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今回は小ネタは雑誌を読む勉強会に回したので, 相対論の方は相対論に集中できました. 相対論は一年かけてようやく 18 文目まで行きました. 余計な話もいろいろしているので凄まじく進展が遅いですが, ようやく時間と事象の処理が大事だと明言された部分が来て, 本格的に相対論に入りつつあります.
科学雑誌の方は小ネタを 40 分も話していたのでまた本編である, まとまった文章読みの進みが悪かったのですが, こちらはもっと雑多に, かつ私の時々の勉強内容の共有的な部分もあるので, まあいいかと思って (私にとっては) いい意味で適当に進めています. ラテン語を改めて雑に勉強したのでその話もいくつかしています. エンタメと絡めた話や語源の話もしました. 今回話すのを忘れた文法上の性質もあるので, 次回の「数学・科学の雑誌を読む会」で話す予定です.
学部二年のときにもいわゆる教養の講義でラテン語をやったのですが, そのときの記憶がもうほぼありません. 文法をどこまでどうやったか覚えていないのですが, こんなに覚えていないものかと衝撃を受けています.
それはさておき, いまメインの英・独・仏・伊・西にとってラテン語・ギリシャ語が大事なので, 本当に雑にラテン語・ギリシャ語を勉強した話も少ししました. 文法も大事ですが, 現状私の趣味は単語比較にあるので, むしろ単語を大量に覚えるのを頑張らないといけない状態です. フランス語は実用目的でいろいろやり, そこからラテン語はある程度カバーできるのですが, ギリシャ語・ロシア語・アラビア語・中国語あたりの単語を大量に叩き込まねばならず, 道は遠いです.
アラビア語は文字から覚えなければならず大変です. ギリシャ語も文字はわかるのですが, 古典ギリシャ語はアクセント記号でやたら発音が切り替わるので, それをきちんと覚えるのが本当に面倒です. こういうとき音声教材の補助があると便利だと改めて実感しました.
最近さぼっていますが, 英作文ももっと訓練しないといけません. 目が回るほどやることがあります.
最近本当に思うのは, やりたいことは勉強会を立ち上げて人を巻き込んでやるのが一番ですね. ドイツ語・フランス語の勉強はまさに相対論の勉強会のためにというモチベーションがやはり強く, その他の言語も勉強会で話をするから無理やり時間作ってやっている面があります. 英作文も専用の勉強会を立ち上げようかと思っているところです.
英語以外のいろいろな自然言語をやるのは, 各言語それ自体を勉強しようというよりも, 言語に対する感覚を研ぎ澄ませる方が目的です. 何にせよ言語活動は必要不可欠で, 理工系であろうとも絶対必要だからです. むしろ自然言語の守備範囲を飛び出る理工系にこそ, それをどうには自然言語におさめる部分で強い言語感覚・バランスが必要だと思っています.
作文もまずは必要性からして英作文にフォーカスしますが, 少しずつフランス語など別言語もカバーしたいと思っています.
書き忘れていましたが, 各言語のページに単語のオンライン辞書へのリンクや調査メモ (和訳) があるので, 必要に応じて参照してください.
これには「---を作る」「---をする」の二つの意味があります. 家でパンやケーキを作るのも, 工業製品を生産するのも, 小説を書くのにも使える単語です. 他にも faire du ski でスキーをする, faire du latin でラテン語を勉強するという用法さえあります.
英語, 特に英作文でもとりあえずこれを使っておけばいい単語・動詞として have や get などがありますが, それと同じです. 何にでも濫用しているとやはり幼稚な印象を与えるそうですが, 何も言えないよりはましという状況では便利です.
英語の make と同じく使役構文を作れること, 非人称構文で天候を表現する特性もあります.
基本動詞によくあるように, 活用は変則的です. 発音も一部おかしく, 一人称複数の現在形 faisons は, フランス語の発音ルールからすると「フェゾン」のように読むべきところ, 「フゾン」と読みます. 異様な英語と違ってフランス語はほぼルール通りの発音なのでかなり珍しいです.
ラテン語の facio が元で, ラテン語自体にまさにこの二つの意味があります. ちなみにイタリア語だと fare で, この三言語では明らかに「同じ」単語です. スペイン語では hacer でスペル上 h と f が入れ替わっていますが, 語源は同じでラテン語・印欧祖語です.
フランス語の faire は英語の do と make にあたるので, ついでにこれも調べておきましょう.
Wiktionary によると do はゲルマン祖語・印欧祖語に起源を持っていて, 印欧祖語としては to put, place, do, make の意味を持つ *dʰeh₁- が起源とのこと.
Wiktionary によると make はラテン語 mācerō, macer, 古代ギリシャ語 μάσσω (mássō) にも起源があるようですが, ゲルマン系の言語で, ドイツ語 machen と同根です. 他のゲルマン系の言語で同根の単語があります. Wiktionary で同根の単語を眺めていると言語間の単語の遷移・変遷・関係が見えてくるので, 地道に数をこなす意義も見えてきます. Wiktionary は便利なのでぜひ使い倒してください. そして面白い単語や語源があったら教えてください.
フランス語と同じく, 英語でも make でいろいろなモノを作れます. 英作文では make だと意味が弱くなる上, (日本人が書く文章では) make O の O に動名詞が来る場合もよくあり, その場合は O の動名詞をそのまま動詞に使った方が文意も明確になり, しかも短くさえなるから注意するべしという (私の中の, またはテクニカルライティング) 鉄則があります. フランス語でも faire ばかり使っていると幼稚に感じられると書きましたが, おそらく同じ感覚なのでしょう.
もちろん do と tun, make と machen に対応があります.
実は machen が面白く, 英語の make の印欧祖語語源で od, make 両方あると書いたように, machen にも do, make の意味があり, ドイツ語の文法書を見ていても do, make 両方で例文に machen を使っていて, tun はほとんど見たことがありません. この点, どうも英独仏伊西蘿で見るとむしろ英語がイレギュラーのようです. 他の欧米系言語でどうなのかまでは把握しきれておらず, この10にも満たない言語間の比較にどこまで意味があるかは微妙ですが, いまの私の認識の記録として記録しておきます.
ドイツ語の machen もフランス語のように多彩な用法があります. これも英語と同じように考えればいいでしょう.
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