2022-09-10

数学・物理 密度行列に関する話/相転移プロダクション

今回のテーマ

式を含むこともよくあるため, 記事本体はアーカイブサイトへのリンク先にまとめています.

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近況報告

通信講座がはじまりました. そう組んだのだから当然ではあるものの, (私からすれば)そこまでハードな計算ではない一方で使い出がある計算が多くて眺めているだけでも楽しいです.

最近プログラミングを改めて意識しはじめたので, sympyでちょこちょこ検算プログラムを書いています. 二次の正方行列がさくさく計算できてこれも楽しいです. 統計とはかなり離れてしまうのが難点ですが, 今度, 統計の勉強会でsympyを読むよう提案してみようかと思うほどです. 統計をやるならnumpyで書いた方がいい一方で, 中高数学からやり直す系統ならsympyの方がいい面もあります.

何にせよ量子情報・量子開放系の議論で二次・三次の正方行列の具体的な計算の面白さを今まで以上に実感しましたし, そこにリー群・リー環系でもう少し高次まで計算したい要求も出てきたので, sympyの活用はいま私の中でホットです. 特にリー群・リー環は一般論を理解するための具体例の計算で割とすぐに五次・六次程度が出てきてしまい, 手計算したくない領域にすぐ突入します. ちょうどいま, 通信講座の勉強会で計算ミスを指摘され, 検算していたら混乱してきたのでsympyを使ったところです. テンソル積も計算できるので便利なことこの上なく, 感銘を受けています. ぜひ読者の皆さんもsympyを使えるようになってください. 本当に便利で助かります.

最近半年以上も延々と同じ話ばかりしています. しかしこれでもまだまだ汲み尽くせないほど楽しく重要な対象です.

そう言えばプログラミングに関連して, 以前作ったコンテンツはあります. ただこれに沿った中高数学復習系の勉強会つき講座もあった方がいいのか?とも思うようになってきました. 興味がある方がいれば連絡ください. 一人でもいれば何か考えます.

それはそうと, 今回もメモがもりもりです. そしてちょうど先週, 知人から「情報を集めすぎてそれをさばくために頭を使い過ぎて, 判断力が落ちているのではないか. もう少し情報を遮断した方がよいのでは?」と言われてしまいました. 自覚症状はないものの, だからこそ問題という話もあるわけでどうしたものかと悩み中です.

テンソル積とは何か

量子情報系のアプローチも大切なので通信講座でも触れざるを得ません. 今回はほぼいわゆるクロネッカー積による具体的な計算しか触れないとはいえ, 多少なりとも何か説明しないわけにはいきません. しかしなかなか説明するのが大変です.

私は一応学部一年で志賀浩二のベクトル解析30講で微分形式に絡めて触れたのがはじめてです. 少なくとも私が学部の頃の学部低学年の物理で微分形式は使わず, テンソルの言葉だけは解析力学・電磁気・流体・相対性理論で出てきても物理気分で適当に処理していました. そして学部3-4年の量子系の数理に絡めて改めてまじめに勉強し直す形になりました. このときは量子多体系, 特に合成系の構成としてその当時の私にとってこれ以上ないほど具体的な対象として出くわしたため, テンソルについて真面目に悩んだ記憶がほとんどありません. 量子力学をある程度勉強した上で改めて数学的定式化に挑んだときの気分ベースの理解こそあれ, 他の場面でのテンソルをどうするかほとんどわかっていません.

流体を改めて勉強し直したときに応力に関するテンソルの気分は把握したものの, 連続体の力学では四階のテンソルも出てきます. 幾何でも曲率は四階のテンソルで, リッチ曲率は縮約して二階になっていて, といろいろなテンソルまで含めてきちんと説明できるほどテンソルの多様な姿を把握できていません.

世間的な直観的でわかりやすい説明ではこの多種多様なテンソルをどう処理しているのでしょう.

関真一朗, グリーン・タオの定理

ついに!12月1日発売決定!! こちら→https://www.asakura.co.jp/detail.php?book_code=11871

素数大富豪の作者で, 素数大好き系数学者として知っている人は知っている関真一朗さんが書いていた本がようやく出版されるようです. 数学は修士からだったこともあるのか, 素数が好きという数学者をはじめて見たのが関さんでなかなか衝撃でした. すうがく徒のつどいで二回話を聞いたことがあり, 話がうまい人ではあったので本も楽しみです.

関数解析的な量子情報の本

Holevoの著書などは、基本的に無限次元をカバーしてます。 Holevo, Probabilistic and Statistical Aspects of Quantum Theory (Publications of the Scuola Normale Superiore Book 1) (English Edition)

Holevo, Statistical Structure of Quantum Theory (Lecture Notes in Physics Monographs, 67)

あと、これのPart I V: Holevo, Quantum Systems, Channels, Information: A Mathematical Introduction

また本ではないのですが,この博士論文は勉強しました Kruger, Quantum Information Theory with Gaussian Systems

この間, クラウス表現とシュタインスプリング表現のよい具体例も書いてある文献を紹介しました. Twitterでもメルマガを流したところ, 量子情報系のプロが反応をくれたのでついでにいくつか文献を聞いておきました. D論はちょこちょこ眺めようと思っています. 楽しみです.

Helgasonの本

そうそう,ヘルガソン先生の Groups and Geometric Analysis... は調和関数だけじゃなく,球関数についても詳しいが,ハウ先生による書評がめっぽう面白いのでおすすめ. https://ams.org/journals/bull/1989-20-02/S0273-0979-1989-15786-8/S0273-0979-1989-15786-8.pdf

bioに著書名を入れていてツイートでもちょこちょこ自著と言っているため, 名前をどこまで出していいものかと悩んでいるmathraphsodyさんのコメントです.

調和関数は表現論のテーマであり, 微分方程式論や固有値の理論, 関数解析のテーマであり, コンパクト多様体上のラプラシアンの固有値解析とも絡んだりと勉強してみたいと思って幾星霜のテーマ含め, 私の趣味によくあう対象です. もちろんリー群・リー環とも相性ばっちりの対象です.

式の錯視

傾いて見える数式の錯視. 数学を使う文献の中にありそうであまりない錯視です.

↓↓新井仁之『ウェーブレット』(共立叢書現代数学の潮流、共立出版)の p.32 と p.75 にある数式。錯視を意図して書いたわけではありません。

上記ツイートのリンク先に錯視に見える式の画像が載っています. 興味がある人はぜひ見てみてください.

Wigner-Araki-Yanaseの拡張

論文を発表しました:https://arxiv.org/abs/2208.13494 九大の倉持さんが主著です。 「保存量と非可換な物理量は誤差なし測定不可」を意味するWigner-Araki-Yanase(WAY)定理は1960年の確立以来、非有界な物理量(運動量など)への拡張が未解決でしたが、この問題をYanase条件と呼ばれる条件下で解決しました。

WAY定理が非有界な物理量に成立すると、「位置の射影測定は、運動量保存の下で誤差なくできない」が成立するため、この問題は物理的にも重要です。WAY定理にはYanase条件(プローブ系にかける測定が保存量と可換)を使う設定と使わない設定があり、どちらも未解決でした。今回解決したのは前者です。 WAY定理は類似の結果がたくさんあり、測定、ユニタリゲート、誤り訂正符号などにそうした結果が知られています。最近、こうした結果を統一して一つの定理から導けることを示しましたhttps://arxiv.org/abs/2206.11086。この定理からは熱力学やブラックホール物理への応用も出ます。ご興味があればこちらも是非。

論文を軽く眺めても何だったか思い出せないものの, 確かこれは学生時代に関係するテーマを何か勉強していた記憶があります. 量子情報絡みで無限次元で直接的に作用素環を匂わせる話にも出くわして作用素環熱が微妙に高まっているのもあり, ちょっと気になっています.

密度行列に関する話

いま展開中の通信講座でもついでに状態や密度行列に関わる概念整理をやっています. Twitterで数学系の人と関連する話をしたのでここでもシェアしておきましょう.

密度汎関数理論(DFT)に出てくる密度行列って大体はトレースクラス作用素だと思うけどトレースクラスに入らない密度行列が物理的に重要になる場面ってあるのかな?

自分が普段扱っている密度行列は、トレースは確率の規格化の観点から1になっているので、トレースクラスでない密度行列というのはなかなかイメージが沸かないのですが、DFTでは密度行列がまれにトレースクラスでない場合が有るのでしょうか?

私は数学畑の人間なので物理のことは何も(本当に何も)分からないんですが、数学的にはトレースクラスでない密度行列を扱う研究もあります(トレースは粒子数に対応していますから要は粒子が無限個あるという状況です)。トレースが常に1の状況を考えることもあることは初めて知りました。 · 量子統計の状況ではありますが、数学的に相転移を起こすためには無限体積極限などが必要で、その場合の形式的な密度行列は連続スペクトルを持ちます(冨田竹崎)。相互作用系(または開放系)になると励起状態の準安定化で固有状態が消えます。基底状態の存在は発散の困難問題で数学的には非自明です。

このツイートだけからではちょっとよく分からないのですが、この話題について適切な文献等ありますでしょうか?>とても興味があります。

量子統計の数学の基礎という意味ではBratteli-Robinsonが基本的な文献です。ただ肝心要の密度作用素の話はそれ自身でほぼ出てこない問題があります。補足をいくつか書いておきます。密度作用素がどこで出てくるかといえば、平衡状態に対して$\omega(A)=Tr(\rho A)$と書くときで要は平衡状態の議論で出てきます。平衡統計力学では平衡状態はKMS状態で表されるとされていて、KMS状態に付随する作用素としてモジュラー共役Jとモジュラー作用素Δがあります。このΔをΔ^{it}=e^{itL}としたときのLが系のハミルトニアンにあたります。大まかにいえばΔが密度作用素です。 Δは冨田-竹崎理論の基本的な対象で、スペクトルの性質が作用素環の性質に反映するため、荒木・竹崎・コンヌらの作用素環的な決定的な結果がたくさんあります。密度作用素は大体e^{-H}にあたるため、ほぼハミルトニアンの解析にあたるものの、量子統計の文脈になるとハミルトニアンの解析がとにかく難しく、具体的なモデルに対する詳しい解析結果はあまりありません。先ほど書いたように作用素環論のレベルで作用素巻自体の解析の文脈で作用素環の性質とハミルトニアンのスペクトルの対応がわかっているくらいです。

私は密度汎関数の議論をほぼ知らず、私が知る限りその文脈から大きくずれると思うのですが、量子統計で興味がある系での密度行列はほぼ例外なくトレースクラスではありません。密度行列のスペクトルがハミルトニアンのスペクトルと関係がある前提のもとで、理由は無限体積極限での挙動にあります。 数少ない見やすい例としてラプラシアンがあります。有限の超立方体上のラプラシアンは指数関数が固有関数で、よく知られているように固有値は離散的です。しかし\mathbb{R}^d全体では全ての正の実数がスペクトルになり、固有値も消えます。調和振動のような例もあるとはいえ多くのハミルトニアンは連続部分を保つため、その時点で密度行列はただの有界作用素でコンパクト作用素の要件である離散的なスペクトル性がありません。おそらく密度汎関数の文脈と本質的に違う形で密度行列を使うため、あまり密度汎関数の議論に役立つ話はないだろうと思います。 密度汎関数業界でもE. H. Liebは有名人だろうと思う(少なくとも論文が一定数あるはず)のですが、Liebは物性・統計力学の幅広い分野で論文があります。Liebの仕事を眺めてみるのと密度汎関数からの議論で何かあるかもしれません。

きわめて丁寧な解説ありがとうございます。私はPDE畑の人間ですが、ある論文は方程式の背景を説明する際に明らかに密度汎関数の観点から密度行列を導入しているのに、途中から「トレースクラスではない密度行列を考えることも大切である」みたいな感じで量子統計っぽい具体例を引っ張ってきたりしていて謎なんですよね。まあ数学屋なので物理なんか知るかという態度も取れますが、やはり気になります。「量子統計の数理」みたいな本を眺めると作用素環の話が必要になるっぽくてつらいところです(作用素環ぜんぜん知らないので…)。

密度汎関数での密度は波動関数の絶対値の2乗にあたる量(関数)(のはず)、一方で密度行列は行列環(作用素環)上の線型汎関数としての状態がトレースとトレースクラスを使って書ける事情から切り出した作用素で、そもそも出所も何もかも違う概念です。密度汎関数で密行列という言葉を使うの自体がそもそもおかしいのではないかと思います。

数学屋さんとCS屋さんで問題意識とする点が異なるため、片方の問題意識がもう片方に上手く伝わらないという例

よく話題にあがる解析力学の$L(q, \dot{q})$の話です. 物理と情報系を両方一定程度知らないとわからないのかもしれません. 幾何的には接束上の関数の一言で終わりです.

150分で学ぶ高校数学の基礎

特に文系プログラマー系の人が概要を掴むのにはいいかもしれません. プログラミング関係は日々のデータ構造とアルゴリズム学習で手一杯で, あとは通信講座関係のsympyコード作成くらいしかできていないので, せめてもの宣伝協力です.

田崎晴明, 統計力学Iの修正

拙著『統計力学 I』でおそらく最も不親切だった(で、評判が悪かった)と思われる pp. 76, 77 の状態数の漸近的な振る舞いについての議論をより直観的で簡略なものに差し替えることにしました。「第 17 刷以前への修正」をご覧ください。以前の議論の簡単な解説もあります。 https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/statbook/errata.html

時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

カーリングはなぜ曲がるか

こちらも時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

統計の実例

この分析の精度はともかく, 興味が持てる実データがあるかどうかがとても大事という気分がずっとあります. 私自身なかなか統計系の勉強が続かないので. 語学・言語学で遊びたいとずっと思っています.

大人の学び直しサイト

こちらも時間が取れなくて読めていないもののとりあえずシェア+メモ.

ハーバード大のコンピューターサイエンス入門講座

ハーバード大のコンピュータサイエンス入門講座のCS50、久々に覗いたら教材だけでなく、講義動画も機械翻訳ではない日本語訳付きになってた。プログラミング学びたいと言ってる初心者に投げつける教材はもう全部これで良さそう。 https://cs50.jp

これも記録がてらシェア.

法令APIを利用したリサーチツール

最近仕事関係で改めて必要なプログラミング系の情報に集中的に触れるようにしていて, その中で見つけました. これもここ数ヶ月ずっと言っているように数学・物理・語学系でアプリを作っているので, その参考にもなるだろうとシェア+メモです.

メルカリのデータセット

うおおおおメルカリのデータセットだ、デカすぎんだろ!!!!

商品データ,コメントデータはCSV形式で,サイズはそれぞれ約100GB,約40GBです。画像データはサムネイル画像で約2TB,オリジナル画像で約1TBです。

URL

データがあってもこれをどう解析しよう事案があります.

不偏分散の分母

よくある「$n$ではなく$n-1$で割るのはなぜ?」事案です. いろいろな角度からの解説があった方がいいだろう, そのストックをしておこうと思いシェア+メモです.

【AbstractAlgebra.jl】Juliaで代数学をやってみたいんじゃ①

JuliaにはPyCallによるsympyのバインディングがあり, 他にも代数系の処理ソフトがあったはずです. Juliaは数学系でいろいろな動きがずっとあるのがいいところです. これも自分用の備忘録も兼ねてシェア.

数学ソフトウェアの作り方

「コンピュータが育む数学の展開」(全10巻)に引き続き、姉妹編となります新たなシリーズ「コンピュータと数学の織りなす革新」(全5巻)の刊行を10月より開始します。第1回配本は『数学ソフトウェアの作り方』です。ご注目いただけますと幸いです。 本書は、数学ソフトウェアを開発するために知っておいて欲しい事柄をまとめております。著者は皆、計算代数システムRisa/Asirなど、数学ソフトウェアの開発に携わってきています。本書には、その経験が随所にちりばめられており、この上ない解説書になっておりマス。

Cは昔仕事で書いていたこともあります. 結局ポインタの理解がいま一つのままで終わり, 今となってはあまり覚えてさえいない厳しさがあります. 書くのはともかく読めた方がよさそう言語だとは思っていつつ, そこまでやる気が出るわけでもない言語でもあり, 競プロ関係ではC/C++は基本的な言語なのでその範囲では毎日ちょこちょこ触ってはいます.

何はともあれ執筆陣がRisa/Asirの開発者で, 最近よくsympyにお世話になっている関係からとても気になっています. 勉強したいことが山程あって目が回っています. 近況でも書いたようにこの状況はもう少し是正した方がいいのでしょう.

教養としてのラテン語の授業

気になる新刊『教養としてのラテン語の授業』 著者は非常に面白い経歴の人物。「本書はバチカン裁判所の弁護士、ハン・ドンイル氏が行った名講義を整理したもの。ラテン語がわかれば、歴史、教養、文化の根底がわかる。西洋文明の根源であるラテン語を通して、歴史、文化、宗教、経済を学ぶ。 カエサル、アウグスティヌス、レオナルド・ダ・ヴィンチ。先人たちの知の息吹に触れる。 全世界で30万部のベストセラー」

これ, 語学系の話をやる上で多分私に決定的に欠けていて, 必須の知識ではないかと直観しています. ラテン語は科学の言語でもあり, そこまでカバーしたコンテンツがないだろうかと日々悶々としています. 自作はさすがにつらすぎるので.

大学以外で言語学を勉強する方法

言語学もちょこちょこと勉強していて, 例えば最近は印欧祖語に関する基本的な日本語文献という新書を買ってみました. 基礎はなかなか書き換わらない物理, 基本的に正しいものはずっと正しい数学に浸っているため, 新発見があるとすぐに話が変わってしまう非数学・非物理の世界はそれだけで勉強がつらいです.

それはそれとして, レベル・種類ともに豊富な中高数学系コンテンツ, そして応用上の議論は統計絡みの微分積分・線型代数で, 300ページほどの本を一冊さらえば知識としては大抵何とかなるはずでおそらく知識は極小で済むであろう数学でさえ独学が大変と言われているのに, 独学が多少なりとも楽にできる分野は何かあるのでしょうか?

仕事のコツ

40代になってわかった仕事のコツ。時間が足りないと悩んでいる人は、この4つでマジで楽になる。試してみてほしい。

  • できることはすぐやる. (準備の手間が減るから)それが最速.
  • マルチタスク厳禁, 一つずつ答えにして格納.
  • 常に20%の余力を確保すれば知恵が回る. 余力はイレギュラーのために使う.
  • 急がば回れ. 忙しい時ほど丁寧にこなせ. 差し戻しによる余計な仕事を減らそう.

この間「一所懸命やりすぎて没頭しすぎるのはよくない」と指摘されたため, 改めて仕事術的なのも気にした方がいいのかと思ってちょっと気にしています.

最近先延ばし癖があり, 先延ばしするとそれだけで心理的負担として重くのしかかってくる上, 着手までの精神的負荷も凄まじいため, 「できることはすぐやる」は本当に目下最大の課題です.

ハードワークの捉え方

「やったことのないこと」に挑戦し、自身の考え方の枠組みに落とし込んで再現性を作ることは「スキーマ」の構築と言えるでしょう。それは「What」がやったことないことの場合もだし、「How」のやり方を再定義して「やったことない方法」に置き換えることも新たなスキーマの構築と言えると思います。成長というのは新たな認知スキーマの構築をしてスキルに習熟させることとも言い換えられるのだと思います。ハードワークをすることと、新たなスキーマを構築することはイコールではないのでしょう。

最後に、「成長」が人生の全てではないことを付け加えておきます。私の世代は成長をすることを強く求められました。成長を追い求めず、人生を謳歌すること、穏やかに暮らすことを人生の主目的におきたい人も多いし、むしろ多くの人がそうなのではないかと思います。やったことないことに挑戦することは面白みもありますが、心身のエネルギーも使います。既にできることの実行に時間を多く割いて、それ以外で人生を充実させるということも人生の主目的によっては有意義なのかもしれません。

いまちょうど研修でいろいろやっているのでどう落とし込むかいろいろ考えています.

今週の問題

まだやるべきことはたくさんあれど, 量子力学は一段落させたので何をしようかと思っています. 一応もう少し物理をやろうと思っていて, イジングに浮気しようかと思いつつ, 当初の予定通り相対性理論のノート作りをしています. 微分形式をどこまで導入するかは悩みどころで, まずはベクトル解析ベースのノートを作ってから考えます. ベクトル解析はともかく, 微分形式は完全に線型代数なので相変わらずの線型代数推しです.

問題ではないものの, 計量の符号に関して一つコメントを.

計量の符号以外にも曲率の定義由来の符号の揺れがあり, 本を比較するときに非常に苦労します. もしあなたが相対性理論, 特に一般相対性理論に興味があるならぜひ覚えておいてください.

現状このコーナーは線型代数の宣伝のようになっています. ぜひ積極的に日々の学習に取り入れてみてください.

例と計算編は私自身のためにも日々せっせと計算して更新しています. 購入された方はぜひ参考にしてください.

例と計算編は次のリンク先から購入できるので, 興味がある方はどうぞ.

語学 今回はお休み/相転移プロダクション