるらしいという情報を手に入れた.
【C85】スウガクマスター【PV】: http://youtu.be/8LCf4HJnYmA @youtube さんから youtube にも動画をアップロードしました.
今回もコミケに出陣せねばならないようだ. 時間あるだろうか. 作るしかないか.
ブルブルエンジン兄貴の業績¶
本文¶
.@alg_d 氏が楽しそうに数学をやっている様子を高校生のとき Twitter を通してみて, 数学科に来たという若者に出会って, @alg_d さん偉大だと思った
私も泣いている場合ではない.
相転移関連の論文「More is the Same; Phase Transitions and Mean Field Theories」¶
本文¶
「More is the Same; Phase Transitions and Mean Field Theories」 初期の相転移の理論について注目した論文らしい
平均場なので微妙な感もあるが, 初期の相転移の理論をあまりよく知らないので, 歴史的な興味もある.
manavee 「伸び悩んでいる人のための数学基礎講座~試行錯誤する方程式~」受験のための導入 が面白いらしい¶
本文¶
以前も紹介した覚えがあるのだが. manavee の数学の講義で面白いのがあるらしい. 直近見る暇ないがメモ.
高校生以上, ちゃんと数学を学びたい方へ. 「伸び悩んでいる人のための数学基礎講座~試行錯誤する方程式~」受験のための導入 http://t.co/h3xKXaw6 数学の基礎から学んで線形計画問題が解けるまでの講義. これ無料でいいの? と思う質です. @news_manavee
参考にしたい.
mr_konn さんの PDF: 『 Measure Problem と可測基数』¶
本文¶
Measure Problem と可測基数 http://konn-san.com/math/measurable-cardinals.html レポートで書いた可測基数とか連続体仮説のはなしを加筆修正して公開しました. PDF 版はこちら
時間をひねり出して読みたい.
動画制作ツールメモ: 紙クリと AviUtl¶
本文¶
ニコニコのブロマガで『紙クリと AviUtl~能書き』という記事があった. 私は紙クリユーザで, 今のところ AviUtl を使う予定はないが, 何かのときのため, 自分用参考情報として残しておきたい.
ツールに関していうなら, むしろ, Youtube やニコニコにも上げておいた JavaScript+MathJax のツールを開発したい. 自分が面白いと思ったもの, 万人に受けるとは全く思わないが, 100 人には面白いと思ってもらえるのはまず間違いないし, 実際何人かにアレを早く完成させろと言われている. 作りたいもの色々あって困る. 時間と才能が死ぬ程たくさんほしい.
井草準一先生の訃報を知る方の市民¶
本文¶
井草準一先生が亡くなられたとの報 http://krieger.jhu.edu/blog/2013/11/27/jun-ichi-igusa-noted-mathematician-and-researcher-died-at-89/ だが, 真っ先に浮かんだのは岩澤健吉氏の思い出を綴られた文章での語り口. ご冥福をお祈りします.
井草先生と言えば, 『数学まなびはじめ』第 2 集が思い起こされる.
私も次世代の数学アイドルをプロデュースしていけるよう精進したい.
小林銅蟲による裏サンデーの漫画「寿司 虚空編」と数学¶
はじめに¶
【なんでずっと数学の話なんだよ! 裏サンデーの漫画「寿司 虚空編」がシュールすぎる】ということで話題になっている漫画があるようだ.
[ねとらぼ] なんでずっと数学の話なんだよ! 裏サンデーの漫画「寿司 虚空編」がシュールすぎる http://bit.ly/16c8zfr
元の記事も引用しておこう.
引用¶
寿司屋が延々と数学の話をし続けるというシュールすぎる漫画がネット上で話題になっています.
話題になっているのは, 小林銅蟲さんが裏サンデーで連載中の「寿司虚空編」. お寿司をテーマにした漫画かと思いきや, 板前たちが 2 ページ目から突然「グラハム数」という数学の話を始め, 以後ずっとその話が続きます. 中略.
小林銅蟲さんは Web 漫画「ねぎ姉さん」でもシュールさや難解な数学用語の導入が話題を呼んだ作者.
小林銅蟲, 名前を覚えておこう.
東大の本郷で 12/7 (土) に Science Front なるイベントというか講演会というか何かが数学・物理をテーマとして開かれるらしいので¶
本文¶
ymatz さんが Science Front の宣伝をしていたので.
Science Front の講演者 @sin_forest と打ち合わせをしてきた. 12 月 7 日, 現代の数学ってこんな世界なのかー! って体験ができますよ. あとの 2 人は物理の人で, そちらの内容については僕も当日のお楽しみ. https://sites.google.com/site/0to1sciencecommunication/science-front
発表概要¶
転載しておこう.
発表概要
「光電子分光法を通して観た"物性物理学"が見据える未来」
物質の性質を研究する分野である物性物理学は, 数 10 年~100 年後の応用 (=人類社会への貢献・還元) を念頭に研究を行っています. 実例を挙げると, 1989 年に論文発表された巨大磁気抵抗効果は, 10 年足らずでハードディスク (HDD) の再生ヘッドに実用化され, HDD の容量を飛躍的に増大させました.
現在の人類社会が解決すべき課題の 1 つに, エネルギー問題が挙げられます. 持続可能な社会を実現するためには, 省エネルギー化・クリーンエネルギー源を開発することが急務です. 物性物理学は, そのような革新的なエネルギーシステムを構築可能な材料・物質を探求することを目標とし, 熱電材料, 室温超伝導物質, スピントロニクスデバイス材料, 太陽電池などの開発・研究が日進月歩で進められています.
本発表では, 光電子分光法を主な実験手法とする登壇者の立場・研究内容から観た, 物性物理学が見え据える"未来"と"現状"について簡単に話そうと考えています. 未来を変えるかもしれない物質を"実際に手に取って実験できる"という物性実験の魅力を, 少しでもお伝えできれば, と思います.
「図形の大域不変量とその局所化ー Spinc 多様体上の Dirac 作用素について」
図形 (空間) について研究する一つの方法に, その大域的な位相不変量を計算する, という方法があります. 例えば球面の上に三角形を書いてその表面を埋め尽くしたとき, その (頂点の数)-(辺の数) + (面の数) という数を計算すると, その数は必ず 2 になります. この数は Euler 数と呼ばれる不変量の一種で, 球面を曲げたり潰したりしてもその値が変わらないことから, 位相 (トポロジー的な) 不変量と呼ばれています.
1960 年代に指数定理と呼ばれる大定理が証明されました. これは図形の上のある種の微分作用素から定まる数と, 上のようにトポロジー的に定まる数が一致する, というもので, Euler 数のような位相不変量の研究に (図形の研究に) 解析的な手法が有用であることがはっきりと示されました.
私は図形の上のある種の微分作用素を図形の一部に局所化する手法について研究しています. これによって図形の大域的な不変量の情報がその一部の情報に局所化されるため, 不変量の研究に新たな道が開かれることが期待されます. 今回は図形の不変量の研究について, 古典的な話題から現在行われている様々な研究まで, 私自身の研究も含めてお話しできればと考えています.
「新粒子探索ーヒッグス粒子のその先にー」
最近「ヒッグス粒子発見」「ノーベル章はヒッグス粒子」というニュースで話題になった「ヒッグス粒子」.
ヒッグス粒子とは, 物質の最小単位であると考えられている「素粒子」のうちの一つで, ヨーロッパで行われている LHC 実験で発見されました. では, そのヒッグス粒子はどのようにして発見されたのでしょうか? またヒッグス粒子を発見したら素粒子物理学は終わりでしょうか?
LHC 実験では陽子と陽子を加速して衝突させ, 衝突後に出てくる素粒子の種類やエネルギーを見ています. これにより, ヒッグス粒子が生成されたのか, 未知の粒子が生成されたのかなどを調べています.
また, ヒッグス粒子の発見で素粒子物理学の全てがわかった事にはなりません. 理論的な研究から, 未だ発見されていない「新粒子」が予言されています. LHC 実験では更なる新粒子の発見に向けた実験と, 多くの理論的な研究が行われています. 新粒子を発見するには闇雲に探すだけではダメで, 多くのゴミとなるような事象から, 新粒子に値する事象を選び抜かなければいけません.
これらの「新粒子探索」という素粒子物理学の最先端について, 理論的側面から最新の結果を交えつつお話したいと思います.
物理としては物性理論専攻に相当する研究をしているが, 上記のような殊勝なことなど一度も考えたことがない方の市民だった. 面白そうだし時間があったら行ってみよう.
松崎拓也, 岩根秀直, 穴井宏和, 相澤彰子, 新井紀子諸氏による論文『深い言語理解と数式処理の接合による入試数学問題解答システム』¶
本文¶
松崎拓也, 岩根秀直, 穴井宏和, 相澤彰子, 新井紀子諸氏による『深い言語理解と数式処理の接合による入試数学問題解答システム』という論文が出たとのこと. 冒頭部を引用してみよう.
あらゆる数学のオブジェクトは Zermelo-Fraenkel の公理的集合論 (ZF) の (保存拡大の) 項だと考えることだできるので, ここでいう「計算」とは ZF の項の書き換えだと見做せよう. では, その計算をどこえめるべきか. 即ち, 問題文の直訳である項を, それと同等であるような無数の項のうちから, どのようなものに書き換えれば問題が「解けた」ことになるのだろうか. それを考えるヒントは, 解答群の中に見いだすことができる. 大学入試を例にとると, 証明問題以外では, 解答に現れるのは, $y = 2ax - a2,(x < 0 \to a = 3) \wedge (x ≥ 0 \to a = 5)$, $a_1 + · · · + a_n >0$ のような限量記号をひとつも含まないような式である. しかも, その式は, 実閉体の理論に三角関数や指数関数などの超越関数をシンボリックにしか利用しないような拡張を行った実閉体の体系 (拡張 RCF) に弱いペアノ算術の体系を加えた体系 ($\mathrm{RCF}^{+ }+\mathrm{PA}$) で表現されるようなものにほぼ限られる. また, 模範解答に現れる式も, 実は $\mathrm{RCF}^{+ }+\mathrm{PA}$ で記述可能な式が圧倒的に多いことに気づく. となれば, 問題文を同等の $\mathrm{RCF}^{+ }+\mathrm{PA}$ の式に変換し, その式から限量記号を消去することが, 大学入試の数学問題を「解く」ことだと考えてもよいだろう.
この先の細かい部分はほぼ何を言っているのか分からないが, 試み自体がとても面白い. こんなこともやっている人がいるのか. 楽しい.
Leray の Biographical Memories¶
本文¶
Leray の Biographical Memories というのを見つけた. あとで読むのと適当に共有するため, とりあえず記事にする.
自然言語処理は独習が難しいらしいが数学は気楽っぽい印象があるので皆も数学をしよう¶
本文¶
人文系の方が計量言語学とか自然言語処理的なアレをやるのは結構大変らしいという情報を小耳に挟んだ. これとかこれとかこれとか.
む, 人文系の 4 年生の方から, うちの研究室を受けたいという相談. NAIST と違ってうちは基礎科目がなく, プログラミングができないとどれくらいきついかよく分かってきたので, ちょっと悩む. . . 来年は, 相当簡単なところからプログラミング勉強会をやり, 毎回提出してもらえばなんとかなるかなぁ
人文系でなくても, 情報科学の基礎知識がなく, 一から勉強したいと思っている人は, NAIST をお勧めしますよ. 他の大学は, 一から勉強するシステムになっていないので, 自分でなんとかできる人でないと, 正直厳しいと思います. NAIST は同じ境遇の人も多いので, 同期に助けられますし. . .
いわゆる文系出身で NAIST に進学した同期たちと, 軽々と宿題をこなす理工系出身の同期を横目に文字通り泣きながらみんなで徹夜して課題を解いたり, 励ましあってなんとかあの 1 年を乗り切ったので, 正直一人であれが乗り越えられるとは思えない. . . 吐き気がするくらい, 毎日勉強したし. . .
自然言語処理は独習が難しいということらしい. 何を以ってして「独習が難しい」とするかによると思うのだが, 数学は結構気楽な感あるので皆も数学をしよう.
GeoGebra で遊んでみたい¶
本文¶
GeoGebra の話がまた出ていた. 前も紹介した覚えがあるが, こういうのは何度紹介してもいいだろう.
こういう使い方もあるんですね. 「 GeoGebra がすばらしい」 http://kyane.net/2013/11/geogebra/
私も遊んでみたいとは思っているのだが.
「科研費, まだ良く分からないけど, これが落とせるか落とせないかのボーダーだと考えている」¶
本文¶
科研費, まだ良く分からないけど, これが落とせるか落とせないかのボーダーだと考えている http://p.tl/fTn1
@tsurunokaraage 無理じゃね…
@SO880 #はい
科研費で落ちる作品をプロデュースする方の P になれるよう, 粉骨砕身していきたい.
研究室を選ぶ基準としての研究費問題とか学振とか¶
本文¶
これから研究室を選ぶ学部生のみなさん. 知ってるかもだけど, 科研費データベースというのがあって, 教員の名前で検索かければ, 研究費がどれだけあるか, どのような研究で研究費を取得しているかがよくわかります. 参考にしてください. http://kaken.nii.ac.jp/
特にドクターに行く学生には学振も問題だろう. そうした所も見ると楽しそう.
今年うちで出していた学振特別研究員 DC1 三人, DC2 一人の申請は 全勝で通りました. (10/17/2013)
河東研, やばくて爆笑する.
読み方が分からない外国人名の発音を検索できるウェブサービス「Pronounce Names」: まだ Nachtergaele の発音はない¶
本文¶
読み方が分からない外国人名の発音を検索できる「Pronounce Names」というサービスが始まったらしい.
[ウェブサービスレビュー] 読み方が分からない外国人名の発音を検索できる「Pronounce Names」 http://japan.cnet.com/news/society/35040025/ @cnet_japan さんから
記事からも引用しておこう.
また, ユーザー自身が音声ファイルをアップしたり, マイクで録音するためのインターフェースも用意されており, これらの正誤についてユーザーから報告できる仕組みも整えられている. それゆえ人名によっては異なる発音が複数収録されている場合もあるが, 幅広い名前を考えうるだけのパターンで網羅し, なるべく正しい発音を収録しようとするコンセプトが伝わってくる.
対応しているのはおもに英語圏の人名だが, 掲載されているリクエストを見る限りではラテン系やアラブ系の人名も多く, 実際に検索してみてもきちんと対応しているケースが多い. リクエストがあった人名をユーザー同士で補った結果, ボリュームが膨らんで現在に至ったようだが, それゆえデータベースとしては価値が高い. プレゼンテーションやスピーチ, 商談, 会食など, 外国人の名前を発音する必要があるさまざまなシチュエーションにおいて, 強い味方となってくれるであろうサービスだ.
いつも発音を忘れてしまう Nachtergaele を検索してみたが, なかったので号泣している.
追記¶
dif_engine さんに別の方法を教えて頂いた.
@phasetrGoogle翻訳でスピーカーのボタン押せばそこそこ行けると思います。
— differential_engine (@dif_engine) 2016年4月24日
土屋昭博述, 中井洋史記, 近代ホモトピー論 (1940 年代から 1960 年代まで)¶
本文¶
立川さんのツイート越しに美少女でなる小泉さんによる土屋昭博先生のホモトピー論講義のアレがあったので共有しておく.
こんな講義録があったんですね: http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/publication/documents/2008tsuchiya.pdf RT @koizumi_fifty 土屋先生のご講演『近代ホモトピー論 (1940 年代から 1960 年代まで) 』の pdf が非常に面白いので, 某氏や某氏はぜひ一度読んでおくのがよいと思います.
どこだか忘れたが, 深谷賢治先生の何かの共形場に関する文章で「以前ホモトピー論を専門にしていた土屋と A (名前を忘れた) が, その後 20 年を経て共形場で再び出会ったことは偶然ではない」みたいなのがあった. ホモトピー論と共形場の結び付きが云々みたいな話があるのか, と思った覚えがある.
この深谷先生の発言 (文章) について何かご存知の方は是非教えてほしい.
追記¶
コメントで教えて頂いた.
初出:『数学のたのしみ』第 2 号 (1997 年 8 月), 上野健爾・砂田利一・志賀 浩二編 『現代数学の土壌-数学をささえる基本概念』に 収録の「ホモロジー」の論説の脚注 (22) でしょうか?
引用: かつてともに代数的位相幾何学を研究した, G. Segal と土屋昭博が, 20 年後の ICM 京都で 今度は, 共形場理論の専門家としてまみえたのは, 理由があることであろう.
有り難いことこの上ない.
超準解析のプロである魔法少女に超準解析で超関数がどうなるかについて聞いてみた¶
本文¶
超準解析のプロである魔法少女とのやりとりを記録していきたい.
大学入ってから運動量は酷使するものの力積使ったことないのだがアレはいったい何だったのだろう
@phasetr デルタ関数の近似ということにしておこう
@functional_yy ふと思ったのですが超準解析でδ関数はどういう扱いになるのでしょうか. 超準解析的には普通の関数と思えるのか的なアレです
@phasetr この辺り詳しくはないのでよく知りませんが, 例えば幅無限小高さ無限大で掛け合わすと 1 のパルスを考えれば望みの性質は得らます. http://planetmath.org/constructionofdiracdeltafunction
場の量子論で赤外発散という現象があるが, その数学的解決には「場の量子論版の超関数」が必要だと思っている. 作用素環上の状態の空間でとりあえず定義はできるのだが, それを確率論 (経路積分) でいうとどうなるか, 最近は特に表現論的にもう少し突っ込むとどうなるかというあたりをスピン-ボソンモデルで計算している. 代数解析的なアプローチではどうなるかというのは考えていたが, 超準解析的にどう見えるか考えてもいいかもしれない.
『古都がはぐくむ現代数学 京大数理研につどう人びと』なる本が出版されるらしいので出たら買う¶
本文¶
『古都がはぐくむ現代数学 京大数理研につどう人びと』なる本が出版されるらしい.
「超函数の理論, abc 予想, ……京都の数学研究所を舞台に, 日本の数学者たちが新たな数学を生み出す現場を生き生きと描く」 →内村直之『古都がはぐくむ現代数学 京大数理研につどう人びと』日本評論社 http://www.hanmoto.com/jpokinkan/bd/9784535787445.html
何これ. 超ほしい. 出たら買う. まだ買っていなが, IHES のもほしい. アレ, 確か Frohlich がいるのだ.
美少女であるところのひさこさんを確率的な意味で善導してきた¶
本文¶
これは美少女であるところのひさこさんを善導したその記録である.
確率論とそれる方向に向かっている方のひさこさん.
@ml_hisako 何やってるんですか
@crobert_z フーリエ解析です.
@ml_hisako 測度のフーリエ変換とかあり, 分布周りの大事な話があり, ガウシアンとの関わりも強いのでそれていない説
@phasetr なるほど. ありがとうございます!
@ml_hisako http://ja.wikipedia.org/wiki/特性関数_(確率論) この辺見ると, 特性関数は定義そのものにフーリエ変換を使っているのが分かります. また確率論の基本的な対象, ガウシアンはフーリエ変換と相性がいいのですが, そういうところで陰に陽に使います
@ml_hisako さらに言えば, ブラウン運動を基礎にした確率積分でもやはりフーリエ変換は適宜使いますし, フーリエ変換発祥の地, 熱方程式を解析するときにも Feynman-Kac の公式という確率論の金字塔もあるので, フーリエはやっておいて全く損はない話です
@ml_hisako むしろ, 色々なものが色々に絡んでいくところこそ面白いところなので, あまり確率論に関係なさそう, という理由で他の数学を避けたりしないようにしてほしいくらいです. 確率論からの共形場理論でウェルナーにフィールズ賞が出ていますが共形場は他の数学との相互作用があります
@ml_hisako 前ブログにも少し書きましたが, 数論と関係ある部分もありますし, 確率論の射程も広く深いです
@phasetr なるほど…最近, 勉強してるうちに違う事もやりたいけれど確率論をやりたい気持ちが強いのでやっぱりそれに基軸を定めてやるなのかと疑問に感じました. でも市民さんからアドバイスをいただき, ほかの数学も避けずに学びたいと思いました. (続く)
@phasetr 伊藤清の確率論の 1 巻を調べてみたら特性関数の章でフーリエ変換を定義してました. Poisson 分布を考える際にも必要なんですね. この章をまだ勉強してませんでしたがフーリエ解析の大切さも理解できました. http://pic.twitter.com/0iobVWGWmf
@ml_hisako ついでなのでもう少し色々書いておくと, 例えばフーリエ解析は表現論と深い関係がありますが, 大雑把に表現論とフーリエの交点に調和解析という分野があります. この分野に確率解析を持ち込んで画期的な仕事をしたのが東大数理の新井仁之先生です
@ml_hisako また伊藤清自身がはじめた分野として確率微分幾何というのもあります. ささくれパイセンがこの辺に進もうとしているようですが, 20 世紀数学の金字塔の 1 つ, Atiyah-Singer の指数定理の確率論的証明という話題もあります
@ml_hisako これや量子力学・場の量子論と深い関係がある話ですが, (偏微分) 作用素を積分核を使って表示することで作用素を詳しく解析する手法としての経路積分 (Feynman-Kac 公式) というのがあり, 作用素論との関わりもあります
@ml_hisako 私が知っている範囲で考えるだけでもこれだけの広がりがある分野です. 元々応用から出てきた分野なので, 統計学まで含めて応用向きの話も数限りなくあります. 確率に限りませんが, 何をやっていてもそれる方が難しいでしょう
@phasetr 確率論がこんなに広がりがあると知り, 改めて学びたいなと思いました. 貴重なお話ありがとうございます! また色々教えてください!! 私も勉強して身につけたいです.
数年したら逆に色々教えてもらえるようになるはずだ. 楽しみに待っていたい.
男性・理系が論理的とかいう妄言はどこから湧いて出てくるのだろう¶
本文¶
何か時々男性理性的で女性は感情的であり, 理系は論理的文系は情緒的でありとかいう異常者を見かけるのだが, 私の感覚で言えば理学部, 特に物理学科・数学科の人間の方がよほど感性だけで生きている. その様子をまとめておいた.
理系一般はどうか知らないし工学は知らないし、理学といっても数学と物理しか知らないが、少なくとも数学と物理関係者、究極的には美しい・面白いしか言わないから理系ほど感性だけで生きている異常者はいないという認識
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013, 10月 2
理系が論理的とかいう妄言, どこから湧いて出てくるのだろう.
追記¶
@phasetr君みたいな人とか
— 大天使どぎゅえる (@doguuP) 2015, 10月 26
感性の赴くままに生きていると思っていたので, 非常に衝撃的なコメントだった.
数学のできるイケメンエリートの育成は急務である¶
本文¶
女性の望みと男性の対応, それに対するさらなる女性の対応というのが Twitter でネタになっていたので便乗した.
■女子の望み 数学のできるイケメンエリートを出せ ■男子の対応 数学が出来ないので曖昧な笑顔でごまかす ■女子の反応 人人人 人人人人
線型代数で殴打< YYYYYYYYYYYYY
数学のできるイケメンエリートの育成は急務である.
愛情の表現論とは¶
本文¶
しょうもない話だが, 愛情表現というツイートを見かけて次のようなことを想起した.
愛情表現, 何のというかどんな表現なのだろう
@phasetr ほしい物リストの中からプレゼント
@sulaymanhakiym すみません. 私が言っていたのはこの意味での表現です
@phasetr この手の文章は漢字の読みなどは問題なく読めるところから, 確実に素人を殺しにきます.
@sulaymanhakiym @phasetr 表現論は誰でもわかる!
もちろん群の表現とかの意味での表現を考えていた.
コンパクトの訳語, 完閉やら緊密というのがあったようだが何故使われなくなってしまったのだろう¶
本文¶
コンパクトの訳語は何かあるのだろうかというツイートをしたら色々教えて頂いた.
いまふと思ったのだが, コンパクト, 日本語に無理やり訳すとするとどうなるのだろう. 昔何か無理やり訳していたりしてそのときの訳語とか何かないの
@phasetr 完閉と読んでいたという話を何人かの先生から聞いたことが
@ysgr_sasakure !!!感謝感激雨霰!!!
@phasetr 緊密と言う訳もありますね
鍵アカウントなので直接の引用は控えるが, 「立花俊一, リーマン幾何学, 朝倉書店では実際に完閉と書かれている」という事も教えて頂いた. 何で使われなくなったのだろう, というのも気になる. どう調べればいいのかよく分からないが数学史でこういう言葉の定義や変遷とか調べるのも面白そう.
Ian G. Macdonald の Hypergeometric Functions I, II が arXiv に出た: II は q-analog¶
本文¶
私は全く知らなかったが, その筋では有名だったらしい Ian G. Macdonald の Hypergeometric Functions I, II が arXiv に出たとのこと. これとこれだ. II は q-analog でその筋にはとても貴重な文献らしい.
本文が 3 行, 5 行の論文があるという¶
本文¶
本文がたったの 5 行の論文. http://forumgeom.fau.edu/FG2011volume11/FG201105.pdf
本文がたった 3 行 (参考文献を除く) の論文. http://forumgeom.fau.edu/FG2011volume11/FG201106.pdf
それぞれ, Jo Niemeyer の A Simple Construction of the Golden Section, Michel Bataille の Another Simple Construction of the Golden Section だ. 大体からしてこんなのが論文になるの, という感じすらあって衝撃を受ける.
「いい数学書とは, 初等的な例が多く載っている本である」なんて聞いたことがない¶
本文¶
http://www.amazon.co.jp/review/RN778JMC1RCXH/ref=cm_cr_dp_title?ie=UTF8&ASIN=4785314044&channel=detail-glance&nodeID=465392&store=books 【どこかの文献で, 「いい数学書とは, 初等的な例が多く載っている本である」と読んだことがあるが】聞いたことがない
特に初学者向けの本ということなら初等的な例もある程度載せた方がいいが, 大事なのは面白い例やきわどい反例を議論することだろう. 大事な例に関しては 1 章まるまる割いて議論してもいいくらいだし, 実際そういう本もよくある.
とにかくこんな話は聞いたことがないのだが, どの文献にどういった形で書いてあったのか非常に気になる.
Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったので¶
本文¶
Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったのでちょっと呟いてみた.
辻先生の複素多様体論講義, 進度自体もめちゃくちゃだが話題の豊富さもやばい. きちんと読んではいないが. 勉強する本ではなくこんな進展があるのか, という感じで概観するのにはよさそうなというかそれしかない感. 引用されている Demaily の PDF とか読んだ方がいいのでは説
@phasetr なんのシリーズですか…??
@waheyhey サイエンス社のやつです http://www.amazon.co.jp/dp/B009M8UX94 Demaily のはこれ
@eszett66 @phasetr 小林複素幾何とはまた別のことが書いてある感じですか?
@waheyhey @eszett66 アレよりももっと解析的です. たとえば調和積分の楕円型作用素の話が書いてあったり L^2 評価式とか書いてあります
@eszett66 なるほどー. 今度書店か図書館でみてみます!
@phasetr か, 解析…
@eszett66 よ, 読んでみます
この本は複素幾何のトピック集みたいな感じもある. 分量の割にトピックが豊富なのでその分 1 つ 1 つの記述は薄いのでこれで勉強するのはかなりつらそう.
H. M. エンツェンスベルガー, 岡本和夫著『数学者は城の中?』¶
本文¶
H. M. エンツェンスベルガー, 岡本和夫著『数学者は城の中? 』読了. 1998 年の国際数学者会議で行われたエンツェンスベルガーの講演と, 岡本先生のエッセイ. 数学関係者はうなずく内容なのではないでしょうか. 数学嫌いの人にも面白いはず. なんて思っていたら, あれ, 岡本先生? (S)
Amazon を見てみると, オリジナルは独英対訳本らしい. ドイツ語の復習も兼ねてそちらも読んでみたいところだが, 和訳の方は岡本先生の文章もあるという. どちらを買おうか悩む方の市民だった. ちなみにこの岡本先生は以前 Paul が「月光仮面世代の和夫ちゃんは, その辺はわからないっす.」と言っていた岡本先生だ.
加藤文元, 廣中クローン説¶
本文¶
ブンゲン先生は広中先生のクローン説は良い思い出 http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/ikite/ik091215.html
@yagi2013 3 つ比べると モリキ~ヒロナカ~~~ブソゲソ という位置づけのような気がします
"@yagi2013: ブンゲン先生は広中先生のクローン説は良い思い出 http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/ikite/ik091215.html" 比較の対象がスゴい人過ぎる…森毅先生も…
写真が見当たらないのだが, 早稲田の小松啓一先生も廣中先生に似ている気がする. 特に私が把握している限りの廣中先生の昔の髪型と小松先生の髪型が.
全く関係ないが, 学生時代に廣中先生からサインをもらったことを想起した. ちょうど先日整理していたら発掘した.
ドイツで数学したい¶
はじめに¶
8 月はドイツにいたいというアレを見つけたのでちょっとお話した.
引用¶
8 月はずっとドイツとかで過ごしていたいのだけど, そういう都合の良い研究会はないだろうか?
@AHD21 オーベルヴォルバッハとか. 何があるのか, やっているのか全く知りませんが
@phasetr 初めて聞きました. 調べみましたが, 滞在型研究施設という感じの所でしょうか. 自然に囲まれていて良いですね.
@AHD21 数学の方では有名です. 当然私は行った事無いですが, 環境的にお知り合いにそこに行った方をたくさん見つけられると思うので, そちらに相談してみるといいでしょう. 私も行ってみたかった
@phasetr ありがとうございます. 僕の興味に近い研究会も行われているようなので, 今後アンテナを張っておく事にします.
今ツイート見たら派手にタイポしていて泣いているが, Oberwolfach というのはこれだ. 一度は行ってみたかった.
3 ヶ月ごとに論文書かないと¶
本文¶
号泣した.
論文の謝辞が, アニメキャラになる時代か. 3 か月ごとに論文書かないといけないなあ.
論文: Garity-Repovš の Inequivalent Cantor Sets in $R^{3}$ Whose Complements Have the Same Fundamental Group¶
本文¶
まだ読んでいないのだが Cantor 集合の補集合の基本群を計算してガチャガチャやる論文が出たそうだ. 相変わらずの kyon_math さん情報であった.
Inequivalent Cantor Sets in $R^{3}$ Whose Complements Have the Same Fundamental Group. http://arxiv.org/abs/1307.8111
えー? カントール集合の補集合の基本群だと? そんなの考えたこともなかった. すげー. http://bit.ly/15aQCyh
これを読む時間, いつ取れるだろうか.
東大の Todai Research なるページがあった¶
本文¶
寡聞にして知らなかったのだが, Todai Research というページがあった. 未発見の素粒子がトポロジカル絶縁体で活躍, 強磁性を保ったまま金属から絶縁体に相転移するしくみを解明などはかなり気になる. 数学のネタもある, または上がってくるはずなので, 注視したい.
他の大学でもあるはずだし, 個人的に北大数学, さらに強く新井先生の動向は気になるのでこう色々とアレ.
2021-06-14 台湾人の謎の数学動画¶
Pornhubにひたすら微分積分の解説動画あげまくってる台湾人おってクッッッッッッソわろてる pic.twitter.com/tQKPSBlP2Z
— TK弟 (@Tatra_T3_6892) June 12, 2021
『不完全性定理は, 一体, どんな成果をあげてきたのだろうか? と素朴な疑問が浮かんでしまう』¶
本文¶
号泣した.
【しかしながら, 技術者である私には, 華々しい成果をあげた量子力学と相対性理論に比べてみると, 不完全性定理は, 一体, どんな成果をあげてきたのだろうか? と素朴な疑問が浮かんでしまう】 http://sakuraimac.exblog.jp/19237670
何で数学と物理比べているの, とか地獄の底から這い上がってきたような意見に目も眩む方の市民だった.
江田 bot¶
本文¶
patho_logic さんによる次のようなツイートがあった.
本人知ってると破壊力がすごい.
これは江田 bot のツイートを受けての呟きだ.
私は背理法は大好きですよ.
江田先生を良く知らないのでアレなのだが, どう面白いのかすごい興味ある.
やっぱ特異点だべした!¶
感動した.
一ノ瀬さんからのご要望に応えて: 数理物理って何?¶
数学から見た数理物理¶
本文¶
一ノ瀬さんから次のようなご要望を頂いた.
@phasetr 最近少し数理物理に興味があります. 具体的にどんなことしてるのか知りたいです… あと解析力学と量子力学とか, 分野間にどんなつながりがあるのかとか知りたいです. と, 注文が多くてすみません (~_~;)
コメント¶
ということで色々書いてみる. まずは数理物理について適当に色々書いて, その後, 知る限りの物理の分野間の繋がりについて書いていきたい.
まず数理物理だが, あまりかっちりした意味があるわけではなく, 結構適当な使い方をされていることに注意してほしい. 人によって意味が大きく変わるので, まずをそこを説明する. 私が見た範囲での話であって, 人によって大きく意味が変わると言った以上他の使い方をしている人もいるかもしれないので, その辺も考えて読んでほしい. むしろ違う使い方などあれば教えてほしい.
大きく分けると次のような感じになる.
言っている人 | 実際の意味 |
---|---|
数学者 | (物理が元ネタの) 数学 |
-------------- | ---------------------------------------------------- |
物理学者 | (物理が元ネタの) 数学 |
当人は物理と思っているが傍から見ると数学 | |
数学者も認めるレベルで数学的にきちんとした理論物理 | |
数学色が強い理論物理 (数学的に厳密ではない) |
数学者が「数理物理」と言っていたらそれはただの数学だ. いいとか悪いとかそういう話とは関係ない. 物理学者が考えている問題を数学的にきちんと考えてみたら数学的にも面白い, という程度. 神保道夫先生のソリトンの本に「専門は数理物理」と書いてあったが, こういう意味だと考えていい.
物理学者と興味がかぶる部分はもちろんあるが, かと言って完全に重なることは基本的にない. 数学者は数学者だからだ. 最近は超弦関係でこういう話が多いが, もう少し古い話では微分方程式関係がこの感じ強い気がする.
よく「現象が実際にあるから微分方程式に解があるのは当たり前で下らない」とかいう, 物理として考えて気が狂っている発言をする社会性溢れる者がいるが, 極端なことをいうとこの辺: 物理学者からしたらあまり興味のない話でも数理「物理」と言ったりするし, むしろ大抵これ, と印象. 興味の向きがあくまで数学なので, 基本的に数学者の言う数理物理は数学であって物理ではない. ちなみに, 以前河東先生が「物理の人に『数理物理と物理を名乗るなら何か意味のある数字出してみろ』と言われて凄く困りました」と言っていた.
念のために何故「現象が実際にあるから微分方程式に解があるのは当たり前で下らない」が物理として狂っているかを書いておく. 微分方程式を立てた (現象をモデル化した) からといって, そのモデルが本当に自然を適切に表現できている保証はない. 例えば現象として明らかに拡散なのに波動方程式が出てきたらそのモデル化はおかしい. 素粒子で適切な対称性を持つべきモデルなのにはじめから Lagrangian の対称性が壊れていてもいけない.
単に方程式を見ただけではそれが現象を記述できている保証がどこにもない. 数学的に解があるとかないとかいう以前の問題で, 特に研究フェーズなら物理として真剣に考えるべき問題だ. また, 仮に物理として適切なモデル化であったとしても, 解を持つかといった純粋に数学的な話とは何の関係もない. 少なくとも一時期, 場の理論で発散の困難などと言われていた話では, 解 (基底状態) の存在が本当に問題になっていたので, 物理として解の存在が非自明なことは実際にある.
こういうこと言う人, 自分の立てたモデルはいつも必ず現実を適切に説明できているという全幅の信頼を置いているのだろうか. 頭おかしいとしか思えないし, 実際おかしい. 「物理ではいちいち解の存在まで考えない」ということなら分かるが, それならそう適切な表現を使うべき.
別件だが, 以前宇宙論をやっていた友人が「論文読んで研究室のゼミで発表したら『そのモデル, 解がないこと分かっているからやっても意味ないよ』って言われて愕然とした」というようなことを言っていた. この辺の意味や真偽について久徳先生に聞こうと思っていてずっと忘れている.
脱線しまくっているが, 数学者のいう数理物理は数学ということだ. 一方で物理学者のいう数理物理はバリエーションがある. 次回はそれについて書こう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理
物理から見た数理物理¶
本文¶
まずは分類を再掲しよう.
言っている人 | 実際の意味 |
---|---|
数学者 | (物理が元ネタの) 数学 |
-------------- | ---------------------------------------------------- |
物理学者 | (物理が元ネタの) 数学 |
当人は物理と思っているが傍から見ると数学 | |
数学者も認めるレベルで数学的にきちんとした理論物理 | |
数学色が強い理論物理 (数学的に厳密ではない) |
今回は物理学者のいう数理物理について書いていきたい.
まず数学者と同じで「物理が元ネタになっている数学」という程度の意味で使う場合がある. 何となく超弦関係で「 (現時点で) ほとんど実験にかけられないような話で, 物理的な正当性を確かめづらいところで物理というのはどうなの」的な文脈で多少否定的な用法が多い印象. あと「物理ではないが (数学としては) 面白い問題ではある」という物理学者の意見表明にも使われることがある印象.
思い出したが, Gottingen の物理にいる Buchholz という代数的場の量子論という数理物理分野の有名人がいる. 河東先生が「彼は『お前のやっていることは物理ではないと言われて, 自分は物理学科ではいじめられている』と言っていましたが, それはそうでしょう. 彼がやっていることはスタイルから中身まで数学ですよ」と言っていたので爆笑した. そういうレベルで数学的にガチガチにやっていても物理を自称する人もいる. この辺は「当人は物理と思っているが傍から見ると数学」と言えそう. Buchholz と並べると即死レベルのアレだが, 私も多分この辺.
「数学者も認めるレベルで数学的にきちんとした理論物理」だが, Lieb や学習院の田崎さんあたりは比較的この辺ではないだろうか. 物理としても面白い結果をきちんと出している (であろう) ことを前提にしている. Lieb くらいでも数学の人で「彼は修士くらいの学生でも知っていることを知らなかったりする」という発言を聞いたことはある. 私は Lieb の興味は基本的に物理だとは思っているが. 物理としても意味があって数学的に制御できることというの, 私が近い分野では非常につらくて, 強磁性の Hubbard モデル関係くらいならぎりぎり何とかなるのでは, という感覚. 田崎さんを挙げたのもその辺の兼ね合いがある. スピン系だと物理の方が遥かに進んでいる印象はあるが, スピン系の連続極限からの共形場ということになると, むしろ数学的色彩が極めて強くなるという印象はあるもののその辺の物理自体をよく知らず数学からの話ばかり目にする方の市民だったので詳細不明.
数学的に厳密ではないが数学色が強い理論物理, 大体超弦を想定している. 他に何かあるだろうか. よく考えたら「数学的に厳密ではないが数学色が強い理論物理」という一文自体よく分からない.
前もつどいのときに少しお話したのだが, 物理を数学的にきちんとやるというのはもの凄く大変で, 分野によっては本当に何もできない. もちろん私が近いところしか知らないが, 何とかなるところはスピン系とか Hubbard など格子系での相転移くらいではなかろうか. 量子力学・量子統計力学からの物質の安定性は数理物理というか Lieb 周辺しかやっていないようで, その辺は私は物理的にも極めて大事な研究だと思っているが, 純粋な物理の人がどう思うかはよく分からない.
あまりろくな話を書いていない気がするがとりあえずこんなところで.
追記¶
数理物理って物理から逃避したくなった時にやる数学のことじゃないの? http://phasetr.blogspot.jp/2013/12/blog-post_19.html
いいとか悪いとかそういう話ではなく「数理物理」というのはこういう (否定的な?) 使い方もされることがある. 数学だからといっていつもいつでも厳密な言葉の使い分けをしているわけではない. 「可積分系」などもかなりふわっとした使い方をする. グレンラガンのカミナの兄貴のように「お前の信じる数理物理を信じろ」という感ある.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理
数学は何故役に立つように見えないのか? 動画つき¶
概要¶
はじめの注意¶
吃音があるので聞き取りづらいと思います. 予めご了承ください. 最低限話したいことはスライドに書いています.
軽く自己紹介¶
- ふだんは会社員.
- 学部で物理, 修士で数学をやっていた.
- 大学を出てからも数学や物理の勉強・研究, 情報発信を続けている.
- DVD や本を書いて Amazon で売ってみたり,
- 無料・有料含めて通信講座作ったり.
- お坊さんではない.
設定¶
- この場にいる人, メルマガ読者のうちで数学に対してゆるめの人たち向け.
- この場じたいはビジネスのコンテンツ制作実践会: 数学嫌いな人さえいる場.
- こんな人達を相手にこんなコミュニケーションを取っていますよ, という事例紹介・自己紹介.
ポイント¶
- 数学はふつうの感覚だと「見えない」し「感じられない」.
- ならば何を見せ, 何を感じてもらうのか?
- 実際に私が何を考えどう行動しているのか?
- 私という人間の行動を通じて数学を見て・感じてもらう.
- 数学という異世界を私のフィルターを通して見せていく.
数学を役に立たないように見せているモノ¶
「数学が何の役に立つんですか?」¶
- 注目したいのは, 何の役に立つかを説明することよりも, なぜ役に立つように見えないのかという問題.
- 私の世界観からすると, いちいち説明する必要もないほど現代社会は数学に満ち満ちているから.
- そこのギャップを何をしてどう埋めていくか?
社会の雰囲気¶
- よく知らないのになぜか役に立つと思われているモノはある.
- 直接見えないし感じられるわけでもない.
- 何か思いつきますか?
これを見たことありますか?¶
- プログラム.
- 数学同様, 理解している人は少ない.
- 一方で役に立つモノという認識はあるっぽい.
注意¶
- ここでの「プログラム」はソフトやアプリのように見えたり感じたりするモノではない.
- その裏側で動いている存在.
- プログラマがカチャカチャ作っている.
単なる雰囲気¶
- 「みんなそう言っているから何となくそう思っている」.
- 気分の問題, 認知の問題.
- 「プログラマという職業があってプログラムを書いて役に立つことをしているらしい.」という社会の空気感.
雰囲気その2¶
- おそらく, プログラマという技術者の有用性とは別に, 目に見えないプログラムやプログラミングスキルも役に立つと思われている.
- ソフトやアプリではなく, 目に見えない裏側の存在としての「プログラム」.
- 数学に対してはこういう認識がほとんどない.
- プログラマが割とたくさんいることもポイント高そう.
1 つだけ例を¶
- 電気で動いているものが身の回りに山程ある.
- その裏にある電気やそれを作り出した電気工学の議論,
- 物理, さらには数学が役に立っていると感じられるか?
- この話にリアリティを感じるか?
- 電気を見たときにその裏にある物理や数学を感じられるか?
感覚や雰囲気をなめてはいけない¶
- 感覚が伝わっていないと全くコミュニケーションできない.
- 見えている・感じている世界そのものが全く違うから真っ向から噛み合わない.
- パソコンやスマホを触っているときに物理や数学を感じますか?
- 実際に私はそういう感覚を持って世界と対峙している.
- 「何の役に立つ?」とか言われても「遍く存在している」としか答えようがない.
何となくでも感じさせることの重要性¶
- 筋トレしたら筋肉痛になる, 食を変えたら調子が良くなる.
- 明らかな変化を感じてもらえる.
- 数学はこういうのやりづらい.
- どちらかというと精神世界の存在だから.
- ではどうするか? どう感情にアクセスするか?
プログラムの実在感¶
- プログラムはプログラマがカチャカチャ作っているイメージがある.
- 人の動きとして見せている感じ.
- ソフトやアプリのような形もある.
- では数学ではどうするか?
「知らない世界を見せてほしい」¶
数学は見えづらいし見せづらい¶
- だいたい目に見える世界の裏や裏の裏, さらにまたその裏くらいにいる.
パソコンでの例¶
- パソコンは電気で動く.
- 特に電気回路がある.
- 電気回路に関する理論がある.
- この理論が数学で書かれている.
- 理論の式を見せればいいわけでもない: それだけで何がわかるわけでもないし何も感じられない.
- 見せられても困るでしょう?
方向性は2つ¶
- ドストレートな選択肢しかない.
- クライアントの要望を聞くこと, 自分の趣味に突っ走ること.
- 役に立つ実利系, 精神的充足を求める系.
- もちろん適当な落とし所を狙う.
最近頂いたご意見¶
- 中高数学の復習講座のアンケート回答: 子持ちの40代女性から.
『今回のコンテンツを見てどんなことを感じましたか?』
いろいろなところで数学が使われているのは普段目にすることはありません. 実際にこんなところでも使われているんだということがわかれば数学に対する意識が変わると思います. うちの子たちにも見せようと思います.
- まずは相手の懐に入ってみる.
最近頂いたご意見その2¶
- 50 代, 経済学部卒の男性: 「これに期待することを教えてください: 人類の叡智に触れることができるようになること.」
- 60 代の方からのコメント: 「数学や物理を勉強したい理由: 真理の追究」
- 数学・物理を扱っていると本当に「人類の叡智に触れる」とか「真理の探求」とかそういう目的が出てくる.
- 生まれてこのかた「人類の叡智」とか「真理の探求」という言葉をど真面目に口にしたことありますか?
これを受けて何をしますか?¶
- 実利系は素直に役に立つことをやればいい.
- いろいろなところで数学が使われているから片っ端から全部コンテンツのラインナップを作ればいい.
- 工学系は特にこのタイプ.
- 問題は数学に対して精神充足を求めている人に何を提供するか?
再びアンケートコメント¶
- 子持ちの40代女性から
「しかし, 小川洋子さんの書いた博士の愛した数式を読んで, 数学って美しいのかも, と興味を持ちました. だから, このような私でも数学がおもしろい, と思えるようなことを発信してもらえるとうれしいです.」
- 50代, 経済学部卒の男性
「知れば知るほど知らないことが増えてくる世界を垣間見ている気分です.」
何となく期待されていること¶
- 自分のいまの感覚を変えてほしい, 知らない世界を見てみたいという気持ち.
- 「素人」サイドからすると「数学, やっぱり面白いんですよね?」というのを伝えてほしいらしい.
- わかりやすさ, とっつきやすさは引き込むためのフック: 本丸はこの気持ちに答えること.
- もちろんフックを馬鹿にしてはいけない.
私がずっとやっていること¶
- 一つの方向性は「男の子の夢」.
- 「人類の叡智」とか「真理の探求」とか一度は言ってみたい言葉の上位にランクインする.
- 大事なこと: 人への憧れ.
- 学者という存在は憧れになりうる.
- ゲームでも味方で重要な情報を調べてくれたり何か作ってくれたりする.
- 悪のマッドサイエンティストがいたりする.
- 独特の世界観を持っていることもある.
- 社会にこういう雰囲気がある.
現実感のなさと超越性¶
- たいていの人にとって数学は感情を揺らす存在ではある.
- それが嫌いという形であったとしても.
- わかりやすく「意味がわからない」存在としての数学.
- 「数学をやっている人は世界をどんな風に見て何を感じているのだろう?」
- コンテンツとして具体的に自分の数学的世界観を見せてあげて, 世界観の変化を感じてもらう.
数学の世界を探険しよう¶
- いま作っている通信講座も数学世界の観光や探険という視点を取り入れて作っている.
- 私自身がそうやって数学や物理と向き合っているから.
- わかりやすさとか役に立つとか, そういうフィールドで戦わない.
- ただしクライアントに見つけてもらえるよう美味しそうにアジャストしよう.
かがく徒のつどいがあるのなら点群の話とかしたい¶
本文¶
化学徒のつどいなるものをやりたいという動きがあるようだ. この辺. MM2P と少しやり取りして, 私が敢えて参加するなら点群の話とかすればいいのでは, 的な話をした.
ただ, 困るのは数学部分はよくてもその化学への応用部分がさっぱり, というところだ. その話をしないと抽象論でだだ滑りする. MM2P に聞いたところ, そもそも化学方面でもろくな本がないことが問題らしい. 既約表現なども出てくるようだが, その応用上の意味もろくに説明がないような, 惨憺たる状況のようだ. その辺を埋めるべく何とかしたいとは思うのだが, どうしよう.
とりあえず何か本を読んでみて, どんなところでどう応用するかは化学の人に聞いてみて, こちらで整理をかけていくという感じしかないだろうか.
やはりこう, あまり誰もやらないようなところを突っ込んでいく異常者のメンタリティでやっていきたい.
ラベル¶
化学, 数学, 代数学
単位的環とその部分群に関する命題の (反) 例を作ろう¶
本文¶
去年の環論の演習で「単位的環 $R$ とその加法についての部分群 $S$ で, $S$ が $R$ の乗法で閉じていて単位的環となるが $R$ と $S$ の単位元が異なる例を挙げよ」という 問題を考えて少し悦に入っていたが零環でない環 $R$ と $S={0}$ をとれば明らかだった.
(昔, $R \to R \times R$, $x \mapsto (x, 0)$ について $\mathrm{Spec} \, (R \times R) \to \mathrm{Spec} \, R$ を とってしまうような間違いを 1 時間くらいしていて悩んだことがあったので……)
@nolimbre 2 次正方行列の環 $R$ と, $(1, 1)$ 成分以外 0 な部分加群 $S$ とか.
@nolimbre 「単位的環においては単位元と零元は異なるものとする」と 断ってあるのをなんかの教科書で見たような気がします.
@kyon_math @nolimbre そういう流儀もあると思いますが, 零環を許さないと, 空集合が affine scheme で無くなってしまう気もするのです.
@atomotheart @nolimbre いや, 単に「呼び方の便宜上の話」だと思います. 「本書では環と言えば単位的な可換環のことをさす」とか, その手の類いで, 定義として採用しているわけではない.
誤解を招くつぶやきだった¶
@kyon_math @atomotheart 零環を排除すれば一見楽に見えますが, 終対象なので, ないといろいろ不便ですよね. (テンソル積が一般にとれなくなる, それに伴ってスキームのファイバー積がとれなくなるなど) 僕は以前零環を軽視していて総ツッコミを受けました
@iwaokimura そういうのもありますね. (あまり関係ないですが, 初めて代数群の定義を見たとき「なるほど, 体を加法群とみたものなんかは代数群ではないんだな」と思ってしまいました).
@nolimbre @atomotheart 私が勤めはじめた頃, かなりお年を召した代数学の教授が 「零次元のベクトル空間なんて, そんなものありゃあせん」と主張して, 困ったことを思い出しました.
いまは何もかも懐かしい¶
@kyon_math @atomotheart そ, それは過激ですね…… ww
名前しか知らないが, 代数群恐るべし.
ラベル¶
数学, 代数学, 環論, 代数幾何
線型代数と表現論・圏論¶
はじめに¶
Twitter で保型表現と Galois 表現という PDF を見かけた. 中身は数論なのだが, その中で表現論や圏論, 線型代数に関する部分が面白かったのでそこだけメモしておきたい. 数論部分については分からないので, 触れない.
引用¶
長くなるが, 個人的に面白いと思った部分を引用しておこう. 面倒になったので引用しないが, 3.2 節にも線型代数と表現論ということで大事な記述がある. 興味のある向きはそちらも参照されたい.
引用その 1¶
より現代的な視点からは, 表現論の重要性は何と言っても理論の線形化にある. ブルバキはかなり早くから線形代数の重要性を強調したが, もちろん, 必ず体系的に解ける唯一の問題としての連立一次方程式, すなわち完全に信頼できる方法論としての 線形代数の強みは周知の通りであろうから, ここでは圏論的な視点を強調しておく. 線形代数 (体 $K$ 上の有限次元ベクトル空間の理論) は, 代数的構造の見通しのよい理解と操作のひな型となった. 圏論の方法は, ここの数学的対象 (集合とその元) を直接分析するよりも, それらの間の相互関係, つまり構造射の集合を理解しようとする. 共通の構造を持った対象の全体 (圏) という文脈の中に置くことによって, 個々の対象の役割, ひいては本質がよく見える, という考え方である. 古典的な数学的結果も, それが対象の具体的な表示の仕方に依存しない結果であれば, 圏の性質, あるいは圏と圏の間の関手の性質として表現することができる.
引用その 2¶
体 $K$ を固定し, $K$ 上のあらゆる有限次元ベクトル空間のなす圏を $(\mathrm{Vect}/K)$ で表すことにしよう. 圏 $(\mathrm{Vect}/K)$ の対象は $K$ 上の有限次元ベクトル空間であり, それらの間の射 (構造射) は $K$ 線形写像である. この圏の対象の同型類は, 次元という自然数の不変量で完全に決まる. つまり, 同型類の集合から自然数の集合 $N$ (0 を含む) への全単射がある. 各 $n \in N$ に対して $K^n$ (数ベクトル空間) という具体的な対象を構成でき, これらの対象への同型を決める (基底を選ぶ) ことで任意の対象・射の具体的な表示が得られる. 対象 $V$ から $W$ への集合は加法群の構造を持ち, 部分対象・商対象・核・像・余核・余像・準同型定理・直和・完全系列が定式化できる Abel 圏になる. さらに任意の短完全系列は分解し, 実際あらゆる対象は 1 次元の対象の有限個の直和に分解される (半単純性) . $K$ が代数的閉体ならば, 自己準同型射も直和分解 (対角化) されたものと簡単なベキ零元の和に書ける (標準形) . さらに内部テンソル積・内部 Hom ・双対対象が定義されるのでテンソル圏, とくに淡中圏になっている. これらの操作 ($\otimes$, $\otimes$, Hom, *) の他に, 対称積 $\mathrm{Sym}^n$ ・外積 $\wedge$ など, 対象から新しい対象を構成する標準的な操作がいくつか定義できる (強いて言えば, 対称群 $S_n$ の各表現に対応するベキ等元に応じて作られる) . 各対象 $V$ の自己同型群は一般線形群 $GL (V)$ であり, さらに各対象に最高次形式 $\wedge^{\mathrm{dim} V} V \cong K$ (行列式) ・内積・交代形式・エルミート形式などの付加構造を定義した圏を定義することもでき, それらの圏での自己同型群は特殊線形群・直交群・斜交群・ユニタリ群などの古典群になる. だいたいこの程度が, 数学科で学ぶ線形代数の全体であり, これで l $(\mathrm{Vect}/K)$ は完全に理解されたと感じられる. つまり, これ以上 $(\mathrm{Vect}/K)$ に関して解かれるべき問題はないようだ (これは驚くべきことかもしれない) . この $(\mathrm{Vect}/K)$ の理論 (線形代数) の, 数学を記述する方法論としての威力は絶大であった. 幾何学では位相空間や多様体の圏から $(\mathrm{Vect}/K)$ への関手 (コホモロジー理論) がいくつもの深い結果をもたらし, 空間上の関数の貼り合わせ (局所・大域原理) やベクトルバンドルの理論は, 開集合の圏から $(\mathrm{Vect}/K)$ への関手 (層) として記述され, 微分形式や多様体上の調和解析 (Hodge 理論) などの理論が見通しよく理解された.
引用その 3¶
さて, われわれのテーマの視点からは, $(\mathrm{Vect}/K)$ とは, 自明な群 $G = {1}$ の 有限次元表現のなす圏に他ならない. その意味では, 表現論とは線形代数の一般化である. 表現論が, 数学的理論を記述し理解するための言語として機能する所以がここにある. 一般に, 群 $G$ の, 体 $K$ 上の有限次元ベクトル空間への表現, すなわち $G$ の作用が定義された $( \mathrm{Vect} / K )$ の 対象のなす圏を $(G-\mathrm{Rep}/K)$ と表そう. この圏の射は, $G$ の作用と整合的な $K$ 線形写像 (表現の間の準同型写像) である. 繰り返すが, 自明な群は自明にしか作用できないから, 自然に圏同値 $({1}-\mathrm{Rep}/K) \cong \mathrm{Vect}/K)$ がある. そして, $G$ が有限群で $K$ が標数 0 の代数的閉体の場合, 上に素描した $\mathrm{Vect}/K$ の理論がほぼそのまま $(G - \mathrm{Rep}/K)$ の理論に一般化される, というのが, 有限群の表現論の基礎である. とくに, 0 と自分自身以外に部分対象を持たない既約な対象 (既約表現) が 既約指標 (共役類の集合の上の関数の空間の直交基底をなす) によって分類され, 任意の対象は既約対象の直和に分解すること (半単純性, あるいは完全可約性) が基本定理になる. 既約な対象はもはや 1 次元とは限らないが, その自己準同型は $\mathrm{Vect}/K)$ の既約対象 (1 次元ベクトル空間) と同じく定数倍のみである (Schur の補題) . しかし, この $\mathrm{Vect}/K)$ から $(G-\mathrm{Rep}/K)$ への一般化によって, 理論の構造的な操作に新たな自由度が加わる. すなわち, 群 $G$ を変えるという自由度である. 群準同型 $f : G \to H$ が与えられると, $H$ の表現は $f$ で引き戻すことで自然に $G$ の表現になるから, Abel 圏の間の加法的関手 $f^ : (H-\mathrm{Rep}/K) \to (G-\mathrm{Rep}/K)$ ができる. とくに $G$ が $H$ の部分群で $f$ が包含写像の場合は $f^$ は表現の制限 $\mathrm{Res}^H_G$ であり, その左随伴関手は表現の誘導 $\mathrm{Ind}^H_G$ である (Frobenius 相互律) . 単に一つ一つの準同型 $f$ による引き戻しを考えるだけでなく, あらゆる準同型 $f$, さらには剰余群 $G/H$, 直積群 $G \times H$ など群の圏におけるあらゆる操作に付随して, 異なる圏$(G-\mathrm{Rep}/K)$ たちの間の関手を考えることができる. このようにして, 群の理論が線形化される, すなわち線形代数の言語で記述される, いや線形代数という理論そのものの一般化として理解される. これが表現論の考え方である. 理論のパースペクティブがより高次になっているという意味で, 表現論は群論に従属するものではなく, 群論を発展させた理論であるという面がある. これから, 表現論による理論の記述の強みを解説していきたいが, その前にわれわれの興味 (代数的整数論) に 沿った具体的な対象を導入していくことにしよう.
追記: kyon_math からのご指摘¶
kyon_math さんから次のようなご指摘を頂いた. 触れたことがない正標数の話なので正直全く勘が働かなくて分からないが, 他の方には即参考になる可能性もあるのでメモしておく. ちなみにこれとこれ.
@phasetr K が代数閉体でない場合でも, 半単純元と冪零元は定義できてジョルダン分解が成り立ちますね.
@kyon_math @phasetr 群の表現の既約分解については, 有限群であることを仮定した方がいいかも. 有限群の場合, 表現の既約分解は代数閉よりも標数の制約の方が大きい (マシュケの定理). 代数閉でも標数が正だとその表現論は難しい. (still in progress)
あと Maschke の定理はこれ. 恐るべし正標数.
2013/02/02 追記: kyon_math さんからのさらなるご指摘¶
kyon_math さんからさらに教えて頂いた. あとで読もう.
@phasetr ああ, 吉田さんのだったんですね. 吉田さん, かなりぶっ飛んでるからなぁ (もちろんいい意味で) 駒場中高等部向けのガロア理論の講義録も見っけた. http://bit.ly/XsPy0U あわせてガロア理論の基本定理について http://bit.ly/Xcw2E5
ラベル¶
数学,線型代数,表現論,圏論
本当は怖い Banach 空間¶
引用¶
Banach 空間がやばい的なツイートを見かけてこう色々と感銘を受けた.
Banach 空間病的すぎるだろ…
@Lyirth あまりよく知らないのですが, バナッハ空間は多様な微分方程式を制御するために出てきた, 多様なものを許容する空間とかいう話を聞いたことがあります. 作用素環もバナッハ空間ですが, 環構造と対合と特殊なノルムをつけてすらどうにもならないヤバい空間で小粋という理解
@Lyirth 何に書いてあるか思い出したので調べたのですが, $\ell^2$ の原点にあった積分方程式とそのための関数空間, 線型作用素論を展開するためにバナッハが導入した, という話のようです. 志賀先生の「無限からの光芒」 p116-117 に書いてあります
@Lyirth この本, 竹崎先生も名著と呼ぶスーパーよい本で, 私も学部 1 年で細部が全く訳分からないのに読んで感銘を受け, 院で数学に行ったというところで深い影響を受けているスーパー面白い本なので, 未読なら是非読んで下さい
@Lyirth 昨日からやっているサマースクール数理物理でちょうど議論しているところですが, フラットな時空上での相対論的な方だと収束評価が死ぬほどつらくてどうにもなっていないというのが率直なところです. 非相対論ならある程度は制御できています. あくまである程度は
@phasetr 実をいうと覚えてないと思いますが $C^$ 環を始めたのは「ユニタリ化と局所コンパクト空間の一点コンパクト化」が対応しているということを 市民さんから一年以上前に聞いたのが Cに興味を持ったきっかけで C*の門を叩いたこのタイミングでもう一度お話を聞けるのは幸せです.
@Lyirth それ覚えています. 今日河東先生が AQFT の共形場周辺をやっているのは河東先生の他, Longo とその学生くらいしかいないのでもっと増えてほしい的なことを言っていました. 場の理論であるのはもちろん, 頂点代数作用素等色々な数学が絡む面白い所なので目指されては
@phasetr 読みます. ありがとうございます! (ところでもし面倒でなければ教えて頂きたいのですが (基本的な内容で申し訳ありせん) Banach 空間 A=B+C (直和) と書けるときに B が閉→ C は閉って反例あるのでしょうか?)
@Lyirth ちなみにこの本, 前半でカントル集合とか他にもこう色々一見関数解析と関係なさげで基礎的な話が出てきますが, 作用素環だと意外とその辺かなりクリティカルで, カントルに関しては千葉大の松井さんの研究対象にもなっている程度です http://www.math.s.chiba-u.ac.jp/~matui/
@phasetr 嬉しいです! 最近楽しいなと思っていたのですがますます心惹かれた気がします. とりあえず, Murphy の $C^*$ algebra を読んでみようと思います. もし読み終えることができたらオススメの本をお聞きするかもしれませんがそのときはお願いします.
@Lyirth まだ証明つけていないのですが, 日合-柳の「ヒルベルト空間と線型作用素」 P29, 演習問題 12 として【直和ノルム空間 X+Y がバナッハである必要十分条件が X,Y ともにバナッハである】とあるので, 反例ないのではないでしょうか
@phasetr 直和ノルムではなく, $X+Y$ にノルムを入れてそれを $X$ 上 $Y$ 上に制限するときに元のノルムと制限から作られた直和ノルムが同型ならそうだと思います. もしそうでないなら一般の場合にも言えるのでしょうか? (続け様にすみません汗
@Lyirth まだ同型になる場合の証明をつけていないのでアレですが, まずは同型になってしまう理由からきちんと調べたいところです. あとは一般の位相空間や位相群でも類似の問題を考えて様子見したいところです. ノルム空間だと半端に知っているところにひきづられてしまうので
@phasetr 昨日の問題, 否定的に解決されまして人から教えて頂いたのですが, 例えばまず稠密な基底を取ったあとにそれを延長して代数的な基底を作り延長した元から一元除くと, codim1 の閉でない空間と一次元 (すなわち閉) 部分空間の直和になり反例になるようです.
@Lyirth ありがとうございます. 代数的なきていというの, いまだに感覚が掴めないですね. そもそもバナッハで基底を使わないので
@phasetr たしかにまだゲルファント表現あたりまでしか読んでないのですが, 一度も基底を取ってないです笑 一応線形空間なのに基底を取らないというのは変わった感じがします (無限からの光芒買ってきました←
コメント¶
志賀先生の本はこれだ. ハイパー面白いのでとにかく買って読むべき.
上掲書にもあるが, Banach での基底を Schaudar 基底とか言ったりもするらしい. ただ, 使ったことはない. 作用素環だと, 各作用素の成分表示をするときがないわけでもなく, そのときは「行列単位」という形での基底を取ることはある. 少なくともイメージのレベルではよく行列形式の書き方はするし, von Neumann 環だと本当に必ず射影があるので, それに合わせて「コーナーを取る」とかいう形で作用素を行列表示することもある.
あと, 作用素環専攻だったにも関わらず, 物理への応用まわりと作用素論の勉強にかなり時間を割いたせいで, 本当に作用素環の基礎事項を知らない. GNS とか本当の基礎の基礎と, 物理で使う関係上, 冨田-竹崎理論を (私の物理に必要な範囲内の state レベルで) やった程度. (ただ, たまたま竹崎先生の集中講義があって, weight での定式化も一度やったことにはなっている. ) ICC とか II_1 factor とか, K-理論とか知らないのはかなりやばいのでどうにかしたいとは思うが, なかなか思うに任せない. 先日のつどいで関さんの 290 定理にも興味があったにも関わらず, パン耳パイセンの作用素環入門を聞きにいった理由もここにある. これはこれで十分に楽しかったのでいいのだが, 私の作用素環がズタズタなのは変わらない.
それはそれとして, 初めて邂逅したときは学部初年度でひいひい言っていた学生達が, あっという間に学部 3-4 年になり, 院に行き, とんでもないレベル, 世界最先端にアタックしていくようになるのを見るのはとても楽しい. るの人も 1 年くらいすれば当然私を凌駕するようになるだろう. 何か面白い話を聞かせてほしい.
その他¶
発端となった Banach 空間のアレの PDF の話とかもある. あとこんなマイコメントもつけておこう.
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1100-12.pdf 近寄りたくないw
ちょっとるの人がバナッハ空間に関する, 感銘を受けざるを得ない PDF を張っているのであとできちんと読む
@phasetr 私の心はむしろヒルベルト空間と共にあるのだが, もう 1 つの心の故郷として作用素環があり, 一般にはノルム空間 (ノルム環) であってバナッハ空間なので要はバナッハ空間は祈りの対象
その他¶
あとこの辺も面白い.
@phasetr 読みます. ありがとうございます! (ところでもし面倒でなければ教えて頂きたいのですが (基本的な内容で申し訳ありせん) Banach 空間 A=B+C (直和) と書けるときに B が閉→ C は閉って反例あるのでしょうか?)
@Lyirth 横槍失礼, 直和が単に algebraic な直和の閉包になるというだけの意味なら, closed でない codim 1 subspace はたくさんあるが, dim 1 subspace は常に閉. これらを complementary に取ることは難しくないよね.
@Lyirth 閉包とったほうが安全だけど, この例は片方 dim 1 だし閉包とってないよ. Hilbert でもできるけど, ミソはあえて orthogonal じゃなくとるところさね.
@Lyirth 可算次元 dense subspace をはる基底をとってから, それを延長して代数的な基底を作り, 最後一個以外からはられる subspace は codim 1 だが dense だね. これでどんな Banach 空間でもできる.
@Ara_1729 お風呂で気づきました! 代数的な操作については"いつでも基底が取れる"んですもんね! そこで最初に可算 subspace を貼るのはなぜですか?
@Lyirth 適当に基底とって一個残して subspace 作る時に, closed にならないようにすれば他の方法でも大丈夫
@Ara_1729 なるほど, すっごく納得しました. ありがとうございます, 勉強になりました.
さらっと例が作れるの, 格好いい.
ラベル¶
数学, 関数解析
数学用タイプライターアプリを作ってみた¶
本文¶
typist-jqueryを元に, 理工学 M@ster 用の数学タイプライターアプリを作ってみた. ここに上げておいたので, 御興味のある方はご覧頂き, ご意見など頂きたい.
紙芝居クリエータもいいのだが, アレだと「黒板」と下の台詞を行き来しなければならず, 結構負担があるとかいうご意見を頂いたことがあり, ならば全部「黒板」内でやればいいのでは, という所から着想した.
Github の生態系が分かっていないが, fork とかきちんとした方がいいと思うので, これから色々調べてやってみる. そもそも Git 自体あまりよく分かっていない. バージョン管理というか, 自宅と会社の HOME ディレクトリの共有に使っている感じであって, まずはそこからもう少し何とかしないといけない感ある.
勉強しないといけないこといっぱい. 備忘録としてプログラミング関係の話も書いていこう. 数学関係の人の役に立つことも期待したい.
追記: 2021-06-13¶
いまとなっては jquery も厳しい. 大量生産できるように, かつ簡単に動画を作り直せるようなプログラムを作りたいが, どうするといいだろうか? 詳しい人に頼んだ方が早いとは思う. 依頼できるだけの資金がほしい.
ラベル¶
数学, プログラミング, 動画制作
河東泰之先生ネタ¶
古田彩さんが河東先生の超準解析講演の様子をツイートしていたので¶
本文¶
今日の河東泰之先生の超準解析の講座, 90 分を 3 コマ, 計 270 分を, ノートを一切見ず, スライドも使わず, すべて板書だけで進め, 完璧な時間配分で, 終了時刻を 1 分も違えず着地した.
.@ayafuruta ノートを見ない講義スタイルは, ゲッチンゲンでフロベニウスの講義を高木貞治が見たのが, 日本に伝わったのだと思います. 高木の講義スタイルがどうだったか, 小平さんの自伝などに書いてそうですが私は知りません. 京大では, 園正造がチョーク一本スタイルの講義でした.
@Paul_Painleve @ayafuruta 高木貞二の講義ノートが残ってるようです. http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/takagi/takagi.html でも, 構想を練る時だけ使って講義の時には見てないかもしれないか.
@Paul_Painleve @ayafuruta 「数学まなびはじめ」の弥永先生の所に「大抵の場合原稿をもたれず」と言う記述があります. 現東大の小林俊行先生も基本チョーク一本で講義ですね
@phasetr @ayafuruta ありがとうございます. フロベニウスの講義は高木貞治にも印象に残って, 自らの講義のスタイルにされたのでしょう.
@gejikeiji @ayafuruta ありがとうございます. おそらく, 講義によってノートの有無を変えていたかもしれません. 楠さんも, 3 年生向き函数論はチョーク一本でしたが, 擬等角写像の特論ではさすがにノートを見ていました.
そんなのがあるんだったら聞きに行けばよかったなあ @ayafuruta: 今日の河東泰之先生の超準解析の講座, 90 分を 3 コマ, 計 270 分を, ノートを一切見ず, スライドも使わず, すべて板書だけで進め, 完璧な時間配分で, 終了時刻を 1 分も違えず着地した.
@Historyoflife @ayafuruta 学生に要求していることは当然できるということですね. http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm
完璧にするのはすごいですね. これは数学やってる人には有名なページ. @mkuze: @H @ayafuruta 学生に要求していることは当然できるということですね. http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm
@Historyoflife 彼は駒場の同級生 (京大の中島さんも).
浅野さんとおっしゃった頃ですね. 僕も坪井さんが同級生. 数学人間は一味も二味も違うなあ. @mkuze: @Historyoflife 彼は駒場の同級生 (京大の中島さんも).
@Historyoflife @mkuze ページを見て, 一度読んだことを思い出しました. 「凄いことを要求するなあ」と思いましたが, 講義を聴いて納得. 数学者って皆さんこうなのでしょうか. 物理だとこんな感じで https://twitter.com/ayafuruta/status/460076640161497088 それも許容されてますが
@ayafuruta @Historyoflife @mkuze 学習院の方ではなくて, 数年前に亡くなられた早稲田の田崎先生もノートは準備しつつもあまり見ずにハードな計算までやり遂げる講義スタイルでした. ブログか何かで早川さんのコメントがあったと思います
@phasetr このページ, そういえばかつて相転移 P さんに教えて頂いたような.
河東さんの講演は何回か聴きましたが, やはりチョークと黒板の数学者スタイルの講演が圧巻. 激烈な印象を受けました (もちろん研究成果も物凄い). @Historyoflife @mkuze @h @ayafuruta
私は去年の Summer School 数理物理の場の理論回で初めて河東トークを実際に聞いた. 確かにテクニカルな部分は控えつつポイントはおさえて面白いところを的確に拾っていく腕は並大抵のものではない.
ラベル¶
数学, 数学者, 超準解析
ちゃんとこのページにリンクが張られているのはなぜでしょうか¶
本文¶
河東セミナーニュース (2013 年)なのだが爆笑した.
コンピュータ将棋の初期の開発者として有名であった 森田和郎氏がお亡くなりになったということです. 森田氏は最初 ASCII のオセロプログラムリーグで有名になり, 私も当時 (大学生時代) ASCII でオセロプログラムを書いていたので直接の面識はありませんが, いろいろな接点がありました. ご冥福をお祈りします. なお高校 3 年生当時の私の作品の画面がこちらにあります. しかし旧姓表示なのにちゃんとこのページにリンクが張られているのはなぜでしょうか. (6/4/2013)
経済や物理で必要な数学についてのやりとりまとめ: 微積分と線型代数をきちんとやろう¶
はじめに¶
Twitter でこれとかこれみたいな呟きしたら教官含めいくつか反応があったので, 折角だから記録しておく. まず上の元呟きを転記しておこう.
ツイート¶
https://twitter.com/gametheory4/status/324829386643763200 よく分からないのだが経済, 本当に数学必要なの
数学関係者, 経済の数学というと無駄に確率微分方程式を押してくるが, そんなのを使っている経済の人, 実は経済学内部では異常者だったりしないの
適当にやりとりをまとめておこう.
やりとり¶
https://twitter.com/gametheory4/status/324829386643763200 よく分からないのだが経済, 本当に数学必要なの
【経済学部生間の数学力格差についてっていう論文かきたい】
@phasetr ゲーム理論とか必要では.
@phasetr 勉強するのにも高校 + αの微積分と線形代数は必要なのでは? 後, 確率微分方程式とかゲーム理論とか使う分野もありますし.
@functional_yy ゲーム理論の難しさ, 数学の難しさというより現実とすりあわせた仮定を設定する難しさという印象ですが素人なのでよく知らないというアレ. あと皆が皆ゲーム理論必要なのでしょうか. これもよく知らないので
@hymathlogic 統計学ができる程度の能力を持たない大学生は一人残らず射殺すべきという見解です
@hymathlogic 正確には統計学が必要な学部学科, という条件下で
@phasetr 統計学ができる程度の数学力, と書いた方が良かった
@phasetr 分野により使う数学も変わってきますね. 統計, 確率, 微分方程式, ゲーム理論, 認識論理 (論理学) など.
やりとりその 2¶
@hymathlogic 統計学ができる程度の能力を持たない大学生は一人残らず射殺すべきという見解です
@phasetr 統計学ができる程度の数学力 #とは
@greengrimghost 教養程度の微分積分と線型代数が使える. 「理解」は問わない
@phasetr なるほどその程度なら
やりとりその 3: 教官陣と.¶
@phasetr https://twitter.com/phasetr/status/324845187148943361 と https://twitter.com/phasetr/status/324838051627032576 と見比べると, 相転移 P さんは, 物理学も経済学も異常な一部を除けば数学はいらん, という主張 (もしくはそういう数学の定義) という理解で良い?
@tetshattori 経済の方は確率微分方程式とか無茶なのばかりよく出てきますがそこまで無茶なことしないと経済できないの, という話です. 物理に関しては微分積分と線型代数の守備範囲なめてんのか, という話です. この辺を極端な形で表現しました
数学以外の数学はとても難しいのです. RT @phasetr: @tetshattori 経済の方は確率微分方程式とか無茶なのばかりよく出てきますが そこまで無茶なことしないと経済できないの, という話です
@tetshattori 社会学にとって最低限必要な範囲の統計学が処理できる程度の数学力を持っていない学生は 問答無用で殴り倒すことを前提にしています
@phasetr つまんないこといっちゃうけど, 「何が数学か」とか「どのように使ったら使ったと言えるか」とか, その手の問いは (研究においては) してもしゃあない気がします @kyon_math
@tetshattori @kyon_math 一応, 背景としては新入生が線型代数は何に使うの, という感じで苦しんでいるのでとりあえず物理 (と物理を使う工学) では大事だし, 教養の線型代数と微積分できれば相当範囲の物理できますよ, みたいなことを言っておこう, という感じです
@tetshattori @kyon_math 細かいこといえばきりがないというのはいつもの話で, 細かい話が気になる人たちから突っ込みが来るのは当然として, そういう層に向けたメッセージではないので, 今回のような分かっている人からの突っ込みは別途処理ということで
@tetshattori @phasetr 「数学をどのように使ったら」と言うのはとても大切で, そのような視点からの発言です. 誤解のないように.
@phasetr その文脈ならば経済学は, 微積線形に凸解析 (分離定理) を加えておけばかなり, かと (それでゲームとファイナンスが少しやりやすくなる)
余談¶
数学から工学に移ったときは都落ちしたような悲哀を少し感じていたものですが 「工学の問題にどうやって数学を使うか」という問題はやってみると中々面白いです. ノイズ, 精度, 計算コストの制約があるので単に数学的に解けば良いわけでもない. そういう事がわからず, 最初はかなり空回りしました.
@各位 Twitter で極端な話をすると教官陣から突っ込みを受けるし現在進行形で私が突っ込みを受けているので, それが怖い向きは十分に注意するように. あと RT で回ることまで念頭に置くように
ラベル¶
数学, 物理, 経済, 数学教育, 解析学, 線型代数
日本数学会による大学入試数学問題の解答例および採点基準の開示の是非に関する見解が面白い¶
本文¶
大学入試数学問題の解答例および採点基準の開示の是非については日本数学会が見解を公表しています. http://mathsoc.jp/publication/tushin/0402/21-23.pdf
特に面白かったのは次の箇所.
- 記述式試験の採点は「主観的」なものである.
記述式解答の採点者は, 場合によっては下書きまでも参考にしながら, 受験生の意図を忖度し, その理解の程度を量って, 1) に挙げた能力の判定を行う. 従って, 判断は総合的かつ主観的にならざるを得ない.
数学の記述解答とその採点を「主観」と言い切っているのが凄い面白い. 論文や教科書に表れる著者の個性のようなものか. 採点やったことないから分からないのだが, 採点するの面白そうだと初めて思った. 入試のような面倒な場で経験するのは死んでも御免だが.
ラベル¶
数学, 数学教育, 試験の採点
小林俊行先生のインタビューページ: インタビュー・井上学術賞受賞・小林俊行教授 無限次元の対称性の数学 ~根源から湧き出す泉の豊かさ~¶
本文¶
インタビュー・井上学術賞受賞・小林俊行教授 無限次元の対称性の数学 ~根源から湧き出す泉の豊かさ~という記事だ.
興味がある人はとりあえず読んでみよう. 極小表現について小林先生がいろいろ話している.
この辺からが本領発揮だ.
これ以上分解できない最小のものと言いましたけれども、 実は、重ね合せによる分解という古典的な考え方だけを用いるのではありません。 より単純なものから複雑なものを構成する、表現のインダクションという仕組みがあります。 その仕組みを逆にたどると、単に分解するだけより、もっと根源的なものに行き着きます。 実は、本当に根源的なものは非常に種類が少ないのです。 実際、対称性のほとんどは一次元のものに端を発していることがわかります。 根源的なのに無限次元のものもごく少数存在します。 この例外的な無限次元の対称性の代表格といえるのが極小表現です。
あとこれ.
教えるのが上手とか字がきれいとかというのと全然違うんだけど、 本物の数学の息吹を感じてもらう手助けなら少しできるかなあと。 一・二年生を教えたいという気持ちは、そういうところにあります。
自分の中のものが人に伝わる、あるいは人のものが自分に伝わるという、 空気中に飛び交うもの、目には見えない何かがあるでしょう。 ぼくは、こういう空気を大切にしたいのです。 ついさっきまで研究していた先生がパッと教室に行って講義する。 研究に没頭していた空気がまだ服にもついてるし、 体の中からも出ているかもしれない、それを伝えて、 また学生さんは学生さんで日々研鑽して伸びている空気を出してそれを一つの教室で共有するっていうのが、 何かすごく素敵なものだなあと思う。 それが教えることが好きな理由の一つかなあと思います。
これが凄く大事で, 私もやってみたいと思うことだ. 大したことができなかろうが何だろうが, 研究する気持ち・挑戦する気持ちを捨てずにいること, それを示し続けること, それが大事と信じている.
ちなみに小林先生について以前 この記事でも滅茶苦茶格好いい姿を紹介している. ぜひ読んでほしい. あと『数学まなびはじめ』は必読なので買っていない人はさっさと買ってほしい.
ラベル¶
数学, 数学者, 表現論
鴨さんツイート¶
結城さんとかもさんのやり取りが面白かったので: 距離空間と位相空間, 距離空間へ距離以外の位相を入れてみる¶
本文¶
結城さんとかもさんの話が面白かったので.
向きと大きさか…向きって次元を示唆して、大きさは距離を示唆してますよね。
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 7月 12
大きさと距離はともかく, 向きと次元は関係ないのでは. どういう意味だろう.
線形空間と距離空間と位相空間。なるほど。#何が
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 7月 12
距離が入れば近傍を決められるので、距離空間は位相空間と言えそうな。言えますか。#誰にきいてるのか
— 結城浩 (@hyuki) 2014, 7月 12
@hyuki微妙です。ε近傍を近傍基とすることで距離空間に位相が入るので、その意味では距離空間は位相空間といえます。しかし、距離を使って位相を入れる方法は他にもあります。デフォルトでε近傍を近傍基とする位相を入れることは慣習にすぎないということもできます。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 12
@hyuki距離空間への通常のものとは異なる位相の入れ方です。http://t.co/CmNRy2uvS0著者の一人の立木先生に教えてもらいました。計算してみたところ、Urysohnの万有距離空間で確かに通常のものとは違う位相が得られました。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 12
これが凄まじい. 何だこれは. 論文読めない (取れない) からアレだが, 超読みたい.
専門家, やはり凄い. こういうやりとりを見ているだけで感銘を受ける.
ラベル¶
数学, 計算機科学, 位相空間論, 距離空間論
背理法と対偶と脱背理法教育の悲しみ: かもさんのツイートまとめ¶
本文¶
本当によくわからないが面白そうなのでまとめておいた.
今日、高校の数Aについて学生さん達と話してて、学生が、対偶による証明と背理法がぐちゃぐちゃになってる理由が少し分かった気がした。一緒にぐちゃぐちゃに教えられてんだな。
— Yukiko (@paulerdosh) 2014, 7月 7
@paulerdosh@hamukazu今の教科書は知りませんが、旧課程・数Aの段階だと背理法の良い例がないです。「√2が無理数」を示してる教科書も¥は進学校向けの難しい教科書だけで、易しい教科書だと「最大の自然数が存在しないこと」を例題に挙げてるだけなので、逆に理解が難しい
— Paul Painlevé@Paris (@Paul_Painleve) 2014, 7月 7
@Paul_Painleve@paulerdosh@hamukazuそもそも、高校の数学で本質的に背理法が必要な議論って何かありましたっけ? 否定導入ではなく。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
@CinderellaJapan@paulerdosh@Paul_Painleve@hamukazu2の平方根が有理数でないことの証明で背理法が本質的には使われていないことは、有名な話です。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
@kamo_hiroyasu@paulerdosh@CinderellaJapan@Paul_Painleve@hamukazu本質的に必要な証明はないはずですよ。背理法で示せる命題は全て直接証明できることが示されているはずですから。
— ネオ・タケシ (@tak_eroacc) 2014, 7月 8
「証明に背理法が本質的に必要」の定義は「古典数学で証明できるがBishop流構成的数学で証明できない」です。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
(つづき)そう定義しておかないと、背理法のかわりに排中律なり二重否定除去なりを使って見かけの上でだけ背理法を消すことができてしまって、無意味ですので。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
@kamo_hiroyasuすみません、そもそも背理法って二重否定除去律なんですか?否定導入則っぽくも見えるんですが。
— ytb (@ytb_at_twt) 2014, 7月 8
@ytb_at_twt言葉の定義の問題ですが、推論規則 ¬A,Γ⊢⊥ ⇒ Γ⊢A をRAA(reductios ad absurdum)と呼び、その日本語に「背理法」をあてるのが一般的なようです。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
@ytb_at_twt否定導入を「肯定的背理法」、狭義の背理法を「否定的背理法」と呼ぶ文献を見たことはあります。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
「証明に数学的帰納法が本質的に必要」の定義はどのあたりが妥当でしょうか。「RobinsonのQで証明できない」では広すぎ?
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
否定導入を背理法に含めるかどうかの言葉の定義の問題になりがちで嫌なのだけど、重要なのは、否定導入はほとんど否定の定義のようなものであって、全然、非構成的ではないことです。なので、否定導入と(狭義の)背理法は全然違います。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
否定導入と背理法の話は、典型的な「背景を知らない人には単なる言葉の問題に見える」話で、ツッコミづらいのです。例の脱背理法はそこを突いたともいえます。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
あまりにも悲しい. 最後に祈りのような一文で締めておこう.
学生にできる最大の社会貢献は、今学んでいることをきっちりと習得することです。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 7月 8
ラベル¶
数学, 数理論理学, 数学教育
人生は組み合わせ爆発だ¶
本文¶
前も紹介したかもしれないが改めてこう色々参考になると思ったので.
おねぇさぁぁぁぁぁん! 日本科学未来館のアニメに狂気が宿っていると話題に - ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1209/11/news104.html これ, 純粋に滅茶苦茶面白いけど教育効果も高いんじゃないの? 子供たちにアルゴリズム技術への興味をもたらし, 現在のスパコン性能もアバウトに伝えてる.
ガチガチにアカデミックな内容でも見せ方を工夫すれば結構興味は引けるはずだと確信を深めるアレだと感心する. 超参考にする.
ラベル¶
数学, 計算機科学, アルゴリズム, スパコン
Twitter まとめ: 受験レベルで数学が苦手だからといって大学進学時に数学科を諦める必要はない¶
本文¶
Twitter で sulaymanhakiym さんと心温まるハートフルなやり取りをしてきた. 毎年受験が近づくと呟いているのだが, 折角なのでまとめておこう. やりとりはここから始まる.
@phasetr センター国語何点でしたか?
@sulaymanhakiym センターの点数, 数学が悪かったということくらいしか覚えていないですね
@phasetr m9(^Д^)プギャーーーッ
@sulaymanhakiym 数学が苦手だったことが受験時代の一番の思い出です. 一浪したとき, センターの数 2B で大失敗したのですがその帰りに高校の友人 (女の子) が彼氏と歩いているところに出くわして「自分は浪人してまで何をしているのか」泣きたくなったところまでがセットです
@phasetr (泣いている)
@phasetr 悲しいことを思い出せてしまってごめんなさい.
@sulaymanhakiym 受験の時期にはいつもこれをツイートして受験生を勇気づけています. 数学科の大学院に進学するような人間であってもセンターずるずるだったので, 受験レベルで苦手だからといって数学科を諦める必要はないと
というわけでみんなも数学をしよう.
ラベル¶
数学, 受験
数学と家庭科と料理とあと何とか色々¶
はじめに¶
引用¶
@yuzukosho ぐぐって納得したところで終わりました #すでにあきらめてる
@rusk_ 気持は良くわかります…学生時代は数学死ね死ね団でしたし #でもあきらめきれない
@yuzukosho @rusk_ ただ数字並べられても・・・という感じでしたが, お菓子のレシピをいじる時とかに, 割合だったりはものすごく大事なので, 食べ物に絡めて教えてもらえばもっとやる気が出たのかと. . . 体積だったりは, オーブンにどのくらいの塊肉が入るかとか.
@hiyokomame_soup @rusk_ わかる気がします. 家庭科と数学は全然絡まないですもんね… Twitter では化学畑で料理上手な方とか見かけます. そういう工夫が上手くハマれば, (数学嫌いで) 料理上手な方がそちらの道に進む可能性が広がるのでは…
@yuzukosho @rusk_ どこぞの国では小学校の低学年は, 学科の区別無く, すべてが関連してる本をどんどん読ませてから, 次のお勉強するらしいので, そんな方法もうらやましいなあと思ったり.
@hiyokomame_soup @rusk_ へー. 型にはまらず伸びそうですね. 面白い. どこの国でしょうねー
@yuzukosho @rusk_ ロシアというか旧ソ連になるのかな. 米原万理さんがエッセイに書いていたのです. ちょっと調べたら, むかしのほぼ日に同じような事がのってました http://www.1101.com/education_yonehara/2002-11-11.html
@hiyokomame_soup @rusk_ ありがとうございます. こういう教え方, いいですね…脳にサボり機能があるのは実感します. 明日もう一度読みます.
参考にしたい.
追記¶
家庭科と数学は全然絡むはず. ブログ読んでね☆ (ステマ
数学というより化学や生物, 物理だと思うが, URLはこれだ. 参考にしたい.
ラベル¶
数学, 家庭科, 料理, 相転移プロダクション
Nik Weaver, Forcing for Mathematicians に集合論的手法の $C^*$-代数への応用みたいな話が載っているらしい¶
本文¶
6 月に出版予定らしい Weaver の "Forcing for Mathematicians" http://www.amazon.co.jp/gp/product/9814566004/ が気になる. 集合論的手法の $C^*$-代数への応用みたいな話が載ってるっぽい.
@tri_iro Calkin 環とかの話でしょうか. 学会で何かそんな話を超楽しそうに話していた講演を軽く聞いたことがあるだけなのですが
@phasetr 本の中身の詳細は知らないのですが, 著者が Nik Weaver なので, Calkin algebra 関係の話は入ってくると思います (たぶん)
Calkin 環の話, 一度きちんとやってみたいとは思っているものの何もしていない. Calkin 環, 定義はかなり簡単 (学部 4 年で十分に分かる) のに, 結構最近解かれた未解決問題があったりと結構面白そうな対象なのだが.
ラベル¶
数学, 数学基礎論, 作用素環, 数理論理
市民メモ: この間, 構成的場の量子論や代数的場の量子論, 超弦理論について宇宙賢者と話したことを記録する¶
はじめに¶
この間とある機会に宇宙賢者と話すことがあって, 少し言われたことや話したことがあったので, それをついでにここにまとめておく.
細かい部分を覚えていないこともあり大幅に細部を省くが, 立川さんの話として, (Araki-) Haag-Kastler の代数的場の量子論はやや古い内容であること, ストリングの方でも物理として基本的な所が結構抜けていてやっている人もいないので むしろそういう方をやってくれる人がいないか, というような話があった.
直接関係ない部分もあるが, 代数的場の量子論や構成的場の量子論で私が興味ある部分について改めて書いておきたい. 素粒子の方はさっぱりなので間違っている公算も高いが, 特に超弦の方は相対論的場の量子論の適用範囲外のことをしていると思っている. ここでポイントになるのは, 例えば QED で普通の理論物理の話では, 超弦レベルのエネルギースケールの話と全く関係なく成立しているということだ. 他にも非相対論的場の量子論, 統計力学の結果は非相対論近似が高い精度で成り立っている. こういうのを「物理の階層性」と言ったりする. 興味がある向きは清水さんの熱力学の本などを読んでみよう.
物理の階層性からすれば, 超弦に頼らず相対論的場の量子論や非相対論的場の量子論が展開できるはずで, そこを正確に把握したい, というモチベーションがある. 相対論的場の量子論からいうと, QED は数学的には存在しない (物理的には漸近的自由ではないから) と言われているが, 一方で QCD のレベルならゲージ理論は閉じるだろう, という物理的見立てがあると聞いている. QED では理論が絶対に閉じないか, というのも私には興味ある問題だし, QCD に行けば本当に閉じるか, という問題も物理の階層性からすれば大事な問題だ.
また非相対論的場の量子論からすると, 紫外切断にまつわる問題がある. 普通, 非相対論領域だと紫外の対象になるような高エネルギー領域は人工的にカットして構わない, ということになっている. ただ, 紫外のカットを外したときに非相対論で理論が閉じるか, というのは大きな問題で, こういう観点から研究をしている人もいる. 例えば物質の安定性などは古典論では議論できず, 量子論で議論しなければならない問題だが, そもそも量子論だからといって本当に証明できるかは全く分からない. これについては本当に数理物理が先行している話で, しかも Lieb 周辺の数理物理の人間しか研究していないと聞いている.
知らないのだが, この辺を物理として真っ向から議論している人, どのくらいいるのだろうか. 素粒子なんて放っておいても勝手に興味を持つ人間たくさんいるのだし, こちらに人をよこせ, と思っているくらいだ.
素粒子は大勢の人間が切磋琢磨して 1 つの目標に向かって進んでいくというイメージがある. 一方, 代数的場の量子論・構成的場の量子論界隈は物理としては圧倒的に地味だ. 代数的場の量子論は数学的にはかなり格好いい話だが, 構成的場の量子論に至っては数学としても死ぬ程地味で, 私が興味ある統計力学の問題も負けず劣らず地味だ. 地味だが (学術的には) とても深い意味のあることなので, 少人数であろうともこの血脈を絶やしてはいけない.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 場の量子論, 超弦理論, 統計力学
Twitter まとめ: 解析力学, 電磁気学, 相対論と幾何学の関係などを簡単にまとめてみた¶
はじめに¶
ぼんてんぴょんさんと力学, 解析力学まわりで少し話をした. 参考になる向きもあろうかと思うのでまとめておく. この辺からはじまる.
応答その1¶
ふと思いついたが, 剛体を考えるとき, 質量のあるところだけに質点があるのでなく, 剛体の外側にも質量ゼロの質点が (空間全体に) 分布していて, これらが剛体との位置関係を保ちながら動くと考えれば, 「そこに質点があるか」を気にしたくないときに記述しやすくなるのではないだろうか.
@y_bonten 状況良くわかっていないのですが, いわゆる場の理論はその感覚近い気がします. 電荷がなくても電場なりが空間にきちんとあるみたいなそんな感じ
@phasetr ありがとうございます. 確かに, 電荷から解説が始まっても, いつの間にか電場のほうが主役に躍り出ていきますよね.
応答その 2¶
あと この辺.
座標系にまつわる問題が古典力学の理解の大きな壁になっていることは間違いないと思う. 「ある座標系で考えると煩雑になりすぎて実質無理」という状況はともかく, 同じ現象をどの座標系で考えたって, 表現が異なるだけで辻褄が合わないといけない. それを確認するのが勉強だと思うのだが (以下略
@y_bonten それ, 正に解析力学です. 相対論でも大事で, 多様体論の基礎にある思考でもあります
@phasetr なるほど, では同じ心がけでそのあたりの分野も勉強してゆけば良いわけですね. 意を強くしました.
@y_bonten 多様体論自体が解析力学を起源にしています. シンプレクティックのあたりです. 相対論も座標変換による方程式の変換の問題という面があるので
@phasetr そうなのですか! こういうロードマップを示していただけるのは本当にありがたいです.
@y_bonten その辺をもっと積極的にやろうと思ってブログ始めました. Twitter でもときどきやっていましたが
@phasetr よく読ませていただいています. 今後も期待しております.
解析力学と多様体¶
こういうと嫌がる数学の人もいるのだが, 解析力学と電磁気学は数学に影響を与えている. 上で書いた通り, 解析力学は多様体論の母体になっている. 電磁気学は物理のゲージ理論の一番簡単な例だが, このゲージ理論は数学のゲージ理論につながっている. またベクトル解析は電磁気学を整備する中で発展した数学で, ベクトル解析は多変数の解析学で大事だが, より強く幾何学でも de Rham 関連でとても大事.
あまりまともに物理の本を読んでいないのであまり詳しく参考書を挙げられないが, 一応知っているものは挙げておこう. 有名なだけで読んでいない本も挙げるので, ご注意頂きたい.
簡単なコメント¶
山本義隆の解析力学は物理の本だが, 物理の初学者が読むと間違いなくつらいので, もう少し物理として簡単な本を読んでからにした方がいい. 実際, 学部 2 年時の私にはつらかった. ただ内容が豊富なので面白いのは間違いない. また, 素粒子など幾何学が必要な人が手始めに読む本としてもいいのかもしれない. そちらはよく分からないので何とも言えないが.
深谷先生の本は読んだことがない. 評判はよいのでとりあえず挙げておいた.
太田浩一の電磁気学だけ読んだ. マクスウェルは読んでいない. 電磁気学の方は相対論や量子力学との関係についての話題があり, 色々なつながりが見えて読んでいて楽しい. ベクトル解析や Fourier なども適宜解説されている. 物理の中で数学を学ぶ, という点でもそれなりに使えるだろう. ただ, それなりにハードな本なので読みこなすのはしんどい.
理論電磁気学は計算が丁寧なのがいい. 特に電磁波や散乱周りは計算が物凄い面倒なのだが, そういうところで参考になる. 計算できないなんて軟弱な, と思う向きもあるだろうが, 専門というわけではなく速習が必要だったり, 久し振りに復習するときにさっと計算を確かめたい場合などには重宝するだろう. また, 物理を楽しみたい, という向きで計算も頑張りたいが一人はきつい, という向きもあろう. そういうところにとってもこういう本があるのはいいことだと思う. 実際に色々書いてみると分かるが, 細かいところは面倒なので飛ばしたくなるので, 結構こういうところは適当になりがちだ. 専門書だと計算をきちんと追い切らせることも大事な訓練なので, 余計に省かれる傾向にあるから.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 力学, 幾何学, 電磁気学, 相対論
現代数学探険隊でのセルフコンテインドネス: 「現代数学が難しいnつの理由 - はじまりはKan拡張」へのコメント¶
infinity_topoi さんによる次のような記事が出た.
項目だけ挙げておこう. 詳しくは上記リンクから記事を見に行ってほしい.
- その1:まず、そもそも数学の厳密さは難しい
- その2:高校数学とはスタイルが大きく異なる
- その3:実はSelf-Containedな教科書は少ない
- その4:勉強することが膨大な一方で全体の見通しが悪い
- その5:大学コミュニティと外部の間の情報格差が大きい
- その6:現代数学を学ぶことがなかなか仕事にならない
このうちその 3 は特に現代数学探険隊で, その 4 はここにある無料講座をはじめとした各種コンテンツとしてまさに対応するコンテンツを作っている. その 5 に関しては例えばここで参考文献集を公開している.
私自身, 幾何の勉強で日々死ぬ程苦労している. 特にその 3, 現代数学探険隊に関する思いのようなものを改めていろいろ書いたのでまとめておく.
ツイートまとめ¶
これ、幾何の話があったのでこれまで幾何で苦労した話を書くと、ホイットニーの埋め込みやらサードの定理やらホッジやら、幾何は基本的な定理が示されないケースがやたら多い印象があり、幾何の人はどう勉強しているのか不思議でならない。名著と名高いミルナーのモース理論もちょっと面倒そうな命題は全部当時の文献にぶん投げられていてあの本は読めたものではないと思うのだが、読める人今いるの?微分幾何に関してまたセルフコンテインドなやつを作ろうと思っていて、今作っている力学・微分幾何の計算コンテンツもその一環であった。
全く知らないので適当な話だが、何となく代数幾何は準備が膨大な分、証明抜きで紹介されるだけの定理なさそうな気がするが、微分多様体・微分幾何はとにかく証明抜きで認める感じの定理が多く、何でああなったのか全くわからない。調和積分論の証明が書かれた、多様体の基本から書いてある幾何の本、ドラームの本とワーナーの本しか知らない。調和積分自体がテーマの本はあるが、ベクトル束の議論を突っ込んでいたり、ちょっとレベルが上がる印象がある。もちろん解析学上の議論のレベル・ハードルがかなり上がるから、それ相応のバックグラウンドが仮定されるのはわからないではない。多様体上のソボレフ空間またはカレントの議論がいるわけだが、多様体上のソボレフ自体がまた難しい。解析学専攻でも学部三から四年の内容をさらに面倒にしていて、非コンパクトの場合はソボレフ空間が一の分割に依存するとかいう話もある。
何故(物理の色彩が強く近似の議論などもある)力学?と思う人がいるかもしれないので書いておくと、解析力学はシンプレクティック幾何の母体とよく言われるし、それ以前に力学で出てくる常微分方程式の解法それ自体が多様体論の母体だったりもする(少なくともそういわれている)からだ。数学サイドで何らかの形で物理に触れたいという場合、解析力学は1つの軸になるという気分があるが、その前段のふつうの力学がどれだけカバーされているのかよく知らない。そういった部分も意識して、近似も何をどうやっているのか多少なりとも埋める目的で力学をやっている。もちろん他のもっと面倒な物理の前哨戦でもある。運動学に関して言えばそのまま古典的な、3次元空間内の曲線論で、フルネー-セレなども途上で出てくる。具体的な常微分方程式の処理もあるし、幾何学的変分問題と測地線なども当然物理、力学と関係がある。
ちょっとしたやりとり¶
- 全く知らないので適当な話だが、何となく代数幾何は準備が膨大な分、証明抜きで紹介されるだけの定理なさそうな気がするが、微分多様体・微分幾何はとにかく証明抜きで認める感じの定理が多く、何でああなったのか全くわからない。調和積分論の証明が書かれた、多様体の基本から書いてある幾何の本、
いや、多いと思いますよ。記事にも書きましたが、Mitchellの埋め込み定理とかも志保先生の本が出るまではロストテクノロジー扱いだったと思います。あとは「これはEGA/SGAに書いてる」みたいなのも多いです。やっぱり一時代前の「基礎数学」の整理は完全に欠如してるんだと思うんですよね。
幾何の人、ブラックボックスをどう処理しているのか不思議でなりません。
実際のところ、ブラックボックスを丁寧にフォローしている人も少ない気がします。僕もその辺のブラックボックスを綺麗にしたいという思いはありますね。現代的に整備すれば、意外とそんなに難しくないこともあると思います。
ちなみに私なりに数学の勉強がつらい理由、https://phasetr.com/mtexpdf1/、https://phasetr.com/mtex1/、https://phasetr.com/mrlp1/、https://phasetr.com/mthlp1/などに書いていて、それぞれその問題を解決することを意図してコンテンツを作っています。
微妙に関連する話題¶
『初学者のための偏微分 ∂を学ぶ』井ノ口順一(現代数学社)熱力学で活用される全微分や,波動方程式の解を与えるダランベールの公式,線型偏微分方程式系の積分可能条件,陰函数定理と逆函数定理,陰函数定理を用いた平面曲線の概形の描き方等,説明を充分に受けない可能性のある内容を丁寧に解説 pic.twitter.com/1k1Ar2XDjr
— 書泉グランデMATH【短縮営業11時~20時】 (@rikoushonotana) August 22, 2020
井ノ口さんの本, 『リッカチのひ・み・つ』と『曲面と可積分系』を持っていて, 2 冊とも非常に教育的でしかも面白かった. 後者は献本して頂いてここに書評も書いた. この記事をご覧になった方はぜひ買って読んでみてほしい. 2 冊とも上の「その4:勉強することが膨大な一方で全体の見通しが悪い」の気分で書かれた本で, 全体の見通しという点に関して書評の形でさらにいろいろコメントした. 私もこんなコンテンツを作ってみたいものだ. 専門家・研究者としての知見を活かした非常によい教科書だった. 今回の『初学者のための偏微分』もきっといい本だと思う. 買う.
やりとり追加¶
この件なのですが、P氏の知見では結局調和積分論を学ぶのに最も良い本は何なのでしょう。結局学生時代は北原などをパラパラ見て深追いしなかったのですが、de Rhamは(入手困難ですが!)読み応えのある非常に良い本だろうなという印象を受けました。
そもそも多様体上の解析にまで踏み込めるほど幾何を理解できていないのでわかりません。調和積分論と微分幾何は憧れがあるので今まさにそのための基礎固めを兼ねてコンテンツを作っている状態です。PDE自体も専門ではないので、そこも適宜補う必要がある状況です。解析系を基準にするなら、ドラームの本のカレント方向よりも素直にソボレフ空間の定式化を使いたいのですが、幾何の人々に定評があるWarnerはソボレフの一般論ではなくフーリエ級数を経由してソボレフの議論をやっています。
あと気になるのは普通の幾何の本だとコンパクト多様体に限定してシャープな結果を出す形ですが、解析からするとごく単純に非コンパクトのときにどうするかも気になります。非コンパクトな場合は少なくとも2000年代レベルで論文がいくつかあります。熱核方向、そしてそれを前提にした確率論応用など。解析的には(非コンパクト)多様体上のソボレフ空間論にいろいろ難しいことがあり、それ自体が興味関心の対象です。純粋な幾何の人ならとりあえずコンパクトだけでも十二分に楽しめるのでしょうが、解析方面からするともう少し突っ込みたかったりします。
その塩梅まで考えて解析サイドから見たときのいい本・いいコンテンツというのが私が求める対象です。当面、ユークリッド空間上のソボレフ空間論は前提にしていいので、Warnerのようなフーリエ級数論を経由しない解析的にダイレクトなアプローチ、多様体の初歩からきちんとカバーしたコンテンツがほしい
今気になっているのは Nicolaescu の本(の著者無料公開版です。多様体の基礎からコンパクト多様体上のホッジ、ディラック作用素の議論まで入っているので、項目のラインナップとしては私が理想としている内容という印象です。あとは私の幾何耐性を強化して読みこなしたいという状況。
酒と泪と数学者と業績: 富山先生と竹崎先生と河東先生¶
本文¶
Twitter でときどき大学生の飲み会がらみのしょうもないネタが出てくるがそれについての話.
https://twitter.com/momongams/status/68881985375977472 https://twitter.com/Jelly_in_a_tank/status/380683596396101632 【そもそも数学科に飲み会ねえから. >RT】 私が作用素環の富山先生に聞いたところによると「竹崎君は昔酒が飲めなかったが, 酒が飲めるようになったおかげで一流の数学者になった」という話がある
上記 2 ツイートも引用しておこう.
数学科「n 杯飲めてー, (n+1) 杯飲めないわけがなーい」 とかいうコールが出回っていますが, n 杯飲めて n+1 杯飲めるとは限りません.
「 n=1, n=k が成立すると仮定した時, 数学的帰納法を用いて証明すれば, n 杯飲めてー, (n+1) 杯飲めないわけがなーい」 と言わないとダメです.
あとこれ.
そもそも数学科に飲み会ねえから. >RT
Twitter では何度か呟いたことがある富山-竹崎ネタでブログにも既に書いたかもしれないが, まあ何度書いてもいいだろう. 数学者ネタ好きなのだが, 他にも好きな人がいるだろうし.
これも前に書いた気がするが, 同じ作用素環で竹崎先生と師弟関係にある東大の河東先生はお酒が全く飲めないが立派な仕事をしている. 酒が飲めないと数学できない訳ではないので心配しないでほしい.
ラベル¶
数学, 数学者
次世代の数学書は定理の証明や例・反例は追加パックで買う¶
本文¶
先日の飲み会での話. DeNA やグリーがもし数学書を電子出版すれば, 「証明は自明」と書いてるところで「100 円課金で詳細を解説!」と出てくる. 演習問題の解答も全て課金システム. Web3.0 時代の数学書はこうなっちゃうな.
@nolimbre 課金のバランスをうまく考えれば, DeNA 数学シリーズ・全巻無料! (でも, すべて課金すれば一冊 20 万円) とかで大儲けできるかもしれません. 演習問題を試験に出すことにすれば, 7 月と 1 月にはサーバーが落ちる「バルス」本まで生まれることでしょう.
今鍵がかかっているのでアレだが, 以前 nolimbre さんが言っていたのは, 上記のようなタイプのような数学書について「定理の証明パック」とか「例や反例の追加パック」つけよう的なアレだった.
例と反例の追加パックは本当にほしいし, 自分でも何とかしたいと思っている. 単位元のない環に関する話を繰り返し書いているのもその辺を何とか埋めようと思ってのことだ. つどいでの講演もこの辺の話に端を発している.
前, Euclid の幾何アプリとかどうだろうというのを考えたことがある. 定理を武器というか鍵というか, とにかくその辺の何かに見立てて, はじめは公準しか使えないところに定理という鍵をどんどん見つけていって, 合う鍵を上手く見つけて定理という閉じた扉を開けていく, みたいなゲーム. 初等幾何で「直観的に明らかなことなのに何故使ってはいけないのか」というのを, 鍵とかで適当に表現してゲームとして身につけさせる感じ.
これの最大の問題は, 証明の自動採点部分だ. ゲームにするなら人力は無理だから. Euclid の原論の流れに沿った形にすれば多少は何とかなるか, とか思ったが, それを実装する腕, 少なくとも私にはない. 一般の数学でやると, 証明の経路が凄まじく多種多様になるため追いつかないので, 今の時点で本当にゲーム化するなら, 適当に制限を入れないと無理だろう.
IT が進歩したといっても, この程度も実現できていないし, 乙女回路などもいまだ開発されていないし, こういうのを少し考えただけでも科学万能主義とかいうのが異常者の戯言というのが分かる.
最後に これを引用して終わりとする.
.@wingcloud 各節末の演習問題を解くと, ビブンタンやコユーチタンなどの素敵な萌えキャラカードが集められるんです. 後半になると着てる服がしだいに (略
ラベル¶
数学, ゲーム
ある環が可換環になる十分条件: Jacobson's Commutativity Theorem¶
本文¶
何かよく分からないが, 環が可換環になる十分条件的なアレで Jacobson's Commutativity Theorem という面白そうな話があるらしい. これだ.
x^4=x 以外にも 2,3 で似た様に示せて, 条件が付けば n でもいけるっぽい事示せて何これとか思ったらもっと強い結果が割と普通の証明付きで知られているようだ http://www.mateforum.ro/articole/jacobson.pdf
これは一般の環で言えるらしい. まず $n=2$ の場合の定理の言明を書いておこう.
Lemma 1.1
If $x^2 = x$ for all $x \in R$, then $R$ is commutative.
この 2 を $n$ に一般化できるか, という問題で, 流れとして division ring (和訳忘れた) で示してから一般に示すことになっている. 長くない上にそう難しくもないので, 興味がある向きは自分で PDF を追ってほしい.
ところでこんな記述があった.
We can think of this as a generalization of the well-known fact that every finite division ring is a field.
これを知らない程度に代数弱者の市民である.
ラベル¶
数学, 代数学, 可換環論
背理法と対偶の違い¶
ツイートまとめ¶
緩募 背理法と対偶を示す証明の違い的なアレ。前どなたかに聞いた気がするが忘れてしまった。今度こそきちんと記録したい。背理法といいがちだが実際には対偶を示しているとか、その逆の事例みたいなのもあれば知りたい。
— 相転移P (@phasetrbot) May 6, 2021
はじめまして。実はいつも楽しくツイートを拝見しております。
— NYK (@nyk_nyk_nyk) May 6, 2021
(背理法)
Aを仮定して(Bかつ¬B)が示されたなら¬Aを結論してよい。
(対偶)
A⇒Bと¬B⇒¬Aは同値。
対偶の後半のフレーズが似ていますが実は全く異なります。√2が無理数であることの証明はたしかに待遇を取るだけでは証明できません。
(追伸)背理法によって対偶を証明できることが混乱(?)の原因なのかもしれません。
— NYK (@nyk_nyk_nyk) May 6, 2021
英語での検索結果¶
日本語だと高校の話が大量に引っかかるので英語で探した. 案の定 mathoverflow が出てきた. 追加で Reductio ad absurdum or the contrapositive? から翻訳しつつ引用する.
まずはふだん使わないからすぐ忘れるので, 参考までに背理法と対偶の英語をメモしておく.
- 背理法: reductio ad absurdum
- 対偶: contraposition
翻訳・引用開始¶
記事中段あたりに出てくる議論¶
このコメントが良さそう. よく混同される気分を説明してくれていそうな気がする. Twitter でもらったコメントでもある模様.
it is certainly true that every proof by contrapositive can be phrased as a proof by contradiction. Indeed, since the latter is perhaps a bit more intuitive,
We wish to show $A \implies B$. Suppose we know that $\lnot B \implies \lnot A$. Suppose further that $B$ is false. Then $\not B$ is true, so $\lnot A$ is true, so $A$ is false, contrary to our assumption.
これが対偶+背理法のよくある「わかりやすい」証明.
Suppose a proposition can be proved by contraposition. As above, there is then a standard recipe for modifying the proof to give a proof by contradiction.
上のレシピで対偶の議論が背理法のように変換されてしまう.
However, proof by contradiction is a more powerful technique in the informal sense that some proofs are more difficult to phrase using contraposition. (I don't want to say impossible, because as above, both "techniques" are simply logically valid arguments, so may be inserted in a proof at any point.)
インフォーマルな意味での背理法による証明の利点は, 対偶として綺麗にリフレーズするのが難しい場合にも雑に使えることにある.
What makes contradiction potentially more powerful? (This is a question that you have to face when you teach introduction to proofs classes, as I have. I wouldn't have had as ready an answer before.) I think it is because we get to assume two things rather than one. Namely, instead of just assuming $\lnot B$ and using that one assumption to work our way to $\lnot A$, we get to assume both $A$ and $\lnot B$ and play them off one another in order to derive a contradiction.
対偶証明と背理法の比較で背理法が強力に見えるのは 2 つ仮定できることによる. つまり対偶では $\lnot B$ しか仮定できないが, 背理法では $A$ と $\lnot B$ が仮定できて使える条件が増える. このあとによくある $\sqrt{2}$ の無理性に関して具体的な説明がある.
but in many cases that would amount to inserting a tiresome rigamarole
rigamarole という単語, はじめて見た. 「長く複雑で困惑させる手続き、一連の混乱して無意味な話」とのこと.
記録 1¶
Proof by contradiction (, i.e. derive $\Delta \vdash \varphi$ from $\Delta, \lnot \varphi \vdash \bot$) is not valid in intuitionistic logic. Proof by contrapositive (, i.e. derive $\Delta \vdash \psi \rightarrow \varphi$ from $\Delta \vdash \lnot \varphi \rightarrow \lnot \psi$) is neither.
はじめのツイートと同じ事案.
英語メモ¶
The reason is the fecundity of the proof
fecundity は繁殖力、生殖能力の意味らしい. はじめて知ったので記録.
素数の無限性メモ¶
For an example of a proof where we are led to false expectations in a proof by contradiction, consider Euclid's proof that there are infinitely many primes. In a common proof by contradiction, one assumes that p1, ..., pn are all the primes. It follows that since none of them divide the product-plus-one p1...pn+1, that this product-plus-one is also prime. This contradicts that the list was exhaustive. Now, many beginners falsely expect after this argument that whenever p1, ..., pn are prime, then the product-plus-one is also prime. But of course, this isn't true, and this would be a misplaced instance of attempting to extract greater information from the proof, misplaced because this is a proof by contradiction, and that conclusion relied on the assumption that p1, ..., pn were all the primes. If one organizes the proof, however, as a direct argument showing that whenever p1, ..., pn are prime, then there is yet another prime not on the list, then one is led to the true conclusion, that p1...pn+1 has merely a prime divisor not on the original list.
ユークリッドの証明で $\prod_{k=1}^n p_k + 1$ が素数であるように感じてしまう初心者がいるが, これ自体は一般には間違いだというよくある話.
証明の質¶
proofs by contraposition are more satisfying than proofs by contradiction, because they give you more information beyond just knowing that the desired result is true. For instance, in analysis, proofs by contraposition tend to be finitary in nature and yield effective bounds, whereas proofs by contradiction (especially when combined with compactness arguments) tend to be infinitary in nature and do not easily yield such bounds (unless one very painstakingly converts each step of the infinitary contradiction argument into a finitary contrapositive argument).
対偶で示す方が背理法で示すよりもいいという話でユークリッドの素数の無限性とも関係する. 対偶を示すのはいわばふつうの証明で, その中で示したことは正しいものの, 背理法の中で示したことは正しいとは限らない.
背理法と対偶についてふと思ったことをつらつらと書いた¶
この節についての¶
ここは上のメモを書く遥か前に書いた文章. まとめた方がよさそうなのでまとめた.
本文¶
2013 年の理科大の数学入試問題的なアレでこう色々と話題になった背理法だが, 例のあの HP に書いてあることが寸分の狂いもなく 社会的という訳でもないというのをふと思ったので, それについて書く.
時々, 対偶を示すべきところで背理法を使って文章を書いている人がいる. 対偶使った方が話の流れとして素直に書きやすくなると思うし, そもそも議論が見えていないということなので, 意識して直した方がいい. 実際問題, 背理法は結構扱うの難しいときがある.
名古屋の小林亮一先生だかに聞いたところによると, Poincare 予想の解決で有名な Perelman の論文は 5 段くらいの多段で背理法を使っているそうだ. 何が仮定で何を示したくて何を否定しているのか混乱してきて, 読むのが大変だったという.
あとあまり関係なく例の HP にある $\sqrt{2}$ の無理性証明だが, あれ, 私にはすごく読みづらいのだが他の人はどう思っているのだろうか. 単に慣れないだけかもしれないのだが, $\neq$ で式が繋がっていくのがすごく見づらくやりづらい.
特別何かが言いたいというわけではなく, 備忘録的に残しておく感じのアレだった.
上記内容への反応¶
追記¶
上記内容に関して次のようなコメントを頂いた.
あとあまり関係なく例の HP にある $\sqrt{2}$ の無理性証明だが, あれ, 私にはすごく読みづらいのだが他の人はどう思っているのだろうか. 単に慣れないだけかもしれないのだが, $\neq$ で式が繋がっていくのがすごく見づらくやりづらい.
私もアレはアレだと思うのでナニしてみた (http://animaleconomicus.blog106.fc2.com/blog-entry-878.html). ソレもアレだという意見は歓迎する.
コメント¶
そちらにつけたコメントも一応再掲しておく.
証明自体は正しいと思うのですが, 気分的にまだすっきりしていなくて, ずっとそのところを考えていました.
それはそれとして, 細かいところがいくつか気になります.
ある, 0 より大きい有理数 S があるとする. (仮定) これは仮定ではなく事実でしょう.
ある数が 0 より大きい有理数であるとき, その数は一意に素因数分解されて, もちろん言いたいことは分かりますが, 有理数に対して素因数分解という言葉, 普通は使わないでしょう.
単純に見慣れない証明だからなのか何なのか分かりませんが, 異様なくらい気分的にすっきりきません. 初等的な命題の初等的な証明でここまで腑に落ちないのがすごく面白いので もう少し考えてみます. コメントありがとうございました.
元のサイトの証明¶
これも引用しておく.
$\sqrt{2}$ は有理数ではないことを証明する.
ある, 0 より大きい有理数 $S$ があるとする. (仮定)
ある数が 0 より大きい有理数であるとき, その数は一意に素因数分解されて, そのすべての指数は (0 を含み, 負の整数を含む) 整数である. (正しい)
例 1) $2/3 = 2^1 \cdot 3^{-1}$ 例 2) $4/9 = 2^2 \cdot 3^{-1}$
$S$ を $\sqrt{S} \times \sqrt{S}$ と表わす. すなわち, $S = \sqrt{S} \times \sqrt{S}$ であり, $\sqrt{S} = \sqrt{S}$ である. $\sqrt{S}$ が有理数であるならば, $\sqrt{S}$ は一意に素因数分解される. ゆえに, $S$ を素因数分解した場合, おのおのの素数の指数が (0 を含めた) 偶数でなければ, $\sqrt{S}$ は有理数にならない. (正しい) ここで, 2 を素因数分解すると, 2 の指数は 1 であって偶数ではない. (正しい) ゆえに, 2 は「"二つの同一の有理数"の積」では表わせない. ゆえに, $\sqrt{S}$ は有理数ではない.
これが提示しようとしたものである. Q.E.D.
初等的な命題の初等的な証明に何故ここまで腑に落ちないものを感じるのか, それが面白い.
第二可算公理を満たさない多様体の例を教えて頂いたので¶
本文¶
パラコンパクトでない多様体の例とか第 2 加算公理を満たさない多様体の例とか知りたい
@phasetr http://www.ams.org/journals/proc/1953-004-03/S0002-9939-1953-0058293-X/S0002-9939-1953-0058293-X.pdf
@eszett66 代数幾何恐るべし
代数幾何のかなりシンプルな構成で第 2 可算公理を満たさない例が作れるというの, かなりリアルに戦慄した. 代数幾何, もうすこしきちんと勉強した方がいい感ある.
あと今回の例に限らず, ちょっとした例を例の本に入れてためていく. https://github.com/phasetr/math-textbook 今回のももちろん文献と共に突っ込んでおいた. いろいろな例を充実させるというの, 前からやりたかったことなので 今回のように教えて頂けるととても助かる. 実にありがたい.
ラベル¶
数学, 幾何学, 代数幾何, 複素幾何
宣伝: 坊ゼミ@埼玉大¶
本文¶
Twiplaで参加募集がかけられている. 私も話す方で参加してくる予定だ.
関西すうがく徒のつどいもあるので, さらりと話せる内容ということで専門に近いこと, 特に量子力学関係の数学についてゆるりと話す予定. 今のところ線型作用素の摂動論あたりを考えている.
ご興味ある向きはぜひ参加されたい. またできる範囲でなら「こんなこと話せ」という要望にもお答えするので, 何か Twitter ででもコメントされたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, イベント
世界樹ポエム御大とのやりとりの私的まとめ¶
本文¶
先日 Twitter で次のツイートから一部で盛り上がりを見せた問題について, 私の雑感をまとめておきたい. 問題のツイートは これ だ.
物理が解らない人って理系のセンスないですよね. 数学が得意で物理が解らない人って, 実は数学が得意なのではなかったんですよね. 数学が得意だと思い込んでただけで, 実は算数が得意なだけだったんですよ. 算数に毛が生えた程度の中学レベルの数学しか触ってないってことじゃないのかな.
端的に言って「何だそれ」の一言に尽きるのだが, それで終わってはあまりにアレなのでもう少し書いておきたい. はじめにまとめておくと, 「やりたいなら自分でやればいい. お前の信じる数学を信じろ」という感じ. 突っ込みは勝手に入れたらいいと思うが, 自分の数学を他人に強制するものではない. いわゆる煽りではない.
Twitter を見ていた方は分かるだろうが, 私は主に出身大学と専攻についてしか質問していない. それは 次の私のリプライに対してこのようにに対して返ってきたからだ.
@Seka_iki 私は学部が物理で院が数学ですが, お話のようなことは私の実感とも, 聞いた限りの数学・物理の人達の感覚とも合いません. これまでどのように数学・物理を学んでこられてそういった印象にいたったのでしょうか. それぞれの学部の専門課程程度は学んだ上での感覚でしょうか
@phasetr @Seka_iki 失礼ですが, どちらの大学でしょうか? >>聞いた限りの数学・物理の人達の感覚とも合いません.
コメント¶
まず, 相手の発言意図が確認したかっただけなので出身大学に関する話はどうでもいい. 専攻についてはかなり気になっている. Twitter 上または実空間で付き合いがある (東大や京大関係者を含めた) 物理, 数学の人にこんなことを言う人を見たことがないが, 以前 Twitter で「本質を知る工学徒」として知られる方が似たような発言をしていたので, 物理や数学以外の人の方が無駄に「真の物理」とか「真の数学」とか言い出す可能性が高そうだという予想を立てているため, それを確認してみたいというところがある.
理系のセンス¶
あとついでに書いておくと, 「理系のセンス」とやらを物理だけで測っているあたりに色々なものが見える. 物理学科出身者としては, 彼または彼女が物理出身者がこんなことを言っているというのなら, 身内の恥は社会に出す前にきちんと内部で粛清しにいきたい. 化学や生物, その他のいわゆる理系の方で各専門はきちんと身につけていても, 物理や数学はそんなにできないという方はたくさんいるわけで, 理系のセンスとやらと物理への理解とやらは全く別の話だ. また数学と物理を無駄に強く結び付けたいようだが, このあたりにも色々なものが見え隠れして, 深い悲しみに包まれている.
適当なまとめ¶
で, 正直 Seka_iki 御大はどうでもいいのだが, 私のフォロワーには受験生もいるし, Seka_iki 御大がお望みであろう物理と数学の両方にまたがる数理物理を専門にしていることもあるし, 数理物理方面に興味自体はあるだろう数学や物理関係のフォロワー諸氏もいることだろうし, 私の雑感をまとめるときっと楽しんでもらえる向きもあろうかと思い, 色々書きたい.
コメント返し¶
せっかくだから御大の個別のツイートについてもここでコメントをつけておこう. まずは これ.
@phasetr @Seka_iki 数学が発展してきた歴史をご存知ですか? リーマン予想がなぜミレニアム懸賞問題で未だに証明されないと思いますか? あなたの周りにそんなことを考えてる人がいなければ, それはあなたの周りの人達の感覚とは合わないでしょうね.
とりあえず「なぜリーマン予想がミレニアム懸賞問題で未だに証明されないと思うか」と言われても「難しいから」以外に何があるのだろう. ここでどこかで聞きかじったのだろう物理と数学の関係とか言いたいのだろうが, 「私の周辺」にこの辺を研究している人や関係する論文はあるので興味がある向きのために紹介しておこう. あと別件だが, どうしてここで Riemann 予想なのかというのも気になる. Navier-Stokes と Yang-Mills だとそもそも問題の起源として物理でしかも数学的な意義もある問題なのだから, 物理の問題解決モチベーションは大事だろうというのが言いやすいと思うのだが. Navier-Stokes は物理の役に立たなさそうなので, そういう意味で挙げなかったのだろうか. また全然知らないのだが, BSD 予想の数理物理というのを聞いたことがないので, もしご存知の方がいたら是非教えてほしい.
「私の周辺」としてまずはフィールズ賞を取った Connes だ. これは私の学生時代の数学方面での専門が作用素環であることから「私の周囲」と強弁している. リーマン予想に関することを直接書いている文献もあるのだが, 具体的な論文は知らないので数論に関する論文, Hecke algebras, type III factors and phase transitions with spontaneous symmetry breaking in number theory (PDF) だけ紹介する. 難しくて全く分からなかったので, 内容には触れられない.
あとは新井先生の Infinite-Dimensional Analysis and Analytic Number Theory だ. ここ (PDF) でも読める. これは実際に読んだ. 簡単に内容を説明しておくと, 構成的場の量子論 (数学的には作用素論) を使って場の量子論を考えたとき, あるハミルトニアン (第 2 量子化作用素) を作るとそこから Riemann の $\zeta$ が出てくる. また, この論文ではボソンの分配関数とフェルミオンの分配関数の双対性もうまく使いつつ様々な数論的関数を構成したり, その (古典的な) 関係式を導出している.
Riemann の $\zeta$ の零点問題には「零点は適当な自己共役作用素のスペクトルで表わされる」みたいな予想というか方針があり, ヒルベルト・ポリア予想と呼ばれている. そうした話とも関係しているのではないかと思っているが, そこまで詳しいことは知らない.
次のコメント¶
次は これ.
数学の研究より, 物理も含め科学の発展の方が先なのではないですかね. たとえば物理が解らないのであれば, 何の為に数学を研究しているのでしょうか. 数学者とやり合うつもりはありませんが, その問題を解いて笑顔になるのは誰なんでしょうかね. あなた以外で
「数学の研究より, 物理も含め科学の発展の方が先なのではないですかね」とのことだが, 確かに歴史を紐解くならNewton や Leibniz の微分積分はある意味科学の発展が後についてきたことはあるといえる. 少なくとも Newton は物理のために微分積分を作ったのだろうし, 数学の後追いと言えるだろうが, この表現形式を得たことが契機になって様々な科学の研究が進展しただろう. ちなみに表現形式を整えるというのは大事なことで, ベクトル解析と電磁気学でも, 最早ベクトル解析抜きの電磁気学は考えられないレベルで大事だ. 物理に限らないが, 簡明な表現それ自体が物事をクリアに見せてくれるおかげで開かれる世界がある. 視点そのものすら提供してくれる.
多少話は変わるが, 先日の記事 の小林双曲性などはその例だろう. 小林擬距離という簡明な概念自体が大きく世界を切り開いたとのことだ.
念のために言っておくと, 数学というか数理物理が理論物理に先行したという事例はあるのであって, 例えば場の量子論における散乱問題だ. 簡単にいうと計算のために必要な極限があるかどうか, というところが問題で, うまく取れなくてどうしようと困っていた. 場の量子論の実験では何かの散乱を見るのが基本的なので散乱理論がきちんとしていないと困るのだが, 正にそれが整備できていなくて困っていたというのが 1940-50 年代くらい. そしてそれを解決したのが Lehmann-Symmnzik-Zimmermann の LSZ reduction formula だ. 収束を考えるときの位相 (作用素ノルムの位相ではなく行列要素の収束, 弱収束) が大事という話.
次に「たとえば物理が解らないのであれば, 何の為に数学を研究しているのでしょうか」とのことだが, そもそも「数学を研究」ということ自体が怪しくなることもあるようだ. 以前普遍市民 Im_Weltkriege 師が言っていたのだが, 東大数理の院試で「先生, 私は数学が好きなのではありません. 有限群が好きなのです」と言ってのけた方がいたとのこと. 実際 (有限群論については) かなり優秀な方だったと聞いている. 実際に確認したわけではないので真偽の程は分からないが, 私が知る数学者像からすればいても不思議ではない.
あと根本的に何のため, というところだが「自分の数学のため」だろう. 上でも出てきた Connes だが, 彼の作用素環上の数学的業績の 1 つに III 型 von Neumann 環の分類に関する仕事がある. 元々物理で出てくる von Neumann 環は原則として III 型環だという問題が出た (量子統計については自分で示した) とき, 荒木先生と Woods が別口で示していた III 型環の分類があるのだが, Connes の仕事には III 型環特有の理論である冨田-竹崎理論を使って III 型環の分類に挑んだという分がある. もちろんそれ以外の結果もあるが, 既に分かっていることであっても, 自分なりにやり直すことも大事なことだ. 実際, 証明の仕方が気にくわないとか, 「哲学的に」ある証明法を使うのは御法度というケースはある. 作用素環の講演でそう言っているのを聞いたことがある. 細部を覚えていないが,「超積を使えば処理できるがそれは駄目です. 何か別の方法を考えたい」ということを言っていた. ちなみに作用素環に超積のテクニックを持ち込んだのは上記の Connes だ.
この辺の話は数学を専門的に学んだ者なら当たり前だろうから, 彼または彼女は数学を専門にしていないのでないか, という感覚がある. Twitter で見た限り, 例えば工学には「世界が不便だからこうしたい」といった, ある意味外的なモチベーションがあるらしいので, 何というかそういうバックグラウンドがあるのだろうか, と思った次第だ. 物理でもそういった外的なモチベーションないだろう. もちろん, 別に数学は数学を専門に学んだ者だけのものではないので専門などどうでもいいのだが, 外部から数学者のモチベーションについて色々言われても, 究極的には「数学のため」というのすら飛び越えて「自分のため」としかならないだろうから.
色々書いていて思ったが, 物理に対するある種異常にも見える「神聖視」みたいなのは何なのだろう. 研究について, ということなら物理の人間は「数学は道具」ときっぱり割り切っている人の方が多い印象がある.
次のコメント¶
次は これ.
@phasetr @Seka_iki 数学をやるのであれば, その必要性と, 目的, そういうものの志を明確に備え, 問題に望むべきではないでしょうか. 数学しか解らない人ってそういう意味で真の数学を理解していないんだと思う. 私はそういうことが言いたかったんですよ.
暗号と数論の関係だとか, 具体的に色々いうことはできるが, 根本的なところは「自分でやれば」というところに尽きる. 念を押しておくが, いわゆるネット上での煽りということではなく, 本当にそう思っている. グレンラガンのカミナ兄貴のように「お前の信じる数学を信じろ」ということだ. Twitter にいる JosephYoiko さんはあまり純粋数学には興味がなくて, 学生時代, 教官と喧嘩になったというのを聞いたことがある. 実際に今も応用数学を研究しつつ, 実際に技術検証も含めて会社をしているとのことだ. 「自分でやれば」と言われたら「じゃあやるー」といって本当にやりだす無駄で迷惑な行動力があるのは, 「真の数学」とかいう訳の分からない抽象物ではなく「自分の数学」という具体物があるからだと思う.
次のコメント¶
次は これ.
@kentosho @Seka_iki @phasetr 真の数学というものが, 数学の全集合だとすれば, 物理の解る数学者も数学者の部分集合ですので, 物理の解らない数学者⇒, 真の数学を知らない, は真だと思いますね. あなたはまったく思いませんと仰っていますが, どうですか?
まず第一文, 「数学」なのか「数学者」なのかはっきりしろ, と言いたいが, 個人的な感覚 (他の人がどういうかは知らないし責任も持たない) からすればどうでもいいとしか言い様がない. ついでに言えば, 私はおそらく「物理の分かる数学関係者」という方に入るだろうが, 物理が分からない, より強く興味ない人に対して特に何とも思わないし, むしろ興味があるおそらく少数派としての自分を大切にしている. 多分それが私の数学であり, 物理であり, 数理物理だからだ.
この辺, もう少し書きたいところだが, 疲れたので今回はこの辺にしておきたい. しばらくブログは続ける予定なので, どこかで書くこともあるだろう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理
境界がある $\mathbb{R}^n$ の領域上の微分疹程式論と多様体上の微分方程式論でふと思ったこと¶
本文¶
全くの専門外なので全く知らないのだが, ふと思ったので適当に書いておく. 運が良ければ専門家が何か教えてくれる可能性もある.
詳しいことは忘れたのだが, 以前東大数理の儀我先生が次のように言っているのを聞いた.
ときどき $\mathbb{R}^n$ 上の解析よりも多様体上の解析の方が難しいと思っている人がいるようですが, $\mathbb{R}^n$ の方が難しいことだってあります.
何か具体的に変な領域を考えて, その上だと何か面倒なことが起きるという話だった. 詳しいことを覚えていないため, 今から考えるとそれに対応するような変な多様体上で考えれば, 同じように困ったこと起きるのでは, という気もするが, 儀我先生がその程度のつまらないミスを犯すはずもないので, 多分本当に難しい話なのだろうと思っている.
今回の本筋はそこではなく, 境界がある領域・多様体上の微分方程式の解析についてだ. 定義によってふつうの多様体には境界がない. 境界があるのは境界つき多様体と言わなければならない. 例えば次の本の書名, 『境界つき多様体のディラック作用素』にもある.
$\mathbb{R}^n$ の領域での楕円型の偏微分方程式だと, 解の存在が考えている領域の境界の滑らかさに強く依存するとかいう話を聞いたことがある. 方程式にもよるはずだが, 境界が区分的に $C^2$ くらいでないとそもそも解がないため, どうしでもそれだけは仮定しないといけない, とか聞いた覚えがある.
多榘体 (manifold) だと多分境界まで込めて滑らかなのを仮定していると思うので, 上の条件での議論はあまりしないような気がする. その辺どうなのだろうか 幾何解析の本, Aubin の『 Nonlinear Analysis on Manifolds. Monge-Ampere Equations 』を見ると, 例えば Kahler 多様体の上での $C^5$ 級の解の話があったりする. 境界の話が出てきたと思ったら有界な $\mathbb{R}^n$ の領域の話だった.
幾何解析で変な境界を設定して議論することあるのだろうか, というのが私の素朴な疑問だ.
話はずれるが, 確率論を駆使したり実解析的な方だと境界がフラクタルの場合とかゴリっと出てくるはずなので, $\mathbb{R}^n$ ではもっとすさまじい境界を出してこられる.
あと本当に特異性がある代数多様体 (variety) で微分方程式を議論するとどうなるのだろう. 必ずしも境界の話ではなくなるのでアレだが. さらに, 私の無理解のため本当にピント外れの話をしている可能性もある.
ラベル¶
数学, 幾何学, 幾何解析, 微分方程式
Twitter まとめ:統計力学の数学¶
本文¶
統計力学の数学と言っても色々な数学がある. 極端な例だが, 物理ではほぼ死んでいる (意味がない) エルゴード問題について, 数学ではむしろ非常に重要な概念として一部分野ではよく出てくる. もちろん, 元が物理と関係が深かったりする確率論や作用素環ではある意味当然といえば当然なのかもしれないが. このツイートやこのツイートを見て色々なことを思った. 作用素環だと centrally ergodic とか, 物理と関係ない状況でも出てくる, ということくらいは書いておきたい.
転載¶
以下 Twitter のまとめ.
Ergodic theory のゼミはやることになりそうだな. 数学での発展でこんな感じだったんだと google books で軽く確認. 田崎さんの本の注まで読んでいない人は「エルゴード仮説」と一緒にして軽視しそう.
@forest8810 実は, 僕は, 君とエルゴード理論のゼミをする予定になっている者です. 提案なのですが, 統計力学の数学的構造の本も一緒に読むと, エルゴード理論の本の理解が深まるようなのですが, 興味は有りますか? また, 興味を持ちそうな人は周りにいますか?
@koplpynwa そうなのですか. 興味はあるのですが時間がないかもしれませんね. 僕は来年度から物理系に進むものなのですが, ゼミの本も, 最終的に岩波の『力学系』に落ち着いたみたいなので今の段階では十分かなと思っています. 確かに物理との対応はみていくつもりですが.
@koplpynwa 統計力学の数学的構造の本とは具体的にどんな本なのですか? 時間はとれそうにないですが, 興味があります.
@forest8810 Ruelle という人の, statistical mechanics という本です. あと, 僕は君をエルゴード理論のゼミに誘った張本人です. はい, 誰かわかりましたね.
@koplpynwa そうなんですね (笑). ちょっとびっくりしました. 世間は狭いなあ. 関心のある子はいますがゼミ死しそうなので時間がなさそうですね. 本は google book で見ました. まとまってはいそうですが, おそらく量子統計ですね.
@koplpynwa 作用素環論につながるにおいを感じますが. 統計力学というよりは, 多体系 (多粒子) の量子力学というイメージがあります.
@koplpynwa どちらにしても別に日をとってゼミをする時間はなさそうです. 最適輸送も結局, 時間が多くは予習にとれないので今日断ったりした感じなので
@forest8810 あと悪いんだけど, ゼミの連絡とか DM でやりたいから, フォローしてもらえますか?
@koplpynwa 了解しました.
@koplpynwa @forest8810 その本は滅茶苦茶読みにくいのでやめた方がよいです. 目的によりますがあまり物理っぽくなくエルゴードも全くないですが, 量子統計なら新井先生の量子統計力学の数理, 古典統計なら場の量子論と統計力学 (のイジング周り) の方がもう少し読みやすいです
@koplpynwa @forest8810 目的に応じて他の選択肢もありますし, 適当な本のこの部分を読むとこんなことは分かる, くらいのことは言えます. http://www.nicovideo.jp/watch/sm10262952 や http://www.nicovideo.jp/watch/sm15366896 で雰囲気を掴めるかもしれません
@phasetr 和書で, 薄い本があるのを前にみたのですが, それはどうなんでしょう? たしか樋口さんという方が書いていたと思います.
@phasetr @koplpynwa ありがとうございます. とりあえず, ゼミでは岩波の現代数学の基礎の『力学系』でやっていくもようなので関連でまた考えていきます.
@koplpynwa http://www.amazon.co.jp/dp/4795268703 でしょうか. これは読んだことないので詳しくは分かりませんが, 古典統計の本です. 何を持って統計力学の数学とするかによりますが, 話題としては多少の偏りはあるでしょう
@phasetr それではなく, 「統計力学」 というタイトルの本のことをいったのですが, 自分で調べてみます. percolation や self-avoiding walk に興味があるのですが, 最近はどのような研究がされているのでしょうか?
@koplpynwa 勘違いしていてすみません. そちらもみていませんが, スピン系でやはり相転移周りの話です. 確率周りは詳しくないのですが, tetshattori さんがその辺近い人なので聞いてみると早いかもしれません
@koplpynwa @forest8810 横レスすみません (相転移 P さんの呟きを偶然見たので). お探しの樋口さんの統計力学は http://ow.ly/jyLSG の 3 冊目かと. 樋口さんの和書はそれぞれ表題どおりの教科書で, 読みやすくかつ良書で, どれもお薦めです
服部さんとの対話¶
この辺から私と服部さんの対話に移る.
@tetshattori ふと思ったのですが, 古典連続系の統計力学だとどんな本があるのでしょうか. 量子連続系だととりあえず Bratteli-Robinson と Stability of matter 関係の文献かと思うのですが, 古典連続系はぱっと思い浮かばないもので
@phasetr あ, もちろん昨日今日話題になっていた樋口さんの統計力学とかも基礎的なことを抑えてあったはずですが (どういう水準のものを求めているかにも依ってきますが…)
@tetshattori このくらいを知っていればある程度を論文を読めるようになる, という程度の感じです. Bratteli-Robinson も Stability of matter も論文ある程度読めるようになる感じの本だと思うので, 対応する古典系の本は何かあるのだろうか, という
@phasetr それは難しい注文ですねえ, 原著論文遡って何とかした世代 (というか, 出自が統計力学じゃ無いので, そうやって間に合わせた, というべきかもしれない) なので, もうちょっと要領の良い方法があるはずですが…参考にならずですみません
@tetshattori 私も勉強が偏っているので何とも言えませんが, イジングや関連する確率幾何と相転移関係のものは充実しているのに, どんな文献があるかすら知らないのも情けないと思ったので, せっかくの機会なので少し伺ってみようと思いまして. ありがとうございました
古典統計, 結局あまりよく知らない. 量子統計だからといって分かっているわけでもないのだが. 世界は広い.
追記¶
Ruelle の本は Statistical Mechanics ではなく Thermodynamic Formalism ではないかという, とある専門家のタレコミがあった.
タレコミで教えてもらったこのレビューによると Thermodynamic Formalism はエルゴード理論の話が中心のようで, Statistical Mechanics 以上の地雷という可能性があるようだ. 少なくとも初学者が読む本ではない模様. 初学者というのは曖昧な言い方だが, 統計力学の数理物理のバリバリの専門家にしか読めないという程度の意味を想定してほしい. とりあえず私は Ruelle の Statistical Mechanics がほぼ全く読めなかったし, 今でも読める自信はないので, 数学・物理共に私を明白に越える力があると思えない人は読まない方がいい.
エルゴード関係なら多分素直に数学で定評のある本を読んだ方がいいだろう. ある程度物理にも配慮しながら相転移方面の数学を学びたいという方は, 原・田崎の Ising 本を待とう. 今は査読状態なのでここからメールすれば草稿は読めるが, あの状態ではまだ非専門家が読めたものではないので, 査読ついでに勉強したい, という向きには勧められない.
関東近郊の方でサポートを受けつつ読みたいという方がいらっしゃれば, Twitter かプロフィールのところにあるメールアドレスまでご連絡を頂ければ, 私の方である程度はサポートすることはできる. より良い本にするためにも相転移の数理物理の非専門家からの意見は貴重だと思うので, できる限りのサポートはしたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 統計力学
Twitter まとめ: 百合数理についての雑感¶
本文¶
百合漫画について先日少しツイートした分をまとめておこう.
そういえば百合キチババアから少女セクトの感想も書くように言われているが, GIRL FRIENDS, クローバーなどと比較しつつの少女セクトの感想は 「裸が頻出する本でなぜ女性は巨乳として描かれるのか」という部分に今のところ集約される. 全くとまでは言わないが, クローバーと最後の制服はほぼ裸体が出て来ず, 胸は何と言うかすとんとしている女性ばかりだが, ほぼそれ方向の少女セクトと時折裸体が登場する GIRL FRIENDS では女性陣, 胸が大きく描かれている.
りぼん, なかよし周辺しか知らないが, あの辺の少女漫画では, 登場人物が小学生の場合もあるが, あまり胸が大きく描かれている印象はない.
セーラームーンなど「お色気」シーンがあるものだと 何となく大きかったような気もするが, Google 画像検索で簡単に見た限りでは何となくそんな印象. 封印しているのですぐ取り出せないのだが, ふしぎ遊戯や妖しのセレスなど裸が時折出てくる漫画だとやはり女性の巨乳率高い印象がある. これは漫画家同じなのでアレだが, 今画像検索で確認したら天使禁猟区のアレクは胸大きい. 九雷とか沙羅はどうだったろうか. イラスト集も封印してしまったようですぐ出せないので確認できていないのだが.
無論ここで気にしているのは巨乳と貧乳の数理だ. 貧乳の数理解析については私の動画の他, 流体力学の観点からのてとろで P の動画もある. ここで裸が多い場合にはそれなりに胸を大きく描く傾向がある (これが真であることはとりあえず仮定) ということはこれを前提に議論を展開しなければいけない印象.
まず気になるのは裸を描くときになぜ胸を大きく描きたくなるのか, というところ. 著者の性別なり色々な問題があるが, (現代) 女性の願望なのか, (現代) 男性の願望 (ある意味現代社会の願望) なのか, という別の問題があるにせよ, 何となく胸は大きい方がいい的なアレを感じる.
さらに気になるのは, 裸そのものの意味だ. 数学としては余計な構造を取り除きぎりぎりまで研ぎすませた世界で生まれる美というのは一つの理想と言える. こうした観点から考えたとき, 裸体はやはり余計な構造を取り除いた美しい姿といっていいか. いいとした場合, 何故その美しい姿に巨乳を当てるのか. ぎりぎりまで研ぎすませた上でまだなお必要とされるものは豊かなものを含んでいると思えるだろうが, 何と言うかそういう話か. この辺がうまくまとまっていないのが少女セクトの感想が書けない理由の一つになっている. 最後の制服は数学的にはさらに難解な印象をうける. どう料理するべきか試されている.
百合の世界, 複素多様体のような選り抜きのエリートよりも可微分多様体や位相多様体のように, 色々あってそれぞれいい的な多様な世界を愛するということなのかと思っている.
ラベル¶
数学, 百合
Twitter まとめ: 高校生とのハートフルなやりとり 数学あるある 2000 年の恋編¶
本文¶
先日こんなネタを呟いた.
数学あるある 2000 年越しの恋
これが高校生に RT されていたため, 数学ガールの読者のようで, その辺を関係づけるときっと楽しいだろうと思い, 折角なのでちょっと話しかけてみた. 今回はそのハートフルなやり取りをまとめておきたい. 大体この辺から始まる.
やりとり¶
@lovemath0218 http://https://twitter.com/phasetr/status/307862438148206592 の元ネタが何だか分かりますか?
@phasetr ごめんなさい, 元ネタは分かんないです
@lovemath0218 http://http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E8%A6%8F%E3%81%A8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%B9%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%9C%E5%9B%B3#.E4.B8.8D.E5.8F.AF.E8.83.BD.E3.81.AA.E4.BD.9C.E5.9B.B3 数学ガールのガロア理論の巻に角の三等分問題がありましたが, その辺です. 古代ギリシャの頃からあった問題で解決が 1837 年なので, だいたい 2000 年です.
@lovemath0218 2000 年経って解決されたのをもって 2000 年越しの恋が成就, という感じで適当に呟きました. さらにいえば恋は実ったところからこそが始まりとも言えるわけで, その後のガロア理論の深い展開は色々あります. 専門ではないので私は詳しくないですが
@lovemath0218 あと, 純粋な数学ですぐには思いつかないのですが, 他に, 例えば物理で 2000 年かかってまだ解決されていない問題があったりもします
@phasetr 2000 年経っての解決を意味してるのは予想出来たんですが, さすがに角の三等分問題まではたどり着かなかったですね
@phasetr 色々教えてくださってありがとうございます ('▽`) 2000 年かけても解決されない問題, 何だかワクワクしますね (笑)
@lovemath0218 超我田引水ですが, 磁石が何故存在するか, というのも 2000 年レベルで未解決の問題です. 私はこれに関する数学を研究していました. そういう問題, 意外とその辺に散らばっています
@phasetr そうなんですか!? また色々調べてみます ((((゜▽゜))))
記録¶
Galois 関係というか代数をほとんど知らない (分かる分からない以前の問題) なので何ともいえないのだが, 微分 Galois 理論といった議論もあるし, 代数幾何などとも関連する方向での展開も色々あると聞いている. その辺は Twitter で代数または代数幾何系の人に聞くときっと色々教えてくれる.
物理での話¶
天文だの何だの色々あるだろうが, 物理関係でも 2000 年クラスの問題はある. 上にも書いた通り, 磁石の問題は 2000 年の時を経てもいまだに解決されていない. 興味がある向きは【シリ*MAD 支援】線型代数と多体電子系【アイマス教養講座】などをご覧頂きたい. Hubbard モデルという磁性体の簡単なモデルについて説明している.
また Bohr-van Leeuwen の定理というのがある. 古典論の範囲では磁性体が存在しないというように (適当に) まとめられる. どうでもいいが, 上記 Wikipedia の記事中, 次のような記述があったが相対論をどう思っているのかとても気になる. 普通, 相対論は古典論に入れる. 古典論というのは非量子論という意味で使うのが普通で, 相対論は量子論とは別枠だ. 相対論的量子力学とか相対論的場の量子論というのがあるので, マッチする部分があるけれども.
この定理の発見の重要な点は, 古典力学の範囲では反磁性, 常磁性, 強磁性などの磁性を説明できず, それらを説明するには量子力学と相対性理論が必要不可欠であるということである.
量子論の物理入門というのは明らかに私の能力を越えているが, 量子力学というか場の量子論と量子統計の数学なら私の専門だ. ここについてもいくつか動画を作ったので, 興味がある向きはご覧頂ければ幸いだ. まず量子統計だが 春香誕生祭 + 緑な P ・実解析 P ・パラ P リスペクト 1/5 量子統計の数学的基礎から続く 5 連作がある. 全部で 90 分程度あった気がする. 作りかけでアレだが 【理工学 M@ster 祭り 2nd 】量子力学の数学的基礎 1-1.概論というのもある.
また, 量子電気力学入門として 【シリ*MAD 】レーザー:電子がうたう歌というのも作った. レーザーという「身の回り」にあるものだが, 原理的には場の理論が必要になる. こちらは数学分はほとんどない (つもり). アイドルとレーザーの感じをうまく絡められた感があり, 個人的にはかなり気に入っている.
ラベル¶
数学, 物理学, 量子力学, 量子統計, 場の量子論
Ruby に超準解析のライブラリがあって激しい衝撃を受けた¶
本題¶
HTML5+JavaScript で高校生向けの数学・物理の簡単なアニメーションが作れるので, その関係もあって最近プログラミングを本格的に勉強したいと思っている.
そして全く別件で今色々あって Ruby の勉強を迫られている. そしてまた色々あってるびきちさんに 何かいい本がないか伺ってみたら次の本をおすすめされた.
読んでいたら, 数値の章のラストに超準解析のライブラリがあるとかいう衝撃的な話が出てきたので早速検索した. それがこれだ.
今のところインストールしても使う用途がないので 何もしていないが, びっくりした. ライブラリなら複素数やら行列はいくらでもあるだろうが, 超準解析ライブラリがある言語, 他にあるだろうか. Haskell 勢とか頑張ってほしい.
追記¶
別記事にしてしまったが, dif_engine さんからご指摘を頂いている.
こちらも参考にしてほしい.
追記 2¶
上の指摘をこちらに追記しないままにしていたら, dif_engine さんから再度指摘を頂いた.
@phasetr これはLaugwitz流の無限小計算の方法であって、A.Robinsonが創始した超準解析とは方向が違うというのは以前コメントした気がする
— differential_engine (@dif_engine) 2016年3月11日
で, これ.
@dif_engine 魔法少女にも何か指摘された覚えがあります。あとでコメント引用しておきます
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月11日
@phasetr @dif_engine https://t.co/zXyzLvJlON ここで言及してる
— (@functional_yy) 2016年3月11日
とりあえず, こちらにもきちんと記録・引用しておく.
追記 3¶
2021 年時点では数学+プログラミングは Julia を使うのがよさそう. Python ももちろん役に立つ.
追記 4¶
この間 Ruby に超準解析ライブラリがあるのを知って衝撃を受けた話をしたが, それについて dif_engine さんにちょっと教えてもらったことがある. 少なくとも今の私にはあまりよく分かる話ではないが, 面白いと思う人はいるだろうから転記しておこう.
この辺のツイートからはじまる.
Ruby に超準解析のライブラリがあって激しい衝撃を受けた http://goo.gl/fb/mReIe よく分からない数学
@phasetr tar.gz が落とせなかったのでソースを見ていませんが内部計算に RationalPoly を使ってるとあるので, 1+epsilon の処理のときには形式的に epsilon の有理式として計算してから epsilon=0 と代入してるのではないかと想像します.
@dif_engine ありがとうございます. 超準解析全く知らないのですが, 修羅っぽい印象を受けました
@phasetr 順序体 K の正の部分 P に対して, ∀ p ∈ P p < T として, それと整合するように多項式環 K[T] を順序環とみなし, その商体を考えると t := 1/T が無限小とみなせて…というような話が昔からあるようです. (超準解析の前から)
適当にネタを投下しておくと色々教えてくれる人がいる. いい時代だ.
追記 5¶
Twitter で詳しい方から次のような情報を頂いた. 鍵アカウントだったので許可を頂いた上で転載する.
実数体の任意の拡大順序体は無限大元と無限小元を持ちます. 既に説明されているように, このライブラリでは, 有理式体 R(X) が R の拡大順序体と見做せるので, それを利用しています.
これは超実数体(もう少し正確にいえば計算機で表現できるような実数体の部分環の超準化)とは全く異なるものです. ですから超準解析ライブラリやちょう実数のライブラリという説明は(開発者がそのように説明しているものの)不適切です.
定義をはっきりさせないといけないが, 【実数体の任意の拡大順序体は無限大元と無限小元を持ちます】というのがやばい. 他の (順序?) 体でも同じことは起きるのだろうか. 実数の魔界ぶりを改めて認識させられる.
追記 6¶
編集したらさらに情報を教えてもらったので.
なお無限大と無限小の定義は次の通り: 任意の正の実数よりも絶対値が大きい元を無限大元, 任意の正の実数よりも絶対値が小さい元を無限小元という.
あともう 1 つ.
@phasetr 有理数体を用いて定義された「無限小を持つ環」と(超準解析の)超実数との違いは、例えばsin(x)に代入できるか?などというところに現れます。超準解析では、実数上定義されていれば自動的に超実数に定義が延長される。
— differential_engine (@dif_engine) 2015, 5月 5
あの日見た数体系の名前を僕達はまだ知らない。
追記 7¶
@phasetr有理数体の拡張ならreal closed transcendental and infinitesimal extensions of the rational numbers(http://t.co/GhXtKXXZ8Z)が他にも計算機で応用されてますね
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2015, 5月 5
どんどん情報が集まってくる.
ラベル¶
数学, 数学教育, 物理, プログラミング
Twitter まとめ: 絶対に座標を取ってはいけない幾何学¶
本文¶
mr_konn さんとのハートフルなやり取りをまとめておく. この辺から始まる.
「絶対に元を取ってはいけない幾何学」だったかを思い出した
@mr_konn 何かそういう文章あるのですか. 読んでみたい
@phasetr いえ, ネタとして出てきたフレーズでした.
@mr_konn 無念
@phasetr 相転移 P が書いてください!
@mr_konn 幾何, 本当に知らない (分かるとかいう前にろくに勉強していない) ので何ともならないですね. 何とかしようとは思っていますが
雑感¶
「元を取ってはいけない」だと圏のあたりで代数のはずなのでブログタイトルは少し変えておいたが, 要は数学人には分かるネタだ. 幾何だとタイトル通り, 「絶対に座標を取ってはいけない幾何学」になるだろう.
このあたり本当に不勉強で詳しくないのだが, 聞く限りではとても大事な考え方ではある. 「元を取ってはいけない」については, 圏や関手の話になる. 具体的な元を取らずに関係性だけで考えていくことで議論をクリアにしていけるのが御利益なので, 元を取らずに頑張ることが大事, とかいう話だ.
幾何に関してもそうで, 何でもかんでも座標を入れて計算していくのはよくない, とのことだ. こちらもやはり具体的な対象に目を奪われて本質的な部分が見えなくなるおそれがあり, それを避けるためにも常に意識しておくことが大事らしい. 聞くところによると, 本質的で難しいことをしているときこそ視界をクリアにするために座標を使うことを避けた方がよいようだ.
知らないこと, 聞きかじりでしかないことをぐだぐだと書いたのは, 言葉の響きがキャッチーなのでこういう感じで何かできたら面白いだろうなと思ったからだ. どちらかといえば数学は重々しい感じが付き纏うかと思うので, こういう言語感覚は大事にしたい.
ラベル¶
数学, 幾何学, 代数学
Cox, Hyde の『THE GALOIS THEORY OF THE LEMNISCATE』¶
はじめに¶
誰が話していたのか忘れたが, Cox, Hyde の『 THE GALOIS THEORY OF THE LEMNISCATE 』という論文が出ていたのでメモしておく. Abstract を引用しておく.
Abstract¶
This article studies the Galois groups that arise from division points of the lemniscate. We compute these Galois groups two ways: first, by class field theory, and second, by proving the irreducibility of lemnatomic polynomials, which are analogs of cyclotomic polynomials. We also discuss Abel's theorem on the lemniscate and explain how lemnatomic polynomials relate to Chebyshev polynomials.
コメント¶
題名にある通りの Galois 理論は当然として, 類体論との関係とかも色々あるようなので面白そう. Cox は結構有名な (和訳もある) 代数幾何の入門書を書いている人で, 共形場とかもやっている人だったという記憶. 以前符号理論と代数幾何の動画を作ったとき, 代数幾何自体にはほぼ触れなかったが, さすがに勉強しないとまずいと思って, Cox らによる代数幾何の本を買って一応一通り眺めた.
全く身についていないが, いくつかあった誤植を報告した. 誤植を報告すると, それが新たに見つかった誤植の場合, 1 箇所 1 ドルくれるとか何とかいう話があって, それでいくらか送ってもらった覚えがある.
ちなみに特に自分が専門とするところの本なら, 一生懸命読んで誤植を報告したりすると, 名前とか覚えてもられる可能性が高い. 色々な研究者と仲良くなっていて損なことはないと思うので, 興味のあるところなら特にその辺を意識してやってみるといいかもしれない. 私の場合, 新井先生の本の誤植をたくさん指摘して興味があるという姿勢を示しておいたので, 修士くらいで研究に関して聞きたいことなどあったとき, (メールで) 色々相談に乗ってもらえたりした. 最近特に, 教官は研究と関係ない雑務で無駄に忙しいのであまり無茶なことを期待するのはアレだが, やっておくといいことがないでもないので, 興味がある向きはそういうのも考えてみよう.
ラベル¶
数学, 代数幾何, 数論
$\mathbb{Q}$ 上連続だが $\mathbb{R}$ に連続拡張できない関数の例: 指数関数の定義域の拡張に関連して¶
本文¶
教育的な非常によい例だと思ったので.
@hyuki@mathpico次回、ミルカさんが指数関数の連続性について語ると予想しましたが、ミルカさんには黙っておいてください。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasu連続性ですか!なんとなく結城先生は離散系がお好きなのかと思っていたので、それまた興味津々です。
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
@mathpico高校数学での標準的な方法だと冪根を使って指数関数を有理数に拡張したあとで連続性を保つように実数に拡張していますが、最後が可能であることは自明ではなくて高校数学ではたいていごまかしていますよね。ミルカさんがそこを突くことを期待しています。(ミルカさんには秘密)
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasuなるほどです。関数の連続性…。つい「線が描けていたら、連続」って見た目で考えちゃうから危険ですね。大学時代、先生方から教わってきたのは「いや、それは当たり前じゃないんですよ」ってことでした。今思えば、貴重なことを教わっていたのですね。
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
@mathpicoたとえば、f:Q→R, f(x)=0 if x^2<2, =1 if x^2>2 は連続ですが、連続性を保って定義域をRに拡大することはできません。指数関数でそれが起きないことを示すのは、簡単ではありません。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 6
@mathpico天下りにマクローリン展開でexp(x)を定義して、任意のa>0に対してあるbが存在して、exp(bx)は冪根を使って有理数に対して定義されたa^xの実数全体への拡張になっていることを示すと楽ですが、高校の教科書に載せるのは無理ですね。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasu拡張できない例を教えていただき、ありがとうございます。拡張できる場合しかイメージ出来ていなかったです。「なんでもだいたい都合よく出来てる」という出来上がった数学ばかりに触れているからですね。もっと謙虚に学びたいと思いました。
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasuマクローリン展開を高校生に教えるとなると、なんでもかんでも展開出来ちゃうイメージがつきそうですね…。
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasuところで、微分方程式の解の存在から指数関数の存在を言う、みたいなことは出来ますか?(無知な質問で申し訳ありません)
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
@mathpicoはい。x'-x=0, x(0)=1 の解としてexp(t)を定義する方法もあります。実数全体で定義できることを示すところがやや面倒です。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 6
@kamo_hiroyasuとても勉強になります。「どの辺りに難しさが潜んでいるか」を教えてくださり、ありがとうございますm(_ _)m。
— mathpico (@mathpico) 2014, 6月 6
$\mathbb{Q}$ 上連続になるが $\mathbb{R}$ に連続拡張できない関数, DVD で取り上げたにも関わらずこういう場合の例にも使えることを理解していなかった.
実に恥ずかしいが, よい勉強になってしまった.
コメントの転載¶
匿名コメント¶
簡単ではないってのは嘘なのでは?
自分: 匿名への返信¶
かもさんの【指数関数でそれが起きないことを示すのは、簡単ではありません。】に関してでしょうか。 どういう視座に立っているのか全く分かりませんが、 高校数学からの話なので全然簡単ではないのでは。
暇つ虫さんからのコメント¶
ここに書き込んだことを忘れてて返答遅くなりました。申し訳ないのです
連続性から定義ということで e^r := lim[q∈Q → r]e^q とします これが連続なのは明らかです
では上の極限が収束することを示せばいいわけですが右極限と左極限が一致することを示そうとすると e^a/e^b = e^(a-b) → 1 (a→r, b→r) ですから一致します
自分: 暇つ虫 への返信¶
高校レベルでは実数の完備性もよくわかっていないですし、 そこからして苦行であって簡単ではないのでは
鴨浩靖さんからのコメント¶
冪根を使って有理数に対して定義された指数関数がQ上で連続であることが、全然、明らかなことではありません。
ちなみに、赤攝也『実数論講義』も、冪根を使ってQ上で定義した指数関数をRに拡張する方法でR上の指数関数を定義していますが、凸関数の性質を使った長い議論でR上の連続性を証明しています。
自分¶
kamo_hiroyasu への返信。
コメントありがとうございます。 思えば、そもそも $\mathbb{Q}$ 上での証明からしてやったことがなかったので、 確かめもせずに適当なことを言ってはいけないと反省しました。
ラベル¶
数学, 数学教育, 反例, 解析学
何度も言っている線型代数と量子力学と関数解析と数理物理的なアレ¶
本文¶
イケメンエリート野郎のオペのコン P が 次のようなことを言っていた. それに対していつも言っていることをまた言ってきた. オペのコン P にももう何度も言っている気がして申し訳無く感じてアレだった.
量子論を物理として理解するなら, 連続な場合は離散的な場合のアナロジーでいいので線形代数で十分では?
@kbl_30 大分前に Amazon の線型代数入門の書評にそれ書いておきました
@phasetr ねくちゃんが関数解析から攻めようとしていたので
@kbl_30 @phasetr アナロジーではなく関数解析でないとこまる, という場面はやはり出て来るのでしょうか.
@Yonus_Mendox @kbl_30 困るときは物理が悪い (物理的考察が甘い) と判断するべきです. むしろ関数解析をきちんと使って物理的に満足いく議論が出来る方が珍しいくらいなので, その意味でも数学的にどうこうというのはおすすめできることではありません
@Yonus_Mendox @kbl_30 ただ無限次元の線型代数として把握していれば色々なことを 統一的に理解できて楽な部分はあると思っているので, その辺について今度東大かどこかで話したい (そして動画化したい) とは思っています. 忙しくてそちらの話は全く進められていないのですが
@phasetr なるほど. 言い換えれば, 物理にとって関数解析は「無限次元の線型代数」に過ぎないので, 大抵はアナロジーで充分, ということになりますか.
物理を数学的に厳密に, とか息まく新入生などがいるかもしれないが, そういう人はとりあえず私を見よう. 物理も数学も中途半端な出来損ないの醜いキメラだ. こうなる覚悟がある者だけ数理物理に来よう. 来るなら歓迎はするが勧めることはできない.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 線型代数, 関数解析
Riemann 積分と Lebesgue 積分: 特に定義¶
やり取り¶
先日, Twitter で次のようなやり取りをした.
@kenkonD リーマン積分は定義は分かりやすく技術的にも簡単ですが, そのあとの議論が恐ろしく面倒です. ルベーグは定義からして面倒ですが, 定義したあとの議論がクリアです. 何かリーマン積分をやらなければいけない理由がない限り直接ルベーグでも良いと思っています
リーマン積分とルベーグ積分, 勉強について色々思うところはあるが, うまくまとまらない. 定義の簡明さと関連する定理の議論の簡明さが恐ろしいくらいに反転するので, どうするといいものかがとても悩ましい. 使うならルベーグがやはり楽で, 具体的な計算練習にはリーマンの「本」が参考になる
@crobert_z わたしもまさにそれを思っているのですが, 具体的な計算は別途関連する計算のところだけ読めば良くて, 理論はそんなに頑張ってやることないな, という感じ. 問題は初学者が自分でそこの切り分けができるかというところで, それが悩ましい
一応言っておくと広義積分に関するところでリーマン積分とルベーグ積分の違いがあるのでそこは注意する必要がある.
やはりあれだ, ルベーグの定義までの面倒くささが初学者に勧めるときのハードルになるので, そこを埋めるコンテンツを何か作るしかない. 厳密なのはいくらでもあるから, 気分だけきっちり感じられるものを
リーマン積分¶
色々と思うところもやりたいこともあるが, とりあえず今回は Riemann 積分と Lebesgue 積分の定義について考えたい. 一言でいうと, Riemann 積分は定義が簡単だが後の議論が煩雑で, Lebesgue 積分は定義が面倒だが後の議論がクリアになる. まず技術的にいえば, これは面倒な部分を定義に押しつけるかその後の議論に押しつけるかの差にあたる.
ルベーグ積分の定義¶
基本¶
Lebesgue 積分がすぐれているというか応用上便利なのは, 面倒な部分を事前に定義に押しつけているからだ. 具体的にどう便利かというと, 極限に関する議論, 特に関数列が扱いやすい. Lebesgue の単調収束定理と Lebesgue の優収束定理が魂といっていい. この 2 定理の簡明な定式化が許されることがとても大事. Riemann 積分で対応する定理を見てみると良く分かる.
モチベーション¶
Lebesgue 積分のモチベーションを考える上では応用から入るのがいい. そこで具体的な状況を考えよう. 一番シンプルで直接的な応用はおそらく微分方程式だろう. このとき定義とも合わせて鍵になるのは「真の解」を近似する関数列だ. さらに数値計算など実際問題としても大事だ.
折れ線近似でも何でもいいが, とにかく適当な手段で近似関数列を作り, その収束を議論する. つまり関数列の極限を扱いやすくしたい. 積分の定義自体もここに照準を合わせて改良すると Lebesgue 積分になると思えばいい.
適当な本で Lebesgue 積分の定義を確認してほしいが, 実際に積分したい関数を (単関数の) 関数列で近似し, それの極限として積分を定義している. つまり定義そのものから関数列を導入している. 分かりづらさもまずここからはじまる.
リーマン積分とルベーグ積分¶
Riemann 積分は関数それ自身とその値だけで定義できるので, 面倒がないが, Lebesgue 積分では関数列という余計な概念が出てくる.
また, Riemann 積分 (の定義) では本質的に区間しか出てこないが, Lebesgue 積分だと極限の取り方を柔軟にするため区間の極限を始めから考えておかないといけない. それが可測集合だ. ここで, 集合の演算は可算なところでおさえておかないとまた変なことが起きる, とかいう話もある. 技術面で面倒なことだけならまだいいのだが, 非可測集合など数学として本質的に問題になることも出てきてしまうため, 何となくきちんと勉強しなければいけない気にさせるあたりがまた鬱陶しい. もちろん数学科の学生ならきちんとやってほしいけれども.
まだあまり整理できていないが, そのうちもう少し膨らませて何か作ろう.
ラベル¶
数学, 解析学, 積分論
Twitter まとめ:汎関数と積分 Riesz-Markov-Kakutani の定理¶
はじめに¶
積分は汎関数と思えるか, みたいな話をした. 前にも何回か書いたような気はするが, これは面白い話なので何度書いてもいいだろう. この辺とかこの辺.
ツイート引用¶
「積分」を特定の関数空間に対する線型汎関数と定義するなら積分なんじゃないすかね (適当)
@crobert_z 作用素環, 特に von Neumann 環だと実際に汎関数を積分のように見ます. 可換だと本当に積分になりますし. 特に【単調収束定理が成立する汎関数 (正確には状態:作用素環の用語) 】を正規状態と呼びます
@phasetr やはりそうでしたか. 可換だと関数環 (でしたよね) になるから当然ですかね. ありがとうございます.
State=積分ってのは知らなかったな. 授業中聞いてなかっただけかも知れないけど ()
@crobert_z 状態は勝手に有界になってくれるのですが, (局所コンパクト) ハウスドルフ空間上の 連続関数環の正値有界線型汎関数は Riesz-Markov-Kakutani で積分と思えるというのを使います http://en.wikipedia.org/wiki/Riesz%E2%80%93Markov%E2%80%93Kakutani_representation_theorem
@crobert_z あと正規状態とか非可換確率論とかで http://kaken.nii.ac.jp/d/p/61540138.en.html あたりも多少参考になるかと思います
@phasetr Riesz-Markov 定理は知ってましたが Kakutani の名前も付いてたんですね
コメント¶
詳しい話は Wikipedia を見てもらうこととして, Riesz-Markov-Kakutani はハイパー格好いい定理で, 関数解析のハイライトの 1 つなので, 関数解析を学ぼうという人は必ず勉強してほしい. 証明は例えば「ヒルベルト空間と線型作用素」の付録に書いてある.
証明は長いのだが, ポイントは連続関数と開集合に対する議論を緻密な解析で可測関数と可測集合に持ち上げていくところにある. 測度と位相の絡み合いが織り成す美しい定理であり, 証明だ. 実は「正値 (Schwartz) 超関数は測度である」という定理も同じように証明できる. こちらは例えば Lieb-Loss の本がある.
引用¶
正規状態あたりの話も簡単に触れておこう. 上記 URL から引用しよう.
本研究は作用素環上の非可換確率論と非可換力学系を解明することを目的とした. 非可換の確率論・積分論は通常 Von Neumann 環 (以下, V.N.環) 上で定式化され, 確率測度または測度に相当するものとして正規な状態または荷重が用いられる. 状態または荷重がトレースとなる場合は従来より盛んに研究されている. 通常の古典的確率論は V.N.環が可換な場合として非可換確率論に包含される.
作用素環の話¶
これも何度か書いている気がするが, 可換 von Neumann 環は $L^{\infty}$ と同型になるので, 要は $L^{\infty}$ だ. $L^{\infty}$ は可測集合の情報を持っているので, そこから大体測度論やら確率論ができることになる. 一般の von Neumann 環は非可換なので, そこから単純に非可換確率論と言っている. 状態はノルム 1 の正値線型汎関数のことだが, 荷重は非負の元から $[0, \infty]$ への線型写像だ. むしろ状態はノルム 1 の荷重とも言える.
大体状態 (von Neumann 環の場合は正規状態) を考えていれば事足りるのだが, 冨田-竹崎理論などは荷重のレベルで議論できる. むしろ荷重での冨田-竹崎理論は, それで展開されていた竹崎先生の集中講義で聞いたきり使ったことがない. ただ, 比較的最近の代数的場の量子論では infraparticle の解析で荷重を使うらしい. 興味がある向きは Spectral Theory of Automorphism Groups and Particle Structures in Quantum Field Theory などを読んでほしい. 私はきちんと読んでいないので, 聞かれても困る. 教えてほしいくらいだ.
ラベル¶
数学, 数理物理, 作用素環, 関数解析, 確率論, 代数的場の量子論
女子中高生向けに情報科学の話をするとき数学をどう扱うべきか¶
本文¶
えふわらさん経由で色々とつらい情報が流れてきた.
- https://twitter.com/kaorif/status/446206334224977920
- https://twitter.com/kaorif/status/446206911860322304
- https://twitter.com/efuwara/status/446213998669623296
- https://twitter.com/efuwara/status/446214239573655552
最近, 女子中高生に情報科学を紹介するイベントをしてるのですが, 理系への心理的障壁を払いたい余り「数学は三角関数で全くわからなくなった」とか 「英語は常に平均点以下」とか「最後まで化学の偏差値 50 だった」とか, 単なる駄目な私暴露大会となっている
で, でも, 簡単に今のお仕事につけたわけじゃないんだよ…… いろいろそれなりにやったんだよ……
駄目な私,勉強しなかった私暴露は一番ダメなやつだと思う.頑張って勉強してこれをマスタすると,こんなことができる,このシステム,サービスはこんな数学をベースにしている,みたいなことを説明した方がいいのではないか.
— えふわら (@efuwara) 2014, 3月 19
スマホのおかげでJC,JKでもいろいろなサービスを使っているわけで,音声認識とか顔認識とかだけでも,いろいろな話ができる.
— えふわら (@efuwara) 2014, 3月 19
実際の問題として「数学だめだった」というのと 「こういう風に数学を使っている」, どちらの方が受けがいいのか実験してみてほしい.
ラベル¶
数学, 工学, 情報工学
物理抜きのベクトル解析, どういう感じなのだろう¶
はじめに¶
物理学科だったので私のベクトル解析は電磁気やら何やらで物理まみれだ. 悪いとも思わないし, 杉浦の解析入門でも物理での使い方の紹介みたいなのがあるので, 多分数学としてやる上でも参考になるのだろうとは思う.
私が気になるのは, そういう物理などの応用を全く見ないで数学として学んだ人たちが, ベクトル解析の諸定理に対してどういう感覚を持っているのだろう, というところ. 純粋な数学としての理解, もう私にはできないのでどういう感覚なのだろうかというの, とても気になる.
あとついでに思ったのだが, 多様体での Stokes の定理をダイレクトに学んだ人なら, 物理抜きの勉強になるような気がする. こういう人はどういう感覚を持っているのだろう. 多様体論で Stokes をやるとき物理がどうの, みたいなことは全くやらないから. もっというならここまで来ると解析というより多様体, 幾何の話になるので, そこも何か感覚違う気がする. むしろ, 物理で使うときも解析というより幾何的な見方をすることになるので, 本道という気もする.
関係ないが, 実多様体, 1 の分割とか関連する面倒な話が多過ぎて勉強するのつらい. つどいで宇宙賢者も言っていたが, 複素多様体から入った方が何となくすっきり幾何に入れる気がする. この辺, 学生時代ほとんど勉強していなかったのでもう少しきちんとやりたいとずっと思ってはいる.
追記¶
この間も少し書いたことだが, 私の数学は物理まみれで時々困る. 何が困るかというと, 純粋に数学に興味がある人に対して数学の話をしようというときであっても, ある程度物理の話をしないとモチベーションの話などがしづらいからだ. 純粋に数学的なモチベーションというのを上手く説明できないといった方がいいのかもしれない. 勉強する上では, 今の自分なら何であっても純粋に数学だけのモチベーションでも動ける.
最近人前で話をする機会を増やそうキャンペーン中なのだが, 時間があれば 1 から勉強してそれを話すとかいう風にするのもいいのだが, 悲しいことにあまりのんびり勉強している時間も取れないので, やはり人に話せる話は自分が勉強してきたことが中心になる. このとき, 何だかんだ言って物理学科卒というのがボディブローのように効いていて, そういう方向からしか数学の話を展開できない. 幾何なら最近物理と数学の交流が多いため人がたくさんいるので, 解析学方面, それも微分方程式でない部分で話ができるのはむしろ私のよい所といってもいいのだろうが, 前提としている物理が量子力学と統計力学というのが辛いところ.
興味関心のマイナーさこそをうまく良さに転換する方法が求められる.
ラベル¶
数学, 物理, ベクトル解析, 幾何学
覚書: Cantor集合が連続体濃度である証明¶
本文¶
色々あってこの間Cantor集合が話題になった. 連続体濃度を持つというのは知っていたし 三進展開を使うとうまくいく的なことも知ってはいたが, 証明をきちんと追ったことがなかった. いい機会なので証明を記録しておきたい. 参考PDFをもとに証明を書いておこう.
まずCantor集合を定義しておく. $I = [0, 1]$ としよう. ここから開区間 $I_n$ をがんがん抜いていって作る集合がCantor集合だ. この $I_n$ を定義していく.
$I_1$ は $I$ を 3 等分したときの真ん中の (開) 区間 $I_1 = (1/3, 2/3)$ だ. $I_2$ は $I \setminus I_1$ の 2 つの区間をそれぞれ 3 等分した集合の真ん中の区間の合併となる. つまり $I_2 = (1/3^2, 2/3^2) \cup (7/3^2, 8/3^2)$ だ. これを無限回繰り返すと Cantor 集合 $C$ になる. つまり $C = I \setminus \cup_n I_n$ だ.
性質のその 1: $C$ の Lebesgue 測度は $0$ になる
$[0, 1] \setminus C = \cup_n I_n$ の測度が 1 であることを示せばいい. $\left| I_n \right| = (1/3) (2/3)^n$ で $I_n$ が互いに素なので, これを素直に足し上げて $\left| I_n \right| = 1$ で終わり.
性質その 2: Cantor 集合は閉で nowhere dense.
nowhere dense の定義は $\mathrm{Int} \, \overline (C) = \emptyset$. では証明.
$C$ が閉なのは自明. $C$ が Lebesgue 測度 0 なので, $C$ は測度正の (開) 区間を含まない. したがって $C$ は nowhere dense.
性質その 3: Cantor 集合は非可算集合.
全射 $f \colon C \to [0, 1]$ を作る. $x \in [0, 1]$ を 3 進展開する. これに合わせて $1/3 = 0.1$, $2/3 = 0.2$ と書く. 最初に除いた集合 $I_1$ は $0.1$ と $0.2$ の間にある. これを繰り返すと $C$ に現れる数を 3 進展開したときに 1 は決して出てこないことが分かる.
全射を実際に構成しよう. $x \in C$ とし, これを 3 進展開したときの 2 を全て $1$ に変え, それを 2 進展開に読み替える写像を $f$ とすればいい. 全射性は自明.
ラベル¶
数学, 集合論, 位相空間論
数学書の読み方簡易版¶
質問¶
Ask.fm まとめ祭りだ. まず質問.
既出かもしれないのですが, 数学書の読み方というのが今ひとつつかめないのですが, なにか一般的な指針というものはないでしょうか.
回答¶
心から分かったと思えるまで頑張って読むだけです. 1 週間くらい考えても分からない所があったら, 分からないことをはっきり意識しながら飛ばしたりしても とりあえずは問題ないです. もちろんあまりにも飛ばす箇所が多すぎるとアレですが. 誠実なのが一番です.
ラベル¶
数学
Thomas-Fermi 汎関数周りの量子力学と関数解析・変分原理的なセミナーをしよう¶
本文¶
やりとり¶
「量子現象の数理」ぱらぱらながめてたらめちゃくちゃ高まったので勉強追いついたら買おうと思った
@yuki_migo セミナーしましょう
@phasetr 作用素論で死にそうになってるので量子現象まではまだちょっとかかりそうです. 二章は加藤 Rellich あたりまでちょっと眺めたんですが
@yuki_migo 作用素論は何をやっているのでしょうか. 量子力学系の作用素論, あまり数学的に標準的な作用素論ではないと思うので. (標準的な方は hypo normal な作用素とか行列不等式とかそういうのやっているイメージ)
@phasetr 最近変分法まわりしか勉強してないのでアレですが詳し目の関数解析の本に書いてあるような基本的なことですよ. 半群とかあんまりやってなかったので.
@yuki_migo 何するかによりますが, 新井先生の本関係の量子力学なら, ユニタリ群の話がメインです. 半群のかちっとした話はあまり使いません. 基底状態の解析関係で熱半群は少し使いますが, 一般論かちっとと言う感じではないので
@phasetr 数学的に興味が向いてるのが PDE 方面なので新井先生とはちょっとちがうかもしれないことは最近気づきはじめています
@yuki_migo PDE ならもっとシュレディンガーかっちりやった方がいいのではないか感. 散乱理論だともう少し作用素論っぽいこともあるとは思います. 実解析的な方向なら Lieb っぽい方向でしょう
@phasetr なるほど. Schrodinger かっちりやってる本ってどんなのでしょう. Lieb の Analysis だと触り程度な感じがしますが
@yuki_migo 数学でのシュレディンガーは時間依存の方程式を扱うので, Lieb の方向と全然違う印象があります. 数学方面のシュレディンガーは全然知りません. その方向だと東大の中村先生とか早稲田の小澤先生とかいるので, 本当に興味があるなら相談してみてはどうでしょう
@yuki_migo あと非線型シュレディンガーと線型シュレディンガーとで大分変わると思います. Ginzburg-Landau とか GP とか, 関係する方程式も色々ありますし, ランダム磁場付きシュレディンガーとか何とか色々
@yuki_migo 読んでないからよく分からないのですが, 中村先生の http://www.amazon.co.jp/dp/4320015789 とか? あとはその参考文献から調べてみるとか
@phasetr ふむふむ. とりあえずつぎ大学行ったとき図書館あさりますかね. ありがとうございます
@yuki_migo 思い出したのですが, シュレディンガーと言うか実際に研究がある量子力学関係の PDE として, BCS だとか Ginzburg-Landau, Gross-Pitaevski などあるので, その辺参照すればいいのでは説もあります
@yuki_migo GL は北大の神保先生などがやっています http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/sympo/090113/program.html あと GP は http://arxiv.org/abs/cond-mat/0610117 にも記述があります
@yuki_migo PDE 的なことしたいなら, 何と言うか, 実解析的なことをやった方が多分良くて, 新井先生方面の作用素論をやっていてもあまり役に立たないのでは感. 雰囲気知りたいと言う話なら, 何かセミナー的なアレやってもよいです
@phasetr 実解析的なのっていまいちどういうことかわかってないのでセミナーしてもらいたいです
@yuki_migo それっぽい方向で知っていて簡単な文献もっているのは Lieb-Loss Analysis での TF functional まわりとか物質の安定性位なのですがその周囲でいいですか. 能力的に出来るの恐らく TF がギリで, あまり PDE っぽい話ではなくて申し訳ないのですが
@phasetr 実際そのあたり読んでておもしろいのでおねがいしたいにゃんです
@yuki_migo ならばひとまず TF で. この辺, 微分幾何とかでも出てくるようなアレで, 要は変分的にエネルギー汎関数の値が基底エネルギーだとか物理的に大事なアレになっていて, その停留点 (とそこでの値) を調べるのに (非線型の) 微分方程式を解く必要が, とかそんなやつです
@phasetr 微分幾何の知識がないほうのゆきみんでした. このごろ Lieb-Loss の Ch11 読んでてそのあたり変分変分してておもしろいですね. せいぜい教養レベルの量子の知識しかないので物理的なことがよくわかってないんですが. 場所どうしましょ
@yuki_migo 誰かを適当に巻き込んで適当な大学でやりましょう. 微分幾何関係は解析力学と変分と言ってもいいです. 幾何学的変分問題の 1 章見るといいです. 物理知らなくてもとりあえず数学できると思いますが, ある程度保補足する予定の市民
Thomas-Fermi, 一応やろうとは思っていたのをずっとサボっていたのでこの機会に勉強しよう. いつどこでセミナーするかとか全く決めていないが興味ある向きはご連絡頂きたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 関数解析, 作用素論, 微分方程式, 実解析, 量子力学, 変分
無限次元トポロジーという魔界¶
はじめに¶
tri_iro さんの連続ツイートが面白かったので張っておく.
- https://twitter.com/tri_iro/status/385075846018375680
- https://twitter.com/tri_iro/status/385725260164628480
- https://twitter.com/tri_iro/status/385725908771807232
- https://twitter.com/tri_iro/status/385726851957538818
- https://twitter.com/tri_iro/status/386472808923926528
- https://twitter.com/tri_iro/status/386473588863168514
引用¶
van Mill の "Infinite-Dimensional Topology" http://www.amazon.co.jp/dp/0444871330/ 読んでたら強無限次元の完備な全不連結空間とか超限次元を持たないけど弱無限次元のコンパクト空間の例とか載ってたのでしっかり理解しとこう.
【疑問】アレクサンドロフの問題 (1951) の一般化:コンパクト可分距離空間が遺伝的弱無限次元ならば必ず零次元部分空間の可算和となるか? いや, どちらかといえば反例が欲しいんですが.
ってかヒルベルト・キューブを可算個の全不連結空間の和として分解するのって無理だと勝手に思ってたんですが可能なのかなー. いや, 零次元空間の可算和にするのが無理ってことは簡単に分かるんですが, 無限次元トポロジー本読んでたら, 無限次元の全不連結空間とか出て来るし自信なくなってきた.
アレクサンドロフの問題の Pol による反例は, 変な強無限次元空間のコンパクト化として作るから, 当然, 強無限次元空間を部分空間として含むわけで, 遺伝的弱無限次元にならないんですよねー
E. Pol "高次元遺伝的分解不可能連続体の比較不可能なフレシェ型を持つ族" http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166864104001695 遺伝的強無限次元カントール多様体の非可算族で, フレシェ次元型が反鎖になっているものの作り方がここに載ってた.
「ヒルベルト・キューブを埋め込めない非可算次元ポーランド空間ってどうやって作るんだよ! 」という疑問から始まり, 自力では構成を思いつかず, 「非可算次元ポーランド空間のフレシェ次元型は唯一なんじゃないか」という楽観的な予想をして色々調べていたけど, 無限次元トポロジーの闇は深かった.
無限次元トポロジー, 魔界.
ラベル¶
数学, トポロジー, 関数解析
河東研の学部 4 年セミナーに使われる本の紹介ページが出ていたので¶
本文¶
勝手に例年楽しみにしている河東研の学部 4 年セミナーに使われている本の紹介ページが出ていた.
- 書名: "A Short Course on Spectral Theory" (Graduate Texts in Mathematics 209)
- 著者: W. Arveson
- 出版社: Springer
発行年: 2002 作用素のスペクトルの理論を扱いますが, 関数解析の基本的な内容は ある程度知っている必要があります. 作用素環的な雰囲気があちこちに 出ています.
書名: "A Course in Functional Analysis" (Graduate Texts in Mathematics 96)
- 著者: John B. Conway
- 出版社: Springer
- 発行年: 1990 普通の関数解析から始まります. いろいろなことが書いてあり, 最後の方では C*環の話も出てきます.
Currently Available Books on Operator Algebras - Mathematical Theory of Quantum Fields by H. Araki, Oxford University Press, 1999. - An Invitation to C*-Algebras by W. Arveson, Springer 1976. - K-theory for Operator Algebras by B. Blackadar, Cambridge University Press, 1998. - Operator Algebras by B. Blackadar, Springer, 2005. - Wavelets through a Looking Glass: The World of the Spectrum by O. Bratteli and P. E. T. Jorgensen, Birkhauser, 2002. - Operator Algebras and Quantum Statistical Mechanics, Volumes a pdf file supplied by the author - Noncommutative Geometry by A. Connes, Academic Press, 1995. - C*-Algebras by Example by K. Davidson, Amer. Math. Soc., 1996. - Quantum Symmerties on Operator Algebras by D. E. Evans and Y. Kawahigashi, Oxford University Press, 1998. - Local Quantum Physics by R. Haag, Springer, 1996. - Fundamentals of the Theory of Operator Algebras, Volumes IV by R. V. Kadison and J. R. Ringrose, Amer. Math. Soc., 1997. - An Introduction to K-Theory for C*-Algebras by M. Rordam, F. Larsen and N. Laustsen, Cambrige University Press, 2000. - Theory of Operator Algebras, Volumes III by M. Takesaki, Springer, 1979-2003.
コメント¶
Wavelet の本, あれは本当に作用素環の本だったのか. Bratteli のページにあったので名前だけは知っていたが, 分野を変えたという話で, 作用素環ではない話なのかと思っていた. あと, 以前河東先生から「 Local Quantum Physics は Haag の哲学を書いた本で勉強用に読む本ではありません」というのを直接聞いた. 実際ある程度読んでみようとしたことがあるが, さっぱり分からなかった. 多分今読んでも無理だろう. 荒木先生の本も省略が多くて読めたものではない. その分短いので, 大体どんな話があるかだけ知りたい場合に眺めるのにはいいだろう. 勉強に使える本ではない.
Davidson の本は例がたくさんあって比較的良いらしいが, 内容にムラがあってやたら適当なところややたら詳しいところがあったりすると, いま東北の助教をしている三村さんに伺ったことがある.
Bratteli-Robinson は作用素環の量子統計におけるバイブルなのでその方面の人は読まざるを得ない. ただ, 必要なことが大体全部書いてある分, 雑多と言ってもよく純粋に作用素環を学びたいという人が読む本ではないだろう. 私も全部は読んでいない.
Connes の本もあれで勉強するのはしんどそう. 色々書いてあるので眺めていると楽しいのは間違いない.
Kadison-Ringrose は私も多少読んだ. 普通の関数解析から始まり, Banach 環の話などをしたあと, 作用素環の話題に入る. 作用素環としては標準的だろう. もう少ししっかり読むべきだったとは思っているが, 早く論文読みたかったので適当に切り上げて Bratteli-Robinson に移った. 富山先生に「教育熱心な彼等が書いた良い本だ」と言われた覚えがある.
一番基礎から本格的なのはやはり我らが竹崎先生の書いた三部作だろう. 私は何かの参考で 1-2 度参照しただけで, 全く読んでいない. 以前九大の増田さんの書評で「良い本だが具体例の扱いがかなり後回しになってしまっているので, 詳しい人の指導を受けて適宜例を補いながら読むととてもとてもよい」というのがあった覚えがある. 同じく増田さんの書評で, 竹崎先生の「作用素環の構造」は滅法面白いというのがあった. こちらも読んでみたい. これは軽く眺めたとき, 零れ話的な話で竹崎先生が大発見を逃がして Connes に先にやられてしまった話などが書いてあったり, そういう部分が楽しかった. 何十年も前の話なのにやはり余程悔しかったようで, ちょっとしたスピーチでも良く話を取り上げるようだ. 同じ話を 3 回くらい聞いたことがある. ちなみに今になっても悔しくなるだろう, というくらい作用素環には決定的な話で, Connes コサイクルとか何かその辺の話.
ラベル¶
数学, 数理物理, 作用素環, 竹崎先生, 数学書
Twitter まとめ: 単位元のない環¶
はじめに¶
Twitter だけだったかブログにもまとめたか既に記憶にないのだが, Twitter でまた単位元のない環に関する話が出ていた.
引用¶
単位元の存在しない環の例をパッと思いつかない
@supernova3024 なんか重要な例があるそうなのですがわたしは知りません
@primenumber 重要な例があるのか……
@supernova3024 作用素環とかの分野だと結構あるっぽい (あんまり知らない)
@Asabokujo そうだったのか……
@dingdongbell あっ…………
@dingdongbell ありがとう
@Asabokujo @supernova3024 $L^1 (\mathbb{R})$ が畳み込み積に関してなす可換環は単位元を持たないよ
@bean_paste そうなんですか…… (よく知らないです…)
@Asabokujo @bean_paste 0 に収束する数列全体 (演算は項別) という例もあります.
@LT_shu なるほど, lim の分配則 (っていうんでしたっけ) から環になるんですね で{1,1,1,…}はこの元ではないと
@Asabokujo はい. ちなみに, 単位元の存在を要求しなければ, 一般に環のイデアルは環になります. さっきの環は, 収束する数列全体の環 (これは単位元をもつ) のイデアル (lim が環準同型で, その核) ですね.
コメント¶
私が良く出す例は 2 つある. 1 つは局所コンパクト Hausdorff 空間 $\Omega$ 上, 無限遠で 0 になる連続関数のなす可換環だ. もう 1 つは無限次元 Hilbert 空間上のコンパクト作用素のなす非可換環だ. 両方とも $C^$ 環になっている. 作用素環 ($C^$ または von Neumann) は一般に単位元を持たなくてもいい. 私が実際に触るのはほぼ von Neumann 環 で, 大体単位元の存在を仮定しているし, 具体例だと本当に持っている.
$C^*$ だと単位元の存在を仮定しないことがよくあるようだがあまり触ったことはない. von Neumann 環の場合, 単位元がなくても中心極大射影が単位元の代わりになってくれるため, 単位元の存在を仮定しても一般性が失われないということはある. Kadison-Ringrose にその辺のことが書いてあるため, 興味がある向きは読んでみよう.
追記¶
コメントを頂いた. まずは dif_engine さんからのコメント.
コメント 1¶
@phasetr $C[0,\infty)$ 上の積 $f (*) g (x) := \int_{[0, x]} f (x - t) g (t) dt$ を入れたものも単位元のない環です. これが整域である (ティッチマーシュの定理) ことが Mikusinski の演算子法の基礎になっています.
コメント 2¶
@phasetr 関数 $t \to f (t)$ のことを ${f (t)}$ と書けば, $({1}*f) (t)=\int_{[0, t]}f (\tau) d\tau$. すなわち {1} は積分演算子になっているわけです. この逆元が微分演算子というわけですが, $C[0, \infty)$ にそのような元はありません.
@phasetr $C[0, \infty)$ には単位元がありません. ところが, デルタ関数 $\delta$ を導入し, 形式的に $f\delta$ を計算すると, $(f\delta) (t)=\int_{[0, t]}f (t-\tau) \delta (\tau) d\tau=f (t)$. すなわち $\delta$ は (形式的には) 単位元になるわけです.
@phasetr もちろん $C[0, \infty)$ の中に $\delta$ のような元は存在しません. ところで, 任意の可換整域 (単位元の存在は仮定しない) について, それを含む最小の可換体が存在します. 整数環の直積から有理数体を構成するのと同様にすればいいわけです.
@phasetr $C[0, \infty)$ を含む最小の可換体 $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ を考えてみましょう. 今や微分演算子やデルタ関数はすべて $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ の中に入っています. 所謂 D-法 (微分演算子法) を Fourier 変換などを用いずに実現したことになります.
微分作用素やデルタが本当に $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$ に入っているかの確認が必要だとは思うが, 演算子法の概略というレベルで把握した. 知らなかったので助かる. $\mathrm{Frac}(C[0, \infty))$, 定義域固定なのが微妙に気になるが, これはどこまで一般性があるのかというのは気になる.
何か書いておくと勝手に色々教えてくれるという実に楽しい Twitter ライフを堪能している.
ラベル¶
数学, 作用素環, 環論
金城克哉さんによる論文, 「槇原敬之の歌詞の数量的分析 : 『君が笑うとき君の胸が痛まないように』から『 Heart to Heart 』まで」¶
はじめに・引用¶
金城克哉さんによる槇原敬之の歌詞の数量的分析 : 『君が笑うとき君の胸が痛まないように』から『 Heart to Heart 』まで という論文の話が出ていた.
なんという論文…‼ / 槇原敬之の歌詞の数量的分析 : 『君が笑うとき君の胸が痛まないように』から『 Heart to Heart 』まで http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/20.500.12000/26375
掲載誌としては「琉球大学欧米文化論集」という紀要で, 分野としては計量言語学になるのだろうか. 論文の「はじめに」を引用しておこう.
論文の「はじめに」¶
近年ではインターネットで音楽が購入でき, 超小型音楽再生機器の登場によって, そのように購入した楽曲を文字通り「もって歩ける j 時代となった. これまでにないほど, 我々の生活の中には音楽が溶け込んでいる. それを反映するように, 我々が親しんでいる楽曲の歌詞が言語研究の対象として取り上げられことも少なくない (『日本語学』 (1996,15 号) 所収の諸論文参照). 一人のシンガーソングライターの歌詞を分析した代表的な研究として伊藤雅光による松任谷由美の歌詞の一連の分析がある. しかしながらそれ以降, 自ら作詞・作曲をし, なおかつ自分が作った歌を歌うシンガーソングライターの一連の歌詞を数量的に分析した研究は多くない (細谷・鈴木 2010). 本稿では 2012 年でデビュー 22 周年を迎える日本の代表的なシンガーソングライター棋原敬之のオリジナルアルバムの歌詞を数量的に分析することを目的とする.
雑感¶
研究の目的が今一つ分かっていない. 欧米文化という観点から見た比較なども気になる. 論文の最後に「評論家の評価・本人の発言が実際の歌詞研究からも裏付けられた」というような記述はあったが, そこからどう話を持っていくのだろう. 私から見て他分野もいいところなので, 研究のモチベーションが分からないというよくある話ではある.
時々見かける「数学は何の役に立つの」というアレに関して, 人によっては「文学部国際言語文化学科」という学部学科であっても統計学という形で数学を使わざるをえないというところの紹介だ. 経済を筆頭に社会学系統だけでなく, 文学部でさえも数学を使わざるをえないこともある. ただ「こともある」という程度だと思うので, 皆が皆無理にやることもないだろうとも思っている.
ラベル¶
数学, 文学, 統計学
コンパクト性の諸相を探る対談を聞きたい方の市民¶
はじめに¶
我らが Dr 谷村のツイートを受けて次のようなツイートをした.
Dr谷村のいうコンパクト事案、私の気分だととにかく収束に関わる話が一番で、それ以外は連続関数の可積分性などを思うので、何に興味があるかにフォーカスを当てつつコンパクト性の諸相みたいな感じで色々な人の対談コンテンツあると面白いと思う。
— 相転移P (@phasetrbot) August 31, 2020
これ, 私だと全く他人への影響力がないので, 他力本願的に我らが数学市民に何かお願いしていきたい. どんな感じの話があると嬉しいか, 面白いか的な意図で関数解析系の解析学に関する私の趣味嗜好, そして Dr 谷村的な気分のツイートを記録しておく. Dr 谷村は鍵アカウントなのでツイート引用についてどうしようかという気分はあるが, 怒られないことを期待して適当にツイートを引くことにする. もとは一般位相空間に関わる話に端を発しているようなのでそこからのツイート引用もしよう.
私の趣味志向¶
最初に引用したように私の気分だととにかく収束に関わる話が一番で, それ以外は連続関数の可積分性などを思う. 実数論のボルツァノ-ワイエルシュトラスがアラオグルの定理として無限次元拡張を持つことへの拡張が全ての感覚の基礎にある. 物理学科所属としてはかなりのレアケースのようだが, 学部 1 年の必修で実数論・集合論・位相空間論があり, 実数論・解析学は私の数学認識の基礎基本になっている. 関数解析方面からは (局所) コンパクトハウスドルフ空間上のリース-マルコフ-角谷の定理など積分論・測度論とコンパクト性に関わる議論もある. 現代数学探険隊では可分なバナッハ空間上の汎弱点列コンパクト性やクレイン-ミルマンの端点定理, ストーン-ワイエルシュトラスの定理, ビショップの定理なども紹介している.
それぞれ簡単に言明を書いておこう.
- クレイン-ミルマンの端点定理: $X$ を局所凸線型位相空間とし, $C$ を $X$ の空でないコンパクトな凸部分集合とする. このとき $\mathrm{ex} C \neq \emptyset$ であり, $C = \overline{\mathrm{conv}} (\mathrm{ex} C)$ である.
- ストーン-ワイエルシュトラスの定理: 局所コンパクト空間 $X$ に対して $A$ を $C_c(X)$ の部分環とする. $A$ が $X$ の全ての点を分離し, 全ての点に対して $A$ の元であってそこで消えない元が存在するとき, およびその時に限り $A$ は 上限ノルムに関して稠密である.
- ビショップの定理: コンパクトハウスドルフ空間 $X$ 上の関数環 $\mathcal{A}$ が単位元を含む閉部分環で $X$ の全ての 2 点を分離するし, $\mathcal{K}$ が $\mathcal{A}$ の反対称集合の全体だとする. このときいろいろなよい性質が成り立つ.
コンパクト集合または局所コンパクト集合の上でいろいろないい定理が成り立ち, 特に収束周りのいい定理 (閉集合性) が成り立つ気分が大事. あとは物理まわりで局所コンパクト群とハール測度の存在のような群上の積分論に関するよい性質もある.
既に言及があるように, やはりコンパクトハウスドルフ空間まわりの議論も基本中の基本で, 作用素環でのゲルファント-ナイマルクの定理は決定的だ. 単位元つきの作用素環上の状態の空間はコンパクトなので, そこで状態の列を考えればとにかく部分列が収束する. ヒルベルト空間の単位ベクトル列だと赤外発散が原因で 0 にしか収束しないのだが, 単位元つきの作用素環の状態空間上での収束なら $\omega(1) = 1$ だから 0 には収束しない. 赤外発散処理の基本定理だと思っていて, こういうところで常にお世話になる.
他に幾何でも, ベクトル場の完備性の十分条件として多様体のコンパクト性がいるあたり, やはり解析の趣を感じるし, リーマン幾何のホップ-リノウもリーマン多様体がユークリッド空間の拡張である気分を感じさせてくれていい気分.
解析系だとほぼハウスドルフ空間しか見ないので, ハウスドルフ空間ではコンパクト集合が閉集合という意識さえしなくなる定理がある一方, 非ハウスドルフなザリスキ位相などを扱う代数幾何だとコンパクト開集合が出てくる. 代数幾何の気分は全くわからないので前から気になっている. quasi-compact という用語を準備したくなるほど違うらしいのでどういう事情が出てくるのか聞いてみたい気分がある. あと $p$-進は超距離から来る連結性まわりの位相的な特徴の違いもあり, コンパクト性にどういう影響があるかは聞いてみたい.
他にも探せば出てくるが, とりあえずこんなところで. 以下, 数学市民と Dr 谷村のツイートをいくつか引用して終える.
数学市民のツイート引用¶
今日記事内に追加されていたので知った本だけど「Geometry from the Logician&*39;s Point of View」というのはなかなかパワーワードな気がする。Kindle版もある。 https://t.co/ezlMAthIix
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 30, 2020
届きました。 pic.twitter.com/6x5SmQn40H
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 30, 2020
児玉永見、1時代前はマニアのみが知るマイナーな本という扱いだったと思うのですが、いつの間にか市民権を得ていて驚きますね。
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
個人的には、標準的な位相空間論の教科書と位相幾何学で用いられる位相空間論の間にそれなりにギャップがあるのは大変だなと思います。児玉永見がそれに応える教科書とは思いませんが。その辺りのちょっとAdvancedな位相空間論がまとまった本がほしいなぁという気持ち。
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
CW複体のトポロジーについて、よく参考にしていたのはこの本です。 https://t.co/Tu4cyuN98g
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
私はこの本は読んだことはないけど、
— Kuto (@KutoCat) August 31, 2020
一樂重雄先生の「位相幾何学」は候補に入れてもいいかも。
先生の別のテキスト2冊(集合と位相の)読む限り、行間がなく説明がわかりやすく、かつ、丁寧なので。https://t.co/xStu5DEO4k
「絶対近傍レトラクトについてやたら丁寧に載ってた位相幾何学の本あったよなぁ、なんだったっけなぁ」とAmazonを探していたら、見つかった。Cechホモロジーとか載ってる貴重な本。 https://t.co/A74sxGnYfW
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
【近代位相幾何学は、位相空間論と代数的位相幾何学の二つの大きな柱の上に成り立っている。専門化するにつれて、この両者はほとんど異質の分野と思えるくらいに極端化されつつある。しかし、これらは本来融合されるべきものである。本書では..(中略)できるだけこれらの交流を試みたつもりである。】
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
僕の書いたパラコンパクト性PDFみたいなのですかねhttps://t.co/Ji4uwzj4dxパラコンパクト性-pdf/
— Atsushi Yamashita (@yamyam_topo) August 31, 2020
位相空間の圏の圏論的性質は結構残念なので、「良い位相空間のクラス」を探すだけでもなかなか大変なのです。その一方でSimplicial setの圏は圏論的性質は素晴らしいのですが、幾何的実現しないと見えないという難しさがある。直観的な扱いやすさと圏論的な扱いやすさのトレードオフ。
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
Dr 谷村のツイート引用¶
何冊もは知らないけどケリーはいいと思う。
個人的にケリーの内容は、まあ普通だと思いますし、位相幾何をやるには正直あんまり役に立たない気もします。(Smith-Mooreの収束理論が書いてあるのは面白いので、関数解析的な目線では読む価値あるかも、という認識です)
— 数学市民 (@Infinity_topoi) August 31, 2020
まああとはブルバキ
アマチュア数学勢、「いや、自分にはまだ多様体は早いすから」って言いながらものすごく凶悪な位相空間論を繰り出してくるイメージ。 ぼくとしてはむしろ、多様体をやらずに位相空間論だけ直観に落とし込むってものすごいことだと思う。 多様体やるまでマジでコンパクト性ってなんなのか全くわからなかったし、普遍性やベクトル束に至ってはB4でセミナーやっててやっと理解出来た。
ちなみにコンパクト性どういうイメージなのでしょうか。私の場合の幾何でのコンパクト性、リーマン幾何でのホップ-リノウが真っ先に頭をよぎります。あとはベクトル場の完備性。
— 相転移P (@phasetrbot) August 31, 2020
これはえなじーさんの言なのですが、ペットボトルを回してみると、ペットボトルは変な形になったりせずに有界なパターンで動きます。これはSO(3)がコンパクトだからです。コンパクトとは「遠くに逃げない」状態です。 「こういうのの証明ってちゃんと書いてる本知らない気がする」を網羅している同人誌。
最後に¶
何にせよいろいろなコンテンツ作りはしていきたい. 連携できるならいろいろな人とも連携しつつ.
量子力学での非線型何とかの扱いと自己共役性と原子核的なアレ¶
本文¶
元発言の人が鍵つきなのでこう引用が色々とアレだが, こんなやりとりをした. 問題ないと思われる範囲で引用する.
元は「量子力学でのオブザーバブルを非線型作用素で書くことがあるか」という話で次が続く.
引用¶
@sazanka_kamelie どうなんでしょう. 観測可能な物理量だったらスペクトル分解できて欲しいので, 線型作用素であることは要請しそうですが…
「量子力学での非線型 Schrodinger とかの扱いはどうなの」という話が来てこうなる.
@sazanka_kamelie あまり詳しくないですが一次元系の BEC が非線形シュレーディンガー方程式で近似できるという話はちらっと聞いたことがあります.
中略
@sazanka_kamelie 良く知らないですが, 多分解きたい方程式が非線形シュレーディンガー方程式で近似できるみたいな話だと想像してます. ちなみにですが相転移 P にも聞いてみたらどうでしょう.
ここで話を振られたので知っていることを答えてみた. 詳しくないのでつらいところだが.
@wr_r @sazanka_kamelie 詳しい人に聞いた方がいいですが, GP のことなら, アレは物理量というより基底状態を求めるための近似式のはずなので違うのではないか説
@wr_r @sazanka_kamelie 別件ですが, 原子核だと (近似として) 非エルミートの物理量 (ポテンシャル) を使うことがあるそうなので http://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/yakou/gensan.pdf, あまり杓子定規な扱いはよくないのではないか説
@sazanka_kamelie それはお役に立てて良かったです. 今日みたいにおもしろい話があればめた聞かせてください @phasetr ご丁寧にお教えいただきありがとうございます. GP というのですね. 僕ももっと守備範囲を広げていきたいものです.
@wr_r 私の守備範囲の狭さは危険水準なので涙を禁じ得ません
@phasetr たまにツイッターで物理 or 数学を教えて欲しいと話されてますよね. 僕も守備範囲狭いので涙を禁じ得ません.
本当に正確に理解できているのか不確かなのだが, 原子核で Schrodinger が Hermite (自己共役) にならない形のポテンシャルを使う, と聞いたときはびっくりした覚えがある. それ以来, 原子核の理論をちょっと見てみたいと思っているが手が出ない, という以前に何を読んだものかというレベルで止まっている.
ラベル¶
数学, 物理, 量子力学, 原子核
構成的場の量子論と Levi 過程と Gauss 超過程¶
はじめに¶
先日, Twitter でくるくるさんに読んでほしい本特集をしていたのだが, その中でささくれパイセン方面にぶっこもうという自然な流れができた. それを記録しておきたい. 他の人も何か言っていたと思うが, 追跡しきれないので自分の分だけまとめる. この辺からはじまる.
やりとり¶
ささくれ先輩には汎関数積分を教わりたい. Levi 過程とか微妙に確率的に多少突っ込んだ話が必要で, かなりつらくて読みこなせない
今書いている論文, さっさとまとめてちょっと違うことしてみたい気分になっている. 動画作る上で幅を広げたいという目的もあり
(作用素論・) 作用素環・確率論でそれぞれ同じ物理がどういう風に数学的に表されるか, とかそういうのも鑓田違法の市民だったが, 確率には挫折しっぱなしな方の市民だった
よく知らないのだが, ブラウン運動と大偏差原理, 何か関係あるの
ささくれ先輩にガウス超過程を教わるオフの開催が決まった
ささくれパイセンとパン耳パイセンに可換, 非可換確率論の集中講義をしてもらおう
構成的場の理論, 本当にレビとガウス超過程出てくるということだけは言っておきたい
学部一年の時, ブラウン運動の物理について調べて発表しろという講義があり, その時何も知らずに飛田ブラウンを手に取ったり, 初期値δ関数の拡散を考えるのにシュワルツの超関数とか手に取ってしまって絶望に叩き落とされた私の話はやめるんだ
コメント¶
Levi 過程にまで踏み込んだ本格的な汎関数積分の本は廣島先生達による次の本, 『 Feynman-Kac-Type Theorems and Gibbs Measures on Path Space: With Applications to Rigorous Quantum Field Theory 』がいいだろう. 場の理論で作用素論・作用素環で証明したことを汎関数積分で見てみたい, と思って汎関数積分を勉強しようと思って読んだところ, 確率弱者に読める本ではないことが判明して号泣した本だ.
Gauss 超過程は上記の本にもあるが, 新井先生の『量子数理物理学における汎関数積分法』が読みやすい.
場の理論だと, 基本的に Gauss 超過程は「敗北」を意味する. Gauss 超過程は自由場に対応するからだ. 物理として面白い (意味がある) のは相互作用場だが, 上記注意からこれは非 Gaussian である必要がある. これが実につらい. Gaussian だからといって超関数を変数とする関数の積分を考えないといけない時点で解析的にかなりハードだが, それをさらに越える制御の面倒さが出てくる. Curved spacetime でしようと思うと最早現行人類の手を離れるといってもいいだろう.
途中で非可換確率論の話が出てきているが, それについてはこれでも見てほしい. (このページの「Twitter まとめ: 非可換確率論と自由確率論」).
ラベル¶
数学, 数理物理, 場の量子論, 確率論
数学徒と物理アレルギー¶
本文¶
PDE の話が書かれた pdf を読んでいたのだけど, どうしても物理っぽい話が出てきてしまって, その辺りから急激に興味が薄れて読むのをやめてしまう. 物理アレルギーが今日も勉強をジャマしている.
数学の人, そもそも物理が嫌いという場合があるのだが, そういう人にどう話をすればいいかというのはいつも気になっている. 私の場合, やっていることの数学的意義の存在がかなり微妙なところにあり, 物理的なモチベーションを抜いたらほぼ何の意味もない話になったり, さらに各種定義の意味が全く分からなくなるということもあってかなり困ることがある.
あと, 物理絡みの話に興味はあるが読んでいる文献で仮定されている素養とのギャップがあってつらい, という状況もあるかと思うが, そういう場合はどう処理するのだろうか. 私は平衡統計・場の理論関連の話がメインだが, モデルが被っているために非平衡の人も参入していたり, 非平衡の論文が参照されていて, 実際に困ることがある. 今まで触った範囲では非平衡といえどもあまり大きく意識を変えずに済んではいるが, はじめは何を言っているか分からずつらかったことなどを想起した.
この辺も何か考えよう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 偏微分方程式
数学カフェ¶
数学カフェ的なアレを始めたのでその第 1 回の記録¶
本文¶
今日の数学カフェについてまとめておく.
相転移 P さんからお誘いを受けて, 今日数学カフェに参加してきた. 参加者は相転移 P さん (phasetr), 24 歳 OL の光佳さん (anmitsu_0602), 私の 3 人だ. 吉祥寺のカフェで飲み物やケーキを頼み, ゆるゆると始まった.
数学カフェは相転移 P さんが「数学に興味がある人を増やしたい, 普段数学に馴染みがない一般の方に数学を楽しんでもらって, もっと裾野を広げていきたい」という思いから始まった試みである. 光佳さんも私も, 社会人になってから数学に興味をもったクチだ.
数学カフェにはテキストとして「語りかける中学数学」を購入し, 各自持参した. この参考書, 数学が苦手な人に向けてわかりやすく記載が受け, ベストセラーになっているが, 相転移 P さん曰く間違いが多いらしい. 詳細は彼のブログで述べている. http://phasetr.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html
ただ, 初学者が勉強するには使いやすそうだということで, 今回のテキストに決まった. 今回は顔見世ということもあるし, そもそも数学カフェでどこを勉強しようという決まりもない. わからない所があれば質問を受けますよ, と言う気楽なスタンス. 実際, 今日は j 本を見せ合っただけで, 雑談に終始した.
雑談の内容は様々だった. 数学に興味を持ったきっかけや, どんな本を読んでいるか. ふだんの仕事の話. 理工系の女子率の低さ. 極端に少ないとパワハラやセクハラを受けやすい気がするけど, どうやったら増えるんだろう. 理系チェックシャツの謎からの相転移 P さんの着物の理由, など
置物帰国オフ (昨年末に行った, 大学生・院生・ポスドク等 22 名のオフ会) で私が相転移 P さんに絡み酒をした話もしました. 相転移 P さんの繰り出すネタに, 光佳さんも私も涙が出るほど爆笑する場面もありました. 数学どこいった
数学カフェ, 面白かったので第 2 回もやりたい. 光佳さん華やかで大変かわいい女性で, 実は最初激しく動揺した. でも, 機転が利いて話しやすい方で, カフェで和やかに過ごせた. のんびりした会なので, 他の参加者も増えるといいな. どなたか, 一緒にやりませんか.
子供の理科離れとか言っている異常者がいるが, 実際に一番やばいのは大人の理科離れだと思っている. よく日本科学未来館の展示などで親が「子供が興味を持ってくれたら」とか言っているが, お前ら親は興味持たんのか, という話だ.
そして文句いうならお前も何かしろという話になるわけで, 大人向けの何かをしよう, ということでとりあえず始めた. 柚子胡椒さんにも当然のように突っ込まれたのだが, 今回のような話が一般の大人, もっと言うと女性に受けるなどとは全く思っていない. ただ, 何かしていることを積極的に前に出しておけば, そこからの展開や, 「じゃあこんなことお願いできますか? 」的な 何かがあるかもしれない, と思ってやっている.
何度も言っているが誰もやらない世界に行くための人柱はいつだって必要で, 自ら人柱になりにいこうという話. どうせ一発ではうまくいかないので, 私が無為に流した血と屍を参考に他の方も活動して頂きたい.
ラベル¶
数学, 相転移プロダクション, 数学カフェ
いま野口潤次郎『多変数解析関数論』を読んでいる¶
本文¶
最近野口潤次郎先生の『多変数解析関数論』を読んでいる. 以前 pekemath2 さんが面白そうと言っていたのと, 昔から憧れであった岡理論を勉強したいというこ, あと一応微妙に実益がないでもないのでずっとやりたいと思っていたのをようやく思い立ってやっている感じ. 代数的場の量子論の方でも私が興味あるところでよく多変数関数論を使っているようだし, 名前が既にスーパー格好いい楔の刃の定理の証明でも大事: これは量子統計でも使うのだ. あと研究上ちょっと興味がある代数解析でも基本になっているということがある. まずは全体像を掴もうということで粗っぽく全体を眺めている.
やりとりメモ¶
この間少し色々書いてやりとりもしたので記録を残しておこう. まずはこの辺か.
多変数関数論, 代数弱者にはかなりつらい印象を受けた
@phasetr かなり代数的に定式化してましたねぇ
@pekemath2 層やコホモロジーや代数の諸概念の勉強にはなってくれそうなのでそれはそれで嬉しいのですが
@phasetr そういう読み方も出来そうですね
@CFT_math そうです. 前々から岡の話をやりたかったというのと微妙な実益を兼ねて, 思い立ってやろうということで
その 2¶
関数論でルートを取るときの「分枝を取る」というアレ, 未だによく分かっていない
関数論というより複素数自体よく分かっていない感ある
複素数のことがよく分かっておらず関数論をろくに理解していなくても複素数体上の線型空間論は何とかなるし関数解析, ヒルベルト空間論も何とかごまかせるので, 関数解析, 一番素人向けなのでは感ある
野口先生の多変数関数論の本, ちょっとした具体例がだいたい全て代数幾何由来 (多変数多項式が例) なので, 何かその辺を徹底的に具体例をメインに関数論的に論じた代数幾何の本とかほしい
その 3¶
関数論でルートを取るときの「分枝を取る」というアレ, 未だによく分かっていない
@phasetr 複素関数として考えるとリーマン面になっていて, この場合は原点から伸ばした半直線沿いに切れ目を入れると二枚になるのでその片方を取る, ということでしょう.
@dif_engine ちょっと複雑になると何かもうよく分からなくなるのです. log とかも今ひとつ腑に落ちていない感じで. 1 月くらい浴びるほどやれば何とかなるとは思いますが, ひたすら分枝を取るところやリーマン面の具体例とか書いてある本が欲しい
@phasetr $\sqrt{z}$ は一般論を持ちださなくても, $\left| z \right| = 1$ となる引数を考えて $\exp (it) \to \exp (it/2)$ を考えて $t$ をどんどん大きくしてくと $t=\pi$, $t= 1.5 \pi$ のときに $z$ が同じなのに関数値が違う現象が起きるのが見やすいと思います.
@phasetr あまり一般論にいかず, $\sqrt{z}$ とか $\sqrt{z (z-1)}$ みたいなのを考えて, 引数側の平面で閉曲線をぐるぐるやって実感してみるのがいいんじゃないかなと思います. (僕は $\sqrt{z}$ で力尽きて続きやってないので偉そうなこと言えませんが).
@dif_engine 実際に多変数関数論の本でよく例で出てくるのもそのくらいの簡単なものばかりなので, それをきちんとやるべきなのをずっとさぼっていたつけが回ってきている方の市民です. いい加減きちんとやりたい
@phasetr 私は, 局所凸関数論真面目にやってる俺 TUEEE などと軽薄な事を考えず真面目に藤本坦孝先生の複素解析を真面目にやっていたら, シュワルツ超関数をもっとよく理解できただろうと思うとちょっと悔しいです.
ラベル¶
数学, 関数論, コホモロジー, 層
Twitter まとめ: 零空間 $N$ は (線型) 写像の核 ker だった悲しみ¶
本文¶
ささくれ先輩がセミナーで喋っていたようなのだが, それについてブルブルエンジン兄貴と梵さんが Twitter 上で会話していた. 困っている人がいるかもしれないし, 折角なのでメモしておきたい. この辺から始まる.
引用¶
記号の使い方に非難でまくりのセミナー
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2013年3月20日
@alg_d 先輩のやつですか?
— 梵 (@bonnou_bonjin) 2013年3月20日
@bonnou_bonjin はい。「作用素のカーネルはKerで」「カーネルはNだろなにいってるんだ!!」
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2013年3月20日
@alg_d カーネルがNの気持ちがわからない人生だった・・・
— 梵 (@bonnou_bonjin) 2013年3月20日
@alg_d @bonnou_bonjin ゼロに落ちる的な意味でのnullのNから来ていると思っていたのですがどうなのでしょう http://t.co/zYeUCsgvrx零空間
— 相転移P (@phasetr) 2013年3月20日
@phasetr あーなるほどと思いながらも日常的に使っていないからカーネルはkerという感じが強いですね
— 梵 (@bonnou_bonjin) 2013年3月20日
私は ker と書く¶
私自身は核を ker と書く. これは新井先生の本の影響だ.
im は ran¶
ついでにいうと, 像の方も Im や im ではなく ran と書く. ホモロジーあたりをやるとき時々こっそりと Im ではなく ran と書くのだが, これはこれで気持ち悪くて結局 Im とか書きつつ, 核だけは ker と先頭を小文字にしていたりする.
追記¶
Twitter で次のようなコメントを頂いた.
@phasetr kernelをNと書くのはフランス語のnoyau(核)に由来しているのでは?
— Naoya Umezaki (@unaoya) 2013年3月22日
よく分からないが確かにフランス語由来かもしれない. 実際, 整数の $\mathbb{Z}$ はドイツ語の Zahlen が由来だったはずだ. 何か文章にしておくと指摘をしてもらえるのは実にありがたい.
数学¶
数学, 関数解析, 線型代数
Thurston によるコンパクト・シンプレクティックだが Kaehler ではない多様体の例¶
本文¶
TL を見ていたら Thurston の論文が引用されていて, ちょっと「おお」と思ったのでとりあえず読んでみた. これだ. シンプレクティック多様体は解析力学でも出てくる多様体で, 最近は超弦とかその辺との兼ね合いもあって精力的に研究されているという話を聞いている. Kaehler ももちろん非常に筋のよい対象で, 複素幾何の中心的な対象だと聞いている.
シンプレクティックは実多様体, Kaehler は複素多様体だが, 両方とも実次元は偶数なのでこういう比較にはきちんと意味がある. またこれで始めて知った程度に幾何弱者なのだが, 「多様体 $M$ が閉でシンプレクティックなら概複素構造を持つ」ということなので, こう何となく複素構造とかも持ってくれる可能性はある. その辺から「全ての閉シンプレクティック多様体が Kaehler になるか」というのは結構大事な問題だったようだ. ちなみに逆はすぐ分かる. 例えば Wikipedia を見てみよう.
で, 結局反例があるということを Thurston が言った, というのがこの論文のようだ. 2 次元トーラスの微分同相群, $\mathbb{Z} \oplus \mathbb{Z}$ の表現からファイバーバンドルを作って, そのコホモロジーを見るとアウト, という話だった. もう滅茶苦茶に不勉強なためコホモロジーが大体さっぱりなのだが, 反例を作る前に Kaehler の奇次元 Betti 数が偶数になる, という事実が紹介されているので, そこから分かるという寸法.
1 つだけではなくもっとたくさん反例が作れることを注意した上で, 別の予想を立てて論文は終わっている.
この論文が面白いというか紹介したい理由の 1 つとして, Guggenheimer の論文が出たがそれが間違いだった, ということを反例を使って示したところがある. 教科書でも時々あるが, 論文 (研究) レベルになると当然間違いがある可能性があるということ. Fermat 予想が何度も「証明」されたとか「立方体倍積問題の証明」などそういう話を耳にすることはよくあるかもしれないが, 結構色々なところで実際にあるということはもっと注意してもいいかと思った的なアレだった.
あと, 関西のつどいでも話した反例が大事的な話だが, Thurston が反例を作ったのを論文にしているということで, 面白い反例を作ったらそれ自体論文にできるのだ, ということも言いたい.
追記¶
Kaehler の 奇次元 Betti 数の話は Wikipedia の Laplace 作用素のところから来ることを教えて頂いた. あと森の未知さんのツイートも引用しておこう.
引用¶
これは学部生や修士課程学生が読むには非常にいい文章だと思う. >RT
件の Thurston の論文, とにかく短くて, 私の記憶だとたったの 2 ページ. すごい結果なら 2 ページで済むというのも知っていていいだろう.
手法も胞体分割でコホモロジー (ホモロジーだったかも) を計算するという, かなりのローテクノロジー. それで 2 ページで本質的に重要な結果を導いたわけでやっぱり Thurston はすごい.
私も低次元トポロジーには疎い人間で Thurston の論文はあれくらいしか読んだことないのだが, あれだけ読んでも Thurston の偉大さは分かる.
Godbillon-Vey 類の連続変化の話も森田先生の本で少しフォローしたことがあるが, あれもローテクノロジーだったと思う. それでかなり本質的な例を構成したんだよなぁ….
三次元多様体論で Thurston の業績が決定的なのはよく聞くし実際そうなんだろうと思うけど, 具体的に何をしたかは結局今も理解できていないような.
ということで皆も読んでみよう. そして基礎知識から私にレクチャーしてほしい.
ラベル¶
数学, 数理物理, 反例, 論文紹介
専門家による素朴集合論の定義をはじめて知ったので¶
結論¶
鴨浩靖さんによる次のツイート.
なお、「素朴集合論」を公理化されていない集合論の意味で使うこともお勧めしません。集合論の専門用語としては、内包原理を無条件に認める集合論の意味で使われていますので。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
ツイートでのやりとりメモ¶
一定以上のレベルの記事ばかり注目されていますが、初学者向けの入門コンテンツも取り揃えている事も宣伝しておかないと。 / 集合論 - Mathpedia https://t.co/S1L4z2xZuj
— 数学市民@Mathpedia運営 (@Infinity_topoi) September 22, 2020
集合論は素朴集合論と公理的集合論に大別される主旨のことを書くことはお勧めしません。「極限論は『どんどん近づく』とεδ論法に大別される」と置き換えると何がまずいか理解いただけると思います。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
なお、「素朴集合論」を公理化されていない集合論の意味で使うこともお勧めしません。集合論の専門用語としては、内包原理を無条件に認める集合論の意味で使われていますので。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
代案: 数学の他分野と同様に、集合論も公理化が厳密な議論に役立つ。加えて、集合を対象とした研究では集合論の体系そのものを外から眺める手法が有効である。そのため、集合を研究するには公理化された集合論の体系が必須である。しかし、集合を数学の記述言語として利用するだけならば、→
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
→特に公理化を必要とするほどではない。本稿も後者の立場に立ち、特に公理化することなく記述する。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
この代案をMathpediaにそのままあるいは手を加えて取り込んでいただいてもかまいません。ただし、著作権を放棄するものではありません。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
吟味の結果ですが、そもそもこういった表現を削除することにしました。かなり無難な表現にしたため、問題はないと考えます。 https://t.co/LGA8h45EUp
— 数学市民@Mathpedia運営 (@Infinity_topoi) September 22, 2020
鴨さんによる補足¶
「ラッセルのパラドックスを解消するために集合論が公理化された」はよく見ますがほぼ間違いです。ラッセルのパラドックスを矛盾にしないために公理化は本質ではありません。内包公理の制限が本質です。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
「集合論は素朴集合論と公理的集合論に大別される」は前TWの観点を含めて多重に間違っていますが、なにより数学教育的にも有害なので、撲滅が望まれます。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 22, 2020
雑感¶
この手の指摘をもらうためにはコンテンツをオープンにした方がいいというのはある. 先日の記事, 「理論物理学者に数学を教えようの会」の内容や開催にいたる経緯でも書いたように, そのうち「コンテンツは無料, コミュニティ参加が有料」というタイプの「オンラインサロン」をやってみたいと思っているので, そこを目指してコンテンツを公開する方向で進めたい気持ちはある. もちろん高いお金を出して買ってもらった人達への適当な保証も必要だろう. 既に買った人は月額課金の金額を安くするとか, そもそも無料にするとか. 「オンラインサロン」内で適当な有料イベントなどを開催する前提で, そこでまた必要なら課金することにすれば, コンテンツを購入した人はサロン参加自体は完全無料でも問題ない. あとは金額設定と規模がどこまで出せるかだ. この辺, できればこのモデルを改めて出版社などに持ち込んだりもできる.
もちろん既に完全に一般化したモデルだとも思うので出版社などは勝手にやってほしいのだが, 成功事例などがないと現在の学術系出版社は動けないだろうから, その辺の実験はこちらでやる必要があるのだろう. 様子を見ながら少しずつ進めたい.
今の時代の勉強の仕方¶
本文¶
Twitter でこんなつぶやきを見つけた.
もっと数学したいけど, 一緒にする友達も居ないのでなかなかやる気が出なくて, サークルに入り浸り, 後悔して死にたくなるんですよね…
実際に Skype を使って数学の勉強をしている人達がいるようなので, そういうのもありなのかもしれない. idroo なるツールを併用しているとのことだった.
前, 高校生達が Skype で勉強会開いているのに参加したこともあれば, その他, 適当な院生や学部生達と pixiv のお絵描きチャットで勉強会という荒技も繰り出してみたことがある.
(これは古い記事の移行なので, 2021 年時点では zoom など学校の授業でさえ使われているからまた事情は変わっているだろう.)
高校生 Skype のは使えるデバイスが iPhone くらいしかない, というので, 発表者はタイプだけで何とかせねばならず, かなりきつそうだった.
pixiv チャットの方は大学生メインだったから, PC とペンタブレットを上手く使い回すことで何とかなった面があるが, ペンタブレットがないとほぼ発表ができない感じなので, それがきつい.
ツールに左右されるのがかなりきつい. 中高生だと PC を前提にすることすらきつい.
ジョブスは iPad を勉強に使う道を模索していたようだが, まだまだタブレット端末は普及していない. 問題がないこともないが, やはり現状, 数学や物理を勉強するには実際に物理的に集合する方法が一番楽という感じがあってつらい.
何かいいのないかなと思っていて, かつそこをどうにかしたいとは思っているが, 今のところいい案が浮かばない. そういうコミュニティをうまいこと組織したい.
子供の頃そういうのあったらいいなとずっと思っていたので, 子供の頃の自分が喜ぶような何かを追い求めたい.
ラベル¶
勉強法
信じられた自然数 0¶
patho_logic さんのツイートから¶
Twitter では時々話題になるが, patho_logic さんがまた釣り上げてきたようだ. 一応ブログにも関係することをまとめておきたい. patho_logic さんのツイートはこれだ.
0 は自然数とする皆様へ.< http://bit.ly/W27stm>
URL の参照先では次のような異常な文章が書かれている.
Q. 中 1 の数学の問題がわかりません>< 正しいか, 正しくないかの問題なんですが,
自然数でない整数で最も大きい数は 0 である.
というのは, なぜ正しいのかわかりません>< それに文章の意味もわかりません・・・
A. 結論から言うとその文章は正しいです. 説明すると 自然数というのは 0 より大きい (0 は含まない) 整数のことです. 1 とか 2 とか 100 とかとにかく 1 以上の整数です. 自然数でない整数は 0 と-1 や-2 などの負の数の整数です. 自然数でない整数→ 1 未満の整数=0 以下の整数 なので自然数でない整数で最も大きい数は 0 であるとなります.
t_uda さんコメント¶
Twitter の私の観測範囲内では, この辺について t_uda (0_uda) さんが「0 は自然数」を謳って活動している. いくつかあるが, 0 は自然数 FAQや, #0 は自然数 にしたい理由が参考になるだろう. 特に FAQ の方は軽いネタのような突っ込みや, 真っ先に武力解決を模索したくなるようなコメントに対しても回答が与えられていて面白い.
私のスタンスだが基本的に 0 は自然数に含める. 見てきた本が大体自然数に 0 を含めてきたから, というのがおそらく 1 番の理由だ. それ以外には関数環 $C^k (\Omega)$ について $k=0$ を連続関数の環としたい場合, $k$ は自然数と言っておくと楽だからというのもある. 「$k$ は非負整数」と言ってもいいが何となくめんどい, という程度でそこまで積極的というわけでもない.
上記ページにもあるように, 大学受験で問題を解くときに 0 は自然数としないとまずいことがある. Twitter だと受験生もツイートを見ているのでそこの影響は考えないでもないが, その場その場に応じて適切に定義しておけばよく, きちんと通じる範囲で人によって変わっても構わないというのを伝えることも大事だろう. 程良い適当さ, 寛容な心は大事なのだ. 寛容な心というの, あまり実践できていないがそれはそれとして積極的に棚に上げていきたい.
追記¶
大学受験というかセンターで実際に問題があったというのはこれの第 1 問〔 2 〕. ブルブルエンジン兄貴による Twiitter での反応まとめがこれ.
ラベル¶
数学, 自然数
埼玉大で埋蔵固有値に関する摂動論のトークをしてきた¶
私のトークメモ¶
3/24 に埼玉大で「Friedrichs モデルの解析」と題して埋蔵固有値の摂動論について入門的な話をしてきた. Evabow1 さんのリクエストとしてのスペクトル解析と, ゆきみさんのリクエストとしての作用素論と摂動論として丁度いい話題だろうということで. 今回の議論の詳細はあまり作用素論っぽくないのだが, 数学としては簡単な線型代数と微積分, 複素解析を知っていれば十分で, 物理よりのスペクトル解析の話題の面白いところは見られる良いモデルだ.
メインターゲットの一人, ゆきみさんが来ないという非常事態が勃発したが, とりあえず話してきた. 時間があまっているから, という理由でのんびり + 物理の話を予定以上に入れたとはいえ, 最初の講演予定時間の 90 分を 1 時間オーバーというのは極めてよくないことなので反省している.
数学上の色々な概念や言葉の定義に物理のモチベーションがあるので, そこをどううまく伝えるかが非常に悩ましい. そこの間隙こそが一番好きなところなのだが, 伝えるときにはむしろ一番苦労する.
ゆきみさん向けにまたどこかで同じ話をしようという企画は持ち上がっているので, 次回はもう少し色々配慮したい.
また今回の講演もつどい同様動画にしたい.
ある意味で 1 つネタを使ってしまったので新たなネタを補充する必要もある.
あと, 私に何か話をしてほしいという奇特な方がいらっしゃれば, 適当な手段でコンタクトを取って頂ければ前向きに検討していくので遠慮なくご連絡頂きたい. 数学, 物理, 数理物理で社会を善導するために粉骨砕身していく所存. 話せるネタには様々な制約があるので, そこにはご配慮頂きたい.
Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴のトーク内容のまとめ¶
坊ゼミでの他の講演者のトーク内容も記録しておく. Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴がトークした. パン耳パイセンはまさかのスピーカーの欠席という非常事態であった. 何の話をするか楽しみだったのだが.
Evabow1 さん分¶
それはそれとトークの内容である. Evabow1 さんは 1 階の偏微分方程式についての話だった. 前半で特性曲線による解法について話し, 後半でそれを非粘性 Burgers 方程式に応用するという構成だった.
1 階の偏微分不等式 (偏微分方程式ではない) に関する議論が原・田崎の Ising 本でも出てきたが, まともに学んだことがない話だったので実にためになった. 一般論は何がなんだかよく分からないが具体的な話だと何をやっているか分かりやすくなるといういつものアレだった. 自分が話すときにも気をつけたいと改めて思う.
Burgers 方程式の話は最後に衝撃波の話が出てきて, これが面白かった. あまり流体の話をまともにやったことがなく, 衝撃波も名前だけでよく知らなかったので, 勉強になる. 具体的に解けてその解の様子がはっきり見られるというのはやはり面白い. このくらいの目に見えることについては, もっと数値計算やシミュレーションの話を数学科でもやっていいと思う.
alg-d さん分¶
もう一つ, ブルブルエンジン兄貴のパン耳パイセン向けであったという, 非単位的非可換環に対する極大イデアルの存在条件に関する話だった. 選択公理と同値なことで高名な Krull の定理から始まり, 単位元の存在と可換性を落としつつ, 単位元的なものはある状況からどこまでそれを落とせるか, という感じで進んでいく. 最後, left semicentral idempotent (lsi) が存在するところでの極大両側イデアルの存在定理でしめくくられた.
「代数の話だが作用素環に使えるから解析と強弁する」という兄貴の話だったが, 結局, 非単位的で factor でない非可換 von Neumann 環なら中心の射影が lsi になるから確かに作用素環への応用を持つことが分かった. Factor (中心が自明な von Neumann 環. 歴史的な事情によって von Neumann 環論では factor, 因子と呼ぶ) のときにどうなるか, また一般に射影を持つとは限らない $C^*$ 環ではどうか, という問題が残る. 一般の環というわけではないのでどうにかなりそうだとは思っているのだが, 適当なことを言っていると足をすくわれるし, それ以前に関係各所から致死量の攻撃を受けるので気をつけていきたい.
しゅそくさんいわく, パン耳パイセンは優秀な学生だと聞いているので, パン耳パイセンの調査を待ちたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, イベント
Lieb-Loss Analysis の 11 章を読むセミナーを東京近郊の大学で 2 月頃にやるので興味がある向きは問い合わされたい¶
本文¶
yuki_migo さんとセミナーをしようという話があるので, とりあえず告知的なことをしていきたい. 下記の本, Lieb-Loss の Analysis, 11 章の始めから 11.14 くらいまでをやる予定. 2 月のどこかで東京近郊のどこかの大学でやる予定なので, 興味がある向きは問い合わされたい.
Schrodinger 周辺の話だが, 量子力学の知識は特に仮定しない. 物理に関して必要なところは補足する.
解析系の数学科学部 4 年くらいなら十分理解できる内容で, 本来の想定としてはそこに向けて話す. ただ, 本質的に使うのは微積分の計算であってあと大事なスパイスとして関数解析の基本定理を酷使する. 参加者の学年次第だが, 学部 1-2 年の学生が Lebesgue 積分や関数解析の応用面を知り, そこへの学習のモチベーションになるようにもしたいと思っている. ちなみに Lebesgue と関数解析と作用素論のセミナーを 3 月にやる予定なので, その前哨戦と言ってもいい. こちらについても参加されたい方は問い合わされたい.
基本的には本に沿って話をするが, 私の専門が作用素論方面ということもあり, 量子力学に関する作用素論展開と実解析的展開の物理的な見方的なところも多少話す. イントロでは, 確率論との関係や, 量子力学の他の話題, 幾何との関係なども多少話して, 分野的にこの辺の宣伝もする予定だ. 本には書かれていない点でいくつか面白いところは適宜補足していくので, 量子力学周辺の数学に興味がある向きは是非参加してほしい.
追記¶
先日もアナウンスした Lieb-Loss Analysis のセミナーの日程が決まった. 2/14 15:00 から, 東工大で 3-4 時間程度話す予定. 話す予定の内容はここにおいておき, 順次更新していく.
数学科学部 4 年の学生がメインターゲット (はじめにやろうといった相手) なので, 本当にきっちり知りたいなら学部 4 年程度の数学の知識は必要になる. ただ, 参加者として学部 1-2 年が実際にいるので, その辺にも雰囲気が掴めるようにはする. 微分積分や線型代数の展開, 具体的には Lebesgue や関数解析の使い方を見せて, 今後の勉強のモチベーションアップに使ってもらいたいと思っている.
ご興味のある向きは是非参加されたい. こちらのコメントでもいいし, Twitter でリプライを飛ばしてくれても⁄い. サイトにはメールアドレスも載せてあるはで, ぜちらに投げて頂いても構わない.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 作用素論, 関数解析, Lebesgue 積分, 確率論, 幾何学, 相転移プロダクション
「数論研究者のための Sage」¶
本文¶
Sage で数表を作って保存しとく手法をどっかで見たような, と思って探したら @iwaokimura 先生の RIMS 講究録別冊の記事だった.
Dirichlet 指標のガウス和は標準装備されてるけど有限体の乗法群の指標のガウス和がない気がしたので作った.
. @nolimbre ありがとうございます. 何かのお役に立っていれば幸いです: 「数論研究者のための Sage」 http://hdl.handle.net/10110/8946
よくわからないのだが, まだ Python 2 系しかサポートしていないのだろうか. Python, 日本語の扱いが面倒で嫌になったので最近基本的に Ruby を使うように切り替えたが, 科学技術計算の文脈だと scipy とか numby とか充実していい印象がある. これらを普段使わないということもあって, Ruby 移行でいいかと思ったのだが.
ただ, Sage 自体は頭に入れておこう.
追記¶
@phasetrSageは依存しているものが非常に多いのでPython3への移行が遅れています。FAQにはSciPyやCythonが挙げられていますね。https://t.co/z3rFl7EWH9
— Iwao KIMURA (@iwaokimura) 2016, 2月 3
著者からコメント頂いたので記録. 本格的に使うならこういうライブラリ利用の方がいいだろうが, 最近は Haskell の勉強にはまっているので, プログラムの勉強もかねて Haskell で遊ぶ方向でいろいろ考えている.
追記: 2021-08-19¶
最近, 数学+プログラミングでは Julia コミュニティが非常に活発になっている. 数値計算とそれに関わる情報という意味では Python なのだろうが, Julia は Julia で Python の資源をある程度取り込めるようになっている. とりあえずは Julia で遊ぼう. あとは個人的な趣味から F#.
ラベル¶
数学, プログラミング, Sage
黒木さんのツイート¶
2015-04-15 黒木さんおすすめ, 大学新入生向け数学アプリ: Wolfram Alpha (のアプリ)¶
- 数学, Wolfram Alpha, アプリ, 数値計算, シミュレーション
大学新入生へのおすすめ有料アプリ。それはWolfram Alphaのアプリ。 http://t.co/9H6yIawGN8 ブラウザで https://t.co/QgFOioneJ3にアクセスすれば無料でも使えるが、スマホにアプリを入れておくととても便利。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
たとえば http://t.co/xD4BATQLNdのように int_{-infty}^infty exp(-x^2) dx とTeXっぽく数式を入力すれば答えを教えてくれます。 数式処理ソフトと違って入力がてきとーでよい点がとてもありがたい。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
Wolfram Alpha 関係リンク集 使い方を検索 https://t.co/k0anvN9MaV 計算サービス「Wolfram|Alpha」の使い方 http://t.co/idNmIh5nqx
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
行列を {{1,2},{3,4}} のように入力するとその行列関係の主要な「不変量」をリストアップして教えてくれます。 http://t.co/aw41ntfh1S これを知っていれば大学1年生レベルの線形代数の試験問題の7割程度は答えを簡単に得ることができます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
Wolfram Alphaの素晴らしいところは、数式処理ソフトの文法に沿って「正しい入力」をしなくても、てきとーに入力するだけで有益な情報を返してくれることです。これは本当におすすめ。ぼくもよく使っています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
http://t.co/xwlwuDNqC2 Wolpram Alpha https://t.co/t4N4Krpj9gで z=x^2y/(x^2+y^2) と入力すれば「原点で偏微分可能だが微分不可能な函数」のグラフを簡単に見ることができます。百聞は一見に如かず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 4月 5
参考にしたい.
追記¶
黒木さんおすすめ, 大学新入生向け数学アプリ: Wolfram Alpha (のアプリ) - 相転移プロダクション相転移プロダクション http://t.co/zqLiviMHLl Quick Graphも結構便利→ https://t.co/iMdbGqyyIn
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 10月 14
Quick Graph という新たなお勧めが増えたので追記.
2015-07-26 大学数学の理解度を測りたければ「簡単な例を 3 つ挙げられるか」自問自答すればいい¶
黒木さんのツイートまとめ+感想ということで.
数学の理解度を数学を教える側がどのように判断することがあるか? 一つの判断基準は「簡単な(反)例をノータイムで挙げられるかどうか?」 小難しい証明を黒板に書けていても、ノータイムで簡単な(反)例が出て来ない学生は実質的に何も理解していないことが多い。数学もまた厳しい世界。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 7月 21
=p lang="ja" dir="ltr">@genkuroki数学科での教え方と学び方の両方には伝統的に大きな欠陥があるのではないかと感じることがある。この問題意識と「ノタゥムで籡単な(反)例を挙げられるか?」という理解度の測り方は直接に関係がある。簡単な(反)例を知らないままで小難しい定義を理解するのは無理。— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 7月 21
@genkurokiたぶん、この問題意識もかなり伝統的なもので、昔から数学科では「定義や定理について習ったら必ず例を3つ以上作りなさい」と教える伝統があると思う。「例を3づ以上」とい⁆言い回しを聞いたことがない数学槑卒業生は多いと瀝う。ぼくもどこかで聞いたことがある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki)
順に雑感を書きたい.
数学の理解度を数学を教える側がどのように判断することがあるか?
一つの判断基準は「簡単な(反)例をノータイムで挙げられるかどうか?」 小難しい証明を黒板に書けていても、ノータイムで簡単な(反)例が出て来ない学生は実質的に何も理解していないことが多い。数学もまた厳しい世界。
【実質的に何も理解していない】というところがかなり気になる. 受験生向けの話もいろいろ書いていたときに改めて思った点として, そもそも「理解とは何か」自体がかなり定義の難しい概念という感じがある.
定理の証瘎がまるで追えなかった, または一邨どう⁗てもギャップが埋められなかったところを埋められたというのも理解が進んでいる証なのは間違いない.
五里霧中状態だと(後で見れば)簡単な例も本当に作れないことがあってとてもつらい. もちろん五里霧中なので, 少なくともcrystal-clearな理解に至っていないのは自明ではある. うまいこと言葉にできないのだが, ただ一言つらいとだけは言っておきたい.
越えるべき壁であることは間違いないので, 簡単な例を作る修行をすべきことに異論はない.
@genkuroki数学科での教え方ど学び方の両方には伝統的に大きな欠陥があるのではないかと感じることがある。この問題意識と「ノータイムで簡単な(反)例を挙こられるか?という理解度の測り方は直接に関忂がぃる。簡単な(反)例を知らないままで小難しい定義を理解するのは無理。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 7月 21
そもそも修士の二年しか数学科にいなかった上, 教える方の経験が段違いなのでいろいろアレだが, 教え方と学び方のギャップは感じないこともない. (反)例を作る大切さに関しては次のDVDを作ったくらいだ.
これも受験生向け情報発信で思ったことだが, 自分自身, 大学に入るまで, 根本的に「学ぶことは誰かに教えてもらうことだ」という姿勢があった. この辺からして既に問題だと認識している. 早いうちから, それも嫌でも本格的に勉強せざるを得ない機会である大学受験からそういう姿勢を学んでほしいし, そのためにブログにまとめた記事をKindleにもまとめたくらいだ.
最後にこれ.
@genkurokiたぶん、この問題意識もかなり伝統的なもので、昔から数学科では「定義や定理について習ったら必ず例を3つ以上作りなさい」と教える伝統があると思う。「例を3つ以上」という言い回しを聞いたことがない数学科卒業生は多いと思う。ぼくもどこかで聞いたことがある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 7月 21
口伝で「三つ以上例を作れ」というのを聞いた記憶はないが, 院でのゼミ中, 定理の言明に関して「そういう例は何かありますか」と聞かれて例を挙げられなくてつらかったことはある. 閉作用素に関する話でもう言明が何だったかも覚えていないが, いまだに例が作れていないことだけは覚えている.
次週のゼミの準備で手一杯で, という言い訳で結局さぼって例を作らなかった苦い記憶がある. 一言でまとめると【つらい】.
2015-10-08 黒木さん発言録: 佐武『線形代数学』と長谷川浩『線形代数』が面白いという話をまとめた¶
好きな教科書と嫌いな教科書。線形代数。個人的に好きなのは、佐武一郎『線型代数学』 http://t.co/zDcRLF5SvA(新装版→ http://t.co/FmgV0Xzigg)と長谷川浩司『線型代数』 http://t.co/Jbj5W8KdGI
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。その二つの教科書は、数学の世界の中から線形代数に関係している部分を自然に切り取って「普通に」解説している点がとても気持ちがよい。しかもその2冊は内容がかぶっていない部分が結構あって両方読むと教養が深まるようになっている。この2冊をぼくはいつもすすめています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。ぼくが嫌いなタイプの教科書は二種類あって、「学生のレベルの低さに合わせて編集しました」という感じの教科書と「線形代数は環上の加群の理論の特別な場合である」という無茶な立場に立とうとしているような教科書です。具体的に書名は挙げませんが、どちらもかなり不快な感じ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。「学生のレベルの低さに合わせて編集しました」という臭いが感じられる教科書は学生に失礼なので採用できません。そして「線形代数は環上の加群の理論の特別な場合である」という認識はひどく間違っていると思うのでそういう立場の教科書も採用できないです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続く。余計なことをせずに、素直に数学の世界を正確に分かり易く説明し、周辺の面白い風景をきちんと見せようと努力している教科書が好きです。佐武さんの本と長谷川さんの本はどちらもそういう立場で読むとき気持ちがよいです。個人的にはみんなにこういう線形代数の教科書を読んで欲しいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。佐武さんの『線型代数学』を読むと20世紀の後半あたりから、大学で教える数学の中に線形代数が標準的に含まれるようになった理由がわかります。そこに書いてある道具をすべてマスターすると多くの問題が易しく解けるようになります。この本を読むと数学的な教養が身に付きます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。佐武さんの本は「おまけ」に見える部分が非常に面白い。たとえば行列式の章には、Sylvesterの行列式、Jacobiの行列と合成函数の微分、行列式の微分、パフィアンなど多数の話題が含まれています。全編、そういう調子で書かれている。つまらない話が一つもない!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。長谷川本で扱っている話題もかなり豊富。しかも、長谷川本の最初の方には2×2行列で解説してある部分が挿入されており、その部分ならよくできる高校生は確実に読めるものと思われます。そういう勉強をしておけば大学受験でも相当に有利になると思うので、よくできる高校生にはおすすめ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。21世紀になっても、線形代数の教科書で重要な応用先である量子力学に何も触れていないのはおかしい。この不満も長谷川本を手に取れば解消されます。多くの人に教養として、量子化された調和振動子くらい知っておいて欲しいと思うのは私だけではないでしょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。まじめに書かれた数学の本を読むには時間がかかります。大学新入生のときに佐武本や長谷川本を手に取った人は3年くらいかけて読めれば良いくらいに気楽に構えた方がよいと思う。3年程度努力すれば論理的スキルが大幅に上昇しているので、ずっと楽に速く読めるようになっているはずです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。ぼくが大学新入生のときには長谷川本は存在してなかった(長谷川さんもまだ学生)。しかし、大学入学直後から、ラグランジアンとハミルトニアンから量子水素原子を解くところまで1時間目の化学の授業でいきなりやらされた。青春時代の良い思い出。あれは大学入学直後の痛快事の一つだった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。大学新入直後に、ラグランジアン、ハミルトニアン、量子力学、井戸型ポテンシャル、調和振動子、水素原子などなどについて勉強しないと化学の単位を取れない状況に追い込まれたことは(ちなみに教科書は英語の本だった)、その後、数学を楽しむためにものすごく役に立った。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。著者独自のスタイルを広めるために書かれた本はつまらない(場合によっては有害な)場合が多いけど、著者が見て来た面白い世界を読者に一所懸命伝えようとしている本は読んでいて気持ちがよいよね。佐武さんの本も長谷川さんの本もどちらも面白い話があることを一所懸命説明してくれている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
私の場合, 学部 1 年で実数論, 集合論, 位相空間論の本格的な講義に出会ったことが 今の私を決定づけている感がある.
同じく 1 年のときにあった物理学研究ゼミナールというやつで Brown 運動の数学パートを担当させられて, そこでいろいろ発表するために わけもわからず手に取ったブラウン運動のしっかりしていそうな本が 飛田武幸『ブラウン運動』だったり, 数学の関数解析バリバリの偏微分方程式の本を読んで挫折しまくったり, Hilbert 空間論の本に手を出してみたりしたことも かなり強く効いている.
あと線型代数については次の企画でもちょろっとまとめているが, 関数解析・半群理論を意識したような構成でいろいろ書いてみたい.
Hubbard・Heisenberg あたりとか, 学部 3 年の量子力学のトンネル効果周辺の練習問題で $2 \times 2$ 行列で遊んだことがあるので, そういうネタも突っ込んでみたい. あとやはり量子情報まわりだと行列で本質的に遊べそうな 気配を感じるので, その辺も気になって仕方ない.
2015-10-09 黒木さんツイートと飯高茂先生のページから: 飯高先生自身の学業・研究の記録¶
http://t.co/gnA5q1MlKm のFirst lecture released on 2014/2/2 http://t.co/CbTRi4NYq6 のp.76にHartshorneさん自身からのHartshorneの等式に関する問い合わせのメールが載っていた。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。残念なことに Second Lecture released on 2014/2/2 はリンク切れになってしまっているが、 http://t.co/gpAw9d7We8に見付かる。余計なjが入っていた。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。で、そのsecond3.pdfには飯高さんの高校時代の先生のHさんの話が書いてある。添付画像はそのHさんの発言らしい。現在の受験産業的にもこういうことまで気を配れば生徒は助かると思う。 pic.twitter.com/IypcONHGyd
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。それに限らず、昔の思い出話がたくさん書いてあった。first6.pdfの方は円錐曲線と射影変換の幾何のより高次の曲線とクレモナ変換の幾何への一般化という流れが書いてあり、second6.pdfは思い出話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
飯高先生ページのPDFは学生の頃に読んだ記憶がある. 代数幾何も一度はそれなりにやってみたい. 特に小平先生の論文はいろいろ読んでみたい.
2015-10-10 黒木さんツイートまとめ: 数学とプログラミング的なところで Singular, REDUCE¶
数学とプログラミング的なアレで参考になりそうだったので.
@genkuroki7-ZipとREDUCEを入れた。 https://t.co/K0o5RBfirK http://t.co/goeLZL2wu7
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 2
@genkurokiまだやっている新パソコンの設定。Cygwinの設定(より正確に言えばemacs内で数式処理ソフトのsingularを走らせるための設定)に苦労している。まず、環境変数 CYGWIN に winsymlinks nodosfilewarning をセット。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
@genkuroki旧パソコンから引き継いだ .bashrc やら .zshenv から DISPLAY 変数の設定の行をコメントアウトした(こうしなければいけないことに気付くために小一時間ほどかかった)。さらに cd してから ESinguler を起動する~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
@genkuroki続き~shell script を書き、リンク先が C:\cygwin\bin\run.exe bash -c -l "そのスクリプト &" のショートカットを作成。これでそのショートカットをクリックするだけでsingularが使える。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。Windowsで数式処理のSingularを使うためには32bitの方のCygwinのMathやEditorsなどを入れてESingularを起動するとよいです。個人的に色々都合があってちょっと困っていた。それも一応解決。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。検索したい人の手間を減らすためのリンク 数式処理ソフトのSingularのウェブサイト http://t.co/oYNEyuP10O Cygwinのウェブサイト https://t.co/mLUVOQEhIT 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。Singularでは非可換環を扱うためのパッケージはPluralと呼ばれています。洒落のつもりでそういう名前にしたのだと思いますが、検索すると英単語の解説ばかりが大量にヒットして不便この上ない。(^_^;) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
続き。Singularでは yx=axy+b 型の交換関係を扱えます。Lie環やClifford台数や微分作用素環や量子群などを扱えます。(無限次元Lie環の類は扱えません(REDUCEならVirasoro代数の交換関係の類を扱える)。) 非可換環の厳しい計算を試すのに便利です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
メモ http://t.co/En2YfnQKLc Library: ratgb.lib Purpose: Groebner bases in Ore localizations of noncommutative G-algebras
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
メモ続き。もっと一般的なlocalizationを扱えると便利なんだよなあ。互いに非可換な元たちの逆元を同時に使用したいことが結構多い。扱いやすいOre整域の分数斜体全体が扱えると便利なんだけどねえ。非可換な場合の分数の計算は死ぬほど大変。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 3
中高の数学, 大学入試あたりをネタにして いろいろプログラミングやりたいのだが時間がない. つらい.
2015-10-25 黒木さんツイートまとめ: ベクトルの内積の話¶
ベクトルの内積の話:黒木玄せんせーと高校数学を復習する を naverでまとめました。 http://t.co/avv7ZKeVVR
— 天むす名古屋 (@temmusu_n) 2015, 9月 5
あとで読む.
2015-10-31 ツイートまとめ: 数学系魔法少女アニメセリフ集¶
さあ、みんな!有限生成アーベル軍を撃退するわよ!>数学系魔法少女アニメ, プロデュースしたい http://t.co/ju1owY4doc
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
今度の敵は空手踊りするから気を付けて!>数学系魔法少女アニメ, プロデュースしたい http://t.co/ju1owY4doc
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
しまったタグを付けておくべきだった。 #数学系魔法少女 https://t.co/dsj5En4TtF https://t.co/zOmqIgxxOa https://t.co/NdiICqrCQj
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女関連情報 https://t.co/fx57VbMArs https://t.co/B2QVxAvmfx
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 米田のレンマで埋め込んじゃうわよ!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 さあ!みんなで心をひとつにして、広義一様絶対収束するわよ!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 敵はまだ行列と行列式を混同しているわ。トレミーの定理とクラスター代数の関係に気付かれる前に、早くプリュッカー関係式をぶちこみなさい!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 ハイパーケーラーなエビラ多様帯にのみこまれないように気を付けて!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 実験系でもないのに「研究ノート」の管理を強制しようとするおバカさんたちがいるから気をつけて!管理されてない計算用紙を束ねて殴りつけるわよ! https://t.co/AdHsrsJsW7
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 ここから先は計算用紙とボールペンの枯渇に注意して!暗闇にのみこまれるわよ!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 体力が続く限り、なんぼでもネタが出て来る感じ。そろそろ寝る。だれか、続きをよろしく。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 数日前に使い切ったボールペンの写真 pic.twitter.com/AIcvekPt0V
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
@genkuroki#数学系魔法少女 敵がジェネリックでつまらない互いに非可換な行列の組み合わせにこだわっている隙に、わたしたちは互いに可換な行列たちを分類してヒルベルト多用帯に突入するわよ! (眠れない。困ったな)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 16
.@genkuroki#数学系魔法 ラグランジュアンはラグランジアンのにせものだから注意して!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 17
.@genkuroki#数学系魔法少女←このタグを使い始めたのはこれ→ https://t.co/UVn72PIJba 相転移P経由で知ったネタ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 17
#数学系魔法少女 マザーテレサがノーベル賞パワーで女性から選択の権利を奪うつもりらしい!ツェルメロ・フレンケル集合論の平等の公理(axiom of equality)に、選択の公理を付け加えて対抗するわよ! これじゃあ、数学系じゃなくソーカル系魔法少女でんがな。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 17
@genkuroki#数学系魔法少女 物理的に同一の状況であっても、立場によって波動函数が違っていても矛盾しないのよ!線形代数の仕組みは偉大よね。 つっこみ:それ、量子系魔法少女ですから。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 9月 17
これは一体何だったのだろう.
2015-11-14 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待』第1回に関する東北大助教 黒木玄さんの感想・コメントツイートまとめ+私のコメント少々¶
#数学NHK 数学ミステリー白熱教室 https://t.co/620wq55q3W
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 13
先日とりあえず緊急速報を出したが, 時間が取れなくてまだ見られていない. とりあえず東北大数学の黒木さんが色々言っていたので, それをいったんまとめておく. 何となくまだ追記されていきそうな感じもするが.
数学者からどう見えているのか, どんな風に突っ込んでいくと純数学的に面白いのかといったことが 見えて楽しい人には楽しいだろう. 私が子供の頃に知りたかったことでもあるし, この記事更新を流す Twitter には同じような気持ちを持つ中高生もいる. 少しでも楽しんでもらえれば, ということで.
前書きはこのくらいにして, バンバン張っていく.
#数学昨晩、エドワード・フレンケルさんによるラングランズ・プログラムの解説の第一回目が放送されたようなので (ラングランズ OR Langlands) since:2015-11-13 until:2015-11-14 を検索。 https://t.co/20srtTXSVP
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 13
#数学 続き。近い分野にイーゴリ・フレンケルさんという有名な数学者もいるので(I.フレンケルさんはアイデアを出しまくったすごい人)、単にフレンケルさんと呼ぶことに心理的抵抗があるのだが、以下では、簡単のために、単にフレンケルさんと言ったら、エドワードさんのことだとします。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 13
#数学続き。二十数年前に日本人のとても「悪い」数学者がI.Frenekelさんと混同しないように「こっちはいいフレンケル(E.Frenkel)さんだ」と(「いい」=「良い」という意味をこめて)紹介したのを見たことがあるような気がする。誰だったかな?○輪さんだったっけ?続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 13
#数学続き。二十数年前に所謂ソ連が崩壊しました。ソ連でフレンケルさんがどのように苦労し、ソ連崩壊の時期に米国に移住することについてどのように悩んだかについては著書 https://t.co/UhUoEz3FzFに詳しく書いてあります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 13
#数学続き。二十数年前にはロシア(ソ連)の数学者達が京大の数理研にたくさん滞在しており、ロビーのテレビでロシアのことが報道されるとロシア人数学者たちが悲痛な表情で見ていた。そういう時代。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。数理研のロビーの前の廊下付近で、若いフレンケルさんとその師匠のフェイギンさんが仲良く空手ごっこをしているのを見たことがあります。フレンケルさんだけではなく、フェイギンさんまで回し蹴りをしていた。こういうことを書いちゃうとまずいかな?続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。昨晩日本のテレビに出演したフレンケルさんは若いときに日本の京都にある数学の研究所(京大数理研)に滞在していて、師匠と空手ごっこもしていた(もちろん数学がメイン)というような知識があれば、別世界の人ではないと感じて、親しみ易くなるのではないでしょうか?続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
こういうのかなり大事で, もっと前面に出す機会があった方がいいとは思う. 他はどうかは本当にわからないが, 数学者, 異常なくらいフランクな感じがある. すぐに探し出せないがJonesのFields賞の授賞式に関する河東先生の記録で, 「普段は半袖短パンのJonesがさすがにそれではまずいと思ったのか, 授賞式のときは(半袖短パンで)ネクタイをつけていた」 というのがあった気がする. これ, 私が見たときは河東先生のホームページに置いてあった記録なので, 興味がある人は探してみてほしい. そして私に教えてほしい.
#数学続き。フレンケルさんが直接関わっているタイプの「ラングランズ双対性」の雰囲気にできるだけはやく近付きたい人は別の人達が書いた論文 https://t.co/4qeGgfRi1kを参照するのがよいと思う。(今ならもっと良い文献があると思いますが知らない。) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。その論文を読むために必要な予備知識は2次元量子共形場理論の周辺の数学です。個人的に山田泰彦さんの『共形場理論入門』 https://t.co/FqBH18dpzU が世界最高の教科書だと思うのですが、絶賛品切れ中で古本に24470円の値段がついている!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。培風館さん、お願いします!!! 山田泰彦さんの著書『共形場理論入門』を出して下さい。昨晩エドワード・フレンケルさんの講義がNHKで放送されたのですが、そのフレンケルさんの数学を理解するためにはその本の知識が必要です。古本で2万円超えはつらすぎ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。 https://t.co/4qeGgfRi1kを読めば、ルート系に付随する自由ボソン場を用いたW代数の実現を考えると、あるパラメーター(その論文ではa)の逆数を考える操作がルート系のラングランズ双対を考える操作と一致しているということがわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。しかもそのようなラングランズ双対性が成立する理由は、「スクリーニング作用素があるパラメーターに対応するものとその逆数に対応するものの対で現れる」という単純な事実と「どちらを使っても同じW代数」(Virの表現論!)が得られるという事実にあることもわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
頂点作用素代数の話が(も)書いてあった気がするが, 頂点作用素代数は作用素環での代数的場の量子論とも深い関係があり, 上記の河東泰之先生 (私の指導教官) も研究している. 時々「頂点作用素代数の研究集会に行きましたが, 作用素環の研究者は私だけでした」 みたいなことも言っている.
共形場とその周辺は数学だとホットな話題で Fields 賞も割とよく出ている魔界. Borcherds はまさに頂点作用素代数関係で仕事をしているし, 代数幾何まわりでもいろいろな話題があると聞いている. Wernerも確率論と共形場という話題で重要な仕事があり, それも含めてFields賞を取っている.
頂点作用素代数は恐ろしく複雑な公理を持つ代数系で, 勉強・研究するうちに勝手に覚えるのだろうが激烈うんざりする.
もちろん共形場は物理の方でも大事(らしい). 超弦理論でのAdS/CFTとかある(名前しか知らない)し, 相転移でもIsingからの接続とかいろいろある. 超弦理論の物理がまだいろいろ議論があるとかそういうのはいったん置いておく. そもそも全く知らないので触れようがない.
#数学続き。フレンケルさんの講義は一般向けなのでこういうナマの複雑な数学の話は出て来ないと思います。あと物理寄りではなく、数論や群論寄りの話から出発していると思います。そして、全然違うように見えていても「同じ話だ」と言い切ることがフレンケルさんの講義の目標なのだと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。NHKの番組紹介ページ NHK 数学ミステリー白熱教室 https://t.co/620wq55q3W
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。フェルマーの最終定理のような数論の話とスーパーストリングのような理論物理の数学の話が繋がる理由を理解するためには、鋭い高校生ならすでに気付いているはずの次の事実に注意するとよいと思う。 数と函数に同じ形容詞が使われている。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。たとえば、 有理数 -2/3 ←→ 有理函数 (x-1)/(x^2+1) 無理数 √30 ←→ 無理数 √(x^3+x+1) 超越数 π ←→ 超越函数 sin x などなど。数の世界と函数の世界はとても似ているのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学訂正。 https://t.co/8h1nYi5KEXの2つめの「無理数」は「無理函数」が正しい。訂正後: 有理数 -2/3 ←→ 有理函数 (x-1)/(x^2+1) 無理数 √30 ←→ 無理函数 √(x^3+x+1) 超越数 π ←→ 超越函数 sin x
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。数論はもちろん数側の理論です。理論物理の話は函数側の理論だとみなせます。それらの世界のあいだに類似があるなら、数論と理論物理のあいだにも類似があるということになります。このように見れば、数論と理論物理の話が繋がるのは不思議ではありません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
ここの話とはあまり関係がないが, 場の理論から数論の中心的なテーマの一つ, Riemannの$\zeta$を導出していろいろ調べるという話がある. 北大の新井朝雄先生の次の論文はとても読みやすい.
読みやすいとは言っても無限次元Hilbert空間のテンソル積からなる 無限直和とその上の第二量子化作用素とかそういう数学に耐えられる必要はある. 収束とかその辺はあまり気にしなくてもいいのだが, こういうのを見て「ウッ」と思うようだとかなりつらい. 要望があるようならYouTubeに動画でも出そうとは思っている. 優先順位の問題があるのでずっと上がってこなかったのだが, 要望があるならもちろん優先度をあげていく.
#数学続き。19世紀の段階では以上の「数」と「函数」の類似性は明瞭に意識されていたと言って良いでしょう。20世紀に入ってそれらの中間的な世界とみなせる「有限体上の幾何」も活発に研究されるようになりました。所謂「ヴェイユのロゼッタストーン」。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「ヴェイユのロゼッタストーン」のヴェイユさんはアンドレ・ヴェイユさんでフランス出身の20世紀の大数学者です。世間的には妹の哲学者シモーヌ・ヴェイユさんの方が有名かもしれません。自伝がおすすめ→ https://t.co/w1flvoXhKp
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。アンドレ・ヴェイユさんの写真→ https://t.co/DU5KRdtUHq 上から二段目の左側の写真は子供のときのお兄ちゃんアンドレと妹ちゃんシモーヌです。かわいいです。しかし、アンドレ・ヴェイユさんの自伝を読むとこの時点でおそらくこの二人はすでに神童。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。『アンドレ・ヴェイユ自伝』にはお兄さんのアンドレさんがブルバキの若い数学者達の集まりに妹のシモーヌさんを連れて行った(もしくは妹がついて行った)ときの写真が掲載されています(1937)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。写真に写っているのは、シモーヌ・ヴェイユ、アンドレ・ヴェイユ、J.デュドネ、C.エーレスマン、J.デルサルト、C.シャポーティ、H.カルタン、S.マンデルブロー、S.シュバレー。数学を知っていれば結構びびるメンバー。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「ヴェイユのロゼッタストーン」の話もお兄さんのアンドレ・ヴェイユさんから妹のシモーヌ・ヴェイユさんへの有名な手紙(1940)の中に書かれています。その手紙の英訳→ https://t.co/lQ2HIHorVN
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。全然数学に興味がない人であっても、「戦争はろくでもない」とか「人種差別はろくでもない」というようなことに興味があるなら、『アンドレ・ヴェイユ自伝』やE.フレンケル著『数学の大統一に挑む』を読む価値があると思います。理由は読んでみればわかる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
全く関係ないが, 以前東大の数学科に論文だか教科書を読んでいてわからないことがあったとかでWeilに電話した人がいると聞いた. それも(確か)大学院くらいのときの話と聞いた気がする. 時代もあるので手紙やメールならわかるが, 電話とかパンチ力高い.
#数学数学者も各国の政策失敗や混乱に翻弄されながらも楽しいことを見付けながら暮らして行こうとしている自分と同じような普通の人たちであるということ、その「普通の人たち」がどれだけ親しみを持って数学的概念を扱っているかを知ってもらえたらいいなと思いました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学本当に親しみを持てればその世界の統一性も自然に見えて来ると思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
この辺で有名な話だと, やはり徴税人をしていたからという理由で フランス革命でギロチンで処刑された話題がある. 最近嫌な方向で話題に挙がることも多い La Marseillaise をも想起する.
#数学続き。フレンケルさんが解説しようとしている数学の世界における数論側での21世紀の発展として、Sato-Tate予想の解決が重要なのですが、どのようにしてその予想が出て来たかについては難波莞爾さんによる詳しい解説(非常に面白い)があります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。『佐藤幹夫の数学』に掲載されているものよりも https://t.co/o5VXAhQqWuの方が色々面白いです。佐藤幹夫さんは難波完爾さんにコンピューターで計算してもらっているのですが、「難波完二様」と書かれた葉書のスキャン結果も掲載されています(笑)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。集合論の本では西村・難波共著の https://t.co/ZGXu3RgagZが個人的に好きです。その解説のスタイルが好き。数学全体に統一的感覚が通用することを著者達が読者に伝えようとしていることがよくわかる。分野を分断するようなスタイルは好きじゃない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
少し話がずれるが, von Neumannが有名な『量子力学の数学的基礎』で, わざわざ$\delta$関数は関数として存在しないことを示した (いま早稲田の小澤徹先生が言っていた) という話を聞いた. (その当時の)数学では異常にしか見えないところが物理では普通に出てくるところで, そこに切り込んでいくタイプの話, 超好きなのでそういうのがやりたい.
あとWeilに関しても, 相対論的場の量子論での表現論で, 数学的に難し過ぎてWeilですら太刀打ちできなかったところを 物理でどうしても必要だからということで Wignerが先鞭をつけDiracがさらに切り開いた Lorenz群の無限次元ユニタリ表現とかの話も凄く好き. これについては平井武先生の『線形代数と群の表現 II』P.453-454 とかを読んでみよう.
こういう真っ当な数学者が近寄ってくれなくて, 業を煮やした物理学者が自分達で何とかしたみたいな話がすごく好き. 出てくる名前がNobel賞, Fields賞クラスなので, 爆笑するが, かといって夢は夢だし小さくても自分でも何かしたいし, 大人のそういう姿を子供達にも見せたいとずっと思っている. (正しい)努力をやめてはいけない.
#数学続き。適当に思い付いたことを脈絡もなく書いています。「数の世界」「有限体上の幾何の世界」「函数の世界」と言う言い方で数学における「ロゼッタストーン」の話をしたのですが、それぞれの世界に得手不得手があります。しかし、一般に極端に難しいのが「数の世界」。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「数の世界」における元来のリーマン予想(素数がどれくらいあるかに関する精密な予想)はまだ証明されていません。証明すると100万ドルもらえるらしいのですが、人間の一生の値段としては安すぎると思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「有限体上の曲線」に関するリーマン予想(の類似)はヴェイユさんによって一般的に証明されました。曲線の場合に限らない「有限体上の幾何」一般の場合に関するヴェイユ予想はグロタンディークとドゥリーニュによって解決されました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「複素数体上の幾何」(函数の世界)におけるヴェイユ予想の類似(のリーマン予想に対応する部分)もきちんと定式化されており、「解けている」と言えます(齋藤盛彦さんの混合ホッジ加群の理論)。それはD加群の代数解析の発展形です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。リーマン予想が解けていないのは元来の数の世界における予想の部分だと言えます。続くがずっと後になる予定
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。「フェルマーの最終定理」=「フェルマーの定理」=「ワイルス・テイラーの定理」とは「nが3以上の整数のとき(X,Y)に関する方程式X^n+Y^n=1の有理数解は自明なものしか存在しない。ここで自明な解とはXまたはYが0になるような解のことである」という結果。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。フェルマー予想そのものの証明は大変なのですが、その函数版の証明は易しいです。abc予想の多項式版は「多項式は微分できる」ということを使えば容易に証明でき、フェルマー予想の多項式版をそこから導くことができます。詳しくは→ https://t.co/rO6Af9krDF
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。多項式版フェルマー予想はトポロジーを使った証明もできます。「g≧1のとき、2次元球面によってg人乗りの浮き輪型の曲面を分岐被覆できない」という直観的に明らかに感じられる位相幾何学の結果を使えば次のツイートで説明する複素多項式版のフェルマー予想を証明できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
トポロジーも数論に負けず劣らずいろいろな数学が交錯する分野という印象がある. 非線型偏微分方程式までぶっこめるとか尋常ではない. 微分幾何関係であるのはそれは普通だろうが, 位相的な性質まで微分方程式で議論するとか無茶にもほどがあると思っている.
#数学続き。複素多項式版フェルマー予想(容易に証明可能)とは「nが3以上の整数のとき(X,Y)に関する方程式X^n+Y^n=1の複素有理函数解は自明なものしか存在しない。ここで自明な解とはXとYが定数になるような解のことである」という結果。位相幾何的には直観的に自明に近い。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学数の世界と違って函数の世界では微分やら位相幾何やら使える道具が豊富なので多くの問題が易しくなります。しかし、数の世界にもよい点があって、「函数全体に渡る"積分"」(Feyman積分)にあたるものが数の世界では「数全体に渡る積分」(普通の積分)として自由にできます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
全くお勧めしないが, 数学的に何とかなっているFeynman積分(経路積分, 汎関数積分)については, 例えばLörinczi-Hiroshima-Betzの『Feynman-Kac-Type Theorems and Gibbs Measures on Path Space: With Applications to Rigorous Quantum Field Theory』とか新井-江沢の『場の量子論と統計力学』あたりがある.
前者は非相対論的場の量子論に関する割と最近の発展までをカバーしている. 後者はちょっと古いが相対論的場の量子論レベルの話をカバーしている. ここで関係のある超弦理論レベルの話には全く追いついていなくて, その意味では使いものにならない. 両方とも私より数学ができるなら読めるだろう.
上の本で厳しいがもう少し簡単なところを数学的に厳密に見てみたいという 奇特な方は新井朝雄先生の『量子数理物理学における汎関数積分法』を勧めておく. これなら私と同程度にしか数学ができなくても読める.
#数学「有限体上の函数」の世界ではリーマン予想の類似が簡単に証明できる場合があります。素数がどれだけたくさんあるかに関するリーマン予想は解けていないのですが、有限体上の1変数既約多項式がどれだけたくさんあるかに関するリーマン予想の類似は簡単に証明できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学続き。有限体上の1変数既約多項式がどれくらいあるかに関するリーマン予想の類似の証明を学生に紹介するために書いたノートを次の場所に置いてあります→ https://t.co/2cTV2gGPsi
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学元来のリーマン予想についてパソコンを使って遊んでみたい人は→ https://t.co/5HlGRU3OTF
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学https://t.co/2AQ5FI4wQD 数学ミステリー白熱教室 ラングランズ・プログラムへの招待 第1回 11月13日
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学https://t.co/620wq55q3W 全体的に「対称性」の話を強調している感じになるのかな?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学おすすめの本。ぼくは学生時代から次の本の大ファン。 https://t.co/sSganP0I5L ガロアの夢―群論と微分方程式 久賀道郎 面白おかしく数学的本質が分かり易く書かれているすんごい本。大学1年生でも十分に読めるように書かれている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
何かいかにも後が続きそうだが, あったらあとで追加する.
2015-11-21 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待 第2回 数の世界に隠された美しさ ~数論の対称性~』に関する東北大助教 黒木玄さんのコメントツイートまとめその 2 Galois 理論¶
やはりまだ番組を見られていないが, とりあえず黒木さんのツイートまとめ.
この辺YouTubeに補講的な動画とか上げるの需要あるだろうかとふと思う.
#数学昨晩放送された第2回目の数学ミステリー白熱教室はn次方程式のガロア理論に関する結構素直な解説だったみたいですね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学おとといのE.フレン系さんの白熱教室では algebraic number field についても説明したようですね。数学用語としての field は体と訳されるのですが、フレンケルさんの講義については片仮名英語でフィールドと訳した方が〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き〜ニュアンスが伝わりやすい感じもしました。number field を数体と訳すのではなく、「数のフィールド」と訳せば、「数たちが集う場所」のような意味として数学的定義を知らない人達にも伝わるかなと思いました。以下、そういうやり方で説明。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学フレンケルさんは有理数たちが集うフィールドに√2を付け加えて新たな数のフィールドが作られるという話をしていました。これは中学生でも本質的に知っていることです。α=√2を有理数のフィールドに付け加えても、加減乗除が自由にできる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学しかも、中学生であっても、√2を含む加減乗除の計算で√2を-√2で置き換えても同じ計算が成立することに気付いてしまう人は多いと思う。ガロアさんもきっとそうだったのでしょう。 眠いので続きは後で
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。たとえば、 1/(1+√2)=-1+√2 の両辺の√2を-√2で置き換えて得られる等式も成立しています。有理数フィールドに√2を付け加えてできるフィールドは√2を-√2で置き換える対称性を持っているわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。一般に、a_iたちがフィールドKの数であるとき、方程式x^n+a_1 x^{n-1}+…+a_1 x+a_0=0のすべての解をKに付け加えてできるフィールドLのK上でのすべての対称性の集合をその方程式のガロア群と呼びます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。一般に二次方程式は判別式Dの平方根√Dを-√Dに置き換える対称性を持っています。三次方程式x^3+q+px=0の場合はどうなるでしょうか?q=y^3+z^3, p=-3yzと置くと高校1年の最初に習う見たことのある式が出て来ます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学最近 #掛算や #輪環で話題になった x^3+y^3+z^3-3xyz が出て来ます!それが(x+y+z)(x+ωy+ω^2z)(x+ω^2y+ωz)、ω=(-1+i√3)/2と因数分解されることを使えば、三次方程式の解の公式も得られます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。高1の最初で習う特別な三次式の因数分解の公式は実は三次式方程式の解の公式を作るためにもろに役に立つ公式だったわけです。こういうことはガロア理論入門では定番のネタになっており、数学的教養のひとつだと言ってよいと思います。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。三次方程式の解の公式を書き下すよりも、x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x+ωy+ω^2z)(x+ω^2y+ωz)、ω^2+ω+1=0という綺麗な因数分解の公式をそのまま使った方が対称性がよく見えます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。因数分解の公式の両辺は文字x,y,zを入れ替える操作で不変です。たとえばyとzを交換する互換と、x→y→z→xという巡回置換をしても変化しません。後者の巡回置換を右辺で見れば(y,z)→(ωy,ω^2z)という対称性がみえます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。この結果から、一般の三次方程式のガロア群が「3つの文字の置換全体の集合」=「3次の置換群」になっていることと、その具体的作用がどうなっているかがわかります。高1で習う因数分解の公式はこれだけのパワーを持っているわけ!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。約200年前のパリに住んでいたガロア少年は方程式を解くことと方程式の対称性のあいだに深い関係があることを見抜きました。対称性の観点から方程式の構造を記述するというガロア少年のアイデアはその後の数学と物理学を完全に塗り替えることになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 21
@genkuroki#数学続き。x^3+y^3+z^3-3xyz=x^3+px+qの左辺の因数分解とy^3,z^3をp,qから二次方程式を解くことによって求められることを使えば一般の三次方程式の解の公式が得られる。別の因数分解の公式を使えば四次方程式も解ける!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#数学四次方程式を解くためには(x+y+z+w)(x+y-z-w)(x-y+z-w)(x-y-z+w)=x^4+px^2+qx+rを使うのが便利。左辺は文字x,y,z,wの置換で不変なので、p,q,rはy,z,wの文字y,z,wの置換で不変な多項式。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki続き。y^2,z^2,w^2をp,q,rから求める方程式は三次方程式になります。三次方程式の解き方はすでにわかっているので、四次方程式の解き方もわかるわけです。以上の議論から四次方程式の解の世界の対称性もよく見えます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#数学続き。四次方程式の4つの解は三次方程式と平方根を用いて求められたy,z,wでα=-y-z-w, β=-y+z+w, γ=y-z+w, δ=y+z-wと表されます。これらはy,z,wのうち2つを-1倍する対称性とy,z,wの置換の対称性を持ちます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#数学続き。それらの対称性を全部合わせると4つの解のすべての置換を実現できる。これで一般の四次方程式の対称性が4次の置換群になることと、その作用の具体的な様子もわかりました!本質的にすべて高校1年レベルの話です。計算ですべてを確認できる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#掛算一般のn次方程式にはn個の解を自由に置換するn次の置換群の対称性を持つのですが、3次と4次の場合には特別なことが起こっていることが、以上の高校1年生レベルの計算からわかります。その特別なことのおかげで方程式が解けてしまったわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#掛算一般の三次方程式の3つの解はα=-y-z, β=-ωy-ω^2z, γ=-ω^2y-ωzと書けて(ω^2+ω+1=0)、解達の置換対称性は、(y,z)→(ωy,ω^2z)で生成される位数3の巡回群の対称性とyとzを交換する対称性に分解されている!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
@genkuroki#数学すでに解説したように、一般の四次方程式の場合には、4つの解の置換対称性は、3つの文字のうち2つを-1倍する対称性と3つの文字の置換対称性(さらにそれは2つのものの交換対称性と位数3の巡回群の対称性に分解される)に分解されるのでした!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。まとめると、一般の4次方程式の4つの解の置換対称性は「3つの文字のうち2つを-1倍する対称性」「2つのモノの交換対称性」「位数3の巡回群」の3種類の対称性に分解されます。これらの対称性は群の言葉で言えばどれも可換群(アーベル群)になっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。平方根と立方根を含むべき根を取る操作によって数のフィールドを拡大する場合の対称性はアーベル群になります。だから、べき根を取る操作と四則演算だけで解ける方程式の対称性はアーベル群の積み重ねに分解されることがわかります(この辺は総合的には大学3年レベルの話)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。n次方程式がべき根と加減乗除だけで解けるための必要十分条件はその方程式の対称性(ガロア群)がアーベル群の積み重ねになっていること(可解群)になっています。4次以下の方程式は実際にそうなっているので(これは高1レベル)、べき根と加減乗除だけで解けるわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。4次以下までは特別に良いこと(4次以下の置換群がアーベル群の積み重ねになっていること)があるので方程式が解けた。しかし、一般の5次以上の方程式ではそういうことが起こらない(5次以上の交代群は単純群)ので、べき根と加減乗除だけで方程式が解けないことがわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。以上は11/20(金)に放送されたE.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室への補足。フレンケルさんが説明を省略していた部分を埋めたつもり。方程式の対称性が、アーベル群の積み重ねになっているか、そうなっていないかで、べき根と加減乗除で解けるかどうかが決まります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。数学の話はお話を聞いただけでピンと来ることはほとんどないと思います。最低でも高校1年レベルの計算をある程度やっておかないと、フレンケルさんが何を言いたいかは理解できないと思いました。数学ネタを一般向けに話すときには色々つらいところがあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。4次方程式の計算よりも、3次方程式の計算の方がやさしいので、まずそちらをやっておくべきだと思います。高校1年の最初の頃に習うx^3+y^3+z^3-3xyzの因数分解の公式を使えば一般の3次方程式の解の公式を作れます。返答連鎖をたどれば解説がある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学YouTubeでここ1週間の「数学ミステリー白熱教室」を検索→ https://t.co/SpIDZNPAgJ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。本当に面白くて深いのは、一つひとつの方程式を別々に考えるのではなく、「与えられた数体上のすべての代数方程式全体の世界がどうなっているか?」を考えること。数と函数(もしくは幾何)との類似によって「コンパクト・リーマン面の分岐被覆全体の世界はどうなっているか?」を~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続~考えることができます。(コンパクト)リーマン面の(分岐)被覆は位相幾何(トポロジー)の話になるのですが、位相幾何的な被覆の理論は代数函数体(リーマン面上の有理型函数全体のなす体)の拡大の理論と同値になります。この場合には「位相幾何=代数」となる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。たとえば、最近みんな知っているような感じになっている楕円曲線は y^2=(xの3次または4次式) という方程式で定義される曲線のことです。複素数の範囲内でグラフを描けば実2次元の曲面になり、非自明なリーマン面の最も易しい場合にもなっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。一般にy^2=(xの多項式)という方程式で定義される複素曲線(Riemann面)は楕円曲線の一般化なので超楕円曲線と呼ばれています。y^2=f(x)をyに関して解くy=±√f(x)になり、√f(x)と-√f(x)を交換する対称性があるということになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。超楕円曲線という名の曲面は見た目の形的にも「√f(x)と-√f(x)を交換する対称性」に対応する対称性を持っていることになります。図を描けるが面倒なので描かない。こういう感じで、数に関する方程式論の直観を曲面の幾何の直観に置き換えることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学続き。曲面の位相幾何の立場でガロア理論を理解しておくことは、2次元量子共形場理論とラングランズ・プログラムの関係を理解するためには必須。そういうことを学びたければ久賀道郎著『ガロアの夢』という名著がおすすめ。 https://t.co/sSganP0I5L
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
#数学y^2=105 と y^2=x(x-1)(x-2) は似ています。前者は簡単な二次方程式の話ですが、後者は楕円曲線(曲面の幾何)の話になります。この二つは明らかに似ています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 22
2015-11-26 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待 第2回 数の世界に隠された美しさ ~数論の対称性~』に関する東北大助教 黒木玄さんの数学的に突っ込んだコメントツイートまとめ+私のコメント¶
第二回どころか第一回もまだ見ていないが, 黒木さんのツイートがあったので, 数学者サイドからの数学的面白さへのコメントとしてまとめておく. 文献もいろいろ紹介されているので興味がある人はぜひアタックしてほしい.
まるで畑違いなので答えられることは絶望的に少ないだろうが, 何か疑問があれば私で答えられることは答えていきたいとも思う.
#数学https://t.co/2AQ5FI4wQD 数学ミステリー白熱教室 ラングランズ・プログラムへの招待 第1回 11月13日
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学https://t.co/620wq55q3W 全体的に「対称性」の話を強調している感じになるのかな?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
#数学おすすめの本。ぼくは学生時代から次の本の大ファン。 https://t.co/sSganP0I5L ガロアの夢―群論と微分方程式 久賀道郎 面白おかしく数学的本質が分かり易く書かれているすんごい本。大学1年生でも十分に読めるように書かれている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 14
この本, 有名だが読んだことがない.
#掛算https://t.co/620wq55q3W NHK 数学ミステリー白熱教室 第2回目 今晩午後11時からEテレで 第1回目→ https://t.co/tIZf7Rl6Me
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#掛算https://t.co/ihDulGHVMx【数学界の“天才ハッカー”とも呼べるガロアの驚異のアイデアを紹介していく。】 数学界の“天才ハッカー”!!!(^_^;) ガロアさんのアイデアは画期的だったよね。その後の数学と物理学を支配する基本アイデアの一つになった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#掛算ラングランズ・プログラムについて一般大衆に分かり易く説明することは正直「むりげー」だと思う。フレンケルさん、一体どうするつもりなんだろうか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#掛算E.フレンケルさんの数学的仕事を理解するためには2次元量子共形場理論の数学の知識が必須。世界的に見ても最高の教科書である山田泰彦著『共形場理論入門』が絶賛品切れ中(古本で24466円!)。培風館さん、品切れを何とかして! https://t.co/FqBH18dpzU
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
いろいろなしがらみで難しいっぽい感じもするが, PDFでの販売とかできないのだろうか. 印刷だとか取次だとか流通の分を考えなくてもいいから, その辺のコストは切れると思うのだが, 素人の浅慮は当然あるだろう.
サイエンス社が別冊数理科学でPDF販売しているし, できないことはないと思っている.
#掛算←このタグ付けは誤り。正しくは→ #数学 面倒なので修正しません。ごめんなさい。指が勝手に。 個人的におもしろおかしく複数の分野をまたぐ形でガロア理論を勉強したいなら久賀さんの有名な名著がおすすめ。 https://t.co/sSganP0I5L
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#掛算#数学ラングランズ・プログラムの進展によってどのように不思議な数学的結果が証明されるかについてはSato-Tate予想=佐藤sin^2予想について調べるとよい。佐藤幹夫さんのもとで計算機で計算したのが難波完爾さん。 https://t.co/o5VXAhQqWu
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
この話, 『佐藤幹夫の数学』にも載っている.
#掛算#数学数学ミステリー白熱教室関係の連続ツイートは以下の2つのリンク先でまとめて読める。 https://t.co/0dQ1UQYll2 https://t.co/xP4CulVwLF
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学どうしてこの件で山田泰彦さんの『共形場理論入門』 https://t.co/KPfnnyP5nzを絶賛しているかについて、数学的にテクニカルな話をします。山田泰彦さんのこの本は数学的内容の圧縮率が高く、しかも細部の定式化や構成に独自の工夫が多数盛り込まれています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学続き。E.フレンケルさんとフェイギンさんの共著の有名な仕事に任意の単純リー環に関する脇本表現の構成があって、ラングランズ双対性の証明にも本質的に使われています。フレンケルさんたちの脇本表現の構成ではリー環のある種のコホモロジーの計算が必須なのですが、~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学続き~、山田泰彦さんの本では単なる計算だけで構成できることが示されています。リー代数のコホモロジーの計算を使う方法を共形場理論における常套手段である遮蔽カレント(screening current)を用いた計算で置き換える方法が書いてある(p.157)。クリアです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
具体的な内容わからないのでアレだが, コホモロジーの(面倒そうな)計算を楽な方法に叩き落とせるの凄そう.
#数学続き。E.フレンケルさんとフェイギンさんは一般の単純Lie環に対してW代数を定義して、そのラングランズ双対性を示しました。W代数は結果的に自由ボソン場の実現を持つことがわかり、そして、その実現も遮蔽カレントを用いた解釈が可能です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
自由boson場, 物理的にはほとんど何も起こらないからあまり面白そうに感じないが共形場まわりの数学だと何か面白いことがあるのだろう.
上のように書くとアレなので補足しておくと, (非相対論的)統計力学では自由bosonでのBose-Einstein凝縮(BEC)があるので, その範囲ではめちゃくちゃ面白い. 相対論的bosonを議論するときのBECというのを聞いたことがないが, 統計力学の文脈でこういう話しないのだろうか. 今回の話と多分全く関係ないが, 専門に近い話なのでこういうところが自然と気になる.
#数学そして、自由ボソン場で書かれた遮蔽カレントが、あるパラメーターκについて、κとその逆数に対応するものがペアになって現われ、どちらを使っても同じW代数が得られることをVirasoro代数の表現論を使って証明できます。κとその逆数の関係がラングランズ双対性になっています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学そういう事情になっているので、E.フレンケルさんたちのW代数のラングランズ双対性の仕事を理解するための近道は遮蔽カレントの使い方を習得することだということになるわけです。山田泰彦さんの本ではちょうどそういうことを説明してくれています。品切れなのでとても残念です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学自由ボソン場ですでに実現されているW代数のラングランズ双対性については→ https://t.co/4qeGgfRi1k
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学ラングランズ・プログラムおよびその幾何学版(D加群版)との関連に関する文献については→ https://t.co/t3jUziIewU
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
解析数論と場の量子論関係に関して去年のRIMSの構成的場の量子論の会議の休憩中にも少し話題が出たが, 自由bosonでこれだけ面白いことがあるなら 相互作用がついたときにはどうなのだろう, という問題がある. 共形場まわりの相対論界隈ではどういう話があるのだろうか. 少なくとも物理の人が自由bosonで満足するとは思えない.
#数学W代数に付随する共形場理論はRiemann面上の線形常微分方程式論の量子化だと考えてよい。W代数には2つの古典極限の取り方がある。κ→0と1/κ→0の2種類。パラメーターκの逆数を取る操作でW代数のラングランズ双対性が得られ、その古典極限でも双対性が得られます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学続き。古典極限での双対性を使うと、Riemann面X上のG主束のモジュライ空間上のある種のD加群(保型形式の類似物)とX上のD加群(線形常微分方程式)が得られます。この対応が期待されるラングランズ対応になっていると考えられているわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
#数学Riemann面の場合のラングランズ双対性にきちんと数学的証明がつけられているかどうかは知らない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 20
@genkuroki最近は、Gaitsgory の周辺の人たちの活躍が目立つように思います。 https://t.co/jzsbxL4dxo私個人的には、技術的に新しいことを勉強してついていく時間がないので、かなり遠い印象です。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2015, 11月 20
@genkuroki遠くから眺めている印象ですが、圏論的なGLの定式化のためには、G^\vee平坦束のモジュライ空間上の連接層の導来圏を「正しく」定義することが必要で、そのために技術的な準備に時間がかかっているようです。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2015, 11月 20
全然関係ないが, 連接層に関しては日本人数学者の岡潔の大きな業績がある. そもそも定義して使い込んで, 多変数関数論の大きな問題を解決したというレベルの根本的な業績だ. 読みたいと思って細部まで読み切れていない, 野口先生の本『多変数解析関数論 学部生へおくる岡の連接定理』がある. ハードなところまできっちり解説されていつつ, 複素多様体の話もところどころで盛り込まれていて, 学部生が読めば好奇心をかきたてられるだろう.
2015-12-06 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待』黒木玄さんのツイートを主に適当にまとめ¶
いまだに番組見られていない. あとさぼっていたらもうどれがどれやらよくわからないので 適当にまとめる. 数学的には専門から遠過ぎてよくわからない・知らない話題も多いので, 私自身勉強になるから.
まず一番気になっているところといえばこの辺.
数学ミステリー白熱教室、理解は出来ないけど面白いから見ちゃう
— カサ (@achromJP) 2015, 12月 4
最近この時間に帰って数学ミステリー見るのがお決まりになってる。見たところでなにをゆーとるんかまるでわからんけどなんかすごい
— たたたっちゃん (@K2Allian) 2015, 12月 4
Eテレの数学ミステリー白熱教室だかいうやつ、何言ってるのかさっぱり分からなくて楽しい
— たゆり (@39_yura) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室を観ているんだけど、スゲェ難しいけど大学の授業よりクソwktkなのは確か
— いっちー@14716270/V穴難! (@BEMANIST2000) 2015, 12月 4
Eテレの「数学ミステリー白熱教室」を観て童心に帰っている。純粋なものに触れると心が洗われるのだな。 #NHK
— S. Yoshi (@Yoshi_720) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室の数学者がイケメン過ぎて内容が入ってこない(’-’)カリフォルニア大学のエドワード・フレンケル教授だそうですよ。
— サイチョモチ (@Saimochi) 2015, 12月 4
Eテレ「数学ミステリー白熱教室」全4回は、ミステリーと謳っているけれど語られる内容はほぼSFの領域に突入する素晴らしさ。数式は限りなく少ないのでちょい首ひねるところもあるけれど、そんなの誤差レベルの凄さだった。 https://t.co/g8kzQUHNt2
— 最上直美 MOGAMI Naomi (@mgmnom) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室、毎週すごく楽しみにしてただけに終わってしまうのが寂しい。学生の頃から数学苦手だったけどこういう講義ならいくらでも受けたいって思える
— ます (@mass137) 2015, 12月 4
全体を通して。フレンケル教授の話は「みんなが納得良くわかりました」って話じゃない。講演の中で出てきた断片や話者の情熱から「想像力を掻き立てられて」自分で勉強してみたくなるタイプの話なんだと思っている。そういう意味で、素晴らしい講演だったし、今めっちゃ勉強したくなっている。
— tsujimotter (@tsujimotter) 2015, 12月 4
@genkuroki#数学続き。せっかく、数学研究の最先端がテレビで4回シリーズで紹介されるのに、「わからない。だからつまらない」という感想が大量に出て来ることを恐れた。それは杞憂だった。わからないことの面白さをフレンケルさんと共有して楽しんだという感想が大量に出て来た!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。こういうことを言うと再放送を要求する人が減ってしまうかもしれないのですが、フレンケルさんのような話を聞くことに適正があるのは、「わからないこと」に耐性を持っているだけではなく、「わからないこと」を楽しめる人達の方だと思う。「わからなさ」を楽しめた人は勝ち組!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
私もニコニコで大概無茶苦茶な動画を作っているが, かなり研究界隈の人々とはいえ 非数学・物理の系の人でも学部どころか院レベルの内容を 楽しんでくれているっぽいし, 子供の頃そういうのに触れたくて仕方なかった過去もある.
こういうのを私ももっとやりたい.
あぁ今日白熱教室か。フレンケルかっこいいって人、やっぱりいた(笑) 毎回面白い。そもそもラングランズプログラムが圧倒的に興味を惹く。数学史を絡める数学講義は増えているかも。(前からあったかもしれない。) そして毎回、数学を芸術として突き付けられる。美術館での衝撃の感覚と同じだ。
— 16年 (@__pknt) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱白熱教室録画して見てるけどエドワードフレンケル教授がマイケルJフォックスそっくりのイケメンで内容が頭に入ってこないにゃー pic.twitter.com/TSFJTQ2QEN
— ロマ猫ンティ (@Rika1966) 2015, 12月 4
イケメンとかアートとしての数学とか, そういうのも大事だなと思うが, どうしようというところ.
あとメモ. - http://sci.tea-nifty.com/blog/2015/11/nhk-1127-41d4.html
以前のと被っているツイートもあるかもしれないし, 漏れもあるかもしれないがもう気にせずガンガンやる.
#数学(η(q)η(q^{11}))^2には楕円曲線y^2+y=x^3-x^2が対応していた。 https://t.co/o5VXAhQqWuによれば(η(q)η(q^5))^2にはy^2=x(x^2+x+1)が対応するらしいのでそちらも確認してみると面白いと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学注意:以上の話はわざと細かいところを雑に説明している部分があるので注意すること。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学フレンケルさんが例に使ったのと同じ楕円曲線y^2+y=x^3-x^2を例に用いたSato-Tate予想に関する解説が、黒川信重「佐藤-テイト予想の歴史」数学のたのしみ2008最終号pp.23-34にあります。 https://t.co/vAMO7TCaF2
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学Sato-Tate予想について例で説明します。素数位数pの有限体をF_pと書きます。フレンケルさんは楕円曲線の方程式y^2+y=x^3-x^2のF_pでの解(x,y)全体の個数をS(p)と書いていました。各素数pごとにS(p)をコンピューターで求めることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続く。アイヒラーさんの証明によって、a_p=p-S(p)は保型形式(η(q)η(q^{11}))^2の展開のq^pの係数としても計算できるのでした(コンピューターで計算するときにはこちらの方法を使った方が圧倒的に楽)。続く。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。おおざっぱには、楕円曲線の方程式y^2+y=x^3-x^2のF_pでの解全体の個数は「p個±誤差」になっていると考えられます。なぜならば、F_pの元の組(x,y)全体の個数はp^2個あり、方程式が1本あるので点の個数は大体1/pに減るはずだからだ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。実際には方程式が非線形で複雑なので、ぴったり1/pにはならず、期待値からのずれが生じる。だからa_pの絶対値は|a_p|=|p-S(p)|=(予想される解の個数の期待値と実際の解の個数の違い)=(期待値からのずれ)と解釈されます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。解の個数の期待値からのずれ|a_p|はハッセによって |a_p|<2√p を満たすことが知られています。期待値からのずれに平方根が出て来ることはギャンブル(統計学)をやっている人にはお馴染みの現象なのですが、ヴェイユさんがどこかでそういうことを言っていたと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。不等式 |a_p|<2√p は後にヴェイユさんによって一般化され、有限体上の任意の多様体でも同様のことが成立していると予想されました。これは有名なリーマン予想の有限体上の多様体バージョンになっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。a_p の分布については不等式 |a_p|<2√p 以上のことが知られています。それが次のSato-Tate sin^2予想です:a_p=2√p cos θ (0<θ<π)と書くとき、素数pの個数を増やすときθの分布関数は(sin θ)^2の定数倍に収束する。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。ただし、楕円曲線が特別な対称性を持たない(虚数乗法を持たない)と仮定しておかなければいけません(その仮定が成立しない楕円曲線は例外的)。楕円曲線の有限体F_pでの点の個数の期待値からのずれの分布函数が分かるというのは実は数学的に極めて深い結果。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学続き。もしかしたら、コンピューターが得意なアマチュア数学者が新しくて深い数論的予想を発見するというようなことがこれからあるかもしれませんね。数学に詳しい人が増えれば、コンピューターが身近になっているのできっとそういうことが起こると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学E.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室関連の私のツイートは https://t.co/ghXnSPMjU6でまとめて読めます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学https://t.co/ghXnSPuIvw 自分の手を動かしたり、コンピューターをぶんまわしたりして、自力で遊べるE.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室関連の話題を集めたつもり。数学は話を聞くだけだと本当の所はよくわからず、何かを自分でやってみた方が楽しいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#掛算続き。言い忘れていましたが、佐藤・テイト予想もラングランズ哲学の範疇で証明されました。ラングランズ哲学的に佐藤・テイト予想はフェルマー予想よりも一段深い場所に位置付けられ、そこまで数学は進んだということです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#掛算続き。y^2+y=x^3-x^2のような「いつものあれ」を使えば、リーマン予想の有限体上での類似、佐藤・テイト予想、楕円曲線と保型形式の対応などなどに関する数値計算を誰でもできますね(コンピューターを使わないと大変だろうけど)。そういうブログ記事が現れると信じたい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#掛算続き。ブログの類で数式を見せるにはMathJaxが便利です。LaTeX方式で数式を「普通に」書けばそのままブラウザで数式が表示されるようになります。私が数年前に書いたMathJaxの解説→ https://t.co/A7AkPV52Zc
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 28
#数学「数学ミステリー白熱教室」をGoogleで動画検索 https://t.co/Cn95IBmc8c 反応を検索してチェックすると、講師のエドワード・フレンケルさんが大人気ですね。わからなくても面白いという反応も多い!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
#数学E.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室 https://t.co/620wq4NPcoは4回中3回がすでに放送され、残り1回になってしまいましたね。来週の金曜日に放送されます。最終回にラングランズ・プログラムと理論物理の数学との関係について話すらしい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
#数学ラングランズ・プログラムと理論物理の数学との関係の探求はE.フレンケルさんのガチ専門そのものなので、今まで以上に熱のこもった講義になることが期待されます。放送が終った第1~3回目を見逃した人であっても来週金曜日12/4の午後11時からの放送はチェックした方がいいかも。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
#数学E.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室の第1~3回の詳しい紹介を https://t.co/tQMrINd2EPに見付けた。内容を知りたい人は以下の検索も参照 https://t.co/BL7RgA6K3P https://t.co/OMK6xLLw6n
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学ラングランズ・プログラムのGL_1の場合(すなわち類対論)の話をしようと思ったのだが、大変そうなのでその一部分である平方剰余の相互法則の話をしようと思ったのだが、さらに話を簡単にして素数分の1の小数展開の話をする。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学用意して欲しいのは、必要な精度で小数を計算してくれるソフトです。たとえばMaximaは無料で使える数式処理ソフトで結構便利です。以下の作業を実際にやってみた人は算数レベルの計算で数の世界で不思議な現象が起こっていることを確認できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学 1. まず素数表を用意します 2. 次に7以上の素数pに対して1/pの小数展開を小数点以下第p桁目より少し先まで計算して表にします。 3. すべて循環小数になり、循環節の長さはp-1の約数になっていることもわかる。(フェルマーの小定理の応用) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学 4. 循環節の長さが偶数のとき、その前半と後半を足すと999…9になる。たとえば、1/7の循環節は142857で142+857=999となる。1/11の循環節は09で0+9=9となる。1/13の循環節は076923で076+923=999となる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学 5. 1/pの小数点以下第(p-1)/2+1桁目の数字をマルで囲む。 6. p=7を除いてマルで囲まれた数字は0または9のどちらかになる。 7. マルで囲んだ数字が0と9のどちらになるかはpを40で割った余りで決まることが確かめられる。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学平方剰余の相互法則というとてもキュートな数論の結果から7の結果が導かれます。マルで囲んだ数字が0になるのはpを40で割った余りが1,3,9,13,27,31,37,39のときで、9になるのは7,11,17,19,21,23,29,33のときです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学この話は以前オープンキャンパスでしました。 問題のみ→ https://t.co/ug3u5ZPNJV 解答を含む→ https://t.co/272TFoLI7b
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学素数pに対する1/pの小数展開という算数レベルの話の中に平方剰余の相互法則というキュートな結果がびょこっぴょこっとかわいく顔を出している感じです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
@genkuroki#数学平方剰余の相互法則は類対論に一般化され、類対論の非可換な場合への一般化がラングランズ・プログラムです。数論の話の良いところは算数レベルの話の中にも深い数学に繋がる現象が垣間見えていることを、誰でもたくさん計算すれば確かめられることです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 29
#数学今週の金曜日に放送のE.フレンケルさんの授業はラングランズ・プログラムと理論物理の数学の関係の話になるはずなのですが、一体どうするつもりなのかとても楽しみです。今までの話題は算数からせいぜい高校1年生レベルの数学を知っていれば計算を楽しめる話でした。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。数論の話題は深い話題であっても、現象として見えている部分の解説の多くは算数の範囲内で処理できる計算ですむものがものすごく多い。実際には高校1年生レベルの数学は必要でしょうが、せいぜいそのレベルの数学を知っているだけで「何が起こっているか」を直接見ることができる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。それに対して理論物理の場の理論の数学だと「何を見せるか」が大問題になると思う。今週の金曜日の午後11時から放送されるフレンケルさんの数学ミステリー白熱教室の第4回目(最終回)が楽しみです。毎回独立に見れも面白い話になっているのでこの回だけでも見る価値があります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。第3回目のフレンケルさんの話には出て来なかった話題なのですが、物理サイドではなく、数論サイドでのラングランズ・プログラムの進展に興味がある人は、フェルマー予想や谷山・志村・ヴェイユ予想だけではなく、佐藤・テイト予想(sin^2予想)についも調べた方がよいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。フレンケルさんが数学ミステリー白熱教室第3回目で使った「いつもあれ」である楕円曲線y^2+y=x^3-x^2はそのまま佐藤・テイト予想の解説でも使えます。フレンケルさんの講義を聴いていれば誰でも佐藤・テイト予想の数値的確認で遊べます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。『数学のたのしみ2008最終号』は「佐藤-テイト予想の解決と展望」特集号なのですが、黒川信重さんも伊藤哲史さんもリチャード・テイラーさんもエドワード・フレンケルさんと同じy^2+y=x^3-x^2を例に用いて解説を書いています。まさに「いつものあれ」という感じ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。『数学のたのしみ2008最終号』は https://t.co/vAMO7TkzNuでまだ購入できます。フレンケルさんの授業の第3回目を視聴して、さらにその先にあるものを見てみたいと思った人にはおすすめ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。「証明」となると滅茶苦茶大変過ぎるのですが、y^2+y=x^3-x^2のような「いつものあれ」な例について様々な数値を計算して数学の世界で何が起こっているかを見て確認することであれば、算数レベルの計算をコンピューターで実行すれば誰にでも可能です。つ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。私による佐藤・テイト予想の解説連ツイは→ https://t.co/sCKr2utYj9 佐藤幹夫さんが計算機による計算から予想を発見した経緯については計算を実行した難波完爾さんの解説が次の場所にあります→ https://t.co/o5VXAhyQ4W
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学難波さんの https://t.co/o5VXAhyQ4Wを見れば帰納的に数学の世界を調べるという数学研究のナマの様子がわかります。複素根のプロットのためにアルバイトで佐藤幹夫先生に雇われた2人の学生は数学史に名を残すチャンスを逃している(pp.102-103)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。もしもバイトの学生2人が複素根のプロット作業を最後までやり遂げてさらにそれがどのような分布になっているかを見抜いて「佐藤先生!すべてがsin^2分布になっています!」と報告していたら、現在、佐藤・テイト予想と呼ばれている予想が別の名前になっていたかもしれない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。難波完爾さんによる計算の貢献がどのくらいであったかについては https://t.co/o5VXAhyQ4Wを見ればわかります。そこには佐藤幹夫さんから「難波完二」さん宛の手紙の画像も載っています(p.114)。名前間違っているし。これがナマの数学史。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。昔の人達の「コンピューターへの飢え」は最近の人達には想像できないと思う。コンピューターは人類が開発した最高のおもちゃの一つなのですが、昔はそのおもちゃを使い放題の立場に立つこと自体が大変だった。その世代の人達は年寄になっても飢えた感覚を忘れていないように見える。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学佐藤・テイト予想に現われる0≦θ≦πでの確率分布 (2/π) (sin θ)^2 dθ は3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2=1で x=cos θ とおいたときにθをdθだけ微小に動かしたときに得られる面積(を球面全体の面積で割った値)です(図を描け!)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2=1の点に対して、z=x+iy,w=u+ivとおき(1,1),(2,1),(1,2),(2,2)成分をそれぞれz,w,-(wの複素共役),(zの複素共役)と定めてできる2×2の複素行列全体の集合はSU(2)という名の群になります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学これによって群SU(2)は3次元球面と同一視できます。 3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2=1(x,y,u,vは実数)の「3次元」は「表面が3次元」という意味で、中身も考えたx^2+y^2+u^2+v^2≦1は4次元の物体になります。だから想像にし難い。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学3次元の球体x^2+y^2+u^2≦1の表面が2次元の球面になるのと同じように、4次元の球体x^2+y^2+u^2+v^2≦1の表面が3次元の球面になると考えてよいです。3次元球面は我々が日常生活でよく見る2次元球面と違って自然に群になっているとみなせる所がすごい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学3次元球面の群SU(2)は実は実3次元空間の回転群SO(3)をさらに深くとらえたものであることが分かっています。電子のスピンは通常の3次元空間の回転群SO(3)では記述できず、SU(2)を使わないと理解できない。通常の3次元空間の回転を表現するためにもSU(2)は便利。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学3次元球面の群SU(2)はハミルトンの四元数を用いた実現も持ちます。3次元球面上の点に対応する四元数x+iy+ju+kv全体の集合を考えても同一の群が得られます。3次元空間の回転を扱っている文献の多くで3次元球面の群が使われています。SU(2)に関する数学的教養は大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学1次元の円周x^2+y^2=1上の点に対応する複素数z=x+iyの掛算が複素平面の回転になっていることは高校で習います。3次元球面の点に対応する複素2×2行列(または四元数)によって3次元空間の回転を記述できることはその拡張になっているともみなせます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学3次元の回転の記述は、ゲームプログラミングで基本的なだけではなく、人工衛星の制御などにも必要なことです。本屋で立ち読みした人工衛星の本では本質的に3次元球面の群SU(2)が使われていました。 そういう群の話が佐藤・テイト予想のsin^2分布の起源になっているわけ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学sin^2分布は群SU(2)の立場では、3次元球面の面積としてSU(2)上に自然に入る測度から誘導されるSU(2)の共役類全体の集合に入る測度だと解釈されます。k
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学ある仕組みで各素数pごとに群SU(2)の共役類C_pが決まる仕組みがあって、C_p達の分布の仕方が3次元球面上への引き戻しで見たときの一様分布に対応していれば、自然にsin^2分布が出て来るわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学線形代数。SU(2)の共役類はSU(2)の元の特性多項式と一対一に対応しています。SU(2)の元の行列式は定義より1なので、特性多項式はトレースだけで決まることになる。SU(2)の元のトレースはその2つの固有値exp(±iθ)の実部x=cos θの2倍になります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。-1≦x≦1に対してxをdxだけ微小に動かすときできる3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2=1上の領域の微小面積は(半径√(1-x^2)の2次元球面の面積のdx/√(1-x^2)倍)=4π√(1-x^2) dx になることがわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。4π√(1-x^2) dx を-1≦x≦1で積分すれば単位3次元球面の面積が得られるはずなのですが、√(1-x^2) dxの積分は単位円盤の上半分の面積π/2なので、結果は2π^2になります。これが正しい結果であることは別の方法でも確認できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。2つ前のツイートの4π√(1-x^2) dxを出す計算の途中でdx/√(1-x^2)倍が出て来る理由は高校数学IIIで習う経路の長さを積分で表わす公式を導くための考え方を使えば出ます。高校数学IIIまで習っていて基本的考え方を習得していれば大抵のことで困らない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学4π√(1-x^2) dxの全体での積分結果が1になるように正規化するためには3次元球面の面積(体積)の2π^2で割って (π/2)√(1-x^2) dx を考えることになります。x=cos θで変数変換すれば sin^2 分布が得られます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学4次元空間内の3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2上に一様に分布している点列が与えられていれば、その点列をx座標に射影した結果の分布はsin^2分布になります。佐藤・テイト予想は虚数乗法を持たない楕円曲線からこのような状況が自然に得られることを意味しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学y^2+y=x^3-x^2の場合の佐藤・テイト予想の数値的確認の手続きは以下の通り。 (1)楕円曲線の方程式y^2+y=x^3-x^2の解(x,y)の素数位数pの有限体F_pでの解の個数S(p)を数えて、p-S(p)の表を作成する。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き (2)η(q)=q^{1/24}(1-q)(1-q^2)(1-q^3)…とおく。(η(q)η(q^{11}))^2をqについて展開し、p次の係数をa_pの表を作る。 (3)a_p=p-S(p)が成立していることを確認できる。 ここまではフレンケルさんの講義の話。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き。(3)までの結果はアイヒラーさんの結果。 (4) |a_p|<2√pの成立を確認できる。 これはハッセさんの結果。リーマン予想の有限体上での類似。 (5) a_p=2√p cos θ_p, 0<θ_p<πでθ_pを定める。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き (6) 0からπのあいだを適当に分割して、θ_pがどこに入るかを調べて個数を数えて、グラフにする。 (7) sin^2のグラフでよく近似されているように見える! これが佐藤・テイト予想の数値確認の手続きです。どのステップも明瞭。 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学続き 実際今から50年前に佐藤幹夫さん・難波完爾さんたちは以上のような計算を実際に実行して、佐藤sin^2予想が発見されることになったわけです。詳しくは→ https://t.co/o5VXAhyQ4W(これを見れば他の例の計算の仕方もわかる)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学『数学のたのしみ2008最終号』の立ち読み1 楕円曲線y^2+y=x^3-x^2で保型形式との対応とハッセの定理(リーマン予想の有限体上での類似)の数値的確認。 pic.twitter.com/s3oCjBHw9j
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
#数学『数学のたのしみ2008最終号』の立ち読み2 楕円曲線y^2+y=x^3-x^2で佐藤・テイト予想を数値的に確認。 この楕円曲線はE.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室の第3回目でも使われています。「いつものあれ」! pic.twitter.com/ktJs62yWSv
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
@genkuroki#数学 https://t.co/c2R5IwazcL 数学ミステリー白熱教室第3回目 楕円曲線 y^2+y=x^3-x^2 を例に楕円曲線に保型形式が対応するという「志村・谷山・ヴェイユ予想」について解説。フェルマー予想はその帰結。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
@genkuroki#数学続き。フレンケルさんが最後に触れている1955年に日本で開催された数論の研究集会の情報は https://t.co/M1JDH9sOkqにあります。問題のpdfファイルを開いて問題12を見てください。そこに歴史的な予想の原型が書いてあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
@genkuroki#数学続き。ヴェイユさんの『ゼータ函数の育成について』はとても有名な名文で、これの翻訳も谷山豊さんが担当しています。何度読み直しても面白い。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
@genkuroki#数学訂正 https://t.co/Xoo1gmOX9N の「(π/2)」を「(2/π)」に訂正します。分子分母がひっくり返っていた。こういう自明な誤りはよくある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
@genkuroki#掛算#数学数学ミステリー白熱教室第3回の終わりの方でエドワード・フレンケルさんが重要な人物の1人として名を挙げている志村五郎さんは https://t.co/VdndoFNbABに登場する志村五郎さんと同一人物です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 11月 30
その他の連続ツイートその 1.
#数学Re:RT みんな、イケメン、イケメン、言い過ぎ(笑)。 東洋経済オンラインでもイケメンと→ https://t.co/ITdz2AlTn2【イケメン教授のエドワード・フレンケル氏が、「心も頭もしびれる究極の数学」(ツイッターより)を白熱講義するこの番組は〜】
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学続き。 https://t.co/UhUoEz3FzFの翻訳者までイケメンと言っている→ https://t.co/uZFq2hzMVK【番組が始まってまず思ったのは、「やっぱり、フレンケルってイケメンだわぁ」ということだった】
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学個人的な意見では、数学を結構知っていて、かつ、難しい数学の話の高校などでの出前授業の経験もある人であれば、E.フレンケルさんがそんなに上手に話しているようには見えないと思う。本音を言えば私自身もそう感じた。だから結構心配した。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学個人的な意見では、数学を結構知っていて、かつ、難しい数学の話の高校などでの出前授業の経験もある人であれば、E.フレンケルさんがそんなに上手に話しているようには見えないと思う。本音を言えば私自身もそう感じた。だから結構心配した。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学続き。E.フレンケルさんが話した数学的最先端の結果の多くは「確かにそうなることは一応わかったが、どうしてそうなるかはよくわからない」という類の話ばかりなのです。数体、有限体上の曲線、リーマン面、理論物理の場の理論をすべて繋ぐ数学的現象が存在する。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
場の理論といっても相対論的で綺麗な世界だと思うし, 私や物性の人達がやっているような 対称性も微妙な汚いところ (深谷先生ならダーティーな物理とでもいうだろうか) を 繋いでくれそうな数学あるだろうか.
@genkuroki#数学続き。どこで起こっていることも、どうしてそうなるかはよくわからないのですが、複数の世界を比較することによって、少しずつわかるようになって来ている。数論におけるガロアサイドと保型サイドの関係はミステリアスなのですが〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学続き〜、「数体→有限体上の曲線→リーマン面→4次元の物理で2次元の物理を理解すること」という道をたどると、理論物理の世界で主要な研究対象の1つになっている「異なる場の理論のあいだの同値性」で「ガロア・保型対応」が理解できそうだという話になっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学そういう話が数学者以外に大規模に宣伝されたのは今回が初めてだと思う。E.フレンケルさんは、ラングランズ・プログラムそのものを解説しようとしたのではなく、ラングランズ・プログラムを1つのネタとして利用して数学の世界の様子を説明しようとしたのです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
@genkuroki#数学おそらく、数学者内でも、E.フレンケルさんが説明しようとした数学の世界の話を知らなかった人達は多いと思う。複数の数学の分野だけではなく、理論物理の場の理論まで関係しているので、それら全体でどういう世界になっているかを認識することは難しい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
@genkuroki#数学あと、E.フレンケルさんの話でよかったのは、すごそうに見えるが理解不能な「お話」だけですませることを絶対にしなかったこと。フレンケルさんは地道に誰にでも取り扱える易しい数学的具体例を必ず挿入しようと努力していました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
この辺をどこまでどう頑張るか, 今後それが試される感がある.
@genkuroki#数学あと、フレンケルさんは、実験・観察によって現実の物理とまだ関係がついていない理論物理の結果を利用するときには、実証されていないことにきちんと触れていました。数学の話がメインであっても、そういう点できちんとしているのは、ものすごく印象がよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
@genkuroki#数学今回、E.フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室の講義を見ることができた人達はラッキーだと思う。 NHKは再放送を急ぐべき。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学E.フレンケルさんはクォークと群論の関係を説明していましたが、次のような高校生向けの解説もあります。 https://t.co/RinqYBCrZj https://t.co/9CMYjlmSyT 林孝宏さんによる2008年度公開講座 : 正多面体と群。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学クォークの話は https://t.co/9CMYjlmSyTの第2回講義資料 https://t.co/oG2A28zoztのp.9以降に出て来ます。でも、第1回講義資料から順番に読んだ方が面白いと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
仕方ないといえばそうだが, 順番に読まないといけないのはかなりストレスになるという感じもある. 本当にどうしよう.
#数学林孝宏さん(よく知っている(^_^))は簡単のためにGL(3)で説明しているのですが、SL(3,C)でも同様で、さらにその極大コンパクト部分群SU(3)に制限しても同様です。E.フレンケルさんは物理学者の流儀にしたがってSU(3)で説明していました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学数学的なことをまじめに勉強したことがある人であれば、数学的内容は同じなのに記号が違っていたり、同値だが異なるように見える話になっているせいで、理解が困難になる場合が多いことを知っているはずです。そうならずにすむ確率を高めるためには「抽象化」が大事になります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学実際に目に入る記号操作のパターンに頼り切らずに、背景にある数学的現象そのものに肉薄するような直観的理解をするように努力することが「抽象化」です。正しく抽象的に理解していると、ものすごく具体的な事柄を楽に理解できるようになります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
話ずれるがいま企画を練り直している『物理のための数学』では, そういうところをきっちりやりたい.
#数学SO(3)は(実)3次元空間の回転のさせ方全体の集合とみなせ、SU(2)は3次元空間の回転を2重に持ち上げたものになっていて図形的には3次元の球面(内側は4次元)になっていること、そしてそららは互いにラングランズ双対になっているという事実についてはすでに説明しました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学さらにU(1)は2次元平面の(原点を中心とする)回転のさせ方全体の集合で、図形的には円周になります。これで、E.フレンケルさんの話に出て来たU(1),SU(2),SO(3)の説明は簡単にしたことになります。残りのSU(3)はクォークを記述する群として登場しました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学添付画像は数学ミステリー白熱教室第4回より。図の左半分は「SU(3)のウェイト格子の原点付近の様子」の図になっています。そして右半分は「最高ウェイトΛ_1+Λ_2の8次元既約表現のウェイトたち」の図と同一視できます。続く pic.twitter.com/jzmNL0DJWK
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学SU(3)の定義は「複素3次正方行列でその転置の複素共役が自身の逆行列になり、行列式が1であるもの全体の集合」なので、初めて見た人は行列のことを知っていても何のことやらわからないと思います。実は、細かい条件は重要ではなく3×3行列全体を考えてもほぼ同じ話になります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学3次正方行列の全体は3次元の縦ベクトル全体に左から行列の積によって作用しています。第i成分だけが1で他の成分が0の3次元の縦ベクトルをe_iと書くと、e_1, e_2, e_3は3次元の縦ベクトル全体の空間の基底になっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。物理的にはこのe_1,e_2,e_3が3つのクォークです。3×3行列は3次元の横ベクトルに右から行列の積で作用しています。第i成分だけが1で他の成分が0の3次元横ベクトルをe'_iと書くと、e'_1,e'_2,e'_3は物理的には3つの反クォークだと解釈される。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。ただし、横ベクトルには行列が右からの掛算で作用してしまっているので、それを「リー環の左作用」とみなすために、行列を-1倍してから右からの掛算で作用させると約束しておきます。この「-1倍」が反粒子の「反」を意味しています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。以上の説明は行列の掛算について知っているだけで理解できるはずです。今の大学2年生以上は高校のときに行列について習っているので、高校生の時点で知らないうちに3つのクォークの数学的表現と出会っていたと言えます。大学1年生も線形代数の授業ですでに習っている。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。さらに、高校や大学で習っていなくても、3Dプログラミングで3×3の行列と3次元の縦もしくは横ベクトルの積を扱ったことがある人達も、知らず知らずのうちに3つのクォークとそれらの反粒子の数学的表現に出会っていたことになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。数学的な理解は大体においてこんな感じで、身も蓋もないものです。どんなに複雑であっても、細かく分解すれば身も蓋もないほど単純な話になっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
その細かい分類が涙が出るほどつらい.
#数学たとえば、3つのクォークと3つの反クォークが組み合わさって様々な中間子ができる様子は数学的にはe_iたちとe'_iたちの「テンソル積」という名の掛算によって理解できます。3つのe_iと3つのe'_iのテンソル積全体は3×3=9個あります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。それらを基底とする9次元のベクトル空間ができる。その9次元のベクトル空間がリー環の表現として1次元と8次元に既約分解し、その様子がそのまま中間子の記述になっているわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。ベクトルとベクトルのテンソル積の数学的定義の仕方は単純なおかげで面白いやり方になっていて、行列の積やベクトルの内積のように何か特別な演算規則によって定義されるのではなく、「(双線形性以外の)演算規則を考えないこと」によって定義されます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学テンソル積a⨂bの扱いは、スカラーαとベクトルa,b,cについて(a+b)⨂c=a⨂c+b⨂c, a⨂(b+c)=a⨂b+a⨂c, (αa)⨂b=α(a⨂b), a⨂(αb)=α(a⨂b)が成立していることを知っていれば十分で、これ以外の関係式を使ってはいけない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学テンソル積a⨂bの扱いは、スカラーαとベクトルa,b,cについて(a+b)⨂c=a⨂c+b⨂c, a⨂(b+c)=a⨂b+a⨂c, (αa)⨂b=α(a⨂b), a⨂(αb)=α(a⨂b)が成立していることを知っていれば十分で、これ以外の関係式を使ってはいけない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学2つのベクトルを掛算したいと思えばテンソル積によっていつでも掛算できます。そして、テンソル積は「掛算」と呼ぶに値するための必要最小限の条件しかみたしていないと考えるので、テンソル積は他の様々な種類の掛算の「親玉」になっています。専門用語では「普遍性を持つ」という。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学ちょっと脱線しましたが、テンソル積のような自明でつまらない事柄でひっかあkるのはアホらしいので、少し説明してみました。数学ではテンソル積のような専門用語が出て来ても、多くの場合、身も蓋もないほど単純な話に過ぎないのでびびらないことが大事。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。たとえば2つの文字x,yのテンソル積x⨂yと他の掛算の関係について説明しましょう。文字の積xyは可換性xy=yxを満たしていますが、テンソル積は可換ではありません。しかし、x⨂yをxy=yxに対応させる自然な写像を考えることはできる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。数学ではよく掛算の順序を交換すると-1倍になる積を考えることがあります。文字xとyの外積はx∧y=-y∧x (交代性)を満たす積として定義されます。テンソル積は交代的ではないのですが、x⨂yを外積x∧yを対応させる自然な写像を考えることができます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。脱線しましたが、3つのクォークの複合粒子たちの数学的記述は3つのe_iたちを3つテンソル積たちで記述されます。より詳しくは、3^3=27個のテンソル積から得られる27次元の空間の1次元+8次元+8次元+10次元への既約分解で説明されます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。その8次元の既約成分のうちの片方の基底(8個ある)が数学ミステリー白熱教室で使われた添付図の右半分にある8個のハドロンに対応しています。そしてその図は3×3行列のリー環の8次元既約表現のウェイトダイアグラムとして数学的にはよく知られていたわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。3×3行列の話をちょっと拡張(そのちょっとの部分が最初は大変)した話に過ぎないので、その話自体はわかってしまえば身も蓋もないほど単純な話です(テンソル積の既約分解はちょっと複雑)。大学1年生できちんと勉強していれば少し勉強するだけで理解できると思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。たとえば佐武一郎著『線型代数学』 https://t.co/zDcRLF5SvA(古本で買えば安い!この本のコスパ高過ぎ!)の第V章の終わりの「定理(Weyl)」に"3⨂3⨂3"の既約分解の大幅な一般化について書いてあります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。 pic.twitter.com/jzmNL0DJWK数学ミステリー白熱教室に出て来た添付図をどうやって「身も蓋もない」ほど単純なやり方で描けるのかについて知りたい人もいると思います。完全には説明できませんが、簡単に説明できそうな部分について説明してみましょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学対角成分が(1,-1,0), (0,1,-1)の3×3の対角行列をそれぞれh_1, h_2と書き、それらを3次元空間中のベクトル(1,-1,0), (0,1,-1)と同一視しておきます。それらの通常の内積は(h_i,h_i)=2, (h_1,h_2)=-1になる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学ベクトルα_iとΛ_iをα_i=h_i, Λ_1=(2,-1,-1)/3, Λ_2=(1,1,-2)/3 と定める。(3×3行列ではなくn×n行列の場合にはΛ_i=(n-i,…,n-i,-i,…,-i)/n (n-iはi個)とおきます。)続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。このとき内積(h_i,Λ_j)はi=jのとき1、i≠jのとき0になります。さらに、α_1=2Λ_1-Λ_2, α_2=2Λ_2-Λ_1も成立しています。以上は地道に紙の上で計算してチェックして下さい。内積の計算は本質的に高校レベル(対応する成分の積の和)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。少し前に第j成分だけが1で他の成分が0の3次元縦ベクトルをe_jと書いてましたが、ある理由があってこれ以後はv_jを書くことにします。ベクトルv_jたちに行列としてのh_iを作用させた結果を計算しましょう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。結果は h_i v_1=(h_i, Λ_1)v_1, h_i v_2=(h_i, -Λ_1+Λ_2)v_2, h_i v_3=(h_i, -Λ_2)v_3 とまとめられます。これも地道に計算すればチェックできます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。一般に「h_i u= (h_i,λ)u」が成立しているとき、「uはウェイトλを持つ」と言います。1つ前のツイートの結果は、v_1,v_2,v_3のそれぞれがウェイトΛ_1,-Λ_1+Λ_2,-Λ_2を持つと言い変えられます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。ベクトルのウェイトたちを平面にプロットしたものをウェイトダイアグラムと呼びます。3×3行列が3次元の縦ベクトルの空間に作用しているケースでのウェイトダイアグラムは添付画像のようになる。 pic.twitter.com/xwKb5DHybl
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。Λ_iの整数倍たちの和全体の集合をウェイト格子(ウェイトラティス)と呼びます。我々が扱っているケースでのウェイト格子は正三角形がたくさん並んでいるような図になります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学表現のテンソル積の既約分解の説明はしんどいのでしません。ごめんなさい。目標とする8次元表現は直接的には以下のようにして作れます。(i,j)成分だけが1で他の成分が0の3×3行列をE_{i,j}と書き、e_i=E_{i,i+1}, f_i=E_{i+1,i}とおく。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。ベクトルwに関する関係式 e_i w=0, h_i w=(h_i,Λ_1+Λ_2)w, f_i^2 w=0 (i=1,2)を仮定します。すると w に f_1, f_2 任意有限回かけて得られるベクトルたち全体で8次元のベクトル空間ができることを確認できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。そしてウエイトたちは8つになり(そのうちの2つは0)、ウェイトダイアグラムは添付画像のようになることを確認できます。これが数学ミステリー白熱教室で出て来た図と本質的に同じものです。 pic.twitter.com/fqizYbKLbf
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学表現の作り方の別の方法。天下り的ですが、変数x_1,x_2,x_3で生成される多項式環を考え、x_iに関する偏微分を∂_iと書きます。多項式環にh_i,e_i,f_iたちを h_1→-2x_1∂_1+x_2∂_2-x_3∂_3+λ_1, 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き h_2→x_1∂_1-2x_2∂_2-x_3∂_3+λ_2, e_1→∂_1, e_2→∂_2+x_1∂_3, f_1→-x_1^2∂_1-x_1x_3∂_3-x_3∂_2+x_1x_2∂_2+λ_1x_1, f_2→x_3∂_1-x_2^2∂_2+λ_2x_2.
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。多項式環の元1にこのようにしてh_i,e_i,f_iたち(実はf_iたちだけで十分)をどんどん作用させていくとリー環sl_3の最高ウェイトλ_1Λ_1+λ_2Λ_2の既約表現が得られます。λ_1=λ_2の場合には8次元の既約表現が得られます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。添付画像は以上の方法による8次元既約表現の計算結果とウェイト・ダイアグラム。(1に微分作用素を作用させる計算をするだけ) pic.twitter.com/YLs2QX192M
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学実は以上の計算はE.フレンケル著『数学の大統一に挑む』 https://t.co/UhUoEz3FzFのpp.223-224の【旗多様体はたしかにうまくいきそうだった~「ユウレーカ」】の部分の3×3行列の場合(sl_3の場合)の話になっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学h_i,e_i,f_iたちの微分作用素による表示は実は旗多様体へのリー環の無限小作用をオープンセル上で具体的に書き下したものです。計算のアルゴリズムを知っていれば誰にでも機械的に計算できる類のものです。旗多様体はリー環の表現論で基本的な役割を果たしています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学答えを知っていれば偏微分の計算法を知っているだけですべてを紙の上の計算で確認できるはずです。こういう類の計算をおそらくE.フレンケルさんも実際にやっていたと思う。そしてそういう計算の例は偏微分の計算さえできれば誰にでも手が届く所にあるということです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
話めっちゃずれるが, 構成的場の量子論, 具体例を作ることそれ自体を目的とする分野なので, 具体例で遊べる分野, 本当に羨ましい. 私も遊べる具体例がたくさんほしかった.
#数学数学っぽい話を聞くときには、「自分には永久に手が届かないことをやっている」と感じていたら、どこかで間違った道に入り込んでしまったと思う方がよいと思う。実際には身も蓋もない単純だが地道な議論の先で「手が届きそうもないように感じられること」に手が届くようになっているのです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学拡散! https://t.co/MYu5SDtfuZのy^2+y=x^3-x^2関連情報→ https://t.co/t6cFsjwI72素数pを法とする解の個数のScratchでの計算→ https://t.co/5fm9XFjDSV
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き。素数pに対する解の個数は大体pになります。解の個数とpの差は2√p未満になるというのがハッセの定理。ハッセの定理はリーマン予想の有限体上での楕円曲線での類似になっています。こういうことからも一般化されたリーマン予想の世界が見えます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
#数学続き https://t.co/5fm9XFjDSVy^2+y=x^3-x^2の素数pを法とする解の個数をp=59で計算させてみた。時間がかかりましたが、結構楽しかった。 pic.twitter.com/eAcKEUa3Gz
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 6
@genkuroki#数学 実際にやってみた。 https://t.co/wdMnwQgKlF
— A級3班国民 (@kankichi573) 2015, 12月 6
連続ツイートその 2.
#数学エドワード・フレンケルさんの数学ミステリー白熱教室がらみの私のツイートは https://t.co/ghXnSPuIvwでまとめて読めます。一部reply-to連鎖を遡る必要あり。ごめんなさい。2015年11月13日から。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学エドワード・フレンケルさんの話に関連している論文は誰でも無料で読める場所にあります→ https://t.co/Hq4VInPoNP。個人的にこれはとても素晴らしいことです。さらに個人的な意見を言わせてもらえれば、科学のあらゆる分野で論文を無料公開するべきだと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学たとえば「ウィッテン フレンケル」(Witten Frenkel)をarxivで検索すると→ https://t.co/kVSVuagSZx
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学昨晩のフレンケルさんの話で主要な例として使われた、SO(3)とSU(2)の定義であれば大学1年生レベルの行列の話を知っていれば理解できます。集合SO(3)の定義は「実3次正方行列Aで、その転置がそれ自身の逆行列になり、行列式が1になるもの全体の集合」です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。集合SU(2)の定義は「複素2次正方行列Aで、その転置の複素共役がそれ自身の逆行列になり、行列式が1になるもの全体の集合」です。どちらも行列の積について群になる。こういう説明の仕方をすると何のことやらわからなくなるので、フレンケルさんの説明の仕方は正解だと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SO(3)のような行列群を直観的に理解するためには、行列が一次変換を表現しているという事実を思い出す必要があります。そして一次変換を直観的に理解している必要があります。一次変換の典型例の一つは「原点を中心とする回転」です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。そういうことがわかっていれば、SO(3)に含まれる3×3の行列は、実3次元空間の回転(を表わす一次変換)と一対一に対応しています。これは3Dゲームプログラミングの基礎。3次元の物体の回転を数学的に表現する方法を知るためにはSO(3)について勉強する必要がある。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SO(3)の定義との関係。実正方行列Aの転置がAの逆行列になるという条件はAが「長さを保つ一意変換であること」の代数的な言い変えになっています。長さを保つ一次変換の中には鏡映変換(x,y,z)→(x,y,-z)も含まれています。これは回転ではありません。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。長さを保つ一次変換の全体は実は回転と鏡映変換((x,y,z)→(x,y,-z)以外を含む)で構成されています。そこから回転だけを取り出すための条件が(Aの行列式)=1です。鏡映変換を表現する長さを保つ一次変換を表わす行列は(Aの行列式)=-1を満たしています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。一般に実3×3行列Aの行列式の絶対値をaと書くと、行列Aによる一次変換で体積がa倍になることを計算で確認できます(立方体をAで写した場合にのみを計算すれば十分)。高校レベルの計算で確認できます。行列式と体積の関係は行列式を直観的に理解するために非常に重要です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。問題は行列式の正負が何で決まっているかを直観的に理解すること。行列Aによる一次変換が右手系を右手系に写すとき行列式は正になり、右手系を左手系に写すとき行列式は負になることを示せます。これを理解するのは大学1年レベルだとちょっと手間がかかると思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。行列と一次変換の関係、転置と内積の関係、内積と長さの関係、行列式と体積の関係、行列式と右手系・左手系の関係、などなどについて健全な直観を十分に身に付けていれば、SO(3)の定義をよく理解できます。健全な直観を身に付けるためには地道に数学の世界を散歩するしかない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
最近そういう健全な直観を作ることを「器を作る」と呼ぶことにしている. 正しい器を作るの, 大変だがとても大事.
#数学続き。フレンケルさんの話の良かった所は数学の内容そのものにも触れる話もきちんとしていて(寝る聴衆がw)、数学の世界を散歩して健全な直観を地道に身に付けて行けば何が起こっているかがまだ分かっていない数学の世界に近付ける予感が得られるような構成になっていたことだと思います。続
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。こういうことを言うと再放送を要求する人が減ってしまうかもしれないのですが、フレンケルさんのような話を聞くことに適正があるのは、「わからないこと」に耐性を持っているだけではなく、「わからないこと」を楽しめる人達の方だと思う。「わからなさ」を楽しめた人は勝ち組!続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。計算してもわからないものはわからないのですが、計算さえできそうもないことばかりだと「何も見えていない」ということなので、数学の話を聞いたことにはなりません。フレンケルさんの話は難しかったのですが、計算で確認や理解をできる例が多数出て来ました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。最初に出て来た √2 と -√2 を交換する対称性が有理数に√2を付け加えた数の世界(数学者は数のフィールド(number filed、数体)と呼ぶ)に存在することは、中学校レベルで多くの人がすでに体験していることです。ガロア理論はこの話の拡張になっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。しかし、個人的な意見では、√2と-√2を交換する対称性は簡単過ぎてガロア理論がどういう世界かをイメージするためには不十分だと思う。2次方程式x^2=aの対称性だけではなく、3次と4次方程式の対称性の様子を見ればイメージがかなり豊かになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。高校1年生レベルの数学の知識があれば、x^2=aと同様の感覚で3次と4次方程式の対称性を観察することができます。3次方程式の対称性の観察はほとんど「高校1年で習うx^3+y^3+z^3-3xyzの因数分解の公式の話」そのものになっています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。4次方程式の対称性も観察もほぼ同様の感覚で行うことができます。詳しくは以下のツイートから始まる連続ツイートを見て下さい。 https://t.co/TQ2xJEXTbA
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。フェルマーの最終定理(フェルマー予想)自体は整数に関する予想なのですが、フェルマー予想の多項式版は高校数学レベルで容易に証明できます( https://t.co/rO6Af92Qf5)。フレンケルさんの話でも数の世界と函数や幾何の世界の類似が扱われていました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
勉強不足というのもあるが, 多項式だと簡単なことが整数で難しくなるの, 本当に謎.
#数学続き。エドワード・フレンケルさんの研究は、数論由来のラングランズ・プログラムの函数・幾何・理論物理の数学への拡張に関する仕事になっています。だから、数論の話を数の世界限定の話だと思ってしまうとフレンケルさんの話を理解できなくなってしまいます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。数学の世界の異なる場所で同じような法則に支配されているように見える「どうしてそういうことになっているのか」がわかっていない事柄が存在する。この事実を納得できた人はフレンケルさんの話の重要な部分を理解できたと言ってよいと思います。詳細はわかっていなくても。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学フレンケルさんの著書の翻訳のタイトル『数学の大統一に挑む』もよく考えて付けられていると思います。原題の"Love and Math"よりも邦題の方が本の内容がよくわかる。 https://t.co/U70nUj4Egn
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。フレンケルさんは内容の難解さについて言い訳を色々書いているのですが、「はじめに」のp.19には「この本は数学の知識がなくても理解でいるように書いた」とはっきり書いてあって笑ってしまいました。無理です(笑)。でも、数学の知識がなくても楽しめるように書かれています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。回転群SO(3)とラングランズ双対SU(2)の解説。SU(2)は複素2次元ベクトルの複素一次変換による回転で行列式が1になるもの全体の集合です。これは図形的には3次元球面(内側は4次元)になります( https://t.co/7Pc8yJagVS)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(2)は3次元球面x^2+y^2+u^2+v^2=1の点に対してz=x+iy,w=u+ivとおき(1,1),(2,1),(1,2),(2,2)成分をそれぞれz,w,-(wの複素共役),(zの複素共役)と定めてできる2×2の複素行列全体の集合に等しい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(2)は図形的には3次元球面と同じものだとみなせるので、SU(2)の図形としての次元は3です。SO(3)の次元も3です。続きで訂正。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。あ、テキトーに説明し過ぎて大嘘を書いてしまいました。ごめんなさい。長さを保つ実一次変換で行列式が-1のものが鏡映変換になると言ってしまいましたが、単純に誤りです。xy平面の回転とz軸の向きを反転させる鏡映変換の合成は鏡映変換になっていません。アホすぎ。よくある。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。回転の行列による取り扱いについては、佐武一郎著『線型代数学』の第IV章がおすすめ。IV§6にSO(n)の連結性の証明が書いてあります。そこを読めばxy平面の回転とz軸反転の鏡映変換の合成は行列式が-1のO(3)の元の典型例になっていることもわかります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。大学1年で習う線形代数の基本は「よい基底を選ぶ方法」です。線形写像の定義域と値域で別々にうまく基底を選ぶことは本質的に連立一次方程式を解くことと同じ(これは簡単)。面白いのは一次変換に相性がよい基底を選ぶ方法です。最も基本的なのは行列の対角化。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。固有値が基礎体に含まれなかったり、対角化可能でなかったりすると、単純な行列の対角化のテクニックだけでは足りなくなるのですが、基本的な考え方のほとんどが行列の対角化の話の中に出て来ます。佐武一郎『線型代数学』が数十年前からの定番の教科書。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(2)とSO(3)の関係は、フレンケルさんが実演していた「マグカップまわし」でよく説明されます。数十年前からそのように説明されていたと思う。計算でそれを確認するためにはSU(2)に含まれる2×2の複素行列から3次元空間の回転を作り出す方法を知れば十分です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。実3次元空間の点(x,y,z)と2×2行列X= [ ix, -y+iz] [y+iz, -ix] を同一視して、SU(2)の行列AによってXをAXA^{-1}に移す変換を考えると実3次元空間の回転が得られます。Pauli行列を考えてもよいです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学SU(2)はα=a+bi+cj+dk, a^2+b^2+c^2+d^2=1 (a,b,c,dは実数)の形の四元数全体の集合とも同一視できるのですが、ξ=xi+yj+zkをαξα^{-1}に移す変換を考えれば3次元の回転が得られます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学回転の行列による表現はものすごく基本的なことなので、本当はできるだけ早く学んでおいた方が得なのですが、みっちり教わる機会はなかなかないと思います。自分で数学の世界を散歩するときに、「回転の行列による表現」にしばらく滞在するのはよいことだと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
回転群, 数学が詰まりすぎて消化不良を起こすこと, かなりよくあるのではないか感がある. Lie 群で代数多様体で群上の調和解析できて無限次元表現あって, とか魔界以外の何者でもない. 私がぎりぎり知っているところを上げただけで, もっと色々なことが詰まっているだろう.
#数学実数θに対してe^{-iθ},e^{iθ}を2つの対角成分とする対角行列AはSU(2)の元です。3つ前のツイートの方法でAから3次元空間の回転を作ると(x,y,z)はx→x, y+iz→e^{2θi}(y+iz)と変換されます。これはyz平面の角度2θの回転です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。行列の掛算についてちょっと知っていれば以上の計算は複素数について知っていれば実行できます。SU(2)内での角度θの回転は3次元空間の角度2θの回転(SO(3)の元)を与えます。これがフレンケルさんが実演していた「コップまわし」の数学的解釈です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学で、フレンケルさんは「ラングランズ双対群」の定義の説明を避けて、最も簡単な場合であるSU(2)とSO(3)を例に挙げるだけですませています。一般の場合については「ルートデータ」という対称性の構造を決める「遺伝子」の話をする必要があります(それ自体が非常に面白い話)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(n)は単連結という「これ以上たくさん被覆できない」という位相的に単純な性質を持っています。そのような単連結なSU(n)のラングランズ双対はそれを中心で割ってできる随伴群になります。SU(n)の随伴群はPSU(n)=SU(n)/{1のn乗根×単位行列}です。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(2)とSO(3)=PSU(2)=SU(2)/{±E}は互いにラングランズ双対。より一般の場合にはここまで単純ではなくて、ルートデータの双対でラングランズ双対群を定義します。あと、コンパクト群ではなくて、その複素化を考えた方が便利なことが多い。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。SU(2)、PSU(2)の複素化SL(2,C)とPSL(2,C)も互いにラングランズ双対であると言います。この場合の幾何学的ラングランズ対応は、リーマン面上のPSL(2,C)接続にSL(2,C)主束のモジュライ空間上のD加群(線形微分方程式)が対応するという~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
いきなり $D$ 加群ぶっ込んでこられたので びっくりした. 柏原さんの Riemann-Hilbert 対応とかやはり何か関係あるのだろうか.
#数学続き~話になります。リーマン面上のPSL(2,C)接続は局所的に(d/dz)^2-p(z)のように表示できるのですが、座標変換での貼り合わせはちょうどVIrasoro代数から来るエネルギー運動量テンソルT(z)と本質的に同じになります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。こういう形でリーマン面のガロアサイドがVirasoro代数と結び付くことになります。PSL(2,C)接続(d/dz)^2-p(z)のp(z)の局所的展開の係数からSL(2,C)に付随する共形場理論の仕組みを利用して主束のモジュライ上のD加群を作れる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。その対応が欲しい対応(ヘッケ固有D加群の構成法)になっているというのが、その場合の「幾何学的ラングランズ予想」なのですが、どこまで解決しているかについては知りません。遊ばないといけないので離脱。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学E.フレンケルさんは数学ミステリー白熱教室第3回で楕円曲線y^2+y=x^3-x^2という「いつものあれ」を題材に色々説明していました。計算のアルゴリズムは明瞭。パソコンなどでテレビと同じ結果を再現したければついでに別の深い事実についても確認した方がよいと思います。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学いつもの楕円曲線y^2+y=x^3-x^2の素数位数pの有限体での解の個数の表を作るだけで、ヴェイユ予想のリーマン予想の類似部分、谷山・志村・ヴェイユ予想、佐藤・テイト予想の3つの予想の特別な場合をこの特別な場合に数値的に確認できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。実際の確認の仕方は https://t.co/MYu5SDtfuZ以降の連ツイで詳しく説明しておきました。きれいでわかりやすいグラフが描けたら教えて下さい。グラフの情報を拡散します。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。佐藤sin^2予想(=佐藤・テイト予想)を佐藤幹夫さんが発見するために必要になったコンピューターによる計算をやった難波完爾さんによる数学史的に貴重な証言を https://t.co/o5VXAhQqWuで読めます(これは非常におすすめ)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。難波完爾さんは楕円曲線y^2=x(x^2+x+1)とη(x)^2 η(5x)^5を例に色々説明しています。E.フレンケルさんが使った「いつものあれ」以外の例を計算してみたい人はこちらもやってみるとよいと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。添付図は https://t.co/o5VXAhQqWuより。複素根をすべてプロット。素数pが4万未満の場合のプロットなので、半径200の円内に入っていることがリーマン予想に類似のハッセの定理の特別な場合。 pic.twitter.com/b7iAhf9Hkc
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。偏角θで見た分布は(sin θ)^2分布になっていそうな感じ(佐藤・テイト予想が成立している感じ)も根のプロット結果を見ればわかります。 pic.twitter.com/b7iAhf9Hkc
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
数値実験で遊ぶの, 私ももっとやってみたいし, コンテンツも作りたい.
#数学PSL(2,C)接続(d/dz)^2-p(z)のp(z)dz^2の変換性が共形場理論のT(z)dz^2の変換性と同じなのでガロアサイドのPSL(2,C)接続とVirasoro代数(sl(2)のW代数)が結び付くという話を少し前にしました。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学保型サイドの局所版はsl(2)のアフィン・リー環の臨界レベルでの表現論です。sl(2)のW代数は、Virasoro代数であり、臨界レベルではアフィン・リー環の普遍展開環(の完備化)の中心と同一視できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学さらにsl(2)のW代数は、自由スカラーボソン場を使う実現があります。2つある遮蔽カレントの片方に保型サイドのsl(2)のW代数としてのVirasoro代数が対応しています。もう一方にはラングランズ双対のW代数が対応している。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学そして、2つの遮蔽カレントに対応する2つのラングランズ双対W代数(Virasoro代数)は一致することをVirasoro代数の表現論を使うと示せる。臨界レベルの極限で、保型サイドとガロアサイドのVirasoro代数はそれぞれ~続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き~「臨界レベルではアフィン・リー環の普遍展開環(の完備化)の中心」と「PSL(2,C)接続(d/dz)^2-p(z)のp(z)を展開した係数で生成される代数」になります。それらは一致するのでPSL(2,C)接続から臨界レベルの表現が得られるわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。局所的な表現が得られれば、後は共形場理論の方法(=アデールを使った保型表現の理論のリーマン面版)を使えば保型表現の類似物が得られます。その表現にはSL(2,C)主束のモジュライ空間上のD加群が対応しており、これが欲しいものだろうというのが私が昔聞いた予想です。つ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学続き。もしかしたら、今現在では非臨界レベルでも1パラメーター族として存在しているW代数のラングランズ双対の物理的もしくは幾何学的理解があるのかもしれませんが、私は現時点では全然知らない。その方面の論文もまじめにチェックしていない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 5
#数学エドワード・フレンケルさん、ほんと大人気。説明内容の難易度は過去のテレビ放送の中で最高レベル。それにもかかわらず、大受けしまくっている。NHKは絶対に再放送するべき。 放送内容とほぼ同じ話が著書にもある→ https://t.co/UhUoEyM4I7
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 4
@genkuroki#数学 エドワード・フレンケル著、 青木薫訳、 『数学の大統一に挑む』 https://t.co/UhUoEyM4I7 文藝春秋 2015/7/13 文藝春秋社はいい仕事をしたと思う。この本、ベストセラーにならないかな?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 4
@genkuroki覚えておられないかもしれませんが、昔、黒木さんの掲示板や表現論の西山亨さんにネット上でお世話になった板垣志朗(しろうくん)です。とねさんの数学&物理系の濃厚ファンサイト紹介… とね日記『数学の大統一に挑む』 https://t.co/T6YNOzkeoD
— 板垣志朗 (@bunnkanokokoro) 2015, 12月 4
@bunnkanokokoroおひさしぶりです。とねさんのサイトが熱いですね。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 4
あと黒木さんが RT していたいろいろな人の感想を.
数学ミステリー白熱教室であんなに谷山豊の話をするとは思わなかったな。びっくりしてうるうるしてしまった。
— 七千夜叉 (@volantverba) 2015, 12月 4
23時から 数学ミステリー白熱教室だ 最終回は数学と物理学の関連性的な回か 前回のフェルマーの最終定理めちゃおもしろかったから楽しみ(((o( ˙-˙ *))o))) pic.twitter.com/3EjeZOgaGf
— makun (@sone_makun) 2015, 12月 4
今夜で数学ミステリー白熱教室が終わりなのが残念。 https://t.co/l90h0QJLPD
— Sonahawk (@Sona_cam) 2015, 12月 4
あぁ今日白熱教室か。フレンケルかっこいいって人、やっぱりいた(笑) 毎回面白い。そもそもラングランズプログラムが圧倒的に興味を惹く。数学史を絡める数学講義は増えているかも。(前からあったかもしれない。) そして毎回、数学を芸術として突き付けられる。美術館での衝撃の感覚と同じだ。
— 16年 (@__pknt) 2015, 12月 4
本日23時よりフレンケル様の白熱教室の最終回です。エド様による軽快な語り口で現代数学の深み/楽しみ/凄味がほんとに感じられます。前回までの放送を見てなくても楽しめると思います。
— jwufujita (@jwufujita) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱白熱教室録画して見てるけどエドワードフレンケル教授がマイケルJフォックスそっくりのイケメンで内容が頭に入ってこないにゃー pic.twitter.com/TSFJTQ2QEN
— ロマ猫ンティ (@Rika1966) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室、理解は出来ないけど面白いから見ちゃう
— カサ (@achromJP) 2015, 12月 4
最近この時間に帰って数学ミステリー見るのがお決まりになってる。見たところでなにをゆーとるんかまるでわからんけどなんかすごい
— たたたっちゃん (@K2Allian) 2015, 12月 4
Eテレの数学ミステリー白熱教室だかいうやつ、何言ってるのかさっぱり分からなくて楽しい
— たゆり (@39_yura) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室を観ているんだけど、スゲェ難しいけど大学の授業よりクソwktkなのは確か
— いっちー@14716270/V穴難! (@BEMANIST2000) 2015, 12月 4
Eテレの「数学ミステリー白熱教室」を観て童心に帰っている。純粋なものに触れると心が洗われるのだな。 #NHK
— S. Yoshi (@Yoshi_720) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室の数学者がイケメン過ぎて内容が入ってこない(’-’)カリフォルニア大学のエドワード・フレンケル教授だそうですよ。
— サイチョモチ (@Saimochi) 2015, 12月 4
数学ミステリー白熱教室、毎週すごく楽しみにしてただけに終わってしまうのが寂しい。学生の頃から数学苦手だったけどこういう講義ならいくらでも受けたいって思える
— ます (@mass137) 2015, 12月 4
知的興奮はあっても何も身にならないこと, 実際の講義やら何やらで対応するのは極めて難しい感じがある. その辺何とかしたいと思ってやってはいるが.
Eテレ「数学ミステリー白熱教室」全4回は、ミステリーと謳っているけれど語られる内容はほぼSFの領域に突入する素晴らしさ。数式は限りなく少ないのでちょい首ひねるところもあるけれど、そんなの誤差レベルの凄さだった。 https://t.co/g8kzQUHNt2
— 最上直美 MOGAMI Naomi (@mgmnom) 2015, 12月 4
全体を通して。フレンケル教授の話は「みんなが納得良くわかりました」って話じゃない。講演の中で出てきた断片や話者の情熱から「想像力を掻き立てられて」自分で勉強してみたくなるタイプの話なんだと思っている。そういう意味で、素晴らしい講演だったし、今めっちゃ勉強したくなっている。
— tsujimotter (@tsujimotter) 2015, 12月 4
(数学ミステリー白熱教室) ちゃんとやろうとすれば多くの時間と論文・教科書を費やさないといけないことでも、その一部を垣間見るのなら「さわれる形」に、特に数論ならしやすいけど、その取捨選択と説明が見事としか言い様がないわ。素敵。しかもイケメン。
— 千石にょで子 (@NeXTSTEP2OSX) 2015, 12月 5
数学ミステリー白熱教室でフレンケル教授がイケメンイケメンと話題になっていますが、わしは日本にも、例えば関東あたりに若手数学者にイケメンが何人か存在するとゆいたいです。
— 千石にょで子 (@NeXTSTEP2OSX) 2015, 12月 5
数学ミステリー白熱教室 第3回はフェルマーの最終定理だったけど、この話題がテレビで出るときは谷山・志村・ヴェイユ予想のステートメントを単に「難しい言葉で書かれていてすぐは分からない話」として紹介されることが多い気がするけど、フレンケルさんはその帰結として解の個数という具体的…
— 千石にょで子 (@NeXTSTEP2OSX) 2015, 12月 5
…な目に見える形で、モジュラーフォームの係数とのつながりを1例だけで「ちゃんと」紹介されていた。この方法は本当に感心して素晴らしいとうなったわ。しかも「ここで奇跡が起きた」というセンセーショナルな言い方で感動的に紹介。なぜかはわからないがすごく神秘的だということははっきり伝わる。
— 千石にょで子 (@NeXTSTEP2OSX) 2015, 12月 5
フレンケルさんのNHK数学白熱教室(ラングランズプログラム) 全四回のまとめ:https://t.co/w8RRA9VX8Nhttps://t.co/Au2dm23HoJhttps://t.co/Japng85hkGhttps://t.co/UukTWWlhlS
— tomo (@tonagai) 2015, 12月 4
引き続きいろいろ頑張ろう.
2016-03-25 応用数学・数学史メモ: 第二次世界大戦期に於ける日本人数学者の戦時研究¶
細かいことを全く覚えていないが, 何かを探しているときに見つけたのだ.
しょっぱなの表の一部だけとりあえず引用しておく.
No | 課題と科学研究費 | 研究目的 |
---|---|---|
1 | 統計数学 | 製品の統計学的制御 |
保存と配給の数学的計画 | ||
軍使用の見積もり | ||
特性検査と人的配置 | ||
統計学の原理 | ||
統計表と特殊関数表の準備と作成 | ||
2 | 特殊な統計学 | 陸軍により要求される特殊課題の統計学的研究 |
3 | 家庭経済の数学的研究 | 家庭の生活費と栄養との調査による国民の生活水準の決定のための研究 |
4 | 特殊な代数解析 | 主として暗号法の研究 |
5 | 等角写像 | 飛行機の珍しい形の研究 |
6 | 特殊な微分方程式 | 振動と電波回折の現象についての研究 |
7 | 航空方程式の再考察 | 各種の航空方程式の再調査 |
8 | 特殊な機械と道具の幾何学的研究 | 伝動論その他の幾何学的研究 |
9 | 視覚 | 武装機械その他の幾何学的研究 |
当然だがここでの「代数解析」は佐藤幹夫や柏原正樹たちによる現代的なalgebraic analysisではない. 特殊関数表の準備・作成という時代を感じる項目もある.
当たり前といえば当たり前だが, 統計はともかく数学というより工学的応用の感じが強い.
ひとまずメモ.
2016-03-26 ツイートまとめ: 東北大に佐藤幹夫が来たときの市民講演会に関する黒木さんの記憶を記録¶
羨ましい黒木さんの記憶を記録.
#数楽https://t.co/tnewFgsKkG 私が学生時代、佐藤幹夫先生が東北大学に普遍グラスマン多様体に関する集中講義に来たときに、サイエンス・セミナーと題された市民講演会も開かれた。最先端の研究を仙台近郊の市民に知ってもらおうという理学部の企画であった。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
めっちゃ無理筋の市民講演会ですごい. さすが Tohoku は格が違った.
#数楽続き。記憶が定かではないが、佐藤先生はまず「チルンハウス変換」の話をしたと思う。そしてD加群や非線形微分方程式系の代数的定式化について話し、KdVに代表されるソリトン方程式の話もしたと思う。市民講演会でそういう話になったのだ!(非常に面白かった!) 続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
#数楽続き。「質問のある人はいらっしゃいませんか?」の時間に私は質問した!「非線形微分方程式の代数的一般論の話とKdV方程式のような具体的な方程式のあいだの関係がよくわからなかったのですが…」のような質問をした記憶がある。私は虎の尾を踏んでしまったらしい(違う!)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
田崎さんの日記で, 飯高先生のスイッチを押してしまったという話があった記憶がある.
#数楽続き。佐藤先生は何かのスイッチが入ったかのように「何か」を説明し始めた。私は何も理解できなかった。しかし、私が何かのスイッチを押してしまったことだけは理解できた。今の知識を持ってあの場に行ってみたい。 という、楽しい学部生時代の思い出があります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
#数楽あれは最高の市民講演会だった。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
#数楽ドラマ『ガリレオ』の湯川学先生による「さっぱりわからない」は福山雅治さんの演技込みで最高の名言だと思う。「さっぱりわからない」は「じつに、興味深い」の別の表現でもある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 12月 26
「さっぱりわからない」が「じつに、興味深い」の別の表現かどうかは微妙なところだが, 少なくとも質問が出たら相手を興味深いと思わせたと一応思ってもいい. 変に意地悪な質問をネチネチとしてくるのもいるが, 全く興味がなければ無視するのが普通だし, 一応興味を引いたといえば引いた形にはなっている.
よく考えてほしいのだが, 興味が持てなければ聞いていても話は右から左へ通り過ぎるだけで, 頭には全く何も入ってこない. 引っかかることがないから当然質問も浮かばない.
何度もしつこく聞いてくるということは, それだけそれについて聞きたい・知りたいということだ.
時々その辺が全く通じなくて, 質問を嫌がらせと勘違いされることがあって衝撃を受けたことがあるので あえて特記しておきたい.
2016-08-13 平坦加群などの平坦(flat)という名前の由来¶
平坦加群、何で平坦っていうのアレ
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016年3月1日
@phasetr#数楽「どうしてflatっていうの?」については https://t.co/2SvTko8l6eが面白いです。Serreさんは自身はどうしてflatという用語を採用したのか覚えていないと言っているようです。数学的な解説もそこにあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月1日
まだきちんと読み切れていないが, 1 つだけ引用しておこう.
A lot of people will tell you that flatness means "continuously varying fibres" in some sense, and that flatness was invented to have correspondingly nice consequences, which is true. But there is a way to expect this (vague) interpretation a priori from an alternative, equivalent definition:
軽く眺めた限りではflatという感じは全くしなくてそれ自体はさっぱりわからない. 量子力学の「波動関数」のように名前に固執すること自体がよくないのだろうとも思う.
とりあえず教えて頂いのでメモだけはしておく.
2016-08-31 堀田良之『線型代数群の基礎』に関する黒木さん雑感のまとめ¶
参考になると思ったので.
#数楽昨日購入した本
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
堀田良之著『線型代数群の基礎』朝倉書店2016
ほとんどの項目について入門に適した具体例の説明があり、とても読みやすそう。Grothendieck-Springer resolutionの周辺についてざっと知りたい人にとってもありがたい教科書。
これだ.
続きも引用する.
@genkuroki#数楽https://t.co/G6nZoMgwoZ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
Ben-Zviさん曰く【Beilinson-Bernstein対応のsemiclassical shadow】
Humphreysさんの回答もある。
@genkuroki#数楽https://t.co/0hICF7EfQo
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
G/N上のBB対応(元のBB対応はG/B上)すなわちGrothendieck-Springer同時特異点解消の量子化の話。
@genkuroki#数楽https://t.co/X0FYNwzLRE
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
谷崎さんによる量子群のBeilinson-Bernstein対応の証明。
@genkuroki#数楽量子群由来の「多様体」は座標環が非可換環になる。座標環の貼り合わせを素直に非可換分数環を作って実行しようとすると、平坦な非可換分数環を作るためのOre条件に煩わされる。これ、相当にうざい。しかし〜→続きは先の谷崎さんの論文とその参考文献へ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽本当は私自身がやっている座標環が非可換環なアフィン空間へのWeyl群双有理作用を座標環が非可換環な多様体への正則作用に拡張しなければいけないのだが、よくわからない。おそらく量子群版のG-S resol.の話が関係している。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/7TMNU0VfE5
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
Quantum groups, quantum tori, and the Grothendieck-Springer resolution
G.Schrader, A.Shapiro
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/g3WIvNmWn7
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
Poisson geometry of the Grothendieck resolution of a complex semisimple group
S.Evens, J.-H. Lu
@genkuroki#数楽量子群の群としての古典極限版を扱っているEvans-LuのPoisson構造を見ると、量子群版のG-S resol.の構成ではA_q(G)の非可換性をそのまま使ってはいけないことがわかる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽所謂τ函数の普及しているバージョンではPoisson構造がごっそり軽視されているという印象がある。Poisson構造は量子化された場合の古典極限の重要な情報を持っている。Poisson構造や量子化を無視すると大事なことを見逃す気がして仕方がない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽ありゃ?この論文を見逃していた?https://t.co/CYeucl0jdI
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
Dual pairs of quantum moment maps and doubles of Hopf algebras
G.Schrader, A.Shapiro
@genkuroki#数楽これはいかんな。本当に見逃していたみたいだ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽https://t.co/Z5dXN9aIX9についてはお絵描きで量子群的構成を理解できることを教えてもらった某Hさん案件のような気がする。もしもそのスタイルでG-S resol.の量子群版を理解できるなら非常に喜ばしいことなのだが、どうかな?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
@genkuroki#数楽簡単な例を計算できるところまで理解できればうれしい。結構、例を書いていない文献が多いんだよね。素朴な例が書いてあるだけで、理解のし易さは大幅に上がると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
だいぶ対象というか何というか変わる感じするが, これ, 本当に感じる. 自分で何か作るときもきちんと意識しなければ.
引用を続けよう.
#数楽堀田良之著『線型代数群の基礎』のp.168で引用されている文献Lusztig[L3]はこれ→ https://t.co/AzrnkXI50l
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
実際にはZ-formだけではなく、量子展開環版のZ[v,1/v]-formを扱っている。
#数楽堀田良之著『線型代数群の基礎』はこの本のことです→ https://t.co/l9CmxxeWP1
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
#数楽再投稿。その本ではMumfordの"The Red Book" https://t.co/fcWwybwJAi が頻繁に引用されています。 20年前に私的に作った"The Red Book"の索引→ https://t.co/SL7Ta9yRLb (改変再配布可!)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
#数楽Mumford, The Red Book の私製索引への直接リンク
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月10日
PDF→ https://t.co/UorMdGYHwI
ソースファイル一式→ https://t.co/VhgjvLesLs
これらは改変再配布可。誤りについては自力で修正して再配布して下さい。
楽しそう.
2016-09-05 無限可積分系に関係する代数幾何や代数解析に関する黒木さんの数楽メモ¶
よくわからないが何となく気になるのでメモしておく. 他の人もこういうのをどんどん出してくれると嬉しいが, こういろいろ厳しいのだろうとも思う.
#数楽無限次元化すると、プリュッカー関係式は外積代数版の微分作用素のΣ_i ∂/∂v_i⊗v_iの作用でw⊗w消えるという条件で書き直せるのですが、外積代数版の微分作用素がすべてt_i達の微分作用素で書き直せるので、結果的にt_i達の函数τひとつだけですべての条件を書き下せる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月7日
#数楽肝腎のボゾン=フェルミオン対応の証明は単なる計算なので簡単なのですが、どうしてそのように具合のよい理論が可能になっているかについて実は数十年間ずっと理解できていない。理解していそうな人の名前を挙げよと言われても挙げることができないくらいわかっていない。誰か教えて。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月7日
#数楽Σ_i ∂/∂v_i⊗v_i がVの基底v_iによらないことは、v_iに関する偏微分∂/∂v_iたちがv_iたちの双対基底の変換性を持つことを使えば容易に証明できます。もしくは外微分df=Σ∂f/∂x_i dx_iの座標不変性を知っていても証明できるはず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月7日
#数楽τ函数の理論をリーマン面の幾何と相性が良いように綺麗に定式化するには共形場理論の言葉が必須だと思う。τ函数は共形ブロック(アデール的な定式化の話の共形場理論の言葉での実現)の特別な場合であり、BA函数(波動函数)はフェルミオンを1つ挿入した相関函数になります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月7日
@genkuroki#数楽で、τ函数としてのSchur多項式の話。部分空間の基底の外積を作る話と、exp(t_1 z+t_2 z^2+…)型の時間発展を組み合わせれば自然にSchur多項式が出て来る。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽1,z,z^2,…を基底とする1/zの形式ローラン級数全体の空間の部分空間は最も簡単な佐藤グラスマン多様体の点。その基底の先頭の有限個のzのべき指数をずらしたものからも佐藤グラスマン多様体の点が得られる。それらに対応するτ函数がSchur多項式。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽続き。たとえば、1/z,z,z^2,…に対応するSchur多項式はヤング図形が箱1つのやつ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
1/z^2,1,z^2,z^3,…は箱が3つのL型のヤング図形が対応。
佐藤ゲームでのマヤ図形とヤング図形の対応の話を知っていれば、その話になります。
@genkuroki#数楽佐藤グラスマン多様体の点(部分空間)の基底にexp(t_1 z+t_2 z+…)=Σp_m z^m をかけて、全部の外積をとったときの、1∧z∧z^2∧…の係数が佐藤グラスマン多様体の点に対応するτ函数の定義です。定数倍を除いて一意に定まる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽@genkuroki#数楽先の例1/z^2,1,z^2,z^3,…のような基底を持つ佐藤グラスマン多様体の点に対応するτ函数はp_mたちを成分に持つ行列式で書けます。その式がSchur多項式のヤコビ・トゥルディ公式による表示そのものになっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽以上の話はSchur多項式の行列式表示(ヤコビ・トゥルディ公式)を知っていれば自明。知らない人はそうやって出て来た行列式をSchur多項式の定義だと思って問題無し。単なる計算なので何も深い話はありません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽単なる計算としては自明な以上の話の中に一ヶ所だけ「え?そんなことをしたら、グラスマン多様体の点(部分空間)の情報が失われるでは?」と疑ってしかるべきステップが含まれています。それは1∧z∧z^2∧…の係数だけを拾って他の項の情報を捨てるステップ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽一般に部分空間Wに対して、その基底w_1,w_2,…を取って外積w_1∧w_2∧…を作っても、もとのWの情報は失われません。τ函数を作るときにはそれだけとは違うことをやっているように見えます。しかし実際にはそうではないのです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽佐藤グラスマン多様体を埋め込む先の外積の空間の基底としてz^{-2}∧1∧z^2∧z^3∧…を一般化した単項式達を取れます。これにそのτ函数=Schur多項式を対応させる写像は一次独立性を保ちます(∵Schur多項式達は対称多項式環の基底)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
@genkuroki#数楽半無限外積空間と無限変数の対称多項式の空間のあいだの同型が得られた!ボゾン・フェルミオン対応が得られた!τ函数を作る手続きで佐藤グラスマン多様体の点とその時間発展の情報は失われていないので、すべてをτ函数から作り直すことができる。たったこれだけの話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
#数楽https://t.co/meTH2VXs6Rの補足。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
ξ=t_1 z+t_2 z^2+…とおく。
z^{-2}∧1∧z^2∧z^3∧…に対応するτ函数の定義は(e^ξz^{-2})∧e^ξ∧(e^ξz^2)∧(e^ξz^3)∧…における1∧z∧z^2∧…の係数。
#数楽補足続き。x_iの対称多項式の関係は1/Π(1-x_i z)=e^{Σt_m z}の両辺をzについてベキ級数展開で得られます(t_m=Σx_i^m/m)。iもmも正の整数全体を動きます。この辺のことは対称多項式について色々計算の経験を積めばピンと来る話になります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
#数楽中学高校でx,yの対称式が基本対称式x+y,xyの式で書けたり、ベキ和x+y, x^2+y^2の式で書けたりすることを実質的に習っていて、そういうみんなよく知っている話を無限変数まで広げるだけで、KPやKdVのようなソリトン方程式が代数的に解けてしまうわけ!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月8日
#数楽ソリトン系の時間変数m t_m=Σx_i^mは中学校ですでに出会っている2変数の場合のベキ和x+y,x^2+y^2を「少し」一般化したものでしかない。ソリトン系の佐藤理論は高校数学の続きとしてもとてもよい教材だと思う。良い数学には色々出て来る。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月9日
ソリトン系の時間変数m t_m=Σx_i^mは中学校ですでに出会っている2変数の場合のベキ和x+y,x^2+y^2を「少し」一般化したものでしかない。ソリトン系の佐藤理論は高校数学の続きとしてもとてもよい教材だと思う。良い数学には色々出て来る。
こういう話, 適当に開いて 中高生向けの現代数学入門みたいな小冊子にまとめてKindleとかに載せていきたい.
一般の中高生はもちろん受け付けないだろうが, 受け付けるというか大喜びする中高生, 存在はするはずだから.
引用は続く.
@genkuroki深夜の #数楽https://t.co/iJSbhj8oVD佐藤グラスマン多様体の点(ある種の1/zの形式ローラン級数の空間)の基底にexp(t_1 z+t_2 z^2+…)を単純にかけてそれら全部の外積をとる操作のところで「それでいいの?」と〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽続き〜思った人は鋭い。コンパクトリーマン面X上の直線束Lの貼合せ方をz=∞の近傍でexp(t_1 z+t_2 z^2+…)で変える操作と、H^0(X,L(*∞))の元のローラン展開にexp(t_1 z+t_2 z^2+…)を単純にかける操作は〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽続き〜一致していないように感じられるからである。その謎を解くには、直線束の切断のアデール的な理解とボゾン・フェルミオン対応の合わせ技で解けることになる。リーマン面上の直線束からτ函数を作る方法を復習しよう。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽Xはコンパクトリーマン面であるとし、∞はその点でzはz(∞)=∞を満たす局所座標であるとし、LはX上の直線束で∞近傍での自明化があたえられているとする。それによって、W:=H^0(X,L(*∞))⊂C((1/z))とみなす。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽H^0(X,L)=W∩C[[1/z]]は自明。H^1(X,L)=C((1/z))/(W+C[[1/z]])が成立することもわかる。佐藤グラスマン多様体の点の定義はこれらが有限次元にのることなのだで、Wは佐藤グラスマン多様体の点である。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽続き。L^{-1}とΩ^1のテンソル積をL'と書き、H^0(X,L'(*∞))⊂C((1/z))dzとみなす。H^0(X,L(*∞))の元とH^0(X,L'(*∞))の元の積はH^0(X,Ω^1(*∞))の元(1-form)になり〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽続き〜、その∞における留数は留数定理より0になる。実は、留数によるC((1/z))とC((1/z))dzのペアリングに関するH^0(X,L'(*∞))の直交補空間はW=H^0(X,L(*∞))に一致する(アデール的な見方)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽Wの基底f_1,f_2,f_3,…で十分大きなkについてf_k(z)=z^{k-χ}+(zに関する低次の項)をみたすものが取れる。ここでχ=dim H^0(X,L)-dim H^1(X,L)である。以下こういう基底しか考えない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽ξ=t_1 z+t_2 z^2+…とおき、時間発展w(t):=(e^ξ f_1)∧(e^ξ f_2)∧…を考え、その中のz^{1-χ}∧z^{2-χ}∧…の係数をτ(t)と書きτ函数と呼ぶ。時間発展させる前のwをτ(t)に対応させる線形写像は単射。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽w=f_1∧f_2∧…はf∈W=H^0(X,L(*∞))についてf∧w=0を満たし、g∈W':=H^0(X,L'(*∞))との留数ペアリングによる「微分」でもwは消える:g・w=Res(g f_1)f_2∧…-Res(g f_2)f_1+…=0.
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽上のf,gの作用はクリフォード代数(フェルミオン)の作用をWとW'に制限したものになっている。クリフォード代数の作用はτ函数への作用として具体的に書けます(ボゾン・フェルミオン対応、単なる計算問題で証明できる)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽g∈C((1/z))dzのwへの作用はτ函数への作用として
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
g・τ(t)=Res(g e^ξ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…))と書ける。g∈W'=H^0(X,L'(*∞))のときその作用の結果は0になる。続く
@genkuroki#数楽そのことは
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
e^ξ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…))
がW=H^0(X,L(*∞))を係数とするt_mたちの形式べき級数になっていることを意味しています。直線束Lのe^ξによる変形が自然に得られたことになります!
@genkuroki#数楽続き。Baker-Akhiezer函数(波動函数)はΨ(t,z)=e^ξ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…))/τ(t)によって、τ函数から復元されます。ボゾン・フェルミオン対応の具体的な公式の部分だけが計算を要する場所で他は自明。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽2つ前のツイートでは、C((1/z))の部分空間としてのW=H^0(X,L(*∞))が留数ペアリングに関するW'=H^0(X,L'(*∞))の直交補空間になっていることを使いました(1つの点しか参照してないですが、アデール的な話)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽ボゾン・フェルミオン対応の計算は中途半端に以上の記号体系でやるのではなく、山田泰彦著『共形場理論入門』でボゾンとフェルミオンの計算の仕方を学んだ方が良いと思う。しかしその本は絶賛品切れちう😭→ https://t.co/FqBH18dpzU
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
#数楽https://t.co/uDqdlFtqCo訂正。zのべきの部分を忘れていた。g∈C((1/z))dzのwへの作用はτ函数への作用として
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
g・τ(t)=Res(g(z) z^χ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…) e^ξ dz)
と書けます。
#数楽訂正続き。任意のg∈W'に対して
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
g・w=(Res(g f_1)f_2∧f_3∧…)-(Res(g f_2)f_1∧f_3∧…)+…=0
なので
Res(g(z) z^χ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…) e^ξ dz)=0
となります。続く。
#数楽続き。これは z^χ τ(t_1-1/z,t_2-1/(2z^2),…) e^ξ がW=H^0(X,L(*∞))係数のt_m達の形式べき級数であることを意味しています。このようにして直線束Lのe^ξによる変形が出て来る。BA函数はそれをτ(t)で割れば得られる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
#数楽続き。直線束Lの指数χ=dim H^0(X,L)-dim H^1(X,L)は0を選ぶことが多いです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
#数楽t_m達の多項式F(t)を
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
e^ξ z^χ F(t_1-1/z, t_2-1/(2z^2), t_3-1/(3z^3),…)
に対応させる写像が共形場理論でψ(z)=:e^{φ(z)}:と書かれるフェルミオンの片割れ。もう一方はψ^*(z)=:e^{-φ(z)):
#数楽ψ(z)の一変数版類似
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月11日
A=e^{zt} e^{-z^{-1}∂/∂t}:F(t)→e^{zt} F(t-z^{-1})
は[∂/∂t,A]=zA, [t,A]=z^{-1}Aで大体特徴付けられます。ボゾン・フェルミオン対応の計算でも同じ計算を実行します。
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/IY5Yo0kukG
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月12日
マンフォード、互いに可換な作用素達および戸田格子やKdV方程式などのソリトン系の特殊解の両方の代数幾何的構成、1977.
なつかしの古典的論文のpdf
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/EF9G3KaMXg
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月12日
GAGA, formal GAGA, rigid GAGA にちょっと詳しい。
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/4hwvo9Uhvw
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
Brylinskiさんの「中心拡大と相互法則」
コンパクトにまとまっていて読みやすい。佐藤グラスマン多様体によるtame symbolの解釈についても解説あり(pp.202-203)。
@genkuroki#数楽ベクトル空間の複体0→A→B→0の行列式はA,Bが有限次元なら
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
Λ^{top}A⊗(Λ^{top}B)^*
で作れますが、無限次元でもコホモロジー(この場合には核Kと余核C)が有限次元なら
Λ^{top}K⊗(Λ^{top}C)^*
で作れる。
@genkuroki#数楽典型例はコンパクトRiemann面X上の直線束Lのコホモロジーの開被覆X=(X-P)∩Dによる計算(PはXの点でDは点Pを中心とする無限小開円盤Spec C[[z]])。得られる複体A→BはA=C[[z]]⊕H^0(X-P,L)、B=C((z))。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽やっぱ、行列式も含めた線形代数は大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽ソリトン系の佐藤理論の文脈では点Pでz=∞となる局所座標を取ることが多いことに注意。H^(X-P,L)⊂C((z))は佐藤グラスマン多様体の点の典型例。無限次元の佐藤グラスマン多様体上の行列式直線束のヤコビアンへの引き戻しは行列式直線束になっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽ソリトン系の佐藤理論の文脈では点Pでz=∞となる局所座標を取ることが多いことに注意。H^(X-P,L)⊂C((z))は佐藤グラスマン多様体の点の典型例。無限次元の佐藤グラスマン多様体上の行列式直線束のヤコビアンへの引き戻しは行列式直線束になっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽https://t.co/4hwvo9UhvwこのBrylinskiさんの論文のpp.202-203を読むときには以上の複体の行列式とか佐藤グラスマン多様体などに関する背景を知らないとアイデアの出処がわかりにくいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽ソリトン系を作るための基本パターンや共形場理論に類には無限次元群Gに二つの部分群G_±でGが無限次元多様体として「ほぼ」(ぴったりでなくてよい)直積G_-×G_+に一致する状況がうまく使われています。正方行列の下三角×上三角へのガウス分解の一般化。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽数論では、Gがアデール群で、G_+がそのほぼ極大なコンパクト部分群で、G_-が大域体から来る離散部分群の場合が典型的。Lie群とコンパクト部分群と離散部分群の三つ組は数論における基本的対象。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
以上はどれも1次元の話。高次元版はよくわからない。
@genkuroki#数楽類対論の方は高次元化されている(数論側)。C((z))((w))のタイプの局所体が出て来る場合に佐藤理論を拡張するという試みもあったが、現在どうなっているかは知らない。色々バラバラになってしまった話を現代の視点からまとめ直すことが必要かも。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽1984-1985佐藤幹夫講義録を見直して思ったのだが、代数幾何のような非線形偏微分方程式の代数的一般論を建設するというプログラムは現在どうなっているのだろうか?30年前より使える道具が相当に増えていると思うのですが。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽メモhttps://t.co/DgDhaT0QuW
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
数理研講究録No.694
非線型積分可能系の代数解析学
1989/01/17~1989/01/20
@genkuroki#数楽メモ 一つ前のツイートの講究録よりhttps://t.co/XjnqkAfb0Z
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
高次元可積分系のhierarchyについて
大山 陽介
ソリトン方程式の佐藤理論の高次元化のある設定での可能な時間発展の形が非常に限られるという話。
@genkuroki#数楽その限られた型の時間発展について解説しよう。まず最もシンプルな場合の佐藤グラスマン多様体の設定の復習。Rは時間変数t_i,s_iと変形パラメーターyの「函数」の環であるとする。実際にはそれらの変数による偏微分が作用しているC上の環ならなんでもよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽時間変数t_1だけは特別でxと書くことがある。D=R[∂/∂x]とおく。スペクトルパラメーターと呼ばれる変数zを用意し、V=R((z^{-1}))exp(ξ)とおく。ここでξ=t_1 z+t_2 z+…。Vは自然にD加群とみなされる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#掛算exp(ξ)はコンパクトRiemann面上の設定では直線束の変形を記述しているのであった。佐藤グラスマン多様体のR上の点はVのあるR部分加群として定義される。ここでは簡単のためgenericな場合だけを扱うことにする。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽ここでは簡単のため、佐藤グラスマン多様体の点Wとして、あるΨ=(1+w_1 z^{-1}+w_2 z^{-2}+…)e^ξ∈VからD加群として生成されるW=DΨのみを考える。WのVの中での「サイズ」はR[z]と同じになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽佐藤グラスマン多様体上の点のKP階層と呼ばれる時間発展は「∂/∂t_iの作用でWが閉じている」という条件で定義される。この条件は、ある微分作用素B_i∈D=R[∂/∂x]が存在して、∂Ψ/∂t_i=B_iΨとなることと同値になります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽以上の設定は極めて簡明。こんなことでKP方程式(2次元KdV)のような非線形偏微分方程式を理解できてしまっていいのかと感じられるくらいです。KdVの時間発展の定義はKPの時間発展をB_2Ψ=z^2Ψという条件で特殊化したものです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽B_2はB_2=(∂/∂x)^2-uの形をしているので、B_2Ψ=z^2Ψはエネルギーがシュレーディンガー作用素の固有値問題の形をすており、λ=z^2がそのスペクトルになります。このようにしてKdVとシュレーディンガー作用素の〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽続き〜の関係がKP階層に関する佐藤理論から自然に復元される。最も単純な場合の復習終。以上の話の「高次元化」(2次元化)はKdVに次の時間発展の条件を課すだけで得られます→「Wは∂/∂s_i+λ^i∂/∂yの作用で閉じている」。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽続き。その条件は、ある微分作用素C_i∈Dで∂Ψ/∂s_i+λ^i∂Ψ/∂y=C_iΨとなることと同値になります。このタイプの時間発展がどうも基本的らしい。この話とは違うバージョンの本質的に同じ話が『1984-1985佐藤幹夫講義録』にあります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki数楽 続き。例えばそのp.403を見て下さい。そこでは自己双対Yang-Millsを例に使ったに説明があります。KP階層やKdV階層には変種がたくさんあります。(変種の作り方にもシンプルな代数幾何的原理があるのですが余り知られていないという印象がある。)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽https://t.co/IY5Yo0kukG
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
Mumfordさんによる互いに可換な作用素の作り方の方法を使えば、具体的な表式に頼らずに曲線の代数幾何を用いたシンプルな方法でKPやKdVの特殊解(応用上重要な多ソリトン解を含む)を大量生産できます。
@genkuroki#数楽先の私が説明した2次元化の例でも同様。ただし、出発点になるのは単体の代数曲線ではなく、パラメーターy関する曲線族になる。時間変数t_iは直線束の変形パラメーターになるのでした。時間変数s_iは曲線の族の変形パラメーターになります。大して難しくない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
@genkuroki#数楽単体の曲線は1次元(変数zは曲線のある点での局所座標)。曲線の(変数yに関する)1パラメーター族は曲面なので2次元。こういう意味で2次元化と言っていたわけです。私の立場だとzとyで2次元ということになります。yの個数は自明なやり方で幾らでも増やせる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
佐藤幹夫京大講義録については、(1)京大レポジトリで公開するのが筋 (2) 講義録を出版する計画がある という2点がありためらっています。佐藤さんと記述者の梅田さんからの許諾は得てますので私がもうWebで公開しても良いのですが https://t.co/ZpZXcL9UNI
— Paul Painlevé@JPN (@Paul_Painleve) 2016年2月10日
@genkuroki#数楽佐藤幹夫講義録を読み直したら、やっぱりめちゃくちゃ面白かった。https://t.co/60meuLNyue
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月17日
公開希望。
@genkuroki#数楽Contou-Carrere symbol(CC記号)は符号部分を除けば共形場理論のボソン自由場表示を持つのですが(これは簡単な計算問題)、符号部分はどうなっているのでしょうかね?知っている人がいれば教えて下さい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽CC記号についてはググるもしくは私が最近公開したノート https://t.co/b3DqlCEflPを見てください。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
ボソン頂点作用素の計算でlog(1-x)のTaylor展開を使ったことがある人には符号部分を除いたCC記号の自由場表示は自明。
@genkuroki#数楽CC記号のよくある説明では、f=z^λ b_0 Π_{i≠0}(1-b_i z^i) という表示から出発しますが、ボソン自由場表示と結びつけるには f=exp(λ log z+Σ β_i z^i) という表示から出発した方が楽。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽もう1つのgをg=exp(μ log z+Σ γ_i z^i) と書く。交換関係[a_i,a_j]=iδ_{i+j,0}、[a_i,q]=δ_{i0}を仮定し、i≧0に対するa_iを右に持って行く積を: :で表す(正規順序積)。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽続き。たとえば:a_1 a_{-1}:=a_{-1}a_1や:a_0 q:=q a_0とa_1やa_0を右側に持って行く。この場合には非可換なので掛算の順序を気にしなければいけない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽先のf,gの中のlog zを-qで、z^iをa_iで置き換えて、全体を正規積にしたものをそれぞれΦ,Ψと書く。すなわち、Φ=:exp(-λq+Σβ_i a_i):、Ψ=:exp(-μq+Σγ_i a_i):とおく。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽このとき、CC記号〈f,g〉のよくある定義をf,gの先の表示に基づいて書き直すと、〈f,g〉=exp(πiλμ+μβ_0-λγ_0-Σ_{m≠0}β_m γ_{-m}).ゆえに容易な計算によって(ΦΨ)^{-1}ΨΦ=(-1)^{λμ}〈f,g〉.
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽以上の計算を"well-defined"にするためには色々細かい注意が必要なのですが、「うまく行く計算」を正当化する作業に慣れていれば大したことはないです。もちろん正当化の場面では抽象的一般論を程度知っていた方が圧倒的に楽。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽以上の話も先のノートに追加しておいた方がよいかな。以上で説明したような計算の仕方については山田泰彦著『共形場理論入門』(培風館)の第2章が定番の解説だと思うのですが、その本は絶賛品切れ中。正直、とても不便している。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽もっと「抽象的に」ボソン自由場の共形場理論とtame記号やCC記号の関係を明瞭にした方が良さそうな感じ。Lie代数の範疇で「加法的」記述に関する共形場理論の仕組みはよく整備されていますが、「乗法的」な場合はそうじゃないと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
@genkuroki#数楽tame記号やCC記号は曲線だけではなく、高次元の場合についてもたくさんの仕事があるのですが、共形場理論の高次元化はまだないと思う。そういう意味でもsymbolsの共形場理論での理解は重要かも。ボソン自由場の高次元化のヒントが得られるかも。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年2月20日
長くて途中で心が折れそうになった. つらい.
2016-09-11 かけ算順序固定派先生に教育目標を確認する質問チャート: 大事なので画像も転載¶
#掛順https://t.co/Qw4rZtmVMZ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月13日
かけ算順序固定派先生に教育目標を確認する質問チャート
私はこれのQ4まで進めない人はそれだけで論外だとみなして問題ないと思う。論外だと言われて困る人達が実際には論外だということをあばくことは結構大事。
#掛順https://t.co/v5AKVPI0sj
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月13日
掛算順序固定強制指導の実態を分析すると、リンク先のような子供を生産するような教え方であることがよくわかる。これは本当に怖い。リンク先は理解しているかどうかを確認するための問題の出し方についても参考になります。
#掛順他人のうちの子の答案について「これは保護者の言い分とは違って絶対にバツだ」などと言うことは、普通なら相当に勇気がいることだと思う。しっかりした準備してから、保護者とその子供を傷付けないように慎重に指摘するものだと思う。実際には不用意なクズ反応が沸きまくっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月13日
#掛順まず、他人のうちのことを心配する前に、自分の頭の堅さと無知無能、さらに保護者と子の関係への配慮の無さを反省するべきだと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年3月13日
チャートが激烈大事なので転載させてもらうことにしよう.
ちなみに私の掛け算に対するスタンスは次の記事にまとめている.
- 【掛け算問題の悲しみ: 嘘は後々禍根を残す】: TODO あとでリンク張り直し
嘘を教えるのは人間関係にひどく悪い影響を残すから, 本当にやめた方がいい.
数学の理解のためにできること: 黒木メモ¶
「小学生が算数の時間にやるようなことをやらなくなるから大学で数学が分からなくなる」と実は何度か言ったことがある。理解するために絵を描いたり、数表作ったり、グラフ描いたり、地道に計算したり、…と全部算数でやっているはず。いずれにせよ、時間だけは確実に消費することになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
続き。もしかしたら、中学生になったときに、算数で普通にやっていたことを自分でやらなくなってしまったせいで、数学が分からなくなるということがあるのかもしれない。これ、実は数学の話にしてしまっているが何でも同じ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
続き。ぼくが実際に算数の教科書を複数社分チェックして、実際にそういうことを算数でやっていることは確認済み。問題なのは、算数でやらないで欲しいことを結構たくさんやるようになっているようにも見えたこと。あれはマジに困る。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
続き。新しい概念を導入したり拡張したりすること、絵を描いて理解すること、直観と論理を結び付けようとすること、数表を作ること、グラフを描くこと、計算をたくさんすること、などなど、全部算数でやる。数学者の研究集会でもよく見る。体全体の動きで直観を表現しようとする講演者も少なくない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
「数学者の研究集会でもよく見る。体全体の動きで直観を表現しようとする講演者も少なくない」の続き。添付画像はとある研究集会でぼくがとったノートより。実際の体の動きもノートにとった。 pic.twitter.com/F20AUJOKYt
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
数学は非論理的な説明を聞くだけで論理的に理解しなければいけない分野である。誰も論理に説明してくれない。説明している本人だけが論理的な説明になっていると本気で思っていたりする。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014年3月16日
以前, 「特異点解消ってどんな感じなんですか?」, 「こんな感じでぐるっと回しながら持ち上げる」みたいな感じで, ジェスチャーを交えて説明している姿を見かけたことがある.
何ヶ月かしてたまたまそれっぽい図をネットで見かけて「あのとき言っていたのはこれか」という感慨を覚えたことがある.
特にどうということもないがそんなことを思い出した.
『無料で入手できる本格的(紙なら高額)な理数系専門書15選』からの共形場理論: 黒木さんのツイートメモ¶
#数楽再掲おすすめ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
檜山正幸のキマイラ飼育記 2016-07-05
無料で入手できる本格的(紙なら高額)な理数系専門書15選https://t.co/n3PRZTICh5
⊗圏関係が多い感じ。Moore-Seibergの論文以降のトレンドの一つだと思う。
@genkuroki#数楽共形場から来るモジュラー圏は複素代数曲線の代数幾何にまだ十分に応用され尽くしていないように思われる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
長谷川浩司さんが証明したキャラクターレベルでのレベル・ランク双対性は楕円曲線の場合の共形ブロックの双対性とみなせ、それを〜続く
@genkuroki#数楽続き〜そのまま一般のリーマン面に拡張するための自然な枠組みはモジュラー圏だと思う。モジュラー圏には多くの対称性があって(組紐群対称性を含む)、それを利用すれば一般的な双対性を示せると思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
共形場だから当然なのかもしれないが, 作用素環での共形場のフォーミュレーションでもbraid群が出てくるようなので, braid群やばいという感じがある.
@genkuroki#数楽「楕円曲線+点なしの共形ブロック(キャラクター)のレベルで双対性があれば、他のすべての場合に共形ブロックの双対性が拡張される」という予想が立てられます。これはある意味、レベル・ランク双対性の究極の一般化。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@genkuroki#数楽Verlinde予想は「楕円曲線+点なしの共形ブロック(キャラクター)のモジュラー変換性のデータだけで、すべての場合の共形ブロックの空間の次元を具体的に書ける」という予想。本質的にMoore-Seibergによって証明された。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@genkurokihttps://t.co/hBI4lOtdmBと違うのですか?
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月7日
@hirakunakajimaその手の話の一般化の話です。レベル・ランク双対性だとGKOのコセット構成によるヴィラソロ代数の表現の構成から来る共形ブロックの双対性が含まれないのですが、上の話はそういう場合も含む話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@hirakunakajima複数の共形ブロックのシステムのあいだにペアリング(もしくは写像)があるときに、それらがmonodromyやらfusionとコンパチブルでかつキャラクターへの制限が非退化(もしくは同型)ならばシステム全体でもそうなるだろうというのが予想の概略です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@hirakunakajima「共形ブロックのシステム」とは安定曲線のモジュライ上の層としての共形ブロックのこと。長谷川さんは「キャラクターレベルで双対性が成立している」という型の複数の結果を示しているのですが、それが全部一般のリーマン面上に拡張されるだろうというのが予想です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@genkurokiヴィラソロの双対性の文献は、何ですか? いっぱいあるなら、読みやすそうなのを希望です。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月7日
@hirakunakajimaアフィンsl(2)からのコセット構成の共形ブロックとVirasoro代数から直接作った共形ブロックのあいだの同型で直接的な計算で証明できるケースについては https://t.co/IM2NEoMEcPに書いてあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@genkurokiコセット構成は知りたいと思いながら、読める文献を知らなかったので、教えてもらった論文は役に立ちそうです。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月7日
@hirakunakajima文献は書いてない。GKO構成は表現=キャラクターレベルでのaffine sl(2)とVirasoroのあいだの双対性で、その双対性から同型だと予想される共形ブロック間の写像を作れます。片方はコセット構成に付随する共形ブロックでもう一方はBPZ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@hirakunakajima長谷川さんの論文で証明されている表現=キャラクターレベルでの双対性のすべてが共形ブロックレベルでも成立していると予想するのは自然で、共形ブロックレベルでの同型と予想される写像の構成はそう難しくないという話です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@hirakunakajimaぼくが一般的な場合について何か書いておけば良かったのですが、書いてなくてごめんなさいの世界。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月7日
@genkurokiちなみにsl のレベルランク双対性は、アファインA型のクーロン枝 https://t.co/zLgM9isPX9と関係しています。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月7日
@hirakunakajima#数楽
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
ググってhttps://t.co/Ocp0APwgt3
共形場理論におけるコセット構成と双対性
於京大会館1994年9月
を発見。22年前。「予想」の一般的な証明のためにはモジュラーテンソル圏が適切な枠組みじゃないかなと思っています。
@genkurokihttps://t.co/hBI4lOtdmBも、その一つ前のhttps://t.co/ImXEmOkjZ3も、グラスマンの量子コホモロジーとの関係を使っているはず。Bさんに[NT]と同じように表現論だけで証明できないのですか? と質問したら
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月8日
@genkuroki[NT]と同じ議論ではモゴモゴの困難がある、との答えだった。モゴモゴは説明されたが、忘れた。
— Hiraku Nakajima (@hirakunakajima) 2016年7月8日
@hirakunakajima[NT]の方針では「KZ→組紐群の表現→その表現は既知のもの」という経路で組紐群の表現論を本質的に使うので、その経路をそのまま一般化するのは大変。そのままではなくbraiding,fusionのシステムを系統的に利用する方針ならたぶん有望。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
@hirakunakajima共形ブロックのbraiding,fusionの仕組みを系統的に利用するための仕組みがmodular tensor圏。典型的応用例が「任意のRCFTでVerlinde予想が成立していること」に関するMoore-Seibergによる証明。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
@hirakunakajimaMoore-Seibergによる(一般的な)Verlinde予想の証明については、古本が1万円近くもする山田泰彦さんの共形場理論の教科書に書いてあります。 https://t.co/ieUL7CuQdi
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
山田泰彦さんの『共形場理論入門』には昔の基本的結果の証明が多数紹介されていて(超高密度)、しかも、山田泰彦さんによって再構成されてわかりやすくなった証明が紹介されている。かなりすごい本。 https://t.co/ieUL7CuQdi#数楽
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
たとえば、アフィンLie環の脇本表現の構成を、ある種のLie環のコホモロジーの計算を使わずに、screening作用素と「可換」になるという条件による特徴付けによる計算だけで行っていたりする。これは論文にしても良さそうな結果。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
自由場表示におけるもっとも重要かつ基本的な場はscreening作用素。screening作用素を中心に計算を整理するのは自然。VirasoroやW代数だけではなく、アフィンLie環の自由場表示(脇本表現)でもその方針ですべてを計算し切ることができるという話。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年7月8日
よくわからないが山田泰彦さんの『共形場理論入門』, 英訳した方がいいのではないかという気がする.
層とコホモロジーとRiemann面: 黒木さんツイートまとめ¶
#数楽私が大学数学科2〜3年生に「層とかコホモロジーとかを勉強したいのですが?」と聞かれたとき、最も易しい教育的な参考文献として紹介するのは
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
Gunning R. Lectures on Riemann surfaces (Princeton, 1966)
@genkuroki#数楽続き。https://t.co/zuysAHfBg2
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
Gunning R. Lectures on Riemann surfaces (Princeton, 1966)
の最初の50頁程度を読むと、層とコホモロジー入門になる。
@genkuroki#数楽LaTeXではなく、タイプ印刷での50頁なので分量的には相当に少ない。しかも後でさらに進んだ定式化の仕方に繋がるような話ですぐに使える話が厳選して書いてある。あと、リーマン面くらい知らないと困るのでそういう意味でも非常によい本です。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽私は学生時代にこの本でSchwarzian derivativeの話を勉強しました。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽層とかコホモロジーの類は、何の役に立つのか何も理解せず、わけもわからず勉強するのは効率が悪く、Gunningさんのリーマン面の教科書のような易しい応用から入った方が得だと思う。一度勘所がつかめて怖くなくなればそこから先は普通のお勉強。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽勘所が全然掴めていない話をいちから勉強するのは非常に大変。楽な入り方があると思う。自分にとって易しく感じられる「わかる話」から順番に積み重ねて行かないと結局のところ何も理解できずに終わる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽GunningさんのRiemann面の本の特徴はできるだけ層のコホモロジーを使ってコンパクトRiemann面に関する基本定理を証明しようとしていることです。コンパクトRiemann面の話なのでそうする必然性はないのですが、そういう方針になっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽普通なら「たかがコンパクトRienann面のために層のコホモロジーの理論の準備をするのは重過ぎる」となってしまうと思うのですが、層とコホモロジーの話をタイプ印刷で35頁ほどにまとめるという凄技を見せてくれました!非常に教育的な本だと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽というわけで、"Gunning R. Lectures on Riemann surfaces (Princeton, 1966)" のGoogleでの検索→ https://t.co/zuysAHfBg2
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
@genkuroki#数楽続き〜、答えはGunningさんの本に書いてあった。現在ではウィキペディアまである→ https://t.co/0BETxxOhVt
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月8日
参考にしたい.
「y.さんのLaTeX解説が非常に良い」黒木メモ¶
#数楽https://t.co/jekTICNUP5
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
y.さんのLaTeX解説が非常に良いので拡散→ https://t.co/uBibZ6Mb44
amsthmでtheoremstyle definitionを使うと定理環境の中が斜体でなくなります。しかし〜続く
@genkuroki#数楽続き〜、「定理3.5 (主定理)」の「(主定理)」の部分が太字にならなくなる。amsthmでそこも太字になるようにする方法を https://t.co/CVrzjY2xgIで紹介しておきました。ただしその文書は時代遅れの部分があるので注意!
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
@genkuroki#数楽定理環境で斜体を使わずにかつ「定理3.5(主定理)」の「(主定理)」を太字で印刷する方法。https://t.co/CVrzjY2xgIより pic.twitter.com/R3JtKvibey
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
@genkuroki#数楽再宣伝https://t.co/hReJY48Pj9
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
で紹介して下さっているhttps://t.co/uBibZ73LVC
が非常にいいです。日本語LaTeXを使い始める人が読むと無駄な時間を大幅に減らせると思う。
@genkuroki#数楽日本語の定理環境で斜体になるのが嫌だから\theoremstyle{definition}にすることは私自身も昔からすすめていました(ちょっと汚いやり方)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
\newtheoremstyleしても手間は大して変わらないのでそうした方がいいかも。
@genkuroki#数楽再宣伝https://t.co/hReJY48Pj9
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月26日
で紹介して下さっているhttps://t.co/uBibZ73LVC
が非常にいいです。日本語LaTeXを使い始める人が読むと無駄な時間を大幅に減らせると思う。
私もy.さんのPDFを読んだ. 確かにかなりよく書けているし, 早速反映した内容もある.
これは初学者必読感ある.
代数統計: 黒木玄さんのツイートまとめ¶
#数楽広中の特異点解消や佐藤のb函数などの統計学への応用https://t.co/wGEOzKG2QMhttps://t.co/BI0bF6nVNDhttps://t.co/kCjCYxBawr
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月17日
この手の話も計算機にのせるためにはグレブナー基底が必要になる。
#数楽しばらく前の資料メモの続き。渡辺澄夫さんによる学習理論のまとめ解説には簡単な例による説明が欠けていることが多い。それを補うのに良さそうな易しい解説→ https://t.co/BK0C1bl8Ca
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
コードの例があるのはありがたい。
#数楽しばらく前のリンク紹介続き。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
代数幾何や代数解析に似た用語として代数統計という用語があることを皆さんご存知でしょうか?https://t.co/atE2lAKTrf
motivic氏によるスライド「幾何を使った統計の話」のうしろの方が代数統計の話。
@genkuroki#数楽結構気になるのはKullback-Leibler divergence(以下KL情報量)が天下り的に「2つの確率分布の距離のようなもの」という形で導入されがちなこと。Sanovの定理に触れてそれが何なのかをはっきり説明してくれた方がわかりやすい。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkurokiKL情報量D(p||q)は大雑把に言うと「確率分布qの独立試行をn回繰り返したとき経験分布pが得られる確率の対数のn分の1のn→∞での極限の-1倍」を意味している。その極限を計算するとD(p||q)=∫p(x) log(p(x)/q(x))dx となる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽つまり、KL情報量D(p||q)は確率分布qのもとでの経験分布pの生じ難さを表わす量なのである。p=qのときpの生じ難さは最小になり、D(q||q)=0となる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
これを知っているとKL情報量が出て来る式を納得しながら眺めることができるようになる。
@genkuroki#数楽以上で述べた数学的結果はSanovの定理と呼ばれており、確率論における易しい大偏差原理の典型例のひとつになっている。私が書いた解説は→ https://t.co/40sUnHaUCD
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽X_iは独立同分布な確率変数で未知の確率密度函数p(x)を持つとする。q(x)は未知の確率密度函数p(x)の推定値だとする。p(x)は未知だが、独立試行によって(1/n)Σ_{i=1}^n log q(X_i)は測定可能な量になる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽続き。そのn→∞での極限は大数の法則より∫p(x) log q(x) dxになる。さらに、D(p||q)=∫p(x) log p(x) dx - ∫p(x) log q(x) dx で、前者の項は未知であるがq(x)の取り方によらない定数で、続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽続き、後者の項は測定可能な量である。q(x)を動かしてD(p||q)を小さくすることと、測定可能な後者の項を小さくすることは同じことになる。こういう話が学習理論(機械学習)の話に出て来る。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽続き。そのケースで、KL情報量D(p||q)は推定された確率分布qのもとで知りたい未知の確率分布p(x)の経験分布としての生じ難さを表す。そして、Σ_{i=1}^n log q(X_i)=log(q(X_1)…q(X_n)) は所謂尤度の対数。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽どう読むのかすぐにはわからない「尤度」は「ゆうど」と読むようですが、英語ではlikelihood (確からしさ)です。尤度は推定された確率分布のもとで観測結果が生じる確率の大きさを意味し、確率分布の推定値のもっともらしさの指標としてよく使われます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
@genkuroki#数楽尤度そのものではなく、その対数をとってnで割って標本平均の形にするとn→∞で大数の法則が使える形になり、KL情報量と結び付くわけです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月25日
#数楽階層ベイズモデルとWAIC - StatModeling Memorandum https://t.co/6T7aAuqVo3
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月6日
WAISは所謂「代数統計」(代数幾何、代数解析と似た意味)の話。
#数楽メモ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月6日
「代数統計」についての入門的解説は→ https://t.co/kCjCYxjz7Rにある。代数幾何と代数解析の学習理論へのかなり必然的に見える応用。統計学諸分野や広いので、代数幾何や代数解析などとの間に橋が架かることは歓迎するべきこと。
#数楽「代数統計」関連の連続ツイート
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月6日
・ https://t.co/0x3vcHD7oD
・https://t.co/dpmDXtS11N
・あとこのツイートの返答連鎖
#数楽自明な誤植https://t.co/pZRk72o18n
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月6日
×WAIS→◯WAIC
赤池情報量基準AICの導出には伝統的な「正規分布による近似」を用いるが、そうできない非正則モデルでも使えるのがWAIC。正規分布による近似が有効でない場合に代数幾何と代数解析が役に立つ。
代数解析勉強したい. したいしたい言っていまだに全くできていないし, ミニ講座を作る体で勉強するしかないのかもしれない.
黒木さんのツイートまとめ: 熱浴と数学¶
発端のツイート.
#数楽https://t.co/9YSyonXQYLの続き
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月14日
奥村晴彦著『Rで楽しむ統計』 p.55より【ランダムにお金をやりとりすると、指数分布に近づき、貧富の差は増す】
指数分布の確率はe^{-βE}に比例(β>0)。Eはランダムに選んだ個人が保有するお金の量。
これの解説ツイート群.
#数楽https://t.co/tWgy5CuAWD
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
リンク先のツイート以後の解説を難しくし過ぎた。初等的な議論で示せるので以下で解説します。
設定:nは大きいとし、n人のそれぞれがお金を保有しており、n人分の合計金額は一定であり、ランダムにお金をやり取りしまくる。
続く
#数楽続き
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
帰結:そのn人におけるお金の分布は指数分布で近似されるようになる。(各人がE円のお金を保有している確率はe^{-βE}に比例するようになる。)
#数楽訂正版。続き。証明の概略。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
n人が保有する金額の合計をnUと書く。n人が保有する金額は0以上で、総和はnUになる。可能な場合全体は集合Ω_n(nU)={(E_1,…,E_n)∈Z_{≧}|ΣE_i=nU}で表現される。あとは場合の数を評価する計算になる。続く
#数楽続き。i番目の人が金額Eを保有することと残りのn-1人が保有する金額の合計がnU-Eであることは同値なので、その場合の数は集合Ω_{n-1}(nU-E)の元の個数に等しい。その個数をΩ_n(nU)で割ればその場合の確率が得られる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽Ω_n(nU)の元の個数はほぼnUのn-1乗に比例し、Ω_{n-1}(nU-E)の元の個数はほぼnU-Eのn-2乗に比例するので、i番目の人が金額Eを保有している確率はほぼ(nU-E)^{n-2}/(nU)^{n-1}に比例する。これで本質的に議論終了である。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽nが大きくて、EがnUよりずっと小さいならば
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
(nU-E)^{n-2}/(nU)^{n-1}
=(nU/(nU-E)^2) (1-E/(nU))^n
≈(1/(nU)) e^{-E/U}.
i人目が金額E保有する確率はほぼ e^{-E/U} に比例することがわかった。
#数楽Uは1人あたりが保有する金額の期待値なのだが、確率密度函数 e^{-E/U}/U の確率分布(指数分布と呼ばれる)の期待値もUなのでつじつまは合っています。Uは統計力学における絶対温度に対応しています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
個人が保有するお金の平均値←→統計力学における絶対温度
#数楽以上のような話は統計力学の教科書に書いてあります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽現実の資産分布はどうなっているか?このツイートの添付画像は https://t.co/uwohBb7TAjより。 pic.twitter.com/5xgUv0Z5Nf
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽もう1つ。このツイートの添付画像は https://t.co/DeM4igpoWe より。 pic.twitter.com/xxPC2vkVZj
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽指数分布のグラフは添付画像のような感じになる。 pic.twitter.com/98bCTCi2cx
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽指数分布の普遍性を理解してもらうために授業時間に次のような実験をすることが考えられる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
(1)出席者におもちゃのお金を配る。全員に同じ金額を配ってもよきし、偏りがあってもよい。
(2)ランダムに相手を変えながら、じゃんけん勝負をしてお金をどんどんやりとりしてもらう。
続く
#数楽適当な時刻に、保有しているおもちゃのお金を集計して分布を記録する。十分時間が立つと分布は指数分布に落ち着くことが確認できるはず。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
物理の授業時間にやってもらえると助かる。
#数楽上の方で説明した指数分布を出す計算と、R^n内の原点を中心とする半径√(nU)のn-1次元球面上の一様分布を1次元部分空間に射影して得られる分布はn→∞で正規分布に収束するという計算は本質的に同じです。両方の計算をやってみればわかる。「熱浴」の話の簡単な場合。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽T=σ^2とおく。R^n内の原点を中心とする半径√(nT)の球面上の一様分布を1次元部分空間への射影で得られるR上の確率分布はn→∞で平均0、分散Tの正規分布に収束し、分散Tは統計学における絶対温度に対応します。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
この話がお金の指数分布の話とほぼ同じなのは明らか。
#数楽半径√(nT)のn-1次元球面を考えることは、R^nの座標をT=(x_1^2+…+x_n^2)/nと球面上の座標に分解することをやっていると考えられます。以前紹介しましたが、その分解は、PerelmanさんのRiemann幾何的熱浴のアイデアのTaoさんによる解説にも〜
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽続き〜にも登場します。 https://t.co/xnyY3CdgABにおける(9)式を見て下さい。そして(15),(16)式以降の議論を見れば、一様分布の射影の話はラプラス方程式+熱浴から熱方程式を出す議論の一部だと解釈されるべきであることがわかります。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽総量一定のお金をランダムにやり取りする話(現実世界の貧富の差の問題と関係がある)とポアンカレ予想を解くためのに使われたアイデア(純粋数学の最深部)は地続きで繋がっているのです。下世話に感じられる話は実は下世話ではない。高尚に見える話も単に高尚なわけではない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽「熱浴+注目系でのエネルギー保存則より確率がe^{-βE}に比例する」という話は統計力学の教科書に書いてあります。しかし、既出の https://t.co/xnyY3CdgABにおける熱浴+注目系上のラプラス方程式から注目系上の熱方程式を出す議論は見たことがない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽続き。どこかに書いてあるならば教えて欲しいです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽大数の法則と中心極限定理はすでに実用的な統計学を習得した人たちにとって空気のようなものになっているのですが、大偏差原理から出て来る話(先の総量が一定のお金のランダムなやりとりで指数分布が自動的に出て来たりする話がその最も簡単な例)についてはそうではないと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽大偏差原理の取り扱いを知っていれば、統計力学における熱浴のアイデアで、所謂指数型分布族(統計力学におけるカノニカル分布の一般化、正規分布や指数分布を含む)がどのような場合に普遍的に出て来るかがわかります。これも空気のごとくみんなが使えるようになると素晴らしいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽総量一定(より正確には1人あたりの量の平均値一定)のお金をたくさんの人たちの間でランダムにやりとりするケースでは、注目する個人意外の人たちが「熱浴」の役目を果たします。奥村さんの新著でも紹介されていたようにこの例は基本的で分かりやすいと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽注目する個人(もしくはより一般に注目する系)が集団(熱浴)とやりとりするものはお金である必要はなく、なんでもよい。ただし、指数型分布族を出すためには、注目する個人と集団の全体でやりとりするものの総量は一定でなければいけない。たったれだけの条件から〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽基本定理:ベースになる個人の制限がない場合の分布密度をq(x)とするとき、個人が函数f(x)で表される量をサイズn-1の集団とランダムにやりとりするとき、全体でのf(x)の合計がnUのとき、n→∞で分布密度はe^{-βf(x)}q(x)に比例するようになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽ただし、U≦∫f(x)q(x)dxであるとき、β>0は、Z=∫e^{-βf(x)}q(x)dx、(1/Z)∫f(x)e^{-βf(x)}q(x)dx=Uという条件で決まる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽例:総量nUのお金をn人でランダムにやりとりする場合にはM≧Uに対する[0,nM]区間上の一様分布を個人の制限なしの保有するお金xの分布密度と考えます。そして、f(x)=(注目する個人が保有するお金)=x. 結果的に得られる確率分布の密度函数はe^{-βx}に比例。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽例続き。このとき、Z=∫_0^∞ e^{-βx}dx=1/β、β∫_0^∞ x e^{-βx}dx=1/β=Uなので、β=1/Uとなり、平均Uの指数分布の密度函数e^{-x/U}/Uが得られる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
指数分布が普遍的に現れて来る様子がわかります。
#数楽積分範囲が0から∞になっているのは、q(x)として[0,nM]区間上の一様分布を選び、nを大きくしたときの様子を見ているから。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
#数楽例:個人ではなく粒子達がエネルギーf(x)=x^2をランダムにやりとりしている場合。n個の粒子全体でエネルギーの総和はnUであるとし、制限を付けないxの分布密度q(x)dxは区間
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
[-√(nU),√(nU)]
上の一様分布とする。続く
#数楽例続き。nを大きくすると注目する粒子のエネルギーの確率密度函数はe^{-βx^2}に比例するようになる。ガウス積分の計算を実行すると、β=1/(2U)、Z=√(2πU)となり、確率密度函数は平均0、分散Uの正規分布になります。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月16日
他にやりたいことがガンガン増えてきて全く触れられていない話題として, 大偏差原理の勉強がある. 統計力学でいろいろ関係あるらしいし, 前からずっとやりたいとは思ってはいるが全く何もできていない.
準素イデアルの定義と代数幾何・代数解析への誘い: 黒木さんツイートまとめ¶
見やすくするため勝手にPDFにもまとめた.
- http://phasetr.com/members/myfiles/file/kuroki_primary_ideal.pdf
以下ツイート引用.
#数楽準素イデアルの定義がピンと来てない人をどこかで見たような気がするのでちょっとその話。Qは可換環Aの真のイデアルであるとします。「a,b∈Aかつab∈Qかつnot a∈Qならばある自然数n>0でb^n∈Qとなるものが存在する」とき、QはAの準素イデアルであると言います。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き。たぶんこの定義そのものだけを忠実に理解しようとしてピンと来なくなっている。同じ問題はもっと易しい素イデアルや極大イデアルの定義について教えているときにもよく出会います。イデアルについている形容詞の定義を理解するためには、そのイデアルで割ってできる剰余環について〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き〜、考えてみるとよいです。同じことですが、零イデアルがその性質を満たしているのはどういうときかについて考えてみるとよいです。Iは可換環Aの真のイデアルとします。A/Iが体、整域、「その零因子はすべて冪零」であることのそれぞれとIが極大、素、準素であることは同値。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き〜、考えてみるとよいです。同じことですが、零イデアルがその性質を満たしているのはどういうときかについて考えてみるとよいです。Iは可換環Aの真のイデアルとします。A/Iが体、整域、「その零因子はすべて冪零」であることのそれぞれとIが極大、素、準素であることは同値。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き。個人的には教育現場では最初からそれを極大、素、準素イデアルの定義に採用したいくらい。環の準同型定理の具体例での使い方を知っていれば、剰余環を計算して極大、素、準素イデアルであることを判定してもらうことも気軽にできるし。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
こういう易しい話も需要がありそうな感じ。
#数楽「aの7乗しなければ0にならないが、bの6乗は0なので、aよりもbの方が『微小』である」とか。たとえば、Z/128Zにおいて(0⇔128で割り切れる)、14は7乗しなければ0にならないが、12の4乗は0になる。Z/128Zにおいて14よりも12の方が「微小」。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き。この話における128=2^7の7を無限に大きくする極限を考えれば、2の大きなべきで割り切れるほど「微小」となる「2進整数環」の世界が得られわけです。2を別の数に変えてもよい。個人的には無限小の直観があった方がp進数入門が楽になると思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽超大脱線。体や整域の定義の中に「零環でない」という条件を忘れずに含めている代数学入門書は注意深く書かれています。その条件は「素数に1を含めない」ことの一般化なので要注意なのですが、数学に強くなると細かい部分はどうにでもなるので書くのを忘れるようになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽あと剰余環の定義についても教科書に書いてある定義のみを忠実に理解しようとしてはまるパターンもよく見かける感じがします。(似たようなはまり方を多様体の定義でも見かけたことがある。) 剰余環Z/12Zは有理整数環Zの中で12を0とみなしてできる環であるとかを知らないと困る。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き。M/Nで「Mの中でNの元をすべて0とみなしてできるもの」を意味することがよくある。この「〜とみなしてできるもの」という曖昧な言い方を避けると教科書に書いてあるような定義になる。教科書的定義を出発点にするのではなく、「定義を自分で出す」という発想が大事。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽易しい話の続き。数学科学部レベルの代数を習ったら、中高で習った「方程式」の定義について考えてみるとよいかも。例えば勝手に剰余環R=Z[x]/(x^2-2)Z[x]を「方程式x^2=2」と呼ぶと定義してよい。任意の環Aにおける方程式x^2=2の解全体は〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き〜、剰余環R=Z[x]/(x^2-2)Z[x]から環Aへの環の準同型写像φ全体と一対一に対応しています(α=φ(x)が解になる)。中学校レベルの方程式x^2=2とその解を環と環の準同型の言葉で完全に定式化できたわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽x^2+y^2=1のような図形の定義になっている方程式も剰余環R=Z[x,y]/(x^2+x^2-1)Z[x,y]として定式化できる。方程式x^2+y^2=1の実数解全体はRから実数体への環の準同型写像全体と一対一に対応している。これで円の方程式も環論で扱える。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽で、環論のよくある演習問題に「Kが実数体の部分体であるときK[x,y]/(x^2+y^2-1)K[x,y]は整域だがUFDではないことを示せ」があります。Kが複素数体ならUFDになることは易しい(Laurent多項式環に同型になる)。単位円の方程式への新たな出会い。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽超易しい話という文脈では1つ前のツイートの問題は難しい方に分類されます。UFDでない例としてはK[x,y]/(y^2-x^3)K[x,y]≅K[t^2,t^3] (x=t^2, y=t^3)の方がずっと易しい。これはカスプy^2=x^3の特異点解消の例でもある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽x=t^2, y=t^3は「x=f(t), y=g(t)の軌跡を考える。f(t)もg(t)も滑らかな函数なのに軌跡は滑らかではない例を挙げよ」の例になっています。 https://t.co/KO2X9n55vl
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
y^2=x^3は退化した楕円曲線の例にもなっている。
#数楽https://t.co/WPY6yaW7rS
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
parametric plot x=t**2, y=t**3, z=t
xyz空間内の曲線としてこれは滑らかだが、xy平面に射影すると尖がる。
#数楽以上の例は多くの教科書でよく見かけるものです。教科書的例はやはり重要で知らないと様々な場面で理解に困ることが多い。具体的な例も一般的な概念もどちらも大事。具体例にはどの一般論に関係あるかを必ず要求し、一般論では具体例を必ず要求する。答えに詰まる人は大して理解していない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽でも見栄をはって完璧に理解するまで誰にも話さないのは楽しみのかなりの部分を失うと思う。まだよくわかっていないことを説明しているうちに理解がすすむ方が普通だと思う。だから理解していないことの説明を聞いてくれる友人は貴重。単に聞いてもらうだけでありがたい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽今だとパソコンで無料の数式処理ソフトが使い放題だし、スマホからWolframAlphaにアクセスすれば気楽にグラフを描いたり、計算したりできる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽M/Nの話で代数方程式だけではなく、線形微分方程式も定式化できる。ただし非可換環が必要。正準交換関係x∂-∂x=1で定義される常微分作用素環論D=C[x,∂]を考える(∂=d/dx)。常微分方程式(∂^2+1)u=u''+1=0をD加群で定式化するには〜続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き〜、ランク1の自由D加群Duの剰余加群
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
M=Du/D(∂^2+1)u
=(Duの中で(∂^2+1)u=0とみなしてできる左D加群)
を考えます。これが微分方程式u''+1=0のD加群としての定式化。Dが作用している任意の函数空間Fにおけるu''+1=0の解と〜続き
#数楽続き〜、MからFへのD加群準同型φは一対一に対応している(φ(u)が解になる)。たとえば、F=C^∞(R)の場合:φ(u)=e^{±ix}, cos x, sin xを満たすD加群準同型φ:M→C^∞(R)が一意に存在する。これで線形微分方程式も剰余加群で定式化できた。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽一般に微分作用素P∈Dについての微分方程式Pu=0はD加群M=Du/DPu=(Duの中でPu=0とみなしてできる左D加群)として定式化できます。NからD加群FへのD加群準同型全体の集合はHom_D(M,F)と書かれます。Fが具体的な函数空間ならこれはPu=0の解空間。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽線形微分方程式をこのように定式化することの御利益はホモロジー代数を使えることです。すなわちPu=0の解空間のHom_D(M,F)だけではなく、Ext^i_D(M,D)も使える。先の例ではMの自由分解0←M←Du←DPu←0でExtを計算できます。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽続き。実際に計算すると、Ext^0_D(M,F)≅Hom_D(M,F)≅Ker(P:F→F)=(Pu=0のFでの解空間)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
Ext^1_D(M,F)≅Coker(P:F→F)=F/PF=(Pu=fの解がF内に存在しないf∈Fがどれくらいあるか)
となります。
#数楽続き。たとえばP=x=(函数xをかける作用素)でF=C[x]のとき、xu=0の解空間は自明にHom_D(M,F)=0となり、Ext^1_D(M,F)≅C[x]/xC[x]≅Cとなります。この例は基本的。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
デルタδ函数はxδ(x)=0をみたしているのでxu=0の解。
#数楽https://t.co/bqqEN04aDB
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
訂正NじゃなくてMです。自明な誤り。
まあとにかく、中学校から大学にかけて習う方程式たちは、環や加群として定式化でき、解と具体的な環や加群への準同型は一対一に対応しているということです。
#数楽よくわからない何かは「方程式」とみなせ、そこから具体的な何かへの「射」は「方程式の解」とみなせるという話は単なる再定式化ではなく数学的に意味のある形でうまく行っているということです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
#数楽https://t.co/SjSbjpJbu2
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月21日
訂正:∂=d/dxに関して、x∂-∂x=1ではなく、∂x-x∂=1が正しい。これも自明な誤り。
#数楽https://t.co/VuyF5XSuGY
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
準素(prinary)イデアルの定義がピンと来ない人をどこかで見かけたような気がするという話から、方程式の概念を環や加群で定式化する話に脱線したのでした。その話の続き。必要な脱線であったことがわかるようにしたい。
#数楽復習1:可換環Aの真のイデアルIが準素(primary)であるとは剰余環A/Iのすべての零因子が冪零になることであった。だから準素イデアルの概念を理解するためには零でない剰余環でその零因子がすべて冪零になるようなものについて理解すれば良さそうだ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽復習2:有理整数環をZと書く。中学校で習う方程式x^2=2は剰余環R=Z[x]/(x^2-2)Z[x]=(Z[x]の中でx^2=2とみなしてできる環)として定式化できる。可換環Aにおけるx^2=2の解はRからAへの環準同型φと一対一に対応している(φ(x)が解になる)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽ここから新しい話。素イデアルとはそれで割ってできる剰余環が整域になるようなイデアルのことであった。I=(x^2-2)Z[x]はZ[x]の素イデアルである。証明は環の準同型定理を使って、Z[x]/IがZ[√2]={f(√2)|f∈Z[x]}に同型であることを示せばよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽中学校では重解を持つ方程式x^2-2x+1=0についても習う。その方程式とx-1=0の実数解の集合は一致している。実数解の集合で重解を持つ方程式とそうでない方程式を区別することは不可能である。しかし、方程式を剰余環として定式化すればそれらを区別できる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽続き。x^2-2x+1=0は剰余環R_2=Z[x]/I_2、I_2=(x^2-2x+1)Z[x]として、x-1=0は剰余環R_1=Z[x]/I_1、I_1=(x-1)Z[x]として定式化できる。環の準同型定理によって、R_1はZ[1]=Zと同型になり、続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽続き〜、R_2はランク2の自由Z加群Z+Zεにε^2=0というルールで可換環の構造を入れたもの(Z[ε] with ε^2=0)に同型なことがわかる(x-1にεを対応させる)。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽環の準同型定理を使えない人は次のように考えてもよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
R_1の定義はZ[x]/(x-1)Z[x]で、それはZ[x]の中でx-1=0すなわちx=1とみなしてできる環のことなので、xが1で置き換えられて、R_1≅Zとなる。
続く
#数楽続き。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
R_2の定義はZ[x]/(x^2-2x+1)Z[x]=Z[x]/(x-1)^2Z[x]で、それはZ[x]の中で(x-1)^2=0とみなしてできる環なので、x-1が2乗すると0になる無限小量εに置き換えられて、R_2≅Z[ε] with ε^2=0となる。
#数楽重根を持つ方程式(x-1)^2=0を環論的に定式化するときには、xを1+ε (ここでεは2乗すると0になる無限小量)で置き換えるという操作をするわけです。単根と重根の違いは冪零元(無限小量の一種)の有無で区別されます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽で、以上に出て来た重根を表現するイデアルI_2=(x-1)^2Z[x]がZ[x]の準素イデアルになっていることもわかります。準素イデアルの話は中学校のときに習った重根の話の一般化になっているわけ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
数学科の学部レベルでの代数は義務教育レベルの話をやり直している感じ。
#数楽冪零元εは「それ自体は0ではないがそのある冪が0になるほど微小な無限小量の一種」とみなせます。このようなスタイルによって純代数的に無限小量を扱えるわけです。それによって純代数的に解析学(逐次近似が重要)の真似事ができる。冪零元を排除しないことは結構大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽残念なことに、大学の数学科の先生の中には、「高校以下の数学と大学数学科での数学は違う」と強調し過ぎて、学生が数学を「普通に」理解する道から離れてしまう原因を作っている人達がいるように思えます。実際には高校以下の数学と数学科での数学は内容的にダイレクトに繋がっています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
#数楽内容的に高度になっているという違いは確かにあるのですが、同じ数学。本質的に変わったと感じる人は高校以下の数学を正しく理解していなかっただけなのだと思う。そこには運で決まっている部分が膨大にある。運の良さを奢ることなく、運の悪さに負けることなく楽しみたいものだと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月22日
これ相当参考になるのでは.
イデアルについている形容詞の定義を理解するためには、そのイデアルで割ってできる剰余環について考えてみるとよいです。
そしてこれ.
Iは可換環Aの真のイデアルとします。A/Iが体、整域、「その零因子はすべて冪零」であることのそれぞれとIが極大、素、準素であることは同値。
途中, 代数解析的な話も出てくる. ふつうは代数幾何の範疇なのだろうか? 私は代数解析の文脈で先に見たのでそう思ってしまうけれども.
黒木さん筋の情報: 佐藤の$b$函数(Bernstein-Sato多項式)が学習理論に応用される様相¶
全部載せるの面倒だったので一部だけ. 代数解析と統計を勉強する取っ掛かりになれば, と思いとりあえずシコシコ記録していく.
#数楽佐藤のb函数(Bernstein-Sato多項式)が学習理論に応用されている話を直接的に確認したい人は https://t.co/Yy6pgxhPTeからPDFファイル https://t.co/FgnNSfh43x(2頁)をダウンロードして読めばよいと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月30日
#数楽続き。b函数はKL情報量K(w)=∫p(x|w)log(p(x|w)/q(x))dxと事前分布φ(w)が定めるゼータ函数∫K(w)^s φ(w)dwの極を得るために使われ、その情報から分配函数Z_n=∫p(X_1|w)…p(X_n|w)φ(w)dwの漸近挙動を導出します。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月30日
#数楽続き。一般に統計学諸分野において分配函数と呼ばれるものの様子を調べることはめちゃくちゃ大変なのですが、上の場合には、分配函数を直接攻めるのではなく、別の母函数であるゼータ函数の解析接続の極を調べることによって分配函数の漸近挙動を導いています。極の情報はb函数から得られる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月30日
#数楽佐藤幹夫先生由来の代数解析がもろに役に立っている感じ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月30日
ベイズ学習マシンへのインプットのサイズを大きくしたときの漸近挙動の解析には代数解析の仕組みがもろに使われている。
黒木さんツイートまとめ: 割合概念の理解と質, そして教授法: 吉田甫『学力低下をどう克服するか―子どもの目線から考える』¶
#掛算https://t.co/yEFMChdXNKhttps://t.co/OENmrxp5GD
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
例の800円の50%を800÷2と解くことを減点したがる人達は単純に無知無能なのだと思う。無知無能と決め付けることが正しい証拠とみなせる文献を紹介します。続く
#掛算それは何度も紹介している吉田甫著『学力低下をどう克服するか』(新曜社2003) https://t.co/uAX9pFpYbBです。児童が日常生活ですでに得ている知識を大事にしながら、優れた大人と同じように考えることができる方向に誘導するのが良いことがわかっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算その本では
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
(1)児童がすでに得ているやり方や直観を大事にし、
(2)大人と同じように大雑把な見積もりを直観的にできるようになるように工夫して教えることによって、
教科書通りの教え方に対して、教科書的問題の正答率でも割合概念の理解の質でも圧勝できることを示しています。
#掛算続き。教科書通りに教わると、教科書的なパターン化された問題の正答率は悪くなり、児童は「AはBの130%で、CはBの80%とする。大きな順に並べよ」のような問題を十分に解けるような理解の質に達することが難しくなるという結果も示されています。教科書的教え方には問題あり。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算実験的な授業を受けたE群が割合概念をよく理解しているのに対して、教科書的教え方をされたT群の結果はかなり悲惨。その様子を「立ち読み」したい人はリンク先の連続ツイートの添付画像を見て下さい。https://t.co/uTCNMjxy5r
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算そのリンク先の連続ツイートで紹介していない部分で、吉田甫氏は割合について習う前に児童はすでに大人がよくやる大雑把な見積もりをかなりできるようになっていることも紹介されています。ところが教科書的な割合授業を受けるとそれが*で*き*な*く*な*る*!ひどい教え方。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算以下に添付画像で引用するのは吉田甫著『学力低下をどう克服するか』(新曜社2003)pp.106-123です。1/9 pic.twitter.com/76ABoQj0Ch
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算2/9 pic.twitter.com/ATIBMJAOG1
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算3/9 pic.twitter.com/rWIMaot8et
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算4/9 赤枠の内側だけでも読んでおくと、児童が割合について習う前にどのような予備知識を持っているかがわかります。 pic.twitter.com/wiTP5PIVUl
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算5/9 たとえば、割合について習う前の5年生の段階ですでに50%が直観的に半分であることを理解している児童が3人中2人もいる。さらに割合について習う前に40人の90%を35人に大雑把に見積もることができている児童がかなりたくさんいる!これは素晴らしいこと! pic.twitter.com/GJwS8TjEyH
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算6/9 ところが、割合について習ってしまうと、習う前にできていたことができなくなっている!大雑把な見積もりが直観的にできるままであれば大人と同様の直観的で柔軟で誤りを犯し難い割合概念の運用ができるようになるはずなのに、教科書的教え方が悪いせいでそうなっていない。 pic.twitter.com/q1abvAts9o
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算6/9 ところが、割合について習ってしまうと、習う前にできていたことができなくなっている!大雑把な見積もりが直観的にできるままであれば大人と同様の直観的で柔軟で誤りを犯し難い割合概念の運用ができるようになるはずなのに、教科書的教え方が悪いせいでそうなっていない。 pic.twitter.com/q1abvAts9o
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算8/9 熟達した大人と同じ大雑把な概算を利用している子の正答率は100%!教科書に忠実な公式を使っている子の正答率は67%でしかない。吉田甫氏達はこのような観察に基いて教科書的公式中心の教え方とは異なる実験的な教え方をしてみたら、正答率も理解の質も大幅に向上した。 pic.twitter.com/daoXJh4PVU
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算9/9
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
まとめ:児童は割合について習う前に50%が半分であることや大雑把な見積もりを結構できている。教科書の公式中心の教え方には、児童がせっかくできるようになっていた大雑把な見積もりをできなくする悪しき教え方である。 pic.twitter.com/tj8wWoutnt
#掛算吉田甫氏達は、教科書的な割合の授業の欠点をあげつらうだけではなく、その欠点を解消する教え方を設計し、実践してみて、教科書通りの教え方とは異なり、児童に割合の概念を理解してもらえることをきちんと示しています。これ以上何か議論することってある?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算その吉田甫氏達による教科書とは違う優れた教え方では、児童が割合について習う前に得た知識(50%は半分であるなど)や能力(大雑把な見積もり)を大事にするものです。児童が「800の50%を800の半分だから800÷2」とすると減点するような教え方とは正反対。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算児童が「800の50%を800の半分だから800÷2」とすると減点するような教え方を支持する発言をしたい人達が、事前テストなどによって条件を揃えた授業の比較研究の結果を引用してくれるまで、まじめに相手をする必要はないと思う。単に否定すれば十分。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算まあ、吉田甫氏達による条件を揃えた授業の比較研究がなくても、児童がすでに知っている正しい知識や優れた能力を否定するような評価をする教師がまともだとする理由はまったくないと思う。おまえら教育に関する議論をしたいなら、少しは生身の子供のことを考えろや。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算きちんと科学的な研究を引用しながら証拠に基いた議論をできないだけではなく、生身の子供への配慮にも欠けているとなると、ほぼあらゆる面で屑そのものだと評価されても仕方がないよね。教育に関する議論ではその手の人達が堂々と発言して来るので驚く。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算やれやれだぜ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算吉田甫氏達による条件を揃えた授業の比較研究の結果についてはリンク先の連続ツイートで紹介してあります。https://t.co/lrOcBABZ9q
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
条件を揃えた授業の比較研究で有用なものが他にあるならば紹介して欲しいです。私は大学図書館の閉架で吉田甫氏の本を発見した。
#掛算https://t.co/2BCYhIJL33
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
【大雑把な概算を使った生徒が「7%」と少ないのは、概算自体が小学生には高度すぎるとも考えられるのではないでしょうか。】
これはひどい誤解。何度も繰り返し述べているように、教科書通りの教え方のせいでそうなってしまっている。続く
#掛算上で引用した吉田甫著『学力低下をどう克服するか』(新曜社2003)pp.106-123の部分は、教科書通りの教え方が引き起こす有害な効果の分析です。リンク先で引用したpp.162-171に実験的授業が成功した話がある。https://t.co/uTCNMjxy5r
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算1つ前のツイートで紹介した連続ツイートはこの返答連鎖の範囲内ですでに3回目。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
リンク先の図6-13は教科書的問題の正答率について教科書通りに教わった側(T群)が劣っていることを意味するグラフです。https://t.co/yMxIrDZnzh
#掛算リンク先の図6-14のグラフを見れば(大雑把な)見積もりを使う子がいなくなるのは教科書通り(T群)に教えているからだとわかります。https://t.co/12sa3fmeso
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算https://t.co/12sa3fmeso
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
図6-15のグラスを見ると「AはBの130%であり、CはBの80%である。大きな順に並べよ」の型の問題の正答率は
教科書通りの教え方(T群)→3割
実験的な教え方(E群)→8割
と大きな差がついている。
#掛算教科書通りに割合について教わると「AはBの130%であり、CはBの80%である。大きな順に並べよ」のような問題を3割の児童しか解けなくなる。実験的なより適切だと思われる教え方であれば8割正解する。クラス内でできない子も解けるようになっている。この差は大きい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算教科書通りの教え方だと過半数の児童が割合の概念を習得できない感じ。(適切に教えれば平均以下の子でも大丈夫なのに!)
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
それどころか、割合の授業の前にはできていた見積もりができなくなる。これはさすがにひどすぎると思います。保護者の立場としてはまったくシャレにならない話です。
#掛算「比べられる量」「基にする量」という用語を聞いた瞬間に「なにそれ」とか「わすれた」と感じる割合の概念を完璧に理解している科学的な理解力の高い人達は相当に存在すると思われます。そういう類の用語を子供相手の授業で使うように教科書は編集されているわけ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
#掛算続き。そして、「比べ(られ)る量」「もとにする量」という用語の理解について大多数の子供が困難を覚えていることを、高学年を担当したことのあるすべての小学校教師が気付いていると思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月16日
長くて面倒になってきたのでここで切る. 上のツイートからTwitterに飛んでリプライツリーを追えば読めるので, ご興味のある方は読みに行ってほしい.
あと本を改めて張っておこう. そのうち買って読みたい.
掛け算順序固定メモ: 1993 年のある数学者のコメントと黒木元さんの指摘¶
小学校のかけ算順序問題で、ついガチで小学校の先生に反論した上で丁寧に「何をしっているべきか」を論じた数学者の短い論文が流れてきた。https://t.co/mrqBUdDkdy
— kazy (@gakeau) 2016年11月23日
@gakeau大学で物理教えてる僕にも一見では全く理解不能な「説明」ですね(*^ω^*;;)。こんな上から目線で誰かを説得出来る訳が無いと思うんですが。
— タナカシンイチロウ (@Shin_Ichiro_Z) 2016年11月23日
@gakeau大変申し訳ありません。すでに別twで述べましたが、この小論文、発表は1993年であり、20年以上前のものでした。近年の議論とは全く関わりがなく、遥かに先駆けた問題提議というべきものでした。従って僕の批判は全く見当違いでした。見落としすみません。
— タナカシンイチロウ (@Shin_Ichiro_Z) 2016年11月24日
「批判が検討違いというかその人に言ってどうするの」感がある. そして黒木さんがアタックする.
その前に.
@gakeauこのPDFはかけ算順序問題に対して反論しているわけではなく、むしろ加群を使ってかけ算に順序が重要なことを示しています。
— liinter7 (@liinter7) 2016年11月24日
著者の関わった小学校教諭の数学レベルの低さを指摘しているだけかと。
@gakeauこれは理系(数学系?)には分かりやすい説明
— きり (@kiri8128) 2016年11月24日
???????????????????????????????????
何はともあれ黒木さんのツイート.
#掛算@gakeau以下のリンク先の連続ツイートで件のPDFの内容がダメすぎる理由を説明しておきました。参考になれば幸いです。https://t.co/MetC0qEo4e
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
これはダメな反論ですね。この教員個人はやり込めることが出来たでしょうが、掛算順序論を熟知している教員や本尊の指導書執筆者には通じないでしょう。かれらは「交換則は成り立つがそれでも順序は固定」説なので。 https://t.co/5RSAuY5GOC
— 齊藤明紀 (@a_saitoh) 2016年11月23日
@a_saitoh#掛算ほんとその通り。批判の仕方のレベルが低過ぎ。 @gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
#掛算@a_saitoh@gakeauさらにその批判の仕方がダメな理由の解説。掛算順序固定強制のごときトンデモは私が何度も強調しているように小学校2年生レベルの完璧な知識があれば完全に粉砕できます。そういう常識レベルの話に抽象代数系の話は関係ありません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
#掛算@a_saitoh@gakeau掛算順序固定強制のごときトンデモの批判には小2レベルの常識があれば十分。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
私は行列を学んだことがないと述べていた小学校の先生から掛算順序固定強制の問題について正確な批判の仕方を教わりました。教科書出版社に問題がある。
#掛算@a_saitoh@gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
小学校の先生になる人達が現在よりも広く深い数学的教養を身につけることになれば素晴らしいと思います。
しかし掛算順序固定強制問題は小2レベルの常識の問題に過ぎないので、特別な数学的教養抜きに容易に全否定できてしかるべきです。
#掛算@a_saitoh@gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
掛算順序固定強制問題は理系高学歴者達の中に考えの足りない人達が結構たくさんいることも証明したと私は考えています。掛算順序固定強制を擁護する論外な理系高学歴者達だけではなく、批判している人達の生ぬるさは余りにも情けな過ぎ。続く
#掛算@a_saitoh@gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
まるで数学的教養が無ければ掛算順序固定強制を否定できないかのように語る人達はその分だけ掛算順序固定強制問題を不当に「高級」だとみなしていることになり、生ぬる過ぎです。
これは小2レベルの話。
#掛算@a_saitoh@gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
さらに、掛算順序固定強制の正当性を主張する困りものな教師個人を主な批判のターゲットにすることは、別のもっと重要な意味で生ぬる過ぎ。
教師達を矢面に立たせて、世間的にほとんど非難されずにすんでいる人達がいる。算数の教科書出版社。続く
#掛算@a_saitoh@gakeau
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月23日
算数の教科書出版社の件については繰り返し書いています。最近ではリンク先の連続ツイートで簡単に説明しました。https://t.co/couRt9IiH5
#掛算https://t.co/iXhoJtGadS
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
その通り!教師達に算数の教え方を指導している算数教育の専門家と社会的にみなされている人達、そして教師全体に大きな影響を与えている算数の教科書とその教師用指導書に問題がある。
#掛算まとめ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
(1)掛算順序固定強制批判はその根拠が高級そうでなければないほど厳しくなる。この件について批判は厳しい方がよい。高級そうな数学的教養が根拠として必要であるかのように語るたびに批判は生温くなる。
続く
#掛算まとめ続き
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
(2)現場教師を矢面に立たせておきながら、自分自身は世間的にほとんど非難されていない人達がいる。それは、現場教師に算数の教え方を指南する社会的地位についている人達である。特に算数の教科書の教師用指導書の内容にはひどく問題がある。
#掛算最近特に気にしていること。教師になる人は大学生の段階で小2レベルの学力があれば粉砕できるはずのかけ座右重要固定強制の方針が正しいと学んでしまっている場合は少なくないと思われます。小学校の教員免許を取るための教育実習で現場の教師に洗脳されている可能性がある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
#掛算私がツイッターで出会ったナマの例が2つある。まだ学生の若い人達の将来をつぶすようなことはしたくないので、リンクははりません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
掛算順序固定強制が正しい教育方針だと信じていると公言してしまった学生の人はできるだけ早く自分自身が誤りを訂正するべきだと思います。
#掛算昔から現在にかけて、大学での教員養成課程における教育実習や教師になった後のon-the-job trainingなどで、掛算順序固定強制を氷山の一角とするおかしな考え方を学んでしまう人達が再生産される仕組みが稼働し続けています。それをどのようにしたら止められるのか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
#掛算再生産の仕組みが稼働し続けて来たことは確かなのですが、その実態の詳細はよくわかっていません。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
小学校での教育実習や教師になってからの勉強の過程で何が起こっているのでしょうか?
#掛算生ぬる過ぎという話に補足。掛算順序固定強制を擁護している文系的な教養を持っていないと恥ずかしい立場の人物を見付けたら、「掛算順序固定強制を氷山の一角とするおかしな算数の教え方が子供達から読解力を奪っていること」を指摘すると、批判をより厳しくできて好ましいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
#掛算続き。「あなたは文系的な教養があるかのようなふりをしているが、掛算順序固定強制が子供達から読解力を奪っていることさえ見抜くことができないのか!文系のくせに!」と責めるのは非常によいことだと思います。この方向に関しては→ https://t.co/6VMTr8RdeZ
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年11月24日
先日もそれで混乱して算数が大の苦手になったというあまりにもむごい話があった.
掛け算順序固定, こういう子をどう救うのかの対策を示してほしい.
大学新入生向け解析学はどのように進めるべきか: 黒木玄さんツイートから¶
深夜に起きてしまって、もう朝なんだが、この勢いで「自分のことは棚に上げた話」をしてみたいと思う。それは大学新入生向けの解析学(微分積分学)の講義の内容の話。数学科向けの講義ではなく、理学部他学科や工学部向けの講義の内容を念頭に置いた話をしたいと思う。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkurokiよく話題になるのは「ε-δで教えなくなった」という話。私は大学新入生のときに実数論とε-δで微積分を習いました。高木貞治『解析概論』のスタイルを大学新入生向けに完璧に整理してまとめた内容の講義でした。そのときのノートを紛失してしまったことが悔やまれる。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki実数論からε-δへという「伝統的」なやり方はスタイルが決まっており、一貫した思想もあり、そういう意味で教養として十分に価値ある内容だったと思います。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
問題にしたいのはそのスタイルを止めた後の話です。続く
@genkuroki続き。ε-δを止めた後の大学新入生向けの微積分の教科書を幾つか眺めると、どこが面白いのかわからない内容になってしまっていると思います。思想と一貫したスタイルは消えているのに、中途半端に昔の伝統的スタイルの影響が残っている感じ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkurokiε-δは消えても、中間値の定理→ロルの定理→平均値の定理→…というような進み方はそのまま維持されていたりする。それらの定理を教えることに異存はないのですが、各々の結果の位置付けはどうなっているのかなどがぼやけてわかり難くなっているように見えて仕方がない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki大学新入生のときに初歩的な解析学を習ってどのようなメリットがあるのかについて明瞭なビジョンがないまま中途半端に伝統に従っているだけに見えて仕方がないのです。これだと講義をやっている側がつまらなくて仕方がないのではないか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki数学を好きな人がつまらないと思いながら数学の講義を単なるやっつけ仕事としてやることは精神的に不可能に近いことなので、実際の講義は「教科書」とは違って特色のある個性的で面白い内容になっている場合が少なくないと思っています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkurokiしかしつまらない教科書の問題は深刻かも。ε-δを外した後もε-δ時代の伝統的流れを(中途半端に)維持することは、数学を教わる側にとってのメリットよりも、惰性の方を優先していることにならないだろうかと思うのです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki具体的には、工学部などの学生にとって有用な一貫した普遍的な考え方を大学新入生向けの微積分の授業は提供できているのだろうか?
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
多くの教科書は「シラバスに沿った授業」をこなし易くするために工夫されてしまっていて、そういう感じではなくなってしまっている。
@genkurokiそれじゃあ代わりに何をやればいいのか、「一貫した普遍的考え方」とやらの具体的中身を教えて欲しい、という疑問にある程度答えないと以上の不満は単なる愚痴で終わってしまいます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkurokiε-δで解析学を習うと「近似」の概念を様々に精密に考えることの重要性を理解できます。三角不等式のような簡単な不等式の評価方法、Taylor展開に代表される漸近展開、よい等式から有用な不等式が得られること、函数の凸性の利用、などなど。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki新入生以後もまじめに勉強を続けると、新入生のときに習った「計算の例」が普遍的に役に立つツールの入り口になっていることにも理解できる。たとえば ∫_{-∞}^∞ e^{-x^2/2} cos(px) dx は超普遍的ツールのFourier解析の入口。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkurokiこういう話であればいくらでも続けられるのですが、少し仮眠を取りたいので止めておきます。当然知っておくべき基本的な考え方まで戻って、普遍的ツールについて系統的に教えられたらいいだろうなと私は思っています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki新入生レベルの解析学において、ε-δを外しても、評価したい量を(主要な大きな項)+(無視しても害がない小さな項)に分解することおよびそのように分解したと認識することは重要です。そういう考え方は科学全体でも普遍的に重要であり、強調されてしかるべきだと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki数学の授業の利点は「自分でいじれるおもちゃ」を気軽に提供できることだと思います。「(主要な項)+(無視しても害のない小さな項)に分解すること」の例をいくらでも提供できる。自分の手で色々計算して感じをつかめる例を提供できます。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki大学新入生のとき(もしくはそれよりずっと前に)Taylor展開について知ったときには感動するべきだと思う。Taylor展開は、科学全体で普遍的に重要な「(主要な項)+(無視できる項)への分解というものの見方」の数学的な例になっているからです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
@genkuroki微積分がどう使われているかについて無知だと、中途半端に伝統を引きずった教え方で終わってしまう可能性が高いと思う。教える側は様々なことについてたくさん勉強する必要がある。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年8月24日
https://t.co/OA4jBtppKv
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年12月1日
今日見つけた!とてもうれしい!
https://t.co/x4Sl1uWoDL
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年12月1日
私のような大学で数学を教えている人は数学がどのように使われているかについて知らないとまずい、という話をしていた。算数教育についても私はこういうことを言っている。数学を教えるためには応用先についても知らないとダメという当たり前の話。
大交わす1年のときの微積分のノートが見つかってうれしいという話をしましたが、そのノートは縦に半分折りになって大量のノートの山に挟まっており、山の外から見えなくなっていました。今日、山を全部崩す機会があって偶然見つけた。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年12月1日
私もこういろいろと遊んでみよう. とりあえずは中高数学駆け込み寺からだ.
黒木さん発言録: 掛け算にみる数学探求¶
本文¶
黒木さんが今回もいいことを言っている.
#掛算算数(実際には数学的なこと全般)について勉強するときに注意した方がよいこと(超一般的な話)について書きます。「算数の(もしくは数学的な)何かについてよく理解していること」と「ある街についてよく理解していること」は似ています。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 21
#掛算続き。たとえば自分が住んでいる街について「○○市役所に行って××の手続きをする」とか「キャベツと豚ばら肉を買って来い」というような問題が解けることは重要です。算数でも簡単な練習問題は解けないと困ります。しかし、与えられた問題と解くだけでは街を理解することはできない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 21
#掛算続き。街について理解するためには、街の中を自分のセンスでうろうろ歩き回ってみる必要があります。様々な発見をすることでしょう。街の様子を十分に知っている人はその街で暮らすために解かなければいけない問題は当然のごとく容易に解いてしまうことでしょう。これは算数でも同じ。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 21
#掛算続き。たとえば街の中を十分に散策した人は「ああ、それはこの辺にある××という店に行けば売ってますよ」のように容易に答えられる。それと同様の感覚で掛算の街で十分に遊んでみた子供は結構にぎやかな掛算の世界のどの辺に3×7=21が住んでいるかを直観的に理解sすることになる。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。ときどき、算数だけではなく、国語もわかってなさそうな人が、「3×7=21」の話をすると、「子供を単なる九九の計算マシンにするつもりなのか」のような馬鹿丸出しの反応を示すことがあるのですが、にぎやかな掛算の街を散策すれば決してそんなことにはならない。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。街を十分に散策した人がその街におけr「おつかい」を効率的にかつ楽しくこなすことができるのと同じように、掛算の街を十分に散策した子供はつまらない計算問題でさえ効率よく多彩な方法でしかもイメージ豊かに解くことができるようになっているわけです。続く
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。「○○市役所に行く」ためには多彩な方法があるのと同じように、算数でちょっとした計算をする場合であっても多彩な方法があるのです。街の様子を理解している人にとってはおつかいをすることは超簡単。算数の世界の様子を理解していれば計算も当然易しくできるようになっています。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。そして、街の様子を理解していなくても、ある決められたパターンのおつかいを効率良くこなせるようにはなれます。そのある決められたパターンのおつかいの解決方法だけをおぼえればよい。でも、これは楽しくないし、効率も悪いやり方なんですね。止めた方がよいです。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。もちろん、「××の手続きは○○市役所の△△でやる」というようなことを教えてくれるマニュアルを利用するなと言っているのではありません。自分が知らないことは何かで調べないとダメ。そして、街の様子を理解するためには自分の足で歩き回る経験がないとダメ。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算続き。街の様子を理解したければ、すでに街のことをよく知っている人の話を聞くことも重要です。これは算数(および数学的なこと全般)でも同じ。何か算数(や数学)だから理解のために特別なことがあるとは思わずに、普段我々が街の様子を理解するためにやっている通りのことをやればよい。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
#掛算街のなかをぶらぶら歩くと一日まるごと時間を取られることは少なくありません。実はこれ算数でも同じ。もっと難しい数学だとなおさら時間がとられまくり。これだけはどうしようもない。自分の足で歩くんだから、時間は大量に必要。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 5月 22
参考にしたい.
ラベル¶
数学, 算数, 数学教育
線型代数は体上の加群を越えた何かである: 黒木さんツイートまとめ¶
はじめに¶
次のツイートに対する Paul のコメントに引き続き黒木さんコメント.
A「線形代数は、和とスカラー倍について保存するような構造である『線形性』を扱う数学です」
— 足跡45(なんかかく) (@ashiato45) 2016年9月14日
「なんだ数学オタクの数遊びか…」
B「線形代数は数の表から重要なデータを取り出したりする、人工知能や統計学にも応用のある数学です」
「人工知能とか日経で読んだ!実用的!」
もちろん日経とか出して半分冗談なのですが、ぼくのなかでは「線形代数は数表から重要データを取り出せる」というの、すごい大事な一面な気がしています
— 足跡45(なんかかく) (@ashiato45) 2016年9月15日
数の表から重要データを取り出す、嘘はついていないはず(固有値は線形代数の重要概念だし)
— 足跡45(なんかかく) (@ashiato45) 2016年9月14日
@ashiato45 人工知能どころか画像処理を含めてロボットの制御等は線形代数を使わずには成立しないので問題無いかと
— OZ-Rick_mover (@J7_Revolution) 2016年9月14日
黒木さんツイート¶
#数楽 https://t.co/AExOg70LgB
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
少し進んだ数学の視点から線形代数について理解しようとしているように見える学生にときどき言うこと→社会的に線形代数という名のもとで教えられている数学の中には「環上の加群の理論」の特別な場合に含まれない大事な項目が含まれている。
#数楽 科目名の「線形代数」というラベルに「線形」という単語が含まれていても、実際に教えられる内容には単純に線形とは言えない項目が多数含まれている。佐武一郎著『線型代数学』を見ればそのことは明らか。ラベルに含まれている単語に騙されずに数学的に大事なことを素直に勉強する方がお得。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 「体上の加群」という特殊なアイデアにこだわらずに大事なことを含める努力をしている教科書として、長谷川浩司著『線型代数』もよい(よくすすめている)。「行列の指数函数」「行列式と体積の関係」などなどはとても基本的な話なので線形代数の名のもとで触れておくべきだと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 あと、幾何的な回転を具体的な線形変換で表現できることだけではなく、3次元の回転全体SO(3)が3次元実射影空間に同相であることなども「線形代数」として知っておいて損がない知識。「体上の加群」という見方は1つの特殊な見方に過ぎないという理解はとても大事。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 ラベルが主になって、数学的内容が従になってしまってはつまらない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
少し進んだ数学の存在を普及している「ラベル」経由で知ってしまった人達は注意しないとかなりの時間を無駄にしてしまうので要注意。
ラベル選択は数学的事情ではなく、社会的・歴史的事情で決まっていることが多い。
#数楽 そうそう、内積の話も「線形代数」では重要。線形代数の名で教えられているまさに「線形」っぽい結果はなんらかの適切な意味で「よい基底が存在する」という形式になることが多いのですが、特殊函数論などでは「よい基底の構成」が「よい内積の構成」を経由することが多い。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 教養の一部として教えられている数学については、ひとことでこれだと要約することはちょっと無理だと思う。特に特定の特殊なアイデアのもとで一般化・抽象化された数学の視点からの要約には無理がある。線形代数しかり、微積分しかり、…。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 ジョルダン標準形について「単因子論」=「PID上の有限生成加群の理論」の特別な場合という理解だけになってしまい、冪零行列全体がどれだけ重要な数学的対象であるかについて何も知らないということになってしまうのは寂しい。佐武さんの教科書では冪零行列の分類をやっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 もっと簡単な話として、3次元空間の回転全体を2×2の複素行列で表現できること(SU(2)の話)とか、SU(2)は3次元球面に同相だとか、SU(2)はハミルトンの四元数体の絶対値が1の元全体と同一視しできるとか、こういう話も線形代数の名のもとで知っておいて損がない。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 あと、SU(2)の共役類全体の集合とその元のトレースの2分1全体は同一視でき、SU(2)から共役類全体への全射はR^4内の単位3次元球面から1次元部分空間への射影と同一視できるとか、3次元球面上の一様分布の1次元部分空間への射影は佐藤・テイト予想に出て来るとか。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 より進んだ数学の視点からも「線形代数はおおむね環上の加群の理論の特別な場合である」という発想はきちんと「捨てるべき」だと思う。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
#数楽 個人的な意見→ある特定のアイデアの下で一般化・抽象化された理論に基いて要約できないという状況は教養科目の場合に限らず数学ではむしろ普通であり、数学科での一部の授業の方が「異常」なのだと思う。しかし、「異常」なやり方で情報を選択・圧縮しないと講義で知識を伝えることは困難。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
佐武一郎『線型代数学』¶
次のツイートを見ると佐武一郎『線型代数学』を読んでみたくなる.
#数楽 ジョルダン標準形について「単因子論」=「PID上の有限生成加群の理論」の特別な場合という理解だけになってしまい、冪零行列全体がどれだけ重要な数学的対象であるかについて何も知らないということになってしまうのは寂しい。佐武さんの教科書では冪零行列の分類をやっている。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2016年9月15日
線型代数の攻撃力は高い.
黒木さんによる某 S 先生の追憶と量子化された $\tau$ 関数とかけ算と¶
はじめに¶
引用¶
学部 3 年~4 年のときに某 S 先生が二年続けて集中講義に来たのだが, $1,2,...,n$ ではなく常に $0,1,...,n-1$ とする主義を徹底していることにびっくりした. ぼくは $1,2,...,n$ がいいと思う. ぼくはいまだに $\tau$ 函数 (ただし量子化 (←超重要) されたやつ) を研究している.
無限自由度可積分系 (ソリトン系) の $\tau$ 函数の量子化は場の量子化なのでを現時点では大変過ぎに感じる. しかし, ソリトン系の有限自由度への簡約のいちパターンであるパンルヴェ系の $\tau$ 函数であればとても綺麗に量子化できる場合がある. (俺しかやっていないのでできていない場合も多い. 謎だらけ!)
現時点で量子化できているパンルヴェ系の $\tau$ 函数は対称化可能 GCM に付随する野海・山田 arXiv:math/0012028 の $\tau$ 変数への Weyl 群作用の量子化. $\tau$ 変数への Weyl 群作用の結果の正則性 (従属変数 $f_i$ について多項式になること) の量子化も証明できている.
パンルヴェ系のパラメーターはコルート $\alpha_i^{\vee}$ に, $\tau$ 変数 $\tau_i$ は基本ウェイトの指数函数 $\exp (\Lambda_i)$ に, 従属変数はシュバレー生成元 $f_i$ に対応している. 量子化するためには全部適切に非可換にしなければいけない. シュバレー生成元の非可換性はセール関係式. 続く
続き. 問題は基本ウェイトの指数函数 $\exp (\Lambda_i)$ に対応する $\tau$ 変数 $\tau_i$ にどのような非可換性を入れるのが正しいのか. これがなかなかわからなかった. わからなかった理由はパラメーター $\alpha_i{\vee}$ たちがすべてと可換 (中心元) だという先入観である. 続く
続き. 基本ウェイトはコルートの双対基底である: $\Lambda_i, \alpha_j^{\vee} = \delta_{ij}$. 普通の量子力学ではこういう場合は $\Lambda_i$ は $\alpha_i^{\vee}$ の共役運動量だということになる. 素直に考えれば $\Lambda_i$ の量子化は $\partial / \partial \alpha_{i}^{\vee}$ である. これで正解. 続く
中略
続き. ある種の $q$ 差分版の Weyl 群双有理作用の量子化は長谷川さんの http://arxiv.org/abs/math/0703036 で構成されている ($q$ 差分化と量子化を厳密に区別していることに注意). ぼくの量子展開環版の Weyl 群双有理作用は長谷川さんの作用をそのままでは再現しない. しかし, 続く
中略
続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く
中略
続き. 以上のような話を来週の 2/15 (土) にする予定です. 詳しい情報はリンク先にあります. https://sites.google.com/site/seminaratkomaba/ …
かけ算¶
続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く
ラベル¶
数学, 数学者, 可積分系
作用素環周辺の数学・物理・数理物理の話:表現論とか何とか¶
本文¶
久々に物理に近いところの話をしたので.
純粋状態って言うと, 「物理の純粋状態」と「物理の純粋状態 2 つの pairing で表される作用素環の純粋状態」のどっちのことか分からんな. 両者は違うものだよね?
@non_archimedean よくわかっていないのですが後者, 必ず作用素環的な純粋状態になるのでしょうか. 「物理の純粋状態」の定義も気になるところですが
@phasetr 物理の方は物理量を表現する作用素が作用しているヒルベルト空間の正規ケットベクトルのつもりでした. それのコピーの (と書き忘れました) 2 つのブラケットで表される作用素環の純粋状態とどう対応するのか, という話ですが, 冷静に考えて GNS 構成がありましたね.
@phasetr 暗に「物理のヒルベルト空間は可分である」ことを課して書きました. 非可分なときも純粋状態が正規ケットベクトルだと思っていいのかよく知りません.
@non_archimedean 適切な回答になっているかよくわからないのですが考えをブログにまとめておきました http://phasetr.blogspot.jp/2014/05/p-bot.html
@phasetr どうもありがとうございます! また言葉足らずだったのですが, 僕が作用素環論と比較したのは, 物理量が有界な領域でしか値を持たない状況のみを考えていたからでした. つまりここで対応する作用素環は物理量が表現する有界作用素が生成する最小の C*環の意味でした.
@phasetr 量子論的には非有界な物理量のほうが自然だと思われますが, 非有界物理量を集めても作用素環にはならないため作用素環的な純粋状態が定義できるかよく分からなかったです.
@non_archimedean 代数的場の量子論の物理サイドの定式化からすると, 実際には有界な範囲でしか観測できないのでその現実を取り入れた理論, と言う言い方をします. 数学的実対応としては $e^{itA}$ とかレゾルベントを考えることで非有界 (自己共役) 作用素を有界にします
@non_archimedean レゾルベントの方は数年前に Bucholz が少しやり始めましたがやっている人はほぼいません. 指数に載せる方を Weyl 代数といって, いわば代数解析にもある Weyl 代数の無限変数版です. 表現論的に微妙な問題があって同じとは言いづらいですが
@non_archimedean あまり多くはないですが, 定義域などを適当に制御した非有界作用素がなす環それ自体を研究している人もいます http://kaken.nii.ac.jp/d/r/00161795.ja.html
@phasetr 定義域を制限する定式化もあるのですね! レゾルベントで非有界作用素を見るのは古典的なボレル関数解析がそうなので結構歴史が深そうですね. Weyl 代数というのは初めて聞きました.
@non_archimedean 定義域の制限は, 量子力学で言うなら $C_c^{\infty}$ が大体の作用素の共通の定義域に取れることをイメージしつつ, 場の理論でもある程度そういう風にできる話はあるからそれを使ってやってみようという感じです
@phasetr 「大体の」というところがどことなく深いですね. 物理量はおおよそ可微分緩増加関数や微分作用素の組み合わせになるといった感じの経験則がありそうですね. (フラクタルのように各点微分不可能な関数に対応するような物理量があっても面白そうですが)
@non_archimedean クーロンポテンシャル $1/r$ とかレナード=ジョーンズ・ポテンシャル $r^{-12}-r^{-6}$, 2 体系のクーロン相互作用 $1/|r_1 - r_2|$ などがあるので微分可能性が必ずしも期待できず適当な特異性を持つことはよくあります
@phasetr あ, それくらいの特異性についてはあまり気にしていませんでした. 実は最近, スピン構造付きリーマン多様体 (≒重力場 + スピン場) を量子化して $Z_p$ が得られる的な論文を読んでいて, そこでは可微分関数に類するものがないので物理量が激しくガタガタ動く感じだったので.
@non_archimedean 私の分野だと非有界作用素のさらに無限和 (粒子が無限個あるのでクーロンだとしてもその無限和が出てくる) とかそういう部分の制御で手一杯で, そこまで突っ込んだことができていません. あまり面白い方向の話に乗れず申し訳ないのですが
@phasetr さらに無限和ですか・・かなりハードな解析ですね. それでもとても参考になりました. ありがとうございます.
そういえば Entanglement Entropy って $C^*$ 環の言葉で定義されてるの
@anairetta 調べといて教えてね
@ad_s_c 数学的にも面白そうな気がしますよね. とうことでよろしくお願いします.
@anairetta @ad_s_c http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1859-05.pdf 量子スピン系くらいなら一応あるにはあるらしいですが, 物理で期待されるレベルの理論が展開できているかはかなり怪しいのではないでしょうか. いつもの話ですが
え, 難しいんですか. . .
@anairetta かなり雑ですが少し書いておきました http://phasetr.blogspot.jp/2014/05/p-bot.html 難しいと言うより物理の定義をきちんとうまく吸い上げられる純粋状態の数学的な定義がよくわからないと言う感じなのではないかと
@anairetta 最近, 田崎さんも論文を書いていたりしますが, 量子統計で純粋な平衡状態とかあるのでそういうのもきちんと勉強しないとアレっぽいと思いつつ全く出来ていないのでうまく説明出来ないのですが
@phasetr 量子統計の方では, 考える環を「マクロ物理量のなす環」に制限すると熱平衡状態が純粋状態として表せる, という話があると聞き及んでいますが, その時の純粋状態というのはヒルベルト空間の元に対応するもののことをいっているはずで, (つづく)
@phasetr このときは 環が小さすぎるせいで熱平衡状態と区別できない純粋状態を構成できてしまう, ということですね.
@phasetr 数学的にどうなっているのかよくわかりませんが, たぶん環 $A$ の $B (H)$ への表現をとってきたときに, 等価なものの間で $A$ の純粋状態が $H$ のベクトル一つでかけたりかけなかったりする, ということだと思います. たしかに一般の $A$ にここらへん状況を調べるのは難しいでしょう.
@phasetr 僕が気にしていたのはたぶん環が $B (H)$ そのものである場合なんだと思います. その場合には by def な気がするのであのような発言をしてしまいました.
@anairetta ありがとうございます. 量子力学の場合だと環が $B (H)$ 全体と思ってやってもある程度どうにかなる部分はあるらしいのですが, 場の理論だとそれがまずいとか言う話で, いまだに (私が) あまりきちんとわかっていないと言う状態です
@anairetta 私はあまり一般の環には興味なくて, 具体例に対する環というか表現と言うかもっと強く作用素論に興味があるのですが, まず最低限必要な基底状態・平衡状態きちんとありますかレベルの研究なので, そんな詳しい所まで研究進んでいないと言うイメージです
@phasetr 場の量子論だと赤外紫外の正則化がいるので, 簡単にいかないことは想像がつきます. エンタングルメントエントロピーのほう, 資料ありがとうございます. こちらは場の量子論の場合は物理レベルでも満足の行く定義がない状態なので数学としてはどうしようもないだろうと.
数論方面と言うか他の分野の数学, 格好いい話がいろいろ出てくるようで羨ましい. それでも一番知りたい, やりたいのはあくまでも今やっている死ぬほど地味なことだが. 一度気になってしまったらもう駄目なのだ. そういうものらしいのだ
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 作用素環, 作用素論, 数論, 量子統計, 場の量子論, 量子力学
表現論 (文学ではない) と解析学: 入門的なアレ¶
はじめに¶
解析系の学生が表現論をちょっとやってみたいとかいうので, いくつかアタックしやすそうなラインを勧めておいた. この辺だ.
ツイート引用¶
@yukimi_go まずはストーンの定理とか半群理論とかやるといいのでは
@yukimi_go フーリエ解析も表現論なのでその辺からやって行く手もある説
@yukimi_go 色々ありますが, PDF だと http://web.sfc.keio.ac.jp/~kawazoe/SK%20awazoe.pdf とか http://krishna.th.phy.saitama-u.ac.jp/joe/sotsu/Yoshnaga2009.pdf. はじめから調和解析と言えばよかった説. あとこれも参考に http://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c147f6ab740cf0c0968882d347f3bb0
コメント¶
表現論は私自身もよく知らないのだが, 専門は $C^*$ 環論の表現論と強弁することがある. また対称群周りの表現論はボソン, フェルミオンとの関係で使うし, $\mathbb{R}$ のユニタリ表現は時間発展との関係で出てくる. Lorenz 群や Poincare 群も相対論的場の量子論で使う. Haar 測度などもまともに勉強したことないが, 勝手に使っている. どこかで勉強したいとはずっと思っているのだが.
参考文献¶
文献へのコメント¶
小林, 大島先生のは東大数理でも使うレベルの本格的な本だ. 第一分厚い.
色々書いてあるので眺めていて面白いのは間違いない. 杉浦, 山ノ内本は数学というより物理向けの本だろう. 数学的にきちんとした本だが, 山ノ内先生が物理の人で, 表現論周りのことをしていて物理の人でも読める本を, ということで書かれた本だった気がする. 読んだことはないのだが, 読んでみたいということで入れておいた. あとは新井先生の本で, 量子力学, 場の理論周りの話が書いてあるので入れておいた.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 表現論, 解析学, 量子力学, 場の量子論, 量子統計
(楕円型) 非線型偏微分方程式という言葉が通じずに衝撃を覚えた記録¶
はじめに¶
ここで次のようなしょうもないことを呟いたら RT 経由で個人的に衝撃的なリアクションを頂いた.
図解雑学 楕円型非線型偏微分方程式
リアクション¶
リアクションというのは これだ.
非線形楕円型偏微分方程式とは
語順が変えられている上に線型の字も変わっているが, とりあえず次のやり取りをした.
やりとり¶
@_handyfox 楕円型の偏微分方程式と非線型偏微分方程式を両方調べて頂ければ良いのですが, とりあえずこんなサイトとか
@phasetr ありがとうございます. 何だかとっても特殊なものかと思ってました 組み合わせなのですね, こんなサイトがあるのも, 知りませんでした
@_handyfox 楕円型はともかく, 非線型の「線型」は線型代数の線型なので, 特に難しいことないと思ったのですがそれはともかく, 流体のナビエストークスだとか応用上大事な方程式がたくさんあります. 学部くらいで出る方程式は, 非線型だと扱うのが大変なので線型化した物を扱うのが主です
@phasetr はい, 私ら電気系学科の出身だと, 電磁気学で習うような代物だと思います. 非線形は記憶にないだけかもしれませんが, やらなかったような気がいたします. 「楕円形」がよくわかりませんでしたが, 式でわかりました w
@_handyfox 一応書いておくと, 楕円型 (楕円形だと意味が変わってしまいます. form ではなく type の意味なので) というのはラプラシアンみたいなものです
@phasetr メモメモ 気を付けます. ラプラシアンですか, 感覚的になんとなくつかめます.
コメント¶
正直, ありとあらゆる意味で分かってもらえていないと思っているのだが, それはともかく, 電気系の方に楕円型はともかく「非線型」が通じないというのは衝撃的だった. 楕円型も勝手に字を変えられていること, それはそれで衝撃なのだが.
非線型光学というのがあり, レーザー, 結晶や光ファイバーなども関係があるし, 非線型素子という言葉もあるくらいなので電気の人なら馴染みがあると勝手に思っていたのだが, そうでもないようだ.
別にリプライ先の方が不勉強だとか愚かだとか言いたいのではなく, 他学科における (非線型の裏にある) 線型性に関する認識, 想像以上に低いのでは, という危惧を抱いたからだ. 例えば機械工学周りの人なら流体などで非線型の方程式をがんがんぶん回すので, 同じ感じで線型・非線型という言葉はある範囲の工学系の人にはかなり自由に使ってよさそうと思っていたが, 結構まずそうだ. ある範囲には電気系も入っていると思っていたので想定外である. 電気系と言っても広いと言ってしまえばそれまで, とも言える.
だからどう, というのもあまりないのだが, 何かどこかでやるときの参考になるかもしれないと思い, メモを残しておきたい.
ラベル¶
数学, 物理, 工学, 線型代数, 解析学
原始, 数学は人文学であった¶
はじめに¶
我らが伊藤ベクさんが次のようなツイートをしていた.
数学系の人らの反応待ちみたいな所はありますね http://mojix.org/2013/03/02/suugaku-jinbun
一言でいうと「どうでもいい」というのに尽きるのだが, やはり折角なので何か書いておきたい.
コメントその 1¶
学問はしばしば, 「自然科学 (natural science) 」, 「社会科学 (social science) 」, 「人文科学 (humanities) 」の 3 つに分けられる. この 3 つのなかで, 数学はどこに属するだろうか.
はじめに書いた通り, どうでもいい. 強いていうなら人文学と思ってはいるが, 引用している文章の著者とはまるで違う理由でそう思っている.
コメントその 2¶
「もちろん自然科学でしょ」と答える人が, おそらく多いだろう. しかし, これは間違いである. 数学は, 自然科学には欠かせないものだが, 数学自体は自然科学ではない. 自然科学は, 人間が作ったものではない「自然」というものについて, その性質や規則性をさぐるものである.
数学は自然科学に欠かせないというの, どういう意味なのだろうか.
詳しくないので実にアレだが, 特に古い時代の博物学には数学を 必要としない結果もあるような気がするが, そういうのはどう思っているのだろう.
自然科学という言葉自体が粗すぎるのと「数学は, 自然科学には欠かせないものだが, 数学自体は自然科学ではない.」という言葉が 陳腐過ぎるのとで大分アレな印象を受ける.
次の文で「その性質や規則性をさぐる」とあり, 規則性という部分では数学が役に立ちそうな気がしないでもないが, 性質の部分では数学いらないことたくさんあるのでは感があり, そこにも世界の悲しみを感じる.
人によっては, 数学の人でも 「数学は自然科学」という人がいることは付け足しておこう.
あと第 4 文, 何となく 科学哲学の人達 (の一部) が怒りそうな気がするがいいのだろうか.
そもそも自然科学自体が自然哲学の出来損ないという観点から 人文学と強弁したいのだがそれは駄目なのだろうか. 気になって仕方がない.
コメントその 3¶
いっぽう, 数学はすべて人間が作ったものであり, 一種の言語体系である. 数学は自然に属してはいないのだ. よって, 数学は自然科学ではない.
これは人によっては猛反発しそうな印象を受けた. この文章内では【自然科学は, 人間が作ったものではない「自然」というものについて, その性質や規則性をさぐるものである.】としか規定していない.
自然という言葉の使い方の問題になるが, 自然科学の対象としての自然より 数学の対象としての自然の方が自然に感じる人にとって, 「数学は自然に属していない」というのをどう取るだろうか.
「【よって】じゃねえ」感ある.
「一種の言語体系」というのはどういう意味で使っているのだろう. 私は数学に対して気持を表現するもの, という一面を感じているのでその意味では一種の言語という感覚はあるが, この感覚が共有できている気がしない.
他人の話しかしていないので 私の感想をいうなら「うるせえ」の一言に尽きる.
私にとって数学は『マリア様がみてる』の蓉子様のプティスール見解的な意味で心の支えなのであって, 自然かどうかなど知ったことではない.
あと私にとって, 研究する上での「数学」は むしろ「数理物理学」であって自然科学の色彩が極めて強い一方, 上記「心の支え」としての「数学」は, 何というか「数学」で数学の世界, 数学的自然の中を旅しているような感覚がある. この辺, 自分でもよく分からないので正に「よく分からない数学」という感じ.
さらによく分からないのだが, 『数学は自然に属してはいないのだ. よって, 数学は自然科学ではない.』の 2 文で, 前者では「数学」という言葉が研究対象を指す言葉として使われていて, 後者では『その性質や規則性をさぐるもの』という学問の内容として使われている. その辺の二義性みたいなのはどうなっているのだろう. せめてそのくらいははっきりさせてほしい.
コメントその 4¶
数学が自然科学ではなく, また社会科学でもないとすれば, あとは人文科学しかない.
人文学ですらなく数学は数学と言うのは駄目なのか. 無理に既存の分類に入れる必要ないと思うのだが. 「自然」の定義がよく分からないので, 定義次第で私は数学を自然科学に入れていいとも思う. もっと言うなら自然科学は人文学に入れるよう強弁したいところだが.
コメントその 5¶
じっさい, 数学は一種の言語体系なのだから, 哲学や言語学といっしょに人文科学に含めても, それほどおかしくはない. 数学と同じく, 論理学やコンピュータ科学なども, 自然科学ではない. よって, これらも人文科学に入れるしかない. しかし, こういうものを人文科学に入れるのはちょっと違う気がする, ということで, 「形式科学」という分類があるようだ. 私はこの分類があまり好きではないが (関連:「「形式科学」なる概念があるそうだが, 数学は科学なのか? 」), 人文科学のうち, 論理的整合性を重視するものをそう呼ぶのであれば, わりと納得できる.
とりあえず, 数学が一種の言語体系という合意はどこで取ったのか. 論理学, もともと哲学の一分科だと思っていたので, 自然科学と言われた方が衝撃的だし, 人文学に入れるのは違う気がすると言われる方がもっと衝撃的だ. あと, 上記引用中の最終文を読んだときに世界の嘆きが聞こえたことをお伝えしておきたい.
疲れたので, いつも通り適当なところで切り上げよう. ぱっと読んでざっと書いたのでそこまで含めて 実に適当である, という予防線を張っていく社会人の態度で臨んでいきたい.
ラベル¶
数学, 数理物理
$\varepsilon$-$\delta$ と無限と極限と¶
本文¶
ちょまどさんにリプライしたのをひさこさんがふぁぼっていて爆笑したのでそのツイートを記録しておこう. このツイートとこのツイートだ.
とりあえず, $\varepsilon$- $\delta$ 論法は「高校までの lim より詳しく極限を表す方法」という理解で先に進むことにした 詳細
市民 (相転移 P) @phasetr @chomado $\varepsilon$- $\delta$ ($\varepsilon$-$N$), 基本的には出力から入力を絞り込むという発想です. 試験で 100 点取りたければたくさん勉強しなければいけない ($N$ 大きい) が, 40 点でよければ少しでいい ($N$ 小さい) とかそういう感じ. 普通の人には地雷らしいので気にすること無いと思いますが
そしたら無限にそうめんを食べ続けられてしまう
@chomado http://ja.wikipedia.org/wiki/ゼノンのパラドックス 古代からゼノンのパラドクスとして有名な話がありますが, 時間的な無限と長さとしての無限を混同していないでしょうか
$1 + 1/2 + 1/4 + 1/8 + 1/16 + \dots = 2$ (に収束) ってやつを見て, それは 2 メートルの素麺を半分ずつ分けて食べていったら (最初 1m, 次は 0.5m, その次は 0.25m) うまく説明できる, って話を思い出しました. でもなんかしっくりこないなあ
深谷先生の『数学者の視点』にもこの辺の無限に関する話が少し書いてある.
「ここで言いたいのは昔の人が愚かだったという話ではなく, 無限というのはそれだけ難しいということだ」という感じのことが書いてある. 前にもこの本の感想を書いた {target=_blank}が, 興味がある向きは読んでみてほしい. というより, むしろこの本を買って読んでほしい.
念の為に書いておくが, この本を読んでも無限のことが分かるようになるわけではない.
ラベル¶
数学, 無限, 極限
Alan Sokal による Baire のカテゴリ定理抜きの Banach-Steinhaus の定理の証明¶
本文¶
Baire のカテゴリ定理を使わずに一様有界性原理を証明してる人がいた (http://arxiv.org/abs/1005.1585). やばそう
誰かと思ったら Alan Sokal だった. これは ソーカル事件, 『「知」の欺瞞』の Socal だ.
証明について¶
5 ページしかないので興味がある向きは直接確認してほしいが, 対偶を示す形で証明している. ちなみに歴史的経緯を含め, 証明まで 1 ページしか使っておらず, 証明本体は半ページしかない. Hahn と Banach によるオリジナル論文ではこの線で証明しているらしいが, もたついている部分があるとのこと. また標準的な Baire のカテゴリー定理を使う証明では仮定自体をもう少し緩められることを注意している.
ラベル¶
数学, 関数解析
茂木健一郎御大の衝撃的なほど下らない見解を見た¶
はじめに¶
本当にしょうもない見解があった.
ツイート¶
らぞ (6) ネットがあれば, 大学は要らないか. よっぴーとの間で, あっという間に「いらない」と結論が出ちゃった. OCW を見て, ネット上で議論し, google scholar で論文を読み, 動画で上がっている lecture を見れば, へぼ大学の授業よりもよほど密度の高い学びができる.
コメント¶
数学なら一応 arXiv があるとはいえ, 現実問題としてアクセスできない論文はたくさんある. それはそれとして, こういう意見がついていた.
@kenichiromogi (1) 知識はウェッブ上で充分得ることができると実感します. ですが, 学問・研究のトップアスリートの本気レクチャーを生で受け取る「質感」と 自分が揺り動かされる「衝撃」はウェッブで得られるのでしょうか? レクチャーの内容自体はウェッブ上でむろん視聴できる.
@kenichiromogi (2) 先日 6/13, 望月新ー教授 (ABC 予想を解決したと言う論文をウェッブ上に発表した数学者) の講演を生で聞き, 内容はほとんど理解できない (私は実験物理系の企業技術屋) にも関わらず, 「強烈な質感」を感じて, 私も自分の勉強をさらに深めようと決意.
@kenichiromogi (3) 望月先生の講演は, 訥々淡々としながらも「磁力」がありました. この体験の場となった東大 (駒場) と, 京大 (望月先生の所属) に感謝しています. 話し手の持つ「強い磁力」は, 現状の技術では, ウェッブより「生の出会い」がはるかに影響力を持つと実感.
正にこれで, 現状の技術では場の空気が共有できない. 何でもいいが, スポーツ観戦や音楽のライブがいいのだろうか. 確かにこれらは家でも見られるが, 会場で一体となる臨場感は違う. あと, 気持の上で「わざわざお金を払って見に行った」というのものめりこむのに大きく効くのだろう.
こういうしょうもない Web 万能論, 本当に下らない. 少なくとも現状の Web, 満足できるレベルの講演録とかあまり置いていない印象ある. 私が学生の頃, たまたま就職の面接がある日に Fields 賞を取った Yau が講演に来ることが分かり, 分野は全然関係ないが生で Yau を見てみたかったから, という理由で交渉して面接日ずらしてもらったことがある. この間, 理研で理論物理学者の展示をやったという話があったが, それと同じで現状, 生というのは気持の上でまるで違う.
茂木御大は「自分はそう思わない」というのならそれはそれでいいが, こういう部分に気が配れないというのでは web 上の学習に未来はない. 最近企業でも e ラーニングというのが浸透してきているが, ここでも 1 人で黙々と画面に向かった学習をするということで, モチベーション維持がかなり問題になっていると聞いている.
強烈なモチベーションが勝手に湧いてくるタイプの人間ならいいが, 一般ではそうもいかない. 数学は心でやるものだと何度だって言い返せる.
大学のいいところは個人で頑張らなくても, 専門家が本や人, 環境が揃えてくれるのがいい所. 金と時間をかけてでも整備する価値がある.
ラベル¶
数学, 数学教育
Hahn-Banach を使った Markov-Kakutani の不動点定理の簡単な証明¶
本文¶
チャーハニスト鈴木と次のようなやりとりをしたのでその記録をしておきたい.
あそうだ, セミナーのノート整理してて思い出した. 【ゆるぼ】 Markov-Kakutani の不動点定理の主張が書いてある pdf (和洋文問わず)
@mszk_p きちんと読んでおらずさっと見つけただけですが http://page.mi.fu-berlin.de/werner99/preprints/markkaku.pdf などはどうでしょうか. ちなみに filetype:pdf として検索すると pdf だけ引っかかるようになります
@phasetr そのオプション知りませんでした. どうもありがとうございます.
PDF は Dirk Werner による『A proof of the Markov-Kakutani fixed point theorem via the Hahn-Banach theorem』というタイトルの文章だ. 2 ページしかなく難しくもないので興味がある向きは読んでみてほしい. 定理も引用しておこう.
引用¶
Theorem¶
Let $K$ be a compact convex set in a locally convex Hausdorff space $E$. Then every commuting family $(T_i)_{i \in I}$ of continuous affine endomorphisms on $K$ has a common fixed point.
次の補題を挟んで証明する. この補題を Hahn-Banach を使って鮮やかに示すというのがポイントだ.
Lemma¶
Let $K$ be a compact convex set in a locally convex Hausdorff space $E$, and let $T \colon K \to K$ be a continuous affine transformation. Then $T$ has a fixed point.
不動点定理, 楽しい.
ラベル¶
数学, 解析学, 不動点定理
色々な解析学¶
はじめに¶
先日, 数学専攻で解析系に進もうとしている学部 3 年生に会ったのだが, そのときに少し話したことをまとめておこう. 何か色々あって指数定理に関する話として擬微分作用素の本を読んでいるとのことだった. 勉強ということに制限していうなら, full general なところからではなくもっと簡単な多様体上の楕円型作用素, とくにラプラシアンからやればいいのでは, というところから始まったのだが, 専門との関係で何をしようかという話にもなったのでその辺について知っている限りのことを話してきた. 適当な連想ゲーム感覚で適当に話した. もっとこんなのもある, という話もあるだろうが, とりあえず私が知っている範囲ということで.
擬微分作用素¶
まず擬微分作用素自体だが, 関数解析的な方からのアプローチもあるが代数解析的なアプローチもある. 指数定理の話が出たが, このラインで Atiyah が K-theory の方で von Neumann 環レベルで議論していることもあり, その辺から作用素環と作用素環的 K 理論も紹介した. ごく最近だとどうなのかは知らないが, Blackadar の有名な本がある.
作用素環・作用素論¶
そうなるとそもそも作用素環自体が解析学として浮上してくる. 非可換幾何や葉層構造, 結び目など幾何への応用は他にもある. 量子統計や場の量子論など物理との関係もあるし, むしろ私がこの辺にいる.
物理との関係ということでは色々あるが, まずは作用素論を出した. 量子力学方面でスペクトル解析などがある. 他にも有界線型作用素に関して正規作用素周辺の話でまだまだ研究がされている.
作用素不等式¶
作用素不等式という話題もある. これは行列レベルでも難しい話がある. 物理関係の話もあるが, 数学的にも大事なところがある. 実は竹崎先生にも言われたことがあるのだが, 作用素環で難しい部分というのは無限次元性と非可換性に関する部分があり, 非可換性に関することは有限次元で既に難しい. $2 \times 2$ 行列くらいだと特殊すぎるが, $3 \times 3$ 行列で起きる現象はかなり大事だというご指摘を頂いたことがあることをここでお伝えしておきたい. また東北大にいる日合先生は確か作用素環にもこうした作用素論, 特に有限次元行列の話題は重要だと強調されていた記憶がある. 最近行列解析の本も出た. まだ読んでいないが, 売り切れになる前に購入しておいた.
有限次元の行列という素朴な対象であってもまだまだ研究することはたくさんある. 遊びやすかろうと思うので, ちょっと調べてみたい.
偏微分方程式¶
量子力学ということならそもそも Schrodinger 方程式という偏微分方程式の話題がある. Schrodinger の偏微分方程式と作用素論で同じ対象を扱う部分があるが, 大分気分が違う印象がある. 偏微分方程式の人達はやはり解に興味がある印象がある. 物理方面の作用素論の人は解よりもスペクトル (その他作用素そのものが持つ情報) に興味がある印象. 自分の趣味に合わせてやればいいのだが, 同じ対象でも切り口が違うことは一応伝えておいた.
超局所解析¶
詳しくないのだが, 偏微分方程式, 作用素論ともに超局所解析を使ったりすることもあるようだ. (おそらく) 作用素論の色彩が強い方では [[http://www.math.kobe-u.ac.jp/a-prize/jusho7-2.html ][田村先生がそんなことをしている]] らしい. 超局所解析というと代数解析の話題もある.
偏微分方程式¶
あともちろん ($\mathbb{R}^n$ 上の) 偏微分方程式論もある. 楕円型なり放物型なり双曲型なり色々ある. 関係ないが, 高校の頃勉強していたシグマベストという参考書で勉強していたが, その編集の藤田宏先生がいるが, 物理学科卒と書いてあったので, 当時, なぜ物理の人が数学の本を書いているのだろうと思っていたが, 学部 4 年だか院くらいで数学者として高名で, 私の専門の方で超がつく程有名な加藤敏夫先生の学生だったことを知り, 色々な感慨を覚えた. 微分方程式は専門外なので不確かだが, 放物型の方程式で Fujita's critical exponent という大事な話があるとか聞いている.
複素領域の常微分方程式¶
複素領域の常微分方程式もまだまだ研究がある. 例えば東大の大島先生はやっていたような覚えがある. 確定型特異点やらモノドロミーやらでまだまだ汲めども尽きぬ話題がある模様.
多様体上の解析学¶
多様体上の解析学, 微分方程式論も大事だ. Donaldson の仕事など, トポロジーと関わる部分もある. 実解析, 不等式の研究, 確率論, 確率微分方程式など他にもまだまだある.
他にも話したことがある気がするが, 忘れたので今回はこのくらいにしておく.
ラベル¶
数学, 解析学
読んでいて楽しい数学の本¶
本文¶
(数学科の学生が) 読んでいて楽しい本というのが紹介されているページがあった. 名前だけ知っているが読んだことない本やそもそも全く知らない本など色々あった. 和訳がある本もいくつかあるし, PDF の参照がある本もある. 興味がある向きもあろうから, とりあえず共有しておこう. 本だけ抜き出しておこう.
リスト¶
- On Numbers and Games, by John Conway.
- Groups, Graphs and Trees: An Introduction to the Geometry of Infinite Groups, by John Meier.
- Ramsey Theory on the Integers, by Bruce Landman.
- Fourier Analysis, T.W.Korner, Cambridge University Press, 1988
- Generatingfunctionology by Herbert Wilf.
- The Symmetries of Things by Jon Conway
- Visual Complex Analysis by Needham
- Roads to Infinity: The Mathematics of Truth and Proof by Stillwell
- Primes of the Form $p=x^2+ny^2$ by David A. Cox
- Gamma: Exploring Euler's Constant
- Concrete Mathematics, by Graham, Knuth, & Patashnik,
- Cauchy-Schwarz Inequality
- Cauchy-Schwarz PDF
- The Sensual (Quadratic) Form, by John Conway.
- Proofs that Really Count, by Art Benjamin and Jenny Quinn.
- Surreal Numbers by Knuth.
- The Shape of Space by Jeff Weeks
- The Knot Book by Colin Adams
- The Wild World of 4-Manifolds by Alexandru Scorpan
- Counterexamples in Topology
- Visual Group Theory
- Matrix Groups for undergraduates by Kristopher Tapp.
- Numbers, by Ebbinghaus and 7 co-authors. It has nice
- Want-Be-Mathematician-Automathography-Spectrum
- Robertson and Webb's Cake-Cutting Algorithms: Be Fair If You Can
- Real Infinite Series
- A Radical Approach to Real Analysis
- Counterexamples in Analysis
- Galois Theory for Beginners
- Prime Obsession: Bernhard Riemann and the Greatest Unsolved Problem in Mathematics (Plume Books, 2003)
- Unknown Quantity: A Real And Imaginary History of Algebra (Joseph Henry Press, 2006)
- Information Theory, Inference and Learning Algorithms by David Mackay
- Topology And Groupoids, by Ronald Brown
- Imre Lakatos, Proofs and refutations: The logic of mathematical discovery
- mathematical fiction books
- Modern Graph theory by Bela Bollobas
- Euler's Gem
- Fifty challenging problems in probability. Here is a
- Graphs and their uses by Oystein Ore.
- A History of Abstract Algebra by Israel Kleiner
- In Pursuit of the Traveling Salesman by William Cook.
- Mathematics Form and Function Saunders MacLane
- A Gentle Introduction to Art of Mathematics by Joseph Fields
- Galois Theory by Ian Stewart
- Conceptual Mathematics -Lawvere and Schanuel
- Sets for Mathematics -Lawvere and Rosebrugh
- A Walk Through Combinatorics - Bona
- Combinatorial Species and Tree-Like Structures -Bergeron, Labelle & Leroux
- Ordinary Differential Equations - Arnold
- What Are and What's the Purpose of Numbers -Dedekind
- Collected Works of Karl Menger - Menger
- Algebraic Number Theory and Fermat's Last Theorem- Stewart
- Theory of Gambling and Statistical Logic -Epstein
- Theoretical Introduction to Programming - Mills
- Elements of Statistical Learning - Hastie, Tibshirani & Friedman
ラベル¶
数学
Twitter まとめ: 病的な数学と美しく健全な数学と¶
はじめに¶
あとでご自身でまとめるようだが, ゼルプスト殿下が次のような呟きをしていた. この辺から始まる.
ツイート引用¶
昨日盛り上っていた「パソい位相空間」の話だけど, 公的見解としては「本当はパソろじい位相空間」という言葉を提案する. いっぽう,
私的には, 俺は「病的」という表現が好きになれないし, 例としての異常さを主眼とした研究プロジェクトには乗る気はない. いわゆる「メンヘラ」流行りも好きではない. 「心身の不健康」を売りにするのは, 「心身の健康」を売りにするのと同じくらいくだらない.
その一方で俺はカントール集合をはじめとするフラクタル図形が大好きだ. それらは最初はたしかに病的な異常な例として提案されたものだが, 俺はそういうものとして愛好しているのではなく, あくまで理論的に有意義でおまけに美しい対象として追求しているつもりだ.
「選択公理のない数学に含まれる意外な結果」や「選択公理から導かれる意外な結果」についても同様.
カントール集合がカントールとスミスによって独立に発見されるまで, いまの言葉でいう「至る所非稠密」と「外容量ゼロ」と「カントール・ベンディクソン階数が有限」という概念を デュボアレイモンやディリクレといった一流の数学者といえども区別できていなかった.
つまり「どんな小さな区間においても稠密ではない」けれども「孤立点がない」ような点の配置は, 1870 年代前半までは, 数学者の「健康な数学的直観」の射程にはなかったし, 論理的可能性としても検討されていなかった.
そして, 不連続点の配置が, これら曖昧に同一視された「点の小さい集まり」に含まれるような有界函数はリーマン積分可能と信じられていた. (以上は T.Hawkins の本「 Lebesgue's Theory of Integrals 」による)
そこへスミスとカントールがカントール集合すなわち「至る所非稠密な完全集合」をもって登場した. そういう背景を考えれば, 当時, カントール集合が「病的な例」とされただろうことは容易に想像がつく.
しかし, スミスはたしか「小数点下に 4 が出てこないように 10 進展開できる実数の全体」を考えたのだから, 後知恵で振り返ると, それに先立つ世代の「健康な数覚による実在する数学的現象の直観的把握」のほうが片手落ちだったと言わざるをえない.
まとめれば, カントールの「単位閉区間上の 1 が出てこないように三進展開できる実数の全体」が病的な例であったのは, それ以前の「健康な数学的直観」にとってのみであり, その後発展をみた測度論や位相空間論や力学系理論においては, カントール集合にはいたるところで出会うことになる.
これ, あとでまとめて「昨日のて日々」に書くだ.
「病的な例」のホームラン王たるバナッハ=タルスキの定理にしても, 測度問題の発展史という背景において見るべきだと思う. たしかに驚くべき例なのだが.
つどいで市民の話を聴けなかったのは残念だが, それにはやむを得ぬ事情があったのだ.
@phasetr そのファインマンの「経路積分」もその当時の数学の文脈ではトンデモあつかいだった. けどそれを言ったらニュートンやライプニッツだってそうだし, むしろそういうものこそ数学の発展をリードするわけですからね.
ニュートン vs バークリとかライプニッツ vs ニイエンティイト (と読むのか?) とか, あるいはカントール vs クローネッカーだってそうだけど, 批判者のほうが論理的に首尾一貫した堂々たる理論を展開できるのは, 新しい理論の創造性のいわば代償のようなものなんだろう.
私のツイート¶
これに対して私の方からも適当に呟いておいたのをまとめてきたい.
ツイートまとめ¶
私が好きなのは, 普通に数学をやっているとなかなか出くわさない, またはある種異常な振る舞いをしてくる (物理由来の) 対象, またはある時点での「美しい数学」では捉えることのできない物理由来の変な現象が好き. 病的な例というより適当な意味で特異性のある話が好き. つどいでも少し話したが
@phasetr つどいで少し触れたし, 多分そのうちどこかで詳しく話すが, 殿下の話, 物理関係だと時々出てくる. フォンノイマンはデルタ関数が嫌で関数ではないことの証明を本の中でわざわざ付けたらしいし, III 型フォンノイマン環の物理でも大雑把に言って似た話がある
@phasetr デルタ関数からは超関数論が花開いたし, 日本からはさらに代数解析という最高レベルに貴族的で美しい数学が生まれた. 三型環には冨田竹崎という作用素環の至宝が生まれ, 非可換幾何やそこと数論の関係でも使われる.
@phasetr その辺の「病的」なところを「綺麗」な数学にするみたいなことが私の数学的な部分のモチベーションの大きな部分になっている
@phasetr 三型環だと極端な話がある. 存在自体は分類がされた当初から分かっていたようだが, 具体例が作れなかった. 具体例は相対論的場の理論と量子統計への応用で出てくるほぼ全ての環が三型だ, という形ではじめて構成された. こういう話がすごい好き
@phasetr フォンノイマンの論文に本当に書いてあるが, 作用素環自体が量子力学への応用を念頭に見つけた理論だ. あと作用素環で重要な線型汎関数に状態 (状態空間というのもきちんとある) というのがあるが, この名前の由来も物理だ. 荒木先生だとか有名な人で物理出身の人も多い
コメント¶
超関数の話については Fourier との関係でこんな動画を作ったことがある. また冨田-竹崎理論についてもこんな動画を作った. そのうち何かのつどいで経路積分の話などもしたい.
追記¶
knyokoyama さんから次のような補足ツイートを頂いたので載せておく.
ご参考: http://bitly.com/11yeIBJ. 数学会誌に, 河東先生の「荒木不二洋先生のフンボルト研究賞受賞に寄せて」という作用素環の話が書かれてます. 引っ張り出しました.
実際に III 型環の具体例が相対論的場の理論を使ってはじめて作られたという話が書いてある.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 作用素環, 関数解析, 汎関数積分
講談社が大栗博司さんの新刊『超弦理論入門』のモニターを募集しているのでここでも宣伝しておく¶
本文¶
時間的にかなり厳しくなっているが, 大栗さんがまた本を出すようでそのモニターを募集している.
8 月 20 日にブルーバックスから『超弦理論入門』を出版することになりました. これに先立ち, 講談社では読者モニターを募集しているそうです. 募集締め切りは日本時間で今週の 8 月 2 日正午で, 感想文の締め切りは 8 月 18 日だそうです. https://eq.kds.jp/bookclub/3526/
とりあえず私も応募してきた. 大栗さん, 村山さんが最近頑張っているので, 超弦周りは色々本があるが, 物性周りで何かこういう動きないだろうか. 数学でももっとやってほしい.
例えば秋月康夫の『輓近代数学の展望』などがある.
古い本だが, 一般向け書籍なのに付値論やら調和積分やらで全力で殴りかかってくる. こういう無茶をしてほしい.
無茶してもある程度売れることを示すべく, 私も動画などでどんどん実績作りしていきたい. 早く色々動かないと.
ラベル¶
物理, 数学, 超弦理論, 代数幾何
よく分からない数学「色々な反例で遊ぼう」のプレゼントページ¶
本文¶
DVD を作って Amazon に出す, という話をしているが詳しい人に相談したところ, 適当なタイミングでプレゼントをあげるとよいという話を伺った. そのプレゼント用のページとしてこれから随時していく.
プレゼントでやるかはともかく, こんな内容の話をしてほしいとかいうのがあれば色々コメント頂きたい. 何も言われなくても自分が中高生の頃に聞いたら楽しいと思ったであろうことをどんどんやっていく. 目標はかっこかわいい女子数学徒を大量生産することだ.
ラベル¶
数学, 数学教育
「杉浦光夫先生と表現論」という PDF を発見した方の市民¶
本文¶
どうしようもない理由で表現論について検索していたら, 杉浦光夫先生と表現論という PDF を見つけた. 無論解析門前払いこと『解析入門』や山内先生との共著の『連続群論入門』で名高いあの杉浦先生だ. 1 ページの写真, 何となく『解析入門』から想像していたのとは違う, 何というか温和な感じでちょっと驚く.
いきなり本題からずれるが, 『解析入門』はとてもよい本だ. 通読するのは確かにしんどいが, 証明がきっちり書かれているので辞書として調べものに使う分には本当に役に立つ. まえがきによると『解析概論』の現代化を目指して書いたとのことだが, 中途半端に Lebesgue を盛り込まずに切って捨てたのはよかったのだと思う. そこまできちんとあればそれはそれで助かるが, over-kill だろう. ただ, 関数論パートはもっと膨らませてもいいのではないか, とは思う.
それはそれとして PDF では業績とか次世代の教育に果たした役割とかそんなことが書かれている. 群の表現論, 極一部とはいえハードユーザではあろうから, 私も恩恵を受けているのだろう. 多少は知っている大島利雄先生が, 表現論上の大きな仕事だけでなく, 後を継いで東大での表現論研究者育成に励んだというお話などは感銘を受けた. 一般的な表現論というかその研究者達はよく知らないが, 小林先生あたり化け物が生まれているのは間違いないので, こう色々なことを思う.
ラベル¶
数学, 表現論, 数学者
あの人に対して恥ずかしくない力を身につけているだろうか: 代数的確率論に関する対話¶
はじめに¶
こんなやりとりをしてきた. 全く役に立てた気がしない.
ツイートまとめ¶
[ガチ募] お客様の中に非可換確率論に詳しい方はいらっしゃいませんか.
@tmaehara 非可換確率論を http://phasetr.blogspot.jp/2013/03/twitter_15.html 位の意味でつかっているなら, 詳しくはないですが関連する数学を多少知ってはいます
@phasetr だいたいこの意味です. 用語に自信が無いですが, 代数的確率空間 (A,φ) が与えられたとき, これに近い行列表現を求めたいと思ってます. 「近い」の意味はちゃんと決めていないですが, 「表現の前後で状態の値があまり変わらない」とかができるとハッピーです.
@tmaehara http://en.wikipedia.org/wiki/Gelfand%E2%80%93Naimark%E2%80%93Segal_construction GNS 構成定理というのがあって, 正確に (無限次の) 行列に落とすことはいつでも出来ます. 状態の値も完全に保てる構成法です
@tmaehara 次元については元のデータに依存します. 有限次元ならきちんと同じ次元の有限次元行列で書けます
@phasetr もともと無限次元のものを有限次元に丸めた場合, どの程度損するか, とかはありますか?
@tmaehara 私自身は数理物理でダイレクトに無限次元を触る方なので全くわかりません. ただ応用上は大事な話ですし量子情報など関連研究でその辺をやっている人はいるとは思っています. 数学的にも有限次元近似の話題はありますが, 情報的な損得という議論はなさそうです
@tmaehara 少しググっただけですが, 量子情報関係で何となくそれっぽい論文はありました http://www.mi.ras.ru/~msh/download/ppi-2-e.pdf この論文でお望みの感じの損得の議論までやっているかは分からないのですが
@tmaehara 必要な所しか読んだ事ないので, 有限次元近似の損得問題がどこまで描いてあるか分からないのですが, http://www.amazon.com/Quantum-Entropy-Theoretical-Mathematical-Physics/dp/3540208062 は量子情報で有名な本です
@phasetr 紹介ありがとうございます, 読んでみます.
@tmaehara たびたびすみません. 数学的な議論をしていそうな人しか知らないのですが, 電通大の小川さん http://www.quest.is.uec.ac.jp/ は一時期 JST の研究員として東大数理で勉強していた人です. あと本の著者の理科大の大矢先生のグループもあります.
@phasetr ありがとうございます. さすがにまとまってない段階でコンタクトをとるのはアレなので, とりあえず名前だけ覚えておきます.
こういうときに役に立てなくてどうするのか. 学部 1 年に対してさえ最大限の敬意を払って接してくれたあの人に恥ずかしくない力を持てているだろうか.
ラベル¶
数学, 物理, 情報理論, 作用素環, 確率論
数学と計算機援用証明¶
はじめに¶
古田彩さんのこんな呟きがあり, そこに反応したら鴨さんからのリアクションまで返ってきて戦慄したのでメモしておく.
引用¶
「測定」という裁判官がいない数学に、捏造は存在しないよなあ。人の成果を横取りするくらいしか思いつかないけど… http://t.co/OwZuWRHArG
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 15
@ayafuruta 四色問題のように、コンピュータを使った証明でプログラムに細工をしてしまうとか…
— k u r i t a (@kuri_kurita) 2013, 7月 15
@kuri_kurita @ayafuruta 見破る方法は二つ、一つは独立した複数の実装、もう一つはソースコードの公開です。それぞれ、実験系での追試と生データの提供に相当しますね。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2013, 7月 16
@kuri_kurita なるほど。しかし生物や物理の実験データ捏造より、簡単にバレそうですねー。「お前は実験が下手だから再現できないんだ」という強弁が通らないので。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 15
@ayafuruta @kuri_kurita http://t.co/QYEEKiQ9gl 計算機援用証明というのがあるのですが,これ,今どのくらいあるのでしょうね.原理的に何がどこまでカバーできるのか凄く気になる所ですが
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013, 7月 15
@phasetr @kuri_kurita 計算機を援用することで、解(なのかな)の存在を「解析的に証明することに成功」というところが気になります。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 16
@phasetr @kuri_kurita へー、四色問題方式って、その後もこんな風に発展していたんですね。知りませんでした。教えて下さってありがとうございます。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 16
@ayafuruta @phasetr @kuri_kurita 組合せ論的計算をゴリゴリ行う証明という意味で近いものとして、有限射影平面の探索があります。http://t.co/Oqj3zfyGEF
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2013, 7月 16
@kamo_hiroyasu 色々と資料をご教示頂き,誠にありがとうございました。「ケプラー予想」は,amazonを見ると「数学の証明とコンピューターの関係について知りたいという方にオススメ」,しかも翻訳が青木薫さんということで,迷わず購入しました。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 16
@ayafuruta @kuri_kurita 歴史的な経緯は全く知らないのですが,私の知る限り4色問題は厳密に処理できる数式処理などの系統であって,微分方程式は精度保証周りで意識が大分違う感じはします.素人なのでアレですが,前者は代数周り,後者は解析周りという印象
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013, 7月 16
@phasetr @ayafuruta @kuri_kurita 数理計算をゴリゴリ使った証明といえば、古くは、整面凸多面体の決定(Zalgaller 1966)があります。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2013, 7月 16
@phasetr @kuri_kurita 私の数学知識はご存知の通りですが、4色問題はすべての可能性をしらみつぶしに当たったものと理解していて、計算機援用証明ってそういうものだとばかり思っていました。「精度」保証による「解析的」証明が可能、というのは新鮮です。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 16
@ayafuruta @phasetr @kuri_kurita ケプラー予想の解決(Hales 1997)も精度保証計算を利用した証明です。啓蒙書も書かれています。http://t.co/FOHeAUeA3n
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2013, 7月 16
査読者情報を捏造した疑いで論文撤回というケースを依然見かけました…>数学 RT @ayafuruta: 「測定」という裁判官がいない数学に、捏造は存在しないよなあ。人の成果を横取りするくらいしか思いつかないけど… http://t.co/7K4onT5VJJ
— 蟹 (@kanipuffin) 2013, 7月 16
@kany1120 おお、そんなことが。でもそれを捏造したとして、せいぜい結果の箔付けになる程度で、ウソの結論を同業者に信じさせることはできないですよねー。結果が合っているかどうかは、どうせ検証されちゃいます。捏造としては小物(笑)のような気がします。
— 古田彩 Aya FURUTA (@ayafuruta) 2013, 7月 16
Kepler 予想¶
Kepler 予想の本はこれだ.
鴨さんからご紹介頂いた文献も読みたいが, 積読がたまる一方でつらい.
ラベル¶
数学, 計算機援用証明, 数式処理, 精度保証, 有限射影平面, Kepler 予想
三角級数は魔界¶
本文¶
あるオタクの放った一言から延々と tan (x) を書くはめになっている
@FMbunk すまない $\tan x= \sin x / (1-(1-\cos x))$ だから初項 $\sin x$ で公比 $(1- \cos x)$ の無限等比級数と思えばいい
@Junkyo_Sutaro 状況よくわかりませんが, 全ての x でその形でべき級数展開できるわけでもないので結構つらいのでは. あと関数項の級数なのできちんと考えないと結構取り扱い注意感あります
@phasetr 厳密にやろうというわけではなくとりあえず計算してみようと思っただけなので $|x| < \pi < 2$ までで形式的に展開できればいいかなと. このやり方しか知らないというのもあるので. そこらへんは僕の説明が悪いです, すみません.
@Junkyo_Sutaro 少し話が違うのでアレですが, $\sum {\cos kx}$ は超関数の意味で Dirac の $\delta$ 関数に収束するとか三角級数は結構魔界なので気をつけて下さい. 元の話は今言った意味での三角級数ではないのでアレというところですけれども
@phasetr はい
三角級数, 要は Fourier だがかなりの佐藤超関数まで出てくる (出してこられる) かなりの魔界なので恐ろしい. あと上記の展開, きちんと調べていないのだが一様収束してくれるのだろうか. 各点収束している範囲では確かに問題ないだろうが, ベキ級数と思うのならそういうのが気になる.
ラベル¶
数学, 解析学, Fourier 解析, 超関数論, 代数解析
有限次元線型位相空間の位相の入れ方: $T_2$ なら一意的¶
やりとり¶
線型位相空間としての $\mathbb{R}^n$ に入る位相について次のようなやりとりをし, 文献を教わった.
@phasetr @ilovegalois R^n に対しては実位相線形空間としての位相の入れ方は一意的です. 無限次元の時のみ問題になります.
@hymathlogic 証明どこにあるでしょうか. 読んでみたい
@phasetr 帰ったら返信します. (一意というのは正確には間違いで T_0 なら一意です)
@phasetr http://www.math.ksu.edu/~nagy/func-an-2007-2008/top-vs-3.pdf これなんてどうでしょう
コメント¶
$T_0$ とはいえ分離公理が効いているというの, なかなか戦慄させてくれる. というわけで Gabriel Nagy による Topological Vector Spaces III: Finite Dimensional Spaces を読み進める.
$\mathbb{K}$ を $\mathbb{R}$ または $\mathbb{C}$ とした線型空間での議論をしている. 線型写像を基礎にして位相を議論していく.
In this section we take a closer look at finite dimensional topological vector spaces, and we will learn that they are uninteresting from the topological point of view.
そうだったのか.
Exercise 1. Show that the only other linear (non-Hausdorff) topology on $\mathbb{K}$ is the trivial topology $\mathfrak{T} = \left{ \emptyset, \mathbb{K} \right}$.
何だと.
Theorem 2. For a topological vector space $\mathcal{X}$, the following are equivalent: (i) $\mathcal{X}$ is finite dimensional; (ii) $\mathcal{X}$ is locally compact.
Hilbert 空間ですら弱位相でないと単位球がコンパクトにならないのでその意味では関数解析を学んでいれば「自明」に近い事実だが, 改めて見ると衝撃的だ.
それはそうと, 山元さん, $T_0$ という風に書いているが, この文献では $T_2$ の枠内での議論だ. $T_0$ で言えるのだろうか. あと, 線型位相は必ず $T_2$ とかいう話だったろうか. 今すぐチェックする気力が出ないので, 今度確かめたいが, いつになることやらということで悲しみ.
$T_2$ というと我らが zena_mp さんに怒られそうな気もする.
ラベル¶
数学, 関数解析, 位相空間論
sinc 関数と信号処理と数理物理と工学と何か色々¶
本文¶
sinc 関数の不定積分は特殊関数だった
@route16xatu sinc 関数ってなんですか
@vb_yc $\sin (x)/x$
@route16xatu そんな名前ついてたんですかー. はつみみでした
@vb_yc 信号処理とかの人はこの名前で読んでるイメージある
@route16xatu この子に, そんなまともな使い方があることも初耳です w
@vb_yc @route16xatu むしろ工学系だと超有名関数かもしれないと想像するなど.
@aki_room @route16xatu へえ~, どんなとこ読むといいですか? 変な例作るとか, ちょっとトリッキーな構成をする時くらいしか利用したことないです.
@vb_yc @route16xatu 信号処理とか…ウェーブレット変換とか…?
@aki_room @route16xatu ありがとうございます. 探してみます
@vb_yc パルス関数のフーリエ変換だからめっちゃよく出てくる
@the_TQFT 今度教えてください
使ったことはない方の市民だった.
ラベル¶
数学, 物理, 信号処理, 数理物理
「プログラマのための圏論の基礎」なるページがあったのでとりあえず共有¶
本文¶
まろやかな人ことホモト P が「プログラマのための圏論の基礎」なるものを発見していた.
たぶん読めない / "プログラマのための圏論の基礎 (仮題)" http://htn.to/ueTycU
この記事は, プログラマに向けた圏論の入門記事です. 通常の圏論の教科書より解説を多く, プログラマにとって必要ない概念を削って書いています. 圏論とは何かから始まり, アルゴリズム設計, プログラム意味論および Haskell の free-operational パッケージと圏論との関連について解説していきます.
前提知識として必須ではありませんが, 何かしらの関数型言語に慣れ親しんでいると読みやすいと思います. 本記事では Haskell に特化した話題を出すこともありますが, 多くは Haskell の知識がなくても大丈夫です.
そもそもプログラマに圏論必要なの, というところからよく分からないが.
プログラミング Coq というのもあった. 一応メモしておきたい.
プログラミング Coq
〜絶対にバグのないプログラムの書き方 〜
はじめまして. 今回, Coq のチュートリアルを執筆させていただくことになった池渕未来 (いけぶちみらい) です. IIJ-II のアルバイトとして, 山本和彦先生のもとで, この連載を書きます.
私はこの春から女子大生になります. Coq のエライ人でもスゴイ人でもありません. そうであるからこそ, 読者の皆さんと同じ視線に立って一緒に楽しく Coq を学んでいけるのではないかな? と思います.
ラベル¶
数学, プログラミング, 圏論
Twitter まとめ: 高校生との対話 物理に必要な数学的なアレ¶
はじめに¶
いつもの通り, 数学がどこで必要なのか分からないとなかなかつらいだろうから, まずは物理をやったら, という話をしてきた. あと, 自分の手持ちでどこまで戦えるか挑戦してみる機会でもある. 人によっては既存の数学で解決できないなら自分で数学を作る必要だってあるから. また, 大学に行くと嫌でも先に数学やらされる羽目になる (こともある) ので, 見られる部分は見ておいたら, というのもある. この辺からはじまる.
ツイート引用¶
テンソル解析って数学的にはどこに繋がっていくんだろう
@qpnv 多様体上の解析学, 微分方程式とかでは
@phasetr そうなのですか. 物理への応用みたいな本をパラパラ見ていただけなので数学的な繋がりがよく分かっていませんでした.
@qpnv 解析力学や一般相対論方面だと正に多様体上の解析学という感じになるでしょう. その辺あまり詳しくないのですが. 流体とか言う方なら単純に (非線型の) 偏微分方程式かと思いますけれども
@phasetr 一般相対性理論も興味があるのですが, 多様体も学ぶ必要があるのですね. 多様体についても調べてみます.
@qpnv いわゆる曲がった時空というのが擬リーマン多様体という多様体なのですが, 少なくとも入門段階ではその辺の数学的なことはいりません. あまり数学に気を取られずに, 必要になったらその都度やって行く方がいいです. 物理に興味があるならまずは物理からやりましょう
@phasetr 必要になったら学ぶ, というスタンスの方がいいのですね. 分かりました. バリバリ物理をやっていきます.
ラベル¶
数学, 物理, 多様体論, 幾何学, 解析学
大数の法則の気分がいまだによく分からない方の市民だった¶
本文¶
大数の法則と中心極限定理のいわゆる「直観的な意味」というのがよく分からなくなってきた方の市民
@phasetr 真面目に言うと, 直感的な意味で「確率」が既に意味不明ではないかと思います
@omelette_philos wikipedia 見ていたら何か説明が循環論法っぽくてどんどん訳が分からなくなってきたと言う状態です. 数学的な言明は別にいいのですが
@phasetr 循環的に感じるというのであれば, 私は事象の独立性のとこで感じますね
@omelette_philos 確率論の基礎につまづいた先人の苦労とそれを克服してきた先人の偉大さを思う方の市民
数学的な言明と証明はとりあえず把握しているが, 確率論そのものにピントが合っていないという感じだろうか. 勉強しよう. あとささくれ先輩が何度か言っているが, 確率論は舟木直久先生の本がとてもよいのでお勧め.
あと最近はちょっと変わった確率論入門ということで, Mark Kac の本を読んでいる.
これは Kac のスパイスが滅茶苦茶に聞いていてとても面白い. Can one hear the shape of a drum? の Mark Kac で, Feynman-Kac の Kac だ. 教育に関しての一流の腕を見せてくれる. 面白いので是非読んでみてほしい.
ラベル¶
数学, 確率論
不等式, 代数的不等式¶
本文¶
Twitter でこのような呟きを見つけた.
不等式, 極めるためには Hölder やら Karamata やら Minkowski やら Shapiro やら Young やら, 全部ある程度知っておいた方が良さそうだしそれでも変な問題は解けない感じがあるので死
彼 / 彼女 (以下では「彼」で統一) は高校生 (のはず) なのだがなかなかマニアックなことを知っている. Young, Holder, Minkowski は解析学を学んだ者なら誰でも知っているが, 少なくとも他の 2 つは私は本当につい最近知った. 上記不等式群は例えば次の本に書いてある.
最近「数学で遊ぶ」をコンセプトに, 不等式 (の証明) に関する動画を作ろうと思ったので参考のために買ったのだが, まだ一度ざっと目を通しただけだ.
彼は受験に関して言っているのだと思うが, 受験にはあまり関係ないだろう. 動画を作ろうといったことにも関係するが, 証明の技術的にも大事だし何より面白いので勉強しておいて損はない. 遠い受験の記憶を掘り起こすと, 東工大だかどこかで Minkowski の等号成立条件を調べる問題はあった気がするので, 受験的にも出てくることがないわけでもないはず.
念の為に書いておくと, Holder と Minkowski は $L^p$ (または $\ell^p$) に関する三角不等式を示すのに使う. Young も実解析的な方向で基本的な不等式だ. Karamata や Shapiro は代数的不等式 (あえて言えば有限集合上の $\ell^p$ に関する不等式) では基本的で大事な不等式のようだ. 彼のツイートを見てから上記の本が気になって仕方がない.
ラベル¶
数学, 解析学, 不等式
相変わらず $\mathbb{R}$ と $\mathbb{R} / \mathbb{Q}$ が魔境だったので¶
本文¶
よく分からないがゼルプスト殿下が魔境の入口のようなことを言っていたので, とりあえず記録しておく. これとこれだ.
連続函数についての演習でたまに出てくる, 無理数にゼロ, 有理数に既約分母の逆数を対応させる函数を $g (x)$ とするなら, $f (x) = x + \sqrt{2} g (x)$ で決まる函数 $f (x)$ は $\mathbb{R}$ から $\mathbb{R} / \mathbb{Q}$ へのベール 1 級の全射の例になる. むろん全単射ではない.
$\mathbb{R}$ から $\mathbb{R} / \mathbb{Q}$ への単射を具体的に構成するのがひと苦労やね. 例えば 10 進展開を 16 進読みしてしかもところどころに (平方数ケタ目とか) に 16 進の $A$ とか $B$ を挿入して非循環少数にするとか. どのみち連続写像でないのできれいな閉じた式では書けない.
連続写像だからといって綺麗に書ける保証もないのでそこはアレだが, 比較的「分かりやすい」ところで地獄っぽく, こういうのはかなり気にいっている. 自分でも色々作れるようになりたい.
ラベル¶
数学
Ask.fm で「作品作成の上でこれだけはゆずれないものってあります? あったとしたらそれを実現させるために何をしていますか? 」という質問が来たので¶
はじめに¶
Ask.fm で「作品作成の上でこれだけはゆずれないものってあります? あったとしたらそれを実現させるために何をしていますか? 」という質問が来た. せっかくなので転載しておく.
引用¶
作品作成の上でこれだけはゆずれないものってあります? あったとしたらそれを実現させるために何をしていますか?
子供の頃の自分がほしかった, 絶対に面白がって見たはずだ, と思える作品を作ります. 実現のために何をするか, ということなら話したいことを話し切るようにしています. 視聴者数, どんなにいいところでも 100 人いれば十二分と思うような, 物理・数学ともに学部卒程度を仮定する内容の動画でも (のべで) 数百人が見ていたりするので, 自分と同じような趣味を持った人, もっといるはずだと思っています. 実際にはこの 10 倍位はいるはずだと思っていて, 大人も子供ももっとたくさんの人に無茶を届けたいので露出を増やすべく色々考えています. アイマスとはほぼ関係ない形で DVD とか出し始めたのも露出を増やすためです.
子供のころの自分が「もっと面白い変なの見せて! 」と隣でずっと言っているので, もっと無茶をやってもっと子供のころの自分が喜ぶようにしたい. 中 2 どころか小 2 の気持ちくらいで. もっと世界が見たい
コメント¶
博士・ポスドクは知人にも多いが, やはり経済的な自立が非常に大きな問題になっている. その一助としても色々手を打つべく, 数学・物理のマネタイズについても真剣に考えるべきときが来たと思っている.
ビジネスプランを本当に真剣に考えているので, その辺も適宜公開し, そして実践していきたい. 研究と同じで大体上手くいくはずがない. 失敗例を山程積み上げていくので皆さんも是非参考にしてほしい. 屍の山と血の池地獄のほとりで一輪美しい花が咲けばよく, その屍を真っ先に積み上げていく所存.
ラベル¶
数学, 物理, ビジネス
数学が役に立つ状況を真剣に検討したところ深い悲しみに包まれた¶
はじめに¶
数学が何の役に立つかとはよく言われるし, この間も記事にした. 社会とか世間の役に立つか, というのがよくある (下らない) 回答だが, 質問者にとって何の役に立つかという疑問であって的外れでは, という話もよくある. そうなると個々人の状況にもよるので一般には何ともいえないので, 個別に論じる必要がある. その辺を適当に書いてみた. この辺からはじまる.
引用¶
数学が何の役に立つかということについて真面目にいうなら, 状況によるとしか言えない. 例えば適当な恋愛対象にモテたいと思ったとしよう. 基本的には数学がモテるのに役に立つかと言われたら, むしろ悪影響しか与えないと思っていい. この辺は加藤先生などを参照してほしい
@phasetr ただし, 何かの間違いで福山雅治のようなアレな人が何かの間違いで物理学科に進学してしまい何かの間違いで真剣に物理を学んでしまい果ては准教授になってしまうなどの不幸が重なったとしよう. そしてさらなる悲劇としてそのような異常者に恋をしてしまったとしよう
@phasetr ガリレオを見ていないので湯川学御大の嗜好は分からないが, 物理とか数学に興味なさそうな人には何の興味も示さなそうな異常者の趣があるので, こういう場合には数学が役に立つ可能性があるが, 今のケースはむしろ物理をやった方がいい
@phasetr とはいえ, 色々な人がいるので物理学科や数学科の人間といえど全員が全員異常者というわけでもなく, 社会性に溢れる人間もいるし, 物理とかやってそうな人はちょっと, と言いそうなのもいる. したがって状況によるとしか言えない
@phasetr 他にも明日にも死にそうな母を助けたい, とかいう状況で Kasparov の KK theory が何の役に立つ, とか言われてもかなり困るし, 結局悲しみしか呼ばないことが分かる
今日も社会は悲しい.
ラベル¶
数学
Twitter まとめ: 数学での証明の大枠は示したい命題のもつ形式から決まる¶
嘉田さんのツイート¶
拙著「論理と集合から始める数学の基礎」第6章はまさにそれを説くために書いたようなものです。。。 https://t.co/aoRsgBWSyj
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) June 1, 2021
山下さんのツイート¶
嘉田さんのツイートで引用されている山下さんのツイートを引用しておきます.
数学での証明の大枠は、示したい命題のもつ形式から決まる。ある程度きちんと数学を学ぶようになったら、個別具体的な証明技術の前に、このことを意識して証明を書いてほしいと感じる。
— Atsushi Yamashita (@yamyam_topo) May 31, 2021
示したい命題が「すべての x∈A に対して P(x) である」であるとする。
— Atsushi Yamashita (@yamyam_topo) May 31, 2021
このとき、証明の大枠は
「任意に x∈A を与える。(中略)よって、P(x) である。」
あるいは
「x∈A であって P(x) でないものが存在するとする。(中略)矛盾。」
のほぼどちらか。
示したい命題が「P(x) を満たす x∈A が存在する」であるとする。
— Atsushi Yamashita (@yamyam_topo) May 31, 2021
このとき、証明の大枠は
「A の要素 x を‥‥と定義する。(中略)よって、P(x) が成り立つ。」
あるいは
「いかなる x∈A に対しても P(x) でないとする。(中略)矛盾。」
のほぼどちらか(後者はやや高度な論法?)。
示したい命題が「P または Q」であるとする。
— Atsushi Yamashita (@yamyam_topo) May 31, 2021
このとき証明の大枠は
「(中略)P である。よって、P または Q である。」
「(中略)Q である。よって、P または Q である。」
「P ではないとする。(中略)よって、Q である。」
「Q ではないとする。(中略)よって、P である。」
となる。
「わかりやすい」全射・単射の定義とは何か: ある定義とそれへの応答¶
最初にまとめ¶
結局そもそも「わかりやすい」の定義が問題になってくる話だと思っている.
発端は次のツイート.
昔、写像が全射・単射であることについて、rangeの要素に対応するdomainの要素の個数によって定義したらいいじゃんと思った。即ち「f:X→Yで、Yの要素yに対し、f(x)=yとなるXの要素xの個数が1以上なら全射、1以下なら単射と呼ぶ」
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
同じこと書いてる記事を見つけた。https://t.co/iGJqpW2rBE
(続く)
元の記事の引用と批判¶
いくつか引用する.
普通の全射の定義はわかりやすいのに対し、単射の定義は初心者には不自然に見えます。また、全射と単射は互いに密接な関係があるのですが、定義を眺めているだけではそのように感じれられません。今回提案する方法はこれらを解消する利点があるような気がします。
まず全射の定義が本当にわかりやすいのかという気分がある. 単射が (初心者にとって?) 不自然かどうかもわからない. 少なくともはじめて触れたときに私はそうした違和感は感じなかった.
[今回思いついた定義] (写像fが)全射:任意のBの要素yに対し,f(x)=yとなるAの要素xの個数は1以上 つまり, ∀y∈B, *({x∈A|f(x)=y})≧1. ただし,「*( )」は集合の濃度(個数)を表しています.
(写像fが)単射:任意のBの要素yに対し,f(x)=yとなるAの要素xの個数は1以下.
つまり,
∀y∈B, *({x∈A|f(x)=y})≦1.
この定義を思いつくまではこれらの関連性にもやもやしていましたが、今は
・全射 ~ (定義域の要素の個数が)1以上 ~ 「存在」
・単射 ~ (定義域の要素の個数が)1以下 ~ 「一意」
と明快なイメージを持てるようになりました。
全射との比較でいうなら単射は非存在または一意だろうから, これだとおかしいのではないだろうか. 当人はわかっているかもしれないが, 少なくともこう書いてしまった時点でミスリーディングを誘発するような表現という意味であとで引用する私のリプライにもあるように, わかりにくく教育的でもないのではないかという気分がある.
改めて「証明」とやらを見てみたが, そこでもこの非存在ケースを書いていないから, この人, 本当にそれに気付いていないようだ.
*追記・注意: ここについて私の指摘が不当であるという指摘が入り, もっともな指摘だったので上のコメントは撤回する. ただしかえってこの記事がよけいに気に入らないという感を深めるやり取りになった. そのやりとりはリプライツリーに追加している.
思いついた定義⇒一般的な定義 x1≠x2 とおく。このときf(x1)=f(x2)とであると仮定すると
#( { x∈A| f(x)=f(x1) } ) ≧ *( { x1 , x2 } ) = 2
となって前提条件と矛盾する. (∵集合S, TがS⊃Tならば*(S)≧*(T).) ゆえにf(x1)≠f(x2)といえる.
こう思うと全射の定義のシンプルさは場合分けがいらないことによっていて, 単射の定義の難しさは本質的に場合分けが必要な点で, それを回避していて, しかも意識さえさせない点が優れていて教育的と言えるだろう. ふつうの単射の定義で「全射から見た定義域に対応する元がない場合の対処」が書かれていたら上記の証明のミスもないはずだ.
*追記・注意: ここについて私の指摘が不当であるという指摘が入り, もっともな指摘だったので上のコメントは撤回する. ただしかえってこの記事がよけいに気に入らないという感を深めるやり取りになった. そのやりとりはリプライツリーに追加している.
(おそらく)証明で使い辛いという欠点はありますが、初学者用にいかがでしょうか。
あとのリプライツリーにあるように, むしろ入念な注意をしないと初学者殺しになるのではないか. 「非存在または一意」のような場合分けを見逃していくような不注意さは後々, 真綿で首を絞めるように効いてくる.
リプライツリー¶
大元¶
昔、写像が全射・単射であることについて、rangeの要素に対応するdomainの要素の個数によって定義したらいいじゃんと思った。即ち「f:X→Yで、Yの要素yに対し、f(x)=yとなるXの要素xの個数が1以上なら全射、1以下なら単射と呼ぶ」
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
同じこと書いてる記事を見つけた。https://t.co/iGJqpW2rBE
(続く)
(続き)
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
でもこの定義だと、濃度とか個数とか、全単射が定義されてからじゃないと述べられない素朴概念が出てくるから陽には使えないんだと思う。
個数にしても、基数として扱うには全単射の議論が必要になると思う。
有識者各位、いかがでしょうか。
字数の兼ね合いで文章を削りに削ったので、元々メモしてた定義の文章を参考までに載せておきます。:
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
「f:X→Yとする。Yの任意の要素yに対し、f(x)=yとなるXの要素xの個数が、1以上の場合を全射、1以下の場合を単射と呼ぶ」
(専門用語を一般用語としてあえて用いており、さらに私のような未熟者が投稿しているため、混同しているのではないかというご指摘は合理的です。
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
しかし、非常に紛らわしいですが、(引用記事に依拠して)ここでの「個数」「濃度」は素朴概念として区別して認識していますのでご了承ください。)
私のコメント¶
その単射の定義をもとに単射性を示すのに結局ふつうの単射の定義を使うことになりそうで、ご利益をあまり感じない気分があります。
— 相転移P (@phasetrbot) September 24, 2020
あと全く違う話ですが、個数と濃度と基数という同じような意味を持つ(詳しく知りませんが濃度と基数は別物になる定義もあるとか)用語が乱れ飛ぶ文が厳しい感。
あと、f(x)=yが一個以下という言明、一つの場合は問題ないとして0個の場合が意味する非存在がかなり分かりにくいのではないか感があります。一度xがあると思わせたことを書いておきながら実はない(0個)というの、数学に慣れていればそれはそうという話ですがそうではないならかなり難しいのでは。
— 相転移P (@phasetrbot) September 24, 2020
個数というよく知っている気分になれる言葉を使ったからわかった気分になれるだけで内実難しさと冗長さを導入した定義でそれ本当にわかりやすいのか、議論を続ける上で使いやすいかみたいなところがごそっと抜けているのではという気分です。
— 相転移P (@phasetrbot) September 24, 2020
川井新さんのコメント¶
有識者ではないですが、「個数」「濃度」「基数」という異なる概念が混同されてはいるかと。
— 川井新 (@squawai) September 24, 2020
ただ @kawauSOgood さんが提唱する様に単射・全射の概念は直感的には「codomainの要素に対応するdomainの要素の数」に着目したい(側面のある)ものであるという説明のためには有用であると思います https://t.co/WXN3CQhAH4
そこには(言い方は悪いですが)「かずという直感的だが冗長な概念のためにあまり直感的ではないけど冗長でなく混乱のない定義を与えられる」という数学の効用を伝えるメリットがあるようには思います
— 川井新 (@squawai) September 24, 2020
思いつく有効活用:
— 川井新 (@squawai) September 24, 2020
「これこれのために単射および全射という概念を定義したいので、定義を考えなさい」と問い、その際に使う
ちなみにシングルトンと空集合は濃度の概念をパスして定義できる(できないとおかしいのですが)ので、これを単射、全射の「定義」として採用しているものを私が見たことがないあたりに「まぁ役に立たないんだろうな」と思います
— 川井新 (@squawai) September 24, 2020
空集合とシングルトンについては次の嘉田さんのコメントを見よう.
嘉田勝さんのコメント¶
emp(x): ∀y(¬y∈x)
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 24, 2020
sing(x): ∃y(y∈x ∧ ∀z(z∈x → z=y))
という感じで、空集合とシングルトンは濃度の概念を使わずに定義できます。
「x の要素の個数が1以上」⇔ ¬emp(x)
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 24, 2020
「x の要素の個数が1以下」⇔ emp(x)∨sing(x)
数学って自由ですね…すごい…。
— ゆうな (@kawauSOgood) September 24, 2020
ありがとうございます、こんな風に表現できるのですね。非常に勉強になりました。
これ, 自由なのか?
追記¶
【蛇足】一般に個々の有限濃度は写像の概念抜きで記述できます。たとえば、4はこうです。 pic.twitter.com/gFytAhxn6m
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) September 25, 2020
追記: 私のコメントに対するぼんてんぴょんさんのコメント¶
この中の「単射の非存在ケース」に関する指摘はおかしいと思うのだが。「一意」と言って「1個または0個」を指すのは普通だし(その慣習が初心者殺しという見解はありうるにせよ)元記事の証明にはその点に関しての抜けはない。 https://t.co/vF4zY9ReBU
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
イメージしたのは「存在するならば一意」と「存在証明」をわけるような状況です。パッと思いつかないのですが、「「一意」と言って「1個または0個」を指す」というの、どういう例があるでしょうか。言われればそうか、という話にはなりそうなのですが。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
どういう場合も何も、数学で単に「一意である」とか「一意性」と言ったら「1個または0個」を指すのがむしろ通例なのではないでしょうか。そのためにわざわざ「一意に存在する」という言い方があるわけで。ほかならぬ貴殿に尋ねられると自信が無くなってしまいますが……
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
その通例、意識したことがありません。私はむしろ「存在するならば一意」「存在証明は別」というよくある話から「存在しない場合に一意と言わないのでは」という気分です。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
そうなのですね……用語法はともかく、元記事の証明に非存在ケースに関する抜けがあるというのであれば、どう直せばよいのかが気になります。
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
本筋ではないがこの「0 個または 1 個で一意を表す」というの, 用例あるだろうか. いまだに気になっているが思い浮かばない. ぼんてんぴょんさんは細かい用語の定義にうるさい人なので, そういう人が言っているということは何かしらそういう用例なりそう書いてある本があるのではないかと思っている. 何か情報を持っている方は教えてほしい.
「y=f(x)を満たすxが存在しない場合に個数は0で議論すべきことはない。y=f(x)を満たすxが存在する場合は2つあったとしてこれが一致することを言えれば個数1が言える」と補足すれば十分ではないでしょうか。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
一般に(通常の定義の)単射性を言うときに、終域の全ての要素を吟味してそんなことを示す必要はないでしょう。元証明はx1≠x2かつf(x1)=f(x2)なるx1,x2が存在すると仮定して矛盾を導いているだけであり、ごく普通の方法です。
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
それは確かにそうでした。私がイメージしたのは、それこそ初学者向けに杓子定規に仮定の条件をガチガチに確認してつける証明で、ごく普通の方法を意識していませんでした。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
了解しました。考えてみれば貴殿の仰るように単射性を定義しても構わないわけで、よく知られた定義が∀y∈Bでなく∀x1,x2∈Aで始まっているのは、そういう点も含めて「洗練済み」なところがありますね。ありがとうございます。
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
この話、定義の気分をきちんと説明することが主眼なので、あくまで私が意図したような議論をする方が適切だと考えています。ぼんてんぴょんさんの指摘を本当に「普通だ」と言い切るくらい普通の感覚が醸成されている相手に対して、そもそもこの定義の議論をする意味があるか疑問です。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
はい、それはそうかもしれません。譲れないのは、「(通例の定義との一致を確認している)あの証明に関して『非存在ケースへの言及がない』という指摘が不当である」という点のみです。
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) September 25, 2020
個数を確認できればいいのでそれはそう(不適切な指摘であった)というのを後で書いておきます。そしてこのやり取りで、今まで以上にあの記事は本当に気に食わないな、これで初学者向けというのをやめてほしい気分が深まりました。
— 相転移P (@phasetrbot) September 25, 2020
九州大学のキャンパスが舞台と思しきゲームがあるという¶
本文¶
Twitter で九大がゲームの舞台に使われているという情報を得た. こちらが実際の九大だ.
九州大学はエロゲの舞台に使われる優秀な大学 pic.twitter.com/BrXv5UFHzV
— ri (@Rio08190819) 2013, 7月 15
ゲーム自体はよく知らないし何とも言えないのだが, 九大キャンパス格好いい. 九大数理と言えば廣島先生と松井先生がいるし, 遊びに行ってみたい大学の筆頭に入る. 北大も行きたい.
ラベル¶
数学
tri_iro さんが古典解析にロジックで殴りかかって地獄を噴出させるらしいので¶
本文¶
あの辺はもともと 100 年前の古典実解析っぽい話なのに, ネガティブ方向からは Steprans 強制法, ポジティブ方向からはガンディ-ハーリントン強制法と隈部-スレイマン強制法で挟み撃ちという地獄絵図になっていて楽しい. みんなももっと古典解析にロジックで殴りかかって地獄を噴出させよう
今日はこちらを訪問中のポールと弱いモデルで Laver 強制法が Laver property を満たさないのではないかという議論をしていた. Miller 強制法なら $L_{\omega 1 ck}$ でも Laver property を満たすのに, Laver 強制法ときたら……
何はともあれ正座待機だ.
ラベル¶
数学, 数理論理, 数学基礎論
記事紹介: 【Rubyが好き】微積分や統計解析を快適に扱う言語(DSL) rubyで作ったヨ!¶
本文¶
【Rubyが好き】微積分や統計解析を快適に扱う言語(DSL) rubyで作ったヨ! という Qiita の記事があった.
ページから少し引用してみると, こういう想いからライブラリを作っているとのこと.
少しマジレスすると僕の大好きなRubyは数学色が薄いのが少し悲しかったのです. (蛇足ですが、この想いからrubyのMatrixクラスにシコシコcommit してます. ex. https://github.com/ruby/ruby/pull/568 Matrixを成長させ組み合わせれば、線形微分方程式や各種統計解析など夢ヒロガリング) ひとまず、ご覧になって雰囲気を掴んで頂くのが良いと思います.
何だかんだでちょっとしたプログラムを書くのに Ruby はすごくよい感じがしたので, 最近 python から乗り換えた.
python を使っていたのはいくつか理由があるが, 何となく GAE で使えるし科学技術計算関係で numpy とか scipy とかあるし, というので勉強がてら使っていた. 結局, GAE も触らないし数値計算などもしないので, これも勉強がてらちょっと Ruby 触ってみたら少なくとも軽く書く分には 非常によかったので, 移行した感じだ.
最近, 小中高生向けにプログラミング+数学・物理みたいなことを考えているし, それに Ruby なり (シミュレーション用途に) JavaScript を使うことを 考えてもいるので, ちょっと動きは注視したい.
ラベル¶
数学, 物理, プログラミング, 相転移プロダクション, 数学教育
Navier-Stokes 解決の (誤) 報に寄せていくつか紹介¶
誤報発見時¶
はじめに¶
ミレニアム問題にもなっている Navier-Stokes 方程式問題の解決がアナウンスされたようだ.
カザフスタンの学者 数学における七大難問の一つを解明 http://japanese.ruvr.ru/2014_01_11/127091047/
この辺の有名問題の常として, 本当に解決されたかは今のところ不明だ. とりあえずこれについては解決それ自体よりも, これが解決されると何が嬉しいのかとかそういうことが知りたい. これの証明に使われた技術が凄い役に立つとかそういうロマンのある話が聞きたい.
FN365 さんが東北大の小園英雄先生による 2010 年時点での解説 PDF を紹介していた.
Navier-Stokes 方程式に関するクレイ研究所のミレニアム問題の解説 2010 年 (東北大学小薗先生) http://www.fluid.sci.waseda.ac.jp/crest/KozonoSeminar.pdf
URL が早稲田になっているが, 早稲田は流体力学の数理のスタッフが充実していて世界的な拠点を形成していると聞いている. 上記 PDF からいくつか引用しておこう. 興味がある向きは詳細を直接 PDF を参照されたい.
コメント¶
ミレニアム問題. 任意に与えられた初期値 $a$ に対して, (N-S) は時間大域的な一意正則な解 ${u, p}$ を有するか?
P2 最後に記述があるが, 弱解は Leray が示していたらしい.
弱解の一意性と正則性が成り立つことを保証するものとして次の定理がある. (中略) 関数空間 (2.3) はセリンのクラスと呼ばれている ([22]). 残念ながら, (2.3) は弱解のクラス (2.2) よりは狭い.
弱解も一応一意性と正則性が示せているらしい. 弱解からのアプローチ, 問題は弱解が (2.3) に本当に入るかどうか, というところになっているのか.
(N-S) に限らず, 一般に非線形偏微分方程式が与えられたとき, その方程式に固有のスケール不変な関数空間で解を考察することの重要性が経験的に知られている. これを藤田・加藤の原理という.
このような $X$ として,藤田–加藤 [8] は $X = \dot{H}^{1/2}$ ととり, $a \in \dot{H}^{1/2}$ であれば (N-S) に時間局所的な強解が一意的に存在することを示した. (中略) 藤田, 加藤両博士のナヴィエーストークス方程式に関する造詣の深さを物語っている. 実際, この論文 [8] が 20 世紀後半から今日に至るまでに非線形偏微分方程式の研究に与えた影響は計り知れない. ここではまず, その後に改良された以下の定理を紹介しておこう.
藤田・加藤, 凄まじい. 加藤先生は我らが加藤敏夫先生だろう. 物理出身の人らしい発想とも言える.
従って, 工学などの現場の要求に応えるためには, 境界のある領域の内部または外部でナヴィエーストークス方程式を考察することを余儀なくされる. たとえば, 多重連結領域における非斉次境界値条件下の定常ナヴィエーストークス方程式の可解性は未解決問題である. 領域の位相幾何的な条件と方程式の可解性の問題は, 非線形偏微分方程式の主要な研究テーマであるが, この方面においても課題が山積していると思われる. このことについては, 次回に述べることができれば幸いである.
領域の位相幾何的特徴とその上の方程式や作用素の特性というのは確かに面白く, 私も興味がある. 私が近いところに関していうなら, Aharonov-Bohm 関係の話がある.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, ミレニアム問題, 偏微分方程式, 量子力学, 作用素論, 流体力学
今回もやはり駄目だった?¶
本文¶
例のナビエ-ストークス論文は普通に間違ってたっぽいですね (修正可能かはともかく) http://math.stackexchange.com/questions/634890/has-prof-otelbaev-shown-existence-of-strong-solutions-for-navier-stokes-equatio
monae さん, 解析専攻というわけではなかったと思う. こういう情報を探しているのか知人から入ってくるのか分からないが, そういう環境はやはり羨ましい.
ラベル¶
数学, 数理物理, 偏微分方程式, 流体力学
多面体の折り紙--正多面体・準正多面体およびその双対¶
本文¶
多面体の折紙-正多面体・準正多面体およびその双対という修羅のような本があるらしい.
折り紙というと兵庫教育大学院大学の和田宗士さんによる折り紙の作図可能性に関する論文も想起される. 折り紙, Origami とか言って世界的にも認知されつつあるとかいう話を聞くのであなどれない. 上記の本も読んでみたい.
ラベル¶
数学
るのひとによる Gowers の仕事紹介 PDF の発掘¶
本文¶
るのひとが, この間 フィールズ賞を取った Gowers の業績紹介 PDF を発掘していた.
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1100-12.pdf 近寄りたくないw
はじめて Gowers の話を聞いたとき, まず一般の Banach 空間論の研究をやっている人がまだいるということに衝撃を受けた. $C^*$ や von Neumann 環も Banach 空間ではあるが, 作用素環というまた別のラインの話であり, こう色々と衝撃を受ける.
フィールズのときの紹介で, 証明も組み合わせ論など純関数解析的な話以外も駆使したとか書いてあって, 何をやっているのだ的な感じがあり, 戦慄した. 関数解析怖い.
ラベル¶
数学, 関数解析, Fields 賞, Banach 空間
数学抜きで論理的思考を身につけるためのたった一つのポイント¶
自己紹介¶
よく「論理的思考を身につけるために数学を勉強しよう」と言われる. この記事はその言説に対するカウンターだ. もちろん適当に言っているのではなくきちんと理由がある. それを順に説明していく.
話に入る前に簡単に自己紹介しておこう. 私は学部では物理学科, 修士では数学科に進学している. 世間的にはバリバリの理系だし, 数学への耐性も極めて高い方だろう.
しかしそれでも社会に出てから 「論理的思考力が足りない」と 言われることがあった. 企画書をはじめとした文書を書くと 「ここに穴がある」とボロボロ指摘を受ける.
数学でも物理でも「論理的思考が大事」と言われる. 実際に社会に出たての私も論理的思考ができないわけではなかったはずだ. しかし現実には上のような指摘を受けた.
*それは何故なのか? それを追求する過程で得た結論をこの記事で解説する. 数学の細かな話が必要になるところは 1 つもないので安心して読み進めてほしい.
はじめに¶
まずは結論¶
まず端的に書こう. ポイントはツッこむ力を身につける, この一言に尽きる.
ツッこむ力とは何か, そもそもツッコミとは何なのか, あなたはそれが気になっているだろう.
しかしその話の前になぜ数学をやっていても論理的思考が身につかないのか, この点について明らかにしたい. ごくごく簡単で当たり前のことだ.
なぜ数学で論理的思考は身につかないのか?¶
理由はごく単純: 数学をやること自体苦行だからだ. 数学という果てしない苦行の先にあるものを身につけようというのは, はじめから無茶でしかない. つまり「数学で論理的思考は身につかない」ではなく, 「数学を勉強すること自体に論理的思考が身につける以上の高いハードルがあって, それを乗り越えられる人はまずいない」ということだ.
どうしてわざわざ苦行を勧めるのか. 新手の嫌がらせか. *そんなつらいことはもうやめよう.
他の突っ込み¶
そもそも数学と論理的思考にどんな関係があるのか? それ自体ろくに議論されているのを見たことがない.
そして何より論理的思考は 数学以外では身につけられないのか? そんなことがあるはずがない.
最初に書いたように, 物理であっても論理的思考は大事と言われる. 私が知る限り文学であっても学術的な状況では 論理性が重要視される. 文系や理系という区分にも意味はない.
無駄な苦行に時間を使うはもうやめよう. 私の立場からすると, 論理的思考を身につけるために数学をしようという言説は, よけいな数学嫌いを増やすだけで本当に迷惑な話だ.
そもそもおかしいこと¶
もう少し冷静になって考えてみてほしい. ふつう何かを身につけたいならそれと直接関係あることをやる. 例えばダイエットしたいのに数学やる馬鹿はいない.
論理 (的思考) の勉強したいならやるべきは論理学ではなかろうか. なぜ数学という回りくどいことをするのか. 謎以外にいいようがない.
ちなみにもっと適切なのは議論学だろう. この辺, もう少しきちんと書いた方がいいのかもしれない. しかし今回のキモは数学に限らず, 何か特殊な訓練をしなければならない, という思い込みを潰してもらうことにある. その目的からすると意味がない話なのでここではこれ以上触れない.
論理的思考とは何か¶
よくある話¶
論理的思考, または論理的思考力という言葉で よく出てくるのは次の 2 つだろう.
- 物事を筋道立てて考える能力.
- 一貫して筋が通っている考え方, あるいは説明の仕方.
こういうと小難しく聞こえるかもしれない. しかし次のように考えてもらえれば十分だ. 要はツッコミを受けない考え方が論理的思考である.
ツッコミを受けるのはわからないことがあってつまづくからだ. 相手がつまづかないようにコミュニケーション上の配慮をする, 論理的思考とはただそれだけのことなのだ.
どうしてツッコまれるのか¶
どちらも同じなので, 「物事を筋道立てて考える」について見てみよう.
先程説明したように穴があるとツッコミを受ける. 例えば知人に会ったときこう言われたとしよう.
「きょう傘を持ってきた」
このときあなたは次のように思うはずだ.
- 「天気予報で雨の確率高かった?」
- 「もう雨が降っている?」
- 「室内にずっといたからわからなかったが, 今日は日射しが強くて日傘を持ってきたのか?」
こういうのを単純に「ツッコミ」と呼んでいる. 実際に上のようなことを言われたら, そのときに思ったことを口にするだろう.
「論理に飛躍がある」, こういう指摘を受けたことがある人は多いはずだ. それは単に上のようなツッコミポイントがあった, それだけのことなのだ.
「こういうツッコミを受けないようにしよう」, そういう守りの姿勢ではなく, 「相手がつまづかないようにきちんと配慮しよう」, そういう攻めの姿勢を論理的思考と呼んでいるだけだ.
こうやって勉強しよう¶
どこからどうはじめるの?¶
論理的思考が何なのか, とりあえずわかってもらえたと思うし, 当たり前のことに過ぎないこともわかってもらえたと思う.
問題はどうやってそれを鍛えればいいかだ. 単にいつものコミュニケーションだ, ツッコミを入れればいいだけだ, そう思ってうまく行くなら何の苦労もいらない.
答えは簡単だ: 日常のシーンの中で小さくツッコミを入れていけばいい.
ここで「ああそうか, それでいいのか」と思ってもらえたなら もうこの先を読む必要はない. 毎日少しずつツッコミの練習をしてくれればいい.
そうは言っても, というのが本音だろう. そこでここからはツッコミ方の学習法をお伝えしていく.
ポイントとしては他人のツッコミ方を学ぶことだ. そして数学などやらずに日常から取り込もう. 議論学とか堅苦しいのもやめよう: そんなものは続かない.
お勧め書籍¶
具体的に本をお勧めする. 次の 2 冊だ.
「論理トレーニング」の本編はいわば教科書で, 説明も多くて飽きてしまうかもしれない. 「論理トレーニング 101 題」で「問題演習」した方が 楽しく続けられると思う.
これを読め, というのだけでは明らかに不親切だ. どんな感じで読んでみればいいか, もう少し補足説明しよう.
例: 新聞の記事から¶
どれでもいいのだが, 「論理トレーニング 101 題」の問 1 を眺めてみよう. そこでは次のような「事実」が紹介されている.
- 便器に座って小便する男性が増えた.
- 立つと小便のしぶきが飛んで汚いから.
この「小便が汚いから」に対する専門家のコメントが記事になっていて, それに対してツッコめ, というのが 「論理トレーニング 101 題」の問 1 だ.
その専門家コメントを引用しておこう.
「清潔はビョーキだ」の著書がある東京医科歯科大の藤田紘一教授 (寄生虫学) も, 座り派の増加について「清潔思志向が生きすぎてアンバランスになってしまっている」と指摘する. 「出たばかりの小便は雑菌もほとんどいない. その意味では水を同じくらいきれいだ. なんで小便を毛嫌いするのか. ばい菌やにおいを退けすぎて, 逆に生物としての人間本来の力を失いかけている一つの表れでないといいのですが」
この専門家コメントにツッコミを入れよう.
ツッコミ その 1: 論理展開¶
まずは「論理トレーニング 101 題」から引用する.
藤田氏はまず「清潔志向が行きすぎてアンバランスになってしまっている」と, 「清潔志向の行きすぎ」を指摘する. そうだとすれば, 「多少不潔でも気にすべきじゃない」と議論が展開すべきである. ところが, 「小便は汚くない」と続けてしまう. 方向がばらばらである. 「小便は汚くない. だから, 立っておしっこしてもいいじゃないか」という議論は, あくまで清潔志向を認めた上で為されるものにほかならない.
要は「話の流れがおかしい」という指摘だ. 「非論理的」というほどでもないが「論理の欠如」がある. そういうツッコミだ.
ツッコミ その 2: ピント外れ¶
もう 1 つ説明を引用する.
もう一点. 「出たばかりの小便は雑菌もほとんどいない」と書いてある. この主張は, 便器に付着して放置された, 「出たばかり」でない小便が汚いのか汚くないのかについては何も述べていない. しかし, いま問題なっているのは出たてのおしっこではなくて, 飛び散ってそのままにされたおしっこなのである. ということは, 出たばかりの小便についてのこのコメントは方向違いどころか, 議論に無関係と言わざるを得ない.
ここでのポイントは「出たばかりの小便は綺麗なのは認めたとして, 放置した小便がどうなのか」だ. 今度は方向違いどころか無関係な話をしていると断じている. 大学教授であろうとも非論理的な指摘をしている, そういうわけだ.
ツッコミ その 3: マナー違反¶
私が先のコメントを読んだときに思ったことを書いておこう. どうやら本には書いていないポイントのようなので. 上の記述のあと「汚れは雑菌だけでなく見た目の汚れも含んでいる」という記述がある.
ここで私が思ったのは服に小便がかかったときの話だ. 汚い話だが小便をしていて, 小便が指についてしまうことがあった. 急いでいたので適当に手を洗って済ませてしまったことがあり, 何となく気になって指のにおいをかいでみたら, 小便のにおいが残っていたことがあった.
そこからすると飛び散ったのを放置したままにすると, においが悪化したりはしないのか? そういう疑問もある. そして小便のにおいがしているのはマナー違反ではないか? そういう観点から小便が飛び散らないように 気をつけているという場合もある.
本に書いてある以外にもツッコミポイントはあるのだ. もっというなら本の記述に対して さらにツッコミを入れていると言ってもいい.
小まとめ¶
ここまでのまとめをしておこう. 一番大事なことは小さくツッコミを入れていくことだ. そしてやりやすい日常のシーンにツッコミを入れるのがいい.
そうはいってもなかなか難しい, そういう場合は他の人のツッコミの仕方を参考にすればいい. とりあえず野矢茂樹『論理トレーニング 101 題』を読んでみよう.
この本の記述を鵜呑みにする必要はない. もっと言うなら本の記述にも「うん?」と疑問に思うところはある. そういう小さなツッコミを丁寧に積んでいくのが大事だ. 数学のような苦行を重ねてもこの手のツッコミができるようになる保証はない.
実社会で必要な「論理」¶
前提にツッコミを入れる¶
日常のシーンへのツッコミということで, もう 1 つ例を挙げておこう.
例えば 50-60 代の話は参考になるか?
すでに終身雇用制は崩れている. 大手の会社でも副業を勧めるところが出てきていたりもする. つまり前提じたいが大きく変わっているし, そしていまも変わり続けている. そのような状況で 50-60 代の話が参考になるか?
こういう話はよく目にするだろう. これもツッコミだ.
論理的志向でよく言われるのは次の 2 点だ, という話を先にした.
- 物事を筋道立てて考える能力.
- 一貫して筋が通っている考え方, あるいは説明の仕方.
これのチェックポイントとして 「前提をはっきりさせる」ということがある. 先程の話を思い出そう.
「きょう傘を持ってきた」
このときあなたは次のように思うはずだ.
- 「天気予報で雨の確率高かった?」
- 「もう雨が降っている?」
- 「室内にずっといたからわからなかったが, 今日は日射しが強くて日傘を持ってきたのか?」
ここでのポイントは「傘を持ってきた」という行動の前提だ. 天気予報で雨の確率が高かったからなのか, いま既に雨が降っているのか, さらには傘と言っても日傘なのか, こういう前提を問うツッコミだ.
あなたはよく「何でそう思ったの?」という ツッコミを受けているかもしれない. それはまさにこれ.
数学にみる前提へのツッコミ¶
一応, 数学でこういう話をやってみることもできる. 詳しい話は全くしないが, 数学での感じだけはお伝えしておこう.
例えば次のようなツッコミができる.
- $1+1$ はいつでも本当に $2$?
- 方程式の答えは本当に $1$ つだけ? そもそも答えはいつでもあるの?
これはどちらも違う. $1+1$ が $2$ であるとは限らないし, 方程式の答えが 1 つとも限らなければ, いつでも答えがあるわけでもない.
これはいわゆる「役に立つ話」とも関係しているし, 中高の数学でも出てくることだ.
できることはできる. しかしこれで学ぶのはつらくないか? といつも思う. 無理に数学でやることもないだろう.
実地で前提を疑ってみよう¶
もう少しツッコミをしてみよう.
例えば「数学のやり直しで論理的思考を身につけられるか?」という話に対しては 「そもそも数学自体が続かない」というツッコミが返せる.
「数学が何の役に立つ?」という話に対しては, 次のように返せる: これはパソコンや機械と同じなのだ. 詳しいメカニズムを知らなくても使えるように配慮されている. 役に立っていることを感じさせないようにしている. だから数学が役に立つことを見たければ裏の裏に見に行かなければいけないし, それは理工系の大学生が苦しみながら勉強していることだ.
数学の話がしたいわけではないからここでは省略するが, もし興味があるなら次の本を読んでみてほしい.
中高の数学が何の役に立つか何度となく言われるので, いい加減何か資料を作ろうと思ってまとめた本だ. 論理的思考とは全く関係ないが, 役に立つ数学に興味があるなら眺めてみてほしい.
ビジネスでの前提を疑う¶
今度は社会人向けの話としてビジネスでの例を挙げよう.
例えば「顧客への訴求力を上げるために映像コンテンツを 作りたいがプロに頼まないとダメか?」という話では スマホでもけっこうできるし, スマホアプリで簡単な編集もやれてそこそこのモノが作れるという ツッコミができる. 最近は「なんちゃってクリエーター」という流れもある.
他にも「プログラミングや IT に詳しくないと自分でサイト作れない?」という話に対しては, 初心者でも WordPress でサイトを簡単に作れるし, ほしい機能はだいたい無料のプラグインがあるとツッコミ返せる. 実際このサイトも WordPress で作っている. デザインについても出来合いのものを使っていて, 私が自分でデザインしたわけではない. 私は Web デザイナーでも何でもないが, このくらいのサイトなら自分だけで作れるのだ.
前提はどんどん変わる¶
ビジネスの観点から話をまとめよう.
最近のビジネスは流れの移り変わりが早い. 前提の正しさがどんどん変わる中での素早く意思決定していくことが大事になってきている. 前提を常に疑い続ける姿勢が大事だ. 今は無理なことでも近い将来できるようになっているかもしれない.
こういうビジネス思考にも論理的思考は活かせるし, それは何ということはなく, 単に丁寧にツッコミを入れていくだけなのだ.
いろいろな可能性を知る¶
うまくツッコミができる人の特徴もお伝えしておこう. それはいろいろな世界を知っていて, いろいろなモノの見方ができることだ.
だからツッコミが入れられる. 新人時代, 上司や先輩から何度となく仕事に関してツッコミを受けただろう. 何故かというとあなたが知らない世界や モノの見方を知っているからだ. その観点から見るとあなたの行動が穴だらけ, だからツッコミを受けたのだ.
例えばあなたが経理の人間だとして, 営業の人間に対して経理の観点から見てよくないことがあれば, そういう指摘をするだろう. そして指摘を受けた営業の人間はびっくりしたかもしれない. 「そんなことは考えたこともなかった」と. これもツッコミだ.
営業から見ると穴がなくても, 経理から見ると穴がある, そしてそれをツッコむ. こういうのも論理的思考なのだ.
- 他人と話してみて他人の世界の見方を知る.
- 他人のツッコミを受ける.
これを積み重ねるとツッコミ力が上がる. このツッコミ力が上がることが論理的思考力が上がることなのだ.
別に他人の意見を受け入れなくてもいい. ありうる可能性を知り, そして探ること. それがツッコミ力向上のポイントだ.
まとめ¶
最後に箇条書きでまとめよう.
- 論理的とはツッコミを受けないこと.
- ツッコミを受けるのは相手の理解がそこでつまづくから.
- 論理的思考とは相手をつまづかせないようにする配慮の問題.
- 日常生活の中でいくらでも磨ける.
これをいきなりやろうとしても難しいだろう. そういう場合は野矢茂樹「論理トレーニング 101 題」を読んでみてほしい.
他人のツッコミ方を学ぶのも勉強になるし, 自分なりのツッコミ方を考えてみるのもまた勉強になる. 無理に数学を勉強することはないのだ.
おまけ: どうしても数学を勉強したいあなたへ¶
最初に書いたように私は大学で物理と数学を学んだ. そしてページの先頭と最後にも載せているように, ふだんは物理や数学の情報発信をしている.
中高数学に関しても無料の通信講座を作っている. 興味があればぜひ登録してみてほしい. 特に論理的思考がどうの, という話はしていないが, 私なりの世界の見方を紹介している.
あなたが数学関係者がどう世界を見ているのか, どう世界とつき合っているのかに興味があるなら, 楽しんでもらえるだろう.
満渊俊樹先生の『 Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて』という PDF が流れてきたので¶
本文¶
Twitter で 満渊俊樹先生の Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けてという PDF が流れてきた. Kahler 幾何はスーパー格好いいと思っているのでとりあえず読んだ. 意味は良く分からない.
我らが小林昭七先生も深く関与している Kobayashi-Hitchin 対応, コンパクト Kahler というかなり限定された状況の話だろうにいまだによく分かっていない部分があるというの, かなり凄まじいと思う.
Ricci 曲率が正の場合の Calabi 予想が未解決というのも結構凄い. もちろん詳しいことは全く知らないのだが, 非負のところが比較的簡単 (解決済み) なのに正ができていないというの, どこが難しいのだろう.
Donaldson-Tian-Yau 予想, (偏極) 代数多様体なのに幾何解析系の人間の名前がついているというの, 代数幾何の闇を感じる.
幾何を全然知らないので何でも格好よく見えた, という感想を抱いて今回の記事を終える.
ラベル¶
数学, 幾何, 代数幾何, 幾何解析, 複素幾何
【不完全性定理のキモは帰納法でも自己言及でもなく「掛け算」なんだ!】¶
本文¶
な, なんだってー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!.
某不完全性定理に関するエッセイ読んだけど, ところどころもにょもにょする. 妙に背理法強調してたり (関係あるのか?), 「ペアノの公理系に不完全性定理があてはまる理由は数学的帰納法を含んでいるから」とか (ロンビンソン算術の立場は…)
あああぁ, ロンビンソン算術ってなんだよいったい. ロビンソン算術だよ.
足し算と掛け算をもつロビンソン算術は不完全定理が適用できて, 足し算のみのプレスバーガー算術には適用できず実際完全. ということは不完全性定理のキモは帰納法でも自己言及でもなく「掛け算」なんだ! と言ってみるテスト.
かけ算, つらい.
追記¶
コメントを頂いたので.
@phasetr乗法のみのSkolem arithmetic(https://t.co/Ow2wzfyZql)もあって、それはPresburger arithmeticと同じく決定可能な理論(https://t.co/KqCXNgqWfy)だけど。
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2016, 1月 31
@CharStreamありがとうございます。現時点では本当に全くわかりませんが、来るべき時に備えて記録しておきます。
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2016, 1月 31
@phasetrPAの乗法を弱めたような体系でSelf-verifying theories(https://t.co/IOOKnmnytN)というのがあるので、それも調べてみると面白いと思いますよ。
— カオナシ(T.MATSUMOTO) (@CharStream) 2016, 1月 31
何はともあれメモをする.
ラベル¶
数学, 数理論理学, 数学基礎論
数論と相転移に付随する自発的対称性の破れ:Connes 論文と新井論文の紹介¶
はじめに¶
この辺からの mr_konn さんとブルブルエンジン兄貴のやり取りで, 数論 (代数的整数論) での両側剰余類の話が出てきた.
私自身は使ったことないが, Connes の数論での相転移論文にも出てきたことを思い出した. Hecke algebras, type III factors and phase transitions with spontaneous symmetry breaking in number theory という論文.
学生時代は学生時代できちんと読もうとして訳が分からず挫折した経緯があり, 結局あまり内容を把握していない. 時々 Twitter でネタにするので, この機会に軽く眺めてみようと思い, 自分用メモとして残しておく.
新井先生の論文の話¶
あと, 関係する話として新井先生の Infinite dimensional analysis and analytic number theory という話もある. 両方とも量子統計と数論の関係がテーマで, 分配関数が Riemann の $\zeta$ になる, という話.
新井先生の論文の方は直接的に Fock 空間と第 2 量子化作用素の話をしていて, 数学的にはこちらの方が簡単で読みやすい. ただ, 基本的には全く違う話だ. 両方読み比べた方が楽しいだろう.
論文のメモ¶
では Bost-Connes 論文のメモに入る. 念のため先に書いておくと, (量子) 統計や相転移の物理については田崎さんの本がいいだろう.
作用素環で相転移を扱うという場合, とりあえず量子統計のセッティングで話をする. 特に $C^{}$ 力学系, または $W^{}$ 力学系の話になる. そこで分配関数が $\zeta$ になる, という方向に持っていく.
イントロで相転移や自発的対称性の破れについても直観的な説明が書いてあるので, 興味がある向きはそれも参考にされたい. この論文では素数の分布と自発的対称性の破れの関係を論じている.
$C^{}$ 力学系は, $C^{}$ 環 $A$ と $A$ 上の強連続な自己同型群 $(\sigma_t)$ の組のことをいう. (もちろん $W^{*}$ 力学系でもいい.)
Hilbert 空間上の連続なユニタリ群は (半群理論からでもいい) Stone の定理 によって, 自己共役作用素 $H$ を使って $U_t = e^{itH}$ と書ける.
GNS 表現にして考えてもいいが, $C^*$ 環上でも (半群理論から) 直接 $\sigma_t = \mathrm{Ad} \, e^{itH}$ のように書ける. この Hamiltonian $H$ のスペクトルが色々大事な情報を持っている. 新井論文では実際に適当な Hamiltonian を構成して, Riemann の $\zeta$ を作っている. von Neumann 環でいうと, KMS 状態が意味を持つのは III 型環だけだ, というのもメモしておこう.
KMS 状態とその端点分解の一般論が出てくる. まず状態の空間が定義から凸集合になり, さらに KMS 状態の集合自体も凸集合になる. そうすると KMS 状態による端点分解ができてそれ自体が熱力学的な純粋相を表す, という話があるが, この論文ではそれが数論の数学としても大事なようだ.
P413 あたりから今回のターゲットの $C^*$ 環が Hecke 環だという話になってくる. $\mathbb{C}$ の格子の Hecke 対応とか何とか出てくるがよく知らない. ここで double coset $GL (2, \mathbb{Z}) \setminus GL (2, \mathbb{Q}) / GL (2, \mathbb{Z})$ が出てくる.
適当な条件下で離散群 $\Gamma$ とその部分群 $\Gamma_0$ から convolution algebra として Hecke 環ができるらしく, $\ell^2 (\Gamma_0 \setminus \Gamma)$ への Hecke 環の正則表現の閉包として $C^*$ 環を作る.
また脱線するが, 群のユニタリ表現から作用素環を作るというのは標準的な方法だ. 一般に $C^$ 環内での functional calculus から $C^$ 環の全ての元はユニタリ作用素で書ける. したがってユニタリを指定すれば作用素環が決まると言っていい. von Neumann 環だと射影でもいい.
Prop 4. では自己同型群を作っている. 記号からしても KMS のモジュラー自己同型群だろう.
P415 で力学系の相転移に付随する自発的対称性の破れの記述がはじまる. $\mathbb{Q} / \mathbb{Z}$ 上の関数 $\psi_{\beta}$ を適当な素因数分解を使いつつ定義する. 面倒なので $P$ の定義は論文を見てもらうことにして, $\Gamma = P_{\mathbb{Q}}^+$, $\Gamma_0 = P_{\mathbb{Z}}^+$ とすると, $\mathbb{Q} / \mathbb{Z} \subset \Gamma_0 \setminus \Gamma / \Gamma_0$ になり, ここから Hecke 環や $C^*$ 環の包含も出る. この辺をうまく解析すると主定理の Theorem 5. になって, Riemann の $\zeta$ が出てくる. $\mathbb{Q}^{\mathrm{cycl}}$ とか数論っぽいのが色々出てくる. また Galois 群 $G = \mathrm{Gal} (\mathbb{Q}^{\mathbb{cycl}} / \mathbb{Q})$ が自己同型群として作用して, しかも時間発展 (KMS のモジュラー自己同型) と可換になり, これが自発的対称性の破れを記述する, とのこと. Theorem 5. の証明の前に力学系と素数の分布の関係の説明をしよう, といって節が変わり 2 節になる.
2 節の冒頭で E. Nelson の「第二量子化は functor である」という言葉が引用される. この Nelson は 2011 年に The Inconsistency of Arithmetic で話題になった Nelson だ. 今は基礎論あたりにいるが, 元々構成的場の量子論にいた人だ, という小ネタをはさんでおこう. 第二量子化周辺の話が簡単に説明される.
今はじめて知ったのだが P417 の Lemma 6. がハイパー強烈だった. 冷静になって考えて見れば当然という感はあるのだが. $\mathcal{P}$ を素数の集合とし, $T$ が Hilbert 空間 $H$ 上の自己共役作用素として, $T$ の第 2 量子化作用素を $\mathbf{S} T$ としよう. このとき, $\sigma (T) = \mathcal{P}$ と $\sigma (\mathbf{S} T) = \mathbb{N}^*$ が同値という命題だ. ここで $\sigma (T)$ は $T$ のスペクトルを表す. 第 2 量子化作用素の定義を省いているのでアレだが, 単なる素因数分解だ. 証明は論文に書いてあるので, 興味がある向きは参考にされたい. というか, どこかで話してもいいかもしれない.
それで上の $T$ を使って次のように Riemann の $\zeta$ が定義できる: \begin{align} \mathrm{Tr} \left[ (\mathbf{S} T)^s \right] = \frac{1}{ \det (1 - T^s)}. \end{align} ここまで来て分かったが, 上記の新井先生はこの命題を基礎にして Fock 空間上で直接色々やっている. 以前はここまですら読んでいなかったという個人的衝撃の事実が発覚した. もう少し読んでおけばよかった. 要はボソンの場の量子論と数論に関係があるという話だ. 一応書いておくと, 当然フェルミオンとも関係があって双対性だとか超対称性うんぬん, という話が新井先生の論文に書いてある. 2 節, 単独で読んでも面白そうだ. 今度どこかで話してみたい.
3 節では 2 節で作った $C^*$ 力学系と数論の概念を関係づけ, Theorem 5. の Hecke 力学系を作っている. 局所コンパクト群とか Haar 測度だとかも出てくるので, 色々な数学が交錯する姿を見てみたい学部生が読んでも面白いだろう. 当然ながら $p$ -進数や付値なども出てくる. アデールだとか, 学生時代, 非可換幾何をやっていた先輩の話で出てきたな, という程度の知識しかないので適当に読み飛ばした.
派手に飛ばして 6 節で $\beta > 1$ KMS の分類をし, 7 節で $\beta \in (0, 1]$ での KMS 状態の一意性を議論している. III 型環とかがちゃがちゃ出てくるので面白そうだが手に負えない.
最後, 参考文献に Araki-Woods や Connes-Takesaki, Bratteli-Robinson, Haag, Pedersen の有名な論文や教科書がある中, Dirac, Serre, Shimura, Tate, Weil があるのに爆笑した. 色々な数学が交錯する姿が見られる論文なので, 興味がある向きはアタックされたい.
追記¶
ご興味を持って頂けそうだったので, knyokoyama さんにこの記事を読むように強要した. その辺のやりとりがここからはじまる.
@knyokoyama あまり細かいところには触れていませんが, ご興味があるかと思ったので, 自分で書いたものですが, ご興味があれば. 数論と相転移に付随する自発的対称性の破れ:Connes 論文と新井論文の紹介 http://goo.gl/fb/XEsEh よく分からない数学
.@phasetr BostConnes と新井先生の論文を読み比べるに同意
@phasetr 読み比べようとするも, BostConnes と新井先生の論文は, 全く別の話です (phasetr さんのブログに別ものと記載あり). *比べられない.*
@knyokoyama もちろん全く違うのですが, ゼータと量子統計という大きなくくりで見て色々な展開が想像できるので, それを考えると楽しいだろうという話です. 解析数論と数論的関数, 超対称性や双対性の数論的反映と, 数論での相転移など, 量子統計・場の理論の多彩な展開がみられるので
@phasetr おっしゃるとおりです. ご紹介, 感謝いたします.
@knyokoyama 比べる, という言い方がまずかったか, という気はします
@phasetr ありがとうございます. 結構, 楽しく読ませていただきました. リーマンゼータの導出や, 驚きの lemma6, (素因数分解定理の言い換え)?!, 時間発展までは, 共通, , , その後は, 全く別モン. かたや KMS 条件から円分体, かたや数論的函数と SUSY. 双方素晴らしい
@knyokoyama 書こうと思って忘れていたのであとで追記しようと思いますが, あの補題 (とそのあとの分配関数) がゼータの零点が自己共役作用素の固有値問題に結びつくという Hilbert-Polya の話なのでしょう. 最近は若山先生の非可換調和振動子などもあるようですが
Hilbert-Polya 予想についてはここなどを見てほしい: 英語版の Wikipedia だ.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 作用素環, 数論, 作用素論, 統計力学, 場の量子論, 相転移, 自発的対称性の破れ, 表現論
gejiqmq さんの情報幾何ツイートまとめ: 自分用備忘録¶
メモ¶
全く理解できていないが自分用備忘録として残しておく. このツリーをまとめた.
ツイートまとめ¶
Fisher情報量は、統計学の普通の教科書だと、局所不偏推定量の平均二乗誤差の達成可能な下限、として出てきます。が、局所不偏性はそれ自体では人為的な条件で、不偏性を弱めて数学的に扱いやすくしているだけのものです。だから、「達成可能」と言っても威張れるものでもなく、
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
Fisher情報量が示す下限を達成する不偏推定量のないモデルはいくらでもあるわけです。自分の博士論文の審査でもそういう質問出たし、また、今でもその手の記述はみかけます。まあよくある疑問です。これは甘利本などを読んだ方には常識でしょうが、漸近論による意味付けが可能な訳です。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
つまり、データ数が沢山あって、中心極限定理が機能する状況になれば、「最適な」推定量の平均二乗誤差の下限がFisher情報量の逆数に比例する、というわけです。しかし、この「最適な」はなかなか曲者でして、Fisherの大胆な「証明」以来、
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
反例の提示もあり、どういう条件を推定量やモデルにかすか、というのは実はそれだけでモノグラフが書けるのでは、というくらいの話なのです。もうずっと前になりますが、柴田先生とこの件で雑談した時、「結局、漸近的に局所不偏、という条件が簡潔なんじゃないの」ということになったくらいで。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
やはり、漸近論の話にしますと、解析学的な難所がいちいち妨げになって、本質が曖昧になるきらいがあると思います。そこで、もう一つのものの見方は、統計量の期待値が、どの程度敏感にパラメータの変化を表し得るか、という問題を考えます。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
この視点からFisher情報量を包括的に扱ったのは、AmariNagaokaの本や、長岡さんの数理科学の古い記事があります。先立って、藤原さんが線形応答とFisher情報量の関係をセミナーで指摘しているので、影響関係はあるのでは、と思っています。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
考えてみると、局所不偏性条件は、期待値をパラメータで微分したら1、というわけで、シグナルの強さを固定して揺らぎを最小化しましょう、と読めます。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
また、漸近論の話は、読み解くと結局のところ、局所不偏性の議論のようなものが近似的にできますよ、というふうに読めると思います。となると、この期待値の感度の上限という見方が本質、ということになるかもしれません。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
最近時折見る、speed limitとの関係なども、基本的にはこういう話だと思います。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
もう一つ、Fisher情報量の導出として、アファイン微分幾何からの
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
アプローチがあります。野水、黒瀬、松添などのアプローチで、これはe接続を埋め込みを用いて導出する過程で、自然とFisher情報量とm接続が出てきてしまう、というもので、
最初見た時は魔術かと思いました。大まかに言いますと、確率分布の集合をR^m内の曲面だと思うのですが、そのやり方は、log p(i)をi番目の座標の値にします。接続は、ユークリッド空間の普通の接続を、「射影」して作ります。この射影の方向を(p(i))にとるわけです。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
言い換えると、接ベクトルの表現を対数微分にとり、並行移動は基本、対数微分をそのまま他の点に移動します。ただ、対数微分は期待値がゼロでないといけないので、期待値を引いて調整します。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
Fisher情報量はどこに出てくるかというと、この射影をするときに捨てられる部分の大きさになります。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
これは数学的なギミックのようですが、操作的に見ても自然だとおもいます。今、真の確率分布をpだと思っているとき、それが本当かどうかチェックしたいとします。その時、対数微分の期待値をデータから見て、判定したとしましょう。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
これはつまり、先程の埋め込んだ曲面に入っているかどうかを、接ベクトルと「法線ベクトル」の積を見ることでチェックすることに相当します。このテストの感度がFisher情報量です。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
今は対数微分を用いてパラメータの真の値のチェックをしたけれど、これを一般化することはできます。つまり、ある望ましい性質を持った、期待値がゼロになる関数でもいいわけです。これはM推定量に対応する話で、これを接ベクトルの表現に用いた
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
一般化された情報幾何もあります。黒瀬、松添、逸見らのstatistical manifold admitting torsionというやつで、その一般化された枠組みは、元の情報幾何よりも弱い結論しか出ません(divergenceが定義できない)が、量子にも適用可能です。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
①統計量の期待値がパラメータにどれだけ鋭敏に反応するかの尺度②ユークリッド空間への埋め込みを考えた時の「曲がり方」の度合い という、二つのFisher情報量の見方を見たわけですが、両者はもちろん、関係があります。先にも述べたとおり、埋め込んだ時の歪みを通じて、真の確率分布
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
①統計量の期待値がパラメータにどれだけ鋭敏に反応するかの尺度②ユークリッド空間への埋め込みを考えた時の「曲がり方」の度合い という、二つのFisher情報量の見方を見たわけですが、両者はもちろん、関係があります。先にも述べたとおり、埋め込んだ時の歪みを通じて、真の確率分布
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
が思った通りのものか、検出できたわけです。埋め込みの仕方をlogではなく、一般にした場合にも同様の議論ができますが、その場合は、この検出の感度はより悪くなることが①からわかります。つまり、最適な埋め込みを考えると、自然とFisher情報量と双対接続出てきてしまう、というわけです。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
補足1 埋め込みをlogでない適当な変数変換でやりますと、射影の残差はリーマン計量を定義しません(内積で書けない)。埋め込みの仕方を統計的な理由で最適化したら、何故か幾何的性質も良好になってしまう、というのは摩訶不思議ではあります。
— QmQ (@gejiqmq) September 9, 2020
今後, きちんと勉強したい¶
情報幾何も勉強の記録として YouTube 動画を投稿していきたい. 他にもやりたいことがあるので優先度低めになってしまうが.
追記¶
2021 年, 藤岡さんによる数学向けの情報幾何の本が出た. これを読みたい.
「方程式を解く」というときの「解く」の意味的なアレ¶
本文¶
イケメンエリートのあさみさんとの対話が面白かったので記録しておく.
といいつつそもそも「ナビエ-ストークス方程式に一般解がある」という状態がピンとこないというか, あったら逆に困るような気がする程度には数学が不自由
@adonis_fish 「ナビエ-ストークス方程式に一般解がある」というのはどういう意味で使っていらっしゃるのでしょうか
@phasetr 失礼しました, ミレニアム問題的な意味です. 困るという言葉もアレだったと思いますが, どうも水とか大気とか物理的な流体でしか捉えられないせいか近似で解くほうがしっくりくるといいますか, えっ解けるの, みたいな感覚がぬぐえませんで, 存在して全然構わないのは承知しています
@adonis_fish はじめの言明で気になったのは「一般解」というところです. 「解ける」と言う言葉の使い方も気になります. 解の存在・一意性証明を「解く」とは (特に非数学関係者は) あまり言わない気がすると言う程度の感覚的な話です.
@phasetr なるほど. 個人的には非数学関係者のほうが「解の存在・一意性証明」という (一見して) 難解な言葉遣いを避けてたんに「解く」と言い下してしまっているような (特にミレニアム問題の文脈では). これもただの印象ですが…普段接している言葉の領域が違うのかもしれませんね.
@adonis_fish 「解く」というと厳密解・近似解に限らず, 数値計算含めて適当に具体形を求める・求めようとすると言う感じで使われる印象がります. 数学で存在や一意性問題を考える場合「解の存在問題を解く」と言う感じで適当に限定するような印象です
@phasetr 仰る意味は理解しますが, こう, いわゆる「社会的」にはかなり厳密な使い分けかもしれません… 方程式を解いて具体形を手に入れる必要のない人にとっては, 解が存在するかどうか, ということとそれを具体形で手に入れられるかどうか, ということの区別にあまり意味はないので
@phasetr なんかあんまり上手く説明できていませんが, その程度の非常に分解能の悪い意味で「解く」を使ったとお考え頂ければと思います. 今後はより精確な言葉遣いに努めさせていただきます. .
@adonis_fish それは初めて知りました. そして衝撃です
@phasetr たぶん, これが使ってる言葉のフェーズが違うということだと思います. 方程式, うんあの $x$ とか $y$ とか出てくるやつね, というレベルを引き合いに出すのは妥当ではないかもしれませんが.
@adonis_fish 単純な疑問で, あさみさんも同じ感覚で「解く」という言葉を使っているという事でしょうか. あとその感覚, おつきあいのあるどんな人たちで見られる感覚でしょうか. 理工系の人間の感覚ではない, という漠然としたアレはあるのですが証拠は何もないので私, 気になります!
@phasetr まず 1 つ目のご質問ですが, 私は文脈や媒体, 話している相手によって言葉の意味, 定義の厳密さ (分解能という単語を先ほどは使いました) を変える, ということを日常的にやっている人間ですので, 簡便のために区別しない使い方をすることはあります (続く)
@phasetr 「同じ感覚で使うこともできるし, 使わないこともできる」というのがお答えですが, 数学に限らずツイッターにおける私の言葉の選び方はかなり感覚的なものなので, もしかしたらそっちがべースなのかもしれません. 理屈で区別しているだけなのかも.
@phasetr あと「その感覚はどんな人たちのものか」というご質問については, 仰るとおり理工系の方にはないですし, 文系ですらないというか, そもそも抽象的な思考をする習慣がないような方です. 結構います.
抽象的な思考というの, どんなものなのか今一つ分かっていない. 一般論と抽象論の区別もいまだにつかないしよく分からない.
追記¶
かもひろやすさんから次のようなコメントを頂いた.
解に実効的に収束する計算可能列を見つけたら解けたという感覚で仕事をしています。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) 2017年12月26日
実効的に収束するというのを適当に調べた上で追記しておきます
— 相転移P (@phasetr) 2017年12月26日
実効的な収束について、Mathtodonに書いておきました。https://t.co/Wkxmrqkz91
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) 2017年12月26日
距離空間上の点列 $(a_n)_{n \in \mathbb{N}}$ が $\alpha$ に収束することは、 $\forall \varepsilon >0 \exists N \forall n \geq N [d(a_n, \alpha) < \varepsilon]$ で定義されます。これを離散化してスコーレム化すると、 $\exists \phi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N} \forall k \in \mathbb{N} \forall n \geq \phi(k) [d(a_n, \alpha) < \varepsilon]$ と同値になります。ここで、 $\phi$ として計算可能関数が存在するとき、$a_n$ は $\alpha$ に実効的に収束するといいます。
当然、実効的な収束は単なる収束よりは強い条件になります。
私が知らない収束概念がまた 1 つ増えてしまった. 楽しい.
ラベル¶
数学, 物理, 微分方程式, 流体力学
数学メモアール電子版の光¶
はじめに¶
数学会が大変な英断を下しているので広めなければいけない. 「数学メモアール電子版の公開について」としてここで第 1-2 巻について出ている. リンク先では第 3-4 巻もダウンロードできる. それぞれ「 3 次元接触構造のトポロジー」「作用素環と幾何学」「リーマン多様体とその極限」「共形場理論入門」で, 専門的で比較的最近の内容だが, 学部生くらいが背伸びして読んでみると研究の雰囲気が感じられて面白いだろう.
作用素環と幾何学¶
「作用素環と幾何学」は専門が近いので目を通してみた. 夏目先生パートの作用素環はかなりよくまとまっているので, 作用素環の雰囲気を掴むのに良い. 第 3 巻は Riemann 幾何周辺の学生が勧めていたようなので, これもそれなりの内容なのだろうと思っている.
上記ページから各巻の内容を抜き出しておくので, 興味が湧いた向きは目を通してみよう.
各巻の内容の引用¶
第 1 巻 3 次元接触構造のトポロジー, 三松 佳彦 (付:Hamilton 系の周期 解の存在問題と J-正則曲線 小野 薫), 2001, 131p, 品切れ, [PDF] 本書は, 接触幾何学の 3 次元の場合を中心とした概説である. 力学系や葉層構造, 3 次元多様体論などの視点からの解説が三松氏によってなされ, 概複素曲線の方法が 小野氏によって解説されている. 接触幾何学, シンプレクティック幾何学, 低次元多様体論, 力学系, 数理物理学などに興味を持つ人に最適である.
第 2 巻 作用素環と幾何学, 夏目 利一; 森吉 仁志, 2001, 230p, 品切れ, [PDF] 作用素環の理論の基礎および指数定理との関わりについての優れた概説である. 一応幾何学者を念頭に置いてかかれているが, 作用素環の理論に興味を持つ広い範囲の読者に興味のもてる内容になっている.
第 3 巻 リーマン多様体とその極限, 大津 幸男; 山口 孝男; 塩谷 隆; 加須栄 篤; 深谷 賢治, 2004, 384p, 税込価格 4,900 円 (送料 340 円) [PDF] 本書は, 多様体論の基礎的な素養を持つ読者を対象に, 大域リーマン幾何学の最近 20 年くらいの発展の主要部分を専門家が解説したものである. 本書に収められた内容を解説した成書は欧文のものでも見あたらない. 本書は微分幾何学の主要な分野の一つであるリーマン幾何学を基本的な文献であるといえよう.
第 4 巻 共形場理論入門, 土屋 昭博 述; 桑原 敏郎 記, 2004, 117p, 税込価格 1,900 円 (送料 290 円) [PDF] 共形場理論に関心をもつ人のために, その手法と考え方を初歩から解説する入門書. 京都大学で行なった集中講義『共形場理論入門 --- 作用素積展開のしかた教えます』をもとに, 共形場理論における基本的手法, 考え方である作用素積展開, 共形場ブロック, N 点関数系とそれが従う確定特異点型微分方程式等について 丁寧に説明する. そのために Boson 場を扱い, Wick の定理を証明したあと, $sl_2 (C)$ 型 アフィンリー環の可積分表現に従う$P^1$上の共形場理論を展開する.
ラベル¶
数学, 数理物理, 幾何学, 作用素環
小澤先生のアロハ装の真相についての当人の発言動画を紹介しておきたい¶
コメント¶
先日, 京都の RIMS にいる小澤先生のアロハ装について TL の一部で話題になっていた. 当人がそれについて語っている動画があるので, それを紹介しておきたい.
東大数理ビデオアーカイブスというのがあるのだが, その中に動画がある. 具体的にはここ, ビデオゲストブック, 2009 年度のビデオの 3:40 くらいからご自身で理由を語っている.
小澤先生自体がこう色々と見た目的に特殊なキャラ立ちをしているので, 興味がある向きは動画で実際に確認されたい.
ちなみに冬でも本当にアロハ一枚で動いている. 最近は時々ジャンパー一枚くらいはおるようだが, それでも基本的にアロハ一枚で本当に過ごしている. 歩くのがめちゃくちゃ速いのだが, 何故かを周囲の人に聞いたところ, 「寒いから速く動いて体温を上げようとしていると言っていた」という情報を得たことがある.
ラベル¶
数学, 数学者
北大, 戸松玲治さんの安藤-Haagerup 理論入門の講演を聞きたかった¶
本文¶
既に終わってしまっているが東大での戸松さんの作用素環の講演は面白そうなので行きたかった.
連続講演
講演者: 戸松玲治 (北海道大学)
題目: 安藤-Haagerup 理論入門
日時/ 部屋
2013 年 11 月 5 日 (火) 午後 3 時 30 分~5 時 30 分 数理科学研究棟 118 号室
2013 年 11 月 6 日 (水) 午前 10 時~12 時 数理科学研究棟 122 号室
2013 年 11 月 7 日 (木) 午後 3 時 30 分~5 時 30 分 数理科学研究棟 123 号室
2013 年 11 月 8 日 (金) 午前 10 時~12 時 数理科学研究棟 122 号室
アブストラクト: 作用素環の超積 ($M_{\omega}$ や $M^{\omega}$) は von Neumann 環の性質の特徴付けや 群作用の分類において重要な役割を果たします. 安藤浩志, Uffe Haagerup 両氏による仕事 (2012 年) は 超積 von Neumann 環についての理解をそれまでよりさらに深めるものです. とくに, 主定理 「超積状態の modular 自己同型群が, modular 自己同型群の超積と一致する」によって, III 型環の超積をようやく「正しく」扱えるようになった, といっても過言ではないでしょう.
講演では, 安藤-Haagerup の論文から, 以下の 3 つを含むいくつかのトピックスを抜粋して, なるべく self-contained に証明をつけます.
- Groh-Raynaud 型の超積と Ocneanu 型超積の関係.
- 超積状態の modular 自己同型群 = modular 自己同型群の超積
- 植田好道氏による問題 ($M$ が full 因子環ならば $M' \cap M^{\omega} = \mathbb{C}$ か?) の解決.
予備知識として, 冨田-竹崎理論, 標準型の理論をあげておきます.
確か作用素環に超積を持ちこんだのは Connes で, Connes 自体元々集合論というか, 超準解析的なことをしていたとか聞いたことがある. 冨田-竹崎理論は量子統計を作用素環的に扱う上での魂だし, 相対論的場の量子論を研究する上でも必須の道具だ. III 型環だし, 何かその辺を駆使する話ということで凄い楽しそう. 超積自体もよく知らないので, その辺も楽しそう.
聞きたかったので残念でならない.
ラベル¶
数学, 作用素環, 超準解析
1 文字の記号から展開される世界が見てみたい¶
本文¶
瀬山士郎さんによる『数学記号を読む辞典 数学のキャラクターたち』というのが出るらしい.
[2F] 好評発売中 『数学記号を読む辞典 数学のキャラクターたち』瀬山士郎著 1580 円 (技術評論社) これで数学記号の意味・読み・使い方がわかる! 小学校からはじめて, 大学までの数式が読めるようになる, 読み通せる辞典風数学エッセイ. http://pic.twitter.com/K9Rqd807VR
数学やら物理やらをやっていて思うのだが, 文字を 1 文字見ただけでそこから色々な世界が想起される. 例えば, $E$ は次のような色々な意味で現われる.
- エネルギー.
- 電場.
- ベクトル束.
- 射影.
- 射影値測度 (スペクトル測度).
これはぱっと思いついたものを挙げただけで, 実際にはもっとある. さらにここから関連する色々な数学や物理の話がある. エネルギーは物理全体で大事な概念だし, 電場というところから電磁気での諸々が想起される. ベクトル束からは幾何の色々の話が想起されるし, ベクトル束上の話として Chern 類やら接続やら, 指数定理やら K 理論やら. 射影とくると作用素論, スペクトル分解を想起するし, 私ならさらにそこから量子力学や場の量子論での色々な話が頭の中を駆け巡る.
記号 1 つ見て何を思うのか, という話, 何かどこかでやりたい. DVD 用の小ネタとしても面白いと思っている. 数学・物理以外でも専門的に学んだ人にとって 1 文字でもそれだけから色々な世界が展開できると思う. その辺を喚起するような作品も作ってみたい. したいこと, たくさんある.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, DVD
「数式の書き方・読み方の約束事をあたりまえと思わず根気強く教える必要がある.自然にわかるものではない」¶
本文¶
何かこういろいろなことを考えたのでメモ.
2x=1からx=1/2は出せても、2sinθ=1からsinθ=1/2を出せない子が結構いて、数学的思考の良さとか、高校までに伝わってないのか、と、考え込んだ。
— Yukiko (@paulerdosh) 2014, 6月 9
@paulerdosh「X = sin θ とおいてみ」というと出せたりするんですよね。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 9
@kamo_hiroyasuそうなんですよ、おけば出せるんですが、その場合も無精して、 いきなりxとか書く。何をxに置いたかちゃんと最初に断りなさいと何度言っても、すぐ無精します。もう、自分だけわかればよい、ってノリで。
— Yukiko (@paulerdosh) 2014, 6月 9
@paulerdosh院生の頃に商業高校を教えていて、tanθ=sinθ/cosθが理解できない生徒がいました。彼によると分子分母でθとsが約せるので、sinθ/cosθ=si/co のはずで、それがなぜ、t×a×n×θになるのか、さっぱりわからないと。こんな発想もありますよ。
— 石井晃 (@ishiiakira) 2014, 6月 9
@paulerdosh@crow_on_snow「X = sin θ」が、「ゆえに、 X = sin θ」なのか「X = sin θ と仮定する」なのか「X = sin θ とおく」なのか「X = sin θ の場合、……」なのかさっぱりわからない答案も見飽きました。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 9
@CinderellaJapan@paulerdosh@crow_on_snowわかっていて無精している場合とそもそも論証の概念の持たないための場合があって、どちらであるかによって必要な対応が変わります。見極めて適切な対応を試みている高校の先生には頭が下がります。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2014, 6月 9
@paulerdosh数学的思考の問題でなくて数式の文法がわかってないのでは?一般の函数はf(x)などと書くのにsinやlogでは引数を囲む括弧を省くなど,歴史の行きがかりで一貫性に欠けます.2 × sin(θ) とparsingできてるかしら?
— ただまご = 永島孝 (@tadamago) 2014, 6月 9
@paulerdosh数式の書き方・読み方の約束事をあたりまえと思わず教えてやる必要はありそうです.自然にわかるものではありません.
— ただまご = 永島孝 (@tadamago) 2014, 6月 9
記憶しておきたい.
ラベル¶
数学, 数学教育
「文系」への理系科目教育は知的虐待なのでやめてあげてほしい¶
全さんのツイート¶
話題に遅れちゃったけど、この周辺の話、盛り上がってるのみると、やはりみんな気にしてんですね。いや気にしてもらわんと困るとマジ思う。いわゆる理系文系の切り分けで地殻変動が起きてる最中で、STEM抜きの純粋文系で生きていける人なんて、中長期で見たら極小になっちゃうと予想できますもんね。 https://t.co/PZA9qRdkv3
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) September 1, 2020
STEM抜きの純粋文系で生きていける人なんて、中長期で見たら極小になっちゃうと予想できますもんね。
「純粋文系で生きていける」の定義があまりよくわかっていないが, それ本当? というのを真っ先に思う. 社会はそんなにやわなのかという気分がある. まずは全さんのツイート周辺を載せてから少し私の考えを書く.
んで現「文系」の学生に、理工学の常識への入門として何をどお教える勝手具体論なんだけども、皆さんがおっしゃってるのと、私少しだけ違う考え。文系の人の趣向に沿ってってことで科学史とか科学哲学教えるのは違うと思う。それって理系脳に文系入門として文献学や考証学や文学史教えるみたいな。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) September 1, 2020
多分ここは「有用性」から一歩下がって、リベラルアーツ教育の元々の本意に戻って、何学んだら人生の楽しみのキャパを広げられるか、に着目するのがいいと思う。科学や技術ってちゃんとした扉から入ればワクワクして楽しいわけよ。学生がその愉しみに自ら気づくような、そんな入門科目がいいよね。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) September 1, 2020
ちょっと別の流れ.
こういう話ってたいがい人文系研究者による「「道具的知」である理系学問を学ぶものは,そうではない「真の知」である人文系学問を学ぶべきである」ってポジショントークだという偏見があるんですが。
— umedam (@umedam) September 1, 2020
真面目な話、たしかにこの話盛り上がる理由って、そうゆう人文ポジショントーク対STEM推し我々サイドのポジショントークのシャドウボクシングみたいだからでしょうね。ルネサンスなんかの歴史的な先例から見て、勝負の帰趨は明らかに思えはしますが。
— 全卓樹 (@Quantum_Zen) September 1, 2020
とりあえず私の結論¶
まず「文系」の人に数学・理科をやらせるのは知的虐待なのでやめてあげてほしい. むしろほんやくコンニャクのように蒟蒻を食べると数学・理科がわかるとかいうような食品を開発できていない懦弱な理工系に猛省を促すべきだろう. 私はふだんこれを「工学は本当に使えない」と工学に対する不当な暴言という認識のもとで発言している. 理学の人間はどうにもならないので, 役に立つことが大好きらしい工学関係者に全てを押しつけている.
以下でおおもとの小町さんのツイートとリプライ集を載せるが, 上の umedam さんのコメントにもあるように, 理系の人間が「文系の知識・教養がない」と言われるのは文系と全く同水準の知識・知見がないことを罵倒されているわけで, 講義や世になるコンテンツなどでも配慮されている気配はない. 特に気にせず中高大では理系と同じようにやればいいだろう. 理系と違って「文系のための」みたいなコンテンツは世にたくさんあるし, 学校以外の部分での補填に任せればいい.
ちなみに理系のための語学みたいなのがないのはそれはそれで腹立たしいので, 一市民として浅学非才の身をかえりみず, 次のようなコンテンツを作るべく勉強会をしている.
市民なので気に入らないなら自作するまでだ.
小町さんのツイートとリプライ集¶
発端¶
文理どちらも教養が大事という話があるが、実際の履修見てみると理系学生は文系科目履修しているし、むしろ文系学生が理系科目を履修していないので、カリキュラム等で強制するなら文系に理系科目を取らせるべきでは、という意見をあるミーティングで述べたことがあるのだが、その後音沙汰がない。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 26, 2020
結局文系学生からすると内容や興味もさることながら、下手に理系科目を取って GPA を下げたくないと思うのも無理はない話で、文系学生向けの理系科目を開講する必要がある、ということのセットで、理系教員からすると、教養教育の趣旨に賛同する教員でなければモチベーションがほぼないし、難しい。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 26, 2020
観測範囲では人文・社会学系教員がどう考えても知らないようなことだと思うので, そういう内容を学生に教えるのもどうなのかという気がする. 勉強しなければならないこと, 専門としてカリキュラムに組み込まないといけないことが多いなかで全く役に立っていない知識・知見を教育する意味がどの程度あるのだろうか. 理系の場合, 技術倫理や関連法規などは社会によって課されていて役に立つというか知らない者・使いこなせない者は反社会的存在として様々な形の罰を与えられるため勉強する必要があり, さっさと諦める必要がある.
そういえば先日文系科目・理系科目の話、ここにぶら下げておくが、理系・文系談議をするなら隠岐さんの「文系と理系はなぜ分かれたのか」 を読んでおくと、前提知識合わせができてよいと思う。https://t.co/Sgbghlyhx2
— Mamoru Komachi (@mamoruk) September 1, 2020
本質とは何か¶
教養レベルで言うなら、文系にとっては高校生レベルの物理化学生物も細かすぎて難しすぎます。
— Tom (@officeearth) August 27, 2020
もっと本質的な部分の知識や日常に役に立つ知識を得られるような理系の教養科目が欲しいです。
中高の数学と理科, むしろガチガチの本質しかないせいで死ぬほど難しくてわかりにくいという印象がある. 「よくわからないがこのような事実がある」という剥き出しの博物学とでもいうか, お前の興味関心やどうすれば理解できるかといった話は知らない. 車は急には止まれないので諦めろという問答無用感はどうしようもなく自然科学理解の本質だろう.
よくわからないがとにかく知識を集積しておくというのもかなり人間の本質のようだし, とにかく知識を叩き込むという方向性もそれはそれで十二分に本質という気分もある. 何にせよ本質がきちんと定義されていないので具体的な話は何もできないし通じなさそう感にあふれる. 安っぽいといってもいいだろう.
高校生レベルの数学・理科でも(学んでいない人にとっては)十分おもしろいと思うのですけどね。大学ならではの教え方、というのありそうですが。文系科目でも「本質的な知識」を教えているのか?「日常に役に立つ知識」みたいなのを教えるのが「教養」なのか?と思うと、非対称なんだと思いますが……
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
興味のない子供達には理系科目は苦痛が最初だと思います。
— Tom (@officeearth) August 27, 2020
興味の湧くような内容ではないからで、もっと分かりやすい、興味が湧くような内容、実験を工夫して欲しいです。
中学時代に嫌いになると、ずっと嫌い苦手ですもの。
文系科目, 理工系人の興味関心に沿って話してもらった記憶がないが, なぜ「文系」にはこの手の「甘え」が許されるのだろうか?
興味がない科目をやるのは理系科目に限らず体育や芸術などの実技科目や文系科目でも同様で、分かりやすいのがよいのか?というと、大学の授業は必ずしもそうでもないと思うのですが、興味が湧くような授業にするのがよい、というのは同感です。少なくとも成績は気にせず受けられるとよいのですが。。。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
抽象的?¶
文系学科出身で何故か技術者になっている身としては、当時から興味はあってもうまく自分の知っている体系に接続できず、すごく抽象的なものとして離れたところから見ていた…と言う記憶があります。
— らふぺん@出羽雪自然酒も好きです。 (@LaphroaigInvest) August 27, 2020
特に物理や化学ですね。今の仕事の分野ですが。
橋渡し的な講座があればぜひ受けてみたかったです。
確かにそうですね。思い返してみると、中高および大学受験で数学を習ったとき、工学出身の先生の数学は楽しかった記憶があります。抽象的なところに入る前に例題を解いてウォーミングアップしてから、みたいな順番になってたんでしょうね。そして結局工学系の学部の教員になり、そのように教えてます。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
素晴らしいことだと思います。
— らふぺん@出羽雪自然酒も好きです。 (@LaphroaigInvest) August 27, 2020
自分は結局一番基礎の下積みを怠ってしまったので、数式絡みの理解が遅い、不完全、とどうやればどうなるかはわかっても何故そうなるのかの理解度に課題を感じる日々です。
文系にとっても質の高い理系分野の導入教育はその後の可能性を大きく拡げるものと思います。
こういう大人, 知らなくても・わからなくても困っていないということを全力で訴えていて, この状況下で子ども達に数学・理科を勉強しろといっても絶対にやる気など出ないとしか思えない.
本質と楽しさ¶
大学一年の教養で、メビウスの輪についての数学の授業があって、文系の私もすごく楽しかった。
— のんたろのすけ (@nonnonnkym) August 27, 2020
本を読んで授業を聞いて、レポートを書いて単位をもらいましたが、こういう授業は文系の人にもわかるし、楽しいのでどんどんやってほしい。
内容的に誰でも楽しめる授業というのはよいですね。やはり評価も無理なく受けられる、というのはよいですね。普通に成績をつけるのではなく、合格が不合格かだけつけるような形式にすると、もっと自由に興味のある科目取れるように思いました(現状インターンシップなんかが、そうなってます)。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
楽しさは主観的で, 誰にとってどう楽しいかがそもそも難しい. あと上の本質の問題. メビウスの輪の議論がどんな本質につながって, さらなる勉強を円滑に進められるかという問題もあり, それは解決策なのかという気分がある. そして「わかった (気になった)」から何なのか問題がある. 先程のようにメビウスの輪は本質的 (未定義語) なのか, 役に立てられるのかと問うてくる人間もいるので講義計画がどんどん難しくなり, 対応できる人類がいなくなっていく.
本格的に知る¶
コメントにありましたが、大学で対応するよりむしろ高校教育で両方をほぼ必須にするべきという話があり、賛同しています。私の出身の都立高も今はそういう方針だそうで、県立千葉もそうだと聞きました。
— Daichi Mochihashi (@daiti_m) August 27, 2020
一方で、文科向けの大学の理系科目は私はヌルい感じがして、もっと本格的に知りたかったですね。
そうですね。自分の中高時代は一応文理の区別はありましたが、一通りの教科はやっていた記憶があります。受験は特に気にしない学校だったからかもしれませんが。。。進学実績を売りにする高校は、早いうちに私立文系かどうかを決めさせ、文系科目に特化させて進学実績を上げると聞いたことがあります。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
勉強する量がどんどん増やされていくの, 高校生も教員も大変だという気分がある.
大学受験に絞ると遠回り¶
自分の高校は2年生までは文系でも数三や基礎でない理科も授業やテストがありました。今になって臆せずに大学数学に飛び込めるという恩恵が返ってきましたが、大学受験に絞って考えるとかなり遠回りだったので、受験と教養のバランスを高校で取るのは難しいと感じていました。
— おーば (@Rodamille) August 27, 2020
シグナリング効果で大学を選ぶという現状に加え、教科を減らして見かけの偏差値を上げたい大学と、そういう大学に入りたい学生・入れたい保護者の利害が一致しているので、変える動機は特にないですよね。。。そんな中、早稲田の政経が来年から数学を必須にするというのは画期的なので、期待してます。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 28, 2020
黒木さんなど数学者のコメントを聞く限りむしろ急がば回れだそうだが, いまだに数学はよくわからないし, 受験の数学は思い出したくないくらい嫌な記憶しかないほどに苦手だったので何も言えない.
文系プログラマー?¶
文系の方でプログラマーになる方も意外と多いですもんね~逆に授業とかでそういう周辺とか履修するのがいいのかもですね♪
— 黒ラブ教授(科学コミュニケーター、理系文系どっちも研究する人) (@kurorabukyouzyu) September 1, 2020
はい、ちなみに離散数学なら文系の人でも特に問題なく履修できそうに思っています(パズル的な楽しさもありますし)。世の中的には、高校以下では文系にも確率・統計を教えたいのだろうな、とは思いますが、「ヤバい経済学」みたいな事例を工夫しないとあまりおもしろくないような気がしています(汗)
— Mamoru Komachi (@mamoruk) September 1, 2020
プログラマー, 数学が必要な人はどのくらいいるのだろうか? そういうごく一部のエリートのことを考えるよりももっといろいろやることあると思う.
現実大好き人間¶
仰る事はごもっともなのですが、日本の教育は出来ない人に合わせての足切りをする事が多いので、そうした垣根の取っ払いは、理系履修者にとって負担に働く可能性も。。。授業内容が、求めた基準に達しないなんてどっちつかずになってしまう可能性も。
— hectopascal1013 (@hectopascal1013) September 1, 2020
他の方のコメントでありましたが、「文系履修者」「理系で他学科の学生の履修者」「理系で専門学科の学生の履修者」の3科目を用意する、というように、目的に応じて複数用意する、というのが一つの解決策だと思います(自分の学部生のころはそうなっていました)。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) September 1, 2020
すいません。地方の学校で、高校を想定いたしますと、
— hectopascal1013 (@hectopascal1013) September 1, 2020
理系の教員数がそもそも足りず、クラス分けも難しくなってくる現実が有ると思います。都心などある程度予算の有るところはそういった事が可能と思いますが、そうすると、地域間教育格差も広がってくる可能性がと心配しています。ご趣旨には賛同
大学で学んだ内容やできることを評価されるのではなく、どの大学に入ったかという学校歴が評価される(と信じられている)現状では、教養する方も受ける方も動機がなく、学校歴の評価を上げるハックをするインセンティブがあるので、高校のカリキュラムは変わらないだろうなとは思っていますが。。。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) September 1, 2020
こういう現実大好き人間こそ理科をやるといいと思う.
文理分け¶
大学の段階で文系に理系科目をどうのこうのは難しいと思います。
— TENOROG (@TENOROG1) August 27, 2020
それよりどちらかというと、高等学校の普通科という学科の中で文理を分けるという考え方を改めるべきなのではないかと思います。
そうですね、そもそも高校でやっててもらうのが一番よいですね。大学入試で課さないと、結局やらないでしょうし、現状なかなか難しそうですが、普通科の再編の話も今年出ていたので、もしかしたら変わるかもしれませんね。https://t.co/T3gAnjeJRl
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
リメディアル科目をカリキュラムに入れ込むことは文科省からも目をつけられることがありますし、教員免許を持ってない大学の教職員には限界がありますよね。
— TENOROG (@TENOROG1) August 27, 2020
建設的な再編となることを期待しています。
大学教員, よく学問的な訓練によって得られる思考力や問題解決力が社会に役立つというし, それを実践してもらえればいいと思うのだが, こういう方面で大学教員自身がその力を発揮しているのを見たことがないとも良く思う.
好き嫌い¶
結局のところ文系に行くってのが「数学が嫌い」「理科が嫌い」て理由だからじゃなかろうか、と。なお私が昭和の末期に在学していた(教養課程があった時代)教養の文系科目は履修対象は問わなかったけど理系科目はA:文系向け、B:非専門の理系向け、C:専門の理系向けと指定されておりました。
— takatsuji eriko (@gabefunyaa) August 27, 2020
嫌いかどうかと苦手かどうかは別の話で、数学や理科が好きでも苦手だから理系に進学できない、というのはあるかなーとは思います。そういう人は理系科目取ってくれそうです。たくさんレバートリーが用意できないのは、教養課程がなくなったのが関係してるかもしれませんね。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
理系は好きなのに出来ない私。数学の試験(入試も含め)は毎回、開始5分でお腹痛くなってました。なのに薬学に進んでしまい、化学系に就職してしまい…結果、やはり苦労しています。好きな事より、出来る事にすれば良かったと思う日々。分かりやすい授業があると嬉しいです。
— Mikokawaii (@mikokawaii123) August 27, 2020
自分は大学教員になるつもりはなかったのに、色んな人から教員が向いていると言われ、博士の入試でも面接委員の先生方から「大学教員には興味ないの?」と言われてもガン無視して「なるつもりはありません」と言っていましたが、結局大学教員になって10年です。やってるうちに、好きになりました。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
社会科系で文系理系みたいな配慮があった記憶もないので, さっさと諦めたらいいのという気分がある. 結果苦労しているというが, 多少苦労する程度で, それできちんと生きていけるのだろうし, こういう大人の発言はむしろ学習意欲を減退させる原因ではないだろうか. 何かそういう社会学的・教育学的な調査がないだろうか.
あと小林俊行先生など教員の説明がクリアですごいと思ったことはあるが, だからといって内容がわかったわけでもなく, わかりやすい授業とかいうのがいまだにわからない.
単位取得?¶
私が通っていた当時、1つのテーマ(私は男と女を選択)を各学部の先生が1コマずつ担当するという講義がありまして、とても面白かったです。
— ミレー (@mizusawa1977) August 27, 2020
生物学(おしべめしべ、性分化)→社会学(ジェンダー)→産婦人科(生殖)→心理学(男女の心理傾向差)みたいな感じで、文系理系ごちゃ混ぜで履修する教養科目でした
こういった講義があると良いのになと思います。当時、母校では、総合大学ならではの学び、をテーマに、取組をしていたようです。
— ミレー (@mizusawa1977) August 27, 2020
私は文系ですが、他学部の単位も卒業認定されたので、理系講義(工学部情報文科学部医学部)もいくつか受講しました。
レアかもしれませんが、こんな奴もおります
授業する側からすると、オムニバスはうまくいく場合とそうでない場合があるのでなんとも言えない(オーガナイズ力が問われる)のですが、西東京エリアでは理系は電通大や農工大、文系は東外大や学芸大などあるところ、うち(都立大)はせっかく総合大学なので、それを活かせたらなと思っています。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
素敵ですね。
— ミレー (@mizusawa1977) August 28, 2020
確かにオムニバスはやる側はすごく大変そうですが??
私は、理系の先輩とサークルで関わり、理系学問の一端を垣間見れたことや、隣接分野の理系研究などが受講しやすかったので、総合大学に行って良かったと感じました!
文系理系ではなく、知的好奇心が強いかどうかかなと思います。
知的好奇心を別の分野に向けるべきかどうかという問題がある.
よくある例外つき一般論らしき何か¶
理系の文系科目強制→時間がもったいないけど仕方ないから履修するか。。。
— 根去 Kansai (@milkywayeco) August 27, 2020
文系の理系科目強制→時間をいくらかけても理解できるわけないだろ。。。地獄だぁ。。。
くらいの差があるかもね
勿論全ての理系、文系の人がそうだとは言わないが
??????
色々リプライをいただいて考えてみたら、ある科目群を設定して、そこから一定数履修しないといけないけど、そのグループの科目は合否でのみ成績がつく、というような形にするとよいのかな、と思いました。そうすると、成績はあまり気にせず興味で取ってもらえそうです。(鬼教員がいないとして。。。)
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
文系よりも人が死んだ事件もあったからアート系の必修に組み込んでほしい¶
自然科学は法科だけど3科目取りましたよ。必須でしたから。生物学、科学史、人類学。一応全部「優」??
— 谷梅之助 (@umenosuke_tani) August 27, 2020
文系にも自然科学は必要。カリキュラムもそう組まれるべき。
そうですね、どのようなカリキュラムになっているかは大学によって異なり、自分も学部生のときは理科系の科目の履修が必須でした(自分は東大の文科3類でした)。上記の話は現在の都立大の話で、都立大も昔は文系に理系科目を、理系に文系科目を必修にしていた時期もあるそうなのですが。。。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
広く文系理系の枠を超えて一般教養科目を履修することは、必ず、本来の専攻を学ぶ上でもプラスになると思いますけどね。
— 谷梅之助 (@umenosuke_tani) August 27, 2020
本来の専攻を学ぶ上でプラスになるとかいうの, よく聞くがどういう根拠があるのだろうか.
文系にいて理系科目を履修して役に立つ(立った)か?と言われると20年以上経った今でも微妙なのですが、高校までの教科書に書かれていないような(当時)最先端の内容を知ることができたのは、ワクワクしました。今考えると、そもそも本に書かれている時点で、明らかに最先端ではありませんが。。。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
まぁ、経済学なら数学とか、関連する部門は多いと思います。(専攻分野によって変わるでしょうけど)
— 谷梅之助 (@umenosuke_tani) August 27, 2020
まぁ、直接関わりなくても、生物学でのダーウィンフィンチの適応放散や森林の遷移の話、科学史でのアレキサンドリアのムセイオンの話は興味深かったですね。
とりあえず坂本龍一には工学をやらせた方がよかったと思う.
科学哲学¶
科学哲学は理系科目ですか?
— 和田文也@禍話リライトvol.1、2電子書籍化!絶賛発売中! (@wadafumiya0) August 27, 2020
どちらかに分けることは重要ではないと思うのですが、自分は学部時代は「教養学部 基礎科学科 科学史・科学哲学分科」というところを卒業したので、所属としては理系にいたことになります(入学したのは教養学文科3類という、主に文学部と教育学部に進学する科類でしたが)。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
私は文学部で教養科目として「ゲーム理論」を学びましたが、教養部のあり方劇的に変わってしまいましたからね……
— 和田文也@禍話リライトvol.1、2電子書籍化!絶賛発売中! (@wadafumiya0) August 27, 2020
「ゲーム理論」も理系文系どちらにあってもよい科目ですね。科学哲学同様、そういうどちらの人も受けられそうな科目をある程度用意するとよいのかもしれませんね。(かりきの成否が教員次第になってしまいますが)
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
単位¶
都立大はそんな感じなんですね。
— 陰毛囃子 里湖 (@sakurazaka44) August 27, 2020
私の大学の場合文系は自然科学系科目の単位を取らないと卒業できません。
はい、昔の都立大は文系も理系科目を、理系も文系科目を取らないといけなかったようですが、現在は制約がないようです。文系に理系科目を義務付けると文系向けの科目を開講する必要があるでしょうが、そのオーバーヘッドを受け入れてでもお互いの科目を取るようなカリキュラムの方がいいと思います。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
おそらく文理おなじキャンパスの大学で起こる現象なのかもしれないですね
— 陰毛囃子 里湖 (@sakurazaka44) August 27, 2020
そうですね。うちの学部は都立大でも1-2年が南大沢で3年以降は日野なのですが、1-2年でしか受けられないと思って逆に受けるのかもしれません。ちなみに今年はオンライン授業だったので、南大沢からこちらの専門科目を履修する学生が何人もいました。オンラインになると、変わるかもしれませんね。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) August 27, 2020
単位が取れたところで理解とは一切の関係がなく, 生兵法は怪我のもとと昔から言われているので, 逆に問題になるのではないかという気しかしない.
データサイエンス¶
無作為大量PCR検査実施の是非に関する議論を見ていると、文系の方も統計学やデータサイエンスについて学ばれた方がいいのでは?と思ったりします。
— Rocketman! (@retnuh_sWJS) September 1, 2020
文系の人にデータサイエンス的な意味の統計を学んでもらうのは実は結構難しい(割り算や3変数以上のかけ算は難しい)と思っているのですが、「統計でウソをつく法」や「ヤバい経済学」のような話は理解可能だと思うので、騙されないための統計、というのは(高校で)教えるとよいかなと思っています。
— Mamoru Komachi (@mamoruk) September 1, 2020
データサイエンスとかいうの, やっていることはどう見てもエンジニアリングだしもっと誇りを持ってエンジニアリングを名乗ってほしい.
雑多な反応らしきもの¶
理系の知識が得られるビッグヒストリーの本、例えばA Short History of Nearly Everything とか原文で文系大学生に読ませたら英語と科学両方の勉強になる。そういう教育をする大学が必要。Amazonで星5つが何百と並ぶぐらい面白いし。理系の学生にもオススメ。
— takeokonchan (@takeokonchan) August 27, 2020
三十年前それが実行されていれば、私は卒業年度を遅らせる結果になったかもしれませんが、良いご提言だと思います。
— 栗栖太郎 (@suieioyaji) August 27, 2020
社会人になって、特に数学の重要性が身に染みています。また自然科学にもう少し知識があれば、アウトドアライフを更に深く楽しめたのではないかと、思っています。
文学科で教養の数学履修生その年1人とかざらなんです。
— 阿蘇山 (@mountaso10000) August 27, 2020
文系理系の差は世界のなにをどう見てどこに興味を感じるかの違い。つまりお互い興味ない分野はなるべく避けたいし、それぞれ理系向け文系科目や文系向け理系科目を必要としている。そういう授業の作り方は明らかに存在していると思うし面白いはずだ。
— 小川リューク (@FTNPawqnkf2hReP) August 27, 2020
無理にやらない方がよいと思います。
— 上條敏子 (@gWKAuI6bCRCJh3r) August 27, 2020
文系が理系科目を履修するかどうかなんて知ったこっちゃ無いから理系の倫理系科目無くしてほしかったですね。(反逆者)
— クマムシ(SATA接続) (@Purin_Kumamusi) August 27, 2020
理系の倫理, むしろ社会で 1 番必要な科目だ.
理系で日本史世界史を学んでない人に対して、知識が無いことをバカにする文系の高田フーミンをどうにかして下さい。あの人には数3を勉強させて下さい。
— とぶちゃん (@roumasutangu) August 27, 2020
ymatz さんも参加しているという Science Front に参加して適当に色々質問とかしてきて超楽しかった¶
本文¶
ymatz さんも参加しているという Science Front に参加してきたが超楽しかった. ネタは次の 3 つだった.
- 「光電子分光法を通して観た"物性物理学"が見据える未来」
- 「図形の大域不変量とその局所化ー $\mathrm{Spin}^c$ 多様体上の Dirac 作用素について」
- 「新粒子探索ーヒッグス粒子のその先にー」
光電子分光法の話, あまり光電子分光自体には触れなかったような感じがするが, 超楽しい. やはり何だかんだ言って物性が好きなことを再認識した. 熱電関係の話, ペルティエ効果と言ったと思ったが実際に装置を作ってきていて比較的すぐに効果が分かった. 「ペルティエ効果の実感が湧かないという人向けに昨日秋葉原で買い物してきました」とか言って装置を出してくるの, 超格好いい. あれ見習いたい.
幾何の話, Witten がやばい. タイトルから言っても分かる通り指数定理の話で, 指数を調べるのに Dirac 作用素を直接調べるという協力な方法についての話だった. Confined potential (ベクトル束上の section らしい) をうまく使って情報を potential が 0 のところに局所化して調べるとかいう豪快な方法を紹介していた. 格好よくて興奮した.
素粒子トーク, ヒッグスを実際に使って何かやろうという話だった. 標準模型でも説明できないダークマターなどがあるので, まだまだ未知の粒子があるはずだからそういうところにも Higgs をどんどん使っていこうということだったというように理解している. Higgs, 一旦あるというのは分かったが新規な実験に使っていける程度に扱いやすい粒子なのだろうか, というようなことを今さらながらに思った.
皆, ぎりぎり研究の話にも触れていて, 話を作るの大変だろうなと思う. 自分もまた何かやりたい. DVD もそろそろ第 2 弾作りたいし, 研究もしたい. したいことはたくさんある.
あと, 当日このブログを見ているという数学の人に出会った. 量子力学とか場の理論関係で参考にしているとかいうこと. 役に立っているなら嬉しい限りだ.
数学科内で話していると「物理で出てくる Hilbert 空間は必ず可分なのか」というような話もするらしい. そういえば「可分性とか使わない証明をつけたい」とか言っていた後輩がいたが, なかなかパンチ力ある. そもそも Hilbert 空間自体は可分なところしか触っていないので, 非可分だとどんな面倒事が起きるのかよく知らない. ただ, Hilbert 空間自体は可分でもその上の $C^*$ 環 (特に CCR algebra, Weyl algebra) は非可分だったりはする. 作用素環だと普通, 基礎となる Hilbert 空間自体には可分性を仮定するので, Hilbert 空間自体を非可分にするととにかく面倒そうでやりたくないという程度の理解しかない.
ちなみに私が知る範囲の相対論を含めた場の理論ですら可分な Hilbert 空間しか出てこないので, 非可分なところ, 魔界というイメージある.
ラベル¶
数学, 物理, 物性物理, 幾何, 指数定理, 素粒子
Twitter まとめ: 慶應 SFC は社会のことなど気にせずもっと面白いことをしろ¶
本文¶
大した話ではないが, 折角いくつか呟いたのでこちらにもまとめておこう. 一言で私の希望をいうと, 「社会をどれだけ傷だらけにしようが お前らが腹の底から面白いと思うことを貫き通せ」となる.
まずこのようなニュースがあった. すごくどうでもいいのだが, 次の文章には驚いた.
最近は入試問題の「マンネリ化」により, 受験勉強が問題パターンの暗記一辺倒になってしまっていると指摘されている. そんな中で「目新しさを狙って暴走してしまったのでしょう」といい, 受験生の努力がむくわれる出題をしてほしいと話していた.
私は「お決まりの努力だけをしてきた受験生なんていらないよ. 触れたことがなかろうが瞬発力を見せろ」という SFC のメッセージだと素直に受け取っている. あとで『数学まなびはじめ (第 1 集)』の 小林昭七先生の分から淡中先生の記述を引用するが, 頭の回転速度 (だけ) で頭の良さを測ろうとするのは 愚の骨頂であると思っている. 無論私が頭の回転が遅いため死ぬ程頭に来るからだが, しかしそういうタイプの人でないと捌けない問題はあるはずで, SFC のそういう学生を最優先で仲間に入れたいという メッセージについては一切文句はない. 色々な人がいればいい.
これを受けて 次のようなツイート をした.
SFCの数独の問題,一番深刻なのは,SFCに入る能力をはかる試験で,数独という他人が作った問題形態を使ってしまえる,SFCのありとあらゆる意味での知的怠惰では.調べきれていないので,数独自体作ったのがSFC関係者という可能性はあって,それならまあ分かるけれども
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2013, 2月 21
そしてこれに y_bonten さんから 次のような反応 があった.
相転移Pさんがそう言うとそんな気もしてくるけど、自分が出題者だったら、「これで測りたい」と思わせるようないい題材があったら使ってしまいそう。
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2013, 2月 22
私の返しは次の通り.
@y_bonten そんなに SFC に含むところがあるわけではないのですが, 思っているのは, SFC の理念です. 問題解決のプロを育てるといっています. 既存の枠にとらわれず入試における問題もきちんと解決していく様子を見せればそれだけでもかなりクールなことですが, そういう姿勢が見られない
@y_bonten 数独というのは確かに今までにないソリーションと言えないことはないですが, 流行り物という一面があります. たとえスベってでも自分たちが理想とする入試, 自分たちが育てたい, 共に歩んで行きたい学生はこんな人たちだ, というのを打ち出せばすごくいいと思うのですが
@y_bonten そこで, そういう気概が感じられない, 気をてらったようにしか見えないものを出してくるのはどうなのかと. ここで私が思いだしたのは東大の数学の入試です. 以前三角関数の加法定理の証明が出たことがあります. まさに教科書に書いてあるわけですが, これを東大が出すことに意味が
@y_bonten あります. 何を身につけていて欲しいのか, どういう姿勢で取り組む学生が欲しいのか (少なくとも数学関係者には) 明確に分かります. また, 小学校での円周率の問題がでたとき, 東大で円周率が 3.05 より大きいことを示せという問題が出ました.
@y_bonten 既存の問題形式でもそれなりの意味や社会的影響を出せることはあるわけで, 円周率は実際ニュースにもなりました. SFC も慶応の名を関するわけでそれだけでも社会的影響があるので, 何かもっと面白い社会実験すればいいのに腰砕け感溢れるのが情けないな, と
y_bonten さんからまたもう少し反応があり, さらにそれに私が返す.
@y_bonten そこをむしろ色々実験やってほしいですね. 既存の形態も織り交ぜつつ時々変なのも出すとか. ある年は全ては健全で盤石な基礎の上に作られるという信念に基づき標準的なものばかりにしたり, ある年は既存の道具は何も使えない, さあどうする? と言った趣向でやってみるとか
@y_bonten SFC の学生も当然大なり小なり失敗をしていくわけですが, それをいい年した大人が試行錯誤の過程を見せながらより良いものを目指していく姿を見せられればそれだけで面白いと思うのですが, 奇を衒っただけとしか思えないようなものを出すのに何の意味があるのと.
@y_bonten 究極的には半端でつまらないからもっと徹底的にやれという私の単なる願望というか一方的な期待です
もっと大人が手本を見せろ, 恥ずかしくないの SFC の教官陣は, というところだ. 東大数学のように, 「うちの大学は加法定理の証明もできないようなへっぽこはいらない」くらいの 強烈なメッセージを出してほしい.
ラベル¶
大学入試, Twitter まとめ
楕円曲線暗号のサーバー証明書, 導入第 1 号とのことだが, 楕円曲線暗号のサーバ証明書が日本で出ていなかったことを知る無学な市民だった¶
本文¶
楕円曲線暗号のサーバー証明書, 導入第 1 号は「小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記」という記事を見つけた. もちろん小悪魔女子大生とかはどうでもよく, 楕円曲線暗号というところが大事.
楕円曲線暗号のサーバー証明書, 導入第 1 号は「小悪魔女子大生のサーバエンジニア日記」 (2013/6/7 14:48)
株式会社シマンテックは 6 日, 楕円曲線暗号 (ECC) 対応版 SSL サーバー証明書が, 株式会社ディレクターズの運営する商用 Web サイトとブログに導入されたと発表した. シマンテックは 2 月に商用の ECC 対応版 SSL サーバー証明書の提供を開始したが, 今回が導入第 1 号となる.
恥ずかしながら不勉強で知らなかったのだが, 楕円曲線暗号のサーバ証明書, (日本では) まだ稼動していなかったようだ. 楕円曲線暗号, 理論的には結構前だと思うのだが, どのくらい実装されているのだろう. ググれば Wikipedia とかに書いてありそうだが, そこをさぼる市民クオリティを発揮していきたい.
ラベル¶
数学, 応用数学, 暗号, 楕円曲線
(おそらく) 数学教育に関する takey_y さんの発言を記録しておく¶
本文¶
この辺からはじまる takey_y さんの発言を備忘録として記録しておく. ちなみにまとめるにしても Togetter の方が楽とか view も多いとか色々あるが, それでもブログに残しておくのはあとで自分で読み返すときに楽だからだ.
昨夜ちょっとだけ話題になってたことに参加すると, 今年の阪大数学の第一問. 僕は, あの感じの問題が増えるのは良いことだと思っています. この辺りの話は, だいぶ前にブログに書きました. → http://bit.ly/14NhoY0
承前) 昔の文章はこっぱずかしくて読み直すのが辛いのだけど (笑), 考え方はあまり変わってない. (というか同じ話をずっとしてるなあ・・・
承前) 昔の東大の加法定理の問題にせよ, 今年の阪大の第一問にせよ, 定義を聞いて証明させる問題というのは, 数学に携る人々の内部からも外部からも非難の声が上がる可能性が高い. 高校数学は所詮ニセモノなんだから, 論理体系のあり方に抵触するような出題はすべきでない, という声もあると思う.
承前) そういう非難の声を受けるリスクを背負ってでも出題してるわけで, どうしてそういう出題をするのか, という点が大事だと思う.
承前) 大学入試の数学の問題を「小論文」のようにする可能性はあるだろうかな, ということを少し前から考えていたのだけど, ちょうど「数学文化」の最新号では巻頭で宇野先生がこのことを論じられてた. http://bit.ly/14NjfMB
ラベル¶
数学, 数学教育
Twitter まとめ: 数学と共に潔くカッコ良く生きて行こう (It's a long long time)¶
本文¶
何かよく分からないが, Twitter でまだ 2 年くらいなのに院試のことを話している人がいたので, 思ったことをまとめてみた. 要は潔くカッコ良く生きて行こう (It's a long long time) ということだ. この辺 からはじまる.
まともに勉強していれば院試なんて四年からでも十分間に合うはずなのに何でそんなに気にしているのか分からない
@phasetr まともに, といっても物理学科での数学, という程度にいい加減なアレでも大学生の学業という意味で真剣に取り組んでいれば大丈夫的なアレだ
アレだ, 大学に入ってまで試験のための勉強とかしたくない的なアレもある. 適当なタイミングでの強制的知見整理としてのテストやレポートは助かる, という側面はあるし, 有効活用したいが
まずアレだ, 数学できる人間が格好いい, なので, それが第一であって知識量とかどこまで知っているかとかどうでもいい. それ格好いいの? と言われて格好いいと言えるかどうかこそが問題だ
例えば先走ってやりつつも全く身についていないという状態でも, 何かよく分からないが私の心が震える, 意味が全く分からないが定理の名前がとにかく格好いいとかでもいいから, こう, 格好いいと言える状態なら健全な勉強をしていると思っている
@phasetr 本当に格好良くなるために, というか格好良さを理解するためには どこかで必ず真っ正面からの打ち合いになって滅多打ちにされて立ち上がるところがまた格好いいのだ. 男の戦い (別に数学女子の戦いとかでもいいが) という感じ. クールにかっこかわいく数学しよう感
ラベル¶
数学
「どの分野にも非専門家に広く信じられている間違いがあります. リストを作っておくと啓蒙書を選ぶ時に便利です.」¶
本文¶
どの分野にも非専門家に広く信じられている間違いがあります. リストを作っておくと啓蒙書を選ぶ時に便利です.
数理論理学で非専門家に広く信じられている間違いのリストの作りかけです. http://taurus.ics.nara-wu.ac.jp/staff/kamo/shohyo/logic-b.html まだ三つしかありません. 不完全性定理と数学的帰納法の項目を追加しなくては.
間違いを引用しておこう. 正確な記述は上記ページを直接参照してほしい.
- よくある間違い 1 「一階述語論理は弱いので完全だが自然数論ぐらい強くなると不完全になる」
- よくある間違い 2 「正則性公理 (基礎の公理) はパラドックスを排除するために導入された」
- よくある間違い 3 「直観主義論理では, ラッセルのパラドックスは生じない」
ラベル¶
数学, 数理論理学, 数学基礎論
「女性にしかわからない科学がある」らしく号泣した¶
本文¶
何か山形大が地獄の底から湧き上がってきたような企画をやっているらしい.
「女性にしかわからない科学がある」 http://www.tus.ac.jp/madonna/kagu/event.html という標語は愚かで, かつ危険. この問題の歴史を学べ! 「男性にしか…」「若者にしか…」「日本人にしか…」「プロレタリアートにしか…」「マイノリティにしかわからない科学」等々は, 科学ではありません.
@hori_shigeki なので, 「そんなもん」なんですね. この国では.
@hori_shigeki 「女性にしかわからない科学がある」我の強い女性が好みそうな表題です. 単に女性の興味を引く為のキャッチコピーに過ぎないと思います. あまりいきり立つ程のことではないのでは?
いや, ちょっと…, やっぱり驚きました. RT @Mihoko_Nojiri なので, 「そんなもん」なんですね. この国では.
@hori_shigeki しかもこれだけじゃないんですよね. "カワイイ!! ステキ! 理系女子研究生活の魅力とは" http://unicon.kj.yamagata-u.ac.jp/modules/pico/index.php/content0385.html
@hori_shigeki 一つ一つクレームとか無理なんですよ.
センスの悪い中年男が, 若い女性にウケるのはこういう感じだろう! と勝手に想像して作り上げた惹き文句でしょうね. RT @Mihoko_Nojiri しかもこれだけじゃないんですよね. "カワイイ!! ステキ! 理系女子研究生活の魅力とは" http://unicon.kj.yamagata-u.ac.jp/modules/pico/index.php/content0385.html
@hori_shigeki これは背景のイラストもまずいんですよ. (なにこれスーツで実験するの) 工学部がやるとこういうことがおこる. 山形大学の男女共同参画室はごく普通なんですが.
@Mihoko_Nojiri @hori_shigeki 工学部…… orz
確かに. こういう傾向を正すのは科学者の仕事ではなく, 中高等教育や教養教育の関係者の仕事. ただ, こうした講座へ講演に行く科学者には, その度に厳しく言っていただきたいですね. RT @Mihoko_Nojiri 一つ一つクレームとか無理なんですよ.
@apj 先生のとこですね w これはねぇ, なんかやろうとして工学部だけで企画たてちゃったっぽい. あと, 院生がかんでる.
@Mihoko_Nojiri 女子高から受けてる相談だと, 手に職系の理系ということでみんなが医療系をめざしたがるけど医療系は接客業で向いてない人は向いてないから, 理工系でも将来食べていけるということを教えて欲しい, って話になってますね.
@hori_shigeki ただ, 続けてやってるとマシになるというか, リケジョとかいう講談社の始めた就職支援サイトも最初は「理系女子のおしゃれ」とはみたいなやつだったけど, 3 年たったらさすがにマシになった. http://www.rikejo.jp/
@Mihoko_Nojiri 大学や研究機関の人を連れてきてもそれは少数派なのであんまりロールモデルにならない気が. 企業に技術者として就職して活躍している人の話の方が理系進学の動機付けになりそうです. 今の高校生って, 卒業後の仕事がどうなるかかなり気にしてるようですし.
こういうコピーで女性の興味を惹こう, 惹けると思うのがそもそも, 女性なるものをナメていますよ. (続く) RT @ATOM929 「女性にしかわからない科学がある」我の強い女性が好みそうな表題…. 単に女性の興味を引く為のキャッチコピーに過ぎない…. あまりいきり立つ程のことではないのでは?
@apj そうなんですよ. それで, うちの理系女子キャンプ http://www.kek.jp/ja/NewsRoom/Highlights/20130412110000/ でも, 大学院生のセッションを作って, ほら修士の人のほうが, 就職状況に詳しいから.
(承前) 科学へのアクセスの普遍性の否定には暗澹たる歴史があります. 「女性にしかわからない科学がある」としたら, 真実を知る可能性に恵まれているのは人類のある特定のカテゴリに属する者だけだという結論になる. 重大な問題なのです. RT @ATOM929 いきり立つ程のことではないのでは?
@hori_shigeki タイトルを付けた人は残念ながらそこまでの深慮はないと思います. 注目を浴びればそれで良いとしか思っていないでしょう. 浅慮です. それは危険だと言われれば確かにそうなんですけどね. @hori_shigeki 重大な問題なのです.
インタラクティブにやると当事者の感覚が分かっていくのかと. RT @Mihoko_Nojiri 続けてやってるとマシになる…, リケジョとかいう講談社の始めた就職支援サイトも最初は「理系女子のおしゃれ」…, 3 年たったらさすがにマシになった. http://www.rikejo.jp
尚, リケジョは大学のサイトではないですね. (リケジョ作ったのは準「教え子」の一人で, 多分今も担当してると思います). RT @Mihoko_Nojiri リケジョとかいう講談社の始めた就職支援サイトも… 3 年たったらさすがにマシになった. http://www.rikejo.jp
@hori_shigeki これは講談社です.
はい. 逆に「男性にしかわからない科学がある」と言ってよいかどうかくらいは, 考えてほしいと思います. 責任は採用した大学にあります. RT @ATOM929 タイトルを付けた人は…注目を浴びればそれで良いとしか思っていないでしょう. 浅慮です. …危険だと言われれば確かにそうなんですけどね.
@Mihoko_Nojiri はい, 創設時にアイデアを聞いて, ちょい励ましたので講談社と存じています. その後の推移は知りません.
潰れたとはいうものの, 阪大の物理といいキモいおっさん達のセンスはいかにも地獄で社会性が高く大変に素晴らしかった (完). 私も適宜頑張ろう.
ラベル¶
工学, 相転移プロダクション
kyon_math さん筋の色々なツイート・やりとり¶
kyon_math さん筋の情報: 齋藤毅先生の Grothendieck に関する PDF¶
本文¶
「エタール・コホモロジーの定義への道を開いたのは, セールによる, 代数幾何におけるファイバー束の定義だったらしい」. グロタンディーク by 斎藤毅 http://bit.ly/1i7eA2P
前もこの PDF を読んだことがあるのを思い出した. 細かいところ, ほとんど意味がわからないが, 代数幾何でいろいろ凄まじいことが起こったという雑な理解をしている. 代数幾何, 応用含めた守備範囲が尋常ではないくらい広いし, その空間認識が何より非常に気になるのできちんと勉強してみたいとはずっと思っている.
ラベル¶
数学, 代数幾何, 数論幾何, 数学者
Fibonacci 数列と解析数論の魔界¶
本文¶
Wikipedia 役に立つなぁ. フィボナッチ数列でこんなことが成り立っていたとは... http://bit.ly/1gSJAOX http://pic.twitter.com/R4NO5tu3E9
@kyon_math 西岡はデフォルトで (久) なんでしょうね
@Paul_Painleve お母さんですね.
@kyon_math 私, 父と子はよく知ってるけど, 母と話したことがないんですよ
@Paul_Painleve ああ, もしかするとお父さんかも. 今すぐには分かりません.
すみません>お父さん¶
@kyon_math そうそう, あの二人の研究は, 最初は違ったのに次第に惹かれ合ってどっちがやったか分らなくなってるから.
Wikipedia というより Fibonacci の魔界ぶりがやばい.
ラベル¶
数学, 数学者, 解析数論
Terence Tao に線型代数で殴り続けられる夢を見た¶
はじめに¶
線型代数トークで kyon_math さんのこの辺からの話が面白かったので記録しておく.
引用その 1¶
「理解する」のと「研究する」のはかなり違うと思う. (自分も含めて) 理解するだけの人なら世の中にはたくさんいるが, 数学が究極的に目指していることは, 難解で複雑に見えることを単純かつ簡明に, 誰でも理解できるレベルにすることにある.
難解かつ複雑なことでも, 技術が進み, 社会的な理解が進むと簡単になる (ものもある). 例えば複素数. 大昔は複素数そのものが難解で, しかも一流の数学者の研究対象であったが, いまや高校の教科書に載っているレベル. これは社会的な理解が進んだ例.
リー群やリー環だって, ここまで一般的になるとは思われていなかっただろう. リーマン多様体なんかもそうだ. いまや空気のごとき存在. ガロア理論は学部で習う.
しかし, 理解にはたくさんのレベルがある.
例えば, 学生時代に学んだ線形代数. その時は「それなりに」理解していたはずだが, その後, 研究者の卵→教師→中堅研究者と進むにしたがって, 見えている地平線はまったく異なってきた. そして, これからも異なって見え続けるだろう.
まぁ, 理解が進んで見えてる地平が異なってこないとすると, それはあまり深くないってことだし, そんなの一生かけて研究しようとは思わないよな.
線形代数の帝王になる¶
線形代数じゃなくって岩澤理論とか類体論とか書けばかっこ良かったなぁ. #誇大表示 とはいえ, 線形代数の帝王になるのでさえもかなり狭き門だが.
むかしハウ先生の研究室にお邪魔してた時, いまは亡きラングが闖入してきて「きみ, ロジャーは線形代数の帝王なんだよ, 知ってるかい? 」「もちろんよく知ってますよ」と答えておいた.
学生だと思われたんだと思う¶
線形代数がどれ位深いかというと, 最近のものではホーン予想. http://bit.ly/1aj4SlV http://bit.ly/1aApSpG
ホーン予想: エルミート行列の和 $C = A + B$ を考えたとき, $A, B$ の固有値から $C$ の固有値の範囲が線形不等式で書けるという単純なもの. ワイルが問題提起, 1962 年に予想されて, 解けたのが 1998 年.
ホーン予想の解決は Klyachko と Knutson-Tao によって独立に得られた.
ホーン予想 1¶
で, ジャグラーの Knutoson と紅顔の天才 (だった) Tao の解法はハニカムモデルと呼ばれ, リトルウッド・リチャードソン係数の計算などに幅広い応用を持つ画期的解法だった. http://bit.ly/1aApSpG
ホーン予想 2¶
ま, みんなよく知ってるはずのエルミート行列の固有値問題でさえこれほどの深みを持っていた. そして, その深さを見抜くには特殊の才能が必要である
よく知っているはずのなんでもない事実の裏側を, ほんの少し覗くととてつもない深淵が待ち受けている. それを見抜く目を持っているかどうか. 理解のレベルとはそういうものだ.
引用その 2¶
いやいや私のような若輩者には勤まりません. RT @Paul_Painleve: 線形代数雑誌の編集者はいかがでしょうか? NLAA http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/ (ISSN) 1099-1506 LAA http://www.journals.elsevier.com/linear-algebra-and-its-applications/
@kyon_math 若輩って言っちゃあアカン立場でしょうに笑 線型代数の専門誌は数値解析やグラフ理論といった応用数学の話題が多いのですが, 表現論的にも面白いのではないでしょうか? 微積分のほうは微分方程式の中で普通に使われてて, 雑誌の形で切り分けられないのでしょうね.
@Paul_Painleve 線形代数たっていろいろありますからね. 0 と 1 のみの行列で各行各列にある 1 の和がある一定の値になるものの総数というと, 行列の問題ですが, 本質は組合せ論. それを組合せ論の手法でなく線形代数で解けるかというのが面白いと感じます.
とりあえず線型代数をなめている学生はこの辺で殴打していきたい.
ラベル¶
数学, 数学教育, 線型代数
個性的な数学・物理の教材を作って適当に狼藉を働きまくりたい¶
本文¶
kyon_math さんが面白いことを言っていたので記録しておく.
引用¶
本書いてると 「あ, コレを証明するためには, アレが必要なのか. そうするとアレも要るな. あ〜〜全部書き換えだぁ」 てなことになって, 結局古典的名著の構成は神という結論に.
@kyon_math 論理的に必要な順序, 歴史的な順序, 自分の頭の中での理解の順序がみんな違いますからね. 「自分の頭の中」がスパゲッティだから, 最初はそれが前に出て, 直すとますます悪くなる.
@kyon_math 自分にとっての頭の中の順番で書いていく本, 個性的で面白いのではないでしょうか. 「こう考えていくと次の命題が必要になることが分かる」ここから「今はこれを認めて進もう」となるか「なのでこれを示そう」と行くか, 後者はそこからまたさらに降下していくかとか, 個性が出る
コメント¶
上記の発言を読んで, 江沢先生の『理科が危ない 明日のために』の記述を思い出した.
すぐにどこにあるか見つけられなかったのだが, 大意は次の通り.
昔読んだ本で延々とある議論が進んだあと「ここまで来れば別の方針も考えられる」と言って今までの方針とは全く別の方針で議論をはじめた. 原稿を破り捨てて書き直しても良さそうなものを敢えて残して別の方針での議論を続ける. これが科学というものか, と思った.
普通教科書や論文は整理されきった記述しか残らず, 著者の苦闘の印などはなかなか見えない. もちろん専門的に学んだあとで見れば苦労が分かるということはあるが, やはり初学者では難しい. そうした苦闘の後をそのまま残す, 等身大の著者を見せてくれる文献はもっとあっていいと思う. 完璧主義者の人もいるだろうし, そうした記述を「手抜き」といって怒る読者もいるだろう. ただ, 普通の本, 定評ある本はたくさんあるのだから, 余程革命的な大発展があって基礎が大きく書き換えられたとかいう事情があるならともかく, 院レベルのゴリゴリの専門書ならともかく, その辺の教科書でそうした個性の輝きを見ることは難しい.
丁度こういう方面での間隙を埋める方向で色々考えている. 反例に関する DVD を出したのもこうした「趣味」と関係している. 教官が「冒険」するのもなかなか難しいだろうから, その辺の市民として適当に狼藉を働きまくりたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数学教育
kyon_math さんから数理生物学の研究室の適当なリストを教えて頂いたので¶
本文¶
しょうもないことを言っていたら kyon_math さんに教えてもらったので.
数理生物学を学ぶことのできる研究室 http://bit.ly/MLPaf7
生命じゃないけど¶
RT @phasetr: @kyon_math 明大あたりに頑張ってもらいましょう
これらの研究室や研究者は「数理生物学」をキーワードに含む, あるいは, 関連する分野として「数理生物学」が含まれる研究活動をされておられます. 上記のリスト中, 同じ大学であっても一つの研究グループとして活動していらっしゃるとは限らず, 個別に研究活動されておられる場合もありますので注意してください. もちろん, 他にも数理生物学的な研究をされている研究者や研究に数理モデルを応用される研究者はあちこちにおられます. ネットの検索でも, 検索語をうまく選べば, 他の研究者も検索できることと思います.
ラベル¶
数学, 生物学, 数理生物学
kyon_math さんと Paul_Painleve さんによる『佐藤幹夫の数学』周辺の話を個人的に記録していきたい¶
本文¶
この間も『佐藤幹夫の数学』について思ったことをつらつらと書いたが, kyon_math さんも呟いていた.
数学者の話, とても好きなので読んでいて楽しいのでメモとして残しておこう. この辺からはじまる.
ツイート転載¶
冗談はさておき「佐藤幹夫の数学」のインタビュー読んでると D 加群がどのようにして考えられたのか, というか, どのようにして最初から佐藤先生の心の中にあったのかがわかります. http://bit.ly/14hXl3N
あれは考えたんじゃないよね. 始めから頭の中にあったんだよね. そういうもん.
リンク張り間違った: 冗談はさておき「佐藤幹夫の数学」のインタビュー読んでると D 加群がどのようにして考えられたのか, というか, どのようにして最初から佐藤先生の心の中にあったのかがわかります. http://bit.ly/18FYN4a
そんな失礼なこと書いたかなぁ. 覚えてない. 物理は「現実」宇宙を相手にしてるだけで, 不完全なんて畏れ多い. 数学には不完全性定理がありますが... #そりゃチガウ RT @ayafuruta: ...数学の人は勿論「数学が先」で, 物理はその不完全な解釈の 1 つ.
ある意味で物理の人の方が過激ですよね. 数学者がせっかく論理で攻めてるのに, 「現実がこうなんだから, こうなるはずだ〜〜!!!! 」とか言って突撃して, しかもそれが正しいんだから参っちゃう.
その意味でも数学者は確固たる「現実」を築く必要がありますよね. 負けてられないので. まぁとりあえずアデリックな宇宙から行くのかな.
@Paul_Painleve ああ, いやいや, 超関数じゃなくて D 加群の方. 方程式を解こうとしないで, ほんとうに方程式だけを正直に考える. 解はその後に勝手についてくる.
@Paul_Painleve 超関数にしても「どういう具合に定式化するべきか」で悩んでコホモロジーで行けると思ったんじゃないんですかね? 超関数は在って, それを記述する言語を求めた, と思えませんか?
木村「だけど,何で双対を考えるんですか? 」 佐藤「だからさ,説明するからね.何べんでも,今日わからなかったら,また次に説明 するからね.僕はいつもだいたいくどいって言われるくらいだから,ね. そんな話は前に聞いているっていうことをよく言われるよ.」 で笑撃の (続
木村「僕にはちょうどいいです」 佐藤「それは,ちょうどいいや,君には説明しやすい.(笑) 」 http://bit.ly/18FYN4a 大野さんの書評よりとらせていただきました→ http://bit.ly/17IXh4n
この師弟の対話, なんど読んでもほのぼのとしてていいな. 好きです. 木村さん, 突っ込みといい, 同時に演じるボケといい, 深い味わいだしてる. 関東人にしておくのもったいない.
やりとりメモ¶
あと Paul_Painleve さんとのやりとりメモ. まずはここからのやつ.
この師弟の対話, なんど読んでもほのぼのとしてていいな. 好きです. 木村さん, 突っ込みといい, 同時に演じるボケといい, 深い味わいだしてる. 関東人にしておくのもったいない.
@kyon_math 本には書いてないと思いますが, その前に, S 「だから神保君」 K 「僕は木村です」 S 「なかなか人の名前を憶えられなくて」が, 実はついているのですよ
次¶
そしてこれ.
あれは考えたんじゃないよね. 始めから頭の中にあったんだよね. そういうもん.
@kyon_math 一高時代に, 岩波講座の竹田清「不変式論」の文献にあったヒルベルトの syzygy の論文 (たぶん http://www.digizeitschriften.de/dms/img/?PPN=PPN235181684_0036&DMDID=dmdlog45) を読まれて, 「これが数学というものか」と思われたそうですから, 始めからじゃなくてその後だとは思います.
@Paul_Painleve ああ, いやいや, 超関数じゃなくて D 加群の方. 方程式を解こうとしないで, ほんとうに方程式だけを正直に考える. 解はその後に勝手についてくる.
@Paul_Painleve 超関数にしても「どういう具合に定式化するべきか」で悩んでコホモロジーで行けると思ったんじゃないんですかね? 超関数は在って, それを記述する言語を求めた, と思えませんか?
@kyon_math その種の intrinsic な視点は, おそらく syzygy やワイルの Classical group 辺りがベースだとは予想してます. 昔から講演でよく紹介される Tschirnhaus 変換とか何で勉強したのか, 私にはわかりません.
@kyon_math それはそうだと思います. 一変数はすぐできたけど, 多変数にするのに夏休み全部かかったそうですから. Cartan-Eilenberg が出たばかりで, 局所コホモロジーもまだなく, それを $C^n$ の中の $R^n$ に適用するのに道具を自分で作らないといけなかった.
ラベル¶
数学, 数学者, 代数解析
数学初年時教育に関する kyon_math さんと Paul_Painleve さんと suzukit216 さんあたりの会話を備忘録として記録しておく¶
その 1¶
この間 Twitter 上で kyon_math さん周辺が高校数学から大学数学への接続みたいな話を色々していた. 自分の備忘録として目についた範囲で適当に記録を残しておく.
とりあえずこれ.
数学教育において, 大学入学直後に高校までとの違いを実感させる派と, 高校→大学へシームレスにつなげる派の争いは, 大昔からずっとあるが未だに結論は出ていない. ただ, 10 年単位でみて昔よりは「大学の壁」を下げているのは事実である.
自分が在学していた頃しか知らないので何とも言えないが, 「大学の壁」というのは何を指すのだろう. あと別件だが, 数学科は数学だけ, 物理学科が物理と (必要な) 数学だけしていればいいから楽だが, 他学科だと他にも色々しなければならず, 本当に大変だろうと前からずっと思っている.
以前, 「物理や数学が難しいから」という私には不可解な理由で工学部に進学したとか言っている人を見かけたが, どう考えても工学の方が苛烈. しなければいけないことは多く時間は限られているとなると, 破滅的な詰め込みと大概の人間の理解力を越えたペースで進まざるを得ず, これを乗り越えられる人間はもはや修羅しかいない.
つらい.
その 2¶
次はこれ.
いや, やっぱりシームレスにつなげた上で, ガーンと一発お見舞いしとかないと... RT @Paul_Painleve: 数学教育において, 大学入学直後に高校までとの違いを実感させる派と, 高校→大学へシームレスにつなげる派の争いは...
@kyon_math 線型は佐武, 微積は杉浦あたりを使えば, 一応は「シームレスにガーン」になってますよね. たぶん学生側は, 大学の巨大な壁を感じまくるでしょうけど. 今は, 線型性や $\epsilon \mathchar`- \delta$ の細かい話を 1 年の中でも少し遅らせる傾向が強いと思います.
@kyon_math @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.
学部が数学科ではなかったので純粋に数学科だとどうするべきなのか, またはどうなっているのかは全く分からないが, 他学科だと何故そんなことを考えるのか, 自分の学問でどう使うのかというイメージが全く持てないとつらいと思う. 私は比較的数学を数学のまま扱える方ではあるが, 数学として何がどう展開していくか, という部分は数学科でも大事だろう.
前にも書いたが, 私の場合は一浪してようやく大学に入ってはじめの一週間, ずっと高校でもやったような話でがっかりしていた中, 一週間最後の金曜に実数論で全力で殴られ, 「こんな訳の分からないのをやるために一浪してまで大学に来たのだ」と感動した方の市民なので, 多分こうアレな方なのだろうという気がしないでもない.
ふと思い出したのだが, この間『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』というのを読んでみた.
面白かったのでそのうち備忘録的書評を書くが, この中で先生が「私は意味のあることしか教えていない. お前がその意義を理解できるかどうかは別だ.」という台詞があった. こういう話はよくあるので, 上記のような「数学として何がどう展開していくか, 今していることの意義」みたいなことは, 言ったところで分からないからわざわざ言わないという選択肢, かなり真剣に検討すべき事項だと思う.
この間, Twitter でも「名著と言われる本を読んで, 分からなかったところがあり自分で説明を考えたが, あとで良く読み返したら自分で考えたのと同じ説明が書いてあった.」という呟きを見かけた. 真面目な人が真面目に勉強していてもこういう話が本当にあり, これはそのまま上記の話につながる. 教える方も頑張って気を配って言って, 学ぶ方も真剣に聞いていても起こる面白い現象だ.
詳細は忘れたが, 前に irobutsu 先生が「もっと早く教えてくれればよかったのに, と皆いうが, 早く教えても意味全然分からないと思うよ」みたいなことを言っていたことも想起した.
その 3¶
まぁ基本, 数学は誰でも理解できて使えるはずですから. 究極的には人類がしっかり進歩して幼稚園児にも使えるようになって欲しい. #まだ進化の途中ですな RT @quasiac: 「高校数学は幼稚園児でもできる」っと…
一方で数学を生み出すことはまったく異なるのではないかと.
世界が悲しみに包まれた.
その 4¶
そしてこれ.
グローバル大学につながらない苦しみはいずこへ...? RT @On_Absolute: 加藤先生は, "Global につながらない苦しみが cohomologie になるのだ" と説かれます.
@kyon_math @On_Absolute そうか, 英語ができなければ, 層係数コホモロジーや導来圏を勉強すれば, グローバル化できるのだ
@Paul_Painleve @On_Absolute 数学はユニバーサルな言語ですからね.
そろそろ京大は宇宙際大学を名乗り始めるべきだ. あと global analysis の研究で何かそういう予算とれないの.
その 5¶
そしてこれ.
わたしは最近「違う」のではないかと思っています. いまの高校数学は昔より算数化していて, 教え方は特に算数化している. RT @suzukit216: @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.
@kyon_math @Paul_Painleve それを言うなら大学初年度の微積と線形も…
@kyon_math それはここ 20 年以上かけて, 高校数学とのギャップをなくそうとしてきたから. 私よりも実体験として理解してると思う@suzukit216 さんに言うことではないですが, 理工系大学の多くは最底辺でなくても, 大学 1 年で数 III の復習をやらないと講義が成り立たない.
@Paul_Painleve @kyon_math 数学科以外の理系学部でε-δ論法とか位相集合論をやらなくなったのはいつ頃からなんでしょうか?
@Paul_Painleve @suzukit216 まぁ工夫しているのはわからんでもないのですが, 一度連続性や微分可能性を通過してから $\epsilon \mathchar`- \delta$ やれったって困りますよね. 数学って論理のつながりだから, やっぱり破綻する.
@suzukit216 @kyon_math 大学によって, 人によって差があり過ぎるので一概に言えませんが, 阪大だと 90 年代は難波さんの本 http://www.amazon.co.jp/dp/4785314087 が一つの標準と思われてましたが, 2000 年代に入って諦めた人がしだいに増えたと思います.
その 6¶
次はこれ.
その傾向は大学にも及んでいて, 現在, 多数の大学で初年度は計算方法しか教えていないのではないかと危惧します.
その 7¶
そしてこれ.
微積では $\epsilon \mathchar`- \delta$ 抜き, 一様収束抜き. 線形では抽象ベクトル空間には触れない. 次元公式はやるが, あくまでも行列版で, 商空間はやらない. 次元公式より準同型定理の方がよほど簡単なのに.
@kyon_math いやいや, 深谷圏でも理論ができる前, かなり初期の頃は, ベクトル空間としての次元が同じだから圏同値になるはずみたいに言ってたような. 全てわかってしまえば笑い話.
@kyon_math あ, あれ, 後期一年生の線形代数の準備中で, とりあえずベクトル空間の定義をノートを書いたのですが……
@kyon_math 易しい教科書でも, 連続函数の積分可能性を言うためだけに一様連続の定義が書いてあったりするんですよね. で, 一様収束はない.
@abenori いや, H 大はいいの. ちゃんとやって下さい. しかし, 東北大の昔の教養のテキストは最初にいきなり抽象ベクトル空間. そしてそれから数ベクトルですね. 理論の流れはこちらの方が自然.
@abenori あ, 目次見ると私の記憶が間違っていたようである. やっぱり, 数ベクトルからだな. いきなり基底と次元をやるのが心に残ってたと見える. 訂正します.
@cocycle @abenori @kyon_math 1 年次は数ベクトルだけに留める, というのも一つの見識だとは思うのですが, 数学科は 2 年に教え直さないといけないのはもちろんとして, 1 年次は行列計算をちゃんと学生に演習させないといけないのですが, そこが難しいですね.
@Paul_Painleve @cocycle @abenori 線形代数つまらんという感想が多いのですが, やはり単なる数値演算に終始するのが元凶なんではないかと. しかも出てくる数値がことごとく「整数」ときどき「有理数」, 後期に入ってルート 2 か i くらい.
他はどうか知らないが, 物理だと量子力学でどうしても線型空間が分かっていないと困る. おそらく, 限りなくユーザ側に近い立場で使うだけなら具体的な微分方程式としての Schrodinger 方程式が扱えればいいのだろう. ただ, せっかく物理学科に来て物理学科の学生として量子力学を学ぼうというのなら, やはり抽象論は知っておきたい.
最近忙しさにかまけて Hilbert 空間論のセミナーの準備全くしていない. 申し訳ない @ぞみさん.
その 8¶
そしてこれ.
わたしは最近「違う」のではないかと思っています. いまの高校数学は昔より算数化していて, 教え方は特に算数化している. RT @suzukit216: @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.
@kyon_math @Paul_Painleve それを言うなら大学初年度の微積と線形も…
@kyon_math それはここ 20 年以上かけて, 高校数学とのギャップをなくそうとしてきたから. 私よりも実体験として理解してると思う@suzukit216 さんに言うことではないですが, 理工系大学の多くは最底辺でなくても, 大学 1 年で数 III の復習をやらないと講義が成り立たない.
@Paul_Painleve @suzukit216 まぁ工夫しているのはわからんでもないのですが, 一度連続性や微分可能性を通過してから $\epsilon \mathchar`- \delta$ やれったって困りますよね. 数学って論理のつながりだから, やっぱり破綻する.
@kyon_math @Paul_Painleve 全部逆に辿れば不可能ではないとは思いますが, 連続性も $\epsilon \mathchar`- \delta$ を使った方が, 確かにずっと楽ではありますね.
@suzukit216 @kyon_math $\epsilon \mathchar`- \delta$ なり実数論をちゃんとやらないから, 中間値の定理と閉区間の最大値定理が証明できない. 平均値の定理もできない. 一様収束も無理なので函数列の極限とか微分・積分の交換可能性も無理. なのに, 一様連続だけは言葉だけ教える.
@Paul_Painleve @kyon_math 中間値の定理と最大値定理の証明は $\epsilon \mathchar
- \delta$ やらないと無理ですね. ロルの定理は極限を使った実数の連続性から言えそうですが. もちろん順序の問題だけで, 最終的には $\epsilon \mathchar
- \delta$ に行き着くわけですが.
調子に乗って超準解析は, とかいうと TL 上の修羅から殴打される.
その 9¶
そしてこれ.
ですね. 連続関数なんて超難しいのを扱うからそうなる. 高校と同じく原始関数を持つものだけ扱えばよいのではないかと. RT @Paul_Painleve: 易しい教科書でも, 連続函数の積分可能性を言うためだけに一様連続の定義が書いてあったりするんですよね. で, 一様収束はない.
連続関数という修羅.
その 10¶
次はこれ.
その意味では高校の教科書ってよくできてるんだよなぁ. ああも難しいところをきっちり隠蔽した上で計算上なんの支障もないように, 表面的には論理に破綻をきたさず... すごいと思う.
@kyon_math 全くもって同感です. あれは本当にすごいと思います.
そういえば前, 何か色々な人と話をしていたとき高校の教科書の話になり, 松尾先生が「ベクトルのところで『ベクトル方程式』というのが出てくるがアレはいかん」とかいう話になって, たまたまいて高校の教科書の作成者的なアレに名前が載っていた坪井先生にそれを言ったところ, 「私もそう思いますが色々あるのです」とか言って苦笑いしていたのを想起した.
その 11¶
そして これ.
数年前に K 中先生に, 教科書の執筆者として F 谷先生を迎えたんだが, あの積分の定義に激怒して, あんないい加減なことやってちゃイカン, 定義をしっかりせよと主張. しかし K 中先生, 少しも慌てず「では, その定義は F 谷先生にお任せします」
@kyon_math いい加減なことをやってるんですが, 全体を見ると, そのいい加減さが, いい加減になっていて, よくできてるな, と (何を言ってるんだ, 私はいい加減な人間だな)
@Paul_Painleve 高校の教科書は, あれは相当考えて作ってますよ. ひるがえって, 大学の教科書の方があまり考えてないかも.
@kyon_math 厳密性が高い方が, 理論を組み立てるのが楽ですからね. つまり, 微積はちゃんと $\epsilon \mathchar`- \delta$ や実数の連続性から勉強するのが, 大学生にとっても一番楽なんだよ, という話に.
"@Paul_Painleve: @kyon_math 厳密性が高い方が, 理論を組み立てるのが楽ですからね. つまり, 微積はちゃんと $\epsilon \mathchar`- \delta$ や実数の連続性から勉強するのが, 大学生にとっても一番楽なんだよ, という話に. " 僕の学生は必見ね.
ふと思い出したのだが, 前から物理でエネルギーをどう定義したらいいか分からなくて困っている. とりあえず Wikipedia 先生にお伺いを立てるとこうある.
(物理学) 仕事をすることのできる能力のこと. 物体や系が持っている仕事をする能力の総称.
一方, 仕事の定義はこう.
物理学 (力学, 熱力学) において仕事 (しごと) とは, 物体に加えた力と, それによる物体の位置の変位の内積 (スカラー積) によって定義される物理量である. 熱と同様にエネルギーの移動形態の一つで, MKS 単位系での単位は N · m もしくは J である.
言葉の濫用という可能性もあるが, 量子力学での基底エネルギーとか束縛エネルギーというときのエネルギーと整合性が取れるような定義, どうすればいいのだろう. 基底エネルギーのエネルギー, 上記の意味で使われているとは思えないのだが.
今回もとりとめのない話に終始した.
追記¶
他のところでも書いているが, 鴨浩靖さんからのコメント.
何度か書いているけど、高校の数学IIから数学IIIをとばして大学初年次の微分積分と線形代数につなげるのは可能。うちの学部が実例。なので、高校で学ぶ数学と大学初年次に学ぶ数学は、本当は、シームレスなのでしょう。 https://t.co/KdAOTrDOhi
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016, 1月 14
うちの学部は数学IIIなしで受験できるけど、多くの(全部ではない)学科では初歩の微分積分と線形代数は必要になります。そのために、微分積分の科目と線形代数の科目を数学IIIの履修を前提とせずに開講しています。それで何も困っていません。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2016, 1月 14
とても参考になる.
ラベル¶
数学, 数学教育
東大数理の小林先生があまりに格好よかったのでついでにいくつか話題を紹介する¶
はじめに¶
小林俊行先生に関するスーパー格好いい紹介記事が Twitter で流れてきて深い感銘を受けた. ツイート自体はこれだ.
「心に残る最高の先生」 http://faculty.ms.u-tokyo.ac.jp/~surinews/news2006-2.html#essay
サルマ ナスリンさんによる小林先生の紹介記事自体はこれだ. 文章がバングラディッシュの悲惨な様子から始まるためそこで精神的にくるものがあるが, とりあえずそれはおいておこう.
引用その 1¶
まずここからして格好いい.
そこで今度は数学科の事務室へ連れていってもらい, そこにいた男性に声をかけた. その人はピンク色のシャツを着た若い男性で, 大学 4 年生あたりか, その事務室の新米スタッフのように思われた. 夫はおとなしく 待っていた. しばらくすると若い男性が笑顔で夫の方を向き, 英語で「どんなご用件ですか? 」と話しかけてくれた. 私の夫は, 数学科の先生に会いたい旨を伝えた. するとなんとその若い男性が「オーケー. 私でよかったらお話ください」といったので, 私の夫は驚き, 「あなたが先生? 」と尋ねた. 彼は「はい. 小林俊行と申します」. と答えた. 夫はそのとき, 自分はからかわれているんじゃないかと思って心配になり, 体が震えてきてしまったそうである. しかし私の夫はなんとか落ち着きはらって, 小林先生に自己紹介をし, 何のために東大に来たかを告げた. すると先生は, 当然のように然るべき手続きをはじめられ, 私を東大の修士課程に留学できるようにしてくださったのである.
何でこんなに格好いいのか.
引用その 2¶
講義中の小林先生は, たとえば問題の解き方にしても, 説明にしても, 数学の問題を出すのでも, それこそ何をやっても素晴らしくて, その素晴らしさがまた, ほかのどの教授とも似ていなかった. 小林先生は, 心底学生を信じていてくださっていた. 先生の異常なまでの忍耐づよさと, 学生に対する海のような懐の深さを私は決して忘れないと思う. 先生はどんな学生のためにも, その学生が必要なだけ時間をさくようにされ, 学生が数学の問題に悩んでいると, 解けるまで一緒に考えてくださった. 私は先生が学生にプレッシャーを与えたり, 自分の大学院生に問題を解くよう強制したりするのを見たことがない. 先生は学生にいつもこうおっしゃった. 「数学の問題を解くためには「ゆっくり」「しっかりと」「おちついて」が大事です」. と. そして「数学の問題を解いたり, 考えるのに決して急いではいけない」とも. 先生の教えはシンプルそのものだけれど, 私には普遍的なことに思われた. 数学のほかにも先生から学んだことはたくさんある. 時がすぎたら, 私の記憶の中の先生の姿も薄れることがあるのかもしれない. しかし私の心の中にいつも輝いている先生の言葉がある. それは「正直なのが一番」. 研究生活でも私生活でも常に実践するように, 先生が私に授けてくださった言葉である.
私も小林先生の講義を受けたことがあるが, 何も持たずに教室に現れ, 非常に明快な講義をしていた. 質問への応答も素晴らしく, 講義が終わると颯爽と去っていく. あれは真似したいと思ったものだ.
大学がやるべき国際交流¶
あと, こういうのこそ大学がするべきで, しかもおそらく大学にしかできない国際関係の構築だと思う. 他の国でもあるのだろうが, 例えばドイツでは留学生には自分の国を好きになってもらうことを第一にして, とにかくおもてなしをすると聞いたことがある. 留学生は基本的にその国のエリートだろう. エリートに良く思ってもらえれば当然それだけの見返りがある. 味方を増やすのは大事だ.
学生時代のエピソード¶
ちなみに小林先生は学生時代から頭角を表していた大概な化け物であり, しかも教育熱心でもあったことは『数学まなびはじめ 第 2 集』から分かる.
本からの引用¶
凄まじい記述を 1 つ抜き出しておこう. 学部 4 年のときのセミナーの様子だ. 以下に出る大島先生は大島利雄先生で, 小林先生の指導教官である.
秋の第 1 回目のセミナーでは, ゲルファント流の積分幾何について, それまでに勉強したことを私なりにまとめて発表することにしました. 私が話をはじめてしばらくすると, 大島先生は「ちょっと待って」とおっしゃって部屋を出られ, 研究室からノートを持ってこられました. そして, 私の話をノートに取りながらきいてくださったのです. このとき私はとても感激し, 「よぉし, 頑張ろう」という気持になりました.
学部 4 年の時点で大島先生がノートを取るようなセミナーができるとか, 化け物以外の何者でもない. 教官にノートを取らせるレベルのセミナーができる, というのは実際に指導教官にセミナーを見てもらったことがある者ならどれだけ凄いことか分かるはずだ.
また, 小林先生が数学会の章を取ったときの大島先生の業績紹介の文章だったような気がするが, 小林先生の仕事は非常に斬新で, はじめは理解できる者が非常に少ないらしい. しかしいったん理解されるとすごい勢いで広まっていく, みたいなことが書いてあった記憶がある. 小林先生レベルに明快に議論できる人ですらうまく伝わりきらない斬新さ, 恐ろしい.
あとこれは確か河東先生から聞いた気がするのだが, 事務的な能力も極めて高いらしい. 小林先生, 今の所属は東大だが, しばらく京都の RIMS にいた. そのとき, 毎週だか毎月のように東京に出張してきて学会関連の仕事などを精力的にこなしていたと聞いた. 超人だと思う.
大島利雄先生の逸話¶
あと, 大島先生の逸話も折角なので紹介しておこう. 大島先生, 業績についてはもちろん申し分ないのだが, 講義はあまりうまくないようだ. 東大の人に聞いたところによると, 同じく東大に息子さんがいたようなのだが, この息子さんもまた優秀でしかも非常に明快な説明ができるらしい. 「--君 (息子さんの名前:名前忘れた), お父様と講義代わってほしい」と言っていたのを思い出す.
あと無茶苦茶な話として次のような話も聞いた. 大島先生は東大数理の研究科長をしていたのだが, 研究科長というのはもちろん忙しく, 色々な仕事が増えるわけで, 普通は数学の仕事量 (とりあえず論文数) が減るだろう. ただ, 大島先生は研究科長のときにむしろ論文数増えたらしい. 大島先生から直接聞いたわけではないのだが, その理由が凄まじかった:時間がなくなったのでライブラリを作らなくなって, その分速くなった.
大島先生は TeX の dviout を開発しているくらいなので, プログラミングもできる. 研究するときにはまずライブラリを作るらしいのだが, 時間がないのでこれを省いたそうだ. その分速く結果が出るようになって, 論文数が増えたとのこと. 聞いた話なので多少誇張があるのかもしれないが, 事実の部分があるのは間違いない.
師弟揃って凄まじい.
サルマさんの本¶
あとこれによるとどうやらこのサルマさんによる本が出るらしい. 買うしかない.
[2F] 7 月発売予定 『日本で数学の博士をとるまで』ナスリン・サルマ 1800 円 (丸善出版) 科学者への道 (特に数学研究) を志す全ての人に勇気と元気を与える本. 数学課で博士をとるまでのノウハウ, 心得も知ることができる.
あとで所詮グランデMATHの人に聞いたら, 出版の話を聞かなくなったとか何とか聞いた. 悲しい. ぜひ出してほしい.
ラベル¶
数学, 数学者
モデル理論での記号の読み方と Mathpedia の宣伝¶
とりあえず Mathpedia¶
バチバチと記事が追加されている. 私がやりたい方向とは必ずしも一致しない感じで進められている. この方面は Mathpedia に任せてよく, かえって私は私のやりたいことに集中して大丈夫そうな気がしていて, 応援しているサイトでもある. とりあえず見に行くといいだろう.
発端と結論¶
発端¶
https://t.co/YtK7TYzAkT
— 相転移P (@phasetrbot) September 12, 2020
これ、充足可能とかの記号、何か読み方あるのかとまえから気になっている。
結論¶
こういうことでした https://t.co/qnlosptz7p
— 数学市民 (@Infinity_topoi) September 12, 2020
注釈(本文一番下)を読めば書いてありました。【*5 \models? はダブルターンスタイル (double turnstile)という記号である。】【 *8 \vdash? はターンスタイル (turnstile)という記号である。】 https://t.co/dTccP3wmAA
— 数学市民 (@Infinity_topoi) September 12, 2020
その他¶
あとは気になったことを備忘録としてまとめる.
嘉田さんのツイート¶
自分では
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
M ? T ( ストラクチャー ? 文の集合 )
の意味なら
M satisfies T
と読んでる。 https://t.co/MIwzBEBjXZ
こういうのまで含めて知りたかった. 現代数学探険隊でも記号の (英語での) 読み方などは書いているが, コンテンツ置き場をいろいろ変えたくなることがあり, そして古い情報を残してよけいな混乱と失望を与えないためにもその辺はメルマガ登録特典的な方法で公開する方向にしている. その辺, 改めてきちんとやらないといけないな, という気分になっている. それこそ YouTube 動画で日々コンテンツを作る過程で整備すればいいのか, という気分になっている. 毎日の YouTube 投稿習慣を作ったのがいい方向に来ている気分がある.
それはそれとして, このサイトももっと整理したいと思いつつ時間が取れていない. できることと大事なことを考えていてやっていく方の市民
記号 ? 自体を言い表すときは "double turnstile" もしくは「ゲタ記号」。
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
T ? φ ( 文の集合 ? 文 )
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
は
T proves φ
だし、記号 ? 自体は "turnstile" もしくは「ト記号」。
T ? φ (意味論的含意、 文の集合 ? 文)
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
の場合は、あまり意識したことないけど
T logically implies φ
とか
T がんいすることの φ
とかかなぁ。
M ? T
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
を
M は T をモデる
と読む、
というネタもあったような。。。
「AはBのモデルである(A is a model for B)」って、A models Bでもいいのか。モデるわけか。
— ぼんてんぴょん(Bontenpon) (@y_bonten) December 28, 2015
嘉田さんのツイートへの反応 その 1¶
「ト記号」「ゲタ記号」の起源は不詳だけど鹿島亮「数理論理学」で認知されたから大手を振って授業で使ってる。 :)
— 嘉田 勝 (@kadamasaru) September 12, 2020
いやそれがほんまに ト って書くやつ続出で困りますよ。
— ジタさん (@fujitapiroc1964) September 12, 2020
嘉田さんのツイートへの反応 その 2¶
Unicode名は ? はTRUE,? は NOT TRUE らしい https://t.co/uv78PMpH31
— Haruhiko Okumura (@h_okumura) September 12, 2020
量子力学の数学に関する文献など: あとセミナーもしよう¶
本文¶
また Ask.fm. 質問はこれ.
量子力学の数学的な基礎を勉強したいのですが, どのような分野を勉強すれば良いのか教えてください. ご面倒でなければ参考になる本についても教えていただきたいです.
色々なところで言っていたりするのだから それ見てよ, という気もするが, 一応回答.
量子力学の数学的基礎も超大雑把に言って, 作用素論系と偏微分方程式系に別れるような感じがあります.
私がやっているのは作用素論・作用素環系ですが, それについては例えばニコ動に置いてある http://phasetr.com/services/niconico/ の 量子力学・量子統計周りの話を眺めてみて下さい.
参考文献ですが, 作用素論系では参考文献集にある新井朝雄先生の本がベストです.
微分方程式関係だと Lieb がリーダーです. Lieb-Loss の Analysis が基本的な文献と言っていいでしょう. 量子力学というより量子多体系, 量子統計の色彩が強いですが, The Stability of Matter in Quantum Mechanics もお勧めです. ちなみに両方とも新井先生の本ほど簡単ではありません. とくに Analysis は関数解析くらい知っている, と思って 読んでいると痛い目を見ます.
色々な不等式の最良定数評価がかなり早い段階から出てきて, 前から順番にきちんと読もうと思うと 3 章が 最良定数含め, とてもきついです. 面白い本ではあります.
あと, 作用素論との関係が強い (作用素論的性質の解析に使う) という イメージがあるのですが, 確率論からのアプローチもあります. これも新井先生の本をまず読むのがいいです. その次は Simon の本あたりでしょうか.
場の理論に行くなら Betz-Lorinczi-Hiroshima を読まねばなりませんが, これはかなりきついです. 確率弱者の私は読めません.
関東近郊の方なら適当にゼミやるのに誘って頂ければ, 話す方含め相談のります.
Twitter でもいいですが, 適当にメール・問い合わせからご連絡・ご相談頂ければ.
メルマガの方で時々触れることを考えているので, ご興味ある向きは ここから 登録されたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 作用素論, 作用素環, 確率論, 実解析, 物質の安定性, 量子統計
小林昭七先生の『顔をなくした数学者』というエッセイが出るので積読を消化して読みたい¶
本文¶
書泉グランデ MATH が小林昭七先生の随筆の宣伝をしていたので私も宣伝しておく.
[2F] 新刊入荷! 『顔をなくした数学者 数学つれづれ』小林昭七著 (岩波書店) 50 余年米国の大学で教鞭をとり, 世界的な業績を挙げた著者初エッセイ集♪
ちょうどこの間, 昭七先生の記事を書いたのをググって見つけたという昭七先生の弟君であるところの 久志先生からお問い合わせを受けて久し振りに昭七先生の文章を読んでみたいフェーズにあることもあり, 積読を消化したら買って読みたいと思っている.
ラベル¶
数学
第 2 外国語と数学と物理¶
はじめに¶
これのもとの文章は 2013 年に書いていて, 2021 年時点はむしろ数学・物理・プログラミング・語学を軸に, 「理系のためのリベラルアーツ・総合語学」という視点で活動している. 関連するコンテンツもいろいろ載せているのでぜひこのサイトを眺めてほしい. アインシュタインの原論文を多言語で読もうの会などもある.
本文¶
ロシア語という修羅の道を踏破せんとする若き鬼が跋扈しているようだが, 私の第 2 外国語はドイツ語だった. 理由は単純で, ヘルシングで出てきた Freulein という言葉が使いたかったからというその一点に尽きる. 今からすればフランス語にすれば良かったと思わなくもない.
何故フランス語かというと, 数学の文献 (論文・教科書) は時々フランス語のがあるからだ. 特に代数幾何・数論幾何だとフランス語読めないと話にならない面もあるとか何とか聞いている. Bourbaki 周辺の悪魔が暗躍しているせいなので, フランス人倒したい. 幸運なのかどうなのかよく分からないが, 私自身はフランス語の文献を読まなければならなくなったことはない.
ロシア語¶
ただ, 実際読んではいないが, 論文でロシア語の文献が引用されていて困ったことがある. 構成的場の量子論の論文だったが, 汎関数積分 (確率論) を使っていて, 関係する確率論の参考文献としてロシア語の文献が出ていた. せっかくだから少し基本的なところを勉強するか, と思って見たところ in Russia と出ていたので, ひどく憤慨した. 多分 Lorinczi が主犯だと思う. 倒したい. ドイツ人のはずの Spohn も共著者にいたと思うのだが, ロシア語読めるのだろうか.
ロシアは冷戦の時代に西側と学術のやりとりもかなり途絶えていた関係で, ときどき文献として挙がってきて怒りに震える諸氏もいると聞いている. ただ, 数学ならフランス語しておいた方がいいのではないか, という感覚はある.
2 外ではないが, 無駄にラテン語をやったりもしていた. こう何となく, QED 的なアレをきちんと勉強してみたかった, というのもある. そういえば, QED に関して, 物理も数学も全然関係ない知人が「 QED, QED 」と言っていて, 「何故急に量子電気力学 (Quantum Electrodynamics) と連呼しはじめたのか」と訝しんでいたところ, 実際には漫画の話だったというどうでもいい話がある.
物理だとドイツ語の方がいい, とかいう話を聞いたこともあるのだが, 理由は全く知らない.
ラベル¶
数学, 物理, 量子電気力学
Milnor とか Bott-Tu でトポロジーのセミナーをしよう¶
本文¶
また Ask.fm から. まず質問.
学部で物理を学んでいるのですが 近頃数学の特にトポロジーに興味を持ち始めて 自分で勉強しようと思いたったのですが何から始めれば良いでしょうか. 線形代数と解析学に関しては学部一年生程度のレベルで履修はしています.
とりあえず回答.
トポロジーというのは位相幾何でしょうか. アレも意外と魔界で, 東大の古田先生のように非線型偏微分方程式を使うような部分すらあり, 何とも言いづらい面があります.
Bott-Tu や Milnor のが有名です. 私はきちんと読んだこと無いのでアレですが, 非常に明快だと言う評判です. 関東圏の方なら, むしろ一緒にセミナーとかしましょう. 個人的にはまず Milnor を読んでみたいです.
Bott-Tu のがこれ.
Milnor のがこれ.
一緒にセミナーしたいので質問された方はぜひメールされたい.
ラベル¶
数学, 相転移プロダクション, 位相幾何
不完全性定理という人間知性に深く埋めこまれた地雷除去に携わる方々に敬礼¶
はじめに¶
Twitter で何かあったらしく, 不完全性定理が話題になっていたので次のようなツイートをした. これ や これ だ.
専門家でもないのに不完全性定理という言葉を使っている人間は知性を放棄した人間ととらえてまず間違いない
不完全性定理, うかつに言及すると各方面の専門家からの苛烈なアタックを受けるので常に細心の注意を払っている. ネタでの利用すら危険だ
やりとりその 1¶
関連して次のようなやりとりもした.
専門家でもないのに不完全性定理という言葉を使っている人間は知性を放棄した人間ととらえてまず間違いない
現代思想系全滅 ww "@phasetr: 専門家でもないのに不完全性定理という言葉を使っている人間は知性を放棄した人間ととらえてまず間違いない"
@gakeau 現代思想, 不完全性定理の話がなくても知性の敗北ではないでしょうか
やりとりその 2¶
より困惑したのはこちらのやりとりだ.
不完全性定理, うかつに言及すると各方面の専門家からの苛烈なアタックを受けるので常に細心の注意を払っている. ネタでの利用すら危険だ
@phasetr 相転移さんですらそうなのか. アタックを蹴散らしてるもんだとばかり思ってたのだが...
ああ不完全性定理に言及してしまった.¶
自己減給だ.
@kyon_math どこにでもいる平凡な市民ですので
kyon_math さん, 発言を見る限りどう考えても数学者である一方私はただの市民なのだが, 私はどういう評価を得ているのか.
鴨さん (kamo_hiroyasu) ややたべさん (ytb_at_twt) さんに監視 (フォロー) されているので, 迂闊なことはいえない. 数学ガールの不完全性定理も, 現実には起こりえなかったラノベパートを楽しんだだけで数学部分はあまり真面目に追っていない.
もう少し勉強するか. でも多変数関数論とかやりたいし, その他にもこう色々と勉強したいこと, しなければいけないことが多くてつらい.
ラベル¶
数学, 数学基礎論, 不完全性定理
筑波の竹山美宏先生によるセミナーについての注意書きページ¶
本文¶
Twitter での元つぶやきを見つけられなくなってしまったが, 筑波の竹山美宏先生によるセミナーについての注意書きページがあった. いつも通りというか, 河東先生のページへのリンクも張られている.
セミナーの進め方については各自飛んでいって読んでもらうことにして, ここではメモがてら参考文献とその説明に関する記述を転記しておきたい.
参考文献とその説明¶
卒業予備研究・卒業研究でのテキストの候補 (advanced なもの・竹山自身が読んでみたいものも含む) 以下に無いものでも, なるべく希望に沿うようにしますが, 竹山の専門と大きく離れたものについては対応できません. 以下には文献についての簡単な説明をしてありますが, 全部をきちんと読んだわけではないので, 鵜呑みにしないように. (内容の紹介として不適切なところがあったらご教示下さい)
ソリトン¶
ソリトンとはどのようなものかを感覚的に知りたければ, 高崎先生によるソリトン工房内の「ソリトンのさまざまな顔」にあるアニメを見るとよい.
- 戸田盛和「波動と非線形問題 30 講」 (朝倉書店)
- 三輪哲二・神保道夫・ 伊達悦朗「ソリトンの数理」 (岩波書店)
- 広田良吾「直接法によるソリトンの数理」 (岩波書店)
- 戸田盛和「非線形格子力学」 (岩波書店)
- 高崎金久「可積分系の世界」 (共立出版)
戸田先生の「 30 講」の始めの方に, KdV/KP 方程式についての基本的な事項が解説されている. とりあえずこれを読んで, 広田先生の神業に酔いしれる (「直接法によるソリトンの数理」) か, 伊達-神保-柏原-三輪 (通称 DJKM) の一連の仕事をきちんと勉強する (「ソリトンの数理」). 「 30 講」の中盤は, いわゆる戸田格子の話になっていて, これについては「非線形格子力学」にもっと詳しく書いてある. 戸田格子について, DJKM の仕事を踏まえて, その後の進展などなども含めて幅広く解説されているのが高崎先生の本.
量子可積分系¶
竹山の専門分野. 「量子可積分系」の数学的な定義があるわけではないので, 感覚的に分かりやすく説明するのは難しいが, 以下に挙げる本をパラパラ眺めて雰囲気を感じてほしい.
- 白石潤一「量子可積分系入門」 (サイエンス社)
- 神保道夫「ホロノミック量子場」 (岩波講座・現代数学の展開) (もしくは佐藤・三輪・神保による原論文 I--V )
- 土屋昭博 (述) ・桑原敏郎 (記) 「共形場理論入門」 (日本数学会メモアール)
- 山田泰彦「共形場理論入門」 (培風館)
- 鈴木淳史「現代物理数学への招待」 (サイエンス社)
白石さんの本は有限多体系 (Calogero-Sutherland model) を主たる対象として, 量子可積分系の研究に現われる様々な手法と考え方を紹介したもの. 解析力学のことから書いてあるから, とても親切で良い本 (のはず). 卒業研究ではこの本を読むことになるでしょう. 他のものは, その次に読むべき本として候補に挙げるもの. 神保先生の本は二次元の Ising 模型・ Ising 場の理論についての概説. 下に述べるパンルヴェ方程式の「復活」のきっかけともなったお仕事の話. せっかくだから, 時間と実力があれば, 原論文を読破してみたい. この話で構成される Ising 場の理論は有質量と呼ばれるクラスで, 共形場理論というのは質量ゼロの二次元の場の理論. 様々な無限次元リー代数の表現論や代数曲線なども関係してきて, 共形場理論から生まれ出た数学は, いまなお盛んに研究されている. 鈴木淳史さんの本は, ランダムウォークと量子可積分系の関係について解説したもの. まだきちんと勉強したことはないけど, 竹山が興味ある話の一つ.
超幾何関数¶
ガウスの超幾何関数, およびその多変数化.
- 犬井鉄郎「特殊関数」 (岩波全書)
- 原岡喜重「超幾何関数」 (朝倉書店)
- 木村弘信「超幾何関数入門」 (サイエンス社)
「特殊関数」は, 直交多項式などの様々な特殊関数を, ガウスの超幾何微分方程式を軸に統一的に論じたもの. 二階に限定しても, これだけの話があるのだから超幾何というのは深いのだ. 原岡先生の本は, ガウスの超幾何から出発して, 超幾何関数という対象に対する現代数学の見方を, 各方面から紹介するもの. twisted cohomology/cycle, グラスマン多様体, GKZ も登場する. 木村先生の本では, グラスマン多様体を中心に据えて, 多変数超幾何関数を統一的に論じている. 面白そう.
楕円関数¶
関数論の続きとしての楕円関数論.
- フルヴィッツ, クーラント「楕円関数論」 (シュプリンガー)
- 梅村浩「楕円関数論-楕円曲線の解析学」 (東京大学出版会)
フルヴィッツ・クーラントは楕円関数についてコンパクトにまとめられた本. 楕円関数は他の様々な数学と関係していて, そこが非常に面白いのだけれども, この本では敢えてストイックに楕円関数の基本事項を一直線にまとめている (のだと思う). 梅村先生の本では, フルヴィッツ・クーラントではあまり述べられていない, 楕円関数論の背後にある幾何についても言及している.
梅村先生の本, 前から読んでみたいと思っている.
パンルヴェ方程式¶
竹山はパンルヴェ方程式に関しては素人なのだけれども, ここ十数年でその世界が随分と広がったような印象と持っている. パンルヴェ方程式については, その歴史を紐解くだけでも結構面白い. これについては, やはり岡本和夫先生の「パンルヴェ方程式序説」をパラパラと見てもらいたい, のだけれど, 筑波の数学の資料室にはあるのだろうか・・・? 最近絶版になってしまったので購入はできませんが, どうしても見たければ, 竹山の部屋に一冊あります. (貴重な本を譲ってくれた O 君に感謝)
- 野海正俊「パンルヴェ方程式」 (朝倉書店)
- K. Iwasaki, H. Kimura, S. Shimomura and M. Yoshida, "From Gauss to Painleve" (Viewig)
野海先生の本は, パンルヴェ方程式についてその対称性を軸に論じたもの. 計算はそれなりの重量があるが, 行列式の計算ができれば読めてしまう. 野海先生の本が出るまでは, パンルヴェについて書かれた本で入手可能なものとしては, 「序説」と "From Gauss to Painleve" しかなかった. その名の通り, ガウスの超幾何の話から始まって, モノドロミー保存の方程式としてパンルヴェ (を一般化した Garnier 系) が出てくるまでを解説したもの. パンルヴェの専門家になるためには, 野海先生の本の話だけではなく, こっちの方の話も知っていなければならない (はず). ちなみに, 阪大の大山先生の本が出たら, すぐにでもこのリストに加えたいのだけれども, まだ出版されてない.
Painleve というと Twitter の Paul_Painleve さんを想起する.
常微分方程式¶
常微分方程式について基礎理論からきちんと学ぶ. 偏微分方程式をやりたい人は, 偏微分方程式を研究されている先生に指導を受けて下さい.
- 高橋陽一郎「力学と微分方程式」 (岩波書店)
- 高橋陽一郎「微分方程式入門」 (東京大学出版会)
- 高野恭一「常微分方程式」 (朝倉書店)
- E. Coddington and N. Levinson, "Theory of Ordinary Differential Equations" (Krieger, 和訳は吉岡書店)
高橋先生の「力学と微分方程式」は, 前半で定数係数線形常微分方程式の解き方がきちんと解説してあって, 後半は力学系の安定性の問題や変分法の入門的な内容となっている. 大学初年級向けとして書かれた本だけど, 扱っている例などはもう少し高級なところから取ってきてるので, 4 年生で読んでも十分かも知れない. 易しすぎるようであれば「微分方程式入門」の方を問題も解きながら読みましょう. こちらの方が数学の教科書としては硬派な感じがする. 高野先生の本は, 微分方程式の基礎理論から始まって, ガウスの超幾何のモノドロミーの計算, フックス型方程式, 不確定特異点とストークス現象の解説まであって, とても内容が豊富. 複素領域上の常微分方程式を学ぶための入門書としては最適なものだと思う. Coddington-Levinson は少し古い本だが, 有名な教科書. 自己共役作用素の固有値問題についても詳しく論じてある. こういう古典的かつ本格的な教科書をじっくり読むのも面白いのではないかと.
表現論¶
表現論とは何か? については, 京大の西山先生による表現論 WEB を見てもらいたい.
- 平井武「線形代数と群の表現 I ・ II 」 (朝倉書店)
- 神保道夫「量子群とヤン・バクスター方程式」 (シュプリンガー)
- 谷崎俊之「リー代数と量子群」 (共立出版)
- 草場公邦「行列特論」 (裳華房)
表現論はいろんなアプローチの仕方があって, 抽象代数的な表現論を学ぶのであれば, そういう感じの本から入るのが良いと思う (セールの教科書とか). 表現論の入門書はいろいろあるので, ゼミで実際に何を読むのかは相談して決めます. ここでは, 解析っぽい表現論の入門書ということで, 平井先生の教科書を挙げておく. 易しいところから出発して, かつとても教養に溢れた楽しそうな本. ちなみに竹山は, 学生時代に平井先生の函数解析の講義に出ていたが, その試験の問題 1 は, 「数列空間 l^{2} は完備であることを示せ. ただし鶏肉を切るに牛刀を用いるが如き証明は不可」. だった. これ以上にカッコいい試験の問題文というのを見たことがない. 神保先生の本は量子群とその表現の入門書. 最後に Face 模型が出てくるところが嬉しい. 谷崎先生の本は無限次元のリー代数である Kac-Moody 代数の入門書. Kac-Moody の日本語の入門書としては, 他に脇本先生の岩波講座があるのだが, こっちはまだ (日本語では) 単行本化されていない. (追記:2008 年 7 月に単行本化されました) 「行列特論」を表現論の本だというのは少しズレてるような気がしないでもないけど, 第二部は quiver の表現論だ, ということで許して下さい. 線形代数だけを使って三つの面白い問題を論じている名著. ここで紹介するにあたって, パラパラと眺め直してみたのだけれども, やはりとても面白そうなので, 誰か読みませんか?
平井先生のこれ, 格好いい.
ちなみに竹山は, 学生時代に平井先生の函数解析の講義に出ていたが, その試験の問題 1 は, 「数列空間 l^{2} は完備であることを示せ. ただし鶏肉を切るに牛刀を用いるが如き証明は不可」.
母関数~組み合わせ論・整数論¶
もしくは「組み合わせ論や整数論と関係する q-解析」.
- アンドリュース, エリクソン「整数の分割」 (数学書房)
- G. Andrews, "The Theory of Partitions" (Cambridge Univ. Press)
- D. M. Bressoud, "Proofs and Confirmations" (Cambridge Univ. Press)
- B. Berndt, "Number Theory in the Spirit of Ramanujan" (AMS)
最初の二冊は整数の分割 (partition) についての本. partition というのは, 非負整数を非負整数の和で書くことで, 例えば 6 の分割は, 6=5+1=4+2=4+1+1=3+3=3+2+1=3+1+1+1=2+2+2=2+2+1+1=2+1+1+1+1=1+1+1+1+1+1 となる. このような分割が何通りあるか, というのが partition number と呼ばれるもので, その性質についていろいろと論じられているのが最初の二冊. "The Theory of Partitions" は関数論の続きとしても読める (たぶん). "Proofs and Confirmations" は, alternating sign matrix の数え上げという組合せ論の問題が, 二次元の可解格子模型の話 (物理の問題!) を使って解けてしまった, という話の解説. "Number Theory in the Spirit of Ramanujan" は, ラマヌジャンの数学の易しい入門書. ラマヌジャンはインドの天才数学者. 詳しいことはネットで調べればいくらでも出てくるだろう.
古典的な数理物理¶
大学院数理物質科学研究科数学専攻に進学希望の学生さんは対象外. 大学で学ぶ数学が, 物理でどのように使われているかを学ぶ. もしくは, 物理に出てくる数学を, きちんと扱うとどうなるかを学ぶ. 一年生の微積分の内容を仮定する.
- アーノルド「古典力学における数学的方法」 (岩波書店)
- 深谷賢治「電磁場とベクトル解析」 (岩波書店)
- 深谷賢治「解析力学と微分形式」 (岩波書店)
こういう本を紹介するときにアーノルドの本は外せないのだけど, 学生さんにとっては本格的すぎで手が出しづらいかも知れない. 実は竹山は未読なのだけど, とても面白そうで, いつか時間をとって読んでみたいと思っている. ちなみにロシアの数学科の学生はみんなこの本を読んでいるという噂がある. (あくまでも噂) 最近の本では, 深谷先生の上の二冊が挙げられる. 深谷先生の「電磁場と電磁気学」では, 二次元・三次元のベクトル解析の話がまずあって, これを踏まえて最後の三分の一で電磁気学の理論が展開される. 「解析力学と微分形式」は, ハミルトン系の幾何学的な理論を紹介したもの. ここで紹介する文献は, 内容が古典力学と電磁気学に偏ってしまっているけど, 流体力学や量子力学の解析学的アプローチに興味がある人は, 偏微分方程式を研究している解析の先生に指導を受ける方が良いでしょう.
大学の解析をきちんと勉強して卒業する¶
大学院数理物質科学研究科数学専攻に進学希望の学生さんは対象外. 大学を卒業するまでに, 一度は本気で自力で数学と格闘するためのコース. 必要が生じたら面倒がらずに微積分の復習をする覚悟を持っていて, かつ自分が理解できるまでしつこく考える意欲があって, かつ十分たくさんの時間を卒業研究の勉強のために費す決意のあることが必要条件. テキストの練習問題もきちんと解きながら読み進める.
- 斎藤正彦「微分積分学」 (東京図書)
- ケッヒャー「数論的古典解析」 (シュプリンガー)
- ポントリャーギン「常微分方程式 新版」 (共立出版)
- スピヴァック「多変数の解析学」 (東京図書)
- 原岡喜重「多変数の微分積分」 (日本評論社)
斎藤先生の本は微積の教科書. 一年生の微積の知識が不十分な場合には, このレベルから (相当のスパルタで) 勉強してもらう. 高校の微積の復習から出発して, ベクトル解析の概説まで. これはブルバキスタイルを身につける練習として使う. ただし, この本の内容で卒業研究発表をするわけにはいかないので, 発表用に何かしら古典的な題材について学んでもらうことになるでしょう. 「数論的古典解析」は, 一変数の微積分が, 解析数論に現われる問題にどのように応用されるのかを紹介したもの. ポントリャーギン「常微分方程式」は, 常微分方程式の有名な教科書. 工学の問題への応用など, ポントリャーギン先生の教育的配慮に満ちている本. それだけでも十分感動的である. 内容はそれなりに本格的. 頑張ってきちんと読んでみましょう. 「多変数の解析学」は, 竹山が学生時代に多変数の微積分を勉強した本. 最近復刊された. 多変数の微分の概念から始まって, 一般次元のストークスの定理の証明まで, 無駄なくスッキリと話が進んでいく. 薄い本ではあるが読みごたえがある. スピヴァックが難しすぎるようであれば, 微積分の復習をしながら原岡先生の本をきちんと読む.
数論的古典解析, 前から読んでみたいと思っているが手を出せていない.
ラベル¶
数学, 可積分系, 表現論
Publications of MSJ 第 13 巻 Gaisi Takeuti, Two Applications of Logic to Mathematics の電子版が一般公開された¶
本文¶
Publications of MSJ 第 13 巻 Gaisi Takeuti, Two Applications of Logic to Mathematics の電子版を一般公開しました http://bit.ly/12IITSs
竹内外史の本 (?) だが, 地雷だったりしないのだろうか. まだ目を通していないのだが, ご存知の方がいれば内容についてご教示頂きたい.
それはそうとして, Publications of MSJ のページを見るといくつか文献があるが, 次の 2 冊が気になる.
No.15 Shoshichi Kobayashi, Differential Geometry of Complex Vector Bundles, 1987, xii+305 pp. No.11 Goro Shimura, Introduction to the Arithmetic Theory of Automorphic Functions, 1971, xiv+267 pp.
これ読んでみたい. 数学会, 何とか頑張ってこれを公開してほしい.
ラベル¶
数学, 数理論理
偏微分方程式まわりの物理の数理: グリーン関数に関わる数学の難しさ¶
はじめに¶
次のツイートにいろいろ反応したのをまとめておく.
偏微分方程式論を学んだら階段関数とデルタ関数の積みたいなヤバそうグリーン関数がなんでオッケーなのかわかるんだろうか
— まるまる (@butsubutsu_wawa) July 6, 2020
以下, まるまるさんのツイートは引用にして私のツイートを適当に編集しつつまとめる.
本文¶
私の観測範囲だとそういう具体的な話を議論している本を見かけたことがありません.
リプライありがとうございます. デルタ関数等は超関数の意味で微分はできるが, 普通の微分はできないと習ったので超関数が偏微分方程式の特解になることに疑問がありましたが, 具体的に議論しなくても一般論から数学的に正統化できるという感じなのでしょうか.
だいぶ長くなると思いますが, 基本的には全て修羅の道です. 一般的な話をいくつかしたあと多少具体的な話をします. まず物理では解があることを前提にその性質を調べるのが普通なわけですが, 数学的にはその前段階の解の存在と一意性がすでに大問題です. そして物理の研究フェーズのはるか手前です. 例えば, 学部三年くらいでやる連続体の力学, 流体力学でのナビエ-ストークスは解の存在と一意性が言えたらフィールズ賞をあげます事案な訳で, 一事が万事こうだと思ってください. 物理として嬉しいことが何かできている方が珍しい, そういう気分です.
私の学部の頃の教官 (専門は数学としての非線型偏微分方程式) が言っていたのは, マクスウェルのような線型の方程式でも, レイリージーンズ (だったか何か) では境界条件で非線型性が出てきて, そこで問題が一気に難しくなると言っていました. その程度に何もできていません.
一般に超関数の積は定義できません. 関数解析的なシュワルツの超関数はもちろん, 佐藤超関数でもダメだったはずです. 最終的に頑張ればそれっぽいことは数学的にもできるのかもしれませんが, かなり紆余曲折を経た議論になるでしょう. コロンボーの一般化関数という理論があり, これは「超関数の積が取れる」体系だそうで, これを使って一般相対論をやっている人たちがいるようで, 本もあって持っているのですが, 専門違いなのもあって全くわかりませんでした. 超関数の積自体は数学的に正当化できる理論はあるようですが, 具体的な PDE で物理の人が満足するような話は何一つないでしょう. そんなのができたところで物理にとって何の役に立つ, と失望するだけと思います. それこそ今日話題の愚鈍な狂人石井晃事案です. ああ言いたくなる気持ちはわからないではありません. 私はその辺の数学に首を突っ込んで数学科にまでいったくちで, むしろ無力さを噛みしめながらそれでも自分の興味ある「物理」がそこにあると思ってしまったので歯を食いしばってやっていたわけで.
グリーン関数自体は数学でも普通に議論はあります. ふつうの PDE であまり見かけたことはないのですが, 幾何解析の文献では見かけます. グリーン関数というよりはグリーン作用素とかレゾルベントという言葉で出てきます. レゾルベントに関しては, 私の専門の作用素論では基本的な対象です. ただ, PDE の視点からレゾルベントを見た経験があまりなく, PDE 方面での意義や扱いは私はよくわかっていません.
私の知る限りの範囲で数学と物理での扱いの違いを書くとこんな感じです. 物理だと拡散方程式を初期値が点源 (デルタ関数) の場合を解く, みたいな形でグリーン関数が出てきます. あとは畳み込みで重ね合わせて一般的な解を得る, みたいな. これ, 初期値が超関数の超関数方程式で死ぬほど扱いづらいです. 数学では点源の方程式よりも初めから「一般の (可積分な) 初期値関数で考える」みたいな形にして, 初期値が超関数の鬱陶しい形自体を回避します. 数学的にはそれで「一般的』だから構わない, みたいな感じです. ここで物理との意識の違いも出てきます. 物理でのグリーン関数というか初期値が超関数の時の解は, 一般解を得るための道具というだけではなく, 点源のもとでも解というそれなりに物理的な意義を持つ対象で, これはこれで物理として本当に大事です. しかし数学的にはピーキーでやりづらい. こういう意識のギャップもあり, 物理で欲しい状況が数学的にきちんと議論してある本は必ずしも多くありません. 何か合理化はできるかもしれませんがそういう風に書いてある本を見たことがないので専門外なことも手伝って私はよく知らない, という話がいろいろあります. 全空間での拡散方程式の初期値がデルタ関数の解くらいなら簡単なのでいくらでもどうにでもなりますが, 数学でよくやる一般の領域内での初期値・境界値問題が同じ難易度でできるのか, そういうことを書いてくれている本があるかどうかは全く知らない, とかそういう感じです.
PDE とは少し離れますが, 量子力学での摂動はきちんと収束するのかを気にして最終的に数学者として世界をリードした加藤敏夫という人もいます. これは私の専門から見て完全に先達です. 気にし始めたら数学者にならざるを得なかったとかいうレベルで数学マターなので気にしても物理にいいことないという社会の厳しさ. この辺を実体験ともに思い知らされたので「物理をやりたければ物理をやれ, 数学をしたいなら数学科に行け, 半端者はどこにも何にも届かない」みたいなことをいつも言っています. 本当に物理のはるか手前の問題解決で数学的にフィールズ賞, みたいな話がよくあります.
Twitter まとめ: 数論についての簡単な紹介¶
はじめに¶
先日, 次のようなあまりにもアレな RT が流れてきた.
数論って初心者がやるにしてはハードル高いと思うし, マイナーすぎると思う
最初「また頭がおかしい人か」と思って次のようなツイートをしたが, どうやらそこまでアレでもなかったようなので, 簡単にプロデュースしてきた. これはその記録である.
http://tinyurl.com/bz88vkr 【数論って初心者がやるにしてはハードル高いと思うし, マイナーすぎると思う】 前者については話題の選択で十分どうにでもなる (と思っている) し, 後者に至っては気が狂っているとしか思えない
リプライ¶
@KleinSurface 色々コメントがきているかもしれませんが, 数論は数学の中でも最高に有名な部類で, 研究者もファンも多いです. また応用に乏しいというのも致命的に間違いで, 例えば暗号理論で活躍しています. 暗号は通信の安全性にも深く関わるのでネットに触る人は日々使っています
@KleinSurface 念のため言っておきますが, 暗号に使う部分の数学は非常に専門的です
https://twitter.com/KleinSurface 数学科志望でこの ID の人でも数論がマイナーに見えているというの, 凄く面白い. 何というか内部から見ている世界と外部から見える世界は違うのか, と思ったが物理学科の頃から数論の地位みたいなものは知っていたことを想起した
何も見ないで脊髄反射で RT してしまったが, 何となくまともな人っぽいので反省している
@KleinSurface 鬱陶しいかと思いますが, 数論がどういうものかいくつか説明します. まずガウスの言葉で「数論は数学の女王」という言葉があります. とりあえずそういう感じだと思って下さい. あと東大数理は高木貞治の類体論以来, 基本的に数論が強いです
@KleinSurface ご存知か分かりませんが, 先日京大の望月さんの ABC 予想の話が Twitter でも話題になりましたが, ABC 予想も数論の話です. フェルマーの最終定理も見かけは数論関係なさそうですが, 数論との関わりが極めて深いです. また見かけ簡単でかつ未解決の問題も多いです
@KleinSurface あと関連する数学が極めて広いことも特徴です. 細かく言うとあまり関係ない分野もあるでしょうが, いわゆる代数, 幾何, 解析すべて関係あります. 名前からして解析数論, 数論幾何, 代数的整数論というのがあります.
@KleinSurface 最後のは「代数的 (整) 数」に関する理論であって代数的な整数論ではない, という話もありますが. 関連する分野まで少なくとも後一つ応用があります. 数論幾何は代数幾何という数学 (のある種の拡張) を使うのですが, 代数幾何は符号理論という応用があります
@KleinSurface 符号理論については前簡単な動画を作ったので, ご興味あればどうぞ http://www.nicovideo.jp/watch/sm10684363 この動画自体では線型代数しか使っていませんが, 代数幾何を使い始めると死ぬほどハードです
追記¶
「数論が初心者向きでない」という部分が弱いのでいくつか追記しておこう. 異論もあるだろうが, 非常に大雑把にいって「数論」といったとき, 本当に初等的な意味で「数」といった場合には 2 つの大きなテーマがある. それは素数の理論と超越数の理論だ. 「数論」というと大体素数の方の話になり, 超越数の理論は主に解析数論の話題になる. 解析数論は超越数の話ばかりしているわけではないのだが, 大事な分野だ.
代数的整数だとか $p$ 進数など色々な「数」があるので, あまり適当なことをいうと怒られてしまう.
素数の理論についていうと, 時々「今知られている中で最大の素数」と言った話題が出てくるが, 例えばこんなのは分かりやすかろう. ちなみに素数が無限個あること自体は古く Euclid の頃から知られている. ただ, 知られている中で最大の素数を見つける (記録を更新する) というところで, 永遠にアタックできる, 誰にでも分かる問題になる. また現代の暗号理論は適当に大きい素数をうまく使うという話なので, 大きな素数を見つけることは応用上も大事なのかもしれない. この辺は詳しくない.
他には有名な理論について具体的に計算しまくることができたりする. そういうのをひたすら計算するだけでもかなり楽しいという人もいる. 興味がある向きは次の本を読んでみると楽しいかもしれない.
超越数論¶
超越数論については, ある数が超越数であるかを調べる理論だ. 超越数というのは整係数代数方程式の根とならない数のことだ. ここで整数 (または有理数) 係数というのがとても大事.
超越数の例としては $\pi$, $e$, $2^{\sqrt{2}}$ などがあるが, 証明はどれも簡単ではない. $2^{\sqrt{2}}$ に至っては Fields 賞クラスの問題だ. いまだに $\pi + e$ や $\pi^{e}$ が超越数かどうかということも分かっていない.
もう少し単純な「ある数が有理数か無理数か」という問題もある. こちらは比較的簡単に証明できる数もいくつかある. 有名なのは「$\sqrt{2}$ は無理数になる」という話だろうか.
snufkin26 さんから頂いたコメント¶
本文¶
@phasetr ええと, さしでがましいこと, ヘンテコなことを言うかもしれないので, 申し訳ないのですが,初等的な数論と言って, 「素数について」と「無理数・超越数論」を挙げていらっしゃるのに違和感があります. (続く)
@snufkin26 @phasetr というのは, 「現代の初等整数論」とも呼べる分野がいくつかある気がいたします. ひとつには, 整除性を扱う分野 (完全数について, 数論的関数について, 等). ふたつめには, 整数列論 (Schnirelman 密度に始まるような) (続く).
@snufkin26 @phasetr あと, 古典的でない新しい加法的数論や, 組み合わせ数論も初等的な気がします. これらは時に強力な (初等的とはいえないような) 武器を用いますが, 問題も手法も初等的であることが多いです. (続く)
@snufkin26 @phasetr 研究者としては, Carl Pomerance 先生, Paul Pollack 先生などがそうかと. えっと, 素数分布論・無理数論にも初等的に考えられる部分はあると思いますが, それを筆頭にあげてしまうと, (続く)
@snufkin26 @phasetr 初等的な数論について知りたい方が「これだけか」と幻滅してしまうかと思いました. まとまりがなく, 長ったらしいツイートで申し訳ございませんでした.
言い訳¶
Twitter にも書いた記憶があるが, 最初に記事を書いたとき, 私が念頭に置いたのは高校で学ぶ内容だ. 素数というか整数がらみの受験で出てくるタイプの問題や, $\sqrt{2}$ の無理性を想定した. 昔から皆がやっていることは死んでもやってやるか, といったところがあり, 意識的に勉強を避けてきたので, 例えば物理でいうなら宇宙や素粒子, 数学についても数論などは, 興味があって勉強している中高生以下の知識しかないと思う. 勉強不足のところを教えて頂いたので実にありがたい.
ラベル¶
数学, 数論, Twitter まとめ
「天書の証明」を集めた悪魔のような論文誌¶
はじめに¶
引用¶
レフェリーから「この証明は長過ぎる」とか指摘されても, 10 行程度の証明って長いですか? と言いたくなる.
@kyon_math 証明もすべて 140 字以内でお願いします.
@Paul_Painleve どこの雑誌ですか, それ?
@kyon_math 最近できた, Journal of Mathematical Twitter です. 引用が 1 万超えるのもありますぜ, 旦那.
@Paul_Painleve まぁ 2 文字で証明せよと言われると「自明」ですね. 制約がきつくなればなるほど簡単に.
@kyon_math 「自明」をたくみに操って, 永田さんの域にまで達すれば・・・ #ただし講義中につまって自分の教科書を見ても自明としか書いてない
@Paul_Painleve むかしのノートに「自明」と書いてあっても, もはやなぜそれが自明なのか分からない #恍惚の人 ただノートに見とれてる
永田さん, そんなにやばいアレだったのか.
ラベル¶
数学
特異点解消についてちょっとやりとりしたので¶
本文¶
特異点解消関係の話が出ていて廣中先生のことを思い出したので.
特異点解消とかってどういうモチベーションでやってんだろ. 全然知らないけど.
@Maleic1618 私が知る限りでは, 特異点には大事な情報がたくさんあるものの, 特異点はその名の通り特異性があって扱いづらいので扱いやすくするためにやる処理が特異点解消です. 例えば筆跡鑑定で大事になるのは尖った所だったりするようですが, そういう所をきちんと調べる的な
@Maleic1618 ちなみに筆跡鑑定の話は実際に廣中先生の話で例として出てきました
@phasetr なるほどです. その話は関数論の方とも関係があるのでしょうか? 多変数の関数論では極や不定点が孤立しなくて 1 変数と同じ議論が出来ないので, 特異点を扱う話とつながるのかなと勝手に想像しているのですが.
@Maleic1618 私も私で専門外もいいところなので専門の人にあとできちんと確認した方が良いとは思いますが, 関数論は複素係数の代数幾何は含むはずで, 解析空間関係の話で処理するのだとおもいます
@Maleic1618 廣中先生自身, 解析空間の本を書いていますし http://www.amazon.co.jp/dp/4254111347 大雑把に言って「特異点を含む複素多様体」が解析空間だったはずなので, 当然色々関係する話があるだろうと
@phasetr なるほどです. 近いうちに図書館でのぞいてみますね. ご丁寧にありがとうございます.
修士修了近くに廣中先生の話を聞く機会があって, そのときたまたまもう一人筑波かどこかの大学の方が, 「自分はこれから博士を出て数学とは関係ない仕事につく. それでも研究は続けたいのだが出来るだろうか」みたいなことを質問していた. そのときに「研究? 続けたらいいじゃないか」と廣中先生が超気楽に笑顔で言っていたので, それなら自分も続けてみるか, と私も超お気楽に思ったことを思い出した.
あとそのときに廣中先生からサインもらった.
ラベル¶
数学, 代数幾何, 関数論, 数学者
「使う定理は全て証明する」という数学徒の主張について思ったことをつらつらと¶
本文¶
時々「自分が研究で使う定理は全て証明する. そうしないと怖くて使えない」という人がいるようだ. それはそれで素晴らしいことだが, 例えば強く分野に依存することではないかという気がしたので, 思ったことをメモしておきたい.
私の周辺の解析学はかなり上記の行動は徹底できると思うが, 例えば代数幾何などはどうだろう. 気になったのは特異点解消定理の扱いだ. ここによると廣中先生の原論文は 400 ページあるようだ. 今では証明が改良されてもっとすっきりしているかもしれないが, その辺りは分からない.
具体的な多様体に対して具体的な特異点解消を考える上では, むしろ上記定理によらずにきちんと構成した方が便利だろうから その意味で特異点解消定理のお世話にならずとも済むだろうが, 一般論を展開するときはどうしてもお世話にならざるをえないだろう. そういうときにきちんと証明を追いかけるのだろうか.
より極端なケースは未証明の予想の成立を仮定して議論する場合だ. 谷山-志村予想 (Wiles の定理) は志村が虚数乗法を持つときに予想が正しいことを 証明して予想の正しさをある程度確立したあと, どんどん数論界隈では信頼性が高まっていったようだが, 完全に証明されていない状態でそれ仮定した場合を問題にしている. 最初に挙げたケースは「証明されている命題は自分でもきちんと証明を確認する」という話だが, この場合はやはり絶対に使わないのだろうか. もちろんそういうスタンスはありうるし, もっといえば谷山-志村予想を正しいと思っていても 証明されるまで自分の仕事には使わないというスタンスもありうる.
全くまとまらないまま今回はここで終えるが, まあ色々あるということでご勘弁頂きたい.
追記¶
次のコメントがあったので追記しておく.
【◯◯予想と◯◯予想の強弱関係】その分野で一つの予想が解けない時に研究過程から派生したのか色んな予想が立ち上げられ此方の予想から此方の予想が出る、とか逆もこれだけ仮定すれば出るとか予想間の主張としての強弱についてのステートメントが出回る。暫くして大本の予想が解けると芋蔓式に発展
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
【定理の証明の仕組みを理解する事とその定理の面白い応用を思い付く事は別の事】定理の証明を理解する事で何か応用的なアイデアを思い着く事はあるかもしれないが基本的にはこの二つは別件と考えられるのでは? 例えば四色問題とか
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
【コンピューターが査読する時代が来たら?】コンピューターが査読する時代が来たら人は数学書の何を読むようになるのか?正しい定理が何かを知る事? 数学好きな人の中には証明を読むのが好きな人とか公式を使って色々計算して見るのが好きな人とかそれぞれのタイプがある。証明読の娯楽性が高まる?
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
証明知らない定理が使えない、は数学的な問題でなくて、潔癖性みたいな個人の体質の問題な気もしますが。 教員が学生に何で定理の証明知らないのに使おうとするな!と罪悪感を植え付ける様に指導してる光景は何度となく見ているのでそういう風潮のせいもあるかもしれない。これには一理あると思う 続
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
続 もう少しマイルドに使ってる全ての定理の証明はおえなくても正しい事はものの本によって保障されてるけど自分は証明を知らない定理と何と何から何が証明されるのか?その論理関係ははっきりさせておこう!というアドバイスも聞いた事ある。
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
それはどういう状態を数学を理解したというのか?とも関係してる気がする。岩波の「数学の学び方」で小平先生がπの無理数性の初等的でロジックは簡単におえるけどかと言ってロジックをおっても何故πが無理数か?(無理数論のプロなら別かもしれないが)釈然としない証明を紹介しながら解説してる
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
基本的には証明には定理が成立する理由が書いてある筈なので証明をよく読む事が定理の成立理由を理解する道のようにも思えるけれど。証明を書いた人の直観と数学のルール、文法に乗せる為に文章化したものの懸隔が甚だしいものもあって証明のロジックをおえたからといって何か感触がなかったり
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
ならば証明は知らないが沢山例を計算して見た方が分かった気になれる事もあるし。 ここからは私の持論だけど分かるという状態に終わりはないけど、ある程度分かった気にならないと使いこなせないる気がしない。それは数学の問題というよりも数学を扱う人の気分の問題で人それぞれに解消の仕方がある
— 原子心母 (@atomotheart) 2015, 10月 30
雑感¶
少し話がずれるが, 個人的に証明読んだこともないのにものすごい実感がある定理として Haar 測度の存在がある. 以前はよく使うのだし証明読まないと, と結構真剣に思っていたが, 適当な位相群には存在するというのを何度となく聞き, しかもずっと使っているうちに当たり前のものになってしまった. もはや疑うべくもない実感としてある. 使ったのは相対論的場の量子論界隈での Poincare 群とか Lorenz 群あたりの本当に少ない具体例でだけなのだが, 不思議なものだ.
ラベル¶
数学,代数幾何,数論
竹崎先生の80歳記念のワークショップに行ってきて, 広義諸先輩方と久し振りに会ってきて楽しかった¶
はじめに¶
先日竹崎先生の 80 歳記念のワークショップがあった. 時間があったので 2 日目だけ参加してきた. 河東先生をはじめ, 広義諸先輩方に久し振りにお会いしてきた. やはり数学者と話するの超楽しい.
下記動画でしているのと同じ格好をして行ったら小澤先生に「出家したの? 」と言われた他, 海老蔵に似ている, という心無い罵倒を受けてきて深い悲しみに包まれた.
二日目の話¶
2 日目の話を一応抜き出しておこう. 基本的に作用素論・作用素環の量子統計, 場の量子論への応用というところで勉強していたので, 作用素環の基礎知識がほとんど無く, 正直ほとんど全く分からなかったが, ハイパー楽しかった.
講演者 | 演題 |
---|---|
Yoshiko Ogata | Normal states of type III factors |
Reiji Tomatsu | On product type actions of Gq |
Toshihiko Masuda | Classification of group actions on von Neumann algebras |
Yoshimichi Ueda | Free product von Neumann algebras with emphasis on structure theory for type III factors |
Paul Muhly | Homogeneous C*-algebras and noncommutative function theory (abstract) |
緒方さん¶
緒方さんの話は非可換中心極限定理に関わる話で, 緒方さんとしてはやはり量子スピン系への応用を考えているとのことだった. 情けないことだが, 物理的背景の説明があったにも関わらずろくに分からず, 勉強不足を痛感した. 竹崎先生が「これはすごく面白い結果だ」と仰っていたのだが, 数学的な意義もよく分からず悲しい思いをした.
増田さん¶
増田さんの話は群作用があるときの分類だが, 大事な結果を引用するところで, Jones-Takesaki の結果を引用し忘れて, 竹崎先生から突っ込まれていて場が笑いに包まれた. 「その後の分類証明の方向性を決定づけた大事な仕事です」みたいなコメントをつけていて, 増田さんが講演中に「大失敗した」という感じで恐縮しきっていて笑った.
植田さん¶
植田さんも相変わらず楽しそうに講演していて, 聞いているこちらも楽しくなってくる. 楽しそうに話すのは大事だな, と改めて思う. 自分も気をつけたい.
その後のパーティ¶
その後パーティがあったのだが, 何の連絡もせずに当日突然参加したので, ご担当の山ノ内先生にはご迷惑をおかけしたようで申し訳ない限りだった.
色々と裏話的なアレも聞いた. もとは特に問題ない行動だったのに面白おかしく尾鰭をつけて話されて困る, という話のあと, 河東先生が「こうして伝説が作られていくのです」とか言っていて爆笑した.
他はどうだか知らないが, 数学では抽象的な説明をされないと分からないというタイプの人がいる. そういう人が指導する側に回ると学生が死ぬ程困る, という例を聞いて爆笑した. 写像をグラフで定義するという荒技を披露したせいで, 学生が有限集合間の写像の問題すら解けない, ということでその人の指導教官含め, 必死の説得に回ったが聞き入れず, 最近海外での講演などを重ねる中でようやく自覚を始めたらしい, とかいうひどい話を聞きしこたま笑ってきた.
竹崎先生の話¶
パーティの最後, 竹崎先生からの言葉があったが, 作用素環の入口でも語られていた話をしていた. 簡単にいうと, 修士の学生の頃からたびたび「作用素環は終わった」と言われていたが, そのたびに面白い話題が, それも思わぬところから継続的に出てきて, 驚きの連続の数学人生だったこと, とてもいい分野に出会えて本当に幸せだったこと, 死んだと言われた分野で日本全国で専門家が 10 人くらいしかいない頃から頑張ってきて, 今となって日本中からこんなにもたくさんの専門家が継続的に育っていること, 自分もその育成に携われたなどなど, 実に楽しそうに話していた.
修士の頃の話として, 数学界の様子は全く分からない学生が指導教官からすら「作用素環は終わった」と言われ, どうしようか途方に暮れていたときに出た Kadison の既約性に関する論文の話をしていた. これは「$C^*$ 観の表現で代数的既約性と位相まで込めた既約性が同値である」という凄まじい結果だ. 作用素環の教科書では始めの方に出てくる基本定理で, ややもするとさらりと通り過ぎてしまう定理だが, もちろん恐ろしく非自明で強烈な定理だ. こんな深い結果が出る分野が死んでいるはずがない, 元気がないのはやっている人達の気持だけで, 分野自体は決して死んでいない, と確信し, 作用素環の研究に邁進しようと決意した, という話. 既に上記文献で読んで知っていた話だが, 当人の口から直接聞くとそれは感慨深いものがある.
数論幾何なども衝撃的な結果が 10 年くらいずつ出てきてとんでもない分野だが, こちらはどちらかと言えば有名な予想が解決された, という形での衝撃性という (非専門から見た私の勝手な) イメージがあるが, 竹崎先生いわく, 作用素環は予想もしないところからの衝撃的な結果が出てくる, という意味での驚きが強く, とても楽しいとのこと. 作用素環に進もうという向きは楽しみにしていていい, ということなのでここでも宣伝しておきたい. 不肖の竹崎先生の孫弟子であった.
ラベル¶
数学, 数理物理, 作用素環
問題: 双対空間の塔が無限に生成できる空間の具体例の構成, $L^{\infty}$ の双対空間の双対空間は何か¶
本文¶
ふと思い立ってこんなツイートをしてみた.
【緩募】 (無限次元の非回帰的な空間で) 双対空間の双対空間, という系列が無限に続いていき, しかも具体的にそれが書き表せるような例
【緩募】$L^{\infty}$ の双対は Radon 測度の空間だが, この Radon 測度の空間自体の双対空間が何者か
この間床の中でこれらがふと気になって寝付けなくなって困った. 関数解析を学べば誰でも知ることだが, 具体例を作ったことがなくてこれはまずい, と思ったのだ. 前者については山元さんから次のようなコメントを頂いた.
やりとり¶
@phasetr 考えるのはノルム空間ですか?
@hymathlogic 何でもいいです. 単純に例がたくさん知りたいのでむしろノルム空間の例もそうでない例も知りたいです
@phasetr $\ell^1$ はその例になっているようです. ($\ell^\infty$ より先の双対空間が) 具体的か分かりませんが.
@hymathlogic 何かに証明書いてあり⁾すか?
@phasetr kunen の「set theory の漕習問頌です (証明分かりません汗).
@hymathlogic 悲しみ. 何はともあれありがとうございます
自分で作れ, という話ではあるのだが, 何かご存知の方は教えて頂けると私がとても喜ぶ.
ラベル¶
数学, 関数解析
場の量子論と解析数論: p 進大好き bot からの質問に答える方の市民¶
はじめに¶
我らが p 進大好き bot から質問を受けた方の市民だ. 私は Fock 空間上, 非相対論的場の量子論や量子統計をやっているので物理として相対論が絡む話はあまりよく知らないし, 数論方面もさっぱりなのだが, 多少知っていることはあるのでまとめてみた.
@phasetr なるほど. ボゾンとフェルミオンに対応する Fock 空間の有界作用素のスペクトルに強い離散性を課しているのは量子論からくる妥当な制約なのでしょうか? 固有値の整列性から総和的概念と相性がよくなって数論につながっているように見えるので少しその仮定の意味が気になりました.
コメント¶
まず強い離散性 (トレースクラスの仮定) だが, 物理的には不十分なことこの上ない. 「物理はともかく (今の数学の水準で) 数学的に面白い話ができるのはこの場合」という割り切りと思ってもいい. 物理としてスペクトルが離散的になるのは 2 つの場合がある.
- $\mathbb{R}^d$ 上, 調和振動子などの特別な場合 (confined system).
- 有界領域上での Hamiltonian.
$\mathbb{R}^d$ 上, 調和振動子などの特別な場合 (confined system)¶
調和振動子など大事な系はあるものの物理としては本当に特殊な場合だ. 場の理論でも調和振動子が一番の基本だし, 調和振動子は決定的に重要な系ではあるけれども. 若山先生の非可換調和振動子など, 「調和振動子」は数学的に数論との関係がかなり深いようなので面白い. ただし, 物理的には散乱がないという決定的な欠点がある. すごく大雑把にいって, 散乱は Hamiltonian の連続スペクトルの部分に対応する. 非破壊検査など散乱を基礎にした応用はたくさんあるし, ミクロな系, 特に素粒子を実験で見るときは散乱で見るため, 散乱がないのは物理としては困ると言ってもいい.
ちなみに調和振動子のように (原点から) 距離が離れるとポテンシャルが大きくなる (ので粒子があまり遠くに行かない) 系を confined system と言う. 数学的な一般論として, 「 Laplacian + 最高次が偶数の多項式ポテンシャルが入った Hamiltonian 」のスペクトルは離散的になる. (新井先生の『量子現象の数理』にも証明がある. ) Confined system を「Hamiltonian のレゾルベントがコンパクト作用素になる」と定義している文献もある.
有界領域上での Hamiltonian¶
証明や条件を忘れたものの, 有限系ならそれなりに一般的に言えたはずだ. コンパクトな Riemann 多様体の Laplacian は離散的という一般論があるが, 大体そういう感じ.
もちろん一般には Laplacian に適当な摂動を入れるので離散性が保たれるかは自明ではないが, 頑張るとそれなりに一般に言える. 量子統計や場の理論でも, いったん有界系でトレースを使いながら理論を作っておいて, 最後に物理として標準的な $\mathbb{R}^d$ への極限 (熱力学的極限) を取る.
後者についてはもう 1 つ決定的な事実がある. 前者とも関係するが, 一般に無限系の Hamiltonian には連続スペクトルがあるのでトレースは取れない. 物理だと平衡状態は $\mathrm{Tr} (A e^{- \beta H}) / \mathrm{Tr} (e^{- \beta H})$ で定義するが, これは無限系では意味をもたない. つまり数理物理としては無限系の平衡状態を定義するところから始める必要があるが, これがなかなか大変だった. ここをきちんと議論するために Haag-Hugenholtz-Winnink の有名な仕事が出たのであって, 量子統計の数理物理に対する冨田-竹崎理論の重要性が出てくる. 冨田-竹崎理論というか平衡状態周りでも数論における相転移とかいう Bost-Connes の結果 があるので, それはそれで数論的にも大事なようだが, こちらは難しくて読めなかった. p 新大好き bot はセミナーで読んだらしいので, 興味がある向きは p 進大好き bot に聞こう.
地下コメント¶
もう一個.
@phasetr ついでに 4 章で $L_S$ と $Q_{S,+}$ に対する指数定理のようなものが示されているのも興味深く感じました. フレドホルム作用素 $S$ に対して $L_S$ や $Q_{S,+}$ (そして $d_S$) に何らかの物理的意味付けがあるのでしょうか?
こちらについてはあまり知らない. $L_S$ は (自由場の) 超対称的 Hamiltonian, $Q_{S,+}$ は超対称荷 $Q_S$ の分解ということくらいは知っているが, この辺の物理自体には詳しくない. 超対称荷自体何なのかあまりよく分かっていないが, 「荷」とつくのは大体保存量であって, 物理的には普通とても大事な量に対してその名前をつける. だから大事なのだろう, くらいにしか分からない. $d_S$ については, Proposition 4.1-4.2 にあるように「ボソンを消してフェルミオンを作る」というそのままの意味があるが, これ以上の詳しいことは知らない. 超対称性はボソンとフェルミオンの対称性なので, 正に超対称性を司る作用素が $d_S$ という話ではある. それが幾何学的にも大切な外微分になっているというのは確かに面白い.
これとかこれとかこれとかこれとか, 量子力学のレベルでは超対称性と指数定理というのは大きなテーマになっている. その場の理論版としてこの辺の話があり, さらに数論的な要素すら持っていたという感じなのだと思っている. 量子力学での話からすれば多様体上で何か議論したいところだが, 無限次元多様体の議論をいきなりやるのはつらいので, まっすぐなところで下調べしよう, というのが新井先生のこの辺の研究の動機の 1 つでもある. 『Fock 空間と量子場 上』の 6 章のまとめのところにその辺の話が書いてある.
物理としてはむしろ, この辺の兼ね合いから超対称的な理論が数学として幾何学的な拘束を受ける (はずな) ので, 数学 (幾何学) 的に意味が明快なところから逆に物理を見つけていくときの指針として使うのだろう. とくに素粒子では数学的な制約からあるべき物理 (モデル) をしぼっていくというのはよくある. 例えば「理論は Lorenz 対称性を持たねばならない」とか「繰り込み可能でなければならない」とか「漸近的自由でなければならない」とか. 素粒子物理として数学的指針は決定的に重要らしいのだが, 数学的にはそこを逆に使って物理的な洞察から衝撃的な数学的関係を見つけてくるのが楽しいということで色々な交流があるという認識だ. ミラー対称性とか何とかそのあたりもそう.
知っているのは大体このくらい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 場の量子論, 量子統計, スペクトル理論, 数論, 解析数論, 素粒子, 超対称性, ミラー対称性, 幾何学
理研で理論物理学者の展示をしたらしいが, 私も何か似たようなことしたい¶
本文¶
行っていないので詳細は不明だが, Twitter で見る限り評判は良かったようだ. こういう感じのこと, 前からやってみたかったのだが実際に評判が良かったとのことなので, 私の見立ては間違っていなかった. 前に少し先生に相談したこともあり, そのときは色々難しいと言われたのだが, こういう研究所単位でやってくれることがあるようなので, 私としては個人のレベルで何かできることをしよう.
基本的に (子供の頃の) 自分が見たい・触れたいと思ったことに対しては, そこに興味を持つ人が一定以上いるということを大学ではっきり分かったので, そこに向けたことをどんどんやっていきたい.
ラベル¶
物理, 数学, 数学教育
実数論やフーリエ変換に関わる基礎数理のモチベーション・歴史的経緯¶
はじめに¶
次のツイートを受けて, 実数論やフーリエ解析に関わる歴史的な経緯や数学的なモチベーションの話をした.
私が知りたい数学の動機ってのは、「実数を理解するためにコーシー列を導入する」だとか、「フーリエ変換を厳密にするために関数の連続をちゃんと定義する」だとか、そういうレベルの話なので…
— たりちぱ@・x・@ノ (@tari_tipa) July 10, 2020
発端¶
参考になる人もいるだろうから連続ツイートをまとめておく. 発端は次のツイート.
教科書を下手に改変したせいで、かえってわかりにくくなっている講義は、それによってわかりやすくなっている講義よりもきっと多いと思われる。それはそれとして、数学の教科書のわかりにくさは異常。あれはきっと数学科では異常者のみを選別するためにやっているのだと思う。
— たりちぱ@・x・@ノ (@tari_tipa) July 10, 2020
以下, 自分のツイートを中心に編集して転載. たりちぱさんのツイートは引用系にしておく.
本論¶
教科書を下手に改変したせいで、かえってわかりにくくなっている講義は、それによってわかりやすくなっている講義よりもきっと多いと思われる。それはそれとして、数学の教科書のわかりにくさは異常。あれはきっと数学科では異常者のみを選別するためにやっているのだと思う。
数学の教科書を書く人は、なんらかの定義を導入する際に、なんのためにその定義を導入する必要があるのかという動機を説明したら死ぬ病に罹っている。後の方まで学習が進めば自然とその定義を導入する意味が理解できるらしいのだが、その内容は絶対に教科書に書かれることがない。本当に意味わからん。
動機のような「夾雑物」を混ぜるとわからなくなるタイプが本当にいるらしいのと、前書きなり何なりに書いてある範囲で大丈夫タイプもいるようです。あと、こんな定理が成り立つような定義はとても嬉しいので、成り立つ定理を見れば動機は自明にわかる派もいる模様です。 他にもパッと見で(当人から見て)意味不明な近似などもなく「きちんと論理的に話が進んで嬉しい」派もいるようですし、気に入る点が根底から違うのはそうで、非数学関係者から見てそれが好きなのは異常者と認識されるのもそれはそうなのでしょう。本当に単純に向き不向きその一点で諸々決まる気分です.
おそらく「~のため」という概念自体が数学界にとっては夾雑物なんでしょうね。物理や生物に限らずすべての自然科学にとって教科書の記述はすべて「自然を理解するために」記述されているので、なんらかの動機が必ずあることが前提になっているし、それを知ってからのほうが学習しやすい。
多分大事なところなのであえて書くのですが、「(やっている当人にとって嬉しい数学に対する)数学のため」以外が各数学者にとって夾雑物っぽいです。数学科向けの本は数学科の学生が読むためのものなのでそれ以外を求めること自体が初めから間違いでしょう。物理の本がわからないと嘆く数学科学生的な.
私が知りたい数学の動機ってのは、「実数を理解するためにコーシー列を導入する」だとか、「フーリエ変換を厳密にするために関数の連続をちゃんと定義する」だとか、そういうレベルの話なので…
「そういう話ではない」のと「鶏が先か卵が先か」的なところもありつつピント外れのことを書くと, 実数の位相的側面 (完備性) の定式化としてコーシー列が必要なのは単に完備性の by definition だとか, フーリエ変換の厳密な定義を知るために普通の関数の連続性の議論していてもほとんど何もわからない (連続性のくびきを外したルベーグ積分または汎関数の空間の汎弱位相での連続性) とかなので, 問題意識の方向性が数学的に噛み合っていません. その動機で数学を見ていても確かに何もわからないし見えないという感じです.
勘所が噛み合っていないので微妙なのですが, 一応いくつか書いておきます. まずコーシー列は距離空間 (たぶん点列とその収束で位相が決められる空間まで一般化できる:一般の位相空間だと点列の一般化であるネット・フィルターの収束の議論が必要で, 最近の普通の位相空間の本にはまず書いていない) の重要な性質, 完備性を定式化するときに出てくる概念です. 実数には代数・測度・位相などの多彩な性質があります. そのうち完備性は実数の位相に関する決定的な条件です:小学校以来の直観的な数体系に「ふつうの距離 (ユークリッド距離) 」を入れた時, 自然数と整数は完備ですが, 有理数は非完備です. 有理数の完備化として実数が立ち現れるというのが数の構成の議論の 1 つのハイライトであり, これが数学的に重要です. そしてフーリエ解析とも関わる議論ですし, コーシーによる極限の $\varepsilon$-$\delta$ による定式化とも関わります.
連続とかいう以前に極限が魔界です. 確かアーベルが反例を出すまで級数周りの議論で今は間違っているとわかっている議論が成り立つと思われていたりしました (詳細忘れた:こういうの とかいろいろあります. アーベルは天才なので). コーシー・アーベル・極限周りではほかにもいろいろなエピソード・登場人物がたくさんあります. こういうの のとか: Analysis by Its History.
何はともあれ極限周りの話をすると, 結局極限周りのいろいろな議論は実数の性質に帰着します. 例えば連続関数の一様収束先が連続というのを示すのに, まず収束先の存在証明のために各点での収束を議論しますが, そこで実数の完備性を使います. 関数の議論をするのにも実数論がないと話になりません. そもそも関数の議論がなぜ必要かというところでフーリエが出てきます. これも有名な話で, フーリエは「任意の関数がフーリエ展開できる」と主張しました. ここで問題になったのは「そもそも関数とは何ぞ? 」というところからです. 関数の定義自体がずるずるだったので議論することさえままならない状況です. 実数の完備性などを議論しなければならなくなったのも関数・関数列の極限処理が 1 つの強い理由です. (この辺の話, 現代数学観光ツアーにも書いたので, 興味があれば読んでみてください).
経緯にあまり詳しくないので大幅にはしょると, 何やかんやで 19 世紀の数学では三角級数論の研究が盛んになったようです. (解析?) 数論関係の話もいろいろあったとか. 実際, 集合論で有名なカントールは (解析?) 数論がらみの三角関数論の収束の挙動の研究から集合論に入ったと聞いています. 集合論の研究の中で「$\mathbb{R}$ と $\mathbb{R}^2$ の間の全単射の発見」という出来事に関してカントールは「これらの間の区別がないことがわかった」と言ったのに対し, デデキントが何か印象的かつ数学的に正しいコメントをしたみたいな話があります. 参考^m$ が同相と $n=m$ は同値とか, 線型空間として同型なのと $n=m$ が同値みたいな話で, 全単射があるだけで「同じ」とみなすのはよくない, とかいうタイプの指摘だったはずです. この辺, 初めの方に書いた「実数は代数・測度・位相に関する多彩な性質がある」という部分の捕捉でもあります. このくらいの知識の射程距離がないと多分実数論の何が面白いのか, 数学関係者がどこに興味を持っているのか見たいなことはおそらく全く分からないはずです. というわけでいろいろ書いてみました.}. この辺, デデキントの詳しいコメントを忘れた上にすぐ思い出せませんが, 位相幾何での $\mathbb{R}^n$ と $\mathbb{R
フーリエに戻ると, フーリエ級数の議論は高木貞二「解析概論」になるような連続関数に関わる議論と, ゴリゴリの関数解析方面のルベーグ積分が絡む議論が初等的な範囲ではよく出てくるように思います. 物理向けだとヒルベルト空間論でルベーグで, だと思うので後者の話をしましょう (前者をよく知らない). そろそろ話が元からだいぶずれてきているような気もするので, せっかくなので適当に. こちらの話も結局完備性の話であり, 関数列の極限であり, 最初の方に書いたアーベルの級数まわりの話 (これも関数列の極限) と似た趣があります. なので連続にフォーカスが行く時点で何か数学的な軸がずれています.
まず多少は数学的に扱いやすい方でのフーリエ変換の定義は, $L^2$ での収束でしょう. 連続からはかけ離れた関数なのでいわゆるふつうの関数の連続性をいくら頑張って勉強してもあまりご利益ありません. そのうえでフーリエ変換の厳密な定義をするにはいくつかのステップがあります. 一番最初に出てくる問題は, フーリエ変換を定義することになっている積分が, $L^2$ の関数に対して $L^2$ の位相でそのまま素直に収束しないことです. $L^1$ なら自明に収束するので, まず $L^1$ で考えます. 次に $L^1 \cap L^2$ の関数に対して収束するという自明な議論にもっていきます. 有理数は実数の中で稠密というのと同じく, $L^1 \cap L^2$ は $L^2$ の中で稠密です. さらに急減少関数はこの共通部分に入っていて $L^2$ のなかで $L^2$ の位相で稠密です. 急減少関数は直観的にフーリエ変換の議論でやるありとあらゆる乱暴な計算が成り立つ空間なのでまず急減少関数の空間でいろいろ議論します. 最後に稠密性で持ち上げます. これは実数論および実数論を基礎にした微分積分学の基本的な議論で出てくる完備性周りの議論, 暗黙の裡に出てくる (連続関数の空間に対する) 関数空間論の議論がキーになっています. あの辺をゴリゴリ数学科でやるのは実際にこういうところで議論のアーキタイプだからです.
あとここでいう関数空間は全て線型空間なので, 線型代数, 特に抽象線型空間論, そしてユニタリ空間論を知っていないと多分何もかもわかりません. その辺の理解があいまいだとその隙を正確無比に突いてきて, 我々の理解を破壊してきます. この辺の話, $L^2$ が実数と同じく完備であることが極めて強く効いてきます. そんなこんなで実数論・コーシー列 (完備性) ・フーリエみたいなのはほぼセットです. 実数の完備性は「実数の連続性」とも呼ぶので, その意味では連続ですが, 関数の連続性と混ぜると何もわからなくなるでしょう. 実数とフーリエ解析は, 線型代数・微分積分・集合・位相・収束処理の技術あたりがキーポイントで, 収束処理の技術以外は知識 (講義されて無理やり知っていることにされるという意味) ベースでは大体数学科の学部一年程度です. ただすべて知っていて収束制御技術を身に着けるとなると相応の苦労があります.
動機という視点からまとめると, 実数・完備性・収束の議論は級数論などで間違いまくった結果, 反省としてきちんと議論しないと駄目なことが分かった, という強烈な動機がないと多分何も気分が取れません. 非数学で収束の議論を頑張ることはないはずで, 他学科で触れられない「聖域」だろうとは思います. この辺, 極微の世界やら何やらで量子力学なり相対論が必要になって物理が反省を迫られた, みたいなところがないとご利益が分からない, みたいな気分で私は見ています. (偶然でしょうが時代的にもいろいろ重なっています).
フーリエの厳密化の動機については, 「そもそも任意の関数とは?」やら「関数列の収束とは (ゴリゴリの位相空間論)」やら「(可算) 無限個を除いた点 (ほとんどいたるところ) で関数列がある関数に収束するのだが」みたいなところに興味関心が持てていないと何もわからないし見えないはずです.
応用を考えるなら超関数のフーリエ変換やら何やらも出てくるのでしょうが, これはごく単純な三角級数が超関数にまでぶっ飛んでいく数学社会の厳しさを意識しないと動機がつかめない感じはあります. 例は簡単で $\sum e^{ikx}$ があります. 単純な三角関数の和がディラックの $\delta$ に収束します. 関数解析やら関数の収束やらその位相やらになぜ面倒な話がいろいろ出てくるかというと, 究極的に筋がいい複素解析関数である $e^{ikx}$ の単純和 (級数・関数列) が超関数という関数ならざる何かにぶっとんでいくからです. 物理や工学でよく出てくるおなじみの関数が地獄なので, 初手地獄です. こういうの, 物理などでは日常的な存在なので誰でも知っている例ですが, この時点ですでに数学的な地獄が顕現していることを明確に意識して数学のモチベーション向上に使っている非数学の人をあまり見かけない気分があります. 私はこの辺, 学部 1 年でいろいろ調べさせられて煮え湯を飲み強烈な動機があります. あと, フーリエでも出てくる解析関数列の極限が (超関数という) 特異な存在になるというのは, 相転移などでも大事な話です. あれも (イジングの) 有限系での解析的な分配関数が極限で特異性を持ち, それが相転移として現れるという話で, 私にとっては同じ構造で, その辺を調べたくなる強烈な動機です.
だいぶ長くなってまとまりもなくなってきたのでこの辺で打ち止めにしますが, 私にとっての実数やらフーリエやらの動機はこの辺です. 現代数学観光ツアーに書いた部分もあります.
いやはや, 勉強になります. あやふやな理解で適当なことを書いてしまって申し訳ないです. そういった, 数学の世界の中での定義や概念の導入された経緯みたいなものが, 少しでも教科書に書いてもらえるとより読み進めやすくなると, やっぱり数学外の人間は思います.
紹介された「現代数学観光ツアー」というのも機会があれば読んでみますね. ありがとうございます
物理やら何やらでもそれ自身の話についたは概念の導入経緯みたいなやつ「自然がそうあるから仕方ない」みたいな感じで経緯の説明ないのはふつうな気分があり, 何で数学だけことさら気になるのか感はあります. あと探せば数学史なり何なりあるので非専門の話に労力割きたくない事案なのはわかりますが.
数学の場合は, 自然科学でいうところの「自然がそうであるから」に対応する目的がないので途方にくれるんですね. 数学の定義や概念はすべて (自然ではなくて) 人間が導入するものなので, 最初にそれを導入した人間にとってはなんらかの意図や目的があったはずです. コーシーのそれのように.
高木貞治の近世数学史談だか何かに「数学は帰納の学問である」という話があり, 群やら何やらの抽象物も大抵何らかの具体例をゴリゴリにすり下ろして抽象化していたり, 物理から生まれていたり何なりするので, 物理をやっていればかなりの程度カバーできるのでは, というのが私の学習履歴でもあります.
それはわかります. ニュートンが運動を考えるために微分を生み出したという逸話を知っているから, 微分を勉強する意味もわかりますが, そうでない人 (たとえば物理に興味のない高校生) にとっては苦行でしかないだろうというのもわかってしまいます. 必要がないといえばそれまでですが.
楕円型正則性と水素原子の量子力学¶
本文¶
地味で清楚系と思っていた楕円型非線型偏微分方程式の解が実は解析的にめちゃくちゃ特異的で騙された
よく知らないが, はてなの匿名ダイアリーとか何とかいうのでまた異常者が湧いていたらしく, それに憤慨している方々がいた. そこの流れを見てのことだ.
それについてこんなコメントがついたので.
いや, それ自明…
@world_fantasia http://en.wikipedia.org/wiki/Elliptic_operator#Elliptic_regularity_theorem 楕円型正則性を背景にしたネタです. 私が知っているのは線型の方の楕円型正則性で非線型の方はよく知らないのですが
@phasetr なるほど, 分からん. かいつまんで言えばある物理的条件のもとで連立非線形偏微分方程式を解くというのが私の修論だったんですが, 解析解が出そうででなくて苦しかった
@world_fantasia 簡単にいうと, 楕円型の方程式の解は 2 回微分可能であれば十分なわけですが, 実際に解の性質を調べてみると 2 回よりも多く微分出来て, 場合によっては無限回微分可能, さらには実・複素解析的になることすらあると言う話です
@world_fantasia 具体例としては複素解析関数です. コーシー・リーマンの方程式からラプラス方程式 (一番単純な楕円型) の解になることが分かりますが, コーシー・リーマンがバックにあるならこれが複素解析的 (実部・虚部だけならそれぞれ実解析的) なのでそんな感じの話です
@phasetr あ~, なるほど. わざわざ具体例まで挙げていただいてどうもありがとうございました
@world_fantasia あと全くの別件ですが, 解析解というの, 多分物理ジャーゴンで数学の人には通じないです
@phasetr それは興味深い. まさか解析解が物理語だったなんて今の今まで全く知りませんでした
@world_fantasia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E7%9A%84 【解析解: 問題が「解析的に解ける」とはその解が既知の函数や定数などを用いて閉じた形の式に表せることを言う】と言う感じの使い方と思いますが, 数学でこういう使い方見たこと聞いたことないですね
@world_fantasia 【解が (実・複素) 解析的である】とかいうのはもちろんしょっちゅう使いますが
@world_fantasia もう一つついでに楕円型正則性についていうと, 水素原子のシュレディンガーが特徴的です. 楕円型正則性を議論するのには係数関数 (今はポテンシャル) の正則性も効いてきます.
@phasetr 言われてみれば確かに物理数学の教科書でも解が解析的あるって表現はよく見かけますが「解析解を求める」なんて文章は読んだ覚えがないな…なるほどなるほど
@world_fantasia 水素原子は厳密解が出ますが, ポテンシャルの原点特異性を解も引き継いでいます. 一方でポテンシャルは原点以外で滑らかですが, 解も同じく滑らかになります. もちろん一般にはラプラシアンの係数関数 (実際は定数) の滑らかさも当然効きます. そういう話です
@phasetr うおー, 段々私の学力じゃついていけなくなってきたぞ. 水素原子のシュレーディンガー方程式とか厳密に解ける唯一の例っていう程度の認識しかなかった…. 数物は難しいのう
@phasetr とりあえず貴方様が何故「楕円型」を連呼するのか何となく分かった気がします
ちなみに, 楕円楕円と言い出したのは宇宙賢者だ.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 楕円型正則性, 偏微分方程式, 量子力学, 水素原子
Twitter まとめ: 数学の作用素論と数理物理の作用素論¶
Twitter¶
数学の人がいう作用素論と数理物理というか量子力学周辺の作用素論は少し違う. 知っていることについて少しまとめておこう. 私は数理物理というか量子力学, 場の量子論周辺の作用素論の人間であり, 数学側の動きを完全に知っているわけではない. 実際にはもっと色々あるだろうから, 参考程度に思ってほしい. このあたりからはじまる.
作用素論っておもしろそうなにおいするけどいまいちどんなのかわからんぽん
@yuki_migo 数学の人がいうところの作用素論は有界作用素の話のようですね. 正規作用素というのがありますが, それを一般化した hyponormal とかそんなのを議論したりする模様. 日合-柳の本に多少書いてあります. その他には行列不等式とかその辺も多分作用素論
@yuki_migo 物理系というか私の周辺の作用素論だと, 量子力学とかその辺の具体的なハミルトニアンの解析をします. 坊ゼミではその辺の話をします
日合-柳本¶
上に引用した日合-柳の本はこれだ.
4 章までしか真面目に読んでいないのだが, 非常にいい本でそこまででも十分に価値がある本だ. 証明も丁寧に書いてあり, とても良い本なので紹介しておきたい.
前書きにもある通り, 作用素環関係の話題はほとんどないがその方面にいくとしても役に立つことはあるだろう. 日合先生の方は実際に作用素環もやっている. Hilbert 空間中心なのだが, 1 章では Banach 空間のこともきちんと書いてある. 関数解析の基本的な定理は全ておさえてあるので, これで関数解析の勉強もできる. その場合は付録もきちんと読む必要があるけれども. あとで書くが, この付録がまた良くできているので付録も絶対に読んでほしい.
2 章から作用素の話に入る. ここからは特に『量子力学の数学的構造』の 1 と重なる部分が増える.
「量子力学の数学的構造」との比較¶
上掲書よりも議論がすっきりしているので, 読みやすいと感じる人もいるだろう. ただポイントとなるスペクトル定理が『量子力学の数学的構造』と『ヒルベルト空間と線型作用素』で違う証明になっている. どちらとも味があるが, 私は『ヒルベルト空間と線型作用素』の, Riesz-Markov-Kakutani の定理を使う証明方が気に入っている. 『量子力学の数学的構造』の方は余計な道具を持ち出さないストイックな感じで, それはそれで良い. 両方勉強しておくとなおいい. あと『ヒルベルト空間と線型作用素』の方は有界作用素の functional calculus に関する議論が役に立つ. これは作用素環でも非常に役に立つ議論なので, これで慣れておくと便利だ.
日合柳の 3 章¶
3 章はスペクトル定理だ. 作用素論の至宝であり, 量子力学への応用上も決定的に重要なのできちんとやってほしい. 『量子力学の数学的構造』では 2 巻にまわっている Stone の定理も一緒に証明されているところがまたいい.
日合柳の 4 章¶
4 章はコンパクト作用素の話だ. 量子統計などで形式的に使うことはあるが, 実際にはあまり使えない. ただ, 一度はきちんとやっておくべき内容ではある. Fredholm 理論は応用上色々なところで出てくるようだが, そういうところでも使える. 超対称性とかそういうところで出てくると聞いている.
日合柳の 5-6 章¶
5-6 章は作用素論の進んだ話になる. あまり真面目に読んでいないので書けることはない. ただ, 今, 作用素論で研究されていることの基礎的なところに触れているようなので, そこに興味がある人は学んでおくときっと役に立つのだろう.
日合柳本の付録: とてもいい¶
そして付録だが, これが恐ろしくいい. Hahn-Banach, Riesz-Markov-Kakutani, Krein-Milman, Stone-Weierstass, Gelfand-Naimark の定理という, 関数解析の至宝とも言える定理が非常に丁寧に議論されている. Riesz-Markov-Kakutani の定理は汎関数が積分で書けるという一連の定理の基礎となる話であり, 証明も込めてきちんと学んでおくべきだ. 「正値超関数は測度である」という超関数論の有名な定理もこれとほぼ同じ証明だ. 他にも確率論で Brown 運動を構成するときにも使える. Krein-Milman は端点集合に関する話で, 作用素環で純粋状態の議論をするときに魂となる.
話がずれまくって『ヒルベルト空間と線型作用素』の書評になってしまったが, よい本なので関数解析の初学者にも最適なので, 興味がある人は是非参考にしてほしい本だ.
作用素論¶
それで作用素論だが, 微分方程式関係でも多少「作用素論の結果」として出てくることがある話がある. Sobolev 空間の埋め込み関係で埋め込み写像がコンパクト作用素になるという話があるが, それは上でも少し書いたコンパクト作用素の話になる. 微分方程式で定評のある本, Brezis の本でも Fredholm の択一定理が載っていたので, 使うことはあるのだろう. 微分方程式は不勉強なのであまり言えることはないのだが.
行列不等式¶
数学の作用素論で行列不等式がある, と書いたが, これは専門書がいくつかある. 和書だと最近出た本で面白そうなのがあったので紹介したい. 買うだけ買ってまだきちんと読んでいないのだが.
行列不等式は量子統計, エントロピー関係でも時々出てくる. 作用素環レベルで無限次元版があったりするのであなどれない.
量子系の作用素論¶
数理物理というか量子力学の作用素論だが, こちらは具体的な非有界作用素の解析をするのが中心になる. これはやはり新井先生の本を勧めるしかない.
議論は恐ろしい程丁寧で内容もしっかりしているのだが, 正直, Hilbert 空間論や関数解析の数学としての入門には向かない. 少なくとも上記 3 冊全部読めば基礎はカバーできるのだが, 関数解析として体系だった紹介はされていないので, 要領が悪い. あくまで量子力学用に特化した内容で, 量子力学のために必要なことをある程度具体的な問題を通して学ぶ本と言った方がいい.
はじめに書こうと思っていたことと大分違ってしまったが, まあいいだろう. 量子力学関係の話については, 3/24 の埼玉大でのゼミで話す予定なので興味がある方は参加されたい.
ラベル¶
数学, 物理, 量子力学, 量子統計, 作用素論, 作用素環, 微分方程式, 関数解析, 書評
「選択公理で極大無矛盾な理論に拡張すれば不完全性定理と矛盾しないか?」¶
本文¶
こんさんと p 進大好き bot の基礎論というかロジック関係のトーク.
しかし「選択公理で極大無矛盾な理論に拡張すれば不完全性定理と矛盾しないか?」というのは一瞬悩んだしよい練習問題ではある.
@mr_konn 理論っていうものよく知らないんですけど, 理論全体のなす何かは集合として定式化できる感じですか? (そして選択公理ってここではメタ言語なんでしょうか. 選択公理が成り立つ集合理論の中で更に理論の全体を・・高階の論理や高階の圏論みたいで頭が痛くなりそうですね).
@non_archimedean 理論とは論理式の集合のことだと思えばよいです. 言語 L を固定すれば, 論理式の長さは有限ですから言語 L に含まれる記号の全体が集合なのなら L の論理式全体は集合をなし, ひいては L の理論の全体も集合になりますね.
@non_archimedean で, メタ理論云々の話ですが. この辺りは入り組んでいてパッと説明するのは難しいのですが ナイーブには選択公理が成り立つような集合論の中で論理式をエンコードして, それを自然数とかほかの数学的対象を集合論の中で扱うのと同じようにしていると思ってよいです.
@mr_konn なるほどー. この場合「理論」=「論理式の集合」は「原始命題系」で, それとは別に公理や演繹規則が既に固定されているという感じでしょうか? (それとも動くのは公理や演繹規則・・?)
@non_archimedean むしろ理論が公理系 (やそれに帰結を足したものでもよいですが) になっています. 論理的な公理や推論規則については, 基盤とする論理体系によって決まっていて, その上に理論を載せて数学をする感じです
@mr_konn 言語 L を集合と見るのはあくまで記号の問題ということでモデルをとっているわけではないと解釈すると, ここで公理系の「帰結」というのは「証明可能命題」よりむしろ「恒真命題」のことでしょうか. (その無矛盾公理系を充足するモデルが存在しない時どうなるのか分かりませんが).
@non_archimedean あぁ, たんに「理論に (集合として) 含まれる命題どうしが互いに独立でなくてもよい」くらいの意味です. ちなみに無矛盾な公理系には必ずモデルが存在し, 逆もまたしかりというのがゲーデルの「完全性」定理です.
@mr_konn 論理は 1 階なのですね・・
@non_archimedean はい. 集合論の内部なので一階で不自由ないですし, モデル理論はもっぱら一階の理論を扱います.
@mr_konn なるほど. しかし僕は論理弱者なようで結局 (排中律と自然数論を含んだ上で) どう矛盾が解消されるのか分かりませんでした・・. 答え (?) のようなものはございますでしょうか. ご教授していただけたら助かります.
@non_archimedean 不完全性定理の前提として, 理論が再帰的公理化可能であるという条件があります. つまり, 論理式が与えられた時に, それが公理であるかどうかをチューリングマシンなどで機械的に判定出来る必要があります. 選択公理で膨らませたら, 当然この条件は満たしません.
@non_archimedean 感覚としては「だったら実数に具体的な順序を入れて整列して見せてよ! 」「 W ・ O ・ T!W ・ O ・ T! 」とおなじ状況です
@mr_konn なるほど! そもそも不完全性定理を「自然数論を含む無矛盾な公理系」に対する主張だと思い込んで生きてきていました! 演習を解く舞台にも立てていませんでした・・. どうもありがとうございます.
この辺, 一度はきちんと勉強したいと思っているがなかなか機会がない. 数学ガールもラノベとしての楽しみ方しかしていなくてあまり数学を追っていない.
ラベル¶
数学, 数学基礎論, 数理論理
軍服イメージのワンピースとサーストンの幾何化予想とパリコレと¶
はじめに¶
軍服イメージのワンピースほんとに可愛いなぁ♡ 欲しい http://pic.twitter.com/ZxPlOj9GQ4
@felisi28 これは どこのブランドですか? とってもかわいいですね
@57mainichi 可愛いですよね
@felisi28 なぜ haco のものと仰っているかは分かりませんが, 全く別のブランドの商品です. 画像もこちらのものですよね? http://yaplog.jp/f_l_a_s_c_o/archive/687
@felisi28 まだ買えるもの なんですかね? 探してみます♪ ありがとうございました
@veck228 EXCENTRIQUE のものですね! ご指摘ありがとうございました
@felisi28 こちらこそきつい言い方をして申し訳ありませんでした. エクサントリークもハコも好きなので, ツイートを見て混乱してしまいました. 訂正いただきありがとうございました.
@veck228 ありがとうございます エクサントリークのファンの方にはとても失礼なことをしました… 私も haco.が好きで, 以前見たワンピースに似ていた物があったので勘違いしていたんです
幾何化予想とパリコレ¶
幾何化予想とパリコレというのもあるし, 何かこういうのほしい.
イッセイ・ミヤケの 2010 秋冬パリコレのこと その 2
さて, N スペのポアンカレ予想の番組は広く一般に好評を得たようですが, その中で「サーストンの提唱した 8 つの宇宙の形」という話があります.
数学のほうからざっくり言うと, 3 次元幾何学には 8 種類あって, 3 次元多様体はそれらの合体したものになっている・・・というのがサーストンの幾何化予想なわけです. 幾何化予想はペリルマンによって証明されました. ポアンカレ予想は幾何化予想の簡単な系として得られます.
こういう話をテーマとしてファッション (デザイン) に盛り込ませて, 次回のコレクションをやってみたい, という壮大な計画です.
藤原さんは, 僕のところに来る前に, サーストンに会いにアメリカまで行って, また小島定吉先生 (東工大) のワークショップをやっていたとのことでした. いうまでもなくお二人とも双曲幾何, 3 次元幾何の世界的数学者です. サーストンからはみかんを剥いた皮の形や銀杏の葉っぱの形から (2 次元の) 幾何学 (等質な曲面) が得られることを聞いてきたということでした. 小島先生からは双曲タイリングで作る閉曲面を布のパッチで作るスタディ (=ためしに造形してみること) をやったそうです.
ラベル¶
数学, 幾何学, 位相幾何, ファッション
「数学的」という言葉を「格好いい」の意味で使っていこう¶
本文¶
「数学的」という言葉を「格好いい」の意味で使っていこうと提言したあとのくぼたさんの反応が面白かったのだが, くぼたさんがアレな人に絡まれていて号泣した. まずは自分の発言をメモしておこう.
@各位 何か「格好いい」的アレの表現として「ロック」「クール」みたいなのを良く使うのがこう色々気に食わなかったのでいい表現がないかと模索していたところ, 「数学的」と言う表現が良さそうだと思ったので, 今後「数学的」と言う言葉を上記の意味で濫用していく予定なのでそのつもりで
@phasetr もう少し正確に言うと, 数学的というのは普通の意味でも使うが, 「社会的」とか「公共的」のようにそれ以外の意味でも平行して使って行くのでこう色々と注意してほしい程度の意味だ
@phasetr どうしてかわいいにしなかったのか
@mitsuomi_miyata アレは本当にかわいい本来の意味で使いたいので
@phasetr 相転移 P のかわいいの範囲の広さに太平洋を感じますね.
@mitsuomi_miyata 所詮有限の広さ
@phasetr はい
@phasetr 数学的ジャパン
@MarriageTheorem それはあまり数学的ではないのでは
@phasetr すみません, 勢いだけでした
くぼたさんの発言¶
現代美術とか現代音楽で「数学的美」とか評されてるのを見ると「数学をすればいいのでは・・・」感はある
@kbtysk33 数学をする能力がないんです. かんべんしてください.
@toltaroppo でも別の言い方を探したほうがいいような気がしますけどね・・・
@kbtysk33 憧れなんだよ (〓〓;)
@kbtysk33 実際, ほかの言い方探せよって思いますけどね…
@toltaroppo それは僕もです・・・.
@kbtysk33 物理学やってる人間としても安易にその言葉を使いたくないので別の言い方探してますが, なかなか見つからないんですよね….
@kbtysk33 それは勘違いですよ. 分かり易いのが Bach の曲で, 数学的というより「数列」「漸化式」に変換できるのが特徴です. 高校数学の範囲でも十分にモデル化できますよ. 数学をする能力と言うけど, そんなの「高数」「大数」で復習すれば良いだけですよん♪♪
@howtodominate バッハの話ではないですよ
@kbtysk33 例えば liberal arts の語源は, かつて中世 (正確には古代ローマ) に作られた一般教養と専門教育なんです. 一般教養ではラテン語の文法・修辞 (作文) ・論理学が教えられ, それを通過した者だけが後期の算術・幾何学・天文学・音楽を教えられていたという歴史が
@howtodominate 現代の芸術の話ですからそれをいまシンプルにうつすのは素朴ではないかと
@kbtysk33 長く書けないのが Twitter の欠点だな (笑) 要するにラテン語 3 学科が「三科」と呼ばれ (実は院生つまり研修医にはこれを毎週叩き込んでいる), 後期の「四科」は全て数学の基礎と応用だったんですわ. septem artes liberales 「自由七科」という,
@kbtysk33 7 つの学問は「奴隷の技術」ではなく, 「自由人にふさわしい学問」ということです. そしてこの教養部で 7 科目を履修しないと, 神学部・法学部・医学部へ進学できなかったのよ. コペルニクスとか昔の偉い学者はこの 3 つの学部で博士号取ってたのが普通なんです.
@howtodominate さすがにその程度のことは知っていますが…
@kbtysk33 とりあえず, 基礎的な科学史や科学哲学について書かれた, ブルーバックスでも読まれたらどでしょうか. Ph.D を数学で取ったからじゃないけど, あんまり毛嫌いしないで欲しい. 実は患者にできる高 1 の女の子がいて, 今度数学オリンピック受験します. 特訓中.
@kbtysk33 でも, 現代芸術も「数学的直感」が必要なのは事実じゃないですか. 基本は同じです. 私もそれなりに音楽や美術やってた人間なんで. 一応, 一級構造建築士とか持ってますよ. これこそ, 数学・物理とアートのユーゴーです. 前のツリーを見ていて, 偏見多いなと思って.
@kbtysk33 その程度って, どの程度? 私, わざとラテン語で書いてないんですけど. つまり日本語で書いたこの用語は翻訳としては不適格だけど, しゃーないかなと思って書いてるだけです.
@howtodominate 芸術学には蓄積もそれなりにあるのでそんな単純なものではないです
@howtodominate いや歴史認識がです.
@kbtysk33 そんな単純なもの, と言い切れるのでしょうか. ずっとツリーを見ていて, 気になったんだけど. 何だか, 議論するだけ無駄のような気もしている. 知ったかぶりだから.
@kbtysk33 ところで, 芸術学とは何の事でしょうか (笑) 仏文だと例えば記号学とか美学・美術史のような哲学の一分野がありますよね. 例えば Umberto Eco とか読んだことある? イタリア語だから無理かも知れないけれど. 岩波から和訳が出てなかったかな. いくつか
@kbtysk33 じゃ, 聴くけど, あなたの「歴史認識」って, 具体的にどういうものなの? 仏文でいいから書いたものがあれば url 教えて欲しいな. 大ていの言語は読み書きできるので, ロシア語でもアラビア語でも構いません
そんな話していない感満載で社会性溢れるやり取りだった. あと【大ていの言語は読み書きできるので, ロシア語でもアラビア語でも構いません】はやばい. 文学やっている人間に対してここまで言えるの, 各言語が持つ文化や歴史に対して相当深い理解がないと言えないはずだが. 何なのこの人.
ラベル¶
数学, 文学, 芸術, 社会
Gaussian superprocess and its application to Quantum Field Theory: Sasakure Seminar¶
本文¶
先日, 東工大でささくれパイセンを主な対象として開催した小セミナーで, 「Gaussian superprocess and its application to Quantum Field Theory: Sasakure Seminar」というタイトルでお話してきた. Gauss 超過程は場の理論へ応用できるのだが, そこに関する話.
難しい話はせず, ボソン Fock 空間と緩増加超関数空間上の $L^2$ (確率空間) のユニタリ同値性について話してきた. 幾何や数論への応用へもあるのでそこまでどうしようもないほどマニアックで孤立した話題でもない, ということも説明. これから研究でも使う予定なので, それに合わせて復習にもなった.
証明は飛ばし飛ばしだが, (可換) von Neumann 環を援用する, 確率論ではあまり見ないであろう話や, Gauss 超過程の存在証明などポイントポイントはおさえた話をした. Gauss 超過程の存在証明は Tychonoff から Hahn-Banach, Stone-Weierstrass を介し, 最後 Riesz-Markov-Kakutani で締めるという関数解析の至宝を並べた証明で, 解析陣の心を掴んだ.
まだ一本目すら出ていないが, これも動画 (DVD) にしたい. やりたいことがたくさんある. ご興味があるという向きはご連絡頂ければ適当にお話に行くことはできる.
ラベル¶
数学, 数理物理, 確率論, 場の量子論, 超関数論, 作用素環, 関数解析
売れているというので『語りかける中学数学』を買ってみたがちょっとまずそうなので対応を考えたい¶
本文¶
10 万部売れているからというので【語りかける中学数学】を買ってきた. この本というか著者, 「 0 は自然数ではない」と言い切っていたり, 高校数学版の本ではじめのページから素数の定義を間違えていたり循環小数と有理数を明らかに別物と認識しているようだ. 著者の数学理解, 相当やばいのでは
@phasetr いまもう少し進んだ箇所を読んだら一応「注:1 は素数ではない」と言う記述があった. 定義そのものにその旨書いておかないとまずいだろう. あと「小数点以下は無限小数ゆえ」みたいな「高校数学方言」どうにかならないのだろうか. この日本語本当に気持ち悪い.
@phasetr こういうのが求められているというのはとりあえず認識した. 折角買ったこともあるしきちんと読もう
@phasetr 高校数学界で暮らしていますが, その方言は聞いたことがありません (私が教科書をほぼ使わないからかも). いずれにせよ, その本はヤバそうですね.
@phasetr ただ「 0 は自然数ではない」の説明, 日本語主観の感覚 (「日本語で鉛筆が 0 本あると言いますか? 」というよくあるアレな説明) でしか説明しておらず, 明らかに認識不足. ここだけは本当に訂正を要求したい
@anbyk 「〜より」とか「〜ゆえ」と言う表現, 私が高校の頃にもよく見かけましたがずっと気持ち悪い言い回しでした. 「〜となることより」くらいなら分かりますが普通の日本語文章では (私は) 見たことがない表現, よく見ます. あと put や set の直訳の「〜とおく」, ずっと気に入らないです
@anbyk かなりやばいと思いますが, 10 万部売れているとのことで数学の本としては相当な売り上げではないでしょうか. これ, 結構怖いです. 10 万部売れているのだからマーケティングの勉強として読んでおけと言われたから買ってみたのですが
@phasetr 何か本当に怖くなってきた. 黒木さんの恐怖の片鱗を味わっていると思って本当に震えている
@phasetr スラムダンクの山王戦で晴子が「何だか怖くなってきた. 今までお兄ちゃんが積み上げてきたものが全部壊れちゃうんじゃないかって」と言いながら泣いている情景を思い出して思わず涙が頬をこぼれた
私, この参考書持ってるけどなんか読みたくなくなってきた. .
@anmitsu_0602 まだはじめの 10 ページ程度までしか読んでいませんが, 問題の解説自体は丁寧なようなので使いようでしょう. 適切に使うにはそれなりにしっかりした人に聞ける環境が必要などと言われたらそれまでなのですが
@phasetr 私もまだ全然読んでないんですよ! 売れてる参考書? だから買ってみたけど…ちょっと目を通してみますね
@anmitsu_0602 恋人の方がそれなりにカバーしてくれるかもしれないようなので, あまり心配しないでも良い環境だと思います. 分からなくても死ぬわけではないのでのんびり適当にやって頂ければ
あとこれ.
えっと, 数学苦手な私からしたらこの参考書は非常に丁寧で分かりやすくて面白くて重宝しています. 多分この参考書は数学が得意な人向けではなく苦手な人向けなのだと思うのです だから, 曖昧なところをはっきりとおっしゃっているのではと考えます
@sixyakutorimusi 書いた範囲でもおかしいポイントが違う事項がありますが「曖昧なところをはっきり」というのは違います. 特に素数の定義は「はっきりさせるべき所が曖昧」です. 循環小数と有理数は見かけだけが違うのを違うと言い切っている形なのではっきりと間違いです
@sixyakutorimusi 「 0 は自然数ではない」の説明にあった「日本語で鉛筆が 0 本とは言わない」は英語で「 There is a no pen.」と言う表現があり, これは正に 0 本と言う表現です. 英語では地上階 (日本語の 1 階) を 0 階 (ground floor) といいます
@sixyakutorimusi 何から何までまずいと言っているのではありません. 問題の解説は軽く見た限りでも非常に丁寧ですし, 誤答を中心に分析・解説するというのはかなり優れた方法で, 私も実際の講演や作成した教材で使っている手法です
@sixyakutorimusi 表面的な部分では恐らく非常に強力です. だからこそそれでしっかり勉強した人たちが変な部分まで身につけてしまうことを恐れています.
@sixyakutorimusi ついでなので書いておくと, 素数の定義に「 1 以外の自然数とする」というのはかなり本質的です. 「素因数分解の一意性定理」は陰に色々な所で使いますが, 1 を素数にしてしまうとそれが崩れます. もちろん工夫すればきちんと使えますが,
@phasetr さんへ 長文解説ありがとうございます! 私の理解力が足らず完全には理解できてはいないと思いますが, ひとつの参考書を鵜呑みにしたりしないよう心がけたいと思います
@sixyakutorimusi 結局それが凄く大変なので定義レベルで 1 を素数にしないのが普通です. その辺の面倒さを説明するといやがる人もいるだろうから初学者向けには適当に済ませた方がいいかもしれないというのは想像つきますが, 曖昧なので注のレベルではなくやはり明示的に書くべきです
@phasetr さんへ なるほど
@sixyakutorimusi 解説が丁寧な本が少ない (らしい) というのは間違いなく, それを埋める本当に非常に意欲的な本で素晴らしい取り組みだと心から思っています. 実際売れている分それだけ影響も強く, 明らかでしかも根本的な間違いの影響が強くなってしまうのを心配しています
@sixyakutorimusi 1 人でやる (数学は皆嫌いなようなのでおそらく 1 人でやらざるをえない) 状況ではかなり頼りになるはずです. 「それ大丈夫? 」みたいなことがあったときに本ばかり信用しないで自分の感覚の方にも信を置いて確認するようにしてください
@sixyakutorimusi 私も本を持っていますし, 何かあれば出来る範囲でお手伝い橋帯と思っています. そのときの状況によるのですぐに返せるかは分かりませんが, 質問なり何なりして頂いて構いませんので
@phasetr さんへ おかげさまでこの参考書の良い点悪い点が非常によく分かりました! これからはこの参考書をできるだけ自分のためになるように使っていきたいと思います
@phasetr さんへ わかりました!
@phasetr さんへ あ, ありがとうございます!
私も私で頑張ろう.
ラベル¶
数学
数学, 物理, 数理物理での内積関係の記法, 記号¶
はじめに¶
Twitter で少しやりとりしたので簡単にまとめておこう. どういう意味で取るかはかなり微妙なところだが「初学者」には分かりづらいようだから.
動画¶
前提¶
面倒なので全部関数空間で考える. 定義域は適当に $\Omega$ にして, 関数は $f$, $g$ あたり. 作用素 (演算子) は $A$ にする.
数学での記法¶
複素共役を $\bar{f}$ として, 内積は次で定義する. \begin{align} \langle f, g \rangle := \int_{\Omega} f (x) \overline{g (x)} dx. \end{align} 左の引数 (第一引数) を線型にして右の第二引数を反線型にしたい, という人情を表す. 内積自体には次のような記号を使う: $(f, g)$ , $(f|g)$ , $\langle f, g \rangle$ , $\langle f | g \rangle$ . 多分一番最初の記号が一番一般的だろう. 私自身は $\langle f, g \rangle$ を使っているが, これは勉強した本である 量子力学の数学的構造 と Bratteli-Robinson の記号を踏襲したことによる. 作用素の共役は $A^*$ のようにスターで書く.
全く関係無いが大学一年の頃, 演習の質問でスターを「雪印」と呼んだ友人がいて, 「これはスターと読みます. 」と突っ込まれていたことを想起した.
物理での記法¶
複素共役を $f^$ として, 内積は次で定義する. \begin{align} \langle f | g \rangle := \int_{\Omega} f (x)^{} g (x) dx. \end{align} 演算子の共役は $A^{\dag}$ と, ダガーで書く.
数理物理での記法¶
端的に言って滅茶苦茶だ: 数学の記法と物理の記法のチャンポンになっている. 同じ人でも時と場合によって記法を変えることがある. 例えば新井先生は数学系の論文では $(f,A^* g)$ で複素共役もバーを使う数学よりの記号だと思うが, 物理の人が多そうな文献では物理の記法を使う. 分類の仕方が微妙なところだが, 数理物理の文献では大体数学の記法である中, 内積の第一引数を反線型に取ったりする.
ちなみに私自身はチャンポンの記号を使っている. これは Bratteli-Robinson の記号を踏襲したことによる. 内積は第二引数を線型に取る物理の記法だが, 複素共役と作用素の共役は数学の記法だ. 見ると分かるが, 量子力学の数学的構造 と Bratteli-Robinson でも記号が違う.
ラベル¶
数学,物理,線型代数,関数解析,量子力学
Turing 次数理論の Martin 予想をめぐる対話¶
本文¶
ゼルプスト殿下による Turing 次数理論の Martin 予想をめぐる対話という Togetter があった. さっぱり分からないが, 興味を持つ向きがいる可能性があるのでとりあえずリンクだけつけておきたい.
またまた, 集合論家 DIke さんと計算論家トリイロさんの対話です. 往年のヴィクトリア・デルフィノ問題について. S.Jackson による Projective Ordinals の計算の話題から, Turing Degrees のグローバルな構造に関する Martin 予想の話へと進みます.
集合論界隈, 本当に魔境という感ある.
ラベル¶
数学, 集合論, 計算論
確率論的な $\zeta$ の特殊値の導出法¶
ツイート¶
不勉強と言われたら返す言葉はないのだが, 聞いたことない $\zeta (2)$ の導出の方法が言及されていたのでちょっと聞いてみた.
引用¶
先週は測度論による $\zeta (2) = \pi^2 / 6$ の証明 今週はガロア理論による角の三等分問題 完全に趣味の領域です.
@sesiru8 測度論によるゼータの特殊値の証明, どんなことをするのでしょうか. 測度論からというのは聞いたこと無いので気になります
@phasetr ルベーグ積分でやりました. 殆ど広義リーマン積分でしたが
@phasetr こんな問題です https://twitter.com/sesiru8/status/359443578470137856/photo/1
@sesiru8 ありがとうございます. このやり方, 知りませんでした. ただ, これを測度論とは言わないのでは, という感じはします
@phasetr 最後の方で無限級数を考え, 積分と極限の交換を利用するためにはルベーグの意味での積分が必要になるのでしょうか. (これを測度論というかは…分かりません. ご指摘ありがとうございます).
@sesiru8 ルベーグ積分なら級数も積分と思えるので単に積分でしょう. 測度論と言うともっと集合演算とか駆使するイメージです. 何か確率論的にぎろんするのか, と思ったのですがそうではないようで. あと, 積分と級数の交換はリーマンでもできます
@phasetr なるほどです.
@sesiru8 具体的なやり方をすぐには見つけられなかったのですが, 確率論的にζの特殊値を出す方法はあるようです http://gcoe.math.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/seminars/.ja.php?type=view&id=770&ca=seminar 挙げられた言葉を見た感じ, 測度論的色彩が強いのかはどうかは分かりませんが確率という感じはします
@phasetr ありがとうございます.
コメント¶
問題についてはこちらにも書き写しておこう.
函数 $f (t)$ を $f (t) = \left ( \frac{2}{\pi} \right)^2 \int_{0}^{\infty} \frac{1}{1 + x^2} \frac{1}{1 + (t/x)^2} \frac{1}{x} dx$ と定めるとき $\int_{0}^{\infty} f (t) dt = 1$ が成り立つことを示せ. 関係式 $\frac{1}{1 + x^2} \frac{1}{1 + (t/x)^2} \frac{1}{x} = \frac{1}{t^2 - 1} \left ( \frac{x}{1 + x^2} - \frac{x}{t^2 + x^2} \right)$ を用いて $f (t) = \left ( \frac{2}{\pi} \right)^2 \frac{\log t}{t^2 - 1}$ を示せ. 次を示せ. \begin{align} \int_{0}^{\infty} \frac{\log t}{t^2 - 1} dt = 2 \int_{0}^{1} \frac{\log t}{t^2 - 1} dt = 2 \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n+1)^2}. \end{align} 以上の計算より \begin{align} \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n+1)^2} = \frac{\pi^2}{8}. \end{align}
計算すればすぐ分かるのだろうが, 3 の左 2 つの式, 正の実軸上の積分が $[0,1]$ の積分に落ちているのでなかなか凄い.
あと確率論的に特殊値を出す方についても記述を引用しておこう.
リーマンゼータ関数の特殊値 (特にバーゼル問題 $\zeta (2) = \pi^2 / 6$) を初等確率論の手法で求める. 2 つの独立なコーシー分布の商, 逆正弦分布の商, 指数分布の商, ウィグナー半円分布の商のすべてでバーゼル問題, リーマンゼータ関数に関するオイラー公式が導き出せる. また, ルジャンドル展開の手法でもバーゼル問題が解けることや, チェビシェフ多項式との関連なども論じる.
追記¶
pekemath2 さんが A probabilistic approach to special values of the Riemann zeta functionという論文を引いていた.
@ftksr_sakamuke ちなみにこういうのもあります
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1590-01.pdf
まだ詳細を追っていないが, これも面白そう.
ラベル¶
数学, ゼータ, 確率論
tri_iro さん筋の情報: チャイティンの不完全性定理の方を使って人を騙そうという行為が横行しているようである¶
本文¶
tri_iro さんはいつも本当に面白い.
最近はみんなゲーデルの不完全性定理には詳しくなって、ゲーデルの誤用はすぐバレてしまうから、正確な主張が世間にあまり認知されてないチャイティンの不完全性定理の方を使って人を騙そうという行為が横行しているようである。
— Takayuki Kihara (@tri_iro) 2014, 5月 15
この辺, 詳しい話を聞きたい.
追記¶
魔法少女から次のタレコミを頂いた.
@phasetrhttps://t.co/7Mm1X0XvnN
— (@functional_yy) 2014, 8月 3
@functional_yyそれはどういう系統のアレでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 3
@phasetr計算可能性理論とランダムネス
— (@functional_yy) 2014, 8月 3
@functional_yy【人を騙そうと言う行為】的な意味でのアレです
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 3
@phasetrチャイティン本人が誤用しているので http://t.co/8LnpPiCTvT
— (@functional_yy) 2014, 8月 3
@functional_yyあまりにもつらい
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 3
どんな地獄だ.
ラベル¶
数学, 数理論理学, 数学基礎論, 不完全性定理
フィナンシャルタイムズの記事: オンライン大学は米国の教育危機を救えない¶
本文¶
『オンライン大学は米国の教育危機を救えない』という記事があった.
元スタンフォード大学教授のスラン氏が立ち上げた「ユダシティー」でオンライン講座を受講していた学生は, 生身の人間による講義を受講していた学生よりはるかに成績が悪く, ドロップアウトする数も大幅に多かった.
中略
そこでオンライン教育の出番, となったわけだ. MOOC を使えば, コストはほぼゼロになる. だが大きな注目を集めたユダシティーの実験のように, 受講者の 90%以上が学習に興味を失ってしまうのであれば, コスト問題への対処を迫られることになるだろう. 興味を失う学生の割合は, 一般の学生の 2 倍である.
中略
■大多数に意欲を持たせることが課題
ここから MOOC について何が言えるのか. テクノ楽観主義者が好んで指摘するように, 今では米議会図書館の蔵書や名門大学の講義を無料でダウンロードできるようになった. 時代に取り残されまいとする年配の従業員, 米軍の予備兵, インドのような国の野心あふれる若者など, いくつかの意欲の高い層ではオンライン講座を修了する割合が高い. だがスラン氏の受講生をはじめ, たいていの人は急速に興味を失ってしまう. 要するに, 米国の教育者が直面している本当の課題は, 熱意の乏しい大多数の人にいかに意欲を持たせるかなのだ. 言うは易く, 行うは難し. 馬を水辺に引いていくことはできても, 水を飲ませることはできない.
このような厳しい世界で成功するのは, MOOC を筆頭にインターネット全般がもたらす無限のリソースを活用する才覚を持ち合わせた者だろう. 残念ながらユダシティーの挫折は, そんな人材が間違いなく少数派であるという現実を突きつけている. 米国の教育危機について, コンピューターで解決できる部分はせいぜいごく一部だろう. コンピューターに比べてカネがかかるとはいえ, それ以外はわれわれ人間が引き受けるしかない.
あまり具体的な数値がないので突っ込んだ話はできないしするつもりもないが, 少なくとも現状, 人の影響力は絶対的で無視できない. 「良い教師」的なアレ, どうしても必要だというただそれだけのことだろう. 道具に遊ばれている感あって, ひどく間抜けという印象.
ラベル¶
教育
Twitter まとめ: プロデュースに関するかとうさんとの深刻な討論¶
本文¶
医学部生プロデュースに関する深刻な討論をかとうさんと交わしたので, それについて記録しておきたい. この辺 から始まる.
ってか, 元の話は法学部卒ったって, 政治学科じゃねーか. 理学部出たつっても生物屋さんに, ワインバーグも知らないんですかあ, って言ったら逆切れされるよ
@katot1970 教養の微分積分, 線型代数の話すら「理系」に通じない悲しみ
初回講義のεδを見て回れ右した医学部生が居た. 世界には悲しみしかない RT @phasetr: 教養の微分積分, 線型代数の話すら「理系」に通じない悲しみ
@katot1970 レクチャーする代わりに数学ができる女性を紹介してもらいましょう
数学が出来る女性は相手陣地 (医学部) には居ないと思ふ. RT @phasetr: レクチャーする代わりに数学ができる女性を紹介してもらいましょう
@katot1970 とりあえず受験的な意味でできればいいという方向で. あとはこちらで教育すれば
でも, ここの blog によると, 大学までの数学と大学の数学は違うらしいよ http://phasetr.blogspot.jp/2013/03/blog-post_14.html RT @phasetr: とりあえず受験的な意味でできればいいという方向で. あとはこちらで教育すれば
@katot1970 だからこそのプロデューサー
この場合のプロデューサーがつんく♂的なものか, 秋元的なものかが重要 RT @phasetr: だからこそのプロデューサー
@katot1970 市民的なものです
小室哲也的なものだったか RT @phasetr: 市民的なものです
割と真剣にプロデュースについて検討しているので, ご興味のある方は是非御一報を.
ラベル¶
数学
研究室で昼寝をしていたら幽体離脱してしまったので Hilbert 空間に行ってきた¶
本文¶
いつもどおり, 研究室で心地よい昼寝を楽しんでいた数学者のぼくに驚愕すべきことが起こった. なんと, 無意識に幽体離脱をやってしまったのだ! 肉体を離れて意識だけになったぼくは, 一冊の案内書に導かれ, ヒルベルト空間を-. 数学の概念が文字どおり実体化した奇妙奇天烈な世界を目指した…. "無限"の実像を探求するため. 鬼才の名に値する真の鬼才が怒涛のアイデアで SF と数学の極北を探求する超絶マッド SF.
調べたところ, ルーディ・ラッカーの『ホワイト・ラッカー』というハヤカワ文庫 SF の作品らしい.
最近積読が多過ぎてつらいのだが, これはちょっと読んでみたい. 本当に Hilbert 空間に行けたのだろうか.
ラベル¶
数学, 小説, SF, Hilbert 空間
1 文字 1 文字に万感の思いを込めて式を書こう:不等式の記号に思いを寄せて¶
本文¶
高校までは不等号というと $\leqq$ 一択だったが, 大学に入ると $\leq$ や $\leqslant$ という不等号が出てくる. 特に $\leqslant$ は大 2 病的な感じで使いはじめる者もいたことだろう.
また書く量が減るから, ということで $\leq$ を使う人もいる. $\leqslant$ も斜めにシャシャッと書く感じで書きやすそうだし, そういう意味で $\leqslant$ を使う人もいそうだ.
だからどうということも特にないのだが, 私は $\leqq$ を愛用している. ご多分に漏れず $\leqslant$ を使ってみようと思ったこともあるのだが, 癖でずっと $\leqq$ を使い続け, 結局そのままだ.
今になって思うと画数も多いこの不等号 $\leqq$ がとても気に入っている. 基本的に記号や式は万感の思いを込めて書くものだ. 苦闘の末得られた結果を綺麗にまとめているときにはなおさら. わざわざ下に棒を 2 本つける感じが, 私の心の底に深くたゆたう不等号への愛情を表現しているような気さえしてくる.
あと, 少なくとも物理と数学では 1 つ 1 つの記号をとても大事にする. 記号 1 つとってもそこから読み取れるメッセージというのがある. 例えば物理で $E$ と出てきたらエネルギーなり電場なりに良く使うが, そこから一気に関連する諸概念, Hamiltonian や Lagrangian, 磁場や Maxwell 方程式やらが頭の中を駆け巡る. 数学でも同じ $E$ で射影なりベクトルバンドルなり, 色々ある.
関連性を意識させるべく, 何となく似ている概念には同じ (ような) 文字を使うことだってある. あまりいい例ではないが, 時間を表す変数 $t$ に対し, 量子力学では虚時間 $it$ に $\tau$ を使ったりする.
記号 1 つで簡単に聴衆を混乱させることだってできる. 1 文字 1 文字に万感の思いを込めて文章を書こう.
最後に解析学徒の心の故郷, 不等式の園への誘いとして我等が Hardy-Littlewood の『不等式』を紹介して終わろう.
追記¶
黒木さんからコメントをもらった. せっかくなのでこちらにも転記しておこう.
@phasetr http://phasetr.blogspot.jp/2013/06/1-1.html ぼくも「≦」派 (「<」の下に「=」をしっかり書く派) です. 手が勝手に書いてくれるのに無理して略す必要はない感じ.
ラベル¶
数学, 不等式, 解析学
ぞみさんツイートから: 量子力学と作用素論, 特にスペクトル理論と自己共役性¶
はじめに¶
ラプラシアン作用は座標に依存しないはずなのに, シュレーディンガー方程式を解くと 2p 軌道で軸が出てくる. これは求解過程で (特に変数分離?) 適当な回転変換を施しているということかな.
@zomi1202 どんなポテンシャルを仮定しているかによりますが, ハミルトニアンの対称性が解にも反映されます. http://www.amazon.co.jp/gp/product/4535784663/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4535784663&linkCnde=as2&uag=phasetr-22 が参考になるでしょう. 2/14 はセミナー自当でのあまり触れる余裕はなさそうですが, 何かあれば直接でも聞いて下さい
@phasetr 突然解に対称性が消えて驚いてしまったので, どこで置き忘れてしまったのか探してみます. ありがとうございます.
紹介した本¶
追加¶
追加の疑問があった. Twitter だと細切れになるので, ブログにまとめておこう.
ハミルトニアンって固有方程式解いてみたら固有空間同士が直交してる (よね?) けど, 何かユニタリーとかエルミートとか内積と相性の良い性質でもあるの?
@zomi1202 演算子は全部エルミート (じゃないと観測値で実数以外がでる)
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
@zomi1202 量子力学の公理で固有値が観測される, っていうのがあるので固有値実数じゃないとまずいよねということ.
コメント¶
どこを話の基点にするかという話がまずある. やりはじめると大変なことになるので, 適当に単純化したうえでうるさいことも書いていく.
ハミルトニアンって固有方程式解いてみたら固有空間同士が直交してる (よね?) けど, 何かユニタリーとかエルミートとか内積と相性の良い性質でもあるの?
今度の 2/14 Lieb-Loss の Analysis セミナーでも少し話すが, うるさいことをいうと固有値があるとは限らない. 例えば全空間 $\mathbb{R}^n$ で考えたときの Laplacian は固有値がない. 固有値が複数あるときにそれぞれの固有関数自体は直交している. (固有空間が直交とはあまり言わない. ) Hamiltonian の Hermite 性についても面倒な話がある.
コメント¶
@zomi1202 演算子は全部エルミート (じゃないと観測値で実数以外がでる)
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
@zomi1202 量子力学の公理で固有値が観測される, っていうのがあるので固有値実数じゃないとまずいよねということ.
数学的には線型作用素には Hermite 性, 対称性, 自己共役性という分類がある. 線型代数だと対称作用素は「実係数のときの Hermite に対応する性質」という感じの定義だが, ここではそういう使い方はしていないことに注意してほしい. ちなみに関数解析 (作用素論) でも文献によって微妙に定義が変わる場合がある. 私の使い方は新井先生の本の定義を使っている.
その上で, 対称作用素ではなく自己共役作用素である必要がある. 固有値という言い方も不正確で, 実際には「スペクトル」という概念の中で話す. 固有値は固有値で当然大事なのだが, 「固有値に対応する固有関数で表わされる状態は安定」という物理的な解釈がある. 不安定な状態はともかく, その Hamiltonian に従う散乱状態をどう見るかというところで, 固有値以外のスペクトルに属する (言い方不正確) 状態を考える必要があり, その部分まで考えたいので固有値を一般化したスペクトルという概念を準備する必要があるのだ. この辺, 量子力学まで突っ込んだ話は無理にせよ, 3 月の Lebesgue ・関数解析・作用素論セミナー (予定) で少しは触れたい. 次の本を参考にしてほしい.
コメント¶
あと, (閉) 対称作用素と自己共役作用素はスペクトルに決定的な違いがある. 閉対称作用素のスペクトルは次の 4 つのどれかになる. (証明は新井先生の『量子現象の数理』を見よう. ) - 上半平面全体. - 下半平面全体. - $\mathbb{C}$ 全体. - 実数の閉部分集合 (自己共役). 最後のはともかく, 上の 3 つが凄まじい.
コメント¶
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
これが数学的には微妙で, 積分から示せる範囲の話ではいいところ対称性までしか言えない. 自己共役まで示したいとき, 論文レベルの対応が必要になると思ってほしい. 既に分かっている作用素, 有名な作用素については上記の本にも証明がある. 結構大変だ.
コメント¶
$\int \phi \phi^* dV$ が収束することから無限遠方で $\phi$ は 0 で, これと部分積分を使えばハミルトニアンがエルミートなのは示せそうだな.
積分が収束しても無限遠で $\phi \to 0$ は言えない. $x = n$ のところで幅 $1 / n^4$ で高さ $n$ を考えると, これは 2 乗可積分だが $x = n$ のところではどんどん高さが高くなる. 私が学生時代, 先輩に指摘された例だ. 頑張って反例を作ろう.
Hamiltonian が「 Hermite 」であることをいうのは大体できる. 物理の本ではふつうそういう議論をしている. 数学的には死ぬ程面倒だが.
需要があるなら今度セミナーしよう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 作用素論, スペクトル理論
Euler の公式と関数論: 1 変数関数論と多変数関数論の深い溝の狭間で¶
やりとり¶
TL がおおかみこどもだけでなんかつまんね
@1112345678999 そんなときこそ数学
@phasetr あまり詳しくないので大きな声で言えませんが, オイラーの公式は三角指数が絶妙に組合わさっているこの世で一番綺麗な数式だと思ってます
@1112345678999 オイラーはむしろ, 指数関数を複素領域にまで拡張する時のキーである一致の定理の破壊力に思いを馳せます. また, 一変数での一致の定理は集積点を含む集合上の一致だけみればいいのですが, これは多変数では成立しないので一変数と多変数の差異も際立つ深い定理です
@phasetr (理系学院生なのにピンとこないヤバイ……)
@1112345678999 この間で早稲田で数学科学生向けに関数論セミナーをしたときからずっと書こうと思っていた話なので後でブログにまとめます. そして DVD にもする予定がある方の市民
コメント¶
一変数での一致の定理¶
まず 1 変数の一致の定理を書いておこう.
一致の定理 (1 変数)
$U \subset \mathbb{C}$ を領域とする. 関数 $f, g \colon U \to \mathbb{C}$ が正則で $C \subset U$ が $U$ の中に集積点を持つとする. このとき $C$ 上で $f = g$ なら $U$ 上で $f=g$ となる.
この定理は次の 1 変数関数の零点の振る舞いによっている.
一変数での零点の孤立性¶
定理 (1 変数での零点の孤立性)
関数 $f \colon U \to \mathbb{C}$ が正則で恒等的には 0 でないとする. このとき $f$ の零点は孤立している.
一致の定理の証明¶
1 変数での一致の定理の証明は次の通り.
$h = f - g$ を定義したとき, $h$ はもちろん正則だが $C$ 上 $h = 0$ となるが, $C$ は $U$ 内に集積点を持つため零点は孤立しない. したがって $U$ 上全体で $h = 0$ となる必要がある.
孤立性さえ認めるなら証明は簡単だが, 当然零点の孤立性に強く依存している.
多変数での零点集合¶
これが多変数でどうなるか. 次のように変わるのだ.
定理 (多変数. 零点集合の性質.)
$n \geq 2$ とし, $U \subset \mathbb{C}^n$ を領域とする. 関数 $f \colon U \to \mathbb{C}$ が正則なとき, $U$ のある開部分集合上 $C$ で $f$ が恒等的に 0 になるなら, $f$ は $U$ 内で恒等的に 0 になる.
1 変数のときは $C$ が閉集合でも良かったのだが, 多変数では開集合に限定される. これがポイントで, 一致の定理の $C$ の条件として決定的に効いてくる.
1 変数のとき, 閉集合でもいいというのは決定的に大事だ. 上にも書いたとおり, 閉集合上での一致さえ言えればいいのだが, 複素平面の中で実数全体は閉集合にはなるが開集合にはならないことに注意しよう. 実数上での一致から全体の一致が結論でき, これが指数関数の複素拡張の一意性を生み出す. これが Euler の公式に正当性を持たせる根拠になっている.
また, 多変数の場合は多変数の場合で開集合に限定した一致の定理というか, 零点の振る舞いが決定的だ. セミナーのとき, ヘイヘイにも問題を出し (て即答が得られ) たのだが, 閉集合上で $f=g$ になったとしても全体で $f \neq g$ という例が簡単に作れる. これは (1 変数のときの) 一致の定理の証明からも反例が作れるし, もっと大事なこととして代数幾何から反例が作れる. だからこそヘイヘイに問題を出したのだが.
もっと強くいうと, 代数幾何から反例が作れるというより, 代数幾何学の成立そのものが反例となっているといっていい. (Affine) 代数多様体は複数の多項式の共通零点として定義されるが, 多項式は連続で零点集合なので, 代数多様体は ($\mathbb{C}^n$ の Euclid 位相で) 閉になる. このとき, 多変数でも 1 変数のときと同じく閉集合上の一致で全体が一致を導いてしまったら, 上述の定義多項式は全て 0 にならねばならず, 代数多様体が $\mathbb{C}^n$ 全体にしかなりえない. 当然こんなことは起きない.
1 変数と多変数の関数論の決定的な違いになっているし, 1 変数の時の特殊事情はそれはそれで圧倒的な結果を生み出す. こうした背景があるからこその Euler であり, ただ式だけ見て美しいというのはそれはそれで構わないが, 私の興味関心はそこで終わらないしここまで詳しく喋らせろ, という話になるが, これはこれで鬱陶しいと思われるから Euler は原義マスハラである, という主張をしているという話だった.
ラベル¶
数学, 関数論, 代数幾何, Euler の公式
作用素環と構成的場の量子論: 場の量子論の超関数論¶
はじめに¶
作用素環を使う場の量子論となると, 最近本を出した小嶋先生 (と岡村和弥さん) や河東先生がやっているような, 代数的場の量子論の方が有名な気がする でも私がやっているのは構成的場の量子論だからそちらの話をする. 後者の本は以前河東先生に教えてもらった本だ.
小嶋先生と岡村さんの本『無限量子系の物理と数理』についてちょっとした裏話を この間の竹崎先生 80 歳記念ワークショップで聞いてきた. これは秘密だが大した話ではない. あと近いうちに小嶋-岡村本の簡単な紹介もしたい.
むしろ緒方芳子や九大の松井先生や荒木先生がやっている量子統計の方が有名かもしれない. そちらはそちらで一応私の守備範囲だ. でも一応別件としておく. 後で少し触れはする.
作用素環と構成的場の量子論¶
それはそれとして作用素環と構成的場の量子論だ. 構成的場の量子論の初期では実際に作用素環を使った議論が中心だったようだ. ある時期から Ising モデルと $\phi^4$ モデルの関係を使い, 確率論と経路積分を駆使した議論が中心になっていったと聞いている. ここではその古い形を紹介する形になる. 古いとは言っても非常に基本的なフレームワークでしかも特に量子統計では現役で動いている. 構成的場の量子論の文脈で一時期あまり使われなくなったというだけの話.
はじめに簡単に概要を言っておくと, 場の量子論で (Schwartz 流の) 超関数論をやろうという話だ. 簡単に超関数論を復習してそれから本題に入る.
やや別件で佐藤超関数論の方が通常の超関数論としてはより自然という話がある. 佐藤超関数の場の量子論版みたいな話は今のところあまり想像できない. 何か面白く役に立つ話があれば面白いとは思ってはいる.
(Schwartz の) 超関数論は適当な関数空間を作っておき, その位相的双対空間として超関数の空間を定義する. 具体的にはコンパクト台を持つ無限回微分可能な関数の空間 $C_{\mathrm{c}}^{\infty}$ や急減少関数の空間 $\mathcal{S}$ の双対空間とする. 特に $\mathcal{S}$ の双対となる超関数の空間の元は緩増加超関数と言われる.
場の量子論への応用という面で大事なのは適当な関数の極限が超関数になってしまう現象の理解だ. 熱核 $f_t (x) = e^{-x^2/2t} / \sqrt{2 \pi t}$ を取る. これは無限回微分可能どころか解析的な関数だ. しかし, $t \to 0$ の極限で Dirac の $\delta$ に収束する. この極限をつかまえるには考える集合を大きく取る必要がある. この大きな集合が双対空間になる, というのを発見したのが Schwartz の偉いところだ.
場の量子論¶
ここで場の量子論に戻ろう. 場の量子論は数学的な特異性が強いので, 生の形 (物理的にあるべき形) で数学的な議論をいきなり始めるのは難しい. そこで一旦適当に扱いやすくする処理をする. 非相対論的な文脈ではそれを赤外正則化とか赤外切断と呼ぶ. 切断つきで議論をしておいて最後に切断を外す極限を取って物理的にあるべき理論とする.
ここでちょうど上の熱核の $t \to 0$ と同じ現象が起きる. 特に基底状態について考えよう. 赤外切断つきのモデルでの基底状態を $\Psi_{\kappa}$ とする. $\kappa \to 0$ の極限を取るとこれが元の Hilbert 空間からいなくなってしまう. 正確には任意の部分列を取っても $\Psi_{\kappa}$ が 0 に弱収束してしまう (ことがある). 熱核 $f_t$ の極限が $L^2$ では 0 になってしまうのと同じことだ. これを 0 にしないためにはどうするか, 大きな空間をどう準備するか. ここで作用素環を使う. 確率論 (経路積分, 汎関数積分) を使う議論は私の手に負えないのでここでは省略する.
大きな空間についてはこう考える. 場の量子論にしても Hilbert 空間を使っているからそこを基本にする. 基底状態の極限を考えることにしているのでまず Hilbert 空間のベクトル $\Psi$ を取る. ここから $\psi (A) := \langle \Psi, A \Psi \rangle$, $A \in \mathcal{B} (\mathfrak{H})$ として汎関数を取る. ここで $\mathfrak{H}$ は場の量子論の Hilbert 空間で, $\mathcal{B} (\mathfrak{H})$ は $\mathfrak{H}$ 上の有界線型作用素全体を指す. これはもちろん $C^*$ 環だ. 普通の超関数と違って元の Hilbert 空間を線型に含んでいるわけではない. しかし形式的に含んでいるとみなせるような線型空間が作用素環上の汎関数として構成できた. 実際にこの作用素環上の汎関数としての汎弱収束で意味のある極限を取り出すことが作用素環を使った議論の魂となる.
本当はここからの GNS 構成定理による表現論までセットにして考えることが大事で, しかも量子統計的にも決定的に大事なのだがそれは置いておこう. ちなみに私の修論もこれで書いたくらいで本当に大事. 今書いている修論の有限温度の発展版も GNS でさらに Araki-Woods 表現を持ち込むというところをやっている.
代数的場の量子論¶
代数的場の量子論だと作用素環的にもっと難しく, そして作用素環的にももっと意味のある議論をしている. 今の構成的場の量子論では作用素環に貢献することはあまりできなさそうだが, 議論の核としてなくてはならない存在ということはできる. 構成的場の量子論に作用素環を使うのは, 確率論を使った議論よりも数学的な予備知識がいらず, かなり速いタイミングで研究を始められるのがいい. 作用素論の基礎は当然必要だがそれは確率論を使った議論でも同じだ.
正直, 代数的場の量子論と違い人にお勧めできるような分野ではないし大勢で取り組むような分野でもなく, さらに地味で派手な結果が出るような分野でもないが, 細く長く続けていくべき分野であると思ってもいる.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 作用素環
マッチング理論関係の文献を教えて頂いたので¶
本文¶
数学セミナーの書評というか感想を書いたが, それで言及したマッチング理論の本について教えてもらったので記録. 元ツイートは消えていたので, 教えて頂いたブログの情報を抜いておきたい.
【書評または感想: 数学セミナー 2014 年 01 月号 グラフ理論の新展開 】よく分からない数学
安定結婚問題が一部で話題になっていたみたいですが, 一昔前は安定結婚問題を勉強すると言ったらここら辺の本を読むこととほとんど等価だったような気がします. Tamas Fleiner が組合せ論的な不動点定理を駆使して安定結婚問題の構造を解きほぐしていったところも (個人的に) 懐かしいところです (当時は私も束や選択関数のことをよく考えていたので, Fleiner の論文を眺めることが多かったです).
日本語ではまとまった書籍はないような気がしますが, 次のハンドブックの 14.2 節に根本先生による詳しい解説があります. 応用数理計画ハンドブック
もちろん rotation poset や stable marriage polytope の話もでています.
挙げられていたのは次の本たち.
ラベル¶
数学, グラフ理論, 経済学, アルゴリズム
確率論と偏微分方程式論: Feynman-Kac, 流体力学極限, Stochastic Loewner equation¶
本文¶
ちょっとひさこさんと話したのでせっかくだからメモしておこう. 確率論と PDE という感じのところの話をしたのだ.
Feynman-Kac という伝統的な話題もあるが, 最近は日本だと舟木先生が特に精力的に研究している内容として流体力学極限という話題がある. 慶應理工(当時)の佐々田さんによる PDF を張っておこう. これ自体はよく知らないので興味がある向きは色々調べてみてほしい. 舟木先生が本を書いてもいるので, それを見るのもいいだろう.
起源が流体にあるだけで放物型など色々な PDE との関係があるということくらいは調べた. ちなみに上記 PDF を書いている佐々田さんは博士を 1 年で終わらせて即ポストも取った優秀な研究者で確率論の若手のホープだ. PDE と確率という話では, SLE と共形場 (Werner の Fields 賞) など, 相対論的場の量子論や統計力学などの物理を絡めた展開もある. 立役者は Werner というよりも Schramm なのかもしれないが, Schramm はとりあえず Fields 時には年齢に引っかかっていたはずだ. Poincare 賞はもらっている. あと Schramm は山岳事故で亡くなっている.
全然関係ないが, 東大数理で Werner の講演会があったので聞きに行ったことがあり, そのときのエピソードを記録しておこう. 休憩時間にコーヒーを飲んでいたら, たまたま傍に現在京大でその当時東大に行た吉川謙一先生が, 「Werner の書くランダムっぽい曲線は正にランダムっぽくて, さすが確率論の人ですね」と言っていた.
ラベル¶
数学, 物理, 確率論, 統計力学, 場の量子論, 共形場理論, 流体力学極限, 数学者
田崎さんと原さんは早く Ising の本をまとめた方がいいのでは, と思った方の市民¶
はじめに¶
引用¶
数学的に書かれた統計力学の本読みたみ
@slip001 このツイートしばらくしたら相転移 P のリプライが来そうな気がする笑
@wr_r イケメン相転移 P さんからのリプレイとかうれしい
@slip001 @wr_r 学生のころ田崎さんに聞いたことがありますが, 最低限私よりも数学できないと読めないような本で, しかもめちゃくちゃ読みにくい本しかないです. 強いていうなら新井先生の本ですが, あれは「量子統計の数学」であって「数学的な色彩の強い物理の本」ではないので
@slip001 @wr_r 滅茶苦茶読みづらいといったのが http://www.amazon.co.jp/dp/9810238622 です. 田崎さんが若い頃からある本ですが, 碌なものではないのでお勧めはしません.
@slip001 @wr_r http://phasetr.blogspot.jp/2013/11/4.html にある Bratteli-Robinson が量子統計の数学で一番有名でかつ読みやすい本です. ただ数学科レベルで関数解析できないとだめで, 量も膨大なので拾い読みできるだけのモノがないとつらいです
@slip001 @wr_r 近刊とうわさの田崎・原のイジングが一番読みやすい (読みやすくなる) はずです. もちろんイジングに特化した話になりますが, 相転移・臨界現象を学ぶにはいいはず (と信じている)
@slip001 @wr_r Bratteli-Robinson は私も必要なところしか読んでおらず, それも本当に適宜つまみ食いという感じが強いです. 必要なのである程度はまとめて読んだところとそうでないところの差が激しいので. 原・田崎の完成を待つのが一番無難という感
@slip001 @wr_r あとおそらく一番根本的な問題として, 基礎的な部分で色々な数学的困難を抱えていて数学的にきちんと議論できる統計力学の話題自体ほとんどないので, 最低限の勉強をした後はもうほぼ研究ベースの話になってしまうでしょう. それも物理としては無残なのに数学的に辛い話
新井先生の量子統計の本はこれ.
Ruelle のがこれ. ただ, 読むのはやめた方がいい.
以前関連する動画も作ったので, 興味がある向きはご覧頂きたい.
- 春香誕生祭 + 緑な P ・実解析 P ・パラ P リスペクト 1/5 量子統計の数学的基礎
- 春香さん誕生祭 + 色々リスペクト 2/5 ルベーグ積分と関数解析 1
- 春香さん誕生祭 + 色々リスペクト 3/5 ルベーグ積分と関数解析 2
- 春香さん誕生祭 + 色々リスペクト 4/5 テンソル積と多体系
- 春香さん誕生祭 + 色々リスペクト 5/5 平衡状態の定義について
コメント¶
(量子) 統計がどれだけつらいかというと, 平衡状態の定義をするだけで作用素環の至宝, 冨田-竹崎理論が必要になるというところ. 今となってはそこまで絶望的に学習が困難という話ではないが, 物理的にあって当然の概念のために作用素環の基礎理論を 1 つ用意する必要がある程度に処理が面倒というアレ
@phasetr あと修士修了後しばらくやっていて全然できなくていったん止めた話だが, ハバードモデルの基底状態の存在とかもかなりきつい. 要は具体的なモデルを何か取ってそれを詳しく調べましょうみたいな話も格子模型のレベルでほぼ絶望. スピン系が扱えることが既に奇跡と言っていいのでは感
@phasetr 基底状態の存在という話では, 場の理論での【発散の困難】的な話題も絡んでくるし, 物質の安定性の観点からの基底エネルギーの評価 (エネルギーの示量性とも関係) とか, 基本的なところで問題山積みでどうにもならない
@phasetr 「基礎が分からなくても応用はできる」というアレがあるかもしれない, と思われても, 具体的なモデルの解析はもっと難しいので手がつけられる簡単なところから, というそこの段階で詰まっているのが現状なのでどうにもならない
@phasetr むしろ問題をいくつかあげるから研究してほしい
コメント¶
本当, 誰か研究に協力してほしい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 量子統計, 作用素環, 関数解析
『俺が一番気に入らない定理』とか見てみたい¶
本文¶
Twitter でこんなツイートを見かけた.
『世界で最も美しい 10 個の物理方程式』みたいなタイトルの本はよく見かけるので 『世界で最もきたない 10 個の物理方程式』みたいな本もバランスをとるためにも出してほしい
前, ブログだか何だかで早川尚男さんが「非平衡は魔境で, 到底美しいとは思えない変な話ばかりだ」みたいなことを書いていた覚えがある. 色々な人に聞いても分野ごとにとびきり綺麗なのが出てくるばかりだろうから, やはり汚い方で色々聞いてみたい.
あと, 『世界で最も美しい~』は正直食傷気味なので, 『俺が一番気に入っている方程式・定理』とか, そういう個人の感慨を前面に押し出す方向で何かやりたい. 前, 数学徒が愛した定理というのをまとめたが, 『俺が気に入らない定理』というのもいいかもしれない.
逆に, 一番お気に入りの 1 つの定理を延々と語り続けるというのも面白そう. こんな拡張があるとか, 数学の進むべき方向を示したとか何とかを 5 時間くらい話し続ける動画とか.
追記¶
気に入らない数学の定理は"1+1=2"。原始再帰関数の定義通りゴリゴリ計算するだけじゃないか!二ステップで答えが出るからやり遂げた感もない! QT @phasetr: 『俺が一番気に入らない定理』とか見てみたい http://t.co/CdnnoHoWB9 よく分からない数学
— ytb (@ytb_at_twt) 2013, 7月 5
涙を禁じ得ない.
追記 2¶
数学書房から『この定理が美しい』という本が出ている.
ラベル¶
数学, 物理
Twitter まとめ: 物理的な見通しの良さと数学的な見通しの良さの狭間で儚く揺れる恋心¶
はじめに¶
Twitter では度々言っているし, 特に「数学をしたいなら数学科に行け」と言っているくらいだが, 数学的にきちんと物理をやるのは修羅の道と言える. その辺についてちょっとやりとりしたのでこちらにも転記しておきたい. この辺からはじまる.
引用¶
物理してないけど興味はある, でも誤魔化されてるの嫌いなので 数学でちゃんと厳密にやるために数学しかしてない私の進路を決める面談誰かしてほしみ
@t_iru ごまかしと思うからまずいのでは. 物理がやっているのは物理であって数学ではないので
@phasetr そうですね, 誤魔化しというのは少々語弊がありますね 例えば普通に物理やっているだけでは使わないような数学的な手法を用いると見通しが良くなったりすることがあるじゃないですか そういうのが非常に気になります
@t_iru 数学上の見通しと物理上の見通しというのもあるにはあり, また少し凝った数学使うとクリアになるとしてもその学習コストが高いなら手持ちの道具で処理できる方がいい, というのもあります. 何でもかんでもいい数学使えば綺麗になるというわけでもなく, 泥臭い計算厭うのも良くないので
@t_iru 結局程度問題というところではありますが
@phasetr そうですね, どこかで線引きしなくちゃいけない以上程度問題ではあるのでしょうが まだまだ勉強不足なために先が見えなくてやりたいことの焦点を定められないでいるという感じです
@t_iru いつも言っていますが, 少なくとも数学的に厳密に, といい出すと学部三年の時点ではもう確実に数学が物理に追いつかなくなります. 研究ベースの話になるので, 物理のためには数学にこだわっていられなくなります. 最後は趣味なので
@phasetr そうなりますか…今年中にはある程度進路を決めてしまいたいので, 一年間勉強してみて自分に合ったやり方をゆっくり考えることにします 貴重なお言葉ありがとうございました
@t_iru 物理的な明快さと数学的な明快さ, あまりいい例えではないですがこんな感じ: 数学でもすっきりした証明だが何をしているのか分かりづらいので, 意味がはっきりする別証明をつけてみよう, とかあるでしょう. 数学的にクリアでも物理として気分が分からない議論, 物理だとやはり嫌ですね
@phasetr 物理的な意味付けができないと困るというのはなんとなく分かります 確かにそういうところを大切にするスタンスは物理では重要になってきますね
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理
部分集合の連結性の定義は割と面倒である¶
魔法少女に教えてもらったので.
ニャオン> 部分集合 A⊆X に関する性質 "互いに交わらない開集合 U, V があって A⊆U∪V, A∩U≠∅, A∩V≠∅" の名前は?
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
Google> 知らん
ニャオン> 😇
これ https://t.co/CsxkaTq5QW本当に誰も名前つけてないんですか
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yy(部分空間として)非連結と同値ではないかと思います
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
@yamyam_topo3 上の位相 {0, {2}, {0, 2}, {1, 2}, 3} を考えると, 2 は 2∩{0,2} と 2∩{1,2} に分かれるので非連結ですが, 互いに交わらない開集合対が (0, 3) しかないので""内は不成立です.
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yyそうですね。勘違いしていたようです。たぶん正規性のもとでしか成り立たない推論を勝手にしていました。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
これで調べていてわかったことは結構な数の位相の講義ノートで, 部分集合の連結性にさっき書いた定義が書かれている
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yy最近基本的な概念の定義が怪しくて本当にアレでつらいのですが、部分集合の連結性はどう定義するべきアレなのでしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2017年1月19日
@phasetr(i) A に部分位相を入れたときに連結 (ii) 次のような X の開集合 U, V は存在しない: A⊆U∪V, A∩U≠∅, A∩V≠∅, A∩U∩V=∅ (つまり U, V は A 内で交わってはいけないが A 外では交わっていてもよい).
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月19日
@phasetr(iii) 次のような X の空でない部分集合 B, C は存在しない: A=B∪C, B∩cl(C)=cl(B)∩C=∅. なお ∅ は非連結と見做す流儀もある.
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月19日
こういうのが甘いの, 本当によくない. 反省することばかりだ.
0 の 0 乗から $x$ の $x$ 乗まで¶
本文¶
そうだったのか http://pic.twitter.com/bDO9EOWZK8
@kawazu1147 な, なんだってー!
@yan_tyabouzu 驚きを隠しきれなかったですね
@kawazu1147 0 の 0 乗は通常定義しないのではないでしょうか….
@oddest_2 えっと, 「通常」というのをどういう意味で言ってるかによるのですが, 定義しないのが自然な場合もあるし, 順序数の (そういう概念が数学にあるのですが, その) 話をしているときなどは 1 と定義するのが自然だったりもします.
@kawazu1147 ほへー. そうなのですか. ありがとうございます. 本で定義したりしなかったりするって書いてあったのですが, 新聞ではっきり定義するって書いてあってなんだか妙な気持ちになりまして
@oddest_2 妙に思うのが正しいと思います. 自然にそう計算される場合もあるし, そう定義したほうが便利な場合もあるし, 間違ってるとは言い切れないですが, 不親切というか, 不用意ですね.
@oddest_2 @kawazu1147 http://www.amazon.co.jp/dp/453560844X こんな本があるのでご覧頂くと楽しいかもしれません
@phasetr 相転移 P が適切なのかどうかよくわからない誘導をしている
@kawazu1147 とりあえず適当にまとまった文献は示した方がいいのではないかと判断した方の市民です
紹介した本はこれだ.
あっさりしているので何となく何が問題でどんな世界が展開されていくかを知るのには都合がよく, そういう読み方をするなら非常に面白い. もちろん, かっちり読むのにはつらいがそういう本ではない.
ラベル¶
数学, 関数論
東大の古田幹雄先生による『大学院で幾何の勉強を目指す学部生の方たちへ』という PDF を発見したので共有しておきたい¶
本文¶
東大の古田幹雄先生による『大学院で幾何の勉強を目指す学部生の方たちへ』という PDF を発見したので共有しておきたい. これだ. 色々なところで再三言っているように, 幾何がさっぱりなのは恥ずかしい限りなので, 私も参考にしたい.
他にもBernstein の定理, Zorn の補題, 濃度の演算, Tychonoff の定理の二つの直接証明, 正規, パラコンパクト Hausdorff, 1 の分割なども PDF があった. 興味がある向きは読んでみるといい.
ちなみに東大数理の教官というご多分に漏れず, 古田先生も (業績的な意味で) 凶悪な教官だ. 4 次元多様体での 11/8 予想というのがあるのだが, そこでも非常に顕著な仕事をしているようだ. ここで紹介されているが, 10/8 不等式というのがある. 正直私は評価能力ないのだが, 『数学の 50 年』で松本先生が滑らかな 4 次元多様体での 3 大定理の 1 つと言っている.
11/8 予想は今の 4 次元トポロジーでの 2 大問題とのこと. そこに関して現在最強の結果を持つのが古田先生だ. その他にもゲージ理論に関していい仕事がたくさんあると聞いている.
ラベル¶
数学, 幾何学, 数学者
加藤和也, 『$p$ 進 Hodge 理論とゼータの値』¶
はじめに¶
我らが加藤先生の PDF があったので共有しておきたい. 『$p$ 進 Hodge 理論とゼータの値』と題された文章だ. 手書きで味わい深い.
1 章 城崎と宇宙¶
1 章がいきなり「城崎と宇宙」となっていて攻撃力高い.
P.1
仏教の法のことは全く理解していない筆者であるが, $p$ 進 Hodge 理論のような数学の深い法もまた, この温泉寺の大気の中に, 千年も億年もきらきらまじり入って, 人間や生物の生活とともにあったにちがいない.
このあとにも破壊力の高い文言が並ぶ. 是非読んでみてほしい.
P.1-2
筆者は [ 4 ] において, 鶴の恩返しの鶴の思いが, 宇宙の期限を考える鍵であることを書いた. そこには, 鶴女房のみならず, 蛇女房や雪女もあらわれたのであった. (その後こぶとりじいさんまであらわれた時は筆者もさすがにうろたえたが, こぶとりじいさんについてはまだ論ずるに至っていない. ) それらを書きながら, 当時の筆者は自分でもちょっとついてゆけないものを感じたが, 今はちゃんとついてゆけるし, 実に自然なことのように思える.
もうどうしたらいいのか分からない. 上記引用後も実に味わい深い一文があるのだが, 書き写すのが面倒なため省略する.
P.2
筆者は狂ってしまったのであろうか. いまだ狂い足らざることを恥ずるのみである.
15 ページある中の 2 ページ真ん中あたりなのだが, もう全文引用したい気分にかられる. Fontaine が「グルノーブルの狂人」と言われていたらしいことを知る夏だった.
最近, 息子とディズニー映画「美女と野獣」を見た. この漫画映画を「原作の味をそこなった」と嫌うかたもおられるけれども, 私はすばらしいと思う理由は, 主人公の娘さんもその父親もいかれていて, 映画はそれを力強く支持していることである.
城崎がどこにいったのかよく分からないし大宇宙を感じた.
2 章 $p$ 進 Hodge 理論とゼータの値¶
P.3
数論は, ある数が有理数か無理数か, ある素数で割り切れるかどうか, とか, 非常に微妙な話をとうとぶのであるが, $p$ 進 Hodge 理論の方は, 代数多様体なら何でも持ってこいという, 細かい所は気にしない性格である.
だそうだ.
3 章 宇宙は心?¶
タイトルからしてパンチ力が高すぎてすごい.
複素関数として定義されるゼータにとって, 大変苦手な, $p$ 進 Hodge の山道を, ゼータは与ひょうに会うために切ない思いをもって, 必ず越えてくる. (鶴が娘に姿を変えたように) $K_2$ の中の「ゼータの化身」に姿を変えて.
ゼータに心を感ずるのは, 単に我々の心を投影しているだけだという人もあるかもしれないが, 実は逆に我々の心が, ゼータの心の投影かもしれないことはいうまでもない.
いうまでもなかった.
上野健爾さんに, 「宇宙は物質だから…」と筆者が話しかけたとき, 「宇宙は物質ですか? 」と疑問を投げかけられてしまったことがあった. 上野さんのお考えは, 筆者ごときの推しはかれるところではないが, すると宇宙は「心」なのであろうか.
数学を学ぶとこんなに論理的になれるので, 論理力の涵養に役立つ.
P.5
宇宙 = 心 = ゼータ
なのであろうか.
中略
………… = モスラ
とさっきの等式は続くのであろうか.
ちょっともう全文引用になってしまって色々とアレなのだが, とにかく胸を打つ言葉, 文章が並び続ける.
4 章 ワープ航法の発見¶
各位は P.7 のワープ航法の図を見ておくように. もう記録しながら読むような精神状態にないゆえ.
P.7
この, 複素平面の中を通っていかない $s=0$ から $s=1$ への移動こそは, explicit reciprocity law によるワープ航法であり, 千年のうちには宇宙旅行に実用化されるように思える.
宇宙工学を学んでおくべきだったと悔やまれてならない.
引用文献にモスラの歌がある文献をはじめて見た.
最後に童話が引用されて終わる.
少し余白があるので, 小学校 1 年の息子の国語の教科書にある, 感銘を受けた童話のあらすじを紹介する. (松谷みよ子作. )
中略
(原文はとても美しい. 昔の国語の教科書には, こんな良い話はのってなかったような気がする. )
これが数学だった.
ラベル¶
数学, 数論, 数論幾何, 代数幾何, 加藤和也
結城浩さんの『「何でわかるの?」と聞かれたときに』¶
元ツイートへのリンク¶
自分用覚書・感想¶
丁寧に説明されていて内容も面白かったし参考になる. それ以上に気になるのは, このページをどうやって作っているのか. こういうのをさらっと作れるようになりたい気分がある.
自分のまとめとしてシンプルなテキストでまとめられたページを引用しておく.
引用¶
質問(「何でわかるの?」と聞かれたときに)
ご質問ありがとうございます。あなたの質問に対する直接的な回答ではありませんが、質問を読んで私の思ったことを書きますね。(続く)
結城浩に聞いてみよう https://ask.hyuki.net/q/20201214193853 https://t.co/6dOgNzrh0S
お友達から「何でわかるの?」のように聞かれたときには、あなたがやっていることをできるだけ言語化して伝える努力をしてみることをお勧めします。それは、必ずしもそのお友達のためではなく、むしろあなたのためです。
あなたは特別なことをしているわけではなく「自然にわかる」のかもしれませんし、もちろん「一晩寝ていたら解けている」ということもあるでしょう。それでも、あなたが普段から何をどのように見ているか、ある特定の問題に触れたときに何をどのように考えたかを言語化してみるのです。
もしもそのようなことの言語化が難しいとしたならば、ぜひ「それ」をあなたに与えられた問題として解いてみてください。私はそれが、あなたの能力をさらに高める助けになると想像します。
ここから、もしかしたらあなたにはあてはまらない話になるかもしれません。こういっちゃなんですけれど、そこそこ利発な方ならば、たとえば高校三年までに学校などで出会う問題を自然に解いちゃうのは珍しくありません。
(ちょっと言い過ぎたかもしれないけど……まあ続けます)
でも、どんな人でも無限に難しくなっていく問題は解けませんから、どこかでは壁にぶつかることになります。そして、ある意味の「勝負」はそこから始まります。そのときに、他の人には難しい問題で自分には易しい問題を「どのように」解いてきたのかは重要な武器となります。
私があなたに「言語化」を勧めるのは、主にその「武器」をいまのうちから整備しておくのは決して無駄ではないと思うからです。(と言いつつも、私自身は凡人ですから、的外れなことを言っている可能性も高いのですが……)
小学校時代、非常に多くの子が「神童」や「天才」扱いされます。学校で教えることなんか話半分に聞いていても(へたしたら聞かなくても)理解できるし、試験も申し分ない状態で進み……中学・高校で失速します。
でもなかなか失速に気がつかず、段階を踏んで学ぶことの大事さに気がつかず、結果的にいつのまにか同学年の人たちから大幅に遅れてしまうことがあります。
いま書いたのは小学校から中学・高校ですが、それは学びのどの段階でも起きうることです。あなたがそうだと決めつけるわけではありませんし、私には判断ができませんが、ちょっとそれが引っかかったのでした。
高校くらいまでの問題は、うまく解けるように段取りがなされている問題がほとんどです。ですから、身も蓋もない言い方をすれば、解けても不思議ではありません。そのような問題に向かっている間に、ぜひ「自分は何をどのように考えて解いているのか」というreflectiveな発想も身につけてほしいです。
そのための活動として非常にいいのは、友達の質問に答えることです。自分の思考の方法を答えるだけではなく、友達がそれを理解できるように伝えることを試みてください。それはあなたの能力を広く、深くしてくれるはずです。
あなたの質問を読んで、私はそんなことを考えていました。的外れな回答だったらごめんなさい。あなたの学びがますます豊かなものになることを願っています。
ご質問ありがとうございました。
「何でわかるの?」と聞かれたときに https://rentwi.hyuki.net/?1338433669145317377
学ぶこと。教えること。伝えること。楽しく読めて元気が出る結城浩のメールマガジン「結城メルマガ」は毎週火曜日配信。単体の記事購入もできますし、定期購読もできます。登録初月は無料です。 https://link.hyuki.net/mm
(余談)考えてみますと「数学ガール」に出てくる「僕」は、「教える」ことを通して多大な学びをしていることになりますね。 https://note12.hyuki.net/
東大数理, 平成24年度, 平成25年度, 平成27年度数学講究XAテキスト一覧¶
手元にあった東大数理の平成24年度, 平成25年度数学講究XAテキスト一覧に加えて, 平成27年度の一覧を重複を除いてまとめておこう. まず学部低学年の学生の参考になるだろうし, その他にもこう色々と参考になるだろうから. 私自身, あまりよく知らない分野の勉強をするときに参考にしたいというのもある. 簡単な書評もあるからそれも参考になる.
専門との関係もあるから教官名も添えておく.
石井志保子 教授¶
- Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag
- 代数幾何は代数方程式の零点で定義された図形で, これを研究するのが代数幾何学です. このテキストは代数幾何学の標準的な教科書で, 世界中で使われています.
中村周 教授¶
- Gerald B. Folland, Introduction to Partial Differential Equations (Second Edition)
- 偏微分方程式論に関する, 比較的レベルの高い入門書. 一般的な局所解の存在定理から始まって, 古典的方程式, つまり, ラプラス作用素, 楕円型の境界値問題, 熱方程式, 波動方程式を説明し, 関数解析的手法, 擬微分作用素の導入までを扱っている. 偏微分方程式に関する予備知識は必要ないが, 積分論, フーリエ解析の知識は必要.
- Methods of Modern Mathematical Physics I. Functional Analysis
- Reed, B. Simon, Academic Press
- 関数解析的数理物理の標準的な教科書. 全 4 巻であるが, 第 1 巻の関数解析の後半から始めて, 第 2 巻のフーリエ解析の部分までをセミナーで行いたい. 基礎知識は, 数学科 3 年生の講義の積分論, フーリエ解析があればよい.
儀我美一 教授¶
- C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition), American Mathematical Society
- 非線形偏微分方程式の数学解析を目指した良書. 偏微分方程式に対するさまざまな扱いに対して, そのエッセンスのみに絞って解説したもので, アメリカのさまざまな大学の偏微分方程式の入門の講義で行われている.
- Villani, Topics in Optimal Transportation, American Mathematical Society
- 2010 年フィールズ賞受賞者の Villani 氏による最適輸送問題の入門書. ある地域に分布している集団を別の地域に移動させたいとす る. このときの輸送コストを最小にするという問題が最適輸送問題である. この最小輸送コストを距離とすることによりできる距離空間を Wasserstein 距離空間といい, 幾何学的に大変重要な構造を持つ. 一方, 近年流体力学の非圧縮流体また拡散方程式等の偏微分方程式への応用も進ん でいる. 本書は, このように変分解析, 微分幾何学, 偏微分方程式といったさまざまな数学の結びつきを知るうえでも大変興味深い.
- Qing Han, Fanghua Lin, Elliptic Partial Differential Equations (Second Edition), American Mathematical Society
- 調和関数を出発点に, 2 階単独楕円型方程式のハルナックの不等式や, アレキサンドルフの最大値原理の基礎について触れる. 楕円型方程式の入門書.
- Giovanni Bellettini, Edizioni della Normale, Lecture Notes on Mean Curvature Flow: Barriers and Singular Perturbations, 2014
- 平均曲率流方程式は, 微分幾何学で重要な非線形放物型偏微分方程式の典型例であるだけでなく, 材料科学の焼きなまし時の粒界の動きを記述するといった豊かな応用を持つ. 現在さまざまな書籍があるが, 本書は比較的解析学的な立場で書かれた入門書であり, 少ない予備知識で読めるように配慮されている. 平均曲率流方程式を通じて微分幾何学, 偏微分方程式論を俯瞰するのにも便利である.
坪井俊 教授¶
- Danny Calegari, scl, Mathematical Society of Japan, MSJ Memoirs 20
- 群の交換子群の元が, いくつの交換子の書かれるかという素朴な疑問から, 様々な群に対する重要な研究が数多く行われるようになった. このテキストは, この問題の起源から, 現在の研究に至るまでを解説している.
- Brian Bowditch, A course on geometric group theory, Mathematical Society of Japan, MSJ Memoirs 16
- 幾何学的群論と言う現在非常に広く研究されている理論の入門書である. 無限群の性質を考えるときに, その群がどのような作用を持つかを考えることが重要になる. 最も重要な例は定負曲率を持つ双曲空間に等長変換として作用する群である. 有限生成群に対しては, ケイレイグラフへの作用が自然に考えられ, ケイレイグラフが双曲的であると考えられる場合は群の作用の性質は, 双曲空間への作用と非常に似たものになることなどを示す.
吉野太郎 准教授¶
- Joseph A. Wolf, Spaces of Constant Curvature, AMS Chelsea Publishing
- 曲率とは空間の曲がり具合を記述する量である. 空間が定曲率, 即ち各点での曲率が等しいと仮定すると, その大域構造は大きな制約を受ける. この本では, そのような制約について古い結果から最新の結果まで触れている.
- Sigurdur Helgason, Differential Geometry and Symmetric Spaces, AMS Chelsea Publishing, 2001
- 空間内の点 $p$ に対し, $p$ を通る測地線を $p$ で一斉に折り返す変換を「 $p$ における対称変換」という. 任意の点において, その点における対称変換を持つ空間を対称空間という. この本では, このような対称空間の分類を行う. 本書は対称空間に関する入門的な書である. 対称空間のうち既約なものは既に分類されており,その構造もリー群を用いて精密に調べることが出来る. また, 応用上重要な多様体は対称空間の構造を持っていることが多い.
- 大島利雄・小林俊行, リー群と表現論, 岩波書店, 2005
- 群構造を持った多様体をリー群という. リー群は, 上に挙げた定曲率空間や対称空間, その他多くの研究において重要な役割を果たす. この本では, リー群について基礎から応用まで広く解説している.
片岡清臣 教授¶
- Akira KANEKO, Introduction to Hyperfunctions, Kluwer Academic Publishers, 1985
- 1 変数関数論の知識に基づき, 1 変数佐藤超関数の定義から始めて多変数佐藤超関数の性質と演算, および解析的特異性, 特異スペクトラムの基本的性質を解説している. 多変数関数論の基本定理やコホモロジー論を使わずある種の積分変換 (デルタ関数の曲面波展開といわれる) だけを使ってほぼセルフコンテインドに解説しているところが特長的である.
松本眞 教授¶
- David A. Cox,John Little, Donal O'Shea, Ideals, Varieties, and Algorithms: An Introduction to Computational Algebraic Geometry and Commutative Algebra (Undergraduate Texts in Mathematics), Springer New York; 3 版, 2007
- 代数幾何における計算機アルゴリズム (特にグレブナー基底) の標準教科書.
- J. P. Serre, Local Fields, Springer, 1995
- 局所類体論の有名なテキスト.
舟木直久 教授¶
- Williams, D., Probability with Martingales, Cambridge Mathematical Textbooks, 1991
- まず Part A で, 測度論を用いた確率論の基礎付けを行う. この部分は 3 年冬学期の講義と重なる. その上で Part B で, マルチンゲールの理論を学ぶ. マルチンゲールは, 今日では確率解析を使いこなす上で欠かせない道具となっている. 最後に Part C では特性関数と中心極限定理を扱う. 随所に多くの例や応用が書かれている.
- S.R.S. Varadhan, Probability Theory (Courant Lecture Notes 7), American Mathematical Society, 2001
- 特性関数, 確率分布の弱収束, 大数の法則, 中心極限定理など, 3 年の講義で習ったことを復習した後に, マルコフ連鎖, マルチンゲール, 定常過程などの基本的な確率過程について学ぶ.
ウィロックス ラルフ 准教授¶
- Richard Beals & Roderick Wong, Special Functions -- A Graduate Text, Cambridge University Press, 2010
- 特殊関数についての入門書. 前半では, gamma 関数や zeta 関数の基本的な性質や 2 階の常微分方程式論が復習され, それらの方程式と物理との関係が論じられている. その後, 直交多項式と離散的な直交多項式の理論が説明され, 後半では, 超幾何関数の様々な性質が丁寧に解説されている. 少なくとも第 6 章〜 7 章まで読む予定である.
- 三輪哲二, 神保道夫, 伊達悦朗, ソリトンの数理, 岩波書店, 2007
- 著者らによって開発された, ソリトン解を持つ非線形偏微分方程式を統一的に解くための自由フェルミオン場という方法を用いて, ソリトン方程式の数学的構造が論じられている. 数学的準備から始め, 広田の直接法, KdV 方程式や KP 方程式の性質, ソリトン方程式の対称性とそれらの代数的な構造を解説する.
- Saber Elaydi, An Introduction to Difference Equations, Springer, 2005
- 差分方程式についての入門書. 前半では, 1 階の漸化式の一般論から出発し, 一般の高階の線形差分方程式の理論が展開されている. 後半では, 線形の差分方程式だけではなく, 非線形の差分方程式の解の安定性又は漸近的挙動を解析するための数学的手法がいくつか説明されている. 少なくとも第 8 章まで読む予定である.
松本久義 准教授¶
- James E. Humphreys, Introduction to Lie Algebras and Representation Theory, Springer, 1980
- 表現論に関しては, 複素半単純リー環の基礎 (ルート系,ワイル群, 最高ウエイトなど) が基本的な予備知識であり, 現実問題としてこういったことを知ってないと大抵の文献は読めないし,表現論の多くの理論はこう言った古典的な理論をお手本としている. この本はリー代数の教科書としてはもっともオーソドックスなもの. 通年のセミナーで読みきるには丁度よい分量で, 内容も標準的. 予備知識は線形代数だけで読める. ただし, リー群との関係は触れられていない. 標準的なテキストの選択.
- Humphreys, James E., Representations of semisimple Lie algebras in the BGG category $\scr{O}$., American Mathematical Society, 2008
- 上記 Humphreys のリー代数の教科書の続編的な専門書, BGG category とは最高ウエイトを持つリー代数の加群を自然に含むリー代数の加群からなる圏であり, 深い研究がなされている. この本の後半は証明抜きでの概観を与えるものになっているが, セミナーでは前期で前半だけよんで後期は証明の書かれたより専門的な文献をとりあげることも考えられる. 上級者むけ.
- Victor G. Kac, Infinite-Dimensional Lie Algebras, Cambridge University Press, 1994
- 有限次元の複素半単純リー代数の自然な無限次元への拡張として名高い Kac-Moody リー代数の定番的教科書. この本自体は予備知識はあまり必要ないのだが, 何をやっているのかわかるためには, 上記の Humphreys の Introduction to Lie Algebras and Representation Theory などを読んでからの方がよいだろう. 上級者むけ.
- N. Chriss and V. Ginzburg, Representation Theory and Complex Geometry, Birkhauser, 2000
- 幾何学的表現論の教科書である. 夏学期から引き続き使用する. 原則として新規に学生は受け入れないがどうしてもという人はすみやかに私と面談すること.
高山茂晴 教授¶
- Huybrechts, Complex Geometry, Springer, 2005
- コンパクトな複素多様体の基本的な性質について書かれてある. 特にケーラー多様体と正則ベクトルの性質を, 計量を用いて記述してある. 予備知識として関数論, 多様体論, 層の理論の初歩を仮定する.
- R. O. Wells, Differential analysis on complex manifolds, GTM 65, Springer, 1979
- コンパクトな複素多様体の標準的な教科書として良く知られている. 前半では, 層とコホモロジー, エルミートベクトル束, 楕円型作用素などの基本的事項が説明されている. 後半では特にケーラー多様体の場合の調和積分論, ホッジ・小平の分解定理などが詳しく説明され, それらを用いて小平消滅定理, 小平埋込み定理の証明が与えられている. 3 年生の知識があれば十分に読み進むことができる.
齊藤宣一 准教授¶
- 田端正久, 偏微分方程式の数値解析, 岩波書店, 2010
- 本書は, 偏微分方程式の代表的な数値的解法である, 差分法, 有限要素法, 境界要素法に対する数学的な理論の, 基礎の導入から, 収束証明にいたるまでを, 丁寧かつ明快に解説した, 数値解析の入門書である. 計算方法そのものよりは, 偏微分方程式の離散化によって生じる数学的問題の解析に焦点が絞られている.
- 増田久弥, 非線型数学, 朝倉書店, 1985
- 様々な物理現象の記述に現れる非線形微分方程式の, 解の存在・一意性・多重性などを研究する際の基本的な方法である, 不動点定理, 変分法, 写像度理論, 分岐理論を, 具体的な微分方程式を対象に解説した本です.
河野俊丈 教授¶
- James F. Davis, Paul Kirk, Lecture Notes in Algebraic Topology, American Mathematical Society Graduate Studies in Mathematics Volume 35, 2001
- 代数的位相幾何学の基礎である, ホモロジー代数, ホモトピー群, ファイバー束, 障害理論, スペクトル系列などが解説されている. 本書によって位相幾何学を研究する上で必要な代数的な基礎について系統的に学ぶことができる.
- Augustin Banyaga, David Hurtubise, Lectures on Morse Homology, Springer, 2005
- Morse 理論は Morse 関数から多様体の幾何学的情報を抽出する手法である. この本では, Morse 関数の臨界点で生成され, 勾配ベクトル場によって境界作用素を定義する Bott, Witten らによる Morse 複体の手法が解説されている. シンプレクティック幾何学などで重要な役割をはたす Floer ホモロジー理論を学ぶことを目標とする.
- James F. Davis, Paul Kirk, Lecture Notes in Algebraic Topology, American Mathematical Society Graduate Studies in Mathematics Volume 35, 2001
- 夏学期からの継続である. 冬学期は, ファイバー束の幾何学, 障害理論, 一般コホモロジー, スペクトル系列などを扱う. 本書によって位相幾何学を研究する上で必要な代数的な基礎について系統的に学ぶことができる.
- Hansjorg Geiges, An Introduction to Contact Topology, Cambridge University Press, Cambridge studies in advanced mathematics 109, 2008
- 接触幾何学の基礎的な話題と位相幾何学へのさまざまな応用が述べられている. とくに, 3 次元多様体の接触構造の分類に関する Eliashberg の結果, open book 構造などについて詳しく学ぶことができる.
- Helmut Hofer, Eduard Zehnder, Symplectic Invariants and Hamilton Dynamics (Advanced Texts), Birkhauser, 1994
- シンプレクティック幾何学は, 解析力学に由来するが, 現在大域的解析学と関連して, 最も活発に研究されている幾何学の分野の一つである. 本書では, ハミルトン力学系の基礎から始めて, シンプレクティック多様体の概念, さらには, キャパシティ, 周期的ハミルトン系とモース理論などを学ぶことができる.
下村明洋 准教授¶
- Gerald B. Folland, Real Analysis, (Second Edition), Wiley-Interscience, 1999
- このセミナーでは, 実解析の基礎を学ぶ. この本では, 実解析及び関数解析的手法による解析学の基礎となる内容が扱われている. 3 年生の講義「解析学 IV 」 (ルベーグ積分論の基礎) と「解析学 VI 」 (フーリエ解析の基礎) の続きに相当する. 4 年生の講義「解析学 VII 」 (関数解析の基礎) や「解析学 XB 」 (実解析の基礎) とも関係が深い. セミナーは 3 章から始める予定である.
- 宮島静雄, 関数解析, 横浜図書, 2005
- このセミナーでは, 関数解析の基礎を学ぶ. 関数解析を丁寧に学ぶ事が出来ると思われる. 3 年生の講義「解析学 IV 」 (ルベーグ積分論の基礎) と「解析学 VI 」 (フーリエ解析の基礎) の基本事項を理解している事が望ましい. 4 年生の講義「解析学 VII 」 (関数解析の基礎) や「解析学 XD 」 (スペクトル理論の基礎) との関係が深い. セミナーは第 2 章から始める予定である.
- Lawrence C. Evance, Partial Differential Equations, (Second Edition), American Mathematical Society, (Graduate Studies in Mathematics 19), 2010
- 偏微分方程式の様々な基本的話題について, 初歩的な事から丁寧に書かれている本である. この本を読む事によって, 3 年生までに学んできた解析系の科目の内容が偏微分方程式へ応用されていく様子を体験できると思われる. 特に, 数学・数理科学の分野の大学院 (修士課程) への進学を志望していない人に, 4 年生のセミナーでのテキストとして推薦したい.
- Loukas Grafakos, Classical Fourier analysis, (Second Edition), Springer, (Graduate Texts in Mathematics 249), 2008
- このセミナーでは, フーリエ解析・実解析について学ぶ. 概ね 3 年生の講義「解析学 VI (フーリエ解析の歩) 」の続きに位置付けられる. このセミナーに参加を希望する人は, 希望調査票を提出する前に, テキストを見て, 面談に来て下さい.
- 儀我美一, 儀我美保, 非線形偏微分方程式 (共立講座 21 世紀の数学 25), 共立出版, 1999
- 線型及び非線型の偏微分方程式と, それに必要な解析学の基本事項について学ぶ. この本では, 偏微分方程式の学習を通して, 解析学の基礎も身に付く様に, 十分な配慮がなされている様に思う. この本を読む事によって, 3 年生や 4 年生で学ぶ解析学の基礎理論がどの様に役立っているのかを体験できると思われる.
- Gerald B. Folland, Real Analysis, (Second Edition), Wiley-Interscience, 1999
- 実解析の基礎を学ぶ. この本では, 実解析及び関数解析的手法による解析学の基礎となる内容が扱われている. 3 年生の講義で学ぶルベーグ積分論とフーリエ解析の続きに相当する. セミナーは 3 章から始める予定である.
林修平 准教授¶
- Eduard Zehnder, Lectures on Dynamical Systems, European Mathematical Society, 2010
- 副題に Hamiltonian Vector Fields and Symplectic Capacities とありますが前半は一般的な力学系入門です. とりあえずは通年で前半を読了することが目標です. 前半がエルゴード理論も含めた力学系理論入門になっている.
- Morris W. Hirsch, Stephen Smale, Robert L. Devaney, Differential Equations, Dynamical Systems, and an Introduction to Chaos, Academic Press, 2004
- 前半は準備的内容なので, 後半の 7 章から始めて半年で読了することを目標とする. 読了後は相談の上, 次のテキストを決める.
関口英子 准教授¶
- 小林俊行--大島利雄, リー群と表現論, 岩波書店, 2005
- リー群と表現論に関する本格的な教科書です. 数多くある代数的な表現論の本と異なり, 幾何および解析的な考え方を重視して書かれています. 前半ではフーリエ級数論を拡張して, 非可換なコンパクト群の表現論が扱われ, 後半では古典群の表現論, ファイバー束と群作用, 幾何的な表現の構成 (有限次元・無限次元) が順を追って詳しく説明されています. 深い洞察によって, 本質的なことを掘り下げた名著です.
小林俊行 教授¶
- N. M. J. Woodhouse, Geometric Quantization, Oxford Mathematical Monographs, 1997
- シンプレクティック多様体と幾何的量子化に関する入門書である. 幾何的量子化は, 古典力学から量子力学に移行する手法に洞察を与えるだけでなく, 群作用をもつシンプレクティック多様体から, 群の表現を生み出す大きな枠組みに拡張される. 予備知識としては, 多様体の基礎, 微分形式についての正確な理解が必要である. リー群に関しては読みながら知識をつければよい.
- D. Goldfeld, Automorphic forms and L -functions for the group GL (n,R), Cambridge University Press, 2006
- 一般線形群の保型形式に関する入門書.
- G. B. Folland, Harmonic analysis in phase space, Princeton, 1989
- $R^n$ 上の二乗可積分関数のなすヒルベルト空間には, フーリエ変換をはじめ, 重要なユニタリ作用素がたくさんあり, それらの総体は非常に大きな対称性 (ヴェイユ表現, シュレーディンガー表現) として捉える事ができる. この対称性は, フーリエ解析, 偏微分方程式, 無限次元表現論, 数理物理, 保型形式の整数論の基礎としても用いられる. 本書は関数解析やフーリエ解析を基本的な手法としており, 3 年生の必修科目, 特に, 解析系の科目のすべてと多様体論を理解していることが予備知識として必要である.
- 木村達雄, 概均質ベクトル空間, 岩波書店, 1998
- ゼータ関数などが満たす, 美しい関数等式の背後にある「代数群の有限次元の大きな作用」を理論化した概均質ベクトル空間の唯一の教科書であり, 代数や解析に関する入門的な準備の後, 概均質ベクトル空間のゼータ関数の一般論や分類理論まで解説されている.
- R. Berndt, An Introduction to Symplectic Geometry, American Mathematical Society, 2000
- シンプレクティック幾何の入門書.
- Nicole Berline, Ezra Getzler, Michele, Heat Kernels and Dirac Operators (Grundlehren Text Editions), Springer, 2013
- コンパクトリーマン多様体上のディラク作用素に対する Atiyah-Singer の指数定理およびその一般化をテーマとする. これに必要な幾何学および解析学の基礎知識を学びながら, 熱核を幾何的に構成することによって, 大定理の簡単な証明を与えるのが本書の目標である.
- Daniel Bump, Automorphic Forms and Representations (Cambridge Studies in Advanced Mathematics 55), CUP, 1998
- 表現論的な観点からの保型形式の数論をテーマとした定評ある教科書.
寺杣友秀 教授¶
- Hartshorn, Algebraic Geometry, Springer, 1977
- 現代の代数幾何はイデアル論を中心とする可換環を基礎として構成されている. 幾何学的直感を重視しつつ, 可換環論とコホモロジー論を使うことにより, 従来の代数幾何より強力な理論が展開される. この本はそのために必要はことが普くかかれている.
- F. Hirzeburch, Topological Methodes in Algebraic Geometry, Springer, 1962
- 一般次元の代数多様体のリーマンロッホの定理は指数定理群と呼ばれる一連の定理のもっとも典型的な雛形となっている. トポロジー, 複素多様体, 代数幾何が様々な形で交錯した数学的対象の豊かさを感じることのできる一冊である.
- P. Deligne, SGA 4+1/2, Lecture Note in Mathematics, 569, Springer, 1977
- エタールコホモロジーの理論の主なトピックスをまとめたもの.
- D. Mumford, Curves and their Jacobian, University of Michigan Press, 1975
- 曲線のヤコビ多様体についての古典的理論を扱った定本.
河東泰之 教授¶
- William Arveson, A short course on spectral theory, Springer, 2002
- 作用素のスペクトルの理論を扱いますが, 関数解析の基本的な内容はある程度知っている必要があります. 作用素環的な雰囲気があちこちに出ています.
- John B. Conway, A course in Functional Analysis, Springer, 1990
- 関数解析の基本的な内容から始まります. あとの方に $C^*$ 環の話も出てきます.
- Gert K. Pedersen, Analysis Now, Springer, 1995
- 関数解析の本ですが, 抽象的理論展開が好きな人向けです.
- Voiculescu, K.J. Dykema and A. Nica, Free Random Variables, Amer. Math. Soc., 1992
- 自由確率論の基本的教科書. 現在でも使われている重要な技法が初歩から解説されている.
- John B. Conway, A Course in Operator Theory, Amer. Math. Soc., 1992
- 作用素論, 作用素環論の基礎的な教科書. 十分初歩的なところから解説してある.
- W. Arveson, A short course on spectral theory, Springer, 2003
- 抽象的作用素論の教科書. 作用素環のことも少し書いてある.
緒方芳子 准教授¶
- 黒田耕嗣, 樋口保成, 統計力学, 陪風館, 2006
- 古典スピン系とよばれる物理モデルの数学的解析について分かりやすく説明した本です.
- 松井卓, 作用素環と無限量子系, サイエンス社, 2014
- 場の量子論と量子多体系の統計力学, すなわち無限自由度量子系と作用素環という数学との多岐にわたる関わりを紹介した本. 数学的に曖昧さなく扱える無限格子上の量子系の統計力学に関しての基本的な事項, 統計力学, 場の理論を扱う数学的な枠組みから最近の話題についてまで述べている.
足助太郎 准教授¶
- S. Morosawa, Y. Nishimura, M. Taniguch, T. Ueda, Holomorphic Dynamics (revised), Cambridge University Press, 2000
- 複素力学系の入門書.
- Tatsuo Suwa, Indices of vector fields and residues of singular holomorphic foliations, Hermann, 1998
- 特性類の局所化 (localization) に関する入門書である.
斉藤義久 准教授¶
- P. Etingof, O. Golberg, S. Hensel, T. Liu, A., Schwender, D. Vaintrob, Introduction to representation theory, Student Mathematical Library 59 (American Mathematical, 2011
- 表現論に関する基礎的事項を解説した教科書です. 内容は多岐に渡っていますが, リクエストがあれば, 特定の箇所を抜き出してセミナーを行うことも可能です.
- I. Assem, D. Simson, A. Skowronski, Elements of representation theory of associative algebras. Vol.1., London Math. Soc. Student Texts 65 (Cambridge University Press), 2006
- 3 年の輪講のテキストにも挙がっていますが, 有限次元代数の表現論に関する基本的な教科書です. Vol.1 とあるのは, この本がシリーズものの第 1 巻 (2, 3 巻もある) だからで, 場合によっては 2 巻や 3 巻を取りあげることも可能です (要相談).
- I. G. Macdonald, Affine Hecke algebras and orthogonal polynomials, Cambridge, 2003
- その名の通り, affine Hecke algebra の (多変数) 直交多項式の理論への応用を論じた本です. affine root system と affine Weyl group の理論から話が始まっており, セミナーでは最初から読むつもりですが, affine Hecke algebra に関してすでに知っている場合には, 直交多項式への応用の部分を中心にセミナーをすることも可能です.
- Roger Carter, Lie algebras of Finite and Affine type, Cambrigde University Press, 2005
- 主に前半部分 (simple Lie algbera とその表現論, ルート系の理論等) を取り上げる予定ですが, 余裕があれば後半の affine Lie algbera の部分を扱うことも可能です.
- Jens Carsten Jantzen, Lectures on quantum groups, AMS, 1996
- 量子群 (量子包絡環) の表現論に関して, 基礎的な部分から解説してある定評ある教科書です. 行間は少ないので, 何も知らなくても読み進めることは出来ますが, simple Lie algbera に関する知識がないと何をやっているのかがわかりにくいかも知れません. simple Lie algbera に関する知識がない場合は, 適宜それを補いながら読み進んでいくことになると思います.
- S. K. Donaldson and P. B. Kronheimer, The Geometry of Four-Manifolds, Oxford University Press, 1990 年 (ペーパーバック版のリプリントは 1997 年)
- 言わずと知れたゲージ理論の古典的名著. 出版から 20 年以上が経つが, 未だにこの本を超える教科書はない. 通読には時間がかかりすぎるかも知れないので, 途中からより新しい論文やレビューに切り替えることも視野に入れる.
斎藤 毅 教授¶
- Jean-Pierre Serre, Corps Locaux, Hermann, 1997
- 整数論で問題を局所化して考えるとは, p 進体上で考えることになります. 多少詳しすぎるところもありますが局所体についての標準的な教科書です. 基礎理論, 分岐, ガロワ・コホモロジー, 局所類体論が主な内容です. 可換環についてのある程度の知識は前提とされてます.
白石潤一 准教授¶
- 国場敦夫, ベーテ仮説と組合わせ論, 朝倉書店, 2011
- ベーテ仮説法とは, ある種の線形演算子のスペクトルを決定するためにベーテが 1931 年に導入した考え方である. このテキストでは, 非常に強力なベーテ仮説法に立脚し, リー代数の表現論やさまざまな組合わせ論的手法を駆使して可積分系の解析を行う.
- William Fulton, Young Tableaux, Cambridge University Press, 1997
- Part I, II では, Robinson-Schensted-Knuth 対応, Littlewood-Richardson 規則等の表現論の組合わせ論的側面に関する事項を学ぶ. Part III では, Falg varieties, Schubert varieties 等の幾何学について学ぶ.
- 岡田聡一, 古典群の表現論と組合わせ論 (上下), 培風館, 2006
- 複素数体上の古典群及び対称群の表現論を組合わせ的側面とともに紹介した本である. 題材に対する著者の思い入れと深い配慮により, 読者は最小限の準備で古典群の表現論とその組合わせ的美しさへ導かれる.
金井雅彦 教授¶
- Cheeger, Jeff & Ebin, David G., Comparison theorems in Riemannian geometry Revised reprint of the 1975 original., AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 2008
- リーマン幾何に関する古典的な教科書. 記述が密な分すぐに見晴らしが良く感じられるレベルにまで達することができます. それがこの本の最大の特徴でしょう. 長らく絶版でしたが, 最近ようやく再版されました.
- Navas, Andr é s, Groups of circle diffeomorphisms, University of Chicago Press, Chicago, IL, 2011
- 円周への微分可能な群作用に関するモノグラフ. 力学系的要素が比較的強いと言えるでしょう. 英訳が出版されたのはごく最近のこと. お勧めの 1 冊です.
- Bowditch, Brian H., A course on geometric group theory, , Mathematical Society of Japan, Tokyo, 2006
- 幾何学群論の教科書の中でもっとも簡単なのが恐らくこれ. ページ数も百少々, これならば, 半年で最後まで読み切れるかも知れません.
- Peter Frankl, 前原濶, 幾何学の散歩道, 共立出版, 1991
- 幾何学的な味わいに富んだ「短編集」. 好みの章を読み終えたら, テキストから離れ, 関連した他の文献に進んで欲しいと願っている. 詳細に関しては, 面談の際に説明する.
一井信吾 准教授¶
- David A. Patterson and John L. Hennessy, Morgan Kaufmann, Computer Organization and Design: The Hardware/Software Interface, Revised Fourth Edition, 2011
- コンピュータの基本的な構造や動作を基礎から解説したものとして, 世界的に定評がある本です.
- Kevin R. Fall and W. Richard Stevens, TCP/IP Illustrated, Volume 1. Second Edition, Addison-Wesley, 2012
- インターネットの基礎技術である TCP/IP の定番教科書の新版. 書いてあることは読めば分るが, 「なぜそのように作られているのか」を考えたい. 本を読むだけではなく, データを解析したり, プログラムを書くことで内容を自ら確かめることをすすめる.
時弘哲治 教授¶
- W.H.Schikhof, Ultrametric calculus --An introduction to p-adic analysis, Cambridge University Press, 1984
- $p$ 進数を用いた解析の入門書. $p$ 進数体は有理数体のある拡大体であるが, $p$ 進付値により距離が定義されるため, 数列や級数は有理数や実数とは異なる収束性を示す. そのため, 例えば, 整数上での微分を定義できるなど興味深い性質を持つ. p 進数は数論において重要な役割を果たしているが, 最近, 離散可積分系に関連して応用数学上でも注目を集めてきており, 本年度はこのテキストをとりあげた.
- J.D.Murray, Mathematical Biology: I An Introduction (3rd edition), Springer, 2007
- 数理生物学の入門的な著書. 簡単な人口論の問題から始めて, BZ 反応や生化学反応, 伝染病の数理, 生物界におけるパターン形成の数学的モデル を扱っている. FitzHugh-Magumo 方程式などの非線形方程式系の定性的な性質によって, どのようにパターン形成, 自己組織化を生じるかをわかりやすく解説している.
古田幹雄 教授¶
- S.K. Donaldson, Riemann Surfaces (Oxford Graduate Texts in Mathematics), Oxford Univ Pr, 2011
- 近年のトポロジーの観点を踏まえた Riemann 面の教科書. このテキストを取り上げた第一の理由は, 幾何のどんな分野に進むためにも有用な, 具体的なものを扱う経験をくぐるためである. 第二の理由は著者のものの見方に触れるためである. 行間と見える者を埋めることが勉強になると思われる.
- B. Booss, D.D. Bleecker, Topology and analysis: the Atiyah-Singer index formula and gauge-theoretic physics, Springer, 1984
- Atiyah-Singer の指数定理のひとつの証明を紹介してある本
坂井秀隆 准教授¶
- 西岡久美子, 微分体の理論, 共立出版, 2010
- 微分方程式が解けるかどうかを代数を使って判定する. 解けるということに関してもいろいろな意味がある. とくに, 線型の方程式だけでなく, 非線型の方程式も扱っているのが特色.
- 渋谷泰隆, 複素領域における線型常微分方程式, 紀伊国屋書店, 1976
- 変数係数常微分方程式の解の構成や解の解析接続に関する Riemann の問題などが述べられる. 古典的かつ標準的な内容も, 20 世紀の数学の言葉を使って整理されている. 後半は不確定特異点を持つ場合に問題が拡張されていて, 最近の研究においても議論される重要なものを含んでいる.
- David Mumford, Tata Lectures on Theta I, II, Birkhauser, 1983
- テータ関数に関する基本的な文献.
- 渋谷泰隆, 複素領域における線型常微分方程式, 紀伊国屋書店, 1976
- 変数係数常微分方程式の解の構成や解の解析接続に関する Riemann の問題などが述べられる. 古典的かつ標準的な内容も, 20 世紀の数学の言葉を使って整理されている. 後半は不確定特異点を持つ場合に問題が拡張されていて, 最近の研究においても議論される重要なものを含んでいる.
宮岡洋一 教授¶
- Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag, 1977
- 代数幾何の標準的教科書. Atiyah-McDonald 程度の環論を勉強しておくとよい.
- 渡辺敬一, 後藤四郎, 可換環論, 日本評論社, 2011
- Cohen-Macauley 環に焦点を定めた可換環論の本格的な教科書であり, 代数幾何, 特に特異点論に興味のある人に薦める.
平地健吾 教授¶
- Lars Hormander, An introduction to complex analysis in several variables, North-Holland Publishing Co., 1990
- 多変数複素解析の入門書. 多変数の正則関数は一変数のときとは異なる性質をもち, その解析には偏微分方程式や層の理論が必要になる. この教科書ではこれらの基本事項を全て学ぶことができる (が行間を埋めるのは難しい).
- 多変数複素解析の代表的な入門書です. 多変数の正則関数が存在する自然な領域 (正則領域とよばれる) の幾何的な特徴づけを与えるレビ問題の解決を目標とします. 擬凸性などの複素解析の基本的な道具を学んだあと, 偏微分方程式の理論を用いてレビ問題の解を与えます.
- Klaus Fritzsche and Hans Grauer, From Holomorphic Functions to Complex Manifolds, Springer, 2002
- Hormander の教科書と同じく多変数関数論の入門書であるが, こちらはより幾何学的な側面を詳しく解説している. 複素解析だけでなく微分幾何の基礎も学べる上に Hormander より読みやすい.
- Steven Rosenberg, The Laplacian on a Riemannian Manifold: An Introduction to Analysis on Manifolds London Mathematical Society Student Texts, Cambridge University Press, 1997
- リーマン多様体の上で定義されるラプラス作用素と幾何的な不変量との関係を調べる, 幾何解析学の入門書. ラプラス作用素を用いて定義される熱方程式の解析をとおしてガウス・ボンネの定理を証明するのが一つの目標である.
- William Fulton, Joe Harris, Representation theory: a first course,
- リー群の有限次元表現の入門書. 有限群の表現の具体的な構成からはじめて半単純群とよばれる非常によい性質を満たすリー群の表現までを学ぶことができます. 沢山の例を通して自然に一般論を理解できるよう工夫されています. 読んでいて楽しい本です.
- 大沢健夫, 多変数複素解析, 岩波書店, 2008
- 多変数の正則函数の理論の現代的な入門書. 偏微分方程式を解いて正則函数を作る手法を学ぶことができる.
- Shoshichi Kobayashi, Transformation Groups in Differential Geometry, Springer, 1972
- この本ではリーマン幾何, 複素幾何, 射影幾何, 共形幾何などの幾何構造の自己同型群を微分形式を用いて統一的に調べる. 一冊で色々な幾何を勉強することができ, 微分幾何の基本的なテクニックも身につく.
逆井卓也 准教授¶
- Raoul Bott, Lorinng W. Tu, Differential Forms in Algebraic Topology, Springer, Graduate Texts in Mathematics, 1995
- 代数的トポロジーの有名な教科書. 前半は de Rham 理論を軸として多様体のコホモロジーに関する基本事項を学び, 後半は代数的トポロジーで用いられる道具を一通り学ぶ.
- John Hempel, 3-Manifolds, Princeton University Press, 1976
- 3 次元多様体に関する古典的な教科書. Thurston 以降の双曲幾何的なアプローチは含まれていないが, 3 次元多様体論の基本的な事項を一通り学ぶことができる.
- Jurgen Jost, Compact Riemann Surfaces: An Introduction to Contemporary Mathematics (3rd edition), Springer, Universitext, 2006
- 基本群や被覆空間に関する基本的事項の説明から始まり, 曲面の微分幾何, 調和写像, タイヒミュラー空間の基礎へと続いていく. リーマン面を軸に, 代数, 幾何, 解析が絡み合っていく様子を学ぶことができる.
- Nikolai Saveliev, Lectures on the Topology of 3-Manifolds: An Introduction to the Casson Invariant (2nd Edition, 1st Edition でも可), Walter De Gruyter, 2011
- Casson 不変量を主なテーマとして, 3 次元多様体論, 4 次元多様体論に関する基本的事項が多くの具体例とともに手際よくまとめられている.
- 今吉洋一, 谷口雅彦, タイヒミュラー空間論 (新版), 日本評論社, 2004
- タイヒミュラー空間とは曲面上の種々の幾何構造を「上手に」パラメトライズする空間であり, 現在でも様々な手法を用いて研究が進められている. この本はタイヒミュラー空間に関する代表的な教科書であり, 双曲幾何と離散群, 複素函数論, 微分幾何などを総合的に用いて, タイヒミュラー空間やそのモジュラー群 (曲面の写像類群) の構造を明らかにしていく.
俣野博 教授¶
- Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations (Universitext), Springer, 2010
- 関数解析の基礎からソボレフ空間, 偏微分方程式の理論にいたるまでを系統的ににカバーした教科書である. 1983 年に同じ著者が出版した関数解析の教科書 (フランス語) は, 世界各国の言語に翻訳されて広く読まれていたが, 今回は全面的な改訂が加えられており, 扱われている題材も最新のものが増えている.
- Applied Functional Analysis: Applications to Mathematical Physics (Applied Mathematical Sciences) (volume 108)
- Eberhard Zeidler, Applied Functional Analysis: Main Principles and Their Applications (Applied Mathematical Sciences, volume 109), Springer-Verlag,
- 関数解析学の基礎理論を, 豊富な具体例や応用問題を通してわかりやすく解説.
- John L. Troutman, Variational Calculus and Optimal Control, Springer, 1995 (second edition)
- 変分法の入門的教科書である. 主として 1 変数の問題を対象としているが, フェルマの原理や等周問題をはじめ多くの重要な古典的問題をカバーしており, 最適制御問題も扱っている. 本書では, 汎関数が凸である場合に焦点を絞ることにより, 関数解析の高度な知識を用いなくても最小化問題を厳密に論じることができるように配慮されている. 具体例を通して背景の理論を学ぶスタイルなので読みやすく, また, 変分法の発展の歴史に関する記述も充実している.
河澄響矢 准教授¶
- J.-P. Serre, Oeuvres - Collected Papers, Vol.1, Springer, 1986, 2003,
- Serre の初期の代数トポロジーの論文を順番に読む. トポロジーの基本的な道具であるスペクトル系列の習得を目的とする. 学内の PC から原論文の pdf が取得可能なので, テキストを購入する必要は全くない.
- 荒木捷朗, 一般コホモロジー, 紀伊國屋書店, 1975
- かなり古い本である. それにもかかわらず本書を推薦する理由は Brown 函手, K コホモロジー, ボルディズム, スペクトル系列, 一般コホモロジーなどの位相幾何学の一般教養を身につけておくことが, 将来, 役に立つだろうと思うからである.
- Francois Labourie, Lectures on Representations of Surface Groups, European Mathematical Society, 2013
- 曲面の基本群からリー群への準同型の全体の空間は, 低次元多様体を研究するための基本的な道具となっている. 本書では, 曲面, ベクトル束, ねじれ係数コホモロジーなどの基本的な事柄の学習からはじめて, 曲面の基本群からリー群への準同型の全体の空間についての概観をうるところまでを扱っている. なお, テキストは著者本人の website http://www.math.u-psud.fr/~labourie/preprints/pdf/surfaces.pdf からも入手可能.
新井仁之 教授¶
- 藤田宏, 黒田成俊, 伊藤清三, 関数解析, 岩波書店, 1992
- 関数解析学の基礎事項が丁寧に解説されている. その応用として偏微分方程式が取り上げられている. セミナーではこの本の前半を読むことを目標とする.
- Walter Rudin, Functional Analysis, 2nd edition, McGraw-Hill, 1991
- 関数解析学の入門書. 多くの話題がコンパクトにまとめられ, 関数解析に関する基礎事項が組織的に学べる. 主な内容は位相線形空間, 超関数, フーリエ変換, 線形偏微分方程式への応用, タウバー理論, バナッハ環とスペクトル理論, 作用素半群の基礎などである.
- I. ドブシー, ウェーブレット 10 講, 丸善出版, 2012
- ウェーブレットの著名な研究者による有名な教科書. 入門書の決定版といっても過言ではない. ウェーブレットは 20 世紀末期に現れた新しい数学で, 関連応用分野に革命的な進展をもたらせた. たとえばディジタル信号処理などはその典型例である. 本書ではウェーブレットの数学的基礎をしっかりと学べる.
辻雄 教授¶
- A. Weil, Basic Number Theory, Springer, 1992
- 前半は adele, idele の観点からの代数体および有限体上の 1 変数関数体の理論, 後半は局所類体論, 大域類体論を扱っている.
寺田至 教授¶
- 岡田聡一, 古典群の表現論と組合せ論 上・下, 培風館, 2006
- 複素数体上の古典群 (一般線型群・特殊線型群・直交群・シンプレクティック群) の表現, およびその構成に深く関係する対称群の表現と, さらにそれらに関する組合せ論的な結果などを総合的に扱った本. リー環の一般論から入るのではなく, 具体的な群 (やりー環) の特性を生かして表現を考察する視点をとっている.
松尾厚 准教授¶
- Pavel Etigof and Olivier Schiffman, Lectures on quantum groups, Internatinal Press, 2002
- 量子群と関連する様々な話題の概略を広く網羅した講義録である. 主なトピックスとしては, ポアソン代数, ホップ代数とテンソル圏, 量子展開環, ドリンフェルト・ダブル構成法・ KZ 方程式, 擬ホップ代数, ポアソン・リー群の量子化, 多重ゼータ関数などがあり, どれも興味深い. 気に入ったトピックスについては, 本書を離れて原論文等にあたり, 詳しく学ぶのも良いだろう.
- Frenkel-Lepowsky-Meurman, Vertex operator algebras and the Monster., Academic Press, 1988
- Lie 代数への入門から書き起こして頂点作用素代数とモンスターについて詳細に論じている.
- Kassel, Quantum Groups, Springer, 1995
- 量子群と関連するホップ代数・テンソル圏・ KZ 方程式などの豊富な話題について丁寧に解説している.
- W. Ebeling, Lattices and codes, Springer, 2013
- 格子 (lattice) と符号 (code) は代数的組合せ論に位置づけられる概念だが, 有限群論・リー環論・代数幾何・位相幾何などの様々な分野に様々な形で登場し, 非常に興味深い研究対象である. 本書は, 格子と符号について読みやすく丁寧に書かれた定評のある入門書である.
長谷川立 准教授¶
- Herbert B. Enderton, A Mathematical Introduction to Logic, Academic Press, 2001
- 標準的な数理論理学の教科書です. 読みやすく丁寧に書かれていると評価されています. 基本的なところから書かれているので, 初学者であっても読めると思います. 基本的な事項をすでにマスターしている学生であれば, 途中から読むのもよいと思います.
- Saunders Mac Lane and Ieke Moerdijk, Sheaves in Geometry and Logic, Springer, 1992
- 層の概念は, 幾何などではポピュラーですが, 論理学にも緊密な関連があります. また, プログラミング言語のモデルの構成にも用いられたりして, 計算機科学での素養にもなっています. 丁寧に書かれていて, 読みやすいテキストだと思います.
宮本安人 准教授¶
- A. Ambrosetti and G. Prodi, A Primer of Nonlinear Analysis (Cambridge studies in advanced mathematics 34), Cambridge University Press, 1993, (Paperback 1995)
- 非線形楕円型偏微分方程式に関する入門書. 関数解析に関する基礎事項から始まり, 陰関数定理を利用した解の存在証明, 解の個数, 分岐現象の一般論とその応用等を扱っている.
川又雄二郎 教授¶
- Arnaud Beauville, Complex Algebraic Surfaces, Cambridge University Press, 1996
- 代数曲面論は幾何学的代数多様体論の故郷である. 双有理変換, 交差理論, 層の完全列などの基本的手段を通して代数曲面の分類理論を学ぶ. Hartshorne などの教科書で展開されている代数幾何学の抽象論だけではその意味がよくわからないという人に最適.
- Lucian Badescu, Algebraic surfaces, Springer, 2001
- 代数曲面論は代数幾何学の故郷である. エンリケス=小平の曲面論を基礎体の標数に依存しない形に拡張したマンフォード=ボンビエリ理論の解説. 現在欧米で活躍しているルーマニア人中堅研究者は著者の弟子が多い. ルーマニア語からの翻訳.
稲葉寿 准教授¶
- H.L.Smith and H.R.Thieme, Dynamical Systems and Population Persistence, AMS, 2011
- 人口学や生態学, 疫学における数理モデルの多くは個体群の自己再生産と非線形相互作用を表現する力学系として定式化される. そこで基本的な問題は, 個体群が絶滅するか, 存続するかということである. 本書はそこで基本的に重要となるパーシステンスという概念の理論と応用を述べている.
- Hal L. Smith and Horst R. Thieme, Dynamical Systems and Population Persistence, Amarican Mathematical Society, 2011
- 生物個体群モデルの基礎概念に, 存続可能性 (persistence) がある. これは通常の安定性などよりはずっと広い概念で, 最近の個体群力学系研究におけるキー概念になってきている. 本書は個体群力学系理論と persistene theory に関する厳密な数学的解説で, 本格的な数理生物学研究の基礎として非常に有効であろう.
野口潤次郎 教授¶
- L. Hoermander., Introduction to Complex Analysis in Several Variables. (Third Edition), North-Holland, 1990
- $\bar{\partial}$- $L^2$ 法による多変数解析関数論の名著.
志甫淳 准教授¶
- Qing Liu, Algebraic geometry and arithmetic curves, Oxford University Press, 2006
- 代数幾何学, 数論幾何学において必須であるスキーム理論について書かれた本である. 可換環論および位相空間論の基礎的な知識が必要である.
- J.W.S Cassels and A. Frohlich, Algebraic Number Theory, Academic Press, 1967, London Mathematical Society から出版の 2nd Edition (2010 発行) もあり.
- 局所体, 大域体についての基礎から始まり, 群のコホモロジーを通じて局所及び大域類体論を証明している本.
今野宏 准教授¶
- Ana Cannas da Silva, Lectures on Symplectic Geometry, Springer, Lecture Notes in Mathematics 1764, 2001
- シンプレクティック幾何学の入門書です. 前半では基本的な概念, 性質が解説されています. 後半では, モーメント写像の幾何がさまざまな例とともに解説されています. 幾何学 I (多様体), 幾何学 III (微分形式) の基礎的な部分を理解していれば, 無理なく読み進められると思います.
織田孝幸 教授¶
- Marc Hindry and Joseph H. Silverman, Diophantine Geometry. An Introduction (GTM 201), Springer, 2000
- 不定方程式に関する現代的な研究手法の入門書. もちろん, 全部をやろうなどとは思っていない. 同種の別のもっと薄いものに変えることも可能です.
- Branko Grünbaum, Convex Polytopes (GTM 221), Springer, 1967 John Wiley and Sons, 2003 Springer
- Euclid 空間内の凸体に関する古典的なよく知られた本である. 織田の専門とは少し違うが, 現在の研究に使えるかもと読んでみる気になる. 付き合ってくれる人を歓迎します.
高木俊輔 准教授¶
- 宮西正宜, 代数幾何学, 裳華房, 1990
- スキーム論から代数曲面論までの基本的な事項が解説してある, 代数幾何学の標準的な入門書. 学部 3 年生までの知識で読み進められるように配慮されている.
- 樋口禎一, 吉永悦男, 渡辺公夫, 多変数複素解析入門, 森北出版 1980
- 解析空間・解析的特異点論の入門書. 2 次元正規特異点について詳しく述べられている. Riemann 面の知識があることが望ましい.
- Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag, 1977
- 世界的に有名な, 代数幾何学の標準的な入門書. 可換環論の基礎知識 (Atiyah-Macdonald"Introduction to Commutative Algebra" 程度) があることが望ましい.
大島利雄 教授¶
- 柏原正樹, 河合隆裕, 木村達雄, 代数解析学の基礎, 紀伊國屋書店, 1980
吉田朋広 教授¶
- D. W. Stroock, Probability Theory, Cambridge, 1993
- 確率論の基本的な題材を扱っている.
- I.A. Ibragimov, R.Z. Has'minnskii (S. Kotz 訳), Statistical estimation: asymptotic theory, Springer, 1981
- I-H 理論を確立した著者による教科書.
- Patrick Billingsley, Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics) 2 版, Wiley-Interscience, 1999
- 確率測度の収束の基礎理論とその応用に関して平易に解説している. 本書の主なテーマである C 空間, D 空間の理解は確率統計分野に進む場合は必須である.
寺田至 准教授¶
- 岡田聡一, 古典群の表現論と組合せ論 上・下, 培風館, 2006
- 複素数体上の古典群 (一般線型群・特殊線型群・直交群・シンプレクティック群) の表現, およびその構成に深く関係する対称群の表現と, さらにそれらに関する組合せ論的な結果などを総合的に扱った本. リー環の一般論から入るのではなく, 具体的な群 (やリー環) の特性を生かして表現を考察する視点をとっている.
山本昌宏 教授¶
- L. Evans, Partial Differential Equations, American Mathematical Society, Providence, RI., 2000
- 英語ではあるが, 古典的な偏微分方程式についての包括的な解説であり, 研究者として必要な偏微分方程式の知識を得ることができる.
髙木寛通 教授¶
- Hartshorne, Algebraic Geometry (Springer GTM 52) Springer 1st ed. 1977. Corr. 8th printing 1997 版 (1997/4/1) (日本語版を参照しても構わないが, 英語版で読むのが望ましい).
- 1 章は 4 年生に進学するまでに自習しておくこと. その際, 必要な可換環論の知識も補っておくこと.
- 言わずと知れた代数幾何学の有名な教科書. たぶん, これを志望してくる人に説明は無用と思う.
- デビッド コックス, ドナル オシー, ジョン リトル, グレブナ基底と代数多様体入門, 丸善出版, 2012
- イデアルの生成元を実際に求めるときなどに有効なグレブナ基底という概念を通して, 代数幾何の初歩を, 実際に手を動かしながら学べる. 予備知識はほとんど必要としない. 可換環論についても丁寧に説明してある.
三枝洋一¶
- Ulrich Görtz and Torsten Wedhorn, Algebraic geometry I. Schemes with examples and exercises, Vieweg + Teubner, 2010
- 志村多様体論などで活躍中の数論幾何の研究者によるスキーム論の本. 丁寧な説明と豊富な例が特徴である.
- Armand Borel, Automorphic forms on $SL_2 (\mathbb{R})$, Cambridge University Press, 1997
- 保型形式の現代的な扱い方である保型表現についての入門書.
二木 昭人¶
- 小林昭七, 複素幾何, 岩波書店, 2005
- 複素幾何の標準的教科書. 層, ベクトル束の接続, チャーン類, ホッジ理論, 小平消滅定理など. 調和積分論の証明はないので, Griffiths-Harris で補うと良い.
- Gang Tian, Canonical metrics in Kahler Geometry (Lectures in Mathematics, ETH Zurich), Birkhauser, 2000
- ケーラー多様体に標準計量を与える問題を扱う. 標準計量とはカラビ・ヤウ計量, ケーラー・アインシュタイン計量などのこと.
宮本安人¶
- A. Ambrosetti and A Malchiodi, Nonlinear Analysis and Semilinear Elliptic Problems (Cambridge studies in advanced mathematics 104), Cambridge University Press, 2007
- 半線形楕円型方程式の解析に有効な手法のうち, 位相的方法 (写像度の理論) と変分法について, この方面の研究で著名な Ambrosetti 氏と Malchiodi 氏自身で解説している. 具体例が豊富で記述も明快である. 後半は最前線に近いトピックスも扱われている.
- 宮島静雄, ソボレフ空間の基礎と応用, 共立出版, 2006
- 偏微分方程式の研究で欠くことのできないソボレフ空間を扱った和書. ソボレフの埋め込み定理, 拡張定理, レリッヒの定理, 補完定理, トレース作用素など基本的な定理が解説されている. 応用として楕円型方程式の解の存在や正則性なども扱われている.
不明¶
- Manfred Einsiedler and Thomas Ward, Ergodic theory with a view towards number theory, Springer-Verlag London, Ltd, 2011
- タイトル通り, 整数論への応用を意識したエルゴード理論への入門書です. Chapter 1 で応用例を概観できます. エルゴード理論の抽象的側面についても充実しています.
- Bachir Bekka, Pierre de la Harpe, and Alain Valette, Kazhdan's property (T), Cambridge University Press, 2008
- 群の解析的性質の一つである Kazhdan の性質 (T) についての入門書です. 本の後半では, ユニタリ表現の基礎的事項がまとめられています.
加藤晃史¶
- Pierre Deligne, Pavel Etingof, Daniel S. Freed, Lisa C. Jeffrey, David Kazhdan, John W. Morgan, David R. Morrison, Edward Witten, Quantum Fields and Strings: A Course for Mathematicians, Vol 1 & 2, American Mathematical Society, 1999
- 1996-97 年に米国プリンストン高等研究所で行われた 数学者向けの場の量子論や弦理論の勉強会の報告集. いろいろな話題について, 長短さまざまな講義録や演習問題が集められている. 全部で 1500 ページもあるので, セミナーではいくつかの章を選んで読むことになるだろう.
Can one hear the shape of a drum?¶
本文¶
yuki_migo さんをメインの対象とした実解析関係のセミナーの内容を作っているが, その中で関連する数学の紹介として Marc Kac の有名な【Can one hear the shape of a drum?】を出す予定だ. 折角なので原論文をきちんと読んでみようと思い立ち実行に移した方の市民だった. ここに論文が置いてあったのでそこから取った. まずいのではないかと思うのだが大丈夫なのか.
P.3 Of special interest (both to the mathematician and to the musician) are solutions of the form \begin{align} F (\vec{\rho}; t) = U (\vec{\rho}) e^{i \omega t}, \end{align} for, being harmonic in time, they represent the pure tones the membrane is capable of producing.
単音 (と呼んでいいのか?), 音楽にとっても重要というの, 面白かった. 言われてみればそうなのか.
P.3 終わりから P.4 冒頭部で, 有名な「 Laplacian のスペクトルから領域の Euclid 幾何的合同性が証明できるか」という問題が提出される. 元々 10 年程度前に Bochner が言い出した問題らしい. そして Bers が次のように言ったという.
"You mean, if you had perfect pitch could you find the shape of a drum."
Laplacian のスペクトルに領域の情報が埋まっているというの, 応用上 (?) はそれなりに分かる話と言ってもいいのかもしれないが, 数学的には結構衝撃的な印象ある: 少なくとも初めて聞いたときの私には. そして今でも新鮮な驚きがある.
P.4 で Milnor の結果, 「 Laplacian が全く同じ固有値を持つにも関わらず合同でない 2 つの 6 次元トーラスの構成」を引用している. Milnor も無茶やるな, という感覚がある.
P.4 Section 4 で物理学者 Lorentz の講演からの引用がある. 要は黒体輻射の話だが, 今まで黒体輻射とスペクトル幾何を結びつけて考えたことがなかった. 専門に限りなく近いにも関わらず. ちなみに Lorentz が提出したこの問題はその場にいた Hermann Weyl (もちろんあの有名なワイル) が, その少し前に Hilbert が作りあげた積分方程式の理論を使って解いたらしい.
そのあと, 統計力学というか確率論というか, その辺の定式化を使った議論をはじめ, 直観的な結論を出す. このあたり, 確率論の人なのだなという感じある.
P.8 Section 6 では次のように語っている.
It would seem that the physical intuition ought not only provide the mathematician with interesting and challenging conjectures, but also show him the way toward a proof and toward possible generalizations.
P.14 で Brown 運動が出てきた. 確率っぽい話になるのか. 確率論を使って wild な境界でも議論でき, 一般化された解の自然な定義ができるという話だった.
何かもっと確率っぽい話をするのかと思ったらそうでもなかったが, 確率の人から見るとどうなのだろう. 確率論, それなりに漸近解析を使うイメージがあり, 漸近解析が議論の基本だったから, その意味では確率論で培った技術を全面的に使っていると言えるのかもしれない. ただし確率論には詳しくないのでこの見方が正しいのか不明.
幾何と解析が密接に結び付いていること, 特に個人的には作用素・スペクトルの解析をしているというのがとてもとても楽しい. ふんわり雰囲気を楽しむ感じの論文 (元が講義録のようだ) ということもあり, そんなに堅苦しくもなく, 物理と数学の相互作用的なところも強調されていて, 学部低学年で解析/ 幾何に興味がある向きはちょうどよく刺激を受けられる内容だという印象. こういうのを私もやらなくてはいけない. これをネタにしてセミナーするのもいいかもしれない. 検討しよう.
ラベル¶
数学, 幾何学, スペクトル幾何, 漸近解析, 数理物理, 統計力学, 積分方程式
大学によるオンライン無料講義が出たとしても大学含めしばらく「学校」の意味は失われない¶
本文¶
我らが Paul による教育に関するこんなツイートがあった. ちなみに 以前当人から Paul と呼ぶように言われたのでそうした.
オンラインの無料講義はどんどん公開すればよい. もっとも効率化できると思われる大学低学年教育を考えても, これだけ微積や線型代数のわかりやすい教科書・問題集が世にあふれているのに, 独習できてる学生が少ない. その現状を思えば, オンラインですべてが置き換わるはずがないのだ.
かなり前だが MIT かどこかが全講義をオンラインで動画配信しているとかいうニュースを見たことがある. 動画配信にしろ PDF などの配布にしろ, オンラインの教材がいくら充実しても, 少なくともしばらくは従来通りの学校での教育に完全に置き換わることはないだろう. 理由は簡単で, 一人での孤独な学習に耐え切れる人間はそうはいないからだ. また, 従来通りの対面の学習は時間・空間的な強制力が強い. この強制力に代わる何かがオンラインで実現できない限り, 怠惰な人は勉強が進まない. そしてほぼ全ての人間は怠惰なので要はどうにもならない.
後者とも関わるが, 「一人での孤独な学習に耐え切れる人間はそうはいない」という点がおそらく決定的に大事. 友人などと「やはりお前もここは分からないか. 自分も分からなくて困っている」などなど, 色々な形で具体的に共感しつつ共に学べる人が近くにいるのといないのでは精神衛生上大きな違いがある.
やり方にもよるが, オンライン教育だとやりたいところだけやるということにもなりがちな印象があるが, これはあまり良くない. 先々で何が役に立つかは分からない. 現状の専門家が将来に渡って役に立つだろうと思った内容を, とにかく強制で一通り学ぶというのは意味のあることだろう. 情報関係など移り変わりの激しい分野はあるだろうが, 基礎体力として身につけたことはそう無駄にはなるまい.
頭がおかしい人による相当にアレなものもネットには落ちているし, 玉石混交で結構怖いところはある. 大学教員にも時々アレな人はいる. 元はまともだったのに時とともにアレになってしまう人もいる. 大学から出ている教材だからといって無条件に信頼できるものでもない, とか言い出すとまた大変なことになるが, 要は自分の目も磨きつつ一所懸命勉強するしかないということでお茶を濁しつつ無責任に終わりたい.
ラベル¶
数学, 教育
YouTube にある数学講義: 筑波の照井先生による線型代数の講義¶
本文¶
筑波の照井章先生による化学類対象の講義が YouTube に上がっていた. 線形代数 I (2013) (9) 特殊な行列 (1) (Linear Algebra I (2013), Lecture 9)という動画だ.
軽く見た程度だが, 他にも慶應の統計学の講義はあった. Fields 賞受賞者である Connes の動画もあったりするし, 英語でも色々な動画がある. 興味がある人は色々探してみると面白いだろう. 私はとりあえず日本語での配信で, 普通の講義では触れないようなラインを狙っていくつもりだ.
ラベル¶
数学, 数学教育
第4回関西すうがく徒のつどい¶
第 4 回関西すうがく徒のつどいに向けて逆問題の勉強を始めたので¶
勉強の記録¶
はじめに¶
夏のつどいに向けてちびちび勉強を始めている. のーてぃさんの話を聞いて応用向けの話がもう少しあった方がよいのではないかと思ったので, 逆問題というところで話をしようと思い, 本も買ってみた.
元々「逆問題の数理と解法-偏微分方程式の逆解析」は持っていたのだが, 今回「熱方程式で学ぶ逆問題」を買ってみた. 前者は双曲型と楕円型が主で放物型があまりない感じだったので.
逆問題について¶
逆問題は講義を受けたことがあるので多少は知っているのだが, 改めて勉強という感じ. 講義の担当教官が実際に企業との共同研究をしている人だったので, 応用上の意味などの解説もあって楽しい講義だった. 物理として当然成り立ってほしいことが定理として出てくるとニヤニヤしてしまうので, 周りにいた人は実に気持ち悪かっただろう. 申し訳なかったと虚空に向けて祈りを捧げている.
ちなみに山本先生については web 記事などもあるのでそれを紹介して終わりたい. 新日本製鐵の溶鉱炉に関する記事 だ. 山本先生主催の逆問題のワークショップなどにも出たことがあるのだが, そこでは数学側とその他 (ととりあえず大雑把にくくっておく) でコミュニケーションが非常に難しく, 言葉遣いを合わせるだけでも 1 年くらいかかったという話も聞けた. 第 3 回のつどいでののーてぃさんの話はおそらく一番質疑応答が活発だったと思うが, 応用側はお金もかかっていて必死だろうから, さらに大変だったろう. 社会や工学に役に立つ話をしろと言われると途端に「何だとこの野郎」という感じになるが, この辺の数学は私が好きな感じの特異性のある話が出てくるので結構好き. 数学的な焦点はその辺に合わせつつ, つどいが対象にしている幅広い層に訴えるような内容にもしていきたい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 逆問題, イベント
第 4 回関西すうがく徒のつどいのアブストが出揃った¶
本文¶
第 4 回の関西すうがく徒のつどい の講演概要が出揃ったようだ. 1 日目がこれ, 2 日目がこれだ. 8/7 から一般参加者の募集がはじまるので, 興味がある向きは注視されたい.
まだ中身を見ていない. これからゆっくり見よう. 私は『偏微分方程式の逆問題–拡散方程式の数学と物理と工学』というタイトルで話す. 専門外の話なのに結構突っ込んだ話が必要なので, 準備がとても大変で戦慄している. 頑張ろう.
ラベル¶
数学, イベント
第 4 回の関西すうがく徒のつどいに参加してきた¶
本文¶
9/21-9/22 と第 4 回関西すうがく徒のつどいに行ってきた. 端的にいうと「楽しかったです. 終わり」なのだが, どうしようもないのでもう少し書く. 基本的に普段自分が自覚的に触らないのを中心に聞いてきた.
『代数学における選択公理』¶
1 日目の 1 発目ではブルブルエンジン兄貴の『代数学における選択公理』を聞いてきた. まとめはこの辺. 代数弱者なので細部がさっぱりだし, 有限生成な (可換) 環なんて普段使わないのでそれ困るの? というところからこう色々とアレなのだが, まあそんなものなのだろうということで適当に脳内処理した. 3 つテーマがあって, 環これと変な $\mathbb{Q}$ の代数閉包と入射性・射影性の話. エンジン兄貴のホームページに PDF が出るそうなので, 興味がある向きは確認してみよう.
まずは話題の「環これ」から始まった. 選択公理なしで変な環 (の存在を許すモデル?) を作ることで, 選択公理ないとやばいという話. Noether と Artin が一致しないとか何とかそういう話. 少なくとも加群については Artin 性と Noether 性が一致しない例があるので, それが一致しないことはそんなに重大なのだろうかとか色々気になるところはあるが, もう少し代数をきちんとやらないと何ともいえない.
その 2 として変な代数閉包の話. 選択公理がないと代数閉包の (一意性) 存在が言えないらしいが, 何かその辺. ZF で変なサポートを持つ $\mathbb{Q}$ の代数閉包 $L$ が作れる (モデルがある?) らしく, そういう話. この $L$, 非自明な絶対値がないとか Galois 群が自明とか相当やばい. 議論の主軸は上記の変なサポートがあるということのようだ.
その 3 は入射性と射影性の話. 一番印象的だったのは, 入射と射影は双対的な概念なのに射影の方が同値条件など何か面倒なことになっているということ. 入射のときと射影のときで, 証明自体かなり違うようで, 単純に双対で写せば簡単に終わるというわけでもなく, 証明自体も射影の方が何か面倒だという話だった. 選択公理についても双対的な概念を導入すればひょっとしたら綺麗になるかもしれないがよく分からないね, ということでその場はまとまったのだが.
ブルブルエンジン兄貴が PDF をアップした. 興味がある向きは確認しておこう.
つどいの発表内容をアップロードしました. http://alg-d.com/math/tsudoi4.pdf
@alg_d 関連ページ
1 発目の裏番組でぞみさんが『外から数学を眺めてみよう』というテーマで話をしていた. もちろん聞けていないのだが, 1 年生なのに積極的に発表をしていて素晴らしい. 今度何か教えてもらおう.
『偏微分方程式の逆問題–拡散方程式の数学と物理と工学』¶
お昼を挟んで 2 つ目の話は市民講演枠と勝手に自称した市民トークだった. どなただったか失念したが, あとで直接コメントを伺ったところ「あまり逆問題の話はなかった」という実に真っ当なご指摘を頂いた. 申し訳なかった. これもあとで DVD にする予定だが, そのときにはもう少し突っ込んで内容を増やす予定.
数学として突っ込んだ話よりも, 物理や工学で数学を使っていく上で何が難しいかといった話や, 物理・工学的に考えてどうかという部分を中心にしてきた. 例えばシミュレーションに関わる問題として, 解の存在や一意性, 安定性が現実的に決定的に大事になる. 本当にお話だけだが, シミュレーションする上でまともな時間内で計算結果を出すことをも大事であって, プログラミングや計算効率・収束速度についても真剣に検討する必要がある, みたいなことにも触れておいた. あと拡散方程式自体, 本当に現象をきちんと表現しきれているのかという問題とか.
目的としては次のような感じ. つどいで物理・工学系の話題が少ないため, どういうリアクションが返ってくるかまで含めて試験的にやってみたい. 物理の学部生が当たり前と思っているくらいのことで, どこまでが本当に当たり前として通じるかというところを知りたい. 少なくとも超弦関係では物理と数学の交流が活発になっているので, そうした業界に足を踏み込もうという数学の人にとっては物理の人間の感覚を把握しておくと, 交流しやすくなるだろう. 必ずしも伝統的な数学の意識下にない話題でもあり, そうした数学に馴染めない人がこうした境界分野に活路を見出せるかもしれない. また, つどいに来る人の中で数は少ないだろうが, 物理や工学など非数学の人が数学の人と交流するとき, 自分の常識について自覚的に話せるようになれば交流がスムーズにいくようになるだろう, ということもある.
まずは逆問題というのが何かというのを具体例を挙げていくつか説明した. 数値計算を数学方面からやっているうださんが, 話は大雑把には知っているが具体例をあまり知らなかった, と言っていたので, いくつか挙げておいて良かったのだろうと思っている.
拡散に関する物理的な問題の説明とか, 「物理として」何が難しいのかとかそういう話を展開したあと, 解の存在・一意性・安定性が応用上どういう意味があるのかを数値計算を例に説明し, 最後に拡散方程式の解の非現実性とその解釈について話してきた. 物理の人にとっては当たり前なことしか言っていないが, 数学の人にとっては当たり前ではないのだろうと想定した話.
実際に全体的にどうなのかはまだ良く分からないが, 数学の人からも「面白かった」という反応を得られたのでとりあえずよしとする.
あまり突っ込んで感想聞かなかったので, アンケートの内容で反省しつつそれを活かして DVD でブラッシュアップする予定. あと, ばんぬさんとかに必要なら数学的に突っ込んだ話をセミナー的に何かやるので, 必要なら呼んで, という話とかしてきた. あと, ひさこさんに「今回はほとんど数学の話をしなかったが, もっと数学チックなアレについてはリクエストがあれば, できる範囲で答える」的な話もした.
ちょっと話はずれるが, 休憩のとき, 数理物理的なアレをやろうと思っているという学生さんと話した. 構成的場の量子論は基底状態の存在とか物理としてはどうしようもないことをやっていて, 赤外発散などを数学的にきちんとしていきたいという強い数学的モチベーションがあればいいかもしれないが, 「物理」をガンガンやっていきたいという人にはつらいということ, 物理, 特に研究がやりたいなら素直に物理学科に行った方が楽しいはずだということを話してきた. もちろん人が来てくれた方が嬉しいが, やりたいことが何かを考えてそれをきちんとやった方が精神衛生上もいいだろうから.
圏論における再帰的関数¶
3 限目はうださんの『圏論における再帰的関数』の話を聞いてきた. まとめはこれ. 始対象とか圏論の基本的な概念を全く把握していないので, その辺は結構つらかったが, プログラミング周りで何か理解のとっかかりは掴める的なところを把握してきた. fold と banana が同じものと聞いたのが一番の収穫だったと思う. つどい, 何故か圏の話多い印象を受けるので, もうちょっと勉強したい. 参考文献の本を買おうと思ったが 16,000 とかハイパー高いので泣いた.
何か普通の数学の圏の本を読もう.
懇親会とそのあと¶
コミュ力低いのであまり色々な人と話せなかった. 2 日目は参加しないというのを後で知った一ノ瀬さんとはもう少し話しておくべきだったと反省している. 講演中に受けたもの含め, いくつか質問も頂いたのだがあまりまともに答えられなかったのも猛省している. あと, 実際に企業で数値解析している方ともお話したのだが, やはり話に力がある. 専門でもなければ実際に数値計算したこともないので, そういう人間の話にはどうしても限界があるというのを思い知った. 次回話をしたらどうかと勧めてきた.
夜, こう講演について色々と反省したし早めに反省点をまとめておかないと忘れてしまう, と思いつつ早く寝ないと明日がつらいというので無理矢理寝たが, 0 時頃に起きたあとに反省をやってしまい, 2 時間くらい寝られなくなったのでつらい.
食パンの耳『作用素環論入門』¶
2 日目 1 つ目はパン耳パイセンのやつを聞きに行った. まがりなりにも作用素環専攻だったのに何も知らないのもまずいな, と思っていたので. 「入門詐欺だ」という話が Twitter で出ていたが, ぎりぎりまで配慮はできていたと思っている. AF 環だったし「1-2 年でも雰囲気が掴めるように」と思うと本質的にこのくらいのところしかやりようもない気はする. (本質的に) 行列環くらいでもかなり凄まじい話が展開できるということは分かるだろうし, 学部 1 年で学ぶ線型代数だがなめてはいけないということくらいはきちんと伝わっているだろうと思いたい. 幾何でも出てくる (はずの) $K$ 群とか Grothendieck 構成とか, 出てきたキーワードも覚えておいて損はない.
ちなみにこれの裏番組で関真一朗さんの『290 定理』というのがあったのだが, これが評判よかったので是非聞いてみたかった. 実際どちらに行こうか迷っていた. 後で PDF とか読んでも講演者の語り口や雰囲気というのは完全に再現できるものではないので, かなり残念. 休憩時間に少し話を聞いたのだが, とても面白い話をする人だったので, 余計に残念感が高まる. 証明もかなり泥臭く楽しい感じだったらしい. 楽しそう.
なゆた『有限オートマトンの基礎』¶
2 つ目は『有限オートマトンの基礎』の話を聞いてきた. この間川添愛さんの『白と黒のとびら オートマトンと形式言語をめぐる冒険』というのを読んだのだが, かなり面白かった. その抽象版に触れてみようということで聞いてみた.
正規表現との関係やらプログラミングとの関連が楽しい. その辺結構好きらしいということに気付いた.
eno『カウンターパーティ・リスクと CVA』¶
最後の話は eno さんの話を聞いてきた. 金融工学とかその辺の話. 一番心に殘ったのは数値計算に関する時間感覚の話だった. 1 分どころか 1 秒すら問題になる状況で, 計算が終わるのに数分かかるのはもはや死刑宣告に等しいとのことで, 実務に携わる人の言葉の重みを感じる. 数学を使う実務経験などは全くないので, その辺の味, 私には出せない.
次回何を話そうかというところを早速考えている. 一応, ニコニコで動画にもしたページランクの話を考えてはいる. 今回横田さんがグラフ理論の話をしていて一応その周りだし, これで使う Perron-Frobenius の物理への応用もある. 90 分講演にして最後, Hubbard の話につなげるという線で物理まで絡める線も検討している. あと, これまた関西だがぶつりがく徒のつどいでも何か話してみたい. DVD とかでこの交通費・宿泊費くらいは軽く賄えるようにしていきたい.
ラベル¶
数学, イベント
Twitter まとめ: 非可換確率論と自由確率論¶
非可換確率論¶
この世界には非可換確率論というよく分からない確率論がある. 代数的確率論という言い方もある. その昔「確率論は代数ではないのですか」という人もいた (数学まなびはじめにそういうエピソードがあった) ようなので, わざわざ「代数的」というのをつけるというのも隔世の感があるのかもしれない. (ちなみに代数的というのはいわゆる高校でやるような内容を想定してそういう発言になったようだ. 詳しくは数学まなびはじめ参照.)
Twitter でそれについて少し話をしたので簡単にまとめておきたい.
やり取り¶
確率論モチベを高める必要がある.
@ccccccccandy そこで非可換確率論
@alg_d @ccccccccandy 代数的確率論の地平
非可換確率論って, 確率変数のなす環を非可換にするやつ?
@LT_shu 私が知っているのは, 可換なフォンノイマン環は大体 $L^\infty$ になり, 可測集合の情報を持っているという所から非可換なフォンノイマン環あたりを基礎に議論する話です. 実際非可換ラドンニコディムとか非可換条件付き期待値というのがあります
@phasetr 自由確率論というやつですよね. お話として聞いたことはあります.
@LT_shu 自由確率論はまた少し違います. 自由もフォンノイマン環使いますが, 非可換確率論といった時には, 極端にいえばフォンノイマン環論そのものを指すことすらあります. 私が知っている範囲では結構大雑把な言葉です
@phasetr ああ, 違うのですか. 勘違いしていました. ありがとうございます. フォンノイマン環論全体を指すというのは確かに大雑把ですね. C*環論全体を非可換幾何学と呼ぶようなものでしょうか.
@LT_shu そんな感じです. 非可換な位相幾何学とか本当にいうことがあります http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/msj02.pdf
非可換確率論¶
まず非可換確率論だが, 基本的にはあまり厳密な意味付けはない. ひどい場合 von Neumann 環論全体を指すことすらある. ここで何故 von Neumann 環なのか, というところだ. 上にも簡単に書いてあるがもう少し説明しよう.
フォン・ノイマン環は $C^*$ でもある¶
まず von Neumann 環は $C^$ 環になる. 可換な $C^$ 環は局所コンパクト Hausdorff 空間上の連続関数環と同型になる. $C^*$ 環はノルム位相を入れてあるが, von Neumann 環には弱位相 (可換なら気分的に各点収束) の位相が入っている. von Neumann 環は連続関数の各点極限になるので, 大体可測関数くらいになる.
本当に $L^{\infty}$ (と同型) と言いたいなら測度の選択も大事だが, Riesz-Markov-Kakutani の定理があり, 測度がたくさんあること自体は分かっているので, 頑張って適当に選んでくれば, めでたく可換な von Neumann 環が $L^{\infty}$ と言える.
自由確率論は Voiculescu が自由群因子環の分類をするために考えた理論だ. 自由群の生成子の数とその自由群から構成される von Neumann 環の同型問題が昔からあるので, そこへのアタックのために考えられた.
適当な意味で非可換な確率論を考えてはいるのでこれも非可換確率論なのだが, 大雑把な言葉である非可換確率論よりは指す対象が遥かにはっきりしている. 今はどうなのか知らないが, 数年前に聞いた限りでは解析的にかなりえげつない議論をしていた. 名前などは忘れたが, 理論上重要な量が極限を使って定義される. その極限自体の存在はまだ分かっておらず, 暫定的に limsup を使って議論していた. 大偏差原理のレート関数としてエントロピーが出てくるとかいう話もある. 楽しそう.
「自由確率論を使った統計力学」というネタもあるらしい. あくまで数学としてそれっぽいことやってみよう, という話で物理の話ではないという認識.
ラベル¶
数学, 作用素環
九大の原隆さんとの初邂逅を果たした一方で論文投稿を勧められる方の市民¶
本文¶
Summer School 数理物理で原さんとの初邂逅を果たしたことなどは先日まとめたが, 呟きの方をまとめておきたい. これとかこれ.
明日, 原さんの講義を録音したいくらい原さんの語り口が気に入った方の市民
腹さんについては田崎さんのようなパンチャーを想定していた
@phasetr 腹→原. 数理物理で育ったはずの相転移 P 氏が柔らかいと感じるとは意外
@tetshattori これはひどいタイポ. それはともかく, 何と言うかこう, 田崎さんがかなり攻撃的な感じなので, どういう人なのだろうと思っていて, 語り口が凄く柔らかくて穏やかなかんじだったという程度の意味です. 講義内容についてはきちんとやるなら激烈ハードな内容です
@phasetr 田崎氏と長くコンビを組んでいる時点でおわかりと思いますが. ところでもう投稿しましたか
@tetshattori 投稿まだです. 先週関西すうがく徒のつどいのトークの準備があったのと今の Summer School 数理物理でブラッシュアップされるであろう状勢を見てからきちんと序文を書き直そうと思っていたもので. 新井先生からも是非出版するようにというご意見を頂きました
@phasetr 新井先生にも推奨されましたか. それは心強い
@tetshattori @phasetr 「田崎氏と長くコンビを組んでいる時点でおわかり」というと, 何が? (a) 原氏は温厚な人に決まっている (b) 原氏は温厚そうでも中身は攻撃的だとわかる (c) 田崎も攻撃的に見えて実は温厚 ← これか!
@HalTasaki_Sdot ああ, 悪いけど, どれも違ってて, @phasetr へのリプなので, 原・田崎についての何かではなく, 相転移 P さんの感想についてのある statement を示唆したのです
@tetshattori @HalTasaki_Sdot 何はともあれ, 以前も直接言いましたが, できることはやるのでイジング本で何かあれば適当に声をかけてください. イジング周りはともかく, 現状の非相対論的構成的場の理論周りなら私の知見と能力はまだ使い物になるようだと分かったので
@phasetr その前に論文を投稿することを勧めます
@tetshattori 頑張ります
論文投稿を勧められる方の市民だった. 頑張ろう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 数学者, 物理学者, 数理物理学者
小林昭七先生についての記事を書いていたら小林久志先生からお問い合わせを頂いたでござるよの巻. あと http://www.shoshichikobayashi.com¶
はじめに¶
先日, 数学セミナーの小林昭七先生特集号を読んで, それに合わせて書評:数学まなびはじめ 第 1 集 小林昭七という記事を書いたが, これを検索で見つけたという小林先生の弟君であるところの小林久志先生からご連絡を頂き驚いた.
やりとりの記録¶
昭七先生の随筆などを探していて, このサイトを見つけたという. 該当記事のコピーを送ってほしいとのことだったのでお送りした. あと昭七先生の方のサイトがあることを教えて頂いた. 英語版がこれ, 日本語版がこれだ. メルマガでニュースを配信してくれるとのことなので, 興味がある向きは是非登録しよう. サイト右上に登録リンクがある.
久志先生の方, 数学セミナーの昭七先生特集号にも 寄稿していたし, その記事でだったか, 「大学生の頃の昭七先生が弟の勉強の面倒を見ていた」とかいう記述を見たことがあったので, こう中高生くらいのままのイメージだったのが 突如プリンストンの名誉教授として自分の目の前に現れた感があり, 何かこう色々なものを感じて楽しかった.
こうアレだ, ブログやニコニコの動画は数学または物理で頭がどうにかしてしまった人向けに書いてはいるという名目ではあるものの, 「子供の頃の自分がこんなのがあったら喜んだ」というラインで作っているため, 広い意味では純粋に自分のためと言える. 今回このような面白い体験ができたのもブログを書くようにしたからなので, 皆も適当に自分が面白いと思ったことを世に出していくとこう色々と楽しくなるから皆もやって私を楽しませてほしい, というようなことを言いたい. 黒歴史にもなりうるので用法用量に気をつける必要はあるものの, 小さいことを気にしていると大きくなれないと社会が言っているので, それを真に受けていきたい.
ラベル¶
数学, 数学者, 小林昭七
ささくれパイセンの確率的善導¶
はじめに¶
ひさこさんにささくれパイセンの善導が入ったので記録しておこう.
やり取り¶
もちろんその先も勉強し続けたいし知りたいけど今自分がもっとも勉強したい分野って確率微分方程式だけどはるか先‥‥
@ml_hisako ルベーグやったあと比較的すぐ突撃出来る感あります
@phasetr そうなんですか! 調べたら確率論の本は一冊読んでおかないと厳しいとも書いてあったんですが, "確率"微分方程式と言うとおり, 確率論はやってから進めるべきですよね??
@ml_hisako 最短, ブラウン運動を知っていればとりあえずはどうにかなって, ブラウン運動は連続関数の関数空間論とルベーグ知っていれば出来る感あります. もちろん確率論的に最大に一般的にきっちりやりたいならそれなりに準備いると思いますが. 確かセミマルチンゲールとかいるはずなので
@phasetr なるほど‥‥ワヘイヘイから誕生日プレゼントで probabity with martingales を貰ったのですが索引調べてみたら semimartingale は出てなかったのを見たりするとしっかりやるなら確率論の本や他の分野を勉強しないとならないなと思いました.
@phasetr セミマルチンゲールとか全然知らないです‥‥本当に奥が深いんですね‥‥詳しく色々聞きたいです!! セミナーの際に教えてくださいますか?
@ml_hisako probablity with martingales は和訳の方を持っていますが, あれはあれでブラウン運動とか確率微分方程式系のことにはあえて踏み込んでいない感じ印象です. 扱いやすいブラウン運動で色々遊んでおいてから一般論きっちりというのもあるはずなので
@ml_hisako ちょっと今研究的なアレが楽しくて時間を奪われていて 12 月にやる予定を勝手に立てていたルベーグのアレができず, 多分学生陣のテストを避けて 2-3 月くらいになる予定ですが, その辺りで個人的確率論の復習をかねたアレを何かやりましょう
@ml_hisako セミマルチンゲールとかは全く知らないです. 自分で使う所しか知らなくて, 確率論専攻の人からしたら本当にめちゃくちゃに虫食いです. ただブラウン運動と伊藤積分, Feynman-Kac は酷使するのでやる予定です
@phasetr 確率論のですか!? ありがとうございます!!! 今は貰った本をきちんと読み進めて行きたいとおもいます!! 少しでも確率論ができるように頑張ります.
@phasetr @ml_hisako 横から失礼します. (いちおう) 確率論専攻の者です. セミマルチンゲールの話は (要するにマルチンゲールを用いた確率積分の理論) 確かに綺麗ですが最初はブラウン運動を用いた確率積分の理論で感じを掴むのもいいと思います
@ysgr_sasakure @phasetr リプありがとうございます! 今はルベーグ積分入門という本と probabity with martingales という本を並行して読んでます (始めたばかりですが) 2 つの本を読み終えたら色々相談したいです! よろしくお願いします!
@ml_hisako @phasetr 伊藤清三とウィリアムズですか! 後者は代数の申し子ワヘイヘイからプレゼントされたそうで. あの本のマルチンゲールと一様可積分のところをしっかりとやっておけばセミマルチンゲール (というよりは局所マルチンゲール) についてやるときに非常に楽ですよ
@ysgr_sasakure @phasetr ブラウン運動の確率積分ということは確率過程の話もやらないとということですか? (知識がなくてごめんなさい) やるとなると本当にやること膨大ですが, 知りたい欲が掻き立てられます.
@ml_hisako @phasetr 多分ここで言っている確率過程の話は, マルコフ過程やレヴィ過程の知識は必要なのか, ということだと思うけど, 特にそんなことはないです. ブラウン運動を使う場合は正規分布や独立性が非常に大事ですが, その際特性関数が非常に役立ちます
@ysgr_sasakure @phasetr アドバイスありがとうございます! そこをやる際には注意したいと思います. 全然わからないことだらけですが, よろしくお願いします.
コメント¶
ふと思ったが, 確率微分方程式, そういうのが本当にあるのかと思っていたら実は確率積分方程式を印象的な記法で書いているだけのもの, というのではじめて聞いたときびっくりした. 確率偏微分方程式は何なのか全く知らないが. 確率積分方程式とはいうがそれならそもそも確率積分とは何ぞ? というところで確率積分, 伊藤の公式やらが出てくる.
確率積分は確率過程に関する積分論だが, ここで確率過程の特性としてマルチンゲールだの何だのと出てくる. セミマルチンゲールのレベルが (私が知る限り) 一番一般的だが, もっと簡単・具体的でかつ大事な例として Brown 運動がある. これと $P (\varphi_1)$ 過程や Ornstein-Uhlenbeck 過程, Gauss 超過程のあたりが私にとっての基本だ.
学生時代, 作用素論と作用素環で手一杯だったとはいえ, 少し講義に出たくらいで全く身についていなかったつけが今来ていて, 泣きながら確率論を勉強している. 確率論というか確率過程を基礎からきっちり勉強した方がいい気もしていて, 適宜何かいい本を探してもいる.
ラベル¶
数学, 数理物理, 物理, 確率論, 場の量子論, 統計力学
Wikipedia としては超関数と超函数は別物らしい¶
Wikipedia で実にファンキーな項目があることをゆいしさんのこの呟きで知った.
前者は知っている人も多いだろう, Schwartz の超関数の話だ. 後者では佐藤超関数ともまた少し違うようで, むしろ超関数に環構造を持たせようという動機からの超関数論が展開されていた. 全く知らないのだが, ロシアとかその辺の人達だろうか. Colombeau による定式化については, 東大の片岡先生の, 自分の研究室を志望する学生に向けたメッセージのところで名前を見かけたことがあったので, 名前だけは知っていたが, もちろんそれ以上は何も知らない.
Schwartz の超関数の定式化だと, 確かに一般に積が定義できない. これはもちろん知っていたが, 逆に環にしたいというモチベーションでの定式化というのは言われてみればそうだが, とても面白い着眼点だった. 佐藤超関数の「自然さ」を求めた定式化とも, 少なくとも意識の上では違うのだろう. 世界は広い.
ラベル¶
数学, 超関数論, 代数解析
素敵な証明だった: 代数学の基本定理をBrown運動の再帰性から出す¶
本文¶
代数学の基本定理をBrown運動の再帰性から出す http://t.co/iyylZBlS6t
— 本当の自分 (@nloglogn) 2014, 7月 11
これは面白い. Brown 運動とマルチンゲール性を知らないといけないが, 証明自体はすっきりシンプル. またこうした証明を許す, 代数学の基本定理の懐の深さも伺える. よい証明だった.
証明は上記ブログに書いてあるので, ぜひ見に行ってほしい. また Rogers and Williams に書いてあるらしいので, この本にも改めて興味が出てきた.
ラベル¶
数学, 確率論, 代数学の基本定理, 代数学
@教官陣 もう少し理工系教養の線型代数のイントロをきっちりやれ¶
はじめに¶
線型代数で苦しむ工学徒を 1 人救ってきた. あとでも役に立ちそうだからまとめておきたい. きっかけはかわずさんのこれを見て, 線型代数で Twitter 検索したことにはじまる.
"要するに線形代数とは「連立一次方程式」についての学問なのである. "というのを見たのだけど, 数学知らないしそんなに興味もないような人が言ってたら「う---ん, まあ, そうですね」で済ませる程度には正しいと思うのだけど, うううううううってなっている
そしてこのようなツイートを見つけた.
線形代数って将来何に使うんですか 目的わからんから全然やる気起きない
そして この辺からやり取りがはじまる.
@puentu http://phasetr.blogspot.jp/2013/04/hilbert_9.html 例えば (線型の) 微分方程式を解くときに使います. 電気回路で出てくるフーリエ級数も線型代数として理解できます. グーグルの検索アルゴリズムのページランクへの応用もあります http://www.nicovideo.jp/watch/sm7599426
@drizzt1233 @puentu 正確には土木とかなのかもしれませんが, 建築でも構造計算用の (大規模) 数値計算で線型代数を使います. 数値計算でかなり線型代数を使うはずなので, 数値計算やる人には必須教養という印象です. 私は物理への応用がメインなので, それ以外はあまり詳しくない
!! 線型代数とかで検索してプロデュースしまくる Twitter 活用術というのを思いついた!!
線型代数はありとあらゆる対象を殴るための道具である
@phasetr ほう難しそう...機械系に進むとしても結構使うものです?
@puentu シミュレーションや機械制御で微分方程式を数値的に解く (コンピュータでシミュレーションする) ことになるかと思いますが, そういうときに使うはずです. http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_deail/q1316803553 やはり大規模計算で出てくるようですね
@phasetr 参考 URL までありがとうございます! 納得できました
@puentu 理論面でも連続体の力学 (流体や弾性体) で大事な応力がテンソルとして出てくるのですが, これもやはり数学としては線型代数の範疇です. 理論の独学はつらいでしょうから, 専門課程の教官に数値計算あたりでどう使っているかを知るために参考書を紹介してもらってはどうでしょう
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_deail/q1316803553 … (笑) が割と真剣に泣ける
一人, 線型代数に苦しむ工学徒を救ってきた
とりあえず理工系大学の教養の講義に限定しておくが, 微分積分はともかく, 各学科用に線型代数がどこでどう使うのかくらいは初回の講義でフォローしてあげることをもう少し真剣に考えた方がいい. あとそのくらい情報共有しろ @教官陣
コメント¶
言いたいことは上の引用の最後の部分に尽きるが, 単に物理や工学に迎合しろというのではない. むしろ数学としての線型代数, 線型空間論を全力でぶん回してほしいと思っているくらいだ. もちろん役に立つから, というのもあるがもっと強調したい理由がある. それは数学としての線型代数は数学科以外だと独習が難しいだろうからだ.
具体的な行列式の計算などは確かに直近で役に立つことで, 必要なことではあるが, むしろ必要だからこれは各専門で嫌でもやる. だが, 線型空間論は必修などの強制力がない限りなかなか出来るものではない. 一回, 何らかの形で触れておけば記憶にフックができる. 一生使わなければそれでいいが, 使うことがあったときに何もない状態から該当する数学を引っ張るのはかなりつらい. そこに対する救済策だ. だからこその必修であって教養の講義なのだと思っている.
あと「よくわからないヒルベルト空間論」で何とかしようとしているのは, この辺を補うためであって, 逆にいうなら個人的にはその辺に活路があるという感じもする. また色々考えよう.
追記¶
記述不足で kururu_goedel さんから突っ込みを頂いてしまった. この辺やこの辺から辿れる. 当然のご指摘であり, 大変申し訳無い.
ツイート収録¶
@phasetr 相転移 P さんはなかなか厳しいなぁ, 今更だけど. 応用の一覧表とかあればそれなりにフォローできるけれども, 一つ一つ調べていくのは時間的に辛いです. それに, そういうテストにでないことって言ってもガンスルーされることが多い気が.
@phasetr ガンスルーされた上で, 既に触れたことを「こういうことを言って欲しかった」とか言われるのはなかなか悲しい. まあ時期が来ないとわからないことってあるのでしかたないんですけど.
@phasetr それと, 「計算は各学科でやるから」は, 多分そういう方針でやると他学科の人たちに怒られるだろうなぁ. もし本当に計算練習は自分でやってねってつもりでやっていいなら随分と楽なんですけど.
@kururu_goedel 中で一応きちんと書いたつもりですが, 数学側での完全カバーは無理なのでその他も協力しろ, というのと, 教官側に押し付けるのも無理があるので, それ以外も何か考えろ, という話です. そして自分も何かしようと
@kururu_goedel 教官でもないのでアレな学生まで対応していられませんし, 大勢へのアクションも難しいですが, できる範囲でできることはします. あとタイトルは色々考えて, 品がなくて嫌だなと思いつつも強い感じの釣りっぽくしました. これについては人任せにばかりする気はないですし
@phasetr ああ, そこ完全に読み落としてました. 教官の情報交換が足りないのは確かでなんとかなって欲しいですね. 自分の学科での使われ方をちょっとでも紹介してくれるとかなり違うかと.
@kururu_goedel 勘違いしていました. 別の記事か twitter で言ったことを今回の記事にも書いたつもりで, ろくに書いていませんでした. ただ, 何にしろ数学の教官にだけ押し付けるのは無理に決まっているので, その辺は多少なりとも自分でやれることはするという話. 追記します
応用の一覧表¶
応用の一覧表はあまりにも辛いが, 物理と物理を一定以上基礎にしている工学についてはちょろちょろまとめていきたい. 上で書いたように, 数学の教官に任せるには無理がありすぎるので, できることはこちらでも随時やっていく.
線型代数と量子力学はAmazon のこれやTogetter のこれ]などはまとめてある. そのうちまた統計学まわりでのまとめなどもしたいが, そのためには統計学を学び直す必要もありつらい.
時期が来ないと分からないことがスルーされる, というのは分かる. 今ちょうど, 大学 1 年に通じるかは不明だが, それでもやってみようと思って Hilbert 空間論のセミナーの内容を考えている. 私も講義で言われたことに全く気付かず, あとで独自に到達したことというのは多分たくさんある. 意識にすら登らないから全く覚えていないが, 私が受けてきた教育を思えば, その辺はきっちり伝えてくれていたはずだから.
最後には学生が気合を入れる必要がある¶
計算はある程度はやらないとそもそも身につかないから, 数学の講義でも触れる必要はあるだろうが, 最後は学生自身が頑張るしかない部分がある. やはり各専門への接続を意識した計算を出す工夫は必要だとは思うが. 大規模な計算や数値シミュレーションの話自体は手計算できる範囲を越えるので講義やレポートで触れられるレベルではないが, ただ実際に将来使うことは伝える必要がある. 大体の学科では実験の処理で統計学を使うだろうし, そこでの固有値の話などはきちんとする必要はあろう.
学部 4 年から修士くらいで, 実際に数学で困っていることについてアンケート取ったりしてほしい. それを学科内で学部生に伝えるくらいのこと, 各学科でやってもいいのではないかと思う.
問題は色々ある. 私にも手助けできることはある.
ラベル¶
数学, 物理, 工学, 線型代数, 数学教育
アンドレ・ヴェイユ 『ゼータ函数の育成について』¶
はじめに¶
素数の歌はとんからり bot が非常にアグレッシブな PDF を紹介していた.
私が, Riemann の $\zeta$ -函数と性質を共有する函数を "育成" するときに使って来た一つの特別なトリックをお話しよう.
── アンドレ・ヴェイユ 『ゼータ函数の育成について』 http://goo.gl/p1mR1
引用¶
まず衝撃的な冒頭の一文を引こう.
今日のような蒸暑い日には, 竪苦しい話より, 動物や植物' を `育成 でもするような話の方がよいであろう. $\zeta$-函数についていえば, 本質的な点は第一に $\zeta$ がギリシヤ語のアルファベットの一つであることで, 第二にその変数が普通 $s$ と書かれることである: $\zeta (s)$.
これが育成に関わることも衝撃的だし, $\zeta$ の本質がこんなところにあることも知らなかった. ただ, 先日の第 4 回関西すうがく徒のつどいで「数論は $\zeta$ が綺麗に書けるようになることからはじまる」という, 数論専攻の方の有り難い話も聞いたので要はそういうこと感ある. 「 Weierstrass の最大の仕事はペー関数に $\wp$ の字を当てたことだという説がある」などの貴重な話も聞いてきた.
ところでこの動物について, Euler の最も重要な発見は, $\zeta$-函 数の函数等式である.
$\zeta$, 動物だったのか.
次の step をなし遂げたのは Dedekind である. これが, bigger and better zeta-function の育成の始まりである. 私自身も近頃は, その育成に, 私の数学的な努力の一部を捧げているのである.
もう 1 つ引用.
Riemann の $\zeta$ とこの Dedekind の $\zeta$ の定義との主要なちがいは, ローマ字とドイツ文字とのちがいであることがわかるであろう. ここでドイツ文字が使われているのは, 長い間ドイツ人だけしか数論をやらなかつたので, 数論の記号にはドイツ文字を使うのが習慣になつているからである.
引用が面倒なので省略するが, Riemann の $\zeta$ の零点に対して, 確率論による大雑把な推測法を説明しているのが目を引く. 確率論と数論の接点, Weil は強く意識していたということか.
次の step は, 非常に面白いものであることがわかり, 現在, 数学的植物学者に対し, 非常に大きな研究分野を繰り拡げているものであるが, それは次のようなものである
数学的植物学者とか, 先程から衝撃的な言葉が連発されまくっているので Weil の偉大さを感じる.
それにしても, $\zeta$, 育成するものだとは知らなかった. $\zeta$ をアイドルと思ってプロデュースすることも考えなければいけない時代なのかもしれない.
ラベル¶
数学, 数学者, 数論, 確率論, ゼータ
Ricci フローと Poincare 予想を議論した Tian と Morgan のプレプリント, Ricci Flow and the Poincare Conjecture¶
本文¶
比較的新しめの Ricci フロー勉強用のアレとしてこんなのがあるらしい.
Ricci Flow and the Poincare Conjecture
John W. Morgan, Gang Tian
This manuscript contains a detailed proof of the Poincare Conjecture. The arguments we present here are expanded versions of the ones given by Perelman in his three preprints posted in 2002 and 2003. This is a revised version taking in account the comments of the referees and others. It has been reformatted in the AMS book style.
本来の話として Poincare 予想の証明の詳述ということらしいが, Ricci フローに関する革命的な洞察が含まれているので結果的に Ricci フローの勉強にもなるらしい.
幾何やりたい.
ラベル¶
数学, 幾何, 微分幾何
数学の人に「わかりやすく数学教えろ」というアレはよく聞くが逆に社会も数学者にやさしいコンテンツを作れ¶
本文¶
よくわかっていないのだが, 数学関係者が読める (理解しやすい) 形で, 物理 (なり色々な工学なり) の話がきちんと論じられている物理の本とかそれなりに需要あるのではないかと思うが, そもそもパイが尋常ではないくらいに小さいので, やはりゲリラ的にやらざるを得ない感ある
@phasetr 良著でした. (その趣旨かどうかは正確には判断はできかねますが).
@phasetr http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0925/high43.htm これの「ネットが人々の無知を促進する可能性がある」を読むと, 工学のひとが数学に興味を持たないひとつの事例を知ることができますけど, なんか壁をこえるべく興味もたせるのが先かなって感じしますね
@esotericaone 私個人としてはバイオインフォマティクスだとか その他色々な文脈で「生物の人間に数学をやらせるより数学の人間に生物を学ばせる方が余程早い」とかよく聞くので, 数学の人間に暴れさせるのがいいと適当に考えています. そういう方向の講演的な活動もやりはじめたので
@phasetr ソフトウェアだと, ものづくりやビジネス界隈の方々が「理論のためにやってるんじゃない」とか言いだすのでつらい. 理論計算機科学のひとたちが「理論という力を使え」みたいなこと言ってビジネス的に成功してたりもするので, ぜひとも前者を殴り殺して駆逐してほしいところです
@esotericaone 世界はどうか知りませんが, 日本のソフトウェアのものづくり・ビジネス界隈はどうせデスマーチで死ぬか他のことする余裕なくなるか, ゴミみたいなのしか作れずビジネス的に死ぬかなので放っておけば良くて, 撲殺する努力を彼らの教育と支援に充てるべきだと強弁しましょう
@phasetr このアカウントで詳細は書けませんが, 経営者にメリットを説いて理論寄りの方々 (コンパイラ作者など) の支援がある程度実現できているのが救いです. ソフトウェアはコピーが容易で人類からするとコスパが高い側面があり, 相対的に理論提供側の声が小さいだけかもしれません
コンパイラ作者とか格好いいのでどんどんやってほしい.
ラベル¶
数学, 計算機科学, プログラミング
単連結と連結について間抜けなことを呟いていたらいろいろ教えて頂いたので¶
本文¶
幾何弱者過ぎて連結だが単連結でない例がすぐ思いつけなかった
@phasetr 単連結なら連結とか言える? すぐに分からないとか弱者過ぎて死にたい
@phasetr ちょっと何か勉強すると基礎部分がザルなことが即分かり涙を禁じ得ない
@phasetr 単連結の定義ご存じですか?
@eszett66 「基本群が自明」
@phasetr http://en.wikipedia.org/wiki/Simply_connected_space 曲面だと単連結と「連結でかつ種数 0」が同値だから, やはり一般で反例つくれるはずだ
@phasetr 基本群っていうのは基点を決めないといけないんですけど, あなたの定義では基点はどこに取ってるんですか? もしかして「各弧状連結成分の $\pi_1$ が自明」の間違いですか?
@eszett66 その辺を雑に考えて混乱していますね. ありがとうございます. 今読んでいる本, はじめから空間が連結であることを仮定していて, その上での定義をしていてその辺も見落としていました
@phasetr だと思いました. 「基本群が自明」というのはフレーズとしては覚えやすいんですが, そればっかりだと危ないですね.
鍵アカウントからの情報¶
慣れない分野ほど, 定義はきちんと一句一語のレベルで確認しなければいけないという教訓を得た. ちなみに, 鍵アカウントの方から次のような情報を頂いた.
単連結であって連結でない例として $S^2$ を二つ並べた集合がある.
通常の幾何学の分野では単連結の定義に連結を仮定するが, Lie 群界隈では $O (n)$ のような非連結な対象にも普遍被覆を考えるので, 単連結の定義から連結を外すことが多い. どちらの場合でも 1-連結と言えば連結かつ単連結を指す.
非常に助かる.
ラベル¶
数学, 幾何学, Lie 群, 位相空間論
無理数の空間は完備な距離付可能な空間である¶
現代数学観光ツアーと並行して, 通信講座として現代数学探険隊を展開している. そのために集合論や位相空間論を今の視野と力量でいろいろ調べ直していると「そんな数学的現象が起きているのか」ということがよくある.
そして表題の命題はその再勉強の中で知った話だ. 実際けっこう面倒な話だった. ゼルプスト殿下に教えてもらったので記録しておく.
緩募 無理数が(いたるところ局所コンパクトでない)完備な距離空間である(完備な距離付可能な空間である)ことの証明
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月1日
手元にあるWillardのGeneral Topologyには、「無理数全体の空間は可算個のNの直積と同型」を示すことで、「可算個の完備距離空間の直積は完備な距離付けが可能」を使って証明するという演習問題がありました。
— くるる、くるるん、くるるん、るん! (@kururu_goedel) 2017年6月2日
このPDFの§3の「アレクサンドロフの定理」の証明をみて頂戴。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
いかんいかん。URL忘れてたhttps://t.co/7JiQ19iqol
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
↑↑↑これ
ありがとうございます。読んでみます
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
P.8、中央下方の \omega \mathbb{R}(と F の定義に使った <>)はどういう意味でしょうか?そもそもとして \omega は自然数のことだと思っていいでしょうか?
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
^ωR は数直線の可算直積。<>は列を表現する記法。ωは自然数全体の集合。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
もはや感覚的に「自明」と思っていることでもはじめからきちんと書いていくと命題の連鎖の中に置いてあることがあり, 「あの命題は証明していないからこれ証明できないな」とよく思う.
コンセプトとして先々を見通しながら講座を展開することを考えていて, そこまでに示したことしか使わない「本編」と, そこまでに議論していないことでもバンバン使ったり紹介したりする 「探険パート」がある.
探険パートはぶっ飛ばして書く前提なので別にいいのだが, 本編で時々これが起こる. 当然いくつかの本を参照しながら講座を作っていて, 「これはここでやらなくても大丈夫か」と思って飛ばしたのが 後で「これは盛り込みたい」と思った命題で使ったりする.
必要な命題は必要なところで追加すればいいし, そこまで気にしているわけでもないが, 「この命題の証明にこれ使うのか」と改めて認識して驚くことはある. 特に「これはちょっとマニアックだしあまり使わないだろう」と 思った命題を複数回使うことがあると自分の認識の甘さを痛感する.
集合や位相の再勉強を進めていると, 変な例を作るのに順序数がかなりよく動いてくれそうで, 改めて再勉強したいと思っている. 講座の流れではほとんど使わないので, 優先度は低くなっているとはいえ, 時間が取れたら変な反例探訪の旅に出たい.
つむじとベクトル場と特異点と¶
本文¶
いろいろ教えてもらったのでメモ.
ちなみに,人につむじがあるのは,ポアンカレによる定理「曲面上の接ベクトル場の特異点の指数の総数は,その曲面のオイラー数に等しい」により説明できる. (野口廣『トポロジー 基礎と方法』ちくま学芸文庫版p. 290)
— iSem (@AzuleneS0_S2) 2014, 8月 2
https://t.co/xX4ru1TZ52ふと思ったのだがつむじが存在しない人と言うのは本当に存在しないのだろうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 2
@phasetr厳密には、半球面と見なした頭部に、万遍なく、十分な長さの毛が生えている人には、少なくとも一つのツムジがある、となります。
— iSem (@AzuleneS0_S2) 2014, 8月 2
@AzuleneS0_S2正確な定式化を知らないのですが、半球面(片側)にもポアンカレの定理は使えるのでしょうか
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 2
@phasetrはい.使えます.正確な定式化は,http://t.co/t5q8BL6X7c などがGoogle検索で見つかりました.このpdf の 5章の注意(1)が,ツムジ問題に適用できます.
— iSem (@AzuleneS0_S2) 2014, 8月 2
@phasetr正確にはPoincar´e-Hopf の定理でした.
— iSem (@AzuleneS0_S2) 2014, 8月 2
@AzuleneS0_S2ありがとうございます。幾何弱者ぶりを露呈してしまいお恥ずかしい限り
— 相転移P(市民) (@phasetr) 2014, 8月 2
毎度のことだが適当に投げておくといろいろ情報が入ってくる Twitter, 実に尊い.
ラベル¶
数学, 幾何学, ベクトル場
動画紹介: 千早誕生祭 [貧乳はステータスだ! 希少価値だ!] の数学的解釈について¶
はじめに¶
以前作った動画の感想を呟いて下さった方がいたので, アピールを兼ねてその反応を紹介したい. 動画名は「千早誕生祭 [貧乳はステータスだ! 希少価値だ!] の数学的解釈について」で, 動画は これ と これ と これ だ.
タイトルと内容の一部がアレなので大半の女性には極めて受けが悪いだろうが, アイドルマスターで作っている時点で視聴者を絞り込んでいるわけで, 男性に視聴者層を絞り込む代わりにたくさんの男性に見てもらおうと思い, この内容, タイトルで作った.
とりあえず感想とその後の極めてハートフルないくつかのやり取りをここにもまとめておこう.
Twitterでのやりとり¶
該当ツイートは次の通り.
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304373500234305536
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304379118567436289
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304379431659642881
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304380611060170752
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304476049817890818
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304476049817890818
- https://twitter.com/yan_tyabouzu/status/304476049817890818
ふとニコニコ動画で彼の動画を探してみようと思い立ち検索してみたら『微分ヤクザ』というタグがついていて怖い.
怖すぎる動画を見終えた. 貧乳教の私は美香さん複素多様体説に感動したが『実連続函数は整函数で一様に近似できる 1D T.Carleman 1927, d ≧ 2 A.Sakai 1982 』を 思い出して絶望している.
自分の昔の専攻がまさか貧乳教の悦びを砕くとは思ってもみなかった.
どんな巨乳も少し熱方程式の時間変化を加えれば貧乳と同じクラスに入れるのかと思うと落涙するばかりである.
実際にやりとりをした部分は以下の通り.
@phasetr 斬新さに腹抱えて大笑いはしたのは事実ですが, 嘲笑はしてません. 気を悪くさせた事を謝罪します. 申し訳ありません.
@yan_tyabouzu こちらこそすみません. 普段嘲笑という言葉を「暖かく見守る」くらいの意味で使っていて, 今回もそういう使い方です. むしろ喜んで頂けたようで何よりです. そういうリアクションをしてもらうためにあれを作ったので
@phasetr とても楽しく見させて貰いました. 何故これほどの函数論の理解をこの方法で表現したのかと考えたら笑いが止まらず, 昔の専攻が函数論だった事もありネタに勝手に乗りました. 調子に乗り過ぎたかとびくびくしてたところです. 寛大さに感謝します.
@yan_tyabouzu あと近似定理の話ですが, あくまで exact だからこそ尊いので精度の良い近似はあくまでまがいものというスタンスです. 動画でも言いましたが, 解析関数では触れられない広い世界を生きる連続関数にもそれ自体の深い意味があると思っていますので, そこは死守したい
@phasetr なるほど. 道理ですね. 私は『稠密な部分空間で十分』の堕落にはまっていたようです. 精進します.
どうでもいいのだが, 上記の「美香さん」は「千早」だろうか. それとも「美香さんの複素多様体説」だろうか. 何はともあれ, 春香さんと美希の共同研究なので, 春香と美希が交じった説がある.
動画の解説¶
まずは動画自体の解説をしておこう. 3 つ合わせて 50 分近くと結構長いので視聴時は十分注意されたい. 第 1 部では講演の常道として研究のモチベーションの話から入る. 数学的には微分の復習から入り関数論への接続で終わる. 第 2 部は 1 変数関数論ショートコースであり, 貧乳と複素多様体の類似について議論がなされる. ちなみに動画投稿直後, 第 1 部から第 2 部で視聴者が 9 割減っていた (今も大体そのくらいだが). タイトルホイホイの意味を知る冬だった. 第 3 部は今回の研究としてはおまけの部分で, 資金的に研究を支えた伊織への感謝を込めた内容になっている. 数学的には多変数関数論で, 岡潔の業績に深く関わる正則領域の議論の魔解釈について論じている.
ここで少し (分かる範囲で) コメント, やり取りについて補足をしておこう.
補足 1¶
怖すぎる動画を見終えた.
貧乳教の私は美香さん複素多様体説に感動したが『実連続函数は整函数で一様に近似できる 1D T.Carleman 1927, d ≧ 2 A.Sakai 1982 』を 思い出して絶望している.
自分の昔の専攻がまさか貧乳教の悦びを砕くとは思ってもみなかった.
どんな巨乳も少し熱方程式の時間変化を加えれば貧乳と同じクラスに入れるのかと思うと落涙するばかりである.
この定理は知らなかったのだが, ものすごく大きく言えば類似の定理として「任意の連続関数は多項式はいくらでも精度良く近似できる」という, Weierstrass の多項式近似定理というのがある. 証明はいくつかあるのだが, 例えば伊藤清三『ルベーグ積分入門』に熱核を使った証明が書いてある.
また, Stone-Weierstrass の定理という抽象版もある. 関数環, または作用素環の文脈での証明がある. 関数環的な証明は吉田耕作『 Functional Analysis 』に, 作用素環的な証明は Kadison-Ringrose の『 Fundamentals of the Theory of Operator Algebras 』に書いてある.
熱方程式の時間変化云々という記述があるので, 『ルベーグ積分入門』の熱核を使った証明のように, 適当に熱核と畳み込みを考えるとか何とかするのだろうと勝手に思っている. 詳細については yantyabouzu さんに問い合わされたい.
補足 2¶
@phasetr とても楽しく見させて貰いました. 何故これほどの函数論の理解をこの方法で表現したのかと考えたら笑いが止まらず, 昔の専攻が函数論だった事もありネタに勝手に乗りました. 調子に乗り過ぎたかとびくびくしてたところです. 寛大さに感謝します.
1 変数もいまだに解析接続や Riemann 面を理解できていないし, 特に多変数の方はほとんど勉強すらしていないので, 何か申し訳ない気分になった.
@yan_tyabouzu あと近似定理の話ですが, あくまで exact だからこそ尊いので精度の良い近似はあくまでまがいものというスタンスです. 動画でも言いましたが, 解析関数では触れられない広い世界を生きる連続関数にもそれ自体の深い意味があると思っていますので, そこは死守したい
@phasetr なるほど. 道理ですね. 私は『稠密な部分空間で十分』の堕落にはまっていたようです. 精進します.
この辺は言葉通りだ. 動画でも言っているが, 連続関数の世界, 可微分関数の世界, 解析関数の世界それぞれに味があり, 意味があるので全てに遠く思いを馳せたい.
補足 3¶
最後に私の (多変数) 関数論との関係を書いておこう. 1 変数については, 物理学科で嫌でもやるのでそれはそれ. 全くの別件だが近々これについて東大でのイジングゼミで復習的にやった内容を Amazon で DVD にして販売する予定だ. 今まで通りニコニコや YouTube での無料配布の方がいいのではないだろうかとは今でも思っているが, Amazon の流通に載せて広めること, リーチできる範囲を増やすことを第一の目的としている. またアイマスのようにマニア向けのものとしての内容はそれはそれでいいのだが, やはり一般に何かしたいと思うと著作権的なアレもある. そこをうまく回避すべく自録りの DVD にしよう的なアレもある. 超話が脱線したが, 1 変数については物理学科必修というところ. 多変数について, 一番最初はやはり岡先生の話を聞いたときだ. 学部 2 年の頃かと思うが, 志賀浩二『複素数 30 講』の記述だ. この中で多変数関数論についての岡潔の業績についての小話があって, そんな凄い人がいたのか, と感心した記憶がある. 結局ろくに勉強できていないのだが, 多変数関数論への興味はこの時に湧いた.
その後, 学部 4 年になって修士課程で何をどうするか考え, 色々勉強なり調査なりしていたときに第 2 の出会いが出てくる. 場の量子論か量子統計をやろうとは思っていたのだが, とりあえず基本だろうと思って, (今ではほぼ廃れている) 公理的場の量子論の勉強をしていた. これは主力兵器が関数解析と多変数関数論になる. 他にも色々あるのだが, Edge of the wedge theorem (楔の刃の定理) という多変数関数論の定理があり, これが基本的な道具なので, 勉強しないといけないな, ということで少し勉強してみようとした. 実際には Streater-Wightman の『 Pct, Spin and Statistics, and All That (Landmarks in Physics) 』でまとめて出てきたのだが.
別件だが楔の刃の定理など, 格好いい名前の定理はそれだけで勉強する意欲をそそることは強く主張しておきたい.
本についてのコメント¶
あと上記の本は死ぬ程難しかったので誰にもお勧めしない. 私を遥かに越えるレベルで数学ができるなら問題ないだろうが, そもそもこんなイレギュラーな本は数学の人は読まないだろうし, 物理の人だって, わざわざ PCT やスピン-統計定理の厳密な証明など読まないだろう. 基本的に物理の人間として数理物理を志してしまった異常者だけが読む本だ. 少なくとも昔の人はこの本で勉強していたようだし, この本が読みこなせるとか想像を絶する. 時々「本書を読む上で予備知識は必要ない. 最低限の数学力があればいい」とかいう記述があって, そんなわけあるか, という突っ込みまでセットで言われることがある. この本では関数解析の予備知識は確かにいるが, おそらくそれ以外の予備知識は本当に仮定されていない. 本当に気でも狂ったかのように数学力に満ち溢れた物理の人間が読んでいたのだろうし, 実際にそういう人間が私の分野での重鎮として今も君臨しているので戦慄する. 一昔前の構成的場の量子論や厳密統計力学の本はふざけているのかと思う程読むのがつらいのだが, 昔の人はアレを読みこなせたのだろうし, そうした観点からすると「最近は学生の力が落ちた」と言われるのもむべなるかな感ある. どれくらいつらいかを具体的にいうと, 例えば Reed-Simon の本で証明が半ページくらいで終わっている定理が, 新井先生の本では 4 ページくらい使っていることがある. 新井先生の本が丁寧すぎるという話もあるが, 何にしても Reed-Simon はつらい. 私の分野では論文で引用される標準的な本 (多分代数幾何での Hartshorne みたいな感じ) なので実につらい.
折角なので Twitter でこういう感じの物理の人を挙げておくと, 大栗さんや村山さんがおそらくそういう感じ. 確か桂先生だったと思うが「大栗さんも村山さんも数学むちゃくちゃできる」と言っていた. 一流の数学者にこう言わせるとかリアルに戦慄する.
公理的場の量子論¶
話を元に戻そう. 公理的場の量子論で edge of the wedge がある, というところだったが, 面倒なので適当に済ますけれども, これは解析関数の解析接続に関する定理だ. 詳細は Wikipedia 先生にぶん投げておくが, 見てもらうと分かるように物理の人間が発見し証明した定理だ. 公理的場の量子論に限らないが, 物理的に意味がある特殊な状況に特化した定理というのが時々でてくる. Streater-Wightman の本などを参照してほしいが, 公理的場の量子論だと他には JLD domain の話などもある. ちなみにこの定理は量子統計でも出てくる. ハミルトニアンの摂動に対する安定性の議論をするところで使ったりする. 簡単にいうと, 物理的に言って (有限温度, 特に高温では) 少しゴミが入ったくらいで平衡状態が大きく変わることはないだろうと思える. 数学としては, ゴミを本来のハミルトニアンに対する (小さな) 摂動だと思って, その摂動論がうまいこと作れるかという話になる. ここでガチャガチャやっていると楔の刃の定理が出てくる. 折角なのでこれも言っておくと, ここでの議論での基本的な道具は何よりもまず冨田-竹崎理論だ. 「竹崎」は当然, 先日「数学まなびはじめ」の書評で言及した竹崎先生.
歴史的なところはあまり知らないのだが, 少なくとも関連する議論の中で RIMS にいた荒木先生の功績も大きいと聞いている. 荒木先生は直接話をしたことが 1-2 度はあるが, 竹崎先生ほど面白い話は紹介できない. 荒木先生がよくいうらしいジョークとして「物理学者は証明がたくさんないと理論 (?) を信頼しないが, 数学者はもちろん証明 1 つで十分」というものがある. 分かる人には分かるジョークなので良い子は身近な数学者か物理学者に聞いてみよう.
その他ネタ¶
あとこんな話も聞いたことがある. 学者はその専攻した学問と結婚しているので, 伴侶はその辺覚悟しておかないと色々とアレ, という話がある. 荒木先生の奥様が正にそうなようで, 旦那が研究ばかりしているのでその穴埋め的なアレで, 作用素環の若手で結婚していない人を見つけるとお見合いを持ちかけにいくと聞いた. これはどこまで本当なのかは確認していないため良く分からないので, 取り扱いには注意されたい.
あと楔の刃の定理は代数解析でも理解できるらしい. まだそこまで勉強できていないのだが, ほぼ自明なレベルでクリアな理解ができると聞いた. 例えば森本光生『佐藤超関数入門』の最終章で 1 節割かれている.
代数解析に興味を持った理由の 1 つでもある.
深谷先生の集中講義での一節: 上空移行の原理¶
もう楔の刃の定理の話はいいか, という気分になったので別の話をしたい. 全然別の話だが, 多変数関数論の話として, 深谷先生の集中講義がある. 深谷先生が近くの大学で集中講義をするというので, 専門が全く違うにも関わらず聞きにいったことがある. 分かったのは整係数のホモロジーが出てきた, とかそのくらいのどうしようもないアレだが, 講義中「これは上空移行の原理で示せます」という発言があった. 上空移行の原理は岡潔が発見した原理だ. 本が家にあるのだから調べればいいのだが, 面倒なのでさぼって記憶で書くと, 上空移行の原理は正則性を調べるべき問題を次元を上げることで連続性の問題に帰着させる手法だったと思う. 正則な世界でやった方が縛りがきつくなるので逆に考えやすくなることもあるので, (勉強していないだけだが) どういうことなのかいまだに分からないが, とにかく名前が異常なくらい格好いいので見たその瞬間に (名前を) 覚えた定理だ.
何の話かもはや分からなくなってきているが, 疲れたので今回はここで終わろう.
ラベル¶
数学, 物理, 多変数関数論, 代数解析, 超関数論, 場の量子論, 統計力学
「0 は自然数か?」というのも意外な魔界であること, 「1 $\neq$ 1.0」という魔界もあることを知る市民¶
本文¶
http://t.co/uFAhq7BYMg【1=0.999…と不完全性定理と掛け順強制が半可通ホイホイであることは知っていましたが、「0は自然数か?」もそうだったのですね。phasetr さん、対応、お疲れさまです。】泣いている
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月24日
@phasetrこれは激しく同情せざるを得ない。
— 病みの茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014年3月24日
@yan_tyabouzu本を完全否定していると取られているような気がするのですが、むしろいいところがたくさんあるから売れているわけで、だからこそ影響を心配していると明記しているのを全くご理解頂けていない環があるので、一応あとでもう少しきちんと書きます
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月24日
@phasetr言葉を慎重に選んでいる市民のブログの言葉が慎重に読まれない悲劇。
— 病みの茶坊主 (@yan_tyabouzu) 2014年3月24日
@yan_tyabouzu日本語が不自由な方なのでは
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月24日
そしてこの辺.
https://t.co/gjRyvTCB69コメントしようかと思ったが、wd0さんのコメント以上に的確なコメントをできる気がしなかった
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2014年3月24日
@MarriageTheorem深い悲しみに包まれています
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月24日
@phasetr真面目な話、「自然数」という名称が良くないんですよね。「不完全性定理」と似た意味で危険な名称だと思います。
— MarriageTheorem (@MarriageTheorem) 2014年3月24日
@MarriageTheorem言われてみればそうですね。それはブログにまとめておきましょう
— 相転移P (@phasetr) 2014年3月24日
あまり意識していなかったが, 人によって意味が大きく変わる「自然」という言葉, 実は非常に使いどころ難しいのだということを認識した.
そしてこれ.
市民ブログの「0は自然数」コメントで思い出したのがこれ。こんな教育を鵜呑みにして育ったらああいうコメントになりそう。https://t.co/gNRLMrX9sAhttps://t.co/dChPKF5yAT
— ぼんてんぴょん(Bontenpøn) (@y_bonten) 2014年3月24日
面白いので上記ツイートも引用しておこう.
小学校の算数の授業で、新しい概念Aを提示して、その定義を曖昧にしたまま「これはAでしょうか」「それはなぜですか」と児童に答えさせるタイプの授業があって、ずっと不満でした。「これは合同かどうか、って、それは合同の定義によるがあなたはそれをまだ明らかにしていない」と思っていましたよ。
— 大西科学 (@onisci) 2014年2月1日
教室では「裏返しも合同だ。裏返せば重なるのだから」「裏返しは合同ではない。裏返さないと重ならないから」の二派が議論をするわけですが、そんなのは定義によるし言葉の歴史をやり直せばどっちの立場もあっていいと思った。こんなのぜんぜん算数じゃないし面白くないと思った。今でも思っています。
— 大西科学 (@onisci) 2014年2月1日
Temmusu Nagoya さんから頂いた指摘も面白かったので引用.
「鉛筆が 0 本」はおかしい, だから 0 は自然数ではないという説明が間違っていることには同意です. これは国語レベルで論外な駄洒落に過ぎません. 交番でよく見る掲示に, 昨日管内で起きた交通事故は 0 件, というのがあります. この意図が理解できない人はさすがにいないでしょう.
これは意識したことがなかった. 今後ぜひ使わせてもらいたい.
いろいろな人からコメントをもらえて楽しかった (完).
ラベル¶
数学, 算数, 数学教育
摂動論の数理物理: 小まとめ¶
はじめに¶
以前からたびたび話題にしている原・田崎の『相転移と臨界現象の数理』だが, 「摂動」という言葉の使い方に関してコメントした内容について田崎さんからコメントが返ってきた. その時に返信した内容について折角だから共有しておこう. 具体的には「摂動という言葉は数学と物理で微妙に使い方が違うことがある」という話だ.
私の業界 (数学的には作用素論) だと「必ずしも小さくない摂動」が出てくる. 新井先生の『量子現象の数理』 2.4 節が正に「必ずしも小さくない摂動」と言うタイトルで, こうした所を指して言っている.
詳しくは本を見てほしいが, 例えば多項式はラプラシアンに対して相対的に有界ではない. そしてこのとき, パラメータが小さくなくとも扱える範囲がある. 作用素 $T$ に対して摂動した演算子が $T_{\lambda}$ だとして, 「$T$ がよく分かっている場合に $T_{\lambda}$ を $T$ との関連を見ながら考える」 位の意味で使うことがある.
これは著しく狭い業界での語法だろうという自覚はあるが, 上でも書いたように, 初等的な量子力学の話題, 特に調和振動子が「小さくない摂動」の範囲に入るため, 念の為指摘しておいた.
ちなみに摂動に関する諸々は私の研究テーマでもある. 色々あるのだが, いくつか簡単に挙げておこう.
スペクトル解析¶
物理では作用素 (演算子) のスペクトル (固有値) と観測量が対応しているので, スペクトルを調べることは基本的な意味を持つ. このスペクトルが摂動でかなり非自明で不可解な振舞いをするのが非常に気持ち悪い. よく「摂動級数が収束するか」とかどうでもいいことを気にする人がいるが, そんな程度の話ではない.
学部 3 年の量子力学の演習で 4 次の非調和項を入れた非調和振動子に関する摂動の問題が出たのだが, そのとき演習を担当していた助手さんが「この例は固有値が厳密に分かるるからそれと比較してみよう. 一次までの摂動を計算してみるとこの厳密解とぴったりあう. 厳密に求めるのは大変だが摂動で簡単に値が出るのが嬉しい」とか言っていて衝撃を受けたことを覚えている. 1 次の摂動で合ってしまうということはそれ以降の計算ではただただずれていくということだ. (摂動が収束するとすれば) 高次項は minor correction のはずであって, つまり元の厳密な値へは絶対に復帰しない. 厳密解が分かっているから 1 次で止めればいいと分かっているが, 一般にはそれができないから摂動計算するのであって, 何をどうしたいのだ, と.
他にもある. 摂動前後で固有値はともかく, その固有関数まで適当な意味で近いと思ってやっているのだが, これが (物理として) 真っ当か, という問題だ. 例えば, Laplacian からみて調和振動子と水素原子の系は (結合定数が小さければ) それぞれ近いと思っているが, そうかといって Laplacian の基底状態 ($L^2$ にはないが) と, 調和振動子および水素原子の解 (固有関数) が近いと思えるだろうか. 水素原子は Coulomb ポテンシャルの原点での特異性を反映して解にも特異性が出る. これは電荷の存在を表す物理的に大事な特異性だから意味があるが, 調和振動子や自由粒子にはもちろんない. これは近いと言っていいものか.
平衡状態と基底状態¶
物理でどう思っているのかはよく分からないが, 平衡状態と基底状態で摂動論の趣が大分違うことは, 少なくとも作用素環を使う数理物理業界ではよく知られている. 物理的な気分が大体そのまま反映されていると思っていい. 要はこういう感じ. - 平衡状態にゴミを少し入れたくらいでそんなに大きく性質は変わらないだろう. - 基底状態にゴミを少し入れると準粒子の雲がまとわりついて赤外発散を起こして, こう色々な面倒が起きる. この辺をきちんと追求しようというのは私の研究テーマの 1 つでもある.
半導体の場合少しでもゴミが入ると問題だという話もあるが, これは, ナノデバイスにしたときに大きく見れば少しのゴミでもナノデバイスレベルでは巨大なゴミになりうる, という話でもあって少し話が面倒だという理解をしている. ただ少し他の物質をドープする (少しのゴミと思える?) ことはあって, そこをどう読むかというのはある. 半導体は学部 3 年でデバイスまわりでの基礎を少しやったきりほとんど勉強していないのでこれ以上踏み込んだことは言えないが.
「摂動」もそんなに単純な話ではないということで.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 物性論, 半導体, 平衡状態, 基底状態, スペクトル解析, 作用素論, 作用素環, 摂動論
岩澤先生の業績紹介を読んで¶
本文¶
理学博士岩澤健吉君の「群論及び整数論における研究」に対する受賞審査要旨という PDF を Twitter で見かけたので読んでみた. 学士院の文章で大分古い文章だが, 面白いので読書メモとして残しておきたい.
岩澤先生とは¶
数学では知らない者はいないと思うが, 岩澤先生は数論の大家だ. 群論の方では岩澤分解がとても有名で, どんなものか具体的には知らないが名前だけは私でも知っている. Hilbert の第 5 問題の解決への大きな貢献がある.
初期の業績¶
少なくとも数論での初期の業績は位相群を上手く使った仕事らしい. Haar 測度や Fourier 解析など解析学も上手に使っているようで, かなりパンチの効いた研究をしている. 詳細は忘れたが, 高木貞治の類体論といい, 岩澤先生のこの辺の話といい, この二人は数論に 上手く解析学を絡めて議論する卓越した技術を持っていて凄い, という話をどこかで見かけた. それがこの話なのだと思う.
岩澤・高木貞治雑感¶
関係ないが, 高木貞治は呼び捨てにできるが, 岩澤先生が呼び捨てにできないというこの感覚, 非常に面白い. 一般に偉い人は呼び捨てにできるもので, 岩澤先生も十分に偉いのだが, 存命時の岩澤先生を知る人達がまだまだたくさんいて, その人達が先生づけしているので それが移っているのではあるけれども.
数論上の業績¶
円分体や岩澤主予想, 岩澤の $\mathbb{Z}_p$ 拡大など, 私は名前しか知らないが, 数論上の業績がたくさんあるのが岩澤先生である. 数学の楽しみか何かで岩澤先生の追悼記念号があった気がしたので, 今度それも読んでみたい.
あと代数函数論を買ったきりまともに読んでいなくて積読状態になっているからこれも消化したい.
ラベル¶
数学,数論
YouTube 動画: Prof. Jean Dieudonné: "The Historical Development of Algebraic Geometry"¶
YouTube に次の動画が置いてあることを鍵アカウントの方のツイートで知った.
- Prof. Jean Dieudonné: "The Historical Development of Algebraic Geometry"
- UW-Milwaukee Department of Mathematical Sciences
チャンネル登録もしておいた.
数学会の『数学通信』の書評をまとめたページがある¶
本文¶
数学会が出している『数学通信』という冊子があり, 学生時代は良く読んでいた. 今でも読みたいと思っているのだが, こう色々とアレで遠ざかっている. ただ, 書評の他いくつかは web 上で PDF で公開されているので, 自分用のメモも含めて記録しておきたい. これだ.
最近また数学をさぼっていてアレなので何とかしたい.
ラベル¶
数学
「分かってしまえば当たり前」のギャップを埋める努力は大事だった: 嘉田さん (kadamasaru) の「証明を理解するための考え方」というよい文章が回ってきたので¶
その1¶
http://www.mi.s.osakafu-u.ac.jp/~kada/susemi0905/index.html きょう高校生に双対空間教えたときに どうも証明が通じない気がしたが, こういうことだったのだろうか. さすが kada 先生.
リンク先も引用しよう.
証明を理解するための考え方
嘉田 勝 数学セミナー (日本評論社) 2009 年 5 月号 数学セミナー (日本評論社) 2009 年 5 月号の特集「大学で身につけたい数学リテラシー」の記事のひとつとして, 「証明を理解するための考え方」という題目で記事を掲載していただきました (20-23 ページ). 記事原稿の PDF ファイルを掲載します (数学セミナー編集部許可済み). ご高覧いただければ幸いです.
証明を理解するための考え方 (嘉田 勝) (数学セミナー 2009 年 5 月号掲載記事)
これはよい文章なので, 特に新入生の方々はぜひ読んでほしい. 私も学部 1 年のとき, $\varepsilon$ - $\delta$ の証明で 何か $1/2$ のような定数が出てきたときに「これはどこから出てきたの? 」と思った記憶がある. 今となっては当たり前だが, やはり一度はどこかで説明した方がいいとは思う.
「当たり前」のギャップを埋めるのは大変だが, だからこそやることに意義がある.
その2: 数理論理学の講義ノート情報¶
嘉田さんの数理論理学講義ノート http://researchmap.jp/mu3y30bsf-1782995/ 適当に本買うくらいならこっち読んだ方が良い気もする
読む時間がいつ取れるだろうか.
ラベル¶
数学, 数学教育, 数理論理学
物理の一般と数学の一般と, その狭間の数理物理と¶
はじめに¶
あまり見かけない話だが, 私にとっては大事なことなのでここに記録しておきたい. 一言でいうと, 物理として一般的な数学的設定は数学としては具体的または特殊な設定で, そこから出てくる変な数学的問題を適当な意味でどうにかするのが数理物理, とかいう感じの話をしたい. ここでは超弦理論と幾何みたいな方向の話は一旦おさえたい. あまりよく知らないから, という理由もある.
物理の一般¶
まず具体的にいうと, 物理として一般的な数学的設定というのはこういう感じ: 量子力学を考えよう. 電子と原子 (原子核) からなる系を考えると次のような Hamiltonian からなる系を考えることになる. 一応現実的に, 3 次元にしておこう.
\begin{align} H = -\sum_{i=1}^{N_{\mathrm{e}}} \triangle_i - \sum_{i < j} \frac{e^2} {\left| x_i - x_j \right|} -\sum_{i,j} \frac{e e_j} {\left| x_i - R_j \right|} -\sum_{i,j} \frac{e_i e_j} {\left| R_i - R_j \right|}. \end{align} ここで $x$ が電子で $R$ が原子核の方を表している. $e$ が素電荷で, $e_i$ が原子核の電荷だ. 細かい話は別にどうでもいいのだが.
ここで問題にしたいのは, 上の設定は物理としてはかなり一般的な設定ということだ. (もう少し一般にしたければ量子電磁場を入れるとかいう方向もあるし, それが最近の数理物理での話で, しかも Summer School 数理物理 2013 での特に廣島先生の話と関係が深いところだが, それは置いておく.) そして数学としては特殊な (具体的な) 作用素の作用素解析に対応する.
数学としては具体例¶
数学としては単なる具体例をやっているだけと言えるのだが, この例が数学的にかなり鬱陶しいことが問題だ. まず Coulomb ポテンシャルだが「原点まわり」での発散がある. 無限遠でも積分が発散する: $\int_{\mathbb{R}^3} \left| x \right|^{-1} dx$ を極座標で書くと分かる. 関数自体は簡単だがかなり鬱陶しい挙動をする. そのために起こる面倒くささの処理に面白さを感じて積極的にやっていくというのがとりあえず数理物理だ. 物理的なモチベーションや物理的な興味がない限り, そもそも面白さを感じることが難しく, 真っ当な数学の人がなかなかやろうとしないラインで数学をすること, と言ってもいいかもしれない.
ちなみに, こうした性質を持つという範囲でポテンシャルを一般化するという方向の研究はないでもない. 特に自己共役性に関する部分ではそれにも意味がある. だが, 私の趣味に関する部分でいうなら, あくまで Coulomb ポテンシャルに限定して議論することに意味がある. この関数に特化してぎりぎりまでシャープな結果を出すことが物理として大事だからだ. 物理として意味があるなら, 数学としては特殊で構わない. 大事なことは最後に物理としてシャープな結果を出すことにある.
物質の安定性¶
ここで物質の安定性を考えてみたい. 物質の安定性というのは量子力学の起源としてとても大事な話だ. 量子力学の起源にもいくつかあるが, ここでは電磁気学的なところを出そう. 加速運動をする荷電粒子は電磁波を出すという議論がある. 電子は原子核のまわりを円運動するという素朴な描像があるが, 等速円運動と思っても, 円運動である限り加速度がある. つまり電磁波を出すのだが, 電磁波を出すとその分荷電粒子のエネルギーが減る. エネルギーが減ると速度が減り, 軌道半径も小さくなる. 軌道半径が小さくなると電子が原子核に落ち込んでしまい, 原子が不安定になる, という話だ. これをおさえるために量子力学が登場した, という側面がある.
普通の理論物理の文献ではあまり出てこないようだが, これを基準に考えると, 量子多体系が安定に存在することも自明ではなくなる. ここにメスを入れようというのが物質の安定性の問題だ. 実際, ここを真面目にやっているのは Lieb を筆頭とする数理物理の人々しかいないらしい. 「物理的」な議論も, 数理物理的な証明ができたあとにその物理として大事な部分を抽出した形で出てくると聞いている. あまり数学を知らない人向けに一応言っておくと, 数学をしているときちんと穴のない議論をするために, 「技術的に面倒なこと」をする必要が出てくる. 何かごちゃごちゃと収束やら極限の順序交換ができるか, とかの話をしなければいけないとでも思っておいてくれればいい. その辺を抜いて「物理的な議論」を作る, という話なので, この分野は完全に数学というか数理物理先行の話題といえる.
話が飛んでしまったので, 物理としてシャープな結果と数学としての特殊性という話に戻そう. 何がいいたいかというと, ここでは電子がフェルミオンであるという性質を使わないといけないということだ. 詳しくは Lieb-Seiringer の本を読んでもらいたいが, 基底エネルギーが粒子数に比例する形で下からおさえられないといけない.
ここで系がボソンだけだと基底エネルギーが粒子数の 7/5 乗に比例してしまうことが分かっている. つまりボソンだけの系は不安定なのだ. 系がフェルミオンだけなら問題ないか, もしくはもっと強くフェルミオンを含めば問題ないか (系に電子があるか), というのは非自明な問題だが, 現実的な設定としては後者の設定下で証明をつける必要がある. そしてそれは実際できている. このときに系にフェルミオンがいるという設定は, Hilbert 空間にすると次のようになる. 現実に合わせて多成分系を考えると $L^2 (\mathbb{R}^{d_1}, \mathbb{R}^{d_2}, \cdots)$ という空間で考える必要がある. フェルミオンが電子だけで $\mathbb{R}^d_1$ 部分に対応しているとすると, ここの成分だけ座標について反可換, 他の座標については各粒子系の成分ごとに可換, という変な空間で作業する必要があるということだ. $L^2$ を使う分野はたくさんあるが, 少なくとも私が知る限りでの微分方程式論でこういう空間を扱っているのは見たことがない. 幾何では微分形式に合わせて反可換な関数を扱うというのは考えられるし, 一般のテンソル上で議論するときに形式的には現れるが, どこまで本格的に扱っているのかは知らないので分からない. ただ物理的な設定をそのまま素直にやろうと思うと, $\mathbb{R}^d$ 上での微分方程式論ではほぼ触らない空間上での議論が必要になる. そしてそういう空間上での議論が物理として本質的になるというのもまた大事.
数理物理¶
究極的にはやはり物理にも数学にもインパクトを与えられるようなことをしてみたい, というのはあるが, 今のところ私が関わっている部分の構成的場の量子論, 厳密統計力学は物理としては時代遅れ, 数学としては特殊で面白いかのかどうかよく分からず, 「数理物理として面白い」という話しかない印象がある. 物理でもなく数学でもない数理物理という分野があるのだ, と思えば, むしろここにこそ存在意義を見出すべきで, 最近は特にそう思っている. 市民であってプロの研究者ではないから, 物理も数学も最先端にはついていきづらいという状況下で, それでも自分が最先端にいられるところというと結局そういうあまり人がいないところでふんばるしかないというところもある.
ここで何であろうとも最先端にいなければならない, というのは大事にしたい. ニコマスなり何なりでいわゆる「プロデュース業」をしようと思っているわけだが, そこでのモチベーションの大きな部分は「子供の頃の自分が見たかった世界を見せる」ということだ. これは「天才達が見ている世界, 世界トップの人が見ている世界」といってもいい. どれだけマニアックであろうとも, 世界トップであることは (子供の頃の私にとって) 決定的に大事なので, そこは愚直に守りたい. これが一般的な感覚ではない (らしい) ことは承知しているが, 大学で自分と同じような趣味をしている人間に出会い, またニコニコで数百名であろうとも確実にそういう層が存在することも理解した. だからその層に向けて何かするのだ.
あとついでにいうと, 数学ができる人間が世界で一番格好いいと思っていて, また人並に格好よくなりたいという希望もあるので, そこの欲求を満たしたいというのもある. 世間と格好いいと思うことが決定的にずれているだけで, 気分の上では格好つけたいというのはほとんど変わらないと思っている. さらにこの間 Twitter でも言ったが, 女性一般はまあどうでもいいのだが, 数学ができる女性にはもてたいとは思うが, そもそも数学できる以前にしようと思う女性自体がいなくて困るので, そこを増やすべくプロデュース業に勤しまねば的なアレもある.
いつも通りよく分からない文章になった.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 統計力学, 物質の安定性
実数の実在とか何とかに見る悲しみ¶
本文¶
一昨日くらいの茂木健一郎の「無理数の実在性を大学受験の面接で議論すべき」というツイート, 前後のツイートから考えると「一辺 1 の正方形の対角線の長さは $\sqrt{2}$ だから無理数は存在する」 みたいな議論を想定しているっぽい.
でも現代の数学では長さの定義に平方根の関数使ってるから, 長さって言っている時点で「非負実数の平方根が実数に存在すること」はあらかじめ証明しておかないといけないこと.
「$x^2 = 2$」となる実数 $x$ の存在は, 実数体の公理を満たす順序体の存在を認めても公理から自明に出てくることではないし, 中間値の定理の応用として扱うような話.
だから茂木健一郎の主張は数学科の人が見ると「やばい」ってなると思うんだけど, 他の分野の人が見るとそうでもないのかもしれない.
例えば, 「線分の長さ」というものが無定義語として受け入れられて, 「これこれの性質を満たす何か」と認識している人にとっては, 「一辺の長さが 1 の正方形の対角線の長さは $\sqrt{2}$ だから $\sqrt{2}$ は存在する」 という議論は論理的に意味が通るかもしれない.
これについてあとでメルマガ書こう. あと, これに関係するやりとり.
一昨日くらいの茂木健一郎の「無理数の実在性を大学受験の面接で議論すべき」というツイート, 前後のツイートから考えると「一辺 1 の正方形の対角線の長さは√ 2 だから無理数は存在する」みたいな議論を想定しているっぽい.
@darkjojonjon 自分はよく分かりませんが, そこで言う実在性って, 数学で言う存在と違う意味だと思います.
@darkjojonjon 実際に tweet は見ていないので, よくわかりませんけども…
@Kuro_topo そうかもしれないんですが, そうなると「数の実在性」という問題は数学の人からはどうしようもない問題ですね. というか, そうなると哲学的な問題になってくるように感じます.
@darkjojonjon そうですね. そう思います.
ラベル¶
数学, 実数, 無理数
RIMS の岡本久先生による『流体力学と数学』¶
はじめに¶
RIMS の岡本久先生による『流体力学と数学』という文章を読んだ. 岡本先生自身にもお会いしたことはなく色々な意味であまり詳しくはないが, 専門は非圧縮性流体とのこと.
引用とコメント¶
連続体であるという仮定のもとに, 温度, 質量密度, 圧力, 速度, といったマクロな量が定義可能になる. そして, それらを支配する微分方程式が導かれる. こうした事実に最初に気づいたのはオイラーであろう. ニュートンは流体力学を粒子の力学に還元できると信じきっており, 連続体を使うことはなかった. かれのプリンキピアの Book II には流体現象の様々な理論が展開されているが, ほとんどすべてが間違いである. 「流体の運動を極微の粒子の運動に厳密な意味で帰着させるということは諦めて, 連続体であるという近似から出発する」と, いわゆる流体力学になる. 言い換えれば, 本稿では「粒子の力学原理主義」は放棄するのである. ニュートンが考えたように, 基本粒子に関する最小限の仮定のみから出発してすべての流れ現象を演繹する, というプログラムは数学者には魅力的であろうし, 未完であるわけだから数学者にはひとつの重要な挑戦である. 筆者はこれを重々承知しているけれども, 流体力学の具体的な問題を解くためには, これはあまり生産的ではないので, 本稿では関知しない. 逆に言えば, 連続体の仮定はそれだけで十分に実り多いものであり, 未解決問題は多いのである.
ニュートンが連続体関連のことを議論していたというのはそうだろうが, プリンキピアで議論してしかもほぼ全て間違いというのは知らなかった. また, 後半部の「基本粒子に関する最小限の仮定のみから出発してすべての流れ現象を演繹する」は, 今でいうなら東大数理の舟木先生あたりがやっている流体力学極限のあたりだろうと思う.
さて, ナヴィエの理論はどのようなものであるのか? ナヴィエはニュートンやラプラスと同じく, 最小単位の粒子を多数 (しかし離散的に) 考える. そしてその相互作用を適当に仮定してナヴィエ-ストークス方程式を導く. 分子動力学原理主義者にはたまらない論文であろうが, 読んでみても何も納得できないというのが筆者の感想である. 実際, 彼の論法だと, 液体も固体も区別が付きそうにない. 固体の弾性体に対するナヴィエの理論は問題なかろうが, 全く同じ論法で流れの基礎方程式を出したとしても, 結果が正しいだけであって, そのプロセスは正当化できない.
- ストークス
ナヴィエの論文を読んだ後でストークスを読むと爽やかな気分になるのは筆者だけではあるまい. ストークスは何を仮定し, 何を導くべきかがわかっている. ナヴィエと違って, 連続体を使うことに何のためらいもないから, 論旨は極めて明快である. こうして, 非圧縮粘性流体の基礎方程式が由緒あるものとして定まったのが 1849 年である. というふうに考えるのは現代人である. 実際にはナヴィエ-ストークス方程式がどの程度正確に物理現象を再現できるのか, 疑問に思う人は多かった. ラムの流体力学の教科書である Hydrodynamics はこの道の定番ということになっているが, この教科書の初版 (1879 年) では, ナヴィエ-ストークス方程式に全幅の信頼を置いているようには見えない. 実験と比較できるようなデータがまだ出ていなかったのであろう. 流れの安定性に関するレイノルズの有名な実験の報告が公表されたのは 1883 年である.
このへんの経緯, 知らなかった.
ストークスは物理学者であるとみなされており, それはそれで間違いではないのだが, 数学的な才能もふんだんに持っていた (文献 [9]). 名だたる数学者に先駆けて関数列の一様収束の概念にほぼ到達していたのは有名な話であるし, 水面波に 120 度の角がおき得ることを示した論文など, 実にエレガントである.
Stokes, ベクトル解析というか多様体論の Stokes の定理の Stokes だろうか. そんなことまでやっていたのか感ある.
最後, 物理と数学の交錯するところに関する記述もある. あまり引用し過ぎると今度は全文引用という酷いことになるのでやめておくが, 興味がある向きは是非読んでみてほしい.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 流体力学, 偏微分方程式
Lebesgue 積分がよくわからなくて困った話を思い出した¶
はじめに¶
どのツイートか忘れたが, Twitter で誰かが Lebesgue 積分の話をしていた. 学部 3 年くらいで独学で勉強したのだが (物理学科にも関わらず Lebesgue 積分の講義があったが, 結局身につけるためには自分できちんとフォローしなおさないといけない), そのときに困っていたことを思い出した. こんなところで困った人がいる, というのを記しておくのも意味があることだろうと思うので, 我が身の恥をさらしておきたい.
なぜルベーグ積分をやろうと思ったか¶
ちなみに何故 Lebesgue 積分をやろうと思ったかというと, 量子力学の数学をきちんとやろうと思って, 量子力学の数学的構造を読んだら Lebesgue 積分をきちんと勉強した方がよさそうな印象を受けたからだ. はっきりと言っておきたいが, Hilbert 空間論を学んだところで量子力学が分かるようになるということはない. 理論面をクリアに理解する上では確かに大事なのだが, それなら線型代数を勉強すれば十分だ.
はじめに読んだ本: Kolmogorov-Fomin¶
Lebesgue 積分というか関数解析全体として, はじめは Kolmogorov-Fomin を読んでいた. 安かったし, 洋書を読んでみたいというのがあったからだ. 詳しいことは覚えていないし, 他にも吉田耕作の Functional Analysis を読んで挫折したり色々な経緯を辿りながら, 結局一番きちんと読んだのは伊藤清三の本だった.
伊藤清三本の記憶¶
今になって思うとかなり間抜けな感じもあるが, この本を読んでいて, Lebesgue 測度以外での議論がどうなるのかよく分からなかった. 測度を取り替えたときどの議論がどう変わるのか, 本のメインの部分はきちんと使えるのかというのが分からなかった. こう書いてしまうと当時の自分の疑問をきちんと表現できていないので, 色々アレだが, 色々な測度に変えたときにどうなるのかという部分で色々ともにょっていたのは間違いない. そこで色々な測度を持ち出して議論するということなので丁度いいかと思って, 確率の本を読んでみた.
Williams¶
読んでいた本はこれだ.
(確率の本として) いい本なのかどうかは今でもよく分からないが, かなりすっきりした本であることは間違いない. 確率への応用が主眼なので, 位相と測度みたいな話はほとんどない. 単調収束定理に主眼を置いた積分論の構成・展開はなかなかいい. 正直なところ, この本を読んでみても結局のところ当時は疑問が解消されなかった. 実際に使いつつ慣れていくことで, いつの間にか疑問は解消されていた, という感じ. 解消された疑問について分からなかった当時のことを思い出すのはなかなか難しい. そもそも疑問自体を曖昧で感覚的なレベルに留めていて, はっきりとさせていなかったことが拍車をかける. 何がいいたいのかよく分からなくなってくるが, 要は分からなくてもずっとやっていると自然と疑問が解消されることがあるので, 「この辺が何かよく分からない」というレベルでもいいから, 分からないことがあるということだけきちんと意識して先に進んでしまうことも大事, というようなことがいいたい.
伊藤清三の本はよい¶
最後だが, 伊藤清三の本はとてもよい. Amazon の書評では古臭いとか書かれているが, その部分がよいのだ. 昭和の古い教官が「まあそんなあくせくせずに, お茶でも飲みながらのんびりやってみたらどうですか. ところで Lebesgue 積分にはこんな素敵な話があるのですよ. 焦って急ぐことはない. ゆったりやろうじゃありませんか」みたいな感じがある.
また議論自体は非常に丁寧で, これで Lebesgue 積分が分からないなら多分何を読んでも駄目なのではないか感ある. 問題はある意味でその丁寧さで, 上に書いたのんびり部分だ. そのせいで本題の Lebesgue 積分の定義に辿り着くまでが長い. ただ, 川又先生の代数多様体論も, 代数多様体の定義に辿り着くまでに 60 ページくらいかかっていた覚えがあるので, ある程度になると定義するだけでも大変になるのも仕方がないのだが.
伊藤清三本のよいところ¶
ただ, 測度と位相の絡みなど, 古典的な数学の綺麗なよくできた部分が書かれているのが, 正に Lebesgue 積分の定義までが長くなる原因で, そして私が思うよいところになる. 私としてはこの辺の話が好きなので, のんびりやってほしいと思うのだが, 昨今の風潮を見ると数学でまで効率を求める雰囲気があるようだ. 確かに無駄に非効率な勉強をさせるのは最悪でそれは断固として反対したいが, ここでの「非効率」はむしろそれが美点となるのだ. 逆に最近の本だとあまり触れられていない印象があるので, 余計にそう思う. 数学科の学生くらいはもっとのんびり数学やってほしい.
ラベル¶
数学, 数理物理, Lebesgue 積分, 書評
本当に悪いのは時空に魂を引かれた人間達だ¶
本文¶
僕はそうでもなかったのですが, 大学で遊んでやる, と高校で言っている人がいたのですが, 何だったんでしょうか. 今遊べよ, と僕は思ってました.
それに対して悪質 RT するのが面倒だったので適当にエアリプで次にように応答した.
大学に入ってからは (理論) 物理および数学で時空に束縛されずに遊べるようになったので「遊びに行く」とかいう感覚, 本当に分からない. 私はいつでもどこでも遊べる
@phasetr 加藤先生など秩父の山奥までハイキングしながらのゼミという悪魔のような方法で斎藤秀司先生を鍛えたという. こういうのを遊びに行くというのなら納得もしよう
時空ごときに束縛されるの, 嫌ではないのだろうかと素朴に疑問. . 実験屋さん, 最終的に装置で遊ぶのだと思っているが, 各種装置を準備するのに結構お金かかるはずなので大変だろうな, といつも思っている. 理論物理は理論物理で最終的には実験というか現実との整合性ないと駄目で, そこでモノがいるし, 人文・社会学も人間とか社会とか適宜実物を見ないと駄目で面倒だし, やはり数学だな, といういつもの結論に逹した.
社会は実在か, といった議論は一旦封殺する.
ラベル¶
数学, 物理
『無限量子系の物理と数理』に続き, 小嶋先生が新たに『量子場とミクロ・マクロ双対性』なる本を出すらしい¶
本文¶
このツイートによると小嶋先生がまた新しい本を出すらしい.
小嶋泉氏の『無限量子系の物理と数理』読むなら, 年内に丸善から出版予定の同著者の本命『量子場とミクロ・マクロ双対性』も要チェック. サイエンス社のサポートページ参考文献 108 http://www.saiensu.co.jp/?page=support_details&sup_id=348
今年は Summer School 数理物理のテーマが (構成的場の理論を中心に) 量子場の数理だし, 小嶋先生の本が 2 冊出るしと, 場の理論づいている. このタイミングに乗じて, ブログの方でもこの分野を宣伝していこう.
ラベル¶
数学, 物理, 数理物理, 場の量子論
論文紹介: Buchholz-Grundling の Quantum Systems and Resolvent Algebras¶
はじめに¶
Buchholz-Grundling による survey, Quantum Systems and Resolvent Algebras が arXiv に出ていた. これだ. 以前から resolvent algebra の論文は出ていたが, それに関するまとめらしい. Resolvent algebra を使うと何となく計算がうまくいきそうな感がするので, 使ってみたいと思っている. また Araki-Woods algebra の代わりに resolvent algebra を使った場合の自由場の BEC を調べることで親しんでみようとか思っているのだが, 滞りまくっている.
Resolvent algebra というのは大雑把にいえば非有界作用素のレゾルベントを取ることで有界作用素にし, その有界作用素から作用素環を作るという話. Araki-Woods algebra は非有界 (自己共役) 作用素 $A$ からスペクトル理論を使って $e^{iA}$ (有界作用素) を作り, これから作用素環を作るという話. レゾルベントの方が色々振舞いがいいのに何故かほとんど研究されてこなかったが, 何か色々な性質がよくて嬉しいから皆もやろう, ということで論文になっている.
アブストを見るとすぐ出てくるが, 量子系の運動学的な構造をモデル化するのによいらしい. この辺まだあまりよく分かっていない.
Introduction¶
Introduction では Segal の場の作用紡の話からはじまる.
作用素 $\phi (f)$ から作る多項式代数は自己同型による意味のあるダイナミクスをあまり持っていない. 実際それを不変にするのは多項式 Hamiltonian だけだ.
ということらしい. 知らなかった.
非有界作用素だと扱いが面倒なので, 指数の肩に乗せて有界にする. これは良く知られた Weyl algebra だ.
実は有界作用素にして Weyl 環にすると, 表現論的に元の CCR algebra とは違う環になる. 新井先生の本, 『量子現象の数理』の 3 章では量子力学のときに Aharonov-Bohm に即してこれが議論される. 興味がある向きは見てほしい.