2017¶
2017-12-26 「方程式を解く」というときの「解く」の意味的なアレ¶
本文¶
イケメンエリートのあさみさんとの対話が面白かったので記録しておく.
といいつつそもそも「ナビエ-ストークス方程式に一般解がある」という状態がピンとこないというか, あったら逆に困るような気がする程度には数学が不自由
@adonis_fish 「ナビエ-ストークス方程式に一般解がある」というのはどういう意味で使っていらっしゃるのでしょうか
@phasetr 失礼しました, ミレニアム問題的な意味です. 困るという言葉もアレだったと思いますが, どうも水とか大気とか物理的な流体でしか捉えられないせいか近似で解くほうがしっくりくるといいますか, えっ解けるの, みたいな感覚がぬぐえませんで, 存在して全然構わないのは承知しています
@adonis_fish はじめの言明で気になったのは「一般解」というところです. 「解ける」と言う言葉の使い方も気になります. 解の存在・一意性証明を「解く」とは (特に非数学関係者は) あまり言わない気がすると言う程度の感覚的な話です.
@phasetr なるほど. 個人的には非数学関係者のほうが「解の存在・一意性証明」という (一見して) 難解な言葉遣いを避けてたんに「解く」と言い下してしまっているような (特にミレニアム問題の文脈では). これもただの印象ですが…普段接している言葉の領域が違うのかもしれませんね.
@adonis_fish 「解く」というと厳密解・近似解に限らず, 数値計算含めて適当に具体形を求める・求めようとすると言う感じで使われる印象がります. 数学で存在や一意性問題を考える場合「解の存在問題を解く」と言う感じで適当に限定するような印象です
@phasetr 仰る意味は理解しますが, こう, いわゆる「社会的」にはかなり厳密な使い分けかもしれません… 方程式を解いて具体形を手に入れる必要のない人にとっては, 解が存在するかどうか, ということとそれを具体形で手に入れられるかどうか, ということの区別にあまり意味はないので
@phasetr なんかあんまり上手く説明できていませんが, その程度の非常に分解能の悪い意味で「解く」を使ったとお考え頂ければと思います. 今後はより精確な言葉遣いに努めさせていただきます. .
@adonis_fish それは初めて知りました. そして衝撃です
@phasetr たぶん, これが使ってる言葉のフェーズが違うということだと思います. 方程式, うんあの $x$ とか $y$ とか出てくるやつね, というレベルを引き合いに出すのは妥当ではないかもしれませんが.
@adonis_fish 単純な疑問で, あさみさんも同じ感覚で「解く」という言葉を使っているという事でしょうか. あとその感覚, おつきあいのあるどんな人たちで見られる感覚でしょうか. 理工系の人間の感覚ではない, という漠然としたアレはあるのですが証拠は何もないので私, 気になります!
@phasetr まず 1 つ目のご質問ですが, 私は文脈や媒体, 話している相手によって言葉の意味, 定義の厳密さ (分解能という単語を先ほどは使いました) を変える, ということを日常的にやっている人間ですので, 簡便のために区別しない使い方をすることはあります (続く)
@phasetr 「同じ感覚で使うこともできるし, 使わないこともできる」というのがお答えですが, 数学に限らずツイッターにおける私の言葉の選び方はかなり感覚的なものなので, もしかしたらそっちがべースなのかもしれません. 理屈で区別しているだけなのかも.
@phasetr あと「その感覚はどんな人たちのものか」というご質問については, 仰るとおり理工系の方にはないですし, 文系ですらないというか, そもそも抽象的な思考をする習慣がないような方です. 結構います.
抽象的な思考というの, どんなものなのか今一つ分かっていない. 一般論と抽象論の区別もいまだにつかないしよく分からない.
追記¶
かもひろやすさんから次のようなコメントを頂いた.
解に実効的に収束する計算可能列を見つけたら解けたという感覚で仕事をしています。
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) 2017年12月26日
実効的に収束するというのを適当に調べた上で追記しておきます
— 相転移P (@phasetr) 2017年12月26日
実効的な収束について、Mathtodonに書いておきました。https://t.co/Wkxmrqkz91
— Hiroyasu Kamo ((φ→ψ)→φ)→φ (@kamo_hiroyasu) 2017年12月26日
距離空間上の点列 $(a_n)_{n \in \mathbb{N}}$ が $\alpha$ に収束することは、 $\forall \varepsilon >0 \exists N \forall n \geq N [d(a_n, \alpha) < \varepsilon]$ で定義されます。これを離散化してスコーレム化すると、 $\exists \phi \colon \mathbb{N} \to \mathbb{N} \forall k \in \mathbb{N} \forall n \geq \phi(k) [d(a_n, \alpha) < \varepsilon]$ と同値になります。ここで、 $\phi$ として計算可能関数が存在するとき、$a_n$ は $\alpha$ に実効的に収束するといいます。
当然、実効的な収束は単なる収束よりは強い条件になります。
私が知らない収束概念がまた 1 つ増えてしまった. 楽しい.
2017-07-10 数学と物理とプログラミング: 学部2-3年レベルとは何か¶
以下のツイートが発端です.
(自分にとって)見やすいように編集しつつ引用します.
発端¶
ずっと前から思っているが, 数学と物理とプログラミングにまたがる話で, 数学とプログラミング, 物理とプログラミング, 数学と物理ができる人はいても, 数学と物理双方学部二-三年程度をふんわり知っていてプログラミングもギリギリできる, みたいな人が社会に出てこない (コンテンツを作ってくれない). アカデミアに引きこもっている層なら数は増えるだろうが, 数学と物理周りの話はしてくれてもプログラミングに関わる話をろくにしてくれないイメージがある. その辺を突けばまだ市民にもできることがあると思って今いろいろやり始めている. 誰かもっといいの作って欲しい. 機械学習とかよりも.
電波猫さんとのやりとり¶
数学と物理とプログラミングをどれも齧ってるつもりだけど, 学部 2-3 年程度がどれくらいのものかよく分からないし, 多分できてない.
数学に関してかなり使える基準だと思っているのは多様体の本が難なく読めるかどうかです. 線型代数の抽象論が必要で, 陰関数定理・逆写像定理・常微分方程式の解の一意性存在定理を使いこなせ, テンソル代数のイデアルによる商代数の構成がわかるなら相当確固たる基礎があります.
物理だと解析力学・電磁気・熱力学・量子力学・統計力学あたりを「よくはわからなくても何となく一通りは聞いたことがある」「一通り専門用語を知っていて関連する計算ができる」レベルですでにかなり厳しいと思います.
物理はまだしも数学については, 知識としては学部 2-3 年でも, 運用できるレベルに至るのが下手をすると学部四年のゼミで鍛えられて大学院でようやく何とか最低限の運用技術習得くらいな感触があり, 実際は相当高い水準です. 少なくとも解析系市民としてはかなりのハードルを感じる事案でした.
きびしい.
線型代数の抽象論は明らかにやばくわかっていない・そもそも知らないことがはっきり認識できますが, 微分積分と微分方程式は理解はともかく使えている感を感じている人は多そうな一方, 多様体で必要なのは息切れして教養数学で手薄になる陰関数定理・逆写像定理こそクリティカルに効くこと, これらが直観的にはかなり明確ではあるものの, 証明が長く厳しく多変数で記号もつらく, そもそも直観的な理解さえほとんどされていないであろうことがまず厳しさ第一ポイントです. 常微分方程式のハードルはある意味さらに厳しく, 普段散々微分方程式を解いている・解けていると思う人ほどおそらくつらい. 具体的な方程式を解けるかどうかではなく, 一般の正規系の非線型常微分方程式系の局所解の一意性存在定理こそが問題で, そもそも解の一意性と存在定理自体に興味を持たない応用勢を軒並み焼き尽くしていくハードルです.
強い人だとそれらを何となくパワーまたは「そんなもん知るか」で乗り越えていくのですが, 半端に数学をわかった・使える気になっている人だけを特異的に綺麗に粉々に破壊していく要素が多様体論に詰まっています. 自動的に学部の数学をかなり広く勉強できてお得と言えばお得です.
解析はかなり苦手意識がありますが, 沼が深そうですね.
沼とかではなく, 現行の非数学科ではたいてい全く必要なくて, 数学科の数学で必要になるだけの話です. いらないからやらないし知らないし知らないままで物理・工学できるのです. ミュージシャンが何かの機会を「クールなこれを何か知らないが問題ない」という例のアレです. 無理に知ろうとするからつらい.
数学と違って物理はある程度計算できればそれなりにレベルアップした感が持てるのがいいところという感じがある. 数学だともう何をどうやっても駄目なものは駄目で何一つわかって気がしないだけではなく, 実際に本当に何もわかっていないし, 計算さえ何もできない.
物理は「何もわかっていなくてもとりあえず計算できる」があり得るし, 逆に「計算はよくわからないが (実験を通じて) 多少なりとも物理を知った気になれる (わかったかどうかは別の問題)」があり得る. 人によってはあるのかもしれないが, 数学で物理に対応するこの事象に出会ったことがない.
番外編: 数学科の本を物理関係者が読む¶
とりわけ物理の人間が勘違いしているのだが, 数学科向けの数学の本は適切な水準の数学科の学生に向けて書かれていて, 他の誰をも対象にしていない. 他学科の身で「わかりづらい」というのはそもそも「お前は対象ではない」事案なので, あるなら物理の人が書いた本を読むか, 我慢するしかない.
数学科の学生が物理の本なり工学の本を読んでいて「数学的に厳密ではない」と言い出したら「国に帰れ」と言わざるを得ないだろう. 「お前のための本ではない」と. それと同じなのでさっさと諦めて欲しい. 諦めて読むのをやめるか, 数学科の数学とダイレクトに戦うしかない.
もちろんいつだって最終手段である「専門家・友人との議論」と, 「自分で本を書く」手段は残っている. 私のような市民ならともかく, 大学生ならもう最終手段を取るしか, ほぼ全ての場合に道はない. はやく諦めて本を書け.
それに合わせて具体例が欲しいとかいう話, どのくらいの本をどう読んできてどのくらい数学ができてどんな本を読んでいるかがまず真っ先に問題になる. 例えばこのツイートの話. 適切な具体例がたくさん書かれていても「抽象的で意味がわからない」となっている可能性がある.
数学で具体例が必要事案, 何をもって具体例とみなすかがまず大問題で, 多分初めのうちは線型空間に具体例がいるはずなのだが, そのうち別の概念の具体例として (抽象的な) 線型空間が出てくるし, 初学者にとって抽象的な例がある程度知っている人には手触りのある最高に具体的な例になったりする.
当然, 多段階で具体例を山ほど知っていることが前提になっている. 数学的な段階を吹っ飛ばして本を読むと「この本を読む数学の人間ならこのくらい知っているだろう. そうしないとまともなページ数で本かけない」問題もあり, そこを飛ばしてアタックした他学科の学生は地獄を見るだろう.
それを読むための基礎体力がないので, 諦めて暴力的な基礎体力作りに励むしかない. 基礎体力がなければもちろん数学科学生であっても読めない. 物理の本でも最低限の計算力を少しずつ鍛えるのであって, いきなり量子力学や電磁波をやると計算量で圧死する. 社会は厳しいのでもうどうしようもない.
このような具体例が構成されている. 「線型空間のテンソル積と本質的に同じなので詳細は省略する」と環や加群のテンソルでやられるし, そこから同値条件だと言って普遍性に飛ばされたりする. 「集合と写像という数学の基礎だから」と言われても応用系でやらないから即死もある
「この証明ではテンソル積の具体的な構成を用いています」 (そして現れる, バカでかい線型空間のバカでかい部分空間による商空間)
2017-07-09 生物と道具としての数学, そしてプログラミング¶
生物実験野郎だがプログラミングするしバイオインフォマティクスの論文も出したことがあるから一応そっちの研究者も名乗っていい気がしているけど誰か書いてくれるならばそのほうが楽だと思っていて結局やりたいのは生物学であっていろんな実験手技もプログラミングも手段にすぎないという立場
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
プログラミング、ミニプレとかほどキット化されていないからできるできないの幅が広くて困るがミニプレと実質的な位置づけは同じだと思っている。できないとダメだと騒ぐ必要はなくできる人に任せればいい。ただ、任せる本人がわかっていたほうが良いのは実験と一緒っぽいが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
今は「生物の人もプログラミングしたほうがいい」という話になっているけどいずれ将来は「生物の人も数学できたほうがいい」という波が来るだろうと思われるし一部ではもう来ているはずだ
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月9日
そんなにハードな数学必要なのですか?
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
ここで言う「数学」は、ハードな数学ではなく、記述言語としての数学ぐらいの意味です。とりあえず全ての函数は微分可能だし積分は全て収束すると思っておく程度かよりゆるい感じで
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
一応そのレベル感は想像ついていて、それは理工系、生物系にとってそんなにこれまで特殊なオプション的なものだったのかというのが気になっています。
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
一部の人間以外には厳しいという印象です。当然微積の計算は大学受験でやり、大学初年度では解析や線形代数をやってはいるけれども、それを記述に使えるようにはなってない感があります。日常的に使うことがないので仕方ないと思いますが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
力学とか電磁気あたりは必修にあるイメージなのですが、専門で忙しくてほとんど身についていないまま専門課程突撃、みたいな感じでしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
力学電磁気学はありましたが微分方程式の解き方とか線積分面積分とかをずっと覚えて運用できるほうが珍しい気がします。もちろん構造生物学の人など例外はあり、主に私の周りにいる分子生物学や遺伝学(集団遺伝学ではない)を使って研究をしている実験生物学者風の人々を想定しての話ですが。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
ちなみに当初の「生物でも数学を」の中身はどんな感じなのでしょうか。私は冒険せず気楽に物理と数学だけで、あまり異分野のこと知らないもので
— 相転移P (@phasetr) 2017年7月11日
それが全てでは決してないですが、例えばRIMSの講究録で「生物」 がタイトルにあるものを検索してみると一つのあり方が見えると思います。あとは私の力では個々の例を列挙する形でしか示せなさそうです。まだまだ本格的な生物への数学の使用は端緒だと思います。
— 非線形 (@_mod_p) 2017年7月11日
そもそも遺伝学と集団遺伝学で何が違うのかすらまるでわからないほど, 生物の素養がない.
何も知らないので泣きたくなる.
2017-06-01 無理数の空間は完備な距離付可能な空間である¶
現代数学観光ツアーと並行して, 通信講座として現代数学探険隊を展開している. そのために集合論や位相空間論を今の視野と力量でいろいろ調べ直していると「そんな数学的現象が起きているのか」ということがよくある.
そして表題の命題はその再勉強の中で知った話だ. 実際けっこう面倒な話だった. ゼルプスト殿下に教えてもらったので記録しておく.
緩募 無理数が(いたるところ局所コンパクトでない)完備な距離空間である(完備な距離付可能な空間である)ことの証明
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月1日
手元にあるWillardのGeneral Topologyには、「無理数全体の空間は可算個のNの直積と同型」を示すことで、「可算個の完備距離空間の直積は完備な距離付けが可能」を使って証明するという演習問題がありました。
— くるる、くるるん、くるるん、るん! (@kururu_goedel) 2017年6月2日
このPDFの§3の「アレクサンドロフの定理」の証明をみて頂戴。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
いかんいかん。URL忘れてたhttps://t.co/7JiQ19iqol
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
↑↑↑これ
ありがとうございます。読んでみます
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
P.8、中央下方の \omega \mathbb{R}(と F の定義に使った <>)はどういう意味でしょうか?そもそもとして \omega は自然数のことだと思っていいでしょうか?
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
^ωR は数直線の可算直積。<>は列を表現する記法。ωは自然数全体の集合。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
もはや感覚的に「自明」と思っていることでもはじめからきちんと書いていくと命題の連鎖の中に置いてあることがあり, 「あの命題は証明していないからこれ証明できないな」とよく思う.
コンセプトとして先々を見通しながら講座を展開することを考えていて, そこまでに示したことしか使わない「本編」と, そこまでに議論していないことでもバンバン使ったり紹介したりする 「探険パート」がある.
探険パートはぶっ飛ばして書く前提なので別にいいのだが, 本編で時々これが起こる. 当然いくつかの本を参照しながら講座を作っていて, 「これはここでやらなくても大丈夫か」と思って飛ばしたのが 後で「これは盛り込みたい」と思った命題で使ったりする.
必要な命題は必要なところで追加すればいいし, そこまで気にしているわけでもないが, 「この命題の証明にこれ使うのか」と改めて認識して驚くことはある. 特に「これはちょっとマニアックだしあまり使わないだろう」と 思った命題を複数回使うことがあると自分の認識の甘さを痛感する.
集合や位相の再勉強を進めていると, 変な例を作るのに順序数がかなりよく動いてくれそうで, 改めて再勉強したいと思っている. 講座の流れではほとんど使わないので, 優先度は低くなっているとはいえ, 時間が取れたら変な反例探訪の旅に出たい.
2017-05-13 部活と数学問題に見る『「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しい』話¶
文科も教委も,「部活に休養日を!」というけど,土日がつぶれる大きな理由の一つは,「大会」の存在です。
— 内田良/学校リスク研究所 (@RyoUchida_RIRIS) 2017年5月13日
これは,中体連,高体連,高野連,高文連が動かないとどうにもなりません。
が,いまだ部活改革の蚊帳の外で,微動だにせずいる。
(冠大会や顧問らの私的な大会への参加抑制も急務)
最近、学校の先生の過重労働問題とも絡めて「部活批判」が花盛りだけど、一部例外を除き、学校の部活とプロスポーツ、五輪選手強化みたいな世界は一直線で繋がってて、単純に現行を否定したら(行政含む)日本のスポーツ業界は回復不可能なダメージを食うだろう。なかなか難しいと思う。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
はっきり言って学校の部活“ごとき”にプロスポーツや五輪選手の育成機能を担わせてる現状は当方もおかしいと思うけど、ことの善悪を超えて、世の中の現状がそうなっていて、「ハイ、そうですか」でやめられるような話ではないからね。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
やっぱり本当に「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しいなあ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
「奴隷制は悪でしょ。すぐ廃止しなさい」「いや、そう言ってもこれで食べてる人や成り立ってる世界もあるんです。軟着陸路線はないでしょうか」「悪人の行く末なんて知りません。即時無条件廃止あるのみ」「チクショー、戦争だ」みたいに南北戦争が始まったことを思う。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
南北戦争前夜、草創期の共和党にシーワードという大政治家がいて、名声も評価もリンカーンなどより断然上で、誰もが彼が大統領になることを疑わなかった。ちなみにシーワードはまともな学歴もない貧農の子、リンカーンとは対照的に、金持ち階級に属する大変な教養人だった。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
シーワードは雄弁家として知られた人で、明晰な理論、古今の名著からの当を得た引用などで万座の聴衆を酔わせ、それで政治エリートとして成り上がった男である。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
一方また南北戦争前夜、印刷や運送の技術の発展で、新聞というものはかなり手軽に、民衆たちが親しめるメディアとして発達した。このころ、「政治家の演説をそのまま載せる」というのは、インターネットも電波メディアもないなか、新聞が誇った最大の人気コンテンツの一つだった。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
ところが弁舌の達人として万座の聴衆を酔わせるシーワードの演説を、その声色や表情を捨象し、文字化して新聞に載せると、その明晰な理論や、当意即妙の引用は、何の遠慮もなく政敵を切り刻む、残酷な物言いに見えたそうで、これが彼に多くの敵をつくり、大統領への道から脱落する一因になったそうな。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
イギリスでシーワードの演説を文字として読んだマルクスも、彼の演説は「大仰さと虚飾」に満ち溢れていて「吐き気を催す」レベルでたり、「弁舌の達人は政治家として危険なまでに不適格だ」との論評までしている。ちなみにマルクスは奴隷解放論者で、シーワードは米国で、その論の第一人者だった人だ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
ちなみに当時の米国にはシーワードの亜流みたいな半端な雄弁家が南北問わず山のようにいて、それぞれの地域で過激な演説をぶち、新聞で伝播され、それが南北戦争の開戦原因となる諸問題の「対話の糸口」「妥協の機会」を、いちいちふさいでいったと言われている。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
シーワードというのは確かに貴族的で高慢な人だったようだが、実際会えばそれなりに「いい奴」で、実際その演説を直接聞いた人は、彼の言に喝采を送っている。しかし「彼の言の“文字起こし”」は、何とも人をイラつかせるものだったらしいのだ。そしてその「雄弁」が彼の出世を閉ざし、戦争を招いた。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
これがかなりクリティカルな印象.
やっぱり本当に「その業界に愛のない人」「その業界の特に利害関係者でもない人」の批判というのは、残酷なまでに美しく、正しいなあ。
— OGAWA Kandai (@grossherzigkeit) 2017年5月14日
この間微妙な怒られが発生した.
相転移Pが本当に真剣に真摯に怒っているのはよくわかるのだが, いかんせん口が悪すぎて対話以前に相手を怒らせてしまって対話の可能性を閉ざしているようにも見えるよ. こういうツッコミを入れることもあるいは傍観者的と言われるかもしれんけど.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学専門家vs数学教育界隈と全く同じことが魚専門家vsとりくん界隈でも起きているっぽいし, なんというかそれぞれ専門家の側の主張は(私がみるに)何も間違っていないんだけど, 口の悪い過激派の専門家が何人かいるせいではたからみると「こわ近寄らんとこ」みたいな感じになってしまっている
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学クラスタの一部は本当に感じ悪いですよ. そのことに自覚的にならないと言っていることは正しくとも結果的に数学のイメージを貶めることになりますよ. 言っていることが正しければどんな表現を使おうと真理は真理だ, というのはアカデミアの外では理解されませんぜ.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
アカデミアの外で理解されないことが必ずしも問題かと言われるとそうではないしアカデミアの外で理解されなくても数学そのものにとっては何の影響もないんだけれど, 数学という分野(で食っている人たち)の生存戦略を考えるとアカデミア外の人によりよく理解してもらったほうがいいよね.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学の人たちは言明の真理性や内容に重きをおくあまりに, 広報戦略みたいなものを表層的で不純なものだと思ってしまいがちなんですが, 学としての数学ではなく学問分野としての数学を考えてゆく上ではそういう広報的な視点がどうしても必要になってきてしまうのだと思う. 不純で表層的かもだけど
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
学と学問分野で何が違うのかはわからないが(定義による), 適当な意味で広めたいと思うのなら, マーケティング・コピーライティング的なところが重要なのは論を待たない. 不純というのも表層的というのもよくわからない.
そもそも焦点がどこにあるのかよくわかっていないものの, どんな表現を使おうと真理は真理, これ自体は多分伝わるのではないか. むしろ「真理だろうが何だろうがお前の言うことは気にくわない」に対する話だろう. そこがずれていると見ている.
このツイートには言うまでもないですが「アカデミアの外」が「アカデミア」より偉いとか, あるいはその逆とか, そういう含意はありません. ただ, 「アカデミアの外」からの視線をもうちょっと意識して発言・行動しないと巡り巡って自分たちに不利益が生じるのではという話
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
私の言う「そんなのアカデミアの外では理解されませんよ」はアレな企業人が公務員に対してよく言う「そんなの民間では理解されませんよ」みたいのとはニュアンスが全然違うので誤解なきよう. 後者は民間が公務員より正しいという含意/前提がありますが前者にはどちらが正しいという含意はないので.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
数学の学としての純粋性を担保したいと考えるあまり, (社会に根ざした, 公的な予算がついたり公教育で教えられたりする)学問分野としての数学という側面を無視してしまうきらいがあるんじゃなかろか. 学問が社会や予算など俗なものから離れて成立するものであってほしいという気持ちはわかる.
— noukoknows跡地の跡地 (@noukoknows) 2017年5月14日
何の役にも立たないような学術的な話は, ギリシャの奴隷制の元で暇な貴族階級の思索からはじまったとか何とかいう話を 高校で勉強した. それが正しいのなら, 単にそれだけだし, 社会や俗なところから離れてはいたとしても, 金からは離れられないのはもう by definition レベルの話という気はする.
むしろだからこそ, 私はその手のきちんと数学でお金が稼げるようにしましょうという活動をやっている.
確かにツイッター上の数学者のイメージは悪い
— 若葉めるる (@wkb89_) 2017年5月14日
観測範囲の問題が気になっている. 他の学問だとどうなのだろう. 例えば私の観測範囲では科学技術社会論 (STS) や経済学者のイメージは最悪な印象がある. こちらは言葉遣いの問題ではなくイメージが悪い. 数学とどちらの方がよりひどいだろうか, ということを考えないでもない.
ある程度まとまって人がいれば異常なくらい口が悪く, かつ適当な意味でうるさいのも一定の割合で存在するだろうし, 単に数学者に興味関心があって, 注意を払っているからそう見えているだけ, という気もしている. 実際, 化学者で口が悪いのがいるかどうかとか, 医学生理学で口が悪いのがいるかどうかとか, そもそも気にしたことがない.
ちょっとだけコメントしたやつ.
@noukoknowsこれに限らずツイフェミ・まなざし村事案、表現規制事案でもそうでオタク界隈でもそうなので人類の平常運転でしょう。いいかどうか、どういうときに自分がどう動くか、意識的にやるかやらないかはまた別です。私はめんどいので(Twitterでは)基本触れないスタンスにはしました。あくまで基本は
— 相転移P (@phasetr) 2017年5月14日
2017-05-12 「数学は発見されるものか、発明されるものか?」¶
数学は発見されるものか、発明されるものか?
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月12日
選択肢①は、もちろん皆さんご存じプラトニズムが典型例ですね。数学的知識の最大の特徴である普遍性、不変性と客観性を上手く説明できます。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
一方で、目に見えない触れない数学的対象を人間はどうやって認識するのか、大変な難題です。https://t.co/xlK2vdtwhR
選択肢②は、ちょっと難しいですが、例えばデネットとかがこの立場だと思います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
1数学は人間が進化してくる前には存在せず、進化によって人間は数学を獲得した
2進化では、眼のように、魚と虫のように別の系統であっても、結局同じような構造にたどり着く事が多い
3数学も多分同じ
(続く)
4知的な宇宙人は、もしいるならば、やっぱり進化してきただろうし、そうだとすれば論理や数学などの基本的な概念は、人類と大筋で同型なものを持つのではないか
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
と言う訳です。楽観的な自然主義。
4知的な宇宙人は、もしいるならば、やっぱり進化してきただろうし、そうだとすれば論理や数学などの基本的な概念は、人類と大筋で同型なものを持つのではないか
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
と言う訳です。楽観的な自然主義。
選択肢③は、カントが代表例でしょうか。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
1典型例は幾何学ですが、幾何学は人間の(生物学的な)空間とかの認識様式というフィルターが罹っている。人間が認識できる形式で幾何学は世界を記述する(分析的ではなく総合的)
2その後は論理的に、誰がやっても同じやり方で数学は展開される
(続く)
3だから数学は経験的認識に先立つ先天的、自明的なものである。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
(エラいラフなまとめで済みません)
現代でも結構な人が同意しそうな雰囲気ですが、一方で、「人間の空間認識能力にとってはユークリッド幾何学が唯一の正解です」とか言ってしまい、(続く)
20世紀には新カント派の哲学者が相対論と言う邪説を学ぶ物理学者をお説教氏に言ったりして、評判を限りなく悪化させてしまいました。「人間の認識様式」という言葉の内実が何かが重大すぎる問題になると思います。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
選択肢④は…ポストモダンの人たちとか、他にもいろいろですね。ウィトゲンシュタインとか、極論すると「同じ人間でも数学は数学者たちの言語共同体の中でしか通じない」と言う主張になってしまいます。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
確かにそういう面はありますが、一方で、この立場では、自然科学における数学のキチガイじみた有用性とか、異なる文化や言語共同体でも数学を問題なく理解することができ、彼ら彼女らの数学(和算とか)も逆に西欧の数学者が理解する事ができる事実が、どうしても見えなくなってしまう問題があります。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
ちなみに、僕は個人的には②と③の中間派②よりです。
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
その他やりとり.
@ytb_at_twt公理は発明されて、定理は発見されるものかと。。。
— 大野典宏@大変身! (@oono_n) 2017年5月13日
@oono_nある定理(もとの体系の無矛盾性とか)が証明できるように新しい公理を付加するとかよくやるので、その辺の区別は意外と曖昧です
— ytb (@ytb_at_twt) 2017年5月13日
その他にもあったが省略.
「数学は発見されるが複数存在する」みたいなのないのだろうか. あと数学の存在証明以前に数学の定義はどうしているのだろう. 哲学的にはもっとうるさい基本的なところから議論しているとも思う.
2017-05-18 Bernhard-Jablan unknotting conjectureの否定的解決(?)¶
私は真偽判定する能力を持たないが, ツイートを見かけたのでとりあえず張っておく.
これは衝撃的です。
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
[1705.05985] A counterexample to the Bernhard-Jablan unknotting conjecture https://t.co/f1OM5VgBDz
結び目理論の未解決問題10https://t.co/E0jzPmZOvU
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
の一つでしたが、否定的に解決されました。
Bernhard-Jablan解消予想がもし正しいとすると、原理的には、結び目解消数が帰納的に決定されることになるので、非常に都合が良過ぎる予想ではある。
— musubimeriron (@musubimeriron) 2017年5月18日
二つ目のツイートで「結び目理論の未解決問題10」に関する Naverまとめが張られていて「何でそんなにまとめがNaverにあるのだろう」と思ったら, musubimerironさん自身のまとめだった.
私の結び目理論への知識は, 学部四年のときにちょっと講義にもぐった程度でほとんど何も知らない. Jones多項式関係で院のときの専門だった作用素環とこう割といろいろ関係があるとか, 三次元時空での代数的場の量子論でのDHR-DR的な話でも組み紐群が出てくる(はず)だとか, その程度しかない.
ただツイートの中にある反例を挙げる形での 否定的解決というのがかなりツボ. 私が運営している通信講座, 現代数学探険隊は, 例や反例を自分で作っていくことを重視して 数学学習していこうという趣旨で内容を構成しているので, 反例を作ることで本当に論文になる話としてメルマガでも流そう.
あとプレプリントをパラっと眺めて気になった点を挙げておこう.
The bulk of the work needed to reach these conclusions was carried out by computer.
ある意味四色定理とも似通っているのだろうか, プログラムで片をつけた部分も大きいとのこと. 最近中高数学駆け込み寺という中高数学復習のための無料のミニ講座で, 多少のプログラムもつけて講座を展開している.
数学とプログラムの遊び方みたいなところは最近かなり気にしているので, その点でもとても気になる.
SnapPyというPythonによるソフトもあるようなので, やはりPythonをもっときちんとやらねばならないかという気になっている. 個人的にはHaskellをやってみたいのだが, グラフを手軽に書く, 数値計算も手軽にやる, そういったところからすると資料が少なく(というか観測範囲でほぼない)Haskellでやるのは極めてハードルが高い. となるとやはりPythonかという感じ. これも頑張らないといけない.
2017-05-11 中高数学とプログラミング系コンテンツを作ろうの会¶
どなたに聞けばいいかもわからないのだが, かもさんに聞いてみた記録.
@kamo_hiroyasuどんな人にどう聞けばいいのかもわからないのですが、数学(または物理、適当な応用)とプログラミング的なネタで「定番」みたいな本やカリキュラムは何かあるでしょうか?中高数学復習的なネタと絡ませつつ展開したいのですが、良さげなネタを思いつかず
— 相転移P (@phasetr) 2017年5月11日
@phasetr定番というと、数値解析はどうでしょう。たとえば、奈良女子大学のシラバス検索 https://t.co/0qxDF0UK0Rで「数値解析」を検索していただくと、理学部のものと生活環境学部のものと二つ出てきますので、よろしければ参考にしてください。
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
@phasetr定番では全然ありませんが、初等整数論ネタでこんなのもやってます。https://t.co/d8LWUpEQXR
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
@phasetrもっと定番ではありませんが、三角形の心とかもあります。https://t.co/dwKmbBsOYT
— Hiroyasu Kamo (@kamo_hiroyasu) 2017年5月11日
数値計算の前にそもそも文字の扱いに慣れていてもらう必要がある. まずはそこからはじめよう. 数値計算は私も遊んでみたいところなのでそこに行くべく導線を頑張って作るのだ.
コースのページに無料の通信講座をまとめているので, ご興味があればぜひこちらから探してみてほしい. この記事を書いた時点でも, 中高数学とプログラミングに関わる講座も既に一つ作ってある.
2017-03-23 数学は何故役に立つように見えないのか? 動画つき¶
概要¶
はじめの注意¶
吃音があるので聞き取りづらいと思います. 予めご了承ください. 最低限話したいことはスライドに書いています.
軽く自己紹介¶
- ふだんは会社員.
- 学部で物理, 修士で数学をやっていた.
- 大学を出てからも数学や物理の勉強・研究, 情報発信を続けている.
- DVD や本を書いて Amazon で売ってみたり,
- 無料・有料含めて通信講座作ったり.
- お坊さんではない.
設定¶
- この場にいる人, メルマガ読者のうちで数学に対してゆるめの人たち向け.
- この場じたいはビジネスのコンテンツ制作実践会: 数学嫌いな人さえいる場.
- こんな人達を相手にこんなコミュニケーションを取っていますよ, という事例紹介・自己紹介.
ポイント¶
- 数学はふつうの感覚だと「見えない」し「感じられない」.
- ならば何を見せ, 何を感じてもらうのか?
- 実際に私が何を考えどう行動しているのか?
- 私という人間の行動を通じて数学を見て・感じてもらう.
- 数学という異世界を私のフィルターを通して見せていく.
数学を役に立たないように見せているモノ¶
「数学が何の役に立つんですか?」¶
- 注目したいのは, 何の役に立つかを説明することよりも, なぜ役に立つように見えないのかという問題.
- 私の世界観からすると, いちいち説明する必要もないほど現代社会は数学に満ち満ちているから.
- そこのギャップを何をしてどう埋めていくか?
社会の雰囲気¶
- よく知らないのになぜか役に立つと思われているモノはある.
- 直接見えないし感じられるわけでもない.
- 何か思いつきますか?
これを見たことありますか?¶
- プログラム.
- 数学同様, 理解している人は少ない.
- 一方で役に立つモノという認識はあるっぽい.
注意¶
- ここでの「プログラム」はソフトやアプリのように見えたり感じたりするモノではない.
- その裏側で動いている存在.
- プログラマがカチャカチャ作っている.
単なる雰囲気¶
- 「みんなそう言っているから何となくそう思っている」.
- 気分の問題, 認知の問題.
- 「プログラマという職業があってプログラムを書いて役に立つことをしているらしい.」という社会の空気感.
雰囲気その2¶
- おそらく, プログラマという技術者の有用性とは別に, 目に見えないプログラムやプログラミングスキルも役に立つと思われている.
- ソフトやアプリではなく, 目に見えない裏側の存在としての「プログラム」.
- 数学に対してはこういう認識がほとんどない.
- プログラマが割とたくさんいることもポイント高そう.
1 つだけ例を¶
- 電気で動いているものが身の回りに山程ある.
- その裏にある電気やそれを作り出した電気工学の議論,
- 物理, さらには数学が役に立っていると感じられるか?
- この話にリアリティを感じるか?
- 電気を見たときにその裏にある物理や数学を感じられるか?
感覚や雰囲気をなめてはいけない¶
- 感覚が伝わっていないと全くコミュニケーションできない.
- 見えている・感じている世界そのものが全く違うから真っ向から噛み合わない.
- パソコンやスマホを触っているときに物理や数学を感じますか?
- 実際に私はそういう感覚を持って世界と対峙している.
- 「何の役に立つ?」とか言われても「遍く存在している」としか答えようがない.
何となくでも感じさせることの重要性¶
- 筋トレしたら筋肉痛になる, 食を変えたら調子が良くなる.
- 明らかな変化を感じてもらえる.
- 数学はこういうのやりづらい.
- どちらかというと精神世界の存在だから.
- ではどうするか? どう感情にアクセスするか?
プログラムの実在感¶
- プログラムはプログラマがカチャカチャ作っているイメージがある.
- 人の動きとして見せている感じ.
- ソフトやアプリのような形もある.
- では数学ではどうするか?
「知らない世界を見せてほしい」¶
数学は見えづらいし見せづらい¶
- だいたい目に見える世界の裏や裏の裏, さらにまたその裏くらいにいる.
パソコンでの例¶
- パソコンは電気で動く.
- 特に電気回路がある.
- 電気回路に関する理論がある.
- この理論が数学で書かれている.
- 理論の式を見せればいいわけでもない: それだけで何がわかるわけでもないし何も感じられない.
- 見せられても困るでしょう?
方向性は2つ¶
- ドストレートな選択肢しかない.
- クライアントの要望を聞くこと, 自分の趣味に突っ走ること.
- 役に立つ実利系, 精神的充足を求める系.
- もちろん適当な落とし所を狙う.
最近頂いたご意見¶
- 中高数学の復習講座のアンケート回答: 子持ちの40代女性から.
『今回のコンテンツを見てどんなことを感じましたか?』
いろいろなところで数学が使われているのは普段目にすることはありません. 実際にこんなところでも使われているんだということがわかれば数学に対する意識が変わると思います. うちの子たちにも見せようと思います.
- まずは相手の懐に入ってみる.
最近頂いたご意見その2¶
- 50 代, 経済学部卒の男性: 「これに期待することを教えてください: 人類の叡智に触れることができるようになること.」
- 60 代の方からのコメント: 「数学や物理を勉強したい理由: 真理の追究」
- 数学・物理を扱っていると本当に「人類の叡智に触れる」とか「真理の探求」とかそういう目的が出てくる.
- 生まれてこのかた「人類の叡智」とか「真理の探求」という言葉をど真面目に口にしたことありますか?
これを受けて何をしますか?¶
- 実利系は素直に役に立つことをやればいい.
- いろいろなところで数学が使われているから片っ端から全部コンテンツのラインナップを作ればいい.
- 工学系は特にこのタイプ.
- 問題は数学に対して精神充足を求めている人に何を提供するか?
再びアンケートコメント¶
- 子持ちの40代女性から
「しかし, 小川洋子さんの書いた博士の愛した数式を読んで, 数学って美しいのかも, と興味を持ちました. だから, このような私でも数学がおもしろい, と思えるようなことを発信してもらえるとうれしいです.」
- 50代, 経済学部卒の男性
「知れば知るほど知らないことが増えてくる世界を垣間見ている気分です.」
何となく期待されていること¶
- 自分のいまの感覚を変えてほしい, 知らない世界を見てみたいという気持ち.
- 「素人」サイドからすると「数学, やっぱり面白いんですよね?」というのを伝えてほしいらしい.
- わかりやすさ, とっつきやすさは引き込むためのフック: 本丸はこの気持ちに答えること.
- もちろんフックを馬鹿にしてはいけない.
私がずっとやっていること¶
- 一つの方向性は「男の子の夢」.
- 「人類の叡智」とか「真理の探求」とか一度は言ってみたい言葉の上位にランクインする.
- 大事なこと: 人への憧れ.
- 学者という存在は憧れになりうる.
- ゲームでも味方で重要な情報を調べてくれたり何か作ってくれたりする.
- 悪のマッドサイエンティストがいたりする.
- 独特の世界観を持っていることもある.
- 社会にこういう雰囲気がある.
現実感のなさと超越性¶
- たいていの人にとって数学は感情を揺らす存在ではある.
- それが嫌いという形であったとしても.
- わかりやすく「意味がわからない」存在としての数学.
- 「数学をやっている人は世界をどんな風に見て何を感じているのだろう?」
- コンテンツとして具体的に自分の数学的世界観を見せてあげて, 世界観の変化を感じてもらう.
数学の世界を探険しよう¶
- いま作っている通信講座も数学世界の観光や探険という視点を取り入れて作っている.
- 私自身がそうやって数学や物理と向き合っているから.
- わかりやすさとか役に立つとか, そういうフィールドで戦わない.
- ただしクライアントに見つけてもらえるよう美味しそうにアジャストしよう.
2017-01-18 閉曲面の分類定理¶
どなたか閉曲面の位相的分類に使われた道具が何か教えて頂けるだろうか。複素解析(リーマン面?)使っていた気がするのだがそれすらよくわからないほど幾何を知らない市民なので困っている
— 相転移P (@phasetr) 2017年1月18日
@phasetr@MarriageTheorem閉曲面の分類を本当にフォローするのは大変なことですが、三角形分割の存在定理を基にした切り貼りによる方法が古典的で、可微分多様体の場合はモース理論による方法もあります。他にもあるかもしれません。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
きちんと追うのが大変と聞いて衝撃を受けた. トポロジーは有名な結果や古い結果をきちんと追うのが死ぬ程つらい分野というイメージがある.
二次元のトポロジーで複素解析で片がつく的な話があった気がするのだが, いったいそれは何だっただろうか?
2017-01-18 部分集合の連結性の定義は割と面倒である¶
魔法少女に教えてもらったので.
ニャオン> 部分集合 A⊆X に関する性質 "互いに交わらない開集合 U, V があって A⊆U∪V, A∩U≠∅, A∩V≠∅" の名前は?
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
Google> 知らん
ニャオン> 😇
これ https://t.co/CsxkaTq5QW本当に誰も名前つけてないんですか
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yy(部分空間として)非連結と同値ではないかと思います
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
@yamyam_topo3 上の位相 {0, {2}, {0, 2}, {1, 2}, 3} を考えると, 2 は 2∩{0,2} と 2∩{1,2} に分かれるので非連結ですが, 互いに交わらない開集合対が (0, 3) しかないので""内は不成立です.
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yyそうですね。勘違いしていたようです。たぶん正規性のもとでしか成り立たない推論を勝手にしていました。
— atsushi yamashita (@yamyam_topo) 2017年1月18日
これで調べていてわかったことは結構な数の位相の講義ノートで, 部分集合の連結性にさっき書いた定義が書かれている
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月18日
@functional_yy最近基本的な概念の定義が怪しくて本当にアレでつらいのですが、部分集合の連結性はどう定義するべきアレなのでしょうか
— 相転移P (@phasetr) 2017年1月19日
@phasetr(i) A に部分位相を入れたときに連結 (ii) 次のような X の開集合 U, V は存在しない: A⊆U∪V, A∩U≠∅, A∩V≠∅, A∩U∩V=∅ (つまり U, V は A 内で交わってはいけないが A 外では交わっていてもよい).
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月19日
@phasetr(iii) 次のような X の空でない部分集合 B, C は存在しない: A=B∪C, B∩cl(C)=cl(B)∩C=∅. なお ∅ は非連結と見做す流儀もある.
— 🌔 (@functional_yy) 2017年1月19日
こういうのが甘いの, 本当によくない. 反省することばかりだ.
2017-01-08 ベルフェゴール素数¶
ベルフェゴール素数は、1000000000000066600000000000001 だ。キリスト教で不吉な数である666が入り、0が13個ずつ連続していることから、ベルフェゴールという悪魔の名前がついている。回文素数で、記号はπを逆にしたものだ。 pic.twitter.com/vFGtNhNr8m
— 巨大数bot (@googology_bot) 2017年1月8日
元ネタを追いきれないがとりあえず記事を二つつはっておく.
二つめの記事に張ってあるが, メガテンでも便器に座っているあのアレだ. もう便器のイメージしかない.
2017-01-07 alg_d兄貴のtogetter数学講座¶
「随伴がなんなのか説明を試みる」をトゥギャりました。 https://t.co/pOvxEwiKKo
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
alg_d圏論話過去編はこの辺
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
【f^-1と∪, ∩の交換と圏論について - Togetterまとめ】https://t.co/cpKGCwervs
【圏論での積分(エンド)について - Togetterまとめ】https://t.co/qw58ErdhFG
「「Xがススリン線のときX^2はc.c.c.でない」という命題と選択公理」をトゥギャりました。 https://t.co/S9NOBrA6LY
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
togetter豆知識: 「数学講義」というタグを見るといろんな数学の話が読める https://t.co/D9Q2XK2t2o
— アルゴドゥー・ヴィエルジュ (@alg_d) 2017年1月7日
次のやつが割と楽しそう.