2021-09-11 英語 event とフランス語 événement とラテン語/相転移プロダクション

今回の内容

数物系のメルマガが式を含むことも多いため, 先日から引き続き, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

いま細かい内容は web に飛ばして, 興味があるところだけ読めるようにしているため, 個々の読者の方にはあまり関係ないとは思うのですが, 数物系と語学と二つわけるのが面倒になってきたので, 今後はメルマガで発信する口自体はわけつつ, web 上でのメルマガページは統合するかもしれません.

読みやすさと私の書きやすさ・管理のしやすさを考えつつ, web 上での載せ方はちょっと検討する予定です.

感想をください

「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります.

メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

勉強会のメモ

語学の勉強会もはじめてそろそろ一年です. 毎回面白いと思ったことを話しているので私は楽しいのですが, 一年ずっと参加してくれる人がいるので, どう控え目に言っても万人受けするとは思いませんが, 響く人・求める人はもっといるだろうと思っています.

数学・科学・プログラミングとも絡めようとしていることもあり, 人を選ぶとは思いますが, だからこそ求めている人もいるはずです. 勉強会をはじめてから一年経ったこともあり, 求めている人がきちんと探せるように, そろそろ本格的に情報発信しないといけないフェーズだと思っています.

科学雑誌を読む方も, いろいろな文章をさくさく読むのも, 中高生向けの文章から必ずしも数学・物理に特化しない日常系の語彙に出会う機会にするのも, 訳した日本語から英語を復元する英作文に転用するのも, 科学系の知見を増やすのにも使えそうです. 色々な活用法がありうるので, 遊び倒せるコンテンツとしてどう使うか妄想を膨らませています.

フランス語で遊ぼう

各言語のページに単語のオンライン辞書へのリンクや調査メモ (和訳) があるので, 必要に応じて参照してください.

événement

これは今回の相対性理論の勉強会で出てきた単語で, des événements simultanés として出てきました. 対応する英語は simultaneous events で, 対応するドイツ語は gleichzeitige Ereignisse でした. ドイツ語は明らかに別物で英語が明らかにフランス語に寄っています.

フランス語は明らかにラテン語由来で, 実は ex + veniō と分解される単語だそうです. アリナミン Ex のように ex はもはや日本語化していると思いますが, event が ex から来ているのを知ってちょっと驚きました. ちなみに以前調べていたものの完全に忘れていたので, 時々きちんと復習するのも大事だなと感じています.

ちなみに veniō は come の意味で, フランス語だと venir でイタリア語では venire です. イタリア語で come は Come sta? / Come stai? などに使われていて, 英語でいう how/as にあたる全く別の単語です.

フランス語またはイタリア語は語彙がほぼ直接ラテン語とつながっているので, ラテン語はちょっと, というならとりあえずフランス語やイタリア語を勉強してみてはどうでしょうか. ラテン語は文法というか実際の文が凄まじいことになっているので, 文法までやりたいならそれ程参考になりませんが, 単語に関してはある程度参考になります.

相対性理論の勉強会動画でもいろいろ話しているので, 詳しくはそちらに任せます. いったんクローズ状態にした数学・科学の雑誌や記事を読む会でもいろいろ話しています.

prendre

よくある訳は「取る・掴む」です. 英語と同じく基本単語は異様に幅広い用例・用法を持っていて, この prendre も同じです. 「ものを手に取る」から戦争で街を「取る・占領する」まであります. 「人からモノを取り上げる・奪う」ときにも使えます.

方法や手段を「選び取る・選択する」意味への展開もあり, 「ある方向・道に進む」, 「ある交通手段を選ぶ」, 「メニューを見て選ぶ」, 「食べる・飲む」にまで使えます.

他に恐ろしい用例として自動詞として「(液体が) 固まる」, 「(火が) つく」, 「効果がある」といった意味さえあります.

もっと詳しく見てみたければ次のオンラインの仏仏辞書を見てみるのもいいでしょう.

ラテン語では prendere にあたることも書いてあります. やはり英英, 仏仏, 独独辞書などはとんでもないことまで書いてあるので, 一語を深く突っ込んで勉強するには欠かせません. 語源については Wikitionary も楽しいです.

Wikitionary には prae- ("before") + *hendō ("I take, seize") と分解されると書いてあります. 前者の prae- はいわゆるプレでしょう. 大学受験の頃のプレ模試などで日本語化していると言っていい言葉と思いますが, こういうのもラテン語なわけです. 後半の *hendo は英語にも入っていて, comprehend や apprehend があります. これも以前相対論の勉強会で話したことがあり, com は con でこれがまたラテン語由来で, 英語の中にもたくさんあります.

これも勉強会でいろいろな例を挙げつつ話していて, 今回も少し触れたのですが, フランス語はノルマンコンクエストでイングランドを支配していた歴史的経緯があり, 支配層の言葉, (当時の) 文明的・先進的な言葉として固い言葉・正式な言葉として, 英語の中に散りばめられています.

よく英語でも他の国の言葉でも, もちろん日本語でも「それで通じるが, 幼稚な表現なので避けましょう」と言われる表現や単語があります. 日本語でこれらをよくよく考えると, 割とこう日本語本来の言葉と漢字語, もっと言えば中国的な言葉に行き着きます. 英語でもフランス語由来の言葉は固い言葉・正式な言葉としてよく使われる雰囲気があり, 相対性理論の原論文のドイツ語と英訳を見比べるといろいろ見えてきます. 学術的に使われている単語で, ドイツ語はドイツ語をそのまま使っているところに, 英語だとフランス語と同じ単語が当てられていることがよくあります.

大人の格好いい英語を使いたいという人は, フランス語を勉強してみるといいかもしれません. 逆にこういう要望を持つ人向けに英仏をうまいこと絡めて勉強する方法を紹介・提案すると, これはこれで引きがあるのかもしれません. いろいろ考えて集客的なこともがんばります. 興味がある人いたら連絡を頂ければと思います.