とある勉強会の共有/相転移プロダクション

はじめに

この間連絡した通り, メールマガジンを仕切り直して語学を分離させました. 「アインシュタインの原論文を多言語で読もうの会」をやっているように, 私の意識として数学・物理・プログラミングとは分離していません.

しかし, これからおそらく, 語学だけに興味があるという人も来そうというか, そうなりそうな方向にも展開していこうと思っているため, あえて分離しました.

どのくらいいるのかと思っていたところ, 10名程度もいたので驚きです. 改めてメルマガそれ自体がきちんとしたコンテンツになるように組みます. 今後ともよろしくお願いします.

コンテンツアーカイブを作りました

せっかくメルマガを切り直したので, ずっとしようと思っていてコンテンツ整理をはじめました.

語学に関してもこちらにまとめています. これまで公開していなかった分も公開していますし, 語学に関しても先程ロシア語の単語に関して, ネットで3000語程度のリストを拾ってきて, それを叩き込みました.

ロシア語と中国語は相対性理論の勉強会でも触れていて, 全然何もわかっていないので, ちょこちょこ勉強しようと思っています.

勉強会に参加してきました

メルマガで書いたかどうか忘れたのですが, 語学に関しては言語学者のコミュニティに入っていて, そこで勉強しています. ちょうど土曜に勉強会があって参加してきました.

ヨーロッパ系言語を中心に, 確か12だか15ヶ国語話せるという人で, 実際に毎回多言語・多文化に関する話が出てきます.

もしあなたがある程度深くプログラミングの勉強をしているなら実感さえあると思いますが, 人工言語・自然言語どちらも, その言語に適当な意味で思想や文化があります. 他の言語を学ぶことで得意な言語・仕事で使う言語にもいい影響があるから, 簡単でもいいから毎年一つ, 新しい言語を勉強するといいだろうとも言われます. 極端に言えばこのノリで自然言語に関しても多言語を勉強しようと思ってやっています.

勉強会の結果の共有

あまり公開するとよくないものの, 現状読者が10名しかいません. この多言語という話, ちょっと具体的に見てほしいので内容を共有します.

一週間くらいしたら消すので, なるべく早めに見てください.

相対性理論勉強会と合わせて

何人見ているかわかりませんが, YouTubeやGitHubで公開してきた相対性理論の勉強会でも, あえて多言語に触れています.

Zoomでは名前を出すかもしれないと言ってはあるものの, メルマガで名前を出すとは言っていないので, その参加者はイニシャルで書くことにして, Kさんと呼ぶことにしましょう.

最初はどう思われていたかわかりませんが, 前回, 4/23では「多言語で見るといろいろあるんですね」と仰っていました. いろいろな言語で眺める面白さが伝わってきたように思います.

せっかくなので, 先程の勉強会の内容を含め, ここでもいくつか紹介します.

話は突然アメリカのホテル王, ヒルトンの話から, Hilton に関して Hill は丘, ton は town から来ているとはじまります. あのニュートンの Newton も new + town なのだとか.

この手の構成を持つ言葉として, レニングラードやサンクトペテルブルクの話が出ます. レニングラードは「レーニンの街」, サンクトペテルブルクは「聖ペテロの街」の意味です. 後者はロシア語で Санкт-Петербург で, 後半のブルクはドイツ語の burg 由来です.

話の流れの本体はこちらではなくてレニングラードです. 特に見るのはロシア語の город で, あえてローマ字で書くと gorod で, これが「街」の意味です.

子音を抜き出すと grd です. そしてスラブ語ではgrdは街を意味します. これを見て即座に思い出してほしいのは英語の garden です. 何故かといえば子音を抜き出すとこれも grd です. 実際, これらは同じ語源だそうで, 「垣根で囲まれている」という意味があるとのこと.

ゆるく眺めているとロシア語はスラブ系で, 基本的な語彙がゲルマン系ともロマンス系とも違うのですが, ふとしたところに共通項が出てきます.

子音が重要

相対性理論の勉強会でも何度か話しているのですが, ヨーロッパ系の単語は子音が重要です. 子音が意味を持っているのです. それはまさに上で grd が「垣根で囲まれている」ことを表していることを指します.

もしあなたがゲームの女神転生をご存知なら, ラスボスの唯一神が YHVH と呼ばれるのをご存知かもしれません. 知らない方に向けて書くとふつうこれで「ヤハウェ」と読みます. これはまさに子音だけで表記された例です.

実は, 少なくとも遥か昔, ヘブライ語は子音しか書かなかったそうです. 文字が読み書きできるのは知識層で, そういう人達は子音だけで意味などを判定できるので, 内輪向けの共有ならそれで問題なかったのでしょう. 日本語でも万葉集の万葉仮名があったように. 後代, 平安貴族でさえ解読班が必要になったほど非自明な表記で, そういうのはあとの人は困りますが, 内輪向けの文章ならこれでいいわけです.

つまり, 子音だけで単語を表記・判定していた以上, 少なくとも文字情報としては子音は決定的に大事なわけで, それはヨーロッパの現代の言語にも受け継がれているのです.

子音, もっと言えば文字以上に大事なのは物理的な音です. 特に日本人の語学学習だと見失いがちなようですが, もともと文字などなかったわけで, 文字でどうにかしようという発想自体, 言語にとってどこまで自明かという話もあります.

そして音としての言葉は人体に影響を受けます. 文化や人種などが変わっても人体の構造に大きな違いはなく, そこから来るいろいろな共通項もあります. 人体の構造と音といえばバリバリの物理で, こういうところから理工系の生徒・学生に話せば面白がってくれる部分はあるでしょう.

またこの間, 勉強会でも話したように, 英語の発音の特徴が文法にさえ影響を与えることがあり, 特に格の消失を招いた話もあります.

具体的にどの回だったか忘れてしまいましたが, 次の連載のどこかでその話がありました.

歴史も含め, まわりまわっていろいろな話が英語にも影響しています. 直近は道具として使い倒す必要がある関係上, 英語を中心に回しますが, 最終目標は「理系のためのリベラルアーツ」で, 言語から歴史などにも切り込んでいきたいと思い, いろいろ教わりつつ調べつつ勉強しています.

多言語でボキャビル

相対性理論の勉強会では共有してありますが, この辺の話について, 現時点である程度まとめたコンテンツを作っています.

これですが, 買えというわけでありません. 今月中, どれだけ遅くともゴールデンウィーク中には, 無料のミニ講座として公開します. 興味があればぜひ受講してみてください.

ではまたメールします.