https://phasetr.com/archive/fc/misc/mm/2022-01-08/
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
現代的な量子力学では量子情報的な視点が大事というのもあり, たくさん計算しよう・例をたくさん作ろう事案もあり, 改めてニールセン-チャンの演習問題をはじめから解いています.
まだ二章の途中までしか見ていませんが, パウリのスピン行列を含め, 二次正方行列での計算がたくさん書かれています. これだけでも線型代数の一般論と物理で重要な例での確認があり, 恐ろしく役に立ちます. 特にスペクトル定理を応用したいろいろな計算, 行列の関数がたくさんあります. スペクトル定理は私の専門である作用素論的な議論でも酷使する定理で, 本当に重要です.
他にも極分解のようなふつうの線型代数ではなかなか見かけない議論もあります. 具体的には今週の問題で軽く紹介します. ニールセン-チャンでの極分解の証明も非常によいです. 特に面白いのは部分等距離作用素の構成です. 私が知っているのは無限次元での存在証明だけで, もとの行列が正則なら簡単に計算できるものの, そうではない場合に演習問題だけ見てどう計算すればいいのかなどと思っていたところ, 行列の特殊性を使って具体的な構成で証明していました. その意味でも線型代数の教科書としてふつうに使えます. 少なくとも物理学科の線型代数の教科書はこれの二章でいいのではないかとさえ思えるほどです.
全部の証明を詳しく検討したわけでもないため, もしかしたらレベル感などに多少のハードルがあるかもしれません. 基本的に演習問題しか見ていないため, 線型独立性や行列式の定義などの基本的なことが書いてあったかも確認していません. それでも応用に根差したアドバンストな線型代数, そして物理学科民の興味を引く面白い例・計算問題に満ちていて, 物理系で線型代数を復習したいと思っている人は必読です.
ちなみにこの解答は例と計算編でいままさに解答を作り続けているので, 興味がある方はどうぞ. そしてこれを買う買わないは好きにしてもらえればよいのですが, ニールセン-チャンはぜひ手に取ってみてください. 確か和訳もあったはずです. いろいろな点で学生指導されている方もいると思うのですが, そうした方は応用に役に立つ計算例がたくさんあるため, 学生指導や演習問題のネタにも使えると思います. 二次正方行列とそのテンソル積である四次正方行列の計算だけで, いわゆるベルの不等式やエンタングルメントなどの量子情報で一番基本的かつ大事な概念と戦えるので, 本当にお得です.
新たに現代数学探険隊を購入された方からメールを頂いて, こちらで全体に共有していい内容だったので私が書いた内容を転載します.
最近、量子力学は量子情報との関係を真剣に検討しなければならないようで、 量子情報の視点を十分に取り入れたアプローチ・本も市民権を得てきています。 私もまさにその視点からの再勉強を進めているところで、 ちょうど年末にリリースした問題演習コンテンツの大きなテーマの一つです。
数学的には有限次元の線型代数、 特に2次元と四次元の線型代数が重要で、 ベルの不等式のような有名どころがまさにこの世界です。
高いものを買ってもらった後に(無料提供するとはいえ)別のコンテンツを勧めるのもなんですが、 元々相補的なコンテンツでもあります。 ぜひ無理のない形で取り組み、楽しんでください。
ちなみにまだMEAPですが画像だと次のような本が出ています.
昨年末に半額のときに買いました. 計算編のテーマとして私の幾何学習もあり, プログラミングも使って計算し倒す方向でもかなり気になっています.
私もやりたいことがたくさんあり, 「あれもこれもできていない」と嫌になることもあります. それでも一歩一歩進むしかないので, じっくり計算力を高めていこうと思っています. ぜひ一緒にやっていきましょう.
この幾何の本, SymPyを使うようです. Julia版で書き直したり, もしくはSICMUtilsで書いてみたりなどいろいろ遊んでみたい本です. これもかなり楽しみにしています.
プログラミングの話が出たので軽く書きます. どうするといいのか, そして何よりどうすると私自身楽しく勉強できるのかという問題さえあります. 紆余曲折をいろいろ書いていますが, 現状はF#でAtCoder ProblemsのTraining300題をEasyから解いています. SICMUtils用にClojureではじめから解き直していたのですが, JVMの立ち上がりの問題か, 本質的にはほぼ変わらないコードのCommon LispやF#版が軽く通るのにタイムアウトになってしまうのに苛ついて, いまは結局F#で解き進めています.
データ構造やアルゴリズムの理論の本も並行して読んでいますが, いまだにアルゴリズムの理論面の楽しみ方がわかっていません. もうゴリゴリ問題を解いていって, 解説で「---法を使えばいい」みたいなのが出てきたらそれを読む形にしようと思って, いまはメインを問題演習にあてています.
言語に関して, CやC++, または最近だとPythonサンプルも多いですが, 自分が書いていて楽しい言語となると, 現状ではいわゆる関数型なのもほぼ確定しました. 私のスタイル(技量ともいう)だとHaskellではREPLスタイルの開発がうまくいかない(一応VSCodeでREPLプラグインも入れてみたものの, 使い方も悪いのかもしれないが気持ち良くない)ので, いまの私の技量・エディタ設定能力で気分よく使えるF#を使っています. ClojureもEmacsのCIDERが非常によいです. Common LispとSLIMEもかなりよいのですが, これは標準機能でいわゆる関数型の処理を書きやすいのがリストだけで, Clojureのように配列でも同じインタフェースが使えるような機構がないのがつらいところです.
データ構造とアルゴリズムは2021年にHaskellによる本が新しく出ていて, これが読みやすく楽しいです. これもふつうのCやC++で書かれた本だと楽しく読めないので, これをできる限りF#に翻訳しつつ読もうと思っています.
一方で数値計算を本格的にやる面では現状はJuliaで趨勢が決したように思います. 先のGeometry for Programmersよろしく一般向けコンテンツはPythonなのでしょうが, ちょっと凝ったことをコードを楽に楽しく, そしてさらに速くしたいならもうJuliaでしょう. SymPy自体もJuliaから使えますし, Juliaネイティブの記号計算ライブラリもあるにはあるようです.
昨日もTwitterで次のライブラリの話が出てきました.
量子力学はもちろん, 量子情報でも重要な記法であるディラックのブラケット記法をJuliaで使えるライブラリです. 見たところ, ユニコードで変数を書けるというJuliaの数学的なノリの良さそのままで$| \psi \langle$的な変数名にできるわけではないようですが, それでも一つ象徴的で良さそうなライブラリです.
最近SICMUtils対策にClojureとCommon Lispに簡単に触れたら, この辺の記号乗っ取り系はCommon Lispが相性良さそうなところですね. Clojureは言語に^
と/
が乗っ取られて自由度がCommon Lispより減っていて, SICMUtilsでは苦労しているようです.
取り留めもなくダラダラと書きましたが, 中高数学の問題をSymPy・Juliaで解いたり, 計算・お絵描きするのも今年の例と計算編に関わるテーマです. これだけいろいろ書くのもその程度には調べたり実践しているということで. 面白計算ネタがあればぜひ教えてください.
こちらも例と計算編関係で質問が来たので返信を共有します.
ディリクレ-ノイマン写像に関して何でどんな情報を得ているかわからず, さらに予備知識または力量的な情報がないため, 現代数学探険隊を一通りこなしている前提で書きます.
まずはじめに書いておくと, 私はこの言葉やテーマをはじめて知ったので, 完全に素人です. 少し調べただけなので既にご存知のことばかりかもしれません.
この二つを見る限り, 境界条件を変えて偏微分方程式を簡単にするのではなく, 工学や逆問題的に境界(の一部)しか情報を取れない状況で, 内部のデータを推定する手法なのではないでしょうか. 同じ名前がついているだけの全く違う手法を私が見つけただけかもしれませんが, 名前しか情報を渡してもらっていないので判断できません.
少し眺めた限りでは, 次の文献が比較的様子が見やすそうな印象を受けました. 読み込んではいないので実際の行間などはわかりません.
現代数学探険隊ではあまり議論していないトレースの話が出てはいますが, 基礎になるソボレフの埋め込みは議論しているので, 結果を追うだけならさほど苦労はないように思います. (念のため書いておくと, ここでの「トレース」は線型代数的なトレースではなく, ソボレフ空間上でのベクトル解析のように, 境界上での値や滑らかさを真剣に考えないといけない状況で出てくる, ソボレフの埋め込み関係の議論です.)
あとは現代数学探険隊でも双線型形式まわりではスタンパッキアの定理, ラックス-ミルグラムも議論していますし, コンパクトレゾルベントを持つ自己共役作用素, フレドホルムの択一定理も収録しているので, 現代数学探険隊があれば予備知識は問題ないでしょう.
こう見るとちょっと進んだことをやる上で, ぎりぎりまでの内容はおさえられているな, とちょっとほっとしています. そして少し凝った内容では, すぐトレースが必要になるのも改めてわかったのが私にとっても収穫です. 応用上, 境界(の一部)までしか情報が取れないこともよくあるので, 境界に絡むトレースはもう少し補足コンテンツを作った方がいいのかもしれません.
(学生時代の)専門外なので, いま言えることはこのくらいです.
簡単にトレースの話を補足します. まず偏微分方程式論では境界条件があります. そして一般に境界は元の空間より次元が低く, 測度零の集合です. 測度零の集合で値を指定するのが境界条件であり, 測度零の集合上での振る舞いを無視するのがルベーグ積分論で, ルベーグ積分と関数解析を軸にした偏微分方程式論では, 境界条件の取り扱いははじめから猛烈な困難があります.
現代の関数解析的な偏微分方程式論では, まずはソボレフ空間からはじめるのでそれを基本にした話をします.
ソボレフ空間は適当な階数だけ超関数微分可能な可積分関数の集合です. 不連続な関数であっても超関数微分できるとはいえ, それなりによい性質が必要です. そして適当な階数だけ超関数微分ができ, さらに適当な可積分性もあるなら, この適当によい性質を持つと主張するのがソボレフの不等式とソボレフの埋め込みです. 特に十分多く超関数微分でき可積分なら, 本当に連続または微分可能になります. この事情をうまく使って境界条件をうまく指定する手法がここでいうトレースの議論です.
ソボレフの不等式まわりの議論が必要なので, それ程簡単ではありません. しかしソボレフの不等式に耐えられるならトレースの議論もシンプルな範囲は十分カバーできます. ソボレフの不等式の一般論は考える領域にも依存して非常に面倒です. 私も専門ではないため, とても完全な状況までカバーしきれていません. 当然多様体上のソボレフ空間論もあり, これはこれでまた曲率やリーマン多様体の測地的完備性も影響してきて, 別の難しさが出てきます. このようにソボレフ空間論自体もかなり色々な展開があり, 偏微分方程式を抜きにしても面白いテーマです.
この間, ちょうど森の未知さんとお話をしてやはり, と思うことがあったのでシェアします.
以下で書いたようなことを念頭にコンテンツを作っています. あとで書くように明日でキャンペーン終わりなので, 「これは」と思った方は早めに購入するとお得です.
大学数学では計算しなくなる?みたいな言説、計算練習を積まなくなる原因になってないだろうか
これは本当にその通りで、学生も基礎的な鍛錬をしなくなるのみならず、教員も基本的な問題を演習問題に出さなくなるんですよね。 あの手の言説は徹底的に滅ぼすべきですね。
私が今まさにそれで困り果てていて、今年の目標はたくさん計算することで、その結果を問題集に転用して提供する予定です。いつになるかわかりませんが、幾何系の基本的な空間のコホモロジーの計算だとかも叩き込みたいです。あとは数値計算・グラフ描きも込みで。
ちなみにスターリングの公式の近似の数値的検証みたいな形でグラフお絵描き込みの話を勉強会でやったのですが、すでに分かり切った(数学的な計算はやったことがある)結果でも、グラフを目で見るとそれはそれで含蓄があるのを実感したので、数学の人もどんどん数値計算やってほしいです。
ありがとうございます。 数値計算は実際大事だと思うのですが、プログラミングかマセマティカを習得するのが重たいんですよね……。
逆にそここそが自分が貢献できるところだろうなと思って、今年はいろいろやろうと思っています。ちなみに https://phasetr.com/lp/mpgh1/ こんなのは作ったことがありますが、これは中高数学メインなのでもうちょっと微分積分・線型代数をゴリゴリ計算したいと思っています。
それはなかなか素晴らしい企画かと思います。 コホモロジーでなくホモロジーですが、『計算で身につくトポロジー』は参考になるかもしれません。
それも手元にあって読まねばと思いつつ読んでいないので、バリバリ計算する予定です。あと森の未知さんには言うまでもない話ですが、一般次元の議論を二次元・三次元で書くとか、一次元で書いてほぼ自明、みたいタイプの具体例と計算も大事と思っています。
その手の具体例と計算はガチで大事ですね。 習ったらその場で自分で簡単な例を考えて手を動かせるのが理想といえば理想ですが、現実問題として手の動かし方も経験値がないと分からなかったりするので、そこで適切な例を出せるかが教育者の腕の見せどころなのかなと思っています。
あとは「これは計算する価値のいい例だ」もきちんと協調するべきだと思っています。価値についても、そもそも計算できる例自体少ない貴重な例とか、基本的な手法が一通り身につくとか、先々で延々使うとか色々あるので、できること・やるべきことはたくさんあります。
Twitterでちょっとやりとりしたので転載します. これも前にどこかで似たようなことを書いていたりするテーマです.
@物理やってるフォロワーの人 ローレンツ群のユニタリ表現論ってなんか本に体系的にまとめられてたりするんですか? カクミチオの場の理論の本に書いてあるのは知ってるんですけど、ユニタリ表現について書いてる本はないんですかね?WikiにはBargmann?Wigner equationsというものが関連するってあるんですが 午後4:20 ・ 2022年1月5日・Twitter Web App
新井朝雄先生の「フォック空間と量子場」(確か下巻の方)にはフォック空間上へのユニタリ表現の議論があります。他には代数的場の量子論の文献にもいくつか基本的な記述があります。実は代数的場の量子論で大きな基本的残課題が(たぶんいまだ未解決で)あって、Borchers, Translation Group and Particle Representations in Quantum Field Theoryに記述あり。
同じBorchersの Quantum Field Theory as Dynamical Systemという論文があり、これは20ページくらいで端的に問題がまとまっています。他にも有限温度でローレンツ対称性が破れる問題があり、ローレンツ対称性は破れても並進対称性は生き残るはずだ、みたいな研究もあります。
ちょっと記述の不備というか勘違いに気づいたのですが、先のBorcherdsの本と論文はローレンツ対称性の破れに起因する時空並進群の表現論で、ローレンツ群の表現論ではありません。
あと、ローレンツ群というよりSL_2(C)で議論していることがあります。ローレンツ群と$SL(2, C)$ 私の観測範囲だと相対論的な場の量子論をやっているのは代数的場の量子論(作用素環)の人たちなので、そちらの文献を見ると陰に陽に記述があります。 相対論的場の量子論はいまだに四次元のまともな理論の存在さえ示されていないはずで極端に難しいので、一般論・抽象論よりも作用素環ベースの話の方が数学色の強い文献は見つけやすいでしょう。代数的場の量子論の文脈でのC^* dynamical systemで検索するとまた少し関連文献があります。 あとは作用素環上だとユニタリ表現というよりも作用素環上の自己同型群への表現になるので、automorphism groupで見た方が作用素環(代数的場の量子論)系の文献は見つかりやすいかもしれません。
(非コンパクト群の)無限次元ユニタリ表現はともかく, ローレンツ群や$SL(2,\mathbb{C})$などの計算もゴリゴリやりたいですね. 特殊相対性理論に関してはパラドクスまわりの丁寧な計算も収録したいです. とにかくいろいろやりたい.
前も転載したような気がしますが, 大事な話は何度でもということで, 再度転載. この間ファボがついて「こんなの書いたな」となったのです.
もとのツリーを追うと途中でいかにも半端なことしかしていなさそうなコメントがありますが, ルベーグ積分抜きの関数解析には本当に魂がありません. この辺の具体例については現代数学探険隊の解析学編全体で議論しています. 数学科でもないなら別にルベーグも関数解析もいらず, 関数解析だけでルベーグに触れる必要もないと思いますが, 数学科で教養程度の関数解析というならむしろルベーグをべったりやらないと数学的教養にはならないでしょう.
関数解析ってルベーグ積分論いるんだね、初めて知った ルベーグ積分論がいるというよりはただの関数空間において関数の定義域がもうちょい大雑把でも成り立つような命題があるけどその大雑把ってのが測度論とかないと書けないって感じ?>
別に具体例を扱わないなら殆ど要らなくないですか?
やっぱり大筋には関与してこないんですかね??
Lp空間の性質を完備性に押し付けることで抽象化しているので...圏論自体を勉強するのにはホモロジー代数は要らない みたいなことです. (但し, 関数解析にはBochner積分という測度論と密接関わった概念がありますが)
おーなるほど無茶苦茶わかりやすい例えですね、、、そう言ったものとして飲み込んで話進めても体系的に破綻しないって感じですかね!
https://ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/guide06.htmで作用素環(関数解析の一分野)をやるのに「ルベーグが分かっていない人は無理」という一文があります。抽象的な関数解析の理論もあるにはありますが、決定的に重要な具体例で関数解析の魂とさえいえるのがルベーグで、ルベーグなしの関数解析は魂の抜けた抜け殻にだけ触れているようなもので、一般的にはあまりお勧めできません。関数解析の抽象論だけがとにかく好きで、そういう方向の勉強をしたいだけなら特に問題ありません。
私が知る限りフィールズ賞を取ったガワーズは少なくとも抽象的な関数解析の結果もありまさにそれがフィールズ賞の業績だと理解しています。何にせよルベーグを知らないと関数解析系の人とコミュニケーションできないレベルで困りかねないとは言っていおきます。
なるほど、ルベーグ積分への応用(?)が重要な分野でもあるのが関数解析なんですね、僕は関数解析を専攻したいほど関心があるわけでは無いのですが、教養程度に知っておきたいなという気持ちがあります、、
ルベーグ自体が激しい応用を恐ろしく広範に持っていて、その中で陰に陽に関数解析が出てくると思った方がもう少し正確です。関数解析の中でも作用素のスペクトル理論(行列の対角化の一般化)でスペクトル測度という測度が出てくるので、関数解析の理論中でもルベーグが本質的に必要な場面があります。あと圏論的な背景さえあることでも有名なリース・マルコフ・角谷の定理は表面的には積分論が不要な連続関数環に対して、その双対空間がラドン測度の空間であるという大定理で、これも関数解析で測度論・ルベーグ積分論が本質的な例です。
どこまで「実用的」なのかはわかりませんが, まさか作用素環と機械学習まで絡むと思わなかったので. そして研究室の先輩と知人が関係する論文を書くとは, という話もあり宣伝も兼ねて紹介します.
最近位相論, 関数解析を独学で勉強し, すごい面白いと思いました! この辺の数学をデータサイエンスに応用するような分野, それにかんする本, 論文など何かご存知でしょうか?
良いですね! そしたら、深層学習とか、勾配ブースティング決定木の、普遍近似定理の証明とかを探して見てみるのが良いのではないでしょうか!(^o^)
位相空間論やら関数解析が必要なところがどれだけ応用上で役に立つのか正直私は懐疑的ですが, 引用された論文の著者の勝良さんは修士のときの研究室の先輩ですし, その他, 学部の頃から知っている知人もいるので宣伝しておきます.
「ε-δ論法を理解できないと函数の連続性を扱えない」では大学教養レベルの解析学が破綻するけども、じゃあどこからがε- δ論法を理解する必要のある話かというと難しいな。
不等式処理が必要になったらもうε-δが必要という気分があります。そして応用ではたいてい近似を含めた等号しか使わないのでほぼ不要という気分です。 よく言うのですが、むしろε-δは形式的な一つの極限の等式を無限個の不等式で表現する様式なので、不等式で色々な制御が必要にならない限り担ぎ出す理由が本当にありません。
これは確か「理論物理学者に市民が数学を教えようの会」でも話した記憶があります. 興味があればYouTubeの記録を見てみてください.
これは私の守備範囲である厳密統計力学・構成的場の量子論分野の数理物理の神々の一人, Jürg Fröhlichがフランス語で講演している動画をYouTubeでたまたま発見したので共有しておきます.
フレーリッヒはスイスの人で, スイスは公用語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語だからフランス語も話せるのでしょう. この辺は語学ネタなので興味があれば語学メルマガも見てみてください. そちらは語学をやるというより, 語学からどう数学・物理を勉強するかという視点でいろいろやっています.
去年末, ラストのラストでリリースした例と計算編は明日でキャンペーン終了です.
キャンペーン終了後も販売は続けますが, 値上げするので興味がある方は今のうちにどうぞ. 今後どんどん例や計算を追加しますが, 既に購入されている方には追加分も無料です.
こちらに混ぜた方がいいだろうと思う記述も移行したら1000ページを越えました. これでもまだほしい例やコンテンツが全然載せられていません. 自分自身, コンテンツの充実が待ち遠しいです. 中高生向けコンテンツの充実の面から, 一変数の微分積分や二次正方行列の例もどんどん充実させなければ, と私自身楽しみで, そして楽しみながら作っているコンテンツです. ぜひ一緒にバリバリ計算していきましょう.
通信講座は廃止したので, 各回の宿題と称した問題集も例と計算編に移行しようかと思っています. 本編にある例への参照もつけたいですし, やることが山のようにあります.
ニールセン-チャンのExercise 2.50では行列 \begin{align} \begin{pmatrix} 1 & 0 \ 1 & 1 \end{pmatrix} \end{align} の極分解の計算があります. (ウェブ上でうまく表示されないようですが, 二次の正方行列としてがんばって読み取ってください.) これだけシンプルな行列でも極分解の計算は本当に大変です. 実際にこれは例と計算編でも計算していて, A5版で5ページ使っている大変な計算です.
これだと大変なので, \begin{align} \begin{pmatrix} 1 & 0 \ 1 & 0 \end{pmatrix} \end{align} を計算してみてください. こちらの計算は簡単で, ゆったりペースを使っても(TeXによるコンテンツ内の)1ページで計算が終わっています. これもコンテンツで計算しています.
数物系のメルマガが式を含むことも多いため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.
メルマガのバックナンバーは次のページにまとめてあります. 興味があればどうぞ.
「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
2018年のツイートですが知らない方もいると思うのでリツイート URL
Nature公式、論文要旨の書き方。 授業でこれを扱うと国籍問わず大半の大学院生が知らなかったと言うので簡易和訳版を作成。 もちろん、Nature以外の論文にも流用する事が可能。 注目は、[結果]に使える文の少なさ(2~3文。全体の20~25%)。 和訳の修正案、大歓迎です。 英語版: URL, PDF
この辺, 理系のための国語教育として取り組みたい内容です. 科学英語や工業英語みたいなところの一環でやるべきリストに突っ込んでおきました.
ただでさえいろいろやろうとしているのにアレですが, 語学は語学でいろいろ触れたいというか遊びたいと思っています. そして既存のコンテンツだと勉強が続かないのもわかっています.
そこでコンテンツの充実にもなるので, これはもうアインシュタインの原論文を多言語で読もうの会枠で扱うべきだと思って, それでスペイン語とアラビア語をやろうと思っています. こうでないと勉強が続かないのがはっきりしたので. というわけでやっていきましょう. 文法もまずは概要を把握しないといけないので, 東京外語大の言語モジュールを雑に眺めていこうと思っています.
アラビア語は文字から再トライで道は長いのですが, やっていくしかありません.
アラビア語は間に合わなかったので, まずはスペイン語だけ簡単に解説をつけます. 会員限定という名の現状非公開ページの記述を追加し, その現状を転載しています.
相対性理論の原論文は一文が異常に長く, 読むのは本当に大変です. いまはドイツ語を多少読めるようになり, 比較でがんばれば他の言語も多少は読めるようになったものの, 全くもって初学時点で挑む文献ではありません. ただ他にいい感じのコンテンツもなく, ついでに相対性理論の勉強もしたい思惑があるので, しばらくこれでがんばります.
構造はフランス語とほぼ同じです. 単語もよく似ています. 英語・フランス語・イタリア語と比較しながら進めて大体わかるでしょう.
Sobreはsuperで, 英語で言えばonにあたります. 英訳でもまさにonを使っています. 英・仏・羅・西などの単語間での子音のbとpの入れ替わりはスペイン語に限らずよくある話で, 日本語での「ぶ」と「ぷ」の違いでしかありません.
次のla electrodinámicaは女性名詞electrodinámicaに定冠詞laがついた形です. スペイン語の定冠詞はスペイン語の文法解説ページを見てください. 単数形はフランス語の女性定冠詞と同じで, 複数形には素直にsがつく英語と同じタイプなので覚えやすいでしょう.
次のde cuerposは英語のof bodiesです. 前置詞deはでフランス語と同じで, 英語ではofが対応します. 英語でよく「分離のof」といってdepriveなどがあるように, 分離的な意味も持ちます. 例えばDNAのデオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)のdeがこれです.
男性名詞のはcuerposはラテン語由来で, ドイツ語のKörperとも同根です. むしろ英語のbodyが浮いています. (ロシア語はまた別系統ですが詳しくないのでそのうちきちんと調べたい.) 英語でも遺体の意味でcorpusがあり, 言語コーパスのような形でのcorpusがあるので, この意味では英語の感覚から理解できる単語でもあります.
ドイツ語のKörperもスペイン語のcuerpoも数学で「体(群・環・体の体, 英語のfield)」の意味があります. これはこれで英語での「体」がfieldなのか謎で, 調べ切れていません.
最後のen movimientoもフランス語のen mouvementと同じで, 英語でもin motionと書けます. フランス語でもenは英語のinにあたり, スペイン語でも大きく言えば同じです.
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