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自分の勉強, もっと言えば暗記事項の定着も兼ねて引き続きフランス語単語をやります. 英語にもほぼ直接的によい影響があります. 前回, croire はイタリア語まで見た方がかえって英語との関係が見やすいことも紹介したので, 必要に応じてもう少し掘ってみましょう.
私にとってはアインシュタインの特殊相対性理論の原論文に出てくる単語から攻めるのがモチベーションが続くので, それも引き続き拡充しています.
いわゆる be 動詞のフランス語です. せっかくなのでいくうか紹介しておくと, ドイツ語での be 動詞の原形は sein, イタリア語は essere, スペイン語は ser と estar です. スペイン語では ser が国籍のような恒常的な性質を表し, estar は現在地のような一時的な性質を表すというように使い分けられています.
スペイン語を見るとわかるように, be 動詞を見るだけでも言語ごとの違いが出てきます.
ちなみに exist と何か関係あるかと思ったのですが, あまり関係ないようでした. もし関係があることをご存知の方はぜひ教えてください.
多言語比較から見るといくつかのポイントがあります. be 動詞に限りませんが, どの言語でも基本的な単語は極端に不規則です. ここでは各言語での be 動詞の現在形の活用と, フランス語の基本的な単語の活用をいくつか紹介します.
主語+動詞の活用の形で紹介します. 一人称単数, 二人称単数, 三人称単数, 一人称複数, 二人称複数, 三人称複数の順で書きましょう.
イタリア語とスペイン語で主語がないのは特徴的です. 三人称は別として, 実はイタリア語ではよく主語を省略します. スペイン語でも同じようです. 上の活用を見ればわかるように, 一般にイタリア語は動詞の活用は全ての人称・数で違います. いわば動詞の活用に主語の情報がエンコードされていて, 主語を書かなくてもわかるのです. 日本語のように文脈でわかると言っているのではなく, 文法上のサポートがあります. ちなみにフランス語はスペルが違っても同じように発音されます. 特に être では tu es と il est の es と est の発音が同じです. 見た目が違うからといって区別がつくわけではありません.
上で書いたように be 動詞一つ見ても言語ごとの特徴が出るのです.
あえて乱暴な書き方をしますが, フランス語での have は avoir, go は aller, come は venir です. 英語でも不規則活用するように, フランス語でも極端な不規則活用をします.
フランス語動詞の規則的な活用を紹介していないので, 知らない方は全くわからないと思いますが, 興味に応じてフランス語の活用を調べてみてください.
もともとの意味は「存在する」の意味では, デカルト (René Descartes) の Je pense, donc je suis 「我思う, 故に我あり」が有名でしょう. いまは場所を示す副詞・副詞句か前置詞句を伴うのがふつうです. 前置詞を使う場合, être de ---で出身を, être à ---で帰属・所有を表します.
英語の場合でもあるように, 属詞 (英語でいう補語) を取る用法もあります. 他にも英語と同じく受動態を作る助動詞としても使われますし, もっと面白いのは代名動詞・往来発着を表す自動詞の複合過去を作る助動詞としても使われます.
フランス語の時制は複雑なので本当に雑な言い方ですが, 複合過去はとりあえず英語の現在完了にあたると思ってください. 実はもう一つの複合過去を作る助動詞がまさに avoir (英語の have) なのです.
ちなみにドイツ語で現在完了を作る助動詞がやはり sein (be 動詞) と haben (have) であり, イタリア語でも近過去を作る助動詞は essere (be 動詞) と avere (have) です. 少なくともドイツ語・フランス語・イタリア語と比べれば, 英語の現在完了の助動詞が have だけの方が特殊です.
時制関係でついでに言うと, 英語には未来表現があっても未来形はないと言われます. 何かというと英語で未来を表すとき, will や be going to という助動詞を使います. ドイツ語でも同じです. しかしフランス語には本当に動詞の活用の中に単純未来という未来形があります. 例えば être についてはフラ活を見てみてください.
二つくらいは書こうと思っていたのですが, これだけで大分長くなったので今回はこのくらいにしましょう.
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