2020¶
2020-11-29 ツイートメモ: いろいろなコンテンツへの思い/相転移プロダクション¶
数学の本が難しいとかいう事案¶
発端のツイートはこれ.
https://twitter.com/chokudai/status/1331878035314786306 これ厄介なのが、数百時間とか学習して、「結局これさえ分かってれば出来るんだね!」って本質を理解した上級者さんが、初級者にそれだけ教えれば十分だと勘違いしちゃうケース。訓練して洗練された結果シンプルな思考回路が自分の中に出来たのを、「自分は遠回りした」と勘違いしちゃうのよね。
https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
数学の教科書はマジでこれなのでやめてほしい。 学問の対立を煽るとかじゃなくて、実際に数学科の人達が「行間を埋める」をして苦労して教科書を読み解いてる。 本に書かれてる順序と人が最初に理解するときの論理の順序が大きくかけ離れてる。(最近はそうじゃない教科書も増えたらしいけど)
これに対する私の連続ツイート.
私は院での数学と学部の物理と多少のプログラミングしか知らないが、何故か他の分野は何かを理解した気になりやすいだけで、数学のリアクションの方が普通なのではないかという気分がある。学部の専門だった物理、そして工学の本は何が書いてあるのか本当にわからないし数学の方がまだわかる。 https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
これ、数学科以外だと該当学部学科の学生は自分野の教科書をサラサラ読めるという話なのだろうか。少なくとも物理はそんなことなかったが。どういうふうに世界を見ているのか、本当にわからない。哲学や宗教学、神学などでも同じように本サラサラよめるのだろうか。 そもそも数学に限らず「議論をその時々の自分なりに細かいところまで追いきれた」以上に何かを理解できた記憶・経験がないので、元ツイートの意味というか理解という概念自体が本当にわからない。皆そんなにいろいろ理解できるものがあるのかといつも困惑している。 数学の本、気持ちが書いていないとかいうそうだが、とりあえず物理は何が書いてあるのだろうか。謎の計算と物理学者の気分だけが書いてあるという気分で、その気分が取れないと何もわからない。工学はもっとすごい。最後に自然(実験)と合えばいいとしか書いていない気がする。何を「理解」すればいいのか.
それこそ一流の数学者が執筆陣の岩波の「現代数学の基礎」シリーズだとか、はじめと最初に理論の概要と目標、現代数学への展望コーナーがあったりするので、こういう人たちが何を読んでいるのかが割と本気で気になる。それらに書いてあることが何もわからないというならわかる.
数学科では教科書で定理の有用性とか応用例を挙げると破門される決まりでもあるのかってくらい何も書いてくれない
「何も書かれていない本には確かに何も書かれていない」という程度の意味にしか思えないのだが、具体的にどんな本を読んでいるのか教えてほしい。
あと物理でいうと謎の気分の引き写しだけで、正しい気分が書いてある本は激烈に少ないのでは。きちんと気分が書いてある本がたくさんあるなら、みんな熱力学で困ったりしない。何の話をしているのか全然わからない。そんなに熱力学はいい本たくさんあるの。 非数学サイド、とりあえずエントロピーの意味・意義について過去の引き写ししかしていない熱力学の本を破滅させてから文句言ってほしい。あと何かよくわからない量子力学の本もつぶしてほしい。 数学の本が難しいという人、何なら読めるのかを教えて欲しいし、その理解度的な何かを自己測定する方法なども教えて欲しい。 コンテンツを作るのでこの辺を改めてずっと考えているのだが、私が聞く限り数学の人間は少なくとも理工系の他分野の本を読むときも広い意味で「何が書いてあるかわからない」というケースをよく見かけるので、数学科の人間を引き合いに出しても情報量全くない気分がある。何見てもわからない種族では。 https://twitter.com/poyothon/status/1332100736507789312
「人が最初に理解する論理の順序」という、適当に18歳以上などに制限するにしても人類レベルの大きな話、それだけ普遍性のある(数学科向けの?)数学の話もどの程度あるのかよくわからない。順序もおそらくそこまでの知識・経験に強く依存する。これは線型空間と実数論と集合と位相を基本装備した状態からの論理(これ、正体は何なのだろう。そこからして齟齬がありそう)展開、だいぶ趣違うのでは。
あと、学部で微分積分を教わった郡先生が講義中に言っていて今でも覚えているほど印象的だった数学科学生の理解のエピソードがあってそれは「接ベクトルは曲線に接したところに住んでいるのではなくてあくまで別の空間の原点から生えている。これが分からなくて理解が遅れた」というのがある。 当時の私の感覚だとおよそ直観的ではなく何を言っているのか多分よくわかっていなかったが、主張としてはおそらく接空間の話だろう。これもおそらく、人によっては数学の本の議論の順番でないと本当に何も分からない可能性は十分にありうる。元ツイは人の理解の多様性を排除したひどい話とさえ思える。 多分学部一年で松本幸夫の多様体の基礎で接空間を見たときにすぐには分からなかったが、適当にしばらくしてから「これがあの郡先生の話か」と思ったような記憶がある。多様体の気分、最近ようやく少し掴めてきたくらいなので当時の「理解」などとたかが知れすぎていて厳しい気分はある。
多様体のホモロジー・コホモロジー集がほしい¶
おさえておくべき有名な多様体のホモロジー・コホモロジーの計算が馬鹿みたいにたくさん書いてある本ないの。ホモロジー代数の一般論よりも計算がたくさん書いてある本を読んでみたい。洋書ならあるか? これ、逆に一部であってもコホモロジーが計算できて教育的な例がどれだけ系統的にあるか、みたいなところもある。 本当に知らないので馬鹿みたいに計算をし続けるコンテンツを勉強ついでに作りたい気分もある。
難聴者のための教材を作ろう¶
そういえばbioのところに難聴と書いてある高校生にフォローされているのだが、よくあるYouTubeの動画講義、しゃべりに重点がある系統のが多い気がするし、吃音に起因する私の書くだけの動画、作る分にも視聴する分にも障害者対応の気分があり、逆にこれを貫くべきという気分になってきた。
2020-11-22 幾何のための (線型) 代数コンテンツを整備する/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
記事¶
- 2020-11-13 第 009 回 第 4 文の文法・単語 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/11/13/studygroup-for-relativity-10/
- 2020-11-15_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/11/15/2020-11-15_hw-online-mathphys-programming/
- 2020-11-20 第 010 回 第 5 文読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/11/20/studygroup-for-relativity-11/
動画¶
- ヒルベルト空間への道 モデルケースとしての実数論 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 現代数学探険隊 よくわからない数学 https://www.youtube.com/watch?v=sWtvlwwPkLQ
- 4-形式のリー微分 電荷保存則 電磁気学への応用 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=8M0-Jvz6aOI
- ホッジ作用素の定義 ホッジ作用素の基本的な性質 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=3IboBUZRfY0
- 第 009 回 第 4 文の単語 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を英語・多言語で読む会 よくわからない数学 理系のための語学・リベラルアーツ https://www.youtube.com/watch?v=owFG9AMWmNc
- ホッジ作用素の具体的な作用 体積形式の定義 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=1g5GPkUbrVE
- 体積形式の局所座標表示とホッジ作用素の基本性質 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=YrP-xzgiGaU
- ベクトル解析と微分形式 微分形式の空間での内積 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=Pgi_Jn3EJKo
- 第 010 回 第 5 文読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://www.youtube.com/watch?v=PPZ642HaZQE
- 余微分作用素の定義 ヒルベルト空間論からの注意 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=ni4Iodbulro
- 余微分作用素の 2-3 次元での具体的な計算 幾何のための線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=STaN9uT5kR4
忙しいときの対応をどうするか¶
先週出張もあって忙しくていまひとつやる気が出ず, メルマガを書きませんでした. ふだんオフィスにずっといる中, 外で実証実験していたので肉体的に非常に疲れていて, コンテンツ制作などプライベートでやるべき作業も全然できませんでした. 今週と来週も 1 泊・2 泊の出張があるので, その中でどう体力と時間を作るかが課題です.
コンテンツ制作状況¶
ここ最近はずっと幾何のための線型代数をずっとやっています. コンテンツの準備じたいは複素多様体の局所理論のための線型代数パートに入りました. ここで困ったのは幾何の復習ノートで複素多様体を少しやっていて, そこと少しかぶってしまっていることです.
いろいろな事情から同じ内容をまとめ直すのは仕方ないとして, 無目的に同じコンテンツを作っていられるほど暇ではないので, 既存の幾何ノート, 特に多様体の基礎のノートで何をどこまで書いたか確認・整理中です.
その一方で「幾何のための代数・線型代数」シリーズを作るために ベクトル束の微分幾何をやっていて, やはりある程度現代的な微分幾何で, ベクトル束を無視してはいけないという気分も出てきます. ベクトル束を早い段階から導入できる多様体論の基礎コンテンツも作りたい気分があり, この 2 つをどううまく噛み合わせて進めるかがいまの課題です.
幾何の理解, 特に直観的な理解は全く進んでいないものの, 確実にきちんと計算できるようになってきていて, 幾何的腕力がついている気分はあります. 引き続きやっていきます.
リリースしたいコンテンツ¶
Mathpedia はまだ構想の第 0 段階らしいのでまた少し違うものの, 最近 Mathlog なり何なり数学の記事系のコンテンツやプラットフォームが増えているようです.
このあたりで私が気に入らないというか困っているのは, 記事レベルの断片的な知識ばかりで体系的な知見を自分の中にためるのが難しいことです. Wiki もリンクがいっぱい張られているとリンク先も全部見たくなり, 思考が発散してきちんとたまらない気分があります.
もちろんどんな勉強スタイルで何をどう勉強したいかに強く依存しますし, 皆が皆そう思うわけはないのは前提として, それでも私がほしいタイプの方向性で発展している気分はありません. 他の人が何をどう整備しても, やはり最後は自分なりのノートなりコンテンツなりを作るしか, 自分の気に入るコンテンツが手に入らない気分はどんどん高まっています.
そして同じように思う人もきっといるはずなので, その人達に向けてどう動くかがいまの私のテーマです. 動画作成して, コンテンツの種類・メディアを増やしつつ, 明示的に何をどう作っているか見せてはいますが, 言う程体系的にかっちりしたコンテンツはリリースできていません. いい加減何か体系的なコンテンツを出したいと思っています. もちろんマネタイズも意識しながら. 前から言っているように, 数学でどう食べていけるようにするかは私の活動のメインテーマの 1 つなので.
現代数学探険隊をやってみて出て来た課題も多いので, それを乗り越えたコンテンツを作りたい気分もあります. 解析学はある程度既知として, 解析学の知見を活かしつつ幾何に向かうための代数コンテンツをリリース前提で きちんと体系的に整備しはじめています.
内容的には抽象論ばかりになりがちな代数を, 解析または幾何からサポートするタイプのコンテンツからはじめる予定です. 何にせよ微分積分と線型代数は基本中の基本なので, これを軸に攻めようと思っています. 現代数学観光ツアーや, 現代数学探険隊での代数ミニマムで素案は出していますが, 今度は幾何を意識してもっと内容を拡充する予定です.
YouTube は計算系コンテンツの拡充の一環として作っている面もありますが, 単純な数値計算だけが計算ではないので, ゴリゴリ計算していろいろな理解を深めていけるコンテンツがうまく作れないか, ずっと検討しています.
方向性自体ははっきりしているのですが, 相変わらず細部については試行錯誤を続けていてあまりまとまりがありません. とりあえずこんな感じで進めているよということで.
ではまたメールします.
2020-11-08 勉強持ち寄りミニパーティー/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
記事¶
- 第 008 回 第 4 文の読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/11/06/studygroup-for-relativity-9/
動画¶
- 関数解析と物理 場の量子論の様々な数理と物理 https://www.youtube.com/watch?v=0x-dAmasCF8
- ルベーグ積分 2 大定理の言明 実数論との比較 https://www.youtube.com/watch?v=b18dh1MuCmI
- ルベーグ積分 優収束定理の補足 実数論との比較 https://www.youtube.com/watch?v=ymW-e5NC6_Y
- 第 008 回 第 4 文の読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://www.youtube.com/watch?v=JVP9_VGuXs8
- ルベーグ積分 応用するときの話 発展的な話題 https://www.youtube.com/watch?v=PyYFDOusoQw
- 0-形式のリー微分 保存則と運動の積分 解析力学との関係 https://www.youtube.com/watch?v=0p-caQF6DMA
勉強持ち寄りミニパーティー¶
とりあえず数学・物理・プログラミング・語学あたりを大横断した勉強持ち寄りミニパーティーを定期開催するのをやりたい。できる限り毎日ゆるくゆるく続けたい。その場で「これわかんねえな」という10分をみんなで過ごすとかそのくらいのゆるさを許容する感じで。
先程つぶやいたツイートです. 微妙な反響があったので企画を立ててちょっとやってみようかと思います. 先程思い立ったばかりなので, 適当に趣旨などをまとめてまずは Twitter で募集をしてみます.
いい加減物理を本格的にはじめよう.¶
Twitter で Mathlog というサービスが立ち上がったそうです.
最近数学関係のサービスがやたらたくさんできてきています. 私自身数学は数学で勉強したいことがいろいろあるので 数学方面のコンテンツ作りなどはやめませんが, もっと本格的に物理方面に舵を切っていいだろう, または切らないとという気分が高まっています.
動画作りで計算メインの古典力学をしばらくやっていたのは飽きたので休止中ですし, 物質の安定性も完全休止状態なので, 実際問題改めてきちんと勉強したい物質の安定性を軸に再開しようと思っています. 他には電磁気や熱力学, 相対論や量子力学など, いわゆるふつうの物理も何かゆるくはじめたいところです. この辺のゆるいスタートに上の勉強持ち寄りミニパーティー企画を活かせないかというのもあります.
何にせよやりたいことは掃いて捨てるほどあるので, 飽きないように適度に分散させつつ, 引き続き実験していきます.
Mooc のメモ¶
書こう書こうと思っていた Mooc ネタのツイートメモをいい加減供養します. いま改めて見たら 2019/2 のツイートでした.
- https://twitter.com/Paul_Painleve/status/1091949604445143040
- https://twitter.com/LeapingRobot/status/1091881249700864000
- https://twitter.com/freakonometrics/status/1091887982334889985
Paul のツイートだけ引用しておきましょう.
MOOCについて私見も含め ・現在の技術でバーチャル大学は難しい ・大学の講義の一部をMOOCにしても教育効果は下がる ・実際にMOOCの利用は下火に ・社会人の再教育など特殊な用途でMOOC自体は今後も残る 普通に考えてそうだろうなあと思うことでも,データに基づくことは大切
日本でMOOC元年と言われた2013年にすでに海外では下り坂だった https://doi.org/10.1241/johokanri.57.367 実際,数学の場合にe-learning的なものだけで勉強を進められるかというと,よほどの超技術でもないと難しいように思う。ただ,MOOCに限らず新しい技術をどう教育に取り入れるかは継続して考えないといけない。
色々ご意見をいただきました。社会人など大学に来るのが難しい方に対して,復習や新しい技術の習得などの用途にMOOCは残るでしょう。また,研究・教育youtuberみたいにワンポイント・レッスンが増えるかもしれません。初学者に基礎から教える大学では,MOOCを中心に据えるのは難しいのでしょう。
新型コロナでオンライン講義・ハイブリッド講義がどうのとなっています. MOOC がどうかはともかく, しばらくはオンラインをうまく使わないといけないのは間違いありません.
2020-11-01 数学カフェと数学家庭教師案内の宣伝/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
記事¶
- 第 007 回 第 3 文の単語 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/10/30/studygroup-for-relativity-8/
- 2020-11-01 オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/11/01/2020-11-01_hw-online-mathphys-programming/
動画¶
- 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 線型代数・微分積分の復習 両者をミックスさせるとどうなる? https://www.youtube.com/watch?v=wVdH0vIGiq0
- 時間依存する微分形式のリー微分 時空多様体上での議論 https://www.youtube.com/watch?v=XCuFqzHmj5I
- ルベーグ積分の定義 リーマン積分の定義と比較しつつ https://www.youtube.com/watch?v=-od46Iyy1WY
- 第 007 回 第 3 文の単語と参考文献紹介「数学のための英語教本」 https://www.youtube.com/watch?v=6jEmmgr8WkE
今週の反省¶
今週土曜, ちょっと用事があってプチお出かけしました. それで疲れ果てて土曜日はおろか日曜日も使い物にならず, 動画が作れませんでした. プログラミングの勉強会はやったので最低限のタスクはこなしたとみなすことにします.
最近引きこもりで体力が一段と落ちている感があります. 給付金でエアロバイクを買って毎日やってはいますが, 今後はもう少し負荷をかけてもっと体力作りに意識を向けることにします. 以前も「筋トレの科学」みたいな話をしたように, いまこそ数学を続けるための体力増強みたいなテーマが大事だと痛感しています.
「大学の数学の家庭教師を募集」の拡散協力¶
いつも通り infinity_topoi さんのやっている事案です.
- https://twitter.com/Infinity_topoi/status/1322804711460753408
大学の数学の家庭教師を募集している人(生徒側も講師側も)、リプライとか送ってくれればRTで拡散しますよ。ただ、多分生徒側が貴重なので、生徒側の人が送ってくれれば講師をやりたい人たちから連絡が行きやすいかな。
このメルマガを読んでいる人, どちらかと言えば生徒側の方が多いような気がするので, 興味がある人は Twitter にアカウントを作ってリプライを飛ばしてみましょう.
すぐに流れてしまう Twitter でしか連絡できないみたいなのが厳しい気分もありますが, 仕方ありません.
数学カフェの宣伝協力¶
前々から微妙に縁がある数学カフェが NPO 法人化して活動の幅を広げるというアナウンスがありました.
Twitter を見ると「もくもく会」をやっている案内などもあるので, これももしあなたが興味あるなら積極的に参加してみてください. 毎日だと大変で私はいま 1 つやる気合が湧かないことをやってくれています.
私の観測範囲が数学方面に偏り過ぎていてよくわかっていませんが, 物理方面で似たようなことやっている人はいるのでしょうか? その辺も探して何をしているか把握したいところです. もしあなたが何か知っていることがあれば, ぜひ教えてください. 私も最近少しずつ物理にシフトしていますし, 他の人がやってくれていることがあるなら, かぶらない方向で何かやりたいと思っています.
何はともあれ, 私の復習兼ねてのコンテンツ整備が当面の行動予定ではあります.
オンラインサロン (仮) 募集¶
現代数学探険隊の購入者の方々からほとんど反応がない (一人だけ反応があった) ので, それなら一般展開しても大丈夫かという気分が出てきたので, もう少し待ってみてからまたちょっと別の動きというか案内をしようと思います.
購入者の方からのリアクションがないのは, 参加のメリットをうまく伝えきれていないのが原因なのでしょう. このご時世にあまりメリットごり押しなのもどうかという気分がありつつ, 何かもっと楽しそうな雰囲気は出した方がいいのだろうとも思っています.
準備は大変な一方, 少人数勉強会の日常への組み込みはできてきたので, まずは着実にコンテンツと知見を積んでいくようにします.
こんな感じで基本ひたすらに失敗を続けていますし, 特に最近はメルマガでも具体的に話をしているつもりです. たまに「自分もコンテンツを作ってみたい」みたいなコメントはもらうので, 悪いところは捨てていいところは拾って, ぜひあなたもいろいろ実践したり, 紹介しているコミュニティなどに参加してみてください.
ではまたメールします.
2020-10-25 プチコミュニティの案内/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
今週, 金曜に体調を崩したので作成コンテンツは少なめです.
記事¶
- 2020-10-24_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/10/24/2020-10-24_hw-online-mathphys-programming/
動画¶
- 赤外発散処理のための関数解析入門 https://www.youtube.com/watch?v=KVDDT44yuJI
- 積分形のリー微分の定義 微分形のリー微分との同値性 https://www.youtube.com/watch?v=M_wiefhHcoU
- 積分形のリー微分 0-形式と 1-形式に対する具体的な計算 https://www.youtube.com/watch?v=J_ulC0pHsYk
- ルベーグ積分の定義に向けて 複素数値関数の分解 https://www.youtube.com/watch?v=YEMis3aEelo
- 微分形のリー微分によるライプニッツ則の証明 https://www.youtube.com/watch?v=8_RvvQzEZ6U
プチコミュニティの案内¶
今週, ようやく現代数学探険隊の購入者・受講者の方々に案内を出しました. 何らかの理由でメール不達になってしまっている方がいらっしゃれば, ご連絡頂ければ別途ご案内し直します.
とりあえずは少しずつでもいいから必ず毎日勉強をしようの会にしようと思っています. 私もその日勉強したことを小まめに報告しようと思っています. この手の報告はメルマガでやったら鬱陶しいですが, コミュニティ内でちょこちょこやる分にはいいのではないかと考えています. 何はともあれ, やってみては調整していきます.
私がパンクするので本格的にはやれませんが, かえってそれがいいという話もあるので, 以前から紹介しているもくもく会的なプチ勉強会もできれば, と思っています.
健康は大事¶
金曜日, 体調を崩して語学の勉強会をキャンセルした上, 頭痛も残っていて気分が乗らなかったので, 土曜日の動画作成もさぼりました.
少しのことで身体の調子が気分にも影響しますし, 心身の健康は本当に大事だと改めて痛感しました.
これから冬になり, さらに身体の健康を維持するのが難しくなってきます. 私はただでさえ身体が弱いので, 体調管理に気をつけます.
物理で何をやるか¶
一時期力学の動画を作っていました. 微分幾何をきちんと勉強しようという以前からのモチベーションがあったので, そちらは勉強ついでにコンテンツ制作が精力的に進められていますが, 物理の方のコンテンツ作成が滞っています.
必ずしも「物理」でなくても, 偏微分方程式やベクトル解析・関数論の計算でもいいとは思っているのですが. 飽きないように適当に混ぜ混ぜしつつ, そろそろ偏微分方程式や関数論の計算からはじめようとは思っています.
まだ完全に体調が戻っていないのか, 文章を書く調子が上がらないので今回はこんなところで.
ではまたメールします.
2020-10-18 新型コロナ禍での ICT 教育と数学・物理/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずはいつものコンテンツのまとめからです.
月・金は勉強会だけにしました. 無理して動画を作ろうとすると疲れて破綻するので, ゆるく進めることにしました.
物質の安定性と量子測定理論は 適当なタイミングできちんとやろうと思っています. 月曜の「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」で 触れる話題にしてもいいでしょう.
記事¶
- 2020-10-16 第 006 回 第 3 文の読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/10/16/studygroup-for-relativity-7/
動画¶
- 水素原子と場の量子論 量子力学の空間設定と代数学への誘い https://www.youtube.com/watch?v=zQJ2aR8ijWU
- リー微分の代数的な定義と基本的な性質 https://youtu.be/DAfvP4RGl1Y
- リーマン積分の定義 区分求積法とその一般化 https://www.youtube.com/watch?v=mAn66M9yovw
- 代数的な定義から導くリー微分の諸等式 https://www.youtube.com/watch?v=yx1-de2UeJM
- 第 006 回 第 3 文の読解 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を英語・多言語で読む会 https://www.youtube.com/watch?v=zLWo2KhD3t4
- 微分形のリー微分の予備考察 1径数局所変換群と押し出し・引き戻しの復習 https://www.youtube.com/watch?v=cLrWvxHs3qY
- リー微分 代数的な定式化と微分形の同値性 積分形への接続 https://www.youtube.com/watch?v=VtjqJm3f8Yc
語学コンテンツ作成が楽しい¶
6 回かけてまだ序文の第 3 文までしか進んでいません. 単語の解説をほとんどしていないにも関わらずこの進度ですが, まだまだ解説し足りないほどに解説することがあります.
単語の解説はどう考えても追いつかないので, 本文解説のコンテンツ作成がメインで, 単語は少しずつ作っていくしかありません.
はじめは単語編をざっと作ってしまい, 文法は学校の勉強で十分, 読解は自分でがんばって, 自分 1 人でつらいという人には勉強会的な形でのコミュニティ応用的な コンテンツ提供スタイルを考えていたのですが, 何をどう考えても単語コンテンツの整備が最後になりそうです.
読解編もコンテンツを作っていると, 思っていたよりも解説するべきことが多いことがわかりました. 勉強会に参加してよくコメントをくれる人が数学系出身の人で, 物理をよく知らない状態で参加してくれているので, 逆に物理に関わる各種背景知識をきちんと解説するモチベーションになっています. 単純な物理の話なら他にいくらでもコンテンツがあり, さらに言えば私よりも詳しい人もたくさんいるので, 純粋に英文, ひいては一般の文章読解の精度をあげるのに重要な物理の話をしています.
私自身, 英語のいい復習+学習になっていて, 楽しくなってきました. やはり人を巻き込んだ勉強会スタイルの勉強は楽しいです.
あなたもぜひやってみてください. いまリアルで勉強会でできない状態ですが, 数学・物理だとかえってオンラインの方が興味関心が重なる人を見つけやすいでしょう. よくも悪くも zoom 会議は定着しはじめていますし, そうした知見をプライベートに応用するいい機会です.
中高生への ICT 教育¶
前から言っているように, 語学コンテンツ作成自体, 去年からの中高生向けコンテンツ・サービス展開への布石です.
私は昔自分が通っていた柔道の道場の稽古への参加ついでに運営協力もしているのですが, そこに通っている高校 3 年生の事情を聞いています. いまちょうど推薦試験の季節で, 今年は推薦の面接もオンラインになっているようです.
私の地元だと高校生だけではなく, その親の IT スキルも高くないのが一般的で, 不安に思う親の相談に乗っています.
この半年, よくも悪くもオンライン教育をせざるを得ない状況で, 教育学・教育工学関係の人達がいろいろ知見を出してくれています. 私も Twitter でゆるく追いかけている人がいるのですが, 本来, オンライン授業やら授業・教材への ICT 機器活用といった話以前に, 連絡帳や文房具としての ICT 機器利用, 日常に IT を埋め込む工夫こそが最優先という話をしています.
ここ数週間の感じだと, 少なくとも私の地元では, この日常に IT を埋め込むという方向性から 話を組み直した方がいいのだろうと思いはじめました.
具体的にどうするかはまだ何も考えられていませんが, 相談している地元政治家の先生に改めてこの方向からの話をしておこうと思っています.
Chromebook ももう少しプログラミング環境について考える必要はありますが, 文房具として本当に使えるという実感が出てきました. 11.6 インチで軽めなので持ち運びもしやすく, セカンドマシンとしての使いどころは完全に確定しました. 使ってみないとわからないことは多いと, これも改めて実感しています.
仮称オンラインサロンの話¶
本当は先週現代数学探険隊の購入者の方々にメールを送る予定だったのですが, 時間が取れずまだ連絡できていません.
とりあえず何が必要か聞くだけ聞いてみて, その意見を見つついろいろ試して広く展開するための方針を探る予定です.
現代数学探険隊では具体例はたくさん紹介していますが, 具体的な計算はあまり取り込めていません. いま作っている Youtube 動画講義シリーズは, その計算練習編の外出しでもあります.
もっと基本的な線型代数や微分積分, 関数論, フーリエ変換, 偏微分方程式関係の計算が全然できていないので, その辺をカバーしつつ現代数学探険隊の本編の理論と絡めていくのがいいかとは思っています. 何にせよきちんとコミュニケーションを取る必要があり, 全てはそれからです.
関係される方, もう少しお待ちください.
コメントへの返信¶
読者アンケートで, 最近 2 年のメール配信全体についての感想として 次のようなコメントが来ました.
- 配信内容を具体的かつそれぞれ一話完結にしてほしい.
- 今までの配信内容はどれも予告的, 目次のみ, 概要のみに留まっている.
少なくとも今年に入ってからは, こう考えているがまだできていない, 考えていることをこんな感じで実行しているという感じで, 具体的な話しかしていないつもりなのでちょっと驚いたのですが, 何をしてほしいのかがよくわかっていません.
具体的に書けという話がメインなのでしょうが, 個人的には常に具体的な構想と取った行動を書いているつもりなので, 抽象度が合ってはいないのだろうとは思います. 具体的な行動結果はコンテンツにしているので, メルマガだけでは概要にしかなっていないと言われたらそれはそうかもしれません. もしかしたらそういう話でしょうか.
まだ予告・概要の話しかしていないことに関しては, 読者の誰かがやってくれると嬉しいなと思って書いているので, そういうものです.
あと読んでいて面白くなければ, メルマガは気楽に解除してください. 試行錯誤はあるにせよ, 役に立つ・意味があると思うことしか書いていないので, それが噛み合わない方に時間の無駄遣いをさせるのは本位ではありません.
メルマガで言ったかどうか忘れましたが, 最近はメルマガの内容をサイト https://phasetr.com にもあげているので, わざわざメルマガを取らなくても問題ありません. コンテンツも最近はほぼ全部 YouTube かサイトにあげています. フル公開していないのは, プログラミング勉強会くらいです.
長くなりましたが結論を言うと, まだしばらく, 今年に入ってからのスタイルを続けるので, 感覚が合わないなら気楽にメルマガ解除してください. つながる形はいろいろあります.
今回はこんなところで終わります. ではまたメールします.
2020-10-11 現代数学探険隊を無料化したい/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
記事¶
- 2020-10-09 第 005 回 第 1-2 文の単語の掘り下げ アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/10/09/studygroup-for-relativity-6/
動画¶
- 物性の摂動論 自己共役性と摂動 その数理と物理 https://youtu.be/r2-O_XQbDGc
- 幾何のための線型代数 内部積の定義 https://youtu.be/j0YKXInJA40
- 幾何のための線型代数 局所座標と内部積 p=2,3,4 での具体的な計算練習 https://www.youtube.com/watch?v=l0KxB38ZD1Y&feature=youtu.be
- リーマン積分とルベーグ積分の違い 定積分の値の比較 https://www.youtube.com/watch?v=Cj8MHKdRoog
- 語学 第 005 回 単語の素因数分解 第 1-2 文の単語の掘り下げ https://www.youtube.com/watch?v=mIKO_lUX22o&list=PLSBzltjFoprY1UhOvl-wXADKLQR5hkiOc&index=5
- 幾何のための線型代数 外積に対する内部積の性質 https://youtu.be/-fyFMaQNeN8
- なぜ古典的な微分幾何なのか https://youtu.be/swnot0glLO8
理論物理学者に市民が数学を教えようの会¶
- 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第2回 https://mmatsuo.com/2020/10/05/理論物理学者に市民が数学を教えようの会-第2回/
本文¶
今週 (先週?), ちょびちょびコンテンツ制作をさぼっていて, 物質の安定性と量子測定理論の動画が作れていません. 勉強会をぶっこんだというのもあります. ペースが無茶と言えば無茶なので, ちょっと考えた方がいいのでしょう.
理論物理学者に市民が数学を教えようの会の反省¶
途中アドリブで適当なことを言ったらそれがおかしくて反省しました. アドリブを効かせられるような頭の回転はないので, よけいなことは言わないようにします.
また 1:1 での会話と思えばいいかもしれませんが, YouTube の動画講義に耐えるクオリティではないと思うので, その改善も大きな課題です. 頭の回転の悪さと吃音がかなり大きな問題になっていて, 本質的なので厳しいところもありますが, それならそれで何ができるかを考えないといけません.
語学¶
理工系向けリベラルアーツと称して英語のコンテンツ制作, 勉強会を開いています. 今回は論文の第 1-2 文の単語を 4 つ紹介するだけで終わったのですが, understand の解説で改めて思ったことがあります. 日本語の理解という言葉, 解像度が低いというか抽象的だなと思うようになりました.
まだきちんと理解しきれていないところがあるのですが, いまのところ 「理解する」と訳される単語の understand, apprehend, comprehend は次のような意味のようです.
- understand: 混沌としていた状況から頭をすっきりさせる.
- apprehend: 何か 1 つをがっちり掴まえる.
- comprehend: (apprehend と比較して) 包括的にがっちり掴まえる.
- 「comprehend できてはいないが apprehend はできている」状況がある.
これは数学や物理の勉強の仕方でも大事です. いろいろな知識は仕入れられたがいまひとつすっきりしない状況は understand できていない状況で, それなら一般論や抽象論を勉強するといいのでしょうし, 一般論を勉強しているときに曖昧模糊としてよくわからない状況ではまず apprehend を目指し, 具体例を徹底的にいじり倒してみるとか, 自分の理解の様子を詳しく分析するのに使えるでしょう.
私自身, いままで「理解」という単語の解像度が低く, きちんと説明しきれていなかった気分がありますが, 何か少し掴めた気がしています.
この辺りまで突っ込んでリベラルアーツと呼べるレベルにまで仕上がったコンテンツ作成を目指して勉強会を進めています. 上に載せたように勉強会の動画は YouTube にもあげて, 記事も作っているので, 使える時間に合わせて眺めてみてください.
Mathpedia 運営のいいところ¶
Twitter でも書いたのですが, お金の突っ込み方・使い方がいいと思います. 特に理学の人はお金に対する忌避感が高いので, お金をクリーンに使っているように見せることがとても大事だと思っています. その辺が本当にうまいので感心しています.
そして「寄付したい」「協力したい」という申し出も自然と出ているようで, そういうのは私は全くできていないので, その辺, 私は下手なのだろうと反省しています.
だからといってこれからどうするかという問題があり, いまの 1 番の課題です.
今後の方針¶
この間もブログにはあげたと思うのですが, 現代数学探険隊は共通言語として使いたい関係上, これを無料化する方向でいろいろ探っています. 既にお金を払ってくれた人に対する話もあるので, 当然いろいろ配慮は必要で, それが大事なポイントです.
まずは既に買ってくれた人向けに何かやってみて, そこから広げていく予定です. 復習的なミニ勉強会をやる方がいいのか, もっとアドバンストなことをやった方がいいのか, 具体的に聞きつつ進めます.
私もふだんの仕事があって時間が取りきれないこともある中で, できる限り私自身の負荷もなく, 意味のあることがどれだけできるかが勘所です. 負荷をかけなくてもできる数学みたいな部分をもっと追う必要があると思っていて, 自分に負荷がかかるようなことをやっていてははじめから破綻しているので, 何をどうしようか工夫のしどころです.
現代数学探険隊の無料化からの展開, 既に大量のコンテンツを持っている現在の出版社などにも真似してほしいと思っているので, きちんとしたビジネスモデルの形にしたいと思っています.
とりあえず今回はこんなところで終わります. ではまたメールします.
2020-10-04 数学・物理・プログラミングを全て語学と強弁しようの会/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
記事¶
- 2020-09-27 現代数学探険隊の展開とオンラインサロン的な何か/相転移プロダクション https://phasetr.com/blog/2020/09/27/2020-09-27-mail-magazine/
- 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回を終えて https://phasetr.com/blog/2020/09/29/studygroup-for-math-to-physicist/
- 2020-10-02 第 004 回 コンテンツ制作の方針と文法へのスタンス アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/10/02/studygroup-for-relativity-5/
- 2020-10-04_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/10/04/2020-10-04_hw-online-math-phys-programming/
動画¶
- 理論物理学者に数学を教えようの会 摂動論の謎 https://youtu.be/UA9h6Uj1Ty0
- 微分幾何 曲率の具体的な計算: ユークリッド空間と 2 次元球面 https://www.youtube.com/watch?v=Fx2THAgkDTU
- 確率論とふつうの測度論・積分論の違い https://www.youtube.com/watch?v=8dc7DCZqfgM
- 微分幾何 曲率と写像に沿ったベクトル場の定義 https://www.youtube.com/watch?v=qtYlwzDCUzA
- 第 4 回 コンテンツ制作の方針と文法へのスタンス https://www.youtube.com/watch?v=IiUKkzWyB2g
- 第 2 変分公式, 2 階の共変微分と曲率 https://www.youtube.com/watch?v=ezckDok_3Uo
- 微分幾何 接続係数による曲率計算と閉曲線に沿った平行移動による曲率計算 https://youtu.be/Jt672RZBhV0
理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第 1 回の感想¶
最初の記事のところにも置いてありますが, 「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」の第 1 回をやりました.
- 理論物理学者に市民が数学を教えようの会 第1回 https://mmatsuo.com/2020/09/28/理論物理学者に数学を教えようの会-第1回/
明日 (10/5) に第 2 回をやります.
一応, 面白いと言ってもらえたので, まずは私が持っていてほしいと思っている「物理のための数学的センス」についてもう少しいろいろ話したあと, 数学的な詳細に入っていこうと思っています.
数学的な詳細について念頭に置いているのはまず実数論です. 実数論で距離空間論と位相空間論の話をして, それらの議論の中で集合論の記法や議論に慣れてもらうという流れを考えています.
あとは適当に必要なら平行しながら ヒルベルト空間論を中心にした関数解析・線型代数をやろうと思っています. 一通り終わったら量子現象の数理にあるような話題でも詳しく見てみる予定です.
何にせよ, 関数解析の基本的な概念と物理・気分を把握してもらわないと困るので, しばらくその辺の話をします.
現代数学観光ツアーよりももう少し現代数学探険隊よりの話をしている気分があるので, もしあなたが現代数学探険隊の内容に興味があるが, 買うのはちょっと, と思っているならぜひ眺めてみてください.
なかなか進められていませんが, 物質の安定性や量子測定理論まわりの YouTube の話も, 同じく現代数学探険隊の気分で進めます.
アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会¶
- 2020-10-02 第 004 回 コンテンツ制作の方針と文法へのスタンス アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/10/02/studygroup-for-relativity-5/
第 4 回まで来ましたが, 話の感じから改めてコンテンツ制作の方針ももう少し突っ込んで話した方がよさそうだと思い, 文法がなぜ大事なのかといった話もしています. いまだはじめの 2 文さえ終わっておらず, 次回, この 2 文の単語の話をしますが, 終わらなさそうな気がします. 焦って進める理由が何もないので, のんびり進めます.
実際, このレベルでゴリゴリに進めることこそ理工系の語学に必要なことだと思っています. 特に工学は下手をすると文章の誤読や書き方の悪さで人が死ぬからです. 理学, 特に数学は気楽なものですが, 理工系と銘打った以上あまり気楽なことをやっているわけにもいきません.
勉強会自体は語学としての英語メインですが, 中高生向けの物理・数学・プログラミング・英語というコンテンツラインナップの中で, 物理は自然とコミュニケーションするための語学, 数学は物理に対して言語学, プログラミングは語学 (言語学レベルの話はとりあえずしない予定) という感じで, 全体的に理工系のための語学という気分があります. 特にプログラミングにも活きる形で英語・文法と付き合いたいと思っていて, そのあたりまで視野に入れた上で英語コンテンツで文法をどう捉えて取り組むかが課題です.
数学科出身で翻訳をやっている人が参加してくださっていて, いろいろコメントを頂いているのですが, やはりプロは違うという感じのコメントをくれるのでとても助かっています. まさに勉強会をやっているご利益を感じています.
準備以前に人集めが大変だとかいろいろ課題があるのはわかりますが, いまは https://connpass.com/calendar/online/ などオンライン勉強会を簡単に案内できるサービスも増えているので, あなたもぜひやってみてください. 数学の勉強会もあるので, 面白そうなのがあれば一参加者として参加してみるのも一手です.
いま見ていたら次のようなサービスもあるようです.
実際語学の勉強会を毎回話す前提でやりはじめて, 毎回 1 時間は話さないといけないので嫌でもコンテンツ制作が進むようになりました. もしあなたが何かをやる弾みがつかないと思っているなら, 主催で自分が話す前提で無理やりはじめる手があるというのはお伝えしておきます.
「ぐだぐだになるかもしれないがそれでも進む」, 「ぐだぐだなのが嫌ならはじめから参加しないで」と強調しておけば, お互い楽だと思いますし, そのくらい振り切ってまずはスケジュールをおさえるのが大事です.
前も紹介したと思いますが, 特に交流などを目的にせず, とにかく作業・勉強をしようというオンラインの「もくもく会」スタイルもあります.
- https://rust-online.connpass.com/event/181088/
特になかなか勉強する時間が取れないというタイプの人は, スケジュールをおさえる目的でこの手の催しに参加するのをお勧めします.
この辺, せっかくメルマガをやっているわけで, むしろ私が主催して何かした方がいいのだろうと思いますが, 無闇やたらに勉強会を主催しすぎたせいで全く時間的な余裕がありません. それでも, 興味があるという人が多ければそれなりに何か考えるので, もしあなたに何か希望があるならアンケートに書いておいてください. YouTube の動画コンテンツ作りの時間をそれに割り当てることはできるので, 何か考えて実行・実験します.
今回はこんなところで終わりましょう. ではまたメールします.
2020-09-27 現代数学探険隊の展開とオンラインサロン的な何か/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
いつも通り今週のコンテンツから紹介します.
記事¶
- gejiqmq さんの情報幾何ツイートまとめ: 自分用備忘録 https://phasetr.com/blog/2020/09/21/gejiqmq-information-geometry-tweet-summary/
- 「理論物理学者に数学を教えようの会」の内容や開催にいたる経緯 https://phasetr.com/blog/2020/09/22/studygroup-for-physicist/
- 専門家による素朴集合論の定義をはじめて知ったので https://phasetr.com/blog/2020/09/23/strict-definition-for-naive-set-theory/
- 現代物理での保存則と対称性, 量子情報・測定理論: 堀田さんのツイートまとめ https://phasetr.com/blog/2020/09/24/hotta-tweets-conservation-law-and-symmetry/
- 「わかりやすい」全射・単射の定義とは何か: ある定義とそれへの応答 https://phasetr.com/blog/2020/09/25/difficulty-for-definition-of-injection-and-surjection/
- 撮り直し版 2020-09-25 第 003 回 第 2 文を詳しく読む アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/09/25/studygroup-for-relativity-4/
- Chromebook での Emacs の設定メモ: Chromebook に対する導入雑感を含む.com/blog/2020/09/26/chromebook-emacs-font-etc/>
- 2020-09-27_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/09/27/2020-09-27_hw-online-math-phys-programming/
動画¶
- 物質の安定性 問題の基本設定, 第1種・第2種の安定性と熱力学 https://youtu.be/Rdf7h3w4IQk
- 微分幾何 ユークリッド空間の測地線と球面上の測地線 https://youtu.be/oUN0wYwkAc0
- 測度論・積分論入門への入門 測度論のための実数論, そして距離空間論 https://youtu.be/Z3QMSF8Vbgo
- 微分幾何 測地線・計量・共変微分, そして曲率 https://youtu.be/vfDiyhZGW14
- 特殊相対性理論の原論文を読む会 https://youtu.be/5qHaqtG42qE
- 計算から見た線型代数・理論から見た線型代数 https://www.youtube.com/watch?v=DuY-vPSzdbk
今週のまとめ¶
コンテンツを作り切れなかった反省¶
今週はちょっとしたお出かけをする機会があって肉体的な疲れがあり, 動画を作れなかった日が何度かありました. 無闇やたらに勉強会を増やした関係で今後動画を作れなくなる日も出てきそうで, どう調整していくかが課題になってきそうです.
今後の目標¶
まずは積分論入門への入門をさっさと作り終えたいです. 微分幾何もプレプリントの微分幾何パートがそろそろ終わるので, 電磁気本体の話をしようと思いつつ, 飽きてきたから他の話をしようかとも思っています. 一般相対性理論まわりの話, 具体的な計算をしようかとも思っています., ホッジまわりの線型代数的な話も詰めたいですし, やりたいことは山程あります.
プログラミング系コンテンツ¶
いまは F# と Julia で Project Euler を解いて, シコシコと GitHub にあげています. これをもとにコンテンツを作ろうかとも思ったのですが, 方向性が見えないので GitHub にあげるだけにしています. Python のコンテンツは勉強会をしつつブラッシュアップをしていますが, これをもっときちんと宣伝しないといけません. 必要な人はいるはずなので, ちゃんと届ける責務があります.
最近の動向からすると数学・物理系プログラミングの文脈では Julia をやるべきだと思うのですが, いまひとつ気分が乗り切りません. F# が触っていて楽しいのでこれをやりたいというのが 1 つあります. さらに中高生向けの動きとして Chromebook を使ってみようと思い, 買いました. 買ったマシンは容量が 32GB しかなく, 余計なソフト・ツール・言語がそんなにバリバリ入れられません. 何でどう遊ぼうか, そして 1 回書いたコードがいつまでも動いてほしい問題の解決のため, いっそ Common Lisp やってみようかという気分になりつつあります.
記事にも書いたように何はともあれ Chromebook にエディタとして Emacs は必ず入れますし, そこと相性がいい Common Lisp は 1 つ決定打なのではないかと. ただ, いまどきの中高生に教える言語か? という気分もあり, そこでうじうじと Julia と悩んでいます. 勉強しても損はないと思うので, とりあえず Common Lisp を勉強しようと思います. コンテンツ化を意識しつつ勉強したいです. Common Lisp による数学系ライブラリなども調べないといけません. Scheme だと Racket が数学方面もやたら発展しているようですし, Common Lisp でも何かあるはずなので, そのあたりもきちんと掘る必要があります.
- Racket Math Library https://docs.racket-lang.org/math/index.html
Try Jupyter でも Scheme があるので Scheme は割と大事な選択肢という気分もありますが.
何ににせよ, プログラミング関係はもっと強化したいですし, 数学・物理以上に強化が必要なところです.
現代数学探険隊のテイストと現代数学観光ツアーのテイスト¶
アンケートでコメントが来ていたので簡単に返信しておきます. 現代数学探険隊はお値段が張るのでテイストを知るために現代数学観光ツアーに登録された, という方がいました. 現代数学探険隊と現代数学探険隊はだいぶ気分が違うので微妙なのですが, 強いていうならいまやっている動画シリーズの方がまだテイストが合っていると思います.
具体的にどうテイストが違うかというと, 現代数学観光ツアーはとにかく概要をざっと見て慣れ親しんでもらうことが目的です. 一方現代数学探険隊は細部をとにかく細かくやって細部を理解してもらうことが目的です.
このあたり, 集合・実数論・位相くらいは公開してもいいかとは思っていますし, この間記事にもしたように, コンテンツ無料にして数学のオンラインサロンという名の勉強会をメインにしたサービスを立ち上げるかという気分もあります.
集合と位相はいろいろな人が意識を向けるので, かえって実数論をもっと充実させた上で公開するのかいいような気分もあります. 私が 1 番見てほしいのは実は実数論だからというのもあります. 少なくとも距離空間への接続はとてもよく, 積分論を勉強する上でも大事です.
さっそく 9/28 (月) から松尾さんとはじめる「理論物理学者に数学を教えようの会」でも集合・位相をきちんと勉強したいという要望が出ているので, 公開用のすっきりしたコンテンツをそこで整備しようかという気分もあります.
いろいろ考えつつ実践・研究しているところです. 引き続き私の活動を注視してもらえれば, と思います.
ではまたメールします.
2020-09-20 理論物理学者の数学を教えようの会/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずは今週のコンテンツのまとめをします.
記事¶
- 自己共役拡大の物理と教育: 「理論物理学者に数学を教えようの会」でも取り上げたい https://phasetr.com/blog/2020/09/17/self-adjoint-operators-for-physics-education/
- 2020-09-20_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/09/20/2020-09-20_hw/
- 「文系」への理系科目教育は知的虐待なのでやめてあげてほしい https://phasetr.com/blog/2020/09/20/stem-education/
動画¶
- 物質の安定性 必要な数学的予備知識・物理的な背景: 序文から https://youtu.be/RqWyoRNCdcY
- 微分幾何 接続係数の計量表示, 発散と回転の一般的成分表示 https://youtu.be/OxR0g10irUM
- 量子測定理論 イントロ https://www.youtube.com/watch?v=DKbnqvjXl_k
- 微分幾何 関数のラプラシアン, 極座標表示 https://www.youtube.com/watch?v=C_bJDXNiJew
- 微分幾何 測地線と曲率・平坦性 https://youtu.be/h5zcddsPnfY
今週の反省¶
今週は寝落ちしてしまったり, いろいろ平行して作業していたら文章を書くだけ書いて動画化を忘れていたりで, 動画コンテンツが少なくなってしまいました. 習慣が途切れると非常にまずいのですが, 今日はもう時間が取れないので明日から立て直します.
今週, 語学の勉強会も 1 時間やったのに 録音ができていなかったという最悪の事故を起こしてしまったので, その辺も再発防止策が必要な状況です.
プログラミングを強化したい¶
GitHub へのプッシュをよく忘れるのですが, とりあえず Project Euler を地道に解き進めています. 物理サイドの視点からは微分方程式がいいと思っていて, 実際プログラムもいろいろ書いていますが, 数学サイドの視点, それも中高生に勧める視点からはそれだけというのもどうなのかと思い, 紆余曲折を経ていったん Project Euler に焦点を絞ることにしました.
やってみるとわかりますが, 少なくとも前半の簡単な問題の中には手計算でもできる問題があり, 数学というより算数で処理できる問題もあります. それでもプログラムにバグなく起こすのはかなり大変です.
このあたりやはりアルゴリズムの構成や意識に目が向くので, 1 ついい入門だなと改めて感じています. 結局私の趣味で F#, 実用性から Julia のコードを書くようにしています. この 2 言語, 特に F# はもっと慣れたいと思っています.
理論物理学者の数学を教えようの会¶
前回のメルマガで現代数学探険隊の感想を頂いた, というので松尾衛さんのお話をしましたが, そのあと数学市民ともう少し突っ込んだ話をして, 企画を進めることになりました.
私からは「理論物理学者に物理を教わる」では面白くないので, 「その辺の市民がなぜか理論物理学者に数学を教える」だったら異様で面白いのでは, という話をしたところ, それがよさそうだという話になり, 私からはとりあえずそれをやることにします.
とりあえず現代数学観光ツアーなどもあるので, その辺も整理しつつ, 物理のための解析学という感じで何かやっていこうと思っています. 趣味で数学・物理をやろうとしている人ではなく, 明確に物理学者なのでこれまで以上に物理オリエンテッドな話をする予定です.
メルマガを書くまでに概要ページを作ろうと思っていたのですが, 今週は忙しくて間に合いませんでした. 連休がまだ 2 日あるので, その間に書き上げる予定です.
まだ細かいことは決めていない (相談していない) のですが, Zoom でオンラインセミナーやりつつ, その録画を YouTube に放流する形を考えています.
人が多くなると大変そうなので, とりあえずオンラインセミナー自体はクローズドで進めることにしました. もしあなたがこの勉強会に興味があるなら, YouTube に放流するのでそちらを眺めてみてください.
何にせよ連休中にどんな内容をどんな感じでどう進めるか, 何を目的にこの勉強会をするのか, 数学市民との意図の違いやら遠い目標やらを改めてまとめる予定です. ここまでメルマガやコンテンツ, さらには各種コンテンツの案内ページで書いてきたことを, 今の状況・進捗に合わせてまとめます.
次回のメルマガではその記事自体は確実に発表できると思うので, 楽しみにお待ちください. 再来週くらいからは勉強会をスタートさせたいと思っています.
今回はこんなところで. ではまたメールします.
2020-09-13 微分幾何コンテンツに関して物理学者からお褒めの言葉を頂いたので/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずは今週のコンテンツのまとめをします.
記事¶
- F# の String には reverse がない? ので代替策を見つけた https://phasetr.com/blog/2020/09/09/fsharp-string-reverse/
- 2020-09-11 第 002 回 分詞の解説, 第 1 文の訳と文法事項 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/09/11/studygroup-for-relativity-3/
- モデル理論での記号の読み方と Mathpedia の宣伝 https://phasetr.com/blog/2020/09/13/how-to-read-symbols-in-model-theory/
- 2020-09-13_hw オンライン プログラミング勉強会の記録 https://phasetr.com/blog/2020/09/13/2020-09-13_hw/
動画¶
- 線型代数と情報理論 符号理論の対象システム https://youtu.be/9BN2PjGEu_Q
- 物質の安定性 シリーズ概要・導入 https://youtu.be/Ybn66PRlL7E
- 微分幾何 共変微分とテンソル, 発散の計算例 https://www.youtube.com/watch?v=Rx1MI_4t_RM
- 先に見ておこう 測度論と積分論の細かい違い https://www.youtube.com/watch?v=EQYPcbfe0Pk
- 微分幾何 具体例の計算: 計量と接続係数 https://www.youtube.com/watch?v=JZttCe6VEvM
- アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を読む 第 2 回 分詞の解説・第 1 文の文法解説 https://www.youtube.com/watch?v=us6PivaoncY
- シャノンの通信路符号化定理・誤り訂正を支える距離空間論 https://youtu.be/4Bwp9nun_d8
- 線型代数と情報理論 数学世界をもっと深く探険するための案内 https://youtu.be/XRRfrtJjbVo
- 微分幾何 テンソルの共変微分の定義, 共変微分の添字の上げ下げ https://youtu.be/WQozc2tZenU
休日, あまり作業できなくて進捗感がないのですが, 何だかんだでそれなりに作れているのかと安心しました. 線型代数と情報理論, 符号理論は 現代数学観光ツアーで作った分を整理して作り切りました.
現代数学観光ツアーは改めて整理しないと, とずっと思っていたので動画しつつ改めて整理して, PDF としても再構成していこうと思います.
ニュース¶
- Jones の訃報 https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/news.htm
- 若手数学者難問に挑む夏合宿【鶴居】 <http://www.hokkaido-nl.jp/article/18437
- 戸松さんが早稲田に http://www.f.waseda.jp/tomatsu/cv.html
Twitter の河東セミナーニュース bot https://twitter.com/kawahigashinews で Jones の訃報が流れてきました. 67 歳だったそうです. 竹崎正道先生の 80 歳記念の研究会のあと, 「昔からの仲間もどんどん亡くなりはじめ, 娘にも先立たれたが, 友人や息子のような人々がこんなにもたくさんいる」 などと言っていたことを思い出します. 竹崎先生, また悲しい思いをしているのだろうという気分です.
Jones の訃報を見て, ついでに作用素環系の情報を探っていたら, 作用素環系ニュースをいくつか見かけたのでついでに紹介しておきます.
北大に河東研の人が准教授になっていて, 戸松さんはどうなったのだろうと思っていたら, 戸松さん, 北大から早稲田に移っていました. 私が院にいた頃, 戸松さんはポスドクだったので, 時の経過を感じます.
メールでの告知¶
メールで宣伝してほしいと頼まれたので, 宣伝しておきます.
- 大阪市大, 物理工学特別講義, 谷村省吾
- 2020年9月23日(水)~25日(金)
- 10:00~12:00、13:30~15:30(ないし16:00頃まで)
- 25日(金)15:00~16:00 コロキウム講演
- ネットを介した遠隔講義
- 現代の量子論, 量子論の弱値と負の確率
- http://statphys-ml.issp.u-tokyo.ac.jp/2020/09/statphys06202.html
上のページにある通り学内者優先だそうですが, 学外でも状況によっては OK らしいので参加してみたい方は連絡してみるとよいのでは, という話です. さすがに平日は私は厳しいので参加できませんが, ようやく今週から量子測定理論の動画を作る体で勉強をはじめますし, 興味だけはあります.
あとその人から「ZOOM で量子情報の講義を聞く会の参加者募集」とのことです. 以下引用.
量子測定に特化しているわけではないのですが、 量子情報の講義動画をZOOMで画面共有して、 疑問点などを話し議論を深める勉強会をしたいのですが、 参加してくれそうな知り合いがいないので募集できないでしょうか?
見ようと思っている講義動画は、 Reinhard F. Werner https://scholar.google.com/citations?user=yNI3gVcAAAAJ&hl=ja Mathematical methods of quantum information theory https://youtu.be/vb0ZEsATUcw シラバス https://tjoresearchnotes.wordpress.com/2018/09/10/mathematical-methods-of-quantum-information-theory/
他の友人とToplogical Order 関係の動画を一緒に見たときに分からないとこなどを 議論し理解を深めていったのでそれを量子情報の勉強でもやりたい。
教科書を予習して発表する必要がないため、ゼミの担当者が準備不足になることがない。 忙しくて予習ができない人も参加できる。 一人で動画を見ると集中できないとか別のことに時間を使いたいとか言い訳言って見ないので、 2人以上で見ることで動画に集中でき、 日時を決めて毎週コンスタントに動画を見て勉強する機会を動機づけにしたい。
ということだそうです. 私は参加しませんが, 興味があるという方は取り次ぐので, メールで返信お願いします.
この辺, トラブルになったときにどうするか問題もあるとはいえ, 私のメルマガに登録している人は興味関心もそれなりに似ていると思いますし, 交流も活発化させられたらいいなという気分だけは前からあります. 勉強会に関する告知・宣伝協力をしてくれという話が具体的に来たので, 試験的にやってみようと思います.
これ, 主催者の情報も伝えないと参加要望出しづらいのではないかという話もあり, 告知・宣伝要望を出すなら出すでこの辺の当たり前の要件を 自分から書いてきてほしいという気分もありつつ, 何をどこまで情報を出していいのかわからないのでその辺手探りです.
むしろ今回の件でその辺の案内募集要項を受けるフォーマットを作ればいいか, という気分です.
これはこれで希望者がいたら, その人と上の希望を出した当人とのやり取りの結果を教えてもらって, 募集の仲介するのに必要な情報を聞き取るための フォームを作ろうと思っています.
多少の自慢: コンテンツに関して物理学者からお褒めの言葉を頂く¶
@Infinity_topoi さんのサイトで知った @phasetrbot さんの微分幾何の講義動画視聴中.テーマ選び絶妙,数学/物理スタイルを行き来しながら,抽象的な定義と具体的な計算のギャップを埋める計算の細部の実演.こういうコンテンツを渇望していました
http://mmatsuo.com/ を見るといま中国にいらっしゃるようですが, いままさにゴリゴリと作っている微分幾何系のコンテンツを見て, 「具体的な計算を重視しつつ, 物理スタイルと数学スタイルを行き来しながら進むので物理の自分には理解しやすく, 数学の本を読むための訓練までできて, こういうのを求めていた」というメールを頂きました.
物理系の勉強をしてみたいという人の目標の 1 つにやはり相対性理論があり, 一般相対性理論のために多少は微分幾何をやらねばならないというのを前から思っていました. 物理, できれば工学的なイメージまで持ちつつ, 微分幾何の最低ラインが一通り勉強できるコンテンツを探していて, 5 年くらい前から光学迷彩のプレプリントを見つけました.
ちょうどいい感じでまとまっているのでこれを紹介すればいいが, どうしたものかと思っていたところに YouTube でコンテンツ紹介するタイプの人も出てきたので, それならプレプリント紹介スタイルでやればいいと思って作ったコンテンツです. この辺の題材の選択まで含めて物理サイドからは取り組みやすいとの高評価を頂きました.
もう少し楽に読めるかと思ったら, 物理スタイルの記述がろくにわからず, 「このくらい計算できるでしょ」「他の本にあるでしょ」という感じで, 細部が全然わからないことも多く, 数学の本の対応する記述を読んでようやく埋めるとか 本末転倒みたいな感じで苦労して読解していたのが, かえって功を奏したようです.
微分幾何の計算, n 次元で考えると計量は大まかに n^2 個の成分, 接続係数 (クリストッフェル記号) は大まかに n^3 個の成分があり, 計算がハードで有名です. これまでその辺は適当に避けてきたのですが, 今回改めてきちんとやろうということで計算を詳しく書いたので, その辺まで含めて「とにかく計算できるようになろう」という視点で 重要なコンテンツが作れたと思っています.
自分が重要だと思って作った部分がまさにフィットしたということで, 私の嗅覚も捨てたものではないと改めて確認できたのが収穫です.
現代数学探険隊 https://phasetr.com/mtexpdf1/ も買ってくださったようで, これも物理向けにモチベートしてくれるコンテンツですごくいいとのことでした.
「一般ゲージ理論と共変解析力学」http://mmatsuo.com/cam/ の本も近刊で, 気になっていたので, 将来的に関連する研究に活かしてもらえるよう, またいろいろなコンテンツを作っていこうと思います. もう少しでプレプリントの微分幾何部分のノートが作り終わるので, それが終わったらいったん電磁気には進まず, ホッジ理論まわりの線型代数と関係する幾何の基礎コンテンツを整備する予定です.
もとが数学市民 https://twitter.com/Infinity_topoi 経由だそうなので, 3 人で対談コンテンツとか撮ってみたらまた面白いのではないか感もあります.
Mathpedia 雑感¶
Mathpedia https://mathematicspedia.com/ が猛烈なペースでコンテンツを作っているので, 改めて宣伝しておきます. そして上に挙げたブログの記事で『最終的には「森の中の山道」を目指す』という目標が掲げられています.
私はある視点から見た大きな姿・全体像を見せることと, 自分の生育歴から面白い具体例や計算に特化した話を作っていくのをメインに据えています. 分野と目標がいい感じにずれていますし, 集合・位相系をかなりしっかりやってくれるようなので, もしあなたが Mathpedia 方面の話に興味があるなら, ぜひ追いかけてみてください.
具体例に関する議論や, いろいろな定義にまつわる話もしていて, この辺はある程度アプローチが似ている部分があります. 数学をやっていて誰もが苦労する部分はあり, その辺を埋めたい・埋めてほしかったというのはよくわかります.
私の場合はかなり物理よりの例を出しますが, 私には出せない純血の数学人から, 純粋に数学的視点で見て重要な例が出てくるので, 私とはまた違う味の話や例が見られます. これも Mathpedia で見てほしい点です.
例えば可換環論のページはそういったことにチャレンジしている。可換環を調べる手法には環の内部構造であるイデアルに注目する方法と外部構造である加群(とホモロジー代数)に注目する方法があり、Serreによる正則局所環のホモロジー論的特徴づけはエポックメイキングな出来事であった・・・
専門から遠い可換環でのエポックメイキングな事件は掌握しきれないので, こういうのも書いておいてもらえるとやはり助かります. 私は私で物理・数理物理の視点からやはりいろいろ書いています. 勉強する上で大事だからと思ってやってきましたが, 同じことを考える人がいて, 「やはり大事だな」と改めて確認できました.
大分長くなってきたので今回はこのくらいにしておきましょう. ではまたメールします.
2020-09-06 高校までの数学と大学の数学/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
新たな動きとしては, 理工系向け語学の勉強会をスタートさせました. その第 1 回を動画で公開してあります. 参加者は理工系出身の大人ですが, 面白いと言ってもらえたので, この方針は 1 つの方向性だと自信が持てました.
1 時間あるので軽い気持ちで見られる内容ではありませんが, 勉強会の資料は記事を公開してあり, そのリンクも以下で紹介しているので, 興味があれば記事だけでも眺めてみてください.
記事¶
- コンパクト性の諸相を探る対談を聞きたい方の市民 https://phasetr.com/blog/2020/09/01/various-aspects-of-compactness/
- 2020-09-04 第 001 回 勉強会の概要と論文タイトル解説 アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/09/04/studygroup-for-relativity-2/
- 2020-09-06_hw オンライン プログラミング勉強会 https://phasetr.com/blog/2020/09/06/2020-09-06_hw/
動画¶
- 力学 中心力場の 1 次元運動と 2 次曲線の極座標表示 https://youtu.be/nNWlqlZX7tU
- 微分幾何 接続・曲線に沿った共変微分・平行移動の定義 https://www.youtube.com/watch?v=4mxSi_JL5kw&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=24&t=0s
- 測度論・積分論 速習ルベーグ積分の定義と勘所 単関数・定義関数・実数論と収束制御 https://www.youtube.com/watch?v=4TGwkw5Vwn8
- 微分幾何 接続と平行移動, 曲線に沿った共変微分の物理・数学スタイル定義の一致 https://youtu.be/i_RYN1-H2Lg
- 語学 勉強会の概要と特殊相対性理論の論文タイトル解説 https://www.youtube.com/watch?v=CwoUaZe57dM
- 線型代数と情報理論 有限体とその上の線型空間 https://youtu.be/_RcwrYctx_M
- 線型代数と情報理論 情報伝達と情報のベクトル表示 https://youtu.be/v6LiAUwo9Uc
プログラム¶
- Project Euler Problem 3, F# and Julia https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp/tree/master/ProjectEuler/00003_Largest_prime_factor
宣伝: Mathpedia¶
現代数学探険隊でも言及した, 位相空間の定式化で使うネットとフィルターの話, Mathpedia に記事が載ったので紹介しておきます.
- ネットによる位相空間論 http://mathematicspedia.com/index.php?%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%8D%E7%9B%B8%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%AB%96
- フィルターによる位相空間論 http://mathematicspedia.com/index.php?%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E4%BD%8D%E7%9B%B8%E7%A9%BA%E9%96%93%E8%AB%96
現代数学探険隊でも書いたように, チコノフの定理の証明の簡略化としてよく使われる議論です. 簡略化といっても, その前にネットまたはフィルターの議論の準備が必要なので, 本当に簡略化されているのかは微妙なところですが, 証明だけに着目するならすっきりシンプルにはなっています.
私自身フィルターはあまり使いませんが, ネットは作用素環でときどき出てくるので多少馴染みはあります. しかし私はいまだにネットやフィルターがよくわかっていません.
上記ページにある程度の一般論を追いかける程度は特に問題はありません. 問題なのは, ネットやフィルターでないと掴まえられない世界の位相です. 具体的には, 私が扱う空間はノルム空間や内積空間がメインですし, 弱位相を取るにしてもそれなりに強い性質を持つ空間です. 特に強位相で考えるなら距離空間になります. 距離空間は第 2 可算公理をみたすかなり強い空間です.
一方, ネットやフィルターがその威力を 1 番発揮するのは, こうした可算公理が成り立たない空間です. 最近 Twitter で話題になって圏論的に位相空間論を議論するという本 https://www.math3ma.com/blog/topology-book でもネット・フィルターの話が出てきます. ここでは [0,1]^{[0,1]} に直積位相を入れた空間が第 1 可算ではないとか, P.58 の例 3.5 で収束する点列を持たないといった議論がぱっと追えません. 第 1 可算公理をみたさない厳しい世界に慣れていないため, 何をどうすればいいのかすぐにわからないのです.
さすがにがんばれば何とかなるとは思いますが, これに割く時間があるなら他のことをしたいのできちんと考えていません.
ツイキャスでも infinity_topoi さんが話していたのですが, 位相空間論といっても対象とする分野によって必要な位相空間は大きく変わるので, 自分の趣味に合った位相空間を勉強するのが大事ということでした. 確かに関数解析系で非ハウスドルフ空間を触るのはほとんど意味がありません.
単に推測ですが, 複素幾何などで層が必要な人達でも, 非ハウスドルフの位相空間をゴリゴリやるのは違うのではないかと見ています.
かといって層が必要な人達がハウスドルフだけやっていればいいというのは違うでしょう. 少なくとも幾何で出てくる非ハウスドルフな層の例はきちんとおさえておくべきです. 代数解析だと代数的な事情を重視するために, 第 1 分離公理さえ満たさない位相空間が出てくると聞いています. その辺の温度差を吸収した多彩な位相空間のコンテンツがあるとありがたいです. 関数解析系はとりあえずヒルベルト空間論とバナッハ空間論をやっておけば十分で, さらには実数論も重要です. この辺は現代数学探険隊にまとめてあるので, 興味があれば眺めてみてください. 募集・案内ページを見るだけでも様子はわかると思いますし, 別途無料で配布している参考文献集から関数解析の適当な本を見繕ってもらっても構いません.
p進解析だと超距離とそこから出てくる位相空間が完全非連結だったりする関係で, 実数や複素数体上の関数解析とはまた趣の違う関数解析です.
書くべきことはたくさんありますが, とりあえずこのくらいにしておきましょう.
頂いたアンケート回答から¶
久しぶりに現代数学観光ツアーに高校生からの回答がありました. 「DVD に傷がついても見られるのは何故かに興味がある」みたいなコメントがあったのですが, いまちょうど動画でその部分を作り直しているところです.
- 線型代数と情報理論 誤り訂正符号に出てくる謎の線型空間と位相・距離 https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprbc0Aiz6-KyF1QFtHB4z1fj
PC のブラウザ, 特に Chrome から見ているなら, 次のツールで 5 倍速くらいにしつつ, 一時停止を併用するとテンポよく見られると思います.
- Video Speed Controller https://chrome.google.com/webstore/detail/video-speed-controller/nffaoalbilbmmfgbnbgppjihopabppdk?hl=ja
私自身を含め, 動画よりも文章がいい派もいるのは知りつつ, 文章のリリース方法を決めてきれていなくて何もできていませんが, そちらもそのうち何かします.
現代数学観光ツアー, 内容としてはいまでも面白く役に立つとさえ思っていますが, いかんせんボリューム設定などがおかしすぎる欠点があります. はじめて作ったミニ講座だったので, 気合が入りすぎていたとかいろいろな理由はあるにせよ, ちょっとよろしくない部分も目につくコンテンツです.
毎日新しい動画を内容から作るのも大変なので, 整理する目的も兼ねて動画を作っています.
高校までの数学と大学の数学¶
大分前のアンケートで質問をもらって, 回答を書いたままで放置しているようだったので, いまさらながら回答を放流しておきます.
当時の回答なので自分自身「何の話だ」と思う部分もあるのですが, 少し書き換えたり記述を追加した上で適当に放流しておきます.
質問紹介¶
次のような質問を頂きました.
高校までの数学をやりきっても大学レベルの数学には余り結び付かないと聞くことがあります。中高数学をやり直しても無駄になるのでしょうか?
いま作っているミニ講座でも書いていることなので, 簡単に紹介します.
勉強の視点¶
まずどういう視点で中高数学をやり直そうとしているかによります. 大学レベルの数学といって物理などの応用向けの数学, 特に微分積分や線型代数を想定しているか, 集合・位相のような数学科の数学を想定しているかでも変わります.
大学レベルの数学に結びつかないのは当然と言えば当然で, 単純に高校数学が簡単すぎるからです. 「実用」に足るレベルではないのです. これは小学校のマラソンレベルで速く走れるからといって, 42.195km のフルマラソンに耐える力はないという程度の意味です.
もちろん必ずしも無駄なわけではありません. 小学校のマラソンも走れる程度の体力もないのに, フルマラソンに耐えられるはずがありません. 基礎体力向上のためには役に立ちます.
もう 1 つ大事なのは, 大学の数学では一般性と抽象性が高くなる上に, 読む本によっては取っつきやすい具体例が取り上げられていません. 中高数学はその具体例を提供してくれます.
そして大学の数学でも一定の計算練習が大事です. 中高数学はその計算練習ネタを提供してくれる側面もあります. 大学数学の演習書ももちろんありますが, やはりそう簡単ではありません. 下手な本を選ぶとふつうに本を読むよりも大変です. 特に昔エリートしか大学に進学していなかった頃に 書かれた古い本は恐ろしく難しいことがよくあります.
エリートがエリート向けに書いているわけで, 「このくらいでわかるだろう」の水準が噛み合わないのは当然です. よく「解析入門と言いつつ解析門前払いになっている」 という言いがかりをつける人がいますが, 「お前が対象なのではない」というだけです. それはいろいろな意味で.
適切な本を選ぼう¶
適切な本を選ぶのも大事なことで, それがあるから参考文献をいろいろ紹介しています. あと, 私は数学・物理を本格的に勉強する前提で本を選んでいるので, 上で「解析門前払い」と書かれた杉浦光夫の解析入門を推薦書に入れていたりします.
実際私はこれを一通り眺めた (完全に理解して頭に入っているとは言っていない) のですが, 証明が非常に丁寧で, コンテンツを作るときや復習するときにも実際によく参考にしています.
この本が厳しいのは, もちろん数学科水準の内容であること, そして他の本ではなあなあで済ますことをいちいちギチギチに書いているので, 通読しようと思うと心底鬱陶しいことです. 辞書として使うと非常に役に立ちます. 実際, 先程書いたように, 私はこの本を辞書として使っています.
加藤文元さんによるチャート式大学数学¶
あと紹介しようと思って忘れていたのですが, 最近, 東工大の加藤文元さんが書いた大学教養数学に対応する, チャート式の演習書があります.
詳しく読んでいる人に様子を聞くと, 加藤さんの執筆による本体はよくても, 演習書の出来にはいまひとつな部分はあるようです. それでも 1 つ定番になりそうな本ではあるので, 紹介くらいはしておきます.
「大学の数学」で何を指すのか問題¶
先程書いたように大学の数学といって何を指すかも大きな問題です. 物理などの応用に使うための数学と, 数学科の数学でかなり趣が違います. 高校までの数学は物理などの応用に使う, 微分積分や線型代数 (ベクトルと行列) がメインです.
一方, 数学科の数学をやる上では集合・位相との戦いが必須です. これは中高の数学をいくらやったところでほとんど意味はありません. 知識ではなく純粋な数学的体力だけが求められます.
私は学部が物理学科で集合・位相が必修でした. 大学受験の数学は本当に駄目で, 私は数学科進学ははじめから考えてさえいなかったのですが, 物理学科の大半の人間が撃沈していた一方で, 私はむしろ数学科の数学世界に高い耐性を持っていたようで, むしろ取り組みやすいくらいでした.
どうやら本質的な向き不向きはあるようですが, 少なくとも数学科の数学を勉強する上で表面的に必要なのは, 予備知識ではなく数学に挑む気概と尋常ではないレベルの忍耐, そして数学に没頭する時間です. こちらは知識としての中高の数学なしでダイレクトに挑戦できます. 試しに挑戦してみるのもいいでしょう.
参考文献集¶
次の PDF は何度かリンクを共有している参考文献集です. この中にお勧めの集合・位相の本とその簡単な書評もあるので, ぜひ参考にしてください.
- http://phasetr.com/members/myfiles/file/math_expedition_000_003_FPWpc.pdf
最近だと数学市民による Mathpedia も参考になるでしょう.
- http://mathematicspedia.com/
これは管理者が数学科卒で非常に強い人なので, 内容的に一定の信頼がおけます. 参考書ページに簡単な書評もあるので, そこにある範囲の本については参考になるでしょう. 最近できたばかりでまだ充実度は低い面があるものの, 私がカバーできる範囲とは全く違うところが強い人ですし, これからの充実を期待しています.
何を意図して中高数学を勉強するのか¶
まとめると, 何を意図して中高数学をやるかによります. 大学数学の「理論」学習のための準備としてはほぼ使いものになりません. 簡単すぎるからです. 一方, 最低限の基礎体力をつけたり, 理論だけで理解を上滑りさせないように具体例を触る目的なら, 中高数学の復習には一定の意味があります.
どちらにしろ, 中高数学はただただ箱庭であって, 完全に実用もしくは数学のための数学になる大学の数学を勉強する上では限定的な意味しかありません. 基礎体力がないなら, 大して役に立たないことを承知で, 歯を食いしばって中高数学をやるしかないでしょう.
数学科の数学に挑むことが前提なら, とりあえず集合・位相の本を読んでみてください. 予備知識はほぼ不要です. いまはオンラインの数学教室もありますし, 適切な指導者をつけることをお勧めします.
参考までに書いておくと, 動画作成のために数学・物理を復習もしながら計算の詳細を詰めていますが, 本や論文で「読者に任せる」と書かれた 1 行の計算結果を出すのに 2 週間くらいかかったこともありますし, 何ならこれで軽いくらいです. 学生の頃は 3 年くらいしてようやく計算できた (計算できただけでわかったわけではない) みたいなこともよくありました. この手の苦労を少しでも減らしたいなら, きちんとお金なり適切な対価を支払って指導者をつけましょう.
具体的なサービス紹介¶
私がぱっと思いつく (覚えている) のは次の 2 つです.
- 和から https://wakara.co.jp/
- すうがくぶんか https://sugakubunka.com/
他にも探せばもう少しあります. これ以外にほぼ無料で参加できる, 相互扶助勉強会もいくつかあります.
上の 2 つはもともと対面の教室ですが, このご時世なのでオンライン指導もやっていると思います. すうがくぶんかは 1 時間あたり 7,000 円が相場です.
どう控え目に言っても高いですが, もし私がやるにしても同じくらいの金額をチャージするでしょう. そのくらいしないと労力に見合いません.
では今日はこんなところで. またメールします.
2020-08-30 量子系の数理がやりたい/相転移プロダクション¶
今週作ったコンテンツのまとめ¶
まずは近況報告がてら今週作ったコンテンツのまとめから. 20-30 分かかる動画もあるので, 興味のあるコンテンツだけでも眺めてみてください.
私は動画はよく倍速再生して見ていますし, ものによっては 5-6 倍で見ることもあります. Chrome または Firefox なら Video Speed Controller という 16倍速までできるプラグインがあるので, ぜひ使ってみてください.
記事¶
- 語学学習: bootstrap, vacuum, three nines の話 https://phasetr.com/blog/2020/08/24/ootstrap-vacuum-three-nines/
- 競プロ: Project Euler Problem 2 Even Fibonacci numbers, F# and Julia https://phasetr.com/blog/2020/08/30/project-euler-problem-2-even-fibonacci-numbers-fsharp-and-julia/
YouTube¶
- 力学 中心力場の1次元運動 https://www.youtube.com/watch?v=bSQTckOFivw
- 微分幾何 座標基底と非座標基底 https://www.youtube.com/watch?v=XwOhMujWxz8
- 測度論・積分論入門への入門 測度論と積分論の関係 https://www.youtube.com/watch?v=ANGXi5zxIrI&list=PLSBzltjFopraESIkFD_kaqA7AH3jkE3aC&index=2&t=0s
- 微分幾何 ベクトル積とレビ-チビタテンソル https://www.youtube.com/watch?v=Hipuph8Ygws&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=21&t=0s
- 線型代数と情報理論 イントロダクション https://www.youtube.com/watch?v=euyFWlKDAmE&list=PLSBzltjFoprbc0Aiz6-KyF1QFtHB4z1fj&index=2&t=0s
- 微分幾何 接続係数・クリストッフェル記号と変換則 https://www.youtube.com/watch?v=EfaDLlBipQM
- 微分幾何 接続係数と平行移動 https://www.youtube.com/watch?v=VdTA7ob23sk&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=23&t=0s
GitHub¶
- Project Euler Problem 1 https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp/tree/master/ProjectEuler/00001_Multiples_of_3_and_5
- Project Euler Problem 2 https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp/tree/master/ProjectEuler/00002_Even_Fibonacci_numbers
アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会¶
メルマガでは上の記事集に突っ込んで書いただけでまじめに宣伝していませんでしたが, この表題の勉強会を開いてみることにしました.
詳しくは次の記事にまとめています.
- 勉強会の案内: アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/08/22/studygroup-for-relativity/
現時点で 4 人参加して頂けるようなので, 楽しみにしています. これも作る作ると言って何もできていなかったのですが, 勉強会をやると宣言してからは「作らないと参加してくれる方に失礼だ」モードになって, コンテンツ制作に時間を割くようになりました.
他人を巻き込んで無理やり進める手法, 劇薬ですがやはり効果は抜群です. 現代数学探険隊の講座を作っていたときのように, 毎日毎週, 準備でだいぶ忙しくなりますが, がんばってやっていきましょう.
参加者自体はまだ募集しているので興味あればどうぞ. 現時点で数学系の人が参加することもあり, 物理は読解に必要な範囲で軽く説明しますが, 記事などでも強調してある通り, 語学系のコンテンツを作るために私の語学力を上げるのが趣旨です. 物理や数学には深入りしないのでもしあなたが参加希望されるなら, その前提のもとでご参加ください.
ちなみに原論文を読むための数学・物理学習に関しては次の本がお勧めです.
後半は実際に原論文の翻訳を読む形で原論文にアタックしています.
量子系の数理をやりたい¶
次のツイートを見かけて改めて思ったことです.
- 堀田さんの連続ツイートの大元 https://twitter.com/hottaqu/status/1299828585218203648
- 日本でも、理学部物理学科で当たり前に量子情報の講義が聞ける環境があって然るべき。みなさん本当に前世紀のままの講義体系で良いのでしょうか?
- たとえエネルギー準位が計算できても、量子技術でどれだけ精密に測れるかという部分に知識がなければ、今世紀のこの国の物理学は衰退するしかありません。測定は理想測定だけで十分で、水素原子の演習問題を解くことのほうが、量子力学の本質を知るには大切だと言う方は、是非考え直して頂きたいです。
量子力学の本質とかいうのはよく知りませんが, 水素原子の解析からはじまる QED の数理物理が私の大学院生活の原点なので, 物質の安定性を改めてきちんと勉強する体で Lieb-Seiringer の Stability of Matter を読む動画を作りたいと思っています.
あともう一方, 量子測定に関しても数学・数理物理スタイルの本があって, それも理解があやふやなままです. これを読む基礎は現代数学探険隊で書いていますし, これまた勉強ついでに読む動画を作りたいです.
最近, 古典力学と微分幾何ばかりなのに飽きてきたので, もう少しバリエーションを増やしてローテーションで動画を作ることにしました. 微分幾何は個人的な趣味もあるので継続ですが, 力学は特殊相対性理論をやる予定だったのを物質の安定性に変えようかと思っています.
線型代数は現代数学観光ツアーでも触れた, 符号理論に関わる有限体とその上の線型空間論あたりが終わったら, 上記の量子測定理論の本を読もうかと思っています.
どちらも片手間で読むような本ではないのですが, わからないところはわからないと投げていくスタイルの動画を作ればいいか, くらいの気分でいます. 作者がよくわかっている系の動画と, わかっていないのにいい加減なことをいう動画はありますが, 勉強しつつ「わからないものはわからない」と素直に言うタイプの動画はあまり見かけませんし, 「わからないことをわからない」と素直に言えることが大事だという話もよくあるので, むしろそれを実践してみようという気分です.
何ににせよ, いま進行中のシリーズを落ち着けてからなので, はじめるまでもう少し時間がかかりますが, 見切り発車で適当にやっていこうと思います.
こういう趣味に走ったことをしているから中高生向けの話が進まないのですが, おさえるとストレスになるので仕方ないと割り切っています. だからこそ勉強会で他の人を巻き込んで強引に進めているわけで.
ではまたメールします.
2020-08-23 勉強を続けるコツ/相転移プロダクション¶
今週のコンテンツ¶
それなりに数があるので, 興味のあるものだけ眺めてみてください.
記事¶
- 勉強会の案内: アインシュタインの特殊相対性理論の原論文を多言語で読む会 https://phasetr.com/blog/2020/08/22/studygroup-for-relativity/
- 現代数学探険隊でのセルフコンテインドネス: 「現代数学が難しいnつの理由 ? はじまりはKan拡張」へのコメント https://phasetr.com/blog/2020/08/22/selfcontainedness-for-math-textbook/
- 量子力学教育の現代化に関する適当な考察 https://phasetr.com/blog/2020/08/22/modernization-for-teaching-of-quantum-mechanics/
- 2020_08_16_hw オンライン プログラミング勉強会 https://phasetr.com/blog/2020/08/23/2020_08_16_hw_math_phys_programming_studygroup/
力学¶
- リスト: 力学 https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN
- 質点系の全角運動量と保存則 https://www.youtube.com/watch?v=UZSMeDqR50A&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=40&t=0s
- 空間並進・時間並進のもとでの保存則 https://youtu.be/qJQzny1JJ2U
- 2体系の運動の2次元運動への還元 https://www.youtube.com/watch?v=uErw3w4B_Jw&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=45&t=0s
微分幾何とその計算¶
- リスト: 微分幾何とその計算 https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP
- 物理スタイルによるベクトル場・1-形式の変換則, 縮約 https://www.youtube.com/watch?v=AdShMbryXKY&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=17&t=0s
- 縮約の数学的定義, 計量による縮約の数学的定式化 https://www.youtube.com/watch?v=czbXXYXKUOk
チャンネル登録¶
ぜひ次のリンクからチャンネル登録もお願いします.
続けるコツ¶
勉強に限らず, なかなかやりたいことが続かないという人がいるようです. よく言われることをまとめただけではありますが, 参考になる方もいるでしょうから, 簡単に紹介しておきます. もしあなたがやりたいことがあるのに続かない悩みがあるなら, ぜひ採用してみてください.
「継続は力なり」とよく言います. 実際, 何をやるにも膨大な練習・訓練を積まないことには一定の水準には到達しません. 頭を使わずただたやっていても出来るようにはなりませんし, それ以前にそもそもコツコツとやり続けること自体に高いハードルがあります.
言うは易しといういつもの話ではありますが, 続けるにはどうすればいいか, 定番でしかも効果の高い方法を紹介します.
- ルーティン化・習慣化
- 雑に軽くやる
- 目標は定量化
- 休む日を入れる
- 環境を整える
- 人を巻き込む
ルーティン化・習慣化¶
毎日決まってやることを決め, それを淡々とやることです. これが全ての前提です. どうやって続けるかの工夫が以下の 5 項目です.
雑に軽くやる¶
雑に軽くやるというのは, はじめから完璧を求めないことです. 完璧にできるならはじめから何も困りません.
子どもに対する教育を考えてみてください. できなくても何度もくり返させるはずです. 「できない」と泣く子どもをやさしく励まして, 少しできるようになったら大げさなくらい褒めるはずです. こういうのが大人, もっといえば自分に対しても必要です. とにかく続けることを第一に, 雑でいいから毎日少しずつ, そして必ず実行しましょう.
目標は定量化¶
「英単語を毎日必ず 5 つ覚える」というように具体的に量で設定することです. ここで特にはじめのうちは前日の分を忘れていても構いません. 原理的に無理です.
ちなみに 5 個覚えるというような定量化がしにくいタイプのタスクもあります. 勉強用に本を読むとして, そのページ数で決める方法もありますが, 難しい本だとそれだけで 1 日の時間が溶け切ることもあります. そういう場合は毎日 5 分読む, 10 分読むという時間の区切りにすることも大事です. そして「それ以上の時間はやらない」というタイプの制限も大事です. それだけで 1 日の時間を溶かし切らないようにする工夫です. 私はこれで毎度痛い目を見ています.
特にはじめのうちは休む日を入れないとうんざりして挫折まっしぐらです. 休むときは休む, やるときはやるというメリハリも大事です. いろいろ試してみて自分にとっていい塩梅を見つけてください. 継続してみてはじめてわかることでもあります.
私としては, 平日に 5 分でも 10 分でもいいから毎日やることにして, 週末は完全オフ, みたいなスタイルを勧めます. 週末の休みは一日しばりの予定が入りやすく, かえって何かしづらいときが多いのです. 週末は使えるときのボーナスタイムという扱いにして, 平日にどれだけのことがやれるかという基準で考えるのを勧めます.
環境を整える¶
要は「やらなければいけないこと・やるべきことをやらざるを得ない状況を作る」ことです. 勉強結果を毎日 SNS で報告するといったことでも構いません. 私の場合はメルマガを書く・勉強会を主催するという部分で嫌でもやらざるを得ない状況を作っています. 心構えや気持ちではどうにもなりません. そうせざるをえない環境の整備が重要です.
環境の整備と言われてもわかりにくいかもしれません. 具体的には「人を巻き込む」と思ってください. 例えば定期的に誰か, それも尊敬する人相手に報告するとなると, 「こいつ挫折したな」と思われたくない, といった気分が強くはたらくようにもなります. こういう強制力をうまく使いましょう. 単にがんばるというだけの「心構え」ではなく, 人を巻き込んだ形での「心構え」にするのがポイントです. 私の場合は勉強会の主催という形で人を巻き込んで継続させている部分があります.
要点の再掲¶
最後に改めて要点をまとめておきます.
- ルーティン化・習慣化
- 雑に軽くやる
- 目標は定量化
- 休む日を入れる
- 環境を整える
- 人を巻き込む
1 番お勧めなのは人を巻き込むことです. ふつうの人は「何だあの嘘つき」と言われたくないので, そういう部分でがんばる強制力がつきます. この強制力をうまく持ち込むのがポイントです. ぜひ試してみてください.
ではまたメールします.
2020-08-15 解析系コンテンツ再始動/相転移プロダクション¶
まずは今週作ったコンテンツの一覧から.
記事 - 2020-04-19_introduction オンラインプログラミング勉強会 - 2020-08-12 数学を市民化するプロジェクト/メルマガから - フランクリンの「生まれたての赤ん坊が何の役に立つか、あなた答えられますか?」と科学・技術の倫理 - 2020-08-01_hw オンライン プログラミング勉強会 - GitHub
力学 - 質点系の全角運動量と保存則 - 質点系の全エネルギーと保存則
幾何 - 計量テンソルの導入 - 計量テンソルの変換則・不変性 - 計量テンソルと体積形式 - 極座標のリーマン計量・体積形式, 反変ベクトルの変換則
今度から主催している勉強会の資料もアップしてみることにしました. 毎日必ず何か 1 つコンテンツを作って出すことを日課にしていて, それに追いまくられていてあまり何もできていない感があります. リストを見てようやくできてはいるなという気分になれます.
他のやるべき勉強が止まっている部分があるのが厳しいところで, 時間配分の下手さを感じます. いまメインで進めているコンテンツ, 一度はやった計算であるにも関わらずはまると数時間簡単に持っていかれるので厳しいです. だからこそ計算練習コンテンツをたくさん作らないとと思い, 現代数学探険隊の補足コンテンツとして改めてがんばって作っています.
最近プログラミングの新コンテンツ制作・勉強が完全に死んでいて何も書けません. 一応物理教育とプログラミングという点で 1 つ参考になる論文を紹介しておきます.
これは Haskell, 特に強い型システムを使って, 「プログラムに物理を教える」スタンスで数値計算とともに 物理を教えるという教育プログラムに関する論文です.
既にこういう講義を実践しているという話だったので, 著者にメールして公開できるコンテンツはないのかと聞いたら, 本を書いているといって草稿を送ってくれました. まだ全くの書きかけで参考になるレベルではなかったのですが, 非常に気になっている話ではあります.
ライブラリ自体は公開されているのですが, hmatrix を使っていて, これが OpenBLAS などに依存しています. Mac ならともかく Windows で動かせなくて挫折した苦い記憶もあります. いまなら WSL があるのでセットアップももう少し楽だとは思いますが.
この辺, 1 ヶ月くらいいろいろがんばって挫折した苦労があるので, この間リリースしたプログラミングコンテンツでは環境構築不要にするため, そしてレビュアーの方からのコメントもあったため, Google Colaboratory 前提にがんばって調整したという経緯もあります.
あとは infinity_topoi さんが精力的に動いているので, こちらでも宣伝協力しておきます.
Mathpedia あたり, もしあなたが数学系のコンテンツを作ってみたいが 1 から自分で作るのはちょっと, と思っているなら, ためしに参加してみてはどうでしょうか. 求められるハードルはそれ相応でしょうが, 必ずしもゴリゴリの数学科の数学でなくても, 工学的視点から数学みたいな感じでもそれはそれで大事なコンテンツとみなしてもらえるような気はします.
あと YouTube コンテンツに関しては基本的に何らかの意味で 数学をゴリゴリにやっている・やってきた人達ばかりが紹介されているので, 興味があるところだけでも見てみるといいのではないでしょうか.
私も今後は以前の無料公開系コンテンツの整備も含め, 解析系のコンテンツを作っていこうと思っています. 特に測度論・積分論・関数解析あたりへの入門の入門くらいのやつを. これも本当は先週のうちに作りはじめる予定だったのですが, 力学と微分幾何の計算のコンテンツの計算ではまりまくって全然進められていません. 何とかします.
ではまたメールします.
2020-08-12 数学を市民化するプロジェクト/相転移プロダクション¶
Twitter メルマガで宣伝協力しようと宣言したので宣伝です.
次のアカウントの人の活動の宣伝です. 後半で数学面を中心にある程度この人の人となりを書きます.
私は実際に中の人に会ったこともあります. 数学に対する十全な訓練を受けている人で, Infinity_topoi さんの数学は信頼できます.
- Infinity_topoi
- Twitter アカウント
- ブログ
- YouTube
メールアドレスも公開になっているのですが, それをここに張っていいかどうかわかりません. ツイートを見ると辿れるので, 必要ならメールを送ってみてください.
Twitter を見るとコメントが RT されているので, 眺めてくるといいでしょう. 実際によくある要望で共感する人も多いはずです. あとでここにも引用します.
まだブログの記事もそんなにないので, ざっと眺めてみるといいでしょう. 例えば次の「市民向け数学コンテンツ」など.
まずはどんなことをしようとしているのか, 上記ブログから引用しましょう.
ツイキャスでも話しましたが、その一つの目的は「数学の敷居を下げる」ことです。自分は学生の頃から問題意識を感じていましたが、どうしても大学の数学は極めて丁寧な取り扱いが求められる一方で教科書等が必ずしも丁寧とは言えず「実は別に大したことのないハードル」を苦に感じて苦手意識を持ってしまう人が多いと思います。また、一度大きな抽象化を挟むことによってその抽象化のモチベーションが分からなくなり、迷子になってしまう方も多い筈です。
そういった「ギャップ」を丁寧に解説することによって、そういったギャップを消滅させようという試みがこのプロジェクトです。
大きく言えば私も同じことをやっているわけですが, この人の場合は純血の数学で, 特に圏論方面に強い人です. 私が全くカバーできない範囲なので, 圏論や位相空間論に興味がある人はぜひ動きをフォローしてください.
次の記事を見てもらうとわかるように, 代数幾何系の幾何の素養もあります.
もしあなたが大学に通っているか通ったことがあるなら, 大学の教員やその講義を見ればわかるように, 自分の中で理解しているからといってそれをうまく伝えられるかどうかはまた別の問題です. そして Infinity_topoi さんはその伝える方面の能力も優れています. どうも自分の理解を深めること自体が他者への説明力を上げることに繋がるタイプの人のようです.
Infinity_topoi さんの話で大事なことはたくさんあるのですが, とりあえず「市民向け数学コンテンツ」の次の一節を引用しておきます.
こういった依頼を行う上において、有償で依頼をするということは非常に重要な要素だと考えている。どうしてもこのような普及活動というのは無償のボランティアになりがちだ。しかし、それでは研究を生業としている方々にとってはメリットが存在しない。自己犠牲的な活動はサステナビリティに欠けるのも事実だ。
前から言っているように, 私が有料コンテンツを作っている理由もまさにこれです. 正直, 私がやっている範囲ではメルマガ配信スタンドに契約したり何だりで, 利益はないか赤字のレベルです. それでもきちんとお金を産めるようにすることが大事だと思い, 有料サービスをいくつか展開しています.
「多少なりとも食っていくことに繋がるなら自分もやってみるか」, そう思ってくれる人が少しでも増えるようにと思って.
いろいろ言うべきことはありますが, とりあえず教育意欲と能力の高い人が戻ってきたので, みんなで応援して盛り上げましょうということで.
最後に, Twitter で RT されている, 「こんなコンテンツがあったらいいな」も共有しておきます. 本来は Twitter の正式な方法で引用するべきですが, さぼります.
入口に案内するだけでなく、ある程度の基礎的な事柄まで 経路に沿って案内するような入門解説があれば助かります。 読み物では満足できない。教科書を読むほどの気力はない。 さりとて雰囲気だけでも分かりたいという我侭な願望です。
どうしてもこれ迄の歴史や経験が本と紙ベースなのでwebベースな数学百科の詳細なもので具体例が沢山コンパクトに(詳細と矛盾しない形で)纏めてあり直ぐ確認できるもの
気軽にセミナーを開ける仕組みも欲しいですね。大学レベルに限らず「数Ⅰの教科書を読んでみようセミナー」とか「生活に役立つ確率統計の初歩セミナー」とかを中学、高校生も含めた誰でも参加できる感じで。あんまり大人数なのは良くないだろうから同じようなセミナーが同時多発してもいい。
独学では行間を埋めるのは難しく、解けない演習問題はスルーするしかないとか。
各科目の講義動画があれば将来の日本人の資産になると思う。線型とか群論はいくつかありますがすごく丁寧なのばかりですね。大学の講義くらいのスピード感でしてくれる動画もあれば選択肢が増えていいかも。作る人大変すぎでボランティアの域超えるので、クラウドファンディングして資金集めとか
必要な定理への最短経路(逆引きの必要「経費」集とでもいいますか)への手引きと、それに一味足したもう少し先には、、、なる先達のコメント (教科書読んだらいいわけですが、こういうコンテンツもあっても良いなぁと)
実例いっぱい欲しいわね。
勉強したことが正しく理解できているか見てくれて適切なコメントをくれるメンターの存在、分からないことを相談しあえる仲間の存在。
工学的応用の例示
改めて書いておくと, この中のいくつかについては自分なりに作ったコンテンツもあります.
実は自分の中での 1 番のお気に入り, 京大であった関西すうがく徒のつどいで話した内容を DVD 化した「よくわからない数学 色々な反例で遊ぼう」です. Amazon でもレビューつけてもらえています.
これ, いま法外な値段の中古品しか出ていないのですが, Amazon からの納入依頼が来なくて新品が送れない状況です. 久しぶりに思い出したのですが, YouTube で公開した方がいいのかという気もしています.
あとこの DVD, 高知工科大学の全教授が見かけて「こんなタイトルの DVD を作る馬鹿は面白いに違いない」とメールをくれて, 実際に大学で講演するきっかけになったコンテンツでもあります.
講演の様子は動画にして YouTube に上げてあります. 上記ページにリンクがあるので興味がある方は見てください.
ではまたメールします.
2020-08-10 線型代数への道/相転移プロダクション¶
まずは今週のコンテンツから.
力学 - 角運動量と保存則 https://youtu.be/oUzc22dsfio - 地表に固定した座標系での運動方程式 https://youtu.be/er9sR9SdOfY - 自由落下とニールの曲線・フーコーの振り子 https://www.youtube.com/watch?v=k0EQgamEUQk&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=37&t=0s - ビリアル定理・断熱定理 https://www.youtube.com/watch?v=KbRaQ0LdwQM&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=38&t=0s
幾何 - ヘルムホルツ方程式と関数論 https://www.youtube.com/watch?v=KwQa558ZJgU&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=10&t=0s - 3次元の理論に向けた知識の整理 https://youtu.be/YbFWWRut-p8&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=11&t=0s - ベクトル場と無限小変位の変換則・極座標の変換行列 https://youtu.be/JTX8Vlrd4D0
記事 - 小学校高学年での分数の除法: 割り算を逆数の積とみなしつつ小中連携 https://phasetr.com/blog/2020/08/02/education-fraction/
興味あるのをぜひ眺めてみてください. 動画については Chrome と Firefox には Video Speed Controller という拡張があるので, これを使うといい感じで早送りできます. 16 倍速まであります.
最近オンラインの勉強会にいくつか参加しています. 自分が主催していて毎回自分が喋る数学・プログラミング系の勉強会が 1 つ, 自分が主催していて適当に担当変えつつの統計・機械学習系の勉強会が 1 つ, 知人が主催していて聞くだけのホモロジー代数の勉強会が 1 つです.
これにアインシュタインの特殊相対性理論の論文を 原語+英語で読もうの会がはじまるかもしれない, という感じ. これは数学・物理系ではなく語学系の知り合いとやるやらないの話をしているところで, 数学・物理というよりもドイツ語・英語, 特に英語の勉強用です.
中高生向けのコンテンツとして数学・物理から学ぶ英語, みたいなのを作ろうという話を以前したと思いますが, それのためです. コンテンツにドイツ語原語をどこまで入れるかは未定ですが, いくつかの言語で翻訳があるので, その辺を比較しながら読もうと思っていますし, コンテンツにもある程度盛り込みたいと思っています.
興味がある方向けにいくつかリンクを紹介しておきます.
- 原論文の英語版へのリンク https://www.fourmilab.ch/etexts/einstein/specrel/specrel.pdf
- 原論文へのリンク https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/andp.19053221004
- 原論文のフランス語版へのリンク http://classiques.uqac.ca/classiques/einstein_albert/Electrodynamique/Electrodynamique.html
- 原論文のロシア語版へのリンク http://path-2.narod.ru/02/03/kedt.pdf
- 原論文のスペイン語版へのリンク http://webs.ftmc.uam.es/juancarlos.cuevas/Teaching/articulo-original.pdf
- 原論文のイタリア語版へのリンク http://www.roma1.infn.it/exp/webmqc/A.%20Einstein%20-Sull%27elettrodinamica%20dei%20corpi%20in%20movimento%20-%201995.PDF
- 原論文の中国語版へのリンク http://www.path8.net/tn/wp-content/uploads/2014/11/%E8%AE%BA%E5%8A%A8%E4%BD%93%E7%9A%84%E7%94%B5%E5%8A%A8%E5%8A%9B%E5%AD%A6%EF%BC%88%E7%88%B1%E5%9B%A0%E6%96%AF%E5%9D%A6%EF%BC%89.pdf
他の言語でもあるとは思いますが, いま興味があるところを検索して探してきただけです. 著作権的なものがどうなっているのかよくわかっていないのでアレな気分はあります.
ちなみに, どうして多言語の視点を重視しているかと言うと, 単純に面白くするため, 何をどうしても必要な暗記を楽に, そして楽しくするためです.
例えば日本語というか感じでも, さんずいがあれば水系の意味というのがあります. 英語や他の言語でも単語に似たような構造があるわけです. 例えば英語で sp とあれば適当な意味で「破裂」のイメージがあります. ディズニーランドでもスプラッシュマウンテンというアトラクションがありますが, その splash は水がシュパーンと飛び散る意味で, 日本語としての擬音のシュパーンもまさに sp です. (シュパーンという擬音, これ, 日本語にもとからあったのでしょうか?)
他には speak も話すのは口から音を飛び散らせるから「話す」のイメージに持ち込めますし, sparkle も光が飛び散る感じのきらめき・輝きのイメージです. この辺, 「数学は類推の学問」とも言われていますし, 実際に適当な類推力の涵養はとても大事です. その辺を単語・言語をまたいで強化するパワーをつけてもらいたいわけです.
あと, こういうのがあった方が理工系の生徒・学生は取り組みやすいとも思います. 私が知る限り英語は単語レベルだとドイツ語 (ゲルマン系) が本流で, フランス語 (ロマンス系) がその上に乗っかっている構造です. そしていわゆる難単語はフランス語の標準的な語彙だとも聞いていますし, この辺を同時に攻めると私が面白いといういつもの話です. いつだって私は昔の自分がほしかったものを作っていくスタイルなので, このスタイルでやってみようと.
あと, 中高数学・プログラミングの軸でもいくつかやりたいことがあります. そしていつも通り迷走しています. アルゴリズムは自分のためにもやりたいのですが, 全然進んでいません. 言語も F# が猛烈にやりたいものの, 情報がとにかく少なく厳しいので, 再び Julia を検討する方向で考えています.
数学ネタもどうするか悩み中で, 代数方面で何かないかと思っていて, 符号理論・暗号理論方面から, 計算がたくさんできるタイプのネタをうまく持ってこられないかと探しています.
暗号理論も興味あるのですが, 楕円曲線みたいな方向だと私の勉強が多くなりすぎてコンテンツがすぐに作れない問題があります. 勉強しながら小出しにするテクニックはなくもないですが, 多分途中で飽きそう.
一方, 符号理論は線型代数パートがあり, 線型代数は幾何ともいろいろあって, 量子情報・量子暗号は量子力学だから線型代数大事みたいな趣があります. この方向で何か数学・物理・プログラミングに持ち込めないかと画策しています.
この間リリースした「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」で 偏微分方程式 (PDE) まで 一通り扱っていますが, これ以上の PDE は本当にゴリゴリの世界でかなりつらいため, 別の方向で検討しています.
- https://phasetr.com/mthlp1/
統計系でも線型代数必要だし, 需要も多いので何かやりたいです. 単純な統計・機械学習方面なら既存のコンテンツがたくさんあるというか, 出てきていますが, これも物理方面から私が気に入る方向性で何かやりたいです.
動画シリーズの古典力学が一段落したら, こちらは特殊相対性理論にうつる予定で, これはこれで線型代数が大事です. 動画シリーズの微分幾何も光学迷彩が一段落したら, ホッジのスター作用素やら何やらの線型代数部分にうつろうと思っていたので, 再来月くらいには線型代数に入れるといいなという気分です.
メルマガで活動報告の形で振り返りをしていることになりますが, 報告のたびに迷走しまくっている感が顕になります. 実際 1 年以上何がいいのかよくわからなくて迷走しています. とにかく勉強したことをコンテンツにまとめて出力する方向に切り替えたので, 多少なりとも進んでいる気分にはなっていて, 精神衛生は多少向上してきました.
他にもセミナーのような形で人を巻き込んでやっていく計画がいくつかあります. 無駄に自分を追い込んでどうする, という気分もありつつ, そうしないとコンテンツ制作が進まないのもわかったので, 本当に社会は厳しいなと痛感しているところです.
引き続き迷走を続け, 報告・共有を続けます. ぜひあなたも何か作って共有してください. 特に数学・物理・プログラミング系のコンテンツを Julia で作ってまとめていってもらえると私が喜びます.
ではまたメールします.
2020-08-01 フィンスラー幾何/相転移プロダクション¶
今週のコンテンツから案内します.
力学 - 保存力場, そして場の概念 https://www.youtube.com/watch?v=4coP0WI5c38&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN&index=31&t=0s - 保存力の例, 角運動量とトルクの定義 https://www.youtube.com/watch?v=5RvzENYnMn8 - 軌道角運動量の極座標表 https://www.youtube.com/watch?v=DZUXbndyGZw
光学迷彩の数理 ハリーポッターの透明マントの科学 - イントロダクション https://www.youtube.com/watch?v=Lm3ZNsf9Zmg - フェルマーの原理と光の経路 https://www.youtube.com/watch?v=Y2DhuH_yq-c - 共形変換と二次元の理論 https://www.youtube.com/watch?v=YbK-3-lP7co&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=9&t=0s
いまは日替わりで力学と幾何をやっています. 実は力学も最初の運動学でちょっとした微分幾何を議論しています. それなら微分幾何も平行してやるといい気がしてきたこと, ふつうの古典力学が一通り終わったら, 復習も兼ねて特殊相対性理論から一般相対性理論に流そうと思っているので, その前哨戦という趣もあります.
もともとこのコンテンツ群自体, 現代数学探険隊の計算練習パートから派生している事情があります. 計算こそ丁寧にしているつもりではあっても, 微分幾何の方は幾何の議論の基礎的なことをあまり議論していないので, どうしようかという気分はあります.
それはそうと光学迷彩の方で, 先週メルマガを書いたら物理のプロから次の文献を教えてもらいました.
- Amemiya, Nishiyama, Taki, 2012, Asymmetric Cloaking Theory Based on Finsler Geometry ~ How to design true invisibility cloak with a scientific method ~
- https://arxiv.org/abs/1211.3040
これは動画で紹介している本はリーマン幾何で議論している一方, それはうまくいかないという定理があるようです. それは「方向」をきちんと考えていないから, ということで, 方向を考えられるフィンスラーでやってはどうかと 純理論的な提案をしているプレプリントです. フィンスラー幾何は名前しか知らず, チャーンが本を書いていることくらい知らない, と思ったらまさにその本が参考文献に入っていました. ここに興味があるならチャーン達が書いた本を読むといいでしょう.
ちなみにフィンスラーについては前にフィンスラーと経路積分みたいな論文を見かけたことがあります.
- Takayoshi Ootsuka, Erico Tanaka, 2009, Finsler Geometrical Path Integral
- https://arxiv.org/abs/0904.2464
- Run-Qiu Yang, 2018, Complexity for quantum field theory and bi-invariant Finslermanifolds
- http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tadashi.takayanagi/wsMarch2018/Qiu.pdf
両方ともぐぐって上の方に出てきた文献でまともに目を通していません. ちゃんと議論があって続いている対象だと言いたいだけです. フィンスラー幾何はリーマン幾何以上に何も知らないので, これ以上はコメントできません.
話を光学迷彩に戻すと, Amemiya-Nishiyama-Taki 論文も 2012 年なのでいまはもっと進展しているでしょう. もしあなたが何か面白い発展・文献をご存知でしたら, ぜひ教えてください. 私に対応できる幾何力があるなら紹介したいと思います.
あと動画コンテンツについてコメントもらって, これが面白かったので簡単にここでも共有しておきます.
たぶん 1 番の勘所は「(コメントしてくれた人にとって) 動画は勉強するのに向かない」という話なのだろうと思います. いくつか意図があってあのスタイルなのですが, 動画では勉強しづらい・できない点に関しては私も同じです. ふつうに文章を読む形で自分のペースでやりたいクチです. ただ, 最近の中高生は本よりも YouTube の動画を見て勉強している (人もいる) と聞きますし, 可能性としてそこにも届きますように, という気分です. あんな動画を今時の中高生が我慢して見るか? という疑問はとりあえず無視しています.
実験的にあんなのでもないよりいいと思っているのでやっています. もっと言えば「あんなのでいいなら自分でも作れる」という人はいるでしょうし, そういう目的もあります.
ちなみの動画は LyX https://www.lyx.org/ で式と文章を書きつつ, 動画としては Zoom の録画を使っています. PC さえあれば作れてカメラなども不要です.
動画として音がないのは異様とも言われています. 実際音を入れるくらい, 質を問わないなら作業的に私には何でもないのですが, 少しでも手を抜いてコンテンツを作りやすくして, 習慣構築のリハビリをするのが目的だからサボっているのが 1 つです.
もう 1 つは私の特性です. 今回の指摘を受けて改めて考え直したところ, どうやら私は勉強 (情報の受け入れモード) に入るとき, 音があるとそちらの情報も受け入れてしまい, 気が散って勉強できないようです. 「出力モード」だと音があっても問題ないようなのですが. そして発達障害の診断確定済みの知人がいて, 音に対する知覚過敏があるようで生活音でさえつらいそうで, 余計な音はない方が入れたくないという気分があります.
この間リリースしたコンテンツの案内ページでも, 「万人向けのコンテンツはなく, 少なくともこういう人はこのコンテンツには向いていない」という説明をつけています. 人や状況によって善し悪しは変わるので, 自分が対象としている層にとってよいものを作ろう, という話でした.
今回の動画コンテンツについては私の動画作成習慣づけ作りの面も強く, 誰向けというのもそれほど強く意識していないので, そういう部分も出ている趣はあります.
音については「せめてしゃべればいいのに」と思う人がいるかもしれません. ただ, 話も入れるのに関しては「失敗」事例があるのです. YouTube に音声入りの (自分でしゃべった) コンテンツは公開状態でもいくつか挙げています(非公開コンテンツもある). それに対して「しゃべり方が気持ち悪い. 障害者か?」というコメントがついたこともありますし, Twitter でも知人から「聞きづらいし話すのやめた方がいいのでは」と言われたことがあります.
私は吃音という発話障害があって, この点, 本当に障害者なのです. Twitter での知人とは「そうはいっても話す練習もしないといけないし」みたいにコメントしたところ, 「話す練習は別でしたら? 視聴者に聞きづらさを押しつける形になっているがそれはいいのか」みたいに言われたこともあり, いまデイリーで作っている動画コンテンツではしゃべらないことにしています. 音を入れず, 話さえしないのにはこういう理由もあります.
ついでにあの動画の作成意図はもう少しあるので, その辺も書いておきましょう.
あれは「TeX の教育・LyX の布教」の側面があります. 私が学生だったころ, TeX の勉強はかなりのハードルがありました. 「これはどう書いたらいいのか?」というタイプの話です. いわゆるサンプルコードがほしいという問題です. 実際に TeX で書いて見せて, 「この式はこう書ける」というのを見せる意図があります.
あとは手計算の代わりに LyX で計算するという手法です. 計算ノートの電子化もついでにやろうという話でもあります. 昔は私も手書き一辺倒であり, TeX は計算結果をまとめるだけであって, Lyx (TeX) で計算できるかと思っていました. 実際いまでもモノによっては手書きでないとつらい計算はあります.
ただ, あとでコンテンツを作ることまで考えると, TeX・LyX で直接計算ノートを作っていくのにメリットが出てきました. 微分幾何の長く鬱陶しい計算が必要な場面で, 転記ミスが多くて大変だったとき, コピペで済む TeX 打ちノートが便利だったこともあります. あとミスを一括置換できるのも魅力の 1 つです.
いまのところハードな不等式評価をするときは, 自分のノートテイクの都合でまず手書きにしますが, それ以外はほぼ直接 TeX・LyX でやっています. 特に微分幾何系の添字が面倒な計算は TeX・LyX です. この辺を宣伝するのも動画の目的の 1 つだったりします. 字が綺麗なわけでもなく, 最終的にマルチユースする前提だと電子記録がかなり大事なので, もしあなたがコンテンツを作ってみたいと思うなら, ぜひ一度試して自分に合っているかどうか検証してみてほしいです. 計算ノートをそのまま配布できたりもするので便利です.
いまの形の動画は学習コンテンツとして使いものにならないにしても, 計算ノートは需要があるはずなので, どこかで公開したいのですがどうしようかは検討中です. 他の数学系 YouTuber の人達は note で販売していたりしますし, そういう形を試してみようとは思っています. YouTube 動画化した分だけでももう 120 ページを越えたので, 本当にミニコンテンツになってきています.
ではまたメールします.
2020-07-26 中高数学・プログラミングコンテンツをリリースしました/相転移プロダクション¶
今週から作ったコンテンツをきちんと書くことにしました. 力学に関しては次の動画です.
- 硬いばねの時のダフィン方程式の周期の近似 https://www.youtube.com/watch?v=bjD09N5FZwI&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=173&t=0s
- 軟化ばねのダフィン方程式の周期 https://www.youtube.com/watch?v=0Cechk5YJxE&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=174
- 軟化ばねのダフィン方程式の周期の漸近評価 https://www.youtube.com/watch?v=p1UoyqTPbm8&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=177
- パラメータ振動 https://www.youtube.com/watch?v=PSdpEbbq5J8&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=178
- エネルギーと仕事 https://www.youtube.com/watch?v=o9DKAEqpMK4&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=179
微分幾何とその計算シリーズは次の動画を作りました.
- 3次元でのベクトルの代数と微分形式 概要編 https://www.youtube.com/watch?v=uoSom32AfJ0&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=173
- 微分幾何とその計算 ベクトル場と微分形式の対応 https://www.youtube.com/watch?v=osgu374z0zY&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=175
- 3次元でのベクトルの代数と微分形式 諸公式の証明 https://www.youtube.com/watch?v=tna8Y9DRmXw&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=176
力学は引き続き標準的なコースをあっさりめで, 計算重視で進めていきます. 微分幾何の方はメタマテリアルに関する次のプレプリントの数学解説の形で議論を進めてみようと思っています.
- Transformation Optics and the Geometry of Light
- https://arxiv.org/abs/0805.4778
私も全くもって詳しくありませんが, メタマテリアルは「光学迷彩」の物理のようです. 一般相対論の手法, つまり微分幾何を光学に持ち込んでいろいろやる話です. ネタが面白い上に微分幾何が一通りまとまっているので取り上げるのに良さそうと思い, 取り上げることにしました. 動画にするのは著作権がどうなるかという話もあり, かなり微妙と言えば微妙です.
海外には論文紹介系 YouTuber もいるようですが, 内容に細々と踏み込むタイプがどこまで問題ないのか, 私はよくわかっていません. 何にせよ手元の計算ノートをひっそりと公開する分にはそこまで影響なさそうなので, それ自体は適当な形で公開する予定です.
毎日, 無理やりにでも動画を 1 つ作る習慣は何とかできあがりつつあります. 引き続きやっていくので応援よろしくお願いします. ぜひチャンネル登録や動画のシェアや動画への評価もお願いします.
- チャンネル登録 https://www.youtube.com/channel/UCZ0p3rtw65Kw7BeR-hdndMw?sub_confirmation=1
さて, ようやく Google Colab 対応版のコンテンツをリリースしました. 通告していた通り, 今度は有料版として公開しています.
- プログラミングで数学を 中高数学虎の穴
- https://phasetr.com/mthlp1/
詳しいことは上記ページに書きました. 基本的に有料化以外の記述は変えていません.
もしあなたが無料版を受講していて「これはいいものだ」と思ったなら, 「お布施」してもらえると嬉しいです.
せっかくなので有料化について改めて少し書いておきます. お金のやりとりというと嫌な感覚になる人もきっと多いでしょう. 私自身, 昔はそうでした.
実はある出来事をきっかけにかなり感覚が変わりました. 今日はその話をしようと思います.
もう 3-4 年前の話ですが, 単発のコンテンツだけではなく, (ミニ) 通信講座を作りはじめたときです. 現代数学観光ツアーです.
これは当初の想定が数学科・物理学科学生向けで, かなりやりすぎでボリュームもおかしいので, 適当に調整・再構成して作り直そうかとは思っています.
それはさておき, これを作っている中で次のようなメールやアンケートをもらいました.
こんないいものを無料で受講させてもらえるなんて申し訳ないので, 少なくても申し訳ないが受講料を振り込ませてほしい.
かつてニコニコ動画ではいいコンテンツに対して 「振り込めない詐欺」というタグがついていたりました. まさに「こんないいものを無料で見られていいのか」という話です. 本当にこういうメールを自分がもらえるのかと驚きました. あと, 「いろいろ質問などもしたいが, ただでさえこんないいコンテンツを無料で受講させてもらえているのに, そこまで要求するのは申し訳ない」というメール・アンケートも頂きました.
無料だからこそかえって人の学習を妨げてしまっているのかという衝撃です.
ちゃんとお金をもらった方がいいことさえあると, 本当に心から実感した瞬間です. 以前, 救急車の出動に関して, 無料であるよりも有料の方がかえって気持ちよく呼べるという話を聞いたことがあります. こういう話だったのかと.
他にも語るべき話はいろいろあると思いますが, 今日はこんなところにします.
ではまたメールします.
2020-07-19 今週のコンテンツ/相転移プロダクション¶
最近は日々の TODO を決めて淡々と暮らしていて, 日々浅く広く勉強をしている感じで, 前のように猛烈にしている感じがなく, あまり何かをしている感じがありません.
しかし, 日々の TODO で計算をしつつ, そのまとめを YouTube で動画投稿しているので, コンテンツ整備はきちんと進めています.
- 力学 https://www.youtube.com/playlist&list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN
- 微分幾何とその計算 https://www.youtube.com/watch?v=uHaIAOuWmY0&list=PLSBzltjFoprbFRDKuwstOqZ7Rx81QlorP&index=2
これはいったん PDF を準備してから動画にしています. 動画よりも自分のペースでテキストで読みたい方も多いと思います. 何より私がその手のタイプです. 最近, 大学なり何なりでオンライン講義が話題になっていますが, 動画講義よりも資料の PDF を配ってもらった方が嬉しいという声もよく聞きます. この PDF もある程度まとまったら, きちんとチェックした上でリリースしようと思っています.
あと微分幾何は線型代数まわりの暴力的なテンソル計算があり, それは PDF よりも TeX の形でリリースしたいと思っています. 微分幾何はコンテンツを作るという体で, 自分自身改めてきっちり勉強し直しています.
他にも各種計算ノートを徐々に整備を進めていきます. その他プログラミング系のコンテンツも準備を進めているので, そちらもお待ちください.
今回は手短かですがこのあたりで. ではまたメールします.
2020-07-16 数学や物理を可視化する/相転移プロダクション¶
今回は現代数学観光ツアーのアンケートで気になる回答があったので, コメントするためのメルマガ配信です.
数学は基礎が全くないためか、不明な記号をみて、いやになります。式の展開が省略しており、先に進めない。
問題解決につながる応用を意識しています。数学でも、物理でも、具体的な動作を可視化するような、サンプルプロブラムと簡単なコード解説があったらいいなと思います。
前者については世に詳しいコンテンツがたくさんあるので, 私個人の活動としてはそれらを案内するに留めていて, 特に自作コンテンツはありません. 大事なのは後者だと思っていて, 特に後者のコンテンツは準備しているので, そのコメントです.
まず, 現代数学観光ツアーは上記のどちらも全く意図していない講座です. 一方そうしたニーズがあることもわかっている (いた) ので, 専用の講座も準備してあります. たぶんこちらの方が勉強の役に立ち, 面白いとも感じてもらえると思うので, 改めて案内します.
それは次の 2 講座です.
- 応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう https://phasetr.com/mrlp1/
- プログラミングで数学を 中高数学虎の穴 https://phasetr.com/mthlp1/
詳しいことはリンク先の案内ページをぜひ読んでみてください. ここではそれぞれを改めて簡単に説明しておきます.
前者は無料講座で, 微分方程式をプログラムを書いて数値的に解くことを通じて, 中高数学を概観する講座です. ここでは細かい式展開よりも, 中高数学を概観すること, プログラムで可視化することを重視してテンポよく進めています.
後者は有料講座ですが, いまはまだ無料公開中です. ようやく再調整が終わったので, いま有料化に向けて準備をしています. 無料でお試ししてみたければいまのうちです.
再調整で何をしていたかというと, コンテンツをレビューして頂いたとき, Google Colaboratory を標準環境にした方がいいのでは, というご指摘を頂いたので, その調整をしていました. 毎日少しずつ確認し, 約半年かけて調整が終わったので, その調整版を有料コンテンツとして近々リリースします. もちろん本質的な内容は無料版と変わりません.
簡単に内容を紹介すると, 前者の講座を受けて, もう少し数学をきちんと解説する講座にしています. もちろん可視化を中心にプログラミングを使いながら. 最近や統計学や機械学習への応用を目指したコンテンツもたくさん出ています. 同じようなコンテンツを作っても仕方ないので, 別の軸を据えてコンテンツを作っています. それは次の 2 つです.
- 中高数学で実際に出てくる厳密な文字計算用の sympy を随所で使っている.
- 物理への応用, 特に常微分方程式・偏微分方程式の数値計算を議論している.
特に微分方程式はアニメーションを作っているので, 見ているだけでも面白いと思います.
あと, 微分方程式に関しては, 教材としてまとめきってはいませんが, プログラムと動画自体はいろいろ作っています. 次の GitHub のリポジトリにはいくつかの言語でのプログラムがあり, その数値解のアニメーションを YouTube にあげた動画のリストです.
- GitHub https://github.com/phasetr/mathcodes
- 対応する動画集 https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
これも興味があれば参照してください. 「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」を見たあとならある程度はわかると思います.
あと, 少し別の話で, 中高で出てくる数学が何の役に立つか, 式を一切使わずに解説したコンテンツもあります.
- 中高数学駆け込み寺 役に立つ数学 https://phasetr.com/mrjhlp1/
これも詳しい内容は上記リンク先のページに書いてあります. 興味・必要に応じてぜひ受講してみてください.
まだまだバリエーションが足りないとは思っているので, 引き続きいろいろなコンテンツを作ろうと思っていますし, いまも実験的にいろいろ作っています. 基本はメルマガで告知していくので, ぜひメルマガをチェックしてください.
ではまたメールします.
2020-07-12 基礎数理のモチベーション・歴史的経緯と物理まわりの数理/相転移プロダクション¶
YouTube のコンテンツ作りだけは何とか続けています. タスクを詰め込み過ぎなだけではありますが, 他の作りたいコンテンツ制作が止まっています. タスクを整理しないといけないと思いつつ, 「やりたいことだから」とタスクを残し続けて精神的な負債がためています. 多分あなたも心当たりがあるであろう, 例の嫌な感じです.
時間は短くてもいいから毎日やるべきこと, コンテンツ制作は曜日でやることを区切るなど, 適当なメリハリをつけようと思います.
さて, メルマガタイトルにもしたネタです. 現実逃避で Twitter をしていて, そこでいろいろコメントしたことをまとめました.
- 実数論やフーリエ変換に関わる基礎数理のモチベーション・歴史的経緯 https://phasetr.com/blog/2020/07/12/mathematical-motivation-for-theory-of-real-numbers-and-fourier-analysis/
- 偏微分方程式まわりの物理の数理: グリーン関数に関わる数学の難しさ https://phasetr.com/blog/2020/07/12/math-for-physics-pde-green-function/
両方とも物理系の人との会話の記録です. 数学学習のモチベーション向上に役立つと思うので, こちらでも紹介しておきます. この辺も動画コンテンツにした方がいいのだろうとは思います. というか, 今本当にこれを書いているときに思ったのですが, 動画コンテンツ化すべきですね. TODO に積んでおきましょう.
で, 動画です. 力学の本をいろいろ読んで, 物理で出てくる計算訓練の体で数学の具体的な計算練習をするという形のコンテンツを作っています. もしあなたが物理を勉強したい, またはそのために数学を勉強しているなら, ぜひ眺めてみてください.
- リスト「力学」 https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN
多少は数学の人にも取り組みやすい形で書いているつもりです. 数学向け丁寧さが足りなければ足りないで, ぜひその旨教えてほしいです.
よく同人作家の人なり何なりが言っていますが, 読者コメントは本当に嬉しいです. もちろん批判的なコメントでも結構です. コメントをつけてもらえると制作意欲に繋がるので, ぜひコメントお願いします.
あとチャンネル登録やシェアもお願いします.
- チャンネル登録 https://www.youtube.com/channel/UCZ0p3rtw65Kw7BeR-hdndMw?sub_confirmation=1
コンテンツを作りたいという方もいらっしゃるので, 一応書いておくと, こういうのを地道に言い続けるのはとても大事です. 言うほど人は気にしていませんし, そもそもそれほど真剣に自分の活動を見てくれている人はいません. そういうものです. こういう「宣伝」が鬱陶しいと思う人はこちらに興味がなく, 勝手に離れていきます.
こちらが気にかけるべき人は, 自分に継続的に興味を持ってくれて応援してくれる人, ともに歩んでいこうと思ってくれる人です. 「こんなことをやっている」という主張は積極的にしていきましょう. 主張しなければ伝わりません.
言うだけではなかなか伝わらないので, 私自身がそれを実演している形です. 「確かにそんなに言うほど鬱陶しいとは思わないな」と思ったら, ぜひあなた自身でもやってみてください.
引き続き次なるコンテンツ制作のために勉強も続けています. 先日何度かメルマガにも書いたように, 70 歳を越えた方さえ, 新型コロナの解析で出てきた SIR モデルの数理を理解したいと言って, 微分方程式の勉強のために私のコンテンツを受講しているというメールを送ってくださいました. そういう謎の気概を持って地道にみんなでやっていきましょう.
ではまたメールします.
2020-07-05 力学の動画コンテンツ, 鋭意制作中/相転移プロダクション¶
最近, 無理やりにでもコンテンツ作成モードに切り替えようと奮闘しています. 実際, ほぼ毎日力学に関わる動画講義を作っています.
YouTube に日々アップしているので, ぜひチャンネル登録して確認してください.
- チャンネル登録 https://www.youtube.com/channel/UCZ0p3rtw65Kw7BeR-hdndMw?sub_confirmation=1
- 力学のリスト https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN
コンテンツ作成といえば, プログラミング+数学系については, 引き続きアルゴリズムとデータ構造まわりの勉強をしています. 他にも離散数学のようなところで参考になるいいコンテンツがないかも探索中です.
競プロまわりで素因数分解ネタがよく出ていますし, Project Euler もあるので, まずはその辺かとは思っています. 次のページだとか.
- https://qiita.com/drken/items/a14e9af0ca2d857dad23
他にも何かいいコンテンツ, もっと言えば方向性がないか探しています. もしあなたがいいネタをお持ちなら, ぜひ教えてください. できる限り中高生でも挑めるレベルの数学ネタだと嬉しいです. 非専門もはなはだしいので感覚が全くなく, どこから探索すればいいかも検討がついていません.
名前だけは知っている整数計画法も, ちょっと何かしようと思うと一気に難しくなるとかいうのを見かけるので, どうしたものかと思っています. 交付金もあるので, 数理モデル入門みたいな本を何冊か買い漁って読んでみようかとも思っています.
数論系の探索問題・研究課題みたいなのももっとあると思うのですが, これも非専門の壁に阻まれています.
前も書いた気がするのですが, アルゴリズムとデータ構造まわりだと, numpy, matplotlib, sympy のようなライブラリは必要なく, 書いたコードが腐りにくく, かつ根源的な意義は持ち続けるタイプのコンテンツになってくれるのではないかと思っています.
いままさに整備中のコンテンツでさえ, 既にライブラリまわりの微妙なバージョン問題が起きているので, この辺は死活問題なのです. ライブラリなしの徒手空拳で扱えて, しかもプログラミング技術向上と数学力向上に役立つコンテンツが作りたいのです.
こちらもそろそろ試作品を作りはじめようと思っています. がんばらなければ.
あと無料配布していたプログラミングコンテンツ, そろそろ再整備が終わりそうです. 有料化する予定なので, もしあなたが興味はあるがお金を出すほどのものなのかと思っているなら, いまのうちに手に入れておくといいでしょう.
- コンテンツ案内ページ https://phasetr.com/mthlp1/
自分でもコンテンツを作りたいという読者の方がいるので, やはり改めてこれもお伝えしておきます. 無料だと確かに多くの人に届きます. 無料なら見てみるか, そういう考えの人もいるからです.
一方で人は無料で得たモノを大事にしません. ダウンロードするだけして全然使っていない・読んでいない, そんな積読コンテンツをたくさん抱えている方も多いのではないでしょうか.
お金を払ってまで得たものだからこそ大事にする, 真剣に勉強するという話もあります. 有料化は相手を真剣にさせて勉強の効果・効率を挙げてもらうための 1 つの手段とも言えます. 最近これもどうなのか, という話はありますが, それでもまだ一定の効果・意味がある視点でしょう.
あと, これもやろうやろうと思ってできていませんが, 月額 200 円程度の「お布施」を募って, ミニファンクラブ的なことをする人も増えてきています. ゆるいコミュニティと言ってもいいでしょう.
これも前書いたと思いますが, 数学ガールで有名な結城浩さんが note のサークルを使って, 月 200 円で運営しているコミュニティもあります.
- https://mm.hyuki.net/circle
サポートの使い道も次のように書いています.
いただいたサポートは、本やコンピュータを買い、 さまざまなWebサービスに触れ、 結城が知見を深める費用として感謝しつつ使わせていただきます! アマゾンに書評を書いてくださるのも大きなサポートになりますので、 よろしくお願いします。
これ, 本当に大事です. 今回, 私も直接的に情報がほしいと書いていますが, 知見を深めるための費用があると本当に助かります. 私が有料のコンテンツを販売している分は, ほとんどメルマガなどの運営維持費に消えるか, 持ち出しです. これがなくなるだけでもかなり助かるのは実感としてあります.
他にも pixiv 絡みのコミュニティ運営サービスなどもありますし, そういう活動もぜひ参考にしてみてください.
今回はこんなところで. ではまたメールします.
2020-06-28 物理の計算動画作成をはじめました/相転移プロダクション¶
相変わらず競プロの勉強をしつつ, プログラミング系コンテンツの案を練りつつ, 関係する勉強を進めています.
タイトルにあるように, やるやる詐欺になっていた動画コンテンツの作成をはじめした. まだはじめて 1 週間も経っていませんが, 現状ほぼ毎日作っています.
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprZJU6Eacjer96rAhyc9KDPN
いまのところ, ネタとしては力学に出てくる計算を中心にしています. もともと現代数学探険隊の付録として計算問題を大量に作ろうという話があり, できる限り物理をネタに取ってこようとしていました. そのついでに物理コンテンツも整備しようとしていて, 何やかんやで方針が定まらずに右往左往していました.
今回, 計算ノートを整備するという体で, 物理の本を読むのに必要な数学を紹介しつつ数学を復習しながら, 計算の詳細を埋める形でコンテンツを作っています.
1-2 時間かけて計算ノートを書き, その結果が 30 分程度の動画になっている状態です. 私自身, 生活含めていろいろやるべきことがありますし, 動画の時間が長いと見るのが大変でもあるので, 計算ノート作成時間ももう少し短くしつつ, コンテンツの時間も短くして作成・視聴ともに楽になるように調整していきます.
これで必要な計算を確認しつつ, 現代数学探険隊の付録コンテンツも充実させていこうと思っています.
あとは実際に着実に続けていくのが大事なので, それをがんばっていこうと思います.
念のため, 最後に現代数学探険隊がどんなコンテンツなのか, 紹介ページを案内しておきます.
- https://phasetr.com/mtexpdf1/
毎度案内しているように, このページを読むだけでも数学・物理の勉強に役立つようにしています. もしあなたが勉強のヒントがほしいと思っているなら, ぜひ眺めてみてください.
ではまたメールします.
2020-06-21 数学・プログラミング系コンテンツ/相転移プロダクション¶
最近, 具体的なコンテンツとしてのアウトプットはありませんが, データ構造とアルゴリズムや競プロに関するプログラムをゴリゴリ書いていて, その成果物としてのプログラムは GitHub にアップしています.
- https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp
競プロが楽しいのはそれとして, 今の私のレベルで難しい問題に取り組みすぎていた問題があり, 他のことが完全に疎かになっていました. 私は熱くなるというか, 一度集中すると他のことが全くできなくなるタイプです. そのあたりの悪い癖が出ています.
競プロは問題を解くことでアウトプットしているのでまだましですが, 他の勉強内容のアウトプットが完全に止まっています. 何とか都合をつけて復活させるので, もうしばらくお待ちください.
アウトプットといえばインプット方面で, また新しく面白そうな本が出ました. 宣伝しておきます.
- 新井朝雄, 熱力学の数理, https://www.amazon.co.jp/dp/4535789185
最近いろぶつ先生の熱力学の本の査読といい, 熱力学づいています.
この本, 目次を見てどういうスタンスで何をやるのかと思っていたら, Lieb-Yngvason スタイルだと気にいらない点が多く, 自分なりに再構成したというタイプの公理論的熱力学だそうです. 清水明さんの本よろしく, エントロピーからはじまるようです.
まだ出たばかり, 買ったばかりなので, 読み終わったらレビューを書く予定です.
第 1 章で多様体の基礎や微分形式を論じています. 新井先生の本はとにかく馬鹿がつくほど丁寧です. その辺を復習したい人にもいいかもしれません.
物理系コンテンツへの仕込みがなかなか進んでいませんが, それでも今年に入ってから熱力学の本を 2 冊読んでいるので, 熱力学からやっていけという御託宣なのでしょう. この辺もやっていきます.
今回は短いですが, この辺で. ではまたメールします.
2020-06-14 競プロが厳しい/相転移プロダクション¶
本格的に勉強をはじめたばかりなので当然ではありますが, 競プロ, 全然できないです.
「探索」系の問題も多いのですが, 高校の頃, 順列・組み合わせで苦しんでいたことを嫌でも思い出します. 逆にそのリベンジと思えばいいのかと思い, のたうち回って勉強しています.
一応改めて宣伝しておくと, AtCoder では企業主催的なコンテストもあります.
- https://atcoder.jp/contests/tokiomarine2020
最先端のデジタル技術、IoT機器や人の行動から生まれた複雑なデータを有効に活用することで、 より安心・安全な社会を実現していくためには、 これまで以上に高度なアルゴリズム構築力やプログラミング力を持った人材がキーになると考えています。 本コンテスト参加者の皆さまが、こうした先端技術や複雑化したデータを駆使して、 安心・安全な社会の実現に向けた新たなビジネスを生み出している、 あるいは誰かのそうした挑戦を後押ししている。
この辺の背景があるので, それなりに中高生にとっては投資対象になるのではないと思っています. 順列・組み合わせ系, そして因数分解などの中高数学もよく出てくるので, その手の数学遊びにもいいはず.
さらに数学に重きを置いたプログラミング問題集みたいなのがほしい人もいるかもしれません. そういう人にはプロジェクトオイラーを勧めておきましょう.
- https://projecteuler.net/
本当にだいぶ前にちょっとやって, そのときはまだプログラミングの腕もしょぼかったので, 挫折したままです. いまやったらまたもう少し違うか, とも思っています.
これもこれで世界的に有名ですし, 数学特化型なので, AtCoder でもっとまともになったらこれも取り上げて何かしようと思っています.
AtCoder が全然できなくて, YouTube 動画作成などが滞りまくっています. この辺, 1 つ何かやりはじめると他が完全に疎かになる悪い癖が出ています. 他にもやるやる詐欺化していることがたくさんありますが, がんばって何とかしていきます.
AtCoder に集中していて他はほとんど何もしていないので, 今回はこんなところで.
ではまたメールします.
2020-06-07 プログラミングがつらく厳しい/相転移プロダクション¶
何はともあれ宣伝協力からはじめます.
- 新井朝雄, 熱力学の数理
- 発売予定日 2020年6月30日
- https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784535789180
紹介文は次のような感じ.
熱現象を数理物理学的に厳密な形でとらえ、熱力学の公理論を説く。 必要とする数学として、多様体の入門的な理論も解説する。
まず新井先生の紹介を簡単にしておきましょう. 私が (学生でないにも関わらず) いろいろとお世話になった先生です. 私は学部 3 年から新井先生の本と論文で育っていて, 新井-廣川論文で一般論が書かれていたのを具体例に適用した, というだけの修論を書いた程度には仕事にお世話になっています.
学生時代に読み込んだ本の誤植を新井先生に送り, それを覚えてもらっていたようで, 「とても助かりました」と言ってもらえた記憶もあります.
もちろん最低限の数学的体力は前提ですが, 馬鹿がつく程丁寧なので新井先生の本が読めなければ, 作用素論方面の量子系の数理物理はまず何もできないでしょう.
そんな新井先生の新作なので当然内容が気になるわけです. 専門も比較的近いし, 完全にオーバーラップもあるところなので Lieb-Yngvason 流に行くのかと思ったのですが, 多様体とか言っているので何だろうと.
ちなみに Lieb-Yngvason 流というのは次の記事で少し触れています.
- Lieb-Yngvason による The entropy concept for non-equilibrium states が arXiv に出たので読んでみた
- https://phasetr.com/blog/2013/05/21/lieb-yngvason-による-the-entropy-concept-for-non-equilibrium-states-が-arxiv-に出たので読んでみた/
熱力学ではよく形式的な微分形式が出てくるので, その辺の話をするのでしょうか. 相転移や臨界現象でいろいろ厳しい部分があるはずで, ちゃんとやろうとすると超関数を飛び越えてカレントが出てくるはず. 300 ページもないのに何をするのか心配になるほどです.
いい復習なので読みますが. これをネタにして数学者のための熱力学みたいな YouTube 講義動画も作ってみたい気もします. 動画作成が止まっているのでそろそろ新作を作らねば, というのもあります. もう少し待っていてください.
さて, プログラミングです. 先週も書いた通り, アルゴリズムとデータ構造の勉強をしています. 記録は次のリポジトリ.
- https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp
まだ 1 度本の写経をしたという程度で, 全く理解が進んでいません. C++ で書かれた本の内容を F# で書き直すのも手つかずですが, 少しずつ進めます.
アルゴリズムとデータ構造の勉強をしていて思うのですが, プログラミングという面では面倒な言語機能を使わなくてよく, 最低限の言語機能だけ覚えたあとは純粋に頭と技術の勝負なので, プログラム用コンテンツとしてはメンテが極小で済みそうなコンテンツです.
数値計算をやっていると高速化は最重要課題ですし, アルゴリズムとデータ構造はそこにモロに関係する話でもあります. もっと速くからきちんとやっておくべきだったと悔やまれてなりません. いまが 1 番若いわけで, これから取り返していきましょう.
アルゴリズムとデータ構造は就職前後に, 知人から「プログラミングするなら基礎教養だから」と言われて, 本当に簡単に勉強しただけで全く身についていないのを痛感しています. 特に競プロでは問題が少し難しくなっただけでもう手も足も出ません. 初学者の苦しみを味わい抜いています.
プログラミングが少しできる程度ではどうにもならない, 頭の使い方のレベルの話なので, 歯を食いしばってやるしかないのでしょう. 半年から 1 年鍛えればもう少しましになると思うので, 少しずつ競プロ界隈の人達とも交流して, これが実社会にどう活きるか/活きているかといったところにも突っ込んでいきたいと思っています.
先日リリースしたプログラミング系コンテンツのページにも書いたように, 最終的には理工系中高生に対して社会で生き抜くための力も身につく教育をしたいと考えていて, 実際にアルゴリズムを組み上げられる力は大事だと思っています. 予備知識としては数学や物理よりは比較的少ないようにも思いますし, プログラミングを鍛えてから数学や物理に入る方法もあります.
そのためには私自身がもっと強くならないといけません. 最低限アルゴリズマーと同じ世界観を共有できないと, 話が通じないですし, 信頼もしてもらえないので.
というわけでやっていきましょう.
ではまたメールします.
2020-05-30 詰将棋から始める ε-δ 論法/相転移プロダクション¶
最近 F# のお勉強が楽しくて数学・物理系コンテンツの作成はさぼり気味です. やはり間が空いてしまうと再開させるのも大変なので, 面倒でも毎日きちんと続けて習慣化しないと厳しいものがあります.
それはそうと F# が楽しいわけです. Haskell をはじめて見たとき, 「こういうふうにプログラムが書きたかった」という感じのプログラミングスタイルで なかなか感銘を受けたのですが, Haskell は純粋性なり後方互換性ぶっちぎりだったり, 過激すぎるところ, F# はいい感じのバランスです.
ここで詳しく話すようなことでもないので省略しますが, Haskell と OCaml はエコシステムが Linux/Unix 系を前提にしているような部分があり, Windows で使いにくく, なかなかつらかったのですが, Microsoft の全面的な支援がある F# は当然 Windows でも楽に動かせるので快適です.
割と最近まで「.NET 系だから Windows でしか使えない」と思っていたのですが, かなり前から Mac, Linux でも使えるようになっているとのことで, びっくりしました. 最近 Microsoft は OSS 界隈にも強く貢献していますし, .NET 系だからエンタープライズ用途に使えないこともない言語です.
ここしばらくメルマガでも書いていたように新たな言語学習に関して迷走していたのですが, 成熟したエコシステムという面でもよさそうで, しばらく F# をやっていこうと思っています.
F# の概要については次の記事がお勧めです.
- https://qiita.com/cannorin/items/59d79cc9a3b64c761cd4
F# に恐ろしく強い人が書いた記事で, 参考になります. 最後に参照されている F# for fun and profit と Wikibooks/F# Programming のうち, 特に前者を少しずつ読み進めています. 前者はブログなのですが, PDF でも提供されていて, それが 1930 ページあるとかいう凄まじい量です. のんびり読んでいます.
後者は簡単な言語リファレンスという風情で, ざっと眺めるにはいいです. F# にはまともな本が見当たらないので, その意味でもちょうどよいように思います.
いい機会なのでデータ構造やアルゴリズムも再勉強しようと思っていて, 関数型用のコードを GitHub に上げています.
- https://github.com/phasetr/AlgorithmsAndDataStructureByFSharp
本などを含め Haskell のコードから引き写したりしていて, F# としてはこなれていない部分もあるかもしれません. もし詳しい方がいらっしゃればぜひ教えてください.
ついでに AtCoder もはじめてみました. 最近コンテンツもリリースしてそこでも明白に掲げているように, 中高生向け教育に本格的に乗り出したいと思っています. プログラミングコンテンツも作りたいので, その参考でもあります.
また, アルゴリズムやデータ構造については日々更新の激しいライブラリを使ってどうこう, ということもなく, コンテンツのメンテナンスも比較的楽そう, そしてプログラミング技術向上も兼ねた意義も高いので, 改めてかっちりやる意義を感じているところです.
AtCoderJobs のように技術向上が仕事に直結する話でもあり, 鍛えた技術が社会で活きる様子も多少は想像しやすいだろうとも思っています.
話は打って変わって, 大分前にリリースしたコンテンツ, 数学駆け込み寺に来たアンケートの回答をちょっと紹介したいと思います.
内容の前にアンケート回答をくれた方がすごいのでその話をします. 実際にときどきいらっしゃるのですが, 何と 73 歳の方です. いろいろあって, 昔から挫折しっぱなしだった微分方程式に挑みたい, というので登録されたとか.
私は病気があるので, そもそも 73 まで生きられるか事案もありますが, 73 まで生きて, それでもなお「昔から挫折しっぱなしの数学を何とかして理解したい」 みたいな執念を燃やし続け, 実際に挑戦を続けるなんてできるだろうかと思わされます.
具体的にどんなコメントが来たかというと, 導関数の言葉の意味です. 導関数は英語だと derived function で英語でも「導かれた」という意味です. 「微分によって導かれたから導関数というのだ」と説明を書いただけなのですが, 「忘れていたり読み飛ばしていただけかもしれないが, ようやく名前の気分が掴めた」というアンケート回答を頂きました.
量子力学の波動関数など, 数学や物理では概念の名が体を表していないことも多いので, 名前にこだわり過ぎるのもよくないのですが, こういう話もきちんと書いた方がいいのだと改めて思った次第です.
ちなみに線型代数での言葉遣いに関して, 最近次のような動画も作りました. ぜひ見てみてください.
- 言葉のはなし: 写像・関数・汎関数・作用素・演算子/応用ヒルベルト空間論 よくわからない数学
- https://www.youtube.com/watch?v=txMpRdtkFzg&list=PLSBzltjFoprYIRkgAQqBYitUOBWcEKKeV&index=3&t=0s
最近このコンテンツ作成が滞りがちなので, がんばります. 期待されていると思うとやる気が出るので, ぜひ YouTube のチャンネル登録もお願いします.
最後になってしまいましたが, 表題の「詰将棋から始める ε-δ 論法」は木原さんの YouTube 動画です.
- ツイート https://twitter.com/tri_iro/status/1265198348098654212
- YouTube https://www.youtube.com/watch?v=2Laco2L_Zqw
Twitter の bio にあるように, 数理論理や計算可能性などのプロなので, その辺のプロの感覚が活きた解説です. 最後にゲーム理論の紹介などもあります. 動画としてもかなりよく出来ていると思うので, ぜひ見てみてください.
ではまたメールします.
2020-05-24 楽しさ推しで数学の話をしない/相転移プロダクション¶
最近, ろくにアニメや漫画を見ていません. ゲームはなおさらです. 昔はあんなに好きだったのに.
そんな中 Twitter を見ていたら, いまハンターハンターのキメラアントが無料で公開されているようで.
- https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028736763
キメラアントは途中で止まっていたので, いい機会だと思ってちょっと眺めてみました.
キメラアント編, 全編にわたって異様な緊張感に満ちていて, 何なのだろうとはじめて読んだときからずっと不思議でした. 世間的な評判も非常によいようですし, 何か人の心に強く訴えかける要素があるのでしょう.
いろいろと胸を打つシーンがあるわけです. とりあえず 1 つ挙げておきます.
- https://shonenjumpplus.com/episode/13932016480028738935
この話には「かわりに祈る時間が増えた」という, よくネタで出てくるシーンがあります.
武道家を理想化しつつカリカチュアした姿として, ひたすらな正拳突きやらある種の宗教性を帯びさせるのまではある意味誰でも思いつきます.
すごいのは感謝の一日 1 万回の正拳突き, 練習の果てに 1 万回の正拳突きにかかる時間が一日一時間を切る, そして最後に祈る時間が増えたみたいな形にもっていく構成です. 馬鹿でも思いつくようなことを徹底させ, ここまで昇華させるのが本当に凄まじく, 冨樫義博は少年漫画の書き手として本当に天才なのでしょう.
ネタとしてよく引用されるようなキャッチーさ, 本編の流れの中でのインパクト, どれをとっても尋常な仕事ではありません.
あとネテロの「祈りは心の所作」というのも本当に好きで, まさに私にとっての数学という趣があります.
何にせよ, 久し振りに漫画に触れて, とても楽しい時間でした.
これで思うのは, 数学なり物理なり何なりで, 楽しさを謳うタイプの言説です. これ, 本当に筋が悪いと思っています.
エンタメのプロがそれに特化して死力を尽くして作った作品が世の中にたくさんあるわけです. 数学や物理がこれと楽しさで勝負してどうにかできると思うのは, よく言えば破綻していますし, 傲慢とさえ思います. そこを勝負所にしてしまってはどうにもならないでしょう.
ちなみに私の現行の行動指針は, 既に「目覚めてしまった」ものの, なかなか勉強のよすがに辿り着けない人への橋渡しをすることです. 各種無料コンテンツが概要を説明する方向に振り切っているのもそれが理由です. あと, なるべくふつうのコンテンツで見かけない話をしようとしています.
「楽しい」系は成功しているかはともかく, それを狙っていろいろやっている人は多いので, 別の線を意図的に狙ってやっています.
最近は役に立つ, 特にお金になる・それで食べていける方向性をはっきり示す線もやっています. 先日リリースしたコンテンツはその 1 つです.
- https://phasetr.com/mthlp1/
生きていれば数学はできると信じて, とにかく「泥水」をすすってでも生きていこう, そういう感じが出せないかと思っています.
実はこの間, 73 歳の方から, 最近の新型コロナで時々言及される SIR モデルを勉強しようと思い, 微分方程式を勉強しようという中で私の無料講座に辿り着いたというご連絡を頂きました.
いろいろあって若い頃にきちんと勉強できず, これまでの人生でも何度か挑戦してきたが歯が立たず, それでもまだなお挑戦し続けるというのが本当に凄まじいの一言です.
私は中学 3 年で白血病になりました. 同じく新型コロナで「喫煙習慣があった人は, 既に肺がダメージを負っているから肺炎のリスクは極めて高い」という話があったように, 私も闘病で既に身体に大きなダメージがあると言われています.
そもそも 73 歳まで生きられるかという問題はありますが, 仮に生きられたとして, 若い頃からの執念を燃やし続けられるのか, 新たなことに挑戦する気概を持ち続けられるのか, そういうことを思います.
ところで, さっきの話で「泥水」のような言い方をすると工学の人に失礼な気しかしないので, 何かいい言い方を考えています. もしあなたにいい案があれば, ぜひ教えてください.
ではまたメールします.
2020-05-09 なかなか行動できないときに/相転移プロダクション¶
先週メルマガを書くのをすっかり忘れていました. GW 中ほとんど進捗がなく, あまり書けることもありません. むしろ進捗がないこと, そしてその理由自体があなたの参考になるかと思い, それを書くことにします.
進捗が少ない理由の 1 つは先日リリースしたコンテンツ, 「プログラミングで数学を」の Google Colaboratory 対応の中で sympy の調整がうまくいかなかったことがあります.
- プログラミングで数学を https://phasetr.com/mthlp1/
先々週きちんと動いたコードがうまく動いてくれず, 公式情報もどこにあるかよくわからない状況で怒り狂っていました. これだからはプログラミングは, という気分になるのですがだからこそ自分が作らねばという事案なので, さめざめと泣きながらがんばります.
ただ, これは進捗が生めなかったメインではありません. 主力は次の 2 点です.
- 数値計算する言語を Julia に切り替えたこと
- YouTube 講義への展開
どちらも共通点は「新しいことをやろうとしている」です. 人間, やり慣れていないことをやるのは精神的な負荷が非常に高いです. あなたも, GW 中何かこれまでさぼっていたことをやろうとして, 結局やれなかったみたいなことがなかったでしょうか? それはまさに「新しく何かすることへの精神的な負荷」の問題でしょう.
まず Julia. これは新しい言語で最低限の勉強が必要になってしまい, アウトプットの習慣が一時的にでも途切れてしまったのが 1 つの原因です.
その上, エディタの設定やら何やらの環境構築がうまくいかず, それで嫌になってしまったというのもあります.
ちなみに環境構築については, ふだん使いのエディタである Emacs での Julia プラグインの話です. Linux ならご機嫌なのに Windows だと M-x term がうまく動かない問題で破滅する話のようです.
この 2 点, 特に後者のせいで 新たに数値計算コードを書く動きどころか, Julia の勉強さえ完全に止まってしまいました.
習慣が途切れてしまうと復活させるのが本当に大変で, たったの数日途切れただけで破滅しました. 仕方ないので, まずは気楽な Julia の勉強から習慣を復活させます.
あと Julia と数値計算関係に関して, 黒木さんから次のいろいろなコメントをもらっています.
- https://twitter.com/genkuroki/status/1255635824210665472
そのうちブログにもきちんとまとめますが, あなたの参考にもなるでしょうから先にシェアしておきます.
次は YouTube 講義です. Twitter アンケートでとりあえずやることは決めましたし, 実際問題としてネタも十分にあり, 動画の作り方なども何 1 つ迷う要素がありません.
- Twitter アンケート https://twitter.com/phasetrbot/status/1256228038636908547
さらに言えば Google Colaboratory 用調整のための毎週 2 時間の zoom 勉強会などもっとハードなことはできているのに, もっとちょろいはずのことができていません. ちなみに YouTube 講義動画は, 事前に 15 分程度の動画になる内容のメモを準備しておいて, それを LyX で文字/式を書き, 動画による画面キャプチャで作る想定です.
これまで勉強会をしてきて 15 分でやりきれる内容がどのくらいかもわかっています. しゃべらなくてもいいので, それが必要不可欠な勉強会よりもハードルが低いはずなのに, いまひとつ食指が伸びないというか, 精神的なハードルを感じるのです.
これについては, 他人を巻き込んでしまっていて強制力がある勉強会と違って, コンテンツ制作は自分だけで閉じていて強制力は自分の精神力しかない違いがあります.
他人を巻き込んで無理やり回すことの意義は理屈でわかっていますし, 実際にオンライン勉強会を 2 つやっていて実践面でもわかっていたはずなのに, 改めてこんな形で強制力をどう作るか問題に直面しています.
メルマガ読者の多くの人にとって, 私はかなりアグレッシブにいろいろなこと/新たなことに挑戦し, 行動する/できるように見えていると思います. それでもこの体たらくです.
1 人で何かしようとしてもなかなか進みません. どうにかして他人を巻き込んで何かするようにしましょう.
人を巻き込むというのは次のくらいのゆるいやつでも全く問題ありません.
- Rustオンラインもくもく会 https://rust-online.connpass.com/event/174601/
次のような感じの「オンライン勉強会」です.
毎週土曜日の午後に時間を決めて各自が独自にRust関係の作業をする会です 最初と最後にslack上で報告をします rust-jpのslackに参加しておいて下さい rust_mokumoku channelで行います 途中参加・途中抜け自由です。主催者はたまに寝落ちします
私がこれに参加しているわけではありませんが, こんな程度でも本当にだいぶ違います. 移動時間などを考えてもなお 1 番ベストなのは, やはりリアルに集まることです. もちろん現状, 社会的にリアルでこんなことができるわけでもないので, オンラインで何かする次善の策を取るしかありません.
もしあなたが GW に何かしようと思っていてうまく始動できずに GW を終えてしまったなら, 必ず参考になるはずです. どうすれば他人を巻き込めるか考えてみてください. メルマガ読者用の「もくもく会」があってもいいのかな, とも思っています.
ではまたメールします.
2020-04-26 Julia をはじめました/相転移プロダクション¶
最近プログラミング関係のことばかりで, ふつうの数学や物理系の話が何も進められていません. 広い意味で仕事に関わるというのもありますが, プログラミング関係はやっているとあっという間に時間が溶けること, 半端な状態だと気持ち悪くてやめられないことが重なっています.
無駄なことをしているわけではないとはいえ, やろうと思っていること, 並行して進めたいことができていないのは精神的によろしくない面があり, そろそろどうにかします.
ちなみに最近よくある YouTube での動画講義コンテンツを作ろうと思っているのですが, 吃音があって, 実際に YouTube のコメントでも 「喋り方が気持ち悪い. 障害者か?」みたいなコメントがついたりしたこともあります. 実際問題として聞きづらいことはコンテンツとして見たときに どうしようもなく欠点ですし, 作成に二の足を踏んでいるのはその辺の精神的な負荷がないわけでもありません. それなりに対策もあるので地道にがんばります.
で, プログラミングの話. まず, 最近コンテンツをリリースしたわけですが, これに関しては近い知人相手にオンラインの勉強会をやっています.
- https://phasetr.com/mthlp1/
もちろんちゃんと作ったコンテンツですが, 勉強会用コンテンツ/講義用コンテンツとして使ってみると, いろいろ気になるところは出てきています. これ自体をコンテンツとして見るのと講義用コンテンツにするのとで やるべきことは違うのでどこまでどうするかは考えどころですが, 修正するべきは少しずつ修正していこうと思っています.
1 番修正したいのは Google Colaboratory 対応です. 当初全く想定していなかった分, 特に sympy 利用に関わる部分で明らかな不備があることはわかっているので, その辺を改めてチェックして Colaboratory 対応を進めるのも勉強会の目的です.
Colaboratory 対応を進めないといけない強い理由があります. 最終的に中高生向けコンテンツにしたいからです. 実際にコンテンツをリリースしてから質問でもあったのですが, ローカルに環境を構築するのはやはり大変です.
数学・物理への学習意欲があっても, パソコンに詳しくない中高生には大変でしょうし, 周囲の大人のカバーが得られるとも限りません. かといって環境構築手順を説明するのも大変なので, 私としてもサボりたい部分です. コンテンツのメンテナンスもできる限りなくしたいので, そう思うと環境は Colaboratory 固定にしたいのです.
これも質問をもらってようやく気付いたのですが, 世間的にはまだ 32bit os が現役で動いているはずなのです. そして Anaconda の Windows インストーラーを見ると, 最新の 2020-02 版にさえ 32bit os 版があります. 32bit os については対応しないと言い切るのも一手です. しかしそれだけで済むような話ではありません.
もちろん Colaboratory がいつまで続くかという話もありますが, その辺のデメリットは引き受けざるを得ないでしょう.
という感じで Colaboratory 対応を少しずつ進めています.
実際にリリースするまとまったコンテンツとは別に, 自分の勉強も兼ねた散発的なシミュレーションコンテンツの勉強をしています. こちらが Julia です. しばらく Rust・gnuplot・ffmpeg で作っていました. ffmpeg はいいのですが, gnuplot の部分がかなり厳しくなってきました. 歴史があるので情報はそれなりにありますが, いまの私では探しあてるのが非常に面倒です. うまく情報が取れず, 情報が取れてもうまく調整できなかったりするので, 可視化部分は Python を使ったりもしています.
ただ 1 つ簡単なシミュレーションをするだけでもいちいち 2 つの言語にまたがった処理を書く必要があり, 本当に面倒です. 1 つにまとめたいものの, Python は遅くていらいらするし, Rust だといい感じの可視化ライブラリが見つからず, 数値計算それ自体のライブラリもまだまだ整備途上です. Go で Gosl という科学技術計算系のライブラリ群はありますし, F# でも機械学習・科学技術計算系のライブラリ群はあります. ただ, 情報が少ないという欠点があります.
自分だけの勉強用ならまだいいのですが, 最終的に勉強した成果をコンテンツにしたいわけです. 私が作ったコンテンツで勉強したあと, もっといろいろ勉強してみようと思った人が 勉強するのに厳しい言語・ライブラリを使うのはどうなのか, という話があって, この辺は選びづらい状況があります.
そこで Julia に目をつけました. 標語として「Python のように書け C のように速度が出る」という話もあります. 最近流行りで人口も増えています. 情報もポツポツ出はじめ, 何より私の周囲にもやっている人が多くなってきた感じがあります. 何かあったときに私自身も相談しやすいので, 言語選びは 2 ヶ月くらい迷走していますが, 一応しばらく Julia で遊んでみようと思います.
勉強の成果は次の YouTube のリスト, そしてそこの概要欄, GitHub に載せていくので, ぜひチェックしてみてください.
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
2 次元だと一般論として強い制約がついてしまう事情はありますが, 3 次元の力学系になるとかなり一般的に嫌な (面白い) 現象も出てきます. ベクトル場と積分曲線という多様体論で基本的な概念を視覚的に掴むヒントにもなりますし, 数値計算にもいろいろないいところがあります. 何より, きちんと突き詰めればこれで飯も食えるわけで, 中高生向けの教育コンテンツにうまく組み込むことを意識しながら進めていこうと思っています.
ではまたメールします.
2020-04-19 『数学原論』が来た!!/相転移プロダクション¶
先にアナウンスからはじめます.
ようやくずっといっていたコンテンツをリリースしました. 登録ページはまだまだ作り込みが足りないとは思っているのですが, このままではいつまで経っても終わらないので公開に踏み切りました.
- https://phasetr.com/mthlp1/
いつも通り登録ページを眺めるだけでも勉強・参考になるようにしています. 特にもしあなたが自分自身でコンテンツを作っていきたいと思っているなら, ぜひ参考にしてください. 私自身, 勉強していて困ったこと, 具体的なニーズをまとめています. こういう具体的なニーズを拾っていくことが大事です.
ずっと有料と言っていましたが, 昨今の事情を見て無料公開することにしました. いつもそうですが, 無料公開だからといって手を抜いているわけではありません.
ただ, よくも悪くも無料公開の形にしたので, ここからさらに反応を見てブラッシュアップしていこうと思います.
また, 変な話ですが, 私自身のサイトや私または他の方の GitHub 含め, 既にどこかにコードまたはその断片があるコンテンツでもあります. ポイントなのはこの「断片」というやつで, どこか 1 コンテンツにまとめておいてあると嬉しいのに, という話があり, それを実行したのがこのコンテンツです.
的確にまとめ上げることもそれ自体極めて重要かつ大変なタスクです. コンテンツを作るときはこういう視点も持つといいでしょう.
あと, このコンテンツをネタにして, 少数の知人相手にオンラインの勉強会をすることにし, ちょうど今日第 1 回を開きました.
概要は次のページにまとめています.
- https://phasetr.com/blog/2020/04/16/online-study-group-python-math-physics/
せっかく無料公開にしたので, ぜひ上のコンテンツをもとにオンライン勉強会をやってみてください. 本当に中高生に使ってもらうコンテンツとしてどんどん改良していきたいので, 勉強された方はぜひコメントをください. 「確かにそれはいかん」と泣きながら修正・改善します.
さて, タイトルの『数学原論』の話をしましょう. 結論から言うと 4/13 に出た次の本です.
- https://www.amazon.co.jp/gp/product/4130639048/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4130639048&linkCode=as2&tag=phasetr-22&linkId=32530fddf854b22bd92f58281182d2dc
この本, 圏・層を軸に代数・幾何・解析, 特に代数・幾何をやろうという本で, 私が代数・幾何系のコンテンツとして思い描いていた内容が詰まっている本です. まだ全く読めていないのですが, パラパラ眺めるだけでも楽しいです.
誰でもサクサク読めるような本ではありえません. ただ, 数学のある程度大きな姿を掴むこと, いろいろな分野の結びつきを見るには適した本であることは間違いないでしょう. もしあなたが数学に興味があるなら本棚に置いておいて損はありません.
読み込んで状況を掴んだら, この知識を前提にしつつ, ここには載っていない方面の微分幾何系コンテンツが作りたいです. そのときはプログラミングも絡めて何かしたいと思っています. 微分方程式・力学系・微分幾何は相互に重なりがある分野ですし, 前二者は目下数値計算をゴリゴリやっているところです. うまい落とし所を探りつつ勉強している最中です.
何にせよ, ずっと懸案だったコンテンツがリリースできたので, これからは YouTube 講義を中心にミニコンテンツをバリバリ作っていこうと思います. 作り込みがまだ甘いとはいえ, やはりかなりすっきりしました.
ブルドーザーのようにいろいろやっていくので, 私のやり方の悪いところは真似をせず, いいところはどんどん取り入れる形であなたもコンテンツを作り, 世に問うてみてください.
ではまたメールします.
2020-04-12 力学系をやろう/相転移プロダクション¶
楽しくないからといって中高数学+プログラミングコンテンツの 紹介ページ作成をサボりまくっています. いつまでも負債として精神的な重荷になっていくので, さっさと対応した方がよく, やらないから余計に紹介ページ作成への精神負荷が高まるという悪循環です. ここまでわかっていてなおやらないというのが人間, という趣があります.
一応書いておくと, 数値計算に関するコンテンツを作っているわけで, その知見を貯めつつ情報も出していくのは大事で, プロモーションの一環と言えなくもありません.
言い訳はこのくらいにして, 今週の活動記録をシェアします. あと最近いろいろなところで有料コンテンツの無料公開の流れがあるので, 上のコンテンツは当初の想定とは変えて当面無料公開する予定です. 興味はあるがお金の問題が, という人, 特に中高生の人はもうしばらく待っていてください.
相変わらずずっと数値計算をやっています. 大まかにいって今週は次のような方針です.
- 格子ボルツマン法
- ジェネラティブアートの挫折
- (2 次元) 力学系
まだ勉強中なので何もわかっていないのですが, ふつうのちょっと凝った数値計算だとメッシュを切る必要があり, メッシュを切るだけならともかく, そのパースや出力/可視化があまりに面倒です. 特に適当なコンテンツ化まで考えると, 手軽にプログラムを読み書きしたいのです. 一方, 格子ボルツマン法や粒子法はそのメッシュ生成の手間がある程度減るという話を見かけたので, とりあえず勉強しようという感じです.
流体は見ていて楽しい現象がたくさんあり, 流体系の計算ができるこれらの方法に興味を持っている状況です.
次の動画はネットにあった Python のサンプルコードを実際に実行した結果です.
- https://www.youtube.com/watch?v=1mSGfU9hKvc&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=107&t=0s
動くサンプルコードを見つけたので, これを Rust 移植してプログラミングの感覚を掴んでいく作戦です.
数値計算はプログラムのバグなのか, そもそもの数学的な設定がおかしいのか, 離散化などの理論麺の問題なのか区別しづらく, きちんと動くサンプルコードを前提にそれを移植したり, 書き直したりする方向で進めるのがいいと思っています. 馬鹿みたいに雑にコードを書いては GitHub に挙げつつ, YouTube に動画を上げている理由がこれです. 他の人の勉強の参考にもなるし, おかしかったりしょっぱいプログラムについては指摘が受けられるだろうと.
最初に書いたコンテンツの続きとして何を意図していて, どんなことができるかを具体的に見せる目的もあり, いろいろな動画を事前に作っている面もあります.
格子ボルツマン法もそうですが, まだ粒子法についてまともなサンプルを探せていません. 可視化まで含めて何かいいサンプルコードをご存知の方はぜひ教えてください. C/C++ や Fortran でもがんばって読みます.
-
さて, 次はジェネラティブアートです. 次の本を眺めました.
- https://www.amazon.co.jp/dp/4297104636
Rust の勉強もしたいので, これを Rust で書き直そうかと思ったのですが挫折しました. Python (matplotlib?) や JavaScript の canvas を使えばやりやすそうな気もしましたが, 面倒なのとあまり食指が動かず, いまは放置としました.
次のページを見ると, やはりこの分野では Processing がいい出来のようです.
- http://octahedron.hatenablog.jp/entry/2017/12/07/211252
上で紹介した本はプログラムもきちんと載っていますし, 必要な範囲の中高数学の復習もあったりするので, もしあなたが興味あるなら買って読んでみるといいでしょう.
ところで, 本の中でシェルピンスキーガスケットが出てきました. 有名なマンデルブロー集合もありますし, フラクタルやら力学系の話にすれば目で見て楽しく, かつ微分方程式論だと思い, その方向を模索すべく (2 次元) 力学系で検索して見つけたのが, 例えば次のページです.
- https://qiita.com/akoamay/items/50ecc312cd84596203c1
いままさにこれを Rust で実装しています. YouTube に動画であげてあります.
- https://www.youtube.com/watch?v=4-35rRRQS8I&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU&index=108&t=0s
これ, 実装が非常に簡単な割に見て楽しいので, 常微分方程式系/力学系はもっとやってみたいと思っています. 常微分方程式ならサンプルコードがなくても実装が楽なので, もしあなたが面白い方程式がたくさん載っている本をご存知なら, ぜひ教えてください.
ここまで書いて思いましたが, Twitter で近そうな幾何の人にも実際に聞いてみることにします. いままさに聞いた結果がこれです.
- https://twitter.com/phasetrbot/status/1249312176331829250
もしあなたがこの辺に興味があるならぜひ読んでみましょう. 私もこれから眺めますが, いまの私の力では面白さを感じられずにスルーしてしまう可能性もあるので, 「この辺が面白かった」というのがあればぜひ教えてください.
引き続き数学・物理・プログラミングでやっていくので, 何か面白い情報があれば教えてください. そして紹介するので, コンテンツを作ってください.
やはり何かを作っているとそのシェアという形で情報発信しやすいですね. 当たり前ではありますが, 改めて発見しました.
ではまたメールします. 数学と向き合っていきましょう.
2020-04-05 言語選択の難しさ/相転移プロダクション¶
仕事の関係もあるものの, 最近本当に 1 日中数値計算をしています. いま本当にフルリモートでスペックがそこそこいい Linux ノート PC がずっと手元にあるので, 仕事が終わったあとも引き続きで数値計算プログラムを書いている状態です. いいのか悪いのかわかりませんが, 完全に趣味と仕事が一体化した状態で驚くほど楽しいです.
全部きちんと記事にしているわけではありませんが, 少しは具体的な情報を出した方がよかろうと思い, 節目で次のような簡単なまとめ記事も書いています.
- https://phasetr.com/blog/2020/03/31/rust-gnuplot-ffmpeg-1dim-wave-eq/
- https://phasetr.com/blog/2020/04/03/rust-gnuplot-ffmpeg-2dim-wave-eq/
Rust は速くていいですね. よくある差分法の簡単な数値計算コードが for で直移植できて, しかも工夫しなくても速いはずなので本当に便利です.
適当な頻度で GitHub にコードを挙げているので, もしあなたに興味があるなら, 是非眺めてみてください.
- GitHub https://github.com/phasetr/mathcodes
たまにサボりますが, 動画はもっと頻繁に上げています.
- YouTube のリスト https://www.youtube.com/watch?v=Ckp-WeNICTo&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
今年の目標はバリバリコンテンツを作っていくことで, この程度であっても作り続けるのは大事なことだと思ってやっています.
年始からずっと言っている有料コンテンツですが, 偏微分方程式パートが重過ぎると思い, もっと軽めのコンテンツに書き換えました. そもそも中高数学復習系のコンテンツであり, そんなに重くしてどうするという部分はあったので.
ただ, 四則演算をやりきれればここまでできるというのは示したかったので, 1 次元の移流方程式・波動方程式・拡散方程式・ラプラス方程式, そして 2 次元の波動方程式を紹介するのに留めました.
動画はやはり YouTube で公開しています. 必ずしもプログラムを動かせる状態で勉強するわけでもないでしょうから, そういう状態でも動画を見て楽しめるようにする意味もあります.
- YouTube のリスト https://www.youtube.com/watch?v=IXKZAR0IcZY&list=PLSBzltjFoprZAz2zWQeXBBBDUHY-K7552
そして Python でやっていて, きつい部分がありました. 次の 2 次元の波動方程式です.
- https://www.youtube.com/watch?v=MqjWCUIOl4A&list=PLSBzltjFoprZAz2zWQeXBBBDUHY-K7552&index=6&t=0s
これ, numpy で書いて matplotlib で動画にもしているのですが, 10×10 の格子で 300 ループしかしていないのに, 信じられないくらい重かったです. 何度も回す気も失せたのできちんと時間をはかっていないのですが, そんなに時間がかかるの? とうんざりするレベルです. Julia 投入, 割と真剣に検討するべきかもしれません. 最近本も出たのでそういうタイミングなのかとも思ってしまいます.
ただ, 仕事にも関わる Rust・Haskell と並行して新しい言語を勉強しつつ, 数値計算自体の勉強をしつつ, 数学・物理・プログラミングにコンテンツを作るのも大変なので, どうしたものかという感じ. コンテンツの Julia 版作ってくれる人いないかと探したいレベルです.
ちなみに Julia は最近数学者・物理学者もよく使っているようで, 黒木玄さんは Twitter でよく Julia による数学・統計学コンテンツを放流しています. その辺の資源も使えるようになるので, いま Julia はかなりいい選択肢だと思います.
もちろん将来のことはわかりませんが, 何か 1 つの言語に慣れておけば他の言語を勉強するときも圧倒的に楽になるので, 遊び倒しやすいネタ・言語から入るのは本当にお勧めです.
スケジュールは遅れに遅れていますが, 新たなコンテンツのリリースと, もっとバリエーション豊かなミニコンテンツ群を作る方針は変わっていません. もうしばらくお待ちください.
今回はこのあたりで. ではまたメールします.
2020-03-29 数値計算が楽しい/相転移プロダクション¶
最近, 本業も忙しいと言えば忙しいのですが, それ以上に数値計算が楽しくてコンテンツリリース用の作業をサボりまくっています. note のサークルの準備なども止めてしまっていて申し訳ないのですが, 何にせよ, 中高数学と物理に向けた動きにとっては必要なことでもあります. 気長に待っていてください.
まず, 今度リリースするコンテンツは Python で作っていますし, コンテンツとしてはメインの言語は Python にする予定ではいます. しかし, 大した計算をしていないにも関わらず, Python は既に遅くてイライラしています. 耐え切れないので, いま勉強も兼ねて Rust・Gnuplot・ffmpeg でコーディング・可視化をやっています.
- https://phasetr.com/blog/2020/03/28/pyhton-vs-rust-gnuplot-ffmpeg-1dcfd-burgers-equation/
上記記事にもあるように, GitHub にコードを上げていますし, YouTube にも動画を上げています. GitHub はともかく, YouTube のチャンネルはぜひ登録して眺めてみてください. 今度公開するコンテンツについても, それで作れる動画については YouTube に公開しています. どんなことをするのか興味があれば, そちらも眺めてみてください. 特に次のリストにまとめています.
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
チャンネル登録は次のリンクからどうぞ.
- https://www.youtube.com/channel/UCZ0p3rtw65Kw7BeR-hdndMw?sub_confirmation=1
OpenFOAM による計算でもない限り, 必ずしも見ていて楽しい動画だとは思いませんが, 写経しただけのコードとはいえ, 書いたコードが動くと作っている分には楽しいです.
いくつか買ってみた本を読んだあと, 工学的なゴリゴリの数値シミュレーション以外に, ゲーム系の物理 CG にも手を出してみたいのですが, どうしたものかと思っています. ちょっと調べると Autodesk の Maya がデファクトスタンダードのようですが, 高くてつらいです. 中高生ならかえって教育機関・学生向けプログラムが使えるのかもしれませんが, 私が使えません. 積んだままの Processing の本も改めて読んでみようとは思います.
CG アート系の人達が何をどうしているかも知りたいところですが, その界隈に知り合いがいないし, 何だかんだリアルの交流の方が濃密になっていい一方, いまの状況でそれはない, というのもあり, いろいろ考えています.
最近, 社会の状況に合わせて, 自学自習とそのためのコンテンツ整備・提供が進んでいます. Twitter で相互フォローで, 何度かやりとりしたこともある物理学者による, 物理系のコンテンツも紹介しておきます.
- https://twitter.com/cometscome_phys/status/1243868619034873856?s=21
- とりあえず「物性実験家のための無料でできる第一原理計算入門」の雛形を作った。
- https://github.com/cometscome/DFT
まだできたばかりで整備中のようですが, 興味があれば眺めてみてはどうでしょうか. 最近数値計算界隈ではやりの Julia で作っているようです.
Julia と言えば, 本が出るようです.
- https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339029055/
この間地雷を踏んだばかりのコロナ社なので非常に不安なのですが, 興味はあります. いまはいろいろな都合から Rust・Gnuplot・ffmpeg で攻めていこうとは思いますが, もしあなたが Python に食指が伸びないなら, Julia はいいかもしれません.
とりあえず, 今は買った本を中心に, いままで勉強したことがない有限体積法・格子ボルツマン法・粒子法をやろうと思っています. 工学というか, 企業での応用などを考えるとおそらく有限要素法がいいのではないかと思うのですが, これはメッシュを切り, それを読み取り, さらに出力する部分を書く, いわゆるプリ・ポストの部分がまず大変なのです. プリ・ポストの処理を書きたいわけではないので, とりあえずその手間が少なくできそうな計算手法を勉強しています. いつかはやらないといけないとは思うのですが.
そして, 改めて数値計算を再勉強していて, これは本当に勉強がつらい分野で厳しい気持ちになっています.
- https://twitter.com/phasetrbot/status/1243864733762998272
数値計算のプログラム、何をもって正しいとすればいいかもわからないし、本当にやりづらい。むしろわからないからこそ数値計算させるという趣もあるので、とにかく厳しい。Cでいいからコードサンプル欲しい。でも産業廃棄物はやめて欲しい。市民なのでとにかくわがままを言う。 あと、線型代数パワーも込めて有限要素法をやるのもいいとは思うのだが、あまり大量のコードを書きたくない問題がある。これに限らず、サンプルあるやつ1次元と2次元ばかりで3次元も書け感あるし、かと言って3次元つらい問題もある。
ある程度寿命の長いコンテンツを作るという前提で, 言語まで含めて何をどう作るかはかなり悩ましいです. それもあってプログラム系はあまり作ってこなかったのですが, もうそうも言っていられる時代ではないという気分もあります.
何はともあれ, いろいろ実験していきます. さすがに来月には YouTube 講義も本格化させたいので, コンテンツリリースもがんばります.
ではまたメールします.
2020-03-22 物理の数値計算をやっていく/相転移プロダクション¶
今回はビジネス系のネタを最初に持ってきます.
いい加減やるやる詐欺になりつつあるので, 中高数学とプログラミングのコンテンツの販売に向けて案内ページの作成をはじめました. まだ書きかけですが, 次のような感じで作っています. もしあなたが興味あるならぜひ見てみてください.
- https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_python_programming_course_highschool_lp_01.html
念のため書いておくと, まだ販売ページは作っておらず, リンクもありません, リンク先に飛んだところで売り込みがかけられるわけでもないので, 安心して (?) 眺めてください.
いつものことですが, このページだけ読んでも意味があるようにしています. 私自身いまのコンテンツ事情に不満があり, それを解消するための第 1 歩と思って作っていて, それが具体的に何なのか, 今回のコンテンツは何を意図してどう解決したのかを語っています. もっと言えば私の勉強ログでさえあります. 自分の勉強ログ自体コンテンツになると知ってほしいというのもあります.
他にもこの辺を勉強するときに何にどう困るかを私が先に体験しておいたので, もしあなた自身これから勉強しようと思っているなら, 先にハマり所がわかって便利でしょう. 私は子どもの頃, まわりの大人に理工系の相談ができなくて本当に困っていたので, それができる大人を増やすのが 1 番の目的です.
今日は何か Twitter で数学の勉強に関していろいろ適当なことを書きました. いくつか面白い反応もあったので引用しておきます.
- https://twitter.com/phasetrbot/status/1241480162434117633
数学の話、数学というより日本語がまともに読めていない問題が極めて大きいと思う。理系、文章読めなくても計算できれば何とかなってしまうから、根本的に文章を読む訓練の問題があると思っている。熱力学が難しい理由も物理法則が方程式ではなく文章になっているからではないか説を考えている。
数学理解の上でセミナーが大事というのは、理解の確認をするためには当人にそれを自分の言葉で語らせると見えやすくなることを使っていて、時間をとってまとめて喋らせる機会をセミナーで作っているに過ぎない。要は出力確認で入力の正当性を確認している。
中学生や高校生に数学を教えていると,文章から図に翻訳することが苦手になっている生徒に多数遭遇してきました。
- https://twitter.com/phasetrbot/status/1241523981640798208
数学ができない原因の一つが国語の読解力という話、私が知る範囲の物理の人間を見ていると、少なくとも大きな要因の一つなのだとは思う。計算ができても日本語の文章が読み書きできる保証はなく、読解力が上がる保証も特にない。
- https://twitter.com/phasetrbot/status/1241525802606268416
本当に不思議なのだが、他人にいい加減なことを吹聴して数学関係者が激怒する以外に数学の理解が甘くて困る事案、何かある?学部の時、実験のレポートで微分方程式を解く時に「解を何とかと仮定して定数を求める」と書かなかっただけで「いい加減だね」という工学系の教員がいるくらいの状況があるのに
これ、学部2年のときなのだが、相手が何を言っているのか本当にわからなかった。あと、学部3年の固体物理で電子工学出身の担当教員がベクトルの内積をベクトルで割った量をベクトルと呼んでいることもあった。これでもNatureに論文を通したりしている.
上で紹介したコンテンツと合わせて, しばらく物理の数値計算にフォーカスをあてていろいろやっていこうと思います. その一環として前回ブログの記事も紹介した本はいま C から Rust 化しています.
- https://github.com/phasetr/mathcodes/tree/master/fundamental_for_CFD
ここに Rust のスクリプトをあげているので, 興味がある人は見てみてください. ほぼ C の直移植です. Python だとある程度速度を出すために numpy のブロードキャストで書く必要があり, それを合わせるのが大変だったので Rust での直移植に変えました. C よりはよほど書きやすいです.
いまは動画を作るポスト処理を CSV からの matplotlib+ffmpeg での mp4 にしています. 動画を作る部分が重くて (遅くて), もう少し何とかならないかと思っています. もしあなたに何かいい案があるならぜひ教えてください.
あと, この間書いた note のサークルですが, 人柱として有料での質問箱みたいなのを実際にやってみようと思い, いま準備を進めています. 人に挑戦しろと言っている以上, やはり自分が先陣を切ってやらないといけないでしょう.
他にもいろいろやろうと思っていることはあります. 少しずつ進めていくので, ぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
2020-03-15 数学質問箱/相転移プロダクション¶
最近, 仕事関連で勉強が必要なことが多く, コンテンツ制作に時間が割けていません. 生活がかかっているので手が抜けない問題もありつつ, これはこれで楽しいのもあり, コンテンツリリースが伸びに伸びていてよくないのですが.
一応その勉強の記録もつけて記事や成果物 (コード) にしているので, 興味のある方はどうぞ. まずは買った本の書評的なところか.
- 書評記事: 「今まで読んだ中で最低の本: 肖鋒, 長崎孝夫, 数値流体解析の基礎 – Visual C++とgnuplotによる圧縮性・非圧縮性流体解析 2020/1/9」
- https://phasetr.com/blog/2020/03/12/book-review-fundamentals-of-cfd/
この本のコードを Python で書き直していて, 次のリポジトリに置いています.
- https://github.com/phasetr/mathcodes/tree/master/fundamental_for_CFD
計算結果のアニメーションは YouTube の次のリストにまとめているので, ぜひ眺めてみてください.
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFopragPoCA2WAfkYzJkoNq-4Ms
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
これからも継続的にプログラムを書いて動画にしていくので, ぜひ YouTube チャンネルにも登録してください. 短い動画だと 10 秒ありません.
また, この間も具体的な (有料) コンテンツを紹介しましたが, 数学科のゴリゴリの数学はともかく, 物理を勉強するときにはプログラミングはかなり役に立ちます. いろいろな点から数値計算は本当に勉強しにくいのですが, その辺は整備を進めていきます. 今後, 関係する情報も増やしていく予定ですし, 何でもいいので, 1 つ言語を決めて勉強してみてください.
私の好みではありませんが, 言語としてとりあえず Python をお勧めしておきます. 機械学習などで入門系のコンテンツが世に溢れているからです. 数学とも絡めつつ, ある程度入門的なコンテンツが揃っているのは Python だろうと思います. ちょっと何かするだけですぐに速度がほしくなるので, そういうときは C/C++ または Fortran になるのでしょうが, いきなりこれはハードすぎます. 環境設定も大変なので. 何がいいか・適切か判断できないならとりあえず Python でいきましょう.
私もいままさに Python による数学という点のコンテンツを作っています. Python の解説も多少はつけていますが, きちんと解説しようと思うとそれだけで本 1 冊ですし, バージョンアップ対応も大変なので, それは世間のコンテンツにお任せすることにしました.
プログラミング利用は来年以降の物理への展開を意識していますが, 中高数学の勉強への展開もあります. 先のコンテンツもそこを狙っています. そもそも中高数学の勉強としていい (らしい) 本の話があったので, 念のため共有しておきます.
- https://twitter.com/mathedr/status/1237375140905676801?s=21
えーーなんと小倉先生この流れで『入門問題精講』紹介されてたのか。 私も教科書だと勉強しにくいと思う人にはこれオススメと言おうとしていた。 意見が合いすぎて自分の考えに自信出てきた笑(てか何回引用RTしてるんだ
- https://twitter.com/yuji_ogura_/status/1237331559889301509
- 新高校3年生、高卒生
- 教科書以外だと「入門問題精講」がオススメです
- 「分からない」というのは成長への入り口です!
- ごまかさずに書いているので、難しく感じる部分もあるかもしれませんが、諦めずにチャレンジしてください
- あなたのさらなる成長、応援しています!
時間がなくまだ私自身は中身を確認できていないのですが, MathEdr さんはかなり信頼できる人なので, この人の発言ももチェックしておくといいでしょう.
そして本題の「数学質問箱」です. 有料のサービスで, 「グレブナー基底大好き bot」さんが主催しています.
- note のサークル https://note.com/groebner_basis/circle
- Twitter の該当コメント https://twitter.com/groebner_basis/status/1237302490732748801?s=21
【月額・数学質問箱】 月額1000円で数学の質問し放題の「数学質問箱」を始めましたぶな。 現在は「グレブナー基底」の質問の回答をしていますぶな。 今度は質問できるジャンルが増えていく予定ですぶな。 あったらいい数学分野などありましたら、 リプでお知らせくださいぶな。
グレブナー基底 bot さんは次のラノベを書いている, かなりのイレギュラーです.
- 妹がグレブナー基底に興味を持ち始めたのだが。
- https://www.amazon.co.jp/dp/B01LZHYKVK
私は一度お会いしたこともあって, 叶数理さん主催の同人誌を一緒に書いたこともあります.
- https://next-nexus.booth.pm/items/1157480
代数に関しては龍孫江さんが担当するとか何とかいうのを見かけました.
- https://www.youtube.com/channel/UCO34XpHxdG8P2n5aTPXSaZQ
龍孫江さんも YouTube や note でいろいろコンテンツを作っているので, もしあなたが代数に興味があるなら追いかけるといいでしょう.
ただ, 私のメルマガを読んでいる方はあまり代数代数した代数方面に興味が強いとは思えないので, その辺が難しいかもしれません. ただ先の note には集合論もあったので, 数学の基礎としての集合論や位相には対応してくれそうなので, そうしたところに興味があるなら参加してみるのも一手です.
ちなみに, この手のサービス, 私がやるなら解析系で, 解析のための線型代数みたいなところも守備範囲に入ります. 興味がある方が多ければやろうと思わないでもないのですが, 需要あるのでしょうか? 通信講座でも質問が大量に来たときにさばくのが大変になったことがあり, どういう塩梅でやるといいのかが見えていない部分があります. 人柱としてやってみるべきだ, という話もあるので, ずっと検討していることではあります.
やってほしいという方が多ければやろうと思うので, 何かあればメールへの返信なり, 読者アンケートなりで要望をあげてもらえれば.
ではまたメールします.
2020-03-08 状態に関する物理と数理/相転移プロダクション¶
先週は仕事が立て込んでいてあまり何もできていません. 家に帰ってからも仕事関連の勉強をしています. 知見自体はたまっているのですが, なかなか提供に足るまとまった形・レベルになっていません.
ひとまず仕事に関わる勉強ついでにやっている, いろぶつ熱力学の査読メモツイートと, 量子系の状態概念に関するブログの記事を紹介しておきます.
- 熱力学での状態概念の扱い「いろぶつ先生こと前野昌弘さんの熱力学」の査読雑感その 3
- https://phasetr.com/blog/2020/03/02/irobutsu-thermo-dynamics-3/
- ケットベクトルとは何か?量子系の状態概念の数理
- https://phasetr.com/blog/2020/03/08/what-is-ket-vecotr-concept-of-states-in-quantum-physics/
いま並べてみて気付いたのですが, 両方とも状態概念の話でした. 平衡状態と基底状態の数理については私もそれなりに専門的なところに触れたので, いろいろ言いたいことはあるのだと改めて感慨深いです.
あと, コードを全て公開できているわけではないのですが, OpenFOAM による数値実験, 自前で Python を書いた数値実験やアニメーションサンプルは, 次の YouTube のリストに突っ込んでいます.
- https://www.youtube.com/watch?v=8RIrq4j8Qg0&list=PLSBzltjFopraTJUYDMXnj1GdYCdR0QyzU
もしあなたが数値計算主体の物理や数学の勉強に興味があるなら, ぜひチャンネル登録してみてください. 継続的にいろいろやっていく予定です.
コンテンツの制作は一通り終わったものの, 販売向けの準備が全然できておらず, その方面の状況報告もできていません.
コンテンツの追加というか作り直しも入るのですが, 販売プラットフォームも再検討していて, いまごろになっていろいろ悩んでいます.
ちょっと試してみたいと思っているのが次の Udemy です.
- https://www.udemy.com/ja/
もともとアメリカの会社だったのをベネッセが買い取って, 日本国内向けの展開もあります. これをやってみようかとも思っています.
ただ, Udemy のコンテンツは基本が動画で, ある程度しゃべらなければならず, 吃音の私には厳しい面があってどうしたものか, という悩みがあります.
買う人にとって音声が聞きづらい動画でしかないので, 私の言語障害は文字通り受講の障害にしかなりません. Amazon での DVD 販売でもしゃべっていて, それで駄目というコメントをもらっているわけでもないので, ある程度はどうにかなるか, と思わないでもないのですが.
それはそれとして, Udemy にも「文系向け Python での統計学」みたいな講座もあります. 時々 90% オフとかいう異常な値段になるようで, この辺の話に興味がある人は Udemy を受講してみるのもいいのではないでしょうか. ちなみに, これからプログラミング系の話はかなり強化していきますし, しばらく Python は 1 つの軸になる言語だろうとも思うので, Python の勉強をしておくと私の情報も受け取りやすくなるだろうと思います.
中身を見ていないので良し悪しはわかりませんが, レビューはいいようなのでとりあえず次のコースを紹介だけしておきます.
- https://www.udemy.com/course/python-beginner/
あと 3 日間は 24000 円が 1620 円とかいう異常な値引き状態のようです. 30 日間の返金保証もあるようですし, とりあえず買ってみてもいいのではないでしょうか.
もしあなたが自分でコンテンツを作ろうとしているなら, 「このくらいの内容でこの値段帯で出せるのか」という発見にもなるでしょう. あと数日は異様に安い値段で買えるので, 多少なりとも自腹を切ってみるのも大事です.
ではまたメールします.
2020-02-29 中学生受講者に向けてメッセージ/相転移プロダクション¶
相転移プロダクションの関根良紹です.
現代数学観光ツアーのアンケートで中学生からのコメントがあったので, それに答えるのが今回のメインです.
いつも通り本題はあとにして, まずはシェアしたい情報から. 今週はあまり報告すべきネタ・進捗がないなと思いつつ, 足立区の理工系教育提案でまとめた情報があったことを思い出し, まずはそのシェアをしておきます.
区議・職員の方に共有した PDF を次のリンク先に貼っておきました. 興味があればぜひ読んでみてください.
- https://phasetr.com/members/myfiles/file/2020-02-29-081234.tmp.pdf
プログラミング教育と教育系 YouTuber として有名なヨビノリたくみさんの情報です. A5 で 5 ページ程度なので絶対的な量は多くはありませんが, メールの文章に書くのは長いので PDF にしてあります.
次は以前も共有した, いろぶつ先生の熱力学の教科書の査読に関する雑感を Twitter でつぶやいた内容もまとめです.
- https://phasetr.com/blog/2020/02/29/irobutsu-thermo-dynamics-2/
もしあなたが物理・数学を勉強しようとしているのなら, 勉強するうえでの参考になると思います.
最近は OpenFOAM によるシミュレーションの動画を毎日投稿しています. まだほとんどチュートリアルをやっているだけで, 必ずしも (いまの私にとって) 面白いシミュレーションばかりではありません. しかし物理とシミュレーションは今後の活動のメインにしていく予定なので, 地道に準備を進めています. リストにしてあるので, 気になる動画だけでも眺めてみると楽しいでしょう.
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprYN0Rh3tLmoHWqjPRYwJukv
ぜひチャンネル登録もしてみてください. やろうと思って挫折しているシリーズもいくつかあり, その辺の取り組みの死骸も見えます. もしあなたが自分でコンテンツを作ろうと思っているなら, その辺の試行錯誤と挫折感, とりあえずいろいろやってみること, 誰でも見える形でログを残しておく意味なども考えてみてください.
さて, 中学生から現代数学観光ツアーのアンケートに関する話です. 何度か書いていますが, これは結果的にいろいろ設計をミスしているので, いい加減刷新したり, そもそもとして新たな無料講座を作るなりしないといけないと思いつつ, 何もできていません.
現代数学観光ツアーも, 中高生の頃の私が読んだら喜んだだろうと本気で思って作っていますが, どう考えても一般的ではないので.
とりあえず, 中高生も読め, これまた面白いはずだと信じている講座として, 無料講座として公開している次の講座をお勧めしておきます.
- 応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう 中高数学駆け込み寺
- https://phasetr.com/mrlp1/
現代数学観光ツアーはきつすぎると感じたらぜひこちらを受講してください.
通信講座一覧ページも念のため.
- https://phasetr.com/blog/2014/06/09/トップ固定記事:メルマガ・数学カフェ・その他/
もう 1 つ, 上記「自然を再現しよう」の続編として, いままさに準備を進めている, 仮題「プログラミングで数学を 中高数学虎の穴」があります. いったんレビュー結果も反映し終わっていて, 今回のコンテンツとしてはいったん完成はしています.
今後, これは本当に中高生向けコンテンツを作る上で, 叩き台にしていくコンテンツという位置づけですし, 本当に中高生に受講してもらって感想を聞きたいこちらの事情もあり, メールなり何なりでコメントくれればコンテンツをお渡しするので, 興味があればぜひ連絡をください.
よくも悪くも, 深く味わうにはプログラミングの知見が多少必要になってしまうので, ふつうの中高生が味わい突くすのは大変とは思いますが, 環境構築なども含めて実際どのくらい大変なのか, それはそれで知りたいところです.
ちなみに, いまのうちならレビューの名目が立ちますし, 中高生には無料でプレゼントします. もしあなたが興味を持っているなら連絡をください.
早く販売まで持っていって気分的に身軽になりたいですね. がんばりましょう.
ではまたメールします.
2020-02-22 「わかりやすい」の意味/相転移プロダクション¶
本題の前に諸々のコンテンツ制作について, 現状を報告します.
中高数学・プログラミングに関するコンテンツは, いったんレビューとその対応も終わって, いまはコンテンツ紹介用のページを作っているところです. その状況報告をできれば, と思っていたのですが, タスクの進捗が悪く, まだお見せできるレベルの内容がありません.
今月販売まで行ければいいなと思っていましたが, スケジュールがずれにずれています. 焦ってゴミができても意味がないのでじっくり進めます.
昨年末, 体調不良で流れた地元の理工系教育向け提案で, ようやく区役所の人と話ができました. キャリア教育の視点から進めるとどうか, という提案を頂いたので, それに対する素案を作ってお送りしたところです. これも地道に進めます.
タイトルや中高数学コンテンツとも絡む話として, やはり来年以降の物理の入門系のコンテンツに向けて, プログラミングというかシミュレーションも強化しないといけないと思っています. それで, OpenFOAM による数値シミュレーションを, 勉強ついでに Youtube に放流してみることにしました.
- OpenFOAMによる数値シミュレーション
- https://www.youtube.com/playlist?list=PLSBzltjFoprYN0Rh3tLmoHWqjPRYwJukv
- 対応する設定ファイルを置いてある GitHub のリポジトリ
- https://github.com/phasetr/OpenFOAM
流体の代表的なシミュレーションを一通り動かしつつ, チュートリアルの内容をいろいろな領域で数値実験し直し, さらには電磁気に進みたいと思っています.
OpenFOAM に詳しい方がいらっしゃったらいろいろ教えてほしいです. 物理の教科書に書いてある, 基本的な系に関して一通りシミュレーションを作ってみたいです. 乱流のような大規模計算が必要な系をどう処理するか, そこまで難しくなくとも無限系をどうシミュレーションするかなど, いろいろな問題があることはわかっています. 時期的にリアルの勉強会をするのも厳しいので, オンライン勉強会で講師役やってくれる方いたらぜひお願いします.
さて, 本題です. 何かというと, 現代数学観光ツアーのアンケートで次のようなコメントが来たのです.
現代数学観光ツアーに期待することを教えてください 兎に角、物理数学が分かりやすいこと
私はこの「わかりやすい」というのがいまだによくわかりません. そもそもとして「わかる」「わかった」というの自体がよくわからないのです. 生まれてこの方, 何かがわかったと思えた経験は 1 度しかありません. 大学受験の頃, Z 会の問題を解いていて, 合計で 20 時間近く考え続け, その末にようやく解けたときです. もう 20 年近くも前のことなのに, 「これが『わかる』というやつか」「確かにこれは感動的」と思ったことを 今でも覚えているほどに印象的でした. そしてこれくらいしか経験・記憶がありません.
はじめて勉強したときすっきりせず, 何年か経ったときに「確かにそれはそう」, または「何でこれがわからなかったのだろう」という感じで, 勝手に理解が深まっていたことは何度となくあります. ほぼいつも長いこと「わからない」を続けて, 年単位で関連する勉強や実践をいろいろやり続けた末に, レベルアップによっていつの間にかクリアしていた, そういう経験しかなく, 強いていえば全てがほぼ例外なく私にとっては「わかりにくい」のです.
アンケートを見ていてわかりやすさを求める人は確かに多いのですが, わかりやすさとは何なのか, いまだによくわかっていません.
ちなみにちょうど昨日, 数学者と Twitter で次のような話をしていました.
- https://twitter.com/pueeeeeeeb/status/1230540298847059968
- https://twitter.com/darkjojonjon/status/1230740664175882240
丁寧じゃない本は著者が無能なだけでしょ、特に誤植だらけの本は著者の注意力が足りないと評価している
そういう風に思っていた時期が私にもありましたが、知識が十分にある人が読む場合は余り丁寧に説明しない方がわかりやすい、ということが往々にしてあるんですよね。
そもそもとして丁寧さ自体が状況、相手が誰かに依存する概念でしょう。ゴリゴリの専門家相手なら気分の話を丁寧にした方がいいでしょうし、学生がゼミをやるなら証明の細部を丁寧にした方がいいでしょう。その辺の定義を明確にしない時点で数学スタイルの議論は発散してしまいます。
確かに元のツイートはどういう意味での丁寧さを論じているのかわかりませんね。私は証明の細部を書くか書かないかという丁寧さという意味で捉えましたが。
3 番目が私のコメントです. 丁寧さであってわかりやすさではありませんが, 人によって意味が大きく変わりうる未定義用語でふわっと話していると, まともに意思疎通できません.
証明や議論を丁寧に書いてほしいという意味での「わかりやすさ」なら, それはそうだとはいつも思います. しかしこの証明の丁寧さが人によって変わるのです. 例えば, 現代数学探険隊では後半のある程度まで進んだところで, 「ここまで来たらこのくらいの記述の粒度でいいだろう」 と思ったところに「もっと詳しく書いてほしい」というコメントが 何度も来たことがあります.
ネタ自体が本質的に難しくなっている後半部分で, 私自身これは難しいだろうと思ったところ, あえていえば本当に難しいところは丁寧なのですが, 「ここまでの議論で身についているはず」, 「これはもう多少省略しても大丈夫だろう」という ごく基本的なところでとにかく徹底的につまづいているコメントが来たのです.
上の 4 番目のじょんじょんさんのコメントにもあるように, くどいと逆に読むのが疲れてわかりにくくなることがあり, それでさらっと省略した部分に初学者がつまづくのです.
話がずれてきたので戻しましょう. 最近コンテンツを作る方に回ってほしい, というメッセージを出しているので, それとも合わせて書きます. 「わかりやすさ」をどこにどう設定しているのか, それをはっきりさせましょう.
例えば私が作っている無料コンテンツは, たいてい「大きな姿を掴むこと」を目的にしています. 高いところから全体像を見ることに特化しているので, 細部の説明はほぼありません. 細部まで知ろうと思って読むと, わかりづらいどころか何もわからないでしょう.
細部が詳しいコンテンツは既存の教科書を勧めればいいと思っているので, リストを作って紹介しています. いろいろあると悩むというのもよくわかるので, 最近はあえて数冊に絞って紹介する機会も増えています. さらに前提が揃わない本をいろいろ買ってつぎはぎで読むのも大変だろうから, ということで現代数学探険隊という学部レベルの解析学の多くを 1 つにまとめた通信講座・コンテンツを作っています. いろいろなレベルのいろいろなわかりやすさを意識してコンテンツを作る必要があります.
物理数学・教養数学ももっといろいろなコンテンツを作りたいと思っていますし, 足りていないとも思っています. 既にあるコンテンツはそれとして勧めつつ, もっといろいろな人がいろいろなコンテンツを作ってくれないかと思っていて, それで今年から「みんなもコンテンツを作ろう」という話をしはじめています.
私が目下 1 番やりたいと思っているのは, 各種の具体的な計算をとにかく丁寧にやっていくコンテンツです. 上でも書いたように, 理論は長期間の没頭でその世界観を馴染ませる必要があり, コンテンツでどうにかする話ではありません. そして理論に関しては既存のいい本がいくらでもあります.
全体像についてはそちらに任せて, ピンポイントで計算を追いかけるコンテンツがほしいです. これなら, 1 つのコンテンツも短く小さくなり, 作りやすくなる, というのもあります.
いま数学系のコンテンツ制作を一所懸命やっているのも, 細かい理論よりもまずは強引に計算をやり切る腕力で捻じ伏せろ, という話をあまり聞いてもらえず, 理論の勉強を一所懸命しようとする人が多いからです. その要望に応えるためです.
やるべきことはたくさんあり, 理想は遠いです. 一歩ずつ進んでいきましょう.
ではまたメールします.
2020-02-16 時間を奪う/相転移プロダクション¶
ここ最近, 割とお金の話をたくさんしてしまっていて, 数学と物理の話が聞きたいのにもううんざり, という人もいらっしゃるようです. 情報を出す方向として「一緒に数学・物理をやる人を増やそう」から 「一緒に数学・物理のコンテンツまで作る人を増やそう」 に少しシフトチェンジしたこともあり, ちょっと申し訳ないとは思っています.
この間 Twitter でいろぶつ先生の熱力学の本の査読の話をしたら, 物理の人と少し盛り上がったのでその話をまとめようかと思ったのですが, まだまとめきれていません. 今回は各種メールの返信やアンケートから, 私にとっては同じ, もしくは関連する話題が振ってきたのでその話題にします.
まず来た内容を転載します. その 1 はミニ講座, 中高数学駆け込み寺に関して来たメールです.
これまでの記事, なかなか時間が取れず, 未読のままとなってしまっておりました. 最近ようやく生活が落ち着いてきたので, この機会にフォローさせていただきます.
二月中に, こちらのメールのアンケートを返信させていただきます. ペースについていけず恐縮ですが, 今しばらくお時間をいただきますようお願いいたします.
その 2 はこの間のメルマガへの返信です.
なお, 物理の本を読むのなら, 物理の数学は付録の部分の数学で十分と書かれていましたが, この付録の部分が十分読者に答えていないものが大部分ではないでしょうか. おそらく多くの方の意見ではないかと思っています.
これだけ見ると関係なさそうに見えるかもしれません. もちろん直接的には関係ありませんが, 「時間」の観点からは似た話題なのです. コンテンツを作ろうという人だけではなく, コンテンツを受講しようという人, 何か勉強が必要または勉強したいという人にも関係ある話題です.
まず前者に関して明白なのは「時間が (取れ) ない」ことです. 中高数学駆け込み寺は 1 回 5-10 分で読み切れる分量を意識して作っています. この時間で読み切るためには細部を気にしてもらっては困りますし, とにかく読み切って大きな姿を掴むことに集中してほしいという体にもなっています.
つまり 5-10 分の時間を作るのも厳しい, そういうコメントなわけです. これがいいとか悪いとかではなく, 「それはそう」という話で, その辺の話をするのが今回の目的です.
状況はいくつかありえます. 例えば家で老親の介護をしている人は気が休まらず, 本当に 5-10 分の時間さえ作れないでしょう.
そうでなくても, いろいろな状況があります. ものすごい忙しくなると時間・肉体以上に精神的な余裕がなくなります. そうなると少しの隙間時間であっても本当に小休憩を入れたくなりますし, そうするべきでもあります.
そしてさらに, たいていの人は数学や物理を知らなくても困りません. 勉強するモチベーションはあるのかもしれませんが, 必要性に乏しいのです. 優先度が極めて低く, 上げる根本的な理由もありません.
特に中高数学駆け込み寺の受講者となると, 数学が苦手だったりもう忘れてしまって勉強するにも時間がかかるという人も多く, 数学する精神的なハードルも高いのです. 5-10 分の勉強時間を作るためにも十分な精神的余裕・準備が必要です.
コンテンツの受講時間だけは 5-10 分であっても, それにいたるもろもろの時間・余裕が必要で, それがない・取れない問題です.
このあたり, 何というか, いわゆる自己啓発というか, 時間管理みたいな話もした方がいいのだろうかとも思っています.
ここで少しコンテンツ作成側の人向けの話をします. 何かというと, コンテンツを受講してもらうために, 時間という相手の大事なモノをもらう必要があるのです. 大事な話・面白い話をしているからといっても, それを受け取ってもらうため, 楽しんでもらうために時間を出してもらう必要があります.
これまでの話は大事なモノとしてお金しか挙げていませんでした. 実際には無料のコンテンツであっても時間をもらっています. 可処分所得という概念がありますが, 仕事など生きていくのに必要な時間を差し引いた, 可処分時間とでも言うべき概念が考えられます. そしてその可処分時間をもらっています. 「時間を奪っている」とさえ言えるでしょう.
どうすればその時間をもらえるか, きちんと考える必要があります. そして「いい時間を過ごせた」と思ってもらえるような, 時間を無駄遣いさせない良いコンテンツを作る必要もあります.
このあたりに関しては, 先日からメルマガでも書いているプログラミング系コンテンツが作り終わったので, プロモーションの形で具体的にどうすればいいか, 私がどうやっているかを紹介します. もしあなたがコンテンツ制作に興味があるなら, ぜひそれを追いかけてみてください.
ここからその 2 の話です. 再掲しましょう.
なお, 物理の本を読むのなら, 物理の数学は付録の部分の数学で十分と書かれていましたが, この付録の部分が十分読者に答えていないものが大部分ではないでしょうか. おそらく多くの方の意見ではないかと思っています.
まず, この認識が全然違います. 何が違うかというと時間の使い方の問題であり, どんな環境でどう時間を使っているかとも言えます.
まず結論から言えば, 単純な数学知識ベースの議論では, 本当に付録に書いてある内容しかないのです. 数学科の人が物理の本が読めるかという問題でもあります. 数学の本で証明を読み込んでもあまり意味はありません. いろいろな定理を知っているかどうかにもそれほど意味はありません.
問題は物理の実際の議論の中で必要な数学を見極めて使えるようにすること, ハードな計算に耐える計算力です. これはまさに物理をやることそのものなので, 付録ではなく本文を読む以外に勉強のしようがありません.
実際の物理ではいろいろな近似を使う話もありますし, 数学的にはおかしい, 数学としては暴力的な議論・計算もあります. 強いていうならやるべきは付録の充実よりも, 本文での計算のフォローを増やすことです.
ちなみに, 数学だと付録だけで厳しいことはよくあります. 例えば基本的な微分積分や線型代数の本を読み込んで, まずはその世界自体に親しむこと, そしてそれ以上に微分積分や線型代数の証明の詳細が追えないことにははじまらないからです. 数学の付録はその辺はカバーしている前提での, 本当に単なる知識ベースの整理でしかありません.
物理の話に戻りましょう. ここから時間とその使い方の問題です. まず大前提として, いくら優れた指導者が適切な指導をしてくれたとしても, 当人が勉強しなければどうにもなりません. この点, 例えばスポーツと同じです.
勉強していないと言いたいのではなく, 絶対量としての勉強の時間が足りていないのです. 1 月勉強しないといけないところを 1 時間しか勉強していないのでは, 何をどうしたところでできるようになるわけがないのです.
はじめに書いたように, たいていの人は物理をやらなければいけないモチベーションも環境もありません.
究極的な比較対象としては物理学科の学生です. 極端に言えば, たいていの学生は物理をやる気はなくても 単位取得して卒業するモチベーションはあります. 少なくとも卒業できる程度には物理をやる必要があります. この強制力があり, 困ったときには適当な助けが得やすい環境があります. このカンフル剤で無理やりにでも適切に時間を使わざるを得ない環境にあります.
あと物理だと「論述」にもほぼ必ず計算が必要です. 少なくとも学部だと勉強内容はほぼ理論です. とりあえず計算できないとはじまらないので, 理屈 (数学) はともかく, 物理の現場で必要な計算をごり押しするのです. もっというと, 数学科の学部 3 年でようやく出てくるような, 超関数, フーリエ解析, 偏微分方程式論に学部 1-2 年から対応せざるを得ないので, 理論など勉強も理解のしようもありません. 物理の現場の計算練習で何とかするしかありません.
付録が足りないのではありません. 実際に付録の以上の数学の知識は使っていなくて, あとは鍛え上げた剛腕で処理しています. 剛腕を鍛えること自体も物理なので, さっさと物理をやりましょう, 物理をやるしかありません, そういう話です.
理論がわからなくても剛腕で押し通す, 押し通さざるを得ない状況に追いこまれていて, どうにかせざるを得ないのです. 付録で足りないというのは物理をやる気がない, そう言ってもいいくらいです.
また, 独学でふつうに本だけ読んでいると, この手の剛腕を鍛えるカリキュラムがない問題もあります. 独学だとカリキュラムの存在も知らず, 必要性に気付くことさえできないと言ってもいいでしょう. そして剛腕を鍛えるには膨大な時間が必要です. 見るだけなら単純なことであっても, スポーツで何かの技術を習得するには膨大な時間がかかるのと同じです.
少なくとも早稲田の物理では, それまでに全く勉強していない数学に関して, 物理的なモチベーションの説明さえほとんどなく, 四の五の言わずに計算練習をしろ, という必修の演習の時間があり, 単位も設定されていました. こういう意味でも環境が整備されていて「指導」もあったのです.
私の実体験でもあるので, もう少し話をしておきましょう. いまはよくわかりませんが, かつての早稲田の物理では「物理学研究ゼミナール」というのがありました. 学部 1 年で研究室にお邪魔して, 何か実験させてもらったり何なりして, ちょっと難しい話にも触れてみましょう, みたいな感じと思ってもらえばいいです.
いろいろあって, 私は 2 つやることになりました. はじめの 1 つは学部 1 年なりたてで 複素関数論に関する発表をするようにという話になりました. もちろん本を読んでみようとして読んでもみましたが, 何一つわかりません.
もう 1 つはブラウン運動の解析です. ちょっと実験した上で, 拡散方程式を調べて発表するという話で, 私は拡散方程式を具体的に解く手法として フーリエ解析に関して発表することになりました.
勉強開始は学部 1 年の夏の時点でした. その時点で数学の講義は 1 変数の微分関係の話で, 多変数の話も全くやっていない頃に 偏微分方程式とフーリエ解析について発表しろと言われるわけです. 偏微分方程式もフーリエ解析も, 数学の本を読んでも当然何もわかりません.
「物理とフーリエ解析」という本があったので読んでみました. いま読めばそれなりによくまとまった本とも思えるのですが, 学部 1 年の夏の時点だと, 講義では力学で常微分方程式の議論で四苦八苦している程度の状態です. 例として X 線の解析などが出ていたのですが, 当然電磁波, 電磁気学です.
大学レベルの電磁気はわからない, 大学レベルの振動・波動の議論もわからない, X 線も当然よくわからない, 出てくる多変数の解析もわからない, 当然のように出てくる留数定理 (関数論) もわからない, この状態で何とか発表を数学ではなく物理として形にせざるを得なかったのです.
ここでヒルベルト空間だの何だのにも手を出したり, 数学の本も読み漁ったのが 1 つの契機で, 結局その方向に進みさえしたわけで, 「三つ子の魂百まで」という感さえあります.
物理学科だと, 本当に数学の理論がわからなかろうが計算だけはできるようになれ, 習うより暴力的な物量で慣れろ, 物理の現場で何とかしろ, そういう状況・環境に追いこまれますし, そういう時間の使い方を叩き込まれます.
私がいた頃の早稲田の物理学科の教育方針がいいとは思いません. 数学の計算練習をさせるのは必要だし構わないが, さすがにもう少し物理のフォローを入れろとは思いますし, その辺を結実させたのが現代数学観光ツアーでもあります. もちろん現代数学観光ツアーも数学に偏り過ぎなきらいはあり, もっと物理っぽいのは作る必要があるとは思っていますが, 純粋な数学サイドから見れば, 相当に物理 oriented です.
いろいろ書きましたが, 言いたいのは「この付録の部分が十分読者に答えていない」のではなく, 読者が勉強の仕方を知らない (本なり何なりで説明していない) こと, 付録の使い方と勉強の仕方 (時間の使い方) がよくないこと (きちんとした説明がないこと), 社会人は要求される暴力的な量をこなす時間が取れないこと, たいていの人は物理・数学を勉強する必然性がなく, それを強制する環境が現状大学の物理学科をはじめとした物理が必要な環境にしかないことなどです.
学生でもない限り, 暴力的な量をこなす時間が取れないことは仕方ありません. その分, 時間というか期間がかかることはしっかり認識する必要がありますし, このあたりをきちんと指導してくれる指導者または環境を見つけ, 活用することが大事です.
まだ時間が取れないのでしばらく先にはなりますが, 私が物理系のコンテンツを作るなら, まずは電磁気あたりで適切な物理の問題を持ってきて, それに関する計算を遂行することを目的にしたコンテンツを作ります. いわゆる物理的な意味・議論は既存の物理の本を読めば済むので, 計算にフォーカスしたコンテンツを作り込むでしょう.
かなり長くなりました. 今回はこの辺にしておきましょう.
ではまたメールします.
2020-02-09 コンテンツの伝わらなさ/相転移プロダクション¶
今回も本題の前にミニビジネス的な話をします. 知っている人は知っていて, 私も各種講座の中で紹介している数学ガールの著者, 結城浩さんの note のサークルです.
- https://mm.hyuki.net/n/n8ed441c0bf54
プログラムの本で知っている人も多いでしょう. これは月額 200 円で運営されています.
公式からの案内は次のページにあります.
- https://note.com/info/n/n3820f314922d
何がよさそうかというと, いい意味で気楽なことです.
結城さんだから, というのもありますが, コンテンツにずっと触れていると, そのコンテンツを作っている人にも興味が出てくることがあります. 特に最近は「この人はどんなことに興味を持っているのだろうか?」, 「ちょっと応援したい」みたいなことを考え, 実行する人も多くなっています. かつてニコニコでは生放送などに課金する人もたくさんいましたし, もちろんいまも YouTube の生放送なり何なりで応援課金する人はいます. そういう仕組みができあがりつつあるのです.
ゴリゴリにコンテンツを作るのは大変なのですが, 気楽に, それも多少なりとも活動資金を得ながら, コンテンツを作るのは励みにもなります. 実際に応援してくれている人がいるのだと.
ちなみに数学系, それも大学受験などではなく, 完全に大学の数学に踏み込んでいる人もこの辺に取り組んでいたりします.
- https://note.com/masakikoga1/n/nc0defb252ffa
- https://note.com/ron1827/n/nd38d10d95a97?magazine_key=m3e36a7cd8bab
一方は京大の数学専攻の人で, もう一方もそれなりに数学がきちんとできる人なので, こちらもこちらで「強すぎる」人ではありますが, 月額 140 円とか, 1 つ 300 円みたいな気楽な値段設定がポイントです.
さらに大事なのは, YouTube では完全に無料でやっておいて, その資料を販売, という形でお金をもらっていることです. ここにお金を出してくれる人は, コンテンツを買っているのではなく, ほぼ純粋に応援の気持ちなのです.
生臭すぎますし, 「売上」はどのくらいかと聞けるわけでもありませんが, その売上は純粋な応援の気持ちの定量化なので, コンテンツを作り続ける励みにもなります. 多少なりとも本当に金銭的な支援にもなるわけで, 馬鹿にしたものでもありません.
もちろん, 私自身, この辺にはきちんと取り組んだことがなく, あまり体感もありません. 言うだけ言いっぱなしなのもよくないですし, 私自身動いてみないとな, と思っているので, いま作っているコンテンツが一段落したら, YouTube コンテンツを作りはじめるついでにはじめてみようと思っています. メルマガでも適当に情報は共有しようと思っています.
とりあえず, 最近は「マネタイズ」にもいろいろあること, そしてマネタイズの形も変わりつつあることは意識しておくべきでしょう.
ここから本題です. 最近, 無料講座の「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう 中高数学駆け込み寺」のアンケートが よく来ます. そして時々コンテンツや講座の意図がうまく伝わっていない, と思うこともあります. もちろんこちらの作り方もよくないと反省する面はあります.
ただ, それはそれとして, 人は他人の言うことを本当に聞かないこともきちんと意識する必要があります.
人に何か言ったとき, 「前からずっとそれ言ってるでしょ」と言われ, 言われてみればそうだった, という経験がないでしょうか. 人は他人の言うことを本当に聞いていません. もっといえば, そのときは一応聞いてはいてもすぐに忘れます.
今回だと次のようなコメントが来ました.
和尚がさらりと行っている式の説明が素人にはかなりキツイということがわかった。 馴れないスペイン語を読んでるみたいな感覚で、 意味をつかむことに終始してしまいその奥行きをみる余裕がもてないというか、
講座の趣旨が「まずは全体像をきちんと見よう」なので, 式の説明をさらりとしかやっていないのは意図的ですし, 考えてほしいのは式の意味でもありません.
ちなみにこれは第 3 回へのコメントでした.
- 第 3 回のページ https://phasetr.com/blog/2016/12/28/math_refuge_differential_equations_in_economics_biolog/
正直なところ, この講座の特に前半は, これを読んで何かわかるようなことは何も書いていません. 講座名にも「応用からの中高数学再入門」とつけてありますし, 登録ページにも「微分方程式が物理, 経済, 生物で使われていることを見る.」としか書いておらず, まさに「使われていることを見た」だけです. 1 回が 5-10 分で読み切れるボリュームにおさえている事情もあります. 登録ページでもコース紹介では「見る」「眺める」としか書いていません. 「理解する」のが目的ではありません.
こう書くと「ちゃんと読んで受講しろ」というメッセージかと思うかもしれません. そうではなくて, この講座を受講する理由は人によってまちまちで, こちらの意図に合わせて受講を決めたわけでもなく, こちらの意図に沿って勉強するわけでもないのです.
考えるべきこと/やるべきことはいろいろあります. 例えば実際問題として「ここが足りない」「ここがほしい」というメッセージでもあります. コメントを見ていてそういう人が多いなら, 「ではその足りないところを埋めるコンテンツを作ろうか」となるわけです. この辺を丁寧にやっていると, 前半で「この人はよくやってくれるから応援しようか」となっていく公算も高まります.
冷静に考えると, ネット越しでいろいろやろうと思うと, 応援の意思を伝えるのは実はなかなか大変です. 最近, 特に若い人だとメールベースのコミュニケーションはかなりハードルが高いと感じるようですし, かといって必ずしも LINE 交換するような状況でもなかったりします.
はじめの note のサークルも, 結城さん自身がいろいろ注意コメントをつけています.
しばらくは、結城が日々の活動記録をときどき投稿する予定ですので、 掲示板でゆるやかに交流しましょう。 掲示板は参加メンバーだけが読み書きできます。 参加後の自己紹介などは不要。 投稿を読むだけの参加でも大歓迎です。
別に自分から何かしたいわけではなく, ただ見ていたいだけ, という人もいるのです. そういう人にとって応援メッセージを送ったり, アンケートに答えたりするのはハードルが高いのです.
こういうとき, ニコニコ動画などの界隈でよく言われていた 「お布施」という言葉がよく合うように思います. まだこの感覚をうまく言葉にできていないのですが, 必ずしも「ありがたや」という気持ちだけから来る行動でもなく, 場合によっては悪意でさえある不思議な言葉/文化です.
ただ, それでも, お金は誰にとっても大事です. その大事なモノを突っ込む程度には興味関心を持っている姿勢を示すのが, 「お布施」です. そしてどうすればお布施をもらえるかというより, どうしてもらえれば自分はお布施を払いたくなるかを考えるのがいいようにも思います.
それはそうと, 来週, 中高生向けの学習支援提案について, 役所で話を聞いてもらう機会を作ってもらえることになりました.
- 理工系を志す中高生向け学習支援の提案 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-10-31.pdf
- 理工系教育の趣旨 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-12-14.pdf
いろいろな人に実際にリアルでやってほしいので公開しています. ぜひ積極的にやってみてください.
ではまたメールします.
2020-02-01 最近のアンケートから/相転移プロダクション¶
ここ最近, あまりアンケートに答えられていなかったので, その回答をしてみます. 今後 1-2 年で集中的にやろうと思っているターゲットである, 高校生からのコメントがあった, というのもあります.
実際に自分でコンテンツを作ってみようという人もいますし, こんなコメントがつき, どんなところで困っているかを知ると, コンテンツを作るヒントにもなるはずです. もしあなたがコンテンツを作ろうと思っているなら, そういうスタンスで眺めてください.
宣伝: 前野昌弘『よくわかる熱力学』の査読¶
いきなり脱線ですが, 宣伝をしておきます.
知っている人は知っている, 琉球大の「いろもの物理学者」こと前野さんが熱力学の本を書いていて, それの査読者を募集しています.
- https://twitter.com/irobutsu/status/1222523529737801729?s=21
このツイートから募集ページに行けるので, もしあなたが興味があるなら, ぜひ査読に参加してみてください.
私は最近仕事で熱力学を使う羽目になりつつあるので, 復習も兼ねて査読に参加します.
ツイートからも辿れますが, 念のため参加の上での注意を転載しておきます.
これから査読していただく段階のものですから、 エラーや私の誤解による間違った記述などが含まれている可能性がありますので 「これで勉強しよう」という意図で査読に参加することはお勧めしません。
昨日の日記に、「これで勉強しよう」という意図で 査読に参加することはお勧めしません、と書いたのですが、 熱力学を全然知らない人は参加するな、という意味ではないです。 「知らない人から見るとここが難しい」という指摘はとてもありがたいので。 そういうわけで「よく知らない人の立場で査読するぞ」という、 ありがたいお気持ちでの参加でしたら、ぜひお願いします。
いま冒頭の数ページだけ読んだ段階でも気になるところがあり, コメントを書きながら読み進めています. 査読として問題点を明らかにするためという範囲ではありますが, 疑問があればかなり丁寧な返答が返ってくるだろうとは思います. 期間は短いですが, 前のめりに参加するならかなり得るところはあるはずです.
熱力学に興味があったがまともに勉強できなかったと思っているなら, 査読期間の短かさもあって, かえって集中して熱力学に取り組めるでしょう.
アンケートへの回答その 1: 現代数学観光ツアー¶
現代数学観光ツアーに高校生から, ある意味苦情的な内容のアンケートが来て, まさにその通りという趣の内容だったので, まずはその回答や展望からはじめます.
端的に言って「難しすぎる」という話です. まず毎度の言い訳からはじめると, あの講座は自分と似た感性で, ガチガチの物理・数学系の人だけが読む想定で作っています. 中高生の頃の自分が読んだら喜んだろうと思う内容で, 理解できるかどうかをほぼ一切考えていないので, それはそう, という反省点があります.
第 3 回については, 工学部の教員から 「難しすぎて読むのやめた」というアンケートまでもらっていて, ある程度理解したいという人も当然いるはずで, その点, 本当によろしくないのです.
こういう言い方もアレですが, 腐っても学部は早稲田, 修士は東大に入って曲がりなりにもそこで学術的には それほど大きな問題なく生きてこられた方なので, 私の感性なり数学的耐性なりは異常な方に振り切れているはずです.
アンケート項目で「面白い」にもチェックは入っていたので, 大枠としては同じような感性を持っている高校生にも 通信講座が届いていることには安堵はしていますが, 表に出ている講座が少なすぎる大問題は何とかしなければ, と改めて危機感を覚えました.
もう少し理解にも重点を置いた入門講座は作りたいと思いつつ, さらにゴリゴリの現代数学探険隊を作りはじめてしまい, 対応ができていない部分でもありました.
今年からはもう本格的に中高生向けの展開も考えはじめたので, コンテンツは充実させていきます.
現状の現代数学観光ツアーも, いまの 1 回分を独立講座にしてまとめるべき内容ですし, その辺も整備を進めています. やることがてんこもりなのですが, 優先度を設定しつつ進めています.
もう少しまともに中高生に向けたコンテンツとしては, 次の講座があります.
- 応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう 中高数学駆け込み寺
- https://phasetr.com/mrlp1/
現代数学観光ツアーがきつすぎると思ったら, ぜひこちらも受講してみてください.
アンケートへの回答その 2: 中高数学駆け込み寺¶
こちらにもアンケート回答はちょこちょこ来ています. ちょっと気になる回答があったのでコメントします. 大学所属の研究者かつ科学教育をやっているという方らしく, こう余計に気になったので.
「対応ルール」という見方をすれば、数列も微分方程式もベクトルも関数も同じものである、というのは目からウロコ、でした!
実はここ, 純数学的には微妙な書き方で, はっきり言えば誤解を招きかねない書き方をしている部分です. 数学の人間だけが気にすればいいと言えばいいところですし, プログラミングの視点/中高数学復習の視点としては, それなりに意味もあり, 害も少ないかと思って書いた部分です.
数学的にどう問題かはあとで書くことにして, まずプログラムを書くときの視点から改めて書いておきます.
プログラムを書くときのことを考えると, 関数も数列もベクトルも配列またはリストで表現します. 微分方程式も解だけ考えれば関数なので, やはりプログラム上での対応物は配列またはリストです.
こう思えば数列も微分方程式もベクトルも関数も, 広義の対応ルールで, 数を並べた配列です.
プログラム, 特に数値計算プログラムを書いたことがあるなら, この辺はおそらくごく自然な発想になるだろうと思います. 現代の科学教育では, 研究でも卒業後の進路に関する話でも, よくも悪くもプログラミングは欠かせない存在になりつつあるように思います. 現在の科学教育にそういう視点がどこまであるのか, かなり気になりました. 逆に言えばそこにいろいろやるべきことがあるのだろうとも思います.
いままさに次のような企画提案を進めているので, そこでも活かしたいところ.
- 理工系を志す中高生向け学習支援の提案 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-10-31.pdf
- 理工系教育の趣旨 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-12-14.pdf
最近は小学校でのプログラミング教育をどうするか, みたいな話もよくあります. 現場で対応しきれないのでは? という懸念も含めて.
ここでも次のようなツイートを見かけますし, この辺もどうなのかといろいろ思うところはあります.
- https://twitter.com/chibafx/status/1223150674851971072?s=21
- https://twitter.com/ssci/status/1223143536226234368
小学校のプログラミングの授業はこれで十分と思われ
スイッチサイエンスは、大人気のシングルボードコンピューターの最新モデル「Raspberry Pi 4」を手軽に利用することのできる、「Raspberry Pi 4 スターターキット(4GB RAM版)」を2020年1月30日に発売しました。
中高生にプログラミング教育をしようと思うと, そのマシンの調達も必要です. それをどう調達するか, マシンとして何を選ぶか, 資金面からも大きな問題です.
アメリカだと子ども向けにはタブレットであっても, 中高生に持たせるならやはり適切なスペックのノート PC で, 現状, そうでなければ少なくともプログラミングに関わる クリエイティブな活動には耐えきれない, とかいう話も見聞きします. どうしたものかと.
むしろ科学教育に対しては, それを物理・数学に関して受けただけであって, 科学全般に対して教育学を勉強したわけではありません. 専門的な知見や蓄積についてはそもそもアクセスする方法すら持っておらず, 自分・自分の身近なところの状況だけ見て, 「こういうのがあると嬉しかった」, 「こうしてくれると嬉しかったのに」という視点でしか活動できていません. 科学教育専門の方からのコメントをもらうと, その辺の自分の穴だらけさを改めて感じ, これでいいのかと恐ろしくもなります.
中高生の教育にも関わろうとしていて, それなりに子どもの将来に影響する活動を展開しようとしているわけですし, 最近の大学入試でベネッセが見せてくるような地獄を 自分が作り出さないとも限りませんし, 将来への配慮なく個人の狭い了見でやりきれる話でもないので.
数学的コメント¶
さて, いい加減数学的な問題について書きましょう. 一言で言えば, (十分に一般化された) 関数は単に対応ルールと思ってよく, むしろそう思うべきなのですが, 数列とベクトルはもっと特殊な対象だからです.
一言で言えば, 両方とも次元が違うだけで, 両方ともベクトルです. そしてベクトルは線型代数の対象であり, ベクトルが住む空間は線型空間であり, ベクトルはその制約を受けて, 和とスカラー倍が定義できる対象でなければならないのです. そして単なる対応ルールである関数には, 和もスカラー倍もへったくれもないのです.
これが中高数学として問題ないのは, 高校で出てくる関数は実数値または複素数関数しかなく, 実数値または複素数値関数の全体が線型空間になっていて, 本当にベクトルとみなせるからです.
再びここで問題になるのは, 講座の中でこれらが同じというのは対応ルールというより, ベクトル・線型空間の視点から見て同じであると言っていることです.
この線型空間という抽象論とその視点こそ, 大学教養の線型代数で 1 番難しい部分です. そこを理解する上で障害になりかねない記述で, その悪影響を懸念しています.
抽象線型空間論が必要な人がどこまでいるかなど, 数学サイドから見て考えすぎという可能性もありますし, むしろ抽象論を意識した数学サイドの気の回し方こそ, 応用サイドから見て邪悪な可能性もあります.
そのあたりの塩梅は難しいです. 通信講座を展開してみて, 思った以上にいわゆる文系の方も多く受講していること, 私が物理出身で早稲田水準で見てさえ抽象論への理解が厳しそうであること, 最近仕事で工学系の人との付き合いも増えている中での状況判断など, 振り切ってこう書いてもいいだろう, むしろこう書くべきではないか, そう思って書いた部分ではあります.
それでもやはり, 私の中の数学部分が「これはまずい記述になりうる」 と思いつつ書いた部分ではあるのです.
最後に: 自分のコンテンツの査読募集¶
既に大分長くなっていますが最後に改めて. 中高数学駆け込み寺の続編の有料コンテンツを作っていて, もう少しで叩き台が作り終わります. これの査読に参加してくれる方を募集します. 参加したいという方はこのメールに返信を下さい. 作り終わり次第, 個別にコンテンツの叩き台をお送りします.
前提として, 中高数学駆け込み寺と同じく, Python を使ってプログラミングします. 私個人でカバーしきれないので, 基本的に Python と必要なライブラリのインストールは 自前でやりきれる人を前提にします.
一応, Anaconda というサービス (?) を使ったり, Google Colaboratory を使えばインストールなしで 大半は動くとは思うのですが, Google Colaboratory での動作を完全確認するのも大変ですし, そういう点も込めた「査読」またはチェック依頼という話でもあります.
コンテンツは Jupyter Notebook 形式で配布するので, コードを写経する必要はありません. さらにコンテンツを完全に Jupyter Notebook 形式だけにしているので, 既存の本であるような, Jupyter Notebook にはコードしかなく, 本を一緒に見ながら勉強しなければいけない, といった面倒はありません. nbconvert を使って HTML 形式でも配布するので, 一部のアニメーションこそ実行できませんが, スマホでいつでもどこでも勉強できるようにしています.
プログラミングを軸にして中高数学を復習するコンテンツで, 上の中高数学駆け込み寺よりもう少し踏み込んだ議論をしています. 最近, 機械学習関係で統計学絡みのコンテンツは増えているので, その動きも見つつのコンテンツです.
ただ, 私はあくまで物理・数学系ですし, そういう視点からの議論がないのが非常に不満です. そこで微分方程式に関する議論を最後に突っ込んだところを 1 つの特長としています. 最後は流体力学に関する偏微分方程式を議論して終わります.
これも念のため書いておくと, 常微分方程式パートについては, 既存の中高数学駆け込み寺をそのまま収録する形にしています. 当然, この講座を受講していない方も対象にしていますし, レベル感もありますし, 既に受講された方にとって何度勉強してもいい内容だとも思ったからです. そして既存の配布コンテンツは全て Jupyter Notebook の形にまとめているわけでもなく, Jupyter Notebook にまとめた形で提供すれば, コンテンツ全体の一部として提供する範囲では, それだけでも十分な意義があると思ったからです.
あと, これもきちんと書いておきましょう. コンテンツを作ろうと思っている人に向けて, 有料にする意義を説明しておきます.
これまでコンテンツを作ってきて, 何度か言われたことがあるのです.
- こんなにいいコンテンツを無料で受講できるのは嬉しいが, 申し訳ない気分にもなる.
- 質問したいこともあるが, 無料のいいコンテンツを受講させてもらった上で, 質問までするなんて厚かましいのではないか.
- 「お布施」の意味も込めて有料のコンテンツを買おうかと思ったのだが, いまある有料のコンテンツは難しすぎて, さすがに買っても完全に無駄になりそうなコンテンツを買うのは二の足を踏む.
最後のコメントはまた別問題ですが, 上の 2 つは適切な有料コンテンツさえあれば, 気兼ねなく質問できたはずで, 貴重な教育機会を奪っているとも言えるのです. もちろん無料で勉強できるのはいい部分もあります. しかしやり過ぎると教育という, 優秀な人達の豊富なマンパワーが必要なところで, そこで食べていけるはずの人達の食い扶持を奪うことにも繋がります.
もう 1 つ「責任」の問題もあります. 実際, 私自身直面した問題でもあります. 無料でやっていると, 続ける責任が何もありません. 「もう余裕がなくなったのでコンテンツを公開し続けられなくなりました」, 「作る余裕がなくなったので今後はもうコンテンツを更新しません」, こういう話になります. 実際, 進めていたプロジェクトが頓挫したことなど何度もあります.
一方で, 有料の通信講座は 2 年にわたる内容がありますが, 有料で提供しているモノが「もう作れません」では無責任にも程があるので, 2 年間, 本業と並行して毎週新たなコンテンツを作り続けるのは大変でしたが, それでも続けられたのは有料ゆえの責任感です.
有料になると受講できる人数自体はもちろん絞られます. しかし受講する人達も「元を取ろう」と真剣になりもしますから, 学習意欲は多少なりとも高くなるはずなのです.
それ以外にも, 世間のよくない風潮として, 無料のコンテンツは「その程度の大したことない内容だ」と刷り込まれている部分もあり, 無料だとそもそも気合を入れて勉強しない・できないという問題もあります.
この辺のいろいろなことを考えながら, 有料・無料を使い分けてコンテンツを作っています. この辺の判断基準もぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
2020-01-25 数学・物理・プログラミングの 3 点セットで行こう/ 相転移プロダクション¶
まず本題と全く関係ない話をします. 次のツイートに量子ハッカーとかいう単語が出てきました.
- https://twitter.com/hottaqu/status/1219475110458822656
多分世界的に、その量子チャンネル特有の脆弱性を見つけてサイバー攻撃をする「量子ハッカー」人材の奪い合いになる気がする。裏側の部隊はもちろん、正規の表部隊でも。
Twitter 検索するとどうやら FGO (Fate Grand Order) でも出てくる単語のようですが, たぶんそちらの話とは関係ありません.
要は量子情報をきちんと知って応用できる人の話です. 情報系の本質的な素養は 0 とはいえ, 私も多少なりとも量子系の人間ですし, やはりハッカー (クラッカーではない) にはそれなりの憧れを持っています. こう言われたらやりたくなるわけで, 量子情報の勉強をはじめてみました.
改めてやりはじめてみて思うのは, やはり量子測定理論は楽しそうだが量子情報だとだいぶ興味関心が違うこと, 楽しみ方がよくわからない厳しさがあります. 一人だと心が折れるタイプのやつだという感覚があります. まあできる限りがんばってみます.
ちなみに一緒に勉強してみたいという方, いるでしょうか? 自分一人だとどうしても雑になる一方, 誰かと一緒にやると細かいところまで詰められてよいので, 興味がある方いらっしゃれば一緒にやりましょう. 数学ではなく物理がやりたいので, 必要な数学的予備知識はほぼ完璧な方がいいです. 具体的には数学科水準で線型代数ができて, 量子力学の基礎はおさえている方がいいです.
ここから本題です. 前回, 地雷コンテンツをどう避けるかという話をしつつ, 数学・物理の勉強を続け, 応用していく上でプログラミングが大事になりつつあって, それをどうするか, というような話をしました. そして実際, その手のコンテンツを改めて作っているとも.
今年から本格的に中高の理系教育に乗り出しますし, 自分のようにコンテンツを作っていく人をもっと増やそうという心算もあるので, それに絡めた話をします.
まずコンテンツを作ろうという人に向けてお話をします. これは今後, 私自身もこういうスタイルを使ってコンテンツを作っていき, そして販売もしていこうという話でもあります. 中高生に向けて理工系教育をする上で, それで具体的に食べていけるという話もしなければならないと思っています. 知っている人は知っているポスドク問題も, 収入・生活の問題だからです.
ちなみに今回はやりませんが, 上で書いた勉強会も適切なスタイル・方針でやれば, そのまま有料の勉強会にできます. 自分は自分として勉強しつつ, それでお金がもらえる話にもできます.
こう書くと「ふざけているのか」と思う人もいるようですが, 実は割とふつうのことです. 大学の教員でも, 自分が興味ある分野で勉強しようと思っていることを, 学生セミナーで学生にやらせて勉強するという人が本当にいます. これは研究, つまりそれで食べていくこととも直結しています. もちろんそれで研究することまで含めているので, 学生自身, その勉強したテーマで研究できるようになる可能性も十分にあり, その意味でもおかしな話ではありません.
こういうスタイルで有料勉強会を開くのもありなので, もしあなたに興味があれば, ぜひやってみてください. 一定の力量があって指導するというスタンスを持つなら, 数学・物理・プログラングなら需要はあるはずです.
買うだけ買って全ては読み切っていないのですが, 1 つ参考になりそうな本として次の本を勧めておきます.
- Anders Malthe-Sorenssen
- Elementary Mechanics Using Python: A Modern Course Combining Analytical and Numerical Techniques
- https://www.amazon.co.jp/dp/3319195956
いまよくも悪くも科学技術計算では Python が覇権を取っています. 最近は Julia が出てきたり, 速度面では C/C++ の代わりに Rust が台頭しつつあるようです. ただ, それでも基本的な情報量は Python が圧倒しています. いま流行りに流行っている統計学・機械学習関係も 射程距離に入るからです.
よほど強いこだわりがない限り, とりあえず Python を勉強するのを勧めます.
私は速度面の問題なども気になるので, いま Rust をメインに勉強したりもしていますが, 実は一番使ってみたいのは F# です. 次のページを見て, C# のライブラリ群も使えてかなりバランスがよさそうで, かつ成熟していそうだからです.
- https://qiita.com/cannorin/items/59d79cc9a3b64c761cd4
ふだん仕事で Haskell を使っているので, 別の関数型言語を使うことで仕事に直接活きるだろうとも思っています. いろいろやりたいことはあるのですが, なかなか時間が取れません.
あと上の記事を書いた人と Twitter でやりとりして, F# での数学には致命的なほど情報がない問題もあるようでした. いまの状態で細かいことを調べつつやっていくのは大変なので, 会社でも微妙に話題に上がったことがある Rust にしようと思って Rust にしました.
もしあなたが F# の数学に詳しいなら, ぜひ教えてください.
話を元に戻しましょう. 自分で勉強しつつ, そのネタで有料の勉強会を開いたり, コンテンツを作ったりする話です. 実は私の中でいまの話とも大きく関係するのですが, 実は最近, 少なくともプログラミング界隈では 海外の大手出版社が次のようなことをしはじめています.
- 本を作りかけの状態で安価で販売する.
- 購入者をレビュアーにしつつ, 場合によっては 1 年以上かけて本を執筆する.
- 執筆し終えたら, 正規の値段での販売に切り替える.
- もちろん安価に事前購入していた人には完成版も同じ値段で提供する.
例えば次のページ・本での MEAP がまさにそう.
- https://www.manning.com/books/rust-in-action
これ, MEAP began July 2017 Publication in April 2020 となっていて, 3 年近くかけてまだ完成していないわけで, こういうのが本当に商業ベースに乗っているのです.
先の話とどう関係しているかと言えば, 「自分はよく知らないテーマでの有料勉強会開催」も, 要は作りかけのコンテンツです. 別に有料にはしませんが, 私の量子情報学習に関していえば, それに必要な最低限の数学と物理は備えていて, 必要ならそれはフォローすると言えるわけで, これが「作りかけ」にあたります.
最近流行りの工業系クラウドファンディングも同じです. こちらはもっと積極的に, 先行投資してくれた人達には安価に提供するから開発費がほしい, そういう名目でさえあります.
前もどこか・何かで書いたような気がするのですが, 教材作成サイドとしてお金を取ることの「メリット」はあります. 何かというと, もうお金をもらってしまっているので, 完成に対する強い義務ができるのです.
完成を前提に何かしようと思うと, やっているうちに「これでいいのか」と思いはじめ, 作るのをやめてしまうのです. 数学・物理に限らずコンテンツを作ろうとしている人が身の回りにたくさんいるのですが, みな途中で心が折れます. それを強制的に立て直すのがお金をもらったことに対する義務感です.
実を言うと, 私が以前有料の通信講座を作ったときはまさにこのスタイルでした. 配信に追いつかれないようにはじめに 2 ヶ月分程度は作っておきましたが, あとは最初に受講された方のペースに追いつかれないように, 作りながら進めていたのです.
そうはいっても, と思う人はいるでしょう. そこで今度, 私自身, この手のクラウドファンディングスタイルのコンテンツ販売をやってみようと思います. ぜひその様子を見てどうするといいか, どんなスタイルなら自分でもできそうか, 見極めてみてください.
最後に補足しておくと, もともと私はニコニコに数学・物理の動画を上げるところからはじめました. いわゆるボランティアで無料でコンテンツを作っていたわけです. そこから通信講座作成・メルマガ配信などで経費がかかる活動がはじまり, このくらいはペイしないとさすがにきついと思いはじめて今にいたります.
スタートは無料ベースでも構いません. 取り組み方はいろいろあります. ただ, 私がやってみつつ, 他にもいろいろな人の活動を見たり話したりしてきて, 一定の商業ベースに載せないとそもそも継続性がなくなることはわかっています. 無料だとかえって変な人が入ってきて, 文句ばかり言われて嫌になる, そんな様子も見てきました. 楽しく続けるためにも何かしらの形でマネタイズはどうしても必要なようなのです.
自分自身を含め, いろいろな人が痛い目を見てきた末の話なので, ぜひ参考にしてください.
ではまたメールします.
2020-01-18 地雷コンテンツとの戦い/相転移プロダクション¶
ここ数日 Twitter ではオリエンタルラジオ, 中田敦彦の「YouTube 大学」が燃えていますが, いかがお過ごしでしょうか.
これに関していくつか共有しておくべきことがあると思い, メルマガを書いています. 結論から言うと, 「どうやっていいコンテンツを探せばいいか」です.
実はこれ, 私もよくはまる問題です. 数学に対してさえそうです. 例えば, 非専門の分野では数学でさえどんな本がいいかわかりません. そもそもどんな本があるかさえわからないし, どんな分野があるのかさえわからないので, ぴったり興味がありそうなモノ・こと・分野があっても, 気付くことさえ難しいのです.
これもはじめに言っておくと, 私の対処法はゆるく薄く専門家とつながっておくことで, Twitter はまさにそのために使っています.
もちろん, 現実的には皆が皆, 私のような対処法が使えるわけでもありません. そしてはじめに書いたような, 少なくとも専門家から見てよろしくないコンテンツを掴まされる厳しさもあります.
そしてもちろん, 世の中, 専門家から見てよろしいコンテンツだけが望まれているわけではありません. それでも私のメルマガをわざわざ読んでいるあなたは, しっかりしたコンテンツで勉強したいと思っているはずですし, 自分自身でもそういうコンテンツを作っていきたいと思っているはずです.
そこで特にこれから自分でコンテンツを作っていこうという人に向けて, 簡単に状況を話しつつ, 私がこれからやろうとしていることなども簡単に説明しようと思います.
まず次のツイートとリプライを引用します.
- https://twitter.com/hamukazu/status/1218002351287484416
- https://twitter.com/kamo_hiroyasu/status/1218004708670898176?s=21
ざっと見た感じでの印象ですが、YouTubeで歴史を学ぶのはやめたほうがよさそう。数学を学ぶのはまあまあいけそう。 それは、はむかずさん、数学動画に地雷探知能力が働きますから。地雷探知能力を持たない初学者にはきついです。
これははじめに書いた中田敦彦問題です. 数学にもいいコンテンツはあります. 例えば大学の数学科, それも京大の雪江先生 (著名な先生です) の講義なども配信されています.
- https://www.youtube.com/watch?v=pZMusy4HJjI&list=PLOD7NSMz_CFRX4PBdVD3dkp7BBM75EbXS
ただ, これに辿り着けるか問題があり, さらに「京大の数学? 私についていけるのだろうか」問題が出て, 辿り着けても見ようとしない人もいるでしょう.
大学の講義だとある学科に特化した形になってしまうのも問題です. 自分の専門は違うがある他の分野の議論が必要になり, そして自分の問題意識や言葉で語られたコンテンツがほしいのにない, という問題もあるでしょう.
要は物理数学みたいなものです. 工業数学やら経済数学みたいな形ならありますが, 「物理出身だが遥か昔のことでもはや物理さえ怪しい. 物理に程よく触れつつその勘を取り戻せて, 必要な数学もバランスよく説明してほしい」 という虫のいいコンテンツがあるかといえば, まずありません.
物理数学だとそこまでの物理の知識などは仮定されていて, そこさえ怪しくなっていると物理出身の人でさえ厳しいのです. あなたもそうかもしれません.
こういう問題があるので, 物理数学のような山ほどコンテンツがあるテーマでも, 独自の視点でコンテンツを作る意義はあります. そもそも自分も勉強し直す過程をそのままコンテンツにすることこそ 大事だったりします.
物理数学なり何なりに関して, 最近一般向けにうまいところを突いているのはやはりヨビノリでしょう.
- https://www.youtube.com/channel/UCqmWJJolqAgjIdLqK3zD1QQ
私は耐えがたいのでもう見ていないのですが, あなたにとっていいコンテンツである可能性はあるので, 紹介しておきます. 本もあるので, 必要なら買ってみてください.
- https://www.amazon.co.jp/dp/4489023162
- https://www.amazon.co.jp/dp/4815601747
もちろん酷評している人もいます. まさにヨビノリ (予備校のノリ) のノリが合わないのでしょう. 万人受けするコンテンツを作ることなど無理なので, 一部の人に酷評されようとも, 自分の信じる「よいコンテンツ」を作る気概が必要です.
こんなレビューがあったりもします.
執筆されたたくみ先生のYouTubeチャンネルは大学数学を主に扱っており、 当然、わたしには理解できないハイレベルの講義がほとんどなのですが、 先生の持つ独特の雰囲気、 人柄の魅力により「冒頭のボケだけでも見てみようかな」なんぞとつい再生ボタンを押すことがあります。
そんな、たくみ先生の扱うレベルの講義を少しでも 理解できる日がくるかどうかはわかりませんが、 少なくとも、ド文系のわたしが抱いていた「数学」に対する嫌悪感は消えていました。
わかるかわからないかではなく, コンテンツから滲み出る人柄とかそういうレベルの話もあるのです. 特に最後の『少なくとも、ド文系のわたしが抱いていた「数学」に対する嫌悪感は消えていました。』 は人によっては本当に決定的な要素です.
そのヨビノリ筋の話をもう少ししておきます. ヨビノリのたくみさんは「教育系 YouTuber」界隈ではすでに一定の知名度があるので, その知名度を活かしていろいろやれるわけです.
その中で次のような話があります.
- Twitter https://twitter.com/jaguring1/status/1215603760304553985?s=21
数学検定1級に9歳で最年少合格した少年に会ってきた話 https://note.com/yobinori/n/nf00745ab61d9 どのような教科書や参考書を使って勉強したのか?という質問に対し 少年「そういうものは持っていない。全部YouTubeを見て勉強した」 すごい。数学者や科学者による講義動画がもっと必要なんだろうな
どちらかというと, これが今回の本題です. よくも悪くも YouTube のコンテンツで勉強している子供達がいるのです. ここに「子供向け」のいいコンテンツを置くことはかなり大事になってきています.
はじめに書いた中田敦彦問題はここでも出てきます. YouTube に限らず, コンテンツはいつでもどこでも玉石混淆です. そして玉石概念も人によって変わります. 私が作るような「ゴリゴリのコンテンツは嫌だ, それは石なのだ」 という人ももちろんいるわけです.
一方で私が作るようなコンテンツこそ求めるものだった, そういう人もいるわけです. 年始のメルマガで書いたように, 今後中高生向け教育に本格的に舵を切ろうと思っているので, そこに向けて布石として YouTube コンテンツを作っていこうと思っています.
ちなみにネタとしては私にとってはド定番・ド直球の物理・数学融合ネタです. もっといえば, そこにプログラミングまで絡めます.
前から言っていますし, 昨日・今日も Twitter で呟いたのですが, 数学と物理, 数学とプログラミング, 物理とプログラミングのペアでできる人はいても, 物理・数学を専門とする学生のレベルで学部 2-3 年程度の知識を持ちつつ, プログラミングもある程度できて, しかも物理や数学に関する数値計算の知見を持つ人となるとほぼ絶無です.
まず物理と数学を学部 2-3 年のレベルで両立している人がほぼいません. 大学には一定数いますが, コンテンツの形で社会に広く出てくることがありません. こういう人たちでプログラムができる人ももちろんいますが, 逆にこの手の数物系大学関係者でプログラムの話をする人がほぼいません. 実は物理よりの理論系なら「研究にプログラムも使っている」人はこれまた一定数いますが, それを何らかの形でコンテンツに練り上げてくる人がいないのです.
私はこの辺の微妙な匙加減を突こうと思っています. そのための第一弾の無料講座が先日も案内した https://phasetr.com/mrlp1/ です.
何かタイミングでもあるのか, 最近新たにいくつかアンケートで反応が来ています. いまはこれを拡充して中高数学, 特に高校数学をプログラミングの視点から ある程度網羅的に扱うコンテンツを作っています. あと 1 月くらいでできそうです. 使う言語をマニアックにしても仕方ないので, 言語は Python です.
あとで案内ページにも書くのでここにも書いておくと, 最近機械学習の隆盛があって同じようなコンセプトの本はたくさん出ています. ただ, numpy を使って純粋に数値計算ばかりする本が多く, 厳密な数式処理も必要な中高数学の復習には向かないと思っているので, sympy の解説を多く盛り込んでいます.
sympy を使って高校数学を解説している本も見つけました.
- https://www.amazon.co.jp/dp/4822295915
きちんと中身を見切ってはいませんが, 大まかに言えばコンセプトは同じだろうと思います. 雑に眺めただけのせいで見落としたのかもしれませんが, sympy を使っていることはあまり強調していないようでした. もったいないと思います. これ, sympy の解説もちょっとゆるい (少ない) ようですが, 私の新たなコンテンツはもう少しこってり紹介しています.
ここまでの話だと「二番煎じをやってどうする」という突っ込みが来るでしょう. ここで私の趣味が発動します. 物理ネタとして微分方程式の話もします. 上で紹介した無料講座では常微分方程式の話だけでしたが, 偏微分方程式の話も盛り込みます. それも応用上重要な流体力学からネタを取ります.
これもついでに言っておくと, 数値流体力学という巨大な分野があり, 大学でも精力的に研究されています. そして企業でも実運用されています. いまの私の仕事も強く関係しています.
入門レベルで偏微分方程式の数値計算をそこまでゴリゴリにやるのは無理ですが, 最近のプログラム+数学コンテンツは機械学習ネタばかりで, 子供の頃の私が知りたかった物理関係の話が全くありません. なのでその辺まで 1 パックにしたコンテンツを作るのが目的です.
一応, 最低限のプログラミングが読み書きできる人向けのコンテンツとして企画・制作しているので, そのままふつうの中高生向け教材に転用するのはどう考えても無理ですが, これを元にブラッシュアップさせていくつもりです.
こう書くと, 自分なりの独自性をコンテンツの内容に 組み込まないといけないと思う方がいるかもしれません. しかし先程ヨビノリ話で書いたように, 滲み出る人間性や人柄の「ファン」になる事案もあります. 全く同じ内容であっても, 「あなたが語っている」ことそれ自体に独自性がつきます. もしコンテンツを作ってみたいと思っているなら, ぜひ挑戦してみてください.
自分が詳しい分野の話をする必要さえありません. 人によっては教えてもらうことよりも, 一緒に勉強していこうと思っている人とともに歩んでいこう, そういう要素を重視している人もいます.
いいコンテンツができたと思ったら教えてください. 共有すべきコンテンツ・内容ならメルマガでも紹介します.
ではまたメールします.
2020-01-11 相対性理論のための数学?/相転移プロダクション¶
次の無料講座のアンケートで, 物理出身の方から「相対性理論がやりたい」, 「相対性理論の数学をものにしたい」 みたいなコメントが来ました.
- 応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう https://phasetr.com/mrlp1/
アンケートの性質上, 短文でポンと書かれていて意図が正確に掴めておらず, 私との認識のギャップもあるでしょう.
それを承知の上で, あくまで物理として一般相対性理論を 1 から勉強する (し直す) 前提でいくつか書きます. わかっているかどうかは別として, いわゆる教養の数学は使えて, 学部 2 年くらいまでの物理の本は読めることを前提にします.
結論から言うと, 物理をやりたいなら物理に集中すべきで, 相対性理論に関わる数学を勉強するのは控えるべきです. ここでいうのは多少なりとも数学科の数学水準で勉強しようとすることで, 例えば多様体論を勉強しようとか, リーマン幾何を勉強しようとか, そういう話です.
物理として勉強していく上で大事なこともあり, それも書きますが, まずは数学面の話をします.
たいていの一般相対性理論の入門書には, 必要な数学的予備知識も書いてあるはずで, そして数学に関してそれで十分なはずです. そこにある数学の解説が読めないなら, そもそも一般相対性理論を勉強する水準に逹していません. 「習うよりも慣れろ」の側面もあるので, 本を読み進めてとにかく使い倒して慣れることも考えるべきです.
どうしてもその数学解説を読んでもわからない・使えない場合, 何がハードルなのかはあなたの状況によりますが, 1 つ, というかおそらく 1 番ありうるのはテンソル解析でしょう. それ以外で詰まるのは教養レベルの数学が使えない以外に考えられません. (私はそういうレベル設定で考えています.) これも数学の本を読むより, 電磁気学あたりでベクトル解析をゴリゴリ使い倒せるようにするのがいいと思います.
一応, 数学科水準での数学の勉強が, とりあえず物理として一般相対性理論を勉強しようというとき, ほとんど役に立たないことも説明しておきます.
まず, 一般相対性理論に必要な数学は準リーマン幾何 (擬リーマン幾何) です. これが数学としてまともに書いてある本は日本語ではないように思います. 岡部洋一さんの「リーマン幾何学と相対性理論」はありますが, もちろん数学科の数学の本ではありません.
- https://www.amazon.co.jp/dp/4903814696
一般相対性理論の数学の解説で足りないならこれを読んでみるのも一手なのかもしれませんが, それはまた別の話です.
ちなみに洋書なら準リーマン幾何について書かれた本や, 準リーマン幾何と一般相対性理論について書かれた数学の本もあります. もちろんこれらを読むためには基本的な数学を知っていなければなりません. 特に基本的な幾何の素養 (多様体論・リーマン幾何) はありつつ, 準リーマン幾何だけはよく知らない, というタイプの人に向けて書いてあったりもするので, 凄まじいハードルがあります.
この間 Twitter でも少し書いたのですが, 多様体に必要な数学というと集合やら位相やらをイメージする人が多いようです. しかし, 実際にはそれ以上に, 微分積分と線型代数の力が問われます. 例えば, 物理で出てくる添字だけのテンソルではなく, テンソル代数という代数の理解が必要です. そこから商空間を取って微分形式の空間を作るので, 数学科の数学の水準で線型代数の基礎事項を身につける必要があります.
微分積分・微分方程式論に関してもかなり甘く見ている人が多いように思います. まず微分積分に関して, 必要なのは陰関数定理・逆写像定理です. これを使う部分こそ非数学科の人には大切であるにも関わらず, これらを使い倒せることが前提にされています.
微分方程式に関しては幾何に耐えるレベルで常微分方程式論を勉強している非数学科の人はまずいません. 必要なのは常微分方程式の解の存在と一意性に関する議論です. 指数写像のようなリーマン幾何に関わる基礎事項で, この定理が引用されます. 局所解と大域解の存在の違いが幾何として本質的なので, そこまでわかっていないと詰まります.
物理学科の人間が物理を勉強する適切なスタンスを身につけているなら, その辺はいくらでもどうとでもなるのですが, 「数学」にこだわる姿勢を見せた時点で, たぶんそのスタンスが発動しません.
一般の理工系の人と話していて, 「微分積分と線型代数はわかるんだけど」と言われることがあります. そしてそれはたいてい「ある程度計算ができる」程度の意味しかなく, 上でコメントした必要最低限の水準には全く達していません. 経験上, 全くです. 逆に言えば, 幾何を数学的に勉強する上で, そのくらい線型代数と微分積分の水準が尋常ではないほどに高いのです. 身近な若手の物理学者を見ていても, そこまでわかっている人はそういません. 理論の人であっても, です. 数学として幾何をやるにはそのくらいの要求水準が課されると思ってください.
もちろん, あくまで一般相対性理論の物理に興味がある人にとっては, 単に物理がやりたいだけなのにそこまで要求されるのは耐えがたいでしょう. 実際, 必要ありません. だから, はじめに書いたように, 一般相対性理論の入門書にある解説でどうにかしてほしい, そう書きました.
さて, そろそろ物理の話をしましょう. 大人になってから再勉強する人がよく陥る問題があります. やたら本格的でぶ厚く難しい本を読みたがるか, 薄くてわかりやすそうに見えつつ, 必要な説明さえ省略されていてかえってわかりにくい本を読んでハマるか, です.
1 つの対策は状況と目的に応じて読む本を変えることです. 元の講座, 「応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう」 の募集ページにも書いたので参考にしてください.
- 応用からの中高数学再入門 自然を再現しよう https://phasetr.com/mrlp1/
一般論は上で紹介した募集ページの記述に任せて, ここではもう少し具体的に書きます. 薄めで全体像を掴みやすい本としては, ディラックの『一般相対性理論』を勧めます.
- http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480089500/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480089500&linkCode=as2&tag=phasetr-22
文庫本で 172 ページなので驚くほどに薄いです. 江沢先生のコメントや挿絵もあります. まずは細かいところは気にせず, わからないところがあっても深くは気にせず, この本を最低でも 2-3 回は眺めて全体像を掴みましょう.
そのくらいはやってからきっちりした本を読むようにしてください. 残念ながら本格的なタイプの本について, 私は詳しくありません. 定評のある本くらいは知っていますが, きちんと読み込んだわけでもなく, 物理の本の最近の出版動向も追い切れていません.
有名どころは次の記事にまとまっています.
- http://generalrelativity.hatenablog.com/entry/2018/03/10/125132
やはりシュッツは有名です.
全く読めてはいないのですが, 次のような本もあります.
- 一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する https://www.amazon.co.jp/dp/4860644980
ふつうに物理として勉強するだけなら, 一般相対性理論の本はたくさんあるので, いろいろ眺めてみてください.
本の紹介記事にもあるように, 必ずしも一冊の本をくまなく読み切る必要はありません. 一冊 4000 円も出せば買えるので, 何冊か買ってみるので手です. 知覚に図書館があるなら, 購買申請してみるのもいいかもしれません.
私は既に感覚が麻痺してはいるものの, おそらく一般的に見て本に対して 4000 円が安いとは思いません. しかしこれで年単位で遊び倒せると思えれば, 相対的には安い買い物だろうと思います.
そうは言っても 4000 円が出せない状況にある人もいるでしょう. あなたもそうかもしれません. そして中高生読者もいるので念のため書いておくと, 物理学者が講義ノートを公開してくれていて, ネットで検索すればそれが出てきます. いろいろな意味で質は保証されていません (計算がかなり省略されていたりもする) が, 勉強はできます. 探せば YouTube で講義動画も上がっています.
- (英語) https://www.youtube.com/watch?v=hbmf0bB38h0
英語の動画を紹介しましたが, 英語で探せば本格的な講義録も見つけやすくなることはお伝えしておきます. 200 ページ近い本のような講義録さえあります.
- http://www.roma1.infn.it/teongrav/VALERIA/TEACHING/RELATIVITA_GENERALE/AA2015inpoi/dispense.pdf
いろいろ探してみてください. そしていいのがあれば教えてください.
ここまで読んでいる方がどのくらいいるのかわかりませんが, 熱心に読んでくれたあなたのために少しアナウンスします. 結論から言えば, 物理の勉強会をやろうかな, というところです.
いままで数年間, 今回のように「物理のための数学を勉強したい」 という方は多く, そのたびごとに 「数学よりも物理に集中しよう」と言ってはきたのですが, それでも数学をやりたいという方のためにずっと数学方面を整備してきました. ただ, やはりいい加減物理の話もしないといけないとは思っています.
今年から中高生向けの話も本格化させますし, そこでは理科, もっと言えば工学よりの話もしたいですし, そうなると物理の話は本格化させざるを得ません. 一般相対性理論のようなゴリゴリの理論物理の本格始動は来年からと思っているのですが, 早い段階で調整ははじめたいと思っています.
そこで, とりあえず相対性理論にしぼって, これを本格的に勉強してみたいという人がいれば, オンライン勉強会を開きます.
ただいくつかの条件があります. このオンライン勉強会では私は講義しません. いわゆるゼミ形式で, 参加者が発表します. 週に 1 度, 1 時間を考えています.
ここ 1 年くらい, 私も発表者側に回るオンライン勉強会をやっていて, そちらの様子は掴めつつあるのですが, 私が主催しつつ私が全くしゃべらないゼミ形式はやったことがなく, IT 知識や持っている周辺機器など含めて, 参加者の状況が掴めない状況で募集するのもはじめてなので, その点, かなり挑戦なのです.
スマホだと厳しいでしょうから, PC かタブレット利用が前提になるでしょう. TeX が使える人は LyX でやるのもお勧めです. 講義で書いた内容があとでそのままノートとして配布できるので.
相対性理論といっても特殊と一般がありますし, まずは特殊相対性理論という方もいるでしょう. もっと言えば, 関係する数学さえ怪しいという人もいるでしょう. そういう人であっても必ず講師サイドに回ってもらいますが, 読む本などは配慮します. 例えば次の本は特殊相対性理論に関して, 高校数学くらいからはフォローしてくれています.
- http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480094423/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4480094423&linkCode=as2&tag=phasetr-22
少なくとも都市圏ではリアルの勉強会をしているところがあるので, リアルの勉強会を希望される方はそれを探してみてください. リアルにすると地理的な問題が出てくるので, ここではやりません.
参加希望者がいなければ今回はやりません. 逆に希望者がいれば 1 人でもやります. もしあなたにご興味があるならどうぞ.
念のため書いておくと, ゴリゴリの物理の学部生や院生が来るとは思っておらず, 基本的には趣味でのんびりやる勉強会になる想定なので, そういうつもりで参加表明して頂けると助かります.
この間, 9 歳の男の子が YouTube で講義動画を見て勉強している, という記事を見かけました. 先日メルマガで宣言したように, 今年から中高生向け教育に本腰を入れるので, YouTube に講義動画を上げるのも大事なのだろうと思っていて, その辺もいろいろ検討中ではあります.
ではまたメールします.
2020-01-01 中高大連携と職業教育を目指す/相転移プロダクション¶
明けましておめでとうございます. 今年もよろしくおねがいします.
さて, 早速
- 理工系を志す中高生向け学習支援の提案 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-10-31.pdf
- 理工系教育の趣旨 https://phasetr.com/members/myfiles/file/math_plan_2019-12-14.pdf
本当は去年のうちに宣言しようと思っていたのですが, 去年の年末は体調不良でヘロヘロだったので, このタイミングになりました.
去年はどんなことをしようかとずっと迷走していて, 後半も後半になってようやく次の方向性が見えてきました. そして少しずつその方向性に向けて進めていて, そのための資料が上の 2 つの PDF です.
去年, 広い意味での知人が地元の区議に当選しました. そこでこの人の伝手を辿って, 地元の中高生を相手にした教育サービスが展開できないかと思い, そのために作った提案書が最初の PDF です.
2 つ目の PDF は, 区議の方から区の担当者に話をつないでもらえたので, その人と話すときの参考資料として作りました. 本当は 12/24 にその初回面談をする予定だったのですが, 体調不良で流れてしまい, いま新たなスケジュールを調整中です.
詳しい話は資料を見てもらうことにして, 要は長いことかかったものの, ようやく新たな方向性に踏み出しました. もともと数学・物理系の情報発信をはじめたときにも 中高生向けの活動をやりたいと思っていたので, その意味では 10 年越しです. まだ腰を上げただけでこれからどうなるかもわかりませんが, 去年, 1 つでも具体的な新しい動きをはじめただけでも大きなことです.
何故この資料を公開したかというと, あなたにも同じようなことをやってほしいからです. 時々, 数学・物理以外でも, 私のようにコンテンツを作ったり情報発信してみたいという方がいます.
これまであまり情報発信の仕方それ自体について, ほとんど話をしたことがありませんでした. この手の話ももう少し出した方がいいのだろうとも思い, 今回改めて具体的な提案書を出してみました. 早稲田・東大出身を前提にした話など, そのまま使えない部分もあるでしょうが, 話の骨子は使えるはずです. ぜひ参考にしてください.
そして実はこの提案には裏テーマがあります. それは実際に中高生にお金を稼ぐこと, 将来の生活まで意識してもらうこと, できればその実践までやってもらうことです. プログラムを教育の 1 つの軸に入れている理由でもあります.
区向けの提案としてそのまま盛り込むと問題が起きそうなので, 明確には書いていません. しかし私の地元に関していえば, 昔の私のように家が貧乏で学費を稼ぐ必要がある子供もいるでしょうし, そういう点も含めて「食っていく」意識を持ってほしいのです.
これに関して, ちょうど昨日, 次のような中学生の話を聞きました.
- キメラゴン 月収7桁中学生 https://twitter.com/kimeragon01/status/1211856695871193091
月収数十万を稼いでいる中学生で, その稼ぐための勘所を伝えるコンテンツを販売しています. いまの時代, もはやこういう中高生は珍しくありません. こういう「強い」中高生を育てたいのです. もっと言えば私自身こういう強い中高生になりたかったですし, 「昔自分がほしかったモノを作る」というのは私がコンテンツを作り, 情報発信する強いモチベーションの源泉なので, ここまで見据えた活動をしたいと思っています.
ここまで書いて思い出したのですが, 実は去年, コンテンツ作成や情報発信に関するコンサルもはじめて, クライアントが 1 人できたのでした. 来年, この手の活動も本格化させるべく今からいろいろ考えています.
このコンサルのためにも自分自身でいろいろ実験して, 新たなコンテンツを作って展開していきます. まずは中高大の数学を連結したプログラミング系のコンテンツを作るのが第 1 目標です. これも去年から企画をはじめて制作に取りかかっています.
今年はこんな感じで, 本格的に中高生向け数学・物理, 中高大連携, 広い意味での生涯学習・職業教育みたいなところをやっていこうと思っています.
最後, 流れを無視した話になってしまいますが, 物理や物理に関する数学について, 質問・要望を頂いたので念のため案内しておきます.
いまある無料の講座は次のページにまとまっています.
- https://phasetr.com/blog/2014/06/09/%e3%83%88%e3%83%83%e3%83%97%e5%9b%ba%e5%ae%9a%e8%a8%98%e4%ba%8b%ef%bc%9a%e3%83%a1%e3%83%ab%e3%83%9e%e3%82%ac%e3%83%bb%e6%95%b0%e5%ad%a6%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7%e3%83%bb%e3%81%9d%e3%81%ae%e4%bb%96/#i-7
一応, 公開できる状態のモノもあるのですが, まだここのページに追加できていません. その辺は今年どんどん追加していくので, しばらくお待ちください.
それぞれの講座で設定したレベルや内容については, 各登録ページを見てもらえばわかります. 登録ページだけ見ても勉強になるように書いているので, 興味があるコンテンツはぜひ登録ページを眺めてみてください.
また, 有料にはなってしまいますが, 解析学, 特に学部の物理で出てくる解析学を 数学的に厳密に展開した PDF コンテンツを販売しています.
- https://phasetr.com/mtexpdf1/
最近, 物理や工学でも幾何の重要性が高まっています. 解析学に集中した内容ではありますが, 幾何にも直接活用できる内容です. 幾何系の講座を作っていて, やはり何だかんだでちょっと踏み込んだことをしようと思うと この解析学講座の内容はガチガチに必要になるので, 自分の知識を整理して, 自分が苦労せずわかるように丁寧に証明もつけておいてよかったと思っています.
書くべきことはもっといろいろあるのですが, 長くなってきたので今回はこの辺で終わります. 去年は迷走し続けていたものの, 後半でようやく方向性が見えてきたので, 今年はそれに向けて突っ走ろうと思います.
ではまたメールします.