現代数学観光ツアーと並行して, 通信講座として現代数学探険隊を展開している. そのために集合論や位相空間論を今の視野と力量でいろいろ調べ直していると「そんな数学的現象が起きているのか」ということがよくある.
そして表題の命題はその再勉強の中で知った話だ. 実際けっこう面倒な話だった. ゼルプスト殿下に教えてもらったので記録しておく.
緩募 無理数が(いたるところ局所コンパクトでない)完備な距離空間である(完備な距離付可能な空間である)ことの証明
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月1日
手元にあるWillardのGeneral Topologyには、「無理数全体の空間は可算個のNの直積と同型」を示すことで、「可算個の完備距離空間の直積は完備な距離付けが可能」を使って証明するという演習問題がありました。
— くるる、くるるん、くるるん、るん! (@kururu_goedel) 2017年6月2日
このPDFの§3の「アレクサンドロフの定理」の証明をみて頂戴。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
いかんいかん。URL忘れてたhttps://t.co/7JiQ19iqol
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
↑↑↑これ
ありがとうございます。読んでみます
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
P.8、中央下方の \omega \mathbb{R}(と F の定義に使った <>)はどういう意味でしょうか?そもそもとして \omega は自然数のことだと思っていいでしょうか?
— 相転移P (@phasetr) 2017年6月2日
^ωR は数直線の可算直積。<>は列を表現する記法。ωは自然数全体の集合。
— ゼルプスト殿下 (@tenapyon) 2017年6月2日
もはや感覚的に「自明」と思っていることでもはじめからきちんと書いていくと命題の連鎖の中に置いてあることがあり, 「あの命題は証明していないからこれ証明できないな」とよく思う.
コンセプトとして先々を見通しながら講座を展開することを考えていて, そこまでに示したことしか使わない「本編」と, そこまでに議論していないことでもバンバン使ったり紹介したりする 「探険パート」がある.
探険パートはぶっ飛ばして書く前提なので別にいいのだが, 本編で時々これが起こる. 当然いくつかの本を参照しながら講座を作っていて, 「これはここでやらなくても大丈夫か」と思って飛ばしたのが 後で「これは盛り込みたい」と思った命題で使ったりする.
必要な命題は必要なところで追加すればいいし, そこまで気にしているわけでもないが, 「この命題の証明にこれ使うのか」と改めて認識して驚くことはある. 特に「これはちょっとマニアックだしあまり使わないだろう」と 思った命題を複数回使うことがあると自分の認識の甘さを痛感する.
集合や位相の再勉強を進めていると, 変な例を作るのに順序数がかなりよく動いてくれそうで, 改めて再勉強したいと思っている. 講座の流れではほとんど使わないので, 優先度は低くなっているとはいえ, 時間が取れたら変な反例探訪の旅に出たい.
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