2021-05-15 言語と世界認識/相転移プロダクション

この間のアインシュタインの原論文を多言語で読もうの会では, ようやく前文が終わって第 1 章に入りました.

もう軽く半年以上になっていますが, K さんも完全に多言語にはまってくれているようなので嬉しい限りです.

勉強会の小まとめ

この間の勉強会で次のような話をしました.

具体的にはドイツ語や英語で die Newtonschen mechanischen Gleichungen のように「ニュートン (の形容詞形)」の先頭が大文字なのに, フランス語では newtoniennes と小文字だ, という話になり, ここでフランス語にはフランス語の事情があるので他の言語と同じように大文字になるとは限らないという話になりました. 形容詞もフランス語だとふつうは名詞の後ろにつきます.

言語と世界認識

もう少し一般化して, そして強めて言うと言語を学んだ分だけ世界の認識が変わるのです. 私のメルマガに来ているくらいの人なので理系の人の方が多いと思いますし, そういう人達からするとこの言葉にあまりピンと来ないかもしれません. あなたもそうかもしれません.

これについてはこう思ってください. 例えば物理のドップラー効果です. はじめてまともに勉強したのは中学だったか高校だったか忘れましたが, ドップラー効果を勉強したあとに救急車だか消防車だかパトカーだかのサイレンを聞いたとき, 「これがドップラー効果か!」と感動したのを覚えています. これまで何度となく聞いてきた音なのに, 音・現象に対する認識が一気に変わったのです.

最近強調しているように私はいま理系のための総合語学として数学・物理・プログラミング・ふつうの語学の四本柱を軸にしたコンテンツ・サービス展開をしようとしています. 昔私がドップラー効果を知って世界の認識が変わったように, 語学の知見でも世界認識が変わるのです.

実際, 私が習っている言語学者と街中を歩いていたとき, 「関根さん, あそこに書いてあるやつ, もう意味不明な文字列ではなく, まとまったフランス語に見えませんか?」と言われたことがあります. ゆるくであってもフランス語を勉強しはじめて一年くらい経っていて, 確かに今まで意味不明だったアルファベットの並びがこれまでとは違う意味を持つようになったのです.

言語にはいろいろな文化が詰まっています. これまた最近いろいろなところでよく書いているように, 語学としての物理や各プログラミング言語にもそれぞれの文化やコミュニティがあります. この辺をどううまく伝えていくか, 勉強会の中でいろいろ実験・見当しています.

今回はこんなところで. ではまたメールします.