2023-01-14

数学・物理 解析系数理物理100本ノック/相転移プロダクション

今回のテーマ

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近況報告

去年末, Packtの一冊5ドルキャンペーンもあって, ずっと仕事関係のプログラミングの勉強をしています. 特にここ数日は現代数学探険隊の改訂の手も止めている状態で, ふつう数学と言われるような活動は全然していません. こんなに長期間, 世間的な意味での狭義の数学をしていないのも久しぶりです.

ちなみに, 興味がある人がどれほどいるのかわかりませんがC#(.NET)の勉強をしています. JavaScriptで作っていたコンテンツがありましたが, エコシステム的な意味でJavaScriptがあまりにつらいです. 競プロはF#でやっているわけで, いっそ.NET系でBoleroによるWASMだとどうかと思い, 情報が少ないからとりあえずC#でBlazorを調べてみるかと思ったら, 衝撃的なほど情報が多かったため, とりあえずしばらくC#系で攻めてみようと思って改めて一から勉強しています. 勉強会でもC#/F#

それはそれとして年末年始は本を含めて久しぶりにいろいろ買いました. それで改めて思ったのは, やはりモノを買うのは楽しいです. 上で書いたようにPacktで本をたくさん買ったのもさることながら, 少なくとも私はまだしばらくリモートワークが続くため, プログラミング環境をよくするためケンジントンのエキスパートを買いました. 前にガジェット好きの先輩がいて, 新しいトラックボールを買ったからとしばらくお古を使わせてもらったことがありました. 大きなディスプレイ二枚で作業していたため, トラックボールは非常に快適だった記憶があります. 久しぶりに使ってみてやはり快適で楽しいです. ちょっとした作業を楽しく快適にしてくれるモノはやはりよいですね.

トラックボール以外に本を買い込むのも楽しいですね. そして久しぶりにたくさん買って雑にざっと眺めるタイプの読書をしました. ここ数年, 気合を入れて読むタイプの数学の本ばかりで雑な読書をしていませんでした. 乱読の意味でも久しぶりのことをいろいろやっています.

何はともあれ, 年末年始は久しぶりにたくさん本やモノを買って異様にワクワクしていました. プログラミングの再勉強でもASP.NET Coreが思ったよりもいい感じで, Web開発関係でも久しぶりのワクワク感を感じています. いま次の通信講座の案内を練り込んでいますが, こういうワクワク感をもっと感じてもらえるようになったいただろうかという反省があります.

次の通信講座

仕事が立て込んでいて作業がなかなか進んでいないのですが, とりあえずは「量子力学のための線型代数」の続きです.

今回もまだ引き続き数学の話です. もちろん物理, 特に量子力学的なモチベーションの話は随時入れる予定です.

近況でも書いたように, 年末年始のプログラミング環境整備と本の買い込み・勉強で久しぶりにワクワク感のある勉強をしました. どうしても勉強するのが大変な数学・物理という点で, つらさをやわらげるためにもゆるく長く続けようというばかりで, 楽しもうという話を積極的にしてこなかったのを反省しました. まだ量子力学のための線型代数編さえ終わっていないのにこんな話をするのもアレですが, 物理系の人の楽しみに応えきれていないというのも前からずっと思っているため, そろそろもっと物理に踏み込みたいと思っています. もちろん数学レベルを揃える必要もあるため数学的な補足もいろいろ入れないといけません.

熱力学や(特殊)相対性理論の講座もやりたいのですが, これはまだ私の準備が追いつきません. そこで数学色が強めかつ物理にももっと触れやすい方向性として, ベクトル解析や具体的な偏微分方程式の解法といったあたりをやろうかと思っています. もしかしたら一月ごとに「今月はラプラス方程式」「来月は熱方程式」みたいな形にするかもしれません. そしてもう一つポイントにしたいのは, 既存のプログラミング講座のコンテンツを無料でつけようと思っています. すごくいいコンテンツと思っているものの, ちょっと孤立していてうまく活用しきれていない反省もあります.

簡単な計算でも実際眺めると面白い計算がたくさんあります. 例えば熱方程式の時間無限大極限でラプラス方程式の境界値問題の解が得られます. 一次元だと実装も比較的簡単です. しかし指数定理の著名なルートの一つ, 熱核の方法でも一つのキーになる振る舞いです. 直観的にも厳密解としても簡単に解ける一方, 数値的にも解けて眺めていて楽しい問題で, この辺を数学・物理・プログラミングの三方向から攻めるのもかなり楽しいのではないかと思っていて, いい加減これもきちんと形にしたいところです.

まだきちんとコンテンツの形にまでは練り上げられていないものの, まさに量子力学用の線型代数学習コンテンツ整備時に使ったSymPyによる行列計算プログラムなどもあり, プログラミングコンテンツにはSymPyの使い方も載せているため, その点でも意味があると思います. 次回の量子力学の通信講座にもプログラミング講座のコンテンツを無料でセットにする予定です. もしプログラミング講座を買おうと思っている人がいれば, ぜひもう少し待って通信講座に参加する形で購入してください.

荒木先生の訃報

01/10: 荒木不二洋先生が昨年12月に亡くなられたとのことです.大変お世話になりました.ご冥福をお祈りします.

場の量子論・量子統計力学の数理物理の草分けであった荒木不二洋先生がなくなったそうです. 分野がもろかぶりの大巨人です. 話したことこそないものの学会で見かけたこともあります. 最近, 現代数学探険隊の集合論の再整備をしていたら, 作用素環から大量に例を引っ張っていて, その中でも荒木先生の話を何度なく紹介していました. 作用素環は学生時代の紙のノートはあり, 一時期TeX化しようかと思いつつ, あまりに面倒で断念した記憶があります.

荒木-Woods, 荒木-Wyss表現, 相対エントロピーなど直接使ったり考えたりしたモノもたくさんあります. 私の大学院時代を彩る強烈な思い出がたくさんあります.

佐藤幹夫の訃報

2023年1月9日、京都大学名誉教授・佐藤幹夫氏が亡くなられました。94歳でした。超函数の理論、超局所解析、概均質ベクトル空間、ソリトン理論など幅広い分野で世界の数学をリードされ、代数解析を現代に甦らせました。

荒木先生がなくなったのか, と思った矢先に佐藤幹夫もなくなったという衝撃ニュース.

Twitterでも呟いたのですが, 荒木先生も佐藤幹夫もためらいなく呼び捨てにできるほど二人とも偉いものの, 荒木先生は分野まるかぶりの上, 直接見たこともあって自然と先生呼びになっています.

学生時代の憧れも遠くなりつつあるのかという感慨に浸っています.

IAMPのセミナー

場の量子論のフォック空間上での散乱理論の研究を代表する先駆者は2人なのですが、そのうちの一人 は Jan Dereziński 先生です。そのDereziński先生のセミナーがあるそうで、 講演題目は Dirac-Coulomb Hamiltonians となっています。

The 2023 season of the One World IAMP Mathematical Physics Seminar starts tomorrow with Jan Dereziński's talk. I hope to see many of you at the seminar! https://www.youtube.com/watch?v=oRtT9r085AA

YouTube channel もかなり充実してきました。 https://youtube.com/@iamp_seminars 是非ご活用ください。

YouTubeで講演の動画が公開されています. 他にもいろいろあるようなので興味がある方はぜひ眺めてみてください.

高江洲さんのコメントにもあるようにDerezińskiは巨人です. 私の場合だと非平衡統計での平衡への回帰, それに関わる荒木-Woods表現・荒木-Wyss表現に関するまとめPDFでかなりお世話になりました. 平衡への回帰問題ではDerezinski-Jaksic-Pilletのレビューの論文で, 荒木の相対エントロピーを勉強した思い出があります. 短いもののよくまとまっていて非常に勉強になりました.

プレプリント版と思いますが, 次のところに置いて(?)ありました.

学生時代の, ゴリゴリに不等式処理の腕力もあった私と同レベルにないと読めたものではありませんが, さすがに証明はないものの, 冨田-竹崎理論の大事な定理もカバーされています. 20年前ではあるものの, 少なくともその時点での量子統計・場の量子論での作用素環の応用の様子が見えるよい論文です. 興味があればぜひ眺めてみてください.

まだ燃えるかけ算の順序問題

あと本の帯に「大学生の10人に1人が40-16÷4÷2を間違えた!」とでかでかと書いてるけど、こんなん思考力の問題でも何でもなくて、ただの数学の世界のシンタックスの問題でしょ?文法が覚えられてるかどうかだけじゃん。こんな基本的な解釈ができないのはそれは大変な問題だけど、論調にまるで合わないぞ

この手の「÷記号を含む計算式の解釈」をめぐっては同工異曲の煽りが頻繁に出てくる。そんなの分数式で書くなり括弧を使うなり解釈のブレをなくすように書くのが当然で、解釈にブレが生じてる時点でそんな式はゴミ箱にブチ込むべき。 芳沢氏の論には総論賛成ではあるけどねぇ。。。

これを見て改めて思ったので自分用メモ: 確かにかけ算の順序で「割り算で困る」という人に対して, そもそも割り算の小学校での記法自体が問題で, 全て分数表記と積に揃えれば困らないのはそれはそう.

競技プログラマーハンドブック

「競技プログラマーハンドブック(Antti Laaksonen氏著)を翻訳・公開しました 基本的テーマから発展的テーマが300ページ超に渡って記載されており目次を見るだけでも興味深いハンドブックです。 「こんなのあるんだ!」という皆様のわくわくの助けになれば幸いです。 https://raw.githubusercontent.com/recuraki/cphb-ja/master/book.pdf

解けるのはわかったがどう解説を書いていいかわからない問題に出くわしたため, 競プロも毎日解いているものの最近解説を作っていません. 鉄則本を買った方がいいのでしょう. いまの.NET学習が一段落したら買って読みたいですね.

野海正俊, 「Macdonald多項式入門」の講義録

以前言っていた, 野海 正俊さんの集中講義「Macdonald 多項式入門」の講義録が公開されました. https://omu.ac.jp/orp/ocami/publications/preprint-series/2022/ よろしくお願いします.

自分用メモ+シェア.

論計舎, 自然演繹100題ノック

自然演繹100題ノックという教材を作りました。論計舎web shop https://quawai.stores.jp より無料にてDLいただけます。 証明可能な論理式に関する自然演繹の証明図を100個書いていただこうという趣旨です。 ぜひ挑戦してください。 https://quawai.stores.jp/items/62f22a41

解析系数理物理100本ノックみたいなコンテンツほしいですね.

pythonで学ぶ計算物理

物理 pythonで調べて一番上にかかるのが、岡大のサイトなんだけど、やはりレベルが高い http://physics.okayama-u.ac.jp/~otsuki/lecture/CompPhys2/index.html

何となくC#/F#系の数値計算コンテンツも作ってみたいとは思っていますが, そもそも数値計算がとにかくつらいので二の足を踏んでいます. PythonだとMatplotlibがあり, Juliaもデファクトでいろいろある一方, お絵描き系をどうするかでかなり困ります. 一応SciSharpでMatplotlibラッパーもあるのですが.

PDEはつらいものの, 格子系ならもう少し楽にやれそうな気もします. 時間がなかなか取れませんが, やはりいつかきちんとコンテンツを整備したい野望だけはあります.

雑誌「数学」の過去の記事の電子版

雑誌「数学」の過去の記事の電子版がたくさん公開されていることに気づいた https://mathsoc.jp/publication/dbase/sugaku/index.html

これも自分用メモ+シェア.

いろいろなAI活用

日本企業でAI導入が進まない・効果が出ない理由として、「データ基盤がないからAIも作れない」もありつつ、単純に「AIを使ったユースケースを(世の中には事例があるのに)思いつけていない、思いつける人がいない」もそれなりに支配的と思います。

ChatGPTの使い道を思いつけてない、思いつける人が少ないのも日本で普及が進まない理由だと思う。世界でChatGPTに対する関心度が64%に対し日本では17%しかない。順位で見ると64位。同じアジア圏でも台湾や韓国がそれぞれ30位と33位になってるのを考えると日本での関心がどれくらい低いのかがわかる。 ChatGPTは公開から5日で利用者数100万人を突破して、ニューヨーク市では学習に対する悪影響を理由として学校での利用を禁止してる。裏を返せば、それほど多くの子供たちがChatGPTを使っていること。一方で日本ではほとんどの子供たちがChatGPTの存在すら知らないと思う。

確かに遊んでみたいと思いつつ, 実際に何でどう遊ぶといいか何も思いつけていません.

日々の自分用メモ

いろいろな教育

いつだったか堀江貴文さんが寿司屋で10年修行なんて無駄、学校やYouTubeで学べば1ヶ月でできるとおっしゃていました。 彼の様に頭が良く、行動力がある人にとってはその通りかもしれませんが、世の中には家庭に問題があったり、本人が逃げてばかりで15.16歳くらいからカタギ社会からはみ出してしまいそうな若者を真っ当な大人に育てる器が社会にあったんです。 だから就業でなく修行と言ったわけです。 優秀な人間を前提とした行き過ぎた労働者保護や労働環境の効率化はこういったダメ人間矯正施設である商売を尽く潰し、大資本の非正規雇用や使い捨て請負業従事者を大量に生み出し、中年になっても家庭も待たず、家も自分の商売も持てない人間だらけにしました。 寿司屋に限らず、10年修行しろの裏には、商売をする上で必要になる社会の仕組みや周りの人たちとの接し方を教え、本人に社会的信用をつけてあげる為に必要な期間なのであり、修行を終えた時、大将の口利きがあれば多様な業者との繋がりを持て、独立資金等も借りる事ができたのです。 卑近な例ですが、15歳でウチの店に来て、複雑な家庭環境ゆえに一度高校中退し、夜間高校に通いながら10年ほど働いていた若い子が今は立派に社会人として頑張って働いています。 手前味噌ですが、その子に先日会った時、15の時、社長のところに行かなかったら自分の人生、どうなっていたかわからないと感謝されました。 私は特別なことは何もしてませんが、現場のスタッフが時には厳しく、時には優しく話を聞いてあげたりしてちゃんと育ててくれていたんです。 そんな弊社もこの3年で人を雇うことが難しくなってきました。若い人を育てるには責任が生じますから、続ける事ができるかわからない状態で受け入れられません。 10年なんて無駄と言い、飲食というだけでブラックという前にどうか我々みたいな零細飲食には色々な事情があることを知っておいて下さい。

【ホットサンドメーカーで作る太宰府名物 梅ヶ枝餅】

記者のためのオープンデータ活用ハンドブック

この種のスキルは、体系的に学ぶどころか、調査報道の先細りで組織メディアのOJTですら雲行きがあやしくなっている。 個人的には、取材・調査技法のアップデートが止まってしまう中堅以降の記者こそ手に取ってほしいと思いました。

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