2021-08-21 量子力学の再学習/相転移プロダクション

今回のテーマ

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すうがく徒のつどいオンラインで発表します

まだスケジュールが公開されていないのですが, 講演希望が通りました.

テーマは『理論物理学者に数学を教える上でのコツ: 「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」の経験をふまえて』です. 理論物理学者に市民が数学を教えようの会のページで動画を公開していますが, そこでの内容をピックアップして紹介する予定です. 前回参加していないのであまりよくわかっていませんが, そのうち参加者が公開されると思うので, もしあなたが興味があるならアナウンスを追いかけてください.

堀田量子に関して

いわゆる堀田量子の話です. ここまでいろいろと読み込んできましたが, 暫定的な結論として, 少なくとも初学者向きではなく, そもそも読めるのは誰なのかが気になるレベルです.

Twitter の動きを見ていても, 本に書いてある物理が薄く, 著者に問い合わせないと細かい様子がわかりません. どうも私だけではないようです. 他にいくらでも資料がある数学的付録をつけるくらいなら, Twitter でやりとりしている物理をきちんと本に書いてほしいです.

しかも脚注まで読み込むようにと堀田さん自身が明言しているのですが, あくまで補足的な内容を書くことになっている脚注に, 明確に本質的なコメント・物理が書かれています. 本の体裁といったレベルでも滅茶苦茶で, さすがに勘弁してほしいです.

私は量子情報や量子測定の面からも引き続き勉強を続けますが, もしあなたがこの本を読もうと思っているなら, 十分な覚悟の上で買うようにしてください.

確率論

いろいろな事情があって確率論を再勉強しています.

幾何と違ってある程度の基礎知識・体力があり, 幾何よりはるかに細部も概要も見えていて, 私にとっては非常に勉強しやすいです. 量子力学関係でも経路積分を使って解説されるテーマもあり, 経路積分自体が幾何との関係が強いので, 量子力学の基礎の再勉強と絡めて考えています.

私の観測範囲だと量子測定を数学的にきっちりやろうと思うと作用素論系の話もいろいろ使うので, それも改めてノートを作らないといけないかと思っています. 学生の頃に TeX でノートを作っておけばよかったと今更ながらに思っています. 一時期やろうとして, あまり時間がかかるので面倒でやめたのですが, いまボディーブローのように効いています.

リーマン面

幾何・量子力学と関連して, 改めて木村太郎さんのランダム行列の本も読み進める機運が出てきています. いまそういうタイミングなのだろうと思うので, 無理やりにでも時間を取って読み進める予定です.

読書記録は次のページにまとめているので, もしあなたが興味をお持ちなら参考にしてください.

純粋に数学としてのリーマン面の概要についても, まだ書こうと思ったことを書き切れていません. そちらを待っている方もいらっしゃるでしょう. もう少しお待ちください.

プログラミング

最近, 文系出身の方と問い合わせに関連してやり取りしていて, 「もう少し簡単なところからはじめた方がいいのだろう」という話になり, プログラミングのコンテンツをお勧めしておきました.

中高レベルの数学系プログラミングはどうしても積分やグラフ描きが出てきて, どうしてもライブラリ利用の要素が出てきます. SymPy のような記号計算もやはりライブラリに頼る必要があります.

プログラミングの厳しいところはバージョンアップ問題です. 内容が古くなるとそもそも動かなくなってしまいます. 数学は基本的な内容であるほど, 多少古びてもそこまで致命的な問題にはならないものの, プログラミングではそうはいきません. コンテンツを作ること自体はいいのですが, あまりたくさんコンテンツを作るとメンテナンスが大変になります. 個人でやっているとこれが本当にきついです.

それでも何とかなる部分はあるだろうと思って, アルゴリズム関係で競技プログラミングや ProjectEuler をやっています. 基礎知識がなくてもやりやすかろうと思い, ProjectEuler を優先的に進めていたのですが, 多少なりともきちんとした知識をもとにしないと, 大規模になったときに処理しきれないケースが出てくる問題にでくわしました.

動的計画法程度のごく初歩的な内容なのですが, 私はまだ血肉になっていない内容です. 改めてアルゴリズムの勉強を進めていますが, 一般論メインで最後に問題が少し, といった本で勉強するのがとにかく面倒です. 数学はむしろこのスタンスで勉強していて楽しくさえあるのですが, アルゴリズムだとそうはならないのが面白いというかつらいというか. しかし一般論は一般論できちんとやっておかないと, 何度も面白くない基礎理論を再勉強する羽目になるので, これもやるなら今なのだろうと考え, ここ一月くらいちびちびと進めています. そして一人だと続かないので, 別件でやっていたプログラミング・統計系の勉強会でのネタにすることにしました. 人を巻き込むともうやらざるを得なくなり, きちんと説明するためにある程度の深さの勉強も必要になり, 自分の勉強という点からは本当に効果的です.

最終的には量子力学の再学習の一環として, 簡単な行列計算に関して記号計算, シュレディンガー方程式の数値計算を使うなどの現代化も進めたいと思っているので, これはこれでやはり一連の量子系再学習の問題意識の中にあります.