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Tilt the lever toward the operator.
これはテクニカルイングリッシュの視点からはいい翻訳ではありません. 次のように訳せと言われます.
Pull the lever.
上記リンク先では「tilt は傾けると言っているだけでどちらにどう傾けるかがあいまいだから, toward the operator という副詞句が必要だ」という解説があります. それならはじめから「手前に倒す」という意味の動詞を使えというのがテクニカルイングリッシュの教えです.
これのいいところは指示が一語で明確になっていること, 文が短くなっていることであり, さらに言えば tilt よりも簡単な単語 pull で表現しきれているのも良い点です. 技術の英語なので単語の簡単さは常に実現できるとは限りませんが.
この簡潔・明快さを基本方針にした英作文コンテンツはないものかと思っています. 多少の時間をかけて簡潔・明快に文が作れるなら, その時間を短くすればある程度英会話にも転用できるのではないか, そう思っているのもあります.
ただしノウハウの全てが数学と物理, そして私に必要な英会話にマッチしているわけではありません. 一見相反するようなノウハウもあります. ここを魔改造するのがいまのタスクです.
数学や物理は中二病用語生成器であると言われることがあります. 論文レベルの文章や単語は格好いいので, 勉強するモチベーションもあがります. ただ, どうしても話題・表現・語彙は限定的になってしまいます. 特に会話で出てくるアクロバティックな文章・訳・表現はカバーしていません.
この辺, 雑誌, それも中高生向けの雑誌のレベルなら, もう少しバリエーションも増えるだろうと思って, 雑誌を読んでみよう企画を立ち上げてきちんと読み込んでみようと思ったのにつながります.
いま作業しているのは次の二点です.
前者について特に言うことはありません. 後者が大事で, しかも私自身にも必要なものだと思っています. コンテンツを作る体だと勉強のやる気も上がるので, まさに勉強ついでのコンテンツ生成という都合のいい話にもなってくれます.
二つ翻訳例を紹介しましょう.
表題の文の翻訳を考えてみてください. 生真面目に訳すと次のような翻訳になるでしょう.
このくらいなら大したことはないでしょう. しかしまだるっこしいのでもっとシンプルに書きたいのです. 何より, ただでさえ吃音があって人前で話すのに過剰な緊張がかかる自分が, 緊張している場面でこんなに長い文がさっと出ると思えません.
これに対して次のような翻訳を提案します.
実際には話の流れもあるでしょうから, これだけでも「ここまでのまとめでもあるよ」というニュアンスも伝わるでしょう. まとめというニュアンスをどうしても入れたければ次のように書けます.
入れたければ will やら now やら突っ込んでもいいですが, 最小構成としてはこれで十分でしょう. 少なくとも今の私が会話の場面で summarize などという洒落た単語が思いつくとも思えないので, はじめの翻訳では show という中学英語でしのぎました. こういうしのぎ方・頭の使い方を教えてくれる本がほしいのです.
これは大学受験用の英作文教材, 「新ユメサク 夢をかなえる英作文」の最初の例文です. そこでは和文和訳という手法が提案されていて, 起死回生を直接訳すのは大変だから, 「ホームランのおかげで試合に勝てた」みたいに書けばいいと解説され, 次のような翻訳が提案されています.
大学受験用の英作文としてはこうするといいのでしょう. これがさっと浮かぶなら大したものです. しかし私はこんな文をさっと生成できません. 何度も書いているように瞬発力が必要な会話にも転用したいのです. そこで次のような翻訳を考えました.
起死回生というのは自分にとって重要な一打なわけで, 単に important でいいだろうと判断したのです. これならすぐに書けますし, 不格好でも最低限の意図は伝わります.
最後の文, "The homerun gave us the win." については次のように思う人もいるでしょう.
起死回生の一打で逆転できたかもしれないが, このあとさらに相手に点を取られて逆転されてしまったかもしれないのでは?
もちろんその可能性はあります. 大学受験, それも模試でしょっぱい採点者だと原点してくる可能性もあります. しかしいまの私はそんな状況で英作文をするわけでもしたいわけでもありません. 逆にこの指摘は次の大事な点を浮き彫りにします. つまり, 状況によって適切な翻訳も変わるのです.
私が目指すところがどこかと言えば, 簡潔明瞭な英作文であり, 会話にも転用できる作文技術です. この視点からすれば, 上の第三文も使える状況はあるのです. 使えないなら別の訳を考えるだけですし, その場合も上の二つの文は使えます.
実はこの最初の文については「数学・物理の英作文」ノウハウを適用してもいます. それは万能動詞としての have です. 英語の have は日本語の「持つ」とは守備範囲が全然違います. 有名なのは次の文でしょう.
英語だと頭痛は持つモノなのです.
他にも「システムに不具合がある」と言いたいとき, "This system has a problem." のようにも言えます. システムは問題を have できます.
よくわからない場合はとりあえず have を使うというノウハウがあります. 実際数学だと「計算によってこのような式が得られる」というときにも have を使います. もっと have を使おう, そしてそれがかえって英語らしく簡潔な表現を与えてくれるのだ, そういう感じのノウハウをまとめ, 例文をストックしています.
例文は延々とストックを続けていく必要があり, それこそ一生かける必要さえあるでしょう. しかしノウハウとよさげな例文集のピックアップ, そして叩き台なら 1-2 ヶ月もあれば作れると思います. ほしいものを中心にいろいろ考えて進めています.
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります.
ではまたメールします.
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