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通信講座再開に合わせて仕事関係のプログラミング漬けだった生活からゆるく数学のリハビリをはじめています. 物理も軽くリハビリをしようと思い, どうするか思案中です.
ホモロジー代数のノート作りは地道に続けています. 相変わらず, とにかく可換図式を書くのが大変です. そして慣れていない分野であるため, 「詳細は読者に任せる」系の議論で四苦八苦しています. そのうち慣れると思って穴はそのままにして放置しています.
今回の締切は明日までです.
いつかまた同じ内容で開催する予定はあるものの, いつになるかはわかりません.
物理のリハビリがてら, 熱力学の通信講座の構想をつらつらと書こうと思います. 何度か書いた話ではありますが, 新たに登録された方もいますし, 一度読んですっと頭に入る方ばかりでもないでしょう.
日常的な感覚からすれば, やはりはじめから温度を導入してそれを軸に据えて議論するのは一手です. 記憶にある限りまず温度の概念を導入している本も多かったように思います. 「統計力学を勉強してはじめてエントロピーが理解できた」と評判の統計力学でも重要なパラメーターです. しかし温度の概念以前に温度を導入するための設定が実は厄介です. そのために古典力学と比較しながら進めます.
古典力学では他に何者も存在せず, 相互作用もない状況からはじめ, 相互作用がある場合は運動方程式で力を導入する形で議論をはじめます. 温度の導入は温度を持つ対象として相互作用する外界を理論に導入する必要があります. 古典力学で言えば等速直線運動を飛ばしていきなり相互作用系から考えはじめています. 温度が日常的に見慣れた量だから親しみやすく感じるだけで理論的には複雑な扱いが必要です.
特に熱浴と切り離された系を孤立系と呼びます. 孤立系自体は日常的な対象として近似的に実現されています. いわゆる魔法瓶です. 冬場は特に飲み物を暖かく保つために重宝している人も多いでしょう. これがまさに外界と遮断した孤立系を作る装置です. この意味で孤立系は身近で重要な対象で, 一番最初に取り上げて議論する価値と意味がある系です.
必要以上に話を複雑にしないように流体, 特に気体を想定してパラメーターを設定します. 特に体積$V$と物質量$N$を考えます. 結論を先取りすると, 直接制御できるパラメーターではないものの, 温度の代わりの示量的なパラメーターとして(内部)エネルギー$U$を取ります. このときヘルムホルツの自由エネルギーやギブスの自由エネルギーに対応する, 完全な熱力学関数がエントロピーです.
エントロピーの面倒なところはパラメーターとして物理的に直接制御できないエネルギーが指定される点です. この点, 制御のイメージが持ちやすい温度の便利さが光ります. 一方でエントロピーをいつまでも謎のままの量にせず, 完全な熱力学関数としての地位を最初に与えておくのも意味があるのではないかと思っていて, 話の筋をどうつけるか考えています.
いま書いていてふと思ったのですが, 完全に一致するわけではないものの, 位相空間論と形式的な類似があります. 位相空間論も基礎を開集合系に取るか, 閉集合系に取るか, 近傍系に取るか, ネットに取るか, フィルターに取るか選び方があります. 標準的には開集合系である一方, 解析学としてはネットやフィルターが便利な局面があります. どの系を選ぶかと熱力学関数の選び方に似ている点がないでもない気分があります. 物理の人にどう説明するとよいかはともかく, 数学系の人に説明するには一つ便利な物言いなのかもしれません.
逆に熱力学を知る非数学系の人に位相空間論の様々な定式化の意義を伝えるには, 熱力学関数の取り方を例に挙げるとよいのかもしれません.
「うまみ成分である 『トリメチルアミンオキサイド』が たぶん水圧守れる原因じゃね?」
中性子ビームを当てて高圧化した結果。
そしたらただの水は歪んでしまって 形が保てなくなったのですが 『トリメチルアミンオキサイド』
を加えた水は見事に安定化したわけです。
可能性空間を限定することが重要。
1.役割を与える 例:〇〇の観点で答えて
2.文脈,前提条件を与える 例:改善点教えて/危険度チェックして
3.英語で命令しよう
4.マークアップ言語で書き分け (続く)
【深津式プロンプト・システム①】
命令書:¶
あなたはプロの編集者です。 以下の制約条件と入力文をもとに、最高の要約を出力してください。
制約条件:¶
・文字数は300文字程度。 ・小学生にもわかりやすく。 ・重要なキーワードを取り残さない。 ・文章を簡潔に。
入力文:¶
出力文:¶
【深津式プロンプト・システム②】 (これを追加すると精度が上げられる) このタスクで最高の結果をだすために、追加の情報が必要な場合は、質問をしてください。
【深津式プロンプト・システム③】 (これはやり方の話) まずベストプラクティスを聞いて、 その回答を前提に回答してもらうと精度が上がる
国際会議に行ったら主催者が「ここの公用語は下手な英語だ」とスピーチして喝采されてたり,フランス人と日本人が英語でやりとりしてて英語ネイティブが何言ってるか聞き取れないのになぜか当人達は意思疎通できてたとか,あるある……。
英語のコミュニケーションの話で、僕が1番好きなのは@mkuze せんせのこれ 「英語でのコミュニケーション能力が求められます。これにしても英会話の技術というよりも言いたいことを(日本語の段階で)論理的に整理できているかどうかが重要な点です。」
スマホを持つお子さん及び保護者の方気をつけて下さい・・・ 長女がインスタで知り合った人に電話番号やpaypayのパスワード等を教えてしまいアカウントを乗っ取られて、チケット詐欺の受け渡し場所となっていました・・・ チケット詐欺被害者からの直電で判明し、明日警察に届けます。↓
まずは友達として仲良くなってから言葉巧みにPayPayアカウントを作らせて、娘のスマホに送られてくる認証コードも聞き出しそのアカウントを詐欺の金銭譲渡に使用していた。被害総額20万強。↓ 私は以前小中学生向けのネットリテラシーを講師をしていまして、娘がスマホを持つ際は、何のために制限するのか・どのような事に気をつけるか・使用時の約束を記して貼る・ペナルティを作り実行する・フィルタリングをかけるetc対策出来てると思ってたのですよ、、↓ 色々話できる環境も作っていたし、そんな人いても絶対わかるし騙されないから大丈夫と言っていた子がこんなにも簡単に引っかかってしまったのは私の緩みと思春期の好奇心ゆえだと思います(犯人イケメンアイコンだった)。手綱離すの早かった。まぁ大丈夫だろって色々甘く見てたわー。↓ 親の許可がないと課金できない仕様にしてあるからPayPayとか登録しても意味ないだろーとか油断してたのもある。けど、金銭授受の箱としてだけ使うなら口座登録も本人確認もいらないので成立してしまっていた。。。 警察と連携をとり被害にあわれた方に対してもどのように責任を取っていくべきかを考えつつ、子どもと学び直して今後のスマホとの付き合い方に関してじっくり話合わなければ。↓ もはやスマホを禁止すればいいという訳ではなく、避けられない世界の中で、自分にとって有益なツールにする為に必要なのは何より知識だと思います。知らなかった分からなかったではすまされないのですよね。↓ 文部科学省等で親子向けのHP等もあるので、これから買う方は必ず親子で知識を共有してほしいなと思います!失敗者からのお願いです、、、 追記ですが、SNS利用の約束として、実際に会った事がある人以外とのDMや個別でのやり取りを禁止していました。もちろん破った際のペナルティも有で。 被害例を元にイケメンアカウントも実際は良からぬ輩ばかりであるという意識でいなさいと頻繁に伝えていましたが、中学生チョロすぎました。
なんだこれは。これは売名とか偽善とか以前に、善悪で語るもんじゃない何かではないか。なんなんですかこの人、爪の垢煎じて飲ませてもらっても真似できっこないこんなの。
半世紀を優に超えて歌手や俳優として活躍する杉良太郎(78)は、60年以上にわたって私財を投じた福祉活動に取り組んできた。「特別矯正監」「特別防犯対策監」などに任じられている杉は、どのように矯正施設の改革に携わってきたのか。その思いを本人が語った。
***
【写真を見る】15歳の頃、あどけない表情の杉良太郎 この頃から刑務所の慰問を開始した
15歳の時に刑務所の慰問を始め、国内外で福祉活動を続けて64年が過ぎました。人からはよく「なぜ」「どうして」と聞かれますが、そういう質問が一番困ります。自分でも明確な答えを持ち合わせていないからですが、おそらくこれは私の性分。生まれる前、母親の胎内にいた頃に染みついた、一種の性(さが)だと思います。母は「人に親切、慈悲、情け」が口癖のような人でしたから。
現在は法務省・特別矯正監(永久委嘱)、厚生労働省・健康行政特別参与、警察庁・特別防犯対策監(永久委嘱)として福祉活動だけではなく対策活動を行う機会も増えています。すでに全国の税関、刑務所は視察を終えており、警察はこの2月、すべての都道府県警察本部を訪問し終えます。その後は各警察署にも足を運び、現場に近い声を聞いて対策に生かす考えです。 杉良太郎
慰問活動を始めた15歳の頃(他の写真を見る) 名誉矯正監になった理由
なぜ、全国を回る必要があるのか。例えば警察組織にしてもそれぞれの地域特有の県民性や地域性があります。だから、治安の維持という使命は同じでも、アプローチの仕方は微妙に異なる。それは私が矯正監として接している、受刑者や刑務官たちも同じです。
私が矯正施設で見るのは、彼らがどんな所で生まれ育ち、なぜ犯罪を起こしたのかという、根っこのところ。私が矯正監に任命されるまでには、幾つかの段階がありました。まず、15歳から始めた慰問を続けるうちに一日所長として視察するようになった。すると当時、5~6人の閣僚が集まる席があって、「何十年も取り組んでいる杉さんが一日だけの所長っていうのはおかしいんじゃないの?」という話になり、その後「一日所長じゃなく、何かポジションを作れないのか」と、法務大臣に伝えたという。そんなことはまったく知りませんでしたが、名誉矯正監や名誉所長という肩書きを受けてくれないか、と打診をいただきました。
そもそも私は「名誉」では引き受けたくなかったのですが、お飾りではないということを念押しし、名誉矯正監を拝命しました。
刑務官に「何が欲しいか」と聞くと…
それまでは受刑者の更生を促進する活動が中心でしたが、刑務官や職員の方の規律や指揮監督、処遇といったあらゆる角度から矯正施設の問題に取り組むようになりました。とくに現場の声を聞くことを大切にし、その後も全国の矯正施設を回り続けました。「なるべく若い人たちの意見を聞きたい」と思っても、所長や部長などの上司が横にいると、彼らはなかなか率直な気持ちを言えません。だから、看守長ぐらいまでの中堅クラスにメンバーを限定し、話を聞いていきました。
多くは30代半ばから後半ぐらいです。処遇から教育、経理や医務といったすべての部門から出席してもらいます。最初はまったく意見が出ませんでしたが、こちらから「日頃、仕事をする中での不満を聞かせてほしい」と促したら、多くの声が上がるようになりました。
例えば、勤続年数によって時計がもらえる制度がありました。私が「時計をもらってうれしいか?」と尋ねると「うれしくない」と。「じゃあ、うれしくないものはうれしくないと言いなさい」と話した。それで「本当は何が欲しいんだ?」と聞くと「長期休暇です」と言う。
当時は休日にポケベルが鳴ったり、受刑者が過剰収容されていた関係で仕事が多くて息つく暇もない。長期休暇がないから、お盆に墓参りすら行けないとも。「それじゃあ、まずは長期休暇を出そう」と、すぐに本省に掛け合って休暇制度を見直しました。長期の休暇が取れないことは、離職率の上昇にもつながるからです。 自己犠牲の精神 杉良太郎
東京税関に寄贈した麻薬探知犬のタロー号と(平成6年)(他の写真を見る)
刑務官がしっかり受刑者を指導・監督できるようになるには、広い知識や見聞、人間的な包容力を持つことも大切です。塀の中しか知らないような世間知らずでは務まりません。長期休暇を活用して、旅行も含めて見聞を広め、体験を重ねることも重要なのです。
また、この仕事は成果が見えにくいという側面があるので、職員にはやりがいとプライドを持たせることが必要です。自身の職業へのプライド、誇りがなければ、海千山千の受刑者にはなかなか対峙できません。そこで、専門官を作るなど、刑務官の心理面での育成につながることも考えました。
刑務官たちが最も喜んだのは、彼らが住む官舎の改善でした。これを言うと大抵の人に驚かれますが、刑務官を含めた職員たちに「刑務所と自分たちの官舎と、どっちを先にリフォームしてほしい?」と尋ねると、100人が100人とも「刑務所を先にお願いします」と答えます。職場を優先してほしいというわけです。
世間的にはこうしたイメージは薄いかもしれませんが、職員たちも人間です。受刑者に情が移るのか、「ちょっとでも甘い物を食べさせてあげたい」とか「少しでも処遇を良くしてあげたい」という気持ちの人が多い。自己犠牲の精神というのか、自分より受刑者の待遇改善を優先する意識が強いんです。だから私は、「あまりそっち寄りに行くなよ。被害者を忘れるな」と注意しているほどです。
刑務官は6畳と4畳半の2間で子どもを育てている
官舎というと「公務員住宅だから、さぞ良いところに住んでいるんだろう」といったイメージが強いと思います。赤坂や青山の国会議員宿舎などの印象があるからでしょうが、とくに地方にある国家公務員宿舎の多くは、想像以上に老朽化が進んでいるのが現状です。
施設課長が「居住環境を改善しないと職員が居着かない」と訴えてきたことがあります。そこで実際に足を運び、「どうしていままでこの事実を誰も口にしなかったのか?」と、気付けなかった自分にもがくぜんとしたことがあります。
視察に行く前に、法務省の職員に「間取りは幾つ?」と聞いたら「二間あります」という。私は「8畳と6畳の二間かな」と想像しましたが、実際には6畳と4畳半でした。いまどき4畳半なんて一間に含まれるのかと驚きましてね。受刑者には三食が付き、夜中でもガードマンが見回ってくれるから安心で安全な住環境にある。一方で、彼らを監督する刑務官は6畳と4畳半、そして台所という狭い部屋で、子どもを育てていることが分かった。
すぐに全国の官舎の写真を取り寄せ、それを超党派の再犯防止議員連盟のメンバーたちに見ていただいた。それで「近いうちに川越少年刑務所に行きます。みなさんも一緒に来て下さい」とお誘いしました。 「これ、廃墟じゃないですか」 杉良太郎
1986年。日本政府要人から中国政府への親書を携え、郵政省から贈られた制帽と郵便かばんを身に着け「幸せ配達人」を務める(他の写真を見る)
実際に現地を視察した後で、議員の方たちに「みなさんはここに住めますか?」と聞くと、全員が「住めません」と口をそろえた。中には「これ、廃墟じゃないですか」と驚く議員までいたほどです。そこで私は「ご自分が住めないところに、職員に住めと言うのはいかがなものでしょう」と窘(たしな)めるように続けた。率直な印象として「ひどいな、こんな住宅がまだあるのか」というほど老朽化が進んでいたので、いまも少しずつ住宅の建て替えやリフォームを進めているところです。
警察官とは違って、刑務所の職員にはなかなか陽が当たらない。子どもに「お父さんは何の仕事?」と聞かれて「刑務官だよ、とは言いにくい」と話す職員はいまも少なくありません。「自分の子どもに胸を張れない」というのです。だから私は全国の施設を回って「プライドを持て」と、指導したり勇気づけたりしてきたのです。
医官の処遇改善
刑務所に勤務する医師である、医官の離職も深刻な問題でした。以前の規則では、彼らが診療の対象にできるのは受刑者に限られていました。国家公務員だからというだけで、刑務官がちょっと体調を崩した時でも診察すらできない。以前はこんな非常識なことがまかり通っていたんです。だから私は、刑務官はもとより、近所に住む町の人々も診られるようにすべきだと訴えたことがありました。
医官は刑務所の近くに住んでいます。同じ地域の人々の理解や信頼は、人間的な触れ合いや結びつきから生まれてきます。高額な予算を投じて最新鋭のMRIを導入したのに、それを使ってもらえるのは受刑者だけ。それではあまりにもったいない。だから、医官の仕事は臨床に限らず、希望すれば研究もしていいようにした。給与水準のアップを含めた処遇改善にも手を付けて、医官の離職率が下がるように工夫したわけです。 「長く刑務所にいたい」という受刑者たち 杉良太郎
東日本大震災の被災地で行った炊き出し(他の写真を見る)
さまざまな刑務所の改革には、受刑者の処遇改善も不可欠です。ところが衣食住の快適さが増すと、居心地の良さから「長くここに置いて下さい」と訴える受刑者が増えてしまった。当たり前ですが、刑務所は「置いて下さい」なんて言われる場所じゃありません。
とくに高齢の受刑者ほどその傾向が強い。理由の多くは「出所したら死ぬしかない」「保険証がないから医者に診てもらえない」というもので、実際、持病があったり、身寄りがなくて出所しても身を置く場所がないんです。一方で刑務所なら食事はあるし、布団で寝られます。病気をすれば治療だって受けられますから、受刑者が高齢になればなるほど刑務所を「無料の老人ホーム」みたいな感覚で捉えているんですね。
刑務所にもさまざまな種類がありますが、最近は医療刑務所が非常に大きな役割を持つ時代だと感じます。違法な薬物に関する治療もありますが、心臓や脳の病気をはじめ、がんを患う受刑者も珍しくはありません。
麻薬や薬物の常習者の更生には、専門の病院や施設で徹底的に対応する必要があります。専門医も必要ですが、何よりものすごい手間がかかるんですよ。
受刑者の認知症問題
加えて最近の医療刑務所の守備範囲はかなり広がっていますが、喫緊の課題の一つが、仮に受刑者が刑務所内で認知症を発症したらどうするか、という問題です。自分が誰だか認識できない受刑者にはどう罪を償わせればいいのか。こういった贖罪のあり方の本質に関わる問題への対処など、刑務官の役割やありようは大きく変化しています。
心臓病や胃がんという具合に脳の機能に影響がない時はいいですが、アルツハイマー型認知症などの場合は罪を犯した事実やその罪名どころか、自分の名前すら覚えていないこともあります。入る刑務所もA級(犯罪傾向の進んでいない者)とB級(再犯や累犯、反社会的勢力といった犯罪傾向の進んでいる者)、L級(刑期が10年以上の者)などの等級によって分かれますが、長期で入っている人は症状がどんどん進んでしまいます。
認知症を患う受刑者の面倒、つまり介護も刑務官の任務とするのか。あるいは、別に収容する施設を造るのか。仮に介護施設を造った場合、刑務所とは異なる環境で生活する受刑者は本当に罪を償っているといえるのか。そもそも、介護施設が罪を償う場所になり得るのか、といった問題も出てきます。 資格取得まで導いても出所すると… 杉良太郎
愛媛県警を訪問(他の写真を見る)
かねて私は、刑務官が受刑者の介護に苦労していることを知って、「これは本来の刑務所の姿じゃない」と感じていました。だから刑務官だけでなく受刑者も介護ができるよう、さらに出所後にその経験が生かせるようにと、刑務所で介護福祉士の国家資格を取得できるようにしました。
ところが、ここで新たな問題が出てきました。仮に500人の介護資格を手にした受刑者がいたとして、その中の何人が出所後に介護職に就くのか。私の感覚ではせいぜい30人ぐらいだと思います。そもそも受刑者には勤労意欲が乏しかったり、働くのが苦手という人が多い。幾らこっちが「再犯防止につながるように」と資格取得まで導いても、ほとんどが出所したら働かない。
よく耳にする話に「出所後に雇ってくれるところがないので働けない」「収入が得られないから再犯してしまう」というものがありますが、「働きたくない」「仕事は苦手」という人たちの再犯率を下げることが、いかに難しいかということがお分かりいただけるでしょう。
欧米では寄付が節税対策に
私は平成8年に「名誉矯正監」を、平成20年に「特別矯正監」を拝命し、それに伴って私の役割も変わってきました。最も大きなものは、改善すべき点を明確にして必要な予算を獲得することです。平成28年4月に発生した熊本地震の後には刑務所や少年院などすべての刑事施設を、地震や津波、河川の氾濫といった災害が起きた際、市民が避難場所として利用できるようにしました。
本来、こうした取り組みは政治の役割かもしれません。しかし、特別矯正監という立場だからこそできることがある。だから私は全国の矯正施設を回り、目で見て耳で聞いて問題点を炙(あぶ)り出している。それがいまの私の役割だからです。東日本大震災で炊き出しなどの支援活動をした時など、これまでには「売名だ」とか「偽善では」と言われました。しかし、私はただ自分にできること、すべきだと思ったことを行動に移してきたに過ぎません。
ところで、日本と欧米のボランティアや寄付のありようには大きな違いがあります。文化や習慣も異なるからでしょうが、実は税制面でも大きな差があります。
例えばアメリカでは、個人が100万円をチャリティーとして寄付すると、手続きをすることでほぼ全額が所得から控除される。つまりは税金対策にもなるわけです。日本で杉良太郎が1億円を寄付するのと、ハリウッドスターが1億円を寄付するのとでは本質的な意味合いがまったく異なる。それを多くの日本人はご存じない。
いま、私がどこかの慈善団体に1億円を寄付したとしても、控除されて戻ってくる額はごくわずかです。もちろん、私はそれも寄付しますが、アメリカで1億円を寄付したら、日本よりも還付される額ははるかに多いんです。 1億円借金してまで寄付 杉良太郎
佐賀県庁を訪問(他の写真を見る)
日本テレビに「24時間テレビ 愛は地球を救う」というチャリティー番組がありますね。以前その会場へ、新聞紙に包んだ現金を会社の経理担当に持って行かせたことがありました。すると、たまたまテレビに映った彼を見た税務署の職員から「あれは杉さんの会社の人ですよね。課税の対象です」と連絡がきたことがあります。世間の多くは「寄付金は全額が控除の対象になる」と思っているようです。ところが実際は違います。日本は軽々に寄付ができない制度になっているんです。
昭和61年ごろに中国に残留していた日本人孤児の問題に取り組んだ時、自分で何とか4億円は都合できたものの、どうしても残りの1億円が不足したことがありました。そこで住友銀行(当時)の磯田一郎会長に「5億円のうち4億円は用意できたけど1億円足りない。1億円、私の体を担保に貸して下さい」とお願いに行ったんです。
会長は「銀行は体を担保に金を貸さないよ。だけど杉さん、老後はどうすんの?」と。私は「お粥を啜って生きていきますから」と答えた。そうしたら会長は1億円を融資して下さった。返済額は利子を含めて1億7500万円になりましたが、会長は「金を借りてまで寄付する人は初めてだ」と仰っていましたね。
刑務所を株式会社に
私は十数年以上前から刑務所の株式会社化を提言しています。これは民営化や半官半民とはまったく異なる世界初の試みです。受刑者の数が減少傾向にあるいま、廃止される刑務所などを活用し、株式会社化して運営したい。ここを社宅付きの職場にして、出所者や定年退職した刑務官たちを雇い入れる。互いに見知った関係ですから何でも相談できるだけでなく、出所者は得た収入から1カ月に千円でも2千円でも被害者への送金が可能になる。いつまでも被害者のことを心に留める意識が大切ですから、その一助となる取り組みとして、近いうちに本格化させるつもりです。
そこでは受刑者が出所後に即戦力として仕事を得られるよう、畜産や農業などの知識と技術を教えたい。すでに網走刑務所では「網走監獄和牛」という名前でA5ランクの黒毛和牛を育成したり、〈おつとめごくろうさまです〉といったロゴ入りのTシャツを販売していますし、鹿児島刑務所では日本茶に加えて紅茶作りが始まっています。函館少年刑務所では〈〇(マル)獄シリーズ〉という、「獄」の文字を丸で囲ったデザインがプリントされた前掛けや手提げバッグなど数多くのグッズが人気を集めています。 達成感はない 杉良太郎
大阪府泉佐野市役所を訪問(他の写真を見る)
このように、私は刑務所を一種のブランドにして新たな価値を生み出そうと考えている。そこが元受刑者の再就職先になれば、彼らの勤労意欲の喚起だけでなく、働くことの意味を理解させられると思うからです。
私は法務省のほかにも、厚生労働省で予防医療や未病という概念の普及と対策活動を、警察庁で特殊詐欺対策を中心とした防犯のあり方や、犯罪加担者を減らす取り組みに従事しています。私の活動は多岐にわたりますが、すべてに共通して言えるのは、「自分ができること」や「こうすべきだ」と思ったら、それを、すぐ行動に移してきたということです。
とはいえ、私は一度も「やってよかった」というような達成感や満足を覚えたことがありません。次々と問題が出てきますし、新たなアイデアが浮かんでくるからです。私にはいまも多くの課題が残されていますから、この道はずっと続いていく。まだまだ、これからですよ。
杉 良太郎(すぎりょうたろう) 昭和19年兵庫県生まれ。同40年に歌手デビュー。同42年にNHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、以降は長年にわたってテレビや舞台で活躍。法務大臣顕彰、文部科学大臣表彰など数々の大臣表彰にとどまらず、紫綬褒章や芸能人として初めて緑綬褒章も受けた。平成26年に内閣総理大臣より感謝状を贈呈されたほか、同28年には長年にわたる国内外での文化交流が評価され文化功労者に選出されている。
週刊新潮 2023年2月2日号掲載
憲法学者「同性愛という愛のありかたは個人の自由。しかしそれを国家が法的婚姻制度で保護することは別問題。生殖可能性がない以上、現状国家が保護すべき利益が見当たらない」 https://sn-jp.com/archives/112565
賛同する。制度の利害調整は婚姻者と独身者との間のもの。独身者の犠牲で婚姻者を利する理由が問われる。次世代の国民を産み養育するというところに認められる。 子供のない夫婦は「制度」の遊び。 婚姻が子供づくりを前提にしていないという人は、民法が近親婚を禁じる理由を説明してみよ。 そもそも結婚は、その女の腹から生まれてくる子供の父親を決定し、その子の養育に責任を負わせる制度。母親は自然と決まるが、父親は制度的に決定しないと絶対に分からなかったためだよ。
noteでたまに地理関連の書評記事を書いていたので、創元社様から出た新刊の『奇妙な国境や境界の世界地図』をご恵贈いただき、さっき読み終えたところですが、予想していた以上にマニアックな国境・境界の事例が取り上げられていて驚きました。1/ https://www.amazon.co.jp/dp/B0BT15YH88 もちろん、カリーニングラードの飛地や、キプロスを南北に分断している境界といった、政治地理でお馴染みの事例も若干ありますが、目新しい事例の方が割合としては多かったです。ベラルーシの領内にサニコヴォ=メドヴェジエというロシアの飛地があるのは知りませんでした。2/ 原発事故の影響で放棄され、無人地帯になりましたが、著者のニコリッチの調べによると、ロシアの行政管理が及ばないことを利用して、狩猟が禁止されているシーズンに近隣の住民が密猟を目的として進入するようで、典型的な無法地帯になっているなと思いました。3/ 個人的に中国の政治地理に興味があったので、手に入れたときに真っ先に調べましたが、残念ながら中ロ国境にあるユダヤ自治州の事例を除くと中国関連の事例は取り上げられていませんでした。そこはちょっと残念でしたが、欧州と北米に関しては詳しく調査されていると思いました。4/ 世界地図のスケールでは見落とされることが多い小さな人為国境について学ぶことが多い一冊でした。気取らない文体で書かれており、青を基調にした地図も読みやすく、よい意味で学術書らしくない著作だと思います。5/5