埼玉大で埋蔵固有値に関する摂動論のトークをしてきた

私のトークメモ

3/24 に埼玉大で「Friedrichs モデルの解析」と題して埋蔵固有値の摂動論について入門的な話をしてきた. Evabow1 さんのリクエストとしてのスペクトル解析と, ゆきみさんのリクエストとしての作用素論と摂動論として丁度いい話題だろうということで. 今回の議論の詳細はあまり作用素論っぽくないのだが, 数学としては簡単な線型代数と微積分, 複素解析を知っていれば十分で, 物理よりのスペクトル解析の話題の面白いところは見られる良いモデルだ.

メインターゲットの一人, ゆきみさんが来ないという非常事態が勃発したが, とりあえず話してきた. 時間があまっているから, という理由でのんびり + 物理の話を予定以上に入れたとはいえ, 最初の講演予定時間の 90 分を 1 時間オーバーというのは極めてよくないことなので反省している.

数学上の色々な概念や言葉の定義に物理のモチベーションがあるので, そこをどううまく伝えるかが非常に悩ましい. そこの間隙こそが一番好きなところなのだが, 伝えるときにはむしろ一番苦労する.

ゆきみさん向けにまたどこかで同じ話をしようという企画は持ち上がっているので, 次回はもう少し色々配慮したい.

また今回の講演もつどい同様動画にしたい.

ある意味で 1 つネタを使ってしまったので新たなネタを補充する必要もある.

あと, 私に何か話をしてほしいという奇特な方がいらっしゃれば, 適当な手段でコンタクトを取って頂ければ前向きに検討していくので遠慮なくご連絡頂きたい. 数学, 物理, 数理物理で社会を善導するために粉骨砕身していく所存. 話せるネタには様々な制約があるので, そこにはご配慮頂きたい.

Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴のトーク内容のまとめ

坊ゼミでの他の講演者のトーク内容も記録しておく. Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴がトークした. パン耳パイセンはまさかのスピーカーの欠席という非常事態であった. 何の話をするか楽しみだったのだが.

Evabow1 さん分

それはそれとトークの内容である. Evabow1 さんは 1 階の偏微分方程式についての話だった. 前半で特性曲線による解法について話し, 後半でそれを非粘性 Burgers 方程式に応用するという構成だった.

1 階の偏微分不等式 (偏微分方程式ではない) に関する議論が原・田崎の Ising 本でも出てきたが, まともに学んだことがない話だったので実にためになった. 一般論は何がなんだかよく分からないが具体的な話だと何をやっているか分かりやすくなるといういつものアレだった. 自分が話すときにも気をつけたいと改めて思う.

Burgers 方程式の話は最後に衝撃波の話が出てきて, これが面白かった. あまり流体の話をまともにやったことがなく, 衝撃波も名前だけでよく知らなかったので, 勉強になる. 具体的に解けてその解の様子がはっきり見られるというのはやはり面白い. このくらいの目に見えることについては, もっと数値計算やシミュレーションの話を数学科でもやっていいと思う.

alg-d さん分

もう一つ, ブルブルエンジン兄貴のパン耳パイセン向けであったという, 非単位的非可換環に対する極大イデアルの存在条件に関する話だった. 選択公理と同値なことで高名な Krull の定理から始まり, 単位元の存在と可換性を落としつつ, 単位元的なものはある状況からどこまでそれを落とせるか, という感じで進んでいく. 最後, left semicentral idempotent (lsi) が存在するところでの極大両側イデアルの存在定理でしめくくられた.

「代数の話だが作用素環に使えるから解析と強弁する」という兄貴の話だったが, 結局, 非単位的で factor でない非可換 von Neumann 環なら中心の射影が lsi になるから確かに作用素環への応用を持つことが分かった. Factor (中心が自明な von Neumann 環. 歴史的な事情によって von Neumann 環論では factor, 因子と呼ぶ) のときにどうなるか, また一般に射影を持つとは限らない $C^*$ 環ではどうか, という問題が残る. 一般の環というわけではないのでどうにかなりそうだとは思っているのだが, 適当なことを言っていると足をすくわれるし, それ以前に関係各所から致死量の攻撃を受けるので気をつけていきたい.

しゅそくさんいわく, パン耳パイセンは優秀な学生だと聞いているので, パン耳パイセンの調査を待ちたい.

ラベル

数学, 物理, 数理物理, イベント