東大数理の儀我美一先生は中学の頃からアイドルだったという貴重なお話を伺った

はじめに

昨日, 現東大数理の儀我美一先生と 中学から同級生であったという女性にお会いしたのだが, 「儀我君は中学の頃から私達のアイドルだった」という 実に感動的なお話を伺ったので積極的に共有していきたい. 知らない人に向けて書いておくと, 儀我先生は紫綬褒章を受けているし, 実際に非常に優秀な研究者だ.

本題

まず前提知識として儀我先生の身長が低いことに注意しておこう. 儀我先生は (少なくとも) 中学の頃は教室の先頭に座っていて, 授業後, 自発的に黒板消しなどをかって出ていたという. そのとき, 背が低いため上の方の字は飛び上がって消していて, 「儀我君かわいい!」と女生徒の間で アイドルのようになっていたというのだ. これには深い感銘を受けざるを得ない.

ちなみに私も集中講義だか何かで 儀我先生の講義を受けたことがあるのだが, 黒板が上下 2 枚になっている教室で, 話に夢中になりながら上の黒板を降ろそうとして, 手が届かずひょいひょいと 3 回くらい空振り, はにかみながら「背が低いもので」みたいなことを 仰っていた光景を見たことはある. 「あっかわいい」と思った. それを説明した「あ, やっぱりそう思いますか!」みたいな感じで話が盛り上がった.

講義の体験

また, 上記黒板消しのエピソードのように 昔からホスピタリティ溢れる人格者である旨, 強調されていた. これまた自分の経験からいうと, 上記の講義のとき, 非常に丁寧に準備されていて講義自体も丁寧で熱心だった.

当然微分方程式の講義だったので Poincare の不等式の話などは当然でてくる. 解析系とはいえ作用素環だったので, あまりその方面の不等式に詳しくなく, 「Poincare の不等式は皆さん知っていますよね. 知らない人はいますか」という流れになったとき, 名前くらいしか知らないので素直に知らないと手を挙げたら, 「なら最良定数のは大変ですが, 簡単に証明をつけましょう」と 証明をつけてくれたことを覚えている. 証明後「これでいいですか?」と確認までして頂けた.

あと, その講義で褒めてもらえたというか覚えていることがある. Sobolev 空間が出てきたとき, Sobolev の集合的な特徴だけ紹介して, 内積やノルムの定義をしなかったことがあった. 学部 4 年から院くらいの学生向けの講義だったし, 出席者もそのくらいは知っているだろうというということで省いたのかと思うが, 入門的な講義だったし, 知ってはいたが一応「ノルムの定義は何か」と質問した. そうしたら「いい質問ですね. 大事なことです.」とお褒めの言葉を頂いた. 大したことでもないが, ちょっと嬉しかった.

ラベル

数学, 数学者