東大数理の教育事情と私の雑感

はじめに

一部界隈による東大数理の講義・演習に関しての話がまとまるなり何なりしていた. 話題になっている松尾先生からするとやめてほしいのかもしれないが, 東大での実際の教育内容というの, 高校生には参考になると思うし私も非常に興味があるところなので, 備忘録も込めて記録しておきたい.

引用

駒場は楽しそうでいいなあ~ そういえばここしばらく委員長に会ってない.

とある「集合と位相」に対する反応

@Paul_Painleve すごいですねw

@myfavoritescene やる以上は徹底してやる, ということなのでしょう. 学生を一度どこかでこういう形で鍛え上げるのも大切かもしれませんが, 私にはできません. こういう形式でやるなら「集合と位相」だろうとは思います.

@Paul_Painleve @myfavoritescene 厳しくするのは教員側も大変な労力がいりますからねえ....

@Paul_Painleve なかなかできませんよね. プリントを本にして欲しいです.

@ken_math @Paul_Painleve 必修でやると大変なことになりますし. . (などというと怒られそうですが)

@myfavoritescene @ken_math まあ, 昔永田さんは京大の代数が必修だった時代に 3 年生全員を落としたり, たいてい何度も何度も追試をやりましたから. 4 月まで追試やった年もあったんじゃないかな. そういう意味では, 永田 DNA が違う形で受け継がれているのかも.

@myfavoritescene 「集合と位相」は, 数学科でしか教えないこともあって, 日本語の本の種類も豊富とはいえませんし, 演習込みで本になると, 案外と一気に定番になるかもしれません.

永田さん, そんなに凶悪な人だったのかと衝撃を受ける. 私は学部が物理だったので数学の学部教育のスタイルはよく分かっていない. 人にも学校にもよるのだろうとは思う (東大やら京大やらいわゆる旧帝大以外でやったら阿鼻叫喚の様しか想像できない) が, やはりいい大学ではきちんとしたことをやっているのだな, という気はする. 講義に関しては, 東大だと斉藤 (確か恭二) 先生が学部 2 年の代数で「加群というのはベクトルバンドルみたいなものです」とかぶっぱなしたり, 川又先生が関数論で Riemann-Roch まで進むとか, 本質を突きすぎて一致の定理の言明の板書が $f=g$ だけだったとかいう逸話を仕入れている. さすがにここまで無茶をしてそれでまともに人が育つのは東大や京大くらいしかいないとは思うが, 逆にこんな無茶をしても人が育つというのが凄まじい. セミナーなり何なり, きちんと教育すべきところではしているのだとは思うが.

全くの別件だが, 何かの研究集会で川又先生と東北の小谷先生が次のような会話をしていたのを覚えている. 川又先生が「学生が (修論の) 発表をするときには黒板に書いて話すように指導している. 時間が足りないという声も聞くがそれは本質的なところをおさえきれていないからだ. きちんと勘所を押さえておけば板書をしても時間内に収まるはずだし, そこまできちんと準備すべきだ」とか何とか. 小谷先生は「学生は社会に出てからスライドを使った話をする機会は多いだろうし, 学生のうちにそういうのをきっちり練習する機会があった方がいいと思うから, 自分はスライドでもいいと思う」みたいなことを言っていたという記憶.

それはそれとして, スライドで講演されるとメモしきれないし量が多くなりすぎて消化不良にもなるから, できるならスライドやめてほしいとはよく思う. あとで配布する用途には便利だろうけれども. 物理で実験の話だったりすると図なりデータなりがあるからスライドの方が話しやすく聞きやすい面もあるのかもしれない, とか何とかどんどん話がずれてきたのでこの辺で終わろう.

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数学, 数学教育