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2024-04-13 本のクラウドファンディングに対するコメント募集/相転移プロダクション

今回のテーマ

記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.

  • 雑多な状態メモ
  • 本のクラウドファンディングに対するコメント募集
  • 自己共役性と自己共役拡大の物理
  • 人間が絡む難しさ: 筋トレ
  • 田崎晴明さんの論文: 温度が均一な状態への緩和

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雑多な状態メモ

量子情報入門のノートがざっと作れました. 以前も紹介した『量子情報科学入門』を一度通し読みしただけで全く詰め切れてはいませんが, なかなかよい勉強になりました.

勉強会で実際に詰めてやっている第四章「量子情報理論の基礎」は量子力学の基礎でもあり, 有限次元の線型代数の復習+量子情報から見た量子力学の定式化に対してよくまとまっていておすすめです. 付録Aとして線型代数の基礎がまとまっています. 相対性理論・量子力学は物理に興味がある人にとって二大勉強してみたい分野で, どちらも一定以上の線型代数が必要です. 大事なのがわかっていたとしても数学の本の勉強ばかりでは気分が乗らない人も多いでしょう.

特に工学での線型代数の応用となると必ずしも数学科・教養の線型代数でカバーしきれないものの, 相対性理論・量子力学は教養の線型代数・数学科の線型代数が直接役立ちます. 物理に興味があって線型代数の勉強の動機づけに悩んでいる人は, ぜひ読んでみてください.

モース理論のノートもちょびちょび見直しています. 多様体上にモース関数は大量にあり, この凄まじく大量にある個別のモース関数の臨界点が多様体の位相の情報を持っているという凄まじい理論で, 本当に何なのかとびっくりします.

ちょうど今日, 量子情報のノート作り一周目が終わったため, 次に何を読もうかと思っています. 読みかけの「層とホモロジー代数」を読み切りたいと思いつつ, 層とホモロジー代数の具体例で遊ぶために佐藤超関数にするかとも思っています. イジング模型も勉強したいし, Leanなどのプログラミングもやりたいし, 一日380時間くらいほしいです.

本のクラウドファンディングに対するコメント募集

結論から言えば節タイトル通り, (肯定的な)(応援)コメントを書いてくれる方を募集します. https://camp-fire.jp/projects/view/736890の「ユーザーの声」にあるような応援コメントです.

ulearnという会社がデジタル書籍出版に関していろいろやりはじめていて, 近々ローンチするそうです. 以前書いた中高数学の応用に関するコンテンツ, 特に役に立つ中高数学 中高数学お散歩コースに関連してこれを提供してもらえないかと相談を受け, その中で「海外含めてこういうことをしている会社(ManningのMEAP)もあって, そういう方向性の出版サポートもあると助かるのでは」という話をしたら, 実際にクラウドファンディングを軸にする方向にしたそうです.

それで私にもクラウドファンディング的な方向で何かしてもらえないかと言われ, 実際に図の挿入を含めて編集を入れた, 本としての体裁を整える方向で何かしてもらえないかとのことで, 試しに編集と図を簡単に入れたサンプルを作ってもらえました. やはり図が入ったり編集が入るととてもとっつきやすい感じになってさすがプロの編集の仕事は違うと感心しました. これを完成させるためにクラウドファンディングを実際にやってみようと思います. このプロジェクト説明ページを作る上で応援コメントが取れるなら取った方がよく, メルマガなどで応募したらどうかと言われたため, 協力して頂ける方を募集しています. 以前はコンテンツのアンケートも取っていたためそこからも取ろうと思いますが, 改めてきちんと一定のボリュームのコメントを頂けないかと考えています.

これはまだ書いている途中で追記・修正含めてもっと詰めます. 上記ページの「TODO 応援コメント」のところにコメントを入れようと思っています. このページの「ありがたいコメントの数々」にあるような数十字程度のコメントもいいのですが, 数百文字程度の少しまとまったコメントが頂けるとありがたいです.

自己共役性と自己共役拡大の物理

Twitter(自称X)で最近話題になった近藤本など割と本格的に物理でもエルミート性と自己共役性をきちんと区別する機運があるようです. 前にも書いたかもしれませんが, 改めて物理的な意義をいくつかまとめようと思います. 数学的にはさらに微妙な点があるからとは思うものの, 現時点で田崎さんの演算子の定義域と自己共役性にも書いていないように思います. きちんと説明しきるのは大変なため, この文章に書いてある内容を前提にし, 用語としては上記PDFにも引用されている新井・江沢の『量子力学の数学的構造』の用語を利用します. 結論から言えば次の通りです.

  • 適当に定義域を制限したときの作用素のエルミート性はほぼ自明である.
  • 自己共役性を保証するためには適当な意味で定義域を拡大する必要があり, これに応じて作用素の拡大に関わる厄介な数学的現象が起きる.
  • 特に, 一般に定義域ごとに別の自己共役拡大, つまり別の自己共役作用素が対応する.
  • 定義域は境界条件を含み, 境界条件は物理的な現象の設定と密接に関わるため, 自己共役拡大の多様性は境界条件が決める物理と直接関わる数学的現象である.
  • 特に自己共役性と物理には直接的な関係がある.

まず数学的に言うと, たいていのハミルトニアンや, 自己共役であるべき物理的に重要な作用素のエルミート性・対称性は自明と言っても問題ありません. 対称作用素は閉拡大できるため閉対称性まで自明です. 以下面倒なため併記せず単にエルミート性と呼びます.

自己共役性の議論では上記文献にもあるように定義域が問題です. たいていは作用素を適当に制限した定義域でのエルミート性を確認します. ここで適当に制限した定義域として典型的なのは「コンパクト台を持つ無限階微分可能な関数全体がなす線型空間$F$」が選ばれます. 直観的には「コンパクト台を持つ」は「境界で0」と読み替えてください. 標語的に言えばエルミート性が簡単に確認できるのはディリクレ境界条件です.

微分方程式の議論では初期条件と境界条件が重要です. ここでは基底状態(平衡状態)しか議論しないため, 考えるべきは時間発展が死んだ状況で初期条件は気にする必要がなく, 重要なのは境界条件です.

境界条件の設定の重要性に対して, 念のため高校の物理の例を挙げます. 振動・波動の分野で固定端・自由端の波に対する定常波の問題があります. 単純に糸の振動で実験すればすぐわかるように, 固定端か自由端かで定常波の様子は全く違います. 固定端・自由端はまさに波動方程式に対する境界条件で, 境界条件が現象に直結する様子が見えます. 定常波は波動方程式の時間変化項が死んだ状態, つまりラプラシアンの固有関数として得られ, 数学的にはラプラシアンの境界値問題と, それに付随する固有値・固有関数の議論に帰着します. ここで固有値は振動数または波長に関係します. 特に境界条件が変わると固有値・固有関数という量子力学で重要な対象にもはねる様子が具体的に見える点が重要です.

一般に量子力学のハミルトニアンでも同じです. ふつうハミルトニアンは運動量作用素を含むため, これを明確に微分作用素と捉えば微分方程式・境界値問題と固有値問題が直結します. 先の振動・波動を考えればすぐわかるように境界値ごとに現象が変わります.

コンパクト台を持つ関数は実際には「境界から少し遠いところでべったり0」の関数です. さらに上記の$F$は一般にヒルベルト空間の部分空間で, もう少し定義域を拡張する必要があります. この定義域の拡張と合わせて境界条件を設定する必要があり, 境界条件が設定された上での定義域の拡張ごとに作用素の拡張が定義されます. この自己共役拡大は物理的な境界条件ごとに別の拡張が定まるべきで, 特に空間$F$上のハミルトニアンに対して, 非可算個ありうる境界条件に対して非可算の自己共役拡大が存在します.

この議論は数学的にはnotorious domain problemと呼ばれるほど厄介で有名な問題である一方, 数学が確かに物理現象を記述できるなら当然満たすべき性質です. この面白さは私が数学方面に進んだ理由の一つでもある一方, 物理の人はもちろん数学・数理物理の人もあまり言及しない議論であるため, 改めて紹介しました.

人間が絡む難しさ: 筋トレ

先週末, 柔道の稽古中に骨折(ひび)してしまったため, この一週間は何もできていないのですが, 去年柔道を再開してから改めて筋トレしています. 何度も書いている話ではあるものの, やはり面白いので何度でも書こうと思います.

筋トレ関係はいろいろな人がいろいろなことを言います. 生物・医学系の話題は体質やら何やらで恐ろしく多様性があり, ある人にとって良い方法が極端なくらい他の人には不適切な場合があります. 数学や物理でも勉強法のような形で多様性があるものの, 事実それ自体に関してはかなり固いためなかなか大変です.

そうは言いつつある程度までは物理実験の趣もあり, 実験と関係する試行錯誤が非常に楽しいです. プログラミングを含めて具体例の検証といった意味での実験は数学でも日々取り組んでいますが, 実験はいいですね.

田崎晴明さんの論文: 温度が均一な状態への緩和

学習院大学田崎晴明教授一人だけの研究グループは、一次元固体を模した単純な量子多体系モデルにおいて、全エネルギーがほぼ一定で温度の不均一な任意の状態が長時間の後に温度の均一な状態に緩和するという驚くべかない現象が生じることを未証明の仮定を用いず証明しました。 https://arxiv.org/abs/2404.04533 この研究成果は熱いコーヒーを部屋に置いて冷ますなど様々な応用につながることが期待されます。 モデルと解析の詳細は『熱は高温から低温に流れる』という題のノートにまとめられ、arXiv で公開されました。

まだ読めていないのですがメモを込めてシェア. 非平衡状態では温度の定義自体が非自明なため, それに関する処理やどこまでが前提になっているかなど楽しみです.

メモ

フラクタル構造と数論

佐野薫さん・竹平航平さんと共著論文を書きました! 画像はマンデルブロ集合というフラクタルの代表例ですが、このようなフラクタル構造を数論の立場から研究しました! 以下で研究内容を詳しく述べてみます。 この研究では f(z) = z²+c など様々な多項式の周期点を考えます。周期点というのは、

アルティメット限界ラーメン

アルティメット限界ラーメン

水に醤油や味の素を加えるだけで作るラーメンを"限界ラーメン"と呼ぶ

それをさらに超えた簡単さで、お店レベルのラーメンを作る術が爆誕してしまった…

味の素の「休日だし。」ほたて貝柱だし、が凄まじく美味かったので、コレだけで限界ラーメンを作りたくなった

まず、休日だし。だけでラーメンを作るための計算式を作ってみた

<ラーメンスープに必要な塩分濃度>

  • ラーメンの塩分濃度1.2%
  • ラーメンスープ350g×1.2%=4.2g
  • →4.2gの塩分が必要

<休日だし。の使用量>

  • 休日だし。→塩分濃度は2.1g / 1包中
  • 休日だし。12g(2包)→塩分4.2g

<スープに必要な休日だし。の量>

  • 休日だし。12g+水350g=塩分濃度1.2%
  • →ラーメンスープの味!

そして…コレがアルティメット限界ラーメンのレシピだ!!

【材料】 . - 水 350ml - 休日だし。:ほたて貝柱だし 2包 - 油(オリーブオイルがベスト) 約小さじ1 - 麺 1玉 - ネギ 好みの量

【作り方】

  • ①水にほたて貝柱だし2包、油を入れて沸騰させる
  • ②麺を茹でる
  • ③丼にスープ&麺を入れてネギを乗せる
  • 完成

コレ、マジでヤバい… 僕はラーメン屋として自信をもってお店レベルの味だと断言できる

休日だし。のほたて貝柱だしは本物の干貝柱がちゃんと入ってるから、旨味と風味がかなり自然 一口スープを啜って、マジで驚いた うますぎる… うちのスタッフ(元塩ラーメン屋店長)もかなり驚いてた… 絶対試して

『圏論による論理学 高階論理とトポス』清水 義夫(東京大学出版会)

『圏論による論理学 高階論理とトポス』清水 義夫(東京大学出版会) 関数概念を基本として現象をとらえようというこの方法を,関数型高階論理とトポスを題材にして丁寧に解説する.論理学の観点を中心に,圏論の考え方を紹介するテキスト.

鴨浩靖さんによるユークリッド原論へのコメント

-URL

ユークリッド原論がいうほど論理的にかちっとした本ではないことは19世紀後半には常識に近くなっていて、数々の改良案が出ていたようです。ドジソン(ルイス・キャロル)『ユークリッドと彼の現代のライバルたち』を読めばその辺りの詳細がわかるのかな。 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7031.html ユークリッド原論の瑕の修復作業の集大成といえるのが、ヒルベルト『幾何学基礎論』です。原論にあった論理の飛躍はすべて消えています。ただし、瑕を修復できることを示しただけで、そこで示されている体系は研究対象としては不便なものです。https://chikumashobo.co.jp/product/9784480089533/

ヒルベルト『幾何学基礎論』の不便なところその1: 二次元では点と直線が、三次元では点と直線と平面が無定義語で、次元を上げるごとに無定義語を増やす必要がある。

ヒルベルト『幾何学基礎論』の不便なところその2: 直線は無定義語だが線分と半直線は点の集合なので、線形な図形を統一的に扱うには無定義語の直線とは別に点の集合としての直線が必要になる。

タルスキーによるユークリッド幾何の公理化には、ヒルベルトのものにある不便はありません。実質的には線分も基本概念ですが、形式的には点に関する述語のみからなっています。次元を上げることも次元公理を替えるだけでできます。 残念なことは、タルスキーによる公理化から始めるユークリッド幾何の公理的構成の教科書がまだないことです。誰か書いてください。

横浜ガンダムと富野由悠季のコメント

横浜ガンダム、出口に用意した文章がコレって所にやっぱりこう、富野由悠季という男の真骨頂がありますよね。

書き起こし

見に来てくださってありがとう

今日、実物大のガンダムを見に来てくださって、「あれ、歩かないのか、つまんないな」と思った君には、心からごめんなさい、とあやまります。 本当は、この大きさで歩くガンダムを造りたかったのですが、おじさんたちができることは、ここで見られる以上には動かせなかったのです。 本当にごめんなさい。

数年前に頭だけ動くガンダムを造ってみて、もっと動かせるだろうと思ったおじさんやおばさんたちがいっぱい、いました。 それでビルなどを作るときに使われる建設用の機械を作っている人たちや、二本足歩行のロボットを作っている人たちとも相談しました。どこまで動かせるのか、と考えたのです。そして、分かったことがあります。歩かせようとすると足の裏を地面から浮かせなければならないのですが、ガンダムの大きさでは歩かせることができないということだったのです。歩くロボットが作れるようになったのに、なんでできないの?と不思議に思ったでしょうが、人の大きさならできるのですが、ガンダムの大きさでは、片方の足が地面から浮いている時間が長すぎるので、倒れてしまうのです。

そして、実際の大きさのガンダムができる"動かし方"を研究した結果が、ここで皆さん方が見ることができる"動き"なのです。

こんな動きしか、させられない、というのには、理由があります。 物が地面に落ちるのは、地球に重力というものがあって、それに引っ張られているからです。これを防ぐ方法はありません。 逆に考えれば、テーブルの上にコップを置いておけるのは、重力があるからです。 スカイツリーのような高い塔は、倒れないだけの強い鉄骨の材料を組み合わせて、強風にも地震にも負けないように頑丈に作られています。塔の足元はとても頑丈な足場で、地面のなかに埋まっています。そのために、絶対に動かすことができません。

大型のトレーラーは動きますが、車輪を使って地面から浮かないようにして、さらに、タイヤを使うことで、振動が車体に伝わらないようにして、荷台に乗っている荷物がゆれないように工夫されています。

ガンダムは人の形をしていますから、動くのなら"歩く"ということになりますが、足の裏が地面から浮いてしまう時間が長いのが欠点になって、動かすことができないのです。

ごめんなさいと言わせてください

もちろん、足の裏に地面との距離を測るセンサーや、全体のバランスを知らせるジャイロスコープといった機械を取り付けて、それらのデーターをコンピューターに集めて、体の向きや傾きを修正させるように各部のモーターを動かしてバランスを取ることができるのですが、ガンダムの大きさでは、とてもとても難しいのです。 もっと軽い材料やもっと優れた機械があれば、とも考えましたが、現在、建造できる動くものは、ここまでのものしか出来なかったのです。 なによりも、ガンダムの高さの大きさのものを"乗り物"と認めてくれる法律がなくて、"建造物の法律"にしたがって造る必要があったので、絶対に倒れてはならないものを造る必要があったのです。 ですから、整備塔のようなものの一部としてのガンダム、にしなければならなかったのです。

二本足で歩かせることができなかったので、悔しいと思っています。ですから、君たちにお願いしたいことがあります。 もっと乗り物として動かしたいと思う人は、このガンダムを見上げて、解決しなければならない問題がいっぱいあるのだ、という想像をして、その解決策を考え出してほしいのです。でも、今回、ここまでしか動けないガンダムですが、 建設に関係したスタッフはみんなで、造って良かったと思っています。 なぜなら、これだけの大きさの人の形が、ゆっくりしか動けないのですが、そのゆっくりさがとても似合っていて、やさしいなぁ、と感じているのです。 本当は、アニメのように早く動くとか、スポーツ選手のように格好良く動いて欲しかったのですが、それだけでない "優しいガンダム"を見上げられることができて、ちょっと幸せな気持ちになっています。 これは、造ってみるまでは、誰も想像できなかったことなのですが、それはそれで、楽しいことだと思っていますので、楽しんで下さいとお願いします。 本当に、今日は、 見に来てくださって、ありがとうございます。

機動戦士ガンダム 原作者

富野由悠季 でした。

2020年12月19日

環から位相を作る

クロハゲワシと天狗

アカデミック英語とEverything You Need to Ace

アカデミック英語を身につけるには英語圏の中高レベルの教科書がベスト。Everything You Need to AceにはGeometryやBiologyを含め、高校生用の教材もある。ただ、中学と比べ格段と難しくなってるので中学から始めることをオススメしたい。

かわいいのルール

オッサンだけどKindle版買ってみた。至極当然の内容が描かれていながら、「お前はこんなことも出来てないんだぞ」と毎ページ突きつけられる厳しい本。

岩波ジュニア新書を読もう

【お願い】 岩波ジュニア新書を読んで!!! 岩波ジュニア新書を読んで!!! 岩波ジュニア新書を読んで!!!

『砂糖の世界史』以外にも!!

絶版本の中にもめちゃくちゃ面白い本があるよ!!

読んでみてね😂

早水桃子 講義録

開成中学・高校の数学特別セミナーで私が昨年講義したときの講義録が公開されました👩‍🏫開成の数学科教諭の穂坂秀昭先生が私の雑談や講義を全て文字起こしして読みやすくまとめ上げてくださった超大作です😮穂坂先生ありがとうございました! ▼リンク先の一番下のPDFです📃✨ https://kaiseigakuen.jp/about/contents/feature/mathematics/

アーノルド: 五次方程式と正20面体,そして楕円曲線

アーノルドが5次方程式の不可解性の証明を高校生に向けて講義してたらしい.ロジャーズ・ラマヌジャン連分数はじめ,j不変量,不変式論など総登場で楽しめる. 附録は楕円函数による5次方程式の解法の5ステップアルゴリズム.

次の本が参考になるかと思います:

ナースの有給消化

ナースが退職時に有給消化できないあるある。Xに病院名バンバン晒して欲しいよね

厚労省のHPから匿名で通報できるから、みんなバンバン通報した方がいい。私は以前に通報して、後日職場に是正勧告が入ったよ。 https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/roudoukijun_getmail

You Don't Need AWS ~お前にAWSは必要ない~

ちいかわにおいて鳥が飛ぶのはキャラが死んだ時

このファンアートの意味するところを理解できてしまって、西洋絵画における羊とか鏡とか髑髏とかそう言ったシンボルを知ってるとより深く知れるみたいな話を思い出した

「ちいかわにおいて鳥が飛ぶのはキャラが死んだ時」らしい これこれこれ これだよ西洋絵画鑑賞のいいところって

2024-03-10 高校物理は本当によい/相転移プロダクション

今回のテーマ

記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.

  • 非有界作用素の代数
  • 高校物理は本当に良い
  • 量子情報を詰めたい
  • 広義一様収束のための関数論
  • 英会話のための英作文学習

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非有界作用素の代数

これらのことを考慮した場合,場の量子論の数学的構造を研究するにあたっては,あらかじめ表現を特定しない方法が有効になる可能性がある. このアイデアは,$C^$代数やvonNeumann代数を用いる代数的アプローチによって展開された[14]. $C^$代数やvonNeuma代数は有界演算子の代数として表現される. しかし,ハミルトニアンや量子場は一般には有界演算子であるとは限らない. そこで,非有界演算子の代数を直接扱うことも考えられてしかるべきである. この方向の研究はSckmtidgen[34]を中心にして展開された.

作用素環論は非有界な作用素も有界作用素で近似できるようにノルム位相じゃない弱い位相を考えるわけなので、その説明はおかしいでしょ(´・ω・`)

意図がよくわからないのですが、適当な弱い位相にしても有界作用素で非有界作用素を近似できるというのはどの程度の意味でしょうか。

これを読んでそんな気がしたんですが、これは有界作用素を近似する話でそんなことは書いてないので、何を読んだんでしょうね…(´・ω・`)

あまり興味ないと思いますが、 元のツイートでの話として非有界作用素がなす代数として実際に研究されている(いた)例に例えばO*-algebraなどがあります。 $e^{itH}$の形の有界化だとCCRといってもアハロノフ-ボームなり何なりでちょっと嫌な問題があるため、有界化したくない動機が(数理)物理的にはあります。 指数関数ではなくレゾルベントを使った手法もあるにはあって https://core.ac.uk/download/pdf/82235866.pdf が私が知る限り初めての論文です。 これを使って(自由場の)BECを試しに考えてみた https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/251612/1/2089-13.pdf のもあります。 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/mana.19951720113 非有界版のO*だと冨田竹崎が議論できるらしく、学生時代に読もうと思って挫折した記憶だけがあります。 この著者の人、場の量子論の数理に向けて汎関数微分方程式を議論しようとしていたり、なかなか趣味が奇特な人だという遠い記憶があります。

冨田-竹崎理論は本当に好きな理論で, 非有界版の冨田-竹崎理論はいまでも興味があります.

冨田-竹崎理論はBratteli-Robinsonで巡回ベクトルの存在下での議論しかしたことがなく, 場の量子論の散乱理論で荷重を使うようで, 荷重に対するフルの冨田-竹崎理論をきっちりやりたいとは今も思っています.

冨田-竹崎理論は本当に面白いので, 興味がある人はぜひ勉強してみてください. 量子統計から見ても場の量子論から見ても直接的に物理といろいろな関係があるため, 遊び倒せる要素しかありません.

高校物理は本当に良い

高校の物理の教科書って馴染みのある現象に対して、一見現象論的法則を紹介しつつ、その法則の適用範囲が非常に広いものだと暗に仮定しながら微積の背景にあるような変化量の計算を念頭に置きながら、高校生時点で可能な計算を貼り付け合わせて、それらしく演繹を行うかなりの芸術品だと思ってる。 芸術品としてはすごいのだが、その凄さゆえに誰も真には消化できない何かになってて、どの学校に行っても易く消化できるようにコンテンツが改変されざるを得ないのが現状なんだろうなと。すなわち、敢えて微積を使って諸々の定理の枠組みにいろんな結果を落とし込むか、そもそも理論性を諦めるか。 こういうことを考えるとどの学校に行くのかで何を教えるかを変えていくことを認めることになるんだけど、激しく分けちゃうと求めている教え方をしてくれない環境に入った人に不幸な世界になるのでそれもそれで悩ましいところ。 物理教えるのも難しいよ。

僕の高校物理に対する見方も、これとかなり近い。あれは良くできている。

高校物理の良さを一点にまとめると「依存パッケージを最小限にする構成」と要約できると思う。あれだけ広範囲の事象に対し、高1程度の数学だけ使って、「物理」を失わず定量的に議論できるのは、まさに芸術だよなぁと思う。

たびたび同じことを書いとるな。繋げとこう

これは思う。「微分方程式こそが力学の本質だ!」みたいな立場が目立つけど、僕はむしろ「何がどう動くのか分かる」ことが重要だと思ってる。そして自然界に普遍的に存在する逆2乗則の状況は、微分方程式まで遡らずにそこそこ議論できて、そのミニマルな自然感を植え付ける上で高校物理はよくできてる

なんか大学一二年の頃は高校物理クソやと思ってたけど、歳を取ると「最小のツールで本質をえぐり出すような理論構成」の意義が分かってきた。そういう立場で周りを見渡すと、高校物理や高校数学は本当に良くできてて、そうして作った(専門家以外を対象とする)理論ミニマムには、極めて大きな価値がある

高校数学・高校物理・高校化学は本当によくできてて、十分な存在意義がある。大学1,2年生あたりが「高校の数学/物理/化学はクソ」などと言いがちだが、それは若すぎでございますね。ああいう「習得するための必要知識が少ない閉じた有効理論」の価値が分からんようではマダマダよ

この世界のダイナミクスはどうしようもなくコテコテの微分方程式なので、なにか理論を作ると何でもかんでも微分方程式になってしまう。それでは辛いので、対象を限定して微積分を隠蔽し、初等的な関数の加減乗除で閉じた簡単な理論が欲しくなる。その成功例が高校物理の教科書なのだろう。抽象化だわな

解答略さんは

  • 依存パッケージが少なく、独立して動く
  • 必要最小限のコード量・内容量
  • そこそこ広いユースケース

みたいなのを好む。ソフトウェアに限らず、様々な分野の良い教科書や、高校物理、高校数学などもこれに該当する。

これに関して私は高校物理に非常に肯定的です.

高校物理、どちらかといえば手元にある最小限の道具だけで無理やり全てを処理している点で大学の物理と大して変わらないという気分があるが、自称物理の人たちはそんなに色々数学がわかっていてできるつもりでいるの?

高校物理の数学的記述が気に食わない各位、文句を言っている暇があったらもっと物理に役立つ線型代数でも勉強していればいいのに、くらいの気分がある。 もっと言えばファラデーよろしく、数学がなくても何とかなる人類史に残る実験の提案でも考えていてほしい。もっと物理に時間を割いてほしい。

私が大学院で志した内容自体, 物理のために現代数学では足りない部分をゴリゴリに詰めて, 必要なら数学を作るというスタンスで挑んでいて, 大学に行けば道具が調達できるか, 道具を自作しなければならないかくらいで高校物理と大学物理にあまり感覚的な違いがありません.

量子情報を詰めたい

以前も紹介した量子情報科学入門, 線型代数学習補助として勉強会で第四章を進めていてもう少しで終わりそうです. 非常によいです. それとは別にとにかく読み進めてノートを整備していて, あと少しで付録を除いて最後まで読み終わります.

時々「学部低学年で線型代数をもっと勉強しておけばよかった」という話を目にします. ただし線型代数は恐ろしく多種多彩で, 教養の線型代数ではカバーされない応用的な話題はたくさんあります. 例えば統計学や工学系・数値計算では特異値分解などの話題がありますが, これは教養の数学ではまず触れられないでしょう.

こうした話題を勉強したいならあまり役に立ちませんが, 教養の線型代数を勉強したいなら量子情報の勉強はとても役に立ちます. 上掲書で言えばまさに第四章の内容です.

対角化の抽象化にあたるスペクトル分解がいたるところで使われています. 教養の線型代数がわかっていれば何ということはない一方, わかっていないといたるところで躓くでしょう. もっと一般に物理が勉強したい人にとっても役立ちますし, 何より量子力学を勉強してみたい人には直接的に役立ちます. 巻末付録の線型代数も知識の総ざらいにはちょうどいいでしょう. お勧めです.

勉強会つき通信講座もそろそろ再開しようかと思っています.

広義一様収束のための関数論

教養の微分積分で各点収束と一様収束の話がよく出てきます. 数学科でもない限り知らなくてもほぼ困らないでしょう. それはそれとして一様収束のご利益を知りたい人はぜひ一変数関数論を勉強してください. モレラの定理と(リーマン)積分の(広義)一様収束に対する極限交換のおかげで, 正則関数列の広義一様収束極限は正則です.

一般に微分可能な関数列であっても一様収束極限は連続にしかなりません. しかしモレラの定理によって正則関数列の一様収束極限は正則です. さらにモレラの定理は(適当な追加設定のもとで)任意の閉曲線上で成り立ち, これが広義一様収束にまで収束がゆるめられる理由になっています. この事情がいたるところで使われるため, 関数論を勉強すると広義一様収束の使い出のよさがよくわかります.

英会話のための英作文学習

前回書いたように改めて英会話, 特にスピーキングのための英作文を勉強中です.

日記をつけてみるとかいろいろ言われますが, 結局困っているのはいい感じの日本語文を作るのが大変です. そこで大学受験の英作文系教材を買ってきました. 日本語でよくある, しかしなかなか訳しにくい程よい日本語がたくさん載っています.

ただ解答案の英語がいろいろな点でよろしくないです. 例えば次のような理由があります.

  • いかにも日本人が書いたような英語でまわりくどい.
  • 受験生の不安を解消させるためか, 全ての単語をうまいこと訳文に盛り込もうとしてくどい. 例えば「本当にすごい」という文にいちいち really を入れる. なるべく簡潔な英語にしたいため無くても通じる単語はバリバリ削りたい.
  • 一文一文が長い. 特に関係代名詞を使った複雑な文を書きがちで, こんな文は英会話素人が口頭でさっと作れない.

とにかく英語が気に入らないため, DeepLやChatGPTも併用して口頭でさっと言えるような形に書き換えて, それで勉強を進めています. いま次のページで実際に練習しているのを公開しています. 興味がある方はぜひ使ってください.

英語以外は試しに一緒にChatGPTで生成してみて突っ込んだだけで, 内容は全く確認できていません. これは私が所属している語学・言語学のコミュニティ向けの試作です.

2024-03-03 筋トレの感覚で柔軟性を上げる/相転移プロダクション

今回のテーマ

記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.

  • 筋トレの感覚で柔軟性を上げる
  • モース理論の本を一通り読み終えた
  • 改めて英語のスピーキングを学習再開
  • 定理証明手習いを読みたい

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筋トレの感覚で柔軟性を上げる

(世間的な意味で)コロナ禍が明けてから柔道と筋トレを再開しました. その中で怪我を防ぐために柔軟性も上げなければと思いつつ, いわゆるストレッチは長続きしなくて困っていたところ, 次の動画を見つけて試してみました.

試してみて本当に立位で手が床について感動しました. 寝て起きるとまた身体の硬さがすぐに戻ったものの, 数日くり返すと前よりも楽に手が床に着くようになってきました. 「筋トレの感覚で柔軟に挑む」という手法が面白いです.

「前に倒そうとするより腰から曲げる感覚でやるとよい」と言われたことは何度かあったものの, 実際にどうすればいいかというところで実践的でした.

これが何より参考になったのは即効性です. どんなものか試しやすく, 実際に10分程度で「柔軟性」が上がったため「がんばるともっとよくなりそう」という感覚が得られるのはやはり継続性に強く効きます. ちょっと時間があるときに簡単に試せるのもありがたいです.

数学・物理でも同じようなのがあったらいいなという気持ち.

モース理論の本を一通り読み終えた

コメントをもらったので念のため. Twitterで書いていたためメルマガでも書いていたような気がしていましたが, 読んでいたのは次の本です.

ようやく一通り読み終えました. 当然一通り読み終えただけで細かい部分で全く追いつけていない部分が大量にあります. ただ, 面倒ではあるものの(TeXで)ノートを取りつつ読むと嫌でもある程度読むペースが落ち, ある程度まで細かい部分の様子を掴みながら読み進められるため, モース理論の概要はだいぶ掴めました. やはり非常に面白いです. これだけ面白いならもっと前からきっちり勉強しておくべきだったと思っています.

どうしようかと迷ったものの, 微分位相幾何の用語の日本語の確認のため, ハーシュの微分位相幾何の本の和訳も買ってみました. これもそのうちノートを取りつつじっくり読みたいですね.

不思議なことに, もとの本を読んでいるとよく面倒になってくるのですが, 自分のノートはもとの本を読むより集中力が続いて読めます. あくまで私の場合ではありますが, 勉強をきちんとしたいならやはりノートを作る方があとあと勉強に取り組みやすくなります. 特にTeXだとあとで気付いていなかった行間を埋めるのも楽です.

改めて英語のスピーキングを学習再開

先日大学のOB会のお手伝いで留学生を皇居の一般参賀に案内する会に参加しました. 留学生の人達も日本語を勉強してはいるものの, 特に理工系は英語の方がよほど楽にコミュニケーションできます. 英語を聞く分にはあまり問題ないのですが, 訓練していなかったためスピーキングはからっきしです. 留学生にいろいろな話を聞いてみたいのもあるためスピーキングを勉強しはじめました.

会話・スピーキング以前にまずはもっと口を慣らす必要があるため, 中学生向け・高校入試くらいの文章を読みつつ, 和訳を見ながら対応する英語を暗記して読み上げるくらいのところからはじめています. 一般的な英会話に関連して何かよいコンテンツ・本があれば教えてください. まずはとにかく簡単な内容からはじめないといけないと考えています.

どうしてもふつうの本だと面白くなく飽きてしまうため, 主にライティングの勉強として何かいいのがないかと探していたとき, ナショジオの英語のサイトなど中高生向けの記事を使って勉強していました. 一般の理工系向けだと必ずしも趣味・興味の合わない内容も多いため, やはり自分が面白いと思うのを自作するしかないとも思っています. これはこれで進めようと思っています.

定理証明手習いを読みたい

Leanを勉強しようと思いつつ, なかなか気分が乗らないため何かしらクッションを置こうと思って, 「定理証明手習い」でも読もうかと思っています.

検索していたらこのシリーズにThe Little Typerというのもあるとか.

あとは型システム入門もきちんと読み切れていないため, これもきちんと読みたいですね.

メモ

麻枝准さん「夢ではなく、泣きゲーは十字架。死ぬまで背負い続ける覚悟はできている」

当時kanonに脳を焼かれた身としては、麻枝氏の過去よりも久弥氏の今が気になる記事だった » 麻枝准さん「夢ではなく、泣きゲーは十字架。死ぬまで背負い続ける覚悟はできている」 沼る 夢中の極み 「泣きゲー」インタビュー(下) - 産経ニュース

記事1

「泣ける」ことが映画・ドラマの売りとなって久しいが、ゲームの世界でも感動でプレーヤーを魅了する「泣きゲー」が長年人気を博している。その立役者の一人が、「AIR」「CLANNAD」(クラナド)などの人気美少女ゲームを手掛けたシナリオライター・作曲家の麻枝准(まえだ・じゅん)さんだ。今月2周年を迎えたRPG「ヘブンバーンズレッド」(ヘブバン)でもメインシナリオを担うなど活躍を続ける麻枝さんが、四半世紀にわたり「泣きゲー」を作り続けてきた理由とは―。

自分は「はずれ」ライター扱いだった

子供の頃からパソコンを通じてゲーム作りに親しんできた麻枝さん。美少女ゲーム業界へと歩みを進め、後日「泣きゲーの元祖」と呼ばれるようになる始祖的作品の一つ「ONE~輝く季節へ~」(平成10年)のシナリオを手掛けた。

「やはりクリエーターとしては、人の心に残るものを作りたい。それには、その人の感情を強く揺り動かす必要がある。人の感情に一番響くのは『泣く』ことだし、日常から切り離された別の世界のドラマを体験するのは心地良いことでもある。自分の武器は、文章と音楽を合わせて(ユーザーを)『泣かせられる』ことだと思っています」

時は1990年代後半。美少女ゲームブランド「Leaf」が手掛けた「痕」(きずあと)や「To Heart」が業界を席巻するなど、魅力的なヒロインたちとの疑似恋愛を楽しむ美少女ゲームも「ストーリー性、シナリオで魅せる」時代に突入していた。

「えいえんの世界」などの抽象的かつ文学的な要素をストーリーに織り込んだ「ONE」は当時、ゲームファンの間で反響を巻き起こした。後に「Fate/stay night」でシナリオを手掛けた奈須きのこさんをはじめ、「ONE」の影響を公言するクリエーターも多い。麻枝さんも同作について「泣きゲーという〝文化〟を生み出した作品」と語る。

「『茜(ヒロインの一人)シナリオで泣いた』『号泣しました』…。これまで見たことがない熱量のアンケートはがきがたくさん届き、すごいことが起きているな―と実感しました。でもはがきをよく見ると、褒められていたのは自分ではなく、久弥直樹君というもう一人のライターが書いたシナリオ。自分は『はずれのライター』扱いでした」

麻枝さんは久弥さんのことを「天才」と呼ぶ。その功績は「『感動』で多くのファンを獲得した点」にあるという。

「久弥君のシナリオに魅了されたファンが、さらなる感動を求めて次回作を期待する…という流れが生まれたんです。これは彼が成し遂げた、すごくエポックメイキングなこと。『泣きゲー』というジャンルを生み出したのは久弥君だと思います」

僕の泣かし方は鈍器で殴るようなもの

その後2人は、コンテンツ制作会社「ビジュアルアーツ」に移籍し、美少女ゲームブランド「Key」を設立。雪の降る街を舞台に、高校生たちの恋愛模様をファンタジー要素を交えて幻想的に描いた「Kanon」(平成11年)のシナリオを共に手掛けた。

久弥君には負けたくない―。麻枝さんはこの一心で久弥さんのテキストを研究。ユーザーの支持を集める「泣きゲー」を分析し、学んでいく。「自分も次は、全力で(ユーザーを)泣かす、泣かしにかかろう…と思っていましたね」

麻枝さんには今でも忘れられない瞬間がある。公式ホームページの掲示板の最初の書き込みが、「真琴で号泣した」だったのだ。真琴とは、麻枝さんが「Kanon」でシナリオを担当したヒロインの一人。「そのとき初めて自分も『泣きゲー』を作る側になれたと思えました」と振り返る。

当時、Keyの二枚看板としてファンの間で名をはせた麻枝さんと久弥さん。麻枝さんは2人の作風の違いをこう分析する。

「久弥君はテクニカルなんです。(シナリオに)伏線に伏線を貼って、『Kanon』でいえば(終盤の)『…ボクのこと、忘れてください…』というセリフで、(ユーザーを)ガーンと泣かせる。確かな技術を持った、『泣かせることの天才』なんです」

「自分はその逆で、(シナリオの)技術がない。ただ、作曲はできるので、泣ける雰囲気に持っていった後に、伏線とは関係なく唐突に、ドカーンと泣ける曲やバラードをタイミングよく投下して泣かせる。大きな鈍器で殴るようにして涙を流させるというか、力技なんですよ。自分にやれることは、それしかない」

後に「伝説の泣きゲー」とも呼ばれことになる「Kanon」はヒットし、アニメや漫画など他メディアにも展開。だが、その矢先に思わぬ出来事が起きた。同作を作り終えた後に久弥さんがKeyから独立したのだ。

「(当時の)Keyというブランドのファンは、実際はほぼ久弥君のファンだったのに、残されたのは自分だった。本当は自分も(Keyを)辞めて一から自分のブランドを作ろうと思っていましたが、馬場(隆博)社長から『残ってくれ』と頼まれたんです。それで当時仕方なく、という形でKeyに残り、作ったのが『AIR』という作品でした」

自問自答の末、できたのが「AIR」

久弥さんの独立を受け、Keyを牽引(けんいん)する立場に立つことになった麻枝さん。その後は会社に寝泊まりし、「泣きゲーとは何か」という自問自答の日々を送る。「自分なりに泣けるゲームを何とかして作ろうとあがいた」末の努力が結実したのは平成12年。海辺の田舎町にたどり着いた青年と少女たちのひと夏の物語と、1千年前の記憶が交差する「AIR」だ。

「AIR」から。「…もうゴール、していいよね」に代表されるヒロインの言葉が多くのユーザーの涙を誘った©VISUAL ARTS/Key「AIR」から。「…もうゴール、していいよね」に代表されるヒロインの言葉が多くのユーザーの涙を誘った©VISUALARTS/Key

同作が当時衝撃的だったのは、美少女ゲームにもかかわらず、ヒロインの一人が死亡したまま物語が終わるなどしたためだ。後に京都アニメーション(京アニ)によりアニメ化もされ、人気を博した。ただ、麻枝さんは同作を「京アニさんのおかげで神格化された作品」だとし、「多くの人の期待に応えられる作品だったかというと、そうではなかった」と振り返る。

「鋭り過ぎた作品を作ってしまったという実感があったんです。実際、エンディングなどをめぐって賛否両論や考察合戦も巻き起こりました。本来、自分は〝間口〟の広い作り手ではない。本当に刺さる人にだけ刺さるものを作る、ニッチな作家性を持ったクリエーターだと思っています」

麻枝さんは、「泣きゲー」を作り続けてきた自身の歩みをこう振り返る。

「自分は『泣きゲー』を作ったのではなく、久弥君が残した『泣きゲー』という文化を引き継いできた。ずっと追い越せなかった彼の背中を、25年追いかけて、追いかけて…。ずっと『泣きゲー』だけを作り続けてきた人生です」(本間英士)

(下)泣きゲーは十字架

泣きゲー

「泣けるゲーム」を指す言葉。厳密な定義はないものの、イラストや文章を通じてヒロインたちとの恋愛を疑似的に楽しむ「美少女ゲーム」の文脈で語られることが多い。特に話題になり始めたのは、1990年代後半。「To Heart(トゥハート)」などの先駆的作品をへて、平成10年の「ONE~輝く季節へ~」や、11年の「Kanon」が、いわゆる「泣きゲーの元祖」とされる。

2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」といった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。「泣きゲー」の影響を公言する人気クリエーターも多く、その影響は漫画や音楽、アニメなど他のメディアにも拡大。世界にもファン層を広げている。

「沼」とは?

没頭することで日常から切り離され、仕事や人間関係の憂いからも解き放たれる…それが「趣味」である。そんな趣味世界の深淵をのぞき込んだ人たちが共通して感じるのが、自分たちは今「沼」にはまっているという感覚。ゴールの見えない収集趣味、創造性が高く技術と知識の研鑽が必要な趣味。現代社会を心豊かに生きるために必要な「趣味の世界」に心酔し、抜けるに抜けられなくなった人たちの、苦しくも楽しい「沼」を紹介する。

記事2

「ヘブンバーンズレッド」から。伏線の回収の見事さと、声優の迫真の演技も評判となったⒸWFS ⒸV/K

「泣きゲーの金字塔」と呼ばれる「CLANNAD」(クラナド)などの作品を手掛け、長年にわたり「泣きゲー」人気を牽引(けんいん)してきたシナリオライター・作曲家の麻枝准(まえだ・じゅん)さん。今後も「泣きゲー」を作り続けたいと語る。ただ、麻枝さんにとってそれは、夢や目標などではない。四半世紀前から今もなお背負い続ける「十字架」なのだという。

(上)追いかけて追いかけて

一番感動できるゲームこそ「人生」だ

平成12年発売の「AIR」は大きな話題を呼んだものの、麻枝さんの中では「鋭り過ぎた作品を作ってしまった」という思いが内心残った。「『泣きゲー』のコツを学んだ」という麻枝さんは、16年に「もう少し一般ユーザーに寄せた作品」を発表する。「泣きゲーの金字塔」として日本ゲーム史に名を刻む「CLANNAD」だ。

美少女ゲームは通例、ヒロインとの交際開始をもってエンディングを迎える。だが、同作は全く違っていた。ヒロインの一人と付き合い始めてからがむしろ本番。結婚や仕事、大切な人との死別、子供との関わり…など、「その後」の要素を情感豊かに描いた。

当時、「美少女ゲームなのにその後の人生を描くなんて訳が分からない」などの反発も社内で巻き起こったという。だが、麻枝さんは自身の考えを突き通す。

「当時は『君が望む永遠』など、泣けるゲームの全盛時代でした。学園パートだけでは従来の美少女ゲームの域を出ないと思っていたし、何より自分が一番感動できるゲームを考えたとき、それは『人生』を描くことだと思ったんです」

「CLANNAD」の人気は京都アニメーションによるアニメ化によってさらに加速。インターネット上では「CLANNADは人生」という言葉も生まれた。実現はしなかったものの、企画段階では老後までを描く予定だったという。

「就職してからの人生の苦節、愛する人の死、残された子供との関わり…。これはきっとすごく泣けるものになるぞ、と息巻いて作った作品でした。学園ドラマの枠を超え、人生を描き切ったという意味で、当時自分が作ったゲームの完成形だったと思いますね」

「サブカルの最先端」がそこにあった

1990年代後半から2000年代にかけ、多くのゲームユーザーから支持を集めた「泣きゲー」。麻枝さんは人気の理由を「サブカルチャーの最先端がそこにあった」からとみる。

2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」などといった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。ファンたちはこのビッグウエーブに乗り、二次創作も活発化した。

「一般の人が知らないところでこんなに感動できるものがあり、自分たちだけがそれを楽しんでいる…。一種の誇りがあったと思います」

これまで手掛けた作品では、「死」を描写することが多い麻枝さん。ただし、「死が重要なのではない。むしろ、大切なのはその後」と力を込める。

「大切な人がいなくなり、いつまでも続くと思っていた日常が突然変わってしまった。そうすると人はいったいどうなるのか…を描きたいんです。『CLANNAD』で言えば、(最愛の人が亡くなった後に)両親はどうなるのかや、残された子供はどうなるのかの方が描きたいドラマでした。ただ、安易に人の死を扱うつもりはありませんし、実際に扱ってこなかったのが支持されてきた証拠なのかな、と思います」

毎日闘いの制作現場の「熱量」が大切

2010年代はアニメなどに軸足を移した麻枝さんにとって、15年ぶりの完全新作ゲームが、メインシナリオや音楽などを担当したRPG「ヘブンバーンズレッド」(ヘブバン)だ。令和4年2月にサービスを開始。今月2周年を迎えた。

同作はスマートフォン向けゲームの開発や運営を担う「WRIGHT FLYER STUDIOS」(ライトフライヤースタジオ)と、麻枝さんが所属する美少女ゲームブランド「Key」の共同制作作品。謎の生命体に襲われ危機にひんした世界を救うため奮戦する少女たちの物語を精緻に描いた同作は、「Google Play ベスト オブ 2022」のベストゲームにも選ばれた。

「自分がこの業界に入ったとき、一番やりたかったのがRPGを作ること。(文章主体の)ノベルゲームを25年以上作り続けてきて、ようやく夢がかないました」

人の心を揺るがすというのは、決して簡単なことではない。麻枝さんが最も大切にしているのは、作品に込める「熱量」だという。

「(制作陣が)お互い『このくらいでいいか』という落としどころを絶対に作らないんです。今も毎日が闘いのような制作現場になっているのが、『ヘブバン』が『ヘブバン』たりうる理由かな、と。多くの方々に『泣ける』と言ってもらえるのは、その熱さのおかげだと思っています」

劇中バンド、もっと羽ばたいてほしい

「正直に言うと、もっと自由に別のものを作ってもいいと思うこともあった」とも明かす麻枝さん。ではなぜ、泣けるゲームを作り続けてきたのか。

「25年前に久弥君から託されたバトンは、『お前がこれからずっと泣きゲーを作っていけ。脇道にそれるなよ』という意味だと思っていて。例えば自分が、クスッとできる、ちょっといい話を作ったとします。でもそういう話を作るのは、別に自分じゃなくてもいいんです」

「泣きゲー」を「これからも作り続けたい」と語る麻枝さん。だがそれは夢や目標などではなく、いわば「十字架」なのだと吐露する。

「自分に期待されているのは、とことんまで『泣き』に全振りしたもの。もうこのまま走り続けるしかない、死ぬまでやり続けるしかない、という覚悟はできています」

約1時間の取材で、麻枝さんが「久弥君は…」と語り出すこと実に30回。一方で、屈託のない笑顔をのぞかせたのは、ファンであるプロ野球・横浜DeNAベイスターズの話題と、「ヘブバン」の劇中バンドから生まれ、歌手のXAIさんと鈴木このみさんがボーカルを務めるバンド「She is Legend」に話題が移ったときだ。

「(全国ツアーで)3000人の前でライブをやったのですが、もう歓声がすごかった。あれを見たら、もっと羽ばたいてほしいと思いました。今は『ヘブバン』ユーザーしか知らない知る人ぞ知るユニットなんですが、歌声もパフォーマンスも素晴らしくて。『She is Legend』をもっといろいろな人に知ってほしい―これが今の新しい目標です」(本間英士)

泣きゲ―

「泣けるゲーム」を指す言葉。厳密な定義はないものの、イラストや文章を通じてヒロインたちとの恋愛を疑似的に楽しむ「美少女ゲーム」の文脈で語られることが多い。特に話題になり始めたのは、1990年代後半。「To Heart(トゥハート)」などの先駆的作品をへて、平成10年の「ONE~輝く季節へ~」や、11年の「Kanon」が、いわゆる「泣きゲーの元祖」とされる。

2000年代以降も「君が望む永遠」や「うたわれるもの」「マブラヴ オルタネイティヴ」といった人気作が続々と登場。独自の世界観や魅力的なキャラクターが人気を博した。「泣きゲー」の影響を公言する人気クリエーターも多く、その影響は漫画や音楽、アニメなど他のメディアにも拡大。世界にもファン層を広げている。

桃鉄に枚方市が追加されない理由

ガチで却下したのが本当に素晴らしい。 あとここ全てに通じる>「ゲームしかやっていない人は、正直に言うと、実際にはあまり使えないことが多いです。(中略)いろんなことに興味を持つことがゲーム制作につながっていく」

国民的ゲームソフト「桃太郎電鉄」、通称「桃鉄」。目的地の駅を目指して日本各地を巡りながら地域の特産や名物の「物件」を購入して収益を上げ、総資産が勝敗を決するボードゲームだ。88年の第1作発売からおよそ35年が経ち、2023年11月には最新作「桃太郎電鉄ワールド」が発売された。

コナミは23年、この桃鉄を学校教育機関向けに無償で提供する取り組み(「桃太郎電鉄 教育版Lite ~日本っておもしろい!~」)を開始した。この教育版桃鉄をいち早く導入した大阪・枚方市立小倉小学校の6年生が2月7日、桃鉄制作者らを迎えてプレゼン発表会を行った。

プレゼンテーマは、「桃鉄に枚方を追加してもらおう」。枚方が桃鉄の駅として存在しないことに注目し、同校の6年生たちが枚方の魅力を全力でアピールした。

「ひらかたパークは明治45年に開園した日本最古の遊園地。アトラクション数は、USJや東京ディズニーランドを上回る40種以上もあります」と地元遊園地が持つ特色や強みを力説。地元ショッピングモールのくずはモールについても、「ショッピングセンターの満足度ランキング全国13位にランクイン。改装工事でフードコート付近がとても綺麗になりました」と写真を交えて紹介した。伝統文化や地元の工場、さらには食べログやGoogleマップで人気の飲食店を取り上げ、ランキングやグラフを用いた資料で説得力を高めた。

「枚方には子どもから大人まで楽しめる魅力がたくさんあります。教育版桃鉄に追加するしかありません」と力強く訴えた。

調べ方が足りない

「桃鉄に枚方を入れてくださいといろんな班の人が言いましたが、無理です」

プレゼンが終わり、桃鉄制作者からの講評は厳しいものだった。最初に「子ども扱いしない」と明言した、「桃太郎電鉄ワールド」監督/ゲームデザインの桝田省治(ますだ・しょうじ)さんだ。

「まず枚方に対して調べ方が足りない。どういう条件がクリアしないと入らないかということも調べられていない。なぜ選ばれて、選ばれていないかを言及している人がいません。なぜ近いまちが入っていて、枚方が入っていないか。実際の現実というのはライバルがいます。比べられます。それを押しのけた人が、自分の提案が採用されたり、されなかったりします」

「調べること、考えること、提案すること」には、時間はかかっても、お金はかからない。「採用されてから商品にするには、たくさんの人が関わってお金がかかるけれど、それまでの段階は、時間と根気、あるいは違う情報ソースを持っている友達さえいればタダです」

各班が提案した物件の多くが重複していたことを指摘し、「8割の人が同じことを言いました。これは採用されない。なぜなら、みんなと視点が同じだから」と語った。

また、ショッピングモールなどの短命な施設を挙げたことについて、「桃鉄の物件は、30年経っても8割は変わっていない。ということは、10年、20年持つ物件しか選んでいない。10年経っても今と同じようにありますか、というのを検討してください。点だけじゃなくて時間軸や面で考えた方がいい」と述べた。

桝田さん自身の若い頃も振り返った。「20代の頃、桃鉄のメインのゲームデザイナーのさくまあきらさんに言われたのは、お前ごときは100個考えて1個採用されればいい。99はボツだ。でもお前は才能があるから100のうち1個はいける。どんどん出せと。ゲーム制作だけじゃなくて、商品、サービスを作るのも全部同じ。ライバルがいて、コストがかかるし、採用できる人数にも限りがある。条件はいろいろあるけれど、たくさん調べて考える。いっぱい失敗すること。それしかない」と伝えた。

さらに、小学生の頃、地元新聞に短歌や俳句が採用された経験も語った。「岡山に住んでいて、山陽新聞に短歌や俳句を送り、採用されると5千円もらえた。図書館に行って、山陽新聞の過去10年、20年の採用された短歌や俳句を全部調べて、どんな傾向があるか、この審査員のときは何が採用されているかを調査した。それで、月に3、4本は採用された。人に採用されるには、自分だけがいいなと思っていることだけじゃなくて、周りの人たちにも認めてもらわなきゃいけない」 他の人と同じことをしていたらダメ

「ゲームが面白くないのは監督の責任。売れないのはプロデューサーの責任」

仕事の役割の違いを説明したのは、株式会社コナミデジタルエンタテインメントのシニアプロデューサーの岡村憲明(おかむら・のりあき)さんだ。「監督は作品を面白くするために全力投球する人で、プロデューサーはそうやって作られたものを世にどうやって届けるかを考える人です」

プレゼンについて、「より掘り下げた部分を伝えてくれた人がいて、それが印象的でした。他の人より前に出ていこうとするなら、他の人と同じことをしていたらダメ。他の人が何をしているのかを見て、自分なりの色を出していくことを考えてほしい」と述べた。

ゲーム制作者になるためのヒントにも言及した。「ゲームしかやっていない人は、正直に言うと、実際にはあまり使えないことが多いです。いろんなことに興味を持ってください。全然関係ないなと思っていることが、ゲーム制作に役に立つことがあります。ゲーム業界外の人と話していて、こんなのがあるんだと面白いと思うことが結構ある。なので、いろんなことに興味を持つことがゲーム制作につながっていく」

将来のアドバイスもした。「夢をずっと持っていてください。必ずかないます、思い描いて強く願っていれば。形は変わっても、この辺だったなというところにたどり着きます。夢をあきらめないで、いろんなことにチャレンジしていってほしい」とエールを送ったのは岡村さんだ。

逆に、「正直、夢は持たなくていいかなと思っています」と述べたのは桝田さん。「その代わりに持ってほしいのは目標です。夢は、どうやっていいか分からないけれど、なれたらいいなというもの。目標は、いつまでにこれになっているぞ、というもの。10年後になっていたい自分を想定し、そのためのスケジュール表をちゃんと作って、それに向かって何をやるべきかを考える。『いつまでにこうなっているぞ』は、目標であって夢じゃない」。目標は、成長に伴って変化もする。「知識が増えたら、何をやるべきかは変えてもいい。親は所詮応援しかできない。目標は自分で設定する。やり方を周りの大人やすでに目標を達成した人に相談するのもいいと思うけれど、最終的には自分で考えて、自分で動かないといけない」

最後に岡村さんは、「桃鉄の学校での使用に関して、いろいろ気付きがありました。皆さんが調査してくれたことを、教育版桃鉄にどう反映していくか。取り組みを進めていきたいです」と締めくくった。

知識ばかり教えていたらChatGPTに負ける

教育版桃鉄リリースの知らせをキャッチし、枚方市での導入をいち早く進めた立役者がいる。授業を参観していた枚方市教育委員会の浦谷亮佑(うらたに・りょうすけ)さんだ。

「4年生の社会科の都道府県の単元がどうしても暗記中心になりがちで、子どもたちが社会科を嫌いになるきっかけになっていた。教育版桃鉄を導入すれば、この問題を解消できるかもしれない」と考えたことが、導入の動機だという。現在では、枚方市の小中学校全63校に、教育版桃鉄のアカウントが配布されている。

導入に際して、不安を感じる教員たちを考慮した。月一で集まり、桃鉄を利用した授業案を共有する有志の研究会を立ち上げた。

「単に桃鉄で遊ぶだけじゃなくて、教科学習として先生がどう活用し、子どもたちがどう学びに変えていくかについて、きちんと研究しました。授業案は社会科が中心でしたが、国語科にも取り入れていました。ここ小倉小学校でも、6年生の『情報を適切に伝えよう』という授業で、自ら書籍とかインターネットで情報を集め、インタビューを行い、グラフ資料の作成などと関連付けました」

支援学級では予想外の効果が上がった。桃鉄で、所持金1千万円で500万円の物件を買ったとき、「残り500万か」と言えた。おはじきを使って教えても、数の概念や四則計算の理解が難しい子だった。

今回、桃鉄に枚方市を入れてもらうために説得するべき相手に実際に学校に来てもらった。「大人になると、相手の心を動かし、やってみたいと思わせ、アクションを起こさせなければならない時がある。クラスの友達に発表することも悪くないけれど、発表して『良かったね』と拍手をもらうだけでは不十分だと思っています。誰に何の目的で発表するのか、相手意識と目的意識が大事」。目指しているのは、「子どもたちがどれだけ本物に触れる体験ができるか」だという。

そのほかにも、枚方市ではICTを用いた積極的な取り組みが行われている。海外の日本人学校の子どもたちとオンラインで1対1の交流を行い、メタバース内に美術館を構築するためのクラウドファンディングにも挑戦している。枚方市の中学校が、文部科学省が進めるリーディングDXスクール事業「生成AIパイロット校」にも選ばれた。

「ICTはあくまでも子どもたちの学びを深めるためのツールです。本物に触れて、志とか夢とかをきちんと持ってもらいたいと考えています。今日の体験も、何人かに響けば、それだけで価値のあるものだと思います。先生方には、積極的に授業改善を進めていっていただきたい。これまでのように知識ばかり教えていたら、一瞬でChatGPTに負けますよ。あなただからできることは何か、子どもたちが学校に来るからこそできることは何かを考えてほしい」と訴えた。悔しすぎたのでもう1回チャレンジしたい

ゲーム制作者からのリアルな講評を受け、6年1組担任の山本健斗(やまもと・けんと)先生は「先生も勉強になった」と授業を振り返った。

「授業の中での『物事を多角的に捉える』を先生もやった気になっていた。実際に学校の中で『それでいいよ』とされることと、社会で求められるレベルが違うと感じた。その分野で社会で活躍したいと思うなら、独自性を持ち、他と違うことをやってみることが大事。そんな話が、第一線で活躍している方から聞けた」

6年生たちにとっても、「一生に一度しかない貴重な体験」になったようだ。

資料の作り込みやプレゼンの練習を必死に行った分、「率直に『無理』は少し悲しかった」とショックを隠せない様子だった。だが、「プレゼンを作って、いいのできたなぁーとか思ってたから、だだの自己満足で終わっていたんだなと思った」「企画は、1回だけじゃ通らないという社会を知った」「自分たちが作ったプレゼンじゃあ説得できなかったし、もっと多角的に調べた方がよかった」「自分では調べたと思っていたけど、まだまだ調べる内容が薄かった」「辛口な講評が返ってきたけど、(他の班と物件の内容が)かぶりすぎているところとか、内容が薄いところとかが、その通りだと思った」と現実をしっかり受け止めていた。

「悔しすぎたのでもう一回チャレンジしたい」

「考えるのはタダだから、もっと頑張って大人の人でも納得ができるようなプレゼンをしてみたい」

「次はもっと詳しく、なぜそうなのかとかを調べてより説得力を上げたい」

「もっと調べて何回も提案して成功できればいい」

この悔しさこそが、次への成長のバネになる。

電子の観測

応え方の難しい問いですが、位置を観測する前の電子の状態は、位置が決まってないだけでなくて、 「ある確率でどこかの場所にいるという状況」にすらなっていません。

じゃあどういう状況かというと、「重ね合わせ」です。重ね合わせと確率は全然違うもので、その違いが量子コンピューターや量子暗号(鍵配布)のパワーの源です。 観測すると、観測機と電子が相互作用します。むしろ、何かしらの意味で物理的に働き掛けないと観測なんかできません。その結果、このよくわからない「重ね合わせ」が「ある確率である場所にある状況」に変化します。 ここまでの変化は、観測かどうかはあんまり関係なくて、一般的な物理的なプロセスの理論と同じ計算をすればよいです。よって、ここまでのところ、解釈で悩む話はでてきません。

問題はここから先です。観測機器の表示を知能がある何か(人間とかドラえもんなど)が「見た」時には、どこかの位置に電子があることが、その「見た」人には決まってしまいます。 ここは、サイコロを振った後に見た瞬間、どの目がでたかが決まるのと同じです。 ここのプロセスは、一般的な物理的な変化と同じ計算プロセスでは計算できず、「射影規則」とか「ボルン則」などといわれる式を使います。 つまり、最後の最後のところで例外的な処理がいります。これを不思議と思うかどうかで人によって意見が異なります。

ただし、何か矛盾があるわけではないです。例えば、 人間も物質的な存在なので、人間が観測機を見る過程は物理的な過程のはずです。そこだけ別の扱いにしなければいけないのはおかしいのでは?といった問いは皆が合意できる答えがあります。 このときは、観測機を見る人間を、さらに外から見ている別の人の視点で考える。すると、観測機とそれを見る人間のあいだの物理的な相互作用も、他の物体と同じように記述できます。 ただし、この「観測機と観測機を見る人間」を外から見ている人が、観測結果を知るときにはやはり「射影規則」を使わないといけません。 これは、射影規則を不思議だと思う人からすれば、単なる問題の先送りになります。不思議だと思わない人からすれば、理論の整合性は証明されており、不満はないという結論になります。

では、射影規則に不満がある人はどうするのか。 一番ソフトな解決策は、①ほとんどの部分は通常の量子論のままの規則を用いる②観測の最後の射影規則は適用しない。というやり方です。 「射影規則を仮に適用したらどうなるか」は、実は射影規則の適用する前の式をよーく見れば、実は計算せずとも明らかなのです。ですから、射影規則を適用しなくても、計算上はちょっと不便なだけで、決定的に困るわけではないです。、 そして、この射影規則を適用する前の式に物理的な解釈をします。こういった類の解釈を「多世界解釈」とひとくくりで言うことがあります。この中の一番ソフトなバージョンは、射影規則をやめよう以上の強い主張はあまりないタイプ。 量子情報や量子計算の研究者で「多世界解釈が好きだ」「多世界解釈でも別によい」という人のいう「多世界解釈」は、しばしばこの程度の意味です。 もっとも激しい主張としては、本当に観測の瞬間に世界が物理的に分岐する。そして分岐した枝が、宇宙のどこかに存在している、といったものです。 こういうのはちょっと脇において、我々の日常経験する世界と式の間に繋がりを持たせるべく、各々の項に巨視的な実体を対応させるわけです。 多世界解釈とラベルされるもののうち、マイルドな部類に属するものたちは、結局、標準的な解釈の仕方(と、一言でいいましたが、これもニュアンスは人によって随分違います)と、結論はかわらず、実行する計算はかわりません。 こういったもののうち、どれを選ぶかは「科学の問題じゃない」ともいえるかもしれません。 しかし、こういった類の解釈に飽きたらず、量子力学をもっと本質的に書き換えようとする試みもあります。これらも「解釈」と並んで取り上げられますが、結論がそもそも変わってしまうので、別の理論です。 今の所、それらの新理論は非常に限定的な状況でしか成功していません。

中田考, 『イスラーム諸学の革新・要約』とイスラームの解釈学的アプローチ

論文メモ:サードの定理

未来が自分の後ろ側にあった時代には矛盾がなかったんですよ

これ面白くて、未来が自分の後ろ側にあった時代には矛盾がなかったんですよ 我々現代人は普通「未来が前、過去が後ろ」なのが当たり前だと思ってますが、昔は過去が前、未来が後ろにあったんです 全く日本独自のことではなく、古代ギリシャやソマリ語など世界の地域/言語であった/あることらしいですが

過去は見えても未来は見えないから後ろにあるのか.

井村屋会長 九死に一生を得た過去

井村屋グループ会長CEO 中島伸子氏 71

中島伸子氏

アイスや肉まん・あんまんで知られる井村屋グループの中島伸子会長CEO(最高経営責任者)は、列車事故に遭い、九死に一生を得た経験を持つ。社員の活躍や幸せを重視する経営改革を進めている。(聞き手・山内竜介 写真・菅野靖)

中島さんが取引先に披露した手品グッズ <1972年、死者30人を出した北陸トンネル列車火災事故に遭った。その後遺症で教師になる夢を諦めた>

20歳の誕生日を実家で過ごすため、夜行列車で帰省している時でした。3人の小さな男の子を連れた若い母親と一緒に4人がけのボックス席に座っていると、トンネルの中で突然、列車が止まりました。真っ暗な車内でアナウンスも何もない。そうしたら隣の食堂車から炎が迫ってくるのが見えました。  その母親が泣きながら言うのです。「3人の子連れで逃げられない。跡取りの上の子だけでも連れて行ってほしい」。私は5歳の子を抱きかかえ、窓から車外へ飛び降りました。黒煙が充満するトンネルではぐれてしまい、必死に子どもの名前を叫んでいるうちに気絶してしまいました。  意識を取り戻したのは、ちょうど誕生日を迎えた2日後。4人の母子が亡くなったことを知らされました。  私自身も、のどからすすの塊が出てきて2年間はほとんどしゃべれませんでした。医師からは一酸化炭素中毒で声帯が麻痺している、声を使う仕事は諦めた方がよいと宣告されました。その後、声は徐々に出るようになりましたが、今でも少ししわがれているでしょう。きつい体験でした。  子どもを救えなかった後悔と無念。目指していた教師になる夢への道が閉ざされた喪失感。ぐずぐずしていた日々から立ち直ったきっかけは父からの手紙でした。「声が出なくても生きていけるし、自分だけのプラス1を探すことだ。『辛』に一本足せば『幸』になる。亡くなった人のためにも一生懸命生きることが使命だ」。この言葉はずっと私の支えとなりました。  高校の同窓生だった主人と結婚した後、23歳の時に近所にあった井村屋の福井営業所で経理事務の募集を見つけ、アルバイトとして働き始めました。  亡くなった子どもたちのことを思うと、どんな仕事でもしっかりやろうと。経理だけでなく、4トントラックを運転して配達もしていましたよ。  ある配達先で「カップアイスのふたが開けにくい」と聞きました。ちょうど全社的に改善活動の募集があったので、ふたの持ち手を大きくするよう提案すると、採用され、社長賞をもらいました。  バイトでも差別なく表彰してくれる会社ってないじゃないですか。感激して25歳で登用試験を受けて正社員になりました。

<営業畑で実績を重ねていく。就いた役職は「女性初」ばかりだった>

女性の営業が珍しい時代。苦労もありました。福井営業所長になった時、問屋さんの社長へあいさつに行ったら「女なんかよこして、俺の会社をバカにしているのか」と言われましてね。中に入れてもらえず、帰りの車で情けなくて涙が出てきました。  翌日、朝5時半に起きて7時には問屋さんに着いて社長が出勤するのを待ちました。2時間くらい待っていたら社長が「まだいるのか。入れ」って。中に入ったら「今日の株価は分かるか。日本経済はどうなるのか」と質問されました。口ごもっていたら「ほかのメーカーの所長はみんなわかっている。朝、新聞読んで来ているのか」と、3時間もこんこんと経済の大切さを教えてもらいました。  それまでは、消費者目線が女性の良さとして生きると思っていました。経済感覚に弱かったのですが、企業人としてこれじゃいけないと痛感しました。勉強して消費生活アドバイザーや企業実務に関する資格をとりました。  育児では義母や近所の人にお世話になりました。自営業の主人も協力してくれました。約束は「3人の子どものお弁当は私がつくる」という一つだけ。それ以外は一切ノーと言いませんでした。  福井県の自宅から石川県の北陸支店へ午前6時半の電車に乗って通勤していた頃のことです。ある朝、寝坊をしてしまい、これで弁当をつくっていたら遅刻する。遅刻はできない。ふと周りを見渡すと、義母がプランターで育てていたキュウリ、ナス、ピーマン、トマトが目に入りました。とっさにそれらをもいで、ご飯の上にのせ、マヨネーズをかけただけの弁当をつくって高校生の長男に渡しました。  その晩、長男が「友達にこんな弁当を作るなんて本当のお母さんじゃないんじゃないかと言われた」と話すんです。本当につらかった。すると長女が「そんな遠回しに嫌みを言うのはやめて。お兄ちゃんだって、お母さんが生き生きと働いているから家が明るいって言ってたじゃない」と助けてくれたんです。  働くって、家族の応援があってこそです。子どもはそれぞれ独立して仕事をしていますが、親が一生懸命働いている姿を見てくれていたと思うとうれしいですね。

<2011年に総務・人事担当の役員に就任すると、人事制度を大きく見直した>

中島伸子氏

当時、総合職、エリア総合職、一般職の三つがありました。約1000人の社員全員の履歴書を見ていくと、立派な特技や資格を持っている人が、昇進に制限がある一般職やエリア総合職に多くいました。大事な「ダイヤモンド」を埋もれさせるのは損だと思い、総合職に一本化すべきだと考えました。  「自信がない」と話す一般職の女性から、人件費増を懸念する役員まで反対意見が多かったのですが、当時の浅田剛夫社長に背中を押してもらいました。会社全体を底上げする必要があると信じ、手分けして全社員と面談し、理解してもらいました。  人事制度の改革に合わせ、「学習する組織」を目指して通信教育の学費助成を拡大し、女性活躍の後押しにも力を入れました。女性の管理職比率は10年に2%でしたが、今では14%にまで高まっています。  CEOとして掲げているのは「1人の100歩より、100人の1歩」です。ニーズが多様な時代は経営陣のアイデアだけでは乗り切れないからです。若い人たちが自由に考えたことの中から、いいものをつかみ取る。そうした力が大事になります。昨秋発売した微細氷入りのアイス「SHALILI(シャリリ)」は20歳代の女性社員のアイデアから生まれました。  経営者は社員の人生に関わっています。本当に責任が重い。一緒に働く社員を大事にしなきゃいけない気持ちは強いし、幸せになってほしい。  あの鉄道事故から生き残った者として、それが社会への貢献だと思っています。 〈NUMBERS〉60周年

2024年、肉まん・あんまんが発売から60周年を迎えた。アイス販売用の冷凍ケースを冬場は肉まんの保存用として活用してもらい、必要な分だけ蒸し器で温めて売る方法で売り上げを伸ばし、主力商品になった。現在、コンビニなど店頭の蒸し器で販売する業務用と冷凍・冷蔵の家庭用を合わせ、年間約2億個を販売している。 ~中島さんを知るもう一つのキーワード~

取引先に披露した手品グッズ…鉄道事故の後遺症で声がよく出ないため、取引先との接待でカラオケに行った際に「デュエットより、手品が得意なんです」と話して、場を白けさせないようにしていたという。日曜日の夜に地元の奇術同好会に3年間通って技を磨いた。役員就任後も新人歓迎会で披露することがある。

◇中島伸子(なかじま・のぶこ) 1952年新潟県生まれ。75年近畿大豊岡女子短大(現豊岡短大)卒。アルバイトを経て、78年に正社員として井村屋製菓(現井村屋グループ)入社。北陸支店長、関東支店長、常務取締役総務・人事グループ長などを歴任。2019年に社長、23年4月から現職。

「面倒なことはChatGPTにやらせよう」の全プロンプトを実行した配信のリンクを整理しました

PythonPeriodic-table-cli

2024-02-17 調和振動子を勉強しよう/相転移プロダクション

今回のテーマ

記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています. 前回いちいちサイトに飛ぶのが面倒というコメントを頂いたため, 今回, 試験的にメールにも内容を載せます.

  • 幾何と量子力学: 調和振動子を勉強しよう
  • モース理論が難しい: 微分位相幾何がつらい
  • Satoshi Ogawa: On holomorphic tubular neighborhoods of compact Riemann surfaces

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幾何と量子力学: 調和振動子を勉強しよう

「何故そんなに幾何を?」というのが通じていない方もいそうなため, 久しぶりに関連する話を紹介します.

自分自身きちんと勉強しておきたいという理由はもちろんある一方, 幾何を突き詰める動機として超弦理論を勉強してみたいという方がいたのも大きいです. 超弦理論は幾何との強い関係がいたるところで言及されているため, ある程度は知っておかないとどうにもなりません.

もちろんウィッテンの仕事もあります. いままさに取り組んでいるモース理論もウィッテンによるアプローチは大きな影響を与えていると思います.

これを眺めるとすぐわかるように, 何だかんだで調和振動子が重要です.

ちなみに熱核による指数定理の議論でも調和振動子が現れるため, 応用上で調和振動子の射程距離は恐ろしく広いです. 作用素論的にはかえって自由粒子よりも簡単な面があり, どれだけやっても損は全くありません.

私のノートは当然私の趣味でゴリゴリに数学的で, 公開してもちょっとな, と思うところしかありません. いわゆる20世紀的な量子力学的な教科書やオンラインの文献ならまず確実に載っているでしょう. まだ勉強したことがなければぜひ勉強してみてください. 数学としてもヒルベルト空間論のよい入門にもなり, 計算練習としても役に立ちます. 特殊関数の処理という面から見れば電磁気の勉強にもなるでしょう. 人によって細々とした数学がどうの, 物理がどうのというよりもたくさん計算がしたい場合もあるでしょう. 特殊関数論は数学的な議論も多種多彩な一方, 馬鹿みたいに大量な計算が必要な部分があります. 特に偏微分方程式関係だと厳密解と直接関係があり, 数学的な計算だけではなく数値計算も面白いです.

数学的にいろいろ計算して物理への応用から見てもよくわかっている内容だとしても, 数値検証で可視化してみるとまた違った感動があります.

モース理論が難しい: 微分位相幾何がつらい

モース理論の勉強を続けていますが, 何がつらいのかはっきりしてきました. 微分位相幾何がつらいです.

私がいま読んでいる本では証明していない事実はきちんと定理番号まで含めて文献を紹介してくれています. それでとても助かるのですが, 三冊程度の微分位相幾何の(おそらく)有名な教科書から引用してくれています. 際限なく読むべき文献が増えるわけでもなく, 最後の最後にある重たい議論が必要な主結果というより本の前半・中盤にある比較的基本的な結果が多いです. それでも基本的な議論とはいえ三冊程度を追加で事前にがっちり読むよりも, まずはモース理論の概要をおさえようと思い, とにかくモース理論を進めています.

ちなみに専門が違うため全く状況が見えていないのですが, 微分位相幾何の新しい本は出ているのでしょうか? うまいこと一冊で綺麗に一通りまとまっていてもらえるとありがたいですが, ゲージ理論のような内容ならともかくモース理論に必要な微分位相幾何的な議論はなかなかなさそうな気がします.

微分位相幾何は1970-80年代が黄金期だったようで, 引用されている教科書もその時代の本です. 眺める限り代数・位相空間論が主力の位相幾何よりも, 微分積分が主力の微分位相幾何の方が私の好みのようです. 多様体上の$C^r$-級関数の空間に超関数の空間のようなノルムの族による位相を入れて, それで完備距離空間(またはフレッシェ空間)に関する議論が出てきたのを見かけ, こうした関数解析的な感じもかなりお気に入りです.

微分位相幾何に関する結果を丁寧にまとめたノートを作って公開したいという野望も出てきました. 他にもまだまだ勉強するべき内容も多いのでいつになることやら, という感じですが.

Satoshi Ogawa: On holomorphic tubular neighborhoods of compact Riemann surfaces

We give a sufficient condition for the existence of a holomorphic tubular neighborhood of a compact Riemann surface holomorphically embedded in a non-singular complex surface. Our sufficient condition is described by an arithmetical condition of unitary flat line bundles which can be regarded as an analogue of the Brjuno condition for irrational numbers which appears in the theory of 1-variable complex dynamics.

Twitterで流れてきたプレプリントです. 内容がわかるわけではありませんが, 面白かったのはよりにもよってコンパクトリーマン面(代数曲線)のような知られも知られきった対象に対して, 正則管状近傍のような議論がまだまだ議論されているという部分です. ちなみに管状近傍はモース理論でも現れます. 多様体論・微分幾何の基本的な概念ではあるものの, 何となく微分位相幾何的な方向でよく使われるような印象があります.

メモ

高校の情報I・情報IIの公式副読本

Twitterのバズに対する公式の分析

Twitter公式が「バズる」ツイートの法則を徹底的に統計解析して168ページの資料にした代物、SNSマーケティングやっているプロが全員廃業するレベルの化け物級の優良資料だった。 ちなみに無料。 SNSで「バズりたい」と思う人は全員これ読めばいいんじゃないかってレベル。

https://marketing.twitter.com/content/dam/marketing-twitter/apac/ja/insights/kakusan/kakusan.pdf

関さんのプレプリント「Deriving two dualities simultaneously from a family of identities for multiple harmonic sums」とコメント

プレプリントを公開しました。 https://arxiv.org/abs/2402.05730 月曜日にTwitterのスペースで高校生があまりに衝撃的な発見(ヒューリスティック&数値的に発見)をし、私は共同研究者である大学3年生とLINE通話で即座に証明に取り組み、2日間ぶっ通しで論文を書き上げ、金曜日である本日の公開となりました。 何故すぐに論文を書けたかというと、私が何年間もずっと夢であった問題だったからです。それがあのスペースでの発見で瞬間的に叶うことがわかったのです。技術はこれまでに2018年の山本さんとの発見以来、土台を整備してあったので本当に一瞬の出来事でした(連結和法)。夢を見ているようです。 私の今回の仕事における貢献の1つは、あの出来事をほっとかなかったことだと思います。そこに見たことのない現象があったので、発言者が高校生だろうが老人だろうが関係ありません。 ただ、一つの心配は先行研究の見逃しがないかです。相当努力はしましたが、今後何かわかったときは報告します。 実はスペースを聴いてたときは睡眠薬を飲んでいたので、脳が相当やばかったです。起きて即刻DMをして研究が始まりました。 なお、共著者である高校生とも大学生とも面識がもともとあり、彼らの数学力についてはもともと信頼がありました。 以下、今回の研究内容を簡単に紹介します。 今回の仕事は多重ゼータ値に関する研究であり、新しい(と思われる、と期待される)公式を発見し証明しました。それが一体どんな公式かを簡単に以下で説明します。 多重ゼータ値は級数表示によって定義される実数(無限にたくさんあります)であり、それぞれの多重ゼータ値は反復積分表示を持つことが知られています。今回の新公式はこの「反復積分表示」の精密化(?「何」化と表現するのがベストかまだ理解してません)です。 多重ゼータ値の反復積分表示は教科書に載っていて、初等的に証明でき、多重ゼータ値を勉強している現代の人々にとっては常識です。ですが、やっぱり最初に発見した人はすごいしえらいと思います。実際、ホフマンさん周辺の最初期の多重ゼータ値研究では反復積分表示が知られていなかったために困難があったことと推察します。ザギエの有名な論文において反復積分表示が紹介され、多重ゼータ値の研究は加速したことでしょう。ザギエの論文においてはコンツェビッチにクレジットが与えられていたと記憶してますが、ドリンフェルト積分ともよくよばれていましたし、他にもクレジットが与えられるべき数学者がいるらしいですが(Le-村上?)、ここの歴史は今詳しくないので割愛させてください。何にせよ、最初の発見者たちはとても偉大だと思っています。それで、例えばダブルシャッフル関係式のようなとても重要な現象が理解されていきました。反復積分表示が生み出した研究成果は膨大と言っていいでしょう。ところで、多重ゼータ値は多重調和和とよばれる対象の極限として理解することができます。多重調和和は無限和である多重ゼータ値を有限のNまでの和でとして打ち切ったものであり、N→∞の極限で多重ゼータ値に収束します。 一方、反復積分表示の方は、言われれば当たり前なのですが、リーマン和の極限として表示することができます。つまり、 多重ゼータ値の反復積分表示を ζ = ∫ と表現することにし、多重調和和をH(N)、リーマン和をR(N)と表すことにすると、 ζ = lim H(N) = lim R(N) = ∫ が成り立つことがわかりますが(ここまでは既知とみなせる)、実は各Nにおいて H(N) = R(N) が成り立っているのではないか?と考えてみましょう(そんなこと考えてこともなかった!!!!)! でも、R(N)の選び方って全く一意的じゃないんですよね。最もシンプルな形だと等号は成り立ちません。そこで、高校生は和の範囲を表す不等号<(たくさんある)をところどころ≦に変更して計算したのです(ここが偉大なる試行錯誤!!) するとポツポツと(数値的に)H(N)=R(N)が成り立つケースが見つかるじゃないですか!!最初は全く法則性が見えないかに思えたその現象も、ほどなくして大学生による慧眼で一般的な法則が予言されました。 この等式H(N) = R(N) こそが今回発見された公式です。 つまり、コンツェビッチ、ドリンフェルトらによる多重ゼータ値の反復積分表示の「極限を取る前」があることがわかったのです!まじかよ!! 予言されたこの公式は既に証明されているのでご安心ください。私と山本先生が2018年に発見し、その後発展してきた「連結和の手法」とよばれる証明技術があり、それを用いた新公式の証明を今回の論文で与えています。適切な「コネクター」とよばれる部品を見つけることにより、H(N)を段階的にR(N)に有限多重ゼータ値は多重調和和にRにおける極限とは異なる"A-極限"をとることで定義されます。多重ゼータ値は英語でMultiple Zeta Valueですが、以下では多重ゼータ値をRMZV、有限多重ゼータ値をAMZVと表現することにします。RMZVがRの中で満たす様々な関係式が研究されていますが、同様にAMZVも様々な関係式をA内で満たすことが調べられています。違う極限をとった違う世界の住人であるにもかかわらず、RMZVとAMZVはそれぞれが似た形の関係式を満たすことがあります。RMZVの満たす「導分関係式」が知られているけれども、AMZVが満たす「導分関係式」も発見されるというように。 それで、RMZVの満たす関係式の中で私が最も好きなものが「双対関係式」とよばれるものです。以下、duality。まず、dualityはRMZVの定義級数からは全く非自明な定理と言えます。ですが、RMZVの反復積分表示が見つかったことにより、その表示においては t → 1-t という変数変換を行うことでdualityは即座に証明されます。反復積分表示という偉大な発見の後にはdualityってほぼ自明になってしまうわけですが、そんなことではdualityは全く色褪せないんですよね。実はdualityに関してわかってないことってまだまだあるんですよ。この業界に入った時に何人かの専門家が「dualityは最初期に発見され、証明も簡単だが、最も謎めいた関係式である」みたいなことを言うんですね。それ以来、私の心はdualityに奪われました。 それで「dualityって積分的現象だよね」みたいな言明を聞いたことがあるのですが、それは反復積分証明によって作られた固定観念だと思っていました。 dualityに関する重要未解決問題(これはまだ解かれてないので今回は詳細は述べません)に向かうためには、「dualityの級数解釈が必要だ」というのが2017年ごろの私の認識でした。dualityの最も単純なケースが、オイラーが証明した ζ(3) = ζ(1,2) という等式なのですが、BorweinとBradleyの論文にオイラーの等式の証明が32通り述べられています。その最初の2つは級数変形による見事な証明なのですが、なので当然それらを拡張してdualityの級数証明が得られないかを吟味しました。 1つ目の証明は部分分数分解を用いるものですが、オイラーの等式はdualityだけでなく様々な関係式の特殊ケースとなっており、自然に拡張するとdualityにならず失敗しました。 2つ目は有限和(多重調和和)にして差 H(N)(3) - H(N)(1,2) を明示的に計算し、極限をとると差が0に収束するという証明です。 これは極めて良い発想だと感じ、一般の場合の差の計算を得たかったのですが当時の私には遂行できませんでした。 それで、dualityの級数証明を手に入れるにはBorwein-Bradleyには載ってない真に新しい証明を見つけるしかないとなり、2018年2月、愛媛のスタバで"コネクター"が発見されました。 https://arxiv.org/abs/1806.04679 RMZVはコネクターを利用することによって、その双対に段階的に変身できるという感じの証明です。 これで「dualityって積分的現象だよね」というのは棄却できたわけですが、コネクター証明の発見でも結局dualityのことはまだわかり尽くせてはいないという感覚を持っていました。詳しいことは述べませんが、次にやるべきことはBorwein-Bradleyの第2証明をちゃんと拡張することだと感じるにいたります。 RMZVで知られている関係式の対応物・類似物と言えるAMZVの関係式を見つけるというのはAMZVの典型的な研究ですが、未だに対応物が見つかってない(論文になっていない)ものも幾つかあると思いますが、dualityの類似物はHoffmanが紆余曲折ののち、2000年には発見しています。 RMZVのdualityを以下ではR-duality、AMZVのdualityをA-dualityと区別して呼ぶことにしましょう。ここで、1つのミステリーが発生します。他の種類の関係式、例えばシャッフル関係式とか巡回和公式とか、は、数学的な定式化は多分まだないですが、確かに対応物という感じがします。例えば、それらは同じコネクター・連結和を用いて同時に証明することが可能であり、出自が同じという意味で確かに対応物という気がするのです。一方で、R-dualityもA-dualityもともに"duality"ではあるのですが、R-dualityとA-dualityがどれぐらい数学的に近いのか、似ているのかということはわかりません(でした)。 まず、式の見た目が違います(双方でdual indexの定義が異なりますし、A-dualityはいわゆるstar版になっています)。 そして、Seki-Yamamotoは同時期に論文が2つあって、A-dualityのコネクターも発見しているのですが、我々が発見したR-dualityとA-dualityのコネクターは異なるものです。つまり、R-, A-dualityはともにコネクター証明が可能だったけれども別々に証明されたのであって、同じ出自からの同時証明というのは知られていない状況でした。知られていないというか、私は長い間R-dualityとA-dualityをそれぞれ研究してきましたが、これらは異なる現象であり、そんなものは「ない」のではないかと思っていました。MZV研究者である広瀬さんとはこれまでに様々な研究討論を行ってきましたが、あるとき彼がR-dualityとA-dualityの同時証明をしようという研究提案をしてくださりました。もしそんなものがあるのであればとても魅力的ではありますが、そもそも同時証明なんて不可能なのではと思っていましたし、色々考えてみてもいいアイデアは浮かびません。時々思い出しては考えていましたが、2024年以前には解ける兆しは全くありませんでした。 ところが、離散反復積分表示が得られた瞬間に、この公式がR-dualityとA-dualityの両方を導出することがわかりました! RMZVの級数表示を見てもR-dualityが得られるかは非自明であり、コネクターを使って1ずつ重さを輸送していく手段はあったものの、変数変換で一気に変換するというのは反復積分表示があって初めて可能なことでした。しかし、有限範囲で打ち切った多重調和和を考えると、それも定義そのままの表示だと変換のしようがないですが、離散反復積分表示(それは有限和)にすれば、なんと N-n → n 型の変数変換によって殆ど双対形に一気に変身できるのです! まさか、あの変換が積分を使わずに和の形のままでできるなんて!「殆ど」と言いましたが、実際は離散反復積分表示における和の範囲の等号がついた部分の寄与が誤差として残ります。 H(N)(k) - H(N)(dual of k) = 誤差 という形です。この誤差は N→∞の極限で0に収束することが簡単に示せるため、R-極限を取ればR-dualityが得られます。 つまり、これはR-dualityの新しい級数証明を与えており、実は反復積分表示によるR-duality証明には「極限を取る前」にも同様の操作が可能なことが判明し、単なる別証明というよりは、有限範囲で打ち切ったときの誤差を明示的に書き下すことができたという点で精密化を与えることに成功したと言うことができ、そしてBorwein-Bradleyによるオイラーの等式の第ニ証明の一般化を与えているのです。まさか、あの誤差項をちゃんと記述することができる日がやってくるなんて! 多重調和和にR-極限を取る操作を施せばRMZVになりますが、A-極限をとればAMZVになります。離散反復積分表示を用いて離散変数変換を施してからR-極限をとればR-dualityが得られましたが、離散反復積分表示にA-極限を取る操作を施すと、なんと!A-dualityになるのです!! 離散反復積分表示における等号部分はR-極限を取ることによって寄与が消え、そしてシンプルなR-dualityが得られました。一方でA-極限を取る場合はその等号部分がそのまま生き残り、その結果としてA-dualityの独特な形が現れるのです!大きく異なるのではないかと思っていたR-dualityとA-dualityはなんと「多重調和和の離散反復積分表示」という同じ公式を出自に持ち、2種類の極限を取ったときのそれぞれの極限値として現れたものだったのです!!! まさかあの2つのdualityがこんなに密接に関係していたなんて!!!!! 今回の研究で嬉しかったこととして、離散反復積分表示の証明にコネクターが使えたことがあげられます。Seki-Yamamotoの仕事だけではdualityにはまだまだ知らないことが残っていたわけですが、あのときの発見があったからこそ、迅速に新しい公式の短証明を与えることができました。コネクターの方法が知られてなければ、おそらく証明はもっと困難だっただろうと思います。(もちろん別証明に興味がある方は取り組んでみると何か新しいことがわかるかもしれません。) 以上のように、今回新しく発見された離散反復積分表示は早速「2つのdualityの同時証明」という1つの応用を与えました。が、その ポテンシャルはこんなものではないでしょう。 反復積分表示に対して知られていたことを離散化し、ついでにA-極限も取ってみれば、手を動かすごとに新しいことがわかるかもしれません。離散反復積分表示そのものについてもvariantや拡張が色々あることは確実と言ってもいいでしょう。 本当にたった一夜で世界の見え方が完全に変わりました。これから忙しくなりますよ。新規参入者がたくさん現れますように。 世界を変えてくれた共著者の2人へ。本当にありがとう。 以上で説明されてること、結構論文に書いてないのを反省しています。共著者の受験が終わり次第v2を出す予定です。

既知の結果を一般化することも、未解決の予想を解くことももちろん大事だけど、今回は ・全く予期してなかったものがあった ・ないと思ってたものがあった という発見だから興奮度がものすごく大きい。一週間経ったけど全然興奮がおさまらない。

『ドラゴンクエストIV』における人工知能

今日は34年前に『ドラゴンクエストIV』が発売された日です。

それを記念して、以下の『ドラゴンクエストIV』のAIをインタビューで明らかにした論文をもう一度公開させてください。

『ドラゴンクエストIV』における人工知能 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsai/38/5/38_659/_article/-char/ja

よろしければ、ご高覧ください。

〝わかっていても落ちる〟川の深みの恐怖

2024-02-10 数学と物理と情報の狭間/相転移プロダクション

今回のテーマ

記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 二次元でも難しい
  • ルベーグ積分の数学的定式化と直観的把握
  • 自己共役性の物理
  • 形式言語と情報科学: 数理論理と情報理論
  • Union-Findアルゴリズムと計算科学の話: 情報と物理の関係

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二次元でも難しい

クロスポスト。ユークリッド平面からユークリッド平面への連続単射は開写像になるって言えてますかね。多分行けると思うんだけとググっても出てこないので心配になっている。なんか勘違いしている?

https://en.wikipedia.org/wiki/Invariance_of_domain これでしょうか。代トポが必要なようで、自明ではないようですが、正しいのだとは思います。

情報ありがとうございます。n=2のケース限定で考えてましたが、まさにこれです。その場合にはほぼジェネトポで行けると思ってましたが、高次元では代トポなんですね。

ちなみにはじめに見つけたページはhttps://math.stackexchange.com/a/3898932で, 検索キーワードは「continuous injection is open map or not in euclidean space」です.

これには面白い点が二つあります. 一つはプロの数学者でも数学科大学一年で定式化できる問題に対して解答に自信が持てない場合がある事実です.

まず言及先のくるるさんは集合論の専門家でまさにプロです. 実際の解決法は位相幾何的な議論が本質的なようで, そうなると集合論からすれば専門外の内容でもあり, 判断するのは難しいのでしょう. 私としても専門外とはいえ, このレベルの議論で確たる証明ができないのには愕然としました.

もちろん問題の定式化だけなら簡単だが解決は超難問と言えば数論でその手の問題が大量にあるため, 定式化の簡単さと解決の容易さは関係ないのは数学としては当たり前の話ではあります.

もう一つ面白いのは単純に内容です. 最近幾何をずっと勉強していますが, 時々顔を出す部分多様体が本当に難しいです. 微分構造の定義・議論もさることながら, 位相の強弱が厳密には合わず, いわゆる正則な部分多様体にはならないケースに対する感覚が全く育っていません. 微分位相幾何で基本的なはめ込み・埋め込み・沈め込みに関わる部分でもあり, もちろん面白い部分とは言えます.

ルベーグ積分の数学的定式化と直観的把握

ルベーグ積分や測度論の説明で「縦を横に分割する」といわずに「値域の逆写像から生じる分割」といってくれたほうが可測関数や確率変数との関係もイメージできるのでそうした説明を最初の頃に読みたかった

これを見て次のようにツイートしました.

ルベーグ積分、縦で切るとか横で切るとかいう話ではなく、積分の近似に系統的な関数列の極限を採用する視点の方が関数解析への展開からは重要と思っているが、測度空間への意識づけには確かに値域・定義域の関連付けの方が適切だろうという気はするため、やはり両方きちんと解説しろ事案だった。 関数列の近似で単関数列を作る時、当然可測性を考えないとどうにもならず、嫌でも可測構造に意識が向くといえばそれはそうではある。

書き方が微妙だった感じはありますが, 何にせよ積分の近似でリーマン積分は関数をいじらず区間を区切ってその極限を議論している一方で, 関数列をうまく作って関数列の極限で議論している点は非常に重要な違いです. 関数列の極限がうまく動くように理論を定式化する動機が生まれるからです. これは関数列に対する収束概念の精緻化の動機づけにもなり, まさに関数解析的な視点につながるからです.

自己共役性の物理

Twitterでまた物理での作用素の自己共役性に関する議論が微妙に出ていました. それを見て次のようなツイートをしました.

自己共役作用素の定義域問題、数学的にはややこしいことこの上ないが気分として境界条件ごとに物理が変わり、それに合わせてスペクトルや固有関数もうまく切り替わってくれるわけでむしろ物理をよく写してくれるありがたい話と思っていたがそう思わない物理の人がいるらしくていつも困惑している。 微分作用素の定義域を考えないの、境界条件を無視して偏微分方程式を解くのと同じ作業なのだがどうしてそういう意識が育たなかったのかがむしろ気になる。 よくわかっていないのだが、ディリクレ・ノイマン・周期境界など、典型的に物理的に意味がある境界条件で適当なクラスのハミルトニアンに対して自己共役性が成り立つという数学的結果はあるだろうか。 この話、熱力学的極限を考えるとき、Liebのグループがやっているような連続系でのBECの議論で作用素論的には必要なのではないかという気がするが、Lieb達はもっと実解析的にやっていてそれ程表立って議論されていない気はする一方、Bratteli-Robinsonに少し書いてあった気もする。

実際問題として物理の議論で自己共役性を気にする必要はないというか, 自己共役性の証明だけで純数学の論文になるほど難しいです. 難しすぎて私自身全く把握できていないのですが, 物理的によく知られた, 重要なハミルトニアンであっても自己共役性が知られていない例はおそらく大量にあるはずです. どちらかと言えば自己共役性が証明できている作用素の方が少ないのではなかろうかと思います. 少なくとも場の量子論・量子統計力学では極めて非自明です. 量子統計的な無限格子系だと格子系による単純化がある一方で, 作用素環的な議論も必要で簡単ではありません.

形式言語と情報科学: 数理論理と情報理論

数学基礎論(というか数理論理学)は初手がめちゃくちゃ難しいのはあるのかもしれない。そもそも「形式言語」とその意味論を考えるということのモチベが伝わりにくいのよね……

その辺りは数学他分野よりも情報科学と親和性が高いんですよね。foo.cの中身がccにとってはCソースコードでもgrepにとっては単なるテキストでgzipにとっては単なるバイト列というのと似た話ですので。

形式言語と意味論の感覚がずっと掴めていなかったのですが, 改めてかもさんのこの手のツイートに触れてああそうかと少し感覚が掴めました. 私も出身の面からは純数学ではなく, 仕事の面からは広い意味で情報系でもあります. 数理論理の情報系への応用も基本的な議論がたくさんあるため, この辺をうまく絡めたコンテンツがほしいですが, 上記ツリーでかもさんに聞いたところ, 教育含めてその筋専門家であるかもさんも知らないのだから今本当にないのでしょう.

まずはこれらの関係はおいておいて, 数理論理とその情報への応用をきちんと勉強しなければいけません. いつになるやらといった感じですが.

Union-Findアルゴリズムと計算科学の話: 情報と物理の関係

Union-Findの応用としてパーコレーションが挙がっていて, これはやはり専門家にしか書けない文章でしょう. 上で自己共役性の物理, 数理論理と情報理論といった話を書きましたが, 数学・物理・情報に関わる・またがる話で, 少し突っ込んだところに触れるのは大学の外では非常に大変です. もっとやってくれる人が増えないかと願っています. 私ももっと情報をきちんとまとめて, いろいろな人が触れられるようにしなければと感じています.

メモ

標準ボレル空間と速度距離空間の詳しいPDF

arXiv にもはや教科書扱いされそうなPDFを見つけた 標準Borel空間 https://arxiv.org/pdf/0809.3066.pdf 測度距離空間 https://arxiv.org/pdf/1410.0428.pdf

標準確率空間って完備可分距離空間上に確率測度を与えた空間だから、測度距離空間論の主戦場なんだろうね・・

あと日本数学会にも標準Borel空間のPDFがあった https://www.mathsoc.jp/publication/ItoArchive/V10/A12pp001-149.pdf

『取扱注意!高校数学を大学数学で解く「チート解法」』

拙著『取扱注意!高校数学を大学数学で解く「チート解法」』がもうすぐ出版されます。予約受付中です。 https://hanmoto.com/bd/isbn/9784753935505 Amazon:https://amazon.co.jp/dp/4753935507 楽天:https://books.rakuten.co.jp/rb/17772250/ 題名通りのえげつない本です。多分こういうコンセプトの本は史上初だと思います。

何を侮辱と捉えるか

マザーファッカー系の悪口は日本人には効きが悪いということをまず学ぶべき、こうやって異文化を理解していこう

自分も親と距離があるし親とベタベタな人が周りに居なかったので、何故母親を侮辱する事が本人への最大の侮辱になるのか?ってのがずっとピンと来なかった。中国語でも母親を侮辱する悪口が沢山あって不思議だったけど、とっても近く濃い親子関係を見て聞いて、やっと何と無くわかるようになった。 親への感謝や愛情を人前で言う事は少なく親のことをくさす冗談の方が多い。特に母親は「女性」じゃ無く「母親」という感覚があるので、親を貶されても、特に母親を性的な方面で侮辱する言葉はピンと来ない。 それを中国人の友達に説明すると皆驚く。怒るポイントの違いも文化の差の面白い所だと思う。 国絡みで腹立つ事っていう友人との話で、日本を嫌いで日本っぽいデザインに腹を立てる気持ちは分からないし(アメリカっぽいデザインやそこら中にあるし)、中国人に日本の政治批判をされても別に腹は立た無いけど、もし職人が丹精込めて作った寿司を踏み潰されたら物凄い怒りを感じる。これは何だろう。 きっと食べ物を大事に、人が一生懸命作った物を大事に、お米は大事に、職人へのリスペクト、などの道徳観をぶち壊される感じが許せないのか? 国を離れて、こういう自分にとっての当たり前を改めて考える癖がついたし、割と面白い。

小平先生のレクチャーノートの英訳

ひょんなことから小平先生の「代数曲面論」(東大レクチャーノート8)が2020年に英語に翻訳されていたのを知る. https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-15-7380-4 ちなみに日本語版は無料.

小平 邦彦 述 山島 成穂 記 代数曲面論 [1968] https://ms.u-tokyo.ac.jp/publication/docs/lecturenotes08-kodaira.pdf 50ページ強で小平消滅定理まで. ちなみに東大のレクチャーノートは多数公開されていてかなり読みごたえあるよ. https://ms.u-tokyo.ac.jp/publication/lecturenote.html

公開されてないけど、小平さんのNevanlinna 理論は英訳された https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-10-6787-7

読み上げの意義

頭の良くない人って、テキスト読ませると「書いてないことを読み上げる」んだよね。てにをは、接続詞、助詞など細かいところまで丁寧に拾って読めないの。雰囲気で読んでるの。だから私は家庭教師や塾講師、知人の子の勉強を見る時はまず一番最初に「教科書声に出して読んでみて」って学力チェックする そうするとやっぱり「うわー、全く書いてないことを読み上げてるわー…」というケースが必ずある。「書いてある通り、そのまんま、ただ読めばいいだけ」なのに、それができない。「どこにも書いてないことを読む」って、ツイッタランドのクソリパーだけじゃなく「小さい頃から」始まってるみたいだよ そんで人に指摘されるまで「自分が間違えて読んだこと」に気づかないし、指摘しても気づかないことすらある。「ちょ、今のところもう1回読んで」っていうと「え、間違ってた?ちゃんと読んだけど?」って言う。「いやいやいやいや、ちゃんと読めてなかったし、間違ってた」っていうやり取りになる 嫌なやり方かもしれないけど、読んでるところを録音してあとで聞かせた方がいいのかも。「ここがちゃんと読めてなかった」「書いてないことを読んでるよ」みたいなことを教えるのって大変だけど、そもそも「書いてあることを書いてある通りに読めない」ようでは、何の科目を勉強しても無駄だと思う だって「書いてあることを、書いてある通りに、読めない」んだから。 勉強の前にまず「テキストの音読」をやって「書いてあることを、書いてある通りに、そのまま読む」訓練したほうがいいと思う。 少しバズっていて言葉が足りなかったなと思ってたところに質問が来たので補足しますが「書いてないことを読み上げる」というのは「書いてある通りに読ま(め)ずに、助詞や接続詞を平気で飛ばし、雰囲気で意味が通じように、自分で無自覚に創作したものを、勝手に挿入して発音する」という感じです。 「書いてある通りに読める人」にとっては「一体どうやったらそんなことができるのか」「書いてないことを読むほうが、はるかに難しい」と思うのですが、「書いてある通りに読むほうが難しい人」にとっては「自分で勝手に創作する方が簡単」みたい?と思います あと、言うまでもなく漢字。「この学年で、この漢字が読めない」というのが、音読してもらうと一発で速攻把握できるので、教える側にはとても便利。 最悪ひどいときは、「~~ではない」を「~~である」に読み違えていたりして、「まるきり正反対の意味」に読んでいる事すらある。「これじゃあ、勉強が全然わからないわけだわ~!」と思うことが多い。低学力の子は。音読を見てあげるだけでも全然違うと思う。 なんかすごいバズってしまってビックリだし宣伝するものもないんだけどww、書き出しが「頭のよくない人って、」って書いたのがよくなかったみたいだね。誤解を生んだり気分を害された方がいらしたみたいでサーセン。「学力の伸び悩んでいる方は」とか書けばよかったかな。 クソリプもかなり来てるけどw、「目からウロコ」「音読の意味がやっと分かった」というリプが多い中、「全く信じられない」という人もいて、そういう人はたぶん低学力の子の勉強を見た経験があまりおありでないのかも?。「それはディスレクシアです」ってリプもけっこう多い。

工学者の矜持: 体育館に「おうち」ができた…能登半島地震で大活躍する「1棟1万円」の簡易住宅を作った大学教授の使命感

文字式の難しさ

思想の自由

だからクセイさんは 「海外では小児性愛者に厳しいことを言ってるやつほど、実は小児性愛者で犯罪を犯していたってことが多々あるので、小児性愛者を叩いてるお前も怪しいことになるので、そうじゃない証明をしてみろ」 と言う

世界史学習

どっかでまた山川世界史を読めという議論が発生してるのか。これどうぞ。>高校世界史レベルの知識を速成でインストールする方法 - Togetter 14年越しの補足記事です。> 高校世界史教科書で学びなおす歴史学習メソッド(2024年/令和6年改訂版)tricken @tricken

今回、山川世界史への批判点も複数出ている。OSとアプリのシナジーみたいな話と議論の構造が似てきたかもしれない。もちろん山川世界史は「教師から見た都合の良い保守性」という批判はある程度的を射てるんだけど、その保守性のお陰でできた教材ネットワークのは自習派にも恩恵を齎してると思う。 自分は「自習派こそ山川世界史B×良質な資料集のコンビネーションで独習できる」という仮説を敢えて推してる(※教師付きの方が効果が高まる場合はあるが、教師付きでなければ山川世界史の価値が大きく減じる、という立場には立たない)。 その上で「引っかからず通読する」ことを重視するなら、山川世界史Bは厳しい局面もあるかもしれない。あと他の方も言ってる通り、山川世界史にはグローバルヒストリーアプローチや世界システム論の視座が希薄だし。(前に岡和田さんに「西欧中心すぎる編纂だよね」と突っ込まれた事もあったね)。 2010年の頃は受験世界史への視点もあり、「テーマ史から論述へ」という点を断ち落とせなかった。そうなると、一見zipファイル的とも言える山川世界史の圧縮言語文も、「論述としてまとめるならこれっきゃない」的な端正な文として参考になるんですよね。その点で山川世界史は若干誤解されている。 システム論、グローバルヒストリー的な視座を踏まえつつ(つまり西欧中心主義的な書き振りを現代的な傾向に合わせて崩しつつ)、なお若干の圧縮言語的端正さを継承した山川世界史・改みたいな教科書があればいいんだけど、山川の『新世界史』最新版はそういうものになってるのかしらね。確かめたい。 しかし改めて、受験世界史を目標としない場合の目標設定、つまり「テーマ史や論述と言った問題に回答できる(=アウトプット可能な状態になる)」ことを単なる世界史やり直しの中の課題に全然含めないでいいのか、というのは、実は結構悩ましい。世界史的問題を作文で答えて身につくものもあるから。 テーマ史や論述を全然省いて「読むだけの理解」をひとに薦めるのは、数学に例えるなら「演習問題をぜんぜんやらなくても微分積分はわかります!」的な欺瞞に近いものを感じるんですよ。 「単に読み通すだけで高度に理解できる世界史読書」なるものは、本当に世界史の“アウトプット”能力含めた理解を涵養してくれるのか疑問だ、という気持ちがある。他方で世界史の国立大論述対策みたいな激ムズ問題をやりまくることもまあ、やり直し世界史のコアにはなり得ない。どこでバランスを取るか。 自分が、人によってはとっつきづらい山川世界史を敢えて薦め続けるのは、この「特定の歴史記述について端的に述べ直す」という時の手本となる作文を示してるという点が大きい。単に読むための教科書ではなく、いつか自分で述べ直すための手本を示している教科書、という見方をしている。 その上で、もしかするとそういう点も含めて、帝国書院やその他の教科書の方が、モダンで優れた「歴史を語る作文の新たな手本」になっているかもしれない。その時は山川世界史をいったん省いてもいいかもしれないと思う。(帝国書院の世界史Aと新詳世界史みとこ) ともあれ「自分の手で歴史の一部を、学んだ事実に基づき述べ直す」という演習が世界史学習の後半部分において想定されていることは、どんなタイミングで世界史をやり直すのであれ、僅かでも意識されたほうが学習効果が高まると思う。 「読み物としての世界史(学習)」ではなくて「書き物=規定演武的語り直し=出力品質保証としての世界史(訓練)」みたいな世界観をバックグラウンドで駆動させながら山川世界史を推していたかもしれない。その世界観で褒められる山川世界史というのがあるわけです。 ここまで山川教科書の是非を述べたところで、「書き物の参考としても今一番イケてる高校世界史教科書はどーれだ」という話はアップデートさせてゆきたい。書き物としての山川世界史のことは相変わらず評価してるけれど、2024年現在で見直すと山川が脱落してる可能性は全然あると思っている。 新課程の方が評判いいというコメントがあり、気になりますねえ〜。ディベート的に山川世界史Bを推す立場をしばらく保持しますが、折れる日も来るかも。

私も世界史教科書は帝国書院を推します。 山川のシェアが高いのはその保守性(新項目はコラムに回すなどして構成をできるだけ変えない等)故、つまり採用する側=教える側の「授業のやり方をできるだけ変えたくない」という心理に寄り添っているから、というフォークロアもあってですね。

2024-01-28 幾何の難しさと暗記問題/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 勉強するときに意識する三要素
  • 幾何の難しさと暗記問題
  • 幾何と調和振動

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勉強するときに意識する三要素

最近数学としては腰を据えてゆるく幾何のノート作りを進めています. 改めて感じたのが覚える大変さです. まず一般的に何かを勉強する上での要点は次の三点にあると考えています.

  • 知識
  • 技術
  • 頭の使い方・思考法

お互いに関連する要素もありますが標語的に分けてあります.

知識は単純に知識です. 暗記事項と言っても構いません. 数学で言えばいろいろな概念の定義その記号, さらに基本的な記号運用のルールを覚える必要があります.

技術は例えばホモロジー代数で可換図式のdiagram chasingなどが(知っている人には)イメージしやすいでしょうか. 不等式処理の腕力なども技術枠に入れています. telescope methodのような名前がついている方法もあり, 電磁気などベクトル解析でのガウスの法則・ストークスの定理に対する部分積分なども技術枠と思っています. 変な言い方かもしれませんが, 「受験テクニック」の類も技術的な問題と言えるでしょう. 知ってさえいれば楽になるがそれを知らないと困るタイプの知識があります. 単に知っているだけでは駄目で必要なときに知識の引き出しから出せる必要があります.

上記二つは基本的に分野特有で, 最後の頭の使い方・思考法はある程度汎用性があると思います. ここで想定しているのは例えば「分類」です. どんな分野でも分類は基本的な思考の枠組みです. 語学・言語学で言えば例えば単語の品詞の分類があります. 物理で言えば, 磁性による強磁性・常磁性・反強磁性物質, 電気伝導度による分類として超伝導現象を起こすかどうかといった分類があります. 数学で言えば「どのような多様体があるか」, 「どのような作用素環があるか」といった問題は常に分野の基本的な問題です. 新たな分類を探すのも大事な問題で, 分類を特徴づける要素の研究や, 新たな分類を生み出す要素の発見といった問題もあります.

幾何の難しさと暗記問題

前段を受けて幾何の難しさを考えます. 解析系出身から見た幾何の難しさはまず知識面, もっと端的には暗記にあります. 具体的には幾何では次のような形で大量の空間が出てきます.

  • 多様体
  • 接空間・余接空間
  • 接束・余接束
  • 一般にベクトル束
  • ベクトル束のファイバーのテンソルで得られるテンソル積束
  • ファイバー束・主束

もちろん全て「多様体」の一言でまとめられるとはいえ, それで済んだら苦労はしません. そもそも多様体自体に関わる概念・記号がたくさんあってひどく面倒です. そして上記の多彩な多様体を適当な形で区別して議論しなければならない理由として, 多様体上・多様体間の写像や作用素の問題があります.

  • 多様体上の写像
  • ベクトル場・微分形式
  • (リーマン)計量
  • ベクトル束に値を取る微分形式
  • 一般に多様体上の切断(がなす空間)
  • 様々な微分作用素: 外微分作用素, 接続(共変微分), リー微分

カルタンの公式などこれらの間の適当な関係もあります. ここでもいくつかは「切断」と言えば一言でまとめられます. しかし実際に勉強していてそれで済んだら苦労はいりません.

さらにややこしくなるのが「誘導---」です. 例えば接束上でのリーマン計量は余接束に対してリーマン計量を誘導します. 他にも引き戻しで誘導される計量といった概念もあります. 接続も同じく誘導接続があります. たくさん空間がある中で誘導された概念も含めて大量の計量や接続や微分作用素の概念が現れます. 実際に計算をしていてどこの空間にどう作用するのか記号的・概念的によく混乱します.

ここで「慣れればわかる」問題が出てきます. 確かにそれはそうですがそれで済んだら苦労はしません. 基本的に概念間に適当な整合性があるように定義されていますし, それこそ丁寧に追いかければどうにかなります. そしてこの「丁寧に追いかけてどうにかする」のが一番大変です. 最近ようやく慣れてきたというか, いろいろな概念や基本的な等式などが頭に入ってきました. やはり焦らずじっくり丁寧に向き合うしかないと改めて実感しています.

しばらくベクトル束を中心に勉強していて, 指数定理で特性類が出てくるためファイバー束と特性類の復習を再開しました. ファイバー束まわりで記号の定義が全く頭に入っておらず, 議論を追いかけるのが本当に大変です. そもそも一回とにかくノートを作っただけで, 事実上新しいことを勉強していると言っても間違いではありません. 「慣れればわかる」は基本項目の暗記も含むのを実感しています.

幾何と調和振動

とりあえずざっと指数定理の証明に関するノートを作りました. まだクリフォード代数のノートが雑なままで半端ですが, 解析的な部分が一通り書けたため, これからじっくりタイポチェックも兼ねて復習をはじめます.

熱核の方法による議論を追いかけていて, その中で調和振動子に対する熱方程式が出てきました. 単に$\frac{\partial u}{\partial t} = Hu$の$H$が調和振動子になっているタイプの熱方程式です. 調和振動子のシュレディンガー方程式の虚時間化と言っても構いません. この中でメーラーの公式なども出てきました. 前から名前などはもちろん知っていましたが, これまでまともに使ったことがなくノートも作っていなかったため, 改めて調和振動子まわりのノートも整備しました.

幾何, 特に調和積分論や指数定理の, 微分幾何というより幾何解析よりの解析的な議論でこれまで積極的に使う機会のなかった解析学系統の知見を使う機会があって非常に楽しいです. 調和積分論も指数定理も熱方程式とコンパクト作用素周辺の議論を軸にでき, コンパクト作用素のスペクトルも幾何的な情報を持っています. 他にはテイラー展開, より強くは漸近展開の議論も重要です. これがなかなか大変ですが形式的ベキ級数もこんなところで使うのかという感動があります. リーマン計量のテイラー展開なども追いかけるのが大変ですが面白いです.

メモ

国籍の定義

外国人が帰化すればそれで「日本人」と言って良いかどうかの旨、議論が繰り広げられております。これに関しては、国の政策に関わることであり、大使としての立場上コメントすることは許されません。しかし、一人の個人として意見を述べることは、実はそれ以上に憚る気持ちがあります。なぜなら、それはまさしく日本人が決めることであり、外から来た私たちは、たとえ帰化したとしてもそれに対して軽率に口出しして変えようとするのは、適切ではないと思います。「答えになっていない。だから、その日本人の定義は?」と聞かれればそれは、雲ひとつない青空のように疑問の余地を残さず自分のことを「日本人」だと確信している人を言います。

また私個人に関しては、これだけ日本に馴染んでいて多くのフォロワーがいるから、これから付き合っていく上でこれを機会に説明をしたいと思います。私は幸せな人間です。なぜなら自分にジョージアという国が特有のアイデンティティを恵んでくれたからです。だから、今世はジョージア人として誇りをもって生きていきます。その上で、日本は私にとっては第二の故郷です。それだから一層と自分は恵まれていると感じます。

これでいて、もちろん自分の子供はジョージア人として生きてほしい気持ちはあるが、子供は子供で大きくなってからものごとを自分で考えてほしいという気持ちが強いです。その時はその時で状況が変わっていることでしょうし。本題に関しても、今とは考え方が変わっていると思いますし、それだから歴史は面白いのです。

素イデアルの集合とスペクトル

擬微分作用素とパラメトリクス

擬微分作用素の理論を先にやって楕円型微分作用素のParametrixの存在を先に示してしまった後に楕円型正則性を楽に示すと言う方法、Wells以外で見たことない

2024-01-14 省略記号の利用を控える/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 省略記号の利用を控える

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近況報告

年明けから数学のリハビリを続けています. 年末年始に買い込んで休みに読もうと思っていたプログラミングの本の積みもあるため, そこも消化したいところですが久しぶりの数学集中モードでなかなかうまく時間配分できていません.

やはり数学は猛毒というかいったん集中すると抜けられません. 復習のためにもノート整理しつつ進めていてあまり進捗はないものの, 急ぐものでもないためのんびり進めています.

Leanなど勉強したいことが死ぬほどたくさんあって精神と時の部屋がほしいくらいです. 日常が退屈とかいうのは本当に理解できないですね.

今週は書けることがあまりないのですが, できる範囲できちんとやっている姿を見せるだけでも大事だろうと思い, 自分の進捗記録も兼ねて書いています.

省略記号の利用を控える

細々とした記号の確認のため, 久しぶりに多様体論と微分幾何の基礎のところからノートを見直しています. TeXのタイピングが面倒で省略記法を使っていたのですが, 久しぶりに見返すといま一つわかりにくいと思うようになりました. 以前はシンプルな記号の方が読み書きしやすくてよいと思っていたものの, 慣れていない幾何の分野でそれをやるのは悪手だと改めて感じています. 復習ついでに記号を整理しているため, 復習自体の進捗も芳しくありませんが後でコンテンツとして提供する予定でもあるため, 最終的に必要な作業でもあります.

他にも省略記号には流儀がいくつかあります. 必要になってネットで調べ, 時々でその文献での記号を使って書いている部分もあり, 不揃いになりがちな部分もあります. その統一も兼ねてシコシコとノートを整理しています.

方針の大変更でもあるため, 記述の整合性のような問題もありますが, 仕方ありません.

そもそもとして熱力学の有名な問題で, 「どの変数の関数で何を固定して偏微分するか, 既存の記法はわかりやすいとは言えないが, 慣れれば問題ない」とよく言われる一方, 慣れるまでが問題で挫折するともよく言われます. そして実際, 慣れきっていない分野で前に書いたノートが案の定読みにくいため, 幾何解析系の記述を追加しつつ並行して改善中です.

指数定理のノートを作っていると, 当然ながら位相幾何系の話も出てきて, そのノートも作り切れていませんし, そもそも基礎知識も足りていません. 興味はあるものの私の中での優先度は低めに設定していつつ, どうしたものかと悩むところでもあります. 悩むというとネガティブな響きもありますが, 基本的なところでもまだまだ見えていない面白い世界があるのも確実で, もちろん楽しみの方が強いです. こういうのは勉強会的に人を巻き込んでやるのがいいのですが. 数年レベルでじわじわ進めるしかありません.

2024-01-06 『偏微分方程式で学ぶ多様体論』がほしいので作る/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • お勧めの本二冊, 『調和積分論』と「複素関数論」
  • 他にも挑戦したい分野: 基本的な幾何解析の分野集
  • コンパクト作用素の幾何への応用

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近況報告

結局ここ半年ほど仕事関係のプログラミングの勉強ばかりでほとんど数学・物理のノート作りをしていませんでした. たまに気分転換に過去のノートを見返して復習・整備をしていた程度です. 年も明けたため心機一転で微分幾何・幾何解析のうち具体的にソボレフ空間論・作用素論・偏微分方程式論を駆使するタイプの勉強を再開しました. ここ二ヶ月程度は現実逃避で$\overline{\partial}$-方程式による多変数関数論の勉強をしていてソボレフ空間をよく使っていたからでもあります.

去年は代数的位相幾何・層とコホモロジーなどの幾何に関わるノートを整備しきりたいと思っていたものの, 後半の怒涛の仕事用学習でほぼ頓挫しています. ノート作りからもかなり離れていたため, 気分を乗せやすい解析関係で勉強を再開しました.

ついでにいろぶつ先生が特殊相対性理論の教科書の査読者募集をしていて, そちらにも応募して特殊相対性理論のリハビリをやっています. 量子情報のための線型代数の通信講座・勉強会の第三弾の開催が遠くなっていますが, これが終わったら特殊相対性理論(のための線型代数)をやろうと思っています.

今月からメルマガもきちんと再開する予定です. ゆるくがんばります.

お勧めの本二冊, 『調和積分論』と「複素関数論」

具体的には次の二冊です.

前者は$\overline{\partial}$-方程式による多変数関数論の本で, 後者は熱核の方法による多様体上のラプラシアンを調べる調和積分論の本です. どちらも比較的薄い割に一定以上のラインまで議論が進む点がよいです. 前者は意図的に複素多様体の議論はおさえて$\overline{\partial}$-方程式の議論に集中している点がよいです. 幾何の本はあくまで幾何がしたいため, 調和積分のゴリゴリに解析的なラプラシアンの解析の詳細は避けられ, 結果だけが導入される方が多いように思います. そんな中で後者は(私の観測範囲では)なかなかない解析に真正面から取り組まれた本で貴重です. 一応多様体の基礎からまとまっています. 後半も後半の調和積分のところしか読んでいないものの, ベクトル束を含めて必要な知識自体はまとまっているため, ベクトル束までの幾何の様子をさっと知る目的にもよいのではないでしょうか.

どちらにも特徴的なのは関数解析やヒルベルト空間の議論がある点です. 関数解析を勉強したはいいものの, どこにどう使うのかイメージが持てない人, 純粋な解析以外, 特に幾何への応用を見てみたい人にもお勧めです. $\overline{\partial}$-方程式・調和積分論はともに楕円型正則性が実際に役立つ場面でもあり, 楕円型正則性愛好家にもお勧めです.

他にも挑戦したい分野: 基本的な幾何解析の分野集

既にいくつかノートを作ってある内容(ただしタイポ修正を含めたブラッシュアップができていない)も含め, 次のような内容を整備したいと思っています.

  • 多様体上のラプラシアン・ディラック作用素の解析
  • 指数定理
  • (ウィッテン流の)モース理論
  • 山辺の問題
  • モンジュ・アンペール方程式
  • ゲージ理論, サイバーグ・ウィッテン方程式
  • $\overline{\partial}$-方程式, さらに深い多変数関数論, 特に複素多様体上での議論

モース理論はウィッテン流だとソボレフ空間をゴリゴリに使うようです. ミルナーの本に相当する内容でも常微分方程式とその解の極限を丁寧に議論してモースホモロジーを構成するため, 解析的に丁寧な議論が必要です. モース理論自体, かなり直接的に微分積分をがんばっていると幾何がわかる分野でパラパラと本を眺めていて面白かった理論です.

そもそも基本的な多様体のノートも面倒で作り切れていない問題があります. 何度か勉強しているため, ある程度わかっている内容を改めてきちんと書くのが本当に面倒で, 逆に解析方面の基本的なノートを通信講座作成と合わせて書いたときの強制力の強さの凄まじさに今更ながら驚きます.

コンパクト作用素の幾何への応用

これまで非可換幾何で無限小の扱いになるとか何とかでコンパクト作用素を使う話は聞いていて, それ以外にこんなの都合のよすぎる作用素をどこで使うのかと思っていたら, 改めてコンパクトリーマン多様体上のソボレフ空間論・偏微分方程式論の応用で標準的な議論の対象だとようやく認識しました.

有界領域に対するソボレフ空間論で埋め込み写像のコンパクト性はもちろん知っていたのですが, こんな形で使うのかと改めて驚いています. 全空間でのシュレディンガー方程式に対する応用しかしたことがなく, 当然この意味でのコンパクト埋め込みが出てくる局面がありませんでした. 特に調和積分論で醍醐味が味わえるためぜひ先程紹介した本で調和積分論を解析的に詰めるところまでやってみてください.

調和積分論の解析的に面倒な部分はホッジ分解の厳格な議論で, 特にポアソン方程式の解の存在の議論です. 本質的には同じような話ですが, ホッジの定理「向きづけられた閉多様体の全てのド・ラームコホモロジー類はただ一つの調和形式で代表される」でも調和形式の存在の議論でラプラス方程式を解く必要があり, ここで解析をフル回転させます. 特に熱核の方法では熱核のコンパクト性に帰着させます. いま手元のノートでは上記の本による余接束でのシンプルな熱核の方法による調和積分論と, クリフォード束上のディラック作用素の楕円型正則性と合わせて議論するタイプの調和積分論と二通りのノートを整備しています. 上記の『調和積分論』ではパラメトリクスの議論もあり, 同じく熱核の方法によるディラック作用素の指数定理でも役に立つ議論です. 実際, 読もうとしている本が熱核の方法による指数定理を議論しているため, その前哨戦として上記の本のノートを再整備した形です.

ちなみにホッジ分解は電磁気で有名なヘルムホルツ分解の一般化にあたります. 私の手元の幾何ノートにはもちろん証明つきで記録しています. 細かな整備が全然できていないため公開できる状態ではないのですが.

メモ

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ディラックの逸話

ディラックが学生に「何か質問はあるか?」と聞いて、式の導出が分からないと聞いてきた学生に、「それは質問ではなくて陳述にすぎない」と言った話好き。 http://www.p.s.osakafu-u.ac.jp/~kayanuma/teigi.html

突出した子を集めた英才教育に挫折「IQだけじゃない」学園の教訓

文部科学省が「これまで我が国の学校において取組はほとんど行われてきませんでした」と、今年度から始めた「特定分野に特異な才能のある児童生徒への支援の推進事業」。いわゆる天才児、ギフテッドと呼ばれるような飛び抜けた才能を持つ子への支援だ。

ただ、民間でのギフテッド教育で先行したNPO法人翔和学園(東京都中野区)の中村朋彦さんは「レベルが高い集団で英才教育を施し一芸を伸ばす、そんな単純なものではなかった」と振り返る。

才能を伸ばす試みがうまくいかなかった理由、挫折から得た教訓、形を変えた新たな試みを聞いた。 連載「天才観測」

将棋の藤井聡太八冠、大リーグMVPの大谷翔平選手。前人未到の境地を切りひらく「天才」の活躍に沸く日が続きます。天才が社会にもたらすもの、人々が天才に託すもの、現代の天才について考えます。

つんく♂「天才はいたけど採らなかった」 才能よりも大事な成功の源

目標はイノベーション、小学生が相対性理論に言及

――ギフテッド教育はどのような経緯で始まったのでしょうか?

「発達障害を抱えている、小学校を不登校といった子どもたちを支援するフリースクールを運営する中で、IQ(知能指数)が飛び抜けて高い子が一定数いることに気がつきました」

「子どもたちと一緒に公園に行くと、すべり台やブランコでの靴飛ばしをして楽しそうに遊びます。子どもらしいなと思ってよくよく会話を聞くと、すべり台では摩擦係数について、靴飛ばしでは射出角度について話し合っている。同年代の一般的な子どもたちとはなじみにくいはずです」

「IQの高さゆえに学校の授業に魅力を感じなかったり、才能の凸凹の凹の部分ばかり指摘されることで意欲をなくしたりする子が多いです。恵まれた才能を生かして凸を伸ばすことに特化すれば、社会にイノベーション(技術革新)を起こす未来のエジソンやアインシュタインが生まれるのではと、2015年にIQ130以上を目安に選抜した小学生によるアカデミックギフテッドクラスを設けました」

――どのような子が集まり、どのような教育をしたのでしょうか?

「イノベーションが目標だったので、特に理数系が得意な子を募集しました。バーチャル嗅覚(きゅうかく)を研究したいという子がいて、人間の五感のバーチャル技術において、視覚や聴覚は研究や実用化が進んでいるものの、嗅覚は遅れているといった関心の高さを持っていました」

「他のクラスで行っている基本的な課程は最小限にして、子どもたちがそれぞれ関心がある分野を重点的に。学習発表では、インターネットを駆使して様々に調べて相対性理論に言及する子もいました。我々では教えられない高度な部分も多く、理系の大学院生や英語講師といった外部の方も講師として招きました」 3年で廃止「指導が間違っていたと認めないといけない」

――意欲的な取り組みで、問題があるとは思えません。なぜそれがうまくいかなかったのでしょうか?

「この子たちの将来の働き場になると想定した、IT企業の技術者や大学の研究者に視察に来てもらいました。ところが評価は厳しいもので、甘さを痛感しました……」

「指摘されたのは『小学生にしてはすごいが、このレベルの子は高専にはたくさんいる。ネットで調べた形式的な知識はあるが、科学の基本的概念の理解が浅い。周囲の助言にあまり耳を傾けず、実験に失敗した時の諦めも早い。これでは厳しいよ』というものでした」

「そう言われてよくよく見ると、IQが高くて弁舌も巧みなので大人が感心するようなすごいことを話しているのですが、資料を丸暗記しているだけで本質的な部分は理解できていないのではないかと感じることもありました。また、IQで選抜したことにより、子どもたちが悪い意味での特別感を持ってしまった面も見受けられました」

「医師ら運営に協力頂いている外部の有識者の方とも相談し、私たちの指導方針は間違っていたと認めないと次には進めないという結論になり、アカデミックギフテッドクラスは3年後の18年に廃止しました」

――挫折から得た教訓は何でしょうか?

「IQの高さばかりに注目してしまいましたが、社会で生活をうまく営むための発達に飛び級はないということです。成長のためにはやはり基礎学力、協調性、やり抜く力が欠かせません」

「全員が一つの大教室に集まっています。喜びや達成感を共有するためみんなで肩を組んで歌うなど、経験を共有する機会を大切にしています。それぞれが興味ある分野で個別学習するだけでなく、共通の目標に向かって集団で協力して学ぶことなども行っています」

――しかし、ギフテッドや発達障害の人はそうしたことが苦手だから、学校になじみにくいとされます。だからこそ長所特化にしたのではないでしょうか?

「長所を伸ばすためにも基礎が必要なんです。そのため一律的な形でなく、個別に適した形を模索しています。具体的には、文字を読んだり書いたりするのは苦手だけど絵を描くのがすごく得意な子がいます。絵の教本を渡すと、何回も模写をしてどんどん上手になっていく。ところが、ある程度のところで上達が止まりました。理由を探ってみると、文字が苦手だから教本の絵ばかり見ていて、技法の説明文をしっかり理解できていなかったのです。この子は今、苦手な国語を克服するためではなく、得意な絵をさらに伸ばすために言葉を調べるなどの勉強を頑張っています」

「また、世界一の大きさのペットボトル水ロケット発射に何度も挑戦して、昨年にギネス世界記録認定を受けました。大きくて明確な目標を立てることで、みんなで取り組む、失敗しても諦めずに続けるということを結果につなげられました。個人の興味関心の分野だけに閉じこもるのでなく、高校野球のように仲間と一緒に泥臭い青春を送ることで、様々なことに折り合いが付けられるようになるのではと期待しています」

――未来のエジソン、アインシュタインを育てるという目標も変わったのでしょうか?

「その目標も反省点です。イノベーションというわかりやすいキャッチフレーズにとらわれて、私たちが才能に優劣をつけてしまった面もありました。IQの高い低いは個人差でしかありません。実際、ペットボトル水ロケットの取り組みでは、IQが低くてもテープを巻く作業に黙々と取り組める、ロケット先端を上手に鋭角にすることができるといった子が大きな力になりました。それぞれの個性が、成功につながる才能でした」

「今は、自己肯定感を持ち、他者の幸福に貢献することに喜びを感じられる若者を育てたいと思っています。イノベーションの文脈で言うなら、『勝者総取り』ではない形で社会の発展に寄与する人材を育てることを目指しています」(聞き手・加藤勇介)

2023-09-23

コリオリの力の実演

江沢先生の訃報

統計力学でのエルゴード性

魔法少女から: 超準解析的超関数論

佐藤超関数を含め既存の超関数論の超準解析的表現は色々と研究されている. https://doi.org/10.1016/S0019-3577(00)88579-1 https://doi.org/10.1007/978-3-211-49905-4_6

魔法少女から: 超準解析と完備性

超準解析、超実数体で完備性が崩壊するだけでも関数解析系市民には直感を育て直す必要があってかなり厳しい。

内的部分集合(内的論理式の解集合として書ける)に限れば完備性が成立しているというのがポイントになっている.有理数体の実閉包(代数的実数全体)rcl(Q)は完備ではないが,半代数的集合(多項式の連立不等式の解集合として書ける)に限ってみれば完備性が成立しているのと同様.

テレンス・タオも使っているLean

Nice, Terence Tao (Fields Medal 2006) found a bug in one of his papers using Lean 4.

Sourcegraph, ソースコード特化の検索エンジン

ソースコード特化の検索エンジン「Sourcegraph」、コードリーディングが10倍捗る

GithubやGitlabなどのpublicリポジトリを爆速で横断検索

定義元へのジャンプや関数などがどのファイル、どの部分で使われてるかなども見れる

勉強や実装方法などで迷った時にpublicリポジトリを参考にする時に超便利

数学科的な数学と、それ以外の数理科学者の平均的な数学の違い

元ツイート

数学科的な数学と、それ以外の数理科学者の平均的な数学の違いとして、よく証明の厳密性が言われると思うが、それに関係して概念の規定の厳密性があって、すると当然表記方法もかなり変わってくる

確率や確率過程に関わる表記方法の違いなどは、一つの良い例ではないかと。なんか、各々のシンボルの身分をあまりきちんと決めず、前後関係でボヤッとやってしまうのが数理科学者流 確率変数とその実現値を同じ記号で書いて心が痛むかどうか、など 確率変数とは事象の空間から確率変数の値域への関数だ、 と説明した時、 それは決定論的な関数なの?と聞かれて虚をつかれた 解析学全般も似たようなところがある。

非数学者の数学の証明が厳密性を欠く、といった時、「そうか、証明の途中のステップがたくさんとんでいるんだね」と思うかもしれないけど、実際には土台のところからずれてるわけです 厳密化で失われるものもまた結構あって、やっぱり過度に煩雑になりすぎる。 。。。のかもしれない。僕自身は学部時代はラフな数学が主軸でだったから。数学の本も読み込みはしたが、修士を出て確率過程の研究室に就職した時、学生時代の勉強では全然足らずに苦労した。 なお、「出発点があいまい」というのは「定義が十分細かくない」という意味ではないです。例えば微分可能性仮定してるのかしてないのかわからん、程度の曖昧さならそんなのは適当に補えば良いのであって。概念の階層のようなところが曖昧はわけです。 よく冗談で、数理科学者が積分や極限の順序交換しちゃってごめんね、みたいな冗談ツイートがあるけど、本当をいえばあれで困惑する数学者はあまりいないと思う。適切に条件を足せば良いだけだから(条件を確認してくることはあると思う)。 あと、収束しない級数を収束させてごめん、みたいなのもそれで戸惑う数学者は更に居ないと思う。むしろ定義の拡張は彼らの得意技

私のコメント

後のツイートにもきちんと言及があるが、概念が雑なところにきちんとした証明がつくわけがないみたいな部分があまり通じていなさそうな印象がある。あと簡単に厳密化できる部分とそうではない部分の感覚も多分だいぶ違う。

そう、それです。ツリーにも書いたけれども、自分は基本は数理科学者的な数学でベースを作っているので、「雑な」と言われるとちょっと嫌ではありますが。。。。

深谷賢治さんが何かの本で「厳密性を気にしている物理学者の講演はつまらなかった。そんなのは我々がやるから、あなたたちはあなたたちの視点で自由にやってほしい」と言っていて、興味関心が違うのに無理に合わせる必要はなかろうという気分です。

https://x.com/gejiqmq/status/1718283817730056237?s=46&t=cytbgQ_rsSixpyGQuSuvRw この土台から違う事案、次のやり取りが意識の違いを表す様子を示す一つの例になっているのではないかという霊感がある。 URL

的確にコメントできなくて申し訳ないのですが、数学的に言えば正準不変量・正準不変式に関して定式化される対象である以上、何を根拠にしてラグランジュ括弧が正準不変量か保証する議論全体を精査しないと的確な仮定は洗い出せないのではないかと思います。

この収束に関する話はむしろ数学以外が困惑する部分で「収束させるために適切な位相を頑張って定義して関連する定理・理論を整備しました」と言われて出てくる数学に面食らう人の方がはるかに多いのではなかろうか。シュワルツ超関数くらいなら捌ける人はいるだろうが、 かなりの代数が必要になる佐藤超関数の議論を追うのは解析系の数学者でさえかなり際どいと思う。もう少し関数解析的なネットの収束でも特にサブネットの収束は部分列の収束よりもはるかに嫌な現象を引き起こすため、私はいまだに感覚が掴めていない。

簡単に厳密化できる部分とそうではない部分に関して、例えば近似が絡むと一気に修羅度が増す。例えば相対論的場の理論だとHaagの定理によって共変的な摂動論が破綻していて、数学的には現状大体何も解決できていないと思う。基底状態の存在さえ激烈に非自明だろう。 量子統計でも平衡状態の存在を示すだけでとんでもない大仕事で、何かするならLiebレベルの化け物を連れてこい事案になってしまうはず。

おかしさに気付く方法

物理の人が物理的なおかしさで計算間違いに気づくように、数学の人も数学的なおかしさで計算間違いに気づくんだよなぁ…

メモ

取扱注意!高校数学を大学数学で解く「チート解法」

続きはFANBOXで!じゃなくて… ここだけの話ですが、出版社の方に依頼され、こういう解法をまとめて本を書きました! 他の応用例やより詳しい解説はこちらの本をご覧ください。 来年2月20日発売予定で、まだ表紙も未定ですが、既にこちらから事前予約できます。 https://7net.omni7.jp/detail/1107463537

2023-12-18 これは嬉しい ChatGPTプロンプト書き方のコツ、OpenAIが公開

4年間、7色だけでUIをデザインし続けた話

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模写でプロ級の制作スキルを身につけよう!:mosya.dev

自閉スペクトラムの世界

今朝の新聞に掲載されていた中学3年生の自閉スペクトラム症の男の子が書いた作文 こんなにわかりやすく自閉症の人の心理状態を言語化できるのはすごい! 自閉症が正しく理解される世の中になればいいなと思う

第73回全国小・中学校 作文コンクール 文部科学大臣賞

私は重度自閉症である。いつも叫び出したい衝動を感じている。でも叫ばない。叫んではいけないと学んだからだ。この作文で私から見える世界を、みんなに共有したい。

小学校は支援級に在籍していたが、現在は中高一貫で少人数制の私立中学に通っている。4歳の時に注意欠陥多動優勢の自閉症スペクトラムと診断を受けた。小学6年生の時に身長が止まり、成長ホルモンを毎日注射している。身長は146センチで、15歳男子平均より20センチ以上低い。

家族とファミリーレストランに行くと、店員が「子供椅子はいりますか」と笑顔で聞く。耐える私に、今度はキッズメニューを差し出してくる。見た目で判断しないでください。そう伝えたいけれど、見た目で子供なのだから、店員を責められない。やりどころの無い怒りを抱えて私は黙る。

私は授業中によそ見をしてしまう。宿題のお知らせを聞き逃し、やってこない。不真面目で意欲を持っていないと評価される。悲しい出来事で、何度も泣いた。

真面目に授業を受ける気持ちで座っているが、教室はその気持ちを阻む様々な情報であふれている。クラスメイトの動きやきぬ擦れの音がとても不快な音でジャリジャリと聞こえる。ノートの上を動くシャープペンシルの音は不協和音で合奏している。エアコンの音がごおごおと鳴り、隣の教室からも似た物音が聞こえてくる。等々きりが無い。

私はいつも叫び出してしまいそうで、疲れ果てている。先生の声は、200メートル先の、遠くのトンネルの向こうから聞こえる感じで、なかなか拾えない。

自閉症なのによく喋(しゃべ)ることが出来るね、と言われる事がある。私は人と関わるのが大好きであるし、お喋りも好んでする。だがコミュニケーションがしっかりとれているわけではないようだ。私を母はたまにラジオと呼ぶ。一方的に喋って満足してしまうからだ。

人の気持ちを読み取るアンテナが通常なら5本立っているならば、私は1本しか立っていないからだ。私は自分の気持ちも分からない。心を自分に感じない。だけど、相手を泣かせた時は、私の目から涙が出てくる。悲しい気持ちだと教わるけれど、なかなかつかむことが出来ないでいる。

自閉症の子供が産まれて、悲しむ家族もいるだろう。でも私達(たち)は学ぶし、成長する。人の気持ちが分かりにくいけれど、人が嫌いではない。小学校では床で寝転んでいたが、今は椅子に座り、必死に勉強している。

私達にはみんなと同じだけの未来があり、期待を持っている。私が間違った時は、あきらめないで教えて欲しい。私もこの困難な世界に向き合い、痛みを知っているぶんだけ、弱さを持っているぶんだけ、他の誰かに優しくなれる大人になりたいと考えている。

「首を斬る快感」を語るおやじが許せなくて 武田鉄矢さんと父の物語

stratificationは滑層分割

ホイットニー stratification を初めて知る. ところで stratification の日本語訳って何? 階層化?

特異点論の人たちは滑層分割と訳すことが多い気がします

「最悪」のLGBT理解増進法看護学者が語るそれでも見る希望とは

はてな匿名ダイアリー: ほぼ叔父に育てられた

父親はモラハラで母に興味が無く気まぐれに私を殴り

母親はアル中で不倫中毒で家事一切しない

共働きで父母どちらも炊事洗濯掃除全くしない

そんな家庭で育った

乳幼児の頃から本当に叔父に助けられて育った

叔父は母の年離れた弟で叔父が大学生の時に私が生まれた

私が生まれたばかりの頃から母の子育てを危ぶんだ叔父は私の世話をかって出た(らしい)

それから小学校に入学するまで母の実家で祖父母と叔父と暮らしていた

高齢者のパート賃金と大学生だった叔父のバイト代、叔父が就職したら新卒の給料が頼りだったので裕福とは言えない暮らしだったが穏やかだった

小学校入学とともに父母に引き取られた

地獄だった

叔父は土日に遊びに連れ出してくれたり母の実家にお泊まりさせてくれたりした

母はなぜか実家にあまり来ないので叔父と祖父母といられて懐かしいごはんが食べられて嬉しかった

10代になると自分の家庭が明らかにおかしいことがわかって心が荒んだ

それでもぐれたり非行に走ったりしなかった

叔父が仕事帰りに勉強を教えに来てくれていたのが大きいかもしれない

素直に勉強しようと思えたし勉強して進学するのがこの家を離れられる手段だと言葉ではなく感覚でわからせてくれた気がする

両親に学校や部活関連のお金を払ってもらえない

それどころか光熱費も滞納で家が機能しない

叔父は全部渋らず出してくれた

嫁に行った姉の家に金を出すなんておかしいと中学生でもわかる

すごく申し訳無かった

叔父はこんなことのためにお金を貯めてきたんじゃないだろうに

叔父がずっと独身なのは私のせいだと思った

金銭も勉学面も叔父に支えられ大学に進学した

上京して一人暮らしすることになり父母とは縁を切った

祖父母と叔父とは連絡を取り続けるつもりだったがちゃんと自立し叔父を解放してあげたいと思った

私が大学合格する頃に叔父は結婚した

叔母となった人は叔父よりも若いが私の状況も理解してくれて打ち解けてくれて本当に良い人で私も大好きだ

私が生まれた時の叔父の年齢と同じ年齢になった

叔父の子が生まれた

私のいとこにあたる

祖父母と叔父以外親戚づきあいもなかったので初めて身内に小さい子ができた

子守りをしに頻繁に叔父宅へ行くようになった

かわいい

ものすごくかわいい

何をしていてもかわいい

寝ていてもかわいい

泣くのもかわいい

寝返りもかわいい

はいずりまわるのもかわいい

つかまり立ちもかわいい

不安定に歩くのもかわいい

だんだん言葉を覚えるのもかわいい

名前を呼んでくれるのもかわいい

本やおもちゃを欲しがるのもかわいい

おいしいと思ったものを必死に食べてるのもかわいい

覚えたてのひらがなで私の名前を書いてくれるのもかわいい

かわいすぎてなんでもしてあげたい

色んなものを買い与えて叔父に怒られた

社会人になったし一人暮らしもちゃんとこなしているのでこれくらいいいじゃないと思う

いとこをかわいいと思うたびに泣けてくる

叔父は感情表現があまり無く強く怒りもしないが大きく喜んだり幼少期でも私を判りやすくかわいがったりしなかった

なので私は叔父は同情と義務感から私の面倒を見ているんだと思っていた

叔父の人生に私は邪魔だと思っていた

もしかして私はものすごく愛されていたのではないだろうか

幼い頃に見たビデオを思い出す

赤ん坊の私が寝転がってごきげんに風に吹かれているだけの5分間の映像

寝返りをするわけでもない

ただ時折笑い声をあげるだけの赤ん坊

それに合わせてカメラを構えているであろう叔父が小さく笑う声がする

ただそこにいるだけのいとこがかわいくてスマホのカメラを起動するたびにあのなんでもないビデオの映像を思い出す

この子が生きる過程で父母以外の拠り所を求めるなら私がそうでありたい

それが私にできる1番の叔父孝行な気がしている

【惜別】江沢洋さん / 理論物理学者・学習院大名誉教授:朝日新聞デジタル

内村直之さん @Historyoflife による江沢洋先生の追悼記事です。(有料記事ですが11月26日 21:26まで誰でも読めます。「プレゼント」というやつですね。初めて使った。) 細かい補足ですが、Ezawa-Sweica は(公理的な場の理論の枠組みでの)南部・ゴールドストン定理の証明であり、対称性の自発的破れの証明ではありません。 もっと細かい補足ですが、写真の右の方でマイク持ってる態度悪そうな奴は、みなさんご存知かもしれません。

小学5年生、生成AIを活用したボタン会話アプリを開発

ちゃんと使える生成AI。

公開から約1年経った生成AI、ChatGPT。その受け答えの賢さに多くの人が衝撃を受けて爆発的に広がりましたが、素のチャットとして日常的に使う人はそんなに多くはなく、ユーザーが減ってるなんて話もありました。

でも、これならたしかに使えそう!と希望が広がるアプリを見つけましたのでご紹介しますね。

それが、場面緘黙(かんもく)症(特定の状況で声を出して会話ができなくなる)の当事者である上田蒼大氏が開発したアプリ「Be Free」です。

上田氏は人前での会話全般ができないので、普段から筆談やジェスチャーで会話をしていましたが、時間がかかったり、細かいニュアンスが伝わりにくかったりするのが悩みでした。そんなとき、自分の言いたいことをパッと言葉にしてくれそうなChatGPTの存在を知って、すぐにアプリ化を思い立ったそうです。

実家の犬に 弔事

実家の犬が昨日亡くなったそうだ。東京からは帰省も出来ず、会えなかった。

我が家には過ぎるくらいのいい犬だった。

犬との思い出を書こうと思ったが、そんなことをしていたら辞書くらいの分量がいる。

どうしてもなにか書きとめておきたいkら、誰に聞かせるわけでもないけれど弔辞だけ書いた。

犬よ

おれが10歳のときに拾ってきた犬よ

バイパスの高架の下に捨てられていて

みかんの箱で連れて帰って

獣医さんにもに連れていって

うちの軒下に住むことになった

6月6日の小さな犬よ

おれが散歩に連れて行った犬よ

昔はなんでもちょっかい出して

よせばいいのにマムシをいじめて

鼻面がビビるくらいに腫れていて

獣医とておまえが悪いと言っていた

夏の散歩が大好きな犬よ

おれの家出についてきた犬よ

おまえはおそらく散歩のつもりで

おれは二度とは帰らぬつもりで

あくる日は隣の町で見つかって

おれたちは泣きながら帰った

冬のある日のあたたかい犬よ

おれと彼女をつないでくれた犬よ

おまえのためのドッグランで

おまえは完全に犬見知りをして

その姿をみてあの人は笑って

おれと彼女は知り合った

ついに一度も走らなかった犬よ

おれに似ずかしこくなった犬よ

おまえは見事な番犬で

無駄には吠えずに仕事をこなし

病気のひとつもせずに育って

上京するとき見送ってくれた

頼れる男の背中の犬よ

犬よ

おれはおまえの最期を知らない

16歳でもかくしゃくと歩き

脚が弱ろうともトイレは間違えぬ

たいした犬だと母から聞くのみだ

死んだと聞いて言葉もなかった

犬よ

おれは悲しい

おまえの死に目に会えなかったこと

共に悲しむ彼女はもういないこと

仕事はうまくいっていないこと

上京したのを後悔していること

犬よ

おれはもう少しがんばることにした

それを喜ぶものがいるかはわからぬ

それでもいつか高架の下で

おまえのような犬を見つけたとき

家族にできるくらいの働きはしたい

ロク

ありがとう

対象に対する知識の有無で受け取り方が変わる例

Zenn book: つくりながら学ぶ!AIアプリ開発入門 - LangChain & Streamlit による ChatGPT API 徹底活用

Generative AI for Everyone

生成AIに興味のある全ての方にお勧めしたいのが、スタンフォード大学Andrew先生の「Generative AI for Everyone」です📺↓。ビジネスマンや非エンジニア向けの入門クラスで、英語ネイティブなら6時間で修了できる分量。講義内容を一通りを見たけどMOOCの入門としても超オススメです。しかも、無料👏。

『インド人の謎』

「インド人の謎」(著:拓徹、星海社新書) 未知の版元とキワモノ風の書名で敬遠してたんだけど、読んでみたら良書だった。特に前半、ヒンドゥー教の成り立ち、カースト制の辿ってきた道のりをコンパクトに解説した部分は、初心者に是非ともお勧めしたい。ネットでトンデモを浴びる前に読んでほしい。

せっかくなので私からもレビューを(`・ω・´) だいぶ前に読んでとても好ましく感じる部分とちょびっとだけ気になった部分があった本です。

いい本だなと思ったのは、初めてインド旅行した人が感じるような疑問(冒頭がトイレ問題🚽)を丁寧に説明してくれているところで、在印歴が長い人だからかありがちなぶっ飛んだインドになっていない。インド興味があるけどまだ行ったことない…くらいの人に特におすすめです。とても読みやすいよ~ 戦争で大変なことになってますが「なぜイスラエル人旅行者がインドには多いのか」という章があって、だいぶ面白かった。北の人だな~。特に貧困問題やそれに対するNGO活動の説明が詳しめで、これは大変によかった。オブラートに包んでいるけど実際に経験しないと書けないことだと思う。 でも現代カシュミールの問題とかは、専門ということなのでもうちょっと詳しく見たかったな。廣瀬さんのキルド・イン・ヴァレイを知ってるからね。インド国内の紛争の問題は専門家の書いた文章(と忌憚のない意見)をもっと読みたいといつも思っている。

インド過去編(宗教と神さま)で他の一般書と違って面白いと思ったのは、「超訳インドの宗教思想」で細かい話はなし(ブラフマンちょっと間違ってるの気になるけど)というのを理解した上で、瞑想や梵我一如を取り上げた後それを直にバクティに結びつけていたこと。うおおまじかよと思った。 「宗教」と題しているので哲学視点ではないとしても、アートマン=ブラフマン思想からバクティというのは古代中世インドの極めて限られた視点で、一方でそれはヴィシュヌ教の歴史と切っても切れない関係にある。宗教的アプローチは他にもたくさんあるからね… 「二人の思想家」としてシャンカラとラーマーヌジャ(!!)が挙がっていることから明らかなように、これはインド思想を満遍なくやった人なら絶対やらない挙げ方で、作者の人も後に述懐してますがこれは一般の、それもヴィシュヌ教信仰者の目線から過去のインドを十把一絡げにした見方です。

ひとつ明らかなミスがある。シャンカラは「最高神信仰から遠ざかった」人ではない。彼こそがそれまでの正統派の宗教哲学にヴィシュヌ信仰を持ち込んでその後の歴史を変えてしまった戦犯です。 シャンカラとラーマーヌジャの思想的立場は確かに違っているけど、違いは有神論への傾倒の差などではない。 二人ともがっつりヴィシュヌ信仰です。シャンカラの前後でインド哲学史には明らかな違いがあって、そこでヴェーダーンタ哲学が有神論化してしまったのよ。それはもうその時代の思想家の著作を見れば明らかです。 シャンカラとラーマーヌジャは間違いなくカリスマではあったけれど(黄金像建ったしね…) 天才ではない。天才なら他にいくらでもいる。彼らはバクティ思想という面でインドを見たときに際立ってくるだけで、中世インド思想を代表していた訳ではないです。インドは南北で分けると北の方がヴィシュヌ教が強い傾向があるから、北の影響を受けるとこういう宗教思想の見方が生まれてくるんだろう。 これ読んだときバクティについてちょっと考えたけど、タミルのバクティだけがインドのバクティの源泉である~てやるのも確かにそれはそれで問題があるけど、ギーターとシャンカラ(+それ以降)だけでバクティ思想を語るのも同じ位偏ってるな~と感じた。シャンカラがどこ出身だと思っているのだ。 あとシヴァ教がアンダーグラウンドてなんや。これはあかん。ヴァルダナ王朝やパッラヴァはアンダーグラウンドでしょうか。海洋覇権を握ったチョーラはアンダーグラウンドだったのか。そんなわけないですね。シヴァ教が6世紀頃からずっとインド各地で王家の信仰対象となっていることを忘れている。 シヴァ教はそもそもカシュミールで極めてオーソドックスな宗教として確固たる位置を占めて、見事な哲学と神学を発展させ、その後インド全域に伝播したんですよ。そこで一旦ヴィシュヌ教は完膚なきまでに負けている。シヴァ教は最盛期にはそれこそヴィシュヌ教など敵ではなかったのです。

漢字検索, 異体字検索

異体字が検索できる便利なサイトを知った。適当な字を入れるとバババっと異体字が出てきて、見ているだけでも楽しい。 漢字検索、異体字検索

イタリアのカトリックと新型コロナ

これはもう「歴史」やな 社会って「科学的に正しいこと」とか一面での合理性だけで成り立つわけではないのでこれは「必要・緊急」だったろうな、その上で人のために奔走した人に敬意を表したくなる

なんか派生してコロナ禍のイタリアのキャソリック司祭について。

伊政府が「外出するな、自宅に籠っていろ」と指示し、地方警察に代わって陸兵が街を巡回していた時期、ヴァチカンは極めて強い口調で司祭たちに対して「教会を出よ、信徒の恐怖を和らげよ、それが司祭の義務だ」と連呼していました。 ペストだろうがスペイン風邪だろうが我々は常に宗教的義務を果たしてきたのだ、というわけです。 イタリア政府も流石にこれを押し留めることは出来ません、緊急事態のため動員された陸兵と似たような存在と捉えられ、後期には軍が司祭の衣類の消毒処理を手伝ったりしていました。 まだコロナがどういうものか良く判っていなかった(非常事態と認識されていなかった)時期から、司祭は熱心に家々を巡って、特に重症で寝込んでいる人たち(特にお年寄り)を精力的に見舞っていました。 軍事教区の従軍司祭の場合は、基地の病院で寝込んでいる軍人や軍人家族たちを見舞っていました。 既に書いたようにキャソリックでは瀕死の者に懺悔させ秘跡を与える「終油の秘跡(ウンクティオ・インフィルモルム)」をしないと信徒が地獄行きになってしまうという深刻な問題があります。 懺悔の際、司祭は信徒の顔に頭を寄せて、小さな声も聞き逃さず、また耳元で許しを与えることを宣言します。 相手がげほげほしていても、そうするしかないのです。

コロナについてある程度判ってきてからも、流石に「2メートル離れて懺悔を聞く」という訳には行かず。 医療従事者のように使い捨てガウンにマスク姿で接する訳にも行かないと考えられました(後期には司祭も防護を固めるようになるのですが)。 エアロゾルで感染、などが良くわかっていなかった時期には、当然司祭は同じ服を着たままで病人の出た家々を順々に回っていくことになります。 司祭が出掛ける場合、小さな簡易礼拝キットを持ち歩くのがふつうです。これは野戦で礼拝をする従軍司祭だけでなく、民間司祭も同様。というか軍用の原型。 これには十字架や蝋燭(今はオイル式)のほか、エウカリスティア(聖餐式)のためのプラエ・ホースティアーエー(ウェーファー、パン)も含まれています。 この小さなおせんべいみたいの、米では教会向けに大量に袋詰めで売られてるのが多いんですが、伊の地方教会だと信徒たちが焼いてる場合が多いのです。 小麦粉を水で伸ばして小さな薄焼きにしただけのものなので簡単ですし、湿気やすくて日持ちしないので。 初期にはマスクもせずに焼いて、布の上に並べて冷ました後で、司祭が聖別して、チボーリウム(教会用の保存容器)やピィクシス(携帯用の小型保存容器)に収めていたことでしょう。

*コロナ禍以前には百枚まとめて袋詰め、みたいな売り方が一般的だったんですが、コロナ禍以降は日本のお菓子みたいに一枚ずつ個包装されたものが売られるようになりました。 それを見て「やっぱり危険性が考慮されたんだなぁ」と思ったりしました。

こういった事情により、二つの可能性が出てきました。

  • 司祭の感染率が劇的に上がる
  • 司祭が巡回した家々にウィルスをばらまく

まあ後者はほとんどが「既に病人が出ている家」のためほぼ無視できるレベルと考えられましたが、前者は「敢えて危険な環境に繰り返し暴露された状態」なわけです。 さらに礼拝のために地域の人たちが教会に集まり、通例風通しの悪い教会の長椅子に並ぶわけです。 古い教会ほど窓はただの明り取りであることが多く、開けることが出来ません。 そこで賛美歌を歌ったりするわけです。 お葬式も同様。参列者は互いにハグしあい、死者の額や手にキスなどするわけです。 程なくして司祭たちは次々と体調を崩し、老齢の司祭から順番に呼吸器系疾患で亡くなっていきます。 司祭急死となると、ヴァチカンは大急ぎで代わりの司祭を派遣しなければなりません。 しかし各地で老司祭が次々と亡くなり、あっという間にまともに対応することが出来なくなって行きました。 この時期に聞かされた話は、相手が司祭であれ軍人であれ、ほとんど戦争同然でした。聞いている感じだとアメリカより酷い雰囲気というか。 リミニで司祭をしてた友人は「重病者のために来てくれと言われても、国道72号が渋滞で進めず、パトカーに先導して貰って信徒のところまで行かねばならなかった。 あの渋滞はまるでアルマゲドンから逃れようとするかのようだった」と愚痴りました。 国道72号はリミニからサン・マリノ共和国国境へ続く道で、サン・マリノには国土規模に相応しくないほど大きくて立派な病院があり、周辺のイタリア人が地元の病院に愛想をつかしてサン・マリノを目指していたのです。 ガリバルディ旅団のベルサリェーリ(速歩行進兵)だった友人は、「兵力が圧倒的に足りない」と嘆きました。 兵力削減の一途であった当時のイタリア軍では、「連隊」を名乗っている部隊が実質一個大隊であることが多く、それを市街地警備や民生支援に回すと戦力ゼロになってしまうため、州知事権限で 郷土予備役兵が招集されたのですが、みんな体調不良を理由に出頭しないという。 そりゃまあ「各地で死者が出過ぎて棺桶を収容出来ない(街の路傍に棺桶が並んでる状態)、衛生上の理由で土葬に出来なくなったため火葬にしなければならないが、火葬にできる施設は限られている、陸軍が輸送隊を編成して 棺桶を収容し、火葬場へ移送せよ。その後遺灰を詰めた瓶を各家庭に届けよ」と言われたらみんな震えあがってしまうでしょう。 特にキャソリックには基本的に火葬の概念が無いですし。 当時は医療用マスクなどの最低限の「装備」も足りず、「マンマが縫ってくれたマスク」だけが対抗手段という状態の かわいい花柄のマスクつけた若い兵とか、「これしかないから」とガス・マスクつけて現場に登場して市民に恐れられたりとか。 ちょっとしたホラーでしょうそんなの。 陸軍は病院の収容能力の低さ(僅かな街医者と待ち時間の長い病院という医療制度の貧弱っぷりはイタリアにとって長年の大問題なのです) を補うために、病院の隣にテント村を作ってベッドを並べて収容能力の拡大をはかったのですが、お年寄りが巡回してる兵士に「おい坊主、あのうるさいの(発電機)を止めろ」と怒って、「それ止めたらあんたの横の機械も止まって、あんた自身も『止まる』んだぞ」と喧嘩になったりしてたそうです。泣ける。 こういった経験を「俺は戦争には行ったことが無いが、あれは限りなく戦争に近い経験だったと思う」と後にしみじみ語ってました。 テント村なんて実質野戦病院でしょうし、しかも一人ずつしか収容出来ず、お年寄りが寂しがって「おーい」と言い続けていたそうで……イタリアのお年寄りだもんなぁ……。 そんな風にしてコロナの大被害をどうにか生き延びたわけですが、長生きすることが多いイタリアの老司祭たちは壊滅的打撃を受け、友人曰く「たぶん平均年齢が20歳くらい若返ったんじゃないか」と言っていました。 何も無ければずーっと元気に長生きしたであろう世代が、まるっと被害に遭った、と。 なお、頻繁に着替え・洗濯する必要性が出た関係で、教会向け衣類を作ってる仕立て屋さんは薄っぺらいナイロンの安物カソック(夏物っぽい体裁)を大量に作って、若い助祭が感染覚悟で毎日洗濯しまくってたそうです。 宗教の教義を文字通り「死守」するのはほんと色々大変というかなんというか……orz

コメント見失ってしまったのですが、unctio infirmorumは日本語訳だと「塗油の秘跡」というそうです。失礼しました。 秘跡を受けないと絶対地獄行きというわけではないのですが、司祭は極力生前(本人の意識があるうち)に秘跡を行うべしとされています。事故などで急死した場合はどうしようもないため、 やむなく遺体に秘跡を与えることになります(それでも一応問題はありません)。 ただ、コロナ禍では、亡くなってしまうと直ちにボディ・バッグに収められて隔離され、そのまま棺桶に入れられ(棺桶不足で東欧から粗雑な急造品を大量輸入したほどでした)、二度と顔を見ることも出来ないままに収容されて、 火葬されてしまうという、かつてない事態になってしまったのです。ボディ・バッグに入れられた後は二度と開けることは出来ず、流石に教会もそれを開けろとは言えません。 閉じられた棺桶を前にして、屋外で、ごく少数の近親者のみで、非常に簡易的な葬儀を行うという程度のことしか出来ませんでした。 このため司祭たちは、まだなんとか接触可能である「生前」に、なんとしてでも秘跡を与えねばならん、となったのです。 当然ながら(特に初期は)司祭自身の罹患はほとんど避けられず、次々と倒れ、天に召されることとなり、司祭が足りなくなります。 ここで立ち上がったのが既に引退した老司祭たち。 「この歳になってもまだ信徒のために尽くせる日が来ようとは!」と大挙現役復帰して、秘跡を与えて回り、やはり罹患して天に召されていくという人海戦術じみた展開へと突入して行きました。50~60代に続いて70~80代の司祭が壊滅。 当時のニュースで85歳の司祭が「(指示の通りに)家に居るのが正しい、 だが私は司祭だから、人々の求めに応じるため法を曲げる必要がある場合もある」と言っているのが記事になっていました。 政府の公式命令で礼拝その他の集団活動が「禁じられる」地域が出てきた後は特に、信徒を巻き添えにせず司祭一人で行える秘跡はより重要度を増したのです。もう泣くしかない。 教皇フランチェスコが(伊政府が外出禁止令を出したその日に)「我らの司祭たちが外へ出て病を得た者たちの許へ行く勇気をお与えください」と朝のミサで公式に祈りを捧げて「政府方針と真逆だ」と一瞬だけ問題視されましたが、それほど重要なことだったのです。 今調べたら2020年3月10日のミサでした。 老司祭たちの大挙復帰とかどこのバトルシップですかという雰囲気かも知れませんが、そうやってでも教会は自身の使命を果たした、といいましょうか……。

小学生が書いた詩

みどりちゃんへ

天国での夏やすみどうだった

天国がっこうで

たんぼの田ならった?

くものプール

ほしのこうえん

つきのすべりだいに ベッド

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2023-09-16 物質の安定性の物理/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 作業動画の重要性
  • 物質の安定性
  • 量子情報と線型代数

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近況報告

Web系のプログラミングに数年のブランクがあるため毎日ちょこちょこと勉強時間を取らねばならず, 数学・物理またはこれに関わるプログラミングの勉強はやや滞りがちです. 必要性に迫られたのもあり, ようやく本腰を入れて勉強しはじめると, 昔と比べて劇的に便利になっていて感心します. 「こういうのがほしかった」という機能なり何なりも比較的簡単に使えるようになっていて, その意味でもとにかく楽しいです.

そして現在事実上の一人エンジニアな上にUI/UX含めたデザイン関係もやらねばならず非常に苦戦しています.

数学・物理関係のメルマガで何故こんなことをいちいち書くかというと, 専門外の内容の勉強 または最新事情のキャッチアップに関する初学・独学の厳しさの体験が数学・物理の勉強に苦労するのと重なる部分があるからです.

新型コロナとインフルエンザとのセットでの大流行も出てきていますが, 5月からジム行きも再開しました. 筋トレは広く言えば生物系の話, 実験科学として捉えていてこれもなかなか楽しいです.

作業動画の重要性

仕事用に最低限のCSS・Webデザインをどう勉強するかずっと悩んでいます. 普段見ていじるWebサイト・アプリの画面からある程度「こんな機能がある」というのはわかります. ただしそれを実装しろと言われると厳しいことがよくあります. 勉強するべき内容はいろいろありますが, フロントエンドはある程度までコードが完全に見られるにしろ, 自分のところにデザイン崩れを起こさずに整合的に組み込むとなるとかなり面倒な場合はよくあります.

あと, 料理などでも最近は単なるレシピではなく動画による解説も増えてきました. 筋トレも微妙な違いの動画解説が便利な場合はよくあります. それでふとというかようやくという,あ ようやくCSSまわりもライブコーディングが一つ参考になるのではないかと気付きました. YouTubeで調べてみたらやはり上げている人がいたため, ちょこちょこ眺めています.

多少人によって違いはあると思いますが, TeXやふつうの文章作成と同じく, まずは基本的なタグだけドコドコ書いてからCSSをあてていく様子を見て, CSSでもきちんと大きく構造を捉えて似ているところは似ているようにする, html, bodyタグなど大枠の設定を決めてから細部にうつる流れはどこでも同じか, 広義の文章作成と思えば基礎・基本は変わらないのを改めて実感しました.

講義動画ではなく, 数学・物理でも何かしら作業動画が参考になる分野があるかふと気になりました. 物理の実験とはまた違うでしょう. 最近の量子情報系の線型代数の問題演習でプログラムを書いて計算させて試行錯誤することが何回かあったため, そういうのは参考になるのかもしれません. 初見時の試行錯誤の様子はダラダラと間延びしがちな部分もあり, 完成品を出すのでは講義動画と変わらなそうで, どういう感じがいいのかよくわかっていません.

物質の安定性

最近, 幾何系のための層とコホモロジーのノート作りがあまりに面倒で, 現実逃避のために物質の安定性のノートをシコシコ作っています. 物質の安定性はふつうの物理でめったに議論されないため, 前にも何度か書いた気がしますが, 物理的な意義を簡単に説明します.

量子力学のことの起こりはいくつかあります. その中の一つが原子の安定性の問題です. 学部レベルの電磁気学のハイライトの一つは輻射の理論です. 荷電粒子が加速運動すると電磁波を出します. 物理的には全系のエネルギーが保存します. 電磁波もエネルギーを持つため, 電磁波にエネルギーが持っていかれた分, 電子のエネルギーが減ります.

現代的な原子模型では, 原子核のまわりを電子が円運動することになっています. 円運動は加速運動である以上, 電子は電磁波を放出します. 高校でも出てくる等速円運動では円運動の半径または円運動の速度は電子のエネルギーと関係します. 大雑把に言えば電磁波を出した分だけ円運動の半径が小さくなり, やがて電子は原子核に落ち込んで原子が崩壊します.

これが古典力学と古典電磁気学の破綻で, 量子力学では水素原子の基底エネルギーの有限性として理論の破綻が救われました. この対象系のハミルトニアンに対する基底エネルギーの有限性は第一種の安定性と呼ばれます.

ここまでは量子力学の基礎として物理を勉強すれば必ず学ぶ内容です. 次の第二種の安定性は物理では重要なものの, 「量子力学の本」には滅多に載っていません. 実際, 数理物理の研究分野としての議論以外ほぼないようです.

第二種の安定性を一言で言うと熱力学的な安定性です. 熱力学には熱力学関数の相加性・示量性があります. 大まかに言えば系のエネルギーは物質量に比例します. ミクロな量子力学の視点で言えば, 基底エネルギーは粒子数に対して$E(N) = -cN$と線型であるべきです.

もしエネルギーが$E(N) = -cN^{\alpha}$で$\alpha \neq 1$だとすると, $N$が大きくなるほどエネルギーがどんどん下がります. 特に平衡統計力学では熱力学的極限と称して密度$\rho = \frac{V}{N}$を一定にしたたまま, 系の体積$V$と粒子数$N$を無限大に飛ばす極限を取ります. もし$E(N) = -cN^{\alpha}$で$\alpha \neq 1$をみたす場合, 平衡統計力学で一粒子に対する平均エネルギーなどが定義できません. 平衡系は近似概念である以上, そこに数学的な矛盾があっても問題ないと言う立場はありえますが, おさまりが悪いと感じる人はいます. そういう人達ががんばって議論しているのが物質の安定性に関わる数理物理です.

この分野は「難しい数学を使う」のではなく, 「数学の使い方が難しい」分野です. もちろんルベーグ積分を中心にいくつか解析学に対する知識は必要ですが, それ以上に不等式処理に関わる数学科水準の凄まじい剛腕が重要です. 私と同等以上の不等式処理能力が必要です.

興味がある方は次のLieb-Seiringerの"The Stability of Matter in Quantum Mechanics"を読むとよいでしょう. 尋常ではないほど難しいです.

私も細かいところはあまり気にせず緩く読んでノートを作っているところです. 難しいものの面白いのは間違いありません.

熱力学もそのうち勉強会つき通信講座を作る予定です. 気長にお待ちを.

量子情報と線型代数

これは改めて石坂・小川・河内・木村・林の『量子情報科学入門』を読んでいます.

この分野だとニールセン-チャンが有名で, 実際にこの二章の線型代数部分を通信講座で取り上げています. まずは大雑把にゆるふわで勉強しようと思い, 日本語でそこまでぶ厚くもないこの本をゆるく眺めています.

全八章のうち六章の途中まで読み進めていて, これはかなり読みやすくてお勧めです. 付録で線型代数も一通り書いてあり, 少し進んだ内容は証明もついています. 線型代数が大事なのはわかっているが数学の本を読む気はしない・読めない, 数学としてやる気が起きないという人でも, わざわざ私のメルマガを読むくらいの人なら量子力学には興味があるでしょう.

類似の内容は勉強会つき通信講座でも扱っているため, 一人では続かない人はそちらもどうぞ.

知らない人がいるかもしれないため念のため書いておくと, 量子情報は数学的にも面白い話がたくさんあり, 有限次元の線型代数レベルでも数学としての研究が続いています. 作用素論・作用素環論的な話ばかりではなく, 行列不等式・行列解析のような話題もあります. 行列と解析学と言えば数値計算の数理からのアプローチもあります. ある程度数学フレンドリーなスタイルの本で, 純粋な数学的興味から量子力学に触れたい人にも上記の本はお勧めです. 状態の扱いなど気に入らない部分がいくつかあり, それを前提にしたノートを作っている最中です.

行列解析は興味がありつつも勉強しきれていない分野でもあり, これも勉強したいとずっと思っています. エントロピーに関わる行列不等式も大きく見れば行列解析のテーマと言えます. 作用素論・作用素環でも重要な議論がたくさんあります. 作用素環的なところは学生時代に論文を読んだこともあり, それ自身前から興味関心が強い分野でもあります.

メモ

AIPでのLiebへのインタビュー

Elliott Liebのinterview. 朝鮮戦争時に韓国に行ったり、Edwardsの学生だったり、基研でポスドクをして、山崎和夫さんと共同研究をしたキャリアが興味深い。IBMに行ってから花が開いた様に、どちらかと言えば晩成タイプ。AKLTについての言及もある。

Leanと型

数学をLean等の証明支援系でプログラミング言語として書くときに「型」という概念を使うのですが、それについての数学者向けのわかりやすい解説記事(Xena projectの記事)の和訳が出ました: Mathematics in type theory https://lean-ja.github.io/math-in-type-theory-ja/index.html

素因数分解ゲームSOINSU

2023-09-09 年を取っても勉強しよう/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告: Lean勉強会が面白かった
  • 年を取っても勉強しよう
  • 谷本溶さんの講義ノート: ntroduction to Algebraic Quantum Field Theory Nagoya University, 2023 May 15-19
  • よいものにはきちんとフィードバックしよう
  • 『非平衡統計力学入門:現代的な視点から』田崎晴明 Hal Tasaki "A Modern Introduction to Nonequilibrium Statistical Mechanics"
  • 量子リソース理論と量子熱力学
  • well-definednessをill-definednessから理解する具体例
  • 計算トポロジー入門
  • 確率変数の定式化と頻度論・ベイズ統計
  • 線型代数の重要性

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近況報告: Lean勉強会が面白かった

仕事が忙しく, しばらくメルマガをさぼっていたらもう四ヶ月近くになっていました. もちろん適当に数学なり何なりは続けていたものの, ホモロジー代数はTeX打ちがあまりに面倒で嫌になってきたため, 逃避行動で物質の安定性と量子情報関係のノート作りを進めていました. 久しぶりの解析学がとにかく楽しく, もっと共有したいとは思いますが, どうしても学部四年から修士程度のパワーがいる内容なため, なかなかつらいところです.

この一年, これまた久しぶり仕事で本格的にプログラムを書くようになったため, 仕事に絡めてふつうのプログラミング関係の勉強も再開しました. バックエンドは本当に書くのが楽になってきた感じがあります. フロントはまだまだ地獄というか, node.jsのエコシステムがただただ厳しいです. F#が気に入っているものの, 情報が少なすぎてつらいため.NETエコシステムを特にC#で進めています. フロントエンドはJavaScriptまたはTypeScriptではなくBlazorでどうにかできないかと勉強を進めています.

量子力学・線型代数の勉強会も第三回を放置したままなため, いい加減それも進めたいところではあります.

あとメルマガで宣伝しようと思って忘れていたLean勉強会に参加しました. これも言語のバージョンアップでライブラリが死ぬ問題があるとはいえ, Pythonなどでプログラムを書くよりはよほど「数学」ができそうです. まだ全然書けるレベルに到達していませんが, 何かしら貢献できないかと考えています. 日本語コミュニティも作ったとのことで, 興味がある方は参加してどうでしょうか.

「すうがくぶんか」の梅崎さんがYouTubeに解説動画も上げています.

年を取っても勉強しよう

物理のための数学で、いつも最前列で講義を受けてらっしゃる年配の男性が気になっていたので、講義後声をかけ、2時間ほど色々お話をしました。その方は現在74歳で、定年退職してから、科目等履修生として毎期1, 2コマだけ大学で講義を受けている、とのことでした。 今までに薬剤学や薬理学、現代史学、工学、電磁気学など、色々な授業を受けてきたそうです。とても朗らかで話好きな方で、沢山のことを話してくださいました。これを是非若い人たちに伝えたいんだ、というお話もありましたので、許可を得た上で、一部をまとめて書き残したいと思います。

「退職して暇になったときに、やっぱり学問をやり続けたいと思った。こうして講義を受け続けているのも、年齢がどうとか衰えがどうとかで自分に自分でブレーキをかけてしまいたくないという思いがあったから。自分は若い時でも、京大生のような超一流の学力は全くなかったし、」 「ましてや今なんて当然、当時より遥かに頭の回転も遅いし記憶力も衰えている。けれど、有り余った時間を使ってゆっくりじっくり考えて、学んで、頭を使って、ということを続けていると、まだまだやれるという気が湧いてくる」 「学生さんたちにも解けなかった問題が解けたり、2週間じっくり作ったレポートでA+の成績をいただいたりしたこともあって、そのことがすごく嬉しかった。当然学生さんたちの方が忙しい中で学問に取り組んでいるわけだけど、こんな後期高齢者目前の人でも、できることがまだまだあるんだ、と」 「高校時代の同級生にA君というやつがいた。僕らは両方とも成績は悪かったけど、彼は豪快で派手な性格で、勉強なんて別にできなくていいや、というようなことを言っていた。運動も得意で一緒に石垣に登ったりもした。でも彼は、内心では少しコンプレックスを抱えていたらしかった」 「また彼は『男は若さ。40過ぎたら終わりで、後は老いてくだけだ』というような考えを持っていた。その後大人になって、色々と上手くいかないことが重なり、躁鬱症のような状態になった。そして感情の起伏がどんどん激しくなり、結局、40歳を目前に自分で命を絶ってしまった」 「そのことがとても悔しく、『年老いてからでもやれることはあるんだと、自分が30年40年早く気づいていれば、あいつに何か言ってやれたのかもしれない』いつもそう考えている」 「今の時代、研究者になる道は険しく、金銭的にも厳しいものがある。理由は分からないが退学届を出しに来るところの学生を見かけたこともあった。東大京大とかの超一流の学生さんたちには是非この衰退しつつある日本の科学技術界を引っ張り上げてほしいとは思っている」 「しかし、若いうちに研究者にならないと良い結果は出せないとか、この道しかないと思い込まずに、人生は長いのだから、ブレーキをかけなければ大抵のことはいくつになってもできるもんだと思っておいてほしい。今20歳の君なら、50年後にだって僕みたいに講義を受けられるんだから」 「歴史上でも現代でも、歳取ってから素晴らしい業績を残している人もいる。人生百年時代というから、お金を稼いで中年になってからまた学問をやるとか、色んな道はあると思う。若い頃の方が思い切って行動できるけど、たとえ年を取ってからでも、気持ち次第で行動はできるのだと知ってほしい」 「自分も、この物理のための数学はなかなか難しくて、訊きたいところがいくつもある。けど、なんとか頑張って理解したいと思っているので、学生さんたちも、今はサークルやバイト、勉強で忙しいとは思うけれども長い人生、頑張ってほしい」

これ以外にもたくさんのことをお話しましたが、自分なりにまとめるとこのようなお話でした。物ためを今取っている京理の人たちは、良ければぜひとも話しかけていってもらいたいです。学生として、質問や理解したいことがたくさんあるそうなので、

谷本溶さんの講義ノート: ntroduction to Algebraic Quantum Field Theory Nagoya University, 2023 May 15-19

名古屋大学での集中講義のノートを書きました https://www.mat.uniroma2.it/~tanimoto/teaching/2023NagoyaAQFT/nagoya_lecture23.pdf Wightman と Araki-Haag-Kastler 公理の関係、自由場の構成、 Bisognano-Wichmann property, modular nuclearity と split property の関係、それを使った相互作用するネットの構成などをやりました。

院の先輩の講義ノートです. 修士レベルの解析学ができないと全くもってわからないとは思いますが, 面白い分野ではあるため興味がある人はぜひ眺めてみてください.

よいものにはきちんとフィードバックしよう

何度でも言うけど私はめちゃくちゃ絵の上手い神絵師がマイナーCP永遠に描き続けていたのに、ある日突然「誰も話しかけてくれないし感想もくれないから」というあまりにも哀しい理由で筆を折ってしまった件を見たことがあるんや。 そしてその神絵師が筆を折る宣言をしたら、突然マシマロやリプに感想が届きまくったんや。「ずっと見てました」「また描いてください」「◯◯さんの作品大好きです」と。 神絵師は静かに言ったんだ、「もっと早く言ってくれればよかったのに…」と。 その神絵師はそのCPから去った。するとどうだろう、その神絵師しか描いてなかったはずのCPの作品がチラホラあがりはじめた。 みんな「◯◯さん(神絵師)が描いてるから私は書かなくていいか!」状態だったのだ。こんな哀しいことがあるかよ。

これ読んで「そっか……じゃぁ…」つって好きな作家に感想を送る人が1人でも増えればいいと思いました。 伝えなきゃ伝わらないので……

『非平衡統計力学入門:現代的な視点から』田崎晴明 Hal Tasaki "A Modern Introduction to Nonequilibrium Statistical Mechanics"

ちょっと読みたい.

量子リソース理論と量子熱力学

量子リソース理論(QRT)と量子熱力学(QT)について、いまだにかなりモヤモヤとした感じだが私の現状での暫定認識をまとめる。間違いがあったら教えてください。 まず、QRT, QTどちらにもいくつかの源流があるが、どちらも Lieb&Yngvason(1999) の影響を強く受けている。 https://arxiv.org/abs/cond-mat/9708200 QRT,QTは、Lieb&Yngvason(1999)による熱力学の公理的定式化をなるべく忠実に量子論にも適用しようとするのだが、全く同じとはいかず、いろいろ変更が必要となる。また「量子論への適用」と一言で言っても、細かく言えばその適用分野はいろいろである。 QRT,QTは、Lieb&Yngvason(1999)による熱力学の公理的定式化をなるべく忠実に量子論にも適用しようとするのだが、全く同じとはいかず、いろいろ変更が必要となる。また「量子論への適用」と一言で言っても、細かく言えばその適用分野はいろいろである。(続く) https://arxiv.org/abs/1806.06107 では、量子熱力学がQRTの一分野であるように書かれているが、実際はQRT全体がLieb&Yngvason(1999)[LY99]の熱力学の影響を受けていて、その意味ではQRT全体を量子熱力学と呼べなくもない。しかし[LY99]への忠実度は様々で、特に忠実度の高い研究を慣例的に量子熱力学と呼ぶ(?) QRTの様々な応用のうち、entanglement theoryが最も典型的なものである。ただし、そこでは[LY99]の熱力学原理になるべく忠実な公理化を果たそうとしてきたのだが、なかなか綺麗にはいかず、完成からは程遠い。それどころか、(続く) ごく最近の以下の論文では、entanglement theory(ET)については熱力学の第2法則が成立しないということが主張されている。さらに、ETは熱力学のみならずQRT全体と適合しないと言いたそうである。これが正しいとすれば、ETはQRTの「典型例」から外れるかもしれない。 https://arxiv.org/abs/2111.02438

熱力学はとにかく楽しいので.

well-definednessをill-definednessから理解する具体例

well-defined の説明, そうである例を話すよりそうでない例を話す方が初見はわかってもらえそう

有理数全体からの関数fを分母と分子の和で定義してみましょう ワオ!!!!! f(1/2)=3 なのに f(2/4)=6だ!!!!!!!!!! みたいな感じで

確かによい例だと思い, 現代数学探険隊にも収録しました.

計算トポロジー入門

計算トポロジー入門,近刊 https://kyoritsu-pub.co.jp/book/b10032973.html この本の和訳らしい https://maths.ed.ac.uk/~v1ranick/papers/edelcomp.pdf ちなみに微分幾何版でこんな本もあります https://link.springer.com/book/10.1007/978-90-481-3564-6

これの微分幾何版がほしい.

確率変数の定式化と頻度論・ベイズ統計

物理なのか何なのかはよくわからないが、確率変数の「ランダムに値を取る」的な話と「可測空間上の可測関数」の間の話、後者の数学的定式化がどこまで応用上の要請を満たせる定式化なのかは時々気になる。

ベイズだと後者の解釈を使います.頻度論はp(ω)を「ランダムサンプルしたときにωが出る頻度」と考えるのでXも「ランダムサンプルしたときに出る値」と考えますが,ベイズはp(ω)を「ωの確からしさ」とだけ考える(サンプルはしない)ので,Xも「ωに対する値を記述したもの」とだけ考えます.

これは考えたことがなかったため, とりあえずX(Twitter)で放言しておくものだと思った次第.

線型代数の重要性

森田茂之先生も、

線型代数というと大学 1 年で終わっていると思っている人も若い人にいるとすれば,これはとんでもない事で,数学の中でも線型代数は永遠に大事で…

と言われているように、数学の人は微積や線型などの「基本的な学部の授業」こそが本質的に重要だと思ってる訳ですが、 この価値観が必ずしも教員にも学生にも共有されていないことは、数学側の人間としては残念だと感じています。 (計算に使えればいいという立場があることも理解した上で)

引用元 『特性類と不変量』森田茂之 https://www.math.chuo-u.ac.jp/lecture_notes_almostwhole.pdf

一般理工系にはまだ量子力学(など)をモチベーションに線型代数に触れた方がよいと思ったため, 勉強会つき短期集中講座を展開しています. 近々第三回をやる予定なのでご興味がある方はぜひ参加してください.

メモ

ジョーンズ追悼の数理物理関連の業績紹介

06/03: アメリカ数学会から頼まれて書いた Jones 追悼の数理物理関連の業績紹介記事がオンライン出版されました. https://ams.org/journals/bull/0000-000-00/S0273-0979-2023-01799-0/S0273-0979-2023-01799-0.pdf

霜田光一「水はどうして透明なの?」

霜田光一先生の「水はどうして透明なの?」という文章を読むと、レジェンド級の研究者は問題設定の出発点をここまで持って来るのか、と驚かれされる。

ちなみに 「水分子は可視光を吸収する遷移がないから」 は答えではあるけど、そこで「問い」が止まらないのが面白い。 以下、「」内は上記の文章から引用

「水分子の振動回転状態の遷移は赤外線を吸収し、電子遷移は紫外線を吸収するが、可視光線を吸収する遷移はないので、可視光線に対して水は透明なのである。これは正しいが、これで、水がどうして透明なのかわかっただろうか。」

「裏を返せば、赤外線や紫外線で見ると水は透明ではないのだ。電磁波の広いスペクトルで見ると、すべての物質はある波長では電磁波を吸収し、ほかの波長では透明である。水はどうして可視光線(波長380nmと760nmの間)に対して透明なのだろうか?」

「コップの水は確かに透明だが、川や海の水は青く見える。10mの深さの水では、波長が440から520nmまでの光は80%以上透過するが、400nm以下の光も、590nm以上の光も、40%以下しか透過しない。だから汚れのない水のなかは青い世界であることは、水中カメラの映像でよくわかる。」

「ヒトの眼の水晶体も硝子体も主成分は水であるから、ヒトは水を透過しない波長の光を見ることはできないはずである。だから水を透過する光が可視光線なのである。水が透明なのは偶然ではなくて、水が透明になる波長の光に感ずるようにヒトの眼の網膜ができたのではないだろうか?」

上記の引用元はこちらの本↓の霜田先生ご執筆のところなのですが、 「物理って面白いんですか?」 ってお題に対するエッセイに、(あれほどの先生が)自分の研究歴の話を書かず、エッセイ全体の残り2/3くらい生物の眼の進化に考え巡らせてるの、すごいと思うんですよ。

先生、物理っておもしろいんですか? パリティの1ページコラム連載記事をまとめて単行本化。 69本を収載。 物理系を中心に多彩な研究者の物理や科学に対する考え方、世界観、研究姿勢、生い立ちなどがわかり、 大変おもしろく、また、教育的効果もある内容。物理関係者のみならず広くいろいろな人に読んでもらえるエッセイ集。 ○短編の読み切りで読みやすい。 ○多彩な内容で、興味をもって読み進められる。 ○高校生、大学新入生に、将来を考えるため... 前にも呟いたのですが、レジェンド級のモノ作る量エレ実験系物理研究者は、問題にあたる時、その測定デバイスのことまで深く考えてるんだな、と。 今はそういう時代じゃないとは言え、デバイスをブラックボックスとして使ってる自分をちょっと省みたくなります。

霜田先生は「レーザー研究」で、光電効果の説明に本当に「光子」(電磁場の量子化)が必要かなど考える連載も書いてて、それっぽい説明でそのまま納得してはいけないんだなと考えさせられます。 https://twitter.com/drboar/status/1489561158994386946 直接の面識はほぼない、玄孫弟子くらいの量エレ研究者の身ですが (というか、今の日本の量エレ実験系研究者って、師匠筋を辿って行くとかなりの確率で霜田先生まで行きつくんじゃないかという気もしますが) 霜田先生のご冥福をお祈りします。

「太陽系最強の相転移の教科書」

「太陽系最強の相転移の教科書」を含む、西森先生の教科書が3冊オープンアクセスになったそうです。今すぐゲットして、あなたも太陽系最強に! open access books

製造業での機械学習の状況(?)

いま製造業で起こっていること⤵︎⤵︎

『とりあえずよく分からないけどデータをscikit learnに突っ込んだら予測精度が出ました!AIで出来ました!説明変数〇〇が重要です!』

→実際にはデータリークしてる、解釈間違ってる。

リアルにこんな感じです。もうカオスすぎて本当に収拾がつきません。 パッケージが簡便化して誰でもデータサイエンスが出来るようになってきてますが、同時にその弊害も生まれていると思っています。 個人的にこの状況は危険も大いに孕んでいると思います。 データサイエンスの民主化が進むと共に、正しく理解されないままデータサイエンスが使われる事案も増えてます。 これがまずいのは、本人も周りも間違いに気づかないって所ですね...。 発表してたらそれっぽく聞こえるけど、プロのデータサイエンティストでもコードの中身を読まないと合ってるかどうかまでは分からない。 でも仕事が増えるのでそこまですることは無いですよね。こうやって暴走していくわけです...

RT>この辺りは 数理をわからない人が簡単にAIツールが使えるようになった弊害だぬ。 昔は数値計算ライブラリができた時にも起こったことだよぬ。何も考えず、逆行列計算とか。 ちょっと前は、数理がわからない人がOpenFOAM使う例かな

幾何学的計算量理論

というわけで,数学は計算しちゃいけないが,どうやって計算するかは数学の問題である.(^^;; GCT=幾何学的計算量理論 http://ramakrishnadas.cs.uchicago.edu/gctcacm.pdf

教育系YouTuberのまなざし

星の物理と湯川英樹

星の進化って物理なの?って学生さん、日本で星の物理やろうって言い始めたのは湯川秀樹だよ https://www.jps.or.jp/books/50thkinen/50th_03/002.html

「世界史」の世界史

LLMの技術サマリー

1+1は定義か定理か

リーブ先生はものすごくいろいろな分野の「神」である

『リーブ先生はものすごくいろいろな分野での「神」である』田崎晴明

リーブ先生のガウス賞受賞に際して『数学セミナー』に寄稿した半年前の記事を許可を得て公開します。 https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/pdf/Lieb_Gauss_pub.pdf

人月の話の例

経験上、人月の話も並列計算の話もタスク分割と並列化の話なので100マス計算を例に出すと説明しやすくて、

「100マス計算の紙があって、1マス1秒、計100秒で計算できます。では100人で取り組めば1秒で計算できそうですか?紙は1枚だけです」

と言うと多くの人にわかってもらえる

統計学の気分

統計学がどういう学問分野なのかを把握すると少し感覚が掴めるかもしれません. ちゃんとした文献は先述の https://plato.stanford.edu/entries/statistics/ ですが, お気持ち表明としては https://wmbriggs.com/post/3169/ の「Statistics rightly belongs to epistemology, the philosophy of how we know what we know」が好きです.

「数理科学を使えば統計の”主義”を争う必要ない」という主張について検討する

英語が上達する方法

英語が上達する方法:

「ある語の "定義・説明" を尋ねる Q&Aの問いかけを、 頭の中で繰り返す。」

という勉強法がオススメです!

What is ○○? It is 〜20語程度の英語で説明〜.

↑ これを、頭の中で日常的に いつも繰り返すんです。

例えば、 What is language? →答えられますか?

古代ギリシャと化学

「文系だし、化学は頑張らなくていいか……」と流してた高校時代の私を「馬鹿ッ!古代ギリシャ語の錬金術パピルスを読む未来の自分のことを考えろ〜!日本語で化学の教科書しっかり読んどけ!いったい誰がその学問の源流を作ったと思ってるんだお前は〜!!」と往復ビンタで諭したい 高校の全教科が必要だったな!古代ギリシャの全てに付き合うためには……。 古代ギリシャのそういうところが好きなんだけどさ(惚気)。 現代化学、元素や物質の名称が統一されていてマジで便利だ……。 古代ギリシャだと各派閥によってどの物質をどの神の名前で呼ぶかが違うので、「この化学反応が起きるってことはここでの『ディオニュソスの石』は石灰だな」という逆算をしなければいけないが、高校化学を疎かにしていたためそれが困難

はっ。これもバズっているのか……。 古代ギリシャの錬金術、興味ある方はこれも超よろしく。 NHKオンライン講座「古代ギリシャ・ローマの錬金術にせまる」、ただいまアーカイブの再販期間中なのです。 https://nhk-cul.co.jp/sp/programs/pr

マツダがmazdaの理由

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  • マツダの英語表記がZの理由、これは知らなかった…「90年前のエピソード」に思わず感動

「物理学は数学の一部です」

物理学は数学の一部です、って言われたらどうするよ?rt 「18世紀の力学は、数学の一分野だった」 画像

ベルヌーイ、オイラー、ダランベールの時代ですね この時代のある側面を強調するために出された言葉なので、ここだけ抜き出すと誤解を生じてしまいそうですが。 ただ、時折、かなり時代錯誤的に物理学や数学という区分をこの時代にも当てはめて、物理学が数学を作った!とか鼻息荒く言う人がいるので、解毒剤にはよかろうかと。

cambridge.org Mechanics and Experimental Physics (Chapter 15) - The Cambridge History of Science The Cambridge History of Science - March 2003

なお元つい 引用 部品(森七菜) @tjmlab · 7月8日 「数学は物理学の一部です...20世紀半ば、物理学と数学を分離することが試みられました。その結果は壊滅的なものであることが判明しました。数学者は何世代にもわたって科学の半分も知らずに育ちました。」

→争いが起きそう

例えば、ベルヌーイはダランベールの風についての論文に、「この論文をよんでも、風についてわかることは何もない」。また、弦の振動の方程式の解についての論争は、もっぱら数学的な側面に集中して、物理的な側面はほぼ無視された。 解かれた問題の多数派が、実験との関わりを持たなかった。。。などといったことが紹介されています。

JPNIC: 生きたNW設計や今のトレンド等参考書ではあまり学べない沢山の公演資料が

ネットワークエンジニアにとって有益なのに全然知られてないんだけど、JPNICから生きたNW設計や今のトレンド等参考書ではあまり学べない沢山の公演資料が落とせます。 SP分野が多いけどビギナー向け資料もあるので自身が気になる資料がないか探してみると良いかも。 https://nic.ad.jp/ja/materials/

押井守による宮崎駿

良すぎる。 「押井それに宮さんはすごく細かい。一度、山賀(博之)と庵野(秀明)、前田(真宏)の4人で宮さんの別荘に行ったことがあるんだけど、宮さんはがみがみ怒ってばかり。この3人は本当に何もしないから、仕方なくわたしがご飯の支度をやっていた。…」 https://bunshun.jp/articles/-/64140?page=2

ペアノの公理が何を指すか?

数学教育の話題で「ペアノの公理」が出てきたら、「あなたのおっしゃるのは一階ペアノ算術、二階ペアノ算術、ペアノ構造のどれですか?」と尋ねてください。答えが返ってこなかったり的外れな答えが返ってきたりしたら、そこで話を打ち切るのが吉です。 それぞれが何かについて. https://mathtod.online/@kamo_hiroyasu/110647080208958487

大雑把にいえば、こういうことです。

  • 一階ペアノ算術:自然数だけがある世界
  • 二階ペアノ算術:自然数と自然数の集合(自然数を要素とする集合)だけがある世界
  • ペアノ構造:あらゆる集合が存在する世界における自然数全体の集合

よく教科書にあるこれは間違いなんですか?

これはペアノ構造です。 引用先の著者に「あなたのおっしゃる『ペアノの公理』は一階ペアノ算術ですか、二階ペアノ算術ですか、ペアノ構造ですか?」と尋ねたら、「ペアノ構造です」が返ってくるでしょう。それで支障ありません。

ああ、"ペアノの公理"が「ペアノが提唱した公理」という解釈が可能なので「ペアノの公理」という言葉は相応しくないという意見ですか?

「ペアノの公理」がダメだとは言っていません。複数の意味があるので、そのどれであるかが明確でないと蒟蒻問答になります。相手が複数の意味をちゃんと区別できていると確認できれば支障なく会話できますし、そうでないことが確認されたら会話を打ち切るのが推奨というだけのです。

『微分形式と電磁気学』の補足解説

「割引は引き算ではない」

実は昔、とある大学(勤務校の兵庫教育大学ではないです。名前は伏せます)で『数学』の授業の非常勤を数年したことがあるのですが、内容はほぼ算数でした。 その初回でプレテストとして(状況把握のために)いくつか問題を出して、そのうちの一つが「1000円の2割引はいくらですか」という問題でした。 そのプレテストの解答の中には、 「1000−2=998円」 「1000÷2=500円」 他にも 「2割=0.2である。よって 1000÷0.2=5000円」 という解答もあった。楽しい。 プレテストを返却するときに言ったんです。 「割引き、っていうから、割り算か引き算だと思ってるみたいだけど、掛け算だよ」(どよめき) そのあと色々ありましたが、割合というものを理解せずに大人になると、こういう風になるんだなぁ、というのを目の当たりにした感じでした。もちろん、速さなんて理解してなくて「時速4kmで2時間進と、何km進みますか」という問いに対しても、多くの学生が「はじきを忘れたので、解けません」でした。 面白いことに、そんな彼らも、数の計算ができないわけではないのです。例えば、280×3.2を計算してといえば、計算できます。(もちろんケアレスミスをすることもありますが)しかし、 数直線を書いて、100、200、300、という目盛をつけたあと、280はどこ?(これは分かる)を確認したあと、280×3.2はどのあたり?と聞くと、「そんな難しい計算はやってみないと分かりません」というんですね。なるほど、と思いました。 大事なことは計算の練習ではなくて、割合の表現が何を意味しているかの理解なんですね。そんな彼らに、割合とは何か、速さとは何か、彼らがつまづいてしまったところからきちんと授業しましたよ。 授業の最後の感想文には、「これまで買い物の時、割引ってわからなくて、いつも心配でした。でも先生の授業で、安心して買い物できるようになりました。ありがとうございました」と。ちゃんと、教えれば分かるんですよね。 ちょいバズしそうなので、置いておきます。 本学では、算数・数学教育について、本気で学びたい方をお待ちしています。

ジェネラルトポロジーの本

10年位前、general topologyをちゃんと勉強するなら何を読めばよい?と専門家に聞いたところ、「とりあえずEngelkingのGeneral topologyとArkhangelskiiのTopological function spacesをよめ」と言われてた。 前者は有名なgeneral topologyの本。後者は連続関数全体に色々な位相をいれた空間を扱っている本。最近の一般位相空間論やるんだとそこらへんの空間は結構な頻度で出てきます ということで、みんなもこいつら読んでgeneral topology勉強しよう なお、私はEngelkingは半分くらい(演習問題は除く)、Arkhangelskiiは必要になったとこだけしか読んでません…

Paulによる佐藤幹夫情報

共同通信配信の記事で、北海道新聞さんはカラー写真付きで掲載してくださった。いつ頃の写真か、よく撮れております: https://hokkaido-np.co.jp/article/863790 佐藤幹夫さん(数学者)1月9日死去94歳金字塔の理論、次々と発表 2023年6月19日 10:37

パレスチナの数学教育

目次あり。「批判的思考力の育成という同じ目標を掲げつつも学習内容や方法に様々な類似点と相違点があるパレスチナと日本の数学教育。…」 ⇒田中義隆 『こんなに違う!パレスチナの数学教育 日本の中学校教科書と比較する』 https://www.akashi.co.jp/book/b630599.html 「…分数、割合、関数、図形、統計・確率などについて両国の中学校段階の教科書の記述内容を比較し、その背景にある理由を分析・考察する。」 パレスチナ自治政府の歴史から始まる数学(教育)本というのは中々すごい。ほかの目次を見ると特にパレスチナ側の教育内容に結構ツッコミが入っているようだ(基本的な概念が書いていないとか、定義が不明瞭とか)。日本側にも入っているけど。 と目次を眺めていったら……

人工知能研究の新潮流2~基盤モデル・生成AIのインパクト~ エグゼクティブサマリー

佐藤幹夫関係資料: 講義ノートおよび講義録音, 1984-1986

曲面と結び目のトポロジー

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  • これいいよ。 この本読むと とにかく 閉曲面の基本群が 生成元 と 関係式で書き下せる。 まあ それがどんな群になるかは別問題だけどね。(^⁠_⁠^;;

生物の本

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    • 生物やっている友人に聞いてみようくらいのノリで呟いたら、いろんな有識者にアドバイスいただいたので、お礼に変えて一覧にしておきます(多すぎて、抜けがあったらごめんなさい)
    • URL
    • 【緩募】(すっごいざっくりした質問だけど)遺伝子とか生物について独学するのによい教科書ある?高校2〜3年か、大学1〜2回生くらいのレベルで楽しく学べる教科書、募集。(基本的に)趣味です。
  • [1] 数でとらえる細胞生物学 http://amazon.co.jp/dp/4758121060
  • [2] 細胞の物理生物学http://amazon.co.jp/dp/4320057163
  • [3] カラー図解 アメリカ版 新・大学生物学の教科書http://amazon.co.jp/dp/4065137438
  • [4] キャンベル生物学 原書11版http://amazon.co.jp/dp/4621302760
  • [5] Essential細胞生物学 原書第5版 http://amazon.co.jp/dp/4524226826
  • [6] Physics of Life https://nap.nationalacademies.org/resource/26403/interactive/
  • [7] 基礎から学ぶ生物学・細胞生物学 第4版http://amazon.co.jp/dp/4758121087
  • [8] 現代生命科学第3版http://amazon.co.jp/dp/4758121036
  • [9] 小説みたいに楽しく読める生命科学講義http://amazon.co.jp/dp/4758121141
  • [10] 休み時間の分子生物学http://amazon.co.jp/dp/406520173X
  • [11] カラー図解 進化の教科書 第1巻 進化の歴史http://amazon.co.jp/dp/4062579901
  • [12] 生命のメカニズムhttp://amazon.co.jp/dp/4916166620
  • [13] DVD&図解 見てわかるDNAのしくみhttp://amazon.co.jp/dp/4062575825
  • [14] 遺伝子―親密なる人類史http://amazon.co.jp/dp/4150505713
  • [15] タンパク質の一生: 生命活動の舞台裏 http://amazon.co.jp/dp/400431139X
  • [16] 遺伝子の川http://amazon.co.jp/dp/479422043X
  • [17] 自我の起源http://amazon.co.jp/dp/400600205X
  • [18] 新しい高校生物の教科書http://amazon.co.jp/dp/4062575078
  • [19] マンガでわかる分子生物学http://amazon.co.jp/dp/4274067025
  • [20] 生物と無生物のあいだhttp://amazon.co.jp/dp/4061498916
  • [21] 精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか http://amazon.co.jp/dp/4163444300

物理ができないとはどういうことなのか(はじめの講義)

日中韓共通語彙

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  • 「日中韓共通語彙」 これはすごい資料だ。震える。3言語どの学習者にも有用すぎる。 日中韓で使用される漢字語のうち厳選された658語について、それぞれの意味と使われ方を例文付きで360ページに渡って掲載。ビジュアル的にも実に見やすい。すごい! < https://tcvd-asia.com/wp-content/uploads/2020/05/(JP)TCVD.pdf>

英語史学習・教育とhellog

逆像写像がよい性質を持つ理由

狂犬病予防法違反を見かけたときの対処

うちの子は狂犬病ワクチン打ってません☺️と云う飼い主を見つけた時はどうするかというとですね

その暴露ツイートのURLをインターネットホットラインセンターの通報フォームに入れて「狂犬病予防法違反」と一言書き添えて通報ボタンをぽちっとします

子供のための心臓マッサージ

【注意喚起】 昨日の仕事の帰り道、パパさんと5-6歳くらいの子がお話しながら歩いてて、ベビーカー(B型)に1歳らへんくらいの👶🏻が乗ってるっぽかったの。 ぽかったって言うのは、日除けのために幌に生地重めのブランケットみたいのをぶら下げてて、お顔が見えなかったのね。 ちょっと気になって見てたらベビーカーの👶🏻、手がダランってしてるのが見えてよく見たら真っ青... え!?と思って「すみません!赤ちゃん大丈夫ですか!?」って声掛けたらパパさんすぐブランケット取ったんだけど、口の奥深くにまで突っ込んでたみたいでチアノーゼ。 パパさん大パニックで話ができない状態だったので私が脈と呼吸確認したら微弱。どんどん真っ青になっていって、私もプチパニック。 けど、お姉ちゃんがすごく冷静でいてくれて、「救急車呼べるかな?」て聞いたら「ママと練習したことあるからできるよ!」と言ってくれ、電話掛けてくれた(素晴らしい) 幌にぶら下がってたブランケット地面に敷いて👶🏻おろして、「心臓マッサージできますか?」とパパさんに確認するも、パパさん震えて「わからない」となっていたので許可を得て👶🏻に心マをして3分くらい経ったら👶🏻がけほって咳き込んだ後泣き始めてくれて... 回復体位にして救急車を待って、救急隊員に状況を説明して、パパさんはパニックだったのでお姉ちゃんに私の連絡先を教えて私はダッシュでこえびのお迎えに行きました。延長保育になる1分前。こえび待たせてごめんな🥲 その夜ママさんから状況の確認とお礼の電話が来て、👶🏻も落ち着いて元気にお喋りしてると報告があって一安心...本当に良かった。 おそらくぶら下がってたブランケットで遊んでいたら飲み込むように口に入れてしまったことが原因だとのこと🥲

一晩考えて注意すること沢山あるなと思ったので以下まとめ

①幌を伸ばすなら必ず後付け幌を使う。布で代用しない ②ベビーカーに乗っている時は親が何かしていても必ず数分に1回は様子を伺う(お姉ちゃんとお話していて気づかなかったよう) ③いざという時の心マ等は必ず練習、イメトレしておく! 我が家は週1で夫と復習をしていたからすぐ動けたんだと思う

あとは私は第三者だから冷静になれたというところもあるし、周りに助けを求めるのはもアリだよなと思った。

我が家はコレをLINEのノートに貼って週1復習、人形で練習しています! https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=38705

心マはアンパンマンのマーチを気持ちゆっくりめに頭で歌いながらやると良いです!

【医師監修】早く始めるほど命が助かる!赤ちゃん・子どもを救う心肺蘇生法を覚えておきたい理由|たまひよ 心肺蘇生法 意識がない、呼吸がないなどのときは、迷わず、心肺蘇生を始めましょう。心肺蘇生は早く始めるほど命が助かる可能性が高くなります。呼吸が3分以上止まっていると、脳に酸素が行かず後遺症が残る危険があります。

本当どんなことでも事故に繋がるから...母はしないことでも父が良かれと思ってやってくれたことが実は危険なことだったりね...(今回の件もそうだったみたい) みんな...毎日子の命守ってて偉いよ... 頑張ろうね...! 散歩行ってくるわ...

アンパンマンのマーチを気持ち"ゆっくりめ"っていうのは我流です! 私はそういう時気持ちがはやって歌も爆速で頭で流れてしまうのでゆっくりめを意識して丁度良くなるから、落ち着けてる人は普通のテンポで良いと思う!

補足②突っ込んでくる人増えてきたからいうけど昨日の夜の電話の際にママさんに注意喚起をSNSであげることは許可得てるし、なんなら今度ご飯に行く約束までしてます😌 私はN○Kに無許可で記事にされたことあってムカついてるので絶対に無許可でこういうことは載せません!

大量の宿題

取材に協力した記事が公開されました。様々な形の宿題に苦しめられ、結果として頑張っているのに何一つ身につかない。その悲惨な現実を知って考えて頂きたいです。 「学校の宿題は最低限のもので必ずやるべきものだ」という、一昔前の親世代のイメージからすると想像もつかないくらい多量の宿題に、今の小中高生は苦しめられています。そして、超人的努力を要するのに見当違いなものも多く、いくら頑張っても受験で通用する力は何一つつかないまま時間を奪われます。 そうした宿題からどのように若い世代の学習時間を守っていくのか。「お子さんに宿題をやりなさい!」と言う前にどんな宿題がどれだけ出ているのかを必ず確認したほうがいいです。フィードバックのかけらもないやりっぱなしの多量な宿題ばかりなら、抗議していくことも大切です。 中高生は、「学校の先生が『やれ』と言ったこと」を是非疑いましょう。分厚い、誰もが知っている問題集を薦めてくる先生は、恐らくそれ以外の教材を研究していない可能性が高いです。理解していないことを演習しても仕方がない。ダメな宿題に付き合って、自分の人生を棒に振らないようお気をつけて。

Emacs, rxマクロ

Homotopy Type Theory: Univalent Foundations of Mathematics

『グラフェンの物理学』

『グラフェンの物理学』は,グラフェンの物理学を理論的側面から解説する教科書!グラフェンだけでなく,Dirac 粒子,Berry 位相,エッジ状態,バンドトポロジーといった新しい内容の基本的な部分も習得できるように書かれています!

UX

しっかり学ぶ数理最適化

5/23新刊『初等相対性理論 新装版』高橋 康

5/23新刊『初等相対性理論 新装版』高橋 康3300円(講談社) 高校レベルの三角法と微分積分だけから始まる名講義。泰斗が語る老練でエキサイティングな講義は、読者を相対性理論の本質的な理解へ導いてくれる。

チラシ厳禁, 着払い返送します

AQFTのレビュー, 2023

there seems to be a series of review papers on mathematical QFT. here is one by Buchholz and Fredenhagen on AQFT Detlev Buchholz, Klaus Fredenhagen, Algebraic quantum field theory: objectives, methods, and results

[2305.11709] Detlev Buchholz, Klaus Fredenhagen: Arrow of time and quantum physics http://arxiv.org/abs/2305.11709

初等的な不等式のPDF

柳田『初等的な不等式Ⅰ』 http://izumi-math.jp/I_Yanagita/emath_ver1.1ps.pdf 柳田『初等的な不等式Ⅱ』 http://izumi-math.jp/I_Yanagita/emath_ver2ps.pdf

ウクライナのゼレンシキー大統領は21日、訪日日程の終わりに記者会見を開いた際に、日本国民へ向けた演説

親愛なる日本国民よ!平和を大切にする世界の全ての人よ!

私は、戦争によって歴史の石に影のみを残すことになってしまったかもしれない国からここへ来た(編集注:ロシアの全面侵略戦争でウクライナが消し去られてしまう可能性を指している)。しかし、私たちの英雄的な人々は、私たちが戦争をこそそのような影にしてしまうべく、歴史を戻している。

私は、世界に戦争の居場所はないと信じている。人類は、とても長い道を通ってきたのであり、血塗られた対立で多くの命を失ってきた。死が空から降ってきて、死が海からやってきた。放射線が死をもたらした。人々は、互いに死を持ち寄ってきた。ある者は、人類の歴史は戦争抜きには想像できないと述べる。私たちは、人類の歴史は、戦争抜きにしなければならないと述べる。

ウクライナは殲滅戦の中心地にいる。私たちの大地には、私たちウクライナ人を単に服従させたいだけではない侵略者がやってきた。ロシアは世界に嘘をついている。あたかも「ウクライナ人など存在しない」と。

もし私たちがこれほどまでに勇敢でなければ、ロシアの私たちに対するジェノサイドは成功してしまっていたかもしれない。ウクライナは影だけになってしまっていたかもしれない。全ての人々が、影だけに!

しかし、ウクライナ人は、果てしなく勇敢である。果てしなく自由を愛している。そして、私たちは生きていく!そして、私たちは自由に生きていくのだ。

敵は核ではない兵器を使っているが、ロシアの爆弾と砲弾で焼き尽くされた町々の廃墟は、私が先ほどここで見たものと似ている。私にとっては、その平和記念館を訪れられたことは光栄である。そのような機会を与えてくれたことにつきとても感謝している。あなた方の民が自分たちの歴史で目にしてきたことは、何千という家族のありふれた生活の代わりに、灰だけが残り、町の代わりに焼け落ちた廃屋が残り、建物の代わりに瓦礫だけが残る、というものだ。

今、広島は復興している。そして、私たちは、現在、ロシアの攻撃の後で廃墟となっている全ての私たちの町、一軒たりと無傷のものの残っていない私たちの一つ一つの村の復興を夢見ている。

私たちは、自分たちの領土を取り戻すことを夢見ている。ロシアに占領されていた北部の領土を取り返したように、私たちは、東部と南部のウクライナ領を取り返さなければならない。私たちは、現在ロシアに拘束されている人々を取り戻すことを夢見ている。それは、捕虜や、民間人や、追放された大人や拉致された子供だ。私たちは、勝利を夢見ている!私たちは、勝利の後の平和を夢見ている。

しかし、そのためには、その侵略者が負けなければいけないだけではなく、現存する戦争の野心が敗北せねばならないのだ。そして、それは世界中の全ての人にとって重要なことである。私は、世界にウクライナの団結の呼びかけを聞いてもらうために、ここ、広島にいる。

ロシアは、文明的なものの全てを踏みにじった。ロシアはもう、1年以上私たちの最大の、欧州にて最大の!原子力発電所を占拠し続けている。ロシアは、戦車から原子力発電所を砲撃した世界のテロ国家である。原子力発電所を武器や弾薬の保管用演習場にした者は他に誰もいない。ロシアは、私たちの町を多連装ロケットシステムで砲撃するために、原子力発電所によって身を隠しているのだ。もし世界の誰かが、ロシアの他の戦争犯罪をまだ無視することができるのであれば、そのような人道に対する罪は、間違いなく全ての人を行動に駆り立てしまうことだろう。

これを話しているのは、1986年にチョルノービリの放射線の惨劇を経験せざるを得なくなった、私たち、ウクライナなのだ。私たちの大地の一部は、いまだに立入禁止区域、汚染区域である。想像して欲しい。ロシア軍はその区域を通って進軍してきたのだ。彼らは、ソ連時代に放射線に汚染された物質を埋めた森に塹壕を掘っていたのだ。

そのような水準の悪と愚行のロシアの行動が悪い結果をもたらすことなく放置されるのだとすれば、世界は間違いなく破滅するだろう。国の要職に就く他の犯罪者たちが同じような戦争を望んでいる中では、それは時間の問題に過ぎない。

もしロシアに占領した領土をほんの一片でも与えてしまったら、国際法はもう決して機能することはないだろう。

ウクライナは「平和の公式」を提案した。公正で現実的なものだ。その最初の項目は、放射線・核の安全だ。ロシアは、放射線・核で世界を脅迫することを止めて、現在占拠している原子力発電所をウクライナと国際原子力機関(IAEA)の完全な管理下に戻さねばならない。

私たちの平和の公式には、全部で10の項目があり、その1つ1つの意味が国連(総会)決議によって確認されている。そこには、私たちの国に対するロシアの戦争を終わらせるために機能するあらゆるものが含まれている。

しかし、ウクライナの「平和の公式」の力は、ロシアの侵略の野心を止めて、ロシアが侵害した安全を回復した後でなお、世界にもう1つの追加的な結果をもたらすものでもある。それは、他の潜在的侵略者を麻痺させる、というものだ。戦争を望む者一人一人が、世界が平和を望む時にはどれだけ団結し、どれだけ覚悟を示すのかを目にしたら、戦争を始めることには意味がなくなるのだ。

これまで世界には、侵略者を止められるような公式がなかった。ウクライナはそれを提案している。ウクライナは世界に、戦争からの救いを提案している。そのためには、団結して、ロシアを最後の侵略者にしなければならない。そのロシアのウクライナへの侵攻の敗北後に、平和のみが栄えるようにだ。

私たち、人類は、異なる文化、異なる見方、異なる国旗を有している。しかし、私たちは、自分のため、自分の子供、孫のために等しく安全を望んでいる。そして、戦争が訪れてしまったら、私たちの命は、等しく灰じんと化してしまうのだ。

戦争からは影のみが歴史の石に残るよう、それが見られるのが記念館だけとなるようにするためには、世界の誰もが、あらゆる可能なことをしなければならない。

世界の誰もが、他国の人々を尊重しなければならない。

世界の誰もが、国境を認めなければならない。

世界の誰もが、正義を守らなければならない。

世界の誰もが、命を大切にしなければならない。

世界の誰もが、自らの義務として平和を受け止めなければならない。

広島よ、この数日間、通りで見られた青と黄の旗について、私はあなたに感謝している。ウクライナの旗があるというのは、自由への信念、命への信念、私たちを信じる心があるということを証明している。ありがとう!

日本よ、ありがとう。岸田文雄首相よ、全ての日本の人たちよ、包括的な支援をどうもありがとう!

戦争の全ての犠牲者を永遠に追悼する。

平和が訪れますように!

ウクライナに栄光あれ!

「女性君主なら平和」というイメージは真実なのか

数年前に「女性君主の方が男性より約39%戦争を起こしやすい傾向がある。」って論文が出て話題になったんですけどねぇ。 (此処のnoteから論文「Queens」のリンクに飛べますよ。当然全文英語ですけど。) 「女性君主なら平和」というイメージは真実なのか

東大理学部物理2023の学生展示, 数理物理班

  • URL
  • 微分幾何ノートの出来が良いらしい.

魔法少女によるTogetter: 法と論理と言語

徳川慶喜の玄孫が「家系の断絶」を決意した理由とは…120年以上続く名家の「家じまい」事情 徳川慶喜家第5代当主・山岸美喜さんインタビュー

法律用語としての「差別」

「不当な差別」という用語でどうこう言ってるの、これくらいには目を通してくれという感じだが。 http://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000967115.pdf

>1.法律や条例における「不当な差別」及び「差別」の用例 ○ 法律においては、「不当な(に)差別」、「差別」のいずれも使用されているが、 「不当な(に)差別」のほうが多い傾向にある。

>また、「不当な差別的取扱い」と いう形で使用されていることが多い。 (例)「不当な差別」:人権教育及び人権啓発の推進に関する法律

>従来の憲法学の通説や判例では、「合理的差別」、「不合理な差別」というように、「差別」という言葉をいわば価値中立的に用いてきたとされている。

AIテセウスの船

  • 背景は自分 キャラはAIの絵は…
  • キャラは自分 背景はAIの絵は…
  • 構図はAI, 手直しは自分の絵は
  • 構図は自分, 出力はAIの絵は…
  • 絵の描けなくなった老人が、介護ロボットに命じて描かせた絵は
  • メインキャラは自分, それ以外のモブはAIが出力している場合
  • ロボットを墨汁にぶち込んでそれを振り回して人間が描いた絵
  • メインキャラの顔は人間, それ以外の全部をAIが描いてる漫画
  • ロボットが人間に命じて描かせている絵
  • 上司ロボットが人間に絵を描くように命じ、その人間が下請けロボに命じてその下請けロボットくんによって描かれた絵
  • 人間の脳を完全にトレースして作られた人造人間 ヒューマノイドが描いた絵
  • ドラえもんが描いた絵
  • 人間の脳をコピーした後そのデータをチップに詰め込み、脳を摘出したのちチップと置き換えた人間が描いた絵
  • 設定 キャラデザ 世界観など全てAIが考えたが人間が描いてる漫画

2023-05-13 競技プログラミングによる中学生へのプログラミング指導/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 競技プログラミングによる中学生へのプログラミング指導
  • GPT-4による論文の概要把握
  • 三平方の定理の新しい証明
  • 「これからの集合と位相」
  • ChatGPTでの語学学習
  • 生物学と物理学の境界
  • ヤウのインタビュー
  • 小松彦三郎先生の『グロタンディク空間と核定理』
  • 白石直人さんによる「ゆらぐ系の熱力学」の教科書

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近況報告

何かいつの間にか一月もメルマガを書いていませんでした. 仕事関係のプログラミングの勉強ばかりであまり数学もできていません. 久しぶりにプログラミング関連をかなり基本的なところから再勉強していて, ようやくわかってきたこともあれば, ただの勉強ばかりで実戦投入できずいまひとつ身についていなかった知識も実戦投入で血肉になりつつあり, とても楽しいので問題視しているわけではありません.

数学と言えば久しぶりに現代数学探険隊を一から眺めて記述を整理しています. そしてようやくコンテンツ販売している分の解析学編の整理ができました. 改めて眺めていたら自分にとって「こういうのがほしかった」をまとめたコンテンツなだけに, 読んでいてとにかく楽しく飽きが来ません. 焦点がバチバチに合っているときに書いた多少複雑な部分で, 久しぶりに読むともう少し記述を追加しなければならないところもいくつかありますが, 全体的に後で行間を埋めるのに時間を使わなくて済むように詳しく書いているため, その意味でもすらすら読めます.

まだまだ磨くべき部分はあるにせよ, 少なくとも自分が心からよいと思える内容にはなっていてとても気分がよいです.

あと, プログラミング学習と言えばいわゆるAI(機械学習)利用がなかなかよいです. とんでもない嘘をつかれる場合があるとはいえ, ChatGPTはGoogle検索で見つけづらいピンポイントの話題を解決したいときにかなりの威力を発揮します. phind.comもいろいろなサイトを取りまとめてくれるため, 検索で重宝しています. 人間絵の(?)イラストレーター界隈では相変わらず燃え上がっていますが, それぞれ高度な専門性がある(とされる)翻訳や確定申告については「さっさとシステム・人工知能でどうにかしてくれ」と言い, 同業であるはずの背景関係の生成ツールは「これで絵を描くのが一段と楽になった」とまで言ってきていた人が人間絵の生成は駄目だと言い出すのはさすがに筋が通らないだろうとは思います. 欧米だととりわけ児童ポルノに関わる形で問題視されているようですが, どうなることやらという感じがあります.

この間Twitterでコンサル系の人が「ChatGPT+Midjourneyを使って中小企業向けのロゴ制作の会社を作れる」と言って, デザイン系の人達で「あんな質の低いロゴでは話にならない」と言っている様子を見かけました. ただプロの目から見て, 実際にプロの仕事を比較したら優劣がわかるとしても, 比較対象がない中でそれだけ見せられたら十分ではないかと思えるようなものではないかとも思います. それこそ医学などの微妙なところはともかく, 数学や物理での明らかな嘘が平然とまかり通っている以上, プロの仕事を判定するにもプロの力が必要です. そもそもプロの仕事がオーバーキルで, 伝統工芸のように腕のいい職人の製品は高くて買えない贅沢品になる可能性もあるのでしょう.

もちろんプログラマーの処遇ももはや自明ではないと思っていて, それもまたどうなることやらといった感じです. Wolfram alphaと機械学習連携の話も出ていますし, 数学・物理もどこまで敷居が下がるか, それとも逆に上がるのかが気になっています.

競技プログラミングによる中学生へのプログラミング指導

やるやると言っていた中高生向けの話, ようやくはじまりました.

様子を見ているとタイピングスピードと正確さがないようです. 中学生がゴリゴリタイプする機会もそうそうないでしょうし, それはそうだと思ってタイピング練習の時間も作っています.

それで調べていたら私が中学生の頃, タイピングソフトは3000-5000円くらいしていた記憶がありますが, いまやネットでフリーでちょっとしたサイトがいくつもありました. 確かにいまやそのくらいでお金を出す人もいないのかと思うと, 一種のジェネレーションギャップを受けました.

GPT-4による論文の概要把握

GPT-4のWeb Browsingを使うと、「(論文のタイトル)について内容を教えて」と指示出すだけでいい感じに内容を要約してくれるので感動した。

最近研究者界隈のこの辺の話をよく見かけるようになりました. 試す機会もないため論文レベルでどうかはよく知りませんが, ちょっとした文なら読むだけではなく書く方も英語ならだいぶ便利です. 機会がないためあまり調べていないのですが, 会話関係はどの程度できるのでしょうか.

ああ、さっきから僕が言ってるボイチェンはこれの話です。声を作らなくても完全地声でちゃんとかわいい美少女ボイスに変換されます。 ただし発音・発声・口調の汚さは補正されないので僕みたく品がない人はまず品を手に入れましょう……(

『「RVC」+「VC Client」で自分の声を任意の声にリアルタイム変換しよう!』という記事を書きました。 https://eyatu-vrc.hatenablog.com/entry/2023/04/06/193512 DiscordやVRChatで任意の声へのボイチェンをするための手順を書いた記事です。 動画はずんだもんの声になったEヤツです。 不明点があればリプやDMでご指摘ください!

方向性は違いますが, コンテンツ制作関係でこの辺も気になっています.

三平方の定理の新しい証明

ニューオリンズの高校生2人が、無限級数を使ったピタゴラスの定理の新しい証明を発見。彼女らがこれを米国数学会で発表して話題に。 Here’s How Two New Orleans Teenagers Found a New Proof of the Pythagorean Theorem

アメリカの高校生が発見したという、三平方の定理の新しい証明法だそうです。高校数学でも新発見ができるものなのですねぇ。

さらにこんな話も.

【JKが学会で発表】 アメリカの女子高生が、三角関数を使ってピタゴラスの定理を証明する方法を発見しました。 三角関数を使ったピタゴラスの定理は、循環論法を回避するのが難しく、2000年間不可能だと考えられていました。 すごい。

❌2000年間不可能 ️ピタゴラスの定理が発見されてから、1度も発見されていなかった

「これからの集合と位相」

基本事項の羅列ではなく、議論の流れが読み取れるようにまとめ、自習に利用できるテキスト 『これからの集合と位相』梅原 雅顕/一木 俊助(裳華房) 「圏論」の普及に伴い、空集合・空写像の概念が重要視されつつあることをふまえ、付録の最終節として、空集合の扱いについての解説を掲載!

『付録の最終節として、空集合の扱いについての解説を掲載!』が特に気になります. あと以前英語版を紹介した記憶がある, 「圏論による位相空間論」的な本も和訳が出ました. 英語の方を読もうと思いつつ本だけあって読めていなかったうちに和訳が出てしまいました.

ChatGPTでの語学学習

なんかなんでも今更なんだけど、ChatGPT で語学を勉強するの楽しすぎてやばいんだけど 以前のノートを整理しながら文法を直してもらったり、文法や表現の不明点を解説してもらったり、用例を作ってもらったり、至れり尽くせりだよな クラスの先生は疎か、一対一の語学先生よりも百倍便利で草生える

ほんの一例だけど、ノートに溜まってた謎のフランス語とドイツ語の文を解説してもらいつつ、新たにまとめていくことをやっている https://sharegpt.com/c/QHKAISZ 自己紹介のテンプレートを書かせつつ、短くしてもらったり、文法をやさしくしてもらったり、解説してもらったり、記入してもらったり、追加情報を入れさせてもらったり、もうやばいん なんなら特にやることがわからないときでも、graded reader(易しい文法レベルまで落とした読み物)を童話からの bilingual text 作ってもらって、有名な話なんであらすじはわかるから comprehensible input になるし、わからないところば質問していいし、飽きたら新しい物語を作ってもらってもいいし

私もいま自分が所属している語学コミュニティ向けにちょっとした語学学習用のサイトを整備しています. 英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語あたりをいろいろまとめています. 語学学習用のコンテンツにはまだ載せていませんが, 最近はアラビア語とサンスクリットもやっています. ChatGPTも使っていろいろ取りまとめていて, やはり時々とんでもない嘘をつきます. 将来はともかく, いまはある程度の知見がないとChatGPTはうまく使えるツールではないように思います.

生物学と物理学の境界

生物学と物理学の境界について、少し前に思うところを書いた文を公開します(PDF)。双方の研究者がどういうところで仲違いしているのか、寺田寅彦が研究者の間で好かれてたりそうでもなかったりするのはどういうことか、

寺田寅彦の随筆をだいぶ前に読んだことがあるのですが, いまひとつピンと来ませんでした. この辺の味わいがわかる人に解説してもらう勉強会なども面白そうと思って幾星霜です.

ヤウのインタビュー

これもなかなか面白かったです. 数学・物理勢にはお勧めです.

小松彦三郎先生の『グロタンディク空間と核定理』

小松彦三郎先生の『グロタンディク空間と核定理』がウェブで公開されました。 https://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/20230419101

白石直人さんによる「ゆらぐ系の熱力学」の教科書

ゆらぐ系の熱力学の教科書がついに出版されました!確率過程の基礎やゆらぎの定理、情報熱力学、熱力学的不確定性といった定番トピックスはもちろん、2022年までのこの分野の主要な結果は大体網羅した決定版です。 https://link.springer.com/book/10.1007/978-981-19-8186-9

確率過程とその熱力学・統計力学への応用はずっと気になっていたため, この本もかなり気になっています. もちろん情報熱力学にもずっと強い興味がありました. すぐに読む時間が取れそうにないのが悲しいところ.

メモ

Yahoo!きっずを使うライフハック

ライフハックなんだけどGoogleとかで検索した時に、情報がクソみたいなまとめブログしか出ない時は、「Yahoo!きっず」で検索し直すといい。 これすると、マジでクソまとめブログが激減して、必要な情報にたどり着ける可能性が上がる。

岸田首相の海外からの評価

我々が「海外から見たバイデン、習近平、プーチン」を見れるように、 「海外から見た岸田文雄」という非常に有益な情報なので政治齧ってる人は全員見るべき

Exclusive: Prime Minister Fumio Kishida tells TIME's @CharlieCamp6ell about his plans to transform Japan's role in the world https://ti.me/3nRThwX

男なら死ねい

たまたまyoutubeで流れてきたhttps://www.youtube.com/watch?v=Q1CSrD5kbQA&t=137s「お母さんが幸せでなければ、誰も幸せになりません。お父さんが幸せでなくても、誰も気にしません。」、まさしく江田島平八のhttps://livedoor.blogimg.jp/suko_ch-chansoku/imgs/c/0/c0b95be0.jpg?fbclid=IwAR32uL5UGCZ0cUMn3MbPKMLHIn_oNeLtw2IzgARJYMVVKLS3gHwDAVP7L8wで、男塾は英語圏でも通じるのかと深い感銘を受けている。

Creating Software with Modern Diagramming Techniques - Build Better Software with Mermaid, Ashley Peacock

ChatGPTで無料で学べる『英会話AI』の作り方

「『ChatGPT』に『Voice Control for ChatGPT』を入れるだけで、永遠に無限の英会話の時間を自分の部屋でできるようになった。しかも完全に無料である。」 ChatGPTで無料で学べる『英会話AI』の作り方(神田敏晶) ChatGPTで無料で学べる『英会話AI』の作り方

生江シェフの修士論文

2023-04-08 スペクトル理論と一変数関数論/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • スペクトル理論と一変数関数論
  • 京都大学2回生の統計力学の期末試験を解いた論文
  • ヘリウム危機
  • ChatGPT+Wolfram Alpha
  • メモ: Document IDを使う

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スペクトル理論と一変数関数論

継続的に対応している現代数学探険隊のノート整理で, スペクトル理論の章を整理しています. 思った以上に関数論をゴリゴリ使っていてちょっと驚いています. もちろんレゾルベント(グリーン作用素・グリーン関数)は作用素値正則関数である以上, 関数論の結果が援用でき, 実際にいろいろな応用・展開があるのは嫌というほど知っていますが, 久しぶりに見るとこんなにも空気のように使われていたのかと驚いたのです.

現代数学探険隊では関数解析のあと, 無理やり関数論に進んでいて, 関数論が必要だからというのはもちとんわかっていたものの, なぜこういう構成にしたか, その理由を改めて実感しています.

さらに強く, 多変数関数論のバナッハ環論への応用といった話題もあります. ヘルマンダーの本にも(何故か)一章割かれていて, 時代的にも重要な対象だったのかもしれません. 詳しく読めてはいませんが, 実際に書名がバナッハ環への多変数関数論の応用という洋書があるのは知っていて, これも読んでみたいと思って幾星霜です. いま読んでいる層とホモロジー代数が終わり, トポロジーのノート・指数定理のノート・モース理論のノートが作り終わったら読みたい本のリストには入れてあります.

京都大学2回生の統計力学の期末試験を解いた論文

「京都大学2回生の統計力学の期末試験」を解いて論文にしました。 https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.130.148101 ゲルにおける「負のエネルギー弾性」の統計力学にもとづく説明です。 試験問題の公開から3年以上がたち、試験時間は大幅にオーバーしてしまいました。 https://t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2023-04-05-001

三重大学の白井さん(@nobucshirai)との共同研究です。研究の経緯は、プレスリリースにも書きました。白井さんとは、オンラインで出会い、一度も対面で会わずに原著論文にまで仕上げました。オンラインで理論物理の議論は厳しいと思っていましたが、双方の努力次第でなんとかなることがわかりました。

作道さんのゴム弾性の研究の話を聞いたことがあり, 非常に面白かったです. このあたりは統計力学・物性論の多彩さと面白さで, 熱力学熱と統計力学熱が高まります. 先日, 2022年のフィールズ賞受賞者の業績が$\phi^4$の自明性の証明だったとも聞き, イジング熱が高まっているため, 改めて原-田崎本を読む機運が高まっています. 早く幾何系のノート作りを終わらせたいです.

幾何は幾何で学部一年で深谷賢治さんの本を読んで以来, ずっと憧れの分野で, これはこれできっちりやりたいのです.

ヘリウム危機

Twitterで貴重な資源であるヘリウム浪費問題が流れてきました. 関係する記事も流れてきたのでシェアします. どうも嵐がコンサートで凄まじい浪費をしたために世界で大問題になったこともあるとか. 知らなかったのでちょっと驚きました.

産業・医療応用が重要な対象をエンタメで消費するのはいいのか悪いのか.

ChatGPT+Wolfram Alpha

ついにChatGPTと数学が融合、Mathematica開発者ウォルフラムさんの生の興奮が伝わる記事 ChatGPT Gets Its "Wolfram Superpowers"!

これで数学系のグラフ作成・動画作成が楽になると数学・物理教育にもいい影響があります. 私もプログラミング関係のコンテンツを作って管理する必要がなくなるので, 早くいい感じに使えるようになってほしいです.

メモ: Document IDを使う

今回のIPAのサイトリニューアルでわかったように、URLは脆弱なので、djb先生の唱えるDocument IDを使おう https://cr.yp.to/bib/documentid.html UUIDでも何でもユニークっぽい文字列をページごとに書いておいてそれをURL代わりに使えば、ググればページが見つけられる

先日サイトリニューアルした上で, さらにWordPressで作った本サイトも潰してこちらをメインに据える予定があります. 今回はもういいやと思っていますが, 次回何かあったときはちょっと考えたい内容です.

2023-04-01 数学・物理 熱力学が楽しい/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • サイトをプチリニューアルしました
  • 近況報告
  • ChatGPTに数値計算コードを書いてもらう
  • 全悪質時空
  • トレースの定義

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サイトをプチリニューアルしました

メルマガを載せているこのサイトはテキストファイルからmkdocsで作っています. 変換・アップロードが長くいい加減面倒になってきたため, 分散させていたファイルを一つにまとめました. リンクがメチャクチャになってしまっている部分もありそうですが, 気付いたら修正します.

一部のページは重くなってしまっているため, 必要に応じて適当に分割する予定です. 私自身はローカルで必要に応じてgreprgで検索をかけて読んでいるため, Web版の重たさになかなか気づけません. これまでいちいちgrepしていたのがファイル内検索で済むようになり, 私としては効率がよくなったのですが. メルマガページも少し重いかもしれません.

WordPressで作っていた旧本体サイトも, Webのインターフェースが重いのが嫌です. いまのアーカイブサイトのローカルのテキストファイルは, 複数ファイルにわたってちょこちょこ必要な記述を追記・修正できる点で, 個人のサイト・情報管理としてはもうWordPressは面倒なので, はやいところ移行したいですが, その作業も面倒で止まっています. WordPressを潰したら, このアーカイブも本体に格上げ予定です. いつになるかわかりませんが.

近況報告

熱力学のノート作りが一段落してちょっと気が抜けたのか, あまり数学・物理をやる気が出ず, 仕事がらみのプログラミングの勉強というか, ドキュメントの読み込みをしていました.

最近の公式ドキュメントは確かに充実していてよいのですが, いつも気になるのはハイパーリンク構造のドキュメントそのものです. リンクがあるとついつい踏みたくなってしまうため, あちこち意識が飛んで気が散ります. こういうときは紙でもPDFでも, 余計なリンクも少なく気が散らないように前から読める(必要なら適当に飛ばせる)本の形式はよいなと思います.

プログラミングと言えばGitHub Copilotが時々「これが書きたかった」というコードをぼんと出してくれるので, 確かに快適です. まだうまく使い切れていないのですが, いま仕事で使っているフレームワークの挙動に慣れてくれば, 基本的な枠組みをサクサク書けてGitHub Copilotとよく協調できるようになるのではないかと期待しています.

会社では一人エンジニアで技術的に質問・相談できる人がおらず, とうとう本格的にStackoveflowやGitHub Issueなどの質問サイトデビュー的なものをしてしまいました. 技術系の質問ならそれほど苦労せず英語で書けますが, それでも考えると面倒なときはChatGPTにも英作文のお手伝いをしてもらっています. 他にも語学学習でChatGPTにお世話になっていますが, 少なくとも現時点ではまだまだ思うようにいかない面が多々あります. 一人でやっていると本当につらいため, 何事にも先達はあらまほしきことなりの心を改めて痛感しています.

来週は数学ノート作りに戻りたいですね. ホモロジー代数もさっさと仕上げて, トポロジーの基礎のノートを作って, はやく指数定理とモース理論あたりまでは整備したいです. それができれば他の好きな解析学, または数理物理系の議論に舞い戻れます.

全悪質時空

名前が面白くて気になっています. 特殊・一般相対性理論もそのうち通信講座で扱いたいですね.

トレースの定義

えへへ,内緒.というのは冗談で,学生向けだとやはり対角成分の和.大学院向けだと固有多項式の (n -1) 次の項の係数 x (-1) かな.もっと intrinsic にやりたければ Σ (一般固有空間の次元)x(固有値). でもこれでは無限次元で使えないので,やはり線型汎関数 T であって T(xy) = T(yx) を満たすとするのがいいのかな. もっとも,これは T(x) の定義ではないね.やはり x のみの情報で定義したいなぁ. そうだね,自己隨伴作用素に関していえばトレースってのはスペクトル分解そのものって言っても良い気がしてきた.それが核関数で書ければその関数をトレースって呼んでもいいね. 忘れてた.トレースの重要な特徴付けの一つ. 一般線型群の不変式のなかで斉次一次式のもの. しかし,これも A のトレースだけ,っていうピンポイントじゃないなぁ.しかし,私の専門はだいたいこれなので忘れちゃいけない. この視点にたてば,det と trace の間にある残り (n - 2) 個の不変式を hyper trace っていうか,degenerate det っていうか,そういうものとして考えられる. 要するに基本対称式だけれどねぇ.

無限次元ではトレースが収束する作用素は極めて強い性質を持ち, 物理的によく現れる作用素の大半はトレースが取れません. 特に量子統計で出てくるトレースはそのままでは数学的に正当化できません. これに関わる理論が冨田-竹崎理論です.

2023-03-25

数学・物理 熱力学が楽しい/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • ChatGPTに数値計算コードを書いてもらう
  • Wolfram alpha+ChatGPT
  • 熱力学のリハビリ

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  • 今回のページ
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近況報告

先日からホモロジー代数を止めて熱力学の復習を進めています. ようやくあと少しでギブスの自由エネルギーまで一通りノート作りが終わります. 具体例に対する修行がまだまだ足りないものの, 一般論はだいぶ復習が進みました.

やはり熱力学は楽しいですね. 何度も書いているように力学のようにハードな計算が必要なく, 簡単な偏微分の計算程度の数学的な負荷しかない割に, 神秘扱いされがちなエントロピーへの理解も深まり, 応用上の威力も高い熱力学は得られるメリットに比べて苦労が少ないです. 変な言い方ですが非常にコスパがよいです. はやく基本的な数学のノート作りを終わらせて統計力学, 特にイジング模型の再勉強がしたいです.

そういえば仕事関係の勉強ばかり最近の動向追いかけてきれておらず数日前にはじめて知ったのですが, 2022年のフィールズ賞の受賞者の主要な業績が相転移・臨界現象まわりで, いわゆる$\phi^4$の自明性がようやく完遂されたとか.

長年未解決だった構成的場の量子論の問題である4次元時空のφ⁴ モデルのtrivialityは、2022年のフィールズ賞受賞者のH.Duminil-Copinらによって示されたのですが、先日、日本数学会で東京に滞在中に書泉グランデでその解説記事がある過去の数学セミナーが買うことができよかったです。

当然イジング模型との関係も深いためイジング熱が再燃しています. 楽しみが増えました.

ChatGPTに数値計算コードを書いてもらう

ワイ「二次元の熱伝導方程式をPythonで解きたい」 ChatGPT「Sure!この拡散方程式を解くよ!コードだよ」

ワイ「いいね。計算する時間を4分割して、それぞれの時刻で温度分布を出力するコードに修正できる?例えば2.0秒だったら、0, 0.5, 1.0, 2.0、みたいな感じで」 ChatGPT「Certainly!」

まだ自分できちんと試していないものの, 数学・物理の勉強もますます勉強しやすくなってきています.

書いたことがある人はよくわかるように, 数値計算コードは書くだけでも大変です. 特にバグ取りが地獄です. 計算したあとの可視化も楽ではありません. そもそもプログラミング学習自体が簡単ではありません. 数学なり物理なりがやりたいのに余計なプログラミングを勉強するのも手間です. まさに学生時代の私です.

一応書いておくとプログラミングだけできても, 数値計算の結果の理解となるとやはり数学や物理の知識が必要です. いろいろな都合・理由で適切な結果が得られるとは限らないからです. 結果が物理的に妥当か判断するだけの物理の力量が必要です. そもそも現実的なモデルをきちんと組んできちんとしたシミュレーション結果を出すのはプロの仕事になるほどです.

それでも物理がある程度わかっている人であっても, 実際にシミュレーション結果を見ると割と感動する場合があります. これも前に書いた記憶がありますが, 統計関係の勉強会でスターリングの公式の数値検証をして, 「学部一年から知っている内容だが, 実際に数値検証でグラフを見るとこれまでとは違った感慨がある」という話をしたことがあります. 物理で博士を取っている人とも意見が一致しました.

数学や物理の勉強にも手軽にプログラミングが使えるようになって, それ自体は明らかによい話です.

Wolfram alpha+ChatGPT

数学・物理界隈でも機械学習利用が加速しています. 私は本業こそプログラマーですが, あまりそこにアイデンティティは持っていません. しかし飯の種ではあるため, 職業としてのプログラマーがどうなるかはそれなりに大きな問題です. 心配しすぎてもどうにもなりませんが, 身の振り方が本格的に問題になってくる可能性も視野に入れないといけないのかと言う気はしています.

熱力学のリハビリ

あと少しでギブスの自由エネルギーまで一通り復習が終わります. 近況報告でも書いたようにやはり楽しいですね.

やはり慣れは大きく, 温度を変数にした議論はさくさく読み進められます.

改めて勉強していて, 理論構成の上でヘルムホルツの自由エネルギーはいい具合の落とし所という実感が強まっています. 流体系に限らない一般的な熱力学で物理の理論という前提に立てば, 常に存在を仮定できる変数はエネルギーです. 熱力学固有の量として孤立系(断熱系)特有の量がエントロピーです.

一方, 環境との相互作用を考えるとき, 環境を特徴づける量として温度を導入するなら温度も自然な量です. 流体系を越えた一般的な熱力学を考えるなら仮定できるのはここまでです. 一方ギブスの自由エネルギーはふつう流体系を前提に, 温度・圧力(と物質量)を変数にした完全な熱力学関数です. 特にヘルムホルツの自由エネルギーからルジャンドル変換を取る変数が体積で, 変数として体積を持つ系でないと意味を持たない量です.

例えば強磁性体はふつう体積をパラメーターに持ちません. 特に温度と磁化を変数に設定してヘルムホルツの自由エネルギーで議論するのがふつうでしょう. 完全な断熱系だけを議論の対象にしない限り温度を全く考えない熱力学はありえないため, ヘルムホルツの自由エネルギーは温度に対する直観も導入しながら一般の示量変数に対する理論も展開できる便利な熱力学関数です. 相転移, 特に三重点まわりでの議論がうまくいかなくなるのも, かえって熱力学の難しい事情を浮き彫りにしてくれると思えば教育的とさえいえるでしょう.

日々の自分用メモ

物性物理とトポロジー: 非可換幾何学の視点から

物性物理とトポロジー: 非可換幾何学の視点から

内容詳細: 本書は,物性物理学における物質のトポロジカル相(topological phase)の理論の一部について,特に数学的な立場からまとめたものである.とりわけ,トポロジカル相の分類,バルク・境界対応の数学的証明,の2つを軸として,分野の全体像をなるべく俯瞰することを目指した.

  • 導入
  • 関数解析からの準備
  • フレドホルム作用素の指数理論
  • 作用素環のK理論
  • 複素トポロジカル絶縁体
  • ランダム作用素の非可換幾何学
  • 粗幾何学とトポロジカル相
  • トポロジカル絶縁体と実K理論
  • スペクトル局在子
  • 捩れ同変K理論
  • トポロジカル結晶絶縁体
  • 関連する話題
  • 補遺

「よく漫画で出てくる神社の神様が女の子で〜みたいなやつあるけど、そういうの見るたんびに、こいつ戦時中は出征する若者やおっさん達に沢山祈られて、一生懸命ご利益振りまいたけど誰も還ってこなかったんだろうなとか勝手に思ってる」

よく漫画で出てくる神社の神様が女の子で〜みたいなやつあるけど、そういうの見るたんびに、こいつ戦時中は出征する若者やおっさん達に沢山祈られて、一生懸命ご利益振りまいたけど誰も還ってこなかったんだろうなとか勝手に思ってる

というか100年くらい存在しているあらゆるキャラクターの戦時中の動向を無意識に考えてしまう そういう病気

草臥れた山村の最後の一人だった親戚の遺品整理にやってきた旧軍オタの前に、戦時中に出征したまま骨も帰ってこなかった昔の村人と勘違いしたのじゃロリババアが現れて喜ぶも、途中で時間の経過に気づいて正気に戻ってしょんぼりしながら誰も帰ってこなかった話をし出す。

ニューギニアで壊滅しましたからねぇ・・・と言う言葉に、行先が分かるのかとBBAが食いついてきたので、どうせもう住人も居ないんだから帰ってこなかった連中の骨を探しに行こうと言い出す旧軍オタロリババア神様と旧軍キモオタのドタバタ地獄参りが今始まる!

ここまで妄想したそういう病気なんだよほっといてくれ

お前が神様になってしまってどうするんじゃ!って言わせたいね?それが言いたいだけ

女性差別と男性差別のメタな違い

これが女性差別との違いですよね、メタ性

・男性は社会的に差別されている ・弱い男性はさらに激しく差別されている ・差別に抗議する男性は弱いとみなされ、激しく差別されるため、抗議できない

ここまでは周知徹底したい 具体的な差別(強くあらねばならないとか女を守れとか)に言及しても「そうだね、どっちもなんとかしていかなきゃいけないね」になってしまう、悪くすると差別コストとか言われてしまうから、メタ性に焦点を絞っていかなきゃいけない

ヨスガノソラ

多分俺たち世代は近親相姦で連想するのはヨスガるという単語で 公共放送としてはヤりまくった問題作ではあるんやが あの作品自体は性行為と背徳感を非常にテーマとして重視してるのでこのテーマに関心ある人には勧めたい作品 近親相姦とそれを周囲がどう解釈するかの生生しさもいい描写でしたしね

エロと創作の基本

エロには創作の基本が全部つまってます

  • ・ターゲットが許すならOK、NGならNGという基本
  • ・釣り詐欺や裏切りダメという基本
  • ・辻褄合わせは二の次という基本
  • ・真実は求められてないという基本
  • ・大事なのは棲み分けであり統合ではないという基本
  • ・性癖と妄想をぶちまけるのが創作という基本

R18はエロいか、そうでないかが全てやからな 画力や辻褄よりやっぱりエロいかどうか

  • ・読者はシャイなので感想はレアだという基本
  • ・全体に合わせるより一点特化という基本
  • ・エロい(面白い)ければこまけえことは全て許されるという基本
  • ・何をおいてもキャラとシチュという基本
  • ・エタってもいいという基本
  • ・基本褒めという基本

創作入り口には大変オススメでございます

  • ・テンプレが山程あるが、そのテンプレに沿っててもちゃんと受け入れられるという基本
  • ・なんなら沿ってるほど褒められる基本
  • ・でもニッチはニッチでありがたがられる基本
  • ・予想(エロに至る道筋)は外してもいいが、期待(エロそのもの)は外すながこの上なく理解されてる基本

ちなみに推理を入り口にすると…

  • ・エタは絶対に許されないという思い込み
  • ・矛盾は絶対に許されないという思い込み
  • ・お前のルールよりリアルを優先しろという思い込み
  • ・キャラよりも話の構造という思い込み
  • ・世界設定はガッチガチにしろという思い込み

推理は創作の基本の逆に位置してます

創作の基本は大喜利だったり「こういうのどう?」からスタートするというのが学べますね

これはマジで仰る通りですね(スケベめちゃくちゃ楽しく書いてる人) 付け加えるなら、Twitterでつぶやく程度の文字数のアイデア、性癖語りからいくらでも膨らませられますしね 『Twitterにネタ・あらすじだけ書いて満足して作品にしない』やりがちだけど、スケベはツイートがまんまネタ帳になりやすい twitter.com/kazakura_22/st…

ChatGPTによる教育

やばいやばいやばい!!ちょーーーやばい!!!

AIが生徒に連立方程式を教えてる…ヤバすぎる…

GPT-4がマジでヤバい!!! (ChatGPTの進化系みたいなもん)

とりあえず学校の先生はみんな見て!!!

教育にも革命がががががが…(語彙力

画像見たらわかるけど、その生徒の回答にあわせてAIが教えてる。

これは今まで先生がずっと付き合ってなかったらできなかったやつですよ。それをAIがやってくれてる。

何がヤバいって「いつかそんな時代が来るよね」とか"ミライのハナシ"してたつもりが、多分もうすぐそこw

貼り付けてた画像の引用元はこちらね。Google翻訳で日本語にして出してます。 https://openai.com/research/gpt-4

「個別最適が〜」とか言ってた教育界隈はホントに見た方が良い。もちろん100%正確というわけではないし、それはOpenAIも指摘してる。

それでも、「それなりの正確性を持った学習のアシスタントが生徒一人ひとりに付く」という影響は計り知れないほど大きい。

まだデモ画面での動きやし、実際に教育現場で使うにはUIとかも未熟だとは思うけど、教育関係者なら画像のAIが「かなりのレベルで指導してる」ことがわかるはず。

ちなみに、GDP-4のレベルは司法試験の上位10%程度らしく、領域によっては大体の人類を超えましたね。

模擬司法試験に受験者の上位 10% 程度のスコアで合格します。対照的に、GPT-3.5 のスコアは下位 10% 前後でした。

あと、画像の通り「大学院入試の模試」でほぼ満点取ってますw

AI先生すごい!!

重点解説! TeX Live 2023はココが違う!

64ビット版で何がうれしいのか

32ビット版のバイナリでは「使用可能なメモリ領域は2GBまで」という制約がありますが、64ビット版にはありません。TeXにおいてメモリ領域の制限が問題になることは滅多にないのですが、一つだけ、とても大きな違いがあります。

64ビット版ではLua(La)TeXで巨大なフォントファイルを多く使ってもメモリ不足で落ちることがなくなる。

LuaTeXでのOpenTypeフォントの処理は大量のメモリを消費します。特に日本語のフォントはそれ自体のサイズが大きいので顕著になります。5個くらいの書体を使おうとしたり、あるいは「游明朝」のような“複雑”なフォントだとそれ1つを使おうとしただけで、メモリ不足で異常終了する事態が簡単に発生していました。

TeX Live 2023ではWindowsユーザでも安心してLuaTeXの「強力なフォント処理能力」を使えるようになります。

AI界隈とある予測

2023-03-18

数学・物理 機械学習系アプリの活用/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • GitHub Copilotの導入
  • Rust本格参戦
  • アラビア語
  • 熱力学のリハビリ

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  • 今回のページ
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近況報告

今週はChatGPT4旋風が巻き起こっていたような印象があります. 後で書くように私も重い腰をあげてGitHub Copilotを導入しました. 見た人も多そうですが, Twitterで評判になっていたのでとりあえず結城浩さんのGistを共有しておきます.

フロントエンド学習および機械学習系の動向をゆるく追う勉強会を一緒にやっている人がもともと車系のエンジニアだった人で, いま映像系のフリーランスをやっている人です. 主に映像系の活動をしているTwitterで機械学習系の話をしているとイラスト・映像系の人から「危機感を覚えないのか」と言われる機会が増えたようで, 当人は「仕事の面はあるにせよ, 何を恐れているのかわからない. 楽しく描いたらではないか. それはAIには奪われない.」と言っていました. 「AIは純度嘘発見器」なのかもしれないとも.

飯の種になっているとなると純度だけで割り切れなくなるとはいえ, 何にせよ楽しめるかどうかは大事なのでしょう. どこまで適切な比喩・比較になるのか現時点で予断を許しませんが, むかし写真が出てきたときも絵描きの仕事はどうなるという話が出たようですが, 絵と写真についていまでも絵は絵で楽しい営みとしてあり, 一方で写真は写真やジャーナリズムだけではなくそれ自身アートにもなりつつあり, 今度はアプリによる加工で写真が事実を写してくれなくなりつつあり, といった多重構造が出ていると聞いています.

数学・物理がどうなるかはわかりませんが, プログラミングに関しては競プロなど楽しみでやっている部分もあり, 飯の種にしている部分もありで, どこまで楽観視していられるのかはよくわかりません.

これまたTwitterで「いまはAI生成のプログラムもテスト回りで責任問題と関連して人間が関わらざるを得ない部分ではないかと言われているが, 昔電卓で計算したのを算盤で計算しろと言われたナンセンスだとなったのと同じように, AI生成のプログラム・システムを人間がチェックするのは老害の証拠になるのかもしれない」と言っている人も見ました.

何にせよもはやこれと付き合わざるを得ないのは間違いないので, 世間的な行き着く先はきちんと観測して, 自分自身の身の振り方を考え続けないといけないなとは思っています.

GitHub Copilotの導入

重い腰を上げて今日の朝導入しました. 昨日の夜, Rust系の人が「自分もようやく導入した. 思っていた以上にコーディングがはかどったのでもっと早くから入れておけばよかった」と言っていて, 競プロでRustを本格的にはじめようと思っていたので踏ん切りがついた形です.

まだ実感できるほどプログラムを書けているわけではないので, 二ヶ月のお試し期間で遊び倒せれば, と思っています.

Rust本格参戦

去年から本格化させた競プロ学習で, 参考のためにいくつかの言語のコードを同時に眺めています. 見ているとPythonやRustはデータ構造系のライブラリが強力で, ライブラリへの外出しによって問題ごとの重要なアルゴリズム構成に集中できそうな気がしてきました. ただでさえF#は命令型系の機能・構文がいくつかないためにC++・Pythonのコードの直移植がしにくいところでも頭を使う必要があります. はじめこそ「ヒープなどはよくわかっていないからライブラリに外出しせずにきちんと書きたい」などと思っていましたが, もうさすがにそこまで書きたくありません.

中学の頃, 初等幾何で「『以下同様に』が気にくわない. そのような省略はやっていいのか. そもそも本当に『以下同様にで』処理しきれるのかもよくわからない」と以下同様にと書かずにしばらくやっていました. 何かのタイミングでふと「同じことしかやらないのにいい加減何度も書くのは面倒だ」と思う瞬間があり, 「これが『以下同様に』の心か」と思ったのを思い出しました.

私はHaskellから入ったため, F#自体はじめは無理に完全な関数型的な書き方をしていたものの, 特に競プロでは非純粋性をうまく使った方が読みやすく書きやすい現実にぶちあたって, 程よく命令型系のコードも混ぜ込んで書くようになりました. もともとHaskellの凄まじい部分に踏み込むようなコードを書くわけでも書けるわけでも読めるわけでもないため, RustもF#での経験を活かして, 自分にとって気持ちよく書く方法を探します.

外出しと言えば, 数学や物理では省略箇所は定理や公式の結果だけ頭にロードすればいい一方, プログラミングでは頭でわかってもライブラリなどが使えなければきちんと書くしかありません. そしてきちんと書かないとバグってひどいことになります. 機械学習アプリに書かせる・GitHub Copilotのような補助を使うのも含め, 自分自身のプログラミング学習方針についても考え直す必要があるのでしょう.

アラビア語

これも1月から本格的に再開しました. 以前何回か, 語学学習のコミュニティでペルシャ文字入門の勉強会があって, そこでアラビア文字を雑に勉強して都度完璧に忘れるのをくり返していて, 今回は2ヶ月半, 毎日朝一時間程度の時間を割き続けるられるように習慣化しました. はじめはつらくてよくさぼっていたのですが, キーボードでアラビア語配列が少しずつ頭に入って打ちやすくなってから耐久力がつきはじめ, いまでは気がつくと一時間経つような状態になってきました. 年始の段階は5分で地獄のようにつらかったため, まだ何もわからない状態でも2ヶ月続ければこのくらいの精神的な負荷にはなるのかと実感しています.

Rust学習も以前にやったときは進捗が一気に死んで嫌になったのが二回ほどあります. 今回はアラビア語のおかげと進捗が死んでもRustをやると振り切ったおかげで, Rust学習ものんびりじっくり進められそうです. Rustは最近のフロントエンドで速度を求めるべくツール開発がRust一辺倒になっている印象があり, Rustは書けなくても最低限読めないと今後つらいのではないか感があります. これもRust再学習のモチベーションの一つです.

何にせよ初学の苦しみを忘れないためにも新しいことに挑戦するのは大事だと改めて実感しています. ようやく文字が認識できるようになってきたものの本当にそれだけで, 文字は認識できるが必ずしも全単語がスペース区切りされているわけでもなく, 活用も覚えていなければ単語も何も覚えられていないので何もわからない状態です. 「何が書いてあるのか本当にわからない」は今でもHaskellでよくあります. 競プロの短いコードでもさっと読めないプログラムがいまだに大量にあります. 数学や物理でも初学・非専門の人はこういう気分なのだろうと.

通信講座でも一回のボリュームをだいぶ削りました. 以前は「こんな簡単な問題をこれだけしか出していないのでは満足してもらえないのではないか」と思って, 復習の問題もかなり出していたのですが, 改めて初学またはしばらく触れていなかった社会人だとこれでも血を吐くほどつらかろうと思い直し, 量を減らして確認問題の内容もかなり変えました.

高いお金を払って最初はやる気まんまんでもすぐにつらくなるのは何度となく経験しています. アラビア語も勉強会をやって人を巻き込んでいるからこそぎりぎり勉強時間を確保できています. 仕事でも一人エンジニアで技術面で質問できないのがつらく, 最近はStackoverflowやGitHubのイシューに質問を出すようになりました.

熱力学のリハビリ

一旦田崎さんの本を雑に読んで雑にノート作りをしています. 他のノート作りを止めていて雑にまとめているだけなので, 来週, せめて今月中にはほしいところまで一通り終わらせたい見込です.

力学から手作りで理論を構築する様子を見せてくれる点で田崎さんの熱力学の本はやはり抜群によいです. さすがに教養レベル程度の力学を知らないとどうにもなりませんが, 一定以上の物理をやる上でそれはもうどうしようもありません. 力学に慣れていないと困るからこそ私の通信講座+勉強会企画でも初回に力学を据えたわけで.

力学的・物理的にこうあってほしい要請, 実験事実に基づく要請から「それは確かにそうだろう」という結果が出てきます. しかも一つ一つのステップで力学のようなハードな計算はあまり出てきません. そしてそれを積み上げるとエントロピーのような量とその強く非自明な性質が出てくる点が面白いです. 計算もハードではなく(田崎さんの本なら)議論もクリアなので, 熱力学はとても取り組みやすい分野です. 応用上の重要性もさることながら, 世間的に神秘的な扱いをされるエントロピーにも挑めます. 昔の自分を思い出しても量子力学・相対性理論に並ぶ「素人」垂涎の分野ではないかと思っています.

みんなもっと熱力学をやってほしいです.

日々の自分用メモ

図解

図解制作がなぜ稼げるのか、全力で解説します。


📌『"図解制作者"が圧倒的に少ないから』これに尽きます。

とはいえ、『コンテンツ制作代行』と銘打って活動をする人は多く存在します。 図解制作から始まって、動画編集からサムネイル作成、YouTube台本の制作からアナリティクス分析など、幅広く請け負う最強のジェネラリストです。

図解1本でやるよりも、当然仕事の幅は広がりますし、1件あたりの単価も雲泥の差が生まれるでしょう。

それでも、ありがたいことに僕は"図解だけ"でフリーランスとして多くのお仕事を頂けて、稼げている状態にいます。


📌僕が図解制作者として稼げているのは、文章をメインで発信されている方から依頼を頂戴しているためです。

動画に挟む図解と、文章に挟む図解。 作るものは全く同じでも、求める層(発信ジャンル)が違うため、コンテンツ制作代行を行なっている方とは競合になりません。

競合が居なければ、多くの方から声をかけていただけるのは必然。 言うなれば『"文章をメインとした"コンテンツ制作代行』というポジションを取れたから、忙しく仕事をさせていただけているのだと考えています。

動画全盛期とはいえ、文章で稼いでいる人も計り知れないほど多く存在します。 そういった文章で稼ぐ方へ向けて、『図解』というコンテンツのお手伝いをさせていただいているということです。


📌さらには、図解は多くの発信者が『欲しい』と考えています。

図解が欲しいのは、1万人以上のフォロワーが居るインフルエンサーや、数百万を稼ぐアフィリエイターに限りません。

フォロワーが100人未満でも、PV数がゼロに等しいブロガーでも欲しいんです。

✔︎あなたのツイート全てに図解が付けられたら? ✔︎あなたのブログの見出し全てに図解が付けられたら?

発信者として活動をしているなら、欲しいと思いましたよね。

文章を分かりやすくしてくれて、完全オーダーメイドの画像なんて、SEOの観点でも最良です。 影響力を付けたい発信者から見ても、図解ツイートに手を伸ばしたくなるのは当然ですよね。

ーーー

📌図解作りの上手い人が『1枚500円でツイート図解のお手伝いをします』と声を上げたとしましょう。

✔︎図解が10枚あれば、週に1回投稿して2ヶ月半くらい使える ✔︎図解が20枚あれば、週に1回投稿して4ヶ月くらい使える ✔︎図解が30枚あれば、週に1回投稿して半年間は使える

半年前に投稿された画像を覚えている人は ほとんどいません。 ということは、30枚の図解を、半年に1回を目安に循環させれば、毎週定期的に図解ツイートを発信できるようになる訳です。

1枚500円を30枚で掛け算する。 結果、1万5千円払えば、あなたのアカウントで、週1投稿の図解ツイートが年間を通してできるようになるんです。

そう考えると、1万5千円なら投資してもいいかな…と感じる人は多いはず。


📌話を戻せば、1枚500円なら、発信者から当たり前のように図解が買われるということです。

2枚の納品で4桁のマネタイズ達成。 20枚の納品で5桁のマネタイズ達成です。

500円はぶっちゃけ低単価すぎるので、将来的に見れば単価UPの施策は必須です。 それでも、マネタイズの難易度は、その他の副業と比較しても圧倒的にカンタンです。


📌インフルエンサーの無料プレゼントは図解の宝庫です。

「図解が上手くないからできない」と考えるなら、スライドの無料プレゼントを受け取って、徹底的に模写を繰り返してください。 100枚単位で最高品質のスライドを配布して下さっているのだから、それを参考にしない手はありません。

それに手を伸ばさず、ただ自己満足で「見やすくなったかも!」なんて状態じゃ絶対に上手くなりません。 『買われている図解』の特徴を、自分の中に落とし込んでください。

※当たり前ですが、丸パクリして発信は絶対NGですよ!


📌本気でマネタイズを目指すなら発信スタイルも変えてください。

あなたのフォロワーが『発信者』でなければ、マネタイズまで辿るのは少し難しいです。 美容アカウントの運用者が、美容の情報を知りたいフォロワー対して『図解が欲しい人いませんか?』なんて呼びかけても反応されません。

アイコンも、名前も、ヘッダーも、プロフィール文も、固定ツイートも、全部見直してください。

ついでに、実際に図解が欲しい人=発信活動をされている方と交流ができると、なお良いでしょう。 個人的に、オンラインサロンへ参加して交流を増やすのがおすすめです。


📌まとめ

✔︎図解制作者は圧倒的に人数が少ない →今なら図解制作者として稼ぐ枠が空いている

✔︎1枚500円なら買いたい人が大量に居る →速攻でマネタイズできる可能性を秘めている

✔︎参考の図解が無料で配られまくっている →いくらでも演習できる

結論:稼げる!!!!!!!

ガーシー参院議員「除名処分」 参院懲罰委で決定

ガーシー参院議員「除名処分」 参院懲罰委で決定 あす正式決定 | NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230314/k10014007601000.html “参議院懲罰委員会は、14日、改めて審査を行い、ガーシー議員の弁明について、党の浜田政策調査会長は「不登院という事情をもって除名処分に至ることは違法だ」と述べました”

同志社大 武蔵教授「処分はやむをえない」

参議院事務局の元職員で国会の制度に詳しい同志社大学の武蔵勝宏教授は、ガーシー議員が不当逮捕される可能性などを理由に帰 国しないことについて「国会議員には会期中の不逮捕特権があり、日本の司法手続きを理由に出席できないというのは正当な理由 とは言えない。陳謝の懲罰に対して、出席すると回答しながら欠席したことは参議院の権威をおとしめるもので処分はやむをえな い」と指摘しました。

そのうえで「ガーシー議員が集めた28万票余りは重みがあるが、国会議員は投票してくれた有権者だけでなく全国民の代表で、高 額の歳費が支払われ続けることも理解は得られない。議員が主張するオンラインでの参加には国会改革として道理はあるが、実現 するには法改正が必要で、議員として国会に出席したうえで主張するべきだった」と述べました。

一方で、議員資格を失わせる除名処分については「戦後3例目の非常に重い処分で、裁判で争うこともできず、本会議の決定が最終 決定となる。慎重の上にも慎重な検討が必要で、本人に弁明の機会がなかったのは残念だ。会期末までまだ3か月あり、登院停止処 分を踏まえたうえで会期末に除名にするやり方もあり得たのではないか」と話していました。

麗澤大 川上教授「国会議論が極めて重要 有権者は認識すべき」

政治心理学が専門でネットと政治の関係に詳しい麗澤大学の川上和久教授は、ガーシー議員が当選した背景について「参議院の比 例代表はテレビで全国的な知名度があるタレント候補が当選するケースが多かったが、近年はネットユーザーから支持を集める人 が得票を伸ばす現象が出てきている。芸能人のスキャンダルを取り上げる『暴露系ユーチューバー』として活動し政治の闇を暴く と訴えたガーシー議員が政治不信を抱く有権者のニーズをくみ取った側面はあると思う」と指摘しました。

そのうえで「ネット社会では自分の考えに近い情報だけに接触する『フィルターバブル』という現象が広がり、社会の分断が加速 することが懸念されている。こうした中で言論の場である国会で合意を見いだしていく努力を続けなければ、民主主義は崩壊する 危険もはらんでいる。国会の場で考えが違う人たちと議論することは民主主義社会で極めて重要で欠かせない手続きだということ を今回の除名処分を教訓に有権者は改めて認識すべきだ」と述べました。

AWSサーバーレス環境でのロギング

ラプラス変換の厳密な処理

フーリエ変換に関して厳密に書かれている本はとても多いと思いますが、ラプラス変換に関して厳密に書かれている本はじつは一度もみたことがなく、もしご存じの方がいたら教えてください。

ベクトル値のLaplace transformでよろしければ,以下のArendt et al.の本が厳密かと思います. https://link.springer.com/book/10.1007/978-3-0348-0087-7

なぜ表現を考えるのか

群Gのベクトル空間への線型な作用を表現という.もちろん一般の空間 X への G 作用は線型でないし,ベクトル空間への作用だってほとんどの場合は線型でない. では,なぜ表現を考えるのか. 一般に,空間 X に対して X 上の関数環 F(X) を考えるとそれは『とても X に近い』.たとえばコンパクト位相空間上のゲルファントの表現定理は,F(X) の極大イデアルとして X が復活できることを主張する. もちろん F(X) はベクトル空間で,X への G 作用は F(X) 上の線型な G 作用,つまり表現を引き起こす.だから表現の性質(例えばプランシュレル型の既約分解)は X の性質を反映している. 惜しむらくは,F(X) の積構造が表現自体には反映されないこと.もっとも掛け算をテンソル積 F(X)⊗F(X) = F(X × X) と関連付けることで X は『ほとんど』再生される. ちょっと惜しいのはそのような『関数環』のような莫迦デカイ空間上のテンソル積の分解理論がよく理解できていないこと. これはやってみる価値があると思うが,かなり難しそう.まずは X が有限集合の場合から始めるのかな. ところが,なんと

隅廣の定理:正規射影多様体への線型代数群の任意の作用は『線型化』できる

という信じられないほど強力な定理がある.ある意味線型代数群の作用は表現からやって来るわけ. びっくりするね. 隅廣の定理 作用の線型化

2023-03-11

数学・物理 スペクトル分解のハマりポイント/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 記事紹介: 「ChatGPT」に浮かれる人が知らない恐ろしい未来
  • 競プロの進捗
  • スペクトル分解でのハマりポイント
  • 熱力学のリハビリ

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  • 今回のページ
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近況報告

ゆるくChatGPTとの付き合い方を考えています. とりあえずは簡単な提案をしてくれる高機能な検索くらいの気分で付き合おうと思っていて, 冷蔵庫の余りものから献立を提案させるツイートなどを見かけました.

先程このようなツイートを見かけてちょっとやりとりしました.

流体の教科書で式変形が死ぬほど間違ってる本とか見ると、やはり人類の注意力に依存するのは悪い文明!粉砕する!!となるわけですが(´・ω・`)

一回性が強い計算をチェックしてくれるのは機械学習系では無理そうで, とりわけ「詳細は読者に任せる」とされがちな細々とした計算の話をどう処理するのかはかなり気にはなります. 数式処理と機械学習の組み合わせみたいな話も, 私が非専門だから知らない・見えていないだけで何かしらあるのだとは思いますが.

記事紹介: 「ChatGPT」に浮かれる人が知らない恐ろしい未来

最近いろいろと評判の悪い新井紀子さんへのインタビューです. この記事に関しても批判的なコメントがいくつかありますが, とりあえず次のコメントは私もかなり気になっています.

そのとき、われわれは過去30年間享受してきた「ウェブ」という資源を失うことになるかもしれませんね。

メルマガなりウェブサイト運営なりで少しでも数学・物理関係の面白い情報が届けられれば, と思っていろいろやってきたわけですが, これまでとは違う工夫が必要になってくるのかもしれません. コミュニティベースの口コミ的な要素がますます重要になってくる気もします.

競プロの進捗

評判がよいので買ってみた鉄則本で, A問題・B問題が70問程度あり, C問題が20問程度ある中でいったんA・Bが終わってCが残り10問程度になりました. はじめのうちはがんばって考えつつやっていたものの, 後半は息切れしてまずは他の言語のサンプルをもとにF#版を作るだけで手一杯になったため, もう何周かしないといけないものの一周目はもう少しで終わります.

いまさらながら数学・物理学習とプログラミング学習の違いをもっと意識して取り組むべきだったと思うようになったため, 自分用の備忘録がてらいまの所感を共有します.

基本的なアルゴリズムやデータ構造はそれ自体をきちんと読み書きするのは実際によい勉強になります. よくも悪くもF#(.NET)はデータ構造関係があまり充実しておらず, そこを埋めるのはよい勉強になったものの, 競プロの問題を解く中で基本的なコードを何度も書かないといけないのが非常に面倒で嫌になっています. 何だかんだ一番読み書きできるのがPythonなためPythonコードも参考にしていたものの, ライブラリ利用で簡潔に終わらせている場合がよくあります. アルゴリズムを組む上では重要とはいえ, 競プロとして本質的な頭の使い方をするにはF#は向いていないと痛感しています. もう一つ, パラパラとコードを見ているとRustも標準ライブラリ(またはAtCoderで使えるライブラリ)が割と充実していて, 特にAtCoder上での本格的な言語はRustに移行しようかとも思っています. Rust自体, 最近はWebのフロントエンドの処理系やツール開発で標準の言語になりつつあるようで, 多少なりともRustに慣れておくとよいような気もしています.

鉄則本の一周分はF#をメインにするものの以降どうするか検討中です. F#自体はその程良いREPLも含めて非常にお気に入りなので.

スペクトル分解でのハマりポイント

通信講座・勉強会で簡単な二次対称行列の平方根と対数を計算する問題を出題しました. そこで検算も入れていたものの検算の計算を間違えていたのですが, この間違いがハマりポイントでした. ウェブ上で式を書くのが大変で, 何度も書きたくないのもあって詳しくはここでは書きません. 興味がある人は次回の通信講座・勉強会に参加してください. メンテナンスまで含めていつどこでどう公開するか悩んだままのPython/SymPyによる検算用コードなども共有しています.

それはそれとして, やはり具体例をきちんと計算して確認する意義を改めて痛感しました. わかっていると思っていた議論にこんな落とし穴があるとは思ってもいませんでした. 二次の対称行列とその計算を馬鹿にしたものではないと実感しています.

熱力学に関わる凸性の議論でも三次のヘッシアンの半負定値性を示す苦労も実感したところなので, 行列の計算は本当に大変です.

熱力学のリハビリ

思っていた以上に細かい議論を追いきれないため, いったんふつうに教科書の一般論を読んで復習するモードに切り替えました. 特に学生時代に一所懸命読んでいた田崎さんの本を読み直しています. やはり慣れた流れなので読みやすいです. 大きく言えばおそらく新井先生の『熱力学の数理』も同じ流れと思います. 特に新井先生の本は前書きで「エントロピーや絶対温度は導出するべきものとはみなさない」というコメントがあります. もちろんLieb-Yngvasonの論文をうけた話です.

エントロピーの導出はともかく, 絶対温度の導出にはさほど興味がないのですが, いまは力学と同じく孤立系から議論をはじめて相互作用系に進むという流れで定式化したい意図があります. 田崎さんの本のように絶対温度をはじめから仮定すると当然外界との相互作用がはじめから前提になるため, ここを整理し直すのが当面の目的です. もちろん「孤立系」とは言ってもいわゆる「外界」がないだけで, 適当な意味で系の相互作用を考えなければいけないのが熱力学ではあります.

次の次の通信講座開催には計算問題整備が間に合えばいいなとは思っています. 今度は線型代数ではなく, 多変数の微分に関わる計算練習と熱力学というテーマで通信講座を組もうと思っています.

日々の自分用メモ

ChatGPTメモ: 春におすすめのダイエット用冷スープレシピを提案してください

春におすすめのダイエット用冷スープレシピとして、「トマト冷製スープ」を提案します。

  • 【材料】
  • トマト … 6個
  • キュウリ … 1本
  • 赤パプリカ … 1/2個
  • レモン汁 … 大さじ2
  • オリーブオイル … 大さじ1
  • 塩 … 適量
  • 黒胡椒 … 適量
  • 【作り方】
  • トマトは皮をむき、ヘタを取ってざく切りにする。
  • キュウリは皮をむき、種を取ってざく切りにする。
  • 赤パプリカは種とヘタを取り除き、ざく切りにする。
  • フードプロセッサーに1〜3の材料を入れ、なめらかになるまで混ぜる。
  • 混ぜたスープにレモン汁、オリーブオイル、塩、黒胡椒を加えてよく混ぜる。
  • 冷蔵庫で冷やしてから、器に盛り付ける。

トマトにはダイエットに必要な栄養素が含まれており、また、トマトの酸味やレモン汁の酸味が食欲を抑えてくれる効果があります。キュウリや赤パプリカも低カロリーで、食物繊維やビタミンCを豊富に含んでいるため、ダイエットにも役立ちます。オリーブオイルはヘルシーな油で、味のアクセントにもなります。是非お試しください。

ジャガイモやカボチャを使った冷スープレシピも提案してください。

ジャガイモやカボチャを使った冷スープレシピとして、「かぼちゃとジャガイモの冷製スープ」を提案します。

  • 【材料】
    • カボチャ … 300g
    • ジャガイモ … 150g
    • 玉ねぎ … 1/2個
    • 牛乳 … 150ml
    • コンソメキューブ … 1個
    • 水 … 400ml
    • 塩 … 適量
    • 黒胡椒 … 適量
    • クレソン … 適量
  • 【作り方】
    • カボチャは種と皮を取り除き、小さめの角切りにする。
    • ジャガイモは皮をむき、小さめの角切りにする。
    • 玉ねぎはみじん切りにする。
    • 鍋に1と2と玉ねぎ、コンソメキューブ、水を入れて火にかける。
    • 煮立ったら中火にし、野菜が柔らかくなるまで15分ほど煮る。
    • 火から下ろして、粗熱が取れたら牛乳を加え、フードプロセッサーでなめらかになるまで混ぜる。
    • 塩、黒胡椒で味を調え、冷蔵庫で冷やしてから、器に盛り付ける。
    • クレソンを飾って完成。

カボチャとジャガイモはどちらも食物繊維やビタミン類が豊富で、低カロリーなのでダイエットにもぴったりです。また、牛乳を加えることでまろやかな味わいになり、食欲を満たしてくれます。クレソンは栄養価が高く、彩りも良いので、ぜひトッピングに加えてみてください。

公理的凸集合論

  • URL
  • Van de Vel, Theory of Convex Structures

全さんの社会物理学

複雑系物理学の細菌の発展の一つが「社会物理学」です。私自身の最近やってる仕事はこのあたり見てください。 https://twitter.com/Quantum_Zen/status/1613110136415088643 こおゆう話、寺田寅彦に聞かせたらきっと喜ぶ事間違いなし

複雑系物理学的、数理科学的手法を使っての社会現象の研究の、数式使わない解説が拙著の次の章に見つかりますので、本持ってる人は参考にしてください 「銀河の片隅で科学夜話」第13夜 「渡り鳥たちが語る科学夜話」第13夜、第15夜

そいえばプロ向けの本が最近出て、これはストロガッツ読み終えたレベルで読んだら、社会物理学の研究最前線に即達するすごいやつです。社会物理学の創始者の一人、小田垣孝先生たちの本 https://amazon.co.jp/dp/4320036190 「社会物理学-モデルでひもとく社会の構造とダイナミクス」

TeX 参考文献リストに本文引用ページ番号をつける

\usepackage[pagebackref=true]{hyperref} とすると参考文献リストの末尾に本文引用ページ番号がついて非常に助かっているのだが,単に数字が出るだけなので,本文のページ番号なのかどうか,パッと見わからんなぁと悩みだしたが,再定義方法があった.

リベアルアーツ大学の死

米国で「リベラルアーツ大学の死」が始まった英文学も歴史学も資本主義に抗えず

2月にバージニア州のメリーマウント大学が、英文学や歴史学、哲学、社会学などの専攻をなくすことを決めた。全部で10の専攻が削減されたが、そのほとんどがリベラルアーツだ。

これらの学問は人気がなく、専攻する学生が少ないからだという。講義科目としては残るが、専攻したりその学位を取得したりすることはもうできなくなる。 米国では2016年以降、87校ものリベラルアーツカレッジが閉鎖、あるいは近くの大きな大学に合併された。

宗教二世問題から考えるべきこととは

トランス差別, 性別で区分されたスペース編

ここ最近のトランス差別の盛り上がりについてみんなたちに伝わる言い方でののべから発信しようと思って考えてたんだけど、疲れてRTばかりしているトイレ風呂は100万回擦られてる話で、ここにわかりやすい解答があるから見てみてね 「素朴な感覚・疑問」って、「あんまり考えてなくて何も知らなくてまったく調べてない」ってことだから、あんまり開陳しない方が良いと思う……ののべは……

みんなね……リンク踏まないよねたぶん……簡易に書くからね……

トイレはどれ使うの? →自分の状態やその場の状況に合わせて適した方を使うみたいだよ

公衆浴場ではどうしてるの? →性器の形に従うみたいだよ

100万回擦られてる風呂トイレの話を「今」盛り上げてるのって、「差別を禁止したら、マイノリティを自称することで何をしても無罪になる」みたいなあり得ないことを主張してる人たちで、ここ最近のTwitterを眺めてて「確かにトイレに男の人入ってきたら怖いよねー」と何となく思ったみんなたちは、 その先に「だからセクシャルマイノリティの差別を禁止するのはやめよう」を用意している人たちがいることを覚えていてほしいみんなたちはたぶん「そんなつもりない」んだろうと思うので

冷蔵庫の残り物からChatGPTにレシピを提案してもらう

主婦の皆へ、これがchatGPTのとても便利な使い方です。夕飯に悩んだら冷蔵庫の材料を伝えて見ましょう。うちの冷蔵庫の中身が少なかったのと、和洋折衷それぞれレシピについて提案してほしいと伝えたらもっと解像度高いかもしれません。

2023-03-04

数学・物理 思った以上に熱力学がつらい/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告: 最近のAIを試しはじめてみた
  • 熱力学のリハビリ

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近況報告

ここ最近アラビア語学習に関連してChatGPTを使いはじめました.

比較的最近はじめた知人とゆるくやっているWeb系のオンライン勉強会があり, その知人はイラスト・映像系の仕事もしているため, Midjourneyなど最近のAI関係の話もゆるく共有していました. 数学・物理に関わる教材でイラストや動画を作るのにも転用できないかとずっと興味はあったものの, なかなか具体的な遊び方が見つからず悶々としていたのですが, ふとこれまた別途やっている(教えてもらっている)アラビア語勉強会で, アラビア語学習に使えないかと思い立ち, ちょこちょこ使っています. 簡単にその状況を紹介します.

はじめは翻訳ついでに母音つきアラビア文字を書くのに便利だと思ったものの, 実際には間違いが多いのでこの方向は捨てました. 他の人はともかく私はEmacsで母音まで自力で打てるため, 余計な確認・調整が不要な点で自分でやった方がよほど早く正確にできる結論にいたりました.

他に便利な点があります. 特に勉強会で教えてもらったあとに「これはどう取ればよかったか」とわからなくなったとき, 簡単な文の文法的解説をしてもらうときに役に立ちました. オンライン勉強会なので録画すればよかったものの忘れていたのでその補助です.

文字からして勉強が必要なロシア語・アラビア語・ヒンディー語, そして格変化が激しい言語を勉強するとよくわかるのですが, 単語の認識と文法的な役割の把握がとにかく大変です. そして単語はよくても熟語の把握が大変です. 単語さえ覚束ない状況で, どんな熟語があってどの組み合わせで熟語になるか判定するのも大変です. 一度勉強会で聞いたあと, 大雑把であっても本に解説がある文を復習する目的にはかなり役立ちます.

微妙に使いにくい(不正確)なことはあるものの, 大雑把に発音を調べたり, 動詞や格変化の活用を調べるのにも多少は役に立ちます. ちなみに「たまに(少し)間違えている」という勉強への利用が難しい状況もあるため, あまりお勧めはできない用法です.

他にはためしに一つ数学の証明を聞いてみたらまるで駄目でした. 全く期待していなかったので単に共有です. 全然関係ないですが, 割と前から初等幾何の定理の発見と自動証明というテーマがあります. グレブナー基底の有名な本にも書かれているので興味がある人は読んでみるといいでしょう.

最近新版の和訳が出たはずです.

あと最後に言葉遊びとして数学川柳も作らせたりしてみました.

他にも勉強会で共有した内容として, ブレストに付き合ってもらうとか, 一日の最後にAIに褒めてもらっていい気分で一日を終えるといった応用をしている人もいるようです. 何かを教えてもらったり検索するばかりが応用ではありません. 少なくとも簡単なプログラムについては自分で考えるよりChatGPTに聞いた方が早い場合もあれば, 最近の知見を踏まえてプログラムを提案してくる場合もあってよい再学習にも使えるという話もあります. 私も自分なりの付き合い方を考えるために今後もちょくちょく遊んでみる予定です. 一番はコンテンツの挿絵・動画作りに応用できるといいのですが.

熱力学のリハビリ

タイトルの話です. 思った以上につらいです. いくつか本を漁りつつ具体例を引っ張って計算しているのですが, 具体的な関数に対する多変数としての凸性の証明で一週間以上悶絶していました. 微分可能な関数はヘッシアンの半正定値性や半負定値性を示せばいいものの, 計算ミスしたりどう示せばいいかすぐにわからなかったりと大苦戦しました. 多変数の凸関数に対してここまで理解が浅かったかと反省しています. 学生時代は一般的な状況下でのいわゆる微分形式的な微分の計算などで苦戦していた記憶があり, 学生のときに読んだ田崎さんの教科書も一般論中心に読んでいたため, 熱力学に対する具体的な例の計算がここまで弱いかと自分で驚きました.

凸関数に対する肌感覚もなく, 具体的な命題の定式化や反例構成にも苦労しました. 証明を読めばわかるものの慣れていないと簡単な命題さえ自力で証明するのは一苦労です. ついでにヘッシアンの議論などを現代数学探険隊にきちんと収録していなかったのにも気付いたため, いい機会と思ってそこからノートをまとめています. 改めて物理にも触れながら多変数の微分と極値問題の計算練習ができる教材として, 熱力学はなかなかよさそうという気分も出てきています.

ちなみに多様体上でのヘッシアンは座標系への非依存性を課す必要があるため, 臨界点でしか定義されません. ユークリッド空間上での議論ではそうした点への言及なく定義されます. 多様体上での議論に持ち上げるときには注意するべき要素でもあり, ヘッシアンの定義と議論だけでも実はそれなりの背景があります.

ところで清水本の第一版を読んでいて, 定理4.9などでエネルギー$U[S,X_1,\cdots,X_n]$が$X_i$達に対しても下に凸などの議論がありますが, あれは正しいですか? 具体的な$(U,V,N)$変数なら他の本などとも合わせてそうなるのはいいとして, 清水本の一般的な設定から一般の示量変数に対して4.6節の内容がどこまで成り立つのかさっぱりわかりません. $U$が$S(U,X)$の$U$に対する逆関数であるだけでは変分原理も自明ではないのでは? 凸関数に対する肌感覚がないため, 自力で証明がつけるのが困難で苦しんでいます.

日々の自分用メモ

An Algebra of Observables for de Sitter Space

Wittenらによる論文。de Sitter空間上でのオブザーバブルのなすフォンノイマン環が、通常場の量子論の文脈で現れるIII型と違い、重力の影響でII型になるらしい。そのうち読みたい。 An Algebra of Observables for de Sitter Space

ChatGPTと認知症

chatGPTって凄いのよ。と母に説明したら、「私の友達の認知症の人に似ている」というびっくりする感想が帰ってきた。母曰く、その人はなくした記憶を補完するために勝手にエピソードを記憶して、辻褄を合わせるのだという。 母は健康のためにプールに通っているのですが、その友達は先生の指示をよく忘れて間違える。例えば腕を〇〇回回してください。みたいな指示でも間違えるのだけれど、聞いてみると、忘れてしまったという自覚は一切なく「先生が途中で指示を変えた」などの存在しない記憶を言うのだという。 そう考えると、これも脳の働きなんだろうかという気になってきました。例えば私達の視覚は盲点とか、結構抜けがあるんですが、脳の方で処理して辻褄を合わせるために普段はおかしいと気がつけない。で、もしかしたらですが、視覚がそうであるなら、記憶や認知も似たようなもので、 抜けがあった場合、そこを無理やり補完して何事もなかったかのように処理を続ける機能がついているのではないかと。認知症になって、記憶自体がボロボロ抜け落ちるようになっても、そのつじつま合わせの機能は動き続けているので、勝手に記憶を捏造する。ということが起こると。 chatGPTにお題を2つ入れると、その点と点を時にはアクロバティックにつないでくれるんですが、この動きってもかして、人間も同じようなことをやっていて、だからこそ、人間っぽく見えるのかもしれません。 人間は記憶を思い出す時、細部を勝手に捏造する(ので思い出すたびに微妙に変わっていく)という話を聞いたことが有るので、もともとそんなものであるのかもしれません。

2023-02-25

数学・物理 数学で外語大に行きたい/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 量子力学のための線型代数
  • 熱力学のリハビリ
  • ファイバー束の話
  • AIと安全保障

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  • 今回のページ
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近況報告

Twitterで次の記事を見かけました.

何が1.1倍になったのかまだ調べていないのですが, もしや数学利用なら外語大にも比較的簡単に入れるようになっているのか, と思い, 大学に行きたい熱が出ています. 特にここ数年は「理系のための総合語学」を謳いはじめた以上, 言語学をもっときっちりやりたいと思っているため, 渡りに船という感じがあります.

もちろん生活を考えながら勉強に集中できる環境を作る必要があり, 勉強以上にこれが問題です. お金もきちんと稼ぎながら言語学まで含めた学習環境を構築し, さらにそれを提供したいですね.

先日書いた中高生向けの(競技)プログラミング学習も乗り気な子がいるらしく, 具体的に話がしたいという話もあります. 英語でエラーメッセージを読む部分でも何かしら語学教育に関係する話が必要で, この辺の具体的なノウハウも必要になってきそうです.

量子力学のための線型代数

先日募集した通信講座+勉強会が本格的にはじまりました. 記号や用語に関して指摘が入って確かにそれはそうかという指摘があったため, 念のためこちらでも共有します.

特に作用素(演算子)の共役と随伴です. 行列のエルミート共役は英語でHermitian conjugateと書く場合もあれば, Hermitian adjointと書く場合もあります. 前者は日本語で共役と訳す一方で後者はふつう随伴と訳します. さらに英語でself-adjointと呼ばれる概念は作用素論では自己共役だと訳す一方, 直訳は自己随伴です. これに関してself-conjugateは見た記憶がありません. このように英語と対応する日本語がぐちゃぐちゃになっています. 慣れてしまっていてもう何とも思わなくなっていたところに質問が来て, 確かに, と思っていろいろと補足しました.

あと複素共役の記号, 作用素の共役(随伴)の記号, 内積の定義も数学・物理で食い違いがあります. 私は育った文化圏・読んだ本の関係で数学・物理の記号がこれらのチャンポンになっていて, 余計に注意しないといけないのを久し振りに思い出しました.

熱力学のリハビリ

理論もいいですがやはりここ二年程度の計算練習へのフォーカスもあるため, まずはいろいろな本を参照しつつ計算ノートを作っています.

変分原理を具体的に計算するところで具体的な多変数関数の極値問題を議論する必要があります. これがとにかく面倒です. 多変数だと図に描くのが大変なのもさることながら, 単純な導関数の計算も大変で, 導関数を計算したあとに広義の増減表を書く必要もあります. もちろんグラディエントやヘッシアンの計算・評価です. これがまた大変で辟易しています. いったんプログラムを書いて図示して濁していたのですが, 先程風呂に入りながら考えていたら楽に計算できそうな方法を思いついたため, メルマガを出したあとに計算する予定です.

あと改めてエントロピーに対する制約も眺めていて, 熱力学は本当に強烈だという思いを新たにしています. 一次同次関数の制約があるため, エントロピーに恐ろしく強い制約がかかっています. 計算しやすい問題を自作しようと思ったものの, この制約をみたす範囲で作らねばならず, まずはふつうの本に書いてある典型的な例で肌感覚を育て直そうとしているところです.

ファイバー束の話

この間ファイバー束の話をしてほしいというアンケート回答をもらったので, 私の認識まとめ・復習ついでに簡単な勉強の指針のようなものを書きます.

ファイバー束はある図形の各点に別の図形が連続にぺたっと張られた図形がもともとの動機です. 例えば三次元空間のxy-平面に円周を置いて, 円周の各点からz軸に平行に直線を生やすと無限に伸びた円柱が得られます. これは特に各点から直線(線型空間)が生えているためベクトル束の例です. 直線の代わりに円周の各点を中心にした小さな円板を生やすと中身の詰まったドーナツが得られます. 円板を円周にすればトーラスが得られます. これはファイバー束の例です. 当たり前すぎるからか幾何の本に書いてあるのを見かけた記憶がないのですが, まずはこれをアーキタイプと思うとよいでしょう.

問題は数学の本の一般論とのバトルです. 単純に勉強が足りていない(実際に勉強中)ため, 私自身ファイバー束の一般論は本当にわけがわかっていません. 玉木大さんの「ファイバー束とホモトピー」の講義録版PDFを眺めたとき, ファイバー束の具体的構成が書いてあって, 比較的簡単な例でも構成をきちんと書くと非常に面倒なことがきちんと書いてありました. 一般論も大変なら具体例の構成とそれをきちんと書くのも大変な対象です. 何にせよ数学を勉強するなら絶対に一定以上の気合は必要なので仕方ありません.

もう少し楽な上, いろいろな応用もある主束から攻めるのがよいのではないかと思っています. 主束は同伴するベクトル束もあり, ベクトル束の気分をある程度持ち込めるのが便利です. ベクトル束と言えばもとの多様体の情報を直接持っている接束・余接束があり, 計算し倒せる具体例としてもこれ以上なく便利です. もっと言えば主束もまた楽ではないため, さらにベクトル束から攻めるのがよいと思っています. 実際私が地道に進めているアプローチです. 特にリーマン幾何は接束・余接束の解析と直接関係し, ホッジ理論のような基礎理論とも関係するためちょうどよい目標です. 解析的に(コンパクト)多様体上のソボレフ空間のレベルまできちんと詰めようと思うと大変なので, 進め方と解析学の素養次第で多少調整は必要でしょう. 何にせよ面白い対象ではあります.

ただで幾何部分だけで添字や記号の嵐で大変なところに解析学まで含めると負担は計り知れません. 適当に調整して進めてください. 多様体上の線型代数としてホッジ理論に挑むだけでも本当に骨が折れます. ベクトル束の議論も多様体上の線型代数の側面があるため, やはり線型代数は一定以上の素養が必要です. 単なる計算だけではなく抽象論が必要な点には注意が必要です. いま展開している量子力学のための線型代数では, まさにクロネッカー積による具体的なテンソル計算に入ったところです. これだけでどうにかなるわけではありませんが, 量子系の物理・数理に興味があるなら一つの道としてお勧めできるアプローチです.

AIと安全保障

松尾豊先生が政府のAI討論会で発表した資料を読んでいて動悸が止まらない。 賽は投げられた。

個人的には安全保障上Aを直ぐに、しかも先ずは100億ででも。計算資源は今直ぐ産総研ABCIを実質割当て、かつ拡張も同時に。理研でも富岳を用いつつ密結合したLLM学習マシンを横に構築しABCIとダークファイバで3.2Tbpsで直結しデータやモデルを共有。AIP, AIRC, NICT, 大学や民間の言語AIコミュ総動員

なるほど。「言語の本質を解明する道が拓ける」とか「宿題が解けるw」とかそういう次元とは全く違うところで重大なことがおきている。

上で外語大に入りたいという話を書きました. この辺, いわゆる文理融合系の話で今後本当に大事になってきそうです. 最早私はこの辺の実務に携われるような人間ではありませんが, この領域を目指す人間の数学的基礎体力向上には役立てる人間にはなりたいと思っていて, 何とかして外語大に入って関連する領域を(再)学習する機運が私の中で高まっています.

日々の自分用メモ

営業力を鍛えよう

東京一工の賢い学生がマッキンゼーだの投資銀行だのに集まる根源的理由は『そこで働くことが自分が賢いという証明になる』、『営業なんてブルーカラーでなく戦略や投資のがホワイトカラー』的価値観だと思うんですが

結局そこに行っても案件取ってくる『営業力』がないと行き詰まるから営業力こそ命

まだマッキンゼーがどこの馬の骨ともつかない頃、大前研一御大なんてリクルート営業方式にビルの上から下まで片っ端からどぶ板営業かけて、頼まれてもないのに勝手に分析レポート作ってプレゼンして案件取ってきてたんだからな? MIT卒の博士がそこまでやってんだぞ? 見習おうぜ?

特異値分解

ああ「特異値分解」は,行列の対角化と比較するよりも,いわゆる「階数標準形」と比較する方が理解しやすいですね.そう思えばまったく自然な考え方.実 (m,n) 行列に対して GL(m,R)×GL(n,R) 軌道を考えるのと O(m)×O(m) 軌道を考えるのとの違いです.複素ならば U(m)×U(n) です. そう考えると,GL(n,R) の極分解,すなわち O(n) 軌道の記述から「特異値分解」が<存在する>ことがしたがいます.つまり,代表元のパラメーターとして r=rank(A) 個の正の実数からなる列がとれます. GL だとベクトルの長さを自由に変えてしまうので階数の情報しか残らないけど「応用」の場面ではノルムは大切な場合が多いので直交群(ユニタリー群)の作用を考える.そうすると「特異値」が意味のある量として残る.そういうことか. すると p 進数体上の「特異値分解」とその応用もあるかな.

p進数体だと開コンパクト群が格子の自己同型群つまり成分がp進整数の行列群で、極分解に対応するのはPID上の格子の標準型ですよね。

階数の計算においても,変換行列を覚えておくと,例えば逆行列が計算できるけど,忘れてしまう場合も結構ある.特異値分解では変換行列(左右の特異値ベクトル)はとても大切な情報で,その先の計算に使う.A =UΣV と書くのと UAV=Σ と書くのでは,ちょっとニュアンスが違うわけ.

例えば『東京大学工学教程線形代数I, II』(室田一雄、杉原正顯著)にも,ちゃんと読めばそう書いてあるんだけど「AA を考える」から始まると,計算に目がうばわれて意味をとらえるのに時間かかった💦 「正方行列の対角化を長方形の行列に一般化するのが特異値分解である」という導入(Anthony Bosman さんなど)はなんか変だな〜と思った. だって階数標準形も「対角化」だからね!! ノルムを保つ基底変換のもとでの線型写像の標準形といえばいいだけ. エルミート行列 A を UAU(Uはユニタリー行列)と変換する話を特異値分解の特殊な場合だと説明するのは間違い(誰もそうは言ってないかもしれないけど)で,特異値分解のように U*AV とするのとは別な話と思うのが自然. 特異値分解はさまざまな行列分解の一般最終形ですというのは confusing だ.

なるほど。確かに階数標準形(対角に1を並べて残りは0)は、V→Wで両側空間の基底を独立に選んで、Eに近い形に同値変形(ランク不変変形)するA=PE'Q⁻¹(P, Q は基本変形行列)。この基底を直交に限って対角化すると表現行列が特異値で対角化されるA=UΣV⁻¹(U, Vは直交行列)、ということか。

加法的関数の連続性について

定数倍を与える関数 $x \mapsto ax$はこのようなものとなっているが, (∗) f (x + y) = f (x) + f (y) を満たす関数で定数倍関数でないものは存在するのだろうか?

一見非常に単純に見える問題であるが,実は,この問題の答は選択公理を認めるかどうかで違ってくる: 選択公理の下ではコーシーの方程式を満たす関数で定数倍関数と異なるものが無数に存在するが,選択公理を認めないときには,「コーシーの方程式を満たすすべての関数は定数倍関数である」という命題が正しいものでありうる.

シャファレビッチの代数幾何の本

シャファレビッチ,代数幾何の2冊本もとってもオススメ.これでもか,これでもかっていうくらい驚くべき例が書いてあります.(私が無知なだけですが.) 入門書だけど,こっちも哲学的で好き.↓ 代数学とは何か

マンフォードの本

この本,Algebraic Geometry I で,II が出てないよなぁと思ってたけど,今回 Mumford の website で II がフリーアクセスで公開されているという驚愕の(?)事実を知った. なんと共著者は小田忠雄さんだぁ.読むべし.(^^;; Mumford ComplexProjectiveVarieties PDF

Texromancers, Quillen's "Homotopical Algebra"

Boosting: Quillen's "Homotopical Algebra" has been LateX'd up by the Texromancers group!

Link: http://aareyanmanzoor.github.io/assets/books/homotopical-algebra.pdf

Dyslexic friendly version: http://aareyanmanzoor.github.io/assets/books/homotopical-algebra-dyslexic.pdf

性を売るのは合法にして、性を買うのは犯罪にしろ?:北欧モデルvs非犯罪モデル

この「売るのは合法だけど、買うのは犯罪」という北欧モデルは、直感的には売る側有利に見えるけれど、実態としては圧倒的な買う側有利をもたらすわ。この法案を2009年に採用したノルウェーも、今では「北欧モデルが売春を買い手市場にした」と認めているくらい。

アルゴリズム全体主義

世界思想の最新版の、成田悠介論説の結論。こいつ、ホントどうしようもないなあ。今さらアルゴリズム全体主義ですか。

このツイートの存在にずっと気付いてなくて、昨晩読んでしまって笑い転げた。 やっぱり「知的レベルが低い」としか言いようがない。 今時の中学生はこの手のことを言うと馬鹿にされることをネットで見てよく知っているので、現代的には中学生にも馬鹿にされるレベルだと思います。 統計学ファンであれば、ゲルマンさんのブログで成田祐輔さんに関するNew York Timesでの記事が話題にされていることをすでに知っているはず。 ゲルマンさんのブログで悪い意味で取り上げられることは統計学方面では相当に怖いことだと思われます。 Yale prof thinks that murdering oldsters is a "complex, nuanced issue"

p値は使うべきではない

そもそも p 値は難しすぎるので使うべきでない(過激派) 「コインを 12 回投げたら 3 回表が出た。このコインが偏ってないといえるか」に対する答えが事前にどういうルールでコインを投げることにしたかに依存しちゃうし,事前にどういうルールにしたかなんて本人の申告以外に信用する手段がないんだから原理的に厳しい.(→実験の事前申告性へ) それを乗り越えたとしても,有意だったらなんなのかがよくわかんない.本来欲しいのは p(仮説が正しい | 観測) のはずなのに p(観測 | 仮説が正しい) を測ってるから,例えば p(仮説が正しい) がめっちゃ低くても高い値が出ちゃう.

位相的場の量子論のノート

Ko Honda 教授@UCLA このノートすごいよ.リー群とリー環を2ページで済ませたあとsl2とsl3に.ここまでは普通. KacMoody, Virasoro, 経路積分,WZWモデル,KZ方程式,ブレイド群と結び目,リンクとジョーンズ多項式,Witten不変量,写像類群にChern-Simons理論と続く. https://math.ucla.edu/~honda/math635/notes.pdf これ半期の授業でやるんだ.演習つき. UCLA なかなかきてるな. Ko さんの講演もすごく良かったね.

生物多様性

あんまこれも見せたかないんだけど。

私みたいな生物系の資料とか探している方は バイオダイバーシティ遺産図書館ではさ。

生物系の数十万枚以上の資料あって それが現代ではなく18世紀~19世紀の 航海記録や動物誌、植物誌のまとめ。

で「全部著作権フリー」 自由に使ってええのよ

無駄は一度しか削れない

前々から思っていた「無駄は一度しか削れない」という概念を図にしました。

北大の統計力学シラバス

準備学習(予習・復習)等の内容と分量

そんなことをとやかく指示されては不愉快であろうから任せる. 大学は自由である. 範囲外も立入禁止区域も無い. 本能と闘争心の赴くままに, 演習書と戯れ専門書に手を伸ばしたら好い. ただ物理の読書は, 文字通り『読む』のではなく, 『考え』て『手を動かす』ことであると, 貴重な10代, 20代に叩き込んで欲しい. それから, 志を同じくする身の回りの物理っ子と沢山議論をしよう. そうした中でなお, 自身の理解では不安だったり, 計算に悩んで座礁したり, その時この講義がオアシスや助け舟の役割を果たせたら良いと, 心から思う.

ティコ-ブラーエ

デンマークの天文学者ティコ・ブラーエはヘラジカを飼っていたが、←!? そのヘラジカはあるとき、宴席でビールを飲んで酔っぱらい、階段から転げ落ちて足を折り死んだ←!!!?!? 一言ごとに「!」を挿入したくなる逸話 鍵の方から教わったネタもとを貼っときます

沖縄と台湾

昨日沖縄で開かれた「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」のシンポジウムは現状維持と平和を目指す台湾社会への無理解と侮蔑的な姿勢が重なった。特に沖縄タイムスの宮城栄作編集局長による台湾に対する筋違いの図々しい「要求」は台湾側の神経を逆撫でする対話とは正反対で今後の議論を困難にしかねない衝撃はあった。シンポジウムは昨年10月に行われた「沖縄対話プロジェクト」の発足イベントに続いて行われたもの。台湾側から2名の識者を招き、沖縄の「識者」と議論する形だった。台湾側の2名は一般的にそれぞれ民進党と国民党の立場に近いとされているものの、見識を深く備えた学者である。シンポジウムはまず10月に行われた発足イベントの議論内容の紹介から始まった。10月の内容自体が台湾海峡の現状と構造を全く正しく認識できていないものだったが、今回のシンポはそれを踏まえる形式をとって始めてしまった(10月イベントの詳細は下記ツイートをご参照ください)。

すでに嫌な展開となったがその後の稲嶺恵一元知事の基調講演や招かれた台湾側識者2名のプレゼンは時間やまとめ方などテクニカルな問題を除けば大変有意義だった。これはシンポの流れも改善されるかと失望状態から少しだけ希望を持ちはじめてすらいた。しかし、次に行われた沖縄側の一部識者のコメントや対話セッションでのやりとりで再び失望した。コーディネーター(司会)である前泊博盛氏による台湾への理解が全くないからなのか要領を得ない質問の振り方は失望の象徴である。台湾側の識者は彼らにとって外国語である日本語で台湾有事の引き金を引くのは中国であって、ボールは台湾側になく、有事を招かないよう台湾は抑制的に振る舞っていることを懸命に説明し、有事の可能性についても台湾海峡の情勢を踏まえて冷静に論じた。だが、前泊氏は「どう台湾有事の可能性はないと2人に言わせて帰すか」「戦争はない、有事はないと2人にどう伝えるか」などあたかも両名が好戦的であるかの前提で議論を振り続けた。途中で「台湾が武力衝突を回避してきた知恵は何か」との質問を振っていたが、それこそ「台湾独立」など有事を招きかねない動きを台湾社会全体はバランス感覚を持って抑制してきたとともに、中国を台米日などで淡々と抑止して中国による台湾侵攻を先送りさせてきたからにほかならない。その認識も共有せずにコーディネーターをやっていたのならあまりにも準備不足だったと言わざるをえない。そして沖縄側の識者として出た高嶺朝一氏(元琉球新報社長)は「(有事は)ないでしょう笑」と一笑に付した上で、「あってほしくはありません」と言った。台湾側もあってほしくないと平和を求めているにもかかわらず、嘲笑的態度だったのが前泊氏の振り方も相まって実に失礼に思えた。続けて高嶺氏は台湾側論者が例示した米国高官による2027年までに台湾危機が顕在化するとの警告について「(高官は)次の仕事を探すためにそういう発言をする、煽られないように気をつけないといけない」と反論した。これはシンポで議論する上であまりに雑な扱いだ。求職活動のためという目的が含まれていたとしても政府・軍高官がなぜ公聴会やインタビューなどの公式や公の場でそのような発言をするかといえばシグナルの役割があるわけで、それは何の意味をもつかを着目して分析する必要がある。2027年までに台湾侵攻を中国が整える可能性が言及されているのは、中国の経済力と軍事力の強化に伴い、台米日等による対中抑止力とのギャップが埋まりつつあり、野心的な指導者(習近平氏)の登場で台湾の武力統一の可能性が過去と比較して高まりつつあるからでそれをこれまで通り有事を先送りさせるために防衛強化が必要なことを訴えるためだ。本当に侵攻が起こる可能性はまだ低いものの、有事の目を摘むための防衛強化議論が各国として必要となっているがゆえの発言だ。煽っているのは確かだが、それによってようやく必要な防衛強化議論ができるわけで、その背景を踏まえて台湾側の識者は例示をしている。前提のおかれた専門的な見方を揚げ足をとるように一蹴して議論の発展を期さないのは全く対話の姿勢が感じられない。そしてとどめを刺したのは対話セッション終了後にコメンテーターとして登壇した沖縄タイムスの宮城栄作編集局長の次の発言だ。「台湾の人たちも有事にならないように、あるいは日本や沖縄に迷惑をかけることのないようなしっかりした世論を築いていっていただきたい」。一体何様のつもりであるのか。この発言は台湾で昨年行われた世論調査で台湾有事に自衛隊が参戦するかとの問いに参戦を信じると答えた割合が4割を超えていたことを受けてのものだ。確かに憲法9条をはじめとした制約を理解している人からすれば台湾社会の日本に対する理解不足は目につくが、これは台湾政府や台湾の専門家も危機感を覚えている。日本が有事に際して直接台湾に自衛隊を派遣することはないと台湾の政策担当者は誰もがわかっているし、誤った認識の自国社会に現実を理解してもらい、台湾は台湾自身で守るのが前提で、対中抑止強化をまず自国で高めようと注力している。そもそも自衛隊の参戦期待は一昨年の調査では5割を超えており、日本への過度な期待は落ち着いてる傾向だ。せめて「台湾にも日本の政策や理念への理解を深めてもらいたい」など相互理解を前提にした指摘をすればよかった。台湾社会は70年以上戦争の脅威に直面し続け、大国間に揉まれながらも有事を回避して平和を保とうとバランス感覚を身につけ、それこそ迷惑にならないよう成熟してきた。そんな台湾社会に「迷惑をかけるな!ちゃんとした世論を作れ!」と要求するのは台湾をどこまで愚弄すれば気が済むのかと本当に怒りを覚えた。シンポのアーカイブを見た台湾政府にいる友人はこの発言を受けて「そんなに迷惑な存在だと思われてるということは沖縄の主流民意は台湾が中国に統一されることを望んでいるのか」と私に聞いてきたが、「わからない」と答えることが精一杯だった。ここまでで名前をあげた方々には強い言葉で申し訳ないが次の言葉を贈りたい。恥を知れ、と。それほど今回のシンポには失望を通り越して絶望した。救われたのは山本章子先生(琉球大)が最後に発言されたウィットに富んだ次のコメントである。「議論のスタート地点を明らかにした意味で有意義だった。願望や政治的主張でなく現実として我々が今のどこに立っているのか台湾と沖縄のそれぞれの立場から確認できた。今後も事実として我々が今どこに立っているのか、立たされているのか絶え間なく確認したい」。このコメントに私は全面的に同意するとともに沖縄の識者にこの言葉が通じることを私は期待している。また同じく沖縄側で出席した神谷美由希氏の姿勢もありがたかった。台湾や中台関係についてわからないから知りたいとの姿勢は対話において重要に思えたし、台湾側もそれにうまく応える環境が整っていればよかったのにと悔やまれる。そして、台湾側も同じように沖縄が何を考えているのか自分たちの考えを理解してもらいたいのと同じように知る上で、神谷氏の姿勢は学ぶところがあったと思う。ここまで感情的な点も含めて今回のシンポジウムについて長々と書いてきたが、改めて最大の問題は基本的な知識と理解が欠如して相手に対して敬意ある姿勢を示すことができずに対話にならない点と指摘する。プロジェクト主催者には中国や台湾の専門家を名乗る人物も含まれているが、彼らは明らかに台湾や中台関係に対する認識とそのフレームが20年以上前の状態から更新されず、見方が政治的にも偏ってしまい、現在の台湾の主流民意を理解できていないことが窺える。あと2回のシンポをどのように展開するのかわからないが意義ある対話が今後できるとはとても思えない。プロジェクトを継続して健全に発展させたいなら早急に最も簡単なものでいいから台湾に関する基本書籍を読むか然るべき人からレクチャーを受けてほしい。最後には台湾政府にもプロジェクトのまとめとして意見書を提出するようだが、今回のシンポの内容を見る限りとてもじゃないがまともに内容を相手にしてくれないだろう(出すことが目的化しているなら気にしないだろうが)。今回のプロジェクトがせっかくの機会だったのは間違いない。台湾と沖縄はともに「帝国」の狭間で翻弄された歴史をもち、自分たちの権利や主権が蔑ろにされてきた過酷な運命を背負ってきた。相互理解とともに平和を求める共通の利益も本来あるはずだ。歴史的経験と共同体の記憶の違いから埋めがたい差があるものの、それを乗り越えて大袈裟に言えば東アジアの平和のパートナーの一例になる契機にもなり得た。だから他の人が私に「出席者みたら無意味だとわかる」「沖縄左翼の自己満足」と批判してきても趣旨に賛同して期待もし続けた。対話は相手を尊重し、まずは受け入れることが重要だ。今回、対話を仕掛けた側は本当にその姿勢をもっていたのか。結果を見る限り、それは全く感じられない。何度でも言うが、台湾は有事を起こそうとはしていないし、日本や沖縄を巻き込もうとも思ってない。私を含めて多数の台湾人は日本に参戦しろとも求めていない。過去70年以上、中国による台湾全面侵攻を回避し続けた事実とその経験をもとにこれまで通り一緒に平和を求めていこう、そのために協力することがお互いの利益にもなるはずだとの考えである。それは端的に言えば中国の現状変化にあわせて台米日も対中抑止の度合いを変えるという長年の構造を継続しようというものだ。よく中国は経済関係上重要な相手で対中抑止を行うことはむしろ国益に反するとの主張を聞くし、今回のシンポで前泊氏などが中国との経済関係を例に挙げたが、これまでも対中抑止を続けながら経済関係を発展させてきたわけで尖閣諸島での対立激化時のレアアース禁輸や米中のハイテク覇権争いなど個々の特異な事象を含めて全体として対中抑止と経済活動の両立という構造が大きく変わっているわけではない。中国が軍事拡張を続けているのにそれに対応しない方がこれまでの東アジアの平和と安定の構造を変えようとする新しい動きだ。その結果として中国の台湾侵攻など台湾有事を招けばサプライチェーンは破綻し、抑止強化反対の理由に使われる経済的利益すら守れずに失われる。だからこそ対中抑止は日本の利益でもあるはずだ。現在日米で進む抑止強化の方法に問題や議論の余地があるのは確かで、かつ経済面の抑止力が過小評価されていることも確かだ。それを議論することは重要だし、これまでの平和の方法論に異論があれば、歴史と事実を踏まえた上で新しい平和の形を議論していくこともできる。対話を名乗り、仕掛ける以上は議論に必要なものは何かを理解して臨んでほしい。沖縄対話プロジェクトにもう期待はないが、残りが少しでも実りあるものになればと祈る。

今後の自動車業界

ホリエモンが再三ヤバいと述べている日本の自動車業界について。欧米を中心とする政治的なEV化の動きの中で、内燃機関のアドバンテージを失う日本メーカーがヤバいと言うのはその通りだし、最後の巨大輸出産業を失う日本がヤバいと言うのもその通り。その先について少し思うところを述べたい。(1/n) 米欧中がEV化で日系メーカー封じ込めを図り日系は孤立無援と語られるが、どこに活路を見出すかと言えば、まあ当たり前なんだけど「米欧中以外」なんですよね。この三極はEV化で巻き返しが図れる可能性があるから巨額の政府補助金を投じてEV化を進めてる訳だけど、その他の国にはそれが難しい。(2/n) なので今後も内燃機関が売れるのは中南米、アジアの発展途上国、中東、アフリカ、旧ソ連諸国とかその辺りな訳。ただ今の日系メーカーは北米、英、EUとか結構コストが高い地域で現地生産をやってて、そこから発展途上国に輸出するとか発展途上国に工場移すというのは相当辛いはず。(3/n) 自分もそう言う方向性を聞いた時は驚愕した。今までみたいに稼ぎまくる自動車業界みたいのはもう厳しくなってしまうかも知れない。(4/n) しかも米欧中が国内の全EV化に成功すれば、今度は環境対策をネタに新興国にも全EV化の圧力をかけてくる。環境保護とか温暖化対策を訴える国というのは事実上帝国主義と一緒なので、欧米中を敵に回す日系が内燃機関に拘るなら政治的にもかなり苦しい事になるだろう。(5/n) もう一つの大きな流れは自動運転なんだけど、これは車を使う習慣や街の作り自体を変える大きな変化だから政治的な調整がたくさん必要で各国で国内/域内メーカーが圧倒的に有利になる。そうすると日本メーカーはまずかなり狭い日本市場で仕組みを作って商売する事になる。(6/n) すると国内でタクシー業界とか路線バス業界と激しく利害が対立してくる事になる。タクシーや路線バスに自動車業界ほどの政治力があるようには見えないし、高齢化や地方の過疎化が進む中では自動運転車に優位性があるから、海外で失った売上を国内交通の共食いで感じになるだろう。(7/n) イメージとしては日本のIT業界が国際競争力を失って官公庁向けのシステム開発にシフトしたように、自動車業界も国内インフラへの依存度が高くなっていく。あんまり明るい未来ではないよね。(8/n) そのシステムが構築されれば、あわよくば上に書いた米欧中以外の国に自動運転車をシステムごと売っていくことになる。これは鉄道インフラの輸出と同じで日本が割と得意な分野でもあり上手くいくかも知れない。一方でこれまた国際関係が大事なので自動車業界は政府よりの産業になっていく。(9/n) 自動車産業が失った輸出をどこで挽回するかというのはかなり予測が難しい。一番良いのは需要を失ったメーカーが航空宇宙やロボットなどに技術や技術者を転用することだけどそれに失敗した場合は、最悪一次産業に回帰してより自給自足的な国になっていく可能性もあると思う。(n/n)

機械学習メモ

新しいMicrosoft Edgeは、論文の読み方を根本的に変えうるテクノロジーかもしれません。 この1年のAIの進歩で、ダントツの衝撃です...

↓は、指定した形式で論文を要約させた動画です。 「考えうる応用方法」として、論文には載っていないポイントを複数挙げてくれた点に、畏怖すら感じました。 この方法で論文を読む時間が仮に半分になれば、単純に情報収取の生産性が2倍になる。 さらに、内容についてインタラクティブに質問することもできるので、生産性は確実にそれ以上になる。 チャットAIを使いこなす能力は、研究者としても必須のスキルになりそうです。 特に今年に入ってから、「最低でも1日1時間は最新の情報やツールを追う時間に当てないと、人工知能の進歩についていくことすらできない」と強く感じます。 「人工知能を活用することで時間を節約し、その時間をキャッチアップに当てる」ことが、研究者としても必須の時代になるかもしれません。 DeepLの登場により、論文を読むのにかかる時間が僕の場合は半分程度になりました。 チャットAIが日本語で内容を要約してくれることにより、かかる時間がさらに半分程度になりそうです。 浮いた時間でチャットAIにインタラクティブに質問することで、従来より短い時間で深い理解ができそうです。 なお、使ったプロンプトは以下です。

論文「XXX」の内容を以下の構成で教えてください。

  • abstract
  • background
  • methods
  • results
  • discussion
  • limitation
  • possible application

途中で止まってしまった場合は、

続きを書いてください

で書いてくれます。

2023-02-11

数学・物理 通信講座+勉強会に関する重要な連絡/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 通信講座+勉強会に関する案内
  • 近況報告
  • 通信講座案内: 量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始
  • 熱力学のリハビリ

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

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通信講座+勉強会に関する案内

直接メールもしたものの反応がないため, 念のためメルマガでも連絡します. 支払いまで済ませた上で通信講座用のSlackに参加されていない方がいらっしゃいます. 勉強会用のZoom連絡などはSlackで対応するため, 勉強会に参加される場合はSlackに参加してください.

単に勉強会に参加しないならいいのですが, そもそもコンテンツに関するメールなどまで迷惑メールに入ってしまっているために連絡がつかないのではないかと心配しています.

近況報告

通信講座再開に合わせて仕事関係のプログラミング漬けだった生活からゆるく数学のリハビリをはじめています. 物理も軽くリハビリをしようと思い, どうするか思案中です.

ホモロジー代数のノート作りは地道に続けています. 相変わらず, とにかく可換図式を書くのが大変です. そして慣れていない分野であるため, 「詳細は読者に任せる」系の議論で四苦八苦しています. そのうち慣れると思って穴はそのままにして放置しています.

通信講座案内: 量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始

今回の締切は明日までです.

いつかまた同じ内容で開催する予定はあるものの, いつになるかはわかりません.

熱力学のリハビリ

物理のリハビリがてら, 熱力学の通信講座の構想をつらつらと書こうと思います. 何度か書いた話ではありますが, 新たに登録された方もいますし, 一度読んですっと頭に入る方ばかりでもないでしょう.

日常的な感覚からすれば, やはりはじめから温度を導入してそれを軸に据えて議論するのは一手です. 記憶にある限りまず温度の概念を導入している本も多かったように思います. 「統計力学を勉強してはじめてエントロピーが理解できた」と評判の統計力学でも重要なパラメーターです. しかし温度の概念以前に温度を導入するための設定が実は厄介です. そのために古典力学と比較しながら進めます.

古典力学では他に何者も存在せず, 相互作用もない状況からはじめ, 相互作用がある場合は運動方程式で力を導入する形で議論をはじめます. 温度の導入は温度を持つ対象として相互作用する外界を理論に導入する必要があります. 古典力学で言えば等速直線運動を飛ばしていきなり相互作用系から考えはじめています. 温度が日常的に見慣れた量だから親しみやすく感じるだけで理論的には複雑な扱いが必要です.

特に熱浴と切り離された系を孤立系と呼びます. 孤立系自体は日常的な対象として近似的に実現されています. いわゆる魔法瓶です. 冬場は特に飲み物を暖かく保つために重宝している人も多いでしょう. これがまさに外界と遮断した孤立系を作る装置です. この意味で孤立系は身近で重要な対象で, 一番最初に取り上げて議論する価値と意味がある系です.

必要以上に話を複雑にしないように流体, 特に気体を想定してパラメーターを設定します. 特に体積$V$と物質量$N$を考えます. 結論を先取りすると, 直接制御できるパラメーターではないものの, 温度の代わりの示量的なパラメーターとして(内部)エネルギー$U$を取ります. このときヘルムホルツの自由エネルギーやギブスの自由エネルギーに対応する, 完全な熱力学関数がエントロピーです.

エントロピーの面倒なところはパラメーターとして物理的に直接制御できないエネルギーが指定される点です. この点, 制御のイメージが持ちやすい温度の便利さが光ります. 一方でエントロピーをいつまでも謎のままの量にせず, 完全な熱力学関数としての地位を最初に与えておくのも意味があるのではないかと思っていて, 話の筋をどうつけるか考えています.

いま書いていてふと思ったのですが, 完全に一致するわけではないものの, 位相空間論と形式的な類似があります. 位相空間論も基礎を開集合系に取るか, 閉集合系に取るか, 近傍系に取るか, ネットに取るか, フィルターに取るか選び方があります. 標準的には開集合系である一方, 解析学としてはネットやフィルターが便利な局面があります. どの系を選ぶかと熱力学関数の選び方に似ている点がないでもない気分があります. 物理の人にどう説明するとよいかはともかく, 数学系の人に説明するには一つ便利な物言いなのかもしれません.

逆に熱力学を知る非数学系の人に位相空間論の様々な定式化の意義を伝えるには, 熱力学関数の取り方を例に挙げるとよいのかもしれません.

日々の自分用メモ

魚の生臭さと水圧耐性

「うまみ成分である 『トリメチルアミンオキサイド』が たぶん水圧守れる原因じゃね?」

中性子ビームを当てて高圧化した結果。

そしたらただの水は歪んでしまって 形が保てなくなったのですが 『トリメチルアミンオキサイド』

を加えた水は見事に安定化したわけです。

中学1年生が開発した「カラスからゴミを守るシステム」の成果 Python、TensorFlowLite、Raspberry Piなどを活用

ChatGPT活用

可能性空間を限定することが重要。

1.役割を与える 例:〇〇の観点で答えて

2.文脈,前提条件を与える 例:改善点教えて/危険度チェックして

3.英語で命令しよう

4.マークアップ言語で書き分け (続く)

【深津式プロンプト・システム①】

命令書: あなたはプロの編集者です。 以下の制約条件と入力文をもとに、最高の要約を出力してください。

制約条件: ・文字数は300文字程度。 ・小学生にもわかりやすく。 ・重要なキーワードを取り残さない。 ・文章を簡潔に。

入力文:

出力文:

【深津式プロンプト・システム②】 (これを追加すると精度が上げられる) このタスクで最高の結果をだすために、追加の情報が必要な場合は、質問をしてください。

【深津式プロンプト・システム③】 (これはやり方の話) まずベストプラクティスを聞いて、 その回答を前提に回答してもらうと精度が上がる

理系の英語

国際会議に行ったら主催者が「ここの公用語は下手な英語だ」とスピーチして喝采されてたり,フランス人と日本人が英語でやりとりしてて英語ネイティブが何言ってるか聞き取れないのになぜか当人達は意思疎通できてたとか,あるある……。

英語のコミュニケーションの話で、僕が1番好きなのは@mkuze せんせのこれ 「英語でのコミュニケーション能力が求められます。これにしても英会話の技術というよりも言いたいことを(日本語の段階で)論理的に整理できているかどうかが重要な点です。」

子供のアカウント乗っ取り

スマホを持つお子さん及び保護者の方気をつけて下さい・・・ 長女がインスタで知り合った人に電話番号やpaypayのパスワード等を教えてしまいアカウントを乗っ取られて、チケット詐欺の受け渡し場所となっていました・・・ チケット詐欺被害者からの直電で判明し、明日警察に届けます。↓

まずは友達として仲良くなってから言葉巧みにPayPayアカウントを作らせて、娘のスマホに送られてくる認証コードも聞き出しそのアカウントを詐欺の金銭譲渡に使用していた。被害総額20万強。↓ 私は以前小中学生向けのネットリテラシーを講師をしていまして、娘がスマホを持つ際は、何のために制限するのか・どのような事に気をつけるか・使用時の約束を記して貼る・ペナルティを作り実行する・フィルタリングをかけるetc対策出来てると思ってたのですよ、、↓ 色々話できる環境も作っていたし、そんな人いても絶対わかるし騙されないから大丈夫と言っていた子がこんなにも簡単に引っかかってしまったのは私の緩みと思春期の好奇心ゆえだと思います(犯人イケメンアイコンだった)。手綱離すの早かった。まぁ大丈夫だろって色々甘く見てたわー。↓ 親の許可がないと課金できない仕様にしてあるからPayPayとか登録しても意味ないだろーとか油断してたのもある。けど、金銭授受の箱としてだけ使うなら口座登録も本人確認もいらないので成立してしまっていた。。。 警察と連携をとり被害にあわれた方に対してもどのように責任を取っていくべきかを考えつつ、子どもと学び直して今後のスマホとの付き合い方に関してじっくり話合わなければ。↓ もはやスマホを禁止すればいいという訳ではなく、避けられない世界の中で、自分にとって有益なツールにする為に必要なのは何より知識だと思います。知らなかった分からなかったではすまされないのですよね。↓ 文部科学省等で親子向けのHP等もあるので、これから買う方は必ず親子で知識を共有してほしいなと思います!失敗者からのお願いです、、、 追記ですが、SNS利用の約束として、実際に会った事がある人以外とのDMや個別でのやり取りを禁止していました。もちろん破った際のペナルティも有で。 被害例を元にイケメンアカウントも実際は良からぬ輩ばかりであるという意識でいなさいと頻繁に伝えていましたが、中学生チョロすぎました。

「刑務所が無料の老人ホーム化」「刑務官は廃墟のような家に…」杉良太郎が64年間、刑務所改革に取り組み続ける理由

なんだこれは。これは売名とか偽善とか以前に、善悪で語るもんじゃない何かではないか。なんなんですかこの人、爪の垢煎じて飲ませてもらっても真似できっこないこんなの。

記事引用

半世紀を優に超えて歌手や俳優として活躍する杉良太郎(78)は、60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた。「特別矯正監」「特別防犯対策監」などに任じられている杉は、どのように矯正施設の改革に携わってきたのか。その思いを本人が語った。

***

【写真を見る】15歳の頃、あどけない表情の杉良太郎この頃から刑務所の慰問を開始した

15歳の時に刑務所の慰問を始め、国内外で福祉活動を続けて64年が過ぎました。人からはよく「なぜ」「どうして」と聞かれますが、そういう質問が一番困ります。自分でも明確な答えを持ち合わせていないからですが、おそらくこれは私の性分。生まれる前、母親の胎内にいた頃に染みついた、一種の性(さが)だと思います。母は「人に親切、慈悲、情け」が口癖のような人でしたから。

現在は法務省・特別矯正監(永久委嘱)、厚生労働省・健康行政特別参与、警察庁・特別防犯対策監(永久委嘱)として福祉活動だけではなく対策活動を行う機会も増えています。すでに全国の税関、刑務所は視察を終えており、警察はこの2月、すべての都道府県警察本部を訪問し終えます。その後は各警察署にも足を運び、現場に近い声を聞いて対策に生かす考えです。 杉良太郎

慰問活動を始めた15歳の頃(他の写真を見る) 名誉矯正監になった理由

なぜ、全国を回る必要があるのか。例えば警察組織にしてもそれぞれの地域特有の県民性や地域性があります。だから、治安の維持という使命は同じでも、アプローチの仕方は微妙に異なる。それは私が矯正監として接している、受刑者や刑務官たちも同じです。

私が矯正施設で見るのは、彼らがどんな所で生まれ育ち、なぜ犯罪を起こしたのかという、根っこのところ。私が矯正監に任命されるまでには、幾つかの段階がありました。まず、15歳から始めた慰問を続けるうちに一日所長として視察するようになった。すると当時、5~6人の閣僚が集まる席があって、「何十年も取り組んでいる杉さんが一日だけの所長っていうのはおかしいんじゃないの?」という話になり、その後「一日所長じゃなく、何かポジションを作れないのか」と、法務大臣に伝えたという。そんなことはまったく知りませんでしたが、名誉矯正監や名誉所長という肩書きを受けてくれないか、と打診をいただきました。

そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました。

刑務官に「何が欲しいか」と聞くと…

それまでは受刑者の更生を促進する活動が中心でしたが、刑務官や職員の方の規律や指揮監督、処遇といったあらゆる角度から矯正施設の問題に取り組むようになりました。とくに現場の声を聞くことを大切にし、その後も全国の矯正施設を回り続けました。「なるべく若い人たちの意見を聞きたい」と思っても、所長や部長などの上司が横にいると、彼らはなかなか率直な気持ちを言えません。だから、看守長ぐらいまでの中堅クラスにメンバーを限定し、話を聞いていきました。

多くは30代半ばから後半ぐらいです。処遇から教育、経理や医務といったすべての部門から出席してもらいます。最初はまったく意見が出ませんでしたが、こちらから「日頃、仕事をする中での不満を聞かせてほしい」と促したら、多くの声が上がるようになりました。

例えば、勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と。「じゃあ、うれしくないものはうれしくないと言いなさい」と話した。それで「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。

当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです。 自己犠牲の精神 杉良太郎

東京税関に寄贈した麻薬探知犬のタロー号と(平成6年)(他の写真を見る)

刑務官がしっかり受刑者を指導・監督できるようになるには、広い知識や見聞、人間的な包容力を持つことも大切です。塀の中しか知らないような世間知らずでは務まりません。長期休暇を活用して、旅行も含めて見聞を広め、体験を重ねることも重要なのです。

また、この仕事は成果が見えにくいという側面があるので、職員にはやりがいとプライドを持たせることが必要です。自身の職業へのプライド、誇りがなければ、海千山千の受刑者にはなかなか対峙できません。そこで、専門官を作るなど、刑務官の心理面での育成につながることも考えました。

刑務官たちが最も喜んだのは、彼らが住む官舎の改善でした。これを言うと大抵の人に驚かれますが、刑務官を含めた職員たちに「刑務所と自分たちの官舎と、どっちを先にリフォームしてほしい?」と尋ねると、100人が100人とも「刑務所を先にお願いします」と答えます。職場を優先してほしいというわけです。

世間的にはこうしたイメージは薄いかもしれませんが、職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです。

刑務官は6畳と4畳半の2間で子どもを育てている

官舎というと「公務員住宅だから、さぞ良いところに住んでいるんだろう」といったイメージが強いと思います。赤坂や青山の国会議員宿舎などの印象があるからでしょうが、とくに地方にある国家公務員宿舎の多くは、想像以上に老朽化が進んでいるのが現状です。

施設課長が「居住環境を改善しないと職員が居着かない」と訴えてきたことがあります。そこで実際に足を運び、「どうしていままでこの事実を誰も口にしなかったのか?」と、気付けなかった自分にもがくぜんとしたことがあります。

視察に行く前に、法務省の職員に「間取りは幾つ?」と聞いたら「二間あります」という。私は「8畳と6畳の二間かな」と想像しましたが、実際には6畳と4畳半でした。いまどき4畳半なんて一間に含まれるのかと驚きましてね。受刑者には三食が付き、夜中でもガードマンが見回ってくれるから安心で安全な住環境にある。一方で、彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった。

すぐに全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました。 「これ、廃墟じゃないですか」 杉良太郎

1986年。日本政府要人から中国政府への親書を携え、郵政省から贈られた制帽と郵便かばんを身に着け「幸せ配達人」を務める(他の写真を見る)

実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです。そこで私は「ご自分が住めないところに、職員に住めと言うのはいかがなものでしょう」と窘(たしな)めるように続けた。率直な印象として「ひどいな、こんな住宅がまだあるのか」というほど老朽化が進んでいたので、いまも少しずつ住宅の建て替えやリフォームを進めているところです。

警察官とは違って、刑務所の職員にはなかなか陽が当たらない。子どもに「お父さんは何の仕事?」と聞かれて「刑務官だよ、とは言いにくい」と話す職員はいまも少なくありません。「自分の子どもに胸を張れない」というのです。だから私は全国の施設を回って「プライドを持て」と、指導したり勇気づけたりしてきたのです。

医官の処遇改善

刑務所に勤務する医師である、医官の離職も深刻な問題でした。以前の規則では、彼らが診療の対象にできるのは受刑者に限られていました。国家公務員だからというだけで、刑務官がちょっと体調を崩した時でも診察すらできない。以前はこんな非常識なことがまかり通っていたんです。だから私は、刑務官はもとより、近所に住む町の人々も診られるようにすべきだと訴えたことがありました。

医官は刑務所の近くに住んでいます。同じ地域の人々の理解や信頼は、人間的な触れ合いや結びつきから生まれてきます。高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです。 「長く刑務所にいたい」という受刑者たち 杉良太郎

東日本大震災の被災地で行った炊き出し(他の写真を見る)

さまざまな刑務所の改革には、受刑者の処遇改善も不可欠です。ところが衣食住の快適さが増すと、居心地の良さから「長くここに置いて下さい」と訴える受刑者が増えてしまった。当たり前ですが、刑務所は「置いて下さい」なんて言われる場所じゃありません。

とくに高齢の受刑者ほどその傾向が強い。理由の多くは「出所したら死ぬしかない」「保険証がないから医者に診てもらえない」というもので、実際、持病があったり、身寄りがなくて出所しても身を置く場所がないんです。一方で刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね。

刑務所にもさまざまな種類がありますが、最近は医療刑務所が非常に大きな役割を持つ時代だと感じます。違法な薬物に関する治療もありますが、心臓や脳の病気をはじめ、がんを患う受刑者も珍しくはありません。

麻薬や薬物の常習者の更生には、専門の病院や施設で徹底的に対応する必要があります。専門医も必要ですが、何よりものすごい手間がかかるんですよ。

受刑者の認知症問題

加えて最近の医療刑務所の守備範囲はかなり広がっていますが、喫緊の課題の一つが、仮に受刑者が刑務所内で認知症を発症したらどうするか、という問題です。自分が誰だか認識できない受刑者にはどう罪を償わせればいいのか。こういった贖罪のあり方の本質に関わる問題への対処など、刑務官の役割やありようは大きく変化しています。

心臓病や胃がんという具合に脳の機能に影響がない時はいいですが、アルツハイマー型認知症などの場合は罪を犯した事実やその罪名どころか、自分の名前すら覚えていないこともあります。入る刑務所もA級(犯罪傾向の進んでいない者)とB級(再犯や累犯、反社会的勢力といった犯罪傾向の進んでいる者)、L級(刑期が10年以上の者)などの等級によって分かれますが、長期で入っている人は症状がどんどん進んでしまいます。

認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます。 資格取得まで導いても出所すると… 杉良太郎

愛媛県警を訪問(他の写真を見る)

かねて私は、刑務官が受刑者の介護に苦労していることを知って、「これは本来の刑務所の姿じゃない」と感じていました。だから刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました。

ところが、ここで新たな問題が出てきました。仮に500人の介護資格を手にした受刑者がいたとして、その中の何人が出所後に介護職に就くのか。私の感覚ではせいぜい30人ぐらいだと思います。そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない。

よく耳にする話に「出所後に雇ってくれるところがないので働けない」「収入が得られないから再犯してしまう」というものがありますが、「働きたくない」「仕事は苦手」という人たちの再犯率を下げることが、いかに難しいかということがお分かりいただけるでしょう。

欧米では寄付が節税対策に

私は平成8年に「名誉矯正監」を、平成20年に「特別矯正監」を拝命し、それに伴って私の役割も変わってきました。最も大きなものは、改善すべき点を明確にして必要な予算を獲得することです。平成28年4月に発生した熊本地震の後には刑務所や少年院などすべての刑事施設を、地震や津波、河川の氾濫といった災害が起きた際、市民が避難場所として利用できるようにしました。

本来、こうした取り組みは政治の役割かもしれません。しかし、特別矯正監という立場だからこそできることがある。だから私は全国の矯正施設を回り、目で見て耳で聞いて問題点を炙(あぶ)り出している。それがいまの私の役割だからです。東日本大震災で炊き出しなどの支援活動をした時など、これまでには「売名だ」とか「偽善では」と言われました。しかし、私はただ自分にできること、すべきだと思ったことを行動に移してきたに過ぎません。

ところで、日本と欧米のボランティアや寄付のありようには大きな違いがあります。文化や習慣も異なるからでしょうが、実は税制面でも大きな差があります。

例えばアメリカでは、個人が100万円をチャリティーとして寄付すると、手続きをすることでほぼ全額が所得から控除される。つまりは税金対策にもなるわけです。日本で杉良太郎が1億円を寄付するのと、ハリウッドスターが1億円を寄付するのとでは本質的な意味合いがまったく異なる。それを多くの日本人はご存じない。

いま、私がどこかの慈善団体に1億円を寄付したとしても、控除されて戻ってくる額はごくわずかです。もちろん、私はそれも寄付しますが、アメリカで1億円を寄付したら、日本よりも還付される額ははるかに多いんです。 1億円借金してまで寄付 杉良太郎

佐賀県庁を訪問(他の写真を見る)

日本テレビに「24時間テレビ 愛は地球を救う」というチャリティー番組がありますね。以前その会場へ、新聞紙に包んだ現金を会社の経理担当に持って行かせたことがありました。すると、たまたまテレビに映った彼を見た税務署の職員から「あれは杉さんの会社の人ですよね。課税の対象です」と連絡がきたことがあります。世間の多くは「寄付金は全額が控除の対象になる」と思っているようです。ところが実際は違います。日本は軽々に寄付ができない制度になっているんです。

昭和61年ごろに中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました。そこで住友銀行(当時)の磯田一郎会長に「5億円のうち4億円は用意できたけど1億円足りない。1億円、私の体を担保に貸して下さい」とお願いに行ったんです。

会長は「銀行は体を担保に金を貸さないよ。だけど杉さん、老後はどうすんの?」と。私は「お粥を啜って生きていきますから」と答えた。そうしたら会長は1億円を融資して下さった。返済額は利子を含めて1億7500万円になりましたが、会長は「金を借りてまで寄付する人は初めてだ」と仰っていましたね。

刑務所を株式会社に

私は十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる。互いに見知った関係ですから何でも相談できるだけでなく、出所者は得た収入から1カ月に千円でも2千円でも被害者への送金が可能になる。いつまでも被害者のことを心に留める意識が大切ですから、その一助となる取り組みとして、近いうちに本格化させるつもりです。

そこでは受刑者が出所後に即戦力として仕事を得られるよう、畜産や農業などの知識と技術を教えたい。すでに網走刑務所では「網走監獄和牛」という名前でA5ランクの黒毛和牛を育成したり、〈おつとめごくろうさまです〉といったロゴ入りのTシャツを販売していますし、鹿児島刑務所では日本茶に加えて紅茶作りが始まっています。函館少年刑務所では〈〇(マル)獄シリーズ〉という、「獄」の文字を丸で囲ったデザインがプリントされた前掛けや手提げバッグなど数多くのグッズが人気を集めています。 達成感はない 杉良太郎

大阪府泉佐野市役所を訪問(他の写真を見る)

このように、私は刑務所を一種のブランドにして新たな価値を生み出そうと考えている。そこが元受刑者の再就職先になれば、彼らの勤労意欲の喚起だけでなく、働くことの意味を理解させられると思うからです。

私は法務省のほかにも、厚生労働省で予防医療や未病という概念の普及と対策活動を、警察庁で特殊詐欺対策を中心とした防犯のあり方や、犯罪加担者を減らす取り組みに従事しています。私の活動は多岐にわたりますが、すべてに共通して言えるのは、「自分ができること」や「こうすべきだ」と思ったら、それを、すぐ行動に移してきたということです。

とはいえ、私は一度も「やってよかった」というような達成感や満足を覚えたことがありません。次々と問題が出てきますし、新たなアイデアが浮かんでくるからです。私にはいまも多くの課題が残されていますから、この道はずっと続いていく。まだまだ、これからですよ。

杉 良太郎(すぎりょうたろう) 昭和19年兵庫県生まれ。同40年に歌手デビュー。同42年にNHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、以降は長年にわたってテレビや舞台で活躍。法務大臣顕彰、文部科学大臣表彰など数々の大臣表彰にとどまらず、紫綬褒章や芸能人として初めて緑綬褒章も受けた。平成26年に内閣総理大臣より感謝状を贈呈されたほか、同28年には長年にわたる国内外での文化交流が評価され文化功労者に選出されている。

週刊新潮 2023年2月2日号掲載

旧字体とは?【レトロデザインのための近代日本語講座〈1〉】

婚姻制度

憲法学者「同性愛という愛のありかたは個人の自由。しかしそれを国家が法的婚姻制度で保護することは別問題。生殖可能性がない以上、現状国家が保護すべき利益が見当たらない」 https://sn-jp.com/archives/112565

賛同する。制度の利害調整は婚姻者と独身者との間のもの。独身者の犠牲で婚姻者を利する理由が問われる。次世代の国民を産み養育するというところに認められる。 子供のない夫婦は「制度」の遊び。 婚姻が子供づくりを前提にしていないという人は、民法が近親婚を禁じる理由を説明してみよ。 そもそも結婚は、その女の腹から生まれてくる子供の父親を決定し、その子の養育に責任を負わせる制度。母親は自然と決まるが、父親は制度的に決定しないと絶対に分からなかったためだよ。

奇妙な国境や境界の世界地図

noteでたまに地理関連の書評記事を書いていたので、創元社様から出た新刊の『奇妙な国境や境界の世界地図』をご恵贈いただき、さっき読み終えたところですが、予想していた以上にマニアックな国境・境界の事例が取り上げられていて驚きました。1/ https://www.amazon.co.jp/dp/B0BT15YH88 もちろん、カリーニングラードの飛地や、キプロスを南北に分断している境界といった、政治地理でお馴染みの事例も若干ありますが、目新しい事例の方が割合としては多かったです。ベラルーシの領内にサニコヴォ=メドヴェジエというロシアの飛地があるのは知りませんでした。2/ 原発事故の影響で放棄され、無人地帯になりましたが、著者のニコリッチの調べによると、ロシアの行政管理が及ばないことを利用して、狩猟が禁止されているシーズンに近隣の住民が密猟を目的として進入するようで、典型的な無法地帯になっているなと思いました。3/ 個人的に中国の政治地理に興味があったので、手に入れたときに真っ先に調べましたが、残念ながら中ロ国境にあるユダヤ自治州の事例を除くと中国関連の事例は取り上げられていませんでした。そこはちょっと残念でしたが、欧州と北米に関しては詳しく調査されていると思いました。4/ 世界地図のスケールでは見落とされることが多い小さな人為国境について学ぶことが多い一冊でした。気取らない文体で書かれており、青を基調にした地図も読みやすく、よい意味で学術書らしくない著作だと思います。5/5

恐怖のアルコールその1(酢を昼間から飲んでいた酒豪のクラスメートの謎がようやく解けた)

2023-02-04

数学・物理 通信講座+勉強会の募集は来週まで/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 通信講座案内: 量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始
  • 物性論に対する場の量子論の教科書的レビュー

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
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近況報告

今回は通信講座の簡単な再案内に留めます.

私自身通信講座開始に合わせて数学のリハビリをはじめています. ホモロジー代数のノート作りをしているのですが, 可換図式がとにかく重たく, TeXでのノート作りにうんざりしています. しかしここでまたやらなくなると手が出なくなるため, 歯を食いしばって対応を進めています.

あとは中学生向けプログラミング学習の話をしてもらえないかと頼まれました. いわゆる組み合わせ爆発お姉さんの動画を紹介したらそれに食いついたようです. 二月中旬の予定です. まだ詳しい状況を聞けていないものの, 必ずしもよい環境でなくてもどうプログラミングで遊ぶか, 情報系・数学で遊ぶかの試金石でもあり, ゆるく長く続けてもらうため, そして楽しんでもらうために何を提供できるかいまからいろいろ考えています.

通信講座案内: 量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始

案内は次のページにまとめました. 言うべきことは全て書いたのでここでは詳しく紹介しません.

募集期間は2/12(日)までとします. 募集期間が終わったら勉強会の日程を決め, 翌週から本格的に通信講座・勉強会をはじめます. そこから三ヶ月, 5月半ばまで続きます. 参加について何か相談があればメールなどで連絡してください.

申込をしたらメールが送られます. 通信講座の内容だけでなく, 連絡・質疑応答用のSlackやコンテンツ一覧ページのURLもいったんメールで送るため, 迷惑メールを確認してもメールがない場合, このメルマガ用のメールアドレスに連絡をお願いします.

物性論に対する場の量子論の教科書的レビュー

Field Theoretic Aspects of Condensed Matter Physics: An Overview https://arxiv.org/abs/2301.13234 凝縮物性における場の理論の教科書的レビュー。 125 pages, 380 referencesはすごいね

日々の自分用メモ

結婚精度

結婚制度というのは、別れたくても、そう簡単には別れることができないようにするための制度で、通常であればそういう契約は人権侵害になるので国家(裁判所)が強制的には実現できないところ、憲法24条によって特別に人権侵害が認められているわけですよ。 そういう人権侵害を特別に許してまで秩序を守る必要が、異性同士だけでなく同性同士の場合にもあるかどうかというのが議論になっているわけです。 別れたいと当事者が言っても、国家が介入して簡単には別れさせないために強制力を発揮する制度を用いて、同性についても統制することの必要性ですね。 異性の場合は歴史的にそういう慣習が存在してしまったから、いきなり廃止はできず必要悪だ、とか、異性の場合も結婚制度は廃止すべきだとか、異性の場合にできるのなら同性の場合も平等にそうすべきだとか、進んで婚姻届けを出すのだから当事者の自己責任だとか、色々な価値判断があるわです。 そこに紐づいている社会保障とか税制とかの問題は重要ではありますが、結婚制度「自体」の持つ効果というのは、当事者が別れたくてなってもそう簡単には別れさせないための強制力を国家が提供することなわけでして。

永田雅宜先生の思い出

永田先生はお茶目でちょっとカワイイところのある白髪頭のちょっと無精髭が生えたオジサンというのが私の印象で,いつもニコニコしてらっしゃったのが特徴. しかし,その伝説は数多い.いくらでもあるが... そのうち2つ. 理学部の学生の線型代数と微積分は,理学部数学教室の先生が面倒を見ることになっていた.たしか6クラス中2クラスぐらいはそうだったのではないかと思う. 伝説の線型代数は,永田先生は一般の体上の線型空間で教え,丸山先生は行列環の成分は可換環で教えてたというもの. 丸山先生は確か,環の方が複素数や実数よりも簡単だという理念のもと教えられていたと思うが,割り算しなくてよかったのか定かではない. 私も普通の環の方が複素数や実数よりもよほど簡単だという意見には賛成.分かりやすいかどうかは別.(^^;; 永田先生は線型代数では四則演算しか係数に表れないからというこちらも至極まっとうな理由だったと思う.固有値をどう扱ったのか(拡大体?)は定かでない. どなたか経験者がいたら体験談ゆる募.

もう一つの伝説: 永田先生の科目はほとんどが可で若干の良,優または秀が1,2名という成績評価だったように思う.毎回掲示板に張り出されていた.(そういう時代 (^^;;) ある年,代数学の講義で一人の優を除いてすべて不可になったことがあったらしい. 合格したK中先生が廊下で永田先生とすれ違ったとき「追試をします.君もついでに落としといたから受けなさい」と言われたという.お茶目炸裂. きっと永田先生はK中先生に追試の問題を解いて貰いたかったんだと思う.先生ってそういうものです.

データベースのでRelationとRelationshipの混同

DB 設計における Relation と Relationship の混同を最近でもよく見かけるけど、この間違いがなかなか減らないのは、そもそも名前が似すぎているという問題がありそう。慣習としてそれぞれ関係、関連と訳すけど、こちらも紛らわしすぎる。 リレーションとリレーションシップの誤用に注意

40+ Elegant Books for Designers and Math People

40+ Elegant Books for Designers and Math People Things that are functional yet appealing have good designs. The books you will see below are extraordinary ones. They may seem like coffee table books, but they have the power to inspire your imagination. https://abakcus.com/40-elegant-books-for-designers-and-math-people/

クリエイターやアーティストに向けた文化庁のサービス

【クリエイター・アーティストの方へ】 クリエイターやアーティストに向けた文化庁のサービスが充実しすぎているので、ここで簡単にまとめときますね。 いずれも(裏で)すごい専門家の方々が関わってるのに、すべて無料です。 ぜひ多くの方にご活用いただくのがよいかと! 契約の基礎を知りたい方にはこちら。 「契約とは?」「口約束でも契約は成立する?」「覚書にサインしたら契約したことになる?」など、多くの方が疑問に思うことをQ&Aで解説しています。 さくっと見るだけでも、契約への理解が深まります。 https://bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/faq/index.html 舞台関係者向けですが、すべてのクリエイターの方へ。 わかりやすいテキスト、豪華講師陣のeラーニング、ワークショップ、いずれも無料です。 舞台関係を前提としていますが契約書のひな型(しかも解説付き)もついているという充実っぷり。 まずは①契約入門編にトライを。 https://sites.google.com/onpam.net/keiyaku/?pli=1#h.3nhe59b0skhw 契約などについて無料で相談できる窓口も。 相談員の弁護士の方々は、ふだんはなかなか依頼できない方も… 2月末までとのことなので、ふだん疑問に思っていることや困っていることがあれば、ぜひご相談を。 相談窓口はこちらから↓ https://bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/madoguchi/index.html 契約だけでなく、「フリーランスって?」「社会保障って?」などのベーシックな情報はこちら。 今後、契約や著作権についての情報も追加されていくもよう。 第二東京弁護士会がやってるフリーランス向けの相談窓口の案内も。 https://bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/kisochishiki/index.html 文化庁の回し者みたいになってますが、海老澤自身は文化庁にもこれらの事業にも特に関わっていません。 いずれも素晴らしいサービスなので、ぜひ多くの方にご覧いただけるとよいなと。 こういうサービスって各省庁でバラバラにやってるので、本当はどこかにまとまったサイトなどがあるといいですよね…

Stephanie Ann Houghton, Damian J. Rivers. (eds.) Native Speakerism in Japan

Stephanie Ann Houghton, Damian J. Rivers. (eds.) Native Speakerism in Japan (https://multilingual-matters.com/page/detail/NativeSpeakerism-in-Japan/?k=9781847698681) を楽しく読んだけど、この本には、一般の native-speakerism 論ではおそらく見かけない、かなり特殊なメッセージがある。それは「日本では英語ネイティブが差別されている」(!?) 「英語のノン・ネイティブ・スピーカーが差別されている」の書き間違いではない。 「英語のネイティブ・スピーカー」が日本では抑圧される側だ、というのが特異な部分。 実はこれは謎でもなくて、日本における外国人差別が、英語母語話者に対する差別と切り分けられていないために、こういう一見奇妙な話になる。公平のために記せば、著者のほとんどはおそらく気づいているし、明示的に言及している人も多い。しかし、理論的に整理している人はいない。 まあ、たしかに「伝統的な日本社会」においては、英語の母語話者は、外国籍者であったことはほぼ「伝統的」であったので、この辺の切り分けは難しいのだろうなというのはわかる。「伝統的」な日本社会ではね。 実質的に、在日コリアンをはじめとした「伝統的」マイノリティを排除するために制度化されていた外国人差別が、英語母語話者にも適用されていた面がある、という話は、本書のどこにも書いてなかった。 "Native-speakerism in Japan" とフレーミングすると論点がぼやけるので、「国籍と日本語能力という教職への排除障壁」あたりにしたほうが建設的じゃないかな? 「排除障壁としての国籍」は典型的な外国人差別の話だとして、日本語能力は問題が複数絡んでいるので結構ややこしいですよね。(以下)

0) 日本語力(初歩的なものも含めて)が、「日本社会への忠誠度の指標」として機能することがある 1) 一般論として、現地語の事務能力はどんな社会でも必要 2) その例外のひとつが高等教育。世界には、英語だけできれば事務遂行ができる大学もある。 3) 日本の高等教育は、日本語事務の範囲が支配的

native-speakersim をより理論的に一般化したらしいけど、定義拡張っていうのはやればいいって話ではない。悪い一般化だってあるんだから…。実際、その当然の副作用として、国籍差別的なフレーミングがぼやけてしまっている。/公立学校の外国籍教員 - 株式会社明石書店

機械学習アプリ対策と教育

ありきたりの定量的な問題より、抽象的な○×問題の方がずっと難しい。答えるのが人間でもAIでも同様。記述式の試験が常に○×問題や多肢選択より難しいとか思考力を問うというのは幻想で、思考力をつけさせるには○×問題や多岐選択問題を課すべき。その方が採点も簡単だし。

2023-01-28

数学・物理 通信講座+勉強会の募集開始/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始
  • 円周率の$n$桁目を求める論文
  • 無限次元での級数の収束
  • 倉橋太志, 不完全性定理の数学的発展
  • Paulによる佐藤幹夫お勧め文献集
  • 日合文雄, 行列解析から学ぶ量子情報の数理
  • 田崎晴明さんの第二量子化のノート

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
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近況報告

やるやる詐欺になりつつありましたが, ようやく量子力学のための線型代数とその計算の通信講座+勉強会の開講案内を作り終わりました. 先月末から今月は仕事用のプログラミング関係の再学習ばかりで, ほぼ数学らしい数学をしませんでした. 一月も数学を放置していたのはおそらく10年ではきかないのではないかと思います. 勉強会に合わせて私も数学のリハビリをはじめます.

熱力学のノートや, 微分方程式の計算練習ノートなども作りたいですが, 一つずつ潰していくしかありません.

量子力学のための線型代数とその計算, 通信講座+勉強会の募集開始

案内は次のページにまとめました. 言うべきことは全て書いたのでここでは詳しく紹介しません.

募集期間は二週間で2/12(日)までとします. 募集期間が終わったら勉強会の日程を決め, 翌週から本格的に通信講座・勉強会をはじめます. そこから三ヶ月, 5月半ばまで続きます. 参加について何か相談があればメールなどで連絡してください.

申込をしたらメールが送られます. 通信講座の内容だけでなく, 連絡・質疑応答用のSlackやコンテンツ一覧ページのURLもいったんメールで送るため, 迷惑メールを確認してもメールがない場合, このメルマガ用のメールアドレスに連絡をお願いします.

円周率の$n$桁目を求める論文

円周率の10進数でのn桁目を直接(それまでの桁を計算せずに)導く方法が2022年に発見されていたらしい

I just learned that the first formula for calculating the n-th decimal digit of pi (without calculating all the preceding digits) has been found by Simon Plouffe in 2022

上記の論文を見るとわかる通り, ベルヌーイ数などが出てくるため簡単に評価できる量ではありません.

超越数論もやってみたいと思いつつ幾星霜.

無限次元での級数の収束

「条件収束する実級数は項を並べ替えればどんな値にも収束させられる」という世にも奇妙で有名なリーマンの再配列定理は少し変えれば2次元以上へも拡張できます。 ところが、無限次元では、絶対収束しないにもかかわらず、どんなに項を並べ替えても同じ値にしか収束できない級数が存在します。

Levy-Steinitzの定理, Dvoretzky-Rogersの定理ははじめて目にしました. このくらいの基本的な事実でもまだまだ凄まじい現象があるのを知ると, 数学は本当に一生遊べるという思いを新たにします.

倉橋太志, 不完全性定理の数学的発展

数学会の論説に寄稿した解説論文"不完全性定理の数学的発展"が無料でダウンロードできるようになりましたね. https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/73/1/73_0731060/_article/-char/ja/ ご興味のある方はぜひご一読ください.

そういえば一点訂正があり,定理48の"IΔ_0 において SC が成立すれば NP ∩ co-NP = P である."は今のところ"IΔ_0 において SC^U が成立すれば NP = co-NP である."までしか分かっていません.

書きかけの超準解析学習録もありますし, 数理論理・公理的集合論も勉強したいと思ったまま幾星霜. せめて超準解析ノートは一通り仕上げたいですが道は遠い. 超準解析は小澤正直さんによる量子系の数理物理への応用もあります.

Paulによる佐藤幹夫お勧め文献集

再掲。佐藤超函数でお勧めの文献は原論文 http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/2261/6027 http://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/dspace/handle/2261/6031 日本語なら雑誌「数学」 数理研講究録(浪川記)

森本さん「佐藤超函数入門」, 金子さん「超函数入門 新版 オンデマンド版」は、お二方が佐藤超函数を咀嚼した上で著者が自分の言葉で書いているので、それはそれで素晴らしい本なのですが。

現代の教育的な視点からは、金子さんの超函数入門が層係数コホモロジー入門としても読みやすいと思います。超函数までたどり着けなくても勉強にはなります。また、少し値は張りますがジュンク丸善からオンデマンドが買えます。佐藤さん本人の言葉がわかりやすいというのは、私個人の特殊事情によるもの

大分前のPaulのツイートを見かけたので転載しておきます. 森本さんの本は持っていて, これも読みたいと思って幾星霜. やはり場の量子論への応用でいくつか議論があります.

日合文雄, 行列解析から学ぶ量子情報の数理

量子力学のための線型代数とその計算でも重要な本がタイムリーに出るようです. もう家に本を置く場所がないため早くPDFを出してほしいです.

田崎晴明さんの第二量子化のノート

場の量子化、ここでは生成・消滅演算子の説明を含む、としては田崎晴明先生の明快で大変わかりやすいノートがarxivにあげれられています。私はここに書かれていることで物理的に疑問に思う点など全くないです。 Hal Tasaki, Introduction to the "second quantization" formalism for non-relativistic quantum mechanics: A possible substitution for Sections 6.7 and 6.8 of Feynman's "Statistical Mechanics"

高江洲さんによる紹介があったため, 念のためここでも紹介しておきます.

現代数学探険隊を持っている人向けにアナウンスしておくと, 関数解析の章の「ヒルベルト空間のテンソル積」や「テンソル積と対称群: 量子力学的粒子の統計」, 「場の量子論・量子統計のヒルベルト空間論・作用素論」で議論しています.

日々の自分用メモ

Texromancers

日本人ブラケット

mathematics - What is the origin of the "Japanese bracket"? - History of Science and Mathematics Stack Exchange 日本人ブラケットなる概念があるらしい

むしろ素人のほうが「マニアックな売り場」を作れる…国文科卒の書店員が神保町に"数学の聖地"を築くまで 5000冊の数学書が揃う「書泉グランデ」の秘密 #プレジデントオンライン

水道修理検索などで役に立つ検索戦略

[ご案内]凍結で水道が壊れた時に「●●市 水道修理」で検索すると広告がたくさん出て高額な修理代金を請求されることが多いので「●●市 配管 組合」などで検索してみてください。お住いの地域で良心的な事業所が見つかります。 ●●はお住いの市町村を入力してください

マチカネワニ

友人の青木良輔氏は著書「ワニと龍」の中で、中国の龍は想像上の生物ではなく、大阪で発見された化石種マチカネワニが古代中国には生き残っていて、それを龍と呼んでいたと推測しています。 それが証明されました。 An intermediate crocodylian linking two extant gharials from the Bronze Age of China and its human-induced extinction Masaya Iijima , Yu Qiao , Wenbin Lin , Youjie Peng , Minoru Yoneda and Jun Liu Published:09 March 2022https://doi.org/10.1098/rspb.2022.0085 この論文によれば、マチカネワニの近縁種が数百年前まで中国に生き残っていて、人間による刀傷のある骨が古代の遺跡から複数見つかったそうです。論文では、マチカネワニ近縁種が滅びたのは人間によるメガファウナ絶滅の一つということです。 つまり、ワニは古代中国の文明の初期には、生きた生物として、人間に狩られていたことが証明されました。 これは青木氏の主張する、「マチカネワニが中国古代まで生き残っていて、人間が畏怖していた」という説を証明するものです。 青木良輔氏の説は一見荒唐無稽に見えますが、私は初めて聞いた時、「龍虎合い討つ」という成句が凄くリアルに思いました。つまり、龍はトラ程度の動物だったのです。 これはアフリカのライオンとナイルワニの関係に似ています。 竜巻を引き起こすような想像上の動物ではあり得ないです。 青木説は正しいに違いないと思いました。 それが証明されて本当に嬉しいです。 論文で、マチカネワニの学名はToyotamaphimeia machikanensisとなっています。この属名は青木氏がこれは新属であるとして記載した属名です。 この論文ではその分類学的な重要性も示しています。 この論文は昨年の3月に発行されたようです。 彼がコロナに罹る前なので、彼自身も喜んだでしょう。 残念ながら彼はコロナで亡くなりました。 生きていれば、まだ多くのことがなされたと思います。 残念です。 彼の著書、青木良輔著「ワニと龍」平凡社出版、2001年

研究ネタに悩んだときは20-30年前の文献を読もう

1980年代の古井先生「研究ネタに悩めば、20〜30年前の論文を読めば良い。計算機が発達する前の論文には、人間の創造力に溢れた内容が沢山ある。」

古井先生の著書 > AI時代の大学と社会-アメリカでの学長経験から-

論理学の教科書

大西論理学、意味論で様相論理や直観論理を記述してそれらの間の関係まで詳しく書いていて、邦書ではなかなか類がないのでガチでオススメです。 入門書とは言いがたいのはそうだけど……。 RT

昨日ある人に「論理学入門一歩「前」みたいな本書かないんですか」みたいなこと言われて、なるほどなあと思った。まあ出してくれる本屋があればね。去年出した本は完全に論理学入門一歩「後」。

塾の経営者の話

塾の経営者の話が面白かった。 「昨今はプログラミング教室が活況に見えますが、都会の一部だけの現象です。塾の市場規模は1兆円ありますがプログラミング教室市場はわずか200億円。伸びてはいますが全体の50分の1でしかありません。これはプログラミング技能を測ることが難しいということが背景にあります。偏差値や大学合格実績などで親が子供にプログラミングを習わせる"成果"を実感できないと、継続的に通わる動機が弱くなるんですよね。プログラミングの重要性を理解している親でも、子供のプログラミング能力の成長を測るのは容易ではない」

「少子化で塾市場は縮小するといわれてきましたが実際は増加傾向にあります。これは少子化に伴って一人当たりに注げる教育費が上がったからであり、父親だけがポケットだった昔と異なり、今は父母と祖父母の6人がポケットになっているからです。シックスポケット論といいます」

「塾に通う比率の増加も市場規模の増加に寄与しています。昔は塾に通う子と言えば進学目的という意識が強かったのですが、今は公立の学校の授業についていけるようにする目的での塾通いが増えています。一種の学童のような目的で通わせる家庭も多くなっています」

「私はサラリーマンの不自由さが嫌で辞めて塾を始めましたが、塾の自由度は意外にもかなり小さいとわかりました。教育指導要領を超える範囲の指導は保護者から全く求められていないので、実質的には文科省の指導にガチガチに縛られます。あの指導要領の影響力は民間も含めて極めて大きいですよ」

「複数の教室を運営するなら、塾長を雇う目がとても重要になってきます。塾長は年収400万円で雇えるのですが、これは塾の経営に必要な資格は何もないのでどんな人でも応募できるからです。だからこそ玉石混交で、"資格がないせいで埋もれている才能"を見つけなければなりません」

「学習サポート塾と進学塾では固定費の考え方も違います。公立学校の学習サポートであれば大学生のアルバイトでもできるので講師費用は変動費です。でも進学塾となるとハイレベルな講師を正社員で雇わなければなりませんから固定費の桁が一つ上がります」

「最近は百貨店が塾と提携する動きがあります。なぜだかわかりますか?塾自体は大して儲かりませんが、固定客になるんです。塾は一度通うとなかなかスイッチしません。百貨店は別の店でも同じ商品が手に入るのでスイッチが容易です。逆に塾は知名度と集客力が弱い。互いにシナジーがあるのです」

$\sqrt{2}$の無理性証明

TeXでのSI単位の書き方: siunitx パッケージ

1
2
\usepackage{siunitx} %% SI単位系の出力
\SI{数値}{単位}

Counterexamples in algebra

Counterexamples in algebra https://ncatlab.org/nlab/show/counterexamples+in+algebra

Mark Hunacek, Combinatorics and Finite Geometry

"covers an astonishing amount of material [...] a third or fourth year class in combinatorics or discrete mathematics from this text seems perfectly reasonable" Good book review by Padraig O ́Cathain in the Irish Math Soc. Bulletin https://irishmathsoc.org/bull90/wef/Reviews/OCathain/OCathain-wef.pdf

"an instructor looking for a text for a somewhat unusual combinatorics course should certainly take a look at this book" @maanow review of Steven Dougherty's 'Combinatorics and Finite Geometry' by Mark Hunacek: https://bit.ly/3CSjexR Book: https://bit.ly/3p5DLKq @SpringerMath

composerizeでDockerコマンドラインをdocker-composeファイル形式に変換する

おかしい人からは早く逃げよう

頭のおかしい女性が向かってきたら逃げてください。

相手が出してくるのが猫パンチか刃物かは受けるまで分かりません。

我々は男性に「殴り返してはいけない」というより先に、「逃げろ」と言うべきです。

今の日本には「女から逃げるな」の呪詛めいた社会圧があり、戦うか逃げるかの選択肢が実際は一択であることも少なくないでしょう。特に男性だと、女相手に逃げたなどという理不尽極まる不名誉を押しつけられる可能性と、相手の女性が単なるイキリでそのまま制圧できる可能性を、天秤にかけてしまう場合があるのではないでしょうか。 一般通念として男性の第一選択が「逃げる」になってほしいと思います。 女性が加害者になった暴力の実際の事例

これだけでは何なので、アメリカで起きた、女性加害者のDVがエスカレートし殺人に発展した事例を紹介します。

A2. おかしい人に半端に「やりかえされる」ことを学習させてはいけない この手の暴力的な人間は、相手を支配して思い通りにすることしか頭になく、やり返されると先手刃物が圧倒的に有利になることに気づく。 顔見知りなら武装して報復に現れることもある。

では逆に、どこから反撃して良いのか? みんな大好きアメリカには、武装者が建造物に侵入してきたときの行動指標として「RUN, HIDE, FIGHT」というものがある。日本語訳すると「まず逃げる、次に隠れる、それもだめなら戦う」というものだ。 この「戦う」を選択するときには「はさみや先端の尖ったもので突く」「消火器で後頭部を奇襲する」といった、相手に致命傷を与える可能性が高い行動が推奨されている。 反撃するならここまでやれということでもあり、ここまで追い詰められたときでなければ反撃は最善策ではない、ということでもある。

キャットハウスに頭を突っ込んで寝る

最近、IKEAで買ったキャットハウスに頭をつっこんで寝ている。バカみたいに見えるけど、これがとてもいい。

・頭まわりの温度と湿度が保たれる ・鼻やのどの調子がよくなる ・ほどよい遮光性

睡眠の質が明らかにアップ。ここに至るまでには変遷があった。(続く)

その結果がキャットハウス。たぶんファイナルアンサー。「LURVIG」という商品で1499円と手頃。最初と色違いなのは、ひっくり返してピンクにもできるからです。 布団に潜って足先が飛び出すクセも解消。バカッぽいビジュアルは自分には見えず自尊心もオッケー。すごくいいです。(かぶりもの話おしまい)

DI: new is glueと疎結合

IRの海外用語

こ、こ、これはすごい!!「売上/利益」を英語ではSales/Revenue/Earnings/Profit/Income/Gainのうちどれを使えばいいのか迷うことがある人は必読です。辞書を引いてもわからないこの使い分けを、単複の文法も含めて1万5千字で詳述されています。これがタダなのは完全なミスプライス。2千円払いたい。

IR系アドベントカレンダー、最終日🎄を担当させてもらいました。テーマは思いっきり実務・実用的にし、海外IRで必須の用語についての解説です。IRはもちろん、コミュニケーション全般に通じる内容にしていますので、よろしければぜひご一読を。 https://irisjapan.exblog.jp/29454127/

アンハッピーエンドとバッドエンド

どうしても主人公が死ぬ悲劇を書きたい人が後をたたないので,せめて「アンハッピーエンド」と「バッドエンド」の区別はつけて欲しいって話.別にアゴラの雑談で話す分にはどっちがどっちでもかまわないのだけど,ディオニュシア祭での上演を考えているなら詩人は明確に認識しておいたほうがいいです

FsLab, FSharp.Stats

2023-01-14

数学・物理 解析系数理物理100本ノック/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 次の通信講座
  • 荒木先生の訃報
  • 佐藤幹夫の訃報
  • IAMPのセミナー
  • まだ燃えるかけ算の順序問題
  • 競技プログラマーハンドブック
  • 野海正俊, 「Macdonald多項式入門」の講義録
  • 論計舎, 自然演繹100題ノック
  • pythonで学ぶ計算物理
  • 雑誌「数学」の過去の記事の電子版
  • いろいろなAI活用

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  • 今回のページ
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近況報告

去年末, Packtの一冊5ドルキャンペーンもあって, ずっと仕事関係のプログラミングの勉強をしています. 特にここ数日は現代数学探険隊の改訂の手も止めている状態で, ふつう数学と言われるような活動は全然していません. こんなに長期間, 世間的な意味での狭義の数学をしていないのも久しぶりです.

ちなみに, 興味がある人がどれほどいるのかわかりませんがC#(.NET)の勉強をしています. JavaScriptで作っていたコンテンツがありましたが, エコシステム的な意味でJavaScriptがあまりにつらいです. 競プロはF#でやっているわけで, いっそ.NET系でBoleroによるWASMだとどうかと思い, 情報が少ないからとりあえずC#でBlazorを調べてみるかと思ったら, 衝撃的なほど情報が多かったため, とりあえずしばらくC#系で攻めてみようと思って改めて一から勉強しています. 勉強会でもC#/F#

それはそれとして年末年始は本を含めて久しぶりにいろいろ買いました. それで改めて思ったのは, やはりモノを買うのは楽しいです. 上で書いたようにPacktで本をたくさん買ったのもさることながら, 少なくとも私はまだしばらくリモートワークが続くため, プログラミング環境をよくするためケンジントンのエキスパートを買いました. 前にガジェット好きの先輩がいて, 新しいトラックボールを買ったからとしばらくお古を使わせてもらったことがありました. 大きなディスプレイ二枚で作業していたため, トラックボールは非常に快適だった記憶があります. 久しぶりに使ってみてやはり快適で楽しいです. ちょっとした作業を楽しく快適にしてくれるモノはやはりよいですね.

トラックボール以外に本を買い込むのも楽しいですね. そして久しぶりにたくさん買って雑にざっと眺めるタイプの読書をしました. ここ数年, 気合を入れて読むタイプの数学の本ばかりで雑な読書をしていませんでした. 乱読の意味でも久しぶりのことをいろいろやっています.

何はともあれ, 年末年始は久しぶりにたくさん本やモノを買って異様にワクワクしていました. プログラミングの再勉強でもASP.NET Coreが思ったよりもいい感じで, Web開発関係でも久しぶりのワクワク感を感じています. いま次の通信講座の案内を練り込んでいますが, こういうワクワク感をもっと感じてもらえるようになったいただろうかという反省があります.

次の通信講座

仕事が立て込んでいて作業がなかなか進んでいないのですが, とりあえずは「量子力学のための線型代数」の続きです.

今回もまだ引き続き数学の話です. もちろん物理, 特に量子力学的なモチベーションの話は随時入れる予定です.

近況でも書いたように, 年末年始のプログラミング環境整備と本の買い込み・勉強で久しぶりにワクワク感のある勉強をしました. どうしても勉強するのが大変な数学・物理という点で, つらさをやわらげるためにもゆるく長く続けようというばかりで, 楽しもうという話を積極的にしてこなかったのを反省しました. まだ量子力学のための線型代数編さえ終わっていないのにこんな話をするのもアレですが, 物理系の人の楽しみに応えきれていないというのも前からずっと思っているため, そろそろもっと物理に踏み込みたいと思っています. もちろん数学レベルを揃える必要もあるため数学的な補足もいろいろ入れないといけません.

熱力学や(特殊)相対性理論の講座もやりたいのですが, これはまだ私の準備が追いつきません. そこで数学色が強めかつ物理にももっと触れやすい方向性として, ベクトル解析や具体的な偏微分方程式の解法といったあたりをやろうかと思っています. もしかしたら一月ごとに「今月はラプラス方程式」「来月は熱方程式」みたいな形にするかもしれません. そしてもう一つポイントにしたいのは, 既存のプログラミング講座のコンテンツを無料でつけようと思っています. すごくいいコンテンツと思っているものの, ちょっと孤立していてうまく活用しきれていない反省もあります.

簡単な計算でも実際眺めると面白い計算がたくさんあります. 例えば熱方程式の時間無限大極限でラプラス方程式の境界値問題の解が得られます. 一次元だと実装も比較的簡単です. しかし指数定理の著名なルートの一つ, 熱核の方法でも一つのキーになる振る舞いです. 直観的にも厳密解としても簡単に解ける一方, 数値的にも解けて眺めていて楽しい問題で, この辺を数学・物理・プログラミングの三方向から攻めるのもかなり楽しいのではないかと思っていて, いい加減これもきちんと形にしたいところです.

まだきちんとコンテンツの形にまでは練り上げられていないものの, まさに量子力学用の線型代数学習コンテンツ整備時に使ったSymPyによる行列計算プログラムなどもあり, プログラミングコンテンツにはSymPyの使い方も載せているため, その点でも意味があると思います. 次回の量子力学の通信講座にもプログラミング講座のコンテンツを無料でセットにする予定です. もしプログラミング講座を買おうと思っている人がいれば, ぜひもう少し待って通信講座に参加する形で購入してください.

荒木先生の訃報

01/10: 荒木不二洋先生が昨年12月に亡くなられたとのことです.大変お世話になりました.ご冥福をお祈りします.

場の量子論・量子統計力学の数理物理の草分けであった荒木不二洋先生がなくなったそうです. 分野がもろかぶりの大巨人です. 話したことこそないものの学会で見かけたこともあります. 最近, 現代数学探険隊の集合論の再整備をしていたら, 作用素環から大量に例を引っ張っていて, その中でも荒木先生の話を何度なく紹介していました. 作用素環は学生時代の紙のノートはあり, 一時期TeX化しようかと思いつつ, あまりに面倒で断念した記憶があります.

荒木-Woods, 荒木-Wyss表現, 相対エントロピーなど直接使ったり考えたりしたモノもたくさんあります. 私の大学院時代を彩る強烈な思い出がたくさんあります.

佐藤幹夫の訃報

2023年1月9日、京都大学名誉教授・佐藤幹夫氏が亡くなられました。94歳でした。超函数の理論、超局所解析、概均質ベクトル空間、ソリトン理論など幅広い分野で世界の数学をリードされ、代数解析を現代に甦らせました。

荒木先生がなくなったのか, と思った矢先に佐藤幹夫もなくなったという衝撃ニュース.

Twitterでも呟いたのですが, 荒木先生も佐藤幹夫もためらいなく呼び捨てにできるほど二人とも偉いものの, 荒木先生は分野まるかぶりの上, 直接見たこともあって自然と先生呼びになっています.

学生時代の憧れも遠くなりつつあるのかという感慨に浸っています.

IAMPのセミナー

場の量子論のフォック空間上での散乱理論の研究を代表する先駆者は2人なのですが、そのうちの一人 は Jan Dereziński 先生です。そのDereziński先生のセミナーがあるそうで、 講演題目は Dirac-Coulomb Hamiltonians となっています。

The 2023 season of the One World IAMP Mathematical Physics Seminar starts tomorrow with Jan Dereziński's talk. I hope to see many of you at the seminar! https://www.youtube.com/watch?v=oRtT9r085AA

YouTube channel もかなり充実してきました。 https://youtube.com/@iamp_seminars 是非ご活用ください。

YouTubeで講演の動画が公開されています. 他にもいろいろあるようなので興味がある方はぜひ眺めてみてください.

高江洲さんのコメントにもあるようにDerezińskiは巨人です. 私の場合だと非平衡統計での平衡への回帰, それに関わる荒木-Woods表現・荒木-Wyss表現に関するまとめPDFでかなりお世話になりました. 平衡への回帰問題ではDerezinski-Jaksic-Pilletのレビューの論文で, 荒木の相対エントロピーを勉強した思い出があります. 短いもののよくまとまっていて非常に勉強になりました.

プレプリント版と思いますが, 次のところに置いて(?)ありました.

学生時代の, ゴリゴリに不等式処理の腕力もあった私と同レベルにないと読めたものではありませんが, さすがに証明はないものの, 冨田-竹崎理論の大事な定理もカバーされています. 20年前ではあるものの, 少なくともその時点での量子統計・場の量子論での作用素環の応用の様子が見えるよい論文です. 興味があればぜひ眺めてみてください.

まだ燃えるかけ算の順序問題

あと本の帯に「大学生の10人に1人が40-16÷4÷2を間違えた!」とでかでかと書いてるけど、こんなん思考力の問題でも何でもなくて、ただの数学の世界のシンタックスの問題でしょ?文法が覚えられてるかどうかだけじゃん。こんな基本的な解釈ができないのはそれは大変な問題だけど、論調にまるで合わないぞ

この手の「÷記号を含む計算式の解釈」をめぐっては同工異曲の煽りが頻繁に出てくる。そんなの分数式で書くなり括弧を使うなり解釈のブレをなくすように書くのが当然で、解釈にブレが生じてる時点でそんな式はゴミ箱にブチ込むべき。 芳沢氏の論には総論賛成ではあるけどねぇ。。。

これを見て改めて思ったので自分用メモ: 確かにかけ算の順序で「割り算で困る」という人に対して, そもそも割り算の小学校での記法自体が問題で, 全て分数表記と積に揃えれば困らないのはそれはそう.

競技プログラマーハンドブック

「競技プログラマーハンドブック(Antti Laaksonen氏著)を翻訳・公開しました 基本的テーマから発展的テーマが300ページ超に渡って記載されており目次を見るだけでも興味深いハンドブックです。 「こんなのあるんだ!」という皆様のわくわくの助けになれば幸いです。 https://raw.githubusercontent.com/recuraki/cphb-ja/master/book.pdf

解けるのはわかったがどう解説を書いていいかわからない問題に出くわしたため, 競プロも毎日解いているものの最近解説を作っていません. 鉄則本を買った方がいいのでしょう. いまの.NET学習が一段落したら買って読みたいですね.

野海正俊, 「Macdonald多項式入門」の講義録

以前言っていた, 野海 正俊さんの集中講義「Macdonald 多項式入門」の講義録が公開されました. https://omu.ac.jp/orp/ocami/publications/preprint-series/2022/ よろしくお願いします.

自分用メモ+シェア.

論計舎, 自然演繹100題ノック

自然演繹100題ノックという教材を作りました。論計舎web shop https://quawai.stores.jp より無料にてDLいただけます。 証明可能な論理式に関する自然演繹の証明図を100個書いていただこうという趣旨です。 ぜひ挑戦してください。 https://quawai.stores.jp/items/62f22a41

解析系数理物理100本ノックみたいなコンテンツほしいですね.

pythonで学ぶ計算物理

物理 pythonで調べて一番上にかかるのが、岡大のサイトなんだけど、やはりレベルが高い http://physics.okayama-u.ac.jp/~otsuki/lecture/CompPhys2/index.html

何となくC#/F#系の数値計算コンテンツも作ってみたいとは思っていますが, そもそも数値計算がとにかくつらいので二の足を踏んでいます. PythonだとMatplotlibがあり, Juliaもデファクトでいろいろある一方, お絵描き系をどうするかでかなり困ります. 一応SciSharpでMatplotlibラッパーもあるのですが.

PDEはつらいものの, 格子系ならもう少し楽にやれそうな気もします. 時間がなかなか取れませんが, やはりいつかきちんとコンテンツを整備したい野望だけはあります.

雑誌「数学」の過去の記事の電子版

雑誌「数学」の過去の記事の電子版がたくさん公開されていることに気づいた https://mathsoc.jp/publication/dbase/sugaku/index.html

これも自分用メモ+シェア.

いろいろなAI活用

日本企業でAI導入が進まない・効果が出ない理由として、「データ基盤がないからAIも作れない」もありつつ、単純に「AIを使ったユースケースを(世の中には事例があるのに)思いつけていない、思いつける人がいない」もそれなりに支配的と思います。

ChatGPTの使い道を思いつけてない、思いつける人が少ないのも日本で普及が進まない理由だと思う。世界でChatGPTに対する関心度が64%に対し日本では17%しかない。順位で見ると64位。同じアジア圏でも台湾や韓国がそれぞれ30位と33位になってるのを考えると日本での関心がどれくらい低いのかがわかる。 ChatGPTは公開から5日で利用者数100万人を突破して、ニューヨーク市では学習に対する悪影響を理由として学校での利用を禁止してる。裏を返せば、それほど多くの子供たちがChatGPTを使っていること。一方で日本ではほとんどの子供たちがChatGPTの存在すら知らないと思う。

確かに遊んでみたいと思いつつ, 実際に何でどう遊ぶといいか何も思いつけていません.

日々の自分用メモ

いろいろな教育

いつだったか堀江貴文さんが寿司屋で10年修行なんて無駄、学校やYouTubeで学べば1ヶ月でできるとおっしゃていました。 彼の様に頭が良く、行動力がある人にとってはその通りかもしれませんが、世の中には家庭に問題があったり、本人が逃げてばかりで15.16歳くらいからカタギ社会からはみ出してしまいそうな若者を真っ当な大人に育てる器が社会にあったんです。 だから就業でなく修行と言ったわけです。 優秀な人間を前提とした行き過ぎた労働者保護や労働環境の効率化はこういったダメ人間矯正施設である商売を尽く潰し、大資本の非正規雇用や使い捨て請負業従事者を大量に生み出し、中年になっても家庭も待たず、家も自分の商売も持てない人間だらけにしました。 寿司屋に限らず、10年修行しろの裏には、商売をする上で必要になる社会の仕組みや周りの人たちとの接し方を教え、本人に社会的信用をつけてあげる為に必要な期間なのであり、修行を終えた時、大将の口利きがあれば多様な業者との繋がりを持て、独立資金等も借りる事ができたのです。 卑近な例ですが、15歳でウチの店に来て、複雑な家庭環境ゆえに一度高校中退し、夜間高校に通いながら10年ほど働いていた若い子が今は立派に社会人として頑張って働いています。 手前味噌ですが、その子に先日会った時、15の時、社長のところに行かなかったら自分の人生、どうなっていたかわからないと感謝されました。 私は特別なことは何もしてませんが、現場のスタッフが時には厳しく、時には優しく話を聞いてあげたりしてちゃんと育ててくれていたんです。 そんな弊社もこの3年で人を雇うことが難しくなってきました。若い人を育てるには責任が生じますから、続ける事ができるかわからない状態で受け入れられません。 10年なんて無駄と言い、飲食というだけでブラックという前にどうか我々みたいな零細飲食には色々な事情があることを知っておいて下さい。

【ホットサンドメーカーで作る太宰府名物 梅ヶ枝餅】

  • URL
  • 1.お餅2つを短冊切りにしてお皿をつくる
  • 2.お皿に入るくらいのあんこを入れる
  • 3.さらにお餅2つを使いあんこに蓋をする
  • 4.弱火で焦げ目が付くまで焼く
  • 5.外パリ! ウマウマ(´ω`)ウマウマ(´ω`)

記者のためのオープンデータ活用ハンドブック

この種のスキルは、体系的に学ぶどころか、調査報道の先細りで組織メディアのOJTですら雲行きがあやしくなっている。 個人的には、取材・調査技法のアップデートが止まってしまう中堅以降の記者こそ手に取ってほしいと思いました。

ゲーミングチェアならぬゲーミング座椅子という新提案。ゲームに仕事に読書に昼寝に最高すぎるんだ

デザイン素人に贈る、UIディレクション10個のポイント

Linux Foundationが「法律専門家のための WebAssembly ~ ライセンス・コンプライアンスにおける現在のパラメータを探る」日本語版ドキュメント公開

人事はテックブログを監視すれば社員の転職活動を見抜けるので、対策を考える

2022-12-31

数学・物理 自らの苦痛を解決する/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 式の読み上げ
  • ゆるふわ情報共有のすゝめ
  • 量子コンピューターを作るための参考文献

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  • 今回のページ
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近況報告

ここ一月, なかなか数学をやる気が出ず, 仕事関係の勉強もたまっているため, 現実逃避気味にデータ構造とアルゴリズムの勉強, 特に競技プログラミングばかりしていました. ここ最近一つに集中しすぎるのはよくないとずっと言われているため, 来年(明日)からはもう少しゆるく広く進めようと思っています. ここ半年ほどまともに語学・言語学も勉強できていません. 来年はもっとゆるく広く手がけるのを目標にします.

いま会社でも一人プログラマーで, 自社仕事に関して技術相談できる人もおらず, 競プロは競プロで相談できる人がいません. 数学や物理ではとりあえず相談できる人がいるのと比べると精神的なきつさが違います. この苦しさを何とかして解決するべく自分自身行動とこれまでとは違うタイプの行動が必要なのを実感します. そしてメルマガ執筆に関わる数学・物理系の活動でも, 他の人達のこうした苦しみにこたえないといけないのを改めて実感しています.

競技プログラミングの勉強でありがたいのは, やはりAOJなりAtCoderなりの自動採点システムです. 入力例では通っても他のデータで通らない場合はよくあります. 大量のデータでは遅くて仕方ない場合もあります. これらをチェックしてくれる勉強の仕組みは本当に偉大です. あとは適切な質と量の問題の必要性も痛感します. やはりある程度の量の問題に取り組まないと身につきません. 問題演習系の通信講座+勉強会は継続的に実践しなければと思っています.

現代数学探険隊の改訂も少しずつ進めています. 集合・位相・実数論を中心に, 数学系の通信講座・勉強会も開きたいですね. この人集めも来年の課題です.

式の読み上げ

現代数学探険隊をブラッシュアップしていて復習の仕方として挙げていました. 特に一定程度英語文献にアタックしなければならない状況もあるため, 英語への慣れも含めて書いた話です.

これはこれでよい取り組みと思っています. ただ独学しているとそもそも式の読み方がわからないでしょう. それを伝える必要があります. 既に世の中には「式を(英語で)どう読むか」といったコンテンツもあるにはあります. ただし本の数は少ないというか一冊しか知りません. そもそも英語の数学・物理・プログラミングの文献を読むための勉強会なども必要な気がしています. どこからどう攻めるか悩みの種です.

ゆるふわ情報共有のすゝめ

先日(確か)Discordでの数学徒向けプログラミング自助コミュニティを紹介したと思います. 私も主に次のようの目的で勉強会・コミュニティに参加・運営しています.

  • 一人ではやらないがゆるく細く長くチェックが必要なテーマがある.
  • 一人だとつらいため複数人を巻き込んで強制力をつける.
  • 一人だと情報を集め切れないため, 個々人の興味に応じてゆるふわで情報共有する・してもらう.

最近だと一般のAI応用的な話, ウェブ関係の話をするコミュニティに所属してゆるふわ情報共有をしています. 来年は私のメインである数学・物理・プログラミング・語学でもゆるふわ情報共有コミュニティ作りたいですね. 何をどうするといいか見えきっていないため具体的には何もできておらず, 上記のコミュニティ所属もその様子を掴むための調査も兼ねた活動です.

量子コンピューターを作るための参考文献

量子コンピュータ作りたいって人にいつもすすめる参考文献

  • ・Qmedia
  • ・藤井先生著「驚異の量子コンピュータ」
  • ・量子技術教育プログラムの動画達
  • ・Quantum Native Dojo
  • ・清水先生著「量子論の基礎」
  • ・ニールセン・チャン

ニールセン・チャンはとくに1,2,4章を。これ読んでも量子力学が納得できなければ清水本。7章は古いのでQmediaのハードウェア記事と量子技術教育プログラム動画で補足。5,6章のかわりにDojo見ればユーザがどう使うかも勉強できる。誤り耐性は"Quantum Computation with Topological Codes"でマスター ハミルトニアンからゲートにするまでのテクニックはバンデルサイペン・チャンのレビュー。NMRじゃない人にこそ知って欲しい内容。 https://arxiv.org/abs/quant-ph/0404064 まぁでもここであげた全部を読み切っちゃう前に研究室の門を叩くのをオススメします。結局、目の前でラビ振動見るのが一番早いんだよなぁ。 量子コンピュータを作りたい人のために特化した授業がしたいなぁと思ってたところ、大阪公立大学の @ayumu_sugita さんから集中講義の依頼があったので引き受けました。2月6日〜8日なので、年末年始に準備を頑張っています。 途方もない作業で終わるのかとかなり焦ってたけど、久しぶりに一つのことに集中できててとても楽しくなってきた。自分の知識の全てを伝授できたらととにかく詰め込んでみる。授業の名前は「量子情報工学」と「量子制御工学」のどちらが良いかな(大阪公立大には違う名前で登録した気がするが。。。)

必ずしも量子コンピューターの議論はしませんが, ニールセン-チャンの二章は来月リリース予定の通信講座・勉強会のテーマです. 実際ニールセン-チャンの二章は量子力学・量子条件をモチベーションに線型代数が勉強できます. 非常にお勧めです. 翻訳もあるとはいえ読み切れる自信がない人はぜひ通信講座・勉強会を楽しみに待っていてください.

日々の自分用メモ

AIの進化はSEO・検索順位・広告・EEATとかすっ飛ばしてネット検索は次の時代に突入している?

【点訳版・PDF版】数学&情報処理点訳ガイドのダウンロード

「Rustでやると知らないうちに詰む設計」を避けるためのTipsを集めてみる

完全なくじ引き読書法を実践するためのWebページを作った

国立国会図書館のデジタルコレクションの大幅バージョンアップ

本日から、国立国会図書館のデジタルコレクションが大幅バージョンアップされています。全文検索可能な資料が5万点⇨247万点に拡充され、また類似画像の検索機能が付加されました。https://ndl.go.jp/jp/news/fy2022/__icsFiles/afieldfile/2022/12/02/pr221202_01.pdf

【証明にミスがあった模様】: 四色問題をコンピューターなしで解いた可能性のある論文

え?これ、マジならすごすぎん?? 四色問題をコンピューターなしで解いた可能性のある論文が提出されたぞ https://arxiv.org/abs/2212.09835

7 Tips for Building a Good Web API

線形代数演習講義へのjulia導入を考える

こういう教育現場で導入されるの素晴らしい。 https://mti-lab.github.io/blog/2022/12/22/julia_linear_algebra.html

情報幾何

情報幾何 フリーダウンロード公開中 #期間限定 (12/31迄) 古畑仁 (北海道大学教授)著 「統計部分多様体の微分幾何学を目指して」 Perspective Statistical Submanifolds Differential Geometry DoublyMinimal HalfACenturyOfInformationGeometry

開成高校の中高生向け講義「位相的場の理論への誘い」の講義録

開成高校の中高生向け講義「位相的場の理論への誘い」の講義録が公開されました。録画からの書き起こしで丁寧にタイプしていただいたので、予想以上に臨場感のある講義録になったと思います。大雑把な話ですが予備知識はあまり必要ないので中高大生はぜひ読んでみてください。 https://kaiseigakuen.jp/wp/wp-content/uploads/2022/12/2021Yamazaki.pdf https://kaiseigakuen.jp/about/contents/feature/mathematics/には他にも二つの講義録[2017 年度] 有限体上の方程式を通して見る現代整数論(三枝洋一先生)[2018 年度] 結び目理論の圏論化(伊藤昇先生)が掲載されています。

2022-12-25

数学・物理 祝・競プロ入門300題一周完了/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 思考力より試行力
  • 数学ノート(現代数学探険隊)の整理
  • 自分自身の双対空間と等距離同型で非回帰的なバナッハ空間の存在
  • 証明手法を軸にした議論の展開
  • 独断と偏見による逆数学のすすめ
  • 物理の理論構造, 孤立系と相互作用系・散逸系
  • 素粒子・場の理論の教科書

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近況報告

体調自体は問題ないものの, 新型コロナ感染による生活リズム崩壊の余波は続いています. ここ数日会社仕事用の勉強で慌てているのもあるのか, 数学をやる気が出ません. そこで今年中にとにかく一周終わらせようと思っていたAtCoder Problems300題を進めていて, 今日一応終わりました. ハードはほぼ自力で解けていません. 来年は実際にコンテストでAtCoderのABCのC/D程度まで解き切るのを目標にしようと思っています.

あとこれは読者のあなたにもお勧めしたい話として, いわゆるアウトプット系の学習がやはり大事です. AtCoder Problems300題については来年以降に向けて解説を作りはじめました. やはり解説を書くと曖昧な箇所をいい加減なままにしていてはいけない圧力が加わります. もちろん一題あたりの時間はかかりますが, その分明らかに一題一題への踏み込みと理解が上がるのを実感します.

思考力より試行力

森の未知さんがまたいいことを言っているため紹介します.

和田秀樹の暗記数学本には「思考力(しこうりょく)よりも試行力(しこうりょく)」的なことが書いてあったように記憶しているが、あれは数学学習・教育における不変の真理だと思う。 例えば、「ある実数xが存在して、任意の負の数yについて、x+y<0」という主張の真偽を判定させるとする。 すると、様々なxについて「任意の負の数yについて、x+y<0」を判定するわけだが、xが0以下なら良いと気付くまで試行できるかがこの真偽判定できるかの分岐点となる。 「数学」とか「数理」の付く学科で習うような高等数学での躓きは、このような施行ができないことによるものが多く、巷で思われているような抽象的な思考能力は大して重要でないのが実感。 で、試行力を支えるのは処理能力で、一回一回の試行を素早く正確にできるかが本当に大事。 大学数学で苦労するタイプの学生に上の問題を指導すると、具体的なx(例えばx=1)について「任意の負の数yについて、x+y<0」が正しいか判定するのに異様に時間がかかることに気付く。 もちろん、そんな処理能力ではxが0以下なら良いと気付くまで試行回数を稼げずに途中で匙を投げることになる。 試行回数を稼ぐための粘り強さも数学学習においては重要であるが、教育者の観点では処理能力の方が後天的に伸ばしやすいので、処理能力を意識的に鍛えさせることは重要となる。

ちょうど今日も競プロの解説を書いていて, よくわからなかったアルゴリズムに対して解説を書いていて, それを理解するために具体例を作っていたりしました. この構成力は数学でも非常に重要です.

処理能力で試行スピードと正確さを上げる話も, TwitterのJuliaコミュニティで数式処理・記号処理の話が出ていて, 自分の手計算が信じられないからSymbolic.jlをうまく使いたいという話をしている人がいました. 以前書いたように, 私もリー群学習時, 行列の対数計算(予想)でsympyを使ってゴリゴリ計算していて何て便利なのかと感銘を受けたのを思い出します. こうした点でも数学学習にプログラミングをうまく活用して試行力・スピード・正確性の共存を目指す取り組みは引き続き来年以降のテーマです.

数学ノート(現代数学探険隊)の整理

現代数学探険隊の位相空間論と実数論を整理していて, ノート整理方針が固まりつつあります. 以前の記述もブラッシュアップしつつ全体に手をつけています.

いまは改めて先頭の集合論から進めています. 「自分がこんなのを知りたかった」と思った記述を散りばめているため, 読んでいてとにかく楽しいです. いま進めている競プロ解説でもお気に入りのF#布教の側面があり, いいと思ったものはもっときちんと勧めないといけない, お蔵入りさせるのは損失だと改めて思っています. 現代数学探険隊ももっと広めるために来年は久しぶりに広告なども使おうかと考えています. 通信講座・勉強会にももっと人を増やしたいのもあります.

私が参加している語学のコミュニティは数ヶ月ごとに新しい人が入ってくるのもあり, 各国の言語に関して数ヶ月ごとに同じ基本的な内容を勉強しています. そしてそこまでゴリゴリに勉強・暗記をしているわけではないため, 毎度の復習がルーティンになっているのがかかなり助かっています. 必ずしも専門でもない基本的な内容を定期的にゆるく復習できる機会を作る重要性を実感しているため, 通信講座・勉強会でもこの辺のメリットや楽しさをどう打ち出すかが鍵で, これも来年の課題です.

ちなみに整理していて実数論や位相空間論で次のようなネタが出てきています.

  • $p$進数
  • コイン投げの空間とポーランド空間
  • 不動点定理

確率論ノートは多少埋めたものの, ポーランド空間がゴリゴリ出てくるようなところまでは書けていません. 不動点定理もよく使われる微分方程式系統の議論はまだまだ道半ばです. $p$進数・$p$進解析にいたっては全くノータッチです. 超距離不等式由来の$p$進関数解析の変な性質は恐ろしく扱いづらいものの, いままでに見たことがない位相空間論・距離空間論としても楽しみで, 改めて勉強意欲がわいてきています. 早くノート整理して, 幾何関係のノート作りも一段落させて解析学がやりたいです.

自分自身の双対空間と等距離同型で非回帰的なバナッハ空間の存在

単純なメモです.

[James 1951]: There is a non-reflexive Banach space which is isometrically isomorphic to its dual.

ヒルベルト空間ならともかく, バナッハ空間は変な空間で双対と等距離同型にするのも一苦労で, 非可分だと本当に魔界です. その魔界にこんなよい空間があるというか, 魔界だからこそこんな凄まじい現象が起きているというか, どちらで理解すればいいかよくわかっていません. ただ, なかなか強烈な例です.

文献探して証明を収録しておきたいと思いつつ探索できていません. それも込めて備忘録としての記録です.

証明手法を軸にした議論の展開

私の数学コンテンツには「証明手法を軸にした議論の展開」といった軸の補足説明もたくさんあり、例えば適当な条件を満たす位相や加法族の構成、ツォルンの補題を適用するハーンバナッハの定理や極大イデアルの存在証明など私が知る範囲の数学を縦横断した解説があるが、もっとそういうのが欲しい。

そもそもとしてボホナーの消滅定理やらdiagram chasingやら定理よりもむしろ証明手法の方が重要な議論もあるはずで、そういう縦横断系の話ももっと知りたい。

最近の現代数学探険隊ノート整理で集合論や位相空間論用の注意やコラム的に散りばめた記述を見ていると, いい話, そして最近あまり明示的に紹介していない, 忘れていた大事な話がたくさん書いてあります.

当時は一所懸命書いていてその当時の全力ではありましたが, とにかく文章が冗長でイライラしてくるのも事実です. これ含めて現在大改訂中です.

独断と偏見による逆数学のすすめ

超準解析ノート作りが半端なままなのも思い出しました.

物理の理論構造, 孤立系と相互作用系・散逸系

そういえば年明けすぐくらいから, 通信講座第三弾として「量子力学で学ぶ線型代数第二段」の通信講座の募集をはじめようと思っていたところ, 生活リズムの崩壊で何もできていません. いま二月開始を目処に考えているため, 興味がある人は三ヶ月分の勉強時間をおさえておいてください.

それはそれとして, 次にやろうと思っている熱力学とそれ向けノート整理で考えている話です. 熱力学は何となく身近な温度パラメータと環境がある系の議論からはじめるスタイルが多いように思います. しかし古典力学でも量子力学でも電磁気学でも, まずは理想的・非現実的な孤立系の議論をしてから, 現実的な系を考える非直観的なスタイルで進めるのがふつうです.

力学でいえばいったん摩擦がない系を考え, それから摂動的に摩擦を入れているとも思えます. 量子力学だとわかっているところからの摂動の視点は特に重要でしょう. 電磁気学でも電磁場だけを考えるケースと, 外場中の荷電粒子の運動を考えるケースのあと, 荷電粒子自身が作る場を考えるケースに進みます. 量子力学でもまずは水素原子の孤立系を考えます. 水素原子の励起状態は固有状態でいわゆる安定な状態です. しかしレーザーを考えればわかるように励起状態は光の形でエネルギーを吐き出して基底状態に落ちるはずです. ここで外場として古典的な電磁場を入れるとゼーマン効果とシュタルク効果にしかならず, 基底状態に落ち込む議論にはなりません. もちろんエネルギーを吐き出す対象として具体的に理論に自由度を追加する必要があり, それがいわゆるテンソル積による量子電磁場用の空間の導入です.

熱力学でも同じように孤立系を考えてから環境との相互作用や温度を考えるのが筋ではないか, そうするといまのノートの順番だとよろしくない, という状態です. 有名どころの教科書で言えば, 形式的には清水流か田崎流かという感じ. 熱力学の定式化の自分なりの整理を進めているため, 熱力学の講座はまだまだ時間がかかりそうです.

こういう内容の通信講座兼勉強会をやろうと思うと, そもそも一定以上の物理の素養がないと意義さえ感じてもらえないため, そこの種蒔きももっと真剣にやらないといけません. 量子情報でのクラウスの定理などもう少し分野横断の話をしようと思ったのですが, 今回は力尽きました. 改めて物理ネタももっと取り上げたいですね.

素粒子・場の理論の教科書

単純な情報共有です.

60 冊もの素粒子論物理&場の理論の本がSCOAP3 でただで見れるように

CERN's open access SCOAP3 initiative has released 60 particle physics and QFT books free for download here: https://scoap3.org/scoap3-books/

格子QCDシミュレーションの創始者のM. Creutzによる格子QCDの教科書がオープンアクセスになったそうです https://www.cambridge.org/core/books/quarks-gluons-and-lattices/2D0B198BB10DB7ACF56252909590DD6C?fbclid=IwAR3Q0DwJf8I79iPPLRnUVShXOeztqscAQeXE8xZxvIdB8EeM9P_FgIi7HbA

日々の自分用メモ

クリスティアーノ・ロナウドの言葉

献血ができなくなるからという理由で、体には入れ墨を一切入れておらず[357]、かつて受けた「動機が不純。単に自らの名誉と影響力を拡大したいだけ。言ってしまえば、ショーにすぎない」という批判に対しては、「もし、他人を助けることがショーだと言うなら、僕は永遠にこのショーを止めるつもりはない」と語っている[358]。

国立国会図書館デジタルコレクション

本日から、国立国会図書館のデジタルコレクションが大幅バージョンアップされています。全文検索可能な資料が5万点⇨247万点に拡充され、また類似画像の検索機能が付加されました。 https://ndl.go.jp/jp/news/fy2022/__icsFiles/afieldfile/2022/12/02/pr221202_01.pdf

理系の読み物でクラシックな本を丁寧にまとめたリスト

シェルスクリプトの正しい実行方法は一つだけ! ~ sh や source で実行するのが良くない理由とシバンの話

大島利雄先生の「大学における数学教育の問題点と工夫」

素因数分解の一意性と一階言語の文

それでは一階言語の文になっていません。一階言語では量化子の可変個の入れ子が書けないからです。ではどうするかは、リプライで。 https://marshmallow-qa.com/messages/9223c77e-8c18-4dfb-847d-e3504e5f62a5?utm_medium=twitter&utm_source=answer

まず、自然数のリストの自然数によるコードを何か採用し、必要なだけのリスト処理関数の定義をPA言語で書きます。次に、それらを使ってリストの要素の積を返す単項関数prodを作ります。 それとともに、二つのリストがバッグとして等しいことを表す二項述語bageqの定義とリストの要素が全て素数であることを表す単項述語allprimeの定義を書きます。 以上の準備の下で、

∀x∀y(allprime(x)∧allprime(y)∧prod(x)=prod(y)→bageq(x,y) です。 あ、括弧があっていない。 ∀x∀y(allprime(x)∧allprime(y)∧prod(x)=prod(y)→bageq(x,y)) です。 なお、リスト処理の部分はさまざまな変種があり得ますので、便利なのを採用すれば良いです。例えば、nilとconsとcarとcdrからLisp風に組み立てていっても良いですし、ゲーデルのβ関数を使っても良いです。

困っている人のための精度

世の中には困ってる人を助ける制度がたくさんあるのに何が使えるかを教えてくれないっていう理不尽仕様なんだが、そんな世界をなんとかしようとしてる人たちがいて、そのためのWebページがこの前リリースされたってことを僕はフォロワーさんに知っておいて欲しいと思ったんよ https://compass.graffer.jp/handbook/landing

岡村博の話

昔は闇市で手に入れたものは食べないと言って餓死した数学者もいたわけで、大学教員はその程度の意地は貫き通してほしい。 今時の大学教員は知的誠実さのために餓死もできない軟弱な人間ばかりで辟易する。 ちなみに餓死(栄養失調)で亡くなった(日本人)数学者の例として岡村博がいる. 常微分方程式の本があって、以前Paulが言及していた記憶がある。 さらについでに井川満による本の書評 「付録として収録されている山口昌哉の,著者についての文章も是非読んでもらいたく思う. 敗戦の混乱のなかで,闇物資を口にすることなく,42 歳で栄養失調の故に逝去した一生であったことが分かる」とある。

「岡村博は言葉を大切にし,学生と交わす些細な会話でさえもどこまでも大切にした日常であったことが記されている. 数学に携わる者が,言葉を大切にしないならば,どこに存在意義が見つけられるのだろうか. 最近私は,数学をする者の言葉遣いがふやけているのが気になっている.」

https://twitter.com/phasetrbot/status/1595002909535522818と書いたのはまさにこの文章のような状況が最近の大学関係者によく見られるのを指している。特にオープンレターズは大学教員どころか人として最低限の誠実ささえ持ち合わせておらず人の心を持たない差別主義者ばかりで最近ずっと衝撃を受け続けている。

物理・工学以外にも数学を濫用する人間が増えるのはいいことなのかという気分はある。ポストモダン的な地獄を生まないか、大学関係者の知的誠実さがどこまで信用できるのか、ただひたすらに気になる。

ドイツ語の表現

サッカーとドイツ語といえば

  1. 日本をLand des Sushis「寿司の国」と呼ぶのはセーフ(定冠詞+寿司が単数属格)
  2. でも定冠詞+寿司が複数属格のLand der Sushisだと「寿司野郎どもの国」的な意味になってしまって1文字違いで完全アウト

――というものすごい地雷があるらしい https://german.stackexchange.com/questions/63303/connotation-of-land-der-sushis これはどうも単数属格を加えるだけなら純粋な食べ物の意味になるけど複数属格だとそれを食べる人々への揶揄的なあだ名を加えた感じになるかららしい 実際、過去にドイツのサッカー番組では後者の表現を使ってしまったキャスターに盛大な批判が集まったことがある (※昨日の試合の話ではありません) d-で始まるドイツ語の定冠詞は英語のtheに当たる要素で語源も共通している ドイツ語では名詞自体は一部を除いてあまり変化しなくなっていて、冠詞の性・数・格の変化が語形変化の代わりになっていることが多い Sushi「寿司」は中性名詞として扱われて、単数では属格のみ-sがつくこともある

競プロのテーマ

人間には大変な, 膨大な量の計算を行って数学的な問題を解く

吉野元, 深層ニューラルネットワークの解剖 統計力学によるアプローチ

深層ニューラルネットワークの解剖 統計力学によるアプローチ 吉野元 https://jps.or.jp/information/2021/10/76_589.pdf

確率変数の数(ベイズなのでパラメータ数)が無限大に行くという意味での無限自由度系という意味で「統計力学」なのはこちらの方.時々誤解している人がいるけど,渡辺理論はそういう意味では有限自由度なので統計力学にはあまり似ていません. 漸近論で尤度関数全体を確率変数として扱うという意味では「汎関数的」なのですが,それはまた別の(もっと技術的な)側面だと思います. 「尤度関数を確率変数として扱う」は正しくないかも.対数尤度を扱うのに,まずパラメータの分布を正規近似するのではなく,漸近的な行く先を関数とみてガウス過程で近似をするというような意味です. (これは特異モデルを扱うために開発された方法と思いますが,正則モデルだからといって何でもかんでもまずパラメータで展開するという行き方に疑問を差しはさんだという意味で漸近論にとっては重要です) しかしながら,NNの理解に役立つような統計力学の意味で「無限自由度」の理論はまた別に開発しなければならなくて,その意味では吉野さんのような情報統計力学と高次元統計学のコラボが重要かと. 「平らな部分が重要」という意味では特異モデルのベイズ理論はよい点を突いているように思いますが,無限自由度の解析ではおそらく別の側面が重要.

Enriques曲面のPDF

びびる.Enriques曲面で1000ページ.3月の名古屋に向けて(?) Enriques Surfaces I,II http://www.math.nagoya-u.ac.jp/~kondo/papers.html

記事期限切れ:

大栗博司先生の幻冬舎連載「数学の言葉で世界を見たら」 「計算されたリスクを取ること」で、ベイズの定理を 身近な例がいっぱいで、メチャおもしろく、わかりやすく、ためになる説明をしてくれてます。 http://gentosha.jp/articles/-/375

公理とinterface

逆にプログラマには公理は interface だと伝えると群とか環の公理が何のためのものなのか分かってもらいやすい

平行線の同位角の証明

トランプの「ババ抜き」で、勝率を "相手の3倍" にする方法

トランプの「ババ抜き」で、勝率を "相手の3倍" にする方法を見つけましたので記事を書きました。 なんと… 「誰から配るかを変えるだけ」ですっ。 記事→ https://kuina.ch/notebook/page33

工学のための関数解析の行間埋め

関数解析の資料探してたら良さそうなの見つけたけどこの資料作った人エグすぎる 工学のための関数解析PDF

ガウスの消去法と誤差, 検算の難しさ

ガウスの消去法にめっちゃ誤差が入って、あやしいと思って検算しても(検算にも誤差が入って)残差が0になってしまう、なんてこともあるので、検算したから安心とは言えない。

Haskellでの競技プログラミング

YouTubeのSampouOrgチャネルで米田優峻(@e869120)さんの『競技プログラミングの鉄則』をHaskellで楽しむ動画シリーズをはじめました。主目的はHaskellプログラミングを(和紙が)楽しむこと。ついでにアルゴリズム力、思考力が向上するといいな。つづくといいな。

追加しました。尺取虫法 = mapAccumL + span かな? A13: Close Pairs — 『競技プログラミングの鉄則』をHaskellで楽しむ 024 https://youtu.be/KiXQVixpamg @YouTube より

中国語は不思議

橋本陽介『中国語は不思議』読了 新書を読むのはかなり久しぶりではあったのですが、コレが語学ダメダメ人間でも ちょっと中国語分かってきたんじゃない? と自惚れさせられる感じでちょっと勉強再開しようかしらと思いました それは置いておくとして「疲労回復」「汚名挽回」のトピックスが面白い

ChatGPTの応用

日本人がネイティブな英語を書くのは、今までかなり難しかった(オンライン英文校正サービスもほぼ無力だった)けど、ChatGPTを使えば簡単に書けるし文脈も伝えられるのでやはり革命。実際に出力を見てみると、RT元が問題があると言っている部分もすべて修正されており、良い。

ロシア語で日本語の「かわいい」が導入

場末ホステルのロシア人(日本が好き/ピカチュウが好き)が「かわいいぬ」と言ってて何故急に日本語?(しかも"ぬ構文"?)と思ったら、日本語の「かわいい」がそのまま形容詞「カワイヌィ」(каваиный)になっているんだと。ほんまかいなって思って調べたらちゃんと存在してたし、鬼の格変化もするみたい。

ChatGPT

ChatGPTを試してみた。 有効な使い方のひとつに「自分が知らない分野の関連ワードを挙げてもらって思考を発散させる」ことがありそうだなと。 ある程度の知識がないとGoogleで検索するワードがそもそも思いつかないが、ひとつのキーワードを端緒にChatGPTに関連語句を色々挙げてもらうことができる。

2022-11のAIの進歩の包括的なリスト

いい記事見つけた 11月に最も重要なAIの進歩の包括的なリスト Cutting-edge AI: NOVEMBER Digest

同朋舎出版のビジュアル世界再発見と中高の世界の名著

同朋舎出版のビジュアルシリーズ世界再発見はいいぞ。 あれで入門すれば世界地理は答え合わせできてたのしい。 あと中公の世界の名著はいいぞ。本文の訳の気合の入り方もそうだが、訳者によるガチ解説がたのしくてわかりやすい。当時はB1くらいの学力で読むものなんだろうけど今ならB4くらいじゃね…?

2022-12-11

数学・物理 新型コロナにかかって大変な目にあいました/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • カントール集合
  • 実践計算物理学: 物理を理解するためのPython活用法
  • 基礎からの物理学とディープラーニング入門―Pythonで実践―
  • F#による競技プログラミング学習の資料

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

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近況報告

家族が通院時に新型コロナをもらうというひどい目にあった余波を受けました. ちょうど先週の土曜, 夜から体調がおかしく, 朝になったら38.9度あって四日ほど寝込んでいました.

生活リズムが崩壊してしまったため立て直すのが大変です. AtCoder Problemsも今年中に一周する十二分な余裕があったものの, 10日潰れたためもうカツカツです. 無理して終わらせるものでもないため焦っているわけでもありませんが, げんなりしています.

心配しすぎていても仕方ないとはいえ, ブレインフォッグのような恐ろしい後遺症もあるようで, これが本当に憂鬱です.

世の中は平常化に向けて動き出しているようですが, 読者の皆様もお気をつけください.

今回は手短に済ませます.

カントール集合

先日から書いているように, 現代数学探険隊のノートを見直しています. カントールの三進集合を久し振りに見直して, やはり面白いテーマだと関心しています. 記号力学系から情報系の議論もあれば, 同じく作用素環にはねる経路もあって展開は異様に豊富です.

実践計算物理学: 物理を理解するためのPython活用法

ただでさえPythonはライブラリのバージョン管理が死ぬ程面倒で, これ以上自分で何か作りたいとは思わないため, よさそうなのはどんどん他の人のコンテンツを紹介しようと思っています.

メンテナビリティの高い数値計算プログラミングの可能性は相変わらずゆるく探り続けています.

基礎からの物理学とディープラーニング入門―Pythonで実践―

統計力学系のネタはもっと突っ込んで勉強したいため, これは読んでみようと思っています.

F#による競技プログラミング学習の資料

来年に向けた助走として, 競プロコンテンツの前に自分の学習ログの意図で記事を書きはじめました.

命令型・オブジェクト指向型の言語だと読み書きしていて元気が出ないため, お気に入りの言語で遊んでいます. F#はMicrosoftが機械学習用のライブラリを整備しているようで, 上で書いたようなディープラーニング系の話でもいい感じに使えないか検討したいところですが, まだまだそこまでいきません.

2022-11-26

数学・物理 子供の背中を見て反省する/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 昔書いた文章・ノートが冗長でつらい
  • mathlib documentation
  • 最近のプログラミング学習: 競プロ
  • 新しく勉強するときの苦労

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  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

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近況報告

ここ最近, 数学としてはシコシコと代数の基本的なノート作りと競プロばかりです. 代数はもう少しガロア理論の基本的なノート作りが終わるため, それが終わったら多様体の項目メモを仕上げつつ, 層のコホモロジーに関わる議論と加群のノートを整備する予定です.

長い間の懸案だったトポロジーのノート作りもしたいところですが, ここで代数のノート作りを止めてしまうとまた半端な状態が続くため, いまこの焦点が合ったときしかないと思ってふんばって進めています.

昔書いた文章・ノートが冗長でつらい

幾何ノートの整備と合わせて, 特に重要な位相空間論のノートも並行して整備しています. 書いていた当時はもちろん真剣に一所懸命書いていましたが, いま見ると冗長で読んでいて自分でイライラする記述があります.

それはそれとして, 通信講座として書いたときにはまだ書けていなかった定義や定理が既にあるため, その引用整理も合わせて進めています.

ただ改めて思ったのが, 「こういうのがあるといいのに」, 「こういう記述があると自分が楽しい」と思った記述を盛り盛りで詰め込んでいるため, 読んでいてとにかく楽しいです. 特に何度となく眺めて整備を進めていた部分は証明も詳しく, ストレスフリーで読めます. 凄まじく面倒ではあってもわざわざ自前のノートを整備してきたご利益を感じる部分です.

mathlib documentation

ノート整理で補有限フィルターを調べ直していたら見つけました.

証明支援系のライブラリのサイトで, Microsoft Research所属のプロによるサイトのようです. いつか証明支援系の議論にも取り組みたいとは思っているため, メモがてらシェアします.

最近のプログラミング学習: 競プロ

勉強方針を少し変えたのもあって, AtCoder Problemsを一日二題ペースでゴリゴリ進めています. 入門者向け基準とはいえハードの問題を自力でさっと解ける場合も出てきて, 一年間ほぼ毎日やってきた成果が上がっているようで気分もいいです. 自分用リファレンス・ライブラリも溜まってきました.

競プロ勢, もっと言えばF#・Haskell勢ともっと交流を持ちたいと思っているのですが, もっと競プロ系の記事なども書かないといけないのだろうと思います.

仕事のプロジェクトである程度自由にできるため, サーバーサイドでF#を使ってみようと思うものの, ネットに情報が少ないため二の足を踏んでいます. JavaScriptなどは新しい情報も大量にあって参考にする機会も多く, お世話になった分, プログラミング関係でももっと情報を出さないといけないのだろうとも思います.

新しく勉強するときの苦労

12月からAndroid開発のプロジェクトに参加します. Android・Kotlinを猛スピードで勉強しているのですが, 基本的な本を読んでいてレイアウトの説明など面白くもない記述をがんばって眺めています. 数学でも, 面白くなくても一度は一通り勉強して, 言葉だけでも頭に入れておかないといけない内容はあります. くり返し眺め続けてようやく少し慣れてきました.

既存コードの引き継ぎの面もあって仕事時間でもずっと眺めています. 朝から晩まで二週間もずっと浸っていてさすがに少しは慣れてきました. 仕事になると苦痛だろうと何だろうとやらねばならず, 嫌でも勉強は捗ります. 何か勉強したいことがあれば仕事にしろとはよく言いますが, 改めてそれを実感しています.

JavaScriptでも困っているのですが, Androidもテストの書き方・作成方針が全然わかっていません. 何かいい本や資料をご存知の方がいればぜひ教えてください. 小・中規模のAndroidアプリのリポジトリがあればそれも教えてくれるとありがたいです. 絶対的な量が足りておらず, もっと浴びるようにコードに触れたいと思っています.

勉強するときの実際を苦労を味わい続けた方が「こういうのがあればいいのに」という自分の問題意識も育つため, 程々に勉強の苦労を続けないといけないのだろうと最近良く思います.

以前から時々書いているように, 私は昔から柔道の道場に通っていていまや指導側です. 類は友を呼ぶ話のごとく, 通ってくる子供達はとにかく不器用で, 何年もくり返し言っていてもなかなか身につきません. ただ, 子供達は子供達で学校での勉強も含め, 毎日大量の情報に触れて覚えなければいけないことも多く, 5年-10年言い続けたくらいでどうにかなるなら苦労しないという話もあります. 子供達の様子も見ていると時々猛烈に反省することがあります.

2022-11-19

数学・物理 早いうちに基礎をゴリゴリやろう/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 早いうちに基礎をゴリゴリやろう
  • 来年に向けた競プロの取り組み
  • アダマールの不等式
  • 量子多体系の対称性とトポロジー: 統一的な理解を目指して
  • 「無限次元」の代数と解析
  • ドイツ語と英語が合成された学術用語“Eigenvalue”に関する数理的考察
  • 理系向けの語学教材制作に向けて
  • 世間的な理系の差別的な扱い
  • いろいろなウェブサービス

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近況報告

もう少しで量子力学と線型代数の三ヶ月間短期集中の通信講座が終わります. 先日の勉強会で受けた質問で, やはり行列と線型写像の区別に関する難しさを実感しました. 量子力学と線型代数もまだ最低限取り組んでほしい内容の残りがありますし, そもそも復習としてもう一度取り組む部分さえ需要があるとは思っています.

とりあえず量子力学をもとにした線型代数を続けますが, その先は自分の頭の整理も兼ねた熱力学もやりたいですし, 物理を考えずただただ数学する方向までいろいろ考えています.

数学ノート作りでは幾何ノート整備に向けて, 解析学編の位相空間論の整理もはじめました. 改めて見ると書きはじめた頃はまだノートを作っていなかった定義・定理も大量にあり, 並行してその参照もつけています. あとは箇条書きノートの見やすさが気に入ったため, 箇条書き化も進めています. 定義や定理の言明も箇条書きで整理した方が見やすいため, 必要に応じてそれらも整理し直しています.

やはりある程度幾何にけりをつけないと落ち着かないのがわかったため, 指数定理までの一通りのノート作りを今後二年の目標に置きました. やる気が出ないときに指数定理の本をパラパラと眺めていると, 解析学編でがんばって作ったノートの内容がゴリゴリと出てきます. 偏微分方程式はもちろんのこと, 閉作用素など作用素論も出てくる部分はテンションがあがります. 当たり前といえば当たり前であるものの, 執念深く整備してきたノートの内容はだいたい全て必要で, もちろんわかっていたことではあるものの, 案内ページに書いてきた内容の嘘偽りのなさを改めて実感しています.

早いうちに基礎をゴリゴリやろう

最近ずっとこの話をしている気もしますが, 幾何のためのノート整備をしていて痛感しているため何度でも強調して書き続けます.

特に多様体のノートを書いていると, 一度はある程度勉強しているため本当に身が入りません. ノートの参照などもあるため, いま証明は抜きに定義と命題だけシコシコと追記しています.

何となく一回はやっているが身についていない内容があるのはもちろんですが, それ以上にそもそもまともに勉強したことはない内容もたくさんあります. しかしもっと面白い話がたくさんあるのを既に知っているため, そうした基本的な内容に取り組んでいるとうんざりしてきます. だからこそ今改めて幾何まわりの基本的な内容に関するノートをがんばって作っています.

熱力学のノート作りでは, 内容は学部二年レベルのド基本であるにも関わらず, 頭の再整理の視点で取り組めてものすごい楽しいのと対照的です. 一度徹底的にやった上で思い出しつつ理解を深める楽しさとは全然違います.

先の話を知ってしまうと基礎的な内容に取り組むのにうんざりしてしまいます. 自分基準でよいので, やはり早いうちに一度基礎を徹底的にやるのをお勧めしたいです. そう思うとやはり学部一年の必修で実数・集合・位相があったのは, 私にとって本当に決定的でした.

来年に向けた競プロの取り組み

AtCoder ProblemsでMediumまで終わってから数ヶ月, しばらくAOJに取り組んでいましたが, 今年も残りわずかになってきてAtCoder Problemsの300題を終わらせたい機運が高まってきました. 残り56題で, これから一日二題取り組んでいったん年内に終わらせるのが目標です.

最近は10分考えてアルゴリズムを思いつかなければ解説を見て実装し, 30分経っても実装できなかったら他の人の提出コード, 特にHaskellコードを見て気に入った読みやすいコードをF#に引き写すようにしています. どうせ300題を一周した程度で身につくわけでもないので, ある程度問題量をこなすのが今の目標です.

AOJの基本的なデータ構造やアルゴリズムの対応も進めたいところですが, お気に入りのF#が使えないのが難点です. そんな中, 少し前に最近競技プログラミングの鉄則という本が出ました. 本の評判が非常に良いようですが, AtCoder対応しているいい話があります. せっかくなのでこれをF#/Haskellで取り組もうと思っています. これも150題程度あるらしく, 取り組みやすいところでF#が使えるのはAtCoderしか知らないため来年の楽しみです.

まだまだ量が圧倒的に足りていないため, これらをくり返して復習しつつ, 飽きないように新規コンテストで追加された問題などにも取り組んでアルゴリズム系の技能を鍛えようと思っています. 数学・物理系のプログラミングだと馬鹿みたいな計算量が必要ですし, 数値計算法もまさにアルゴリズムなので, この意味でも私にとって競プロは物理や数学です.

アダマールの不等式

行列解析系のネタです.

【ポッキーの日問題】 ポッキー(数字の1)を並べて目指せ高得点!

※行列式の計算は計算機を使用しても構いません(リプにサンプルコードをつけておきます)

Z^{n×n}の行列式の上界に関する定理何かあったはずだけど思い出せない Hadamard's inequalityだ。 Wikipedia

私の現代数学探険隊解析学編にも収録していますが, 実はFeldmanらによるRenormalization Group and Fermionic Functional Integralsという本があり, この中にもアダマールの不等式が証明つきで載っています. 以前, この本の誤植を送ったことがあって, タイポのPDFに私の名前も載っています.

ツイートに行列式の計算に計算機を使っても構わないとあって, こうしたお遊びネタとプログラミングの話もあれば, 上限を決定する不等式とゴリゴリの数理物理の関係もあります. 最近こういうのが面白くて仕方ない感じになってきて, 学生時代とは大分違う視点が得られている実感があります.

量子多体系の対称性とトポロジー: 統一的な理解を目指して

ツイートで渡辺さんの何かの話が流れてきて, 改めてこの本が読みたいなと思ったため宣伝ついでのメモです. 先日も情報理論と物性の論文を紹介したように, 幾何も量子多体系・物性の関係が強くなってきて, いよいよ幾何で遊ぶのを本格化させたいと思って改めて幾何ノート整備に乗り出した部分があります. 幾何それ自体で遊び倒すのも兼ねていて必ずしも物理だけに比重があるわけでもありませんが, 日々遊びたいおもちゃがどんどん増えてきて楽しいことこの上ない日々を送っています.

「無限次元」の代数と解析

これもちょっとした記録です.

佐古先生、可分なヒルベルト空間は有限次元でない限り全て非可算次元ですよ・・・。

可算個の正規直交系が存在しても非可算次元なんですか

はい、可算個からなる完全正規直交系が存在しても非可算次元です。これは例えばBaireの範疇定理から簡単に証明することができます。

文章で書くのは少し手間ですので、次のURLを見ていただけると幸いです・・・。https://planetmath.org/banachspacesofinfinitedimensiondonothaveacountablehamelbasis

なるほど分かりました 可分/非可分の区別を可分/非可算次元と勘違いしていたわけですね

Hilbert空間に対して次元というときは,特に断りが無ければCONSの濃度を指すことが多いと思います. 勿論,例えば線型空間としての次元と混同する恐れがあれば,Hilbert次元/Hamel次元のように呼び分けるのが妥当ですね. 以上は一般的な話です. 一方,Mathラブ娘さんの投稿については,かかる用語の選択そのものを取り上げられていると思います.これは概説全体で統一されているかどうかが問題の焦点になると思っていますので,引用されている画像からは判断しかねることを踏まえ,言及を差し控えます.

わたしはHilbert次元を単に次元というのはごく少数という認識です。特に、そういう言い方をしたいならHilbert次元/Hamel次元と言い分けるべきと考えています。が、この件については押し問答とならざるを得ないと思いますので、これ以上の議論は止めておきたいと思います。

そうですね,流儀の問題ですからね(蛇足ですが,個人的には言い分けるのも結構好きです).

これ大昔,大学の演習助手の就職試験で聞かれて間違えたことがありました.ヒルベルト次元と代数的な次元を全くごっちゃにしていて,へんな答えをしてしまったのですが,面接官の一人だった組み合わせ論で有名な Hanfried Lenz先生が,まあこれはいいとして,と次の質問に移ってくれ結果合格しました.

ちなみに物理バックグラウンドの人がヒルベルト次元を使う傾向があるのかはわかりませんが、試しに素論系の知人にインタビューしたところヒルベルト次元で答えました

物理学で使う数学のほとんどは,reverse mathematics で言うところの Big Five の弱い方の体系に落とし込めることがほとんどなので,集合論的な非可算がそこでは必要になっていないわけですが,これは,非可算性が hidden variable のようなものとして物理世界のどこかで本質的に機能していること↓ ↓ ↓ ↓の可能性を完全に否定しているわけでもないと思います. 少なくとも,数学世界では非可算性は,"hidden variable" 以上の役割を果たしているし,これをさらにどう考察するかが,数学の未来にかかっている,と個人的には思っています (人類の未来がないのに数学の未来があると言えるのかはちょっと疑問ですが).

まさに私はよくヒルベルト空間の次元をCONSの濃度の意味で使っているため, よい習慣ではないと反省しました. 齟齬が起きかねないのは間違いないため, 自分用のメモも兼ねてシェアします.

ドイツ語と英語が合成された学術用語“Eigenvalue”に関する数理的考察

知っている人は知っているでしょうが, eigenはドイツ語でeigenvalueはドイツ語と英語のチャンポンです. ついでにいうとvalueはフランス語valeurに起源があり, さらにラテン語に起源がある変な合成語です. この文献によると量子力学の発展に伴って現れた用語で, 固有といってよく使われる英語properでproper valueというと他の言葉と紛らわしく, あえてeigenを使ったという話があるようです.

語学・言語学が好き・興味がある人がどのくらいいるかわかりませんが, ちょっとシェアしてみます.

理系向けの語学教材制作に向けて

行方先生の新刊本。ジュニア新書ですが、これまでの著作から考えるに、また、取り上げられている著者の名前から判断しても、大人でも十分やりごたえのある英文が出てくるのだろうと想像します URL: 読解力をきたえる英語名文30

こういうのは人文・社会科学系の人にはいいのかもしれませんが, 理工系の人間は必ずしも楽しくありません. 最近語学系の動きが全然できておらず情報収集さえ微妙です. 忘れてはいない・忘れてはいけないのと, 「こんなコンテンツが面白かった, 勉強法が楽しい」という読者コメント収集も兼ねてシェアしておきます.

世間的な理系の差別的な扱い

理系女子、建築系や化学系に流れているだけでいないわけではない。工学系が少ないだけ。そして、工学系に女性が少ない理由はこの画像が全てを物語っている。安い床屋でスポーツ刈り、お母さんがしまむらで買ってきた服を着ている人が大半を占めている限り難しいでしょう。

例えばある看護学校が女性ばかりの点を議論してる際、「いる学生が化粧も服装もダメな醜く太った女ばかりだから。男は行かない」と言う人がいたとして、そんな感情は考慮に値しないどころか発言者が差別的と批判されるべきもの。この発言もそれと同水準の差別的暴言。 世の中には「黒人貧民街訛りの人間は受け付けない」「同性愛者は生理的にアウト」のような人もいるのだろうが、そのような心理は差別的発想に起因するもので、社会的には一切考慮すべきでないとされる。先のtweetのような露骨な差別的発想を表立って正当なものかのように語るのは論外。 こういう「恥ずべき感情」を抱いてしまう人がこっそりとその心理に従って選択をすることはあろうが、そうした差別的な侮蔑を当然のごとく語り、それに共感や賛同を送る人が多数いるという事実は、こうしてステレオタイプに語られた「理工系男子」への差別がいかに根深いかを図らずも明らかにしている。 理工系学部の女子率の低さはこうした心理が主要因ではないと思いたいが、少なくともここで語られたような心理の存在は、「理工系が不当な偏見と差別を受けている」がゆえに理工系の女子率が下がってしまうという、理工系が差別被害者である側面を明らかにしている。

最近またTwitterで『高専に進んだ女子が「こんな気持ち悪い男達ばかりの環境には耐えられない. 高専の内容には興味はあるが, もっとふつうの高校生ライフを送りたいと悩んでいた」』という伝言情報が流れてきました. 個人的には白血病で一年留年した上に吃音という言語障害まであるので, その「ふつうの高校生活とかいうのはありとあらゆる意味で何だ」という感じがあります. 一方で上記の世間的な理工系イメージと実態もそれ相応に知っています. よくも悪くも当たり前すぎて言われるまで気付いていませんでしたが, 確かにゴリゴリの差別と言えばそれはそうです.

私個人の話で言えば, 私はもういいおっさんですが, ファッションには全く興味がない一方, 変な格好をしているといろいろな意味でまずいため, 困り果てた最果てで十年くらい前から和装の方向に進んでいます. (おそらく)社交辞令ではなく似合うと言われることも多いので, 考えるのも面倒だから似合うらしいこれで行こうと決めました. ここ数年は普段着から作務衣にして, 一年中自宅でも(プライベートの)外出でも, 夏には夏用の, 冬には冬用の作務衣を着ています.

いわゆるチェックシャツ以外の理工系ファッションも何か考えた方がいいのだろうという気分があります. ワークマンのスーツという概念さえ出てきているので, ファッションに頭を使いたくない理工人向けファッションももっと提案した方がいいのではないかと最近思いはじめました.

いろいろなウェブサービス

ワールドミュージック界隈で話題騒然、世界中の民族音楽が聴ける慶應大Global Jukebox 、マジで直感的に操作できるのがすごく良い…。世界地図からも行けるし、動画後半のように円グラフ状に表示された地域一覧からも調べられます。 https://theglobaljukebox.org

最近面倒というか幾何ノート作りの方が楽しくて止めている物理学ギャラリーがあります. 現代数学探険隊や通信講座をはじめとして, 「こんなのがほしいが誰も作ってくれないので自分で作る」は私の大きなモチベーションなので, 「こんなサービスもあって喜ぶ人もいるのか」というのは参考になる場合があります.

正直このサービス自体にそこまで強い興味があるわけではないものの, 言葉にできない感じるモノがあったため, メモがてらシェアします.

2022-11-06

数学・物理 箇条書きノートのすすめ/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 箇条書きノートのすすめ
  • 代数学習・復習で得た実感
  • 非可逆行列の可逆化
  • 数値計算とソボレフ空間
  • 学習物理界隈へのコミットをはじめたい

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

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「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.

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近況報告

最近メルマガ書くのもサボり倒しつつあります. 本職の方も今月で区切りがついて来月からまた新しいほぼ未経験の内容に関するプロジェクトがはじまるため, きりきり舞い状態です.

ここ最近は来年以降に向けた幾何コンテンツのリリースも見越して, 幾何ノートを集中的に整備しつつ復習しています. 全然書けていないと思っていた多様体論のノートが思ったよりも書けていたため, 思ったよりも速くリリースできるかもしれません.

ここ1-2週間, そしてしばらくは幾何というより代数の整備が中心です. ホモロジー代数はもちろんのこと, それを駆使する関数論が視野に入っているからです. 関数論には解析学の側面もあれば, 代数的場の量子論などでも楔の刃の定理など限定的とはいえ関連する議論があります. もう一つやはり学部四年-修士一年程度の内容くらいはきちんと勉強してみたい代数解析でもホモロジー代数を駆使するため, 私が守備範囲に入れたい広い意味での解析学にとって重要だからです.

毎日少しずつノートをためてきて, 途方もなく長い道のりでうんざりすることも多かったものの, リリースも考えてノートを整備しはじめたところ, 自分が勉強してみたいと思っていた学部四年程度の幾何への道が少しずつ整備されてきたのが具体的に感じられてとてもいい気分です.

箇条書きノートのすすめ

先日メルマガタイトル自体を「証明の構造がわかる数学ノートを作りたい」にした程度に, ノート整備のついでに証明の箇条書き化を進めています. そして単純にできるわりには非常に効果的でした.

現状ではいったんほぼ何も考えずにまずは箇条書きベースで書き換えています. これで次のような形式が強制されます.

  • 1センテンス1トピック
  • 箇条書きによる1トピックの視覚的表示

よくテクニカルライティングなどの文脈で「1センテンス1トピックにしろ」と言われます. 知ってはいたものの改めてその威力を実感しました. もともと通信講座用に作りはじめたノートで, 細切れの時間でも勉強しやすいようにと節もかなり細かく切っていました. 節・小節の単位でタイトルがつけられるため, あとでトピックを探す上でも便利で気に入っていたのがさらに徹底的になりました.

「情報を出している」という感じが強くなっていて, 文章の色気みたいなものまでほしい人には向かないのかもしれませんが, 少なくとも私には読みやすくなりました.

他にも箇条書きでまとめているため, 1トピックの区切りが明確です. 改めて眺めたときに「何だこれは」と詰まる部分もはっきりしやすくなりました. 箇条書きだと不明点も一段下げて「次のように考えればよい」といった補足が入れやすくなり, 追記・修正もしやすくなりました. あとで見れば「もはや自明」と思うような部分も, 箇条書きで一段下げて補足的な内容と明示させれば読み飛ばしやすくなります. やっているうちに気付いた点も取り込んでノートを少しずつ進化させる予定です.

代数学習・復習で得た実感

いま代数, 特に群と環の学部2-3年程度の基礎の基礎程度の内容のノート作りを終え, 体論・多項式論・ガロア理論の学習をはじめています. 実際には作用素環の部分因子環論で必要そうだから, と当時物理学科の学部四年のときに数学科の講義にもぐって一度は勉強していた内容です.

当たり前ですが全く身についていません. 久し振りに勉強して当時もよくわからなかった分離拡大などは, 改めて本を読んだら「標数0の体では全ての代数拡大は分離的」と書いてあって, いまだに慣れていない正標数の体でしか本質的な意味を持たない議論がわかるはずがありません. そもそもいまだに体論の理解はこの程度です. 学部一年から集合・位相をやっていて, 関数解析方面の基礎体力は多少ついていたにせよ, 非専門で適当に勉強した内容の理解度などこの程度だと改めて実感しました.

通信講座なりコンテンツ制作なりで, 必ずしも面白くない復習系のコンテンツをどう作っていくべきかなど, 改めて考えている中で注意しなければいけないポイントです.

非可逆行列の可逆化

わかれば一瞬かつ一言で直観的にも明らかである一方, 慣れていないときちんと証明がつけられない事案を観測しました. 参考になる方もいるでしょうからメルマガにも転載しておきます.

正方行列に怖い思いをさせてガタガタ震えさせることで、固有ベクトルがズレて可逆になる(?) 直感的には任意の非可逆行列 A と任意の ε > 0 について、可逆行列 B が存在して、すべての単位ベクトル v について |(A-B)v| < ε に出来ると思うんですけど、ほんとうでしょうか線形代数力が無さすぎてわかりません

直観的には少し要素をずらせば行列式を非ゼロにできて可逆化します。特に非可逆な行列は基本変形でブロック対角型にできて「右下」が空くため、そこに成分がεの対角行列Dを埋めれば可逆化します。ブロック的な和としてA+Dを取れば大体Bが得られます。

ジョルダン標準系の0ブロックを適当に小さい数で埋める、確かに

相手がどこまで線型代数の諸概念を知っているかわからなかったため, 「このくらいは通じるだろう」という範囲で説明しました. 直観的に「それはそう」という話をきちんと詰めて話したところ, 相手からさらにそれを表す概念を使って一言でまとめる形で返ってきました. このやり取りだけでも線型代数の基本的な部分からある程度深い部分まで網羅されている上, 面倒な議論を一言で返せる概念が整備されている点にも気付きます.

先日Twitterで「数学まなびはじめ」の新井仁之さんの記事にあった, 「簡単な場合の証明を, 簡単な場合の特殊事情を使わず極限まで難しく書け. それが難しい場合の一般論を構築する上でのヒントになる」といった話をしました. 知識がある程度ある前提で復習するときは, 進んだ知識で簡単な議論を一言で表す訓練をしてみるといい勉強になります.

これの極端な場合が「大定理から系で示す」議論です. 有名どころはアティヤ・シンガーの指数定理です. 三次元空間内の曲面に対するガウス-ボネの定理は一般次元に持ち上げられる一方で, リーマン-ロッホの定理への一般化もあります. さらに一般的な議論がアティヤ-シンガーの指数定理で, 指数定理の系としてガウス-ボネの定理を証明する牛刀をもって鶏を割く話があります. そのままだと「すごいことはわかるが, いまひとつ心に落ちて来ない」ような場合に, 大定理の影響範囲が具体的に見えるする上で一つ大事なポイントになってきます. 進んだ議論を理解するためにこそ牛刀として使い倒すのは一手です.

数値計算とソボレフ空間

物理の人に必ずしも通じていないようなのですが, 数学, 特にソボレフ空間論は物理でもフォークロアになっている部分があるのを明示的にしたやり取りをシェアしておきます.

関数解析や数学的な微分方程式論が数値解析の具体的な問題に直結している様子が見えます. 数値解析に興味がある人がどれだけいるのかよくわかっていないのですが, 私もいまプログラミングとの兼ね合いで改めていろいろ考えている部分なので, それとも合わせて注意している点です.

学習物理界隈へのコミットをはじめたい

先日, 科研費で学習物理のプロジェクトをやっている富谷さんに, 「物理界隈向けの情報関係, 特にプログラミングまわりの具体的な教育面で何か手伝えることはないか」とTwitterで打診してみました. 先日も紹介した永井さんの数値計算本など, このあたりでいろいろ遊んでみたいことはあるもののなかなか踏み込むのは大変です. いっそコミュニティに入ってその中でいろいろやろうと思い, 具体的な貢献をしますよベースで話を持ちかけてみました.

以前からGitの使い方といったレベルであっても, 物理の数値計算コミュニティにはうまく浸透していないという話がTwitterであがっていました. 少なくともこういうところなら協力できる要素が必ずあるので, とにかく何か小さな1アクションを取ろうと思います.

やはり一人だと限界がありますし, 先日知人から「あなたは具体的な技術や知見を深めて突破口を作るよりも, 新たな人との出会いで道ができていくタイプだよ」と言われました. 同じことばかりしていてもどうにもならない感じもあったため, 意図的にこれまでとは違う動きをして, 人を巻き込み, 巻き込まれるべく動いていこうと思っています.

2022-10-29

数学・物理 証明の構造がわかる数学ノートを作りたい/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 中平健治, 図式と操作的確率論による量子論がようやく出版
  • 非可換確率論
  • 準粒子の情報がエンタングルメントスペクトラムや相互情報量に含まれる
  • 純粋数学への取り組み方
  • 最近のフロントエンド事情
  • 高橋憲一『コペルニクス』
  • アムロが教育するとしたらどうなるか
  • 地理学習

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

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近況報告

いい加減きちんと勉強しなければと思ってAOJで基本的なアルゴリズムとデータ構造学習をしていたものの, AOJでF#が使えないのもあってうんざりしてきたためAtCoderに戻りました. そしてAtCoderは楽しいですね. 知らぬ間に少しずつアルゴリズム力も鍛えられているようで, AtCoder ProblemsのHardも前より取り組みやすくなっている気がします. 年始に本格再開したAtCoder Problemsもうまくいけば今年中に300問解き切れるかもしれません.

通信講座向けコンテンツ整備の一環としての熱力学ノート整備はやる気が出ないため, 既存のノート整理・復習と代数ノート整備を進めています. 先日Twitterで「ふつうの文章の体裁での証明は話の流れや構造が掴みにくい. 実際の本や論文ならともかく, 個人学習ノートなどなら箇条書きをうまく使って証明の構造を掴めるようにした方がいいのでは?」というツイートが流れてきました. 実は私もホモロジー代数ノートでは図式をTeXで書くのは面倒, しかし文章形式は読みづらいと思っていて箇条書き形式のノートにしていました. 試しに復習ついでのノート整理で証明をゴリゴリ箇条書きに変えています. 情報伝達に振り切った形式で好き嫌いは別れそうですが, 一文一文が簡潔で区切りも明確になって流れは掴みやすくなっている感覚はあります.

そもそも大人向け通信講座のコンテンツとして, 細切れの時間でも取り組みやすくするため小節をかなり細かく刻む方針にしています. 具体的にはAubinの幾何解析の本では注意や命題や証明自体を一つの節に切り分けて節番号が振られているのを参考に, 命題程度のレベルで小節をわけていました. いまはこれをさらに細かく, Aubinの本と同じく命題と注意と証明を小節にわける形式にしつつ, 証明を箇条書きベースに書き換えています. 細かな形式はまだ試行錯誤中ですが, 議論の流れを掴む目的でのノート作りを考えている人にはお勧めです.

中平健治, 『図式と操作的確率論による量子論』がようやく出版

先日宣伝した中平さんの本も出版されました.

まだパラパラと読みはじめたばかりで何も言えませんが, 量子力学の通信講座展開もあって読まないわけにもいきません.

この本では次のようなコメントがあります. (私の脳内翻訳です.)

線型代数の計算も大事だが必ずしも皆が皆慣れているわけではない. 計算ばかりでは事の本質が掴みにくいときもある. もちろん図式だけで全てが汲み尽くせるわけでもなく, ふつうの線型代数の計算力の意義・重要性は微塵も揺るがないが, いくつかの点で明確なご利益がある.

以前も紹介した気がしますが, 図式による議論は圏論的なストリング図とも関係があるらしく, 圏論への親しみも増すだろうと思いつつのんびり眺めている最中です. 図式によるTeXノート作りも大事なので, TeXの書き方に関して情報が出ていなければ何か参考情報をシェアしてもらえるよう働きかける予定です.

非可換確率論

Twitterで鍵アカウントの博士学生に対する応答をシェアしておきます. 何度となく言っている内容ではありますが, タイミング次第で同じ内容でも入ってくる情報量が変わる場合もあれば, 興味関心が合致する場合もあります.

作用素環の主な二つのクラスとして、C^環とvon Neumann環がある 可換C^環に対してはGelfand-Naimark双対性によってコンパクトHausdorff空間と反変圏同値があるが、可換von Neumann環に対してもcompact strictly localizable enhanced measurable spacesとの反変圏同値が成り立つらしい 他にもmeasurable locales、hyperstonean locales、hyperstonean spacesの圏としての表示もある https://arxiv.org/abs/2005.05284 この対応があるという意味で、一般のC^*環の理論は非可換位相空間論で、一般のvon Neumann環の理論は非可換測度論と見放されるらしい

圏論・幾何方面ならC^*というかもっと一般に非可換幾何ですが、ゴリゴリの解析で非可換積分論だと少し古いもののhttps://arxiv.org/abs/1208.5197のような話があります。非可換確率論もあり、最近圏の本をいろいろ書いている西郷甲矢人さんが非可換確率論の人です。Twitterにもいます。

準粒子の情報がエンタングルメントスペクトラムや相互情報量に含まれる

Observing quasiparticles through the entanglement lens https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.106.L161104 準粒子の情報がエンタングルメントスペクトラムや相互情報量に含まれるよ理論。物性屋さんも情報理論を本格的にやらんといけん時代かな?

いままで量子情報に興味が持ちきれない状態だったところ, こんな話まで出てきたとなれば物性から情報の勉強ができるパスが開かれたとも言えます. いよいよ私にとって情報理論を勉強しやすくなる環境が整ってきたのでしょう. とても楽しみです.

純粋数学への取り組み方

小中高で触れる数学は人間同士の間の競争という文脈と結構固く結びついている印象がある。大学以降も純粋数学を続けるなら、まず敵は人ではなく数学であり、対人戦ゲームではなく協力プレイのゲームであるという意識を持つところから始める必要がありそう。 まあ大学に入ってからも大学院に上がる際に院試があって、そこではどうしても対人の数学をやらなければいけないのだけどね。 僕は大学入試で2敗、修士の院試でも1敗してるので、もう対人の数学はあまりやりたくないですね…笑

書いといてなんだけど,小学校はそうでもなかったかもしれない.あと僕がこういう風に思ってるのは,高校受験とか大学受験みたいな受験戦争に身を投じたときに歪んだ価値観を植え付けられたからなのかもしれない…

これに対するくるるさんのコメント.

なんでもとあるアメリカの大学教授が、黒人学生が微積分でつまづくのをなんとかしようと観察・調査をした結果、白人やアジア系学生はグループで勉強し簡単なミスや勘違いを素早く修正できるのに対し、黒人学生は一人で勉強し細かい点で時間をかけすぎる傾向にあることを発見したそうで(続く) 小中高で触れる数学は人間同士の間の競争という文脈と結構固く結びついている印象がある。大学以降も純粋数学を続けるなら、まず敵は人ではなく数学であり、対人戦ゲームではなく協力プレイのゲームであるという意識を持つところから始める必要がありそう。 黒人学生もグループで勉強するように誘導したところ劇的に成績が改善し今ではむしろ黒人学生の方が平均値が高くなるようになったそうで。「負けたくない」「バカにされたくない」という意識は小中高でも十分ネガティブに働くのではないかと思う。 とはいえ、コミュ障の私にはどうも納得いかない面があるわけなのですが。まあとりあえずそういう研究・実践の報告があるということで。ちなみに本の文脈では、「黒人は数学ができない」というステレオタイプが最初に挙げた傾向の違いに影響しているという話になります。

何にせよ一人で勉強を続けられること自体が異常よりの行動力の持ち主です. 役に立つわけでもない話ならなおさらです. ここが私の領域だとも思うので通信講座は続けなければと思います.

最近のフロントエンド事情

プログラミングの話です. 細かなツールチェーンの話はいまだに山程あれど, 基本的にはReact一強にはなったため前よりは勉強しやすく, 取り組みやすくなっている印象があります. ツールチェーンも日々新しいのが出ているとはいえ, いろいろなモノをごちゃごちゃと組み合わせるのではなく, 簡素化の方向に向かっているのも有り難いです. もちろん開発者自身がもう耐えられないのでしょうし, Denoは明確にそこに舵を切っているようです.

それはそれとして書きたいのは高速化とRustの利用です. Rustは少なくとも他のメジャーな言語には搭載されているメカニズムがあり, 単純にそれを使った実装に興味があります. 前に微分方程式のプログラミングで少し使ったことはあり, 慣れないため面倒なことこの上なかったものの, バグを生みにくいプログラムを作るための面倒さ, もっと言えば既存の言語の悪癖の修正を促す言語という点がかなり気になっています.

そしてもう一つの高速化に対する明確な強い欲求が気になっています. アルゴリズムとデータ構造の話はそれ自体面白くなってきましたが, 高速化・効率化に関わる明確なご利益がある議論でもあります. そしてRust自体の速度だけではなくアルゴリズム上の工夫もたくさんあるようで, Rust+アルゴリズムはもっと面白い世界になっていくのではないかと見ています.

AOJを見ている限りではRustの競プロコードはそれなりにボリュームがあり, HaskellやF#ほどの簡潔さはなさそうです. 長いコードは読むのに体力を使い, Haskellでよく思うように短すぎても読みにくく, F#の程々さが気に入ってもいるためしばらくRustはお預けですが, 何かしらのタイミングでもっとしっかり勉強したいところです.

高橋憲一『コペルニクス』

先日『チ。』が微妙に燃えた影響でいくつか関連コメントが出ていました.

『チ。』で近世の天文学に関心をもった方にはこの本が超絶オススメ.若い読者向けということで「話し言葉」で書かれてあるのですが内容は初学者に配慮しつつも本格的.科学史という学問がどういった手法で過去の天才の思想と対峙しているのか,第一人者が手の内を明かしてくれている点にも大注目で コペルニクスが地球を動かした理由をどう考えればよいのか?高橋憲一先生の立場を結論から言います.

一般的にいって何らかの主義ないし信念をもちさえしたら「太陽の静止」と「地球の運動」の観念が得られると考えることこそ天文学研究の現場を素通りした想定だと言わなければならないであろう.

ここでの主義とは,コペルニクスの場合は新プラトン主義(とヘルメス主義)による「太陽中心」へ影響を想定しています.これをきっぱりと否定するのですが,その根拠の示し方に私は著者の史料への誠実さを感じるわけです.新書には収めきれなかった議論を少しご紹介します. まずコペルニクスは「ヘルメス・トリスメギストス」を「トリメギストス」と誤記しています.私であれば誤記は毎日のことですが,コペルニクスが「主義者」であれば,この誤記を見逃すわけがない.Twitterであれば,直ぐに引用RTで「間違ってますヨ」とマウントを取られるところです😂 また新プラトン主義者であるフィチーノは「太陽=神=宇宙の中心」というようなことを『太陽論』(『原典 ルネサンス自然学 上』に邦訳あり)で語るのですが,それは⬇のようなイメージ(月・水・金・「太陽」・火・木・土)であり太陽が宇宙の中心(最低部)でありません. 太陽のある「そこ」を「宇宙の中心」と見なしたのがフィチーノの斬新なのです. なお「地球中心から太陽中心への転換」はこの新書のクライマックスの一つではありますが,科学の歴史というものをどう検討すればよいのか?ということ考える実例として秀逸な本ですので,広く読まれて欲しい本です. 訂正:フィチーノ『太陽論』は「下巻」⬇です.なお訳者は,フィチーノの「太陽中心」(というより太陽中央というべきと思いますが)はコペルニクスに影響があったのでは??という期待を持っているようです. https://unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-0881-5.html

アムロが教育するとしたらどうなるか

教官としてのアムロ、「どうすれば自分のような反射速度や判断ができるか」を真面目に考えると思うので、「反応出来なくても対応できるようにしよう」って教え方をすると思うんですよ 後ろから攻撃が来る場面を想定するなら、「反応しろ!」ではなく「こういう時は後ろからの攻撃も考えておく」とか カミーユに「後ろにも目をつけるんだ!」は「お前なら俺と同じく感覚を使えるんだからやれ!」なので、部下や生徒とかにはかなり基本に忠実になりながらも自分の経験を踏まえた的確な指導が飛んでくると思いますね ファンネルとかなら「オールレンジ攻撃はいかに的を絞らせないかだ、回避に専念するのではなくダミーを展開しつつ敵機への牽制をやめてはいけない」とか、「接近戦であればパイロットの気を反らしやすい、複数機でのダミー撹乱をしつつ一撃離脱を繰り返すんだ」とか、かなり具体的かな、と

この「反応出来なくても対応できるようにしよう」的な話がすごい好きで, また今後の教育関係の動きでも大事だと思うので自分用の備忘録も込めてシェアします.

地理学習

地理情報サイト「Geographia」を公開します。 地理の教養記事、受験に役立つノウハウや各種記事のピックアップ、地理関係書籍の情報を共有していきます。 「誰もが平等に学ぶ機会を」 これをモットーにコンテンツを充実させていきます。 応援いただければ幸いです。 https://itgeographia.com

まだ見切れていないものの, 地理は理系向けの人文系の切り口としてかなりよいという感覚があります. 今後きちんと勉強したいので自分用備忘録も兼ねてシェアします.

2022-10-15

数学・物理 基礎が必要なら早めに・徹底的に/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 基礎が必要なら早めに・徹底的に
  • 河東YouTube講義録: エニオンの圏論的対称性と作用素環
  • 第二不完全性定理と「コーディング」への依存関係
  • 図解する整数論
  • 藤岡敦『学んで解いて身につける 大学数学 入門教室』
  • 永井セミナーの動画: 機械学習による材料物性シミュレーションの高速化
  • 続 熱力学・統計力学学習の指針
  • 熱力学の復習メモ
  • 神学大全の羅和対訳

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

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近況報告

ここ最近急に気温が下がって体調がいまひとつでやる気も出ないため, 無理せずのんびり関数論の勉強をしていました. 久しぶりに少しアドバンストな勉強でもしようかと, 複素代数幾何への応用を意図した多変数関数論の入門の本を読んでいたところ, やはり代数の基礎が足りていないのを痛感しました. 最終的に関数論はもっときちんとやろうと思っているため, 何となく代数のノート作りを並行して進めていました. 学生時代に一度勉強していたとはいえ, 大して使っていない以前にやり込みさえ甘かった分野はなおのこと身についていない, 身につかないのを痛感させられました.

ノート整理をしていたら, 細かい精査の必要性を認識しつつ, 幾何のノートを早く充実させて作り切りたい気分が高まってきています. 少なくとも現状では研究にまで届くような内容への興味だとやはり解析学が中心で, 幾何で興味がある分野と内容は基本的な部分がわかれば当面は十分です. 一般論としては位相幾何(トポロジー), モース理論, 指数定理が揃えたいです. (多変数)関数論は私の中で解析学判定もありますし, ホモロジー代数も必要な範囲は位相幾何とモース理論を勉強すれば, ある程度はノートができるでしょう. あとは多変数関数論と代数解析を進めれば層のコホモロジーの基本的なノートが充実するはず.

復習・整理していると, やはり控え目に言ってもリリースできるレベルではありません. 定着のためにのんびり復習する時間も作って, リリースに向けた準備をはじめたいです. 書きっぱなしなので最低限の整備でさえ一年半はかかるでしょうけれども. そういえば多様体の基本的な内容もノートが作り切らずに止まっています.

一般論が整備できれば, 具体例と計算フェーズがもっと楽しくなります. 微分幾何もよくある2-3次元での曲線論, 3次元空間内の曲面論と一般的なリーマン幾何の対応が見えるノートを作りました. ずっと精神的な重しになっていた内容をクリアしたので, 具体的な計算で遊び倒すモチベーションも高まっています.

あと数ヶ月やっていたAOJも飽きてきた上に, 進めていたAOJの基礎教材はHaskellと相性がよくなさそうで, F#に慣れた頭でOCamlもつらいため, AtCoderに戻ってきました. 基礎教材と問題という違いもあるのでしょうが, 何となくHaskellとの相性もよく, Haskellerのコードが簡潔・明快で読んでF#に翻訳するだけでもよい勉強になっていて, とても楽しいです.

AtCoderで優先度つきキューを使うとよい問題が出てきて, HaskellではIntMap, F#だと集合を使った解法がありました. .NET6で優先度つきキューが入ったようですが, .NET core 3のAtCoderでは使えず, しかもちょっと微妙な仕様のようで閉口しています. AtCoderに戻った途端にデータ構造学習の基本的な課題に当たったため, この数ヶ月の苦闘も無駄ではないものの, (F#による)関数型データ構造学習の道のりはまだまだ長いです.

C/C++やRustでやればよいのではという話もあり, Rustは興味があるものの, 「F#を書いて遊びたい」がモチベーションの一つになりつつあるため, なかなかうまくいきません.

自然言語で「英語は好きではないがフランス語はとても肌に合う」と言った話を聞いてそんなものかと思っていましたが, いままさに「他の言語ではなくF#を書きたい, F#で遊びたい」になっていてこういう感覚かという思いです.

基礎が必要なら早めに・徹底的に

近況報告に書いた話の続きです. いま代数のノートを作っていて改めて実感しています. なまじある程度知っているだけにノート作りが面倒で仕方ありません. かといってさぼると, あとで本を探すときにふだんその分野の本を読まないため奥に追いやられて手繰り寄せるのも面倒なのも実感しました. 思い立った今やるしかないと歯を食いしばって進めています. 先々の面白い話を知っているのもさっさと終わらせたい嫌な気分に拍車をかけます.

対照的に, 物理の勉強の場合だと少なくとも一度はまじめに・徹底的に勉強した上で, 改めて基礎の繊細な部分を徹底に考え直す側面があり, 逆に新たな発見というか楽しみが生まれてくるのが面白いです. いままさに作っている熱力学ノートでそれを実感しています. 学生時代に勉強した, 最低限知っている内容であっても, 明らかに理解が深まっていて理解できる内容もそこにいたるスピードも上がっています. 学生時代に物理学科だったご利益を実感しています.

先々の面白い勉強を進めたい人は多いと思いますが, いつかどこかで基礎に向き合うことになるのはよく覚えておいてください. ここでいう基礎はハードな計算を遂行しきる計算力も含んでいます.

河東YouTube講義録: エニオンの圏論的対称性と作用素環

面倒になったので転記をさぼりましたが第九回まであります. 第一回しか見られていないものの, ヤング図形の解説をはじめてまともに聞いたのですが, これがなかなかよかったのでそれだけでも聞く価値があると見ています.

第二不完全性定理と「コーディング」への依存関係

第二不完全性定理が、多くの自然なコーディングに依存していることは不完全性定理の研究者を除きあまり知られていないけど、証明はともかくその事実だけは割と知られていて良いと思っている。このサーベイがかなりわかりやすく説明されていて、intensionalityと言っている。

最近計算機科学にも興味が出てきて, その中である程度集合論の議論の要素を見かけます. 集合論ノートも作りたいと思いつつ幾星霜です.

図解する整数論

図解する整数論 - 丸善出版 https://buff.ly/3yAHsgO この本,ヤバいです,面白すぎる.最初の数え上げからこの手があるのかの連続で,平方剰余の相互法則が力学系で証明されていたり,ペル方程式の解を2次形式のトポグラフという図形的な手法で構成されています.素晴らしすぎる.

私も広い意味では$C^$-力学系・$W^$-力学系として力学系の基本的な部分を勉強・研究していましたし, 研究会で作用素環関係の力学系の話題にも触れていたため, 数論と力学系のようなテーマなら数論にも興味が持てそうな感覚があります. エルゴード理論・確率論と数論という話もあります. 数学としてのエルゴード理論は射程範囲が長いので, これもいつか解析学からのノート作りに勤しみたいです.

藤岡敦『学んで解いて身につける 大学数学 入門教室』

『学んで解いて身につける 大学数学 入門教室』 「本書は、このようなことから生じる高校までの数学と大学以降の数学の間のギャップを埋めるための教科書である。」

一定数興味がある人がいそうなのでシェアしておきます. 藤岡さんが最近書いている「手を動かして学ぶ」系は評判がよいようです. 内容は確認しきれていませんが, ここ一年私が主張し続けている計算の重要性もまさに手を動かして学ぶ系のコンセプトで, 様子を見る限り大きな方向性は同じようです. その大方針も合わせてお勧めです.

永井セミナーの動画: 機械学習による材料物性シミュレーションの高速化

そういえばこの前1時間位「機械学習による材料物性シミュレーションの高速化」って内容でオンラインセミナーしてきたのですが、その動画が公開されました。 |【オンラインセミナー】第3回 アドバンス・シミュレーション・セミナー https://youtu.be/KMLDPsktQ-w @YouTubeより

最近統計勉強会ではJuliaの統計パッケージを読むのに飽きてきたためsympyのコードを読んでいます. 高速化を意識したコードをしばらく読んでいたからか, sympyのコードで簡単で本当に微々たる量ではあっても, 明らかに効率化できるコードを見て「書き換えたい」と思うようになる程度には高速化への意識も芽生えてきました. まだ見られていないのですが, 気になってはいるのでメモついでにシェア.

続 熱力学・統計力学学習の指針

前回は熱力学の話をしました.

今回は統計力学です. はじめに断わっておくと熱力学と違って統計力学を数学的にきちんと議論しようとするのは勧めません. 単純に血反吐を吐くほど難しいからです.

まず数学方面の興味がある人向けに書いてしまいましょう. 例えば量子統計で言えば平衡状態の存在そのものがいまも論文になるレベルで大変です. もっと言えばBECがあるため自由場の議論さえ数学的にきちんと議論するのは大変です. 新井朝雄先生の「量子統計力学の数理」も自由場のBECが一つの山です. そんな中, 物理的な意義もおさえながら統計力学の基礎を勉強するのにお勧めなのは, 原・田崎の「相転移・臨界現象の数理」です. イジング模型には可解格子模型のようなテーマもありますがこれはもっと地味な議論です. しかし逆に物理学科の物理にとっても意義のある形・内容なので, 数学的に完全に厳密に物理にアプローチしたいならお勧めというかぎりぎり限界の内容です.

次に物理学科水準で統計力学の基本的な内容を勉強するときのポイントです. 結論から言えば, これも田崎さんの統計力学を読むのがいいだろうと思います.

統計力学には凄まじく多彩な展開があります. 先日沙川さんの非平衡統計力学の本も紹介したように, もはや非平衡統計も完全に市民権を得ています. 統計力学自体, たいていの物理学科では学部三年程度でようやく必修として処理できる内容です. そして四年では完全に研究室配属で専門的な話題の準備にうつるでしょうから, 基礎を修めたあとはもうゴリゴリの専門に向けたテーマの本に挑むはずです. 何を勉強するにしても大事な基礎となると本当にオーソドックスな内容を丁寧に勉強するのが一番で, 田崎さんの本ではシュレディンガー方程式系の議論に基礎を置いた量子力学の話も基本的なところから解説してくれていて, 偏微分方程式を駆使する(20世紀型の?)量子力学への導入にも使えて便利です.

熱力学の本も同じで, 田崎さんの本はとにかく丁寧なのがよい点です. 比較的最近の本なので物理的な基礎づけとエルゴード理論の(無)関係などにも注意があります. 強いて言えば二巻あって長いと言えないこともありませんが, 丁寧さの裏返しと思った方がよいでしょう.

応用に関する部分でも書いたように, この本だけだとさらなる魅力的な現象へのアプローチや具体例の計算が足りません. 熱力学の本でも引用があるように, 埋める一つのアプローチは久保亮五編の演習書です. なくしたようでいま手元にないので記憶で書くと, まず物理学科向けなのでかなり難しいです. もちろん最新のトピックもありません. それでも統計力学の幅の広さは実感できる特異な本です.

私は物性の数理物理に進んでしまったため, 物理としては深いものの極端に狭い世界しか把握できていません. ただそこまで広く深く勉強したい人はもはや研究志望の大学院生くらいで, もう私の手に負えるレベルの人ではないでしょう. まずは熱力学・統計力学ともに素直に田崎さんの本を読んでもらうのがいいと思っています. その先はもうほぼ研究水準です.

熱力学の復習メモ: エントロピーが温度をパラメーターに含まない理由

冷静に考えると大した話ではないものの, 本腰を入れて勉強し直したご利益的な形でいい気分なのでメモがてら共有します.

何というか, 完全な熱力学関数としてのエントロピーが温度をパラメーターに含まない理由がようやく腑に落ちました. 全くもって高尚な話ではなく, 断熱系の定義のもと, 断熱系の状態間遷移を制御する量としてのエントロピーという既に知ってはいた定義を整理しつつ認識し直して, 改めて熱力学の理論の構造が見えてきて, 当たり前のことを当たり前と言えるようになりました. 田崎さんの本の二章の定義は本当に大事なので, 田崎本を読む人はぜひ注目して読んでください.

念のため簡単に理由を書いておきます. 温度は外部の環境に関するパラメーターとして熱力学に導入されます. 一方断熱系はいわば孤立系の議論で環境の情報は持ちません. 外部環境と比較した上でしか出て来ない温度の情報を使って断熱系を特徴づけるのは原理的に不可能です. これが断熱系の完全な熱力学関数がエントロピーが温度をパラメーターに含まない理由です. わかる人にしかわからない説明かもしれません. 勉強会つき通信講座の形でノートを公開する予定なので, 興味がある人は楽しみにしていてください.

さらっと流しただけの代数や幾何と違い, 一度自分なりに徹底的に勉強した上での物理の復習は頭が整理されてとてもいい気持ちです.

神学大全の羅和対訳

なんと,慶應の上枝美典先生による『神学大全』の羅和対訳がGitHub上に公開されているだと・・・. http://ueeda.sakura.ne.jp/translation/

人文系でもGitHubの活用があるようで, インフラとしてのGitHubがどんどん広がりを見せているようです.

2022-10-08

数学・物理 ノーベル物理学賞は量子情報: ベルの不等式/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 社会の厳しさ
  • 「チ。地球の運動について」
  • 磁性の数値計算
  • 熱力学・統計力学学習の指針
  • 技術資料のあり方

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近況報告

ノーベル物理学賞はいままさに通信講座で展開している部分とも重なる量子情報, ベルの不等式に関わる議論で個人的にはとてもタイムリーでした. ベルの不等式は一連の不等式を指し, それぞれがいろいろな状況を扱っていて一概にこうとは言えないようですが, 面白い議論がたくさんあるのは間違いありません.

いまの通信講座でも一連のベルの不等式のうちCHSH不等式を扱っていて, このCが今回授賞対象のクラウザーです. ここ一年ずっと言っている具体的な計算・線型代数の計算・行列の計算の文脈からもドストライクです. 次の通信講座も予定ではいまの続きで, 線型代数の一般論を量子力学に役立つ形でゴリゴリ具体的に低次で計算するスタイルで続けます. 興味がある方は楽しみにしていてください.

特殊相対性理論のノートも力学部分は大まかに作り終えました. まだいろいろな本やPDFなどの切り貼り状態なので, 後で見たら「何だ, このわかりにくい構成は」となるはずです. このまましばらく寝かしておいてから整理して, 一定のレベルになったらまた通信講座としてリリースする予定です.

学生の頃, 学部三年で勉強したときは量子力学・統計力学と同時平行で進めていて, それぞれ計算も大変で物理どころではない状態で, 物理の理解以前で止まっていました. ようやく一歩踏み出せたのでこれからのさらなる追い込みが楽しみです.

これから熱力学ノートをざっと整理して, イジング模型の数理物理に進む予定です.

社会の厳しさ

「数学やってます」と言ったら心底嫌そうに顔を顰めて「しっしっ」と追い払う動作をされたことがあり,それをやられたらもう,自分は仮に自分の大嫌いなこと(それがあったとして)に従事している人が目の前にいてもそんなことをしないという誇りを胸に生きていくしかないと思った.

最近のTwitterでは「数学をやっていると言って嫌な目にあったことがない」との話をよく目にするようになって, そんな異世界があったのかと衝撃を受けていたものの, やはり社会はあったと現実を思い知らされた気分になりました.

「チ。地球の運動について」

『チ。地球の運動について』というマンガが人気のようです.コミック売り場で平積みになっていたりします.近世の地動説をテーマにしていますが,科学史的にはありえない話ばかり.近世の政治史,宗教史からも突っ込みどころ満載ではないかと思います.

実はこの手の成文化された批判を心待ちにしていました。最終巻を読むと、あの異端審問官が一体「誰」なのか分かるとともに、事実を反映しない云々の批判が瞬時に無効となります。

未読の漫画なのですが気になる話があったのでメモがてら共有です. ガリレイの異端審問的な記述に関して無茶苦茶だが, 最終的などんでん返しがあり, それを知ってもまだなお不満があるという話もあるようで, どんな話なのか逆に気になっています.

磁性の数値計算

イジングの数理物理をやる一方, 永井本を読んで, 改めてプログラミングネタとして格子模型をやるといいのでは, という天啓を得たため適当にツイートしたら教えてもらいました.

(答えてもらっておいてなんですが、専門外という事を含めていただいて話半分に聴いてください) 古典と量子で色々と異なる気はしますが、ネット上だと 川島直輝, 物性物理におけるモンテカルロ法(第52回物性若手夏の学校(2007年度)講義ノート), 原田健自, 量子モンテカルロ法の最近の発展とかでしょうか。 本だと計算物理〈3〉数値磁性体物性入門 基礎物理学シリーズが良かったと記憶してます。

数値計算でトロッター公式や経路積分といったテーマも重なるようで, 線型代数の一般論ネタとしても昇華できる部分があります. 富谷さんのツイートを見ていると, 物理学者向けのプログラミング教育的な部分も全然足りていないようなので, そこにも貢献できるようなことができればな, と妄想しています.

熱力学・統計力学学習の指針

これからまさに私自身これらを再学習します. 学生時代物理学科で一通りやっていて, イジング模型の数理物理については原・田崎のイジング本の査読に参加して謝辞に載せてもらった程度には勉強しているため, 直接役に立てるのも難しいと思うかもしれません. 逆に数学色が強い人間から見た勉強のつらさといった視点で何がどうつらいのか言える部分もあるので, 興味がある人はぜひ参考にしてください. ノートを整理したら通信講座も展開する予定です.

まず熱力学はここに田崎本・清水本の書評を書いています. これも参考にしてください. 清水本は2021年に二巻本として第二版が出ていますが, 私は一巻本の第一版しか持っていません. 内容・構成が大きく変わっているかもしれませんが, ここでは第一版に基づいた記述にします.

おそらく多くの人はエントロピーを理解したいと思うでしょう. どう書かれればわかりやすいと思うかは人によって大きく変わる点に注意が必要です. 古い(?)統計力学の本だとエントロピーは乱雑さを表すと言ったりしますが, 熱力学のレベルではそんな話は原理的に出てきません. 統計力学をどういう立場で捉えるかもあります. 少なくとも熱力学(だけ)を勉強するなら乱雑さの視点から捉えるのはやめた方がよいです.

最近の新しい本は調査できていないものの, とりあえず熱力学は田崎本と清水本を読むのがいいでしょう.

特に初学は田崎本を勧めます. 気体の力学的扱いからはじまって状況を表す図も差し込まれているため, 理論を直観的に理解しやすいはずです. 力学を軸にした熱力学の理論の立て方に慣れたあと, 断熱操作を軸にしたエントロピーの立ち位置を明確にしていて, 熱力学としてのエントロピーの意義が見やすい構成になっています.

あともう一つ, 初学にお勧めの田崎本の圧倒的な利点があります. それは完全な熱力学関数の記号的な識別です. 例えばヘルムホルツの自由エネルギーといっても, 何を変数としているかによって熱力学的に持つ情報量が変わります. 系の完全の情報を持つのは適切な独立変数を持ったときだけで, その場合に関数の引数を角括弧で書く区別をつけています. これだけでも熱力学の議論の見やすさが段違いです.

社会人や非専門の人だと時間もないでしょうから田崎本一冊読めばそれで十分です. もっといろいろ勉強してみたい人は清水本を読むといいでしょう. 次にこちらの特徴を書きます.

田崎本のいいところはよい意味で熱力学に閉じて, 熱力学の理論構成を教えてくれます. 一方, 清水本は物理の中の熱力学を教えてくれます. 例えば場の量子論や統計力学, 相対性理論との関係も一章割かれています. 他には離散的な量であるはずの物質量を連続とみなす感覚の説明もあり, 物理として明らかに一歩踏み込んだ記述があります. おそらく相当物理に慣れていないと読めません.

もう一つ, 初学者殺しになりがちな清水本の特徴があります. 著しく数学的な記述スタイルです. ここでいう「数学的」はいわゆる厳密な論理展開といった話ではありません. 実は清水本では田崎本と違ってエントロピーから話がはじまります. そして次のように議論が進みます.

  • エントロピーという量が大事なことがわかっている.
  • こういう量として定義する.
  • エントロピーが持つ性質を解明しよう.

この「まずとにかく大事な量・概念を定義する」, 「何だかわからないまま話を進める」スタイルがいかにも数学の議論の趣があります. 特に途中までは具体例の計算もかなり少ないように思います. ふつうの物理の本のスタイルではないことも難しさに拍車をかけます. 念のために書いておくと数学関係者なら読みやすいかと言うとそうでもありません. 肝心の物理部分が難しいので物理に対するかなり高い耐性が必要だからです. そういう意味ではまずは四の五の言わず田崎本を読んだ方がいいでしょう.

本当は統計力学も書こうと思ったのですが, 長くなったので次回に回します.

技術資料のあり方

よく技術資料を書く人間としては背筋が伸びる資料だった。よく整理されていると思った。A群向けの記事を書きたいと常々思いつつ、B群向けの記事を執筆・量産している気がしてならない/テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について

A群とB群はリンク先のPDFで次のように定義されています.

  • [A群] 組織に少数ながら隠れて存在する、独立した頭脳を持ち、試行錯誤を好む、実質的技術的決定権者たち
  • [B群] 組織の経営事務的機構(サラリーマン的集団)

私もA群と解されるような人達向けの情報を出す方だと思いますが, もっときちんと考えてやるべきなのでしょう.

今週の問題

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-10-01

数学・物理 格子模型の数値計算が面白そう/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 計算統計・計算物理の諸手法
  • 機械学習のための関数解析入門, 線型代数対話
  • 同値な主張の言い換え
  • 関真一朗, グリーン-タオの定理
  • 中平健治, 図式と操作的確率論による量子論
  • フォンダ, クルツワイル-ヘンストック積分入門
  • 小学校でのプログラミング教育
  • ラテン語派生語表
  • 人生のはじまり, 勉強の我慢
  • 今週の問題

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近況報告

ここ最近いまひとつ気分が乗らずメルマガが隔週になってしまっているものの, 数学・物理・プログラミング自体はのんびり進めています.

統計の勉強会で永井本のイジング部分を読んでいます. 微分方程式はあまりにもつらいものの, 何かしら物理に関わる数値計算はやりたいと思っていたところ, 改めて格子模型をいじっていたら「そうか, これもあるか」と今更ながらに気付きました. 格子模型の数値計算ネタや本がないか, 勉強会で読み終わったらちょっと永井さんに相談してみようと思っています.

あと最近よく触っていて, Juliaの統計パッケージのライブラリ読みも飽きてきたので, sympyのソースを読もうかとも思っています. プログラミングも改めて純粋に数学・物理に絡んでくるような方向が見えてきたので, とても楽しみです.

数学・物理に関しては通信講座関連で特殊相対性理論ノートがもう少しで雑に組み上がります. 一般相対性理論はいまひとつやる気が出ないので, 特殊相対性理論ノートができたらいったん熱力学ノートを作り, イジングでの統計力学ノートを作る方向に進もうと思っています. 上で書いたようにイジングは数値計算もセットで遊ぼうと思っていて, いまから楽しみでなりません.

計算統計・計算物理の諸手法

これ講義聞いてみたいと思うでしょう.ところが実は動画が全部無料で公開してるんですが https://sites.google.com/view/lecture-algorithm/ なぜか誰も聞きにこない.

そしてネット上で入手できる壮大な文献リストまでついているのである https://sites.google.com/view/lecture-algorithm/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/%E6%96%87%E7%8C%AE%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88

計算物理関係の文献リストもあるのですが, いまひとつ何からどう読んでいけばいいかわかりません. よく知らないところに対して文献リストをボカンと出されても困るのを改めて実感しています. 今年に入ってからの通信講座・計算練習もこの反省というか実感に基づいて展開しています. よく知らない上に吟味する時間も取りにくい状況だとそれだけで困るので, とりあえずこれをかちっとやろうと出してくれると楽だろうと.

機械学習のための関数解析入門, 線型代数対話

これ(機械学習のための関数解析入門)は名著です。関数解析ガチ勢は、著者が「何を狙ったか」たぶんすごくわかって感動するのでは。内容は易しいが、理念はあくまで高い!

ありがとうございます!『線型代数対話』もいずれは関数解析までいくつもりなのですがまだ道は遠いのです。関数解析の方にむしろ読んで(ニヤリとして)いただきたいのは『指数関数ものがたり』ですね(付録は圏論)。下記Grassmannianさんという方のレビューが詳しいです。

11,12章は著者の専門に若干寄せた発展的なトピックというところだろうか。Fourier変換からGelfand変換へと話を進め非可換確率論に触れ、超関数を定義し中心極限定理で幕が下りる。本当はここからさらにBrown運動の話をしようと思っていたらしい。続編に期待したいがそれは演習問題とされていた。 私は付録がとても面白いと思った。本文で位相の話ができなかったからということで、圏論的に集合、超準解析、距離空間を取り扱っている。

西郷さんは比較的専門が近いので前からかなり気になっています. 『指数関数ものがたり』も読みたいですがとにかく時間がないですね.

作用素環も学生の頃にノートをTeXで作ろうと思ったものの, あまりに時間がかかるので断念した記憶があります. 今から思えば時間がありあまっていた大学院の頃にこそやっておけばよかったと非常に後悔しています.

同値な主張の言い換え

函数fについて、「任意のxについてf(x)は0以上」と「fの最小値(正確には下限)は0以上」は同値な主張ではあるが、学生視点だと前者の方が圧倒的に難易度が高い。それくらい(数学者以外の)人間にとって述語論理は難しくて分かりづらい。 現実に学生を指導する際には、「正確には最小値でなくて下限だけど、下限概念は難しい」とか「前者のように理解する方がより自然」とかあったりするわけですが、前者のような表現が学生の理解に負担をかけていること自体は意識したいと自戒。

この手の言い換えは受験数学のテクニックみたいに思われがちだけど、大学以降の数学でも実は大事で、リーマン積分の理論は過剰和と不足和を導入することで実質的にこの手の言い換えを駆使して記述を大幅に簡略化しているんですよね。 こういうものの見方は私も最近できるようになったもので、学生時代の理解力だと教科書や授業ノートの議論をフォローする(それもできたのか怪しい……)ので精一杯で全然ゆとりがなかった。 これぞ年の功である。

最近よく引用する森の未知さんのツイートです. 森の未知さんはかなり教育熱心で, かつツイートで知見を共有しているのでとても参考になります.

ちなみに上記引用の一番最初のところ, 実際にどちらの方がわかりやすい・わかりにくいというのはあるでしょうか? 私はむしろ前者の方がすっと入るくらいですが, それほどふつうではないと聞いてむしろびっくりしました.

関真一朗, グリーン-タオの定理

実物を見てない人がわいわい言うのはアレかもしれないですが、これ多分名著なので皆さん買いましょう。 というのも、この手の本にはしてはとても珍しいことにself-containedらしいんですよね。

グリーン・タオの定理 |朝倉書店 「素数には任意の長さの等差数列が存在する」ことを示したグリーン・タオの定理を少ない前提知識で証明し,その先の展開を解説する。〔内容〕等間隔に並ぶ素数/セメレディの定理/グリーン・タオの定理/ガウス素数星座定理/他。

21世紀に発見された大定理を一冊の本でself-containedに証明全て説明すると普通はガチ専門家にしか読めない本になるわけですが、非専門家(と言いつつ学部レベルの数学はある程度知ってた方が良いかもしれないが)向けで証明全て説明するのはとても珍しいです。

これも森の未知さんツイートです.

ちなみに関さんはいわゆる素数大好き人間です. 私は学部が物理, 修士は解析学専攻だったのであまりこの手の人に実際にお目にかかる機会がなく, 関西すうがく徒のつどいではじめて話を聞いたときに「素数大好き人間, 本当にいたのか」と思った記憶があります.

中平健治, 図式と操作的確率論による量子論

いま通信講座もやっている量子力学関連でまた本が出ます. いわゆる「21世紀の量子力学」的な内容でピンと来る本にいまだに出会えていないのですが, Twitterでの様子を見る限り, 中平さんの議論のスタイルはかなり肌に合いそうなのでとても気になっています. Amazonでもうポチっておきました. 10/21発売だそうなので到着が楽しみです.

フォンダ, クルツワイル-ヘンストック積分入門

リーマン積分とゲージ積分で微分積分学の基本定理の主張と証明がどう違うのか比べると結構面白い。 リーマン積分だと証明に平均値の定理を使う関係で被積分函数の可積分性の仮定が必要だが、ゲージで区分だと単に微分の定義なので被積分函数の可積分性は仮定ではなく結論となる。

これまた森の未知さんツイートで, 私の中で微妙な盛り上がりを見ました.

ルベーグを一般化できている面もあるようで, 何年も前からそれなりに気になる話ではあります. 私がルベーグ積分を使う・使いたい場面は, $\mathbb{R}^n$を越えた一般の測度空間上の議論が大事な局面が多いので, どこまで「使える」のかが気になっています.

関数解析・関数空間論的な方向も重要で, クルツワイル-ヘンストック積分可能な関数の空間論がどこまで論じられているかも問題です. ここがよい性質を持ってくれていないと使いづらく, リーマン積分の一般化だけに集中されて関数空間論に踏み込んでもらえていないとさすがに食指が伸びないですが, そこまで調査する気力と時間がないです.

どなたかご存知の方がいればぜひ教えてください.

小学校でのプログラミング教育

オープンアクセスになりました。無料でPDFをダウンロードできます。 ついに始まった小学校プログラミング教育 -その現状と課題-, 情報処理, Vol.61, No.8, Aug. 2020 http://id.nii.ac.jp/1001/00206050/

中高生向けの動きで何をするかずっと考えているので, 参考資料としてメモ+共有です.

ラテン語派生語表

題名は「ラテン語派生語表」だが、内実はラテン語由来の英単語を系統的に集め訳語を添えた解説書、ラテン語幹を記憶の鍵とし芋づる式に英単語を整理できる。ラテン語の英訳と和訳に用いた漢字とがなるべく意味の上で一致するよう配慮、相互関連が看取し易い。まさかの無料😳 http://bit.ly/3c8rIWs

ラテン語は学術用語として数学・物理に息づいています. そんなかたいことを言わずとも, アニメ・漫画・ゲームでもちょこちょこと出てきます. 文系人向けの「語学からの理工系入門」的な調査も進めているのでそれ用のメモ.

人生のはじまり, 勉強の我慢

二十台半ば、既に人生は本番中だったと気づいた。その頃は、まだ人生の準備中で勉強したり経験を積んで力を蓄えているのだと思い込んでいた。でも、それでは何もできないで終わると気づいた。今も時々思い出さないと、勉強や成長の快楽に逃げてしまう。 だから、何かを勉強してできるようになったら挑戦するとか、自分自身にとって大事なことを先延ばしにしている人には、あなたの人生も本番が始まってますよと言ってあげたい。勉強が得意な人生を歩んできた人ほど、この事実に気づきにくい。 確かに何かの目標に向けて勉強が必要という場面はある。しかし、自分の場合は、本能的に勉強が好きだから、勉強するのは仕事をサボっていることが多いと自覚している。だから、がんばって勉強するという精神がわからない。むしろ、勉強を我慢することが大事だと思ったりする。 研究者になる人にとっても、勉強フェイズから研究のフェイズへの遷移は難しい課題だ。勉強すると、短時間でたくさんの知識を蓄積できるのに、研究をすると、ほんの少しの知識を生み出すのに、無駄に終わるかもしれない行動をたくさん取らないとならない。

上でもずっと書いているように, 勉強ばかりで中高生向けの活動を行動にうつしていないので非常に反省するツイートでした. 地元の政治家に何か進める手立てが打てないか, 改めて話を持ちかけたので少しずつでも何か動かしたいですね.

今週の問題

つい先程ノートを作っていたローレンツ変換の導出に絡めて一つ.

ローレンツ変換の導出には光速度の不変性と相対性原理を使うことになっています. しかし実際には座標変換を線型変換に制限するために空間の一様等方性も使っています. 改めてノートを作って線型変換に帰着する部分の理解の曖昧さに気付きました.

こんなところも線型代数です. 特殊相対性理論でも線型代数は重要です. 一般相対性理論・微分幾何でも局所理論は線型代数で, ベクトル束とその演算としても線型代数は酷使します. 一般相対性理論の入門段階でそこまでどぎつい微分幾何は必要ないものの, もしあなたが数学としての幾何に興味があるなら避けては通れない対象です.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-09-17

数学・物理 興味が燃えてくるまで待ち, 耐える/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 興味が燃えてくるまで待ち, 耐える
  • Web上学習がつらい
  • 集合・位相, または微分積分・線型代数の通信講座
  • アメリカの中学生が学んでいる 14歳からのプログラミング
  • 今週の問題

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

感想をください

「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.

メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

近況報告

ここ最近, 通信講座の次の展開用に物理として相対性理論のノートを作っています. 学生時代は相対論的場の量子論用に特殊相対性理論を少し使ったくらいで全然身についていないので, まずはリハビリです. 微分形式といった部分にどこまで踏み込むかと思いつつ, 特殊相対性理論だけならそこまでいらないかとも思い, いろいろ検討中です. 一般相対性理論にいまひとつ食指が伸びないので, 復習がてら特殊相対性理論ノートを作ったら統計力学, 特にイジングのノートを作る予定です.

永井さんのJulia本にもイジングの話があり, それはそれで別途勉強会でいま読んでいるところなので, 数値計算との絡みももう少しやりたいですね. そこまで含めて楽しみが続いています.

興味が燃えてくるまで待ち, 耐える

近況報告にも少し書いた一般相対性理論の話です. 学生時代, 講義に出て一度は一通り勉強したものの, いまひとつ食指が伸びずいまもそのままです.

いま仕事でこれまでいろいろあって手を出してこなかったフロントエンドまわりの勉強をはじめていて, 強制力でゴリゴリ進められているのを考えると, 興味が出てくるなり必要に迫られるなりして本腰を入れたくなるまで待つのがいいか, と思ってとりあえず特殊相対性理論に集中しています.

学術界隈だと何かを理解したければ研究するのが一番だとよく言われます. これにあてはめるなら, プログラムだと何かしらプログラムを書く・開発するのが一番なのでしょう.

中高生向けの展開のために言語学やアルゴリズムなどの情報科学の基礎を勉強しはじめ, 学生時代はまるで興味がなかった言語設計などにも興味が出てきたほどです. 自然な興味の発展を待ってじっくりやるしかないかと改めて感じています.

Web上学習がつらい

主にプログラミングでの話です. 最近は公式ページが充実していて本当に助かります. 変な本や解説を読むよりよほどしっかり丁寧に書いてあることさえよくあります.

しかし私にとってつらいのはハイパーリンク系の発想そのものです. リファレンスを読むような必要な部分のつまみぐいではなく, はじめから順を追って勉強したいとき, どこからどう読むのがよいのかとてもわかりにくい点です. そしてリンクが張ってあるとそちらに飛んでいきたくなり, 順番がめちゃくちゃになって混乱します.

「コースが三つある. 初心者向け, 中級者向け, 上級者向けだ. 興味・関心・状況に応じて好きなところからはじめよう.」と並列に並べられていて, 「あとで起点のこのページに戻って中級をやろう」みたいなのがもう面倒でたまらないです.

この点, 本は基本的にはじめから最後まで単線で読み進める前提で構成されています. 頭を使わず前から読めばいい点が本当にありがたいです. こういうスタイルの方がいい人もいるのでしょうが私にはつらいです. ウェブサイトやコンテンツを作るときの自戒として最近本当によく思います. 体系立ったコンテンツを何でどう作るべきか改めて気にしています.

ちなみに私のようにハイパーリンクに満ちたウェブ上の資源で勉強するのがつらいタイプ, どのくらいいるでしょうか? 結構気になっています. いま展開している通信講座は既存のコンテンツ・私の学習ノートがあるため, コンテンツの配布としてははじめに関連するPDFをドンと出した上で, 「今回の講座は全体の中のこれとこれとこれ, それ以外は時間があればどんどんやってほしい. もしくは講座の期間が終わってから復習がてらのんびり取り組んで」という形です. これももっと色々なアプローチがあるでしょう. 余計なコンテンツが入っていると混乱して嫌という人もいるはずで, いい形はずっとゆるく考えています.

集合・位相, または微分積分・線型代数の通信講座

当面は物理(の計算)系をメインに進めようとは思っているものの, 数学系をもっとやりたい人もいるのかもしれないと思っています. 以前文系プログラマー勢からコメントされたこともあり, いま量子力学や特殊相対性理論のノート作りでもsympyを使ったプログラムを改めてちょこちょこ貯めています. 以前作ったnumpy+sympyで中高数学に取り組むコンテンツも作っていますし, 数値計算系プログラミングを勉強したい理工人もいるでしょう. 既にいくつかモノはあるのにきちんと伝え切れていないとも思っているため, ずっと気にはしています.

Twitterにも少し書いた話で, よくプログラミングでは「何か作るのが大事で, ゲームやアプリを作るといい」と言われます. そして作るモノがない人が「自分はプログラミングに向いていないのか」と思ってしまう話もあるそうで. 「それなら計算したらいいじゃない」, 「競プロやるといいじゃない」というのが特に今年頭から私が模索している道です. それはそれで素数判定のミニコンテンツから先を作れていないため, そろそろ第二段を作らないとと思っています.

やりたいことがたくさんあって手が回らないので, どなたかよいコンテンツ作ってくれるとありがたいですね. がんばって宣伝協力するので.

アメリカの中学生が学んでいる 14歳からのプログラミング

アメリカの中学生が学んでいる 14歳からのプログラミング この本、パラパラ読んでたけどこれからプログラミング学びたい人はこっから入ると良さそうなくらい、いい本だった。

最近特に情報関係を再勉強中で, もっと具体的な本を必死に読んでいる最中で追い切れないものの, 面白そうなので読みたい本リストに叩き込んでおきました. いつも通りシェア+メモ.

今週の問題

最近は(特殊)相対性理論モードなのでそこから.

  • マクスウェル方程式はガリレイ変換で不変ではない.

学生の頃にも散々計算した内容ではあります. それでも改めて計算して確認する意味があります. 例えば変に色気を出して一般的にやるより, とにかく成り立たないことだけ示せばいいから$X$軸方向のブーストを考え, それで見やすい解だけ取ってくれば十分です. これはまさに数学で反例を作るときの発想でも重要です. 変な色気を出すよりも簡単なところからしっかり詰める意義を再確認しました. 実際変に一般的にやろうとして「これどうすればよかったっけ?」と謎の混乱を起こしてしまいました.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

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語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-09-10

数学・物理 密度行列に関する話/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • テンソル積とは何か
  • 関真一朗, グリーン・タオの定理
  • 関数解析的な量子情報の本
  • Helgasonの本
  • 式の錯視
  • Wigner-Araki-Yanaseの拡張
  • 密度行列に関する話
  • 数学屋さんとCS屋さんで問題意識とする点が異なるため、片方の問題意識がもう片方に上手く伝わらないという例
  • 150分で学ぶ高校数学の基礎
  • 田崎晴明, 統計力学Iの修正
  • カーリングはなぜ曲がるか
  • 統計の実例
  • 大人の学び直しサイト
  • ハーバード大のコンピューターサイエンス入門講座
  • 法令APIを利用したリサーチツール
  • メルカリのデータセット
  • 不偏分散の分母
  • 【AbstractAlgebra.jl】Juliaで代数学をやってみたいんじゃ①
  • 数学ソフトウェアの作り方
  • 教養としてのラテン語の授業
  • 大学以外で言語学を勉強する方法
  • 仕事のコツ
  • ハードワークの捉え方
  • 今週の問題

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  • 今回のページ
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近況報告

通信講座がはじまりました. そう組んだのだから当然ではあるものの, (私からすれば)そこまでハードな計算ではない一方で使い出がある計算が多くて眺めているだけでも楽しいです.

最近プログラミングを改めて意識しはじめたので, sympyでちょこちょこ検算プログラムを書いています. 二次の正方行列がさくさく計算できてこれも楽しいです. 統計とはかなり離れてしまうのが難点ですが, 今度, 統計の勉強会でsympyを読むよう提案してみようかと思うほどです. 統計をやるならnumpyで書いた方がいい一方で, 中高数学からやり直す系統ならsympyの方がいい面もあります.

何にせよ量子情報・量子開放系の議論で二次・三次の正方行列の具体的な計算の面白さを今まで以上に実感しましたし, そこにリー群・リー環系でもう少し高次まで計算したい要求も出てきたので, sympyの活用はいま私の中でホットです. 特にリー群・リー環は一般論を理解するための具体例の計算で割とすぐに五次・六次程度が出てきてしまい, 手計算したくない領域にすぐ突入します. ちょうどいま, 通信講座の勉強会で計算ミスを指摘され, 検算していたら混乱してきたのでsympyを使ったところです. テンソル積も計算できるので便利なことこの上なく, 感銘を受けています. ぜひ読者の皆さんもsympyを使えるようになってください. 本当に便利で助かります.

最近半年以上も延々と同じ話ばかりしています. しかしこれでもまだまだ汲み尽くせないほど楽しく重要な対象です.

そう言えばプログラミングに関連して, 以前作ったコンテンツはあります. ただこれに沿った中高数学復習系の勉強会つき講座もあった方がいいのか?とも思うようになってきました. 興味がある方がいれば連絡ください. 一人でもいれば何か考えます.

それはそうと, 今回もメモがもりもりです. そしてちょうど先週, 知人から「情報を集めすぎてそれをさばくために頭を使い過ぎて, 判断力が落ちているのではないか. もう少し情報を遮断した方がよいのでは?」と言われてしまいました. 自覚症状はないものの, だからこそ問題という話もあるわけでどうしたものかと悩み中です.

テンソル積とは何か

量子情報系のアプローチも大切なので通信講座でも触れざるを得ません. 今回はほぼいわゆるクロネッカー積による具体的な計算しか触れないとはいえ, 多少なりとも何か説明しないわけにはいきません. しかしなかなか説明するのが大変です.

私は一応学部一年で志賀浩二のベクトル解析30講で微分形式に絡めて触れたのがはじめてです. 少なくとも私が学部の頃の学部低学年の物理で微分形式は使わず, テンソルの言葉だけは解析力学・電磁気・流体・相対性理論で出てきても物理気分で適当に処理していました. そして学部3-4年の量子系の数理に絡めて改めてまじめに勉強し直す形になりました. このときは量子多体系, 特に合成系の構成としてその当時の私にとってこれ以上ないほど具体的な対象として出くわしたため, テンソルについて真面目に悩んだ記憶がほとんどありません. 量子力学をある程度勉強した上で改めて数学的定式化に挑んだときの気分ベースの理解こそあれ, 他の場面でのテンソルをどうするかほとんどわかっていません.

流体を改めて勉強し直したときに応力に関するテンソルの気分は把握したものの, 連続体の力学では四階のテンソルも出てきます. 幾何でも曲率は四階のテンソルで, リッチ曲率は縮約して二階になっていて, といろいろなテンソルまで含めてきちんと説明できるほどテンソルの多様な姿を把握できていません.

世間的な直観的でわかりやすい説明ではこの多種多様なテンソルをどう処理しているのでしょう.

関真一朗, グリーン・タオの定理

ついに!12月1日発売決定!! こちら→https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=11871

素数大富豪の作者で, 素数大好き系数学者として知っている人は知っている関真一朗さんが書いていた本がようやく出版されるようです. 数学は修士からだったこともあるのか, 素数が好きという数学者をはじめて見たのが関さんでなかなか衝撃でした. すうがく徒のつどいで二回話を聞いたことがあり, 話がうまい人ではあったので本も楽しみです.

関数解析的な量子情報の本

Holevoの著書などは、基本的に無限次元をカバーしてます。 Holevo, Probabilistic and Statistical Aspects of Quantum Theory (Publications of the Scuola Normale Superiore Book 1) (English Edition)

Holevo, Statistical Structure of Quantum Theory (Lecture Notes in Physics Monographs, 67)

あと、これのPart I V: Holevo, Quantum Systems, Channels, Information: A Mathematical Introduction

また本ではないのですが,この博士論文は勉強しました Kruger, Quantum Information Theory with Gaussian Systems

この間, クラウス表現とシュタインスプリング表現のよい具体例も書いてある文献を紹介しました. Twitterでもメルマガを流したところ, 量子情報系のプロが反応をくれたのでついでにいくつか文献を聞いておきました. D論はちょこちょこ眺めようと思っています. 楽しみです.

Helgasonの本

そうそう,ヘルガソン先生の Groups and Geometric Analysis... は調和関数だけじゃなく,球関数についても詳しいが,ハウ先生による書評がめっぽう面白いのでおすすめ. https://ams.org/journals/bull/1989-20-02/S0273-0979-1989-15786-8/S0273-0979-1989-15786-8.pdf

bioに著書名を入れていてツイートでもちょこちょこ自著と言っているため, 名前をどこまで出していいものかと悩んでいるmathraphsodyさんのコメントです.

調和関数は表現論のテーマであり, 微分方程式論や固有値の理論, 関数解析のテーマであり, コンパクト多様体上のラプラシアンの固有値解析とも絡んだりと勉強してみたいと思って幾星霜のテーマ含め, 私の趣味によくあう対象です. もちろんリー群・リー環とも相性ばっちりの対象です.

式の錯視

傾いて見える数式の錯視. 数学を使う文献の中にありそうであまりない錯視です.

↓↓新井仁之『ウェーブレット』(共立叢書現代数学の潮流、共立出版)の p.32 と p.75 にある数式。錯視を意図して書いたわけではありません。

上記ツイートのリンク先に錯視に見える式の画像が載っています. 興味がある人はぜひ見てみてください.

Wigner-Araki-Yanaseの拡張

論文を発表しました:https://arxiv.org/abs/2208.13494 九大の倉持さんが主著です。 「保存量と非可換な物理量は誤差なし測定不可」を意味するWigner-Araki-Yanase(WAY)定理は1960年の確立以来、非有界な物理量(運動量など)への拡張が未解決でしたが、この問題をYanase条件と呼ばれる条件下で解決しました。

WAY定理が非有界な物理量に成立すると、「位置の射影測定は、運動量保存の下で誤差なくできない」が成立するため、この問題は物理的にも重要です。WAY定理にはYanase条件(プローブ系にかける測定が保存量と可換)を使う設定と使わない設定があり、どちらも未解決でした。今回解決したのは前者です。 WAY定理は類似の結果がたくさんあり、測定、ユニタリゲート、誤り訂正符号などにそうした結果が知られています。最近、こうした結果を統一して一つの定理から導けることを示しましたhttps://arxiv.org/abs/2206.11086。この定理からは熱力学やブラックホール物理への応用も出ます。ご興味があればこちらも是非。

論文を軽く眺めても何だったか思い出せないものの, 確かこれは学生時代に関係するテーマを何か勉強していた記憶があります. 量子情報絡みで無限次元で直接的に作用素環を匂わせる話にも出くわして作用素環熱が微妙に高まっているのもあり, ちょっと気になっています.

密度行列に関する話

いま展開中の通信講座でもついでに状態や密度行列に関わる概念整理をやっています. Twitterで数学系の人と関連する話をしたのでここでもシェアしておきましょう.

密度汎関数理論(DFT)に出てくる密度行列って大体はトレースクラス作用素だと思うけどトレースクラスに入らない密度行列が物理的に重要になる場面ってあるのかな?

自分が普段扱っている密度行列は、トレースは確率の規格化の観点から1になっているので、トレースクラスでない密度行列というのはなかなかイメージが沸かないのですが、DFTでは密度行列がまれにトレースクラスでない場合が有るのでしょうか?

私は数学畑の人間なので物理のことは何も(本当に何も)分からないんですが、数学的にはトレースクラスでない密度行列を扱う研究もあります(トレースは粒子数に対応していますから要は粒子が無限個あるという状況です)。トレースが常に1の状況を考えることもあることは初めて知りました。 · 量子統計の状況ではありますが、数学的に相転移を起こすためには無限体積極限などが必要で、その場合の形式的な密度行列は連続スペクトルを持ちます(冨田竹崎)。相互作用系(または開放系)になると励起状態の準安定化で固有状態が消えます。基底状態の存在は発散の困難問題で数学的には非自明です。

このツイートだけからではちょっとよく分からないのですが、この話題について適切な文献等ありますでしょうか?>とても興味があります。

量子統計の数学の基礎という意味ではBratteli-Robinsonが基本的な文献です。ただ肝心要の密度作用素の話はそれ自身でほぼ出てこない問題があります。補足をいくつか書いておきます。密度作用素がどこで出てくるかといえば、平衡状態に対して$\omega(A)=Tr(\rho A)$と書くときで要は平衡状態の議論で出てきます。平衡統計力学では平衡状態はKMS状態で表されるとされていて、KMS状態に付随する作用素としてモジュラー共役Jとモジュラー作用素Δがあります。このΔをΔ^{it}=e^{itL}としたときのLが系のハミルトニアンにあたります。大まかにいえばΔが密度作用素です。 Δは冨田-竹崎理論の基本的な対象で、スペクトルの性質が作用素環の性質に反映するため、荒木・竹崎・コンヌらの作用素環的な決定的な結果がたくさんあります。密度作用素は大体e^{-H}にあたるため、ほぼハミルトニアンの解析にあたるものの、量子統計の文脈になるとハミルトニアンの解析がとにかく難しく、具体的なモデルに対する詳しい解析結果はあまりありません。先ほど書いたように作用素環論のレベルで作用素巻自体の解析の文脈で作用素環の性質とハミルトニアンのスペクトルの対応がわかっているくらいです。

私は密度汎関数の議論をほぼ知らず、私が知る限りその文脈から大きくずれると思うのですが、量子統計で興味がある系での密度行列はほぼ例外なくトレースクラスではありません。密度行列のスペクトルがハミルトニアンのスペクトルと関係がある前提のもとで、理由は無限体積極限での挙動にあります。 数少ない見やすい例としてラプラシアンがあります。有限の超立方体上のラプラシアンは指数関数が固有関数で、よく知られているように固有値は離散的です。しかし\mathbb{R}^d全体では全ての正の実数がスペクトルになり、固有値も消えます。調和振動のような例もあるとはいえ多くのハミルトニアンは連続部分を保つため、その時点で密度行列はただの有界作用素でコンパクト作用素の要件である離散的なスペクトル性がありません。おそらく密度汎関数の文脈と本質的に違う形で密度行列を使うため、あまり密度汎関数の議論に役立つ話はないだろうと思います。 密度汎関数業界でもE. H. Liebは有名人だろうと思う(少なくとも論文が一定数あるはず)のですが、Liebは物性・統計力学の幅広い分野で論文があります。Liebの仕事を眺めてみるのと密度汎関数からの議論で何かあるかもしれません。

きわめて丁寧な解説ありがとうございます。私はPDE畑の人間ですが、ある論文は方程式の背景を説明する際に明らかに密度汎関数の観点から密度行列を導入しているのに、途中から「トレースクラスではない密度行列を考えることも大切である」みたいな感じで量子統計っぽい具体例を引っ張ってきたりしていて謎なんですよね。まあ数学屋なので物理なんか知るかという態度も取れますが、やはり気になります。「量子統計の数理」みたいな本を眺めると作用素環の話が必要になるっぽくてつらいところです(作用素環ぜんぜん知らないので…)。

密度汎関数での密度は波動関数の絶対値の2乗にあたる量(関数)(のはず)、一方で密度行列は行列環(作用素環)上の線型汎関数としての状態がトレースとトレースクラスを使って書ける事情から切り出した作用素で、そもそも出所も何もかも違う概念です。密度汎関数で密行列という言葉を使うの自体がそもそもおかしいのではないかと思います。

数学屋さんとCS屋さんで問題意識とする点が異なるため、片方の問題意識がもう片方に上手く伝わらないという例

よく話題にあがる解析力学の$L(q, \dot{q})$の話です. 物理と情報系を両方一定程度知らないとわからないのかもしれません. 幾何的には接束上の関数の一言で終わりです.

150分で学ぶ高校数学の基礎

特に文系プログラマー系の人が概要を掴むのにはいいかもしれません. プログラミング関係は日々のデータ構造とアルゴリズム学習で手一杯で, あとは通信講座関係のsympyコード作成くらいしかできていないので, せめてもの宣伝協力です.

田崎晴明, 統計力学Iの修正

拙著『統計力学 I』でおそらく最も不親切だった(で、評判が悪かった)と思われる pp. 76, 77 の状態数の漸近的な振る舞いについての議論をより直観的で簡略なものに差し替えることにしました。「第 17 刷以前への修正」をご覧ください。以前の議論の簡単な解説もあります。 https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/statbook/errata.html

時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

カーリングはなぜ曲がるか

こちらも時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

統計の実例

この分析の精度はともかく, 興味が持てる実データがあるかどうかがとても大事という気分がずっとあります. 私自身なかなか統計系の勉強が続かないので. 語学・言語学で遊びたいとずっと思っています.

大人の学び直しサイト

  • URL
  • いろいろな科目を学ぶ: ただよび, 岐阜県総合教育センター, eboard, スタディチャンネル
  • 英語と数学: NSGL, 数基礎
  • 違う視点で学ぶ: schoo, Clearnote

こちらも時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

ハーバード大のコンピューターサイエンス入門講座

ハーバード大のコンピュータサイエンス入門講座のCS50、久々に覗いたら教材だけでなく、講義動画も機械翻訳ではない日本語訳付きになってた。プログラミング学びたいと言ってる初心者に投げつける教材はもう全部これで良さそう。 https://cs50.jp

これも記録がてらシェア.

法令APIを利用したリサーチツール

最近仕事関係で改めて必要なプログラミング系の情報に集中的に触れるようにしていて, その中で見つけました. これもここ数ヶ月ずっと言っているように数学・物理・語学系でアプリを作っているので, その参考にもなるだろうとシェア+メモです.

メルカリのデータセット

うおおおおメルカリのデータセットだ、デカすぎんだろ!!!!

商品データ,コメントデータはCSV形式で,サイズはそれぞれ約100GB,約40GBです。画像データはサムネイル画像で約2TB,オリジナル画像で約1TBです。

URL

データがあってもこれをどう解析しよう事案があります.

不偏分散の分母

よくある「$n$ではなく$n-1$で割るのはなぜ?」事案です. いろいろな角度からの解説があった方がいいだろう, そのストックをしておこうと思いシェア+メモです.

【AbstractAlgebra.jl】Juliaで代数学をやってみたいんじゃ①

JuliaにはPyCallによるsympyのバインディングがあり, 他にも代数系の処理ソフトがあったはずです. Juliaは数学系でいろいろな動きがずっとあるのがいいところです. これも自分用の備忘録も兼ねてシェア.

数学ソフトウェアの作り方

「コンピュータが育む数学の展開」(全10巻)に引き続き、姉妹編となります新たなシリーズ「コンピュータと数学の織りなす革新」(全5巻)の刊行を10月より開始します。第1回配本は『数学ソフトウェアの作り方』です。ご注目いただけますと幸いです。 本書は、数学ソフトウェアを開発するために知っておいて欲しい事柄をまとめております。著者は皆、計算代数システムRisa/Asirなど、数学ソフトウェアの開発に携わってきています。本書には、その経験が随所にちりばめられており、この上ない解説書になっておりマス。

Cは昔仕事で書いていたこともあります. 結局ポインタの理解がいま一つのままで終わり, 今となってはあまり覚えてさえいない厳しさがあります. 書くのはともかく読めた方がよさそう言語だとは思っていつつ, そこまでやる気が出るわけでもない言語でもあり, 競プロ関係ではC/C++は基本的な言語なのでその範囲では毎日ちょこちょこ触ってはいます.

何はともあれ執筆陣がRisa/Asirの開発者で, 最近よくsympyにお世話になっている関係からとても気になっています. 勉強したいことが山程あって目が回っています. 近況でも書いたようにこの状況はもう少し是正した方がいいのでしょう.

教養としてのラテン語の授業

気になる新刊『教養としてのラテン語の授業』 著者は非常に面白い経歴の人物。「本書はバチカン裁判所の弁護士、ハン・ドンイル氏が行った名講義を整理したもの。ラテン語がわかれば、歴史、教養、文化の根底がわかる。西洋文明の根源であるラテン語を通して、歴史、文化、宗教、経済を学ぶ。 カエサル、アウグスティヌス、レオナルド・ダ・ヴィンチ。先人たちの知の息吹に触れる。 全世界で30万部のベストセラー」

これ, 語学系の話をやる上で多分私に決定的に欠けていて, 必須の知識ではないかと直観しています. ラテン語は科学の言語でもあり, そこまでカバーしたコンテンツがないだろうかと日々悶々としています. 自作はさすがにつらすぎるので.

大学以外で言語学を勉強する方法

言語学もちょこちょこと勉強していて, 例えば最近は印欧祖語に関する基本的な日本語文献という新書を買ってみました. 基礎はなかなか書き換わらない物理, 基本的に正しいものはずっと正しい数学に浸っているため, 新発見があるとすぐに話が変わってしまう非数学・非物理の世界はそれだけで勉強がつらいです.

それはそれとして, レベル・種類ともに豊富な中高数学系コンテンツ, そして応用上の議論は統計絡みの微分積分・線型代数で, 300ページほどの本を一冊さらえば知識としては大抵何とかなるはずでおそらく知識は極小で済むであろう数学でさえ独学が大変と言われているのに, 独学が多少なりとも楽にできる分野は何かあるのでしょうか?

仕事のコツ

40代になってわかった仕事のコツ。時間が足りないと悩んでいる人は、この4つでマジで楽になる。試してみてほしい。

  • できることはすぐやる. (準備の手間が減るから)それが最速.
  • マルチタスク厳禁, 一つずつ答えにして格納.
  • 常に20%の余力を確保すれば知恵が回る. 余力はイレギュラーのために使う.
  • 急がば回れ. 忙しい時ほど丁寧にこなせ. 差し戻しによる余計な仕事を減らそう.

この間「一所懸命やりすぎて没頭しすぎるのはよくない」と指摘されたため, 改めて仕事術的なのも気にした方がいいのかと思ってちょっと気にしています.

最近先延ばし癖があり, 先延ばしするとそれだけで心理的負担として重くのしかかってくる上, 着手までの精神的負荷も凄まじいため, 「できることはすぐやる」は本当に目下最大の課題です.

ハードワークの捉え方

「やったことのないこと」に挑戦し、自身の考え方の枠組みに落とし込んで再現性を作ることは「スキーマ」の構築と言えるでしょう。それは「What」がやったことないことの場合もだし、「How」のやり方を再定義して「やったことない方法」に置き換えることも新たなスキーマの構築と言えると思います。成長というのは新たな認知スキーマの構築をしてスキルに習熟させることとも言い換えられるのだと思います。ハードワークをすることと、新たなスキーマを構築することはイコールではないのでしょう。

最後に、「成長」が人生の全てではないことを付け加えておきます。私の世代は成長をすることを強く求められました。成長を追い求めず、人生を謳歌すること、穏やかに暮らすことを人生の主目的におきたい人も多いし、むしろ多くの人がそうなのではないかと思います。やったことないことに挑戦することは面白みもありますが、心身のエネルギーも使います。既にできることの実行に時間を多く割いて、それ以外で人生を充実させるということも人生の主目的によっては有意義なのかもしれません。

いまちょうど研修でいろいろやっているのでどう落とし込むかいろいろ考えています.

今週の問題

まだやるべきことはたくさんあれど, 量子力学は一段落させたので何をしようかと思っています. 一応もう少し物理をやろうと思っていて, イジングに浮気しようかと思いつつ, 当初の予定通り相対性理論のノート作りをしています. 微分形式をどこまで導入するかは悩みどころで, まずはベクトル解析ベースのノートを作ってから考えます. ベクトル解析はともかく, 微分形式は完全に線型代数なので相変わらずの線型代数推しです.

問題ではないものの, 計量の符号に関して一つコメントを.

  • $(x^0,x^1,x^2,x^3)$のもとで$(+,-,-,-)$は素粒子・高エネルギー系の物理で標準的.
  • $(x^0,x^1,x^2,x^3)$のもとで$(-,+,+,+)$は宇宙物理・天文学で標準的.

計量の符号以外にも曲率の定義由来の符号の揺れがあり, 本を比較するときに非常に苦労します. もしあなたが相対性理論, 特に一般相対性理論に興味があるならぜひ覚えておいてください.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-08-27

数学・物理 量子情報・量子力学の行列計算のいい例・文献を発見/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 量子情報・量子力学の行列計算のいい例・文献を発見
  • 完全不連結で孤立点のないコンパクト距離空間はカントール集合と同相
  • グロタンディークが独力でルベーグ積分を構築した話
  • ドナルドソンの定理への直観
  • Hal Tasaki, Variations on a Theme by Lieb, Schultz, and Mattis
  • プログラムを書きながら数学で遊ぶ
  • 子供に対する広義のIT教育
  • 中高数学の復習の話
  • 変節にまつわる悲しい話
  • ヤング図形の講義録
  • Non-metrizable Manifolds
  • Paul筋の情報: 微分ガロア理論
  • 上田晴彦, 物理科学における数学的方法
  • 具体例の解析
  • PDF: Johnny Nicholson, Exotic Spheres
  • 博論のPDF, Muhammad Ilyas, 2022, Quantum Field Theories, Topological Materials, and Topological Quantum Computing
  • ラグランジュの未定乗数法
  • JAXA宇宙教育センターによる夏休みの宿題
  • 遊んでみたい機械学習・統計学: 自然言語処理の具体的なテーマ
  • 絵画史から見るとAI絵画はカメラ
  • 2022-08時点でのAIの実応用をいくつか
  • 今週の問題

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メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

近況報告

先週は体調不良でメルマガが出せなかったので今週は先週分のネタもあって大量です. 通信講座の案内もできず直前の一回だけになってしまいました.

何はともあれば, 数学版の定義・定理を眺めるアプリ, React;KaTeXでいい感じにレンダリングする方法の探索にけりがつきました. 最終的には既存のライブラリにプルリクしてマージしてもらいました.

大したことはしていない上に自分で実装しきれない点もあったものの, たぶんissueやドキュメントの修正ではない, プログラムを書いたプルリクとしては初でちょっと感慨深いです.

ようやく現代数学探険隊からのデータを抜く部分も終わりました. 数学版のアプリも第一段まであと少しです. 物理版のアプリの法則集も毎日少しずつ作業して116まで来ました.

これも地道に続けます.

「三ヶ月短期集中講座 量子力学のための線型代数とその計算の募集」も明日までです.

興味がある方は申込を忘れないようにしてください.

量子情報・量子力学の行列計算のいい例・文献を発見

次の文献です.

もしあなたが量子力学・量子情報に興味があるなら, P.14からの6.1.6節の具体例には必ず目を通してください. 三つ例があり, それぞれ2x4=8, 2x3=6, 2x2=4次のモデルでノイズがある系の量子通信路の例を紹介しています. 量子情報よりも物理としての趣が強い例で, 最終的に大事な対象系の解析は二次正方行列の計算です. 二次正方行列の世界の懐の深さを改めて実感しました. この三つの計算だけでシュタインスプリング表現・クラウス表現の気分がかなり掴めます.

取り上げられている例は物理的にはレーザーの原理などにも関係しますし, 物理的な筋も非常によい例です.

このPDF自体は全体的に無限次元を含めた関数解析的な用語・議論がわかっていないと読めません. しかし上記の例は完全に有限次元の線型代数の知識だけでよく, 驚くほどに教育的なよい例です. この一年, 強調に強調してきた二次正方行列レベルの具体的な線型代数の計算の重要性もわかります.

今回の短期集中講座の範囲ではありませんが, 次回以降に必ず触れるべき内容でもあり, 今後の勉強の指針にもなる部分は同梱する方針なので配布コンテンツには既に取り込んであります. まだPDFの内容ほぼそのままで計算が雑ですが, 通信講座の対象になったら計算はもっと詳しくする予定です. 勉強してみたいという人がいて, 通信講座の勉強会で質問があればその時点で詳しい計算を載せようとも思っています. そのくらい簡単なわりに重要で面白い例です.

完全不連結で孤立点のないコンパクト距離空間はカントール集合と同相

「完全不連結で孤立点のないコンパクト距離空間はカントール集合と同相」という事実、「とても有名でよく言及される」ものだったのか。。

僕も初めて知りましたw

今検索して出てきた文献なのでガッチリそのものが書いてあるわけではないと思いますが、https://google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=&ved=2ahUKEwjmvr-UkcT5AhVQmFYBHfa9D1QQFnoECAQQAQ&url=https%3A%2F%2Feprints.lib.hokudai.ac.jp%2Fdspace%2Fbitstream%2F2115%2F6077%2F1%2FETDS13.pdf&usg=AOvVaw3zJ3kkcIDECFMU30Xd-2cMには(記号)力学系とC*力学系の文脈で完全不連結なコンパクト距離化可能空間が出てきて、引用文献のレベルですがCantor集合への言及があります。 他にも大学院の頃ではありますが、千葉大の松井さん(作用素環の人)の講演など、力学系と作用素環界隈の講演でよく言及されていた記憶があります。私の知る限り記号力学系はそれなりに影響範囲があるため、割合有名な事実の可能性があります。

カントール集合は力学系理論やジェネラル・トポロジー周りの講演でしばしば登場しますが、上記の事実はその際によく耳にしました。 最近だと例えばこの本でも証明なしで言及されてました(なお、ちょくちょく違和感のある表現があります)。 https://www.amazon.co.jp/dp/4768705707

私が学部四年のときに読んだKadison-Ringroseの作用素環の有名な教科書には, 可換なフォン・ノイマン環と同型なコンパクトハウスドルフ空間上の連続関数環の性質として載っていた性質です. 他にはエルゴード性・エルゴード理論との関係で可分で完備距離づけ可能な位相空間としてのポーランド空間も作用素環でよく出てきます.

さらに森の未知さんのコメント.

完全不連結で孤立点のないコンパクト距離空間はカントール集合と同相という、とても有名でよく言及されるけど証明を見たことがない事実だけど、和書だとこの本に証明が書かれていますね。

距離空間のトポロジー: 幾何学的視点から (ひろがるトポロジー) | 川村 一宏 本書では,単体分割できるとは限らない距離空間のトポロジーを,位相空間論的というよりはむしろ幾何学的な側面に焦点を当てて研究する理論の一部を紹介する。 このような理論は一般位相幾何学の一分野「幾何学的トポロジー」をなしており, 複雑な構造をもつ距離空間を多面体の極限としてとらえ, 無限反復および極限操作を通じて調べることにその特徴がある。 様々な極限操作で得られる空間についての考察から始めて,

この本の証明だとnerve複体(本書では「脈複体」と翻訳)で証明しているけど、古典的事実の割に証明がナウい気がしている。 私がnerve複体を知らなすぎるせいだろうか。 なお、学部生向けの教科書に見えて特殊な位相空間や連続体にやたら詳しくて研究者でも読んでて面白いのがこちら。 ついでにいうと、「だから学部生には難しい」というわけでもないのがこの本の真にスゴいところだと思う。相対位相の説明などは見事なもの。

位相空間 例と演習

グロタンディークが独力でルベーグ積分を構築した話

Feynmanの言う微積分とはいわゆるcalculusのことだと思いますが,Grothendieckが独力でルベーグ積分論を構築したエピソードは有名ですね。 https://ams.org/notices/200808/tx080800930p.pdf (Notice of AMS,独文の英訳)

どなたかのブログに私訳がありますね。 https://taro-nishino.blogspot.com/2019/03/blog-post033.html

どこで見かけたのか忘れてしまったものの, ゲルファントは中学の頃に独力で関数論を建設したエピソードがあります.

ドナルドソンの定理への直観

Q1. ドナルドソンの定理を砕けた表現でいうならばどんなものか?

A2. 4次元多様体の古典的な不変量(交叉形式)に,可微分構造由来の極めて強い制約が存在する

補足1:このようなタイプの定理の最初のものとしてRokhlinの定理があり、Donaldson以前から知られていました。 Donaldsonの定理はRokhlinの定理と比べると適用できる状況が多く(ただしDonaldsonの定理とRokhlinの定理は互いに独立の定理なので,あくまで主観的な基準), また理論物理由来のゲージ理論を用いて証明されたトポロジーにおける非自明な定理の最初の例なので,知名度が高いのだと思います。 尤も4次元業界ではRokhlinの定理も基本定理の一つです。

補足2:交叉形式は位相4次元多様体に対しても定義される不変量です。 Donaldsonの定理(やRokhlinの定理)が与える制約を破るような交叉形式を持つ位相4次元多様体の存在がFreedman理論から分かるので、 Donaldsonの定理(やRokhlinの定理)は4次元におけるトポロジカルな世界と滑らかな世界が全く違うということ意味します。

Q2. ある多様体の非同値な微分構造の数を求めるにはどういう手法が使われるのか

A2. 5次元以上においては手術理論が使われます。 これを一言で言うと、多様体の微分トポロジー的な問題を代数トポロジーに帰着させる手法です。 また多くの場合、分類したい多様体の接束の特性類が重要な情報を持ち、それが区別に使われます。 有名なMilnorのエキゾチック球面をdetectする議論がこの例です。 しかし多様体がある程度複雑だと、帰着させた先の代数トポロジーの問題が難しいものになり、可微分構造の正確な個数が分からないこともしばしばあります。 ただ、代数トポロジーの問題に帰着できた段階で微分トポロジーとしてはとりあえず原理的に解決した、という立場を取ることも多いです。

一方4次元では、可微分構造が完全に分類できている位相4次元多様体の例はまだ一つもありません。 可算無限個の可微分構造が入ることが分かることが多いのですが、発見されている可算無限個の系列で尽きているかを確認する手段がないのです。 またそもそも2つ以上の可微分構造が入るか分からない4次元多様体も沢山あります。 とりあえず互いに異なる微分構造が存在することを示すのには、典型的にはゲージ理論から来る不変量(Donaldson不変量、Seiberg-Witten不変量)が使われます。

接束が思った以上に重要なようでびっくりしました.

Hal Tasaki, Variations on a Theme by Lieb, Schultz, and Mattis

リープ先生の卒寿を祝う国際会議での講演が予想以上に好評だったので戻ってから動画を作りました。「捻り演算子」だけを使って様々な定理を初等的に証明しまくるという内容で、量子スピン系を知っていれば面白いと思います。英語ですが(編集したので)字幕がちゃんと出ます。 YouTube

Lieb, もう90なのかと衝撃です.

プログラムを書きながら数学で遊ぶ

数値計算のプログラムを書くときは「抽象的な数式を具体的な計算処理として書き下す作業」が必ず発生するので,適切なお手本さえあれば高い学習効果が得られる気がします. そんなわけで,電磁気学の難関(?)である「ベクトル解析」をプログラムを書きながら具体例で学べるように準備しています.

そういった意味では「ディジタル信号処理」はプログラミングと不可分なので,個人的にはかなり学びやすい分野だと思います.

とはいえ「回路は作れるがディジタル信号処理は一切ダメ」みたいな技術者の話もよく聞くので,良いお手本(教材)がないと「難しい数学」みたいに見えるのかもしれません. 数値計算や信号処理は「他人が用意したサンプル・コードをとりあえず写経すれば自分のパソコン上でも結果が表示される」ので,学習の過程で成功体験を得やすい.これはゲーム等と同じ構造. 抽象的な数学でも「例題を解く」という成功体験が用意されているのに,なかなか気づかない人が多いですね.

プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」はこれと重なるコンセプトで作っています. 興味がある方はどうぞ.

子供に対する広義のIT教育

いわゆる数学・物理・プログラミングのネタではありません.

うちの息子がとんでもないことやらかしてくれました😭 友達とスマホで通話しながら対戦ゲームしてて てっきりLINEの無料通話してるのかと思ったら相手はキッズ携帯で 普通に通話してて電話代が2ヶ月で28万円😭 しかも相手の子は親から言われてこちらからかけなおさせてた😭 もっと早く気づいていれば

最近の子供は生まれたときからスマホがあります. そして機器的な取り扱いには長けていても金銭的な感覚が育っているわけではありません. 特に凄まじく便利なツールさえ無料で使えるモノが大量にありますし, ゲームでさえ無料が基本になりつつあります. いまは広い意味でのお金の教育, IT教育はどこかしら何かしらでやらないといけないのでしょう.

中高数学の復習の話

いま某所で話していて思ったんですけど、高校の数学の授業相当のものがYouTube等で見れるものってないですかね。大学受験対策とかではなくて、その分野を全く勉強したことがない人が聞いてわかるレベルのもので、良質なものないですかね。 なぜこんなことを言っているかというと、大人になってから数学勉強し直したいという人で、「昔勉強したけど忘れた」という人以外に「全く履修したことがない」という人もいるんですよ。高校の卒業要件が数Ⅰまでなので、学校によっては数Ⅰしか履修してなくても高卒の肩書は得られるんですよね。 履修科目の問題だけではなく不登校等でほとんど授業出てないけど卒業する人もいるし、つまり数Ⅱ・数Bあたりを一切勉強せずに高校卒業したけど、その後やっぱり勉強したいって人に対してよいコンテンツないかなあと思いました。 もちろん無料であればいいなと思うんですが、現状では有料コンテンツでもほぼないという認識なので、無料・有料問わず、いいものがあったら教えてほしいです。 YouTubeで予備校講師の動画があるのは知ってるんですが、ああいうのは基本一度履修した人向けじゃないですか。

この件色々情報を頂いてますが、僕がざっとみてよさそうだと思うものを列挙しておきます。

もちろんこれ以外はすべてダメと言っているわけではなく、内容が確認できてそれなりにおすすめできそうなものということで3つ挙げました。また、ここでおすすめしたのも、もちろんざっと眺めた程度で全部見ているわけではないです。 ここでは動画に絞って紹介しましたけど、もちろん本で勉強する手もあって、その場合まずは検定教科書をおすすめしておきます。値段も安いし質も高いです。書籍だけのほうが理解が進む人、動画のほうがわかりやすいと感じる人、両方いると思うので。

コンテンツベースとしては上でも紹介した「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」, そして特に文系プログラマー向けにアルゴリズム系統からやるのはどうかというテスト目的で素数判定のコンテンツも作って以前紹介しました.

この辺もいい加減本格化させたいと思っていて, これもやはり既存コンテンツをもとにした通信講座や, またはアルゴリズム系と絡めて見繕った書籍を使った勉強会的な講座を作ろうと思っています. どういう感じの内容だったら参加したいか要望があればぜひ教えてください.

一応書いておくと, ふわっと中高数学全体みたいな感じにすると多分勉強していてつらいと思うので, 何かの目的に特化して一つのストーリーを紡ぐ感じで勉強した方がよいと思います. 興味があって継続して勉強していれば数学力も上がるので, 必ずしも興味がなかったところを勉強するときにも格段に勉強しやすくなるはずです.

変節にまつわる悲しい話

近藤誠先生は、昔はエビデンスの鬼でした。近藤誠先生の変節についての詳しい経緯は、こちらにまとめています。

知らない人は知らないと思いますが, 近藤誠氏は「がんもどき」などの話でがんに関する偽医療事案で悪名が高い人です. 先日亡くなったので話題になった, という文脈があります.

ヤング図形の講義録

さる事情があって, 講義録をまとめ直してアップしました: [「ヤング図形の組合せ論講義」]https://bit.ly/3ArsZFt({target=_blank})

メモ&シェアです.

Non-metrizable Manifolds

このNon-metrisable Manifoldsという本、パラコンパクトでなかったりHausdorffでなかったりする連結位相多様体について考えるという異常な内容でおもしろい。long lineには2のaleph-one乗個の異なる微分構造が入るらしい。

実数全体を2つ用意してそれぞれの負の実数の部分を同一視してできるYみたいな多様体はHausdorffでないけど、こういう枝分かれを単なるグラフではなく多様体として表現できるため量子力学の多世界解釈における時空のモデルとして使われるかもしれないとか書いてある。 「異なる」というのは単に異なるという意味でも、互いに微分同相でないという意味でもあるらしい。濃度はちょうど2のaleph-one乗であるとのこと。

上でドナルドソン理論の話も紹介しています. 距離化可能ではないため, 多様体論でよく仮定される第二可算性もなく, パラコンパクト性さえ破壞される世界です. 多様体だからといって位相多様体のレベルではいくらでも凄まじい例があって楽しそうです.

Paul筋の情報: 微分ガロア理論

いくつか質問を整理します

1) 初等函数の積分がいつ初等函数か? リッシュのアルゴリズムです。一松さんや佐々木さんの解説がわかりやすいでしょう。

2) 初等函数の積分を全部含む函数族はあるか? Liouville拡大体を考えることになります.

リッシュの方法で、原理的にはどんな初等函数に対しても不定積分が初等函数になることを判明できますが、速いアルゴリズムを考える計算代数の問題になります。 Liouville拡大は、微分ガロア理論的には拡大群がCの加法群と見なせますが、そう見てもあまり良いことは少ないです。wiki参照。

ありがとうございます!とても助かります。もうひとつ質問なのですが、もしかしてこのリウヴィル拡大体というのは具体的にいくつかの特殊関数を導入すればいいものなのか、代数方程式の解のように具体的には書けないものもあるのか、どうなんでしょうか。

不定積分ですので、e^(-x^2)でしたら誤差函数を導入すればいいわけです。ただ、初等函数と言っても合成函数を作ればいくらでも複雑になりますので、不定積分は必ずしも知られている特殊函数にはなりません。その意味では、代数方程式の解のような感じです。

特殊関数に関わる疑問を呟いている人がRTでまわってきたので, Paulをつないだ話で, 微分ガロア理論的な話です.

上田晴彦, 物理科学における数学的方法

/ わかったつもりなのに演習問題が解けない、そういうあなたに役立つ1冊 \

『物理科学における数学的方法』上田晴彦/訳(プレアデス出版) 先生、数学の理論はわかりましたが問題を解くことができません。 いつの時代でも紙と鉛筆での手計算が身につく第一歩。書泉オンライン⇩ https://www.shosen.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=5003144

内容はよくも悪くも20世紀の物理数学の趣があります. 大事なのは「先生、数学の理論はわかりましたが問題を解くことができません。」です. いくら数学それ自体を勉強したとしても物理の現場で計算できないとはじまりません. 大事なことなので何度でもくり返しますが, ここを鍛えるべく企画しているのが最近の計算力向上通信講座です. 今回の量子系のための線型代数は明日で締切なので興味のある方はぜひどうぞ.

具体例の解析

(c)みたいな問題が高校の教科書には必要だと思ってる

2.3.12 次の練習を行って, 例2.3.2を完全に理解せよ.

(a) $\sqrt{3}$が有理数でないことを示せ. (b) $\sqrt{6}$が有理数でないことを示せ. (c) $\sqrt{49}$に対して同じ証明をしようとすると, その論証はどこで破綻するだろうか.

『エレガントな問題解決』という本で、日本では高校数学にあたる内容を題材に数学の問題に対する取り組み方などを中心に扱ってるとても面白い本です。 https://oreilly.co.jp//books/9784873

この「うまくいかない例」の調査という視点, 非常に重要です. 私のコンテンツにももっと盛り込みたいですね. とりあえず記録しておきます.

PDF: Johnny Nicholson, Exotic Spheres

https://www.ma.ic.ac.uk/~jknichol/exotic-spheres.pdf これ読んでます。異種球面の作り方。面白いので共有

単純にメモ&シェアです.

博論のPDF, Muhammad Ilyas, 2022, Quantum Field Theories, Topological Materials, and Topological Quantum Computing

博論!204ページ! 場の量子論、トポロジカル物性、トポロジカル量子計算っていうタイトルで基礎から書いてくれてるらしくて助かる。 個人的には圏論と場の量子論、TQFTのセクションが気になる。 https://arxiv.org/abs/2208.09707

物理としては物性の人間で, トポロジカル物性もずっと気になっています.

ラグランジュの未定乗数法

丁度多様体論的に見たLagrangeの未定乗数法をYouTubeの陰関数定理の続編としてやりたいと思っていて結局1年以上経つのですが、Submersionさんの記事を見つけました。こういう話あまり教科書に載っていない気がします。 メモ:Lagrange未定乗数法の多様体論的な見方 https://mathlog.info/articles/2376 #Mathlog

正直多様体論やってから解析力学とかでLagrange未定乗数法とか陰関数定理、逆写像定理あたりをみるとかなり見方が整理されて世界が変わる気がします。

先々に進んではじめて見える景色があるよという話です.

JAXA宇宙教育センターによる夏休みの宿題

JAXA宇宙教育センターが出してる夏休みの宿題が面白そう!好きな天体を選んで、Pythonを使ってその星への軌道を自由に設計してパワポでまとめて提出せよとのこと。解説付きで高校数学物理が分かればできるらしい(ほんとに?) プロの解説を見るだけでも勉強になりそう。いざ。 https://edu.jaxa.jp/news/2022/j-0805-1.html

プログラム利用としてメモ&シェアします.

遊んでみたい機械学習・統計学: 自然言語処理の具体的なテーマ

AIを利用し失われているテキスト部分を読み解く

http://u0u1.net/tFpw 2018年からプロジェクトがスタート 破損し一部しか解読できない粘土板を読み解く際、データベース化された他の破損粘土板から文章を引用し翻訳するシステムを構築中 完成すれば研究者らの強い助けに

これ自体は各種専門知識とプログラミング技能が必要なので首を突っ込めたものではありませんが, 言語学関係はいろいろ遊んでみたい話があります.

単語に限らず暗記にはイメージと結びつけて覚えるとよい場合があり, スマホの単語アプリには単語の意味を絵で表して選ばせるクイズがよくあります.

私がほしいのは理工系向け多言語学習アプリで, 見た限りの既存のコンテンツだとかゆいところに手が届かない感じがあります. アプリとして真面目に作ろうと思うと大変ですが, 機械学習で自動生成した画像には単語本来のイメージがある程度は載るはずで, 人間の単語学習に裏回し的に自動生成画像が使えないかと最近思っています. このあたりの研究もしないといけなくて時間がいくらあっても足りません.

絵画史から見るとAI絵画はカメラ

ここ数日, Twitterでお絵描きAIの話題が盛り上がっていて, それにまつわる話です.

2022-08時点でのAIの実応用をいくつか

実際に仕事で少し使ったこともあったので, そのときに調べた・知った一般的な話をいくつか紹介します.

連続“果樹園荒らし”…犯人は「クマ」モモも被害(2022年8月19日) - YouTube カメラが捉えたのは、体長2メートルほどのクマ。そばには、プラムの木が植えられていました。今回、枝を折られたプラムの木。この木の向かい側に設置されたAIカメラに、クマの姿が映っていました。17日午後9時ごろ、札幌市の果樹園でクマにプラムの木が折られ、実が食べられる被害がありました。少し離れた場所では、クマの足跡... こういう場面で登場する「AIカメラ」って、どういうところが「AI」なんですか?

https://aismiley.co.jp/ai_news/what-is-ai-camera/ 異常検知系の仕組みが入ったカメラではないでしょうか。判断法・基準は色々あるでしょうが、侵入者などの見慣れない対象を検知して報告まで上げてくれるシステム(のはず)です。

AIカメラとは?できることや活用事例・導入事例をご紹介 AIカメラは、AI(人工知能)を搭載したカメラのことです。AIカメラのディープラーニングを活用することで、従来 […]

レス、だんけです。「AI」との売り文句は本件の場合、どの程度信用していいものなんでしょう。というか、どのへんの機能を以て「AI」の呼称の根拠としているのか、「判断法・基準」はナ変に、ぢゃなくて奈辺にあるのかといったところが気になります。

AIの定義からして割と問題ですが、いわゆる機械学習的な手法による監視・巡回・点検システムはもうそれなりに一般的です。システムの作りの話で、ユーザーからは見えにくい・見えないものの、「AIによる」と言われたら機械学習なり統計的な手法で何かやっていると思って問題はないでしょう。 問題は監視・巡回・点検システムとして適切に動くかどうかで、ガワで何と呼ばれていようが適切に動くならそれでいいとは言えます。そしてAI(機械学習)システムは適切な設定のもとでの稼働なら十分に動くレベルであろうと思います。問題はそもそもこの「適切な設定」を作る難しさにあります。 例えばソーラーパネルが壊れているかどうかの異常検知問題があります。比較のために正常な画像と異常な画像をいくつか準備する必要があるのですが、正常はともかく異常な画像を準備するのが大変です。何を異常とすればいいかがまず難しいからです。 例えば鳥のふんが引っかかっていたら清掃が必要でアラートが欲しいですが、それを検知できるだけの画像の鮮明さが必要です。他には「点検画像の撮影時にパネルの上をたまたま鳥が飛んでいてその影を異常と判定した」といったケースもあります。 「パネルを置いていた場所の草が伸びてきてパネルを塞いでいる」といったタイプの、システム導入当初には起こらない、時間差で現れる異常もあります。こういうモグラ叩きが必要です。人間が目視で点検していれば「そういう異常」と判定できますが、それを適当な形にシステム化する必要があります。 良くも悪くも人間だと柔軟に対応できる部分を機械化・自動化しようと思うとこの手の判断基準の設定・更新が必要です。これが適切な設定を作り維持する難しさです。いわゆる条件分岐によるエキスパートシステムのAIが頓挫した理由の一端でもあります。 余計な話ですが動画を使うとなると鮮明さと動画容量と一定期間の保管を両立させるシステム上の難しさもあります。あっという間にGBレベルの容量になり、異常検知の解析自体にも時間がかかります。運用にはシステムと現場のプロの高いレベルの連携が必要です。困難は色々ありますがそれは別の話なので。

いたって素人臭い連想に過ぎないのだろうとは思うのですが、たとえば、 集合写真からも人物特定、議論を呼ぶ最新の顔認証技術 - YouTube https://youtube.com/watch?v=B6Fsyc_DgSY のようなものから想像すると、そのあたりはすでにコストの問題なのかもしれませんね。 集合写真からも人物特定、議論を呼ぶ最新の顔認証技術 「クリアビュー・AI」の顔認証技術は、世界で最も有名だが、プライバシーや個人情報、自由といった観点から、最も議論の的となっている。BBCのジェイムズ・クレイトン北米テクノロジー記者が、同社の共同創業者である ホアン・トン=ザット氏を取材した。BBCニュースサイトの記事はこちら。https://www.bbc.co...

高齢化の問題もあって発電所のような場所でも巡視点検のニーズが高まっているそうなのですが、発電所といえば原発さえ含むためいわゆるパブリッククラウドは使えず、サーバー管理などもセキュリティをガチガチに固めた内部にとどめざるを得ません。施設内のネットワーク設備もあれば、 人間が動く前提で作られた設備内の移動をロボットにやらせる(電線などの高所や僻地もあれば、下水など入り組んだ地下施設さえある)ためのインフラづくりなどもあって、コストの問題は凄まじい問題になります。 カメラは固定され、映像中から変化を検知し撮影を開始するといったレヴェルなら、そうとう安上がりに出来るということでしょうか。 そもそも誰がどういう場所でどう使うかという問題があります。https://securityhouse-network.net/blog/%E6%9E%9C%E6%A8%B9%E5%9C%92%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8B.html には果樹園だと電源が取りにくいといった話もあります。果樹園を例にするなら、むしろ対象に応じた最適な解決策の提案の方が重要なように思います。鳥獣対策ならむしろ侵入させない方にコストをかけたいはずなので

クマが食い荒らしていたことをメインにした報道からは、おそらくはヒトを怪しんでカメラを据えたのだろうといえそうですよね。ヒトが対象だとすると、果樹園を狙った不届き者の身元を割り出すことが最優先のではないでしょうか。鳥獣対策は本件に関する限り、これからの課題ではないでしょうか。

話を拡散させすぎたのと、状況に応じて何をどうするのがベストかという視点にこだわりすぎたのが失敗だったと反省していますが、コストと実用という話でいうと、侵入者検知ではないものの、農業用環境管理IoTだと https://japan.cnet.com/article/35167509/ で「機器費用が2万4750円、システム利用料が月990円」

畑の異常を電話で知らせる低価格な農業IoT「てるちゃん」--KDDIウェブが提供開始 KDDIウェブコミュニケーションズは3月9日、センサーが圃場(畑)の温度・湿度・照度の異常を検知して農業生産者へ電話・メール・SMSで通知する農業IoT「てるちゃん」をリリースした。

といった話があります。ハウスの環境制御だと https://pr.nepon.co.jp/lp/mc01 いわく「地上部の統合制御が50万円から」、参考までに農機具一般として中古トラクターが https://ummkt.com/market/category/tractor/ くらいの値段帯です。最初の月990円はおそらく容量も少なく抑えられ、事前処理もしやすい数値データを素直に解析すればいいだけのはずなので月額990円、メールなどの通知系で必要に応じてもう少し課金というのは妥当な値段と思います。画像・映像解析は安ければ数千円から数万円レベルだろうと推測しています。農家の収益・コスト感覚は把握できていないのですが、

なるほど、それくらいのコストなら、農耕機など他のコストに加わることがあっても、さほど懐具合に厳しいということはなさそうですね。

今週の問題

今週の問題はメルマガのタイトルでもある例です.

これのP.14, 6.1.6節の三つの例を眺めてください. シュタインスプリング表現とクラウス表現それぞれのご利益もよくわかる上, 量子開放系・ノイズの議論と熱力学や統計力学での環境に対する感覚も深まります. 計算上では本質的に二次正方行列の世界であり, ありとあらゆるいい話が書いてある例です.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-08-13

数学・物理 通信講座「量子力学のための線型代数とその計算」募集開始/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 通信講座 量子力学のための線型代数とその計算 2022-08 開講案内
  • Looman-Menchoffの定理
  • ヴィラーニの自伝と不等式の数学
  • 直観と愚直な計算と
  • 21世紀の量子力学学習に関連する諸々
  • JAMSTECが無料公開している『地球シミュレータ開発史』
  • 医療系オープンデータが取れるPhysioNet
  • テクニカルライティングの基本
  • 今週の問題

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

感想をください

「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.

メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

近況報告

先日からはじめている物理や数学のギャラリーの開発で苦戦しています. 特に現代数学探険隊から各定義・定理を切り出して眺める定理鑑賞アプリが課題です. KaTeXをいい感じにレンダリングさせるReactコンポーネントの開発で詰まっていて, 昨日一つ山場を越えたもののもう一つ最終解決すべき問題が残っています. これもさっさと片付けて語学用のアプリもほしい言語に関するデータ整備して, とやることが山積みです. せっかくの機会なのでテストも書きたいです. 早くふつうの物理・数学・語学学習モードに戻りたいです.

それはそうと, 物理学ギャラリーは66式(?)まで進みました. これは地道に増やします.

手持ちの本からテンションが上がる式をゴリゴリ入れています. 「まずはこれを載せろ」という要望があればぜひ挙げてください. TeXつきで送ってくれるとなお嬉しいです.

ここ一月くらい開発ばかりであまり物理や数学ができておらず, 語学はなおのことできていません. ただ, 開発に関連して一人で解決できない問題にぶちあたりまくっているため, 英語で各所に質問を投げているのですが, プログラミングに関わる英語は割とサラサラ書けるようになっていて, 今年に入ってから10分であっても毎日ちょこちょこがんばっている分が多少は効いてきているか? という感じもします.

あとは現代数学探険隊の再整理もしたいですね. 例と計算練習編をずっと追加し続けています. 以前通信講座として展開していた現代数学探険隊の解析学編, この中にも例や計算がいくつかあり, 全体構成を考えればこれを改めて整理した方がよさそうです. ただとにかく時間がありません. 一日10万時間くらいほしいです.

通信講座 量子力学のための線型代数とその計算 2022-08 開講案内

ようやく案内が完成しました. 募集期間は二週間で8/29(月)から開講予定です. 詳しい内容は上記ページを参照してください. 何か質問があればメールやアンケートでお願いします.

書くべき内容は上記ページに書いてあるのでメルマガではこのくらいで.

Looman-Menchoffの定理

Looman-Menchoffの定理、「デリケートな定理であるので、初学者は手を出さない方がよいだろう」とはあるが、野村隆昭先生の「複素関数論講義」(共立出版)には紹介されていた。 リンク先は文献 [34](アクセス制限があるかも)。 https://jstor.org/stable/2321164?seq=1#metadata_info_tab_contents

読もう読もうと思ってずっと読んでいない論文です. ずっとメモの奥底に沈んでいたのでまずはシェア.

ヴィラーニの自伝と不等式の数学

気晴らしにヴィラーニの自伝を読んだ。この本は評価が分かれていると聞いていたが然もありなん。いわゆる不等式の数学が構築される現場の様子が露わに描かれている。私はこのタイプの数学は全く専門ではないけれど昔ある友人にそういう数学の存在と楽しむ様を教えてもらったおかげで親しみを感じる。

こう書かれるとヴィラーニの自伝にも俄然興味が出てきました. ちなみにヴィラーニは最適輸送などが専門で, ボルツマン方程式とランダウ減衰に関する研究でフィールズ賞を取った魔人です. 物理まわりの力学系をやっている知人が「自分にとってはスーパーヒーローだ」と言っていました.

直観と愚直な計算と

「現代物理」のレポートの採点を終えましたが、選択課題1(相対論的光行差の問題)の選択者のうち1/4ぐらい間違ってました...高校生のように(?)作図で済ませようとした人は概ね間違いで、何も考えず愚直にローレンツ変換した人はあってました。直観に頼らず計算したほうがよいということかなと思います。

直感に頼らず愚直に計算した方が間違いは少ない. 一方,直感に従って何もないところに一歩を踏み出すときに新しい理論は生まれる.間違いを恐れてはならない. 間違いを起こす曲がった角に神か悪魔がひっそりと佇んでいる.我々はだいたいそれには気がつかない.

最近ずっと推している計算の話です. これ以外にもう一つ, 直観が届かない世界に辿り着くためにこそ計算する世界観があることも追加しておきましょう. このうちの一つが上記ヴィラーニの不等式の数学に関わる話です.

以前書いた次の記事を引用します.

はるか彼方からの光芒を信じ, 膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう. ハード・アナライザーたちの数ヶ月からときには数年に及び, 岩に穴を穿つような計算を続行するその強靱な精神力と体力には畏敬の念を覚える. 不幸にしてその途上で力尽き果てた人もいた. 畏敬とともに深い哀悼の念を表する.

しかし, 例えば, モーメントの評価や相関関数の評価などのようなわずかな手掛りを頼りに必ず道が拓けるとの信念のもと, 恐ろしいほどのハードな計算を遂行し切って, 数学に新たな地平を切り拓くハードな解析はやはり解析学の真骨頂である.

私の数学・数理物理の原風景でもあります.

21世紀の量子力学学習に関連する諸々

通信講座をはじめるのでそれに合わせて私自身地道に再学習を進めています.

図式で学ぶ量子論 番外編 ~2準位系から多準位系への演繹による拡張は難しい~|Kenji Nakahira @KenjiNakahira #note https://note.com/kenji_nakahira/n/nbdaa609a3273 数学系学習者としては、どちらかといえば論理的に導出できるかよりも、何を仮定として議論しているかを明示してほしい。

すいません。完全に明示することは紙面の都合上(&一般読者にとって複雑なため)難しいのですが,強いて述べると一般確率論および St_2≅Den_2 が成り立つと仮定して,St_N≅Den_N を導けるかという問題を考えています。 一般確率論が成り立つことは,note記事の文献[5]のIII章で述べていることが成り立つとおきかえて頂いて構いません。無条件でSt_N≅Den_N を導くことは恐らく不可能ですので,(十分に知恵のあるほぼ全ての人が)自然だと思えるような前提を追加してもよいものとします。 この最後の条件は自然という言葉を用いたりして厳密性に欠けるのですが,ここの厳密性を高めることは難しいのでご容赦ください(汗)。

こちらこそすみません。記事の内容自体の話ではなく、物理の教科書に対する一般的なスタイルの話です。私は学部は物理だったのですが、かつて(今も?)熱力学や統計力学の教科書が大混乱していた時期の地獄スタイルは物理学科の学生にとってさえよくないはずなので。

いえ,コメントくださりありがとうございます。お気持ちよくわかります。何を仮定しているかや各用語をどう定義しているかなどが曖昧になっていると,混乱してしまいますよね…。

発端になった議論と直接関係のある部分だと思いますが、一般論を議論している中で理想気体など具体例での話が始まって終わったと思ったら、その具体例での知見がいきなり一般論に敷衍して適用され始めたりします。そういう習慣を改めない限りここでいう論理的な議論に耐えられる人間は育たないのでは?

はい。少なくともどこまでが論理的(=演繹的)でどこからがそうではないかを明確に区別することは重要だと思います。

一番気になるのはこれ.

ポイントはそこではなく,(私がお伝えしたいことの一つをまとめると)具体的にどのような前提を用いているかが不明瞭であることが問題であると主張してます。 用いている前提を具体的にお知らせ頂けないでしょうか?

ごく単純な話として前提をできる限り明らかにした方が自分にとってもチェックしやすくていいと思っているのですが, なかなかそうもいかないようで. それこそ研究中の話として暗黙の前提があることさえ気付けておらず, それが決定的なポイントだった事案がたくさんあるのが量子力学なので.

中平さんは秋に本を出すそうですしそれも楽しみです.

JAMSTECが無料公開している『地球シミュレータ開発史』

JAMSTECが無料公開している『地球シミュレータ開発史』、もともと新書として販売するという企画で書かれたらしいというくらいなので、とても内容の充実した文章です(リンク先PDF注意)

https://www.jamstec.go.jp/es/jp/publication/pdf/Development_ES.pdf

まだ読めていません. とりあえずシェア.

医療系オープンデータが取れるPhysioNet

PhysioNet をご存知でしょうか。今更感がありますが紹介いたします。 これは医療系オープンデータで、簡単な手続きだけでかなり大規模なデータも自由に使えるようになります。 無料でここまでデータが入手できるなんて, と感動ものです。

特にMIMICという集中治療系のデータが有名(というか論文が沢山出ている)ようです。その辺りがご専門の方にはお馴染みなのでしょうかね。 触ってみた感じでは、

1)GoogleのBigQueryに直結しているのでSQL書けると直ぐにデータの加工が出来そう。 2)直接ダウンロードも可能。

データが大きいので直接ダウンロードしてもデータは開けない。 なので開くには多少のコツが必要になる(この辺が一般には使いにくい理由なのかも)。 DBI packageとdbplyr使えば普通にRで操作できました。 ファイルによってはコマンドプロンプトからwgetを使って落とさなくてはならないっぽいです。 私のPCにはwgetがインストールされていなかったので、以下のページの容量でインストールを最初にしました。 その後は普通にデータダウンロードできました。 え、宝の山がこんなに簡単に!?って感じです😊 ちなみに、データダウンロードにはCITIトレーニングが必須(無料)です。 倫理に関する文章を読んでクイズに沢山答えるというもの。 結構大変でした(英語が得意な人なら簡単に終了すると思います)。 この修了証明書を送ると約2~3週間でデータダウンロード可能になります。忘れた頃に来る感じでした。

最近, 何かのテーマで統計学・機械学習で遊べそう, と思ったのですが何か忘れてしまいました. 語学ネタだったような気もします.

テクニカルライティング

cybozuの新入社員向け研修資料「テクニカルライティングの基本」(無料公開)が超勉強になった...! 本来は技術的な内容をわかりやすく伝えるための方法論だけど、リモートが普及しテキストコミュケーションが重要になった今、非技術者でも一度は目を通すべき内容かと思います。 https://speakerdeck.com/naohiro_nakata/technicalwriting

英語ベースですが私も学生時代にテクニカルライティングを勉強しました. 早稲田にテクニカルライティングの専門家がいて, TEPテストというテクニカルライティングの資格試験もありました. いわゆる教養系の講義で開講されていて, 学期終了直前に資格試験が開催されるため「受講者はせっかくだから受けてみては?」という担当教員のコメントのもと, 受講してみて二級は取りました.

今検索してみたら, コロナ禍に入ったからか2019年から試験の情報が更新されていません. 技術英語・工業英語・テクニカルイングリッシュで検索すると書籍が引っかかるので興味がある方は調べてみてはどうでしょうか. 近況にも書いたように最近は止まってしまっていますが, 語学系, 特に英語のコンテンツ作成ではテクニカルライティングなども視野に入っています.

今週の問題

今週は量子力学講座開講に向けてのカリキュラムの最終検討に入っていました. TODOもいくつかあったためそれを埋めていたところ, クラウス表現やシュタインスプリング表現がTODOのままでした. 今回の範囲ではありませんがいい機会なので調べ直したら無限次元版の議論を見つけたため, そのノートを作っているところです.

無限次元含めた議論, 系統的に議論されているは何かあるかと改めて探しています. 以前買った量子測定の数理物理本には載っていそうな気もしますが, もう内容を全然覚えていなくて愕然としています.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-08-06

数学・物理 通信講座 量子力学のための線型代数とその計算: いったん簡単な案内/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 通信講座 量子力学のための線型代数とその計算: いったん簡単な案内
  • 引き続き募集: 物理学ギャラリー・数学ギャラリーに載せてほしい式・法則募集
  • Fethi Ayaz, Marc Kegel, Klaus Mohnke, 2022, The classification of surfaces via normal curves
  • Stefan Friedl, Algebraic topology I - VI
  • mathraphsodyさんによる調和多項式とべき零多様体の本
  • 書かれていないことを書かれていないと認識する能力
  • Understanding topology: 動画が面白い
  • Wikipediaの数学記事: 確率変数の収束とフーリエ級数の収束の優秀さ
  • フーリエ変換に対するある主張の当否
  • 『代数学のレッスン計算体験を重視する入門』
  • 微分チートシート: 「ベクトルで微分・行列で微分」公式まとめ
  • 永井佑紀, 1週間で学べる!Julia数値計算プログラミング
  • 聖地巡礼の意義
  • 「ルンバが走るには片付いた部屋が必要」
  • 「才のともしきや、学ぶ事の晩きや、暇のなきやによりて、思いくずをれて、止ることなかれ」
  • 今週の問題

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

  • 今回のページ
  • メルマガ バックナンバー

感想をください

「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.

メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

近況報告

昨日知人に改めて指摘されて反省したことがあります. 何事も全力でやろうとしすぎていて, 無我夢中になってしまって周りが見えなくなりすぎになっています. そして一つに集中しすぎて手を止めるべきタイミングを見失っているとも言われました.

ちょうど先週, 一日かけて解決できなかったプログラミングの課題を, 基礎基本に忠実に, 動くところから積み上げて対応したらすぐ解決した事案を報告しました. まさに上記指摘事項が全て悪い方にあてはまっていて, わかっているならちゃんとしなさいと. そしてむしろ「ぼちぼちやろう」くらいの方が真のフルパワーが出せるテンションなのでは? という話にもなりました.

先月, 本格的にフロントエンド学習をはじめたところ, 楽しかったからでもありますが, 事実上食事や風呂などを除いて本当に朝から晩まで, それこそ16時間とかいうレベルでプログラミングに没頭していた日が何度もありました. 休みの日もほぼ変わりません.

もちろん人や状況にもよりますが, 私の場合, 集中力とそれを続ける意志の力があっていいというよりも, 止め時を認識できないただの馬鹿事案のようです. というわけで, 今年の残りはこの馬鹿みたいな集中力を適切に分散させるのを課題に設定しました. 実際, 通信講座の案内やら何やら, 完全に放置状態になっていてよろしくありません.

まさに急がば回れというか, ほどよいところで止めて落ち着く時間を作った方が結局は課題も早く片付くタイプの人間のようです. 細々としたことが滞りに滞っていますが, もうしばらくお待ちください.

通信講座 量子力学のための線型代数とその計算: いったん簡単な案内

予定を遥かに越えて案内が滞っているので, いったんできているところまで案内ページをシェアしておきます.

あとでページ内にももっと強く書いておく予定ですが, 量子力学を元ネタにした, またはその用語が散りばめられた計算をするのが目的です. 量子力学を勉強するのに必要な線型代数の理論を案内する通信講座ではありません.

まだ練り込み切れてはいないもののカリキュラム案も載せています. 「こんなはずではなかった」とならないよう特に強調しておきます.

さらに言えば計算にフォーカスがあるため量子力学の物理にも踏み込みません. 上記ページにも推薦書をいくつか書いているのでそれを見てください. そして独学で捌ける人には鬱陶しいくらいのスローペースでしょう. 紹介してある本や文献を読んで一人では対応できないと思ったら受講を検討してみてください.

引き続き募集: 物理学ギャラリー・数学ギャラリーに載せてほしい式・法則募集

時間の都合で物理学ギャラリーしかできていませんが, 式を25本まで増やしました.

通信講座の副教材としても使おうと思っていて, 毎日コツコツ1-2本式を追加しています. まだ25本しかないからつまらない, 見る気も起きないという人も多いでしょう. 何より私が一番そう思っています. 式をバンバン増やしたいのでぜひ協力してください.

式の増強に関してはプルリクしてもらえるとなお嬉しいです.

phys-exprs.csvに集約していて, これをtsに変換したのをソース中で使っています. 他のところで流用したくなる機会もあると思い, csvをオリジナルファイルにしています. ミニファイなしのjsonだとスペースで余計な容量を食い, ミニファイすると読み書き編集しにくいのでいったんcsvです.

Fethi Ayaz, Marc Kegel, Klaus Mohnke, 2022, The classification of surfaces via normal curves

同じようなことは考えていましたが先にやられました。 学部の講義で紹介しても良さそうです。

[2208.00999] The classification of surfaces via normal curves The classification of surfaces via normal curves

The classification of surfaces via normal curves Fethi Ayaz, Marc Kegel, Klaus Mohnke

We present a simple proof of the surface classification theorem using normal curves. This proof is analogous to Kneser's and Milnor's proof of the existence and uniqueness of the prime decomposition of 3-manifolds. In particular, we do not need any invariants from algebraic topology to distinguish surfaces.

微分幾何での数学+プログラミングでのお絵描きをやる野望はずっとあり, 数学パートを作るときの参考になりそうなのでメモ&シェアです.

Stefan Friedl, Algebraic topology I - VI

2919ページある大作です. これをじっくり読むかはともかく辞書として手持ちに置いておくといいかもしれません. 私も何かの参考になる機会があるだろうと文献ストックに突っ込んでおきました.

mathraphsodyさんによる調和多項式とべき零多様体の本

調和多項式とnilpotent variety(?)について 体系的に纏まってる洋本ってありますか? 『洋本』はきっと私たちの「代数群と軌道」を避けるための条件だと思います.とりあえずその宣伝を (^^;; 冗談でなくこの本は入手不可能になる可能性があると思うのでお見逃しなく https://sugakushobo.co.jp/903342_53_mae.html

さて,nilpotent variety については,もちろん

Nilpotent Orbits in Semisimple Lie Algebras An Introduction ByDavid H. Collingwood, William M. McGovern

にトドメを刺すでしょう.An Introduction に惑わされてはなりません. https://www.taylorfrancis.com/books/mono/10.1201/9780203745809/nilpotent-orbits-semisimple-lie-algebras-david-collingwood-william-mcgovern しかし,この本は variety というよりも,冪零軌道に詳しいと言えるかも知れません. 日本語によるよい書評 (^^;; があります. https://www.jstage.jst.go.jp/article/sugaku/70/3/70_0703330/_article/-char/ja/

洋書ではないのですが,もう冪零多様体というとかなり専門的なので,書籍とか言ってないで Kostant の論文をお薦めします. この論文は教科書みたいなもので,読んでみるとたくさんのことを学べます.78ページもあるしね.無料です. https://jstor.org/stable/2373130?casa_token=5TPumCaXZIIAAAAA%3AKiCpSIiwr2CWgJRthtSWZ0Jr0GmE_xZC3cVHtOVI9R92xq2ni0EyDBFEOt5Yj5AEbZBuhjfCaOYx6k277D1f3bd6UKUhIjFMjGfsb85NnkNy83yjEPM#metadata_info_tab_contents

調和多項式と不変式環の関係,冪零多様体の正規性,完全交叉性,関数環の構造などなど,ついでに(?)半単純軌道についても書いてあります. だって,冪零軌道は半単純軌道の退化極限ですからねぇ. これを読んだあとは Kostant-Rallis をお勧めします. この論文,リー環の場合の冪零多様体の対称空間への『一般化』と思われがちですが,それは大きな間違いです.冪零多様体とは何か.私はそれをこの論文で学びました. https://jstor.org/stable/2373470?casa_token=tt_JneBq_HIAAAAA%3Ajwdi_JIUcN3CbmeLL4Hu4poHTEKRm6hk-inPwgxCmhstDSX5znd3qJ1EiqTGeZq2oQ5yUVRE0n7rah3Vpk5KOO5XkAj7KNPErpQel7K51JftPh9FhpM#metadata_info_tab_contents それでいま,たまたま見つけて,ああ,これがよいと思った論文があります.それは Brulinski-Kostant. Brylinski は Jan Luc ではなく,Ranee の方で,奥さん.7/🧵 日本に招待したことがあったけど「いまは起業ビジネスで忙しい」と断られたことがある. https://jstor.org/stable/2152759?casa_token=isYTJNPmTTcAAAAA%3AQeIfqIFrCdLuKgpi8A3n5SlkE7Bvxk553Qw70SvtFs17p4nhEMACZkWNW-5ltpxO7eeEYiGKx3_VrE-2KHwxMVO7euImxP1CXqY4Dfkr3HqLHvZJURo#metadata_info_tab_contents 彼女はもうとびきり優秀だったんだけどなぁ.惜しい人をなくした. (^^;; (いやもちろんまだご健在ですが,数学会からはいなくなっちゃった)

で,Brylinski-Kostant に話を戻すと,要するに nilpotent variety って隨伴作用の Hamiltonian reduction なのである,ってことが書いてあるんだと思う. だから冪零多様体を特別視する必要はなく,リー群のハミルトン作用を考えて Hamlitonian reduction すれば自然と冪零多様体みたいなものが現れるって訳だ. その一番原始的な例が冪零多様体で,それを深く理解しておけば Hamiltonian reduction は怖くない. (^^;; コワイケド これに関連して言えば,Fu さんの論文で,孤立シンプレクティック特異点は局所的に極小冪零軌道の閉包の特異点と解析的に同型であるという定理はとんでもないもので,びっくりしたなぁ. https://link.springer.com/article/10.1007/s00222-002-0260-9

まぁしかし,冪零多様体が symplectic reduction の特別なものに過ぎないということからするとある意味で当然の帰結かも知れない. そういえば『冪零多様体』という言葉にはなんとなく「冪零元の全体がなす多様体」というニュアンスがあるけど,この見方は誤解を招く. 不変式たちが定義する多様体,あるいは幾何学的不変式論で言うところの不安定点の全体という認識が正しい. その意味では,Mumford-Forgaty-Kirwan の Geometric Invariant Theory は冪零多様体を理解する一番よい教科書なのかも.ちなみに私は読んでません.

全く知らない分野ですが楽しそうに文献紹介されているのでその楽しそうな気分のお裾分けです.

書かれていないことを書かれていないと認識する能力

読解力が話題になってるみたいなのでなんとなく。理学、特に数学では「書かれていないことを書かれていないと認識する能力」が強く要求されてこれは読解力の一つだと思うわけですが、世間一般ではむしろこれは読解力の不足とみなされてそうだなと思ったり。

RT/Likeがたくさんつくのはこういういい加減な与太話だなぁ。「書かれていないことは読み取るべきでない」とは書いてないのだけれども、そういう筋の引用RTがそこそこついてる。書いていないのだからそう解釈してはいけないとは言わないけどさ。

【単に分野によって読み方・書き方が変わるだけ】と言っている人がいて、それはそうかなとも思うのだけど、まあ数学が割りと「書いてないことは書いていないと認識する」能力を要求するのは確かだと思う。 まあ、数学やってないときに数学者がその能力を発揮できるとも限らないけどさ。

最近ブログの記事を整理してアーカイブに再録し直しています. 昔の記事を見ていてこれは, という内容がありました.

競プロ勢が次のような主張をしていました.

  • 数学の本はわかりにくすぎる.
  • 数学科の人間でさえ苦労している.
  • 人間の本来の理解の仕方に沿っていない.

これに対して雑にコメントすると, 単に他の分野はわかった気になりやすいだけで本来は数学くらい理解に対するハードルは高いはずではないか, そしてお前の言う「人間の本来の理解の仕方というのは何だ. 証拠でもあるのか.」です.

これについて私は実際に凄まじいエピソードを知っています. 学部一年のとき, 教養の微分積分の講義を担当していた郡先生が, 多変数の微分積分に入ったときにこう言っていました.

  • 接ベクトルと言ってよく曲線上の点上からベクトルを生やす図が描かれることが多い.
  • しかし実際には接ベクトルはあくまでベクトルであって原点から生えている.
  • これがわからなくて私は理解が非常に遅れた.

これ, 大半の人には何を言っているのか全くわからないのではないでしょうか. 私も学部一年のときは「ベクトルだしそれはそうだが, そんな面倒なことをいちいち考えるか?」と思っていました. そしていつかも覚えていないものの, ある程度数学, 特に幾何を勉強したときにふと思い出しました. 「あのときの郡先生のコメント, 接空間の話をしていたのではないか」と. 多様体論はいろいろな点でとにかく面倒です. 微分作用素を接ベクトルと呼びますし, 本によっては大したモチベーションの説明もなく本当に抽象的に接空間や接束の議論がはじまります. しかし本当にこのスタイルでないと理解できない人がいるようなのです.

私の先輩の山下真さんも, 抽象的でないと理解できないタイプの人のようでした 学生向けの講義で自分のスタイルの抽象性の高い議論ベースの講義をしてしまい, その講義を聞いた学生達は有限集合の間の全単射さえろくに構成できない程に何も理解できなかったそうです. 他の先輩が「お前の理解のスタイルはよくわかっているが, そうではない人も多いのだからもう少し配慮しろ」と怒るくらいのレベルで指摘した話を聞かされました.

こうした意味で数学の本にも読み方があります. もちろん物理の本にも読み方があります. 通信講座の目的の一つは物理の本の読み方を伝えたい意図もあります. 先日も「綺麗な理論でどうにかするしようとするより泥臭い計算力で捻じ伏せる」といった話を書きました. 言葉で伝えるだけでわかる話ではありません. 実際の計算を見せて, そしてやってもらって肌で実感してもらうのが計算系通信講座の目的です.

Understanding topology: 動画が面白い

シンプルに遷移先の動画を見てほしいです. これは面白い.

Wikipediaの数学記事: 確率変数の収束とフーリエ級数の収束の優秀さ

Wikipediaの「確率変数の収束」と「フーリエ級数の収束」のページが有能すぎる。 わざわざ「〜の収束」という独立した記事がある時点で驚きな上に割と専門的な重要事項が簡潔にまとまっている。英語版には確率変数の収束の証明まで載っている。Wikipediaのくせに数学書より便利。 他にも「バナッハ空間の一覧」とかあってマニアックかつ便利すぎてビビる。オタクかよw 「ヒルベルト空間上のコンパクト作用素」「コンパクト作用素のスペクトル理論」とかやけに詳しいし、「ガウス関数の原始関数の一覧」「三角関数の公式の一覧」「円周率を含む数式」とか公式集的な記事もある。 Mathpediaっぽい雰囲気。 物理の絡むやつで「量子力学の数学的定式化」「一般相対性理論の数学」という数学的側面に限定した解説記事もある。 「水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解」なんて丸々一つの記事を使って解の導出が詳しく載ってて教科書レベル。なんでこんな記事あるんだw

単純なシェアです.

フーリエ変換に対するある主張の当否

フォロワーの方々が教えてくださったのですが、これはほぼ正しいようです。例えば G. B. Folland の "Fourier Analysis and Its Applications"のp.218や小松彦三郎『Fourier解析』定理3.9などを参照してみてください。

Follandを見ると正確な言明の次のようです.

関数$f$が可積分で$\mathbb{R}$上で区分的に連続とし, 不連続点では$f(x) = \frac{1}{2}(f(x-) + f(x+))$をみたすとする. このとき \begin{align} f(x) = \lim_{\varepsilon \to 0} \frac{1}{2 \pi} \int e^{i \xi x} e^{- \varepsilon^2 \xi^2 / 2} \hat{f}(\xi) d \xi, \quad x \in \mathbb{R} \end{align} が成り立つ. さらに$\hat{f}$が可積分ならば$f$は連続で, \begin{align} f(x) = \frac{1}{2 \pi} e^{i \xi x} \hat{f}(\xi) d \xi, \quad x \in \mathbb{R} \end{align} が成り立つ.

証明の細部はともかく減衰因子が入っているならそれはそうか, という話でした. あとは元の関数の滑らかさはフーリエ変換の可積分性に伝播するから, というのも書いておいた方がいいのでしょう. その前に補足はあると思いますが, もとの黒板上の「区分的に滑らか」がどこまで強い主張なのか(まさか$C^{\infty}$ではないはず)も気にはなります.

『代数学のレッスン計算体験を重視する入門』

【好評発売中】『代数学のレッスン計算体験を重視する入門』 雪田修一/著 正規部分群やイデアルはなぜ必要なのだろう? ―こうしたことに引っかかった人に読んでほしい! 「計算体験=数学的現象の観察」から出発。証明にはデザインパターンがある!

私の意識がそちらに向いているからよく目に入るだけの可能性の方が高そうですが, 最近計算を重視する本がよく出ている印象があります. 「計算体験=数学的現象の観察」という指摘が非常に重要です.

微分チートシート: 「ベクトルで微分・行列で微分」公式まとめ

いま物理学・数学ギャラリーを整備していますが, やはりこういうのもほしいです. いろいろな定式化によるフーリエ変換の計算結果はリストに入っていますが, 微積分関係のリストも作らないと, と楽しみが増えました. 既にベクトル解析の諸式はいくつか突っ込んだのでもっと増強します.

永井佑紀, 1週間で学べる!Julia数値計算プログラミング

ありがとうございます。 こちらにとりあえず3日まで動作確認したコードが置いてあります。残りは順次確認次第載せる予定です。 1週間で学べる!Julia数値計算プログラミング(KS情報科学専門書)

ようやく手に入れました. 特に統計力学に関する数値実験をやろうと思っているのですが, 写経が大変で時間が取れていません. Twitter上で相互フォローなので聞いてみたところ, コードは公開準備中でいま三章までは出しているとのこと. 数値計算はバグ取りが地獄のようにつらいので早くコードを公開してほしいところです. いまTwitter上の知人とやっている統計勉強会もいまはJulia勉強会のようになっています. そこではイジングで遊び倒す機会も作ろうと思っています. 非常に楽しみです.

聖地巡礼の意義

今回一番注目したのが「聖地巡礼によって街の名前を知られた結果、地域住民が自分の街に誇りを持つ」っていう点で、これが聖地巡礼が地域に及ぼす最大のインパクトだと思う。 知名度を上げ、誇りを持たないと地域振興は難しいが、聖地巡礼にはその壁を乗り越えるパワーがある。

俗な話だけど、自分の街に誇りを持つときって、外から「○○の方ですか!」って言われる時が一番じゃないかと。 現代においては知名度と街への誇りは一体不可分だけど、殆どの地域でこれが大きな課題になってる。 その壁を同時に乗り越えられるからこそ、聖地巡礼による町おこしが注目されるのでは。 より平たく言えば、自分の街をいう度「○○ってどちらですか?」って聞かれ続けたんじゃ自分の街なんてその程度と思ってしまうし、そんな街よくしようとは中々思わんよね、という話。

物理や数学に直結するわけではありませんが, 気になったのでメモ&シェア.

「ルンバが走るには片付いた部屋が必要」

ルンバが走るには片付いた部屋が必要

という言葉がDXと要件定義の関係における、1番わかりやすい例えな気がする

これすごくわかりやすいな。「DXはデジタルの活用ではない。デジタルを活用するために自分と組織が変わること」という言葉が刺さる

最近, 会社の研修でDX関係のセミナーに出ているのでそれに関するメモです.

「才のともしきや、学ぶ事の晩きや、暇のなきやによりて、思いくずをれて、止ることなかれ」

私はAIを勉強し始めたとき(2017)、自分にも「古典文学を博士まで勉強して、今更AIの勉強?」と何回も思った。でも、やり続けたのは本居宣長の言葉があった。

「才のともしきや、学ぶ事の晩きや、暇のなきやによりて、思いくずをれて、止ることなかれ」

「自分には才能が乏しいとか、学び始めるのが遅かったとか、する暇が無いといった理由で思い悩んだり落ち込んだりして、進歩すること止めてはいけない。」

これは日本に留学するレベルで日本古典文学に興味を持ったものの, 肝心の崩し字が読めなくてつらかったため崩し字のハードルを越えるためにアプリケーションを開発したという人の話です. 私もいま理工系の総合語学に向けていろいろ検討し, アプリを作って情報も整理しているところで, いろいろな示唆があります.

今週の問題

ようやく行列リー群の基礎の基礎を終えました. リー群・リー環の基礎といえばやはり次の命題でしょう, というわけで.

  • 同型なリー環を持つ単連結なリー群は互いに同型である.

非同型なリー群が同じリー環を持つ現象は初等的な範囲でもたくさんあります. この壁を乗り越えてリー環でリー群を記述しきるための鍵は位相にあり, それが単連結性だという決定的な定理です.

何度か書いているように, 代数+位相のセットは互いに恐ろしく強い制約を与えます. 微分幾何では曲率という微分幾何的・リーマン幾何的な構造が位相に制約を与えるのが面白さの一つで, 位相に制約を与える以上, 多様体が代数的な制約を持つときには代数にも影響を与えます. 当然代数的な制約から微分幾何的な制約が入るとも言えます.

位相がわけわからないという人は多いようですが, 行列・行列群の性質から少しずつ位相に慣れ親しむパスがあってもいいでしょう. リー群・リー環の議論, 行列計算のハードさもあるため位相への意識が薄くなってしまいかねない懸念はあるものの, 位相の射程距離を知るにはいいテーマです. ぜひリー群・リー環も勉強すると楽しい分野リストに入れてあげてください.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

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語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-07-30

数学・物理 載せたい方程式募集/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 質問の仕方・アンケート利用案内: 困った質問が来たので
  • 基礎・基本の意義・重要性
  • 物理への取り組み方と次の短期集中講座
  • 集中して取り組む
  • 載せたい方程式募集
  • 計算できない理由を考える
  • 大人の数学
  • 幾何の講義YouTube
  • SymPyが便利で感銘を受けた記録
  • ニュートンの三法則の解釈
  • 文理工の科学的世界観で考えるファンタジーの設定
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「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.

メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.

ではまたメールします.

近況報告

土曜日で行列リー群・リー環の基礎の基礎くらいのところ, 終わると思ったら終わらなかったのですが, さすがに日曜には終わるでしょう. モース理論入門をリー群・リー環で最低限触ろうというネタも見つけて, それも調べつついろいろやりたいところですが, いったんリー群・リー環はいったん休止して物理モードに戻ろうかと思っています.

何故終わらなかったかというと先週宣言した物理の式のギャラリーを作っていたからです.

実物を見せないとイメージもわかないと思ったので.

Twitterに先週のメルマガの内容を放流したらQmQさんからリアクションが来たので, 継続的に一日一式くらい追加してやっていく予定です. 「こんな式を載せてほしい」というのがあればぜひ教えてください. TeXで式を作って送ってもらえるとなお嬉しいです.

物理モードに入ったので改めて量子力学の基本的な理論の部分や, 相対性理論を再勉強しています. 相対性理論の本を眺めていたら, 特に一般相対性理論で計量の符号の流儀に由来する曲率の表式の違いが問題になっているのを見かけました. 数学でも曲率の符号が問題になる場面はよくあり, 流儀ごとの計算結果は現代数学探険隊にまとめているのですが, これも改めてきちんとまとめようと思っています.

フーリエ変換も$2 \pi$をどこにどう置くか, 三パターンくらいありますし, これも現代数学探険隊にまとめています. 私が参照しやすくする目的も兼ねて公開しようと思っています.

私の勉強・参照の役に立つなら万人とは言わずとも役に立つ人は必ずいるはずで, そこを狙ってやっていきます.

疲れているときや昼食の休憩時など, ちょっとしたすき間時間はだらだらしがちなのですが, そういう時間に使うアプリとして非常に楽しみです.

質問の仕方・アンケート利用案内: 困った質問が来たので

率直に言ってとても困った質問が来たので改めて案内します. リー群・リー環に興味があるようで次のような質問が来ました.

  • 物理に必要な最低限のリー群・リー環だけを勉強したい.
  • わかりやすい教材を教えてほしい.

何回かコメントをもらったことがある人で確か理工系出身の人だったとは思うのですが, どういう背景を持つのかあまりよくわかっていません. 以前簡単な自己紹介をもらった気もしますが, 何年も前なのでさすがに覚えていません. そんな中で「物理に必要な最低限」と言われてもどう答えればいいのか全くわかりません. 同じく, どんな教育を受けてきて何を勉強してきたのか, 背景や状況を教えてくれずに「わかりやすいのを教えて」ともよく言われるのですが, 私と同程度にゴリゴリに物理と数学をやってきている人もそういないでしょうし, 集合・位相・実数論の背景がない人に勧められる数学の本もほとんど知りません.

それで「数学と物理をやってきた人だと思って期待していたが残念だ」と言われたので, 理工系の素養があってそれなりにやってきている人間からここまでどうしようもない質問が来た上で, こんな返信をもらうのかとさすがにげんなりしました.

回答の負担になるのであえてあまりくどくどと書いていませんが, アンケートには「質問があるならせめてこのくらいは情報をつけてほしい」という項目を入れてあります. 真剣な質問で回答がほしいなら, どのくらいの数学・物理・プログラミングなど項目ごとに適切な情報をつけてください.

せっかくなので上記の質問に関してここにもコメントをつけておきます.

物理に必要な最低限のリー群・リー環

何をやりたいかに強く依存します. そして私の知る限りの学部から修士の物理での「最低限」の線で言えば, リー群・リー環の勉強は無駄なのでやめようと言います. 一般論を勉強するよりも都度出てくる計算を処理しきれる計算力を育てる方が汎用的で重要です. 最近の計算押しもまさにここにフォーカスしています.

私の「物理」に関しても補足でコメントします. 主に修士の頃にやっていた範囲ですが, 物理としては場の量子論の赤外発散の数理・基底状態の存在, 量子統計での平衡状態の存在です. リー群・リー環の議論は全く使いません. 勉強の段階ではローレンツ群・ポアンカレ群というリー群らしいリー群, 非可換なリー群は出てきましたが, リー群の一般論をまともに勉強しきったことはありません. いま再勉強している様子を伝えている通り, 本を一通り眺めたことはありますが当時も今も身についていません. 具体的にどのくらいの勉強をしたかについては, 新井朝雄先生の『フォック空間と量子場』を見てください. その範囲しか勉強できていません.

勉強の段階でさえ私のメインの対象は場の量子論では時空並進群$\mathbb{R}^d$, 量子統計では空間並進群として$\mathbb{Z}^d$です. 後者にいたっては形式的にはリー群ですがわざわざリー群とみなす方が大変です. 自由場のボース-アインシュタイン凝縮関係で$U(1)$も少し触ってはいるものの, リー群の議論がいるかと言われれば全く必要ありません.

「数理物理」と言ってもいろいろあります. 数学的には関数解析が専門で, それ相応の範囲を勉強してもいますが, 研究で一番大事なのは収束制御のための極限処理の腕力です. 直接の修士の専門だった作用素環でも, 一番大事なのは学部四年で既に勉強済みだったGNS構成定理です. まわりまわっていろいろ必要になることは多々あります. それでもまず最低限と言われたらこのくらいです.

物理で最低限必要な数学と言われたらもっと数学の知識は減りますし, 何より数学をやるより計算力をつけろと言いますし, それへの回答として計算力養成講座を運営しようとしているくらいです. 数学の勉強よりもぜひ計算力の涵養を最重視してください. 「数学」をやるより余程役に立ちます.

わかりやすい本

わかりやすいかどうかは微妙ですが, 小林・大島の『リー群と表現論』が読んでいて抜群に面白いです.

私を越える数学力があれば難なく読めるでしょう. 自分に必要な範囲の解析学しか修めていないので, 幾何と代数に関して私程度は越えていないと気楽には読めません. リー群とその表現には届かないものの, 平井武『線型代数と群の表現I・II』は集合・位相のようなゴリゴリの数学の知識なしで読めて楽しい本です.

私は私より数学ができない人でも読めるリー群・リー環の本を知りません. 知らなくて困っているからこそ多様体ベースのリー群ではなく, 行列リー群・リー環で愚直に計算を進めるタイプのコンテンツを整備しているくらいです.

持っているだけ持っていて読めていないのですが, 物理, 特に素粒子系で有名なところだとジョージアイの本があるようです.

レビューによると独学にはつらいようですが, 物理の大学院レベル, それも素粒子系の専門性があるなら物理数学的腕力でねじふせられるのかもしれません. そもそも最近はもっといい本が出ている可能性もあります.

基礎・基本の意義・重要性

この間プログラムを書いていたときの話です. 一日かけて解決できなかった問題がありました. 夜寝る前に「手を抜くからいけない, 一から動く部分を少しずつ積み上げて問題を一つずつ潰そう」と, 正攻法で挑み直したら翌日10分程度で解決できました. 基礎の重要性を噛み締めています. 急がば回れとは本当によく言ったものです.

上でも少し書きましたが, 物理でも数学でも計算力は基本中の基本です. 特に物理では数学の綺麗な一般論で片付けるよりも, 泥臭かろうが剛腕で押し切るのは非常に重要です. もっと言えば私の専門の数理物理がそうであるように, その時点の数学で処理しきれない問題があって数学に頼れないこともよくある以上, その場しのぎであろうとも計算力さえあればねじ伏せられるならそれを使うしかありません. 最近では「計算力」の中にプログラミングも含まれるようになってきています.

通信講座でも計算力が足りなくて困っている人がいました. それなりに面倒な近似とその計算も含め, やはり古典力学は物理に馴染む上で最初に取り組むべき分野です. 応用上カバーする分野も恐ろしい程に広く, まさしく一生かけても遊び切れないほどテーマも豊富です. 物理, またはもっと物理を勉強したい人も読者に多い中で, 数学の話ばかりしているのもよくないと思っていたところなので, これまで以上に物理での計算の意義の強調, そして計算力向上プロジェクトの推進を進めなければと思いを新たにしています.

物理への取り組み方と次の短期集中講座

というわけで物理と計算です. 他のいろいろな取り組みが楽しすぎて全く準備が進めていませんが, 次の短期集中講座は「量子力学のための線型代数, 特にその計算」です. 二次または三次の行列計算をがんばってやろうという企画で, 一般論の趣が強い話はほぼ扱いません. 量子力学に関わる話もほぼ直接的には出てきません. 計算力さえ身につけば量子力学の本も自力で読めると思うので, まずはそのための力を育てるのがいま私が一番できる貢献と思っているからでもあります.

もちろん三ヶ月でできる範囲には限度があるので, 堀田量子・谷村量子あたりに挑むための基礎計算力を身につけるための第一段です.

念のため書いておくと, 学部教養レベルの線型代数の一般論は絶対に必要です. 何をどうしても一般の有限な$N$次元は処理できないと困るからです. そして具体的な2-3次元と$N$次元の処理はやはり多少のギャップがあります. さらに言えば$N$次元の一般論が処理できたとしても, 2-3次元のハードな計算をこなす腕力・計算的体力があるかも別問題です. 極端に言えば一般論は純粋な数学の人に聞いたり教えてもらう形でも対応できますし, 物理についても物理の人に聞く手があります. しかし計算を詳しくカバーするのは骨が折れます. 大学の学部でも演習系の講義はよく必修として組み込まれています.

最近大人向け数学塾的なところも増えていますし, 個人指導も増えています. そんな中, 計算力涵養講座は必ずしもカバーされていない領域ではないかと思っています. 個人指導だといくらでも聞けるとは思いますが, 個人指導に高いお金を払おうというときに計算だけ面倒見てくれ, 計算練習だけしたいという要望もないでしょう. 大事な割に軽視されがちな部分をきちんと追いかけようと思っています.

集中して取り組む

プログラミングに関してCSSを含めたフロントエンドにここ一月集中して取り組んでいます. だいぶ慣れてきました. これまで直したいと思って放置してきたこのサイトのCSSも微修正しました. 慣れてしまえば大したことはなかったものの, そこに至るまでの精神的なハードルの高さは凄まじかったのです. この一月でそのハードルが著しく下がりました. 長期間継続すると言うと聞こえはいいですが, ダラダラと長い時間やっていても必ずしも望み通りの結果は産めません. 集中するべきときは資源を全集中してガツっとやった方がいいのも改めて実感しています.

もちろん数学や物理は一月程度でどうにかなるわけではありません. 正直プログラミングは本当に大したレベルではないので, プログラミングの初期学習時にゴリっと時間を取るのはかなりよさそうな感じがします.

載せたい方程式募集

先週少し紹介した式を眺めるアプリ事案, 文章だけではイメージが掴めるはずもないのでさっとWebアプリを作ってみました.

イメージが違うと思う人もいれば, もっとこうしてほしいというのもあるでしょうし, 式が少なくてつまらないという人もいるでしょう. 式が少なくてつまらないのはまさにいまの私の感想です. すき間時間を潰すにもせめて500本くらいはほしいです.

物理の有名な法則や式を載せればいいのでネタは豊富にありますが, 式を打つ時間がかかります. 載せる順番の問題もあります. 「この式を優先して載せてほしい」といった要望があればぜひ教えてください. 式をTeXで打ってもらえるとなお嬉しいです.

もちろんこれの数学版も作りたいですし, 物理で言うならもう少し一般向けの内容として, 物理学者名言集のようなものも作りたいです. 数学についてはいまある現代数学探険隊から定義・定理・命題・補題を切り出してズバンと数百レベルで作ろうと思っています. そのためのテキスト処理プログラムを作ろうと思って時間が取れていない状況です. これも早く何とかしたいです. これがあればすき間時間のリー群・リー環の復習・定着に取り組みやすくなるので, 何より私がほしいアプリです.

計算できない理由を考える

今回ずっと計算づくしですが, そのくらい大事だからです. 最近私もずっと計算していますし, 通信講座で他の人の様子も見たのでその辺からいくつかピックアップします.

計算が進められない理由はいくつかあります. まず一つ, 文章が読めていない場合があります. 「そんな馬鹿なことがあるか」と思うかもしれませんが, Twitterを見たり通信講座で質問を受けていると, 「それ, きちんと証明の中で『こうやる』と書いてあるのですが」というところで「わからない」と言っている人が本当にいます.

  • 「こうすればいい」
  • 「そうだったのか」

このやりとりをしたあと, きちんと本を見たらそう書いてある場合が本当にあります. 根気強く丁寧に文章を読むのも計算力のうちのようです.

もう一つ, 特に初学者によくあるのは定義が頭に入っていない事案です. もっと言えば定義が大事だとわかっていない状態です. 分野のはじめの方であればあるほど使えるのは定義しかないので, 「定義に沿って計算する」, 「定義にあてはめられるように計算する」しかできることがありません. その状態で「何を計算したらいいのかわからない」のは単純に定義の重要性がわかっていないからです.

これは文章が読めていないと言ってもいいのでしょう. 何と言えばいいのかわかりませんが, 「論理的に進めるスタイル」とでもいうのか, 少なくとも物理・数学の専門書の本の読み方がわかっていなさそうな状況もよくあるようです.

次の短期集中講座でも週に一回か二回は勉強会またはもくもく会の時間を作る予定ですが, そこで問題を見たときにまず真っ先に何に着目してどうすると考えるのか, ミニレクチャーをはさんだ方がいいのかもしれません.

大人の数学

以前も少し紹介した事案です. 特に機械学習なり何なりで線型代数や微分積分が必要というとき, 実際には中学, せめて高校くらいの段階からみっちりやる必要もあります. それをカバーする教育体制がどこにどのくらいあるのかという話.

高校数学または中学数学くらいからのいい感じのアプローチはずっと考えている部分でもあります. これは特に私が一番やりたい部分である中高生へのアプローチとして, 先々の面白い話をどう手早く, それもきちんと腹落ちする形で見せられるかにもつながるからです. 競プロがあってコミュニティもできているから, アルゴリズム系の計算, そして計算でがんばるタイプの微分積分・線型代数, さらにはそのお絵描きがいいのではないかと思っています. 以前, 実際に微分積分・線型代数はコンテンツを作りましたが改めて具体的に要望あるでしょうか. SymPyもそれなりのボリュームで扱っていますし, 微分方程式にも触れているので, 古典力学はもちろんのこと量子力学の行列計算でもそれなりに役立ちます.

実際, リー群・リー環の場合も含めて行列計算ではsympyやnumpyにお世話になっています. 私はできる場合には数式処理的な厳密な計算をしたいのでsympyが主な対象ではあるものの, 数値的にそれなりにできれば十分という人もいるでしょう. sympyをがんばるよりnumpyで数値的に処理する方が簡単な場合も多いですし, sympyの限界でそうするしかない場合もあります. これも実際に二次正方行列の極分解でsympyだと二重根号の処理ができず, はまり倒しつつ三日かけて手計算をがんばったことがあります. 二重根号で処理できること自体, 一日半かけてようやくわかったのです. numpyで数値的に解くだけなら一瞬で終わるのですが気にくわなかったので.

幾何の講義YouTube

大分前のメモで共有できていなかった分です. いま改めてサイト・メルマガを整理していて書きかけを見つけたのでここで供養します.

SymPyが便利で感銘を受けた記録

今週の問題ネタでもあります. 特殊線型リー群$\mathrm{SL}(2,\mathbb{C})$は弧状連結なので任意の要素が指数写像の像の積で書けます. 一方, 具体的な$\mathrm{SL}(2,\mathbb{C})$の要素を分解してみせるのはなかなか大変です. そこでSymPyを使って探索したらあっという間に見つかりました. 二次であっても行列の計算は面倒でミスも多発します. 試行錯誤となると余計にやりたくなくなります. それをカバーしてくれるこんなに嬉しいモノがあるかと感銘を受けました.

何でもできるとは思えませんが, SymPyには行列の指数・対数もあります. まず適当な(簡単な)行列を積で分解しておき, 各因子の対数を取れば対応するリー環の要素がすぐに計算できます. これもまた便利で感銘を受けました. リー群・リー環の計算練習系コンテンツはもちろんのこと, 次の短期集中通信講座, 量子力学と線型代数ネタでももっと積極的に使った方がいい気持ちを新たにしました.

プログラムを書いて探索するのもぜひもっと使ってほしいですね.

ニュートンの三法則の解釈

科学哲学・自然哲学系の人です.

山本義隆先生は,Landau-Lifshitz 物理学小教程の『力学・場の理論』の解説で,「論理的に純化したときの力学原理としての「慣性の法則」は何かと言えば〔…〕慣性座標系の存在要請ということになる」(p. 419) と述べているが,私がこの主張に賛同できない理由の一つは,下記のスライドに書いた通り.

  • 第一法則は第二法則の特殊ケース($F=0$の場合)であり, 余計ではないのか? -> そうではない.
  • 第二法則だけでは, どういうときに「外力が加わった」と言えるのかが明らかではない.
  • 第一法則は「外力が加わっていない自然な状態」がどういう状態なのかを基底しており, 第二法則はそれを前提としている

もう一つの理由は,そもそも座標系というのは人間の都合で設定されるもので,物理現象はそれとは独立なので,力学法則が座標系への言及を含むのは不適切だと思うから. 慣性の法則は,相対論における測地線原理(質量のある自由粒子はtimelikeな測地線上を運動する)の古典的時空における対応物だと思うので,その対応が明確になるような形で(座標系に言及しない形で)定式化するべきだと思う.

もう一つ当人の補足.

整理すると,第一法則は「外力が働いていない」状態がどのような状態なのかを規定しており,第二法則はそれを前提としている.したがって第一法則を慣性系の存在要請としなくても,第二法則の特殊ケースとはならない. 第二法則から「$F = 0$ のとき加速度$= 0$」が出てくるので,第一法則はその特殊ケースではないかと思われるかもしれないが,これは「$F = 0$のとき静止もしくは等速直線運動」と同じではない.例えばアリストテレスやガリレオにとって天体の一様円運動は「変化のない運動」,つまり加速のない運動だった. 気になるのは,アリストテレスにとって天球(エーテル)の一様円運動は「自然」な運動だから外力を必要としないと思うんだけど,同時に彼は天球を動かす「不動の動者」を考えていること.このあたりの整合性はどうやって取っているんだろう. SEPによると,アリストテレスの言う「自然な運動」は「外力を必要としない運動」というわけではないらしい.https://plato.stanford.edu/entries/aristo

これに対するコメントがいくつかあります.

非常に興味深いです。そのスライドに書かれていることはまさに「慣性座標系の存在要請」のように思えるのですが、どの点が違っているのでしょうか。

スライドに書いた慣性の法則は,座標系への言及を含んでいない(座標系とは関係なく成り立つ)ので,慣性系の存在要請とは違うと思います.ちょうど相対論における測地線原理(質量のある自由粒子はtimelikeな測地線上を運動する)が座標系への言及を含んでいないのと同様です.

そもそも山本先生は,慣性の法則が第二法則の特殊ケースになってしまうのを避けるために,それを慣性系の存在要請として解釈しているようですが,私はその議論の前提(慣性の法則を慣性系の存在要請として解釈しないと,第二法則の特殊ケースになってしまうという前提)が間違っているように思います.

では、第一法則を「静止あるいは等速直線運動をおこなっている物体には(トータルで)外力が働いていない」という意味での外力の定義とみなせば良いでしょうか

そうですね.外力の定義として考えるのは良いと思います.

他のコメントその二.

特殊な座標系(慣性系)においてのみ第二法則は成立し、第一法則はそのような系の存在を要請している。

よって、座標系に無関係に成立するという主張は支持しない。

「慣性の法則」の意義の話をする時にネーターの定理を持ち出さないのは違和感があります。山本義隆さんの言うように理論的にはユークリッドな慣性座標の存在から直ちに導かれるものです

あまり真面目に考えたことがない上に正確な状況設定も理解していないのですが, 慣性以前に座標系をいつどこでどう定義したことになっているのか把握できていません. 上の当人コメントでは「外力の定義として考えるのは良い」と言っていますが, 外力以前に単純な力の定義もどこでどう設定したことになっているのでしょうか.

上で「文章が読めていない」という話をしましたが, 特にこの辺の議論の前提に関わるところはこの前段で何をどう設定したかに強く依存しますし, いちかわけんとさんコメントもそこに関わる話でしょう. そこが明示されない状態での空中戦は本当に不毛です.

文理工の科学的世界観で考えるファンタジーの設定

ずっと構想してたけど供養す

魔法は世界に対する API の query で、図形化のプログラミング言語を利用して現実化させるみたいなやつで

言語学や民俗学も絡めて、さらに異世界薬局とかの物理や化学に基づいた物質創成・操作とか

つまり文理工の科学的世界観で考えるファンタジーみたいな設定が欲しい

自分でやる気は起きませんがこれはすごい楽しそうです. ファンタジーを作る気はしないものの, アーカイブのトップに書いた「理工系の総合語学」のコンセプトはこれと強い関係があるとは思っています. とりあえずは語学・言語学・プログラミングに力を入れてやっていく所存.

今週の問題

今週は行列リー群の当面の締めとして, 単連結なリー群についていろいろまとめていました. 単連結という位相的特徴と代数の関連はもちろん自明に大事なのですが, もう一つ面白かったのは次の事実です.

  • 実・複素係数のリー環$\mathfrak{g}$に対してトレースはもとリー環の$\mathfrak{g}$から実数体・複素数体への準同型である.

理由は指数関数の行列式に対する有名な等式$\det e^A = e^{\mathrm{Tr} \, A}$です. これ自体は散々見て使ってきた等式でしたが, リー環の準同型を示唆すると思って見たことがなく自分の目の節穴ぶりを見せつけられました.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション

2022-07-23

数学・物理 式や定理を眺めるアプリを作ろう/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

  • 近況報告
  • 単語学習アプリとその数学・物理への展開
  • 勉強しやすくする環境作り
  • メタバースとオンライン教育の食い合わせ
  • データ同化と作用素環
  • 『インド数学研究』
  • 「数学も英語も強くなる! 直訳では伝わらない意外な数学英語たち」
  • Stack projectのPDF
  • 古典場と量子系の共存
  • 『進化思考』における間違った進化理解の解説
  • 居眠りを苛立たしく思わない方法
  • Coqで書き直したPrincipia Mathematica
  • 単語と世界史
  • 今週の問題

メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.

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ではまたメールします.

近況報告

ここ最近, 仕事のアプリ開発用の調査も兼ねたプログラミングをしていたら, 「勉強ついでにやってみよう」で自分用のアプリ開発を進めています. 技術不足でなかなかうまくいってはいないものの, 「これもほしい」「これができるならあれも何とか自力でできそう」という感じで, 妄想と実装が進んでいてなかなか数学・物理が進んでいません. 贅沢な悩みなので大きな問題ではありませんが, 次の通信講座の準備も放置したままです. 無理やりにでも時間を作って来週のメルマガでもう少し具体的な話をしようと思います.

単語学習アプリとその数学・物理への展開

現状ほぼロシア語しかありません. そしてこれ自体にはほぼ興味ある人はいないでしょう. しかしこれができるなら, と思って妄想しているのが定理版や物理法則版です.

実際に勉強しているとき, ちょっとした空き時間やいまひとつやる気が出ないときの気力充填用のアプリとして, 既に整備しているコンテンツから定義・定理だけ抜き出して眺めたり, お気に入りの定理や式や物理法則をパラパラ眺めるアプリがあったらいいのではないかと思っています.

これは単純に勉強する上でも実はかなり大事です. 何をやるにしても復習は非常に大事です. そして大事な定義・定理の主張だけ眺めるのはかなり大事です. 証明の細かい議論の追跡や計算の完遂も重要ですが, 個々の定義や定理の言明に親しむのも同じく大事です. 定義や定理はエッセンスをまとめた対象なわけで, 証明は証明, 言明は言明とわけて考えて慣れるのには一定の意義があります.

自作のコンテンツは基本的に自分にわかるように計算を詳しく書いているため, どうしても長くなります. 定義や定理だけ抜き出してさっと眺められると便利とは前々から思っていて, それを実現する方法としてこの手のアプリを作るのは一手と思っています.

他にも通信講座の各回のコンテンツ配布用にPWAアプリの形の配布も割と便利ではないかと思っています.

何にせよ自分自身の復習効率向上のために早くアプリ作りたいです.

勉強しやすくする環境作り

7/20(水)で古典力学に関する三ヶ月間の短期集中講座が終わりました. 7/23(土)に最後にちょっとした振り返りをして感想を聞いたので, いくつかシェアします.

まずは次の二点.

  • 勉強会がよい強制力になった.
  • ペース配分してもらえるのがよい.

週に二回, オンラインで一時間ずつ勉強会と称して時間を取っていました. 社会人で忙しくともせめて週に二回, 一時間ずつくらいは勉強してもらいたいからです. もちろんこの時間には質問も受け付けていました. 勉強会への参加がいい強制力になっていたそうです.

もう一つ, 全体が見えている人間による内容とペースの配分がよかったようです. はじめはやる気や意志の強さの問題かと思っていたが, 三ヶ月で最低限の内容を無理のないペースで進める, という視点からの配分がかなり助かったと. いまやっている議論が先々どんな意味があるか, どう発展するかもいろいろな形で伝えていた点もよかったようです. 例えば調和振動子は量子力学や場の量子論でも重要, といった話を各所で展開していました.

あともっと計算を詳しくしてほしいという要望がありました. もちろん詳しくするべき箇所は詳しくしますが, 少なくとも手元にある元にしたいくつかの参考文献よりは計算を詳しく書いてあります. 計算力がないという自覚のある方だったので, このくらいは捌けるようにもっと計算力をつけてほしいとは伝えました.

まさに計算力強化を目的にした通信講座であり, 理論の理解と同じく, 実際にたくさん計算して計算力を育ててもらわないと理論の理解も覚束ないのが現実です. 広い意味での計算力のなさが理解を阻むのは自分自身苦しんできた部分でもあり, 引き続きこの線を追いかける決意を新たにしました.

ここ何回かメルマガでもプログラミングに関して書いてきたように, 一人でやっていても効率が悪いことはよくあります. 役に立つわけでもないタイプの勉強なら必ずしも効率を求めなくてもいいでしょう. しかしむやみやたらに苦行にするのも違います. その辺をよりよくバックアップするための処方箋として, まずは自分がほしいアプリ開発も優先順位をあげて対応しています.

そしてよく言われる一番よい勉強法は「人に教える」です. 大学でのゼミ形式です. 教えるために勉強するのもありますが, 教えていると頭の使い方が変わって, それまでに思いつかなかった説明の仕方をひらめくことがあります. 私もフロントエンドまわりのプログラミングに関して, 自分の中の圧力を上げるため, 勉強会の講師役をやる前提で知人が運営しているコミュニティに参加させてもらうことにしました.

もちろんここまでの圧をかけるのは大変なので安易にお勧めはしません. ただ特に計算力涵養に対していろいろなテーマの短期集中講座で対応していく予定です. 使える人はぜひ使ってください.

メタバースとオンライン教育の食い合わせ

最近各方面と話してて思うけど、メタバースとオンライン教育の食い合わせは完璧に近いのに、環境を整えるコストがボトルネックすぎて双方向授業やワークショップの活用事例があまりにも少ないのが悲しすぎる 既に現場にいる人が活用事例を創出しまくってオイデオイデするしか勝ち筋がない

子供たちはMMOの延長として捉えて導入がスムーズなのに対して、大人は自分たちが知らない別の世界へ連れていかれるようなモノというイメージを持ってるケースがあって…リケジョ教育もそうですが、先に伝達すべきは親御さんや先生ですね

Vtuberをやっている人と少し仲良くなったので, その人の活動を横目にしながら, 私も何かしらやろうと思っています. Vtuberを動かしつつ3Dの数学・物理系アニメーションコンテンツを作っている人もいるようですし, そういう方向性でもいろいろ遊びたいと思っています.

データ同化と作用素環

時間がなくてプレプリントは読めていませんがとりあえずシェア. 情報系, 割と滅茶苦茶な数学が出てくるようで時々驚きます. こういうのを見ていると関数解析をやっていてよかったと思うときもあります.

『インド数学研究』

『インド数学研究』オンデマンド版ということでペーパーバックだと思っていたのですが眩しいくらいに立派な装丁の本でした.光ってます😂 先週末時間をとって取組んだのですが思った以上に難しいですね.インド数学特有の表現法に慣れないといけません.数学ってもの凄く地域的で文化的なのだと再認識.

この小学校の円の求積の説明でみかけるこの図.ギリシャ数学ではまず見かけないのですが,どうやらインド数学の図版にはあるらしいのです.こういったアイディアの(現存する)初出に触れられるのも古い科学文献を読む楽しみです.

私もこの図はよく使います. インド起源らしいと知ってちょっとびっくりしました.

「数学も英