楕円型正則性と水素原子の量子力学

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こんな下らないことを呟いていた.

地味で清楚系と思っていた楕円型非線型偏微分方程式の解が実は解析的にめちゃくちゃ特異的で騙された

よく知らないが, はてなの匿名ダイアリーとか何とかいうのでまた異常者が湧いていたらしく, それに憤慨している方々がいた. そこの流れを見てのことだ.

それについてこんなコメントがついたので.

いや, それ自明…

@world_fantasia http://en.wikipedia.org/wiki/Elliptic_operator#Elliptic_regularity_theorem 楕円型正則性を背景にしたネタです. 私が知っているのは線型の方の楕円型正則性で非線型の方はよく知らないのですが

@phasetr なるほど, 分からん. かいつまんで言えばある物理的条件のもとで連立非線形偏微分方程式を解くというのが私の修論だったんですが, 解析解が出そうででなくて苦しかった

@world_fantasia 簡単にいうと, 楕円型の方程式の解は 2 回微分可能であれば十分なわけですが, 実際に解の性質を調べてみると 2 回よりも多く微分出来て, 場合によっては無限回微分可能, さらには実・複素解析的になることすらあると言う話です

@world_fantasia 具体例としては複素解析関数です. コーシー・リーマンの方程式からラプラス方程式 (一番単純な楕円型) の解になることが分かりますが, コーシー・リーマンがバックにあるならこれが複素解析的 (実部・虚部だけならそれぞれ実解析的) なのでそんな感じの話です

@phasetr あ~, なるほど. わざわざ具体例まで挙げていただいてどうもありがとうございました

@world_fantasia あと全くの別件ですが, 解析解というの, 多分物理ジャーゴンで数学の人には通じないです

@phasetr それは興味深い. まさか解析解が物理語だったなんて今の今まで全く知りませんでした

@world_fantasia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E7%9A%84 【解析解: 問題が「解析的に解ける」とはその解が既知の函数や定数などを用いて閉じた形の式に表せることを言う】と言う感じの使い方と思いますが, 数学でこういう使い方見たこと聞いたことないですね

@world_fantasia 【解が (実・複素) 解析的である】とかいうのはもちろんしょっちゅう使いますが

@world_fantasia もう一つついでに楕円型正則性についていうと, 水素原子のシュレディンガーが特徴的です. 楕円型正則性を議論するのには係数関数 (今はポテンシャル) の正則性も効いてきます.

@phasetr 言われてみれば確かに物理数学の教科書でも解が解析的あるって表現はよく見かけますが「解析解を求める」なんて文章は読んだ覚えがないな…なるほどなるほど

@world_fantasia 水素原子は厳密解が出ますが, ポテンシャルの原点特異性を解も引き継いでいます. 一方でポテンシャルは原点以外で滑らかですが, 解も同じく滑らかになります. もちろん一般にはラプラシアンの係数関数 (実際は定数) の滑らかさも当然効きます. そういう話です

@phasetr うおー, 段々私の学力じゃついていけなくなってきたぞ. 水素原子のシュレーディンガー方程式とか厳密に解ける唯一の例っていう程度の認識しかなかった…. 数物は難しいのう

@phasetr とりあえず貴方様が何故「楕円型」を連呼するのか何となく分かった気がします

ちなみに, 楕円楕円と言い出したのは宇宙賢者だ.

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数学, 物理, 数理物理, 楕円型正則性, 偏微分方程式, 量子力学, 水素原子