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2019

2019-09-30 新学期に向けて数学の勉強体制を整えよう/相転移プロダクション

今年という単位で見るともう後半も後半ですが, 学生からすると折り返しのタイミングで, 後期がはじまるタイミングです.

改めて数学の勉強をやっていきたいので, 勉強の仕方や参考文献を教えてくださいという相談がいくつか来ました. メルマガを出していない間, そのあたりの情報も整理したのでまとめて案内します.

次の URL でいろいろなレベルに応じた 参考文献や勉強法を紹介しています. 100 ページ近いボリュームがあるので, 必要なところを読んでみてください.

  • http://phasetr.com/members/myfiles/file/math_expedition_000_003_FPWpc.pdf

これはここまでいろいろな相談を受けたときの回答や, 各通信講座で案内している参考文献や勉強法をまとめています. 小説やドラマなどライトに数学を楽しむ, 中高数学を深める, ゴリゴリに大学数学を勉強する, いろいろな視点からの案内をまとめています.

それぞれの方向性に応じて具体的な文献も紹介していますし, 私が作ってきたコンテンツ全体で紹介している 200 以上の参考文献一覧もついています. まだまだ整備中ですが, 本格派コンテンツの現代数学探険隊の内容も含めた索引も入っています. 専門用語だけ眺めていても楽しいと思うので, こういう要素も入れてあります. 思い思いの楽しみ方をしてください.

さて, ここで 1 つ上の文献一覧の問題を指摘しておく必要があります. 私が何か新しいことを勉強するときにいつも思うことでもあります. それは文献をたくさん挙げられると, どれで勉強すればいいか,どれを買えばいいかで悩むことです.

例えば最近, 中高生向けの英語コンテンツを作ろうと思っていて, 改めて既存の英語コンテンツを眺めてみたり, 英語だけではなくフランス語などのコンテンツも眺めてみたりしました. (ちなみにいま考えている英語のコンテンツは 「相対性理論で学ぶ英語」というコンセプトです.)

どんな本がいいか, ネットで検索したりするわけです. たいてい本の 6 選だとか 26 選, みたいなのが引っかかります. 自分で勧めるときのことを考えても, 人によって合う合わないがあるから, いろいろ挙げておくので本屋さんで具体的に見てみてね, としたいわけです.

英語の学習参考書くらいならまだしも, 理工系の専門書がたくさん置いてある本屋などそうはありません. そうした品揃えがある図書館もそうはありません. 中身を選ぶということ自体に高いハードルがあるのです.

あと理工系の本のお勧めという話でいうと, 例えば理工系の教養数学として線型代数, 微分積分, ベクトル解析, 関数論, フーリエ解析, 微分方程式などがあります. 必要知識が多い分野の本は, 仮定される予備知識も多くなりますし, 本ごとに仮定される知識も変わります.

実際, 「物理のためのフーリエ変換」のような本だと, 具体例に波動方程式や電磁気やら出てきて, 事前にある程度の物理を知らないと手も足も出ないようなこともあります. 岩波数学講座のシリーズものであっても, 正式な読む順番があるわけではなく, 本の間に知識や必要な数学的体力のギャップがあります.

こうしたギャップには私も苦しみました. そこでそれをカバーするため, 1 冊でまとまった内容をカバーするコンテンツが必要と思い, 作ったのが次の現代数学探険隊です.

  • https://phasetr.com/mtexpdf1/

これはもちろん有料ですが, もしあなたがこの内容に興味があるなら, ぜひ購入してください. 詳しいことは上の案内ページに書いてあります.

ちなみに, 上のページ自体, 数学や物理の勉強に役立つ「コンテンツ」になっているので, ぜひ読んでみることをお勧めします.

少なくとも応用上大事な解析学まわりに関して, ゴリゴリのコンテンツはこれでいいと思うので, 今後は中高数学や, 物理などで必要な範囲の数学を物理に必要な範囲のレベルで議論するといった コンテンツを作っていきます. それも楽しみにしてください.

ではまたメールします.

2019-09-29 計算しながら数学しよう/相転移プロダクション

メルマガもだいぶご無沙汰になってしまいました. さぼっていたわけではなくて, 知人と実用向きの統計学の勉強会をしていたり, いろいろなコンテンツの企画を考えてはそれ用の勉強や資料を探したり, 既存のコンテンツを調査したりといろいろやっています.

数学的に深いところにまで突っ込んでいく本格的な講座は 1 つ作ったので, 今度は中高数学, そしてそれと大学教養レベルの数学をつなぐ コンテンツ作りにフォーカスして考えています.

その 1 つとして「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう」 という無料講座は既に作って前から公開しているので, もしあなたが興味あるなら, ぜひ受講してみてください.

  • https://phasetr.com/mrlp1/

いま, とりあえずこの続編的な講座を作っています. まだ作りはじめなのですが, サンプルを公開しておきます.

  • https://phasetr.com/members/myfiles/file/2019-09-29-232657.tmp.pdf

最近, 統計学からの数学需要は増えているようですし, プログラムを書いて計算させることの重要性も上がっているので, その点にも配慮して高校数学と大学教養数学をブリッジする方向の企画です.

まだサンプルではありますが, 悪名高い ε-δ を数値的に確認したり, 具体的な数値解析での評価戦略との関係とそのご利益, みたいな部分も書いています.

こんな感じのことも書いてほしい, みたいなことがあればぜひコメントください. 反映させたコンテンツを作っていきます.

それ以外に, 特に学生さんだと新学期がはじまる頃で, いくつか質問も来ています. それに対するコメントも返す予定です.

ではまたメールします.

2019-05-11 多様体論のはまりどころ/相転移プロダクション

久し振りのメルマガです.

最近, いろいろなところで幾何まわりを勉強している人をよく見かけます. 情報幾何だったり, ベクトル解析の現代化という文脈だったりいろいろあるようです.

どこまで固い動きなのかはわかりませんが, 最近は機械工学でも積極的に力学系の議論や, そのための幾何教育を取り入れていこうとしているようです.

  • https://www.jsme.or.jp/uploads/sites/6/files/kiriki7.pdf

近年発達した数学理論 (微分幾何、多様体理論をはじめとした幾何学的解析手法)を 積極的に取り入れて、 解析制御をおこなうことが、その手段です。

こんなのもあります.

  • 大阪大学 機械工学専攻 機械動力学領域 石川研究室 研究室を希望される方へ
  • http://masato-ishikawa.blogspot.com/p/blog-page_21.html

【研究室に入ってから学ぶこと】 研究テーマ次第ではありますが,非線形制御理論, 微分幾何学(多様体論),力学系理論,ロボティクスなどは研究室の共通言語になりますので, これらを学びながら研究を進めていきます.

何にせよ, 純数学ではないところでの幾何の需要が増えているようです.

いままでいろいろな人の様子を見たり, 話を聞く中で多様体論の勉強ではまるところがあるようです. それを適当にツイートしたのを PDF にまとめました.

  • https://phasetr.com/members/myfiles/file/2019-05-09-212614.tmp.pdf

数学関係者だと自明すぎてあまり意識しないところですが, 物理含めた応用系の人達にとっては盲点になっているところなので, その辺の人はぜひ眺めておいてください.

現代数学探険隊も一段落したので, この辺もコンテンツを整備していこうと思っていますが, 転職してから仕事が忙しいというか楽しすぎて, そちらにかかりきりでコンテンツの制作方面であまり動けていません. そろそろはじめたい.

幾何に関連してもう 1 つ. 「量詞と古典の物理と幾何」という研究会が 2019/08/02 (金) 10:00 ~ 2019/08/03 (土) 17:00 で開かれます.

  • 量子と古典の物理と幾何@東大先端研
  • https://atnd.org/events/105974

平日込みなので微妙ですが, 私は参加します. もしあなたがご興味あるなら, ぜひ参加してみてください.

研究会なので誰でも簡単に理解できるような内容を期待されると困りますが, 最先端の話に触れてみたいと思っているなら, いい機会だろうと思います.

今回はこんなところで. またメールします.

2019-03-31 物理をやろう/相転移プロダクション

メルマガを書くのもご無沙汰になってしまいました.

書いたかどうか忘れたのですが, 実は去年 10 月に転職して, いまは数値解析系のプログラマーをやっています. それに合わせて物理をシコシコと再勉強していて, そろそろアウトプットをはじめようと思っています.

勉強会もいろいろ企画してやってみて, うまくいかないものもあり, 次への改善点を検討しているところです.

勉強会は zoom を使ってオンラインセミナー形式でやっていて, それを動画にしたりしています. いくつか試験的に YouTube に上げたりもしています.

明日から新年度なので, 1 つギアを上げてコンテンツメイキングを 本格的に再開します.

年始の目標からだいぶ遠ざかってしまったので, そろそろ気合を入れ直していきます.

あなたも年始に決めた目標があったかもしれません. そしてそれがうまく進んでいないかもしれません.

8 割以上の人が 2 月には目標達成を挫折する, というデータもあるとか.

明日から心機一転, あなたも数学や物理の勉強を再開しようと思っているかもしれません. ちょっと奮発して本を買ってみて, モチベーションを上げようと思っていたり, 今まで勉強したことがない分野に挑戦してみようとしているかもしれません.

そこで今までいろいろな講座などで紹介してきた文献紹介を 1 つにまとめた PDF をシェアします.

  • https://phasetr.com/members/myfiles/file/2019-03-31_reference.pdf

  • ゴリゴリの数学や物理を勉強してみたい,

  • ゆるく中高数学に触れてみたい,
  • 数学をネタにした小説など気晴らしまで生活を数学の染め上げたい,

こんな要望にも応えられるような文献紹介コンテンツになっています. ここ最近の文献/コンテンツの情報を追加しきれていないのですが, 十分参考になるでしょう. 数値計算/プログラミング系の話も多少あるので, そういうところからも攻めてみてください.

リスト内のコンテンツは量が多すぎて選びきれない, あなたはこんなふうに思っているかもしれません. もしあなたが数学をきっちりフォローしたコンテンツがほしいと思っているなら, 現代数学探険隊の PDF コンテンツもお勧めてしておきます.

  • https://phasetr.com/mtexpdf1/

ここまでの様子を見る限り, 通信講座版よりも, PDF コンテンツの方がかえって要望が多そうな気がしたので, PDF 版だけリンクをつけておきます.

何度も書いているように, 案内ページ自体も 1 つのコンテンツとして読む価値があるように作っているので, 特にあなたがまだこのページを読んだことがないなら, ぜひ読み込んでおいてください.

ゴリゴリの現代数学にとどまらない, 勉強の仕方一般についてもコメントしています.

ではまたメールします.

2019-01-12 筋トレと実験科学/相転移プロダクション

メルマガで書いたかどうか忘れたのですが, 去年の年末, コミケの合同誌に寄稿しました. booth で買えるので, 興味があればどうぞ.

  • https://next-nexus.booth.pm/items/1157480

コミケの会場では 150 部くらい売れたそうです.

で, これで集合論のネタを書きました. それもあって, 少し集合論を勉強し直して, 次のプレプリントを眺めました.

  • Tom Leinster, Rethinking set theory
  • https://arxiv.org/abs/1212.6543

圏論的な集合論に関する話です. 圏論的というのは圏論を本質的に使うという意味ではありません. いわば集合一元論ではなく, 集合と写像の二元論として集合論を定式化しようという話です.

知っている人は知っていると思いますが, 有名な ZFC 公理系による集合論では全ての数学的対象は集合です. もちろん関数も集合ですし, 円周率のような数ですら集合です.

これ自体はそういうものか, と思える余地はあります. しかし ZFC の集合論の議論をそのまま素直に捉えると, 「集合としての円周率はどんな要素を持っているか?」 という言明が意味を持ってしまいます.

純粋な公理的集合論の文脈でこそ意味はあります. しかし数学の日常会話でこう言われても, 「この人, 数学わかっているのだろうか」と思ってしまうような質問です.

この辺の「気持ち悪さ」を解消しようというのが 上のプレプリントの内容だと思ってください. 8 ページしかないので, 気楽に読めると思います.

そしてタイトルの話. 大分前, 本格的に筋トレをはじめた, という話をしたのですが, それはずっと続けています. 最近, 私の観測範囲で筋トレが流行っているのでそれも受けつつ, いろいろあって柔道もやっていてそのため, というのもあります.

しばらくやっていて, 面白い/続けられると思った理由が おそらく他の人と違うので, それについて書いてみようと.

一言で言えば, 筋トレを実験科学だと思っているのです. 基本的に私は理論屋さんよりで, 実験に関してはずるずるですが, 実験としての筋トレは楽しいなと.

一言で言えば, 適切なトレーニングをした上で, 適切な栄養を取って適切に休めば, ちゃんと筋肉がつくわけです. 鬼のような再現性があるので, まさに科学.

もちろん細かくいうといろいろあって, 筋力をつけたいのか, 筋肉をつけたいのか (筋肥大させたいのか), 筋持久力をつけたいのかでやるべきことが変わります. 私はそれぞれ興味があるというか必要なので, いろいろ考えながらやっています.

個々のトレーニングについて YouTube で動画を見てみたり, それだけだと全体像が掴めないから本を買ってみたり, YouTube で気に入った人が販売しているコンテンツを買ってみたりもしています. 本はともかく, コンテンツはなかなかいい値段がするので どうしようかと悩んだものの, 投資と思って買ってみたりしました.

眺めていて面白かったのは筋トレに関する理論.

  • https://katagirisho.com/mechanism-of-muscle/

超回復うんぬんというのを聞いたことがあって, 古いコンテンツだと確かに超回復という言葉が出てきます. しかし最近 (どのくらい最近なのかは不明) は ストレス応答という話になっているそうです.

この理屈が正しいかどうかという話がしたいわけではありません. そもそも専門外もはなはだしいのでよくわかりません.

私が面白いと思ったのは, そういう「理屈」はともかく, きちんとトレーニングしてきちんと栄養を摂って, きちんと休んでいれば, きちんと筋トレの効果が出ることです.

いわば理屈は後付けであって, 圧倒的な再現性のある実験事実は変わらないことです. ふだんゴリゴリの理論をやっているので, こういう実験事実が何より優先される世界を, 自分で実験して確かめるというのは初体験です.

学生時代の実験は理論としても既に確立されたことを 単に確かめるという趣が強いです. そんな中, 実験事実は圧倒的に正しいとして, 理論がまだコロコロと変わっているというのが面白い.

物理はかなり安定していて, 学部で勉強する基礎理論が崩れるというのは考えづらく, 数学も理論が崩れることはそう考えられません.

スポーツや医療関係はしょっちゅう基礎理論が書き換わる (?) という話は聞いていて, 何となくは知っていたものの, 筋トレを通じてその世界に少し足を踏み入れたのが新鮮で面白かったのです.

人によっては難しい要素もあるとは思いますが, 科学を実感できるので, 実験科学として筋トレを捉え, 実践してみるのは, 実感として面白かったので, あなたにもぜひお勧めしたいです.

反応があれば, いろいろ眺めていて面白かった筋トレ系のコンテンツも紹介します. 数学や物理と同じく, 無料の範囲でもいろいろできるしわかるのですが, ある程度体系的にまとまっていて全体像をきちんと掴めるのは 有料のコンテンツになってしまいますね. 時間をお金を買う感覚です.

無料でどこまでがんばれるか試してみたのですが, やはりお金を出してしまった方が早い部分はありました. その意味でも参考になった経験です.

今回はこのくらいで. 書きたいと思うことはいろいろあるのですが, 日々知見を貯めていて更新されていくので, なかなか綺麗にまとまっていきません.

何にせよ, またメールします.