数理物理の魅力と相転移の魅力: 数学と物理と数理物理と

Ask.fm での質問

二つの質問になってしまいますが, 主観的なもので結構ですので, 数理物理の (特に物理や数学それ自身と比較しての) 魅力および相転移現象の魅力がどこにあると感じてらっしゃるのか教えていただけませんか.

回答

今考えるとあまりきちんと回答していない気もするが とりあえず回答.

数学と物理, 両方好きで両方やりたいという単純な所です.

もちろんどちらか一方でも死ぬほどきついので, 本当に「研究」しようというなら, どちらも半端な出来損ないになる可能性を視野に入れつつ それでも踏み込む決意と覚悟が必要ですが. もうあまり詳しく覚えていませんが, 相転移は大体田崎さんの影響です.

数学的には「特異性の数理」が非常に好きです. 色々あって学部一年の頃から数学的には超関数だとか ある意味でかなり特異性の強い数学とずっと戦っていて, 結局今でも「場の理論の超関数論」と銘打って研究しているので 三つ子の魂百まで感あります.

話がずれましたが, 興味だけなら代数幾何の特異点論とか, ブラックホールだとか, 特異性が絡む話は大体何でも興味があります. 極限で特異性が出てくる現象がとても好きで, 熱力学的極限とそこからの相転移がとても気にいっています. 相転移をやるなら人類が最大精度で扱えるのが 磁性関係だから磁石を扱う方向に行ったと言う非常に単純な動機です.

もちろん水が凍るとかもやりたいですが, アレは即死レベルだし, シュレディンガーで磁性も即死コンボです.

磁性だととりあえずイジングですが, イジングは (相対論的) 場の量子論の繰り込み処理との関係もあり, 数学的に量子統計と場の理論の相性がいいこともあって, 手始めにやりやすいところから, と思って 場の理論方面の勉強をしていて, 相転移自体とは 大分離れた赤外発散を修士では主に勉強していたのですが, 修論の為のネタ探しで考えたら一応磁性もできるわ, と言う感じで磁性 + 赤外発散みたいな 特異性に特異性が重なって死ぬほど面倒臭い代わりに 趣味ばっちりな所を見つけたのでそこで今も 色々やっています.

物理的には素直な拡張でも数学的には全く 別の話を絡ませたりしなくていけなかったり, 逆に数学的には共通部分が多いのに物理としては ちょっと遠目の所にアプローチできたりするのが 今の分野の面白いところですが, 一旦話が難しくなりすぎて死んだ分野なので, 一般にはお勧めしていません.

ただその分やっている人も少ないので, すぐに世界のトップ 10 くらいに入れますし, 実際に多少しぼるだけでいわゆる オンリーワンでナンバーワンにもなれます.

大学のアカポスゲット的な意味でこのご時世に いい結果がすぐに出る保証は全くできないので, 決しておすすめはしませんが.

ラベル

数学, 物理, 数理物理, 量子力学, 場の量子論, 量子統計, 相転移, 作用素論, 作用素環, 確率論