kyon_math さん筋の色々なツイート・やりとり

kyon_math さん筋の情報: 齋藤毅先生の Grothendieck に関する PDF

本文

みんな大好き kyon_math さんからの情報だ.

「エタール・コホモロジーの定義への道を開いたのは, セールによる, 代数幾何におけるファイバー束の定義だったらしい」. グロタンディーク by 斎藤毅 http://bit.ly/1i7eA2P

前もこの PDF を読んだことがあるのを思い出した. 細かいところ, ほとんど意味がわからないが, 代数幾何でいろいろ凄まじいことが起こったという雑な理解をしている. 代数幾何, 応用含めた守備範囲が尋常ではないくらい広いし, その空間認識が何より非常に気になるのできちんと勉強してみたいとはずっと思っている.

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数学, 代数幾何, 数論幾何, 数学者

Fibonacci 数列と解析数論の魔界

本文

今回は皆大好き kyon_math さん筋の情報だ.

Wikipedia 役に立つなぁ. フィボナッチ数列でこんなことが成り立っていたとは... http://bit.ly/1gSJAOX http://pic.twitter.com/R4NO5tu3E9

@kyon_math 西岡はデフォルトで (久) なんでしょうね

@Paul_Painleve お母さんですね.

@kyon_math 私, 父と子はよく知ってるけど, 母と話したことがないんですよ

@Paul_Painleve ああ, もしかするとお父さんかも. 今すぐには分かりません.

すみません>お父さん

@kyon_math そうそう, あの二人の研究は, 最初は違ったのに次第に惹かれ合ってどっちがやったか分らなくなってるから.

Wikipedia というより Fibonacci の魔界ぶりがやばい.

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数学, 数学者, 解析数論

Terence Tao に線型代数で殴り続けられる夢を見た

はじめに

線型代数トークで kyon_math さんのこの辺からの話が面白かったので記録しておく.

引用その 1

「理解する」のと「研究する」のはかなり違うと思う. (自分も含めて) 理解するだけの人なら世の中にはたくさんいるが, 数学が究極的に目指していることは, 難解で複雑に見えることを単純かつ簡明に, 誰でも理解できるレベルにすることにある.

難解かつ複雑なことでも, 技術が進み, 社会的な理解が進むと簡単になる (ものもある). 例えば複素数. 大昔は複素数そのものが難解で, しかも一流の数学者の研究対象であったが, いまや高校の教科書に載っているレベル. これは社会的な理解が進んだ例.

リー群やリー環だって, ここまで一般的になるとは思われていなかっただろう. リーマン多様体なんかもそうだ. いまや空気のごとき存在. ガロア理論は学部で習う.

しかし, 理解にはたくさんのレベルがある.

例えば, 学生時代に学んだ線形代数. その時は「それなりに」理解していたはずだが, その後, 研究者の卵→教師→中堅研究者と進むにしたがって, 見えている地平線はまったく異なってきた. そして, これからも異なって見え続けるだろう.

まぁ, 理解が進んで見えてる地平が異なってこないとすると, それはあまり深くないってことだし, そんなの一生かけて研究しようとは思わないよな.

線形代数の帝王になる

線形代数じゃなくって岩澤理論とか類体論とか書けばかっこ良かったなぁ. #誇大表示 とはいえ, 線形代数の帝王になるのでさえもかなり狭き門だが.

むかしハウ先生の研究室にお邪魔してた時, いまは亡きラングが闖入してきて「きみ, ロジャーは線形代数の帝王なんだよ, 知ってるかい? 」「もちろんよく知ってますよ」と答えておいた.

学生だと思われたんだと思う

線形代数がどれ位深いかというと, 最近のものではホーン予想. http://bit.ly/1aj4SlV http://bit.ly/1aApSpG

ホーン予想: エルミート行列の和 $C = A + B$ を考えたとき, $A, B$ の固有値から $C$ の固有値の範囲が線形不等式で書けるという単純なもの. ワイルが問題提起, 1962 年に予想されて, 解けたのが 1998 年.

ホーン予想の解決は Klyachko と Knutson-Tao によって独立に得られた.

ホーン予想 1

で, ジャグラーの Knutoson と紅顔の天才 (だった) Tao の解法はハニカムモデルと呼ばれ, リトルウッド・リチャードソン係数の計算などに幅広い応用を持つ画期的解法だった. http://bit.ly/1aApSpG

ホーン予想 2

ま, みんなよく知ってるはずのエルミート行列の固有値問題でさえこれほどの深みを持っていた. そして, その深さを見抜くには特殊の才能が必要である

よく知っているはずのなんでもない事実の裏側を, ほんの少し覗くととてつもない深淵が待ち受けている. それを見抜く目を持っているかどうか. 理解のレベルとはそういうものだ.

引用その 2

あとこの辺.

いやいや私のような若輩者には勤まりません. RT @Paul_Painleve: 線形代数雑誌の編集者はいかがでしょうか? NLAA http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/ (ISSN) 1099-1506 LAA http://www.journals.elsevier.com/linear-algebra-and-its-applications/

@kyon_math 若輩って言っちゃあアカン立場でしょうに笑 線型代数の専門誌は数値解析やグラフ理論といった応用数学の話題が多いのですが, 表現論的にも面白いのではないでしょうか? 微積分のほうは微分方程式の中で普通に使われてて, 雑誌の形で切り分けられないのでしょうね.

@Paul_Painleve 線形代数たっていろいろありますからね. 0 と 1 のみの行列で各行各列にある 1 の和がある一定の値になるものの総数というと, 行列の問題ですが, 本質は組合せ論. それを組合せ論の手法でなく線形代数で解けるかというのが面白いと感じます.

とりあえず線型代数をなめている学生はこの辺で殴打していきたい.

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数学, 数学教育, 線型代数

個性的な数学・物理の教材を作って適当に狼藉を働きまくりたい

本文

kyon_math さんが面白いことを言っていたので記録しておく.

引用

本書いてると 「あ, コレを証明するためには, アレが必要なのか. そうするとアレも要るな. あ〜〜全部書き換えだぁ」 てなことになって, 結局古典的名著の構成は神という結論に.

@kyon_math 論理的に必要な順序, 歴史的な順序, 自分の頭の中での理解の順序がみんな違いますからね. 「自分の頭の中」がスパゲッティだから, 最初はそれが前に出て, 直すとますます悪くなる.

@kyon_math 自分にとっての頭の中の順番で書いていく本, 個性的で面白いのではないでしょうか. 「こう考えていくと次の命題が必要になることが分かる」ここから「今はこれを認めて進もう」となるか「なのでこれを示そう」と行くか, 後者はそこからまたさらに降下していくかとか, 個性が出る

コメント

上記の発言を読んで, 江沢先生の『理科が危ない 明日のために』の記述を思い出した.

すぐにどこにあるか見つけられなかったのだが, 大意は次の通り.

昔読んだ本で延々とある議論が進んだあと「ここまで来れば別の方針も考えられる」と言って今までの方針とは全く別の方針で議論をはじめた. 原稿を破り捨てて書き直しても良さそうなものを敢えて残して別の方針での議論を続ける. これが科学というものか, と思った.

普通教科書や論文は整理されきった記述しか残らず, 著者の苦闘の印などはなかなか見えない. もちろん専門的に学んだあとで見れば苦労が分かるということはあるが, やはり初学者では難しい. そうした苦闘の後をそのまま残す, 等身大の著者を見せてくれる文献はもっとあっていいと思う. 完璧主義者の人もいるだろうし, そうした記述を「手抜き」といって怒る読者もいるだろう. ただ, 普通の本, 定評ある本はたくさんあるのだから, 余程革命的な大発展があって基礎が大きく書き換えられたとかいう事情があるならともかく, 院レベルのゴリゴリの専門書ならともかく, その辺の教科書でそうした個性の輝きを見ることは難しい.

丁度こういう方面での間隙を埋める方向で色々考えている. 反例に関する DVD を出したのもこうした「趣味」と関係している. 教官が「冒険」するのもなかなか難しいだろうから, その辺の市民として適当に狼藉を働きまくりたい.

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数学, 物理, 数学教育

kyon_math さんから数理生物学の研究室の適当なリストを教えて頂いたので

本文

しょうもないことを言っていたら kyon_math さんに教えてもらったので.

数理生物学を学ぶことのできる研究室 http://bit.ly/MLPaf7

生命じゃないけど

RT @phasetr: @kyon_math 明大あたりに頑張ってもらいましょう

これらの研究室や研究者は「数理生物学」をキーワードに含む, あるいは, 関連する分野として「数理生物学」が含まれる研究活動をされておられます. 上記のリスト中, 同じ大学であっても一つの研究グループとして活動していらっしゃるとは限らず, 個別に研究活動されておられる場合もありますので注意してください. もちろん, 他にも数理生物学的な研究をされている研究者や研究に数理モデルを応用される研究者はあちこちにおられます. ネットの検索でも, 検索語をうまく選べば, 他の研究者も検索できることと思います.

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数学, 生物学, 数理生物学

kyon_math さんと Paul_Painleve さんによる『佐藤幹夫の数学』周辺の話を個人的に記録していきたい

本文

この間も『佐藤幹夫の数学』について思ったことをつらつらと書いたが, kyon_math さんも呟いていた.

数学者の話, とても好きなので読んでいて楽しいのでメモとして残しておこう. この辺からはじまる.

ツイート転載

冗談はさておき「佐藤幹夫の数学」のインタビュー読んでると D 加群がどのようにして考えられたのか, というか, どのようにして最初から佐藤先生の心の中にあったのかがわかります. http://bit.ly/14hXl3N

あれは考えたんじゃないよね. 始めから頭の中にあったんだよね. そういうもん.

リンク張り間違った: 冗談はさておき「佐藤幹夫の数学」のインタビュー読んでると D 加群がどのようにして考えられたのか, というか, どのようにして最初から佐藤先生の心の中にあったのかがわかります. http://bit.ly/18FYN4a

そんな失礼なこと書いたかなぁ. 覚えてない. 物理は「現実」宇宙を相手にしてるだけで, 不完全なんて畏れ多い. 数学には不完全性定理がありますが... #そりゃチガウ RT @ayafuruta: ...数学の人は勿論「数学が先」で, 物理はその不完全な解釈の 1 つ.

ある意味で物理の人の方が過激ですよね. 数学者がせっかく論理で攻めてるのに, 「現実がこうなんだから, こうなるはずだ〜〜!!!! 」とか言って突撃して, しかもそれが正しいんだから参っちゃう.

その意味でも数学者は確固たる「現実」を築く必要がありますよね. 負けてられないので. まぁとりあえずアデリックな宇宙から行くのかな.

@Paul_Painleve ああ, いやいや, 超関数じゃなくて D 加群の方. 方程式を解こうとしないで, ほんとうに方程式だけを正直に考える. 解はその後に勝手についてくる.

@Paul_Painleve 超関数にしても「どういう具合に定式化するべきか」で悩んでコホモロジーで行けると思ったんじゃないんですかね? 超関数は在って, それを記述する言語を求めた, と思えませんか?

木村「だけど,何で双対を考えるんですか? 」 佐藤「だからさ,説明するからね.何べんでも,今日わからなかったら,また次に説明 するからね.僕はいつもだいたいくどいって言われるくらいだから,ね. そんな話は前に聞いているっていうことをよく言われるよ.」 で笑撃の (続

木村「僕にはちょうどいいです」 佐藤「それは,ちょうどいいや,君には説明しやすい.(笑) 」 http://bit.ly/18FYN4a 大野さんの書評よりとらせていただきました→ http://bit.ly/17IXh4n

この師弟の対話, なんど読んでもほのぼのとしてていいな. 好きです. 木村さん, 突っ込みといい, 同時に演じるボケといい, 深い味わいだしてる. 関東人にしておくのもったいない.

やりとりメモ

あと Paul_Painleve さんとのやりとりメモ. まずはここからのやつ.

この師弟の対話, なんど読んでもほのぼのとしてていいな. 好きです. 木村さん, 突っ込みといい, 同時に演じるボケといい, 深い味わいだしてる. 関東人にしておくのもったいない.

@kyon_math 本には書いてないと思いますが, その前に, S 「だから神保君」 K 「僕は木村です」 S 「なかなか人の名前を憶えられなくて」が, 実はついているのですよ

そしてこれ.

あれは考えたんじゃないよね. 始めから頭の中にあったんだよね. そういうもん.

@kyon_math 一高時代に, 岩波講座の竹田清「不変式論」の文献にあったヒルベルトの syzygy の論文 (たぶん http://www.digizeitschriften.de/dms/img/?PPN=PPN235181684_0036&DMDID=dmdlog45) を読まれて, 「これが数学というものか」と思われたそうですから, 始めからじゃなくてその後だとは思います.

@Paul_Painleve ああ, いやいや, 超関数じゃなくて D 加群の方. 方程式を解こうとしないで, ほんとうに方程式だけを正直に考える. 解はその後に勝手についてくる.

@Paul_Painleve 超関数にしても「どういう具合に定式化するべきか」で悩んでコホモロジーで行けると思ったんじゃないんですかね? 超関数は在って, それを記述する言語を求めた, と思えませんか?

@kyon_math その種の intrinsic な視点は, おそらく syzygy やワイルの Classical group 辺りがベースだとは予想してます. 昔から講演でよく紹介される Tschirnhaus 変換とか何で勉強したのか, 私にはわかりません.

@kyon_math それはそうだと思います. 一変数はすぐできたけど, 多変数にするのに夏休み全部かかったそうですから. Cartan-Eilenberg が出たばかりで, 局所コホモロジーもまだなく, それを $C^n$ の中の $R^n$ に適用するのに道具を自分で作らないといけなかった.

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数学, 数学者, 代数解析

数学初年時教育に関する kyon_math さんと Paul_Painleve さんと suzukit216 さんあたりの会話を備忘録として記録しておく

その 1

この間 Twitter 上で kyon_math さん周辺が高校数学から大学数学への接続みたいな話を色々していた. 自分の備忘録として目についた範囲で適当に記録を残しておく.

とりあえずこれ.

数学教育において, 大学入学直後に高校までとの違いを実感させる派と, 高校→大学へシームレスにつなげる派の争いは, 大昔からずっとあるが未だに結論は出ていない. ただ, 10 年単位でみて昔よりは「大学の壁」を下げているのは事実である.

自分が在学していた頃しか知らないので何とも言えないが, 「大学の壁」というのは何を指すのだろう. あと別件だが, 数学科は数学だけ, 物理学科が物理と (必要な) 数学だけしていればいいから楽だが, 他学科だと他にも色々しなければならず, 本当に大変だろうと前からずっと思っている.

以前, 「物理や数学が難しいから」という私には不可解な理由で工学部に進学したとか言っている人を見かけたが, どう考えても工学の方が苛烈. しなければいけないことは多く時間は限られているとなると, 破滅的な詰め込みと大概の人間の理解力を越えたペースで進まざるを得ず, これを乗り越えられる人間はもはや修羅しかいない.

つらい.

その 2

次はこれ.

いや, やっぱりシームレスにつなげた上で, ガーンと一発お見舞いしとかないと... RT @Paul_Painleve: 数学教育において, 大学入学直後に高校までとの違いを実感させる派と, 高校→大学へシームレスにつなげる派の争いは...

@kyon_math 線型は佐武, 微積は杉浦あたりを使えば, 一応は「シームレスにガーン」になってますよね. たぶん学生側は, 大学の巨大な壁を感じまくるでしょうけど. 今は, 線型性や $\epsilon \mathchar`- \delta$ の細かい話を 1 年の中でも少し遅らせる傾向が強いと思います.

@kyon_math @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.

学部が数学科ではなかったので純粋に数学科だとどうするべきなのか, またはどうなっているのかは全く分からないが, 他学科だと何故そんなことを考えるのか, 自分の学問でどう使うのかというイメージが全く持てないとつらいと思う. 私は比較的数学を数学のまま扱える方ではあるが, 数学として何がどう展開していくか, という部分は数学科でも大事だろう.

前にも書いたが, 私の場合は一浪してようやく大学に入ってはじめの一週間, ずっと高校でもやったような話でがっかりしていた中, 一週間最後の金曜に実数論で全力で殴られ, 「こんな訳の分からないのをやるために一浪してまで大学に来たのだ」と感動した方の市民なので, 多分こうアレな方なのだろうという気がしないでもない.

ふと思い出したのだが, この間『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』というのを読んでみた.

面白かったのでそのうち備忘録的書評を書くが, この中で先生が「私は意味のあることしか教えていない. お前がその意義を理解できるかどうかは別だ.」という台詞があった. こういう話はよくあるので, 上記のような「数学として何がどう展開していくか, 今していることの意義」みたいなことは, 言ったところで分からないからわざわざ言わないという選択肢, かなり真剣に検討すべき事項だと思う.

この間, Twitter でも「名著と言われる本を読んで, 分からなかったところがあり自分で説明を考えたが, あとで良く読み返したら自分で考えたのと同じ説明が書いてあった.」という呟きを見かけた. 真面目な人が真面目に勉強していてもこういう話が本当にあり, これはそのまま上記の話につながる. 教える方も頑張って気を配って言って, 学ぶ方も真剣に聞いていても起こる面白い現象だ.

詳細は忘れたが, 前に irobutsu 先生が「もっと早く教えてくれればよかったのに, と皆いうが, 早く教えても意味全然分からないと思うよ」みたいなことを言っていたことも想起した.

その 3

次はこれこれ.

まぁ基本, 数学は誰でも理解できて使えるはずですから. 究極的には人類がしっかり進歩して幼稚園児にも使えるようになって欲しい. #まだ進化の途中ですな RT @quasiac: 「高校数学は幼稚園児でもできる」っと…

一方で数学を生み出すことはまったく異なるのではないかと.

世界が悲しみに包まれた.

その 4

そしてこれ.

グローバル大学につながらない苦しみはいずこへ...? RT @On_Absolute: 加藤先生は, "Global につながらない苦しみが cohomologie になるのだ" と説かれます.

@kyon_math @On_Absolute そうか, 英語ができなければ, 層係数コホモロジーや導来圏を勉強すれば, グローバル化できるのだ

@Paul_Painleve @On_Absolute 数学はユニバーサルな言語ですからね.

そろそろ京大は宇宙際大学を名乗り始めるべきだ. あと global analysis の研究で何かそういう予算とれないの.

その 5

そしてこれ.

わたしは最近「違う」のではないかと思っています. いまの高校数学は昔より算数化していて, 教え方は特に算数化している. RT @suzukit216: @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.

@kyon_math @Paul_Painleve それを言うなら大学初年度の微積と線形も…

@kyon_math それはここ 20 年以上かけて, 高校数学とのギャップをなくそうとしてきたから. 私よりも実体験として理解してると思う@suzukit216 さんに言うことではないですが, 理工系大学の多くは最底辺でなくても, 大学 1 年で数 III の復習をやらないと講義が成り立たない.

@Paul_Painleve @kyon_math 数学科以外の理系学部でε-δ論法とか位相集合論をやらなくなったのはいつ頃からなんでしょうか?

@Paul_Painleve @suzukit216 まぁ工夫しているのはわからんでもないのですが, 一度連続性や微分可能性を通過してから $\epsilon \mathchar`- \delta$ やれったって困りますよね. 数学って論理のつながりだから, やっぱり破綻する.

@suzukit216 @kyon_math 大学によって, 人によって差があり過ぎるので一概に言えませんが, 阪大だと 90 年代は難波さんの本 http://www.amazon.co.jp/dp/4785314087 が一つの標準と思われてましたが, 2000 年代に入って諦めた人がしだいに増えたと思います.

その 6

次はこれ.

その傾向は大学にも及んでいて, 現在, 多数の大学で初年度は計算方法しか教えていないのではないかと危惧します.

その 7

そしてこれ.

微積では $\epsilon \mathchar`- \delta$ 抜き, 一様収束抜き. 線形では抽象ベクトル空間には触れない. 次元公式はやるが, あくまでも行列版で, 商空間はやらない. 次元公式より準同型定理の方がよほど簡単なのに.

@kyon_math いやいや, 深谷圏でも理論ができる前, かなり初期の頃は, ベクトル空間としての次元が同じだから圏同値になるはずみたいに言ってたような. 全てわかってしまえば笑い話.

@kyon_math あ, あれ, 後期一年生の線形代数の準備中で, とりあえずベクトル空間の定義をノートを書いたのですが……

@kyon_math 易しい教科書でも, 連続函数の積分可能性を言うためだけに一様連続の定義が書いてあったりするんですよね. で, 一様収束はない.

@abenori いや, H 大はいいの. ちゃんとやって下さい. しかし, 東北大の昔の教養のテキストは最初にいきなり抽象ベクトル空間. そしてそれから数ベクトルですね. 理論の流れはこちらの方が自然.

@abenori あ, 目次見ると私の記憶が間違っていたようである. やっぱり, 数ベクトルからだな. いきなり基底と次元をやるのが心に残ってたと見える. 訂正します.

@cocycle @abenori @kyon_math 1 年次は数ベクトルだけに留める, というのも一つの見識だとは思うのですが, 数学科は 2 年に教え直さないといけないのはもちろんとして, 1 年次は行列計算をちゃんと学生に演習させないといけないのですが, そこが難しいですね.

@Paul_Painleve @cocycle @abenori 線形代数つまらんという感想が多いのですが, やはり単なる数値演算に終始するのが元凶なんではないかと. しかも出てくる数値がことごとく「整数」ときどき「有理数」, 後期に入ってルート 2 か i くらい.

他はどうか知らないが, 物理だと量子力学でどうしても線型空間が分かっていないと困る. おそらく, 限りなくユーザ側に近い立場で使うだけなら具体的な微分方程式としての Schrodinger 方程式が扱えればいいのだろう. ただ, せっかく物理学科に来て物理学科の学生として量子力学を学ぼうというのなら, やはり抽象論は知っておきたい.

最近忙しさにかまけて Hilbert 空間論のセミナーの準備全くしていない. 申し訳ない @ぞみさん.

その 8

そしてこれ.

わたしは最近「違う」のではないかと思っています. いまの高校数学は昔より算数化していて, 教え方は特に算数化している. RT @suzukit216: @Paul_Painleve 高校数学の内容を「より深く」考えるのであって, そもそも「違う」はずはないんですよね.

@kyon_math @Paul_Painleve それを言うなら大学初年度の微積と線形も…

@kyon_math それはここ 20 年以上かけて, 高校数学とのギャップをなくそうとしてきたから. 私よりも実体験として理解してると思う@suzukit216 さんに言うことではないですが, 理工系大学の多くは最底辺でなくても, 大学 1 年で数 III の復習をやらないと講義が成り立たない.

@Paul_Painleve @suzukit216 まぁ工夫しているのはわからんでもないのですが, 一度連続性や微分可能性を通過してから $\epsilon \mathchar`- \delta$ やれったって困りますよね. 数学って論理のつながりだから, やっぱり破綻する.

@kyon_math @Paul_Painleve 全部逆に辿れば不可能ではないとは思いますが, 連続性も $\epsilon \mathchar`- \delta$ を使った方が, 確かにずっと楽ではありますね.

@suzukit216 @kyon_math $\epsilon \mathchar`- \delta$ なり実数論をちゃんとやらないから, 中間値の定理と閉区間の最大値定理が証明できない. 平均値の定理もできない. 一様収束も無理なので函数列の極限とか微分・積分の交換可能性も無理. なのに, 一様連続だけは言葉だけ教える.

@Paul_Painleve @kyon_math 中間値の定理と最大値定理の証明は $\epsilon \mathchar- \delta$ やらないと無理ですね. ロルの定理は極限を使った実数の連続性から言えそうですが. もちろん順序の問題だけで, 最終的には $\epsilon \mathchar- \delta$ に行き着くわけですが.

調子に乗って超準解析は, とかいうと TL 上の修羅から殴打される.

その 9

そしてこれ.

ですね. 連続関数なんて超難しいのを扱うからそうなる. 高校と同じく原始関数を持つものだけ扱えばよいのではないかと. RT @Paul_Painleve: 易しい教科書でも, 連続函数の積分可能性を言うためだけに一様連続の定義が書いてあったりするんですよね. で, 一様収束はない.

連続関数という修羅.

その 10

次はこれ.

その意味では高校の教科書ってよくできてるんだよなぁ. ああも難しいところをきっちり隠蔽した上で計算上なんの支障もないように, 表面的には論理に破綻をきたさず... すごいと思う.

@kyon_math 全くもって同感です. あれは本当にすごいと思います.

そういえば前, 何か色々な人と話をしていたとき高校の教科書の話になり, 松尾先生が「ベクトルのところで『ベクトル方程式』というのが出てくるがアレはいかん」とかいう話になって, たまたまいて高校の教科書の作成者的なアレに名前が載っていた坪井先生にそれを言ったところ, 「私もそう思いますが色々あるのです」とか言って苦笑いしていたのを想起した.

その 11

そして これ.

数年前に K 中先生に, 教科書の執筆者として F 谷先生を迎えたんだが, あの積分の定義に激怒して, あんないい加減なことやってちゃイカン, 定義をしっかりせよと主張. しかし K 中先生, 少しも慌てず「では, その定義は F 谷先生にお任せします」

@kyon_math いい加減なことをやってるんですが, 全体を見ると, そのいい加減さが, いい加減になっていて, よくできてるな, と (何を言ってるんだ, 私はいい加減な人間だな)

@Paul_Painleve 高校の教科書は, あれは相当考えて作ってますよ. ひるがえって, 大学の教科書の方があまり考えてないかも.

@kyon_math 厳密性が高い方が, 理論を組み立てるのが楽ですからね. つまり, 微積はちゃんと $\epsilon \mathchar`- \delta$ や実数の連続性から勉強するのが, 大学生にとっても一番楽なんだよ, という話に.

"@Paul_Painleve: @kyon_math 厳密性が高い方が, 理論を組み立てるのが楽ですからね. つまり, 微積はちゃんと $\epsilon \mathchar`- \delta$ や実数の連続性から勉強するのが, 大学生にとっても一番楽なんだよ, という話に. " 僕の学生は必見ね.

ふと思い出したのだが, 前から物理でエネルギーをどう定義したらいいか分からなくて困っている. とりあえず Wikipedia 先生にお伺いを立てるとこうある.

(物理学) 仕事をすることのできる能力のこと. 物体や系が持っている仕事をする能力の総称.

一方, 仕事の定義はこう.

物理学 (力学, 熱力学) において仕事 (しごと) とは, 物体に加えた力と, それによる物体の位置の変位の内積 (スカラー積) によって定義される物理量である. 熱と同様にエネルギーの移動形態の一つで, MKS 単位系での単位は N · m もしくは J である.

言葉の濫用という可能性もあるが, 量子力学での基底エネルギーとか束縛エネルギーというときのエネルギーと整合性が取れるような定義, どうすればいいのだろう. 基底エネルギーのエネルギー, 上記の意味で使われているとは思えないのだが.

今回もとりとめのない話に終始した.

追記

他のところでも書いているが, 鴨浩靖さんからのコメント.

とても参考になる.

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数学, 数学教育