自己参照
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「読んだよ」だけでもいいのでぜひ感想をください. メルマガを書く励みになります. 最近感想を頂く機会が増えてきたので素直に嬉しいです.
メルマガへの返信でも構いませんし, 次のアンケートフォームへの回答でも構いません.
ではまたメールします.
先週もメルマガを書こうと思っていたのですが, 安倍元首相のニュースが衝撃で二日くらいほとんど何も手につきませんでした. 今の日本で総理経験者という重鎮があんなにあっさり亡くなってしまうのかと. 歳を重ねたせいもあるのかもしれません.
それはそれとして, 仕事用のプログラミング学習で, 落ち着いてはいませんが緊急事態は脱したので少しずつ数学モードに戻しています. プログラミングはプログラミングで楽しく, そして今回のプログラミングは仕事にも直結していてやや焦りがあったのも関係しているものの, やはり数学をやっているときの心の癒され具合が大きく違います.
しばらく止まっていたリー群・リー環学習も再開して, それも佳境に近づいて来ました. これが終わったら対称空間あたりをやろうと思っていましたが, 純粋な数学方面ではトポロジーに舵を切る予定です. これも何度か挫折を続けているので, 今回はわからなくても一周やり切るのを重視して進めます.
物理だと堀田量子的な量子力学の復習+コンテンツブラッシュアップ, 熱力学の復習+コンテンツ制作, 電磁気の数学・線型代数コンテンツ制作, 特殊相対性理論の復習+コンテンツ制作, そして統計力学の復習として原・田崎の『相転移と臨界現象の数理』あたりが念頭にあって, 何をどこからやろうかとぜいたくな悩みを展開中です. とりあえず次回の短期集中講座は量子力学に決めたので, それと合わせてウルトラショートコンテンツとして電磁気も整備したいとは思っています. やりたいことが多くて時間がいくらあっても足りません.
「学部2,3年レベルの専門科目の勉強をやりたい」って思っているやつ、多分高校の授業から始めたほうがよく、社会人の学び直しにおいてここをサポートしている組織どこにあるんだ?って思う。
文系プログラマー勢のための数学みたいなところ, まさにここなのだろうと思っています. 以前出したプログラミング用コンテンツもありますし, これをもとにした短期集中講座もやった方がいいのかもしれません. やってほしいという方いたら連絡ください.
この間, 久し振りに量子力学に関するアンケート回答が来ました. 特に以前いくつか書いていた堀田量子に関する話です.
最近はどうしても量子情報的な視点が重要なようです. そしてその量子情報的な議論では行列レベルではあるものの, テンソル積が本質的な点でおそらく相当高いハードルがあると見ています. そもそもとして教養の線型代数自体, 私が期待している水準も相当高いと思うので, それも認識を合わせたいと常々思っていました.
そこで量子情報系の議論に耐えられる基礎体力を作ろう, そして線型代数用の計算力も磨いてもらう趣旨で, 次の短期集中講座を作ります.
テンソル積を除いて知識としては完全に教養の線型代数ですが, これを数学科水準の認識に持っていくのが一つの狙いです. 例えば対角化とスペクトル分解は同値な概念であり, 私のお気に入りの齋藤正彦『線型代数入門』にはスペクトル分解の記述もありますが, あまり認知・理解は高くないと見ています. こうした認識のギャップを埋めるのが目的の一つです.
あともう一つは線型代数の計算力向上です. 力学とその計算から攻めようとする中で, 特殊相対性理論のコンテンツも検討しています. 物理としては物理の意味でのテンソル計算が一つの山場である一方, 線型代数に関わる計算がやはり本質的な要素を占めます. 量子情報系の線型代数の計算とは必ずしも重ならないものの, 鍛えた計算力自体は当然相対性理論でも役に立ちます.
前も書いたと思いますが, いい本もたくさん出ていますし独学できる方はそれで構いません. ただ, いまの短期集中講座での質問を見ていると, 非専門の人にはやはり物理学科的常識が身についていないために物理学科民からすれば当然なことでもいちいちつまづくようですし, 物理卒でも長い間触れていないために計算力が落ちていて自力でカバーしきれないことなど, いくつものハマりポイントがあります. このあたりに困難を抱えているなら, ぜひ短期集中講座を活用してください. 正式な案内を二週間程度で出せるよう調整中です.
ちなみに「非専門の身からすると地獄のようにつらい」事案, この一月くらいで私も改めて嫌というほど体験しました. 最近の近況でも書いている通り, もちろんプログラミングの話です. 本職は一応プログラマーなわけでプログラミング自体は最低限こなせます. しかし慣れない言語・ツールを使うとそれだけで一気に非専門の素人ワールドに落ちます. 実際, わかってみれば一行レベルの課題を2-3個解決するためだけに休日含めて二週間まるまる潰しました. 「少しのことにも, 先達はあらまほしき事なり」は心のからの叫びです.
「ワーキング・メモリ」みたいな脳科学用語を使うとトンデモ臭くなると思うものの、大学の抽象数学を理解する上で処理能力はかなり重要だと思っている。 ただ、大学の抽象数学で求められる「処理能力」とは、述語論理で書かれた文章をスラスラ読む能力である。 これは高校数学までの計算能力とは違うものなので、「高校数学や受験数学と違って大学の数学では“暗記や計算でない本物の理解”が求められる」的な言説が発生するわけであるが、単に求められる処理能力が異なるだけの問題をこういう風に捉えるのは極めて有害である。 処理能力の問題だということが分かれば、それを「計算問題」の反復練習で鍛えれば良い。 しかし、どういう「計算問題」が好ましいかは残念ながらあまり蓄積がなく、これから我々が考えないといけない問題だと思う。
このツイートをしている森の未知さんは実際にプロの数学者です. 教育に関して本当にいいことをよく言っているので, ぜひ直接Twitterの発言もフォローしてください.
ここ最近の計算押しの決めた理由の一つは森の未知さんの発言を見ているからでもあります. あまり数学科の数学向けの計算もそのうち何かやりたいとは思いますが, まずは物理のための計算を重点的に進めようと思っています.
調和積分論をどうやって倒すか。一番簡単なのはWarnerの教科書を読むことだと思いマスが、ストーリーを一番はっきりと把握できるのは中島先生の講義の記録を読むことだと思いマス。 https://member.ipmu.jp/hiraku.nakajima/Lecture/04_Bibunkika.html Gilbarg-Trudingerを片手にこれを読めば、自力で証明を完成させることができると思います。
これはメモ+シェアです. 調和積分論は一度多様体上のソボレフ空間論のレベルでざっとノートを書いたものの, 見直していないので多分タイポなどボロボロです. 実際ノーテーションもかなりハードです.
調和積分論は楕円型, 特に多様体上のラプラシアンが主戦場で, リーマン幾何をうまく使って多様体の位相の情報を刈り取る議論です. もちろんリーマン面でも大事な議論です. 私が微分方程式畑ではないからという理由もあるかもしれませんが, 解析の人間からしても全くもって簡単ではありません. そしてGilbarg-Trudingerもそう簡単な本ではありません.
実は熱方程式の時間無限大極限として楕円型の解を考える議論もあります. 別に簡単になっているわけでもありませんが, 熱核の方法として有力なアプローチで指数定理にも応用されます. 解析的にも面白い部分がたくさんあって私としてももっと詰めたい分野です.
ちなみにWarnerの本は本格的なソボレフ空間論こそ避けているものの, トーラス上のフーリエ解析からコンパクト多様体上のソボレフ空間論をうまく処理していて, 解析的な予備知識をぎりぎりまで削って調和積分論をきちんと証明しています. 調和積分論の結果自体は非常に重要なのでいろいろな使われる一方, 証明は「Warnerやde Rham参照」として省略されがちです. その省略されがちな証明が初等的な範囲で書かれている貴重な本です.
「男子:数学の点がいつも俺より良いなんて、かわいくないぞ.」(『総合的研究 論理学で学ぶ数学』https://obunsha.co.jp/product/detail/037704 12ページ) 数学の成績が良いとかわいくないとの価値観を、学習参考書で冗談でも披露しないでほしい。本筋でないところで良書の価値を毀損させてほしくありません。
こうした細かい難点はあるものの, 鴨浩靖さんが良書と認める本なのでメモ+シェアします.
「Mathematics for Machine Learning」は、微積・線型代数・統計など、機械学習に必要な数学をまとめて学べるテキストです。Amazonで5000円以上するのですが、なんとPDF版は無料で公開されてます。AIを勉強したいけど、数学に自信がない方には超おすすめです! https://mml-book.github.io/book/mml-book.pdf
実際, 機械学習勢はどこまで数学必要なのでしょうか? 大半の人はライブラリ使えばそれで十分と思っていたのですが, そうでもない? ずっと疑問です.
\begin{align} \begin{cases} x^6 - x^5 + x^3 + 2x^2 - x - 2 &=0, \ x^6 - x^5 + 2x^2 -2 &=0. \end{cases} \end{align}
一次とは限らない連立方程式を解かせる問題だけど、必要条件を絞る操作と同値変形の区別がついているかを問う上で格好の題材なので大学で数学科の一年生にやらせるネタとしてはかなり良いと思う。 教えていて思うけど、方程式をいじる時に必要条件を絞っている操作なのか同値変形なのかを意識できない学生は学部三年生ですらめっちゃ多いぞ。 数学が専門の学生については一年生のうちにガツンとやった方が良い気がしている。 それなりの大学の理系であれば必要条件と必要十分条件の区別は普通にできて、いかにも「論証問題」っぽい問題はできたりするのだが、それでも「方程式を解く」という操作が何なのかは分かってない感があるんだよな。 例えばこういう連立方程式は「方程式を解く」がどういうことか分かる人にとっては易しいけど、「方程式を解く」ことを決められたアルゴリズムに従うことだと思っている人には難しいのではなかろうか。 (xの方の潰れた数字は6です)
xの方→xの肩
眠れない深夜にこういう話を延々としているのは、学生が微分方程式を理解できてない根本的な原因が微分方程式以前に「方程式を解く」を分かってないにあるように最近思ったからですね。 更に易しい問題としてこういうのもあるが、これが分からない学生は(それなりの大学の数学専攻でも)結構いると思う。
式も書いておきました. この方程式, きちんと解ける方どのくらいいるでしょうか. 解けなくて解法が知りたいという方いたらアンケートで何か書いておいてください. 要望があって時間的余裕があれば次回解説します.
この匂いを突き止めたロート製薬は確かにすごいのだが、回答している三味線奏者だという萩原さんは何者なんだ。
萩原 遼さんによる「一般的に若い女性が良い匂いがするというのは何故ですか?」への回答 https://jp.quora.com/ippan-teki-ni-wakai-josei-ga-yoi-nioi-ga-suru-toiu-no-ha-naze-desu-ka/answers/199981164?ch=15&oid=199981164&share=1c5ce8f5&target_type=answer
詳しくデータを確認し, 吟味したわけではないので単なる感想ですが, 「いい匂い」や「乳臭さ」が本当に「いい匂い」かつ「乳臭い」だという話だそうです. いい匂いはともかく「乳臭い」が本当に「乳臭い」というのはちょっとびっくりです.
“世の中には困ってる人を助ける制度がたくさんあるのに何が使えるかを教えてくれないっていう理不尽仕様なんだが、そんな世界をなんとかしようとしてる人たちがいて、そのためのWebページがこの前リリースされたってことを僕はフォロワーさんに知っておいて欲しいと思った…” https://togetter.com/li/1911629
【拡散希望】 製作者が病んでる間に #お悩みハンドブック がまた少しバズっていた(感謝🙏)ので、関連情報まとめます🍀 お役立ていただけた声や反響👉 https://determined-structure-45e.notion.site/f2dd423c29784b3c856644337f6dbda1 公式サイト【20万ユーザー突破】👉 https://compass.graffer.jp/handbook/landi
これも単純にシェアです. いまのご時世の問題もありますし, あなた自身はいいにしても, 知り合いに本当に困っている人がいる可能性はいくらでもあります. そうした方にもぜひ伝えてください.
リーマン多様体上での最適化を行う pymanopt というフレームワークがあるんですけど,自分がここ最近実装していた問題を解かせたら爆速で解いちゃうし,コードの記述が分かりやすくてその意味でも勉強になりました. この辺の疑問についても実装例が提示されていて為になった.
最適化計算で途中のログを吐き出す良いプラクティスが分からないぽよ…。
ここ三ヶ月くらい統計学の勉強会で統計学を直接やらずにJuliaの統計計算パッケージのソースコードを読む会をやっています. これが思っていた以上に面白く, しかもいくつか問題を見つけたのでGitHubにissueを挙げたら速攻解決してもらえている点でも楽しいです.
これを使うというよりも眺めて楽しそう系プログラムとしてメモ+シェアです. 文系プログラマー勢にはこういうライブラリを読む系の勉強会もいいのかもしれません.
微積分学の講義で知らない文字は「集合30講」にのってたのね.(^^;; つまり微積分以前で,高校では教えない... まずは「数学リテラシー」みたいな講義が必要なのかも知れないな.
力学に関する短期集中講座で物理リテラシー・力学リテラシー問題に直面しましたし, 私自身も専門外の勉強をするときに常にリテラシー問題に直面します. 上でも書いたようにプログラミングでは現在進行形で完膚なきまでにやられていますし, リー群・リー環のような数学でもまだまだ常識が身についていません.
上でも少しコメントしたようにJuliaの勉強会が楽しいです. Juliaの多重ディスパッチの使い方を見て「こう使うのか」という発見がありますし, マクロや生成関数などのメタプログラミングコード, 抽象型で書かれたライブラリコードの読解なども見応えがあります.
ただいわゆる数値計算よりもどちらかと言えば数式処理の方が興味があるので, maxima (common lisp)を読む勉強会などもやりたい野望があります. 他には以前紹介したGeometry for programmers読む勉強会もよさそうです.
最近ちょくちょく低次元でのリー群・リー環の議論で, 計算があまりに大変なので本質的な部分にsympyの補助を借りて計算する機会が何度かありました. 行列の計算は二次元でも面倒で三次元で既に破滅的です. 特に計算ミスが多発しますし何度もやりたくありません. やりたいことだけはどんどん増えていくので大変です.
今週は行列に対する指数写像・対数写像の議論をやっていました.
いくつか非可換性にまつわる実数・複素数の指数写像との違いを埋める部分の議論があり, ここをうまく処理する部分が実はかなり頭を使います. 「できるだろう」で終わらせていてまだ完全に細部の計算を詰め切っていない部分があります. そしてこの事実から山のように面白い話が出てくるのもいいところです. ようやく行列リー群の山場に指しかかって楽しくなってきました. 位相が出てくるとなると当然本格的な多様体論も射程に入ってきます.
現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.
例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.
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