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先日紹介した堀田さんの量子力学の本がそろそろ出ます. そして堀田さんが次のようなツイートをしていました.
ツリーから引用しておきます.
理論物理学私塾や物理教育インフルエンサーの皆さまに、この教科書に沿った量子力学のオンライン授業を常識的な授業料で行って頂ければ嬉しいです。教科書を買って著作権を守って頂ければ、開講されてもこちらは他に何も要りません。この国で民間の物理学高等教育の場が成熟することを願っております。
私塾などで理論物理学を教えることで、教育する側の生活が成り立つような環境が、この国中に広がることを夢見ております。
極めて例外的だとは思いますが、大学教員の皆さんが無料で、ご自分の大学の学生ではない一般の方に向けて、この教科書に沿った内容の本格的な授業をするのはお避け下さい。私塾などの民間事業の圧迫を避けるように、ご配慮願います。
この教科書は304ページしかありません。先生方の授業の中で、いくらでも膨らませられる余地があるような設計です。受講生のニーズに合わせて、様々な授業設計が可能だと思います。そして私塾や物理教育インフルエンサーの皆様の腕の見せどこでもあります。是非いろいろと考えて頂けないでしょうか。
せっかくこういう話が著者から出ているので, 私も有料の勉強回を主催してみようと思います. まだ本が出てさえいなくて本の中身を確認できてもいないので, 詳細は何も決まっていませんが, もしあなたが興味があるのなら参加希望を出しておいてください.
相場としては次くらいを想定しています.
あくまで物理に集中したいので, 数学的な補足は最小限にする予定です. (計算は別です.) 数学の話をしてほしいという人が多ければそれはそれで考えますが, やるとしても物理とは切り話した別枠にすると思います.
そろそろ物理にも本腰を入れたいと思っていたところなので, とても楽しみです. 早く本が出てほしい.
今週の勉強会は中止になったので, 英作文コンテンツについていろいろまとめていた内容を共有します.
私が知る限り, まず一般的なコンテンツの方向性は次のようにまとめられると思っています.
それぞれに関して不満があります. ちょうどいい落とし所のコンテンツが見当たらないので, 叩き台を作っているところです.
まず Not for me な点をいくつか書きましょう.
英作文をする機会は作ろうと思えばいくらでも作れます. 極端に言えば数学・物理・プログラミング系のサイト, stackoverflow に質問を投げればいいのです.
問題はある程度の瞬発力が必要な会話です. しかも訓練するには相手が必要です. 最近よく 4 技能と言われるように, 会話と英作文は別の技能なので一緒にどうにかしようというのは虫のいい話です. しかしもう少し何とかならないかと思っています. ふつうの英会話系の教材に何の興味も持てない私の資質の問題でもあります.
正直, ふだん滅多に英会話の機会はありません. それでもふとした時に英会話 (またはフランス語会話) の機会があります. そう思うたびに少しは (英) 会話もやらないとと思うのですが, 下手をすると年に 1 回あるかないかくらいです. 英作文をがんばっていると勝手に英会話の基礎スキルも上がるような, いい感じのコンテンツがほしいです. 英会話学習にも転用できる英作文のコンテンツがほしいと言えるかもしれません.
例えば理系向け語源による単語集みたいなのがあります. 単純に眺めている分には面白いのですが, やはり異分野の単語は使う機会がありません. 自分野用に使い倒せる, 私にとって都合のいいモノがほしいです.
テクニカルイングリッシュまたは工業英語と言われる分野があります. 私が通っていた早稲田には専門家がいたようで, ミシガン大と提携した TEP テストという資格試験もありました. 気分的には特許や家電の説明書用の英語だと思ってもらえばいいでしょう. 一言で言えば, ただでさえ内容が難しいのだから, すっと理解してもらえるような簡潔明快な文・文章を書くための技術です.
一つだけ気分が伝わる例文を挙げます. 次の日本語を訳してみてください.
特に意図はありませんが, たまたま見つかったので次のサイトから訳文を取ってきます.
Tilt the lever toward the operator.
これはテクニカルイングリッシュの視点からはいい翻訳ではありません. 次のように訳せと言われます.
Pull the lever.
上記リンク先では「tilt は傾けると言っているだけでどちらにどう傾けるかがあいまいだから, toward the operator という副詞句が必要だ」という解説があります. それならはじめから「手前に倒す」という意味の動詞を使えというのがテクニカルイングリッシュの教えです.
これのいいところは指示が一語で明確になっていること, 文が短くなっていることであり, さらに言えば tilt よりも簡単な単語 pull で表現しきれているのも良い点です. 技術の英語なので単語の簡単さは常に実現できるとは限りませんが.
この簡潔・明快さを基本方針にした英作文コンテンツはないものかと思っています. 多少の時間をかけて簡潔・明快に文が作れるなら, その時間を短くすればある程度英会話にも転用できるのではないか, そう思っているのもあります.
ただしノウハウの全てが数学と物理, そして私に必要な英会話にマッチしているわけではありません. 一見相反するようなノウハウもあります. ここを魔改造するのがいまのタスクです.
数学や物理は中二病用語生成器であると言われることがあります. 論文レベルの文章や単語は格好いいので, 勉強するモチベーションもあがります. ただ, どうしても話題・表現・語彙は限定的になってしまいます. 特に会話で出てくるアクロバティックな文章・訳・表現はカバーしていません.
この辺, 雑誌, それも中高生向けの雑誌のレベルなら, もう少しバリエーションも増えるだろうと思って, 雑誌を読んでみよう企画を立ち上げてきちんと読み込んでみようと思ったのにつながります.
いま作業しているのは次の二点です.
前者について特に言うことはありません. 後者が大事で, しかも私自身にも必要なものだと思っています. コンテンツを作る体だと勉強のやる気も上がるので, まさに勉強ついでのコンテンツ生成という都合のいい話にもなってくれます.
二つ翻訳例を紹介しましょう.
表題の文の翻訳を考えてみてください. 生真面目に訳すと次のような翻訳になるでしょう.
このくらいなら大したことはないでしょう. しかしまだるっこしいのでもっとシンプルに書きたいのです. 何より, ただでさえ吃音があって人前で話すのに過剰な緊張がかかる自分が, 緊張している場面でこんなに長い文がさっと出ると思えません.
これに対して次のような翻訳を提案します.
実際には話の流れもあるでしょうから, これだけでも「ここまでのまとめでもあるよ」というニュアンスも伝わるでしょう. まとめというニュアンスをどうしても入れたければ次のように書けます.
入れたければ will やら now やら突っ込んでもいいですが, 最小構成としてはこれで十分でしょう. 少なくとも今の私が会話の場面で summarize などという洒落た単語が思いつくとも思えないので, はじめの翻訳では show という中学英語でしのぎました. こういうしのぎ方・頭の使い方を教えてくれる本がほしいのです.
これは大学受験用の英作文教材, 「新ユメサク 夢をかなえる英作文」の最初の例文です. そこでは和文和訳という手法が提案されていて, 起死回生を直接訳すのは大変だから, 「ホームランのおかげで試合に勝てた」みたいに書けばいいと解説され, 次のような翻訳が提案されています.
大学受験用の英作文としてはこうするといいのでしょう. これがさっと浮かぶなら大したものです. しかし私はこんな文をさっと生成できません. 何度も書いているように瞬発力が必要な会話にも転用したいのです. そこで次のような翻訳を考えました.
起死回生というのは自分にとって重要な一打なわけで, 単に important でいいだろうと判断したのです. これならすぐに書けますし, 不格好でも最低限の意図は伝わります.
最後の文, "The homerun gave us the win." については次のように思う人もいるでしょう.
起死回生の一打で逆転できたかもしれないが, このあとさらに相手に点を取られて逆転されてしまったかもしれないのでは?
もちろんその可能性はあります. 大学受験, それも模試でしょっぱい採点者だと原点してくる可能性もあります. しかしいまの私はそんな状況で英作文をするわけでもしたいわけでもありません. 逆にこの指摘は次の大事な点を浮き彫りにします. つまり, 状況によって適切な翻訳も変わるのです.
私が目指すところがどこかと言えば, 簡潔明瞭な英作文であり, 会話にも転用できる作文技術です. この視点からすれば, 上の第三文も使える状況はあるのです. 使えないなら別の訳を考えるだけですし, その場合も上の二つの文は使えます.
実はこの最初の文については「数学・物理の英作文」ノウハウを適用してもいます. それは万能動詞としての have です. 英語の have は日本語の「持つ」とは守備範囲が全然違います. 有名なのは次の文でしょう.
英語だと頭痛は持つモノなのです.
他にも「システムに不具合がある」と言いたいとき, "This system has a problem." のようにも言えます. システムは問題を have できます.
よくわからない場合はとりあえず have を使うというノウハウがあります. 実際数学だと「計算によってこのような式が得られる」というときにも have を使います. もっと have を使おう, そしてそれがかえって英語らしく簡潔な表現を与えてくれるのだ, そういう感じのノウハウをまとめ, 例文をストックしています.
例文は延々とストックを続けていく必要があり, それこそ一生かける必要さえあるでしょう. しかしノウハウとよさげな例文集のピックアップ, そして叩き台なら 1-2 ヶ月もあれば作れると思います. ほしいものを中心にいろいろ考えて進めています.
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