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今週はほぼ数学なしで, それこそ朝から夜寝るまでプログラミングの勉強をしていました. 研修期間の終わりも近付いてきて, 本格的に現場復帰を意識した勉強が必要で, そのためにしようと思っていた準備が終わりそうにないからです. 何にせよ朝起きて夜寝るまで食事や風呂以外の時間, 本当に全てプログラミングに当てていてよくやるものだと自分でも驚いています. 何だかんだでプログラミングが本当に気に入っているのでしょう.
ただしプログラミングへの集中もさすがに行き過ぎで, 最近ほとんどまともに語学に時間を使えていません. 数学や物理の時間さえ削っているのでそれはそうです. やはり無理やり時間を作るために勉強会です. 理工系向けの語学, 文系のための数学・物理入門としての語学に向けて改めて始動しようかと思っています.
それはそれとしてプログラミングです. 逃げ方もあると言えばあるものの, 仕事利用と思うと世に出ている情報量を気にしなければいけません. 基本的にフロントエンドはJavaScriptだろうと思うので, それならもういっそバックエンドもJavaScriptにしようと思い, これに関して調査しつつ勉強しているのですがとにかく面倒です. 情報がすぐ腐る. 数学のように一度正しくなったら前提が変わらない限り正しくあってほしいものの, この前提が本当に変わるのがプログラミング言語なのでただただつらいです. 終日プログラミングに張りついている理由でもあります. サービス・コンテンツ制作にも直結しますし, いい機会だと思ってがんばります.
ラミネーション知らなかった. Laminations, as introduced by Thurston, are a key tool in low-dimensional geometry, topology and dynamics; see e.g. [27], Chapter 8.5. [27] はサーストンのノート.っていうか,本か.
サーストンの本,MSRI で公開されてる. http://library.msri.org/books/gt3m/
この話と関係があるわけでもないのですが, サーストンは超直観型の数学者だったそうです. それもフィールズ賞受賞者なので, 見えている世界の深さと広さが尋常ではなく, 数学者相手にさえ自分の幾何が伝わらないのに業を煮やし, CGの研究にも手を出していたと聞いたことがあります.
これはそのまま私がプログラミングをがんばっている理由にもつながります. やはり視覚的なところは面白いです. CSSもうまくできず怒り狂いながらやっていますが, 綺麗にできると気分がいいのもそれはそうです. いつまで続くのかわかりませんが, Web系は比較的若者もマネタイズしやすい分野で, 中高生向けの理工系教育としても面白いのではないか感があり, いろいろ考えています.
https://amazon.co.jp/dp/4130629255 「数学の隣接分野の宇宙科学とか経営工学とかへの応用例などは1文字もありません」数学の本だからそれはそうでは、というのと「数学の先生が例えばベクトル空間などと言うとき、(中略)あまり複雑でない曲面が頭にあるはず」曲面が思い浮かぶ人、いなくない? そもそも宇宙科学や経営工学は数学に隣接しているか? 幾何の本なら図が欲しいとかいう発想、改めて言われると言葉に詰まる。しかも2-3ページには一枚とか。こんなにもコミュニケーションできないものかと驚くといえば驚くし、当然と言えば当然かとも思う。トポロジーが役に立たない数学科だけのものだったらこうはならなかったろうに、社会は厳しい。
学生の頃に友人と「幾何とは何か?」で雑談して、結局「位相が入ったら幾何だ」というところに着陸した覚えがある。
どこまで本気だったのかはわかりませんが、数論幾何専攻の人に「位相は甘え」と言われたことがあります。何が幾何かは時代の関数の部分もあり「数学者が幾何と判定したらそれは幾何」としか言いようないのではないでしょうか。アブストラクトナンセンスレベルの圏論であっても人によっては幾何でしょう
学生が教員免許(数学)を取れるようにサポートしようと既存の科目に「代数、解析、幾何、……」のラベルを貼ったことがあったんですけど、グラフアルゴリズムの科目が幾何になっていて、さすがにちょっと……って気持ちになりました。
最初の引用ツイートは「トポロジーの基礎」のAmazon書評です. もはや「幾何の本に図がほしい」と言われても「幾何はそういうものではないので」と自然に口をついて出るようになってしまっています. いいかどうかは微妙なところですが, 現代的な統計学, いわゆるビッグデータ解析では本当にどう可視化するか自体が超がつくほど巨大なテーマです. 「図がほしい」という視点から言えば, これも広い意味では幾何の仕事でしょう. 現代的な統計学ではプログラミングも必須でしょうから, 私の目指すところとも無関係ではありません.
それはそれとして世間での幾何のイメージ, どんなものなのでしょうか? そういえば買うだけ買ったもののいまだに読めていない数学ガール ポアンカレ予想, これも三次元球面でこれ自体は目に見えない対象です. これで何をどう扱っているか, いい加減確認しないといけないと思って幾星霜.
Maxwell方程式の表現論(0) - https://m-a-o.hatenablog.com/entry/20150125/p2 日本語の文章です。ものすごく詳しくて目からウロコですね!こんな研究があったとは…… URL
Maxwellそのものではありませんが、 QEDまたはローレンツ群・ポアンカレ群の表現と作用素環は比較的最近でもまだあるようです。 単に検索で出てきただけですがhttps://art.torvergata.it/retrieve/handle/2108/117066/236199/QED-RMP.pdfだとか。 粒子描像と表現に付随する無限小生成子のスペクトル解析のようなテーマもあります。 Hans-Jürgen Borchers, Translation Group and Particle Representations in Quantum Field Theory
私のツイートで紹介したBorchersの本, 学生時代に読もうと思って難しすぎて読めなかった本です. 学生時代よりも明らかに不等式処理能力が落ちているであろう現在, 昔以上に読めないだろうと思いますが, ずっと興味があります.
ちなみにBorchersに聞いてみたいことがあったものの, 気付いたときにはもう亡くなっていて呆然とした記憶があります. 思い立ったが吉日は本当だったといまも後悔しています.
めっちゃ汎用性ある数学の考え方。 「当たり前」だと思うことを証明するときに、「なぜ当たり前だと思うか」を数学的に表現すれば証明ができる。 もし証明ができないなら、実はもっと面白くて、その「当たり前」に数学的に難しいものが潜んでいることが分かる。
数学書にある「自明」で苦しむポイントとも言えます. そもそも「当たり前」と思えていないから苦しい事案で, 私もいろいろな意味で現在進行形で苦しんでいます. 数学であってもよく知らない・勉強したことがない分野では非数学科の人と苦しむポイントは大きく変わらないでしょう. 今で言うならプログラミングで腸が煮えくり返っています.
私はむしろこれが本当に面白くなったので, やるならぜひどんどんやってほしい勢です. ただ興味関心が物理にあるならやめた方がいいです. 先日もTwitterで物理の学生が数学的にきちんとやるには面倒, そして物理として気にする理由はないところで, 無駄に数学的な記述を追い求めていたのを目にしたばかりだったので, ふと流れてきたツイートに改めて反応して呟いた記録です.
量子力学をやるのに関数解析をやったら何も始まらずに終わってしまうから、本当にやめた方がいい。数学をやりたいならどんどんやればいい。学部三年レベルの物理に対応する議論が軒並み研究ネタになる。 もしイメージがつかないなら、有名なクレイ研究所のミレニアム問題でナビエ-ストークスの解の存在と一意性が問題なのを考えてほしい。学部三年次程度の流体力学の入り口が既に数学的な大難問になっている。程度の差こそあれ、数学的にきちんとやろうとするとこのくらいのレベルからわかっていない。 平衡統計力学だとまず平衡状態の存在が明らかではない。相転移があるので状況に応じて本当に一意性がない場合はよくある。物性だと磁性に関する有限次元の線型代数に関わるハバード模型で既に論文・研究マターなので有限次元の線型代数だけで数学以前に物理でさえ研究マターになる。無限次元だと 他の余計な要素が入ってきてさらに面倒。そういえば学部三年レベルの統計力学は量子力学に輪をかけて地獄なのだが、統計力学の数学の話をする人間を全然見かけない。アレは修羅の世界だからぜひもっと人が増えてほしい。物性のトポロジカル何たらなどの格好いい方ではない部分にはきちんと地獄がある。 昔Amazonの斉藤正彦「線型代数入門」に関係するレビューを書いたのだが、見当たらない。あの本は行列の解析学の話が書いてあり、指数関数なども載っているのでそのくらいまで把握できて使い倒せれば十分だ。
「量子力学の前に関数解析の本を一冊くらい読む必要がある」みたいな杓子定規な解釈をする人間がマジで存在してしまうのが問題で「量子力学を普通にやるときは並行して関数解析の初歩的な知見をつまみ食いするのがほぼ必須」くらいに言っておけば平和に済みそう(他の分野にも当てはまる)
これも言い方が難しいのですが、何というか「教養レベルの線型代数を数学科水準で勉強しておけば十分」というのをうまく言う方法はないかと思っています。量子情報の本を読んでいるとまさにこう言う感じなので。例えば対角化をスペクトル分解のレベルで認識するとかそう言う感じです。
物事をジャンル(この場合には分野)に分けて認識しようとするとどうしても機微を取りこぼす面があるのは避けがたいですね。僕は「グダグダ言ってないで量子力学をやってから考えろ」でいいと思います
私は「数学をやりたいなら数学科に行け」の線を押して行きましょう。
そうそう、私が関数解析の「思想は大事」で言いたかったのはそういうことです。そう言えばよかったのかも。
次の三ヶ月短期集中講座は「量子情報のための線型代数」みたいな感じにしようかと思っています. 自分用の計算メモの体で整備したコンテンツでもあり, ちょっと数学的な水準が高く見えてしまうかもしれません. 上で書いたような「対角化をスペクトル分解のレベルで徹底する」みたいなスタンスを貫いています.
前節の続きです. では実際にどんな本でどう勉強すればいいか, 何をどう読めばいいかという話があり, それをまとめたTogetterがあります.
知識としてはこのレベルで十分です. あとはとにかく使い倒すのが大事で, 最近見たところではNielsen-Chuangと量子情報科学入門がなかなかよさそうです. 正直, 量子情報よりの話はまだ自分なりの面白さを見出せていません. 量子測定だと一気に興味が出てくるので, その辺で面白いコンテンツが整備できないかと勉強を進めていす.
前も紹介した気がしますが, この間早川さんがツイートしていたのが流れてきたので共有します.
Which freezes faster: hot water or cold water? The simple question has stumped physicists, but recent experiments show how some types of hot substances could beat cold ones. @adamspacemann Controversy Continues Over Whether Hot Water Freezes Faster Than Cold
100度の水と35度の水、同時に冷凍庫に入れたら先に凍るのはどっち? 熱い方が先に凍るのを発見したのはタンザニアの高校生。ただし、どういう条件なら再現するのか、はっきりとわかっていない。 非平衡物理学は難問。1次相転移の系では、高温から始めたのほうが先に基底状態に落ちることも。
Mpemba効果は非平衡状態の記憶効果で不思議は何もない。 最近、コロイドの実験が出るなどして急速に研究が進んでいる。 我々の論文では粘性発熱の有無による緩和率の差を利用してMpemba効果を定量的に示した。
非平衡も興味はありますが手に追えません. 平衡状態関係の数学や平衡状態での相転移もまだまだ勉強が必要です. そう言えば改めて統計力学を勉強しようと思い, ずっと買いそびれていた原・田崎のイジング本, 相転移と臨界現象の数理を買いました. この本は東大の物理の人達と査読ゼミをやった思い出があります. 謝辞にも載せてもらっています.
田崎さんの統計力学の本と言えば, 比較的最近出た洋書も全然読めていません. いつか時間を取ってきちんと読みたいと思ってはいます.
概念覆す長さ2cmの細菌発見→長さだけでなくその構造も非常に特殊だった「ミッシングリンクの実例の発見かも」 URL
きちんと読めていませんが, とりあえずメモ&シェア.
国会で審議された法案や予算案、条約、決議案といった議案は、衆参両議院のWebサイトに掲載されている。提出者や審議された委員会、賛成・反対した政党(衆院のみ)などの情報も確認できるが、国会の回次ごと、また議案ごとにページが分かれているため、集計や検索、一覧が難しかった。 今回、同社の「メディア研究所」が、各議案のページに掲載されている情報を収集、整理し、CSVファイルとJSONファイル形式で公開。MITライセンスに準拠し、商用・非商用を問わずオープンデータとして誰でも無償で使えるようした。 主に報道機関や研究者に、選挙報道や調査報道、研究活動に役立ててもらいたいという。
勉強のためにも統計学や機械学習で遊びたいと思っていつつ, 自発的に遊ぶネタを思いつけていません. とりあえずデータは必要なので, 使えるテキストデータとしてきちんと記録しておきます.
今週はほぼ数学ができていませんが, 何もやらなないのもどうかと思って, 水曜あたりに少しだけやった分があります.
念のため書いておくとここでの単純性の定義は「自明なイデアルしか存在しない」です. 次元が1のときは二次の特殊ユニタリリー環で, やはりこれも単純です.
特殊直交リー環が恐ろしく面倒だったので証明を追う前からうんざりしていたものの, シンプレクティックリー環は四元数係数の行列とみなせ, 四元数の事情を使うとかえって簡単になるのが面白いです. 議論自体はそれなりに長いのですが, 行列の計算がだいぶ楽です.
特殊直交リー環でも行列単位とその簡単な和から基底を作り, その基底に対する計算で証明を構成しています. この証明を眺めて, 色々な意味で人類は一般の行列の計算・処理ができるほど賢くはないようです. 具体的な低次の計算でも手計算ではうんざりしますし, そこをカバーできるプログラムだと今度は一般論の展開が地獄です. 基底への帰着, 基底を使いたくなる理由にはこんなのもあったかと今更ながらに実感しました.
証明を読み終えてからじわじわとその意義・世界が見えてきて, 個人的にかなり大きな発見だったようです.
現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.
例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.
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