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2015

2015 東大数理, 平成24年度, 平成25年度, 平成27年度数学講究XAテキスト一覧

手元にあった東大数理の平成24年度, 平成25年度数学講究XAテキスト一覧に加えて, 平成27年度の一覧を重複を除いてまとめておこう. まず学部低学年の学生の参考になるだろうし, その他にもこう色々と参考になるだろうから. 私自身, あまりよく知らない分野の勉強をするときに参考にしたいというのもある. 簡単な書評もあるからそれも参考になる.

専門との関係もあるから教官名も添えておく.

石井志保子 教授

  • Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag
  • 代数幾何は代数方程式の零点で定義された図形で, これを研究するのが代数幾何学です. このテキストは代数幾何学の標準的な教科書で, 世界中で使われています.

中村周 教授

  • Gerald B. Folland, Introduction to Partial Differential Equations (Second Edition)
  • 偏微分方程式論に関する, 比較的レベルの高い入門書. 一般的な局所解の存在定理から始まって, 古典的方程式, つまり, ラプラス作用素, 楕円型の境界値問題, 熱方程式, 波動方程式を説明し, 関数解析的手法, 擬微分作用素の導入までを扱っている. 偏微分方程式に関する予備知識は必要ないが, 積分論, フーリエ解析の知識は必要.
  • Methods of Modern Mathematical Physics I. Functional Analysis
  • Reed, B. Simon, Academic Press
  • 関数解析的数理物理の標準的な教科書. 全 4 巻であるが, 第 1 巻の関数解析の後半から始めて, 第 2 巻のフーリエ解析の部分までをセミナーで行いたい. 基礎知識は, 数学科 3 年生の講義の積分論, フーリエ解析があればよい.

儀我美一 教授

  • C. Evans, Partial Differential Equations (2nd Edition), American Mathematical Society
  • 非線形偏微分方程式の数学解析を目指した良書. 偏微分方程式に対するさまざまな扱いに対して, そのエッセンスのみに絞って解説したもので, アメリカのさまざまな大学の偏微分方程式の入門の講義で行われている.
  • Villani, Topics in Optimal Transportation, American Mathematical Society
  • 2010 年フィールズ賞受賞者の Villani 氏による最適輸送問題の入門書. ある地域に分布している集団を別の地域に移動させたいとす る. このときの輸送コストを最小にするという問題が最適輸送問題である. この最小輸送コストを距離とすることによりできる距離空間を Wasserstein 距離空間といい, 幾何学的に大変重要な構造を持つ. 一方, 近年流体力学の非圧縮流体また拡散方程式等の偏微分方程式への応用も進ん でいる. 本書は, このように変分解析, 微分幾何学, 偏微分方程式といったさまざまな数学の結びつきを知るうえでも大変興味深い.
  • Qing Han, Fanghua Lin, Elliptic Partial Differential Equations (Second Edition), American Mathematical Society
  • 調和関数を出発点に, 2 階単独楕円型方程式のハルナックの不等式や, アレキサンドルフの最大値原理の基礎について触れる. 楕円型方程式の入門書.
  • Giovanni Bellettini, Edizioni della Normale, Lecture Notes on Mean Curvature Flow: Barriers and Singular Perturbations, 2014
  • 平均曲率流方程式は, 微分幾何学で重要な非線形放物型偏微分方程式の典型例であるだけでなく, 材料科学の焼きなまし時の粒界の動きを記述するといった豊かな応用を持つ. 現在さまざまな書籍があるが, 本書は比較的解析学的な立場で書かれた入門書であり, 少ない予備知識で読めるように配慮されている. 平均曲率流方程式を通じて微分幾何学, 偏微分方程式論を俯瞰するのにも便利である.

坪井俊 教授

  • Danny Calegari, scl, Mathematical Society of Japan, MSJ Memoirs 20
  • 群の交換子群の元が, いくつの交換子の書かれるかという素朴な疑問から, 様々な群に対する重要な研究が数多く行われるようになった. このテキストは, この問題の起源から, 現在の研究に至るまでを解説している.
  • Brian Bowditch, A course on geometric group theory, Mathematical Society of Japan, MSJ Memoirs 16
  • 幾何学的群論と言う現在非常に広く研究されている理論の入門書である. 無限群の性質を考えるときに, その群がどのような作用を持つかを考えることが重要になる. 最も重要な例は定負曲率を持つ双曲空間に等長変換として作用する群である. 有限生成群に対しては, ケイレイグラフへの作用が自然に考えられ, ケイレイグラフが双曲的であると考えられる場合は群の作用の性質は, 双曲空間への作用と非常に似たものになることなどを示す.

吉野太郎 准教授

  • Joseph A. Wolf, Spaces of Constant Curvature, AMS Chelsea Publishing
  • 曲率とは空間の曲がり具合を記述する量である. 空間が定曲率, 即ち各点での曲率が等しいと仮定すると, その大域構造は大きな制約を受ける. この本では, そのような制約について古い結果から最新の結果まで触れている.
  • Sigurdur Helgason, Differential Geometry and Symmetric Spaces, AMS Chelsea Publishing, 2001
  • 空間内の点 $p$ に対し, $p$ を通る測地線を $p$ で一斉に折り返す変換を「 $p$ における対称変換」という. 任意の点において, その点における対称変換を持つ空間を対称空間という. この本では, このような対称空間の分類を行う. 本書は対称空間に関する入門的な書である. 対称空間のうち既約なものは既に分類されており,その構造もリー群を用いて精密に調べることが出来る. また, 応用上重要な多様体は対称空間の構造を持っていることが多い.
  • 大島利雄・小林俊行, リー群と表現論, 岩波書店, 2005
  • 群構造を持った多様体をリー群という. リー群は, 上に挙げた定曲率空間や対称空間, その他多くの研究において重要な役割を果たす. この本では, リー群について基礎から応用まで広く解説している.

片岡清臣 教授

  • Akira KANEKO, Introduction to Hyperfunctions, Kluwer Academic Publishers, 1985
  • 1 変数関数論の知識に基づき, 1 変数佐藤超関数の定義から始めて多変数佐藤超関数の性質と演算, および解析的特異性, 特異スペクトラムの基本的性質を解説している. 多変数関数論の基本定理やコホモロジー論を使わずある種の積分変換 (デルタ関数の曲面波展開といわれる) だけを使ってほぼセルフコンテインドに解説しているところが特長的である.

松本眞 教授

  • David A. Cox,John Little, Donal O'Shea, Ideals, Varieties, and Algorithms: An Introduction to Computational Algebraic Geometry and Commutative Algebra (Undergraduate Texts in Mathematics), Springer New York; 3 版, 2007
  • 代数幾何における計算機アルゴリズム (特にグレブナー基底) の標準教科書.
  • J. P. Serre, Local Fields, Springer, 1995
  • 局所類体論の有名なテキスト.

舟木直久 教授

  • Williams, D., Probability with Martingales, Cambridge Mathematical Textbooks, 1991
  • まず Part A で, 測度論を用いた確率論の基礎付けを行う. この部分は 3 年冬学期の講義と重なる. その上で Part B で, マルチンゲールの理論を学ぶ. マルチンゲールは, 今日では確率解析を使いこなす上で欠かせない道具となっている. 最後に Part C では特性関数と中心極限定理を扱う. 随所に多くの例や応用が書かれている.
  • S.R.S. Varadhan, Probability Theory (Courant Lecture Notes 7), American Mathematical Society, 2001
  • 特性関数, 確率分布の弱収束, 大数の法則, 中心極限定理など, 3 年の講義で習ったことを復習した後に, マルコフ連鎖, マルチンゲール, 定常過程などの基本的な確率過程について学ぶ.

ウィロックス ラルフ 准教授

  • Richard Beals & Roderick Wong, Special Functions -- A Graduate Text, Cambridge University Press, 2010
  • 特殊関数についての入門書. 前半では, gamma 関数や zeta 関数の基本的な性質や 2 階の常微分方程式論が復習され, それらの方程式と物理との関係が論じられている. その後, 直交多項式と離散的な直交多項式の理論が説明され, 後半では, 超幾何関数の様々な性質が丁寧に解説されている. 少なくとも第 6 章〜 7 章まで読む予定である.
  • 三輪哲二, 神保道夫, 伊達悦朗, ソリトンの数理, 岩波書店, 2007
  • 著者らによって開発された, ソリトン解を持つ非線形偏微分方程式を統一的に解くための自由フェルミオン場という方法を用いて, ソリトン方程式の数学的構造が論じられている. 数学的準備から始め, 広田の直接法, KdV 方程式や KP 方程式の性質, ソリトン方程式の対称性とそれらの代数的な構造を解説する.
  • Saber Elaydi, An Introduction to Difference Equations, Springer, 2005
  • 差分方程式についての入門書. 前半では, 1 階の漸化式の一般論から出発し, 一般の高階の線形差分方程式の理論が展開されている. 後半では, 線形の差分方程式だけではなく, 非線形の差分方程式の解の安定性又は漸近的挙動を解析するための数学的手法がいくつか説明されている. 少なくとも第 8 章まで読む予定である.

松本久義 准教授

  • James E. Humphreys, Introduction to Lie Algebras and Representation Theory, Springer, 1980
  • 表現論に関しては, 複素半単純リー環の基礎 (ルート系,ワイル群, 最高ウエイトなど) が基本的な予備知識であり, 現実問題としてこういったことを知ってないと大抵の文献は読めないし,表現論の多くの理論はこう言った古典的な理論をお手本としている. この本はリー代数の教科書としてはもっともオーソドックスなもの. 通年のセミナーで読みきるには丁度よい分量で, 内容も標準的. 予備知識は線形代数だけで読める. ただし, リー群との関係は触れられていない. 標準的なテキストの選択.
  • Humphreys, James E., Representations of semisimple Lie algebras in the BGG category $\scr{O}$., American Mathematical Society, 2008
  • 上記 Humphreys のリー代数の教科書の続編的な専門書, BGG category とは最高ウエイトを持つリー代数の加群を自然に含むリー代数の加群からなる圏であり, 深い研究がなされている. この本の後半は証明抜きでの概観を与えるものになっているが, セミナーでは前期で前半だけよんで後期は証明の書かれたより専門的な文献をとりあげることも考えられる. 上級者むけ.
  • Victor G. Kac, Infinite-Dimensional Lie Algebras, Cambridge University Press, 1994
  • 有限次元の複素半単純リー代数の自然な無限次元への拡張として名高い Kac-Moody リー代数の定番的教科書. この本自体は予備知識はあまり必要ないのだが, 何をやっているのかわかるためには, 上記の Humphreys の Introduction to Lie Algebras and Representation Theory などを読んでからの方がよいだろう. 上級者むけ.
  • N. Chriss and V. Ginzburg, Representation Theory and Complex Geometry, Birkhauser, 2000
  • 幾何学的表現論の教科書である. 夏学期から引き続き使用する. 原則として新規に学生は受け入れないがどうしてもという人はすみやかに私と面談すること.

高山茂晴 教授

  • Huybrechts, Complex Geometry, Springer, 2005
  • コンパクトな複素多様体の基本的な性質について書かれてある. 特にケーラー多様体と正則ベクトルの性質を, 計量を用いて記述してある. 予備知識として関数論, 多様体論, 層の理論の初歩を仮定する.
  • R. O. Wells, Differential analysis on complex manifolds, GTM 65, Springer, 1979
  • コンパクトな複素多様体の標準的な教科書として良く知られている. 前半では, 層とコホモロジー, エルミートベクトル束, 楕円型作用素などの基本的事項が説明されている. 後半では特にケーラー多様体の場合の調和積分論, ホッジ・小平の分解定理などが詳しく説明され, それらを用いて小平消滅定理, 小平埋込み定理の証明が与えられている. 3 年生の知識があれば十分に読み進むことができる.

齊藤宣一 准教授

  • 田端正久, 偏微分方程式の数値解析, 岩波書店, 2010
  • 本書は, 偏微分方程式の代表的な数値的解法である, 差分法, 有限要素法, 境界要素法に対する数学的な理論の, 基礎の導入から, 収束証明にいたるまでを, 丁寧かつ明快に解説した, 数値解析の入門書である. 計算方法そのものよりは, 偏微分方程式の離散化によって生じる数学的問題の解析に焦点が絞られている.
  • 増田久弥, 非線型数学, 朝倉書店, 1985
  • 様々な物理現象の記述に現れる非線形微分方程式の, 解の存在・一意性・多重性などを研究する際の基本的な方法である, 不動点定理, 変分法, 写像度理論, 分岐理論を, 具体的な微分方程式を対象に解説した本です.

河野俊丈 教授

  • James F. Davis, Paul Kirk, Lecture Notes in Algebraic Topology, American Mathematical Society Graduate Studies in Mathematics Volume 35, 2001
  • 代数的位相幾何学の基礎である, ホモロジー代数, ホモトピー群, ファイバー束, 障害理論, スペクトル系列などが解説されている. 本書によって位相幾何学を研究する上で必要な代数的な基礎について系統的に学ぶことができる.
  • Augustin Banyaga, David Hurtubise, Lectures on Morse Homology, Springer, 2005
  • Morse 理論は Morse 関数から多様体の幾何学的情報を抽出する手法である. この本では, Morse 関数の臨界点で生成され, 勾配ベクトル場によって境界作用素を定義する Bott, Witten らによる Morse 複体の手法が解説されている. シンプレクティック幾何学などで重要な役割をはたす Floer ホモロジー理論を学ぶことを目標とする.
  • James F. Davis, Paul Kirk, Lecture Notes in Algebraic Topology, American Mathematical Society Graduate Studies in Mathematics Volume 35, 2001
  • 夏学期からの継続である. 冬学期は, ファイバー束の幾何学, 障害理論, 一般コホモロジー, スペクトル系列などを扱う. 本書によって位相幾何学を研究する上で必要な代数的な基礎について系統的に学ぶことができる.
  • Hansjorg Geiges, An Introduction to Contact Topology, Cambridge University Press, Cambridge studies in advanced mathematics 109, 2008
  • 接触幾何学の基礎的な話題と位相幾何学へのさまざまな応用が述べられている. とくに, 3 次元多様体の接触構造の分類に関する Eliashberg の結果, open book 構造などについて詳しく学ぶことができる.
  • Helmut Hofer, Eduard Zehnder, Symplectic Invariants and Hamilton Dynamics (Advanced Texts), Birkhauser, 1994
  • シンプレクティック幾何学は, 解析力学に由来するが, 現在大域的解析学と関連して, 最も活発に研究されている幾何学の分野の一つである. 本書では, ハミルトン力学系の基礎から始めて, シンプレクティック多様体の概念, さらには, キャパシティ, 周期的ハミルトン系とモース理論などを学ぶことができる.

下村明洋 准教授

  • Gerald B. Folland, Real Analysis, (Second Edition), Wiley-Interscience, 1999
  • このセミナーでは, 実解析の基礎を学ぶ. この本では, 実解析及び関数解析的手法による解析学の基礎となる内容が扱われている. 3 年生の講義「解析学 IV 」 (ルベーグ積分論の基礎) と「解析学 VI 」 (フーリエ解析の基礎) の続きに相当する. 4 年生の講義「解析学 VII 」 (関数解析の基礎) や「解析学 XB 」 (実解析の基礎) とも関係が深い. セミナーは 3 章から始める予定である.
  • 宮島静雄, 関数解析, 横浜図書, 2005
  • このセミナーでは, 関数解析の基礎を学ぶ. 関数解析を丁寧に学ぶ事が出来ると思われる. 3 年生の講義「解析学 IV 」 (ルベーグ積分論の基礎) と「解析学 VI 」 (フーリエ解析の基礎) の基本事項を理解している事が望ましい. 4 年生の講義「解析学 VII 」 (関数解析の基礎) や「解析学 XD 」 (スペクトル理論の基礎) との関係が深い. セミナーは第 2 章から始める予定である.
  • Lawrence C. Evance, Partial Differential Equations, (Second Edition), American Mathematical Society, (Graduate Studies in Mathematics 19), 2010
  • 偏微分方程式の様々な基本的話題について, 初歩的な事から丁寧に書かれている本である. この本を読む事によって, 3 年生までに学んできた解析系の科目の内容が偏微分方程式へ応用されていく様子を体験できると思われる. 特に, 数学・数理科学の分野の大学院 (修士課程) への進学を志望していない人に, 4 年生のセミナーでのテキストとして推薦したい.
  • Loukas Grafakos, Classical Fourier analysis, (Second Edition), Springer, (Graduate Texts in Mathematics 249), 2008
  • このセミナーでは, フーリエ解析・実解析について学ぶ. 概ね 3 年生の講義「解析学 VI (フーリエ解析の歩) 」の続きに位置付けられる. このセミナーに参加を希望する人は, 希望調査票を提出する前に, テキストを見て, 面談に来て下さい.
  • 儀我美一, 儀我美保, 非線形偏微分方程式 (共立講座 21 世紀の数学 25), 共立出版, 1999
  • 線型及び非線型の偏微分方程式と, それに必要な解析学の基本事項について学ぶ. この本では, 偏微分方程式の学習を通して, 解析学の基礎も身に付く様に, 十分な配慮がなされている様に思う. この本を読む事によって, 3 年生や 4 年生で学ぶ解析学の基礎理論がどの様に役立っているのかを体験できると思われる.
  • Gerald B. Folland, Real Analysis, (Second Edition), Wiley-Interscience, 1999
  • 実解析の基礎を学ぶ. この本では, 実解析及び関数解析的手法による解析学の基礎となる内容が扱われている. 3 年生の講義で学ぶルベーグ積分論とフーリエ解析の続きに相当する. セミナーは 3 章から始める予定である.

林修平 准教授

  • Eduard Zehnder, Lectures on Dynamical Systems, European Mathematical Society, 2010
  • 副題に Hamiltonian Vector Fields and Symplectic Capacities とありますが前半は一般的な力学系入門です. とりあえずは通年で前半を読了することが目標です. 前半がエルゴード理論も含めた力学系理論入門になっている.
  • Morris W. Hirsch, Stephen Smale, Robert L. Devaney, Differential Equations, Dynamical Systems, and an Introduction to Chaos, Academic Press, 2004
  • 前半は準備的内容なので, 後半の 7 章から始めて半年で読了することを目標とする. 読了後は相談の上, 次のテキストを決める.

関口英子 准教授

  • 小林俊行--大島利雄, リー群と表現論, 岩波書店, 2005
  • リー群と表現論に関する本格的な教科書です. 数多くある代数的な表現論の本と異なり, 幾何および解析的な考え方を重視して書かれています. 前半ではフーリエ級数論を拡張して, 非可換なコンパクト群の表現論が扱われ, 後半では古典群の表現論, ファイバー束と群作用, 幾何的な表現の構成 (有限次元・無限次元) が順を追って詳しく説明されています. 深い洞察によって, 本質的なことを掘り下げた名著です.

小林俊行 教授

  • N. M. J. Woodhouse, Geometric Quantization, Oxford Mathematical Monographs, 1997
  • シンプレクティック多様体と幾何的量子化に関する入門書である. 幾何的量子化は, 古典力学から量子力学に移行する手法に洞察を与えるだけでなく, 群作用をもつシンプレクティック多様体から, 群の表現を生み出す大きな枠組みに拡張される. 予備知識としては, 多様体の基礎, 微分形式についての正確な理解が必要である. リー群に関しては読みながら知識をつければよい.
  • D. Goldfeld, Automorphic forms and L -functions for the group GL (n,R), Cambridge University Press, 2006
  • 一般線形群の保型形式に関する入門書.
  • G. B. Folland, Harmonic analysis in phase space, Princeton, 1989
  • $R^n$ 上の二乗可積分関数のなすヒルベルト空間には, フーリエ変換をはじめ, 重要なユニタリ作用素がたくさんあり, それらの総体は非常に大きな対称性 (ヴェイユ表現, シュレーディンガー表現) として捉える事ができる. この対称性は, フーリエ解析, 偏微分方程式, 無限次元表現論, 数理物理, 保型形式の整数論の基礎としても用いられる. 本書は関数解析やフーリエ解析を基本的な手法としており, 3 年生の必修科目, 特に, 解析系の科目のすべてと多様体論を理解していることが予備知識として必要である.
  • 木村達雄, 概均質ベクトル空間, 岩波書店, 1998
  • ゼータ関数などが満たす, 美しい関数等式の背後にある「代数群の有限次元の大きな作用」を理論化した概均質ベクトル空間の唯一の教科書であり, 代数や解析に関する入門的な準備の後, 概均質ベクトル空間のゼータ関数の一般論や分類理論まで解説されている.
  • R. Berndt, An Introduction to Symplectic Geometry, American Mathematical Society, 2000
  • シンプレクティック幾何の入門書.
  • Nicole Berline, Ezra Getzler, Michele, Heat Kernels and Dirac Operators (Grundlehren Text Editions), Springer, 2013
  • コンパクトリーマン多様体上のディラク作用素に対する Atiyah-Singer の指数定理およびその一般化をテーマとする. これに必要な幾何学および解析学の基礎知識を学びながら, 熱核を幾何的に構成することによって, 大定理の簡単な証明を与えるのが本書の目標である.
  • Daniel Bump, Automorphic Forms and Representations (Cambridge Studies in Advanced Mathematics 55), CUP, 1998
  • 表現論的な観点からの保型形式の数論をテーマとした定評ある教科書.

寺杣友秀 教授

  • Hartshorn, Algebraic Geometry, Springer, 1977
  • 現代の代数幾何はイデアル論を中心とする可換環を基礎として構成されている. 幾何学的直感を重視しつつ, 可換環論とコホモロジー論を使うことにより, 従来の代数幾何より強力な理論が展開される. この本はそのために必要はことが普くかかれている.
  • F. Hirzeburch, Topological Methodes in Algebraic Geometry, Springer, 1962
  • 一般次元の代数多様体のリーマンロッホの定理は指数定理群と呼ばれる一連の定理のもっとも典型的な雛形となっている. トポロジー, 複素多様体, 代数幾何が様々な形で交錯した数学的対象の豊かさを感じることのできる一冊である.
  • P. Deligne, SGA 4+1/2, Lecture Note in Mathematics, 569, Springer, 1977
  • エタールコホモロジーの理論の主なトピックスをまとめたもの.
  • D. Mumford, Curves and their Jacobian, University of Michigan Press, 1975
  • 曲線のヤコビ多様体についての古典的理論を扱った定本.

河東泰之 教授

  • William Arveson, A short course on spectral theory, Springer, 2002
  • 作用素のスペクトルの理論を扱いますが, 関数解析の基本的な内容はある程度知っている必要があります. 作用素環的な雰囲気があちこちに出ています.
  • John B. Conway, A course in Functional Analysis, Springer, 1990
  • 関数解析の基本的な内容から始まります. あとの方に $C^*$ 環の話も出てきます.
  • Gert K. Pedersen, Analysis Now, Springer, 1995
  • 関数解析の本ですが, 抽象的理論展開が好きな人向けです.
  • Voiculescu, K.J. Dykema and A. Nica, Free Random Variables, Amer. Math. Soc., 1992
  • 自由確率論の基本的教科書. 現在でも使われている重要な技法が初歩から解説されている.
  • John B. Conway, A Course in Operator Theory, Amer. Math. Soc., 1992
  • 作用素論, 作用素環論の基礎的な教科書. 十分初歩的なところから解説してある.
  • W. Arveson, A short course on spectral theory, Springer, 2003
  • 抽象的作用素論の教科書. 作用素環のことも少し書いてある.

緒方芳子 准教授

  • 黒田耕嗣, 樋口保成, 統計力学, 陪風館, 2006
  • 古典スピン系とよばれる物理モデルの数学的解析について分かりやすく説明した本です.
  • 松井卓, 作用素環と無限量子系, サイエンス社, 2014
  • 場の量子論と量子多体系の統計力学, すなわち無限自由度量子系と作用素環という数学との多岐にわたる関わりを紹介した本. 数学的に曖昧さなく扱える無限格子上の量子系の統計力学に関しての基本的な事項, 統計力学, 場の理論を扱う数学的な枠組みから最近の話題についてまで述べている.

足助太郎 准教授

  • S. Morosawa, Y. Nishimura, M. Taniguch, T. Ueda, Holomorphic Dynamics (revised), Cambridge University Press, 2000
  • 複素力学系の入門書.
  • Tatsuo Suwa, Indices of vector fields and residues of singular holomorphic foliations, Hermann, 1998
  • 特性類の局所化 (localization) に関する入門書である.

斉藤義久 准教授

  • P. Etingof, O. Golberg, S. Hensel, T. Liu, A., Schwender, D. Vaintrob, Introduction to representation theory, Student Mathematical Library 59 (American Mathematical, 2011
  • 表現論に関する基礎的事項を解説した教科書です. 内容は多岐に渡っていますが, リクエストがあれば, 特定の箇所を抜き出してセミナーを行うことも可能です.
  • I. Assem, D. Simson, A. Skowronski, Elements of representation theory of associative algebras. Vol.1., London Math. Soc. Student Texts 65 (Cambridge University Press), 2006
  • 3 年の輪講のテキストにも挙がっていますが, 有限次元代数の表現論に関する基本的な教科書です. Vol.1 とあるのは, この本がシリーズものの第 1 巻 (2, 3 巻もある) だからで, 場合によっては 2 巻や 3 巻を取りあげることも可能です (要相談).
  • I. G. Macdonald, Affine Hecke algebras and orthogonal polynomials, Cambridge, 2003
  • その名の通り, affine Hecke algebra の (多変数) 直交多項式の理論への応用を論じた本です. affine root system と affine Weyl group の理論から話が始まっており, セミナーでは最初から読むつもりですが, affine Hecke algebra に関してすでに知っている場合には, 直交多項式への応用の部分を中心にセミナーをすることも可能です.
  • Roger Carter, Lie algebras of Finite and Affine type, Cambrigde University Press, 2005
  • 主に前半部分 (simple Lie algbera とその表現論, ルート系の理論等) を取り上げる予定ですが, 余裕があれば後半の affine Lie algbera の部分を扱うことも可能です.
  • Jens Carsten Jantzen, Lectures on quantum groups, AMS, 1996
  • 量子群 (量子包絡環) の表現論に関して, 基礎的な部分から解説してある定評ある教科書です. 行間は少ないので, 何も知らなくても読み進めることは出来ますが, simple Lie algbera に関する知識がないと何をやっているのかがわかりにくいかも知れません. simple Lie algbera に関する知識がない場合は, 適宜それを補いながら読み進んでいくことになると思います.
  • S. K. Donaldson and P. B. Kronheimer, The Geometry of Four-Manifolds, Oxford University Press, 1990 年 (ペーパーバック版のリプリントは 1997 年)
  • 言わずと知れたゲージ理論の古典的名著. 出版から 20 年以上が経つが, 未だにこの本を超える教科書はない. 通読には時間がかかりすぎるかも知れないので, 途中からより新しい論文やレビューに切り替えることも視野に入れる.

斎藤 毅 教授

  • Jean-Pierre Serre, Corps Locaux, Hermann, 1997
  • 整数論で問題を局所化して考えるとは, p 進体上で考えることになります. 多少詳しすぎるところもありますが局所体についての標準的な教科書です. 基礎理論, 分岐, ガロワ・コホモロジー, 局所類体論が主な内容です. 可換環についてのある程度の知識は前提とされてます.

白石潤一 准教授

  • 国場敦夫, ベーテ仮説と組合わせ論, 朝倉書店, 2011
  • ベーテ仮説法とは, ある種の線形演算子のスペクトルを決定するためにベーテが 1931 年に導入した考え方である. このテキストでは, 非常に強力なベーテ仮説法に立脚し, リー代数の表現論やさまざまな組合わせ論的手法を駆使して可積分系の解析を行う.
  • William Fulton, Young Tableaux, Cambridge University Press, 1997
  • Part I, II では, Robinson-Schensted-Knuth 対応, Littlewood-Richardson 規則等の表現論の組合わせ論的側面に関する事項を学ぶ. Part III では, Falg varieties, Schubert varieties 等の幾何学について学ぶ.
  • 岡田聡一, 古典群の表現論と組合わせ論 (上下), 培風館, 2006
  • 複素数体上の古典群及び対称群の表現論を組合わせ的側面とともに紹介した本である. 題材に対する著者の思い入れと深い配慮により, 読者は最小限の準備で古典群の表現論とその組合わせ的美しさへ導かれる.

金井雅彦 教授

  • Cheeger, Jeff & Ebin, David G., Comparison theorems in Riemannian geometry Revised reprint of the 1975 original., AMS Chelsea Publishing, Providence, RI, 2008
  • リーマン幾何に関する古典的な教科書. 記述が密な分すぐに見晴らしが良く感じられるレベルにまで達することができます. それがこの本の最大の特徴でしょう. 長らく絶版でしたが, 最近ようやく再版されました.
  • Navas, Andr é s, Groups of circle diffeomorphisms, University of Chicago Press, Chicago, IL, 2011
  • 円周への微分可能な群作用に関するモノグラフ. 力学系的要素が比較的強いと言えるでしょう. 英訳が出版されたのはごく最近のこと. お勧めの 1 冊です.
  • Bowditch, Brian H., A course on geometric group theory, , Mathematical Society of Japan, Tokyo, 2006
  • 幾何学群論の教科書の中でもっとも簡単なのが恐らくこれ. ページ数も百少々, これならば, 半年で最後まで読み切れるかも知れません.
  • Peter Frankl, 前原濶, 幾何学の散歩道, 共立出版, 1991
  • 幾何学的な味わいに富んだ「短編集」. 好みの章を読み終えたら, テキストから離れ, 関連した他の文献に進んで欲しいと願っている. 詳細に関しては, 面談の際に説明する.

一井信吾 准教授

  • David A. Patterson and John L. Hennessy, Morgan Kaufmann, Computer Organization and Design: The Hardware/Software Interface, Revised Fourth Edition, 2011
  • コンピュータの基本的な構造や動作を基礎から解説したものとして, 世界的に定評がある本です.
  • Kevin R. Fall and W. Richard Stevens, TCP/IP Illustrated, Volume 1. Second Edition, Addison-Wesley, 2012
  • インターネットの基礎技術である TCP/IP の定番教科書の新版. 書いてあることは読めば分るが, 「なぜそのように作られているのか」を考えたい. 本を読むだけではなく, データを解析したり, プログラムを書くことで内容を自ら確かめることをすすめる.

時弘哲治 教授

  • W.H.Schikhof, Ultrametric calculus --An introduction to p-adic analysis, Cambridge University Press, 1984
  • $p$ 進数を用いた解析の入門書. $p$ 進数体は有理数体のある拡大体であるが, $p$ 進付値により距離が定義されるため, 数列や級数は有理数や実数とは異なる収束性を示す. そのため, 例えば, 整数上での微分を定義できるなど興味深い性質を持つ. p 進数は数論において重要な役割を果たしているが, 最近, 離散可積分系に関連して応用数学上でも注目を集めてきており, 本年度はこのテキストをとりあげた.
  • J.D.Murray, Mathematical Biology: I An Introduction (3rd edition), Springer, 2007
  • 数理生物学の入門的な著書. 簡単な人口論の問題から始めて, BZ 反応や生化学反応, 伝染病の数理, 生物界におけるパターン形成の数学的モデル を扱っている. FitzHugh-Magumo 方程式などの非線形方程式系の定性的な性質によって, どのようにパターン形成, 自己組織化を生じるかをわかりやすく解説している.

古田幹雄 教授

  • S.K. Donaldson, Riemann Surfaces (Oxford Graduate Texts in Mathematics), Oxford Univ Pr, 2011
  • 近年のトポロジーの観点を踏まえた Riemann 面の教科書. このテキストを取り上げた第一の理由は, 幾何のどんな分野に進むためにも有用な, 具体的なものを扱う経験をくぐるためである. 第二の理由は著者のものの見方に触れるためである. 行間と見える者を埋めることが勉強になると思われる.
  • B. Booss, D.D. Bleecker, Topology and analysis: the Atiyah-Singer index formula and gauge-theoretic physics, Springer, 1984
  • Atiyah-Singer の指数定理のひとつの証明を紹介してある本

坂井秀隆 准教授

  • 西岡久美子, 微分体の理論, 共立出版, 2010
  • 微分方程式が解けるかどうかを代数を使って判定する. 解けるということに関してもいろいろな意味がある. とくに, 線型の方程式だけでなく, 非線型の方程式も扱っているのが特色.
  • 渋谷泰隆, 複素領域における線型常微分方程式, 紀伊国屋書店, 1976
  • 変数係数常微分方程式の解の構成や解の解析接続に関する Riemann の問題などが述べられる. 古典的かつ標準的な内容も, 20 世紀の数学の言葉を使って整理されている. 後半は不確定特異点を持つ場合に問題が拡張されていて, 最近の研究においても議論される重要なものを含んでいる.
  • David Mumford, Tata Lectures on Theta I, II, Birkhauser, 1983
  • テータ関数に関する基本的な文献.
  • 渋谷泰隆, 複素領域における線型常微分方程式, 紀伊国屋書店, 1976
  • 変数係数常微分方程式の解の構成や解の解析接続に関する Riemann の問題などが述べられる. 古典的かつ標準的な内容も, 20 世紀の数学の言葉を使って整理されている. 後半は不確定特異点を持つ場合に問題が拡張されていて, 最近の研究においても議論される重要なものを含んでいる.

宮岡洋一 教授

  • Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag, 1977
  • 代数幾何の標準的教科書. Atiyah-McDonald 程度の環論を勉強しておくとよい.
  • 渡辺敬一, 後藤四郎, 可換環論, 日本評論社, 2011
  • Cohen-Macauley 環に焦点を定めた可換環論の本格的な教科書であり, 代数幾何, 特に特異点論に興味のある人に薦める.

平地健吾 教授

  • Lars Hormander, An introduction to complex analysis in several variables, North-Holland Publishing Co., 1990
  • 多変数複素解析の入門書. 多変数の正則関数は一変数のときとは異なる性質をもち, その解析には偏微分方程式や層の理論が必要になる. この教科書ではこれらの基本事項を全て学ぶことができる (が行間を埋めるのは難しい).
  • 多変数複素解析の代表的な入門書です. 多変数の正則関数が存在する自然な領域 (正則領域とよばれる) の幾何的な特徴づけを与えるレビ問題の解決を目標とします. 擬凸性などの複素解析の基本的な道具を学んだあと, 偏微分方程式の理論を用いてレビ問題の解を与えます.
  • Klaus Fritzsche and Hans Grauer, From Holomorphic Functions to Complex Manifolds, Springer, 2002
  • Hormander の教科書と同じく多変数関数論の入門書であるが, こちらはより幾何学的な側面を詳しく解説している. 複素解析だけでなく微分幾何の基礎も学べる上に Hormander より読みやすい.
  • Steven Rosenberg, The Laplacian on a Riemannian Manifold: An Introduction to Analysis on Manifolds London Mathematical Society Student Texts, Cambridge University Press, 1997
  • リーマン多様体の上で定義されるラプラス作用素と幾何的な不変量との関係を調べる, 幾何解析学の入門書. ラプラス作用素を用いて定義される熱方程式の解析をとおしてガウス・ボンネの定理を証明するのが一つの目標である.
  • William Fulton, Joe Harris, Representation theory: a first course,
  • リー群の有限次元表現の入門書. 有限群の表現の具体的な構成からはじめて半単純群とよばれる非常によい性質を満たすリー群の表現までを学ぶことができます. 沢山の例を通して自然に一般論を理解できるよう工夫されています. 読んでいて楽しい本です.
  • 大沢健夫, 多変数複素解析, 岩波書店, 2008
  • 多変数の正則函数の理論の現代的な入門書. 偏微分方程式を解いて正則函数を作る手法を学ぶことができる.
  • Shoshichi Kobayashi, Transformation Groups in Differential Geometry, Springer, 1972
  • この本ではリーマン幾何, 複素幾何, 射影幾何, 共形幾何などの幾何構造の自己同型群を微分形式を用いて統一的に調べる. 一冊で色々な幾何を勉強することができ, 微分幾何の基本的なテクニックも身につく.

逆井卓也 准教授

  • Raoul Bott, Lorinng W. Tu, Differential Forms in Algebraic Topology, Springer, Graduate Texts in Mathematics, 1995
  • 代数的トポロジーの有名な教科書. 前半は de Rham 理論を軸として多様体のコホモロジーに関する基本事項を学び, 後半は代数的トポロジーで用いられる道具を一通り学ぶ.
  • John Hempel, 3-Manifolds, Princeton University Press, 1976
  • 3 次元多様体に関する古典的な教科書. Thurston 以降の双曲幾何的なアプローチは含まれていないが, 3 次元多様体論の基本的な事項を一通り学ぶことができる.
  • Jurgen Jost, Compact Riemann Surfaces: An Introduction to Contemporary Mathematics (3rd edition), Springer, Universitext, 2006
  • 基本群や被覆空間に関する基本的事項の説明から始まり, 曲面の微分幾何, 調和写像, タイヒミュラー空間の基礎へと続いていく. リーマン面を軸に, 代数, 幾何, 解析が絡み合っていく様子を学ぶことができる.
  • Nikolai Saveliev, Lectures on the Topology of 3-Manifolds: An Introduction to the Casson Invariant (2nd Edition, 1st Edition でも可), Walter De Gruyter, 2011
  • Casson 不変量を主なテーマとして, 3 次元多様体論, 4 次元多様体論に関する基本的事項が多くの具体例とともに手際よくまとめられている.
  • 今吉洋一, 谷口雅彦, タイヒミュラー空間論 (新版), 日本評論社, 2004
  • タイヒミュラー空間とは曲面上の種々の幾何構造を「上手に」パラメトライズする空間であり, 現在でも様々な手法を用いて研究が進められている. この本はタイヒミュラー空間に関する代表的な教科書であり, 双曲幾何と離散群, 複素函数論, 微分幾何などを総合的に用いて, タイヒミュラー空間やそのモジュラー群 (曲面の写像類群) の構造を明らかにしていく.

俣野博 教授

  • Haim Brezis, Functional Analysis, Sobolev Spaces and Partial Differential Equations (Universitext), Springer, 2010
  • 関数解析の基礎からソボレフ空間, 偏微分方程式の理論にいたるまでを系統的ににカバーした教科書である. 1983 年に同じ著者が出版した関数解析の教科書 (フランス語) は, 世界各国の言語に翻訳されて広く読まれていたが, 今回は全面的な改訂が加えられており, 扱われている題材も最新のものが増えている.
  • Applied Functional Analysis: Applications to Mathematical Physics (Applied Mathematical Sciences) (volume 108)
  • Eberhard Zeidler, Applied Functional Analysis: Main Principles and Their Applications (Applied Mathematical Sciences, volume 109), Springer-Verlag,
  • 関数解析学の基礎理論を, 豊富な具体例や応用問題を通してわかりやすく解説.
  • John L. Troutman, Variational Calculus and Optimal Control, Springer, 1995 (second edition)
  • 変分法の入門的教科書である. 主として 1 変数の問題を対象としているが, フェルマの原理や等周問題をはじめ多くの重要な古典的問題をカバーしており, 最適制御問題も扱っている. 本書では, 汎関数が凸である場合に焦点を絞ることにより, 関数解析の高度な知識を用いなくても最小化問題を厳密に論じることができるように配慮されている. 具体例を通して背景の理論を学ぶスタイルなので読みやすく, また, 変分法の発展の歴史に関する記述も充実している.

河澄響矢 准教授

  • J.-P. Serre, Oeuvres - Collected Papers, Vol.1, Springer, 1986, 2003,
  • Serre の初期の代数トポロジーの論文を順番に読む. トポロジーの基本的な道具であるスペクトル系列の習得を目的とする. 学内の PC から原論文の pdf が取得可能なので, テキストを購入する必要は全くない.
  • 荒木捷朗, 一般コホモロジー, 紀伊國屋書店, 1975
  • かなり古い本である. それにもかかわらず本書を推薦する理由は Brown 函手, K コホモロジー, ボルディズム, スペクトル系列, 一般コホモロジーなどの位相幾何学の一般教養を身につけておくことが, 将来, 役に立つだろうと思うからである.
  • Francois Labourie, Lectures on Representations of Surface Groups, European Mathematical Society, 2013
  • 曲面の基本群からリー群への準同型の全体の空間は, 低次元多様体を研究するための基本的な道具となっている. 本書では, 曲面, ベクトル束, ねじれ係数コホモロジーなどの基本的な事柄の学習からはじめて, 曲面の基本群からリー群への準同型の全体の空間についての概観をうるところまでを扱っている. なお, テキストは著者本人の website http://www.math.u-psud.fr/~labourie/preprints/pdf/surfaces.pdf からも入手可能.

新井仁之 教授

  • 藤田宏, 黒田成俊, 伊藤清三, 関数解析, 岩波書店, 1992
  • 関数解析学の基礎事項が丁寧に解説されている. その応用として偏微分方程式が取り上げられている. セミナーではこの本の前半を読むことを目標とする.
  • Walter Rudin, Functional Analysis, 2nd edition, McGraw-Hill, 1991
  • 関数解析学の入門書. 多くの話題がコンパクトにまとめられ, 関数解析に関する基礎事項が組織的に学べる. 主な内容は位相線形空間, 超関数, フーリエ変換, 線形偏微分方程式への応用, タウバー理論, バナッハ環とスペクトル理論, 作用素半群の基礎などである.
  • I. ドブシー, ウェーブレット 10 講, 丸善出版, 2012
  • ウェーブレットの著名な研究者による有名な教科書. 入門書の決定版といっても過言ではない. ウェーブレットは 20 世紀末期に現れた新しい数学で, 関連応用分野に革命的な進展をもたらせた. たとえばディジタル信号処理などはその典型例である. 本書ではウェーブレットの数学的基礎をしっかりと学べる.

辻雄 教授

  • A. Weil, Basic Number Theory, Springer, 1992
  • 前半は adele, idele の観点からの代数体および有限体上の 1 変数関数体の理論, 後半は局所類体論, 大域類体論を扱っている.

寺田至 教授

  • 岡田聡一, 古典群の表現論と組合せ論 上・下, 培風館, 2006
  • 複素数体上の古典群 (一般線型群・特殊線型群・直交群・シンプレクティック群) の表現, およびその構成に深く関係する対称群の表現と, さらにそれらに関する組合せ論的な結果などを総合的に扱った本. リー環の一般論から入るのではなく, 具体的な群 (やりー環) の特性を生かして表現を考察する視点をとっている.

松尾厚 准教授

  • Pavel Etigof and Olivier Schiffman, Lectures on quantum groups, Internatinal Press, 2002
  • 量子群と関連する様々な話題の概略を広く網羅した講義録である. 主なトピックスとしては, ポアソン代数, ホップ代数とテンソル圏, 量子展開環, ドリンフェルト・ダブル構成法・ KZ 方程式, 擬ホップ代数, ポアソン・リー群の量子化, 多重ゼータ関数などがあり, どれも興味深い. 気に入ったトピックスについては, 本書を離れて原論文等にあたり, 詳しく学ぶのも良いだろう.
  • Frenkel-Lepowsky-Meurman, Vertex operator algebras and the Monster., Academic Press, 1988
  • Lie 代数への入門から書き起こして頂点作用素代数とモンスターについて詳細に論じている.
  • Kassel, Quantum Groups, Springer, 1995
  • 量子群と関連するホップ代数・テンソル圏・ KZ 方程式などの豊富な話題について丁寧に解説している.
  • W. Ebeling, Lattices and codes, Springer, 2013
  • 格子 (lattice) と符号 (code) は代数的組合せ論に位置づけられる概念だが, 有限群論・リー環論・代数幾何・位相幾何などの様々な分野に様々な形で登場し, 非常に興味深い研究対象である. 本書は, 格子と符号について読みやすく丁寧に書かれた定評のある入門書である.

長谷川立 准教授

  • Herbert B. Enderton, A Mathematical Introduction to Logic, Academic Press, 2001
  • 標準的な数理論理学の教科書です. 読みやすく丁寧に書かれていると評価されています. 基本的なところから書かれているので, 初学者であっても読めると思います. 基本的な事項をすでにマスターしている学生であれば, 途中から読むのもよいと思います.
  • Saunders Mac Lane and Ieke Moerdijk, Sheaves in Geometry and Logic, Springer, 1992
  • 層の概念は, 幾何などではポピュラーですが, 論理学にも緊密な関連があります. また, プログラミング言語のモデルの構成にも用いられたりして, 計算機科学での素養にもなっています. 丁寧に書かれていて, 読みやすいテキストだと思います.

宮本安人 准教授

  • A. Ambrosetti and G. Prodi, A Primer of Nonlinear Analysis (Cambridge studies in advanced mathematics 34), Cambridge University Press, 1993, (Paperback 1995)
  • 非線形楕円型偏微分方程式に関する入門書. 関数解析に関する基礎事項から始まり, 陰関数定理を利用した解の存在証明, 解の個数, 分岐現象の一般論とその応用等を扱っている.

川又雄二郎 教授

  • Arnaud Beauville, Complex Algebraic Surfaces, Cambridge University Press, 1996
  • 代数曲面論は幾何学的代数多様体論の故郷である. 双有理変換, 交差理論, 層の完全列などの基本的手段を通して代数曲面の分類理論を学ぶ. Hartshorne などの教科書で展開されている代数幾何学の抽象論だけではその意味がよくわからないという人に最適.
  • Lucian Badescu, Algebraic surfaces, Springer, 2001
  • 代数曲面論は代数幾何学の故郷である. エンリケス=小平の曲面論を基礎体の標数に依存しない形に拡張したマンフォード=ボンビエリ理論の解説. 現在欧米で活躍しているルーマニア人中堅研究者は著者の弟子が多い. ルーマニア語からの翻訳.

稲葉寿 准教授

  • H.L.Smith and H.R.Thieme, Dynamical Systems and Population Persistence, AMS, 2011
  • 人口学や生態学, 疫学における数理モデルの多くは個体群の自己再生産と非線形相互作用を表現する力学系として定式化される. そこで基本的な問題は, 個体群が絶滅するか, 存続するかということである. 本書はそこで基本的に重要となるパーシステンスという概念の理論と応用を述べている.
  • Hal L. Smith and Horst R. Thieme, Dynamical Systems and Population Persistence, Amarican Mathematical Society, 2011
  • 生物個体群モデルの基礎概念に, 存続可能性 (persistence) がある. これは通常の安定性などよりはずっと広い概念で, 最近の個体群力学系研究におけるキー概念になってきている. 本書は個体群力学系理論と persistene theory に関する厳密な数学的解説で, 本格的な数理生物学研究の基礎として非常に有効であろう.

野口潤次郎 教授

  • L. Hoermander., Introduction to Complex Analysis in Several Variables. (Third Edition), North-Holland, 1990
  • $\bar{\partial}$- $L^2$ 法による多変数解析関数論の名著.

志甫淳 准教授

  • Qing Liu, Algebraic geometry and arithmetic curves, Oxford University Press, 2006
  • 代数幾何学, 数論幾何学において必須であるスキーム理論について書かれた本である. 可換環論および位相空間論の基礎的な知識が必要である.
  • J.W.S Cassels and A. Frohlich, Algebraic Number Theory, Academic Press, 1967, London Mathematical Society から出版の 2nd Edition (2010 発行) もあり.
  • 局所体, 大域体についての基礎から始まり, 群のコホモロジーを通じて局所及び大域類体論を証明している本.

今野宏 准教授

  • Ana Cannas da Silva, Lectures on Symplectic Geometry, Springer, Lecture Notes in Mathematics 1764, 2001
  • シンプレクティック幾何学の入門書です. 前半では基本的な概念, 性質が解説されています. 後半では, モーメント写像の幾何がさまざまな例とともに解説されています. 幾何学 I (多様体), 幾何学 III (微分形式) の基礎的な部分を理解していれば, 無理なく読み進められると思います.

織田孝幸 教授

  • Marc Hindry and Joseph H. Silverman, Diophantine Geometry. An Introduction (GTM 201), Springer, 2000
  • 不定方程式に関する現代的な研究手法の入門書. もちろん, 全部をやろうなどとは思っていない. 同種の別のもっと薄いものに変えることも可能です.
  • Branko Grünbaum, Convex Polytopes (GTM 221), Springer, 1967 John Wiley and Sons, 2003 Springer
  • Euclid 空間内の凸体に関する古典的なよく知られた本である. 織田の専門とは少し違うが, 現在の研究に使えるかもと読んでみる気になる. 付き合ってくれる人を歓迎します.

高木俊輔 准教授

  • 宮西正宜, 代数幾何学, 裳華房, 1990
  • スキーム論から代数曲面論までの基本的な事項が解説してある, 代数幾何学の標準的な入門書. 学部 3 年生までの知識で読み進められるように配慮されている.
  • 樋口禎一, 吉永悦男, 渡辺公夫, 多変数複素解析入門, 森北出版 1980
  • 解析空間・解析的特異点論の入門書. 2 次元正規特異点について詳しく述べられている. Riemann 面の知識があることが望ましい.
  • Robin Hartshorne, Algebraic Geometry, Springer-Verlag, 1977
  • 世界的に有名な, 代数幾何学の標準的な入門書. 可換環論の基礎知識 (Atiyah-Macdonald"Introduction to Commutative Algebra" 程度) があることが望ましい.

大島利雄 教授

  • 柏原正樹, 河合隆裕, 木村達雄, 代数解析学の基礎, 紀伊國屋書店, 1980

吉田朋広 教授

  • D. W. Stroock, Probability Theory, Cambridge, 1993
  • 確率論の基本的な題材を扱っている.
  • I.A. Ibragimov, R.Z. Has'minnskii (S. Kotz 訳), Statistical estimation: asymptotic theory, Springer, 1981
  • I-H 理論を確立した著者による教科書.
  • Patrick Billingsley, Convergence of Probability Measures (Wiley Series in Probability and Statistics) 2 版, Wiley-Interscience, 1999
  • 確率測度の収束の基礎理論とその応用に関して平易に解説している. 本書の主なテーマである C 空間, D 空間の理解は確率統計分野に進む場合は必須である.

寺田至 准教授

  • 岡田聡一, 古典群の表現論と組合せ論 上・下, 培風館, 2006
  • 複素数体上の古典群 (一般線型群・特殊線型群・直交群・シンプレクティック群) の表現, およびその構成に深く関係する対称群の表現と, さらにそれらに関する組合せ論的な結果などを総合的に扱った本. リー環の一般論から入るのではなく, 具体的な群 (やリー環) の特性を生かして表現を考察する視点をとっている.

山本昌宏 教授

  • L. Evans, Partial Differential Equations, American Mathematical Society, Providence, RI., 2000
  • 英語ではあるが, 古典的な偏微分方程式についての包括的な解説であり, 研究者として必要な偏微分方程式の知識を得ることができる.

髙木寛通 教授

  • Hartshorne, Algebraic Geometry (Springer GTM 52) Springer 1st ed. 1977. Corr. 8th printing 1997 版 (1997/4/1) (日本語版を参照しても構わないが, 英語版で読むのが望ましい).
  • 1 章は 4 年生に進学するまでに自習しておくこと. その際, 必要な可換環論の知識も補っておくこと.
  • 言わずと知れた代数幾何学の有名な教科書. たぶん, これを志望してくる人に説明は無用と思う.
  • デビッド コックス, ドナル オシー, ジョン リトル, グレブナ基底と代数多様体入門, 丸善出版, 2012
  • イデアルの生成元を実際に求めるときなどに有効なグレブナ基底という概念を通して, 代数幾何の初歩を, 実際に手を動かしながら学べる. 予備知識はほとんど必要としない. 可換環論についても丁寧に説明してある.

三枝洋一

  • Ulrich Görtz and Torsten Wedhorn, Algebraic geometry I. Schemes with examples and exercises, Vieweg + Teubner, 2010
  • 志村多様体論などで活躍中の数論幾何の研究者によるスキーム論の本. 丁寧な説明と豊富な例が特徴である.
  • Armand Borel, Automorphic forms on $SL_2 (\mathbb{R})$, Cambridge University Press, 1997
  • 保型形式の現代的な扱い方である保型表現についての入門書.

二木 昭人

  • 小林昭七, 複素幾何, 岩波書店, 2005
  • 複素幾何の標準的教科書. 層, ベクトル束の接続, チャーン類, ホッジ理論, 小平消滅定理など. 調和積分論の証明はないので, Griffiths-Harris で補うと良い.
  • Gang Tian, Canonical metrics in Kahler Geometry (Lectures in Mathematics, ETH Zurich), Birkhauser, 2000
  • ケーラー多様体に標準計量を与える問題を扱う. 標準計量とはカラビ・ヤウ計量, ケーラー・アインシュタイン計量などのこと.

宮本安人

  • A. Ambrosetti and A Malchiodi, Nonlinear Analysis and Semilinear Elliptic Problems (Cambridge studies in advanced mathematics 104), Cambridge University Press, 2007
  • 半線形楕円型方程式の解析に有効な手法のうち, 位相的方法 (写像度の理論) と変分法について, この方面の研究で著名な Ambrosetti 氏と Malchiodi 氏自身で解説している. 具体例が豊富で記述も明快である. 後半は最前線に近いトピックスも扱われている.
  • 宮島静雄, ソボレフ空間の基礎と応用, 共立出版, 2006
  • 偏微分方程式の研究で欠くことのできないソボレフ空間を扱った和書. ソボレフの埋め込み定理, 拡張定理, レリッヒの定理, 補完定理, トレース作用素など基本的な定理が解説されている. 応用として楕円型方程式の解の存在や正則性なども扱われている.

不明

  • Manfred Einsiedler and Thomas Ward, Ergodic theory with a view towards number theory, Springer-Verlag London, Ltd, 2011
  • タイトル通り, 整数論への応用を意識したエルゴード理論への入門書です. Chapter 1 で応用例を概観できます. エルゴード理論の抽象的側面についても充実しています.
  • Bachir Bekka, Pierre de la Harpe, and Alain Valette, Kazhdan's property (T), Cambridge University Press, 2008
  • 群の解析的性質の一つである Kazhdan の性質 (T) についての入門書です. 本の後半では, ユニタリ表現の基礎的事項がまとめられています.

加藤晃史

  • Pierre Deligne, Pavel Etingof, Daniel S. Freed, Lisa C. Jeffrey, David Kazhdan, John W. Morgan, David R. Morrison, Edward Witten, Quantum Fields and Strings: A Course for Mathematicians, Vol 1 & 2, American Mathematical Society, 1999
  • 1996-97 年に米国プリンストン高等研究所で行われた 数学者向けの場の量子論や弦理論の勉強会の報告集. いろいろな話題について, 長短さまざまな講義録や演習問題が集められている. 全部で 1500 ページもあるので, セミナーではいくつかの章を選んで読むことになるだろう.

2015-01-02 数学・物理関連サービスを強化していきたい: 定理の横の QR コードにいろいろな情報つけるのも面白そう

以前, 数学書の電子書籍で定理の例や反例追加パックとか そんなツイートを紹介した記憶があるが, そういった追加サービスがあると楽しそうな印象はあるので何かやりたい.

とりあえず現行技術というか私ができるサービスとして, 動画作成なり math-textbook なりをやっている.

ツイートではちょろちょろ流しているが, math-textbook で数学者・物理学者の名前の読み方, 数学記号・式の読み方まとめプロジェクトを立ち上げた ご協力頂ける方はぜひお願いしたい.

2015-01-06 【よくわからない受験科目】も展開していきたい

当面は【よくわからない (大学) 数学】という感じの活動を考えているが, そのうち【よくわからない受験数学】みたいなのもやりたいとは思っている.

数学, 物理, 歴史, 日本史, よくわからない数学, 受験, 相転移プロダクション

2015-01-07 勝手に研究会宣伝協力: 第2回 山陰 基礎論・解析学 研究集会 「数学基礎論と解析学」

一応近隣だから関数解析なら何となく関係ありそうな感覚はあるが, 微分幾何と偏微分方程式だとどういうネタになるのだろう. 読んでみたいのであとで講演資料とか出てこないだろうか.

2015-01-10 今日のいい話: とにかく「数学大好き」と言葉に出して洗脳していけ

  • 数学, 数学教育, 相転移プロダクション

広めていきたい.

2015-01-12 私も統計学の動画を作っているので: 記事紹介『統計学の初心者が入門として最初に読むべき一冊』

  • 数学, 統計学, 教育, 数学教育

私も一応統計の動画を作ったので宣伝しておこう.

もっと続きを作りたいとは思ってはいる.

2015-01-15 ツイート・書籍紹介: 『数学の言葉づかい100―数学地方のおもしろ方言』数学セミナー編集部

  • 数学, 数学書, 数学教育

記憶にとめておきたい.

2015-01-16 SubfactorとCoxeter群

  • 数学, 作用素環, Coxeter群, 代数, subfactor

Subfactorも恐ろしいが, Coxeter群とかも恐ろしい.

2015-01-19 サイト紹介: Earliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics

該当ツイートがわからなくなってしまったのだが Earliest Known Uses of Some of the Words of Mathematics というサイトがある. 数学の専門用語の初出をわかる限りでまとめたという謎サイトだ.

例えばこんな感じ.

CALCULUS. In Latin calculus means "pebble." It is the diminutive of calx, meaning a piece of limestone. The counters of a Roman abacus were originally made of stone and called calculi. (Smith vol. 2, page 165).

In Latin, persons who did counting were called calculi. Teachers of calculation were known as calculones if slaves, but calculatores or numerarii if of good family (Smith vol. 2, page 166).

The Romans used calculos subducere for "to calculate."

In Late Latin calculare means "to calculate." This word is found in the works of the poet Aurelius Clemens Prudentius, who lived in Spain c. 400 (Smith vol. 2, page 166).

今度じっくり読みたい.

2015-01-23 Bitbucketにあった【ハードルを下げつつ, 本質的なことから逃げない圏論の解説】というの記事の記述が気になったので

  • 数学, 計算機科学, 物理, 圏論, 相転移プロダクション

本文

圏は勉強中で全く酷い理解のままだが, ミスリーディングっぽい箇所を見付けたので記録しておきたい. Bitbucket にコメント的なアレがあればよいのだが見当たらないし, いろいろ書いたら長くなったのでとりあえずブログにまとめた.

「集合の元」はタブー

整数が対象であることから分かるかもしれないが, 対象は集合であることが多い. その集合の中身には言及せずに射の性質を語るのが圏論のやり方だ. 今まで「集合の元」を使って説明していたことと同じ内容を, 対象と射だけで説明するのが圏論だ. 圏論では対象が集合かどうかにはお構い無しにただの抽象的な概念「対象」であるのだが, 慣れるまでは具体的な集合を思い浮かべても良いと思う. ここの解説では, 集合の言葉と圏論の言葉の間を頻繁に行き来しようと思う. 既に知っている何かに引き付けて考えるのが, 何かを知る方法の 1 つではあるに違いない.

ここがミスリーディングではなかろうか.

念のため書いておくと, スタンスとしてはあくまで数学としての視点を重視してコメントする. まず圏でなるべく集合の元を取ろうとしないのはそもそも対象が集合にならないことがあるためだ.

数学としていうなら, 現実問題として対象を直接調べるよりも対象相互の関係を調べることで対象自身への理解を深める手法はよく使う. どういう例を出すといいのかよくわかっていないのだが, 例えば素粒子の性質を調べるとき, 粒子を衝突させてその様子を調べる. いろいろな粒子との衝突を調べてその関係から素粒子の性質を絞り込んでいくので, 正に相互の関係を調べることで対象自身への理解を深めていく形になっている. それで言うなら【その手法も一風変わっている】という記述にも問題がある.

他にもある人の性格を知ろうというとき, どんな人に対しても穏やかに対応するなら穏やかな人なのだと理解するだろうし, 立場の強い人には下手に出るのに立場の弱い人には横柄に対応する人はそういう人だと理解されるだろう. これもいろいろな対象相互の関係を調べることで元の調べたい対象の性質を調べている.

数学も人間の活動なので, 数学でも似たようなことがよくあるわけで, そうした現実に即したアプローチとして圏論が出てきたと理解している.

だから【元を取るのはタブー】なのではなく, 【直接元を見たいのではない】のであり, そもそも集合論的な意味での元がない対象を扱うからであり, そこまで含めてクリアに見通すために元の存在を仮定しない議論を 重視しているのだと理解している.

また計算機科学への応用についてあまりよく知らないが少し調べた限りでは自然変換が使われることがあるようだ.

関手が対象, 自然変換を射とした関手圏は対象が関手なので当然対象が元を持たない. 元を取らないと議論できないのでは, 計算機科学への応用上も使いづらくて仕方ないのでは.

貴様の理解も間違っているなどご批判あればご指摘頂きたい.

Qiita 投稿

自分のブログにも書いたのだが, ほんの少しだけ首を突っ込んだのでこちらにも転記しておきたい.

圏はまだまだ勉強中ではあるものの, ミスリーディングっぽい箇所を見付けたので記録しておきたい. Bitbucket にコメント的なアレがあればよいのだが見当たらないうえ, 対応法があまりよくわからないし,いろいろ書いたら長くなったのでとりあえずここ(と自分のブログ)にまとめた.

「集合の元」はタブー

整数が対象であることから分かるかもしれないが, 対象は集合であることが多い. その集合の中身には言及せずに射の性質を語るのが圏論のやり方だ. 今まで「集合の元」を使って説明していたことと同じ内容を, 対象と射だけで説明するのが圏論だ. 圏論では対象が集合かどうかにはお構い無しにただの抽象的な概念「対象」であるのだが, 慣れるまでは具体的な集合を思い浮かべても良いと思う. ここの解説では, 集合の言葉と圏論の言葉の間を頻繁に行き来しようと思う. 既に知っている何かに引き付けて考えるのが, 何かを知る方法の 1 つではあるに違いない.

ここがミスリーディングではなかろうか.

まず圏でなるべく集合の元を取ろうとしないのは そもそも対象が集合にならないことがあるためだ. これはあとで少し説明する.

そして, 現実問題として, 対象を直接調べるよりもいろいろな対象相互の関係を調べることで 対象自身への理解を深めるのは日常的によくあるのだと 意識することが根本的に大事だろう. 圏の言葉でいうなら, 集合の元を直接取らずに射という 相互関係の取り扱いに着目する理由だ.

数学内でも数学外でも一般にどういう例を出すといいのかよくわかっていないのだが, 日常の例でいうなら, ある人の性格を知ろうというとき, どんな人に対しても穏やかに対応するなら その人は穏やかな性格なのだと理解するだろうし, 立場の強い人には下手に出るのに立場の弱い人には横柄に対応する人は そういう人だと理解されるだろう. いろいろな対象相互の関係を調べることで 元の調べたい対象の性質を調べている. このくらい日常的によく使う研究手法で, その前提で言うなら次の記述【その手法も一風変わっている】にも問題がある.

そもそも圏論について 圏論は比較的新しい数学の分野であり, その手法も一風変わっている.

他には, 素粒子の性質を実験的に調べるとき, 粒子を衝突させてその様子を調べるという物理の例がある. いろいろな粒子との衝突を調べてその関係から素粒子の性質を 絞り込んでいくので, 正に相互の関係を調べることで対象自身への 理解を深めていく形になっている. もう少し具体的にいうと, スピンを持っている中性子を使ったときに どういう散乱データが出てくるかを調べることで, 調べたい物質の磁性を研究するとかそういう感じ.

数学も人間の活動であって, 数学でも似たようなことがよくあるわけで, そうした現実に即したアプローチとして圏論が出てきたのだと理解している. 有名な MacLane の Categories for the Working Mathematician 2nd edition P.18 には自然変換の定式化のために関手を定式化して, 関手の定式化のために圏を定式化したとある. そして応用上決定的に重要なのは自然変換という話だが, この辺は勉強中で全く詳しくないので各自適当に調べてほしい.

話を元に戻すと【元を取るのはタブー】なのではなく, 【直接元を見たいのではない】のであり, そもそも集合論的な意味での元がない対象が重要でそれを扱いたいからであり, そこまで含めてクリアに見通すために元の存在を仮定しない議論を 重視しているのだと理解している.

また, 計算機科学への応用についてあまりよく知らないが 少し調べた限りではやはり自然変換が使われることがあるようだ.

関手が対象, 自然変換を射とした関手圏は 対象が関手なので当然対象が元を持たない. 元を取らないと議論できないのでは, 計算機科学への応用上も使いづらくて仕方ないはずだ.

2015-01-25 数学はずっと苦手だった: 数学・物理に関するツイート小まとめ

  • 数学, 物理, 数理物理, 大学受験

個人的に関係するツイートをまとめてみた.

制限だらけの高校物理, 結構気に入っているのでそのあたり.

数学はずっと苦手だったので.

今日も明日も数学したい.

2015-01-26 ゼルプスト殿下の作った(反)例ツイートまとめ: 連続な全単射は同相写像になるか

面白ネタだったので思わず. あとでhttps://github.com/phasetr/math-textbookの(反)例のところに載せていいか聞いておこう.

2015-01-29 圏論についての記事をQiitaに書いたので

Hormanderを読んだらMac Laneを読もうと思っている.

2015-02-01 Tatsuyoshi HamadaさんによるMathLibre道場GeoGebra編: 九大で行われた数学ソフトウェアチュートリアルの資料

  • 数学, プログラミング, 相転移プロダクション

これも遊んでみたいと思いつつ全く手がついていない. つらい.

2015-02-03 選択公理と非有界作用素: 市民なので Hilbert 空間全体で定義された非有界作用素というのをはじめて聞いた

  • 数学, 物理, Hilbert 空間, 非有界作用素, 選択公理, Zorn の補題, Hamel 基底, 量子力学

何だそれ, と思ったらやはり選択公理による構成で, 見たこと・聞いたことないのも当然だった感がある.

p進大好きbotによる謎の現象報告もつけておこう.

2015-02-04 京大・東工大での研究会告知依頼が来たので: 小嶋先生の退官記念と弱値・弱測定の研究会

  • 研究会, 相転移プロダクション, 小嶋泉, 量子情報, 代数的場の量子論, 量子測定

研究会告知依頼が来たので共有しておきたい.

3/5-6 Symposium on Quantum Fields in Dynamical Nature, on the occasion of Professor Izumi Ojima's retirement @京都大学北部キャンパス北部総合教育研究棟内益川ホール

3/19-20 弱値・弱測定に関する国際研究集会 @東京工業大学大岡山キャンパス http://qm.ims.ac.jp/wmwv2015/

量子情報というか測定というかそちらはともかく, 小嶋先生の退官の方は最近小嶋先生関係の研究にも興味が出てきたことも あって行きたいが, 時間というよりお金がなくて本当につらい. 情けなくて泣きたい.

2015-02-05 Perelmanの消息: 最近モスクワからスウェーデンに移住したらしい

Perelman情報だった. 何か切ない.

2015-02-10 Lars Hormander, A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in $L^2$ spaces

  • 数学, 相転移プロダクション, 多変数関数論, 複素解析幾何, 複素幾何, 関数解析, 偏微分方程式, 場の量子論

学部 2 年で志賀浩二『複素数 30 講』を読んで岡潔の仕事を知って以来, 多変数関数論にはずっと興味がある.

また場の量子論としても公理的場の量子論や代数的場の量子論で 多変数関数論を使うし, 学部 4 年のときに進む研究室選定とも合わせて AQFT についていろいろ調べていたときに Borchers の自己同型群のスペクトル解析の 仕事に興味を持って以来, 余計に勉強の意欲が湧いてきたものの, 結局まともに勉強できていない.

Translation Group and Particle Representations in Quantum Field Theory (Lecture Notes in Physics Monographs)

ちょこちょこ勉強しようと思って挫折しまくっているのだが, 今回もちょろっと調べものをしていたら Hormander の論文を見つけたので 少し読んでみた: A History of Existence Theorems for the Cauchy-Riemann Complex in $L^2$ spaces.

適当にしか読んでいないが, 面白かった部分だけ簡単に抜いておく.

1 変数関数論は Laplacian と Cauchy-Riemann 作用素の解析が重要だったが, 多変数関数論は 1 次元からの帰納的なアプローチではじまり, 偏微分方程式を使うアプローチは 1960 年代にようやくはじまった. $\bar{\partial}$-Neumann 問題は 1950 年代中頃に Spencer がはじめた.

言われてみれば 1 変数の場合, 初等的な範囲では解析学の色彩がかなり強いが, 多変数になると専門的になってくることもあって, すぐ層だの複素多様体だのという話になるので, 言われてみれば感があった.

Spencer は 小平-Spencer の Spencer だと思うのだが やはり Spencer 恐るべし.

あと PDF P.17 からの Bergman とのやりとりが面白い.

He was a rather special person and had a reputation for cornering people to talk interminably about the kernel function for which his enthusiasm was unbounded. For quite a while I managed to avoid him, but at last I was cornered.

Bergman, 遠くから観察してみたかった.

私に必要な関数論は現代的な関数論ではなく, 場の量子論向けにカリカリにチューンされた, 恐らくかなり古いアプローチである一方, 現代的なアプローチも読んでみたいのでつらい.

2015-02-14 数学教育に関する記録: 代入法の理解の難しさ

これか. 読書リストにいれておきたい.

2015-02-18 風狸けん画・中川真脚本『和算に恋した少女』

  • 数学, 和算, 相転移プロダクション

和算はともかくエンターテインメントというところに興味がある.

2015-02-18 Twitterで頂いた質問への回答: 逆問題と現象数理学

  • 数学, 物理, 現象数理学, 応用数学, 微分方程式, 関西すうがく徒のつどい

きっかけ

先程Twitterでこのような質問を頂いた. 長くなるのでブログにまとめた. 「定義による」というのが正直なところだが自分用のメモも込めて紹介・記録しておこう.

まず私の理解というところから端的に言えば, 逆問題は応用微分方程式論に端を発する命名で「順問題」に対する「逆」だ. 現象数理学もとりあえずやっていること, 目指すことは従来の応用数学の枠内にはまると思うのだが, 応用数学と言っても広いから, 特に名前づけから特色を出していっただけの身も蓋もないアレという感じ. それぞれ独立した営みという理解.

逆問題に関して

順問題と逆問題で対になる. 以前関西すうがく徒のつどいでも拡散方程式の逆問題について話したことがある. その講演原稿はhttp://github.com/phasetr/math-textbookにも収録しているので興味がある向きは参照してほしい.

それはそれとして次のような対応がある.

一般に 具体的に
順問題 入力から出力を求める 微分方程式の初期値から解の振る舞いを調べる
逆問題 出力から入力を求める 複数観測地点での震度データから震源地を調べる

微分方程式で定式化される問題を例にしたが別に何でもいい. 例えば「友達にいつもと同じ感じでちょっかいを出したら物凄く怒られた. 今日は虫の居所が悪いようだ」というとき, 「怒られた」という出力から「今日は虫の居所が悪い」という入力を推測するのも逆問題と言える.

元のコメントにある「数理的な法則」も特に数学で比較的綺麗に書ける・モデル化できるタイプの自然科学・工学的な応用を念頭に置いているのだろうし, 実際に発端もそこにあるが, フレームワークとしては数学で書ける対象に限定する必要はない. その方が「応用」は広い.

現象数理学科

まず三村先生の所属する明治大学現象数理学科のページから引用しよう.

モノ・コトから現れる複雑な現象を、数学で解明する。

動物や植物の美しい模様、心臓の拍動や薬の吸収などの医学・生理学問題、交通渋滞や経済不況などの社会的問題、流行やブームといった社会現象まで、私たちの身の回りは、現象であふれています。そうした現象を、数学を用いて解明していくのが現象数理学です。現象を数式に置き換えていくことを「モデリング」といいます。そして実際に導き出した「数理モデル」を使い、コンピュータで高度なシミュレーションを繰り返していくと、これまで目に見えなかった現象の正体が徐々に明らかになってくるのです。

現象数理学, 要は応用数学だ. モデリングも諸科学・工学で標準的な考え方だし, シミュレーションも特に理論工学ではもはや基本中の基本なのではなかろうか. 理論というともっぱらシミュレーションを指すことすらあると聞いている.

応用数学といってしまうと数学の趣が強過ぎるから, 適当な「現象」を扱うのだ, という姿勢を前に出した名称である種の政治的なスタンス表明という感がある. 特に最近は「役に立つ学問」という流れがあるし, 学科新設という意味でも思惑があるだろう感がある.

2015-02-21 教官陣の渡辺澄夫『すぴんはころぶ』に関する思い出話小まとめ

  • 数学, 物理, 数理物理, 作用素環, 量子統計, 代数的場の量子論, 直積分, 相転移

私も読んでみたが, 何というか判断に困った. Bratteli-RobinsonというよりもIsingの何かを読む前哨戦にはいいかもしれない.

それはそれとしてBratteli-Robinson, 例えば量子統計・代数的場の量子論への直積分の応用に関しては貴重な文献ではあるが, 大事なのにこのパートが死ぬほど読みにくい. そもそも測度論が出てくるのでそこの地獄はあるにせよとにかくつらい.

2015-02-24 書泉グランデMATHからイベント紹介: 3/20-24 明治大学駿河台キャンパス パネル展示 小平邦彦先生の生涯 小平先生とその友人たち

これ行きたい. どうしよう.

2016-02-25 (数)式は文章か?

文脈読めていなかったらしく, ブロックされたのだがと気になったので.

で, こうつぶやいた.

「数式は文章ではない」というから, 文章と認識されるケースは存在するというところに繋げたのだが, 文脈, そんなに違ったろうか.

ちなみに私は式も文章と思うというか, 式を「読んでいく」. 英語で読み下すときのように式を読んでいく. $1+3=4$ を「1 たす 3 は 4 です」という文章の略記だというくらいの気持ち.

けっこう気になるので, いろいろな方のご意見を伺いたい.

追記

2 つコメントを頂いたので.

まず 1 つ目.

式が図形に見える感覚が全くないが, そういう人もいるのかとちょっと驚いた. 記号というならわかる.

もう 1 つ.

この辺の比較, 言語学的にというか何というか, どこまで適切かは全くわからないが, そういう感覚は何となくわからないでもない.

2016-02-26 ツイート紹介: 『「数学みたいに答えがバシッと決まる世界じゃないからな」を「数学みたいに定義を明確にして議論する世界じゃないからな」に直したら単に「あかんやん」ってなった』

哲学とかも割と定義をぐちぐちぐちぐち言い続ける鬱陶しい学問である印象があるが, ろくに勉強したことがないのであまりよくわかっていない. そういう習性を持った人達が理工系のことに関して急に粗雑になるのも不思議という感じはあるが, 数学の人間だって専門外では同じ感じだし, ああ人間か, という感じがある.

2015-03-05 2015/10/3 の久保シンポジウムでは舟木先生が喋るらしいのでぜひ参加したい

  • 数学, 物理, 数理物理, 統計力学, 非平衡統計, 確率論, 研究会

また行きたい研究会ができてしまった.

2015-03-08 Gigazine記事紹介: 数学の数式・記号のあるページを簡単に検索できる「SearchOnMath」

  • 数学, 物理, 相転移プロダクション, プログラミング, サービス

何かの役に立つかもしれないのでメモ.

2015-03-10 「私は素数時計で生きています」という変な人がいた!と思ったら広義知人だった

  • 数学, 素数, 数論, 素数時計, 素数大富豪, 数学者

何かおかしな人がいる! と思ったら広義知人だった事案.

2015-03-12 共形場で代数的場の量子論と頂点作用素代数の対応がついたらしいので

  • 数理物理, 数学, 物理, 代数的場の量子論, 構成的場の量子論

最近忙しくていろいろ滯っているのだが, ちょっと堀田さんとやりとりしたので.

あと立川さんと谷本さんのやりとり.

谷本さんは元々河東研で, 博士から本格的にAQFTやりにイタリアに行ったくらいの人で正にバリバリの識者だ.

あとで論文読んでメルマガにまとめたい.

2015-03-15 応用数学での泥縄式学習: 線型代数・微分積分・確率論の力強さ

  • 数学, 応用数学, 線型代数, 微分積分, 確率論, 代数統計, 代数多様体, 代数幾何

いわゆる狭義の応用数学に限らないが, この徒手空拳で挑む感じがとても好きで, 私の専門でもなるべくこの感じを大事にしたい.

2015-03-16 記事紹介: 「人は簡単に『忘れてはいけない』という。でもね......」外国人歴史家が体験した3.11

  • 歴史学, 東北大震災

歴史家というのがどういう人々なのかよくわかっていないのだが一例として参考にしたい.

2015-03-17 何か最近Lieb-Robinson boundが流行っているらしく夏学でも講義されるらしいという話を聞いたので

  • 数学, 物理, 数理物理, スピン系, Lieb-Robinson bound, 作用素環, 作用素論, 量子統計

詳しいことはさっぱり忘れてしまったが, 最近まるで触れられていないものの, 無限系の Hubbard に集中的に取り組んでいたことがあって, そのときに読んだ記憶がある.

次のような感じで大事そうだと思った記憶がある.

  • まずは無限系でのダイナミクスの存在を言わないといけない.
  • 作用素論的に言うのは大変そう.
  • 作用素環ベースでスピン系ならいろいろある.
  • 証明を捻って転用できると嬉しいな.

私の目下の対象はHubbardモデルでの電子とフォノンの相互作用系だが, Hubbardを無限系にすると相互作用を考えなくても一気に数理物理的な研究が減るので, 嬉しいのか何なのかよくわからないが, とにかく何かやりたい.

あと次の情報も教えて頂いた.

ちなみに夏学の講義の参考文献はhttp://arxiv.org/abs/1102.0835http://arxiv.org/abs/1004.2086の予定です

両方ともNachtergaele-Simsだった.

2015-03-18 【線形写像とベクトルはお互いに一対一対応する。これは随伴関手の例にもなってる。】という個人的によくわからない言明をみかけたので意味がわかる方は教えてほしい

  • 数学, 線型代数, 内積, 内積空間, Hilbert 空間, 線型写像, ベクトル, Riesz の表現定理, 線型汎関数, 有界, 関数解析

よくわからない言明に遭遇したので. 引用しておくとこれ.

これに関してコメントを頂いたので少しお話しした.

こういうのを見ると, 自分も (よく知らないところで) とんでもないことを口走っているのではないかと不安になる. あと圏をフランス語でやってみたい. 何かいい本ないだろうか.

2015-03-19 竹山美宏さんによる新入生向けの数学の良書紹介があったので

物理のための数学講座はこの辺のために作ろうと思った講座だが, 止まったままなので早く再開させたいとはずっと思っている.

『すうがくぶっくす』はこれだけ見るとちょろそうだが, 時々核弾頭クラスの凄まじいのがあるので気を抜いてはいけない. ひどい本というわけではなく, 恐ろしく深く遠いところにまで連れていかれることがあるのだ. 平井先生の群の表現論の本, 堀田先生の代数の本(最後に$D$加群が出てくる), 岡本先生の本(佐藤超関数が出てくる)とか超パンチがきいている. 平井先生の本はじっくり読めばきちんとわかる本だと思うが, 二巻本ということもあり, 話題は豊富だし著者の伝えたいという気迫を感じるとてもよい本.

数学したい.

2015-03-20 れんまさんに作用素環のいい反例を教えて頂いたので

  • 数学, 作用素環, 作用素論, 反例

滅茶苦茶間抜けなことを言っていて死にたくなるが, 行列環値の(連続)関数環をさらっと出してくるあたり, 何となく$C^*$の人の気配を感じたが, 私は作用素環専攻だったというのにろくに作用素環をやっていなかったので単にその地力の差という感じもある.

あとでmath-textbookにも例として取り込んでおこう. よい勉強になった.

2015-03-21 量子力学の数理: 非有界作用素の和や積の定義と notorious domain problem

  • 数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 場の量子論, 量子統計力学, 作用素論, 非有界作用素, 定義域

非有界作用素という修羅との戦いだった. あとzenaさんとのやりとり.

あまりにも間抜けで死にたくなった. 仕方がないので粛々と対応していきたい.

あと非有界作用素に関する定理, これはやばい.

2015-03-22 新井仁之先生の『線型代数 基礎と応用』が超面白そうなのに絶版状態らしいので悲しい

  • 数学, 応用数学, 線型代数, 多変量解析, 離散 Fourier 変換, ウェーブレット

これは読みたい. 絶版状態(?)なのをどうにかしてほしい.

追記: いつだか忘れたが絶版状態が解消されたため既に買って手元にある.

2015-03-23 講義ノートリンク: Lurieの謎キャラっぷりがすごいようなので

  • 数学, 講義ノート, 代数トポロジー, 組み合わせ論, 数論, 作用素環, 幾何学, 多様体論, 代数的 K 理論, 多様体のトポロジー

Lurie, ホームページがやばいというか何者なのかよくわからなくてやばい.

2015-03-25 【線型代数で殴る】【数学で殴る】という表現がどこまで一般的なのかを知りたい方の市民だった

私も先日, 小学生の女の子に「数学で殴る」という表現を教えてきたが, この表現がどこまで一般的なのかについて非常に興味がある.

2015-04-02 工学部の専門数学で必要な線型代数・線型空間論が何なのか具体的に知りたい方の市民だった

  • 工学, 数学, 線型代数, 線型空間論, Hilbert 空間論

もはや前後が追い切れないので悲しいが, 現実問題として工学的に抽象論の何をどう使うのだろうか.

2015-04-04 ツイート紹介: 「さんすう刑事ゼロ」というのが教育的に素晴らしいらしいので

近いうちに眺めよう.

2015-04-11 算数教育に関するt2o_yamaさんの連続ツイートが面白かったので

  • 数学, 算数, 理科, 教育, 相転移プロダクション

面白いとか言って済む話ではないのだが.

子供たちの詳しい状況はよくわからないが参考にしたい.

2015-04-15 黒木さんのツイート集

2015-04-15 黒木さんおすすめ, 大学新入生向け数学アプリ: Wolfram Alpha (のアプリ)

  • 数学, Wolfram Alpha, アプリ, 数値計算, シミュレーション

参考にしたい.

追記

Quick Graph という新たなお勧めが増えたので追記.

2015-07-26 大学数学の理解度を測りたければ「簡単な例を 3 つ挙げられるか」自問自答すればいい

黒木さんのツイートまとめ+感想ということで.

=p lang="ja" dir="ltr">@genkuroki数学科での教え方と学び方の両方には伝統的に大きな欠陥があるのではないかと感じることがある。この問題意識と「ノ⃼タゥムで籡単な(反)例を挙げられるか?」という理解度の測り方は直接に関係がある。簡単な(反)例を知らないままで小難しい定義を理解するのは無理。

— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2015, 7月 21

順に雑感を書きたい.

数学の理解度を数学を教える側がどのように判断することがあるか? 一つの判断基準は「簡単な(反)例をノータイムで挙げられるかどうか?」 小難しい証明を黒板に書けていても、ノータイムで簡単な(反)例が出て来ない学生は実質的に何も理解していないことが多い。数学もまた厳しい世界。

— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki)
2015, 7月 21

【実質的に何も理解していない】というところがかなり気になる. 受験生向けの話もいろいろ書いていたときに改めて思った点として, そもそも「理解とは何か」自体がかなり定義の難しい概念という感じがある.

定理の証瘎がまるで追えなかった, または一邨どう⁗てもギャップが埋められなかったところを埋められたというのも理解が進んでいる証なのは間違いない.

五里霧中状態だと(後で見れば)簡単な例も本当に作れないことがあってとてもつらい. もちろん五里霧中なので, 少なくともcrystal-clearな理解に至っていないのは自明ではある. うまいこと言葉にできないのだが, ただ一言つらいとだけは言っておきたい.

越えるべき壁であることは間違いないので, 簡単な例を作る修行をすべきことに異論はない.

そもそも修士の二年しか数学科にいなかった上, 教える方の経験が段違いなのでいろいろアレだが, 教え方と学び方のギャップは感じないこともない. (反)例を作る大切さに関しては次のDVDを作ったくらいだ.

これも受験生向け情報発信で思ったことだが, 自分自身, 大学に入るまで, 根本的に「学ぶことは誰かに教えてもらうことだ」という姿勢があった. この辺からして既に問題だと認識している. 早いうちから, それも嫌でも本格的に勉強せざるを得ない機会である大学受験からそういう姿勢を学んでほしいし, そのためにブログにまとめた記事をKindleにもまとめたくらいだ.

最後にこれ.

口伝で「三つ以上例を作れ」というのを聞いた記憶はないが, 院でのゼミ中, 定理の言明に関して「そういう例は何かありますか」と聞かれて例を挙げられなくてつらかったことはある. 閉作用素に関する話でもう言明が何だったかも覚えていないが, いまだに例が作れていないことだけは覚えている.

次週のゼミの準備で手一杯で, という言い訳で結局さぼって例を作らなかった苦い記憶がある. 一言でまとめると【つらい】.

2015-10-08 黒木さん発言録: 佐武『線形代数学』と長谷川浩『線形代数』が面白いという話をまとめた

私の場合, 学部 1 年で実数論, 集合論, 位相空間論の本格的な講義に出会ったことが 今の私を決定づけている感がある.

同じく 1 年のときにあった物理学研究ゼミナールというやつで Brown 運動の数学パートを担当させられて, そこでいろいろ発表するために わけもわからず手に取ったブラウン運動のしっかりしていそうな本が 飛田武幸『ブラウン運動』だったり, 数学の関数解析バリバリの偏微分方程式の本を読んで挫折しまくったり, Hilbert 空間論の本に手を出してみたりしたことも かなり強く効いている.

あと線型代数については次の企画でもちょろっとまとめているが, 関数解析・半群理論を意識したような構成でいろいろ書いてみたい.

Hubbard・Heisenberg あたりとか, 学部 3 年の量子力学のトンネル効果周辺の練習問題で $2 \times 2$ 行列で遊んだことがあるので, そういうネタも突っ込んでみたい. あとやはり量子情報まわりだと行列で本質的に遊べそうな 気配を感じるので, その辺も気になって仕方ない.

2015-10-09 黒木さんツイートと飯高茂先生のページから: 飯高先生自身の学業・研究の記録

飯高先生ページのPDFは学生の頃に読んだ記憶がある. 代数幾何も一度はそれなりにやってみたい. 特に小平先生の論文はいろいろ読んでみたい.

2015-10-10 黒木さんツイートまとめ: 数学とプログラミング的なところで Singular, REDUCE

数学とプログラミング的なアレで参考になりそうだったので.

中高の数学, 大学入試あたりをネタにして いろいろプログラミングやりたいのだが時間がない. つらい.

2015-10-25 黒木さんツイートまとめ: ベクトルの内積の話

あとで読む.

2015-10-31 ツイートまとめ: 数学系魔法少女アニメセリフ集

これは一体何だったのだろう.

2015-11-14 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待』第1回に関する東北大助教 黒木玄さんの感想・コメントツイートまとめ+私のコメント少々

先日とりあえず緊急速報を出したが, 時間が取れなくてまだ見られていない. とりあえず東北大数学の黒木さんが色々言っていたので, それをいったんまとめておく. 何となくまだ追記されていきそうな感じもするが.

数学者からどう見えているのか, どんな風に突っ込んでいくと純数学的に面白いのかといったことが 見えて楽しい人には楽しいだろう. 私が子供の頃に知りたかったことでもあるし, この記事更新を流す Twitter には同じような気持ちを持つ中高生もいる. 少しでも楽しんでもらえれば, ということで.

前書きはこのくらいにして, バンバン張っていく.

こういうのかなり大事で, もっと前面に出す機会があった方がいいとは思う. 他はどうかは本当にわからないが, 数学者, 異常なくらいフランクな感じがある. すぐに探し出せないがJonesのFields賞の授賞式に関する河東先生の記録で, 「普段は半袖短パンのJonesがさすがにそれではまずいと思ったのか, 授賞式のときは(半袖短パンで)ネクタイをつけていた」 というのがあった気がする. これ, 私が見たときは河東先生のホームページに置いてあった記録なので, 興味がある人は探してみてほしい. そして私に教えてほしい.

頂点作用素代数の話が(も)書いてあった気がするが, 頂点作用素代数は作用素環での代数的場の量子論とも深い関係があり, 上記の河東泰之先生 (私の指導教官) も研究している. 時々「頂点作用素代数の研究集会に行きましたが, 作用素環の研究者は私だけでした」 みたいなことも言っている.

共形場とその周辺は数学だとホットな話題で Fields 賞も割とよく出ている魔界. Borcherds はまさに頂点作用素代数関係で仕事をしているし, 代数幾何まわりでもいろいろな話題があると聞いている. Wernerも確率論と共形場という話題で重要な仕事があり, それも含めてFields賞を取っている.

頂点作用素代数は恐ろしく複雑な公理を持つ代数系で, 勉強・研究するうちに勝手に覚えるのだろうが激烈うんざりする.

もちろん共形場は物理の方でも大事(らしい). 超弦理論でのAdS/CFTとかある(名前しか知らない)し, 相転移でもIsingからの接続とかいろいろある. 超弦理論の物理がまだいろいろ議論があるとかそういうのはいったん置いておく. そもそも全く知らないので触れようがない.

ここの話とはあまり関係がないが, 場の理論から数論の中心的なテーマの一つ, Riemannの$\zeta$を導出していろいろ調べるという話がある. 北大の新井朝雄先生の次の論文はとても読みやすい.

読みやすいとは言っても無限次元Hilbert空間のテンソル積からなる 無限直和とその上の第二量子化作用素とかそういう数学に耐えられる必要はある. 収束とかその辺はあまり気にしなくてもいいのだが, こういうのを見て「ウッ」と思うようだとかなりつらい. 要望があるようならYouTubeに動画でも出そうとは思っている. 優先順位の問題があるのでずっと上がってこなかったのだが, 要望があるならもちろん優先度をあげていく.

全く関係ないが, 以前東大の数学科に論文だか教科書を読んでいてわからないことがあったとかでWeilに電話した人がいると聞いた. それも(確か)大学院くらいのときの話と聞いた気がする. 時代もあるので手紙やメールならわかるが, 電話とかパンチ力高い.

この辺で有名な話だと, やはり徴税人をしていたからという理由で フランス革命でギロチンで処刑された話題がある. 最近嫌な方向で話題に挙がることも多い La Marseillaise をも想起する.

少し話がずれるが, von Neumannが有名な『量子力学の数学的基礎』で, わざわざ$\delta$関数は関数として存在しないことを示した (いま早稲田の小澤徹先生が言っていた) という話を聞いた. (その当時の)数学では異常にしか見えないところが物理では普通に出てくるところで, そこに切り込んでいくタイプの話, 超好きなのでそういうのがやりたい.

あとWeilに関しても, 相対論的場の量子論での表現論で, 数学的に難し過ぎてWeilですら太刀打ちできなかったところを 物理でどうしても必要だからということで Wignerが先鞭をつけDiracがさらに切り開いた Lorenz群の無限次元ユニタリ表現とかの話も凄く好き. これについては平井武先生の『線形代数と群の表現 II』P.453-454 とかを読んでみよう.

こういう真っ当な数学者が近寄ってくれなくて, 業を煮やした物理学者が自分達で何とかしたみたいな話がすごく好き. 出てくる名前がNobel賞, Fields賞クラスなので, 爆笑するが, かといって夢は夢だし小さくても自分でも何かしたいし, 大人のそういう姿を子供達にも見せたいとずっと思っている. (正しい)努力をやめてはいけない.

トポロジーも数論に負けず劣らずいろいろな数学が交錯する分野という印象がある. 非線型偏微分方程式までぶっこめるとか尋常ではない. 微分幾何関係であるのはそれは普通だろうが, 位相的な性質まで微分方程式で議論するとか無茶にもほどがあると思っている.

全くお勧めしないが, 数学的に何とかなっているFeynman積分(経路積分, 汎関数積分)については, 例えばLörinczi-Hiroshima-Betzの『Feynman-Kac-Type Theorems and Gibbs Measures on Path Space: With Applications to Rigorous Quantum Field Theory』とか新井-江沢の『場の量子論と統計力学』あたりがある.

前者は非相対論的場の量子論に関する割と最近の発展までをカバーしている. 後者はちょっと古いが相対論的場の量子論レベルの話をカバーしている. ここで関係のある超弦理論レベルの話には全く追いついていなくて, その意味では使いものにならない. 両方とも私より数学ができるなら読めるだろう.

上の本で厳しいがもう少し簡単なところを数学的に厳密に見てみたいという 奇特な方は新井朝雄先生の『量子数理物理学における汎関数積分法』を勧めておく. これなら私と同程度にしか数学ができなくても読める.

何かいかにも後が続きそうだが, あったらあとで追加する.

2015-11-21 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待 第2回 数の世界に隠された美しさ ~数論の対称性~』に関する東北大助教 黒木玄さんのコメントツイートまとめその 2 Galois 理論

やはりまだ番組を見られていないが, とりあえず黒木さんのツイートまとめ.

この辺YouTubeに補講的な動画とか上げるの需要あるだろうかとふと思う.

2015-11-26 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待 第2回 数の世界に隠された美しさ ~数論の対称性~』に関する東北大助教 黒木玄さんの数学的に突っ込んだコメントツイートまとめ+私のコメント

第二回どころか第一回もまだ見ていないが, 黒木さんのツイートがあったので, 数学者サイドからの数学的面白さへのコメントとしてまとめておく. 文献もいろいろ紹介されているので興味がある人はぜひアタックしてほしい.

まるで畑違いなので答えられることは絶望的に少ないだろうが, 何か疑問があれば私で答えられることは答えていきたいとも思う.

この本, 有名だが読んだことがない.

いろいろなしがらみで難しいっぽい感じもするが, PDFでの販売とかできないのだろうか. 印刷だとか取次だとか流通の分を考えなくてもいいから, その辺のコストは切れると思うのだが, 素人の浅慮は当然あるだろう.

サイエンス社が別冊数理科学でPDF販売しているし, できないことはないと思っている.

この話, 『佐藤幹夫の数学』にも載っている.

具体的な内容わからないのでアレだが, コホモロジーの(面倒そうな)計算を楽な方法に叩き落とせるの凄そう.

自由boson場, 物理的にはほとんど何も起こらないからあまり面白そうに感じないが共形場まわりの数学だと何か面白いことがあるのだろう.

上のように書くとアレなので補足しておくと, (非相対論的)統計力学では自由bosonでのBose-Einstein凝縮(BEC)があるので, その範囲ではめちゃくちゃ面白い. 相対論的bosonを議論するときのBECというのを聞いたことがないが, 統計力学の文脈でこういう話しないのだろうか. 今回の話と多分全く関係ないが, 専門に近い話なのでこういうところが自然と気になる.

解析数論と場の量子論関係に関して去年のRIMSの構成的場の量子論の会議の休憩中にも少し話題が出たが, 自由bosonでこれだけ面白いことがあるなら 相互作用がついたときにはどうなのだろう, という問題がある. 共形場まわりの相対論界隈ではどういう話があるのだろうか. 少なくとも物理の人が自由bosonで満足するとは思えない.

全然関係ないが, 連接層に関しては日本人数学者の岡潔の大きな業績がある. そもそも定義して使い込んで, 多変数関数論の大きな問題を解決したというレベルの根本的な業績だ. 読みたいと思って細部まで読み切れていない, 野口先生の本『多変数解析関数論 学部生へおくる岡の連接定理』がある. ハードなところまできっちり解説されていつつ, 複素多様体の話もところどころで盛り込まれていて, 学部生が読めば好奇心をかきたてられるだろう.

2015-12-06 『NHK数学ミステリー白熱教室 ラングランズプログラムへの招待』黒木玄さんのツイートを主に適当にまとめ

いまだに番組見られていない. あとさぼっていたらもうどれがどれやらよくわからないので 適当にまとめる. 数学的には専門から遠過ぎてよくわからない・知らない話題も多いので, 私自身勉強になるから.

まず一番気になっているところといえばこの辺.

私もニコニコで大概無茶苦茶な動画を作っているが, かなり研究界隈の人々とはいえ 非数学・物理の系の人でも学部どころか院レベルの内容を 楽しんでくれているっぽいし, 子供の頃そういうのに触れたくて仕方なかった過去もある.

こういうのを私ももっとやりたい.

イケメンとかアートとしての数学とか, そういうのも大事だなと思うが, どうしようというところ.

あとメモ. - http://sci.tea-nifty.com/blog/2015/11/nhk-1127-41d4.html

以前のと被っているツイートもあるかもしれないし, 漏れもあるかもしれないがもう気にせずガンガンやる.

その他の連続ツイートその 1.

場の理論といっても相対論的で綺麗な世界だと思うし, 私や物性の人達がやっているような 対称性も微妙な汚いところ (深谷先生ならダーティーな物理とでもいうだろうか) を 繋いでくれそうな数学あるだろうか.

この辺をどこまでどう頑張るか, 今後それが試される感がある.

仕方ないといえばそうだが, 順番に読まないといけないのはかなりストレスになるという感じもある. 本当にどうしよう.

話ずれるがいま企画を練り直している『物理のための数学』では, そういうところをきっちりやりたい.

その細かい分類が涙が出るほどつらい.

話めっちゃずれるが, 構成的場の量子論, 具体例を作ることそれ自体を目的とする分野なので, 具体例で遊べる分野, 本当に羨ましい. 私も遊べる具体例がたくさんほしかった.

連続ツイートその 2.

最近そういう健全な直観を作ることを「器を作る」と呼ぶことにしている. 正しい器を作るの, 大変だがとても大事.

勉強不足というのもあるが, 多項式だと簡単なことが整数で難しくなるの, 本当に謎.

回転群, 数学が詰まりすぎて消化不良を起こすこと, かなりよくあるのではないか感がある. Lie 群で代数多様体で群上の調和解析できて無限次元表現あって, とか魔界以外の何者でもない. 私がぎりぎり知っているところを上げただけで, もっと色々なことが詰まっているだろう.

いきなり $D$ 加群ぶっ込んでこられたので びっくりした. 柏原さんの Riemann-Hilbert 対応とかやはり何か関係あるのだろうか.

数値実験で遊ぶの, 私ももっとやってみたいし, コンテンツも作りたい.

あと黒木さんが RT していたいろいろな人の感想を.

知的興奮はあっても何も身にならないこと, 実際の講義やら何やらで対応するのは極めて難しい感じがある. その辺何とかしたいと思ってやってはいるが.

引き続きいろいろ頑張ろう.

2016-03-25 応用数学・数学史メモ: 第二次世界大戦期に於ける日本人数学者の戦時研究

細かいことを全く覚えていないが, 何かを探しているときに見つけたのだ.

しょっぱなの表の一部だけとりあえず引用しておく.

No 課題と科学研究費 研究目的
1 統計数学 製品の統計学的制御
保存と配給の数学的計画
軍使用の見積もり
特性検査と人的配置
統計学の原理
統計表と特殊関数表の準備と作成
2 特殊な統計学 陸軍により要求される特殊課題の統計学的研究
3 家庭経済の数学的研究 家庭の生活費と栄養との調査による国民の生活水準の決定のための研究
4 特殊な代数解析 主として暗号法の研究
5 等角写像 飛行機の珍しい形の研究
6 特殊な微分方程式 振動と電波回折の現象についての研究
7 航空方程式の再考察 各種の航空方程式の再調査
8 特殊な機械と道具の幾何学的研究 伝動論その他の幾何学的研究
9 視覚 武装機械その他の幾何学的研究

当然だがここでの「代数解析」は佐藤幹夫や柏原正樹たちによる現代的なalgebraic analysisではない. 特殊関数表の準備・作成という時代を感じる項目もある.

当たり前といえば当たり前だが, 統計はともかく数学というより工学的応用の感じが強い.

ひとまずメモ.

2016-03-26 ツイートまとめ: 東北大に佐藤幹夫が来たときの市民講演会に関する黒木さんの記憶を記録

羨ましい黒木さんの記憶を記録.

めっちゃ無理筋の市民講演会ですごい. さすが Tohoku は格が違った.

田崎さんの日記で, 飯高先生のスイッチを押してしまったという話があった記憶がある.

「さっぱりわからない」が「じつに、興味深い」の別の表現かどうかは微妙なところだが, 少なくとも質問が出たら相手を興味深いと思わせたと一応思ってもいい. 変に意地悪な質問をネチネチとしてくるのもいるが, 全く興味がなければ無視するのが普通だし, 一応興味を引いたといえば引いた形にはなっている.

よく考えてほしいのだが, 興味が持てなければ聞いていても話は右から左へ通り過ぎるだけで, 頭には全く何も入ってこない. 引っかかることがないから当然質問も浮かばない.

何度もしつこく聞いてくるということは, それだけそれについて聞きたい・知りたいということだ.

時々その辺が全く通じなくて, 質問を嫌がらせと勘違いされることがあって衝撃を受けたことがあるので あえて特記しておきたい.

2016-08-13 平坦加群などの平坦(flat)という名前の由来

まだきちんと読み切れていないが, 1 つだけ引用しておこう.

A lot of people will tell you that flatness means "continuously varying fibres" in some sense, and that flatness was invented to have correspondingly nice consequences, which is true. But there is a way to expect this (vague) interpretation a priori from an alternative, equivalent definition:

軽く眺めた限りではflatという感じは全くしなくてそれ自体はさっぱりわからない. 量子力学の「波動関数」のように名前に固執すること自体がよくないのだろうとも思う.

とりあえず教えて頂いのでメモだけはしておく.

2016-08-31 堀田良之『線型代数群の基礎』に関する黒木さん雑感のまとめ

参考になると思ったので.

これだ.

続きも引用する.

だいぶ対象というか何というか変わる感じするが, これ, 本当に感じる. 自分で何か作るときもきちんと意識しなければ.

引用を続けよう.

楽しそう.

2016-09-05 無限可積分系に関係する代数幾何や代数解析に関する黒木さんの数楽メモ

よくわからないが何となく気になるのでメモしておく. 他の人もこういうのをどんどん出してくれると嬉しいが, こういろいろ厳しいのだろうとも思う.

ソリトン系の時間変数m t_m=Σx_i^mは中学校ですでに出会っている2変数の場合のベキ和x+y,x^2+y^2を「少し」一般化したものでしかない。ソリトン系の佐藤理論は高校数学の続きとしてもとてもよい教材だと思う。良い数学には色々出て来る。

こういう話, 適当に開いて 中高生向けの現代数学入門みたいな小冊子にまとめてKindleとかに載せていきたい.

一般の中高生はもちろん受け付けないだろうが, 受け付けるというか大喜びする中高生, 存在はするはずだから.

引用は続く.

長くて途中で心が折れそうになった. つらい.

2016-09-11 かけ算順序固定派先生に教育目標を確認する質問チャート: 大事なので画像も転載

チャートが激烈大事なので転載させてもらうことにしよう.

ちなみに私の掛け算に対するスタンスは次の記事にまとめている.

  • 【掛け算問題の悲しみ: 嘘は後々禍根を残す】: TODO あとでリンク張り直し

嘘を教えるのは人間関係にひどく悪い影響を残すから, 本当にやめた方がいい.

数学の理解のためにできること: 黒木メモ

以前, 「特異点解消ってどんな感じなんですか?」, 「こんな感じでぐるっと回しながら持ち上げる」みたいな感じで, ジェスチャーを交えて説明している姿を見かけたことがある.

何ヶ月かしてたまたまそれっぽい図をネットで見かけて「あのとき言っていたのはこれか」という感慨を覚えたことがある.

特にどうということもないがそんなことを思い出した.

『無料で入手できる本格的(紙なら高額)な理数系専門書15選』からの共形場理論: 黒木さんのツイートメモ

共形場だから当然なのかもしれないが, 作用素環での共形場のフォーミュレーションでもbraid群が出てくるようなので, braid群やばいという感じがある.

よくわからないが山田泰彦さんの『共形場理論入門』, 英訳した方がいいのではないかという気がする.

層とコホモロジーとRiemann面: 黒木さんツイートまとめ

参考にしたい.

「y.さんのLaTeX解説が非常に良い」黒木メモ

私もy.さんのPDFを読んだ. 確かにかなりよく書けているし, 早速反映した内容もある.

これは初学者必読感ある.

代数統計: 黒木玄さんのツイートまとめ

代数解析勉強したい. したいしたい言っていまだに全くできていないし, ミニ講座を作る体で勉強するしかないのかもしれない.

黒木さんのツイートまとめ: 熱浴と数学

発端のツイート.

これの解説ツイート群.

他にやりたいことがガンガン増えてきて全く触れられていない話題として, 大偏差原理の勉強がある. 統計力学でいろいろ関係あるらしいし, 前からずっとやりたいとは思ってはいるが全く何もできていない.

準素イデアルの定義と代数幾何・代数解析への誘い: 黒木さんツイートまとめ

見やすくするため勝手にPDFにもまとめた.

  • http://phasetr.com/members/myfiles/file/kuroki_primary_ideal.pdf

以下ツイート引用.

これ相当参考になるのでは.

イデアルについている形容詞の定義を理解するためには、そのイデアルで割ってできる剰余環について考えてみるとよいです。

そしてこれ.

Iは可換環Aの真のイデアルとします。A/Iが体、整域、「その零因子はすべて冪零」であることのそれぞれとIが極大、素、準素であることは同値。

途中, 代数解析的な話も出てくる. ふつうは代数幾何の範疇なのだろうか? 私は代数解析の文脈で先に見たのでそう思ってしまうけれども.

黒木さん筋の情報: 佐藤の$b$函数(Bernstein-Sato多項式)が学習理論に応用される様相

全部載せるの面倒だったので一部だけ. 代数解析と統計を勉強する取っ掛かりになれば, と思いとりあえずシコシコ記録していく.

黒木さんツイートまとめ: 割合概念の理解と質, そして教授法: 吉田甫『学力低下をどう克服するか―子どもの目線から考える』

長くて面倒になってきたのでここで切る. 上のツイートからTwitterに飛んでリプライツリーを追えば読めるので, ご興味のある方は読みに行ってほしい.

あと本を改めて張っておこう. そのうち買って読みたい.

掛け算順序固定メモ: 1993 年のある数学者のコメントと黒木元さんの指摘

「批判が検討違いというかその人に言ってどうするの」感がある. そして黒木さんがアタックする.

その前に.

???????????????????????????????????

何はともあれ黒木さんのツイート.

先日もそれで混乱して算数が大の苦手になったというあまりにもむごい話があった.

掛け算順序固定, こういう子をどう救うのかの対策を示してほしい.

大学新入生向け解析学はどのように進めるべきか: 黒木玄さんツイートから

私もこういろいろと遊んでみよう. とりあえずは中高数学駆け込み寺からだ.

黒木さん発言録: 掛け算にみる数学探求

本文

黒木さんが今回もいいことを言っている.

参考にしたい.

ラベル

数学, 算数, 数学教育

線型代数は体上の加群を越えた何かである: 黒木さんツイートまとめ

はじめに

次のツイートに対する Paul のコメントに引き続き黒木さんコメント.

黒木さんツイート

佐武一郎『線型代数学』

次のツイートを見ると佐武一郎『線型代数学』を読んでみたくなる.

線型代数の攻撃力は高い.

黒木さんによる某 S 先生の追憶と量子化された $\tau$ 関数とかけ算と

はじめに

黒木さんによる某 S 先生の追憶の記録.

引用

学部 3 年~4 年のときに某 S 先生が二年続けて集中講義に来たのだが, $1,2,...,n$ ではなく常に $0,1,...,n-1$ とする主義を徹底していることにびっくりした. ぼくは $1,2,...,n$ がいいと思う. ぼくはいまだに $\tau$ 函数 (ただし量子化 (←超重要) されたやつ) を研究している.

無限自由度可積分系 (ソリトン系) の $\tau$ 函数の量子化は場の量子化なのでを現時点では大変過ぎに感じる. しかし, ソリトン系の有限自由度への簡約のいちパターンであるパンルヴェ系の $\tau$ 函数であればとても綺麗に量子化できる場合がある. (俺しかやっていないのでできていない場合も多い. 謎だらけ!)

現時点で量子化できているパンルヴェ系の $\tau$ 函数は対称化可能 GCM に付随する野海・山田 arXiv:math/0012028 の $\tau$ 変数への Weyl 群作用の量子化. $\tau$ 変数への Weyl 群作用の結果の正則性 (従属変数 $f_i$ について多項式になること) の量子化も証明できている.

パンルヴェ系のパラメーターはコルート $\alpha_i^{\vee}$ に, $\tau$ 変数 $\tau_i$ は基本ウェイトの指数函数 $\exp (\Lambda_i)$ に, 従属変数はシュバレー生成元 $f_i$ に対応している. 量子化するためには全部適切に非可換にしなければいけない. シュバレー生成元の非可換性はセール関係式. 続く

続き. 問題は基本ウェイトの指数函数 $\exp (\Lambda_i)$ に対応する $\tau$ 変数 $\tau_i$ にどのような非可換性を入れるのが正しいのか. これがなかなかわからなかった. わからなかった理由はパラメーター $\alpha_i{\vee}$ たちがすべてと可換 (中心元) だという先入観である. 続く

続き. 基本ウェイトはコルートの双対基底である: $\Lambda_i, \alpha_j^{\vee} = \delta_{ij}$. 普通の量子力学ではこういう場合は $\Lambda_i$ は $\alpha_i^{\vee}$ の共役運動量だということになる. 素直に考えれば $\Lambda_i$ の量子化は $\partial / \partial \alpha_{i}^{\vee}$ である. これで正解. 続く

中略

続き. ある種の $q$ 差分版の Weyl 群双有理作用の量子化は長谷川さんの http://arxiv.org/abs/math/0703036 で構成されている ($q$ 差分化と量子化を厳密に区別していることに注意). ぼくの量子展開環版の Weyl 群双有理作用は長谷川さんの作用をそのままでは再現しない. しかし, 続く

中略

続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く

中略

続き. 以上のような話を来週の 2/15 (土) にする予定です. 詳しい情報はリンク先にあります. https://sites.google.com/site/seminaratkomaba/ …

かけ算

途中の記述に号泣した.

続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く

ラベル

数学, 数学者, 可積分系

2015-04-16 t2o_yamaさんのツイートから: 処理速度と教育・学習の関係

  • 数学, 教育, 算数, 理科, 物理

言われてみればそうなのかもしれないが, ほとんど考えたことがなかった事案なので, いくつかツイートを転記して記録しておきたい.

こういうのは実際に大量に色々な子供を見ていないとわからない. 参考にしたい.

その1

引用

引用されているのはこれ.

その2

その3

その4

2015-04-17 p進大好きbotから: 「任意の素数pに対してp+1元集合に入る位相全体の集合の濃度はmod pで7」とかいう謎の結果が載っているプレプリントがあるらしいので

  • 数学, 素数, 数論, 位相空間論

やばい. あとで論文きちんと読みたい.

2015-04-28 Elsevierの数学や情報系のジャーナル論文が四年以上前の分が全部無料で公開されるようになったらしいので

  • 数学, 物理, 論文, 相転移プロダクション, Elsevier

本当か. これはありがたい.

2015-04-19 メモ: 一般化Riemann積分としてのKurzweil-Henstock integral

  • 数学, 積分, Lebesgue 積分, Riemann 積分, Denjoy and Perron 積分, Kurzweil-Henstock 積分

Kurzweil-Henstock integral, 名前をずっと忘れていたのでとりあえず記録.

2015-04-20 外注のとき用メモ: 記事紹介 『面倒なデータマイニング作業を時給200円ぐらいでバングラデシュ人に発注してみた』

  • 数学, 物理, 外注, アウトソーシング, 相転移プロダクション

自分の楽しみも合わせて数学名言を集めてつぶやくみたいなアレをやろうと思っていたのだが, こういうのを使うといいのかもしれない. 検討しよう.

2015-04-22 いろぶつ先生の新刊査読募集があったので宣伝協力: ★「ヴィジュアルガイド・自然科学のための数学(仮)」の査読者募集

  • 数学, 物理, 相転移プロダクション, いろぶつ, 書籍, 自然科学のための数学

楽しそうだし私も似たことをやろうと思っているので, 参考にもするべく参加した. 楽しそうなので皆でやろう.

2015-04-23 論説紹介: 斎藤恭司 一般weight系の理論とその周辺 特異点理論, 一般Weyl群とその不変式論等との関係

  • weight 系, 特異点, 一般 Weyl 群, 不変式論, 楕円積分, 周期

いま読んでも面白いということなので私も読んでみたい.

2015-04-27 書籍紹介: Joel David Hamkins, A Mathematician's Year in Japan

これ面白そう. ほしい. 私もこういうの作りたい.

2015-05-07 私もニコニコ学会出てみたい

私もニコニコ学会で話す方やってみたいが何話せばいいだろう. ちょっとネタを考えておきたい. 前に動画も作った女性胸部の話とかアレだがアレっぽいのでアレ.

2015-05-15 ツイート・プログラム紹介: mathjaxのようなtexベースの数式組版ライブラリKaTeX

このサイトもMathJax利用だが, ネットワークが通じない状況でのローカルでの記事執筆時に困ることがないではない. 期待したい.

2015-05-16 SGL (Sheaves in Geometry and Logic: A First Introduction to Topos Theory)の話

少なくとも一部界隈では有名なMacLane and Moedijk, Sheaves in Geometry and Logic: A First Introduction to Topos Theory, 通称SGL関連の話.

次の記述がとても気になる.

古典論理のストーン双対性を圏論的な双対性の有限的/コンパクトな典型的事例として位置付け、無限的/非コンパクトなケースとしては幾何的論理を対比させています。幾何的論理(geometric logic)は、「SGL読書会」のテキストである"Sheaves in Geometry and Logic"の主要なテーマでしょう(たぶん、僕は最終回だけしか出てないので半分憶測)。

古典論理のストーン双対性が、代数幾何の枠組であるスペクトルやスキームと類似であることも詳しく解説されています。ここらへんの話題は、2005, 2006年あたりに僕も取り上げたことがあります。具体的な計算も書いてあるので、多少は参考になるかもしれません。

研究したいこと, 勉強したいことが無限にある.

2015-05-17 鈴木 貴, 新井 仁之, 小林 俊行, 斎藤 毅, 吉田 朋広, 『数理医学入門』が面白そう

執筆陣から言っても超ほしい.

2015-05-19 ツイート紹介: Amazon で岩波オンデマンドが続々と値下げされているそうなので

値下げされているかどうかとはまた別に, 何かほしい本がありそう. 読みたい本が日増しに増えていく.

2015-05-20 ツイート・記事紹介: 河川の石はなぜ丸いのか?数学者が地質学における長年の謎の解明に成功 - ScienceNewsline

具体的な方程式が知りたい. 出版社が入ってお金も絡んでいるから難しいのはわかるが, 論文はもっと見やすくなってほしい. arXiv に論文あると嬉しいのだが, あれにしたって 凄まじい維持費がかかっているようだし, 世知辛くつらい.

数学, 地質学, 微分方程式, 拡散方程式

2015-05-21 ツイート紹介: 1が数と考えられてなかった時代があるらしい 『数学文化 023』山本義隆「小数と対数の発見 第3章 数概念の転換」

ちょっと『数学文化』読みたい. 読書希望リストと積読ばかり増えていて最近本当に困っている. さっさと読んで文章にまとめて動画にして頭にインストールしていきたい.

2015-05-22 ツイート紹介: 高校生向けの数学のジャーナルがあるという: JOURNAL AND PROCEEDINGS of YOUNG ARCHIMEDES

これ, あとで動画とかメルマガでも紹介しよう.

2015-05-23 クックパッドのデータを研究者に公開するという情報を見つけたので宣伝協力する

クックパッドのデータを研究者に公開します というすごい話があったので. ちょっと引用する.

大学の研究者にお会いすると、「クックパッドのデータを研究に使用したいんですが...」と相談されることがあります。料理に関する研究をしているけれど、実際のデータがないため、なかなか研究が進まないという相談です。

料理に関する研究が進まないのは、クックパッドにとっても残念なことです。これらの研究は、クックパッドのサービスを改善するための「芽」でもあります。データがないだけで芽が育たないのは、非常に悲しい話です。

このような現状を打破するため、本日から、クックパッドのデータを研究者に公開します。このエントリでは、我々が準備してきたデータ公開の仕様について QA 形式で解説します。

こういうのはどんどん応援したい.

2015-05-24 夏の思い出: 白血病闘病記と私にとっての数学・学業

Twitter で呟いたのを多少編集してまとめておこう. 他の白血病患者の方達にも参考になるかもしれないから. スタートはこれ.

いま「夏の思い出」というのを聞かれたのだが, 高校以降は基本的に数学をしていた以外の記憶がない. そういうのを聞かれているわけでもないだろうし, 返答にすごい困った. 数学以外に思いついたのが白血病ネタで どうしようか迷ったけれどもとりあえずそれを答えた. 以下いろいろ書いていく.

思い出は高校 1 年時の白血病治療のための骨髄移植での入院だ. 高校入学後初の夏休みが無菌室, 外出できない状態で体調が少しよくなってきた頃に 窓越しに夏の日射しを呆然と眺めて「何でこんな所にいるのだろう」と思った遠い記憶.

このときちょうど機動戦艦ナデシコの劇場版がやっていた頃で, 看護師さん達から「この子飛び出していかないかしら」と 心配されていたとか何とか聞いた. どうしても見に行きたかったのだ.

白血病になった原因などはよく分からないが, 中 3 での発覚後, 中学では何か先生が泣きながら 「万が一彼にぶつかったりしたら大変だから決して廊下は走らないように」という 厳命が下ったらしい.

慢性の骨髄性白血病だったのだが, これは白血球を作り過ぎてしまう病気だ. 普通 4,000-10,000 程度で風邪などの病気のときも 数万程度のところが 40 万とかあった. 白血球 1 つ 1 つはポンコツなのだが数だけはあるため, とりあえず抵抗力などは問題なかった. ただ血を作りまくっている関係上, 造血系がアップアップしていて, 脾臓が馬鹿みたいに腫れていた.

普通肋骨の下に隠れている程度なのが, 臍のあたりまで張りだしていたようで, もし脾臓が破裂したら病院の前であっても 助からないというようなことを言われた.

脾臓破裂というと綾波レイと同じだな, などとしょうもないことを考えていたことも思い出す.

治療の甲斐あって私は何とか完治したが周囲でいろいろあった. 白血病の治療中, 骨髄移植からありえないくらいの早さで 元気になって退院した人がしばらくしたら戻ってきた. 相当状態が悪くなったようで個室に入ったあと しばらくしたら個室が綺麗になっていて, 集中治療的な病棟に移ったのかと思ったら亡くなっていたこともあった. 同じ病室の前のベッドにいた人でもあり, 人の命, 意外と儚いな, という感慨も得た. 子供だったのであまり深く考えずに適当に過ごしてはいたが, 忘れていないので何がしかの影響があったのだろうなとは思う.

白血病の当時の生存率はどのくらいだったろうか. もうよく覚えていない. ちなみに初期症状はおそらく猛烈に体がだるかったことで, マラソン大会でそれまで 2 年間真ん中くらいの順位だったのが 後ろから 3 番目になるくらい体力が落ちた.

あと家に帰ってから昼寝をする機会が増えたり, 意味不明に足にこぶのようなものができて, 3 回くらい治ってはまたできる, みたいなことを繰り返した. 中 3 の一月に柔道の道場, 接骨院の先生が 「それはおかしいから血液検査を受けてこい」と言われて発覚したのだった.

命の恩人だった先生だが, 2014/12 に亡くなった. ちょうど 2014/6 から運動不足解消, 体力涵養, 精神面の不調の解消のため柔道を再開したのだが, もっと早く再開していればもっと恩返しできたのかと思うとたまらなくなる. もちろん, 下の子達に返していくのが世の筋なのだろうが, それでも直接先生にもっと恩返ししたかった.

ちなみにそのときの記事. - 子供の頃と今もお世話になっている柔道の先生が昨日亡くなったのだが業の深い柔道家兼数学徒なので数学をする - 今日も明日も畳に上がりながら柔道と数学と物理をやる

話を戻して. 白血病とわかってから半年後に体調が急変して入院, 即骨髄移植となったので割と危なかった. あとで聞いたところによると, この入院時 「あと一週間もたないかもしれない」とか言われたらしい. 聞いていなかったとはいえ子供は呑気なもので高校では死んだふりして遊んでいたりした. 友達に「洒落にならないからやめろ」と超怒られた遠い記憶.

あと治療費については都の補助金を受けられたので何とかなった. うちが貧乏だったので大丈夫なのかとむしろそちらの方が不安だったのだが. 貧乏ということについては大学受験で浪人して私立に入ったというのもかなり大きい負担で, どうしようもないドラ息子であった. いまでもいろいろなことを思うし, それは最近はじめたこの活動 にも繋がっている.

細かな思い出は他にもいろいろあって, 採血時, 朝早いのでいったん採られたあと止血でおさえる代わりに 肘を曲げたままにしておくことで止血としていたのだが, 骨髄移植後は血小板も少なく, 1-2 時間後に起きると腕に内出血の斑点ができていた.

はじめは「何だこれ」と思ったがあとで「血小板がないからか」と思い至った. 血小板, 黄土色のような色だったのだがあれは何の色なのだろうとふと思う. 白血球も 0 まで下がったことがあるので, 外に出たらありとあらゆる病気にかかれる状態だった.

白血病で鼻血はなかったが, 抗がん剤を使ったので髪の毛がぼろぼろ抜けた. もともと坊主頭およびスキンヘッドだったので特に問題はなく面白がって抜いていた. 抗がん剤はまあきつかったが, それよりも副作用をおさえる薬がきつかった.

精神を落ち着かなくさせる副作用があったようで, そのせいで無性にいらついていてモニタで様子を見ていた看護師さんなどが気づいたのか, 調子はどう? と言われて「いらいらする」といった記憶がある. そうしたら使っている薬の副作用かもしれないから変えてみようと. 変えたらすぐ治った. さすがプロはきちんといろいろなことを考えていると感心した.

夏の思い出というとこんな感じだろうか. とりあえず薬がやめられるようになるまで 9 年かかったが, 再発がなくてよかった感がある. 数学という支えがなかったら心が折れていた可能性もあるのかと思わないではない.

あと夏ではない気がするが, ベージェット病にかかっていた従兄弟が来て「たまには病気に負けてあげるんだよ. そうすればここぞというところで (病気が) 言うことを聞いてくれるからね」と言われた思い出もある. 生粋の病人は言うことが違うと感銘を受けた.

病気に負けてあげなかったからか, 浪人の受験直前期に体調を崩して 1 週間くらい寝込んだこともある. 病気に負けてあげても何とかなる活動として数学を積極的にあげていきたいところもある.

高校の頃, 体力なくて数学するかアニメ見るか漫画読むかくらいのことしかしておらず, お小遣い面の問題もあるから数学が一番お金のかからない娯楽だった方の市民としては, やはりもっと数学, さらには学業一般を推していきたい.

最近の活動的に塾とか予備校とか, その辺の教育関係ビジネスは自分がお金がなくて受けられなかったのを 自分で再生産かと思うと矛盾も感じてつらいところだが, 活動資金がないと何ともならないことがあるのでとてもつらい.

病気の人向けの教育ビジネスが何か展開できないかと思っている. 例えば Kindle で出した【独学のすゝめ 大学受験勉強法 あなたが大学受験で失敗・後悔しないために】でも 独学の仕方を説明したので, そのアウトプット練習として 下の子に Skype チャットで講義するネットワークを作り, 維持・管理するとか.

やりたいことはたくさんあるが, やはり資金不足が深刻だ. 本当に何とかしたい. 活動資金がほしい.

2015-05-25 ツイートメモ: 8/5はAbelの誕生日. あと楕円関数の論文の英訳があるらしい

早野さんが示したリンク先, NOT FOUND だった. あとで探して読みたい.

読みたいのががんがん増えていくの, 本当につらい. 精神と時の部屋がほしい.

コメントで正式なリンクを教えて頂いた. http://www.maa.org/sites/default/files/images/upload_library/1/abeltranslation.pdf 嬉しい.

2015-05-26 経営分析に見る統計学とデータ解釈の難しさ: 統計学的推論と人文・社会学への応用

てんやの事例について少し引用する.

不思議なのはビーンズ赤羽店でテイクアウト客が急増したのは、つい最近ということ。同じランキングを少しさかのぼると2013年は全国9位だったが、2014年に2位へと一気にジャンプアップ。今年、1位に躍り出た。

店内で食べれば味噌汁が付き、おしんこも食べられる。何よりできたてだし、それこそが外食店で食事する醍醐味。にもかかわらず、なぜそこまでテイクアウト客が多いのだろうか。

これが問題. そして答え (と推測されるもの).

答えは自転車の撤去だ。赤羽駅周辺は自転車で移動している人が目立ち、ビーンズ赤羽店も自転車で訪れているお客が多い。

一方、赤羽駅周辺は放置自転車がひどい地域だ。2012年までは3年連続で東京都内のワーストという不名誉な記録がある。行政側はこの問題に対処するため放置自転車を回収して、別の場所に移送するという措置を取っている。移送された自転車の返還には移送手数料が必要だ。 テイクアウト急増のカラクリが判明!

この移送手数料がポイント。以前は3000円だったがあまりにひどい状況を改善するため、行政側が都内最高の5000円に引き上げた。自転車を置いてゆっくり食事をしている間に持っていかれて、その引き取りに5000円もかかってしまってはたまらない。ビーンズ赤羽店のテイクアウトが急増したのは、こういうカラクリだったワケだ。

赤羽の放置自転車問題がめぐりめぐって、天丼てんや赤羽ビーンズ店のお客の流れを大きく変えた。局所的ながら行政による法律や制度の改正が、経済現象に大きく影響を及ぼすことの端緒である。

これ, 移送手数料というより, 監視が厳しくなって短時間置いただけでも 持っていかれるようになってしまったということではないのだろうか.

やはり統計学は本当に難しいし, 人文・社会学はこんなことまで気にしながら研究しないといけないし, どれだけ厳しい世界なのかと戦慄する.

数学とか物理の方がよっぽど楽だと思うし, 数学はもっと楽なのでみんなもっと数学しよう.

2015-05-25 ツイート・記事紹介: 阪大 植田一石さんの数学科に入る人へのアドヴァイス

印象的な文章があるのでPDFからいくつか引用したい.

直前まで素粒子か物性の分野に進むものだと思っていた私の進路を大きく変えたのは、教員と話をしているうちに抱くようになった、物理学者は数学に対してある種の"敵意"を持っている一方、数学者は物理に敬意を払っているという印象です。物理に進学すると数学の勉強ができなくなる一方、数学に進めば物理も勉強できると思ったので、これは単に決断を先延ばしにするだけのはずだったのですが、今思うと実際にはここが人生の分かれ道でした。

ある種とついているのでアレだが, 敵意というか, 嫌悪感のようなものは時々感じる. 実際, 実験系の教官で「元々理論をやりたかったのだが複素関数論が駄目で諦めた」とかいうのを実際に聞いたことがある. 関係ないが, 物理だとよく複素関数論というが, 数学だと関数論や複素解析という気がする. このギャップがどこで生まれたのかとても気になる. 物理でLie代数と(正式に)呼ぶのに数学ではLie環と呼ぶのも面白いと思っている.

研究者同士の関係はある意味で対等(真理の前では平等、と言ってもいいかも知れません)なので、研究を志して大学院に進学する人は、誰かの弟子になるのではなく、同僚になるのだという気概を持つべきでしょう。

学部の頃はいまひとつ分からなかったが, 修士で実際にいろいろやっているうちに少なくとも理想はこう, というのは掴めた気はする.

何らかの事情で数学ができなかった日の夕方には禁断症状で手が震えるようならなお良いです。

手が震えたことはないがふとしたときに「数学やりたい」と言っていることはよくある.

最初は問題が解けるのか半信半疑なのですが、そういう時には解けません。そのうち、実は解けるんじゃないかと思い始めます。いいアイデアを思いついて天にも舞い上がる心地になったかと思えば、ちゃんと書き下そうとしてギャップに気付いて落ち込むということを繰り返します。気持ちのアップダウンが激しくて、精神衛生上良くありません。後一歩で解けそうなときは特に危険です。こういう時は車の運転などは控えたほうがいいですね。また、そうでなくても運転中に助手席の人と数学の話をするのは、ナビを操作したり電話を掛けたりするよりも明らかに危険なので、法律で禁止すべきです。やがてアップダウンの周期が徐々に短くなってきて、遂に証明を書き下してもギャップが見つからなくなります。

法律で禁止するのはいいとして, その状態をどう判定するのかが難しそう. 法学部の教官に相談して何とかしてほしい.

そして目玉はこれ.

ドラゴンボール現象

少年漫画にしばしば見られる強さのインフレーションは、数学では日常茶飯事です。あるシーズンでは手の届く遥か彼方にある最強の敵だったものが、次のシーズンには一撃で倒せる雑魚キャラになります。典型的な例としてはAtiyah-Singer の指数定理があります。これは Chern-Gauss-Bonnetの定理やHirzebruch-Riemann-Rochの定理などを特別な場合として含み、位相的な指数と解析的な指数が一致することを主張します。証明された当時は代数、幾何、解析に跨って聳え立つ現代数学の到達点と位置付けられましたが、今ではモジュライの幾何を研究する際の出発点に過ぎません。

インフレが進む最大の原因は、何かを最初に成し遂げるのは難しくても、それを学ぶのは遥かに容易であることにあります。スポーツだと、誰かが100mを9秒台で走っても、別の人が9秒台で走るには(たとえ全く同じではないにしろ)はじめの人に近い努力が必要です。数学なら、ある日誰かが9秒台を達成した翌日には皆が9秒台で走っていて、8秒台への到達を競うようになります。

Twitterでいくつか反応があって, スポーツの例示は適切かといった話があったが, 非常にキャッチーでうまいと思ったので特に記録しておきたい. 女性から見るとどういう印象を受けるのかはよくわからない. ちょっと聞いてみたい.

2015-05-26 サイト紹介: 街角の数学 ふくしま 和算の復興をめざして

私の学部時代の友人の父君が街角の数学 ふくしま 和算の復興をめざしてというサイトを運営している 数学と共に生きる男だといういい話を聞いたので宣伝していきたい.

算額にご興味があるとのことで, サイト内に次のような素敵な一文がある.

街角を曲がると、そこには・・・! そんな街づくりに参加してみませんか

その知人にも改めて連絡したのだが, 以前数学をテーマにした美術: 方程式のある風景という記事を書いて, 次の本を紹介した. 現代アート的に数学関係の変なのがある町並みとか異常っぽくてとてもよいのでぜひ実現させたい.

量子の道草―方程式のある風景

数楽カフェというのも福島でやっているとのことだ.

福島近郊, 特に二本松市市民交流センター近くの方でご興味のある方は参加されるとよいと思う.

2015-05-26 数学者の訃報: Nobel経済学賞や映画ビューティフルマインドで有名なNashが亡くなった

Nobel経済学賞や映画ビューティフルマインドで有名なNashがなくなったとのこと.

Twitterで見かけた情報を探っていたら見つからなかったので, 代わりにWikipediaから取ってくる. 見かけたツイートに相当する記述を引用する.

ナッシュは博士課程をプリンストン大学ですごすこととなるが、カーネギー工科大学での指導教官がプリンストン大学へと送った推薦書は「この男は天才である。」と書かれただけの一行の文章であったという。

他にもいくつか引用しよう.

専門分野は微分幾何学でありリーマン多様体の研究に関して大きな功績を残している。

1994年、ラインハルト・ゼルテン、ジョン・ハーサニとともにゲーム理論に関して大きな功績を残したとしてノーベル経済学賞を受賞しており、彼の証明したナッシュ均衡の存在が非常に有名であるため、ゲーム理論がナッシュのライフワークと思われていることもあるが、ナッシュがゲーム理論の研究をしていたのは博士課程在学中とその後のわずか数年間だけである。2015年にはアーベル賞を受賞した。

あとゲーム理論の人とばかり思っていて専門が微分幾何というのを知らなかった.

しかし、ナッシュ自身も「私の業績として特に注目するものではない」と評しているように、ゲーム理論に関する研究はナッシュの数学者としての評価を高めることには余り寄与していない。ナッシュに数学者としての名声をもたらしたのは後のリーマン多様体への埋め込み問題に関する仕事であり、以下の重要な論文を発表している。

  • "Real algebraic manifolds"(1952年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
  • "C1-isometric imbeddings"(1954年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
  • "The imbedding problem for Riemannian manifolds"(1956年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)
  • "Analyticity of the solutions of implicit function problem with analytic data"(1966年、数学雑誌Annals of Mathematicsにて発表)

誰かこれの意義について解説してほしい. 自分でやれればいいのだが, 幾何の歴史的流れを理解していないといけない部分もあろうし, そもそも幾何がわからな過ぎるのでつらい.

本当はこういうのをタイムリーに動画にできるといいのだが. 今後の検討課題としよう.

2015-05-29 Kiwamu_Kさんの数学セミナー2015/6【微分積分の質問箱】に関するツイートを見て反省したので

定期購読で買ったまま積読になっている数学セミナー2015/6の該当記事を読んでみた. あとで動画にでもしたいのだが, 確かにきちんと丁寧に議論した方がいいところで, 私も反省した.

自分の理解の杜撰さを指摘されているようで戦慄する.

2015-05-30 IPMUのDysonインタビュー記事が面白かったので

Dyson, 私の分野の魔人である. よくわからないが, 世間的に有名なのはQEDなのだろうか. Dyson-Lenardの物質の安定性やDyson-Lieb-SimonのHeisenberg反強磁性など, 凄まじい結果を持っている数理物理の神々のうちの一人だ.

上記PDFによると元々ケンブリッジの数学科で, それから理論物理に移ったとのこと. この辺の経歴は知らなかった.

PDFを読んでいるとサッチャーの話とか出てきて楽しい.

私はベシコヴィッチのスタイルに影響を受けました。 構成的なスタイルです。 ベシコヴィッチは単純な構成要素から彼の数学的証明に使われた美しい構造を創る能力に長けていました。 私は物理の計算に同じスタイルを用いました。

構成的場の量子論だとかその辺の話を想起する.

ダイソン 子ども達は、学校で、どの国も特に得意とするものが一つあるというイメージを教わります。 ドイツは音楽、フランスは絵画、そしてイギリスは科学です。 イギリスでは才能のある若者がこれに刺激を受けてケンブリッジに入学し、科学者になります。 有名なケンブリッジ大学の最終的な優等学位の試験(トライポス)によって、この傾向が更に高まりました。

こういうのを考えたことなかった. 日本だと何だろう.

私は1948年にバークレーを訪問した時、化学者のメルヴィン・カーヴィンに強い感銘を受けました。 彼は炭素原子の分子間の移動を数秒間追跡することにより、 光合成、すなわちどのようにして二酸化炭素が吸収され、糖に変換されるか、を理解するため、 初めて炭素の短寿命放射性同位元素を利用しました。 1秒毎に化学反応がどのように進むか。 生物学に対して、初めて原子核物理学が応用されたのです。 その時以来、放射性のトレーサーを用いて生物学は急速に発展しました。 オッペンハイマーは、生物学に対する原子核物理学の応用は原爆よりも重要であると述べました。

この辺を生物・化学に対する原子核物理の応用と認識したことなかったので, ちょっと面白かった. 自分もあまり目が見えていないな, という感.

私がプリンストンに行った時、アインシュタインがいました。私は彼がプリンストンに来たのは大間違いだったと思います。 後略

その当時いた人しか言えない話だった. Einsteinだけではなく, 朝永, Pauli, Diracなどの話もある.

私は量子電磁力学の摂動展開の収束について研究していましたが、パウリは発散すると断言しました。 私はその級数が収束することを説得しようとしましたが、彼は同意しませんでした。 結局、今は彼が正しかったことが分かっています。 私はその級数の発散について論文を書くことができたので、パウリの手助けに感謝しており、不満はありませんでした。

魔人同士の会話だ.

福来 ディラックについてはいかがですか?

ダイソン ディラックは頻繁にプリンストンにやってきました。 彼は若い時の寡黙で近寄り難い性格から、 年を取って話し好きで親しみやすくユーモアのセンスにあふれた性格に変わりました。 アインシュタインと同様、彼は自分好みの理論―うまくいかないことが分かった「大数仮説」、 それから私には全く理解できなかった「負計量の場の理論」―に固執しました。 年を取ってからは、何が正しく何が間違っているかを直感的に推測する能力を失ったように見え、 どんどん普通の人になっていきました。

どんどん酷い話が出てきて楽しくなってくる.

ハイゼンベルクもまた晩年には自分の理論である「スピノル場の理論」に打ち込みました。 彼は自分の助手にその研究をするように要求しました。 私の知っている助手はハンス-ペーター・デュールですが、 彼のキャリアはこの仕事で台無しになってしまいました。 ハイゼンベルクは死ぬまでスピノル場の理論をあきらめませんでした。

ダイソン 私がプリンストンに来た直後、 ヘルマン・ワイルはチューリッヒに、カール・ジーゲルはドイツに、それぞれ移りました。 私は有理数による代数的数の近似に関するジーゲルの定理を強めたため、彼は私のことを知っていました。 ヘルマン・ワイルもなぜか私のことを知っていたようで、私が高等研の教授に採用されるように助力してくれました。

この前のヤン・ミルズのところではランダム行列をやっていたという話も出てくる. Dyson, 本当に何やってるんだ感ある.

ハートランド・スナイダーと一緒に彼の学問的成果として最も重要な、ブラックホールを理解する研究をしました。彼らは、内部圧ゼロの重い物体はアインシュタイン方程式の帰結として永久自由落下状態となることを示しました。彼らはアインシュタイン方程式に従う宇宙にはブラックホールが存在することを予言したのです。

中略

アインシュタインは全くブラックホールを信じていませんでした。それどころか、ブラックホールは存在できないという論文を書いたのです。オッペンハイマーも二度とこの問題に立ち戻ることはありませんでした。宇宙でブラックホールの候補が複数個発見された後でさえ、彼はブラックホールについて語ることを拒否しました。私は彼とブラックホールについて話をし、なぜそれが面白いのか説明しようとしましたが、そうすると彼はいつも話題を変えてしまいました。どうしてなのか、私には分かりません。ブラックホールは、その父からも祖父からも嫌われた息子でした。

悲しみのブラックホール.

ツヴィッキーとは違い、ホイーラーは難しい人間ではありませんでした。多くの学生をもち、非常に寛大でした。彼が示唆した問題についてファインマンが上げた研究成果については、完全にファインマンの業績としました。彼は極端な愛国者で、極右で、150%アメリカ人といった人間で、政治的にはオッペンハイマーと正反対の立場でした。

150%アメリカ人という表現に笑う.

福来 数理物理学者として、数学と物理学の関係をどのようにお考えですか?

ダイソン 本当に溝があったのは純粋数学と応用数学の間です。純粋数学者は違う言葉を話していました。ブルバキが流行の純粋数学でしたが、私はそんなに興味はありませんでした。「脆弱層」についての講演を思い出します。誰かが脆弱層とは何なのか質問しました。座長のアンドレ・ヴェイユがこう言いました。「それは既にクラシックな専門用語になっているので、説明する必要はありません。」私はそれが何のことか全然理解していませんでした。私はファイバー束は理解するようになりましたが、そこから先には進みませんでした。どうも純粋数学は極端に抽象的になってしまっていました。私にはそれが稔りの多い方向とは思えません。私は応用数学に留まる方を好みました。

応用数学とは, という感.

ダイソン 物理はスピードが遅くなりました。 60年前は6ヶ月で実験が終わり、結果は6週間で説明されました。 今は実験に20年かかります。 高エネルギー物理以外では、まだすることが数多くあります。 小規模な研究はまだ盛んです。 素粒子物理は特殊なケースです。 素粒子物理でさえ、ハーバード大学のガブリエルスによる電子の電気双極子モーメントの測定のような小規模実験は、最先端研究の一例で、新しい発見のチャンスもあります。

自分が場の理論・量子統計をやっているのにアレだが, 古典論まわりいろいろやることありそうで楽しそう. しかしめっちゃ難しそうなイメージが死ぬほどある.

一般的に実験研究者は予期せぬことが起きることに備えておかなければなりません。 これは理論研究者にも当てはまります。 一つのことに固執するべきではなく、多くの研究テーマを考えるベきです。 一つの研究に飽きたら、さっさと別の研究に取りかかるべきです。 私は長い研究生活でずっとそうしてきました。

早く研究が再開できるようにいろいろ整えているところだ. あと一年で形にしたい.

2015-05-30 ミンネ, メルカリで数学アクセサリの出品をはじめてみたので

ミンネで数学アクセサリの出品をはじめてみた.

露出を増やすべくついでにメルカリでも販売している.

作れる記号一覧もアップしておいた.

ふだん私もつけているし, 高知工科大学での講演時, 出席していた学生さんに無料であげるといったら女性だけでなく男性にも人気があったので, 男女関係なく少なくとも理工系には受けるのだと思っている.

コンセプト「数学を身につける」をどんどん展開していきたい.

2015-06-01 パソコンを買ったらこれを入れておけ 数学・物理編 お役立ちソフト・サイト

お役立ち情報まとめみたいなこともしようと思ったので, ちょっとTwitterで募集してみた.

YouTubeに動画でまとめるが, 教えて頂いたツイート自体はこちらにも転載しておきたい.

動画を作ってYouTubeにも上げよう.

追記: 動画作って上げた.

2015-06-02 とある大学ではコーヒーカップに「注意!これはドーナツではない」と注意書きがあるらしいので

トポロジーよくわからないし, 何かの機会に勉強したいと思っているのだがなかなか機会がない. 動画を作るとかそういうので強制的に学ぶ機会を作りたい.

2015-06-05 終結式メモ: いろいろ教えて頂いたので

これについて二つコメントを頂いたので記録.

Cox-Little-O'sheaは本を持っているというか, ある程度読んで見つけたタイポをお送りして「報奨金」を頂いた. 本やサイトに「タイポを報告してくれた人には一つにつき1ドルあげる」みたいなのがあったのだ. あとでまた見直そう.

もう一つ頂いたコメント.

代数的整数論, 本当に何でも使うなという感がある.

2015-06-06 かわず語録: 『考えればわかることでも記憶するべきことはある、ということと、話を聞いただけでわかった気になるのは非常に危険である』

私も高校の頃, ある数学の先生が「ノートを取らないで授業中に全て理解しなさい」とか何とか言われて物理の授業をノートを取らずにやってみたことがある. よかったのかどうかはよくわからないが, 少なくともいまの時点では記憶すべき点くらいはきちんとメモを取るであるとは思う. 適当に参考にしたい.

2015-06-08 Twitterメモ: 学者的な意味での難読外国人名

私の分野でNachtergaeleという有名人がいるのだが名前の読み方を忘れてしまった. 田崎さんも知っているようなのだが, 前に集中講義で九大の松井先生が名前を呼んでいたときにきちんとメモを残しておくべきだった.

math-textbookの数学・物理の英語パートに数学者・物理学者の名前の読み方と業績などの簡単な紹介をつけているが, そこも拡充したい.

やりたいことがたくさんある.

2015-06-09 業績紹介: 東大数理 小林俊行先生が2015年JMSJ論文賞を受賞

2015/3/20づけで 小林俊行主任研究員が2015年JMSJ論文賞を受賞というニュースがあった. ちょっと気になるところがあったので引用する.

根源的な表現は、「誘導」という既存の手法では構成不可能なところを、本論文では極小表現をシュレディンガー・モデルとして具体的に構成したその統一的手法が評価され、今回の受賞につながりました。

【シュレディンガー・モデルとして具体的に構成】というのが何を言っているのかとても気になる. これっぽいので論文読んでみたい.

同じくメインパートを引用しておこう. 毎度小林先生の多産性には驚かされる. ただ1000ページ書くだけでも大変だというのに, 他の人に伝わるように, 明快になるように工夫を凝らした1000ページを執筆する力も凄まじい.

受賞対象となった論文は、JMSJ 66 巻 2 号に掲載された、J.Hilgert、J.Möllers 両氏との共著による「ベッセル作用素による極小表現の理論」です (JMSJ 66 (2), (2014), pp.349-414: Minimal representations via Bessel operators)。

「無限次元表現」は対称性を代数的に広く捉える数学的概念で、量子力学とも深く関連する一方、解析が難しいことで知られています。近年の代数的表現論の進展により、“根源的な表現”は、無限の次元とはいえども、ある意味で“小さい空間”に実現されることがわかってきました。「極小表現」と呼ばれる無限次元表現が、その最も重要なものです。 小林氏は、「表現の空間が小さい⇔空間から見ると対称性が大きい」と視点を逆転させることによって、極小表現をモチーフとした解析学の豊かな将来性を予言し、新たな数学の道を切り拓いて数学に画期的進展をもたらしました。同氏は、ドイツ、フランス、アメリカ、デンマーク、日本等の研究者グループを主導し、「極小表現の大域解析学」というテーマに関して、2003年以来、1000頁以上の論理の積み重ねによって、表現論のみにとどまらず、共形幾何学、シンプレクティック幾何学、フーリエ変換の変形理論、偏微分方程式の保存量、4階の微分方程式に対する特殊関数論など様々な分野の研究に影響を与えてきました。根源的な表現は、「誘導」という既存の手法では構成不可能なところを、本論文では極小表現をシュレディンガー・モデルとして具体的に構成したその統一的手法が評価され、今回の受賞につながりました。

2015-06-10 ページ・活動紹介: 京都数学グランプリ2015 ~めざせ!国際数学オリンピック入賞~ (第57回IMO香港大会)

知人が関係しているとのことなのでとりあえず宣伝協力.

当面の自分の目標として, やはり数学関係の活動をマネタイズに結びつけるところを強化していきたい.

2015-06-11 2015-7中旬に『数学まなびはじめ3』が出るらしいので皆買おう

購入必須事案だ. 数学まなびはじめについてはいくつか書評を書いている. 例えばここを参照してほしい. 皆も買って「こんなのを求めていた」という要望を形にしていこう.

2015-06-13 ツイート・イベント紹介: 2015年モデル理論夏の学校は8/22-24に法政大学で決行

非専門もはなはだしいが, こういうのも一度は参加してみたい. 都合合うだろうか.

2015-06-15 ツイート紹介: 初学者向けの解析学教材を作ろうメモ

そして黒木さんのツイート.

この辺もきちんと教材作りたい. TODOリストに入れておこう.

2015-06-16 ツイート紹介: 簡単に靴紐がほどけなくなる結び方「イアンノット」

数学的に何か意味あるのだろうか. とりあえず記憶しておきたい.

2015-06-20 ツイート・論文紹介: ドラクエなどのゲームのトーラス世界とその実三次元での実現

論文読めないので悲しい. こういうとき市民であることがとてもつらい.

追記

今見たらリンク先ページのPDFのところから論文ダウンロードできた. ざっとは目を通したのだが, まだあまりよくわかっていない.

読書メモ: 2015/6/5発売予定『プロの数学』松野陽一郎(東京図書)

最近受験まわりもカバーしようと画策しているのでとても気になる. ほしい.

2015-06-25 ツイート紹介: 先日なくなった伝説のNashの推薦状をPrincetonが公開していたので

話は本当だったのか. Facebookに上がっていた画像は保存しておいた.

2015-06-27 【0は自然数】に対するオタ向け説明を思いついたので適切性について諸賢のご判断を仰ぎたい

0は自然数という時々話題になるネタがまた降ってきたので. 適切かどうかわからないのだがオタの人向け回答を思いついたので, 残しておいて諸賢の判断を仰ぎたい. もちろんより良い説明を求めているのでご指摘頂ければ幸い.

そして回答編.

<blockquoue class<"twittes-tweet" lang="ja">

@cornpt@aqn_流派というか、分野や話題によって0を入れるか入れないかで都合の良し悪しがあって、その分野をまたいだ文章を書くとき、変えた方が都合よければ変えるという感じでしょうか

— 相転移P(市民) (@phasetr) 2015, 6月 6

説明する技術の不足を感じるので日々鍛えていきたい.

2015-06-28 ツイート紹介: 位相幾何学型同値変形ゲーム 「ライデマイスター

よくわからないがとりあえずメモしておく.

2015-07-03 ツイート紹介: $n$番目の素数を$n$で表す式はいくらでも見つかっている

単純に知らなかったのでメモ.

あとで動画にしよう.

追記

素数Tシャツ‏@shinchan_primeさんが証明を上げてくれた. あとできちんと見よう. 本当にありがたい.

2015-07-06 ニュース紹介: 「東大など、コバルト酸化物で「悪魔の階段」と呼ばれる磁気構造を解明」というのでついつい Lebesgue 積分論のアレを想起してしまう方の市民

次のニュースを見かけた. 東大など、コバルト酸化物で「悪魔の階段」と呼ばれる磁気構造を解明

私も物理としては磁性(強磁性)の人間なので気にならないこともないが, それ以上に目を引いたのが「悪魔の階段」だ.

数学ではCantorによるCantor関数を「悪魔の階段」と呼ぶ. 測度論・Lebesgue積分論で必ずお目にかかる関数だ. 積分論は私の専門の基礎でもある. その部分について英語版Wikipediaから引用しよう.

In mathematics, the Cantor function is an example of a function that is continuous, but not absolutely continuous. It is also referred to as the Cantor ternary function, the Lebesgue function, Lebesgue's singular function, the Cantor-Vitali function, the Devil's staircase, the Cantor staircase function, and the Cantor-Lebesgue function.

物理での命名者, これを知って命名したのかとかそういう物理としてどうでもいいところが無性に気になった.

2015-07-07 たいちょうさんと宇宙賢者から頂いた評が面白かったので記録する

人からそう見られているのか, というのかちょっと驚きだったのでメモ.

Twitter ではかなり苛烈な物言いをしている自覚があるので, 人当たりが優しいというの, 割と衝撃的だった. 女性と思われていたというのもはじめびっくりしたし, 研究者ではないというのについてはそうではないと何度も言っているので結構驚く.

追加のやりとりもある.

人によって見ているところ, 感じ方は本当に違うのだと改めて認識させられる一件だった.

あと宇宙賢者からの評.

目がよくないというのもあるし眼鏡をするのもめんどいので大体いつも前にいる. あと研究会でもよく質問しているのだが, 実際にこう見られているというのを目にすると, なかなか面白い.

2015-07-09 大学数学いい話: 本格的な数学を学びたいなら足もつかず荒波もある海で泳ぐための練習をしていこう

何というか, この辺で何かできないかと前から思っている. とりあえずは大学受験回りでこの辺に関わる活動をしてみよう.

2015-07-10 素数が無限個存在することのよく知られた「新たな素数を作る」方法に関する未解決問題とその難しさの片鱗を知ったので

ぱっとこれだけのことを返してくる力量, 格好いいことこの上ない.

2015-07-13 ツイート紹介: 周転円とFourier級数

周転円でうまくFourier級数が書けるという話らしいが, 単純に見ていて楽しいのがすごい. こういうのをどんどん作りたいとは思っているがなかなかうまく勉強の時間も取れない. せめて紹介くらいはしていきたい.

2015-07-14 量子力学の連続スペクトル周辺の話: 田崎さんと全さんのトークまとめプラス私の雑感

大枠

別枠1

別枠2

コメント

全さんの話, 滅茶苦茶面白いし何か協力したいくらいなのだが, 量子力学の物理があまりにも何もわかっていないし, Sobolev に耐える力が私にないしであまりにもつらい. 引用されている『Solvable Models In Quantum Mechanics With Appendix Written By Pavel Exner』, Albeverio, Hoegh-Krohn, Exner とバリバリのその筋の人達ではないか. AlbeverioとHoegh-Krohnは相対論的場の量子論の頃からいる重鎮だと思う: 相対論的場の量子論は難しすぎて手に負えなかったのでほとんど名前しか知らないのだが, 面子がすごい.

こういうのを何かのんびり勉強したいとは思うのだがなかなか思うに任せない.

日記から

あと田崎さんの日記. メモがてらいくつか引用しておこう.

その間、物理学者が量子力学の応用の幅を広げ理解を深めているあいだ、数学者たちも量子力学の数学を徹底的に深く追求して行った。 そして、特に自己共役作用素とスペクトル分解についての美しく有用な(ただし、あいかわらずかなり難しい)体系ができあがったのだ。 これは、「量子力学において確定した値をとりうる量とはなんだろうか?」という物理的な問への確固たる解答だと言ってもいい。 物理学者が、有限次元の線形代数とのアナロジーでなんとか作り上げた体系に、きわめてしっかりとした論理的な基盤が与えられたのだ。

ところが、悲しいことに、こうやってせっかく完成した数学の成果が物理のサイドにはほとんど浸透してきていない。 もちろん、量子力学の数学はかなり難しいし(←ぼくも圧倒的に不完全な知識しかない)、数学の定式化を学んだから物理の問題がすらすらと解けるようになるわけでもない。 そうはいっても、人類の文化として考えたとき、量子力学の基礎概念がどこまでしっかりと理解されているかくらいは、やはり多くの人が共有しなくてはいけないと思うのだ。 そこまで大げさにならなくても、「習うより慣れろ」的にいい加減に物事を進める方向に流れないためにも、基礎をしっかりと学ぶのは重要なはずだ。 それは、量子力学の学部での入門的な教育についても(あるいは、入門的な教育についてこそ)言えることではないかと考えている。

量子力学に限らないが, 物理の具体的な問題をきちんと数学的に議論するために必要なハードルの高さは尋常ではないし, 量子力学の数学的基礎だけ特別扱いするのも難しいとは思いつつ, (私個人の思いとしても)物理的な意義が十分あるとは思っているのでつらい.

ていうか、今の場合は露骨に「物理的にやばい」とわかったけれど、もっと複雑な問題になったら、果たして考えている演算子が「やばい」か「やばくないか」など簡単にはわからないではないか。

これはよく感じるのだが, 物理ができない私がいってもまるで説得力ないのでつらい. 「まずはもっと物理やれ」という話になってしまう.

そして、素晴らしいことに、自己共役演算子については(この表現はかなり不正確だけど)

固有状態(および「固有状態もどき」)をすべて集めたものは正規直交完全系をなす

という(本当の)定理が知られているのだ。

きちんと書いてわかる人ははじめから知っている人だけなのでこれがどう不正確かということだけ説明しておこう. 例えば$\mathbb{R}^3$全体での自由粒子のHamiltonianを考えると$H = - \triangle$で, スペクトルは$[0, \infty)$だ.

そしてこれの固有関数もどきは$\psi_k (x) = e^{ikx}$になるが, 今$\mathbb{R}^3$全体で考えているからこの$\psi_k$は規格化できない(無限大になる). 数学的には Hilbert 空間 $L^2$ (または Sobolev 空間 $H^1$) に入っていないということだ. しかし $H \psi_k = k^2 \psi_k$ で形式的に固有関数になっている. 話が少しずれるが, この $\psi_k$ は緩増加超関数ではあり, そこで考えれば確かに固有値なので, 超関数までいけば一般固有値展開という形で正当化できるとか何とかいう話は聞いている. 相対論的場の量子論の人達はこういうことを地道にやっていた人達だ. とてもつらい分野なので常人には決しておすすめしない.

少なくとも数学・物理の双方で私を遥かに越える程度の力はないと無理だろう. やったからといってそのあとの業績に結びつくような展開が あるかどうかも微妙な情勢ということもある. そういう状態ではベテランも若手も, 物理の進展や自分の学者としての生存ににとって どれほど意味があるかも微妙なこの辺の話題に手は出せないだろうな, という気はする. いつもの「気になるなら自分でやるしかない」事案だった.

2015-07-16 計量幾何における双曲線関数: 和算もあるよ

鴨さん, そもそも何でこんな問題考えたのだろう. 数学史か何かをやっていて辿り着いたのだろうか.

2015-07-17 モンテカルロ法と次元の呪い

次元の呪いはこれだ.

次元の呪い(じげんののろい、英: The curse of dimensionality)という言葉は、リチャード・ベルマンが使ったもので、(数学的)空間の次元が増えるのに対応して問題の算法が指数関数的に大きく(英語版)なることを表している。

例えば、単位区間をサンプリングするには100個の点を等間隔で、かつ点間の距離を 0.01 以上にならないように配置すれば十分である。同じようなサンプリングを10次元の単位超立方体について行おうとすると、必要な点の数は 1020 にもなる。したがって、10次元の超立方体はある意味では単位区間の1018倍の大きさとも言える。

高次元ユークリッド空間の広大さを示す別の例として、単位球と単位立方体の大きさを次元を上げながら比較してみればよい。次元が高くなると、単位球は単位立方体に比較して小さくなっていく。したがってある意味では、ほとんど全ての高次元空間は中心から遠く、言い換えれば、高次元単位空間はほとんど超立方体の角で構成されており、「中間」がない。このことは、カイ二乗分布を理解する上で重要である。

あと一応モンテカルロ法も引用しておこう.

モンテカルロ法 (モンテカルロほう、Monte Carlo method, MC) とはシミュレーションや数値計算を乱数を用いて行う手法の総称。元々は、中性子が物質中を動き回る様子を探るためにスタニスワフ・ウラムが考案しジョン・フォン・ノイマンにより命名された手法。カジノで有名な国家モナコ公国の4つの地区(カルティ)の1つであるモンテカルロから名付けられた。ランダム法とも呼ばれる。

万能薬はない.

2015-07-19 数学者の数学史と哲学者・歴史学者の数学史の食い違い: WeilとUnguruの戦い

Paulといい木村さんといい, 数学者は本当に面白い情報を教えてくれる.

読みたい本リストがたまる一方で本当に困っている.

2015-07-21 動画・PDF紹介: 線型圏の導来同値と被覆理論

あとで動画もPDFも見ておこう. 楽しそう.

2015-07-23 イベント宣伝: 2015/11/28-29 第 16 回高木レクチャー @東大数理

イベント告知ということで高木レクチャーだ.

講演者などを引用しておこう.

平成27年11月28日(土)-29日(日) 東京大学大学院数理科学研究科 大講義室 招待講演者: • Fabrizio M. E. Catanese (Universität Bayreuth)

• Jean-Pierre Demailly (Université de Grenoble I)

• 柏原正樹 (京大数理研)

• Shing-Tung Yau (The Chinese University of Hong Kong and Harvard University)

Cataneseは今回はじめて知った. 代数幾何・複素解析の人らしい.

Demaillyは複素解析幾何とかその辺の人だ. その筋で有名な仕事をした人というのだけ知っている. multiplier idealだったか.

柏原先生はあの柏原先生だ. 修論がいまだに引用されるとか何とかいう, 学生の頃から意味不明なクラスの化け物だった人で, SKK(佐藤-柏原-河合)など専門がまるで違う私でも知っている. 結晶基底や表現論の周りで異常なくらいいろいろやっている.

Shing-Tung YauはFieldsを取ったYauだ. 以前東大であった講演会に来ていて, 就活のとき, 面接の日をずらしてもらってまで講演に参加した記憶がある. もちろん何が何だか全くわからなかった. 業績は当然Fields関係のCalabi予想の解決がある. いまCalabi-Yau多様体は物理の超弦理論で 使われるという事情があって, 超絶基礎理論となっていると聞いている. 他にも正質量予想(名前しか知らない)の解決などいろいろやっている. 非線型偏微分方程式の激烈にハードな計算を完遂しきって, 微分幾何の難問を解いていった部分が主要な業績なのだと勝手に思っている.

これも行きたい.

2015-07-28 【必読書】『数学まなびはじめ 第3集』が出たので数学関係者は必ず勝って読もう

問答無用で買う. どの人の文章も本当に面白い. 2集までで終わりではないのは知っていたので他の人の分も読みたいとずっと思っていたが, ようやく出てくれた.

皆も買って読もう. 応援しないとこうした本の第二弾・第三弾が出てこない. 市民との約束だ.

2015-08-05 文献紹介: 導来圏・非可換幾何の基礎文献っぽい Kock, Pitsch, Hochster duality in derived categories and point-free reconstruction of schemes

気になる分野・文献の話だったので.

Joachim KockとWolfgang PitschによるHochster duality in derived categories and point-free reconstruction of schemesのarXivへのリンクはここだ.

非可換幾何・非可換微分幾何, ちゃんと勉強してみたいのだがそもそもどんな本を読めばいいのかからしてよくわからないのでつらい.

まずこれを読んでみたい.

確か前田先生か誰かの非可換幾何の本が出るというのを以前見かけたが, あれはどうなっているのだろう.

2015-08-06 京大, 藤野修さんの【Recent developments in the log minimal model program(対数的極小モデル理論の最近の発展について)】が面白かったので

京大数学の藤野修さんのサイトに置いてある, 第50回代数学シンポジウム報告集 p151--p162 (2005)の【Recent developments in the log minimal model program(対数的極小モデル理論の最近の発展について)】を紹介してもらったので読んでみた. 全体的に教科書や論文のようなかちっとした体裁ではなく, 苦労している部分も含めて数学者が数学している感じがとても楽しい.

直接のリンクはこれだ. ぜひ読んでみてほしい.

2015-08-21 黒木さんのツイートまとめ: $\sin x / x$の極限に関する循環論法ネタは実は循環論法ではないという話

三角関数の極限扇形の面積に関する循環論法疑惑がある. 私も以前見かけたことがあり, 適当に読み流して「あらそうなの」くらいに思っていたが, 黒木さんが発見したようでいろいろ書いている. せっかくなのでまとめてみた.

ツイートだと見づらいので勝手に編集して PDF にした: 改めて書いておく. 黒木さんにも報告して怒られていないので大丈夫だろう. PDF の方が見やすいはずだから, よほどこだわりがある人以外は PDF を見よう.

以下, ツイートまとめ.