2025¶
2025-05-29 イジング模型の動的臨界指数の下限z ≥ 2を厳密に証明 ―100年来の未解決問題に対しての理論的進展―¶
論文情報
雑誌名:Journal of Statistical Physics
題 名:Rigorous lower bound of the dynamical critical exponent of the Ising model
著者名:Rintaro Masaoka, Tomohiro Soejima, Haruki Watanabe*
DOI:10.1007/s10955-025-03456-3
発表のポイント
- ◆ 統計力学の最も基本的な模型であるイジング模型の動的臨界指数が任意の空間次元で2以上であることを世界で初めて証明しました。
- ◆ 従来知られていた下限を数学的に厳密に改善し、数値結果との整合性をもつ下限を確立しました。この成果は、フラストレーションフリーな量子多体系の性質に基づいて古典統計力学系の非平衡ダイナミクスに対する制限を導いた点で、全く予想されていなかった発見です。
- ◆ 本成果は、動的臨界現象の理論的基盤を強化し、物性物理や材料科学におけるスピン系の緩和ダイナミクス解析への応用が期待されます。また、古典と量子を横断するアプローチにより、新たな理論物理の展開にも寄与することが期待されます。
発表内容
東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の政岡凜太郎大学院生(修士課程2年)、渡辺悠樹准教授、および米ハーバード大学の副島智大研究員による研究グループは、古典統計力学の基本模型であるイジング模型(注1)における動的臨界指数(注2)zに対して、任意の空間次元で普遍的に成り立つ厳密な下限z ≥ 2を世界で初めて証明することに成功しました。この成果は、動的臨界現象(注3)の理解における100年来の未解決問題に対して、理論的なブレイクスルーを与えるものです。
イジング模型は、強磁性相転移の記述を目的として1925年にエルンスト・イジングの博士論文で提案された理論モデルです。その特筆すべき点は、単純な構造でありながら臨界現象や相転移といった複雑な現象を記述できることにあり、物理学のみならず情報科学、生物学、さらには社会科学にも応用されています。特に、2次元イジング模型は1944年にオンザガーによって厳密解が与えられ、統計力学の金字塔として知られています。2025年はその誕生からちょうど100年という節目の年にあたります。
今回対象としたのは、イジング模型のスピンの時間発展、すなわち緩和ダイナミクスを記述するために用いられる「動的イジング模型」です。このモデルでは、スピンの反転が確率的なルールに従って起こると仮定され、その一連の過程はマルコフ過程(注4)として記述されます。
臨界点近傍では、スピン系の緩和時間τが系のサイズLと共に発散的に増大する「臨界スローイングダウン」(注5)という現象が起こります。この発散を特徴づけるτ∼ Lzという関係により、動的臨界指数zが定義されます。これまでの理論的な知見では、2次元イジング模型に対してはz ≥ 1.75という不等式が示されていました。一方で数値的にはz ≥ 2.1667(5)と報告されており、理論と数値の間にギャップがありました。
このギャップを埋めるべく、研究グループは、最近独自に発展させたフラストレーションフリーな量子多体系(注6)に関する理論を出発点として、古典統計力学のマルコフ過程を対応する量子系に対応させる手法を用いました。その結果として、緩和時間τがL2/(logL )2以上で成長すること、すなわち動的臨界指数がz ≥ 2を満たすことを厳密に証明することに成功しました(図1)。この証明は、古典イジング模型の相関関数に対して従来知られていたSimon–Liebの不等式(注7)と、量子情報理論において近年確立されたDetectabilityに関する補題(注8)を用いて示されたGosset–Huangの不等式(注8)を巧みに組み合わせたものです。これは、量子と古典の物理を架橋する斬新なアプローチといえます。
マルコフ連鎖モンテカルロ法で臨界温度T=Tcにおける2次元動的イジング模型をシミュレーションした結果。黒と白は磁性体内部のスピンの向きを示し、縦軸が空間1次元の断面、横軸が時間を表す。ここでのzは、空間の大きさLに対して緩和にかかる時間がLz程度になることを定量化する動的臨界指数で、本研究ではその下限がz ≥ 2であることを示した。
本研究の意義は、単なる一つの不等式の導出にとどまりません。動的臨界指数は、材料科学におけるスピン緩和時間の評価、モンテカルロ法における収束速度の見積り、さらには非平衡系の理論構築など多方面に応用される基盤的な概念であり、その普遍的制限が明らかになったことで、今後の理論展開や実験設計の指針として重要な意味を持ちます。さらに、量子情報理論や多体量子物理の知見が古典統計力学に還元的に貢献するという点でも、学際的な波及効果が期待されます。
本研究成果は、2025年5月26日(現地時間)に国際物理学専門誌Journal of Statistical Physicsに掲載されました。
2025-05-27 ヒントを与えながら適切な難易度の問題を解かせることで短時間で効率良く車輪の再発明をさせる¶
和田秀樹の暗記数学論には時間的変遷がある。 初期の著作ではいきなり解答を見るべきだと主張しているが、後の著作だと数分で良いので解こうと挑戦してから解答を見るべきだと主張している。 数学の勉強でもアウトプットは大事で、数学書でも全て書かれている本が良書とは限らない。
どの程度の丁寧さが良いかは読者の学力にも依存する話ではあるが、Polterovichの"The Geometry of the Group of Symplectic Diffeomorphisms"のExerciseは難易度的にもちょうど良い上に、いきなり説明を読むよりも自力で考えた方が力になる部分を巧みにExerciseにしていて本当に見事である。 受け身で教わるよりも自分で気付く方が断然定着率が良いのが数学の学習だけど、車輪の再発明を一からやり続けるのはあまりにも効率が悪すぎる。 そこでヒントを与えながら適切な難易度の問題を解かせることで短時間で効率良く車輪の再発明をさせるのが、数学の指導者の一つの腕の見せ所である。 その方向性で洗練された最高の教材が公文式で、学習者の学力を丁寧に計りながら細かくヒントを与えることで車輪の再発明をMAXの効率で回せるシステムになっている。
2025-05-26 AIと一緒に論文を読める「alphaXiv」¶
AIと一緒に論文を読める「alphaXiv」 英語論文のURL「arxiv」→「alphaxiv」に変えて起動 “日本語ブログ”に変換可能 https://itmedia.co.jp/aiplus/articles/2505/26/news031.html ブラウザ上で論文を保持しながらAI(Gemini 2.5Proやo4-mini等)チャット質問可。過去(未来)同論文を読んだ人とのコメントやり取り可能。論文→Code変換も可
2025-05-23 京大数学教室の院試の解答(2000~2025の函数解析と積分論全て)¶
京大数学教室の院試の解答(2000~2025の函数解析と積分論全て)が最初の方にあります。必要であれば利用してください 記事本編は承認欲求を満たすためのものなので読まなくて大丈夫です。特に得るものはないはずです。 京都大学数学教室&数理研(RIMS)の院試を受けました.
2025-05-23 接続による平行移動とジャイロ¶
接続による平行移動、「ジャイロを持って地図上を移動する」と理解すればしっくり来るな。曲率は"地図に従って"dx,dy移動したときのジャイロの動きのホロノミー、捩率は"ジャイロに従って"dx,dyと移動したときの到着点のズレ。
- 地図に従えば、必ず(dx,dy)移動できるが、ジャイロの傾きは経路依存性がある -> 曲率
- ジャイロに従うと、ジャイロの示す方向が変わるので到達地点に経路依存性がある -> 捩率
2025-05-23 解の非一意性と $dx/dt = \sqrt{x}$¶
方程式 dy/dt = √y は,初期値が y(0) = 0 である場合,図5.1(右)のような解をもつ。初期値が決まっているにもかかわらず任意定数aを含むという意味で奇妙な解である。何らかの物理量の初期値を観測して将来の挙動を予測しようという場合を考えてみると,こういう奇妙な解の存在は大問題に…。
2025-05-18 2025-05-13 基礎数学と物理学(量子光学)で独立に研究されてきたモデルのつながりを解明¶
2025-05-14 東大後期1998年第3問の簡潔な解法¶
東大出身のスコア上位勢から直々に「東大後期1998年第3問」の簡潔な解法が送られてきたんだけどエレガントすぎて震えた
やばい点
- 色そのものでなく色の変化に数字を対応させる発想
- 1と2の数字列にすればmod3が使えるという発想
- ネット上どこにも転がってない完全にオリジナルな解法
2025-05-14 体の英語field, Korper¶
知りたかったことが色々書いてあります。まとめると次のような感じでしょうか:「体(body,Korper)」を使い始めたのは1850年代のDedekind。ただし彼の定義は「標数0の斜体」。確認できる「野(field)」の最古の使用例は、1893年のMoore(USA)。ただし有限体限定で「field of order s」という形でのみ使用。 それはそうと MacTutor に「Earliest Uses of Some Words of Mathematics」なんてページができてるのは知らなかった. Field のところを見るとその紆余曲折が書いてある. https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Miller/mathword/ つまり、「体」はドイツで、「野」はアメリカで発生して、その後ヨーロッパの言語が「野」をアメリカから輸入(例えばスペイン語Wikiには「体(時には英語の翻訳で野ということもある) https://es.wikipedia.org/wiki/Cuerpo_(matem%C3%A1ticas)とありますし、ドイツ語でも Galoisfeldという表現はあるらしい)ということでしょうか。 言語によっては「野=可換体、体=斜体」とすみわけ、日本語は「体」だけを輸入し、英語は最後まで「体」を輸入せず現在に至る(中国語の體/域の経緯は気になりますが、別の話)。個人的にはエスペラント語では「野=可換体、体=斜体」のすみわけがあることで興味が増しました。
mathoverflow に body はヴィクトリア朝時代には「汚い」として,その使用は憚れていたから body を使わなかったんじゃないかという意見がありました. そういえば,Okounkov も講演で Okounkov body という用語はちょっと使用をためらうみたいなことを言ってたような記憶がありますね.
2025-05-14 積分演習問題集¶
難解なだけでは面白くないので,難解かつ示唆に富んだ積分演習問題集がいいな.発展的話題が書いてあるとなおいい.誰か本を書いてくれません?
こういうのが書ける蘊蓄がある人は約一名?¶
Paul J. Nahin; "Inside Interesting Integrals" Springer 2020. https://doi.org/10.1007/978-3-030-43788-6 が学部生向きですかね??
Boros G., Moll V.; "Irresistible Integrals" Cambridge, 2004 https://doi.org/10.1017/CBO9780511617041 はちょっと専門的で違うかな
タイトルがいいですね 抵抗できない それは魅力があって抵抗できないのか あるいは 難しすぎて諦めるという意味なのか 面白すぎてもうやめられない 積分って感じですか
問題集の形式 (Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series by Cornel Ioan Vălean Springer 大分変わった積分を扱っています
形式を気にしない場合 Special Integrals of Gradshteyn and Ryzhik: the Proofs Vols 1, 2 by Victor H. Moll Chapman & Hall/CRC
Almost impossible integrals ってのがいいですね.
確かに積分の道に果てはない。極意へとまた一歩近づいたな。
Cornel Ioan Vălean; More (Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series link.springer.com More (Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series
元のやつも貼っときますね. (Almost) Impossible Integrals, Sums, and Series by Cornel Ioan Vălean
2025-05-14 YouTubeでのBott-Tuの本を使った本人による講義録¶
Tu先生の有名なBott-Tuの本を使った本人による講義録を半分近く見たんですけど、「Bott-Tuの本ではこう書いたけど、今ならこう書き直したい」とか「初版本にはこんな間違いがあるけど3版で直した」とかそんな話がいっぱい出てくるので面白いです。
2025-05-14 微分幾何・代数トポロジー・表現論・位相的場の理論に関するまとめPDF¶
京大基礎物理研究所の学生の高間俊至さんが、微分幾何・代数トポロジー・表現論・位相的場の理論に関するまとめ pdf とその tex ソースを公開しています。∞-圏に関する付録の章とかも含めて、それぞれ数百ページもあってビックリ😳 https://t2sp.github.io 位相的場の理論のような分野に関して、物理の人が数学の人に読みやすい形で知識をまとめてくれているのはとても貴重でありがたいことだと思います🤲
2025-05-14 小澤徹, 上極限と下極限¶
2025-05-14 プレプリントのar5ivでのHTML化¶
arxivの最近のプレプリントはar5ivにhtml化されてる https://ar5iv.labs.arxiv.org
2025-05-14 ルベーグ積分は何でないか¶
今年度の前期は,Lebesgue積分の講義を担当します(来週開講です).難しく感じる人も多い理論ですが,その背景の一部を,講義ノートの冒頭に書いてみました. PDF
文献表はノートの巻末にしかないことを思い出しました.文中の[4]はT.W. Körner, Fourier Analysis,[5]はP. Lax, Functional Analysisです. [11]は山上滋,ルベーグ積分と測度です.(先ほど書名を間違ってポストしたので,消して書き直しました.)
2025-05-08 2022-04-07, Yukimi Goto, 密度行列汎関数理論における分子系¶
2025-05-07 京大院試の解析系の解答集¶
京大数学教室の院試の解答(2000~2025の函数解析と積分論全て)が最初の方にあります。必要であれば利用してください 記事本編は承認欲求を満たすためのものなので読まなくて大丈夫です。特に得るものはないはずです。 Note: 京都大学数学教室&数理研(RIMS)の院試を受けました.
2025-04-26 Andrew, Notes on global analysis¶
2025-04-22 Writing Mathematical Papers in English: A Practical Guide¶
この本の写経は英文を書く勉強としてとてもいいと思います。欧州数学会出版のたった50ページの本です。著者名Jerzy Trzeciakで検索おすすめ
2025-03-28 D加群の第一歩としての¶
D加群の第一歩としての教科書は堀田先生の加群十話の最後の章かCoutinhoのA primer of algebraic Dmodulesと落合先生のpdfがおすすめです http://www4.math.sci.osaka-u.ac.jp/~ibukiyam/pdf/
2025-03-27 微分形式はベクトル解析を置き換えられるか?|phykm¶
応力の発散を微分形式で強引に取る怪文書 / 微分形式はベクトル解析を置き換えられるか?|phykm https://zenn.dev/phykm/articles/efda2065fd58d4 #zenn
2025-03-21 Schilling, Kühn, Counterexamples in Measure and Integration¶
既にご存知でしたらすみませんが Schilling, Kühn, "Counterexamples in Measure and Integration" とかどうでしょう。
2025-03-21 Ratcliffe, Foundations of Hyperbolic Manifolds¶
双曲幾何でもどの文脈(群論、低トポ、微分幾何、複素解析、数論…)を想定するかに寄りますが、ベーシックな双曲幾何なら↓が一番と思います。 Ratcliffe, Foundations of Hyperbolic Manifolds
2025-03-19 2025-03-17 Edward Witten, Bras and Kets in Euclidean Path Integrals¶
Quantum mechanics requires a hermitian inner product <~,~> -- linear in one variable, antilinear in the other -- while the inner product (~,~) that comes most naturally from Euclidean path integrals is linear in each variable. Here we discuss the relation between the two inner products. In a theory with no time-reversal or reflection symmetry, they differ by an operator that complex conjugates the wavefunction and reverses the orientation of space; in the presence of reflection and time-reversal symmetry, space is unoriented so such an operator cannot be defined, but the time-reversal symmetry T is available instead and plays the same role.
2025-03-17 Longo, The emergence of time, Expositiones Mathematicae, Volume 38, Issue 2, June 2020, Pages 240-258¶
2025-03-17 Algebraic Quantum Field Theory | Talk by Rudolf Haag on YouTube¶
2025-02-08 Tuの色々な文章¶
我らがTu先生、arXivに色々なintroductionを載せていて
などは面白いと思います
2025-02-05 多様体の距離化可能性がZFC独立である例¶
先月のEncounter with Mathematicsの講演内容のPDFが(公式に)ネットにあるのだが、多様体の距離化可能性がZFC独立である例などが書かれていて熱い。全日本人が読むべき。
なお、リンクを押すといきなりPDFなので注意。 距離化可能性がZFC独立な例はp12-15。
2025-02-03 ヘルマンダー自身による多変数関数論の回折¶
多変数複素解析もコーシーの積分定理があるので、あとはほとんど同じです😻 多変数複素が特殊なのは定義域が勝手に広がる現象(Hartogs現象)であって、そうでないような(=広がらないような)領域をその境界の幾何的条件で特徴付けたのが岡先生の仕事の一つです 一方で、同じ問題を「偏微分方程式を解けばどうにかなる!」で示したのがKohn, Hörmanderで、特にHörmanderはノルムに重みをつける手法で議論の簡略化を行い、それを解説した教科書“An Introduction to Complex Analysis in Several Variables”を書かれました(これが私の4年ゼミの本!) …といった雑な説明は程々にして、より興味のある場合はHörmander自身が書いた歴史的なまとめを見るのが良いと思います
2025-02-01 なぜ素イデアルの集合をスペクトルと呼ぶのか?¶
なぜ素イデアルの集合をスペクトルと呼ぶのか? これすき このサイトだいたい好き
2025-01-31 【朝日賞贈呈式 2025年1月30日】緒方芳子さん受賞¶
【朝日賞贈呈式 2025年1月30日】
緒方芳子さんの受賞スピーチです。最初の硬い雰囲気からだんだん緒方さんらしさが出てくるところが絶妙です。みんな見てください! 「数学的性質と物理的性質が(なんか)絶妙に絡み合う感じが楽しい分野になっています」 ほんと、そう!! https://t.co/i9BuxVFC92
ぼくが『数学通信』に寄稿した『一人の物理学者が見た緒方さん』もぜひ合わせてご覧ください。自分でいうのもなんだけど、なかなかの名エッセイですぞ。 昨日は、ここにも登場する松井卓さんと最前列の指定席で緒方さんのスピーチをきいていました。身に余る光栄です。
https://mathsoc.jp/assets/file/publications/tushin/2903/ogata-tasaki.pdf
2025-01-27 国立国会図書館サーチの簡易登録¶
来館しなくてもネットで登録できますので、皆さんぜひ
2025-01-25 ポールウェイン積分¶
ボールウェイン積分と呼ばれる世にも奇妙な積分です。 sin(x/k)/(x/k) (k:奇数)を掛けた積分は7個目まで正確にπ/2なので、そのパターンがずっと続くのかと思いきや、8個目から微妙にズレ始めます。ホラーです。
実はフーリエ変換を使って畳み込みのグラフを考えると直感的に理解できて謎が解けます。
一般化するとこうなります。 フーリエ変換を使った理解の方が見通しがいいですが、等号が成立する場合はフーリエ変換を知らなくても地道に証明できます。ディリクレ積分を認めればあとはほぼ高校数学で、(sinの積なので)積和・和積の公式を使って帰納法でも示せます。
2025-01-24 ブルバキ 数学の構築術¶
数学の構築術 ブルバキ自身(自身とは)がブルバキズムについて説明してる文章。 もっと有名でも良さそうなのに
2025-01-24 2023-01-23 不完全性定理の数学的発展¶
数学会の論説に寄稿した解説論文"不完全性定理の数学的発展"が無料でダウンロードできるようになりましたね. https://jstage.jst.go.jp/article/sugaku/73/1/73_0731060/_article/-char/ja/ ご興味のある方はぜひご一読ください.
そういえば一点訂正があり,定理48の"IΔ_0 において SC が成立すれば NP ∩ co-NP = P である."は今のところ"IΔ_0 において SC^U が成立すれば NP = co-NP である."までしか分かっていません.
2025-01-22 「数学史」とは何か¶
ZEN大学、数学者が数学史を教えている時点で人文学(というか文献学)に対する姿勢が透けて見えてしまう。
https://syllabus.zen.ac.jp/subjects/2025/BSC-1-B1-1030-005 数学者が歴史を背景に数学を魅力的に描くのが主題のようだから、むしろ人文学者には頼む・頼める内容ではない判定という印象がある。むしろ歴史学などを前提にすると解釈されがちな「数学史」という科目名をつけてしまった罪の方が重そうな印象がある。
22分 おっしゃる通りだと思いました。 数学史と聞いて史学の一領域だと認識するのは当然なので、科目名に問題ありですね。 カッコつけないで「昔の数学」とかにすればいいのにとは思いますが、ブランドイメージからズレるのでしょうね・・・。
多分昔の数学にも大して興味はないだろうと思っています。ブランドイメージにも大して興味がなさそうで、むしろ理工民が数学史と聞いて期待する内容の「数学史」を開講している印象があります。人文・社会科学の人が数学を忌み嫌うのとは対照的に、理工民は人文・社会科学に興味がないので。
数学的に綺麗なストーリーに仕立てるために歴史資料の裏付けがないか反証されているような偽史をあたかも実際の歴史であるかのように教えることは,たとえ数学史という科目名でなくても,単に嘘を教えていると言う意味で悪いのでは
その数学者が史料研究を真面目にやっていれば問題ないが
例えば基本群の起源をポアンカレとする大半の数学者の歴史認識は誤り
だがポアンカレから現代トポロジーが始まったというストーリーは綺麗なので好まれる
2025-01-21 解析学と数論¶
類題の、Kakeya needle problem(掛谷の針問題)は、(加法)数論や算術組合せ論やPDEといった一見題意から想像できないような分野にハネる数学的対象らしい、ってタオが書いてた(2001)
From Rotating Needles to Stability of Waves: Emerging Connections between Combinatorics, Analysis, and PDE
長さ1の針金を曲げて好きな形を作り、それを予め用意した枠の中に収めることを考えます。 針金をどんな形に曲げても収納できるような枠を作るとき、枠の内側の面積はどこまで小さくできるでしょうか?
これはMoserのワーム問題と呼ばれる数学の未解決問題です。
PDE・実解析やりましょう。
PDEや実解析、さいきん興味はつねづねあります、が中々手につかず(´・ω・`)
ちなみに数論のための実解析・PDEみたいな本ないのでしょうか?
詳しく無いですが、↓は実解析から数論・組合せ論に進んでいくような内容っぽくて、気になってます。
テレンス・タオの「Higher Order Fourier Analysis」(GSM142、2012年)、目次からしてロスの定理とかガワーズノルム(およびその逆問題)とか、最近の先端に近しいホットなテーマ多そうな教科書ですごく楽しそう 誰か読んでる人いれば感想聞いてみたい https://bookstore.ams.org/gsm-142
2025-01-20 cannorin, 『「動的型つき」の言語を「型なし」と呼ぶのはおかしい,のか?』¶
2025-01-18 情報幾何の統計的学習理論への多様な応用例¶
Minimum Divergence Methods in Statistical Machine Learning
情報幾何の統計的学習理論への多様な応用例が載っています。情報幾何周りの事をやると微分幾何学の準備がとても長く応用先が見えにくいのですが、そこを補える本だと思います。
ただし誤植が多すぎて萎えます
なるほど、自分も今読んでいるのですが注意した方が良さそうですね…
話題と応用例をざっと閲覧するだけに留めて、計算詳細をチェックするのは止めといたほうが無難です。あと、アファイン接続の説明は他のテキストで補っておかないと分からないです。本当に良い本とは思うのですが。
実は数理統計の自主ゼミナールで読む候補本だったんですよね…本選びに非常に有用な情報、ありがとうございます…!
2025-01-16 Expository papers by K. Conrad¶
代数小ネタみたいなのが一般載ってて面白い https://kconrad.math.uconn.edu/blurbs/
2025-01-08 モース理論の解説動画¶
この動画があり得ん良くてMorse理論パート俺喋らずにこれ流せば良くね?になるなど
2025-01-07 James E. Hanson: Any function I can actually write down is measurable, right?¶
James E. Hanson: Any function I can actually write down is measurable, right? https://arxiv.org/abs/2501.02693 https://arxiv.org/pdf/2501.02693
2025-01-06 伊藤清三『ルベーグ積分入門』での$L^p$性の証明のミス¶
伊藤ルベーグのL^p空間のところの論理に問題があるのはじめて知った。 L^pが和で閉じてることをミンコフスキーの不等式から従うとしてるけどそれだとまずいらしい。 ミンコフスキーの不等式の証明で割り算が出てきて、これが∞での割り算になり得るから問題がある。 和で閉じてることはミンコフスキーの不等式によらなくても示せるのでそれを先に示せばいい。
2025-01-06¶
このシステム面白い。 一から本書くのは大変だから、有名な洋書の補足として作るとよさそう。 Introduction to Calculus in English 英語で学ぶ微分積分学