書評: GIRL FRIENDS 森永みるく 4

メモ

今回は「触れ合う」というあたりについて思ったことを簡単にメモしておきたい. 例えば 4 巻の次のあっこの台詞だ.

もっと… キスしたり… さわったりしたりしたい… かな…

名前しか知らないが幾何で接触構造というのがある. そこの魔解釈も何か産めるかもしれないが, まず私が接触構造自体を勉強しなければならず, ハードルが高い. もっと簡単なところから歩みを進めることにしよう.

それはもちろん微分法だ. 接線や接平面などでこうした「触れる」ことに関する感覚を何か表現できないだろうかと思うのは自然だろう. 安直ではあるが, 基本を疎かにしてはいけない.

接線の悲しみについて真っ先に想起したのは (滑らかで下に) 凸関数における接線だ. まず凸関数は必ず接線を持つことと, 凸関数は必ず接線よりも上にあることを確認しておきたい. 興味がある向きは, 例えば田崎さんの熱力学の本の付録を見てほしい.

図を描くと分かるが, 適当に滑らかな凸関数なら凸関数と接線は接線を引いたその点でしか触れ合わない. ただ一点でしか触れ合わない関数と接線の出会いは「一夏の恋」とでも表現すればいいのだろうか. 流石に安直すぎると思うのだが, こうすると高校の数学でも色々な百合的魔解釈ができそうだ.

底が平な凸関数 (とその図) を考えれば分かるが, 凸関数と接線が無限個の点で触れ合うことがある. こうした現象はどう解釈すればいいのだろう. 接しはじめる点を交際開始, 接しなくなる点を交際終了とでも思えばいいだろうか. また関数の滑らかさはどう解釈すればいいだろう. このあたりに課題が残る.

また, 複接線という現象もどう解釈すればいいか気にかかる. 以前確か下記の本で目にしたかと思うが, 複接線という話がある.

詳しくことは全く覚えていないが, 代数幾何だと複接線についても何か面白い話があるのだろうか. 複数の点で関数とのふれ合いを持つ接線, これはどう思えばいいだろう. 映画自体は見ていないのだがワン・デイ 23 年のラブストーリーのストーリーを想起した. 23 年に渡って毎年 7/15 だけ出会うという話らしいのだが, この 23 年に渡る一日だけの出会いを, その悲しさや切なさや愛しさを含めて複接線で表現できないだろうかと, そんなことを思う.

接線ではなく曲線の話にはなるが「高次の接触」についてはどう思えばいいだろう. これは Taylor 展開で 1 次だけでなく高次の微係数まで一致するような接し方を考えている. 接線による触れ合いを軽い触れ合いと思うなら, 高次の接触は適度に濃厚な触れ合いを表すことになるだろう. 「同情でも何でもいい この恋が叶うなら」といったまりの心情や付き合い方は, このような Taylor 展開で何か議論することはできないだろうか. 元の関数が何かによるが, 当然ながら場合によっては無限次の接触も定義できる. これは何を意味するだろう. 具体例の研究によって理解を深めたいところだ.

無限次の接触の場合, Taylor 展開が元の関数と一致することになるが, そうなると Taylor 展開の収束半径が気になる. 収束半径が無限大の場合はどう思えばいいか, 有限の場合はどうかということが自動的に問題となる. また解析接続に何か意味が出てくるか, 複素解析的な考察が必要か, ということも問題になろう. Riemann 面の理論の応用可能性についても想像が膨らむ. Riemann 面の別のシートは「生まれ変わり」のような解釈はできるか, ということをパッと思ったが, これもやはり安直に過ぎる気がする.

あと思ったのが, ジェットバンドルの話だ. Taylor 展開の思いを幾何学的にきちんと表現しきるにはやはりジェットバンドルを導入して議論することが必要なのではないだろうか. ジェットバンドルはまともに勉強したことがないのでこれまたよく分からないことばかりだが, 追求する価値はありそうだ.

作中の 1 文を拾うだけで宿題が山程できるので大変だ. 百合の世界の深さを知る冬だった.

ラベル

数学, 百合